情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
逆だ。
おれは、職業に卑賤など斟酌しない。
その人間が、自分の生き様(スタイル)を唯一無二のものとして肯定しているか、それしか気にしない。
迷っているのは、君の方だろう。
心が定まっているならば、君は「自分は海賊以外のものにはならない」と宣言したと思う。
血筋がそうさせたのでもない。
誰かに命じられたのでもない。
だが、君は今、海賊だ。
人が自分の足で立つためには、ましてや仲間を支えるためには、自分が自分であり、必要であることの肯定が――自負が必要だと思う。
死線すら見据えて、自分が生きるのはここ、と言い切る勇気が。
その境界――自覚しているかい?
―クヴェレ地区・某所―
[病院のある地区へ赴いた二人は、戦いを前に微笑みを浮かべた。
そして、相手が自分と同じ表情をしているのに気付くと。シメオンは左手を、ポールは右手を出して、手の平を合わせてぎゅっと握り締めた。
違うようでいて、お互い似た存在なのだろう。
二人は舞いを通じて、深く実感した。
シメオンは、神に仕え、人々の幸せを祈り守る為に。
ポールは、一見従順に従っているように見せかけて、自分の未来を掴む為に。
それぞれの事情と理由があって、神へ捧げる剣舞を覚えた。
これが嘘とはまでは、流石に言えないけれども。本心を最も単純に表現すれば、”舞うのが好き”の一言に尽きる、と思っているから]
「さて、と。そろそろ始めましょうか?」
[ポールが声をかけると、シメオンが答えて頷く。
それを合図に、二人は一斉に”舞い”を始めた]
[立場上、常に誰かが傍で護衛についているが。シメオンは毎日身体の鍛錬を欠かさない。時には、立ち稽古もどきを聖騎士相手にして貰う事もあった。
だから今回、敵に突入しようと決めた時も、全然怖くなかった。
自分は戦える。その自信があったから]
「い、一体何者だ、お前等?!」「くそっ、遠慮する事はねぇ! やっちまえ」
[いかにも悪人相した男達が怒鳴り合い、自分達へ向かってくるのを、次々とあしらう]
>>206
ハイ!!ぜひお願いします。シグは言った事がないので。楽しみだね!ルシエ!!
[ルシエを顔を見て、笑顔で頷いた。]
海賊王――
やはり懐の大きい人物なのですね。そうだよな、ルシエを助けてくれたんだものな!
[カークもやはり、海賊王をすごくしたってるように見えたのは、当然に思えた。]
あ!そうですよね。ゾフィヤにとっては敵ですものね。
[っとこそっとカークに話した。
大人って立場があるんだよな。難しいなほんと。
僕にとっては僕を思ってくれるゾフィヤも、ルシエを守ってくれた海賊王も恩人にはかわりないから、こういえるんだよな。
どんな大人になっても、人を裏切る、傷つける大人にはなりたくはないなとハンスは思った。そう思うとバレンチーノがとても許せない気持ちで一杯だった]
/*
出来れば、神の子には戦って欲しくなかった…と思うのは聖騎士としてのエゴ。
あなたが手を汚さぬために、私たちがあるのだから。
★[ポールの記憶の中には、未だに戻らない部分が残っている。将来それが蘇るのか、逆にずっと思い出せないままなのか。それは分からない。
だがポールはもう、過去を闇雲に追うのは止めにした。
例え記憶を失わなかったとしても、過ぎた時間は戻らず、思い出も忘却の波に攫われて日毎に薄くなっていく。
それに…自分には、自分を認めてくれる人がいる。名前を呼んで、お前を信じてると言ってくれる。自分が提案した話に、耳を傾けてくれる。
だから必要ない]
「…ぐはっ!」
[突撃してきた男の腕を傷つけて、戦闘能力を奪った]
―アリサカ港・艦隊前―
いいな。これは任務ではない。
私個人が、皆に協力を求めているだけだ。
だから、この作戦に参加したくないものがいれば、遠慮無く申し出てもらいたい。
[司令官の言葉を水夫達は黙ったまま聞く。
海賊との共闘と聞いて渋い顔をする者はいたが、協力しないというものはほとんどいなかった。
クヴェレ地区の連中には、幾度も苦い思いをさせられてきている。それを、一網打尽に出来るなら、と、その思いが白海豹隊を繋げていた。]
よし。ならば既に言ったとおりの配置についてくれ。
敵と味方を取り違えるな。
逃げてくる者は残らず捕らえろ。
物資集積所を制圧する隊は、なるべく派手に動くこと。
数名は、私についてこい。
― アリサカ 黄金の飛翔号 客室 ―
[ハンスはルシエの手を握ると、安心したルシエは静かに目を閉じた。そしてしばらくすると寝息をたてて、眠ってしまった]
疲れてたんだね。ゆっくりおやすみ。
[手を握りながら、小声でルシエに言った]
……………。
[ルシエの安心した寝顔を見たら、ハンスも安心してうとうととしだした。
ハンスはルシエの手の温かみを感じながら、夢の中へといざなわれていった]
[命令を受けて散っていく兵達。
それぞれが海賊達の案内を受けて、重要ポイントをさりげなく、迅速に押さえていく。
やがて港の方で騒ぎが起こるだろう。それが、突入の合図。]
シメオン様!
[聖騎士としての本分を果たすために、剣を携え、走る。]
銃士 リヒャルトは、海賊 ディーク を能力(占う)の対象に選びました。
ディークのは「わからないふり」演技だったのですか。
それは考慮してなかったです。
[理解できないふりをしてみた。]とか書いてないと、素でそういうキャラなのかと思ってしまうかも。
いや、中の人(しゃるさん確信)の能力を考えれば、騙り技能は充分に高いことを前提にすべきだったか (爆
/*
そうそう、これは書いておかねば。
カーク、格好いいよカーク!
