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――そのようだね。
[石の共鳴をはっきりと受け取ったのは、この時が初めてか。
知らず浮かんだ笑みは、誰に見られることもなかっただろう]
長旅だったのかい? お疲れ様。
アタシはそうでもないけれど、『旅』というものは初めてでね。
[雑談のようにのんびりとした思考を送る。
胸の奥にぼんやりと浮かんだ懐かしさの正体を知るのは、もう少し先になるだろう*]
―『世界軸』中層・広間 ―
[神子の言葉>>0:56>>0:57が聞こえれば、娘は再び目を開けた]
身勝手……ねぇ。
[娘がそれを詰りたい相手は別に居たけれど、この場でそれを口にすることはない]
いいさ。アタシもアタシの勝手で、この立場を利用させてもらうんだから。
[世界や神子が『柱』を必要とするように、鬼族にとってもまた、『柱』となることが悲願であったのだ。
自嘲する響きに似た物を返して]
[今後の話>>1:58の後、今は休息をと告げられる>>1:59。
その言葉と年相応の笑みに、少しだけ肩の力を抜いた*]
― 『世界軸』中層・広間 ―
なんだい、技術屋ばっかりなのかい、ここに居るのは。
[神子に対する反応に、娘は少なからず驚いた。
鬼族の特性と閉ざされた環境による誤解か、『柱』の務めとは戦闘一辺倒のように考えていたのだ。
自己紹介の流れとなれば、あー、と髪を掻き上げて]
キアラ・モニワ。
故郷では戦いの修行に明け暮れてたんで……それ以外は何もないな。
とりあえず、飯と酒がたらふくもらえりゃそれでいい。
[自分から何かを生み出す発想はないらしい。
引き留められなければ、一度自室の確認へ行く心算**]
すごいすごい、こんなにはっきり聞けるなんてねえ。
[石の持ち主どうしで共鳴できる、ということは知っていたが。
ふ、と二つの石が輝くペンダントに手を触れながら]
……なかなかの長旅だったねえ。
まあ旅はこれが初めてじゃあないからなんだか懐かしくもあったけど。
何日かぶりに船から降りて地面を踏む感じとか。
[他愛もない言葉を編みながらもうひとつ浮かぶ、懐かしさ。
それがはっきりと形を為さないうちに、『柱』が集う場に姿を見せることとなる*]
― 『世界軸』中層・広間 ―
ああ、いずれな。
[道中、幾度か口にした異国の料理の味を思い出しつつ、トーマス>>17にひらりと手を振った。
他にも自己紹介する者があればそれを聞き留めるだろう。
そうして一度その場を辞そうとするのだが]
――――あ、
[名乗り>>30を聞き、声を掛けられて>>31、その懐かしい響きに瞬いた]
ミリアム、アンタも来てたんだ。
[ほんわかとした笑顔に、つられるように硬かった表情を和らげる。
左手は無意識に右手の手首辺りを撫でた]
そうだね、自分なりに出来ることをやってきたつもりだよ。
[実に3年ぶりの再会。
話し出せば長くなりそうな気配を感じ、手にした荷物を見て苦笑する]
一度荷物を置いてから、何処かで話そうか。
[ミリアムさえ良ければ、彼女の部屋を訪ねようかと思案しつつ、何気なく彼女の首元を見て]
――アンタ、その石……!
[自分が持つものと同じ漆黒が、彼女の天命石と並ぶように揺れていた。
こちらの左耳にはあの時と変わらず黒曜石があり、その意味は言わずとも伝わるか。
まるで肯定するかのように、キン、と左耳で済んだ音が鳴る]
これは、話すことが増えてしまったね……。
[娘はあの時の恩を忘れていないし、彼女の腕の確かさも知っていた。
これからの戦いと試練とやらが、どのようなものになるかはわからないが、彼女がパートナーならば心強いと感じていた**]
― 休息の間 ―
[ミリアムとの話を終えた後、召集までの間に他の『柱』候補と話すこともあっただろう]
ううん……ないねぇ。
島に来る変わり者のことは大体覚えているんだけど。
[メレディス>>47の問いにはそう答える。
話す内にそう問われた事情も知ることになるか]
アタシの故郷?
国というか、少し大きめの島のような所さ。
岩ばかりだから作物の実りは少ないが、代わりに魚はよく捕れたよ。
[故郷について問われればそのように。
一族の歴史に関しては、殊更口に出すつもりはなかった*]
― 休息の間 ―
[休息中に、トーマスの部屋>>55を訊ねることもあっただろうか]
こ、これがアンタの作った料理なのか!?
