情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[航海は特にトラブルもなく順調に進み、数日を過ぎた頃に水平線の向こうに一本の線として幸島が見えてくる。
近づくにつれて線は次第に太くなり、厚みをまし、やがて賑やかな港の姿がはっきりと見えるようになった。
海賊たちも立ち寄る島だが、港にそれらしい船はない。そもそも、用心深い海賊なら、表の港に停泊したりしないだろう。
もっとも、海賊たちとここで出くわしても、即戦闘にはならないはずだった。
一応、この港は非戦闘区域とされている。
無論、何ごとにも例外は付き物であり、この場合の例外は、かなり多いものではあったが。]
寄港したら、兵たちを3交代で上陸させよう。
あまり、羽目を外させるな。いつ緊急招集があってもいいように。
[船長たちに指示を出して、艦隊をアリサカの港に入れる。
ここで、海賊たちについての情報を手に入れるつもりだった。**]
――《海亀の枕》号 夕刻 ――
[飯は持参と言われていたにも関わらず、魚が釣れたから食うか、と誘われた。
ありがたくご相伴し、マリネにした白身魚に舌鼓をうつ。
その礼にと、リヒャルトはトラヴェルソを出してみた。]
海賊に見つかっても襲われることはないというなら、吹いてもいいかな。
[水上の音はわりと遠くまで伝わる。
海賊に見つかりたくない船舶は、消灯し、大声も出さないようにしながら夜間航行するものだが、この船では問題なさそうだ。
「おう、いいとも」「頼むぜ」
囃されて、酒場で馴染みの曲を奏する。]
[誰でも知るそのメロディーに、たちまち船員たちの大合唱が起きた。]
♪いのち短し恋せよおとめ 朱き唇あせぬ間に
熱き血潮の冷えぬ間に 明日の月日のないものを
Quant'è bella giovinezza,
che si fugge tuttavia!
chi vuol esser lieto, sia:
di doman non c'è certezza.
いのち短し恋せよおとめ いざ手をとりてかの舟に
いざ燃ゆる頬を君が頬に ここにはだれも来ぬものを **
「ゴンドラの唄」とその原詩といわれる「バッカスの歌」(イタリア語部分)より。
「バッカスの歌」は、フィレンツェの豪華王ロレンツォ・デ・メディチ(実際は王じゃないがなw)の作詞だそうですよ。
いまだにイタリア人ならたいてい知ってる歌らしいです。(未確認)
……訓練所辞めたのは性に合わなかったから?
や、答えたくないなら別にいーや。
[ぽつりと漏らしたあとにごめんというように手を振る。]
>>=6
別に言いたくねぇ訳じゃねぇよ。誰も聞かなかったから言わなかっただけだぜ。面白ぇ話でもないから言っても退屈だしよ。
……まあ、性にもあわねぇとは思ったが、結局おんだされたってたけだからな。
じいさんもよ、俺みたいなちゃらんぽらんな奴だったからさ、上とはソリが合わなかったみてぇでよ。
んで、連中にとっちゃ嫌な奴がおっちんで、こすいこともやられてよ。気がついたら路頭って話さ。
よくある話だろ?
ついでに言うと親父は俺が赤ん坊の頃に「愛に生きる!」とか抜かして蒸発だ。ったくろくでもねぇ。
そんなろくでなしの子だからよ。ま、やっぱこっちの方が合ってるんだろうよ。
[...の顔に悲壮感はない。振り返ったところで戻ってくるわけでもないのだから。失ったものを思うより、今を見ている方がよっぽど糧になる。そう言いたげに笑う]**
―――ばかに静かだな…
[甲板の上、獲物を睨みながら、我知らず呟く。
ほんの僅かな違和感。それは、たとえば思ったよりも相手の明かりが少ないとか、そんな些細なこと。]
「へへっ、奴ら何も知らずにぐっすり眠ってるんでしょうや」
[そう言う部下は、声を抑えてはいても血気に逸っているのが見て取れる。
まさかここで、妙だから帰ると言うわけにもいかないだろう。
頷いて視線を前に戻し、獲物が牙の射程に入る瞬間を待ちかまえた]
―神の島・とある一室(バルタザールが旅立って数日後 )―
[ 教会には三賢者と言われる司教がいるが、その内の一人にゾルゲという男がいる。かつて、バレンチーノと共に神の子追放を画策した男である。ではなぜ、今もその地位にいるのか……簡単である。己の私腹を肥やす為に行動を起こしたバレンチーノと違い、ゾルゲはあくまで教会の為に一時的に共闘しただけなのである……だから当然不正による追求もされなかったし、手を組んだ証拠も出なかった。元々、ゾルゲはバレンチーノの事を信用していなかったので、その辺りの事は抜かりが無いのだ ]
[ゾルゲはバレンチーノとは対照的に禁欲的に神に仕えていた……むしろ狂信的と言っても良い程に。それ故「神の子」という存在に否定的であった。彼にとっては神という存在は絶対不可侵のものであり、その名を冠する者が触れられたり、ましてや信仰心の低い者に声が「聞こえてはいけない」ものなのである。そんな思いは今も変わらず、常に「神の子」の監視を密かに行っていた。 ]
