情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
後世の歴史家 ナイジェル は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
モルトガット皇帝 アレク トール は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
帝国扶翼官 ルートヴィヒ は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
ウルケル軍大佐 タクマ は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
帝国軍中佐 ロー・シェン は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
ウルケル海軍中尉 シロウ は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
ウルケル海軍提督 ゲオルグ は ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア に投票した
ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア は村人の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、後世の歴史家 ナイジェル、モルトガット皇帝 アレク トール、帝国扶翼官 ルートヴィヒ、ウルケル軍大佐 タクマ、帝国軍中佐 ロー・シェン、ウルケル海軍中尉 シロウ、ウルケル海軍提督 ゲオルグの7名。
ごく短い停戦の間に、双方の捕虜交換が行われた。
この時シコンを訪れた使者に、決戦の申し入れが託されたとされている。
帝国側から決戦が申し入れられ、ウルケル側が受けたこの戦いは、さながら2つの艦隊による決闘のようであった。
フリカデル島北部を通る水路は戦乱の初期にウルケル海軍の手によって機雷封鎖が行われていた。ここに帝国の掃海艇が入り機雷除去を行ったのが、決戦の最初の段階であった。
通行可能となったフリカデル島北水路の西側で、両軍の主力が激突する。リオレ島北西部での戦いとは違い、この戦いは最初から熾烈な砲撃戦が繰り広げられた───
── Rikhard Hannu Nigel 『グロル海峡戦役』 第六章
蒸気船全盛の時代、とある国に1人の有名な女性操舵士がいた。
彼女の操舵は非常に荒く、「船乗りでも船酔いする」「新兵は三日は使い物にならない」などと言われるほどだったらしい。
しかしながら船の限界を知り尽くした彼女の操船は神業的で、幾度も船を危機から救ったという。
彼女が実は、貴族の娘だったという話も伝わっている。
彼女の奔放さ、豪快さから、それを否定する人は多い。
だがそれが本当だとしたらどうだろう。
貴族の女性が家を飛び出し、海賊の世界に飛び込んで大海賊となっていくあの物語が、彼女の逸話を題材にしているというのも頷ける話である。
── 『操舵術初級教本』 コラム「狼と呼ばれた女操舵士」
― 回想:9年前/帝都 ―
[短剣の刃が紙をふたつに断つ。
分かれたピースを見て得心した。
噛み合わさるふたつ。片方ずつの翼は、一緒になって初めて飛べる。]
良いですね。
とても、魅力的です。
[この人を扶けて、どこまでも行く。
その消えぬ
[それからさらに修正を加えて、図案が完成する。
上を向く片翼の太陽と、下を見る片翼の月。
互いの影の部分に光の部分を乗せると、完全な円となる。
出来上がった絵を肌に当てて、どこに彫るかと話しているとき、ふと我に返るとじっと身体を見下ろした。]
刺青も、やっぱり痛いんでしょうね…
[大変なことになったなと改めて思う。
きっとこの先こんなことがいくつもあるのだろうと思えば苦笑するしかないのだった。]
― 現代 ―
ようやくしつこい方たちを振り切りました。
今からそちらに向かいます。
[声に、やれやれという思いは滲むが、疲れの色は無い。]
私が行く前に、
さっさと海峡を抜けていただいても良いんですよ?
[軽口の口調は普段のままだ。]
/*
家仕事の手伝いの合間にお疲れ様、と顔出し。
墓のログは流し読んだ。
手紙に関しては忠告は確かにしたけど、うっかり火葬されたらその時はその時、と背後は思ってるよ。
それはそれでウェルシュを突っつくというロールに繋がる(
そしてルカに叩き起こされるのを把握した。
その前に邂逅させろ…!
と言い残してまた夜に**
― リオレ島拠点内 ―
あははっ、そうなんだ。
いつか、シュテルン少尉が操縦している飛行機に乗ってみたいな。
[>>5:+35 気が緩み、見せた表情は幼いもの。
こうして見やると、年齢相応に映って、なんだか微笑ましい。
思わずウェルシュは微笑む。
そして彼とともに、用意された小型艦へと乗り込んだ。
港を振り返ると、まだ人々は慌ただしく動き回っていただろうか。*]
― リオレ島→東方海域へ ―
[>>5:+46 程なくして小型艦は出発し、リオレ島を離れていく。未だに空は暗いままで、窓に小雨の雫が細かくつく。
暫く離れていく島を眺めていた頃だろうか、シュテルン少尉に話しかけられる。]
あのひと?
[自分が不思議そうにそう尋ね返すと。
どうやらタクマの養い子というのが、目の前の彼なようだ。
不思議な縁である。]
……タクマさんか。
そっかぁ、貴方だったんだね。
[そして質問の答えには、暫く視線を彷徨わせて、]
えぇ…… やらかした?
うーん。ちょっと思いつかないんだけれど…
[何かタクマは重大なミスをしたっけ。あゝ、もしかして。]
えぇ、と。
もしかして、僕を連れてきたってこと、かなぁ……
[最前線にウェルシュを連れてきたこと。
もしかして今頃、タクマはゲオルグおじさんにこっぴどく叱られているかもしれないが。
しかし、それは自分がタクマに我儘を言ったことなのだ。]
………僕の所為だからね。それは。
だから、あまりタクマさんを責めて欲しくないな。
ごめんね。
[眉尻を下げて、ウェルシュに謝った。]
[ウルケル本隊の戦列の後ろを擦り抜けて東へ進んだ第一艦隊は”水路”へと進入するにあたり、並走していた戦艦と巡洋艦とが合流して単縦陣をとる。
巡洋艦2-戦艦2-巡洋艦2という順序だ。
先行した掃海艇部隊が作業をした後とはいえ、新たに機雷が敷設された可能性もある。
だが、安全確認をしながらのんびりと進むわけにはいかなかった。
先頭艦は運を天に任せ、機雷があれば自らのボディをもって発見・除去することになる。
他艦の通った後だけが安全という状況はおそらくウルケル側も同じだ。
そして、この第一艦隊の後方を、南側戦域を抜けてきたタクマ艦隊の2隻と、回頭して立ちはだかる帝国戦艦2隻の壁を打ち破ったゲオルグ本隊が追ってきていた。
第三艦隊がゲオルグに攻撃を仕掛けるべく展開し、護衛巡洋艦2隻と交戦している。遊軍のように自在に動くナハティガルがそこにいた。
南方でタクマ艦隊別働隊の相手をしていた第二艦隊は巡洋艦1隻を失いつつも、複葉機と水雷艇の協力を得て悍馬ヴァイを沈め、第一艦隊を援護すべく駆けつけんとしているところ。]
― 現代 ―
おまえでも手こずるとは、ウルケルの魚は活きがいいな。
その良さは失わせずに未来へ繋げたいものだ。
[激戦の中にあって戦いの先を語る声は強かに、翼の訪れを待つ。]
おまえこそ、途中で俺を追い抜いて、出口を掃除しておいてくれてもいいんだぞ。
[軽口に乗じて焚きつけた。]
− “水路” −
[追ってくるウルケル新型小型戦艦シュヴァイベの主砲弾が甲板に落下する。
艦全体に劇震が走った。]
砲の威力も戦艦クラスか…!
[消火班が素早く延焼を止め、走行には支障なく済んだ。が、艦長室がメチャクチャになったらしい。]
今夜は星を眺めて寝ることになりそうだ。
[何事もなくば、夜には”水路”を抜けた先まで進んでいられるはず。
掃海艇部隊が残したブイが視認できる明るさのうちに”水路”を通過したいと考えている。]
/*
昼間は動かなさそうなので密やかに潜伏。
そういえば、どこかに書いておこうと思った小ネタを思い出したので、忘れないうちに書いておこう。
今回の帝国の名前、モルトガット・デュベル醸造所から取っているのだけれども、この醸造所がマレッツ修道院のレシピを譲り受けて、マレッツシリーズを生産しているんだそうな。
― 回想:9年前/帝都 ―
[ルートヴィヒがさらにイメージを膨らませてゆく。
影を重ね抱擁しあうかのごとき太陽と月。相羽搏く翼。]
ああ…懐かしい感じすらする。
透かし彫りで互いのイニシャルも添えるか?
[絵を肌に当ててみせるルートヴィヒをツンツンとつつく。
彼が刺青の痛みを懸念しているのを聞けば、滅多にない機会とばかりにニヤリと笑った。]
それは痛いさ。
施術後に熱も出るというしな。
[わざと脅すのは、好きな子に意地悪する子供めいた動機。]
― 回想:9年前/帝都 ―
そうですね。
なら、このあたりに。
[イニシャルを書き加えれば、それはさらに特別なものになる。
出来上がりに満足して、紙をトールに渡した。]
…別に、怖いわけじゃないんですよ。
ただ…嫌なだけで。
[脅す言葉に目が泳ぐ。
それでも、やめるという選択肢が無いことが自分でも不思議だ。]
熱を出して寝込んだら、
全部トールのせいということにしておきます。
日取りが決まったら教えてください。
いつもみたいに突然、なんてのは駄目です。
[にやにやしているトールを睨んだ後、服装を正して立ち上がった。]
― いつか ―
勇ましい名前だな。
[ 最初に彼女と顔を合わせ、言葉を交わした時、男は、自分の抱いた印象を正直に口にした。既に彼女の操舵を味わった後だったから、口調はしみじみとしたものになる ]
だが、お前さんには似合ってるか。
[ 笑って告げた男に、彼女はどんな表情をみせていたか...既に記憶はおぼろげだ。ただ、やはり最後には笑っていたような気がする ]
うん、縁起も良いしな。
[ 続けた言葉には、不思議そうにもされたかもしれないが男は気にしなかった ]
― 回想:9年前/帝都 ―
そうだな、俺も痛みを知りたいから挑戦するワケじゃない。
痛みを知らない人間は信用ならないが、痛みを避けようとするおまえの感じ方は健全だと思う。
[と応じつつも、肌に証を残すことをやめようかとは言わず、笑って約束するのだ。]
──俺がついていてやる。
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 放った砲は、皇帝旗艦に届きはしたが、甲板上以外への損害は与えられず、その足を止めるには至らない ]
「主砲再装填済!」
よし、主砲斉射用意...
[ ぐらりと、戦艦が揺れた。この狭い水域は潮汐によって朝夕の潮の流れが激しくなる ]
...っ!
[ 男は双眼鏡を覗き直す。今の揺れの間に、皇帝旗艦は少し距離を稼ぎ、主砲の射程から外れつつあった ]
撃てー!
[ 当たっても船尾ぎりぎりか、或いはその後ろの巡洋艦近くが精一杯かもしれない// ]
回想:9年前/帝都
……あなたの、その自信満々なところが、
時々嫌になりそうですよ。
[言葉を裏切って、顔は嬉しげな笑みになる。]
近くに居てくれれば十分です。
変なところは見せられませんからね。
[近くにいると思うだけで気持ちが入るのだと、
「頼りにしている」を違う言葉で伝えた。]
ウルケル軍大佐 タクマは、後世の歴史家 ナイジェル を投票先に選びました。
― いつか ―
勇ましいのが似合ってるだって?
言ってくれるねぇ。
[タクマと初めてまともに会話した時の言葉>>4。
しみじみした口調に片眉を上げるも、勇ましいと言われて悪い気はしない。
表情も楽しげな表情が浮かんでいた]
[しかし、縁起が良い、と言われると、その表情も不思議そうなものとなる。
自分の名前が縁起が良いなど、露ほども思っていなかったからだ。
そうして紡がれる、その言葉の意味]
…ふふふ、そんな風に言われたことは無かったな。
女神なんざ柄じゃあないけど…。
その通りになったら確かに最高だね。
アタシの艦に乗ったら、アンタら負けなしだよ。
[苗字の意味には拘ったが、自身の名の意味までは気にしたことがなかった。
両親は分かってて名付けたのだろうか。
そうだとしたら、家を出て軍人になったのも已む無しと思ったかもしれない。
勝負の場に寄せられる名前。
少しだけ、自分の名が誇らしく思えた**]
― 猫の話 ―
[ ゲオルグの飼う猫に、副官は嫌われている。
それは、彼の家に招かれてうっかり飲み過ぎた時に、歌ってしまったことが原因で、その夜以降、猫は男の姿を見ると、後も見ずに逃げ出してしまい、毎度男を落ち込ませていた ]
...て、おーい!そっちは危ないって!
[ ある日、丁度庭の陽だまりで猫が寝ている最中に、男がゲオルグを訪ねて来て、すぐ傍に来るまで気付かなかった猫は、驚いて飛び上がり、そのまま庭の木の上に、もの凄い勢いで駆け上がってしまった。
細い枝の先端でぷるぷるしながら威嚇しているのだが、今にも枝が折れそうで危なくて仕方ない ]
ちょっと待ってろ、今はしごを…て、わーーっ!!
[ ぽき、と、無情にも枝は折れ、男は慌てて樹の下に向かってスライディングを敢行する ]
[ とす!と、軽い感触が腹の上に落ち ]
ミギャアアーーッ!
バリバリバリバリ!
ぬおおっ!!
[ その日から二週間ばかり、普段は噂のひとつもたたない提督副官の顔に残った引っ搔き傷について、珍しくも様々な憶測が飛び交った、とか ]
[先行する巡航艦に引き離されないよう速度を保つよう指示する。
旗艦は予想外に前方に進んだ。海流に乗ったせいだろう。
少し間を置いて小型戦艦から再び砲撃が来る。>>5
砲弾は旗艦後ろを航行する二番戦艦の前部主砲付近に落ちた。
破壊まではされていないが、台座がいかれて左舷方向への砲撃が困難になった様子だ。]
やってくれるな…!
[二番艦は残った後部主砲でシュヴァルベに報復射撃を行う。
隊列の後ろにつけている巡洋艦からも、榴弾>>5:303が発射された。**]
― 邂逅 ―
[これは夢である。
あるいは在った可能性、望んだ儚い夢である。]
リア
[ほの暗い世界の中、横たわる親友の名を読んで、眠っている彼女を揺り動かす。]
リア。……ね、起きて。
――リーアっ
[彼女が目覚めたなら、ウルケルの軍服を着たウィズルカ・ストンプが、腰に手を当て呆れたように見下ろしているか。]
早く起きて。
……もう、いつまで寝てるの。
ヴァイスメーヴェの進水式、始まったよ。
貴女が動かすんでしょ?
あんまり遅いと、艦長に怒られるよ。
ほら早く、急いで。
[彼女の手を取り起こし掴んだまま、遠くに見える白いカモメへ連れて行こうと手を引いた*]
/*
邂逅させろと聞こえたので(バリバリー
リアにはちょっと付き合ってもらおう。ふふ。
と投げつつ本日は居たり居なかったり。
/*
タクマ好きすぎる。うわあ……
ほんとありがとうすぎて、なんかもう申し訳ない。テンション上げていかねばだなあ!
― 東方海域へ ―
あー……と。
タクマ・ナギ大佐。
家名が違うからわかり難いんですけど……。
[不思議そうに尋ね返され、養い親との関係を簡単に説明する。
貴方っだんだね、という言葉には、話した事あったのかな、などと思いつつ。
問いかけに視線彷徨わせる様子に、首を傾げた]
……ぁー……。
[やがて語られた一つの推論。>>+3
そりゃ、怒られるしやらかしって言えるよなあ、と。
あの時、言い難そうにしていた理由も含めて腑に落ちる。
自分がこの任に就けられたのは、それだけではない……他の配慮もあっての事だろう、とは思うけれど]
あ、いえ。
貴方が謝る事じゃないですよ……そりゃ、養い親殿怒られても仕方ない。
[向けられた謝罪に、ふる、と首を横に振る]
まあ、あのひと、妙なとこ甘かったりするからなぁ……。
[引き取られてから、士官学校に入るまでの日々を思えば、断り切れなかった辺りも納得がいく。
仕方ないなあ、なんて。
そんな思いの滲む笑みを浮かべた後、ふ、と一つ息を吐き]
まあ、そのおかげで、俺はほんとだったら話す機会もないようなあなたとのんびりお話しする機会をもらえたわけですし。
[無理なく後退させる口実をつける、という意味では、自分も助けられたようなものだから、と。
そこまで口にはしないけれど]
養い親殿の事、責めたりしませんから、どうぞ御心配なく。
[明るい口調で言って、にぱ、と笑って見せた。*]
― 邂逅 ―
[儚い夢。
けれどそれは共に願った夢]
ん〜……
[眠りから呼び覚まそうとする声>>+7に唸るような声が返る。
齎される揺れはどこか心地良くもあるのだが]
………はれ?
[瞳を開ければ目の前には幼馴染の姿>>+8があった。
なんで?と言う意識は浮き沈みを繰り返し、やがて緩やかに沈んでいく]
……─── あっ!!
[ヴァイスメーヴェの進水式。
その言葉>>+9を聞いて、意識が一気にそちらへと移った]
しまった…!
今回は遅れまいと思ったのに!!
[手を引かれるままに起き上がり、幼馴染と共に歩を進める]
― 北へ ―
[激闘の場を離れた第二艦隊は最大戦速で北西へ、"水路"入り口へとひた走っていた。
跳ね馬もかくやという荒さで波の上を鋼鉄の船体が弾み、飛沫を上げる。並走する水雷艇などは時折巡洋艦の引き波に煽られて、危うく距離を離さねばならないほどだった。
そうして突き進むこと暫し、ようやくウルケルの小型戦艦を擁する艦隊、その最後尾を射程へと捉えつつあった。]
射程に入り次第、砲撃開始。
[命令に従って、主砲が砲身を巡らせる。
左梯形陣へと変化して射会を確保した3隻は、順次主砲を放ち始めた。
射程距離ぎりぎり、かつ互いに高速で動く艦同士である。
命中率は望めないが、これはいわばあいさつ代わりだ。
初撃を放った砲塔内では次弾装填が慌ただしく進められ、砲撃長は観測データと格闘して方向・仰角の修正値を叩きだす。]*
― 回想:9年前/帝都 ―
なんたること、
おまえに嫌われたら飯が喉を通らなくなってしまう。
[笑みを浮かべるルートヴィヒの憎らしげな物言いに大仰に嘆いてみせ、おまえがいるから共に作り上げてゆく未来に熱くなれるのだと、「張り合いがある」を違う言葉で伝えた。]
[かくして、故事にちなんで揃いの黒い短剣と”小鴉”の名を与えられた仲間たちは、意気軒昂となってアレクトールの元に結束する。
共に戦い、飲んで騒ぎ、興を求めて大会や祭りを企画するようになり、帝都の住民にその華やかな存在を印象づけた。
「皇太子殿下は、氏素姓も確かでない連中とつるんで放蕩しておられるようです」──そんな讒言が皇帝の耳に届いたりもしたが、アレクトールが宮殿に”腹心”を呼んで引き合わせれば丸く収まった。
ルートヴィヒはすぐに皇帝と皇后の信用を勝ち得て、目をかけられる。
幼少時はあまり帝都に留まることのなかったアレクトールは、こうして知らぬ者のない皇太子となり、行く先々で民衆の歓呼を受けるようになっていた。
“小鴉”入りを目指す若者たちも増え、アレクトールと帝国のためにその才を発揮する。
ルートヴィヒが組織化を言い出したときには、ここまで効果があるものとは思っていなかった。
そして、当のルートヴィヒは相変わらず一歩引いた位置から眺めている。]
頑固者。
[苦笑しつつ、アレクトールは太陽の降り注ぐ下へと飛び出してゆくのだった。*]
― 東方海域へ ―
ははっ、そうだね。
……タクマさんは優しいよね。
[>>+13 呆れたような口調で「甘いから」というシュテルン。
でもその萌黄色の双眸は、どこか優しみを帯びていて。
タクマのことを信頼していることが窺い知れる。]
うん、そうして貰えると助かるよ。
[にぱっと笑って責める気はないと聞くと胸を撫で下ろす。]
そう言えば、このまま真っ直ぐストンプに戻るのかな?
それとも、カルボナードへ先に行くのかな。
[会話の区切りが付いた頃、ウェルシュは彼に尋ねた。//]
/*
おー、腹心が助けに来た♪>>7
ここまでの各艦の動きを紙に書いてみたんだが、ゲオルグと俺とタクマはシンプルで辿りやすい。
ルートヴィヒとヴィクトリアがキュルキュルと方向転換しまくって楽しそう。(追い切れなかった
ロー・シェンとシロウは現在位置が確定してないw
/*
>>3
昨日は1-2日かかるのではと灰に書いたけど、"水道"がざっくり200km程度、戦速で20ノット程度なら半日で抜けられそうだった。
こっちはむしろ寝れなかったよ。
ずっと、待って、楽しみにしてたんだもの。
艦長は慣らしだから、カリコル島あたりまでは行くって言ってたけど。
どうする?アーレントまででもいいし。
私はカルボナーラまで行ってもいいとは思うけど。
[さぁ何処に行こうか。そんな風に笑いながら//]
― 東方海域 ―
[優しいよね、という言葉>>+20に頷く際に見せたのは笑み。
口ではあれこれと言いながらも、強い信を抱いているというのが滲み出るもの。
とはいえ、そんな笑みは投げかけられた問いに消えて]
ええと、ストンプに帰還、ですね。
まずはゆっくりと休息をするように、と。
[そう言って、それから。
こて、と軽く首を傾げる]
前線での事は、人伝に聞いただけですけれど。
……結構な激戦だったと聞いています。
そんな場所にいたなら、万全とは言い難いでしょう?
[ウェルシュの負傷の事は、一応聞かされては、いた。
護衛対象の状態は把握しておかなくてはならないから、という事で。
ただ、当人が表にだしていない以上は、とそこは伏せていて。
故に、指摘も遠回しな物言いになる]
俺も、初陣から戻った直後はなんともない、と思ってたけど、後からがく、っときたりしてましたし。
やる事色々あるかもですけど、休むのも大事ですからねー。
[ここで無理させて何かあったら、今度は俺が怒られる、というのは表に出さないように努めつつ。
さらっと軽い口調で言って、笑ってみせた。//]
-巡洋艦ナハティガル/戦場南方-
被害報告寄越せ。
[直撃はまだない。だが、削られてる。航行、攻撃とも問題はなく。
だが気になるのは、常の8割と言う所のナハティガルの修理具合だ。
味方巡洋艦からの状況の連絡は来ていない。ならまだ“大丈夫”なのだろう。]
しかし――まぁ、流石反応早かったねぇ。
[先ほどの水雷艇への突撃時。相手の反応を思い出す。
“突撃を返して”来た。
こちらの速度の乗りがあと少し遅ければ。反応した水雷艇の後続がいれば、一発貰っていたかもしれない。
巡洋艦が水雷艇に突っ込むなど自分は聞いた事もなかったので、もう少し反応が鈍くなるかと想定していたのだけれども。さすが、と、もう一度小さく呟いた。]
目標、敵巡洋艦。
水雷艇はこっちの副砲の範囲外だ。警戒だけしとけ。
うちを狙ってくれるならまた遊んでやる。
[僚艦に信号。]
ヴァイとヴァイスメーヴェの妨害だけはすんなよ。敵さん2体と水雷艇、こっちで預かる。
[自分の仕事はあくまでも援護だと、男は宣言する。
自軍は2艦。必然的に単縦陣に近い形に。
それでもナハティガルはあくまでも“遊ぶ”。
味方の一艦を砲台代わりに、その周囲を航行する。自分が狙われれば下がり、敵艦が前に出れば二艦にて攻撃を行う。
敵艦が下がれば、己を囮に水雷艇への接近や、挑発めいた接近攻撃を行った。]
[ちらりと男が気にするのは、やはり敵巡洋艦5艦と交戦中のヴァイとヴァイスメーヴェ。援護に行きたいが、巡洋艦2と水雷艇を遊ばせるわけにはいかない。
ヴァイが引き連れる水雷艇が敵艦へと向かう。
それによる敵艦の炎上、爆発を確認し。>>5:371]
やるねぇ。
[男が呟いた時、次の爆音を確認した。>>5:380]
[ぐ、と。
唇を噛んだのは、目の前の巡洋艦2と水雷艇から意識を逸らさぬ為。
隙を見せたら喰われる。]
「ヴァイへの着弾を確認――炎上しています!」
[高い声に男は呻く。]
動きは――動きは止まったか。
「ほ、ほぼ停止しています」
[あのヴィクトリアなら、舵が握れる限り艦を動かす。ほぼ停止の言葉の意味を考え、振り払う。
状況の報告が続く。
ヴァイスメーヴェがヴァイ乗組員の救出活動を行っている事。2艦と交戦中だった巡洋艦が、北方へと移動したと言う報告も聞こえた。
ヴァイの傾き>>5:395を確認し、男は低い声で言った。]
動くぞ。
あの2艦が交戦終了したなら、こっちには用はねぇわ。北側に戻る。
[敵巡洋艦を見据える。]
振り払って行くぞ。
前の戦いを邪魔する奴らを防ぐ。
[指示に、ナハティガルの心臓へ加速の為の“炎”が送られる。
味方巡洋艦にも合図を送る。“戻る”とごく短いそれを送り、ナハティガルは加速した。
いまだ激戦の続く北側。水路の入り口。最前線を戦う艦の援護へと、今度は向かう為に。
追撃があるならば、それに応じつつも、戦闘位置を北側へと移動しようと試みるだろう。]
[皇太子アレクトールと偶然に出会い、必然として彼の右に収まったルートヴィヒは、宮殿の内外で皇太子と"小鴉"の知名度・評判を上げることに貢献した。
宮殿の中では、商家の嫡男として叩き込まれた如才なさと、皇室にも頻繁に物資を納入している商家の家名を利用して皇帝・皇后の信用を得る。街では大会や祭りに賞品やふるまい酒を惜しみなく提供して、人々を喜ばせた。
そうして"小鴉"が大きくなっていくのを、横で見守っていたのだ。]
私は"小鴉"ではなく"親鴉"ですから。
["小鴉"に加わらないのかと問われれば、澄ました顔で言うのだ。]
だから、いつか私だけの場所を用意してくださいね、殿下。*
/*
ナハティガルの動きが図面化できないのは、この「下がる」>>9という描写のせいもあるね
艦は高速で後退するようにはできてないので、半円描いて旋回するとかして現在位置より後ろに移動した、という感じなんだろうけど、そこが説明されないので動きが辿れないのだ。
― 東方海域 ―
……ん、分かった。
[>>+24 ストンプに戻るという言葉には一度頷いて。
本当は直ぐにでもカルボナードに行きたかったけれども、我儘はこれ以上は言えなかった。]
そうだね……
シュテルン少尉の怪我も、一緒に看て貰おうか。
[自分を気遣うような言葉に、小さく頷いて。
そして彼もまた万全とは言えないのだから、ストンプに戻ったら医者を呼ぶと伝えた。
然し怪我を負ってもなお、努めて明るく振る舞おうとする彼に、]
ありがとう。
[控えめに御礼を告げた。
さて、ストンプまで、まだまだ遠い航路になりそうだ。*]
/*
左舷への砲撃が甘くなるっていう被弾の仕方は多分提督が左(北)から来てるからだよね?
そうすると、俺の役目はこの辺りで終了してもいいのかな?
