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埋もれし一葉 は 銀月牙 アイリ に投票した
魔王 カナン は 銀月牙 アイリ に投票した
皇子 ロー・シェン は 銀月牙 アイリ に投票した
亡国の将軍 ヨセフ は 銀月牙 アイリ に投票した
銀月牙 アイリ は 銀月牙 アイリ に投票した
破光装置 クレステッド は 銀月牙 アイリ に投票した
流離の勝負師 ディーク は 銀月牙 アイリ に投票した
銀月牙 アイリ は村人の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、埋もれし一葉 、魔王 カナン、皇子 ロー・シェン、亡国の将軍 ヨセフ、破光装置 クレステッド、流離の勝負師 ディークの6名。
あいつが希望だっていうから従ったし、
あいつが救ってくれるって言うから耐えてきたんだ。
けど、これじゃ今までと変わらないどころか
もっとひどくなってるじゃないか。
どっかに本当の救世主はいないのかよ。くそっ。
───壕の壁に刻まれた落書き
馬鹿だな。
俺達みんなが救世主になるんだよ。
あの方は、道標なんだ。
俺たちが迷わないように、先頭で照らしてくださってるんだ。
だから俺たちが後に続いて、あの方を支えるんだよ。
───その下に彫られていた落書き
魔界の悪魔と人間との友好的な交流、などという世迷言を信じるものはいるだろうか。
魔界の生き物はすべからく悪逆非道で、残客な行為を好み、人間を家畜以下のものとしか見ていない、というのが通説である。
しかし、ここにいくつか興味深い事例がある。
洪水から村を守った巨人の話、
助けられた礼に自分の身を削って尽くした鳥人の話、
遭難した人間を助けた上に、妻となった氷魔の話、
盗賊や魔物から幾度も人々を助けた鎌持つ魔の話、などだ。
あるいは、魔界の住人の中にも心優しきもの、善の心を持つものがいるのかもしれない。
そういう魔と交流を持つことが叶うならば、戦いではなく対話によって世界を平和に導くことができるかもしれない。
いずれは、人と魔の子供が普通に暮らす世の中が───
───禁書の書架に眠る名もなき書
埋もれし一葉 は、魔王 カナン を投票先に選びました。
魔王 カナンは、魔王 カナン を投票先に選びました。
流離の勝負師 ディークは、魔王 カナン を投票先に選びました。
─ Z ─
[天界人へ叩きつけられようとした触手は、白熱する光に灼かれて溶け落ちる。
魔導炉のおもてを雫と風とが乱した]
『別の夢とは?』
[声は嵐を気にもとめぬように紡がれる。
慈愛さえ含むような音色で]
『私は光にて、世界のすべてを無に帰すもの
終わりの先──浄化により虚無となった世界は美しいだろう
そこにまた新たな世界を生み出すのだ、天使よ』
[焔と風とへ、魔導の雷撃が降り注ぐ。
力と力がぶつかるとさらに烈しい火花が生まれた]
破光装置 クレステッドは、魔王 カナン を投票先に選びました。
皇子 ロー・シェンは、魔王 カナン を投票先に選びました。
魔物と人間を半分ずつ?
…なるほど、それを酔狂とよぶのだろう
鎌を使えるか、それも持ち帰らせるのだな
[楽しげにうたう波動は、ふと思い出したように別の話題を残す]
そういえば、天使が今私の封印を壊しそうになっている
次の光は先よりも早く、照らせよう
[悲嘆と怨嗟と絶叫と。
それらすべてを楽しげに見下ろしたのち、魔王は人形に向かって手を振る。]
それを持っておまえは戻れ。
実に良い素材だ。
我は、ロー・シェンを殺してから戻る。
[ぐるる、と唸ったナールが、ロー・シェンに飛びかからんと腰のバネを溜めた]*
― シラー奪還戦 ―
[ハッ、と男は空を見遣る。
気配を感じたからではない。
コエが響いたためだ]
まさか……
[そのコエは絶叫と言っても過言ではない。
とおいとおい、駆けつけられぬほど離れた場所での叫び声。
嫌な予感が過ぎる*]
亡国の将軍 ヨセフは、魔王 カナン を投票先に選びました。
[ 男が、その場に辿り着いた時、既に、死の鎌はアイリの胸に吸い込まれ、その瞳も閉じていた ]
リー......
[ 触れようと伸ばした指を握り込み、男はヒトガタへと視線を向ける。その頬を涙が濡らした ]
何故...
……そざい?
[半透明の鎌が溶けて左手の中へ戻ると、遺体から紅が散った。
ヒトガタは魔王へ顔を向ける]
それ、は
[垂れた髪の先が動く程度、首を振るのは抵抗]
あの鎌は、あるいは個体を識別するものかもしれないな。
使えるかどうかは半々だが…使えるようになればそれも好い。
ああ。実に良いおもちゃを残してくれたものだよ、シメオンは。
[浮き立つような声音を紡いでいたが]
……天使が??
あの転移していった人間が天使だったというのか?
人間とは見かけによらぬものだな…
封印が壊れたら、都どころかシラーのあたりまで海になってしまうだろう?
それは困るな。我はもうすこしこの地で楽しもうかと思っているのだ。
[ 魔王の声に、顔を上げる ]
......お前達には渡さん!決して!
[ 片手に握りしめていた魔石を、クレイモアの刃で砕く。
煌と輝いて散ったのは、砕ける筈の無い金剛石。同時に、アイリの身体を囲むように、煌めく障壁が顕われた。
それは、あらゆるもの...生者も死者も、魔力も、全てを隔絶する障壁。己の身に使えば絶対の防御となるそれを、アイリの身を守るためだけに使い、男は、剣を手に、魔王を睨んだ* ]
む…それはだめなのか
このまま置けば封印と共に魔導炉も壊されるやも
そうするか?
[極めて不安定にはなるだろうが、出力が下がりはするはず、と]
─ Z ─
[魔導炉の壁を天青の焔が這う。
融けて、混ざり合う。
人の視力では見ることの叶わない灼熱の中の邂逅。
触手が剥がれ落ちても、Zの音色は変わらず、涼やかで、無垢だった。
美しいものは不要と言ったその響きで、虚無となった世界は美しいと呼応する。]
ああ、おまえは新世界の神たらんと、仕組まれているのか。
[銀幕めいた空間に、虚無の光景を投影してみせる。]
残念だが、虚無は何も生み出さない。
永劫の終焉だ。
[その未来予想図を塗り替えて描き出すのは、岩山と化したZの外殻を植物が覆い、小動物が駆け回り、人が楽器を奏でてサーガを歌う光景。
連綿と受け継がれる命の傍らで、春を知り、夏を知り、雨を知り、雪を知り、夜を知り、夜明けを知る。
そんな未来。
刹那、雷撃が空間を切り裂いて、天使の羽根がひと掴み、燃えながら散る。**]
我に逆らうのではないだろうな。
愛しき我が最高傑作よ。
[人形が何を抵抗しているのか思い当たって、魔王の唇に笑みが引かれた。]
おまえはすべてを備えた、新たなヒトになるのだ。
そうして、新たな世界におまえの種を蒔くのだと、言っただろう?
それに、その娘も、おまえの中に在った方が、新しい世界に行けるのだぞ?
なにをためらうというのだ。
[諭すような言葉は、酷く柔らかく優しい。]
ヨセフ......
[ 届いたコエに、返るのは、哀しみに満ちたコエ ]
リー、が......
[ 後は、言葉にならず、途切れたまま ]
[そう話している間に、娘の体の周囲を煌めく障壁が覆った。
一目見ただけでわかる、とても強い魔力だ。
あれはおそらく、力づくでは壊せまい。]
おまえが躊躇うから、そら。駄目になったではないか。
帰ったら仕置きだぞ。
それはもういいから、戻れ。
[娘と、人形とを見てから、ロー・シェンに視線を移す。]
暫くはその命預けおこう。
我はおまえのその嘆きのみで、まずは心満たされた。
存分に、永遠の別れとやらを楽しむがいい。
[一方的に告げて、ナールに合図を送る。
黒竜は翼を広げ、ただのひと打ちで巨体を高みへと運んだ。]*
[この時、周囲に残る亜人たちは相当に数を減らしている。
前へ抜けようとしていたものたちは炎と弓矢と剣の前に、ほぼ全滅の憂き目を見ていた。
魔王と共に鉄底族へ攻撃を仕掛けていたものたちは、人形が鉄底族を相手取っていた時には勢い盛んだったが、それが無くなれば次々と斧槍の餌食になっていた。
それらすべてを、魔王が顧みることはない。
雑兵など、いくらでも補充の利くツィーアの餌だったからだ。
その補充が来なくなる報せ───シラー陥落の報は、まだ届いていない。]*
/*
すまないね、魔王様。こうも使い物にならなくなるとは...思ってたけど。
やっぱ最終決戦エピに食い込むなこれは。
[酷く優しい声にヒトガタの頬は強張る]
…さからえない が
[最後まで争い苦しみながら手折られて偽の死を得る、些細な余興の折と同じ表情で]
もがけと言った。捨てるなと
俺は、まだ、人間のふりを──して
[途切れ途切れの言葉が止んだのは、煌めく障壁が娘の体を包み込んだから]
……ぁ
[瞬く。
視線は魔王と障壁とロー・シェンとを彷徨い、
やがて泣き出しそうな表情で頭を下げた]
…
[なにか呟いた言葉は音にならず、転移の魔法がその身をかき消した*]
[少しの沈黙の後、男はロー・シェンにコエを送る]
…彼女は、何か君に、言葉を残したか?
後悔はしていなかっただろうか。
[そ、とコエにはロー・シェンとアイリ、両方を案じる色が乗った]
[ 魔王が立ち去り、ヒトガタの姿が消えても、男はそこに立ち尽くしていた。
近寄る魔軍の亜人が居れば、一顧だにせず斬り捨てて、やがて、鉄底族が勝利の雄叫びをあげた時にも、ただ、黙って ]
[ その瞳から、涙はもう零れてはいなかったが、引き結んだ唇は色を喪い、金色の瞳にも、常の輝きは無く...ただ揺れる哀しみの色だけが深く沈む ]
[ ヨセフの案じるコエに、このままではいけない、と、囁く声がある。けれど、慟哭に飲まれた心は、軋んだままで ]
リー、は...俺のために、命を使って...
俺の傷を...癒してくれたんです。
[ 落とすコエは、答えにはなっていない ]
それなのに、俺は、あいつを守れなかった...
すぐ、傍に居たのに。
「我が友、ロー・シェン・アウルム・ド・レオヴィル」
[ やがて、偉大なる鷲髭のゴルバが、男の前に歩み寄り、重く真摯な声で、男を呼んだ ]
「誇り高き女戦士アイリ・ファタリテートの身を我等に運ばせては貰えぬか。お前達の都まで」
─ Z ─
『天使ならば わかっていよう』
[投影された映像は視覚ではなく、想念として捉えられる。
終焉の白き虚無世界を、ツィーアはやはり美しいと判じた]
──
『ああ…それがお前の欲しい未来か?』
[描き変えられた未来図を受け取り、触れる]
『面白いな…雑多で 退屈せぬだろう
このような世界は好きだ』
[弾むように、声は紡いだ]
『私に、斯くの如き岩となれと?』
[軋む何か。
重く厚い澱、紗をかける檻が天青の灼熱に融けかけている。
強すぎるツィーアの力を封印していた枷が軋む]
[幻想は、天界人の示した未来にまた白い光を乗せた。
白に染めて、彩りの光景は美しい虚無へと還る。
何もない世界に立つのは ]**
都、まで?
[ ほとんど無意識に問い返した男に、ゴルバはうむ、と頷いた ]
「都であれば、まだ魔王に奪われることもあるまい。聖なる場所に安置すれば、骸が腐ることも無いと聞く。我等が勝利して、お前が凱旋した時には、その姿を見せることも叶うだろう」
―
[ナールと共にツィーアの玉座へ戻った魔王は、その足で魔法兵器の深部へと向かった。
魔導炉に近づくにつれ、強い光の力を感じる。]
天使め。
あの日和見どもが、人間に肩入れするとはな。
[もっとも、と自分の呟きを否定する。
天使全体が人間の側に付いたのであれば、すでに天を覆う軍勢が現れているはずだ。
かつて魔界との戦いが在った折には───]
[思考を止めたのは、魔導炉の在処に到着したからだ。
中では焔と雷の嵐が、全てを引きちぎらん勢いで吹きすさんでいる。]
ツィーア。
少し借りるぞ。
[己がツィーアに課した枷、回路から零れて落ちた死の魔力を拾って、自身の魔力と縒り合わせる。]
光は闇へ
焔は氷へ
生は死へ
すべては堕ちよ 永久の沈黙
[言葉と共に、あらゆる力を封じ込めようとする圧が魔導炉を覆った。
論理魔法の呪文の形式をとってはいるが、実のところ魔法ですらない。
純粋な、魔力そのものによる暴力である。]**
[ それが、心からの言葉であることは、麻痺しかけている男の中にも染みた。
今の戦いで、鉄底族にも少なくはない犠牲が出たにも関わらず、それよりも優先をしての、誇りを賭けて戦い、心を結んだ者を敬するが故の心遣いであると ]
分かりました、ゴルバ...ただこの障壁は丸一日たたねば消えません。それまでは、ここに。
[ では、その間は鉄底族が周囲を護ろうと、ゴルバは請け負った ]
...ありがとう、ゴルバ。あなた方の友誼に感謝します。
[ ゴルバを始めとする鉄底族は、男のために、障壁の周りに、更に天幕を張ってくれた。男はそれにも感謝を伝え、アイリの傍らで、眠ることなく一夜を明かすことになった** ]
─── ロシェ
あの娘は戦士、それも誇り高き戦士だ。
命の礼は命で返す。
そう言い切る高潔なる者だった。
……だが、君がそうして護れなかったと嘆くのでは、彼女は悔いるだろう。
君にそんな想いをさせる心算はなかった、と。
彼女は、護られるだけの存在では無いと、私は見ている。
きっと、君とは並び立ちたかったはずだ。
それに、君は本当に彼女を護れなかったと、そう思うのか?
命を繋ぎ止めることだけが護ることではない。
彼女の言葉を思い出せ。
君に、何か言い残さなかったか?
[間際のアイリのコエが聞こえたわけではない。
彼らの関係性を考えれば、何かしら伝えていてもおかしくないと、そう考えただけのこと。
男はもう一度、ロー・シェンに問いかける//]
ええ...リーは、戦士でした。
[ ヨセフの声を聞きながら、障壁の中、今は自分でも触れることの出来ないアイリの姿を見つめる。
まるで眠っているようだと思った ]
......本当に、悔いはなかったと?そう思いますか?
