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マジか…。
[腐っても鉄。それをただのパンチでここまでにされては笑えない。
――ああ、やっぱり。“ただの人”ではないな。
再びドロシーに銃口を向けて、三発ほど銃弾を放つが、すぐにカチ、カチ、と空打ちするようになる。]
――ああ、クソ!この早漏野郎め!
[ドロシーに弾き飛ばされたアルスヴィズの行方を捜す。
先程の衝撃が残っているのか、頭がくらくらする。
アールヴァクはすぐに弾切れを起こす。
それは原因としては、一度引き金を引くと、弾が二発出ることにある。
引き金を一度引いて一発しか出なかった時点で、弾切れのサインである。
もう片方のエネルギー銃の行方にばかりに気を取られて、ドロシーが何かしてきても、反応が遅れるだろう。*]
…愚か者め。
ワタシがそれに気づいていないと思ったのか?
[わかっていた。
やっていることが同じだということぐらい。
アレは人間の性だ。だけど、搾取された側はたまらない。
立場は目まぐるしく入れ替わって、やってることは変わらなくなる。
自分のしていることは正しいが、向こうのやっていることは間違っていると目を逸らす。
だけど、置いて来た。
愛さねばならないという義務感も、
帰らねばならないという使命感も。
ここにいるのは、たった一人の憎悪の矛先を見失った人間だ。]
………。
おれには、アナタには弔いたいという意志が見えなかった。
[いや、違う。見えていた。
だけどそう言って、自分の罪悪感から逃げようとする。
眉を顰めたのを見て、彼女がわからないと何度も言っていた>>175のを思い出す。―もう意味を教えることもないだろう。
全部姉の受け売りだった。こんなにおれが賢いはずがない。]
――出たな。
[ようやく出た。
ああ、やっぱりそうじゃないか。
だったら、エディを弔う資格なんて。
彼女は死を笑っていたわけではない。
確かに彼女には資格があった。]
[アールヴァクの方に気を取られて、アルスヴィズの行方ばかり気にして、弾丸の行き先を見なかったから、その弾が彼女のどこに突っ込んで行ったかなんてわからなかった>>175。]
はあ、はあ…ドロ…シー…
[ドロシー、お前。後悔するぐらいならやるんじゃない。
ドロシー、お前。悲しむぐらいなら良しとするんじゃない。
ドロシー、お前。泣くぐらいなら心を殺すんじゃない。
ドロシー、お前。泣いたって良かったんだ。
怒って、我が儘言ったって良かったんだ。]
[だってドロシー、お前。]
[まだ子供なんだから。]
[どれか一つでも言ってやれればよかったのに。
どれも言えるほど、そっちに口が達者じゃなくて。
気に入らないことに駄々をこねる、自分の方がよっぽど子供だった。]
[いいんだよ、大人にならなくなって、まだ。
誰もがそれを許すだろう。許さない少は消えていく。
いいんだよ、我が儘言ったって。
いいんだよ、許せなくたって。
だって、まだ子供じゃねえか。なあ?]
[悪かったな、何も言ってやれなくて。
悪かったな、何もしてやれなくて。
だけど、生憎。
おれは後悔はしていないんだ。]
ドロシー…ドロシー・スローンチャ…。
ワタシはワタシの正しいと思うことをした…。
はあ…だから、ハッタリを言ったし…お前に銃口を向けた…。
…はあ…はあ…お前はどうだ、キャプテン…?
せめて、後悔ないようにしろよ…。
全部終わったあと…
自分で自分のことを許してやれるぐらいの…。
…はあ…お前…ほんと、ガキなんだから…。
[息も絶え絶えで、倒れたまま呻くように言う。
―ああ、体が鉛のように重い。目の前がチカチカする。
きっと、このまま死ぬのだろう。もう動けそうにもなかったけれど。
強引に左腕を動かせば、獣の腕からそっちだけでも抜け出せただろうか。左の薬指を口元に寄せる。]
――
[ろくに声にもならなかった。
身に着けたサンストーンに口づけを落とす礼は、死ぬ間際にこれまでを感謝する行為。死を悟った者が、それに一切の不満がないときに行う。]
[結局、
[恥ずかしくない死に方を?――一体誰にだ。]
[意識が溶けてゆく。
深い夜の闇に抱かれるように。
或いは、深い海の底に沈んでいくように。
最初から、許してほしかったのだ。
あの責任から逃れることを。あの義務感と使命感から逃れることを。
最初から、それを自分だけが許せなかった。]
[おい、ゲオルグ。賭けしようぜ。裏か表だ。]
[――どじゃぁあ〜ん!]