投票を委任します。
黒騎士 バルタザールは、船霊 ユーリエ に投票を委任しました。
投票を委任します。
黒騎士 バルタザールは、船大工の娘 ツィスカ に投票を委任しました。
「司教様、神の子に動きがあったようです。」
[ ゾルゲの執務室に、一人の司祭が報告に来る ]
「何やら、客人を一人迎え入れる準備をしているようです」
「客人?それはどのような者なのです?」
「いえ、そこまでは……ただ、他の者に聞いた話では、聖騎士だという噂もあるとか……」
「聖騎士?それはおかしな話ですね。なぜ、聖騎士が一人でこの島の外から来るのです?ましてや、大司教様や我らにではなく、直接神の子の元に……」
[ ゾルゲは(見る者によっては厳粛な面持ちと言われる)その陰鬱な表情を更に曇らせる。 ]
「まあ、いいでしょう。いずれにしろ「招かざる客」である事には間違いありません。こちらが先に身柄を確保し、後で神の子に追求するとしましょうか。殺してもかまいませんので、本物の「聖騎士」を何人か派遣して捕縛しなさい」
[ ゾルゲは、薄ら笑いともとれる笑みをその表情に浮かべた ]
― 神の島・小さな港町 ―
[かつて「聖騎士」と呼ばれた男は、「黒騎士」となって再びこの島に戻って来た。さすがにストレラから直接行く程、無謀ではない。小さな港から巡礼船に乗り(鎧の上から、巡礼者の衣を纏い)やってきたのだった。 ]
「……まさか、私が再びこの島に足を踏み入れる事になるとはな……」
[ 心境は複雑であった……懐かしさ、喜び、怒り、悲しみ……愛馬に乗りながら、小さな町並みを眺め、そして遠くに見える神殿のある方向を眺め、そんな気分に浸っていた ]
――コルト民間港/場末の酒場・出航前――
[コルト民間港近く、昼間でも酔っ払いと犯罪者しかいないような町の一角で、...は怒声の響き渡った酒場の入り口をくぐった。]
…陽も高いうちから飲んで喧嘩か?いいご身分だな。
が、今は時間もないしちょうどいい。
大人しくしてる奴を締め上げるのも、気が引けたところだ。
[にやりとすると、...は胸倉をつかみ合う男どものいるテーブルへ足を向ける。その姿を認めたガラの悪い船乗りたちが、ある者はぎょっとして目をそらし、ある者は肩をすくめて溜息を漏らした。]
…さて、お前たち。少し頭を冷やして話し合おうか。
[酒臭い息を吐く男たちの肩を、ぽむと叩く。しばしの後、酒場に悲鳴とジョッキの割れる音が響き渡り、吹っ飛ばされた椅子が一つ、入り口から外の通りまで転がり出た。]
――喧騒の後――
…妙だな。
[片付けられた酒場の一角で、...は宙を見上げながらつぶやいていた。聞き込み?によって得られた情報は二つ。]
「紋章は海賊王のもので間違いないこと」
「海賊王の船はアリサカ近辺で目撃されたこと」
…アリサカということは、やはりルワージュからの船団に目を付けたか。だが…
期を同じくして、キャリコで拉致誘拐だと?
急いでも3日。順当に港を経由すれば5日以上かかるぞ。
海賊の襲撃は基本一点集中。
あのゲオルグが、そんなつまらん戦力の分散をするものか…?
[情報の真偽に関わらず、海賊王の行動の意図が読めない。「子供を誘拐」という時点で感じていた違和感が、胸中で次第に膨らみつつあった。]
「止まれ!そこの者!」
[ 聖騎士らしき者がそう声をかけると、残りの聖騎士と街から借り受けた兵でまわりを囲む。 ]
「貴様は、教会の命により捕縛せよと仰せつかっている。抵抗するなら神の名において……」
[ その言葉が終わる前に、馬はその騎士めがけて全力疾走をして、手前で騎士の上を飛び越えた ]
「!?ええい!撃て撃て!」
[ 弩兵達がいっせいに矢を放つ。その何本かは体をかすめると、巡礼者の衣が破れ、中の黒い鎧があらわになる ]
「!まさか、あれは……反逆者ルーザか!?」
[ 聖騎士達は当然、誰を捕縛せよと命じられたかはわかっていなかった。それが、10年前にこの島を出たかつての聖騎士だった男となれば当然同様も広がった。 ]
[ もちろん、その罪自体は神の子の名の元に問われない事になっている。(バレンチーノの陰謀説も流れている)ただ、この決定に皆が納得したわけではない。(特にゾルゲあたりは、おおいに不満を見せていた)なので、いまだに「反逆者」の名はついてまわっているのだ。 ]
「ふっ……やはり、私はお尋ね者か……」
[ 馬を駆りながら、自重気味に笑う ]
「それでも、私は行かなければならない、あの神殿へ!」
[ 馬は、遥か遠くの神殿へと向かって行ったのだった** ]
しかし……オヤジさんが女と蒸発ねぇ。そんなにいい女だったんかな。
……い、いや、お前のオフクロさんがいい女じゃないとかそんなわけじゃないぞ?俺はみたことないんだしな。
[ふと自分の母親の姿をふと思い出す。
ガリガリに痩せていて、昼夜問わず働いていていつも疲れていた母親を。]
……なんかオフクロさんが可哀想だな……。
うん、やっぱり女は大事にしないとな!
