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神子 アデル は 吸血鬼 シメオン に投票した
吸血鬼 シメオン は 吸血鬼 シメオン に投票した
聖将軍 ソマリ は 吸血鬼 シメオン に投票した
聖光の ユーリエ は 吸血鬼 シメオン に投票した
純血種 アプサラス は 吸血鬼 シメオン に投票した
変わり者 アレクシス は 吸血鬼 シメオン に投票した
使徒 リエヴル は 吸血鬼 シメオン に投票した
公弟 ヴィンセント は 吸血鬼 シメオン に投票した
修道騎士 バルタザール は 吸血鬼 シメオン に投票した
騎士 ジークムント は 吸血鬼 シメオン に投票した
奴隷騎士 クレステッド は 吸血鬼 シメオン に投票した
吸血鬼 シメオン は村人の手により処刑された。
変わり者 アレクシス は、野茨公 ギィ を命を引き換えに復活させた。
野茨公 ギィ は死の淵から蘇った。
聖光の ユーリエ は、変わり者 アレクシス を護衛している。
次の日の朝、使徒 リエヴル が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、野茨公 ギィ、神子 アデル、聖将軍 ソマリ、聖光の ユーリエ、純血種 アプサラス、公弟 ヴィンセント、修道騎士 バルタザール、騎士 ジークムント、奴隷騎士 クレステッドの9名。
公弟 ヴィンセントは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
公弟 ヴィンセントは、聖将軍 ソマリ を能力(襲う)の対象に選びました。
聖光の ユーリエは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
聖光の ユーリエは、奴隷騎士 クレステッド を能力(守る)の対象に選びました。
聖光の ユーリエが「時間を進める」を選択しました
純血種 アプサラスは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
[シュ、と唇から烈波の息を吐き。
床を蹴るソマリの接近にあわせ、前進しつつ構えた剣を振り下ろす。
人外の膂力に加えて、落下速度の十分に乗った斬撃、
斜めに振り下ろし、また流れる銀の軌跡。
それを、ソマリの曲刀が受け止めた。]
聖将軍 ソマリは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
神子 アデルは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
今日の護衛はどこでもいいんだけど、
やっぱり怖いので、ソマリんからは外しておくの。
デフォはアデルんだったのだけど、
アデルんは最終日に護衛する可能性があるので、
まだおいておくのだー。
[腹部に加えられた一打で、踏ん張りが利かなくなり、本来刀ごと断ち割る一撃の力が湾曲した刃を滑って逃げる。
ギャギャギャ、と金属を削りあう摩擦音が轟き。]
ぐ ぉ、
[バルタザールは、揺らぐ姿勢を石床を踏み締めて何とか踏み止まり、逸れた剣を慣性を利用して後ろに思い切り引いた。
繰り出す刃は、蹴りを放ったソマリの、下半身を狙ったカウンター。]
/*
野茨公のメモを見てほっとする人。
アレクシスさんが私も嫌いじゃないですって言ってます。
愛いっぱい届いてたらいいな!
/*
洗礼者って落ちるシスメが出ないんだよねー。
前ガチ村見学した時にそうだったから覚えてたの。
誰にも気づかれないまま消える感じが、アレクシスさんにぴったりが気がする。えへへ。
― 廊下 ―
[ソファを抱え上げ突撃する魔獣を迎撃するクレステッドは、壁を蹴り、聖なる斬撃を放った。
轟、と唸る風圧が瘴気を引き剥がし、赤黒い紋様に覆われた魔獣の本体を曝け出す。
聖なる軌跡はソマリによって一度、クレステッドによってもう一度、傷つけられた場所に三たびのダメージを重ねた。
さしもの耐久力をもってしても耐えきれず、魔獣の右腕が落ちる。
魔獣は雷鳴のごとき咆哮をあげると、地面に落ちた自らの右腕を拾う。
その間、攻撃は止まる。
隙ができたといってもいい。]
/*
墓下の野茨公の言葉を見てぐずぐず涙目になる。
オズワルドと何か会話しているなら、5d蘇生の方がいいかなあとも思ったけれど、これで良かったのかな。
オズワルドともお話できればいいなあ。
/*
ああ、どうしよう……息子助けていいものかしら…
そしてやっぱり守ってくれた…絶対そうだと思ったけど、けど…
みんな、こんな女守らなくていいのよ…
守られまくりで、唯一ほぼ無傷に近い現状。
我ながら動き下手ね、ほんとに!
りえ様の素敵置き土産で派手にダメージ受けようかと思ったものの、最早それは次の機会でいいのかしらという気がしつつ。
だって息子が守ってくれたのだもの。
酷い母に孝行過ぎて……全然甘やかせてないのに…うぅ。
奴隷騎士 クレステッドは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
[バルタザールがソマリと手合わせをした回数はそう多くはない。
その折でも、修道騎士は常に真摯な表情を崩さず、鍛錬以外の目的を素振りに出したことはなかったはずだ。
聖騎士を輩出した名門の出であり、自身も将来を嘱望された聖将と見做されていた男の、実力を調べるという、裏の事情もあっただろう。
虚偽を憎む男は、たとえ方便でも偽ることができなかったから、話せない事情がある時は、沈黙するのが常だった。]
騎士 ジークムントは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
修道騎士 バルタザールは、修道騎士 バルタザール を投票先に選びました。
修道騎士 バルタザールは、聖将軍 ソマリ を能力(襲う)の対象に選びました。
[彼の事情は知らない。
彼の葛藤も知りえない。
それなのに、また一つの選択を彼に突きつける。
この男は聖将の名の下に、吸血鬼を屠る男。
やがて劣勢へ至るだろう己を見過ごせば、
吸血鬼へ振り下ろされる剣の一は潰える。
仮に、癒し手が泥沼を呼ぼうとも。
全てを救えるのは、
あ、の、 馬 鹿 っ!!
[体を丸め、石床を転がりながら、
蔦に絡め取られた男の肢体を睨みつける。
なにか叫んでいないと、一瞬たりとも衝動に耐えられなかった。]
おまえも一回死んで、その馬鹿直してかえってこい!
[理不尽に罵りながら、這いずるように近寄っていく。]
[腰のポーチから聖水の瓶を取り出し、呪文を編む。]
大地潤す、恵の精霊達よ―…―
[栓を開けて空間に振りまいた聖水の粒が、目に見えない霊気に乗って浮遊する。]
今、煌めき光りの矢となりて走れ――!
[ソマリとユーリエの背後から聖なる氷の矢が、自然界にはない動きでバルタザールに向かって降り注ぐ。
聖将軍と聖女には癒しを、そして完全に魔と化した騎士には負傷を負わせる術。]
[渾身の聖なる斬撃はついに魔物を捕らえる。
落ちる右腕、そして止まる動き。]
も、らったっ!!
[今度はじかに剣を振り下ろす。
ただ、その軌道はいつもより緩やかだった。]
―――…ああ、本当に君は不器用だな。
[そう、零さずには居られない。
真っ直ぐな心と正義を背負っていた頃よりも、
今この時に、そんな楽しげな顔を見せてくれる。]
[柄握る手に、僅かに肌を切り裂いた手応えを感じ。
着地したソマリを睨み、改めて崩れた膝に力を入れ、垂直に剣を立てて構え直す。
腹に喰らった打撲傷は、吸血鬼の動きを制限するには至らない。
アレクシスの血を受けて、肉体はほぼ全回復していた。
右腕が殆ど動かないらしいソマリは、あまりにハンデがあり過ぎる、と思わなくもないが、当然手を抜くつもりも慈悲をくれる気もない。]
―少し前―
[>>~37謝るなという幼馴染の声に、涙がまた零れた。]
…っ…、でも俺は…!
[お前を救いたかったのだと。――生きて共にいたかったのだと。
そうする事は許されないと考えながらも、そんな未来に焦がれていた。]
[彼と初めて出会った時から、己はこと在るごとに揶揄を投げかけ、
茶化して騎士道を冗句の種にした。
馬鹿馬鹿しいと一蹴されたことの方が明らかに多い。
だが、彼は己に唯の一つも嘘を吐かなかった。
そして、嘘を吐かないための沈黙は、己の軽口と良く似ていた。
誰かの為に戦える彼と、己の義務の為に戦う己と、
正反対を見据えるのに、その背はひたりと添う。
だから、信じるに足りた。
背を任せるに、彼を試すに足りた。
―――まるで彼は、自分を映す鏡のようだった。]
[近づくほどにその芳香はますます甘く香り立ち、
脳髄を犯して衝動に屈服させようとする。
歯を食いしばって体の要求を押さえつけながら、
アレクシスだったものの服を引き裂き、
胸に揺れる血石のペンダントをむしり取った。
握ったそれを、今度は彼の心臓に突き入れる。]
おまえの命、預かっておく…っ!
[もっとも濃い血に触れて、血玉は鮮やかにその姿を変えた。
澄んだ赤い石の中、小さな花々が咲き乱れるのが見える。
それは、城主の血を媒介に封じ込めた、
ひとりの吸血鬼の、命の結晶。]
[>>~38逃げろという警告がなされた時には、男は既に血親を危険から遠ざけようと行動を取っていた。
――死なせて堪るか。
自分が生きている内には、そんな未来は起こさせない。
幼馴染を手に掛けてしまったからこそ、その気持ちは強かった。]
リ エ、
[幼馴染の身体はこの世に存在しなくなってしまう。
名を呼んだ男の声は爆発の音に紛れて消えた。]
[――どれだけの間、泣いていただろう。
男は幼馴染の血を吸った戦斧の柄の刃近くを握り。]
悪いな。アプサラス。
――ちょっと行ってくる。
[視線を彼女にちらりと向けて小さく笑う。
そして刃を自分に向け…自分の胸を切り裂いた。]
ぐ、…
[熱い血潮が組み敷いた幼馴染みの身体にかかり、痛みに顔を顰めた男は床に手をつく。
力の抜けた手から戦斧が離れ、音を立てて床に転がる。]
/*
早く諸々確定させねば、息子&りえ様に申し訳ないと思いつつ……
はたと思い出したのだけど、愛と希望ある結末でいいって路線よね、ということはエゴイスティックに息子助けていいかしら……(悩
何故、息子の自主性にまかせるフラグを立てちゃったのよばかばか。
[ソマリの風呼ぶ腕が健在であるならば、事情は違ったかも知れない。
バルタザールに自身に直接掛けられた魔法――精神攻撃や状態変化――に抵抗する抗魔力はあれど、精霊の引き起こす物理現象を防ぐことはできない。
おそらくは、為す術もなく一方的に風撃を受けるだけだった筈だ。]
……最悪な目覚めをありがとうございます。
[ギィ>>8の声に意識は覚醒に至り、不服そうに眉を寄せ、目を開く。
そこは城主の部屋の前、その中空、苦しみに転がる蘇った吸血鬼の姿を見下ろしていた。]
馬鹿って言う方が馬鹿なんだそうですよ、ばか。
[何とも大人気ない返事をしても、彼に声が届くことはない。
己の身体を見つめれば、傷も血の跡もすべてなくなっていた。
短くなった髪を揺らしながら、渇きに翻弄されるギィに、胸元をぎゅう、と握り締める。
――そこにはもう、血玉の赤はない。]
――…。
[牙で自分の舌に傷をつけ、口の中で紡ぐのは古代語。
幼馴染と男は因子で繋がっていても、身体という檻で分かたれている。
通常の状態であれば彼の中にある魂に手出しは出来ない。
ならばこの身に流れる血潮を以って門を作り、彼の魂を救いだそうと。
――彼が自分に望んだのは解放。
だから自分のしようとしている事は独断で決めた事だ。]
[男は痛みに顔を顰めながらも、血潮溢れる自分の傷口を幼馴染みのそれに触れさせるように上体を覆い被させる。
幼馴染にまだ意識があれば、肩口に熱い吐息が感じられたかもしれない。]
リエ、俺が
[――助ける。
命は無理だったとしても、せめて魂だけは。]
[気力がもったのはそこまで。
微笑み浮かべたその体へ覆いかぶさり、
広がった胸の傷口に唇をつけて、直接血を啜り始める。
荒れ狂う衝動に流されるまま糧の体を引き倒し、
なおも裂いて新たな血を求めた。
倒された拍子に、もはや動かない手が城主の背に落ちかかる。
抱きとめるような形になったそれを横目で見て、
振り払うことはせずに、そのまま貪り続けた。]
【狂】
[幼馴染の脳裏には男の姿が見えただろうか。]
こいつの身体も魂も、
お前なんかには渡さない。
全てあいつのものだ!
[幼馴染を蝕んでいた影に向かって叫び、戦斧で切り付け。
そして幼馴染に向かって手を伸ばす。
その手は届くだろうか。*]
[斬り落とされた右腕を拾うために屈んだ魔獣はクレステッドの声に顔を上げた。
そこへ刃が落ちかかる。
斬撃は、魔獣の額に紅の月を穿った。
が、疲労ゆえにか、動きを読まれたか、それまでより威力のなかった攻撃は、魔獣に致命傷を与えるには至らない。
クレステッドの剣が魔獣に振り下ろされるのは四度目となっていた。
大きく飛び退った魔獣は、壁を斜めに駆け上がり、コウモリめいて足で天井からぶら下がる。
その直下には深紅の雫。**]
[男の流した血液は床に広がり、血溜まりを作っていた。
そこから深紅の細い帯が伸びて男と幼馴染みの腕を繋ぐ。
――それは幼馴染と分かたれたくないと願う、男の願いの籠ったもの。
分かつのは難しいが、労を惜しまねば解くことは可能だろう。]
――……。
[これまでにおける多量の失血によって男はそのまま意識を失う。
魔性に堕ちて得た高い再生能力はその効果を発揮せず、疵口は治癒に向かわないままだろう。
長時間放置すれば男はそのまま死を迎え、やがて身体は灰となる。*]
[そもそも魂というものの存在をしったのは、実験を受けてからだ。
それゆえに死すればどうなるのかというものを魔ならぬ身であってもなんとなく理解していた]
/*
あ、相方さん。
秘話でお返事させて頂いたの、驚かせたらごめんなさいね。
…ちなみに上のIFは、三回ほど青ログに誤投下しかけました()
……ここは?
