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神秘学者 アデルは語り手 に投票を委任しています。
主計官 ラートリーは語り手 に投票を委任しています。
令嬢 シルキーは語り手 に投票を委任しています。
領主 オズワルドは語り手 に投票を委任しています。
領主補佐 ギィは語り手 に投票を委任しようとしましたが、解決不能でした。
領主公女 アプサラスは語り手 に投票を委任しています。
次期領主 ディーターは語り手 に投票を委任しています。
政務官 ベルティルデは語り手 に投票を委任しています。
神秘学者 アデル は 領主補佐 ギィ に投票した
語り手 は 領主補佐 ギィ に投票した
主計官 ラートリー は 領主補佐 ギィ に投票した
令嬢 シルキー は 領主補佐 ギィ に投票した
領主 オズワルド は 領主補佐 ギィ に投票した
領主補佐 ギィ は 主計官 ラートリー に投票した(ランダム投票)
領主公女 アプサラス は 領主補佐 ギィ に投票した
次期領主 ディーター は 領主補佐 ギィ に投票した
政務官 ベルティルデ は 領主補佐 ギィ に投票した
主計官 ラートリー に 1人が投票した
領主補佐 ギィ に 8人が投票した
領主補佐 ギィ は村人の手により処刑された。
領主公女 アプサラス は哀しみに暮れて 領主補佐 ギィ の後を追った。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、神秘学者 アデル、語り手 、主計官 ラートリー、令嬢 シルキー、領主 オズワルド、次期領主 ディーター、政務官 ベルティルデの7名。
投票を委任します。
神秘学者 アデルは、語り手 に投票を委任しました。
投票を委任します。
令嬢 シルキーは、語り手 に投票を委任しました。
投票を委任します。
主計官 ラートリーは、語り手 に投票を委任しました。
投票を委任します。
次期領主 ディーターは、語り手 に投票を委任しました。
投票を委任します。
領主 オズワルドは、語り手 に投票を委任しました。
語り手 は、主計官 ラートリー を投票先に選びました。
[太陽が昇っては沈み、王城は法的処理に忙しない。
しかし、順次の合併もそろそろ終わりが見えてきた。
<<令嬢 シルキー>>とその伴侶の慶事を次に通達すれば、残りは一組。]
/*
火水木金
7>5>3>EP
で、村閉じは土曜の朝五時ですな!
村建てが四日の真夜中でしたから、トータルで8日ですな。
その割にボリューミーに感じるのは、
やはり人と距離を詰めるまでが短いからだろうか。
/*
そしてお嬢ちゃんと目出度く成婚だよ!
うわー…うわー、
なんか少女漫画度が高くてしにそう。
シルキーがさぁ、可愛いんだよなぁ。
[そしてさらに一週間ほど時間は過ぎて。
ふたつの領地の合併が行なわれ、ギィは書類の上では既婚者となった。
もっともいまだ婚礼は行なわれず、二人、顔を合わせる事もできないでいる。
領地の合併とはいえ、すぐさますべてをひとつにと言う訳にはいかないらしい。
まずは目前の冬の対策を。
ひとつになった国は手を取り合い、それに立ち向かう。]
投票を委任します。
政務官 ベルティルデは、語り手 に投票を委任しました。
[館に呼んだ商人は、ギィの目の前にいくつもの品を広げている。
見せてくれと頼んだ品物は扇。
扇ぎ、涼を取る為だけではなく、装身具のように、または小道具として、季節を問わずに女性が扱うものだ。
女性への贈り物がよく分からず、相談し、もらった返事。
なるほど、ギィが想像もしてなかった品物が書かれていた。
あとのひとつは既に注文済みだ。もうまもなく届くだろう。こちらは冬に備えてのもの。]
珍しい柄だな。
[ひとつの扇を手に取り、開いてみる。
模様自体はシンプルだ。縁も派手ではなく、淡い紅色の一色。
ただ、中ほどの透かし細工が、花に止まる蝶を描いている。
閉じれば花の絵。中途に開けば花はさらに咲き、完全に開いたなら蝶が現れる。]
薔薇か?
[商人は頷く。
曰く、異国で作られたもので、この辺りでは手に入らないデザインのものだと。
横から覗き込んだ母が、「もっと艶やかなものの方が良いわ」なんて口にするのを、横目で見た。]
母上は派手過ぎるんだ。
[返答は「貴女が地味過ぎるのよ」だったが。
それを無視して、手に取った品物を商人に示す。]
これにする。
[商人は、やりとりの間、ギィの姿をちらりと眺める瞬間がある。
常に男装していたドラクロアスの一人娘が、今は女の格好で過ごしているのだから、珍しいに決まっている。
父は、最初にスカート姿のギィを見て、たっぷり4呼吸は言葉を失った。
使用人の中には、あからさまな驚きの顔でギィを凝視するものすらいた。
それに比べたら、ちらりで済むだけたいしたものだ。]
[壊れぬように厳重に包装させ、ようやく選んだ贈り物を手にいれる。
母はもう少し商人から買い物をするとの事だが、ギィはそこで自室に戻った。
ようやくアプサラスに贈り物ができる。
自室の机の上には、手紙と――頼んでいたもうひとつの贈り物があった。
急ぎ、手紙の送り主を確認する。
そこに彼女の名前を発見すると、ペーパーナイフを取るのももどかしく、開封する。]
[中身を読んで、思わず片手で顔を覆った。]
……先走って、答えてしまっている気がする…。
[手紙に記された言葉。それの返答は、先日送った手紙にすべて書いてしまったような、気が、する。]
……恥ずかしい……。
私はどれだけ気が急いているんだ…。
[落ち着くべきか。
次の返事を待つまで、手紙を送らないでおくべきか。
いや、でも、せっかく贈り物が用意できたんだ。
せめて、これを送るだけでも。
そう己に言い聞かせ、椅子に座り、ペンを取った。]
[祭りの炎の熱はすっかり冷め、冷たい乾いた風から
身を守る様に家々の扉はしっかりと締め切られ、
外で賑やかな声を聞くことは少なくなりました。
いつもならそれがこの領土での日々でしたが今年は違います。
二つの領土の合併と、私たちの成婚を祝って
来たる新しい時代を喜ぶように、楽し気な声が響き、
家々も少しばかり飾りを付けるところも多いのです。
そんな領民たちを見て、私はこれは二人だけの事ではないと
改めて自覚し踊る胸を押さえて民たちの事にも
心を裂く日が続きます。]
これから毎日、出来れば一時間、無理なら朝昼夕夜と
天気、風の向き強さ、雲の形、星の位置を記録しましょう。
そして作物や森の恵みも細かく記録して。
長老だけでなくおじいさまやおばあさま達は
こんな風が吹き続けた時は嵐が来るとか
色々ご存じじゃありませんか。
それをちゃんとした記録に残しておけば
これから何が起きるか予想が付くかもしれません。
備えることで民が受ける被害を最小限に出来るかも知れません。
[突然治世に口を出すようになった私に、お父様は少しの困惑と
苦い顔をなさいましたが、何処か思うところがあったのでしょうか。
それこそ朝昼晩と再三お願いし続けた結果、
試験的に記録を作ってみることにしてくださいました。
これから私たちが慈しむ領地は大きくなったのです。
全ての民が出来るだけ笑顔でいられるように、
賢者から頂いた知恵を活かそうと必死でした。
婚約者に夢中で腑抜けだとは言われぬように。
当然そんな心もありました。]
……ねぇお母さま。
私、この刺繍手を加えても良いでしょう?
