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次の日の朝、語り手 が無残な姿で発見された。
夜が明け、悪夢は現実のものとなった。
人狼は確かに存在するのだ。そしてその血腥い牙で我々を狙っている…。
人々は苦悩の末、最終手段を取る事にした。
投票により、1日に1人ずつ疑わしい者を処刑する。
例え無辜の犠牲者を出すことになろうとも…。
現在の生存者は、 ギィ、 タクマ、 ミヒャエル、 ヒース、城主 ソマリの5名。
[ 有無をいわせぬ影たちのエスコートで運ばれる。
色のついた空気に押されているようで、手応えもないのだが、時折、ひらめくような涼感が肌に触れるのが不思議だった。
くすぐったいような、だが、身を任せることには、どこか後ろめたさを感じる感触である。
それが、透明化して影らにまぎれたギィの仕業とは知るよしもない。
匂いに敏感であれば、焦げた髪の匂いに気づいたかもしれないが、あいにくと自身も同じ匂いをまとっていた。]
[ 新しい服に着替える前に身体も洗えとばかりに露天風呂に投げ込まれる。
トロリとまとわりつく適温の湯であったが、申し訳程度に引っかかっていた布地は、湿気を含むと綿菓子のように溶けた。
ただの湯ではないのだろう。]
おまえたちの考えているようにはいかないからな。
[ 顔をしかめるタクマに影らは湯を浴びせかけた。
均整のとれた瑞々しい肉体は濡れていっそう艶を増す。]
[ だが、ほどなく、その身体に変化が現れ始めた。
色が失われてゆくのだ。
汚れが落ちたなどというレベルではない。
絵に描かれた人が剥がれるように──落ちる。
後に残された肢体は、蝋人形の白さをも通り越して、翡翠のように淡く光を透過していた。
背骨のあるべき位置には、丸みを帯びた板状のものが透けている。
剣に似て、非なるもの──
それが核であり、本体であった。*]
タクマは、城主 ソマリ を投票先に選びました。
[見えないのをいいことに、相当にはしゃいでいた。
影たちの間に混ざり、彼を露天風呂に投げ込んで、
湯船の縁に屈みこんで手を伸ばし、影と一緒になって湯を浴びせる。
いい大人がと顔をしかめられそうな所業だったが、大丈夫、見られてない。
ひとしきり楽しんでいたが、彼の身体に変化が現れると手を止めた。
なにごとか、と身を乗り出して見つめる。]
…… っ 、
[やがて彼の身体が色味を失い、秘められていたものが露わになれば、思わず息を吐いた。
ほんの僅かな吐息だ。
けれども、縁から乗り出した顔の位置も、なかなかに近い。*]
[ 影たちは、これを客とみなすべきか悩みだしたようだ。
着替えを置いて、ゆるやかに遠ざかる。]
──警告はしたぞ。
[ 擬態が溶けるなど、久しぶりの事態だ。
元の姿に戻るには少々、エナジーを集めなければならない。
もっとも、この世界は自然も魔力も豊かそうだから、そんなに苦労はしないだろうと思った。
と、顔に感じるほどの位置で、呼気が聞こえた。
誰かいる。
視界はひどくぼやけていたが、動けないわけではない。
戦場の勘で裏拳を飛ばす。*]
[周りの風景が変わったならば、吾は周りを見回して。
どうやら出入り口は一箇所しかないようであるし、腕の中から開放するのも吝かではないのだが]
……
[この男が吾に怯える理由がわからない。
確かに、男の前で大立ち回りを演じたし、いきなり抱きついたりもした。
どちらも小物の仕業であるが、吾と小物で使う身体は同じなのだ、仕方ないのかもしれない。
しかし、先程までの小物への対応を思い返せば、どうやら吾だけに怯えているようなのだが……何故なのだろう?]
[男の怯えを理由に、小物がまたうるさくなったので、
少しでも悩めば静かになるだろうかと男が男であることを伝えてみるのだが。
即答であったのは予想外であったが、答えの内容はやはりというべきか、
男でも女でもあの日あの時の存在であるのなら小物的には特に問題はないらしい。
更に吾は、小物が抱くものがどのような好きであるのかを聞いたのだが]
[
っ ……ともかくだ。
小物を表に出したらほぼ確実にまともな話はできないだろうことは予想はできた。
予想どころがほぼ確信だ。
焦燥起点の拗れた恋慕に、肉欲方面に偏った恋愛観の超融合は、少なくとも交渉相手に向けていいものではない。
故に、話が終わるまでは小物はしっかり押し込めておこうと、吾は心を強く持とう。
もしこの話が破談になってもしても、次に小物を開放するときはせめて逃げ場がある状態にしてやろう。
そう心に決めて、吾は男を開放するのだった*]
[気づかれたと感じた瞬間、裏拳が飛んできた。
見えていないだろうと高を括っていても、顔で受けるほど油断はしていない。
咄嗟に出した腕で防ぎ、バランスを崩して湯に落ちた。
飛沫が上がり、湯に包まれる。
ぬめやかな湯触りは白湯とも温泉とも違い、むしろ何らかの粘体生物なのではないかという疑念を抱かせた。
湯が押しのけられた空隙が、透明な者の存在を明らかにする。]
驚いた。
人間ではないと思っていたけれども。
[もはやバレてしまっては黙っている意味もない。
感嘆の響きで言葉を掛ける。]
おまえの、それは…
── ああ
なるほど。サム・タクマ・シース、か。
[あらゆる事柄が腑に落ちて、頷いた。*]
ギィは、城主 ソマリ を投票先に選びました。
[ 裏拳が標的を捉えた。冷たい肉体の感触。
この温度には覚えがある。]
酔狂にもほどがある。
[ 目鼻立ちもはっきりしない顔をしかめてもみせた。]
──…
[ああ、そうだ、交渉よりも先に聞きたいことがあったのだ]
お前はあの…………違う
今は一体、何年……いや
[封が緩んでいるのだ、おそらくあの女の血族では在るだろう。
しかし、あの女には兄も弟も年頃の親しい血縁もなかったはずであるし、次世代やその次の世代程であるならば、調整ぐらいはできただろう防衛機構があんな働きをするのはさすがに解せない。
拒絶で発動するのはありとしても、周り一体を送還魔法に巻き込むなんてガバガバな発動があってはたまったものではないのである。
さて今は何年か、そう聞こうとして時節の呼び名の問題もあると思いたち]
…………
[ 驚いた、と投げかけられた声には、案に相違して、嫌悪感はこめられていないようだった。
何か納得した風ですらある。]
おおいに迷惑していることも理解してもらいたいものだな。
[ 言い返してみたが、内心、焦りも感じていた。
湯面が揺れて、ギィもまた浴槽に落ちたことを把握したつもりでいたが、あの深紅がどこにも見当たらない。
いくら視界がぼやけているといっても、こうまで見えないものか?
これ以上、混乱の種が増えないうちに浴槽の外へ出ようと、ゆっくり後退った。*]
[そうして吾が問いとして選んだ言葉は]
戦は何年続いたのだろうか?
[終わる予定の戦の話。戦の発端、吾の発端よりの刻。
今まで気づきはしなかった。
吾を知るはずの者達は、おそらく伝聞か伝承かで吾を知っていたが故に。
ごくごく近くに居た数人以外の顔なんて覚えていなかったが故に。
限られた時間の中、魂でしか判断しなかった為に、気づけるはずの違いさえも見落とした]
ミヒャエルは、城主 ソマリ を投票先に選びました。
[ふわりとした浮遊感、続いて足の裏に地面の感覚。目的地についたのだろうか。
けれど背中に回された上が離れる気配はなく、さりとてどういう状況なのかを説明してくれる様子もない]
………。…?
[動かないまま、唐突に相手の頬が赤く染まったのはなんなんだ。またなにか困った自体になったというのか。相手の中での会話がかわされて、その結果一人で勝手に照れているだなんて結論は分かるはずもない。目の前の怖い相手が、さっきまでの彼から守ってくれようとしているだなんてことも]
――ぁ、の
[放してほしい。そんな意思を込めて緩く相手の胸を押すと、案外あっさりと腕の中から解放された。必死で距離を取り、見回してみるのだけれど。
ドアはない。見えるのは窓がひとつきりで、その窓から見える風景は相当地面から遠いであろうことが分かる。つまり]
?!
[必死で見回すけれどやっぱり扉と思われるものはない。隠し扉か。隠されてるのか。扉がなければどうやって部屋に入るのか馬鹿なの?
化け物から距離を取ろうと壁に背中をつけて、ずりずりと横へと移動、窓の下を覗き込むけれど、どうやっても飛び降りて助かる高さではない。部屋にロープはなさそう…つまり。ここから移動したければ、目の前の化け物と会話をする必要が、ありそうだ*]
[一時の驚きが納得に変われば、後は興味が上回る。
魔剣の類が人間と見分けのつかぬ人鞘を作ることは知っていたけれども、彼らが鞘に納まっているのをこんな風に見たことは無い。
そのうえ、彼は剣ではなく鞘だという。
鞘の人鞘。……。
益体も無い言葉遊びが、ひとしきり頭の中を巡った。]
迷惑?どうしてだい?
初めに私を求めたのはおまえの方だろう?
[だからこちらから求め、応じるのは当然のことだ。
それが自然の摂理だ、とでもいうような調子だった。]
[後ずさる彼の視線がこちらと重ならない。
こちらが透明なのだから視線が合わないのは当然であり、彼自身の顔も判然としなかったが、左右に視線をさまよわせている気配がある。
あるいは、まだこちらの位置を把握していないのだろうか。
そう気づいたなら、悪戯心も沸こうというもの。
湯から静かに上がって素早く回り込み、出ようとする彼の背後から抱きすくめてみようと試みる。
濡れていても足音を消すなど造作もないが、足跡が残るのは致し方なかった。*]
[目の前の相手は、どう言ったものかと迷うようにいくつかの言葉を落とし、最終的に唇にのせられたのは、ひとつの問いだった]
何年…ええ、と。正確には、知らないけど……250年くらい、と聞いてる、よ
[何代もの間、続いた戦い。それがどんな意味があるのか知らないが、分かる範囲で答えを返す。
目の前の存在は圧倒的な力を持っているであろうことは分かる。けれど今のところ危害を加えられる様子はなく――ならば聞きたかったことを聞いてしまおう]
あ、の!ここはどこ?何で俺はこんなところにいるんだ?
