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天に記す一葉 は、国軍技術開発部主任 マチス と 飛行士 コンラート を愛の矢で結びつけた。
天軍指揮官 ナネッテ は、天の子 マレンマ を支配した。
天の子 マレンマ は、天軍指揮官 ナネッテ と響鳴した。
次の日の朝、語り手 が無残な姿で発見された。
戦火の犠牲は確実に広まる。
それでもなお、戦いは終わらない。
求めるものを手にするまで、人は争い続ける。
己を犠牲にしようとも。
愛する者を失うとしても。
現在の生存者は、天に記す一葉 、国軍技術開発部主任 マチス、空賊殿下 ダーフィト、飛行士 コンラート、天の子 マレンマ、告死の影翼 シメオン、天軍指揮官 ナネッテ、黙示天使 アデル、臨時元帥 クレメンスの9名。
天使にキスしに行こうぜ。
[「キス」がバツ印で消され、乱雑な文字で「ぶちかま」と書き変えられている。]
───ある飛行機の翼に書かれた文字
天軍指揮官 ナネッテは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
天軍指揮官 ナネッテは、天の子 マレンマ を能力(襲う)の対象に選びました。
空賊殿下 ダーフィトは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
黙示天使 アデルは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
/*
さて、教会関連が終わったらいよいよ戦闘かしら。
宇宙船やら飛空艦やら、今まで戦ったことがない感じの軍勢でわくどきしてます。
あ、デフォルト投票マチスでした。殺意高い……。
― トラムオング上空空域 ―
[ コンラート率いる第三航空部隊の任務はトラムオングが離陸するまでの露払いと、天使達を惹きつける役目だった。離陸後の護衛も兼ねるため、複雑な動きと瞬時の判断の切り替えを必要とされる任務だったが、宇宙船開発に直接関わったパイロット達の士気は高く、飛行技術もトップクラスだ。
その上に、一週間の間に装備された新式の機銃は、魔導弾を発射できるように改造され、天使の翼をも貫ける力を持っている ]
数で押せば、なんでも潰せると思うなよ!!この木偶人形供!
[ 単調な力押しの攻撃が多い白い天使の群れは、縦横に飛び回って魔導弾を放つ戦闘機部隊の前に、徐々にだが確実に数を減らし、空に間隙を開けていく ]
これほどまでに祝福をいただいて、
私は、まるで、
生まれ変わったような心地がしています。
[どれほど嬉しいか、どれほど感謝しているか。
溢れる思いをそのまま全て、どうにかして伝えたいと思ったその時、
言葉は自然と、天上の響きへと変じた。]
― 天使の翼教会 ―
[今や光溢れる教会で、神の子たる光の救世主に、
大天使と、影と光の天使の祝福が共に齎される>>1:116>>1:122
それこそが 奇跡。
地上に天より齎されし、真の奇跡だ。]
マレンマ。神の奇跡にして、我が愛しき子。
我が翼の加護は、お前と共に。
…────許す。
共においで、
光の照らす久遠の先まで。
[頬に添えた指先に、彼の指先がそっと触れる。>>1:120
その刹那に弾けた感覚に、ナネッテもまた目を軽く見開いた。
それは光の大天使と雖も初めて味わう感覚であったが故に。]
───── マレンマ。
[広がる感覚のままに呼びかける。
心に押し寄せるのは驚きとそれを上回るほどの喜び。
これほどの喜びは、神の御前にあるより他にあっただろうか。]
天軍指揮官 ナネッテは、おまかせ を能力(襲う)の対象に選びました。
飛行士 コンラートは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
天に記す一葉 は、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
告死の影翼 シメオンは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
マレンマ・
これよりは、こう名乗りなさい。いとし子よ。
天に祝福されし子、世界に愛されし子。
わたくしたちは、お前を心から愛しているのですから。
……光の子よ。
[マレンマの紡ぐ天の響きにも違和感なく応じ。
大天使は目を細め、微かに天を仰いだ。]
[はっとして、目を瞠った。
これまで遠く微かな残響のように、どこからかの声が届いていただけの場所、
心の奥のたいせつな場所に、鮮やかな声が響きわたる。]
これ、は ……ナネッテさま。?
[喜びがあふれた。
違う。これはひとが抱くよりもなお深く大きい心。
共鳴した自分の心が歓喜に揺さぶられる。]
/*
あああああ!!!
そう!苗字!!!!
貰いたいなー、もらえたらいいなーって思ってた!!!!!
ちょ!!うれし!!!嬉しいいい!!!!!
/*
これ、上級天使が、救世主にかまけてる間に、ちょっと殴り返します的展開になるかなw
マレンマの墓落ちどうもっていくか、結局決まってないと思うけど。
― 天使の翼教会 ―
[月白色の羽が腕輪に転ずる。
死を告げる影は転じて、死を遠ざける影ともなり得る。
これより矢面に立つ身には、そんな護りも必要となろう、という想いを形としたもの。
時置かずして天より下る光の天使。
そちらもまた、祝福を授けるのを見届けて]
……おや。
[天の響き、そこに新たに加わる音色。>>*0]
やれ、これで言葉交わすのも楽になるな。
ひとの子に潜んでいては、声をかけるのも一苦労だった。
[冗談めかした声音で紡ぐ。
これまでは己が在り様を必要以上に広めぬため、制していた部分があったのは事実だが。*]
[光り輝く天使が天上より降り立ちて>>1:121、
ついに奇跡は衆人の目にも明らかなものとなる。
救世主たる青年と指先を触れさせたまま、
ナネッテは、ついと天を仰いだ。
呼応するように、教会の鐘が華やかに打ち鳴らされる。
天の威光、天の軍勢の征く時を知らしめるように。
同時に、教会の裡に光が輝いた。
強烈な光あるもの───と、人の子らの目には映っただろう。
天の声を聞く者、それらには六枚羽の大天使と映ったろうけど。]
──── 聞きなさい、人の子らよ。
[満ちる、想い。
触れ合う、心。
天なる響きは限りなく豊かであった。
人の操る言葉がいかに卑小なものであるかと知り、
果てなく広がる響きの海へと心を浸す。
ひときわ豊かに響くのは、大天使の意志。
深い愛に包まれて蕩ける心に、さらなる恩寵が授けられる。]
時は満ちた。救世の刻は来たれり。
祈りなさい、救いを地上に齎しなさい。
過ちには罰を、罪には慈悲を。
正しき道を歩む者の前に天の門は開かれるのだ。
善き道を隣人にも示しなさい。
天へ至る道は容易くなかれど、
天はいつでも、正しき道を歩む者を見守っています。
[羽根を背に持つ眩い輝きは青年の傍らにあり、
救世主たる青年を、より一層神々しく際立たせる。
大天使は三対六枚の羽根を輝かせて、
ついと顎を上げ、外へ──…
反逆者たちが気勢を上げる方へと鋭い眼差しを向けた。]
マレンマ、 リヴィエル …。
はい …はい、ナネッテ様。
いただいた名に恥じることのないよう、
私の全てを尽くして、お役目を果たします。
[感極まって、声震わせる。
そう。たしかにこの時、この瞬間、
天なる種子は、真に芽吹いたのだ。]
/*
そういやリヴィエルって絵の人いたっけ?(今更)
リーベ。を、もじったら、こう。こう。
wwwww 変な顔させてたらごめんwww
なんか、イケメンにいたような気がしてきたね!?
わたくしにも予想のつかぬ奇跡を起こす。
これはお前の力か?
我が
それとも神の齎された恩寵か?
[奇跡の顕現。
眩く輝く光──六翼の大天使が綴る言霊、それを深く、内へと刻む]
……まつろわぬ者に、相応しき
……我の在り方は御心のままに。
務め、果たして御覧に入れましょう。
[静かに紡ぐは影の在り方に沿った宣]
(……さて。
アレは、どこにいるやら)
[同時、思い馳せるのは。
立ち去り際、言霊を残して行った者。
告死の一華を捧げし者。
ひとの子に紛れている間に聞いた、『天使憑き』の異名の由縁。
それへの興味もまた、影の内には一片、あった。**]
これこそは奇跡、これこそは絆。
お前とわたくしの魂は、今、繋がれたのだよ。
永遠に、切れることなく。
マレンマ、愛しい子。清らけき光の子よ。
わたくしはそなたを誇らしく思う。
そして、わたくしナタリエル・ネッセテリウル・テレイアは、
この絆をを心より喜ばしく思う───…
[指揮車の中から双眼鏡を覗けば、"爆心地"の上空に無数の翼が舞うのが遠望できる。
数限りないとも思える光の翼を相手に、人間の意志乗せた翼は互角以上の戦いを繰り広げていた。]
おお、おお。
ようやりおる。
[人間の意地と意思が天の威光を押し返すさまに、嬉々として拍手喝采する。中でも目覚ましい動きを見せるのは、鋼の"天使憑き"らの一隊だろう。
天使を翻弄するように飛び交う鋼の翼は、個々のパイロットの力量もさることながら、全体が1個の生き物のように見えるほど連携の取れた戦い方をする。]
[双眼鏡の向きを転じれば、これまた目立つものが視界に入った。
古色蒼然たる空の帆船。堂々たる黒塗りの船体を空の大海に浮かべて進む姿に、唇の端が上がる。]
なんとまあ、大仰なものを持ち出してきとることか。
儂が若い頃にはよく見かけた型の船だが……
[ふむと唸り、得心の頷きをひとつ刻む。]
あの
こういう騙され方ならば、歓迎だというに。
[やはり生きておられたか、と。
諸々が組み合わさった先の喜ばしさに、手を打った。]
[かくして、それぞれの奮戦によって生じた空隙、
蒼穹翳らせる天使の群れの亀裂を捕らえ、
黙したまま、力強く敬礼した。]
…しかし。
[ふ、と思うのは、相手の動きのこと。
最初の襲来の時よりも、幾分か動きが鈍く、単調だ。
だからこそ、想定よりも容易く相手の層を分断できているのだが。]
ふむ……。
拙速、が今は吉かもしれんぞ、小僧。
[人間はもう抗戦の意思を失くしたのだと天使が油断してたのなら、願っても無い好機ではある───**]
臨時元帥 クレメンスは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
/*
一葉さんもクレメンスさんも投票デフォが当人たちでしたので最近はそういうものなのかなと思っていたら、
私のデフォはダーフィトさんでした。
天の子 マレンマは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
[天の奇跡が地上に光を齎している頃。
反逆の烽火は、天上にある光の船からも確認をされている。
天軍に於ける命令は、今も基本的には極めてシンプルだ。
──── 不遜なる者どもに
その命令を忠実に実行すべく、
飛び立った反逆者たちめがけて、光の翼の群れが下った。]
国軍技術開発部主任 マチスは、天の子 マレンマ を投票先に選びました。
/*
雷が収まりそうだったりそうじゃなかったり何なの。
あまりに近くて普通にこえぇ。[箱に影響が出ないかと言う意味で]
前に雷での停電経験してからめっちゃ警戒してしまう。
[とはいえ。上級天使の指揮を欠けば、
下級天使らの動きはどうしても単調となる。
光の弾が束となって鋼鉄の翼を襲う。
その脇から撃ち込まれた熱線に、声もなく天使が墜ちた。
それに怯む素振りすらなく、
代わりに現れた天使が人間どもの翼を襲う。
人の子の武器が、その意思によって描かれるものであるならば、
天使の武器は、まさに個の意思なきところの躊躇いなき物量だ。
墜としても墜としても執拗に倦むこともなく、
翼ある者たちは天への反逆者たちを狙い続ける。]
[その攻撃は無論、飛び立った船>>1:109にも向けられた。
いや。その姿が明らかになれば、
より一層の注意を惹いたと言ってすら良い。
それらの報せは空気を揺らすことなく伝達され、
やがて上級天使らの知るところにもなるのだろうが。]
…─── やはり折れなかったか。
[反逆の報に接した大天使の声は冷静だった。
それは既に、先にアデルとも言葉交わしていたこと。
全ては予測の裡にあり、声が漣立つことはない。]
マレンマ。
ではお前は、この地の人の子らを纏めなさい。
彼らが正しき道を歩み続けられるよう。
いずれ必要となれば、
怖れるのではないよ。
天の祝福は、常にお前の傍らにある。
[大いなる主の御心にも似てあらゆるものと繋がる天上の響きとは別に、心の最も深いところを揺さぶる声は、夢でも幻でもなく、再び胸の中心に満ちた。]
あなたの、 ───あなたの御声がきこえます。
私の中心から、魂の奥から、あなたの御声が。
アディリエル、シメオン。
天の威光を知らしめる刻だ。
傲岸不遜なる者らに、天のいかずちを。
悔い改めぬ者らに
[宣が、放たれた。*]
[その日、光溢れた教会には奇跡が降臨したという。
神々しき天使を目にしたという者もある。
教会の鐘が美しき音を響かせたその時より、
天の、反逆者らへの粛清が *再び始まる。*]
これは…私の力なのでしょうか…?
いえ。きっとこれは主の望まれたことに違いありません。
物心ついたときより、───おそらくはそれよりも前から、
私の心の奥には、あなたの御声が微かに届いておりました。
私は、あなたと魂結ばれるべく定められていたに違いありません。
ずっと、ずっとお慕い申し上げておりました。
ナタリエル・ネッセテリウル・テレイアさま───
[初めて知る名の響きに陶然とする。
魂が、正しい場所へ嵌められた快さに酔う。]
わたしは、未来永劫、あなたのものです。
[そっと為した誓いが、繋がりをまたひとつ強くする。]
御意に――我が主上。
[凛とした声が響けば、一礼を持ってその言葉を受ける]
黙示天使アディリエル、光の力を持って、抗う者らに浄化と粛清を。
[己が力を示す時を思い、胸の内は熱く打ち震えた]
もし、お許しいただけるのなら、
───師父、 とお呼びしても、…構いませんか?
[ありったけの尊敬と親愛を込めた呼び名を口にして、
おそるおそる許しを請うた。]
― トラオムング上空 ―
――随分と派手に暴れた者があったようだな。
[急行した先、天使の数は予想以上に疎らと化していた>>7。
単純な動きを狙われ撃墜される、白の天使たち。
そこに現れた金緑髪の天使率いる集団は、否が応でも目立つだろうが、それに動じることなく杖を構える]
不遜なる者、愚かにも再び天へ牙剥かんとしたものよ。
そなたらに向けられる裁きは、更に厳粛なるものとなると知れ。
[黙示天使を中心に、上下左右に散開した集団。
皆が前方へ、戦闘機飛び交う戦場へ力帯びた手を向ける]
放て!
[光弾が、まるで輝く針を束ねたかのように、前方の空間向けて殺到する]
墜とすぞ!
あれが天に至るを、許してはならぬ!
[魔導弾が軍勢を蹴散らさんとするのも、今は意に介さず。
宙に浮かぶ宇宙船へ、光の雨を降らせようとする**]
大将、連中そろそろ、そっちに集中始めるぜ。
[ 戦闘の只中に在ると、もともと通信を通せば軽くなる口調がさらに崩れて、荒っぽい物言いになる ]
今は俺の操縦じゃないからな、振り落とされんでくださいよ。
…───、ふ。
不思議なものだな。
誰よりも、主の声よりも近くお前の声を聞くことになるとは。
ああ。魂の奥に、お前の声が響く。
……おかしなものだ……。
[その音とは裏腹に、微笑む気配。
絆は喜びに満ちる心を、そのまま素直に彼へと伝え。]
そうか?
……そうか。
そうかも知れぬな。
12年前、そなたを地上に降ろす役目を、
わたくしに与えて下さったのは主だ。
[遠き日の一端を明かし]
だが実際にそなたをこの上に抱いた時、
わたくしの心は役割以上の……愛が心を満たすのを感じた。
きっと、その時から既に絆は結ばれていたのだろう。
全能なる神の御心のしろしめすままに。
ふふ…っ、師父か。
ふふ。良い、許す。
わたくしをそのように呼ぶ者など、
──── お前しか居らぬよ。
我が愛しき子よ。
[特別な呼称を親しく許して、楽し気に笑った。**]
− 《シャドウ・バレス》艦橋 −
機動部隊、出番だ。
[ダーフィトの指示を受けて、甲板下の格納庫が開かれ、船体の縁から零れるように、新たな戦力が出撃する。
4枚の翅を羽ばたかせて飛ぶ小型機は、飛行機ほどのスピードは出ないまでも、非常に小回りがきき、ホバリングすら可能だった。
タンデム式の《ホーネット》には、操縦と固定機銃を担当するパイロットと、散弾銃や精霊銃を扱うガンナーが組んで乗り込んでいる。
彼らの任務は、艦の護衛だ。
近づく天使へと縦横無尽な機動で挑む様は、まさにスズメバチの狩りであった。]
[よく見れば、ホーネットが滞空しないエリアが艦の左右にある。
そこは、]
斉射!
