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次の日の朝、語り手 が無残な姿で発見された。
夜が明け、悪夢は現実のものとなった。
人狼は確かに存在するのだ。そしてその血腥い牙で我々を狙っている…。
人々は苦悩の末、最終手段を取る事にした。
投票により、1日に1人ずつ疑わしい者を処刑する。
例え無辜の犠牲者を出すことになろうとも…。
現在の生存者は、闇のセフィロト 、闇の精霊 ルートヴィヒ、神秘学者 アデル、光の精霊 イングリッド、魔族の花嫁 フレデリカ、異界の神 ベネディクト、没落貴族 リエヴル、冒険者 レト、助祭 リヒャルト、孤狼 セルウィン、巫女 ベルティルデ、司祭 マレンマ、修道士 ジークムント、喪失者 シュテルン、地方軍人 ツヴィンガーの15名。
− 魔王城 / 大広間 −
[様々な姿をしたモノたちが集う大広間。
そこかしこに得体のしれない、だが美味しそうなご馳走も用意されている。
仮面に素顔を隠したもの、狩りの獲物に鎖をつけて連れ歩いているもの。
徴発と謀略と皮肉と睦言が幾重にも折り重なって、時折、あがる悲鳴さえも嗤いに呑み込まれる。
魔王はいまだ姿を見せていないようだが、典礼官がやってきてメッセージを読み上げた。]
「汝の欲する処を為せ。
存分に歌い、喰らい、交わるがよい。」
[享楽の歓声が弾け、随所で乾盃のグラスが掲げられた。]
■第3イベント「宴」
1) 宴に参加するべく魔王城へ来たPCは、受け付けで呼び止められます。
「これに着替えてください」
どうやら、[[cosm ]]×3から仮装を選ばなければならないようだ。
なお、貢ぎ物を差し出せば、仮装は免除されるとのこと。
― 回想 ―
[胸に落ちる拳は弱く、柔らかい抱擁と変わり、頬に沿えた手は髪をなでゆっくりと背中へと回す。
重ねることでしかない口づけは互いの不器用さをさらしながらも離れがたい熱を帯び、返事も抵抗もない彼女の柔らかな唇にそっと舌を這わせ、数多の思いを背負わさられることを義務付けられた肩を背中をそっと撫でた]
2) 宴でのランダム[[1d10 ]]発生イベント
1 ボヤ騒ぎを起こしてしまう
2 魔物カップルに、スワッピングに誘われる
3 水の精霊と仲良くなった。次の戦闘時に手助けしてくれるそうだ
4 鳥籠に入れられて「歌え」と天井からぶら下げられる
5 怪しいカクテルを飲まされた。効果は自由に決めていい
6 触手スライムのプールに突き落とされた
7 いつの間にかポケットに綺麗な指輪が入っていた
8 地下迷宮に迷い込んでしまう
9 呪いの魔弾で狙撃される
10 キスと引き換えで回復薬をくれるという魔界商人と会った
それからどうなった、も、ここにはない任意のアクシデントも自由にどうぞ
ひとりで複数のランダムを振ってもOK
ただし、相方と一緒に動いているなら、時間差でひとりずつ振った方が対処しやすいかもしれませんね。
[どれくらいの強さで抱きしめていいのかわからない。不器用に背を撫でる手に込めた力は優しく]
敵国の男に穢される。そんな断罪しか、私からは与えることはできない。
[言い訳めいた返事など言わせることなどせず、国という化け物に人生を使われた女性の唇をもう一度穢した]
意地悪かい?
[背伸びして口づけしてくるならば、その頭を支えて、
それからは、触れるだけから、少し大人のキスを。
少しやっぱり上せてはいるんだろう。
ここは危うい魔界でもあるのだから。**]
村の更新日が延長されました。
神秘学者 アデルは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
没落貴族 リエヴルは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
― 霧の沼地 ―
[彼女の悲鳴を聞く影は、それでも解放に至らない。
別離に泣く声に混ざる憂いが、闇に染み。>>1:691
擁される伴侶の力は、唯虚ろに揺らめくばかり。
自身に何かあれば、消滅で安否を知らせるが、
彼女としてもそんな方法での伝達は望まぬところだろう。
ただ、雲消霧散を繰り返していた闇が、微かにざわつきだす。
彼女にも察せられるのは、力を枯渇させた精霊を狙う悪意。
霧に影を浮かび上がらせる―――首の無い騎士。]
闇の精霊 ルートヴィヒは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
魔族の花嫁 フレデリカは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
/*
ひとまず投票セットー。
デフォはシュテルンさんでした。
……は、いいんだけど、このイベントはwwww
いくつか物凄い、鬼門があるんですけどwwww
助祭 リヒャルトは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
喪失者 シュテルンは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
司祭 マレンマは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
背中
[身を寄せて、耳元に掠れた熱を吐く]
――背中にも傷がある?
[言うや、そっと肩を押しやり書架の方を向かせる。
床を引きずられた背中は服に紅を滲ませている、
期待に適う姿態に喉を鳴らして、
尖った爪で小さく布地を裂く。
暴いた膚に唇を宛がった。]
…悪ぃ、気付かなくて。
[それほどまでに合わないのであれば、既に予兆は出ていたはず、と。
それに気付かなかったことに謝罪が一つ零れ落ちる*]
孤狼 セルウィンは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
冒険者 レトは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
[嘆願にも影は沈黙を守るのみ、寧ろ拘束の意思を漲らせ、全身に絡みつく。
真白く塞がれた視界は、最早意味を為さない。
夫の気配の探知に、感覚全てを集中させる。
大気を擘く獣の咆哮も、彼の優勢の証に拾うだけ>>1:685]
ルート――……
[闇の力は減じることなく、霧の奥に在る。
安堵しつつも、集中は唯一点に注ぐ。
――忍び寄る害意を漸く悟らせたのは、闇の微かな異変>>1]
光の精霊 イングリッドは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
/*
しかし今日のイベント……( ̄ω ̄*)(何
4とかぜってー無理だなwwwww
多分音痴だ、レト(
おいしいのは5だ。[何する気だ]
/*
こんばんは、進行お疲れ様です。
毎日楽しく遊ばせて貰っていますが、
少々、お伺いしたいことがあって中の人より秘話を失礼します。
本日のイベントの仮装>>#0ですが、
此方が引いたものをペア相手に着用させると言うことは可能ですか?
(灰で振ったら、猫耳尻尾が出たのでつい…)
急ぐ質問では無いので、お手隙の折にお返事頂ければ嬉しいです。
折り返し地点ですが、村建て様も無理なさらずご自愛くださいませ。**
― それより更に昔の回想 ―
[出会った時と同じ、生きることに執着した目は些か衰えず、それでいて恐怖を知り、体を青白くして震わせるシュテルンを見ながらも、自分が行った選択に対する困惑はまだ消えていない。
正しいと理解したこととまるで違うことをして、訂正しようとも思わず、微かに漏れ出た悲鳴。そして問うような眼差しにもしばし答えに窮しながら顔をシュテルンの近づけ耳元に唇を寄せる]
生きたいか?
[腕は捕えたままだが、情報を問うための尋問もしない。]
生きたいならば、生かしてやる。
変わりに…私が次に勝った時、話がしたい。衆目を偽っている理由や、そうまでしてお前を駆り立てる理由を…
どうする?
[口約束でしかないものを守られるかどうかなどわからないが、今はそれで十分だと、言葉をとめ、返事を待った*]
― 浮遊する群島 岩山 ―
[軍馬を駆り、時には幉を引きながら、浮遊する島を進む。
幸い喧騒は遠くの獲物に食いついているのか、向こうから聞こえるばかりでこちらは静かだった。
水と草があり馬を休ませるに足りる場所までたどり着き、散策をしながら泉の水を掬い口に含む。
味に問題はなく、一息つくようにほっと息を落とすと、馬を水場の近くへ促しながら、岩に登った男を下から見上げた。]
水は大丈夫そうだ。
掬う物があればよかったんだが。
[飲むなら手掬いでしか無理そうだと告げて、岩に背を預け休息を取る。]
異界の神 ベネディクトは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
― 浮遊する群島 ―
[彼の信愛に行動をもって応えるべく、風に舞った。
彼の手は光を掲げ、魔界の空を駆ける。
楚々たる流星を追う魔物たちは、浮遊する群島の間にひしめいた。
敵の位置を告げる彼の指示を受けて、手綱を裁き、滑空、また旋回し、逃げ惑うものとの間に素早く割り込んでは、狩り手たちを翻弄する。
息のあったコンビネーション。
化鳥は幾度となく二人を振り落とそうとしたが、彼を支えたまま重心をたくみに捌いて乗り切った。]
[新たな飛翔体が加わったのは、しばらくたった後。
黒く艶めく蝶が乱舞して視界を遮る。]
これは…
[やっかいな新手──と思ったのも束の間、蝶たちは薄い翅に烙されたメッセージを伝えると、ハラハラと消えて行った。>>1:679
まさに夢のごとく。*]
修道士 ジークムントは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
そんな、謝るような事じゃ、ないです。
……ぼくが、自分の状態、見切れなかったせいですから。
[だから、気にしないで、と。
零れるのは、ほんの少し苦笑めいた笑み]
― 狂気の研究施設 ―
[外に出てから最初にやったのは、呼吸を整える事。
建物から離れればノイズは遠のき、魔力集中する余裕も戻る]
……さて、それでは。
[落ち着いた所で集中した魔力で小さなナイフを作り出し、それを使って左の手に小さな傷を作る。
そこから滲んだ血を数滴、地面に落とした]
Verändre eine Ansammlung, Formmacht.
Der Tropfen meines Lebens als eine Stelle, um zu gehen.
Es ist auf diesem Boden und macht es und verfolgt die Strömung von der Macht und bewahrt den Intellekt.
[紡がれる言霊に応ずるように、滴り落ちた血は魔法陣をひとつ、描く。
それが淡い紫の光を放つと、魔力のナイフをかき消して]
これでよし、と。
それじゃ、結果が出るまで、どうします?
[緩く、首を傾げて問いかけた。*]
/*
☆呪文対訳
力よ集い、形を変えよ。
我の命の滴を寄る辺として。
この地にありし、力の流れを辿り、その智を蓄えよ。
最初、依り代、ってやったらなんか訳文がごつくなったので、ちょっと言い回しを変えてみたのでした。
流血はまあ……仕方ない、仕方ない。
― 記憶の書庫 ―
[書棚に掛け直した手が、意図せず一冊の本に触れると
背表紙がぼやりと光を帯びた]
……なんだ
[顔を上げると、興奮気味の尻尾がぱたりと空を叩く*]
/*
>此方が引いたものをペア相手に着用させる
どうぞー
相手が着てくれるよう話術でアタックしてみてください。
労りのお言葉、かたじけないでござる♪
[霧に透ける暗翳は、断頭に処され、凶兆を体現する形>>1]
――……
[細く開いた唇が、自らに施したことのない加護の思念を詠う。
仄かに蒼白く冷えていた肌が、内から朧に光を透かす]
[時を同じくして、集散を繰り返し纏わりついていた闇が、
俄かに収束を始め]
[不安に身を窶す妻に迫る凶行の衝槍。
彼女の祈りを打ち砕かんとする暴力。>>3
劣勢に甘んじる弱者ではないとばかりに卑劣な一手。
急いた魔物は、それが最たる愚策とは知りようも無い。
―――が、彼女の耳に空洞を抜けるに似た声が響く。]
『あのような禍々しき手合いは身に毒ぞ、
何れ、興が削げば貴様を捨て、我等と同じ我欲の僕になる』
『貴様が嘆くだけ、アレは悦を覚える悪辣よ。
魔界に堕ちた精霊を知らぬか、永久など在りえぬ。』
『あんなものを傍では、やがて貴様も気が触れる。』
[霧の向こうからかける悪意のプレッシャー。
彼女の精神を毒し、隙を狙って彼女の伴侶を詰るが、
その全ては闇精の本質を付く、似た気性を持つが故、
魔物の声は、彼女にきっとよく響く。
彼女の心の底にしまいこんだ、不安と言う小箱を、
負を司る魔性が抉じ開けるように。]
― 記憶の書庫 ―
――――…
[自身に凭れかかっている温もりに意識を預けてしばらく眠っている間に、微睡みにさらわれない程度には力が戻ったようだ。
隣で眠る彼を起こさぬように、鞄を引き寄せ中身を確認する。]
……街にでも行きますかね?
[神力を稼ぐため>>1:581というのは勿論のこと……
自分が眠っている間に、どこかで何かに襲われたらしい彼の服はボロボロで、護身具さえも持っていない。
保存食はありはする、だが水筒やマントは一人分。
彼に温かい食事を口にさせたくても、この場所ではかなわない。書庫で火を起こすようなチャレンジ精神は、神の身であっても持ちあわせては居なかった。
まあ、すべては気持ちよさそうに眠る彼が起きてからの話になるのだけれど]
[彼女が僅かでも躊躇えば、或いは動揺すれば、
首無しはその負の感情を糧として動き出す。
馬が湿地を蹴り、泥を跳ね上げさせて、疾走。
水平に構えた衝槍の切っ先が彼女に向かい、
不安ごと、心ごと、想いごと、砕いて散らしてしまうように。
悪意の塊は、伴侶を蹂躙すべく、
金切り音めいた笑い声を洞風の中に紛れさせた。>>13]
― 浮遊する群島 少し前 ―
[マカイという国の現状>>4に同意をしながらも、記憶を失っていても、そういった知識は覚えているのだな。などと考えつつ移動した]
…そういうものか。鳥と同じ…か。ここではこれが当たり前なのかもしれないな。
[鳥が飛ぶ理由も知らない。鳥なのだから当たり前だ。と思っていた。
それが大地にもあてはまる環境ということだろうか。
軍務で功績を成すために育てられた...はちょっと抜けていた]
― 浮遊する群島 岩山 ―
何か買う余裕があればよかったのだがな。贅沢もいってられん。喧噪が止めばまた動ける。それまでの辛抱だ
[遠くのほうで聞こえる激しい音も、闘技場の近くで起きていた事態とおそらく同じだろう。それが止めば一段落するという思いからできるだけ体力を消耗しないように、先の功労者である黒馬やシュテルン>>6同様に自分も水を取りに降りる]
なぁ、シュテルン。もし、お前が忘れたいから記憶を失っていたのだとしたら……それでも思い出したいか?
[視線を向けずに問いを投げ、水辺の水を手ですくい喉に通した*]
ん…でも……。
[言いかけて、自分の否を主張しても恐らく平行線になるからと言葉を続けるのは止めた。
代わりに]
……でも、言ってくれて良かったよ。
無理させずに済んだ。
いつもみたいに突き進まれたら、どうなってたか。
[安堵を含めた言葉を紡ぎ、小さく笑む]
― 狂気の研究施設・外 ―
[外に出れば重苦しい空気から解放される。
深呼吸染みた息を一つ落とし、アデルの様子>>10を見た。
アデルもまた呼吸を整えており、しばらくすると探査の陣の準備が始まる。
血を媒体に作り上げられる陣を見るレトの目は少ーしだけ据わっていた。
陣が成り、問われる声には]
とりあえず他の場所の探査だな。
まだ一度も行けてねーとこあるかもしれねーし。
[ひとまずの方針を口にする。
そんな折、ひらりとした物体>>1:679が天より舞い降りた。
ゆらゆらと漂う姿は正に蝶の動き。
魔力に寄せられアデルへと近付くそれに手を伸ばし、自分の手の上に乗せた]
……宴?
[黒い翅に浮かぶメッセージ。
記されていたのは招待状のような言葉]
魔王城って……まさかさっきの?
[頭に浮かぶのはここへ来る前に居た場所にあった巨大建造物。
伝えられた内容も含め、どう思う?と言う意味を込めてアデルを見た*]
/*
早いレスポンスと回答ありがとうございます。
強運で引寄せ、言葉巧み(巧み?)に、頑張ります。**
― 浮遊する群島 ―
[飛翔する猛禽の上に乗るのは、こんな時でなかったら爽快な経験だっただろう。
周囲のいたるところから迫る魔を見極め、攻撃を予測し、狂宴の贄に供されているものたちへも目を配る。
自分を支えてくれる腕はいささかの揺るぎもなく、すべてを委ねて不安の欠片さえ感じなかった。]
[どれほどそうしていたものか。
群れ飛ぶ黒い蝶からのメッセージを受け取って、兄弟と視線を合わせる。
気づけば、狩りに加わっていた魔物たちが翼を返し、それぞれどこかへ消えていた。]
……行きましょう。
わたしたちは、相手を知る必要があります。
[罠であったとしても、二人が共にあれば切り抜けられる。
半身の手を握り、蝶が漂い来た方角を見やった**]
地方軍人 ツヴィンガーは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
[閉ざした目蓋が少し震えた。
大人のキスなんて初めてで、それは少し生々しくて、
接触に容易に、熱を、意識を奪われてしまう。
こんな所で何をしてるんだろう。
そう思う部分も確かにあったはずなのに]
……リエちゃん、
[いつも気軽に言えた言葉が、胸につかえて出てこない。
言葉にしたら、その思いを免罪符にしてもっと求めてしまいそうで、
なんだか少し、こわくなる。
だけど、唇が離れても、
傍らからは離れたくなくて、距離はそのままにただ踵をついたけだった*]
[彼が目覚めたなら、街へいかないかと誘いながら]
……あなたの事が知りたいです。ゆっくりでいいので教えてもらえませんか?
[と、微笑みかけた。
質問の真意は二つ。
あの心地良い祈りを捧ぐ彼は、どのように生きたのだろう?という好奇心と。
彼自身は元の世界に戻りたいと思うのだろうか?という確認作業によるものだった**]
―魔王の城中庭―
この世界の脚?
[>>1:695 じぃっと見やる。
自分を助けたせいで、不自由になった彼の足。
あの時自分には何が起こったのかわからなかった。
彼自身はそれを知っているのだろうか。
でもなんとなく不安になる]
リエちゃん大丈夫……?
はやく、この世界から出たほうがいいのかも。
[今は脚だけで済んでいる、みたいな。
そんな不安も湧いてしまう。
それに、いまだに正体の知れない、
というか、姿も見えない自分を浚った魔族とか。
はたして今どこにいるのやら]
[だが、性別変えられた、
その目的だけははっきりしてると思う、ので憂鬱なのだが>>1:697]
――はい?
試……、えっ?
いや、それはもちろん興味がないわけじゃないけど!
[今言われたのはどこの誰だか知れぬ相手ではないわけで、さすがに熱を持った頬を押さえた、笑みかけられてあらぬ想像が過ぎる前に別のことを考える。
小さいとはいえ、折角自分におっぱいできたのに、まだ揉んでみたりしてない、そうだ揉んでみよう!とか、思考が至ってつまり明らかに動揺した]
……、
[ふに]
って、何やってんの俺……!そうじゃないし!
[ふるふる首を振る、
意外と柔らかかった、いやいやそうじゃなくて!
別のことを考える方向性を間違ってしまっただけ、
きっとそうだ]
はー……
えっ、なになに、蝶々?
なんか怪しくない?
[>>1:679 リエヴルが気づいた黒い翅。
その違和感に気づかない魔力的感度が低い花嫁は、
そこにこめられたメッセージもさっぱりである。
傍らのリエヴルはもちろん読み取れただろうけれど。
とりあえず反応を待たず手を引いて]
リエちゃん、とりあえず中入っちゃおう。
なんか変な燐粉とか吸い込んだら困るし!
[耳を直に嬲る聲が、詠唱を形成する唇に、微笑を浮かばせる。
敢えて弱者を獲物に選んだ魔物が、窮地に追い込まれていることは想像に難くない>>14
徒に魔物の興を煽った身が、一時でも囮となれるなら。
それは寧ろ―――この上なく幸いだと]
[手を引っ張りながら、振り返る。
なんだか半透明から肉体に戻って怒涛だったので、
一番大事なことを忘れてた]
あの、そうだ。
……えっと、リエちゃん。
助けに来てくれて、ありがとうね。
ちゃんとお礼、言ってなかった気がする。
凄く、すごく嬉しいよ。
[自分の不甲斐なさは別にして、
素直に嬉しいと思う気持ちは伝えたかったのだ]
[安堵を含む言葉に、あ、と短く声が上がる。
また気遣われてる、と最初に浮かんだのは、そんな事で]
……こ、こんな場所、ですし。
その、負担をかけるわけには、行きません、から。
[早口でこう言い放ちつつ。
何かを抑えるように、ぎゅ、と魔導書を抱え込んだ]
魔王城が先ほどの場所、というのは、考えられますね。
あそこには、かなり力の強いものがいたようですから。
[最初に落とすのは、状況分析]
……宴、がどのようなものかはともかく。
そういう場所であれば、何かしら手がかりを得られるかもしれませんし。
行ってみるのも、手ではないかと思いますよ。
[とにかく、この世界に関する情報が少なすぎるから。
それを得られそうな場所に行くのは一つの手だから、と。
たどり着いた結論は、そんな分析に基づいていた。*]
[兇槍の鋭き先端が彼女に届く瞬間、
愛妻に感じられるのは、仄暗く、深い夜の気配。
濃霧を飲み込まん程に拡がる漆黒の夜霧。>>29
彼女を惑わす声を闇に沈めんとする力の具現。]
――――…不躾だ、地に這い蹲れ。
[常よりもずっと硬い声色は、低く。絡みつく感情は憤怒。
彼女が恐れを堪えて双眸を開いたのなら、
次に視界に入るのは縦一刃に裂けた騎士の鎧と、
四散する幽馬を模っていた死霊の靄。
ひとつだったものが、均等にふたつに別たれ、
瘴気を噴出し崩れる影の向こうに、鎌を振り下ろした伴侶の姿。
頭から割った魔物の背後に、ゆっくりと降り立ち。]
[最後の一匹も滅してしまうと、息も乱さず大鎌を闇へと分解。
再び足元へ飲み込ませながら、足早に彼女へと距離を削り]
イングリッド、申し訳ありません。
少し、戻るのが遅れました。大事は無いですか?
[彼女の様子に気を配りつつ、返答も聞かずに、
華奢な肢体を腕の中に抱きこむ抱擁。
常よりも力を強め、両腕で閉じ込めてしまおうか。
余分に掛かった刻に関しては謝罪を向けるが、
何があったかは言葉に態々変えることも無い。
―――ただ、妻の無事に安堵し、充足の息を吐き出した。]
― 回想 ―
む…
[唇を舌で擽られて、小さな声と共に息が僅かに開いた唇から零れた。
胸の奥が擽ったく、顎を引いて身じろぐも追いかけてくる舌を、開いた唇で挟んで受け止める。
小鳥が鳴くような小さな音が耳に届き、優しく背を肩を撫でられると、背中に回した手は布を掴み握りしめる。
身体の隙間を埋めるように距離は縮まり、暫く交わした口づけの後、告げられた言葉に瞬いた。]
けが…
………馬鹿 じゃ ないのか
[途切れ気味に、言葉が落ちる。]
こんなの、断罪にならない…
[冗談なのか本気なのか、解らず少し眉をさげたまま、二度目のキスを受け入れた。]
ツヴィン…
[触れては離れ、唇を啄み、息をする合間に呼んだ名前は、甘い響きを帯びている。
握りしめた手に力を込め、熱を伝えるようにより密に重なり合った。]
[己の魂を狂わせ、存在を無に還すだろうと確信させる恐怖。
――彼が世界の何処にも居なくなることに比べれば、
隣に居られずとも構いはしない。
この身で満たせなかった飢えを、渇きを、
彼が慰めうる何かを見出し、何時しか別離を迎えるのなら。
寂寥の中にも安堵を抱いて消えていけるだろうと、今は思える]
― 記憶の書架 ―
[一体どのくらい眠っていたのだろう。眠るうちにすっかり預けてしまっていた頭を隣に座る彼の肩から持ち上げて、辺りを見回す。ここに昼夜の区別はないのだろうか。それとも思ったよりも長く眠っていたのだろうか]
……。
[街へ行かないかと声をかけられて、不安そうに眉が下がる。ついさっき、街で巨大なひとつつのの魔や他の魔物に追いかけられたばかりなのだ。指が無意識に頬の傷を辿りかけるけれど、頬に痛みはなく。瞬時不思議そうな顔をするけれど]
――はい。
[
―魔王の城・緋の回廊―
[バルコニーから進入した城内、
血染めのような緋色の長い廊下をひたひたとすすむ。
漂う気配にヒトは捕食者を前にしたような根源的な恐怖を肌で感じる、そんな身も竦むおぞましい空気に満ちている、はずだ。
だが空気読み能力欠如者は、
かすかに聞こえた悲鳴に眉を寄せたりはしたものの、
やはり空気は読めないし見えなかった]
……というか、
このドレス目立ちすぎない……?
いっそ脱いだ方がいいのかな……、
[メッセンジャーたる黒い蝶はリエヴルの傍らで淡い燐光を帯びる。
魔に侵された彼の脚は、そのまま魔の擬態となるだろうか、だとしたら、
奴隷ぶるのもありではないか?という脱衣提案であるが説明してないので意図は通じないだろう]
[もっとも花嫁の抱えた鈍器も、
“空気が読める”者が触れたら、
一瞬で気の狂うような禍々しい気配を放っているので、
結果、宴の席に向かうまでの目くらましにはなったかもしれない*]
――え、と…?
