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― 『世界樹』の枝 ―
[危うく体制を崩しかけたが。
その時に、腕を掴もうとしていたトオルの様子は察していたのか]
……ふん。この僕がこの程度でどうにかなるワケがない。
お節介、なんて寝言を考えちゃっている暇があれば
お前こそ、うっかり世界樹から根の方まで転落してくれるなよ?
[じろ、と向けた瞳を戻してからは、少し急ぎ足と化して。
世界樹の枝。葉ずれの音と、ゆれるこずえの音を耳に挟みながら、進んでいけば。
足場の悪い枝の空間が終わり、枝と枝が綿密に絡み合い、ひとつの巨木の様にふとい枝となり、足元の固められた、枝の広間に出迎えられて…]
[ざわりと、身震いと嫌悪感を感じる様な、嫌な気配が肌をついた]
……トオル、死にたくなければ遠巻きにしてろ……!
[両拳を構えてぐ、と身を屈めれば、『世界樹』を取り巻く霧の向こう側から大きな影がゆらゆらと蠢きだした。
唇が早口に魔法の呪を刻むと同時に、アイルリートが走り出す。
大地の守りを巡らせて走る人間の前に、ゆらり、と巨大な蛇の姿が現れるだろう。
地を這う大蛇、毒々しい紫色をした巨大な舌が、小さな獲物を品定めする様に不気味に揺れ、牙がぬらりと光る。
荒野の毒蛇、『七大蛇』のゴーイン]
[巨大な尾撃が、小柄なアイルリートを吹き飛ばそうと振るわれて。
大地の盾を貫かれながらも、その尾撃の勢いが、両拳を交差させて防御する身体を痛撃する]
つ Viridi...Cant...!
[同時に身体を照らす緑色の燐光が、柔らかく傷を癒す。
敵の痛撃を、防ぎ、癒して、硬い盾になる様にして。
次に、鋭く突き出された拳が、アイルリートを大蛇の尾に跳び乗らせて、近接しようと走り出していた]
― 精霊節まで 回想 ―
……今なにか無礼な事でも考えたか?
ウェルや大抵の奴はリートと呼ぶがな。
アイリ、もアイルリートの愛称のうちだ。
[ぎろりとキツい瞳で睨みが送られた>>184]
魚は食うが、肉は重くて菓子が食えないではないか。
それに、何故胃袋を鍛える必要があるのだ。
腹を壊せば治せばいいではないか?
[ごく当たり前の様に、その後ウェルの前でも首を傾げてみせたが>>190。
当然これも鍛錬の時と同じで、魔法による強引理論なのだ。
鍛錬も、体力がなければ体力を補えばいいのだ(魔法で)]
― 精霊節まで ―
11!?
……こっちならまだ小学生じゃねーか、そんな話歴史の教科書くらいでしか見たことないぜ。
[アイリが当主を継いだという年齢に面食らう。
しかも所謂傀儡ではなく、きちんと立場を明確にしてのことだ]
そりゃ、出来るやつはそれでいいだろうが。
出来ないやつを全部置いてきぼりにして、それでいいのかって話だろ。
つーか神官長ヤバいな……。
[そりゃ、いきなり有無を言わさず人を異世界に呼んで危険に放り込むような人間だ。
常にその調子なら、誰かしら刺そうとする奴が出て来てもおかしくはない]
あー……そりゃ同意だ。
[アイリの出した結論に頷くが、続く言葉にはむ、と顔を上げて]
いや、そのしくじった奴を支えるために全体があるんだろ。
駄目な奴だけがしくじる訳じゃねーんだよ。
一見何でも出来そうな奴だって、一人じゃどうしようもない出来事にぶち当たるかもしれねーだろ。
[そう言って、相手へ向けた視線は気付かれたか否か]
……別に、
[息苦しさと、言われてふと過ぎるのは、レギュラー落ちした自分へ向けられた視線]
常に完璧だとは正直言えねーよ。
でもさ、やっぱ一人だから出来ることより、仲間がいなきゃ出来なかった方が多いって。
それって全体で見たら、全員バラバラよりまとまってる方がいいってことになんねーかな?
[理想論すぎる、かもしれないけれど。
少なくとも自分は、そう信じて今までやってきた*]
仕方がないだろう?