― 邂逅 ―
あ、いや、それは。
[しまった、と。
余計なことを言ってしまったことに狼狽えつつ、問い>>+21の答えを濁す。
離された手を持ち上げ、掌を幼馴染へと向けて抑えるような仕草]
分かった、次からはしない。
…ふふ、アタシが艦動かして、ルカが指揮して。
アタシらが揃えば怖いものは無いねぇ。
[幼馴染の声>>+22に約をして、続く言葉を大切なもののように受け止めた。
彼女が襟の階級章に触れるのを見て、ヴィクトリアもまた指を襟へと運ぶ。
嬉しそうな笑みに、快活な笑みが返った]
楽しみで寝れなかったって、子供かよ。
[クスクスと、幼馴染の言葉>>+23を聞いて笑いを零した後、問いかけに少し首を傾ぐ]
アタシはどこまででも構わないよ。
でもそうだねぇ、カリコルまで行ってお祝いするのも悪くないんじゃない?
[カリコル島に歓楽街があることは誰もが知っていること。
暗にそれを示しながら、ヴィクトリアはきししと笑った//]
― 回想:帝都 ―
"親鴉”?
ママと呼ばれたいのか?
[ルートヴィヒが餌をねだる小鴉たちの世話をしている図を想像して笑ってしまったのだけれど、実際、催し物や打ち上げの資金が彼の財布から出ていたりするのであながち間違った自己認識でもないだろう。]
おまえに「殿下」呼びされると不穏なものを感じるぞ。
[からかいつつも、ルートヴィヒをいつまでも中途半端な立場にしておきたくはないというのはアレクトール自身の考えでもある。
かといってルートヴィヒは商人や軍に代表者として選ばれたのではないし、宮廷に役職をもっているわけでもない。
あくまでもアレクトールの個人的な腹心であり、無官のフィクサーだった。]
ま、前例がなくとも、作ればいい。
[そうして、アレクトールの即位と同時に、前代未聞の絶大な権限を預かる一身限りの”扶翼官”が任命されたのだった。]
― 東方海域 ―
[返る頷き>>+26に、ほっと息を一つ吐く]
あ……お気遣い、ありがとうございます。
[今の状態でも、任務遂行しきる自信はあるが。
早く治したい、という気持ちもやはり強い。
だから、一緒に、という言葉には素直な感謝を込めてこう返し。
小さく返された礼の言葉に、若葉色を瞬いた]
……いえ……お礼を言うのは、俺の方ですから。
[あのまま、ただ、後方に下げられていたら。
多分ふさぎ込んでしまいそうだったから。
こうして、誰かと話していられる、というのは、救いでもあるのだと。
そこまで説明する事はないけれど、返す声にははっきりそれとわかん感謝が滲んでいた。*]
/*
あ、と。
帰還方面で話振ってますけど、治療とか細かい所は飛ばして、首都での活動編に進んじゃっても大丈夫ですからね!
と、忘れない内に言い添えておきます、ね……!
/*
>>+30ルカ
キャラは悲しむだろうけどね。
背後は割りかしサバサバ。
のんびり了解、そっちの方がありがたい。
今ももう寝そうで(
― 回想:帝都 ―
どうしてそこでママ呼ばわりなんですか。
パパでもお断りですが。
[私がママならパパはトールですか、という言葉も頭に浮かんだがそれは口にせず、ごくまっとうに言い返す。]
[トールの即位と同時にルートヴィヒは"扶翼官"に任命された。
前代未聞の官職に表立っての大きな反対が無かったのは、ルートヴィヒがこのころ既に宮殿内で一定の地歩を築いていたことに加え、若き皇帝と扶翼官を良く知る者たちの共通の認識があったからだろう。
彼らは、分かちがたき一対の生き物であると。]
―ストンプ港へ―
[シュテルンと他愛のない話をしたり、微睡んでいるうちに懐かしい景色が眼前に広がる。少しの間だけ離れていただけなのに、随分と懐かしい気がする。]
そう言えばシュテルン少尉はストンプには来た事ある?
[海兵ならば戦艦のメンテナンスなどで訪れることはあるだろうけれども。
彼はパイロットだ。あまり来る事はないかもしれない。
それでもストンプは大きい町だから、何かの用事で訪れたことはあっただろうか。]
もうすぐ着くね。
[ベンチから立ち、窓の外を見る。
この辺りは雨は降っていないようだ。
出立のときとそう変わらない、青空が広がっている。]
僕は着いたら、医者を呼んでくるつもりだけれど。
シュテルン少尉も一緒に行きましょうか?
[そう言って彼を誘ったけれども、果たして。//]
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 二度目の主砲斉射は、皇帝旗艦には届かず、代わりに後方の戦艦の主砲一基の動きを鈍らせたようだ。
左舷方向、即ち、ゲオルグが戦艦二隻の壁を破り、迫ろうとしている方向への砲撃が薄くなる。
そう認めたと同時に、撃ち返された砲弾が、頭を振って回避行動を続けるシュヴァルベの周囲の海に着弾し、大きな水柱を上げてまた船体を揺らした ]
『後方より敵巡洋艦3隻!』
...やはり追って来る、か。
[ 追ってきた巡洋艦が、ルートヴィヒ率いる第二艦隊であることを、男は疑わない ]
(...トーリア...)
[ 第二艦隊の押さえに回っていたはずのヴァイと、ヴァイスメーベが、どうなったのかは分からないが、残して来た命令>>5:397を守ってくれる事を祈るしか無かった ]
[ 挨拶代わりとばかりに放たれた砲弾が、周囲の海に、また水煙を広げる ]
は...皇帝陛下の足を止めるのも、なかなか骨が折れるな。
[ 一度、届いたと思った皇帝旗艦には、今は手が届かなくなった。男では、喉元に刃を突きつける役は務まらなかったか、とほぞ噛む想い。
だが、ヴァンダーファルケが、壁を打ち砕くまで、あと少し、と男は信じて ]
シュヴァーンに信号、そのまま前進、ヴァンダーファルケを援護せよ。
取り舵一杯!
主砲装填急げ!
右舷副砲、回頭次第敵巡洋艦に砲撃開始!
[ 双眼鏡の向こう、男が見つめるのは激しい潮流の動き// ]
― 戦場北方・旗艦ヴァンダーファルケ ―
[艦隊後方より迫り来る水雷艇母艦あり>>5:382
その報は、見張り台より既に出されていた。
見れば後方、西の海に砲を構えた水雷艇母艦の姿がある。
追い詰めるではなく、だが着実に詰め来る艦の動き。
さてはと思うものがあった。
あれが彼の艦なら──…つと、ゲオルグの目が細められる。]
巡洋艦に信号。
旗艦の護衛は必要なし。後背に備え応戦せよ。
あれに来られちゃ厄介だ。
…この先の邪魔をされちゃ叶わない。
[既に動き鈍った巡洋艦は、戦艦に追いつけぬと見たのだろう。
艦首を返して応戦の構えを見せている。
それを助けるように、巡洋艦がもう一隻舵を切る。
南北に、交互重なり合うように艦首を向けるその姿は、絶対にここを通さぬとの意志を西の艦隊へと伝えるだろう。]
/*
>>*14
餌やる図を想像していたからだよw と思ったけど、カラスは両親で餌運ぶっけか。
>彼らは、分かちがたき一対の生き物
いいね。
才能があるから、だけでは成し遂げられない偉業のもとには抜群の人間関係やその場の空気、あるある。
史実に残らない部分な
船尾主砲構え。
後方、水雷艇母艦へ威嚇射撃。
のち、砲撃やめ。一切の砲撃をするな。
撃たれても回避のみに専念せよ。機関最大戦速!
目標モルトガット帝国旗艦シュバルツアイン。
─── 駆けるぞ!
[座礁した帝国戦艦からは、砲撃が続いている>>5:373
その応戦は、戦艦アードラーに一任された。
アードラーの砲が、座礁戦艦の船首目掛けて撃ち放たれる。
もし目論み通りにいくならば、船首を吹き飛ばし艦の機能を喪失せしめんと──…爆発炎上させるではなし、緩やかな沈没へと向かわしめることで艦を沈黙せしめんとの意を含むがさてどうか。
移動能力を失った艦を爆発炎上させることをウルケルの海の男たちは望むことをせず、されど手心加えることもないのは無論、戦場にて対する者の礼儀であった。
その爆音響く傍らを抜けるようにし、ヴァンダーファルケが速度を上げる。砲撃を終えれば、アードラーもそれに倣う。]
/*
待ち人来たりて、ですね。
ところでヴァンダーファルケってなんでしたっけと一瞬悩む夜です。
ウルケル側の艦名多くておぼえてn
あと、その潮流の動きとやらは私が流されるといい感じですか?そうですか?
アッ、ハイ。
[帝国が”水路”と呼び習わす先には、水雷母艦と水上機母艦が配されている。が、これらは戦艦に対するだけの力を持たず、ゆえに各艇並びに複葉機による迎撃──幾分の足止めののち、速やかに退避することが認められていた。
その先、”水路”出口付近には巡洋艦二隻が機雷を配し構えている>>5:122
いわば機雷による袋小路を意図した形で、最終的にはその”小路”にて帝国艦隊を捕捉・停止させたい考えであった。無論、穴はある。母艦が退避可能なのだ、少しの時間をかければ帝国艦隊とて抜けられるだろう。けれど、それも承知でそのようにした。
ゲオルグは元より、艦を以って帝国艦隊の突撃を止められるとは、あまり考えていない。いや、可能ではあろう。可能ではあろうが、それは、艦と人とを鉄と血の壁とするべき策だった。
それをゲオルグは、良しとしなかった。
臆病者と、副官相手に自身を笑う所以である。]
/*
猫は単なる、息抜きの幕間なんで、反応しなくていいですからね?
[ 提督律儀だからな ]
[ でも、ここで言っても聞こえない、よね ]
[艦を置こうと機雷を敷こうと、所詮時間稼ぎに過ぎない。
稼いだだけの時間で、かの太陽に手を届かせる。
それより他に、真の勝利は掴み得ない───。
男の思考は、結局のところそこに決着した。]
タクマ。
やっぱりあの皇帝陛下には、
首根っこ押さえてやるしかないんだろうなあ。
…格闘戦で、どうにか掴めりゃ良かったんだが、
[叶うならば、反航戦による接近戦で襟首のひとつにでも手を掛けたかったが。叶わなかった今、主砲戦ではなく接近戦でもなく選べる手段は]
― ストンプ港へ ―
え?
いや……俺は……初めて、かな、多分。
[幼い頃はあまり出歩かない子供だったし、士官学校に進んでからは更に出歩く機会も減って。
軍に入って配属された場所は、こことは真逆のシコン側だったから。
覚えている限りでは、ここに来るのは初めて、だろう。
立ち上がるウェルシュに倣うように窓向こうに目を向けたなら、見えるのは青い空。
その色に、ふっと目を細めた]
了解しました、それならお供いたします。
……俺の任務は、貴方の護衛なんですから。
プライベートに踏み込み過ぎない限り、お供しますよー?
[今後を問う言葉>>+36には、さらりとこう返す。
命として受けているのだから、そこの妥協はする心算もなく。//]
これよりヴァンダーファルケは移動に専念。
シュバルツアインのみを追う。
一発殴って止めるのが一番だろう?
だから、多少の無理は大目に見てくれ。
[妙に生き生きとして、男はとんでもない無茶を口にした。
直感に近い計算もある。
かの皇帝を止めるのは、ゲオルグ自身でなくてはならないはずだ。
他の誰でもなく、男が止めねば、かの太陽の先には届くまい]
そういえば、リアが舵取る船に乗るのは初めてだけど、
荒っぽいんだってね?
[それも楽しみにしてると言わんばかりの笑みを向けながら。]
機雷水域を抜けて殴りかかれば、
[無論、その間砲撃を行う余裕はない。
他艦から砲撃を受けようとも殴りかかられようとも、避けて向かうだけだ。ただひたすらに追うより他に、彼に追いつく手段はないだろう]
───あの皇帝陛下も、ちょっとは驚くだろうさ。
[驚かせてやる必要がある、と。
先の言葉を引いて、ゲオルグは声に微かな笑みの響きを乗せた*]
お祝いか…いいわねぇ。
飲み比べでもする?
[酒の席では潰された事が無いザル体質が何か言いつつ、視線は自然と外れ目的の船の方へと向けられて。]
ああそうだ、折角だし、
リアが今まで乗って来た船の事とか、
リアの周りの人の事とか聞かせてよ。
それに、ウェル、
…あの子今まで、変わらず元気だった?
[問いかけながら、桟橋を音を立てて踏み越えてゆく//]
/*
!
そうか。帝国側は船に名前付けないからぽんぽん沈めてるんだな。
名前付けると沈めにくいもんねー。
(なにか納得した顔)
― "水路"西側 ―
[前方を進む小型戦艦の姿が、水柱で一瞬見えなくなる。
水の煙が流れ去った向こう、彼の戦艦が回頭を始めているのを見て、薄く笑った。]
正面から来ていただけますか。
[呟きと重なるように、照準を修正した第2射が3隻の巡洋艦から順々に放たれる。砲弾は緩やかな放物線を描いて、回頭中の小型戦艦へと襲い掛かった。]
速度は緩めずに。
このまま行きます。
[命令を伝えた直後、艦が大きく揺らぐ。
速い潮流に捕まったのだと理解するより先に旗艦は大きく蛇行し、旗艦に続く3番艦、4番艦の進路を塞ぐ形となる。
衝突を防ごうとして、後続艦の足並みがいくらか乱れた。]
/*
タクマ……(顔を覆う)(ほんとありがとう)
めっっちゃ、ありがたく使わせて貰ったよね。タクマの準備。
ほんとこの腹心優秀すぎでは。
どうせなら、その前に足を一瞬でも止められりゃ良かったんですが、さすがに難しかったですね。
提督...
[ 笑み含んだままで、男は言う ]
無茶は大目に見ます、皇帝陛下と殴り合おうが、投げ合おうが、自由にしてください。
それでこそ、あんただ。
[ 力と心の限りを尽くして、背負う全てを守ろうとする、男に、ただ自由であれ、と、そう告げて ]
− “水路”北岸 第一艦隊四番戦艦 −
[座礁した四番戦艦は固定砲台たらんと砲撃を続けていた。
ウルケル戦艦の砲が徽章ごとその艦首を粉砕し、艦内に海水を引き込む。
足掻くように海底を削っていたスクリューが停止し、傾き始めた船からは兵たちが逃げ出した。
岸も近い、人的損害は軽微で済みそうだった。
今しばらく、満潮までの時間が得られていたら四番艦は浅瀬を脱出してウルケル艦隊を追撃することができていたかもしれない。
ウルケルの”礼儀”は正しく自身の身を救うものとなった。>>18
戦場から脱落した帝国兵の前から、アードラーが遠ざかってゆく。]
/*
あ、いやでもタクマが首都の前に機雷敷設している想定でいたらいろいろ食い違うから、一応確認しておこうかな。
― ストンプ港へ ―
そっか。なら楽しんでいってね。
……って言っても観光に来た訳じゃないんだしね。
あまりゆっくりはできないかもしれないけれど。
[>>+37 本当はウルケル随一の造船所に連れていったり。
海洋博物館に連れていって、船をたくさん紹介したいけれど。
(シュテルンはもしかしたら船の話に飽き飽きしてしまうかもしれないが)
そういう訳にもいかないだろう。先ずは病院か。]
ん?あはは、プライベートと呼べるものもあまりないけれどね。
……うん、宜しくね。
[ほどなくして小型艦はストンプの港へと着く。
ストンプの街の人々は領主の帰還に胸を撫で下ろしつつも、怪我に驚いたことだろう。]
ただいま。
ルシエルナガに医者を手配するよう、伝えて。
……看て欲しいひとが居るんだ。
[やがて、ウェルシュとシュテルンは医者に診てもらい、簡単な治療が施されたか。
それがひと段落ついた頃、]
さてと。
僕は屋敷へと戻ろうと思うけれど。
……シュテルン少尉も来るかい?
[屋敷へ戻って、ヴィクトリアから預かった姉との手紙を仕舞いたい。
そして、屋敷のものに姉の死を伝えなければならないだろう。
―――探したいものも、あった。//]
/*
皇帝陛下の優しさに泣くわ。
wwwwww
wwwwwwwwwほんま今回申し訳なさMAXすぎてね!!!w
ですが、骨は拾いませんよ?
必ず、「生きて」戻ってください。
[ かつて、男に「生きろ」と告げた、その人に、同じ言葉を返した* ]
/*
防衛網に突っ込んだ形。となると、帝国の情報収集能力…!ということになろうかな。開戦前の移動であれば、概ね開戦直前〜開戦後の敷設だろうから。と適当したけど、そこ困るならなしでもいいな(
相手に都合よい形が一番良い……
− “水道” 東進中 第一艦隊 −
[追いかけてきていた小型戦艦が戻っていったとの報告にひとつ頷く。]
第二艦隊が援護に入った。
[視線は向けない。
ただ、マストに「万波を越え来たれ」との信号旗をあげる。]
/*
なんだ、タクマの認識も同じなら心配しなくて良かった。
首都の手前って言うからてっきり、本当に首都の前に置いたのかと思ってました。
― ストンプ港へ ―
観光には、色々が落ちついたらゆっくり来させていただきますね!
[ゆっくりはできないかも、という言葉>>+42に、冗談めかしてこう返す。
実際に観光スポットを案内されたらされたで、はしゃぎ回る可能性は否定できないが、それはそれとして]
(……みんなに思われてるんだなあ……)
[港で出迎える人々の様子に、ふと、過るのはこんな事。
同時に、ほんと無事でよかった、と。
そんな考えも過るのだけれど]
[手配された医師に改めて傷の具合を診てもらい、左腕を無理に動かさない事やら何やら、再注意を受けた後。
屋敷に戻る、というウェルシュの問い>>+43には、お供しますよ、と軽く返すものの]
……あ、私的な件で外した方がいいなら、その時は別途待機しますので遠慮なく。
あと、それからー……。
[念のためにと言い添えるまでは、口調ははきとしていたものの。
続く言葉は、やや、歯切れ悪く途中で止まった。
さきほどまでとは違う様子を指摘されたなら、軽く、後ろ頭を掻いて]
……できれば、でいいんですけどー。
呼ぶ時、階級は外していただけると、ありがたい、かな、と。
いや、公的な場では必要なのわかってるんですけど。
そうでないとこでは、階級つけて呼ばれるの、あんまり慣れてなくて。
いや、無理に、とは言いませんけど。
[こてり、と首を傾いでお願いしてみた。
最初の配属先は、そう言う所は大分開放的で、次の配属艦も似たような感じだったから。
実はどうにも、階級呼びに慣れていなかったりした。//]
[一方、タクマの残した巡洋艦1隻と、ゲオルグ率いる本隊はシュヴァルツアインを狙い定めて追ってくる。
ナハティガルもそこに加わるようだ。しかし──]
撃って来ない?
温存か?
むしろ助かる。
先行巡洋艦と戦艦は前進に集中。
後続巡洋艦のみ砲撃を行え。
沈められずとも、回避行動をとらせて足を遅らせればいい。
[進路と速度は変えず、"水路"を突き進む。
機雷で足止めされれば追いつかれる、それはいつかは起きてしまうことなのかもしれないけれど、躊躇うことはせず。>>19]
― ストンプ港へ ―
あ、いや、……
ちょっと探し物があるだけだし。
シュテルン少尉だって、疲れているでしょう?
今日はゆっくり寝て、明日に備えたらどうかな。
今夜は僕の家に泊まりなよ。
[>>+45 席を外すと気を遣う彼に対しては、その必要は無いと伝えて。もし良ければ、今夜はうちで泊まると良い旨も伝えた。
そして、躊躇いがちに申し出たことに対しては、]
え。そうなんだ……
じゃあ、
シュテルンさん…… かな?
[口に出してみて、うーん、と首を捻ってみて。]
/*
ローシェンが夜遅いという事だけれども、12時に間にあうかな?
今日最終日で全員の気持ちが一致しているとは思うのだけれども、「生存者全員の同意があった時点で」としているので、どうしたものかな。きっと思いは同じはずだ!で進めてもいいだろうか。
いや、
―――……シュテルン君、かな。
[ちょっと馴れ馴れし過ぎるだろうか。
少し照れたような表情になって、目の前の少尉を見つめた。]
『潮の流れは、敵にもなれば、味方にもなる』
[ そう教えてくれたのは、確かヴィクトリアだったか? ]
3戦速前進、針路まま...潮に乗るぞ!
[ 第二艦隊が足を乱した潮流に、シュヴァルベは、自ら乗って、その動きに沿い、左への回頭を、ほぼ一瞬といっていい速度で成し遂げる ]
[ そして船腹の副砲が次々と火を噴くとほぼ同時に、三隻の巡洋艦から贈られてきた砲弾の雨も到達し、艦を揺らす>>21 ]
/*
ルートさんが優しく乗ってくださったんで、数の差をちょっと潮流で埋めたりしつつ、シロウがこっちこないかな、とか、シェンと会えないかな?とか、待つこの頃。
さて、砲撃にはどのくらい当たるかなあ...
― ストンプ港へ ―
ん、了解しました。
お気遣い、ありがとうございます。
[探し物というのが何かはちょっと気になったが、そこはこちらが踏み込んでいい領域とも思えなかったのでそれ以上は触れず。
泊まって休むと良い、という誘いはありがたく受け取って]
……あ、無理に、とは……。
[悩む様子>>+47に、気ぃ抜き過ぎたかなあ、と思いながらちょっと慌てて言いかけた言葉は、続いた言い直し>>+48に遮られ]
……あ、はい!
呼びやすいように呼んでいただいて、大丈夫ですよ!
[大分砕けた呼び方に、ちょっとほっとした。
さすがにいきなり呼び捨てにされたり、自分の中でちょっと特別な略し方をされたら表情に困ったかも知れないが。
ともあれ、無茶な物言いが受け入れられた事に安堵しつつ。
移動するならば、それにそって動く心算。*]
[潮に揺さぶられる艦の上にあって、なお眼差しは前を見つめる。
皇帝の
その後ろ姿から、なにか意思が飛んできた気がした。
ほどなく、双眼鏡を持った見張りが信号旗の意味を読み取り伝えてくる。>>24
内容を聞いて、笑みが浮かんだ。]
─── 御意のままに。
[求められたならば、しよう。]
― 戦艦シュヴァルベ ―
『艦首に被弾、損傷は軽微!』
『右舷甲板主砲付近に着弾、消火中!主砲は無事です』
『右舷副砲一基、持って行かれました!砲撃は続行出来ます!』
やれやれ、容赦ねえな。
『主砲装填完了!』
主砲用意、目標、敵巡洋艦先頭、撃て!
[ ぼやきつつも、男は、指示を途切らさず、そしてもう、背後の旗艦を振り向くこともない ]
[目を瞠る速さで回頭を終えた小型戦艦から、報復の火箭が飛ぶ。
体勢を立て直そうとしていた艦列中央の3番艦に何発かが命中し、前部副砲を薙ぎ払い、随伴していた水雷艇を水柱で半ば転覆せしめた。
それでもどうにか安定を取り戻して追いかける3番艦・4番艦をやや引き離して、旗艦ザイヴァルはまっすぐに小型戦艦へと突き進む。
最後に残った水雷艇は、ザイヴァルの引き波をうまく利用して、旗艦の真後ろにつけていた。]
このまま直進。
[回頭を終えた小型戦艦に舳先を合わせ、ザイヴァルは直進を続ける。
どちらもが進路を変えなければ、正面衝突のコースだ。]
[小型戦艦から放たれた鋼の意思が、ザイヴァルの船尾を斜めに抉り取る。
艦橋をかすめた砲弾が、後部主砲を打ち砕く。
それでもなお、ザイヴァルは直進した。
自らも砲を撃ち返しながら、敵戦艦へ迫る。]
/*
陛下のダイジェスト>>2の丁寧さよ。
解りやすい有難い。
って、あれ、…あ、そうか。
水路西方とか位置表現していたけれど、
分かり辛かったよな…と今更ながら。
水路入口西方、とかにすれば良かったのか。
■業務連絡
希望受付締め切りました。
全員の希望が揃いましたので、本日が最終日となります。
「ナイジェル」に投票をセットしてください。
―ストンプ:ウェルシュの屋敷―
[屋敷に戻ったあと、一先ず夕食を取ることにした。]
海じゃなかなか肉や野菜は採れないでしょ。
だからこういうのがやっぱり良いんじゃないかな。
お酒は飲めるかい?
[そう言ってシュテルンに差し出したのは、チーズフォンデュ。
ラム肉をメインに、カボチャやニンジン、パンやブロッコリーなど色とりどりの食材がテーブルに並べられている。
更に、地元で採れた葡萄を使ったワインも入れてやる。
もしお酒が飲めないならば、他のものを差しだしてやったか。]
えぇ、と。
護衛ありがとう。ようこそストンプへ。
……乾杯っ。
[何に乾杯?一瞬、言葉を躊躇った。
シュテルンが応じるならば、カチン、と小気味良い音が広いダイニングに響いただろう。]
[さて、目の前の彼とは何を話しただろうか。
最初は他愛もない世間話。
そしていつものように船の話。
ストンプの話や、タクマの話など。]
シュテルン君はどうして飛行機に乗ろうと思ったの?
やっぱり兵士になろうと思ったのは、タクマさんの影響かな。
[とある話の折。そんな風に尋ねてみた。]
なんだ、
…─── バレてたか。
[軽い笑い声。
それに返ったのは、悪戯を見抜かれたかの声だった。
続く肯定>>=7、それに僅か目を見開いて、参ったなあと小さく落ちた音は、さて聞こえてしまったか]
ああ、
[ただ。最後告げられた言葉には、笑みの種類も少し変わる。
懐かしむよう穏やかに、決意をその胸の内に確かめて]
無論だ。
…まだ、”宴会”もしてないからな?
[開戦の最初。交わした言葉>>1:132を引いて笑ってみせた*]
― ”水路”入り口 旗艦ヴァンダーファルケ ―
…、
[ふ。と、男の口元に微かな笑みが登る。
音ならざる音の運び響きに。
僅かに伏せられた瞳、やがて上げれば真っ直ぐに東へと向かう。
その向こう、太陽の進む先へと。]
帝国軍中佐 ロー・シェンは、後世の歴史家 ナイジェル を投票先に選びました。
モルトガット皇帝 アレク トールは、後世の歴史家 ナイジェル を投票先に選びました。
帝国扶翼官 ルートヴィヒは、後世の歴史家 ナイジェル を投票先に選びました。
後世の歴史家 ナイジェルは、後世の歴史家 ナイジェル を投票先に選びました。
[轟然と。といった速度で、ヴァンダーファルケは東を目指し進んでいる。途中、その行く手を遮らんとするものがあれば、アードラーがこれに応じた。
ヴァンダーファルケの砲は火を噴かない。
砲艦は、その多くを後方、巡洋艦と共に残してきた。
だから戦艦二隻の周囲を守る艦艇の数は程少ない。
少ないが、その巨大な鉄の塊が速度を上げ進むさまは、それ自体が一つの巨大な守りそのもののようでもあった。]
― ストンプ ―
うわ、あ。
ずっと海上勤務だったからなあ……こういうの、久しぶりかも。
[護衛というよりは、招待されるような感覚でやって来たストンプ候の屋敷。
用意された夕食に、思いっきり素の声が上がった。
ねぇ、俺、一応任務中のはずだけどこれいいんだろーか、なんて。
ほんの少し脳裏を掠めたものの、まあ、いいか、と結論付けて]
いえいえ。
しっかり務められるよう、ここからも頑張らせていただきます。
[護衛への感謝の言葉にこう返し、乾杯の合図に合わせて杯を合わせる。
酒に関しては、現場で鍛えられているのもあって、歳の割には飲める方だった]
……ん。
操縦士になろうと思った理由、ですか?