黒騎士 バルタザールは、船大工の娘 ツィスカ を投票先に選びました。
取り急ぎ情報集めて来たわん。少し運動して♪
何か矛盾があったら…それは私が騙されたってこと(くす)
アリサカでも頑張るわよー
お疲れさま〜。
運動してるヴィカ、やっぱり楽しそうね。
お互い分かったことは、なにか変ってこと?
うん。じゃあ、あとはアリサカでね。
―神の島・神殿の奥―
[小さな港町で騒ぎが起こっている頃>>142。...はゾルゲを呼び出していた]
「私に御用でしょうか」
[...の前では、一応畏まった口調で、神妙な態度を見せるゾルゲ。珍しくそばには、バレンチーノの追放後任命された神官長と1名の神官、2名の聖騎士が立ち会っていた。迂闊な真似は出来なかった]
”いいえ、違います。貴方が私に問い正したい事がある知り、それならばと席を設けました。
何なりと聞きなさい。私は貴方の追及に、全て答えましょう”
[普段と同じ微笑を浮かべながら、...は手話で伝える]
「シメオン様。突然の御話で、私は戸惑っております。一体何の事でしょう?」
[ゾルゲは深く頭を下げる振りをして、表情を隠した。思いきり動揺していたのだ。...の存在に否定的立場とはいえ、予知能力があるのは認めざるを得ない。故に、先手を打つべく行動を取ったのであったが…まさか、こんな会見の場を設けるとは思わなかった]
[ゾルゲが答えずに、質問返しをした隙を逃がさず、...はずばりと切り込んだ]
”私が招いた客人が気になり、彼へ私より先に会おうと、何人か聖騎士を派遣したでしょう”
「! そ、それは……」
”何故大司教や貴方達三賢者を通さず、直接私の元へ来るか不思議に思って。違いますか?”
[一瞬言い淀むゾルゲに、...は次々と彼の行動を口にした。ゾルゲは更に焦ったが、きっと顔を上げると、反論を始める]
「わ、私にはシメオン様を御守りする義務が御座います。身元も知れぬその者が、万が一神殿で暴れ、シメオン様に危険が及びましたらと思い、予め手を打とうと…」
「誤魔化すな、ゾルゲ!」
[ゾルゲの言い訳を、神官長が遮った。
ゾルゲはこの神官長が苦手だ。自分より能力が劣っていると内心見下してはいたが、神に良く仕え、人々の信頼も厚いこの人物は、追い落とす事も都合良く丸め込む事も出来なかったからである。]
「シメオン様が直々に仰ったのだ。そのような事態にはならないと御判断された結果だと、そなたはどうして分からない? やはり以前から噂されていたように、シメオン様の御力に不信を抱いているのか?!」
「そ、そんな事は御座いませんが、しかし…」
「その上シメオン様よりも先に、客人へ会おうとするなど、越権行為も甚だしい! そなたは自分の立場をもう一度自覚しなおさねばならぬ!」
「……(くぅ)」
[思いきり唇を噛み締めて、悔しさと憎悪を心の中に押し込めたゾルゲは、まず神官長を睨みつける。続いて...へ強い視線を向けた
『私こそが、誰よりも神に仕え、神の御心を体現しているのだ。その私を、このように扱うとは!』
...はゾルゲがそのような思いを抱いているのを感じ取ると。穏やかに諭し始めた]
”以前から指摘しているように、貴方はもっと寛容さを身につけなくてはなりません”
「……」
”わたくしは貴方が、禁欲的に神に仕え、強い信仰心を持っているのは知っています。しかし、人々を指導する立場にある者は、それだけではいけません。
人を愛し、人が持つ優れた才能を愛する。そして、粗探しに奔走するのではなく、正しく導けば必ず良き成果が出ると信じる。これが重要なのです”
「…はい。御指摘された点については、良く理解しております。シメオン様」
[感情を押し殺したまま、表面上は従順に答えるゾルゲ。
それを目にした...は、顔を引き締める。彼の反発心が、身体から陽炎のように立ち上っているのが、ハッキリと見えたからである。
しかしここで、”私達が神に仕えるのは、神の愛を世界に広め、皆を幸せにする為です。人を裁く為ではありません”と言った所で、逆効果であると...は見抜いていた。そこで、この場はゾルゲに下がるよう指示を出した]**
[こいつ、とカークが船を叩けば]
……いつも手荒な扱い有り難う。
[一度、目を閉じて耳を澄ますような間の後、ぽつりと漏らす。それから、何かに気づいたようにわずかに眉を上げて、くすりと笑って]
――そうね。
[まるで、誰か傍にいるようにつぶやいたあと、カークを見直して「だって」と、例え相手が混乱していようがお構いなしに告げるんだろう]
[情報は命だ。特に海賊という稼業は命に関わる。それを、二人の恩人の事とはいえ、遠回りをさせるような事を言ったのは、自分の過失かもしれない]
