[ 人狼をも食い殺す変異体──スルト>>1:11>>1:12
実験を受け、この身にガルーが宿って数年後のこと。
僕がガルムに所属していた頃。
フェンリルの方で騒動があったのは有名な事件であり、
僕も実験経過観察を兼ねてムスペルヘイムへと
捕獲隊の一員として駆り出されたのだから。
結果、逃げた被検体を発見することは出来なかったのだが。
見知らぬ間にすれ違っていることはあったかもしれない。
──その子が可哀想、だとは思っていた。
その子が生き延びて、その先に幸せはあるのかどうか。
様々な思いを張り巡らせていたものだが。
──当然、目の前の男がそれであるとは知る由も無い。]