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─ 前日 ─
[少し城下を見てくると言って離れた夫の眷属は然程の時間を置かず戻ってきて。
彼女の帰りを待っていたのだろう、まだする事があると言って入れ違いの形で夫は離れていった。
その背を二人で見送って、城下の様子を聞けないかと見遣った彼女の表情は普段のそれとは違っていて。
どうしたかと問う前に彼女から聞かれたそれは、思いもよらぬことだった。
思わず丸くした目を、緩く苦笑の形に細めた後伏せて微笑み]
いいえ。
我が君が任を受けて発つならば、不在を守るは私の務め。
誇りでもあるこの務めを、誰にも譲るつもりなどありません。
[そう答えながら、夫の眷属たる彼女の手を取ってその目を見上げ]
だから、貴女が行きたいと言ってくれた事。
私は行かぬと決めた場所で、あの方の力になってくれる事が、私は嬉しいのよ。
[真っ直ぐな瞳で告げれば、真実の言葉と伝わったのだろう。
安堵に緩む表情に笑みを深めると、己の桃髪を結わう組紐を解いて彼女の右手首に巻き付けて]
邪魔にはならないでしょうから、持って行って。
微力ではあるけれど、貴女の助けになれると思うわ。
[木行たる彼女ならば、組紐に宿る水の気も活かす事が出来よう。
少しでも力になりたいと託した思いは、相手から返された笑顔で確り受け取られたのだと伝わって。
その後は、彼女の持ってきた土産を見たり話を聞いたりして時間を過ごした**]
― 天上宮・門付近 ―
[一夜明け、夫と彼の眷属が門前に向かう。
自分は共に行かぬものの、少しでも近くで見送りたいと門の近くに留まって。
門扉を見上げれば、同じ様に見送りに来られている姿に温かな笑みが浮かんだ。
周囲を見れば、他にも見送りの姿が見えるだろうか。
夫や周りから伝え聞いている話から、朱雀神はこの場に顔を見せぬだろうとは察せるものの]
…そういえば、霊亀の当代様も地上へ行かれると聞いたけれど。
霊亀の君も御一緒かしら。
[夫やレトから聞いた話だけでも霊亀の現当主の人柄や才気は伝わっている。
自分が知る霊亀はかの大祭で会った青年だが、どちらにいらっしゃるのだろうと思いながらも視線は出立まで門前から外れる事は無かった*]
― 天上宮・門付近 ―
[門前に集う彼らを夫の長衣から広がる霧が包み込む。
一人残った朱翼も地上へと降りていくを見送ると、目を伏せて]
どうか皆、息災でお戻り下さる様に
[祈り込めた言の葉を紡ぐと、小さく息を零し落とした]
[その方と視線が合ったのは、祈り終えて瞼を開いてようやく。
>>+14先にこちらを見つけていらしたのだろう、歩み近付く青年に自分からも歩を進めて]
こちらこそ、随分無沙汰をしておりました。
霊亀の君…ノトカー様には御変わり御座いませんか?
[先の大祭のままの呼び名を言いかけ、彼の名を紡ぎ直した後。
ノトカーから続けられた言葉を聞けば、嬉し気に微笑みを深め]
いえ、こちらこそ霊亀様には並々ならぬ助力を頂いて。
良き縁も結んで下さったと、伺っております。
それと、もう一つ。
ずっとお礼を申し上げたかった事がございます。
…これは、ご当主様にもお伝えするべきですけれど。
[そういうと、居を正して頭を垂れて]
先の討伐の折、孔雀の護りたる近衛の一をお助け下さったこと、有難うございました。
彼の者は私の護り手でも御座いました故、私からもお礼をお伝えしたかったのです。
[言えて良かったと、嬉しさを露わにした顔を上げると青年に笑み]
夫達からご当主様がどのような方かは伺っておりますけれど。
何がお好きかなど、伺ってもよろしいでしょうか。
[お礼に何か差し上げたいのだと、言外に願い出た**]
― 天上宮・門付近 ―
[>>+19久方振りにお会いした青年は、初めて言葉を交わした時と変わらない誠実さが見える。
変わりはあったのかも、という言葉に含まれる想いは全て汲み取れる訳など無いだろう。
内に感じるものを失くした喪失感も、きっと察し切ることも出来ないけれど]
…大切なお役目を一つ、遂げられたのですね。
[何時かの大祭の折、何かを護る様に身を縮めて横たわっていた姿が思い出されて。
少なからず、彼が負っていた荷を下ろせたのだろうと労りを込めた言の葉を紡いだ]
[次いで、助力への感謝と礼は青年からも頭を下げられて。
互いに頭を下げているのが見えれば、何をしている事かと思われそうでだと微かに苦笑が浮かんだ。
けれどそれ以上に、この青年の言葉から当主に感じる微笑ましさに表情は綻んで。
>>+21お好きなものと挙げられたそれに、くすりと思わず笑みがこぼれた後]
では、お戻りになられるに合わせて焼き菓子でも用意致しましょう。
ノトカー様も、甘いものはお好きですか?
[彼の当主だけでなく、目の前の青年にも感謝を示したいからと微笑み問いかけて。
そういえば門扉にいらっしゃる方々はもう降りてこられたか、と視線を向けた*]
― 天上宮・門付近 ―
[>>+26返された笑顔は、いくつかの感情が絡まったものに見える。
深い安堵に染まった言葉に、どれ程の想いが込められているか。
その一つも零さぬ様に、言葉無く微笑みだけで受け止めた後]
良かった。
甘味は苦手な方もいらっしゃるから、聞いておきたくて。
[感謝の印にと挙げたそれには心良い反応を返されたけれど、自分もとは思っていなかったらしい青年の>>+28返答に微笑んでから]
ノトカー様、この後にお急ぎの御用はお有りですか?
[問いながら、門扉に居る蒼龍神達へと視線を向けたことで彼の方々も交えて話したいという意図は伝わるだろうか**]
─ 天上宮・門付近 ─
[視線を上に見上げれば、>>+31丁度同じタイミングだったのだろう視線が合わさった。
>>+30ノトカーからの答えにも返した笑みは、そのまま地に降り立つ蒼龍神、応龍当代に応じるものに代わり]
蒼龍様も、御変わりなく。
[>>+32妹の夫君であり、夫の友でもある神に頭を垂れて微笑む。
茶会の誘いは、場所も含めて否が浮かぶはずもなく]
私もお誘いしようと思っていた所でしたので。
喜んでご一緒させて頂きます。
[ただ話をするよりも、蒼龍神の花茶を囲んでの方が嬉しいのは当然のこと。
>>+34多少の遠慮は見えるものの誘いを受けたノトカーに、笑みは変わる事は無かったが。
茶請けについての意見を聞けば、少し思案をした後に]
でしたら、月餅に、あられなどは如何でしょう。
丁度城下の品が手元にありますので。
[昨日夫の眷属から渡された土産の中で花茶に合いそうな菓子を思い浮かべた*]
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