[街への誘いと。同時、言われた言葉。自分のことを、知りたいと。もちろん、いやな訳ではない。けれど]
お教えできるほどの、知識はありませんが…ええ、と
[彼が望むなら。そう思う気持ちと。知りたいと、思ってくれる気持ちは嬉しいのに]
……わたしの。ことを、知ったら。あなたに、幻滅されるのでは、ないかと。
わたしは、それが、こわいのです…
[小さな声。彼の真意は分からない。けれど、心に秘めるのみだった不安をそろと口にする]
わたしは、きっと。神に仕えるに、相応しいものでは、ないから。
[負担の言葉に少しだけ笑う。
アデルを護り、アデルに出来ないことをするのが自分だったから、負担なんて気にしちゃいられないのだが。
思い込みだとしても気遣われるのに嫌な想いはしない]
お前にも負担かけられねーし。
これからもダメだと思ったらちゃんと言えよ。
[突き進まれるよりは余程良い。
無茶をされるより余程マシだと思いながら、そんなことを言った]
― 狂気の研究施設・外 ―
かなり力の強いもの……魔王って考えるのが妥当、か。
何で俺達のところにこんなものが来んのか、不気味な気もするが…。
そう言う場所の方が何かしら見つかる可能性も高いか。
あの城の中に入ったことはあるが、魔力的なものはさっぱりだからな、俺。
[当然見落としもあったことだろう。
それを考えればアデルを連れて探索し直すのも手か、と思案する]
───……その前に。
[移動する直前、徐に手を伸ばしアデルの左手を掴む]
これ、治療してからな。
[陣を築く時につけられた傷を示して治癒魔法をかけようとした]
[狂喜に充ちた嗤いを乗せ、迫る衝槍。
詠唱を終えれば身動ぎもせず、ただその時を待つ。
傍近く感じる、闇夜の気配。果てなき深淵に呑まれる感覚。
違える筈のない、待ち侘びた伴侶の――]
――――…ルー、ト…
[安堵に目を見開き、視界の中心に彼を探す>>33
憤怒を孕み鎌を振り下ろす影。
傷を負ってはいないか素早く視線を這わせてから、
その足下に崩れる騎士の残骸を確かめ]
― それより更に昔の回想 ―
[恐怖も長く続けば感覚は薄れ冴えも働く。
言われるままじっと静かに、心臓の音さえ抑えて見上げ良く観察すれば、男の方も困惑しているように見えて、眉根を寄せた。
何を考えているのか解らない。
暫くじっとしていると、顔が降りてきて自然身を強張らせた。]
………
[生きたい。そんな当たり前の事を聞かれ、すぐ横に降りた顔を見る。
出された条件、自身の秘密の開示には悩ましげな顔をしたが。]
[足早に近づく伴侶を、声もなく見つめる。
声を掛けられ漸く、口に出来た一言>>34]
……怪我、は。
何処も、傷めていない――…?
[詫びる言葉にも、問い掛けにも答えることなく、
息一つ上がっていない夫に尋ねる]
(どのみち、もう知られてる事を
より深く知られるかどうかの違いしかないのか。)
[一部を暴露されようとも、全てを暴露されようとも同じ事。
先ずは今、ここを逃れる事が大切だと、悩んだ末に顎を薄く引いて頷いた。]
――…。
[神に仕えるものでなければ、彼にとって自分は意味のないものなのか。さすがにそれを口にする勇気まではない。
不安な心のまま、頼りを探すよう彼の服の裾を小さく握る。それが、唯一の拠り所であるかのよう。傍らにいれば、どんなことも怖くはないと全幅の信頼を寄せるように*]
[負担をかけたくない、というのは、本心。
自分のために誰かがどうにかなる、という事にはあまりいい思い出がないから]
……あ……はい。
わかり、ました。
[見えた笑みと、向けられた言葉。
それに、小さく返した後。
ほんの一瞬目を伏せたのは、果たして気づかれたかどうか]
……え?
[移動の直前に取られた手。
まだ探知の術は使う必要があるだろう、と思っていたから、傷はそのままでもいい、と。
そんな風に思って放置していた、のだが]
あ、でも、また血が必要になるかもしれませんし……!
[治癒魔法の気配を感じて、上がるのはやや、上擦った声だった。**]
[彼女に齎した危機を詫び、抱きしめたまま長躯を懐かせ。
濛々と融解していく亡骸は気にも留めず、額を摺り寄せた。
そして、彼女の唇から紡がれる声に覚える多幸。
不快感を唯一拭う愛妻の慰撫。>>40]
中りはしませんでしたか?
気分が悪ければ、いつでも告げてください。
格の違いも知れぬ下賎、さぞ不快でしたでしょう。
[言葉で、唇で、掌で愛でて慈しむ伴侶の体躯。
彼女の足元に侍らせていた闇を回収し、不在の時を知る。
つい、双眸撓んでしまうのは彼女の健気に魅せられたが故。]
[されど、彼女が自分自身よりも、己の身を優先させると、
日陰へと陽光が差し込む心地。>>41]
―――…私が斃れる時は、貴女を害されたとき。
私の身に受ける痛みも、心に刻まれる裂も、
全て貴女に起因しているのです。
イングリッド。
私に傷をつけられるのは、貴女だけ。
[伴侶の声は甘さを含めて、囁きと変わり。
緩やかに瞼を下ろして、彼女の体温に浸る。]
[返答より先に真っ直ぐ伸ばされる両腕>>34
抱き竦める強い腕が、張り詰めた気を解き、頽れそうな脱力を覚える]
良かっ、た――……
[呆然と呟く自身の声に、ひくりと肩を震わせる。
彼は無事に帰ってきたのだと、事実が胸に迫る]
――…ルー、ト…
[確かめるよう名を唇に乗せ、伴侶の胸に顔を埋める]
[彼女に押し付けるは、恋情と言う名の情熱。
魔物の告げた言葉に、大凡の間違いは無い。
元よりその様に生まれ、清廉さなど持ち得ない。
けれど、ただ一つ、致命的な間違いがあった。
緩慢に顔を起こし、菫色を覗き込むと瞬きで双眸を洗い。]
私が永い刻の全てを賭して、愛するのは貴女だけです。
努々、お忘れなく。
―――…もしも、侮られるなら…、
相応の躾を受けていただかねばなりませんが。
[最後に告げる言葉には、たっぷりとした思惑を混ぜ。
弓形に撓る唇が、柔らかく接吻を適える。
霧が無くとも、はぐれずとも、繋いだ手を永劫離さぬように。]
[精霊夫婦が密に睦みあうその頭上、
濃霧にも隠せぬ鱗粉撒いて、彷徨う鱗翅類が一頭。
ひらりひらりと、魔王の興を乗せて飛躍していた。>>1:679**]
― 回想 ―
…ん…っ…
[ただこちらの行為を受け入れるだけの彼女が、自ら考えて受け止める心地が、ただ舌を啄むだけであっても、情けないほど制御できぬ情動に息を漏らし、普段より冷徹で知られる軍人が、ただの男にかえり、女を求め僅かでも触れる場所を増やし呼吸や鼓動さえも求め抱きしめる]
さぞ……敵国の人間を籠絡し、虜囚の辱めを与えようとしてる私は、悪人に見えるだろうな。そうは思わないか?
そんな、悪人が、化け物が、罪深い。
[途切れがちに反論のように口にしても、受け入れながらでは反論の態をなさず、だから同意を求めるように言う自虐の言葉を吐く。
逸らそうとする言葉はただの詭弁でもあり、だが本音でもある]
[戦場を衝き兵を勇者へと変える声が、今は甘く自分の名前を呼び、唇の輪郭まで失うように蕩けるような口づけが夢心地のような浮遊感とともに確たる欲望としてその身を焦がす。より深く求めるように舌先を彼女の口腔を穢す]
私は、傷ついてほしいわけではない。悲しみにくれてほしくはない。絶望に目を閉じていてもらいたくない。
[唇と唇を結ぶ銀の橋が切れぬ間に囁く。]
グリヴ…
[彼女の本当の名を囁く]
これが、私からの断罪だ。…受け入れろ。
[死ぬよりよほど辛かろうと、己のエゴを押し付け、英雄と形作られた姿を穢し、ただの不幸な女性をその腕に抱きたいと。拒否は許さない執着を帯びた熱が瞳に籠り彼女の姿を焼き付けるように見つめた*]
……解らない。
ただよく解らないが、実はあまり帰りたいと思ってない。
お前のその言い様だと、
僕に忘れたい事があるせい、という事なのだろうけど。
[言いながら、膝を抱えるようにして座り、顎をのせる。]
……思い出さない方がいいのか?
[どちらがいいのか、判断するための記憶が無ければ判断も出来ず、問うのは自分でもどうかと思いつつもその背中に尋ねてみた。]
…ああでも、お前の事が気になるから、
そういう意味では思い出したくはある、か。
[とはとても真顔で言った。
単純に、敵と言いながらの男の行動と言動の不一致が不可解で気になるという意だったが。]
― それより更に昔の回想 ―
[いうことを聞いて暴れることをせず、ただ自分からの条件を思案している最中も、緊張した面持ちで、返答を待つ。
顎を引いて見せる姿にその条件を是と取る。
それにどこか、ほっとして、なぜ安堵したのか、また困惑が浮かぶ]
離すぞ。見張りをつれて去る。その後いくがいい。
[耳元で囁く。暴れるなとはいわない。暴れたらどうなるか、彼女が最もわかっていることだろうから。
掴んでいた手を離し、ゆっくりと起き上がって、月明かりに照らされる裸身に見惚れてしまった自分に戸惑いすぐに横を向く]
[そして見張りの元へと向かい]
待たせたな。では戻ろう。
「はっ!」
[一度だけシュテルンの姿を見るように首を傾けたが、それ以上は何もなく、先ほどまでのことなどなかったように振る舞い、狩の供とともに、去っていく
「シュテルン・ダルスバーレイ」が女性である。という話がどちらの陣営にも流れてはいないことを彼女が知るのは戻ってからのことになるだろう*]
[紡いだ言葉に承諾が返った。
魔界へ来てからしばらく経つが、その間にアデルの反応が大きく変わったように思う。
何が、と言われると表現に困る直感的なものだったが]
……アデル?
[返答があった直後、アデルの瞳に変化を見る。
話す間アデルの様子を窺っていたがために気付けた、極僅かな変化。
どうかしたかと問う色を声に乗せ、名を呼んだ]
[手の治療に慌てるのを見れば、治癒魔法をかけようとしていた手が止まる]
ぐぬ……。
[また行うとなれば確かに治癒しない方が良い、かもしれない。
治癒してしまえばまた手を切ることになる。
でもそのままにしておくと…などなどしばらくループに陥るかのように考え込んだ]
………分かった。
[悩んだ末、治療は思い止まる]
でも、これだけは。
[代わりに、と細長い布を取り出してアデルの左手に巻きつけた]
このままじゃ掴み難いだろ。
[圧迫しすぎないように、けれどしっかりと。
アデルの行動の阻害にならないよう気をつけながら巻いて、妥協案とした]
― →魔王城 ―
………
[でかい、と改めて思う。
元の世界でもこれほどの城は滅多にお目にかかれないかもしれない]
………行くか。
[一呼吸置いて、アデルと共に城門の中へ。
罠を警戒しながら先に進むが、反して何も起きることは無く。
宴の受け付けとされる場所で一旦止められた]
あぁ、宴に参加しに来た。
[受け付けからの確認に是を返す。
それならば、と説明されたのは、この宴は仮装しての参加であること。
受け付けで用意された衣装の中から1つ選んで着用するように、とのことだった]
…参加の条件がそれってなるなら、しゃーねぇか。
[諾の意を示し、用意された衣装を見る]
[見慣れない服だったが、着るには問題なさそうだと思う。
ただ]
(………3つ目はねーだろ)
[性別的に着せられると困ると言うか着たくない代物に呆れの表情になった。
結局、選ぶのは一番まともそうなディーラー服**]
/*
ところで秘話。
ものっそノープランでやりあってたらこうなったというな…(
処女性どうのとか最初の初心とかあれそれ考えていたのだけど全部吹っ飛んだハハハハハ
仕方ないな…シュテルンがだいぶツヴィンガーに転がってるから仕方ないな…
― 浮遊する群島 岩山 ―
そうでなければ狩りでもして暮らさなければならなくなるが、勘弁してもらいたいところだ。
[肩を竦む動作さえ、体力の温存のために控える。次の行動に映るまでの猶予時間。
視線>>47を感じながらもそちらを見ることなく水に口をつけてじゃぶじゃぶ音をたてて水を飲む軍馬のゼノに視線を向ける]
[問いに対してわからない。と答え、尋ねる言葉>>48に声を漏らさず唇が震える
闘技場で相対したとき偽物かと思えた。そうでなければ己に対する侮辱。敵と当たり前のように認識する苛立ち
だがそのどちらでもなかったのは幸運とも不幸ともいえた。]
そうだな…思い出せなくても幸せになれるなら…
[教えてやりたいことがあって、教えてやりたくないことがあった]
そのほうが…いいのかもしれないな。
[淡々と紡ぐのは得意だ。だから今回もまた得意な声で返答をする]
[帰る場所を教えてやりたいと思った。
境遇を思い出させたくないと思った。
血と鉄にまみれずにいてもらいたいと思った。
末路を思い出させたくないと思った。]
…ふふ、そうか。
[気になるという言葉>>49を受け、平坦な声が僅かに揺れる。]
そうだな、とはいえ、取り戻したところで、私にとってお前が敵になるかはわからないがな。
[先の闘技場での戦いを揶揄するようにいいながら、背にして見えぬ陰で浮かぶ表情は冷たい笑みではなかった**]
[思い出さないでいるほうが幸せならば、自分は傍にいないほうがいい。
自分の軍馬の名だって思い出したのだ。記憶が戻ることに大きな切欠を与えている自分こそが邪魔ものだ。
なのに離したくないと思えてしまうどうしようもないエゴ、自分のことは思い出してもらいたい。
彼女が自分のことを気にかかってることが嬉しくて、背にして見えぬ陰では自嘲的な笑みを浮かべていた**]
― 浮遊する群島 ―
[一方的に終息する狩りの時間。
またたくまに魔物の気配は薄れる。
それは、別の狂乱に続くものであるかもしれないけれど──
相手を知る必要がある、と判じた彼の言葉に頷き、その手を握り返した。
同じ道をゆく、と。]
[化鳥は招かれた場所を知っているようだった。
凶暴さの失せた飛翔は、手綱で指示するまでもなく、蝶の発生源──そびえたつ城へと向かう。**]
[名を呼ぶ声に、一つ瞬く。
刹那の仕種を見られていたとは思いも寄らず、答えを返すまでに僅かに間があいた]
あ……なんでも、ないですよ。
[とっさにこう返したのは、こんな言葉。
今までも、宛にしたり頼ったり、という事がなかったわけではないけれど。
色々あってから、自分の中でその意味合いが変わりつつある事に気づいて。
でも、それを受け入れる事は是とできないのだから、とそんな思いもあって。
そんな相反する状態が目を伏せさせた、とは、さすがに説明できず]
[傷をそのままにしておくのがよくはない、というのはさすがにわかっているが。
必要になった時にわざわざ切り直すのも、と思ってそのままにしておいたのだが]
……すみません。
[思案の果ての妥協案は、素直に受け入れて。
治療が終わると、丁寧に巻かれた布に軽く触れて、小さくそう、紡いだ]
ど。
どういう、趣味です、か……!
[さすがにこれはどうなんだ、と。
先んじたのは、突っ込み。
三種見比べ、結局選ぶのは、一番身動き取れそうな燕尾服になるわけだが。**]
…………。
ドレスとか、並べられなくて、よかった。
[突っ込みながらも小声で零れるのは、本音。
女性としての装いなんて、果たして何年していないやら、というレベルだけに。
ここで出されたら多分、相当に動揺したのは間違いないが。**]
/*
いやそれにしても、俺の心情変化は態度に出すぎて隠す必要無くなってるな(
その辺めんどくさくない単純な子だからなぁ…w
だが自覚に関しては鈍い子なので気付くのは突発的な何かがあったら、です(
[いつも通りだった]
食べられるなら、そのうちには死ねるだろうけど…
捕まったら生かされたままつらいことをさせられそうというか…
死んだ方がマシっていうやつ。
[狼の言葉に首を捻りながらこたえる。
具体的にはわからないがとにかく悪い予感だけはした。]
[自分の体が重くないとこたえる狼の様子は少しぶすりとした様子にも見え、狼にも見栄というものはあるのだろうかと思った。]
……
[あえて無言で通す。]
[降ろされ狼の身体から離れると、無意識にやや距離を取ろうかと身体は動く。
けれどそれも耳元で狼が本棚に手をつく音を聞けば身体は固まったように動かず、まだ人型をとったままの青年に視界が覆われると息をのんだ。
自分の全身が薄く纏う血の香りが狼を高揚させている事には気付かない。]
……っ
[彼の唇が寄せられる。
首を噛まれるのかと目を瞑ったが、思いもよらなかった頬の傷への生々しい舌の感触に身体が震えた。]
………、
[狼は甘い、と言葉を落とし舌を這わせ続ける。
耳の近くで発せられる音と頬に与えられる刺激とじわりとした痛みに顔をそむけようとしただろう。
顎にかけられた手が項へと伸び、髪を握る。
顔をそむけば動かせないように力を入れられただろうか。]
……ん、
[肩から腕、指まで、狼は執拗だった。
傷が熱を持ち始め、舐められた場所から身体は熱くなった。]
こんなの、は…
[野生の獣のように致命的な傷を負わされすぐに肉を割かれ、喰われる事しか考えていなかったが、狼のその行為は彼が多くの傷を負ってまで追いかけてきた執着を感じさせるようでもあり、]
――…
[不安げに沈黙する様子は、寄る辺のない迷い子そのもので。金貨の服を握るのを見れば、心細さ故のものだろうかと思い立つ。
不安が和らぐかどうかはわからないが、服の裾よりはいいだろうと……昔、姉がしてくれたように、包み込むように抱き寄せて、あやすように頭を撫でてやる。
それにしても彼の言う、幻滅されるような事、相応しくないというような事とは、どのようなものなのだろうと――…]
幻滅される、とは……誰かを殺めでもしたのですか?
それとも、盗みでも働いたのですか?
[口に出して聞いてみた。
金貨を信仰する者達の中にはそういった者も存在する、むしろ純粋な神職にあたる者がいない。
生命を含んだ他者の財を不当に侵した時点で、加護を打ち切ることにしているのだが、それでも金貨に祈る罪人は後を絶たない。]
[他者の財を不当に侵す事さえしなければ、路地裏の花売りにだって加護を与える。
金払いのいい客が現れただの、落ちてる銀貨を一枚見つけただの、真っ当な働き口が見つかっただのという、加護を受けた側からしたら、金貨のおかげか持ち前の幸運なのかの判断がつかないようなものなのだが。
金貨は、金貨らは“満たされたいという欲求を否定しない”のだ。
それは、人の為に作られた神故の特性といえるかもしれない。
ともあれ、腕の中の迷い子が落ち着くまでは、髪を梳くように撫で続けることだろう**]
いっ、……、
[目の前で白い皮膚に彼の牙がかかり、それまでよりもはっきりとした熱を女は感じた。
ぷくりと赤い美のように、血の玉が幾つも膨らんだ。]
背中…?
[耳元の掠れた声に熱を感じる。
わからない、と思うが肩をおされ壁を向けば背後から伝わってくる感覚に傷があるらしい事を知る。
服が割かれる気配がし、肌が乾燥した空気に晒された。]
ぁ…
[背にあてがわれた唇に小さく仰け反る。
今迄与えられた事の無い感覚に、戸惑うように息をついた。**]
― 魔王城・湯殿 ―
[狩りの後、魔王は汗を流すと言って湯殿へ向かう。
贅を尽くした調度類で飾られた、広々とした部屋と、
巨大な岩を刳り貫いて作られた湯船は、
魔王ただひとりの為にのみ用意された空間だった。
寛いで座る魔王の身体を、幾人もの召使いたちが洗う。
それを関心の外に置いて、魔王は浴槽を見ていた。
巨石の湯船に満たされているのは、今は湯ではない。
うねりのたくる粘性生物が浴槽のふちまで満ちていて、
獲物を呑みこみ、絡みつき、内側から溢れ出している。]
[望んだのは、黒髪の青年だった。
宴の会場設営を監督した後、戻ってきて言ったのだ。
触手スライムのプールに入ってみたいと。]
おまえは、あの程度では満足するまい。
[魔王の言葉により、用意されたのは強力な消化液を吐くスライムだった。
獲物を包み込んで動きを封じ、内部に擬足を伸ばして侵入し、
柔らかな場所から溶かして吸収する。
そんなスライムの浴槽に落とされ、包み込まれ、まさに溶かされようとしていながら、青年が浮かべるのは恍惚の表情だった。]
[青年が陶然としてのたうつさまを眺めていた魔王は、しばらくして立ち上がり湯船に踏み込んだ。
溢れ流れ出したスライムに不幸な召使いが絡め取られるが、誰も助けに入ろうとはしない。
一方で、スライムは魔王に触れることさえかなわず、毛に張り付いた先から蒸発していく。
全てを気にせず浴槽の中央まで進んだ魔王は、青年をスライムの中から引き揚げて、中のスライムも引きずり出す。
スライムと一緒に、赤黒い液体がぼとぼとと零れ落ちた。]
具合を見てみるとしよう。
[宣言して青年を前脚で押さえつけ、獅子の体を震わせる。
毛皮の内側より現れたのは、黒々とそそり立つペニスだった。
鋭い逆棘をびっしりと備えたそれを、青年の足の間に打ち付ける。
短く鋭い絶叫が響き、青年の口からも生ぬるい液体が零れた。]
[棘を備えた肉棒は容赦なく青年の内側をかき回す。
濡れた音がするのは、内側が既に溶けているからだろう。
ぐったりと力を失った青年に幾度も欲を叩きつけ、精を吐き出したのち、魔王は青年の身体を放す。
小刻みに痙攣する青年に掌を向ければ、見る間に傷が癒えていった。]
『ありがとうございます、魔王様。
私は幸せものです。』
[動かせるようになった身体を引きずって、青年は魔王の前脚に身を投げかける。
その頭を肉球で撫でてやったあと、腕に抱えて立ち上がった。]
おまえも宴に行く支度をせよ。
身を清めてまいれ。
[そう言いながら、別の浴室へと運んでやるのだった。]**
/*
今日の魔王様日記をちまちまと。
あっ。自分のPCがあれされても嬉しくはないんですよ?
(と、どこかへ向かって釈明)
オスカー君は、あの子、超絶ド変態ですから。
/*
もし、あのレベルのグロがダメだという方は、赤はそっと非表示にしていただけると…(-_-;)
自分も実は普段はそういうスタンスなんですが、書くとなると平気ですね。不思議なものです。
いくらでも回復するというのと、彼らが非常に楽しそうだからかもしれません。
[飛翔する鳥に乗る旅は、実に快適だった。
惜しむらくは、どこへ行こうと薄い瘴気が漂っていること。
自分の周囲だけはごく自然に浄化されるのだが、青い空は望めそうになかった。
浮遊する群島の間を抜ける旅は、やがて水蒸気が吹き上がる大地を見下ろすようになり、さらには黒い太陽に照らされながら平原を飛ぶことになる。
そのどれもが瞬く間で、鳥の翼の強さが知れた。
やがて巨鳥は壮麗な城の前庭に降り立ち、身をかがめる。
乗り手に、目的地はここだと告げるかのよう。]
……行きましょう。
[兄弟と手を取り合い、城の扉をくぐった。]
[宴に参加しに来たといえば、スムーズに中へ通される。
だが、受付で一度止められた。
着替えるよう要請されて、自分の今の恰好を改めて意識する。
相棒に羽織らせてもらったローブの下は、なにも身に着けていない。
これでは確かに相手が誰であろうと失礼に当たるだろう。
おとなしく要請に従い、服を借りることにする。
出されたのは、 バーテン服 と 十二単 、そして レーダーホーゼン だった。]
/*
バーテン服…!!(羨ましい
そして十二単再び。
ディーラー服を調べるターン、をしていたのだが、何故か女性物が多く出て来て参考にならん。
頭の中のイメージので良いか…ベストとスラックス、蝶ネクタイぐらいだけども。
あ、ワイシャツをワインレッドにしよう←
…この中から、ですか?
[困惑して眺め、少し思案する。
最初のものはなにかスタッフに間違えられそうだし、二番目のものはやたら布地が多い。1人の人間が本当にこれを全部着るのかと聞きたくなるほどに多い。
結局三番目のものを手に取ると、おまけだと言って小物類も一緒に貸し出された。]
[鹿皮製の肩ひも付き半ズボンに半袖の白いシャツ、
白い長靴下を履いて、頭にフェルト帽を載せる。
貸し出されたのは
かくして、着慣れない姿に違和感を覚えながらも、兄弟はどうしているだろうかと振り返った。]
/*
試し振りすると後悔することが多いんだけど、
もしわたしがクロゥの分も振っていたらどうなったかな。
えい。
チャイナ 、 レーダーホーゼン 、 靴下だけ
/*
ひょっとして、お揃いの可能性!!!
振っておけばよかった。
靴下だけを強力におすすめできたのに……
(やっぱり後悔した)
[返事に間が空くのにも訝しげにしていたが]
そうか?