[周囲に何もない。空洞。広く深く先の見えない闇。
いや、空洞のように見えるだけのなにかかもしれない。
城の全容を知らないために、その中にあるものなのか、ないものなのか。未発見なのかさえわからないもの―――現に生きぬものにとっては、既にそんなことどうでもよいことだ]
[突如としてソマリの背後から、氷の矢が飛来する。
魔法攻撃、と認識するより早く、構えた剣を振るって打ち落とそうとするが、間に合わない。
それ以前に、殆ど必ず命中する魔弾を、物理的武器で全弾打ち落とすのは、余程の達人でも不可能に近い。
致命の箇所こそ防いだが、四肢に細かい氷片が突き刺さるのは避けられなかった。]
―― ッ!
[凍りつく熱痛が、刺さった箇所から体内に拡がって肉を灼く。]
僕はもう、神子なんかじゃない――。
裏切り者と罵られても当然のことをしました、後悔もしていない。
[術を放った後、すぐに空気中に漂う気を指先に集めて魔力を編み込む。]
全てが終わったら罰は受けます。
全てを終える前に僕が変わっていたら、その時は容赦なく斬って下さい。
[編み込む魔法は、ソマリも馴染みのある補助の風魔法。]
なっ!?
[実体を持たない手にはない血玉は、ギィ>>12の手によって、己が器だったものに突き立てられる。
大きく目を見開き手を伸ばすも、彼の身体に触れることはできず、通り過ぎるばかりだった。]
アプサラスは俺のだ。(違います)>男祭り
/*
と言うか、意外に女の子が少なくて、
軟派な男と言うか、ただのにーちゃんになりつつあるソマリであった…。
……っ!
本当に、お馬鹿さん、です。
[彼の意図を知り、血玉に咲く花を目にして、感情が大きく揺れる。
肉体という殻を失った心は、生前よりもひどく柔らかかった。
瞳が揺れ、唇を噛みしめる。
透き通った手が彼の赤い髪に触れ、感触のないまま優しく梳き上げる。]
あの時、炎に見えたんです。
私の世界が変わる合図、灯火に。
[出逢った瞬間>>0:127から変わらぬ赤を瞳に焼き付けた。
届かぬ告白は、血を啜り始めたギィ>>16の頭上で静かに響く。]
[聖属性の攻撃は、強力な再生力を持ってしてもそう簡単には癒せない。
塞がらぬ傷は、四肢の筋力を奪う。
男が苦痛を無視して戦い続けようと、圧倒的だった人外の戦闘力は、確実に削がれた。]
クレステッド戦はポンポンと短く投げ合う感じがライトで楽しいー
天井に逆さに立つのはやりたかったんだ!
吸血鬼映画で何回か見たことある。
僕には向こうに守りたい人がいる――。
でも、ユーリエも守りたい!
[矛盾と意志の込められた言葉は、神子が口にするなど到底、許されないもの。]
見ていることしかできなかった責任は、僕が取ります。
[自分はあの時、仲間を見殺しにしたのだ。
何もせずまた同じ事を繰り返して、ただ倒されていく姿を見送る事など、もう二度としたくなかった。**]
/*
メモでは見えないので、レディ・シュトラウスにぶんぶか手を振っておこう。ありがとー!(๑・◡・)ノシ
そしてギィのロールが素敵すぎて散る_(┐「ε:)_〜( ε:)0
お花はね、呪の始まりに関わるからね、あとでちゃんと書こうと思うよ!
[それは、アレクシスが残したもうひとつのもの。
未来へと吹き抜ける祈り。]
―――。
おまえにもらったこの命、無駄にはしない。
必ず。
[囁くほどの声で誓いを立てる。
声を張り上げる必要はなかった。
自分と、もう一人にだけ届けばいいのだから。]
[あの後、どうなったのだろうか。そもそも今はどれぐらい時間が経ったのか。それすらわからない。
あいつは――生きているだろうか。茨の城に来てから共鳴していた念の意識も眠っているのか生きていない。生死を別ったからつながらなくなった。というならば幸いである。
今わかるのは唯一つ。自分にとって、ここ数年間一切離れることのなかった改造を受けて浸食をしようとする魔の存在が――]
どうやら、俺は余程しつこいやつに好かれちまったらしいな。
もてるならもっと別のものがよかったな
[実験より、力を与え同時に魂をけがそうとしていた魔が一つに固まって凝縮していくのをみながら。自身が様変わりしているのにも気づく。両腕には黒い鱗のようなガントレット。そこからはおよそ地上の金属で作ったものとは思えない刃が生えていた]
[顔を顰めながら、ソマリに相対し、再度の構えを。
その動きは、未だ人を外れた力を示せど、軽がると扱っていた大剣が今は重い。
加えて、脈打つ痛みの網が頭蓋を覆う、それでも]
セッ!
[一片だに見せようとせず、己を待つように見据えるソマリ>>15に向かい駆け出す。]
[言い終えた瞬間、廊下に風が吹き抜けた。
役目のすべてを終えた、とでも言いたげに、
アレクシスだったものの体が灰へと砕け散り、
風に攫われ、あるいは溶け失せるように消えていく。
彼を包んでいた蔦も、遺された言葉も、すべて。
創生の呪を受けた一族の、最後のひとりが消えていく。
見届けた城主の手の中、握りしめた血玉に、
花が一輪だけささやかに咲いていた。]
[血が尽きれば>>21、存在意義を失った器は灰に帰るだろう。
何の感慨もない瞳でそれを見下ろし、ギィ>>24の声を聞く。]
えぇ、ぜひそうしてください。
貴方が死ねば、悲しむ方がたくさんいらっしゃるようですよ。
[その中に己も含まれているとは、決して口には出さず。
風に揺られてそっと微笑む。
灰が雪のように舞う中、彼の名を祈りのように音にした。**]
[一族の存亡に興味はない。
魂が抜けきった今、己が身体の崩壊にも興味はない。
ただ、ギィ>>26の横顔をただ静かに見つめて。]
私の役目は、ここで終了です。
[すべてが消えてしまうより前に、ふわりと風に乗って飛び立つ。
灰の雪に混じって、小さな雫が一粒、空気に煌めいた。**]
[風が去って行った方向を見送ってから、
城主はゆるりと立ち上がる。
そして、改めて自分の体を見下ろした。]
……まずは、服か。
[指を鳴らしてから自室の扉を開き、中へ入る。
音もなく現れた影がそのあとに続き、扉を閉めた**]
[いくつか植えられてかえられていたとしても、あの"幼馴染と刃を交わした自分"は記憶の中の"今の自分"を模倣とした存在だ。]
矛盾してんな…ま、矛盾するのが人…ってやつかもな。
[同様にこいつもまた忌避すべき存在でありながら、己とともに在ったもの。
見据えた影は徐々に黒い体。山羊の角。コウモリの翼。絵に描いたような悪魔が形つくられる]
[ ロザリオを包んだ両手の向こうに、
バルタザールを見つめる。 ]
気になることがあるの。
[ ソマリにか、アデルにか、
あるいは、バルタザールにか、語りかけるように。 ]
バルタザールは野茨公の為に戦うと言ったの。
……でも、
野茨公は、どこ?
[ ここにはいない。
だから、野茨公が直接の危害を受けているから、防衛しているというわけではない。
では、先ほど別れた少しの時間の間に、野茨公から命令を受けたのだろうか。
使徒達を倒して来いと。 ]
/*
アデルもありがとうありがとう!
迷っていいんだよ、そこが素敵だよ!
アレクシスみたいに自己完結せずに、自分なりの結論を見出すことを楽しみにしてる!ヾノ。ÒㅅÓ)ノシ
どうせ、明日なんてもの二度と来ない。
時が戻ることもない。
こうして一生――自分を見つめ、罪を贖いつづけろってことか?
[ ……いまだ野茨公の「死」も、
「復活」も知らぬままに、ユーリエは言葉を紡ぐ。 ]
さっき、彼は、私もアデルも襲わなかった。
でも、今、こうして、ソマリと戦っている。
[ ……野茨公への脅威は、さほど変わりないはずなのに。 ]
まるで、
[ ……斃されたがっているみたい。 ]
[斬撃は相手に深手を負わせたが止めまでとは行かなかった。(>>17)]
くっ、上、か……。
[迂闊に手が出せない状態になった。
相手にダメージこそ与えたが自身も気づいている。
光の斬撃なら追い討ちが出来るが、隙を突かれる可能性があるのだ。]
どうする、あまり時間もかけられないぞ……。
[気になるのは遠くから響く剣戟の音。
自らの闘いがある故にそちらに注視こそないが、
状況が気になるのは事実だった。]
/*
その時その時、関わっている人の発言は別タブで開いているのですが、ギィの文章を読み返しては(*>ω<*)ってお顔をしてしまう。
素敵素敵。とっても幸せです。ばか。
墓ログでずるいって言ってるのも可愛かったね。
愛しのお子さんにちょっかいかけて申し訳ない!
あと1dしかないけれど、これからめいっぱい愛でてあげてください。えへへ。
[下から擦り上がってくる曲刀を、躱そうと体を開く。
どうしても避け切れぬなら、板金を連ねた胸部に刃先のみを当てさせ、鎧の防御力に任せて――と瞬時に断を下した。
同時にこちらが繰り出すのは、顔面から胸元への殆ど利き手のみによる二段突き。
間近に迫る
[いまだ汚血を滴らせる聖氷に焼け爛れた腕の速度は念頭に入れていても、
胸に大穴を開けられた鎧の強度を、
バルタザールは見誤っていた。]
―階段―
[野茨公が形見としたモノが何であったか知れず
けれど、うしなわれようとする中でも
己の事を思い出してくれたと思えば、胸には温かさが灯る。]
――…我が君。
[呼び掛ける声は密やかに落ちた。]
[再び戻ったマントを翻す。
アデルの事を案じはするが彼の身に危険が迫れば
呼び声が聞こえるだろう、と思う。
信じるが故に、彼の行動を尊重し]
逢えたのだから、これで十分。
そう思えたなら良いのに。
――私は存外欲張りなのだな。
[抱いたぬくもりを思い出すように
ぐ、と己のこぶしを握りしめた。]
俺に不遜を振舞わせるなよ、“バルティ。”
[強い光篭る瞳が嗤う。
彼が覚えていたのなら、その言葉の意味も知れただろうか。
差し込む月の明りが、互いの刃を輝かせて撫でた。**]
[ギリギリですり抜けていく風圧に、チリ、と顔の産毛がそそけ立つ。>>38
右腕のみの刺突は速度が乗り切れず、やはり二撃とも躱された。
三撃目は突きでなく斬り、と
がら空きの左脇に吸い込まれるように剣を引いたのと、
伸び切って引き戻せない右腕に対して、素早く返したソマリの斬撃が肩口に来たのは、
ほぼ同時であった。]
――…いつか、か。
[それが叶うことを願う。
少なくともシメオンと話したあの時は
友を得たような心持ちになっていた。
一方的に何をと思われても仕方ないから
それは言葉に出来はせず、言う機会は逸したまま。]
仮令気まぐれだったとしても、
私は嬉しかったのだろうな。
[そんなことを呟いて砕かれた剣を鞘におさめ、ふ、と息を吐いた。**]
[確かに致命ではない、
致命ではないが、]
[激しく損耗していた鎧の肩当てが、激しい斬撃の衝撃に耐え切れず弾け、刃が下鎧を裂いて鎖骨に食い込んだ。**]
[膝に抱き上げた息子の顔を、そっと覗き込み]
――…ごめんなさい、シメオン。
[同じ事を繰り返す我儘への謝罪を、一度だけ音に変え。
黒衣の左袖を捲り、不自然なまでに白く透ける肌を外気に曝す。
内肘に彼の友人が遺した銀のナイフを宛がい、一息に手首まで引き裂いた]
――……ッ、…ぅ、あ、
[多少の傷は、直に癒えてしまう身体。
けれど聖銀で灼かれれば、極端に治りは遅くなる。
瞼を閉ざしたままの息子の唇を、痺れ出す指先で抉じ開けて。
その唇に、灼けた傷口に。少しでも多く、長く、身の内へと血を注ぎ込む。
己の血に、癒しの力などない。在るのはただ縛りつける力だけ。
同じ血の流れる彼になら、魔物の生に繋ぎ留めるだけの力となるだろうか。
人間の身体を吸血鬼に変じた時とは訳が違うから、効果が及ぶかは解らなかったが]
[どれだけ経ったか、自分でも定かではない時の後。
城に仕える影を呼び寄せ、静寂を保ったままの息子の身体を託す]
――……お願い。
何処か、この城の中で一番安全そうな所へ。
[戦場と化した城に、安全と呼べる場所はなさそうだが、細く頼りない腕の中よりずっとましの筈だ。
癒えぬ傷から流れ続ける血は、魔力の痕を色濃く垂れ流すかも知れない*]
/*
実は、封印してある銀の守り刀で、盛大に流血しつつ戦う予定だったとか何とか。
人様のナイフを使って大丈夫だったかしら…(おろおろ
― 城主の部屋 ―
[いくらかの時間が過ぎた後、
扉から姿を現したのは、戦装束に身を包んだ城主だった。
細身で体に沿う白い厚手の服の上に、腰までを覆う鎖鎧。
音をたてぬ鎖は、髪と同じ色に染まった生ける茨で編まれていた。
鎧の上から羽織った黒いサーコートの背には、
野茨公の紋章が大きく刺繍されている。
その左胸のあたりには、一輪の花が透けて見える
鮮やかに紅い血玉のブローチが留められていた。
左の腰に
鞘に収まっている刀身は、どちらも鎖鎧と同じ赤い茨で作られている。]
[扉を出たところで城主は片手の指を口に含み、
牙で噛み破って、血を床に垂らした。
ひとしずくの血が床に染み込むと、
そこから野茨が芽生え、蔓を伸ばして広がりはじめた。
城主が歩き出せば後を追い、さらに枝葉を茂らせる。
ところどころに野茨は赤い花を咲かせた。]
[城主が歩みを止めたあとも野茨は広がり続け、
やがては元の通りに城全体を覆うだろう。
砕けた階段の下まで降りてから、
城主は城内の音に耳を澄ませた。
そう遠くない場所で、いくつか戦いの音。
意識をそちらへ差し向ける。]
聞こえるか?