昨日の夜の、みんなの台詞の拾い方とか、すごくよかった!
ちょっと、リアルタイムで作戦会議したかったなぁ。
今日の問答もいろいろ楽しい♪
やっぱり良いよ、がちんこ論戦♪
はっ!!
[とっさに目を覚ますと、ハンスはルシエを見た。ルシエは起きていて、窓から外を見ている]
「………」
[ルシエは心配そうに見て、手をハンスの肩に触れ、口を一生懸命ぱくぱくしている。]
大丈夫だよ。起こしてないよ。僕こそ眠っちゃってゴメンネ。
「………。」
[ルシエは首を横に振りながら、にっこりとした]
よく眠れた!
「………」
[ルシエはにっこりしながら、頷く]
/*
えーと。今回表と赤でまだ使ってない表情差分は涙系どっちか、くらいになったかな?
もう覚えてないけど、とりあえず変顔とアルカイックはもう使った!w
この子のデフォルト表情が使いやすくて、大好きだよ。
「え?」っていう、軽い驚きとか、「ふぅん」っていう、あんまり感情の乗らない顔に使えて、とても便利。
やっぱ、この子好きだなぁ。
いい話があるんだ!
ポールが(>>166)ルシエの声を出せる方法と病院を、知っているんだって。それでゾフィヤが(>>185)その病院を探してくれてるんだ。
カークがその病院(>>208)知ってるって言うんだ。ルシエがもう少し元気になったら、いってみようと思うんだけどどうかな。
[ばーっといったので、ルシエはきょとんっとしている。]
あーごめん!こんないっぺんにいっても、びっくりしちゃうよね。
[ルシエは首を振り、そっとハンスに寄り添う。]
ルシエ…。
[これは夢ではないんだ。実感しながら、そっとルシエを抱きしめた]
”ポールは、何度も戦闘の経験がありますね”
[激しい攻防の間も、ポールの動きを目の端で捕らえたシメオンは、心の中で呟いた。
対となる舞いの時から感じていたが、改めて確認するとワクワクする。
ポールは見た目だけでは、王国中にいる同年代の男性と違う点はあまりない。言葉使いも…一応シメオンの前では注意して敬語を使ってはいるが。例えばカーク相手だと、面白いくらい崩れるのを知った。
最近の若者? はこーんな言い方すんのか。へー、中々面白いジャン?
…などと、早速影響を受けているシメオンである。
尤も長年人前では丁寧語しか使ってないし使えないから、一生こんな口調では自分の意思を伝えないであろう。
人懐っこくて、物怖じしない。笑ったかと思えば、むくれたり驚いたりと、表情豊か。意外とうっかりな所もある。
相手に全く警戒させる要素はないのに、いざ戦いとなれば、その能力は高い]
”実に頼もしいですよ、ポール”
[シメオンは、前にいる相手を倒すと見せかけて、フェイントで背後の二人を片付けながら、そっと呼びかけた]
……この理由をいうと大抵人はそれなら海賊じゃなくてもというんだよな。そうやって考え方を強制されるのが嫌いなんだ。
犯罪だってことも危険だってこともわかってる。それでも……上手くいえねーけど俺がそうしたいからだ。
国のせいだといえば人は同情するだろうけど、同情されんのはもっと嫌だ。
……別に人にわかってもらう必要はないけどな。
★!?
[突然シメオンから”頼もしい”と言われたような気がした。当然只の勘である。
だがポールは何もためらわずに言った]
オレも、シメオン様をすごく頼りにしてます!
[シメオンの前方から飛びかかろうとした男へ、横から激しく攻撃を加えた直後に]
「……」
[その瞬間シメオンが頷いたのを、ポールは見た。
こんなに強いのに、シメオンが神殿だけに篭っているのは勿体無いなどと、神官や信者が聞いたら不謹慎だ! と怒りそうな事を考えた。
一目見ただけで神に仕える者と分かる、清浄な雰囲気。人を思う優しさと、自分を律する厳しさをバランス良く持ち、理想を現実にしようと努力する人…でありながら。意外に茶目っ気のある性格らしい。
何故なら、いつどんな危険が振りかかってくるか分からない状況の元、目一杯戦いを楽しんでいるのが、伝わってくるから。
オレと同じだ、とポールは破顔一笑した]
/*
あー、駄目だ。やっぱりこの子としては言わずにはおられない。
流れを壊すから言うのどうしようかと思ったんだけど、やっぱだめだー。
黙って神の子を戦いに行かせるなんて、そんなの聖騎士じゃないやい。
[病院では、蜂の巣をつついたようなパニックが発生していた。正面から海軍所属の騎士、裏口から海賊らしき逞しい男達が突然なだれ込んできたのだから]
「か、神の子が来たぞ?! どうしてこの病院が分かったんだ?」「それより、神の子が二人いる?」「ばか、慌てるな。一人は例の身代わりだ!」「いつの間に逃げ出したんだ、くそっ」
[そんな中で、二人はゾフィヤ>>296と、カーク>>302が自分へかけてくれた声を胸に、確実にバレンチーノの元へ進んだ。
建物の構造を覚えているポールが、敵を倒しつつ、巧みに先導を務める。
その後には、医師でも看護士でもなく、患者にも見えない屈強な男達が、累々と倒れていた。バレンチーノの命令により、あちらこちらから集合してきた連中である。
自分達が攻撃するべく、相談を始めようとしたら、先手を取られるとは思っていなかったらしい。
混乱は広がる一方だった]
[肯定の意志を示されれば、顔色を変える。]
なりません。どうか、御子は船にて吉報をお待ちください。
我々が、かならずやバレンチーノ一味を捕らえて参りますから。
いえ、あなた様の剣技を疑うわけではありません。それは、最前見せて頂きました。
ですが、戦闘に不慮の事態は付き物。
あなた様に万が一のことがあれば、取り返しがつきません。
もしものこととなれば、あなた様をお慕いしている数万の信徒を、なんといたしますか?
