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野茨公 ギィ は 修道騎士 バルタザール に投票した
神子 アデル は 修道騎士 バルタザール に投票した
聖将軍 ソマリ は 修道騎士 バルタザール に投票した
聖光の ユーリエ は 修道騎士 バルタザール に投票した
純血種 アプサラス は 修道騎士 バルタザール に投票した
公弟 ヴィンセント は 修道騎士 バルタザール に投票した
修道騎士 バルタザール は 修道騎士 バルタザール に投票した
騎士 ジークムント は 修道騎士 バルタザール に投票した
奴隷騎士 クレステッド は 修道騎士 バルタザール に投票した
修道騎士 バルタザール は村人の手により処刑された。
聖光の ユーリエ は、奴隷騎士 クレステッド を護衛している。
次の日の朝、奴隷騎士 クレステッド が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、野茨公 ギィ、神子 アデル、聖将軍 ソマリ、聖光の ユーリエ、純血種 アプサラス、公弟 ヴィンセント、騎士 ジークムントの7名。
■本日の予定
投票先はアプサラス ※ソマリが後追い死します
ヴィンセントは襲撃先をアデルにセットしてください + ギイは襲撃をパスしてください
ユーリエはアデルに護衛セットしてください ※狙撃分岐が発生します
狙撃分岐で、ユーリエが単独落ちか人狼化の場合は、この更新でエピになります。
公弟 ヴィンセントは、聖光の ユーリエ を能力(襲う)の対象に選びました。
聖光の ユーリエは、純血種 アプサラス を投票先に選びました。
聖光の ユーリエは、神子 アデル を能力(守る)の対象に選びました。
[俯くジークムントの耳朶に触れるのは公弟の吐息。
薔薇の香りを纏う彼に触れられるだけで
気恥ずかしさが伴うのは己が並ぶに相応しくないと思えばこそ。]
――このような戯れをヴィンセント様がなさるとは
めずらしいですね。
[顎を引いたまま視線のみを上げて
隠しきれぬ途惑いの滲む声を紡ぐ。]
[後は己の気のもちよう一つ。
抗う。といった。堕ちない。といった。
己に刃を振るわせ、背負わせた以上。これだけは遂げねばならないだろう。
終わりの時まで――ずっと]
純血種 アプサラスは、純血種 アプサラス を投票先に選びました。
聖将軍 ソマリは、純血種 アプサラス を投票先に選びました。
[心が移ろう事は知っている。
血の繋がりがあろうと利害で変わるものがある。
母の違う、兄との関係は元は良好なものだった。
けれど今は、疎まれていようと思う。
そうでなければ長く教会に置いておかれるはずはない。
呼び戻してもらえると、どこかで願っていた。
結局叶わぬまま、教会にも追われ人として生きる場所は失われた。
仲睦まじい野茨公と公弟の関係は
共にこの城で過ごした中で変わらずに見えたもの。
変わらないものもあるのだと思えるのに
会わぬ間に変わってしまうのではと不安に駆られる。
過去の経験が不安を募らせ一人歩きしようとしていた。]
>ジークメモ
>今日は交信者(ジークムント)襲撃だったと思います(ひそひそ)
ほんまやwww
いやーもうアデル襲撃タイミングかー。
早かったなーと素直に思って、全く疑ってなかtt
聖光の ユーリエは、騎士 ジークムント を能力(守る)の対象に選びました。
1.「狙撃手と人狼の両方が死亡する」(28%)
2.「狙撃手のみが死亡する」(28%)
3.「人狼のみが死亡する」(28%)
4.「人狼が死亡するが、狙撃手の役職が人狼に変化する」(16%)
[浮き上がり、唐突に出てきた先にいたのは]
……雛鳥か。
[ここにいてしまったことに、なんといえばいいのかはわからない。
だが血親を心配する幼馴染の様子が健気で。ああ、シスコンの次はマザコン…なんて思ってしまったのは仕方ない]
― 二つの死を見つめて ―
[命を落とした者への悲しみは抱けど、命を奪った者への憎しみは浮かばない。]
生前と真逆ですねぇ。
[己の心に苦笑を落としながらも、瞳は瞬きすらも忘れたように状況を見守る。
夜の湖畔はただ静かに、空に浮かぶ月を映した。]
[主を守ろうとする男の執念は、
吸血鬼の抱いた怒りと拮抗し、凌駕さえした。
技量を尽くし、いくつも致命傷を与えたはずなのに、
男は倒れず、避けることもせず、ただ主を守って戦い続ける。
それは、傷ついた聖将と仲間たちに貴重な時間を与えた。]
/*
ど、うしよう、かしら……
色々想定パターンはあったのだけど。
初めてお会いするわね?とツン全開で、血に濡れた手袋足元に叩きつける勢いでソマリを刺しにいった挙句、結局呪をかける決心が鈍って云々、とか。
腕無くなってるソマリに、ツン発揮できる訳がない……(頭抱え
よし、これは完全に出たとこ勝負ね…。
[主の声で主の言葉を紡ぐのは公弟そのひと。
血の弟に託されるはずだったものに触れる手がピクと震える。]
我が君の、血の精髄。
――斯様に貴重なもの、私には勿体無く。
[シメオンから血を受けた事の報告は未だしていない。
会っていないのだからそれも当然ではあるが]
本当に、私が受け取っても良いのでしょうか。
未だ、……此処に居ても、……。
[良いのだろうか、と迷う音が小さく漏れる。]
騎士 ジークムントは、純血種 アプサラス を投票先に選びました。
野茨公 ギィは、純血種 アプサラス を投票先に選びました。
■本日の予定(訂正)
ヴィンセントの襲撃先&ユーリエの護衛先はジークムントでした。
(確認したらメモで報告してくれると嬉しいです)
今も、――。
嗚呼、アデルが言うなら、そうなのかもしれない。
[願うような響きにゆると目を細めて]
アデルこそ。
あまり危ない真似はしないでおくれ。
君を何よりも大事に思う兄からのお願いだ。
[公弟の囁きを受け、血の赤誇る薔薇に触れる手指が小さく跳ねる。]
――…。
[伝言を受け、弟の声を聞き、また心が揺れるのを感じた。]
お風呂冷めてた……(3時間も前に涌かしたからあたりまえ)
温め直し待機なう。
本当は、川上作品的に
「全方位完全恩赦<アムネスティ>」
にしたかったんだけど、
良く考えたら「全方位」って何よ?って自分でツッコんで、寸前で取ったなう。
しかも、涙使用って面倒くさいよねえ。
吸血でも使用可能のつもりだから、涙については触れないでおこう。
吸血鬼なんだから、そりゃあ、ちゅっちゅしたいよね。
― 城内二階 ―
[―――それでも、堅強であった聖将が息を切らすまでは短い。
体力に劣るユーリエよりも、早い段階で壁に手をついた。
野茨公から距離を取ったとは云え、
心臓が送り出す血液が圧倒的に不足している。
肩を城壁に預け、二人へと改めて視線を向けた。]
―――アデル、ユーリエ。
二人とも、よく聞いてくれ。
[静かに二人を呼ぶ声さえ途切れがち。
首筋には薄く汗が浮き、純白の装束は血と埃で汚れている。]
ああ、それと…ちょっと様変わりはしちまってるが助かった。
[黒い鱗でできたガントレット。内側には刃がおさまっている。それ以外は生前と変わらない姿のまま、自身を戻してくれた友へと礼を告げた**]
/*
リエヴルとシメオンが再会できたようで嬉しい٩(ˊᗜˋ*)و
その気持ちのまま寝ちゃいます。
シメオンはありがとう。ぎゅっぎゅ。(◡◡✿)すやぁ**
[ようやく、立ちはだかり続けていた男が地に伏したとき、
聖将らの姿は既に視界から消えていた。]
……くっ。
[忌々しさを込めて、男の胸に剣を突き立てようとする。
その手が、途中で止まった。
血にまみれた男の顔が、どこか満足げに見えて。]
ありがとう…兄さん…
[ユーリエの言った言葉を思い出す。]
兄さん…吸血鬼にとって、救いは一体、どんなものなんだろう――?
"滅び"も、ひとつの救い…――。
[心や体のくるしみからの解放――。]
人も魔物も、苦しみから解放できたらいいのにね――。
俺の体力も魔力も、随分と消耗した。
―――…しかし、敵方は、未だ城主を筆頭に強き者が残る。
[背中を壁に預けながら、剣握る身は、既に平衡感覚すら危うい。
聖将と謳われようと、素体が人間である以上、限界が存在する。]
出来るだけ戦力は削るが、最早足手まといと言って良い。
――――だから、
[見やるは、幼子二人。
結界を護り、神に祝われ、運命を託されし子等。]
……二人で、救いなさい。
未来を切り開くのはいつも、君らの世代と相場は決まっている。
[不敵に口角を引き上げれば、満身創痍の聖将が笑む。]
吸血鬼にとっての救いをまだ日の浅い私には語れない。
けれど私の救いは、再び君に逢えた事だ。
この手で君を抱きしめられた。
君のぬくもりを、思い出す事が出来た。
[それが己にとっての救いなのだとジークムントは静かに語る。]
[ふらりと立ち上がる脚は、自分の意志とは別に動く。
自分が行って、どうなるのか。
約束を果たした先に、一体何があるというのか。
――先を、いつかを、望むことが許されないなら。
ただ、もう一度。
抑え込んでいた願いが全てを押し流し、熱を孕む身体を進ませる。
蝶と結ぶ糸は、今にも千切れそうになりながらも、彼の気配だけはくっきりと伝える]
――――。
[血の飢えから解放されたら。
アデルの血を求めてしまう可能性が消えたら。
嗚呼、と声が零れ掛ける。
けれど何も答えられぬまま困ったような吐息だけが伝う。]
[言葉を告げれば、緩やかに軽く頭を振った。
己の命は繋いだが、使い時は直ぐそこに迫る。
不意にアデル、と神子の名を呼んだ。
彼を呼び寄せ、徐に曲刀を差し出して見せる。
既に平行危うい身には負荷にしかならない。
彼に己の剣を託せば、代わりに彼の腰に下げられたショートソードを抜く算段。>>0:265]
すまないな、剣を変えてくれ。
―――俺にはもう、右腕も、聖剣もない。
託すぞ、アデル。ユーリエ。
[笑い話のように告げれば、顔を上げ。
幼子等を見下ろした。]
気高き救世主たれよ、二人とも。
[祝福の十字を剣先で切って、地下へ続く階段を視線で示す。
行け、と未来への道を促すように。]
……なぁ、リエ。
お前、何処か行きたい場所がないなら…。
[身体と切り離された状態。
消滅すれば、二度と会う事は叶わないだろう。
魔性と人間と。
もしも神の世界とやらがあるとしたら、行きつく先はきっと違う場所。
お前を失いたくないと告げた時の声色のまま、幼馴染を見つめた。**]
[城主の関心が男の亡骸から移れば、
影たちがそれを地下礼拝堂へと運んでいく。
それを見ることはなく、城主は床に屈みこんだ。]
私のものとなるはずだった子よ。
未だ生まれぬままに行ってしまった子よ。
[血溜まりに散った灰に触れ、そっと口に含む。
舌にざらつくそれは、ひどく苦かった。]
/*
このまま死ぬのか、復活するのか悩んでます。
表優先でしょうが。
折れた剣を後生大事に持ってるジークムントさんが可愛くて!