[それでも部屋に戻れば考えるのはギレーヌ様の事。
ヴェールを飾る蝶の刺繍はほぼ完璧です。
ですがモチーフ通りを刺しただけの私には少し不満。
だってギレーヌ様の為にちょっと手を加えたいと思うのは
当然だと思うのですが、こればかりは
お母様が頑として認めませんでした。
曰く、私の絵心だけは成長させられたなかった、ですって。
いくらお母様と言えど、失礼ですわと膨れてみたけれど
お母様のこめかみの青筋は刺繍したみたいに消えませんでした。]
[その通達が王都から届いたのは数日前のこと。
いまかいまかと待ちわびていたはずなのに、
いざ慶事を受け取るともう? なんて焦ってしまう。
実際まだこころと――身体の準備も整っていない。
外套の上から柔らかく、そしてあたたかな羊毛で編まれたマフラーや手袋を身につけ向かうのは霊峰の一部。
第一領土全体を見渡せる山岳に、アデルは一人立っていた。]
おかしいわ。
少しくらい良いと思うのだけど。
[それでもばあやたちまでお母さまに同意されては
手を加えない方が良いのでしょう。
ちょっと膨れたままの気持ちで大事な刺繍をするわけには
いきません。
代わりに私の心を癒すように舞い込んだ手紙を
温かい紅茶とクッキーと共に広げました。
あの方からのお手紙は一番に広げて何度も何度も読み直しました。
いつもの便箋とは違い、女性の表情を見せる便箋に私は微笑み、
迷うような痕に何を書こうとしていたのか、想像するだけで
口元が綻びました。
中指の腹で何度も触れるうちに、少しだけでもあの方の
お心に触れることが出来たような気がしたのです。]
私ばかりちぐはぐな事を書いている気がするけれど
大丈夫かしら。
[あの方のお心を気遣うことなく急かせているのではと
心配にはなるのですが、胸の高鳴りは抑えられないのです。
休憩もそこそこに、机に向かうとお返事を書くのに夢中になって。
ポットまで冷めてしまった事に驚いたほどでした。]
[ちらちらと六花が舞う中。
生まれてから今日までの様々な出来事を思い出す。
日々がすべて楽しいものだとは言えない。
緩急が浅い分、漠然とした憂いに浸ることも多く
領主の次男として、この景色ほどの役にも立てぬと
いじけたこともあった。
アデルが変わったのは、あの法案が施行されてから。
国の為、民の為に身を捧げることを厭わぬというあの人が、
――アデル自身にも寄り添うことを、約束してくれてから。]
[出会いの数だけ、別れがあるという。
貞淑を重んじるこの国は、仮令同性の友人であっても
成婚後の文通を禁じられる。
遠くに住まう者とも、肩を並べて語り合うような。
時に、面と向かってはとても口にできぬ本音を吐露できる手紙は、家族とも恋人とも違うかたちでアデルを支えるもののひとつであったから、寂しくないと言えば嘘になるが。
それは永遠の別離ではないし。これから先、アデルにとって出会いと別れの数は永遠に一致しなくなる。
星の流れを追うだけでは永遠にたどり着けないだろう真理のひとつ。]
……お。
[その日もまた、屋敷に帰ると手紙を受け取る。
仕事用の手紙は朝に執務室で見るから、ここで渡されるのは私信のみ。
その中の1通、アプサラスからの内容に、驚きの声を上げる。]
……干物はにおいがそんなにないはずなんだが。
むしろにおったということは生だったのか。
食べてはいけない…と手紙を書こうにも、相手は成婚した、と聞いたな。
[返事も書けないし、書いたとしても届くのは1週間後。
少し首をひねってから]
ま、これだけ拒否反応を示していれば、きっと厳重に砂にでも埋めたんだろう、大丈夫だいじょうぶ
[と捨てたのだろうと考えておくことにした。]
我が伴侶 アプサラス殿
手紙を拝見した。
今も恥ずかしさで頬が火照る。
私の気持ちを、すべて見通されている気がしているよ。
貴女の懸念、貴女の疑問。
私は既に先の手紙で殆ど答えてしまっている気がする。
貴女が言う通り、私達の手紙は入れ違いばかりだな。
何を書けばいいだろう。
ペンを持つ前は、落ち着こうと思っていたんだ。今は初めて恋文を書く少女のように、何もかも書きそうになっている。
刺繍は、母上から合格を貰って、ようやくヴェールに刺し始めた。とても緊張するね、これは。
歩き方はまともになってきたようだ。スカート姿でも歩き難いとは思わなくなった。
婚約の話を始めて聞いた時、確かに何かが欠けたような気持ちになった。
今はそんなものは微塵も無い。
私の中は、色々な感情でいっぱいだ。不安もあるけれど、それすら嬉しく感じるんだ。
手紙を読んで、もうひとつ、新たな喜びを得られた。
子、と。
その言葉に、目が覚めるような思いがした。
私は自分が親になる事などないと思っていたから。
貴女と共に、私達の“子どもたち”を慈しみ、守っていきたい。
父として、母として。
大きな家族になるのだな、私達は。
とても素敵だ。
また長々と書かぬように、今日はこれぐらいで筆を置こう。
愛をこめて
ギレーヌ
[先の手紙で書き損ねた言葉を、今度は添えて。
便箋の色は薄く薄く紫の色。]
[続く便箋が一枚。]
追伸。
同封の品、宜しければ貴女の身近に置いていただけないだろうか。
扇と、もうひとつ、鹿皮の手袋だ。
扇は異国の品と聞いた。シンプルだが凝った透かし模様だろう? 蝶の羽根が美しい。
手袋は、私が仕留めた雌鹿の皮で作らせた。
柔らかく、手袋を嵌めたままでも指を動かしやすい。これからの季節に、使ってくれ。
アデル・ヴェステンフルス様
先だっては手紙をありがとう。
いろいろと忙しい折であることは承知しているので、返事は手の空いたときにでも書いてくれれば充分です。
ラートリーさんとのご婚約、おめでとうございます。
先日ラートリーさんからも聞いたよ。
少年だと思っていたのに…というような内容があったので、これからは、大人の男としての魅力を、見せつけて行ってくれ。
私も、二人の晴れ姿を見ることを楽しみにしているよ。
登山靴!