どうか、どうか御自重を!
[情理をつくして説得するものの、シメオンの意志は固く、翻らない。
やがて、聖騎士は一つ溜息をついて、それを受け入れた。]
分かりました。そこまでおっしゃるのであれば、どうぞ存分にそのお力をお示しください。
このゾフィヤ、身命を賭してあなた様をお守り致します。
どうかせめて、私からお離れになりませぬよう…。
[そう言って、深々と頭を下げた。]
「ここから先は、絶対に行かせぬ!」
[今まで倒したチンピラとは明らかに感じが違う屈強な男が3人、進路を遮るように現れた。
一人は顔に傷があり、もう一人はつるつるに頭を剃って海坊主のよう。
最後の一人は、異国の衣装を身に纏い、髪の毛を女性と同じポニーテールにしていた。声をかけたのは、この男らしい]
「わざわざごくろーさん。バレンチーノと院長は、この先の部屋にいるって教えてくれるなんてサ。意外と親切だね」
[ポールがからかうように声をかけたのに、シメオンもくすりと笑う。
それを見た刺客達は、流石にムッとしたようだ]
「ふん! そんな挑発で優位に立とうなどとは、笑止千万!」
「我々に歯向かったのを、あの世で後悔させてやるわ」
「覚悟しろ!」
[3人が口々にそう言ったあと、一斉に飛びかかってきた]
― アリサカ 黄金の飛翔号 ―
え?ゾフィヤいっちゃった!?>>293
シメオン様まで!!どこへいったの!!
[客室の外に待っていてくれた、シメオンの付き人が教えてくれた。]
!!――
[付き人の制止を振り切り、ハンスは飛翔号を飛び出した!]
ゾフィヤ気を使ってくれたんだ。でも…。
[ハンスはぐっとコブシを握りしめながら、黄金の飛翔号を後にした]
― クヴェレ地区・ザンクトパウリ病院前通り ―
ズドーン!――
え?あそこは!?
[付き人にザンクトパウリ病院≠ニ聞いていたハンスは、爆発音のする方向へと駆け出していった]
ルシエにあんな事して、親方に怪我をあわせて、絶対許せない!!
[ルシエを付き人にまかせて飛翔号後にしてから、この思いがひとしおに押し寄せてきた。それに…]
僕のために、やってくれているんだゾフィヤ――
[全部が全部とは言わない。でも少なからず自分が、きっかけを作っているだろう。それなのに、僕が立ち上がらないなんて、おかしいだろうと思った。]
今こそゾフィヤの恩に報いたい――
[何も出来ないかもしれない。でも今は何もやらずにはいられなかった]
― クヴェレ地区・ザンクトパウリ病院 ―
バン!――
ゾフィヤ!!!!!
[病院の窓をかち割り中に入ると>>310男達が、一斉にシメオンを襲おうとしていた]
や、やめろ!!!
[ハンスは男達に殴りかかった。一人の男は殴られた拍子に、吹っ飛んだ]
★[だが結局この男達も、共闘した皆にとっては強敵ではなかった。見事に突破したあと廊下をかけ抜け、その先にあった鍵のかけられたドアを、ポールが蹴破る]
バターン!
[その際発生した大きな音に、中にいたバレンチーノと院長が飛び上がった]
バレンチーノ、お久しぶりです。お会いするのは、実に10年ぶりにですか。
”過ぎた欲望は、我が身を滅ぼす”と、何度も諭したのに。効果が現れていないのは、実に残念です。
そして、隣にいる院長。貴方が少女を誘拐し、薬を飲ませたのですか。医師としての誇りを、利益の為に捨てるとは、困った方ですよ。
ほんっとお宅ら、3年前から全然変わってないな。学習能力ないのと違う?
[シメオンの意思を勘で読み取り、ポールが代わりに代弁する。因みに最後は、勿論自分の言葉だ]
★[だが結局この男達も、共闘した皆にとっては強敵ではなかった。見事に突破したあと廊下をかけ抜け、その先にあった鍵のかけられたドアを、ポールが蹴破る]
バターン!
[その際発生した大きな音に、中にいたバレンチーノと院長が飛び上がった]
バレンチーノ、お久しぶりです。お会いするのは、実に10年ぶりですか。
”過ぎた欲望は、我が身を滅ぼす”と、何度も諭したのに。効果が現れていないのは、実に残念です。
そして、隣にいる院長。貴方が少女を誘拐し、薬を飲ませたのですか。医師としての誇りを、利益の為に捨てるとは、困った方ですよ。
ほんっとお宅ら、3年前から全然変わってないな。学習能力ないのと違う?
[シメオンの意思を勘で読み取り、ポールが代わりに代弁する。因みに最後は、勿論自分の言葉だ]
!!
[ハンスが他の男に殴りかかろうとすると、シメオンを守ろうとするゾフィヤ、ポール、そしてカークの姿が見えた。シメオンも華麗な動きを見せている。]
悪に向うってこういう事なんだ――
[ふと頭をよぎりながら、バレンチーノを見つけようとするハンスだった]
バレンチーノ!!――
[バレンチーノを探していると、隣の部屋から、シメオンの声>>314がする。急いで隣の部屋に行くハンス]
あれがバレンチーノ!!
