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次の日の朝、語り手 が無残な姿で発見された。
戦火の犠牲は確実に広まる。
それでもなお、戦いは終わらない。
求めるものを手にするまで、人は争い続ける。
己を犠牲にしようとも。
愛する者を失うとしても。
現在の生存者は、後世の歴史家 ベネディクト、王国軍司令官 タイガ、元農家の王様 メレディス、連邦軍司令官 クリフ、華冑の影 レト、王国軍弓騎士 ノーラ、老騎士 ナネッテ、王国軍軍団長 ナイジェル、連邦軍騎士 ローランドの9名。
動き出した両軍は、示し合わせたように中央平原へ向かう。
広い平原は多数の兵を動かすのに適した土地だ。
用兵上の利点が、双方の指揮官を同じ場所へ導いたのだろう。
また、中央平原は王都アマンドの尖塔から遠望できる地でもある。
ブリュノーの混乱を鎮めるためという大義を掲げて激突する二大国家の戦いは、アマンドに籠る者達の目にどう映っていたのだろうか。
アマンドの民とブリュノーの大地が見守る中、ついに戦いの矢が放たれようとしていた。
── Benedikt Selvidge 『ブリュノーの戦い』第二章
後世の歴史家 ベネディクトは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
華冑の影 レトは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
― マルール王国軍野営地 ―
[ 軍議の場において、ナイジェルから提案があった。>>0:127>>0:128
投石機と騎馬を王都に向けて動かす策だ。陽動である。 ]
ティルカン軍を揺さぶる策は多彩であった方がいい。
ソン・ベルク軍団長が自ら指揮を執るというなら、その動き、なおのことティルカンは看過すまいな。
──任せるぞ。
[ いずれ王妃らを迎え入れてもらうことになる王都の民に、マルールは敵だと思わせるのは避けねばならない。
視野が広く冷静なナイジェルになら、その匙加減を任せられる。
必要なだけ、兵を託そう。 ]
[ 老練のマーティン軍団長と、無口な中年のチャールズ軍団長に本隊の周囲に散開する残りの騎馬隊を割り振った。]
工兵隊のうち、1隊は野営地に残す。
《猿》と連携して、事にあたるよう命ずる。
軍議がまとまったら本隊は草原へ出る。
おまえに託す工兵隊は拠点に残しておくぞ。
ちなみに彼らの部隊名は《骨牌》だ。
今回の指針は、敵軍の分断。
あちこちで悪戯を仕掛けてくれるのを期待している。
[ 布陣がどうとかいう細かな説明はしなかった。
指針さえわかっていれば、レトはその感性で自由に動ける。]
[ 参列者の顔を見渡し、ここまでの検討を総括した。 ]
先鋒のリンザール隊長以下、歩兵2隊と弓兵隊と工作1隊を中軍とし、司令官直配とする。
王都方面は、ソン・ベルク軍団長の下に、騎馬隊の──ああ、やはりアレが必要だな。
[ 地図に重ねて、巻物を広げた。]
各部隊の呼称についてだが、「第1歩兵隊」などと呼ぶのも味気ないから、コードネームを考えておいた。
2つの歩兵隊は、《竜骨》と《狼牙》── 強そうだろう。
8つの騎馬隊は、混乱を防ぐためにもわかりやすく、《一月》から《八月》
弓兵隊は、その技からの連想で《氷雨》
3つの工作隊は、《双六》《将棋》《骨牌》── 知恵と遊び心を駆使せよ、だ。
[ 諜報対策ということもあるが、皆の親和と結束をはかる意味もあった。
これでいこうと思うが、どうだ? と戦前の緊張を解きほぐすように話題を振る。
同意が得られれば、戦勝を祈願する乾杯を経て、閉会となろう。*]
王国軍司令官 タイガは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
>>1:*15
[町から追い出されたことは何度かあるけれど、追われて困るのは定住しなければいけない人たちだ。自分たちは居心地が悪いところは出ていけばいい、と、ずっとそういう生活をしていた。逆に相性の悪い他の一族を追い出したりもしたので、相手を追い払うことに罪悪感はない。
意見の合わない相手とは離れるのが楽なのに、国は難しいなと思う。
それをちゃんとまとめている兄は、やはりすごい。]
うん、安心する。
俺ができる事があったら何でも言ってよ。
なんでもするからさ。
[兄と共にいけば、いろいろなことが上手くいく。それが面白い。]
[預けてくれた工作隊には遊戯の名前がついていた。
彼らの中で流行っているのだろうか。
後で遊んでみてもいい。]
分断?
わかった。いろいろ仕掛けてみるよ。
[悪戯と言われれば心が動く。
わくわくと楽しげな心が声に乗った。]
[ つながっている向こうから楽しげな気配が伝われば、その素直さにつられて微笑む。
慎重な兄は、滅多なことでは「なんでもする」というような約束はしないが、レトが後先考えず適当なことを言っているとは思わない。今、この瞬間を生きる子なのだ。]
ところで、リンデマンス王はれっきとした人間なのか?
[ 不意にそんな質問をする。
カボチャ頭、という表現はよく聞くが、昔はチェシャだった王様というのは初耳だった。>>*6]
― マルール王国軍野営地 ―
[しっかりたっぷり風呂で遊びつくした猿たちは、次の行動に移る。
まずは、浴場の改良案を先ほど案内してくれたナイジェルの家の者に渡しておいた。
葦で編んだボールが欲しいだの、潜れるくらい深いところが欲しいだの、直接川の水を温めながら引き込んで流れる浴槽にすればいいんじゃないかだの、好き放題である。
食事と休憩を挟みながら、中心メンバーらと車座になって今後の話をする。
その席には、司令官の采配で託された工作隊の部隊長や士長らもいた。]
こっちが《骨牌》のみんなだ。
今回、俺たち《猿》と一緒に動いてくれる。
[まずは双方を引き合わせる。
《猿》の指示で動くことに反発を覚える正規兵だっているだろうけれど、さすがは兄の選んだ部隊だ。街の工事などで顔なじみになった相手も多く、連携に不安はない。]
この後の戦いだけれども、俺達はいろいろ悪さをしろって言われてる。
相手の気をあちこちに逸らして欲しいってことだ。
[兄から絆の声で頼まれたことを、皆に伝える。]
もう本隊は先に行ってるから、戦場で込み入ったことをする時間はないな。
……あ。それとも《骨牌》の皆は、馬と同じくらい走れる?
[だったら時間の余裕はあると思ったけど、工作隊からはきっぱり否定が返ってきた。
当然か。]
なら、ここでできるだけの作業はしちゃおう。
《骨牌》の皆は、あとから追いついてくれればいいよ。
あー。あと、もうひとつ頼みたいことがあるんだ。
200人?くらい?
ちょっと川の方に行って作業を手伝って欲しい。
水路工事してた人たちを優先的に割り振ってもらって、……
[などと、ああだこうだの指示を出しておく。
さらにはいくつかの丸い玉を渡して、これを混ぜて時々狼煙を上げれば現地に行ってる《猿》メンバーが勝手に合流してくるはずだから、あとはうまいことやってと頼んでおいた。
さすがに今回の戦いには間に合わないだろうけれども、後々生きる、かもしれない。]
[方針の確認が終われば早速作業を始める。
川へ向かった者たちを除き、《猿》と《骨牌》全員で取りかかった。
森から木の枝を切って持って来たり、
細い木を組み布や木の皮を張って盾のようなものを作ったり、
長槍ほどの長さがある棒を組み立て式に改造したり、
様々な作業を分担して進めていく。
終わったころには、また食事と休憩の時間になっていた。]
[本隊が出陣してから1日と半分ほど経ったころだろう。
出立の準備を整えて《猿》の仲間がずらりと並ぶ。
必要な荷物はみな、馬の背に振り分けて運べるようになっていた。]
じゃ、行こうか。
[頭の気軽な一言に、応と声が返る。
《猿》の中には犬や鳥を連れている者もいるから、なかなかに賑やかだ。]
先に行ってるよ。
またあとでね。
[徒歩で行く《骨牌》とは一旦お別れになる。
手を振って馬を駆けさせれば、あとは戦場まで一直線だ。**]
― 3年前 ユリハルシラ領 ―
[ クリフが興味を示せば、町の住民は華冑公婿の嫁取りにまつわるロマンスを語ってくれる。>>1:112
いわく、修道院に押しかけて姫を口説いたとか、塔に幽閉されていたのを助けたのだとか、果てはドラゴン退治の顛末まで、まことしやかに語られる。
ルーニーがつけた曲などもあった。]
えっ!?
ちゃんと人間だよ?
[兄から質問が飛んできて、はえぅ?!とか謎の声が漏れた。
たぶん、チシャが王様のマントを着ている謎イメージが浮かんだせい。
どちらが思い浮かべたイメージなのやら。]
昔チシャ畑で会ってさー。
野菜いっぱいくれたんだ。
野菜作ってるって言ってたのに、王様だったなんてねー。
[まさか自分のひとことが兄に突飛な想像をさせていたとは思わないまま、出会った時の話を補足した。]
[ その頃、生きながらにして伝説となった当人は、生涯でもっとも、自分が役立たずであると噛み締めながら、邸宅を出て、門柱にもたれていた。
空を振り仰いでは溜息をつき、落ち着かなげに拳を握る。*]
― 3年前 ユリハルシラ領 ―
[ 溜息の間に、とりとめなく弟に呼びかけていた。]
ラーシュ、 いつだと思う。
まだかな
…もう生まれてもよくはないか?
― 現在 ―
[ 素っ頓狂な声が飛んできた。]
チェシャ畑で、 なるほど?
餌付けされたか。
[ 美味しかったか、よかったな、と微笑めば、なんとなしにシェシャの味が広がる気がした。
レトの記憶から出てきたのかもしれない。
成果物を惜しみなく与える寛容な人物像が浮かぶ。]
大鎌を携えた指揮官がいたら注意しておこう。
連邦軍騎士 ローランドは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
― マルール王国軍野営地 ―
[向けられる笑み>>1:127に返すのは、揺らぎない自信を込めた笑み。
続けて出された作戦案>>1:128には、あー、と短く声を上げていた]
……確かに。
この状況でそっちに餌撒かれたら、ほっとく、ってのはできないよなぁ……。
[大なり小なり、寄せられるものは出るだろう。
そうなれば更なる分断を促せるはずで。
発案者の気質を思えば、加減をしくじる事もあるまい、と思うから、そこに異を唱える事はなく]
は? コードネーム?
[最終的な総括の際、出された提案>>4に最初に上がったのは、惚けた声]
あー……でも、悪くないですねぇ。
聞いただけじゃ何がどう動くかわからない、ってのは、混乱させ易いですし。
[こちらも徹底周知が必要となるが、それはそれ。
遊び心も交えたネーミングは悪くないものと思えた]
そういう事ならば、当方は
我がリンザールの小さき女神の祝祭の月ですので。
[に、と笑って選んだ月が姪の誕生月であるのは旧知にはすぐに知れるか。
無用な諍いを起こさぬために、という建前で独り身を貫くリンザール領主が姪を可愛がっている事は有名だから、納得もされやすいだろうが。*]
王国軍弓騎士 ノーラは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
老騎士 ナネッテは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
― 軍議の後 ―
よっ、と。
ちょっといいかー?
[軍議が終わった後、出陣準備の合間を縫って訪れたのはナイジェルの所]
いや、大した用事じゃないんだけど。
忙しいだろうにわざわざウチの連中の様子見に来てくれた、って聞いたんでね。
[お礼参りに来た、と笑う様子は屈託ない]
てわけで、ほい。
[軽い口調で言いながら、ぽん、と小さな革袋を投げ渡す]
[革袋の中に入っているのは、蜂蜜を練った飴玉。
少年の頃の鍛練に後にも出てきたものだから、すぐにそれと知れるだろう]
そっち、動きに神経使いそうだからな。
気ぃ解したい時にでも食べてくれ。
ま、大丈夫だと思うけど、喉に詰まらせるとかはするなよ?
[冗談めかした口調で言った後。
ふ、と小さく息を吐く]
にしても、まあ。
状況的に已む無し、とはいえ。
……無駄に規模のでかい『兄弟喧嘩』だよなぁ、これって。
[ぽつ、と落としたのは今回の出征の話を聞いてからずっと感じていたもの]
ま、色々が悪い方に重なっちまったせいだから、そこに突っ込み入れる気はねぇんだけど。
[そこは軍人として、割り切りをつけているから。
自分は、自分の為すべきをやりきるだけ、なのだけれど]
ま、なんにしても。
ふつーの兄弟喧嘩ができる状況にするには、全力で当たるしかねーわな。
[苦いものが浮かぶのは一瞬、口調も表情もすぐにいつものあかるいものへと変化する]
んじゃ、あんまりだらだらしてる訳にも行かねーし、俺、戻る。
色々落ち着いたら、一緒に飲もーぜ。
[どこまでも軽い口調で告げて、踵を返す。
一本に括った尻尾髪──少年の頃から変わらぬそれがふわ、と揺れた。**]
[ナイジェルの所を辞した後、次に向かったのはこの場に残って《猿》を待つ《骨牌》の隊長の所]
悪いんだけど、ちょっと頼まれてくれん?
あんたらが合流する《猿》のお頭様に、これ、渡してほしいんだ。
[言いながら差し出したのは、可愛らしい刺繍のされた小さな袋と、色とりどりの糸を編んだ腕輪。
小さな袋は香袋になっており、ほんのりと甘い香りを漂わせている]
ああ、ウチの……リンザールの小女神から、頼まれてね。
直接手渡ししたかったんだけど、会えそうにないから、渡しといてほしい。
[小女神ってなんですか、と問われるなら、俺の可愛い姪っ子、と全開の笑顔で説明して。
相手にあー、と言わんばかりの顔をされるのはよくある事だった。**]
連邦軍司令官 クリフは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
― 行軍中 ―
[東を目指して馬を駆けさせる猿の親玉の手首には、カラフルな腕輪が嵌っている。
ほんのり香る小袋は、無くしちゃいけないからと懐に納めていた。
目ざとく見つけた猿の仲間から「なんすかそれ」と訊かれて、にやにや笑う。]
やー。
俺ってばモテちゃって仕方ないからなー。
[「へー」と相槌打った方もにやにや笑う。
女の子から贈り物をもらうことは多いけれど、普段は横流しばかりして、自分で身に付ける事なんてない、と知ってるにやにや笑いだった。*]
― 行軍 ―
[戦場と定めた中央平原への移動はケノワ砦を経由して進められた。
数日の行程を必要とする1日目はケノワ砦周辺で停留する。
その際、街道を挟んで南側の丘陵の調査も行っておいた]
ここまで誘い込むには少し遠いかな……。
[中央平原での布陣の背後となる位置。
少しでも高さがあれば、弓兵を潜ませて高低差を利用した射撃も出来る。
ケノワ砦と対になるような、自然の櫓というわけだ]
場合によっては、ってところか。
[調査した地形を頭の片隅へと残しておく]
[ケノワ砦ではローランドが残しておいた騎兵が数名>>1:70が出迎えてくれた]
ご苦労様。
この砦は見張り台として使用する。
また、兵站の前線集積地と怪我人の一時収容施設にもするよ。
輜重隊の者達へ案内を頼めるかい?