私の"声"は、届いているね?
[想いをのせて、こえを送る。
先ほどから聞こえてくる、ふたつのこえに向けて。]
今、戻った。
遅くなって、すまない。
ヴァンス。
… バルタザール。
[愛しい弟の名を呼び、
「しらない」はずだった新たな子の名を、味わうように口にする。]
― 二階廊下 ―
戻っておいで。
わが愛しい弟よ。
[腕を差し伸べて誘う声。]
わかっているだろう?
そんな姿で戦ってはいけない。
あるべき場所に、戻りなさい。
[謡うような呼び声は、音と思念と両方に乗せて城に響いた**]
[ソマリの曲刀の自在さは、
幾多の戦場でともに戦ううちに
何度も見、目が覚えていたのに、
やはりそれでも真剣で立ち合う敵になれば違うと、
そんな思いが痛む脳を掠める]
[突如としてよどみを切り裂く鮮烈の声、]
…… う あ、
[己を切り裂かれる心地がし、混乱し、惑乱し、壊乱する]
[寸前に与えられた掌で包むような温もり>>*8も、
狂飆に吹き散らされるように在処が分からなくなる。]
あ 、 あ 、 あ 、 あ 、
[己を変える大きなものを怖れるように、
それまで分かち難く近くにあったものに
縋る、手を伸ばす。]
あ 、 あ あ っ 、
[大きなもののところへ行ってしまう、それに]
[縋るごときバルタザールの心を落とさずにいられたろうか。
魔獣化したヴィンセントの肉体もまた、ギィへと近づいてゆくのがわかる。]
― 二階廊下 ―
[魔獣は疾駆する。
呼ぶ声、それは、餓えの起源だった。
円柱に支えられたアーチの額縁に見出した姿は、アレクシスの捧命の愛によって再臨した戦装束の城主。
その威風堂々。
身を縛る影の茨が啾々と哭く。]
[心の中に届くふたつのこえ。
互いに響き合うそれらを、愛おしいと思った。
だが、己が投げた声によって
ひとつはこちらへと想いを伸ばし、
ひとつは乱れ狂って立ち竦む。]
ヴァンス。
[片腕に愛しい弟を抱き、]
バルタザール。
[もう片方の手を新しく生まれた子に伸ばす。
そのイメージを送る。]
―――そう。
ユベール・ファビオ・ギィ。
おまえを造り出したもので、
おまえを支配するものだよ。
[かつて騎士だったものが上げた声を肯定し、
新たな意味を持たせて返す。]
かわいそうに。
おまえは教会の手で壊されてしまった。
おまえはもう前とは違うのだから、
バルタザールという名は捨ててしまうといい。
私から、おまえに新しい名を送るよ。
私の可愛い
おまえはこれより、私のために生きるのだ。
[名付けの呪は、茨の蔓が伸びるがごとく広がり、
稚い吸血鬼の心を絡め取り包み込もうとする。]
― 二階廊下 ―
[喚んだものが近づいてくる。
角を曲がり、掛けてきたその姿はまさに狂える獣。
瘴気吹き出す狂獣を見つめて、両腕を広げた。]
―――おいで。
私はここだよ。
[城を揺るがす吶喊を、一歩も下がることなく迎え入れる。
衝突の間際、紅き鎧から生え出た茨の蔓が
投網のように広がって、獣に投げかけられた。**]
う、 ぐぉっ!!
[自由な左手でソマリの前腕を叩いて、鎖骨に食い込んだ刃を無理矢理もぎ離す。
刃が抜けていく時に傷が抉られ、肉が弾けるが、それに構ってはいられない。]
[バルタザールはかつて、どんな強敵を前にしても後ろに退いたことはない。
常に前へ前へと進む。
それは、肩を並べて戦ったソマリが一番良く知っていることだろう。]
[彼の身体と己の剣を、彼の剣と己の身体を血の道が繋ぎあい。
出血は互いの軌道をなぞるように零れ。
周囲には少量ではない血の芳香、
彼と何度も駆けた戦場と良く似た匂いが立ち込める。
弾かれた男は右掌に風を込めると、
床に手を突く寸前で補助風を発動させ、
そのまま中空で身を捻り、遠心力を味方につけてターン。
本来、己の風は魔弾として飛ばすものではなく、
空舞に似た剣術を補佐する代物であった。
加速を伴う身体を低く変え、間髪入れずに彼に向かう。
その一時も、視線を逸らすこと許さず。
彼の右目を狙う一突きを繰り出した。]
[彼は孤高、後ろを決して顧みない。
きっと、振り返ることは彼の心を脆くする。
彼と剣を交えるこの一瞬、
彼の本当の心に触れている気がした。]
[ソマリならば、この機を決して逃がすまい。
畳み掛けるように連撃が来るだろう。
そう確信していたから、
痛みに霞む意識の芯を引き絞り、
前へと踏み出す。
両手で柄を握り締め、切り上げる迎撃を]
……強く、在れたかしら。
[息子の右眼に映り込んだ姿は、これが最後になるかも知れない。
どうか、少しでもそう映せたならいいと願う。
頼りない腕は、たった一人の子を守ることさえできなかった。
弱く脆い自分では護れない、護られるばかりだと知るから、遠ざけたかったのに]
………、
[月夜の宴に、この身を易々と捕らえ、行く先を導いた強引で優しい腕を思い出す。
我が侭な、有るが侭の自分を引き出し、包み込んだ男の腕。
――彼のように、強い腕があれば良かった。
血に濡れ力の篭もらぬ腕で、己の身を抱き瞼を臥せた*]
[右目を狙った突きが来る。
避けるために僅かに傾けた側頭部を、刃先が抉っていく。
こめかみが避け、耳朶の先端が千切れ飛ぶ。]
/*
一瞬浮上。
男の闘いは、やっぱり格好いいわね…
どっちも頑張ってね、こそっと心から応援してる。
あとソマリ愛してる(どさくさ紛れ
いつ見ても格好いいって、一体どういうことかしら。
ほんとはもっと睦言使いたいんだけど、敵対陣営だと滑り込ませるのが難しいわ…
[大きなものの呼びかけが、奔流となって押し寄せる。
呑み込まれるちいさな瞬きは、恐懼し、作り変えられていく恐怖に恐慌をきたす。]
い や ぁ
[斬撃はソマリの胴体を右下から斜めに切り裂く線を描く、
その軌跡はだが、ソマリは捉えている、と直感する。
素早く返し、切り下げる、と思考は光の如く走るが。]
―6年前―
うるせー。今日は晴れの日だ。
飲んだっていいだろ。
[酔っ払いはそうのたまった。
式の際にぼろぼろと零した涙は、目にゴミが入っただけだとかばればれの嘘をついて。
その後の食事の際には大事な妹が自分の手元からいなくなってしまうのだと思うと酒はどんどん進み。
そのペースは妹に新郎を恋人だと紹介された日の夜に自棄酒をした時に似ていたと、付き合せた幼馴染なら思ったかもしれない。]
[彼の身体から削げる右耳、形の良い肉片が剥離すれば、
一層血の色と香り濃く―――互いの命の気配が近い。>>72
構えより振り下ろされた兇刃を捉える双眸。
零距離に近い位置関係、完全回避を狙えば体勢崩すのは必至。
右手が足元へ伸びて、風路が拓く。
脇腹の肉片に食い込む刃が内臓へ衝撃を届ける。
彼の刀身は我が身の血で濡れ、肉を抉った。>>75]
ッ、―――!
[眉間に皺寄せ、悲鳴を上げる代わりに肺から息が押し出された。
だが、彼の刃至る方向へ離脱の力重ね、風を操り。
斬撃の力に逆らわぬことで、致命傷を避ける。
捻って地に着いた右足を軸にして、彼と相対するよう翻す身から、
溢れる鮮血が石畳に朱を散らした。]
[――そして今に至る。
幼馴染が水を汲んで置けば、一息に半分ほど飲んだ。
昔の話をされれば声を立てて笑い。]
はは、お前ファミルに怖がられてたもんなー。
俺は良い奴だって言ってたんだぞ。
……本当に、あれから随分と経っちまったんだな…。
[妹と幼馴染。そして自分の三人。
妹がリエヴルの事も兄のように思っていたのは知っている。だから彼にも家族の席にいて貰った。
街を駆け回っていた頃を思い出して、机の上に肘をついていた男は視線を遠くに向ける。]
――はは、悪い。
[物騒だと言われれば苦笑して肩を竦めた。
自分達が赴く先は戦地。
しかも相手にするのは人間ではなく魔物だ。
それ故に、死ぬという言葉は自分達にとって近しい現実だった。
幼馴染が教会に脅されていたのは知らず。
――だから金の行く先は孤児院か、もしくは貯蓄でもするつもりなのだろうと、そう思っていた。]
[両親の事を口にされれば、男は瞠目し息を詰める。]
――…。
[彼の口から両親の話がされるのは少なかった気がする。
けれどすぐに冗談だと打ち消されれば、男は踏み込まず。]
…そうだな。
被検体だからってむざむざ死ぬ必要はない。
[続く言葉は素直に首肯して。
この幼馴染を死なせず、また自分も死なず。
再びこの街で共に暮らす未来を、その時の男は望んでいた。*]
[独り言めいて、熱気の中で漏らす声。]
―――棘如きに、邪魔をさせるなよ。
手加減しただなんて、聞いてやらないからな。
[ク、と口角上げて笑う顔。
片足だけを軸にしたまま、曲刀で露を払い。
彼の血が床に朱華を描く。]
―そして現在―
ん、…馬鹿馬鹿言うじゃねぇよ。
……。
[揺蕩っていた男の意識は引き戻される。
聞こえたのは血親の声。
悪態をつきながら目を開いた男は違和感に気付く。]
[欠けた視界が広がっていた。]
――は、何だこれ。
[乾いた笑い声が漏れた。
そうか、自分は死んだのか、と。
危険を察知した瞬間、その覚悟を決めた。
けれど死ねば無に帰するものと思っていたから。
――其処に広がっていた光景に瞠目した。]
[ひらひらと舞う蝶の燐粉が何処か悲しい。
零れる煌きは、何故か千の落涙にも似ていた。
男なんてみんな馬鹿なものだ。
蝶の影に彼女を思い出すなんて。
こんな時に、彼女を想うなんて。
――――彼女を泣かせたく無いなんて。
また、彼女に酷評されてしまいそうな口説き文句だ。
子供では在るまいし、明け透けに過ぎる。]
[この城に辿り着いて以来、頭の隅に必ず彼女を意識した。
それは自身の死期を予感させる怯懦の心所以だと理解していた。
彼女は己にとっての、唯一の未練。
果たせなかった約束ばかりが胸を占める。
駆け引きの嘘なら、元老院を唆し、
教会と貴族階級を繋ぐ為の謀なら幾らでも紡げるのに。
どうしても忘れられないのは、約束を反故にしたそれ自体ではなく。
一夜の触れ合い、あの刹那の邂逅だけが、
生涯に一度、義務に囚われぬ本当の―――。*]
[視線を落とした男の左手首には紅い帯が腕輪のように浮かんでいた。
それは彼女の血と自身の血が体内で混じり合って出来た新たな枷。
生きていた時にはそれが見える事はなかった。
見えぬ枷に男は必死で抗おうとして…けれど自分から断つ事は出来なかった。
男はそれをなぞるように触れて嘆息し、]
――…あんたは死ぬなよ。
[彼女の背中に向かって、ぽつりと呟く。
自身が今、生死を彷徨っている状態にある事を男は知らない。
これはこの世から完全に消え失せる前に与えられた猶予なのだろうと。
残っていられる限りは、彼女を、彼らの行く末を見守っていようと思う。
>>55どれだけ経ったか、彼女が城に仕える影を呼び寄せて自分の身体を託すのを男は黙って眺めていた。**]
[睨み合いは続いた、野茨が生い茂る様子や(>>57)
魔物を呼ぶかすかな声が聞こえるその瞬間まで(>>62)]
退いたか……、しかし、ただの魔物ではないな。
椅子を使ったり等と、存外に侮れぬ……。
しかし、この剣戟の音。
主ではなければいいのだがな。
[傷ついた主の姿を思い出す。]
いかん、考える前に向かうぞ。
そして闘うのだ、私が!!
[魔物との闘いで多少の満足は得た。
しかし、渇きが満たされるには程遠い。
剣戟の音は闘い以外の何者でもない。
そう考えて、音の元へと走った。]
―城内―
[剣戟の音の元では意外な光景が待っていた。
闘っているのは修道騎士と主の姿だった。]
バルタザール!?
