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だから何かに愚直に進んで周りが見えなくなったとき、もっと世界を広げようと甘えてくれ。
[突き進んできた道。捨てられないと思えた存在を受け入れ、連れ出すのだ。感謝と愛しさを受け取った言葉を返して]
そういう我儘でもいいよな?
[改めていう必要もないが、一緒に生きていこう。そういう言葉を具体的に述べる我儘を口にした*]
[ 腕の中、今だけは閉じ込めるように抱き締めたメルヒオルの震える吐息が、竜の熱を受けて溶け解ける。
その柔らかな甘さを、竜の舌は掬い取り、触れた場所から、竜の想いと命も注ぎ込んだ。
やがて、朱に染まった頬を愛しげに見つめた竜の前で、メルヒオルの伏せた瞳が見開かれ、その中に見つけた色に、再び竜は息を呑む。>>_149 ]
お前の瞳にも、俺の色が混ざってるぜ...これで、本当に、おあいこってやつかな。
[ これは契約や術の効果ではないだろう、と、竜には予測がついている。片割れの命の欠片を飲み込んだ時に生じたのと同じ変化が、自分とメルヒオル双方に起こったということだ。
それは即ち、互いの命の一部を交換したと言うに等しい。 ]
これからは、お前の色が俺の色で、俺の色がお前の色でもある...
[ 恐らくはメルヒオルが無垢な存在であり、竜も又、片割れ以外の存在と触れ合うことがなかったからこそ起こった、一種の奇跡。 ]
嬉しいな。
[ けれど理屈も何もなく、竜は今、ただ愛する唯一の存在とより深く繋がった喜びに、子供のような笑みを浮かべた* ]
― 個別領域 ―
ぼくも?
[瞳にも色が混ざっている>>_156と言われ、煌きの混ざる天色の瞳を瞬く。
互いの色を宿したことが、盟約によるものではないとは知らぬものの、互いのものを分け与えただろうことは理解出来た。
次第に表情は嬉しそうなものへと変化する]
ふふふ。
ツェーザルにぼくがいて、ぼくにツェーザルがいるんだね。
うん、うれしい。
[胸が温かくなるこの気持ちが『うれしい』のだと、ツェーザルの言葉で知る。
それを示すように、ツェーザルの腕の中で彼の胸に擦り寄った*]
― 個別領域 ―
[疲労から落ちた眠りは深いもの。
けれど、それはとても穏やかで、安らぐもの。
その安らぎを齎しているのが何かの自覚はあるが、それを言葉として結ぶ事はしない。
言の葉として、言霊として結ぶ事は容易いだろうが、性急に進める必然性を感じてはいなかったから。
強き枷と縛を負うのが竜という存在。
なれば、安易に縛りたくはない、と。
己の望み、意志を前に出し始めたばかりの無垢なる存在だからこそ。
完全に縛り付けてしまうのは、まだ先でもいいか……と、そんな判断故の事]
[やがて疲労は癒され、紫苑色は開かれる。
周囲を巡ったそれは、傍らで身を支える>>_117姿に細められ]
やれやれ……話に聞くのと実際にやってみるのとじゃ、全然違うな。
ここまで持ってかれるとは、正直思っとらんかった。
[苦笑滲ませそう告げて、それから、ゆっくりと立ち上がる]
さて、それじゃあそろそろ退去するとするか。
あんまり長居してても、な。
[別に咎められはしないだろうが、留まっているわけにも行かないのは事実だから、と出立を促して]
まあ、何が出てきても、手を離す事はないから。
……きみも、手を離すなよ。
[無茶ぶりの後に落とすのは、揶揄うような響きの囁き、ひとつ]
[ 嬉しいと、胸に身を擦り寄せるメルヒオルを、ぎゅっと抱き締めてから、竜は、はあ、と悩ましげな吐息を吐いた。 ]
お前、本当に可愛すぎだろ。こんなに綺麗で可愛い生き物......外界に出たら、ほんとに危なくて目が離せねえなあ。
[ やっぱりどこかに閉じ込めて人目に触れさせない方が安全なのでは?と、ちらりと頭に過ぎったのは、竜にとっては不可抗力といったところ。* ]
[>>_151竜を抱きしめる男の腕が強まるに合わせ、胸を叩く動きは止められた。
それに不服を告げぬ所でも、竜が怒った訳ではないことも伝わろう。
ゆっくりとした時間の中、男に竜が明かしたのはここまで明かさなかった願い]
寂しかった、か…そうかも知れぬ。
[>>_152確かめるような男の言葉に開いた、少しの沈黙の後]
儂はの。
皇玉に成るまで、喚び声に応えた事は無かった。
皇玉に成って、そこからどう成りたいか分からぬようになって。
初めて儂に喚びかける声に気付いて、この声に応えることが、儂の道かもしれぬと思った。
一番最初に儂を喚んだ者は、負けてはしもうたけれど儂に礼を尽くしてくれた。
