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歴史家 ナイジェル は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
元首 カナン は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
王国軍参謀 ギィ は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
ゼファー軍 将軍 バルタザール は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
王国軍部隊長 セルウィン は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
王国軍指揮官 ベリアン は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
ゼファー軍人 フェリクス は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
トルーンの民 カレル は 王国軍部隊長 セルウィン に投票した
ゼファー軍小隊長 ミヒャエル は 王国軍指揮官 ベリアン に投票した
王国軍部隊長 セルウィン は村人の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、歴史家 ナイジェル、元首 カナン、王国軍参謀 ギィ、ゼファー軍 将軍 バルタザール、王国軍指揮官 ベリアン、ゼファー軍人 フェリクス、トルーンの民 カレル、ゼファー軍小隊長 ミヒャエルの8名。
海上に於いては双方の将を乗せた軍船が火矢を射かけ合い、双方ともが焼け落ちる結果となった。互いに一隻ずつの軍船を失った形だが、王国側はこの時まだ戦線に投入されていない軍船を擁している。
陸上に於いては主に二か所で戦闘が行われていた。北側ではゼファーの騎兵が王国軍を一部圧倒するも王国軍は余力を残し、南側では王国軍がゼファー軍を詭計に掛けるもゼファーの軍容を突き崩せず、という状況だった。
この時点で、どちらが優勢と言える者はいなかっただろう。
戦いは日没を迎えてなお激しさを増そうとしていた―――
─── Nigel Buhler 『カーマルグ半島騒乱記』第三章
人は望むと望むまいと道を選び、道の先を目指す。
生まれた時から道を定められているものは幸いだろうか。
或いは不幸だと嘆くのだろうか。
ここに、一冊の手記がある。動けぬ我が身の記、とある。
手記にはつれづれの出来事の他、負担をかけた弟を気遣う文章が書き連ねられている。その筆致は穏やかであり、自身の不幸を嘆く言葉や誰かをうらやむような文言は無い。
ただし、最後のページのみ書体が荒れており、運命を罵倒する言葉が並んでいる。
裏表紙には小さく「望むままに」と記されているが、筆者が何を思ってこれを書き記したのか、我々は想像する事しかできない。
─── Eugen Jessel 『道――この数奇にして動かしがたいもの』
王国軍参謀 ギィは、ゼファー軍小隊長 ミヒャエル を投票先に選びました。
/*
わたくし今回もデフォルトがミヒャエルです。
今回もミヒャエル1人落ちになるのではないかという予想なので、たいそうよろしい。
[ ちなみに、誰かに「剣を差し出す」という行動は、その対象に「忠誠を誓う」という寓意を含む。
史劇などでよく使われる表現だ。
その認識はバルタにはないとみえるが、今、知らずとも問題はない。
「一騎討ち」ではなく「神前試合」とし、彼が敗れれば剣を求めると告げたのは、ギデオンの浮世離れした趣向ゆえの演出というわけでもなかった。
試合は、彼にこちらを認めさせる手立てだ。
認めさせなければ、いかなる交渉も無駄であろうと考えている。]
[ なにしろ、と思考を巡らす。
これほど生真面目な男がカナンを破り元首になっていたなら、海賊討伐の前に王国へ、領域通過の通達くらい寄越したろう。
そうであれば、同盟を結び、合同出兵する道もあったかもしれない。
少なくとも、自分が通達を受ける為政者であれば、それを選んだ。]
──誰が間違えたわけでもないが。
[ 惜しいな、と思う。]
[ 「神前試合」について、バルタが了見したなら、迎えの小舟を出そう。
護衛をどれだけ同伴するかは彼の裁量に任せた。
王国船の甲板には、非番の者らが物見高く集まっているが、まだ人を乗せる余地はある。
ギデオン自身は、船の中央、広く開けられた空間にただひとり立っていた。
祭壇らしきものが見当たらないと、いぶかしまれるようならば、指先を天へ向けて教えよう。]
月の女神があれに。
[ 「神前」というより、「神下」というべきなのかもしれないが、まあ些細なことだ。]
[ それにしても、バルタと直接対決しようなどと思い至ったのは、まさに、暦と狂気を司る月の女神の影響に違いあるまい。
彼を殺してしまえば、ゼファーにマイナスを与えられるが、
生かして理解者になってもらえたならば、王国にとって大きなプラス。
思いつけば、どうしたって後者にそそられた。
ただし、実現に漕ぎつけるためには、彼を武にて屈服させるという最難関が控えているのであるが。]
三本先取でよいかな。
[ 挑む者にしか、運命は肯かない。*]
/*
説明大変ありがとうございます。ギィ様。(反射で様付けしたくなる)
しかしこのこ、そんなに、マトモじゃないです。
むしろ、領有宣言を先にしたかもしんない(´ー`)
― 平原 ―
[号に応じて場が動き出した直後、男は副官に引きずられてやや後退した]
……ああ、すまんね。
で、他はどうなってる?
[けらっと笑って、左腕の手当てを受けつつ、一騎討ちの間の趨勢を問う。
森から出てきた敵の第二波との戦いは、機動力の優位が数で押される、そんな一進一体であるらしい]
……なるほどねぇ……視界的な問題もあるし、ぼちぼちまた入れ替えさせんとまずいかね。
ここで、騎馬を浪費しちまうわけにもいかん。
一先ず、森側を軽歩と徐々に入れ替え。
西側は、もうちょっと持ちこたえさせとくか。
[今後の指示を出した後、ふと振り返るのは先までいた戦場]
……言うまでもないとは思うが。
突っ込んできたあいつらの亡骸は、丁重にな。
[はきとした意志を持ってこの場にあった若者。
その亡骸に無作法を働く事は許さぬと言い含めつつ、ふ、と息を吐く]
……しかし、ホント。
中々、やってくれたよねぇ。
[手当の終わった左の腕を見つつ、浮かんだ笑みは、やや苦い。**]
− 過去 −
[ 二人が出会って4年がたつある日。]
まだ起きているだろう?
入るぞ。
[ ギデオンは声をかけて、ベリアンの部屋へ乗り込む。]
[ それぞれに個室をあてがわれているが、世話係のベリアンとは続き部屋になっていて、消灯時間後も廊下に出ることなく行き来できた。]
ようやく、『諸王伝』の筆写が一段落した。
[ まだインクの香りも新しい羊皮紙を持ったまま、今日、書庫に籠もっていた成果を報告する。]
その中の一節に、こんな物語を見つけたぞ。
──昔、ある森に、神が手慰みに創造して捨てた化物が住み着いた。
近隣の村人たちは化け物を恐れ、土地をおさめる藩主…領主のことだな…に訴え出た。
民の陳情を聞いて藩主は森へ出かけ、化物と取っ組み合いをはじめる。
6夜を経て互いの力を認めるに至った両者は意気投合し、藩主は化物を居城へ連れ帰った。
風呂に入れてやると、なんと、化け物の皮が脱げて、中から勇壮な男が現れたのだ。
人の姿となった化け物は藩主のもと、知識と礼儀を身に付け、両者は力をあわせて国を発展させたという。
二人の友情はいまも語り伝えられている──
なんだか、我々に似ていると思わないか?
あの日、君が涙で魂の扉を開けなければ、自分はきっと人になれなかった。
分かられ過ぎていて涙が出るな。
[怪我の経緯を言い当てられて返すコエは唇を尖らせているような色を纏う。認めたくないが言い返せないということろ。
やれやれと首筋に当てた手が銀鎖に触れた。
先祖伝来の武具を手入れすることもなかった代わりに磨いてきたそれは、今も滑らかな輝きを保っている。
あのとき掴まれた手にこれが乗せられたとき、親父の護符は完成したのだ。きっと。]
[あの時、おとなしく手当をして休んで、翌朝自分と同じくらいあざだらけのリトスと顔を合わせた時には、思わず怒鳴っていた。
なぜ俺を連れていかなかったんだ、と。
彼がどうしてそんな傷を作ってきたかは聞かなくてもわかったし、彼を一人で行かせた自分の鈍さには腹が立っていた。
腹いせに染みる薬草をたっぷり塗ってやったら、同じことを返されたのも記憶に残っている。]
俺たちにはカーマルグの富が必要だ。
[一見脈絡なく、ぼそりとコエを落とす。
貧しいゼファーには、軍から落伍したものを養う余裕はない。
それを作るのが先決だ、といつか話したことがある。]
ここが、第一歩なんだ。
[元首の地位に上り詰めて、最初の会戦。
それがこの後の全てを決めるだろうと感じていた。*]
─ プラメージ王国野営地 ─
[微かな瞑目は数瞬ほどの間か。
開いた瞳に宿すのは信頼の色]
マチス殿。
この拠点の防衛が整うにはどれ程の時が必要ですか。
じきに日が落ちる、闇に乗じての襲撃が無いとも限らない。
私が此処にいるのはギデオン様の意思ではあるが、椅子を温め続けることは望まれておりません。
早急に事を進めて頂きたい。
その確認ができなくては、私も出るに出られませんので。
[目前、不意に黙したこちらを問う様に見る相手へと再度の念押しのような言葉を向けた*]
ゼファー軍人 フェリクスが「時間を進める」を選択しました
ゼファー軍人 フェリクスが「時間を進める」を取り消しました
/*
ちなみに、バルタに送った『波間の月をば奉らん』は元ネタなし。
「波だつ海面に映っている月影をみせてあげるよ」→「船で一緒に美しい月を眺めませんか」or「あなたの心をその月の姿のように千々に乱してあげよう」or「月の映っている海に突き落としてやる」
どの意味で解釈してもOK
武辺者ゆえ返歌はできない、とのことだったけど、お返しの地の文が詩的で美しく、とても嬉しかったのだよ。
─ 過去 ─
どうした。
[>>=0ギィが消灯を過ぎても構わず入ってくるのは慣れたものだが。
その理由は時に応じて様々だったが、今日は朝から籠り切りだった書庫での成果報告のようで]
確かに似ているっちゃ似ているか。
初めて会った時のお前は、得体が知れなかったからな。
手慰みって所だけなら俺の方が化け物の立場だが。
[軽く笑いながら、>>=1ギィの言葉に頷きを返す。
吐き捨てるような物言いすらしない所で、家へと感情を抱くことすら好まないと透けて見えるかもしれないが]
あぁ。
義母殿のお気持ちが、ようやっと整ったようでな。
思えばあの人も気の毒な人だ。
あの男の身勝手に振り回されて、子を望んでも与えられず。
夫と似ても似つかない、夫の血を受け継ぐ俺を世話せねばならんのだからな。
[一度会ったきり、形式上では母親とされる女の事を言う時だけは。
たしかな憐憫を忍ばせた、苦笑を零した*]
― 平原 ―
[セルウィンが逝ったあと、アイツと一緒にいた兵たちが武器を構えた。
アイツに殉じるつもりなのか、意地を見せるつもりなのか、戦うつもりらしい。
帰って、セルウィンがどんなふうに戦って死んだのかみんなに伝えるのが役割じゃないのかと思ったけれど、アイツと一緒にいた兵だ。きっとアイツに似てるんだろう。
その戦いに加わる気もせずアイツの横に近寄った。
最期になにを考えていたのかなんてわからないけれど、死に顔は意外と安らかだった。
多分同じくらいの年の王国の将。
一人取り残されたオレへの攻撃を止めさせたのは何だったんだろう。
エールを送り合ったみたいな会話を思い出す。
こいつがゼファーに生まれていたら、なんだかんだつるんでたかもしれないな。
なんて、ちょっと思った。]
[兵が来て、亡骸を運ぶと言ったから手伝った。
アイツの盾は小さいからゼファー流に盾に乗せて運ぶのはできなかったけれど、できるだけ丁寧に。
隊長がそう指示したらしい。
一騎打ちで隊長とあれだけやり合ったんだ。
やっぱりすごいやつだったなあ、なんて思い返して。
戦場から外れたところに寝かせて、マントをかけてやった。]
一度、おまえとやり合ってみたかったなぁ。
結構いい勝負になったと思うぜ?