[何でもないと言われてしまうとそれ以上問いは出ない。
酷く調子が悪いと言うわけでもなさそうだしと、その時の疑問はそれきりに]
[あまり負担をかけたくないと思っても、これでは負担をかけているのと同じだと感じた。
元の世界へと戻るための切欠になりそうなものは、実際はレトの手の中にある。
それを明かさず、アデルに探査を行わせていることが徐々に心苦しくなってきていた。
アデルのことを考えるならば、手段を明かした方が良いのではと自問するも、踏み切るまでには至れて居ない]
(……これを渡せば、出所の説明もしなきゃなんねぇし)
[それは自分がアデルと行動する本当の意味を明かすのと同義。
明かしてしまったら、アデルはどんな反応をするだろう。
それを思うと手の中に握り込んだものを開けなくなっていた]
(……ドレス姿見たかったかも)
[耳に届いた声にそんなことを思う。
スタイルも良さそうだし髪を下ろせば絶対似合うとしばし妄想]
(…でもここで変に目立って目ぇつけられてもだしな…。
探査するなら動きやすい方が良いし。
でも残念だ…)
[アデルが男装していた理由も含めて、今回は燕尾服が妥当だと判断。
そう判断しても、ドレス姿が見れなかったことをやはり悔いた]
[宴の場となる大広間へと続く廊下の途中に更衣室が用意され、そこで渡された衣装へと着替える。
光沢のある黒いスラックスと黒いベスト、足元も黒の革靴で色が揃えられ、ベストの下のワイシャツは深いワインレッドに染められていた。
全体的に暗めの色合いの中、首元に付けられた小ぶりの蝶ネクタイだけが真白く輝いている]
……良いんだよな、これで。
[着慣れない服であるために着方にやや不安を覚える。
しかし衣装は均整に鍛えられた身体に違和感無く馴染んでいた。
動きやすさも問題は無い]
大広間っつってたな。
確かこっちだ。
[一度城内を歩き回ったのもあって、ある程度の配置は頭に入っている。
燕尾服に着替えたアデルを案内するようにしながら、様々な気配漂う大広間へと足を踏み入れた*]
[死んだ方がマシというのは良く解らないが]
重くない
[大事な事なので二度言った。
何故無言を通されたのかも良く解っていなかった。]
[その後、獲物を腕に捕える間]
なんだ
[か細く零れた言葉を耳敏く聞き返す。
野生の獣のように、]
『こんなの』はなんだ
[これまで狩った人間が上げる声に意味を返そうと
思った事はなかったが、
魔界の空気か、稀有な贄の味か、そうさせるのは]
[ちゅ、と音をたてて傷を啜る、
震える背中がほんの少し逃げる
自重を腕で支え替えて、本の一冊に触れたのは
丁度その時だった]
― 回想 ―
……ん…
[ささやかな触れあいの最中に零れる互いの息は熱い。
熱に浮かされたように強く抱きしめて重なりながら、お互いが強く相手を求めているのを身体で感じていた。
シュテルンではなくグリヴを求めてくれている。
それが嬉しくて、今はただの女として目の前の男の衝動に身をゆだねる。]
わたしを庇って何度も見逃して、
国の利を絶ったツヴィンが悪人なら、
そうさせたわたしは、文字通りの魔女だな。
[秘密が露呈すれば互いに裁かれる立場の二人。
こうして口づけを交わすだけでもそれは罪に他ならず。]
罪深いのはこちらも同じだ。
わたしは…ツヴィンに、もう剣を向けられない。
アムドゥスキアの敵として、戦場で迎え立つのも胸が痛む。
…リリーパの人間なのに。
英雄が、敵国の男の為に堕ちたと謳われれば、
わたしは誰にも顔向けできない。
国にも民にも、死んだ仲間にも…。
[裏切り者と罵られる事をしている自覚は十分にあった。
罪に罪を重ねた愚かさに、恐ろしさを感じもするが。]
…それでも、ツヴィンに籠絡されて、
好きになってくれて…
うれしい。
[他の何もかもを切り捨てて見ないふりをすれば、胸の中に残るものは、想い想われるという幸せな感情ひとつだけ。]
[ぬらと入って来たものに驚いて目をひらくが、またゆっくりと目を閉じなおした。
暗闇で鋭敏になった神経が、口の中で蠢くものの感覚を仔細に伝えてくる。
音が出るほど貪られ、同じ熱を分け与えられれば、互いの境界が溶けたようにも感じられ、ふわふわ浮いているのではないかと思った。
これが穢されるという事ならいくらでも続いて欲しいと、一秒でも長くその時間が続くように自らも舌を動かし蠢く舌と絡めあう。
唇を離し、ひとときかぎりの橋が消える前に、頬を寄せ額を合わせ顔を近づけて。
生きて欲しいとの願いには、ぎゅ、と背に回した手に力がこもった。]
…約束する
わたしは生きる。
[呟いて、唇でなぞるように傷口に触れて。]
たとえこれからどんな事が起きようとも、
罪も罰も背負って、飲んで
悪魔に魂を売ってでも…
[それは死んだ仲間たちとの約束でもあるし、とも呟きながら。]
……生き抜いてみせる。
[本当は一緒に行きたい、とは口にせずに。
ただその願いだけは、約束に変えて必ず守ると、薄色の瞳を見つめて誓った。]
[断罪を受け入れろと、強く出た男にふと笑う。]
断罪すればいいと言った。
[落とした言葉は違えないと、見つめる瞳に笑みを向け。]
ツヴィンが言う通り、わたしはきっと裁かれたいんだ。
だから、
…わたしを好きにして。
[シュテルンではなくグリヴを。
英雄ではなくただの女を、男がどうしようともそこに罪は無く。
英雄を断じるのならば、穢される事に意味がある。
何より自分が望んでいる。
見つめる浅葱の目には、熱に熱をもって返す男の姿だけが映っていた。]
/*
なが………w
そして剣を向けられないとかどの口がになってるけどまぁ回想だしn(
ところでリリーパとかアムドゥスキアとか、出てくると個人的に字面に笑ってしまうんだけどえすけーさん何でその名前にした…wwwww
― 魔王城・大広間 ―
[足を踏み入れたその場所は既に賑わっており、明らかに魔物と分かるものから一見人間のような姿をしたものまで、様々な種が集まっているようだった]
すっげ…。
[その数も圧巻だが、動く者達の間に置かれた料理の数々も見事なもの。
何を使っているかの不安はあるが、腹が反応するくらいには美味しそうに見えた]
そーいや碌に飯食ってねーな。
ついでに腹ごしらえしてくか?
[食欲はあるかとアデルに問う。
返答が何であれ、レトは問題なさそうな料理に手を伸ばすつもりだ]
[その宴が貴族的な上品な宴ではないのは直ぐ知れた。
所詮は魔物の宴、本能に忠実と言える行動が多々見受けられる。
人が鎖に繋がれていたりとあまり気分の良くないものもあり、レトはきつく眉を寄せた]
…アデル、きつくねーか?
[研究施設でのことを思い出し、アデルへと状態を訊ねる。
大広間は魔物の数も多い、相性が悪い可能性は大いにあった]
/*
(芝の海は省略されました
美味しいと思ってたのが一発目に来るなど!!wwwww
考えてるのやるといきなり気まずくなるんですが!ww
[緊張を抱いた腕から感じ取り、
不安に張り詰めていたのだろう様子に朗笑を湛えた。
夫の帰りを慎ましく待っていた妻に、無事を心身で伝え。>>45]
おや、随分と心配させてしまいましたね。
しかし、曲がりなりにも座に見合うだけの力はありますよ。
―――意外ですか?
[光精は徳の高さを重んじると聞くが、己の属質は力量を問う。
魔族に飲まれる程度の闇ではならぬと、相応の矜持も持つ。
だが、想像以上に怯えさせてしまった愛妻に、言葉を選んで数秒。
そうして、閃いたのは、明瞭な一声。
ぽすりと胸板に顔を伏せる彼女の背で、掌をゆるく弾ませ。]
―――…ただいま戻りました、イングリッド。
[常と変わらぬ微笑を、惜しむことなく向けて見せた。]
[長躯を屈め、暫しの別離を埋めるように、夫はそっと額を擦り寄せる。首なし騎士の邪気の影響を案じ、労わる声>>43
幾度もゆるゆると頭を振り、喉を詰まらせる]
いえ。…いいえ、そんなことはどうだっていいの。
私にとっては、どうでも。
[魔物の毒心も讒言も、彼の危機を前にすれば、意味一つ持たない。小さく喘ぎ、潰れた肺に空気を押し込め]
私は、ただ。貴方が、
貴方が……、――…か、った。
[彼を知るまで、眩い陽光に育まれ、懼れも不安も宿す事はなかった。異形の邪執より、無間の漆黒よりもなお、怯懦を抱かせるのは。
自身を力尽くで造り替えてしまう唯一の――]
―――……怖かったの、ルート。
[無事でいてくれて良かった、と弱く付け足し唇を噛む]
[彼女の身より、するりするりと払うよう撫で梳く指先。
愛妻の体温と存在を確かめる一時。]
………この地にも
貴女を過剰に怯えさせぬ内に、連れ帰ると約束します。
[足元から地に馴染んだ闇影が、確かに座標情報を吸い上げ、
自身の力の欠片を穿つように置いて行く。
妻を慰めつつも、次の目的地を選定するよう視線を起こせば、
虚空をチラチラと閃く蝶の影が近い。
敵意の無い様子を知れば、そっと手を伸ばして、指先に鱗翅を招く。
羽を休めるよう、指先に止まった夜陰の翅には、
――――酔狂な招待が綴られていた。*]
/*
昨夜、盛大に振ったマッチポンプを回収してくれそうな気配を感じる。
後でも使えるように回したけど、
やっぱり、拾ってもらえると嬉しいですからね!
[ちなみに。
このどさくさに紛れて、『こんなの』の問いは誤魔化そうとしていた。]
― それより更に昔の回想 ―
……。
[食い縛る唇の隙間から零れる音以外、こちらは口を開かない。
少しだけの意志表示を示すばかりの、ほとんど一方的な会話は終わり、間近で囁かれた合図とともに手の枷は外れて、今ひとたびの自由を得た。
忠告するまでもなく、一度囚われた鶫は囀りもせず静かだった。
立ち上がれば影は薄れて、男の顔が見える。
戸惑いや安堵が見られるその顔は複雑に彩られて、心中を隠していた。
やがて男が離れていっても、暫くは指一本と動かさずに、その場に息を潜める。
ほど近くで部下と思われる者の声が聞こえ、足音が遠ざかり、再び周囲がけさに包まれた頃、細く長く息を吐いた。]
[心臓が今更のように早鐘を打ち鳴らし、青ざめていた体にどっと汗が流れる。
忘れていた呼吸を取り戻すように、今度は浅い息をなんども吐いた。]
はっ… はっ……
[色白い胸が上下に動いて忙しく働き、やがて全身に空気が行きわたるとくったりと力を抜く。
また暫くそうしてから、ゆっくりと体を起こした。]
…………。
[額に手を当て、改めて己の迂闊さを呪い、そして敵国の男の事を思う。
斬りかかった時は気づかなかったが、自分が隻眼にした男を忘れるはずもなく。]
ツヴィンガー・リヒト…
[クッと息を吐き捨てる。
男の行動の意味は今もよく解っていない。
油断させておいて、後から秘密を暴露する、という可能性もあるが、それよりはあのまま捕え、自国へ連れ帰った方が早い。アムドゥスキアにとって脅威のひとつである英雄を、泳がせておく必要は無い。]
何を考えているんだ。
[だがいくら考えても解らない事に、いつまでも思考を割く事は出来ず。
ゆると立ち上がり、弾き飛ばされて剣を拾うと、脱ぎ置いた服のある場所へとのろのろ歩いて衣服を身に着ける。
その間、改めて自分の恰好を見下ろして、羞恥に一人で頬を染め、今更あの男への怨嗟が沸いたが色々遅かった。
その後何事もなかったように自陣営へと戻り、いつも通りに振る舞いながらも暫くは、秘密の露呈を恐れて夜も眠れぬ日々が続いたが、10日が過ぎ一月が過ぎようとも、秘密が暴かれる様子は見られなかった。
胸の内には疑問が積もる。
そして男の顔と、交わした約束が、いつまでも頭から離れずにいた*]
/*
イベント進めちゃって良いかな、良いかな、とそわそわ。
そろそろ来る頃だとは思うんだが。
そしてこの発言で消費する前の独り言が7ゾロだった。
意図せずゾロ多いな今回。
[呟きが齎したあれこれなどは当然知る由もなく。
なくて良かった、と安堵する反面、少しだけ、残念、と思う気持ちも確かにあった]
(……里じゃ、煌びやかな装いとは無縁ですから、ねぇ)
[祭祀司る一族は、その営みも質素なもの。
普段が普段だけに、華やかな装いには憧憬めいたものも確かにあるが]
(ここに来た目的を思えば、ですからね)
[今はそう思う事で強引に抑え込んでいた]
― 魔王城・大広間 ―
[多数並ぶ料理の中から食べても問題なさそうな物を選ぶのには苦労した。
材料が何かなど分からないものも多いため、最終的にはあまり気にしないことに。
骨付き肉を煮込んだものを皿に取ると、今度は飲み物を探す]
こういう時はやっぱ酒…。
[何だかんだで宴を満喫してる感満載だ]
[その身に、心に、傷を与えうるのは自分だけだと囁く声>>44
甘やかな響きに、微かに身を強張らせる。
隙間なく寄り添う身体、体温の低い夫へと、じわりと熱が伝播していく。
睦言めいた言葉と愛撫を重ねられる度、視線は揺らぎ、顔を俯かせ]
……ほんとに貴方が、魔物に圧されると思った訳ではないの。
[安心させるかのように、力量への信を問う言葉にだけ小さく応じた。
背をあやしてくれる掌、帰還を告げる温かな挨拶>>72
びく、と視線を跳ね上げた先、変わらず自分に向けられる微笑]
―――……、
[幾度となく彼を迎え、応えた言葉が、喉に絡む]
[飲み物を探していると、人型の魔物に声をかけられる]
カクテル?
なんだそれ。
[酒は如何と勧められたのは、文字通り7色が入り交じる何とも怪しげなもの。
酒と言えばエール、ワインの類がほとんどのレトにとって、パステル7色のカクテルは狂科学者が作った得体の知れぬ薬品に見えた]
― 魔王城・大広間 ―
[たどり着いた先にあったのは、賑やかな空間。
様々な種の入り乱れる空間の喧騒に、これだけは、と手放さずにいた魔導書をぎゅ、と抱きかかえた]
……これだけ色々と集まっていると、見事というかなんというか……。
[そんな呟きを漏らした所に投げかけられた問いかけ>>69に、ひとつ、瞬く]
そういえば……だいぶ長く、まともな食事はしていませんでしたね。
……食べられそうなものがあるなら、そちら優先した方がいいかもしれません。
[割と食事を抜くというか忘れる事も多いのだが。
意識すれば空腹も感じるから、反対する理由はなかった]
…………………
いやぁ〜、それは、ちょっと。
[丁重に断ろうと愛想笑いをしながら離れようとしたが、がしりと腕を捕まれ。
遠慮せずに、やら、そこらじゃ飲めない代物だよ、やら言われ、カクテルがどんどん迫ってくる]
……ん。
ちょっと、息苦しいけど、大丈夫です。
さっきみたいに、怨嗟が延々聞こえる、というわけでもありませんから。
[相性がいい、とは言い難いが、すぐに倒れるほどのものでもない。
長居は辛いかも知れないが、大丈夫だと小さく返した]
だから、んな怪しい酒要らね……んぐっ!
[流石にはっきり断ろうと口を開いた瞬間、魔物は7色カクテルをレトの口へと放り込んだ。
喉奥まで流されたそれを反射的に飲み込んでしまう]
げほっ!!
[味わうなんて余裕は無く、咽ているうちに魔物は大笑いしながら立ち去っていった。
既に酔っ払っていたらしい]
〜〜〜あんにゃろ!!
[ようやく息苦しさが収まった頃、魔物が立ち去った方を睨んで悪態をつく。
あまりに腹立たしくて、皿に盛った骨付き肉に齧り付いて怒りを発散させた]
[それからしばらくは小腹を満たすためにテーブルを往復していたのだが]
…………、れ?
[徐々に頭がぼんやりとしてきて右手を額に当て俯く]
えっ。え、いえ…それは、ないです、が。
[予想外の返答を返され、慌てて否定する。己の神様観と彼の神としての役割に大きく隔たりがあるのだが、気付かない]
――…。
[抱き寄せられ、髪を撫でられる。暖かい感覚。]
あなたは、神なのに。とても、あたたかくて…人のよう、なんですね。
[相手が神であれば許されないかもしれない。けれどなんだか彼には許される気がして、そのまま身を寄せる。
ふと、思いついて聞いてみた]
そういえば…あなたは、何を司る神なんでしょう。
[彼の兄神や姉神は、矛や杯、王冠だという。ならば、彼はなんなのかと。今まで、神は神であるだけで尊いものであると思っていた。けれど人のように温かくて表情をみせてくれる、この神は。知りたいと、思った]
普通のじゃない… 確かに、不思議な光ではあるけど…
ええと……
[名前を呼ぼうとして、名前を知らない事を失念していた事には気付き。]
あなた、名前はあるの?
− 魔王城 −
[瘴気のたなびく魔界の空を征く。
浄めの力を持つ彼が側にいなければ、目眩を起こしていたかもしれない。
幼い時分にはよく寝込んだものだ。
けれど今は、彼を護り守られる身。
華奢な背を後ろから抱いて、いくつかのエリアをつつがなく通過してゆく。
そして、化鳥は魔王の城の前庭に降り立った。]
[身を屈めた化鳥の背から滑り降りると、手を伸ばして彼が着地するのを手伝う。]
痛むところはないか?
[タンデムの空の旅も特異な思い出のひとつに加わったろう──彼の顔に疲れは見受けられなかった。
自分もだ、と伝えるべく微笑む。]
/*
さて、効果どうしよう(・ω・)
当初の予定通りでも良いかなー。
性別転換、性格転換、忘却、憑依、媚薬、けも化
思いつく分書いたけど、半分くらいはやること同じだった(
忘却はアデルやってるからあんまり美味しくない、性別転換はこの組み合わせでは微妙w
一番大人しいのはけも化。
…けも+憑依で当初の予定も合成、これか!(何が
役にたってくれたな。
[化鳥の爪に絡んだまま動きを束縛していた布を取り除き、あわせて轡と鞍も外してやる。
黄色い目をした化鳥は、しばし思案のそぶりを見せた後、翼を広げて空へ帰って行った。]
[彼に促され、ふたりの関係を無言のうちに知らしめるよう連れ立って城の中へと進む。
無下に追い払われることはなかったが、受付で着衣に文句を言われた。
別段、あからさまに聖職者であるのが悪いわけではないらしいが…
サイズがあいそうなのはこのあたり──と示された衣装はといえば、 学ラン に チャードル に 狩衣 といったラインナップ。]
[安息を得たと言うのに、己の無事を確かめる声が震えてゆく。
彼女に全てを隠し、深く、昏い性を見せてこなかった事実。>>73
彼女の善良な心に、恐怖を植える闇の種。
囁くように零れる声を、音の無い笑みで待ち、
指先で休む蝶が翅を開いては閉じて、時を読む。]
―――…、
[狂気に染まる研究施設に在っても、屈強な魔物と対峙しても、
折れることの無かった彼女が告げる吐露。
恐ろしいのは悪意でなく、怨嗟でなく――、唯一の伴侶だと云う。]
[彼女の背に回していた五指がゆっくりと立ち、
逃がさぬように無意識に拘束を強めた。
薄らの微笑はそのままに、別離を許さぬ所作。*]
―――では、一体、何に恐怖を覚えて?
そう言えば、結局先ほどの問いもはぐらかしましたね。
[沼地へと歩を進めた折に感じ取った違和。>>79
彼女の背後で背中を緩やかに撫で回して、外套に波を浮かべ。
何やらを言い淀む彼女を促すように、裏から肺腑をノックした。*]
― 魔王城・大広間 ―
[大広間に来るまでにも、軽い探知の術は紡いでいたのだが手応えはなく。
広間についてからは、混濁した気配に一端それを諦めた]
……食べるだけ食べたら、場所を変えた方がいいですね。
とりあえず、今は、と。
[そんな事を呟きつつ、見た目安全そうな魚料理と、色とりどりのケーキ類の中から比較的大丈夫そうなものを選び取る。
基本的に好き嫌いはない方だが、色々と選べる状況だと、甘味が主体となるのはわりといつもの事だった]
/*
学ラン!!(ガタァ
狩衣もいい!!
チャードルはええとあなたのこの布をめくるのはわたしだけ、とか言って遊べばいいですか?
[さて、どうしよう、と思案顔で傍らの彼を見やる。
彼はといえば、サスペンダーで吊られた半ズボンに着替えていた。
膝を見せるなど、宗派的には扇情的すぎると判ぜられるところもあるのだが──
でも、似合います。]
[伴侶を庇い、魔を捩じ伏せ、無事に隣に帰り着いた夫を迎え入れる言葉は、喉に引っ掛かったまま。
二人の家へ無事連れ帰ると、差し出された約束>>74
視線を落とし、彼から伝う影が、力の片鱗を地に標す様を眺めやる。
耳に繰り返すは、柔い感触で吹き込まれた、何処か誓約めいた言葉]
ルート、私は――…
……それならきっと、貴方を、傷付けるわ。
[すっと顔を上げれば対峙する眼差し、逸らすのを堪え、か細く告げる。
夫の指先に誘われた黒蝶にも、碌に気を払う余裕はなく。
衰えながらも息を保っていた水精の気配が、何時の間にか――
掻き消えたことにも、気づかぬまま]
なんでって…
狼はお互いを名前をつけて呼んでるのかも私は知らないし、それに…
[やや気まずそうに続けた。]
群れから、離れているんでしょう…?
[闘技場のやりとりからはそのような雰囲気を感じて。]
そっか。
ま、探査のこともあるし、頃合見て大広間から出ようぜ。
[研究施設に居た時ほどではないと知り、安堵の息が零れ出る。
悪化の防止と当初の目的を兼ね、腹ごしらえの後に大広間を出ることを画策した]
/*
レーダーホーゼン ぐぐりましたよ。
レーダーホーゼン(独: Lederhose)とはドイツ南部バイエルン州からオーストリアのチロル地方にかけての地域で男性に着用される肩紐付きの皮製の半ズボン(ハーフパンツ)のこと。 (うぃき先生)
ズボンだけ?! www
― 魔王の城・受付 ―
[振り返れば視線が合って、なにかこう熱心に眺められているような感じがして照れくさく視線を外す。
自然、彼の前に並べられた衣装に目が行った。]
…ああ。それなど良さそうですね。
[指さしたのは袖が大きくて布地も多いエキゾチックな
仮装、だそうですから、普段と違う雰囲気のものがいいでしょう。
きっと、似合います。
[直感だ。それと、ちょっとの期待と。]
そうですね……探査自体も、一筋縄ではいかなそうですし。
[安堵の息に、こう返して。
なにはなくとも、と食事を優先する。
甘いものを食べている間は、色々な意味で幸せに浸れるため、その間は息苦しさは忘れていたのは、余談]
[途中で途切れた呼びかけ。
危ない、と言おうとしたはずなのに。
何故か、違う言葉が出そうになって、続きは飲み込んだ。
『不安だから』なんて、余りにもらしくない、と。
そう、思ったら、言葉はそこで途切れてしまって]
/*
青ペアなんか可愛いなぁ。
そして、嫁にわくわく半分、ハラハラ半分。
―――…貴女の意思で私を裂くなら、全て捧げましょう。
けれど、イングリッド。
[彼女の中に溜まる思案は、徐々に形となって、暗雲を齎す。
思い詰めて、眸を揺らす菫色に自身を逆しまに映して一拍。]
そのような憂顔で、嘯くのは止めた方が良い。
……貴女の心を曇らせるも、また悦とは言え、
妻の気懸かりを知りたいと思うのも、本音。
[彼女との時を慈しみ、全てを刈り捨てた身。>>100
済んだ事には、風に嬲られる雑草ほどの価値も見出せず。
そっと指先が彼女の頬に伸び、稜線を辿って顎先を掬いあげた。
繋げる銀と菫の淡い色合いに、濃厚な互いの思惑が絡んでいく。]
− 魔王城 −
[着慣れぬ短衣に初々しく頬に朱を刷いた彼が、並べられた仮装衣装の中から選び取ったのは狩衣だった。
彼の手を借りてざっくりと羽織る。
オーガンジーに似た布に下の布地の色が透けて、見た目にも涼やかな衣装であった。
翻る袖は儀式を執り行うものにふさわしそうである。
案外と邪魔にはならなかった。
必携の小道具として、紙製の扇を渡される。]
では、行こう。
我々が知るべきものを見に──
[扇を掌に打ち付けると、バシリと小気味よい音がした。]
―魔王城・受付―
[リエヴルを引っ張りながら、
なにやら騒々しい方面に向かって歩く。
城の中央にあるのだろう大広間、
ざわつく入り口に、どうしよう、と片割れを見やったが]
……とりあえず行ってみる?
[仮面の魔族に呼び止められるのは、リエヴルの方だろう。
ウェディングドレスはどう見ても、そのまんま仮装である。
むしろ参加者として馴染んでいたかもしれないが]
あっ、俺、俺も仮装したい……!
その辺の衣装いいから!
[場には馴染むかもしれないが目印となりすぎる、
身を乗り出した花嫁に、あんたもう仮装してるでしょ?と言いたげな目線はあったが、とりあえず適当に掴んだ衣装は レオタード 、 ウェイトレス服 、 ディーラー服 といったものだった]
[帰る場所は死出の道。
背負った境遇は重く、託された物もまた重い。
血塗られた生涯を、血塗られたまま終えようとする寸前に、英雄は姿を消して、今ここに居る。]
[記憶が無い事でぼんやりとしていた意識や意志は、男と話す事で明瞭になりつつあった。
神経に意識が行きわたれば、思い出す物も増えてゆく。
何かを拒絶するように背を向けた男が何を考えているかは、やはり知らないままだったが。
何かに耐えるようにも見えたその背と、もやもやとした胸中に、自然と眉根は寄っていた。]
/*
ウェイトレスwww
多分ディーラー服選びそうだけど、せっかくそのままで可愛いのにね、ウェディングドレス。似合ってそうだし。
ねえ、リエちゃん、どれが似合うかなー?
[ウェディングドレス以外ならなんでもいいのだが、
女体であったことにある種感謝を抱く組み合わせだった。
無駄なサービス精神を発揮して、片割れに意見など伺う。
なんだか見たことも無いようなオリエンタルな衣装を着てる人――しかもサマになっている、も視界に入ったのであれはちょっと羨ましい目線を送ったりもしつつ]
ん…… 言葉にするのは難しいけど。
満たされないとか…何かに焦がれるとか…
んんん、違うかな…
[更に首の角度は大きくなる。]
セルウィンは、1人でも平気だった?
[身の奥に押し沈めていた懼れの根源を、問いに敢えて黙した答えを。
背を這う夫の指が、はっきりと求める>>93
緩やかな所作とは裏腹に、求めるものが得られるまで、
彼が追求の手を緩めることなどないのだろうと思わせる圧。
それが自分の意思であれば、全て捧げると告げる言葉>>107]
―――それは、本当ですか?
[反射的に、唇から零れ落ちた疑問。
こんな時にまで、と自身に苦く笑む]
― 回想 ―
[裁くと口にして、穢すと口にしながらにして。手荒にすることができない。
自分が求めるように、相手からも求めるような手が、吐息が、香りに愛狂うよに、陶酔としながら未だ浅い夢に沈むように意識が警戒心の溶けた鶫を腕の中に捕えて、自分のためだけに鳴かせたい。]
魔女か…はは、似合わないな。
[自分が今している、自国に対する裏切り行為を気に留めもせず、むしろ魔女や英雄と、人に呼ばれる名はそのどれもが似合わない。そう思えてしまうのが自分だけかと思って、少し笑ってしまった。]
立場上、私たちは敵同士、だというのにな。
[他国のもの同士であり、彼女の英雄としての立場、自分の司令官という立場。そこに広がる溝は深いというのに、剣を向けるなどしたくはない。それが反逆行為と知りながらだ]
/*
狩衣とか出ると、うっかりかさねの色目とか調べたくなるね。
単衣と烏帽子と指貫もセットですかー?