[船の話や土地の話には真面目に聞き入ったり。
養い親の話には、ちょっと冗談交じりに受け答えして。
やがて向けられた問い>>+52に、目を瞠る。
数拍、迷うような間が空いた]
俺が、操縦士を目指したのは……軍に入ったのは、ウルケルの空と海を護りたいから、って。
そう、思えた……思えるだけのものを、もらえたからですね。
養い親殿や、シロウさん……提督にも、かな。
他のひとたちにも、たくさんのいいものを向けてもらえて。
俺自身が、この空と海を好きだ、って思えるようになったからです。
[空白の後、紡いだのは軍に入ろう、と思った時の決意。
それからひとつ、息を吐いて]
その中で、操縦士を選んだのは……空を、飛びたかったからです。
虹の向こうを、見に行きたいね、って。
……一番大事な友達と、話してて。
[その事に触れれば、奥の方に痛みを感じはするけれど。
息苦しさまでは、感じない]
勿論、虹の向こうに何があるのかなんてわからないし……それが、綺麗なものかどうかもわかんないですけど。
空を飛ぶ事は、俺とあいつの大事な夢だったから。
……どうしても、叶えたくて。
それが高じて、気が付いたら、こうなってました。
[口調は努めて軽いものを維持していたけれど、ほんの少し眉が下がる事は止められない。
それでも、表情の変化を指摘されても大丈夫です、と笑えるくらいの余裕は、まだあった。**]
[”水路”道半ばまでは、帝国艦隊を追う形となる。
が、必ずや途中でその道からは逸れねばならぬ。
ウルケルには元の機雷敷設地点を示した海図がある。
それでも複雑な海流の中、それらを避けながら東進するのは非常な困難が伴うと思われた。海面に浮かぶブイは、帝国掃海艇が置いたものだろう。
幾分かはその恩恵に預かろうが、その先は]
『今の季節、この時間ならば海流は──』
『ここは海底が深い。だから図面よりも少し南にずれて、』
[艦上ではギリギリまで航海士の計算が続いている。]
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 真っすぐに、まるでそのまま正面衝突を狙うように、ザイヴァルが、戦艦の正面に迫る>>30 ]
『敵、巡洋艦、まだ避けません!...正気か?!』
[ 悲鳴を上げた観測官に、男は、表情を変えぬまま ]
機関停止、主砲用意。
[ 避けもせず、無論、下がる事もせず、けれど、正面から、潰しにかかることもなく、動きを止めた ]
[ それはまるで、先の海戦で、拳銃を構えた扶翼官の前に、男が立った、その姿の再現であるかのように、だが...// ]
[東より轟音が響いた>>25
巡洋艦から撃ち放たれた砲撃が、艦の左右に水柱を上げる。
ヴァンダーファルケは最小限の動きでそれを回避しようとし、]
『右舷前方に被弾!!損傷は軽微!』
[ぐらり。衝撃に艦が揺れた。
それでも船足は緩めず、前を目指す。
後方、アードラーから前方の艦隊へ向け返礼の砲が放たれる。
距離遠く、あまり成果は期待出来ると思い難いが]
進路そのままだ。
速度維持に全力を尽くせ。
[揺れる艦上、黒き鋼の意思が一路東に艦隊を追う*]
俺が随伴しているようには…到底見えないな。
焦りすら、ないか。
[後方のウルケル戦艦は、2隻ながらに威風堂々。
第一艦隊は“水道”の守りを突破した。が、まだ勝負はついていないと確信させるその姿。
艦橋の手すりを掴む指に力が籠る。**]
―戦場南方―
[間合いに踏み込める一歩を探りながら、巡洋艦と水雷艇は応戦を重ねる。
幾度かそれを繰り返していると、
ナハティガルは急に進路を北へと変えて加速>>12した。
近くで戦っていた第二艦隊は既にその位置を北に変えている。つまり――此処で戦う益は、最早無い。]
『よし。当艦らも本隊に合流する』
[味方巡洋艦からの信号に、水雷艇は雷母への帰還目指して海上を走る。
当の巡洋艦は、ナハティガルを途中まで追いかけて砲弾を浴びせたものの……大きな戦果を上げることは出来ないまま、途中で進路を、水路入口より幾許か西に位置を取る第三艦隊に変えた*]
[前方の敵戦艦が前進を止める。
主砲がこちらを向いたのを見て、扶翼官はわらった。]
避ける気はない、ですか。タクマ・ナギ。
いいでしょう。
[こちらが拳銃を突きつけたあの時とは違って、今は双方が、互いに主砲を突きつけている。
直撃を受ければ、あちらはともかくこちらは無事ではいられまい。
それとわかっていてなお、速度を緩めることはしなかった。]
……どちらの悪運が強いか、試してみましょうか。
[そしてザイヴァルは、衝突の手前でわずかに、ごくわずかに舵を右へと切る]//
/*
衝突まで行こうかと思ったけれど、相手がどのタイミングで手法を撃つ気なのかまだ分からないので一旦待ってみるの心。
― 戦艦シュヴァルベ ―
...主砲用意、目標、敵巡洋艦、主砲!
[ ざわ、と艦橋が一瞬ざわめき、すぐに鎮まった。恐ろしい勢いで計算が為され、主砲の台座がぎりぎりと音を立てて動く ]
撃て!
[ 最後は、男が自らの目で、タイミングを計り、その号が放たれる。
それは、ザイヴァルの舵が右に切られた>>38前か、後か...?// ]
/*
すまないね。
やりたいことがあって、ちょっと主砲はやれないんだ。
そこまで行くかどうかは不明だけれども。
/*
とはいえ墓下でやることがないのでぼんやり地上を見守っていくスタンスの私です。どうも。
48hは長いなあと思っていましたが過ぎてみればはやいもので。
[艦と艦が触れ合う直前、小型戦艦の主砲が火を噴いた。
腹に響く轟音が身体を揺らし、風圧が海面を圧する。
至近で放たれた砲の圧力だけで、吊られたランチが一台吹き飛んだ。
相手の主砲は、正確無比にこちらの主砲へと向けられていた。
そもそもが外しようのない距離だ。
だが、神の差配か悪魔の計らいか、それはまさにザイヴァルが舵を切ったタイミングだった。
ゆえに砲弾は狙いを逸れ、艦橋の基部を撃ち抜いて遙か彼方の海面に落ちる。ギシギシと音を立てて、艦橋がゆっくりと傾いていった。]
[だがザイヴァルは砲撃を受けながらも、艦自体が意思持つように進む。
舳先と舳先がすれ違い、船腹が相手の船体に擦れ、もぎ取られたランチが破片となって降り注ぐ。
船体を擦り付けながらすれ違った旗艦の影から、一艘の水雷艇が躍り出た。それは外洋で行った訓練そのままに、動きを止めた敵戦艦へと肉薄する。]//
― 旗艦ザイヴァル内部 ―
[被弾の瞬間、足元から突き上げられるような衝撃を受けた。
立っていた場所から吹き飛ばされ、どこともわからないところへ打ち付けられる。
悲鳴と破砕音が周囲に渦巻き、煙が視界を覆った。
薄れかける意識を引き戻したのは、脈打つような痛み。
鼓動と共に胸に響く鈍痛と、右腕からの突き抜けるような痛みが交互に訪れる。
薄く目を開けば、周囲には呻く者と泣き叫ぶもの、そして慌ただしく動き回るもので満ちていた。]
『閣下!ご無事ですか!?』
[声に視線を向ければ、艦長が自らも頭から血を流しながら立っていた。]
ええ───幸い、生きてはいるようですね。
あなたは?
[ゆっくり息を吸い込んで、どうにか声を出す。
艦長は『自分のはただのかすり傷です』と言いながら、扶翼官の身体を抱え上げて背負った。]
『ここは危険です。まずは医務室に移りましょう』
[そう言って運んでいこうとする艦長を制する。]
艦は?
ザイヴァルはまだ進めますか?
[問いに肯定が返ってくれば、微笑んだ。]
ならば行きましょう。
前へ。
[自分を司令塔へと運んでくれるよう頼む。
今度はそこから指揮を執るから、と。]**
/*
動き練り練り考えつつ
そういえば第四艦隊はどうなったんだろうな…
(陛下のログ見返し)…特に触れられていない、か。
第一と第三の間にいたはずだから、
ゲオルグ巡洋艦の封鎖の向こう側――という感じだろうかな。
>第四艦隊は第一艦隊の後ろにつく。偵察と航空支援に当たれ。
>交戦の際は、追撃艦隊がないことが確認できたら離れて追ってくること。
> ウルケルが挟撃を選択するなら中央が一番護りやすいだろう。
追撃艦隊(ゲオルグ)がいるから、水路の中までは追っていなそう??
-戦場南方から北側へと-
[追撃はさほどしつこいものではなかった。
お互いの砲撃は相手の装甲の表を撫でる程度だ。
北側へ移動し――敵巡洋艦は方向を変える。
西側へと。>>37]
あー……追うか。
[見えたのは、味方巡洋艦。>>16
その周囲には砲艦の姿も見えただろう。>>32]
あっちの方が手数足りんわ。
[大きく西へ舵を切り、ナハティガルは進む方向を変える。
それに従い、もう一艦も同方向へと動きを変えた。
途中、北側の状況を把握する。更に増える情報に目を細め、考える。
二艦。北と南に船首を向け、道を封じるかのように塞がる巡洋艦に信号を送る。
“援護する”とシンプルに。]
っーかこいつら、旗艦護衛してなかったか? どういう状況よ?
[味方艦から、旗艦から与えられた指示を確認する。]
護衛必要なし、応戦せよ、ね。
把握、把握。
しかし、ちと思い出すねぇ。
[リオレ島北西の遭遇戦を思い出す。]
――数は減っちまったけど。
[遭遇線で、こっちの副砲を吹っ飛ばしてくれた巡洋艦を思い出す。
一瞬の過去への思考を頭を振る事で忘れ、視線を敵艦へと。]
手伝い要るなら少し混ぜてな。
こっちの指示は「遊んで来い」みたいなもんだ。
[味方巡洋艦に改めて信号を送り――ナハティガルは、先の2艦を真似るように並んだ。**]
何年、あんたの傍にいると思ってるんです?
バレバレですよ。
[ 悪戯を見つけられたかの声には、同じように笑う気配を返す ]
[ 小さく落ちた声は拾ったが、ただ僅か目を伏せただけで ]
[ そして、穏やかに響く約束、に、頷いた ]
待ってます。
[ 宴会をか、戦の終わりをか、 それともゲオルグ自身をか...言葉の宛先は判然とせず、けれどきっと、それで良かった**]
― 邂逅 ―
忘れないったら。
[念を押す幼馴染>>+38に、敵わないと言った様相で言う。
ぽり、と頬を掻いた後、続けた言葉に笑う幼馴染を見て笑みが継続された]
そうそう、ウェルシュやっぱ才能あるよねぇ。
あの子の船への熱意が存分に込められてるよ。
[そう答えてから、あれ、と心のどこかで疑問を抱く自分が居て戸惑う。
ウルケルの軍服を着た幼馴染。
自分の意識とズレがあるような受け答え。
未だ夢と認識していなかったヴィクトリアの意識に綻びが生まれ始めた]
[>>+39 離れていた。…離れていた?]
なに、背伸びしてたの?
ありのままで居れば良いのに。
…ま、成長云々に関しては、アタシも人のことは言えないかもだけどさ。
[浮かんだ疑問は、自分が傭兵部隊に居たのもあり、同じ隊にならず離れていた、と変換され、空白部分を埋めていく]
…誰だリアに吹き込んだの。
否定はしねーけどさ。
[荒っぽい>>+40、と言われると噂の根源に対して目を細めた。
しかし、それをも楽しみにしているような幼馴染の様子に表情は次第に穏やかなものへと変化する]
飲み比べは他の連中とやるから良いや。
ルカと飲むならゆっくり楽しみたいしね。
[>>+41 こちらも強い方だが、酔いもそれなりに回る方。
恐らく負ける、と言うのは分からないはずなのだが、後悔しそうな選択をしなかったのは本能の為せる業か。
次第に近付く新造艦の停泊地。
桟橋に足を踏み入れ、靴底が音を立てるのを聞きながら幼馴染を見た]
アタシが乗ってきた艦?
そう言えば教えてなかったっけ。
前はヴァイって言う小型の巡洋艦に乗ってたんだ。
突破力はそんなに無いんだが、機動力があってね。
急激な旋回から相手に肉薄するとか、他の艦と連携しながら敵陣をかき回すのが主な戦い方になるかな。
アタシの周りっつーと…。
リアはタクマっての知ってたっけ?
今は提督の副官やってっけど、昔傭兵部隊で同じ隊になったことがあってね。
頭は回るし度胸もピカイチだよ。
唯一の欠点は、酒飲んで上機嫌になった時に壊滅的な鼻歌歌っちまうことかね。
あれは、地獄だ。
後はシロウって奴が居てさ、軍医の知識あんのに軍医登録してないんだよね。
なんでって聞いたら、一番軍医が必要な場所に居続けるためだとか言ってたっけ。
軍医になると自然と上の階級になっちゃうじゃん?
そうなると前線には出にくくなる。
それを避けたかったらしいよ。
[等々。
艦や人の話をする間はヴィクトリアも楽しげな表情で。
やがて幼馴染と共にヴァイスメーヴェの乗船口までやってくる]
[そこで問われた言葉に、今度こそ疑問が表に出た]
ルカ、何言って…
[その疑問も語尾は途切れ、笑んでいた表情から感情が抜け落ちる]
……ちょっと待って。
何でルカがウェルシュのことを分かってないのさ。
アタシより接点が────
[ビキ、と記憶に皹が入り、表面を覆っていた偽りの記憶が剥がれ始めた]
…違う、そうだ。
ルカはずっとウルケルを離れてて…──
[それから、戦場で逢って]
[遭って]
ウェルシュは、アンタから手紙が来ないの、寂しがってた。
アンタのこと、ひとっつも忘れてなかったよ。
周りに支えられながらだけど、今では立派なストンプ領主さ。
ストンプの民からも慕われてる。
[抱き締めたまま、幼馴染が知りたがっているウェルシュのことを囁くように話す。
その心の奥で、自分も死んだのかと薄らと認識し始めていた//]
─ 幼い日の ─
[青い花の咲く町に白のスカートが翻る。
港へと駆ける足は幼い少女のもの。
ファミル様!と後ろから呼ばう声に、
チコリの花束を抱えたまま、
急ぎ!と、笑みをもってふりかえった。
その足で、町に多い階段を飛び降りる。]
[昔から町が好きだった。町から見下ろす港も
その先にどこまでも続く海を船で行くのも。
父上! と迎えに出た先で手を振れば
同じ年頃と見える娘を傍に置いた
東の港を持つ領主がそこにはいて、
少し慌てて淑やからしく頭を下げた。
ようこそ。と、青い切花を渡すのが、
シコン港を有する領主の家に生まれた娘の慣習だった。]
[その場にいた少女と視線は合っただろうか。
ちらと顔を合わせはしたけれど、
街を眺めてくれている視線の方が、
我がことのように誇らしくも、
──嬉しくもあって
直接に話しかけはしないままに、
遠くから港への来訪者を見守っていた。]
─ 回想 ─
[漁師の息子に生まれた幼なじみが、志願兵になると聞いたのは
齢十四になろうかというときだった。]
… どうして
[思わず口をついて出たのは驚きだった。目を丸くしていた自分に、幼馴染のレオンは「軍なら出世できる可能性があるしな」と、朗らかに笑った。]
[力があれば、お嬢のことも守ってやれる。と、幼なじみは言って──嬉しくなかったのを覚えている。]
…
私は。軍艦はあまり、
…好きじゃない。
[あれは── こわい。と、そう零した言葉に。父と同じようにひとつ年上の幼なじみは、そういうとこやっぱり、女だなあ。とそう言った。]
[むっとして睨むと、こわいこわい。と思ってもいない癖に降参するように、幼なじみは手を挙げた。]
……
死んでほしくない。
[ふざけたふりが腹立たしくて、それで──本音を口にした。ぴたり、と動きを止めた幼なじみが、口の端だけむずむずとした、なんともいえない微妙な顔をして、眉をあげた。]
[「でも、ウルケルの海軍はすげえ強いんだ。みんなの誇りをまもってくれてるんだ、かっこいいんだぞ」と、そう連ねられた言葉に、余計に腹が立った。]
そういう話をしてるわけじゃ、
[睨むと、レオンは、はー。と深々と息を吐いた。「……帰ってくるよ」と、茶化すのをやめて、そう、確かに 口にしたのを 覚えている。]
[「戦功沢山上げて、偉くなって、それで。強い男だってアンディーヴ卿にも認めて貰えるくらいになるから」]
[「それで、お前のとこに、
帰ってくるから──」]
[婚約してくれ。と、真顔の赤い顔をした幼なじみに差し出されたのは、指輪ではなくて、ロケット型のペンダントだった。]
[書類もなにもあったものではない。
形式もめちゃくちゃなそれは
子供同士の児戯に等しい好意の好感で。]
[それでも、その日に、
私には、誰にも秘密の婚約者ができた。]
[そうして、レオンハルトが、
彼曰くかっこいい船乗りになるために、
カルボナードに旅立った後には、
私自身も、商会の一員として、
アンディーヴの商船に乗るようになった。]
[距離は離れても、寄港すれば手紙が届く。不器用な文字で届く本来筆不精な相手からの手紙は、けれど途切れず。続くやりとりは、ひとつの証明のようで、心を疑うこともないまま時が重ねられていった。]
─ 回想、亡国について ─
[船にのりはじめてからは、それ以前よりも目に入るものが随分増えた。色々な国へ訪れるのは、楽な船旅でもなかったが、総じれば興味深い経験だったと思う。]
[知り合う人間に、国の柵が関係しにくいのが
アンディーヴの商船の良さだっただろう。
自国の自立を守りきった国にも、
国名を失くした国にも、
平等に訪れることができた。]
[どちらの国に訪れたときにも、
そこでは、人が生きていた。
或いは国を護りきった誇りを胸に、
或いは、勝者と敗者が交じり合いながら、
どちらでも、人は逞しく生きていた。
ウルケルの傭兵隊が派遣された国が、敗戦した──と、
そう伝えられたオルヴァルの地でも。]
[「くやしい」と、一言。──恋人が送ってきた手紙に書かれたその島を、当時訪れたときにはまだ復興は完全には成っておらず、ただ、それでも帝国は圧制を敷くでも奴隷として国の人間を連れ帰るでもなく、呑んだ国を我が身の一部として統治しているように見えた。]
…
[国をひとつ潰した帝国の足跡の中でも、オルヴァルの商人たちは逞しく、戦時下でも衰えることなく伸びたユルド社を筆頭に、アンディーヴにとっても、良き商談相手となってくれた。お互いに、抜け目なく切り取るパイの大きさに睨みを利かせながらのことであれ。]
[ただ、人の歩みは止められずも、アンディーヴの船が訪れたときには、まだ海岸沿いには攻防の爪あとが見られた。
以前はオルヴァルの拠点だったというその場所は、公園に生まれ変わらせるらしく、工事をしていた。その砦の名残を残す壁には、疵が彫られていた。]
……
[ざらりとなぞると、
まだ、文字が読めた。]
["不羈"。と、国の文字で。
ここに刻んだ人間は、
何を、思ったのだろう。]
…
[護れたのだろうか。と、ふと続けて考える。
この文字を刻んだ者が、守りたかったものは。]
[それとも、護れなかっただろうか。
この文字を刻んだ者の姿を直に見たわけではなく、
想いのうちまでは計りかねた。
無念、決意、意志。
そんなものを僅かに想像はすれども、
直に耳にできたわけでもない。]
[ただ──視線を遠くに投げれば、
街には復興を目指してか金槌の音が響く。
国は消えて、それでも、
人は この島で暮らしている。]
[異国の町を見ていれば、
そんな考えが浮かんだ。
国が消えようとも、変わらずに、
護っていくのかもしれない。
その国で生まれた心を抱えながら、
人が、生きている限りは。]
[また、帝国が拓いた港での方が、概ね自国の産業を守ろうとする小国の港よりも商売がしやすいから。というもとよりの商売人としての好意もあったのかもしれない。
褒めておいて損がある相手ではない。と目してもいたのだろう。]
[ただ、そんな大人の思惑に紛れさせるには年下の少年はあまりに純粋にも見えて、当時は大人らを遠ざけながら、話しかけるように努めていた。]
[年下の少年がぴん、と伸ばした背は、口には出さずも愛らしくもあり、少年が背負わんとする荷を退ける理由は、当時にはなかった。]
…… では私も、殿下に護られるに
足る身でなければなりませんね。
[騎士のように振舞う少年に、そう笑った。いつか否応なしに、広い土地の頂点に立つ彼が、"踏みにじることを好む人柄ではない。とそう思えたのは幸いだったと思う。どうか護ることを──護るべきものを眼差してくれる人であれば。と、願った。]
[恭しく受け取った貝殻は、
アンディーヴ家の
ファミルの私室におかれた小箱の中へ。
静かな街の片隅で、
ひっそりと護られてある。]
[或いは、そののち 護られる立場から、
──望んで辞した女の代わりに。]
[守られることは。
遠くで、ただ、行く末を見守ることは。
恋人が帰らぬことを知った日に、
私には、耐えられなくなってしまったのだろう。]
[静かな敬礼が、死者に送られる。
ウルケルの傭兵部隊の一員となった青年は、誇りを持って戦い、そして仲間を守り死んだ。と。
口にされるそれはきっと そのとおりの事実であり]
…、
[それを否定することは、彼の誇りも汚すことだとも、わかっていて──わかっていても、息が詰まった。]
[だが。と、低く、謝罪の言葉が落ちる。労りと、罪悪感のような、感情を深く沈めた声が。
名を知る男が死んで それで、その上官の男とて、悲しんでいないわけがないのだと。それを知らせる声音は。]
(貴方が。
……謝られることでも
ないでしょうに)
[敬礼よりも深く、酷く、胸に刺さった。]
[年長の男は、彼の居場所である海へ視線を投げ、自らについての言葉を重ねる。そう、言葉を零して手紙を受け取り、封を切られぬままのそれを見下ろす。]
──奥方の心情の全てが、
理解できるわけでもありませんが。
きっと、奥方は、
貴方のことがお好きだったのではと思う。
だから。
ただ、貴方の帰りを、祈るしかできぬ身が。
ただ、待つしかできぬ身が、
… 耐えられなかったのではないかとも
…思います。
[そう口にしたのは、真実を見通してというよりも、己を重ねてのことだったが。
歴戦の傷を肌にも──恐らくは記憶にも深く刻んできたのだろう戦斧の男と視線を合わせて、そっと眉を寄せた。]
こうしてお話をさせていただければ、
皆が口々に貴方を誉めそやす理由がわかる。
[軍人として誇りを持って生き様を選ぶその姿に、皮肉と呼ぶには、弱い苦味が表情に混ざりこむ。]
私には。
… 憎ませてさえ、くれないことばかりは
うらめしくも感じられますが。
( 彼は笑って、満足して 死んだだろうか )
[それとも。少しは後悔をしただろうか。
浮かんだ疑問は、聞かずに埋めた。
──答えがどちらでも、納得ができないような気がして。]
海に沈んだ彼が、…或いは誇りに、
職務に、信じる道に殉じたなら。
それを止めなかったなら。
…どこにも。
文句の つけようもない。
[自嘲の笑みを浮かべて、薄紫の瞳は断りを述べた男の顔を見上げる。肩につかぬ程で切りそろえられた髪がゆるく横に振れる首にあわせて揺れた。]
断られた。と父には伝えておきます。
ただ、
手紙と一緒にまた伺わせてください。
[同じ用件で。とは添えずに、手紙と、
引いた手の中にある金色のロケットを見下ろす。]
―水路入口より西方/水雷母艦アストラ―
[雷母を警戒していた敵巡洋艦2隻が、不意に動いた。
堅牢な門扉が ぎぎぎ…。と閉まるように。艦首を南北に重ねてゆく>>16。]
意地でも通さんつもりか。
…まるで鉄扉門、だな。
[ロー・シェンは双眸を細めて、観察するように敵影を見遣る。
艦首を向ける動きは、片方が僅かに遅い。]
[更にその向こうに、一際大きく重厚な戦艦>>16が在る。
あれこそが、敵旗艦ヴァンダーファルケであろう。]
…――――いるか。其処に。
[ひとりの男の顔を胸の裡に置きながら、彼我の距離を測る。
まだ……遠い。けれどそう、此処まで来た。
船尾をこちらに向けた敵旗艦は、旋回する様子なく――水路に向かった第一艦隊の方角を、違わず見据えたままだ。
ゲオルグの気性を思えば、なんだかその様子は納得がいった。]
…、自らが行くのだろう?
陛下を追って。
[常に前面に立つ男。成さんとするものは自らの手で掴み取り、成し遂げてゆく男。
オルヴァルでタクマの乗った巡洋艦を救い出した時も…思えばそうだった。]
『敵旗艦、主砲きます!』
[アストラの艦橋が急にざわめいて緊張が走る。]
怯むな。この距離なら届かん。
[一喝と轟音が同時。
敵旗艦の船尾主砲が火を噴いて、アストラの近距離に大きな水柱が立った。]
[敵旗艦は、予想通りというべきか――そのまま進路を東に切った。
追尾を阻む巡洋艦ふたつと幾つかの砲艦が、後を託され場に残る。]
水雷艇、第二波いくぞ。リフト降下。
着水次第、アストラの前面に短横陣を展開。
[後方の水雷母艦ダヌラに向かって信号を出す。
程なくして搭載されていた9隻の水雷艇が、指示通りの隊列を成した。]
[更に、南方での戦いから戻り来た巡洋艦と水雷艇が合流する。
水雷を使い切ったり、航行が精一杯という程に損傷した艇は雷母に回収して、残るは3。これを先程の9隻の短横陣に加える。更に南北の列が長くなった。
列を成した水雷艇の後方には、巡洋艦2隻、水雷母艦アストラと機雷敷設艦が、複横陣で続く。
第三艦隊の配置を俯瞰すると、ちょうどTの字を二つ繋げて並べ、向きを90度回転させたような形だ。
なお水雷母艦ダヌラは最後尾に位置しているが…アストラのような改造をしていない一般母艦であるため、少し下がらせ、これからの戦闘には加えない算段である。]
[こちらが準備を整えている間に、相手側にも増援>>46があったようだ。
そこに、既知の巡洋艦――ナハティガルを見つけて、]
やはり、戦場で …―― 会ったな。
[どこか満足そうにロー・シェンは口の端を上げる。]
水雷艇は横っ腹を見せて並んでいる巡洋艦へ、真っ直ぐいけ。
おまえたちは
敵が回避しなければ当ててこい。
回避で旋回させれば戦果は上々。
おまえたちの気迫が最初の道を作る。
[水雷艇を避けんと移動したり艦首を動かせば―――鉄扉門のごとき並びに隙間が生まれる。ロー・シェンの狙いは其処だ。無論相手が動かず水雷が当たるならそれに越したことはない。
今、ウルケルの巡洋艦は4隻が縦に並んでいる。
大して、第三艦隊の最前列には、等間隔に並んだ12隻の水雷艇。
つまり巡洋艦1につき、水雷艇3が直進していく計算だ。]
巡洋艦、およびアストラは砲撃用意。
巡洋艦2隻は副砲を斉射して水雷艇を支援しつつ、
隙間を目掛けて駆け抜けろ。
アストラ、機雷敷設艦は後を続け。
全艦、最大出力。全速前進!