貴様、何をしている!!
どういうことだ!!
[思わず叫ぶが声が届くかは定かではなかった。]
[滑り抜けそうになる柄を懸命に握り締め、振り下ろす一撃。
だが、ソマリの身体は既にそこにない。
初撃で彼の脇腹を裂いた時に、既に離脱されていた。
空を切った切っ先が、ガツン!と石畳を打つ。]
私が言い訳など、
口にしたことがあるかッ!!
[血濡れて左右で色の違った双眼で、キッと
砕けた鎧の乾いた血汚れの上に、新しい血で斑の線を作りながら哂う。]
[銀の切っ先が床を掻く。
銀閃を再び擡げ、前進。
まずは全力で横殴りの斬撃、
躱されるを前提に、その直後に突きを織り交ぜた連撃を。
ソマリの曲刀は自在にして鋭利だが、その刃はこちらの大剣の重撃を受けるには適していない。
躱すか、先ほどのように防御を省みず攻撃するかしかない筈だ。
そう考え、これまで先手を取ってきたソマリを防戦に置くことを目指す。]
[嘗て肩を並べ、剣を振るっていた二人が今や、
互いに対峙し、鮮血を零して剣戟に踊る。
噛み合い過ぎる呼吸は一進一退を繰り返し、
刃のぶつかる音が周囲に響く。]
─ 廊下の戦場 ─
いや……。
[ 凄惨な戦いだった。
鉄の音が乱れ、血が舞った。
魔物との戦いでは、こんな気持ちにならなかった。
ただ無邪気に、使徒を応援していればよかった。
魔物が倒れたり死ぬのを見ても、なんとも思わなかった。
でも。
この「魔物」はバルタザールの顔をしている。 ]
[ バルタザールの鎧の傷や汚れを見れば、分断されてから再会までの間に、恐ろしい戦いをしたのだろうと思う。
人間が吸血鬼に堕ちるには、いくつかの条件があると聞く。
ユーリエは今までは言われたことをしてきただけなので、
自分からは知ろうとしてこなかった。
それでも、一番有名な「吸血鬼に殺されたら吸血鬼になる」という噂くらいは知っている。
バルタザールの肉体が死んで、
そして彼の主軸たる信仰も死んでいることが分かった。
だから、彼はバルタザールじゃない。
分かっているのに。 ]
[ 魔物って……吸血鬼って「何」だろう?
ユーリエは琥珀の目を一杯に見開いて、戦いを見る。
墓下に行くのを拒み、動きまわる魂なき死体。
そういう卑しい存在だと聞いていた。
神の奇跡たる「復活」とは違う。
まがいものの「復活」だ。
……でも、肉体が死んでもう失われた人と、もう一度話せるというのは、救いではないのか。
……いや
いや、違う。
そうじゃない。
中に宿る心が違うならば、それはその人そのものとは言えない。 ]
……!!
[ クレステッドの到着を見て、
戦いの天秤が傾いたことを知る。
ソマリが彼の剣の参戦を許すかどうかは分からないが、
ソマリがクレステッドより先に倒れることはないだろう。 ]
……。
[ 周りが戦いに集中するなか、そっと組んでいた指をほどいた。
身を引き、一歩を後ずさる。 ]
……っ。
[ 銀髪を流して、その場を逃げ出した。
バルタザールの顔をした者が、滅びるのを見たくなかった。 ]
[加勢は請われるまでは行わない。
闘いへの横槍は己が最も嫌う行為だから。
傷ついた主といえど、それは絶対だった。
闘う者の誇りを汚すわけには行かないから。]
ちっ、死ぬなよ。
アンタが死んだら、誰が闘いを呼んでくれるというのだ。
[闘いを横目に身ながら辺りを探ると聖女の姿を見つける。
状況を聞くべくそちらへと近づく。]
[主が気にならないわけなどない。
しかし、今はその力と誇りを信じて聖女を追った。]
なぜ逃げる!!
或いは貴様も魔に陥落したか!?
[可能性としてはあり得ないとは思った。
それでも零ではないだけに確認を行う。
黒だった場合、作戦の全てが崩壊するのだから。]
[剣の腹を叩かれ、刺突の軌道が流れてずれる。
大剣はそれを振るうものにとってもかなりの重量、咄嗟の取り回しは、超絶の技巧を以ってしても限界がある。
質量と運動エネルギーに引っ張られ、体軸がずれる。
それを、筋力と平衡感覚で強引に制御し、連撃を続けようとして]
[ どこへかは自分でも分からないまま走る。
後ろから叱責の声が聞こえてビクリとしたが、
なお走った。 ]
……分からないのっ。
[ 走りながら、
思いが叫びになった。 ]
なんで戦わないといけないのか、
分からないのっ。
[ 声を乱して、感情を揺らして。 ]
/*
クレスとユーリエがほのぼの可愛い。
気を使わせてたらごめんよ!
ちゃんとピンチになるからね!
と言うか、
クルースニク側の内部分裂が凄まじいですな。
[ソマリの怒号が耳を打つ。
次の瞬間、荒れ狂う暴風を至近に感じる。
ソマリが全身に風を纏った、と気付く間に、
瞋恚に染まった瞬撃が、胸を真横に薙いでいた。
胸部の最も装甲の薄い箇所、ギィの茨で貫かれた孔。
その下の、生身の体を、皮膚を筋肉を、ソマリの刃が引き裂いていく。]
魔物を滅ぼすのは「いいこと」なの?
魔物は滅ぼされたがっているの?
神は、なんの目的で魔物をおつくりになったの?
そんなもの、自分で判断しろ!!
誰であろうと相手が命を狙ってくるなら敵だ!!
[世間から見たら間違いだらけの生き方。
それでも自分の心にはうそをつかずに生きてきた。
だから、後悔は一片たりともなかった。]
バルタザールだから闘いたくない?
ならば、貴様は我が主がやられたらどうする!!
このまま逃げても後悔しか残らぬ。
だから、逃げるな!!
せめて立ち向かって見せろ!!
[一方的で自分勝手な理屈でしかない。
それでも逃げ続ける聖女が許せなかった。
常に比較されつづけた対象が弱さを見せるのが許せなかった。]
[なにより、眼前の彼から、退く事等出来ようか。
友から逃げることなど、在ってはならぬ。]
いやっ!
[ 騎士の発言に、血と戦いの匂いを感じて、首を振る。 ]
命を狙われたら戦うしかないの。
[ それなら……、
教会を敵にしたから、死ぬ=魔物になるしかなかったっていう
ジークムントの理屈を、肯定しなければならなくなるではないか。
教会の敵は、魔物じゃなくても皆、死んでいいということになるではないか。
何かおかしい、何か納得できないと思うのに、
思考はまとまらずに、言葉にならない。 ]
[ 走りながら、切れ切れに問う。 ]
立ち向かう……何を言ってるの。
ソマリは負けない。
教会も負けない。
教会の敵は必ず斃される。
……必ず斃されるのに、何故魔物は戦うの?
君を示せ、バルタザール。
―――神でもない、血でもない、
隠すな、恐れるな、
真の剣を――腸を見せてみろッ、我が友よっ!
[彼に呼びかける声は、聖将のそれではなかった。
彼の本当の心を求め、血を流し、傷付け、尚、信じていた。
目の前にいる男は、何一つ変わらず、己の友であった。
自身は全てを救える救世主ではないが、
彼と背を重ねる友たらんと在った。]
[盛大に噴き出した血が、相対したソマリと石畳に降り注ぐ。>>101
驚きに打たれたように目を見開き、蹌踉きながら二歩後退った。
それは、間合いを外す為ではなく……
それでも、双眸にはすぐさま闘志の炎が燃え上がる。
力の抜け行く膝を強固な意志力で押さえ、血でぬめる床を踏み締めた。]
[痛みはもはや痛みと感じない。
全身が灼けるように熱い。
聖水は再生力を遅らせるだけでなく、機能も狂わせるのか。
それとも、頭の芯が煮え滾る脈動の所為か。
指先爪先に力が行き渡らなくなり、狙った動きを肉体にさせるのが段々難しくなっていく。
ソマリとの戦いに集中するあまり、常に喉奥に蟠っていた厭な渇きが、いつの間にか消失したことにも気付いていなかった。]
その通りだ、
そして、教会の敵が倒され続けているのも事実だ。
だけど、敗北がないわけじゃないし、決着がついたわけでもない。
教会側にだって、バルタザールのように取り込まれる者だっているし、或いは無残に殺される者だっている。
それでもなぜ闘うか?
そんなものは決まっている。
まだ心がそこにあるからだ。
そして、己の信ずる道を切り開く為だ。
[自分の生き様を吐いただけ。
それがどんな意味を持つかなんか分からない。
それでもそれ以外に答えを持ち合わせていなかったから。]
奴等とて同じだ。
教会と魔のどちらが勝つかは決まっていない。
そう信じているから闘い続けているのだ。
[そこで一度言葉を切る。]
教会が全てというのならば、なぜ泣き叫び逃げる。
貴様はいったい何がしたいのだ!!
まずはそれを決めろ!!
教会の聖女ではなく、貴様個人が何をしたいのか!!
それがあればどんな蔑みだろうと気になどならぬ。
そして道に迷うこともない!!
逃げるな、敵でも目の前の出来事でもない!!
自分の心から逃げるな!!
[ただ我武者羅に叫んだ。]
ソマリ!!
[長大な剣を担ぐように高く掲げる、基本にして最も単純なる、真正面からの振り下ろしの一打の構え。
既に防御などない、技巧もない。
それで攻撃すると、信を置く眼差しで宣言した。]
―――…バルタザール、
神も、血も、捨てて、君の力を見せてみろっ
この身、この力、俺の全てで迎え討つ!
[強き意思が退いては成らぬと鼓舞をする。
彼に対する信とは馴れ合うことでも、護られることでもない。
短く息を吸い込むと、両手で構えた白銀を下段に構え、
風の力を脚に纏わせ距離を飛ぶ。
金髪が風に波打ち、強き言葉に誘われる如く、彼の下へ。
ぶつかり合う重い刃の音に、大気が震えた。]
[ 体力のないユーリエは、話しながら走っていてはすぐに息が切れて、
廊下の壁に寄り掛かった。
長い銀髪が、ヴェールのように顔を覆う。
ユーリエは「理想」は知っていても、戦いの「現場」は知らない。
遠征は全て勝利だと聞いていた。
戦いに出れば必ず魔物や異教徒を殲滅したと聞いていた。
ただ、でも少しだけ引っ掛かりがないではなかった。
返ってこない神聖騎士たちがいるのはなぜなのか。
教会内の立ち入り禁止の建物では何が行われれているのか。
「この戦いに敗北なし」>>0:19そう言って送り出した司祭の言葉は……、
「敗北する時がある」前提があるのではないか。
クレステッドの言葉>>107>>108は、それらのいくつかに答えをくれた。 ]
[ 息を整えながら、自分の気持ちも整える。 ]
私のしたいことは……、
救いを求めるものを救済し、
慈悲にあふれた世界を作ることよ。
そのためならば、自己犠牲も厭わないわ。
[ 本心だ。
ユーリエには他に何もない。 ]
でも、どうすればバルタザールを救えるの?
この城の魔物を救えるの?
滅ぼせばいいの?
魔物を滅ぼすのは、神がお望みになっている事なの?
魔物は滅ぼされたがってるの?
滅ぼされるために、魔物は存在しているの?
[ 司祭の言葉に、教会のやり方に嘘があるならば、
これまで疑って来なかったことのどこかにも、
嘘があるのではないか。 ]
[心を決めたなら、不思議と頭蓋を苛む痛みが薄らいだ気がする。
清澄な気が全身に漲り、五感の全てが澄み渡る。
真を見せろと叫ぶ友の熱い思いに触れ。
――「生きることを怖れてはいけない」と。
あるがままに、と。
誰の言葉かは思い出せぬが、そんな言葉が思い浮かんだ。]
立派な願いだな。
[この少女はただ祭り上げではなかった。
迷いのない視線がそれを証明していた。]
心は決まったようで幸いだがな、
あいにく私が出来る事はここまでだ。
僅かばかりの聖なる力を持ち合わせてるだけの奴隷だ。
浄化の奇跡でも起こしてみるか?
貴様の真の聖なる力なら或いはかなうかもしれないぞ。
[逃げるなといった自分ではあった。
しかし具体的な解決方法は持ち合わせていなかった。
それでも、今の聖女の目なら何でも出来ると思えた。
気づけけば彼女に抱いていた不の感情は霧散していた。]
[脳は本来痛みを感じない。
バルタザールの激しい頭痛の正体は、器質的なものではなく、「吸血鬼としての己」と「修道騎士だった己」を隔てて、互いに干渉させないように並列処理している過負荷である。
無意識下で、このふたつの人格を統合すれば、生命すら危ぶまれる壊滅的なダメージを受けると了解しているからこそ、決して交わらせないようにしているが、それによって受ける精神的なストレスは凄まじいものがある。
加えて、血脈を通して血族と繋がる拡張意識の成長も、それまでにない機能を学習するストレスが、更に負荷をかける。
ソマリとの対決とギィの復活は、辛くも保っていた両者の均衡を突き崩した。
負傷した肉体よりも、膨大な情報を捌く精神の方が、限界に近かった。]
[もっとも強く欲する者へと過たず放たれる衝動。
ギィの復活と彼の”遺産”によって、絶望の縁から引き返した魂は、狂える肉体をコントロール下に取り戻さんと意識を集中する。]
わたしも、 あるべき場所へ戻れ。
[凍気を操る力を、我が身へ向けた。]
[ クレステッドの怒声が収まった。
「心が決まった」
……その通りだ。彼のおかげで、自分の中心となる願いが、しっかとまとまるのを感じた。
あとは自分で進むしかない。
ユーリエは震える手で祈りの形をきり、ロザリオを両手で包む。
命と引き換えにした自己犠牲ならば、
きっと、クレスの言うような浄化の奇跡だって起こせるけれど。
そうすべきなのか? それが神のお望みなのか?