リーは、ずっと...何年もの間魔将に縛られて...やっと、その呪縛から逃れたばかりで...まだ何ひとつ...喜びも、楽しみも取り戻したとは言えない...
[ 彼女の心からの笑顔が見たかった...その日まで護りたかった。男の悔いは、そのただひとつの願いの中に在る ]
分かってます...このままじゃ、ダメだ。
それは、分かってるんです、ヨセフ。
[ 男は、ふる、と頭を振った ]
すみません...また、俺は、あなたに甘えてしまっている。
俺よりも、貴方の方がずっと、喪ったものが多いのに。
リーは、最後に...また会えてうれしかった、と...
[ 受け止めなければいけない言葉だ、それも分かっている。ただ今は、まだ ]
[ 暫しの沈黙のあと、男は再び、コエを送る。それは、少し落ち着いたかと聞こえるコエで ]
......ヨセフ、俺は貴方にもまだ、伝えなければいけないことがある。
[ 双子のエルフの正体と、その死を ]
俺は、大丈夫です...戦いを投げ出したりはしない。それをリーが望まないことも、知ってますから。
ヨセフ、どうか、貴方は貴方の戦いを。
そして、無事に戻って来て下さい。
待っていますから。
[ 最後に響いた声は、ただ静かだった** ]
/*
自分が殺したことも伝えているのか否かw
言っててもおかしくないか。
てか今のタイミングじゃなくても良くないかねwww
私の方が感情整理出来なくなるわ!w
[重症だと思う。
ロー・シェンは、主観でしかアイリのことを見れていない。
だがそれも已む無しかとも思う。
再会しての期間があまりにも短すぎた。
男としてもアイリの心情を理解しきれるほど言葉を重ねたわけではない。
先程連ねた言葉でさえ、男の主観からの推測に過ぎなかった]
確かに私は多くを喪った。
だからと言って甘えるなとは言わないよ。
頼りたい時は頼るものだ。
[そう伝えてしばし後、やや落ち着いたコエでロー・シェンが語り出す]
──── なんだって?
[護れたならば、と願っていた双子の死の報。
それも魔軍の内通者であり、ロー・シェンの暗殺を狙いもしたとのこと。
馬鹿な、とコエが小さく零れ落ちる]
[ぐ、と堪える気配はコエ越しににも伝わっただろう。
ロー・シェンは己の身を護っただけのことだ、双子を手にかけたことを恨めるはずもない。
恨めしいのは、内通者であることに気付けなかった己の不甲斐なさ]
……シラーの奪還は成った。
体勢を整えた後にそちらへ戻る。
[喜ばしい報告であるはずなのに、コエには苦さが混じり込む。
男もまた、苦い想いを飲み込むのにいくらかの時間を要することになった*]
― シラー ―
[コエで伝えられた内容に、男は打ちのめされたかのような様子で愛馬に背を預けた]
馬鹿な……ローレル…ローズマリー…
[衝撃だったのは彼らの死よりも、その正体]
― シラー ―
「凱歌を上げろーー!」
[騎士の一人が上げた声。
それが伝播し
当然負傷者等も出たが、彼らも声をあげ故郷の奪還を喜んだ]
門を閉ざし、北からの魔軍の流入を防げ。
負傷者の治療と休息を優先。
見張りは休息を終えた者から順次交代するように。
[いくらか落ち着いた男は取り急ぎの指示を出し、後のことを副官に任せる。
男は急くようにしながらローグの民を探した。
男にはまだ、やらねばならないことがある]
[探し出したローグの民は、先程出逢った踊り子を含め、数人のグループで行動していた]
改めて御礼申し上げる。
貴方方のお陰でこの地を奪還出来た。
[笑んで礼を言えば、彼らも笑みを返してくれた。
「あの子の願いだもの」と言う民も居る]
それで─── いくつかお願いしたいことがあるのだが、良いだろうか?
[問えば、内容によると話を聞いてくれた]
北から流入してくる魔軍を食い止めるのに手を貸してほしい。
それから、クレレットに居ると思われる民達の保護を。
これらにはこちらからも軍を出す。
同行を頼みたい。
[誰それが連れ去られただの、姿が見えないなどの話が既に軍へと寄せられている。
話を聞くに、連れ去られた者の一部はクレレットでの労働者として魔軍が連れて行ったとのこと。
どれほど残っているかは分からないが、捨て置ける話では無かった]
「それなら───他に出歩いている者達にも連絡しておくわ。
クレレットなら、他のグループが立ち寄ってる可能性もあるし」
ありがたい、よろしく頼む。
[いくつかの願いのうちこれらは諾を貰い、男は安堵と共に礼を言う]
それから……この中に占師殿は居るだろうか?
「───私だが」
[問うと、壮年の男性が男の前へと進み出た]
…これを、見てもらえまいか。
王家に伝わる伝承にあった、魔を祓う剣なのだが…。
どうやら何か、異質な物が混じり込んでいるらしい。
その原因と対処法が知りたい。
[そう言って腰に佩いていた祓魔剣を差し出すと、占師は手を翳し、何かを読み取らんと幾言か呪を紡ぐ。
しばらくして、占師は「なるほど」と言って手を下ろし、男へと視線を転じた]
「邪悪なる血で縛られているな。
恐らくは何かしらの呪いだろう。
帯剣して影響を受けたことは?」
……私は覚えていないのだが、様子がおかしくなっていた、とは。
「ふむ…これだけではどんな呪いかは分からないな。
だが解呪の方法がないわけではない」
…!!
それを教えてはくれまいか。
この剣をロシェ……ロー・シェンに届けなければいけないのだ。
[齎された言葉に男は縋るように願う。
それを聞いた占師は、剣を見、男を見て少しばかり考え込んだ]
「……血で縛されたものならば、血で縛を解くことが出来るはずだ。
どうしても、と言うのならば方法を教えよう。
だが───君は魔法の素質を備えていないな?」
[解呪に使う触媒についてよりも、魔法が使えないことを言い当てたことに男は驚く]
───仰る通りだ。
占師と言うものは、何もかもを見通すことが出来るのか?
「全てではないよ、見えるのは極一部だ。
して、解呪についてだが。
君が魔法を使えないのなら、私が発動させてやろう。
触媒になる血は君のものが良いのだが、構わないな?」
無論。
…しかし何故私なのだ?
「さっき見た感じでは、一番血が馴染みそうだったんでな」
[血の馴染み方で成功如何が変わるのだと占師は言っていた。
男の血が馴染むのは、在り処への道が開けるという因果が関係しているのかもしれない]
「後は、場所だ。
どこかに儀式が行える場所などはあるかね?」
王宮の中が荒らされていなければ、或いは。
「ならそこに行こう。
ここでは落ち着いて術もかけられん」
[占師はこの場で男が血を流し、大騒ぎにならぬよう配慮してくれたようだ。
その心遣いをありがたく受けながら、男は占師を伴い王宮へと向かった*]
[Zに与えられた役割は、天界が地上に向ける意図と同じく、人間世界の浄化だ。
天はそれを正義と言い、Zは美しいと言った。
天と魔のいずれからも排除されようとしている人間が、切ない。]
[今も、聞こえた。
ロー・シェンの叫び。
リー、と繰り返し呼んでいたその音を、苦鳴に変えて。
共に未来を見るべきひとを失った、絶望と慟哭。]
… Z !
世界は、壊すものじゃない。 育てるものだ。
[揺れている、と感じた。
意志あるもの、学ぶもの、語るものであるZに、手を伸ばす。]
おまえ も、 この世界の一部 だ
[電撃が世界を白く塗りつぶす。
痛みが身体を突き抜ける。入り込まれる。 そこに、]
──…く ぁ、
[介在する新たな闖入者。
否、本来の主の帰還だった。
空気そのものが質を変え、覆い被さってくる。>>27]
[二枚の羽根を左右の手の中で、細身の剣に変化させる。
刃を振るって斬りつけるも、それさえも空気の枷に絡めとられてしまえば、]
──… 、 ッ !
[声も蓋がれて、締め上げられているのか、弄られているのか、境界が曖昧になる。
天青の焔が衰えもがき、千切れていった。
意識の最後の芯だけは、守ろうと──ロー・シェンとの絆を念じる。*]
ロー・シェン、
何 が聞こえても 、 気にするな
魔王 を 喜ばせてなんか やりたくない
[きっと声をあげてしまう、そう予感できたから。**]
― シラー ―
[遠方、大切な者を喪ったロー・シェンを想う。
男は、アイリとは武人として接する機会の方が多かった。
故に彼女への想いも武人としてのものになってしまう。
ロー・シェンの嘆きを汲み取ってやれぬ己に心が軋んだ]
……家族、 いや、それ以上の、
[強い絆を絶たれてしまったのだと理解する]
─── ロシェ、
[悔いる想いを乗せながら、男はロー・シェンを呼ばう]
5年前のように傍には居てやれないが…
私の心は、想いは、常に君の傍に。
私の前で取り繕う必要はない。
[5年前と同じ言葉を彼に送る]
[時間がかかっても良い。
再び立ち上がることを信じていると、コエに想いを乗せた]
[男はアイリが死んだ状況を知らない。
5年前に似た光景が繰り広げられていたなど、ロー・シェンの心情は如何ほどのものか。
それを憂いることすら出来ずにいる**]
[ふわり、ふわりとおちてゆく]
[このままおちきってきえるんだな、と思っていたら、コエが聞こえた]
[『置いて行くな』]
[それは、前に自分が言いたくて言えなかったものと同じで]
[──同じと気が付いたら、おちるのが何故か、とまった]
…………。
[ぼんやりと漂うそれはまた、コエを捉える。
『守れなかった』と悔やむコエ]
……ばぁか。
まもってくれてた、て。
ちゃんと、いったじゃないか。
[届かないだろうけれど、音を紡ぐのはとまらない。
ぼんやりと響く嘆きのコエが続くから、余計に落ち着かない]
[『さびしくなんかないもん』]
[『いなくなっちゃったおにぃなんか、きらいだもん』]
[慕っていた幼馴染がいなくなったあと、何かにつけて言い放っていた言葉がふと蘇った]
[一緒にいる時にも、何かにつけてきらい、と騒いでいけれど]
[いなくなってからのそれは、寂しくて苦しくて、でも、それに飲まれたくなくて繰り返していた強がりで]
[いつの間にか、元に戻せなくなっていた、真逆の言の葉]
[そんな、一方的で身勝手な想いを抱えていたのに]
それでも、あたしを忘れないでいてくれて。
取り戻そうとしてくれて。
傍に、って願ってくれて。
それでもう……十分、だったんだよ……。
……だから、ねぇ。
お願いだから。
……とらわれないで……前、見て。
[そうさせているのが自分だからこそ]
……そんなの……そんなシェン、みてたく、ないよ……。
[そう紡ぎながら、でも。
月の意識は、添うと定めた陽から逸れる事はできなくて。**]
─ Z ─
[魔導炉に連なる経絡は光と雷撃によって傷つき、各所で断裂を起こしていた。
溢れ落ちる死は魔導炉に注ぎ、立ち上る火柱は天青の焔と融けて邂逅する]
『そうか
世界の外に棄て置かれ、私は在りて無きものだった
今は 私もこの世界の一部か』
[役割を歪める首輪でツィーア
[魔導炉そのものよりも先に毀れ得るのは、枷の方だった。
封印が砕ければ、魔導炉は無限に魔力の増殖を始めるもの。既に灯る火種が臨界を越えれば、その先に待つのは魔神の被造物本来の、災厄だろう。
世界が白く染まるのが先か、封印に続き魔導炉も破壊して増殖を止めるのが先か、と。
雷撃で天使の羽根を裂きながらツィーアは仮想の計算を試みていた]
『任せる』
[我が王の気配が深部へ着けば、ツィーアの波動は声質を変えた。
空間そのものを覆う圧に、光すらひずむ>>27]
──
[眠れる兵器を改造するのとは訳が違う。
稼働したままで一度でも封印が壊れたなら、力づくで押さえつけるのは魔王といえど難しいだろう。
それは困ると王が言ったから、ツィーアは自らも統制を深め、溶けかけた封印の下へ魔力を折り籠めんとした]
[ チリン、 チリン
場違いなほど澄んだ音。
人形に抱かれた核もまたその場に帰還し、
やがて、圧倒的な魔力の暴力が、
天青の焔と迸る雷火の嵐、兵器の魔導炉らすべてを沈黙へと堕とすのを見た]
……
[焔の余波すら圧し消された深部に、積もる沈黙。
衰え墜ちた"ディーク"を見つめるヒトガタは何も言わなかったが]
『掛け合わせの体は得られなかったが
この天使も好い
お前の美しい力にも触れられたしな』
[薄く遠くなった波動は愉しげに囁いた**]
― 魔導炉 ―
[魔導炉の中に降り込めた圧は、雷撃も焔も天使も等しく沈黙させた。
発動の瞬間、飛び来たった天使の双剣が身体の前を浅く薙いだが、それだけだった。]
天使よ。困るではないか。
封印が解ければ、ツィーアは世界を消滅させるぞ。
[足元に倒れ伏す天使へ声を掛ける。
聞こえているかどうかは気にしなかった。
浅く切れた胸元からどろりと熱が零れ落ち、足元に点々と模様を描く。]
研究室に運んでおけ。
[天使の体を足先で返し、動かぬのを確認してから人形に命じる。
自分は暫く魔導炉に留まり、封印の修復のために魔力を紡いだ。]
そうだな。
天使も役に立つ。
あれがあれば、人形をもう少し"硬く"できるだろう。
だが次にこんな攻撃を受けたのなら、すぐに我に報せよ。
おまえが壊れては困るのだ。
おまえは我の、唯一のものなのだからな。
[封印をひとまずの問題が無い程度まで修復したのち、魔王もまた研究室へと向かう。]
/*
我はあの天使が嬉々として捕まりに来てるのを知ってる。
中身がな。あれだからな…。
敵陣営に行ったり捕まったりするの楽しいよなー。
分かる。わかるが捕まえた方はやっぱりどうしようかと悩む案件だわwww
/*
倒れた仲間のなんかを持ってるのは、フラグ的に超優秀ななにかだぞ。
なにしろ我、あの聖剣だけで倒される気はさらさらないからな(
けど、ローシェンは既にアイリとおそろいのお守り石持ってるのか。
それはそれで十分か。ふむ。
─ Z ─
[天使を抱えて、研究室へ。
ツィーア内部の光は暗く弱くなっている。
いつの間にだったか、渓谷を進み鉄底族や人間の陣を目指す動きも止まって久しかった]
酔狂だな
[ヒトガタはぽつと呟いた。
胸の中の核は沈黙し、流れ込んできていた核の情動の気配も遠い]
…説得が通じる相手だと思ったのか
[近づいた研究室の入り口がずると開き、
蔦のように垂れ下がる未分化の経絡を分けて進んだ。
天使と混ぜ合わされる──
ヒトガタは眉を寄せて、喉にこみ上げるものを嚥下する。
人形の記憶は変容を重ね、最初のカタチからかけ離れていく。改良が本質を損ねないようにという配慮がされていなければ、とうに壊れていたはずだと思う]
魔王がいない世界になら。
……これが望む未来も変わるかもしれない
[独語は天使に聞こえていたかどうか。
これ呼ばわりされたツィーアはゆらりと蔦──触手をもたげた。
細く強靭な経絡は滑らかな肌をディークの手首に絡め、体を吊り上げる]
これから其方が死んだら、
天の罰が、これもろともに世界を滅ぼすのかな
[巻きつく意志によって宙空に架せられた天使の姿を、瞳に映して息を吐いた**]
壊される前に報せはしたぞ
[封印を施される感覚を楽しみながら、うたうように]
さすがのお前も消耗したか?
