情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
……――この水は、聖水だ。魔にも変じる特殊なもの。
俺以外は普段触れられぬぐらい貴重だ。
[余りにも近いがゆえに、映し出せないもの。者。
生きている。繋がりが深い故にそんなことは知っている。けれど。
パシャリ
手にしていた、鉱石ひとつを水鏡に投げ、波紋を打ち消した。当に映らないと知りつつも。]
余計なもの視せてくれる。成る程。道化師だな、貴様は。
[じろり、と険呑な視線を送りつつ、金髪の道化師に近寄る。]
……良かろう。
対価としては十分だと認めてやる。媒介を寄越して貰おうか?
[不穏な気配を漂わせたまま、導師たる男は承諾した。]
愚者は、自由に発言できる権利を生かし主君に対し洞察と助言を行う、か。
[伶俐な眼差しで、金髪の道化師に微笑みかけた。
白衣のような衣装の、胸ポケットの中へと手を入れる。]
必要が無い。俺は生まれながらの王だが、王ではなかった。
おのれの本分を忘れるようなことなどない。
[タロット『隠者』のカードを、道化師へと投げつけた。]
突き求めるものは変わらぬよ。
[塔の最高権力者にして元老院に席を列ねるもの。
直系一族を追い落とし、当主にのし上がった導師は、嗤う。]
ふん。俺を誰だと思っているのだ、愚か者め。
いいからとっとと寄越せ。
[これぐらい造作もない。
誇るでもなく平然と口にして、手をだしたままだ。]
……一ついいことを教えてやろう。道化師。
[ほんのりと機嫌が良さそうに、権力者は言う。]
今の能力は君の能動的資質よ。俺に引き寄せたことで眠っていたものが開花したのやもしれんな。
まあ、それも。この術式の凝った結界内部でかつ、触媒に聖水が必要なようだが磨けばもっと使えような
露見されればこの国に囚われるほどのな。
[俺は好きでこうしているがな、と引きこもり上等宣言しつつ。
とっとと出せ、と焦れたように言う。]
頭の中まで空っぽなのか、貴様は
まあいい。とっとと終わらせてその面、失せろ。
[手紙を受け取り、封を開く。白衣の袖に入れていた試験管のコルクの蓋を
がりっと歯を立てて開き中身をばらまいた。]
[導師と道化師の真上に、不思議な文様の陣が浮かび上がる。
透明な液体は、黒から朱。朱から青。青から紫へと変じていく――。
手に持つ触媒たる紙が蒼白く燃え上がり、火の粉となって散っていった。
聴き取れない音域で祝詞をあげ、魔法円が象られる。]
レメゲトンを継ぐ者として命じる
開け、東の監視人よ 力強きアドナイよ 猛きエル
紅海に濡らすことなくわたられたかた
金のWの円。
神名イエホヴァ
金なる精霊スキー エリ アイブ
――――同調し服従せよ!
[不思議な音域の詠唱とともに散った火の粉が、金髪の道化師の目前に集約された。
――――蜃気楼のように映し出されたのは首都の片隅にある、白い建物だ。]
……なんだ。つまらん。
[何事もなかったかのように、黒髪の男は呟く。
最初に呟いた不思議な祝詞のような音域を口にして――
ぱしり、と。一瞬小さな雷が走ったかと思うと部屋の様相は元通りに戻っていた。
名残と言えば――試験管の中身が空っぽになったことと、金髪の道化師の手に白い炎のようなランプが握られていたことだった。]
君の探し人は首都にいる。今のは視えたな? 霊的視角ぐらいあろうよ。
そこにいる。思念は衰えてない。生きているな確実に。
[さらっと告げる。道化師には興味を無くしたかのように、様々なものが陳列する棚の方へ歩き出した。]
隠者《ハーミット》は真理の探究者にして世界を突き詰める者よ
[金髪の道化師が言わんとすることを容易に察し、不敵に笑む。
王冠など戴かずとも、彼の導師は宝冠を手にしているのだ。]
ふむ?特に俺は構わない。
俗人どもに見つかっても知らぬがな。術資質のある者は重宝されるが…故にこそ、囚われる。
[特に惜しむでもなく試験管とフラスコを交互に見――フラスコに水鏡の水を入れた]
(59)
[陳列されている棚から、無造作に薬瓶を取り
再び道化師の元へとゆったりと戻った。]
理解など、世の理の前では些細なものだ。
――さて用は終わったな道化師、とっとと去ね。
そのランプが、君の探し人に導く。