それが申し訳なくて、次の喚び声にも応えることにした。
[ゆっくりと語るのは、男との儀式の間に蘇った、最初の記憶]
幾度も喚ばれて、けれど段々、何故応えておるか分からなくなった。
私欲の為だけに皇玉を望んで、勝てなかったならもう要は無いと。
そのような扱いを受けていって、自ずとの。
そうして、人の欲に触れて、人の尊さを見失いかけて。
儂は、己の望みをすり替えた。
自分自身の享楽の為じゃと。
そんな身勝手な己を、ともすれば消してしまう為だと。
[手を伸ばして、男の頬に触れたのは。
男の温もりと、自身を望んでくれたその存在自体を確かめる様に]
主は、これまでの召喚主とは全然違っておった。
儂を乱暴に喚んだかと思えば、力を貸してくれと頼み。
己の願いだけでなく、儂の願いも叶えたいと言うた。
主の不器用な誠実さ、強さと誇り、優しさを教えられた。
そんな主に、どうしてこんな願いが言えよう。
そんな主に、力を貸す以外に何が出来よう。
儂は…舞台が終われば、主とは離れるものだと思うておった。
竜郷へと帰る事は通例じゃし、主が儂を望んでくれるとは夢にも思うておらなんだしの。
[自分は傍に居れぬから、番いについても男の幸せを願って言えた。
男からすれば無神経だと思われたかもしれないが、それが竜の想い方であったから]
主に残せるものは、儂の名くらいしか無かった。
この先、儂がどれ程喚ばれることがあろうと、主以外に応えぬと。
……それくらいしか、出来ぬと思うておった。
[抱きしめられているから、顔を伏せた所で男の視線からは隠せない。
想いを明かす恥ずかしさと、男が何を思うか分からぬ不安に目を伏せながら]
儂が名を預けたのは、あの時主を見初めたからじゃ。
あの時からとうに、儂は主に惚れておった。
男として惚れておらねば。
主のあの真似を、許したりはせなんだよ。
[>>_153男が竜を見初めた経緯を告げると同じに、己の想いをつまびらいた。
それから、>>_154今度は男が語るを聞いて]
それは…我儘というよりも、褒美じゃのぅ。
[仄かに赤らみながら微笑んだのは、男の願いが竜への甘やかしにしか聞こえなかったから。
密着した身体、少しだけ身動ぎすると男の首に腕を回して]
確かに、主も儂も、視野が狭かったのじゃろう。
じゃから、儂は主を見る眼となり、主に添う華であろう。
この先ずっと、何があろうと主の傍から離れはせぬ。
……愛しておるぞ、旦那様。
[耳に囁いた誓いの言葉は、恥じらいながらも真っすぐな想いを込めたもの*]
う?
[力が込められる腕と間近で零される吐息>>_163に首を傾げる。
可愛いと言われてもピンと来ないのは、それまで言われたことがないため。
可愛いの意味すら分からない。
それ故にツェーザルが頭に過ぎったことに気付くはずもなかった。
より密着した状態にただただ嬉しそうに笑うのみ**]
だーかーらー、お前も自分が人から欲しがられるような存在なんだって自覚しろよ?
[ 全然分かってない様子のメルヒオルに、軽い危機感を覚えた竜は、ぽふぽふと頭を撫でながら、言い聞かせようと試みる。 ]
獣の姿だって、あんな風にいろんな生き物の綺麗で力強い部分を全部持ってて、その上、治癒の力が血に宿ってるとかもうそれ、魔ってより神獣に近いからな?
[ 確か人界の伝承でも、複数の獣の特徴を備えた神獣はいたはずだ。メルヒオルの美しさと純粋さは、既にその域に到達しているだろうと、竜は本気で考えていた。 ]
まあ、誰にも渡さねーけど。
[ 結局、悩んだところで、結論はそこなのだったが* ]
― 個別領域 ―
[自身の疲労もあり、主の隣で微睡むような時間をしばし過ごす。
やがて開かれた紫苑色>>_161と自身の藍白が合えば、少しはにかんだように笑う。
主が内に秘めたもの>>_160を知らぬ蛇竜にとって、それは未知なる絆へ向けてのささやかな一歩]
そのお話というのは、やはりお母様に?
[彼の呟きに、ふと同じく竜を召喚し舞闘に臨んだという彼の母のことを思う。
外へ向かうための新たな盟を含め、とても多くのことを彼女から学んだことは端々から伝わっていた]
……いつか、聞かせて欲しいですわ。
ヴィンセント様のご家族のことも。
[いい思い出ばかりでもないだろうから、踏み込めずにいた部分のこと。
すぐには不可能でも、いつかは分かち合いたいという思いがあったから。
それでも、出立促す声を聞けば、素直にその場を発った]
――もちろんですわ。
[揶揄うような囁き>>_162に、同意を返す言葉はかつてより自信に裏打ちされたもの。
ほんの少しは強くなれた所を、彼の人に見せたくて]
ぼくが?