あのね、ゲオルグの船も心配だけど……
[真っ直ぐにディークを見上げる]
この船も心配なの。気をつけてね。なんか――
[集められている気がする。そう感じるのは、船霊として生きるが故か。ざわりとする肌、両腕をさすった**]
―船内―
★じゃ、おやすみなさい…はふ。
………。
[仕事が終わってから、船員達が寝ている部屋に案内された青年は、横になって3秒も経たない内に爆睡していた。シグを出る前夜、興奮で殆ど眠ってなかったせいで、反動が出たのだ。青年を部屋に連れていってくれた船員が、廊下に出るよりも早かった]
「おいっ! こいつ、もう寝てるぞ!」
[同僚の声に、船員が慌てて戻る]
…むぎゅ。
[青年の平和そうな寝顔を確認した次の瞬間、反射的に手を伸ばして、左の頬をつねっていた。しかし聞こえるのは、安らかな寝息のみ]
「――すげぇ」
「意外に大物だなあ。…眠てるトコは、小動物みたいだけど」
[船員達が顔を見合わせて、驚いた口調で感想を言った]
★[実は、青年の故郷はキャリコであるが、10になる前から父親の仕事の都合により、悪魔の牙で漁民に混じって生活していた。
お蔭で、サバイバル能力はそれなりに持っている。いつでもどこでもすぐ寝付けるのは、その時の訓練? の賜物だ。…但し、その頃の記憶には、戻ってない部分もあるけれども。
このように、寝ていた青年は知らなかった。
王国内で密かに進められている陰謀は勿論、ユーリエの知らせにより、その一端を知ったカークが船の進路を変えた事を。
もし三人のやりとりを傍で聞いていたとしたら。歯に衣着せぬ性格をしているので、「オレ、その話聞くと、良く分からないけど、不安に感じる」とハッキリ言った可能性はありそうだ。
だが、それは所詮IFの話でしかない。
青年が事実を知るのは、もう少し後の事となる…]**
アリサカのほうは……少しくらい遅れても大丈夫なんだろ。拙かったらカークも寄り道しようだなんて考えないはずだし。
もしそこへ王国軍でも来るようならそいつらを締め上げてやりゃいいからなんとかなるだろ。
問題は相手の元にちゃんと辿り着けるかどうかだけどな。ま、相手の航路を考えればオヤジがどこで襲撃するくらいは想像付くし。
別にユーリエが責任感じるような問題じゃねえよ。
[だが両腕をさするユーリエにこれだけでは足りないと思ったのか]
あのさ。俺になんかしてやれることある?
なんつーか、ユーリエが怖がったり不安がったりしてるのを見るのあんま好きじゃねえから。
[無意識に左手で首をさすりながら]
―― 《海亀の枕》号 / 夜更け ――
[ハンモックに体重を預け、リヒャルトは闇の中にいる。
陽気な騒ぎに混ざるのも、長い沈黙の中に留まるのも、どちらにも苦を感じることはなかった。
環境に順応しやいのは昔からだ。
船と海とハンモックの織りなす静かな揺らぎが眠りを誘う――]
。oO( おれは、艦隊の皆にも、この船の皆にも、同じように素直な親近感を抱いている。
そして、必要があれば、どちらも同じくらい冷静に撃つだろう。)
[甲板に出ると、船員たちが「勇魚(バーラエナ)だ!」と言い交わす声が聞こえた。]
「勇魚がぶつかったんだ。船よりでかかったぞ。
一瞬、伝説の水蛇(ハイドラ)かと思って、肝が縮んだぜ」
[呼吸のために深海から浮上してきた巨大な勇魚と接触事故を起こし、《海亀の枕》号は舵をやられてしまったらしい。]
勇魚=鯨。
読みは「いさな」
鯨は哺乳類だから「巨大な魚」と書けないのだけど、この当時の船乗りが、鯨は魚類じゃないという概念をもっていたとも思えないので、折衷案として、地の文で魚と表記しないようにしてみました。
あいかわらずフリーダムに動いてますが。
漂流は予定してたんだ。
海賊サイドと接点もつために。
骨の島まで漂流して、そこで救助されようかと思ってたけど、このまま、進路変更したカークたちに拾われてもいい気がしてきた。
おまかせー
―神の島・神殿の一室―
「…全く気に食わない」
[ぶつぶつ文句を言いながら、ゾルゲは盛んに部屋を歩き回った。
寛容にと言い渡されたが、神の子のやり方には、我慢がならなかったからだ。
そもそもゾルゲは、アリサカから神の島へ、骨董品を積んだ交易船が運行され、神官が購入する事実に、以前からとても憤慨していた。骨董品の出所が海賊らしいとの噂も、それに拍車をかけた。
『アリサカとの交易は全面禁止とする。
神官達が今まで手に入れた物は、全て没収。今後禁を犯した場合、厳重に処罰する』
ゾルゲは今すぐにでも執行すべきだと考えている。聖職者は禁欲第一でなければいけないと。