[話しかけて、短い祈りの言葉を投げる。
あとは、振り返らずに駆け出した。
オレも、そろそろ戦場に戻らないと。*]
― 狭間の世界 ―
……うん……?
[混濁し、霧消した意識が、再び形を取り戻す。
苦痛も、地に縫い止められたような体の重さも今はなく、まるで泡のように頼りなく浮かんでいるような心地だった]
ここは……。
いや、俺はどうなった……!?
[慌てたように周囲を見回せば、自身が最期の戦いに臨んだ場とほぼ変わりない光景があった。
木々の梢が頭上でなく、目線の高さにあることを覗いては]
[ありもしない唾を呑み、覚悟を決めて真下を見る。
予想通りそこには、地に伏して動かない自分自身の体があった。
死の淵から生還した兵の話も聞いたことはあるが、あの手練れの軍人が、致命の一撃を加えたことは明白だった]
…………。
[自らの死を認めたせいだろうか、今際の際に聞くともなく聞いていた言葉を思い出す>>2:132]
/*
歴史家
想いは届いた(とは言っていない)
「望むままに(生きた)」
「望むままに(生きられなかった)」
「望むままに(生きて欲しかった)」
さあどれだ!
定められた生き方、か。
[戦う事を望み、望まれた者。
定められた義務としてこなす者。
そして初めから、そうあるべきとされた者。
幾つもの邂逅の果て、最期に相見えた敵が語るのは]
しかしその先に、己の在り方を見出すこともある――か。
[それを知った所で、何が変わるものでもないだろう。
生きて何かを為すことなど、もう既に叶わない]
[ただ、自分を打ち倒す相手が、そうであったらいいという答えを、最期に得られたのだと思う]
─ 過去 ─ =4
[ ベリアンが神殿へ送り込まれた理由は、とうに耳に入っていたが、当人の資質とはまったく関係ないところで憎愛劇に巻き込まれて邪険に追いやられた、というのが妥当だろう。
だが、それをベリアンは「神殿に保護された」とみなしているようであった。
今も、幼い彼をそんな目にあわせた義母のことを、憐みを持って語るのが、ベリアンという人間なのだ。]
君はどうして、そんな気の回し方ができるのだろう。
[ しみじみと呟いた。]
[一時の静寂を打ち破ったのは、己が率いて来た精鋭兵だった。
――敢えて、戦い抜けとは言わなかった。
生きてこの先も戦うことこそ誇りと断じるなら、退却を選んだとしても責める心算はなかった]
[しかし彼らは、剣を取ることを選んだのだった。
対するゼファー軍は、礼を持って応じる――全力を持っての相対で、それに応えると宣言した>>2:134]
[決着まで、そう時間は掛からなかった。
見守ることしか出来ぬ身は、幾度届かぬ叫びを上げ、斃れる者の名を呼んだことか。
それでも、目を逸らすことだけはせず。
戦士が戦い散る様を、血の一滴たりとて見逃さぬよう、食い入るように見詰めていた*]
別に、家に帰ってやりたいことがあるわけでもないんだろう?
ここに残るという気持ちはないのか?
[ 要するに、一緒に居たいと訴えてみる。*]
/*
王国側だいぶ人数減らしてるな?
うちはどれくらい減ってるのかなぁ。
うちの部隊は100も減ってないんじゃないかという気がしてるんだが。
― 平原南 ―
[相手方の盾をこじ開けようと槍を繰り出せば重なる盾がそれを阻み。
号令が上がると一斉に動き出し槍を繰り出してくる。
護るばかりではない動き>>2:137は流石ゼファー兵と言ったところか]
硬いだけじゃないとか、ホント厄介だね。
[四方を囲む盾の壁を突き崩すには一辺からの攻撃では到底叶うまい。
かと言って、近くまで来ている別隊が別の辺を突いたところで、突き崩せる確率が飛躍的に上がる、なんてことはないだろう。
策を弄する必要がある]
[指笛で、ピィー・ピッと音を響かせる。
近付く別隊に北から接敵するよう指示する音。
レイモーン達がお互いの位置確認する時の音を応用したものだった。
北西から近付く別隊が指示に応じてゼファー兵の北にあたる位置で隊を一度止めた。
カレルもまた義勇兵数名と共に、四方に盾壁を作るゼファー兵を大きく迂回するように駆けて別隊と合流した]
ご苦労様です。
こちらももうしばらく戦闘に参加します。
[その旨を伝え、戦況を掻い摘んで説明する]
篝火の設置はこちらに任せてもらってもいいですか?
今日は月明かりが綺麗でしょうから、篝火は少なくても良いと思います。
余った材料を使わせて欲しいんです。
[別隊が運んできた篝火の設置について、考えていることを伝えて明け渡してもらう。
共に来た義勇兵がそれを受け取り、その場で設置の準備を始めた]
ゼファー兵は四方を固めていますが、北と南から挟み込んで牽制します。
堅固な上に一糸乱れぬ攻撃を仕掛けてきますが、何とか耐えてください。
それと、弓兵をお借りできますか?
[この布陣では矢を射るにも苦労するだろうから、と。
今考えている策の手伝いをしてもらうために別隊の弓兵を借り受けた]
先ずは東西に篝火の設置を。
残りの材料をこちらの指示通りに加工してください。
[借り受けた弓兵を率いて、先ずは篝火の設置に入る。
篝火の燃料は短い木材だ。
着火をしやすくするための油も用意されている。
そして、篝火に火をつけるための、火種。
カレルはそれらを使って足りぬ兵力を補う心算だ]
[別隊が到着したことでカレルの隊も意気を上げる。
ゼファー兵が堅陣を保つ間は牽制するように槍を捌き、攻撃に転じた時を狙って槍をゼファー兵に届かせようと振るう。
それにより傷つくものもいたが、カレルの準備が出来るまでは、と少しでも相手を削ろうと奮闘していた*]
[戦いの最中、倒れた自分の方へ近付く人影があった>>11]
ミヒャエル……?
[数少ない、互いに名乗り合ったことのある敵の軍人だった。
何を思っているのか、心までは読むことは出来ないらしい。
ただ、兵士らの亡骸を扱う手付きは丁重であり、彼もそれに倣うようにマントをかけてくれた>>12]
――そうだな。
[一度やり合ってみたかったと。
語り掛ける声に言葉を返す]
"いい勝負"を……したかったよ、俺も。
[声なき声が言い終えるよりも早く、ミヒャエルはこちらに背を向ける。
それっきり振り返らず駆け出す背中を、その場に浮かんだまましばし見送った*]
[レイモーンの指笛を練習したのは、戦闘訓練を行っていた時と同じ。
合図に色々パターンがあるため、これで合図を出せば良いんじゃないか、と班を率いれる者達は皆指笛を習った]
セルウィンさんも覚える?
[指笛の練習しているところに現れたセルウィンにそんなことを言ったことがある。
訓練の合間にはトルーンの名産についてや、どんな生活をしていたかを話したこともあった]
トルーンに戻れたら遊びに来てよ。
色々案内するよ。
[「そうだよ、皆で来てよ」「美味いもん用意しとく!」「漁体験してみる?」などなど、仲間達もセルウィンを誘っていたことは記憶に新しい、けれど。
その約束が果たせなくなってしまったことを、カレルはまだ知らない*]
― 平原南 ―
[陣の一角にあって、自らも敵兵の槍をさばき、時には相手の槍を奪って使い捨てに突き返したりもする。
その間も、戦況に目と耳を澄ませていた。
北西に現れた敵の新手が、北側で隊列を組んでいる。
挟撃の構えとみて、凶暴に笑った。]
直属隊、用意!
[剣を掲げ、号令を発する。
復唱の声が次々と連なり、陣全体がある種の緊張感に包まれる。]
続けー!!
[雄叫びと共に吶喊すれば、直属の部隊が間髪を入れず追随する。
守勢から攻勢への一瞬の変化は、日頃の鍛錬のなせる業。
挟撃が完成する前に南の部隊を崩すべく、元首以下、直属の部隊が突撃を敢行する。
一方、後ろ半分にいたクレメンス隊は隊列を再編して北側への守りを固めつつ、じりじりと後退しはじめた。*]
/*
個人的には、何仕掛けてくるのかなって待ちたい欲もあったんだけれども、まあ、おとなしく挟撃されるのを待つこともないよね。
[ 剣を君主に捧げて忠誠を誓うという習慣は、ゼファーには無い。
ゼファーの市民は全てが戦士であり、その忠誠はゼファーそのものに捧げるものだからだ。
元首も長老すらも等しく一戦士であるというゼファーの体制は、究極の平等主義であると同時に、戦士として生きられぬ者、他の生き方を願う者を許さない、個としての有り様を、絶望的に制限するものでもあったが…ともあれ、男の思考の中にも、剣を捧げるという意識など無いというのは、王弟の見込みどおりだった。>>3
勝者は、敗者の生殺与奪の権を持つ。故に武器を奪うことも当然、という、単純な理屈である。 ]
承知した。
[ 故に、ギデオンからの返答 >>2にも、特に疑念抱かず、了承を返し、王国の軍船への招きにも躊躇無く応じる。 ]
[ 女神の加護を噂され、その噂を、自ら利用すらしていると見える王弟が、神前という言葉を使ったからには、謀殺の危険は薄いだろうとは感じたものの、敵地に裸で乗り込む程に、男は無謀では無かった。
護衛に制限をつけぬと聞けば、志願者から8人を選び、槍持ちの少年兵を加えた10名のゼファーの戦士が王国の旗を掲げる船へと、乗り込んだ。 ]
ここで試合を?