[コインの裏表を当てるだけ。敗けた方が酒代を払う。たったそれだけの、ちょっとした遊びだ。]
[ドロシー、こんなのもわかんないのか?今の意味は――。]
[自分だって姉の受け売りだった。ただ、自分より物を知らない人間がいることが嬉しかった。]
[どうした、ディーク。――ああ、これか。これは――。]
[自分に物を聞く人間がいるというのが、たまらなく嬉しかった。]
[クソ、またあのガキか!?]
[だから、エディがちょっと妬ましくて。ムカついて。]
[エレン、泣かないで。]
[女神だからじゃなくて、ただ貴女が泣いているのが悲しかった。]
[ハーラン、なんかお前――。]
[知らなくたって、微かに香る憎い匂いが。]
[ミーネ、お疲れさん!]
[今回もお前サンのおかげで好調だな!]
[あの陰で頑張る小さな姿を。]
[ノーラ、飯!]
[――あー、なんでもいいや!]
[食後の一服はいつも怒られる。いいじゃないか、少しぐらい。]
― ??? ―
[気づいていたとも。
あの少女が女神でないことぐらい。
最初から気が付いていたとも。
だけど、たぶん。
ずっと足場が欲しかったのだろう。
心の拠り所というものがほしかったのだろう。
それをたまたま、捕まった先で出会った少女に押し付けてしまっただけなんだろう。]
[愚かだった。実に愚かだった。]
[姉に教えてもらった髪と、たまたま一致していただけで。]
[なんでもない少女を自分の中で女神に仕立て上げた。]
[わかっていた。間違ったことをしているのは。]
[騙されたと、彼女が騙したのだと、糾弾する資格はない。]
[だって気が付いていたんだろう?]
[少女が女神であることを否定しようとして。]
[お前のために口を噤んだことを。]
[お前の父なら言っただろう。]
[“こうなったのは、彼女なりに事情があったんだろう。”]
[お前の母なら言っただろう。]
[“恨んではいけないの。それは何も生まないから。”]
[お前の姉なら言っただろう。]
[“本当に裏切られたのかは、次会う時にはわかるわ。”]
[お前の兄達なら言っただろう。]
[“武は愛を持って振るわれるべきだ。”]
[想像できたのに、想像をしなかった。]
[貴方たちならどうしただろう、と自身に問わなかった。]
[例えるなら、おれは“
[おれは所詮、人間でしかなかった。]
[それも、酷く器の小さな人間だ。]
[おれは
[だけど、その名は置いて来た。]
[おれはもうソールではない。]
[テオドロスなんて大層な名前でもない。]
[だったら、なんと名乗ればいい。]
[そうだな――ノヴァ・プロキオン。]
[これでいい。]
[結局、なかなか大層な名前であることには違いないだろうけれど。]
[でもこれで―――。]
[―――ああ、そうか。]
[そもそも、おれは何も護れなかったんだな―――。]
[昼と夜で表情を変え、全てを優しく抱擁する。]
[そんな空のような人間でありたかった。]
― 秘匿事項 ―
【ロックが損傷しています。】
【データの再生を始めます...】
[テオドロス。神の贈り物。]
[この名前を受け取れるのは、次に王座を継ぐ者だけ。]
[ソールで産まれる青髪は王家の者だけ。]
[逆に言えば、青髪は王家に入る。]
[誰も何も言わなかった。]
[テオ、貴方が普通の人間なのは当たり前だった。]
[だって、貴方は民間の家に産まれた青髪の子だったもの。]
[誰もがその心を持てるわけじゃない。]
[ワタシたちの誰も、望まれた色ではなかったから、]
[迎えられた貴方が王座を継ぐことになってしまった。]
[帰って来なくていいのよ、テオ。]
[貴方は、普通に生きてもよかった。]
[責任なんて感じなくていいのよ、テオ。]
[遅かれ早かれ、この国はきっとこうなった。]
[どうか、生きて。]
[無理に“
[貴方にかかる期待は、どう考えてもおかしかった。]
[だけど、どうか。]
[この願いが許されるのならば。]
[世界を愛して、プロキオン。]
― T.N.P.ソール ―
[太陽の護人さま]
[私たちの女神が泣いています。]
[この呪いのようなメッセージを貴方に送ったことを、ここに懺悔します。]
[貴方は間違いなく普通の人でした。]
[だけど、私は貴方は王に相応しいと思ったのです。]
[どうか泣かないで。] [私はまだ、生きている。]
― T.M ―
[アールヴァクとアルスヴィズ。]
[惹かれ合うように駆け抜けて。]
[太陽が月を追うのか、月が太陽を追うのか。]
[月が沈むから太陽が出るのか、太陽が沈むから月が出るのか。]
[太陽を抱きとめる
[誰もテオドールを許してはならない。]
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