[舷腹から轟音と黒色火薬の煤煙をたなびかせる砲撃の弾が通過するエリアだ。]
[社交的な(?)オーニソプター乗りの中には、勢子のように天使を追い立てて、共和国軍戦闘機や自走高射砲の射線へ誘い込もうとする連中もいた。
手持ちの弾の節約だよと嘯きながら、初めての共闘を満喫しようとしているようだった。
これまでは、艦の仲間以外に援護したりされたりすることなどなかったのだから。]
[確かに戦果は出ている。]
…よくやってくれている、 が
[艦橋から広く戦場を見渡す目は、このまま押し切れるはずはないと感じていた。
大軍は混乱に陥れてこそ勝機があるものだが、個の意志や感情をもたないかに見える天使には通用しない。
数は落とせているが、こちらも減らされている。
いずれは疲労も重なってこよう。
そして、人の命に補充はない。]
/*
当初の予定通りにするなら、箱舟に集めた人たちを「天界の門に連れていく(=殺す)」なのですが、天使さまたちの台詞を見るに、悔い改めない者達に与える死も救いであるならば、正しい祈りを捧げている者達に与える救いは死ではない、はずです。
もう少し考えてみましょうね。
大天使さま、
私を慈しみ導いてくださる御方───
[命を賜って、滾る心を吐息に映す。]
皆様方が授けてくださった祝福で、
私の中の光は満ちております。
───はい。
天なる光の御力をもって、箱舟を浮かばせましょう。
皆様方がこの地を浄炎で焼き清められるより前に、
善き人々を、救いの道に送り届けてまいりたいと思います。
[いくつもの祝福を受けた今ならば、
主の力を導いて、大きな奇跡も起こせるだろう。
"生まれた"ばかりの救世主は、自負を示して微笑み]
主の御名において、
ご無事をお祈り申し上げております。師父、きょうだい───
[戦いに赴く彼らに、祈りを捧げた。]
師父、
[許された呼び名を口にすれば、尽きせぬ喜びが湧き上がる。]
あなたに結ばれた運命に、
主の御心に、感謝いたします。
[敬虔なる神の徒として神が用意した絆へ感謝を捧げるのは勿論のこと、]
そして、あなたの愛に、
私を呼び求めてくださったあなたの御意思に、感謝いたします。
私の、ただ一人の、
[傍らで、手の届く場所で、特別な愛を注いでくれることに、
心が安らぎ、満たされていくのだ。*]
― 天使の翼教会 ―
[天の階が降り来たり、華やかに鐘打ち鳴らされた日。
地上に純然たる天上の光が顕現した日。
そして北の地で、人間たちの烽火が上がった日。
天軍の長の傍らに立ち、輝かしい翼の光を身に受けて、
救世主として目覚めた青年は、聖なる戦いの宣を聞いた。
苛烈にして慈悲深い言葉が、天の軍勢に力を与えるを見た。
柔らかく微笑んで、粛清の命が下るのを聞いていた。]
間もなく、悪しき者らの満ちる大地は、
大いなる主の御意思により、焼かれ清められるでしょう。
ですが、心より悔い改め、祈るものを、主はお赦しになります。
不遜を捨て、敬虔に生き、正しき道に身を置くことを誓うなら、
今すぐ、箱舟にお乗りなさい。
[人々に語り掛ける口調は、これまでよりもなお力に満ちたもの。]
悪しきものが清められ、正しい祝福を受けた新しい世界に、
私がみなさまをお連れします。
私の───
─── マレンマ・
救世主たらんと地に遣わされた私の使命にかけて、
みなさまを約束された大地へお連れします。
さあ、早く。
残された時間はもう僅かしかありません。
[初めて、自ら救世主と名乗った青年は、人々に箱舟への乗船を促す。箱舟の全ての入り口が開かれ、救いを求める人々が長い列を為した。
それもやがては収まり、教会はほとんど空となるだろう。
残るのは教会の周囲で気味悪げに箱舟を見ていたものたちと、
いくばくかの不安に、二の足を踏んだものたちであった*]
[ 上昇を始めた宇宙船は、まだ加速の最中で天使達の飛翔速度の方が速い。
戦闘機の編隊は、垂直上昇するトラオムングの周囲を螺旋の軌道を描きながら共に上昇することで、近付く天使を撃ち落とし、動く盾ともなっていたが、それだけでは守りにも限度がある。
と、そこへ、虫の羽音のような飛翔音と共に、飛来した一団のオーニソプター>>30 ]
…あいつ、か。
[ それがどこからの援護なのかはすぐに判った。空賊達の動きは素早く、まさにスズメ蜂の群れの如き鋭さで天使を襲い、追い立てられた天使を狙い撃つ戦闘機部隊との自然な連携が瞬く間に成立する。
更に、ガレオン船から放たれる砲弾の破壊力は、トラムオングの守りを確実に厚くした。
宇宙船本体には掠りもせぬ効果的な砲撃の腕は、さすがの実戦慣れの腕を感じさせる ]
やっぱりな!
[ 戦闘機部隊からコンラートの操縦する複葉機だけが、ぐるりと旋回して黙示天使達目掛けて飛翔する。
装備の試験機の役も担う隊長機は、他の機体にはない魔法による装甲強化とエンジンの改造を加えられている。
そこにコンラートの操縦による動きが加われば、ある程度天使の攻撃が集中しても墜とされはしないとの自信はあった。よしんば撃墜されたとしても ]
「天使憑き」の悪運、天使が破れるか、やってみやがれ!
[ 明らかに上級天使を狙う動きの複葉機を排除しようと、周囲の白い天使達が向かってくる ]
…だから、うぜーって!
[ 放たれる光の矢を紙一重で避けながら機銃の引き金を引けば、いくらか相手の数は減ったが、一機だけでは全てを墜とすというわけにはいかない。
いずれ避けきれなくなるだろうとは承知で、少しでも天使の攻撃を引きつけようと急上昇と急降下を繰り返す ]
…っ!
[ しかし白い天使達の方も元より捨て身だ、数十の天使がまとまって正面から迫ってくるのは流石に躱しきれないか、と、コンラート自身考えたが、その時、目の前にふわりと白い羽根が降ってくる ]
〜Levitazione〜
[ 反射的に口をついて出た呪文と同時、足元のバルブレバーを蹴ってエンジンの回転を切り替える。本来は空母となる飛行船上に短距離での着艦を可能とするための、プロペラの逆回転機能。一瞬でも止まれば揚力を失う空中では決して行えないはずのそれが、魔法の浮遊力を助けに、複葉機を
お、らあっ!
[ 後進によって距離をとったあと、一度エンジンを切って短い自由落下、瞬時に再び飛翔して天使の一団の真下へと潜り込み、ほぼ垂直に近い急上昇を敢行しながら白い翼を撃ち抜いていく ]
……ジョーダンだろ……?
[ 天使達を振り切ってから、ぼそりと、そんな言葉が零れたのは、今使った術が、有り得ない無茶だと、誰よりコンラート自身が自覚していたからだった* ]
深追いをするな。
我らは不遜の象徴たる船を墜とすのに注力する。援護を優先せよ。
[直接の統率下にないため、配下の数百名のように意のままに操ることはできない。
しかし闇雲な突撃を止め、トラオムング方面へ転進しつつの引き撃ちに転じるなど、動きの変化は相手の目にも映ろうか]
……このまま逃がすわけにはいかぬな。
[機械の翼が天を征く者の飛翔を振り切るなど、あってはならぬことだった。
しかし下級天使らの直線的な攻撃では、自在に舞うあの複葉機に届かせることは叶わぬと見えた。
途切れた聖句を、黙示天使は再び唱え始める]
――天は、全てを見ておられる
罪を犯した人の子に、裁きは過たず与えられん
[黙示天使の周囲に4つの光弾が浮かぶ。
聖句により性質の変化したそれらは、絡み合う螺旋を描いて飛び、複葉機の機動を追うように急カーブで上昇する。
速度を犠牲にした代わり、追尾能力のある光弾は、籠められた力を使い果たすまで執拗に複葉機を追うだろう**]
/*
ぐぬ、覗けはしたけど、ログ書くには時間が…。
林檎もぎ時期はこれがつらい。
昼と夕方は身体休めないと…。
皆めっちゃ動いてくれてるのでそこは任せて全体の方と投げられたのを頑張ろう。
− 《シャドウ・バレス》艦橋 −
[地表を離れた
砲門の仰角を最大にしたところで、援護できる範疇は限られている。]
そっちは任せた。
[天使らと切り結ぶ共和国戦闘機や、艦を離れて彼らとの共闘を選んだ一部の《ホーネット》ら機動部隊に後を託し、見送ったが、天使群の動きの変化>>44に、指揮官の介入を感じ取った。]
[色のついた天使を探せば、]
── ッ!
[軽敏に戦っていた隊長機が一瞬、何かにぶつかったごとく宙で動きを止めたのが見えて、息を呑む。
どう考えても、後は墜ちるしかないだろう、あれは。]
コンラート…っ
[「当たって砕けてみる」と言っていた赤毛の青年の微笑が脳裏に浮かんで、反射的に一歩、踏み出していた。
素手で受け止めることなど無理に決まっているものを。]
[が、差し伸べた掌の遥か先で、コンラート機は持ち直した。
信じがたい機動で戦線に復帰する。>>41]
── ジョーダンだろ?
[奇しくも上空で呟かれたのと同じ言葉を口にしながらも、は、と詰めていた息を吐いた。]
“天使憑き”…なぁ。 また伝説を作りやがったよ。
後、宇宙船の他に、飛空艦も一隻こちらへ砲撃を向けている。
所属が違う船のようにも見えるが、現在はこの国の兵と共闘体制にあるようだ。
こちらを追ってはこない様子ゆえ、一旦は放置し宇宙船の方を追わせてもらう。
――あの船を天に届かせはしません。
必ずや撃ち落として見せましょう。
[やや間を置いて放たれた言葉は、強い決意が籠められて響いた*]
− 《シャドウ・バレス》艦橋 −
[4つの流星がコンラート機を追う。
その行方を見届ける間もなく、《シャドウ・バレス》にも光弾の雨が降り注いだ。>>53]
な…ッ
[予備動作が見えていれば、まだしも構えることができたかもしれないが、
眩い母艦を頂いた空からの光攻撃は完全にカモフラージュされていた。]
[艦の各方面から、被害状況を伝える声があがる。
艤装が吹き飛び、マストの1本は先端を折られていた。
甲板にも抉ったような傷が走る。
今のところ、魔障壁で守られた機関部に損害はないのが幸いではあったが、
発着場での悪夢を思い出して身を竦ませた者は少なくない。]
手を止めるな。
Primum viveri, deinde philosophari!
(思索する前に生きよ、見る前に飛べ)
[艦橋の手すりに飛び乗って、帆柱から伸びるローブに掴まり、船首に刻まれたスローガンを叫んで鼓舞する。**]
― 箱舟 ―
[果たして、箱舟に乗らないものたちの直感は正しかったのか。
あるいは愚かな選択をしたのだろうか。
入り口を閉ざした箱舟の、もっとも高い場所、
舳先にあたる場所に、救世主は立っている。
何人をも伴わず、ただひとり、両手を空に向かって差し上げた。
天の階の降り来たった空へ。]
主よ。万物の王よ。
いと高きところにおわすお方よ。
私の盾にして砦、私の翼にして剣。
とこしえに誉れ高き、王の中の王、神の中の神よ。
[朗々と神を讃える言葉は、歌となり呪となった。
抑揚を以て言葉が綴られるにつれ、箱舟が淡い輝きを帯びる。]
私の救い手は主の他になく
主は私をあらゆる災いから逃れさせる。
主の手は私をあらゆる悪しきものから遠ざけ
私は主の翼の下で、永遠の安らぎを得る。
[差し上げた手をゆっくりと降ろし、大地を指すように広げる。
首飾り、腕輪、宝玉。三つの祝福が正しく三角を描いたとき、
救世主の額から光が溢れ、力の波動が箱舟を包んだ。]
大地よ。主をほめたたえよ。
すべての民よ。主をほめたたえよ。
私のすべては、主をほめたたえよ。
[あらゆる建材が祝福され聖句記された箱舟は、
それそのものが巨大な魔法陣と化していた。
聖別された陣の中で詠唱と3つの呪具が術を織りなし、奇蹟を編む。]
/*
とにかく眠くて横になったら一撃死するんじゃね? ってステータスですが。
頑張ろう、頑張れ、自分。
いやしかし空中戦すげー楽しそーだなぁ、と思いつつ、さてさてどう遊ぼうかねぇw
/*
ちな、恒常的に戦闘機のACM描写に飢えてるのに今回避けたのは。
……毎度俺ばっかやるのはさすがにあれでそれだろ……! っていうのがね、うん。
いや、大好きです。大好きですけどね……!
大好き故に、広めたいんだ、楽しさを……!
[弾む響き帯びた無垢なる声。>>*9
やはり面映ゆい、と思ってしまうのは他者との関わりを普段持たぬが故か]
多くの導を、俺が独占してしまう訳にもいかんと思ったからな。
ああ、何かあれば、思い響かせるといい。
[そんな、冗談めかした声をひとつ、返して]
……あれで折れるようであれば、そも、天へ向かうなどという不遜、思い至りますまい。
[やはり、と紡ぐ主の声。>>*7
それに、微か笑む気配と共にそう、紡いだ後]
無垢なるが故の無謀、その果てにあるものが何か。
……待雪草の手向けと共に、知らしめて参ります。
[放たれる宣に、応ずる声音は静かなもの。>>*10
捧げられる祈り>>*15には、穏やかに笑む気配を返し]
― 上空 ―
[降臨の奇跡の後。
常であれば地に潜む影の姿は、今は空の一角にあった。
だが、その背にあるはずの月白色は開く事無く、周囲には薄墨色が揺らめくばかり]
……主戦場は、任せて安心……と言う所か。
この辺りは、さすがだな。
[新たに現れた船を追う天使たちの動きに、零すのは感嘆の声。
もっとも、それは空の喧騒に紛れて散って行くのみだが]
さて……どうやら、面白いモンがいるらしいが。
どの辺りにいるのかねぇ。
[黙示天使より届けられた空の様相。
それが、常の如く地上部隊への撹乱奇襲に出ていた影を空へと向かわせた]
……ま、取りあえずは。
[空の一角、染みのように浮かぶ黒は、さすがに目立つ]
黙示殿が本命を追えるように、支えに徹するとするか。
[その異様さに気付いて近づく翼に向けて、ふわり、投げつけるのは薄墨色の一華。
鋼に触れたそれは瞬時に弾け飛び、視界を覆う影となって場に広がった。
動きを鈍らせれば、すぐさま空舞う光の天使の標的となる。
後は任せた、と言わんばかりにそちらを顧みる事はなく、影はふわり、空を滑るように移動する。*]
……魔術、か。
あながち、間違ってもいないかも知れんな、それは。
[黙示天使からの報>>*16に、ふと思い出したのはいつかの対峙]
あちらには、奇妙な術を使う者がいる。
天の気配を帯びつつ、しかし、天に非ざるもの。
……ひとの子の間では、『天使憑き』などと呼ばれているらしい。
もし、ソレだとしたら……うむ、確かに警戒は必要だな。
/*
はふう、諸事情で時々家事に攫われる道化ですこんばんは。まあ連休でよかったけどね。
(家事+仕事+村は無理w)
なんか美味しそうなものが、あっちこっちに散らばってるぞ、マチスが戻る前に行き先は決めないとだな。
なにせ、アレは。
告死の宣を受けたにも関わらず、一度はそれをすり抜けた。
俺の影に干渉するという、何とも珍しい事をやってくれてな。
ま、手向けの華を捧げた以上、いずれは
[告死の宣を受けた──告死天使としての務めを果たすべき相手である、と。
告げる声音は静かなもの。*]
いずれにせよ、注意は必要だぞ、黙示殿。
油断していては、うっかりと空を塞がれかねん。
……お。
[ふと、上に感じたのは強き光。
見上げた真紅は、そこに輝く投槍を認めて目を細める。>>61]
アレが届けば、相応の打撃になるだろう、な。
ならば……。
[己が対するは、打ち出されるのを阻まんとする者たち。
影の両の手に、一対の短刀が握られる]
こっちで暴れるのは、性に合わんが。
ま、仕方ないな。
[そんな呟きと共に、ふわり、空を滑って。
鋼の翼の上に舞い降りた]
……さて。
邪魔をされては困るんでなぁ。
……告死の影の名において、きみたちに
[突然上から、しかも至近から聞こえる声は操縦士に混乱をもたらすだろうが、そんなものは知った事ではなく]
……堕ちろ。
[短い言の葉と共に、手にした刃を繰り出す。
短刀は影を纏ってしゅるりと伸び、混乱している操縦士を貫いた。
機体が落ちるより先、不安定な足場を蹴った影は次の獲物へと飛び移る。
月白色の煌きと羽毛が一片、僅かに遅れて舞い散った。*]
/*
参照
もうちょっと開示しといた方が、天使側に親切かもという気がしてきたので、出自について追加です。天使の気配がするのは、混血だったり、実は天使だったりというわけではなく、本人以外の昔(相当昔の予定)人間について地上に降りて戻らなかった天使との関わりによるものです。そういう天使が過去に居たということは知って頂いていても構いません。 -- 道化 (2017-08-30 02:55:04)
うっかり途中送信してしまいました「人間について地上に降りて」は「人間について調べるために地上に降りて」が正しいです。
− 《シャドウ・バレス》艦橋 −
[負傷者を船倉におろし、周囲の者がその穴を埋める。
いつもどおりの作業で戦意崩壊を食い止めた空賊たちは、天へと向かった宇宙船と軌道を交錯させるように、首都方面へと進み続ける。
その時、マストの上の見張り台から、「何か巨大で白いものが離陸した」との報告がもたらされた。>>58]
教会にあったヤツだ。
[ひとめでそれとわかる造作。
それが今は光をまとって浮いている。]
“聖櫃”だか”箱船”だかって呼ばれてたが ──
[彼の者に天の気配を感じ取ったのは、あちらも同じらしい。
通り名に対する評価>>*22は、らしいよなあ、なんて思いながらも表には出さず]
実際の所どうなのかは、はっきりせんが。
何かしらの縁はあるやも知れん。
それはそれで、裁くべき要因なのかも知れんが……それ以前のものが多々あるからな、アレは。
ああ、事、これに関しては不覚と言わざるを得ない。
[驚きの響き>>*23に、返す声は珍しくも真面目な気配を帯びる]
只人ならざるならば、見過ごせば大きな妨げとなり得る。
……その前に、宣を果たしたい所ではあるがな。
[告死天使として、果たして来た務め。
それ故の矜持がそこに現れていた。*]
[天使があれを使って、人間たちを上空の母艦へ搬送し、そこで天使に作り替える ── 不意にそんなビジョンが訪れて、ダーフィトは頭を振った。
その想像が正しいかはともかく、あれは天使サイドのものだ。放置してはマズいと考える。]
面舵! あの箱船の上を押さえるぞ。
[物理的に上からのしかかり、動きを止めようという空賊ならではの荒芸だ。]
[しかし、
「舳先に誰か立っています」との報告に、望遠鏡を目に当てる。]
天使じゃないだと…?!