約束守りたいなー。
でも幼馴染…!(ぐらぐら)
/*
あーでもお母様が亡くなられたら、死を選ぶような気もする。
兎に、花に、雛鳥。
何でシメオンこの評価受けてるんでしょう(真顔)
[野茨公からの贈り物に触れはするが受け取る事は躊躇われた。
大事な物と思えばこそそれを受け取る資格があるのか悩む。
贈り主からの真心を感じるからこそ――。]
ヴィンセント様。
[名を呼んで、そと貌を上げる。]
受け取る前に――、あなたにこの血を捧げたい。
我が君からの伝言と贈り物を届けて下さったお礼に。
[公弟に血を捧げ、それでもこの命が続くなら
それを運命と受け入れて、主からの心を受け取ろうと、思う。]
いつか必ず、おまえに伝えたい。
なぜ、おまえに血を注いだのか。
どれほど、私がおまえを求めたのか。
愛したいと願ったか。
[唇を固く引き結んで、指先をもう一度灰に伸ばす。
腕に受けた傷からいくらかの血がしたたり落ち、
灰の上に1滴、2滴と零れて染みた。
濡れた灰は色を変え、形を変えて硬く凝る。
灰の中で育ったそれを掬い上げれば、
手のひらに握りこめるほどの輝石が姿を現した。
硬く無骨な石の表面は、鍛え上げた鋼の色。]
君の母上も、君の父上も。
―――…君の選択を待つ。
子の成長を喜ばぬ親など居ない。
Noblesse obligeだ、王子様。
[或いは半魔半聖の彼にしか出来ない選択かもしれないと思ったが、
――――そこまでは告げなかった。
それは、己が示すものではなく、彼が至るもの。]
[ジークムントは片手で襟首を緩め
ヴィンセントが顔寄せるとは反対に首を傾け首筋を晒す。
戯れのようなシメオンとの約束がちらと過るが
それは再び会う事が出来た時に果たせば良いと思い直した。]
味の保証できぬのが申し訳ありませんが。
[そんな言葉を漏らして少しばかり申し訳なさそうに目を伏せた。**]
─ 廊下 ─
[ 風精に浮かべられるソマリを支えるようにして走る。
バルタザールを失ったことが悲しくて、
残してきたクレステッドが心配で、
別れたきりまだ姿の見えないオズワルドやリエヴルが気になって。
息苦しさも相まって、胸がつぶれそうに苦しかった、
が……。
同時に、
複雑に反響する足音、
先ほどまでは見当たらなかった場所にまで絡まる蔦と野茨の白さ、
指先に触れる人の体温。
廊下を照らすランプの匂い。
……そんなものひとつひとつに、
せつないほど感動していた。 ]
[ 「無駄だから」
と思っていた頃には、何にも見えていなかったし聞こえていなかった。
何も伝えようと思っていなかった。
でも、世界はこんなにユーリエに語りかけてきていた。
色は鮮やかで、音は華やかで、匂いは複雑だった。
魔物だとか、夜の城だとはそんなことは関係ない。
世界の全ては必要で、
世界の全てに愛があった。
こんなこと知らなかった。
すぐ傍にあるのに、どうして気づこうとしなかったのだろう。
後悔と感動の混ざった涙が、ほろりとこぼれては、床で弾けた。 ]
[ ユーリエは知らなかったが、
一行が通り過ぎた後で、陰からそっと手を伸ばす影があった。
影だけになった囚われの存在は、床にこぼれた涙の一滴に触れると、
「ああ」と小さく満足のため息をついて、
フッと跡形もなく消えていった。 ]
教会に居た頃から
私の救いは君だった。
アデルは私にとって希望だよ。
[何も救えないという弟に救いなのだと兄は言う。]
[輝石を手に立ち上がる。
歩き出せば、影たちが現れて灰の残りを集めていくだろう。
地下へ運ばれていくそれを見ることはなく、その場を歩み去る。
まだ倒すべき相手が残っているのだ。
大切なものたちを脅かす相手を、
これ以上野放しにしておくわけにはいかない。]
[ハラハラと零れて弾けた聖女の涙は、きっと人だけを想うのではない。
ユーリエとアデルの二人の心に芽生える光は、同じ形をしている。
決して、自身では辿り着けなかった、尊き光。
迷うアデル>>30に視線を配り、ユーリエの声に引かれる。]
―――おや、知らないか。ユーリエ。
船は帆を張り、風を受ける。
箱舟を導くのは、舵ではないよ。
[自身が選択できる戦術など、もう限られている。
最後まで、自身の命の灯火すら使う。
―――そう生まれ、そう決めた。
背中を引き剥がすように壁を靴裏で蹴れば、惰性で進む両足。
肩で扉を開いた先は、茨森を見下ろすバルコニーであった。
白い月が空に浮かび、仰いで双眸を撓める。
自分の身体は既に気力で立つに等しい。]
― →二階 ―
[歩を進める度に、腕の傷がずくんと頭の芯まで痛みを響かせる。
血と共に流れ出す魔力を、懸命に鎮めながら、一歩一歩前へと]
[近づくのは、彼と、強い聖光を帯びる気配。
ふ、と息を洩らし、それでも脚を止めはしなかった。
一目を叶える前に討たれさえしなければ、もうそれで良い]
[ひら、ひらと舞い遊ぶ蝶が視界の端を閃く。
此処暫く、ずっと己の傍を着かず離れずで遊んでいた影だ。]
―――…感傷に浸るのは好きじゃないんだがな。
色々思い出してしまう。
[自ら手に掛けた友のこと、己の盾となった僕のこと。
姿の見えない使徒は、既にきっと―――。]
……知らないわ。
乗ったことないもの。
[ ソマリはこんな時まで軽口を叩く。
それは……きっと……矜持なのだろう。
弱さも冷たさも醜さも、全部隠して。
その全部を、いとおしい、と思った。 ]
……ああ、狂おしいほどだな。
[月明かりに照らされ、右腕の無い影が伸びる。
疲労を言い訳にしても、叱り飛ばされるか、どやされるだけだ。
もう、その声が、聞こえなくても、
自身の脚を挫かせぬ、強き礎となっていた。
片手剣に五指を絡め、ゆっくりと握りこんだ。]
[風が己の身体を誘い、夜気の色が濃い。
だが、やがて月は沈み、朝が来る。
黎明の色した朝焼けを、恋うように一度、*瞳を閉じた。*]
お姉さまのコア1時までだし、
余計なことしたかしら(´・ω・`)
ソマリと別れたら、どこかでアデルんとゆっくり話してみたい。
そして、ヴィンスとはタイマンでやりたいわー。
そういえば、今回の「出来るだけメモすり合わせはしない」方針は……。
面白かった!
何が起こるか分らないし、RP村でやりたいのって、コレよコレ!!という感じがしたわ。
ただ、なんとなく「あんまりメモ会話をしてはいけない雰囲気」みたいなのがあって、そこはプレッシャーだったわね。
そこをあえて、メモにネタを仕込むのがかりょさんだけど。
(一応これには、無口無表情無愛想なRPをやるから、
せめてwikiやメモでは頭の軽いキャピキャピ娘をやろう、という裏もあったけどね)
聖光の ユーリエが「時間を進める」を選択しました
[引き摺る脚で、漸く辿り着いた彼の許。
月下のバルコニーに、仄白く浮かび上がる背中。
彼の求めに応じ、自ら訪うことはしないと決めていた。
二度と見ることもないと決めた、その姿。
――戦場と化したこの城で、戯れめいた約束が叶うなら。
二人の間に一度目があったことさえ、決して認める心算はなかった。
互いの刃が鈍らぬよう、この身に流れる血に相応しい冷笑だけを湛えて、聖将たる男を蝕むと決めていた]
[猛烈な勢いでやって来た野茨公の魔の気配は、強い怒りに満ちていた。
あれは大切な者を失った、怒りと悲しみ――。
バルタザールは神のために戦い、最期は吸血鬼として血親のために戦った。
戦いを求めていたクレステッドも、ソマリを守って戦った。
大切なものは違っても、みんな命を賭けて、決して逃げ出さずに――。
リエヴルとオズワルドは何のために、戦う道を選んだのだろう。ここに来る前にもっと話を聞いておけば良かった。
今更後悔しても城内に突入してから別れたきり、彼らとは再会出来ないままだ。
どこからも剣戟の音が聞こえない城内はやけに静かで、不安な予感が過ぎる。]
[男の右肩に、寄り添うように黒蝶は翅を休める]
――…、……
[あの夜と同じ様に、血に汚れてなお月光を纏う白。
けれど、同じ様にこの手を引いて、腰を抱き寄せることは二度と無いと眼前に突きつけられれば、もう――
ぶれる視界は滲んで、小さく歪む唇が、吐息だけで男の名を紡ぐ]
─ 少し後:地下礼拝堂 ─
[ いずれ、吸血鬼たちはここを見つけるだろう。
ここで迎撃するのがいいのか。
それまでに移動するのがいいのか。
教えてくれるソマリは、傍にはいない。
野茨公が、どうして数で勝る使徒達に襲いかかって来たのか、
正確なところは分からなかったが、
自分たちが招かれざる客なのは、ユーリエにも分かっていて。 ]
[本当のことを知ったら、彼女はどんな反応を見せるだろう。]
思い出したんだ…、むかし森で育てられたこと――。
育ててくれた母さんが教えてくれたこと…――。
[そこまで言ってから、一度息を吐き手の力を抜いた。]
僕には半分、"魔の血"が流れていて――
もしかしたら城を支配する兄弟のどちらかが、父親かも知れない――
[もちろん、どちらも違う可能性も充分あることを付け加えて。そっと握られた手を離そうとした。**]
神子 アデルは、純血種 アプサラス を投票先に選びました。
――…お嬢さん、無理を承知でお願いさせて。
今だけ、見逃して頂戴。
貴女達を攻撃するような力は、もう残ってないわ。
……約束が、あるの。
その後なら、いつ殺してくれても構わないから。
[少女の口にする言葉は、即時の攻撃は感じさせないもの。
望みは僅かでも、残されているだろうかと]
……お願い。どうか、行かせて。
[人間はこういう時に祈るのだろうか、そっと言葉を唇から押し出す]
[ お願い、と言われて驚く。
吸血鬼は皆、ユーリエを驚かせてばかりだ。
彼らが……言葉を話せて良かった。 ]
……約束。
[ ソマリの背を見て、そして女性へ視線を戻した。 ]
滅び<救われ>たがっていない魔物を、
無理に滅ぼす<救う>ことは、出来ないわ。
だから。
……行くといいわ。
[ アデルの意見はどうだろうか、と見る。 ]
― 少し前・廊下 ―
……吸血鬼に、名前を聞くの?
変な子ね、貴女。
アプサラスよ、ユーリエちゃん。
[ラストネームだけを答えられたから、自分もそう答える]
彼を……知ってる、に入るのかしらね。
会ったことが、半年前に一度あるだけ。
向こうは覚えてるかも怪しいわ。
…でも、会いにいくの。
[如何にも妙な話だと我ながら思い、また微かに笑う]
アプサラス、覚えたわ。
[ 変な子、と言われて戸惑う。
……確かにそうだ。
今までのユーリエならば、名前なんて聞かなかった。
「魔物」という記号さえあれば充分だったから。
変わったのは、たぶん、
バルタザールを見たからだ。
吸血鬼にも過去があり、生前があり、
意思と言葉と心がある事を知ったから。 ]
……ソマリが、貴女を覚えてるといいね。
[ 心からそう思った。 ]
――…でも、いいの。もういい。
あの人に二度と会わずに、永く生きるより。
あの人にもう一度会って死ぬ方が、私はずっといい。
だから、どちらかしか選べないのなら、私はそうするの。
[こんなに簡単に、答えは出てしまった。
こんな単純なことがずっと解らなかったと小さく苦笑する]
[ みずのむこう
ゆらゆらゆれて
ひかりがきらきら
とてもきれい
おかあさん
みずのむこうのおかあさん
どうしてそんなかなしいかおをするの?
みずがゆらゆら
あわがふわふわ
わたしがいままでいたばしょとおなじ
でもここは
おなかのなかとちがって
つめたくて、くるしいよ
お か あ さ ん ]
私の思ってる、と言っても。
……本当に、一度会ったきりよ。
それに聖将さんと、…彼は、違うのでしょう?
だから、ここで会うなら、私を殺すと思うわ、きっと。
私だって、その心算だったもの。
[迂闊な事を言っているとは思ったが。
彼に会えさえすればもう、と思う気持ちが、言葉をシンプルにする]
救う…って、浄化のこと?