……ユーリエは、教会の外に出てからの、
この短い期間で出会った人、魔物、聞いた言葉、感じたことをひとつずつ思い出して。 ]
[放たれる前の矢のように。
全身がひりつく心地よい緊張に包まれる。
ゆっくりと気を巡らせ、すうと深く息を吸った。
そして息を止め、放たれる刃。]
おおおおおおおおおお――――!!
[神速の踏み出し、上体がしなり。
両腕のみならず、全身が必殺の斬撃を打ち出す発射台となる。
頂点からの落下速度の加わった刃が銀の弧を描く。]
……いいえ、
でも、おかしいわ!
魔物は私の血を取り込めば、例外なく苦しんだ。
苦しみながら死んでしまった。
私も、噛まれたり裂かれたりして痛い思いをした。
……救済って苦しいもの?
そうじゃないはずよ。
[呼び込まれ、茨の網に絡めとられた魔獣は、瞬間、白い欠片を散らして動かなくなる。
身体を覆う瘴気が薄れて霧散すれば、後に残されたのは憔悴した青年の姿だった。]
…もう、 会えないかと。
[異形と暴走の呪から解き放たれたヴィンセントは、残された左手をギィの顔へと伸ばした。]
[ 大枠は正しい気がした。
でも、どこかで何かが腑に落ちなくて。 ]
……ぁ……。
[ 組んだ指からロザリオがこぼれおちた。 ]
私が……、嫌々「おつとめ」をしていたからなのね。
魔物を恐れ怖がって、
聖毒を自ら食う愚かな存在だと思って馬鹿にして、
「我慢」しながら、彼らと接していたからなのね。
「人間」を救うために、悪い魔物を「斃す」事が必要で、
私は今まで、魔物そのものを「救う」ことなんてちゃんと考えていなかった。
だから、私は痛い思いをしなくちゃいけなくて、
彼らは苦しい思いをしなくちゃいけなかったのね。
……どうしよう、
どうしようクレステッド。
彼らは、本当にちゃんと救済されたのかな?
私は彼らを救えていたのかな?
もし、私が正しい浄化に気付いていなかったせいで、
彼らがちゃんと救われていなかったのだとしたら、
[十年前に出会ったこども。
神子として教会に連れてこられたアデルは
ジークムントの目には儚く頼りない存在に映った。
腕にすっぽりとおさまるか弱き存在。
涙に濡れるそのこどもを護りたいと思った。
純粋であればあるほど
この世は生きにくいことを知っていた。
アデルを傷つけるものをその手で遠ざけた。
教会が彼を囲い守ろうとしたように
ジークムントは兄として彼を護ろうとした。
己には与えられなかった兄弟の情を注いでゆくうち
いつしかアデルはかけがえのない存在になっていた。]
……私のせいだ!
私は、私は、
なんて取り返しのつかないことをしてきてしまったんだろう?
[ 顔を覆う両手の動きで、ユーリエの首元を覆う白いスカーフが落ち、
両の長袖がずれた。
大きいの小さいの歪んだの左右非対称なの。
ユーリエの首や両腕にはいくつもの牙や爪の痕が残っていて、
それは、今までユーリエが滅ぼしてきた魔物の数なのだった。 ]
滅びが救済となりうるか?
そして、救済が苦しいものか?
どちらも難しいな。
例えばだ、君の言うとおりバルタザールが倒される事を望んでいるとしよう。
ならば、肉体的には苦しみを味わいつつも心は救われている。
あとは、私も同様だな。
闘いの瞬間こそ私は満たされている。
しかし、肉体は傷を確かに刻んでいる。
今までの魔物がどうかはしらないが。
両立しないわけではない、そう私は考える。
[淡々と所感を述べる。]
[護るべき存在と思っていたアデル。
一年会わぬうちに随分と強くなったように思う。
心のまっすぐさが芯となり見違えるようだった。
彼には仲間がいる。
必要とし必要とされる仲間が。]
――…弟ばなれが必要なのかもしれないな。
[アデルが護りたい存在であるのは変わらない。
けれど、彼の成長の枷となっていたなら――、と。**]
[今この瞬間に、信仰の軛も、野茨公の呪縛も、
血の相克も葛藤も、
全てが消えていた。]
― 二階廊下 ―
[広がる茨の中、魔獣は自ら凍気を発して凍り付いた。
茨の中に、二つの腕のなかに飛び込んできたのは
哀しい魔獣ではなく、愛しい弟の体。]
おまえを置いていくわけがないだろう?
[弟を囲った腕の外側、二人の周囲をさらに覆うように、
広がった蔓の一本一本がゆるやかに巻き付く。
それはまるで、巨大な繭のような形をしていた。]
おまえをこれほど苦しめるのなら、
死んだりしなければよかった。
ヴァンス。私の半身。
おまえが嘆くところなど、もう見たくないよ。
愛しいヴァンス。
愛している。愛しているよ。
おまえの声は聞こえていた。
全部、聞こえていた。
今、こうしておまえに言葉が届くのが、
これほどに嬉しい。
[茨の繭の中、弟の体に残された痛ましい傷に手をかざす。
鋭い棘で手のひらを裂き、溢れる血を傷口へ滴らせた。]
もっと欲しければ、構わないよ。
[ゆると首を傾げて誘う。**]
どうした?
何を恐れている?
[猫が喉を鳴らすような、低く響きが空間を渡る。]
怖がることはない。
私にすべてを任せればいい。
おまえの中に私がいる。
その声に耳を傾けて、身を任せて。
私はおまえを求める。
おまえが欲しい。おまえのすべてを。
おまえが私を愛し、私の愛を受け入れることを願う。
わたしの可愛い
そう。今はそれだけでいいよ。
それだけで。
[城の中から多くの声が、轟音が聞こえる。
それらがどこか薄い膜の向こうから届く気がするのは、既に現世からかけ離れた存在になってしまったからだろうか。]
嗚呼、罅があんなに。
[意識のみとなった身体に、戦う者たちの魂の叫びが共鳴する。
床に点々と落ちる赤から生まれる花が悲しげに揺れるのを見下ろしながら、ただ静かに呟いた。
視線の先には傷ついた城。けれど視線はどこか遠くを見つめている。]
……ソマリたちのところへ、戻ろう。
[ 今までが正しかったかどうかは分からない。
でも、クレステッドの言うとおり、
逃げたら解決するわけではなかった。 ]
[主の力を失った花々は、もうすぐ枯れてしまうのだろう。
窓から吹き荒ぶ風に攫われていく花弁は、己が身体すら通り抜けて行く。
それは、彼らの命に似ている気がした。
信じるもののために咲き、そして容易く散ってしまう。]
……。
[瞼を伏せ、空の胸元を握り締める。
己のために生き、己のために死んだ。
目的を果たした心は今、誰がためにあるのだろう。
生まれた隙間に、敵であり他人である同胞と人間たちが入り込んでくる。]
わたし、は……、
[これまでにない痛みに声を震わせ、眉間に皺を寄せた。]
[身体から消えた茨の紋様が実体化するごとく、周囲に茨の密度が増した。
ギィの加護に包まれているのを感じる。途切れたことなどないように。]
──どうやって、戻って来た。
[喪失の絶望に狂った自分は──ギィを呼び返そうとはしなかったのだ。
ならば、誰が。]
そうだ、心の救済だ。
気にするな、奴隷の世迷い事や讒言の類だ。
[例と共に握られる手を握り返す。
そして相手の手に微弱な聖なる力を纏わせる。
彼女のこれからに役に立てと願いながら。]
ああ、行こう。
先程はああはいったが、主の状況は気になるのも事実だ。
[共に連れ立ち、闘いの場へと戻った。]
[素直に非を認めつつ、「死んだりしなければ」という口調の中に、好奇心自体は削れていないことが伝わってくるギィの謝罪。
変わっていない…と思った。
安堵に心が緩む。]
ああ、
あなたを失って壊れたことは、間違いでも何でもない。
二度と 御免だ。
ユベール…、
こんな歓びは──金輪際にしたい。
[ギィの肩に顔を伏せて、その確かさに涙する。]
復活祝祭日にもしないぞ。 あなたを失った辛さとセットで思い出すなら。
[ギィほどには従来どおりではないヴィンセントの肉体を見やる傷ましい視線に、事情を報告しておく。]
ソマリという男が「クレステッド」と呼ぶ剣士にやられた。
その時、私の意識は
さもなくば、異形化していた
[精神と肉体が合致した今、疼痛は火で炙られるごとく。だが、顔に出すことはしない。]
右腕は、このまま凍結させて固定しておく。
時間はかかるが、癒えるはずだ。
[そう告げたが、ギィは自らの血を分かち与え、力を流し込んでくれた。]
[枯れない花を胸に抱き、
彼の復活と共に、城が息を吹き返していくようだった。]
二度目はありません。
どうか貴方の愛する人たちを、これ以上悲しませぬように。
……そして、貴方も。
[安堵と情愛に満ちた声が、咲いた赤を震わせる。
それと同時に、血に染まった仮初の赤い花たちが灰になり、音もなく掻き消えた。]
[そういえば、異形化した際に、衣服を破損してそのままだ。
ギィの前で裸になることに抵抗はない、が。]
その身体で蕩かして欲しい…、
と、言いたいところだけれど、他の場所でもあなたは必要とされていよう。
後でいい。
…その代わり、 後で、
後で、だ。
[言いよどみ、狼狽える様を誤摩化すように、首を振って繰り返した。]
[ギィの進んだその先にある姿を見つめ、小さく笑って。]
そして貴方には、どうやら孤独は似合わないようですねぇ。
[まだ戦いが始まる前の日常、サロンの前で交わした言葉を思い出しながら、傷ついた獣>>64が弟に戻る様子を見つめる。
茨が繭のように二人を包み込む姿を見れば、生前よりずっと柔らかな黒がそっと微笑んだ。]
[野茨が包む兄弟の絆。
羨望も侮蔑もなく、ただただ穏やかな色が見守るように瞬いて、風に流されるまま、その場を後にする。]
ここはもう大丈夫なようです。
後は――、
[未練など元よりなく、欠片のように引っかかっていたものもすべて置いて来たつもりだったというのに、頭の中に響く悲鳴が、どうしようもなく心を揺さぶる。
肉体という殻を失った男は、引き寄せられるまま、新たな戦場へと向かう。]
……バルタザール。
[己が手をかけた乳飲み子の姿>>110を、ただ静かに見下ろして。
耳に届く叫びへ、静かに眉を寄せた。]
[おおきなものの引き起こす紅い響きは、
ちいさな瞬きを雁字搦めに絡め取り、圧し包む。
その感触はやさしく甘く慕わしく、
包み込まれれば、おおきなものに繋がれて溶けてゆきそうで、]
あっ あぁ あ
[彼我の境のなくなりそうな恍惚がおそう]
や だ 、 い や だ
[心象の世界で首を振り、懇願ではなく拒絶の声を上げる]
……かみさま、
ソマリ
[救いを求める為でなく、抗う意志を保つ為に一心に祈る]
[弟に問われ、瞳に影が落ちる。
痛みと、感謝と、軽い憤りと、深い情愛と、
このままにしておくものか、という執着と。]
アレクシスが、命をくれた。
[左胸に手を当てる。
彼の血を封じた血玉が、微かに脈打った心地がする。]
二度はないよ。
約束する。
[愛しい弟の髪を撫でる。
幾度も、確かめるように。]
おまえに触れられないのも苦しかった。
もっと、触れさせておくれ。
[弟からもたらされた知らせに頷く。
その名に覚えはなかったが、
名乗らなかったものたちのどれかだろう、と見当はつける。]
そうだな。厄介な相手ばかりで困る。
[誰にせよ、いずれ劣らぬ実力の持ち主だった。
弟の見解に同意して、肩を竦める。]
[血の糧を、との誘いに弟は首を振った。
その表情に微笑んで、血の付いた指先を唇に触れさせてから引く。]
ああ。おまえがそう言うなら縛ってしまおう。
[茨で周囲を包んだまま、手近な部屋へ入る。
あとから影たちが手に手に荷をもって部屋に入っていった**]
後で、だね。
たっぷりと―――。
期待、している 。
[首筋を啄み、ほんのりと赤い痕を残して微笑んだ**]
アレ君が死んだのは、ギィが死んだからで、
ギィが死んだのは、ばるたん血子化に余分な意識を裂いたからで、
けつろん:ギィのせい。
/*
え、なんてこと!?
ブラウザが巧く動作してなかったのか!?
ユーリエの>>125 >>126 >>127までが今頃になって表示された。
ぐぅ、なんと申し訳ないことに……。
ちゃんとログの数字見てればorz
[男は修道騎士であった頃の彼を知らない。
擦れ違っただけで、言葉すら交わさなかった。
その瞳すら、見ようとしなかった。
世界は敵であるかどうかだけで回っていて、それが当然であったのだ。
誰かへ情を向けるのは、自身に痛みを齎すのと同義だったから。]
……っ、
[彼>>118の心が悲鳴をあげているのに、その苦しみを心から理解することができない。
後悔はしていないけれど、今この瞬間だけは、過去の自分を憎みそうになった。]
それでも、貴方が吸血鬼にならなければ良かったとは、どうしても思えないのです。
[己が血を糧として分け与え、願いを託し、未来を願った、唯一の。
バルタザールが人であったなら、永遠に交わることのなかった世界。
それは、彼が相対するソマリとの関係によく似ていた。]
ふたりは少し、似ている気がします。
[出逢ったことを、後悔も否定もしたくない。
だから今の彼も"バルタザール"であると、そう思うのだ。
心が軋む痛みを堪えながら、震える身体でそっと微笑む。]
しかし、良く考えたら、クレス墓落ちなんだから、
ソマリのとこ戻るより、
クレスと一緒にギィの方に行く方がよかったかな?