[拳に力が入ったが、ぐっとこらえた。シメオンの話を聞いたからだ]
ルシエだけでは、なかったのか!!苦しめられた人間は…。
[許せない気持ちでいっぱいだったが、この場はシメオンのやり取りを見ているしかなかった]
★[>>314の言葉に乗ったバレンチーノは、激しい怒りを見せた]
「お、おのれ! にっくき神の子め!
10年前も不当に私を追放したばかりか、今度も邪魔をする気か?! 許さない、許さないぞ!」
[どうやらポールをシメオンと勘違いしているようだ。
もしシメオンが声をかけたならば、3年前について言及しないし。そもそもその部分だけは、言葉使いが全然違う。しかし、バレンチーノはそう考える判断力を失っていた]
いい加減、目を覚ませ、この野郎!
[ポールはついに我慢出来ず、バレンチーノへ近付き、思いきり頬をぐーで殴った]
「神官長様!」
[院長が倒れたバレンチーノを、慌てて助け起こす]
オレは、お前がシメオン様の身代わりにしようとしたポールだよ。
シメオン様は、オレの隣で黙っていらっしゃった、この方だ。そんな簡単な事も見抜けなかったのか、あんたは。
「「な、何だと?」」
[バレンチーノと院長が、呆然とした表情で二人を交互に見渡した]
うん!
[ポールが>>319で声をかけてくれた。ポールはすっきりした笑顔で、ハンスを見ていた]
!!
[ハンスはバレンチーノと院長に、一発づつ思いっきり拳をあげてなぐった]
ルシエ、親方――
[敵はとったよ。とルシエと親方に報告できる!って思うとうれしかった。そしてバレンチーノの陰謀を暴いてくれたゾフィヤ、シメオン、ポール、カークにも感謝してもしきれないと思った]
ウン!ポールもね!!
[>>321のポールにハンスも、親指を立て返した]
シメオン様のためにも、ルシエやポールのように苦しめられた人のためにも、バレンチーノと院長はどうか法で裁いてください。
[とシメオン、ゾフィヤに向けていった。]
ありがとうございます!シメオン様!!
[シメオンは>>323で大きく頷いてくれた。シメオンがそういってくれたなら、この先も安心してくらせるだろう。]
親方も――
[もう長い間バレンチーノには、苦しめられてきたのだ。もちろんルシエもだ。シメオンが約束してくれた!っといえば親方も安堵してくれるに違いないと思った。]
[明らかに、今までの連中とは力量が違う。
随伴の騎士達を背後の警戒に当たらせ、自分の相手を禿頭の大男と定めて身構えた瞬間、不意に窓を突き破って少年が現れる。>>313]
ハンス!なぜ…!
[少年を危険に巻きこみたくない。その思いで、敢えて彼には告げずに出発したのに。
驚愕の思いで少年を見る間にも、ハンスの拳が男の1人を吹き飛ばした。
未だ戦闘技術は未熟とはいえ、不意に現れた有利さ、船で働くうちに培われた筋力、そしてなにより、ルシエを思う心が、彼の拳を強力なものとしていたのだろう。
残る2人の男達が戸惑っている間に、おのおのがれぞれの相手を打ち倒す。
これで、残るはバレンチーノたちだけ。]
★ごめんなさい、カークさん
[戦いが終わった直後。ポールはカークを見付けると、申し訳なさそうに頭を下げた]
カークさんが折角オレを仲間だって認めてくれたのに。他の人達も皆、オレの為に戦ってくれたのに。
オレ、決めたんだ。シメオン様と一緒に神の島へ行く。ルシエちゃんの薬を作ったら、すぐに旅立つ事にした。
これからカークさんも皆も大変なのに、恩返し出来なくて、ごめんなさい。
[しかし丁寧に謝りつつも、ポールは瞳に強い意思を宿していた]
気がついたんだ。シメオン様はオレと同じ孤独を――ううん、オレよりもずっと寂しい思いを、もっと長い間してきたんだって。
…あ、でも今回は只の勘なんて言わないよ。ちゃんと根拠だってある。
神の子として、周囲から敬われるシメオン様へは、きっと誰もが常に一歩引いた態度で接していると思うんだ。それはどうしても必要で、オレも流石に悪い事だなんて、絶対言えないけどサ。
例え大勢の人に囲まれていても、誰にも本心を直接言えないまま過ごすのって、辛いだろうなって考えた。
だからオレは、シメオン様と一緒に行きたい。オレが出来る事なんて、あまりないかもしれない。それでも、シメオン様を放っておけないんだ。
>>329
ゾフィヤもありがとう!
[ゾフィヤもバレンチーノと院長を裁くと言ってくれた。これで胸をはって、キャリコに帰れるな]
へへっ!!
[「一人前の男」っというゾフィヤの言葉に、テレながらハンスは祝福をうれしく思った]
★[ここでポールは、突然ある事を思いついて、顔をほころばせた]
あ、オレが役に立ちそうな話、いっこだけあった!
オレさ、どうやら時々シメオン様が考えが分かるようになったみたい。超勘でねっ。
嘘みたいだけど、本当だよ。
[両手を背中側に回して組みながら、石を蹴るポーズで首を傾げてみせる]
うーんと、以心伝心って奴?
どうしてそうなったのかは、多分シメオン様とオレが、違うようでいて似ているトコがあるせいじゃないかなっ。
…不思議だよね。オレ、シメオン様と初めて会った時は、こんなにそっくりなのに、全然考えが読めないって思ってたのに。今では誰よりも身近に感じる。ほんと、人と人との出会いって、面白いよ。
ゾフィヤ!僕…、もっとゾフィヤに恩返しがしたかった…。
勝手なのはわかってる!!