随分力を使わせた
[反省しよう、という声は軽い]
そうだったな。
[報せたと主張するツィーアに同意を返す。
そういうことではなくて、と思うがすぐに忘れた。
無事だったのだから、それでいい。]
おまえが溜めていた力を少し使ったからな。
たいした消耗ではない。
しかし、想定はしていたがやはりロスが多いな。
改良すれば、もう少し効率よく力を集められそうだが。
[回路から意図的に零して力を発散させるのは、威力を押さえるのに必要だったとはいえ、無駄が多い。
いずれはこちらも改良してやろうと思う。]
― 研究室 ―
[研究室、と呼びならわしているそこは、人形を"改良"するのに使っている場所だった。
普段人形が使っている沐浴槽とは別の大きな水槽があり、様々な器具が散らばっている。
部屋に入ってきた魔王は、吊られている天使を一瞥した。]
目を覚ましたか?
まだか。
眠っているままの方が幸せか。
[答えなど求めない風に言って、人形に手振りで沐浴槽に入るよう指示する。
己は、天使の傍らに立った。]
[魔力を右手に集め、さらに剣の形に練る。
烈光の刃を天使に向け、左手で翼を束ねるように持って広げた。
羽根の一枚が掌を滑り、緋が滲む。]
翼があるから天使なのか、
なくとも本質は変わらないのか、
確かめてみようではないか。
[告げて、刃を振り下ろした。
翼の根本から少し先、半ばを断ち切るように刃が落ちる。
羽根が煌めきながら舞い散った。]*
/*
切ろうかどうしようか迷ったけど、まあ切ったよね。
翼ぐらい、ぴゃってまた生えてくるだろ!って感じ。
おまえ3回もうちの陣でふらふらしてるんだから、翼の一つくらい置いていけというところだ。
そうだ
光の小ささからは要する触媒が多すぎる
[改良、という響きに軽く弾む。
直接王の魔力が触れる感覚は、人形を介した五感には代えがたい喜び]
/*
絶対自分で忘れそうなので解説
ヒトガタがロヴィンのことを一人息子っていったのは弟君が生まれたこと知らないから。
おめでとう!
ディークをぶらんぶらんさせるくだりが雑なのは、念入りに描写したら変態くささがすごいから!
─ 魔導炉 ─
[傷つき荒れたツィーアの深層、散った羽根の上に雫が落ちる。
沈黙する魔導炉には、魔王が直接に力を注いだ新しい封印が重くかかっていた。
壁の凹みにはブーケがまだ置かれたまま。
黒銀に炭化した花は、毀れた魔力が滑り落ちて生まれたそよ風にさえ耐えきれず、はらはらと崩れていった]*
─ 研究室 ─
[報告の遅さに苦言を呈されたツィーアは、あまり反省していないよう。
核の気配は遠く薄くなっていたが、魔王が現れた途端に眼球をそちらに動かしたから]
…
[手振りの指示>>57に、ヒトガタは体を抱くように自分の腕を掴んだが、やがてのろのろと服を脱いだ。
牛歩のごとき歩みで沐浴槽へ近づき、入りはせずに立ち尽くした後、傍に蹲る]
[煌きながら舞い散る羽根>>58]
『世界は
お前の背中越しに見る世界は美しいな』
[王だけに伝わる波動ではなく、ヒトガタの喉を使ってツィーアは問う]
『お前が今…私の封印を掛け直したのは
まだこの世界で遊ぶに、飽かぬからか?』
───人間は愛しい生き物だな。
あれほど弱々しいのに、我に抗ってみせる。
時には我をも驚かせることをやってのける。
[問われて、関係のないことを口にする。
ゆる、と視線が人形に向いた。]
…そうだな。我はまだ飽いていない。
この世界は、まだ我を楽しませてくれる。
人間どもも、様々な顔を見せて、我を喜ばせる。
まだ、全て壊すには惜しいな。
それに我は"それ"の出来に満足していない。
[それ、と指し示すのはうずくまる人形だ。]
おまえはまだ、素体の記憶通りに動く人形だ。
だが今は、素体の記憶以外の記録が積み重なっているだろう?
いずれ我は、"人形"を"ヒト"にしてみたい。
───我が最高傑作よ、
[不意に言葉は呼びかける声音になった。
ツィーアにではなく、人形へ]
おまえもそろそろ「クレステッド」であるを止めるか?
我は、我以外のものにおまえが煩わされるを好まない。
おまえは、我を見ていればいい。
/*
今の俺の気持ちを端的に表わすと
「
な、感じ。
時間ないですからね、はい!有り難いですけどねっ!!
『泣いてもいいけど、泣き続けてはダメよ...』
[ それは、死の間際、母が遺した言葉。初めて、大切なひとの死に触れたあの時も、少年だった男は泣いて...泣いて... ]
[ けれど、泣き止んだ後、どうやって笑ったのだったかが、どうしても思い出せない ]
[ 立ち上がらなければいけない、けれど、立ち上がれない...深く心に降りる闇は、魔将に贈られた死の闇にも似ていた ]
[ が...... ]
何を、言ってる?
[ 何が聞こえても?何が聞こえると? ]
何があった?!
[ 魔王を、喜ばせたくない、など、と... ]
[ とどいたコエの不穏に、弾かれたように顔を上げ、立ち上がる ]
...ディーク...?
[ 天幕の入口に手をかけた所で、手甲から、ひらりと煌めく純白の羽根が落ちた。
ディークが、もしもの時の為にと、預けていったカード。それが、変じた姿だと、瞬時に理解して、男は羽根を拾い上げる ]
ディーク...お前......早く戻ると言っただろう?
[ 我知らず、声が震える。泣き濡れた心が、冷えて凍っていくような心地がする ]
[ 冷えていく心とは裏腹に、男の身体には熱が宿る、まるで、煮えたぎった溶岩流が、全身に巡るかのような、熱。
全てを灼熱の光に呑み込む、終末兵器のそれにも似た ]
「これを、あの小さな戦士にあげてくれないかい?」
[ そこに居たのは、鉄底族の副族長の妻、蒲公英のデアトリだ。
差し出すその手には、この季節にはまだまだ珍しい、蒲公英の花が握られている。
小さな太陽の形にも似た、花 ]
リー......俺は、お前に光を届けなくちゃ、いけない...
( あの死の闇に、お前が居るなら )
約束、したもんな。
(闇の奥底までも、照らす、
[魔王の足元に頽れたディークの肌を翼を、魔王の雫が穢した。
烙印めいた痕が穿たれ、あえかな喘ぎが洩れる。
だが、立ち上がることはできなかった。>>52
爪先で転がされ、瞬くことない第三の目に魔王の魂のいろを捉える。
そこに、チリン、と硬質の音が響いて、ヒトガタが戻る。>>50
彼らがこちらを向いている以上、魔軍の蹂躙を止めることは叶ったはずだ。
少なくとも、ロー・シェンの役に立てたか。
同時に、ドワーフたちの犠牲を思い、瞑目する。]
[ヒトガタの手に抱え上げられ、「研究室」と不穏な響きで呼ばれる場所へと向う途中、ヒトガタは”酔狂”だと呟いた。>>54
彼がその言葉を使うのは、何度目だったか。
きっかけは、ディークが、ヒトガタに投げた言葉だったはずだ。
気に入った言葉を覚えて繰り返し使う子供のようで、どこか、いといけない親密さを感じてしまう。
それは、Zとの対話の中でも感じたものだったが、]
──… 、
[ヒトガタが、Z を「これ」と呼ぶのを聞いて、両者は別の存在なのだと──それぞれが意志を持っているのだとわかった。>>56]
[ Zほどのアーティファクトが意志を持つのは理解できる。
では、ヒトガタは?
魔王にその身、その力を捧げているのは、何処から来た意志だ──
自由にならない肉体に閉じ込められた思考が、焦燥に駆られる。]
[不意に、身体にかかる力の向きが変化して、宙へと引き上げられた。
絡み付いてくる蔦のようなもの。
Z だ──、とすぐにわかったのは、雷と焔のせめぎあう戦いの中で取り込まんとした気配だからだ。
腕をとられ、這い回る触手に抗わず、身を委ねる。
そして、こちらから、その経絡を逆に辿って、そっと意識と力を繋げんと試みた。
魔導炉で力を全解放したもうひとつの目論み──それは、魔導と自身の力を融合させ、叶うことなら、城の動きを操るというものだったのだ。
とうてい及ばなかったが、余録くらいは得られるといい。]
『やあ、 ちょっと上がり込ませてもらってる。
悪さはしないと約束するから、見逃してくれるか。
封印が──重いな。魔王に施されたか。』
[音を伴わない、意識の振動だけでZに語りかけてみた。]
デアトリ殿、この障壁が消えたら、どうかそのまま彼女を王都へ運んでくれるよう、ゴルバ殿にお伝えを。
俺が戻る前であっても...と...頼みます。
[ 優しく雄々しい鉄底族の女戦士に後を託すと、渓谷の奥...レオヴィルの陣に向かって歩き出す。
己の歩むべき道を* ]
[痛みが爆ぜる。
意識が肉体に縛られていることを、厭が応にも思い出させられた。]
…──っぁ 、!!!
[弓なりに背を反らせ、見開かれた双眸で闇を映す。*]
― 王宮・儀式の間 ―
[久方ぶりに訪れた王宮は、シラーの街並み同様に魔軍によりおぞましい装飾が飾られていた。
中はあまり手が回らなかったのか、入口付近に奇妙な像があったりするのみで、どちらかと言えば元々の装飾や食糧などが持ち出された跡の方が多かった。
軽く眉を寄せながら、男は占師を伴い王宮の中を進む。
王の間よりも更に奥、限られた者しか入れない場所にそれはあった]
……ここは無事のようだな。
[元々洗礼や祈念を行う場所であった儀式の間。
聖性保たれたその場所は、魔の者達は近づくことが出来なかったのだろう。
装飾や儀式具はそのままに残されていた]
「ほぅ……これなら術もやりやすい。
この場所自体が呪具にもなる」
[占師は感心するように言い、男に部屋の中央に立つよう指示した]
「血で魔法陣を描く。
指示する通りに床に描いてくれ」
承知した。
[男はロングソードを手に取ると、呼吸を整えた後に左掌に剣先を減り込ませた]
────っ
[痛みを堪え、零れ出る紅を床に落としながら、指示されるままに魔法陣を描く。
やがて、祓魔剣よりもやや大きいくらいのサイズの魔法陣が床に描かれた。
致死量には成り得ないが、それなりの出血量に男の顔はやや蒼褪める。
占師が魔法で血止めをしてくれたのに礼を言いながら、男は腰に佩いた祓魔剣を手に取った]
「剣を魔法陣の上に。
後は私が」
よろしく頼む。
[魔法陣の上に祓魔剣を置き、男は魔法陣から離れる。
占師が呪を唱え始めると、魔法陣が淡い輝きを放ち始めた。
徐々に強まる光は祓魔剣を包み込み、その刀身へと染み込んでゆく。
やがて、キンッと甲高い音が響き、魔法陣から放たれる光が収まった]
「これで呪いは解かれたはずだ」
[占師の言葉を受けて、男は薄れた魔法陣の上から祓魔剣を拾い上げる。
剣から放たれる淡い光が以前よりも強まっているように思えた]
……よし、ロシェに届けなければ。
[祓魔剣を握り締め、男は早速ロー・シェンの下へ向かおうとする。
しかし占師は男の肩に手を乗せ、それを制した]
「だいぶ血を使ったんだ、少し休んだ方が良い」
[男の顔色はまだ戻っていない。
それを指摘され、更には失血により視界が揺れたために男は仕方なく言われた通り休息を取ることにした。
気持ちだけが逸り行く。
それを示すように扉の先を見遣る男を見て、占師は口を開いた]
「……以前、占師の長である婆様がローの魂を視たことがある。
魂が強すぎて魔法に馴染まないと、更には未来が読めぬと言った。
私も一度視てみたが、やはり未来が読めなかった」
ロシェ以外であれば視ることが出来たのか?
「方向性を視るような形だがね。
確定されたものではないが、視えないと言うことはあまりない。
だがローの未来は読めなかった。
…彼と言う存在が、可能性そのものであるためだと、私は考えている」
[語られる内容に男はじっと占師を見詰め、過たず、聞き逃さぬよう耳を傾ける]
「可能性とは変化や進化、更には未知なるものを呼び込む。
故に先を見通せない。
決められたものに囚われない魂であるが故に」
[そこまで言って、占師がじっと男を見返えした]
「……貴方は元々、国と共に滅亡する運命に在ったようだ。
だが貴方はこうして今も魔軍への抵抗を続けている。
何故だと思う?」
なんだって……?
……いや、皆目検討がつかない。
[驚きながらも問いに答える男を見遣り、占師はどこか悪戯めいた表情で口端を持ち上げる]
「─── ローさ。
彼が貴方の運命を変えた。
彼と強く繋がることになったために貴方の未来が変わった。
私がローを可能性そのものと考える由縁だ」
[その言葉に男は驚くばかりだ。
占いは解釈次第、だがこのような解釈をしようとは]
/*
間に合った、と、言っていいのか、これ。
(ぜえはあ)
くっそ...ディーク、心臓に悪過ぎるわっ!!(魔王様もグルだけどっ!!)
あとで覚えてやがれ!
[ こんなんばっかです... ]
「以前の貴方は”持たざる者”だった。
だがローと関わり、運命が変わったことで貴方は”持たざるが故に持つ者”となった」
持たざるが故に、持つ…?
