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こうして世界軸にきて、思った以上に自由に過ごせているからいいが、もしかしたら、しばらくしてこういう自由もなくなっていくのかもしれん。
まだ融通が聞くうちに、やりたいことがあったらやっておいたほうがいい。…ま、無用な心配だったとしても取り越し苦労にはならないことだろうからな。
[シルキーはまだ若いのだし、猶予は自分よりもきっと短かっただろう]
ワシが協力できることがあるなら遠慮なくいえよ。
[大事に思えたことを伝えた。
でも勝手なことをいってすまんな!だがこういうことをいうのは照れくさい。そんな様々なことをごまかす意味もこめて豪快に笑った]
[伝えた言葉に見えた表情は、例によってわあ、これ素だよ、と伝わるもの。
傾いていた機嫌はその表情と途切れた言葉、そして、続けて始まった話に位置を正した]
……血が、濃すぎて?
そういう事も、あるんだ……。
[生まれつき何かが足りない、というのは文字通り他人事ではなく。
それだけに、突っ込みを入れる事もなく、真面目に話を聞いた]
……なんというか。
豪快なお母様だねぇ……。
[それだけの覚悟を持たせる事、それにも覚悟は必要だろうに、と。
己が両親の事を思い返して、小さく息を吐く。
ないものを他で補う事、それが齎す負荷は己が身に準えればわかるもの。
力としての方向性は違えど、そこは変わらないんだろうな、と。
打ち明け話に納得して]
……ふにぇぃ?
ボクがいるからって……どーして、そーなるんだい。
[ただ、そこの部分は自分の中で上手く繋がらなかった。
それ以外の部分──以前からの、義体に対する評価の高さやら何やらは、今の話で結び付いたのだけれど。
故に、素で首を傾げたものの。
今度から、という言葉は素直に内に落ちて安心できたから]
……ん。
まあ、ボクも気を付けるようにする。
[本気でまずい時には意地は張らないようにしよう、と。
改めて、思い定める事にした。*]
さあ、どうしてだろうなあ?
[ どうしてそうなる?という、クラリッサの疑問には、笑って返す。
男にとって、それは単なる事実で、何故そうなるのか、などと突詰めてはいないのだ。
その辺り、割り切れていないクラリッサとはやっぱり真逆で、ある意味割り切り過ぎとも言えるだろうか ]
ん?
んー……んく。
[しゃくしゃくと小気味のいい咀嚼音を立てながら、蒼梨を食べる。
トーマスの問いにきょとんとしながら、口内にあるモノを呑みこむ。]
あたしで役に立てる事柄であるなら、それでいいかなぁ、って。
……ほら、基本的にあたし達、翼人って一族とかの仲間意識、馬鹿みたいに高いじゃん?
[高山という過酷な場に、生きる場を見出し、困難を結束と工夫で乗り越えてきた。
そして、困難を乗り越えてきたという自負が、住まう場と同じように高く積み重なっていた。]
クラリッサ、用意はできたか?
[ 部屋を出た直後にコエを送る ]
俺の方は万全だ。いつでも行ける。
人里に降りてる人らはそうでもないけど、爺婆の年齢はどうしてもなかなか……。
[ただただめんどくさーい、である。]
まぁ、親の反対押し切って鍛冶師やってるから、十分にやりたいことやれてるから。
柱になって、人を鍛えるというか、何と言うか、うん。
それもいいかなぁ、と。
[徐々に何が言いたいのか分からなくなってきていた。]
……ありがとね、おっちゃん。
ん……にぃ……ふにぇぃ……。
[呼びかけを受けた時には未だ、夢現。
故に返る声はいつもよりも幼いもの]
あ……うん。
わかった、おきる。
ちょっと、まってて……。
[惚けた声でそう返したあと。
零れ落ちたのは、ふにゃあん、という猫その物のようなコエひとつ]
[シャリシャリを口の中で音を立てながら、問いに帰る言葉を聞いていた]
そうだな。ワシ、たまにお主が翼人族だって忘れてるものな。
[良くも悪くも仲間意識が高く誇り高い翼人族。
空をかける自由さの代わりに違う不自由さを得ているようにも思えるのはその環境と育った場所によるものもあるのだろう。
そんな中、役に立てればそれでいい。とあっさり言えてしまうシルキーは稀有にも思える]
柱になって人を鍛えるか。その発想はなかったが、鍛冶師らしい。ならワシは人を育てるということか。
いや、感謝はワシもだよ。
柱になって縛られると考えるのは早計かもしれんなぁ。柱になったからできることもあるかもしれんしな。
[そう考えるのはなんとも前向きで健康的だ。そのできることの試練をしにいくか。梨を食べ終えるとそう思考は進んだ]
(確かに猫だとは知ってたが......)