[彼が何かを振る舞ってくれたなら、目を円くして驚きの声を上げる。
外見は鬼族に勝るとも劣らない屈強な男なのに、彼の作る料理は繊細で手の込んだものだ]
あ……大声出してすまないね。
うちの島では、あまり洒落た料理というものはなかったものでね。
[鬼族には食べ物など腹が満たされればいいという感性の者も多く、素材に火を通して塩を振っただけという豪快料理もザラにあった。
トーマスが用意したものが何であれ、物珍しいものを見るかのように、瞳を輝かせていただろう*]
― 休息の間 ―
そうかい、それは有難い。
[トーマス>>59の言葉に笑顔を見せる。
豪快な笑い方は、外見だけでなく気質も鬼族に近しく感じられ、娘にとっても好ましいものだった]
うん? ……ああ、そうだが。
[角へと一瞥とともに掛けられた問い。
悪意あるものではないと思いつつもやや硬質な声で答える。
するとトーマスもこちらを慮ってか、畳み掛けるように言葉を重ねた]
ああ、そうだねぇ。あそこは旅慣れた行商人か、余程の変わり者しか来ないから。
[自力で来ようとしたという男に、無茶をするものだと苦笑して。食材のことを問われれば]
鬼カラシというのはどうだい?
とんでもなく辛くて行商人も売り物にならないと言っていたが、アンタなら使いこなせるかもしれない。
[故郷の刺激的な味を思い出しつつ。
桃を差し出されれば、柔らかさと甘さに顔を綻ばせた*]
― 回想 ―
[種族の壁も、鬼族とそれ以外の壁も、まるで感じていないかのように、ミリアムはこちらへ話し掛けてくる>>60。
少女が深く安堵した理由は、傷が癒えたことだけではなかっただろう]
そうだったのか。
"外"の人間でも、そんなことがあるんだね。
[ミリアム>>61の話を聞いて、少女は瞬いた。
島の外の人間がどのように暮らしているのか、少女はあまりよく知らない。
けれど、将来のことを訊かれて息を詰めたのは、それが理由ではなかった]
アタシは……『柱』になるんだ。多分、二十歳を迎えるより早く。
だから、将来とかは……考えたことが、ないな。
[それは、生まれた時から決まっていたことだ。
それに、『柱』が『柱』である以外に何者であるのかを、少女は知らなかった]
それが、ミリアムの石?
……すごい、綺麗だね。鬼族にはあまりない色をしている。
[胸元を示されれば、そちらへ視線を送る>>62。
鬼族には水の力や、青系の石を持つ者は珍しい。
角度を変えてみれば様々な色が見える様子に、思わず感嘆の声を漏らした。
少女のトルマリンも多色であるが、その色目ははっきりと分かれている]
[将来を語る言葉に答えが返れば>>63]
ありがとう。
そんな風に言ってもらったことって、あまりないから……すごく、嬉しいよ。
[生まれた時から特別だった少女と、島の子供たちの距離は遠い。
年近い者から純粋な応援を受けたことは初めてで、胸が詰まるくらいの喜びを感じていた]
ミリアムも、頑張って。
きっと、いい治癒士になれると思うから。
[自分からも励ましを返しながら、自分がそんな言葉を投げ掛けるのは、きっと初めてだと思った*]
― 現在/『世界軸』広間 ―
[そして現在。
自身と同じ石を手にした彼女>>64と、娘は向かい合っていた]
そうだったんだ。
同じ石なのに、随分と、ずれた時期に現れるものなんだね。
[パートナーとなることなど意識せぬまま、言葉を交わした過去を思う]
……ああ、実を言うと、少しそこの料理人が気になっている。
[ミリアムの提案>>65に頷き、ついでに食事を取りたい旨も匂わせる。
いずれにしろ、一旦その場で別れることになるだろう*]
― 『世界軸』中層・儀式の間 ―
[邂逅と語らいから、しばらくして。
風に乗って届けられるは、集いの報せ>>35]
……いよいよか。
[討伐の言葉と、告げられた対象>>36に表情を引き締める。
そして神子が呼び出すは、光の門]
行こう。
[相棒と視線を交わし、門へと近付いていく。
手を触れれば一瞬にして光景が切り替わり、気付けば広間らしき場所に立っていた。
周囲には四つの階段が、上へと伸びる>>#0]
アタシらが登るべきは、これ、だろうねぇ。
[そう言って示したのは、周囲の光を吸い込んでいると錯覚するほどに昏い、漆黒の階段。
絆石と似た色合いのそれへ、先導するかのように一歩を踏み出した*]
― 『世界軸』上層・『深淵の間』 ―
[階段を登り切れば、開けた空間に出る。
黒い床に、同色の巨大な立方体が、無造作ともいえるような配置で並んでいた。
自然の岩とは明らかに違う趣のそれは、場が違えば何かの芸術作品のように見えたかもしれないが]
……いる、よ。
[自分たちとは異なる気配へ視線を向ける。
黒の中にあってなお深い、闇色の鱗を纏う竜。
部屋に踏み込む者に気付いたか、ぐる、と唸る声がした]
ミリアムは下がっていて。
攻撃は、出来るだけアタシが引き付けるから。
[ミリアムの戦いぶりを知る訳ではないが、治癒士であることを考えれば、そのような役割分担が適切だろうと判断する。
自身はと言えば、竜の巨体にも怯むことなく、手近な背丈ほどの立方体に一蹴りで飛び乗った。
鋭く腕を振れば、服の内に仕込まれていたのか、漆黒の長い針が両手の指の間に挟まれる]
さあ、アタシたちの初陣だ!