[後方要員への引継ぎをさせるべく、そう指示を出す。
廃坑の住人とは会えたのだろうか。
その辺りはローランドから報告が入ることだろう]
[砦の傍に野営地をもう一つ作り、ケノワ砦を含めた一帯は前線拠点としての様相が整う。
ここから更に3日もかければ、戦場となる中央平原へと到着することが出来るだろう*]
― 軍議の後 ―
はっははぁ。たまにはいーでしょぉ?
ユーリエなんて、婆様が来るといつも甘えているんだし、ねぇ。
[両親を早くに亡くしたからだろうか。
誰にでも包容力のあるナネッテ>>20を、妹は『おば様』と呼んで懐いていた。]
まーだ半人前かぁ。手厳しいなぁ婆様は。
でもだからこそ、認められ甲斐があるってもんだよねぇ。
[右の拳を前に出せば、相手も応じてくれただろうか。
農業の手荒れが薄れてきた男の手と、多くの人生経験を経てきた老騎士の手。
互いの拳がこつんとぶつかる。
確かな其の感触が、二人のささやかな約束に色を添えた。*]
王国軍軍団長 ナイジェルは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
元農家の王様 メレディスは、元農家の王様 メレディス を投票先に選びました。
そう。 そうだねー。
あーーー……
[散々聞かされた不安やら心配やらが積もり積もって]
だあああぁぁ!
タイガも男だろぉ!?
そういう時は酒でもかっくらって、びしっとどしいっとしてればいいんだって!
ああもう、しっかりしてくれよ。
[キレた。]
― 3年前 ユリハルシラ領 ―
[このころ領内で流行っていた歌に、こんなものがある。]
その瞳は鷹よりも鋭く
その腕は獅子よりも強い
ひとまたぎで山を越え
ひとのみで海を干す
その名はタイガ タイガ
雄々しき戦士 ユリハルシラの星。
(中略)
神より授かりし馬を駆り
竜に囚われし姫君を救わん
千の海と山を越え
万の敵を打ち払う
その名はタイガ タイガ
華々しき戦士 ユリハルシラの希望
(以下冒険譚36行略)
/*
というのを思いついたんだけれども、さすがにあほすぎるので埋めておく。
なお、もちろんレト君作詞。
(兄ちゃん大好きと中二病が炸裂した結果と思われ)
― 大街道 ―
[ 野営地を出発した軍勢は順次、橋を渡った。
月と波を意匠化したマルール軍旗を高く掲げ、進んでゆく。
しばらく進むと、街道の交わるあたりに、ナイジェルが夜のうちに運び出させていた資材が集積されていた。
中継地点として申し分ない。
関所のような形で馬防柵を巡らせた簡単な砦を設置し、夜を過ごした。]
[ この先は、ナイジェル軍団とは別行動となる。
即席の砦/関所には、いささかの食料──塩漬け魚の樽などの重量物と旗指物と若干の伝令兵を残した。
街道を進む本隊の先頭はレオノラが指揮する騎馬弓兵隊《六月》
続くは歩兵隊《竜骨》
長弓兵隊《氷雨》は弓の先端に、風になびく細長い布を結んでいた。風を読むためのものだが、どこか祭りめいた華やかさをまとっている。
司令官のタイガは歩兵隊《狼牙》と共にあった。青鹿毛の軍馬に跨る姿は護衛兵に囲まれてはいても、その人ありと喧伝するようなオーラを発している。
その後をついてゆく工兵隊《双六》が伴う箱方の連弩は長櫃のようで、商隊か花嫁行列に見えなくもない。
大街道の左右の平原には、ふたりの軍団長が管轄する騎馬隊が散っていた。
遠目には大軍団に見える効果も期待できよう。*]
― 3年前 ユリハルシラ領 ―
[ 気のない返事でも、返ってこなければ名を呼んで注意をひく迷惑なやつだった。]
ラーシュ、 おまえも叔父になるんだぞ。
おまえの母にもらった香草は、気分がすっきりすると言って、とても喜ばれた。
…他にも何かないか 今できること
湯も布もたっぷりあるし、 オモチャはまだ早いな
[ そんなことを繰り返していたら、キレられた。]
[ 一瞬、間が落ちる。]
…不思議なんだ。
おまえが生まれたときは、自分が手を握って抱きあげたと錯覚するくらいの感覚があったのに、
どうして自分の子供でも、この目で見るまで、存在しているのかすら、わからないんだろうな。
[ 今もこうして、レトがいることがどれだけの救いになっているか。
自分は決してひとりではないという拠り所があることは、まさに奇跡だ。]
― 前日晩餐後:司令官天幕 ―
[揺らめく炎で灯りを取り、配給物資の残存報告を読んでいた時、天幕に来訪者を示す声>>1:135が聞こえた]
やぁ、メレディス殿。
構わないよ。
[入口の布から顔を覗かせたメレディスを迎え入れ、右手に持つ小瓶に視線をやる]
ははは、少しくらいなら大丈夫だろ。
ラルスなら見逃してくれるさ。
[一緒になって笑いながら、メレディスに椅子を勧めた]
[杯を二つテーブルに置き、酒を満たして。
最初は舐める程度に口に含んで味と香りを楽しんだ。
鼻に抜ける香りがこの酒の良さを物語る]
そうだな、あの時以来か。
[メレディスの言葉>>136に同意を示し、耳を傾けながら杯も傾ける。
そうして向けられるのは、問いかけ>>1:137>>1:138。
その流れは以前に二人で話した時に似る]
……あまり、良いとは思っていない。
メレディス殿の言う通り、繰り返す可能性を秘めているしね。
けど、ブリュノーにどう変わって貰えば良いのかは、まだ思いつけてないな。
だから今の段階では最低限、ブリュノーには緩衝地帯としての機能は持って欲しいとは思う。
ただそれは、
俺はね、根本から変えられないかと思ってるんだ。
勿論、簡単じゃないことは分かってる。
でもさ、向こうだって話して分からない奴らばかりじゃないからさ。
[ブリュノーにいた時期に言葉を交わした者達を想う]
少しずつでも変えていけたら良いなーって、思ってるんだ。
そうすれば、ブリュノーだって緩衝地帯としてのしがらみから解放されるだろう?
[今回のことはその辺りのことも絡んでいるだろうから]
そのためにも、今回できちっと『益』を持って帰って、議会での発言力を強めておきたくもあるんだよね。
[そんな意図もあるのだと、小さく舌を出して悪戯めいた表情をする]
理想論だというのも分かってる。
けど俺は実現に向けて努力していきたいと思ってる。
だから ──── あちらの軍司令官とも、話をしたいね。
[ブリュノーの件とは別として。
良く聞き、良く話し、最良を目指し突き詰めていく姿勢は、どんな場所でも変わらなかった]
宿題は、うん。考えておくよ。
お休み、メレディス殿。
[ブリュノーに関しての結論は出ず終い。
積み上げられた宿題>>1:139に是を返して、天幕を去るメレディスを見送った**]
……ラルス、今から少し飲める?
メレディス殿が美味い酒を置いてったんだ。
[残された小瓶>>139の中身は後2杯ほど。
一緒に飲まないかとローランドを誘った]
メレディス殿に「ブリュノーがこれまでのままでいいと思うかい?」って聞かれたよ。
良くないとは思うけど、どう変わって貰えば良いのかは答えられなかった。
[酒の席となっても、そうじゃなくても、クリフはローランドにメレディスに聞かれたことを零す]
代わりに俺の理想は伝えておいた。
ブリュノーに関する答えにはならないだろうけどさ。
[以前ローランドにも話したことのある、クリフが抱く『理想』。
議会での発言権を強めたいことも、ローランドには明け透けに語っていた]
でもさ、一番の解決法だと思うんだよな。
敵対関係を壊すってのが。
[酒が入ると
酒に極端に強いわけではなく、弱いわけではなく。
けれど変に饒舌になる、そんな酒癖*]
/*
バリスタあって良いか判断つかなかったんだよなー。
しかしるがる9を思えば、弩はあったね。
ところで自分の装備(馬含む)をすっかり忘れている俺です(
― 大街道 ―
いやあ、なんだ。
先頭ってのは、いいもんだなぁ。
[月と波の意匠の旗を掲げ、大街道を進むその先頭は。
ある意味、呑気と言えば呑気だった]
あ? そんな能天気でいいのか、って?
心配すんなってー、ちゃんとわかってるから。
[突っ込む副官に軽く返せば、ほんとですか、と言わんばかりの視線が向けられる。
それに、やれやれ、と言いつつ小さく肩を竦めた]
……だーいじょうぶだって。
己が成すべき事、果たすべき務めは、見失わんさ。
それが、ウチのやり方なのは、お前さんだってわかってんだろ、ハーヴ。
[かつては兄の副官を務めていた彼であれば、リンザールと言う家が通し続けてきた信念は理解しているはず。
それを見越しての問いに返ったのは大げさなため息]
それより前方、気を付けろよ。
……タイミング外したら、俺たちがここを取った意味がない。
後ろの連中とのタイミング合わせ、注意だぜ?
[一転、真面目な口調で告げれば、わかっていますよ、との即答が返る。
文字通りの始まりの一矢。
それを射る機を外す事はできぬ、というのは、先鋒進む者たちに共通の認識として行き渡らせていた。*]
[弓騎兵400を先頭に、そこから距離をおいて後方に重歩兵隊500。その歩兵の左右に騎兵100を半分ずつに分けての配置だ。
弓騎兵隊と、愛用の鎧と額宛てをつけ、ハルバードを背に負うようにもつ将が率いている姿、それがマルール王国が見る最初の連邦軍の姿となるだろう]
─ 行軍 ─
『移動の時くらいは馬使ってくださいよ、メレディス様。
格好がつかないですし。戦闘の時はいいですから…』
[部下にたしなめられて、男はしぶしぶと馬に乗る。
徒歩速度での行軍なのだから馬でも自分の足でも大きな違いはないと思うのだが、曰く、配下の兵への見栄えというやつらしい。]
地上を歩く方が、土の匂いとか草の匂いとか
その土地の空気感を感じられて好きなのに、なぁ。
[馬の背に揺られながら、ぼやくことしばし。
緊張感がないように見えるが、平常心を保つための努力ともいえた。
ちなみに開戦したら馬から下りる予定だ。
ローランドからのアドバイスその1>>1:32は、そもそも馬に乗らなければ落ちなかろうという逆転の発想で乗り越えることにした。]
― 3年前 ―
[言いたいだけを言って、黙る。
沈黙が、「やっと静かになった」から後悔に変わる一瞬の後、届いた言葉でほどけた。]
………そりゃそうだよ。
親とか子供とか言っても結局違う人間なわけだし、
触って、あったかいのを確かめて、初めて繋がるっていうか、
そういうものだろ?
[自国兵たちには、マルールにリンデマンス侵攻の意図がないことを出立前に説明してある。
だが敵国の言うことは信用ならないと否定する者はいたし、本当の安心安全は連邦勝利の先にしかないと主張する者もいた。
ゆえに他の連邦所属国に比べると、此度の戦争にかける意気込み──というべきか気負いというべきか──は、やはり違った。
まさに、ユリハルシラ司令官が看破>>1:99した通りの事態である。
兵を率いているのが熟練の将であれば、あるいは上手く手綱を取って、そういった焦燥感を戦力へと変換できたのかもしれぬ。
だが初陣の王様には…いささか荷が勝ちすぎた。*]
ともかく、
今更ジタバタしたって始まらないんだし、
なんか平気な顔してればいいよ。
話なら聞く。
聞くからさあ。
[仕方ないなぁ、の声だった。*]
― 三年前:ユリハルシラ領 ―
[ユリハルシラの嗣子についても住民に聞くと、どれが本当の話だと迷うくらいの逸話>>10が出てきた。
修道院の押しかけや、塔に幽閉された姫を助けたという話はまだ信憑性もあったが]
それはちょっと盛りすぎなんじゃ……。
[ドラゴン退治に関しては
何かの比喩なのであれば、あり得るのかもしれないが。
ただ、ルーニーの曲と共に聞くサーガは壮大で、物語として聞いても非常に聞き応えがあった。
クリフも聞き入り、惜しみない拍手をしたものだ]
[観光の行く先は商店街や職人街に留まらず、要人の邸宅が並ぶ区画にまで及ぶ]
うちよりもでかいね。
「経済規模からして違うだろ」
それを言っちゃあお終いだ。
[塀越しに見える邸宅を眺めながら、兄と漫才めいたやり取りをしていると、門柱に凭れて天を仰ぐ人物>>11が目に入った。
前を通り過ぎようとすると、溜息が耳へと届く]
─────………
[少し通過したところで軽く振り返ると、落ち着かなげに拳を握る姿が見えた]
[なんだか気になり、通り過ぎた位置から、つつつ、と戻ってその人物の前に立つ]
どうかしましたか?
[通りすがりの者に声をかけられた相手の反応を見遣る*]
― 大街道 ―
[本隊へは割とすぐに追いついた。
歩兵も輜重隊も連れて進む大部隊と、騎馬だけの小集団では速さが違う。
本隊が野営した即席砦に翌日の昼には到達し、夜が来る前には本隊と合流する。]
ただいま、ってのも変かな。
[護衛兵と共に進む堂々たる指揮官ぶりの兄に馬を寄せ、声をかけた。]
仕込みがあるから、このまま先行するよ。
楽しみにしてて。
あと、お風呂最高だった!って言いたいんだけど、
ひょっとして、ナイジェルいない?