もし彼と会った後も無事なら、あえていきたくないのだけど…
[救うとはどういう意味だろう。そう思いながら、彼女達を見送った*]
それは……、答えられないわ。
本人に言ったこともないし、
…言うことも、一度もないかも知れない。
[そこまで言って漸く、答えてしまっていることに気づいた**]
でもどこかに入れないとなー。
半ソロールだから、勘弁してもらうしかないわね……。
今日死ぬかもだし、容赦してもらおう。
─ 少し後:地下礼拝堂 ─
吸血鬼でも子供を作れるのね。
[ アデルの父親が、この城の吸血鬼かもしれない……。
……何を言えばいいのか分らなくて、
ただ、思いついた事をその順に話した。
沈黙を恐れるように。 ]
……そういうことだから、
人は、簡単に吸血鬼になってしまうのかしら。
永遠に生きて、強くて、老いもせずにいられて、家族も作れるならば。
[ もしかすると、魔物を良く知る者には、何をいまさらと笑われるのかもしれない。 ]
……ううん。
でも、やっぱりだめ。
吸血鬼になることを……死ぬことを肯定したら、
頑張って「生きる」って意味がなくなってしまうわ。
たったの100年も生きていられないから、
一日一日を精一杯に生きられるのだわ。
老いるから、
女性は少しでもきれいなままでいようとお化粧をするし、
弱いから、
鍛錬をして、強くなろうとするのだわ。
欲しい人と必ず家族になれる訳じゃないから、
恋文を出して、恋の詩を書いて、
失敗するかもしれない告白をする意味があるのだわ。
魔物になって、簡単にそれらが手に入るなら、
無理に生きる意味がないわ。
だから、だめ。
……ジークムントも。
やっぱり、吸血鬼になるべきじゃなかったと思う。
[ アデルと彼の関係は分からなかったが、
やっと引っ掛かり>>5:102が溶けた気がして、
気づけば言葉がこぼれていた。 ]
教会に追われてこの城に来て、
頼れる者が野茨公しか居なかったと彼は言った。
逢いたい人が居るからと。
……でも、それはおかしい。
そんなことで人間をやめなければいけない、
教会の仕組みの方がおかしい。
吸血鬼になることそのものが目的だったのなら、
それでいいのかもしれない。
でも、そうではないのならば……。
彼は、自分を魔物に変えるのじゃなくて、
この仕組みの方をこそ、自分が生きて行ける形に変えるべきだった。
[ ……話す内に、関係のない内容になってしまっていた。
でも、おかげで少し考えをまとめられて。 ]
私、
魔物って、神様が存在をお目こぼしなさっているのだと思う。
……最近そう、思うようになった。
だから、貴方は貴方の生まれを恥じる必要ないわ。
神様がお作りになった人間と、神様がお目こぼしなさった魔物。
つまり、貴方はやっぱり神の子……神子で間違いないと私は思うわ。
ただね、少し、ね。
貴方のお父様かもしれない人を、悪く言うつもりはないけれど……。
吸血鬼という存在は、特殊よね。
寿命と言う時間に縛られていないから……、
使徒とも渡りあえる強大な力があるから……、
少し、大事なことが分からなくなっているのかもしれない。
昔は分かっていたことを、忘れてしまっているのかもしれない。
私は、野茨公達と話すつもり。
アデルは、ジークムントともう一度話した方がいいわ。
[ ……もしかしたら、
身勝手な救済という思い込みを、望まぬ彼らに押し付けてることになるのかもしれない。
そうだとしたら、滅びるのはユーリエの方だろう。 ]**
/*
……この、家族に家に連れてきた好きな人(片想い)見られちゃった感にも似た中学生的気恥ずかしさアレコレと言うか、
お茶入れている間に聞いちゃったアレでソレな照れくささと甘酸っぱい嬉しさに床を磨いていたら、朝コア終わったという、ね!(駄目将)
/*
月の下での再会だとは思ってた。確実に。さすがねソマリ。
でも刺しにいく気満々だったから、色々禍々しい感じにしたけどきっと。
「地下礼拝堂に影が入れない〜」
を聞いて、なんだろうなんだろう、って思ってて、
寝ながらハッと思い出したの。
そこ墓下やん……(震え声
ゆりりん、なに勝手にリフォームしてるの……。
墓下描写と違ってたら私のせいよ、ごめんなさあああい!
[悲痛な叫びが消えて、谺ももう返らない。]
その魂が、まだ、我々の近くにあるのなら、
我々は言葉を、愛を──語り、教え続けよう。
そして、おまえが迷わぬよう、夜毎に燭を灯そう…
[ギィは、彼の最期を見届けることができたのだろうか。]
──…ユベール、
[深く傷ついているだろう彼にかける言葉も喉につまり、ただ、想いを飛ばして労る。
愛に迷わない彼の強さ脆さを、もろともに抱きとめる。]
公弟 ヴィンセントは、騎士 ジークムント を能力(襲う)の対象に選びました。
― サロン ―
[腕の中で萎垂れるジークムントが零す切ない言葉を聞く。]
あなたをそんな不安な気持ちにさせるような城主は、後で叱っておこう。
[腰を抱いていた手を解き、ジークムントと正面から向き合う。]
…城を、出て行きたいと考えたことが?
それについては──
あなたが、自分の血子を作って、愛するその子と共に、この城を出てゆく以外に、許しはないだろうと、申し上げておきましょう。
それは──好ましいことを。
[晒された首筋に指を置き、ヴィンセントはゆっくりと力を加えて、ジークムントを背後の長椅子へと座らせた。
その膝を割って間近に立ち、寛げられた襟元から先、シャツの臍下までを一息に切り裂いて肌を露出させる。
冷めたい指が、ジークムントの頬にあてがわれた。]
あなたから誘ったのだ。
血を啜るだけで済まなくなっても、責任は負いませんよ。
[鉛を溶かしたような双眸が見つめる。
引き返すなら今しかないと。]
なんか検討違いのことを、ドヤ顔で言ってるんじゃないかという不安が、あ、あ、あ゛
論説なんてしないはずだったのに。
のに。
しかし、今日この日のために、全て組んで全てロールしてリアル体力温存してたので、
飴イーターに、おれはなる……!
ソマリんに優しさと厳しさを、
アデルんに家族愛を、
クレスんに勇気を、
ばるたんとジー君に生きることの大切さを、
サラお姉さまに恋心を、
教えて貰って。
リエリエとオズから教えて貰うはずだったことは、
欠けたままだけど、
それでもようやっと人間らしくなってきたゆりりん。
きっと、ヴィンスとギィにも何かを教えて貰うはず。
アレ君とシメオんにもあいたかったなあ。
[ 答えられない、というその人の表情は、
憂えるようでもあり、
嬉しそうでもあり、
寂しそうでもあり……。
琥珀の目でじっと見つめ、ユーリエは不思議な感慨を得た。
自分の身を省みないそれは、「愛」によく似ていて、
でも、どこか危うくて。
吸血鬼というのは、「動く死体」ではなく、
一人の生き物なのだな、とようやく実感した。 ]
また、どこかで会えたらいいね。
アプサラスお姉様。
[ 気づけば、去り際にそう、
シスターたちに呼び掛けるように言っていた。 ]*
ヴァンス。
[背に腕回すような声に、溜息にも似た音を返す。]
あの子は、ちゃんと戻ってきてくれるだろうか。
仲間に送られたことで、
満ち足りて消えてしまってはいないだろうか。
[普段からはかけ離れた弱気な声が零れる。]
たとえあの子が望まなくても、私はあの子を連れ戻したい。
それであの子が苦しむのだとしても。
これは、エゴだ。
私の。どうしようもない。
[流れ出す言葉は、ほとんど独白の色を帯びる。]
私をまっすぐに見るあの目が愛おしかった。
私を殺すための視線だとしても。
あの目がどんなふうに蕩けるのか、
どんな色を乗せるのか、見たい。
もっと見つめられていたい。
あの目が憎しみだけを向けてきても、構わない。
私を、見てくれるのならば。
[ただの1吸血鬼としてではなく、
ユベール・ギィとしての個を認識し、執着してほしいと望む。
どのような感情であろうと、他ならぬ自分に向けられるものなら、
それは自分にとって”愛”に等しい。]
これは、エゴだ。
私の存在の、根幹だ。
[低く、繰り返す。]
私とあの子の間にどのような音色が響くのか、
知らぬまま、諦めることなどできない。
/*
恋人二人の回想には干渉しないつもりだったので置いといたんですが、思いついたので落としていいかな。
気付くのは分岐で行き残った後か、それともエピ入りしてからですな。
―回想・半年前―
[――その夜は、血親に同行して人間達の宴へ参加した。
男は普段の黒づくめとは違って礼装を身に纏い、伸ばしたままの白銀の髪も後ろで結っていた。顔に付けた烏羽色の仮面には銀の装飾が施されている。
このような豪奢な身なりは男の好むものではないが、宴に溶け込む為にと血親に押し付けられたのだ。
シャンパンゴールドの礼装に身を包む血親に付き添っていたのは最初の方のみ。
”支障のない範囲で自由にすればいい”と許可を得れば、男はワイングラス片手に宴の席から姿を消す。
第一に血親の想像の通り、社交界という空気に男の肌が合わず。
第二に女性から向けられる視線に耐え兼ねた。
すました見た目から想像を膨らませて勝手な理想を押し付けられても困る。
彼女たちを見て、吸血衝動に駆られるほど飢えてはいない。
それに魔を斃す一族を祝う宴で下手に食餌を求めては、後々不都合が生じるだろう。]
[それと、人間であった頃の自分を知る者はいないとは思うが、念には念を入れておいた方が良いだろうと。
気配は微弱を保っていて、男が魔性であると誰かが気付いた様子はないが。
この宴の主役の事は場内の話を聞いて知っていた。
――ソマリ・サイキカル。
第二段階の実験を受けて風精をその右手に宿した名門の出の男。
彼の立場に思うところは在れど、口にする事はない。]
――…。
[幼馴染は、妹は今頃どうしているのだろう。
廊下の窓際に立ち、月を見上げながら彼らに思いを馳せる。
――その資格はとうに失ったというのに。]
あぁ、
ったく…。
[さっさと帰りたい。
本当に帰りたい場所は其処ではないが、此処よりは余程マシな筈だ。
舌打ちしながら一気にワイングラスを空ける。
これくらいでは酔えない。
酔うわけにもいかない。
悪酔いしてもその身を預けられる男はもう隣にはいないのだから。
さて、どうやって時間を潰そうか。
――そう考えていた男に声がかかる。]
[幼子が灰と散った場所を離れ、聖将の背を追って歩む。
焦ることはない。どのみち、彼らとて籠の鳥だ。
廊下に淡く残る血の匂いを頼りに進んでいくが、
物思いにふけるうち、気づけば違う血をたどっていたようだ。
鼻腔に香る甘さが、先ほどとは違う。]
―――?
[自分の記憶にある血の香とはどれとも違うように思う。
柔らかくて華やかで、どこか懐かしさを感じさせるそれ。]
[城の中にいる顔ぶれと照らし合わせるうち、
ひとつの可能性に気づいて顔色を変えた。]
まさか――― サラが?
[侵入者の男たちを除けば、他にない。
足を速め、匂いを追ってたどり着いたのは、外。]
「ねぇ、そこの貴方。少し酔ってしまったの。暫くの間、付き添っていて下さらない?」
[美しい女だった。
紫紺の礼装を纏った肩にレースで出来た白いショールを羽織り、赤毛の髪が灯りを受けて艶やかに輝く。仮面は自分と同じ黒。
青灰色の目を細め、するりと自分と腕を組むその様子は男慣れしているようだった。]
……あぁ、あんたは
[淑女ではないな、と判じ、目を眇める。
大方、顔を隠して火遊びに興じる何処かの婦人だろう。
男は清い乙女に触れる事を好まず、その血を吸う事も避けてきた。――妹の事を思い出すからだ。
男に僅か体重を預けながら、女は誘うような笑みを零す。彼女の纏う香水が男の鼻を擽った。
男も口元だけは笑みを浮かべていたから、思わせぶりな笑みに見えたかもしれない。
そのまま彼女に伴われて、別室へと向かう。]
[部屋に着いた女は寝台に腰を下ろし、細い腕で男の手を引く。]
美しいな。
[名も知らぬ彼女の頬に手を添える。
美辞を紡ぎながらも男の頭に浮かんでいたのは面倒だ、という思い。
血ではなく生気のみ吸えば暫く昏倒させてしまう事は可能だろう。
そう考えた男は、寝台に片膝を乗せる。――そして自分の口元に人差し指を当ててみせ。
笑い声漏らす口を噤んだ女の首筋に自分の唇を押し当てた。]
[唇の端に紅い舌を覗かせ、男は薄く笑う。
血を吸わずとも、生気を吸い取れば多少の高揚は身の裡に存在した。
けれどそれ以上は望まない。]
――ごちそうさん。
[腕の中で力を失った女の身体を寝台に預け、上掛けを掛ける。
適当な頃合いを見て退室すればいいだろう。
うっとりとした表情で眠りについている女の首筋には鬱血痕が残っていた。]
/*
ちょうちょからちら見。
……昨日おねむで、ゆりちゃんに素直な心境吐露しまくってるじゃないの…ソマリも見えるのに!(顔覆い
しかもラストネームとファーストネーム逆だし。
だから眠い時に話しちゃだめなのよ私のばか…!
でもゆりちゃんと話せてよかった。あとでお返事しよっと。
そしてギィ様にきゅん。
[浮かぶ月を見上げながら一人ごちる。]
……あぁ、随分と遠いとこまで来たな。
[少し前までは糧を取り込む事を厭わしいと思っていたのに今はもう受け入れて。
血親に何度か邪魔をされて、進んで死にたいとは思わなくなり。]
――このまま、俺は変わっちまうのか…?
[離れた家族に思いを寄せ、彼女達に幸せになって欲しいと願っている。
けれど時を経て、そう思う事もなくなってしまえば、自分は
小さく嘆息し、窓辺で暫く月を眺めていた。
その間に庭園で彼女がソマリと出会っている事は知らないまま。**]
/*
吸血はされたけど、吸血出来なかったなって。
本当は血を吸いたかったけど我慢。
表の吸血に期待する。
シメオンとの約束思い出したっていうのに思わずがたんした()
そういえば、システム通りにする気なかったので、
ヴィンスとどこかで一騎討ち!って思ってたけど、
ヴィンスはシステム通りやりたいのかな?な?
