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― 回想:墓場 ―
[いろいろあって()
元領主の墓に辿り着いた。墓は1(3x1)
1.綺麗に手入れをされていて花も供えてあった。
2.綺麗に手入れをされていたが、花はなかった。
3.苔むしていた。]
[屋敷周囲の不穏な気配を感じないほど鈍くはない。
使用人達が慌てて領主に耳打ちをする。わかっているの意を示して手をあげる。]
お前らは普通にしてろ。
俺だけでいい。――あ、あと例の書類持ってきてくれ。
[使用人が大慌てで、指示されたものを執務室から取りに行く。
さて。はっきり言うと大した実戦戦闘能力はない領主である。
穏便に済ませる方法は、二つあるが。
向こうの出方次第というところか。]
あ。
[小さくやべ、と声に出して。]
タッくん、ちょっと行ってくる。
[念のために旧友に手を振って、イングリッドを探しに行った。]
お洒落な恰好…ですか。しかし、生憎アタシはそんなに私服がお洒落ってわけじゃなくてですね。
[ドギマギしつつ、落ち着きを取り戻そうと努める。]
まぁ、「偶になら」いいですよ。本当にごく偶にですけど。
[彼女がこういうことを許容したのは初めてのことだ。ゲルトやクレステッドがこの話を聞いたら耳を疑ったことだろう。]
[領主の気まぐれでローゼンハイムの去った記念にと皆に引かせた薔薇よりも、
真っ赤に染まった彼女の頬に、年甲斐もなく頬が染まる。
まるで、初恋に惑う少年だ、これでは。>>249
震える声に可愛いな、と思う。
よく領主の館には足を運ぶが、普段とのギャップにくらりと酩酊。
領主に先程揶揄されたが、確かに自分はこの女性を好ましく思っていると。
そう、自覚してしまった。]
どういたしまして。
[告げる言葉もきっと、色惑うものになっていたろう。
傍目から聞けば、甘さすら宿ったものに。]
そうだとしても、普段の休日の貴女も見てみたいものだ。
……その偶に、期待しても良いですか?
[笑み見せる彼女に此方も柔らかく微笑んで。
その偶にの恰好も、普段の私服姿も見てみたい、と。]
―レディ・タイクーンについて―
イングリッド=アルムグレーンの「過去」は、そこらの探偵でも調べれば簡単に辿り着くことができる。
1:スウェーデンの片田舎の出身で、両親は貧乏農民。
2:デンマークのある政治家の隠し子。
3:ノルウェー出身。幼い頃に両親を事故で失い、孤児院育ち。
4:フィンランドの名門軍人一家の出身で、自身にも軍歴あり。
この4つの出自の全てに対し、ある程度の信憑性のある証拠や証人がおり、一方でそのどれもが決定打にはなり得ない。
端的に言えば、イングリッド=アルムグレーンの「本当の過去」は、謎に包まれているということだ。
先代アルムグレーン鉱業社長の養女(とは名ばかりで、実際には情婦だったのは周囲の誰もが知るところである)となり。
その先代社長と正妻、実子がまとめて「事故死」したことで社を受け継ぎ。
その後、豪腕辣腕により社を先代の倍以上の規模に成長させた手腕は、裏社会を知る者なら誰でも耳にしたことがあるだろう。
とはいえ、彼女が持ちうるのはあくまでも、どこまで行っても――
現実的な「権力」「財力」「暴力」の範疇だ。
年齢不詳を公称しているが、実のところ外見とそう大差はない。
世の女性が必死に努力するのと同程度の情熱をもって、アンチエイジングに勤しんではいるが、不老の話に一も二もなく飛びつくほどに切羽詰まっているわけではない。
彼女が他者と違う点があるとすれば、ただ二つ。
「悪人の資質」に人より長け、そして「悪人の才覚」はそれよりなお長けていた。
ただ、それだけのことだ。
[彼女と話をしていれば、クレスから手を振ったのを横目でとらえる>>250]
(やっぱ″おいた″が過ぎてるんだろうな、レディ・イングリッドは
……わかってますよっと)
[さり気無く窓辺に体を寄せればこんこんと後ろ手に窓を叩き″影″に合図。
後はこの国の公安部に任せる事にする。
少なくとも――招かれざる鼠達を足止めすることくらいは。できるだろうと。
間に合えばの話ではある。]
(一人は危ないよな、念のため領主にも影を1つしのばせておくか)
[潜む影の1人に合図をすれば、またガートルードとの会話に戻る。
此の館の周囲の暗躍、さて止められるか、どうか。]
/*
ホテル・モスクワレベルだと公安でも無理な気がするよ!>>257
むー、誰かフリーの人いないかなー、イングリッドさんにとエンカしたかったけど。
タクマさんとガートルードさんの桃ロルをによによ見守るとしよう。
ギャグキャラだから、シリアスな雰囲気になったら引っ込むよ!
