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[ 星司の手を離した後の右手は、ぎゅっと握りしめられていたけれど皆の姿が消えるまで、ウェルシュは笑顔を消さなかった ]
うん...
[ やがて、光が消え、ぽつりと落としたメレディスの声が聞こえると>>328小さく頷いて ]
みんな、元気、で...
[ ぎゅうと握った拳が震え、途切れた言葉の後に、涙がこぼれ落ちたけれど、それは悲しみの涙ではなかったと思う* ]
アイリ……。
[大事な手紙を濡らしそうになって、慌てて顔の下からどかす。
路地裏に隠れるようにして、最後まで読み切るのに結構な時間が掛かった。
言いたいことはたくさんあったけれど、ただ、遠い未来へ託された願い>>_8に]
当たり前だろ……!
[誓うように、声を出して答える]
[家に帰ると、普段より遅かったことや腫れぼったい目に、両親から心配そうに声を掛けられた。
レギュラー争いに落ちたと嘘ではない理由を告げれば、一応は納得してくれたようだけれど。
思わず両親へ抱き着いたりしたのは、さすがに驚かせてしまったようだ。
しかし結局は何も言わず、それを受け止めてくれた]
[部屋に戻り、アイリからの手紙を一番大事なものを仕舞う場所に入れて。
それから、夕飯に顔を出す頃には、すっかり元気な顔になっていただろう]
― それから ―
[翌日、何事もなかったかのように、徹は部活へ顔を出した。
フラクシヌスでの出来事を明かすことはなかったが、ただ、お守りと称する石を眺めている姿は、時折目撃されるようになった]
[フラクシヌスでの日々を経て、部活で活躍する機会が増えたかといえば――
実を言うとほとんど変わりはなかった。
元々出来る努力は最大限にしていたのだから、精霊魔法という反則能力がなければこの程度だ]
[ただし、心境的にはかなりの変化が現れていた。
部活内のライバル相手でも、負ければ本気で悔しがるようになったのだ。
また、顧問や先輩の方針でも、疑問があれば積極的に意見するようになった。
それを輪を乱す行為と見る向きもあったが、一方で納得さえすれば、すぐに引き下がり引き摺らない潔さもあったから、部内でもその変化は次第に受け止められていった]
[――そして、1年が過ぎた]
― 1年後 ―
[そして再び、夏の大会の季節がやってくる。
3年生になった徹にとって、これが試合に出る最後の機会。
――だが、スタメンの中に徹の名はなかった]
[チームメイトたちはいつになく好調で、地区大会を難なく勝ち進み、ついに甲子園の切符を手にした。
それ自体はとても嬉しいことなのだけれど、徹が約束を果たす機会はどんどん遠ざかっていく。
私情で打席に立つなんてことは、自分自身が一番許せなかったから、それも出来ないままに]
[そして迎えた、甲子園初戦。
相手の須戸来高校は幾度も優勝を経験している強豪校で、更に今年は世代最強と目されるエースピッチャーが在籍していた。
法村学園は苦戦を強いられ、9回表の時点で1-4。
どうにか満塁まで持ち込みはしたものの、既に2アウトを取られており、あと1アウトで試合が終了する瀬戸際に立たされていた。
その場面で監督は、代打を指名する――]
『加地、お前が行け』
[ずっとベンチに座りっぱなしだった男へ、監督が視線を向ける]
え――ちょっと待ってください。
諦めるのはまだ早いですって!
[狼狽しながら徹は反論する。
敗色濃厚な場合、引退する3年生にとって最後となるであろう試合に、それまで補欠だった者を出場させる――所謂思い出出場だと思ったのだ。
しかし監督は、そんな徹を一喝する]
『馬鹿野郎、誰が負けるつもりで試合をするか!』
[怒鳴りながらも、監督が徹に向ける目は真剣で、感慨に満ちていた]
『手前は確かに下手くそだ。100回やって99回は、使い物になりやしねえ。
だがな――100回に1回のチャンスなら絶対に掴み取る、手前はそういう男だ!』
[監督は思い出す。
2年でレギュラー争いに落ちた時、徹は確実に変わった。
心の中に別の人間が居て、そいつの声に背中を叩かれているような――そんな変わり方だった]
(んなオカルトにハマる性格にも見えないがな……)
[それでもやはり、彼一人では為し得なかった変化だと、監督は思う。
その原因となる人物は、皆目見当がつかなかったが――]
『手前はこのチームの
ババじゃねえとこ見せてやれ!』
――はい!