[ てっきり、どこかの小神殿にでも連れて行かれるかと思いきや、誘いの果てに、男を眼前に呼び寄せるに成功した王弟は、月下の船上を月の女神の神前であると、言い放つ。>>5 ]
[ 月の光に照らされた白皙に、船の篝火が微妙な陰影を与え、女神がその光の腕で愛し子を抱きしめるかの幻想すら抱かせる。 ]
(この男は...)
[ 敵の頭を落とせば、戦の終わりを早める事が出来る。
その考えに、男は初めて疑問を抱いた。 ]
[ 目の前の男は、生きて英雄となり、死すれば神話となってさらに永劫を生きる、そんな運命を持つ者に見える。
だとすれば、ここで彼を殺しても、それは、望む終結を導きはしないのかもしれない、と。 ]
三本、か。
[ 僅かに揺らぐ心を引き戻したのは、ギデオンの声>>6 ]
[ そして、カナンのコエ ]
ああ、カナン。
その通りだ。
俺達は、勝たなければならない。
いや、必ず、勝つ。
[ 何をもって勝利とするのか。それを心に問い直しながら、想いは揺れる事なく、誓いを重ねる。 ]
[ 普段の男ならば、一本勝負をと、望んだだろう。
試合といえど、刃交わすならば、真剣の一度で事足りる。そう考えるのが常だからだ。
それに、この試合自体が、時間稼ぎを兼ねている可能性は、未だ捨ててはいない。
...けれど ]
二本先取、では、如何か?
[ 交わす刃で、何かを語ろう、と、この男が望んでいるなら、今一度だけ、それを聞こう。
カナン以外の者に勝利を譲る気は、欠片も有りはしなかったが。* ]
─ 過去 ─
[己の境遇は傍から見れば厄介払いでしかないだろう。
その上で今更呼び戻すなんてのが身勝手だと思うのは、当然の感情だとを理解はしている。
>>=6目の前の友が納得いかないだろうとも、問わずとも伝わってはいるのだが]
ただの事実の羅列だから、気回しではないな。
おふくろも義母殿も、誰が悪い訳でもない。
男の身勝手に振り回された、それだけの話だ。
[どう考えても己の生母は弱い立場だった。
身分の高い男からの寵愛を拒むことも出来なければ、子を産まない事も、手元に残すことも選ばせてはもらえなかった。
義母だって、自分で子を産みたかったはずだ。
明確に産めぬ年になって、ようやく受け入れる他無くなっただけだろう]
家に帰ってやりたいことか。
以前は無かったが、気が変わった。
[>>=7ギィからの問いかけに、前を見たままに笑みを変える。
確かに神殿にきたばかりの頃は何も望みは無かった。
神殿で得られるものを得たら出奔でもしてやろう位の気でいたけれど]
お前がただのティノスであったなら、俺もメランで居ただろうけれど。
この神殿から一歩外に出れば、お前は王族、俺はただの異国の血を持つガキだ。
お前の側にいることは出来るかもしれないが、今のように近くは在れない。
[そう言って、目の前の友を瞳に映し]
だから、俺は地位を手に入れたい。
王族の側に在り、意見をしても不敬ではない高さまで。
それを俺が手に入れるには、あの家に入るのが一番手っ取り早い。
だからな、ギィ。
お前という翼が自由に羽搏く未来の為に、俺は一足先に此処から自由になろうと思う。
[この答えで、己の想いは友にも伝わろうか*]
/*
カレルはなー。
最終日まで生き残った方が話はまとまる気がするんだよなー。
なにせ、英雄相手にやるような問答をやっちゃったからなー。
希望ある未来にカレルは欠かせないと思うよ。たぶん。
─ 平原/盾兵部隊side ─
[目の前、繰り広げられた一騎打ちは賞賛などと悠長なことが出来ようはずが無かった。
合流した際若い隊長に向けた忠告はこうなる事を懸念したもの、出来るならば阻止したかったけれど制止出来るものでもなく。
だからせめて、最期まで目は逸らすまいと彼の胸に敵の槍が突き立てられるまで見届けて。
同じく部隊長の死を見届けた>>2:133彼の部下たちが揚げる喊声に、彼らの意志を汲み取って]
『我々もこのまま戦線に加わり続ける。
彼の隊長殿の命令遂行が、すなわち我らの受けた命の遂行となる故な』
[自分達が受けた指示は、セルウィン隊の援護だ。
彼らを帰還させることこそ自分達の使命だと、迫る槍、鉄の刃を少しでも防ごうと盾を掲げた*]
久しぶりだ、将軍。
[ 旧知であると、周囲に知らしめるかの挨拶をし、高い位置にある肩を見上げる。
試合形式について、二本先取でと提案を受ければ、一拍の間を置いてから、諾と返した。]
では、そのように。
[ 相手の動きに順応する時間が減るのは難だが、比我の持久力を鑑みれば、長期戦は辛いのも確かだ。]
[ 右手に淡い黄金色の青銅剣を持つ。
対になる一本も腰に下げてはいたが、抜かないままだった。
左手は剣でも盾でもなく、肩に留めた領巾の一端を握っている。
舞装束のような柔らかな動きをみせるが、使い手の技量次第でそれは鞭とも紗幕ともなろう。
防具は前腕と脛を守るものと胸部のみ。
俊敏な動きに比重をおいたものだった。]
いつなりと。
[ ギデオンが何を考えて「神前試合」を執り行ったかなど、後世の歴史には伝わるまい。
現場に立ち会った兵らにすら、わかっていないのだから。*]
― 平原 ―
[北側の戦線を離れて、置いてきた部下たちがいる西側に戻る。
北側は一進一退というところだったけれど、こっちは膠着状態というのが近いだろうか。]
おーい。大丈夫?
[仲間に声を掛ければ、みなが駆け寄ってくる。
「たいちょー!」「ゼノンがやられた!」と報告してくる声に眉を下げたが、重傷だが命は無事だと知れば頷いた。]
そっか。
ゼノンのためにも手柄を立てないとな。
[気合を入れ直して槍を握る。*]
― 平原南 ―
[手の動きで自隊の義勇兵と弓兵を呼び、篝火の設置と下準備を行っている最中。
自隊が布陣している南側で動きがあった]
!!
[カナンの号令により動き出す、ゼファー兵による突撃>>21。
その攻守切り替えの早さに南側を護る兵達は驚いていた。
盾を翳し、突撃を防ごうとする盾兵と、攻撃することで勢いを削がんとする軽歩兵達。
激しくぶつかりやや押されていくのをカレルは側面から見た]
「カレル、拙いよっ…!」
落ち着いて!
彼らを信じよう!
準備を急いで!
[動揺が走った義勇兵の仲間を叱咤し、策の準備を急がせた。
篝火が用意出来れば着火し、薄暗くなってきた辺りを照らし出す。
薪に布を巻き、油を染み込ませてたものを何本も作り。
小さな革袋と少し大きめの革袋に油を入れて、数名の義勇兵に持たせた]
[そうしている間に北の隊列が整い、未だ守勢のクレメンス隊を攻撃し始める。
後退し始めるのに合わせ前進しながら槍を繰り出すが、南側のことがあるために警戒を強めながらの攻撃となる。
隙あらば突き出された相手の槍を掴み引きずり出そうとする剛の者もおり、それが叶えば引き合う状態で周囲が攻撃を繰り出すことになるだろう。
尤も、それは相手が攻勢に出ればの話だ]
[ゼファー兵の突撃に遅れて完了した準備を手に、カレル達義勇兵は東西からゼファー兵へと向き直る]
投擲!
[カレルの号と共に東から投げ入れられる、油の入った革の小袋。
放物線を描く小袋の口は緩く結んでいたから、盾か鎧にぶつかれば、中身をぶちまけることになっただろう。
当たらず地面に落ちたり、槍で往なされたとしてもそれはそれ。
次手の助けにはなるはずだ]
王国軍指揮官 ベリアンは、ゼファー軍小隊長 ミヒャエル を投票先に選びました。
点火!
[再びの号に、義勇兵達が加工した薪に火をつけ始める。
東でいくつもの火が灯れば、西でも同じように火が灯っていった]
いけぇーー!
[カレル自身も薪に火をつけ、号ともつかぬ叫びと共に薪をゼファー兵へと投げつける。
それに倣い、煌々と灯る火が次々と空を照らしながら放物線を描きゼファー兵へと向かっていった]
[投げつけた火だけでは大した威力にはならないだろうけれど。
先に投げつけた油に引火したなら、喩え鉄であっても油が残る部分は燃え始めるだろう。
油が地面に落ちていたなら、足元から火の手が上がることになるはずだ。
僅かでも火の手が上がったなら、少し大きめの革袋を持った義勇兵が、ギリギリまで近付いて追撃の油を撒くことになる*]
/*
ちくしょう!今日落としてくれても良いじゃないか!www
残念、次回に持ち越し。
でも次辺りフェリクスも落ち狙ってんじゃないかっていうあれでそれ…。
[2人落ちになれば問題無いけど]
元首 カナンは、ゼファー軍小隊長 ミヒャエル を投票先に選びました。
トルーンの民 カレルは、ゼファー軍小隊長 ミヒャエル を投票先に選びました。
ゼファー軍小隊長 ミヒャエルは、ゼファー軍小隊長 ミヒャエル を投票先に選びました。
/*
落ちる時はカナンに一騎打ち申し込みたいなぁ、とか無謀考えてる僕ですw
そろそろ義勇兵達にもドンパチさせたいにゃあ。
何人かは流石に死なせないと(
[どう言う理屈]
─ 過去 ─ =8
[ ベリアンが語った未来戦略を聞いて、動悸がおさまらない。]
君は、 ああ… まったく、もう
[ 胸に抱え込んで、髪の毛をくしゃくしゃにしてやろうか。
それくらい、我慢ならず高揚していた。]
ゼファー軍人 フェリクスは、ゼファー軍小隊長 ミヒャエル を投票先に選びました。
自分は、ずっと神殿に引きこもって暮らしていられればいいと思っていた。
[ 兵役があるから、そうもいかないのだろうし、外での自分の立場は、ここでのようなものではない。
けれど、ベリアンが、足元を固めて待っているのなら、大丈夫だと確信できた。]
君はふたたび、ぼくを新しい世界へ連れてゆくらしい。
[ 楽しみでならない。]
明日は、新しく建築する礼拝堂の礎石を配置する。
君も手伝え。
[ その礎石のどこかに、ティノスとメランの名を並べて刻もうと考えていた。
二人がここに生きた証と、そして、この地を去っても魂が離れることはないという宣誓だ。*]
― 平原 ―
[手当てが終わった所で、上がってくる戦況報告を聞く]
西側は相変わらず……か。
そろそろここ、ぶち抜きたいんだが。
[西の戦線、敵部隊を率いる者の秘めた想い>>26は知る由もなく。
けれど、その真摯な願いは、駆ける若者たちに道を開くやもしれず。
それ自体は彼ら自身の天命が定める所だろうけれど]
そういや、ミヒャエル隊は?