サービスシーン終わってから、
と思ってたけど、割り込んだほうがいいのかしら。かしら。
さて、
ヴィンスが生きたい理由が、ギィなら最初から考えてるのがあるんだけどなー。
それ以外なら、どうやって論破しようかな。
せっかく墓下にいるし、
「ああ、オズとリエが無惨な姿でこんな所に!」
……はやってみたいけど、本筋外れるからしない予定。
なんか裏技っぽくて、良くないし。
[確認するような響き>>68が耳朶に落ちる。
はい、と一つ返事をし頷くのは決意のあらわれ。]
好ましい行為と思って頂けるなら幸い――、
[己の血が少しでも公弟たる彼の役に立てるなら幸いと思う。
彼が城主の支えとして欠かせぬ存在と思えばなおのこと。
誘われるままに長椅子へと腰を下ろすも、脚閉じる事もできぬ状況に
目許には羞恥の色がありありと浮かぶ。
布を裂く音に思わず眸をきつく瞑った。
日々鍛えるわりに薄い肢体が外気に晒されれば微かに震える。
冷たくも形よい指先に白い咽喉をそらす。]
斯様な戯れをヴィンセント様が私に向けられるとは
[強がる声は「めずらしい」と最後まで続かぬまま。
注がれる視線にふと瞼を持ち上げると
鈍色の煌めきに射竦められるように、息をのむ。
――けれど逃げ出そうと気は、起こらない。]
[倒れた剣の命は、か細くではあるが繋がっているように見えた。
影に運ばれていく姿、その場を離れる人間たち――そして、バルタザールの欠片の前に跪くギィの姿。]
……。
[何も語らず、その姿に背を向ける。
いくら相手に姿が見えぬとは言え、二人の逢瀬を邪魔をするつもりはない。
既に時を止めた心の臓の上に手を当て、宙に浮かんだまま頭を深く下げた。
ふわり、ふわり。
風の赴くまま、その場を後にする。]
[どこで何を見守ろうかと、逃げ出す選択肢は存在せず、周囲の気配を探る。
すると、どこかで新たに雛>>+8が生まれる気配に、視線は自然とそちらを向いた。]
――、
[言葉を交わさずとも良い。
ただ少しだけその姿が見られればと、心に呼応するように、空気に溶ける身体はバルタザールの元へ吸い込まれるように近づいた。]
/*
狙撃分岐で展開が変わるから、PLもPCと同じく結果が分からない状況にいられるのが新鮮で楽しい!
以前狙撃主を見た時は、3回返り討ちにして狼を滅ぼしたスーパー狙撃主さんだったので、今回はどんな展開になるのかそわそわしていますそわそわ。
頑なままに、このような魅力を宿す──
その清い蕾に、少しばかり爛熟の香をあわせてみようか。
デグランティエ公も”視て”おられるだろう。
[壁に、天井に這い回る茨を示すと、ギィから託された艶やな血赤の薔薇を、ジークムントの唇に重ねて置く。]
声が抑えられないようならこれを噛むといい。
[そうなるようなことをする、と予告してジークムントの上へと上体を被せた。
銀の髪を掻きあげて耳裏の柔らかい部分に唇を落とし、睦言を囁くごとく耳朶の溝を舐める。
顔の輪郭に沿って形良い顎の稜線を越え、首筋を伝い落ち、鎖骨を甘噛みし、
腋下に鼻梁を擦り寄せて胸乳へと辿り、舌を閃かせては脾腹を啄み、
そのもっとも反応のよかったところへと皓い牙を突き立てた。]
──ああ、
[生血を啜ることを忌んでいたジークムントだから、その血は滋味のないものと思っていたが、予想に反して甘露を得た。
右肩の傷にも、熱いものが打ち寄せて再生の力が巡りはじめる。]
あなたの身体も血も──瑞々しくて素敵だ。
[啜るのは、ジークムントが軽く酩酊を覚える程度に。
形ばかりの吸血ではなく、かといって行動不能には陥らぬよう加減した。]
/*
あとね、独り言で表では使えない表情をちょこちょこ使ってみてたりしたのだけれど、もうどんな顔でも可愛い(親馬鹿)
ずっと気になっていたチップだったので、とても幸せです。作者様にも感謝を。
国主様にも村建て様にも、もちろん参加者の方にもたくさんありがとうをー゚+.(ノ*・ω・)ノ*.゚+
/*
しかし、しかしね。
口は悪いし性格は悪いし、一応ト書きでフォロー淹れたつもりではあるけれど、そこでも私はお前たちとは違う(意訳)みたいなことも言ってたし、不快な思いをされた方がいらっしゃったら申し訳ない。
負縁故は嬉しいけれど、ヘイトを撒き散らしたい訳ではないので、これでも出来る限り気を付けたつもりではいるのです_:(´ཀ`」 ∠):_
ここ最近で一番楽に動いてくれた子ではあるけれど、扱いは要注意。
最後まで気をつけよう。
/*
小さなお友達はエレオノーラなイメージ。
ご先祖はアレクシスに似た顔をしてるんじゃないですかね。
よくある、顔が逆光でよく見えないキャラ。
[下げた視線の先に落ちる影。
野茨公より受けた薔薇をはみながら公弟>>77に血を捧ぐのは
言いようも無い背徳感に襲われる。
繊細な指に銀糸掬われればゾクリと芯に奔るものを感じた。]
――…、ふ 。
[思わず漏れる一音に宛がわれた薔薇滑らせ己の親指を噛み堪えようと試みる。
睦むにも似るその行為を与えられれば彼の触れた箇所が熱帯びるように感じられた。
あたたかく濡れた感触齎すその舌が麗しき公弟のものと思えば羞恥は募るばかり。
触れられるのに慣れぬジークムントは、ひとつひとつに堪えきれぬような音色を奏でるものの、もっとも肌を震わせたのは浅い箇所に脈動ある白き首筋。
それを知る皓い牙が其処に触れれば一瞬おびえるような色を翆の双眸に滲ませる。
突き立てられた牙が肌を裂き埋まりゆくと久しい快楽が身を襲う。]
……ン、…ッ。
[鼻に掛るような甘さが零れた吐息に混じっていた。]
―少し前・廊下―
[この城で初めて見る女性は、たおやかな身のこなしには不釣り合いな程傷だらけだった。
足を引き摺る様子は痛々しくて、血を流して、一歩一歩近づいてくる。
彼女からは不思議と殺気は感じられず、ユーリエと2人で見守った。]
アプラサス…さん。
[ユーリエと互いに名を交わすのを見守って、その名前を忘れないように繰り返す。]
(きっと)大事な約束…なんですね――。
[>>51 こちらを見上げるユーリエに頷くと、道を譲るように後ろへ下がった。
>>56たとえ殺されることになっても、それでも約束を果たそうとする、白く華奢な背中を見送る。]
二度と会わずに、永く生きるより…――。
[女性の心はよく掴めないけれど、>>57彼女の繊細な言葉と意志は乾いた大地を潤す雨のように、
そっと、静かに胸に染み込んだ。]
…きっと、忘れてないと思います。
[短い付き合いしかないけれど、ソマリは女性との約束を忘れるような人ではないと、そう思って。
しばらく見守り、やがてソマリからの声が無いのを確かめるとユーリエと2人で地下へと向かった。*]
[思わずヴィンセントの胸元へと伸びかけるのは何も持たぬ手。
けれど触れぬまま、拳を握りしめ縋るのを堪える。
公弟の咽喉が上下する間、喘ぐような音色が細く零れる。
慣れぬ快楽と酩酊に眩むような感覚を覚える頃、
引き抜かれる牙がその身に余韻を刻む。
乱れる息を整えるような呼吸を数度くり返し]
――…恐悦至極。
[堅苦しい返答をする双眸はうっすらと潤みを帯びていた。]
贈り物は確かに受け取りました。
近いうち彼の君に感謝を伝えに行こうと思います。
[失血とそれに伴う快楽による気怠さを感じながら
両の手で薔薇の花を包み、ヴィンセントへと頭を垂れた。]
[縋るを躊躇う手、礼節を外れぬ挨拶。
透明な殻をまとう薔薇の子。
──それでいい。
その鍵が、ギィに対してだけ、開かれるならば。]
吸血鬼が同族に血を与えるのは、格別の好意を示すもの。
繰り返せば、私の身に何かあった時、あなたも無事ではいられないかもしれない。
それを承知してくださった上で、またお誘いいただければ、喜んで。
[社交辞令ではなく言い、揺れる翆玉を間近に覗き込む。]
場違い、とおっしゃいましたね。
そのままのあなたで、どうしていけないと?
私が来るまでの間に、何かあったのですか。
[押し倒す前にそれを聞かないところが、ある意味、魔物たる由縁。]
― 1階/外 ―
[血の香に導かれるままたどり着いた先は
建物から出て、少し回り込んだ場所だった。
血臭はそのあたりで途切れているが、
近くに誰かいる気配はない。
風に流されて匂いが消えたのかとも思うが、
地面に、草や灰が風に吹き散らされたような
まるい痕が残っていた。
見上げれば、直上の部屋から薄い煙が漂っている。
蠢く影たちが、消火活動にいそしんでいるようにも見えた。]
[あの部屋で行われた戦いは、己も垣間見ていた。
アプサラスが見守る前で、
彼女の息子と、襲撃者のひとりが刃を交えていた。
アプサラスにひととき寄り添って、それを見たのだ。
今はもう、戦いの気配はない。
なれば、ここでなにが起きたのか。
手近な影を呼び寄せて、詳細を問う。
城中の影たちがざわめいて、
やがてひとつの知らせが城主にもたらされた。
アプサラスの息子、シメオンの体を地下へ運んだ、と。]
な…。
[知らせを受けて、しばらく絶句する。
客人にまで凶刃が及んだとあっては、申し訳がたたない。
なにより、かの青年が倒れたと聞けば、胸が痛んだ。
アレクシスがかつて硬く青い蕾と称した青年。
いつまでも固さがとれず、手を出せばすぐに噛みついてきて。
つい構いたくなるような初々しさを持った、年若い同族。]
シメオン。君に謝らなくてはいけない。
巻き込んでしまって、すまなかった。
サラ。君にも。
[視線を上げ、燻る部屋を見ながら謝罪を紡ぐ。
謝罪は、彼の血親にも向けられた。
アプサラスは彼を本当に可愛がっていた。
片時も離さず側に置いて、
扇で撫でるように優しく密やかに愛でて、
彼が見ていないときには、ずっと彼に視線を注いでいた。
息子を失った心痛はいかばかりか。
自身の痛みと重ね合わせて、悼む。]
―――叶うならば、戻るよう。
命繋いで再び目覚めることを願う。
[体が灰と化していないのならば、
未だ希望は残されていよう。
シメオンの姿を思い描いて願いを呟き、
まじないの形に指を動かす。
祈る相手を持たないために祈りはしなかったが、
ただ、シメオンの心に届けばいい、と。]
[しばらくそうしてその場にたたずんでいたが、
不意に、自分の名を呼ばれたような気がして城を見た。
暫く探るような眼差しで城のあちらこちらを見ていたが、
やがて視線は1か所に止まり、眉が上がる。]
―――まったく。
[呟くと、壁に向かって歩き出し、そのまま壁を歩いていく。
一歩ごとに細かな蔓が伸びて、身体を支えているのだ。]
[普段ならこんなショートカットも、
壊れた壁から室内に侵入するようなこともないのだが、
今は非常事態中だ。誰に見とがめられもしないだろう。
炎の爪痕残る部屋を抜けて、再び二階へ戻る。]
/*
………!!
あの時寄り添って下さってたのね、ギィ様…!