浅沓だと格闘できないよー (←
[離れていかぬように、寄り添い続けるように。
己が恐れるは傷ではない、喪失だ。
彼女を失いかねない可能性が、背を冷たく撫でる。
数拍、声を噛むとほんの少しだけ双眸を揺らし。
愛妻の名を静かに紡ぐ。]
―――…私と言う個が貴女の恐怖に勝りませんか。
イングリッド、
[微かに言葉を口腔に留めた後、]
恐いですか。
[確かめるように囁いた。*]
[本当に、ただその身が望み、そのために生きた英雄が彼女の本質だというならば、それを降し勝利をおさめることに終始するのみだっただろう。]
だが…私とグリヴは、敵ではない。
[でも違った。英雄という表層がはがれたその奥に見えた鶫の姿をみて、また心が乱れ]
英雄は英雄のまま、私が本当に堕としたいのは私の目の前にいる唯の女性だ。
[英雄という立場が顔向けできぬのなどという言葉で拒否などされたくはない気持ちが漏らすのは熱を帯びて見つめるただの男]
……ああ。ああ……
[嬉しいと。笑顔でいう彼女をみて、冷え冷えとした声で冷静に指示を発する男は言葉が浮かばなかった。
声質もその感極まって言葉をなくす姿も、別人と疑惑をかけられても可笑しくないほどであっても、今はそれが――幸せを噛みしめるのが全てだった]
[互いの鼓動が聞こえるほどの静寂の中、舌を絡めるぴちゃりぴちゃりと生々しい音が響く。
視覚は彼女を捉えて離さず、触覚は鋭敏にその身を捕え、聴覚でも行為をまざまざと知れば、より欲しくなれば唾液を舌で掬い、穢したくなれば、唾液を舌にのせ、グリヴの舌に絡め取り睦言を囁くような声量で、英雄としてではなくグリヴとして誓う言葉を黙ってきく
浅葱の瞳を見つめ返す。ずっと一緒にいることは叶わない。それをすれば全てから逃げたことになる。彼女は許さないのだろう。]
ああ…信じる。信じて…そして待っている。
……お前の帰る場所は…グリヴの帰る場所は。
[だがそれでも一つだけ]
ここだ。
[強くグリヴの瞳を見据える。心の奥底に突き刺し、決して抜けないように、強く]
ああ、お前を裁き……
[物として、兵器として扱われてきた彼女を抱き上げ]
穢そう。
[剣に差す油の匂いもなく、砂塵や鉄の味もしない柔らかな寝台へと横たえて]
…好きにさせてもらう
[熱のこもったまなざしをくれる英雄という殻をはがすように、服を脱がし。邪魔な立場を棄てるように自分もまた服を取り去り]
…綺麗だ
[戦勝による賛美ではなく異性に向ける言葉を与え、溶け合うように肌と肌を重ねるように抱擁をして、堪えることもできず熱っぽく息が漏らし、幾度も交わしている口づけをまだ足りぬと求めるように、唇を食み、口腔を犯すように舌を蠢かせ、鶫の羽を撫でるように肩から腕に這わせた手はふくよかな胸へと延び、手の中でじっくりとこねるように愛撫をした*]
― 魔王城・大広間 ―
[無事に着替えを済ませ、宴の会場へ向かう。
大きな扉から一歩足を踏み入れれば、まさに奢侈淫佚と言うにふさわしい光景が広がっていた。]
……元来、
サバトとはこれを真似たものなのかもしれませんね。
[一度詰めた息をそろりと吐き、自分の知識の中に落とし込んで事実を受け止める。]
行きましょうか。
ここに立っていても不審に思われます。
[兄弟へと声をかけ、宴の喧騒に割って入る。
繋いだ手を一度ほどき、腕を組んで寄り添うようにした。]
[蝙蝠(扇)を開けば、墨痕鮮やかに歌が記されていた。
手にならす扇の風も忘られて閨もる月の影ぞすずしき ]
寝室に差し込む月の光の清らかな美しさを歌ったものか。
この月の光とはおまえのことに思える。
……リ、リエちゃんそれだめ!!
リエちゃんがはくくらいなら、俺がはく……!!
[>>126 とりあえずリエヴルの手にあったものを見て叫んだ。]
[───直後、元々紅かった瞳は更に赤みを増し。
顔を上げ、こちらを覗く淡い緑を紅に映す]
─────、
[短い息遣いの後、口許は深い笑みを作り出し。
傍らに膝を付くアデルの身体を素早く小脇に抱えた。
その状態で床を強く蹴ると、跳ねるように駆けて間近の個室へ。
唐突な行動を齎したレトの頭には金色の獣耳、背後には大きくふんわりとした金色の尾が生えていた*]
<b>―
→魔王城・個室 ―</b>
[───直後、元々紅かった瞳は更に赤みを増し。
顔を上げ、こちらを覗く淡い緑を紅に映す]
─────、
[短い息遣いの後、口許は深い笑みを作り出し。
傍らに膝を付くアデルの身体を素早く小脇に抱えた。
その状態で床を強く蹴ると、跳ねるように駆けて間近の個室へ。
唐突な行動を齎したレトの頭には金色の獣耳、背後には大きくふんわりとした金色の尾が生えていた*]
― →魔王城・個室 ―
……リ、リエちゃんそれだめ!!
リエちゃんがはくくらいなら、俺がはくから……!!
[>>126 とりあえずリエヴルの手にあったものを見て必死で留めた]
つっかまーえたー♪
[妙に明るい声がレトの口から零れる。
個室へとアデルを連れ込んだなら、床に座り込みアデルを膝に乗せて抱き締めた*]
[闇が恐いかと問う、静かな囁き。眼差しだけを重ね、細く唇を開く。
無限にも等しい生に賭け、唯一の愛を囁く伴侶。
柔らかな接吻を与えられれば、離れる傍から、今一度を望むのに]
ルートヴィヒ。……貴方を、貴方の御心を。
疑うことだけは許さないと、仰っていましたね。
私は―――貴方に娶られてから、ずっと。
貴方のお言葉を、情を、この身に頂く度。
嬉しいと、信じたいと思うのに。ずっと、何処かで――…
[言い淀み、続くべき言葉を唇の裏に留め]
何処か、私に掛けられたものだと、…私のものなのだとは、思えなくて。
変わったパンツだな。
[出された下着には穴が空いていた。
今までみたことのないものだ。やや首をかしげ・・・。]
あと、これは、やけにやすっぽい肌触りだな。
このラインは新しいか?
[ジャージの化学繊維をなでつつ、ダッフルコートを普通に受け取った。]
/*
wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ご、ごめwwwwwwwwwwwww
そう来るのは予想外でしたwwwwwwwwwwww
ちょ、どうしよう、緑化してる場合じゃないのに、ないのにっ!
まして、永久など。
――…本当は、唯の一度さえ、
心から信じたことは、ないのかも知れません。
[彼の望む限り添い遂げる、と。幾度となく捧げた約束に、嘘はなくとも]
えっ、
そのパンツはいてコート着る……、って。
ダメ!!リエちゃんそれだめ、ゼッタイ!!
何も隠せないから!!
そんなパンツは没収!!
[>>132 とりあえずパンツは奪っておく。
まさか合わせ技でくるとは高度すぎる。]
えっと、そうじゃなくて…
[なかなか意思の疎通がはかれず眉を下げた。]
セルウィンのお父さんとお母さんはあの森にいるの?
……私は、小さい時にあの森に捨てられていたところを拾われたから、お父さんとお母さんの顔も知らなくて。
家族と呼べる人もいなかったから、誰か側にいてくれる人がいる人たちがとても羨ましかった。
寂しかったから。
わたしが月の光なら、
あなたはさしずめ窓辺の水盤でしょう。
わたしが宿る場所。
わたしを懐に入れて守ってくれるひと。
[異国の詩の響きは美しく、魂を分かつ兄弟の口から聞けばなお好ましい。]
つ、捕まえ、た、って、あ、あのっ!
[唐突だった。
唐突過ぎて、正直どんな顔をすればいいかわからない。
ただ、覗く獣耳と尻尾は、明らかな異変の兆しで。
精一杯強がってはいるものの、膝の上で抱き締められている、という状況への内心の動揺は凄まじい。*]
ふ、ふざけてないで、放して、下さいっ!
……はー、あぶなかった。
リエちゃんが超あぶなかった……。
えっと、じゃあとりあえず着替えてくるね。
[更衣室、のような所にささっと行って帰ってくる。
ごく普通のウェイトレス姿だ――ちなみにスカート丈は超ミニだ。
その下に没収パンツをはいたりはしていない、大丈夫]
これメイドの服かなー?
俺がメイドなら、リエちゃんがご主人様だね!
[頭の悪い発言をしながら、くるっと一回転。
ひらっとするミニスカートは超絶的に際どい]
/*
銀でも良かったかな。
茶髪なんで金にしたんだけど。
さって、憑依ではあるけど隠してたことをさらっと言ってしまうような方向で行きたいかな、とは。
どう流れるかはのーぷらん(
流れ任せ。
[彼の詩的な応えに眦を染め、結んだ指を滑らせてささやかな触れ合いを求める。
確かに扇は必要だ。
こうも火照ってしまうのだから。]
− 魔王城・大広間 −
[もとより騒がしい場所は好まなかったが、彼がサバトになぞらえた宴の様子に唇を引き結ぶ。
どこかで焚かれているらしい香の匂いも甘たるく重かった。
エスコートを求めるように彼の腕が絡んできて移動を促す。]
…ああ、
[情報を集めるのは彼に任せた方がいいかもしれない。
自分は、彼の身に危険がないようにするのを最優先にしよう。
そう思ってはいても、何事もなくとはいかないもので──>>#1の10(10x1)]
[頬を伝い降りた指がそっと頤を掬い、揺らぐ菫の眸を捕える>>107
白銀の奥深くを望み、ゆるゆると唇を解き]
私は――… 貴方に、ずっと。
聞いてみたかったことが、あるのです。
[それでも、敢えて聞く心算はなかったこと。
訪れなかった過去を、彼に示唆するくらいなら]
― 魔王城・大広間 ―
[華やかで退廃的な宴のただなかに、銅鑼の音が響いた。
ざわめきが途切れ、皆の目が奥の扉に集中する。
奥より現れたのは黒と金に装った半人半獅子の魔王。
傍らに、首輪のみを身に着けた青年を伴って、しつらえられた座に就く。]
皆のもの。
此度の宴は彼方よりの客人をもてなすためのもの。
皆、存分に飲み、喰らい、楽しめ。
[魔王の言葉に魔物たちが歓声を上げ、宴は再び賑わしく続いていく。]
やーだね。
[抗議の声が上がっても受け付けない。
ふんわりとした金の尾は、感情を示すようにふぁさふぁさと揺れていた]
……それとも、俺にこうされるのは嫌か?
[満面の笑みから一転、笑みを消してアデルをじっと見詰めて問う。
揺れていた尾もピタリと動きを止め、頭の耳をピンと立てた*]
− 魔王城・大広間 −
[こんな場所でも商魂逞しい輩はいるらしい。
キスしてくれれば回復薬をやると持ちかけられた。
商人の視線からするに、支払うのは連れ添う彼でもいいというのだろう。]
他をあたっていただきたい。
[できるだけ冷静におことわりしたつもりだが、目は笑っていなかった。]
あの時、貴方の前に現れたのが、私でなかったとしたら。
[生来、並び立つことのない定めの種族。
相反する邂逅は、偶然にも等しく]
貴方は、 ―――…如何していましたか?
― 魔王城・大広間 ―
[兄弟と腕をしっかりと組んで宴に混ざる。
傍目からも、非常に親密な仲と映るだろう。
ここではむしろその方が安全だ、とあちこちで行われている乱交を横目に思う。
比較的穏やかに話が出来そうな相手を選んで話しかけ、この世界についての基本的な情報を仕入れていく。
雑談から得られる情報は些細なものが多かったが、ひとつ気になる話を聞いた。]
『いやあ魔王様が魔界を閉じてしまわれて、我々も商売あがったりですよ。』
[どうやら自分たちは魔界の商人たちの一団に紛れ込んだらしい。
ひそひそと愚痴る商人に、魔界を閉じたとはどういうことかとさらに聞こうとして、傍らから聞こえる声に視線を振り向けた。]
……えっ、レオタードがよかった?
ならちょっと恥ずかしいけど、着替えてくるよ?
[>>143 そもそも現状身体は女子なので、
女子服着てる方が自然な気がしたのだ。
従って、男性服はすぽっと脳内選択肢から抜けていた。
空気が読めないゆえに環境適応能力は高い。]
― 浮遊する群島 岩山 ―
そりゃ変な奴だから。じゃないか。だから敵の幸せだって思う。
[向けられた評>>113をそのまま受け止めた上での開き直りは。なんとも上手くない態度だと自分でも思いながら、不信感を帯びた声を背に受けながら振り返りもしない。
闘技場で抱いていた苛立ちは既になく。隘路に入り込んだような苦味だけが胸の中を過りながら、喧噪が遠くに過ぎ去っていくのを耳で捉えていた]
…ん?蝶?
[向けられた問いは宙に浮き、変な蝶という単語を聞いて振り返る。
泥を纏ったような蝶だ。点滅発光を繰り返すそんな珍しい蝶は知らないと視線>>115には首を振って]
ここの生物なんだろうな。っと…降りるぞ。
[立ち上がる。喧噪は離れたならば行動を初めてもいいだろう
そして蝶なんかがメッセージをくれるという概念を持たぬ軍人は、明らかに何か意味があるよこの蝶。とばかりに嘶く軍馬を撫でながら岩山から移動をした。
黒の蝶もひらひらと察しの悪いものたちの後を追う。軍馬はそこに哀愁をみたという]
― → 灼熱の闘技場周辺 ―
― 灼熱の闘技場周辺 ―
[思った通りマーケットが再開されている。
あれぐらいの荒事は日常茶飯事の一つなのだろか。商魂たくましく既に商売を再開している店をみながら、何かの肉の串焼きの店で串を二つ注文して、シュテルンへと渡す
肉の説明を受けたが、鳥か兎かカエルかトカゲの何かなのだろう。という感想しかでずにかぶりつく。
艶々と輝くカリと音をたてる皮の中からジューシーな旨み汁が口の中にあふれ、甘さとしょっぱさと僅かに辛みがある独特の風味タレがしみた柔らかい肉を味わう]
うまいな…ああ、店主。もう一本ずつもらえるか?それと少し聞きたいのだが…
[店のことは店に聞いたほうがいい。もう一本ずつ注文しながら、旅をするのに必要な道具を売る店、宿の場所。などなど情報を聞いていく]
後は資金と相談だな。
[必要な情報を集めたし、腹にも食べ物をいれたところで、シュテルンと次の行動を離そうと思ったところで、肩に少し痛みが走る。
ゼノだ。骨が砕けないようにしてくれたのだろうが、痛いものは痛い]
どうした?…蝶?…まだいたのか…
[何かを訴えようとするようだが、わからない。シュテルンを見て首を傾げた
...が蝶によるメッセージに気づくのは6(10x1)分ぐらいかかるようだ]
/*
eyesさんが私のツボをドリルで抉ってきて、つらい。
くっ、コスプレひゃっほーい!とか全部持っていって、
くそぅ!eyesさんめ!eyesさんめ!
好きです。(告白)
あなたのためでしたら、キスくらい安いものですけれど…
―――あなたに怒られそうですね。
……やだ、じゃないです!
お、怒りますよ!
[抗議を受け流す様子に、睨むような視線と共にこう返す。
多少強引にでも抜け出すべきか、と。
力を集中しようとした所に投げかけられた問いかけに、息を飲んだ]
……ぇ?
[満面の笑みから一転した表情で投げかけられたそれは、唐突で]
い……嫌……っていうか、その……ええと。
[本来ならば、即答するべき所なのに、答えが出ない]
わ……私は、巫女となるべきもの、だから、その。
こういうのは、赦されてない、から……。
[動揺した思考は、『血筋の枷』を逃げ道に選ぶ。
問われた事とはずれているけれど、そこまでは回らなかった。*]
褒めてくれてる?
[満足そうに笑う、
そのあたりの抵抗感は0である。
リエヴルに褒められるならなんでもいい]
ところでリエちゃんさっきの話。
……興味があるとか、ないとかの。
あれって、不特定多数相手の話じゃなかった、と思うんだけど……。
[>>116 興味のあるなし、は。
彼が自分の貞操を確かめることについて、だったと思う。
そこが伝わらなかったのが気になって、ぽそり]
とてもありがたいお申し出ですが、
わたしたちの体は毒ですので。
[にこやかに言って商人にさらにお引き取りを願う。
嘘はついていない。
自分は魔を焼くし、彼は吸うのだから。]
…そう。
仕方ないのかもしれない。
私は人間で、セルウィンは狼だもの。
[言葉がわからないと、その言葉に穏やかな声と共に言って、寂しそうに薄く笑った。]
はい。
[答えは短くも、余地すら残さずの肯定。 >>121
彼女に伸ばした腕は、堅牢な檻を作り、露にする専有。
彼女の手を徐に取ると、己の胸に誘い、手背へと重ねる五指。
器の隔たりの奥に、感じられるだろう自身の根源。
精霊たらしめる核たる闇の鼓動。]
――――…、
[僅かばかり、瞳を細めれば、ゆっくりと彼女の掌に圧を掛けた。]
[外部からの魔力干渉を遮断する器の一部が解け、
鳩尾辺りに生まれる闇の洞、奥に見えるは霧霞む向こう側でなく、
何処までも塗り潰された漆黒の色合い。
彼女が僅かでも指先を進めれば、
精霊種にとっての魂とも言える核に触れることが出来る。
当然、光の御手を持つ彼女と接触すれば、
神経を焦がす激痛に苛まれ、最悪は消滅に到る。
けれど、彼女に明かす真心を隠しもせず。]
―――ああ、
[揺れる彼女の言葉と想い。
伝えられた疑念に、納得したよう、吐息を散らす。]
……イングリッド、私の心が欲しいのですか?
[静かに問いかけ、語尾を持ち上げる声。
彼女が恐れる本質を垣間見て、率直な様。]
貴女は私に嫁ぎ、献身的に妻たる役目を果たしてくれますが、
信頼には足らず、好奇と執着のみで成り立つと疑っている。
[指摘の声が彼女の言わんとするところを補強する。
幾ら夫婦と言う枠組みで括られていようと、
想い合う為に必要なのは肩書きではなく、
運命と言う名の不確かな偶然でもなかった。
人に祝福を与える彼女は本能的に良く知っているのだろう。]
――…ならば、貴女の求める心は此処にはありません。
[示唆するのは闇を開いた己の胸元。
自身の中枢には力の根源があるが、
精霊的な魂の位置を問うているのでは在るまい。]
――――…直ぐに理解しろなどと言いません。
私も相当に自覚までは時間が掛かりましたから。
[そろりと、背中に回していた掌を彼女の前に翳し。
寄せて触れるは彼女の根源の真上。]
それでも、永い時を重ね、いつか抱いてくれると嬉しい。
貴女に惹かれ続けた、私と同じように。
――――夫としてでなく、妻の責としてでなく、
いつか、私へ恋に落ちてください。イングリッド。
私の心は、ずっと此処に在るのです。
[僅かに圧を掛けて示す希求の在り処。
小さい石を積み上げる行為に似て、剣を取り争う愚かしさに似て。
性悪を隠す癖、本質を明かしても彼女が離れて行かぬように。
頑冥を抱える癖、彼女との道を選択して。]
怒るのは相手に対して、だ。
[もっとも、相手は彼に手を出した代価を自身で払うことになるのだけど。]
おまえには、誰にも負けないだけ、キスしている。
[そんな自負を、囁いた。]
[彼が実にまっとうに情報収集の手管を行使している傍らで、いくばくか話の通じそうな相手に即行謝絶を喰らわす始末。
もう少し貫禄を示して黙っている方がいいのではないか──と反省したところに、まさに地を這うごとき偉容を振りまく魔王が姿を現した。>>141
その下半身は黒い獣。
だが、一瞬、違和感を忘れるほどに似つかわしい。
あんな魔を受け入れようとすれば、身も心も引き裂かれてしまいそうだ──
確かな予感に戦慄する。*]
[問いかけに息を飲むアデルの表情をじっと見遣る。
聞きたい答えではない言葉が耳に入ると、金の尾がゆらりと一度揺れた]
俺は嫌かどうかを聞いてんの。
巫女になるとかそんなの関係なく、アデル自身はどうなんだよ。
[拗ねるような表情でアデルを見る]
…それとも、俺のこと嫌いか。
[はっきり答えをもらえないのはそのせいか、と分かりやすく耳と尻尾が垂れた*]
[妻と言う名の鎖で繋いだ彼女に、笑みを向ける。
醜悪な性質を持ち、光と相容れず、悪辣を本懐とする男。
怠惰な性質を覆し、彼女の笑顔を知り、優しさを知り、
真摯を知り、愛しさを知り、生真面目さと少しばかりの天然気質を知った。]
[彼女と出会わなければ、
己は魔界彷徨う低級種如く価値無き闇であった。
差した一条にはっきりと意思を持ったのは、
迷子の彼女を送ると言い出したあの時より。]
貴女と出逢わぬ私は…、程なく
[なんでもないことのように笑んで告げる言の葉。
手に入れた小さな光に戸惑い、疑問に突き動かされるまま、
明かず森を彷徨ったのは遥か遠くの記憶。
彼女に邂逅重ねるほどに、成長した心と力。
他の誰が、自己を自身たらしめられるのか。
―――――自覚の薄い彼女に、珍しく僅か口篭り、]
え?
俺が貞操を失ってないかどうか、
リエちゃんが確かめるって話でしょ?
[いや、そこをはっきり興味ある無し考えるのはまずい気がして、奇行に走ってしまったわけだが]
は?
[首をかしげる。]
まぁ、そういう意味にもとれるが。
というかやけにこだわるな?
[力説する子をぽふぽふ撫でながら。]
というかお前が貞操失ってたら、すごくびっくりするぞ?
[彼の示す自負がくすぐったくて、嬉しい。]
これからも、もっと増えますしね。
[耳の奥へ、息だけで囁いて。]
[事も無げに咳払いひとつ叶え、
胸に宛がう愛妻の指先を、ゆるく握りこんだ。
平時と変わらぬ顔を取り繕い、涼しい顔色。]
[商人たちの間を離れて、別の相手を探す。
その時、宴の間に大きな音が響き、反射的に音の方角へ視線が行った。
現れたのは強大な魔。
威風堂々とした振る舞いは王の風格を漂わせている。]
あれが"魔王様"かな。
[身体の芯が冷える心地がして、組んだ腕に身体を寄せた。]
[されど、彼女の掌に伝える闇の胎動は、
ほんの少し、暖かかったかもしれない。*]
[逃げを打った答えに返されたのは、拗ねたような表情で。
重ねて問われた言葉に、目を伏せた]
……私……は。
[どう答えればいいんだろう、と。
相反する本音と建前の間で、思考が揺れる。
そこに更に届いた言葉に視線を上げれば、わかり易く垂れた耳が目に入って]
……なんで、そんな顔、するんです、か。
[ずるい、と思った。
何かしら異常が起きてはいるのだろうけれど、それにしたって、この聞き方はずるい。
どうやったって逃げられない──物理的にも、心理的にも、離れようのない状況で聞いてくるなんて]
……嫌、じゃないし。
嫌いでも、ないです、よ。
でも……。
[小さな小さな声で紡いだ後。
言いかけ言葉の先をどうするかが決まらなくて、また、目を伏せた。*]
っていうか、顔見てないし。
黒っぽい羽しか覚えてないし。
なんかこう、もやっとした感じが……。
っていうか、女体で嫁にするってことは、
ぶっちゃけるとその目的ってつまり。
[>>157 なんとなくダッフルコートで、
少し暑そうなリエヴルの足元などを見やる。
あんまりはっきり口に出したくはないのだが]
産め、ってことだよねー……
[と、どんよりつぶやく。
それから魔の宴会場を見回した。
のどかわいてるし、おなかはすいてる。
それはたしかなのだが、並ぶ豪華な飲食物は大丈夫、なのだろうか。
その辺のグラスなどに手を伸ばしてみたり]
/*
待って、どうしよう。
旦那様待って、どうしてそんな予想外に可愛いの…!
え、どうしよう、動揺を沈めるのよ私……!!
/*
ところでですね、ですよ。
その、もふアクション込みの直球は、ほんとにずるいでしょう……!
……回避できないじゃないですか、それ。
/*
怪しいカクテルきましたね。
ちょっと効果をランダムしてみましょうか。
**
*釣鐘草*の香りがする■antiquewhite色のカクテルで、飲むと*従属*の気分に陥る。
もしくは初めて目にした人を*知人*だと思ってしまうとか。
*私の議題(皆に議題を1つ出して下さい)*について話したくなってしまうとか。
俺がそれを想像しちゃって、
すごーく動揺したのに……、
なんでリエちゃんはそんなに余裕なの……。
[ぽふぽふされてる下でぷっくー]
ちゃんとこっちを向け。
[こちらを見ないその態度が、何故だか異様に腹立たしいく思い、抱えていた膝を離し立ち上がり、背を向けたままの男へ近づこうとするも、割ってはいるような蝶の存在に意識は大きく削がれてしまう。
だがこちらも同じく、蝶が運ぶ言伝には気づかない。
点滅は見えているが、点滅しているという認識だけを受け取って、文字は全く見えていなかった。
ひと時休んだのならば次は動く事には異を唱えず、嘶くゼノを宥めるように撫でてからこちらもその背に乗り移動した。
駄目だこの人たちと黒馬が思ったかどうか、人は知る術を持たない。]
― 灼熱の闘技場周辺 ―
[元いた場所に戻ると、建物の一部は壊れたままだったものの、先ほど変わらない活気に、ここの住人の自力を垣間見る。
先ほどよりよく周囲の様子を見ながら歩き、途中何かの肉の塊を受け取ると、素直に端にかぶりついた。よく焼けぱりぱりになった皮の端を、剥がすようにして口に入れる。行儀は良くないが、好きな物は先に食べる性質だった。
空腹だったこともあり、剥いだ皮の中から現れた薄色のつるんと、肉汁と油で艶めいた薄色の肉に無言でもくもくと歯を立てる。
食べる事に夢中で当然蝶の事には気づかない。交渉事や情報収集はすっかり任せて、二本目を受け取るとこちらももくもくと食べていた。]
…ん。少しならこっちも持ち合わせはある。
[ようやく食べ終わった頃、懐に入れていた貨幣を取り出して開いてみる。
そういえば中身をきちんと確認するのは初めてだった。
いくらかの硬貨と、貨幣の代わりにか、宝石のようなものがひとつ。
もっとも当人はこれも貨幣の一つと捉えていたが。]
想像するもなにも、
お前、そんなことされたら、いやだろう?
