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――っ!
[連撃の初弾は盾の成立より一瞬早く、その射線を通り抜けた。
鋭い剣型のそれが左肩に突き立った直後、出現した盾に魔弾が激突し始める。
盾そのものは貫通でボロボロになりつつも弾の威力は減じ、鎧にて受け止められる程度のものとなる]
流石に……お強いですわ。
[ただの光ではない、剣の如き力の魔力。
脅威ではあるが、立ち止まってはならぬとばかりに盾を構え直す。
――左手ではなく、右手で、向きは水平よりやや斜め上。
表面の鱗は修復され、さらに縁の骨が枝を作って、さながら棘のような有様となる]
はあっ!
[盾から円盤へ変じたそれを、空中の変彩竜向け投げ付けた*]
[跳躍しての薙ぎは相手を空から落とすに至る。
だがメルヒオル自身も相手>>*9のように自由落下により着地せざるを得ず、追撃は叶わなかった]
飛べなくても跳べる。
[むしろ飛べるが跳んだ、と言った方が正しいか。
ランスの威力を活かせるのがこのスタイルであるために変化したが、相手は宙を舞う者。
こちらも飛ぶべきか、との逡巡は短い。
何も無き弓から光の矢>>*10が放たれたためだ]
100年…は、若くない?
[余談めいた疑問は自問に近い。
その自問も直ぐに意識から遠退き、放たれた光の矢を迂回するように駆け出す]
[視界の先では天に向け矢を放つヴィンセントの姿。
次は上からか、と予測は出来たものの、その数までは予測の範囲外だった]
───── !
[一矢だったはずの光が上空で枝分かれし、無数の小さな矢となって降り注いでくる。
避け切れない数多の矢に対し、咄嗟に行ったのは体表の変化。
メキメキと音を立て、怪馬の肌も含め、メルヒオルの肌が鱗状に変化して行く。
風に靡いていた尾も太く長い、肉付きのいいものへと変化し、ぶん、と一度空を切った]
ぐぅっ……!
[まるでワニのようなその体表はある程度の硬度を持っていたが、降り注ぐ矢を防ぎきることは出来ない。
ランスで天を突きいくらかは掻き消したものの、多くの矢がメルヒオルの身体に突き立った]
まけ……るかぁっ!
[駆ける足は一時弱まったものの、止めることは無く。
手にしたランスの切先をヴィンセントへ向けて、槍投げのように投げつけた。
ドリルのように回転のかかったランスは風を切るようにしてヴィンセントへと迫るが、途中で失速し床に突き刺さることだろう。
そのランスの後方、減速せずに迫るメルヒオル自身にヴィンセントは気付いただろうか。
いつしか蹄の音は消え、怪馬の足の代わりに皮膜翼を生やしたメルヒオルは、ヴィンセントの眼前で急旋回し、尾部に生やした太く長いワニの尾でヴィンセントの左側面を襲った*]
[ 鎧に盾、次々と形を変える生きた武具を纏った海蛇竜は、左肩に届いた魔光にも怯まず、続く連撃を耐え切って見せた。>>*12 ]
お褒め頂き、どーも。
[ 強いとの評には、謙遜のカケラもなく、にっかりと笑って応じ、ばさりと一度羽ばたいてさらに高みへと昇る。 ]
あんたもなかなかのもんだ、ベルティルデ。
『よくぞ受け止め切ったもの。賞賛に値する』
[ 竜の声はひとつ、けれど、その口調が時折違うものになるのを、ベルティルデは気づいたか。 ]
うっわ、痛そう。
[ その間にも、ベルティルデの腕に現れた盾は無数の棘持つ円盤に姿を変える。その形状を見れば目的は明らかで、竜は逃げ場を探すように上空で旋回する。 ]
結構、えぐいよな、あんたの武器っ!
[ しかし逃げると見せて、投げつけられた円盤の軌道を目にした途端、竜は翼を半ば畳んで、駆け上がった上空から、ベルティルデの方へと落ちるように滑空する。 ]
うおっ!!
[ 当然に回転しながら飛来する円盤に、正面から突っ込むことになり、骨の棘に切り裂かれた左腕から二彩の鱗と朱の飛沫が散った。 ]
おおおっ!
[ しかし、竜は止まらず、速度も緩めはしなかった。
先制の一撃から魔力を蓄え直し、今度は両腕を交差した位置から大きく開いて、先よりも更に多くの魔光弾をベルティルデの頭上に降らせる。
己の身の護りを捨てた攻撃は、在る意味、海蛇竜とは対極の戦い方とも言えた* ]
……まあ、真理だな。
[飛べなくても跳べる、という言葉>>*14に、ぽつりと呟く。
その術さえあれば、飛べずとも空には至れる。
今見せられた跳躍は、それを再認識させてくれた。
それは即ち、翼持つという事が絶対的な優位を作らない、という事実の認識でもあるが]
その位じゃないと、なぁ。
[それはそれで、厭うものではない。
むしろ、如何にして切り抜けていくかという思考を積み上げるという意味では、楽しいとさえ思えた。
100年が若いか若くないかの疑問には、それこそ答えが多岐にわたるなあ、なんて思考も過るが、すぐに意識は自身の力を凝らす事に向いて]
[天より落ちる、光の驟雨。
それに対する騎士の策は]
……って、そう来るか!