[ふと思い出して問いかけると、どうやら一騎討ちの間近くにいたらしい。
セルウィンの亡骸を下げる手伝いをした後、西側戦線に戻った、と聞くと、息を吐いた]
まー、ウチにいた頃から、じっとしてない奴だったが。
[そこは変わらずか、とこぼす声音には苦いもの]
それ故の強さはあるんだが……ちったぁ落ち着かんもんかね。
[思わずぼやくと、昔の大将そっくりですよね、なんて突っ込みが副官から飛んできて]
だーから、心配なんでしょ。
どこまでもすっ飛んでく奴は、痛い目見てぎりぎり止まれるか、そのまま逝くかのほぼ二択なんだから。
[突っ込み自体は否定せず、ぽろ、と落としたのは案ずる理由]
手柄に逸って、コケなきゃいいんだが……ま、ここらは当人に任せにゃならんしな。
……で、森側は。
交代の方は、どんな感じ?
[他方、交代を命じた森側の様相を問う。
戦況は一進一退のまま、交代の際の空白を突かれ、負傷した者も少なくない、との報にやれやれ、と息を吐く]
騎馬が傷を受けた連中は、槍歩兵として再編する。
……初手でも結構食らったからな、馬狙いは。
[それを指揮した若者の事に意識が飛ぶのは一瞬]
さあて、と。
向こうはこっちの体力削りに来たいようだけど。
……それに付き合い続けるのも限度があるし、ねぇ。
[どこかで、一気に仕掛ける必要はあるだろう。
そして、それをなすならば]
……よし。
……森側の交代が終わったら、西に食いつく。
ここで消耗戦に付き合うのも、時間の無駄になるからな。
性に合わんし。
[さらり、付け加えた言葉と共に浮かんだ笑みに、副官が、でしょーねー、と軽い口調で言葉を返した。*]
承諾、感謝する。
[ ギデオンの了承を得ると>>28男は少年兵から槍と兜を受け取り、代わりに自身の背に負っていた盾を外して預けた。
兜は鉄製だが、額と頭頂だけを覆う形のもの、槍は使い込まれた事が一目で分かる磨き抜かれた鉄槍。
鉄板を打ち出して作られた胸当ての肩には、男の瞳の色と同じ青灰のマントが留められている。 ]
[ 男が、両手で握った鉄槍の柄を一度、強く甲板へと打ち付けると、背後に陣取ったゼファーの歩兵達が、応じて、ダン、と足を踏みならし、一斉に盾を甲板に立てて膝立ちの姿勢を取った。
威嚇のようにも見えたかもしれないが、正当なる試合に手出しはしない、という、意思表示の動きだ。 ]
参る。
[ 低い宣と共に、男は甲板を蹴り、跳躍しながら握った槍を右から叩きつけるようにギデオンの胴目掛けて揮った。
重装歩兵の常識からは外れた、速攻といっていい動きは、かつて
確か、初手は驚かせた方が、大抵勝ち、とか、言っていたはずだ。* ]
ゼファー軍 将軍 バルタザールは、ゼファー軍小隊長 ミヒャエル を投票先に選びました。
― 過去 ―
なんだ。
ここから出たらそれまでのつもりだったか?
[>>=11何か云いたげな顔に、この先も共にあると思っていたのは自分だけかと過ったが。
続いた言葉に、ギィの目が外に向いていなかったことを知らされた。
それに浮かべたのは、柔らかな苦笑]
お前こそ此処には留まれまいよ。
お前の望む望まないに関わらず、周りが放っていてくれない。
女神の加護を受けし者、だからな。
[その信憑性など構いもすまい。
友の見目、能力ともに神殿で腐らせるのを許すほどこの国が無能とは思わない]
新しい世界に連れて行くのはお互いに、だな。
お前の翼を支える俺を、お前の翼が運んでくれる。
そうだろう?
[そう言って笑うと、続いた言葉に頷きを返して]
なんなりと。
[外に出ればきっとこうなろう、と。
恭しく頭を垂れて応じてみせた*]
/*
フェリクス宛捏造は、会えないもだもだがこう、凝縮してるっていうか、そんなやつ。まじでエピまで他とは会えないかもだなこれw
セルウィン追悼をなんとかしたいんだが、どうしよう?
― 回想 ―
[トルーンの町は、プラメージの中でも端の方――端的に言えば、田舎だった。
首都防衛から僻地の任務に飛ばされたと不満に思う者もいたが、現地の人々と生活を共にし語り合えば、自ずと愛着も湧いてくるものだ]
[カレルから誘いを受けた>>19のも、そんな時期の一幕だった]
俺はいい。
合図の仕方なら、プラメージ軍式があるからな。
[硬い口調で辞したが、その実、最大の理由は、指笛を吹く自分というものがどうにも想像がつかないものだったからだ。
自分とは何かと正反対の兄に、音楽の才というものも軒並吸い取られてしまっている。
練習中の姿など、とても見せられたものではない]
[しかし、ふと脳裏を過ぎった顔に、考えを改めた]
いや……やはり教えてくれないか。
相互理解の一環として、だ。
[口調こそお堅いが、要は兄に聞かせてやりたいと思ったのだった。
上手くは吹けないかもしれないが、それに纏わる土産話は喜ばれるだろう。
あまり家から出られない兄は、自分が遠出から帰った時には、よく話を聞きたがった。
兄に比べ口下手な自分の話に、それでも熱心に耳を傾けてくれていた]
[いつか町を取り戻せたら。
次々と歓迎案を繰り出す義勇兵に、セルウィンはいつになく柔らかく微笑んだ]
そうだな。
――連れてきたい人がいるんだ。
[町に平穏が戻り、自身も兵役を終えて、僅かでも自由な時間が出来たなら。
兄を連れて彼らの町を訪れるのもいいだろう。
かなりの遠出にはなってしまうけれど、兵役開け祝いの名目で、少しばかりの無茶は通させてもらう]
[そうして交わされた約束が叶うことは、もう、ない**]
― 平原南 ―
[南への突撃は、完全に押し切るとはいかずに必死の形相の兵らによって止められた。
先ほどまでよりも熾烈な攻撃が双方を往還する。
そのさなか、飛んできたものを斬り払った元首の腕に、生臭い液体が掛かった。]
…油――― 火か!
[飛んできた方角を見れば、次々と灯る赤い点の群れ。
夜空に輝線を引いて飛来する橙色が隊列に飛び込めば、たちまち各所で火の手が上がり、悲鳴が重なった。]
三列までは戦線維持!死んでも戦え!
後ろのものはマントを外して火を消せ!
[自らも右手を炎に包まれたまま号令を下す元首に、兵が慌てて駆け寄って火を叩き消す。
戦線維持を命じられた兵は、それこそ火だるまになっても盾を構え槍を振るったが、明らかに全体の動きは混乱していた。
後方のクレメンス隊も同じ状況に見舞われていたが、あちらは人数が多い分隊列が厚く、消火に回る兵も多くできる。
自ら後退を早めることで逆に足元の炎へと相手を誘ったが、槍を掴まれ引き出された兵らは隊列から取り残され、剣を抜いての大立ち回りの末に隊列に戻ったり戻れなかったりした。]
軽歩兵隊!
[さらに左右から近づくものがあると気づけば、叫ぶように命を下す。
防御陣の時は中央にこもり、突撃の間も後方に追従していた軽歩兵たちは左右に散開して迎え撃つ。
その数、それぞれ100には届かぬ程度。
軽歩兵の守りが及ばない内は重歩兵隊の槍が外へと向くが、それを掻いくぐった勇敢な者、あるいは槍が向きづらい東側の者は油を巻くことに成功するだろう。
そのたびにまた、ひときわ大きな炎が燃え上がった。*]
― 平原 ―
[西へ抜ける、と判断した理由は、ある意味では単純。
北の森方面の敵はこちらよりも多いという、ただそれだけ]
あっちの方が抜きやすいのは事実だからねぇ。
分断されない程度に早駆けした後、適当な所で反転かける。
「……それ、ほとんど驚かすのが目的ですよね」
思考が固まってる状況での急反転は、膠着崩す切欠になりうるからねぇ。
ま、驚かせたもん勝ちでしょ、こういう時は。
[副官の突っ込みもどこ吹く風と受け流す。
昔からの信条のひとつであるそれは、かつて槍の稽古をつけた若手たちにも教えていたとかいないとか。**]
― 平原 ―
そういえば、相手の拠点ってもうすぐだよな?
[唐突に聞けば、「馬で走れば意外とすぐー」とか「まさかたいちょー?」とかいう声が返る。]
まさかだよ。そのまさか。
暗くなってきたし、こっそり行けば相手の野営地まで偵察できるんじゃね?
[「「「マジかー」」」と声が上がるが、止めるものはいなかった。]
よし。じゃあ行こうぜ。
フェリクス隊長来たら、ちょっと偵察に行ってるって言っておいてよ。
[周りの兵に伝言を頼んでから、戦線を離れて夜陰に紛れ、西へと向かって走り出した。
今夜は月が明るいから松明無しでも馬は走れる。
行けるところまで行こう、と、なるべく影の濃いところを選んで進んだ。]
[やがて、敵野営地らしき柵が見えてきたところで隊を止める。]
ここまできたならもう少し近づいてみる。
オマエとオマエ、馬降りてついてきて。
オマエたちは馬連れてあの辺で待機な。
残りの連中は少し離れて待ってて。
いざというときは、真っ直ぐ隊にもどれよ。いいな?
[部下たちの配置を決めて、こっそりと野営地に近づいていく。
「たいちょーがんばってー」とのささやき声に背中で手を振った。
ここに来るまでに既に見張りに見つかっているかどうかは、知らない。*]
[ 天も呼応したか、流星がひとつ空を流れた。
それを、遠い場所で散った若い命と結びつけて考えることはなかったが、
その煌めきの鮮烈さと儚さに、一瞬、息を呑んだのだけは、妙に覚えている。]
[ バルタの身体が跳躍に備えて沈むのと同時に、ギデオンは回避行動に移っていた。
いささか警戒が強すぎるほど、大きく飛び退る。
直後、今しがたまで立っていた場所を、槍が抉っていった。
当たりはしていない。それでも、バルタの繰り出した一閃の風圧が肌に届いた。]
──…!