[号令一下、第三艦隊は其のまるごとが
まるで、ひとつの矢であるかのように。
一丸となって、塞がる巡洋艦に突撃していった**]
[親不孝な考えですが。と、そうとだけ添えて、海を眺める。]
まだ、私の整理がつききらない間は、
貴方に断り続けていていただける状況は
──ありがたいので。
[そう、感情を沈めた声音でいって、
閉じたロケットを元通りに首にかける。]
[そう話す娘に、結婚をするつもりはない、とそう口にした男はどんな顔をしていただろう。]
… ゲオルグ・ヒューベンター閣下
最後に、ひとつだけ。
[手紙を抱いて、思い出したように
顔を上げて首を傾げる。]
たとえ、…帰ってこなかったとしても。
待つことに耐えられなくても、
…いつか喪失の痛みを覚えるとしても。
それでも、
不幸だなんてことはない。
[軍人以外を、と口にした男へ
そのときにはたしかに顔を上げて]
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 動きを止めた戦艦シュヴァルベと、速度を緩めぬ巡洋艦ザイヴァルは、やがて、互いの舳先が触れ合う程の距離まで近付く ]
[ シュヴァルベの主砲が火を噴いたが、ザイヴァルは撃ち返さず、右に舵を切った。>>40
至近での着弾に、放った戦艦の方も激しく揺れ、満身創痍となりながらも、尚足を止めず左舷に擦れ違う巡洋艦の船腹が、擦れて外壁を削るガリガリという嫌な音が艦橋まで響いた>>41 ]
『敵旗艦より水雷艇降りました!』
[ ギシギシと音を立てて全体が揺れる戦艦の艦橋で、声が響く ]
...っ!右舷前進!
[ 停止した機関が再び唸りをあげ、迫る水雷艇を回避するための回頭が試みられるが、相手は余りにも「近い」。
元々の速い潮流と、二隻の軍艦の至近での擦れ違いによる波が、水雷艇の針路を乱さなければ、その狙い通りに、舵を破壊されていただろう ]
[ 程なく、ドン!という水中での爆音と共に水柱が上がり、又大きく船体が揺れた ]
[ 瞬時、真横に倒れたのではないかと錯覚するほど左舷側の床が持ち上がり、次いで同じ程の揺り戻しがかかる ]
ぐあっ!
[ たまらず転倒した男は、そのまま床を数メートルも滑って、一度壁に激突してから漸く止まった ]
『大佐!』
大丈夫だ...生きてる。被害は...?
[ 頭を壁に打ち付け脳震盪でも起こしたか、視界が揺れる、が、意識は持っていかれていない。
ならば、まだ立ち上がれるはず、と、無理矢理に身を起こした途端、背中に激痛が走り息が一瞬止まった ]
(骨をいかれたな...)
[ 恐らくは肩か肩甲骨のどこかが激突の衝撃で折れるか砕けるかしている、とは判断がついたが、今はどうにもできない。
歯を食いしばり、そのまま、壁に縋りつつも自力で立ち上がる ]
『水雷、舵手前で爆発、先刻の衝撃は水雷艇が離脱し損なって、船腹に激突したためです。
左舷船腹一部破砕も、浸水なし。航行可能です』
...敵艦は?
『北へ抜け、そのまま北上中です。追いますか?』
...いや、このまま微速前進...他に北へ向かう敵艦があれば阻止する。僚艦の交戦を確認した場合は援護を。
[ ルートヴィヒは、恐らく、あの太陽に呼ばれたのだろう、と男は揺れる頭のどこかで感じている、ならば、彼はあらゆる障害を越えて行くだろう、止めようとするだけ無駄というものだ ]
...扶翼官殿が、そちらに向かってます。
止められませんでした。
[ 止める事が出来なかったのか、止めようという気持ちがなかったのか、どこか判然としないまま、事実を伝え ]
追いつかれる前に、追いついて下さい。
[ 無茶振った* ]
[ 男は待つ、と約束し、ゲオルグはその約束を受け取った。
それ故に、男の為すべきは、
[ これまでも、今も、そして、これからも ]
[ 戦艦シュヴァルベは、男の意思を乗せ、まずはザイヴァルに随行していた巡洋艦二隻の足を、完全に止めるべく、動き出した* ]
[後方で砲撃の応酬がある。
第一艦隊巡洋艦2隻とウルケル戦艦アードラーの戦いだ。
中破していた巡洋艦の足が鈍っていた。
遅れてゆく艦から、回頭して敵艦の足止めに専念する旨、申し出があり、許可する。
あくまでも敵旗艦は撃ち返してこないと、報告されるまでもなくアレクトールは肌で感じ取っていた。]
闇雲な撃ち合いを避けている。
提督は実のところグロル海峡の開放に賛成か。
ウルケル海軍の意地はもう見せたと?
否── 俺に
[いっそ、ここで勝負を受けようか。疼く。
が、]
[「敵新型戦艦とザイヴァルが衝突!」との叫びに、反射的に身体を堅くした。
実際には衝突直前ですれ違っているのだが、この距離では詳細は確認できず。
シュヴァルベは小型とはいえ戦艦だ。ルートヴィヒの乗るザイヴァルとは質量が違う。
ぶつかった場合、どちらの損害が大きいかは言うまでもなかった。]
──…っ!
[左掌を右上腕に押し当て、息を詰める。]
[声が、届く。
痛みを訴えるでもなく、無事を伝えるためですらなく、ただアレクトールの望みを果たす意志を掲げて。]
──ルッツ、
…、 進路、速度、このまま!
[顔を上げ、毅然と命じた。]
ザイヴァルは相討ちを狙ったのではない、俺に至る道に敵がいたまでだ。前へ進むためだ。
帝国艦隊をカルボナードまで押し進め、海路を開かせる。
それがこの作戦の本旨だ。揺らがせる気は──ない。
[正確には、ルートヴィヒのおかげで決意を新たにしたといったところだったが。
皇帝の命ずるままに、旗艦は後方を省みることなく前進する。]
提督は撃っては来ないが諦めていない。停戦を呼びかけても来ていない。
ならば、きっとどこかで仕掛けてくる。
その時になったら、受けてたつ。
/*
実はタクマが連投始めたあたりから、ずーっと覗いていたんです。
(灰に潜伏するスタイル)
水路で戦艦の横とか機雷原抜けるのに随伴艦も欲しいのですが…1隻くらい連れていっても構わないでしょうかねえ。
/*
と、言いつつ、提督が夜になるから、あまり話しは進まない、とね。
ううむ、簡単にルートさんを通しすぎただろうかね?
しかし正面から来られると、ああするしかなかったという。
間違ってルートさん撃沈とかしたら、皇帝陛下が暴れそうじゃないか(真顔)
[小型戦艦シュヴァルベの横を抜けたザイヴァルは、武装のほとんどを失いながらも速力は落さずに東を目指す。
残る牙は、前部主砲と右舷副砲のみだったが、それでも敢然と戦う意思を掲げて砲は前を向いていた。
負傷した扶翼官は露天の指揮塔に移り指揮を続けていた。
衛生兵が指揮塔にまで出向いて治療に当たる。
折れた右腕に添え木を当て、胸にも包帯を巻く。肋骨が何本か折れているだろうとの見立てであった。
判断力の低下は避けたかったし、それに今は不思議とあまり痛みを感じていなかった。
東に輝く太陽を追う。
求められた高揚が、全身を満たしている。]
[随伴する2艦は、傷ついた旗艦を追ってシュヴァルベの両側を抜けていこうとする。
だが水雷艇の攻撃が不完全に終わったのを見た南側の艦、3番艦が緩やかに進路を左へ、北向きに変えてシュヴァルベと僚艦の間に入るように動き、砲撃を加える。
北側を抜ける4番艦は、そのまま東へと直進した。]**
[光が見えた気がした。
眩く温かな光が、心に触れる。]
私の全ては、あなたと共に。
使ってください、トール。
私の才を、余すところなく。
[望まれる喜び。共に行く人がいる嬉しさ。
望まれるままに、導かれるままに馳せていく。]
-回想/いつかの話-
ナハティガル、なぁ。
[話し相手は誰だったか。艦の話。ヴィクトリアだったか、それとも別の船好きの誰かだったか。]
巡洋艦にしては大きめだが、攻撃能力はそこそこだなぁ。
主砲も並の巡洋艦クラスだし。副砲は多めか。
小回りは効くようにしてるが、艦自体が重いから速度も普通。
燃料食わせて速度上げてんだよ、あれ。大飯ぐらいなんだよね、小鳥の名前に合わず。
[それに、と。]
場合によってはもっと重くなるしなぁ。*
/*
まー。ここまでの戦闘で既に帝国の負け確定ですよねとは思います。
損耗率があまりにもあまりなのですよ。
少し艦を沈めすぎたかなぁと反省はしますが、やっぱり撃たれたら当たらないとだし、当たったら沈んだほうが盛り上がるじゃないですか?(まがお)
ただこれ以上戦果に差が開くと戦後の交渉に響くので( そろそろ沈めるのは自粛しようかなぁと。(願望
-戦場西方-
[味方巡洋艦からの通信が届く。
既に損害を受けており、航行に問題があるとの事。>>5:366
援護の依頼ではなく、ただの報告。それを理解した上で“動け”との事だ。
男は舌を打った。]
それなら壁なんてやるんじゃねぇよ。
報告は聞いたが、うちは好きにやらせてもらう。
[“鉄門”の前に砲艦を配置。ナハティガルとその相方位置の巡洋艦は、いまだ周辺に小型艦を纏わず。]
[ふ、っと。
男は視線を上げ、水雷艇母艦を見る。]
――よぅ。
来ましたよ。
[挨拶の言葉を軽く。
過去の自分に伝えてやりたい。オルヴァルで見た、一枚絵のような風景。
憧れていた3人のうちの1人に、こうやって敵として相対する事になるのだと。
冗談だと笑うだろうか。それとも己の成長を喜ぶのだろうか。
哀しむ様だけは想像できなかった。]
水雷艇来るぞ。
半端な錬度じゃねぇから覚悟しとけ。
ナハティガル、副砲、主砲とも“鉄門”の援護に回せ。
あいつ、動く気ねぇだろ。
守るぞ。
[航行に問題があると示した艦を言う。]
「水雷艇、着水確認――来ます!」
[叫びに頷く。]
行くぞ。
[ナハティガルは横一列並びから外れ、僅かに前へ。
そのままの位置で、近付く水雷艇へと副砲の連射。
“鉄門”を守るを主軸とし、自艦へと近付く水雷艇への攻撃は幾分弱まる。
ナハティガルはまだ動ける。動きを回避の為の行動とし。
接近を許すなら副砲を自艦の守りに向ける。
が、それでも主は“鉄門”の援護となるだろうが。
“鉄門”の主砲が吼える。狙いは水雷艇後ろの巡洋艦。副砲は水雷艇を狙い続ける。砲艦も応じるように叫び、並ぶ巡洋艦を守るために動き続ける。
巡洋艦4艦、そして、砲艦の一斉射撃。
各自、己の前の敵を崩す為に。そして、これ以上進ませんと食い止める為に。]
主砲、用意。目標、敵巡洋艦。脚を食い止める。行かせるんじゃねぇぞ。
[甲板を、敵主砲を、狙う砲撃を連続。
自軍、敵軍、両者からの砲撃で海が揺れる、踊る。*]
[日頃の韜晦の影もない素直な声が届く。
きっと満身創痍に違いない。
胸に痛みが滲むように感じるのは共鳴か。
少しなりと痛みを引き受けてやれるなら惜しみはしないものを。]
ああ、おまえと俺で新しい時代を作る。
人も才も財も開放され周り巡る活力ある国を。
二人から始めたことを、世界へ広げよう。
[癒しを願いながら呼びかけ、捧げられたものを汲み出す。]
― 水路南海域 ―
[ ザイヴァルの行く手には、シュヴァルベと離れ、提督旗艦の援護に向かおうとする巡洋艦シュヴァーンが先行している。
先を急ぐことを最優先としながらも、北上してくる満身創痍のザイヴァルを視認すると、後部主砲を撃ちかけて、その足を止めようと試みる。
ザイヴァルの船足が緩まぬなら、そのまま互いに撃ち合いながらのデッドヒートの様相ともなろうか ]
[ 一方、旗艦に距離を離された第二艦隊の残る巡洋艦二隻は、当然にザイヴァルに追いつき、助ける為に動く ]
[ 戦艦シュヴァルベは、東へと抜けようとする巡洋艦を主砲で狙いながら、間に入って僚艦を守ろうとするかの如き、もう一隻には、容赦無く副砲の砲撃を加えた ]
主砲射角修正、右15度、撃てー!
[ 男は艦橋で指揮を続けている。骨折については、気付いている士官も在った筈だが、誰も治療を勧めはしなかった。
動ける限りは、聞く筈がない、と、諦められている、とは、男も承知のことだった ]
[ 帝国巡洋艦からも、報復の砲撃が間断なくシュヴァルベに届き、その激しさに、船足は思うように上がらない。
徐々に東から抜けて行こうとする一隻は距離を稼ぎ、主砲の射程から外れつつあった ]
主砲旋回、目標左舷巡洋艦に変更。
[ 多少でも相手の武装を剥がすことはできたか?それを確かめることは出来ぬまま、男は先に行く巡洋艦を追うことは諦めて、先行しているはずのシュヴァーンへと任せ、間に割り込んだ一隻へと攻撃を集中する ]
撃て!
[ 西の洋上、東への路を巡って鬩ぎあう二人の
―戦場西方―
[並ぶ巡洋艦のうち、1隻が僅か隊列を崩して前に出た>>75。
“鉄門”を守らんとの意志。]
…、だろうな。
あの艦が、定位置に納まるとは思っておらん。
[これまでの遊撃自在の様子を知っていれば、此処までは予想の範疇だ。]
[間断ない砲撃の雨が、水雷艇を目掛けて降り注ぐ。
海面に小さな水柱が乱立する。
大型艦に比べて薄い水雷艇の装甲を、引っ掻くように砲弾が斜めに落ちた。着弾の衝撃で船体がビリビリと震える。]
『ぐ…ッ』
[1隻、2隻…と、ぐらついた水雷艇の艦首が僅か直進から逸れる。]
『流れてるぞ! 取舵を5度修正』
『
[若干の蛇行を強いられながらも、軌道を修正した水雷艇が、再びナハティガルを向く。]
[リオレ島西での遭遇戦と比べれば、相手からの攻撃は幾分弱いものだった。
その理由は――自軍の防御よりも援護に主軸が置かれているためだが、それなら足元を掬ってやろうと、水雷艇はナハティガルに食いついた。
ひらり。踊るような軌道で回避行動を続けるナハティガルを、次々とパートナーが入れ替わるダンスのように、3隻の水雷艇が一呼吸の時間差をずらして突撃する。
敵艦の副砲が至近距離で吼える。
甲板に孔が空く。
黒煙。]
『機関部損傷! 出力半減!』
[悲鳴にも似た怒鳴るような報告を浴びながら、舳先を相手に向ける。
水雷と敵艦との距離は、まだ遠い。
あと少し…]
[水雷艇の1つから、合図の発炎筒が上がる。直後、]
『舵、面舵一杯!』
[それぞれが水雷を翳し、急旋回で敵艦に接近を試みた。
3艇、統率の取れた連携攻撃。
水雷3つがナハティガルを狙って飛びかかる。
…ただ練習と違ったのは、先に被弾を浴びていたという不運。
特に、出力が半減した1隻は――どうしても動きに鈍さが出た。//]
― 水路入り口南側 ―
[水路を目指すザイヴァルの行く手に巡洋艦が現れる。>>77
互いに自軍の総旗艦を目指す二隻の巡洋艦は、皮肉なことに上部艤装をいくつも無くして身軽になったザイヴァルの方が船足が速かった。
右舷副砲の使えぬザイヴァルは回避運動を取りながら相手の左側へと出ようとする。主砲を撃ち合いながら走る2艦の距離は次第に縮まり、やがては副砲を含めての近接戦になる。
ここでもザイヴァルはいくつかの直撃弾を受けながらも強引に相手に寄せて、相手の鼻先を左から右へかすめるような角度で斜めに前を横切った。
直後に攻撃用機雷>>5:161を艦尾から投下して相手の前を塞ぐ。
もはや後ろへの攻撃手段を失くしたザイヴァルは、そのまま東へと進み続けた。]
[随伴巡洋艦2隻もまた、激しい砲撃戦のさなかにいた。
先行する4番艦は、シュヴァルベからの砲撃を受けながらも回避と前進に全力を注ぎ、損傷は被ったものの戦艦主砲の射程距離外へと逃れ出た。
足止めに残った3番艦は、副砲の乱打に晒されて各所を破壊され、何か所もの火災が発生していた。
黒煙を噴き上げながらも3番艦は果敢に戦い続け、自らを燃やした煙をも目くらましに使って僚艦のために時間を稼ぎ続ける。
だがやがてそれも限界を迎え、速力を落としながら緩やかに傾きつつあった。]**
-戦場西方-
3、ね。
もうちょい来てくれると周りが楽なんだけど。
[自艦を狙う数の報告を受けての独白。]
いい、“鉄門”前の水雷艇狙え。そっちは落とせ。
まだ距離ある。回避だ。
[守る選択を。
“鉄門”と砲艦、ナハティガルからの砲撃で、そこへ向かう水雷艇のいくつかは食い止められただろうか。
ナハティガルを狙う水雷艇が接近すれば、ようやくそこでそちらに向き直った。
大きく舵を切り、回避。副砲は接近する水雷艇を狙う。
水雷艇のひとつの甲板に穴が空く。速度がぐっと落ちるのが見えた。
しかし、まだ落ちない。]
しつこいねぇ、本当。
[回避。さらに回避。
伸びる手を払うように、身をかわし、副砲にて距離を開かせる。
ダンスと言うには独特な、一定の距離を持った、それの連続。]
――来るぞ。
構えとけよ!
[声よりも艦の動きの方が早かった。なんらかの合図を持って、水雷艇が迫り来る。
速度の落ちた一艇には副砲の連撃。落ちたか――動きを阻害できたかは判断できぬが、距離は開いた。
同時に、回避行動。回頭し、距離を取り、危険部位を守る。
1はずれた――2、と。
水雷艇の機動に船尾が残る。]
[奇しくも、最初の遭遇戦において、かの水雷艇の攻撃がかすめた場所。>>1:763
ただし、今度は艦が持ち上げられるかと思うほどの衝撃が来た。
男は手に触れるものに掴みかかり、何とか耐え切る。]
生かせ! 持たせろ!
この船ならできんだろ!!!
[混乱の声は少なく――逆に、応じる声が吼えた。]
[外から見た風景は、また奇妙なものだったろう。
船尾に水雷を喰らい、確かに浸水、破損をしたナハティガルは、バランスを取る為に大きく舵を切った。
そして、舵を切り終わると同時に、バランスを“保った”。
そのまま、加速。速度は一切落ちていない。
反撃と己を狙った水雷艇への攻撃を行い、走る。“鉄門”へと向かう残水雷艇の前へと横切るように動く。
副砲、主砲合わせて、総射撃。
撃沈と言う最悪の“死神”を追い払い、ナハティガルはいまだ海上にあり――次の目標へと動く。
残水雷艇、そして、それが減っているなら、目標は敵巡洋艦だ。]
[ナハティガルの内部では、必死のコントロールが続けられていた。
“口”を開き、内部に海水を招きこむ。浸水したと同量を海水を、バランス取りの為に自ら水密区間へと呼び込んでいた。
他区間へ被害が及ばぬよう、浸水箇所の閉鎖は最初の段階で行われる。
この艦の初陣時から、徹底的に乗組員に叩き込まれた、“沈まぬための”手法だ。
海水と言う枷にて落ちた速度は、心臓部に送られる燃料によっての加速で維持される。]
どれぐらい行けんだよ、これ。
[ようやくの様子で男は艦長に問うた。
艦長の返答は淡々としたものだ。
「あたり場所にもよるがあと一発が分かれ目だな」と。]
あ、なに? あと一発耐え切れんの?
すげーな、それ。
[沈まぬように。それを望まれた艦は、いまだ内部にそのための仕組みを抱える。]
その前に、機関部が持たねぇかな。
[“心臓”はいまだ加速が行われている。水圧により内部の圧は上がっている。そのバランスが狂えば、艦は爆発する。
ナハティガルを生かす為に、乗員たちは必死の作業を行い続ける。]
やべぇと思ったら連絡寄越せ。
その時はナハティガルを停止させる。
俺はこの艦も此処にいる奴らも殺す気ねぇよ。
[「それなら火薬も捨てるぞ」と誘爆を案じる艦長の声に、けけと男が笑う。]
動けなくなっても撃てるだろ。勿体ねぇよ。
――ま、まだ止まらんでイイだろ。
もうちょい行くぞ。
[敵はまだ止まっていないのだから。//]
[届く声の気配に、温かくて柔らかなものが混ざる。
見抜かれている。そう、感じた。]
……なにを、
当たり前です。
私たちは、ここを目指してずっと走ってきたのですから。
あと一歩で、夢の形に手が届くのです。
気を抜かず、最後まで一気に駆け抜けてください。
[敢えて強気な言葉を投げる。
心配しなくていい、との言葉の代わり、普段通りを装う。]
[いつだったか、『おまえは弱ると素直になるんだな』というようなことを言われたことがある。
確か、ふたりで刺青を入れに行った後のことだ。
案の定、熱を出してぐったりしているところに話しかけられ、余計なことを言ってしまった。]
『 これくらい、大丈夫です。
あなたと繋がった証の熱なら、嬉しいくらいです。 』
[などと言ったら、まじまじと見つめられてしまった。
そんな昔の思い出が、頭にふわりと浮かんで消える。]
/*
ナハティガルのギミック見てなるほどと思う。
船にはそう言うの備わってるのもあるんだろうしなぁ。
ヴァイは船足確保のために逆に無くしてる気がするw
[一方の“鉄門”側では…
第三艦隊の巡洋艦を目掛けて、敵の主砲が唸りを上げた。
発射された砲弾は緩い弧を描いて水雷艇の頭上を飛びゆき、巡洋艦の鋼鉄製の防護板に当たって激しい火花を散らす。]
『敵艦砲撃、左舷前方に着弾!』
『被害状況確認。いけるか?』
『問題ありません!』
『ならば迎え撃て。主砲発射!』
[負けじと、巡洋艦2隻の主門が“鉄門”を作るそれぞれに咆哮した。
その間も速度は落とさない。距離はぐんぐんと縮まってゆく。]
針路そのまま。根競べだ。
[水雷母艦アストラの艦橋で、前方の戦局を睨みつつロー・シェンは言う。
それは――期せずして、水路入口で起きた扶翼官とタクマの正面衝突を思わせるものであった。]
主砲、角度30に修正。目標、敵砲艦。
狙いが付き次第撃て。
[巡洋艦の後ろを往くアストラからは、“鉄門”への射程はまだ遠い。
そのため、敵巡洋艦を守るように展開している砲艦へと照準を移す。
砲手が照準器を覗き込む。
銃座が角度を調整する。
そして。
前甲板に供えられた主砲が、ごうん。と、火を噴いた。]
[自分たちの倍の数の巡洋艦からの砲撃――
更に砲艦からの集中砲火も浴びた第三艦隊巡洋艦は、
進む程に、その被弾箇所が増えてゆく。
片方は、艦首主砲が沈黙し、右舷副砲が大方やられた。
片方は、破砕孔を艦のあちこちで晒している。
それでも、まだ、止まらない。
水雷艇もまた、“鉄門”副砲やナハティガル主砲による洗礼を浴びながらも――照準を合わせさせまいと小型高速艇の速力を発揮する。限界を要求されたボイラーが震えるように低音で唸った。
ひとつ。甲板を貫通した砲弾が、そのまま海水を艇内に呼び込んだ。
ひとつ。砲撃が機関部に引火し、爆発が起きて噴煙を上げる。
それでも、まだ、止まらない。 ]
[気づいたことを気づかれた、と思う。
いつも通りを装うルートヴィヒの意地が健気だ。]
翼を得た俺に敵はない。
[休め、という言葉は、互いに触れられる時までとっておこう。
ベッドに押し込んだら構いまくってやる。
昔、熱を出したルートヴィヒに付ききりで世話をやいたことを懐かしく思い出しながら笑む。
潤んだ目で「嬉しい」と言われて不意を突かれたが、あれは実にレアな佳さだった。]
[帝国旗艦を追う最中、戦況報告が幾つか齎されている。
その中に、巡洋艦ヴァイの沈没報告があった。
その知らせに、ぐ。と、ゲオルグは一度奥歯を噛み締める。
頭に浮かぶヴァイに乗り組む将兵の顔、その中にヴィクトリアの顔もある。最後に見たのは、頬を涙で濡らしながらも、真っ直ぐに伸ばされた背筋であった。
親友の後を追うような真似はすまい。
彼女はきっと、
― 猫の話 ―
[ゲオルグの住まいには、いつ頃からか猫がいる。
最初は門の前に捨てられて鳴いていた子猫を、何の気なしに拾っただけだった。当時ゲオルグは既に一人で、屋敷には通常、屋敷番の老夫婦があるだけだったが、この子猫を殊のほか喜び可愛がったのは、実のところこの老夫婦であった。
猫といえば、意外にも拾い主を認識したやらどうなのやら、そこそこゲオルグにも懐いてみせたものだから、何となく、そのまま屋敷で猫が飼われることになってしまった。
実は、この数はたまに変動する。
主人が猫好きと勘違いした老夫婦が、引き取り手のない猫を連れてき始めたのだ。長い航海ののちに邸に戻り、増えた猫を目の当たりにしたゲオルグは少し沈黙をしてからこう言った。
「……、猫屋敷には、するなよ。」
それからというものの、猫の数は大体2〜3匹に収まっている。]
[タクマの顔を引っかいたのは、そのうちの一匹。
古株の、ゲオルグが門の前で拾った最初の猫だった。
古株らしく、この家のことを良く知っている。良く訪ねてくる知人の顔も同様で、どうやら、この日はとんでもない騒音を撒き散らす特技のある家の主人の悪友が来ていたようだった。
分かっていれば避けたものを、昼寝で気付かなかったとは大失態だ。即座に木の上に駆け上がり、威嚇してやったものだが───…]
[ヴィクトリアとタクマの出撃前の一幕を、男は知らない。
知れば笑ったことだろう。
タクマには色事の噂がとことんにない>>5:270
ないが一度だけ、それに近い憶測が囁かれたことがある。
顔に鋭い引っかき傷──女性のものではないか、と噂になった──の原因の一端を、男が握っていたことがあるという程度の話だが。
副官を案じるというにはゲオルグ自身にもその手の噂はないもので、結局はそういった話に縁遠い、ある意味残念な似た者ということなのかも知れなかった*]
― 戦場西方 ―
[旗艦の背後を守らんと残った巡洋艦二隻のうち、一隻は甲板上に砲撃を受けており、どうにか消火を済ませたものの、その動きは既に緩慢だった。
死んだ者も数多い、怪我を負ったものは更に多い。
多いが戦いの意思が潰えることはなく、帝国艦隊の行方遮る意思を持ってナハティガルへと伝達を送る>>72
それは丁度、座礁した帝国戦艦が最後まで戦いを諦めなかった姿にも似て、それも軍人の矜持というものかも知れなかった。もう一隻、残った巡洋艦は傷を負った僚艦を庇うように僅か西方、舳先を異にして艦を並べている。
これも動く意志はなく、最後は己自身を以ってしてでも帝国艦隊を止めんということのようだった。]
『ナハティガルが来た───!』
[それでも、不沈の名を持つ僚艦の助けにわっと歓声が上がる。
いかに覚悟定めたとはいえ、やはり救援があれば嬉しい。将兵らの士気は上がった。
『我ら全砲門を以って、敵の進軍を留めんとす。』
とは、救援に駆けつけてきた二隻に送られた信号である。
つまり動く気はないと、既に知られていた覚悟>>74を改めて伝達する形だが]
『全砲門開け。
近い簡単な的だ、外すんじゃねえぞー。撃て!!』
[陽気といえるほどの指示が、巡洋艦に響く。
続き、耳を聾する轟音>>75が一斉に*響いた*]
― ”水路”旗艦ヴァンダーファルケ ―
[ヴァンダーファルケの後方、アードラーの主砲がマストの上を越えて前方、敵巡洋艦を狙う。帝国巡洋艦の狙いは依然として、ヴァンダーファルケだ。
避け続ければ多くは水柱を上げるばかりだが、どうしても、時折嫌な轟音が響く。]
……っ、
[があんっ!!と、一度は、艦橋近くに榴弾が落ちた。
近くの木箱を燃え上がらせたそれに、海水による消火が施される。
破片を食らったのだろう、生きているか死んでいるか分からない血に濡れた兵がその場から運び出された。]
まだだ。
[まだ。太陽に手は届かない。
激しく揺れる艦の上、ゲオルグは強く前を睨む。]
[前方の巡洋艦が回頭する>>65
その隙を狙うように、アードラーからまた砲撃があった。
ヴァンダーファルケは撃たぬまま、回頭する艦の後ろを抜けようと試みる、が。]
『───…取り舵…ッ』
[特有の海流に船足を取られかけて、舵を切る。
ぐらと艦が揺れて、舷側に白い大きな波を立てた。]
…、戦艦は来ない、か。
[呟きが落ちる。ありがたいと素直に思った。
もしも皇帝が損害を省みずに逃げ切りを図らんとするならば、戦艦をも回頭させてくる恐れがあった。そうすればヴァンダーファルケも応戦せざるを恐らくはなく、それだけ距離も再び開くだろうが]
いいや、しないな。
[これはただの障害物競走ではない。
帝国艦隊は、この水路を抜けた先に威を示す必要がある。
故に─…と思う以上、何故だか、男の中にはこれが若き皇帝との対話でもあるかのような奇妙な錯覚があった。
届くものならば示してみせよ、と。
輝かんばかりの覇者の意向が波を分ける先にある。]
お前、
[無茶振りにはごく短い絶句が返った。
振り切られたのか突破されたのか、そうであれば、ただ無事であるとも思い難いが]
………年寄りをなんだと思って、
[しかし、呻くように返されたのは別の音。
微かに口元に笑みに似たもの刷くだけの間を置いて]
[後方からは巡洋艦シュヴァーンが追ってきている>>15
射程に入れば、アードラーを援護して巡洋艦へと襲い掛かるはずだった。…その前に足止めされていなければ、だが。
ふと、視線が後方、西へ流れる。
今は目に映らないその向こう、皇帝の翼がやがて来るだろう。
翼を得れば、かの人を止める手立てはもうあるまい。
なればその前にこそ]
[やがて”水路”は南へと抉れてくる。
海底の地形が複雑になり、北からの水流が島の北岸をなぞってやがて北への流れを形作るその地点。
そこにかの皇帝を捉えんと、
― 水路入り口南側 ―
[ 艦上の軍装と引き換えに速力と身軽さを得たザイヴァルが、追いすがろうとするシュヴァーンを振り切り北へと抜ける。>>83
シュヴァーンは、尚諦めず主砲をザイヴァルに向け追撃しようとしたが、その鼻先で、ザイヴァルの置き土産とも言うべき攻撃用機雷が次々と弾けて、水柱をあげ、艦を揺らして狙いを定めることを阻んだ ]
[ シュヴァーンが、即席の機雷源ともなった水域の突破に手間取る間に、戦艦シュヴァルベを僚艦の身を呈しての援護によって振り切った帝国巡洋艦が、追いついて来る ]
[ シュヴァーンは、ほぼ攻撃力を失っていると見える、ザイヴァルを追う事を諦め、新たな敵艦に対峙して、その針路を阻む路を選んだ。
回頭し、迫り来る帝国巡洋艦に船腹を向けての砲撃が始まった* ]
タクマさん、は聞いたことないけど、
ああでも、鼻歌の噂は聞いたわね。
耳が痛いとか、二度と聞きたくないとか、
船が沈むほど酷かったとか…。
散々な言われようだったけど。
[ただ教えてくれた僚友は、だいぶ懐かしそうにその事を語るものだから、楽しい話の一つとして記憶していたのだが。]
『ゲオルグおじさん』の副官なら、
優秀な人なんだろうね。
あれ、そのシロウ…って、シロウ・エイベル?