……いやいや、
でもせっかく奴隷なんだから、ソマリをかばって死にたいだろうって気はする。
貴方の親は、きっとそれを望んだのではないのでしょうけれど。
[バルタザールの身を顧みず、ギィを生かすための道具のように熱かった己とは違い、ギィは彼自身を見つめ、ただ求めた。
だからせめて、彼と血の親の間に、心通わす時間があることを願う。
頭の中には、彼の精神が軋む音が響いていた。]
嗚呼、どうか、少しでも苦しまないで。
[そんな資格などないけれど、今だけはバルタザールという存在そのものの為に祈る。
叫び>>120に呼応するように瞼が震え、そして彼を見つめ続けた。
決して目は逸らさない。
たとえ終わりが来ようとも、その姿を目に焼き付けようと、黒はすべてを映す。]
どうして、いやなんだい?
言ってごらん。なにがいやなのか。
[頑なに抗おうとする心に、ゆるく首を傾げた。
抗うほどの何かが、彼の中に残っていたのかと。]
[身体の中を巡る風は魔回路を開き、四肢に風を纏わせ、敏捷性を上げる。
互いの着衣と、髪が風にはためき、己の剣にも力が篭る。>>116
彼の身体が限界に近いのは理解していた。>>118
使徒が血に穢れ、長く動いていられる筈も無い。
放っておいても、やがて自我を崩壊させ、肉体が木偶になる。
先駆者になると云う事は、自ら十字架を背負うに他ならない。
だから、本当に利己的に振舞うなら、
彼に背を見せ、逃げることが賢い選択だった。
―――しかし、そんな不実を選べるはずも無い。
誇り高き騎士を―――、いいや、我が友を。
野垂れ死に、息絶えさせ、彼の全てを踏み躙る真似など出来る筈もなかった。]
[自分が最後に"視た"彼は、
千々に壊れた心と記憶が、空虚な器に入っているのみだった。
アレクシスより「初乳」を与えられ、
無垢な命が記憶の欠片を握りしめ、名を告げる。
そこまでを知るのみ。
神と、聖将の名を口にする彼は、
捨てたくないとかぶりを振る彼の中には、
今、なにが入っているのだろう。]
アレクシスになにか言われたのかい?
――― いや。かまわない。
おまえの中にかつての心が残っているのなら、
それこそ、私が求め欲したものだ。
おまえの思うようにしてごらん。
私の可愛い子。
おまえが大事にしているものを取り上げたりはしない。
それごと、おまえを欲しいだけだ。
私はいつまでも待とう。
おまえが、私を受け入れられるようになるのを。
おまえはもう、私から離れられはしないのだから。
[闘いの場に戻ると決着は間近である。
しかし、不思議な光景である。
必勝を求めるならば時間を稼げばいい。
それは修道騎士の様子からは明らかだった。]
特別な存在なんだな。
[いつもの光景ではないが、それでこそ剣を預ける主足りえる。
改めてそれを認識しながら闘いの決着を待つ。]
[今は押すべき時ではない。
彼の中に残っている、あるいは新たにつくられた何かを
再び壊してしまうのは、本意ではない。
恐懼に縮こまっている心から、一度指を引く。
それでも、見ている、との存在感は残して。]
はぁぁぁ―――っ!!
[彼の一撃を避けずの金色が、懐に潜り込む。
彼の太刀は重く、無傷で一撃を込められる筈も無い。
そんな事は誰より、何より、理解している。
だからこそ。
己の持つ要の右腕を彼の刃に捧げた。
彼の刃が捉えるのは命ではなく、我が右腕だった。]
[二の腕から先が剛撃に断たれ、風の絡まる腕が宙に舞う。
犠牲に変えた腕からは夥しい血飛沫が飛び散る。
血の赤きの中で、彼と双眸を克ち合わせ、奥歯を噛むと同時に踏み込んだ。]
――――ッ!
[男は、一歩も退かなかった。
何を失っても、何を省みずとも、バルタザールから、微塵も逃げなかった。
何処までも澄み渡る空気の中で、我が腕を犠牲に造り上げた一瞬。
彼の左胸目掛け、曲刀が抉るように衝突した。]
[ソマリ>>143の心が葛藤し、それでも尚前を向く姿に、悲哀と安堵に満ちた表情を浮かべた。]
命尽きる前に、貴方と言葉を交わせたことを誇りに思います。
ソマリ――貴方は間違いなく、優しい方ですよ。
[人間だとか魔族だとか、そういったことをすべて取っ払って、彼そのものを賞賛する。
心の揺れは届いても、細かい言葉や彼らの過去は分からない。
それでも、二人の間にある絆は、間違いなく美しいものだと思えたから。]
……。
[届かないとしても、二人に今、かける言葉はなかった。必要ないと思った。
だからただ胸に手を当て、静かに祈る。
神など信じない。誰も信じない。
だから、己の心に願う。
二人の傷が、彼らの心をどうか、壊さぬように。]
/*
バルたんとソマリはお邪魔してしまって申し訳ない。
アレクシスさんにとって二人ってよく似ているようで、正反対でもあって。
別れを告げたけれど、それでも見守りたかったので。うん(´・ω・`)
[使徒の力を捨て、風精の加護に邪魔させず。
彼を屠るは自身だと告げた言葉>>310を全うする。]
―――…君は、嘘が、本当に、嫌いだからな。
[彼に刃を揮う瞬間、呟いたのは、
友に対する、柔らかな色が混じっていた。]
[ソマリは疾風を纏い、一直線にこちらへと疾駆する。
それは心臓を打ち抜く矢。
永遠に引き伸ばされた一瞬にその意図を悟り、微笑する。
そして、自分は全てを断ち切る必殺の剣を打ち振るう。
友を打ち落とし、両断する為に。]
/*
これ、ちょっと悩むところ!
身代わりなんだけど、バルタザールとの決着ついたところに他の襲撃とかあるとそこから庇って身代わりなんだろうけど。
このタイミングで身代わりはいると展開的にもPC達的にも無粋だよね……。
[そして、蹂断の刃の下に友の肉体を捉えた。
銀刃が肉を断ち、骨に食い込む――
――風纏う彼の右腕の。
暴走した風に巻かれ、肉塊と化した腕が血潮を振り撒きつつ旋回する。
ソマリの骨肉を断ち割って抜けた刃が石床を打ち砕くまでの僅かな間、
ソマリの眸を見つめ続けた。]
―― ソマリ
[神へ祈る代わりに剣を振るい続けた男が、
神を失くして最後に残ったのはその名だけだった。]
[眩みそうになる視界、滲む世界。
右腕から焔のように上がる熱と、途切れる風精の加護。
自重を乗せて貫いた友の心の蔵。
右腕の行く末を見ることなど無い。
己の真の右腕は、回転伴い血飛沫を巻いて失墜する肉片でなく、
―――今も、この目の前に在った。]
― 二階の部屋 ―
[茨を従者のごとく連れ歩き移動するギィ。
どんな運ばれ方をしようと、まだ無理の利かない身体に抗う余力はなく、その気もさしてなく──
身支度のために選ばれた部屋で、影が用意した湯を使う。
その間、ギィは静謐の中にいた。
だが、遠くにいるバルタザールへと語りかけているのが、ギィとほとんど同じ血をもつ自分にはわかる。]
私が踏みとどまっていられたのは、あなたの代わりに意識を繋いでくれた
そうでなくば、狂ったまま滅亡への路をひた走っていたことだろう。
[そして、ギィを奈落から連れ戻したのはアレクシスだという。
そう告げた時のギィの眼差しから、それは、アレクシスの命と引き換えの技だったのだろうと察していた。
「私の終わりは、もう決まっている」と、この戦いに臨んで彼が告げた言葉を思い出す。]
… 一途な方だ。
──その血は分たれることなし。
[ギィの胸に、そっと掌を押しつけ、
アレクシスに対して、自分は家族としての義務を負うとの誓いをたてた。]
―サロン―
[床を見れば血痕が今も残る。
すでに渇き赤黒く変色したものに興味も欲も抱かない。
けれど吸血鬼としての欲は消しきれはしない。
血のきょうだいとなったバルタザールを思いだし
考えるように眉を寄せた後、深い息を吐き出す。]
アレクシス殿は野茨公のために動けばいいと言われたが
忠誠を尽くす“子”はひとりで十分なのではないですか。
私は――、此処を去るべきか。
[此処より他に身を寄せる場所などないと分かっていても
考えずにいられないのはこれまでの依存を自覚したから。]
[包帯はギィ自身の手で施されるを願う。
「縛る」と囁いて肌を滑る手指は、「後」の期待をいやがおうにも連想させた。]
…ああ、
[首筋に牙が触れた時、洩らした声は承諾というよりは喘ぎに近いもの。]
ッ、
―――バルタ、ザール…ッ、
[右腕を失う激痛は、熱を伴う右から迫るのではなかった。
――――ただ、彼とよくに似た、不器用な心臓が痛んだ。]
[過たず射抜かれた。
ソマリの曲刀は、先に開いた大穴の内へ吸い込まれるように潜り込み、肋を削りながら心臓へと食い込んだ。
ぶつかり合い、絡み合う二人の体。
衝撃で後ろに倒れ込みながら、息がかかるほどの至近にある彼の顔を見下ろす。
口中に血が溢れて、唇から零れた。]
/*
魔物のお仕事なう、なのだけど……
ソマリ、これは死ぬ気、なのかしら……
想定外。
息子の墓落ちは、このまま亡くなっちゃうのかしら…と覚悟してたけど、今度は逆方向の想定外が…
ど、どうしよう。
そっちの展開は考えてなかったのよ明日どう動こう…
[血が飛ぶ姿を黙って見つめた。
本当は助けなくてはいけない。
だけど、あの二人の中に他人が入ってはいけないと考えた。]
誇りを護らねばならない。
だけど、あのままでは主がよろしくない。
[偉そうな事を説いた自分がこの様だった。
誇りを護るが故に手出しが出来ない。
心を救って身を殺すのでは意味がない。
そう思っていても動けなかった。]
―――ッ、
[自ら彼に突き立てた刃に斃れる彼の体躯。
支えようと伸ばした右腕は、もうそこに無い。
平衡感覚すら危うい長躯が、縺れるように倒れこむ。
それでも、剣から手を離さなかった。
唯の一度も、彼から背かぬように。
ドロドロと濁った血が右腕より溢れ、
閃断された細胞は、治癒の力を以ってしても治るまい。]
/*
そういえば落とし忘れていたけれども、ジークムントへかけた言葉も、ギィが生き返った時に二度死ぬのを防ぐための意図があったのでした。
彼を守る味方は多い方がいいと、約束で縛りつけようとしていたり。
>>155だから悪い人に騙されちゃ駄目だよ!
自分で選んで頑張れー! とここからエールを送っておくのですヾノ。ÒㅅÓ)ノシ
[ 剣というものはそういうものだと、頭では分かっていた。
戦いというなかで、そういうこともあるのだと、分かってはいた。
でも、信じられなくて、立ち尽くして。 ]
……あ、あ……。
[ アデルがいるから、癒して貰える……、
いや、でもここまでの大怪我を、元通りに治せるものだろうか。
もし治せたとしても、風精はどうなるのか。
あの腕は……剣技の腕というだけではなくて、
使徒としての能力を使う腕だったはず……。 ]
[やがて、影たちが運んで来た装束を身につけたヴィンセントは、実際のところ、まだ無理は利かないままに、傍目には快癒しているように見せるべく振る舞う。
シャルワニの黒い立襟服は法務官服にも似て、ギィに比べれば軽装であり、言うなれば軍吏に近い。
鉄灰色の胸甲に刻印された紋章は、野茨と天秤を組み合わせた個人紋章。
ベルトに差した武器は青鋼の炎のごときクリスナイフ。]
どこへ。
[ギィの意を問うた。]
ふ …… ?