[ツェーザルの言葉>>_171も、やはりきょとんとするだけ]
だれかに欲しがられても、ぼくはツェーザルの傍から離れないもん。
他のだれでもない。
ツェーザルがいいの!
[契約したからだけではない、傍にいる時の心地良さや、触れられて灯る心の温かさ。
言葉として追いつかない感情は既にメルヒオルの中で育っている]
神獣かぁ。
ぼく魔族って言ってるけど、良く分かんないからとりあえず魔族、って言ってるだけなんだよね。
[造られたもの故に己を知らぬ。
魔界で過ごしていたから、ひとまず魔族と名乗っていたに過ぎなかった]
ぼく本当は神獣なのかな。
[性質が近いというだけであって実際は神獣ではないのだが、己を示すには魔族よりも当て嵌まるような気もした]
[そんなことを言ったものの]
んー………ま、いいや。
ぼくはぼくだもん。
[魔族であろうが神獣であろうが、自分であることに変わりはないから、と。
明確に区分することは敢えて放棄したのだった*]
[長い時間をかけて生きてきて、窮屈さと虚しさがあったのだろうと、召喚されてからの話>>_164 >>_165黙って聞いていく。
それをわかるとはいえない。ただその言葉を聞いて、受け止めることはできるだろう。
同じ抱擁でも、違う意味合いをこめて雷華の話を聞いていく]
[過去を今、どうこういったところで仕方ない。思うところはあれど、それは非常に個人的な部類だ。
それよりも、その後の想い>>_166 >>_167 >>_168が大事だと思えてもいた。]
俺はな、連れ出したい。と思っていたぞ。寂しそうに思ったのとか色々あるが、大事に思える存在だと思えてからはな。力を借りてばかりでは言い出せなかったがな。
[雷華が、名を預けながら別れを想像したいた頃の気持ちの吐露をする。番いの話をしても、もどかしい思いはなかった。ただ独りにしたくはなかった思いもあった。
腕の中、恥ずかしさと不安まじりで告げてくれる雷華を安心させるように、翠に輝く髪を撫でて]
……大事にする。
[愛を告げる言葉よりも、想いを受け取ることも、そして孤独にさせなかった時間をともに過ごすことも含めて、短く伝え、誓うよう囁いて
わがままだぞ。雷華をもう独りにしない。
だが変わりに俺も独りにならないわけだからな。
[目となり華となり傍にいる>>_169と真っ直ぐ告げてくれる妻の胸、白百合の紋を軽く触れて]
愛してる。俺の愛しい奥さん。
[自分もまた真っ直ぐと告げ、口づけを交わした*]
んむ、まずは第一歩だな。
[竜がそばにいる。だとか。月の舞台で戦った。だとかもだが、服装改善という雷華の成果も多大にあったようだとかで実を結んだ今回のこと]
とはいえ、まだまだだがな。
[強さも、規模もだ。修行もつける間は滞在する時間も多くなるだろうが、依頼もこなし、旅だってするだろう。]
だが知らなかったな。俺の奥さんは幸運の女神でもあったらしい。
[ただ時間がたったところで、傍らで見届けてくれる妻へと向ける言葉が真っ直ぐなのは変わらなかった*]
[竜を抱きしめたまま、>>_177黙して聞いている男が何を思うかは分からない。
不安はあれど、吐露した過去と、何時から男を想っていたか。
それら全てを紡ぎ終えると、>>_178男の手が竜の髪を柔く撫で]
主にそう思うてもらえるなぞ、思うてなかったが。
思い返せば、主はずっと示してくれておったのだな。
[言い出せなかったという間も。
儂をどうしたいのか、と思ったりもした事を考えれば、男の想いは教えられていた。
それを、あり得ないことだと気付かぬままでいた己は随分と薄情だ]
…大事にするは、儂の方じゃ。
[やっと素直に、想いを伝えられるようにもなれた竜は。
囁かれた言の葉は、自分こそが誓うべきだと繰り返した]
[そうして、男から願われた我儘を聞いて。
我儘というには随分甘いそれを、再度我儘だと繰り返すのを聞いて]
…やはり、それは褒美じゃぞ?
主の傍を儂が独り占めにしてしまうのじゃからの。
[そう言って苦笑を零すも、開いたままの胸元に咲く白百合に触れられれば小さな吐息に掻き消えて。
それすらも、重ねられた唇に奪われ、沈黙のまま背に回した手で愛を返した*]
そうじゃのぅ。
儂はずぅっと、あの舞台を最後まで勝ち上がることは出来なんだけれど。
主の隣を勝ち取ることが出来た、幸運な竜じゃのぅ。
[そう言って、>>_180こちらを見つめる男の傍に。
いつもと同じように寄り添った**]
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