[分からない、と言うような表情を男が浮かべると、占師はまた口端を持ち上げた]
「多くを喪いながらも立ち続ける者。
頽れながらも何度も立ち上がる者。
今の貴方には『守護者』としての役割が与えられている。
国を、人々を、そして可能性を護る者だ」
可能性を、護る ────
[国の、民の守護者としての自負はあったが、運命にも定められているとでも言うのか]
「───さて、そろそろ身体が動くのではないかな」
[話を切り上げるように、占師が言葉を紡ぐ]
「役目を果たしに行ってくれ。
─── あぁ。
良い話を聞かせてもらった、感謝する。
[男は力強く占師に頷き返し、祓魔剣を腰に佩いた]
「急ぐならば移動魔法で送り届けよう。
2・3人くらいならば一度に送れる」
ありがたい。
グリフォンも連れて行きたいのだ、可能か?
「…何とかなるんじゃないかな」
[グリフォンのことを出すと、占師は少し考えた後に諾を返してくれた。
男は感謝しながら、移動の準備をし始める**]
― 渓谷/レオヴィルの陣 ―
「皇子!」
「御無事でしたか!?」
[ 男の姿が見えると、従者を先頭に、衛兵や騎士達が、群がるように飛び出してくる ]
「馬は、どうなさいました?...アイリ殿は?」
[ 男が1人で戻った不自然さに、いち早く気づいた従者ナイジェルが、問う、その声が、一時、遠退いた ]
......っ!
[ 紛れも無い苦鳴......その痛みが、男の魂までも引き裂くかのよう ]
ディーク!!
[ 為す術無く、友の名を呼ぶ ]
「...皇子、いかがされました?」
[ ふいに、動きを止め、険しい表情で唇を噛んだ男の様子に、従者が気遣わしげな視線と声を向けて来る ]
...なん、でもない。
リーは、戻らない。馬もだ。
[ 前肢を魔王の三叉槍に折られ、倒れて首を折って絶命した馬は、そのまま鉄底族の食料となった。これも戦の倣いだ ]
[ 魔王軍との戦闘での被害の報告を聞き、必要な指示を出す。堀と四重柵に守られた本陣の被害は些少だったが、崖上で七騎士に襲われた工作部隊は、ほぼ全滅...兵の数は、また三分の二程に減っていた ]
鉄底族は、我等との同盟に同意してくれた。
[ 男が、将を集めてそう告げると、おお!という歓声に近いどよめきがあがる ]
シラー解放も、成った筈だ。
[ 男は、それも、疑ってはいない ]
シラー解放の報が各地に伝われば、蜂起する者も更に増える筈だ。
この機を逃さず、討って出る。攻城兵器が再び稼働する前に、魔王を倒し、我等の大地を取り戻す!
[ 男の宣に、将達が一斉に剣を抜き、がしゃりと宙でかち合わせた* ]
[天使の手首を掴んだ経絡は滑らかで揺るぎない。
その先、ヒトガタが見る姿と天使の輪郭が同じであることを手探りで確かめるように玩ぶ。
経絡を伝う意識の振動>>79には、魔力の光をふらり灯らせた。
『ディーク
多才だな、天使は』
振動に返すのは感嘆めいた波動]
[翼を落とされた天使の体が反るのを、蹲るままヒトガタは瞳に映した。
爆ぜる痛みが伝わったかのように睫毛を震わせる。
ツィーアの問いに返る答え>>62>>63>>64に、顰められた眉はさらに溝を深くした]
…俺は
最初から。クレステッドじゃない
[表情に瞳に宿すのは儚い拒絶のいろ]
『人間が抗うのは、お前を楽しませるため…
驚きがなくなれば飽くか、な』
[ツィーアの声はヒトガタの喉を介して、弾むように響いた]
『だが私はお前を見るに、
見飽きるということはないぞ』
ヨセフ...
[ 双子の死を伝えた後、敢えて送らずにいたコエを送る ]
ディークが...恐らく魔王に捕らわれてます。
俺は...あいつを救いに行きたい。
行かなければいけないんです。そして、魔王と決着をつける。今度こそ。
ヨセフ......
[ 僅かな躊躇いの後、声は僅か震えるように ]
帰って来て下さい。
無理を言っているのは分かります、でも...あなたの力が必要なんです。
[ ローグの民と呼ばれる者達が、どれほどの数在るのか、それを正確に知る者は地にはいない。
彼等は同じローグを名乗りながらも、普段は互いに緩く交流するだけで、血族同士を中心とした集団で個別に生活し、流浪の旅を続けているからだ ]
[ けれど、ひとたび、結束すれば、ローグの戦士は一国の兵団にも勝る......そんな伝説もまことしやかに囁かれている ]
[ レオヴィル軍が出撃準備を進めている頃、遠く、山間のサンソー村付近の渓流から、次々と小さな帆掛け船が川を下り始めていた。
先頭の船には、揺れる船上でも軽やかに踊る舞姫が、シャンシャンと鈴の音を鳴らして踊り、その舞によって、霊的な加護を後続の船にまでも齎している ]
[ それぞれの小舟には、1人ずつ精霊魔法の使い手が乗り、風の精霊と水の精霊の力を借りて小舟の速度を有り得ぬ域にまで速めていた ]
[天使が上げた苦痛の声を、何の感慨もなく聞き流す。
切り取った翼の一方を台に置き、もう一方を持って沐浴槽へ歩み寄った。翼から羽根を掻き落とすように魔力の刃を動かす。
舞い散った羽根が液面に触れれば、満たされた流動鉱石が沸騰するように煙を上げた。
そこに、先ほど羽根で切れた手から滴る緋色をひとしずく加える。
自身の一部を触媒に、聖性もつ羽根を流動鉱石に溶かし込んでいくのだ。]
おまえに名をやろう。
[不意に、魔王は人形へ声を向けた。]
これよりそう名乗れ。
[始まりの者。ひとつの者。そんな響きを持つ名前だった。]
人間が我に抗わなくなれば飽きるだろうとも。
家畜や奴隷は塵芥と同じだ。
───ああ。
その時は、おまえの光が我を喜ばせてくれるだろう。
[ツィーアに応えながら、アーデと名付けた人形に沐浴槽へ入るよう、もう一度示した。]
───さて。
残りはどうするかな。
羽根はまだアーデの改良に必要だが、
本体は───
[翼を失くした天使を眺め、暫し思案する。]
ツィーアにやってもいいが、天使はもう手に入らないだろうからなあ。
今暫し、実験用に取っておくか。
生かしたままの採取は、別の検体で成功したからな。
[それがいい、と満足気に頷いた。]*
[ロー・シェンのコエが届く。
それはさながら、闇の中の光だ。]
魔王 に…、 斬りつけてやった
[かすり傷だが、手傷を負わせたのは間違いないから。>>52]
魔王の体液は、 マグマみたいに 熱い…な、
なんなん だ こいつ の からだ
[戦う時は注意しろと、それだけを伝えるために、気力を掻き立てて、コエを送り返す。]
[ 100を優に越す小舟は、魔王軍の目を盗み、クレレット付近の川岸に、シャスラ村近くの森に、更にその先のレオヴィル軍の本陣に近い場所に、それぞれ別れて上陸を計る。
そして皇子ロー・シェンの持つ弓と同じ、馬上からも威力の落ちぬ長弓を持つ騎兵の一団もまた、シラー解放の報を、各地に隠れ住む、或いは奴隷として魔軍に支配されている、人と亜人達に伝え広めながら、レオヴィル王国へと急いでいた* ]
[魔王を喜ばせまいと、悲鳴を押し殺した。
それすら聞き流された。>>101
“瞳”がそこにいるから、ディークが声を途切れさせた原因は、Zにも見えてはいるだろう。
今、ここにいない誰かの手を握るように、触手に絡まれた指に圧が籠る。]
『ヒトガタがおまえの”瞳”ならば、
俺は、 おまえの”翼”になってやろうと── 言おうとした矢先に、これだ。』
リー...
[ 出撃準備に慌ただしい本陣の中、男は、そっと左手のカーネリアンに触れる ]
護ってくれ、俺を...皆を。
そうだ、リー...お前が、俺を何かというと馬鹿呼ばわりしてた理由が、漸く判ったぞ。
[ ディークを思わず馬鹿と呼んだ、その時に、と、いくらか軽い調子で応えの返らぬコエを落とすのは、半ば以上、己を励ますためだった ]
[沐浴槽に、つまりすぐ近くに歩み寄る魔王の存在に圧されて、ヒトガタは身を縮めたが]
アーデ ?
[困惑に、肩が震える]
俺に、名を
[人形にとって魔王は絶対の存在だった。
人形だから。抵抗してみせることはできても、逆らう能力がなかったのが最初から。
魂なく、不定形の体であるヒトガタは、確立した芯がないと感じていた。
だからこそ記憶という偽りの自我が壊れゆくことへの根源的な恐怖と忌避、それさえ、この魔王の前には顧みるべきものではないのだと、思っていた]
これだけ…?
[羽根を溶かし込んだ沐浴槽を見下ろして、ディークを振り返り。
明らかな安堵の表情を浮かべた。
ぎこちなく立ち上がって満たされた液面へ身を浸す。
流動鉱石に触れた爪先、脛、膝と、ヒトガタの体はゆっくり溶けて混じり合っていった]*
『喰うてはならぬのか』
[取っておくという我が王の言葉>>103に、研究室の天井がさわと揺れた。
あの生かしたままの採取、もしないらしい]
『では遊んでいても良いだろう
壊さぬように?』
[尋ねながら、天使の指先をついと撫でた]
― シラー ―
[シラー防衛を副官に任せ、男は前線へと出立する]
バルタザール、後は頼む。
「承知しました。ご武運を」
[短いやり取りの後、男はローグの民が待つ場所へと赴いた。
共に前線へと向かうのはグリフォンとその騎手。
ここ数日酷使するに至る愛馬は休息を余儀なくされ、シラーに置いて行くこととなった]
アルテスとモーザック砦の間にある峡谷があるだろう。
あの辺りに陣を敷いているはずだ。
アルテス側の峡谷の端に出ることは可能か?
「特徴がある場所ならある程度の誤差で到着出来るだろう。
何とかなるんじゃないかね」
ではよろしく頼────
[転移場所についてを相談している時、苦悶のコエが男に届いた。
何事かと意識が逸れたために言葉が途切れる]
「…どうした?」
……いや、何でもない。
出発しよう。
[問われて、男は努めて何でもないように首を横に振り、ローグの民に転移を促した]
──── 案ずるな。
今、そちらへ行く。
[震えるようなコエに、遠い距離をものともしない、直ぐに到着せんと言わんばかりのコエをロー・シェンへと向ける]
…ロシェ。
私は君を援くために在る。
無理を、と言うのが双子のことを言っているならば気に病むな。
私は……私達は、戻らないものではなく、まだ手の中にあるものを想うしかない。
……そう、教えられた。
[親友の姿を持つ者に]
悔いるのは、嘆くのは後でも出来る。
私は今、手の届く者を援けたい。
君を援けたい。
シラーについても案ずることはない。
ローグの民達が協力すると約束してくれた。
奪還が成り、民達も活力を戻しつつある。
信頼する部下達がシラーを護ってくれる。
後顧に憂いは無い。
故に私は、君の下へ行く。
― 峡谷の陣 ―
[ローグの民の協力により、男らの身は長距離を越える。
転移先は陣の後方。
誤差は良い方に働いたようだ]
皇太子は!
[陣に居る者に対して声を張る。
そうすることで男は己の存在を主張した*]
[魔王の血と天の翼を溶かした液体が沸き立つ。
魔王は、ヒトガタに新たな名を与え、そこへ入るようにと命じた。>>101
邪悪な業だ、と感じる。
肉体だけでなく、魂を歪めてしまう儀式。
けれど、それにすら、安堵の表情を浮かべてしまうヒトガタは、これまでどれだけの暴虐を──魔王の喜びを、その身に施されてきたのか。
闇の深さに目眩がする。]
[ロー・シェンに、馬鹿だ、と言われてどこか安堵してしまう自分も、あれでそれなのだが。>>*32]
ああ、 おまえが魔王を倒すのを 特等席で、
[待ってる──と、決して諦めていないコエで、伝えた。]
なんだ? 不満か?
[肩震わせた人形へ、声に乗るのはからかいほどの色。]
いつまでも人形では呼びにくくて不便だ。
おまえはずいぶんと"ヒト"らしくなってきたからな。
[天使の羽を溶かした流動鉱石の中へ、人形が沈んでいく。
これで多少は聖なる力に強くなるだろう。
あと何回か繰り返せば、さらに効果は上がるだろう。]
[天井が揺れ、触手が動くのを見て、笑って頷く。]
構わない。好きにしろ。
壊さぬように。それと、おまえもあまり壊されぬようにな。
あとで採取自体は行うだろうから、零しすぎるのもだめだ。
[魔王とZは勝手にディークの処遇についてやりとりしている。]
壊されて、 たまるかっ
[第一、おまえの方が相当ガタが来てるんじゃ? とは、Zに触れてみた憶測。
とにかく、とてつもなく古く、そして本来の形から、だいぶ歪められているようだとみた。
さっき臨界に達しかけたと知って、自分がどれだけ危ない橋を渡っていたのか戦々恐々としたところだ。]
我も少し休む。
ツィーア。遊ぶなら別のところでしろ。
[魔導炉での騒動を収めた魔力の放出と、封印の修復とで、さすがに少し消耗を自覚していた。
ツィーアへもうひとつ釘を刺しておいて、自分はさらに奥へと歩いていく]*
『壊さず壊されぬようにか
気をつけよう』
[沐浴槽からヒトガタの顔だけを出して、ツィーアは笑うように宣した。
アーデと名付けられた人形の瞳が瞬き、歩き去っていく魔王の背を見送った]*
今...?
[ 一刻も早く、とは思っていたが、ヨセフのコエは、まるで、即座に戻るかのように聞こえ、男は瞬く ]
そうですか、ローグと会えたんですね。彼等が協力を約してくれたなら、それは絶対です。
安心して下さい。
[ 続く言葉には安堵を零し ]
はい、待っています、ヨセフ...気をつけて。
[ 最後に、そう返して ]
─ ツィーア内部 ─
[我が王が去ってすぐ、経絡の蔦は緩まないままに長さを伸ばして、天使を床へ下ろした。
『聞いたか
壊されてはならぬから、
私の中で暴れてくれるな。よいな』
触手を伝い、波動は直接ディークの意識へ届くもの]
「皇子!将軍がお戻りに!!」
何...?!
[ 帰還をと願うコエを交わしてから僅かの間、思いも寄らぬ速さでのヨセフ帰着の報に、目を見張った ]
― 峡谷の陣 ―
ヨセフ!早過ぎませんか?一体、どうやって?