父様が遺したマガーネルの権限の継承権はあいにく僕だけでな。
あの当時は、なにやら、クレメンス……
うちの執事やら家令やらもこそこそお節介を焼いてくれていた様だがな。
[驚くトオルに肩を竦める。まあ此方は文化の違いをさしひいても驚かれるのは想定内だ]
ああ、でもあの腹黒の事を心配する必要はきっとないさ。
結果さえ伴えば、あいつは何とでもして追求を黙らせる。そういうやつだ。
そういう意味でいうならば。
召喚した勇者も血脈も全滅し、世界の異変にも対処できませんでした、とならん限りは恐らく平気だから。
いやな意味での一蓮托生ということだな。はは。
[露天で買い求めた、喉越しのいい花蜜のジュースを傾けながら冗談めかしてみせた。
実際、あれで戦闘能力もそこらの神殿騎士より強いのを知っているアイルリートは、あの腹黒を刺せる様なやつなんてそうそう転がってはいまいと考えていたり]
[その後に述べた考えに、む、と不満気な顔をみせたトオルの言葉に]
…… ……ふんっ。
[思い当たる所が無いではないのか、此方もすこし不満そうな表情で瞼を閉じた]
出来ないやつは、結局出来るようになる公算は低いのだから
結局なにも出来ずに、個人も全体も落ちこむよりは
はじめの内に後ろへ下げたほうがいい場合もあるだろう。
見捨てる排除するではなく、それもひとつの考えというまでだよ。
……まあ、僕がそういった所で。
お前の頑固な強情もそう簡単に変わりはしなかろうなのは理解している。
トオル、そういう理想論は『ニホンジン』の特質か?それとも?
[じ、と途中で少し勢いを無くした様に感じたトオルをみるも、結局肩を竦めたが]
― 『世界樹』の枝 地蛇の広間 ―
[激しく波打つ蛇尾が、小柄な人間を吹き飛ばそうと荒れ狂う。
大波の様に天へ揺れた尾が、アイルリートを吹き飛ばし、すぐさま尾が飛来するが]
Orationem Terr...!!
[世界樹の緑葉がこずえを鳴らす天蓋の下空で
キィン!と硝子鳴りの様な音を響かせながら
大地の障壁は今度こそ尾撃を受け止める]
そこだ……!
[中空で起きた、大地と尾撃の衝撃は、アイルリートを、蛇体へと吹き飛ばす。
宙で安定した身体は、くるりと身を翻し、その巨大で禍々しい土色をした鱗に覆われた、蛇頭へとナックルの一撃が痛撃を返す]
[だが、手応えは弱い。びぃん…と拳に残る痺れ名残をひきながら、着地を決める]
……っくそ。
[勇者の、守護者の武器は、ただの武器ではない。
精霊の祝福を受けて、魔力の込められた、魔物に特効を持つ特別な武具だ。
然し、強力な攻撃技量を持たないアイルリートのナックルでは、この大蛇は聊か堅い。
時間をかけて少しずつ手傷を与えれば不可能ではないが、きっとアイルリートの魔力切れの方が先に訪れる。
程無く、遠巻きにいろと警告したのに、こちらへ参戦しに走るトオルの姿が目に止まる事となる**]
― 精霊節まで 回想 ―
[さて。実質の本性も知られぬ初対面の場であったと云え。
彼女、レオの言葉にアイルリートはパク、と口を空けて継ぐ言葉を暫し忘れた>>215]
……そ、そう、なのか。
いや、まあ余り慣れないも彼女にはあるだろうが……。
うん、彼女から教えられる事は、なかなかあると僕もおもうからな。
一族以外の友人は数少なかろう、仲良くしてあげてもくれ。
[珍しく、視線を逸らしがちで懐の菓子袋を右手が無意味に漁っていたのだが
その理由は、後にトオルやウェル辺りの男子陣の誰かが聞く事となるだろう]
[どこぞかで水の勇者二人がいない時に彼女達の話題が登れば気まずげな表情を浮かべていたろう]
正直、な、少し性格が違うと思いはしたのだが。
レオもベルティルデと同じで、やはり少し苦手だ。
[苦手、と云うが別に悪感情があるわけではないのだ。ないのだが]
風の属性もそういう奴がいやすいのだが……。
こう、水属性の奴は、なかなか総じて
好感情の向け方が、直裁、というか、直向、というか。
[別にアイルリートは、他人に好かれやすい言動はしてない自覚位ある。
逆に、望んで他人に嫌われたいわけでも無いから。
あの様に、好感を示されるのはどう巧い反応をするのが適切なのかが対処に困る場面が、ベルティルデ相手にもたまにあるのだ。
そういう意味で、苦手というよりは、恐らく正確には慣れてない]
― 『世界樹』の枝 地蛇の広間 ―
[体勢を整えたアイルリートが更に大蛇に追撃しようとした時。
鍛錬所の棍棒を握り締めて、蛇尾の辺りに向かう姿が目に止まる>>201]
トオル! 馬鹿者、そんな棍棒ではコイツには効かな――…
うわっ…!?