以上だ。もう逢うこともあるまいよ。
従兄どのに、『貸し二つだ』と伝えてくれ。
[薬瓶の中入れてある、不思議な文様の硝子のごとき透明な石。先ほど導師が作り上げた陣に似て、似つかぬものが描かれていた。]
木なるXの円よ――。
[短い詠唱。不思議な音階もほぼ省略し媒介の力を引き出す。
パキィン
透明な石が割れると共に、金髪の道化師の足場が崩れ落ちるような錯覚が起きただろう――。]
――耳障りな連中め。
[にこり。穏和な笑みは崩さぬまま。
王と評された黒髪の青年は、穏和な笑みを浮かべながら
手にしていた小アルカナ。棒のスートの「1」たるカードを、手首で反転させる]
レメギスゲトン
顕現せよ――。
[簡易な詠唱をして目を瞑る。
『逆』位置のカードが紙吹雪のように舞い瞬きの間だけ陣のようなものを創り上げた。]
人の領域で小うるさい。――貸しを返せる算段が来たら来るのだな。愚か者の従兄め。
それと、道化師よ。
[価値基準は様々。塔の主にとって対価は同等でなくても気に入ればそれでいいだけだ。]
二度と逢うことはあるまい、と言った
直後に何が「またね」とはいい度胸だ。
[来れるものなら来てみるがいいとも。
道化師たる者に興味はなく。
彼にとっては単なる戯れ言。
塔の最高権力者はあとは素知らぬ顔をしたまま、最上部の奥へと足を向けた。**]
―???―
変人の周りには奇人しか集まらないのだな。
[目線は姿見の様相をした鏡を片手間で眺めていた塔の権力者は呟く。ごく当たり前のように。
本を閉じて黒い布を姿見に無造作に掛ける。]
隠者の王様、か。言い得て妙よ。
君の”触れ具合”見定めさせて貰おうか?
道化を気取った者か真なる道化師か。
[古来より王と道化師は切っても切り離せないものだとされている。
隠者の王と呼ばれた彼が、金髪の道化を見定めるのもかすかに楽しげに――だが期待など微塵もしていないような冷えた瞳で。
これもまた、隠者の王と称された男の一興にしか過ぎないのだ。
後には何事もなかったかのように、本をひらいた。
真っ白な本は見えないペンで走り書きされているかのように文字が浮かび上がる。導師たる男は、ほう、とかすかに興味を寄せたような声を漏らした。
――どこかで”余興”を見つけたような、伶俐な笑みを浮かべて。*]
―領主の墓場(>>4:236)―
[鼻歌まじりで墓を綺麗にしている。
いつものようにこの世のものではない親友と、話をしていた時だったろうか。]
え、いやだからさ。お嬢には少し寂しい思いさせてっけど
ここの仕事実入りもいいし、結構、色々変な伝手があるんだよな。ここの領主サマ
[などと話し込んでいたら、ペンギンの着ぐるみを来た親友がすっと消え失せた。
黒いフードを被った墓守は、それで人が来たことを察する。]
おやまあ。
これはこれは、領主サマ以外の客人は久し振りだな♪
俺はここの墓守。何やってんの、お前達。デート? デートか?
[何やら墓場には似つかわしくない、明るい笑顔の男がフランツに話し掛けた。]
―主国:元老議会一室―
[元領主が小国から抜け出して数日後のことだった。]
待ち侘びたぞ、昼行灯
[開口一番に、尊大に呟いた。黒い短髪に、冷ややかな青瞳。
若干27才にして、十二列席ある元老院にて八席目に列なる者。
黒を基調とした、元老議会の正式な洋装に――襟元には杖に巻き付く蛇があしらわれたシンボルのバッジ
小国の最重要機密である金字塔。その最高位たる『導師』の称号を戴くことを意味する。
元老院に席を列ねる者にして、術士を束ねる金字塔の最高権力者。
自由自治領をこよなく愛した領主の、正真正銘の従弟だ。]
従兄殿は無事他国に渡ったようだぞ。良かったな。
[揶揄るように、言う。その従兄には似つかぬ冷ややかな瞳には暗に色々言いたいことがあると含んでいた。]
この親にしてこの子有りとは良く言ったものだな。
素性を隠した先で、まさか貴様の愚息と遭遇するとは思わなかったぞ。
[黒壇の華美な椅子に腰掛けながら、冷たい声音で告げる。
じろり、と睨み付けても萎縮しないところは評価してやろう、と思う。すぐに思い通りになる者などつまらない。]
どうもあの変人従兄の周りには奇人しか集まらぬのよな。
最近、金髪の道化にも会わせられたぞ。