[思案にくれつつ、膨れた子をさらになでなで]
[伏せていた耳が持ち上がる。
ピンと立ったそれに届いた小さな声。
尾が再び揺れる]
♪ ♪
[レトが飲まされたあのカクテルは、見ての通り一部を獣化する効果を表した。
それ故に思考も行動も、動物の本能に従い行く。
普段は押さえ込んでいた部分も、レト自身気付いていない感情も、今だけは本能のままに言葉や行動に現れていた]
ん? でも、なんだ?
[途切れた声を追って問いを重ねる。
深い紅色で伏せられた淡い緑を覗き込もうとした*]
? どうしたんだゼノ。
[何かを訴えるような様子と、視線の先を舞う蝶を交互に見て首を傾げる。
ツヴィンガーに問うような視線を向けられたものの、こちらも解らずに更に首を傾ける。
ようやく魔王の招待状に気づいたのは、6分と少し経った頃だった。]
ん?
[テーブルの上の食べ物を視線で追うだけ、
手をつけずに方向を変えたが、
ふと、杖が、テーブルに触れ、クロスがはためき、なぜかそこにあったスタンドランプに絡まり、くらり揺れた拍子、飛んだ火の粉がダッフルコートに燃え移る。]
ん?
熱い?
いやもなにも、
……さっき大人のキス、したでしょ。
[なでられるまま、見上げてしまう。
さっきのは、嫌悪なんてものからはまるで遠くて、
むしろ、その先を求めてしまいそうで――何もいえなくなったのだった]
[必要なだけの短さで、答えが返る>>154
招く指に導かれた先は、伴侶の胸。
幾度となく触れた筈の感触が、焦燥を掻き立て]
――――ルート。 何、を……
[覆い重なる掌に、ゆっくりと篭もる力。
問い質しながらも、その答えを、自分は既に知っている気がした。
一昼夜と置かず傍らに繋ぎ、異界の境を踏み越え見出し、
渾身の拒絶さえ受け止めた妻へ、彼が差し出す証を]
[だから、そんな顔をする理由も解らないのは
人間が人間で、狼が狼だからで、
それは]
――――、
[開いた口は意味を紡げないで]
ちょっと、燃え……えっ、
リエちゃんがもえちゃう!
[とりあえず掴んでいたグラスの中身をぶっかける。
それから水差しのようなものを、躊躇無く手に取った。
それもまた火の元にぶっかける]
リエちゃん!だいじょうぶ?!
さっきの火の奴俺がぶん殴ったせい?!
[とりあえず手当たり次第水分を投げつけるのであった]
[小さな答えに対する反応は、微笑ましいと言えばそう言えるもの。
それにしても、なんでこんな事になってるんだろう、と。
少し考え、思い当たったのは、先の7色カクテルで]
(……色々、油断しました、か……)
[ふと過ったのはこんな思考。
どうすれば元に戻るのかな、と、考えの段階をそちらへ向けた所でまた一つ、問いが落ちて]
[覗き込んでくる深い紅。
淡い緑は、その色を避けるように彷徨って]
……私、は。
いつか、里に戻らなきゃ、いけない、から。
このままでいるのは、できないん、です。
[このまま、という部分には、複数の意味が含まれる。
今の状態──腕の内にいる事、それから、共に旅する事。
血筋の枷に殉じるならば、どちらも赦される事ではない]
だか、ら。
……放して、ください。
[離れたくない、という感情に意識が向いてしまう前に、とは。
口に出す事のできない想い。*]
―――…やめて、ルート……お願い、
[押し殺した声は、制止より懇願を色濃く帯びる。
自ら拓いた闇の洞、一点の不純物も混じりえない漆黒が曝された。
夜毎この身を暴かれ、境目が滲む程深く交わろうと、
宿す光が彼を苛む様子はなかった。
その幸いに、どれだけ安堵を重ねたことか。
彼を傷付け、生を奪いうる距離で触れていることさえ恐ろしい。
手を振り解くこともできず、息を潜め]
は?
[次の瞬間、何かぶっかけられた。]
ちょ、それ、うわ
[かけられたのは、水、ではなく、ミルクとかお酒とか。]
フィー、ちょっとやめ・・・・・・
[どうやら、かけられたもので、ボヤは
奇数:ひどくなる 偶数:おさまった]
あつっ!!
[どうやら、かけられたのは、盛大にアルコールだったようだ。
一瞬にして、ぼわっと服が燃え上がる。]
な・・・・・・・。
[これは、やばい……。]
― 灼熱の闘技場周辺 6分後 ―― ―
[抗議の声>>163>>164も聞こえてはいたが、答えは返さない。
唯一、そちらを向いたが、その意味合いは不可思議な蝶に対してのことで望むものではなかっただろう。
串を齧りながら、持ち合わせ。と硬貨と宝石>>166を見て資金として頭にいれる。
そして結局お互いに見つめ合ったり蝶やゼノ>>167に視線を向けたりなどしていて、やっと察しの悪い二人がメッセージに気づいたとき、蝶ははらはらと涙を流すように黒の滴となって消えていった。]
……魔王城にて宴をひらく。か。
[ただ宴を開くという事実のみを告げるメッセージ、わざわざ届けられたことで、参加を促しているともとれながら魔王城で見た王の姿をみて、いい感情は浮かばない]
罠…?いや、こちらの居場所まで察しているものをわざわざ城にまで招く理由も浮かばんな。殺したいだけならば居場所がわかってるなら兵でも差し向ければいい。
ただ歓迎される理由もないがな。
[敵視するならばこんな手間のかかる真似をするかという疑問はあれど、ただ先程行われた異国人を狙った狩りが友好的という文字を棄てさせる]
…いくか。
私たちに害をなすつもりなら遅かれ早かれあちらには可能だということ。
ならば不興を買うよりは歓心を買ったほうがいい。まだいい。と思うが…お前はどうする?
[しばしの思案の後、シュテルンへとそう提案し、どうするか問いを向けた。反論や別の案もなければ魔王城へと遅ればせながら向かうだろう]
[眉頭に伸ばされた指に視線は彼の顔に向けられる。]
…… なぁに?
[言葉を落とさずに開かれた口にぽつりと。]
…残ってもいいのだぞ。歓心を買えるというならば、私だけでもいい。
危険があるならば城にいかないほうが安全だろうからな。
[余計なことを口にしている自覚はある
それでも彼女の身を案じる気持ちがどうしても出て、どちらでもいいという態度でいながら、安全をとってほしいとひそかに願い言葉をかけた]
[吐息一つを伴って、夫は率直な問いを突きつける。
躊躇いも見せず、まるで事もなげに]
―――…、私は、
[陽光の庇護の下、恵み与える者としての性を享けた生。
何かに焦がれ、恋い求める欲とは本質的に疎い種族]
私は、ただ……、 貴方を、
[震える声は、肯定も否定も成さず]
えっ、なんで水かけて酷くなるの?!!
[>>172 どうしよう、とうろたえたところで、
別の水らしき物をぶっ掛ける以外の方法がない、
まさかこんな禍々しい城に、防火設備なんて備えられていないだろう。]
っていうか、
そこのいかにも水魔って感じの!
命が惜しかったら、ぱーっと水出して、水!
[挙句その辺の水魔らしきを脅しにかかったという]
[淡い緑がするりと逃げる]
里に、戻る……。
[反芻する言葉は最後、掠れて。
揺れていた尾がゆっくりと動きを減じていった]
――なにか、ここにあって分からない
タリナイ
[空いている手で己の喉を包んで呟く。]
……おまえの、これは『寂しい』なのか?
[そうして、喉まで出掛かっている何かの代わりに、
雪解けの双眸を覗いて眉のかたちをなぞる]
────そんなの、嫌だ。
[アデルが里に戻ることも、捕らえた腕から開放することも。
我侭を言う子供のような態度で、その言葉を体現するように抱きかかえる腕にも力を込める]
行くな。
俺の傍から居なくなるな。
お前を護るのは俺のはずだ。
[いずれは遠い存在になることを頑なに拒んだ]
……俺、ずっと仕事だからって一緒に旅して来たけど。
ここに来てお前のことを少しずつ知ってから、仕事とか関係なく護りたいって思ったんだ。
本当は、情を移しちゃなんねぇのに、止められなかった。
もう、止めらんねぇんだよ。
[無意識に押さえ込んでいた想いが零れ落ちる。
苦しげに表情は歪み、耳もぺたりと伏せられた]
………アデルは。
どうしても、里に戻らなきゃなんねぇのか…?
[思い詰めるような声が静かに響いた*]
… そう。 寂しい。
[喉に手をやる姿に小さく何度か頷き、彼の金の瞳を見返した。]
貴方よりも、…私自身を、信じていないのだと思うのです。
貴方が私を、熱心に求めて下さるだけの理由を見つけたかった。
隣に居るのが、私でなければいけない理由を、…何か。何でも。
[見出せず、作り出す事も叶わなければ、遠からず終焉が訪れるに違いないと]
[求める心は此処にない――この上なく明確に知らしめる答え。
耳に流れ込む音を繋げ、意味を解き、受け止めるための間]
……、解りました。
[音を連ねただけの声が応じる]
俺が、言葉が分からないからか
[人間と狼だから、と言ったその顔が『寂しい』だと覚えて、
今度は両手を伸ばした。その手触りを確かめる]
― 回想・再会 ―
[今度勝った時、話がしたい。などとおもえば穴だらけの提案をしたものだ。
それだけ当時は混乱していたのだろう。勝敗などどのように位置づけをするかによって変わる。勝利を得ても、逃亡をされればそこまでだ
わざわざ律義にこちらにくるはずもない。リスクも高すぎる。
だからあの時の条件は、叶わない。と思っていた。
それでも律義に"彼"が"彼女"であったことを隠して戦地へと向かう。今回は尻拭いだ。
堅牢な城を速く落そうと躍起になって攻城戦をして、敗北した味方の後任。
城を落とす。それも迅速に。そんな華々しさと名誉を欲したのだろうが、付き従う兵を想えば不幸でしかない。
負けるべくして負けた指揮官が懲罰送りになるのを見送りながら、地図と今までの情報を得て思案する。
決断を下すときは素早い。
中継地点ともいえる伝令を出す頭脳の地を電撃的に奇襲をしてリリーパへの情報を遅らせ、そして軍を城…ではなく敵城の補給を担っていた港町に向かわせる。]
… … … … …。
[問いかけの後に続いた、忠告めいた言葉には、解りやすく非常に不満げな顔をした。]
(こいつ、本当に敵か?
むしろ味方みたいな物言いするし…)
[庇うような言葉をまた問いただしたくもあり、
じーっと、じーっと半目になりながら男を暫く無言で見つめて。]
[補給がなくなればいくら堅牢であろうとも意味をなさない。
すぐに落ちることはなくとも時間が経てば干上がる。それを防ぐためにはこの占領した港町を奪い返すことが必要だ。
だがリリーパからすれば戦地をここにするわけにはいかない。戦いの最中、港を破壊されては意味をなくし結果城は落ちる。
この港町、そして城に固執するならば、正面からではなく奇襲で奪い返すしかない。それも兵糧がなくなる前にだ。
こうして時間と方策を限らせてしまえば、後は果実は勝手に落ちてくる。
だが、城も全て捨てて突破をして自国へと逃げるならば後背を襲わせはするが、逃がしてしまうだろう。どう決断するかはここを守る地方領主にて司令官の器量にかかることだろう。城を棄てるだけの度量があるか、名誉を重んじて全て失うか。
どちらにしても最初の一手でこの地方での勝敗を決した。後はその勝利がどのような内容になるかであり…ここの敵司令官は後者であったようだ。]
[ただ予想外であったのは、奇襲をしかけた敵を逆に奇襲をして、シュテルン・ダルスバーレイを捕虜にしたことだ。
果たしてこれを勝利といっていいのか迷うところだ。
なにせこの地方領主に足を引っ張られた結果だからだ
だが勝ちは勝ち。ほどなく自滅した城を奪い取り、そして指揮官を他の捕虜と同じ部屋にいれると結託して動く可能性がある。また英雄を手荒に扱えば捕虜やこの地方を治めることに難が生じる。という理由で、彼――いや、彼女を客室を外に出られぬ檻にした部屋へと閉じ込めた]
[そして]
不運だったな。だが勝ちは勝ちだ。あの時の約束を果たしてもらおうか。
[捕虜への尋問をするでもなく。ただあの泉での約束を口にした*]
んー、だから
キスするってことは、僕は嫌じゃないってことだ。
でも、おまえはいやだろう?
[目そらしつつ]
きゃーリエちゃーん!!
しっかりして、だいじょうぶ?
[必要以上にびしょぬれになってしまった。
リエヴルの傍らにしゃがみこむ、
心配そうに顔を覗き込んでいたが、はっと思いついてしまった]
こ、これってもしかして、人口呼吸するところ……?
[と思ったけれど、やり方がよくわからない。
とりあえずそれっぽいことをすればいいか、とばかりに]
……ええっと、
いいの かな? いいよ、ね……?
[戸惑いは少しだけ、
ただ状況を免罪符にしているだけのようだ。
思いながらも、濡れた口唇に口唇を重ねたのでした。
まだ更なる騒動>>#14(10x1)が待ち構えている、とも知らぬまま*]
そう、です。
だか、ら。
[掠れて行く言葉に、目を逸らしたまま言いかけた言葉は、途中で途切れた]
……え?
[示される拒絶と、込められる力。
とっさに上げた淡い緑にあるのは、困惑のいろ]
[行くなも、居なくなるなも、多分、今まで言われた事なんてなくて。
だから、どう答えればいいのか、わからなかった]
……で、でも。
護るのは……。
[仕事だから、でしょう、と。
精一杯の抵抗は、続く言葉に否定されて。
苦しげな表情が見えて、思い詰めたような声が問いを投げてきて]
……ど……して……。
[零れ落ちたのは、掠れた声]
……どうして。
どうして、止まって、くれなかったんです、か。
[ほろ、と口を突いたのは、今、心の内を埋め尽くしている想い]
……そのままでいてくれれば、よかったのに。
そうすれば、迷わなくて、すんだのに。
私は……。
[声は少しずつ掠れて。
淡い緑はまた、伏せられる]
……帰るのは、血筋の定め、です。
私が帰らないと、直系の血が絶えてしまう、から。
だから……。
[ここで一度、言葉は途切れて]
……どんなに、帰りたくなくても。
帰らないと、いけないん、です……。
[それだけ言うと、唇をきつく噛んで黙り込む。
それ以上、言葉を紡ごうとすると、泣きだしそうだったから。*]
/*
女子服で正しいのだけど、表でいきなりこれきると女装というか…wwww
ピエロ?ピエロ服??
まぁとりあえずツヴィンガー待つか…。
そして裏の戦術面がえすけーさん流石すぎて…w
[緩やかに拡がっていく空虚に、目蓋を閉ざす。
ずっと探していた。彼に望まれる理由を。
その空虚に侍るのが、他の誰とも代わりえない理由を。
偶然呼び声に応えたのが、自分だったから。
闇と対成す力を具え、生まれ落ちたから。
従順に掌中に留まり、彼だけを見て、彼だけを呼び、
彼だけの全てを受け容れる妻。
――それ以外の理由を、何か。
彼に添うまで、空虚を身の内に知ることはなかった。
彼の隣で生まれた空虚を満たせるのは、他に在る筈もなく]
してって言ったの俺だし、
……実際にしたのも、俺からだよ。
[触れるだけのもの、だったけど、
そこにある意味はそう変わらないはずで]
それで、その先って、
どんな感じかなあって思う し、
……今だって、
リエちゃんの撫でる手、気持ちよくて、
その手で他のところ触られたら、どんななんだろうって、
――……思ったり、するし。
でも、それはちょっと怖くて、
……リエちゃんが言ったみたいに、
男に戻った時、ちゃんと忘れられるかな、って。
それが出来るかな、って。
すこし、怖くなる。
― 灼熱の闘技場周辺 ―
さて…真意についてはわからん。
利益や損失ではなくて、道楽なのかもしれんな。
[一番ありえそうなのが王の趣味とおもえるところが頭の痛いところ。
結局二人そろったところでわからない>>180>>181と出たために魔王城にいくという結論は変わらない。
シュテルン>>182とともに魔王城に向かう]
[不満げに表情を歪める彼女から視線を逸らすことはしない
こうして表情がわかりやすく変わるのが、年相応だという変な感想を抱きながら、視線をじっと受け止めた。
心の声まで聞こえてきそうな素直さに、微笑ましい思いを抱く]
あんなことをした相手の身を案じるのはおかしいか?
[>>163では無視した言葉を掘り返しからかうようにいうだけ言うと、不満げな様子のシュテルンに背を見せて、魔王城へと向かい歩き始めた]
― 魔王城 入り口付近 ―
[既に宴は開催されており、明らかに遅参であることがうかがえる。
悲鳴、歓声、哄笑、嬌声が聞こえる中、シュテルン>>183と同じように、受付より、仮装することを教えられる]
そういう宴なのか。
[郷にいっては郷に従え。というのか。武装を取り上げるでもなくただ違う服を着ろ。というのに少し驚きながら、ゼノをつなごうと思ったが、自由にさせたほうがいいかと判断してあえて繋がず放し飼いにして城の外に待たせることにする]
[非難にも似た掠れ声。
紡がれる言葉はそれでも、アデルの心情を垣間見せて。
壁の取り払われたレトの心を強く、揺らす。
伏せられる淡い瞳に、困ったように耳がぴるると震えた]
……なんで、そんなに……。
そんなに、その血筋の定めってのは、大事なのか?
[帰りたくないなら帰らなければ良い。
言葉では簡単に言えるけれど、それを許さないものがそこにあるのが見えて。
黙り込んでしまうのは見えたが、何度も問いを重ねる]
[ままならぬ状況に、ふつり、ふつり、と奥底から沸き立つものを感じる。
魔寄りの獣状態である現状。
本能を抑える理性は果たしてどの程度残っているやら*]
[普段とは違う服がいいのだろうか?ブレザーだとそう差が生まれない。
とはいえ、ベビードールは着る気はおきない。
この民族衣装にも似ているトーガがいいのか?しかし着方がわからん。などと考えながら、固まっているシュテルン>>185を見る。
違うものが出されていたようだが]
さっさと着ろ。
[固まっているシュテルンの変わりに受付から、カクテルドレスをとって、シュテルンの腕に渡し、自分はブレザーをもらう]
[彼女に晒した自身の内側。
中に詰め込まれた闇は夥しく、
本能的な拒絶感は拭いきれないが、己の持つ信を明かす。
彼女は己の情を宛ら、刷り込みとでも告げるが、
己が欲しいのは母ではなく、庇護者たる親でもなかった。
正しい求め方など知らぬまま、拙い心を育み、
孤独を愛する筈の闇精に寂寥感を理解させるまでになった。
彼女が居ないと、とても寂しい。
永遠を謳う癖、全てに終わりが来るとは知っている。
けれども、彼女と重ねるときを、永久と告げた。
永久に続けば良いと、願って。
貴女が居ないと、寂しいと、言葉の裏に隠して。]
貴女が生真面目なのは今更始まった事では。
[原因を知れば、理解は出来た。
しかし、彼女を軽んじるのは幾ら愛妻とて見逃し難い。
ずっと己にも告げず、独り悶々と抱えていたのだろう。少し妬ける。]
―――けれど、イングリッド。
誰でも良かったなどと、言わないで下さい。
私の心を満たすものなど、幾らも居ると買被らずに。
貴女の魅力を語ることは出来ますが、きっとそれでは意味がない。
同じ条件を満たす誰かで良い訳ではないのです。
[言葉が足りない、と紡ぐ端から不足を覚える。
彼女には理解して貰わねばならぬ、たとえ永い時を賭しても。]
[茫洋と虚に沈む意識。穏やかに紡がれる声が過ぎていく。
不意に触れられる度、身を竦ませる程に敏く感じた掌が、
何処に触れたのかさえ。
それでも焦がれる身は、自覚の伴わない熱を薄ら掌に滲ませ]
―――……いま。何を、言ったの?
[鼓膜を揺する心地好い音として、声を拾っていた耳が、
漸く意味を聞き咎める]
いつか――…?
[呆然と呟く。物の道理も、摂理さえも弁えなかった幼い日。
長き時、重ねた短き邂逅に、育んだ温み。
自身だけに密かに聞かせ、しんと降り積もらせた想い]
私は貴女が良いのです、イングリッド。
[姿形も、御心も。こうして独り、悩み事に迷うところも。
案内します、と最初に掌差し出した時と同じように、
想いの丈込めて情感を言葉に変えた。]
[軍服と大きく変わらないがこちらのほうが洗練とされている。前のボタンが二つあるのは、乗馬のとき風が入らない作りらしい。とは受付さんより聞いたこと。
紺から黒へと色を変えて、連れ合いを待つ。
シュテルンが渡したカクテルドレスか、女性服を選んだならば、肘を横に軽く突きだし、直角に腕を胸に当てるように曲げてエスコートして城の中へと入るだろう**]
[大事なのか、と。
改めて問われると、どう答えていいのかわからなくなる。
そうでなくても、声を出すのが辛いから、言葉を返すまでには、間が空いた]
……『斎の民』の『巫女姫』の伝承、って。
知って、ます、か。
世界が穏やかなる廻りを辿る事を、陽と月に祈る、調和の要。
[掠れがちに紡ぐのは、御伽噺などでも語られる祈り子の話]
……それが、私の継ぐべきもの。
捨て去る事は、できない……大事な、務めなんです。
だから……お願い。
これ以上、揺らさないで……。
[これ以上踏み込まれてしまったら、多分、自分を抑えられないから、とは言葉にせず。
向けるのは、精一杯の懇願。*]
[己の悪辣さを知られ、仮に傍にはもう居られないと、
告げられたとしても、彼女を諦めることは出来ない。
彼女を繋ぎとめる為ならば、どんな代償を払っても良い。]
貴女の信を得られるなら、私は力の全てを失っても構わない。
[彼女が指を微かにでも閃かせ徒にに掻けば、核は容易く傷付き、
力の殆どを留めておけず、座格を下げることになるだろう。
高い矜持を持ち、膝を着くことを殊更厭う気質だが、
彼女の信を贖えるならば易いもの。
従順なだけの僕が欲しいなら、力で屈服させれば良い。
見目麗しき美姫を囲えば良い。
しかし、男は僕を持たず、屋敷の管理すら影を用いた。
―――彼女以外を傍におかず、興味も遠い。]
[彼女の抱える憂鬱を、真に癒す術は知らない。
けれど、明かして見せることは出来た。
柔らかく彼女の体躯と寄り添い、互いの合間の距離を零に還し。
互いの胸に触れ合わせる手背すら重なって、
甘く霧を瞬きで食み、鼻梁へと捺す接吻。
口角にも口唇は遠征し、そのまま頬を摺り寄せる。
触れ合う場所から生まれる温もりは、彼女だけが知っている。**]
― 回想・再会 ―
港を取られた以上、城を捨て奥へと下がるべきだ。
敵が追って来なければ、こちらの軍備が揃うまでそれでもいい。
敵の追撃が来たなら、地形的にこちらに分がある。
このまま一時撤退を……
[という進言は、にべもなく却下される。
英雄ではあるがいち軍人でしかない身の上では、自分より位の高い司令官の命令を覆す事は出来ない。
英雄と言う旗頭がいれば、奇襲戦の士気も上がると言われ、唇を噛んだ。返す言葉もなかった。
司令官の何人もが、シュテルンが作られた英雄であることを知っている。
利用される事は構わないが、便利の過ぎる駒として使われる事には憤りもあった。]
(どうしても仕方がない、負けられない戦いでなら無茶もするし、それでもいい。
でも、回避できる戦いに、都合よく駆り出されて、
そうやって何人兵が……「シュテルン」が死んだと思ってるんだ。)
[言葉にならぬ思いを、拳を握りしめて耐える。]
[そして予想通り、奇襲は奇襲により失敗に終わる。
むしろ予想出来ていたからこそ、一部の兵らに先んじて撤退の指示を出せた事は、不幸中の幸いだった。
司令官を庇い敵と切り結び、殿を務め後方から声を上げ味方の背を押しつつ自らも撤退するが、敵の先兵に食いつかれ、馬を落とされ引きずり落とされた。
体を強く打ち、身動きが取れない所に剣を突き立てられる。
転がり避け、傷は掠るに留めたが、何度も、そして何人もから剣を突き立てられると傷は増えて全身に痛みを訴える。
暫く嬲られた後に、ようやく上からの命令で攻撃の手は止まった。
秘密の露呈を防ぐように、うずくまり身を縮め身体を庇う。
胸中にはあの時の約束が思い出される。
敗北に苦い想いを抱きながら、同時にあの約束がある限り、何故だか殺される事が無い気がして恐怖は薄かった。]
………。
[そして偽りの英雄は、堅牢な部屋に入れられる。
目の前には約束を交わした相手が、その約束を口にして待っていた。
諦めたように、小さな溜息ひとつつく。]
……その前に、傷の治療をしてもいいか。
[他人の前で服を脱ぐわけにはいかず、治療は必要ないと頑なに辞退した為、体のあちこちにはまだ赤い色が滲んだまま。
秘密を知る者と対峙して、存外冷静で居られたのは、傷の痛みが心の不安より優っていたのもあった。
許しがあれば上着だけ取り払い、腕と足と、体の簡単な治療だけを済ませる事になる。]
貴方――…だったら私が、どうして…、
[じわりと膚が融ける感覚が、珍しく語勢を強めた声を途切らせる。
他ならぬ彼に触れられている場所、
それが何処かを意識させる、微かな圧。
――彼の示唆する、心の在り処]
ルート……?