[ああ、やはり]
……200年を越えた、か。
[吾は眠りすぎていたようだ。
何代もの間、続いた戦い。吾の眠りはそれを避けるためのものだったろうに、本来の力でないにしろ、結局絡め取られているではないか。
その発端を思えばこの戦いはあまりにも。
「くだらない」なんて言葉はすんでのところで飲み込めたが、はは、と、力なく笑うことは止められず]
[溢れた笑いがあれにどのような印象を与えたのかはわからないが、飛ばされた疑問には答えよう]
さあ? この館が誰のものなのかは吾にもわからぬ。何分、この世界に戻るのは久しいからの。
この世界をどう表現すべきかは知らぬが、今までいた……砦があった世界とは別であることは確かだな。
まあ、信じるも信じないも自由であるが、闇雲に歩きまわったところで国には辿り着けぬだろうよ。
[どこであるかを答えるのは簡単なことであったのだが]
なんでここにいる、か……
[続く問いへ答えるには、少し時間を要しただろう]
お前が手を払った際に、吾に仕掛けられた防衛機構が暴走したのだろう。
それによって飛ばされたようだ。
仕掛けたのはお前の先祖だろう。
お前の家系にどこぞの王妃に仕えていた女がいるなら、そいつがそうだ。
二人いる王妃付きのうち、侍女の仕事ができない方の筈だ。
[侍女の仕事ができないという話のあたりで、吾は昔を懐かしむように目を閉じた。
さて、帰る方法を聞かれてもハッキリしたことは答えられない。
かつての力を行使すれば砦を目印に界渡りをするぐらいは可能だろうけれど、肝心の封の解き方はわからぬものだから、正直手詰まりだったりする。
もし、それを問われれば、隠す必要もないしと、曝け出すつもりでは在る**]
……。
[どんな意味があったのかは分からないけれど、彼の中でその質問には意味があったのだろう。飲み込んだ言葉は知らない。けれど、零れた笑みは諦めのような何か。
ずっと片手に持ったまま、指先が白くなるほど握り締めていた指の力をそっと意識して抜く。だいじょうぶ、たぶん。そこまで……これは、恐ろしい存在では、ない。たぶん。SAAを腰の後ろに差し直して、深呼吸。恐怖心がなくなったとまではいかないが、多少は落ち着いた、だろうか]
……。
[違う、世界。そんなものがあるなんて知らない。言葉振りからして、彼が元々いた世界だったのだろう。何故彼がそうなったのかは知らないが、200年を越える昔からいた?
正確に理解できたかは分からないけれど、重要なのは『歩き回ったところで国には辿りつけない』というものだった]
…事故。
[そんな事故が起こりうるのか。けれど淡々と説明される言葉は、嘘をついているとも思えない。何故なら]
……そんな、人が。いたとは、聞いてる。
[ミヒャエルの家系は代々軍人である。王妃に信用をもらっていたとか、貴族の一端であったとか。体制のなくなった今で大して意味はないが、元々軍人だけれど横暴な隣国の王から護るため王妃の護衛になり、侍女の真似事をしていた、だとか。侍女が当時二人いただなんて、普通なら知るはずもないことなのに。
当時どんなことがあって、先祖が何故彼にそんな防衛機構をしかけたのかは知らない。けれど仕掛けられた彼が、ミヒャエルの先祖を恨んだりはしていないのは理解した。
懐かしむように閉じられた目が柔らかい、気がした。意識して――意識しなければ、抜けなかった強張る体から力を抜く]
[そして、今一番重要な質問。彼はきっと嘘をつかない]
どうやったら、元の場所に…元の、世界に?ってことになるのか。帰る、方法が知りたい。
[質問に対して返ってきた答えは、はっきりしないものだ。彼にかけられた封印をなんとかしないといけない、らしい]
……。
[かけたのはミヒャエルの先祖であってもミヒャエルにその力はない。どうしようか]
事故が…起こったのは、俺が不用意に触れたから?だよな。
なら、また触れたら…暴発とか、緩んだりとか、しないかな。無理?
[問題はそれを試すならば彼に近寄らなければいけないということだが…帰るためならば。思ったより、怖い人物ではなさそうだし。
可能性がある、というなら。そろり、とまだ多少怯えながらも、左手を差し出すつもりだ**]
[ おまえの方から求めた、と言われた。
確かにそうといえばそうである。
求めたのは任意同行であるが。
魔物の中には、めったに人間と関わりをもたず、人の目からすると極めて純朴な者も多かったが──ギィの種族が、そんなにスレていないはずはなかった。
わかっていて駆け引きを楽しんでいるのだろう。]
見てのとおり、おれはおまえの糧にはならん。
[ 別の獲物を探しにいけ──と言いたいところだが、盗まれたものを取り返してから言うことにしよう。]
[ 浴槽の縁に踵が触れ、後ろに手をついたところで、不意に冷たいものにが胴体に巻きついてきた。
背後から抱きすくめられたのだ。]
っう…!
[そこにいたのか。
把握してなお、その姿は見えないが、確信はあった。
振りほどこうという動きは、意志に反して鈍いものになる。
触れあう場所が、ほんのり色づいていた。
魔的存在からエナジーを供給されて、”外器”が回復しつつあるのだが──
彼の抱擁に反応し、その色に染められているように見えることに、心中穏やかではいられない。*]
/*
えっ。だって触れば触っただけ私色に染まるってことでしょ?やばい。えろい。押し倒したい。
内側からも注いでやろうってうあうあうあ
/*
いやまてまだ早い。早い…かなあ?
いただいてしましま……どうなんだこれはもう少しうふふあははを楽しんでも良いものか。
えっ。でもこれいわゆる据え膳……
[呪物が作り出した人形が糧になるか、試したという話はあまり聞かない。
そもそも魔剣然り、魔銃然り、戦うために生みだされたものたちだ。
獲物として狩るには危険がすぎる。
だが今ならば、そして彼ならば試せるのではないか。
そんな好奇心も少しあった。
けれども関心の大部分はそんなことではなく、彼自身の上にある。]
おまえが何者であろうと、欲しいという気持ちに変わりはないよ。
おまえという存在が、私を惹きつけたのだから。
[息のかかる距離で囁いて、抱きしめる腕に力を籠める。]
[拳なりなんなり飛んでくるかと思ったが、抵抗はあまり無かった。
おや、と思って観察してみれば、触れあっている彼の肌に色が戻っている。
意識を研ぎすませば、自分から彼へ向かう力の流れを感じた。
ああ―― と会心の笑みを浮かべる。]
やはりおまえの方が私を求めているね。
[これはいい。
餌を与えているような心持ちになる。
まずは彼の脇の下から腕を回し、これ以上溶けないように湯船から引き揚げた。]
[湯船の縁で背後から抱き着いたまま、彼の身体に精気を注ぐ。
両足を彼の腰に回して押さえこみ――両腕も一緒に拘束してしまえれば最高だ――、指先や掌を使って色のないところに触れていく。
こちらが透明化していることをいいことに、手の動きは気まぐれに、悪戯っぽく、次の動作を予測させない動かし方になった。
時折は頬や唇を触れさせて、違う感触を混ぜていく。]
[ランダムに見えて、動きには法則がある。
気の流れる経路に沿って、摩り、抓り、揉む。
それは快楽を呼び覚ます作法にも通じていた。
人間ならば感じやすい場所を摘み、転がして刺激する。
唇を耳朶に寄せて甘噛みし、舌先を這わせ、首筋に唇紋を残しもした。
全身を確かめようと欲し、喘がせてみたいと望む。
執拗な感心をもって、指先が細やかに動き回った。]
[力を注ぐための接触は、彼の全身に色が戻るか、振り払われるまで続けられるだろう。
いつ抜け出してもいいと言わんばかりの緩い拘束に見えて、跳ねのけるには相当の力を必要とするはずだ。]
おとなしくしていなさい。
欲しいのだろう?わかっているとも。
[求め入るのはおまえ。
おまえが望んでこうしているのだ。
言葉でも態度でも、そう見せつけていく。*]
[男の少し空気が和らいだことに、吾は安堵して、己が内の小物を宥めつつ]
不用意……と、いうよりは明確な拒絶の意思をもって触れたから、だな。
[だから吾からお前を守るべく防衛しようとしたのだろうと笑う。
それと──…]
触れただけでなにか起きるというのなら、もう起きている筈だろう?
[先程までこの腕の中にいただろうにと両腕を差し出してみて]
おそらく他にも条件はあるのだろうよ。
[「お前の姿を見留めて封は緩んだのは確かである」なんて付け足しつつ。拒絶ならば先程していただろうし……とも口にする]
ああ、そうだ。
[それとひとつ、吾の中で問題が起きていることも教えておかねばならないだろう。
吾は制服のコートからベルトを抜き取ると、目の前の男に差し出して]
お前から触れてみるというのなら、吾を拘束しておいたほうがいい。
[目の前の男が吾を害そうとしたところで、それで死ぬほど軟ではないし、
なによりも、今ある危機として、目の前の男の行動次第では、小物の抑えが効かなくなりそうだということがある]
…………吾が二人いるということは、勘付いているのだろう?