[淡々と、ここ最近の貸しを口にする。
従兄の無事を聞けば、わかりやすく安堵する表情にふん、と鼻を鳴らした。]
愚息のことを。――と言いたいところだが。
身内を売るような君ではあるまいよ。無駄な応酬はする気などない。
君には一つの対価を求めよう。――元老院の狸爺どもの弱味を掴め。序列が三席以内ならばなお良い。
要らぬ雑草は刈らねばなるまい。
[冷ややかな声音。導師たる男が布陣を引いているこの部屋は、ありとあらゆる盗聴、傍聴のすべてを遮る役目もある。それぐらいの手回しは、ヤコブにとっては当然だった。
傍系の血筋でありながら直系から当主の座を奪いさったという経歴も記しておこう。自ら上り詰める。――だがそこには一欠片も欲もない。
然るべき者が、然るべき地位いるのは当然だ。そう言わんばかりだった。]
導師と呼べ。従兄の腰巾着め
あの腹黒眼鏡はどこまで話しているかはこの際聞いても詮無いから放って置くが。
[空気が凍り付いた。机に置かれていたコップに罅が入る。
人を喰ったような言い様は親子そろってそっくりだ、と思ったが、その顔に静かさが宿る。]
『そんなもの』で構わぬよ。俺からすればあくまで君は部外者でしかない。
対価は当人が払うのが妥当だとも。
随分と用意のいいことだな。…何を考えていたのか、目に見えるようだが。
――では序列五席をいただこうか?
[目の前の敏腕な公安が、行動基準が従兄に偏っていることを知っている。
従兄の人望は、男とは相対するとも呼べるものだが特段羨ましいとも思わない。]
[むしろ呆れ果てたものだった。導師たる男にしてみれば、よくもまあそんなに他人に入れ込むことが出来るものだ、と感心すらする。]
生き地獄をお望みならば任せろ。
無償とは随分と、気前がいいことだな。渡せる札は常に取っておくものではなかったのか?
[皮肉のような言葉を、柔らかな声音で吐き捨てるように言った。]
俺に睨まれて同じ地位を狙う者などこの国にはおらぬよ。脅しにもならぬが乗ってやろう。
――従兄殿はそんな私怨など望んでいなかろうがな?
[くつくつ、と喉奥で笑う。]
さて。本題に入ろうか?
[青瞳が透き通るように、目前の男を透かして見る。]
君と、従兄殿はそれはさぞ鬱陶しいぐらい感動的な別れを済ませたのだろうな?
よもや、はい、そうそうと帰って来れるとは思うまい。
俺とてそこまで手を貸す義理は今のところは無いがな。
[ふふ、と小さく笑み罅の入ったコップを床に落とす。指先で小さく象るような文様を描けば――割れた硝子が見る見るうちに鍵の形となる。]
君に二つの選択肢をやろう。
[透明な鍵を手にした――塔の君臨者は囁く。]
無論。得意分野だとも。――他国への逃亡も出来ずに、自らを殺すことも出来ぬようなとびっきりの生き地獄を用意してやろう。
[私怨などとは無縁の導師はにこやかに請け負った。
被虐趣味はないが試したいことは山ほどあるのだ。]
成る程。一理ある。
君の交渉の手腕は買っているとも。従兄より余程上手い。
[手放しに淡々と称賛する。従兄の不遇な扱いに思うところがあるようだが。
当面、ヤコブにとっては差したる問題ではなかった。]
おや。恐ろしいことだな。
従兄殿と対立してなくて何よりだ。
[微塵も思っていないような、和やかささえ漂う口調で告げる。]
従兄はその手が血に染まるのは嫌がろうな?
[くすり。一粒の皮肉は忘れずに。]
選択肢は三つ――。
[透明な鍵が、赤 青 黒と色を様々に変化させる。
この部屋は塔内部と同じく導師たる男の領域だった。簡単にこんな事が為せるのはそのためである。]
一つ目は、従兄殿と会話が出来る。
どうせ腹黒眼鏡から聞いていよう? 俺の特技の一つよ。他者の体に、別の精神体を容れ物として入る。
原理の説明は省くが”器”と”媒体”さえあれば呼び寄せられる。
二つ目は、従兄殿が国に戻れるように俺も一噛みしてやろう。
この場合は、文字通り今生の別れとなるぐらいの月日は覚悟して欲しいがな。
三つ目は、従兄殿の呪を解く法を捜してやる。
――但し三つ目に至っては見つかるどうかは不鮮明だ。あれは年季が入っているからな。
矛先を移しただけ感謝して欲しいぐらいだ。
[さて、と導師たる男は、タクマに鍵を差し出す。]
君は何を選ぶ?