でもルシエも心配だけど、親方も心配なんだ。帰ってバレンチーノをやっつけた事。そしてシメオン様とゾフィヤがバレンチーノをしっかり裁いてくれる事を、親方に知らせてはやく安堵させてあげたいんだ。
お願いします!ゾフィヤの船から、降ろさせてください!
[ハンスはゾフィヤに、土下座をして懇願した]
★で、でもサ。予め断っておくけど、流石のオレでも、シメオン様への態度とかは、しっかり考えて慎重に行動するよ?
[ポールはいきなり赤くなって、頬を膨らませながら主張する。
流石に自分が不遜な言動をする、自覚はあるらしい]
神官や信者の人達から、「不躾な態度を取るな!」って怒られないように、気をつける。
神の島へ一緒に来ていいよって許してくれたシメオン様に迷惑をかけない為に、オレが絶対心がけなくちゃいけないって分かってるから。
★…と言う訳で、カークさん。本当に勝手だけれども、ディークさんや他の皆に宜しくお伝え下さい。
オレは、カークさん達に出会えて、とても幸せでした。とっても感謝しています。
いくらありがとうって言っても、伝えきれないくらいに。
…もしかしたら、もう二度と会えないかもしれません。でもオレは、皆さんが笑って過ごせるよう、遠くから祈ってます。どうかお元気で。
[一気にそう伝えると、奥歯をぐっとかみ締めて、再び深くお辞儀をした]
>>344
はい…。
[ルシエを救出できて、バレンチーノを倒したことはもちろん喜ばしいことだった。でも、ゾフィヤには恩を受けっぱなしなのが、悔やまれてならなかった]
僕、今度ゾフィヤにあえるまで、必ず役に立てるような男になります。
その時になったら、必ず僕を呼んでくださいね!
[今の自分にできることは、ゾフィヤを安心させる事なんだ、ということはわかっていたハンスだった]
シメオン様もよ…また縁があったらあの美味い昼飯食べさせてくれよ。
あんたが食べ損ねたアップルパイを土産に、出向いてもみるからよ。
海賊船は出禁とか言わねぇよな?
[冗談っぽく小首を傾げて笑いかける]
……ポールを頼むぜ。
★そうそう、ゾフィヤさん。
[ハンスとの会話が終わった頃を見計らって、ポールは話しかけた]
さっき、カークさんとオレの会話を聞いて、もしかして気にしたんじゃないかなって思ったから、声をかけたよ。
[胸を右の拳で軽く叩きつつ、ゾフィヤを元気付ける]
さっき、オレはああ言ったけど、シメオン様はご自分の事よりも多分、いつも必死になって手助けしてくれるゾフィヤさんが、自分には足らない所があるって落ち込むのを心配する気がする。
何もかも完璧な人間はいないんだよ。頑張るのは良い事だけど、でも気持ちを張りすぎていたら、ちょっとした弾みで切れてしまうかもしれない。
あんまり無理しないでね。自分を良い意味で大切にして、ゾフィアさん。
カークも、ありがとう!
僕絶対いい海賊もいるっていう事、忘れないよ!
キャリコにきたら、よってください。地元で取れた珍味を山盛りご馳走しますよ!
[海賊王もこういう人だったのだろうか…。そして次期海賊王になるのもカークみたいな人物なんだろうな、っとハンスは思った]
>>350
ハイ!
[ハンスも手を突き出し、思いっきりの笑顔を返した]
船まで!ありがとう!ゾフィヤ!!!
[船も忘れてはいけないな。親方の喜ぶ顔が目に浮かんでいた]
★うんっ! カークさん、ありがとう!
[頭を撫でてくれるカークへ、ポールは照れつつも、精一杯の気持ちを込めて、お礼を言った]
オレ、絶対忘れない。絆が繋がっているって事。
だから、カークさんも覚えていてね? オレにとっても、カークさんは大切な人なんだよ。
ううん、それだけじゃない。いつでも帰っていい場所があるって思うだけで、オレは誰よりも強くなれそうな気がする。
…違うや。きっと強くなっている。
これからは、堂々と生きていくよ。皆のお蔭で掴めた、未来の光を目指した。
え!?新婚旅行――
[>>355のカークの発言に、赤面したハンス。でも思い直して話を続ける]
ハイ!シグにもぜひ行きたいです!!ルシエと一緒に!
そ、その時はよろしくお願いします!
[シグの楽しげな海賊の宴を、想像して笑った。ルシエにもきっと喜ぶだろうな!]
ゾフィヤ、カーク、シメオン様!ほんとありがとうございました!
[ハンスは一礼をした]
ポール、お願い!ルシエの声を戻す薬を調合してもらえるかな。
[カークとの話を終えた、ポールにそっと話しかけた]
「ワカリマシタ。マタオ会イシタ時ニ、ゴ馳走シマス」
[カークからの呼びかけに、オウムを連れたシメオンが頷いた]
「無論、貴方カラノオ土産モ、楽シミニシテイマス」
[それは暗に、出入り禁止にしないと宣言したようなもの。
…神官や聖騎士が聞いたら、驚愕で顎を外すかもしれないが]
「オ任セ下サイ」
[最後の依頼には、たった一言だけ。でもその分、シメオンは精一杯気持ちを込めた]
[どうやら、アリサカを牛耳るカルテルの掃討に、カークと海軍が協力してあたることになったらしい。
海賊とカルテルの諍いは知らないが、事実上の中立港であるアリサカがあまり「きれいな」港になっても海賊たちは困るのではないかと思いつつ、共闘に漕ぎ着けるまでのいきさつに興味を抱いた。
誰が出会い、何を説得して、相容れぬはずの運命を動かしたのか。]
― アリサカ 黄金の飛翔号 客室 ―
ただいま!ルシエ。
[ルシエはハンスに抱きつき、えんえん泣いている]
あ…、ごめん。心配かけてしまったね。
[カークに言われた>>355のに、早速ルシエ泣かした事を悔やんで、言った]
バレンチーノを倒してきたんだ!だからもう安心していいんだよ、ルシエ!