ジェフ先生の縁の人かしら。
先生から名前、聞いた事があるよ。
お酒が好きで、軍医にならない変わり者だって。
あ、ジェフ先生は、
ジェフ・エイベルって言って母上の主治医で。
腕の良いお医者様よ。
…たまに手つきが、ちょっと…
ううん何でもない。気のせい、きっと。
[ひらひらと手を振って誤魔化して。]
そう、なら前線の、大変な所に居るんだろうね。
どこかで…ひょっとしたら会ってたかもしれない。
[互いに見ぬまま、知らぬまま。あるいは命の奪い合いを。
ふと肉薄した巡洋艦の事を思い出しもしながら、言葉が零れた。
どこで、とはヴィクトリアにも言わずに、ヴァイスメーヴェまであと僅かという所まできて。]
残念、思い出したか。
聞きたい事を優先させると駄目ね。
[もう少し気づかなければ、僅かだけでもあの船に一緒に乗る事が出来たかもしれないが。
ああやはり――やはり越える事の出来ない壁があるのだと、胸にこびりついた寂しさを紛らわすように、少しだけ強く幼馴染を抱きしめ返した。
身に着けていた軍服は、一度も袖を通した偽りのものではなく、馴染んだ帝国色の物へと変わっている。
階級は、少佐。ひたすらに真っ直ぐに、帝国で職務を全うした証が襟元に在った。]
そう…父上が亡くなったのは聞いてて、
少し、心配していたの。
でも心配なんて、する事なかった。
もう立派な大人で、領主様だ。
大きくなったし、あんな前線に来る無茶はするけれど、
優しくて、変わらない、愛しい弟だった。
[最期の言葉を、顔を、思い出すように噛み締めて。]
[合図のように、汽笛が鳴る。
ゆっくりと、名残惜し気に幼馴染を体から離してから、少し笑った。]
乗って、ヴァイスリーヴに。
貴女一人で。
私はもう”そっち”には行けないけど、
貴女は…まだ乗れるはず。
[明確にある線を越えないよう幼馴染を送り出そうと、ヴァイスメーヴェの乗船口を指し示す//]
/*
おちないねぇ。
機雷は余裕で戦艦轟沈させるから、沈んでくれてもいいのよ?とは思うのですが、仕方ない。
先の戦艦とか機雷原とか抜けるのにできたらもう一隻ほしいんですが駄目ですか。そうですね。
でもちょっと押し通ってみようかな。
/*
ちょっとずるっこい描写を使うけど許して。
あと、タクマほったらかしになっちゃってごめん。
でもいろいろ考えるに、このままだと単なる帝国の敗北なので、多少は意地を見せてやらないとなのですよ。
/*
タイミングは見るね。
総大将同士ががっぷり四つに組んだくらいに到着したいよね。
きっと早すぎると迎撃されるからね(←
/*
ところで恒例の当たらない中身当てですが。
リアは話してたら何となくというか、このロルまんまのキャラに前遭遇したのでデジャヴが(
えんじゅねこみちさんは多分帝国英雄副官だよなぁと。
残りは微妙な…他の人のセンサー無いんだよなぁ。でぃあさん誰だ。
ふかさんはローシェン>ゲオルグ…だと思うけど自信が。
るなうぇいさんはタクマ…かなぁ。これも自信がない。
あ、COの時点でばればれだった人からは目を逸らしておきましょうかね…(シロウとミリアムではなくて。うん(
― 邂逅 ―
ルカはウェルシュの姉なんだから。
嬉しくて当然だろ。
[>>+108 綻びがまだ小さかった時は、まだ笑みも多く浮かべられていた。
ウェルシュが為したことを自分の事のように喜ぶ様子は、ヴィクトリアも嬉しいものだった]
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 激しい砲撃の音が間断なく響き、帝国巡洋艦から立ち上る黒煙と水柱が視界を暗くする ]
しぶといな、さすが扶翼官殿旗下の艦だけある。
[ ゆっくりと傾きながらも、なお砲撃の手を休めない相手に、シュヴァルベも副砲回りの装甲の薄い場所を何カ所か破られ、機能停止、或いは破壊された副砲も三基ばかり、ほぼ半分に減った副砲からの砲撃は間遠になりつつある。
男は額から滲んで顎に流れ落ちる脂汗をぐい、と拭った ]
人見知りは…そっか、ルカは前からそうだったっけ。
最初に逢った時も人の後ろに隠れてたよね。
[懐かしいな、と呟く。
続く幼馴染の疑問>>+109には少し言葉に窮してしまった]
人見知りもルカのありのままって言やぁ、ありのままなんだけどねぇ。
[困ったことに言えたのはそのくらい]
[変わった>>+110と言われれば、そりゃあねぇ、と言葉を返す。
元々お転婆ではあったが口調はこんなではなかったし、行動もそれらしくはしていた。
だいぶ変わった自覚はある。
が]
綺麗って。
それを言うならルカのことだろ。
[意識して女性らしいことをしては居ないため、指摘されての自覚は到底薄かった。
ヴィクトリアにしてみれば幼馴染の方が余程綺麗で可愛らしくなったように見える。
それは言葉にも表れていた]
乗ってる奴らは……大体は慣れた奴らだけどね。
たまに新兵が居ると3日は使い物にならないかな。
でもアタシのに慣れたら余程大きい揺れとかじゃなければ耐えられるようになるよ。
[乗員の心配をする幼馴染>>+111には、やはり反省の色無く楽しげに笑う]
ぶっ、アイツの鼻歌の噂、随分広がってるんだな。
でも散々な言われようになるくらいに酷いぞ。
[>>+112 体験者は語る]
…あぁ、うん。
あの人が傍に置いてるんだからね。
[『ゲオルグおじさん』。
その単語に反応するには少し時間がかかった。
自分が呼び慣れていないせいである]
あぁ、シロウ・エイベルで合ってる。
へぇ、お袋さんの主治医なんだ。
そういやアイツは家ぐるみで軍医やってるんだったかな。
[確認を取る声>>+113には是が返った。
その話を聞くと同時、世間は狭いとしみじみ思う]
………なんか、シロウと正反対っぽいな、性格は。
[誤魔化そうとした内容を察知して、幼馴染になんかしてたら承知しねぇ、なんて思った]
んー、どっかで見かけてる可能性はあるんじゃないのー?
[軍内のことだし、と。
紡がれた幼馴染の言葉>>+114に違和感は抱かなかったのだが]
[身近な者に関しての話題では、やはり違和感を大きく感じた。
幼馴染がウルケルに居たなら、ウェルシュの近況を知らないはずが無いのだ。
彼女達は、それだけ仲が良かった]
なんだよ、言ってくれたって良いじゃないか…ッ。
[どうして隠したんだ、と問う代わりに文句めいた言葉を紡ぐ。
残念>>+118と言うからには幼馴染は気付いていたはずなのだ。
抱き締めた彼女の軍服はいつの間にか帝国軍のものへと変わっている。
自分より上の階級を示す証は、今は瞳に入らなかった]
アイツは…昔より立派になったけど、変わらないよ。
変わらず、
[>>+119 幼馴染よりも近くに居ても、自分が弟のように思っても、幼馴染の代わりにはなれない。
ウェルシュの姉は、幼馴染以外に無いのだ]
[ぽん、と叩かれる背。
その感触はとても優しく、暖かく身体に響く]
ルカ…
…アタシこそ、ありがとうを言わなきゃ。
大好き、ルカ。
[こんな形でも逢えて良かった。
伝えられなかったことを伝えられた。
感謝は、言葉で伝えるだけでは足りない。
優しく背を叩く幼馴染とは対照的に、抱き締める腕に力を込めた]
[そうしているうちに響く、汽笛の音>>+122]
…ルカ?
なんで、一緒に乗るって。
[腕を解き離れていく幼馴染に疑問の声をかける。
示されるヴァイスメーヴェへの乗船口。
そちらを一度見てから、再び幼馴染を見た//]
年寄り程、働かされるのが軍隊てとこです。知らなかったんですか?
[ 声に、痛みの色は乗らない。意識はまだ明瞭だ、ささえ、られる ]
『大佐!来ました!』
[ その時、この戦闘の中、果敢にもマスト上での見張りを続けていた下士官からの報せが降ってくる ]
『味方水上機母艦1、水雷艇母艦1、及び水雷艇、約10、7時の方向より接近中』
およそ半分、か、生き延びた方だな。
[ 後方で待機し、独自にヴァイとヴァイスメーヴェの援護をしていた母艦とその搭載艇が、巡洋艦を連れずに追いついてきたということの意味は、男にも分かっていたが、それには触れることなく ]
取舵一杯!砲撃止めるな。
僚艦に信号、敵艦を牽制しつつ、北北東に進む!
/*
未だ潜伏中(お風呂行ってたCO)
お風呂の中でつらつら考えていたけれど、この決戦でやはり帝国軍は"勝たねば"ならないと思うのですよ。
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 帝国巡洋艦には、まだ追ってくる力は残っていただろうか?
だが、追おうとすれば、南から懸命に追いついてきた水雷艇が、今こそ役目を果たそうと、その船体に襲いかかる ]
[ 戦艦シュヴァルベが目指すのは、ザイヴァルが真っすぐに目指す水路ではなく、その西側...皇帝に忠実な帝国の精鋭たる艦隊が、二人の英雄の邂逅に水差すことを阻もうとする* ]
/*
理由はこうだ。(ばばーん
総大将同士の戦いは、たぶんこのあとなんだかんだあって陛下と提督が殴り合い(生身)の後、陛下たぶん捕まっちゃうと思うんですよね()
損害率でも負けて、皇帝も捕まって、でも海峡は開けるね、なんて言われたら、帝国の立つ瀬がないですよ。
小国に完敗したうえにお情けで海峡を通してもらえるようになった、なんて言われるようになれば領地経営に支障が出る。
というか、納得いきませんねそんなの。
/*
というわけで、おまえもよくやったがおれもよくやった、を実現するためには、せめて首都ぐらいはたどり着いておかないとと思うわけです。
首都に行って、政治家連中に砲塔を突きつける。
それで初めて、対等の交渉のテーブルに立てる。(それでも微妙に負けてるけど
もちろんウルケル側にもなにか考えはあるのだろうし、ひょっとしたら船の上で話し合いをする気なんじゃないかとも見ているのだけれども、それでもやっぱりお情けで海峡開かれた間はぬぐえないですからねえ。
完勝されたうえで「じゃあ開くね」は屈辱ですよ。
『帝国は受けた屈辱をそのままにはしない』
ですよ。
/*
というわけで首都に行こうと思うのだけれども、考えてみたら「皇帝捕まえたよ」って連絡行ったのちに帝国艦が首都に現れてなんか言っても、はいはいきみたち負けてるでしょわろすわろすになるから、えーと、
うん。連絡用の複葉機が落とせるように、こっちも複葉機連れていこうか。(←
/*
まあちょっと愚痴になるけど、
こっちは本気で殺し合いする気でやっているのに、相手は戦闘能力を奪おうとするような攻撃しかしてこなくて、なのにこっちが負けまくってる状況というのが。
(それはあなたが沈めまくっているからです
(だって、何かされたら乗ってあげたいじゃん?
(相手の策は引っかかるもの。相手の攻撃はくらうもの
(でも本気でやってるのに本気じゃない相手に負けるのって、ちょっとカッコ悪いよね
[“水道”を進むうち、グイ、と足元が捻られる感覚があった。]
──潮目、か?
[兵らが右舷を示して騒いでいる。
目をやれば、海面に大きな渦巻きが出現していた。
波を吸い込み、深く引きずり込む漏斗。
その姿に、砲弾が飛んで来ても怯まなかった兵らが浮き足立つ。
今にも海竜が出てくるのではないかと、確かにそんな畏怖を呼び覚ます何かがあった。]
落ち着け、自然現象だ。
[兵らを制しながらも、魔事には違いなかろうと感じている。
ここの海流は予想以上に癇が強そうだ。
前をゆく巡洋艦も船尾をフラつかせている。]
[「敵旗艦、来ます!」との報告に、やはり、と顎を引いた。]
仕掛けてくるぞ、 主砲用意──
[手を上げた瞬間、 グラリ、
再び激しい傾きに見舞われて、とっさに手すりを掴む。
北への流れに捕まったのか、船尾が大きく押しやられていた。]
[「舵が効きません!」と悲鳴のような報告があがる。]
推力を抑えろ!
[このままでは岸に突っ込みかねない。
スクリューを止めさせてその危機を回避するも、
流れに運ばれるままとなったシュヴァルツアインは艦首を起点に船尾で半円を描くように振り回され、あるまじきことか完全に西を向くこととなった。
さっきまでの右舷の景色が左舷になり、東進する艦を正面に見る。]
/*
あ。
機雷は戦艦でも轟沈させるんだよってさっき言ったけど、それが共通認識になるわけないよなぁ、ということに思い至る。
wikiにも書いてないしね。
いけないいけない。
この村を始める前にさんざん呟いておいた呪文を繰り返しておこうか。
「おまえのそれは共通認識にはなりえない」
「自分の認識を常識と思うな」
「大事なのは寛容の心」
[即座に後続──今や前方──の味方艦列に指示を出す。]
これは戦術的旋回に非ず、同調の必要なし!
旗艦を避けてそのまま進め。
後ろは気にするな、第二艦隊と第三艦隊がいる、おまえたちは無事に”水道”を抜けることを考えろ。
[仮に真似しようと思ったところで出来る機動でもなかったが、二番戦艦と三番巡洋艦は後ろ髪を引かれつつ命令に従い、シュヴァルツアインの横を行き過ぎて先行する巡洋艦2隻を追った。]
主砲、正面の戦艦を撃て!
[そして単独で残ったシュヴァルツアインは、敵艦隊を擦り抜けて駆けつける第二艦隊の援護をすべく、スクリューを回して前進し、攻撃を再開する。]
/*
ところで猫一匹じゃなかったんですね。
[ そして提督はやはり律儀だった ]
子猫なら懐いてくれたりとかしないかな(妄想)
[ザイヴァルから旗艦の異変は見えたろうか、と思う。]
一刻も早くおまえに会わせてやろうという天の采配だろ。
[そんな風に嘯くけれど、本心も混じっている。]
― 水路入り口南側 ―
[旗艦を追う第二艦隊4番艦は、その手前に巡洋艦シュヴァーンの姿をみとめる。
敵艦が回頭し始めるのを見て取った4番艦の艦長は、相手の回頭の逆方向へと舵を切った。
回頭している間はどうしても速度が落ちる。回頭を途中で止めようにも、軍艦の質量と慣性が時間のロスを産む。
その時間差を利用して、4番艦は相手のと距離を詰め、抜き去ろうとした。
緩やかに弧を描きながら敵艦と旗艦の残した機雷を避け、4番艦は東へ向かう。
傷ついた旗艦を、それでも飛ぼうとする翼を、水路の機雷原や敵艦の妨害から護らねばならない。
僚艦としての意地の見せどころだった。]*
/*
悪いログの書き方しているから、良い子は真似しないように
(わかっていてやっている悪い顔)
常識ではこうだろ?だからお前はこうするのがあたりまえだろJK、という押しつけ的な書き方はあまりよろしくないかと思うのです…
/*
地上の熱い戦いをガン見しつつ戻り。
しかしものの見事に生存フラグを立てられてて笑うしかないなw
いや、ありがたいことなんだが。
― 後方 ―
[シュヴァルベを足止めしていた3番艦の艦内では、ちょっとした意見の衝突が起きていた。
優勢な敵艦隊が近づいてくるのを発見した乗組員たちは、このまま力尽きるまで足止めの任を果たすべしというものたちと、これ以上の戦闘はむやみに犠牲を増やすだけだというものたちとに分かれたのだ。
話し合いは乱闘にまで発展しかけたが、艦長の「陛下よりお預かりしている艦をむざむざ海に沈めることはできぬ」という言葉で決着がついた。
かくして3番艦の砲塔は沈黙し、乗組員たちは沈みかけた艦を立てなおす戦いへと注力することとなった。]*
―戦場西方―
『敵巡洋艦、まだ―――… 沈みません!』
[水雷の爆発を視認したマスト上の見張りが、驚愕の声とともに報告する。
ナハティガルの船尾を水雷が捉えたのは、これで2度目である。
けれど尚も彼の巡洋艦は――まさにその“浮沈”の名の通り――沈むことなく周囲の水雷艇を蹴散らして、牙携えたまま“鉄門”を支援せんと駆けてくる>>89。
「ええい、ウルケルの巡洋艦はバケモノか!」と兵の誰かが呻いたのも、無理からぬことであった。]
[水雷母艦アストラからでは、ナハティガルの内部状況>>90までは垣間見えぬ。
けれどもし知ることが出来たならば、恐らくロー・シェンはこう言っただろう。
…、成る程。
おまえはまさしく医師だ。
人だけでなく、艦の命すら繋ぐのだからな。
――――と。]
[此処で帝国を止めるが使命と定めた“鉄門”たる巡洋艦2隻に、動く様子は見られない>>99。
それは背水の陣にも似たもので――
賭した覚悟が、一層の強さを彼らに与えるかのようだった。
ロー・シェンの口元に、苦笑とも笑みともつかぬものが、…ふ。と滲む。]
、どちらも度し難い頑固者だ。
[そうして操舵手に命令を下す。]
アストラ、取り舵5度。最大戦速は続行。
これより巡洋艦の間を縫って前に出る。
[一斉掃射を引き受けている巡洋艦は、そろそろ限度と判断した。
もし此処に巡洋艦ヘイゼルがいたら、あるいはもっと戦局を上手に掻き乱してくれたのかもしれないが…、
今はこの戦力で、出来得ることを成すのみだ。]
貴女を待ってる人がいる。
さ、行って。
リアを呼んでる人たちが、
向こう側に引っ張って行ってくれるから。
[まだ動かないようなら、とんと背中を軽く押して、
一歩を踏み出す手助けを。]
[主砲の沈黙していた方の巡洋艦が、反撃できぬまま…戻ってきたナハティガルに距離を詰められる。
更には“鉄門”からの主砲も加わり、]
『――――!!!』
[ついに喫水線上にぽっかりと破砕孔が空いた。沈む。緩やかに…]
『…ッ、総員脱出!』
[艦内が騒然となり、あわてて救命ボートが海に投げ入れられてゆく。]
/*
まあ、生死不明だと、生存フラグは積まれますよねえ……。
などとしみじみしつつ、ひっそりこんばんはー、ですよっと。
― 水路 ―
["万波を排し"水路へと入ったザイヴァルは、名残のように残された航跡を追う。
全力航行の果て、見えたのは敵戦艦2隻の鋼鉄の壁と、その向こうで回頭している総旗艦シュヴァルツアインの姿だった。]
陛下!?
[なにを、と思わず立ち上がって、その光景を見つめる。
まさか総旗艦を使って相手の足止めをするつもりかと。]
/*
wwwほんと、うちの軍は艦沈めるの好きですねwww
ある意味では見せ場ですものねえ。
(←ザイヴァル沈めようと虎視眈々してた人
(たぶんもう無理だけどな!)
― 水路入り口南側 ―
[ 回頭中に、砲撃を受ける事は多々在った。しかし、同時に逆回頭したうえ、速度を上げて、擦り抜けようとする敵艦など、シュヴァーンに乗る歴戦の海の男達も見た事はなかった>>116 ]
[ とはいえ、臨機応変がウルケル海軍のモットーだ。
慌てはしたが、騒ぐことなく、シュヴァーンは回頭を続ける、90度の予定を180度。
そして、主砲と副砲を横を通り抜けていく敵艦に、一斉に撃ちかけた。
だが、互いに回頭直後、常識外の...恐らくは最大戦速で動く相手だ、命中精度は期待できない++ ]
………まったく、なにをやっているんですか。
[溜息とともに声を送る。
天の采配とやらならば、わざとではないのだろう。]
あなたの天命はまだ尽きていません。
私が扶けます。
だから、───ちゃんと前を向いてください。
[先に進んでくれという、祈りにも似た思い。]
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 帝国第二艦隊三番艦内で巻き起こった論争は>>117男の元には届かなかったが、届いたならば、艦長の決断に、最大限の敬意を払い敬礼を贈っただろう。
砲塔が沈黙したその結果、男の率いる艦隊が、速度を上げることが出来たという事実を抜きにしても、だ ]
沈めずに済んだか...
[ ぽつり、と落とした声は、心底ほっとした響きを帯びていた ]
見えた。
よく来た。
ひどい姿だな──
よく耐えた。
[「私が扶けます」との言葉に返すは信頼の温度。
戦場にあってすら、ここはこんなに変わりない。]
来い。 俺の隣に立て。
話はそれからだ。
これでも、勝算はあってやっている。
[ゲオルグが易々と回頭を許すとも思えない。
背を向ければ衝角を使うこともできない。
なによりも、アレクトールは心折れてなどいない。]
― 水路 ―
[ウルケルの戦艦の射程距離に入る手前で、ザイヴァルはわずかに速度を緩め、蛇行運動に入った。
反転攻勢を強いられている旗艦を援護するならば、敵艦の前に出るわけにはいかない。
今、ザイヴァルに背後を攻撃する能力はないのだ。
いずれ、攻撃を振り切った4番艦も追いついてくるだろう。
戦艦2隻に対して巡洋艦2隻では心もとないどころか無謀だが、運命がこちらを見捨てていないなら足止めの役には立つだろう。
"幸運な一打"が出れば、あるいは。
ザイヴァルの砲塔がゆっくりと回転し、戦艦へと向けられる。]
[だが、そこから砲弾が放たれることはなかった。]
……。
[空気張りつめた艦の上で、扶翼官は心のうちと対話するように沈黙を保っている。]
良い面構えになった、とでも言ってください。
[ひどい姿だとの言葉には、不敵を返す。
あなたのためだから耐えられたのだとは口にせず]
───…勝算、ですか。
[真意を探るような間が空いた。
トールからの声に、影や歪みはない。
いつもと変わらず、眩く輝く光だ。]
…わかりました。
その勝算とやら、聞きに行きましょう。
[結局、求められるなら自分は行くのみなのだ。]
[そして、4番艦が追いつき、背後からシュヴァーンが姿を見せ始めたころ、ザイヴァルのマストに掲げられたのは、
『他に構うな。前進せよ』
という信号旗であった。]
― 邂逅 ―
[問う声に返る言葉>>+136は俄かには理解出来なかった。
そこには黙っていた理由も含まれていて、何故そうしたかがすとんと腑に落ちた]
ああもぅ。
少しくらい融通が利けば良いのに。
[幼馴染の願いは自分の願いでもある。
自分が幼馴染の死を思い出したことで行き先が変わるなら、願うことで乗ることが出来るように出来ないものだろうか]
[そんな風に考えて、はた、と思う]
…てことは、アタシまだ…?