[告げられた言葉は、詩句めいて響く。
何時も自分を惑わせ、浮き立たせる語調が、密やかな響きを孕み]
/*
う、表情間違えた……
あのね、実はね。
嫁自身の気持ちがどこまで育ってて、どこまで自覚してるのか未だ把握しきれてなかったのもあり、お待たせしちゃったの。
だから天然は危険だと…(言い訳
ごめんね旦那様…!(目逸らし)
[あんなこと、と言われ、記憶を引っ張り出されるとカッと頬が熱くなる。
一瞬言葉を詰まらせたが。]
からかってるのか?
そうでなかったとしたら…
[からかってないのなら。
本気で口づけ一歩手前までするような相手を、一体何と呼ぶのだろうかと、考え、間があく。]
……なぁ、本当は敵じゃ無いんじゃないのか?
友達だったのか?
それとも、肉親?……子弟?
[口にした関係性は、だが口づけるのに一番ふさわしい物は、あえて避けて並べられていた。]
[自分の性別に自信が無い。というよりは、何故だか知る事に抵抗があった。
自分は忘れてしまった性別を、敵とはいえ知りあいであるあの男は知っているはずで、迷わずドレスを渡したということはつまり……。]
……………。
[言葉に詰まる。
だがどちらにせよ、着替える必要があり、その過程で自分の身体を直視しなければならないのだと。
諦めたというよりは半ば自棄になりながら、着替えの出来る場所までいくと軍服を脱いだ。
身体を、見下ろす。]
[問いの答えが返るまで、ただひたすら待ち続ける。
魔の力を借りてではあるが、こうして触れることが出来たのに。
触れているこの時間が酷く、辛い]
『斎の民』…?
[見開く瞳は知るが故の驚き。
示されたのは世の中の平和の象徴、乱してはならないもの]
アデルが…? 嘘だろ…?
[衝撃に声が震える。
里を出ないため大っぴらにはされていないが、『斎の民』の『巫女姫』は組織の中でも最重要の護衛対象だ。
そう言う存在が居ることは知っていても、アデルがそうとは聞かされていなかったレトは驚きと共に怒りを覚える]
[揺らさないでと願う声。
沸き立つ感情はその声に大きく揺さぶられ、レトの中で昏い感情へと変化した。
顔から表情が抜け落ちたレトは、身体を傾け、アデルを仰向けにする形で床へと下ろす。
その上に覆いかぶさるように腕と膝を床に付いた]
……だったら、いっそ───
[真上からアデルを覗き込む紅い目が怪しく光る。
思う通りに行かないなら力尽くで。
獣の本能は昏い感情に呼応し、直接的な手段を選択。
乱す意思を乗せた唇がアデルの首筋へと迫った]
[しかし、あと少しで触れる距離まで近付いた時、レトの動きが止まる]
───っ、………
[瞳がきつく閉じられ、何かに耐えるような表情。
喘ぐように唇が動いて、絞り出すような声が零れ落ちた]
── だ、 め だ ……それ だ けは ──
[獣の本能と想いが鬩ぎ合う。
力の拮抗を見せる身体は震え、やがてバランスを崩してアデルの横へと崩れ落ちた]
…護り手 が……散 らす、わけ に は…
[呻くように出た声は、獣の本能に打ち勝った想い。
呟いた後、レトの意識は一度闇へと落ちた]
[獣化した原因であるカクテルは結局は酒。
抜ければ効果も消え、レトも元通りに戻る。
目覚める頃には耳尻尾は無くなり、副作用の頭痛に悩まされることになるだろう**]
/*
1時間かかってた……orz
状況は深夜脳で問題無い(←)が、やっぱり頭の回転率が落ちるな…。
くろねこさんホントにすまぬと。
…………
[腕の中に収まる彼の言葉を聞けば「そんな狭量な神やめて私のもとに来ませんか?」なんて思いを。腕の中の存在のみじろぎひとつも愛おしくて、抱く力を強めたくもなるのだけど――…。
それさえ許さぬ神のもとに居たものが、自身を神としてみてくれるのだろうかと不安も抱いてしまったのだ。
壊さぬように、でも放りだしてしまわぬように――…そこには「誰にも渡さぬように」という独占欲も生まれているのだが、今の金貨は自覚していない]
人のよう、ですか…
[そう言われても嫌な気はしない。
誤り、倒れ、それでも幸福を求め続ける子らの姿は、持たぬもの故のあがきは美しいとさえ思う。]
本当に人間だったらどうします?
[ふと、湧きだした悪戯心に従って、彼の首筋から頬を撫でつつ面をあげさせ、目線を合わせて笑いかける。
冗談かと問われれば「さあ、どうでしょう?」と、笑顔ではぐらかすだろう金貨に、彼はどのような答えをくれるだろうか]
…………
[ついに何を司るかと問われてしまった。
このまま、なあなあのままで居たかったのだけれど、腕の中の愛し子はそれを許してくれそうもない。
他者の財を侵したわけでもないのに、幻滅されるのではと恐れを抱いていた者が、自身を受け入れてくれるとは思い難く――…
それでも金貨は神故に、人の言葉に応えぬ気にはなれなかったので、せめてもの抵抗にと、次のように言葉を紡いだ]
私の口から教える気はありません。私の象徴と本質を当ててください、見つけ出してください。
求めよ、さすれば与えられん、と言うじゃないですか
[“神を求めよ。そうすれば信仰が与えられる”といったのは、どこの世界の神だっただろうか。
「宿題ですよ?」と、愛し子に笑いかけた後、我儘の為に引き合いに出してごめんなさいと、件の神に菓子折りのひとつでも届ける予定をこっそりたてておく。]
[狼の言葉には迷うように時間をおいた後、僅かに俯く。]
そう…ではあるけど。
でも少し、違う気もする… はっきりとは言えないけど。
[両の手が伸びると少しくすぐったい、と。]
あなたが、人だったら。ですか?
[促され、顔を上げれば視線が合う。頬に触れる手のひらも、触れている体も彼の笑みも温かで。先程まで自分の中に溢れていた心細さが溶ける]
…あなたが、人であっても。それでも、わたしには、ただひとりの神なのでしょうね。
だって、わたしは、こんなに温かくて共にいて心穏やかになれるひとを知りません。
――あなたは、わたしが知る誰よりも、優しくて…だから。我侭を、許して下さいますか?今しばらく、このままで…
[そろ、と。力はいれないまま、両腕を彼の背中に回す。やっぱり彼の背中も温かくて、神ではなければ自分ひとりの神でいてくれるのか。それとも神であってくれれば共にいられるのか。どちらが自分にとって良いのかをしばし考えた]
え。
[聞いた時に、微かに彼の眉間に皺が寄った気がして。気を悪くさせたかと少しだけ心配になったけれど、返ってきた答えは予想外のもの。けれど、彼が望むのであれば。]
…はい。たくさん考えて…あなたを、見つけ、られるように。頑張ります。
[未だ抱きついたままの近い視線。緩やかに笑む。
日の光かいや他の兄弟神が物質なのだから彼もまた物質を司る神な筈、と近いままに色々と想像してみる。彼のことで頭をいっぱいにして。多分
ふと]
……?
[求めれば、何を与えられるんだろう?なんて疑問に、少しだけ首を傾げた*]
?
[曖昧は返答は狼には伝わらない。
傷の残る柔らかい頬を、好奇に任せてむにりと揉んで
そうしている間に、掌の光は消え、
ついでに尖った狼の耳に黒い蝶がちょんと降りた]
― 回想・再会 ―
[奇襲に奇襲を返されながらも指揮と奮戦に、賛辞を送らない。
不運だったという言葉以上に先の戦いで向ける言葉は持ち合わせていなかった]
…気をまわしていなかった。
[奪いとった城の統治に捕虜の管理。残党狩り、領民の統治。
今回この地方の司令官として赴いた...には仕事は多く、彼女を個室にわけいれるというところ以上の気をまわす余裕がなかったという否を認め、外に控える兵に医療道具をもってくるように指示し、それを受け取ると渡し、上着だけとり簡易治療を行うのを見守るが]
まだ、あるだろう。脱げ。
[下卑た気持ちからの言葉ではなく、無数の傷は、腕や足だけではない。一人でするには苦労する箇所もあるからやってやる。と。――負傷したままでいるぐらいが捕虜の扱いとしては楽だというのにまたおかしなことを自分は言っている。
シュテルンが軽々しい真似をすれば、捕虜の命はない。だから問題はない。と自分に言い訳をした]
……お前は、こうした治療も自分一人で今までしていたのか?
[拒否をするならばそれ以上はどうもしない。ただふと浮かんだ疑問が口をついて出た*]
[顔を赤くしながらも、思案する様子に目尻を跳ねあげながらも思案の邪魔をしなかったが]
いいや、私は、シュテルン・ダルスバーレイの敵だ。立場上はな。
[剣を持ち、戦地に立つのが「シュテルン・ダルスバーレイ」彼女が演じていた役割にとっては、敵として幾度も立った。と事実として伝える。それも最後には形骸化してはいたが]
むしろからかっているのはそちらだろう。
それともそれほどまでに鈍いのか?
[あえて避けるようにして述べなかった言葉を読み取り、声に僅かに苛立ちがこもる。
思い出さないほうがいい。思い出してもらいたい。相反する想いは二の句を告げるのに戸惑いを抱いていていたが、けれど離したくないという想いが強くなっていく。
もういないと思っていた人だからこそ、生きているという誓いを守っていた人に、今度は自分が守る番ではないかと]
[ブレザーをとり、カクテルドレスを渡したとき、そっと耳打ちするように顔を近づけ]
私は、お前の、帰る場所だ。
[そう伝え、仮装のため着替える場所へと向かった]
最初に煽ったのは僕だし。
そこは、同じスタートラインにならないのかな。
[しおらしく、目の前で金髪の可愛い女の子が、こちらを見てくれば、
これに嫌な顔をする男はいないだろう。
いや、だからこそ、我慢、などと思うわけだけど。]
そうだな。
お前は、男として、戻らないといけないだろうし。
なら、そこは理性?が必要だな。
[フレデリクの言葉は、自分にも言い聞かせるものであるのはたしか。
少し、軽く行動しすぎた、と目をそらして、
撫でる手も放す。]
お前、女の子に生まれてたら、
ああ、もう、速攻魔族の嫁か。そうか。
[ぽつり呟いてみたり。
そして、宴へと向かっただろう。]
と、随分積極的ですね。
マイハズバンド…。
[口づけを受け、うっすら目を開く。
フレデリクが離せば、それは優雅に笑んだ。]
――……やっぱり、
君は、私の思う存在ですね。
非常に強い、
[その手を掴み、上半身、起き上がる。**]
― 魔王城 入り口付近 ―
[文句>>192を受け付けることなく着替えをして戻ることしばらく。
躊躇いながら重い足取りで戻ってくるドレス姿となって戻ってきたシュテルンを見つめる]
いくぞ。
[しばらくの沈黙の後、先を促す言葉を投げながら傍によって手を取り、エスコートしていった]
似合っている。
[このような姿をしているのは初で、つい見惚れてしまい、感想を述べる言葉も覚束ない思考であるため、ただ短い賛辞のみ伝えた]
― 魔王城・大広間 ―
[外からでも賑やかで喧しかったが、中に入れば余計に音が響く。
人が倒れている>>184という騒ぎも気にしないような宴だ。鎖に繋がれ見世物のようにされているもの、笑顔の内側に謀の香り漂わせるもの。
豪奢であり雑多であり退廃的ながら一つのまとまりと見えるのは、欲という形がそうさせるのだろうか
それを取りまとめるのが黒と金に装った半人半獅子であるこの城の主>>141
特別な呼び立てなどない現状、本当にただ宴を開いているだけなのだろうか。傍らのシュテルンに何か変わったことでも気づいたか確認するように視線を向けた**]
[淡い緑は伏したままだったから、表情見えないけれど。
震え帯びた声が紡ぐ言葉から、今の告白で己が務め、その意味が伝わった事はわかった。
直後の怒りがどこに向いたのかは、わからなかったが]
……嘘や冗談で、言えることじゃ、ないでしょう……?
[ぽつり、と小さくそう紡いで。
幾度目かの懇願を続けようとするけれど、それは言葉にならなかった]
……え!?
[唐突に、視界が変わる。
背が床に触れる感触と共に、視界に入って来たのは天井と──昏いものを感じさせる、紅]
だ……だめ……レトさん、やめてっ……!
[いくら色恋沙汰から遠ざけられていたとはいえ、この状況が意味するものくらいはわかる。
とっさに口を突いたのは、拒絶──ではなく、懇願]
[触れる直前に止まる動き。
聞こえた声に、状況に対するものとは違う震えが微かに走る]
……あ……。
[すぐ横に崩れ落ちたレトが、意識落とす前に零した声は、距離の近さもあって、はっきりと聞こえて。
それに、困惑を重ねながらも身体を起こして、その場に座り込み]
……ばか。
[今の状態では届かないだろう、と。
わかっていても、その言葉は、口をついていた]
ばか。ばかばか、大ばか。
なんで、こんな……。
[それを齎したのは魔の戯れ、とわかっているが、言わずにはおれない]
……諦めなきゃ、って思って。
なんとかそう、割り切ろうとして。
……割り切れそうだったのに、なんで、揺らすの。
……言われなければ、気付かないふりで通せたのに。
……そのまま押し込めて、殉じられたのに。
[言っている内に、視界が滲んで。
とっさに思ったのが、このままじゃいけない、という事。
滲む視界で室内を見回し、休息用にか備え付けられていたブランケットを見つけると、立ち上がり。
手にしたそれを、意識落としたレトの上にふわりとかけると、視界滲ませるものをぐ、と拭って個室から飛び出していた。
一人で行動する危険性はわかっていても。
乱れた意識のまま、ここにいる、という選択肢は選べなくて。*]
[意識を落としたためにアデルの声を聞くことは出来なかった。
泣かせたと知れば酷く狼狽えただろう。
それすらも知ることは出来ず、力尽くで魔の力を振り払った反動でしばらくの間は動けない]
[かけられたブランケットの下。
酒が抜け始めると、ふんわりとした金の尾はその形を縮めて。
金の耳もまた宙に溶けるように掻き消えていく。
後に残るのは魔の影響を受けていた時の記憶と、副作用による酷い頭痛]
っ つぅ……!
[目覚めたのはアデルが部屋を出てからだいぶ経ってからのこと。
意識が覚醒し始めた途端、強く殴られたような頭痛がレトを襲った]
〜〜〜ったま痛ってぇ……
[ゆっくりと上体を起こし、響く頭を手で押さえる。
大きな頭痛の波が去るのを耐えて待った後、静か過ぎる部屋を見回した]
………アデ ル ?
[名を呼ぶも返る声は無く、気配もしない。
自分がしたことを思えば、深く、長い息を吐いた]
…怒らせた、かな……。
[よもや泣かせたとまでは推測出来ない。
アデルが男装していた理由も聞いていたのに、獣の本能はそれを破ろうとした。
それを打ち破ることは出来たが、自分の行動はアデルに衝撃を与えただろう]
……全部出しちまうとか、……
[想いや感情、自分が気付いていなかったものまで引き出されてしまった。
それに対する照れなどは無く、気まずさがレトの心に沸き起こる]
…まぁ、時間の問題だったろうけど。
[実際に離れなければならない時が来たら、行くなと引き止めていただろうから。
抑え切れずに出してしまったものに対する後悔はほとんど無かった]
っっ……
…探さ、ねぇと。
[頭痛はしばらく癒えそうに無い。
それでも、アデルを一人には出来ないから。
かけられていたブランケットを投げ置いて、ふらつく足取りで部屋を出た*]
― 魔王城・廊下 ―
[アデルが離れてからだいぶ時が過ぎた頃。
レトもまた籠もっていた個室から廊下へと出てくる。
個室に入る前についていた耳と尾は掻き消え、床を踏む足はふらついていた]
大広間戻った、か……?
…でも、…。
[顔色が悪いのは身を襲う頭痛のせい。
怪しげなカクテルを飲まされた後の副作用だった]
[少しでも頭痛が緩和出来れば、と首を絞める蝶ネクタイに指を差し込んで緩める]
……ダメだ、先ずは、水…。
[余りに頭痛が酷いため、アデルを探す前に水を求めて大広間へと*]
― 回想・再会 ―
[負けて虜囚の身の上で、賛辞など聞きたいはずもなく。
故に不運だとただそれだけの事実は、怒りも悲しみも招かずある意味で最前手だった。]
別にいい。
[そも事情があるとはいえ、治療を跳ねつけたのはこちらの方。
こうして事実を秘匿され、医療道具を手渡されるという待遇は、優遇されすぎていてむしろ少し気味が悪い。
警戒だけは怠らず、痛みの残る中けがの治療を終えたと告げるも、脱げと言われて顔をしかめた。まぁ当たり前である。
1秒ほどの逡巡の後、化膿した時の事を思ったり、性別が知られている事、そもそも一回は全部見られている事など思い出しぐっと顔を赤くしながらも、大人しく上着を脱いで、前に抱えるようにして背を丸めて見せた。
いくつもの、新しい傷から古い傷までが背中に刻まれている。
決して綺麗な肌とは言えないそれは、最後に生き残った英雄の、英雄たる証だった。]
ぅ…
[傷口に消毒を重ねられると、小さく呻く。
痛みに熱を覚えて、抱えた服を抱きしめて耐えた。]
……いまはそうだ。
[治療の事を問われれば、少しの間の後肯定を返す。]
昔は、治療してくれる人がいた。
今はもういない。
[ぽつと語りながら、治療の手が止まるまではその姿勢のまま*]
/*
予想外…!?>嫁メモ
割と一択だったのだけれど、
もっと焦らした方が良かった……のか?
(スイッチレバーぐいぐい戻してる)
[庭に抜け、吹き抜ける風に小さく息を吐く。
風の感触に頭が少し冷えて、諸々、挙動は落ち着くけれど]
…………。
[内側のざめついたものは、早々簡単には鎮まってくれそうになく。
幾度目か、小さく息を吐いた]
[他のとの交わりを禁じられているとはいえ。
過去に里を離れた『斎の民』いなかったわけではないし、外からの血が入った事がない、という事もない。
けれど、それは重責負わぬ民の話。
『巫女姫』がそれを為す、などと、前代未聞もいい所で]
…………できるわけない。
[そう、思ってはみても。
それを選びたい意識の方が、今は自分の中では強くて]
……私、一人にかかる事じゃないんだ、から。
[そう、考えて押さえつけようとすればするほど、気持ちはそちらへと向かってしまって]
……私。
どうすれば、いいんでしょうか……御師様。
[小さく紡ぐのは、ここにはいない魔導の師への問い。
本来なら、彼の人から伝えられるのは魔力を制する術の身だった。
けれど、師はそれだけではよしとせず、様々なものを教えてくれた。
里にいたままでは、決して得られぬもの。
知識や経験という、掛け替えのないもの。
修行を終えた後、帰るかどうかで思い悩む自分に、旅をする、という選択肢を示してくれたのも彼の人で]
[『どうしていいかわからなくなったら、まず、自分がどうしたいかを見つけてごらん』
何かに悩んでいると、先へと促してくれた声がふと蘇る]
……私が、どうしたいか……。
[『一番大事な事は、それ。
それを見失わなければ、正しい途は選べるよ』]
……私……。
[赦されるなら、選びたい選択肢は、はっきりしている──見えてしまっている、けれど。
そこに手を伸ばすには、不安が大きすぎて。
庭の一画、木蔭に佇み、小さく息を吐いた。*]
貴女の杞憂に覚悟を決めず、
私を恐がらないでください。イングリッド。
[別離の後を、飽いた後を、考える彼女。
妻のこの問いは、きっと最初の一歩なのだろう。
悲観にくれるだけなら、態々言葉に変えずとも良い筈だ。
彼女から寄せられた心の距離に、微笑を浮かべ、
エスコートするように紡ぐ言の葉。]
[水を2・3杯飲んで頭痛を少し緩和出来た頃。
再び怪しげなカクテルを持って近付いてくる者が居た。
それはさっき喉に流し込んでくれた、件の魔物]
……………
[酔っ払ったままの魔物が良い笑顔をする。
それを見てレトも良い笑顔を返した]
[そして]
[鳴り響く、重く鈍い衝撃音。
魔物の身体が人混みに向かって吹き飛んで行った]
ざけんなクソ野郎!
[鬼神の如き表情で吹き飛んで行った魔物に怒鳴る。
無理矢理飲ませたことと、それが原因で齎された出来事に対する怒りを拳で魔物にぶちまけた。
魔物の顔が拳の形に減り込んでいる]
…うし、すっきりした。
[頭痛も緩和し、怒りも少しは収まった。
ここにアデルは居ないと判断して、レトは大広間を出て行く。
こんな騒ぎを起こしても、周囲は自分達の欲に忠実。
ほとんど気にした様子も無く、宴は賑やかに続けられた*]
[お互いの核に近づく掌が、心の位置を示唆。
彼女が漏らした硬い言葉の先を促して、双眸は撓み。
もっと、傍へ。
彼女の心を招き、己の心も近付けたがる。
欲しいのはいつだって、理由ではなく。
――――
[冴えた威風を纏い、我が身を夜気に曝された灯火よりも脆弱に感じさせる、確かな存在。
今の彼を成し、命の形を保たせる拠り所]
――……、
[何処か静謐さえ湛えた微笑が、真情を明かす]
/*
結局キズナメしただけに留まりましたね……
書庫に来たのはSNSでちらっと言った本ネタに
食いついたのかと思ったけど
そうでもなかったんかな。
なら魔王城でも、と思ったけど
ここで二人の時間を持てたことは後の絆的にプラスになるはず
*/
[夫の見せた、微かな逡巡。
不意に訪れた沈黙が、身を添わす夫婦の狭間を埋め尽くす>>158
――無音の内に巡らせる言葉が、徐々に意味を結び始めた頃]
― 記憶の書庫 ―
[ひらりと舞い降りた黒い蝶は、
狼の耳の先で自己アピールに余念がないが
いかんせん狼自身は耳の違和感以上の事は気付いてない。
ふるる、と耳を震わせるだけだ]
[もっと言うと翅に明滅するメッセージも
字が読めない狼に意味が読めるはずもないので
魔王の宴の招待に気付けるかどうかは完全に
獲物の一存に懸かっていたりする。]
ルート――…?
[確かめようと開いた唇が、小さく息を呑む。
飾らぬ吐露は、日々浴した美辞にも劣らず雄弁に響き]
― 魔王城・庭 ―
[大広間の騒動など、知る由もなく。
そこから離れた場所で一人、物思いに沈む]
……いつまでも、こうしている訳にはいかない、ですけど。
[なんというか、動き難い。
大広間に戻るのも、さっきの場所に戻るのも、どうにも選びがたくて]
……でも。
戻らないと、かな。
[そんな呟き一つ、もらして。
先に潜った扉を見やって、佇んでいる木陰からようやく身を離したが]
…………。
[結局、一歩は踏み出せぬまま。
ポケットに潜めたアミュレットを軽く、握りしめるけれれど、やはり、それ以上の動きは取れない。*]
/*
なんとか自発的に動かないかと色々思案してみましたが、ダメでした(滅
このタイプは、一回ループ入ると、ほんとに固まるなあ……。
― 魔王城・大広間 ―
[現れた魔王に気を取られていると、側を通ったウェイターにグラスを押し付けられた。
どこからか魔王様に乾杯の声が上がり、さざ波のように周囲を包む。]
……乾杯。
[形ばかり唱和して、渡されたグラスの中身に口をつける。
乳白色の液体は柔らかく甘く、喉を滑り落ちる。
ふ、と視界が揺れ、思考に網が掛かり、
いけない、と思った時には意識が遠くなっていた。]
[手にしたグラスが滑り落ち、足元で甲高い音を立てる。
ふらり、とよろめくように足が前へ進んだ。]
わたし、は …
[熱に浮かされた声が零れ、焦点を失った瞳が強大な魔に吸い寄せられる。]
あのお方に、お仕えして 、
そのために ここへ …
[ふらりふらりと、魔王の側へ近づこうとする。]
― 魔王城・廊下 ―
[アデルの姿を探し城内を歩き回る。
一度歩き回ったことがあるとは言え、広い城の中を探し回るのは骨だ。
何か方法は無いかと考えて、着替えてもつけたままだったチョーカーに触れる]
…………
[しばし思案するも触れるだけに留まり、何も握らぬ手を身体の横へと戻した]
アデル…。
[アデルの魔力を辿れないのが歯痒い。
しかし出来ぬものを嘆いている暇も無いため、レトは直ぐに捜索を再開した]
[歩き回る最中、数少ない窓から外を見る。
視界に広がる庭にある木の下に、黒い染みのようなものが一つ]
………!