[故に小物の存在も、しかと明かしておかねばなるまい。
目の前の男の態度の違いを思えば気づいているようであるから、それを補強するように]
あれはお前に懸想している。
[あれから告白を受けていたことはもちろん吾も知っているから、
ぎゃあぎゃあ煩くなる小物を押し込みながら、再度目の前の男に認識させるように口にして。
もしも性別がどうのと言われたのなら、それは小物にとっては障害になりえないと吾は静かに首を横に振るだろう]
あれは子供だ。 自制の利かない生き物だ。
周囲のならず…阿ほ……下世話………倫理観山賊以…
……………ええ、と、いや、無責任共、そうだ、無責任共にいらぬ知識をつけられたせいで、あれの恋慕は、精神的な欲求と肉体的な欲求が綯交ぜだ。
[いらん知識をつけた奴らについて何度も訂正がはいったのは小物が喧しかったからである。
まあ、ともかく、小物の状態については、それが真実でしかないから、吾様ひどいよ!なんて苦情が来ても訂正なんぞする気はない]
だから、その、あれには、気をつけて接したほうがいい。
もし、気をつけていたにも関わらず、その……痛ましい事故が起きたときは、聞かないように見ないように努めるが。
[痛ましい事故が何を指すのかは、文脈的に察せるだろうが、吾の口からは言えそうにもない。
そうして不安を口にすればするほど、起きてしまう気がして仕方がなくなるから]
…………先に謝っておこう。
すまないことをする。
[忠告の締めは不穏なものとなるだろう。
拘束するというのなら、大人しく拘束されよう。
ここから出てから拘束するというのなら、それに従うつもりである**]
[ ギィが見て取ったように、タクマの正体は魔導器としての鞘であった。
戦いで損傷した魔剣を包み込んでリベアし、また、炎や雷撃といった魔力をチャージする。
だが、馬飼いの仕事が騎士の手柄にカウントされないのと同様、誕生した当初から、人の記憶に残らない存在であった。
ましてや、活性化させる剣が失われて以来、用途すらないのだ。
それを、欲しい、と、これ以上はなく率直な言葉で宣言された。
そんな馬鹿なと疑う気持ちと、惜しげもなく流し込まれる魔力がせめぎ合って溺れそうになる。
それは、肉体的には断続的な喘ぎとして表出した。]
[ 浴槽から引き上げられ、そのまま抑え込まれる。
体勢を立て直そうと、幾度となく身をよじるのだが、そのたびに腕が、足が絡みついてきて逃さない。
蛇の後尾にも似て、のたうちまわるうちに、魔剣を求めて作り上げた人の形は、その色と輪郭を再定義されてゆく。
それは、完全に以前のものと同じというわけではなかった。
ギィの、闇の力が混ざっている。
融け合って定着する。新たな経験。]
…も う、 充分だ ろぅ
[ 観念したように力を抜く。
震える吐息を漏らすと、再生された腕を上げて透明な輪郭をたどり、ギィの頭部を探した。
その触れ方に官能的なものはなかったが、どこか躊躇いがちの初々しさがある。]
いつまで消えているつもりだ。
[色味も質量も取り戻した彼の身体を、改めて眺める。
当初の精悍な容貌は変わらぬまま、どこか親しみを感じる雰囲気を纏っていた。
血の繋がりと似た、同質の気配。]
ほら、こんなにも馴染みがいい。
[かける言葉は、呪にも似る。
己の色に染めてしまいたい。そんな欲望が疼く。]
[触れて来る手は初々しく、指先が髪の間に入り込めばくすくすと笑みが零れた。
こういう接触をしたことがないのかもしれない、と思えば胸も高鳴る。]
残念ながら、消えているのは私の意思ではなくてね。
先ほどのようにしてくれたら、元に戻るかもしれない。
[拘束を解く、と見せかけて彼の上に覆いかぶさる。]
痛くない挿れ方を試してみよう。
[息が混ざり合う距離で告げて、そのまま唇を塞いだ。*]
[ 魔力の供給を受けたことは認めるが、馴染んでなどいるものか。
求められて動揺したのも、初めてだったからこそ。
そう反論してみるが、惑乱は収まりそうにない。
見えないままに探ると、くすぐるような笑い声が降ってくる。
艷やかな髪の感触。これは耳朶。唇。うっすらと涼感をもってそこにある。
透明になっているのは彼の意思ではないそうだが、首筋から鎖骨まで、滑らかに肌が続くようすから、ギィは裸身なのだと推察された。]
おい、宝石と手帳をどこにやった?
[ 尋問するも、はいどうぞと差し出されるはずもなく、重心の動く気配とともに、仰向けに押し伏せられた。
何をする、と問う間もなく唇が重なる。]
[ 濡れた質感が押し入ってこようとしていた。
先ほどのように?
ずっと交戦状態にあったと認識しているが、なぜこうなる。
歯を噛み締めて阻もうとするも、巧みに愛撫され、隙をつかれて侵入された。
確かに痛くはない。傷にもならない。
しかし、肉の洞をおかす舌はしなやかで、生き物ならではの柔らかな伸縮と温度に、自らも人の姿に擬態していながら、怯んでしまう。
こんな試技は初めてだ。
短い呻きをくぐもらせ、そこは本来、挿れる場所じゃないと涙目で訴えた。]
[深い口接に相手の身体が強張り竦む。
明らかに慣れていない反応が愛おしくて、隅々まで弄った。
歯列の裏側をなぞり舌先を吸い唾液を絡めて飲ませもする。
存分に蹂躙してから唇を離せば、口の端から糸が引いて彼の胸に滴った。
良い。被虐の証のようで、そそる。]
おや、何も起きないね。
違ったかな。
[透明化は解除されていなかったから、嘯くようにそう言って相手の身体をさらにまさぐる。
挿れる場所を間違えた、とでも言うように。
その実、先ほど触れた性感の経を再び目覚めさせるように。]
[このままここで押さえこんでいては、彼の身体に傷がつくかな。
そんな考えがちらりと頭をよぎったからだろうか。
ふと視線を上げれば、忽然とそこに寝台が現れていた。
この城のもてなしは、いったいどうなっているのだろう。]
運んでおくれ。
[ますます影たちの主に対する疑念は膨らむが、せっかくなので使わせてもらおう。
影たちに命じれば、集まってきてふたりの身体をそのまま持ち上げる。
再びの口接けで抗議の声は塞いでおいたから、ベッドの魔力が発揮されることはなかった。]
?!
[この腕の中にいただろう、と。差し出された腕に戸惑ったのは仕方ない。さっきは必死だったけれど、あれは拘束、ではなくて、抱擁だ。微かな頬の赤みを誤魔化すように視線を泳がせ――けれど自分のベルトを外して差し出してくる行動が理解ができなくて、向き直る]
[二人いる、というのは理解できていたから、ひとつ頷いて返す。
続いた懸想の言葉に咄嗟、なんで、と返しかけたのは口の中に飲み込んだ。理由は分からないながら、彼が本気であろうというのは分かってしまったから。けれど、『好き』と『拘束』が繋がるのが理解できない。
最初女性と思っていたのは確かなのだろうけれど、目の前の彼曰く、それはどうでも…いや気にしようよ。障害にしようよそこは。しかも]
[言葉を選び選び……そのどれもが、一番最後に選んだ言葉まで含めてももれなくどうしようもない人たちによって、植え付けられた価値観が、もう、つまりは]
――っ、…?!?!?!
ちょっと待って精神的はともかくその、そ…ういう、ことを、望まれている、ということか!無理無理無理無理!!え、ちょ
[必死で首を左右に力いっぱい振るミヒャエルに、まるで同情のような視線を向けられる。ちょっと待って、あなた彼と同一人物なんでしょう!そこは止めよう!あ、止めてくれてるのか。それでも押さえられるか分からないということか、だから拘束か。差し出されたベルトの意味が、すとんと理解できてしまった。とてもいらない理解だ]
[どうやって気をつければいいというのか。そうか、さっきやたら顔が近かったのは、無意識ではなくキスされかかっていたとかそんなのか。しかしそんなになるような態度をとったつもりはないから、もうどうしていいのか分からない。
痛ましい事故、が何を指すのかなんて分かってしまうけれど、でも、こちらも口になんて出せない。力で敵わないことなんて分かってしまっている……聞かないよう見ないよう、そんな気遣いはいらないから止めてほしい]
[彼に助けられたことを感謝はしているし、目の前の彼があの彼とは違ってどうやら紳士的であるのは確かなようだ。
しかしそれはそれ、これはこれである。申し訳ないけれど、後ろ手にベルトで拘束させてもらうことにした]
……。
[そこまではいい。けれど、どうしよう。
そろ。恐る恐る出した手で、相手の肩の辺りに触れる……様子を伺うけれど、なにかが起こった気はしない。さっきも散々触れていたのだし。
続いては…服じゃない、部分。に、触れてみよう。触れていた手を持ち上げて、そろり、と頬に触れる。試すように柔らかく触れたまま頬を撫でる……どうしよう。あとはどうしたらいいんだろう、思いつかない]
[こちらが何をしようとするのかを確かめるように、まっすぐに向けられる視線もいたたまれなくて、つい視線が泳いでしまう。どうしよう。どうしたら]
………。
[ぽふ、と抱きついた。さきほどと違って、こちらから。逃げられないよう背中に腕が回されることがないのが、少しだけ安心感がある]
……。
[けれどここからどうしていいのか分からないのは変わらない。と、唐突に思いついてしまった可能性に、抱きついたまま顔に朱が上った]
ぅ…
[どうしよう。顔が見えていなければいい。下を向いているし、抱きついてるせいで相手からは見えない筈だ。たぶん。握り締めた手に力がこもる]
あ…の、な?
[試すだけ。ちょっとだけだ、でも申し訳ない。彼は彼の中の彼をちゃんと抑えてくれているのに。けど、他に思いつかない]
……ごめん。
[するりと背を伸ばして、自分よりも高い位置にある唇に、唇を合わせた*]
[ 口腔を散々蹂躙した挙げ句、効果がなかったと言われた。
窃盗ばかりか詐欺までするか。
そもそも、許可もしていない行為に及んだのだから、暴行罪も加えるべきだ。]
貴っ様…、
[ 叱責の声をあげる口は唾液に濡れている。
空腹なわけでもないのに、こんなになるとは。
今しがたまで、口腔で混ぜ合わされ、浅ましいほどの舌啜音を生み出していたのだと思えば、糸引くさまも淫靡なものに感じてしまう。]
[ どうにかして主導権を取り戻せないかと試みたが、いかんせん鞘は鞘であった。
頑なにもがいている傍らに、ふと影がおちて、忽然と寝台が現れる。
ストレッチャー台とか留置所の簡易ベッドなどではない。
天蓋までついたキングサイズの、むしろアンティークといった風情の寝台であった。
城館の中から移動してきたとでもいうのか。]
な 、
[ 人の形は模していても、快楽の機微までは知らずにきた。
人や吸血鬼と異なり、子孫を増やすことは目的としてもっていないから、興味をそそられることもなかった。
ただ、人にまぎれて暮らす手前、適当に話をあわせることくらいはできたが、恋人をもったこともない。
そんな朴念仁であっても、この場に現れたベッドが穏やかな睡眠のためとは微塵も思えなかった。]
[ ギィに囚われたまま、ふわりと持ち上げられ、ベッドの上に移される。
抗議を封じる強引な口づけに、後頭部が羽毛枕に深く沈んだ。
まったくもって理解が追いつかない。
タクマの正体を知った上で、何故、求めるのか。
新しい役割など、いまさら自分には──*]
[腕の下で彼がもがくさまは愛おしいもの。
彼は気づいているのだろうか。それとも、これこそが鞘としての性なのだろうか。
拒絶の言葉や動作とは裏腹に、何かを待ち受ける風情で身体も心も開かれつつあるようだ。
それも、この手で押し開く楽しみを残すような、絶妙な加減で。]
おまえは、受け入れる器として作られたのだろう?
[来歴など知らないけれども、確信をもって囁く。
造られたものたちは、期待された目的にひたむきだ。]
待っていたのだろう?
空隙を埋める相手を。添うべきものを。
[本来添うべき相手は、手帳に忍ばせてあったあの剣なのだろう。
けれどそれは離れて久しいと感じていた。
今も近くにいるならば、こんな抵抗では済むまい。]
私はおまえを求める。
おまえの全てが、欲しい。
[囁いて影たちを呼び、彼を緩やかに押さえさせる。
身体をずらし、彼の足首を捕えて押し上げ、二つ折りに腰を上げさせた。
今この時の自分の表情が彼に見えていないのは惜しい。
けれども、もう待てない。]
受け入れてくれるね?