[ルシエはハンスの言葉にうれしそうに、笑った]
ゾフィヤがキャリコまで、送ってくれるっていうんだけど、体調大丈夫?
[ルシエはこくんと、頷いた。]
[ディークが出て行く気配に声をかける。]
これは、今のおれには実地で教えることができないことだけれど。
街を歩く際にも、狙撃に適した場所をチェックしてゆくと、鍛錬になる。
狙撃手は射線のとおる、索敵に適した場所に陣取るものだ。
それは、戦場全体を差配する指揮官の居場所としても有利な場所であることが多い。
――見つけるんだ、ディー。
声もきっと治るよ。ポールが薬を調合してくれたんだ、よかったね。
[ありがとうとハンスは感謝した。そしてポール>>363で届けられた薬を、ルシエはごくんと飲んだ]
「あ、あ、あ…。ハンス」
[ルシエはハンスの目をじっと見た。とうとう声を取り戻したのだった。二人は喜びながら、抱きしめあったのだった]
[バレンチーノ一味を引き立て、戦場の後始末をしながら港へと帰る。
海賊達の手引きを受けて要所に配置した部下達もまた、相応の戦果を上げていたようだ。
港の倉庫では、麻薬から奴隷まで、違法な品が次々と見つかったという報告が上がっていた。
ガレー船一隻を、バレンチーノ一味を護送し、ハンスたちを送り届けるためにコルトへ戻すところまでを手配して、ひとつ、息をつく。
明日からは、また通常の軍務に戻ることになるだろう。]
■業務連絡
ミドルフェイズの共闘バトル、お疲れ様でした!
このまま両者退場ができそうですので、
▼投票= ハンス
▲襲撃= シメオン
セットをお願いします。
――アリサカの港町・しばらく前――
[ユーリエを伴って町を歩く...の元に命令書が届いたのは、神の子のもと、奇妙な「再会」が繰り広げられている頃だった。]
…ユーリエの言った通りだったな。
ルシエは見つかったみたいだ。
「親切な民間人」があの子を助けてくれていたらしい。
鉄腕船長 ヴィクトリアは、神の子 シメオン を能力(襲う)の対象に選びました。
…だが、同時にオレにも「仕事」が出来てしまった。
すぐに行かなくてはならない。
キミを家族のもとまで送れなくて、すまない。
[申し訳なさそうにそう言い、...は少女の「肩に手を置いた」。]
[少女と別れた後、...は再度、命令書を吟味する。]
…「個人的な協力」か。
ゾフィヤも水臭い言い方をする。
ブツクサ言う奴などいたなら、海賊より先にオレが教育的指導をしてやるぞ。
[作戦の内容を一通り眺め、...はふと、あの少女がしていたように、顎に人差し指を当てた。]
守護騎士 ゾフィヤは、神の子 シメオン を能力(襲う)の対象に選びました。
……まわりは海しかねぇ船の上で射線もくそもないだろうに。大体歩く暇なんてなかったぞ?
[しっかりと聞こえていたのかぶつぶついいながら病院の裏手を押さえる。そのわりにはさりげなく街を確認しながら走ってしまったのが恨めしい]
…ふ、さすがは指揮官殿、布陣に隙がないな。
今更、個人で彼女を脅かすような敵もいまい。
となると、オレのするべきことは…
[しばし思案した後、...はその足を港へ向けた。]
ここでクヴェレの禍根を完全に断つことだな。
じゃあいこうか!ルシエ!
「うん!」
[二人はゾフィヤのいる軍港>>370、を目指す]
!!
[ルシエの心地よい声を聞きながら、手をつなぎ海沿いから歩き出した二人だった]
>>311
[港へ着くと、...はまず、「黄金の飛翔」号へ足を向けた。その時…]
…どうやら、間に合ったか。
[覚えのある声がし、少年が甲板から駆け下りて来るのを、...は舳先の方から見守って苦笑した。]
オレにも気付かず、一目散か。
あの子が部下になったら、オレの拳骨は休む暇がなさそうだな。
だが…
[...は、同行させた部下に目配せする。心得た部下は一つ頷き、少年を陰から護衛するべく、その後を追って行った。]
[甲板に出るのは禁じられていなかったから、潮風にあたりに出る。
完全な闇に閉ざされた目には、昼か夜かもまったくわからない。
周囲で戦闘の気配がすれば、無性に銃に触れていたくなる。]
自らの意思で、撃て――か。
おれのような人間が、立派なことを言うじゃないか。
…どんなに危険でも、「男」にはやらねばならぬ時がある。
ハンスの拳と思いは、オレたちがとどめて良いものじゃない。
…「女」は、いつも歯痒いものさ。ゾフィヤ…
[...は、苦笑とも違う、複雑な笑みを浮かべていた。]
おれが軍に入ったのは、戦場(フィールド)が、おれの才能を一番に活かせる場所だからだよ。
愛国心とか、生活のためとかじゃなくて――徹頭徹尾、自己実現ためだ。
だから別に、属する陣営が変ったところで構わない。
立つべき戦場(フィールド)が、撃つべき標的(ターゲット)が、楽しめれば。
おれは狙撃手であることに意味を見出した男だから。
逆に、銃を捨てたら、それはもうおれの望むおれではない。
だから、目が見えなかろうが、おれは銃を手放さないんだよ。
[誰に言うともなく、小さく囁く。]
――アリサカ港・悪党どもの斜陽――
[西に傾いた陽光が山脈に遮られ、港に大きな影を落とす頃。慌しく、アリサカを後にしようとする一団があった。いつでも逃げられるよう、沖に止められた船に向かって、何艘もの小船が我先にと向かって行く。その船のデッキに置かれた樽に腰掛け、...は鼻歌を歌っていた。故郷のメロディー。]
…さて、お早いお着きだ。
[ゆっくり立ち上がると、...は甲板へと上がって来た一団…僧服を身にまとった、悪党の手下どもに向かって、笑顔で声をかけていた。]
ようこそ、海軍へ。
この中にバレンチーノ君とやらはいるのか?