[ 鳴き声のようなコエだけで、仕草まで目に浮かぶ。微笑ましすぎて笑ってしまいそうだ。
しかし、それをコエに乗せるとやっぱり拗ねられそうなので、ぐっと堪える ]
おーい、寝ぼけてるかあ?
[ 代わりに苦笑まじりの突っ込みだけは軽く入れておいた ]
ふみぃ……。
ねぼけてない……ねぼけてないも。
もう、ねむくない……ちゃんとおきるも……。
[苦笑交じりの突っ込みに、反射的に返したのはどう聞いても寝ぼけきった声。
寝起きがよろしくないのは確かにあるが、ここまで警戒心を緩めているのは珍しい事だった。
もっとも、意識曖昧な状態での事、自分が何を口走ったか、の記憶も曖昧になってしまうのだけど]
[そのまま、メレディスの顔を見ないまま呼びかける]
…兄ちゃんさ、
俺の話し方のこと、言ってたろ。
あの時、俺、ちゃんと答えなかったけど、ほんとは─…
[先の休憩中、彼の部屋で交わした会話を持ち出して告げようとして。
した、けれど]
……ごめん。
この試練が終わるまで、待っててくれないかな。
終わったら、ちゃんと話す、から。
[もう少しだけ、現実を見ないままで居て欲しいと願ってしまった]
[ どこからどう見ても寝ぼけ切ったコエに、堪え切れず、くす、と笑みが零れる ]
あー、判った判った。寝ぼけてないな、うん。
顔は洗ってこいよ?
...待ってるから。
[ 待っている、と、言ったコエには、そっと頭を撫でるかのような優しげな響きが籠もった ]
[意識の中で続けたユーリエの話は、『世界軸』へと集まった時に話をした内容のこと。
確認するような声に、「うん」と一言相槌を打ち、続く言葉を待って]
─── 良いよ、ユーリエが話せると思った時で。
[何を話そうとしたのか、気にはなる。
けれど話しにくい、後で話すと言うのであれば、今無理に聞く心算は無かった。
それが自分の記憶に関わるものだとしても、強要はしない]
[ちゃんと話す、と。
そう言ったユーリエを信じているから]
うん、わかったー。
……まってて、ねー。
[待っている、と返された声の響き。
それから感じたもの、そしてそれがもたらしたものは無自覚、家族以外には聞かせた事のない緩い響きをコエに宿す。
寝ぼけているが故の作用も確かに大きかった、けれど。
絆石に初めて触れた時に感じた安心感に似たものを感じていたから、というのが、一番の理由だった。
寝ぼけているが故に、自覚ないけど。**]
[心の準備ができた頃、黒曜石を通じて返る声がひとつ]
――ありがとう。
私も、キアラを信じて、持てる全ての力をぶつけることにするからねえ。
― 記憶 ―
[ 人間だった母は、当然に龍族よりも寿命が短く、龍眼を欠いた長子を育てる事に生涯全力を注いだがために、男に弟妹は出来なかった。
その事が、余計に重い責と孤高を男に運命づけたのだが、それはそれとして(例によって表に出しはしなかったが)そもオズワルドは兄弟姉妹というものに密かな憧れを抱いている。
それ故に、最初に小さな獣人の探検に付き合った時には「弟がいたらこんな感じだろうか?」と、どこかでその感覚を楽しんでもいた ]
女の、子?
