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――…っ。
[ソマリの持つ刃が月光を受けて煌めき、母の胸に吸い込まれていくのを茫然と見ていた。
何故抵抗しない、と紡ぐ事も出来ず。
その勢いのままにソマリと母の姿がバルコニーの柵を越えて落下するのを目にした男は言葉を失ったかのように其処にいた。]
吸血鬼はやめられないけど、人間から吸血鬼になることが出来るのだから、
もう一度人間になってみてもいいでしょう。
そうして、教えて。
貴方の幸せは、生きている間には絶対に出来ないことなのかどうか。
どうしても吸血鬼じゃないといけないのか。
[鋭敏な耳に絡みつく声さえ、離す意志など欠片も含まぬ響き]
……もう、聞く気がないのかと思ってたけど?
[拗ねた響きは、何時かのように]
[――が、やがて思い出したように。]
…ぁ、
あああああ…っ!
[絶叫した声は、同じ状態の者には聞こえたか。
男はバルコニーの上で力なく座り込む。
――状況を確認しに行く勇気はなかった。*]
君は、異端だ。
[ユーリエに向ける声は弾劾ではなく、むしろ賞賛のそれ。]
還る場所があるなら、安心だな。
[少女の両手に指を絡め、華奢な首筋に冷たい唇を押し当てる。]
今、けっこう、危険なことをしている自覚がある。
[服薬しているからといって、聖血の効果を消せる補償はない。
だが、ギィのところへユーリエを行かせるわけにはいかなかった。
行かせれば、ギィはなんの細工もなしに聖女の血を吸いたがるに決まっているから。]
あなたを、喜ばせることができればいいんだが──叱られるかもしれない。
[抱き寄せる腕に引かれ、野茨公の肩に口許が触れる。
野茨公の目に映らぬ騎士の貌がふっと泣きそうな色を過らせた。]
――…アレクシス殿に感謝せねば。
身に余るあなたからの贈り物をヴィンセント様から受け取りました。
……、これが、その手に戻れば、
あなたの望みは、叶いましょうか。
――叶うなら、これは、……あなたが持つべきもの。
[手に包む血色の薔薇を野茨公へと差し出そうとした。]
[ ちゃり、と指先に鎖が触れて、
ああ、と思う。
このままでは吸いにくいだろうと聖光ロザリオを外し、
膝の上で両手に握りこむ。
ちゃりちゃりと鎖がなった。
本当は手の震えが止まらなかった。
言葉ほど、冷静じゃなかった。 ]
…まぁ、いいわ。
強引だけど、約束通りエスコートしてくれたから。
―――アプサラス。
ねぇ、呼んでみて?…ソマリ。
[強引に抱いてくれる男の左腕と、胸に抱き締めるその声だけ在ればいい。すぐ傍で響く男の声に、また耳を澄ませた*]
[目を閉じて、意識を休めれば、遠いあの日の夢を見る。
血が心を繋いで、永き時を越え、その瞳に少女を映した。]
貴方のくれた花を、もっときちんと見ておけば良かった。
[傷つけはしなかったけれど、強く意識することもなかった。
自身の世界に在る者たちと同じ、興味など抱くだけ無駄だと思っていたから。
取り返しのつかなくなった今になって、悔いが滲む。]
"ねぇ、アレクシス"
[友と呼んだ少女は、一向に年をとらなかった。
吸血鬼の一族に生まれた男は、己の同じ名を持つ
それでいいのだと、そうありたいと、身体を借りた己もまた、目を細めた。]
それを聞いて安心しました。
我が君が健勝であられる事が私の喜びです。
[懲りたと聞けば小さく笑む音を漏らし
柔らかな音色を心地よく聴いた。]
"簡単に終わりを決めてはいけない。花はまた咲くわ"
[青空を映したような髪を靡かせて、少女の声が歌うように響く。
瞳を震わせて、目を閉じて、開いた瞳は、夜空を映したような、穏やかな黒。]
ありがとう――エレオノーレ。
[ようやく思い出した友の名を囁けば、閉じた瞳から雫がひとつ零れ落ちた。
城の片隅に落ちた雫は、やがて花を咲かすだろう。
枯れてもまた種から芽吹いて、新たな色が生まれる。
悲しみは慈しみに変わって、口元には笑みが浮かんでいた。]
そうね。
[ ひやり、と触れる唇に、
からめられた指を、きゅ、と握った。 ]
こんなこと聖書のどこにも書いていないわ。
[ 指は震えている。
声ほど冷静ではなくて。 ]
でも、そう思ったの。
[ 目を閉じた。 ]
[彼女の声が近い。
足りない右腕の分だけ、聡明な彼女を強く抱いた。
彼女の呆れた声も、拗ねる仕草も、己の心を少年のそれに変えゆく。]
[耳に届いた声に、目の奥が痛むほど痺れた。
風の加護も無く、使徒の力も無く、
ただ溢れる感情に突き動かされるまま、口を開いた。]
―――…良い名前だ、アプサラス。
[闇に真っ逆さまに落ちながら。
それでも何一つ恐ろしいと思わなかった。
得た名ごと彼女を抱いて、彼女に対し二度目、人生二度目。
光り輝くように、心より笑って見せた。*]
―地下礼拝堂→廊下―
ユーリエ…――。
[扉の向こうに消えたきり、ユーリエは戻ってこなかった。
意識を集注すれば、遠く離れていく小さな光り。
跡を追いかけようと感じる光りの方へ走り出す。
が、すぐに足は止まった。
どうして声をかけずに、彼女1人で行くことを選んだのだろうか。
礼拝堂で見せてくれた、強くて優しい意志。
彼女なりに思うところがあって、あえて1人で向かったのだとしたら。
自分が行ったとしても、ただ彼女の意志を無駄にしてしまう事に成るのではないかと。]
聖は魔を浄める。
魔は聖を穢す。
どちらの色に染まるかは、色の濃さ次第──にならないのは色彩学をかじった者なら知っていること。
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