[自らの体表を変化させて受け止める事。>>*15
足の変化も驚きではあったが、こちらも中々予想を超えている。
それより何より驚かされたのは、決して止まる様子のない事。
それなりの数を身に受けてもなお、対する騎士の挙動は確かなもので。
ランスをこちらに向けた後、投擲する動きに一度後ろに飛びずさって距離を開けるが]
……なに?
[こちらに至る前にランスは地に落ちる。
距離を開けたからというのを含めても唐突なそれに疑問を感じる間は、速度緩めぬ相手の接近を許すもの。
意識戻した時には。幾度目かの変化を終えた騎士の姿は至近にあり]
……そう、くる、か!
[旋回から、叩きつけられる尾の一撃。
直撃はさすがに御免、と風の障壁を張り巡らせた上で、大きくは避けず。
叩きつけられる勢いに乗ってそのまま転がり距離を取った]
……さすがに、これはきつい、が!
[致命には至らない、と言わんばかりに立ち上がり、弓弦を引く。
相次いで放たれる矢は何故か騎士ではなく、その周囲の地を穿って突き刺さった。
突き刺さった矢が淡い真珠色の光を燈すのを見やりつつ、弓弦をかき鳴らす。
そこから再び飛び立った風の刃を騎士へと向かわせつつ、幻燈師は翼を羽ばたかせ、宙へと舞った。**]
[左腕に届いた短剣は、貫通こそしなかったものの、鎧の内の腕までは達していた。
ただしまだ、動かせぬほどではない。利き腕でなかったのも幸いか。
そこまでを自己分析し意識を向けた先、ツェーザルから届いたのは賞賛の声>>*17]
ありがとうございます、
…………?
[声自体は一つなのに、まるで違う人間が話しているかのような、違和感。
ただしそれを自分の中で噛み砕く暇はなく]
……"生きる物"が持つ武器は、見た目も恐ろしいものですわ。
[えぐい、との評価>>*18を受けながら、蛇竜は僅かに口の端を上げる。
蛇竜の司るものは、海、と同時に海の生命。
それらの身を守る術を模したものこそが"生きた武具"の本質であった]
[そして見た目通りの威力を持つであろう円盤に、変彩竜は――]
なっ――
[逃げるはずという予測は外れた。
明らかに円盤の軌道上へ突っ込み、鱗と朱が宙に散る。
目を背けたくなるような光景だが――それでも彼の者の動きが止まることはなく]
ぐっ!
[頭上より降り注ぐ鋭き光。
直撃だけは避けようと咄嗟に右へ倒れるようにして転がり、同時に鎧の左側の厚みを増すよう意識を送る。
しかし逃げ遅れた左腕や脚に、防ぎ切れぬ魔力弾の衝撃があり]
さすがに……予想外、でしたわ……。
[どうにか身を起こし変彩竜を見上げるが、動きは明らかに鈍い。
とはいえ護りを捨てた彼の者も、相応の負傷はあるだろうと思うのだが**]
[数多の矢を受けるに至った胴と足に痛みが走る。
生命力に優れた身、これしきのことで倒れるには至らないが、動きが鈍るのは否めない。
翼での飛行へ切り替えたのも、足の不利を緩和するため]
とおい……厄介……。
[虚を突くことで接近に成功しているが、そう何度も使える手では無い。
相手とて、何度も引っ掛かってはくれないだろう。
速さと、攻撃を受けて尚進む突破力。
それらを維持する必要がある]
[尾の一撃は届いたものの、直接身体がぶつかる感覚はない。
ヴィンセントを取り巻く風が彼を守っているよう。
光の矢と風の壁、風の刃を組み合わせての攻防に無駄は無い]
────?
[その無駄なき攻撃に、不可解なものが混じった。
放たれた矢はメルヒオルを逸れ、周囲への床面へと突き刺さる>>*23。
それに意識を留め続けることは出来なかった。
相次いで放たれた風の刃の気配に、メルヒオルもまた翼を羽ばたかせ宙を舞う。
放たれた風の刃をスレスレに躱し、床に突き刺さっていたランスを飛翔しながら掴みあげた。
追い縋るように飛翔する先には、先刻宙へと舞ったヴィンセント]
にがさない。
[ヴィンセントを見上げる天色の瞳の瞳孔が急激に細まる。
背の翼が畳まれ、メルヒオルの身体が再び変化し始める。
体表は元に戻り、太く長い尾は細くしなやかなものへ。
足は脚力に優れた山猫のものへと変化した]
<我が身支えよ、薄氷>
[呪を紡げば、山猫の足の下にキラリと光る板状のものが現れる。
力を込めて蹴り出すと、パキンと甲高い音を響かせて砕け散った。
それを幾度か繰り返し、跳躍によりヴィンセントへと迫らんとする。
しなやかな尾をくねらせ、跳躍のバランスを取り、ランスを繰り出すべく後方へと右腕を引いた*]
[放った刃は、宙へと舞うための時間を稼ぐための牽制。
故に、かわされるのは予想の内。>>*29]
しかし、何というか。
[傷を負う事を厭う様子が殆ど見られない。
それだけ、己の身体能力に自信があるのか……などと思いつつ。
躊躇う事無く挑み続ける姿は、眩さを感じさせるもの。
とはいえ、感心してばかりもいられないのだが]
[幾度目かの変化の様子>>*30を見つつ、上へ向けた弓から光を一矢、放つ。
それは宙に留まり、くるくると横回転を始めた。
それと確かめてから改めて見やった騎士は]
……なん、だ?