[それを認識すると、レトは急いで外へと向かった*]
[軽い咳払いが、静寂を乱す>>159
夫の胸を押し包む掌、絡まる指の感触を、
一瞬にして強く意識する。
涼しげな夫をよそに、見上げる目許が、じわりと熱に染まっていく]
/*
そう言えば、姓のレナトゥスは生まれ変わり、再生を意味します。
ルートの本質であり、嫁によりルートヴィヒになったとかそう言う感じで。
あと、同じ固有名詞を持つ司教さんの祝日が12/12でしてね。
俗っぽいので此方は出さないですが、ダズンローズデーです。
12の意味を全て捧げてとか、そう言う気概。
― 魔王城・庭 ―
[ポケットに入れていた手を出して、ふる、と首を横に振る。
想定外すぎる状況に、いつもの思考が戻らない]
……このまま、一人で居続けるわけには、いかない、し。
[それでもどうにか、そんな風に意識を強引に切り替えて。
歩き出そうとするのと、誰かが近づいてくるのに気づいたのは、ほぼ同時]
……っ……。
[半ば条件反射で身を翻す。
木と木の間、奥の方へ。
もっとも、追いつくのは容易い事だろうけれど。*]
― 魔王城・大広間 ―
[ぞわり。足元から這い上る悪寒は魔王の出現と無関係ではないだろうが、より直接的な原因は兄弟の変容によるものだった。
彼の双眸にさすのは、彼が飲んだとおぼしきグラスの中身と同じ霧の色。
砕けたガラスの破片にも構わず歩き出そうとする彼の身体を、とっさに引っこ抜くように背後から抱きかかえる。]
いけない、
[片手で五骨の堅い扇を一挙止に開き、魔王を見つめる彼の視線を遮って、その場を離れんと試みた。
どこか落ち着ける小部屋はあるだろうか。]
[誰でも良いのではない、己を望むのだと重ねられる言葉。
その信頼と、強大な力を引き換えても構わないと言い放つ声。
長らく去来した恐れと疑念が次第に形を変え、ゆっくりと色づく]
――…っ、待って、ルート、
[晴れた靄の代わりに、熱に白み、重ねた日々が色鮮やかに巡る頭が、
彼の言葉、表情一つとて取り零したくないと訴える]
……放して、くだ、さい。
わた、し……。
[淡い緑を彷徨わせたまま、掠れた声で訴える。
一度は抑えたのに、また、視界が滲みそうになっていた。*]
[僅かの距離も許さず、柔らかく迫る身体>>191
重なる瞬間に、安堵と緊張が一時に湧き上がる]
ルート…、
[待ち望んだ口接は鼻梁に降り、焦れる唇で小さくねだる。
そっと近づき、僅か逸れた感触に甘く嘆息し]
[白霧に覆い隠された視界。緩く閉ざして、触れ合う温みにただ耽る*]
[どうしよう、どうすれば、と惑う所に落ちた問いかけ。
いっそ、肯定してしまえばいいのだろう、と。
そんな風に思ったのは── 一瞬の事]
…………ばか。
[そこから数拍間を置いて、零れ落ちたのは、こんな言葉]
……なんで、そうやって。
答えにくいこと、ばっかり、聞くの。
そんな簡単に、嫌えるなら。
こんなに、苦しくなる前に、そうして、る。
[早口に言い募る声は震えて。
視界が滲んでいるのがわかったから、顔は上げられなかった。*]
[己らしからぬ、と一度瞼を下ろし、黙するで応じ。
互いの存在を近しい場所で感じあい>>206
彼女の頬を染める顔は、何処か真新しく思えた。>>213
彼女の中に響く自身の真情は、偽らざる想い。]
[軽い瞬きで眼球の表面に張り付く熱を削ぎ、
制止をかけられると、僅かに息を呑む。
互いの掌中にあって心酔し、
何時でも終えられる根源を珠玉如く重んじる。
独占の為に刈取るのではなく、寄り添うように、
瞼を下ろす彼女に顎を引き。>>220
甘い吐息に誘われて、桜色の唇に接吻を乗せた。
緩やかに食み、微かに吸い付く水音が小さく共鳴。]
―――イングリッド、
[今この時は、きっと。核より、心が近い。
深い場所に拡がる充足が、彼女の指先にも僥倖を伝えた。*]
― 魔王城・大広間 ―
あ、… いや、はなして
[視界を遮られ、後ろから抱きかかえられて藻掻く。
どうにか魔王に近づこうと手足を振り回す。
しかし動きは緩慢で、容易に押さえこめるだろう。]
あ、 あ、 やだ ぁ …
[切ない声を上げながら、引き離されていく。]
…… 私で遊んでる?
[頬をむにりと揉まれ、小さく抗議の声をあげた。
狼の耳にひらりととまる蝶には、あらと目を丸くして。]
だって…、無理よ。――こんなに、
[優しく導く声に、自らも誘われる。
肩に縋って爪立ち、微笑む唇を一度掠め、押し塞ぐ]
――…こんなに、欲しいのは。
[…怖い。と重ねるキスの隙間に紡ぐ告白。
何処か甘えた響きに恥じ入り、触れ合う唇を柔く食む]
む
遊んでない
……寂しい、の顔を初めて見たからだ
[抗議し返して、少し手を緩める]
痛いのか
[全身の傷に、舌を這わせれば痛みを見せた表情を思い]
俺の目は痛くなくなった
おまえはならないのか
[不思議に思って、そして離した]
…… 魔王城で宴を開催する、 だって。
[蝶の翅に浮かぶ文字は小さく、目を細めながら文字を読み上げた。]
趣味悪そう。
[正直な一言。]
[問いかけた後、しばし沈黙が落ちる。
腕を緩めずに待ち続け。
最初に返ったのは肯定でも否定でもない言葉だった]
…そ、か。
[続けられた早口に、苦笑い交じりの言葉が出る。
嫌われていないのは嬉しいが、それはこの事態の解決ではなくて]
……困らせて。
苦しませて、ごめん。
でも、言ったことは全部、ホントだから。
[自分の言動がアデルを苦しませているのは解っている。
だからと言って自分を偽ることは出来ず、告げた言葉の撤回はしない]
………アデルの務めのことだけどさ。
それって、里の外では出来ないことなのか?
[祭祀について詳しくは無いから、当事者であるアデルに仔細を聞く*]
― 魔王城・大広間 ―
[彼が己の腕を拒んで身を捩る。
耳に刺さるその声。
少しでも早くその場を離れたくて、彼を引きずり、大広間から抜け出した。
周囲からどう見えるかなど気にしてはいられない。]
そう?ごめんごめん。
擦り傷だらけだから、ヒリヒリとはするけど…
[あちらこちら、舐められた傷を見遣り。
狼の疑問を聞けば、あぁと顔をあげた。]
自分の傷は治せないの。
[情けないけど、と頬の傷に手をあてた。]
― 魔王城・個室 ―
[枝分かれした細い脇廊下は、豪奢な飾り物からして使用人のためのものではなく、揺らめく影を映す紗幕の内側からはくぐもった呻きが洩れる。
まさか懺悔部屋ではあるまいが、この際、他所の事情は問わないことにして、彼を開いている小部屋へと連れ込んだ。]
― 魔王城・個室 ―
[背をさすろうにも暴れるので、部屋の中央に鎮座している大きなベッドへと彼を押し込むと、狩衣の袖括りの緒を引き出して彼の両手首を縛り、ベッドの頭飾りへと固定してしまう。]
魔王に近づこうとしての演技ならそう言ってくれ。
わたしには、おまえが何か悪いものを飲まされたように見えている──
……謝る、くらいなら、言わないで、くれれば、よかったの、に。
[ごめん、という言葉に零れたのはどこか拗ねたような響きの声。
ホントだから、と続けられると、僅かに息を詰めた後]
…………ばか。
[ぽつり、小さくそう紡ぎ。
続けられた問いに数度瞬き、滲んだ視界を少しだけ、はっきりさせた]
……私の、務め。
里の外……で?
[問われた事は、今まで考えもしなかったもの]
…………わから、ない。
前例のない事、だし。
代々の『巫女姫』は、皆、聖域に入ったらそれきり、だったから。
[少しだけ、視線を上げて、小さく答える。
淡い緑には、今問われた事に戸惑ういろが微かに揺れていた。*]
[触れ合わせて掠める唇から漏らす呼気に喜色が混ざり。
彼女からも与えられる口付けが心地良い。
尖らせて還す唇は密やか。
怖いと告げる声の色が先までとは違う。
彼女の知らぬ行く先まで示し、共にと導く男。]
[濃霧に包まれる場所で、妻の中に蟠る靄を晴らし、
明かした心中を見せるような一時。
周囲を閃く蝶は、仲睦まじさを見て取り翅で霧を掻き浮遊。]
―――…私は貴女もの。
この世界で、ただ一つ帰る場所。
イングリッド、恐れても構いません。
けれど、―――…信じてください。
[肩書きでなく、いつか魂寄り添う連理の枝を掴むため。*]
……そうか
[自分の傷が治せるなら、敢えて殺さない程度にする、
などと言う物騒極まりない事を考えた訳では
ちょっとあるけど]
情けない?
[これも意味不明そうに首を傾げたが]
分からないけど
俺は治った
[また頬の傷をひと舐めして、頷いた]
おまえが治した
/*
旦那様のひとが、基本出会い頭から攻め落としオーラ全開なので。
お相手頂いてる時は、もれなくこちらがツンデレたりツンギレたり罵倒してみたり→エピ入り直前ぎりっぎりに漸く成立していた訳なのだけど。
たまにはこちらもデレ成分多めにするとどうなるかしら、という試みの結果、案の定というか予想以上に、激甘の番型ペアに……
あと、天然でベッタベタなことをやらかす誘い受けを敢えて試みたのも、あれでそれだったわね…
[趣味が悪そう、と聞いて、少し考える]
魔王は余興をするのが好きだ
…………気に入らないやつは帰さない は、
あるかも 知れない
[頭を振る。
伝令の役を果たした黒蝶が耳を離れて、
漂うように二人の頭上に飛ぶのを目で追っている]
そうなの…
[性悪だと思うが、そもぞも魔王であるならばそんなものなのかもしれない。]
……
[しかし目の前の狼に喰われると堂々と宣言されていればどうせ帰れないのだろうという思いもあり。]
― 魔王城・個室 ―
[大広間を出てからもどうにか戻ろうと手足をばたつかせる。
それでも抗いきれずに廊下を引きずられていった。
周囲のことなど目には入っていない。
その瞳は靄に覆われたまま。]
― 魔王城・個室 ―
[部屋に連れ込まれ、ベッドに押し倒され、両手を括られて、ようやく暴れるのをやめて彼を見上げる。
潤んだ目の端には涙まで浮かんでいた。]
わたしがおつかえするのは、あのおかたただひとり…
離して、ください…
[肩を揺らして懇願する。]
[拗ねる声に返すのは小さく笑う気配。
それにも僅かに苦いものが滲んでいた。
今回は魔による影響だったけれど、その時が来ればレトに言わない選択肢はない。
単に時期が早まっただけとも言えた]
[繰り返される呟きにも苦く笑う気配が落ちる]
ん、里の外で。
そうすれば、務めをしながらアデルのやりたいこと出来るだろ?
[戻りたくなくても戻らなきゃいけないと、そう聞いたから。
それを解消出来ないかと考えたこと]
そっか…。
…でもさ、前例が無いだけだろ?
試すことって、出来ねぇかな。
[上がる視線に瞳を合わせる。
淡い緑を滲ませる雫が見えて、笑みながらもレトの眉が下がった*]
……、
[頬の傷を舐められた方の目をくすぐったそうに閉じて、少しだけ身体を離した。]
そうね、私が治したんだけど。
落ちこぼれだから。
[獣だからだろうか、今の姿が人間に近い姿なだけにホディタッチが多いと落ち着かない様子。]
― 魔王城・個室 ―
[惑わされていても、彼の涙は清らかだ。
それは、彼の言動が常に他者を先んじるものであるから。]
行ってはいけない、 ── 行かせない。
[そう告げる自分の方がよほど欲深いと思うけれど。]
わたしを見るんだ、 シズ──
[指で顎をおさえつけ、仰のかせる。
開かせたその唇に、自分の唇を覆いかぶせる一方で、封印の指輪を外した。
傷口から毒を吸い出すようにはいかずとも、邪悪な術でできたものならば、この身の力で引き寄せられはしないかと。
身体を沈み込ませるように、ゆっくりと体重を移した。]
そ、それは。
確かに、そうだけ、ど。
[務めを果たしつつ、里の外で生きる。
『巫女姫』というあり方は、一生奉げ殉ずるもの、と。
ずっとそう思っていたから、そんな考えは今まで浮かんだ事はなくて]
試す……って。
でも、簡単な事じゃ、ない……!
儀式を行う時は、動けなくなったりするし、今までよりも、きっと、色々なもの、呼び寄せるだろうし……!
[だからこそ聖域に籠り、その中で力を発揮する。
それが一番安全な策だから、と。
早口で訴えながら、視線はまた少し、下がり気味になっていく。*]
― 魔王城・個室 ―
あ… く、ん……
[顎を捉えられ、動かせない視界の中を彼の顔が下りてくる。
首を振ろうにも掴む手の力は強く、否応なしに唇を塞がれた。
吐息を飲まされ温かな舌を感じて小さく呻く。
彼の身体が圧力をもって降りてくる。
抗おうにも、身体は動かない。
柔らかな寝具の中に埋め込まれ、脇腹を波打たせて喘ぐ。]
[頭がぼんやりとする。
何かがかきまぜられていく感じ。
心を覆い尽くしていたなにかが吸い取られていく。
気持ち悪い。くらくらする。
今度は精神ではなく、肉体の不調に涙が滲んだ。]
[そうして長々とした時の中で、
愛妻を満喫していた男はゆるく顔を起こして、傍に蝶を呼ぶ。
指先に闇の一片灯し、翅に書かれたメッセージへと眼を通した。
足りない
丁度、四方に巡らせたのならば、力も汲み上げ易い。]
―――イングリッド、この御招待を受けようかと思います。
位置情報が集まれば、一緒に家路を辿りましょう。
……貴女の憂鬱も聞けたことですし、
しっかりと、ゆっくりと、教えなくては。
[私がどれほど貴女に傾倒しているか。と、口にする男は、常調子。
妻にはきっと、この男の甘い言葉も、麗句も、個性と知れる。
愛することも慈しむことも本来疎い、闇精のなけなしだと。]
[緩やかに胸元から退ける掌。
自身の核を晒し、彼女の近い場所に触れていた指先が、
今度は互いの手を結んで繋ぐ。
如何なる時も、心を傍に置き。
彼女が了承したのなら、闇を拡げて経由し、
黒蝶に誘われるまま、空間を渡る算段にて。**]
[何時しか閨の外でも口に出来るようになった呼び名。
幾度も口腔で響きを確かめ]
ルート、すき――……、
[ずっと明言を避けてきた思慕が、胸の裡で繰り返すのと同じ自然さで溢れ。耳が拾った音に、遅れて自覚に至る。
小さく息を吸い、鼻梁を擦り寄せ]
ルート。――…好き。 貴方が、
[…大好き、と吐息を絡め、耳許にも注ぎ込む。
少しでも彼の奥へ、深くへ届かせようと]
……お前なぁ。
[早口の訴えに少しだけ呆れた溜息が落ちる]
何のために俺が居ると思ってんだ?
護るに決まってんだろ。
[当たり前のように言って、下がりかける視線を覗き込んだ*]
― 魔王城・個室 ―
[呻く舌の震えを感じながら、彼を惑わす魔素を吸い出す。
痺れるような感触が、次第に甘く薄れた。
これでおそらく害を及ぼすほどのものは彼の中に残っていないだろう。
強い酒の酩酊までは取り除くことはできないが──]
…シズ、 大丈夫か。 縛ったりしてすまなかった。
[手首を拘束していた緒を解く。
額に掌を当てがい、聖水の残りを勧めた。]
……ぇ。
[呆れた溜息に更に下がりかけた視線は。
当たり前のように言われた言葉に、また、上を向いた]
何のために……って。
でも、それは……。
[今の抑えている状態でも、色々とトラブルを呼び込み易いのに。
それが更に大規模になるのは間違いないのに。
そう、思っていたから、続く問いかけまでは少し、間が空いた]
……望んで、も。
本当に……いい、の?
[怖々と問う淡い緑には、期待と不安に揺れるいろ。*]
― 回想・再会 ―
[女の身であることは忘れてはいないが、それでも脱げ。といい。僅かな逡巡の後、上着を脱ぎ傷を負った背中を晒すシュテルン。
性別差はあるため体のつくりは違えど、背中にある無数の傷は数多の戦場を駆け抜けてきた歴戦の証。
傷を見分し、過去と現在の傷とを確認すると、余計なところに触れることなく傷口に消毒液をかけ治療を施していく]
そうか。…終わったぞ。
[今は、といい。もういない。という。その響きから、その相手は死んだのだろう。と察しながら、治療の終了を口にして、医療道具を片付ける。その間に着ろ。というように視線はそらしておく]
[衣擦れの音が聞こえなくなれば上着を羽織り直したと判断し、対面にある椅子に座り直す。]
…では、なぜ女性の身で男と偽って立つのか。
治療する手すら味方から受け取れぬような状態で、なぜそこまで戦うのか
話してもらおうか……なんなら食事しながらにするか?
[食事と場を解すためのものではなく単なる確認としていいながらも、改めてシュテルンへと聞いた*]
[穏やかな声音に篭もる、確かな力強さ>>229
じわりと滲む目許を拭い、耳を澄ませて]
遅れてしまったけど。 …お帰りなさい、貴方。
[抱擁の腕に背を預け、くいと喉を反らして額に口づける]
何時だって、ここに帰ってきて。約束して?
私の――…愛しい、
[求めに応じ、長らく蟠りを潜めていた胸を浚う沈黙>>229
適切な言葉が見当たらず、思いに任せ口を開き]
――…不思議。
怖がるよりも、信じる方が。
本当は、ずっと簡単だったみたい…
[洩らした本音は戸惑いを隠せず、そっと口許を覆う]
[持ち上がる視線に向けるのは笑み]
言ったろ。
仕事と関係なく護りたいって。
[魔の影響を受けていた時の言葉だが、その想いは偽りではないから]
望まれなくても傍に居るつもりだけど。
…望んでくれるなら。
何が来ようが、何が起ころうが、俺が護る。
絶対に。
[強い意思を乗せた誓いの言葉。
恐る恐るの問いかけに対して、言葉と共に抱き締める腕に力を込めた*]
落ちこぼれ、とはなんだ
[相変わらず足りない語彙を折り返して、
落ち着かなく身を離す仕草に目を細めた]
逃げるか
それでも構わない
[長く一人だった、距離の取り方など知らない。
だから落とす声音は耳元のすぐ傍だし、
短い紫髪がやっぱり気になって、その一房を梳く]
[寂しさを思い知るには孤独を伴い過ぎていて、
本来の獣としての群れる性をも欠き落として]
でも、また見つける、必ず
[けれど欲してやまない]
[のそりと立ち上がった]
行く
[そして蝶を一瞥して一言を放つ。
こちらを見上げる獲物に視線を返すと頷いて]
逃げてもいいが
おまえも来い
考えても分からない
[元よりこの狼、物事に思索を巡らせる性格ではないので、
一番手っ取り早いのは行ってみる事だとしか
結論は出せなかった。]
― →魔王城 ―
[視線の先に見えたのは笑み]
それは、聞いたけど、でも。
[心配で、と。
口ごもる所に重ねられる誓いの言葉。
言葉に宿る意思と、腕に込められる力に感じたのは、強い安堵。
それは今まで歯止めをかけていた言葉を、ごく自然に音へと変える]
…………他の、誰にも、護られたいなんて、思えない。
傍に、いて。
離れないで。
[一度解き放たれた言葉は、止める事ができなくて。
今まで言えなかった願いも一緒、零れ落ち]
……私は、あなたと、一緒に、居たい……。
[最後に紡いだのは、何より強い想いを込めた言の葉、ひとつ。
ずっと直視を避けていた、『自分がどうしたいか』の答えの言霊。*]
― 回想・再会 ―
[久しく背中に感じる、しみる感覚に耐えるように体を震わせる。
終わりの声にほっと息を落とし力を抜くと、視線は治療を施した男の方へと向けられる。
男の方は、道具を片づける為に向こうを向いている。
その間に急いで上着を着込み、元の恰好へと手早く戻る頃、男は戻って来て対面に腰かける。
座れば、約束が降りてきた。
問いに何と答えるべきか少し考えるように視線が彷徨う。
一度、食事の事を持ち出された時のみ視線を合わせて、ゆるく首を振った。
極度の緊張からか、食欲は全くわいてこない。]
[肩に頬を預けて、横から黒蝶の伝言を覗き込む。
予想に違わぬ夫の決断に、それでも僅かに眉根を寄せ>>234]
そうね、家路に着くには、もうその道しか残っていないのでしょうし…
[自らに言い聞かせつつ、同意を告げる。
予告に等しい言葉には、頭を擡げ、正面から視線を合わせ]
アムドゥスキアとの戦いに勝つために、
リリーパは英雄を求めて、作った。
ダルスバーレイ家の嫡男の名を使い、
嫡男本人の代わりに、わたしを含めて4人が
英雄になるために幼い時から訓練を施されて、
「シュテルン」として戦場にでて戦果をあげた。
傷ついた味方を救い、
難航不落と言われた城を落とし、
不可能と言われる作戦を成功させ、
そして―――生きて戻る。
この戦いに勝利するため、国と民のため、
何より、わたしたち自身の為に、
わたしは男として、「シュテルン」として戦場に立っている。
[何故戦うのか、その理由を確認するようにゆっくりと語った。
視線は男を見ずに、足元に落ちて上がらなかった*]
[零れ落ちるおとはレトの心を歓喜に振るわせる。
求め、求められ、重なる想いは互いの不安を溶かしていった]
離れない。離すもんか。
何があっても傍に居る。
[願う声を受け取り、心へと宿し、重ねる言葉を強固な誓いとする。
徐に顔をアデルへと近づけると、滲みの痕を残す目尻に軽く口付けを落とした。
もう泣かせないと言う誓いの印*]
私が、貴方の御心を解るまで。
…飽きれず、教えて下さるの?
[結ばれた指先を、くいと引き寄せ>>235
嬉しい、と戯れめかして囁く。
招待に応じる準備を阻まぬよう、縮めた距離は直ぐに戻して]
……それに、貴方にも。
もしかして――あまり、気づいていなかったの…?
貴方に求められる度、どれだけ私が嬉しかったか。
[心の奥底に沈めようと、折に触れては浮上し、疑念を唆した不安。
彼を信じ切れぬままでは不純物が混ざる気がして、口に出来なかった想いが、今は容易く溢れ出る。
告解が後に残したのは、これからも彼と重ねられる時への期待]
……どうして私が、ずっと貴方の傍にいると思っていたの。
[幼き日の率直さで、ぽつりと独りごちる]
[重ねられる言葉は、内にある安堵をより強くして。
張りつめていた何かがとける心地と共に、力が抜ける。
柔らかな感触が触れて来たのは、その直後で]
……っ。
[接触に不慣れな身は微かに竦むものの。
触れられる事は受け入れているから、今までのような過剰な反応はない。
ない、けれど。
不慣れさ故にどう反応していいか、がわからず。
とりあえず、妙に熱っぽく思える顔を隠すため、レトの胸に顔を埋めてぎゅ、と抱き着いた。*]
――――…、
[彼女は妻として己を尊重してくれたことはあったが、
聞こえてきた言葉は、役目果たす質ではなかった。
唇から溢れさせる声に、珍しくも眼を見開いて、
瞬きを一度、二度、挟み、繁々送る眼差し。
されど、刹那詰めた呼気を淡く、
細く唇より滑らせると、彼女の手を強く握った。
微かに上体を傾け、耳朶を注ぐのは彼女の口元。
注がれる一声は、また己を惹く引力と変わる。]
いつも、貴女の傍らに。
―――
[囀りあう雛なる番い。
微かずつ重ね、いつかは到る拈華微笑の間柄へ。*]
[彼女の傍に帰ってきた男は、彼女の心にまで近づいた。
お帰りなさいと囁かれた時差を持つ出迎えが、
遅れてきた分、何時もより近くから聞こえて胸に響く。>>236]
けれど、貴女に不信を抱かせるのもまた幸の内と。
光精に疑念を持たれるなど、中々如何して情熱的な。
[彼女の言葉に揶揄めく言葉を返すものの、本音に他なく。
唯々諾々と永久に不変の侭、収まり続けられるよりも、
己の胸が満たされていく。>>237]
―――…今度は迷子にさせません。
貴女を攫うは、私だけ。
[何処か不安そうな彼女に応じ、結んだ掌は、
指股に五指を通して握りこむ。>>239
されど、続く言葉には思案気に数秒。
芝居がかった仕草で足元より闇を波立たせ始め]
私は貴女の悦びを、そのまま受け取っていましたが、
私の方が、愉しんでいたかもしれませんので。
[微笑んで告げる妖しい裏を孕む語句。
小さく零された言葉に返すよう、彼女の腕を引いた。
何時も何時でも別離を許さぬ夫が、宴も酣たる魔王城へ。
トン、と空間を渡りエスコート。
その間に彼女は性質の悪い夫の横顔を視界に入れたか。
闇色の濃い場所へ、間違いもせずに辿り着けば、
睦まじい明暗を迎えるのは、早速の難題やも知れない。>>#0*]
[口付けを落としたことに対する反応を見て、レトは満足そうに笑う。
可愛いなぁ、なんて想いは抱き着くアデルを抱き締め返す力に現れた]
…と、俺も、これは言っとかねーとな。
[踏み込んで、捕まえた以上は隠し通すことは出来ない。
抱き締めていた腕を緩めて、ディーラー服のポケットに右手を差し込んだ]
魔界からの脱出についてだけど。
これ、使えねーかな。
[ポケットから握り拳を作った手を引き抜き、アデルの前へと持ち上げて。
手の甲を下にして握り込んだものを解放する。
そこにあったのは魔石のついた小さなリング]
……外と繋がってる通信具だ。
片割れは……元の世界に居る俺の上司が持ってる。
[組織のことも明かすつもりで言い、アデルにリングを差し出した*]
私が離れたいと思わなければ、それは我儘には言いませんよ?
[おそるおそる背に伸ばされた手を拒むことはせず、彼を抱く腕に力を込める。
「放したくない」と思っているとは、さすがに言葉にはできないけれど。
金貨を考え見つけたい……その言葉に浮かぶのは、見つけて欲しいような欲しくないような相反する気持ち。
「金貨が人であったとしても、自分にとってはただ一人の神である」そんな愛し子の言葉は金貨を救、い、悩ませた。
いっそこの身が人であったなら――…そんな悩みを抱く金貨の姿を兄姉らが見たらなんと言うだろう。
その本質故に距離をとろうとする弟に、特定の“誰か”ができたことを喜んでくれそうな気もするが。]
…あまり言わないで下さいな、
種の理に反している自覚は、ずっとあるの。
[隣から向けられる揶揄に、途方に暮れて呟く>>241
陽光に背を向け、闇に添う夜を重ねる程に、
理解しがたかった感情が身の内に増えていく]
迷子になったのは、あれきりよ?
