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戻ってきなさーい!
[まるで生き物のように。
手品師を翻弄するように逃げ回っていたケーンは、その声に従うようにジルの手の中に納まった。
ジルはケーンを慰撫するように撫でる。]
―沢山遊んで疲れたでしょう。
おやすみなさい。
[次の瞬間、ケーンは消失し、ジルの両手には真っ赤なシルクチーフが一枚ずつ出現する。
―消失マジックとの合わせ技だ。]
― パーティー会場 ―
[招待状もルームキーも持たない男がどうしてこの場にいるのかはおいといて]
ふぁあ、すげえ
[そろそろ口の開きすぎで顎がおかしくなりそうだ。
それくらい、このホテルは驚きの連続だった]
なあなあ、あれどうなってんの?
[見知らぬ人に聞いて、しー!と窘められたりしている。
マジックなんて、スリの素早さを競う連中は見たことあるけれど、そんなのとは比べ物にならない]
……楽しいなあ
[ショーだった]
はい。こちら、ご確認下さいね。
[にっこりと微笑むと、真っ赤なシルクチーフを近くの席の観客に見せる。裏と表を観客に見せて、種も仕掛けもない事を確認させた。
そしてその二枚のチーフを大きく振った。
真っ赤なチーフは色を変えて黄色と青に変化した。]
そしてこれをもう一度振ると…。
[もう一度振ると、今度は二枚増えて黄色、青、紫、赤の四枚になった。
黄色と紫、赤と青、そして黄色と青の先を観客の前で結ぶ。
四枚のチーフは一つに繋げられた。それを頭上で掲げて見せながら]
―さて、このチーフは次にどうなると思いますか?
1、四色に染め分けられた1枚のチーフになる。
2、四色のボーダー柄のチーフになる。
正解は…。
[チーフを握りしめた手の中に入れ込みながら、観客に問いかける。観客からは何と答えられただろうか。
そして手を開けば。
97が50以下なら1。以上なら2。]
[BGMとして流れていたピアノの音が段々と小さくなる。
パーティーの始まりを感じ、ざわざわとしていた会場がしんと静まり返る。
幕の降りた舞台の前に進み出た支配人。
さっくりとした挨拶を済ませる。
司会がゲストを紹介しながら幕がゆっくりと開き、BGMを弾いていたとおぼしき女性が現れる。
ーパーティーが始まった。]
正解は2番でした。
[一礼し、カラフルなシルクの布をワゴンの上にふわりとかけると、空中に手をやり何かを取り出すようなパントマイムを。
すると、数枚のトランプのカードがジルの手の中に出現した。
扇状に持ったカードを観客に見せるも、苦笑を浮かべて]
―ちょっと見づらいですよね。それでは…。
[言いながらカードの表面を撫でる。
すると、カードは四枚分くらいの大きさに変わった。―ジャンボカードだ。]
これで少しは見やすくなるでしょうか。
さて、ここに5枚のカードがあります。―ご確認頂けますか?
[先刻とは違う観客に、裏と表を確認させる。
カードはハートのクイーン、スペードのキング、ダイヤのジャック、クラブのジャック。そしてジョーカー。一枚一枚を見せながら]
キングとクイーンの治める国に住むダイヤのジャックは遊び好きで、すぐに仕事を置いて何処かに遊びに行ってしまうそうです。
―例えばこの、クラブのジャックのところとか。
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