それはいい。もちろん、随一の靴屋を紹介しよう。
アデルの靴を作れると知れば、きっと大喜びだよ。
挙式にいらっしゃるときにでも、サイズを確認して、作らせよう。
靴は自分に合ったものがいちばんだから。
それから、巻貝をありがとう。
こういうささやかな心遣いが、アデルらしいなと思ったよ。
俺からは七領で作ったワインを贈る。
ぜひ、夫婦で飲んでくれ。
ディーター・ドゥカス
[手紙を書き終え、贈り物も添えて配達を頼む。]
……気に入ってくれると良いが。
[地味だと母に言われたが、もう少し華美なものを選ぶべきだったか。
自分が選ぶと実用性を優先してしまう部分がある。
それとも女性には宝石や装身具の方が良かったか。
送り出してからもぐるぐると。]
……ダメだったら、次に頑張ればいい。
[まだ私達には時間があるのだから。
手探りでやっていけばいいのだ。
ゆっくり、ひとつずつ。]
[束の間の休息が許された姉と弟の語らい。
焼き菓子と紅茶の運ばれた傍らで、互いにチェスの駒を進める。]
執務はどうしたのかしら?
暇ではないでしょうに。
[笑いながら白のビショップが黒のナイトを弾く。
即座に守りを固める陣形へ、駒を一旦引いて。]
心配しなくても、やれることをするだけよ。
「分かっていますよ」
[既に陣地を立て直すのに精いっぱいの弟が苦笑する。]
「心配なんてしていません。
第八領の令嬢に難癖をつけるような御仁はこの国内にはどこにもない。
……しみじみと、私などよりも
姉上のように、野心と愛情を矛盾なく兼ね備えている人が政略結婚向きだと思った次第です。」
[祖父と姉、物心ついてから二人の教師に育てられた弟は、防戦一方の盤面に苦笑を溢し続ける。]
野心と愛情…?
[あらあら、と微笑む手の指す盤面。
白のポーンが、黒のポーンを蹴散らした。]
「両親が亡くなった時、姉上もまだ子どもだった。
おじい様に守られるだけの令嬢であっても誰も責めはしないのに、
政を学び、領の内政にも外交にも携わり、馬術も狩猟も嗜んで。
――それでも表向きには祖父と弟を立てることで、令嬢としての評判も落とさない。
男であれば文句のない世継ぎだし、
女性であっても『何かあった時』には
充分に女領主として名乗り出ることが出来る立場でしょう。
それをしないのは――」
貴方が可愛い弟だからよ。
そして、もうご高齢になったおじい様に後継争いを見せたくないから。
[けれど誤解しないで。と浮かべる笑みに偽りはなく。]
女に生まれたことも、今回の結婚に選ばれたのが私だったことも、良かったと思っているわ。
[とん、と白のクイーンが跳躍する。]
合併後の領の象徴として、今後も統治に携わることは許されるでしょうね。
第七領の後継者を夫に持ち、第八領の後継者を弟に持つ。
その意味は大きいわ。
表だって女性が政治の指揮を執ることに苦い顔をされる方は多いけれど、
立場さえ選べば、治水、流通…今よりも出来ることは増えるのですもの。
[政務官の顔で笑うが、それだけの表情ではなく。]
私ね、もう一つ夢があるの。
王都から帰る道中の馬車の事故で、お父様もお母様も亡くなられたけれど…
結婚してからずっと、文字通り死ぬまで、お二人一緒だったでしょう?