バレンチーノが追放された後、漸くこれを実行出来ると考えていたのに。実際は、未だに自分が理想とするように改善出来ない。
ゾルゲはいらいらしていた]
[だが...は、自分を否定的に考えるゾルゲへ対しても、好意的な見方を忘れなかった。
ゾルゲは確かに有能である。三賢者の中でも、飛び抜けて高い能力を示し、知識も豊富だった。
しかし惜しいかな、誇りを高く持つが故に視野が狭く、他人を認められない所がある、と判断している。
これを改善し、乗り越えれば…ゾルゲは一際飛躍出来ると期待していた。
だが厳しいゾルゲに対して密かに、あるいは公然と反発する者も少なくない。
...は残念に思っていた]
[因みにアリサカとの交易は、漠然と放置している訳ではない。
いわゆる贅沢品・嗜好品の類は、禁止すれば良いという、単純な話では決して解決しない。無理矢理罰則を設けて、購入や所有を制限すれば、却って歪みを招くと考えていた。
”人は時として、絶対手に入らない物や獲得が困難な品に、どうしようもなく心を惹かれ、狂ってしまう場合がある。”
この人間心理から導き出した答えであった。
故に神に仕える者として、必要以上の華美な生活を控え、自らの欲望を抑えるようにとは説いていたが。寄付金を横領したとか、職務上の権利を不当に行使して得た利益とかでない限り、罰則は設けていないし、今後もその予定はなかった]
―― 《海亀の枕》号 ――
「流されているなぁ」
[老船長は苦々しく言った。
帆を操作して、アリサカに向かおうという努力も虚しく、船は海洋を彷徨っているらしい。
こういう時に僚船がいないのが困るのか、とリヒャルトは理解した。
護衛もさることながら、単独航行では、事故の際に助けを求めることができない。]
「船霊のまじないをしよう。白い石もってるだろ、誰か」
「海蛇の王にラム酒を捧げとけ。飲みかけのやつじゃねぇぞ」
[人事を尽くした船員たちは、後は祈ることにしたらしい。その一環で、リヒャルトも奏楽を所望された。]
「あんたの笛を吹いてくれないか。海の神は音楽が好きだというし」
[海の神云々は信じていなかったが、船員たちを鼓舞するために、リヒャルトはトラヴェルソを唇に当てた。
明るい曲を選んで奏でる。]
してやれる、こと?
[船主が、手の行き場に困ったように首を撫でる仕草に瞬きし、微笑みかけて、口を開きかけて、唐突に表情をこわばらせた]
……いい。
[押し出す言葉はかすれた音。押しとどめるように、自分の左手を船主の胸の当たりに触れさせて……いや、実際触れることは出来ないけれど]
私……なにも『いらない』から。
[いくらかうつむいていた後、顔を上げたときには、いつか黒猫をからかうときにしたのと同じく、べーと舌を出した後ににこりと笑って]
私が祈るから、無事の航海を。だから、心配しないで。
[話のすり替えにしても無理がありすぎると自分でも思ったから、かえっておかしくて自然に笑えたかもしれない。散歩してくるね、ともう一度笑うと踵を返し、船尾の船室の方へ**]
[暫く黙っていたが顔をあげて微笑みかけるユーリエに向かって明るく言う]
そっか。なんか困らせるようなこといったみたいでごめんな。
ユーリエが無事を祈ってくれるんなら今回も成功したようなもんだな。
[散歩するという彼女に向かっていってらっしゃいと手を振った]
[やがてユーリエの姿が完全に見えなくなると頬を二、三度ぴしゃりと叩く]
全く……何やってんだ俺。
しっかりしろ。今のは踏み込みすぎだぞ。
あの子が俺の船にいるのはあの子にとってはただの偶然なんだから。
……よし。じゃあカークのところへ報告いってくっか。
[気合を入れなおしてカークの元へ向かうとユーリエが気をつけてと言ったことを伝えた]
更新まで、あと2時間弱です。
ツィスカさん、突然死回避発言ありがとうございます。
ところで…ステファンさんが未発言ですね (汗
さすがに、2日目の時点で3人も落ちると、後の進行手数に響いてきますので、23:45までにステファンの発言がなく、突然死が濃厚な場合、ゲオルグ襲撃をなしにして、とりあえず数の上では残しておくことにしたいと考えています。
(更新ギリギリにステファンが発言してくれて、3日目11名生存になっても、問題ありません。9名になるのを避けたいための措置です。)
ご了承ください。
さて。どこへ行こうか…
[船の指揮は船長に任せてあるから、船長たちに指示さえすれば、後は意外と身軽なものだった。
賑わうアリサカの港に降り経って、暫し途方に暮れる。
正直なところ、この港にはあまり縁がない。
海賊共に迎合している街。そんなイメージが先に立っていて、好きにはなれなかった。]
―船内―
★…ふみ?