[気合いと共に叫ぶと、振り上げられた竜の手目掛け長針を投擲する。
その針の軌跡を追うように、電撃が宙を翔け、そして下ろされかけた手を鋭く弾いた]
[ミリアムとの最初の出会いの後、少女はその力を制御するため、思考錯誤を重ねた。
その結果辿り着いたのが、雷を引き付ける性質を持つ武器を利用すること。
少女の服には、針や苦無等の投擲武器が、そこかしこに仕込まれていた**]
― 『世界軸』上層・『深淵の間』 ―
[先導するように歩いていたパートナーとは、いつの間にか横並びになっていた。
そうして、対峙した倒すべき相手。
再び前に出ようとするこちらを、呼び止める声があった>>180]
[杖の一振りと共に生み出されたのは、こちらを包む水飛沫の如き輝き。
それが己の力を高めるものであることは、説明されずともわかった]
――ありがとう。
[振り向かぬままに礼を言って、闇竜の前へ躍り出る]
[最初の腕の一振りは弾いたものの、敵もそれに怯むものではない。
鬼の体を捉えんと、両の手を激しく振り回す]
くっ……図体の割に随分と、速いじゃないか!
[しかし娘もまた、鬼族にしては小さな体躯を、利点とすべく修行してきた身。
黒の立方体の角を蹴り、水平に、或いは隙間を縫うように跳ぶ。
そこにかかる、相棒の声>>184]
わかった、やってみるさ。
ほら、こっちだ!
[決定力に欠く攻防では、こちらの体力が尽きるのが先だろう。
ミリアムに応えるべく、竜の気を散らそうと、雷撃帯びた針を、竜の身の周囲へ取り囲むように投げる]
[やがて、ミリアムが竜の尾へ近付く姿を視界の端に捉えた>>196。
竜の意識を逸らすべく、敢えて竜の眼前を横切るように跳んだ。
その瞬間、竜の身を這い回る水が、その巨体の一点へ集った]
――そこか!
[示されたのは、竜の喉元。
娘は腰から引き抜いた苦無を、素早く投げつける、が――]
弾かれた!?
[その切っ先が急所を狙ったことは、『深淵』にも気付かれたか。
翼を一打ちし舞い上がった竜は、眼下の二人へ向け大きく口を開く。
その喉奥が煌々と光っていた]
いけない!
ミリアム、避けて!!
[助けに戻る余裕はない。
相棒に向けて叫びながら、自分は、敢えて前方へ踏み切った。
ミリアムに強化された脚が、体を包む水の加護が、竜の吐息を一瞬突っ切るだけの力をくれると信じた]
[身を焼く熱を感じながら、娘が引き抜いたのは短刀だった。
自身にとって唯一の、投擲ではなく近距離用の武器。
ブレスの高熱が通り過ぎれば、次の瞬間頭上には、息を吐き切り口を閉じた竜の喉元が晒されていた]
――これで、
[足場を蹴り後方半回転しながら、娘は跳んだ。
その身は竜の体へ取り付く形となる]
終わりだ!!
[そして急所へ突き立てた短刀から、娘は最大出力の電撃を叩き込んだ*]
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