[ ただでさえ白すぎるような肌から血の気が引く。>>177
何を考えているのか、深くまで汲み取れはしなくとも、
かつて守りたいと願った"彼女"を前にして学者は、
ぱちぱち、と二度ほど手を打ち鳴らしてみせる。 ]
…どうして僕が君に正体を明かしてまで近づいたか…
簡単な話さ。君のそんな全てに"絶望"した顔が見たかったんだ。
合格だよ、カレル。…でも、ねえ。まだ足りない。
[ 艶やかな唇の表面にぷつりと血の滴が浮く。>>181 ]
ショックだったかい?
僕が躊躇いもなく三人も――いいや、
今までに何人も何人も人間を手にかけてきたような、
血に狂った化物だったっていう事実が、ショックかい。
今日や昨日の話じゃあないんだ、
君とこの船で出会う前から、ずーっと、僕は人狼だったのさ。
[ まるで愉快な打ち明け事でもするようなネタばらし。
彼女の透明な内臓の何処に刃を突き立てればいいのか――、
最も、残酷に甚振ることが出来るのか、この獣は知っていた。 ]