― 3年前 ―
[ 諭すような慰めるような、何よりも認めあう響きに、ふっと息をつくことができた。]
これでは、どっちが兄だかわからんな。
[ 羞恥の中に感謝を乗せた。]
ひとつ、頼みがある。
おれの子供──まだ男か女かもわからないが、
生まれたら、ルーリーの流儀でも祝福してやってくれないか。
[ 良い妖精の贈り物だ。*]
― 野営地/軍議の席 ―
[ 王都アマンダへの手出しは、両軍にとって、ある意味禁じ手だ。そこを敢えて陽動に利用するという微妙な駆け引きを必要とする案を、タイガはあっさりと了承した。>>1
そこに乗せられた全幅の信頼を、ナイジェルは背筋を伸ばし、拳を胸に当てて受け止める。 ]
はっ!ナイジェル・ソン・ベルク、ブリュノー王都アマンダの守護の任、確かに承ります。
[ その言葉は、そのままナイジェルが執ろうとする作戦行動そのものを示している。と、その場に在った者たちは理解しただろう。
王都を攻略すると見せかけて、敵軍の引き寄せを図り、しかし実際には、王都の前に守護の陣を置く事を目標とする。
結果的に、ティルカン連邦軍に陽動を見抜かれたとしても、うまくすれば『マルール王国軍が王都アマンダの守護についた』という事実が残る。 ]
[ 更に軍議を進めた結果、ナイジェルの率いるのは、投石器を扱う工作一隊に弓騎兵500騎兵500から成る騎兵部隊、合わせて1500ばかりとなった。 ]
騎兵500のみでも、陽動には十分と思いますが。
[ 敵陣撹乱に必要な弓騎兵を囮に割くのはいかがなものか、と、当初は固辞しようとしたのだが ]
『ティルカン連邦のドゥーハン国にはな、妖怪並にしぶとい婆が居る』
[ どうやら若き頃、その妖怪もどきな女騎士に煮え湯を飲まされたらしいマーティン軍団長が、いかつい顔を更に凄ませてナイジェルの言葉を遮った。 ]
『......今も養子などを引き連れて、ますます意気軒昂、と、伝え聞きましたな。おそらく、今度の戦にも駆けつけているでしょう。』
[ 無口で知れたチャールズ軍団長も、重々しく頷いて同調を見せるに至り、ナイジェルも口を閉ざす。 ]
『アレの突撃は、弓騎兵の援護もなく防げるもんじゃないからな。命大事と思うなら念のため連れて行け。』
『たまには、老兵の忠言にも耳を貸すのが兵を預かるものの務めですぞ』
御二方に、それほどまでに強者と認められる御仁、とあれば、むしろお手合わせ願いたい欲に駆られますが...解りました、それでは、弓騎兵も入れてお預かりします。
[ 結局、彼らの忠告に従って、編成は確定したのだった。* ]
(哀れなのか強かなのか、いまいちわからんな)
[結局この騒乱。何がどうあれ自国の力で解決できなかった。こうして血縁を結んでいるとはいえ、他国の兵を呼び寄せている。
国民は失望したことだろう。いや、いつやってきた兵が暴虐の徒と化さないかなど戦々恐々としていてもおかしくはないか]
(戻ったところで貧乏籤ひくなんていうことなければいいんだけどね)
[いまいちすっきりしないことを思っているのは、戦いの最中めんどくさいことを思考しないためである]
― 3年前 ユリハルシラ領 ―
[ 見知らぬ青年に声をかけられた。>>4]
あ、いや──
[ なんでもない、というのは明らかに嘘だったので、正直に言う。]
追い出されたんだ。
いや、正確には、殿方は出てくださいと。
妻が、 いや、そう言ったのは妻ではないのだけど、妻の部屋から、出なくてはいけないことになって。
そういう時は酒でもかっくらって、びしっとどしいっとしてればいいという話もあるんだが、後で、その時に酔っ払っていたというのも情けないと思わないか。
なのでこう──君ならどうする?
[ とりとめなく畳み掛けるように語りながら、意見を求めた。*]
まだ静かだね。
[北のほうと南のほうへと、交互に視線を向ける。
まだ敵軍が見えない位置であろうが、異変がないかを都度都度確認するように自らの眼をつかう。
過去にみたことがある光景とそう大差ない。]
ふふ、いつあの、猿《ヴァナラ》の小僧のようなのがでるとも限らないしね。
[ニアミスしてたんですけどね貴女]
― 連邦軍野営地/軍議のこと ―
ええ。
加えて川、水運のこととなればマルールに一日の長がある。
水運を用いれば物資の運搬も容易くなる。
その辺りは考えに入れておくべき……だけど。
[少し、考える間。]
どちらにせよ物資と工兵だけじゃ戦えない。
それには余程の油断を突くか、ないしは一定の兵力を割く必要があるでしょう。油断についてはこの場合置いておいて、兵力を割いてきた場合…だけど、そうだなあ。
こちらは特に、ケノワを死守したいわけでもないからね。
注意は逸らせる、側面も取れるかも知れないが利が薄い。
となれば一定の警戒は布くが、それまでかな。
[ナネッテ>>1:86に応じて、続くクリフ>>1:88に頷く。]
ああ、投石の用意はさせておこう。
それなら準備も容易だろうしね。
[やがてメレディスが発言を求めれば、視線はそちらへと向く。
彼の分析、その途中に視線>>1:77を受ければ、正解。と、微笑んで小さく頷き返し。
それへの補足はクリフ>>1:90が応じるを聞き、その決断までを口を閉ざして見守っていた。]
良いんじゃないかな。
よもやリンデマンス卿が志願なさるのかと、一瞬驚いたけど。
[ちらとメレディスを見遣って笑う。]
マドゥーラ殿であれば申し分ないかと。
[頷く、それはメレディス>>1:130と同意見。ということらしかった。*]
― 3年前 ―
[感謝なんてされると、こちらの方が恥ずかしくなる。
なんといっても、先にキレたのはこっちだし。
傷つけたんじゃないかと心配になった、なんて、言うのも恥ずかしいお年頃だけれども。]
祝福?
いいよ。もちろん。
今度の祝祭日にはそっちに行くからさ。
なにか美味しいもの用意して待っててよ。
[だから、頼み事には一も二もなく頷いた。
なんだかんだ言っても、兄の力になりたいのだ。*]
― 連邦軍野営地/軍議の後 ―
[軍議より少し後、行軍開始よりは前のこと。
一風変わった───軍隊とは思えぬ一団が、連邦軍野営地に到着した。彼らはローランド家の紋章をお守り代わりに野営地へとやって来る。程なく彼らはラルス・ローランドの元へやって来た。]
既に両軍の斥候は往来しているから、気を付けて。
街以外の農場の住人やら───、そうだ。
彼ら、ブリュノーの住民に会えたなら”ケチらなくていい”
逃げ道でも食料でも、必要なものを気前良く振る舞ってやれ。
その代わりにきっちりと”道を聞くこと”
湿地だとかそうした情報があれば望ましいけど、そこは任せる。
[ローランドの天幕で、そんな指示を受けているのはローランドの母方の祖父、クレメンスの元にいる商人らだ。
ローランドはかつて、祖父クレメンスの縁で商人として修業して過ごしていたことがある。その時に身をもって知った商人らのネットワーク、純然たる騎士には知り得ぬ草々の知恵といったものを使いこなすことをローランドは経験から学んでいた。それを今、活かそうというのだ。]
小道に路地を生かすってわけでもないけどね…。
地元ならではの道なんかがあるかも知れないし。
ああ、取引の時には売り込みを…ああ、忘れない?
そうだよな、ごめんごめん。そこは頼んだ。
[それにしたって正直、現時点で情報を「買う」など赤字も良い所だ。しかし時がない。背に腹は代えられないし、それで戦の有利が、すなわち命が買えるならば安い投資だろう。
加えて農村や地元の住民に恩を売っておけば、後々ブリュノーでの取引が捗るかも知れない。
その辺りは、ローランドなどより余程百戦錬磨の商人らが任せておけと請け合ってくれた。彼らに頼むと短く告げて、一つ指示を付け加える。]
ああ、あとケノワにも”物資”を届けて欲しい。
あの辺りには廃鉱がある。
住人が残っていれば良い情報が買えるだろうと思うんだ。
上手く残っていれば、発破なんかも。
[先にケノワ砦を訪問した折に期待した”いいもの”>>1:70
それを買い取るための軍資金を送り込むよう指示をして。
今から向かう先が危険地帯であることは百も承知、それでも修羅場を潜って来た商人たちだ。しぶとい顔構えの彼らは、やがて静かにブリュノー側の平原へと向かったものだが、]
……あ、そうだ。
どっかの農場のおかみさんかなんかで、焼き菓子づくりの得意な人がいたら、ついでにそれも買っといて。
[最後に付け加えられた、どう見ても個人的なお願いに妙な顔を見合わせることになった。*]
……ぉ。
[進む先、戦場となるであろう場所。
そこに近づいて間もなく、視界に入った姿>>37に目を細める]
ぉー……やるきだねー。
[上がる声はやや棒読み調だが、細めた目に宿るのは鋭い光]
……本隊に通達。
前方に、連邦軍を視認。
先陣はこちらと同じく弓騎の模様。
[なんかこう、圧のようなものは感じているものの、それに圧されるほど軟じゃない。
いや、そんな悠長な事をできる位置じゃないのはわかっているから]
ってぇ、とぉ。
全騎、構え、弓。
狙って当てようと気負う必要はねぇ。
届けば当たったと同じ、だ。
斬り払われようが避けられようが止められようが、そうしなかったら致命だった、って事実は残る。
[外れたから、或いは凌がれたからと言って、焦りや気負いは持つ必要はない、と。
軽い口調で伝えた後、呼吸を整えて]
それ、じゃ、いくぜ。
初撃後は散会!
遠く近く響くせせらぎが如く、波を作って引っ掻き回す!
深追いと孤立はするな、寄せ返し、引き寄せろ!
[吟ずるように指示を出した後、愛馬を走らせる。
それに続いて駆け出す騎兵は水の流れの如く。
最初の掃射、その結果を確かめる事はせず、部隊は100前後の隊に分かれて散会する。
固まって動く事はせず、個々に矢を射かけては離れる様は、遠く近く、響く細流の音が如く。**]
― 大街道 ―
[ 「後方に接近者あり」との知らせは、程なくレトたちが追いついてきたものと知れた。
ただいま、と語りかけてくる当人がそこにいることに、軽い驚きがある。
馬を並べる感覚は久しぶりだ。
だが、それ以上の交流をしている暇はないらしく、レトは再び馬を走らせると言った。
彼に任務を託したのは自分なのだが、慌ただしさが切なくもある。
とはいえ、兵らの手前、投げかける挨拶は節度を守った。]
ご苦労、将佐。
さらなる活躍を期待している。
風呂の件は、ソン・ベルク軍団長に後ほど伝えておこう。
彼の行き先は王都だ。
囮役を買って出てくれた。
[ 軍機に関することなので、肉声にはしないで伝える。]
あの沐浴施設は確かに楽しそうだったな。
その笑顔つきで伝えられないのは残念だが、おまえの嬉しさはわかってもらえるさ。
ともあれ──よく来てくれた。
気をつけて進め。
その名に宿るトーテムの加護を。
/*
ぐぬぅ、思いの外、止まらない咳がつれぇ。
熱とかない分マシなんだろけど、けっこーきついわ……。
早目墓下目指して頑張ろう(
― 行軍 ―
[ケノワ砦の前線拠点から大街道を通り、王都南の平原を目指す。
風に翻る軍旗に描かれるのは、太陽と、それに重なるように円環状に配されたいくつもの星。
星は連邦各国を示し、数多が一つのコミュニティとして成り立っていることを示唆していた]
[先頭を行くのは先陣を頼んだナネッテの隊>>37。
彼女が前を進むだけでこうも引き締まるものかと感心する。
その後に続くのは歩兵と弓兵の部隊。
隊の左に配された騎士団配下の歩兵は重装備であり、大型の盾も携えている。
同じく左の弓兵は長弓を携え、遠距離の攻撃に特化されていた。
その中にはメレディスの姿>>38もある。
馬に乗っている姿を見ると、ほんの少し笑ってしまった。
きっと乗りたがらなかっただろうに、部下に懇願されてしまったのだろう]
[その後に続くのは、ローランドとクリフが率いる騎兵の部隊。
葦毛の愛馬に跨り、
腰には愛用の長剣を差している。
クリフには華冑公婿のような華やかさは無い。
その身に抱くのは、騎士としての誇りとその象徴としての威光だ]
[騎兵の後ろには工兵が続く。
運ぶのは投石器が2基と、その弾となる岩。
重々しい音を響かせる投石器は、最終的にその矛先が王都に向かわないような位置で配置される。
攻城兵器であるが、今回の目的は攻城ではないからだ]
[もうしばらく進めば王国軍の先鋒>>56と遭遇の伝令がやってくるだろう。
走る緊張にクリフは口端を引き絞った*]
― 回想 ―
[女の身で軍務に携わることをよい目で見られることはなく、上にたつことなどほとんどない。
だからこそナネッテは異色であっただろうし、それは王国からしてもそうだったのだろう。
その出来事は、連邦と王国。大国同士が相手の意図を確認しあうような小競り合いのことだ]
あら、運がよかったわね。
[将となる右瞼をざっくりと斬り、次の横撃で首をはねるはずが寸前で、止められる。
若かしり頃のチャールズであり、今も深々と右目に傷痕を残すこととなったマーティンだ。その後、両者と更に打ち合うこと数号をした後。]
ま、ここらが潮時ね。
[男のプライドや意地などというものとは余計に程遠いところにいた故に、目の前の武勲を前にそれはもうあっさりと、拍子抜けするぐらいの撤退に、逆に虚をつかれた。歯噛みするように見送るのを軽く後ろ目にみて撤退した。
その後、両将は、ナネッテが子供をお腹にいれたまま暴れるだけ暴れていったと知り、それから妖怪扱いするようになっていた>>45>>46のは...の預かり知らぬところであった。]
/*
戦い一辺倒の子なので(中身含め)それ以外のことはラルス任せになってるな。
真っ向から対決なのかな、ってWiki冒頭見て思ってたから、結構搦め手出て来て「うおおおおおお」ってなってる背後。
ナイジェル、王都の方に行ってるの?
そっか。
[囮、というのが時に危険というのは知っているから、少し神妙な顔で彼の無事を願う。
これから自分がやろうとしているのも、囮役の際たるものだったが。]
風呂ね!最高だったよ!
タイガは入ってないの?入ればよかったのに。
あれ、いろいろ改造したら、もっと面白くなると思うんだよね。
[入浴施設について、ひとしきり語った後]
― 前日晩餐後:司令官天幕 ―
[クリフの理想>>32>>33に最後まで耳を傾けると、]
…──── はっはははぁ!!
[男は破顔した。]
俺たちは似たもの同士のようですよぉ。クリフ殿。
えぇ…
俺もそう思います。だって、
今夜の晩餐────… とっても美味かったですから、ねぇ。
[両国の素材を合わせて煮込んで生まれた、あの味こそが……目指すものなのだと男は思っている。]
― 大街道/開戦前 ―
[タイガの側を離れた後は速度を上げ、先頭を進む部隊へ近づく。
部隊長が見えれば大きく手を振った。]
ノーラ!久しぶり!
[声を上げて、近づいていく。]
ミーネちゃんのプレゼント、ちゃんと受け取ったよ!