もしも、結婚する方が出来たら、私もそうなりたいの。
[女性の好むような飾りめいた美辞麗句は無かった文。
だからこそ、朴訥ともいえるその人の気持ちに偽りはないかと何度も手紙の文字を指で撫でた。]
内緒よ。
私は野心たっぷりの女だから、旦那様が政治に有能であれば善きパートナーになれるでしょう。
もし、旦那様が政務に興味がなければ、夫婦なのですもの。互いの得意分野を頑張ればいいの。
だから…結婚する方とは、ずっと傍にいたいのよ。
[白のクイーンが、黒のキングの逃げ道を塞いだ。]
さ、私の勝ちよ。
いい加減王都から奥方を迎える覚悟を決めてちょうだいな。
[この大合併を穏便に済ませたい思惑のある中央に、今であれば多少の無理も聞いてもらえるだろうと。
政治家の顔で弟の婚姻話を煮詰めていく。]
オズワルド様
こんにちは、お変わりありませんかって、目まぐるしくいろいろ変わっているときでしょうね。
実直? ほめているんですか? ほめても何も出ませんよー。
四領ではイカは干さないんですか。塩漬けを作ることもありますが、干物は腐らないし、おいしいですよ。
旅に持って行ってそのままかじってもいいですしね、硬いけど。
ええ、ぜひ貿易をしましょう。
船は危険も大きいけれど、成功した時の利益がバカでかいですからね。
と、まじめな領主様を見習って、仕事の話をしてしまいました。
海路のことは、現領主の伯父にも話しておきます。
……でも実際の作業をするときには、ベルティルデのほうが指揮をとっているかもしれませんね。
[ベルティルデ・バーデン
社交会では令嬢然、施政者然とし。
領内では馬にも乗るし、そのまま狩猟にも出る、少しばかり活動的な令嬢。
貴族の中ではごく平均的な背丈であるが、平民女性よりは高く、頭半分ほどは違う。
幼い頃から砂浜を駆けては遊んでいたおかげで、体は至極健康。
かつ、馬を駆ることもあるために、適度に締まった体のどこにも、貧血で今にも倒れそうな不健康さは感じられない。
丁度、他領から、祝いのドレスを贈ろうとする貴族や、招魂逞しい商人たちの情報網が出回っている時期。
お抱えの仕立て屋に口止めはしたものの、どこからか、採寸情報などは洩れていくものだった。]
私と似合い? そんなことを言ってはベルティルデさんに失礼では? なんて、似合う男にならないと。
あ、アウスレーゼ領主と!??
違いますよね? その娘さん…シルキー嬢と噂で聞いています。
でこぼこかもしれませんが、世間的にはよくある組み合わせかと思いますよ。
若く可愛いお嬢さんをお嫁になんて、世の男性の憧れじゃないですか。
俺みたいな…なんて思わずに、堂々としていれば、充分、似合いの夫婦になると思います。
……プロポーズ?
「王都から命が下った」と向こうから来たから…、そうだね、と返しただけですね。
………必要、でしょうか。
決められた婚姻、であっても。
では、会ったときには言わないといけませんね。
オズワルドさんは、なんて言ったんです?
ディーター・ドゥカス
[他にも届いた手紙を読む。
狩りに幾度も訪れた第一領地。
落ち着いたら、そこへ訪れるのも楽しいだろう。
できるなら、美しい伴侶を伴って。
誘いの言葉に笑みを浮かべて読み進め――]
……?
なんだろう、これは。
[手紙に描き添えられた図を眺める。
鎧姿の人間?
首を傾げて悩む。]
さて。
[いいアニキとして慕っているオズワルドへの手紙を書いて、最後に、ベルティルデからの手紙を開ける。
オズワルドの手紙の内容もあって、少し緊張した、が。
読み進めるうちに、自然と顔がほころぶ。]
ふふ、そっか。
だんだん、俺らのペースで仲良くなれば、いいよな。
[にこにこしながら手紙を指ではじく。
無理してしゃれたプロポーズなど……しなくていい、はず……と思いながら、返事を書こうと便箋を取り出す。]
剣と盾を同時に扱うのなら、皮鎧の方が軽く動きやすいが…見た目がなぁ。
戦わぬなら薄く加工した金属を用いるのが良いが…はて。
[勇ましい姿を勧めたと言う事なのだろうか。
悩むが巧く読み取れず。
手紙の主の筆圧の薄さが少し気になるものの、同封されていた祝いの品――海の涙に息を漏らす。]
……しまった。
アプサラス殿に伝えておくべきだったか。
[ふたつの真珠は、ギィとアプサラス、二人に向けてのものだろう。
少し悩んだものの、次に伝えようと決めた。]
ベルへ
手紙をありがとう。
初めのときより、ずいぶん打ち解けてくれた文章に感じて、とてもうれしい。
もっと、構えず接してくれて構わないからな。
早速、ベルと呼ばせていただきますね。
浮かれて変なこと? 書いてくれたら俺はもっとうれしい。
親しい友人からはディーと呼ばれたりもするが、君の好きにしてくれ、呼び方も、タイミングも。
婚儀の席では、確かに緊張するでしょう、俺も、きっと、あなたの美しい花嫁姿に我を忘れてしまうだろう。
少しくらいドジをしても、見とれていたということで、そのときは大目に見てほしい。
練習した笑顔は領民のためでいい。
俺には、素直な君を――ベルを、見せてほしい。
ベルの心からの笑顔が、きっと俺の幸せだから。
[ディーターへ送られる手紙は、正式な婚約者として家の紋章象った少しだけ格式の高い相手への便箋。
もしも自分の趣味が彼に合わなければどうしようと、散々迷った挙句、の一部始終を見ていた侍女の間では既に噂になってしまっている。
友人に書く文なら、うきうきと季節や相手の好みを思いながら選べるのに。
冬の雪にも負けない厚めの便箋の片隅に、雪うさぎの花嫁と花婿を描いた。]
……ところで、聞いてもいいだろうか。
君の理想とする夫婦とは、どんなものだろう。
俺は漠然と、幸せであり続けること、だと思っているが。もし君に描いているものがあるなら、ぜひ、共有させてほしい。
ディーター・ドゥカス
……別に、いいよな?
[一通り書いてから、先週、ラートリーの手紙に書いてあったことを思いだして、書き足す。
聞いていけないことではないはず。
うん。
そう言い聞かせて、封を閉じる。
封をしてしまえば、もう、直さない。このまま、彼女に送られる。]
[もう一通。
気さくに話して欲しいの言葉に、あの時の男の顔が浮かぶ。
今は隣領土となった領地の、次期領主。]
三本勝負か、いいな。
[その勝負を終える頃、新たな友人になっているかもしれない。
その前に。
その頃、隣はどういう領地になっているのだろうか。
男と、その妻となる女性を考える。]
良い付き合いはこちらも望む所だな。
[今は花嫁修業に専念しろと父も気を使ってくれているが、いつまでもそうはいかない。
花嫁修業の合間合間に、補佐としての役目は果たしている。
領民と言う子どもたちを守るために、この領地を守り、豊かにしなければならない。
まだまだ学ばなければならない事は、たくさんあるのだ。
父からも、そして新たに父と呼ぶべき人からも、学びたい。]
私の可愛らしいお友達 ラートリーへ
御機嫌よう。
もしかして婚儀の準備の忙しさのお邪魔になってはいないかと、少しだけ心配です。
でも、こうして懲りずに手紙を書いているのだけど。
私がラートリーを大好きな友人だと思っていることを、
貴方の旦那様候補のアデル様に語らせていただいても、
きっと負ける気がしないと思いますよ?