[問いながら、返答は求めていない。
準備も何もさせていなかったけれど、心配はしていなかった。
彼の身体は、自分の気を受けているのだ。きっと問題はない。]
いくよ。
[声を掛け、己の肉に備わった刃を扱き、
彼の、人間としての肉体の、収まるべきところへと貫き押し入れた。*]
/*
区切り入れてないと読みづらいね(
パン屋とか宿とか出ても困るかな、これは。
ここでランダムはちょっと諦めようか。
もう一回。
浴場/議場/処刑場/自室/橋
処刑場/<< ヒース>>の所/酒場/診療所/詰所
[寝所である石室の壁を通り抜け、石も木も何もかもを通り抜けて一直線に訪問者たちの元へ向かう。
仮に相手が何百人いたとしても、全員の元に同時に、同じように現れただろう。
訪問者がどのような状況であれ、まったく気に留めることなく言葉を掛ける。]
我が領への訪問を歓迎する。
もてなしは堪能してもらえただろうか。
我が領はそなたらを受け入れる。
そなたらのために、領内に住居を用意させよう。
必要なものがあれば、言うといい。
[当然、ここに永住するだろうと言わんばかりに、衣食住の提供を約束する。]
もしそなたらが永住を望まないのであれば、
鍵を探すがよい。
我が領を出るには、鍵が必要だ。
容易くは見つけられぬ。
ふたつの魂が心合わせねば届かぬ場所だ。
早々に諦めて、我が領に留まるのが良い。
[言いたいことと言うべきことを言って、領主の姿は霧のように溶けて消えた。*]
/*
結局イベント内容を丸投げた感。
いやあ、各々が1d6かなにかを振って、同じ数字が出たら鍵が出る。(出なかったら探索を続ける)案もあったけれども、これ、出ない時はいつまでも出ないからなあ…ってボツになったの。
[ 言葉にしない葛藤を、ギィは的確に抉ってくる。
こちらからは彼が見えないのに、向こうからはどこまでもはっきりと見えているのか。
あるいは、自分が真実から目をそむけているだけなのかもしれない。]
おれの 中に …は
[ 他者を受け入れる場所がある。
迎え入れるための器として作られたのだ。
使命をまっとうできる以上の至福はない。]
[ それを与えようというギィの申し出は、とても強い熱を持っていた。
何が彼をそれほどまでに突き動かすのかはわからないけれど、あらゆる手を駆使しても叶えるという真摯さは本物であると感じた。
それは、迷惑であるけれども、気持ちを動かされるものである。
しかし、 ]
…っあ?!
[ 今この時も、ギィは影たちの加勢を請うて身体を重ねようとしてくる。
これは、人目に触れない場所でするような類の秘め事ではないのか。
踵を持ち上げられ、あられもない姿勢に抑え込まれながら、唇を噛んで睨みつけた。]
[ 外器は好きにさせてやる。
けれど、本体には触れさせるまい。
ギィは倒したい敵も特にはないと言った。
強化すべき刃を持たない者のコレクションにされるのは、矜持に反する。
自由にさせるのは身体だけ、と、遊郭に身を落とした武家の子女のような覚悟にすがりつく。
そんな自負に反して、これからおきる未知のことに意識は集中してしまうのだけれど。
一体、どれだけの──]
──…っ う、 んあ…!
[ いきり立つ熱が押し当てられ、抵抗を押し破って肉の門をくぐるやるせなさを感じた瞬間、嬌声が弾けて腰が浮いた。*]
[痛々しいほどの覚悟を抱えた肉体を矯めて貫くのは、愉悦だ。
頑ななものほど、咲き零れた後の乱れ方は甘くなる。
彼はそんな資質を持っているはずだ。
拒みながらも求める心は、肉の耽溺を止められまい。]
気持ちいい、という声だ。
[奥まで突き入れたところで動きを止め、呑み込んだ質量を自覚させてやる。
声を上げた唇を指でなぞった。戯れに唇をこじ開け、歯も撫でる。]
おまえは人に似せてこの身体を作ったのだろうけれども、
どうして快感も受け取るように作ったのだろうね。
本当は最初から、こうして欲しかったのではないかい?
[言葉で煽り、指先で爪弾いて、一度入り口近くまで引き抜く。
そしてまた、奥まで押し込んだ。]
[快感を理解させるための、ゆっくりとした深いストロークを幾度か繰り返す。
引き戻し、押し込む。一定のリズムで繰り返して快楽の泉を探る。
自分が透明だから、繋がっている部分が良く見えた。
押し広げられる入り口の様子も、中で蠢く肉襞もすべて見える。
なかなか見られない光景だ、と興味深く眺めていたが、やがて少しずつ色が戻り始めてきた。
彼から魔力を吸っているというわけでも、別の要因があるわけでもないから、単に効果時間が過ぎたということだろう。
惜しいな、と少し思う。*]
ヒースは、城主 ソマリ を投票先に選びました。
[ 何が起きているのか、自分の一部のことでありながら把握できない。
唇をこじ開けられ、指を差し入れられて、先程の濃密な口接を思い出した。
今、足の間に施されているのも同じだと気づく。
押し込まれ、貪られ、濡れてしびれて──
刃を鞘の中に収めるのとはまるで感覚が違う。
猥雑で、せわしなく、とらえどころがない。
繰り返しかき回されて、めまいがする。どうにかなりそうだ。]
ひッ あっ あぁ…
[ これは気持ちいいという声だと、ギィは言う。]
違っ ガう、 こんなのは──
[ 訴える端から、透明なしずくが糸をひいて溢れた。
淫猥な水音に、隘路の入り口が、奥が、不随意に緊縮し、うねって波立つ。
一定のリズムで抽送を繰り返され、シーツを握りしめて身悶えた。]
や、 んあっ いッ
[ 腰を揺らして、苦しさを、耐えているのだと見せつける。
離れろ、(そこは)、はやく、(もっと)、終わらせるために、(欲しい)
ギィにはどう見えているのかと、潤んだ双眸を開けば、透明化のとけつつある姿が見えた。
どんな風に彼と結ばれているかを目の当たりにし、その端正な面差しに浮かぶいろを認めて、改めて自分の痴態に気付かされる。*]
[後ろ手に拘束されたままでは、立った体勢は少し辛い。壁に背を預け床に座って相手の出方を待っていれば、
恐れ混じりに手を伸ばして吾の肩に触れて。
その瞬間、はふ、と陶酔混じりのため息が吾の中で聞こえた。
目の前の男の手が持ち上がり、そうして再び吾へと伸ばされれば、吾の中にいるものの手がそれを追うように伸ばされて]
──…
[外と内から頬に触れる。
小物は吾をガラスか何かにでも見立てているのだろうか?
そろりと撫でる男の指に沿うように、吾の内を小物の指が這う]
[男がぽふと抱きついた瞬間に、小物がそれにすり寄った瞬間に
ひ、と漏れかけた悲鳴を抑えることはできただろうか?
小物が、物質としての質量を持っているはずはないだろう。もしそうであるならさすがの吾でも無事では済むまいし。
しかし、確かにその存在を、その動きを、今の吾は感じ取ることができてしまう。
それは、まるで、臓腑を直接撫で回されるような、不快──…いや、これは……
擽ったいような、気持ち悪いような、支えを失うような、これはなんであるのか。
異常が起きているのだから目の前の男を止めるべきなのだろうけれど、唇にさえうまく力が入らずに]
[
なんとか、なんとか意識は失わないようにしなければ。
吾が必死に意識を保とうとしてるのは、なにも小物が暴走しそうというだけの話ではない。
吾越しであっても幸せそうに目を伏せる小物の姿に、あの男には見えていないだろうに愛おしそうに手を合わせる小物の姿に、下手に主導権を渡したが最後、吾は二度と表に出れなくなるのではないかという不安が湧くからである。
顔を伏せたままの男の表情を伺うことはできないが、一旦止めて仕切り直──…]
「……ごめん。」
[なんとか落ち着こう、なんとか仕切り直させよう。
それだけでいっぱいいっぱいであった吾の思考は、男の謝罪と共に繰り出した行動によって齎された。
混乱だの、歓喜だの、驚愕だのといった感情の揺さぶりに耐えきれず、ぶつりと落ちるのだった]
[目の前に彼がいる。
合わせられただけの唇は柔らかくて、このまま貪ってしまいたいけど、それをしたらきっと逃げられてしまうから。
話ぐらいはできるように、足を膝のあたりに絡ませて遠くには離れられないようにしよう。
それにしても吾様は酷いよ!
確かに俺は彼に抱きついたりしたけど、話もしないうちから手篭めにするなんて、どこの蛮族の話さ
ちょっと話をするから吾様はちょっと我慢しててね!
…………あれ? 吾様? わーれーさーまー?
……大変だ、吾様の返事がない。消えてはないけど……え?気絶?
どうしよう? 俺のせい??]
[捕まえたままの彼はきっと逃げようとするだろうけど、それは少し待って欲しい。
逃げられるのは悲しいけれど、それ以前に、いきなり一人はかなり心細い]
ごめん、あの、どうしよう!
どうしよう? 吾様気絶?かな? 寝てる?
どうしよう……わかったのに
[吾様のいう力とやらは、なんでか俺のところに集まってるっぽいけれど、使い方なんてわからない。
君にしたかった事なんて吹っ飛んでしまって、俺はただおろおろするばかり**]
……。
[触れた唇は思ったより柔らかくて、それに暖かかった。
なんだろう。申し訳なさはあるけど…思ってたより嫌じゃない。ものすごい勢いで迫ってこられないせいかもしれない、あれは怖い。
触れていただけの唇を離し]
っ、わぁぁ!!
[油断していたのだろう。触れる、ことに集中していたから。
気がついたら投げ出されていた彼の足が腿に巻き付いていた。これ絶対彼のほうだ!いつの間に入れ替わったのか、慌てて距離を取ろうにもこんな無理やりな体勢のはずなのに外れない――必死で肩を押す、けど]
………。
[目の前の彼は、ミヒャエルを拘束しているのも彼だけれど、それよりも泣きそうな顔をしていた。
あれは子供だ、と彼は言っていた。あの言葉は本当なのだろう。
拘束はされているけれど、今はそれどころではないのか必死で彼の中の彼――ていうか、吾様って呼び方はなんなのだろう――が、様子がおかしいと訴えている]
ええと…おち、ついて。時間がたてば戻るかもしれないし…すこしだけ、落ち着いて、待とう?
[子供の扱いなんて知らないけど、落ち着かせるように背中をぽふぽふゆっくりと叩く。ゆるりと抱きしめて。
さすがにこれで嘘なんてことはないだろう、彼の中で異常事態が起こっているとしたら……原因は、ミヒャエルなのだろう]
[封印を解くためになんとかしてみよう、としたけれど、この事態が正しいのかが分からない。彼を悲しませたかった訳でもない、できるなら彼の中の彼に目覚めてほしい。
ゆっくりと、背中を叩いて……少しは落ち着いて話もできるだろうか]
わかった、って何が?