なんかお礼になるものでもあればいいんだけど、手持ちが無いからさ。
これが終わったら会いに行くよって伝えておいてよ。
あと、ほら、イルフェもすっかり大きくなってさ。
最近じゃ、そこらの馬との競争なら負け知らずだよ。
今度、時間があったらひとっ走りしようよ。
[自慢と感謝を纏めて伝えて、そのまま追い抜くように馬の足を速める。]
それじゃ、また戦いが終わったらねー。
[言うだけを言って、南へと馬の頭を向けた。*]
[自国単体で済む話ではないのだから、困難なのは当然の理だ。]
理想論、いいじゃないですかぁ。
俺は好きですよぉ。
[そもそも軍議で理想論を披露>>0:185した男だ。
だから甘いとよく言われるけれど……これが自分の資質なのだと、もう開き直っている。
年相応の悪戯めいた表情>>33には口元を綻ばせてから。]
話す機会があるといいんですが、ねぇ。
[そうして杯の底に残った酒に視線を落とす。]
…、────。
[水面に映った部屋灯りを、…ゆらと手元でひとつ揺らしてから呑み干した。]
たーのしみにしています、よぉ。
[この聡明な若き領主が良く聞き、良く話し、最良を突き詰めた結果──描こうとするもは何なのか。純粋な期待をその場に残して、男はゆっくりと帰路についた。*]
― 中央平原 ―
[本隊から離れた後、
本隊と歩調を合わせて東進しながら、なるべく離れていた。
こういう時、本隊が高く掲げている旗は遠くからも良く見えて助かる。
いよいよ敵軍との接触が近いとなれば、隊をさらに4つに分けて、それぞれ事前に目を付けておいた窪地に潜んだ。
そこで工作物の最後の仕上げをする。
もしも敵の先行部隊に見つかれば危険なこと極まりないが、その時は何もかも投げてさっさと逃げることになっていた。]
― 三年前:ユリハルシラ領 ―
[驚かせたか、とも思ったが、浮かない男性>>48は問いかけに答えてくれた]
追い出された?
穏やかじゃないですね。
[夫婦喧嘩?と思えるような言葉。
けれど言ったのは奥さんでは無いという。
おやおや?と思いながら話>>49を聞いていると、何となく、追い出された理由が見えてきた気がした]
もしかして、お父上になられますか?
どしっとしているのが一番とは思いますが、お酒は止しておいた方が良いですね。
生まれたばかりのお子様と一緒に赤ら顔、というわけにもいかないでしょう。
どうするか、かぁ。
そうだなぁ……。
[意見を求められて、考える間が空く]
──── じゃあ俺と話してませんか?
俺、観光でこの街を回ってて。
お勧めの店とか、名産とか、見所とか。
そう言うのがあったら教えて欲しいです。
[朗らかに笑ってお願いしてみた]
じっとしていられないと言っても、どこかに出かけるわけにもいかないんでしょう?
ここで話すなら、呼ばれた時に直ぐに戻ることも出来ますし。
[どうですか?と相手を見上げて首を傾げた**]
/*
しかしね、こんなに早く考えてること引っ張り出されるとは思ってなかったのだよ。
先ずはラルスに、と思ってたんだけど。
[勿論ラルスには事前に言ってることにしたけど]
/*
とまぁ、そんなわけで。
持ち帰る『益』はブリュノーに関することだけでなく、マルールに関するものでも良いのだよね。
なのでマルールとの国交樹立を前提でならブリュノーから手を引く、というのは考えてる。
ただこれ、この場で纏まる話でもないのがw
とりあえず相手の出方も見つつ、で。
― 中央平原 ―
[そうして中央平原。予定通り開戦の地へと訪れる。遅刻はお互いになかったようだ]
おや、同じようだね。
[眼前に見えてきたのは弓騎兵。報告に騎兵の一人が去っていくのを見送ることもなく、二つあるうちの片方、短弓に持ち変える指示をだす。
どうせ意図は同じだろうと、逃げては追い、追われては逃げるパルティアンショット。]
左右に膨らんで駆けよ!
『イエスマム!』
[ただ同じようなことを考えているといって、同じ行動をするとは限らない。射撃を選択した敵に対して、こちらが選んだのは走駆。
500の矢より射線から逃げるように、あるいはくるのを初めから理解した上での矢が影を踏ますことなく動き出す。
左右に大きく、散開する騎兵を包むような形で、後方の歩兵にいっても構わぬというように、二列縦隊となって200ずつに分かれていき]
/*
さて、戦場のシーンでは相手の陣営把握と、ナイジェルの囮関係に反応はしたいな。
上手く過去と絡めたいが、はてさて。
[相手は矢を放ったばかり、そして互いに進んだため距離は一気につまり、またすれ違うように離れていくだろう――と、なる前に返礼をせねばなるまい。
左右の弓騎兵は散開しているとはいえ100の一団で動いている手ごろな一隊に向ける。]
放て!!
[左右より、ほぼ同時に、その近さを生かして、曲射ではなく直線の射撃が放たれた]
― 軍議の後 ―
これは、リンザール卿。
いえ、各領から駆けつけて頂いた兵への目配りも仕事のうちで......と、これは?
[ 軽い調子でかけられた声に>>15変わらないな、と、内心で思いつつも、折り目正しく応答、を試みたのだが。 ]
ああ、蜂蜜飴ですか、懐かしいですね。
[ 投げ渡された皮袋の中身を目にすると>>16飴玉と同じ色の瞳が、柔らかく和んだ ]
ふふ、馬が跳ねたのに驚いて、喉に飴玉を詰まらせかけるなんて経験は、あの時だけですよ。
本当に死ぬかと思いましたから、あの後はちゃんと気をつけています。
[ 武芸全般にいまひとつ苦手意識のあった少年は、馬にも少々舐められていて、甘い飴に苦い思い出が付属する羽目になったのだが、それすら今となっては、やはり懐かしさが勝る。 ]
有り難く頂戴します。
[ 受け取った皮袋を大事に仕舞い込む間に、吐息と共に零された言葉を聞く>>17 ]
[走射を終えても馬はかけたまま、すぐに次の指示を飛ばす]
曲がるよ!それ!
[そして自軍よりみて左――南側に位置していたナネッテは、馬首を翻し、北側へと向ける。
北側の弓騎兵と合流とも、相手を囲むため、あるいは囲まれないためか、迅速な指示に呼応するように弓騎兵は平原を駆けていく*]
そう、ですね。普通の兄弟喧嘩が出来るほど、第二王子が育っていれば或いは、他の道もあったのかもしれませんが......問題は王妃殿下が、所詮はブリュノー出身ではない、と軽んじられたところにある、と、私は見ています。
[ 王妃の事を口にする時、ナイジェルの表情には、どこか苦さを噛みしめるような色が浮かぶ ]
第二王子は自らの意思を示せる程成長しておらず、その後見たる王妃は余所者扱い...まともな喧嘩が出来るわけもない。
だからこそ、私は...いえマルール王国は王妃と幼い王子の復権を後押ししようとしているのです。
[ それが国としては建前であることは、互いに承知の上の話。
けれど、余所事の兄弟喧嘩に口を挟むだけの戦でもないのだ、と、苦い表情を浮かべた相手に、改めて告げてから、ふわりと笑う。 ]
ですが、貴方は、やはり貴方の信じるままに、駆けて下さい。
領主になられたと聞いて、自由な翼を畳まざるをえなくなったのだろうかと、案じていましたが、杞憂だったと、お会いして判りました。
貴方と同じ戦場を駆ける事の出来る騎士となれた事を誇りに思います。
次は私が、蜂蜜酒を奢りますよ、ノーラ。
[ 最後には少年の頃と同じように名を呼んで、ナイジェルは、括った髪を揺らし、軽やかに身を翻した、その背を見送った。>>18** ]
― 軍議の日の夜 ―
[その日の夕食は豪勢だった。
マルールの魚にリンデマンスの野菜。
ちょっとした会話は指揮官閣下から調理担当へと伝えられ、兵らの腹を大いに満たすことになった。]
ははっ、そうだね。
更にマルールには新鮮な海の幸があるのだろうな。
とはいえ……彼らにこれを振る舞ったら、こちらの野菜を羨ましがるかも知れないよ。
なんといっても、リンデマンスの野菜はぴか一だ。
[夕食の折に交わされた会話>>1:96は密やかに。
ささやかな皿の上の和平は、ひたすらに温かくて美味かった。*]
[そんな前線がやりあっているときに、伝令は走っていき、マルール王国の先陣は弓騎兵隊。その後方には歩兵。戦闘を開始した。等々という報を連邦軍に報せが届くだろう。
それに伴い、ナネッテ率いる中央歩兵部隊も用意をはじめた**]
― 夜更け ―
……うん? いいよ。今行く。
[雑務を片付けていた手を置いて、そう返したのは友の声の調子がいつもとは少し違って響いたせい。>>=0
だからローランドは、すぐに友の元へ向かった。
なんだかこれは、昔から変わっていないような気がする。かつて、互いに”声”響き合うと知った頃から。彼を誰よりも身近な友と感じるようになってから、もうずっと。何よりも気に掛かるもの。]
ふうん、メレディスさんがそんなことを。
そっか…、なるほどね。
彼は元々、戦いたくないのだろうから。
戦争による解決を嫌っている──…
まあ、好いている人の方が少ないとは思うけどね。
彼は特に、だろうなあ。
/*
戦場も結構進んでいてあわあわわ。
ナネッテ嫂さん、わざわざ捏造に付き合ってくださってありがとおおお><
うん、いいと思うよ。クリフの理想。
僕もそれが一番いいと思う。
ティルカンは結局のところ、海が欲しい。
海の玄関口が欲しい……けど、そんなものいきなり貰っても正直扱いきれないのはナネッテさんの言った通りだ。だから出来れば、マルールの助けが欲しい。
マルールはどうだろうなあ…。
ティルカンの押さえている陸の交易路。
それに陸の産物、そうしたものを喜ぶんじゃないかな。
互いに欲しいものを出し合って、助け合って。
真ん中にあるブリュノーには、その間を持って貰うとか。
マーケットなんてのも楽しいんじゃない?
二国間の……いや。色んな国の物が集まるマーケットとか。
中立で、公正なやつを運営してくれたら助かるよね。
結構大変だと思うけどさ。
……なんて。
結局のところ、どうしてもマルールとティルカン抜きじゃ語れない。
ブリュノーだけに求めるなんて、出来やしない。
だから────…
[杯を目の高さに掲げる。
そうしてクリフの瞳を覗き込んで目を撓めた。]
実現しようよ、その理想。
僕も手伝うからさ。
… 必ず。
[杯を揺らして打ち合わせれば、綺麗に透明な音がした。
ふわりと甘くアルコールの香りが漂っている。常よりも少し饒舌になった年下の友が明かしてくれる
─ 中央平原 ─
[率いる兵たちと同じく地に足をつけて、緊張を孕んだ中央平原で其の時を待つ。
歩兵が500。その後ろに弓兵が500。各々得物を構えて、いつでも突撃できるよう前方の戦局を注視している。
ちなみに男が手にしている武器は、王様という職業には不似合いな鎖鎌だ。
王に就任して戦闘訓練を始めた当初、一般的な見栄えから剣を散々薦められたし試してみたりもしたのだが……どうにも手に馴染まず。農家の頃から農業や狩りで使い慣れていた鎖鎌に戻ったという訳である。
今ではリンデマンス兵も、『メレディス様だから見た目が残念でも仕方がない』と納得している。]
[まだ相手とは距離があるが、立ち昇る旗などから薄っすらと敵影らしきものは認識できた。あちらは随分と横長な陣形のようだ。威風堂々全とした騎馬隊が左右にずらりと並んでいる>>27のが威圧感を誘う。]
…。もーすぐ、始まる ねぇ。
[緊張で口の中が乾く。心臓の鼓動の音が煩い。
男は鎖鎌の柄をぐっと握り締める。…──────]
…っ、!!!
[突如、先陣を務めるナネッテ隊の騎兵ら>>77が動いた。同時に、相手も。
離れていた彼我の距離が縮まり──矢雨の応酬があり、すれ違ってまた離れる。
激しい馬蹄の土煙と、弓矢が大気を震わす音が、戦の開始を告げていた。
時おかずして伝令>>85が届く。]
俺たちも、いくよぉ…!
[『応!』と、兵らの掛け声が青空に響く。
リンデマンスの王様にとっての初めての戦が始まろうとしていた。**]
/*
敵さんの左右の騎兵隊がどう動くのかなぁと様子見つつ。
しかし今回騎兵が多いねぇ。
お馬さん羨ましい…(乗れない)(落ちる)
[ 橋を渡り、中継地となる砦までを本隊と共に進むと、ナイジェル率いる一軍は、一旦そこで足を止める。>>26
今度の作戦では、囮が本体よりも先行して突出したのではリンザール騎兵の奇襲効果が薄れる。 ]
御武運を!
[ ランスを天に向け、大街道を直進するタイガ率いる本体を見送る。
軍団長たるナイジェルは、磨き抜かれた白銀のプレートメイルで全身を覆い、栗毛の愛馬にまたがっていた。
兜には白い羽飾り、これは軍団長の印となっていて、馬装にも、同じ羽飾りが揺れている。 ]
前進!
[ やがて、本体に遅れること数刻、街道を外れ、平原を斜めに横切る形で、進軍を開始する。
中央に投石器三台を運ぶ工作隊、その両脇にバリスタ二台が張り付き、前後を騎兵が守りながら進む。本隊と大きく違うのは、弓騎兵が最後尾を一団となって進んでいることだ。
工作隊を守る騎兵よりも軽装備の弓騎兵は、その俊足を生かし、敵兵の姿が見えれば即座に遊撃に移ることになっている。
王都アマンドの城門前、投石器の射程からぎりぎり外れる位置まで到達すれば、縦列で進んでいた軍はそのまま横列に広がり、王都に背を向ける形で陣を張る予定だ。** ]
― 大街道 ―
[ 伝令が次々と報告をもたらす。>>56
連邦軍先鋒は同じく弓騎兵。
そこへレオノラ率いる《六月》が、魁の驟雨を降らせるのが見えた。
風を切る音が遅れて届いた時には、《六月》はすでに最初の地点にはいない。小隊にわかれて駆けていた。
タイガのハンドサインを受けて、奏手が角笛の音をひとつ響かせる。
歩兵隊《竜骨》は鏃の形に広がり、足をとめて地面に突き刺した盾を支え、その間から槍を突き出した。
続く弓兵隊《氷雨》はその傘の内側へ寄り、長弓を引き絞る。]
[ 《竜骨》の槍衾は、ティルカン弓騎兵の射撃と突撃に備えたものだったが、案に相違して
上からでなく水平に射込まれた矢に、乗騎を、あるいは騎手を貫かれて落伍する者が見える。
マルールの血が流された。
両翼の軍団長は、駆け続けるティルカン弓騎兵を慌てて追うことはせず、逆にその進路へ同数程度の騎兵を送り込み、激突を狙った。]
[ 《氷雨》からは、長弓の射程を活かした斉射が、ティルカン軍中央へと放たれる。
何か仕掛けるつもりのレトたちが戦場のどこにいるかは把握できていないが、さすがにそこにいないのは自明だ。
最後尾の工兵隊《双六》は、装填した箱型連弩を街道の左右と後方に向けて待機していた。
ティルカン弓騎兵が射程にまで回り込んでくるのなら、水平撃ちの
タイガとその周囲の《狼牙》は、まだ動かなかった。
散開して陣を大きく見せてはいるが、ナイジェルの軍団がいない分、現時点で兵数は互角以下。
馬蹄の響きに負けじと手持ちの武具を盾にぶつけ、揺るぎない鼓動のごとき音を揃える。*]
― ― 3年前 ユリハルシラ領 ― ―
[ 我ながら不審な言動ではあったろうと思うが、若者は真摯に聞いてくれた。>>73
物腰は柔らかく紳士的で、良い育ちをしているのだと思う。
対応策を問われて考え込む様子からは、彼には、もうすぐ子供が生まれるという、この嬉しいような所在ないようないろいろがないまぜになった時間を持て余した経験はないと察せられた。
この街のことを語っては、と言われ、ひとつ深呼吸をする。
焦っても仕方ないのである。ならば、]
生まれ来る子に話すつもりで、君に教えよう。
[ 来る者拒まず、活気があって金は回るが貯まらない、新旧が入り混じり刺激しあって、明日は何が起きるだろうと楽しみなこの土地のこと。すれ違う人たちが紡ぎ出すささやかでも愛おしい営みのこと。
この地を選んだ"君"に、幸運だと感じてもらいたい。
成長した我が子を連れ歩きたい場所を思い浮かべて、さらには思春期になった暁のデートスポットまでピックアップしたものだから、]
もし君が各地を回って結婚相手を探しているのであれば、紹介するのはやぶさかではないぞ。
[ 話が飛躍した。**]
― 中央平原 ―
[ 工作隊《将棋》の前後を守る騎馬隊《七月》は、騎馬八隊の中で一番年若い隊長に率いられている。
縦列の先頭を進む、その血気盛んな隊長には、冷静沈着で知られるナイジェルの副官が駒を並べ、別れた後ろの騎馬隊をナイジェルが直接指揮している。
弓騎兵《八月》の隊長は、壮年の状況判断に優れる手練れだった。 ]
進軍速度、上げよ!