本当にギィ様、拾うのが華麗にお上手で、もぉ……
ああもう、こっそりここだけでお義兄様ってお呼びしちゃうんだから…。
あなたがするようなことしかしていない、 ユベール。
それも、だいぶ序盤にするようなことだ。
誘われた時に、混ざれと呼べばよかったか。
[しゃあしゃあと応えたが、内心、まだしてなかったのか…と、昨今の彼には珍しい奥手っぷりに、ジークムントにかけられた情愛のほどを思う。]
[どうしてか考えるがそれを言葉にできずゆると首を振る。]
常々思っていた事が目を瞑れぬまでにふくらんで
それが弱音として零れてしまったまで。
お聞き苦しいもの、申し訳なく。
[己の身体の欠陥が場違いに繋がるも
血を捧ぐ申し出をし運命を委ねようとしてのには
アデルを傷つけたくないという思いが強くある。]
己の牙で血を啜る事を覚えてしまったから
これまで耐えていた衝動に抗えず
近しい者を傷つけるかもしれない未来にを恐れただけの事。
――己の弱さを思い知ったのです。
[残る余韻に覚束ぬ思考のまま、ぽつりぽつりと公弟に綴り]
少し、休みます。
――――…、
[申し訳ない、と続くはずの声は音にならぬまま
長椅子に座るジークムントは、ふっと意識を手放した。**]
唇は奪っていない。
[安心材料(?)をひとつ投げて、それから、一拍おいて続ける。]
彼の血は──これは天然のものなのか。
あなたの血が入っているので惑乱されているのかもしれないが、同族喰らいに近い味がした。
[公弟の身を案じ、自らのことは顧みないジークムントは多くを語らず。
ヴィンセントもまた無理強いすることはしない。
「己の牙で血を啜る事を覚えてしまった」については、倒した使徒の血を啜ったのだろうと推察した。
それにしては、ジークムントの血は同族喰らいに近い味がしたけれど。]
傷つけるのが怖いならば、眷属にしてしまえばいい。
どのみち──放っておけば100年もしないうちに皆、死んでしまう。
あなたはその孤独とどう戦う?
[囁く声は眠りに間に合ったかどうか。]
[透徹した琥珀色に、僅かの間、真紅が絡み]
……私は、二度と会わないことを願っておくわ。
魔物の城は、わざわざ可愛らしい女の子が訪れるような
場所じゃないのよ。ユーリエちゃん。
[此処が人里ならば、頭の一つも撫でたかも知れない。
代わりに緩く口端を持ち上げ、そのまま背を向けた*]
[ジークムントの前髪をそっと払って立ち上がる。
ここに寝かせたままにしておくわけにもいくまいが、影を呼ぶまでもなかろう。
ギィがすぐそこまで来ている。]
― 書庫 ―
[部屋を出たヴィンセントは書庫へ赴き、自らの指先を突いた血を使って文をしたためた。
『聖女殿
この
公弟ヴィンセント』
人の耳には捕えられない領域の音を発して小さなコウモリを呼ぶと、丸めた便箋をその足に掴ませる。
誰に届けるべきか告げ、駄賃に、自分の指先の血を与えた。]
誘われても彼女に触れてはいけないよ。
帰ってこられなくなる。
[“弟”であるゆえに、ギィへの血の服従には縛られていないヴィンセントは、独立して動くことに別段の支障も躊躇も見出さない。
声なき声で呼んだ影が届けた夜光盃を煽り、
― バルコニー ―
[随分と自身も力を使ったものだ、と知らずの内に溜息が零れる。
残った左手で握りこんだ剣柄の感触が、意識を繋ぐ。
時折、朦朧に襲われるが、まだ倒れる訳には行かなかった。
既にこの身では、まともな方法で魔を討ち滅ぼすことなど出来はしない。
―――そう、理解していたからこそ。
疲弊すら追いつかないほどの消耗が我が身に掛かる。
果たさねば成らぬ、果たす義務が在る。
多く去り逝った同胞が、我が心身を支え、右腕から迫る痛みを麻痺させる。
神経が痛覚に動かなくなっているだけだと知りながら、
唯一度、冷たい夜気に熱い吐息を混ぜ込んだ。]
[―――そう、少年少女らもまた、嘘を吐かない健やかな子供達。
二人が紡いだように、己は一人の女性を忘れて居なかった。
一夜を胸に抱き、心に秘めて、哀愁を漏らすなど、
酷く女々しいと知りながら、己の心は一皮の下で素直に出来ていた。
忘れない、忘れられない、忘れられるはずがない。
彼女は、自分の本当の姿を知る。
使徒でなく、聖将でなく、騎士でもない、本当の姿。]
[息は微かに白く濁り、鈍った頭でも、近づく気配を悟る。
軽い足音は、屈強な騎士のものでも、幼い聖者等のものでもない。
背中で聞く足音に、自らの最後を予感する。]
[ひらひらと舞う蝶が己の肩に乗った。
此処は危険だぞ、と目元だけで笑い、一寸の虫に暇を出す。
彼女と良く似た黒き蝶が、
血に濡れるのは、あまり見たいものではない。]
[そうして、息を浅く吸い込むと、片手剣を構え、
月明かりの中で振り返る。
その瞬間、耳に届く細い声―――、
灰蒼の双眸が、ゆっくりと、だが、確かに大きく見開かれた。]
[いつか、同じ月下で告げた言葉が頭の中に反響を齎し。
驚きは胸を大きく打つ。
足りない血を巡らせる身体が、微かに痙攣を帯び、
動揺が指先にまで流れ込んだ。]
――――、
[喘ぐように、噛む呼気。音にならずに夜に熔け。
名も知らぬ、顔も知らぬ――だが、決して忘れえぬ彼女の声。]
……何故、……君が、此処に……。
[呑んだ細い息は、ひり付くほどの苦味を伴った。]
[城主ギィが自身の魔血を附与して作った輝石。
拡散し散逸しつつあった意識がそれによって繋ぎとめられ、それを核として凝集してゆく。
やがて、寄り集まったものがひとつの意識体を為すと、薄蒼の霊体の世界にぼんやりと人影が浮かび上がった。]
[何故、と問うた癖、唯人がこの場に居るはずも無いと、
頭のどこかで事実の箱が開く。
宝箱だと思っていた小箱の中身。
軋んだ蝶番が悲鳴上げて、あの夜、あの月の下で見た、
真っ赤な瞳が記憶の歯車を回しだす。
驚愕から抜け出せぬまま、彼女と対峙する男は、
魔を屠る聖将であり、また―――、
再会に動揺する、ただの男であった。]
[彼は、とっくに忘れただろう。
一夜の戯れじみた約束も、一曲限りのパートナーも。
たとえ忘れていなくとも――気づかなければいい。
月光を纏う彼の前で、塗り潰す闇にしかなりえない自分に]
[影の世界にあっても薄く儚い影は、死の直前の姿そのままに、血に汚れ、砕け破れた鎧を纏う。
死した男は虚ろに宙空を見つめて、呆と立ち尽くしていた。]
/*
ほう。皆さん愛に溢れていて見ているだけで幸せな気持ちになる。
アレクシスフィルタがかかっているからか、やっぱりギィがね、特にほわわんってなるんですよね。
拾い方とか動き方とか、そういう部分でも気遣いが見えて(もちろん他の方も)、見習いたいなあって思う。
城主としてのカリスマ性も、深い情愛も、本当に好きすぎて楽しい。
皆大好きだよー。えへへ。
表では全く出せないので、灰に落としておくのです。
[白い肩からついと舞いあがる黒蝶は、凶兆のごとく闇に溶け消えた。
振り返る男の手に、閃くもまた白刃。
瞠られた双眸は、半年前と変わらず蒼灰を湛え――唯そこに浮かぶ感情だけが、見知らぬ色をはっきりと映し出す]
……覚えて、いたのね。
[何故、と問われて、苦笑混じりの囁きが滑り落ちた。
胸に刺した棘の痕が、じくりと疼く思いで]
[見間違いなら良かった。
聞き間違いなら良かった。
自身が見せた怯懦からの幻覚であれば、どれ程良かったか。
夜の香りの濃い、月如く煌く女性。
心音が喉下まで迫り、心臓が鷲掴まれるように絞られた。
見間違えようも無い、聞き間違えようも無い。
眼前に居る彼女は、己が唯一人約束を交わしたひと。
月夜の記憶が蘇り、真実が己の神経を舐め上げる。]
―――何故、
[答えを知る筈なのに。
いや、いつだって、傍に答えはあった筈なのに。
茨のざわめくこの城で、悠々と舞う黒い蝶。
この城で強く感じた彼女への哀愁。
果たせなかった約束ばかりを思い出して。
己を盲目にさせていたのは、きっと自身の心の底に眠る感情の所為。
それを戯れに玩んだ事はあっても、真摯に向き合ったことなど一度も無かった。
冷徹にして計算高い聖将すらも盲目に変える、
―――恋情という、痛々しい程に切ない魔法。]
―――生憎、君をエスコートする事は叶わないようだ。
[なけなしのユーモアを掻き集めて吐き出すが、
それが右腕の無い己の体を評しているのか、
理解してしまった互いの立場を物語るのかは知れない。
奥歯を噛み締め、双眸に力を込めて彼女に向かい、姿勢を正した。
弱くあらぬように、脆くあらぬように。
剣の切っ先を緩慢ながら持ち上げ。]
[軋む男の唇が、確かに言い掛けた言葉。
それは――覚えていたのは、仮面越しに垣間見た顔だけではないのだと知らしめた]
――…ね。だから、言ったでしょう。
[冷めた嗤いが、薄らと開く唇から紡がれる]
供も連れず、独りで夜に出歩く素性の知れない女を誘うなんて。
一夜限りの禍を期待するような、慎みの足りない女か――
そうでなければ、自分自身が禍なのよ。
[男が月に擬えた姿は、今は命運の尽きを齎すべく、黒衣を纏い眼前に立つ]
……、そうね、丁度良かった。
私も、サイキカルの者に払う“授業料”なんて、
持ち合わせてないもの。
[二度目のエスコートを叶えるその時は、対価に名前を。
強引に求めた男の声だけを、耳の奥で繰り返す。
徐に持ち上がる刃先にも、微かに笑うだけ。
それ以外、如何すべきか思いつかずに]
[遠くに聲が、聞こえて。]
……バルタザール。
[己の識る、唯一の名を呼ぶ。
届くかは分からないけれど、心が理解する前に、吐息が喉を震わせていた。]
/*
どう、しよう、かしら……!
腕を失くしたソマリに、全く危害を加えられる気配が、我ながらない…!(盛大に頭抱え
一応お互い重傷負ってるからいけなくはない、けど…
ソマリも、性格的に私のこと、刺す気がしないのだけど…
…ああ。そのようだ。
[見ていた、と言外に含めて弟の言葉を受け入れる。]
あの子は、うかつに触れてしまえば消えてしまうから。
―――いや。ほんとうはそこを乗り越えて
深く踏み込むことこそ、必要なのかもしれないけれど。
[さわ…と見えぬ手を伸ばす。
弟の胸に染み入らせるが如く。]
同族喰らい?
あの子が他の吸血鬼を襲っている、ということかい?
[疑念には、こちらも首を傾げる。
我が子が人であれ魔であれ、
他者から血を奪っているところなど見たことは無いが。]
それであの子が命を繋いでいるのなら、
構わない、と私は思うよ。
[同族を狩っているのでなければ。
思考は我が子の命を至上とする。]
私は、一体……。
[どこか知らない場所で佇んでいた。
体が痛むようでも僧でもないような不思議な感覚だった。
夢か、或いは意識がどこかに飛んでしまったのか。
見当がまったく持ってつかなかった]
[朱の引かれた唇が撓むのに、左胸が焦げる音を聞いた。
彼女の言葉は正しく月下に降り注ぎ、刃の揺れる鍔鳴りに重なる。]
美しい人を誘わずには居られない性分なのさ。
男なんて、莫迦なものだろう?
[軽口を喉から押し出し、あの輝かしい月夜が脳裏に蘇る。
己の中に眠る、確かな想い出。
彼女の評に、同意は出来なかったが、つい口角を引き上げた。]
言っただろう。
“薔薇の棘を恐れて、手を引く男しか知らないか?”と。
[大見得切った唇が、浅く揺れ。
瞳が彼女を映し、さかしまに読む込む。]
―――…後悔すら、君はさせてくれない。
[輝かしい月夜と反し、血臭が騒ぎ、茨が這い、
満身創痍で彼女と相対しても、あの、半年前の月より、
彼女の背負う白い月が、ずっと眩しい。
仮令、どれだけ、罰と罪に絡め取られても、
一目と願った彼女との再会を、悔いることが出来なかった。]
―――…支払いは、君の命で結構。
[彼女に吸血鬼らしい力が眠るかは知れない。
だが、相手は何分、深窓の令嬢。
刃と焔に慣れてなどいまい。
彼女に剣の切っ先を突きつけたまま、一歩、脚を踏み出した。
一歩、更に一歩、逃げ出せば、幾ら女の足といえ、
消耗の激しい己に追跡は難しい。
ただ、彼女の瞳を見据えながら。]
[命なんて、無粋な文句だ。
彼女に、下の下だと評されたって仕方ない。
本当に欲しい心には、手が届かない。
己を家の名で呼ぶ彼女に、一際鋭い棘が胸に刺さった。
彼女の元へ進ませる気力は、家督が鼓舞する所為ではない。
ほんの少し、唯一歩でも、彼女に近づきたかった。
遠い遠い、彼女の傍へ。
這う思いで、我が身の一心で。]
……ねえ、こんなふうに、魔物も救いたい、と思う事は、
私はもう、魔物に魅入られているということかしら?