おまえはとても感じやすくできているね。
[彼が身悶え咽ぶ理由を指摘して、証明するように最も感じる場所を突いてやる。
受け入れる側となった彼は、驚くほどに咲き乱れた。
これほどまでに快感を享受する素地があるというのに、これが初めてとは。]
そんなに腰を振って。もっと激しくしてほしいのだね。
いいとも。おまえの望むままに。
[言葉で示してから、律動の速度を上げた。
相手の息を読み、呼気を合わせ、相手が速さについてきたところで乱調を加えて惑乱に落とす。
無垢な身体に思うさま性愛の技を施していく。]
[しばらく激しく追い上げてから、一度手を緩めた。
波が寄せ返すような穏やかな抽送だけを続ける。]
おまえの身体がどうなっているか、わかるかい?
こんなに猥らに色づいて、いやらしい場所を全て晒して、
もっと気持ちよくしてほしいと全身でねだっている。
ここも私を咥えこんで、はしたない音を立てて吸い付いて、
離したくないもっと欲しいと、今も締め付けてくるよ。
[言葉と共に指先で触れて、意識をその場所に誘導する。
感じる場所、目覚めつつあるもの、繋がった場所。]
おまえなら届くとも。快楽の極まる場所へ。
私と共に、おいで。
[誘う言葉とともに、再び大きく深く抉る。
先ほどの狂乱を思い出させる動きと共に、彼の男性器に手を添えた。*]
[落ち着かせるように背を叩かれた、俺は、それに合わせるように大きく息を吸って吐けば、少しだけ周りの様子が見えるようになったから]
だい、じょうぶ。
すこし、ごめん
[俺より少し背の低い君の胸に頭を預けて、更に深く息を吐いた。
出ようと思って吾様を押し込めたことも眠らせたこともあったけれど、引っ張り出されたのは初めてのことだから]
俺……吾様も俺だったから、びっくりして。
[俺とは違いすぎる俺の中の存在が、俺自身であったことも相まって、ちょっとびっくりしただけのことなんだ。
吾様から同一人物だと聞かされていた君からしたら、驚いているのが不思議なように見えるだろうけど。
俺からしたら吾様は、ここに来る直前に認識したようなものだったから]
[そうやって落ち着いたなら、君からの質問に答えようと頑張るんだけど]
えっ、ええっと、そう、わかったんだ!
君がほっぺを触ったときからぶわーって! なにかが!
俺、吾様の中から君の指を触ろうとしたんだけど! そのときに、こう、ぐわっと!
[説明下手の説明は、一度で君に伝わったかな?
再度の説明を求められれば何度でも「吾様の中から君の手に触れた時になんかよくわからない力っぽいのが出てきた」という内容を繰り返そう]
多分、これが吾様が言ってたのだと思うけど
ちゅーの時は吾様が倒れちゃったからあんまり変わってない。
[嬉しくはあったけど、痛かったわけでもない、苦しかったわけでもないから気絶の原因はきっと……
なんで倒れたのかわかるか?と聞かれたら、予想だけどと付け加えた上で、吾様そういうの免疫ないみたいと暴露してしまうことにしよう]
だからね。
吾様起きたらくっついてるだけで力?は出るんじゃないかな?
多分?
[確信に近くても、あくまで予想。
俺にとってはあやふやなのと変わらないから、首を傾げながらまとめてみるけれど、目の前の君の反応やいかに。
ああ、それと]
俺と吾様は、力が戻っても別々の。
俺と吾様の二人のままだと思う。
[続けた言葉はほぼ確信を込めて。
君が触れる度に、君に触れる度に、俺と吾様はお互いの感じ方を価値観を、受け入れられずにいたものだから。
より強く形を持てば持った分だけ、別の形になっていくと思う]
[そうやっているうちに吾様が起きたようだから。
俺は君に──…]
吾様が起きたみたいだけど変わる?
[なんて提案をしよう。
せっかく出てこれたのに引っ込む選択を口にした俺に、きっと君は驚くだろうけど]
俺、今は君からぎゅーってしてくれたから、それでいっかなって!
ちょっとぐらいなら引っ込むよ。
ああ、そうだ。吾様は俺を子供だっていうけど、そういう吾様も子供だからね!
[突然の子供扱いに怒る吾様にそっぽを向いて、
引っ込む前提の言葉を口にして、「忘れてた、ご褒美頂戴!」なんて、引っ込む前提のご褒美の先取りをと、君の首筋に不意打ちのキスをするのだった。
これぐらいなら吾様もびっくりはするだろうけど気絶まではしないだろうしね*]
[少し落ち着いたようすでミヒャエルに凭れかかり、大きく息をつく。今の彼はあの時の、先ほどとは違う彼なのだろうけれど。暴走状態だった前に比べて、ショックを受けてはいるようだけど落ち着いているようだ。
ぽんぽんと柔らかく叩いていた背を、これで落ち着くならと緩く撫でる]
いや……構わない。
[はねて顎に当たる髪がくすぐったいけれど。
ようやっと話し始めた内容は、いまいち分からない。彼と彼の中の彼が同じ、というのは二人が同一人物である、ということなのだろうけど…何が言いたいのだろう。それを丁寧に聞き出すのは今でなくていい。それよりもと促した質問に、答えてくれたのだけど]
………えー…と?
[ぶわーっと、とかぐわっと、のインパクトが強くて意味が分からない。残念ながらこちらの理解力も高くはないのだ脳筋だから。明らかに理解できていない顔に、一生懸命伝えてくれるのだけど]
……つまり、俺が君に触れてたときに、君が彼の中から俺に触れようとした、ら、なんかこうぐわっときた??
[なんとなくフィーリングでそんな感じだと思う。それが彼の封印を解く鍵になるらしい、というのも。でもちゅーとか言うな、やりたくてやった訳じゃない。
ついでとばかりに悪気なく暴露された彼の中の彼…もうめんどくさいから吾様でいいか、彼になんとなく同情心を覚えつつ]
ええと、つまり…
[吾様が起きたら、俺が彼に抱きついていればいいということか。簡単…といえば簡単なのだけれど。こう、なんというか、落ち着くような落ち着かないようなどうしていいか分からない気分になる。目の前の彼がこうやって抱きしめていても冷静なせいもあってか、恐怖心もあまりないし]
――、つまり、力が解放されるだけで、二人の中に二人いるのは、変わらない?
[抱きつく話は先延ばしにしよう。吾様の方が嫌がるかもしれないし。けれどもう先延ばしにもならないようだ、変わる?と聞かれて少しの迷いで口ごもるのを、疑問ととったのだろう。晴れ晴れとした顔でぎゅーっとしてくれたからいい、なんて言わないでほしい。だんだんと絆されているのを自覚するから。]
[負け惜しみのように、吾様だって子供だという彼に笑ってしまった。だからまた、油断していたんだろう。ご褒美頂戴!という言葉と同時に首筋に柔らかいものがあたる――]
っ、ひゃ?!
[慌てて手で首筋を押さえ、飛び離れようにも足に彼の足が巻きついたままだからほとんど距離は離れない。ここしばらく、自分は彼にくっつきすぎだと思う。だからなんだか馴染んできてしまったのだ、それ以上の理由はない]
ちょ、反則…!
[必死で訴えようとするのだけど、目の前の彼はもうとっくに入れ替わってしまったようだった*]
[……言いたい放題していた小物が引っ込んで、吾は表に出ることができたのだが、
首筋を抑えこちらに抗議しようとする男に、吾はまともに目を合わせられずに]
抑えると言っていたというのに……すまない。
[絡めていた足を解き、謝罪の言葉を口にする
どれぐらい気を失っていたのかはわからないが、吾が目を開けた時の小物と男の距離を思えば、
これは、痛ましい事故は起きてしまったのかもしれないと──…]
小物の、小物ならざる小物が、申し訳ないことをした……!
[合わせる顔もなく、詫びても詫びきれない。
こら小物、笑うな、誰のせいで謝罪していると思っているのだ。
おそらくそう時間はかからずに誤解は解かれるだろうけど、それまではまともに顔を見れないだろう*]
……ぁう、いや、忘れてくれ
[そういうあれこれがなかったとわかれば、小物の笑った理由を理解して
肩を縮こまらせて何も言えなくなるだろう]
…………その、力
[なんとなく力が戻っている気がするということを言わねばならないとは思っているのだが]
先程、吾に、その
[力が戻った原因に思いを馳せれば、浮かぶのは意識が途切れる直前に、目の前の男の顔をとても近くにあったことが──…]
[と、まあ。
当事者であった吾は、力が戻った原因を少し誤認しているのだが、小物はそれを知った上で教えようというほど親切ではなかったらしい。
それどころか、ちゅーで気を失うなんて吾様はお子様だなあなんて煽ってくる始末。
それが続けば吾といえど]
──吾にだって、ちゅ……きっ……せ、接吻ぐらいできる!
先程は不覚をとったが、こ、こんどは……
[なんて、啖呵をひとつ思わず口にしてしまったりしたのである]
[文句を言いたかったのに、目の前の彼がもう彼じゃないから言葉を飲み込む。けれど抗議の視線は理解できたのだろう、目の前の彼は自分のことじゃないのに、申し訳なさそうに目をそらせた]
……?
[やっと足は解放されたけど、今の彼はミヒャエルに好意を持つ彼ではない。さほど身の危険も感じず――なんだろう。
抑えられなかったことの瀉剤はともかく、続く言葉の意味が分からない…小物の小物ざる?]
えー、と?
[申し訳ないことを、とは。じっくり意味を考えて]
………。え。え?!ちっ、が!なにも…!!
[理解してしまった。つまり、彼とそう、いう、ことをしたと!
ないないない!と必死で首を振る。なんということを考えるのかこの男!必死の訴えはやっと通じたけれど、お互い顔を見れない時間は避けられないだろう*]
[ひどい誤認をそのままに、小物に乗せられた状態で]
……す、すまない。
そそ、その、く、口、付けを!
しても……いいだろう、か……
[目の前の男の顔をまともに見れないまま放った、叩きつけるような要請に。
何故と問われれば、力の戻りが強かったという言葉を口にするだろう。
両手は拘束されたままだが、頑張れば、きっと、く…口付けくらいは大丈夫だ!]
あ、う、ん。その。ごめん
[やっと誤解はとけたものの、そんな勘違いをしたせいなのか、お互い顔をそらせたまま視線が合わない。どうやら気絶するほどの衝撃を与えてしまったことを謝罪する、けれど。
口調のせいか落ち着いた人だと思っていたけれど、もう一人の彼に子供だと評される彼の内面は思ったよりも]
……。
[思ったよりも、可愛らしいようだ。必死で目を逸らす様子をしばらくにこにこと眺めていたのだけれど]
…え?