[ やがて、ぶつかり合ったマルール軍、ティルカン軍の鬨の声が届く場所まで進むと、ナイジェルの号令に従い短く三度角笛が吹き鳴らされ、1500の軍勢は、速度を上げながら、主戦場の脇を掠めるようにして、王都アマンドへと迫らんとする。
それはまるで、羽を広げた蝶の陰から、蜜蜂の群れが、蜜を求めて放たれたかのようにも見えたか。
蜜蜂を追う者があれば、360度を狙える射台から放たれるバリスタと、弓騎兵の斉射という針の洗礼が待っている** ]
― 開戦前・大街道 ―
[名を呼ぶ声に、お? と思いながら振り返る。
目に入ったのは、大きく手を振る姿。>>66]
おう、お久しぶり。
あいっ変わらず、良く跳ねてんなぁ。
[返す口調はこちらも軽いもの]
ああ、良かった。
ちゃんと渡せなかった、なんて事になったら、何言われるかわからんからなぁ。
[姪からの贈り物がちゃんと届いてた事に、ほっと安堵の息を漏らして]
ああ、礼とかは気にしなさんな。
その伝言と、後はそれを実行してくれるだけで十分だよ。
[外に出る機会のない姪にとって、彼の訪れは外の風に触れる良い機会だから。
それだけでも十分、というのは言わずとも伝わるか]
お、そーか。
んじゃ、楽しみにしとくよ。
[馬との仲も悪くないらしい、と知れば自然、口の端に笑みが滲む。>>67
この戦いが一段落すれば、一緒に駆ける時間も得られるだろう、と思うから、軽くこう返して]
おう、んじゃ、またな。
[南へと馬首を巡らせるのを見送った後、自身は進む先を見据え]
やる事、増えるなぁ。
[ぽつり、と零したのは、軍議後のナイジェルとのやり取りを思い出したから]
― 軍議の後 ―
[投げ渡した蜂蜜飴から思いだした話>>80に、く、と笑みが落ちたのは不可抗力]
ならいいけど。
……あれはさすがに、驚いたからなぁ。
[冗談めかした物言いはそれまで。
ふと漏らした内心に対するナイジェルの言葉>>82に、僅かに目を細めた]
……確かにな。
第二王子と王妃殿下の意思がもうちょっとでも反映されてれば、或いはここまでの騒ぎにゃならんかったかも知れん。
そも、兄弟喧嘩ってのは、互いの言いたい事がちゃんとぶつかりあって初めて成立するもんだし。
[兄とも弟とも、本気の兄弟喧嘩は何度となくやって来たから、そこに異を唱える事はない。
王妃の立ち位置についても、思う所がないわけではないから、否定する必要もなく。
王妃について触れる際に滲んだもの>>82には気づいていたが、殊更にそこに触れる事はしなかった]
お? なんだよ、そんな心配してたの?
[案じていた、と告げられた言葉>>83に、表情は一転、楽し気なものを帯びる]
立つ場所が変わったって、そう簡単に中身まで変わるわけねぇし、俺は俺の在り方を変えるつもりもないさ。
今は、好きでここにいるんだしな。
[必要に駆られて、というのが理由の大半だが、今の立場は決して望まぬ在り方ではない、と伝えて]
おう、楽しみにしてる。
[蜂蜜酒を奢る、という言葉に本当に嬉し気に笑んだのだった。*]
― 中央平原 ―
って、そう動くかよ!
[こちらの掃射に対する動き>>77に対し、上がる声には呆れ半分感嘆半分。
距離の詰まったすれ違いざま、直射の動作>>78が視界に入れば出す指示は単純明快]
無理に避けようとすんなよ!
[距離が近い上に速度伴う直線射撃、完全に避けるのは難しい。
ならば、ダメージが少なくなるように努める方が被害は少ない。
馬首を下げ身を伏せる事でやり過ごすもの、あくまで駆け抜けるもの、やり方は様々に場を切り抜けるものの、少なからぬ損害が出るのは避けられない]
……なっかなか、楽しー事になってんな、これ。
『楽しむところですか』
[ふ、と落ちた呟きを拾った副官が即座の突っ込みを飛ばしてくる]
そーでもなきゃ、やってらんねぇだろ?
[なんて軽口を返しつつ、南から北へと馬首巡らす敵騎兵>>81を見やり]
続けよ!
[短い号の後、北へ向かう隊へ向けて駆けつつ、矢を射かける。
一度に全員が、ではなく、タイミングをずらして畳みかけるように。
直射と曲射を交えた変則的な矢雨を見舞った後、素早い反転で距離を取る。
同じ相手に固執する事はなく、次に射程に捉えるのは中央歩兵。>>85
矢数には限りがある。
その限界の中で最大限を叩き出すにはどうするか。
そんな思考巡らせつつ、細流の音は駆け巡る。**]
― 中央平原(進路北) ―
へぇ、ついてくるんだ。
[北へと向かう隊を追ってくる王国の弓騎兵。
指示も出さずにほぼ反射的に退き撃ちに入る後続部隊、馬首は変えずに後ろ向きに射撃をする。
追いかけてくるように放たれる矢と置いてくる矢では置いてくる矢のほうが楽で速度も高い。と、相手がただの追い打ちをするだけなら感想を述べる程度で指示も出さずに各々に任せるつもりであったが]
っと、そこまでは看過できないね。散らばり、できるだけ蛇行するように走りな!
[時期も射線もずらし、別たれて放たれる矢に、さっさと反撃を止めて、避ける行動にだけ従事させる]
若い芽は育ってるってことかね?この年になるとそれが忌々しいというよりもおめでたいと思ってしまったり、どうもアタシは複雑だね。
[挨拶>>104のような一射はハルバードの一振りにより...の身には届かなかったが相応に被害もでたが、執拗に追い回すのではなく、歩兵隊を狙うようだ。
自身もまた前衛の歩兵にちょっかいかけたいところだが、そうもいってられないのが、敵両翼の騎馬隊>>92だ。
自身の南側の弓騎兵隊は進路を街道より北に向けたため、南の騎馬隊はその意図にのらず肩透かしを食らわすこととなっただろうが、北はというと――関心するように目を細める。
慌てることなく一度方向転換をして、一定の距離を保つようにした退き射ちにかかっていたからだ]
ま、騎兵叩くほうがお得かしらね。
さぁ、腑抜けてないだろう?まだやれるね。
『イエス!マム!』
[騎兵一騎に対して歩兵は三人から五人。そんな実利的な感覚と、中央にいくには南側の騎兵も気になるし、歩兵も突撃をしているならともかくじっくりと構えており、おそらく奥には弓兵も控えているだろう。
そんな実利的な感覚と経験のもと、北側の王国の騎兵を退き討ちしはじめた自身の弓騎兵と左右で挟むように進路をとった]
「騎兵じゃなくて弓騎兵か。ならちょっと散らばっとくか。」
「石は拾わんでいいか?」
「いいだろ、くくりつける時間もなさそうだしな。弩だけ用意しとけよ。ま、そこまで近寄るかどうかは相手次第やけどな、隊形も変えておくか。突撃だけはするなよー。」
「う、ママの訓練っていう嫌な記憶が」
「思い出させるな。吐くぞ」
[弓騎兵が先陣というのを聞いて中央歩兵は呑気にぐだぐだしゃべっていた。
ただ別にしゃべっていたわけではなく。ただひたすらに平常心であったともいえ、中央の歩兵は縦陣でありながら北側は斜に傾くように隊形をかえ、北側後方に騎兵は控えるように位置を変える。
そのままじっくり前進してきてるのが敵先陣>>104には映っただろう。**]
/*
ナネッテのは毎度楽しいw
そしてタイガの>>95は、つまり国交樹立の際には嫁取りしろと、そういうことか?w
繋いでみたいなこれw
とりゃーず飯が先。
― 夜更け ―
そうだよねぇ……戦争を好きな人なんてそんなにいないよね。
俺らの役目は戦うことではあるけれど。
戦争なんて、無い方が良い。
[ぺろり、舐めるようにして酒を口に含み、緩い笑みを浮かべる]
へへ……やっぱりそうだよね。
うん、ティルカンにも、マルールにも、ブリュノーにも。
プラスになるような形にしたい。
マーケットは良い案だね!
ブリュノーは元々交通の要衝だし、人も集まりやすい。
二国の緩衝地帯じゃなく、各国の交易の中心になるように。
ブリュノーが変わってくれると良いな。
[ローランドの提案はとても良い案に思えた。
クリフとは異なる視点での意見。
商人としての経験を持つ彼だからこそ、考え付いたものだろう]
[ローランドが杯を目の高さに掲げるのを見て、クリフもまたそれに倣う]
─── うん、必ず実現しよう。
頼りにしてるよ、
[澄んだ音が天幕を満たすように響いた*]
─ 中央平原 ─
[戦端は開かれたものの、マルール王国の本隊>>93は大きな動きを見せていない。両翼の騎士団も、こちらに向かってくるというよりは、出力を調整してナネッテ隊の迎撃に務める素振りのようにみえる。]
なにかを待っているのか…
それとも別働隊… かなぁ…
[下手に仕掛ければ、待ち構えているであろう敵弓隊から歓迎の矢嵐を食らうだろう。とはいえ動かずにいては先行したナネッテ隊の援護に回れない。どうすべきかと思案している。と────]
あれはぁ…?
[本隊からゆるりと頭をもたげ、離脱して疾走する一団>>97があった。
投石器を運ぶ工兵らと、護るように周りを囲む騎兵部隊。
そして進路の先は──王都アマンド。]
[男は苦々しく呻いた。]
あ〜〜〜〜… まーずいなぁ…。
[この合戦はブリュノーに誇示するための戦でもある。
ならば王都を先に抑えて、守護してあげるとアピールした方が、人心の掌握に有利となろう。]
やーられたねぇ。
でもなんで投石器なんだろぉ…?
[『よもや王都を攻撃するつもりでは!?』と焦る部下に向けて、男は「ないない」と一蹴する。]
下手に攻撃して、ブリュノーからの人気度を下げちゃったら
のちのち面倒になるもん、ねぇ。
あちらさんならそのくらい分かっているよぉ。
[投石器で歩兵を攻撃するのって有効なんだっけ?…などと首を傾げながらも、自部隊の行動方針は決めていた。]
後続へ伝令を。
王都アマンドの守護を目論む別働隊あり。
リンデマンス隊は、それを阻止すべく先行する。
騎兵部隊の援護を求む。
…ってねぇ。
[敵の別働隊はこちらの兵力を上回っていたので、援護の要請は必須だった。
ただ自部隊は徒歩で、援軍は馬だ。ならばすぐに味方が追いつくだろうと計算して先行を選んだ。
出征前にナネッテから貰ったアドバイス>>1:102が脳裏をよぎる。]
…うん、突出はしすぎないさぁ。
でも指を咥えて見ているままでもいられないから、ねぇ。
[そうして自部隊へと向き直る。]
王都をマルールに黙って譲る訳にはいかない。
今のところ連邦側で一番王都に近いのは、うちの部隊だからねぇ。
邪魔しに──… 行くよぉ。
[目的を告げる。と、『では別働隊に向かって突撃ですか!』と部下からあがる確認の声。男は笑って首を左右に振った。]
いやいやぁ…
馬の足と人の足じゃあ、速度勝負を挑んでも意味ないよぉ。
それに兵力差もある。
先に王都前にあちらさんが到着するのは仕方がないさぁ。
[だから…と続ける。]
まずはこちらも王都に近づくことを優先するよぉ。
敵別働隊の射程外になるよう充分距離を取り、
少し右に迂回する形で王都アマンドへ向かう。
戦うのは、着いてからさぁ。
[戦経験のない男は陽動を見抜くことが出来なかった。
リンデマンスの歩兵500弓兵500が、連邦本隊を離脱し──進路を王都へと変えた。]
─ 中央平原 王城付近 ─
[やがて王都アマンドが近づいてくる。
この戦いの行く末が気がかりな人間は大勢いるのだろう。城壁には観戦しているブリュノー守備兵の姿があちこちに見られた。]
よーし、このあたりかなぁ…
[左手を横に流して進軍を止める。
正面、少し離れた場所にはマルール軍別働隊の軍影があろうか。
対するリンデマンス隊は、最前列に大盾を構えた歩兵が並び、その後ろには人の三倍はあろうかという長槍を前方斜め上に構えた兵が列を成す。槍の先端の刃はノコギリ状のギザギザになっており、突撃してきた騎兵を餌食にしようと牙を向けていた。
後方には大きく二組に分かれた弓兵。射出を交互に行うことで、矢継ぎ早に矢の雨を降らさんと長弓を構えている。]
[男は目立つように数歩前に出て、王都アマンドの城壁を見上げた。]
…、 ブリュノーの諸君!
[普段穏やかな声を張り上げて呼びかける。
口調もいつものような緩いものではなく、王様らしさを心掛けた。]
マルール王国は貴方たちを護ると言いながら
何かあれば王都アマンドを狙う意を見せている。
彼の軍が運ぶ攻城用の投石器がその証拠であろう。
我らティルカン連邦軍は
彼の軍より貴方がたを護るために此処へ来た。
願うのはブリュノーの平和と発展…
────大義は我らにあり!