河川の魚は、海で獲れる魚と違い、泥臭さのあるものも多いために独特の処理が必要なこともあるようです。
我が領では燻製にすることが多いのでそこまでは気にしていないのですが…。
大抵のお魚は釣りたてを塩焼きにすると美味しい、と漁師が言っていましたので、試してみたいものです。
第七領、第八領ともに海も川もあるので、様々な釣が楽しめそうで、今から楽しみです。
釣りは得意ではないので、ラートリーや旦那様の腕前を期待しています。
大物が釣れたら、ちゃんと私にも分けてくださいね?
まあ、私がディーター様を尻に敷くだなんて。
けれど、内向きは女性の主張を通すことの出来る殿方が器の大きい方だとも言いますから…。
政務官での経験を活かしつつ、臨機応変に対処、…でしょうか。
…このように、政務官の意識が出てしまうことは、夫婦生活には、あまりよろしくないことかもしれませんね…。
もっと、可愛らしい女性として振る舞えたらいいのですが…、と思わないではいられません。
最良の友人を持てた ベルティルデ・バーデンより
〜 愛しい妻であり夫であるギレーヌ様へ 〜
改めて妻とか夫とお呼びすると照れてしまいますね。
本当は直接お会いした時にお呼びしたかったのですが、
先にしたためておいて良かったと思います。
他の誰でもないギレーヌ様だけの為の呼び方です。
書いている頬が秋の葉より赤くなった気がします。
やはりギレーヌ様とお呼びした方が馴染みますね。
前置きが長くなりましたが、お手紙拝見いたしました。
私の手紙が届くよりも早く出されたと自惚れさせていただきます。
ギレーヌ様のお心を聞けて感謝と喜びに私の胸は震えております。
あなたと一緒に歩めることが嬉しくて仕方ありません。
私の言葉がギレーヌ様のお心を少しでも良い方向に
向ける手助けが出来たのなら幸いです。
お会いする時を楽しみにしております。
お父様がスカートを履いて歩く様子を想像したら
少しおかしくなりました。
エレガントに歩くのは少し難しいとは思いますが
ギレーヌ様なら大丈夫です。
常にご自分は新芽の様に柔らかく、傷付きやすいと思いながら
指先にまで気を付けて見てください。
馬の上から見る世界は、あなたの隣で駆ける世界は
どのように見えるでしょうか。
命の尊さに私は更に成長出来るでしょうか。
どんな事も二人でなら大切に過ごせるでしょう。
祭りの踊りも一緒に踊りましょう。
楽団ではなく、農家や職人の方たちが楽器を鳴らすので
リズムはバラバラですし、音も取るのは難しいでしょう。
ですが皆舞踏会の様なすました顔ではなく、
本当に楽しそうに笑いながら踊るのです。
その輪の中で一緒に笑って踊りましょうね。
百合の花に重ねてくださるなんて光栄です。
あの花の様に気高くあろうと思います。
私はアゲハ蝶の刺繍をしています。
黒は使えないので金と白金の色を使っておりますが、アゲハ蝶です。
ご存知でしょうか。
アゲハ蝶は光の境を飛ぶそうです。
昼と夜の間を飛ぶ蝶の様に、私たちは領土の境を越え一つになり、
女性と殿方の二つの境をひらりひらりと舞いましょう。
一点残念が事があるのです。
お母様が蝶のモチーフから私が手を加えることを許して下さらないのです。
なんでも絵心は成長しなかったとかで。
仕方ないので今度ハンカチーフに私なりの刺繍をして
贈らせていただきますね。
この刺繍の糸がずっと伸びて、ギレーヌ様に届けば
良いのにと思っております。
子供の様な我儘ばかりでごめんなさい。
それでは花嫁修業頑張ってくださいね。
愛しています
あなたの夫であり妻であるアプサラスより
[取り留めなく思いついたまま書き連ねた便箋には
同封したものを際立たせる白を使って。
薔薇の香から一枚、一番良い形の花弁を封筒に。
赤いハートの形をした花弁に思いを込めて。]
/*
待ってね、ごめんね!
アニメ全話一挙放送見てて、
終わったと思ったら友達から相談事ががが
今日も深夜族、ラートリーです。
ヨルカツ!
ラートリー・アンダースン様
そちらは雪も深くなっている頃でしょうか?
お久しぶりです。お変わりなさそうでなによりです!
女性的…どうなのでしょう?お転婆と言われる始末ですけれどレディだっての!
やはり、ということは大合併法案のお話はラートリー様の所にも行っているのですね。
あの話をすぐ受け入れられるなんて…皆さまさすが大人だなぁ…!
でも、私も心配するほど子供ではありませんよ?
すぐにこそ受け入れることはできませんでしたけど、大丈夫。今は不思議とそんな風に思えるのです。
大人の世界はわからないことがまだまだたくさんありそうですが、お勉強です!
ラートリー様も、お幸せに!
[一気に手紙は書き上げたけれど、見直すことすら恥ずかしくて。
私の想いは手紙と封の中に込めたのですから
後はギレーヌ様に届くと信じて召使へと渡します。
残るお手紙はどれだけ嬉しくても暫くは文を通じての
交流も許されない今は心の癒しにして。
慎ましく伴侶となる方とお互いを深め合うには大切な時間だけれど、
友人への気持ちも降り積もっていくのです。]
まぁ……すっかり冷めてしまってたわ。
夢中になっていたのね。恥ずかしいわ。
[ゆっくりとお返事を考えましょう、とティーカップに
手を伸ばしたのですが、湯気を忘れた紅茶に
どれだけ時が流れたのか驚いてしまいました。]
/*
みんな、どんなお手紙書いているのだろうな。
エピで見るのが楽しみだな。
私、アデル殿と初々しい恋愛する。
みそじ?しらない子ですね。
ところで、それぞれ手紙に個性が出るなぁと。
ディーターみたいに普段と違って畏まる人と、オズワルドみたいに口調通りの人がいてね。私は後者だな!
