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――……ああ……、
[――繰り返される謝罪の言葉に、ようやく理解する。
彼女の涙の理由は――どうやら、この自分のようだと。
彼女の死と連動して、自分が死んだ。
彼女はそのことに、責任を感じているのだろうと。
それは正確ではなかったが、間違いというわけでもなかった。
ただ、彼女の抱く後ろめたさまで察せられるほど、男の人生経験は多くはなく。
それでも、彼女が抱く感情が、謝罪と罪悪感だけではないことは。
――自惚れてもいいのなら、傍にいてほしいと望まれているのだとは。
俯き、嗚咽し、謝罪を繰り返しながらも。
――伸ばされた手が、示していただろうか]
……アリーセ、アリーセ。
きみが謝る必要は、どこにもない。
[男の服を掴んだその手に、そっと触れる。
離されなければ、そのまま、己の手を重ねただろう]
――ああ、そうだとも。
きみから謝罪を受けている理由が、私には判らない。
たとえば、そう――、
自分が死ねば私が道連れになると知っていて、
そのうえで自ら命を絶ったというなら話は別だ。
それは世にいう無理心中というやつで、
万が一、そうだったとすれば、それは確かに謝罪を受けるに値する。
[けれど、と]
だけれど、そうじゃない。
そんな状況でなかったことは、私だってよく知っている。
[そもそもの大前提として、彼女が命を落とした原因は、人狼という災厄だ。
それに、彼女だって、二人の命が連動していることなど想像さえしていなかっただろう]
きみとの不思議な繋がりが、私を殺したわけじゃない。
きみと私の二人を、人狼が殺した。ただそれだけだ、アリーセ。
私の死について、誰かが私に謝罪するとすれば、それは人狼以外にいないのだ。
[だから、謝る必要はないと、繰り返して]
それに――……、
[少し迷ってから、続きを口にする]
――悪くない死に方だと思っていてね、正直なところ。
私はずっと、研究ばかりで生きてきて――、
長いこと、他人と深く関わらないようにしてきたのだがね。
他人との会話が楽しいものだと、きみのお陰で思い出せた。
誰かともっと話したいなどと思ったのは、いつ以来だったかな。
人間らしいうちに死ねたのは、むしろ。
良かったのかもしれないとさえ、思えてね。
[でなければ、どうなっていたことかと、苦笑めいた表情を浮かべ]
――あのまま研究のためだけに生きていたら、そう。
昔の友人は死に絶え、教え子の教え子のそのまた教え子さえ見送って。
感情なんて枯れて果てて、ただ研究を進めるだけの機械になって。
二百年か三百年か、どれだけ先になるかは判らないけれど、
ようやく死んだかと学会で清々される、そんな死に方だったろう。
[一度、息を吐いて。だから――と]
私はこの死を、嘆いてはいないよ。
だから、アリーセ。
どうか、私を巻き込んだなどと、気に病まないでくれ。
[自分のことで彼女に心労をかけるなど、ましてや涙の原因になるなど、御免だった]
きみと繋がったまま、きみと同時に逝けた。
死んだあともこうして、きみと話せている。
本当に、悪くないと思っているのだから――、
ああ、もちろん――、
きみの憂いを晴らせるなら、もっと良いとは思うけれども。
[そのために自分になにが出来るのかは、判らないけれど――**]
/*
「なんかおかしなことを言いませんでしたか、今? 歳、いくつ……」
「うん? xx歳だが……?」
「ミルー!!! どういうこと!?」
そんな光景が一瞬浮かんだ。
……なら、良かった。
[――涙はまだ、その瞳から、消えてはいなかったけど。
それでも、笑ってくれた彼女(>>+15)に、穏やかな喜びがじわり滲んだ]
生きていてほしかった――か。
だけどね……それは、私も同じだよ。
私だって、きみには、生きていて欲しかった。それは、お互い様だよ。
……それに、私だけ生きていても――な。
[――男にも、後悔はあった。あのとき、そのまま燃料を受け取りについていけば――、と。
あるいは翌日、あの日に、彼女がひとりで行動することもなく、運命は変わっていたかもしれない、と。
けれども、そんなIFを考えても仕方がないから――、]
どういたしまして――こちらこそ、ありがとう。
[彼女の言葉に、諸々の感情を込めて、そう応じて]
うん――……、きみの涙も綺麗だがね。
やはり、うん、まあ――笑顔が一番、魅力的だな。
[とは――さて、口にするとき、視線を合わせられただろうか*]
/*
バトルはなー。
慣れてないとあれだが、
拘束系の行動はむつかしいのだぜ。
受ける側にとって、1か0かの場合が多いから。
/*
……そういえば、うちらNルームの前にいるが、
室内では殺し合い真っ只中なのだったな……、
……どこか、動く、か……????
[――戻ってきたのは、ごにょごにょと不明瞭な言葉(>>+34)ではあったが。
だけれど、彼女の手に込められた力は、言葉以上のことを語っていたように思う。
だから――だからこそ、あの件にはきちんと片を付けておく必要があると、そう思った]
――……、アリーセ。
これからする話は――おそらく、する必要もないことなのだとは、思う。
たとえ切っ掛けがどうであれ、これまで伝えた私の気持ちに嘘はないとも、先に断っておく。
[けれど、男は事実を重んじる科学者であったし、
過去の経験ゆえか、異性関係においてはあまりにもフェアを重んじていた]
私はね――少しだけ、不思議に思ったんだ。
私たちは、あのレストランが初対面のはずだ。
だのに、どうしてこうも、きみが私に好意を抱いてくれているのかと。
[――本当に、必要もないプロセス。
けれど、それでも、自分だけが気付いているのでは、フェアではないと]
客観的に、私は奇人と紙一重の研究者だ。
容姿や話術が特に優れているわけでもなし、
外見年齢だって、きみより幾らか上だ――なのにだよ。
[自虐的、ではない。単に事実を述べているだけという口調で]
私の側もね、同様で――、
若い頃に色々とあって、他人に興味を抱かないようにしていたんだが――、
その、まあ――……このとおり、きみと一緒に死ねたことを喜んでいるくらいだ。
[苦笑混じり、そう言ってから]
……きみは――、"自分の死体”を見たか? あるいは、私のそれは?
[――見ていないはずだ。アキレアの言葉を信じるならば、だが]
妙なかたちの痣がね――全く同じ場所にあったんだよ、私たちの。
それに加えて、あの……頭のなかに直接伝わる、あの言葉の繋がり。
[観測した事実を、そう前置いたうえで]
……私たちの出会いには、何らかの干渉があったのかもしれない。
私の専門ではないが……そうした推論が導かれることは、否定できないと思う。
[そう、言ってから]
私は――きみの、なんなのかと。
そう、きみが連れていたアキレアに問われた。
私は、答えられないと応じた。アリーセに聞いてくれと。
[小さく、息を吐いて――]
いま、私が話した推論を聞いた上で――……、
きみなら、アキレアの問いにどう答えるか、聞かせてくれないか。
[フェアを志すなら、ここで言葉は止めておくべきだっただろう]
――私は、たとえ最初の切っ掛けが、何であったとしても。
いまこの瞬間、きみのことを大切に思うこの気持ちは、
何かに影響されたものではないと――言いきれる、のだが。
[付け加えてしまったこと自体が、気持ちの現れであっただろうか*]
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