[ 恐るべき技量だ。
だが、まだ始まったばかり。]
礼を言わねばと、思っていたのだ。
[ 体勢を戻しながら、語りかける。]
ゼファーが海賊を撃退したのは、王国のためではないとわかっているが、それでも。
[ 典雅な礼の所作を挟み、再び剣を構えた。
来るのを待つ、と。**]
─ プラメージ王国野営地 ─
えぇ。
この拠点がゼファーの手の内に落ちる事こそ避けねばならない。
いざとなれば如何様な手をも用いて下さい。
[拠点内外の防衛の布陣についての相談は、滞り無く。
火や毒、罠など使える手は何でも使えとの言は、己のみの判断ではない。
己の思考も加味するなら、本当にいざという時が来たら此処に火を放っても構わないとも思ってはいるが、流石にそれは口には出さず]
では、私が此処を発ったその時から、指揮を貴方に委ねます。
現状出立している王国の兵、カーマルグの民、ギデオン様の凱旋までは保持する様に。
[先にも告げたように、自身の出立を告げて。
然程の間を置く事なく配下を纏め、先ずは臨時の野営地を目指し発つこととなる。
丁度、敵の小隊が様子を見に来たとかち合った事を知るのは敵味方どちらの声か**]
/*
自分の動きをシミュレートしてみる。
どこでどう出会っても逃げるな……
どう出会ったら逃げずに戦う羽目になるか、な……?
[ 槍を揮った男の目前で、赤い髪が翻る。まるでこちらの動きばかりか、跳躍の幅までも見切ったかのように、絶妙のタイミングで跳び下がった身のこなしに>>52ふ、と、口の端を上げる。 ]
今のを、完璧に避けたのは、二人目だ。
[ 一人目は、勿論カナンだ。
彼以外に、男の初撃の槍先に掠りもしなかった相手は、これまで一人も居なかった。
皆大抵、男の重そうな見た目に騙されて、その槍の速さを見誤るのだ。
しかし、ギデオンが、避けおおせた事を、男は不思議とは思わなかった。
むしろ、それでこそ、と、胸に浮かぶ高揚がある。 ]
礼...?
[ 大振りした槍の柄を引き戻したところへ、語りかける声と、流れるような礼の所作に目を細める。>>53
追撃の手を、一瞬なりと止めたのは、その所作に目を奪われただけではなく、彼の言葉が、男の持つ疑問に触れたからだ。 ]
確かに、礼を言われる筋合いはない。
我らは降りかかる火の粉を払い、海賊が「領有」していた、この地を奪い取ることによって、後顧の憂いを除くと同時に、新たな領土を得た。
それだけのことだ。
[ 海賊に領地を占有される事を見逃した時点で、カーマルグはプラメージ王国のものではない、と、断じる言葉。 ]
故に、侵略せんとする者に対して容赦はしない!
[ 今度は腰を落とし、風の如く駆ける男は、待ち構える剣の切っ先を跳ね上げようと下方から槍を振り上げる。
それもまた避けられるなら、駆けたそのままの勢いで、ギデオンの体に肩をぶつけて突き倒す心算。** ]
― プラメージ王国野営地近く ―
[二人の仲間を連れて拠点に近づくこと暫し。
これ以上進めば篝火の明かりに入る、というところまできてそっと様子を窺う。
どこからか柵の中を覗けないかと様子を見ているその時、大勢の足音が聞こえて慌てて身を潜めた。
拠点の入り口から大勢の兵たちが現れる。
千人隊くらいの規模かなと見ていたら、後から指揮官らしき奴が出てきた。]
(あいつ誰だろ)
[顔を見たって名前が分かるわけじゃないけれど、つい覗きこんでいたら後ろから服を引っ張られた。
どうやら覗くのに夢中になっているうちに、身を乗り出しすぎていたらしい。
ヤバい!と思ったときは時すでに遅く、「誰だ!」という鋭い声が飛んできた。]
王国は炎好きかな?
[獰猛な笑みの気配を漂わせてコエが通る。
困難を前にしている時の癖だ。]
お前も楽しんでるようじゃないか。
虎の肚の内、引きずり出してやれよ。
[刃を交わせば見えることもある。
神前試合に臨んでいるらしき彼が、かの女神の寵児からなにを引き出してくるのか。期待していよう。]
カーマルグを獲ようとも、常に侵略を警戒せねばならず、耕す者もいないとなれば、ただの荷物だ。
俺はもう少し、富を作り出すものたちを知らねばならんな。
[我が政敵が神意の体現者と語らうならば、己は地の恵みを呼び覚ます者達の声を聞こう。
力と刃をもって。]
― 平原南 ―
しかしあいつ、ずいぶんと楽しんでるじゃないか。
[緊迫した戦況の只中にあって、ふと浮かべた笑みは場違いに朗らかだ。]
さてはあれを試したな。
一撃で仕留められなかったというなら…
─── ぜひ、俺も試してみたいものだ。
[試合の初手に彼が好んで使う技なら良く知っている。
同じ師から学んだのだ。当然だろう。
会得するべく鍛錬を続けた好敵手とは異なり、己は避けて切り返す技ばかり磨いていたから、あの技には掠らせもしなかったというのが真相だ。
あれを越えなければ、フェリクスを倒せないだろう?**]
/*
赤読み返してて、バルタんが一回だけ頬染めてるあれがもう……良い…たまらん……!
バルタんには不意打ちの告白が効く、と。( ..)φメモメモ
― プラメージ王国野営地 ―
[出来る限り急ぎはしたものの、出立の支度が整った頃にはもう照らす篝火が濃い陰を作る程の時間となっていた。
闇を進むことになるからには、よりカーマルグの民の目に重きを置かねばならないな、と思っていたところに]
!?
何事か!
[不意に、先頭から即座広がるざわめきに何が起きたかの報告を求める。
少数だが、不審な人影を付近に見つけたとの応答に、浮かんだのは当然敵の斥候の可能性]
私も出る、けして逃がすな!
[どれ程の情報を得られたか分からない以上、敵将の元に返すわけにはいかないと号を飛ばした**]
[見つかった瞬間から逃げ出したけれど、相手の反応もなかなかだった。
数は多いし、ここらの地形は向こうの方が詳しい。
馬を待たせている場所までたどり着けばなんとかなるだろうけれど、みた感じちょっと厳しそうだ。]
オマエらは行けっ!振り返るなっ!
[「たいちょーは?!」「ちょっと待てって」と振り返る仲間たちの間に槍を投げつけた。]
馬鹿!行け!
フェリクス隊長に報告しろ!
新手が来るって!
[「わ、分かったよ」「たいちょー。死ぬなー」
そんな声が遠ざかるのを聞きながら投げた槍を引き抜き、身体を回転させた勢いで王国兵を狙って投擲する。
先頭を走っていた王国兵が盾を翳したけれど、投げ槍は盾を貫いて胸に突き立ち、沈黙させた。]
[間髪入れずに、仲間たちとは違う方向へ駆け出す。
相手の部隊を横切る形で駆けたから、向こうからよく見えたはずだ。
逃げきれない。分かっている。
起死回生の一手を求めて、追ってくる兵の中に、さっき見た偉そうなやつを探した。*]
/*
順調に日々、英雄に刺しまくられてる副官が通ります。こんばんは。
あとミヒャくん、ほんっとーにかわいいな!
[ 槍を手元に引き寄せたバルタが力強く「カーマルグ領有の正当性」を主張する。
彼にしては珍しく言葉を連ねたそれは、おそらくは元首が編み出したものだろうと踏んだ。
カナンは、ゼファー歴代の元首の中でも、抜群に政治ができるようだ。
宣言に対するギデオンのコメントは必要とはしていなかったのだろう、
バルタは気勢を吐くや、次の攻撃を繰り出す。]
[ 今度は、飛び退ることはしなかった。
より近い間合いまで接近を許し、振り上げられた槍を右手の剣先で受け流す。
まともに受け止めれば、折られるのはわかりきっていた。
ギデオンのそんな反応は、バルタの目論見どおりでもあったようだ。
青銅と鉄が接触し、二種類の異なる音色が響く──
刹那、跳ね上げられた右手と交差するように左手の領巾が翻り、バルタの視界を通過する。
同時に、ギデオンは右足を軸に半円を描くよう、身体を反転させた。
突進するバルタを擦り抜けさせて、その背後をとるべく。]
[ だが、体勢が整う前に、すさまじい重量に突き倒された。
バルタは槍をいなされた先まで読んで、体当たりを仕掛けてきたのだった。
とっさに受け身はとったものの、押さえ込まれてしまえば、跳ね返すのは不可能。
実に質量は凶器である。]
[ 炎という言葉を聞けば、反射のように好敵手の顔が脳裏に浮かぶ。
今、浮かぶその表情は、簡単には食えぬ獲物を前に、その困難を前菜とする如く、牙を剥く肉食獣の笑み。 ]
火計か?お前の方こそ、随分と愉しそうだが。
[ 返すコエに、案じる色は無い。自身が炎には負けぬと思う以上に、彼が、易々と火に呑まれる事は有りえないと知っている。 ]
火傷には、あの薬草はだいぶ染みそうだな。
[ それでも、ぼそりと呟いたのは、怪我を増やすなと言った先刻のやりとりの繰り返しのようなもの。
何しろ、相手は無茶無謀を専売特許と任じて憚らない男だ。忠告も脅しも、やり過ぎくらいでもまだ足りない。 ]
アレが肚に抱えているのは、一物どころではなさそうだがな。
[ 女神の寵児の肚の内を引き出せというカナンの言葉には、肩竦めるような反応を送る。]
だが、確かに俺もまだ、王国の理を知らん。
知れるかどうか、試してみるさ。
[ 地に生きる者の声を、その心を、カナンが聞こうと言うのなら、天の加護を謳う者の理を問おう。
その答えを得た時、掴むべき勝利の形がきっと見える。 ]
/*
あっさりと一本取らせてもらってしまった。
[ 本人の意図を通り越した、持ち上げられ現象健在ナリ ]
─ プラメージ王国野営地 ─
(斥候を送ってきたとすると、ゼファーはもう此処まで手が届く位置まで来ていると言うことか?
ならば先陣は壊滅…いや、それならば臨時拠点も潰されているはずだ)
[内心の思考は表に出さず、努めて冷静な表情を作る。
己の指示に応えて兵達も動きはするが、移動の速度差を考えた隊列が仇となり先頭の歩兵が騎兵を妨げる。
歩兵たちも追いはするが、>>63元より離れた位置を陣取っていた者たちを足止めするは叶わなかったようで]
馬相手に深追いするだけ無駄だ、
弓を射かけるに留めておけ!
[全員を捕らえるのは不可能だと悟れば、すぐに声を挙げて部隊の乱れを整える。
逃走を図るその背、馬に当たれば儲けもの程度の指示はどれ程効果があったものか。
それを確かめるより、目下優先せねばならないものがある]
ゼファーの者よ!
何用があって此処に来た!!
このベリアン・グラウコスが伺おう!!