[はきと答え立ち上がる、その決意に満ちた眼差しは。
この球場の客席よりも、遥か遠くを見詰めているように見えた]
[ずっと憧れていた甲子園の打席に、徹は立つ。
向き合う相手は相手校のエースピッチャー。
実力に甘いマスクも手伝って、声援の多くが彼に向けられているようだった]
[交わされる幾つかの視線とサイン。
ピッチャーが初球を振り被って――投げる。カーブ。
徹は思いっ切りバットを振るう。
空振り、1ストライク]
『――出来るよ』
[アイリの声が聞こえた気がした]
[2球目。ストレート。
徹は思いっ切りバットを振るう。
空振り、2ストライク]
『トオルなら、絶対に最後までやり通せる』
[アイリの声が聞こえた気がした]
[3球目。ストレート。
徹は思いっ切りバットを振るう]
『それを絶対に果たせるのが』
『僕の友達だから』
[球場に、快音が響く]
[ボールはピッチャーを、相手守備の頭上を。
観客席すらも超えていく。
そして、フェンスすら越えようかというところで、ふっと青空に溶けるように、その姿を消した]
消え……た……?
[徹は茫然と立ち尽くす。
その耳に、少し遅れて割れんばかりの歓声が届く。
そして、監督とチームメイトたちの、回れ、という声も]
――……あ、
[震える手からバットが落ちた。
決して速いとは言えない足で、ベースを踏みながらグラウンドを回る]
[三塁を踏んだ時、監督とチームメイトたちの姿が見えた。
まだ勝ちが決まった訳でもないのに、みんな、馬鹿みたいに泣いていた。
多分、自分も同じような顔をしていただろう。
ホームベースを踏みベンチへ戻った時、歓声を上げ抱き合う徹たちの姿は、相手校どころか事情を知らぬ自校の応援団にすら、奇異の目で見られていたかもしれない]
[結局その回はそれ以上点差を広げられないまま、9回裏。
相手校がサヨナラの2ランホームランを放ち、私立法村学園の初戦敗退が決まった]
[エースピッチャーに一矢報いた徹のことは、翌日のニュースや新聞に取り上げられはしたものの。
やがてそれは、エースピッチャー最大のピンチと、それを乗り越えた仲間たちの絆という物語に取って代わられ、多くの人々の記憶からは忘れ去られていった]
[こうして、徹たちの夏は終わった*]
― 少し後 ―
[ 徹の力強い手と言葉、玲緒の優しい手と声、ハグしたステファンの腕の温もりと笑顔、全てをウェルシュは心に刻んで ]
みんな頑張れー!ボクも頑張るー!
[ 時折風の中で、そう声を張り上げる。それがどこへむけての叫びなのかは、知っている仲間だけが判れば良い事だ ]
(星司...!ずっと一緒だよ!)
[ たったひとつ、声にはせずに、けれどいつも胸に在るのは、絶える事ない、約束の風......* ]
― if/いつかどこかで? ―
[それは、遠い未来のことだったか、それとも、案外、近い明日のことだったか]
うにゃあああああああ〜〜〜〜!!
[青い空に、響き渡る悲鳴と、ごうと鳴る竜巻のような風の音]
わーわーわーっ!ちょっと待って!!
避けて!星司ーっ!!
[そんな時が来たかどうかは…]
『もーーーう!落ち着きなさすぎっ!』
[*風の妖精だけが知っている、かも?*]
― 1年後の夏 ―
[その日は休みで、うだる暑さの中、友と一緒にアイスを咥えながらやる気無く家の中でごろついている]
very hot〜……
火精霊の領域よりもムシ暑いヨ。
[例の出来事以降、こんな調子でステファンはあちらの世界と比べるような言動が増えた。
1年もすれば周りもだいぶ慣れて、突っ込みは諦めて聞き流すようになってる]
[ぶちぶちと文句を言いながら、テレビでも見ようとスイッチを入れると、ニュースが映り、高校野球の話題が流れる]
………ふぁれ?
[その話題の1つに、聞き覚えある名前を見つけて、アイスを咥えたままに疑問の声を上げた。
丸くなった瞳。
それは徐々にキラキラとしたものへと変化する]
YEAH! トールだ!
[試合自体は負けたものの、実力派のエース相手にホームランを打ったと知り、ステファンは歓喜の声を上げた。
喜びを表現するために両腕を上げたため、溶けたアイスが棒から離れ宙を舞う。
「ステフ汚ねぇ!」と友に怒られたりもしたが、離れた場所での仲間の活躍に心躍らぬはずもなく。
一頻り騒いで尚、高揚した気分のまま、命じられたアイスの片付けをするステファンだった**]
― END 一年後の夏空 ―
[虹色の道の奥に、四人の少年少女、勇者達が消えた日から一年。
アイルリートと云えば、その日からは、再び大地の守護者、マガーネルの当主としての日常に戻った]
集落にいた住民の避難はできたね?