[てっきり死んだから幼馴染のところに居るのだと思ったのだが。
彼女>>+137からもそれらしいことを言われ、何度も瞳を瞬いた。
そうしている間に、幼馴染に背を押され、ヴァイスメーヴェの乗船口に足をかける]
え、ちょ、ルカ。
[振り返ると幼馴染はまだ居たが、それ以上進めないかのように先程の場所から動いていなかった]
おま、
ルカこそ『好きな人』居たのかって話だよ!
……居たら手紙に書いてるって。
[勢いで言い返しつつ、暗に居ないことを告げて]
/*
あとはゲオルグさんの反応待ちですね。
本当は、私が来る前に何かしたかったのかもしれないけど、早く陛下に会いたかったんです。
つか、出来るまでって、一生無かったらどうすんだ。
[来れないじゃないか、と少しだけ呆れ気味に笑った。
ヴァイスメーヴェの内と外、幼馴染と向かい合う形のまま、汽笛が再び長く鳴った//]
/*
>>+139ルカ
ホントにな!
>>+140シュテルン
なんだよねぇ…。
なんか死んだらルカに殴られそう、ってのもあったんでああなったんだけども、思いの外積まれて噴いたと言うw
[撃沈を免れたもう一方も、青息吐息の有様だ。
そんな味方巡洋艦を守るように、水雷母艦アストラが前に出た。]
よく――… 此処まで守った。
[声が届くことはないが、それでも味方の盾となり続けた巡洋艦に対する労いの言葉を口にして]
― 戦艦シュヴァルベ ―
前進、5戦速!
[ 意識は一瞬で切り替わる、速度を上げた戦艦は波を蹴立て、潮流を掴まえて、滑るように北北東へと進む ]
『10時の方角に味方艦隊視認!交戦中のようです!』
[ 届いた声に、男は自ら双眼鏡を覗く ]
ナハティガルが居るな。あそこで食い止めようという腹か...
『どうしますか?大佐』
...もう少し寄って、状況確認する。ナハティガルが居るってことは、あそこは、「要」だ。
破られると不味い。
[ 近付いてみて、援護が必要ないと判断できればそれでいい。だが押されているようなら援護を、と、そう指示を降した* ]
応戦する。
目標、“浮沈艦”。
[艦首を巡らせ、副砲および主砲の照準を――留まるを選んだ僚艦を守るために駆けつけたナハティガルに向ける。]
…あれをどうにかせねば、 路は開くまい。
[それは確信に近いもの。
守り抜かんとする
― ”水路”旗艦ヴァンダーファルケ ―
[ヴァンダーファルケは回頭した巡洋艦の後ろを抜け>>102、東へと向かう。立ちはだかる巡洋艦へと、アードラーが放った砲撃の成果は、さてどうだったか。
抜くこと叶えば、すぐにでも旗艦の後を追わんと再び速度を上げただろうが]
…、 なに、
[潮の流れが変わる。それは当然予想のうちだった。
ヴァンダーファルケは一旦、右に舵を切り、再び左へ舵を切ることで”水路”の南端、丁度渦の傍らをすり抜けるようにして東へ向かう進路を企図している。
目論見通りにいけば、更に速度を上げることもかなうだろう。その、つもりだったが]
『帝国旗艦、…っ回頭しています!』
[不意に、ぐらり。と、前方の戦艦の船尾が不自然に揺れた>>111
そのままくるりと、洋上、踊らされるようにして艦が振り向く。それは帝国艦隊にとって意外であっただろうが、ウルケル側にしても意外であるのは同じであった。
複雑な潮流に手間取るのではないかと期待した。
が、ここまでの回頭は流石に予測の外にあったのだ]
/*
>>+145
俺も今回、この落ち方じゃなかったら散々積まれてたと思いますしねぇ……。
ていうか、俺の場合は、落ち決まる前からのあれこれに緑化を抑えきれなかったというか、ですが……!
/*
>>+146シュテルン
シュテルンの場合は決まる直前から後ろに下げる動きだったなw
ここはウェルシュもか。
希望はロールで回す、と誰かが言っていたが、全く持ってその通りになってた。
[シュヴァルツアインの主砲が、こちらへと向けられる。
それを認めて、ゲオルグはひとつ息を吐いた。
傍らの士官が司令塔へ入るよう、男へ促す。それを一蹴した。
男は艦橋に身を置いたまま、前方、皇帝旗を掲げた艦の姿を見据えている。]
速度保て。進路このまま。
主砲用意。目標、───敵戦艦!
[そうしてヴァンダーファルケが狙いを定めたのは、シュヴァルツアインではなくその先だ。旗艦の横を行きすぎ、先へ、東へと急ぐ戦艦を押し留めんとの意をもって主砲の狙いが定められる。]
― ストンプ ―
あはは、遠慮しないで食べて。
[>>+53 シュテルンは意外にもよく飲めるほうで、話は弾んだ。
ちなみにウェルシュは見た目通り(?)、あまり飲めない。
付き合い程度には飲めるけれども、飲み過ぎると直ぐ眠くなってしまうのだ。だからワインはゆっくりと時間をかけて、飲む。
>>+55 シュテルンは真っ直ぐ萌黄色の双眸を此方に向けて、答える。その表情はどこか遠くを見つめていて、]
そっか。……友達、か。
[口調は軽いものと努めているけれども、その表情は僅かに憂いを帯びていて。その変化を指摘しようと口を開きかけたけれども、自重して、噤んだ。]
良いね。
僕はそこまで言える程の友達は、居なくてね。
[グラスに残ったワインを飲み干し、目を閉じた。
領主として可愛がられ、街の人から敬われて育ったけれども。
友達と呼べる関係の者は、実はあまり多くない。]
―――……大切にすると良いよ。
[実はその友達がもう居ないだなんて、ウェルシュは知らないけれども。
例え居ないとしても、大切なものには変わりはないのだから。*]
[轟音が響く。シュヴァルツアインから撃ち放たれた主砲>>115が、左舷、2基の副砲を削り落とした。その衝撃に艦が揺れる。甲板上に悲鳴と怒号が響く。
返礼とばかり撃たれた主砲は、離れ行く帝国戦艦へと向けられた。そしてヴァンダーファルケ自身といえば、真正面、やって来るシュヴァルツアインへその舳先を向け続ける。]
怯むな……っ!
[主砲が再装填されるまでの少しの間、いつかとは逆のように、ヴァンダーファルケがシュヴァルツアインへ真っ向から迫る//]
[アードラーの砲撃を受けた第一艦隊の4番巡洋艦は、もはや青色吐息だ。
かくなる上はウルケル戦艦の前で自沈して妨害しようという過激な発言も出ていたが、不自然に回頭した帝国旗艦の動きに沈思する。
その後、追い上げてきた第二艦隊の旗艦に掲げられた信号旗>>128を確認し、最終的には第二艦隊の3番艦と同じ結論に至った。>>117
甲板に出た兵らは帽子を取り、ザイヴァルに一礼する。
「我らはここまでです、ご武運を」]
/*
ここでうっかり、水雷艇にやられて死んだりとかしたくなるよね。(まて
いや、死に損ねたから死にたいとかじゃなくて、わりと最近のエンタメに有りがちなパターンかなって。
(大団円になるかなーって思わせておいて、誰かひょっこり死ぬ的な)
まあ、熱血には要らない要素だな。(ぽいした)
― ストンプ ―
……ぁー……。
[そこまで言える程の友達は、居ない、と。>>+148
告げる時の表情に、短い声が上がる。
領主という立場では、それは中々難しいのかも知れない、けれど。
それはそれで、ちょっと寂しいよね、なんて思ったのは、自分がなくした直後だからか。
ともあれ、続けられた言葉>>+149に、小さく息を吐いて]
……ええ、大切に、します。
一緒に飛ぶ事は、できない、けど。
あいつがくれたものは、もう二度と、忘れないって。
……そう、決めたから。
[たくさんの想い出と、最後に得た痛みと。
どちらも決して忘れまい、と。
今の自分に出来るのは、それだけだから、と。
そう思う事で──思い定める事でぎりぎり、自分を保っているのは否めないけれど。
忘れてしまう選択肢だけはないから。*]
―眠りに就く前:ストンプ―
[さてその後、シュテルンとの食事はどんなものだっただろうか。
食事を終えたあとは、彼に湯を浴びるよう勧め、客室を宛がった。]
明日、午後一番にストンプを離れるよ。
カルボナードに向かおうと思う。
今夜はゆっくり休んでね、おやすみ。
[寝る前、彼にそう伝えて、部屋の扉を閉じた。
少し息をついて、ウェルシュはある部屋を訪れた。
―――母の寝室だ。
母は父が亡くなって以降、急に身体を拗らせてしまった。
まるで父を追うかのように衰弱していく母。
今は病院のほうで療養しているけれども、もしかしたらそう長くはないのかもしれない。
そんな母の寝室を勝手に入るのは憚られたが、]
……ごめんなさい。
[小さく母に謝ると、そっとその部屋に入る。
豪奢な造りのベッド、赤いカーペット、クローゼット。
周りを見渡しながら、鏡台の引き出しや、小物入れなど怪しいところは開けてみた。
今まで反抗期もなく、育ったような青年だ。
このような事をするのは、生まれて初めてだった。]
あっ、
[やがて鏡台の引き出しの一番奥、それは見つけた。
色褪せ、ところどころ皺になっていたり破れたりしているけれども。]
………あった。
[流石に、捨てるのは憚られたのかもしれない。
けれども息子に易々と見せるのも癪と思ったのかもしれない。
そうやって宙ぶらりんになった手紙は、こうして奥底に仕舞われてしまったのだ。
震える手でそれを開く。]
姉さん、
[>>5:+38>>5:+40>>5:+42 三通の手紙。
弟からの返事をずっと待っていたであろう、手紙。]
[ヴァンダーファルケの主砲は東進する帝国二番戦艦の船尾を穿つ。
蛇行した二番戦艦の脇で別の破裂音がして、海が跳ね上がった。
機雷に触れたらしい。
ゆっくりと進んでゆくが、ほどなく航行不能になるだろう。]
──…、 砲撃止め!
[あくまでもシュヴァルツアインを狙って来ないことを確信して、アレクトールは攻撃停止を命じた。]
この意気に応えねば、男が廃ろう。
[ほどなく、ザイヴァルも抜けてくるはずだ。
いずれをも迎えいれるべく、左右を空けて待つ。]
/*
>>+147
怪我の詳細をわざと書かないとか、意識不明でぶっ倒れるフラグもいちお、用意してたんですけどねぇ、俺……w
あの辺りの連携とロールの投げ方は皆様お見事でした……w
-回想/いつかの話、そして-
そんな感じ。こっちが浸水したら、こっちを閉じてここに海水入れるって言うのができてる。
[ナハティガルの水密区間の説明。]
話聞けば聞くほどさ。
あの艦、すげぇよ。
設計した人、作った人。それから維持して支えてきた人たち。
関わってきた人たち全部の「守る」って意志が詰まってる。
天使がついてるとか言われるけどさ、ナハティガルは違うなぁ。
あの艦、天使に守られてるんじゃねぇわ。
人に守られてるんだよ。
その艦を、俺の代で沈める訳にゃいかんよね。*
-戦場西方-
出てきた。
[後方。控えていた水雷艇母艦が出てくるのが見えた。>>120]
雷母だって油断すんなよ。
あれは戦えるぞ。主砲もこっちと変わらんわ。
速度はちと遅い、かねぇ。
[速度はナハティガルも良い勝負だ。
速度を上げれば、機関部に負荷が掛かる。そのうち動けなくなる。常の速度よりも下げて動かねばならない。]
[相棒位置の巡洋艦に信号を送る。
“どちらかの援護を”と。
“鉄門”を守るも、ナハティガルと共に進むかは自由だと伝える。
“鉄門”前の水雷艇にはいまだ副砲による攻撃が行われているだろう。
敵巡洋艦からの攻撃で、損害が出ている。まだ沈黙はしていないが、先にダメージを受けていた艦はそろそろきついだろう。
もっとも彼らは動かぬままだろうが。
緩やかに沈みつつある巡洋艦>>121の横を抜ける。水雷艇母艦へと。
既に退避を開始している艦を攻撃する事無く、進み出てきた母艦へと、向かう。]
…シュヴァルベ?
[味方艦発見>>130の報告は、前を見たまま答える。]
この距離で信号送れるなら、一個頼むわ。
水雷の直撃貰ってる。もうちょい持たせるが、いつまで持つか分からん。
[爆発だけは避けたい。そうなれば、この艦は確実に多くの命を犠牲に、死ぬ。]
そん時は頼む。
[信号が届く距離か分からないが、ナハティガルの状況を伝える信号が送られただろう。]
[そして、ナハティガルは再び前へ。]
目標、敵雷母。
なに、この前の戦艦ぐらいだと思えば楽だろ。
[無茶を、と、今この瞬間さえも笑い声が兵たちから返って来る。
それに笑いで答え、男は、いつもの言葉を口にした。]
行くぞ!
[そっかー居ないのかーという風に笑みながら。]
大丈夫大丈夫、一生は長いんだもの。
一人くらいは出来るわよ。
無いなら…その時はまぁ、仕方ないけど。
[と言いつつ幼馴染の美しさ――その魂の輝きに、惹かれない人はいないのだから、あとは何とかなる…だろう、と極呑気に考えていたが口にはせず。
長い汽笛の音がなると、出港の邪魔をしないよう、一歩、二歩と後ろに下がり、幼馴染との距離を開けた。]
[ナハティガルが進む。水雷艇母艦に向かって。
いつもの速度ではない。
その主砲と副砲がこちらを定めても>>131、全弾を回避しきれるものではない。
主砲が帆柱のひとつに激突する。爆音と艦全体に響く揺れ。甲板で発生する火災に、乗員たちが対応を開始する。
副砲のいくつかが弾かれた。
その間も進む。
大きく回りこむように、主砲、副砲を水雷艇母艦に向ける。
一斉砲撃。]
削る。脚を止めろ。
こっから先に行かせないで充分だ。
[砲撃を行いつつすれちがい、そのままさらに距離をとり、船首を返す。
こちらも砲撃を受けつつ、さらに攻撃を返すつもりだ。*]
― 水路 ―
[信号機を掲げたザイヴァルは、再び速度を上げ始めた。
アードラ―とヴァンダーファルケ、2つの戦艦を右手に見るような方向へ移動しながらその脇を駆け抜けんと企図する。
進む先は、水路に浮かぶブイの側ぎりぎりの場所だ。
岸壁近くの複雑な水流と、取りこぼしの機雷がある可能性、危険を突破してでも先へと進まねばならない。
進路を変えたザイヴァルの脇を、第二艦隊の最後の僚艦である4番艦が追い抜いていった。
『我、先導す』との信号旗にザイヴァルの司令塔ではどよめきが起こる。]
……行きましょう。
[暫くその信号旗を見つめていた扶翼官は、静かに指示を下した。
ザイヴァルは、4番艦の後を追って、危険地帯へと乗り出す。]
― ストンプ/眠る前 ―
[食事の後、やっぱりちょっとだけ護衛任務とは、なんて過らせながらも好意に甘え。
宛がわれた寝室に落ちつくと、は、と息を吐いた]
…………。
[部屋の灯りは点けず、窓辺によって空を見上げる]
……今もきっと、空にいる……か。
[思い返すのは、養い親に向けられた言葉。>>4:305]
もし……そう、なら。
……逢えるもんなら。
逢いたい……よ。
[記憶が戻るにつれて、話したい事が増えて来て。
けれど、それを向ける先はなくて。
ぽつり、漏らした言葉は本音。
感傷なのはわかっている。
わかっている──けれど。*]
[ヴァンダーファルケは帝国旗艦に向け砲撃を行わぬ。
後続の戦艦アードラーもそれは同じだが、それは戦う意思を放棄したものとは色が異なる。]
『後方に帝国巡洋艦!』
[その報は、アードラーの甲板にも響いている。
アードラーの艦長も、それを視認した。
既にこの艦も、敵巡洋艦の砲撃を浴びて満身創痍だ。後方から主砲の砲撃あれば、また大きな損害は免れなかったであろうが…轟音が響く、様子はなかった>>127
それへ難しい顔を向けながらも、アードラーの艦長は前進を指示する。アードラーが狙うのはやはり、敵旗艦ではない。その先を行く戦艦であり、更には巡洋艦だ。]
[ヴァンダーファルケのマストには信号旗が掲げられている。
『我に構わず前進せよ。』
対峙する両旗艦、それに構わず前進を続けよ、と。
その指示に従うべく、アードラーはやや北に舵を切る。
叶えば両戦艦をすり抜けんとの意図ではあるが、だが距離は狭く、ゆえにシュヴァルツアインからの攻撃あれば、当然ただでは済まないだろうとも思われた。]
―戦場西方/水雷母艦アストラ―
『4時の方角に敵影! こちらに向かっています!』
[敵戦艦の進路変更>>130を、雷母の見張り兵も捉えていた。
即座に情報がロー・シェンの元に届けられる。]
増援か? …まずいな。
[今でさえギリギリ拮抗を保っている状況だ。
此処に敵戦艦が加われば、戦局は容易に覆されてしまう。]
― 戦艦シュヴァルベ ―
『ナハティガル、信号送ってるようですが、よく...』
いや、見える。
[ 男は双眼鏡の向こうに明滅する光を、その目で読み取った>>142 ]
それでも、今は引きはしない、か...
[ 男の視線が、一度、ヴァンダーファルケが居るはずの、水路の方へと動く ]
…、アンティーヴ卿、
あなたから託されたものを使わせていただこう。
――後方の機雷敷設艦に伝達。
反転ののち大きく旋回し、最大速力で南南東へ。
到着後、直ちに機雷を敷設。
敵増援の進路の妨害に当たれ。
[離脱の支援は、アストラが行う。
背後を守らんとするため動きが鈍る。その間は被弾も増えるだろうが、機雷敷設艦の邪魔はさせまい と*]
[旗艦を残し、ウルケル戦艦アードラーが動く。
アレクトールはアードラーに停船を命じた。
従わねば主砲を巡らし、ほぼ水平撃ちに艦首を狙い撃つ。]
[結局のところ、と。思うところは単純だ。
かの皇帝とは主砲を撃ちあい、互いに互いを沈め得なかった。
次は反航戦へと持ち込み副砲の応酬を交わしたものの、結局、それで彼の足を止めることも叶わなかった。
ならば、残された手は限られて来る。
真っ直ぐに覇者の道を駆ける太陽の、その歩みを止める手立ては]
──── 総員、衝撃に備えよ。
[いつしか敵艦からの砲撃も止んでいる>>138
本当に律儀な皇帝だと思えば、こんな時に微かな笑みが浮かんだ。真っ直ぐに、正しくある若き皇帝はゲオルグの目にも少し眩しい。
恐らく。男が帝国に生を受けていたならば、何よりも誇らしくその太陽を仰ぎ、その覇に力を尽くしただろう…そう、思った。]
―戦場南南東/機雷敷設艦―
[いくらかの砲撃は受けつつも、なんとか離脱した機雷敷設艦は。
南南東の海域に、立ち入り禁止を示す鉄条網のように機雷を敷設してゆく。
触れば爆発する接触式だ。
敷設の時間が短かったため数は多いものではなかったが、それでも無理に増援に駆けつけようとすれば、多少の被害は免れないだろう*]
/*
早く陛下の隣に行きたいのはやまやまなのですが、アードラ―ちゃんの運命が決まらないことにはちょっと動けないのです。
(同じ方角に動いてしまったので)
当て舵!面舵のち取舵一杯!
海流に乗せろ!
目標、敵旗艦、左舷!!!
[ぐらりと戦艦の巨体が一度右に傾く。それはすぐ、取舵によって左に大きく揺り戻された。折りしもフリカデル島南岸に当たって戻る海流が、艦を北側───北北東へと向けて押し出す。その勢いを駆り、戦艦はその巨体を敵旗艦へと向けた。
速度を殺すことはしない。その勢いのまま、船首をその衝角を、シュヴァルツアインへと叩き付けた//]
/*
個人的なリアへのタスクはこれでほぼ完了したので、次くらいで終わりかなー(これで〆ても大丈夫そうな
地上の戦闘をガン見しつつ違う事もやりつつ。
― 戦艦シュヴァルベ ―
1戦速前進。
[ ゆっくりと、まるで何かを待つように戦艦はナハティガルと帝国第三艦隊が対峙する水域に近付いていく ]
『敵艦隊に動き...機雷設置しているようです>>150』
機雷源手前で停止、水雷艇を出して掃海作業させろ。無理はするなよ?
[アードラーにその信号が送られたのは、ヴァンダーファルケが無謀ともいえる突撃を敢行するよりも前の話であろう。
停止の指示に、アードラーは従わなかった。
容赦なく撃ち放たれた主砲が、艦首を襲う>>151
艦が沈み込む感覚。主砲に砲を受け、炎上させながらも、]
『後部主砲、……撃て!!!』
[離れ行く巡洋艦に、追い縋るかのような砲撃が最後、飛んだ。]
[ヴァンダーファルケが動く。
海流に乗ったその勢いを殺すことなく突撃してくる。]
提督は行動で語るのをモットーにしているようだ。
武人とはかくあるものだな。
[シュヴァルツアインは回避せず、ただ、ザイヴァルとその僚機を庇うようにヴァンダーファルケの突撃を受け取める。
鈍い衝撃が艦を揺さぶったが、アレクトールは踏みとどまった。]
今度は艦がすれ違うまでなどと忙しないことは言わないとも。
/*
この待機時間に、最早逃げたい
www今回本当すみませんすぎて
でも大体いつも、この待機時間はいつも怖いね。そうだね知ってる……
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 戦艦の動きは援護にかけつけるにしては、緩慢に見えたろう。
或いは機雷を恐れてただ近づけないだけに見えたか ]
[ だが、実際には、男は待っていた。援護のタイミングを、ではなく... ]
/*
ああ!ザイヴァルがすり抜けていこうとしてんの読み落としたわ。あー、ううんwwこれはもう止められないというやつだな。なるほどな?
/*
んーと。両旗艦の北をアードラーが抜けようとしてて、更にその北をザイヴァルが抜けていこうとしてるってお話かな。ううむ。
[両旗艦をすり抜けようと動くアードラ―の後を追うように、第二艦隊の2隻もまた同じ航路を辿る。
複雑な水流に翻弄されながらも出せる限りの速力で敵旗艦の横を抜けた。
きっと撃ってこないだろう、というのは期待と推測の半々である。
撃つ気なら既に撃ってきているはずだ、というのが根拠であり、
撃ち合うことなく向き合っている両旗艦の姿がそれを強くする。
やがて、前方でアードラ―が最後の砲撃を放ったころ、ザイヴァルは皇帝の乗る艦の横へとたどり着いた。]
[アードラーの末期の砲撃が空から巡洋艦を襲う。>>156
射程ギリギリの距離。
マストが一本叩き折られて帝国旗が波間に飲まれた。
撃ち返すことなく、戦場から離れることを躊躇う様子を見せつつも、単縦陣の巡洋艦3隻は東進する。
指揮官のいない部隊はどこか頼りなかった。]
良い面構えになった、な。
[勇敢なる僚艦に同伴され、”万波を排し”てやってきた扶翼に、アレクトールは諾と頷く。]
[両旗艦が噛みあうようにする、その北側、艦首から黒煙を上げる戦艦アードラーの姿がある。
アードラーの甲板上では、消火が進められている。バランスを失い、海流に流される船足は目に見えて遅くなった。だが巡洋艦が射程に───いや、見える限りは、その後を追い留めんとの意を消しはしないのだが。
前方には届かぬと見た副砲が、後続の巡洋艦二隻へと向けられる。が、躊躇うようにして砲弾が放たれることはなかった。両巡洋艦が、戦艦二隻にあまりに近かったが為である。]
[速度の落ちたアードラ―を避けるためにこちらも少し足を緩めながら、ザイヴァルはシュヴァルツアインと一瞬並ぶ。
その一瞬に、衝撃と波が2隻の巡洋艦を揺さぶった。]
───… !!!
[周囲から悲鳴と驚愕の声が上がる。
その中で、扶翼官は声すら出せずに息を呑んで、ヴァンダーファルケの衝突を受けたシュヴァルツアインを見つめていた。]
―戦場西方―
[“鉄門”前の水雷艇のひとつが、ようやく損害が大きい方の敵巡洋艦の側面に水雷を叩き付けた。爆音。振動で波が大きくうねる。
直後、“鉄門”のもう片方からの副砲を浴びた。甲板から火が上がる。
残るは1隻となった味方巡洋艦も、満身創痍ながら尚も水雷艇を支援すべく、主砲副砲の応酬を重ねる。]
ふ、言ったな。
[これから命じることは、彼の意に染まぬだろうけれど、あえて明朗に声を響かせる。]
決戦は継続中だ。
先行する艦を追って、おまえが指揮を執れ。
おまえがカルボナードに行き着く時間は、俺がかせいでおく。
[“幸い”シュヴァルツアインはシュヴァルツアインに捕まって動けない状態だ。
自由に動ける状態で同じことを告げるより説得力(?)が増している。]
[アストラに向かってくるナハティガルは、記憶にある動きよりも鈍い>>144。
砲撃のいくつかは当たった。けれど足を止めるには足りない。
あくまでベースは母艦なので、主砲は1、副砲は4と数が少ないのだ。ゆえに砲撃の量も限られており、結果、船尾に回りこむ相手の動きを許した。]
――――っ …く、
[敵巡洋艦からの一斉砲撃。艦全体が衝撃に揺れる感覚。
ロー・シェンは艦橋の手摺を咄嗟に掴んだ。
船尾の装甲が弾け飛び、あちこちが不恰好に凹凸を作った。
船腹から甲板までを貫いた敵主砲は、爆発を伴い黒煙が昇る。]
…なに、 まだ脚は動くぞ。
[だが水雷母艦の足は遅い。回避行動には不向きだ。
ならばやれることは、と。
船首を返したナハティガルに向かって進み、再度砲撃を浴びせかける。
お互い、自らを削りながらの消耗戦。
それでもまだ、砲撃は止まない*]
タクマ。…お前さんの歌でも聞きたい気分だ。
[音が伝わった、わけではあるまい。
けれど何が伝わったか。……この心か。
衝撃から立ち直り、片腕たるの呼ぶ声に、僅か笑みに似た気配が乗った]
[アードラーの攻撃が頭上を越えて巡洋艦にゆけば、機雷を食らって蹌踉い進んでいた第二戦艦は、前進を諦めてでも掩護射撃に従事する。>>163
敵の不屈の闘志に敬意を評しつつ、戦場の礼儀は砲火で交わされた。]
な………
[衝突の衝撃から立ち直らないような意識で声を零す。
届いた命令に反駁しようとして、なにか言おうとして、結局唇を噛んだ。]
………… 御意のままに。
[絞り出すように声を送る。
なにを馬鹿な、とは言えなかった。
今はそれが最適解だ。理性はそう判断する。]
[それでもあなたの側に。
いさせてくださいと、言う事はできない。
ふたりが描いた世界を実現する道を、閉ざしてはならない。]
― 旗艦ヴァンダーファルケ ―
[鈍い音、そして衝撃。
ず、ず…と鉄と鉄の擦れる音を立てて、艦と艦が軋んだ。
甲板上には物が散っている。
それらは既に砲撃により飛び散った砲の破片だったり、崩れた木箱だったり、呻く人間だったりした。が、多くは無事に動き出している。銃を手に取る者、それらが帝国旗艦へ向け構えを取ろうと動き出している。
ゲオルグはといえば、艦橋の傍、いつもそこに置かれた戦斧を手にして艦首へ向け歩み出した。制止の声が掛けられる。それでも足が止まることはない。
不意に撃たれることはない。
それは、確信にも似た不思議な敵への信頼だった。]
…──皇帝陛下はおいでかな?