[相手が己を狙っているとは確証があった訳ではないが。
自身が彼の立場ならば、仲間を逃がす為に囮となるのは勿論だろうけれど。
ゼファーの兵ならば、きっとその状況で大将の首を狙いに動く。
絶望的な状況下であろうと、その中で生き延びる術を見つけて足掻く。
それがゼファーの恐ろしさだと、己の知識が言っている。
>>64単身、多勢の兵の眼前を駆けるその姿に届くよう、声を張り上げて武器を掲げた*]
― 平原・西 ―
[準備を整えた直属騎兵を率い、西側の戦端へ。
膠着している状況に、文字通りの楔を打ち込まんとした時、ふと、違和感を感じた]
……エラポス、跳ねっかえり共はどした?
[やや後退していた隊の隊長を呼び、問いかける。
返ってきたのは、偵察に行ってくる、と言って離脱した、という答え。>>48]
……偵察……って、おい。
[この先にあるのは敵本陣]
まさか、そっちまで行ってるなんて事は……。
[ないか、と。
言い切れなかったのは、そのくらいはやってのける気質と知っているから]
ま、行っちまったもんは仕方ない、か。
ともあれ、ここの膠着をぶち抜いて風通しを良くする。
少数の手勢に、いつまでも戦力割いてられんからな。
[これまでは牽制にとどめていたが、止まっていては状況は動かない。
故に、ここを抜いて先へ進む、あるいは先へ備える、という宣に、空気が変わった。
古参の何割かは、「あー、動きたがってるわあ」とか「ここまでやる気出してるの久しぶりだわ」なんて軽口を叩いていたが]
……て、わけで。
ケファラス隊、突撃、慣行!
[号令と共に槍で指し示すのは展開する盾兵部隊の中心。
それに応じて、これまで防戦の態で戦線を維持していた騎兵たちは動きを変えた。
抑える、から、食い破るための動きに。*]
うぇ…
[薬草の話で、明らかに嫌そうな空気を漂わせた。
大抵の痛みには慣れっこになっているが、あれは、なんというか、別格だ。
嫌なことを持ち出してきやがる、と思っていたのもつかの間、好敵手の言葉に同意を送る。]
相手の理を知るには、踏み込むしかないだろうな。
ああ。期待している。
[任せたと、背を預けるように言葉を置いた。
互いがそれぞれ得たものが、互いの力になると知っている。
これまでも、これからもだ。*]
[暗がりの向こうに矢が放たれるのが見え、遠くで声が上がる。
無事でいてくれと、今は祈るばかりだ。
点々と置いてきた仲間たちすべてがやられることは無いと思うけれど。
それ以上は仲間のことを思う余裕もなく、追ってくる兵の刃を躱しながら走り続ける。避けきれないものがいくつも身体に傷を作ったが、構っている暇もなかった。
敵の大将を探す目より先に、耳に声が飛び込んでくる。>>71]
ゼファーのミヒャエルだ!
オマエの首、もらい受ける!
[反射的に叫び返していた。
同時に、直角に向きを変えて敵兵士の中に飛び込んでいく。
人間、急な動きの変化には対応できないもんだ、とフェリクス隊長も言っていた。
驚かせれば勝ち、だったかな。
ともかく向こうの大将をとっ捕まえて、首に刃突きつけて脅すのが、唯一生きて陣に戻る道だと思っている。
二本目の投げ槍に手を掛けて、がむしゃらに駆けた。
ちなみに、これが最後の投げ槍だ。*]
─ 平原・盾兵部隊side ─
[自分達の部隊が加わったとて、戦況に大した差は生まれない。
光明を挙げるとすれば、若き隊長を屠った敵の長が一旦戦線から下がったことか。
隊長の亡骸も下げられたことで、彼の部隊の者達の士気がより上がったのも利といえば利、なのだが。
その熱が彼らの冷静さを奪っているのもまた事実で]
『前に出過ぎるな!
気に逸った突出は相手の思う壺だ!』
「正面から受けるな、盾ごと貫かれるぞ!」
[比較的軍属の長い者ばかりが集まっている自隊の兵が、隊長を亡くした部下たちに声をかけながら戦っている。
それがどこまで耳に入っているかは分からないが、少なくとも特攻する者の出現は抑えられている様で。
このまま消耗させられ続けるなら重畳だが、あちらもそれは避けたいだろうと、敵の長が下がった方へと視線を向けた]
[動きがあったのは、丁度その時。
>>73こちらまで届く程の号で、敵兵の動きの変化が生じた。
槍を構えた騎兵が、陣営までも槍の穂先のように整えて向かい来る。
その切っ先が狙うのは、まさしく自身の展開する部隊。
貫きに来る、それが分かっているからこそ他の部隊へと声を向け]
『此処は我らが押し留める!
貴殿らは一度下がって態勢を整えよ!
ここで貴殿らが生き残らねば、彼の部隊長はただの無駄死にとなるぞ!
死した仲間達を弔うことすら放棄して、命を投げ打つつもりか!』
[既に隊長という頭は奪われている。
この部隊の全滅まではかるほど、ゼファーに暇があるとも思えない。
此処で彼らが退却しても追うまではすまいという読みは正しかったか。
[ ギデオンの反応は、今度も素早く巧みだった。
何より男が感嘆したのは、今度は下がらず槍を往なすという最善手を、相手が選んだ事だ。>>67 ]
[ 奇襲に近い効果を持つ代わりに、一度は動きが途切れる跳躍からの一閃と違い、疾駆からの一撃は、敵が下がれば直ぐに刺突の追撃を入れる事ができる。
それ故、下がる方が危険なのだ、と、ギデオンが意識していたかどうかは分からないが、最初の突撃を受けて尚、一歩も下がらず踏み止まる胆力は、ゼファーの古強者でも、そうは持たない。 ]
見事と言われると面映ゆいな。
[ まさに質量のみで押し切った形の一本だ>>69、と、男は苦笑を浮かべ、一歩下がって、ギデオンが再び体勢を整えるのを待つ。* ]
― 平原南 ―
[敵陣の各所で立ち上る炎。
咄嗟の策が効果を表した瞬間だった。
それを見て義勇兵らは歓喜の声を上げる]
気を緩めるな!
武器を握れ!
[ここで終わりではない、と示すためにカレルは声を張り上げた。
追撃の油を撒くために前へと出た義勇兵を護るため、カレル達も武器を手に取り前へ出る。
陣の中から散開してくる軽歩兵>>45を、武器を持って出迎えた]
なるべく複数であたるんだ!
[技量の差は明らかであるため、人数で力不足を補う。
相手の刃にかかる者は当然いたが、叶う限り相手の動きを止めるべく武器を振り続けた]
[事前の通達なしで為された炎の策は、接敵していた味方も驚いたことだろう。
特に南側では炎を受けたゼファー兵が火達磨になっても立ち向かってくる>>44ため、相手の気迫も今まで以上に感じられた。
執念とでも言おうか、元首であるカナンの指示を全うせんと、戦線維持を命じられたゼファー兵達は、引くことを知らぬかのように立ちはだかる。
振るわれる槍すらも炎を纏い、貫かれた味方兵が炎に包まれることも少なくなかった]
[北側では相手が変わらず防御陣のままのようだったが、炎は着実に燃え移っているよう。
あまり踏み込みすぎると今度はこちらが炎に突っ込んでしまうため、前進は慎重に行われた。
それでも深追いしすぎて炎に焦がされることもままあるよう。
槍を掴まえてゼファー兵を隊列から引きずり出すことに成功したりもしていたが、一騎当千とも言えるゼファー兵のこと、数名を相手にしても渡り合い、見事隊列に戻るものもいた。
それが討ち取れた時は意気を上げて、炎に気をつけながらも前進したりもしていた]
[炎を消そうとするゼファー兵に対しては、疎らなタイミングで矢が飛び行く。
乱戦の様相を呈する場所は避け、ゼファー兵がいる場所だけを狙う態。
射掛ける矢の数は多くは無いが、消し手を減らそうという目論見は当然のようにあった。
場所によっては味方を射てしまうリスクは承知の上である]
[カナンの血がべっとりとついたままの剣を握り、カレルは仲間数名と共に軽歩兵の一人へと斬りかかる。
槍の柄で受け止められると、別方向から仲間の槍が振るわれ、それを避けるようとしたゼファー兵に剣を強引に跳ね上げられた。
鑪を踏み、後ろへと下がるカレルを補助するべく、別の仲間が前へ出る。
そんな風に連携を組み、油を撒く義勇兵がゼファー軍へ近付く道を作っていく。
運悪くゼファー兵に捕まり地に伏せる者もいたが、いくつかは狙い通り油をゼファーの陣にぶちまけることが出来たようだ。
炎が上がれば義勇兵も沸きあがる。
士気が上がれば振るう武器も段々と力強く、躊躇いなく振るわれるようになっていった*]
/*
本日帰宅が21時過ぎになりましてね……。
疲労が半端なくて、今ログ書きながらうとうとしてましたよ。
ちょっと今日ダメかもしんない。
― 回想 ―
[軍務に就いたばかりの若手を最初に預かったのは、ごく自然な流れ。
かつて自分が世話になった相手の息子だから、というもの]
……いーんですかねぇ、俺みたいなのに預けて。
[その話を持ち掛けられた時、最初に口にしたのはこんな言葉。
家督を継いで以降、のらりくらりとしたやる気ない態度から微妙な評価をされている自分に預けて、そっちの家名は大丈夫なのか、と。
そんな意を込めた問いに返されたのは]
─ プラメージ王国野営地 ─
[宵闇に乗じて逃げる背に射かける弓はどこまで届くか。
馬に当たって馬上から振り落とされるもの、肩に当たって血を流す者などは出たかもしれないが全ての足を止めさせるには至れなかった。
この部隊で奇襲をかけることはこれで不可能となったな、とは内心のみで悔やむに留めて。
馬から降り、単身敵陣内を駆けるゼファーの兵への呼掛けは、狙い通り届いた様だ。
>>75応じた名乗りと、続いた声は想定の内だったから]
そうか。
悪いがそれは、御免こうむる!
[駆けてくるその姿に動揺も見せることなく長い柄を持つ戦斧を構え、迎え撃たんと正面から見据えた*]
……あー、まあ。
実戦に関しては、そうですが。
[戦場での習いを身に着けるには悪くないだろう、と。
さらりと返され、苦笑が滲んだ]
やれやれ、敵いませんねぇ……。
[普段、のらりくらりとしている理由――政争の中で足元を掬われぬよう、突出もせず、しかし、落ちきらぬ均衡を保っている事。
そこを知る相手には、常の態度も通用せず。
結果、先方の望むとおりに預かる事となったのだが]
しかし、まあ。
ホントに、飲み込み早いねぇ。
[そんな経緯もあって、気をかける事は多く。
その内、秘めた才と、教えられた事を素直に飲み込んで自分のものとして昇華していく様子が気に入って、指導や稽古をする回数は他の兵よりもやや多かった]
……教練時代に槍の稽古つけてた連中も飲み込み早かったけど、きみも負けてないわ。
稽古つけ甲斐ある若手はいいねぇ。
[そして、その分稽古にはこちらも熱が入るわけで。
立ち合い稽古でこてんぱんにのした後に、笑ってこんな事を言う、そんな一幕もあったりした。
なお、『教練時代に槍の稽古つけてた連中』が誰であるかの説明はされた事がない]
んでも、まあ。
思い付きでどこまでも突っ走れるっていうのは、悪い事じゃないが。
……限度を見切るのは、忘れちゃダメよ?