海外は語彙よりニュアンスで伝える気がして、口調と同じにしたのだが、このお姉さん、思った以上にちゃんとした言葉が使えておりません。時候の挨拶とかさ、難しいでござるよ。
博識設定どこいったんだ!中身はアホなんだよ!
[日々、日々。
霊峰は神々しい白に包まれてゆく。
成婚の儀の時は迫る。
とはいえ、それは書類上のものであり
実際にアデルの顔を見るのは、まだ先になるようだ。]
もどかしいな。
[相手を目の前にするほうが、言葉を多く紡ぎ出せるから。
言葉を伝えるのに、手紙では書ききれないことが沢山あった。]
アデル様はさすがに博識でいらっしゃるわ。
ラートリー様とどの様なご夫婦になられるのかしら。
お二人とも知識豊富な方ですもの。
知力長ける土地になるのかしら。
[お二人の手紙を並べながら、どんな家庭を、
どんな領地を作られるのか想像するだけで楽しくて。]
夜空をお二人で見上げて過ごされるのかしら。
ラートリー様がアデル様の体調を心配されるのかしら。
案外夜空に慣れていらっしゃるのはアデル様の方かも
知れないし。
アデル様がラートリー様を気遣ったり……。
[それはとても美しい風景に思えました。
私も目を閉じて暫し夜空を思い浮かべます。
隣に並ぶ相手は言わずもがな。]
[そわそわと、書斎で行ったり来たりを繰り返していると、
郵便屋の声掛けが遠く聞こえ、思わず部屋を飛び出した。]
……っと
[召使が不思議そうな眼差しを向けるので、
少々気恥ずかしく、立ち止まり、こほんとわざとらしい咳払い。]
……その、私宛の手紙は、来ているだろうか?
[数通の封書を手にした召使は微笑んで、それらを手渡す。
緊張の面持ちで、差出人の名を見つめ]
―――、あった。
[もしかしたら愛想を尽かされてしまったかと
そんな不安まであったのだ。
婚約者の名を軽く指先でなぞり、
その後は書斎に引きこもることにした。]
[瞼の裏の光景に気を取られてアデル様の騎士姿と
謎のインクの染みの事はすっかり抜け落ちてしまいました。]
む、何故私の体験談だとばれたのかしら。
[またうっかり淹れ直した紅茶が冷めてしまいそうになりました。
慌てて口に含み、クッキーも口に運びながら、
何度も書き直された修業中のお友達からのお手紙に
目を細めます。]
随分頑張っているのね。
春祭りも楽しそうだわ。
私のところは去る季節を惜しむけれど、
向こうは来る季節を祝う感じかしら。
[説明のはずなのに、彼女が溢れていて読んでいるだけで
楽しくなって仕方ないのです。
世界中のお祭りを巡れたら楽しいでしょうが、さすがに
それは出来ません。我慢です。]
――…この地に生まれることができて、良かった。
[見下ろすのは代々祖先が統治してきた土地。
そして見上げる霊峰の一部は、これから統治していく土地。
頬を撫でる風は冷たく、
領土を増やすだけでやすやす越冬できるわけでもないが。
足りないものを補い、寄り添う温もりがあればきっと。
超えられぬ困難などない。
外套に触れては解ける六花の繊細さと儚さに、
いつか夢に見た花嫁のベールが重なって、やわく息を吐く。
また体調を崩す前に、邸に帰ろうと馬を走らせた。]
すぐに魅惑的な女性になって私なんて追い抜かれてしまうわ。
[天真爛漫だけれど本質を見抜く目を持つ友人は
きっと素晴らしい妻になり、民の母になるでしょう。
お互い交流が栄えて、祭りで出会ったときに
どんな風になっているか今から楽しみが増えました。]
はっ!
いけないわ。
休憩している場合じゃないわ。
負けないように頑張らなくては。
[手紙に触発されて、私は休憩を切り上げて
また刺繍に取り組むのです。
他の大切な方たちに胸を張って会えるように。]
そう言えば……オクタヴィア様はどうされているかしら。
[心残りはどうしても言い出せなかった大切なお友達への謝罪。
法案が出された以上判ってはいるけれど、
私からちゃんと話していないことが胸に残る小さな棘。
交流が解放されたら、真っ先にお手紙を書こう。
そう決めて私は絹のリボンに刺繍を施すことにしたのです。]
/*
リアル大事に、の通りこの、コアタイムなど気にせず気ままに過ごせる手紙村のお陰で毎日頑張れました村建てのももてんさん改めましてありがとうございます。
入るなら相手が解らぬタイミングで、そしてできれば誰もいない状態で入りたいってことも叶い、かっこよくそしてかわいい花嫁さんを迎えられるの嬉しい。
ラートリー様は成婚後もよろしくちゃんです。
って一区切りおいておやすみなさーい。
[婚姻の儀から二週間ほど経過した。
ウェルシュさまと父はこれからの方針だとかお話しているようだけれど、
生憎その場に娘は呼ばれず、相変わらず別居生活が続いていた。
街へ下れば、民衆は口々に祝言をくれるけれど、
ふたり暮らす新婚生活はまだまだ先のよう。
ギィさまとアプサラスさまが正式に成婚となったと聞き、
次の慶事の通達も父伝いに聞いた。
お二人にお手紙を送らなくっちゃ。
ああ、お祝いの品、何にしようかしら。
…なんて考えていた娘の思考を裂いたのは、文を届けるの馬車の音。
待ちわびた、今は夫となったウェルシュさまからの手紙。
胸の上で合わせた手の中に大事に仕舞い込んで、自室へと駆け戻る。
自分だけの部屋で、誰もいないというのに周りを見渡してから、
丁寧に、その封を切った]
[そして新たに届いた手紙に目線をやると。]
………………
[イヤ、とは違う。でも嬉しい、ともちょっと違う気がする。他の手紙を開ける時にはない感情。
マイナスの感情ではないことは確かなのだが。なんと表現していいのか、少女にはわからないまま。
―――封を切った。]
…まい、ふぇあ…?///
…こうしてみると、しっくり来ないわね…
でも、お転婆とは言わせないんだから。