[唐突に空中に向かって、宣言した内容が。キス、なんで?]
[と思うのだけど、必死で視線を外したままで許可を求めてくるのに、ちょっと。悪趣味だとは思うが。あんまり、嫌という気がしない。だから]
――いいよ。
[こちらから、緩く抱きついてみようか*]
[力いっぱい許可を求めた時、目の前の男がどんな顔をしていたのかなんてことまでは、吾は気にする余裕もなかったが。
ただ、吾の中の小物が少し不機嫌になったような?拗ねているような、そんな感覚に襲われて]
……!?
[胸にかかる重みに、ひゅっと息を飲んでしまった。
そうして告げられた許可の言葉に、ぶうぶう言い出す小物を宥める]
[うるさかった小物が静かになってそこで初めて、こちらに視線を向ける男を目を合わせる。
このままの体勢では不便だと、少々不安定ながらも膝立ちに、いざと思えば──…]
[どうにも動けず、なにも言えず。
真っ赤な顔で逡巡することどれほどか、
この状態で小物が静かなことが少し不気味だが、
意を決して、吾は目の前の男と唇を重ねることにしよう]
[意気込んでのキスなんて、すんなりうまくいくわけがない]
──ふっ
[一気にやればいいと唇に触れるその直前、止めてた息が漏れてしまい、吾はそこで動きを止めてしまった。
そのまま唇を触れさせればいいというだけの話なのに、男の顔を前にして吾は
接吻とは、唇を合わせるだけでいいのだったか。
いらぬ思考を挟んでしまった。
そうしてそれは、小物にも伝わってしまったようで]
[まあ、さんざん茶化されることになった接吻の作法は小物から聞けたので、それも怪我の功名と言えようか。
さあ、今度こそ、教わったとおりに唇を重ねて──…
それから下唇を傷つけないように噛み、舌を口内に滑り込ませることにしよう]
──っ、ふ… んっ
[内部からの刺激もあって、また男の口内の感触に、また己の行動に羞恥のあまり、意識が飛びそうになるけれど、
ここで気絶しようものならどうなるかなんてわかりきっているものだから、必死に堪えて舌を這わす。
男の呼気さえ貪るように唇を重ねなおすたび、リップ音混じりの水音がつなぎ目から耳を侵す。
目の前の男から抵抗があったとしても、そういうものだと吹き込まれているから、羞恥と未知の快楽に思考を侵されつつある吾は、男の口内を舐るのを止めることはしないだろう]
[なんとか男を開放できたのは、吾が腰砕けになって立てなくなる頃であったか。
べしゃりと崩れ落ち、息も絶え絶えになりつつも、なんとか小物に体を渡すことは防ぎつつ。
こんなに大変なことをしていたのだから、先程の吾が意識を失うのも仕方がないことだろうにと、小物に向かって悪態をつくのだった*]
[ 律動を伴う言葉に快楽を刷り込まれる。
感覚が遮断できないのは、あまりに深くつながっているせいか、あるいはギィの方で何か送り込んでいるのか。]
あ、あ、ああ、あ
[ 懸命の努力も虚しく、いつしか甘い喘ぎをもらすばかりとなって、肉体の交歓に奉仕している自分がいる。
腰を揺らして奥へと誘い、突き上げられて獣の呻きを漏らす。
そのすべてを見られている。
死ぬほど恥ずかしいことのはずが──気持ちいい。]
[ 茎立つものに冷たい手が添えられた。
それもまた、官能の源であると。
形だけ模していたはずのものが彼の手の中で脈打ちはじめる。
かさを増し、形を変えてゆくそれを、つい凝視してしまった。]
こい、 とは?
[ また逃走劇を繰り返すつもりかと迷走する思考の中で戸惑ったが、ギィの手管は優しくも容赦なく導いてゆく。
自分を穿つギィの熱も呼応しているのがわかった。]
[ こんなもの、制御できるはずがない。
壊される── (
ギィっ、 もう …──!
[ 請い求めれば、ひときわ大きなうねりに持ち上げられ、視界がくらんだ。*]
[唇が近寄る。自分でいいと言ったくせに、吾様ほどではないとはいえ経験豊富といえないからやっぱり緊張する]
……。
[大人しく目を閉じて待っていたけど触れる気配がなくて、そろりと目を開けると近い距離で硬直したように固まっているのが見えた。
どうしようこれ。こちらからするべき?
でも下手なことをすると、また気絶してしまいかねない。
どうしていいのかこちらも固まったまましばし]
[ふ、と唇に息がかかった。それこそ、今にも唇が触れそうな距離。]
――?!
[ふにゃと力が抜けそうになる。今まで比較的平気だったのに…一気に血が上り、後ろに逃げそうになるのだけど]
っ、ん…
[唇に柔らかいものが触れた。キスした!いやいいと言ったのはミヒャエルなのだけど。
逃げない、に、げ…ちょ]
ふ…、ぁ、ん…
[優しく唇を噛まれ、力の抜けた口内に、まさかの。舌、舌が]
ひ、ぅ!!ゃ、あ……
[まさか。あちらの彼ならともかく、こっちの彼にそんなことをされるなんて考えていなかった。舌にざらりとした柔らかいものが触れてぞくりと背を何かが這い、慌てて逃げるけれど狭い口の中では逃げる場所なんてない。
再び追いかけてきた舌が舌に絡みつき、その間も呼吸を許さない必死さで何度も何度も唇を重ねる。その度に信じられないくらいに音が響いた。
信じられない。信じられない、こんなの。でも。
嫌じゃない…というより]
――っ、も、む…
[無理、という訴えは唇で塞がれた。酸欠でぼんやりしてくる…信じられない。けど、きもちいい…無理、と、もっと、が混ざりあってもうなんだか分からない]
[結局二人して崩れ落ち、息も絶え絶えになった。緩く彼の背に回していた腕が一度も離れなかったのには最後まで気付かないまま。
しばらく必死で息を整えて]
――、どうしよう。きもち、よかった…
[ぽつり、本音が洩れた*]
[何もかも初めてだという顔をする彼は、おそらく自慰もしたことはないのだろう。
つまりは全てが処女地であり、全てはこの手が開拓する場所だ。
快感の路を開き、官能の沃野に雫を降らせ、恍惚の頂を極めよう。]
愛しい子──
おまえはこんなに、私を熱くする。
[熱の無い身体に熱が生まれるのは、愛しさに満ちた時だけだ。
純粋な魂が初めて咲かせた花は、性愛のなんたるかを知り尽くしている夜の生き物をも魅了した。]
[求める声の切なさは、愛しさの閾値を振り切って欲望を溢れさせる。
自身の快感の制御も忘れて、溺れるように貪った。
深く深く突き上げた先で、臨界の火花が散る。]
――― いくよ …ッ !
[掠れた声で告げ、彼の手首を押さえこんで精を解き放つ。
絶頂の歓びは、長く尾を引いた。]
[やがて、穏やかな失墜の感覚と共に、彼の身体に胸を重ねて伏す。
猫のように髪を摺り寄せながら、彼の頭をゆるく抱いた。
繋がった部分はまだ熱を持っているが、しばらくはこうしていたい。*]
[悪態をつく吾様に言うべきか言わざるべきか。
いや、だって、あれは吾様がわるいよ。吾様の聞き方が悪い。
ほとんど力が戻ってるってことを伝えなきゃいけないのに、吾様は復帰できそうもない。
それなのに俺に主導権を譲ってくれないので、なにもやれることはないと──…]
……吾様
[不貞腐れていたら、ふいに部屋の中のなにかが動くような感じがして。
それを吾様に告げたなら、くれぐれも無体は働かないようにと言いつけられた上で、体の主導権を与えられた。
吾様は何かを探って備えようとするつもりらしい。
それが館の主からの伝言>>33>>34の、前兆であったと俺達が知るのはそれからちょっとだけ後の話]
[俺は吾様じゃないから、崩れ落ちたままの状態から起き上がることが出来るのだけど。
背に回された腕を離させたくないんだけどどうしよう。
なにかに備えるなら起き上がらなきゃいけないんだけど、一生懸命息を整える君が可愛いので離れたくないんだけどどうしよう。
拘束を解いてもらった方がいいんだけど、吾様じゃなく俺が話してそれが叶う気がしないんだけどどうしよう。
吾様の口調真似するにしてもなんかめんどくさい言い方をするってぐらいしか思いつかないし、話してて面倒になりそうなんだけどどうしよう。
そんなことをぐるぐる考えていたら、可愛い台詞が聞こえたんだけどどうし──…
吾様への言い訳が思い浮かばないんだけどどうしよう!]
[ 望みはすぐに叶えられた。
肉体が頂きを極わめ、魂はさらなる法悦へと投げ出される。
手首を拘束される圧さえ繋がりを感じさせて焦がれた。
これを知ってしまった以上、自分は ──
仰け反り、墜落した。]
[本音を零す君へ、触れるだけのキスを落としたら君はどんな顔をするのだろう。
一度じゃもちろん足りないから、二度三度と、唇で君に触れたら、どんな反応をするのだろう。
どんな反応をするにしても関係ない。
考えなかったことにするなんてありえない。
というか、もう、しちゃったからね!]
[熱を吐き出して、ギィもまた至ったようだ。
脱力した身体を重ねてくる。
その肌は、今は、冷たくない。体で分かち合ったものは、確かにあるのだ。]
── …、
[余韻をあじわうように腕をまわしてくるギィから顔を背けて、乱れた息を押し殺す。
体内でいまだに痙攣する肉が、咥え込んだ固さがそれをむずかしくするけれど。*]
[そんなことをしてしまえば、きっと今の俺が俺の方だっていうのは君にはバレてしまうだろう。
もしもダブルノックアウトについて問い詰められたら、やったのは吾様だって言ってしまうし。
キスを教えてほしいって聞かれたから教えたよ!とも言ってしまおう。
だって、あれは吾様の聞き方が悪い。
さっき起きた事とか、君にされた事って聞かれたなら、それはちゃんと答えたよ!]