でないと、簡単に冥王の所に召されちまう。
川岸から戻ってこれるなんて、ホント、奇跡みたいなもんなんだから。
[その奇跡紛いを過去にやってきたからこそそれだけは戒めておきたくて、彼が隊にいる間は折に触れては伝えていた。
それは、若き命を無為に散らしてほしくない、という、男の本音の現れ。*]
かつて世が乱れ乱れたとき──
[ 視線はバルタに据えたまま、詩を吟じるかのように、語る。]
闘神が日に1000人を屠るならば、
豊穣の女神は日に1500人を産み育てようと言った。
[ 神話を引いて、現在になぞらえる。]
王国には、資源がある。
海賊を駆逐したゼファーが、諸事情で帰国に手間取っているなら、プラメージは支援をするつもりだ。
戦死者の顕彰碑も建てよう──流された血を忘れぬために。
高潔なゼファーが海賊の後釜に座るつもりだなどという下世話な風評は信じるべきではないからな。
[ 投げかけたのは、王国側の「見解」だ。
右手の剣は、ごく自然な様子で下げている。]
[ すでに一本、取られている。後はない。
それでも、焦りはしなかった。
ダンスは、実力あるパートナーと組むほど、上手くなれるもの。]
次は、こちらから行く。
[ 宣言して、駆け出した。]
[ 槍の攻撃範囲へ入るや、前方に身を投げ出して槍の下へ転がり込む算段。
膝立ちに起き上がりざま、足を狙って剣を横に薙ぐつもりだ。*]
/*
政争巻き込まれないためだらけてるっていうのは、予測通りでしたね。
さすがに先出しは怖くて出来なかったが。あとで出そう。...ψ(。。)メモメモ...
― プラメージ王国野営地 ―
[大将首を取るという相手を阻もうと、兵が押し寄せてくる。
最初の驚かしも効果は短い。
壁ができそうと見るや、繰り出される槍を皮一枚で躱して跳び、兵士の盾と肩を順番に蹴ってさらに高く飛んだ。
馬よりも高い位置から大将首めがけて投げ槍を放ち、捕まえようとして来た兵の顔を蹴って前転、短槍を掴みながら疾走する。
調練でだってやったことのない動きができるのは、たぶん自分が今、冥王の門の前に立っているからだ。]
いいからその首置いて行けえーっ!
[正面に、斧を構えた相手が見えた。>>85
落ちる投げ槍に続けて、相手の胸板を貫こうと槍を突き出して走る。。
自分自身までが一本の槍になったようだった。*]
― 平原 ―
[盾兵部隊に狙いを定めたのは、そこが他の部隊よりも手練れている、と感じたが故もある。
ここを崩せば、練度の均衡はだいぶ変わるだろう、という読みもあった]
壁を崩すのに専念しろ!
散るのは構うな!
[あちらの隊長が飛ばす檄>>77は、喧騒に紛れて男の元へは届かない。
けれど、あちらも何かしら、決意を固めているのは感じられた。
だからこそ、この場の敵手と定めるのは、堅牢なる盾の壁。
それを切り崩さんと、
取り敢えずは、一本先取だ。
[ 短く報告を送り、薬草の話に呻いた相手に喉を鳴らす。 ]
そもそも、最初に、あれを持ち出したのはお前だからな?
[ まさか、一人で殴り込んだ事に怒って、一番染みる薬を探し出して来るとは思わなかった。
しかし、染みるのも一番だが、効果も一番の薬だったのは確かで、以来、その薬草は「いざというときのために」男の懐に常備されている。 ]
ああ。
[ 何の躊躇いもなく、期待している、と預けられる信に、また胸の底の熱が灯る。 ]
当然だ。
[ 見つめる先は一つだと、重なる鼓動だけが知っている。 ]
― プラメージ王国野営地 ―
[>>94こちらを目指し来るゼファーの戦士は、曲芸もかくやという跳躍で王国の兵達が作る壁を乗り越える。
幾本もの腕が伸びる、それらに捕まることもなくただ真っ直ぐこちらを見据える様は先を奔る投げ槍の軌道にも通じるもの。
だからこそ、その動き自体を読むのは難くなく]
残念だが、俺の首を取るにはお前では格が足りない。
それすら分からぬ者に、この首は渡せんな。
[真っ直ぐな切っ先、軌道から身体の軸をずらして腕を掠めさせ。
槍追う青年の体勢が崩せたならば、容赦なく青銅の斧を袈裟懸けに振り下ろさんと*]
これは後で長老連中に文句を言われるな。
[周囲の状況を確認して、口の中だけで呟き苦笑を零す。
炎による乱れは予想以上の損害だった。
重傷も含め、戦える兵は当初の2/3もいるかどうか。
最強たるゼファー兵が、農民交じりの部隊ごときにここまで討ち減らされるとは、と言ってくる連中の顔が見えるようだ。
文句を言うならば、ここに立ってみるがいい。
"ごとき"と侮蔑してよい相手かどうか。
地に根付くものには地の祝福があるのだ。
或いは、守るという意志から汲みだされる力が。]
[断続的に飛んでくる矢は、盾を構えていない兵らを傷つける。
それで倒れるものも少なくはない。
だが諸々の障害を乗り越えて本来の隊列を組みなおしつつある重歩兵らは、正面の王国軍へと改めて攻撃を続けていた。]
行け、ゼファーの戦士よ。
戦神の加護は我らが上にある!
[右端にて、煤を被り返り血を浴びた荒ぶる戦神の形相で剣を振るう元首の奮戦に励まされ、同胞の屍を踏み越えてても前へ土曜とする。
元首を支点に、王国軍の左翼、即ち西側を押し込むように圧力を強めていた。]
― 平原 ―
[己の声に従う者はどれ程か。
そこまで見ている余裕は無かった。
だが、自身の背後、「御武運を」という声の後に徐々に遠退く足音に気づけば微かな笑みが浮かび零れる。
やはり退くことは出来ないと残る兵も居るようだが、命を賭した選択の末なら他者が口出しは出来ぬこと。
己とて、此処を生きて切り抜ける難しさは分かった上で居るのだから]
『やはり、きたか…!』
[敵の長は、見る目にも当然長けている。
>>95真っ直ぐにこちらへと突き立てられる一刺しに、避けるは叶わないと悟る。
だから、あえてこちらから刺さりに動いた。
貫かれた肩、盾を捨てた手で槍を掴めば少し、けれど貴重な時間。
敵の長の動きを留められると信じて*]
― プラメージ王国野営地 ―
[渾身の力を込めて突き出した槍は相手の腕を掠めただけで届かず、振り下ろされる斧を躱すには身体の勢いがつきすぎていた。
それでも辛うじて捻った胸のあたりを、重い斧の刃が通り抜けていく。
あ、ヤバい。
これはダメな傷だ。分かってしまう。
けれど、まだ死んでない。]
格なんて、知るか!
オレは、オレだ!
[たたらを踏みながらも倒れることを拒否して踏みとどまり、槍を手元で回して穂先を相手に向け、横殴りに振るう。
狙いなんてつける余裕もない。相手の胴に届けばいい。]
オマエの首を取って、生きて帰るん…
[叫ぼうとした口から血の泡が零れ、視界が暗くなるのを感じた。*]
― 過日 ―
[ プラメージ王国の国王代理から賜った石笛を、男は当初、ただ仕舞い込んでいた。
何しろ楽器になど触れたことがないし、教えてくれる者もいない。黒曜石の艶めいた美しさだけは理解できたが、飾って愛でるというのも男の気風ではなかった。 ]
足の悪い当主?
[ 新元首への挨拶の答礼の使者も、叔父の動向が怪しかったため、結局他の者に任せることになり、その使者が戻った後のこと。
王国の動静を知るために、使者となった男から話を聞き、ついでのように話された王国での歓迎の宴の様子に、その話は出た。
王国の貴族の、正確には当主の跡取り息子ということらしいが、明らかに生まれつき足が悪いのだろうと思える者がいたという。 ]
なるほど、彼の王国は、やはり余裕のある国なのだな。
[ ゼファーでは、壮健な男子以外が家督を継ぐ事は有り得ない。
病気がちであったり、五体の機能が戦士となるには足らぬと見なされれば、赤子や幼児のうちに捨てられる事も珍しく無い。 ]
羨むべきこと、だな。
[ 落とした呟きは、その意を理解出来るはずの、唯一人にだけ向けられたもの。 ]
[ その日から、何の気まぐれか、男は、仕舞っていた石笛を、少しずつ独学で試し吹きするようになった。
それしかはっきりと覚えていなかったが故に、練習したのは戦神に捧げる歌の一節。
男は歌ったことがなかったが、その歌詞は、こう始まっている。 ]
『 名も無き戦士の魂よ
誰知らず戦いの野に 倒れようとも
その高潔を神は知る...*』
/*
おつかれおつかれカレル。
強いんだぞを前面に押し出してくる相手とはやりにくかろう。(過去の大変だった記憶を思い出しつつ)
しかも始まってからずーっとこれだから、おつかれさんなんだよ。
は。もちろん、そうでなくてはな。
[報告に返すのは単純な賞賛ではないが、喜んでいるのはコエの調子で丸わかりだろう。]
あれは…あの時はお前が悪かったんだろうが。
俺のいないところで、あんな喧嘩をされたら当然だろう?
[この話になると未だに文句が出てしまうのは、お互いの"当然"が違うからなのだろう。
どちらにしても、あのあと「ことあるごとに」薬草が出てくるようになったのは、ある意味誤算だった。]
― 平原 ―
[交差の最中、そこが要と読んだ戦士に向けて繰り出した一刺しは、確かに手応えを伝えてきたが]
……っ!
[引き戻そうとした槍の動きが、止まる。
今、槍で貫いた敵兵の手が、槍を掴んでいた。>>100]
おやおや。
そんな事やらかすのは、俺らくらいだと思ってたんだけどねぇ。
[口調は揶揄するものだが、声音は鋭い]
でもねぇ……このまま固まって、的になる気はないのよね、オジサン!