[どのくらい眠っただろうか。青年は突然、目をこすりながら起き上がった]
……。のど、渇いた。
[半分夢の中を漂ったままで、船室を抜け出す。
ずりずりと毛布を引き摺って、のみもの〜のみもの〜とうめきつつ台所に姿を現した青年を見て、たまたま居た船員が思い切り噴出した]
「ぷはっ、何やってんだ。…ほれ、これを飲め」
「んー。ありあと〜」
[渡されたコップに口をつけて、こくこくこく〜っと、気持ちの良い飲みっぷりで空にする。
しばしにこにこ顔を青年に向けていた船員が、ふと思い付いたという口調で話しかけてきた]
「そういえばさっき、船長が進路変更の指示を出したそうだぞ。アリサカの前に、寄り道をするんだってさ」
★寄り道?
「そう。海賊王ゲオルグの船を追いかけるらしい。詳しくは知らんが、事情が変わったらしいぜ」
……。
[青年は一瞬、寝ぼけ眼で考え込んだが、すぐに手を振った]
教えてくれてありがと。
…じゃオレは、部屋に戻って寝るね。おやすみ。
★なーんか、妙に気になるんだよね。
[青年は、頭を起こそうとぺちぺち頬を叩いて、独語した。
自分の中の勘が囁くのだ。”これから事件が発生しそうだ。警戒せよ”と]
カークさんが進路変えたのって、どんな理由だろ? 出来るだけ早く知るには、やっぱ本人に聞いた方がいいかな?
…でも、今船のどこにいるか分からないし。
[青年は困惑して、ふうとため息をついた]
[申し出が嬉しかった]
無事に戻ってきて。
[そう、言いたかった。けれど。
それを妨げ身体を震わせたのは、記憶の底に沈めたはずの、不吉な過去に繋がる『なにか』]
無事を祈る……いつもしてるのに。なんで上手に言えないのかしら。
[ディークには。ぽつりと漏らして、いじけたように船室の床に指でのの字を書く幽霊*]
/*
ツィスカをハグしたいです! 箱さんお大事にです!
そしてステファン、大丈夫かなあ。コアタイム不定期って書いてあったから、来てくれると嬉しいのだけれど。
そして、ディークの人には後で全力土下座します。
/*
リヒャルトに呼ばれている気もするのだけれど、なんとなく、ステファンが出やすいようにしてくれている気もするので、様子見中なのです……
―狼島北東海上―
[闇の中、星空を切り取った商船団のシルエットが、みるみる大きくなっていく。
船の甲板に仁王立ちになって、その黒々とした影絵を睨みつけていた。
攻撃のタイミングは、体が覚えている。]
よし、やれ……
[商船団を射程に捕らえ、射撃の号令を下そうとした手が急停止する。
眠っているとばかり思っていた商船団が、そのとき俄に動き出したのだった。]
>>148
[触れないことはなんとなく分かっていた。幽霊だということに今更なんら疑う気も持っていなかった。ディークの無言の抗議にも似た視線>>129、にも気付いていた。案の定翳した手には、ユーリエの柔らかな髪の感触を掴むことができず……]
……えらいぞ、ありがとう。
[手を止めることなく、彼女に触れるか触れないかのあたりで、そっと前後させる。まるで、本当に頭を撫でるかのように。
肌で感じることは叶わない。けれど、ユーリエという魂も想いもそこにあるのだ。ならば具現化された感触など考える気にもならなかった。
感謝と、授けたい安堵……気持ちを込めることは出来ただろうか?]
ん、どうした? びっくりした顔して?
[ゆっくりと立ち上がりながら、『大事なのはハートだろ?』と酒場で見せた時のような笑みを返した]
>>149
はは、手荒な扱い有り難うか? 交易船あがりの真面目くんかと思ったが、たいしたタマだ。
ああ……そいつぁ悪かった。よし今回の、航海を終えたら俺の手で念入りに掃除してやるよ。
[叩いた同じ所を、今度は丁寧に撫でてみせる。]
……いつも……すまんな相棒。こちらこそありがとう。
[これは二人に聞こえないようにこっそりと]
ああ、そうだユーリエちゃん。ものは相談なんだが
[端的に>>85、>>105を話し]
ってわけでな。こいつに名前を返してやりてぇんだ。いつまでも名無しさんじゃアレだしよ。
本人?本船?が覚えてねぇってことはねぇだろ。
ま、どっちみち、俺が可愛い名前とか考えたらロクでもねぇ名前になっちまうだろうし
……ディークご推薦“お上品なお嬢さん”な、ユーリエちゃんがつけてくれてもいいぜ。
その方がしっくりきそうだ。なぁ、相棒?