[言葉が零れだしたのは、ほぼ無意識だった。だから自分が何を言ったのかなんて覚えていなくて、だから目の前でそんなことを考えられているだなんて考えもしなかった。
また唇に柔らかい口付けが落ちる。さっきとは違う、宥めるみたいなキス。
――きもちいい。
ちゅ、ちゅと連続で落とされる唇を目を閉じて受けて、あれこれはどっちだろう、と微かに考える。でもどちらであっても思いを込められた口付けはきもちよかったから、こっちからも少し長めに触れるだけのキスを返そう]
[息を整えて少しは戻ったけど、やっぱり力の入りきらない体、間近なままでさきほどキスに到った理由を聞こう。触れるだけ、という話だった筈なのに、つまり吾様は目の前の彼に騙まし討ちをされたらしい。合掌。
これは怒るべきなのだろうか。けどどうにも怒る気になれない。相手の体ごしに回した手で、相手の両手を戒めるベルトの存在を確かめるみたいに、ベルトと肌の合間を指で辿り――その戒めを解く。もういらない気がしたから。]
…、
[どう言えばいいのだろう。今となっては。あれだけ否定しておいて。
嫌じゃない、という言葉をそのまま伝えるのは言いにくいから、どうやって伝えたものか。悩むように唇を開きかけたままで、でも言葉は出てこない]
[抱え込んだ頭がそっぽを向く。
その反応までもがまさに初々しくて、耳朶を軽く噛んだ。]
とても良かったよ。
おまえも、喜んでくれたようだ。
―― ああ、でもおまえのここはまだ私を欲しがっているね。
続きをするかい?
[腰を揺らして快楽の熾火に息を吹き込む。
このまま彼と再び性愛のるつぼで溶けあうのは魅力的だけれども]
………。
[無粋な訪問者の接近を感じ取って、小さな息を吐いた。
どうやら楽しみは暫くお預けのようだ。]
惜しいけれど、またあとで、だ。
零さないように気をつけなさい。
無理なら、これをつけておくといい。
[何をするかの説明はしなかったけれども、身体をゆっくり離していけばわかるだろう。
己を抜き出した後の空隙に、素早く小さなプラグを差し込んでおく。
闇を喚んで形作ったものだ。自在に形を変えてぴたりと嵌る。]
これを。
[体を離したあと、これも闇から織り出した大きな布を彼の上に広げ掛けた。
身にまとえばガウンの形になる。
同じものを自分も羽織って帯で止め、近づいて来るものを待った。]
― 露天風呂 ―
[透明化が解け、脱ぎ捨ててきた衣服の代わりに闇色のガウンを身に着けたところへ、訪れる者があった。>>33
こちらの反応などまったく斟酌しない様子で語る言葉から察するに、これが影たちの主なのだろう。
領内に留まれという言葉を、うっすらと笑みを浮かべて聞く。]
まずは歓迎に感謝しよう。申し出も有難く思う。
だがそのように過分な待遇は私の身に過ぎる。
鍵とやらを探すことにさせてもらおう。
[住居の提案を断っても、相手が気分を害した様子は見えなかった。
城の主がこの場から消え、気配も無くなったとこを確かめてから、人の形をした鞘の方へ顔を向ける。]
― 尖塔の最上部より ―
[怒るべきか呆れるべきか決めかねているような顔の君が、俺に再び抱きついた。
突然に抱擁に動揺するより先に、手をなぞる指先がその目的を伝えてきたから
力の大半は戻っているのだし、革のベルトごときの拘束なんて自力でなんとかできるけど、
ここは、役得を──…じゃなかった、大人しく解かれるのを待つとしよう。
カチャリと金属が床に触れる音が、縛めを解かれたと知らせてくるのと、
なにかの気配が濃くなるのは、同じくらいのタイミングだったか]
[不意に背後の空気が揺れた。
油断……もう認めてしまおう。目の前に彼がいると、つい頼ってしまうらしい。
背中に回していた手を離すと同時に体ごと振り返り、右手で右足に触れる。固い金属の塊に触れるけれど抜き放つまではしない――隣の彼のあまりにものんきな様子に、彼が危険がないと判断したのだろうというのは察せられた]
[ゆらりと姿を現したのは、月の色みたいな……こっちの赤いのではなくて、元の世界の月を溶かしたみたいな金色の麗人。謎の人物?との間には壁のようななにがが見える。あの麗人がそんな壁を作る理由がないから、きっと隣の彼が何かしたのだろう。吾様がひとりで仕事してるとまでは知らないけれど。]
なにを
[言葉を途切れさせたのは、こちらの返事を聞いている気がしなかったからだ。永住なんて望まない。けれどどう答えたところで彼の言葉は変わらないのだろう]
………。
[つまり、鍵を探すしか手はないらしい。言うだけ言うと空気に融けて消えてしまった彼のいた空間から視線を外し]
…、俺は、戻りたい、けど。
[君はあっちの……ミヒャエルのいた元の世界に、一緒に戻りたいのか?そんな意図で、相手の顔を見上げた*]
[鍵なしでは帰れない、そんな言葉を聞いてすぐ、吾様が転移の術式を貼ろうとしたんだけど。
どうやらこの館の中では、少なくとも吾様の使う魔術体系の転移は使えなくなっているみたいだ。
そんな事をしている間にメッセンジャーは…いや、おそらくあれは……
ま、消えちゃったし、それを気にしてもしょうがない。
戻りたいけどなんて言葉とともに、彼>>41は俺を見上げるけれど、俺の答えは決まってる。
彼が戻るなら着いてかなきゃ意味がない。さすがに世界を隔ててじゃ口説き落とすのも大変だからね!
吾様の答えも動機はちがえど帰還一択、悩む必要はどこにもない。
だからまずは──…]
この塔から出ないと、だね!
[窓しか出口がない尖塔、その最上部から降りなければ。家具のないこの部屋から出る方法なんて一つしかない]
ん、と、今ここから落ちるから、暴れちゃ駄目だよ。
[なんて、彼を抱き上げて、俺は窓から飛び降りるのだった。
やってることはお姫様抱っこだけど、地面につく場所をへらすことで落下の衝撃をなんとかって吾様が言ってた気がするから仕方ないんだよ!
背負う担ぐなんて選択肢は、見えないとこで引っ掛ける可能性もあるって吾様が言ってた気がするから、この抱き上げ方になるのは仕方ないんだ!*]
[そろそろ小物を一回小突くかなにかしなければなるまいと、吾は強く心に決めて、落下の衝撃を和らげた。
あまり離れ離れになると制御が難しいと伝えたはずだし、小物が先に降りて次にという方法でも対処できるとも伝えたはずであるのだが、どうしてこうなったのか。
まあ、男との距離の近さに意識してしまって制御どころではなくなりそうだから、こうなってしまえば表にいるのが小物でよかったのだろうか。
……そもそも小物が表じゃなければこうがなっていない事を除けば、小物が表でよかったのだろう]
[君を抱き上げ幸せいっぱいだった俺は、遠くない未来に吾様による説教が待ち受けてるなんて知らずなくて。
もっともーっとこの時間を噛み締めていたかったけど、地に足がついてしまったから名残惜しいけど君を降ろそう。
それからぐるーっと周りを見回して、どうやら差し迫った危険はないようだから]
鍵探しに行く前に、忘れ物とかあったら言ってね。
取った瞬間、戻っちゃうやつだったら置いてくことになっちゃうし。
[なんて、制服のポケットから、キャラメルとクッキーをばらばらと取り出して、彼に手に乗せれるだけ乗せて]
あと、ちょっと俺、寝るよ。
鍵の位置を補足するのに、吾様の魔術領域だけじゃ足りないみたいだから分けてくる!
[なんて伝えてから、大きな木の元に腰掛け目を瞑った]
[ここは元々彼らが住んでいた世界、らしい。
だからこそ、一緒に戻るのかと聞いた>>41のだけど、返答はあっさりしたものだった。迷う素振りもない。だから安心して、この塔から出ないとという言葉に頷いたのだけど……その方法が。]
……。え?ぇ、と。
[吾様ならなにかすごい力で安全に降りられるんじゃ、なんて安易に考えていたのだけれど。
伸ばされてきた手を避ける間もない。糸ではないけどテグスはあるから、それでどうにか。そう提案するより早く。抱き上げ方に文句はつけるまい。彼なら大丈夫かもしれないが、着地の時に地面に足がついたら折れるかもしれないし。けど]
ちょ、っと、まて、ま………わあぁ?!
[浮遊感。ついで、落下感。しかも長い。近い位置の頭に必死でしがみつくのは仕方がないと思うのだ*]
[寝ると宣言して休んだのだ、わざわざ表に出る必要もないと、吾は探しものへ意識を集中させた。
ぱちり、ぱちり、と意識を切り替えれば、その度に範囲を変えた分布図が現れて。
……膨大な魔力質量を持ったなにかでは該当が多すたか。
今度は、大きさ…温度…生命反応…魔力波パターンそれから──…
検索条件と除外条件を切り替えて、それに該当する可能性の高いものを絞っていく。
吾も人外といえど全知全能とは呼べるものではないから、取りこぼすものもあるだろうし、拾ったところで見当違いというものもあるだろう。
だからこそ、情報の剪定作業は入念に、小物の領域まで手を広げて行おう。
そうやって、いくつもできた候補地の中、
あの世界への転移条件、その魔力波にもっとも近い反応を示したものは──…]
北、か
[北の墓地の奥の一角で、空間が歪んでいる更にその先に]
[そうやって調べ物は終わったのだが、あの男はどうしているだろう。
その場に留まっていたのなら次の目的地を告げるだろうし、
もし傍で眠りについているのなら目覚めるまでの間、吾も隣で微睡むこととしよう**]
[思ったよりも衝撃は少なかった。どうやら吾様が力を使ってくれたらしい。
ふー、と長い息を吐いて恐怖で強張った腕を離す。降ろす時やけに名残惜しそうだったから、小さく小突いてみたけど全然ダメージにはなっていなさそうだ。むしろ嬉しそうだ。未だに彼にダメージを与える方法が思いつかない]
忘れ物…ウィンチェスター、かな。
[温泉のある東屋、掃除のために部品をいくつかバラしたままの愛銃のことを口にする。元に戻ってもう手に入らない訳じゃないけど、馴染んだ銃の方が使いやすいし愛着もある]
…無理にとは、言わない。
[ミヒャエルが言えば、彼はどうやっても叶えようとしてくれそうだから。無理のない範囲でとは付け足した]
[手の平の上に手品のように乗せられる甘いお菓子たちを不思議そうに見て、改めて顔を見上げる。
食べろということなのだろう。そういえば、けっこうな時間がたっている気がする。月は相変わらず天辺にあって時間感覚が分からないけど、意識してしまえばお腹もすいた気がするし]
うん?あー、わか、った?