[真理を突き詰めるゆえに導師たる男は、単純だった。
人には有能と無能。利であるか損であるか。無害と有害で大別する。多少の興味はそそられても心揺さぶられるようなことは、ほとんどない。
だからこそ。彼らの関係は興味深くもあった。]
恐ろしいことだ。
まったく、あれにどれほどの価値を見出しているかはわからないが。
君の一矢は怖そうだ。
[ささやかな言葉の応酬。従兄と対立をしても利など無い。それを見越してのことだろうと男も察していた。]
自覚があるなら大いに結構だ。
[面白いから従兄どのにも黙っててやろう、と目を細める。]
[無機質な青が、公安の中年を見ていた。]
おや? 向こうも喜びそうだがな。
選んだのはそれか。
どうだかな。従兄殿の望みなど、俺には知る由もない。
君が選んだものが、ウィルフレッド=ローティナーの望みとは限らない。
まあ。選ぶのは君だ。
……君がそれを選ぶならば、良かろう。
惜しまずにやってやろうとも。
これは君からは多くをいただいた分だ。互い、貸し借りは今は無しということだ。
[くすり。小さく笑う。試すような選択肢。
――永遠の決別への、覚悟は本物だったのか。
友を持たぬ塔の君臨者は、こうして人の心理を得ようとする。戯れ言のように。]
以上だ。帰っていい。
ああ。それと――あの腹黒眼鏡に
二度とちゃん付けで呼ぶなと言っておけ。
契約は誓い。誓いはいわば魂に刻まれし約定だ。
違えれば死を招くのみ。
術士でない君にどこまで通じるかはわからないが――そうとわかればいい。
[かすかな憂いに気付かぬほど、導師は鈍くなかった。
小国の塔に自ら引き籠もっていると男の趣味の一つは人間観察。
彼らの見えない絆の深さとやらは推量でしかない。他人のためによくやるものだ、と捨て置く程度だ。]
率の低い幸を選ぶのは、賢いとは言えないが愚かでもないな。
今生の別れを済ませた君が、従兄殿と会える選択をしていれば面白いし互いが互いの弱味になれば良い材料になったのだが、まあ、良かろう。
君や従兄殿の弱味など他にいくらでもあるしな。
[貸しひとつと言われればかすかに眉を寄せる。]
おい、貴様。それを貸しにするのか、
[口で罵りつつも、放って置いた。大した貸しでもなし。
第一腹黒眼鏡と遭遇したのは偶然中の偶然、完全形態の筋金入りの引き籠もりでもある。]
[従兄の親友とやらが出て行った後に、男は椅子に深く座り直した。]
――『お人好しで意外と無欲で孤独で寂しい王様?』
[何故か。
過ぎったのは金髪の道化の皮を被る、別の意味での変人だった。
彼は無欲ではあるが、孤独ではなく孤高。誰かと分かち合いなどと思ったことすらない。
ただ一つあるとしたら。
――繋がり深き魂の片割れ。
たったひとりの片割れの残像がかすかに過ぎり、すぐに消え失せた。*]
>>-616
了解です!へむさん!
明日(今日?)中にはメール送りますので…!
今日はもう無理なフラグが!
/*
楽しそうと言って貰えて何よりです!
明日中には送ります、そしてコミュに招待!
あ、私副管理人ですヽ(・∀・)ノ
― 領主の墓場(>>198>>199) ―
[見る見る内に顔色を変える青年を前にしても、墓守は笑顔のままだった。]
ん? 何だ俺の勘違いか。
なーんか不思議そうな顔してっけど、墓場だって十分デートスポットだぞー?
お前達は視える人? いやぁ、俺は視えないけどよ、他に視えるものあるからこの墓はなかなか楽しいぜ♪
[仄暗いことを平然告げている。元領主のお墓参りだと聞けば、なおさら愉快そうな様相は増す。]
おー! なかなか目の付け所がいいな♪
ウィルフレッドさんな? その人のお墓なら、ここだ♪
[墓守は細かいことは一切気にしなかった。
裏道から通ってきたということは、領主がそこそこお墨付きであろうし花束が持っていなくても不思議はない。]
あ。墓に花束が添えたかったら言えよ?
多分出てくっから
[そういって、墓守の男はフードから 傷薬 画用紙 コットン 出していった]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新