[ 案内されて陣内の作戦会議室ともなっている天幕へとやってきたヨセフに尋ねれば、転移魔法により、グリフォンまで連れ帰ったと聞かされる ]
そうですか、ここへの転移が出来る術師が居たとは...本当に運がいい。
ヨセフ、恐らくあまり時間がありません。
ここの指揮を御任せしてもいいですか?
[ グリフォンが戻ったなら、魔王の元へも近づける。そして、それが為せるのは自分だけだからと、男はヨセフに願いを告げる //]
/*
←すでに軍団戦をする気のない魔王様
わーって行って、ぎゃーってやられるだけのお仕事にはそろそろ飽きてきたのだ。
出したい部隊は全部出したしね。
ようやくローグの皆さんが合流したところですまぬ、と思うけれど。
/*
ツィーアの上にずらっと弓兵並べて攻城戦やってみたいなあと思った頃もありました。
ツィーアがあまり魔王様以外を乗せたくなさそうだったから却下された作戦。
その特別感、大好き。
[魔王が去り、Zがディークをゆっくりと床に下ろす。
ようやく、まともに息ができる気がした。]
『まだ、そんな体力もない。
当分、無茶は控えておく。
魔王に言われたから従うんじゃないぞ』
[そこは意地を見せつつ、神妙に請負った。]
[横から伸びてくる別の蔦。触手を交代しながら、どこかへと引きずっていこう。
痛覚に対する配慮はないが、自ら歩くというのならば、ちょうど手と指を絡めるように繋いだまま、立つのを待つ程度。
『翼になってやろう、とは面白いな
お前は私に触れて何を遊ぶ。
人間達は抵抗を止めぬだろうな?』
たしかに翼が欲しいと思考したこともあるが、それをこの天使が知るとも思われなかった]
あぁ、待てロシェ。
これを忘れるな。
[急くような様子に腰に佩いた祓魔剣を外し、ロー・シェンへと差し出した]
解呪も成った。
存分に効果を発揮出来る。
指揮を請け負いたいところだが……私も出るぞ。
君が魔王の下へ行くなら、あちらからはもう一人出てくるだろう。
私は彼に会わねばならぬ。
[ロー・シェンが出ることを止めはしないが、男自身も出ると告げる]
あの時の決着をつけていない。
[男が呪いに囚われた、あの時の//]
[ 男は既に、陣内の術師に命じて、聖属性を備えた矢を数本用意している。そして、槍とクレイモアにも、同じ魔法はかかっていた。
しかし、所詮は人間の魔法使いが一時的にかけた属性。並の魔物ならともかく、魔王自身への効果の程は、といえば、あまりあてにはならないかもしれない ]
この剣が、俺の元へ届くまでに犠牲となった気高い命の全て...無駄にはしません。
[ コエによって告げるのは、ヨセフが喪った者達への敬意と、誓い ]
[風呂(?)に浸かって魔王の去った方を見ているヒトガタ改め a を残し、触手が移動を促す。
蔦のようなそれをローブ代わりに身体を支えながら、かろうじて自分の足で歩いた。]
『この傷… 人間なら死んでるぞ。』
[あまり長く本来の姿でいたくない。
だが、どう見ても重傷だ。
人間に戻ったらシュック死しかねない。
人間は脆い──という思考が、すでに人外のもので、ディークは軽く頭を振った。]
[「何を遊ぶ」とZは問う。
遊び、といわれもはしゃぐわけにはいかないが、Zの気分(?)はわからないでもない。]
『俺に入ってみるか?』
[Zに触れて、その深さを知った。
その逆を試してみたら、と言ってみる。
学べるものなら、疲労も痛覚も、鼓動も希望も知るといい。]
『それとも、おまえの中心で欠けていたもの──あの窪みにぴったり嵌るもの探しでもいいぞ。』
[ 次いで指揮には残らず、共に出るというヨセフの言葉と、その理由を聞くと、僅かに眉を寄せる ]
ヨセフ、あの人形は...
[ あの時、既に、惑わされぬと思い決めていた自分ですら、思わず兄と呼んだ。ヒトガタ。
彼の者に新しい名がつけられたとは知らずに、案じる視線を向ける ]
あれは兄上ではない。人間でも。
どうか、それを忘れないでください。
[ ヨセフまでも奪われたなら...そう思う気持ちを押し込めて、男は、ただ忠告だけを敬愛する将に告げた ]
─── だからこそ、
私は彼を、この手で。
[狂気に囚われた時のような言葉を、異なる想いで紡ぐ]
案ずるな、私があちらへ傾くことは無い。
私が在るべきは君の傍。
それだけは揺ぎ無い。
[確固たる想いで宣を為した]
― 峡谷の陣 ―
[ やがて、峡谷の崖の上、前の夜には、アイリを乗せた馬と共に昇った場所へ、グリフォンと共に昇り、男は、空へと駆ける* ]
[天使の手首に絡まる触手の先がぴこぴこ動く。
『壊れにくいのは好いことだろう
強いものは好きだ。美味いしな』
そのうち、ツィーアの内部に現れるのは、
鉄底族の宿舎の厨房を忠実に再現した空間。
ヒトガタの目で確かめたものだからかなり正確だろう。
簡易食卓の脇、ドワーフの体重に耐えられる頑強な椅子がガタと揺れた。
『窪み?
ああ
"核"か。それならば探さずとも知れる』]
[ふわふわと薄く遠かったツィーアの波動が、ふと明瞭な意志を滲ませる。
『天使ディークよ
お前が求める世界ならば先ほど見た。
岩山になれというのだろう
退屈せぬなら悪くもなかろう──だが、』
入ってみるかと誘われれば、その内へ触れさえもするが。
好奇心よりも強い想いを相手へ告げる。
『だが、王は私のもので、私は王のもの
彼の方の死を喰らうその運命に至るまで
決して離れず共にある物だ』
我が王が死ぬことなどない。だから永遠の誓でもある]
― 夜が明けて ―
[その報せは、日が昇り始めるころに届いた。
瞑想する魔王のもとへ、直接届く声がある。
シラーに残しておいた配下の魔術だ。]
─── シラーが落ちた、だと?
[報せは、魔王を絶句させるに足るものだった。]
は、 は。 なるほど。
[暫く───報告者が恐怖に身を竦ませるに十分なほどの沈黙を置いて、魔王は笑いを発した。]
人間どもめ。やってくれるではないか。
面白い。
[遠雷の響きに嬉々とした声音が乗る。
魔王は立ち上がり、玉座へと向かった。]
/*
ところで息子が生きてる気配があるわけだが…w
ちなみに王になる気はないんだよね、こいつ。
双子のこと伝えなきゃまだ可能性あったんだけどさー。
[玉座から見渡す光景は、晴れ晴れとしていた。
東の山の端から白々と差し込む朝日の中、ツィーアが渓谷の崖とほぼ接するようにして止まっている。
その周囲には、なにもなかった。
騒がしいゴブリンたちの小競り合いの声も、オークたちが肉を巡って争う音も、ドワーフたちが鉄を打つ規則正しい槌音もない。
世界は静寂に包まれて、美しい。]
─── 見限ったか。
なるほど、な。
[すでに報告者の声も途絶えている。
風の音だけが吹き渡る玉座の間で、もう一度、同じ言葉を呟く。
たとえシラーが落とされたとしても、そこから逃げ出したもの、途中まで近づいて来ていたものが集まっていてもおかしくはない。
それがいない、ということは、亜人たちはどこかもっと安全な場所、魔が支配している場所へと逃げ帰ったのだ。
殺し過ぎた。おそらくは。
人間だけでなく魔物も、殺しすぎた。]
─ 玉座 ─
[よく馴れた獣の背のように、滑らかな玉座は王のために伏している。
塔にとまり翼休める黒竜もまた王のために]
──
[我が王の背中越し。
静かなる渓谷に射す朝日の美しさを、ツィーアは見た。
静かに控えるアーデの瞳を介して]*
[城の内部に、ドワーフの宿舎が現われて、びっくりした。>>137
素材はどうしているのか。幻術も込みなんだろうか。]
無に帰した後、これをおまえの中に残しておくつもりか?
[合図するように揺れた椅子に腰かける。
ここまで来れば、普通にしゃべっても大丈夫だろうと、声は改めた。]
核?
なんで外れてるんだ。 なくていいのか?
[窪みの意味を教えられれば、少し吟味して、テーブルの上にある茶器でお茶を淹れてみようとする。
使えるかな?]
[明瞭な意志をもって Z が告げたのは、純粋な理論で、そしてまっすぐな想いだった。>>138]
ああ、ならば、おまえは強くあれる。
[まさに二人だけ(?)の世界を作ろうというのだから、筋金入りだ。]
馴れ初めを聞きたいものだが──
[グルゥ、と低い唸り声が聞こえて横を見る。
右目を失ったナールが首を伸ばし、甘えるように角を押し付けてきた。
首の後ろを撫でてやりながら、暫し佇む。
彼方に、武具の煌きが見えていた。
微かに馬蹄の轟きも聞こえる。
人間どもは、勢い込んでここに押し寄せてくるだろう。
己の力とツィーアの巨体をもってすれば、蹴散らすのは容易だ。
だが数が多い。手間取れば、ツィーアの損傷が増える。
思案の末、一つの結論に至る。]
魔王は、やり過ぎた。
強いから、できるからと言って、していいことと、そうではないことがある。
それを正すのが──英雄だ。
[ロー・シェンは、魔王を止めに来る。
その時は近い──**]
[溢れ出すナールの"死"を逃さぬように押さえながら、目の前の中空に天使の翼を呼び出す。
羽根が欠けてはいるがなお美しい翼と、力強い竜の魂、そこに己の魔力を注ぎ込んでつなぎ合わせ、"死"を介してツィーアに吸収させる。]
偉大なる古の獣の魂と いと高きを舞う翼と 我の意思が
[宣言。そして干渉。
膨大な力が、魔法兵器に注ぎ込まれた。]*
……ほんとだよ。
[聞こえるコエに、小さく紡ぐ]
いつまでも沈んでるのも、うだうだしてるのも、らしくない。
……そんなになってほしくない、のに。
[そうは思えど、何も出来なくて。
いっそみなければ、きかなければと思いもするけれど、それもできなくて。
微か、届いた別のコエが齎した変化に、微か不安を覚えた──けれど]
……デアトリ、殿。
[差し出された小さな花。
それが呼び起こした変化に、小さく息を吐く]
……うん。
陽のひかりが届くところに、あたしはいたい。
だから。
[触れられなくてもひかりを届けて、と願いを紡ぎ]
……いってらっしゃい。
[花を置いて歩き出す姿に向けて、小さく紡いだ後。
亜麻色は、花を届けてくれた者へと向かう]
……ありがとう、デアトリ殿。
あたしが、戦士として立ってから。
……殺めるのが目的でない戦いができたのは……貴女が、最初で最後だった。
[純粋に武をぶつけ合えた事が、本当に嬉しかったのだと。
届かぬとわかっていても、伝えたい言葉はほろほろと零れておちる。
そうしていたら、何かが落ちてきたような気がして。
差し伸べた手の上に、黄色の花がふわり、と落ちた。**]
─ 厨房 ─
『ないと困るが、少し外れていてもいい』
[核は今、ツィーアの中にあった。
深層に納めてあるのが本来の姿だから、本来の力を発したいならそうあるべきだったが。
茶器に添えられた葉は鉄底族の娘から譲り受けた本物だった。しかも湯の方も、なんと99%もが水でできている自信作。期待を込めて茶器も弾む]
『正すのは天ではなく、英雄か。面白いなお前は
……世界の外にあった私を、見出したのも
してはいけないこと か?』
[是が返ろうとも、それはツィーアの理解の外]*
/*
地上の流れが凄すぎる……w
頑張れ頑張れ、としか言えないわ。
そしてピンポでこっち爆撃してくれてこんにゃろうw
反応せずにおれないじゃないか、まったく(
─ ツィーア ─
……っ!
[チリン チリン。
膨大な力と飛翔の魔力が、アーデの胸へ注ぐ]
[核が鳴る。
魔法兵器の内側から、世界を揺るがす轟音が響いた]
/*
彼の勇姿を目に焼きつけよ。
あれこそが
[勇壮なる姿でグリフォンに跨り出立するロー・シェンを全軍にて見上げる]
***
ってお見送りしたかったのw
[ ツィーアが翼を広げた。
崖がまた崩れ、舞った砂埃がそのまま天へ伸びていく。
半ばで斬り落とされた射出翼が12対、
そして眩い魔導の光を湛えた、風を掴み大気を歩む翼]
──
[ツィーアの巨体に、顔があったなら。
それは竜の咆哮のようであっただろう。
城砦を背負った地這竜のごとき魔法兵器は翼で渓谷を撃ち、羽ばたきによって風を起こし、
そして大地から解放され
緩やかにレオヴィルの空へと浮かび上がる]**
ヨセフ...言っておきますが、俺の騎乗は騎手より荒いので...振り落とされないでくださいよっ!!
[ 後ろに乗ったヨセフに、そう一応の警告を与えて、男は一気に高みへとグリフォンを駆け上がらせた。
ほぼ垂直にも感じられる軌道で低い雲に触れるほどまでに昇れば、はるか先までの地上の様子、そして魔王の玉座たる魔兵器の姿も見下ろせる ]
......魔軍は、もう魔王だけのようですね。
[ 視界の向こう、戦場から逃げ出した魔軍の生き残りの亜人達も、ローグの戦士や、反旗を翻した人間達に追い詰められている。
そして、魔王の周りには、ただ静寂の荒野だけが有った ]
好い。
やはり、おまえと共に飛ぶのは好い。
[砂埃を割って、ツィーアの巨体が浮かび上がる。
魔導の翼が起こす風が、両脇をすり抜けていく。
地を這うものたちが、遠くなっていく。
ナールに乗って空を駆けるのとはまた違う歓び。
かの忠実な黒竜はもう、空を舞うことはできずに地に横たわっているけれど。]
このままアルテスに向かう。
アルテスの町を踏み潰し、かの王の死でおまえの炉を満たし、瘴気と人間どもの命を触媒に魔界へのポータルを開く。
[そして今まで以上の軍勢を呼び出し、人間どもを蹂躙するのだ。
残虐で血に飢えた、より強大な軍勢を。
その時を予感して、魔王は声を上げて笑った。]**
...ぐずぐずしていられませんね。
[ 空に浮かぶ魔兵器からは、強大な力が感じられる、あれが、谷を越えてしまえば...王都は滅びる ]
降ります!
[ 昇った時よりは、少しなだらかな傾斜だが、スピードは更に増して、グリフォンは魔兵器に向かって降下する。
発見される危険には、もう構ってはいられなかった* ]
まさかこのまま峡谷を抜ける心算か!