[どこか楽し気に言い放ちつつ槍を引き――唐突に、引く力を緩める。
槍そのものの重さを相手に押し付ける動作は虚を付けたか、否か。
いずれにせよ、槍の束縛が解かれるならば、繰り出されるのは再度の突き一閃。*]
/*
ベリアンも二正面作戦なんだよな。
がんばれ、とこそっとエール送っておこう。
さて。明日の歴史家さんの文章も用意しないと…。
─ プラメージ王国野営地 ─
[槍と共に貫かんばかりの勢いは、腕を掠めさせただけで衰える事も無く。
こちらが振り下ろした斧刃を避ける程の余裕も、ミヒャエルにはやはり無かった。
誰が見ても致命傷だと分かるその撃に、誰もが皆倒れ伏すと思った事だろう。
けれど、それは彼自身によって覆された]
っ…!
[ベリアン自身、この手応えならば倒れるものと思ったのだ。
穂先を回し、横に振り抜く槍の軌道など読める訳も無い。
傷を受けた腕を咄嗟に出して胴を庇い、押し戻す。
ざくり、肉を裂く音が痛みと共に身の内に響くが、それもほんの少しの間。
ごぽりという音と共に、槍持つ青年の口から赤が溢れ、動きが鈍る。
その隙を見逃さず、逆手に持った斧の柄を振るい青年の胴を突き放す]
[彼の手から槍が離れようと離れまいと、距離が開けば己の身からも槍は抜かれる。
ぼたぼたと流れ落ちる血に、周囲から慌てた声が響くがそれを制し]
俺の首は今戦っている王国の兵達の全ての首だ。
ただの雑兵に捕らせてしまえば、王国そのものの格も落ちる。
この戦い自体も、収めることが出来なくなる。
少しでも流れる血を少なくする為に、俺の首は切り札でなくてはならん。
お前の生きる為だけに、この首は渡せない。
[どこまで耳に届くかは知れないが、立ち尽くす青年へと声を向けた*]
/*
ミヒャエルもベリアン様も、とても格好いいのだ。
ちょっと表で動く余裕はないので、このままお休みなさい**
─ 平原 ─
[こちらの狙いは相手の虚をつけた様。
>>105告げられた声に、微かこちらが浮かべた笑みはこの状況には相応しくないかもしれないが]
『正道ばかりを選んでは、勝てぬ相手と知っているからな』
[なりふり構っていられないのだと言いながら、長けた戦士に多少は出し抜けた事の誇らしさが声に滲む。
出来るなら、この一幕のみで終える事無くありたかったがそれは叶うまい。
首を取るまではいかずとも、この隙で傷をどれ程か負わせられれば良いのだが。
その胸の内を読んだか味方が槍や剣を差し向けるが、敵の配下もそれを阻みに動き。
そも、己の生んだ膠着は然程の間も稼げはしなかった]
『く…っ!!』
[掴んだ槍、引き抜く強さにぐ、と手に力を込める。
それが愚策と知れたのは、ふ、と抜けて肩に重くかかる力。
ぐらりと体勢が崩れたのと、再度槍がぐいと引き抜かれたのは少しの時差。
そのまま尻餅をついたこちらに、今度こそ振り下ろされるその切っ先から逃れる術はもう。
残ってなど、いなかった*]
― 東海上 ―
[ 立ち上がったギデオンが、男とゼファーの兵士の態度を、どう評価したかを男は知らない。>>89
だが知ったなら、こう言っただろう。
「清貧」などというのは、富める者の夢想だと。 ]
面白い話だが、それではいつか地に人が溢れ、皆飢え死にする事になるな。
[ 問わず語りに女神の寵児が語った神話は>>90男にとっては例え話ではなく、現実そのものだ。
ゼファーは貧しく、その貧しさ故にこそ武力のみを国の根幹としてきた。
だが......]
― プラメージ王国野営地 ―
[体の真ん中に受けた衝撃も、どこか遠い世界のことのようだった。
踏みしめた地面もふわふわとして頼りない。
槍だけはずっと離すまいと思っていたから、握っていた。
倒れないように槍を地面に突きさす。胸を張れ。]
大将首、とれば、いくさも、早く終わる…
手柄、立てて、 オヤジ 喜ばせて、
[相手の言葉の半分も聞こえなかったし、理解しようとする端から頭の中身がどこかへ消えていくようだった。
相手の顔も、もう見えない。]
へへ…
セルウィン、も、 おなじ気持ち、だったのかな …
[死んでいったあいつの顔が、浮かんで消えて]
みんな、フェリクスたいちょ、ごめ …
[言葉が音になったかどうか、自分ではもうわからないまま、全てがぷつりと消えた。*]
折角のご厚意だが、本国との行き来に、貴国の手を煩わせる必要はない。
石碑が命落とした兵士の家族を養ってくれるわけでもなかろう。
[ 語られる王国の見解には、真っ向から否を突きつける。
元首ではない男が、元首本人に計りもせず、それを断ずる事に、兵も動揺を見せないのは、『元首とは折り合いが悪い将軍』の、それが常態であるからだが、ギデオンには奇異に映ったか。 ]
[ そして続いた高潔なゼファー云々という言葉にも、表情は変わらず。 ]
風評如きをゼファーは恐れない。
[ あっさりと、そう言い捨て... ]
そも、我らがこのまま帰国したとして、海賊がまた襲ってきたら王国はどう対処するつもりだ?
[ ゼファーの兵を知った海賊は、確実に戦力を整え、以前よりしぶとい敵となる筈だ。
戦で疲弊した王国軍と未だ付け焼き刃の域を出ないだろう義勇兵達が、それに対抗出来るのか?と、男の感じた根本的な疑念を投げる。 ]
...答えるのは、私が二本目を取ったらで構わない。
[ 王国の内政方針を問うたという自覚はあった。あくまで答えを拒まれたなら引くつもりはある。 ]
─ プラメージ王国野営地 ─
[対峙する相手は、もう槍を振るう力も残っていない様で。
ベリアンの肉を刺した槍を、今は土に刺して立つその様はけして倒れぬという意志の強さを垣間見せる。
ゼファーの戦士が一騎当千とは、大袈裟でもなんでもなく事実なのだと知らしめるものともなって]
…貴殿がもっと、大局を見れる者であったなら。
この首を渡すも、やぶさかではなかったでしょうが。
[>>111既に取り留めのない言を発する様、朦朧と視点も定まらぬ様子にミヒャエルの生が残り少ないと知れて。
語る声は既に彼に向けてではなく、独り言めいたそれに変わっていたが。
彼が零した、セルウィンという名前に、一度、瞬き]
……ゼファーの者が、何故。
いや、それより今の言い方は……まさか。
[同名の別人という可能性もあるが、胸に嫌な予感が過ぎる。
何より、死に行く間際の者がおなじ気持ちと言ったその意味を考えれば。
浮かぶ予想は、今はまだ知る事は出来ない。
既に目の前、死した者まで支えることは出来なかった槍と共に倒れ伏した青年からも聞く事は出来ないのだから]
…彼の亡骸は、王国の者と同じく丁重に安置するように。
敵だからと無下に扱うことは、蛮族にも劣る。
正道を通して勝てる相手ではないが、曲げてはならない正道は通さねばなりません。
[そう指示をして、自分は槍を受けた腕の治療の為、拠点へと再度引き返した**]
──── ギィ。
[漏れ聞こえた声、それに続くものなど無かったけれど。
ただ一言、名のみを呼んだ。
己の居ない所で、落ちるなと告げるように**]
― 回想 ―
よろしくお願いします!
[軍務に就いてすぐに配属されたのは、父のつてがあるとかいう部隊だった。
隊長は有名な軍人家系の出だというけれども、正直、最近あんまりいい話は聞かない。なんでそんなところに、と思っていた印象が、一週間後にはもうがらりと変わっていた。
鍛錬の時に掛けられる言葉は、ちゃんと理解して実践すれば驚くくらいに動きが変わったし、稽古をつけてください!と押しかければ面倒くさがらずに相手をしてくれた。
その分稽古は容赦なかったけれど、認められるのが嬉しくて、もっと認められたくて、相手が暇だとみるやすぐに稽古をつけてくれと頼みこんでいた。
『教練時代に槍の稽古つけてた連中』が誰だか知らないけれど、熱心さならオレの勝ちだろ、なんてことも思っていた。]
[その時に幾度も繰り返し聞かされたのが、限度を見切るのは忘れるなという言葉だった。
繰り返し聞いて、自分の心にも言い聞かせて、忘れないようにといつも頭に入れていた。
つもりだったのだけれども、やっぱりときどき先走っては叱られることもあった。
早く手柄を立ててみなに認められたい。
小ミヒャエル、だなんて呼ばれないようにしたい。
隊長の思いなんて知らず、役に立てると思ったら頭より先に足が動いてしまうのだった。]
― 平原/仲間たち ―
[出かけた時には13騎だった小隊は、8騎にまで減っていた。
他の者は死んだのかはぐれたのかもわからない。
彼らの隊長も同様だった。]
「馬鹿たいちょー、一人で敵に向かっていって」
「オレたちに、行けって言って」
「かっこつけすぎなんスよたいちょーは」
[報告する若者たちの目元は、何度も擦ったように赤くなっていた。]
「敵の拠点からデカい隊が出てくるの見たっス」
「千人隊…くらい?」
「矢も射られたっス」
[報告をしなければ、全てが無駄になる。
断片的な情報を、必死で伝えた。**]
[ やがて、次は、という宣と共に、しなやかな姿が甲板を駆ける。>>92 ]
...!
[ 左足を一歩引き、槍を腰に構え、待ち受けた男は、迫るギデオンの肩を狙って槍を突き出したが、その穂先が届く寸前に、彼は身を前方に投げ出し>>93ひらりと翻った領巾に、一瞬目を奪われた。 ]
はっ!!
[ ギデオンの意図を悟ると同時、槍を引き戻すには、間に合わない、と、判じ、穂先を上に立てるように柄を回転させて、剣を受け止めようとするが、一瞬遅く ]
っ!
[ 足元狙って横薙ぎに鋭く揮われた青銅の刃の一閃が、前に出ていた右の膝下を切り裂き、甲板に朱の軌跡を散らす。 ]
はあっ!
[ しかし、そのまま、足を踏みしめ、男は槍の柄を掬い上げる動きで、ギデオンの身を跳ね飛ばそうと試みた。
よしんば彼の身に届かずとも、後方か横に逃げてくれれば、間合いを取り直す事が出来るという算段だが、足の傷がどう動きを制限するかは、未知数だ。** ]
/*
ぶっちゃけ具合、この程度なら、と、思う、のだが、どうか?
英雄二人が動きにくくなってませんよーにー><
あと、ベリアン殿は、二方向相手お疲れ様、まじお疲れ様!
俺は、こんなに横着してて良いのだろうか?(よくない)
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