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[刃突き立て、何者かを呼ばう声。>>*64
地を駆ける雷電が赤に触れ、金色を生じさせる。
それに向けられる宣に、魔は僅かに眉を寄せ]
……中々に、面白いな。
使い魔駆使する者とも幾度か対したが、そのような技を見たのは此度が初めてぞ。
[白銀、否、今は金色に煌く姿に向ける声には純粋な感嘆の響き。
大地より引き抜かれし刃が構えられ、宣>>*65が大気を震わせる]
……そうか。
[零れて落ちるは、小さな呟き]
……お?
[低く零れた声が、ふと、『狂い桜』を引き戻す]
ああ、すまぬすまぬ。
何分、久々の事なのでな。
制御が飛んでおるようだ。
[笑って言う事じゃないはずだが。
届く気配は楽しげなものを帯びて]
文句は後でまとめて聞く故。
……いまは、眼前に酔わせておくれ。
[楽し気に笑む気配と共に伝えた後。
『狂い桜』が僅かなりとも鎮まる気配は伝わるか。*]
……なれば、受けてみるがいい。
滅多に見れぬ、じじいの本気だ。
[紡ぐ声音はごく軽い。
けれど、そこにあるのは狂気と熱の昂ぶり。
応ずるように、周囲の蒼桜が動きを速め、舞う]
……
月に狂い闇に酔い、紅散らして繚乱せよ。
[言霊に応じ、花弁は仄かな光を放つ。
全身に雷撃を纏いし者に触れたならば、如何な魔神もただではすまぬ。
ましてそれが、己が最上と見なす武神の眷属たるものであれば──尚の事。
蒼き桜の舞に託すは、その衝撃を逸らす事──では、あるのだが]
……喰い破るを望むのであれば。
如何な障害も、共に斬り裂き、喰らうまで。
『闇桜の魔』、蒼月。
……蒼桜乱舞、いざ参る!
[宣と共に、魔が駆ける。
間合い踏み込み、放つは横薙ぎ一の太刀。
衝撃を受けようとも厭う事無く右へと一気に振り抜いて。
振り抜いた太刀は後ろから下へと回し、同時、その場で身を屈め。
勢いつけて跳ね上がりつつ、放つは下からの斜め斬撃二の太刀。
次いで、振り上げし太刀を返し、金色の左の肩を狙い斬り下ろす三の太刀へと間髪入れずに繋げて行く]
[避けられるならば踏み込んで追い、弾かれようとも気迫と共に引き戻しつつ食らいつく。
その一挙一動に添うて舞いしは、蒼き月闇桜。
護りも兼ねるそれを持ってしても、金色の雷撃の与える衝撃の全てを打ち消すは叶わぬ事。
それでも、闇桜は止まる事はせず。
三の太刀返した後、最後の一太刀──四の太刀を刻むべく、呼吸を整える。*]
/*
しかし、なんだ。
勝っても負けても、終わった後にぶん殴られる気満々だな、うん……!
…………自きゃらに落ちつけ、と突っ込みたくなったのは久しぶりであるな、うむ。
...ハルト
[ 僅か、躊躇うような、間が空いた ]
覚悟は良いな?
[ けれど、届いた声は、常の如く、己の心のままのもの* ]
…………。
[美味しい。
単語は知っていても、自身と結びつかなかった感覚。
物を食する必要のない身では、口にすることはないと思っていたが>>+59]
美味しい。
ふむ、そうだな。そう認めても良かろう。
[そして蕩けるような、沁みるような感覚は甘いというもの、らしい]
未知なるもの、か……。
[異文化のなんとか、と護花は言っていた>>+55。
初めに触れたものがその感覚であったのは、僥倖であったか]
でも、私には、何も……。
返すことは出来ぬ。
[それでも、何処かそれを手にすることを心苦しく思い遠ざけるように。
氷華は届くか届かぬかの声で呟いた*]
それに“甘い”。
覚えて下さいね。
[含める様に告げる。
氷華>>+60が言葉にするのを求めている訳ではないので、伝わればそれで良いとばかりに。]
……、氷華様。
[と呼ぶのは、完全に心の縛りが溶けていないのか否かは不明だが。]
雪って綺麗ですよね。
人の暖かさを知れます。
全てを凍え付かせることは、私は人間だから駄目だって思いますけど、冬自体は悪いものじゃないって思いますよ。
どんな季節でも、
ずっと同じ季節だったら、私は飽きちゃう。
[ 蜜飴を分け合った氷華主従は、何やら新しい関係性に突入した気配が見える ]
ふむ、私の蜜飴も大したものだな。
[ 花神は、いかにも自分のおかげ、とでも言いたげに、胸を張ったが、同意する者はあったかどうか* ]
空から舞う氷の
冬に咲く柊の花も、
私は好きですよ。
[出来るかは分からないけれども、氷の六花。
否、氷の
もし巧く造れても造れずとも、それは氷華の目には留まったろうか。**]
『何』だと思ってたンだァ?