あれは ── コンラートの”弟”か。
[会うのを避けて遠くから見ただけだが、確かにその佇まいは覚えている。
何やら神ががった感じが増しているのは、この距離からでも伝わった。]
子爵、 艦を預ける。
おれは一飛びして、あの扇動者を搔っ攫ってくるから。
ワァズ!
[呼べば、声に答えて、背後にいたオートマタは甲板に降り立ち、飛竜へと変化した。*]
[いくつもの声が裡に響くは慣れない経験だったけれども、
各々異なる響きの心地よさは心安らげた。
ただ、会話の内容からは浄化を果たすに障害があると知れる。]
……天使憑き。
コンラート・フリーデルは、確かそう呼ばれていました。
皆様方のご加護でないのならば、
彼にはいったい、なにが憑いているのでしょう?
[ぽつりと疑問を置いた。]
……さて、その辺りは皆目見当もつかん。
[ぽつり、置かれた疑問>>*26に返せる答えはない]
とはいえ、天に在る者が多様なのもまた、事実だ。
黙示殿のように光輝けるものもいれば、俺のように影に在る者もいる。
……何らかの由縁で、加護を与えたものがいる可能性も、ないとは言えないだろうな。
[だとしたら何故、という疑問も過らなくはないが。
それこそ、影には知り得ぬ事。*]
― 箱舟 ―
[人間を天使に作り替える。
そんな想像をしたものがいるとは露知らず。
けれども、その想像は当たらずとも遠からじなのであった。
箱舟に乗るものたちは種なのだ。
御使いの手で清められた大地に蒔かれる、
正しく生きるものたちの素。
箱舟は浄化の炎から守る殻でもあり、
新しい目覚めを促す繭でもある。]
[人々を再生への眠りに就かせるべく新たな神気を降ろそうとしていた救世主は、箱舟へ向かってくる黒い船に気が付いた。
御使いたちが浄化を行っている方角から来た船だ。
救いを求めているのだろうか、と一時術を編むのを止める。*]
[ 「伝説」の最初は、軍に入隊したばかりのことだった。訓練のために山岳地帯へと新兵を運んでいた輸送飛行船が突然の悪天候に遭遇して墜落した。数十人の新兵と操縦士、全てが死亡したが、コンラートだけが無傷で発見された。
二度目は、国境紛争に出動した時。敵軍の奇襲を受けて駐屯地が砲撃され、部隊は全滅したが、やはりコンラート一人が生き残った。
三度目は、空母の乗組員となった時。着艦に失敗した戦闘機が炎上爆発し、周囲にいた者は、ほぼ即死の憂き目を見たが、炎上した機体のすぐ傍で作業していたにも関わらず、コンラートは、またも無傷だった ]
[ コンラート自身、いつも何故生き残ったのかを説明出来ず、やがて「天使憑き」の異名だけが、羨望と恐れをないまぜにして、兵達の間に広まっていった ]
― いつか ―
「天使憑き」てのは「死に損ない」の異名ですよ?それでもいいんですか?
[ 宇宙船の正操縦士に選ばれた時、マチスにはそう告げた。コンラートにとって、それは祝福ではなく、呪いのように感じられていたから。
しかし ]
あんたがそれでもいいってなら…
[ 宇宙への夢を語るマチスの情熱に、その揺るがぬ信に応えたい、と、その思いは確かにコンラートの内に、生まれていたから ]
地獄の果てまででも、付き合いますよ、大将。*
[宇宙船を離陸させるより少し前、胸元に下がる指輪から通信>>111>>112が入った]
南下了解、そこにいたんだな。
今、王都から離れてんだよな…。
光は俺らにも見えてる。
ちぃと作戦ミスったかもしんねー。
[もしかしたら、と言う思いはあるため、正直に伝えて、ダーフィトの現在位置を聞く]
これから空に出るとこ。
はは、そっちに乗るのも良いかもな。
その内遊びに行くか。
[可能ならば今ではなく、終わってからにしたいところ。
そのためにも今は空へ]
― トラオムング ―
[王都と天を繋ぐ光の階。
差し込む光による大きな異変はない。
否、あの光こそが異変と言えようか]
……あの辺り、何があったかな。
[確認したのは離陸前であったため、詳細な位置までは知れない。
ただ、光が天使共の仕業であろうことは、現状を考えれば容易に想像出来ることだった。
途中、ダーフィトからの通信に声を返し、ほんの少し表情を歪める]
ミスったかなー。
[考えたのは奇しくもクレメンス>>18と同じこと]
[コンラートが率いる第三航空部隊に護られながら離陸したトラオムングは一定の高さに到達するまで垂直推進する。
重力に逆らう行為だ、安定する位置まで到達するには時間がかかる]
「天使が来ます!」
慌てるな、迎撃は第三航空部隊に任せて上昇を優先。
状況に応じて魔力障壁を展開しろ!
[ダーフィトからの援護も確認し、攻撃を控え防御と上昇を優先。
天使の動きは物量を主とした単調なものであるため、狙いが分かれば局所的な魔力障壁展開で凌ぐことも可能そうだった]
おー、こっちも見えてるぜ。
青痣出来てたら笑っといてくれ。
[操縦に関しても軽口で答え、笑いさえ乗せる。
エースパイロットは本業へ、サブパイロットは最初の襲撃で殉職した。
今トラオムングを操縦出来るのはそれ以外のパイロット、詰まりはコンラートを妬んでいたパイロットだ]
操縦席、あいつらに負けねぇ働き見せてくれよ?
[無茶な軌道で戦闘機を走らせながら天使を迎撃するコンラートを見遣りながら、そんな言葉を操縦席へと伝えさせる。
無茶言うな、なんて叫びが聞こえてきそうな曲芸だった]
あいつ、いつの間にあんな芸当出来るようになったんだ。
[後ででも話てみるか、なんて考えつつ、意識は更に上へ]
[トラオムングの上空には天使の集団。
色つきの天使、あれがダーフィトが言っていた天使か]
話は通じないって言ってたっけ。
[交渉が出来れば今こんなことにはなっていない]
侵略する気だ、なんて言い分ならまだ話し合い出来そうだったんだけどな。
飛ぶことすら否定されるんじゃあ……
ッ、 魔力障壁展開っ!!
[ぶつくさと文句を垂れていると、上空で眩い光が収束して行く。
色つきの天使が束ねた巨大な光の投槍。
咄嗟に叫ぶのは防御の指示だった]
側部のスラスターは動かせるか?
「ここまだ宇宙空間じゃないですよ」
ぶち抜かれるよりは良いだろ、回避だ。
[光の投槍の直撃を避けるべく、垂直推進に加えて左翼スラスターを展開し横移動も加える。
上手く噛み合えば魔力障壁で往なすことも出来るのでは、と考えてのことだった。
光の投槍が放たれると同時、トラオムングの巨体が右へと逸れ始める。
ただ、それにより上昇速度は落ち、船体自体が不安定になるのは避けられなかった*]
― 3年前 ―
迷宮にあったアーティファクトかぁ…!
[目の前で美女に変化した犬の機械 ── ワァズを輝いた瞳で見る。
通常の自動人形ではこうはいかない。
明らかに何らかの別の力が作用しているようだった]
ダメか?
研究出来たら今後の技術開発にも……あぁでも魔法が関わってるなら俺じゃあ分からないしな…。
[差し出される繊手を下から掬うようにして触れて、手の外観や素材の触感を確かめる。
分解したい、までは行かないが、研究したいという願望は隠しきれるものではなかった]
[一頻り確認した後、意識は提示されたお題へと向く]
うーん……役立つもの、なぁ。
新たに何か設置するというよりは……。
[艦内を見せてもらい、思うのは一から作るのではなく、今あるものを改良すること。
エンジンのエネルギー効率を上げたり、武器ならば射撃精度を上げたりなど。
どれも改良の余地がありそうに見えた]
この艦そのものの整備でも良いか?
改良のし甲斐がありそうなんだよな。
[設計ではなく手を加えさせて欲しいと進言する*]
― いつか ―
『死に損ない』ってことは、『死なない』ってことだろ?
船を動かすパイロットが死んだら元も子もないしな。
結構じゃねぇか、『天使憑き』。
[祝福だろうが呪いだろうが、腕の良いパイロットは船にとっては財産だ。
彼らがいなければ船は飛ぶことすら出来ない]
俺はお前のパイロットとしての腕を買ってんだ。
『天使憑き』かそうじゃないかは重要じゃない。
お前自身が必要なんだよ、コンラート。
[そう伝えたなら、地獄の果てまで付き合うと答えが返ってきた。
その返答にマチスは屈託なく笑う]
よろしく頼むぜ。
[どこまでも高く、どこまでも遠くへ共に往かん*]
……そうだな、真なる天の加護であるならば……。
[少なくとも、天へ向かう前に何らかの干渉はあろう、と。
そう、思うが故に否定は紡がれない]
悪魔に唆された、か。
今回のひとの子も所業も、その手合いやもな。
[手が取られなかった由縁は知れぬ。
知れぬが故に否定も肯定も紡がず、ただ、落とすのは思うままの言の葉のみ]
[あまり例のない響きに対する声音は引き締められたもの。>>*30]
……ああ。
心遣い、感謝だ、黙示殿。
なれば俺も、己が務めのために為せる限りを為すとしよう。
[こちらの矜持を尊重する意思に返すのは宣。
飛行船を巡るやり取りには、口を挟む事なく、僅か、案ずる気配を滲ませるのみ。*]
― 多脚戦車隊 ―
[地上にあって上空を狙う多脚戦車は、三輌を1小隊として行動する。
クレメンス直下の隊は、4小隊を纏めた中隊規模であった。
六脚を滑らかに動かしながら進む多脚戦車は複雑な地形をものともせず進み、発砲する時には足を縮めて姿勢を安定させる。
起伏も遮蔽物も多い山岳地帯こそが、彼らのフィールドだ。
暫くは降りて来る天使相手に上空に無数の花火を咲かせていたが、いつからか下に降りて来る天使の密度が減り始めた。]
小僧が昇りおったか。
それとも、天使共の頭が戻ったか。
[戦場は地表近くから高い空へと移り始めている。
その空気を嗅ぎ取って唸った。]
[相手の注目が逸れたならば、その隙に相手の重要拠点を叩くのが常道だが、どうやら天使たちは上空の巨大船以外の拠点を確保していない。
なんともやりづらい相手である。]
ふん。ならば鈍くさく低空に残っている連中を叩けばよい。
馬鹿でかいとはいえ、船一隻に乗る数など高が知れておるわ。
数さえ減らせば、そのうち尻尾を巻いて帰っていくだろう。
[そんなふうに兵たちを叱咤して、未だ飛び交う天使たちを落とすべく、あるいは注意を割かせるべく再び砲弾の華を咲かせる。
だが当人はいくらか懸念を抱いてもいた。
もしも天使が減らないとしたら。
最悪のシナリオは、心の隅にある。*]
/*
ワイバーンにタンデムさせてもらえば天使達と会えるんじゃね、って思ったけど、普通に単独行動しないやつだったわダメだ。
声を一方的に届かせることは出来そうだけども。
[魔導拡声器]
− 少し前/《シャドウ・バレス》より −
[技術官であるマチスもまた前線に出ると聞いて、全力攻勢だな、と感じる。]
万全の作戦なんて無理なものさ。
現場のありあわせの兵力で調整するのが本来の形だ。
おまえはそのお膳立てはしっかりやったんだから、技術官としての役目はしっかり果たしてる。
それに、コンラートが操縦するんだろ?
よろしく伝えてくれ。
[けれど、コンラートが護衛機の隊長に回ったと聞けば、それは”天使憑き”の噂のせいかなと、少しだけ考える。]
アイツにも、通信機やってる? まだならやるといいよ。
さて、天使どもと舞踏会だ。
[そうして、戦いの渦中へと突入してゆく。* >>1:126]
……飛竜といい、天使憑きといい。
つくづく、天の領域で好き勝手をしてくれる。
[空を自在に舞うのは翼ある者の特権と。
黙示天使は怒りも露わに宇宙船を睨む。
一方宇宙船は、方向転換の代償か、先程より上昇速度と安定に欠いていた]
――横合いに回り込む。
所詮は作り物の翼、揺らし続ければ浮いていられまい。
[相手が姿勢を崩したのを好機とばかり、散発的に光弾を撃ちつつ左翼側へ回り込もうとする*]
そいつの操縦なら、青痣程度で済めばマシってもんですよ。
[ 必死に操縦桿を操る緊張は声には乗せぬよう気遣いながら軽口を返す ]
大将、連中と遊んでやらなきゃならないみたいなんで、ちっと離れます。
いざとなったら、命を一番に考えてくださいよ?
あんたが無事なら、船は何度でも作れる、死んじまったら元も子も無いんですからね。
[ 以前に言われた言葉をなぞるように、最後に、そう告げた* ]
− 3年前 −
[美女モードのワァズの手をとって、ためつすがめつ調べているマチスを見て、こいつ女とつきあったことないな、と苦笑していた。]
普通、そこは手の甲にキスするところだろ。
[それもまた、王侯貴族の”普通”でしかないのだが。]
[案内をしながら、マチスから質問があれば的確に答える。
技術者でこそないが、自分の船のことは知悉していた。
そして、ダーフィトからもマチスがアリシャスタンで何をしてきたのかなどを問う。
魔法に重きを置くアリシャスタンは、科学技術ではロワールに大きく水をあけられていた。
今の先端科学はどこまで進んでいるのか、興味がある。]
[改良のしがいがある、との感想には、声に出して笑ってしまった。]
いやはや、根っからの技術官だな。
気に入ったよ。
おまえがしたいようにできるよう便宜をはかろう。
[案内の最後には、夕食は皆と一緒に食堂でとるように伝え、寝るのはここだ、と船室をひとつ与えた。
機能重視の制御区画とは異なり、生活空間は豪華客船にも負けないほどの優雅さを誇る。]
元は王家の船だった。
警備が手薄になってたんで、こう。
[無断拝借した、とジェスチャーで示すのだった。*]
[光の集団と鋼翼が入り乱れる中、もう一つ、縦横無尽に空を舞う者達がいる。
竜騎兵、ワイバーンに跨る一団だ。
彼らは戦闘機よりも小回りが利き、ブレスによる広範囲の攻撃も可能な精鋭達である。
剣や斧の近接武器や、狙撃銃などを繰る者もいる。
防御面に難はあるが、ワイバーン自身が危険を察知して回避することもあるため、大きな戦力となっていた]
[竜騎兵達もまた、宇宙船を狙う天使達を迎撃すべく空を舞う。
中には天使の集団へと斬り込む者もいることだろう]
― 少し前 ―
そんなもんか。
戦場は初めてなんだよな……なんたって技術者なんだからさ。
現場での調整が主なんだってなら、まぁ何とかやってみるさ。
あぁ、コンラートは本来の部隊に戻ってる。
同僚の仇、取らせるためにな。
通信機は持たせてある。
何か伝えたいことがあるなら伝えるぞ。
[そんな会話をして意識は戦場へと*]
― トラオムング ―
[回避行動が功を奏したか、光の投槍による被害は最小限に留められたと言える。
だが左舷を掠めた>>81ことにより、安定を欠いていた船体は大きく揺らされることとなった]
ぐぅっ……!