>>150
ああ、大丈夫。進行方向とそう違わない。アリサカでユーリエちゃんとお茶する時間が短くなるくらいだぜ。おっと、デートのお誘いなんてしたら、彼氏さんに蹴り入れられそうだ。ディークには内緒だぜ?
[すぐ側にいるのに内緒もなにもないだろうに……つまりは些細な戯言]
>>151
おっちゃんはちっと心配だけどよ。こっちは大丈夫だ。
俺もディークも、百戦錬磨の船乗り達もいる。……一戦錬磨にもなってねぇ奴が一人いるが、そいつもなかなか骨がある。
なにより、こいつは俺の相棒だぜ。
[ニヤリと笑い船首を親指で指し示した]
[その後、二人が話し込むのを少し見つめて踵を返す。>>131へ]
…んだ、ありゃぁ……
[思わず、馬鹿みたいに口を開けて声を上げる。
商船の舷側で無数の人間がせわしなく動き、船の脇腹から板のようなものを外していた。
その下から現れたのは、黒光りする無数の砲口。]
――っ! 武装商船……いや、ありゃぁ偽装した戦闘艦か!
くそっ、やつら、はめやがった!
[盛大に舌打ちして、甲板を踏み鳴らす。
嫌な勘が、こんな時ばかり的中する。
今や商船の皮をかなぐり捨てた戦闘艦の群れが、海賊たちに向かってその牙を剥こうとしていた。]
★寄る所?
[僅かに首を傾げて、ディークの顔をじっと見る。
そこから読み取れる感情は何もない。しかし…]
で、でもさ、こんな夜中に突然用事が出来たなんて、おかしくね?
心配する事ないって言われても、あんま納得出来ないっていうか、何ていうか。
[しばし口の中で、もごもご呟いていたが、きりっと表情を引き締めて、とんでもない飛躍をした]
と、とにかく、オレの勘は当たるんだ! 絶対なんだ!
だから、手短でいい。教えてくれ!//
[真剣なポールの剣幕に押されて頭をぽりぽりかく]
参ったな……。
とはいえ俺がぺらぺら喋ってもいいもんかどうかなぁ。
……あ、今からカークのところ行くけどなんなら一緒に来るか?
説明が欲しいなら客の俺じゃなくて船長を説得しねーとな。
[敵の砲列艦の横腹が火を噴いたかと思うと、腹に響く轟音と、無数の砲弾が海賊船団に降り注いだ。
着水した砲弾が高く水しぶきを上げ、波がシュバルツルックスの巨体を揺らす。
敵船団はかなり正確に、シュバルツルックスへと砲弾を集めていた。]
[見えはしない。
それでも、女の声は聞こえた。
気配も何もない船首の方から。
その場所には誰かさんとの遭遇を思い出したが、さすがにアレとは別物だろうと思う。
リヒャルトが黙っている前で、船員たちは窮状を訴えていた。]
「船霊様よぅ、おれたちを無事に岸に辿りつかせてくれ」
「できれば、船と荷物も一緒に」
ちっ…撃て。ありったけ撃ちまくりやがれ!
いいからずらかるぞ!取り舵いっぱいだ!!
[怒鳴るような号令に、ともかくも部下たちが動き出す。
雷轟のごとくに砲弾を吐き出しながら、シュバルツルックスはゆっくりと進路を左手へと変え始めた。
旗艦が回頭するのを見て、浮き足立っていた海賊船たちは我先にと逃げ出し始める。]
[あれあれ、と指をさされるのは慣れているが、少々憮然とした表情で、船首の縁に腰掛けて]
ちょっと気軽に出過ぎたかな。
[妙な所を悩む、船霊。ぽふ、と船の縁を叩く。ぎし、と悲鳴のような船体の軋みに眉をしかめた]
[船足の遅いシュバルツルックスは、敵船団の格好の標的だった。あるいは、最初からこれが目的だったのか。
幾度か着弾の衝撃が船体を震わせる。
暫し思案した後、若い連中を4人ほど呼びつける。]
おまえら、ボート出せ。
レオンハルトの快速艇なら、奴らを振りきれるだろ。
後ろにくっついて、ひっぱってってもらえ。
−操舵室−
張ってるのがあの海域なら、急げば夜明け前にはいけるな。そっからアリサカは……半日のロスにもならねぇ。
ま、真っ昼間に着くってことはねぇだろう。頼んだぜケネス。
[操舵手の肩を叩き自室へ戻ろうとした時、なにやら向こうが騒がしい]
なんだぁ?