[なんて明らかに分かってない顔で了承する。魔術領域ってなんなんだ。
分からないけど、寝る、という部分は理解できたから。しばらくは一人で辺りを警戒してみたけれど、どうやっても危険なんてなさそうな空気にふわりとひとつ欠伸を漏らした*]
……。
[もうひとつ、欠伸を噛み殺し。木の根元、安心したように目を閉じている顔を見つめる]
…。
[実際はなにか難しいなにかをしているらしいけど、気持ちよさそうに眠っているようにしかみえない。だから、隣にぽふと座り込んで]
……――。
[肩に額を押し付けたら、暖かかった。だから、安心して。このまま眠ることにする――**]
[ 耳朶を甘噛みされるだけで、身体に電流が走ったようになる。
効果付与は自分の十八番だというのに。
続きをするかと囁かれて、男を包み込む鞘と化した肉洞がキュッと窄まる。
恐怖と表裏一体の欲望。
職業柄、強姦に関する知識はあった。
望まぬ性交であっても、肉体は傷つかぬよう防御反応を示すのだと。
拷問されても勃起はするのだ。
これもきっと、そういうものであると、言い訳しなければ正気でいられそうにない。]
[ 反応を確かめたかっただけなのか、ギィは楔を抜く。
またあとで、との言葉に血がのぼった。
治療のつもりではないだろうが、何か代わりに差し込まれる。
裡でするんと動いた。
かろうじて声を抑え、足をおろす。
関節が軋んで、今までどんな無理な体勢を強いられたまま激しく動いていたのか、あらためて思い出した。]
[口撃の代わりに枕を投げつけようとしたところへ黒い布が降ってくる。
上質な肌触りのガウンだった。
彼とお揃いというのがいささか難だが、さきほど影たちがだしてきたハロウィン・コスプレのような衣装よりはまともかもしれない。
いや、これは屋外で着るべきものではないし、扇情的だ。
横目で見れば、ギィは居住まいを正して何かを待つ風だった。]
[ギィの贈り物をどうしようか逡巡している隙に、初めて会う男が忽然と現れた。
反射的に布を被って隠れる。
といっても、一瞬とはいえ視線があったから、そこにいるのを見られたのは確実だろうし、顔を隠したところで何を変えられるというわけでもなかったが。
現れた男に対するギィの対応は、知己とは異なるように感じられた。
丁重だが、親密さは薄い。
ギィは城主(?)の申し出を断り、そのまま男の気配は消える。]
[差し出した手への反応がないことに微笑んで、傍らへ寄る。
布を被った彼の顔を、間近に覗きこんだ。]
おまえはここに残るつもりかい?
[胸の上へ、とんと指先を置いた。]
それともはやり、先ほどの続きがしたいかい?
[置いた指をつと滑らせて下肢へと差し向ける。]
ここはまだ、疼いているだろう?
[彼の中に忍ばせた闇に呼びかけ、小さく揺らした。
悪戯な指先の動きに合わせ、左右に揺れる。
熱を思い出させるためだけのほんの少しの動きで、指を離した。]
いずれにしても、
ここにいては、おまえの求めるものは見つからないのではないかな。
[一歩下がって彼の全身を眺める。
彼が満足するほどの剣が、この世界にあるかなど知らない。
そんなことは、些細なことだ。]
おまえは私と共に来るべきだよ。
おいで。
後悔などさせないとも。
[確たる口調で告げて、再び手を伸ばした。*]
もう透明化はとけている。
[続きをしたいなどと思うものか。
あんな狂おしいこと、もう二度と必要ない。
自分が自分でなくなるのが、いやだ。
そう思う端から、身体の中で蠢動するものに屈してしまいそうになる。
いささかきつく帯を結んでベッドを離れた。]
[いずれにしても、というギィの指摘にはうなずく。
求めるものに関してはそのとおりだろう。
ただ、]
盗品をどこにやった。
[真面目に問いただす。
伸ばされた手をとるのではなく、手首を掴んでつかまえた。*]
これは困った。
捕まってしまったね。
[言葉とは裏腹の笑顔で言う。
どう見ても、困ったよりは楽しいの顔だ。]
捕まったからにはあれを渡そうか。
おいで。
[空に向けて声を投げかけると、どこからか、にゃあと返事があった。]
[やがて有翼の猫が舞い降りてきて、肩に留まる。
丸い頭を首筋に擦り付けてくる使い魔を撫でてやってから、背負わせている袋の中から手帳を取り出した。]
これはおまえに返すよ。
もうこれがなくとも、私とおまえは繋がっているからね。
[優雅な仕草で警察手帳を差し出す。
その指の間からメモが一枚零れて落ちた。*]
[捕まってしまった、と晴れやかに言う盗人は、案外、殊勝に手帳を返してくれた。
翼ある猫は使い魔のようだ。体のサイにズあった小さな背負い袋が場違いにキュートである。
繋がっている云々は敢えて無視して、手帳を受け取った。
挟んであった"お守り"が落ちたので、急いで拾おうとして、ギィの手を離して自由にしてしまう。
ギィは羊皮紙に記された文字を見たか。見たとして読めるだろうか。]
他にも盗んだものがあるだろう。
[確信の口調で問いただす。]
夜明けまでに元の場所に戻すならば、事件は胸に収めておく。
[交渉を持ちかける。
どのみち、彼を起訴することはできまい。
被害を最小限に抑えるためには、妥協するしかなかった。*]
[この手技に長けた魔の指から、偶然何かが落ちる、ということは無い。
落ちるべくしてそれは落とされたのだ。
羊皮紙を拾い上げた彼から一歩下がり、使い魔を腕に抱く。]
昔、ある魔剣の話を聞いたことがある。
[持ち掛けられた交渉を無視して、語り始めた。]
その魔剣は非常に強力で、
雷を放ち、炎を纏って、あらゆるものを切り裂いたそうだ。
魔剣は同じ魔剣と戦うことを望み、数多の戦いを重ねた。
何本もの剣を折り砕いた末に、ある魔剣と使い手に挑み、
長く激しい戦いの果て、ついに斬られた、そうだよ。
[ごろごろと喉を鳴らす使い魔の背から、ルビーを取り出す。
赤い月の光を受けて、六芒の光条が鋭い輝きを放った。]
私があの町を訪れたのも、
その使い手に頼まれたことがきっかけでね。
斬った剣から最後に託されたそうだ。
「借りた力を返す」との言伝と共に、魔力を宝石の形に封じたものをね。
けれども、どうやらそれが盗まれてしまった。
それを取り戻し、いずれは正当な所有者に返したいそうだ。
だからこれを、元の場所に戻すことはできないのだけれども、
―― この魔力に覚えは?
[摘んだ宝石を目の前に翳し、彼と重ねる。
指先に、微かな熱が脈打った。*]
/*
ルビーに何かが封じられていて、それを取り戻すために動いていた、までは最初から決定だったのだけれども、ここにきていろいろ詰め込んでみた。
[ギィはタクマの知らない話を語った。
不意に涙が溢れるが、それを拭うことはしない。]
…馬鹿だな。
[誰に、ともなく言う。]
盗品だから盗んでいいという法はないぞ。
だが、もし一週間たっても、被害届が出なかったら、
もともと、その店の品ではなかったのだろう。
[翳された宝石には触れず、己の見解を述べる。]
無茶はもう…、充分だ。
── 元の世界への鍵を探そう。
[彼は、自分が涙を流していることに気づいているのだろうか。
指摘はせず、ただ彼の見解を聞いて柔らかく笑む。]
ならば、ゆこうか。
[宝石を使い魔の背に戻し、腕を差し上げれば、小さな皮翼が羽ばたき舞い上がる。]
この子が妙なものを見つけたそうだ。
城の西側に沼が広がっていて、中心に変な家があると。
この子の言うことだ。おそらく小さな祠か何かがあるのだろう。
……ただ、沼には蛇が何匹もいたそうだが。
行ってみるかい?
[誘っておいて、そのまま歩き出す。
彼が共に来ることに、疑いは無かった。]
― 西の沼地 ―
[西側の壁を乗り越え、外へ出て暫く歩いた先に沼があった。
水はそれなりに澄んでいて、岸近くでは水草が揺らぐのが見える。
沼の中央の小島に石組みの小さな人工物があるのも見えた。]
あれだね。
内側になにかありそうだ。
行って取ってくれば、済みそうだが……
[言葉に被せるように水面が細波立ち、数本の細長い影が近づいてくる。
細長い、とはいえどれも大人の人間ほどの横幅がありそうだ。]
あれが守護者なのか、ただの蛇の群れなのか、
[身構える間に影たちが泳ぎ寄り、水面を割って鎌首を持ち上げた。
一斉に威嚇の音を立てるそれらを見て、軽く肩をすくめる。]
…あの子には蛇の群れと
[ギィはもう、鍵のありかの手かがりを得ていたらしい。
何もかも彼の手の内のようだが、異を唱える気はなかった。
向かった先の城壁には出口らしきものはなく、どうするつもりかと見守れば、ギィは最短ルートを選択した。
タクマが知る剣よりは華麗な方法で乗り越えてゆく。
瓦礫の山は残らない。]
[西の沼にたどり着くと、さっそく出迎えがあった。
沼の主であろう
あの手の輩と戦った経験は?
[知っているかもしれないが、毒のことや再生力のことを簡潔に告げておく。
こうしたサポートをするのもいつぶりだろう。*]
私はもともと戦闘向きではないのだよ。
剣を抜くのも久しぶりなのだからね。
[戦闘経験を聞かれて、間接的に否定する。
まして相手が人間型をしていないとなれば、どうにも食指が動かない。]
けれども、できる限りのことはしてみよう。
忠告感謝する。 ── 支援を頼むよ。
[毒や再生能力への注意に頷いて駆け出した。
敵意に反応したヒドラが一斉に口を開き、毒液を吐きかける。
それが、戦いの開始を告げる合図となった。]
[降り注ぐ毒液の合間を縫ってヒドラに肉薄する。
叩き潰そうと振り下ろされる頭を躱し、細身の剣を縦横に走らせて斬りつける。
戦闘向きではないと言いながら、戦いぶりは危なげない。
とはいえ、いくつもの首が自在に襲い掛かってくる状況では、防戦一方にならざるを得ない。
そんな状況の中、一瞬の機を捉えて斬りつけた闇の刃は、ただ一刀で首のひとつを真横に両断した。]
……っ。
[直後、斬られた首がふたつに裂け、それぞれ別個の頭として再生するのを目の当たりにして、小さく呻く。
キリがないどころの話ではない。*]
[支援を、と言われたがどうしろというのか。
拳銃もライターも露天風呂騒ぎで失くしていたし、この肉体はあくまでも人間規格である。
多頭竜の牙にかかればひとたまりもない。
別にそれで命を落とすわけでもないのだが ──
戦闘向きではないと言いながら、躊躇いなく突込んでゆくギィを見ながら思う。]
[斬り落とされた瞬間に再生した頭が両側からギィを襲う。
その片割れの前に身を投げ出して、ギィを庇った。
竜の顎門はたわいもなくタクマの上半身を薙ぎ払い、消滅させる。
本体である鞘のみを剥き出しに残して。]
《さらば与えん》
[魂の声で、ギィに呼びかけた。*]
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