[ つぶやいた。 ]
そうだとしたら、私はもう聖女じゃないのね。
聖女じゃなかったら、尊血の力もないのかもしれない。
でもね……私は思ったの。
救世主って、救「世」主なのよ。
救「人」主でも、救「聖」主でもないわ。
かつてのあの方は、「世界」をお救いになられたの。
では、「世界」の住まう事をお目こぼしされている魔物を、
赦しの対象から外した教会のやり方が間違ってると思うの。
今の教会は、神様や救世主が望んだものとは、
少しだけやり方を違えてしまっているのではないかと思うの。
― サロン ―
[弟が出ていったのと入れ替わるようにして、サロンに入る。
視線はすぐに、長椅子に座る愛し子を見出した。
音を立てずに歩み寄り、彼の隣に腰を下ろす。]
愛しい私の月。
眠っているおまえも美しいな。
[息だけで囁きかけ、
淡く繊細な色帯びる髪を一筋、指に絡めるように梳く。]
[我が子の手に視線を移せば、
両手で抱えるようにして血赤の薔薇を持っていた。
それを見て、仄かに微苦笑を浮かべる。]
なんだ。まだ食べてくれていなかったのかい?
[問う相手は、未だ夢幻に意識を遊ばせているさなか。]
偉大にして寛大なる父よ。
あなたのいとし子に祝福を。
( ……天上におわす貴方の代わりに、
私が神の子供たちを祝い、幸福にしてもいいですか? )
我々にひとしく愛を注がれたまう父よ。
あなたの使徒に力を。
( 私がひとしく愛し、ひとしく力になってもいいですか? )
憐れみ救い絶え間なく慈しみたまう父よ。
あなたの光を求める者に赦しを。
( ……私が憐れみ、救い、慈しみ、
求める者に赦しを与えてもいいですか? )
……本当に、見る目のない人ね。
男性全てをひっ括って、自己弁護にするのは止めたら?
[戯言めいた男の声に、棘も露わな言葉を返して。
――これではまるで、あの夜と変わらない。
そう思えば、ぎこちなく撓む唇が、僅かに滑らかに綻ぶ]
ただ貴方が、馬鹿で、無謀で――…
手を引く慎みも、ないだけでしょう?
智謀の将が、聞いて呆れるわ。
[何処か揶揄うように歪む、男の口端。
このまま、この時間の中で終われれば――]
ふーん。そうかそうか。
[どこまでも素直じゃない幼馴染>>+9ににやにやとしたいやらしい笑みを浮かべていたが、次第にその笑みの種類は安堵へと変える。
ちょっとだけ、安心した。
ファミルちゃんには大事な旦那もできている。
幼馴染にも、失ったら目覚めが悪くなるぐらいの存在がいる。ということだ。]
ああ、これ以上ないってほどにな。あの状況からすれば最善を掴みとれた。って気がするぜ。
[だから気にする必要はない。瞠目する幼馴染>>+10にそう言って聞かせるように言う。
そもそもここで幼馴染と会わなければ、この城の吸血鬼をひたすら殲滅することになってちゃんとしたその時まで記憶を保持できていたかわからないのだ]
私が見てくるわ、そこに居て。
大丈夫、何かあったらすぐ戻るから。
アデルは剣を持っているでしょう?
丸腰の私の方が、返っていいわ。
それに、私を傷つけた魔物がどうなるか、
彼らももう気づいていることでしょう。
私は赦しを……アデルは救いを……、
そのために、まずは話をしなければ。
[ つないでいた手を離して、もうちゃんと歩けるようになった足で、地下礼拝堂の外に出る。 ]
……私は、後悔してるわ?
あの時、貴方を殺しておけば良かったのにね。
[銀で灼いた傷から溢れる血の勢いは、未だ鎮まる気配もない。
赤黒く染め上がった左腕を見遣り、本当に残念、と低く囁く]
[肉体という桎梏から解き放たれた精神は、
今の男は、修道騎士であった己も、一度破壊され創造の血を受けて後に修復された己も、幼い魔であった己も、記憶の全てを器の中に収めて一になった。
それ故に。]
……先払いなんて、存外に吝嗇家なのね、貴方。
まぁ教会に魂を売り渡すような家柄なら、そんなものかしら?
[こちらへ一歩踏み込む男を見上げ、すっと一歩身を退いた。
男が一歩踏み出す度に、また一歩。
バルコニーの柵が、行き場を塞ぐ片隅へと]
[ 天井にくっついたコウモリを、ユーリエはじっと見上げた。
夕暮れ時に飛ぶ動物。鳥のような獣のような生き物。
魔物の使いとして気味悪がられる生き物だったが、
大きな耳や、ぶら下がってゆらゆら揺れる様を、
なんて可愛いのだろうと思った。 ]
……ヴィンセント。
[ 短い文章>>100を読んで思い出した。
「氷の魔物」という記号で覚えていたその人の名前を聞いた事がある>>1:170
あれが野茨公の弟御だったのかと思い、
周りで起こるひとつひとつに無関心だったことを恥ずかしいと思った。 ]
お招きに預かるわ。
案内して。
[ アデルのことを思ったが、声はかけないことにした。
彼は希望だ。
最後まで残るべきは、自分よりも彼だ。
……もし、吸血鬼の兄弟のどちらかが父親ならば、そうそう危険もないだろうが。 ]
―少し後:地下礼拝堂―
[>>59 衝撃的な告白に大きな瞳を揺らすユーリエから、そっと手を外そうとして。
小さな手で強く握り締めれられ、瞑目する。
ほんのわずかな間に、彼女は1人の人間として大きく成長していた。
バルタザールとソマリの戦いから逃げ出す前と今では、身に纏う気配が全く違う。
透き通って、透明で、純粋で力強い輝きを放ち――何よりも全てを包み込む優しさに満ちでいた。
それはもう彼女が聖女候補ではなく、彼女が"聖女"そのものであるの証しだと思う。]
うん…。
育ててくれた母さんは、狼と人の姿を自由に変えることが来た。
他にも兄が2人にて、僕を背に乗せて遊んでくれたり、色んな所に連れて行ってくれた。
[育ての母もまた、人狼という魔物だった事を告げる。
きっと今も、結界の向こう側。森の中で、きっと兄弟達と暮らしているのだと信じたい。
出来れば、もう一度会いに行きたいけれど。
それが叶うかどうかは分からないから、口には出さずに]
僕を生んでくれた母さんが聖女だって知ったのは…教会に来てから。
教会に来る前のことは何も思い出せなくて、そんな僕に優しく手を差し伸べてくれたのが、ジーク兄さんだったんだ。
[育ての母の目を盗んで連れ去られたことは、余計にショックを与えそうで。そこは触れずに。]
― 書庫 ―
[書庫の扉は開けてある。
影たちは遠ざけてあった。
聖女に近づいて蒸発してしまったものがいると知って。
普段、書庫に火器は厳禁だが、今ばかりはティーポット用の湯を湧かしていた。
コポコポと泡のあがる音を聞きながら、ヴィンセントは本を読んでいる。]
おや、探しても、やはり見つからなかったか。
……口先ばかりで、鼻もちならない自信過剰な男は。
[唇を歪め、喘息と共に笑気が細く零れた。
彼女の瞳から、透明な液体が零れ、月の雫めく。
淡い光を放つようにすら見えて、ああ、と知らずに声が漏れる。]
世間知らずのお嬢さんを誑かすには丁度いい、と、
評価して欲しいな。
[乾いた笑いは、お互いに終末を知っている。
胸を幾ら掻き毟っても、その魂は遠すぎる。
彼女をバルコニーの縁に追い詰め、三歩前で足を止めた。]
でも俺は、人として生きて、そして死んだんだ。
…これだけは変えちゃならないって気がするんだよな。
[己を引き取った老夫妻が思い切り生きろ。といったり、そういう教育を受けてきたからか。そんな二人の最後を見たからかはわからないが]
うん…、そうみたいだね。
母さんが何のために僕を生んでくれたのか、わからないけど…。
[>>61ユーリエの言葉には頷いて、そのまま順を追って話す]
どうして吸血鬼になるのかな…。
きっと…ジーク兄さんみたいに、それぞれ事情はあったのだろうと思うけれど…。
[それだけは本人達に聞かないと、わからない答えだと思った。]
森も動物たちも、みんな命尽きるまで生きて、命を繋いで巡っていく。
移ろう刻に置き去りにされても、老いない身体で、永く生きていくのは…どうしてかな。
[ユーリエが言う通り、人は皆が好きな人と望んで愛し合い、家族になれるわけではない。
弱いからこそ、強くなろうと努力もする。
短い刻を精一杯生きる。
では人の生き血を啜り、永き刻を彼らが生きる意味は――?
バルタザールとジークムントが、脳裏を過ぎる。
彼ら吸血鬼が血子を作る意味は、そこにあるのだろうか。]
[彼女を慰め、涙を拭うには手が足りない。
失われた使徒の力、彼女を抱きたがる左手は刃を持つ。
己の欠けた右腕、彼女の傷付いた左手。
傍らに寄り添い、手を結ぶことすら既に夢物語。]
それは魅力的なお誘いだな。
俺の心を射抜いただけじゃ、飽き足らないかい?
[音も無く呵呵と笑えば、すぅ、と息を引いた。]
ま、あんなことしてまだ生きてるぐらいしぶとい体にされちまったなら、それはそれで遠慮なく生きていくんだけどな。
[冗談めかして締めくくる。
思えばあの後の自分の死体は―――非常にグロいことになってる以外に想像がつかないなと。冗談めかしたくせして、笑えないよななどともおもいもした]
[――眷属を得る事など考えた事はなかった。
眷属としてこれまでの関係が変わるなら
それもジークムントにとっては望めぬ事の一つとなる。]
――…。
[悪夢に魘されるかのように眉間には皺が刻まれた。]
[身を退いても強引に捕え、逃げ出せない言い訳をくれる腕を。
この半年、ずっと何処かで待ち望んでいた。
それが何処にも望めないなら、代わりに願うのは――]
/*
色々とあったリエヴルだが表で動いていたのが全部本心じゃないといえばそれもまた違う。幼馴染に刃を向けてしまうところだけはたぶん作りもの。仲間に対しての接しかたもちょっとぎこちなかったが、それ以外はだいたい本物。
教会は好きではないが、吸血鬼に対抗するためには致し方ない面もあるのだろうぐらいに思っているし、吸血鬼事態は殺すことが普通だとも思っているのがリエヴルだろうしな。
きっとじっちゃばっちゃがある意味で素直に生きるように育てたのだろう
詐欺師、と言われないだけ嬉しいな。
―――君はやはり、賢いね。
[彼女が己の家を詰っても、自らの家が何をしているか。
己の家が何をしてきたか、そんな事は嫌と言うほど理解していた。
月明かりに伸びる彼女の影を踏み、剣を構えた。
―――こうして、魔に対して威を示すのは何度目か知れなかったが、
女性に剣を向けたのは、初めてのことだった。]
……さぁ?
そんな男、別に探したくもないから知らないわ。
[鼻もちならない男は、目の前に一人いれば探す必要もない。
微かに届いた、呻きにも似た男の声。
知らず揺れる瞳は、瞬きもせず男に据えたまま。
抑え切れなかった雫を、それ以上は一滴も溢れさせぬよう。少しでも長く、見ていられるように]
――……、そうねぇ。
せいぜいその程度が、貴方にはお似合いでしょうね?
[自分のように世間知らずの女なら、彼の戯言でも十分過ぎる]
─ 廊下 ─
[ アデルと手をつないで交わした会話>>130>>135を思い返しながら、
コウモリに続いて小走りに廊下を行く。
遮る者はおらず、息をひそめるように静かだった。
これから何をしに行こうと言うのだろう?と思う。
自分自身でも掴みかねていた。
話をすると思う。彼らの救いはどんな形か聞いてみたいと思う。
でも、その先に何があるのだろうか?
ただ、呼ばれていると感じる。
行かねばならないと感じる。
この気持ちをなんと呼べばいいのだろう。 ]
……ここ?
[ 少し先をちょろちょろと飛んでは天井や壁にぶら下がり、
丸い大きな目で見降ろしては先導していたコウモリが、大きな扉のドアノブにとまった。 ]
[ ノックの前に、ふと自分の服装を見下ろして、
酷い格好だなと思う。
左袖に染みた血は、すでに赤黒くなっている。
バルタザールに駆け寄って血だまりに膝をついた時の、スカートの赤も酷い。
……でも、酷いとは思っても、汚いとは思わなかった。
恥ずかしい汚れはひとつもなかった。 ]
きゃ。
[ 小さく声をあげたのは、取っ手に止まっていたコウモリが、
急にふくらみの目立たない胸に飛び込んできたからだ。
目を白黒させながら、とりあえず撫でてみると、コウモリは目を閉じて丸くなってしまった。
困惑しながらも置いていく訳にもいかず、抱いたままノックをする。 ]
……ユーリエよ。
………、心もない言葉しか吐き出さない男は。
いっそ殺したいくらいに、腹が立つと思わない?