まあ、どっちでも良いことだが。
諸君には、軍病院のベッドで3ヶ月ほど宿泊の後、3年の強制労働という、海賊も泣いて喜ぶツアーが用意してある。
ああ、この船は大分広くて、ちゃんと全員乗れるようだから安心するがいい。
[にんまり笑って、両の拳をゴキゴキと鳴らすと同時に、船内から海兵がわらわらと現れ、闇の中に何隻もの快速艇や突撃船が姿を現す。甲板のそこかしこに転がる白目を剥いた船員たちを目にして、バレンチーノの手下の残党どもは、その後の己の運命に*恐怖した。*]
[手遊びに甲板に積み上げられた弾薬箱を積み替えていると、《飛猫》とは大きさの違うものが混じっているのに気づいた。]
これは?
[ラベルを読んでもらえば、これも《飛猫》だという。
開けて弾薬を取り出してみれば、少し長い。
薬包紙を破って中を確認してみる。]
― アリサカ 軍港 ―
よ、よろしくお願いします。
[ハンスは恥ずかしそうに言った。船の手伝いをしたかったが、ルシエをまた一人にして不安にさせたくはなかった。カークの船では、きっといつもルシエの隣には人がいて、安心させてくれたんだというのが、わかっていたからだ]
もう船はでるんですか!?
[近くの搭乗員に、話しかけた]
ふ……逃げるな、強くあれか?
ああ、あんたの言うとおり、俺たちは自分たちの境遇に甘えてるだけかもしれねぇ。
世間から義賊や英傑やら言われようが、やってることは略奪だ。向かってくれば殺しもする。
相手がどんなごくつぶしだろうが、そんなこと法は許しちゃくれねぇ。
けどよ…なにもあぐらかいてるわけじゃねぇんだぜ。
軍人の指揮官クラスなら国の統計帳簿ぐらい閲覧できるだろう。
ここ十年くらいの調査結果を見てみるといい。
商船の被襲撃数、その対象、殺された者……
それと、シグ、マウザー間の輸出入品目なんかもいいだろう。ゲオルグがどうしたかったかわかるはずだぜ。
もっとも、改竄されてなければって話しだがな。++
もうアリサカとは、お別れか…。
[もう一度ゾフィヤにあって、お礼をいいたかった。でもまた会えるような気がしてならなかった]
あんたもわかってるだろう? 海賊、馬賊……そういった類の連中がどういう結末を迎えるかは。
自分らで国を作って自由を得るか、滅ぼされるか……それしかない。
生きるためとはいえ、奪ってしまうんだ。奪い奪われれば禍根は残る。それが突然「今日から皆兄弟仲良くしましょう」って言われたって、出来るわけがねぇんだ。
歴史ってやつがそれを証明しているさ。
……時間が必要なんだよ。治まるべきところに治まるにはな。++
[弾丸は、細長い形状で、片端が円錐状に細くなっていた。]
長さがあるのに、通常の鉛丸弾と重さがあまり変らない。
何か特殊な合金を――いや、違うな、中が半空洞なのか。
[指で探りつつ、推理してゆく。]
底の窪みが、発射時の圧力を受けて弾の裾部を広げて、銃身に密着させる。
そうすることで銃腔の隙間をなくし、爆発の威力が増す仕組みだろう。
弾頭の形状は、貫通力を上げるためのもの――か。
これは、面白いな。
[ひとつかみ、自分の弾薬ポーチに移し替える。]
この港の武器屋に行きたいんだが、つれていってくれないか。
[しばし押し黙り、一歩彼女へ歩み寄り、その瞳を見据える]
ゾフィヤ・オレンハウアー・コルネリウス。君が力を、その手で全て受け止められるだけの力を欲するのなら、先を見据えろ。国を動かせるほどの力を得よ。
君がそんな力を渇望し、俺達を容れられる道を探してくれるなら……道はいつか開くだろう。
それでも多くの血は流されるだろうがな。その時、俺が生きていたら、君の言う世界でもう一度言葉も交わせよう。法治の名の下に。
今は……お互い背負うものが大きすぎる。持てる力に比べてな。++
ああ、それとさ。
人を惹きつける力なんてもん俺は持っちゃいねぇ。俺の周りにいる奴が皆俺のことを分かってくれるお人好し共だって話さ。
それによ、自分にはないとか言うなよ。君の部下が聞いたら悲しむぜ。
白海豹艦隊が何故国民からこうも支持されてるのか? 格なら第一、第二の方が遙かに上、船も火力も及ばない第三遊撃がだ。
志だろう? 一騎当千の猛者にして清廉。その姿に希望の光を見ているんだ。……代々それはかわらねぇ、そうでなければとうの昔に淘汰されている部隊だ。その部隊で一際脚光を浴びる存在は誰だ? 指揮官たる君だろう?