[右翼と左翼が交互に上下し、上昇のための推進力が更に乱れた]
っく、スラスター停止、安定化優先…っ!!
[右への推進を止め、揺れる船体の安定化を図る。
このままでは上昇もままならない]
「天使の攻撃、継続されます!」
しばらくは魔力障壁で凌げ!
[散発的に放たれる光弾>>82や他の天使の攻撃を防ぐべく、魔力障壁は展開したままに。
左翼側へと回り込む天使に気付いた竜騎兵の一部がそれを追い、ヒット&アウェイを繰り返すが、どれほど効果があったことか*]
ははは、済ませてもらわないと困るな、それは。
[軽口に普通に笑ってしまいつつ。
伝えられた言葉に口端を持ち上げる]
分かった、無理はするなよ?
命を大事に、ってのも忘れちゃいねぇよ。
行って来い。
[前にマチスがコンラートへと向けた言葉に似た言葉。
それを受け取り、声だけでコンラートを送り出した*]
− 現在 −
こっちは自由気ままを継続させてもらっている。
もう報告が行っているかもしれないが、首都の教会から、白い船が浮上した。
おそらくは魔法 ── いや、天使力?だな。
舳先にマレンマ・フリーデルが命綱もなしで立ってる。
そっちにやらんよう押さえておくつもりだが、何か異変があったら知らせてくれ。
おれはワァズと飛ぶ。*
― 3年前 ―
え、そうなのか?
[美女とは言え相手には機械としての興味を抱いているため、女性を相手にしていると言う意識はない。
だが女性を相手にしてダーフィトが言うような行動をする方向には向かないため、結果的には同じ反応になるのだった]
誰に対してもそんな貴族めいた行動しなきゃならないのか…?
[一般の家庭に育った身には戸惑いの大きい”普通”だ]
[案内の中で互いに様々な質問をした。
艦に対する質問もあれば、どうして空賊なんてことをしているのか、なども聞く。
相手の事情は知らぬため、言われたことはそのまま事実として受け取った]
[問われたことにも偽りなく話し、アリシャスタンには技術交換のために訪れていたことを話す。
ロワールとアリシャスタンでは主体とする技術が異なり、互いの持つ技術は自国の技術を補うのに打ってつけだった。
技術を用いてどんなものを作ろうとしているかまでは話せないが、どんな未来が目指せるかは夢抱く表情で語る]
そんな笑うことかよ…。
良い物をもっと良くしたいと思うのは当然だろ?
[それが根っからの技術官と言わしめるのだろうが、マチス自身は”普通”と思っていること。
マチスがしたいように便宜を図ると言われれば、笑われたことは彼方に投げ、感謝を紡いだ]
[捕虜のはずなのに良いのか、と思うほど豪華な船室を与えられ、驚きの表情を浮かべる]
すっげ……初めて乗ったぞこんな艦。
これが普通? マジで?
[聞けば王家の船だったのだという。
警備が手薄だったから、と言う理由で拝借したと聞けば、驚く表情も苦笑へと変わる]
いくら手薄だったからって…すげー度胸。
[大胆な行動とそれを為す手腕。
なんて傑物だと思いつつ、捕虜相手にも手厚く対応するダーフィトが少しずつ好ましく思えてきたのだった*]
― トラオムング付近 ―
[光の槍を受けた宇宙船はスラスターを止め、安定化を優先したようだ>>84。
上昇速度も更に落ちた様子で、天使らはこれを好機とばかりに群がろうとするが]
闇雲に放った光弾では、障壁は貫けぬか。
[天界されたままの力場により光弾は弾かれ、有効と思えるほどの損害を与えるには至らない。
また、こちらを追う竜騎兵により、僅かに陣に乱れが生じた]
厄介な。
[生体の翼による機動力を生かし、ヒットアンドアウェイを繰り返す竜騎兵>>85。
術主体に戦う天使兵は、その分懐に飛び込まれた場合の対処に遅れが生じる。
まして、今は攻撃を宇宙船へと集中しているため、横合いから武器や鉛玉を叩き付けられて墜ちる者もあった]
― 現在 ―
王都の教会から船が?
何やら建造物が増えてるって話は聞いてたが……もしかしてそれか。
[異変を確認している暇がなかったため、ダーフィトの話で白い船の浮上を知る。
天使力という表現で天使達が何かをしたと言うのは知れたが、続く言葉には僅かばかり息を呑んだ]
……マレンマが?
そうか、あいつ、やっぱり ────。
[天使に焦がれていた少年、いや、今は青年か。
成長した姿を目の当たりにはしていないが、急成長したことは報告で聞いている]
分かった、何かあれば報せる。
そっちも気を付けて。
[ワァズと飛ぶと言うダーフィトに案ずる声を向けた*]
集え、護りを厚くせよ。
[下級天使が砕かれるのには構わず、むしろ盾とするように、密集の号令をかける。
その中心で黙示天使は、宇宙船に新たな一撃を加えるべく詠唱を始めた]
――見よ、天と地は切り裂かれた
傲慢なる者の手が、二度と天へ触れぬよう
[黙示天使が杖を胸前に構えれば、それは大剣の如く光を纏う。
そして、袈裟懸けに、そして逆袈裟に。
天使が杖を振るえば、斬撃の軌跡が三日月型の光の刃となり、宇宙船の左側面へと襲い掛かった*]
/*
それにしても酷い無茶をしたもんだ>大気圏内でスラスター回避
マチス、無理はするなとは言うが、無茶をするな、とは言ってないんだよな。
自分も大体無茶系だから(
/*
というかこれ、どこかしたのタイミングで一度離れた方がいいのかしら。
生身対船だとダメージ描写が難しいな……死ぬ気なら思いっ切り受けられるけども。
− 三年前 −
[その才にふさわしい仕事をさせれば、マチスはたちまち艦の仲間ともなじんだ。
個人的に武器や装備の修理を頼みにゆく者もいるほどだ。
マチスを捕まえて一週間がたつ頃、ダーフィトは彼を留め置くのは一ヶ月まで、と自分にルールを課した。
それ以上、手元におけば返せなくなる気がする。]
改良したいところを全部やっつけていたら何年もかかるだろう。
あと20日したら解放してやる。
改造の終わらなそうな部分は図面を残しておいてくれればいい。
[あえて屈託ない声で伝える。*]
− 箱船近く −
[飛竜形態のワァズの背にまたがり、天使らを躱し、あるいは討ち取りながら、白く光る巨大な建造物へと近づく。
筐体に書かれた文様は意味のあるものなのだろう。周囲を枉げるほどの力を感じた。
今は攻撃してこないかだけ注意だけしておく。]
マレンマ・フリーデル!
おとなしく、おれと来てもらおうか。
[突入高度を調整すべく旋回する。*]
― トラオムング ―
[トラオムングは上昇に使用する下部スラスターの出力を調整して船体の安定化を図った。
左翼が上がれば右下部を強め、右翼が上がれば左下部を強める。
それを繰り返し、揺れの反動を小さくして行くことで安定化に繋がるのだが]
切り替え速度、もうちょい調整必要だな…!
[エネルギー回路との調整が上手くいっていないようで、切り替わりに多少のラグが出ていた。
スラスターを一時停止出来る程の高度まで昇ることが出来れば調整も可能なのだが、今はこのままで続けるしかない。
竜騎兵の介入により安定化の時間が稼げているのが救いか]
[左舷へと移動した天使達を見遣れば、指揮官らしき色つきの天使の周りに他の天使達が集まり出す>>87。
人壁のような様相、軽く眉根が寄った]
まるで道具だな。
[命を軽んじているというよりは、命として扱っていないように見える。
死ぬと言うよりは、壊れ、砕かれるように落ちる天使達。
ただその身体は直ぐに光となって消え行くようにも見えた]
にしても……しつっこいぜ!
[左舷で何やら動きを見せる、色つきの天使>>87。
杖が大剣のような光を纏うのを見て、小さく息を吸い込んだ]
左舷魔導砲、1門で良い。
いけるか?
「了解、エネルギー充填率は如何ほどに?」
相手の攻撃引き寄せて直撃3秒前くらいに発射。
射出の直径は出来る限り絞ってくれ。
魔法とかのエネルギー体が飛んで来るなら、相殺は出来なくても一部を貫いて意表突けるかもしれない。
[随分な指示の仕方だが、実戦経験がなければこんなものだろう。
結構な無茶だ、とオペレーターは思っていたが、ひとまず魔導砲の充填へと取り掛かった。
相手の攻撃予備動作を見てからであるため、充填率はかなり低くなる。
それを射出径を狭めることで威力を維持すると言うものだった]
今回ばかりは直撃覚悟しろよ。
魔導砲発射用意!
[色つきの天使に対し左舷の魔導砲が1門向けられる。
魔法エネルギーが収束する様子は相手にも感じ取れたことだろう]
──── 放て!
[光の刃が飛来する中、その中心、もしくは脇を抜けるような形で口径が絞られた魔導砲が放たれた]
― 箱舟 ―
[黒い帆船から離れた飛礫は、竜のかたちをしていた。
黒い翼の行く先で御使いらが光と砕けている。
それがなくとも天に弓引く者に相違ない。
あからさまな、
救いを求めて来たのでなければ下がりなさい。
これは善き人々が乗る船。
手出しすることは許されません。
[近づいてきた竜の背に人の姿を見つけて警告を発する。
相手から飛んできた言葉には、毅然と頭を上げた。]
やれ、鋼以外のものも用いるか。
[空舞う竜の姿に零れるのはぼやくような声]
あの手は、足場にし難いから、厄介なんだよな。
[それが厭う理由になるのか、との突っ込みが飛びそうなぼやきと共に、操縦士を無くした鋼の翼を蹴って跳ぶ。
翼開かず、文字通り空を駆けるもの。
実際には、翼の力を用いているのだが、それを見せる事はない]
さて、それでは……と。
[宇宙船周辺の攻防は熾烈を極めている。
しかし、そちらは黙示天使の領分故に、手出しはしない。
さて、どこ辺りを削り落とすか、と。
そんな事を考えながら見回した視界を掠めたのは、よく知る波動の光弾と追いつ追われつをする翼。>>90]
……黙示殿の光弾を落とした……?
中々、やってくれるもんだなぁ。
[紡ぐ声音は、どこか感心するような響きを帯びて]
……ああ。
そう言えば、返しておかなくてはならんか。
[ふと、思い出したのは、影の帳の内に潜めし刃]
黙示殿にも気を使ってもらって、それでやり損ねるのは決まり切らんから……な!
[言い切りながら、目をつけた戦闘機へと飛び移り、幾度目か刃を突き立てる。
空の色の上に黒がふわりと翻った。*]
― 3年前 ―
あーっと、ちょっと待て。
それはこっちをこうして……そうそう、それでこの部分が安定するわけだ。
[改良は一人で全ては出来ない。
そのため手先が器用な者を数名借りて改良に当たることになった。
そうして交流を進めていくうちに、それ以外の者達からも武器やら装備やらの修理を頼まれるようになる。
そんなことを繰り返しているうちに一週間が過ぎた。
ある意味では充実した生活。
改良や整備をすることも、それを介して交流が深まることも楽しい時間だった]
20日か、分かった。
やれるところまではやっておく。
図面も了解。
……なんでかんで楽しいもんだから、あと20日しかないってのはちと寂しいな。
[だがマチスだってこのまま留まるわけにはいかない。
今頃ロワールではどんな話になってるか、想像するのは少しばかり怖かった]
[残り日数も少なくなったある日。
マチスはダーフィトにある提案をする]
なぁ、ちょいと賭けしねーか?
[トランプを取り出しての誘い。
賭けの内容にトランプを選んだのは、一番公平かと思ってのこと]
やっぱさ、ワァズをもうちょっと見せて欲しいんだよね。
完全分解とかは流石にしないが……戻せそうなところを一部とかさ。
俺が勝ったらその許可が欲しい。
俺が負けたら、これまで発明したものの中から一つアンタに提供しよう。
どこにも無い一点物だぜ。
[取引にも近い申し出。
発明品は事前にダーフィトへと見せ、好きなものを選んでもらう。
その中には1丁で複数の銃種を扱えるマルチライフルや、蒸気機関つきブーメランなどのふざけたものも含まれてた*]
− 箱船 −
許しが必要なことはいろいろ身に覚えがあるが、
君に救いは求めんよ。
[飛竜を前に毅然として一歩もひかない青年の様子に、畏怖にも似たものを覚えて罪を認める。
だが、救済までは欲しなかった。]
君は身も心も天に捧げたらしい。
そこまで地上は君につれなかったか?
“兄さん”もいるんだろ。
[追尾する光弾とドッグファイトをしている複葉機を指し示した。>>90]
なっ!?
[予想よりもずっと早く、魔導砲は放たれた。
射出径を狭めることで速度を上げ威力を保ったのだと、気付くのは後のこと。
細身の魔力弾は光刃のうち一つの三分の一ほどを欠けさせ、更に後方の黙示天使を掠めるようにして飛び去った。
下級天使の壁にあからさまな穴が空き、黙示天使の周囲には、金緑の糸がはらはらと舞う。
負傷こそ免れたものの、回避の際になびいた金緑の先が砲に削られ、常に一定であった髪型が僅かに乱れていた]
――やってくれる。
[天より与えられし姿に変化を加えられたことに、静かな怒り籠めて宇宙船を睨む。
意表は突かれど怯むことはなく、杖を構え直す。
一方で、取り巻く下級天使の数は、宇宙船に注力する間に着実に削られつつあることも、相手に見て取られたか*]
――大天使様。
新たなる敵船は魔力障壁を備え、また武装も改めている模様。
防御を削りつつはあるものの、周囲からの攻撃もあり、下級天使の数は減らされつつあります。
[弱音でこそないものの、苦戦を滲ませる口調が天へと届く]
無論、退く心算などはありませんが。
[張り詰めた声でそう宣言する*]
− 三年前 −
[自分から言い出したことなのに、いざ、了解されると切ないものがあった。]
ホントにおまえは設計馬鹿だ。
[軽くデコピンしてやろう。]
[そして、瞬く間に時は過ぎ、改造にもいろいろ目処がたった頃、マチスから賭けを提案された。]
こんだけ毎日、機械いじりに追われて、まだ足りないというのか、おまえは。
却下だ。
ワァズを弄らせるくらいなら、アリシャスタンをやるよ。
[珍しくムキになる。
それは、ダーフィトがワァズを単なる機械と見なしていないという意識の表れでもあった。
愛しいひとの裸を見せてくれと頼まれたらおまえどうよ。
それに、欲しいのはおまえが開発したものではなく、おまえ自身だとも言ってやりたい。*]
― 箱舟 ―
救いを求めないのなら、私にできることはありません。
断罪は、私の役割ではありません。
去りなさい。
[再び、去れと告げてみるが、相手に従う意思はなさそうだ。
指し示す手を追って視線を向ければ、光弾に追われる複葉機が見えた。
意味を知って、微笑する。]
私の名は、マレンマ・
きょうだいは、今は私の"隣"におられます。
[地上の柵は切り捨てたという宣言だった。*]
ダーフィト!
[ 頭上を横切った影に向かって声をあげても、すでに距離が開いて届かない。まさか、一般人が乗っている箱舟に攻撃する気はないだろうとは思ったが、マレンマを案じる心が焦燥を産んだ。
その間にも、最後の光弾が旋回した機体を貫こうと斜め前方から迫る ]
しつっこいんだよ!