[不意に拘束が消えて、>>*34ちいさな瞬きは途惑う。
何故許されたのか分からぬまま、おずおずと縮こまっていたからだを伸ばす。]
[剣を支えにして、見下ろす友の顔。
失われていく血は、己の身体を鉛のように重くする。
その背は、危ういほどに無防備であった。]
ばるた……、
[ そして、刺し貫かれるバルタザール。
ユーリエには、どこまでの怪我で、人が死ぬのかは分からない。
でも、ただでは済まないだろうと思った。
吸血鬼を斃す方法のひとつは、
白木の杭……聖別された武器を心臓に刺すことだと聞いた……。 ]
バルタザール……。
[ 違う。彼ではない。
使徒としての彼はもうとっくに死んでいたのだ、と思うのに。
……でも、こぼれた名前はそれだった。 ]
[鼓動を止めた左胸に触れた手は、今は姿の見えぬギィ>>139の動きと重なった。
その瞬間、彼の声>>140が届く。]
私は、私の思うままに行動しました。
貴方への恩返しといいながら、結局は自己満足なのでしょう。
だから貴方が責を負う必要はどこにもない。
[届かぬ言葉、無駄だと思っても唇は音色を紡ぐ。]
貴方は貴方の為に生きればいいのです。
枷をつけたのは …――私、なのでしょうか。
[似たような言葉をギィ>>4:+38が零したとは知らず、悲しげに目を伏せた。
止めたくとも、届かない。手も、声も、何もかも。]
分かっていたはずなのに、目を逸らしていた私が愚かなのでしょうね。
……本当に、兄弟そろってお馬鹿さん、です。
[ギィとヴィンセント>>154、二人の熱が掌に重なったような気がして拳を握りしめるも、感触も体温も返ってこない。
彼らと己の世界は、完全に別のものだと知らしめるように。]
お姉さま来れないのね><
残念。
じゃあ、ばるたんのとこ行こうかしら。
その方がクレスんもソマリんの方に行きやすいはず。
[支度を整えた弟の姿をじっくりと眺める。
黒を基調とした服装は、端正な彼の立ち姿をより引き立て、
彼の髪と同じ色の胸甲は、不退転の意思を示すようでもあった。
規律と品性に彩られた姿に、満足の息を零し、
行く先を問われれば、視線を横へ向ける。]
まずは、
渡しそびれたものがある。
[共に来るかどうかは任せると、視線で告げる。]
/*
>>161クレステッドが身代わりで落ちるんだからっていう隙作りかな。
攻撃するなら、今はバルたんしかいないよね。それを戻ってきたクレステッドが庇うとかかなあ。
予想してみた。わくわく。
乱闘中も思ったけど、ソマリは慣れている方なんだろうか。とても頼りにしておりました。
[刃は背に抜けた、と感じた。
石床の上に、ふたり折り重なって倒れる。
ふたりの血は混じりあって、じわりと床の上に広がった。]
[ 戦いは終わったのだろうか。
おずおず、と近づく。
わずかに迷って、バルタザールの方へ向かった。
アデルもクレステッドも、ソマリへ向かうだろうと思ったから。 ]
……バルタザール。
[ 誰の物かもわからない血で、白い服が汚れるのも気にせずに両膝を着き、その頭を膝に抱いた。 ]
[数多の死を見、数多の命を使ってきた。
それが上に立つものとして、当然だと思っていた。
強き心を持たねば成らぬ。
義務を果たせねば成らぬ。
――――それでも。
バルタザールの胸に伏せた額が乗った。]
バルタザール……。
[思い出すのは少しばかり前に交わした言葉。(>>0:390)
まさか立場が逆になるなどとは思わなかった。]
本来であれば、私が相手をすべきだったんだろうな。
[主の真情を無視するのであれば間違いない。
だけど、結果としてはこれでよかったと思う。
闘えなかったことは無念だが、
少なくとも二人の騎士の矜持は護られたのだから。]
/*
しかし問題は、ここでバルたんが攻撃しないような気がするところである。
クレステッドは無事落ちられるのだろうか。そわそわ。
……?
[つながっている感覚が、不意に痛みを伝えてきた。]
どうした―――?
[小さな声上げた気配を探す。何が起きているのかと。]
[>>28 "全ての魔物を斃す"
ユーリエの言葉にジークムントの顔が過ぎり、首を縦に振ることも横に振ることも出来なかった。
「全てを終わらせる」確かに自分はそう言ったのに、そんなに簡単に割り切れず。
ただ黙って目を伏せる。]
クレスさん!?
ユーリエっ! 1人じゃ危ない!
[どこからか離れていたらしいクレステッドが駆けつけて、かわりに耐えきれずユーリエが走り出す。
自分も追いかけようとしたが、動きかけた足が止まる。
追いかけるクレステッドが早かったのもあるが、ここで彼らに背中を向けて立ち去れば、また逃げ出すことになる。
そう思えたから。]
ごめんね。
私、何も出来なかった。
いちばん、つらいことをソマリにさせてしまった。
バルタザールはあなたの……。
ごめんなさい。
[ギィの方針を聞き、短い頷きをひとつ。
ジークムントのところへ向かうというギィには同道はしない、と、同じく視線にこめて返す。]
私は、"遺産"のところへ。
[痛みが──伝わる。]
[力の源である血が急速に失われていく。
肉体は存在にしがみ付き、この期に及んでも心臓の再生を図るが、弱まった再生力では突き立った刃に阻まれてそれも不可能だ。
片腕を失った友の体の重みを感じることすらもうできない。
震える唇で、胸に顔を伏せて横たわる友に、呼びかけようとしたが、擦れた呼吸音がするばかりで声にならなかった。]
[吸血による快楽を自らの牙で覚えた男は
これからもその欲に悩まされ続けるのだろう。
血を拒み続けてさえいればゆるされるかもしれないと
そんな仄かな希望を抱き続けていたが――。
生き延びる事を優先し仄かな希望さえ消してしまった。]
――私に出来る事はもう何も、……
[ないのだろう、と思うが、最後までは音にはならなかった。]
[ バルタザールに言いたいことが一杯あった。
感謝したかったし、
これで良かったのか聞きたかった。
でも、ろくに言葉にならず。
ただ、涙がこぼれた。 ]
―現在―
[味方として加勢しなければいけないと、分かってはいても。ソマリに向けて駆けようとした補助魔法は発動することなく、やがて手の中で消える。
バルタザールの目は、剣は、ソマリしか見ていなかった。
吸血鬼と変わった今も、ただソマリ1人を認めている。
隊長と副隊長。
ここに来るまでの様子から、2人がお互いを良く理解しあう仲なのだと理解できた。]
"あなた、お花が好きなの?"
[届かぬ声、聞こえるだけの心、触れられぬ掌。
悲しみに塗りつぶされそうな心へ、柔らかな声が降り注いだ。]
"これはねー、元気の出る魔法なんだよ!"
[記憶にない少女。
けれど受け継いできた血が、ざわりと騒いだ。]
"怪我しても、お花が咲いたら楽しい気持ちになるでしょ?"
[遠い昔交わした、小さな友人との約束。
知らないはずなのに、理解できてしまった。]
"いつか大切な人ができたときに、喜んで貰えたらいいなって!"
[ただ、幸せな夢を抱いて生まれた、お
謝らなくて、良い。
―――ユーリエ、
[全てを救える存在を。
自分では成れない、遥かなる存在に。
掻き集めた希望を以って。]
[ 涙で歪んだ視界に、バルタザールの唇が動くのが見えた。 ]
……っ
[ 思わず顔を近づける。
涙がバルタザールの顔に落ちたが、何故かそれは魔を焼かなかった。 ]
[穿った刃の先から、質量が崩壊していく。
聖別された剣は、彼の身体を壊し、灰に変える。
聞こえる彼の声に、浅い首肯を繰り返した。
脳の奥には熱い痺れを伴い。
顎を持ち上げ、蒼い遥かなる瞳を覗き込んだ。]
[視線をあげてどこかを見つめ、わずかな間、瞑目した。]
……いや、やはり私が
すまない。
おまえはこれを、ジークに届けてくれるか?
[手のひらに差し出したのは、血赤に脈打つ薔薇の花。]
ソマリ?
ソマリって言ったの?
[ 手を握ろうとしたが、それはもう灰になっていてかなわず。 ]
ソマリになんて、
なんて伝えればいいの?
[ 必死で読みとろうとするが、読唇など知らず。
ただ、バルタザールの表情から、それは憎しみではないように感じた。 ]
隊長…――!
バルタザールさん…!
[やがて、ソマリが己の右腕を犠牲にして、戦いに決着がついた。
もうどちらのものか分からない程の夥しい血液が散り、床に鮮やかな紅を描く。]
私の血の精髄だ。
…私の死と共に咲いた。
[唇には微かな苦笑]
本当は
呪が遅れたらしい。
ジークがまだ血を厭うているのだろうけれども、
今はそれでは自身の身も守れないだろう。
せめて、これを、と。
― 空洞 ―
ん?
[ゆっくりと見上げれば、光が見えた。
命の光が今もまだ戦を行っている。思ったより時間は経っていないと思えばよいのだろう。]
長居はしたくはないものだ。
[あの光に惹かれてしまう。生きたい。とともに願ったものと友に在りたくなってしまう]
[しずくが頬に降り落ちる。
悲しむ必要はない、
私はただ剣であったと、少女に伝えられたらと、
それができぬのなら、せめて笑おうと]
貴方も、彼も、彼女も――そして、私も。
揃いも揃って、大馬鹿者ばかりですねぇ。
[この城に集った皆の顔を思い浮かべ、乾いた笑いを漏らした。
今現在の景色が、走馬灯のように流れる。
傷ついて、傷ついて、己の信じるもののために戦っているというのに、誰もが皆、悲しい顔をしていた。]
笑って欲しいと願うのは、既に去った者のエゴなのでしょう。
[右腕を失った聖将と灰に消える騎士。
二人を見下ろしながらぽつり、宙から雨が一粒落ちた。]
……救世主……?
神子を、アデルを守れというの?
それともまさか……、
私に救世主になれ……と?
……そんなの無理よ……。
私は、ちっぽけで、弱くて、子供で……。
無力だわ。
[吸血の衝動はいずれ己を苛むだろう。
弟と思う存在さえ牙向けてしまうかもしれない。
そんな衝動が恐ろしく堪えがたく――]
自らの手で幕を引く事が出来れば良いが――。
[教会で長く過ごした騎士に自害は選べず、
命を繋いでくれた野茨公にそれを断ってくれと頼むのは酷に思う。
ふ、と思い浮かぶのは公弟であるそのひとの貌。]
ジークは、今、サロンにいるようだ。
…あの子を頼む。
[弟の手に血の芳香纏う薔薇を握らせたあと、
ひらと身をひるがえす。
次の瞬間には紅い風となってその場から姿を消していた。]
隊長しっかり!
[血を吹き出すソマリの腕を拾い、つなぎ合わせ。
必死に治癒を施そうと魔力を込める。
が、失われた命の力が多すぎて、たとえ傷口が癒えても。とても回復が間に合いそうにない。]
バルタザールさん…
[ソマリに伸ばした手が指先から崩れて灰と化していくバルタザールを見つめる。]
[願うばかりではなく、自身も笑ってはみたが、ぎこちない表情しか浮かべられなかった。
傷のなくなった両の手で頬に触れ、ぐにぐにと筋肉をほぐす。]
無理な笑顔は逆によくありませんね。
それも願いに付け加えておきましょう。
[殻が消えたからといって、性格が180°変わる訳ではない。
普段通り自分勝手な理論を振り翳して、後はただ、何を言わずに見守るだけだ。]
[渡された血赤の薔薇は、ギィの命の結晶のよう。
呪が遅れた、と告げるギィの声には、事を急いてジークムントを壊したくなかった彼の想いが現れているように思えた。]
サロンだな。
では、頼む──
[委細受命しながら、ギィに告げるは託す言葉。]
[響き合う世界に、怒りと戸惑いの色が零れる。
痛みは共鳴して、いまや己の身を貫くほど。]
まだだ。まだ―――
[意識せぬ言葉が染み出す。]
諦めるな、ユーリエ。
どうか、諦めないでくれ。
お願いだ、ユーリエ。
―――後生だ。
全てを救う救世主を。
――――何もかも、救える力を。
[熱に浮かされるように、小さな肩に重責を掛ける。
彼女に科せられ続けた期待ではない。
友を失った男が吐いた、希望を預けた。]
■カウンターLvMaxからスキル変化
■完全恩赦<Amnesty>LvMax
全ての魔物を苦痛なく浄化する。
聖女の涙が必要。
/*
リエヴルと会えたら、酒でも飲みましょうかーとか言って、食堂まで引っ張って、瓶に触れませんねぇHAHAHAとかして怒られたかった。
魔と戦っているし、それよりもシメオンとの語らい見たいので、見守る要員になるのです!(`・ω・´)
オズワルドさんは体調崩してないといいけれど。
皆さん体調大事にですよ!
[この肉体が在り続ける限りアデルを求めてしまうだろう。
弟離れが出来るなら、この一年で出来ていたはず。
それなら、ゆるされぬ存在は自ら終わりを選ぶより他ない。
そんな勝手な思いから固めゆく考え。]
―――…クレス、テッド、
[動けぬ我が身を叱咤しても、
力が抜けるばかりで自身の身さえ支配下に置けず。
変わりに、限りある戦力である僕の名を呼んだ。]
[謝罪を口にするのは、友への冒涜であるような気がした。
だから、精一杯微笑むしかない。
“私は、生きた”と。]
―回想:ジークムントと―
『あれは苦くて苦手だが
君の血は甘く好ましいものだった。』
[>>41ジークムントにそう聞かされれば、虚を突かれた男は思わず目を剥いた。
好ましいと真顔で言ってみせるこの男は、ひどく恥ずかしい奴だと思った。
惨事を送られた血親と反応が違うのは性差だろうか。
――いや、俺は仮に女だったとしも顔を蕩けさせたりはしない。]
――…っ!