[>>257が忍ばせた影に、おや、と首を傾げる。
過保護だなあ、と思いつつ。
実力行使に真っ先に出られたら困るのは困る。
コツ…コツコツ。独特のリズムで窓を叩く。念のために屋敷周辺に配置されているであろう武装集団への迎撃のために。
面倒なことになるんだったら、もっと早くレディと話しておくべきだったか。
ここに至っても領主は暢気だ。
あの鉱脈の秘密を知るのは、おそらく自分の他は――この場ではタクマぐらいだろう。]
やあ。リッドちゃん♪
[さて。お目当てのレディを見つければいつものように軽薄に挨拶をしただろう。]
―或る呪われ者の追想―
自分はとても恵まれていると領主たる男は感じている。
もうすぐ――領主でなくなるが故に、噛み締める。
永久的な平和の影には、闇が潜んでいるものだ。
永世なる中立国、脅威の軍隊がいるように。
この小国の平和は、現代社会には似つかわしくない、魔術式方法で他国からの武力行使や各国への圧力を除外させてきた。
主国の平和維持のために、作られた金字塔。
呪い《まじない》による瘴気の呪い《のろい》
それを集約しているのは、ある鉱脈であった。
金字塔はこの鉱脈の鉱石をふんだんに使われているため、繋がりやすく、その場所を起点として呪詛を施すことで、首都への弊害を防ごうというものであった。
どれほど以前から行われているかは知らない。
見兼ねたひとりの術者が、一身に呪いを受けると申し出た。術者おそらく、浄化の自身があったのだろう。
結果として術者は早死にした。――媒介となった、黒い宝石の指輪を残して。(>>0:219)
―或る呪われ者の追想―
その指輪こそが陰惨な歴史の始まりでもあった。
術者の指輪は身に着けるものに呪いがいくように見事な術式が施されていた。
――丁寧なことに。領主として祭り上げられた彼に『継ぐ者』へ呪いは蔓延していく。
領主は次々と非業の死を遂げる中。領民の変死は激減した。
領主とは名ばかりの人身御供となりつつあったのが何代続いたか正確にはわからない。
領主を継いだその日に死に瀕した者も居るらしい。
クレステッド。否――ウィルフレッドの先天的呪術体制は主国にとっては暁光であっただろう。
事実、そのためにウィルフレッドは育てられた。(>>2:158)
見出された資質は本当だったのだろう。歴代領主とは違い、ウィルフレッドは呪詛により死ななかった。就いてから肉体の時が止まり永い永い時領主の座に就き自由領を安定させ、養父から授けられた名すら捨て。
多くの者に置き去りにされて、なお。恵まれていると、感じられる。
―移動中―
[日が暮れる前に館に戻ろうと、足早に歩いていれば。
前方から現れたのは、なんと領主で>>258]
あらクレス。あなたも散歩?
これから戻ろうと思ってたところなのに。
あたしがそんなに恋しかった?
[超常の技など持たぬ身では、領主に完全に気取られている>>258とは想像のしようもなく。
しかし言葉からは、牙を潜めていることは微塵も感じさせない様子で、おどけてそう尋ねた]
―或る呪われ者の追想―
かけがえのない友を得て、単なる口約束を実行してくれていることも。
屋敷に雇っていた使用人の娘が今は見習いをして、自分に好意的なこと。
赤毛の青年のように、忌避しながらも露骨には避けないでいるだけでも。
向かいの植物学者が特に何を思うでもなく普通に接してくれることも。
門番二人は、不真面目と真面目で釣り合いが取れていたと、今でも領主は思っている。
靴屋の主は気付いている兆候はないが、逃げ出すためという謳い文句の靴を快く作ってくれている辺り信用されているのだろう。
鉱脈の利権を狙う、レディも可愛いものだ。薄々感じていながらも分を弁えているところも好ましい。
だから。――――愛するこの地を離れるのだ。
黙って身辺整理をしていることが露見されたら(書類処理>>0:156)と、旧友や使用人見習いの少女とその母は怒るだろうな、と想像だに難くない。
金髪の門番のような、置き去りにされた者の悲哀を見れば身勝手なものだというのはわかっていた。(間違っても彼らはあそこまで露骨な方向には走らないだろうけれど。)
―或る呪われ者の追想―
この地に渦巻く呪いの根源を受け(>>2:161)
次代の領主が呪われることが無くなった時。
この国にとって、クレステッドは邪魔な存在へと変わる。
濁り凝った水が溜まった器が、いつ零れるかもしれない。
クレステッドは主国より「呪いを一身に引き受けた貴君の勇敢さは讃えるが、領主の座からは退いて貰う。後の隠居の手配や安否は保証する」と言った内容の密書を受け取った。