[視線が大蛇から逸れた瞬間、ゴーインの地蛇の蛇頭が迫る。
べ、と唾を吐きつける様に、蛇の口内から放たれた液体を咄嗟に避けるが
避けきれずに左側の何箇所かに液体が触れた瞬間、身体のその部位がいやな変色と共に体組織を物凄くイヤな具合に蝕みだした]
[ぐ。毒もちなのは知れてたが、唾液まで強毒か。
身体の内側からあっと云う間に生命を蝕む毒素を、回復魔法をつぶさに口ずさむ事で和らげようと試みる]
ふん、毒をかけた程度で、大地の守護者は倒れんぞ。
常に最前にあり、あらゆる敵の障壁となる。
大地の真髄、それが守護者の伝え。
あの馬鹿に気を向ける暇など、欠片もあたえてはやらん!
[大地の魔力が、障壁の盾をつくり、命の力を回復させる。
それは例えるなら、壁だ。
より硬く、堅牢に、そして何度傷ついてもその度に立ち上がり復活する、壊れない壁。
逆に壁を壊すまでは出来ない、途上の力ではあるが]
トオルっ、コレの弱点は当然頭部だが危険だ。
今なら尾に近づくお前への注意は逸れているはずだ。
危険を侵してでも頭を潰してさっさとケリをつけるか
このくそデカい尾から潰して確実に仕留めるか。
戦うのなら……判断はお前のものだっ
僕はもうとめたぞ。
それでも戦うというなら、踏み出すというなら。
喰らいついてみろっ
[壁の後ろにいる人の命を守る為に、堅く塞がろうとする、壁だ。
力強く握り締めたナックルに、地精霊の魔力が黄色く発光する]
せぇぇ…のぉおお…!!
[強い掛け声と同時にアイルリートの身体が蛇体のすぐ傍に潜り込み、激しく掌底を打ち込んだ。
鋭い回し蹴り、横殴りの拳、重く膝蹴りを繰り出し、跳躍と同時に叩き込む拳、地精霊の魔力を込めた拳撃蹴撃。
激しく連続する攻撃で、大蛇の注意は強くアイルリートに惹き付けられる事となる。
再びの拳底と同時に、大蛇の腹部で地精霊の魔力が爆発する。
攻勢に乗じながら、その意識は、トオルにいけ、と合図を出していた**]
なるほどな……。
家柄とかよくわかんねーけど、それはそれで面倒なんだな。
[肩竦めるアイリに呟いて]
ああ、結構形振り構ってられない状況なんだな。
それでも揉めるってのは……まあどこの世界でも変わらんか。
[一蓮托生の言葉には少しばかり顔が強張るも。
とりあえずこの危機さえ乗り越えれば後は神官長がどうにでもすると、その点では安心が出来そうだった]
[こちらの学校に関する考えを聞いたアイリは不満げに瞼を閉じる。
無論自分の考えが常に正しいとは思っていないし、アイリの言葉にも一理あるとは思うのだが]
――これだけは言っておくぞ。
出来ない奴ってのは、何も出来ないって意味じゃねーんだ。
そりゃいっこの物差しで測りゃ、どうしたって差は出る。
でもな、そこで別の物差しを出すのは、無意味なことじゃないと思うぜ。
[アイリに見越された通りの頑固な男は、思わず主張せずにはいられなかった。
その言葉に妙な実感が籠っているのは、果たして見透かされたかどうか]
……ま、日本人でもお前に近い考えのは居るし、逆でもここまで言う奴は珍しいだろうが、な。
[出来ない奴は諦めるか、もしくはなあなあにしてぬるま湯に浸かるか。
どちらでもない人間を『馬鹿』と評する辺り、世の中の考え方は推して知るべしだった]
丁寧な解説ありがとよっ!
[精霊を介し届いた声に、得物を握る手の力を強くする]
ああ――やってやるぜ!
[叱咤する声に応えるように、枝絡み合う足場を強く、踏み切った]
[アイリ、と。毒を受けた時に聞こえた呼び方>>259。
今では大喰らいの地精霊くらいにしか呼ばれてない]
うるさいっ!
こんな蛇に殺されても僕が迷惑なんだ!
『死体に回復魔法は効かない』んだ!