[これって要は意中の子へのアピール合戦だよねぇ…と、苦笑が滲んだのはほんの僅かな間のこと。
大義名分をあちらばかりに掲げられては敵わないので、打てる手は打っておく。
なお投石器に関してのくだりは先程の部下の懸念を拝借した。*]
/*
さぁて… 地上も残り僅か。
やるだけやって楽しもうかぁ。
タイガ宛に投げたかった奴は、残り時間的に、最後確定で投げさせてもらう形になる、かなぁ。まあ仕方ないね。
― 中央平原 ―
[先陣らが衝突を始めた頃、伝達に走った騎兵一騎が報告>>85に走ってくる]
「王国軍を視認!
敵先陣は弓騎兵隊の模様。
現在、先陣ナネッテ・マドゥーラ率いる騎兵隊と交戦中!」
ご苦労、引き続き戦況の報告を。
「はっ!」
[再び前線へと戻る騎兵を見送り、クリフは馬上から相手の陣形を見遣った]
随分と散開しているな。
弓対策か。
[それだけではない、と言うのは広大な土地を活かした広い陣から察せる。
こちらを圧倒せんとする陣容は威圧という形で襲ってきた]
逆を言えば、こちらより数が劣る故の目晦ましの可能性もある。
臆することはない。
貴公らの力を見せ付けてやれ!
[後方から号を出せば、部隊長の指揮の下、各部隊が動き出す]
[自陣中央目掛け長弓を射掛けてくるのに合わせ、自陣左の重歩兵が盾を掲げ矢を防がんとする。
彼らの傍、盾の陰に隠れるのは直ぐ後ろに控えていた長弓兵の部隊。
重歩兵隊と
幾人か矢に被弾したものもいるが、そこは重歩兵。
護りに徹するならば幾合いか耐えることも出来よう]
左右からも来てるね。
少し突いておくか。
[相手は先陣だけではないと示すように。
後方に配置していた騎兵隊の1部隊を南側に散開する王国軍の騎兵隊へと向かわせる。
南側に大きく膨らむように駆け、横合いから突撃を仕掛ける動き。
窪地に潜むレトらにもその動きは良く見えたことだろう*]
/*
ヒューーー!!
ってメレディスにペンラ振ってるだけになりたい
でもクリフ可愛かったし(??)頑張ろうね。ありがとう…
だめな副官ですまないな……
[前方から伝令兵がこちらへとやってくる>>111]
何だって……!
まさかこの広い陣容はそれを隠すため…!
[伝令内容を聞き、苦々しげにしながら一度王国軍の布陣を見やった。
ぎり、と手綱を強く握る]
王都は巻き込まないと踏んでいたが、甘かったか。
君達はリンデマンス隊の援護を。
急ぎ合流してくれ。
[自麾下の騎兵を1部隊、メレディスの援護へと差し向けた。
騎兵隊はメレディスの部隊を追うように駆けていく*]
― 中央平原/戦場の南方 ―
[双方の先鋒同士がぶつかり合い、矢が驟雨となって降り注ぐ。
戦塵立ち込める人馬の轟きを、遠くから見つめる目があった。
悪戯は、時と機を選ばなければただの悪戯だ。
戦場の熱気がさらに上がるのを待って、猿たちは息をひそめる。]
[やがて、両軍の本陣からも矢のアーチが掛かり、騎馬隊がそれぞれ動き出す。
敵騎馬隊の一隊が南に向かってきた時には見つかったかとぎょっとしたが、どうやらそうでもないらしく、途中で方向を変えていった。
思わず胸をなでおろすが、これこそ機だろう。
犬笛の音を合図に、猿たちはいっせいに動き始める。
盛大な太鼓や喇叭の音と共に、窪地から次々と月と波の軍旗が立ち上がった。]
騎乗ーーーっ!
突撃ーーーっ!
[草原の真ん中から軍が湧きだしたような、そんな効果を狙いつつ、総数100名弱の三分隊が動き出す。]
[伏せている間の姿は、なかなか見られたものではなかっただろう。
人間はおろか、馬まで横倒しにさせた常識外れっぷりだった。
騎兵の一隊にでも先に発見されたら一瞬で部隊壊滅間違いない。
駆ける様子も非常識というか、突飛なもの。
先頭の5騎くらいが両手に木の枝を持ち、土煙を立てながら疾走する。
後方に続く者たちは、馬っぽい形の板を長い棒に4つほど固定したものを持って走っていた。
一人ラインダンスならぬ、1騎で5騎分の騎馬突撃である。
もちろん、普通に見ればすぐに見破れるようなものだが、戦場という混乱状態の中、土煙の中に紛れていれば、或いは大軍に見えるかもしれない。]
― 大街道 ―
[ 長弓の応射が来る。>>119
警報の声が上がり、前線の兵は前方に構えていた盾を頭上に翳し直す。
長弓兵もその陰に身を縮こませながら、次の矢を準備した。
ザッと降り注ぐ矢の雨。
散開していたとはいえ、運の悪い者は負傷し、戦線離脱を余儀なくされた。
矢の刺さった盾は取り回しも悪くなる。
後方の《狼牙》まで届く矢はほとんどなかったが、中には剛弓の使い手がいたのだろう、意地を見せるように飛んできた矢を、タイガは指揮杖で叩き落とした。 ]
― 中央平原 ―
[単なる追撃の一矢ではなく、緩急つけた波状射撃は相手の虚をつけたか、採られる術は反撃ではなく回避。>>106]
てか、とんでもねーな……。
[それにしてやったり、と思う反面、視界の隅を掠めたもの──ハルバードで豪快に矢を払う態に思わずこんな呟きが漏れたりもしたが。
ともあれ、
こちらは、北の騎兵隊の援護を狙った通り雨]
て、お?
あの陣取り方……。
[標的と見なした中央の歩兵は、斜の陣を敷いて前進してくる。
後ろを遮らぬようなその位置取りから連想されるものは]
……下手に突っ込むと痛そーだな……射界ぎりから、直曲取り交ぜ!
撃ったら即、反転すんぞ!
[予想が当たっていれば、彼方の方が直線の射程は長い。
ちょいとイチかバチかだな、なんて思いつつ。
仕掛けるのは射程ぎりぎりからの直射と曲射交えた乱れ撃ち、そしてそこからの反転離脱。*]
[ 前線の視界が盾で塞がれている合間に、ティルカンの騎馬隊が動いていた。
ナネッテ隊の進路を防ぎそこねたマーティン軍団の先頭のさらに南側へと回り込もうという動きだ。
それを見つつ、タイガは《氷雨》に二射目を命ずる。
狙いは同じく、敵中央。
ただ今度は、放たれる矢のいくつかには、飛距離と威力を犠牲にして、端切布に灰を包んだ小さなおまけがついていた。
着弾の衝撃で目潰しの灰を撒き散らす仕掛けだ。 ]
[ 戦況が動く中、ティルカン軍の一部が北へと離脱するのを見やる。>>113
北に配したチャールズ軍団はナネッテ隊と対峙していた。
さすがに兵数が違うから押し負けることはなかろう。
チャールズもあえて兵を割いて離脱したティルカン軍を追おうとはしていない。
ナイジェルの作戦どおりだからだ。]
《氷雨》を下げる。
《竜骨》前進せよ。《六月》の作る隙を逃すな。
[ 角笛が吹き鳴らされた。*]
― 三年前:ユリハルシラ領 ―
[願いは受け入れられ、男性はこの街についてを話してくれた。
生まれ来る子に話す心算で、という言葉は、我が子への愛が溢れているようだった]
[男性は一つ一つ、丁寧に説明を入れ紹介してくれた。
この街で起こることを楽しみ、人々の営みを愛し、住まう土地を誇りに思う姿。
紡がれる言葉の全てに愛おしさが表れていた]
[彼の”子”を通して向けられる言葉。
しかしその言葉はクリフの心にも深く染み入る。
これほどまでに愛されているならば、その”子”も、土地も、民も、幸せだろう、と]
[随分と先の成長まで見越して紹介してもらったデートスポット。
来る機会はあるだろうか、と内心思っていると、想いも寄らない言葉>>95を投げかけられた]
えっ、
いや、そんな心算では。
今回はただ、観光で。
兄がこの街を気に入ってて、紹介したいから、と。
[飛躍した話に驚いて、少ししどろもどろになってしまった]
でも、そうだなぁ……。
俺もそろそろ考えなきゃいけないことではあるし。
次に会う時があれば、是非。
[社交辞令にも近いそれは、ほんの少しだけ、別のことが頭を過ぎってもいた*]
― 行軍 ―
[騎兵と工兵の一軍を預かり平原を進む。
ローランドは栗毛の馬に跨り、騎士の装いで軍中にあった。光り輝くだとか、煌びやかなんて形容詞には当てはまらない。が、今のローランドを見て”パン屋の主人”と呼ぶ者はいないであろう。……多分。]
そう、では引き続き調査を。
[戦場へと至るまでの数日の間>>24、ローランドの元には幾人もの斥候が戻っている。彼らはおおよそ商人の装いであり、中には巡礼者のような恰好をした者まであった。
ガルニエ騎士団領には教会があり、その関係上、巡礼者や信者の格好をした者も多く行き交ったから、この装いもある意味お家芸と言っていいだろう。]
[彼らが持ち帰る情報の多くは近隣の地形、或いは農場の位置───これは主に「ここは荒らされたくない」といった地域住民の要望を含む───だとか、小さな沼の位置やら抜け道やら。
細かな情報が多いのだが、それらはローランド幕下の者の手によって纏められ、クリフをはじめとする連邦軍の将の元へと騎馬の足を以て届けられた。
中に、ケノワ砦周辺の廃鉱の住人との接触に成功したとの報告もある。とはいえこれは未だ交渉中との話で、特に伝達事項へは乗せられなかった。……ただ、]
なんの魔法を使った?
ロンジーで馬でも買い付けていたのか?
…びっくり、箱?
[ 言われてようよう、ダミーだと思い至った。]
ではこれを、リンデマンス王に。
[そうして開戦の前、メレディスの元に届けられたものがある。
それは小さく素朴な焼き菓子だった。先にローランドが、斥候に個人的に頼んだ>>55もの。注文通りの素朴なクッキーを取り分けて、本来の宛先ならざる人へと送る。]
「美味しい酒へのお礼。」 そう伝えて。
[伝令にはそれだけを言伝た。それで大体は伝わるだろうし、全てが伝わずとも構わない。初陣の前に甘いものでも食べて緊張を解すようにとの意が伝わるかも分からなかったし、そんなことまで伝わらずとも別に良かった。]
/*
うーんうーん、南だからなあ。
メレディスのとこ行きたいけど、この位置から騎兵動かすのは愚策よなあああ。あっちにもう一人くらいPC行って良さそうにも見えるんだけどね。
― 中央平原 ―
[メレディスの隊が離脱した分、自陣中央の部隊の厚さが薄くなる。
かと言って騎兵をそこに配置したところで矢の的になるだけであるため、兵の補充はせずに。
再び放たれた王国軍の矢>>129は、再び重歩兵が受けることになる。
掲げた盾の陰に入り、斉射が止んだ頃に返し矢を射る、はずだった]
[矢が盾や地面に突き刺さった瞬間、いくつかの場所でぶわっと細かな灰が巻き上がる。
特に盾に食らった兵の周辺が酷く、重歩兵も長弓兵も目に灰が入り、即座の対応が出来ずに斉射に遅れるという事態が多発した。
そのため、返し矢は先程よりもかなり数を減らして放たれた]
負傷した者を下がらせろ!
後方にて応急処置を。
騎兵隊、突撃準備。
[ナネッテの部隊も北側に寄り、自軍の中央が空きつつある。
相手はこの隙を逃すまい。
食い破るを防ぐべく、騎兵隊の1部隊に臨戦態勢を取らせた]
[一方で、南側を迂回し突撃を敢行した騎兵隊は、何も無い場所から湧いて出たように見える一隊>>123に足並みを乱されていた。
見通しの良い場所から敵の部隊が現れるなどと思っていなかったし、土煙により遮られた視界では、ハリボテであっても偽物とは見抜け難い。
そのため、追い立てられた騎馬隊後方は足並みを乱しながら迎撃の態勢へと。
それにより騎馬隊は一時的に分断される形となり、突撃の効果は半減するに至った。
分断された後続隊は、突如出現した敵部隊が東へと大きく迂回するのを見て、その後を追う*]
─ 開戦前 ─
やぁやぁ、これ──俺にかい?
[戦場でこんな長閑で素朴なお菓子を受け取るなんて思わなかったから、クッキー>>136が届けられて驚いた。]
…なーぁるほど。旦那から、ねぇ。
[あの人いろんなルート持っているからねぇ…と、そこでやっと得心がいく。手が広いというか商人気質というか、物質でも情報でも調達するのにとかく長けている。
どうやっているのか──それも教えてもらおうとした時期はあったのだが即座に投げた。あれは、マメじゃないと出来ない。男がマメになれるのは対野菜だけだった。]
酒? あぁ──…
[直近で思い当たる酒といったらひとつしかない。
成る程。ともう一度呟いてから、焼き菓子の封を切った。
甘く素朴な香りが鼻腔をくすぐる。口に放り込めば、さくさくと小気味よい食感がして、仄かな安らぎを残して消えた。]
早く全部終わらせて、妹たちとお茶がしたくなるねぇ。
[『だったら頑張ってくださいよ』と直近の部下に言われて、「…うん」と笑った。*]
/*
クリフメモ>君は本当に天才か。果てしなく拝むよ、ありがとう。そしてありがとう……ははあ、これ南確定ではないやつ、だな!?なるほどね???
[ 戦場の南方で新たな動きがある。
南方に配されたマーティン騎馬軍団の、さらに南へ回り込もうとする動きを見せたティルカンの騎馬隊の、それまた南側から飛び出したレトの伏勢が砂塵を蹴立てて突撃する。
その進路は、中央から突出してきた騎馬隊──ではなかった。>>125]
鬨の声をあげよ。
《狼牙》、前進しつつ方陣へ移行。
《双六》と《氷雨》は合流して《狼牙》の後ろにつけ。
[ ティルカンの注意をひとところに集中させないよう、じわりと動き出した。]
[ マーティン軍団は、おおよそ2倍の兵数で南のティルカン別働隊を受け止め、包囲して潰そうと画策していた。
残りは相変わらず本隊の横につけている。
チャールズ軍団もまた、相手にするのは400騎かそこらの騎馬弓兵という状況だ。
ハルバードを振り回す猛将に手こずっている、との報告もあり、確かに混乱の気配はみてとれたが、チャールズが討たれでもしない限りは心配ないと踏む。
王都方面へ離脱したティルカン軍──伝令によればリンデマンス領の兵──も、ナイジェル軍団の兵力には及ばないと見た。]
チシャの人、だったな。
[ ここまで予定どおり、ティルカンの部隊を少しずつ本隊から引き離すことに成功している。
悠然と、飛びかかる瞬間を見定めていた。*]
/*
ええええと?ええと????