[張り上げるではない、太い声が朗と響いた。]
― 邂逅 ―
[死の世界に留めまい、と。
幼馴染が言葉で、行動で押し留めてくれる。
言い返したことは誤魔化された>>+158が、追及する余裕は無かった]
1人くらいは、って。
あぁ、もぅ。
[至極暢気な答え>>+159に呆れるやら笑うやら。
小さく息を吐いた時、足を踏み入れていたヴァイスメーヴェが震えるのを感じた]
[桟橋の向こうで幼馴染が手を振る>>+160]
さよなら、じゃないよ。
また逢える。
どんな形であれ、きっと。
だから、いつか逢えるその日まで…
/*
いかん、力尽きていた。
アタシもこれで〆かな、ってことで退席符も打っといた。
リアお付き合いありがとうな!
死にかけて押し戻されたのこれで3度目だな…(
ああ、行け。
おまえは扶翼官──皇帝の全権代行者だ。
おまえがやり遂せたならば、俺がしたのと同じこと。
交渉はすべて任せる。
ただし、おまえを獲られることだけは却下だ。
俺たちは一対の生き物だ。
ザイヴァルのワインは無事か?
つまみはカルボナードで見繕っておいてくれ。
[無事を祈る声に、屈託のない笑いを乗せる。
気負ってなどいないと。そんな素振りで。
方向性が違うだけで、やはり似た者同士なのかもしれない。]
[旗艦同士の衝突に騒然としていた司令塔内は、やがて扶翼官を窺うような沈黙に支配される。
蒼白な顔で旗艦を見ていた扶翼官は、やがて視線を前に向けた。]
全速前進。
先行する3隻に合流します。
[ざわり、と戸惑うような気配が司令塔を覆う。
それを振り払うように、大きく左手を振った。]
全速前進!
復唱!
[全速前進との声が重なり、ザイヴァルのマストに『前進せよ』の旗が高く掲げられた。
2隻の巡洋艦は、ふたつの旗艦の脇を抜け、アードラ―の脇をも通り抜けようと加速する。
先行していた4番艦は、わずかに進路と速度を変えてザイヴァルとアードラ―の間に自らを割り込ませた。]
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 目前の海では、互いに一歩も退かぬ戦が続いている、身を削り、命を削り、ただ誇りと信念...そして曲がらぬ「不覊の心」だけを頼りに戦い続ける戦士の場だ ]
[ その間に交わされる砲火と飛沫を上げて揺れる海は、美しくさえ見えた ]
そうだなあ、
[ごく楽しげな響きは、明確に笑みの響きを乗せ]
皇帝陛下か。
構わんが…、…酔って聞かせるのはさすがに勘弁してくれ。
[怒られちゃかなわん。と、どこか暢気に本気の軽口を叩いた。]
/*
明日休みなのかい!?
そうか!!!わかった!!!
wwwwやりきる予定wwww
wwwwwwwwwww
ほんとごめんね、週末が敵……
[シュヴァルツアインに衝角を突き立てたその艦首でゲオルグが呼ぶ。
色めき立つ兵らを片手で制して、アレクトールは艦橋から上背を乗り出すようにして柵に寄りかかった。]
“戦斧の総司令官殿”か。
[そう呼んだのは、今は亡きファミルだ。
「負けるところが、想像ができないぐらい」だとも評していた。]
今は何時代だ?
[体当たりを揶揄うように問う。]
/*
>>173
タクマがちょいちょい不羈を拾ってくれて
こっちに視線くれるの、とても有難いな。たいへん嬉しい。
あなたという方は……
[ここで全権代行者を持ち出してくるかと息を吐く。
確かに一代限りの扶翼官に与えられた権限はその通りで、交渉に当たっては彼と相談することもなく行うこともあった。
必要なかったのだ。
自分と、トールの意思は、最終的には同じ場所へと行きつく。
しかしながら、皇帝を盾にして扶翼官が先に行く、というのは主従が逆だろう、と思うが]
わかりました。
カルボナードの頑固者たちに、冷や汗をかかせてきましょう。
─── ええ。
祝杯は是非、東の海で。
[彼が直面するだろうことを思うと、自分こそ冷や汗が滲む。
それでも信じているから、信頼されているから、
己は己の為すべきことをしよう。]
楽しそうで何よりですが...
ちったあ年を考えて下さいよ?
[ ゲオルグが戦斧を手にしている事は先刻承知だ、きっと今、彼は提督ではなく、ただの男として、あの太陽と対峙している ]
あの皇帝陛下には、丁度いい刺激じゃないですかね?
[ ちなみに酔って聞かせる気は満々だ ]
[少しの間、シュヴァルツアインの傍らに留まるかに見えた巡洋艦が動き出す。彼らが東に向かう意を見せるを見て取って、アードラーは再び砲を構えた。
既に艦首主砲は使い物にはならず、前方副砲もその役を果たしはしない。艦は海流に弄ばれ、やや左へ回頭しつつある。
アードラーに二隻の巡洋艦を追う力は、最早残されていない。けれど後部、未だ生きている副砲は動かされ、旗艦らから離れた巡洋艦へと向けられた。
再び甲板上に轟音が響く。
前方、敵戦艦から放たれた砲弾>>168がマストを直撃した。
頭上より落ち来るマストに、怒号と悲鳴が重なり響く]
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 男の元に、掃海作業が終わったという報告が届く ]
よし、3速前進。針路...
[ 指示を聞いた操舵士が、正気ですか?という顔を向けてきた ]
それを聞くと、カルボナードの連中が気の毒になってくるな。
[信じるゆえに送り出す。背中で見送る。]
/*
リアおつかれおつかれ、こちらこそほんとありがとうね。おやすみなさい。
私が先に死んで死ねると思ったら(略
こっちはもうちょっとのんびり見つつそのうち寝てしまおう。
地上6人がこの時間まで起きてログ書いてるのって凄いなぁ…と思いつつ。
分かりやすくて良いだろう?
[持ち出した戦斧を少し掲げてみせ、どんと床に落とす。
振るうためというより示すために持ち出したそれを、艦にもたせ掛けて、向けられた問いには僅か肩を竦めた。]
さて、陛下が目の前においでということは、
時代はさして変わらんのだろうと思いますがな。
[揶揄を承知で、はぐらかすように笑ってみせる。
そうして僅か、目を細めた。]
先日のご招待は大変失礼したと思いましてな。
改めて、こうしてお目通りを願った次第。
いささか乱暴な手段はご容赦あれ。
[小さく、頭を下げてみせる。]
/*
>>176
ああ、前部主砲、壊れてたんだったか。
うちの二番戦艦も左射界ダメだったけど、撃てはする
― 戦艦シュヴァルベ ―
[ 通常の巡航速度に近い速度で、戦艦は、ゆっくりと殊更にゆっくりと進む。戦闘海域の外縁を舐めるように僚艦の脇を抜け、双方が撃ち合う海域の丁度中間地点を目指していた* ]
私は、扶翼官です。
当代限り、唯一無二の、陛下の全権代行者です。
[再び強い風が駆け抜け始めた司令塔の中で、扶翼官は静かな声で語る。]
陛下が行かずとも、私が行けば事足りる。
先に言って、"勝利"を決めてこいとの、
陛下の御意志です。
[司令塔の者たちは黙って顔を見合わせる。
扶翼官と皇帝とが特別な絆で繋がっていることは、艦に乗る士官の多くが知っている。
ゆえにこそ、絶大な権限を得ていることも。]
ですから我々は、先行し、カルボナードを射程に捉え、彼らに我が帝国の威を見せつけたうえで、陛下をお迎えします。
[告げた言葉は、半ばは本心で半ばは詭弁であった。
皇帝が望んだがゆえに、自分は前へと進む。
しかしながら、後に残った皇帝が無事である保証などどこにもない。
最悪、捕えられるか、あるいはもっと悪い結末を迎えるかもしれない。
けれどもそれでも行くのだ。
震えがくるほどの恐怖を押さえこみながら、ただ前を見つめる。]
さて、このまま立ち話も無粋なれば、
[堂々と、その立ち話を振った男が言う。]
もし宜しければ、
先の招待お受け致したく思うが、いかがですかな?
あれだけでは、いかにも惜しく思いましてな。
[どうかと問う形に首傾けた//]
/*
>>+168ルカ
「いきて」と言われてしまったら死ねるわけが(
ちゃんと生きる方向で考えてはいたよ!
地上本当に凄いな。
だがお前ら、明日平日だぞ…。
てことで寝るねー。
お休み**
-戦場西方-
[ナハティガルと共に行動していた巡洋艦は、いまだ“鉄門”の傍にあった。
この艦が選んだのは、この場を守る事だった。
一艦、水雷艇の攻撃を受け、崩れるならば、その艦を守る為に位置を取る。
自軍艦の援護にて、崩れた巡洋艦からの退避は進んだろうか。]
被害は。
[報告を求める。
上がってくる状況は結構笑えるものだ。
笑えるほどぼろぼろだ。速度が落ち、今までの回避行動が行えない。
それでも、船首を返し、再び、水雷艇母艦へと。
母艦はこちらへ進んでくる。]
来なくても大丈夫。行くって。
[主砲と、数が減ってしまった副砲。
揃えて、出迎える。]
狙え。
目標、敵艦、主砲。
[上がってきた、もうひとつの報告。
機関部の異常を訴える声。
さらに、速度を落とす。]
そろそろこっちも持たん。
けど、もうちょい踏ん張るぞ。
[戦う力がある艦を進ませる訳には行かない。首都へと向かう水の路。そこでどんな戦闘が行われているか、男は知らない。
それでも“鉄門”がゲオルグの命により残り、そこを食い止めるのを目的とするなら、これは必要なのだ。
食い止める。]
主砲、副砲。
撃て!
[敵艦からの射撃。それをかわす動きも精彩を欠いている。
攻撃を目的とし、水雷艇母艦を狙う。
先ほどの主砲の一発は、敵の船腹から甲板まで貫いていた。
もう少し――もう少しだ。
動きを止める。
削る。
敵艦からの攻撃で、こちらも削られている。被害の報告は届いている。
届き続けている。]
[ゲオルグの態度はゆったりと余裕を感じさせる。
戦斧もなかなか似合う。
良い対手だ、としみじみ思った。]
気にするな、
そちらが先んじていなければ、こちらからしていた。
[“手段”についてはあっさりと認め、動きを止めた両旗艦の傍らで、第二艦隊が東へ進むのを視界の隅に収める。
手負いのアードラーが敢然と噛みつこうとし、やはり手負いの二番戦艦が吼えた。]
ここは戦争という台風の目だな。
[鳥の鳴き声のような異音。圧のバランスが崩れつつある音。艦のあちこちから、響く鳴き声。
それが、限界だった。
危険です、の叫びを受け、男は空を見上げ、ため息。]
了解。
ナハティガル、停止。これ以上動くとやべぇわ。
砲台、まだ動けるな?
[ゲオルグの申し出に、笑みを返す。]
艦長室は人を通せる状態ではないんだが、提督を迎えるられるというなら是非にでも。
[艦橋の手すりを身軽に飛び越えて、甲板に下り立った。//]
[敵艦の前、僅かに行っていた回避行動がほぼ消失する。
静かに、静かに。
ナハティガルはその駆動を抑え込む。“心臓”は静まり、最低限の活動を行うだけになる。
浮き砲台状態となったナハティガルは、それでも攻撃は維持。
けれども、敵を食い止める脚は既にない。
が。
攻撃範囲にある限り、攻撃は続行された。*]
[アードラ―の砲が、ほぼ水平の射角で火を噴いた。
ほぼ至近と言っていい距離で放たれた砲弾は、ザイヴァルを庇う第二艦隊の4番艦に次々と命中する。
巨人に殴りつけられたように傾いた4番艦は、それでも艦を立て直しながら主砲での反撃を試みる。
その間にザイヴァルは前方の渦へと自ら突き進んだ。
加速。そして小刻みに繰り返される舵の操作。
危険な賭けに挑んだザイヴァルは、渦の力をも推力に変えて前へ飛び出した。]
年寄りが珍しく働く気になってるってのになあ。
[ぶつぶつと零す調子は、しかし本気のものではない。
張り詰めるほどの緊張の中、宙に張り渡した糸渡るように慎重に空気をかき混ぜていく。
余裕を失ったら終わってしまう。今はそういう時であった。]
ふむ。まあ…、誘ってみるか。
慣れればお前さんの歌も、悪くないしな。
[最後、これはあまり意識した言葉ではない。
それは意識のうちに、”酔ってない”彼の歌が響いているが為でもあったであろうが、やはり、ゲオルグはタクマの歌を”あまり嫌いでは”ないのであった>>1:=10
まあ、それと酔っ払った彼を殴り倒す倒さないはまた別ではあるけど]
― 戦艦シュヴァルベ ―
『ナハティガル停止!』
...2戦速前進、僚艦の前に出る。主砲用意、だが合図あるまで、絶対に撃つな。
操舵士、砲撃はうまく避けろよ。
[ 思い切りの無茶振りに、しかし、操舵士は、律儀に了解の声を返す。
砲火轟く海域に、巡洋艦とさして変わらぬ大きさの戦艦が、まるで双方の射線を断ち切るかのように、侵入していく ]
―戦場西方―
[譲れぬものは、果たして何か――…
大砲の轟音が途切れぬ中、
硝煙の匂いが海風と混ざり合う中、
それを、ロー・シェンは考える。]
[カルボナード到達が勝利条件、と皇帝は言った>>5:210。
心を明け渡した時点で決着はつく、とも。
消耗戦をする気は…、帝国、ウルケル、双方に無い。
人命の重要さはわかっている。
最小の被害で、最大の目的が達せられれば良いと――狙ったがゆえの、今回の皇帝陛下の作戦だ。
今、此処での戦いは、では消耗戦だろうか?
その答えは…
ある意味では是であり、ある意味では否である。]
[旗艦シュヴァルツアインは、既に水路に入っている。
その半ばで、敵旗艦からの衝突を受けたことまでは、まだロー・シェンの元に届いていないが……それでも僚艦いずれかのカルボナード到達だけを考えるならば、第三艦隊が、今此処で、無理を重ねて“鉄門”を通り抜けようとする必要はない。
いっそ迂回したって良いのだ。“鉄門”を成す巡洋艦には動く意志がないのだから。
けれどそれでも、此処にこだわるのは何故か。]
おや、気が合いましたな。
[軽く楽しげに笑ってみせる。
見上げる位置にある若き覇者の威風は隠れようもなく。
もし男が、その皇帝の心を知れば肩を竦めただろう。
とんでもないと言わんばかりに>>188]
いかにも。
…もっとも、台風など早く過ぎ去るに越したことはありませんが。
船乗りならば皆、そう言いましょうな。
[…それは、この場所がひとつの
止める、という覚悟。
通る、という意志。
グロル海峡を巡っての、帝国とウルケルの縮図そのものだ。]
[…未だ、どちらの英雄も、相手に心を明け渡してはおらぬ。
ゆえに、この
そう、ロー・シェンは考えるし、
――…おそらくシロウも同様だろう、と思う。
切なくなるほど空気は澄んでいた。
澄んでいるのに、砲撃の熱気で炙られて、時折酷く熱い。]
[視線を、つ…と東へずらす。
燈黄色が海を映す。
“鉄門”では未だ激戦が行われている。
水雷で1隻、沈めた。
けれど次の守りの意志>>184が、孔を埋める。
互いに消耗し、応戦し、決定打は未だ訪れない。
更にその向こうでは――…
皇帝が、扶翼官が、
そして、ゲオルグに、タクマが、
自らの心を、相手に示しているのだろう…と。]
[敵戦艦シュヴァルベが、
この戦闘海域の中間地点を目指している>>180ことを……
ロー・シェンは、未だ知らない*]
なに、構いやしませんとも。…おっと。
───おい!こいつを頼む。
[言葉の後半は後背に控えた士官に向けられている。
傍らの戦斧を示し、ついで腰に下げた軍刀をも抜き取った。
ぎょっとした顔の士官がしがみつかんばかりに止めて来る。
それへゲオルグは、息を吐いた。]
向こうにお邪魔するのに、
こんな重いもん持っていけるわけがないだろうが。
[本気だ。]
敵味方、双方に信...
[ すぐ近くに着弾したか、大きく艦が揺れ、思わずついた手が折れた骨を軋ませて、小さく苦鳴が漏れた ]
『大佐?!』
大事ない...双方に信号...
『皇帝旗艦と提督旗艦、接触せり、両軍、一時停戦待機を望む...』
[ 命令でもなく、正式の停戦でもない「待機を望む」との光のメッセージが、対峙する両軍に向けて送られる。
先の海戦での、旗艦同士の奇妙な会談を、両軍が覚えていたなら、その意は通じるだろうか? ]
(だが、止まらんなら...)
[ ナハティガルは、沈ませられない。あの艦の背負う命は、沈めば、先へと続く道を断ちかねぬほど重い ]
[なんだかんだと、戦斧と軍刀を押し付けることに成功すれば、ゲオルグは再び帝国皇帝へと向き直った。
戦艦同士の間に、仮の橋が渡される。
巨大な鉄の塊は動く様子を見せないから、これで渡ることは出来そうだった。]
[ 戦艦は、光を明滅させながら、戦域のど真ん中で、やが停船する ]
[ 主砲副砲、全てが、敵艦隊に向けられていながら沈黙し、いつでも撃てと言わぬばかりの姿で// ]
お、い。
停止、停止だ! 主砲、副砲、止めろ!
[射程の中に入って来た艦を認識するのが一瞬遅れた。
シュヴァルベだ。]
撃ったか? 撃ってねぇよな、当ててねぇよな?
[近くの海面への着弾を受け、シュヴァルベが揺れるのが見える。]
あぁ――くそ。
[止まったら頼むと言ったのは男だが、まさか本当にこうやって来てくれるとは思ってなかった。
迷惑かけた、どうするんだ、これ、と。
そして、届いた信号に、息を吐く。]
待機言われても、もう待機しかできないぜ、うち。
[マストも折れた。完全に浮き船だ。超低速なら移動できるだろうが、他艦に比べるなら子どもの徒歩のような速度だ。
ナハティガルの砲は現在、完全に沈黙。]
[台風の目。と称された旗艦より僅かに遠く、戦艦アードラーからは戦いの意思が砲撃として撃ち返されている>>192
やや間遠になりつつあるそれは、必死に踏み止まる艦の意地を示すようでもあったし、血を流しながらの最後の抵抗であるかのようにも思われた。
それへ目を遣り、ゲオルグは一旦首を横に振る。
士官が呼ばれ、彼が頷いて後ろへ走った。
やがて掲げられた信号機は『応戦中止せよ』
既に前へと抜けた巡洋艦に追いつけるはずはなく、そして今、アードラーのみで巡洋艦二隻と戦艦一隻の援護射撃に敵うはずもない。ゆえに信号は掲げられた。
やがてアードラーの砲は沈黙する。
ザイヴァルが渦の前方へと突き進むなら、それを追う砲撃はなかった]
/*
手間を取らせて申し訳ない>提督
でもここを抜けても空母やら巡洋艦やら機雷原やらあるのですよね。
勝手に抜けてもいいものか…
/*
今回の参考資料
『日露戦争全海戦』(双葉社スーパームック)
見開きで1艦紹介されている。
パーツ名称なども載っているので、眺めつつ、「どの艤装を壊そうかなー」って考えるのに便利w
[ 離れた場所で、男も今や綱渡りの真っ最中だ。だが、それは、まだ声には乗せず ]
珍しく?むしろ働き過ぎですよ、あんたは。
自重って言葉知ってますか?
[ まるで、詰るような言葉はけれど、明るい響きで届けられる ]
皇帝陛下は意外と乗ってくれそうですしね。
でも扶翼官殿はきっと...
[ 青くなって止めるような気がする、と、男は笑い ]
―戦場西方―
[オルゴールの音が徐々に間延びし、やがて止まりゆくように。
華麗に動いていたナハティガルが少しずつ速度を下げてゆく。]
砲手。
これなら小さな的でもいけるな?
目標、敵艦主砲。
[狙いは意図せず同じもの>>185。]
撃て。
[再びの応酬。
敵の主砲は銃座に当たり、船の脚の前にまず、砲台の回転が止められてしまう。
だが、目の前であれば撃てない訳ではない。まだ使える。…まだ、]
[――やがて]
『敵巡洋艦、回避行動…なし! 停止しました!』
[脚を止めた様子>>191に艦橋が湧いた――のを、ロー・シェンは抑えた。]
警戒を怠るな。
まだ、やつの牙は折れていない。
[止まったが、それが擬態かは解らないしそれに。
…止まらない砲撃。
尚も攻撃を続ける意志が其処にある。]
[一方のアストラも、なかなか酷い有様だった。
一番痛いのが、先程食らった腹抉る一撃である。
消火活動や避難の呼びかけで、艦内は慌しく人が駆け回っている。
この艦は母艦だ。
――戦闘員も、非戦闘員も、多くの乗員が居る。
落とさせる訳にはゆかない。
それでも、逃げるを由とせず。
決着をつけぬも由とせず。
浮き砲台となったナハティガルを沈黙せしめんと、砲門が吼えた――]
[…――――その、先に。
割り込むひとつの、敵影>>193があった。
機敏に動くその戦艦は、砲撃を器用に避けて。
こちらの攻撃は周囲に水柱を作るに留まる。]
[ 慣れれば悪く無いという言葉を聞くと ]
何か悪いもんでも食いましたか?
[ 思い切り、素で聞き返した// ]
― 水路 ―
[戦闘の音が絶えた海域を背に、ザイヴァルは東へと進む。
途中、第一艦隊の巡洋艦3隻と合流して幾度か遣り取りを交わし、巡洋艦4隻はザイヴァルを旗艦として新たな艦隊を成した。
4隻の艦隊が進む先には水雷艇・水上機の母艦が待ち、さらには巡洋艦2隻も待っていることだろう。
敵艦を発見し、敵機・敵水雷艇の襲来を受けた艦隊は、その場での応戦を開始する。
皇帝が時間を稼いでいる間に、できる限り先へ進まねばならない。折れぬ意思の具現化がこの4隻であり、扶翼官自身でもあった。]
『敵戦艦より、信号!』
[通信手が叫ぶ。伝える。
待機を、――――と、請う声>>203を。
相手が撃ってくる様子は無く。
…ただ、二艦の中央に陣取り、
戦の停止を成さんとする意志のみを示している。]
/*
ゲオルグから、会見の要旨が出されるのを待っているのだけど、1時間経ってしまうから、記号ないけどちょっとつついてみよう。
[武装解除をして乗り込んでくるゲオルグに興がる視線を向ける。
立ち話は、と言われているので食堂へ誘った。]
提督は紅茶派か、珈琲党か?
[申し付ければ当番兵が運んでくるだろう。
むろん、二人分をひとつのポットで。
ゲオルグから特に話がなければ、つれづれとここの潮の話など聞いて過ごすことになる。
今頃、船底では対処に大わらわだろう。
衝角が抜かれれば、一気に海水が入って、下手をすれば艦が裂ける。//]
[先の会戦で起きた、両旗艦の直接会談が脳裏を過ぎる。
見えない筈なのに。
…今まさに、皇帝と提督が相対して、
――――…、
…。待機に応ずる、と返事を。
[ロー・シェンは、深く長い息を吐いた。
そうして。
水雷母艦アストラも砲門を閉ざし、其の場に脚を止めた。*]
甲板に出る...
[ 言った途端に、周囲から、すでに聞き慣れた「馬鹿ですか!?」の合唱が飛んだ ]
顔も見せん相手を信じろってのが無理だろう。
大丈夫だ、死なないから。
[ 何の根拠も無く、そう告げて、男は悲鳴をあげて軋む身体を宥めすかすようにして、甲板へと足を運んだ。 ]
/*
会談結果次第で陛下が「もういい戻れ」という可能性もあるということに気が付く。
暫くは待機ですね、これは。
― 戦艦シュヴァルベ甲板 ―
[ 男が甲板に出たとほぼ同時に、帝国母艦から「待機に応ずる」の返信が送られた ]
ほら、大丈夫だったろう?
[ 呟いて、男は敵艦を見つめた ]
そこに、いるか...?シェン。
[ 小さな呟きは、相手に届く筈も無い ]
俺は、今も、
[ 空と海は、いつも繋がっている* ]
[年の割に身軽な動作で、ゲオルグは艦を乗り移る。
その背中を、もうどうにもこうにも諦めたといわんばかりの視線が追った。既に砲撃の音は辺りには響かない。]
ふむ。では珈琲を頂きましょうかな。
[皇帝の誘いにはそう応じて、誘われるまま食堂へと向かう。
出されたカップの香りを楽しみ、少しの間、顎に湯気を当てて楽しんだ。交わされる世間話、潮の話などには気軽に応じて言葉交わしていたものだが]
さて、陛下。
…ただ、これの為にというもんでもないでしょう。
[その場に二人以外に控えるものはあっただろうか。
あろうとも口にする音、それそのものが変わるわけでもないが。]
私としては、ここの潮目…ああ、ここじゃ美味い魚が獲れるんですが、それはひとまずさて置いて。この海峡についてのお話をさせて頂きたいが、構いませんかな?
[微かな音と共に、カップがソーサーの上に置かれる。
無粋な話で申し訳ないがと肩を竦めた。]
どうも元来、無粋な性質でしてなあ。
しかも最近どうも気が短くなったようでいけません。
[そう、年寄りめいたことを口にして]
…。帝国がこのまま、武を背景にグロル海峡を開いては遺恨が残る。海峡の治安は安定せず、貴国は危うい火薬庫を抱え込むこととなるでしょうな。
[脅しめいた未来予測、それをごく冷静な未来予想図として描き]
むろん、そのために来たのだろう?
[目の前の男の顔が改まる。それを受け止める。]
話せ。
[聞きたいと、命令に慣れた言葉よりは穏やかな目で促す。]
───陛下。ひとつ、取引をしませんかな?
陛下には一旦、艦隊をお引き願いたい。
我らも同様、一度艦隊を引きましょう。
[ここまでは先の停戦と同じ提案を、まずは置く。
そして、若き皇帝に視線を据えたまま言葉を続けた。++]
軍を引いた後、私はカルボナードへ一度戻るつもりです。
その上で、必ずや政治家に話を通しグロル海峡を貴国に開きましょう。
…そうですな。
ウルケルの
並びに、貴国からの海峡使用料。
これを等しいものとして、貴国と条約を結べるとありがたい。
我らウルケルから差し出せるのは、モルトガット帝国に対する友好的なグロル海峡の使用権、並びに我らが
[それらには傭兵部隊のことも、暗に音に含んで]
無論成るならぬは、
私を信用して貰うより他ないのですがな。
[ここで、男は苦笑して軽く両手を開いてみせた。
まったくもって、信用ならんと言われてしまえばこれで終わりだ。
現に男は、この場において国の代表権を持つわけではないのだ。]
……。このまま無理に進めて事態を泥沼化させるより、
かなえば貴国にもそう悪くない話であろうと思いますが、
─── いかが、ですかな?