[じくじく肌を爛れさせる毒素を抜きながら、蛇腹に連撃を叩き込む]
― 『世界樹』の枝 地蛇の広間 ―
[腹部への連撃の合間、迫り来る大蛇の攻撃を障壁で防ぐ。
その合間を狙い穿ち、大蛇の頭部へと勢いよく飛び掛り、予測通りではあるが、鍛錬用の棍棒が儚くへし折れるさまを見る]
離れろ! 下手な一撃を目なんかに入れたら――…
!! トオ !
[目を狙われた事に、大蛇の矛先がおもいきり奪われてしまう。
咄嗟に障壁魔法を張るよりも早く、蛇頭が思い切り振るわれて
壊れた獲物ともども、吹き飛ばされて枝に激突するトオルの姿]
[ギ、と激しい瞳を大蛇にぶつけ、再び飛び掛り、ナックルを振るう]
この害虫め……
貴様の相手は、この僕だと言ってるだろう!!
[先程よりも頭部に近い部分を殴り、トオルと同じ様に振るわれた蛇頭が、自由落下する身体の上を通過するのを確認し]
...Cera Fares...!
[複雑に絡まりあう世界樹の枝でつくられた足場に、大地の魔力を送り込む。
但し、回復や防護でもなければ、大蛇へ攻撃を与えた訳でもなさそうだ。
効力が判明するのは、大蛇がアイルリートをなぎ払おうと、蛇尾を振るわんとしたその時]
[ゴーインの蛇体に、いつのまにか世界樹の枝が絡みつきだしている。
大蛇の長体そのものを拘束しようと成長する樹枝が、蛇尾の動きを著しく阻害する]
そう長くかからず抜けるだろうな。
だが、それで十分だ…!
[その時には既に、アイルリートにその姿が見えていたから。
地精霊の力を受けて、精霊石の欠片が形を変えた特別な武器。
棍棒よりもより荒々しくて重そうな、戦槌の様なそれを両手にして走りだしているトオルの姿が。
今度こそ、その大味なスイングは、樹木に拘束された大蛇の顎を、派手に撃ち砕く>>264]
できるなら初めからそうしてろ!
壊れて当たり前だといっただろう!
[魔法の素養はある様に思えないトオルだが
あの蛇頭に吹き飛ばされた割に元気だという事は、大丈夫なのだろうか、と呆れた嘆息を小さく吐きつつも]
[先程とは違い、激しい打撃を与えられた大蛇が、苦痛に暴れ狂う。
成長させた樹木の拘束は引き千切られて、その蛇頭、口を閉じきれず毒々しい血の滴る顎が、トオルを狙うが]
ここでとっておきだ。
Scutum Fang...!
[今度こそは、大味な攻撃に隙もできる、トオルの前に飛び出して。
より強力な魔力を注ぎ込まれて現れた障壁に、蛇頭が激突すると。
バン!と障壁は破壊される処か、小爆発の音を立てて大地の魔法を爆発させて、蛇頭に直接魔力を叩き込んだ]
[その隙があれば、もう後は畳み掛けるだけで通じるだろう]
今度こそはしくじるなよ!
これで決める!
[再び蛇腹の懐に飛び込み、激しく大蛇の注意をひきつける。
頭部に何度もダメージを受け、腹では人間が何度も執拗に気を引いていれば。
今度もまた、トオルに気を回す余裕などは大蛇から奪われるだろう。
そこに、蛇頭へ向けてその戦槌を、これでトドメだ、とばかりにトオルが振りかぶれば……]
[ドオオン、と激しい音を立てて、頭部を砕かれた大蛇は、倒れ伏すだろう。
ビクビクと激しい痙攣を繰り返した後に、大地へ還る様にその命を散らす]
…… …… ……ふう……
なんとか、片付いた、と云う所だろうか。
[大蛇の絶命を確かに確認できたら、大きく息をつきながらその場に膝をついた。
戦闘中の傷と毒は完全に抜くのは大変だから、これでしっかり抜く事ができる、と人心地ついて*]
[大蛇を倒した後、トオルはどんな様子をしていただろう]
ひとまず、こちらでまずは一匹。
ノルマとしては、後一匹も倒せば上々という所だろうかな。
トオル、怪我をみせてみろ。
もしかしたら、神殿の方から経過状況の確認があるかもしれない。
しばらくの間はここで一度傷を治す。
ほら、打ち付けた傷は、切り傷よりも厄介な場合が多いんだ。
[血と土埃で、結構汚れた身の回りを、パパンと払い身を整えながら
傷を治してやろう、と近づく彼の左腕は、受けた当初よりは毒による皮膚の爛れが薄れていた*]
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