[そちらに足を向けて歩き出した]
鉄腕船長 ヴィクトリアは、船大工の娘 ツィスカ を投票先に選びました。
― アリサカ港 ―
[アリサカに到着したものの、整備を終わらしてからではないと、休めないハンス。]
銀嶺号には親方の船の変わりに、ここに連れていてくれた恩がある。
しっかりみないとな。
ルシエのことは、それからでも遅くはないだろう。早く終わらせて、アリサカの町での情報を聞いてみよう。
[整備の仕事を早く終わらせよう。っと思い熱心に仕事にとりかかった]
鉄腕船長 ヴィクトリアは、おまかせ を能力(襲う)の対象に選びました。
――馬鹿言え。死ぬつもりはねーよ。
あの坊主――そう、ルシエとかいう奴、足手まといになる前に、レオンハルトに押し付けてこい。
ああ、あとこいつもな。
[肩に乗っていた黒猫を、ひょいと若い海賊の1人に放り投げる。]
[次々に訴えられる状況を聞くまでもなく、船の状況はわかったが]
このままだと骨島の方に流されるわ。
[その島を取り囲むのは、乱潮流。舵の壊れたこの船では渡りきれないだろう。帆と、潮の流れとだけで操船するのは神業の域。
船霊は船の帆を見上げて、船乗り達を見回した//]
更新まで、あと15分です。
ステファンさんの滑り込み帰還を願いつつ。
首無し騎士両名は、▼襲撃=おまかせ でセットお願いします。
…首無し騎士両名も在席しているかわからんのが怖いですが。
[どうやら、船乗りたちにとっての吉兆が現われたらしい。
まったく海は不思議な場所だ。
しかし、そんな海にいる人外の存在――しかも女など、気まぐれそうで頼るのは怖いと思ってしまうのはリヒャルトの頭が堅過ぎるのだろうか。
とりあえず、船乗りたちの嘆願交渉(?)を聞いている。
この船霊も、願い事を叶える代償に何かを求めるのだろうか――と考えつつ。]
それと、カークやディークに会ったら伝えとけ。
帰ったら養育費をたっぷり請求してやるから、金用意して待ってろってな。
あぁ?!
おめぇらは帰ってこねーでいいんだよ!
てめーらみたいなひよっこは、おとなしくアリサカでガキのお守りでもしてやがれ!
おまえらに戦場はまだ早すぎなんだよ!
ほら、とっとと行け!
「ハンス!たすけて…」
ん?今のは…。
[何か聞こえたような気がした。]
まさか…。
[ルシエに何か、あったんじゃ…。ハンスは急に不安になった。確かこの銀嶺号は海賊王を探しにきたんだよな。]
海賊王に何かがあった!?
[まさか!?僕でも海賊王ゲオルクの強さはしっている。だから海賊の頂点にたっているのに…。その王に何かがあったってことは…]
ルシエ…。
[急にハンスは胸騒ぎを感じていた]
[4人の若者が猫と少女を連れて艦を離れるのを横目に見つつ、拳を突き上げる。]
おっしゃぁ!気合い入れていくぞ、おらぁ!
このオレに喧嘩をふっかけたことを後悔させてくれるわ。
いいか、砲撃休むな!奴らを穴だらけにしてやれ!
[船長の大声に、海賊たちは気勢を上げて応える。船上は、戦いの活気に満ちていく。
沸き立つ艦の片隅で、ルシエを連れてきた男たちがひっそりと海に身を投げたが、誰も気にも留めなかった。
逃げたのだとしても構わない。どのみち海の藻屑だろうと誰もが思っていたのだった。]
――アリサカへの洋上・少し前/月明かりの追憶――
[遠くで、細波の打ち寄せる音が聞こえる…]
ザザ…ザ…
「これが、軍人として最後の航海です。帰ったら、町医者でもやりながら、今度こそ2人…いや、3人で暮らしましょう。」
[優しい眼差しが、鮮明に浮かび上がる。刻み付けられた言葉が、繰り返され、そしてそれは……意味不明の残響と共に、無残に破壊された船の姿にすりかわった…]
「…が、駄目です。生存者、0…0…ゼロ…」
[やがて、ハルヴ・マーンの海域を、一つの知らせが駆けめぐる。
”海賊王の船団が、王国軍の偽装艦隊に破れた”、と。
あの海賊王の艦隊が、ほとんど壊滅状態だと、王国海軍の精鋭・第一艦隊にだまし討ちにされたのだと、人々の口伝てに、噂は瞬く間に広まる。
本物のルワージュ商船団は、ずっと後から悠々とやってきている、とのことだった。]
!
ザザ…ザ…
[船腹に打ち寄せる波の音が、まるで夢からそのまま続いているかのように、宵闇に響き渡る。頬杖をついていた手を離すと、親指の付け根にじわりと、べとついた汗がにじんだ。]
…しばらく、見ていなかったんだがな。あんなことを言われてせいか…
大切なものを、形にしたがるのは…オレがまだ、センチメンタルだからかな。
[「肌身離さずにいたいんです…」瞳を閉じた青年の言葉が、耳朶に甦る。]
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