つまりなんだ、お前の場所はお前が決めとけ!!!的な感じ??かな???いやでも、ええと……
王国軍にも図が欲しい。(わがまま)
/*
王国軍のコードネームめっちゃ格好いいと思うんだけど、正直タイガさんが何を言っているのか分からないんだ。
>>4メモ
― 3年前 ユリハルシラ領 ―
[ 通りすがりの青年の押しかけ仲人になる話が進んで(?)いる最中、屋敷の窓が開いて、大きな青い布がバルコニーに広げられた。]
──!
[ それを見るや、青年の首を小脇に抱え込んで、頭を撫でくりまわしたい衝動を抑えかねた。]
/*
王城
ナイジェル(騎1000)→→
チャールズ(騎1000)
タイガ 歩兵弓兵?
ノーラ(騎弓500+100)→
マーティン(騎1500散開)
レト(遊撃100くらい)→↑
― 中央平原北側 ―
静かね……
[北側の戦場にありながら思案するように視界を広く保つ。
威勢よく攻めてくるわけでもない。手堅いという指揮と敵の総数はそうそう打ち破れるものでもないが、その点について焦燥感はない。じわじわと被害を出し続けるように動けばいいだけでもあるし―――時に、仕掛けるようにタイミングをずらす危うい場面にこそ指示をとばすが、それ以外は戦場をみていた。]
[ ほどなく家令が、祝いの酒を持って出てきて、タイガと青年それぞれに、黒くて軽い盃を差し出した。]
これも縁だ。
乾杯を受けてくれ。
[ その後は、急いで邸内に戻ることになったから、話の続きをする暇はなかったけれど、感謝の気持ちのままに、盃を持ち帰ってくれと勧める。
海の彼方の技術で作られた漆盃であった。]
記念すべき日の思い出に。
次に会う時があれば、是非、だからな。
[ 青年自身の言葉を借りて破顔した。*]
/*
いや、こうか。
王都
ナイジェル(騎/弓騎/工1500)→↑
チャールズ(騎1000)
タイガ 歩兵弓兵?
ノーラ(弓騎500+100)→
マーティン(騎1500散開)
レト(遊撃100くらい)→↑
/*
ナイジェルは今夜忙しそうかな…?
まぁ後から落とすやつを裏で準備してるからいいんだけど。
もうちょい待ってみるか…。
― 中央平原 ―
[北へ、王都の方へと動く部隊は視界に留めつつそちらに馬首向ける事はない。
それを動かしたであろう友が務めを果たしきると信じているから、廻る細流に揺らぎはない。
向かったのがいつかの再会を約した恩人と知ったとしても──戦場の習と思えば、揺らぎを齎す要素にはなり得なかったろうが]
……ち、ぶっ飛んでるようで、堅実だな。
[反撃はせず、守りを固める重歩兵の様子>>140に、距離を開けながら小さく呟く。
期せずして、後方の《氷雨》との連携も取れたよう>>141なので、一先ずはよし、として]
[残り矢数を大雑把に確かめつつ、周囲を見回す。
中央の厚みを維持するためか、突撃体勢に入った騎兵の一隊が見えた。>>142
それに対して、
総力戦の中にゲリラ戦、という評>>137は、リンザール弓騎兵の特色を最も端的に表していると言えるだろう。
支援と撹乱に徹し、派手さはないが、流れに楔を打ち込む動き。
先代に比べれば多少荒っぽくはなっているが、基本は変わる事無く]
……って、そろそろ無駄矢は控えろよ。
[本隊の動き>>146、敵騎兵の機動。>>152
大きな変化が起きた時に打つ手がないのは情けないから、と。
隊に飛ばすのは、そんな指示。**]
― 王都アマンド付近 ―
[ ナイジェルが固く閉ざされた王都の城門を視界に捉えた頃、先頭を往く騎馬隊から角笛の音が長く二度響く。
後続に対して、敵影発見とその方角を教える合図だ。 ]
《八月》前へ!
[ ナイジェルの命が角笛によって弓騎兵に伝わった時には、既にそれを予測していた騎兵達は速度を上げていて、見る間に中央の工兵隊を守る位置に駆け上がっていく。 ]
真正面からやりあおうというわけですか、なかなか剛毅な。
[ やがて相対したリンデマンス軍の陣容は、騎兵の突撃を待ち受ける布陣。
ナイジェルは、堂々と前に進み出て、大義を宣したメレディスの姿に>>116その印象を強くした。 ]
ならば、こちらも相応にお相手するのが礼儀ですね。
[ 工作隊の両端に置かれたバリスタが、歩兵の構える大盾を貫かんと狙いを定めるが、それに待てと、片手をあげて、ナイジェルもまた、声を張る。
メレディスのように前に出ることはないが、白い羽飾りは彼らの目にも止まるだろう。 ]
我がマルール王国は、簒奪者に非ず。
王妃殿下と幼き王子を守る騎士であり、お二人の帰るべき王都を守護する任を託されている。
投石器は王城を守るための手段。騎士の誇りにかけ、決して罪なき民に、我が軍の剣は向けられぬ。
[ 声は朗々と響くが、その中に激情の色は無い。 ]
我ら、騎士の誇りを、貴殿らの言う大義によって散らせると思うなら、試してみられるがいい。
[ ナイジェルの言葉が終わるやいなや、さっと振り下ろされた腕の合図で、バリスタの矢が放たれる。
同時に、短弓を手にした弓騎兵が、左右に散開しながら、矢の雨を降らす。
しかし騎兵と投石器は未だ動かず、ただ王都への道を塞ぐ、もうひとつの壁となるかのように、沈黙を守る。// ]
/*
むー、咳き込みからくる腹筋へのダメージが結構累積しとる。
それ以外は平常運行だから、余計にきついわ、これ。
― 3年前 ―
えっ?
[しばらく静かになったあと、唐突な言葉が飛んでくる。
驚きは、すぐに嬉しさに変わった。]
そっか。
そっかあ。よかった。
あは。俺も叔父さんかぁ。
[嬉しい。くすぐったい。
踊りだしたい気持ちは多分、タイガの気持ちが伝わってきているせいだ。]
/*
よく考えなくても時間がない!
一騎打ちとかやっとられんぞこれ。
なお、現在「ほんとだったら捕虜にしたい」と、ナイジェルが騒いでいて困ってます。
死亡希望ですか?メレディスさん。
─ 王都アマンド付近 ─
[仕掛けるならば援軍の騎兵が到着してからの方がいい。
そう考えて今は待ち受ける布陣をとっていたので……よもや『正々堂々戦おう!』>>156という意味合いに捉えられているとは露とも思わず。]
おやぁ… あちらさんも?
[朗々と響くひとつの声>>157は、騎士然とした真っ直ぐさに溢れていた。
少なくとも嘘をついているような響きはない。
内容も、特にこちらに怒っている様子もなく落ち着いたものだった、が。]
あ〜〜〜…っ!?
[バリスタの矢>>158が突如、空から飛来する。
男は慌てて盾兵の奥へと隠れた。]
これ、やっぱり怒らせちゃったのかなぁ…
『メレディス様が余計なことなさるからですよ』
いやいやぁ、大事なことでしょあれ!たぶん!
[そんな軽口を叩けるのも其処までだった。]
仕方がない… 全軍前進!
[相手の騎兵は動かないが、このまま立ち止まっていては矢の餌食だ。
最前列の盾兵らが矢を退けつつ扇状に陣形を広げて弓騎兵との距離を詰めようとし、その後ろから長槍兵が穂先を突き出し人馬を狙う。
弓兵らは応戦するように、左右の弓騎兵や前方に向けて矢の嵐を放った。
クリフがすぐに送ってくれた援護>>121は、まだ届かない。*]
― 中央平原 ―
[先陣が衝突を始め伝達兵>>85が陣に至る頃、ローランドの陣はクリフ率いる本陣よりも南側、左翼に当たる位置にある。見守る視線の先、平原に土煙が立ち始める。それを、じっと動かずに見つめていた。
──── まだ。
そう音にすることもしない。麾下は動くことをしない。けれど戦場の音は否応なしに響いてきて、騎士らの心を逸らせていた。]
[その間にも戦場は動き、司令の号>>118に従って各部隊は動きゆく。乱れぬ令の元に動く軍隊は、巨大なひとつの生き物のようだ。そうした物をどもを目に収めながら、時を待っていた。
と、前方の陣が動く。>>111 続く伝令に、苦い表情が過った。すぐに北の騎兵隊がメレディスの部隊の後を行く>>121
手薄になる本陣を見遣るローランドの顔に表情が動いた。]
クリフ、足りるかい?
麾下をそちらに回したい。
… メレディスさんの援護、頼む。
[司令官自らが赴くわけにはゆくまい。そう思えば、出来ることは多くはないけど。兵力を差し向けることで、彼らの助けになるならば。]
[麾下の騎兵隊が一部隊、本陣脇を固めるように動いた。
”声”で伝えたように、彼らはクリフの命があればそれに従おう。]
向こうの数が多いな。あまり突出させすぎないように。
釣り込まれるよ。
[南に散開する騎兵隊の将の名前は知らないが。
そう容易くない相手とは、巧妙に散らされた陣を見れば分かる。
南に突撃した騎兵隊>>120、その動きを見ながらの指示はさて如何ほど通るか。危惧はやがて、部隊の分断>>143となって現れた。もっとも、予想とはいささか形を異にしたけど。]
[全体の規模としては変わらないだろうに、随分と分散させられたように思う。
散開された配置、伏兵の設置、そしてそれらの運用。
悉く裏をかかれている、そんな印象だった。
南側に巻き起こる砂煙の一団がこちらの後背を狙っているような動き>>153も見える]
王都側に約3部隊、北に約2部隊、南に約2部隊、中央に約6部隊…。
[大雑把な人数を部隊数で捉え、南側を東進する部隊をそれほど割けられるものだろうか、と思案する]
目は戻ったか?
なら君らは後方に待機したまま、あの敵部隊に注目しろ。
近付いてくるようなら斉射を。
[先程の灰で目を潰された長弓兵のうち、視界の戻った50程度の兵を東進する敵部隊の警戒に当たらせる。
敵部隊が射程圏内に入るようであれば、号に合わせた一斉射撃が行われることだろう。
足が止まりでもすれば、追う騎兵隊が突撃を敢行することになる]
[南側の敵騎兵隊へと突撃していた騎兵隊は、数を減らしたのを理解しながらもその速度を緩めなかった。
走りながら部隊を6つに分け、小隊規模でそれぞれ縦列の陣を組む。
自分らよりも数で勝る敵騎兵隊に対し、撹乱するような動きで切り込んでいった。
その軌道は真っ向から突っ切るのではなく、敵部隊の側面を撫で斬るような動き。
円を描くような軌道で駆け、囲まれずに抜けられた者達は集合しながら一度自軍本隊の方へと駆ける軌道を向けた。
敵騎兵隊が追い縋る動きを見せるなら、自軍中央に陣取る長弓兵からの矢がお見舞いされることになる]
[時を同じくして、自軍中央へと押し上げようとした騎兵隊目掛けて矢>>155が降り注ぐ。
出鼻を挫くような攻撃。
それを受け、幾人かは負傷しながらも騎兵隊は前線へと駆け上がる。
自軍の重歩兵隊を迂回してのその動きは一撃離脱する敵弓騎兵を追い立てているようにも見えるだろう。
ただ深追いはせず、ナネッテと連携すべく機を見る*]
……うん、ありがとう。
間に合ってくれると良いんだけど。
[本当は今すぐにでも駆けつけたい。
けれど司令官である自分が動くわけにも行かず、せめてもの兵を動かして。
メレディス達の力になってくれることを願う]
[指揮権の移った部隊を確認してから、視線を一度王都の方角へと向ける。
先陣を切る部隊の中にも、散開する部隊の中にも、参戦していると聞いた知己の姿が無い。
それはつまり、もう一箇所へと出向いていることになる]
────……、
[ナイジェル殿。
そう呟いた声は兵達の声に掻き消された]
[いつか手合わせを、との願いはこの戦場で実現することになるのだろうか。
小さな嘆息は零れど、そこに迷いの色はない*]
/*
求む、投石器の使いどころ(
レトへの威嚇に使おうかと思ったりもしたけど、流石にえぐいので止めた。
連弩壊すのには良いと思うんだけどね。
騎兵隊の伏兵とはやるね。
[突如、土煙が上がった。草原に湧き出て来たかのように、突如現れた騎兵隊が鬨の声を上げる。>>123
それによる先行騎兵隊の分断までは目に映らずとも、前方が混乱する様は良く分かる。やがては派手に上がる土煙>>125も目に捉えられよう。]
騎兵隊準備。
あれの横面を引っぱたいておこう。
丁度いい囮も出来た。
[分断された騎兵など、良い獲物だろう。実際にマルール軍は、彼らを包囲殲滅するかの動き>>147を見せている。その友軍を囮呼ばわりして、一軍を以てマルール軍を更に外側から叩こうというのだ。]
― 王都アマンド付近 ―
王都に弓引く者をはねのけよ!!
[ 前進を始めたリンデマンス軍に>>162ナイジェルが放ったのは、投石器の洗礼。狙うは盾兵の後ろに隠れた長槍兵と弓兵だ。無論、一気に殲滅出来るほどの威力は望めないが、少しでも、その足並みを乱すことが出来れば十分だ。 ]
二列散開!突撃!
[ 続いてランスを構えた騎兵の前方二列が左右に別れて駆け出し、飛来する矢の間隙を縫って、突撃を敢行する。
先行した弓騎兵は散発的に矢を放ちながら、リンデマンス軍の背後へと回ろうとしていた。 ]
そう簡単にはいかせてくれないかもしれませんが...
[ 騎兵と弓騎兵による挟み撃ち。それがうまくいけば一気に決着をつけることができる。* ]
……あれを食い破れない騎兵でもなかろうさ。
[薄く閃いた笑みに乗るのは、騎士団の矜持だ。何を於いても騎兵戦となれば負けはしない。そうした思いは、騎士団領のどの騎士の胸の裡にもあろう。
事実、程なくして囲まれた騎兵隊らに動き>>167が見えた。
自軍に戻ろうとする騎兵隊と行き交うようにして一軍は敵軍へと向かってゆき、突撃を果たせば再び彼らも戻ろうが。]
工兵は投石準備を。
目標は敵伏兵隊。
補足次第、彼らの進行方向に投石を。
あれは足止めすれば終わる類だ。
[別にラインダンスを見破ったわけではなく。ただ騎馬の突撃とはそのようなものだ。だからと指示した内容は、クリフの発した命>>166にも似るが。それが実行されるか否かは敵騎兵隊の動き次第だ。]
そうだね。
足りない分は使ってくれ。
代わりにこちら側の敵騎兵は、僕が押さえる。
[自らの場所で自らの役割を果たすこと。
それが助けになるだろうと告げる言葉には、僅かに自らに言い聞かせるかの色も滲もうが。]
…大丈夫、彼もそんな無茶はしないさ。
[最後、願いのような言葉を口にした自覚に、音もなく苦い息を吐いた。]
― 三年前:ユリハルシラ領 ―
[男性とクリフのやり取りを見ていた兄が、嫁取りの話の段でニヤニヤしていた。
その手には大きめの羊皮紙の束と細長い形をした木炭が握られている。
そんな兄の様子に気付かず、男性と話を弾ませて。
やがて、何かに気付いた男性がクリフの首を小脇に抱え込んで頭を撫でくりまわしてきた]
うわぁ!?