この、俺が、バケモノ以外の、
[なにに見えるってんだ。
黒い角を揺すりケタケタと嗤いながら、ガートルートは左手首を伝い落ちる赤を舐め取った。
右手を地に着き巨躯を屈めたまま、爛々と光る琥珀の瞳がナネッテを睨め上げる。
しゃら、と澄んだ音。
彼女が右耳に触れる>>*80。何かが揺れて、きらりと柔く陽光を反射した。
壊されるもんか。
強い意志と闘争心を宿した声。>>*81
ああ、なんて愛おしい。その輝きこそ、我が力。我が魂。]
『ここより先には、何もない』。
[ぽつり、小さな男の声が落ちた。右手を地から離し、左手をだらりと垂らす。
依然低い姿勢のまま、右腕を大きく後方へ逸らすと、途端、後方へ置き去りにした戦鎚がカタカタと揺れだした。
否、戦鎚だけでは無い。砕いた地面や、あたり一面にある大小様々な岩の欠片が、震えながら宙に浮く。
バチバチと雷を纏う戦鎚。
強力な電流が、磁場を生んで鉄を含むこの地の石や礫を引き寄せている。]
我が名は、《
[応じるように、ガタン、と大きく揺れた戦鎚が浮き上がった。
男が高く右手を掲げる。天を向く掌の上、見上げる高さに浮いた戦鎚。引き寄せられた石や礫が貼り付いて、巨大なニ叉槍じみた形を成してく。
緋色の獣が、牙を剥いて笑った。
琥珀の瞳は数尺向こうの紺青を捉え、やがて上体を大きく反らして振り被る。]
────《
[怒号と共に、破壊の槍が放たれた。*]
良いわよ、好きにやんなさい。
…私も好きにやるわ。
[紡いだのは先とは逆の意を乗せたもの。
次いで、何かを思いついたかのような声。
ゆらりと、己が身に流れ込み溜め込んだ熱を、誰かさんの首根っこを掴むように意識で握り込んだ*]
溜めきれないなら吐き出せば良いのよ。
[耳飾りから右手を離すと、瞳を瞑り、ナネッテは左頬に指先を添える]
そんなに暴れたければ…
[次いで耳飾りが下がる右耳の耳朶に触れ]
暴れさせてやるわよ。
[最後に額に右手の指先を当てた]
存分にね……!
[ドクン、と身を蝕んでいた熱が胸へと集まり始めた。
零れ落ちる紅が、ひらり、はらり、と薄紅の花弁へと変わる]
この程度で潰されると思わないで……!
[目の前の獣ではなく、何か別のものへ語りかけるような声。
零れ落ちた薄紅の花弁はその数を増し、ザッ、とナネッテの周囲をうねり取り巻いた]
私は………負けない!!
[言って、キッと目を見開く。
荒れ狂う花弁の奔流。
それはまるで『狂い桜』の如し]
[めったに見れぬ本気。>>*85
そう口にし、対する魔は蒼桜を纏い、舞を見せる。
駆ける魔の斬を受けるは、雷電纏いし金色の獣>>*86。
花びらが、刃が触れる度、青年の纏う金色は眩い火花を放つ。
初撃には、護手を添え、ほんの僅かに軌道を反らし。
一歩後ろへ踏んだステップを追いかけられた二撃目は、ホルスターから抜いた銃身で軌道を弾かんと試みる。
そして、三撃目。]
ッぐ、
[左肩を辿るワイヤーと、降ろされた刃が一瞬掠め、ひときわ大きな火花が散る。
バチバチと、太刀を巻き込みながらスパークが弾け、同時に男の肉体へと刃が斬り込み、それに耐えるような声を漏らした。
しかし、怯むわけにはいかない。
至近距離へと近づいた相手、既にこちらにとっても間合いの内。
男の右腕が、踊るような動きで獲物を捕らえる。
防御の構えは捨て、渾身の一撃を。
ギン、と男の瞳が金色に燃える刹那、己の牙とする鋼の刃が届いたと思った瞬間、大木をも一撃で倒す雷が、サーベルを伝って流れ込まんと暴れ出した。*]
……ふん。
[含めるような言葉>>+62を口には出さず、ただ確かに聞いたと答えるように呼気の音を漏らす。
そこに掛けられる、主君としての名を呼ぶ声>>+63]
急に何を言い出すのだ。
[急にと言っても、自身の呟き>>+61を受けての語りというのは聞いていく内に知れたか]
そなたの世界にも、雪はあったか。
[しかも語られるそれは、氷華が思うような、全てを凍らせる苛烈な冬ではなかった。
綺麗だと語られるそれは、少女自身が区別したように、穏やかに降り積もるようなものであっただろう]
冬は耐え忍び……通り過ぎるのを待つだけの季節。
そうしたものだと思っていたがな。
[厳冬司る神として、敢えて明確にしてきた意味づけ。
しかしそれとは異なる一面に、少女は意味を見出しているらしい]
[好きだ、と、少女の口から紡がれる言葉>>+64。
仕方ない、や、必要だ、のような消極的な肯定でなく]
[そして少女は、胸の前へ持ち上げた両手の間に、小さな結晶を生み出した。
自然現象としての六花でなく、そこに生まれたのは歪な四花]
もはやそのような力は、残っていないと思っていたがな……。
[蜜飴の力か否か、既に右肩の傷は塞がり腕は自由となっていた。
その両手を、少女の両手の上へ翳すように差し出す]
それは、このようにして生み出すのだ……リリ。
[呼び掛けと共に、少女の手の上にはらりと落ちる、氷の柊花*]
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