[そう言いながら、羽ペンを走らせる主の顔は…心なしか、少し赤かった。]
臥せって……とな。
[手紙の冒頭に、不安げに眉根を寄せるも
その後の言葉にほっと一安心。
むしろ臥していた時の思惟についてを読めば
頬に赤みが差す。]
……嗚呼、
[少年が大人になったと感じる。
それなら自分は、彼にとっては最早
おばさんのようなものなのかもしれない。
それでも、そんな自分でも受け入れてもらえると感じるから。]
私が、花嫁さん……。
[耳まで赤くなって、三十路らしかぬ
淡いときめきに心音が速くなる。
金色と、白との、美しい便箋を優しく撫ぜ
浮かべるは少女にも似た、笑み。]
[すう、と息を吸って、便箋を開く。
紙面をなぞる視線は、何時になく真剣なものだっただろう。
愛と恋の話だなんて、難しい話は出来ないけれど、
その内容は、今に流されてばかりの女にとってショッキングなもの。
けれど、私の心はそれをちゃぷんと沈めて、
気付けば、静かに、柔らかく凪いでいた。
―― 暫くして、また、ペンを取った。
うまく言葉に出来るか分からないけれど、
思ったことを素直に、伝えられるように。
撫子柄の便箋に、静かにインクを垂らした]
ウェルシュさま
お手紙、お待ちしておりましたわ。
つい、宛名をフルネームを書こうとしてしまって、
今はおなじ姓なのだわ、とうっかりしてしまいましたの。
私は、憧れだった彼の人のご成婚を知りました。
けれど、憧れは憧れで、今もまだ憧れであり続けているのですけれど、
きっと、また、違う感情だったのですわ。
情緒の落ち着かない困った女と思われるかしら?
けれど、女ってそういうものなのだと、諦めてくださるかしら。
…なんて、私も、調子に乗っているみたいですわ。
貴方の、いのちのお話。
お話ししてくださって、ありがとうございます。
事情を知らず、軽率に尋ねてしまったこと、どうかお許し下さい。
貴方も、短い命だとは限らないのですわ。
運命なんて、分からないですもの。けれど、
もし、"そのように"なってしまわれても――
どうか、私を不幸だなどと思わないで。
私は、貴方と、結ばれたこと、無駄だとは思いません。
貴方と私の幸せを、これから作っていきたいと思っていますのよ。
共に暮らせる日が早く訪れることを、首を長くして待っていますわ。
貴方の妻、オクタヴィア
追伸.
アデルさまに、お星さまの貝殻をふたつ、頂きましたの。
どうも、ウェルシュさま宛だったみたいなのですけれど、
心当たりは御座いますか?
親愛なる アデル殿へ
間が空いたことは気にしないでほしい。
本音を言えば寂しくもあったが、病床と聞いてそんな考えは吹き飛んだ。無理はしてはいけない。今は健やかなようで、安心したよ。
どうか、次に顔を合わせる時には、元気なアデル殿でいてほしい。
その時には既に成婚していると思うと、不思議なものだね。
共に過ごせるようになったら
星や、月や、太陽や、――君の知識も、君自身のことも
たくさん、話して聞かせて欲しい。
私も今までの人生を語ろう。
互いを知り、互いを受け入れられたら、とても素敵だ。
然程時間はないけれど、私も女を磨くとしよう。
私の花婿さんの隣で、輝かしい月の如し花嫁であれるように。
君の伴侶となる ラートリーより
[相変わらずの古びた羊皮紙には、
淡く、ローズマリーの香りが染み込んでいた。
その花には結婚に因むお噺があることを、
ラートリー自身が知っているのか否かは、わからずとも。]
親愛なる友 ベルティルデへ
男女間の手紙というのは、やはり緊張するものよな。
弟の友の手紙が私に間違って届き開封したら、私の噂をされていた、なんてことも、今では笑い話だよ。
さて、もしかしたらそろそろ成婚の時期が近づいており
私が先か、ベルティが先かはわからないが、
手紙をやり取りできなくなるかもしれない。
こんなことを書くのは照れくさいけれど、
君は――ベルティは私にとって大切で、大好きな友人だ。
好きの安売りはしないからな!
私の友愛をありがたく受け取り給え。……なんてね。
私たち、それぞれが幸せになって、
お互いに幸せのお裾分けをして、もっともっと幸せになれる。
そんな未来に思いを馳せながらね。
それじゃあ、また。
ラートリー・アンダースン
…『レディ』ってあらためて文字にして綴られると、なんか違う気がする。
でも早くない。早くない。
あの話…言われた時は、受け入れられなかった。
『なんで領民たちと同じじゃダメなの?』って。
でもね、領民たちみんなを愛する権利や義務や責任が私たちにはあるって、だからこれは私たちにしかできない経験だって考えたら…なんかストンと落ちた。
恋は、してみたいけど…でも、それは貴方が教えてくれるのでしょう?そう信じてる。
だからお転婆娘じゃないってばぁ!!
これでも、音楽全般とダンスはできるのよ!リュートのセッションとか、どうかしら?
…………花なんか、いらない。『王子様』じゃなくても、いい。
花なんかよりもほしいもの…ここにあるんだもの。
[どう表せばいいのかわからず、こんな書き方ではあるが。花も『理想の王子様』も求めぬとする少女の想い。
―男には伝わるだろうか。]
ディーダー・ドゥカス殿
やあ、ごきげんよう。
理想の夫婦については、きっと女同士だから伝えてくれた部分もあるのだろう。なんといっても、ベルティとは親しき友だからな。
気安くという言葉に笑ってしまった。
そうだな、私と違ってベルティは淑女だから、
最初は恥じらいもあるだろうし。
けれど凛として立派な女性だ。
すぐに、打ち解け、笑い合えるさ。
お祝いの言葉もありがとう。
アデル殿とのロマンスは、年の差ゆえのときめき、
……いや、書いていて恥ずかしくなってきた。
詳しくはいつか式典などで自慢しよう!