[言葉を切り、じっと視線を若き皇帝の上に置いた//]
―水雷母艦アストラ―
[敵戦艦の向こう側…ナハティガルを、艦橋から見下ろす。
あちらは既に動きを止めていた。
――戦場にて、会えますように。
と、祈った彼の顔>>5:197が、ふっと記憶の淵を掠めてゆく。]
『敵戦艦の甲板で動きあり。誰か――出てきます!』
[部下の声を受けて、ロー・シェンは視線を手前に引いた。
この距離では甲板の人影>>220は小さく顔はわかりづらい――が。
ただ、ひとり。
表に出て、こちらに身を晒す様は、
竹を割った潔さのようなものを感じさせた。]
/*
正直に言うと、譲られた勝ちなど必要ない、というところですが。
いずれにしても陛下の判断おひとつなので。
……。各員、戦闘態勢を維持しつつ待機。
巡洋艦と水雷艇には停戦信号を。
[命令を下し、艦橋を降りる階段に足を掛ける。]
『代将はどちらへ?』
[そう問う声に、ロー・シェンは薄っすらと口の端を上げる。]
甲板。
―水雷母艦アストラ甲板―
[風が、不思議と凪いでいた。
急に穏やかないろに変わった海の向こう、
敵戦艦の甲板に立つ、ウルケルの軍服姿がひとつある。
声を届かせるには遠い距離。
顔を判別するにも遠い距離。
けれど。]
/*
だって、ここで勝ちなんて譲られたら完全に道化ですよ?
じゃあ、今までの戦いは何だったんだよって話になりません?
敵味方の砲撃の中に飛び込むなんて
馬鹿な真似をするのは――…
[浮かぶ顔が、ひとつ。]
おまえくらいじゃあ、ないのか?
[鼻っ柱が強くて、やると決めたら曲がらない男。
自分によく似た性格の彼ならば、
必要と定めたものは何でもする筈だ。]
なあ、 …タクマ。
[懐かしい名は、波の音に混ざって優しく響き。
空と海の青に、――――溶けて*ゆく*]
やだねえ。俺は、そもそも怠け者なんだ。
出来りゃ昼寝でもして過ごしていたい。
[しみじみとした音が落ちる。
誰だ、軍隊では年寄りの方が働かされるなんて言った奴は。
だらけたいと口にする、その真逆に事態は進みつつあるわけなのだが]
扶翼官殿が?
なんだ、お前さん、あの坊ちゃんに歌を聞かせたことなんてあったのか。
[初耳だと、少し驚いた声が返った。]
………、…。タクマ、
[続く素の問いかけには、珍しく少し間が空いて。]
嫌なら、お前さん相手に酒を呑んでるわけがないだろ。
[少し呆れたような声が返った*]
ああ、戦闘を続ける段階は過ぎた。
[互いに艦隊を引くという提案に同意する。]
提督の気持ちがそこにあるなら早急に複葉機を飛ばし、我が扶翼官が無事にカルボナードで交渉の席につけるよう手回しを。
交渉は彼が行う。俺より巧くやるだろう。
彼もこの戦いで感得するものがあったようだ。
提督もすぐに複葉機でカルボナードへ向うといい。
評議員たちも実際に戦った現場の声は重視するだろう。
[ゲオルグが、提督の立場では戦闘は止められても、戦争は終わらせられないと承知していることが一層の信を置かせた。++]
ただし、先に言っておく。
相殺という形にしても、海峡使用料は払わぬ。
賠償金は一時のものだが使用料は払い続けねばならないという理屈は別にしても、
俺が納得せん。
俺がウルケルに求めるところはただひとつ、
海峡の、完全なる自由な通行だ。
それ以上は望まない。
アンティーヴ領も、ウルケルに戻されることになるだろう。
民に報復が行われないよう、提督とストンプ候で目を光らせておいてほしい。
ウェルシュ・ストンプの名は、扶翼官から聞いている。
ウルケルが停戦に応じるよう、尽力してくれる人だと。
[信用する、ゆえに妥協はしない。]
俺はウルケル海軍を凌駕することができなかった。
帝国のメンツにかかわるから、公文書にはそうは書けないが、自分でわかっている。
ヒューペンタール提督ある限り、ウルケルの海は守られよう。
頼もしいことだ。
海路を開放したところで軍事的脅威を退ける力があるとわかった国民は安堵するはずだ。
帝国海軍恐るるに足りず、
ウルケルが帝国の友たらんことを、俺も望む。
友に嘘があるのは良くないことだ。
[同じく真っすぐな視線を返す。//]
ルッツ、
提督から戦闘を停止したいと申し入れがあった。
通達が回って以降は問題なくカルボナードまで行き着けるはずだ。
この戦争がどのような終わり方をするかは、そこからの交渉次第になる。
[ゲオルグから提案された内容とアレクトール自身の回答を伝えておく。]
むろん、それに義理立てする必要はない。
おまえなら、より良い道も見出せるだろう。
……、艦をお引き願いたい。
[ひとつ、念を押すよう音を繰り返して。]
扶翼官のこと、分かりました。
───が、今は艦をお引き願えませんかな?
このまま彼らがカルボナードに到着すれば、どうしても、
首都にも民衆にも力づくの印象を与えるのが避けられんのです。
それは…、まあ。ちと厄介でしてな。
ウルケルはそれなりに、頑固者の集まりでして。
[つるりと己の頭に手をやった。
それなりに、ゲオルグ自身もウルケルの人間である。]
ふむ。それは困りましたな。
払えぬか───…
それは、 呑めませんな。
[ゲオルグはひとつ息をつく。
その瞳に、鋭い烈気が閃いた]
呑めぬ理由は、我がウルケルが独立した一個の国であり、
グロル海峡が我らが国の領土であるからであります。
………陛下。
陛下は失礼ながら、お幾つまで健在であらせられるつもりですかな?
地上に輝く太陽にも永遠はなく、
我らウルケルがモルトガット帝国と歩みを共にする以上、
時には太陽を覆う嵐と対峙する必要もありましょう。
───そのリスクには、相応の敬意…対価が必要です。
喩えそれが形式の上のものに留まろうとも、
海峡使用料はお支払いを頂きたい。
そうでなくば、呑めぬ。
…これはウルケルの誇りに関わる問題です。
[素っ気無いほどの口調で、そう言い切った。
表情は緩められることなく厳しい顔が皇帝へと向けられる。]
…というほど丁重な申し出ではなかった。
おまえのカルボナード行きを止めろという話だ。
俺も甘い。
友とは互いに尊敬しあい、
たとえ立つ場所が異なろうとも───…
生死を分かとうとも、強く心に繋がるもの。
[幾つかの、顔が瞼の裏を過ぎる。
親友を喪い泣いていた中尉、大切な人を思い出せずに思い悩む青年の顔、かつて酒を酌み交わした…遠い戦友]
決して一方が一方の上に立つものではありません。
陛下がウルケルの誇りを尊重なさらぬならば、友情は成立しえぬ。
この海は我らが故郷、我らが誇り。
それを、最後まで意地と共に守り貫くこととなるでしょうな。
[そう言い切って、口を閉ざした//]
戦闘停止の申し入れ、ですか?
[聞こえてきた声に、いささか拍子抜けといった気配纏う声を返す。
ただトールが無事であるらしいことには胸をなで下ろした。]
わかりました。
では通達が来るまでこちらも戦闘を停止して待っていましょう。
交渉の方はお任せください。
[告げたのちに、聞かされた会談の様子に、暫し沈黙した。]
………つまり、ウルケルは最初から帝国に勝ちを譲るつもりだった、ということですか。
[いくらか気配が冷えた。]
帝国も、舐められたものですね。
譲られた勝利に喜ぶとでも。
[呟くほどの声で言ってから、纏う気配を払う。]
いえ。
実利を取るならばそれでもかまいません。
そのように調整してみましょう。
[複雑な心を胸の内に収めたところで、甘くなかったと言われて首を傾げた。]
民の心証を慮るのであれば、扶翼官には満艦飾で入港させてもいい。
だが、終戦交渉のためにカルボナードへ向っている扶翼官を止めることは停戦の趣旨に矛盾しよう。
[何一つ諦めたわけではないことは、先に伝えた条件からも知れるはず。]
海は領土ではない。誰にも属さない。
[他国の前を事前通告もなく軍艦を通らせたりはしない礼儀はあるが、海の所属に関する概念に関しては平行線だと伝える。そして、]
金で購えるのがウルケルの誇りか?
[ゲオルグの主張に従えばそうなるが、まさか、と。確かめるように問う。//]
要は、現時点でおまえと元首を交渉の場につかせたくないんだろう。
[続けて、ゲオルグの主張を伝える。]
俺はおまえの誇りとか聞いたことがないな?
そうでしょうね。
私が直接カルボナードに行けば、交渉の権限は提督から離れますから。
[トールの見解に同意を示す。
相手の主張を聞けば、やや首を傾げた。]
友情や誇りと金銭の間には、少し相容れない要素があるとは思いますが…
何らかのケジメが必要という事でしょうね。
この戦いを清算し、海峡を開くに足る何かが。
[暫し対策を黙考するが、]
私の誇りですか?
それは、帝国の、そしてあなたの扶翼官であることですよ。
[それらを穢されることがすなわち、自分の誇りを穢されるということ。]
先に通行した巡洋艦は4、戦艦は1とお見受けしたが、
これをそのまま差し向けずにあるならば、構いはしないが、
[どうかと、これはひとつ確かめる間]
… 残念ながら、意見は分かれたままのようだ。
これが船乗りとの違いでしょうかなあ──…
確かに海は領土にあらず。
なれど、この海峡は我らの故郷。我らの庭。
そう易々と、外の者をただ通すというわけにはいかんのです。
否、誇りは金で購うものには非ず。
なれど誇りを尊重する形のひとつが、金の形を取るのもまた事実
なれば問おう。
モルトガット皇帝、アレクトール・スライ・モルトガットIV殿。
貴殿は我らが故郷、我らが誇り、
これまで誰にも明け渡した事のないその場所を無償で通らんと欲するに、その誇りを購うに何をお示しになりますかな?
…───まさか外洋の通行自由。
などと、つまらんことを仰せにならんかとは思うが。
[挑発するかのように視線を上げた//]
/*
猫を愛でまくって良いよという権利とか。
[ご飯食べてる猫を見ながら。]
[ごめん。眠くはないんだけど多分眠い。]
ケジメ、そうだな。
今、提督もそんな趣旨のことを言っている。
俺の旗艦に単身で乗り込んできて、すでに勝ったつもりの圧で交渉をふっかけてくる、その実直さはやはりウルケルの柱というにふさわしい男だな。
/*
帝国の最大目標が、海峡の完全に自由な通行で、
ウルケルの主張が、通るなら対価を払え、なので、
これはもう、すれちがいまくりんぐとしか。
ああ、陛下頑張れ。
(そっと応援)
(おまえも考えろ、という話ですね)
嘗て、一人の帝国の属人が使っていた部屋の引き出しの中に、
誰にも読まれることなく幾数枚の紙が乱雑に詰め込まれていた。
白い紙に筆跡を残した人物は海上に命を散らし、今は既に無い。
― 独白:ウルケルへ発つ前日 ―
明日からしばらく遠征が続きます。昨晩は酔った勢いで上官のもとに押しかけてしまいました。
残念なことに、上官を酔わせることは叶わず>>3:100、私だけが家のことなどやや口にし過ぎることとなりました。
ついで、飲みすぎたせいで今日は酷い二日酔いに襲われました。あの上官様は腹に酒樽でも飲み込んでいるのでしょうか。
運がよかったのは、ひとつ。例の上官にお叱りを受けなかったことです。
何しろ、悪酔いの影響があったせいで点呼や訓練の際にカエルの潰れたような声で返事をしたものですから、その場に居た上官がリーミン中佐で無かったらだらしないと怒られていてもおかしくはなかったでしょう。
…
何となく。アイグル上官になら。
自分にまつわる事情を話すも吝かではないと、思えたのですが。
過ぎたことですから、矢張り話すべきではないと判断しました。
…ええ、少し残念でしたけれど。
酔ったほうが利口そうだ>>3:99と。
私の評価などその程度でいいのですから。
私は自分がどう評価されているのか知っています。同期の中では出世知らずと、そんなあだ名さえあるくらいです。
明るく元気よく、多少失敗をしても咎められないように人と関わり、けれど、深入りされない程度に付き合いを留める。
一度敵愾心を持たれてしまえば、私の従軍の態度が取り沙汰されてもおかしくはない。塩梅は、大変に難しいものでした。
しかし、その努力のお陰か…それとも、上官の計らいのせいか、今まで皇帝陛下の元へ呼ばれることもありませんでした。
私には顔を会わせたくない人間が三人います。
お祖父様。
帝国現皇帝、アレクトール・スライ・モルトガット陛下。
そして、皇帝陛下の傍に常に控えているという当代唯一の肩書きを持つ、扶翼官…ルートヴィヒ・アルトハーフェン。
お祖父様…もとい、狸爺については今更何を書くでもなし。
私については利用価値のある人形程度にしか考えておられないのでしょう。二度とお会いしたくはありませんね。
…遠い昔の、幼い私と今の私とは、疾うに別人なのですから。
皇帝陛下…彼とは、昔に会いました。
その時私は自失状態といってもいい状態でした。…船の中で。海も見えず、空も見えず、最後に見た鮮やかな色が陛下の瞳だったものですからよく覚えています。
陛下も…嘗て人形を投げつけた相手となど顔を合わせたくないことでしょう。
もしも、私の名が陛下に呼ばれる時が来るのならば、それはきっと私が命を落とした後のこと。何せ、彼のもとには戦死者の名>>4:236が届けられると専らの噂なのですから。
皇帝陛下もさることながら、私が避ける人物がもう一人。
願わくば、私の生きている今この時も、私がどこかで命を落としたその後も、彼は何も知らないで居ますように。
ルートヴィヒ・アルトハーフェン、彼には。もう二度と…会うこともないと思っていました。
故郷が滅んだ日に、ミリエル・クラリスは死んだのだと、自分にそう言い聞かせ続けてきました。
…だというのに、あなたは鯨と名のついた船>>0:7に乗って私の前に現れた。
もう、故郷と帰る家を失くした日ほどの絶望などないと思っていたのに。…私はその時、確かに絶望したのです。
彼と会ったのは幼い日の一度きり。
それも、歌を数曲歌うほどの短い時間でしかなかった。
例え、顔を合わせたとしても。
お互いに分からない可能性の方が高いでしょう。
特に私の方に彼が気付くことは、私が名乗らない限りはほぼほぼ無いだろうと思えました。
それでも、私は怖かったのです。
自らの業を、自らの手で貶めた自分自身を、彼に知られることが恐ろしかったのです。
一目ですら彼の前に姿を晒すことは避けたかった。だから、私は…
遠くウルケルの地へ向かう折に、私は自分の名を示すものを上官へ託すでしょう。
捨てられても構わないといつものように、笑って渡すことでしょう。
それが。もし。
彼のもとへ渡ることがあったなら、覚えのない名前だと打ち捨てられるか、それとも…嗚呼。
一度。…たった一度の邂逅を、記憶に留めておいてくれたならと思う私は…卑怯者です。
[空白の後に滲んだインクで文章が*終わっている*]
/*
地上が最後まで熱血たっぷり!とか思いながらぎりぎりに日記もどきを投下するのです
時刻は朝の六時です。ねむいです。
───そうですね…。
私たちの理想を実現するためには、海峡の完全に自由な航行、という項目は外せません。
いえ、それ1点のみ、ともいえるでしょう。
これに対してウルケル……提督が誇りを言うのでしたら…、
/*
もはやショートスリープの悪習が身に付きつつある私です。どうも眠いので仕事が仕事として機能しておらず、このまま出撃すると上官からお叱りを受けそうです。
もう八時からエピだというのにー
/*
暗くして寝床でごろごろしても眠れない場合は作業をすると余計に眠れなくなるので寝ようと考えずにすんなり寝てくださいってよくいいますがすんなり眠れないのでうとうとしていると朝になっているという悪循環ですね。
仕事場で眠くなる現象に誰か名前くださいです
我々は"誓い"という形でこれに応える手もあるかと。
未来永劫に、帝国はウルケルと敵対しないこと、
ウルケルの独立不羈たる精神を尊重し、
無二の友人として共に歩むことを、
あなたの名で、そして帝国そのものの名で誓うこと。
なんなら、帝国の代々の皇帝が守るべきものとして制定してしまっても構わないでしょう。
その誓いを疑うのは、私たちの誇りを傷つけることと同義である、とも。
/*
うう…あと一時間半ですが次はおそらく夜なので…
エピ後の灰やら囁きやら怖いなあと思いながら出撃してくるのです…
中佐に差し出すお茶だけ用意しておきますかね[そっとお茶を淹れる]
戦艦は止める。扶翼官の船はもともと商船だ。武装もほとんど残っていない。
そもそも交渉人が見た目、優男だぞ。心配はしなくていい。
[交渉艦隊は、そのまま差し向けるのでなければ構わないとの言葉に同意して譲歩する。
船乗りの話については、うなずき、理を説いた。]
ウルケルの商船は帝国周辺に自由に出入りしている。
提督も訪れたことがあるのではないか?
実のところ権利の侵犯ではなく、不平等の是正なのだ、これは。
とはいえ、ウルケルが戦争を経て明確な結果を望む気持ちは自然なものだろう。
なんだか、結納の相談をされている気分だが。
[ふ、と吐かれた息は、強さをそのままに言葉に変える。]
──帝国はウルケルと二度と戦争を起こさぬと誓おう。
[“誇り”に対して”誓い”で応えると告げる。]
ウルケルの独立不羈たる精神を尊重し、無二の友人として共に歩むことを、
俺と俺に続く帝国代々の皇帝が守るべきものとして定める。
その誓いを疑うのは、我らの誇りを傷つけることと同義であると。
それと、これはまだふわりとした
帝国とウルケルの間に不可侵の友好条約が結ばれたあかつきには、
戦争がなければ居場所のないウルケル傭兵たちに別の仕事をと考えている。
いわば海上救助隊とでもいおうか、海の守護者というか。
おまえたちの才、埋もれさせはしない。
[共にある未来が欲しい、と素直な声で告げる。//]
/*
アッ出かける前にフライング挨拶はしておけそうなので。
最終日地上の方々は遅くまで大変お疲れ様でした。
平日ですし、くれぐれも御自愛下さいね。
何も出てこなくても言ってやるよ。
で、提督が納得してくれるか、ぶつけてみた。
[了解も得ずに事後報告。]
/*
>>247
「国際救助隊」って言うとなんか家族経営でロケット飛ばしてそうなイメージがあるからw
[ 風が凪ぐ、今だ戦の名残に泡立つ波を鎮めるように ]
.........
[ 見つめる先に、人影が出て来るのが見えた>>231恐れも迷いも無い、確かな足取り、曲がらぬ意思と力を持った ]
ああ、やっと会えたな。
[ 男の目でも、相手の顔は見えない。声もやはり、届きはしない。けれど、確信があった ]
[ す、と男は片腕を上げる、肩と腕には激痛が走ったが、その腕は揺らぐことなく。
二指もって型作り、贈るのは、オルヴァル指揮の敬礼だった* ]
[ す、と男は片腕を上げる、肩と腕には激痛が走ったが、その腕は揺らぐことなく。
二指もって型作り、贈るのは、オルヴァル式の敬礼だった* ]
あの見た目に誤魔化されくはないものですが。
…砲をかさに進むというのでないならば、容れましょう。
[肩竦める調子で返す応えは是。
それにつけても思い返すに、彼を優男というのには語弊がありすぎるだろうとは。]
確かに。いかにも商船は自由に出入りをしておりますな。
私も立ち寄ったことがあると…、
さて、陛下にはお話を致しましたかな?
──── 、 やれやれ。
[ふ。と、ゲオルグの肩から力が抜けた。
顔から厳しさが消え、代わって微かな笑みが口元に浮かぶ。]
敵いませんな。
ご存知かな、皇帝陛下。
ウルケルは海軍の国──…更には商業の国でしてな。
ゆえに、誇りは金で売れるのです。
[軽く、先には否定した言葉を悪戯めいた表情でこう告げて]
昼寝なら、これが終わったらいくらでも。
俺もいいかげんに、休暇が欲しい。
[ 男は請け負った。それが成るように、シロウやヴィクトリアを昇進させようという目論見は、極めて真剣に検討されている ]
...西側の戦闘は、一時止めてくれてます。
[ ふ、と息を抜くようにして伝える。止めたではなく、止めてくれた、と。
少なくとも、今、これ以上の命が、この場所でこぼれ落ちる事は無い、と ]
急がないでください、提督。
だが、不平等を仰せになるはご尤も。
──── 承知した。
我らが誇りに帝国の誓いが得られるなら、
…───金を欲しがる連中の口は、塞いで差し上げよう。
[背筋を伸ばし、姿勢を改めて礼をした。
受け入れると、その声と仕草で彼に示して]
はは!
[皇帝の
若者らしい、ゆめだと思った。遠い遥かな夢だろう、今はまだ。
けれど…ひょっとしたら、いつの日か実現してしまうのかも知れないとも思う。この、力強き
いや、失敬失敬。
なあに、陛下。残念ながら、我がウルケルの取引相手も対戦相手も、貴国には限りませんでな。取引は未だ幾つか──…ですが、
[けれど。そうなれば将兵は死にはすまい。
いつかの恋人たちのように、不幸に死に別れることもない。
それは…素敵な未来だとも思えた。]
ですが、いつか。
いつかそんな日が訪れたなら───…
愉快でしょうなあ。**
― 水路 ―
[皇帝と提督が会談の核心に移った頃、
水路を行く4隻の巡洋艦もまた、戦闘を停止していた。
司令塔にいる扶翼官は艦隊の停止を命じたのち、
陛下より別名あるまで待機する、と告げる。
そののちは、自室にて休むと言って、奥へ下がっていた。]
[ルートヴィヒの意表をつくとワクワクするのはどういうわけだろう。
勝手に言葉を借りたが、それすらも「あなたの役に立てたのなら、嬉しい」と言うルートヴィヒに早く会いたくなる。]
安心しろ。力になっているに決まっている。
[自室の寝台に腰を掛け、じっと耳を澄ます。
届く声に時折答え、共に悩む。
それは皇帝と、半身と作る理想の未来のための、最後のひと仕上げだ。]
───ウルケルが誇りを言うのでしたら、
我々にも誇りはあります。
譲られた勝ちを喜ぶとお思いでしたか?
私たちが海峡使用料を払うことになれば、
勝ちを譲られた屈辱をいつまでも忘れ得ぬことになります。
ゆえに、誇りには誇りを。
───傷つけられたままで、友好関係は築けませんよ。
[声には乗せず、ただ呟く。]
[ 嫌ならば、共に呑むはずがない、と伝わった言葉と、想いに、笑みが深くなる ]
...待ってます。
[ もう一度、そう告げた** ]
/*
英雄希望出してみたいと思いつつ、この見事な主張合戦を見ると、自分だと無理だ、と引けてしまうと言う。
基本脳筋だからな(
地上の人達この時間までお疲れ様なのだよ…!!
-巡洋艦ナハティガルにて-
[男は右手を伸ばす。手首、巻かれた緑の紐。]
なぁ、艦長。
俺の親父の事、知ってたよな。
[もっとも医療の必要な場所で医療を。最前線で治療行為を行い続けた医師。]
親父は、俺の知っている範囲で、もっとも命を軽んじてる人間だった。
――ただし、自分のね。
[己が死ぬことなど少しも恐れていなかった。他者を助ける為なら、自分が犠牲になる事すら喜んだろう。
そしてその父親に育てられた息子も、ごく自然にその心が身についていた。]
これね、まじないなんだよ。
昔はまだ大丈夫、戦えるって自分に言い聞かせるまじない。
今は――ここにも命があるって、ここの命も守らんとならんって言う、自分に言い聞かせるまじないだ。
[緑の紐。ここに命があると示すそれ。
過去、『自分の命も守れ』と言ってくれた人との約束を守る為の、まじない。
約束を破るのだけは、怖かった。]
しかし、本当、難しいね。
自分の命を守るのも、人の命を守るのも。
[ふ、と艦長が笑う。
ありがとう、と。
「ナハティガルを守る選択をしてくれてありがとう」と。
爆発するまで戦い続けるという選択肢もあったはずだ。
戦う事を誇りとするなら、それこそ選ぶべきだったのかもしれない。
しかし、それはほぼ確実な死を意味する。
艦と、乗員たちの、死を意味する。]
守らなきゃならんだろう。
この艦を守ろうとする奴らの気持ち、俺が殺せねぇっての。
[「ありがとう」と再度の言葉。
「ありがとう、副艦長」と。
艦長の言葉に、男は目を丸くし、噴出すように笑った。]
今更、副艦長言われても違和感すげぇや。
いいよ、“先生”で。
――俺は、そういうもんだから。
[男は目を細め、口元に笑みを浮かべた。]
/*
腹心の二人も最後まで見守っていたのかな
そちらさまもお疲れさまだ…
どちらの忠義っぷりも素晴らしかったなあ
[そのまま、男は待っていた。
海は今までの争いが嘘のように静かで。
既に何らかの答えを告げているようにも思えた。
それでも男は待つ事にした。
知らせてくれる声を、待つ事にした。
ナハティガルも何かを待つように、ゆったりとした鼓動のまま、海上にてゆらりと揺れている。*]
― むかし ―
[その男の顔は時々見たものの、当時は父親に会いに来るお客さん、というその他大勢の一人でしかなかった。
故に向こうが友達が出来た事を知っていたのには、驚いた顔を見せたが。]
…いつもお土産くれる人?
[優し気な雰囲気を纏う思い当たる人はいた。
「ゲオルグおじさん」からもらったお土産は、ウェルシュと会う時の楽しみのひとつだ。]
ありがとう。
[だから素直にお礼を言った。
彼が誰なのか解らなかったが、おそらく父の知り合いだろうなのは理解し、丁寧に当時習った淑女の礼を返したのだった。
幼い頃に出会った事は、もう覚えていなかったが*]
ウルケルの誇りは金で売れる、か。
強かなことだ。
[お国柄の違いというものか。
だが、アレクトールの知る誇りも、帝国とウルケルとを問わず、この戦いを戦い抜いた者たちの中に見出せたと思った。
自らの血を流して戦う信念、それは立派な誇りとなろう。]
では、戦闘停止命令を。
[信号弾にあわせて、命令書をしたため各戦線へ送る。
西の海での戦いは、この時すでに沈静化していた。
かつて同じ陣営で戦い、その後、長く分たれていたにも関わらず、相手を信じることができた心強き者たちは、自ら戦いを止めたのだった。*]
[本当は、幼馴染に、あるいは何かのはずみで弟に。
会ってしまったら、駆け出してしまいたくなる衝動を抑えられないだろう。
絶対に大丈夫、そんな嘘はつけない。
それを見透かされるのが恐ろしくて。
視線を逸らさず、誠意や意思を示す事すら出来なかった。
だから覚悟という言葉で濁した。]
[その時沸き上がる物を、何といえばよいのか解らなかった。
どちらも自分だという言葉は嬉しくて。
生きろと言う言葉は苦しくて。
願った言葉の重さと、意味と、僅かに伝わる手の温かさに]
…………。
[言葉は出ない。
何度か震える唇を開かせたが、
嗚咽になってしまいそうで声は出せなかった。
代わりに、唇を引き結び、顎を引くようにして、
一度だけ、薄く、頷いた*]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新