[嘯く男の唇が笑み綻ぶのを見つめ、眉をきつく顰めてみせる]
[ノックの音と名乗りを聞いてヴィンセントは立ち上がり、書庫にユーリエを招じ入れて、彼女のために閲覧用の椅子をひく。]
こちらに。
来ていただけたことに感謝する。
[ユーリエが単身であることに意外そうな顔をするも、後続者のいない扉を閉めただけで、別段の警戒は示さない。
彼女の膨らみの目立たない胸と、そこに丸まるコウモリについても不問に付した。]
よければ、ハーブティをいかが。
ありがとう…。
僕も、もう一度ジーク兄さんと話してみる…。
[>>51あの時ユーリエは "滅び<救われ>たがっていない魔物を、無理に滅ぼす<救う>ことは、出来ない"
アプラサスとの会話を思い出して、しばらく逡巡してから口を開く。]
ねえユーリエ、<救い>は滅びしかないのかな――。
もし彼らがそれを望まなかったら…――
[>>115>>116そんな風に問いかけて、彼女の言葉に首を振る。]
魔物も救いたいと思うのは、間違ってない。
魅入られてなんかいないと思う、むしろ――
[一生懸命に考えて、そして出したとても――]
とても尊い心だと僕は、思うよ。
[それだけは自信を持って良いと、力強く頷いてみせる。]
― サロン ―
[眠る我が子の睫毛が震える。
微かに浅くなった吐息が、覚醒を伝える。
彼の薄い唇に指を乗せ、目覚めのときを見つめた。]
よく眠ったかい?私のジーク。
眠るおまえを眺めるのは、何年ぶりだろうね。
[教会の尖塔で、時折そうしていたのを思い出す。
訪れるのは、決まって夜だったから。]
……そんなの、わざわざ謗るまでもないでしょう?
貴方の名が、これ以上ない程はっきり示してるじゃない。
――…ソマリ・サイキカル。
[詐欺師を冠する男の名前を、ただ一度だけ、目の前で呼んでみたかった。
剣を構える男を前に、その甘い響きが、緩く唇を開かせる]
[近づけば近づく程、声は鮮明なものに変わっていく。
最後に届いた呟き>>+30は、男の足を止めた。]
――、
[何も言葉にせず、ただ、悲しそうに瞳を伏せて。
彼にとって神が善で魔が悪だというのなら、己が声もまた彼に傷をつける刃となろう。
神も魔も人も同様に厭う自身が、彼へ否定も憤慨も悲哀も、抱く権利はない。]
ごめんな、さい。
[魔としての自覚を促したのは己だ。
すべてを己の責任などと語る程驕ってはいないけれど、それはきっと、神を否定する行為を助長しただろう。
いつもなら堪えきれる思いが溢れて、唇を震わせた。
[固まってしまった足のせいで、血の涙を拭おうと伸ばす指は遠く。
空を掻いた指先を見つめて、少し困ったように笑った。]
……そうだ。
ハンカチがあれば貸して貰える?
この子の寝床になるようなものを。
[ 胸の中で眠るコウモリを見下ろした。 ]
お前の母親のもとに…行かなくていいのか?
[先の様子はちらりとみた。何か悲壮な決意を固めたようにもみえた表情をしていたアプサラス。]
勝手に消えるような不義理な真似はしないから気になるならいってこいよ
[今回はからかいの色を見せることなく。己がいない間にできた幼馴染の人間?関係の先、血の親についていった]
[少しだけ、休もう。
見守りたい気持ちはあれど、あるからこそ、最後まで意識としてでも存在していたいから。
悲しみに心が溺れぬように、身体を丸めてそっと目を閉じた。]
…――あの子の名前は、何というのでしょうか。
[追憶に登場した可憐な少女の姿を思い浮かべて、宙に身体を横たえる。
彼女と初めて
もう二度と叶うことのないそれを思い、拳を握りしめる。
血の流れぬ、痕さえつかぬ身体は、その現実を知らしめるに十分な威力を持っていた。]
少し、疲れましたねぇ。
[こんなに戦って、話して、何かのために奔走したのは久しぶりというよりも、初めてではないだろうか。
仄かな声を最後に、男はそっと目を閉じた。]
少しのはずが、眠り過ぎたようです。
[失態と思ってか微苦笑を漏らした。
気怠さはまだ残るが動けぬほどではない。
椅子から離れて野茨公の足元で膝を折り
薔薇を手にした腕を胸元にそえ頭を下げる。]
御帰還、お祝い申し上げます。
[ユーリエの双眸がこちらを見上げている。
玻璃のようだと思った。
ハーブティを淹れながら、ユーリエの問いに応える声は、ことさらに作ったものではなく。]
我々は茶もワインも飲める。
聖別されたものでなければね。
──ちなみに、城の地下水と、アレクシスが森で採取してきたハーブだ。
[説明して、湯気をたてるカップをユーリエの前へ。
吸血鬼の淹れた茶を飲むのだろうかと、眺める。]
[修道会の厳しい鍛錬に疲弊した少年の日のあの夜、
剣を抱き、凍えながら石の床に跪いた。
救いを求めて祈るのではない、
与えられた定めを、ただ受諾するのではなく、
自ら選び取ったものとして生きると誓った時、
その時に、神が自分をお召しになったと知った。
“剣として生きよ”と。
剣を振るうことが男にとっての祈りだった。
剣として作られた男は、ひたすらに自らを剣と為し、
剣として生きた。]
/*
勝手に情を移して勝手に傷ついた、自業自得なアレクシスさんです。
今日エピるかもしれないので、一応区切りのような形で。
バルたんの涙拭いたいけれど、その役目はアレクシスさんのものじゃない気がするの。
だってこの男、むしろ傷つけることしかできません。使えない。
心の整理もソマリのことも赤で届く声もあるし、お邪魔しない流れも作りつつ、見守りモードです。
/*
わわ、ハーブ取るよーヾノ。ÒㅅÓ)ノシ
それがたぶん、唯一の外出だったのでしょう。いえす引きこもり。
独り言が増えているのは、エピが来る時はいつも緊張しているからです。
楽しかったからこそ怖いよー終わるの寂しいよー(´・ω・`)
―――…そうか。
では、君を殺しにくるのも、俺一人かもしれないな。
[世の中の男には見る目がないとばかりに首を振る。
己の目に狂いが在るなんて、欠片も疑わない傲慢な男。
自信家で、頑固で、他にも自も科せ、女性を泣かせる手酷い男。
煌く落涙に、構える剣と低く落とす腰。
己に繰り出せるは最早一刀。
それ以上の力は無い。
似合いだと告げられた彼女の言葉に細く笑み。]
そう、俺の名は、ソマリ・サイキカル。
その名を一度も恥じたことは無いッ!
[義務を背負う聖将が夜に吼えて、闇を駆けた。
苛烈で、不器用で、罪に背を押される加速。]
[彼女を泣かせる男は自身だけで良い。
これが道ならぬ恋だとして、
これが叶わぬ想いだとして、
一体、どうして悔いることが出来ようか。]
[駆け迫る男は金の尾めいて後ろ髪を靡かせ、
鋭い風が髪を纏める結布を攫う。
月夜に高く舞う結布。
拡がる金の髪は照らす陽光に似て、月に迫る。
彼女の心臓目掛けて突き出された刃が、
月の光を弾いて煌き―――。
そのまま、バルコニーの欄干越えて二つの影が闇に舞う。
天上高く造られた城は、階数以上に空が近い。]
[―――――ひらひらと風に踊る結布は純白の色合い。
まるで寄り添う黒き蝶を探すように揺れる。
いつまでも、いつまでも、空を泳いで、探し求めるように。*]
[己の名を、唯の一度も恥じたことが無かった。
我が家の名は、心を意味し、魔を屠らんと打ち立てた始まり。
家に伝わる古い古い昔話。
天使と恋に落ちた御伽噺を祖とする。
末裔たる己は、彼女の心臓目掛けて剣を突き出した癖、
器用にその脇を通し、決して、彼女を傷つけなかった。
嘘じゃない、と笑う男が落下しながら剣を離す。
どうせ、この高さから落ちて、無事では居られない。
――――彼女も、己も。
それなら、もう剣を手にする必要が無い。
この腕で、―――ずっと、求めてきたように、
彼女の身体を壊れるほど強く抱きしめた。]
[我が子が顔を動かし、触れた指先が離れる。
無くした温度が、もう恋しい。]
私はいつまでも見ていたいと思うよ。
親にとって、子はいくつになっても子供だ。
[恥ずかしいという言葉に笑ってみせる。
実際、幼いころの彼に、人間としての子を夢想したこともあった。]
―――君、
[そっと囁く声が、彼女の耳元に絡まる。
ぶつかった衝撃はあろうが、
無慈悲と謳われる聖将は彼女ばかりに剣を立てなかった。
地面までが随分と遠い。
いいや、きっと彼女と居れば、一瞬は永遠となるのだろう。]
ずっと、聞きそびれていた。
ずっと、聞きたかった。
なぁ、君。
[強請るように、恋うように。
胡散臭いと言われがちの甘い声が零れる。]
[足元へと滑り降りた子を見下ろし、帰還を祝う言葉を聞く。
目の端に陰りを加え、膝をついてその肩に両手を添えた]
おまえにこうしてまた触れられるのが嬉しい。
私の愛しいジーク。
おまえの嘆きは、私の痛みだった。
心配をかけて、すまない。
[視線を同じくして、謝罪を紡ぐ。]
[ 前に置かれたカップ>>148は、いつもの通り、ごく自然に聖別の手順を踏もうとした。
吸血鬼と逆に、ユーリエは聖別されていない物を飲食したことがないのだ。
ただ、手を翳したところで、動きを止めた。
とてもいい香りがしたのだ。
……それでふと、興味を持った。
聖別されていないそのままの飲み物というのは、どういうものなのだろうと。
もし、教会のやり方に異を唱える自分がもう聖女ではないのならば、
今更、飲食を縛られることに意味があるのかと。 ]
……。
[ まるで生まれて初めてハーブティを飲むとでも言う様子で、
慎重に慎重に口元に運ぶ姿は、吸血鬼にはどう見えただろうか。 ]
……すっきりしていておいしいわ。
[野茨公にとって己は子という存在。
親の期待に応えられる子であれない事が心苦しい。]
――いくつになっても。
我が君だけを親と思い続けましょう。
けれど子はいつか親元を離れひとりだちするもの。
そう思えば、――…淋しい関係かもしれませんね。
[人間であった頃の家族への思いはあれど
親と敬うべき存在は野茨公のみと思い肉親の縁を断つような言葉を紡ぐ。]
――…ええ、そうね?