は、それはあれこれ口にしてない所為だろう。
色々と口にしてみれば分かる。
俺のも他のと同じだ。
[髪を再び引けば、「禿げる」と不満を零され、男は声を立てて笑った。
流麗な顔立ちの彼の口からそんな言葉がもたらされるなんて予想していなくて。
――その時には、自分が彼との間に壁も作っていなかった事に男は気付かないまま。]
― サロン ―
[ギィの背を見送ることはしない。
ヴィンセントはジークムントの姿を求めて、サロンへと向かう。
思えば、アプサラスとシメオンにジークムントを引き合わせたのはそのサロンで、あれから一昼夜とたっていないのだ。
接近を伝えるべく、手にした薔薇の香りを夜気に乗せる。]
──…ここにおいでだと。
[扉をあけて、ジークムントへ声をかけた。]
此処に――
すまぬな、主よ。
割って入って倒すことは簡単だったが出来ぬ。
何時もの私の我侭だ。
[主に近づきながら謝罪する。]
だって、
だって私は……、
[ 無理だ、と言いたかった。
ユーリエは、ただの……、
「 量産型聖女<クルースニク> 」
に過ぎないのだから。
でも。
……救いを求めて来るものを、
分け隔てなく、差別なく救うと決めた。だから。 ]
分かったわ。
……私の命が続く限りは、
救いの手を差し伸べ続ける。
約束するわ。
―現在―
[聖なる炎は未だ激しく燃えさかっていただろうか。
それとも魔の者を一人道連れにし、鎮火に至っていただろうか。
男は黙って部屋の方を見やる。
恐らく幼馴染の身体は影も形もなくなってしまったのだろう。
触れる事は出来ないと知ったのに、それが酷く惜しい。]
……。
[男は目を閉じて気配を探る。
自分と同じく彷徨っている者は他にいるのだろうかと。]
[死ぬな、と虚偽を紡げなくて。
すまない、と彼を見縊ることが出来なくて。
胸に溢れる熱いものが、息を苦しめる。]
―――…君の、生き様。
確かに―――確かに、この、ソマリ・サイキカル。
見届け、た…ッ
[誰かの為に、剣を揮い続けた彼の本当の剣。
真の心、確かに受け取った。
心臓穿たれるような、痛みと共に。]
[だが]
もっと…高くて広いとこに立って、美味い空気でも吸って一緒にいてみたかったな。
[魔に対して、吸血鬼に対しての憎しみをもっていたオズワルド
闘争こそが全てとでもいうクレステッド。
教会の教えに忠実に準じているバルタザール
貴族の責務を全うしようとその型の中で生きるソマリ。
聖女として生きる以外の道を作られなかったユーリエ。
暗幕に包まれたまま神の子として育てられていたアデル。
どいつもこいつも、一つのことに縛られていた低く狭い場所にいた。]
―サロン―
[ふわり漂う薔薇の芳香。
鼻腔擽るそれに誘われるように顔を上げると開いた扉の向こうには
その香のように華やかな気配の公弟そのひとの姿がある。]
ヴィンセント様。
ご無事で何よりです。
[吸血鬼ではあるが魔力をろくに扱えぬ男には
血の親やその兄弟がどうしているかは知れない。
それゆえに会って漸くその無事を確認できる。]
[ソマリから目を上げ、アデルとクレステッドを順に見つめる。
意が伝わるとは思えないが、ソマリに残せるせめてもの手向けになれば。]
[こんな出会いではなければどうなったのだろうな。
己の仲間だったものたちも。
仲間がいるのを羨ましいといった吸血鬼や、血子を駒と称したら表情をゆがめていたあの女吸血鬼も。
幼馴染ではなく、想像するしかない存在との関係をうまく言葉として言い表すことはできそうにない]
俺と、リエと…後は誰だ?
こうなっちまったからか、どっちだかも分からねぇ。
少しはあっちの戦力も削れてりゃいいんだが。
……。
[そこまで言って、男は口を閉ざす。]
…あー…、俺は
[両手で白銀の頭をくしゃりとかき混ぜ、
すっかり吸血鬼側の思考に立っている自分に苦い笑みが浮かぶ。
吸血鬼と、人間。
共に在れぬのならばこの戦いはまだ続くのだろう。そして他にも犠牲が出る。
――その間に血親が失われない事を祈る。]
[血の兄弟となった者の名がアデルの声で紡がれる。
何かあったのだと声音から察するが。
それには触れぬまま問う声に考える間を置いて]
――何の為だろうな。
私は子を作った事がないから分からないが
……その時、必要とされて、うまれるもの、と思う。
[まるで常に傍にあった友を永遠に失うように、いくら治癒をかけても、切り落とされた腕を繋げることは出来なかった。
せめてもと、服の上に羽織っていたマントを裂き、骨の剥き出た傷口を押さえて止血しようと試みる。]
貴様ら……っ!
[もはや、手遅れなのは一目でわかった。
ほとんどが灰となった体は、回復のさせようもない。
怒りと衝動が、体を突き動かす。]
よくも私の、
―――っ。
[唇を噛み、走り寄る。
曲刀構えた聖将へ。
我が子を滅ぼしたものへと、報いを与えるべく。]
アデル、聖女、主は任せた。
適う限りの治癒を頼む。
そして此処は私に任せて先に行け。
野茨公相手では、周りを気にしては楽しめないからな。
[言葉と共に剣を抜く。]
/*
……めっちゃ挟まったね?
リエヴルさんは消化不良だったら本当にごめんなさいですよ。
バトルしていてくれてもいいのよ。観戦しているので!
[ クレステッドに叱咤され、
目の前でバルタザールの死と終わりを見て。
ソマリの、悲痛な囁きを聞いて。
教義とか聖書の解釈とか、そんな事ばかり勉強してきた自分が、
愚かしく思えた。
ユーリエの願いは、「赦し<アムネスティ>」。
滅びを望む者への、苦痛なき完全な浄化。
司祭たちは、
魔物は罪に濡れた者だから何をしてもいいとしか言わない。
だから、間違った解釈なのかもしれない。
でも。
救いを求める者を、分け隔てなく全て救いたい。 ]
貴様ぁぁぁ!! 私を無視して怪我した主を狙うかぁぁ!!
[剣と共に主と野茨公の間に入り込む。
一瞬の出遅れが致命的だった。
無理に位置取りを行った結果故に無防備な姿を晒す。]
私はおまえを諦めない。
決して、あきらめたりはしない。
だから、戻れ…っ。
[想いの手を伸ばす。
こちらに向かう手をどうにか掴もうと。]
[再会の挨拶は、無事を言祝ぐ言葉だった。
その純真さは、いささかも穢されていない。
ギィが愛するその資質が、眩しくさえある。]
長時間、様子を確認しに戻りもせず、失礼しました。
[彼が無事かどうかは自らの目で見極めることにして、ジークムントへと歩み寄る。]
[二つの気配が、こちら側で目覚め始めたことに気づく。
もう一つ気配はあるようだが、その姿はどこにあるか分からない。
魔力も
しかし城を見通して、まだ目にしていない、見知った影は三つ。]
前庭の彼とシメオン、レディ・シュトラウス。
レディはきっと、彼が守ったでしょうね。
あれは、心を許したからこそ向けられる目だと思いますから。
[既に遠い過去になりつつある日常の一片>>0:237を思い出して、小さく笑みを零す。
今はただ、新たにやってくる命を、あの時と同じ形容し難い感情と共に待っていた。]
あなたの血親から、これを──
[血の赤を誇る薔薇を差し出し、ジークムントの腰を抱き寄せんとする。
ギィなら、これを渡すときにそうしそうな気がして。]
[同時に距離を詰める悪魔の像のような形をする影。振り下ろす拳を半身を反らして避けた。]
はは…馬鹿力だな
[伸ばされた腕に刃を突き立てる。それを軸にして逸らした半身を今度は逆にして捻りながら、顔面めがけてガントレットから生える刃できりあげる]
[生まれたばかりの幼子を殺した聖将も、
それを助ける教会のものたちも、
全ては敵に変わりなかった。
だから、飛び込んでくるものがあろうと足は止まらない。]
それが望みなら、もろともに死ね。
[聖将を守ろうとする男の剣ごと、身体ごと、
全てを貫き通してしまえと、紅い剣を突き出す。]
[もう一つの行方知れぬ気配が、もう一人だとしたら、そんな不安に襲われていたところに、踊る赤>>205が映る。]
ギィ。
[阻むもののなくなった唇は、ただ彼の名を呼ぶ。
責める響きは欠片もなく、柔らかく見守るような声で。]
[視界に赤が散る。
野茨公の怒りの焔ではない、
――――自らの聖剣が、砕ける音。]
―――ッ、……クレステッド!!
[息を呑み、熱に焼けた喉から声が迸る。]
ユーリエ…
救いって――、なんだろう。
許しって――、なんだと思う。
[全てを許し。
全てを救い上げる神の慈悲は、人だけにしか与えられないのだろうか。]
[斬り、突き。裂いて。
それをするほどに、飢えが満たされていくのを覚える。なくしていたものを取り戻す。
死して活力を覚えるという不可思議さを覚えながら]
あっ……!!
[ 頼れる「盾」であるバルタザールは、一握りの灰になってしまった。
聖将軍は戦える状態ではない。
「剣」であるクレステッドの背を見て、アデルを見た。
野茨公はどのくらいの強さなのだろうか?
少なくとも、あの氷の魔物よりは強いに違いない。
自分とソマリを背に庇ったまま、
クレステッドは戦えるのか……? ]
――いえ。
野茨公の不在をアレクシス殿より聞きました。
ヴィンセント様が野茨公の分も客人をもてなしておられたのでしょう。
謝られる事はありません。
むしろ、何の手伝いも出来ず――…
[謝罪するように頭を下げてからヴィンセントに視線を戻す。
距離は先ほどより近く薔薇の香りが一層深く感じられた。]
……お戻りになられたのですね。
よかった。
[血親から、の言葉に帰還を確信し安堵する。
差し出された薔薇に引き寄せられるように利き手を添えれば
腰へと回る公弟の腕に、また距離が縮まり途惑うように眸が伏せられる。]
[命を捨てた男にはもう、敵は存在しない。
残ったのはただ、生者への――己の心に生きている者たちへの祈りだけだ。]
な、んだ、この程度、かっ・・・?
[腹部に迸る熱い痛み。
だけど、阻止すべく力を集中する。]
よ、計な事はやめてもらおうか。
主が、消えたら闘いを私はうしな、う……。
い、まこの時を楽しもうでは、な、いかっ!!
[走る激痛を無視して手に持った剣を振り切る。
その首を取らんとして――]
[ その質問は……、
教会に居た時ならば、聖書通りのきれいな返答が出来ただろう。
でも、今は。 ]
「くるしみ」から解き放たれる事だと思うわ。
[ 聖書と違う事をいうことを、迷わなかった。 ]
こころや、
からだのくるしみから……。
それがどんな形なのかは、その人によって違うと思う。
……それがひとじゃなくて魔物ならば、
「滅び」も救いのひとつだと思う。
[ とても長く、喋った。 ]
……くそ。
[血親の姿を見て向き合う事になった気持ちに戸惑う。
そう出来るようになったのは、男が死んだからか。
それとも他人には聞こえぬ聲で幼馴染と束の間語らったからか。]
……反抗期かっつーの。26にもなって。
[憎しみのみだと思っていた血親に対する感情は、いつしか別の感情も混じっていて。
――それらを分かつことは不可能で。]
…死ぬな。
死ぬんじゃねぇぞ。
[守る事が出来ないのが悔しい。]
[僕に伝えねば成らぬことが在った。
己の所有物である彼に、戦火以外を渡せなかったこと。
彼を奴隷商より買い上げたときから、
きっといつか、この時が来るだろうと思っていたこと。
彼は紛うことなく。
聖将軍ソマリ・サイキカルの、聖剣であったこと。]
うーむ。
クレスんの敗北を知ってるPL的には、
ここはアデルんと一緒にソマリんを連れて逃げるのがいいけど、
PC視点では、前衛クレスん、後衛アデルん、支援ゆりりんで戦うのがベストだなぁ。
クレスんが逃げろって言ってくれるのがベストだけど。
[幾重にも突き立て斬り重ねた刃は、影を浸食しつくす。]
どうせもう終わりなんだ。最後ぐらいは仲良く……なんて柄じゃないな。
[自分は役に立っていないと、ジークムントが気落ちしている様が伝わってくる。
抱き寄せた腕の中、目を伏せる様は聖女のごとく。
無理に顔をあげさせることはせず、身体を傾けて、その耳朶にふれんばかりに唇を寄せた。]
[貫かれたのはソマリではなく、彼の剣だった。
黒の瞳が見開かれ、そしてそっと伏せられる。]
最期まで違わぬ姿勢に敬意を表します。
[命の灯火が消え行く様子が見えた。
これ以上憎しみの連鎖が生まれぬよう、音を止めた胸元を強く握り締める。]
ちっ。
[主を守ろうという意思は、鎧よりも固く刃を拒む。
一撃を阻まれ、なおも反撃されて、
舌打ちをしながら飛び下がった。
防御に掲げた左腕の鎖鎧がはじけ飛び、
血と共に飛び散る。]
― 一階・外 ―
[左腕を指先まで真紅に染め上げる血は、止まる気配を見せない。
息子に守られたこの身を、自分も守らなければ。
そう思うのに、じくじくと孕む熱は視界を眩ませ、瞼を酷く重くする]
私の血の精髄だ。
…私の死と共に咲いた。
[ギィの声を真似て、ジークムントの耳元に囁く。]
まだ血を厭うているのだろうけれども、
今はそれでは自身の身も守れないだろう。
── せめて、これを。
[霞み白んでいく瞳の奥に、広がるのは――
陽光の下、純白の花が咲き乱れ、蝶が舞う何処か。
お伽噺を聞かせるような、優しい声で紡がれた世界]
もう誰にも、死んで欲しくはないのです。
[誰が為でもなく、己がそう思うから。
声は誰にも届くことなく、意識の世界へ溶けて行く。]
[手ごたえはあった。
放っておいても、あの男は倒れるだろう。
だが、復讐の刃を阻まれた怒りが再度向かう。]
ならば貴様から先に逝け。
それなら文句は無かろう。
[確実にとどめを刺すべく、心臓を狙いすまして再度剣を突き出す。]
是も非もなく。滅しろ
[横薙ぎに振るった刃は、首を斬り落とし、振り上げた刃で胴体を真っ二つにする。
祈りではない十字をきって――自身に絡みついていた因縁を中に入れ込んだ]
[最早喋る事は適わない。
故に再び背中で語る。
自分の振るうのが貴方でよかった。
只一言それだけを。]
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