お会いできる日には、直接二人に祝福を贈ろう。
ラートリー・アンダースン
[あの手紙はもう彼女に手元に届いた頃だろうか。
手帳の暦を見て、また一週間が過ぎてしまった事に気付く。
形式上は夫婦となったものの、
忙しさに翻弄され未だ、会う事が出来ては居ないのだった。
そのうち愛想をつかされてしまうのではないか。
そんな事を思いながらも、
無理やりにでも時間を作って会いに行こうとしないのは、
あの告白をどの様に受け止められるのが怖い
という気持ちが何処かにあったのかもしれない。]
[木枯らしが窓をがたがたと鳴らすと、
部屋まで揺れているような錯覚を起こした。
頂き物のお茶に、口をつける。
何時も飲んでいる紅茶とはまた違った味わいで。
少し飲んだだけで、体がぽかぽかと温まるのだった]
異国の、としか書かれていなかったけれど。
どのくらい、遠くなんだろう。
何時か旅行にでも行ってみたいものだなあ…
[その時には、彼女と。
異国だけでは無く、この国をあちこち廻ってみるのも悪くないだろう。
…そんな気持ちになるのも、きっと、
誰かを強く意識しているからなのだろう、と、思う――]
/*
会いたい
会いたい会いたい
会いたい会いたい会いたい
会いたい会いたい会いたい会いたい
会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい
会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい
ぐらいの気持ちがあってですね、
でも会えないから何とか整合性をつけるのに必死で…
エネルギーがそちらに持っていかれてしまう ヾ(:3ノシヾ)ノシ
[羊皮紙にペン先を引っ掛け、悪筆のサインを綴る。
うららかな真昼の陽射しの中でも、肌寒さを覚えるようになった。
やがて訪れる冬は、今年も北方にとって厳しいものとなるだろう。
貯蔵に、凍結される街道、川の恵みは減り、雪が降る。
まだ暖かい海に面している為、山岳領よりは過ごし易いものの、
第三領から買い付ける燃料費は毎年莫迦に出来ない。]
…お、噂をすれば。
[悩みの種であるが、第四領には良い鉱山が無いので仕方がない。
そんな思考を巡らせていれば、公私入り交じる手紙の山の中に、
そろそろ見慣れた名前を見つけた。]
――――…ん、鶏か…?
[だが、封を切ると、自身の眉は困惑のカーブを描いた。
デリカシーに欠ける言葉を吐いて、視線を滑らせ、羽ペンが閃く。
小さな鳥籠に、書き足すのは開いた扉。
シンプルながら、分かり易い解の一筆。]
……どいつもこいつも。
俺は不器用じゃねぇよ、――― 今回だけだ。
[言い訳にも弁明にもならない声を、紙面の二羽だけが聞いていた。]
[絵心なんてない男は、扉を書き足した手紙に花を押した。
小さい花、細い花、黄色い花、白い花、青い花。
鳥籠の中を巡る小鳥を導くように並べたのは、
第四領でよくみられる野草ばかり。
宮廷で王子が片膝を付いて姫君に求婚する為の薔薇でなく、
貴族が美しい娘の気を惹く為に束ねる百合ではなく。
ありのまま、自身が心揺れた花々で手紙をずっしりと重くする。
愛の言葉は知らないし、子供との付き合い方も知らない。
ただ、天真爛漫で屈託のない彼女に、
冷たいだけの結婚だと思われるのが嫌だった。]
[ただの一筆も綴れないのに、雄弁な花々が騒がしい。
封筒の中にも、遅咲きの銀木犀を沢山詰めて香りを移す。
その花言葉など無骨な男が知る由もないが、
案外間違って居なかったのは、きっと運命とやらの思し召し。
解答を足した手紙を封筒にしまい込み、封蝋を捺して。
最後は悪筆で綴った彼女の宛名に、
――― 少し躊躇い、頭を掻いて、周囲を見渡し、呼吸を整え。
引き寄せた手紙へ、秘して静かな接吻を翳した。
彼女へのエスコートを願い出るように、恭しく。]
[らしくないことをしていると、自身の行動を振り返り、
誤魔化すように他の信書を取り上げた。
偶々二通揃って取り上げたのは、此度成婚が決まった両名から。
夫婦は似るものだと言うが、似たもの婚約者でもあるらしい。
つい、微笑ましさに笑みを噛んで、封を切り。]
照 れ て ね ぇ 。
―――…ああ、これはギィが白旗を翳す訳だ。
まぁ、あいつは時々飲み込むから、これくらい察しの良い方が。
[思わず手紙に強張った声を挙げてしまったが、
友人の伴侶は噂通り聡明さを感じさせる女性だった。
それと並べた友人の手紙も、何故か胸が熱くなる。
稀代の色男と噂される友人だが、彼は女性だ。
男のように気安いが、それを間違えたことはない。]
[男女の間にも友情が成立すると思う己は、
その性差を掘り下げたことは無かったが、友の幸せは喜ばしい。
挙句、妙に見透かされているような手紙を貰えば、
ふ、と呼気が漏れた。]
……賢妻を貰うなら、名君になれよ。
―――…ありのままのお前さんで良いんだ。
[口にしてからふと、その言葉が自分に返ってくるようにも思えた。]
身体は心についてくる。
太い腕を持つよりも、お前さんの優しい心が雪を解かす。
―――…真摯に、扱ってやりな。
姐さんはきっと、アレでいて……、結構、乙女だ。
オズ
[成婚間近と云うことで、貞淑を是とする国教に従い、
彼へ対する手紙は短いが、的は射ていると自画自賛。
最後の署名だけは、親交を発露させるよう、
領主としてでなく、友へ綴るように。]
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