[移動要塞は狭い道に先を阻まれているようだった。
それを打破するために翼を得たか、と。
男は危惧を抱く**]
/*
ツィーアが「渓谷狭くて通れないかも」って言った瞬間に、じゃぁ飛ぶか、ってなったよね。
ナールの処理もできるし(
さすがに最初の方でツィーアと一緒に飛べたらいいねって言ってたころは、まさか本当に飛ぶとは思ってなかったよ。
[ 手に残された天使の羽根は、今は男の左の胸当ての内に縫い込まれてある。男の心臓に添うように、その鼓動を伝えるように ]
魔王!
[ 浮かぶ城の上、玉座に座す魔王の姿が、金の瞳に映ると、男は聖性を宿した矢を弓に番え.........魔王の額を狙って放った]
[ その矢が、魔王を倒せるとは思っていない。だが、矢の軌跡を追うように、グリフォンは空を疾駆し、やがて、男とヨセフの身体を、魔王の玉座の前へと運ぶだろう* ]
― 地上 ―
[ 魔王の城が舞い上がる。
巻き起こった嵐のような風は、まだ離れていた人間達をも巻き込む。
吹き飛ばされ、或いは崩れた崖に埋まり、岩に潰される者もあった ]
[ 混乱し、怖れ戦く瞳が、浮かび上がる魔の兵器を見つめる ]
― 地上 ―
シャン シャン シャン
[ 舞姫の軽やかな舞いに合わせ、ローグの民達もまた、鈴を、笛を、弦を、打ち鳴らし、吹き鳴らし、弾き鳴らしながら、舞い始める。
それは、ローグの群舞 ]
Aa―a―-a―--ye―-a――---
[ そして、高く低く、長く尾を引く歌声が空の高みへと運ばれ ]
巡る命に宿りし光を 我等 共に巡り讃えん
[ 魔王の玉座が巻き起こした風の渦に呑まれ、しかし打ち消される事無く...激しい風音にすら添うように響き渡った** ]
/*
舞と歌には支援効果があったりなかったりしそうですが、まあ、いいや。
[ なんか足りなかったら取り込む** ]
[茶器がカタカタ弾む。>>151
踊り出しても、もう納得してしまいそうだが。
湯で茶器を温め、茶葉を蒸して、ドワーフ細工風のペアカップに抽出した茶を注いだ。
残り1%の成分がどう働いたかはわからないが、普通に見える。]
どうぞ。 人にはこれくらいが適温だ。
[触手に促し、改めて、周囲を見回す。]
この部屋、魔王が作ったわけではないだろ?
おまえが工作したのなら──
おまえ自身を作れないか?
掌サイズの。 もらって帰りたい。
[お土産を要求した。]
[魔王の行為の是非について、Z が問う。>>151
その言葉や間合いにも、魔王に対する Z の想いが映し出されていると感じた。]
おまえは──あのヒトガタもだが──魔王の子供みたいなものに思えてきたぞ。
親離れ、ってわかるか?
いずれは、しなきゃいけないもんだ。
[「世界の外にあった」と語るZの触手の束に、指先を潜らせる。]
おまえの故郷は魔界ではなく、精霊界なんじゃないかって──そんな気がしてる。
[インスピレーションだけど、Zの愛らしさは魔物というより、精霊に近いような。
ふと、エルフの双子のことを思い出した。
あれも妖精の一種だろう。手に負えない天真爛漫さに振り回されつつ、憎めなかった。
双子の死はいまだ知らない。]
もう、いいんだな?
[待ってろ、と言われた先のコエではまだ、ロー・シェンは無理をしているように感じられた。>>*32
だが、今、届いたコエは、吹っ切れたような──いや、しっかりと天命を受け止めた英雄の、揺るぎないものになっていた。>>*43
アイリの死から立ち直るための支えがあったのだろう、思い浮かぶのはヨセフの顔だ。]
[カップを置いて、立ち上がった。]
外で遊ぶぞ、Z
[回復には遠いまでも、人ならざる身体は、あれ以上の喪失がない程度には保てている。
むろん飛ぶことはできず、かろうじて付け根に残った羽根──切り札も3枚を数えるのみ。]
…──、
[否、もう一度《覚醒》を強制発動させれば、奇跡は起こせる。
だが、その時には、ディークの人間としての肉体は失われ、この世界に留まることはできなくなるだろう。
それは──できない。選べない。
唇を噛む。
それでも、]
すぐに、よく見えるところに出る。
[動けないような身体ではないと、知らせるべくコエをおくった。
もっとも、幽閉されていたとしても、脱獄してやるつもりだが。]
見つけてくれ。
─ 夜明け前 ─
[沐浴槽を出た人形は、薄青に銀糸の衣装をまとう。
手を顔の前に翳した]
[クレステッドの記憶を参照して造形されていた手は、今は内側の光が滲むかのような透明感を備えていた。恐らくは改良の結果として。
少し指が長く、手首の骨が太い。
たぶん、ナールが連れてきたあの騎士>>2:302の特徴が混じっている]
アーデか。俺は、アーデ
[昨日まで曖昧で、遠く恐ろしかった世界が今は何の変哲もないものに見えた。
漠然とした不安が薄れたぶんだけ他の感情が強くなっているのも感じる。
人形に名をつけた魔王の意図を思った]
[瞑想しているのだろう魔王の元へ、と定位置を求め歩き出そうとした人形の前に、
いきなり小規模な転移の魔法が発動した。
チリン、と核が鳴る]
なんだ?
[自由落下を始めるペアカップ>>170を受け止めて、周囲を見回した。
お茶っぽい匂いの液体が入っている。だけらしい。
そして下る、飲め!という命。
嫌な予感がした*]
─ 厨房 ─
『何度も言わせるな』
[我が王と離れることはない、と返す音色はつまらなさそうなもの。
机の上でぐにぐにと蠢く魔力の塊に集中する沈黙の後、掌サイズの長耳双子の形を作り出した]
『精霊界?行ったことはない
その世界は美しいか』
[小さな双子は「キライ!」と言った時の顔をしている。
そのうち、塊はずんぐりむっくりで手に槌をもった、ドワーフっぽい形になった]
[舌までお茶を送り出した後>>179ツィーアは感想を述べる]
『お茶というのは良い香りで刺激的な味だな
人形が吐き出したから、人には向かないのか?』
[1%の甘辛さに、アーデはコメントを残さなかった。
掌サイズのお土産は、やがて拳大のただの球形に変わる]
『くれてやろう。お前を帰すとは言うていないぞ』
[渦を巻くような独特の模様をした珠は、チリン、と鳴る。再現度が高い実物大模型──ツィーアの核──を天使の前へ転がした]
[ロー・シェンの名が振動としてツィーアに伝われば、兵器の波動は明らかに不機嫌なものになる。
我が王に傷をつけた
あれは我が王を壊そうとした者
外で遊ぶという天使を、触手で縫い止めはしない。
ドワーフの厨房の外は、拍動し蠢くツィーアの体内]
『壊さぬよう、壊されぬよう遊ぶ
ああ、気をつけよう』
─ 上空 ─
[朝日を浴びた世界は美しい。
我が王が笑った。
王が飽きるまでは、この世界に終末をもたらしはしない]
『アルテスの中心を潰せば良いのだな?
ゆこう』
[夥しい死の花が咲くだろう。
くべられる死はツィーアを満たし、光となる。
渓谷地帯に落ちる影の形は、翼もつ異形の船]
[ツィーアよりも高みから、
玉座へと注ぐ英雄の嚆矢>>164]
…、
[アーデは天を仰いだ。
疾駆するグリフォンを捉え、眼を細める。
控えていた後ろから動き、玉座の前方へと立った。
抜き放つ剣は扱いやすいクレステッドのものから、騎兵の扱う大型のものへ*変異する*]
[送り出した後も、コエは時折落ちてくる]
……勝手いうな、もう。
神でも精霊でもないあたしに無茶振り過ぎだぞ。
[紡ぐ言葉に否定の響きはない。
なにもできない、ただ、みるだけしかできないけれど。
祈りを託すくらいはできるだろう、と思うから。
揺らめく月は、陽と、彼を支えるものを想い、祈りを紡ぐ]
………………。
[なお、続けて落ちてきたコエに対して浮かんだのは、なんとも評し難いえがおだった]
……本気でわかってなかったのか。
[ああもう、こいつは、と。
ものすごく思ったのは、ゆるされてほしい。**]
[アーデが剣を抜いて前へ立つ。
魔王は動かず、拳をゆるく握った。
魔力が拳を覆い、魔界の太陽の色に輝く。]
このカナン・ディ=ラーグの前に三度立とうという勇気を、まずは褒めておこう。
そして、散れ。
[腰にためた右腕で、斜め上に空気を殴りつける。
拳の周囲でぱちぱちと摩擦による青い稲妻が弾けた刹那、上空のグリフォンと乗り手たちへ向けて魔力と拳の速度による衝撃派が放たれた。]**
[ドワーフ様式の厨房の外は、意匠めいた複雑な回路の脈搏つダンジョンだった。
最初に潜入したときも、確かこんなだった。
回し車だとか、飛び出してくるブラシ(猫じゃらし?)だとか。
魔王のやり方を見るに、「壊す」の基準はだいぶ酷そうだが、甘んじて受ける謂れもない。]
行こう、か!
[ベルトポーチに収めた、チリンと鳴る珠を、ぽん、と叩いて先へ進む。
瞬時の選択を積み重ね、幸運を祈り、諦めることなく──ロー・シェンの元へと向うのだ。]
― 回想 ―
[その珠は、ミニチュア Z を要望したディークに、Z が作ってくれたものだ。>>180>>181
「いーっ」と言いそうなエルフの双子と、顰め面が地顔のドワーフの造詣を経て、象られた真球。
それが、核のコピーとは知らないままに受け取り、触手の先の灯に翳してみたりした。]
城の外観とは異なるけど──そうか、これがおまえの自己認識か。
…惹き込まれそうになる。 すごいな。
[再現してみた技術と、本来の造詣の美しさとを、ともに讃えた。]
ありがたく、いただいておく。
ああ、すまない。
おまえたちの絆に対して、不躾だった。
[魔王と引き離される話になると、とたんに、つまらなそうにする Z に謝る。
しかし、手に取るように機嫌がわかりやすい機械とは、一体。
好ましい想いで、彼の振動に応えるのだった。]
精霊界は俺も水鏡でしか覗いたことはないが、綺麗で楽しそうなところだったぞ。
宙に浮かぶシャボン玉みたいな虹色の球の中に魚が泳いでいたり、樹木がゆさゆさ歩いていたりするそんな光景が当たり前みたいな。
[とうてい口では説明しきれなかったが、嘘のない声の色は伝わったろうか。]
[お茶を注いだカップが消え、ヒトガタを観察していた Z から感想がもたらされる。
1%の
確かにクセは強いな。
石みたいなドワーフ謹製クッキーと一緒に食べると実にあうんだ。
[そんなデータを付け加えておく。
ちなみに、ディークはフレーバーティー好きなので、この味に文句はなかった。
双子の飴はこの比ではなかったって。*]
― Z 体内回廊 ―
…あ!
[回想から不意に思い至って声を上げた。
Z が、ヒトガタの視覚情報からこねくり回した細工物──]
ヒトガタは、双子と知り合いなのか?
[それはなんか、とてもヤバい情報では。*]
─ ツィーア体内 ─
[延々続く回廊に、褒められたのと同じ核模型──ただし直径30倍はある──を天使の気配めがけて転がした頃。
不意に上がった声>>192が壁を振動させた。
双子?そういえば]
『嘘つきでライバル と言うたか』
[嘘をついた覚えはツィーアにはない。実は人形の素体とあの双子は知り合いだったのかもしれないと思考。
ならば嫌われていたのもやむなしか、と都合のいい解釈をした]
『あれらは王にばかり懐いた。
人形は嫌いだったのだな』
キュィィーーッ!
[ 大気を引き裂くような高い鳴き声をあげたグリフォンは、男の声に込められた指示を正確に聞き取り、翼を畳んで、ほぼ真下へと急降下することで、放たれた魔の衝撃波を頭上へとやり過ごす ]
つうっ...!
[ 魔力の塊が伏せた頭と背を掠めて、バチバチとそこにも青い稲妻が走った ]
[ 一息に散らされなかった事を安堵する暇もなく、バサリと羽ばたいたグリフォンの手綱を手放し、男は、その背に立ち上がる ]
ヨセフ!あなたは、もう少し近付いてから降りてください!こいつは俺の後を追う筈です!
[ そして、魔王の目も、恐らく己の方に向くはず、とは、口にせず、男は、そのまま、グリフォンの背を蹴って跳んだ** ]
[滑空による速度を、足場を転がることで減速させ、受身を取り片膝をつく。
直ぐに立ち上がれる体勢の状態で、男は銀の姿へと視線を投げた]
───お前の相手は私だ。
[ロー・シェンの、魔王の下へは向かわないという宣//]
[滑空による速度を、足場を転がることで減速させ、受身を取り片膝をつく。
直ぐに立ち上がれる体勢の状態で、男は銀の姿へと視線を投げた]
───お前の相手は私だ。
[ロー・シェンの、魔王の下へは向かわせないという宣//]
[空気に悲鳴を上げさせながら上空へ突き抜けていく衝撃波は、鷲獅子と乗り手を捕え損ねた。
見事な読みと意思疎通で回避してみせる姿に、我知らず口の端が上がる。好い。
だが同時に、僅か首を傾げてもいた。
本来ならば衝撃波はもっと大きなものになるはず。
多少の回避など問題にしないくらいに。
さすがに、ツィーアを飛ばすのに魔力を使いすぎたか。]
……構わない。
叩きのめす楽しみが増えたということだ。
[呟いて、鷲獅子の上に立つ太陽の子を見据える。]
[皇子の読んだ通り、魔王の視界に他の者は入らない。
魔王の興味を繋ぎ止められる人間など稀なのだ。
太陽の皇子が落下してくる軌道を読み、軽く身を沈める。
全身の力を溜める一拍ののち、跳んだ。
常人ならば考えられぬ距離をひと跳びで詰め、未だ空中にある皇子に肉薄する。
空中でしなやかにひねった体から、鋭い後ろ回し蹴りが放たれた。]**
― 玉座 ―
[グリフォンの翼。
衝撃波をかいくぐり飛び降りる人間の影が陽光を弾く。
アーデは先に跳んだ太陽の皇子には目を向けなかった。
あれを叩きのめし引き裂くのは魔王の楽しみで、アーデの役目ではない。
気紛れな核には、人形を壊したくなければ余所見をさせるなと言い含めてある]
こちらの台詞だな
[滑空する獣の背から着地した黒の男を見て、軽く重心を下げた]
だが、ここは魔王カナン・ディ=ラーグの玉座
頭が高いぞ
[途端、ヨセフが膝をついた床が裂ける。
男を中心に呑み込むように開いた穴へ、騎士剣を構えて跳躍した。
振り下ろす刃は空中。
移動城砦内部、上層階へと落下する浮遊の中で斬り掛かる]*
動けるんだな?