[飛び掛ってきた男性の行動に驚くこと数拍]
[近くで聞こえた声>>149に事態を察すると、クリフの表情がぱぁっと明るくなった]
おめでとうございます!
[男児と言うことは、彼は跡継ぎに恵まれたのだ。
事の重大さは未婚のクリフにだって分かる]
[やがて、屋敷から祝いの酒が運ばれ、杯の片方を渡される>>150。
最初こそ驚いた表情をしていたが、「これも縁だ」と言われれば、断る理由も無かった]
喜んで。
[黒く磨かれたような、艶のある杯を受け取り、乾杯の後に飲み干す]
えっ、頂いて良いんですか!?
こんな、ここらじゃ見たことも無いような珍しいものを……。
[なんて太っ腹なんだ、と男性の顔を見遣る]
[そうして別れる段になり、その前に、と兄が一枚の羊皮紙をクリフへと差し出してくる。
何を意味するのかを察し、男性へと羊皮紙を差し出した]
今日の記念に、どうぞお納めください。
杯の返礼というには、釣り合わないものですが。
[「釣り合わないは余計だ」と兄に小突かれつつ、朗らかに笑う。
羊皮紙にはスケッチ程度のものではあるが、杯を交わす男性とクリフの似姿が描かれていた]
兄は画家なんです。
まだそんなに売れてるわけじゃないんですけどね。
[「だから一言余計だ」とまた突っ込まれつつ、男性の反応を見てからその場を去る。
貰った杯を大事そうに抱え、クリフはこの街での沢山の出逢いに心を躍らせていた**]
─ 王都アマンド付近 ─
[大盾で防ぎきれなかった矢を受けて、兵が次々と倒れてゆく。
弓騎兵の機動力に、重装備を持った歩兵の動きが追いつかないのだ。
本来であればその弱点を味方の騎兵がフォローしてくれる筈だった。
だが、今は────…]
くっ、
[更に矢だけでなく、石>>171までが飛んできた。
なるほど投石機ってこうも使えるのか勉強になった──と一瞬、現実逃避したくなった気持ちを振り払う。]
…散開っ!
[長槍は一般的な歩兵の得物よりも対騎兵に効果的だが、なにぶん重量があるので、急な動きに弱いのが難点だ。
投石機によって放たれた石を避けることができず、隊は混乱し、規律だって動けないから更に的になってしまう──という悪循環だった。結果、特に長槍兵が多く削られてしまう。
そこに──前方から騎兵が迫る。]
慌てるな! 落ち着いて目の前の敵を倒すんだ!
[ナネッテに習った通りに単純な命令を繰り返す。が、一度浮き足立った兵を落ち着かせるのは困難を極めた。
それでもなんとか、まだ戦意を失っていない兵が騎兵を迎え撃とうとする。]
『メレディス様、後ろから…!』
っ、…! そっちも、か
[弓兵が反転して矢を番える。近づけまいと慌てて射るが、……それでも数は減らしきれない。]
まずいなぁ…これは、
[突撃してくる騎兵の中に、先程の宣言時に見えた白い羽飾り>>157を視認すると]
…、…──
[ほんの僅かな思案の後、男は声を張り上げながら距離を詰める。]
そこの大将!
俺は連邦属国リンデマンスの王様のメレディスというんだけどさぁ。
お手合わせ頼もうか。
[鎖鎌の分銅側を、相手の馬の足を鎖で絡めとるように投げつけ引っ張る。うまくいけば落馬を狙えるだろうと。*]
リンデマンス王?!
[ 突撃する騎兵の指揮に専念していたナイジェルは、突然近づいて来た男の名乗りに、一瞬息を呑んだ。>>182
名の有る騎士か、或いは領主かと思っていたが、まさか王だとは、という驚きは、メレディスの鎖鎌が馬の前肢を狙って投げつけられる隙を作る。 ]
くっ!
[ 主を落とすまいと地を踏みしめた愛馬の脚がぼきりと音を立てたのが聞こえ、唇を噛む。
足を折った戦馬が生き延びることは難しい、落馬した騎兵の運命もまた然り。
選べる手段は限られていた。 ]
はあっ!!
[ 馬が足を折り、地に伏す一瞬の間に、手にしたランスを、鎖を引くメレディスに向けて投げつける。
狙いも何もあったものではないが、相当の重量を持つランスだ、当たれば無傷では済まない筈だ。 ]*
[相手の驚く顔>>183に、まぁ確かにこんなところに王様が、しかもお偉いさんが馬にも乗らずにいるとは思わないよなぁ、なんてしみじみする。
手応えはあった。成果も。
が、相手の反射的な動き>>184は予想を超えて機敏だった。]
──── ぁ、ぐぅ… っ!?
[文字通り頭上から振ってきたランスが、左肩から胸にかけてを痛烈に殴打する。肺の中の空気が一気に搾り取られるような心地がした。重量級のランスがぶつかったことによる痛みと痺れで、身体のバランスを崩しその場に横転する。]
[荒い呼吸を繰り返しながら、天を仰ぐ。空の青さが眩しい。
左上半身に走る痛みは、すぐに動けるようなものではなかった。]
は、…はははぁ……
やっぱり難しい なぁ…
[訓練を積み重ねてきた騎士や兵に混じって戦うには、自分の力量は未熟すぎた。
でも、……────
まだ、諦めない。自分は…王様だから。]
[戦局は終わりを迎えようとしていた。
リンデマンス隊は多くを蹂躙され…残った兵らも、王が倒されたのを見て混乱に拍車がかかったのだろう。部隊として完全に瓦解し、散り散りに逃げてゆく。
敵味方の犠牲があちこちに転がる中で…
男もまた大地に横たわりながら、自分を倒した相手に声を掛ける。]
ねぇ… そこの大将… お願いがあるんけど、さぁ…
俺を捕虜にして…
そちらの司令官殿に 会わせて… 貰えないかなぁ?
[虫のいい願いなのは百も承知で、頼み込む。]
俺は、……この戦争の先を 見据えている。
そのために、 そちらの司令官殿に… お願いをしたいのさぁ。
[負けた将がどの口を──と思われるだろうが、それでもいい。此処でむざむざと命を落とすよりも大事なことがあると、男は信じていたから。*]
/*
やぁ…本当にナイジェルには感謝…!!!
どうにか、想定していたところまで来れたなぁあ。
こんなに遅くまで付き合ってもらえて、全力で拝むしかない。
『団長!お怪我は?!』
大事ない。
[ ランスを手放した後、落馬したものの、なんとか受け身を取るには成功して、ナイジェル自身はほぼ無傷だ。
駆け寄って来た騎兵を制して、剣を抜き、倒れたメレディスに歩み寄る。 ]
私は、ナイジェル・ソン・ベルク。軍団長を務めています。
[ 王が倒れたことによって、周囲では次々と敵兵が降伏の意を示している。最早、援軍が着いたとしても戦闘の帰趨は覆るまい。
そんな中、願いを口にするメレディスに、苦笑を浮かべながら、ナイジェルは名乗りをあげ ]
出来れば、もう少し早く、降伏していただければ助かりました。
我らにリンデマンスを滅ぼす気はありませんから。
しかし失礼ながら、この戦闘を長引かせぬためには、貴方を捕縛させていただくのがやはり早道です。
[ この王が捕虜となったと知れば、おそらく追撃は成されない。 ]
我が軍の後陣にて、手当を受けていただきます。
司令官との会談については、戦時ですし、私の一存では決しかねますが...しばらくは、風呂にでも浸かって休息してください。**
確かに、その方が兵の命が守れたかも、だねぇ…
[もう少し早く>>188との指摘に苦笑する。自分の状況判断が今一歩足りないせいで、余計な犠牲を強いてしまった。とはいえ幾ら後悔しても──時間も命も撒き戻らない。失われたものは、失われた侭だ。]
……、わかったよぉ。
文句は 言えない立場だし… ねぇ。
[ナイジェルと名乗った騎士が告げる、今後の自分の処遇に対して、素直に頷く。
ひとまず捕虜になれただけでも、今はよしとすべきだろう。]
………………………………、 風呂?
[ただ最後の単語に首を傾げる。ここは戦場ではなかったか…? マルール王国はティルカン連邦の常識では測れない何かを持っているのかもしれない。真顔でそんなことを考えながら…
男は深く息を吐いた。*]
─ マルール軍にて ─
[それは何時のタイミングだったか。
中央平原での合戦が小休止した頃か、あるいは……
ともあれリンデマンスの王様は、マルール軍司令官への面会を許可された。]
お初にお目に掛かる──…
俺は連邦属国リンデマンスの王、
メレディス・ソラーニー・リンデマンス。
この度は此方の無茶振りを聞き届けていただき、感謝するよぉ。
[礼を失することのないよう丁寧に会釈する。]
[そうして顔をあげ改めて…タイガの風貌を観察した。
凛々しい顔立ち、逞しい体躯、ただ佇んでいるだけで威圧感のような力強さを周囲に発している。
(……これが噂のユリハルシラ司令官殿、かぁ)
同じ司令官でも、連邦のクリフとは全くタイプが異なる
ユリハルシラ司令官、
…、──貴方には一度会ってみたいと思っていたんだよぉ。
[吟遊詩人が歌う華やかな英雄。
かつてのネズミっこのおにーさん。
其処だけを切り取れば、天秤は好意の方に自然と傾く。]
でも上手い方法を思いつけなくて、ねぇ。
こんな手段をとらせてもらった。
[捕虜になって敵司令官に会うという暴挙。だが男は賭けに勝った。
傍目には決して見栄え良いものとはいえない。敵の陽動に嵌って、自国兵の命を徒に失ってしまったのは間違いなく男の失態だ。
それでも。…時間は撒き戻らないから、兵たちの死を積み上げた山に立ちながら、今──自分が出来ることをやろうとしている。]
貴方に……、お願いがふたつある。
でも其の前に、少し。
俺の話を聞いてくれるかなぁ。
[そうして最初に口にしたのは…実に元農家らしい単語だった。]
────── 品種改良、 ってあるだろう?
ふたつを掛け合わせてより良いものを作る…
農家だと作物相手によくやる手法さぁ。
俺はねぇ、
マルールとティルカンを交配させれば
もっといい
……そう、思っているんだ。
[男は、理想を滲ませ目を細めた。
新しい品種を生み出そうと毎年交配に挑戦し、最良の作物を目指したあの頃──。
その時の情熱は、今は形を変えて、…リンデマンスの王様の心に宿っている。]
[そうして口にしたのが、この間クリフにもぶつけた問い>>1:137だった。貴方はブリュノーがこれまでのままでいいと思うか? …──と。]
俺は、ブリュノーって作物を品種改良したいんだよぉ。
もちろん、ひとんところの国政に口を出す気はないけど、さぁ。
でも────ここまで周りを巻き込んだんだからねぇ、
少しくらい…意見をいってもいいかなぁって思うんだ。
それに、品種改良すればきっと国の質が上がる。国益が増す。
生活が豊かになるなら──民も歓迎もしてくれるかなぁ、って。
[それは俺の勝手な願望だけどぉ、と添えて笑う。]
そしてブリュノーが変われば、
俺の国──リンデマンスもおのずと変わる。
隣から得られる刺激が変わるんだから、当然さぁ。
マルール王国も、ティルカン連邦も。
新しい風は…きっと新しい実りを産む。
[今の戦争を否定する気はない。
クリフ>>2:33が言ったように、勝利がもたらす益こそが有用な場面もあるかもしれない。それでも、]
どちらがブリュノー王政の主導を握るか──…
それも確かに大事なことだけど、
本当に大事なのは其処じゃあないって俺は思うんだよぉ。
先日…貴方の弟くんが連邦の野営地に来た時、お土産を持ってきたんだ。
その土産のタラの塩漬けと、俺んとこ産の野菜。
一緒に煮込んだら とっっっても! 美味かったんだぁ。
そりゃあ、料理みたいに簡単なことじゃあないだろうけどさぁ…
片方の国だけで勝手に進められるものでもないし。
…、でも。
不可能って決めちゃうのも勿体無いって、思わないかい?
[野菜のことを語ると止まらなくなるように、自分が熱を入れていることを話し始めると止まらない性格が此処でも出た。
ひとしきり喋ってから──…ようやく我に返る。]
…… は、 はっははぁ…
うん、まあ。
全部俺の理想で、
ティルカン連邦の総意って訳じゃあないんだけど、ねぇ。
[若干赤くなった頬を掻く。]
でも、────…
うちの司令官殿は、多分、同じ理想を持っていると思うのさぁ。
だからユリハルシラ司令官。
貴方にお願いしたい。
この戦の決着がついた後…
我がティルカン連邦軍司令官
クリフ・ルヴェリエにお会いいただきたい───… と。
[二人が出会えば何かが変わる……
それは予感かもしれなかった。]
それがぁ大事なひとつめのお願いで……
もうひとつは、ねぇ。
[自らを指し示すように、右の手のひらでぽんぽんと己の胸を叩いた。]
──俺をこのまま、マルール王国の捕虜にしてほしい。
[まぁ現時点で既に捕虜なのだが。改めてのお願いである。]
属国とはいえ、俺は一国の王様だからさぁ。
俺が死ぬと、連邦としては面子を潰されることになりかねないんだよねぇ。
そうなると……色々面倒になりそうでしょ?
[そう考えるに至った理由は、軍議で聞いたナネッテの弁>>0:153にある。王国側に比べれば連邦は名誉よりも実利を取る性格だが、それでも名誉を傷つけられればいい気はしないだろう。]
あとねぇ…
俺さぁ、言われたんだぁ。
“敵を倒すよりも自分を守れ”──って、さ。
[あの時を思い出して、男は口の端に笑みを滲ませた。
それは友人であり先生であるローランドからのアドバイス>>1:32だ。]
だから仲間がきちんと戦ってくれるのを信じて…
俺は、ここに留まって自分の命を守っておきたい。
あとついでに捕虜になることで
マルールの国の雰囲気ってものも知ってみたい。
[多くのリンデマンス兵を犠牲にしてしまった悔恨は今なお在る癖に、我ながら全く身勝手なことだ。でも、]
…そういうものらしいからさぁ、 王様って。
[恥知らずでもなんでもいいから、生き残る。
それが───… 国のために、未来のために、なると…信じて。***]
/*
もう皆捕虜退場で良いんじゃないの?ってなるなにか。
[あっ、でも婆様は死にたそうな気配する]
あと『みらい』の新たな活用法wwww
前に出た時にも、「うん?www」ってなったけどww
そんな感想を抱いた寝起き。
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