[ 操縦桿を倒し、ぐるりと横向の回転を機体に与える。そして一回転した複葉機につられて螺旋軌道を描いた光弾の到達先に予測をつけると、一つ目の光弾に一部を削られたとは反対の翼を光が掠めるように旋回、見事に両翼を同じだけ削るのに成功する。
耐久力は落ちたが、バランスは戻り、複葉機の動きは本来の素早さをほぼ取り戻した ]
[人の子よ なにゆえ神の慈愛に背を向けるか
汝ら 未だ道理を知らぬ幼き者 愚かなる者
天の声に耳傾けよ
神の光の導きを知れ
悔い改めよ 天の腕に抱かれよ
さすれば悩みは苦しみは消え
汝ら とこしえに祝福されし地へと至るだろう
天は罰であり 天は愛である
天は希望であり 天は終末である
我は天であり 天は光と同じものである ]
[ 祈り捧げよ ]
[ 褒め称えよ ]
Cum Sancto spiritu,
in gloria dei patris, Amen.
[ 地に 平穏あれ ]
[アディリエルの紡ぐ決意に報告>>*17、
そして死を告げる影の静かなる応え>>*19、
それらに大天使は、鷹揚な微笑みと頷きを返した。
元より彼らの宣の違えられることなど、あろうはずがない。
ゆえに紡がれる決意は既に結果であり、事実である。]
働きを楽しみにしていよう。
[これより先にある事実に微笑み応じて、
ついで愛し子の自負>>*14へと笑みを深めた。]
良い。務めを果たしておいで。
[未だ生まれたばかりの救世主、
天の二人の御使いに比べれば、まだまだ幼き者なれど、
己の足で歩み始めた子の行く末を嬉しく思う。]
− 箱船 −
[新しい名を告げるマレンマに、そっか、と溜め息を零す。]
おれの船にも空き部屋はあるんだけど、乗らない?
[最後の勧誘。
上を指差せば、ちょうど周囲に影が落ち、《シャドウ・パレス》が箱船の上へと到達したことを知らせる。
箱船がこれ以上、高度を上げないよう圧しにかかる手筈だ。*]
[ただ。天使憑き。と、交わされる会話の合間に浮かぶ単語に、
大天使もまた耳傾けた。
告死の華をすり抜けたとの報告自体も驚きに値するが、
それより天の気配を帯びるとの報に興味が動いた。
それも光と影、その二翼より>>*20>>*22]
( 一度、目にしてみようか。 )
[そんな心が動いたのは、
しかし警戒の為ではなく、ささやかな気紛れに。]
…─────、
[マレンマの報告、それに応じる声。
天の子が自らの力で為すと応えるに口挟むことはない。
これも一つの課せられた試練であれば。
天の領域より、差し伸べるべきものはないゆえに。]
( 愛し子よ )
[銀の首飾りが、淡く光を放つ。
眩い光ではない。ごく小さく、瞬くように。
かつて幼子が眠れぬ夜に空見上げた時、
天に瞬き彼を見守り続けた星の光のようにささやかに。]
( お前の上に )
…──── 祝福を。
[鈴鳴らすかのよな、涼やかなる微かな音。
天使の祈りは透明な羽根となり、ひらりと光に舞って消えた。]
『…天使は空の彼方から降りてきて、人々に愛と希望を伝えました』
[かつて天に、一人の天使があった。
天使は人の子について調べんと、地に降り立った。
だがその翼が、再び天に戻ることはなかった。
消息を絶ったその天使について、
墜天したとも、消滅したとも言われている。
だが真実を知る者は遂になく、
天に於いても今はもう、この話を知る者も稀である。
古き…遠い日の、記録だ。*]
― 天 ―
[いと高き、天の高みに大いなる光は全てを見下ろしてある。
地上より再び天に舞い戻りし大天使は、
光の船にはすぐに戻らず、天に留まり地を見下ろした。
そこかしこで、浄化の光が煌めいている。
悪しき人の子らの醜き乗り物が、
炎を上げて落ちていくのを、時には満足げに見遣り。]
──── あちらへ。一軍を差し向けよ。
[そして玲瓏たる声の示す先、
天の威光の薄れし地には、新たなる光を差し向けるのだ。]
― 箱舟 ―
お断りします。
[重ねての勧誘にも、最初と同じ抑揚で拒絶を返す。]
私を必要としている方々はここにいます。
私を求め愛してくださる方は、私の横におられます。
私は、私の役割を果たさねばなりません。
[ふわりと笑み漂わせ]
───おそろしき最後の一日に、私たちはあなたにすがります。
死の眠り、熱き灰より目覚めて、あなたの前に跪きます。
[頭上に影を落とした船をちらりと見上げたあと、
これ以上言うことは無いとばかりに、詠唱を再開した。*]
……おおっと!?
[また一機を落とし、次の標的を、と視線を巡らせた先。
目に入ったのは、こちらへと向けて撃ち出される機銃の弾丸。>>107]
さすがに、こいつは喰らってられん、な!
[手にした刃を自身の前で交差させ、その動きに影を添わせて防壁を作り出す。
同時、響いたのは翼が大気を打つ音。
漆黒のマントの下から月白色が覗き、その羽ばたきは影の身を上へと運ぶ]
こちらから出向くより先に、仕掛けてくるか……手間が省けて何よりだ。
[見下ろす鋼の翼からは、以前も感じた気配が伝わってくる。
ならば、と影は躊躇う事無く薄墨色の帳の内から過日の刃を引き出して]
……返しておくぞ。
いつまでも引きずっているのは、邪魔なのでな!
[宣と共に、翼に向けて刃を放り投げる。
一見すると無造作な動き。
その実、薄墨色の影を纏いつかせたサーベルは、本来以上の重さと降下の勢いを乗せて飛来する、一種の物理兵器と貸していた。*]
[空の戦場の中、一際強き光を放つ場所>>80>>87がある。
アディリエル、輝ける光の天使が、
人の子の船を射止めんとして舞っている空域だ。
時折、大いなる光の槍が強く輝く。
それでも、天使の攻勢に揺らされながらも
墜ちず天空にある船に、大天使もまた目を向けていた。]
― トラオムング ―
っ、 魔導 砲、 再 充填 ……!
[船体の揺れに耐えながらも、充填率上昇のため先んじて魔導砲の充填を開始させる。
天使の壁に穴を開けた>>104と報告が入ったのはそれよりもしばし後の話。
光の刃を欠けさせたとは言え、直撃を受けたトラオムングの左舷は装甲をいくらかひしゃげさせていた]
何発も食らうのは拙いな。
[横移動が無かった分、船体の安定欠如は先ほどより少ない。
動きに間の空く間は再び竜騎兵達が天使達を迎撃に入った。
だがこのままではいたちごっこと言えよう]
拙速と鈍重か…。
[自分が選んだのは鈍重だ。
先ずやるべきは空を舞う天使達を削ること。
それ自体は出来ていると言えようが、切り札がここで足止めを食うようでは意味が無い]
…あるもんを使う、しかねぇよな。
[切り札だからと、避けてばかりではいけないと。
壁穴の開いた天使の群れを見遣った]
充填率50%で最大口径。
発射後は上昇に集中!
[威力は半減するが、射出径を広げることで固まっている天使達を覆うほどの攻撃を仕掛けると言うもの。
どちらかと言えば目晦ましを狙ってのものだった。
これで色のない天使達を落とせたなら僥倖というもの]
よっく狙えよ、 ──── 放て!
[見かけだけは一網打尽にせんとする攻撃。
先の即撃を見た後の天使はどんな判断をするか*]
− 箱船 −
[迷いなく返される答えに、もうひとつ息を落とす。]
人間に宇宙を諦めさせるには、人間そのものを滅ぼすしかないだろうよ。
そして、今、天使がしようとしていることは、まさにそれだと思うんだが。
天使たちが成し遂げると信じて、君らは地を捨てた。
理知的ではあろうよ。
ただ、善良かどうかは別にしても、
自分たちだけは天国へ行こうという考えには、意地悪をしてやりたくなるね。
それじゃあ、おれも自分の流儀を通させてもらおうか。
── 御子と箱船、分捕るぜ。
[詠唱を再開したマレンマに、ワァズごと突進する。
生け捕りにするつもりであった。
これまでの自分の”流儀”はそうであったから。
だが、
この時、ワァズは命令を待たずして、マレンマに業火のブレスを吐いた。**]
[そのうえで響く、涼やかなる音色に、
己だけの父を、母を、
やさしい手を求め続けた子は
惜しみない愛を注がれて、満ちるのだ。]
― 3年前 ―
でっ、
[デコピンされて思わず目を瞑る。
設計馬鹿と言われても言い返せないのは、その自覚があるためだ]
[賭けの提案はその内容が気に入らなかったのか、随分とムキになって却下された。
いつも余裕綽々と見ていたダーフィトには珍しいと思えるもの。
その姿を見てしまえば、そこを何とか、と食い下がることは出来なかった]
わ、分かった、分かったよ。
ワァズは諦めるって。
……そんなに大事なんだな、一国を明け渡せるくらいに。
[驚いた表情のままダーフィトの顔を見遣る。
アリシャスタンをやる、と言い切ったことが気になりもしたが、深く詮索することも憚られた]
あー、うん。
じゃあ、賭けは、良いや。
[気拙そうに言うのはワァズだけが目的だったと言うよりは、ダーフィトの気持ちを考えずに怒らせてしまったことに対する負い目]
…怒らせた詫びに発明品1つ選んでくれないか。
ダーフィトほどじゃないが、俺にとっては大事なものだ。
アンタに持ってて欲しい。
いつかまた会えた時に、そいつを整備させてくれ。
[これ切りの出逢いにしたくはなかったから。
繋がりを得るために願い出る*]
/*
一旦仕切り直す必要があるか考え中。
クレメンス落ちの時は顔合わせておきたい気がするのだよな。
むむむ。
あっ、やばい飛蚊症。
目ぇ休めないと。
諦めの悪いことよな。
[苦戦の報せ>>*38に、淡とした響きが返る。
上空からも今の人の子の船の攻撃に、
光が大きく削られた様子が見てとれた。
再び差し向ける光の天使の数に、限りはない。
けれど今は少し、加えるよりも減るが早いのは事実で。]
不遜の者とはいえ、
その意志の強さは評価するに値するが。
……惜しいこと。
[大天使は意志強き者を尊ぶ。
それは或いは、光の中にありて、より強き光を放った者であり、
光の中にありて、己の影を枉げずあった者であったりもしたのだけど。
とはいえ、天に唾吐く者には是非もなく。]
───。 なれば アデル。今は少し退け。
無知蒙昧なる愚か者どもには、
今少し、天の教えが必要となろうほどに。
[張り詰めた響きに、柔らかくも有無を言わさぬ声が返った。
そして、]
愚かなる人の子よ、
己の愚を知り 天を畏れるを知るが良い
あまねく光は 天のもとに
あまねく栄光は 主のもとに
我は天の剣 我は天の盾なり
光の加護なき者よ 去りなさい
[その声は、先の光の顕現>>0:32と同じく清らかに。
また同じく絶対者の響きで、冷厳として。
音によらず、船操る者らの耳に響いただろう。
人の子の船より砲撃が放たれる。>>122
船の発する輝きが、トラオムングと名付けられし船と、
それに群がらんとする天使たちを覆う───、その時。
高みより放たれた天の裁きが、時ならぬいかずちの如く、
再び天空を目指さんとした人の子の船に撃ちおろされた。*]
[それは天の怒りと呼ぶには程遠く、
なれど悪の軍を払う威光に満ちた、浄化の輝き。
その衝撃に耐え忍び、
或いは天空に突き立った光の先を探した者は見るだろう。
天の高みに輝きて、背に六枚の羽根輝かせる天使の姿を。
その姿は依然として、
人の子の手の未だに及ばぬ天空に *ある* ]
/*
ちょ っとずつ(?)
降りて行きますからね!!!!
あと船とこいつがセットでやばいやつですんでね!!!
を、出しておきたいがどうか。どうかww
あ、あんまり強いと、
お前ひとりでやれえ!!になるので、ほどほど、に。
程々にwwwなんだが、パワーアップイベントのない最初からMAXのラスボスつれえ。加減!!
なん…?!
[ 飛翔した天使を追うために旋回した時、その手からサーベルが、翼に向かって投じられる>>118 ]
んなもん、返していらねー!
[ 見るからに凶悪な力を感じさせるサーベルに纏い付いた影の気配に、ざわりと悪寒が走ったが、避けるには距離が足りなかった ]
ぬあっ!?
[ 本来はそれほど重くないはずのサーベルの刃が、複葉機の翼を易々と貫通する。すでに黙示天使の光弾によって一部が削られた翼が、大きく双翼のバランスを崩され、機体が錐揉み状態となって落下し始める ]
こ、のおお!
[ それでも操縦桿を離さず、なんとか不時着だけでもと機首をあげようとした、その目に黒竜の吐いた炎の色が映り>>124同時に天から降る声が届いた>>126**]
Perché?
― 箱舟 ―
[天使が為そうとしている御業については、微笑みで応えた。
大地は、浄化されるべきだ。
箱舟に乗っているものたちの多くは、そこまでとは思いもせず、
ただこの一瞬を助かりたいと願っているのみかもしれないが。]
私たちに慈悲をお与えください。
くらい道に迷わぬよう、照らしてください。
[旋回を止めた飛竜が突進してくる。
それでも詠唱は止めず、逃げることもしなかった。
ただ、右手の指が白くなるほど強く、首飾りを握りしめていた。]
[影の祝福賜った腕輪に天の加護を降ろし、飛竜から身を守ろんとする。
その動きよりも幾分か早く、機械の竜は口を開いた。
あ、と思う暇もない。
吐き出された業火に全身が呑まれる。]
… っ ……。
[だが、確かに炎の間に消えた天の子は、
炎途切れた後、ふらつきながらも立っていた。]
[業火が体に届く寸前、
月白色の翼が現れ、炎を断ち割ったのだ。
自ずから天の子を救うべく現れた護りの力は、業火の間に命繋ぐだけの間隙を作り出していた。
同じく自ずから輝いた右手の宝玉からは光の天使が操ると同じ光の槍が現れ、害為さんとしたものへと放たれる。
影の加護があってもなお熱気は服を焦がし肌を焼いたが、握りしめた首飾りの温かさが、立ち上がる力を与えてくれた。]
たとえ灰となって砕けても、私はあなたを求めます。
[なお詠唱を続けようとする意地が、箱舟の第二の奇跡を呼び覚まそうとしていた。]
− 三年前 −
[しょぼんと引き下がったマチスは、なんだか雨に濡れた子犬のようだった。]
おれも声を大きくして大人げなかった。
互いに非を認めたんだから、詫びの品などいらない。
ただ、
[彼が差し出そうとしているのが、品物だけではないというのは感じとったから、頑な誇り高さを和らげる。]
ちょっとおれの部屋に来い。
[私室に連れ込んで、おもむろにシャツを脱ぐ。
均整のとれた、日焼けした精悍な肉体が現れる。
白手袋まで外せば、左手の肘から先が作り物であることはマチスの目にはわかるはずだ。]
いろいろあって義手だ。
[船員たちもダーフィトが隻腕であることは知らない、トップシークレットだと前置きして、]
ここに、おまえとおれの運命が交わった証をくれ。
整備は、おまえにしかさせない。
[ギミックを仕込むことで、ダーフィト自身をマチスの作品のひとつにするよう、求めた。*]
− 箱船 −
[飛竜の予想外の行動に虚を突かれた。
見開いた目に、月白色の翼が現れて炎からマレンマを守る様を目撃する。
そして、放たれた光の槍が飛来し、]
── ワァズ!
[ダーフィトを庇おうと首をもたげた飛竜の左目を貫いた。
金属の軋み。そして、吹き出す熱水。
白い紗幕が先程の翼の化現をなぞるように左右へたなびく。]
[なおも続く詠唱の声を耳にして、ダーフィトはガンソードの銃口をマレンマに向けた。
彼を優先排除すべき脅威と断じたアーティファクトの行動を是認する。
逡巡あるべからず、と断じ、連射を叩き込んだ。
《シャドウ・パレス》の船底はいよいよ頭上に迫り、天を覆っていた。
船体接触まで、あとわずか。*]
/*
[背後のギミックストックはそろそろゼロよ!!]
わかった、考えるよ、考える…。
義手だとスタンダードなのだと仕込み刀か仕込み銃だけど、どーすっかなぁ。
[先の攻撃と違い、攻撃範囲は明らかに広い。
盾として固めた下級天使らも、全て巻き込んでしまうほどの]
怯むな。
我が天罰の槍が、あの程度に押し負けるはずがない……!
[しかし、その力を構成する下級天使は、先よりも大分削り取られている。
そして、砲撃が再び火を噴かんという時。
黙示天使の表情が、不自然に変化した]
― 箱舟 ―
[水蒸気の煙吐きながらなお迫りくる飛竜と、
その背から向けられる銃口に、青年は竦んだ。
これまで直接の害意など向けられたことのない身だ。
大切に守られてあった子は、明白な攻撃意思に怯えた。
連なって聞こえるような発砲音。
守護の翼が広がり天の子を包んだが、
放たれた音速の牙のいくつかは翼の守りを撃ち抜き、
うちのひとつが、右肩を砕いた。]
ひ、 っ いぃぃぁぁあああ…───!!