しかし。金字塔の最高位の導師たる従弟が先だっての借りを返すためにと密かに伝えられた主国の目的。
クレステッド=ローティナーを、暗殺すること。
クレステッドの存在そのものが、主国の歴史の影ともいえる。
呪いを一身に受け続けた男は、主国にすれば呪いの根源を断ち切れば最早用無し。安否の保証などまっ赤な嘘だというリークを従弟より受けた。
――それでも呪いの根源を絶ちきるか。
―或る呪われ者の追想―
問われたものに迷いはない。
クレステッドが生きている間は、領民に変死はほぼ起こらないだろう。
だが、クレステッドは、「不老」であって「不死」ではない。
いつ死ぬかわからぬ身であっても――おのれの死後の領のことを思えば迷いなど無かった。
―或る呪われ者の追想―
(だからってまざまざと、言いなりになって殺されてなどたまるかよ…)
主国を欺くために、首都にいる従弟との綿密な連携が必要となる。
呪いの根源を男の身に引き受け、なおかつその後の逃亡を謀るための絶対たる条件は、三つ。
一つ 領主を辞めること。主国を欺くためにも儀式作法をもってして、瘴気漂う鉱脈で行うこと。
二つ 出奔することを誰にも悟られないこと。……これは従弟の意地悪な気がするが。
三つ 上の条件を満たそうとも。呪いの根源を引き受けた以上、クレステッドは永続的に不老と成り得る可能性が高いということ。
迷いが、無かったといえば嘘になるだろう。
本当は、俺は、この地で生きて、生きて……人である内に人としての感性を喪う前に人として死にたい。その望みは贅沢だろうか。
[タクマには既に命が下されてるかと言えば――彼の旧友がおのれの側の人間であることなど主国も勘付いているだろう。
他の暗部が動くか、それともタクマ自身で突き止めているかは定かではない。
ぼんやりとそんなこと考えていると、目の前に目的のレディがいた>>262]
やあ、リッドちゃん。
探したぜ。ちょっと、おいたが過ぎるんじゃない?
今からでも、屋敷の周りの物騒なのを、帰してくれね?
[いつものような軽い口調で、いつものような笑みで話し掛ける。]
/*
この辺の設定、つづさんキャラ汎用って感じねぇ。
金字塔、わかりやすく言うとピラミッド。
ヨーロッパでピラミッド!? と思ったけど、調べてみたら「ボスニアで12000年前のピラミッド発見か?」とかって記事があってびっくり。知らなかった。
[何を言い出すかと思ったら、いきなり核心を突かれ>>268]
なんのこと……?
ってやり取りは、時間のムダみたいね。
驚いた。あなた、魔法でも使えるの?
[この国の司法権力を侮っているわけではないが、だからこそ部下たちも自分も入念に注意して行動したはずだ。
にも関わらずこんなに早く捕捉されるとは、完全に予想外だ]
別に、あなたをどうこうするためのものではないんだけどね?
あなたの次の領主になった人とビジネスのお話をして、それが決裂した時の「包括的な交渉」のための準備よ?
酷な言い方をすれば、その時点でもう領主じゃないあなたには、関係のない話じゃない?
[はいそうですか、と大人しく引き下がるわけもなく]
[公安からの命は来ている。領主であるクレステッドを殺害せよと。>>268
忠誠の方をとるだろうと、上の方は思ったのだろう――ふざけんな。
長き時を生きる友を支えたいとこの職に就いたのだ。其れを殺せと?糞喰らえ。
幸い部下にこの領出身は多いしクレスの統治も、知っている。
此の屋敷の影として配置しているのはそれら含めた自分の腹心だ。
彼の敵、ではない]
(一人で何とかしようったって無茶なこたぁわかってるだろう?
……たった1言。相談してくれたなら
俺は何としても逃がしてやるのに)
[彼が従弟に出された提案知らぬまま。
そんなことを考えていた。]
レディ。俺は君のその熱心なとこは気に入ってたけど。
土足でずかずか入ったらいけない領域ってのはあるもんだ。
今のところ、俺は領主であり領民を守る権限がある。
既に手配をされているものを見過ごす領主がどこにいるかな?
…俺は綺麗に次に領主を引き継がせたいんだよ。
分相応は弁えてるだろ。
イングリッド=アルムグレーン。
[酷く、冷ややかな声が目の前の女性に刺さる。]
お前はね。
俺の領民じゃない、そして他の次の領主候補は俺の領民だ。よく改めて知って返答しような。
[取り出したのは、先ほど使用人に取り寄せた。
鉱脈の利権書だった。]
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