[ だから発熱したクラリッサを運び込んだ治療師の老龍の元で、診療のために服をはだけられた姿を見て、誤認に気付いた時には、少々呆然とした。驚きのあまり、義体の存在の方に気付くのが遅れた程だ ]
[ だから発熱したクラリッサを運び込んだ治療師の老龍の元で、診療のために服をはだけられた姿を見て、誤認に気付いた時には、少々呆然とした。驚きのあまり、義体の存在の方に気付くのが遅れた程だ ]
『若、嫁入り前の娘の肌を、そうまじまじと見るものじゃありませんよ』
[ 治療師にも、クラリッサは子供にしか見えなかったようで、男の目前で治療する事自体は躊躇いもしなかったが、熱にうなされる娘を凝視する男に対しては、そんな風に揶揄い混じりの言葉がかけられた ]
あ、いや、そうか...すまん。
[ 言われて僅かに顔を赤くした男に、老龍は、珍しいものを見たという顔を向け、治療が終わると、どこか優しい笑みを浮かべて手招いた ]
『この娘の手足の仕掛けは、治療師にはどうにも出来ませんが、どうやら身体に力の負荷がかかっているようです。回復を促す術はかけましたが、ゆっくり休ませてやらねばいけません』
そうか...うん、親父に話して、うちで休ませる。
『はい、出来れば清浄な気の通る部屋を選んでやってください。それと薬湯を定期的に飲ませるように。気の流れを正して回復を早めますから。水分を摂るのも忘れず』
ああ、気をつける。
[ 事細かに出される指示にいちいち律儀に頷いて、最終的に男は再び自らクラリッサの身体を抱いて長の屋敷に運び込んだ ]
こいつの世話は俺がする。
[ 看病のための世話係をつけようかという父に、即座にそう断りを返した理由は、なんとなく、クラリッサが自分の義体を多くの目に曝すのを嫌がるのではないかと感じたのと......自身が、誰にも任せたくないと思ってしまった気持ちが半々 ]
俺が連れて来た以上は、俺の責任だから。
[ そう口にした理由は、ほぼ言い訳だ、と、父には読めていたかもしれない ]
[ そうして、クラリッサの熱が下がり、意識がしっかり回復するまでの数日、オズワルドは、殆どの時間をその傍で費やした。
離れていると、自分自身落ち着かなかったし、気のせいか男が傍に居たり、魘されている時には、その手を握ってやった方が、彼女の様子が安らぐようにも見えたのだ ]
『行かせて良いのか?』
[ やがて回復して、再び旅に出るというクラリッサを見送った後、父には、そう尋ねられた。
すっかり見透かされているな、と思いながらも、オズワルドは首を振り ]
あいつは、自由だから。
[ 如何に離れがたいと思ったとしても、縛るつもりも、閉じ込めるつもりもない。と、そう答えた ]
それに...
[ これで終わりではない、と、その時からずっと、どこかに確信はあったのだ** ]
ミリアム。
何か攻め手を考えないと、"先"には進めないよ。
――恐らくは。
[相棒が治癒と防御を主体とすることは承知している。
しかし、それでも二人を戦い合わせた意味があるならと、考えた上で短く助言を飛ばす。
――それでもミリアムが、あくまで防御の力を高めることで勝利を掴み取ろうというのなら、それもまたミリアムの戦い方、なのだろうけれど]
―――、“先”に……。
[己の得意とする力を高めるだけではいずれは追いつけなくなるというのか。
その懸念がなかったと言えば嘘になる。
キアラに追いつき続けたいという純然たる願い、その裏側に]
……はは、何を立ち止まってたんだろうねえ私は。
――あの時のことは、本当に感謝してる。
[ぽつ、と胸の内言葉を紡ぐ]
さっきだって、アンタがいたから無茶が出来た。
アンタの強さはわかってる。
それでも――
その"先"が見たかったんだ。
[自分が勝つための戦いではない。
それでも、勝つつもりで戦わなければ意味がない]
私も。
あの時貴女が応援してくれたから、
治癒魔法士として立っていこうって思えたんだ。
今は貴女の相棒として立ちたい、と思ってるんだけどねえ。
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