その指揮官たる君に人を惹きつける力がないわけがないだろう?
敵のはずの俺ですら、君に惹かれてるんだぜ?++
[勢いで言ってしまったことに、ばつが悪そうに一度俯くが、もう一度顔をあげれば、はっきりと語る。いつぞやのように消え入ることはなく]
ああそうだ。君はいい女だ。
君に惹かれてる。
あの時は君の剣技に心奪われた。君の瞳に吸い込まれた。
そして今……
―アリサカ港・黄金の飛翔号の練習部屋―
[全ての手続きが終わり、全ての仕事から解放された二人は、初めて出会った日に使った同じ部屋で、舞いの練習を行った。
それが終わったあとで、ポールがシメオンに呼びかける]
「シメオン様、共に参りましょう。シメオン様を慕う大勢の民が待つ、神の島へ。
人々に幸せをもたらす為に。…そして、貴方様が幸せになる為に」
「?」
[思い掛けない言葉に、シメオンが戸惑っていると。ポールはシメオンの左手に、自分の右手を重ねて笑った]
「オレ、こう思うんです。
”幸せを知らない人が、他の人を幸せにするのは難しい”って。
それだけじゃありません。他人を救おうと一所懸命に頑張っているお方が幸せじゃないなんて。そんなのおかしいでしょ?」
[ポールの主張に、漸くシメオンもその主旨に気付いて。嬉しそうに頷いた]
どうか、世界を敵と思わないで欲しい?……敵にそんな言葉をかけてくれる奴がどこにいる?
情けねぇ話だ。意気揚々と馳せ参じてみたものの、一目惚れやら関係無しにコテンパンに伸されて。どういう訳か情けまでかけて貰ったこの俺が、今またここにいる。
おかげで救えた命があった。
奪った命があった。
君の舞が網膜に焼き付いてはなれやしねぇ……
そして一瞬でも、自分の立場を忘れそうになった自分が腹立たしい。
そんなくだらねぇ男に言葉をかけてくれるのか?
[軍港近くでは、作戦帰りの海軍の姿が多く見えた。耳を澄ませば、それを取り巻き見る人々が口にするのは、歓声混じりのうわさ話。海賊達をもてなす一般民の声だろうか、と思う]
……。
[命令書を受け取ったヴィクトリアの姿は見つけることが出来なかったが]
無事おわったみたい……かな。
[海軍兵士達の表情からいくらかの晴れやかさが伺えれば、よかった、とつぶやいた]
すさまじい独自路線。
ちなみに、これはブリチェット弾だが、《サイクロプス》の銃身ライフリングきってないので、飛距離は伸びても、精度はあがらないという設定。
とりあえず、どっちに見つかってもいいようにした。
……いずれ闘わなければならねぇ。言うつもりはなかったんだがな。
だが、この俺に人を傷つけることなくこぼれ落ちた人々を救うことを願い、自らも道を探し続けると、誓うとまで言うのなら、もう一度言おう。
未来を見据えて、その障害を越えてくれ。倒さねばならぬ存在を打ち倒し…誓いを証明してみせろ。
俺は俺の本懐を果たす。交わらぬのなら、いや、交ることはないだろう。今は。
ならば容赦はしない。
だがいつか道開くその時。
その時、再び俺が君と会うことが叶うなら……
その時は本気で口説かせてもらう。
[最後にしっかりと見やってからゆっくりと踵を返した]
[持ち場をカークの部下に任せ自分はふらふらと街をうろついている]
……別にこれくらいのことで俺が出てこなくてもよかったんだよなぁ。
[いまいち乗り気になっていない原因ははっきりはしているのだが]
一緒に行けなくてごめん!
でも、上手くいったみたいね。
私が何してたかって?まあ、いつものことよ、うふふ♪
誰と会って、どんなことがあったのか、また話してね。
[シメオンは、自分の幸せを放棄したつもりはなかった。
ただ優先すべき事項、やらねばならぬ仕事が山積みだったせいで、考えている時間がなかった。それだけの話である。
…でも今までそれを、あまり気にしてなかったのは事実で。教えてくれたポールに、驚きと共に深い感謝を感じた]
”ありがとう、ポール”
[お互いの手から伝わり伝えるぬくもりに、シメオンはお礼の言葉を託す]
”貴方は、私の恩人ですよ”
― コルトへ ―
[船は出航し、瞬く間にアリサカが小さくなってゆく]
出会い――
[を思い出していたハンスだった。ゾフィヤに親切にしてもらった事。男気があり愉快な海賊カークとの出会い。神々しいシメオン様。ルシエの声を治してくれたポール。船の無事を祈ってくれたユーリエ。喝をいれてくれた、ヴィクトリア]
みんないい出会いだった――
さよならは言わない…。きっとまたあえるその日まで―
また会おう!!
[コルトに付くと、ロンが親方の船の前で手を振っていた]
[そうして、ハンスは親方の船とともに、キャリコへと戻った。キャリコへと戻る間は、軍艦が船の回りを護衛してくれた]
ありがとう!ゾフィヤ!!
親方!!ただいま戻りました。
[親方はとても喜んだ。そしてハンスの話を聞き、心から安堵した]
FIN
「「さようなら。さようなら、皆さん」」
[いよいよ神の島へ出発する日が来た。
アリサカの港に、二人分の思いと声が木霊する]
「「私達はあなた達のご活躍を遠くから見守ります。どうか、お元気で」」
――アリサカ港/防波堤――
[いい潮風が吹いていた。出航日和だった。]
いい日だ。
役目を終えた男の凱旋には、相応しい。
いずれ、また会おう。
[ハンスの乗った船に向かって、*親指を立てた。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新