きっと、後にも先にも。…貴方一人だけよ。
[芝居がかった仕草を大真面目に、傲慢に眼前でやってのける男。
こんな不遜な男は唯一人だと、囁く声はひそりと擦れる。
剣を翳す姿は、相対すれば、蝶を介して窺い見るより遙かに潔い。
迷いなく駆ける脚、闇にも高らかに響き渡る冴えた声]
[あの少年の日から続く剣の生涯だけでない、
壊されて生まれ、
母にも等しきひとから血を与えられてようやくに存在を繋いだ、
あの幼子も自らのうちにある。
血色の闇で教え導いてくれた哀しい声の主や、
畏怖の対象であったあのおおきなものとの出会いも、己のうちに尊きものとして刻まれていて]
アレクシス殿は城主の客人の薬師だ。
[アレクシスの名を知らない様子に、簡潔な紹介をする。
ユーリエが慎重にハーブティを口にするのを見届けて、わずかに肩の力を抜いた。]
おいしいと言っていただけて光栄だ。
飲みながらで結構、本題に入るとしよう──
―サロン―
[野茨公にとって己は子という存在。
親の期待に応えられる子であれない事が心苦しい。]
――いくつになっても。
我が君だけを親と思い続けましょう。
けれど子はいつか親元を離れひとりだちするもの。
そう思えば、――…淋しい関係かもしれませんね。
[人間であった頃の家族への思いはあれど
親と敬うべき存在は野茨公のみと思い肉親の縁を断つような言葉を紡ぐ。]
[肩に添う手にゆっくりと顔を上げた。
野茨公を見上げ、眩しげに目を細める。]
またお逢いできた事何よりも嬉しく思います。
我が君――…、
[感極まるように言葉を詰まらせる。]
[幾度も護られてきた身を、恋うる男の刃先に自ら晒すこと。
愚かでも、罪深くとも――これが、己の選びとった命の使い時]
― 地下:礼拝堂 ―
[地下へと運ばれ、寝かされた姿勢のままに男はそこにいる。
まだ肉体と精神が分離している事には気付いていない。]
ユリア…
[小さく呟くが、彼の肉体の唇は全く動かないまま。
その精神体が発した響きは彼の妹まで届いただろうか。]
置いてゆかれたのだと、思いました。
もう、二度と、そのようなことは――…
[なさらないで下さい、と懇願の音色が密やかに落ちる。]
これ以上は無意味だということを、理解してもらうために君を呼んだ。
私は、君がこの侵攻作戦の切り札なのだと思っている。
だが、奇襲殲滅戦であるべき作戦は、すでに時間をかけすぎた。
聖なる力は、その威力を失っている。
それでも、強化兵らの身体能力はおそるべきものだけれど、君に関しては無害だ。
ゆえに戦場から隔離すべきだと思った。
女子供が抗争に巻き込まれるのは本位ではない。
ここなら安全だし、退屈もしないだろう。
君に、読書の習慣があれば、だが。
[ ヴィンセントの声は、教会のパイプオルガンの音を思い出した。
ずいぶん遠くへ来たような気がして、、
まだ数日と経っていないのに、と不思議を思う。
この時間だけを切り取れば、教会の書物庫で、
助祭に交じって聖人伝を読んでいる時とそんなに違わない感じがするのに、
目の前の人は魔物なのだ。 ]
……ええ。
[ 本題に、と言われて頷いた。
そうだ、話をしに来たのだ。 ]
/*
んーむ…吸血鬼化…でもいまいち幸せな感がないのだよな。人間で生きてる風のがまだ幸せな気がするわけだが、あんな肉片で(略
……。
[ 再び言葉の使い方を忘れてしまったように、
ヴィンセントの顔を黙って琥珀の目で見上げる。
血の気の薄い頬やくちびる。
整えられた髪。
きれいな人だな、ともう一度思った。
指摘はそうかもしれない、と思いつつも、
自分でも驚くほど平常心だった。
もう聖女としての力はないかもしれない、というのはもっと深刻な理由で、
すでに心の準備がすんでいたから。 ]
返事の前に聞かせてほしいの。
貴方はなぜ吸血鬼になって、
何のために今も吸血鬼でいるの?
…ああ、いってこい。俺もちょっとうろついてくる。見ておきたいやつとかいるしな
[決断をするならば、人の言葉にただ唯々諾々と従うような真似はしないことだけを決めて、壁をかけてバルコニーのほうへと向かう幼馴染を見送った]
[子はいつかはひとり立ちするもの。
そう言う我が子の目を覗きこむ。]
もしも、私ではない誰かに"愛"を注ぎたくなったのなら、
その子と二人で新しい世界へ旅立ちたいというのなら、
私はそれを祝福するけれども―――
[愛、という言葉はいくつもの色を帯びる。
親子の愛、恋人の愛。自分以外の存在に注ぎたいと思う心。]
[己の中心へと、ただ真っ直ぐに距離を殺ぐ刃。
風に散る金の髪が、視線を浚う。
月にも陽にも、瞬く度に彩を変える男。
風に惑う蝶よりも、徒に翻弄されるしか術がないのはそのせいだ、と。
身が貫かれるまでの間に思い至ったのは、唯それだけ。
――男の自重を受ける身体は、影を連ねて夜空に舞った]
[言葉詰まらせる肩を抱き寄せ、髪に指を潜らせる。
こうしたかった、と指先に語らせて]
アレクシスのおかげだ。
彼が、私を引き戻してくれたから。
[救い手の名を、感慨深く口にする。]
[同様に生ある粒子も感じる。あまりその光を見過ぎないようにしながらも、耳をすませば音も拾えそうか。とその感覚を慣らしがてら歩いて]
――私は、何だ。
どうやって在ればいい?
[友誼のために右腕を賭けたソマリの為にも、涙を流してくれた少女の為にも、あの場で消滅すべきだったと思えど、それを願えば神への、そして何より彼らへの冒涜となる。
……それに、ああ、幸福を願ってくれた母にも等しきひとにも。]
[聖女欠格を指摘されても動じないユーリエを見やる。
疲れ切ってしまったわけではあるまい。
この城で、彼女なりに感じたものがあるのだろう。
虚実を操る公弟は、彼女の問いに、真摯に応える。]
魔物が「悔い改める」と言ったとき、教会の反応は、
「魔物のいうことは信用ならない」か、「殉教して証拠を示せ」に大別される。
神──教会は、制し、罰することを根幹において、世に幸せを導かんとする組織ゆえに、一度でも罪を犯した者に対しては厳しい。
情状酌量などしていたら、示しがつかない。峻厳なる法治の理だ。
私もかつて司法の側にあり、だが、出会った吸血鬼を断罪できなかったゆえに吸血鬼になった。
吸血鬼であることは止められるものではないから吸血鬼のままでいる。
そして、私は、愛する者と共に人生を謳歌しているから、滅ぼすと言われても拒絶するよ。
[細かい事情は省いたから、よく伝わらないかもしれないが。薬の切れる時間も迫っていた。]
[己を歪と思う理由。
己を醜いと称した理由。
嫡子であるのに決して家門を継げぬ理由。
半陰陽であったジークムントは
野茨公と通じる事がなくとも
結局は教会から追われる事となったと思う。
だから――、頼れたのは野茨公ただひとりきり。
その頼った彼にさえ、それは隠せていると思っている。]
[覗く眼差しに翆が瞬く。
野茨公の言葉に耳を傾け、それからゆると首を振った。]
――…それは誰にも望めません。
幸せに出来ぬ身で求めるのは、我儘が過ぎるから。
[誰かと共に旅立つ事は考えていない事を明確にしていた。
目の前の美しく気高い吸血鬼の幸せを願う。
大事だからこそ迷惑を掛けたくはない弟を、想う。]
いいよ。
ヴィンセントが、命を賭けて護ろうとしている愛する誰かが居ることは分かった。
だから私も、命を賭けるね。
私がもし、聖なる力を失っていたならば、吸い殺してもいいよ。
でもそうでなければ。
滅びるのは貴方だわ。
だけど、きっともう、苦しくも痛くもないわ。
私がそう信じているから。
そうして、貴方が滅びたら……。
[もう逃がすまいとするかのように、身の中心へと向けられた刃。
心臓を刺し貫く痛みは訪れず、男に抱かれ、風に曝される瞳をきつく眇めた]
――…どうせ、そんな事だと思ったわ。
傷付けたら、貴方のものにはできないものね?
[この心が掌中にあることも、この男なら、どうせ知っていたのだろうと]
貴方は私の子供になって、もう一度生まれておいで。
私の母も、私を処女懐妊したそうなの。
だからきっと、私にも出来るわ。
貴方の愛する人も吸血鬼?
お兄さんのギィかしら?
……もしそうならば、ギィも私の子供になるといいわ。
ちゃんと兄弟として。
――…っ。
[ソマリの持つ刃が月光を受けて煌めき、母の胸に吸い込まれていくのを茫然と見ていた。
何故抵抗しない、と紡ぐ事も出来ず。
その勢いのままにソマリと母の姿がバルコニーの柵を越えて落下するのを目にした男は言葉を失ったかのように其処にいた。]
吸血鬼はやめられないけど、人間から吸血鬼になることが出来るのだから、
もう一度人間になってみてもいいでしょう。
そうして、教えて。
貴方の幸せは、生きている間には絶対に出来ないことなのかどうか。
どうしても吸血鬼じゃないといけないのか。
[鋭敏な耳に絡みつく声さえ、離す意志など欠片も含まぬ響き]
……もう、聞く気がないのかと思ってたけど?
[拗ねた響きは、何時かのように]
[――が、やがて思い出したように。]
…ぁ、
あああああ…っ!
[絶叫した声は、同じ状態の者には聞こえたか。
男はバルコニーの上で力なく座り込む。
――状況を確認しに行く勇気はなかった。*]
君は、異端だ。
[ユーリエに向ける声は弾劾ではなく、むしろ賞賛のそれ。]
還る場所があるなら、安心だな。
[少女の両手に指を絡め、華奢な首筋に冷たい唇を押し当てる。]
今、けっこう、危険なことをしている自覚がある。
[服薬しているからといって、聖血の効果を消せる補償はない。
だが、ギィのところへユーリエを行かせるわけにはいかなかった。
行かせれば、ギィはなんの細工もなしに聖女の血を吸いたがるに決まっているから。]
あなたを、喜ばせることができればいいんだが──叱られるかもしれない。
[抱き寄せる腕に引かれ、野茨公の肩に口許が触れる。
野茨公の目に映らぬ騎士の貌がふっと泣きそうな色を過らせた。]
――…アレクシス殿に感謝せねば。
身に余るあなたからの贈り物をヴィンセント様から受け取りました。
……、これが、その手に戻れば、
あなたの望みは、叶いましょうか。
――叶うなら、これは、……あなたが持つべきもの。
[手に包む血色の薔薇を野茨公へと差し出そうとした。]
[ ちゃり、と指先に鎖が触れて、
ああ、と思う。
このままでは吸いにくいだろうと聖光ロザリオを外し、
膝の上で両手に握りこむ。
ちゃりちゃりと鎖がなった。
本当は手の震えが止まらなかった。
言葉ほど、冷静じゃなかった。 ]
…まぁ、いいわ。
強引だけど、約束通りエスコートしてくれたから。
―――アプサラス。
ねぇ、呼んでみて?…ソマリ。
[強引に抱いてくれる男の左腕と、胸に抱き締めるその声だけ在ればいい。すぐ傍で響く男の声に、また耳を澄ませた*]
[目を閉じて、意識を休めれば、遠いあの日の夢を見る。
血が心を繋いで、永き時を越え、その瞳に少女を映した。]
貴方のくれた花を、もっときちんと見ておけば良かった。
[傷つけはしなかったけれど、強く意識することもなかった。
自身の世界に在る者たちと同じ、興味など抱くだけ無駄だと思っていたから。
取り返しのつかなくなった今になって、悔いが滲む。]
"ねぇ、アレクシス"
[友と呼んだ少女は、一向に年をとらなかった。
吸血鬼の一族に生まれた男は、己の同じ名を持つ
それでいいのだと、そうありたいと、身体を借りた己もまた、目を細めた。]
それを聞いて安心しました。
我が君が健勝であられる事が私の喜びです。
[懲りたと聞けば小さく笑む音を漏らし
柔らかな音色を心地よく聴いた。]
"簡単に終わりを決めてはいけない。花はまた咲くわ"
[青空を映したような髪を靡かせて、少女の声が歌うように響く。
瞳を震わせて、目を閉じて、開いた瞳は、夜空を映したような、穏やかな黒。]
ありがとう――エレオノーレ。
[ようやく思い出した友の名を囁けば、閉じた瞳から雫がひとつ零れ落ちた。
城の片隅に落ちた雫は、やがて花を咲かすだろう。
枯れてもまた種から芽吹いて、新たな色が生まれる。
悲しみは慈しみに変わって、口元には笑みが浮かんでいた。]
そうね。
[ ひやり、と触れる唇に、
からめられた指を、きゅ、と握った。 ]
こんなこと聖書のどこにも書いていないわ。
[ 指は震えている。
声ほど冷静ではなくて。 ]
でも、そう思ったの。
[ 目を閉じた。 ]
[彼女の声が近い。
足りない右腕の分だけ、聡明な彼女を強く抱いた。
彼女の呆れた声も、拗ねる仕草も、己の心を少年のそれに変えゆく。]
[耳に届いた声に、目の奥が痛むほど痺れた。
風の加護も無く、使徒の力も無く、
ただ溢れる感情に突き動かされるまま、口を開いた。]
―――…良い名前だ、アプサラス。
[闇に真っ逆さまに落ちながら。
それでも何一つ恐ろしいと思わなかった。
得た名ごと彼女を抱いて、彼女に対し二度目、人生二度目。
光り輝くように、心より笑って見せた。*]
―地下礼拝堂→廊下―
ユーリエ…――。
[扉の向こうに消えたきり、ユーリエは戻ってこなかった。
意識を集注すれば、遠く離れていく小さな光り。
跡を追いかけようと感じる光りの方へ走り出す。
が、すぐに足は止まった。
どうして声をかけずに、彼女1人で行くことを選んだのだろうか。
礼拝堂で見せてくれた、強くて優しい意志。
彼女なりに思うところがあって、あえて1人で向かったのだとしたら。
自分が行ったとしても、ただ彼女の意志を無駄にしてしまう事に成るのではないかと。]
聖は魔を浄める。
魔は聖を穢す。
どちらの色に染まるかは、色の濃さ次第──にならないのは色彩学をかじった者なら知っていること。
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