[ すぐに、と、聞こえた言葉に、隠す事無く安堵の息を零す ]
ああ、俺も、すぐ行く!
[ 衝撃波が頭上を過り、その言は即座に実行されることになる ]
[ 魔王の玉座の周囲には、激しい嵐の名残が渦巻く。
その風に乗り、風を読む、それは少年の頃に会得した術。
誰よりも高い木に、何処よりも高い頂きを目指して、落ちても怪我の少ないように...常に共に在った亜麻色の娘を泣かせぬために ]
[力強いロー・シェンのコエが届いた。
魔王の玉座の真上だ、と。 ああ、近い。]
グリフォンだな。
殿下も間に合ったとは、ありがたい。
シラー解放、おめでとう。
これで魔軍の補給路はほぼ断てたな。
[二人へと投げ返す状況判断は今も的確なものだ。]
上へ向う。
見せ場には、間に合うさ。 構わず全力でいけ。
[すぐに戦いを開始するのだろう二人へ、エールを送る。]
[天井を仰ぐ。
その先にあるものを見るように。]
双子が嘘つきでライバルで魔王に懐いてた?!
[それ、どんだけ蜜月だというんだ。>>193
ヨセフの家族とも仲がいいと言っていたが、もはや、偶然とは言い難い。
Z からの情報に、と唇を噛んで、胸の小さな痼りに触れる。]
[天井を仰ぐ。
その先にあるものを見るように。]
双子が嘘つきでライバルで魔王に懐いてた?!
[それ、どんだけ蜜月だというんだ。>>193
ヨセフの家族とも仲がいいと言っていたが、もはや、偶然とは言い難い。
Z からの情報に唇を噛んで、胸の小さな痼りに触れる。]
ロー・シェン、 殿下。
こんな時だが、あの後、エルフの双子の動向は確認しているか。
魔王にまとわりついても逆鱗に触れないらしいって証言を得た。
飛び出してきても油断するなよ。
[ゴロゴロ…という遠雷のような音に振り返ると、巨大な球体が迫ってきていた。>>193
お持ち帰り用ではない、多分。
脇道に避けて躱すのが常道、と思われたが、行く手を塞がれるのも面倒だった。]
逃げ回るのは、遊びじゃないしな。
[天井から垂れる触手を掴んで身体を引き上げ、球体の上へ。
バランス感覚!と念じながら、着地し、そのまま球を転がす。
軍学校時代、プールに浮かべた丸太の上に、どっちが長く留まっていられるかという勝負を、ロー・シェンたちとやったものだ。 なんて、懐かしがってる場合じゃないが。*]
[ そのまま加速をつけて、黒竜の座所だった塔に叩き付けられようとする寸前、男の後を追って飛翔してきたグリフォンが、高く啼いて、その身を受け止める ]
...ぐ...げふっ...!
アウロラ...いい子、だ...
[ 蹴られた時に、どこかの骨は確実に折れている。紅の混じる唾を吐いて、しがみついたグリフォンの羽根を軽く叩き、男は腰から剣を抜いた ]
[体勢を整えることは叶わない。
身体を一度伸ばし、訪れる衝撃に備えようとした時、頭上から銀が降って来た]
くっ!!
[ロングソードを引き抜き、空中で振り下ろされる騎士剣へと翳す。
落ちる速度を加速させるような重い一撃。
下から反発する力が無いにも関わらず、腕に痺れが走った]
[剣で受けたことで落下速度は加速し、男の身体はヒトガタよりも早く階下の床へと叩きつけられる。
背を強かに打ち、くぐもった声が零れた]
ぐぅ……
[床を転がるようにして起き上がり、痛みを散らすために深く息を吐く。
剣を構えながら、遅れて落ちてくるだろうヒトガタへと視線を投げた]
……魔王の騎士か。
お前、名はあるのか。
[騎士同士の決闘となれば、名乗り合うが定石。
これまで聞けずにいた問いをヒトガタへと投げかけた//]
[ どうやら、ディークは双子の正体を自力で掴んだらしい ]
...ローレルとローズマリーは、俺が斬った。
俺の暗殺を、魔王に命じられてたらしい。
[ 正確には、苦しめろ、と、命じられていたのだろうが、男にとっては同じことだ。
伝え辛かった事を伝える機会を得て、幾らかほっとする ]
[ロー・シェンとディーク、双方のコエを聞き、男は心の内で笑む。
輝くような彼らの絆を眩しげに見詰めるように]
あぁ、ありがとう。
補給を止めたためか、今のところ魔軍への増援はない。
[二人へ届くようにコエを返した後、男の身は浮遊城へと転がった]
[自分が斬ったと答えるロー・シェンのコエに、男は心の内で瞑目する。
まだ振りきれたわけではないが、この場で心乱さぬくらいには落ち着いて聞くことが出来ていた]
/*
・早々に負傷
・剣は普段使わないロングソード(量産型)
・加護なんてあったもんじゃねぇ
・精神的装備:諦めない精神
勝てる要素はない(
― ツィーア上層・広間 ―
[落ちた先は広い空間。絨毯のようなものが敷かれ、歪な装飾で飾られたそこは広間というに相応しい場所だったが、今は壁のどこにも扉らしきものがなかった]
…、
[タン、と軽い音を立てて人形も着地する。
起き上がる男との距離は大股で5歩。
騎士、という単語に瞬いた。 紫毒族ゴブリンの戦闘記憶の方が闘い易ければそれを選んでいただろう。
大剣の構えは、レオヴィル騎兵のそれを参照したもの]
名は
[瞼を半ばまで閉ざし、間を置く。
伏せた銀の睫毛が頬へ影を作った]
― ツィーア下層〜中層 ―
[殺意に満ちた珠は、上に飛び乗った天使の足の下で転がる>>207]
『なんと』
[回廊の天井で魔導の光が煌めき走った。
球体は見事なバランス感覚の操者を乗せて曲がりくねった道を駆け抜け、回廊をループさせていた結界具を弾き跳ばし、階段を駆け上り。
そのまま猛然とした勢いで突き当たりの壁へ大激突――する瞬間にパッと消えた]
『私を壊すなというのに』
[楽しげな光を灯らせながら、ツィーアは不条理なことを呟いた]
[名を知るはずなのに、ヒトガタ───アーデは男に名を問う。
殴られた時のあの反応が脳裏を過ぎった]
……私はヨセフ・トネール・ド・モンテリー。
────だが、
お前の持つ記憶が、私をまだ
ヨシュ、と。
[男は真っ直ぐにアーデを見詰めながら答える]
[己を律するために一度は切り捨てようとした存在。
だが、狂気に囚われた時に己を引き戻してくれたのは
私は、お前と言う存在を受け入れる。
テディの写しとしてではなく、お前自身を。
[男は切り捨てる覚悟ではなく、受け入れる覚悟を選んだ]
ふむ。
一撃とはいかなかったか。
[重さなどないかのように着地して、両腕を軽く振る。
淡い魔光が拳から肩へと微かに脈打った。
魔王が最も得意とするのは、己の魔力を以て物質を強化・変容させること。己の肉体も言うに及ばず。]
ああ。しかし久しぶりだな、この感覚。
たまには体を動かすのも良い。
[首を回しながら、皇子の方へ歩み行く。
彼の手に眩い剣が握られれば、目を細めた。]
それが、祓魔剣とやらか。
面白い。その力、確かめさせてもらおう。
[仁王立ちになって、ぱしりと拳で掌を打つ。
両手の赫光が、一段と強さを増した。]**
― ツィーア下層 ―
[ツィーアの内部には、いくつか固定された部屋がある。
そのうちの一つに、魔王の研究対象がひとつ収められていた。
"生かしたままの採取"
その成果が、そこにいた。]
[小さな台の上に、少年がひとり寝かされている。
王国の将に、よく似た少年だ。
枷は無かったが、無数のチューブが肌の下に潜り込んでいた。
透明なチューブの中には赤い液体が通っており、複雑な模様を描きながら壁や床を這っている。
さらに先には、同じようにチューブで繋がれた巨狼と巨大蜘蛛の姿があった。
いずれは混ぜ合わせてひとつの存在にしようと魔王が考えていたものたち。
今はどれも、ただ眠っている。]*
[エルフの双子はすでに害を為すことはないと、二人から知らされる。]
そうか…
ロー・シェンの手にかかったなら、苦しまなかったろう。
[魔王の子飼だった双子。
ユーリエを殺させたのもその線か──と思索し、すぐに否定した。
魔王は、自分の手で造ったもの、改造したものにしか関心を抱かないタチだ。]
[ロー・シェンを暗殺しようとした双子に同情することはできないけれど、]
この石から花が咲く日が来たら──また遊んでやる。
それまで、ふたりで仲良くしてろ。
[届かぬ追悼をコエに乗せた。]
/*
5日目あたりにヨセフがこっちにいたら、確実にロヴィン君キメラかゴーレムがヨセフの前に立ちはだかってましたよ、というなにか。
でもシラー奪還も重要だからしょうがない。
あれは見事でした。
/*
Q.なんで王都の守りにロヴィン君出さなかったの?
A.ヨセフの帰りがさらに遅くなるからね…
あとロヴィン君出すならさっくり斬って楽にしてあげるか、ものすごく頑張って助け出すかというのをやってもらいたかったので(そしてそれを魔王が間近で見物したかったので)、なかなか出す機会を見つけられなかったのでした。
/*
ラスボスと言えば第二段階だろ!
とかちょっと考えてるんだけれども、たぶんその暇ないだろうなー。
魔王死んでも、その先がたぶんあるからなー。
ツィーアには仄めかしてあるけど、伝わってるかな?
伝わってても、イヤー!とか思われてたりして。
でもやる。
…っと!
[なんとか、落ちずに玉乗りを制することができたらしい。>>217
目の前に迫った壁を蹴って、バク宙で着地する。]
冤罪だ。 慰謝料を要求するぞ。
[蹴りはしたが、と Z に言い返す。]
まだ遠い、か?
[天眼に集中し、己の位置を俯瞰する。
ロー・シェンの待つ玉座の間に行かねばならぬ。
だが、何かが急ぐ心を押しとどめた。]
ここ──、 何がある?
[壁の向こう。
それは、少年のとらわれた空間であった。>>226>>227]
[人形と男の間に降り積もる沈黙。
アーデは薄く開いた唇を閉じて、
自分の胸へ一度触れ、
小さく笑い声を立てた]
お前の、その性格…改めた方がいいのでは?ヨセフ
[男の名を呼ぶ声はまるく穏やかなもの]
[ グリフォンから手を放し、男は魔王と対峙する ]
行け、アウロラ。
[ 主の声に、グリフォンは、少し首を傾げてから空へと飛び立った ]
魔王カナン・ディ=ラーグ。
これもお前の1人遊びのうちか?
[ 蹴られた部分からの痛みは、男の息をまだ乱している。けれど、真っすぐに魔王を見つめる瞳は、揺るがない ]
だが、いつまでも玩具でいてやるつもりは無い!
[ 地を蹴って、男は走り出す。真っすぐに魔王へ向かうかと見せて、数歩走ってから、跳躍し、その背後を狙う動き// ]
だが、ありがとう
実態がどうあれ俺はお前を親友と思っているよ
今は――これからもお前を忘れずにいられる気がしているんだ
その言葉の全ても、忘れまい
[低い唸り声が広間の床から響いた。
人形の傍らに生み出されるのは半透明の、巨狼の写し身]
お前を殺すのは
辛いな
/*
はっはっは、俺が、ミサンガ使わない筈がねー...てのは、多分アイリのひとが一番知ってる筈(笑)>魔王様メモ
ぶっちゃけそのための魔石設定ですし。
― ツィーア下層・回廊 ―
『あまり動いて、零れぬだろうな』
[後で採取するから零すな、と我が王の釘刺しを思い出したよう。壁から伸びた細い触手で天使の気配のあたりを探り、触った]
『何?――玩具の素体だろう。
私にはまだ動かせぬものだ』
[そんなものにかかずりあっているうちにそろそろロー・シェンが死ぬのでは、と考えるが]
『壁を壊すのか?悪さをすると仕置きを受けよう』
[言外に、そこに入り口はないのだと教え。
一斉に壁一面に棘が生える。
びっしり並ぶそれらには相変わらず容赦ない殺意が煌めいていた]
人間とは、ほんとうに愛しい生き物だ。
[真っ直ぐに駆けてくる皇子の方へ、ゆっくり歩き出す。]
これほどにも我に抗って、楽しませてくれる。
知恵を尽くし、技を澄ませ、力を振り絞って
[皇子が跳ぶ。風の精霊に愛されていると評される、流れるように美しく剽悍な跳躍。
背後に落ちかかる刃の気配へ、魔王は振り返ることなく片手を差し出す。]
───ああ、しかし。
こんな剣に頼るようでは、我には届かん。
[祓魔の剣が掌に触れれば、激しい音と火花が散る。
だが聖なる光は、掌に集められた魔力で止められた。
そのまま剣を握り、落下の力を横方向に滑らせてやって、斜め前方へと投げ飛ばす。]
その剣の力は"知っている"。
知っているものは、怖れるまでもない。
[祓魔剣に斬られた
"記憶"よりも剣の威力が上がっているようだったが、まだ許容の範囲だ。]
その剣を頼みとしてここへ来たのだろうが、
───残念だったな。
[低く身を沈めた次の瞬間には地を蹴り、投げ飛ばした皇子の後を追って地面を払うような回し蹴りを繰り出していた。]//
[Zの触手がツンツンと触れて来る。>>223
内壁全体に感覚器があるワケではないらしい。
ならば、やりようによっては、”消えて”しまうこともできるだろうか。
奥にあるのは、玩具の素体だろうと、隠す様子もなく Z は答えた。
みっしりと棘を生やした壁から反射的に離れる。
だが、直感が告げていた。
何もしなければ、手遅れになる、と。]
俺も魔王の素材らしいぞ。
入る資格はあるだろ。
[嘯き、三つの目で進入路を探った。]
くっ...!
[ 魔王の魔力が、聖なる剣の刃を難なく止める]
うわぁっ!!
[ 握るか?剣を?!?...という、単純な驚きの方が、投げ飛ばされた衝撃よりも大きかったとは、魔王には伝わらないだろう ]
くっそ...!