[薄い、板のようなものを踏んで、宙を駆けていた。
踏み出すごとに響くのは、何かが砕ける甲高い音]
一体、どれだけ……!
[変化のパターンがあるんだ、と。
紡ぐより先に、弓弦を引き絞る。
生じた光の矢が飛ぶのは、騎士の更に下へ向けて。
先ほど、舞台上に突き立てた矢──五芒星の頂点の、その中央に当たる位置に真珠色を突き立てる]
[そうして仕込みに意識を割いていれば、近接を許すは必定。
ランスを繰り出すべく、腕を引く動きを阻むには鳴弦が生み出す刃も光の矢も遅い]
……仕方ない、か!
[懐許したなら、使えるものは文字通りの己が身体のみ。
右手の変化を解き、晒すのは鋭き爪を備えた竜のそれ。
掴んで阻むのは難しかろうが、弾いて直撃を逸らせたなら重畳、とばかりに手を振るう。*]
[ヴィンセントから放たれた矢は、またもやメルヒオルを擦り抜けて舞台へと降り下りる>>*32。
何を狙っての行動かは読めぬものの、本能的な警戒だけは抱いた。
とは言え、意識は舞台に突き刺さる矢よりも、中空に在るヴィンセントへと向く]
はあああっ!!
[後方へと引いた右腕を、跳躍の頂点、ヴィンセントの目の前で腰を捻る要領で突き出した。
足での踏み締めが無いために威力は減じるものの、速さは乗る。
ランスの間合いであれば弓も使えまい、と思ったのだが]
──── !?
[がきん、と。
風ではない何かでランスの軌道が逸らされた>>*33。
円くした天色が捉えたのは、ツェーザルと闘った時にも見た鋭い爪]
……おなじ……?
[竜と同じ爪。
己と同じ変化。
二つの意味を込めて呟いた]
[弾かれたランスの切先は上方へと逸れる。
弾かれた力が強く、引き戻すには時間がかかりそうだった]
はぁっ!
[ランスは弾かれる動きのまま右腕ごと上方へと流して、もう一度、足元で甲高い音を奏でる。
跳躍は前方、山猫の足のままの左足を突き出し、ヴィンセントの腹部を蹴り飛ばさんとした*]
[繰り出される一撃は速さをのせたもの。
大きく避けている暇はない、という読みはどうやら当たったよう。
繰り出した爪の一撃はランスを捉え、上へ向けて跳ね上げた。>>*35]
ま、ある意味じゃ竜と同じ、なんでな!
[呟きににぃ、と口の端上げて返しつつ。
新たに響いた甲高い音に、まだ来るか、と意識を引き締めた]
まったく……どこまでも、食らいついてくるな!
[言いながら、左手の弓を振り上げて]
だけど……嫌いじゃないぜ、そういうのは!
[楽し気な声音で言いつつ、振り下ろす。
弓そのもので真っ向殴りつけるという暴挙から、狙うのは陣の内へと叩き落とす事。
もっとも、向こうも飛べる以上は狙い通りに行かないのも承知の上。
ついでに、繰り出された蹴りをまともに喰らって身体のバランスが崩れるのも已む無しで。
腹に伝わる衝撃に、うぐ、と呻くような声が漏れた。*]
[ある意味では竜と同じ>>*37。
それを意味するところを理解する前に、弓がメルヒオルの腹部を捉えた]
っつ……!
[相手の腹部を蹴る感覚はあった。
呻くような声も聞こえていた。
それを代償とするように、振り下ろされた相手の弓は確かにメルヒオルを捉え、その身体を舞台上へと誘う。
落下の先には矢により作られた五芒の陣]
まだ、だ……!
[落ちきる前に足掻こうと畳んでいた皮膜翼を広げようとした*]
― 月の舞台 ―
いってえな…一歩間違えば、死んでたぞ?
[ 魔光を放った竜の身には、無数の傷が刻まれている。
ほとんど回避行動らしきものをせず、棘の円盤に身を晒したのだから当然だ。
魔光を放った鱗が、棘の侵食そのものを抑えていなければ、多分もっと傷は深かったろう ]
[ 腕にも流れる血をぺろりと舐めて、小さく笑う ]
あいつの血の方が美味いな…
[ 呟く間にも竜はばさりと羽ばたいて、傷つきながらも地に凛と立つ海の竜に向かって急降下する。
魔光弾の攻撃から近接への動き…交差の瞬間には、その手に鋭い短剣のような鱗が握られている* ]
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