まったく、珍しいな。
世界が救われてから魔物の被害は目に見えて減少したのに。
[一年後のある日、魔物が出没した集落への討伐に出ていた。
少年が青年へと変わりだす時の流れだ。
背丈も多少は伸びだした、後二年もすれば自分も変わるのだろう]
[幼くして当主の座についた少年の険もあの日から薄れだして。
何でも自分で背負うと尖り込んでいた昔より柔らかくなりだしたと
同じ守護者仲間やあの神官長には見られたかもしれない]
まったく。魔物や疫病関係で出張らされても。
悩み事の息抜きには余りならないんだ。
……グレイブランスっ。
[一年で少し覚え始めた攻撃魔法で、あの日の蛇を思えばさして強くない魔物たちを退治しながら、溜息をついた]
[四元の守護者達が、異界の勇者達と共に、フラクシヌスを救い一年。
今でも世界の興奮は醒めない様に、守護者四家の名は響いていた。
そこでだ。以前にも一度二度、話に上らされたが。
いい加減、これ以上はアイルリートも逃げられないかも知れない。
当主夫妻を亡くし当主を継いで一年。
アイルリートの婚約話だ]
[まあ。候補もほぼ絞られて、後はアイルリートの決断ひとつだ]
……苦手、とはいうがな?
別に好きなのだぞ?彼女の事は。だが。
……そろそろ腹をくくろうか、僕も。
[嘗ての時は互いの幼さや未熟さも手伝い据え置かれた話だが。
彼女とて流水の勇者だ。あの日々の中で共にいた仲間であり、大事な幼馴染で]
[誰かを選べ、といわれたら。アイルリートの心は決まり]
……まあ。水の里に打診という形にはなるけどね。
マガーネルの領地に帰還次第。
アウリーンの一族に打診をいれてくれないか?
流水の勇者、ベルティルデとの婚約を望みたい、って……
[そんな話を都合とした時、ふと――]
[眩しい程に輝いている夏の太陽に、白い鳥の様な何かが見えた気がした]
…… ……? 今 なにか。
キィン、と高い音でもしなかったか?
[こし、とその瞳を擦り、疲れているのだろうかと思ったけれど。
結局、白い鳥の様な姿も、心地いいほどに甲高い音色も二度目は聞こえず。
唯の気のせいかとアイルリートも考えたけど]
[ふと今でも思い出して、瞼を閉じるのだ。あの顔をこういう時には]
……トオル……。
そちらでは今、どうしている……?
[あの日に交わした約束を抱えて、必ず果たせると信じた友人の顔を浮かべて。
これから先、やがて青年となり成長していく少年は
今日もまた、人々を守る大地の勇者として、このフラクシヌスを生きていく…**]
― if/いつかどこかで? ―
[『約束』に基づいたそれを実行したのは、さて、いつの事か。
『もうすぐ、大一番に出るから見に来いよ』なんて。
正八面体と腕輪に向けて呟いて]
……ま、そう簡単にこれるわけ……。
[ねーよなー、なんて。
呟いた時──風が、一度、止まった気がした]
……へ?
[何か、感じた。
とっさに、上を見た]
ちょ、まっ……!
[響き渡る悲鳴、竜巻のような風の音。>>358
まさかまさかと思いつつ、でも。
自分の名を呼ぶ声を、聞き間違えるはずなんてなく──]
んないきなりで、避けられるかあああ!!!!
[なんて怒鳴りながら受け止めようとして。
きっと前よりは身長も伸びてるから、惨事にはならないかも知れないけれど。
……そんな一幕があったかどうか、そこからどうなったかは……妖精だけが知るものがたり。**]
[>>260 虹色に煌く帰還の門へと踏み出す足を、ベルティルデの声が引き止める。
振り返ればそっと手を引かれ、
その身に刻み込むよう、たおやかな腕に小さな身体を抱きしめられた。
>>261 捧げられる相棒の祈りの言葉。
癒しの雨に似た雫が、二人の未来を祝福するかのように優しく降りてくる]
……元気で、ね。
いつか、また、会おうね。
[だから――今は、さよなら。
身を委ねるように瞳を閉じ、呟く。
――こうして、灰吹玲緒の異世界への旅は終わりを告げた**]
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