[ しかし、男は咄嗟に受け身をとって、今度は瞬時に身を低く構える ]
...俺が、頼みにしてるのは...
[ 繰り出される地を這うような蹴り。それを前方に身を投げ出すような跳躍で避け、床に一度片手をついて軽業さながらの前転を見せる ]
/*
ざーっくりピンチになるべきなんだよな、そろそろ...しかし、ここに誰もいない状態なのは...別にいいのか。
[蹴り足の上を皇子の身体が飛び越える。
空を切った足をついて体重を乗せ換え、次の動作に移ろうとしたところで、視界が左右にぶれた。]
───…?
[咄嗟に真後ろへ跳んで距離を離したが、少しの間目を見開いていた。
きょとんとしていた、というのが一番近い。]
ふ、 ふふふ… はははは。
確かに、確かに剣の力ではないな、それは。
[肘打ちを喰らったのだと理解したとたん、こみあげるように笑い出す。]
まさか素手で殴られるとはな。
面白い。
だが、我を殴り殺せるとは思っていないだろう?
さあ、次はどうする?
[両手を広げ、誘った]//
ならば安心することにしよう
[黒の男に、人形への決定打はないと踏んでいた。
魔法を使えない騎士だ。物理攻撃への耐性ならば死にたくなるほどにある。
ならば時間稼ぎか。ロシェは魔王を相手にしているのに?]
…お前と本気で手合わせ出来る日がくるなんてな
[近接戦闘ならばクレステッドよりもヨセフの方が全てに於いて勝っていた。
今も、駆ける動き、慣れた得物ではないだろうに流麗な剣の振り流しは、基本に忠実で実直でありながら眼を瞠るほど美しい]
はっ
[人形は牽制を素直に受けて、後方に下がって薙ぎを躱す。
巨狼の爪が床を掻き、男を挟むように短く向きを変えた。
狼牙族の戦闘術。大きな違いは、人形はオークよりも遥かに速いということ。
牙を剥く狼の方へ向け、追撃をまともに受けるように騎士剣を振った]
[彼の独白が外気に揺らぐ]
(おや、苦しんでくれたのかい?)
(『良かったわ。なら私たちお仕事を果たせていたのね』)
(でも残念だなあ)
(『そうね。ワタシたちが、もっとアナタと仲良くなっていれば…』)
(キミはもっと、もーーーっと、苦しんでくれたかな)
(『人が良さそうだもの』)
(そうそう。ヨセフみたいにね)
[呼応するように、大気がさえずりを運んでゆく]
[男の水筒から零れた清らかな水が、ふたつ石を湿らす。
双子の気配は、ぷるぷると気持ち良さそうに長耳を揺らす]
(随分待遇がいいじゃないか)
(『“敵”のお墓まで作るのねニンゲンって』)
(まったく、物好きだよ)
(『だから先生も…“好き”なのかしら』)
[楽しそうにニンゲンの国々を滅ぼしているのは、
つまりそういうことなのかな…なんて思ったりする]
[やがて…男はその場を立ち去っていった。
高台にある此処は見晴らしがいい。
魔軍も王国軍もよく見える――――…
でももっともっと眺めたくて。
双子の残滓は痩せた樹のてっぺんから、空へ飛んだ。
ぽおん。
枝が揺れて団栗の実が落ちたことは彼らも知らない*]
― 下層 ―
『そうだったか』
[天使も素材のひとつ、なるほどその通りと納得する>>239
だがこの先の部屋は固定された構造で、出入り口はないのが通常]
『押し入ったとて、ディークよ
無理に中のあれらを動かそうとすれば死ぬやもしれぬが、喰ろうていいのか?』
[採取後も活かしたままで眠らせておくために、ツィーアの魔力は素体の方へも多少流れていた。
殺意の壁は気配を探り、棘を揺らす]
は...
[ 笑い出す魔王の前から、一度飛び下がって距離を取る ]
言っとくが、俺の力でって...わけでもないからな。
[ 息を整える...痛みに負けぬように、遠く風に乗って、ローグの歌が聞こえる ]
...ヨセフ、ディーク...
[ 二人がどうしているかは、今は見えない。けれど、きっと、それぞれに、戦い続けているだろうと思う ]
ちょっとばかり、無茶をします。
[ だから、コエだけを、贈る。笑みを乗せて ]
哀れな、魔物。お前は、知らない。
[ 手を広げた魔王を、王ではなく魔物、と呼んで、祓魔の剣を再び構える。
微笑みを浮かべて ]
この剣を、護り続けた、人々の、心...
民を護り、愛する者を護ろうとする、願いの、力...
受け継がれ、引き継がれていく、人の命の力...
俺が、ここに…持って来たのは
[ 胸に拳を当てる。その下には天使の羽根が、今も輝いて在る ]
頼みにするのは…そんな力だ。
死も知らず、生も知らず...永劫を、ただ、己の欲のみのために使う、育つ事ない赤子のようなお前には。
[ 男の瞳に金の輝きが増す、そして、祓魔剣の輝きもまた、強く増しているように見えただろう ]
[同じ記憶を持つアーデが彼と同じとは思わない。
その腕は狂気から醒めた時に体感している]
───っ、!
[現に巨狼と連携を取り男を挟むアーデの動きは速い。
背後では巨狼が牙を剥いている。
鋭い牙は鎧であっても穿ちそうなほどだ。
避けるは間に合わず、受ければどちらかをまともに食らう。
迷いは一瞬だった]
おおおおお!!
[左手の籠手をアーデが振るう騎士剣へと掲げ、受け流しを試みながら、右手は牽制の薙ぎをそのまま背後の巨狼へと走らせる。
双方に対し横向きに相対する体勢。
左腕は犠牲にする覚悟だ//]
[殺意をさやがせて、壁が鳴る。>>246
まだ秘密兵器があるのなら使われないようにしなければ、と考える一方で、ロー・シェンの元へ急ぎたいのも確かである。
そして、Z の言葉に含まれたものが、ディークの状況判断を改めさせた。]
…ならば、ここを諦める代わりに、玉座の間へ行かせてくれるか。
[どっちも拒否するならば、魔王が Z に禁じたこと──零しすぎることになる、との覚悟を示して交渉した。]
決して手に入らぬ、真実の力だ!
[ 男は駆ける、真っすぐに、全ての絆と願い、そして、約束を、輝く刃に乗せて...魔王と呼ばれるモノの、その胸を貫かんと// ]
ああ、 今、笑ってるだろう、おまえ。
[見えなくてもわかる。
だから、俺も笑って送り出そう。]
おまえにしか、できない。 任せたぞ。
/*
どう返すか悩んだ…w
振りがどこから来てるんだろうから始まり。
これ両方まともに受けたら死ぬしな、となり。
騎士剣に吹き飛ばされて狼避けるって考えたけど、振りの角度によっては飛ばない、ってなり。
結果あんな受け方になった(
騎士的に欠損はちょっといやん、だけど。
中身的には( ゚∀゚)o彡°欠損!欠損!であります←
隻腕の騎士。
馬乗って戦えねぇ(
ほう。
おまえの力でないのなら、なんだ?
[興味深げに、愉しげに問う耳にも、微かに歌は聞こえていた。
既に遙か下へと置き去りにした、取るに足らぬことと聞き流していたが。]
[皇子が数え上げる言葉も、さして興味が無く聞き流す。
人間たちが口にするのを稀に聞くその言葉。
そんな実体のないものに、なにができるわけもない。
そう、思っていたのだが。]
───……?
[何かが壊れる小さな音が聞こえた。]
おまえが言うその力とやらで、何ができるかは知らないが、
我は世界に"在った"その時より完成されていたもの。
おまえたち定命のものは我に手折られ、愛でられるが定め。
それが真実というものだろう?
だからそんなものは、
[何の迷いもなく、ただ真っ直ぐに駆けてくる皇子を、その切っ先を、受け止めようと魔力集めた手を前に伸ばし]
/*
いや、これ喰らわなかったらうそでしょー。
もう一個ぐらい秘密兵器ありそうなところ申し訳ないんだけれど、時間が( だし
/*
お、これは。
……カーネリアン選んだ理由、気づかれてたかな、かな?
そして魔王様のメモwww
でも、綺麗に〆るには、確かに良い時間……!
/*
wwwwwwツィーアごめんwww
ほんとだよね。まだ更新まで40分もあるもんね。
でも、ここらで死んでおかないとさあ。
――
[牽制に続く追撃はなかった。
ヨセフのロングソードは後方、巨狼の排除を望む。
金属の砕ける音]
、
[狼の写し身は男の剣をその牙で噛み砕こうとし、半ば以上はそれに成功した。そしてそのまま頭部を断ち割られて、半透明の躯を崩し消えてゆく。
人形の振るった剣は篭手に当たり――やはり半ば以上、男の防具を破壊した後、斬撃の方向を逸らして上方へと流れた]
[流れかけた剣を腕の力で強引に引き戻し、
更に持ち替えて軌跡を変え、
ヨセフへ斬り下ろす――]
[その刃が男の首の根へ吸い込まれる直前で、止まった]
… ぁ 、
[ 魔王の掌に輝く刃が触れた瞬間、ひび割れたカーネリアンが煌めきながら砕け散り、白き祓魔の光と、金の陽光の光に、銀の月光の輝きが重なり、混じり合う ]
/*
追撃ってそっちか!!
[アーデ本命、巨狼追撃、って思った人]
[だから文章見てあれ???ってなってたんだけどそのまま書いたごめん]
― 下層 ―
[天使の交渉に、壁はそよぎ]
『む…』
[我が王の元へ、傷つけようとする者をこれ以上近付けることはできない。
ツィーアは我が王が消耗していることを理解していた。
旧き魔法兵器に封印を施し直すことは容易ではない。
巨なる魔法兵器を空へ浮かべることは容易ではない。
誰にもなし得ぬはずの奇蹟を、その力と才だけで成し遂げる者。
いつか共に空を飛びたいという願いを、叶えてくれた者]
『……では、壊して入るがいい』
[棘が消え、壁自体が薄く変じた*]
[ そして、刃は、あらゆる魔力の障壁を貫き、魔王カナン・ディ=ラーグの胸に、真っすぐに吸い込まれていく ]
定めとは、自分自身で決めるものだ...
お前でも、俺でも、なく、
この地に生きる全ての命が、自分自身で!
[ 深く刃を埋める、魔王の体液はマグマのように熱い、そう忠告したディークの言葉が頭を過ったが刃を引くという選択肢は無い// ]
[鋭い牙がロングソードの刃を砕く。
その衝撃が金属越しに手に伝わったが、構うことなく振り抜いた。
半壊した剣が巨狼の頭を薙ぎ、半透明の躯が崩れて行く]
っ!!
[一方で、騎士剣を受けた左腕の籠手もまた衝撃で砕け散り、それでも斬撃を往なすことに成功する。
ただ、左腕は衝撃により痺れが走り、しばらくはまともに動かせない]
[振り切った右腕は己の後方へ。
騎士剣を往なした左腕もまたやや後方へと流れ行き、男は上体が開く体勢となってしまう。
ましてやアーデに対して横向きの体勢。
騎士剣を引き戻し、男に向けて斬り下ろされるその動きを防ぐ術はなかった。
せめてもの抵抗に、身体を反転させながら強引に右腕を引き戻しにかかる]
─────!?
[半壊したロングソードを叩きつけるより早く、男の首へと落ちるかに思われた騎士剣の動きが直前に止まった。
動きを止め切れぬ男はそのまま騎士剣にロングソードを叩きつけるが、ロングソードが完全に砕け折れるだけで終わる]
[金属が折れる甲高い音の余韻の中に、アーデが零した声が混じった]
………アーデ?
[戦いの最中であるが、奇妙に落ちた沈黙と静寂を破り、男は名を呼ぶ//]
[壁を覆っていた茨が音もなく消える。>>263
壁自体が、カードのエッジで切り裂けるほどに薄い。
昔話のようだ。
ティークは、魔王を想う Z の選んだ方──封じられた実験室に足を踏み入れる。
そこにあるのは、無理を押し通せば死ぬ玩具で、かつ死ねばディークが悔いるような何かだと、予測と覚悟はしていたものの、]
…っ なに、
[まだ幼い子供と、二種の魔獣が、赤い管で繋がれていた。
嫌悪に目を細めながら、そっと手を伸ばす。
子供の肌は柔らかく温かで、胸はかすかに上下していた。
そして、その顔には、ある男の血筋が伺えた。]
[貫いた刃の先は背中から突き出し、溢れる緋色が背を伝って床を溶かす。
だがみっつの色の光に守られた剣は溶けることなく、さらに輝きを増す。]
… は。
くだらぬな。
卑しきゴブリンどもや、塵埃のごとき家畜どもに、
定めを己で決めることなど、
[言葉が途切れた。
皇子の喉へ伸ばそうとした腕が届かなかった。
膝の力がなぜか抜けて、視界が滑り落ちた。]
[なぜ、と口に出そうとして、不意に理解する。
魔力が、己を構成するだけの力を保てなくなっているのだ。
剣の力と、そこに集まる得体の知れない力に散らされて、消えていく。]
そうか。
我も死ぬのか。
[意外なことを発見した。
そんな顔で、ぽつり呟いた。]
人間は、なんと愛しく、面白いものだろうな。
まさか、我を凌ごうとは。
ああ、実に面白い。
[微笑んで、床に、ツィーアに手をつく。
そこに、残る最後の魔力をかき集めた。]++
─── こど も ?
[はた、と瞬くような気配。
死なせてしまったと思っている男は直ぐにその可能性には至れない。
呆けるようなコエがディークへと届く]
おまえに褒美を遣りたいところだが、生憎と何もない。
我の最後は、これに呉れてやることになっているのだ。
[皇子を、己を貫いたものを見上げて薄く笑い、言葉を紡ぐ。]
───
我はおまえを解き放つ。
[世界を破滅させる魔法兵器に己が掛けたすべての封印を、解き放った。]//
男の子だ、 あんたの息子だろう。
生きている。 ただ──、
[Z が暗示したとおりだ。手を出すのが躊躇われる状態である。]
来られるか。
[戦いはどうなっている、と気配を探りながら。]
[殺したくないと思っていた。
エルフの民を迎え撃った時も、
人間の難民を襲撃した時も、
鉄底族と対峙した時も、
クレステッドを殺した娘にさえ。
けれど人形が逆らうことはない。
今も、ヨセフの剣がもし彼の大剣であったなら、この一撃を止めてくれただろうにと。
この腕に どうか止まれと念じながら、]
――
[止まった姿勢のまま、沈黙と眼差しだけを親友へ注ぎ。
アーデの顔が歪んだ]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
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