[詠唱の声が途切れ、短く鋭く息吸う音が立った。
堪え切れない悲鳴が喉をつき、立っていられずに膝をつく。
右手の結晶は断続的に光線を放っていたが、
苦悶する子が体の下に抱きこんで身を丸めてしまったので、沈黙した。]
[淡い輝き帯びた"箱舟"は未だ極々緩やかに上昇を続けていた。
当然の帰結として、頭上覆う黒の王城の船底と接触する。
木材が裂け鋼材の軋む音がして箱舟の平らな天板が歪み、
揺れた船体は舳先に立つ子の身体を転がした。
倒れながら木の板に指先を掛け、振り落とされまいと耐える御子の下で、赤い染みが広がっていく。*]
さすがに、あれに撃ち抜かれては動きが鈍るからな……。
[一撃で消える事こそないが、直撃を受ければ動きは鈍る。
力らしきものを感じる以上、危険を冒さぬは影の信条。
開いた翼、それが思わせたものは知る由なく。>>129
投げ落とした刃が鋼の翼を貫き、堕とす様子に微か、口の端を上げた。>>130]
とはいえ、あれで終わるとは……。
[到底思えない。
なれば、追って確実な終わりを、と思う矢先]
……ん?
[離れた場所で、己に由来する力が揺らめいた>>133ような心地がして、ふい、と真紅を移ろわせる]
……む。
[真紅が捉えたのは、炎に耐え、それでも聖句紡がんとする姿。
その様子と、先に届いた響きから手出しは無用、と。
そう、思い定めたものの。
立て続けに響く銃声>>135と、箱舟に覆いかぶさる飛行艦の様子に、影の意識はそちらへと向いた]
……矜持を傷つけたくはないんだがな。
[それでも、為すべきを為せぬよりは、と。
翼巡らせ向かわんとするものの]
……ち。
[空にありて異質な彩が近づくのに気付いたか、飛行艦を守る翅が行く手を阻む]
……ここじゃ、まとめて薙ぎ払うってわけにも行かんのだよな……!
[影の力、大掛かりな術の類は地に在って本領を発揮するものが多い。
その辺りが、黙示天使と在るべき場所を分かち均を取れる理由の一つである、というのはさておいて。
今いる位置からは、箱舟の様子ははきとは見て取れぬ。
もう少し近づけぬか、と思いつつ、影は阻む翅へと刃を向けた。*]
いとし子殿。
[そう、と呼びかける声音はそれでも静かなもの]
……無事か、とは問わん。
耐えられるか?
[投げる問いはごく短いもの。
もし、耐えられぬというならば、助力も吝かではない、という意思は伝わるか。*]
/*
落ち周りの邪魔をせず、かつ、近くで状況を把握する距離感をどうとるかについて悩んだ結果がこうだったという。
しかし、予想より早く翼出させられたなー。
まあ、空中でれば已む無しとは思っちゃいたが。
− 箱船 −
[守りの翼に阻まれ、鉛弾が威力を無くして落ちる。
だが、衝撃波が肉をとらえる音も確かに聞いた。
苦鳴を迸らせて踞るマレンマの反応は、超然としたこれまでの態度とはかけ離れた人間そのもので、
零れた血の赤さもまたそれを裏付ける。]
── チッ
[苦い自己嫌悪。
異母弟を遠乗りに連れ出して道に迷い、泣かせてしまった時のような。]
[同時に、マレンマの右手の結晶が先程と同様、猛って光を放っているのも把握していた。
持ち主が攻撃を受けた際に、自動反撃する類のタリスマンか、と判断する。
マレンマ自身が戦意を喪失していたとしても、攻撃をするのは危険であった。
しかし、箱船は上昇を止めず、マチスの改造を経て装甲強化されているとはいえ、このままでは《シャドウ・バレス》の竜骨が折れかねない。
機は今。]
おれがやる。
[ワァズを牽制するように宣言し、ダーフィトは飛竜の背から箱船の甲板に飛び降りた。]
loquimini in cordibusvestris super cubilia vestra et tacete semper.
(床の上で静かに自分の心に語りなさい)
[幼い頃、眠りにつく前に母が唱えてくれた祈りの言葉。
苦しみを長引かせぬよう、胎児のように丸められた首筋へと刃を振り下ろす。
影の天使の接近にはいまだ気づいていない。>>146 *]
/*
ほんと、ダーフィトがかっこよくて。
いやみんなかっこいいんだけど、さて、俺の役目はどのあたりかな。うーん(悩
― 箱舟 ―
[倒れ伏した箱舟の材を伝って、微かに悲鳴が聞こえた。
急かされるまま船に乗り込んだ罪なき人々の、
神と、救世主へ祈る声を聞いた。
彼らを導くことこそが使命。
新たなる世界へ生まれ変わるべき魂を、
ここで損なわせてはならない。
使命感に支えられた意思が痛みを凌駕していく。]
大丈夫です。やれます。
[天上へと響かせる声が、喉を震わせる肉声としても漏れる。]
これは私の試練、私の使命です。
[目だけを上げ、人影が降りてくるのを見た。
微かに笑った。]++
[それは幼い決断だっただろう。
今ここで、自分が成し遂げなくてはならない。
これは望まれたことなのだ。
期待に、応えなくてはいけない。
認めてほしい。全部、自分でやりたい。
偉かったねと褒められたい。
自覚する、あるいはしない心の揺らぎが
言葉にもならないささやかな波となった。]
/*
やっぱり使いたくなる、連投中ちょっと待ってね記号。
広まると良いのに。
シメオンが待っているかもしれないから、介入しなくても良いよ的なサインを早めに出しつつ、描写自体は続くからもうちょっと待ってねとお願いするやつ。
昼間のゆる進行だと便利なんだよねー。
[救世主に殉教は許されるだろうか。
"神様は愛し子を地上に送られ、
愛し子は人々のために血を流されました。"
───ああ。だから、そう。これもまた使命なのだろう。
人影が頭上に差すのを感じて仰向けに身体を開く。
そこへちょうど、刃が降りてきた。]
たとえ死の谷を歩むとも
私は闇を恐れはしません
私の魂は主と共にあります
たとえ悪しきものが私を傷つけようとも
私の魂は安息のうちにあります
私の身体は砕かれ焼かれても
私の魂を毀つことはできません
[己を励ますために唱え続ける聖句は、
陶酔のいろを深め、力強さを増していく。
その強さは命をくべて燃える火だと、知る者が見れば気づくだろう。]
[箱舟の表面が波打つように見えた。
しかし、それは正確な表現ではない。
波打ったのは、無数に書き記された聖句の文字だった。
書き連ねられた文字が浮き上がり、細くほどけて白い糸のようになる。
それらの糸は互いに絡まりながら、次第に箱舟を覆い始めた。
遠望するならば、上昇を止めた箱舟が舳先から少しずつ繭に包まれていくようにも見えただろう。]*
− 箱船 −
[振り下ろした刃は、マレンマが動いたために首筋を捕らえ損ねた。
迎え入れるように開かれた胸郭を断ち割り、その奥の鼓動を貫く。
結果は、同じだ。
けれど、死の意味は、すり替えられた。
苦しみの終わりではなく、栄光の始まり。
殉教の陶酔に笑む双眸に、ダーフィトは憐れみと嫌悪を同時に感じた。
彼が天に捧げられるための鍵として利用されたと感じる。]
[マレンマには、まだ言葉を口にする力が残っていたらしい。
その声は重傷を負った者にしては滑らかに、そして澄んでいた。
それが最後の詠唱となり、箱船を包む光が脈動を始める。
危惧していた報復の光の発動はないかった。
けれども、より大きな異変が起きつつある。]
[ダーフィトは刃を手元に引き戻し、マレンマの血から羽化するような光の粒子を躱すように数歩、後じさった。
その足下に、光る触手めいた聖句の化現が這い寄る。
細くとも確かに実体のあるうねりだ。
ここにいては、マレンマと箱船もろとも繭に封じられると思った。
自分ばかりではない、このままなら《シャドウ・バレス》も巻き込まれる。
一刻も早く、]
[そう焦る一方で、ダーフィトの理性はギリギリまで冷静に布石を打った。
ガンソードを腰のホルダーに納める前に、右腕を突いて血を滴らせる。
それを、足下に振りまいた。]
御子の血が浄めになるならば、咎人の血は烙印であれ。
[ダーフィト自身に魔法の才はないが、教養として原理は学んでいる。
己が発動させることはできずとも、いつか触媒として使えるかもしれない。
退却するにも、やれるだけのことはしておく、それが身についている。]
ワァズ! 戻るぞ!
[呼ぶ声に応じて、飛竜がやってくる。
しきりと首を振り立てているのは、片目が潰れたせいで距離感がとれないためだろう。
声で誘導し、首に抱きつくようにして捉まえ、背中の定位置へとよじ上った。
そのまま《シャドウ・パレス》の甲板へ躍り出る。]
− 《シャドウ・パレス》 −
[飛竜からおりて艦橋へ走り、艦長代行とハイタッチをひとつ。
指揮権の返納は速やかに行われた。]
急速浮上!
箱船から離れろ。 巻き込まれるぞ。
[命令はただちに実行され、タンクのバルブが開放されて、タンクに詰められていた水が滝のように箱船へと降り注ぐ。
水はバラストでもあり、スチームエンジンにとっては欠かせない動力源でもある。
それを捨てるということは、ふたたび補給するまで、長時間の連続運用ができなくなるということであったが、逡巡はなかった。
身軽になった飛行艦は伸びてくる光の糸から逃れるように浮上を開始する。*]
[刃が引き抜かれ、吹き上がった血もまた光へ変わる。
体から急速に、熱が失われつつあった。]
あなたを、ゆるします。
[血の泡と一緒に吐き出した言葉は、彼に聞こえただろうか。
あるいはもう、声になっていなかったかもしれないけれど。
ともかくも、務めを果たした今は、安らかだった。]
私は───大いなる日を 恐れません
私の魂は 主の右手に 置かれるからです …
[天上への囁きも間遠になっていく。
燃え尽きるのも間近だろう。]**
[ 声無き声が雷の音に溶けた、その瞬間、純白の輝きが複葉機ごとコンラートの身を包む。
大きな翼の幻影が、一瞬だけ浮かんで消えたのを、目にした者もあったろう ]
逝くな、マーレ!
[ 彼が何者でも、何を望んでも、それが自身の望みとは相容れぬ道であっても ]
生きろ!頼むから…
[ それでも、コンラートにとって、その子供はただ一人の「弟」だった。たとえ、彼がそれを、忘れてしまったとしても ]
[ 光は徐々に薄れ、それにつれて、複葉機は風に流されるようにして箱舟の側から下降していく ]
……生きていて、くれ……
[ 機体が地面に音も無く降りるとほぼ同時、風に乗り、一枚の純白の羽根が、マレンマの紅く染まる胸元に、ふわりと舞い降りた* ]
― トラオムング ―
[魔導砲の発射と同時、色つきの天使は編み上げていた光の槍を投げ、後方へと引いた>>138らしい。
それに続く色のない天使達。
いくらかが砲撃に呑まれるのを見る]
あれの動きに他が従ってる感じか。
指示を出して動かしてるというよりは、連動してる…?
[投げつけられた光の槍は狙いが逸れたらしく、魔導砲の砲門ではなくその横の装甲へと到達。
威力が減じていたのもあり、魔力障壁によっても軽減されたために被害は軽微で済んだ。
当初の指示通りトラオムングは発射の後、上昇するべく動き出す]
[だが間を置かずして異変は訪れた]
───── ッ、
[耳に声>>125 >>126が届く。
清らでありながら、冷たく厳かな声。
それに続いたのは宇宙船をも覆う光>>127。
衝撃が船全体を振動させた]
ぐうぅ!!
[各所からも悲鳴があがる。
上げようとしていた高度は打ち下ろしの衝撃に下がり、船の水平が崩れる]
持ち直せ!
[このまま墜落しては拙い、と。
操縦室には落ちぬよう維持しろと指示を出した。
衝撃の根源を探せば、遥か彼方に六翼の姿>>128が映る。
圧倒的な姿、圧倒的な力。
それを目の当たりにし、意志を揺らす者達が現れ始める]
惑うな。
あんな宗教的な文言に強制力なんてない。
あいつらの主張を押し付けられて、はいそうですか、なんてなるわけねぇだろ。
俺達には俺達の信じるものがある。
この
この一撃で落とされなかったんだ。
あいつらなんかに負けるかよ。
[トラオムングの高度は確かに落ちた。
だが墜落したわけじゃない。
負けたわけではないと奮い立たせるように言う]
高度維持しながら異常がないかのチェックだ。
エネルギー回路はバイパス処置の上で出力チェック。
切り替えにラグが出てた、その調整もしとけ。
それから軽量化の魔法かけてない部分あったよな?
それ全部かけとけ。
「それだと高度を上げた時に支障が……」
スラスターの出力の影響が受けやすくなるだけだろ。
そこはパイロットの腕でカバー出来る。
[むしろさせる、の勢いで言うと、うわぁ、と言った表情になった後、部下はその処置に回った。
確かに今のパイロットでは荷が重いかもしれない。
だが、彼ならば]
ちょっと外の様子見てくる。
[あちこちで起きている戦いの情報は視覚で把握出来た分しか入ってこない。
一部音声もあるが、相手に余裕がなければ伝達も難しかった。
外を見てくる、と言って格納庫へ向かう姿を見た部下の一人が思わず叫ぶ]
「ちょっ……主任まさか!!」
[部下へと返した笑顔が、その予想が合っていることを物語っていた*]
……わかった。
[投げた問いへの応え。>>151
ただ、状況のみを分析するのであれば、介入するが得策だろう。
だが、己が力で為す、為したいというならば、影にその選択肢を否定する事はできない]
……なれば、俺は見届けよう。
きみが己が務めを、思いを全うするその刻を。
[微かに感じた波。
それを感じつつ、影はそれを矜持に根差すものと受け止める。
故に、為すべきを見届ける、と。
静かな宣が響く]
……いい加減、鬱陶しいな。
[行く手を阻む翅に向け、向けるのは苛立ち]
上では効果が低いが、そうも言ってられんか……!
[小さく呟き、右手の短刀を高く差し上げる]
……貫け。
[紡ぐのは短き音節、それと共に刃振り下ろす、その動きに従い、影の周囲に漂う薄墨色から同じ色の矢が飛び立った。
狙いもつけない一斉掃射、目的は自身から注意を逸らす事。
生じた隙を突いて月白色を羽ばたかせ、箱舟へとより近づいて]
……!
[真紅が捉えたのは、刃に貫かれる姿。>>153
流れた血は光と転じ、それは箱舟を覆ってゆく。
包み込むように編まれて行く、繭。
それから逃れるように飛び立つ竜を追う事はしなかったものの]
……なに?
[先に堕としたはずの翼、それが光を纏って上昇する姿>>169に、真紅は細められた。
それでも、箱舟に害為さぬ様子に、一先ず、刃を振るう事はせず。
風に流されるように降りて行くのを視界の隅で捉えつつ、箱舟が繭に包まれる態を見届けた。*]
― 北部山岳地帯 ―
[指揮車のハッチから戦場を双眼鏡で覗いていた老将は、むうと唸る。]
消耗戦だな。
[相手に頭が戻ってきた、となれば戦術上の有利は無い。
数の上では相手が圧倒的に有利なのは変わらぬこと。
おまけに、相手の総大将らしきものが空に高みに現れたとくる。]
潮時だぞ、小僧。
やみくもに押しても届きはすまい。
勢いと根性だけで戦はできぬぞ。
[不機嫌に言って、配下の戦車に撤退を促す信号弾を用意させた*]
− 《シャドウ・パレス》 −
[マレンマの赦し>>162がダーフィトに届いていれば、彼の瞼を閉じてやってから去るくらいのことはしたかもしれない。
現実には、ダーフィトは艦長としての立場に復帰し、矢継ぎ早に指示を飛ばしていた。]
あの箱船に、通常弾はおそらく無効だ。
場合によっては天使が大挙して護衛に駆けつけるぞ。
今は友軍の援護に徹する。
[天上の響きが遠のいていく。>>*52
それが何を意味するかは、目の当たりにした状況からも察しがついて]
……やれ、まったく。
[ぽつ、と零れ落ちたのは小さな呟き。
どこか、ぼやくような響きを帯びたもの]
[ぐるりと周囲を見回す。
箱船に伸し掛かっていた艦は高度を上げて離れて行く。
追って制裁を与えるべきかとも思うが、この暴挙への裁きは天の名の下に行うが相応しかろう、と思うが故にそれを選ぶ事はなく]
……よく、務められたな。
[ふわり、月白色の翼を羽ばたかせ、近づくのは箱舟の舳先に見える姿。>>164]
導き手の奇跡の業。
この、告死の影翼シメオン・シュネーグレックヒェンがしかと見届けた。
[向けるのは労いの言の葉と、これまでは正式に名乗る事のなかった自らの名。*]
/*
ここで追撃かけちゃうと、戦場区切れんからなー。
なんかこう、妙に機動性高いせいか、どうやって止まるか、の思考がすげぇ多い。
− 現在 −
マチス、おそらく何処からもあがっていない報告をしておく。
首都エリアから離陸した未確認飛行船上において、民間人マレンマ・フリーデル ── 当人はマレンマ・リヴィエルと名乗っていたが ── を殺害した。
未確認飛行船は現在、上昇を停止しているが、これから何があるかはわからない。
気をつけておいてくれ。
そして、《シャドウ・パレス》は、そろそろ戦闘終了を視野に入れている。
[六翼の天使の姿までは確認できなかったが、その投げかける光の鮮烈さは士気に響くほどだ。
マレンマが斃れても、天軍が崩れたつ気配は欠片もない。
宇宙船が道をつけたとはいえ、後に続く者がないのが現実だった。]
これは、指揮官を落とせなかったか。
厳しいな。
[苦くとも現状把握はしっかりとしておく。]
― トラオムング格納庫 ―
[整備された戦闘機が並ぶ格納庫。
その片隅に様式が異なる1機の機械があった。
人が二人ほど乗れるかという箱型のスペースに、カモメの翼の形をした機械翼が左右に設置されており、箱型の部分の後方と下方には大きめの噴出孔が1つずつ。
箱型の上部には身体を繋ぐためのバンドと、掴まるための取っ手、そしていくつかのスイッチが並んでいた。
両翼の下部、箱型の両脇には円柱形のタンクらしきものがついている。
戦闘機より一回りは小型のそれに乗り、マチスは身体と機械をベルトで繋いだ]
これももうちょい改良したいんだけどな。
[今はその余裕は無い、と。
格納庫と外の境、右舷の扉を開いた。
空中停滞中であるため吹き込む風は弱く、出るに支障は無い]
フライハイト、GO!
[スイッチの一つを押すと、後方の噴出孔からエネルギーが迸り、自由の名を冠するフライングユニットが宙へと飛び出す。
取っ手を握り、ユニットに対し身体を水平に流す形でマチスは空を飛んだ]
― フライハイト ―
[トラオムングの壁面を滑り上がるように飛び、船の上空へと出る。
その遥か上を見遣れば、六翼の姿。
明らかに届かない、遥か彼方]
高みの見物かよ。
[いけ好かない、と言わんばかりに言い、内蔵の魔導機銃で撃ち上げようかと思ったが、空しすぎたので止めた。
あそこへ至る手段はまだ失われていない。
焦りは禁物、と自分に言い聞かせた]
[広い視界で戦場を見遣れば、先程の大きな一撃で竜騎兵数騎が直撃を受けて落ちているのが確認出来た。
天使もだいぶ減っているようだが、こちらの被害も少なくない]
……撤退も考えなきゃならないか。
[決定打に欠ける、と。
流石のマチスもそれを察知し始めた]
[箱舟 ─── マレンマが乗っている船ついてはダーフィトから連絡が入っていた。
その存在をきちんと確認したのは今]
あれは……繭?
[宙に浮かぶ繭と大地を繋ぐ糸。
異質とも言える光景にマチスは呆気に取られる]
あれも奇跡だって言うのか?
[急成長したマレンマ、彼が乗っていた船の異変。
信ずる者はそれを奇跡と呼ぶのだろう。
確かにあり得ない現象ではある。
だがそれを讃える程、マチスは信心深くもなかった]
― 現在 ―
ダーフィト……そうか。
[マレンマを殺したという報告。
知人が殺されたということより、ダーフィトが殺さざるを得なくなったという状況に歯噛みする]
分かった、報告感謝する。
戦闘終了も了解だ。
[報告を受けて、手を引くという話にも了承を告げる]
[ひゅるり、風に舞うようにして飛行を続ける。
天使に立ちはだかられても、攻撃はせずに機体を翻すようにして避けていく。
護りに難はあるが、回避には定評がある作りの機体だ。
この機体ならマチスでも曲芸飛行はお手の物である*]
[黒き帆船から流れ落ちた水は滝となり、箱舟の側面を洗い流していく。
途中で散った雫が陽光を含み、ほんの一時、虹を掛けた。
舳先に横たわる天の子の身体もまた、己の流した血と聖句の変じた糸とによって、小さな繭に包まれつつあった。
蒼穹の眩さに穏やかな影が差し、気配の方へと頭が傾く。
そこに浮かぶ姿を見たか、あるいは視覚以外で感じたか、
唇は幸福の笑みのままにあった。]
コンラート、無事か?
[上手く視認出来ず、飛びながらコンラートへと通信を飛ばす]
一旦引こうと思っている。
隊を纏められるか?
[提案も込めて言い、相手の答えを待った*]
ありがとう ございます。
シメオン、 シュネーグレックヒェン さま 。
[喉震わせるも叶わぬ肉体の代わり、魂が名の響きを確かめる。]
よければこれを 、
首飾りを、 師父… ナネッテ さまに 。
[マチスまでもがマレンマと知己であるという認識はなかったが、声の調子から察するものがあった。
親友のコンラートの”弟”ならば、マチスにとってもそれに近いものなのかもしれない。
天使が奪うのは、空だけではないのだ。]
地上に戻ったら、殴られても文句は言わん。
コンラートにも、そう伝えてくれ。
そろそろ《ホーネット》たちも残存航行時間を見越して戻るはずだ。
整備班、スタンバイ。
通信班、地上部隊と手旗交信できるか。
戦闘後の着艦場所確保と補給を申請しておいてくれ。
なんなら、デューラー臨時元帥に、ダーフィト船長からの依頼だと伝えよ。 それでなんとかなるはずだ。
[北の地で、黄色い煙をたなびかせながら信号弾が高く上がった。
それを目視した隊も同じ信号弾を上げていく。
戦場をぐるりと取り囲むように同じ色の信号弾が打ち上げられた。
撤退の合図である*]
― 3年前 ―
[互いに非を認めたんだから、と言われ、ほんの少しホッとした表情になる。
ただ、と伝えられての誘いには、抵抗せずについていった。
連れて行かれたのはダーフィトの私室。
徐に脱がれたシャツに、おい!?と思ったが、現れた義手を見て意識はそちらへと向いた]
ここに、証を。
─── 分かった、請け負おう。
[同じ想いであることを知り、二つ返事で頷いた]
[既に声を出すも叶わぬであろう事は、傷の深さからも見て取れる。
けれど、天上の響きはその想いを、願いを影へと届けていた]
……ああ、わかった。
主に、お届けしよう。
[小さな繭に包まれてゆく身体。
ふわりと近づき、指先が指し示したもの──首飾りを外し、己が手に握った]
義手のギミックにはいくつかあるが…どれが良いだろな。
今やれるとしたら、隠し武器か、握力増強、それから…特定の武器との連動するもの、かな。
[ナイフや爪、銃を仕込む。
義手そのものを改良して握力を上げる。
そして、握る武器と連動する魔法的効果の付与。
3つ目に関しては義手にある魔道具を組み込んで、指定した武器にだけ魔法的な効果を付与するものであることも説明した]
俺のお勧めは連動するものかな。
[どれが良い?とダーフィトの意見も聞いておく*]
……ん。
[ふと、風切る気配を感じて視線を巡らせる]
後からあとから、色々と出してくるものだな。
[天使たちの攻勢をすり抜けて飛ぶ、小型の機体。>>191
先に幾つも堕としたそれとは違う形に、呆れたような声がひとつ、落ちた]
とはいえ。
避けるばかりで仕掛ける気はない、か?
[最後の繭が編まれるのを阻むというなら、遠慮なく叩き堕とす心算だが。
そうでないのなら、と、今は見知らぬ翼を観察する。*]
― 現在 ―
……分かった、伝えておく。
[マレンマが天使に準じるならば、と。
こうなる可能性は頭にあった。
マチスはまだ冷静を保てるが、コンラートはどうだろう。
小さな溜息だけが零れ落ちる*]
― フライハイト ―
[通信機から伝えられる内容に表情を歪める。
繭へは近付かず、大きく旋回するように宙を舞った]
─────………… 合図、
[北方へと視線を向けた時、高々と信号弾>>195が上がった。
それに続き、戦場を囲むように黄色の信号弾が次々と上がっていく。
引き時。
クレメンスもそう判断したようだ]
どうにかしねぇとな。
[突破口を探さなければ、と表情を正す]
[ダーフィトが率いる一団も引くことを考えているらしい。
彼も含めて作戦会議が出来れば良いと考えながら、機体を旋回させてトラオムングへ戻ろうと滑空した*]
− 三年前 −
[マチスが提案するギミックの説明を楽しんで聞いていた。]
握る武器と連動する魔法的効果か。
特定の組み合わせでより強力な能力を発揮する、というのが友情みたいでいいな。
隠し武器的要素もある。
[その路線で頼む、と頷いた。]
[地上からも箱舟とやらの飛行と、それに続く異変は見えていた。
あれほど巨大なものが推力も無しに浮かぶとは驚嘆のひとことであるが、あの程度で驚くほど伊達に年は取っていない。
その後、繭になったのはほんの少々驚いたが。]
むん?
ダーフィト船長、だと?
[臨時元帥付きの魔道通信兵から連絡を受けて、例の黒い帆船から着艦場所の打診を受けたと知る。>>194]
ならば北部のファレーズ飛行場を空けてやれ。
あそこはまだ潰されていなかったよな?
[にやりと笑ったのちに山岳地帯の中ほどにある飛行場を指示する。
半ば谷に隠れている飛行場は、天使の攻撃も受けずに済んでいたはずだ。
代わりに侵入角がシビアで、飛行船乗りには魔の飛行場と呼ばれているが、それで音を上げるようならあんな船には乗っていないだろう。]
[ファレーズ飛行場は、普段は引退した艦の保管場として使われている。
臨時元帥の元乗艦である飛行戦艦カルカリアスもまた、今は退役してここに眠っていた。]*
今夜、おまえの送別会を開く。
その時は、作業を止めて必ず出席すること。
おまえが改装したキッチンを活かして、おれが手料理を振る舞うからな。
[スピーチか隠し芸でも準備しておけよ、と笑った。*]
― 3年前 ―
分かった。
後は指定する武器を決めておいてくれ。
[路線が決まれば後は準備をして細工をするだけ。
持ち込んである魔道具には、離れていても動作一つで武器が手元に戻るものや、単純に武器を魔化するものなど様々。
ダーフィトが望むものを装着することになる]
送別会か……。
[少しばかり寂しげな表情。
けれど繋がりは維持出来るのだから、最初ほどではない]
ダーフィトの手料理か、楽しみだな。
俺のためにやってくれるんだ、必ず参加するさ。
[スピーチか隠し芸、と言われれば、悩む仕草を見せた*]
― フライハイト ―
[くるりと旋回し、トラオムングへと戻る途中、こちらを見る色つきの天使>>202と視線が合った。
撤退することを決めた以上、仕掛けることはしない。
けれど姿が見える限り、視線は逸らさずに向け続けた]
[やがて、フライハイトに乗るマチスの姿はトラオムングの影に入り、向け続けていた視線も途切れる*]
― 遥か上空 ―
[裁きの輝きに、人の子の船は揺らいだ様子>>173だった。
けれど未だ落ちずそこにある。
再びの裁きを思案するところに──、声が届いた。>>155
空に浮かんだ箱舟、その放つ白い繭の輝き。
あれは再生の繭、あれは終わりの為の眠りの棺。
大天使には、その為に起こるであろうことへの予感があった。
再生には死を。
人の子を救うため、新しく生まれるために。
───── 死は、潜り抜けられなければならぬのだ。]
… …… マレンマ、
[遥かなる高みにて、大天使は愛しき子の名を呟いた。
天の声でも、愛しき子への囁きでもなく。
ただ、ただ心零す響きでその名を呼んだ。]
― 地上 ―
[ 地に降りると同時に機体を包んでいた光も消え、コンラートは、拳で目元を拭うと、操縦席から地上へと降りた ]
は…いい加減、笑えねえな。
[ 翼の折れた愛機と、無傷の自分の姿を見比べて皮肉に嗤う。見上げた空には、地に繋がれたまま浮かぶ白い繭と、どうにか墜落を免れたという体のトラオムング、そして高みから全てを睥睨するかの6枚羽根の大天使の姿 ]
[誰が知るだろう。
いかに輝ける大天使とて、万能ではないということを。
そう、もしも大天使が万能ならば天の軍勢など必要はない。
誰を苦しめることもなく、大いなる救いを施すものを。
あれは止めてはならぬ。
あれは為されねばならぬこと。
産みの苦しみ。生の為の犠牲の痛み。
……けど、
あれは救いたい、愛しき幼子の苦しみで。]
[人知れず、大天使の涙が頬に零れ落ちた。
雫は滴り落ちることはなく、光となって消えていく。
その向かう先は、今はただ一つ。
命の炎燃やし尽くさんとする、いとし子の傍らに。]
マレンマ、愛しき子。
…─── 良く、やり遂げましたね。
[玲瓏たる天の声が、
今にも命燃え尽くさんとする子の上に降り注ぐ。
その響きは悲しみに揺れることなく、ただ静謐に。]
生きてますよ。
[ 届いた声の、変わらぬ力強さに、揺れていた心が、すっと落ち着きを取り戻す ]
また死に損なっちまいました。
あんたこそ、青痣作ったんじゃないですか?
機体はちょっと当分使い物にならないんで、帰りは歩きですね。
部隊の方は、俺が居なくてもトラオムングが動けば、それに従います。大丈夫ですよ。
[天の声響かせる、その傍ら。
大天使の落とした涙は光となり、
倒れ伏し、自らも繭の中に囚われんとする子に添うように瞬いた。
誰の目にも映ることない小さな光は、
やがて幻のように大天使の化身たる姿に変じるのだ。
12年前の夜、幼子を腕に抱いた人の姿に。]
……──── いとし子よ、
[そうして紡がれる繭をも構うことなく、
彼を抱きしめるように寄り添う姿の唇から漏れ出るのは子守歌。
優しい響きは、純粋なる慈愛に満ちて穏やかに。]
/*
wwwww
あの、だらだら書いてますんでね!!!!
テキトーに動いていてね…
五月雨式に落としてる時に表が沈黙している気まずさったら(
― トラオムング ―
[右舷の格納庫エリアからトラオムングへと戻り、フライハイトと繋いでいたベルトを外す]
撤退の信号は見たか?
あぁ、引く。
トラオムングに異常は?
……一旦降りてからじゃないと無理そうだな。
分かった、異常個所はそのままでいい。
天使が攻撃してくるようなら防ぎながら下がるぞ。
[早急に撤退の指示を出し、マチスもブリッジへと戻る。
軽量化の魔法は間に合ったようで、後方のスラスターを起動すると最初よりも早く船体が動き出した。
ぐるりと大陸上空を回遊するようにして方向転換し、山岳側の平原を目指し移動して行く*]
− 《シャドウ・パレス》 −
[帰還する《ホーネット》に混じって、共和国軍臨時本部からの連絡員が複葉機からパラシュートでやってきた。
返信ついでに飛行場までのナビゲーターを務めるという。]
北部の山岳地帯? 遠いな。
いや、なんとか無補給で辿り着けるとは思う。案内を頼む。
デューラー臨時元帥はそこにおいでか?
[さすがに機密です、と言われたが、目線の動きで、まだ本部にいるのだろうなと予測はついた。
いつも艦長代行を任じている旧臣を見やると、「御意のままに」と唇が動いた。]
[天使らは、人間の退却に対しどう出るだろうか。
ダーフィトが艦を艦長代理に託して勝手をするのは、それを見届けてからではある。
行き先は共和国軍本部だ。
マチスと、彼を通じてコンラートに約束したことを果たさねばならない。
そして、可能ならばデューラー臨時元帥とも会っておきたかった。]
ワァズ、 まだいいよ。
[光の槍に貫かれた頭部の自己修復はまだ完了していない。
どこか動きのぎこちないオートマタを撫でてやりながら、ダーフィトは時を待った。*]
良く…、お眠りなさい。愛しき子。
お前が眠りに落ちるまで、私はここに留まろう。
ゆるりとお休み、かわいい子よ。
お前の眠りは安らぎに満ちるだろう。
[囁きかけて、髪を撫でる。
幾度も優しく撫でる手は、幼子を寝かしつけるが如く。]
待っているよ、お前の目覚めを。
だから今はおやすみ、愛しき子。
…──── 愛しているよ。
[告げて、幻が如き化身はマレンマの額へと口付けた。
傍らに添う気配の消えることはなく。
幼子を優しく撫でる手の、休むこともないまま。*]
− 三年前 −
[マチスの設計はどれも面白そうだったが、ダーフィトは2丁揃いのガンソードを選ぶ。]
生身の右手で扱う方は実弾を、魔装連動させる左手の分は気弾を、と使い分けてみたい。
[遠慮なく要望を述べてみた。*]
[玲瓏な響きを受けて、魂は歓喜に舞い上がるようだった。
褒めてもらえた、と、心が弾む。]
お役に、 たてました …!
[その声を掛けられたということだけで、
痛みも、苦しさも、消えていく心地がする。]
― 箱舟 ―
[空駆ける翼はやがて上へと消えて。
影はは、と小さく息を吐く。
遥か高みで零れたものは知る由もなく]
……黙示殿か。
[天より降り、近づく気配。>>214
それに気づけば小さく紡いで、場所を開けるように緩く、引いた。*]
そっか。
[また、と零すのに小さく笑い、切り返しの言葉にも笑い声を返す]
ははは、ばれたか。
やっぱりお前の操縦じゃないといけねぇや。
[帰りが歩きになる話や部隊については是を返し。
それらの確認を終えた後に少しばかり口篭る]
あー……ダーフィトからの伝言だ。
”殴られても文句は言わん”
……マレンマのことだ。
[コンラートが繭での出来事を知っていたなら、これだけでも伝わるだろう。
伝わらないようなら、マレンマを刺したのがダーフィトであることも伝えることになる*]
― 遥か上空 ―
────、追え。
[静かなる奇跡を別として、
天軍指揮官たる大天使の口から次に紡がれた音は、
人の子の船>>211への追撃の命であった。
落ちず、些かふらつきながらも存外機敏に船首を巡らせる船へ、
命を受けた下級天使の一群が向かう。
とはいえ、今はそれ以上の追撃はなく。]
…─────、
[ばさりと六枚の翼が羽搏いた。
徐々に高度を下げ、向かうのは箱舟……いや。
今や光の繭とでもいうべきか。
その方向へと光が下る。]
― 臨時元帥府 ―
[地上部隊の撤収は速やかに行われた。
機甲兵は三々五々戦場から離れて各々の補給基地へと戻っていく。
第二部隊の射手や魔法使いたちもまた、輸送車両部隊の援護を受けながら撤収を始めた。
これらの地上部隊は、爆心地近辺の戦闘が終わったのちも小賢しく出たり消えたの戦闘を続ける予定である。
航空戦力に対しては、生きている基地での全力の迎え入れ作業が進められる。
こちらも急ピッチでの整備が進められるだろう。
臨時元帥府、と名付けられた指揮車は首都から北西にやや離れた場所に止まっていた。]
[もともとは古い砦が建っていた場所だ。
人間の気配がないから、天使にも見逃されたのだろう。
地下格納庫などはまだ実用に耐えたから、多少の規模の軍を駐留させるのに不足はない。
なにしろ、首都の制空権をがっちり押さえられたままの戦いである。
首都近辺に軍を置けば民間にも被害が出るだろう、と考えれば、やや離れた砦は無難な選択肢ではあった。
にわかに人も兵器も増えたその砦には各軍の指揮官も集まりつつあり、ちょっとした作戦本部のかたちを為しつつあった。*]
― 3年前 ―
さらっと無茶言ったな?
まぁ片方だけなら何とかなるか…。
分かった、希望通りにしておく。
[ガンソードは元々実弾、気弾にする場合は少し異なる構造になるため、中身を作り変える必要がある。
部品の問題が出て来るが、片方だけなら何とか、と希望を了承した。
また、ガンソードに関してはグリップについてもダーフィトに合わせ、調整することになる*]
− 現在 −
《シャドウ・バレス》を、ファレーズ飛行場に係留する許可をもらった。
補給と修理が必要なんだが、おまえの手が必要なほどの損傷じゃないから、駆けつける必要はないぞ。
おれもいないし。
おれは、本部の方に顔を出すつもりだ。
紹介状? ないとダメだって言われたら、おまえの名前出すから。
最初っから案内するよっていうなら、《シャドウ・バレス》に迎えに来て?
[作戦本部どこにあるかよく知らないし、と、しれっと告げた。]
[ 無事を問う通信機からの声の主が>>203上空を飛んでいることには気付かぬまま、答えを返し、撤退の合図の信号弾が上がるのを見る>>195 ]
さあて、引くのはいいが…
[ 愛機を失ったに等しい今、徒歩での撤退しか手段は無い。ならば急ぐに越した事はないのだが、立ち去り難いのは、浮かぶ繭から、まだ意識が離れないからだ。
名を呼んだ一瞬、彼が浮かべた微笑みは>>184幼い頃、一緒に行きたいとねだられるままに手を引いて、買い物やシスターの使いに出かけた、その時の嬉しそうな笑顔を思い出させた ]
マーレ…
[ 今のコンラートには彼を救いに行くことも出来ない。むしろ天使達が命を救ってくれる事を願うしかないのが現状だ。
罪人の祈りや願いなど、聞く耳を持つ神だとは思えなかったが ]
[安らぎのなかで眠りに落ちかけ、
惜しいというように意識だけがまたふわりと浮かぶ。
優しさに包まれて、無邪気に笑った。]
告死殿は、すべてを見届けられたのか?
近くにおられたのだろう。
[ふと、囁きのように向けられたのはそんな問い掛け。
責める響きではなく、ただ遠く聞き届けるだけだった天の子の苦しみを、自身も知っておきたいとの思いだった]
[それは胸の内にある心残りを、痛みを知ることで贖うものでもあったか*]
[ 夢、 夢を、 見たことがある。
昔のことだ。
夢だったはずだ。
温かく柔らかな場所から引き離されて
暗く重いところへ置いていかれた。
ここは、自分の居場所じゃない。
かえりたい。
小さな体は、訴えるすべを知らなかった。]
[暗くて不安で押しつぶされそうで、
けれども泣かなかったのは、手があったからだ。
やさしい手。
あたたかなひかり。
少しぬれた、くちびる。
そのひとが触れたところから糸が伸びて、
どんどんと伸びて、どこまでも繋がって、
自分は、ひとりじゃないと知った。]
[糸が繋がっている限り、
必ず会いに行く。来てくれる。
どれほど離れていても。
たとえ世界が、時間が違っても。
糸は途切れず繋がっている。
だからいつだって、ひとりじゃない。]
[その糸は、今だって繋がっているから。
祝福を受けた魂から、真っ直ぐあなたに伸びているから。]
目を覚ましたら、また、
迎えに来てください。
待っています。
[こうして今も、撫でてくれる手があるのだから、
どこに落ちても、怖くはない。*]
― 箱舟 ―
[舞い降りた黙示天使が繭へと近づく。>>221
紡がれる言葉は何も言う事無く。
天より六翼が舞い降りたなら、向けるのは無言の一礼。*]
― 箱舟 ―
[光が降りればその場には、既に光と影の二翼の姿がある。
それらに、大天使は静かな目を向けた。
舳先にある小さな繭、それを目にしても表情の揺らぐことはない。
ただ、場を開かれる>>221に声掛けることもなく、
大天使は真っすぐにその小さな繭へと向かい、手を触れた。]
− 三年前 −
[マチスがガンソードとサイバネティクスの連動を仕上げた最後の晩、《シャドウ・パレス》の食堂では宴の準備が整っていた。
塩漬け魚のフリッター、塊肉と根菜のビール煮込み、粒割コーンスープ、岩塩ラード乗せライ麦パン、果実酒。
ピンにつけられた小さな紙旗に「マチス最高」とか「早く彼女作れ」とか、艦員それぞれからのメッセージが書かれ、刺してある。
そんな肉体労働派の料理が並んだ後、ビアジョッキを利用した、ビッグサイズの焦がしキャラメルプリンが提供された。]
遠慮なく食うがいいぞ。
あ〜ん、してやろうか。 ふっふっふ
[そんな無礼講の食事をしながら、宴たけなわともなれば、マチスは即席のステージに引っ張り出される。
スピーチタイムだ。*]
― トラオムング ―
[移動を開始させると、案の定天使の追撃>>217があった。
直接王都へ向かわなかったのは正解と言える]
色つきの天使は?
……いないか。
ステルス機能の調整はどうなってる?
「まだ完全じゃありませんね。
魔法障壁と別にエネルギー回路を船体全体に張り巡らせないといけなくて」
エネルギー効率が悪すぎるか…。
永久機関化しないと難しそうだな。
[どうします?との問いにはしばしの沈黙が返った]
振り切るぞ。
軽量化が完了した今なら多分いける。
振り切ったらなるべく岩陰になるような場所に寄せて停泊。
修理と調整を進めてくれ。
俺はフライハイトで元帥と合流する。
[その方が早い、と決めるやマチスはブリッジを出た。
修理自体はマチスがいなくても進められるし、相談しなければ次手にも出られない。
部下から是が返ると再びマチスはフライングユニットに乗り宙へ。
高度は下げ、地表スレスレを飛ぶことで物陰などに紛れる心算でいる*]
やっぱりですか?仕方ねえなあ…
[ お前でなければ、と、口にするマチスに返す軽口は、隠しきれない安堵の色を滲ませる。
今回の作戦で、コンラートがトラオムングの操縦では無く、戦闘機部隊の指揮に回ったのは、その方が攻撃力が上がる、という判断の他に、また「自分だけが」生き残ってしまったら…という危惧がぬぐいきれなかったせいでもある。
けれど、何度己の異名を証明する結果をみせつけられても、マチスは、少しもその態度を変えない。
あくまで信じるのはパイロットとしてのコンラートの腕であり、異名の呪いなど、信じるに足らないと、言外に示してくれる ]
ダーフィトが?
[ しかし続けて伝えられた「伝言」には、思わず眉を潜め ]
……殴るかどうかは、会ってから決めます。
[ 詳しい経緯は見ていない、けれど、マレンマに炎を浴びせたのが、彼のオートマタである以上、その言葉の意味する所は理解できたから、そう答えた ]
……ああ。
一部始終全て、というわけではないがな。
[向けられた問いかけ>>*60に、返すのは嘆息めいた声]
例の、作り物の竜を駆る者と対峙し、最後まで引かずに己が務めを成し遂げた。
炎に焼かれ、それでも聖句唱えるを捨てず。
銃弾と刃を受けてもなお、最後まで心静かに、己が務めを全うした。
……見事だった。
[静かに声たる声にあるのは、務め全うした事への賞賛の響き。*]
[触れた先、光の繭からは不思議な波動を感じる。
それは救世主のなせる奇跡。
天の加護と儚い命の輝きと、それらを撚り合わせて紡ぐ、
天使には為し得ない、彼だけの奇跡だ。]
……────、待っている。
[微かに唇が動いた。
そうして繭から手を離して立ち上がり、背後へと視線を流す。]
……… 祈りを。
― 現在 ―
ファレーズ飛行場……あそこか。
いないしってー、あぁ、そう言うことか。
良いよ、俺の名前出してくれ。
今後も協力してもらえるなら心強い。
本部は今、王都北西にある古い砦だ。
迎えに行っても良いが、ワァズまでは乗せられないぞ?
俺今トラオムングじゃないんだ。
あれはでかすぎて目立つからな、別のところに待機させてる。
[作戦本部を知らないという話にはあっさり場所を告げて。
今乗っているフライングユニットが最大でも2人までしか乗れないため、2人も乗せることは出来ないとも告げた*]
これは試練の最も深きところ。
神は人の再生のため、この子に仮初の死を与えられたのだ。
…目覚めるか、このまま堕ちるか。
それはこの子次第、人次第。
なれど私は、この子が再び火を灯すことを望みたい。
冬の眠りが破られることを信じたい。
ゆえに助けを。
お前たちの光と影の、生と死の祈りをここに。
目覚めの標となるように…、な。
[それは彼らに明かされる事実。
救いの御子が、未だ完全には死の淵に落ちてはいないこと。
けれど、生も死も未だ危ういところにあり続けること。
封じ込め続ける心の一端、僅かに明かし、
大天使は二人の御使いへ向けて目を伏せた。]
────…、頼む。
力を貸して欲しい。
/*
しんだァ!!!!にしておくのと、迷った けど、けど!!!
まだ死にきってないぞ!!!たぶん!!!
の、方向にしよっかなって……
がんばれー。そしてお祈りとか考えてないぞー
[安堵の色が滲む声に笑みを深める。
これまで何度も死線を潜り抜けてきたコンラート。
それをコンラートの腕と取るか、異名が示す通りに取るかは人それぞれ。
マチスは前者であり、異名が事実であったとしても、それはコンラートの才能であると思っていた。
コンラートが抱く危惧は薄々分かっているが、そうはならないと言う自負もある]
[何せ、アンライエンが襲撃された時、コンラートだけでなく自分を含めた他の者達も生き残ってはいるからだ。
ただ単に、コンラートだけが生き残る回数が多かっただけ]
ああ、
[いとし子の声が小さくなってきている。
意識が淡くなり、消えかけている。
けれど、この繋がりだけは。
絆だけは、全て意識が消える去る時まで共にいよう。]
すぐだ───、すぐに迎えに来る。
だから、
あまり…、 寝坊するなよ ?
[案ずる心は笑みの気配に柔らかに紛れ。
優しい響きばかりが、眠りに落ちんとする子の上に落ちた。]
ん、……まぁ会って話してみると良い。
[ダーフィトの件を伝えると、コンラートの声が低くなったように聞こえた。
当然だろう、マレンマは弟だったのだ。
万一を考えていたマチスはダーフィトを責める気は無いが、コンラートはそうではないだろう]
とにかく、本部に集合しよう。
お前、徒歩だって言ってたな。
今フライハイトなんだが……乗ってくか?
[マチスが作ったフライングユニットはコンラートにも見せてある。
操縦者を含め2人は乗れるため、タンデムして行くかと問いかけた*]
− 現在 −
ワァズ、犬になったら乗れるんじゃ?
でも、その位置情報があれば、自力で辿り着けると思う、ありがとうな。
― 箱舟 ―
[黙示の天使と天軍の長が降り立ったころには、既に肉体の鼓動は止まっていた。
意識だけが名残のように留まっていたが、それも間もなく離れるだろう。
小さな繭の中には、静寂が満ちていた。
それでも光の集まるを感じてか、繭の糸が淡く明滅した。
息づくように。嬉しいと囁くように。
眠る赤子が、頬つつかれて微笑むように。]
[まだほんの赤子だった頃、
眠りに落ちるまで手を繋いでいないと泣きだしてしかたがなかったのを、"兄"は覚えているだろうか。
手を繋いでくれるものがいなくなったあと、諦めたように泣かなくなったのを知る者はいるだろうか。
繭の中は、今は静かに眠りの中。*]
……仮初の死?
[主より告げられし言葉に、声音に驚きが織り込まれる]
……新たなる在り様を導くための試練。
なるほど、もっとも高き天は、相も変わらず手厳しい。
[冗談めかして紡げたのはそこまで]
……御意に。
主の望み果たすは俺の在り方。
[目を伏し、頼むと紡ぐ大天使の姿。
元より、その命を絶対とする影に拒む由縁は存在しない]
そして、導き手殿の目覚めは、俺自身も望みたい。
[それと共に、無垢なるいとし子の目覚めを導けるならば、為すを躊躇う由縁はなく]
死の側に在る者として。
いとし子殿が正しく向かうべき路を示しましょうか。
[堕とすのではなく、還るための路を示すと。
返す諾は、常と変わらず、軽いもの。*]
[声はなく、微かな波だけとなった意識は
聞こえてくる声の意味を拾うこともなく、
───ただそれに触れているだけでうれしいと、
そんな揺らぎを最後に、静かになった。]*
[祈りを、と短く請う、声。>>227
天上の響きにて告げられるその理由に、逆らう由縁はなく。
影は月白色をひとつ羽ばたかせ、請われるままに祈りを紡ぐ]
……迷いなく、正しき路を進み行かれよ。
[行くべきを違えるな、と。
紡ぐのは、願い込めた祈りの言の葉。*]
[魂の、いちばんまんなかが眠るのは、いちばんさいごのこと。
やくそくの言葉に安心して、
笑みの気配に同じだけの笑みを返し、
やさしい響きを抱きしめるようにして、眠りについた]*
[天の高みから舞い降りた大いなる光は、
箱舟の近くに浮かぶ人の子の翼>>228に無関心なようだった。
それより重要なものがある。
そう言わんばかりに、天使は箱舟へと集う。
無論攻撃が為されればその無関心も破られようが、
今は注意払われぬがゆえに、
その翼が天使らを見つめ続けるも容易であったことだろう。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
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