正確に言えば、迷子でも誘拐でもないもの。
私が、自分で目的地に向かっていただけ。
[安心させるかのように隙間なく絡む指先>>242
声を和らげつつも、確りと夫の言を訂正する]
[闇精の本分を余さず発露する蠱惑的な微笑>>243
目を奪われ、数瞬遅れて疑問が浮かぶ]
貴方……、それは、どういう――……
[――答えは、知らない方が幸いなのではないか。
予感に問いを断ち切り、ぐっと呑み込んだ。
腕を引く力は強く、誘う手腕は巧みに。
エスコートを果たす夫の横顔を窺い、知りえなかった感情が湧く。
それは、自分の前言への――限りなく、後悔に近い感情*]
― 記憶の書庫 ―
……買うものを先に決めて置いたほうが楽かもしれません。
[腕の中の彼が落ち着いたなら、街へ行こうと誘い直して自身の荷物をまとめながら、彼と
あなたに持たせる鞄も、私のと同じ仕様>>1:16にしたいですし。
私の鞄も、もう少し広げたいですからね……
[自分はともかく、一人と二匹の食事を考えるなら……どう頑張っても容量が足りないだろうし、水の事を考えるなら水筒にも仕込みが必要になってくるだろう。
と、なれば、再度協力を頼むであろう空間の神には
ある程度回復した力で、元手の金貨を数枚生み出したなら、愛し子の準備が終わるのを待って、塔の街へと向かうだろう。]
― 塔の街へ ―→
[とっさの反応に対し、零れていた笑みも抱かれていた想いも、気付く余裕はなく。
心拍と呼吸が落ち着くまでは、ぎゅっとしがみ付いたまま、動けなかった]
……脱出に?
[ようやく、心拍が落ち着いた所に告げられた言葉。
開かれた手の上、魔石のつけられたリングに数度瞬いて]
外と繋がっている、通信具、って。
[過るのは、最初に立てた仮説。
魔力の道をバイパスに、接点を作り出す方法]
[受け取ったリングから感じるのは、魔力の波動。
込められているのが他者の魔力のためやや不安定と言えばそうだが、媒介と見なすならば十分と思えた]
……うん。
多分、術式を間違えなければ、多分、これで接点を作り出す事もできると思う、けれど……。
[言いながら、じ、と見上げて]
……黙っていたのは……その通信具の出所のせい?
[小さく問いかける声は、少しだけ、震えていたけれど。
そこに、責める響きは浮かばない。*]
[きっと、フレデリクは驚いただろう。
その様子を目を細めてみつめ、緩く笑む顔は、それまで彼が、いや、彼女が見ていた笑みと同じ。]
いるようで、いない。
君は自分が非常に奇異な体質だということを知っているかい?
存在において、弱いもの、それは物理的な細胞、つまり身体ではない。
細胞の集合体を集積し、統括し、そして、生存させる精神。
どんない個々が優れていても、それに命令を出す司令塔が惰弱ならば、どんなに屈強でもそれは弱い。
[にっこり、笑んで、次には軽々とフレデリクを抱き上げた。]
だから、私は君を今後の繁栄の伴侶として、
君の父上に正式に契約を申し出た。
さて、いこうか?
― 魔王城・個室 ―
ん …… わたし、は…
[ゆるく頭を振ってから、解放された手でこめかみを押さえる。
ぼんやりとした記憶を辿れば、自分の言動がおぼろげに思い出されて]
ああ……
またあなたに迷惑をかけてしまいましたね。
[聖水を一口含んで、息をつく。
小さく懺悔の言葉を唱えた。]
[それから、いたわるように置かれた彼の手を握った。]
…… 良かった。
[ぽそり、と言葉にして微笑む。]
あなたに縛られるのも、 新鮮です。
[くす、と笑い声を零した。]
― 塔の街 ―
参りましたね……
[一言で言おう、誰もいない。
ちょっと前に来た時はまだ話ができる相手に遭遇できた、どの相手とちょっとした取引ができた。
だからてっきり、てっきり、きちんと街として機能してると思い込んでいた。
元々街としての機能が壊滅していたのか、狩りによって死滅したのかはわからないが、もうこの場所
そりゃすぐ近くに街があるのに回復遅れるわけですね!なんて一人納得した後は、この後の方針を考えようと……]
さて、どうしましょうか?
[隣にいるだろう愛し子と、二匹の
[彼女のこれは抑止力にも似た慎ましさに音もなく笑み、>>244
昔語りに思いを馳せるも、彼女が持つ何処か穏やかな気質は自前だろう。
彼女はそれも光精の性質と言うが、
存外それこそ、愛妻の個性たる一では無いかと当りをつける。
口ほどに物を言う目を向けながらも、直裁の声は掛けぬまま。
闇色解けて現界するは魔王城の正門前。]
――あなたは、本当に神なのですね。わたしが、欲しい言葉を過たず下さる…
でも、あなたに言っていないだけで…本当は、もっと、我侭で自分勝手、なんですよ?それも、お見通しなんでしょうか…
[強くなった腕の中、安堵したように微笑む。本当に、自分の心の内など彼にはお見通しなのだと、そう思うと安心するような気恥ずかしいような。
本当はお見通しなどではないのだけれど。そんなことは知らない]
自分でも、驚いています。
[その心の名前を、青年はまだ知らない。初めて感じた心だから。
――それに名をつけるなら、『独占欲』としかいいようのないもの――]
― 魔王城 ―
[蝶を追って城を訪れると、まず受付に呼び止められた。
宴席に入るには衣装に着替える必要があるらしいのだが、
受け付けの魔物は狼と人間の人相、つまり
魔王が観察していた侵入者の顔を見、その姿の惨状を見て
『先に湯をお使いになってはいかがでしょう』
……と、訳知り顔で両者をそれぞれ城内の浴場に案内させた]
[王の威容を誇示する城内にあって、風呂も例外でなく
贅を尽くした内装に、深い湯舟に絶えず湯が注がれている。
だが、入口はふたつあるのに入った先の風呂はひとつと言う
何を意図した仕様であるのか不明な造りも持っていた。]
[何処か、悔いを孕む声が隣から聞こえるものの、>>245
返すのは浅い微笑みばかり。今更彼女が危機感を覚えても遅い。
問いかけてくる妻の唇に指の腹を静かに乗せ、言葉を封。
魔族と言えど、他の視線をまるで気にせぬ闇精の所作。]
―――…ほら、イングリッド。
出来れば、中心地にアンカーを下ろしたいので御付合い頂けますか?
[己の笑顔が何処か胡散臭いのは常のこと。
別段、怪しいからこそ呼び止められた訳でもあるまいが、
白黒の外套は正礼装にならぬと黒き角を持つ魔族が語る。
ふむ、と億劫そうに顎先に指を宛がい、
一度彼女に視線を投じてから、先を促せば、
魔族の一は、 Gジャン と 怪獣の着ぐるみ 、それに カクテルドレス を三着並べて見せた。*]
/*
ダメ、旦那様の相変わらずの引きの悪さにもう、笑い涙が…っ、
みんなひとつくらいは似合いそうなの入ってるのにね…
[当たり前だが、この狼にデリカシーなど存在しないので
何も気にせず獣の姿でばしゃばしゃしている。
水に入る時は、不思議とそっちの姿の方が良いらしい。]
[苦笑を浮かべたまま、リングを確かめるアデルを眺める。
結果、接点を作ることは可能らしく、ひとまず安堵の息を漏らした。
明かしたことで何か言われるかと覚悟していたが、向けられたのは責める言葉ではなく、僅かに震える声で為された問いかけ]
……あぁ。
俺がアデルの護衛をすることになった切欠だ。
[見上げてくるアデルに頷き返す。
一度言葉を途切れさせると、呼吸を整えるような間を空けてから再び口を開いた]
…禁呪研究してるアデルの監視と、悪用からの護衛の任を与えられてさ。
度々、それ使って状況報告もしてた。
[湯から上がると着替えが用意されていた。
順に 燕尾服 、 ジャージ 、 *吾亦紅*柄のおねまき なのだが、
自身に装う趣味はなく、余り気が進まない。
風呂の中で獣の姿に変わったらしい狼は、
水滴を振るい飛ばすと億劫そうに2(3x1)番目を見遣った。]
― 魔王城 入り口付近 ―
………それは、どういう。
[尋ねた問いには敵だと返る。
だが敵ではないとも返り、その矛盾に眉が下がった。
煙にまいているのが見えれば怒りもするが、静かにこちらを見つめるオリーブには、嘘や冗談の色は見られない。
記憶が無い事がもどかしかった。]
― 記憶の書架 ―
[どこよりも落ち着ける腕の中から解放される時、少しだけ不安げな顔をしたものの街へといわれると素直に頷く]
鞄、ですか?
[彼の持つ鞄が特別製などとは知らない。同じ仕様という言葉は単にお揃いかなにかなのだろうかとぼんやり思う。
用意という用意はない、なにせ自分の持ち物は首にかけなおした聖印だけだ。何かを色々考えながら用意をしている金貨をしばらく眺めていたけれど、足元にまとわりついてくる感覚に気付けば腰を下ろし、小さな仔犬を抱き上げてやる。これで用意は終わってしまった]
ぅ…
[逆に、鈍いのかと指摘されて、思い当たりながらも隠した部分を突かれて言葉を詰まらせる。]
だ、だって
さっきのが全部違うとなると、
他に残ってるのは
[真っ先に思いついて、思いついたからこそ口にしなかった関係性。
改めて口にするには多大な勇気が必要で、頬は赤く染まった。]
……………恋人じゃないか…。
[掠れるほどの小さな声は、男に届いたかは解らない。
敵だと思いそうだと理解し殺しにかかった相手が、まさか。
口にした後で勘違いだったら恥ずかしすぎる事に気づいて、耳元まで赤くしながら視線を向こうに向け下げた。]
…えっ。
[ドレスと共に渡された言葉に、顔を上げて見上げるも、男はすぐに着替える為に離れただろうか。]
…………帰る場所?
[それは家という事か。
それとも、他に意味があるのか。
解らないと。
考えて、視線を手の上の布に落として、渡された物にちょっと待て、>>192とその背に文句が投げつけられた*]
― 魔王城 入り口付近 ―
[視線の先にあった結果を喜べばいいのか。
喜んでいい気もするが、過去の事、今後の事を思うと複雑さはやはり残った。
用意され、押し付けられた薄緑のカクテルドレスは、派手な装飾はないものの、歩きやすいようにか中央が大きく割れており、歩けば足が良く見えて眩暈がしそうになる。
胸元がはだけないよう、首の後ろで止め結ばれた紐は細く、背中や肩が大きく露出しており、身体に残る傷痕が目立って仕方ない。]
…………。
― 魔王城・個室 ―
[覚醒した彼は、まだ万全の体調ではなさそうだったが、事態は把握したらしい。
迷惑をかけた、と言われ、その唇の端へ軽く接吻けを落とす。]
また必要とされた、と思っている。
[そんな風に言い換えて、ともに試練を乗り越えたことを言祝いだ。]
にあわない。
[割合高身長であり、髪の色に近い色のすらとしたドレスは、似合わないわけではないが。
わりとしっかりした体つきや、背に腕にいくつも残る傷痕が、産まれて一度も袖を通した事のない、柔らかすぎる生地の服やらスカートやらの価値を落としているように思えた。]
なんで男物じゃないんだ…。
[と愚痴をこぼしても用意された服が変わるわけでもなし。
気が重いままでは足取りも重い。一緒に渡された踵の高い靴に慣れないのも要因か。
ようやく戻るとツヴィンガーは先にいた。
何とも言い難い顔でその傍に立った。沈黙が痛い。
>>197捕まれというように肘を出されて眉根を寄せる。
借りはあまり作りたくはないのだが、とは胸中。]
…世事はいい。
傷だって目立つし、それに、胸も…。
[身体を鍛えている為、無いわけではないが、豊かというわけでもない。
短い賛辞に、ついふいと視線は逸らされた。]
[彼を拘束したことについて、彼らしい前向きな感想を伸べられて、首筋を曙に染める。
手首にほのかに残る綾目が、やけに艶めいて見えて。]
もっと佳いことも…できる。
[寝台の上に座り直すと、彼の頭を足の間に乗せて膝枕した。
ゆるりと扇で仰いで風を送る。]
― 魔王城 ―
[時を要さず、魔王城の門前に降り立った。
豪奢な佇まいにも驕慢を感じ取り、僅か表情が硬くなる。
不意に視界の端から、ついと伸びた指先>>251]
――…ん、
[柔く唇を封じる感触が、微かな声を溢させる。
咎める一瞥を送り、溜息混じりに頷いた]
貴方がいらっしゃるなら、何処なりとも。
[城内へと進めば、角を生やした魔族に着替えを促される。
夫に差し出されたのは――どう見ても彼にそぐわぬだろう衣装が、
少なくとも二着混じっている]
………、
[何とはなしにそっと目を逸らし、自分に宛がわれた分を確認する レオタード 漢服 執事服 ]
[だが慣れない服と靴を身に着けたままでは、満足に身動きとれず転ぶ可能性が高い。
転んで醜態を見せるか、ここは素直に申し出に甘えるか。
こちらも同じ程度迷った後に、肘の上に片手を乗せてその裾をぎゅっと掴んだ*]
/*
執事服………
ルートが着てるの、すっごく、すっごく見たい…!!!
そして私の引きも、人のことは言えませんでした。
逆だったら良かったのにね。
― 回想・再会 ―
[食事にたいしていらないと首を振って返すのに浅く頷き、視線を彷徨わせながらも言葉を発するまで急かすことなく待ち続ける。
戦いに勝つために作られた英雄。名だけを借り受けながら政策として作られた偶像。]
一度、シュテルン・ダルスバーレイを討った。と聞いたが、それでも生きていたのはそういうことか。
[その時、四人の内の一人は死んだのだろう。そしてまた一人また一人と死んでいき、残ったのが彼女…彼女の治療をする人間がいなくなったのは、三人とも死んだということなのだろう]
[リリーパの手法にやられた。という感心の思い。
ただ国のために。とたったわけではない。なんの義務を負うことのないはずの四人が英雄となるべく人生を捧げさせられる非道ともいえる国の暗部を憤りもある]
お前自身のため?
それは名誉…違うか
[偽りの名をというならばもちろん本物もいるだろう、あるいはその受け口がいるならば、結局彼女には名誉は与えられない。]
愛国心…いや、生き残り生きて返すためなのか。
[自分がなぜこのようなことを口走っているのか戸惑い、返答を求めぬように緩く首を振る。戦場に駆り出した意味というならば、作られ役目を与えそれに殉ずるように育てられたからだろう「シュテルン」として]
個人的にもう少し聞きたい。
[彼女は条件としてあげたことは果たしたということになる。だからその先は条件外のことと知りながら聞く]
なぜ私にそのようなことを話した?…聞いたのは私だが、私に話せば、より不利な状況を作られる…そうは思わなかったのか?
[シュテルンが女であった。よりも明確に、黒い噂として使うことができるだろう。と。
彼女が心中で抱くのと似通った疑問を投げかけた*]
民家から拝借するか、塔から拝借するかです。
おすすめは民家ですかね?誰もいないようなら、隠れ場所としても使えそうですし。
[「屋根があって火を起こせる場所は貴重ですし、対価としていくらか置いて行きましょう」なんて口にしつつ、金貨自体は勝手に取引する事にそれほど忌避感を抱いていないようだ。
象徴である金貨にも、本質である交わりにも、正義なんてものもなければ悪なんてものもない。
文明が滅ぶのをよしとせず、財が不当に侵されるのをよしとせず、停滞を好まぬ存在であれど……正義や悪という看板は金貨からしたら人が勝手に掲げたものでしかないのだ。
双頭犬を評するのと同じ、益か害かが基準である]
[問いに返されたのは、頷きと肯定。
途切れた言葉の先を急かす事なく、続きが紡がれるのをじっと待って]
……そう。
[最初にもらしたのは、小さな声。
謝罪の後、深く息を吐く様子には、ふるり、首を横に振って]
……謝らないで。
何となく、そう、だろうなって。
予感は……あった、から。
御師様の傍を離れてから。
……護衛、っていう理由で、いつも誰かが近くにいて。
それが……私の力や、生まれのためだっていうのは、何となく、わかってた、から。
[はきと告げられたのは、今回が初めてだけれど。
どこか腫物を扱うような態度は、自分をどう見ているか、というのをはっきりと感じさせていた。
レトに対しても、踏み込み許さぬ態度を撮り続けていたのは、彼もいつか離れて行くのだろう、と思っていたからで。*]
だから、その。
騙されたとか、そんな風には、思ってない、から……。
気に、しない、で。
― 塔の街 ―
[しばらく前にここを訪れた時、ここは魔のものの狩りの真っ最中だった。最初はおそるおそる歩いていたけれど、やがて安全だと分かると物影よりも安全と思える金貨に駆け寄る。青年が仔犬を抱えているせいだろう、そのあとを大きな魔獣がのっそりとついてくる]
だれも、いませんね…他の、ところへ行ってみますか?
[とはいえどこへ行けばいいのかはあまり分からないのだが。誰かに聞けないかときょろきょろと視線を巡らせていると、視界の端を黒いものがひらひらと舞う>>1:679
書かれている文字を一読してみるものの、内容を考えれば眉が寄るのは仕方のないことだろう]
[かくしてジャージの上着を着たわん――もとい狼が誕生する]
わう
[浴場を出ると、獲物の方はまだ出て来ないようで
後程ご案内差し上げますので、と言い張る案内によって
狼は一足先に宴の場まで連れて行かれる事になった。]
― 魔王城・個室 ―
[膝枕をされて、風を送られる。
そんなことは、いつ以来だろう。
安らいだ心と身体は休息を欲し、腕を伸ばして彼の身体を確かめながら、瞼はとろりとまどろみに落ちゆく。]
…しばらくこうしていていいですか?
[半分ほど意識を手放しながら問いかけ、
ふわりと視線を動かして彼を見上げる。]
クロゥ ───
[最初の一着。拡げられた布は面積が狭く、光沢を帯びた生地。
上着があるのだろうと暫し沈黙の後、どうもそうではないらしいと知れる]
ごめんなさい、これはちょっと………、
[思わず隣を盗み見、二着目の提示を頼む。
細身に仕立てられた上質な黒衣は、男性物に思える]
これ、貴方に凄く、すっごく似合いそう。
交換は出来ないのかしら…?
[隣の彼が身に纏う姿を想像すると、如何にも優美だ。
けれど、魔族は頭を横に振る]
……見たかったのに。
[それはそれは残念そうに、ぽつりと]
民家、ですか。
ええ、と…
[困ったように首を傾げる。彼のいうことは分かる、理解できる。双頭犬の仔は抱えていてもさほど目立たないものの、自分の背よりもはるかに大きな子はきっとどこへ行っても目立つ。とても目立つ。
けれど教えられてきた神の教えからすると、勝手に人様のうちを借りてしまうのは、些か問題があるように思えて。しかし、借りようと言っているのはまさに神そのものである。自分の中の教えと、目の前の神を見比べて…結局、聖職者たる青年は、こくりと頷いた]
でも、お礼はちゃんと言わないといけませんね。
[何故か神よりも口うるさいことになっていた]
……
[逃げようと思ったわけではないのだが、距離をとった上でも髪に手を伸ばし指に絡める様や、執着を示す言葉に内心首を傾げる。
何故彼はすぐに自分を食べようとしないのだろう。]
― 城内 広間 ―
(いた)
[広く豪奢な会場には既に魔王の姿がある。
宴に参加する魔物達は既に出来上がっている態で、
同行者もないジャージ狼はしばし隅の方でぽつんとした。
魔物の本能と倫理のもとにある狼にとって、
繰り広げられる背徳や隠微は別段気にならないが
陰謀で粉飾された空気はまどろっこしくて苦手だ]
[ふと愛し子のほうを向く、紙を拾い上げ視線を這わせるところであった>>259
その様子を観察していると、彼が眉を顰めたので、何事かと手元の紙を覗き見る。]
……コメントに困ります。
[偽らざる気持ちを口にして、浮かべたのは苦笑といったもの。]
まあ、行く気はないんですけどね。
[金貨の中では
― 魔王城 ―
[薄暗い城の陰影を潜り、止められた足。
そうして、差し出される三着はなにやら悪意が見え隠れする。
逡巡数秒する内に、妻にも差し出される衣服へと手を伸ばし、
布地の少なすぎる着衣を払うように退けた。>>256
伴侶の介入は当然のことと、傲慢に振舞うさま。
変わりに手に取るのは己に出されたカクテルドレス。
膨らんだ裾へと落ちる藍色のグラデーションは黎明の色に似る。
そっと彼女へ宛がい、視線を合わせ。]
―――…此方は如何ですか?
[彼女の申し出を首左右に振った魔族など、
あっさりと無視して告げる男。>>261]
[そういえば、双頭犬は出会った時に助けるのは一度きりと言っていた。けれど未だについてくるのを不思議に見つめる]
いいの、ですか?
[かなり言葉を省略しているが、きっと分かるだろうと。困惑を滲ませた声で聞けば]
『仕方なかろう。その仔が、離れようとしないのだから…けれど、我の助けをあてにはするなよ』
[何度かポチを双頭犬に返そうとはしたのだ。けれど離れれば哀しそうに鳴く仔を、無下に引き離せなくなっているのだろう。そう思うと魔界の生き物とはいえ、情はあるらしい]
[予感があったと知ればレトの表情に驚きが乗る]
気付いてた、のか?
[レトの前も、その前も、護衛を名目にアデルを監視していたことは聞いていた。
ただ、気付かれていたとは思いもよらず。
気付くほどに長く監視されていたと言うのをこの時知った]
― 魔王城 ―
[さすが、と言うべきだろう。
その城は大きく、あちこちに中庭や広場があり、離宮のようなものなのだろうか、敷地内にいくつかの塔のような建物もあるようだった。]
お風呂… 嬉しい。
[湯浴みをと浴場へと通される。
服を脱いでみれば、やはり身体中が浅い傷だらけになっていた。]
そっか…。
……ありがとな。
[謝罪の代わりに紡ぐのは感謝。
求めるように腕が伸びて、アデルを再び腕の中へ*]
― 魔王城・個室 ―
[自分の膝の上で彼が安らぐ──胸が温かかった。
曇りのない明眸に宿るのは今はただ、優しいまどろみ。
真珠色の唇が甘やかに此方の名を呼び、愛を告白する。]
──わたしもだ、シズ。 愛しいひと、
[扇を動かすのとは逆の手指で、彼の滑らかな髪をゆっくりと梳く。]
[夫の逡巡には口を挟まず――正確には、掛ける言葉が見当たらず。
消去法でいえば、一着しか残らない筈だろうと。
それはそれで見てみたい気もすることであるし>>265]
[断るそばから、有無を言わせぬ腕が一着目を却下する。
代わりに宛がわれたドレスの色合いに、眦を和ませ]
……綺麗。私の一番好きな色のひとつなの。
[理由は口にせずとも知れるだろうと、静かに微笑む。
そこはかとなく漂う空気を割って、魔物は割当の交換を制止する。
最後は、ゆったりとした裾と袖の長い衣装。
銀糸を織り込んだ白地に、襟ぐりと裾に薄紫の花が散らされている]
ああ、これなら――…
[浴場は、これまで自分がはいったものとは比べものにならない程豪奢なものであった。
湯が傷にしみるため、ゆっくりとその身体を湯の中へと沈めてゆく。
そのうちに湯気の向こうから何やらバシャバシャと音が聞こえてきただろうか、何の音だろうと思っていると広い湯船の中を泳いでいたのは青の狼だった。]
…… !?
[慌てて自分が入ってきた方へと移動する。
何故この浴場は繋がっているのだろうか。]
[魔王城にて宴をひらく、とのメッセージ。それを難しい顔で眺めていると、手元を覗き込んでくる気配。ここにいるのは犬の親子を除けばただ一人きりで。警戒なくそのまま見つめていれば、あっさりとした決定が目の前の神から下る]
…ええ。行って楽しいものとも…あまり、思えませんね。
[青年は魔界が魔王によって閉ざされたということを知らない。知らない故、危険をおしてまで魔王の酔狂に付き合わなければいけない理由が分からず、あっさりと同意を返した。
手元に残る黒い蝶を空に向けると、彼らの決定が己を必要としないと理解したものか、蝶はあっさりと舞い立った]
あなたは、わたしの神ですから。あなたがお決めになったこと、すべてわたしの意志になるのです。
[驚き乗る表情に、ほんの少しの苦笑を滲ませて頷く]
……うん。
だから。
その時がくれば、あなたも離れて行くんだろうな、って。
ずっと、そう、思ってた。
[その表情のまま、抱えていたものをひとつ、吐き出して]
[感謝の言葉と共に、再び伸びる腕。
逆らう理由は既にないから、求められるままにその内へと導かれる。
鼓動が跳ねるのはもう、どうしようもなく。
妙な話ではあるけれど、男装を崩さずに済んだことに感謝した。
巻き付けた布が、どれだけ響く鼓動を遮るかはわからないけれど]
…………。
[言いたい事は、まだある。
はずなのに、言葉が上手く出てこないから。
ただ、胸に掴まる手にぎゅ、と力を込めるだけ。*]
/*
乱打神が寧ろ獲物さんじゃなくて
俺を殺したいらしいと言う事は良く解った。
やめろよデッドエンドしたくなっちゃうだろ!!!!!
*/
[第一に、潤沢な面積は肌の露出を最低限にしてくれる。
第二に、緩やかに流れるカットは、程良く身体の線を包んでくれそうだ。
自分に関しては狭量と知る彼を、半ば無意識に見遣る]
この色も、好き。凄く。
[角度を変えれば、白銀に光る生地に触れて笑む。
これでいいかと、彼に視線で尋ね]
― 魔王城・個室 ―
[こだまのように響いて戻る愛の告白。
言葉が未来を繋いで今を結ぶ。
髪の中を指が滑っていく感触に目を細め、もっと、と半ば俯せになって足の間に顔をうずめるような恰好でしがみつく。
そのまま吐息は穏やかな寝息へと変わっていった。]
― 塔の街・宿屋跡 ―
[愛し子の許可>>262を得られたので、いくつかの商店跡を経由しながら、隠れるのに適した家を探してまわった。
二匹の双頭犬が隠れられて、水場が近く、厨房があり、きちんとした寝床があり、過度に汚れておらず、逃げやすい作りのもの、すべてが当てはまる建物は少なくて……
狩りの跡が残る街では「汚れていない」という条件が最大の難関である。
やっとのことで見つけ出した建物は以外にも大通りに面しており、見つかりやすい場所であるからこそ誰も隠れていなかったのだろう、家具や食器が散乱してはいたが、狩りがあったら付くであろう汚れはそれほどついてはいなかった。
中の様子を窺えば、酒場が併設された宿屋のようで、無造作に転がっている家具をよければ双頭犬の二匹や三匹を置いておくことができそうであった。
ひと通り見て回ったならば、問題無いと彼に伝え――…それから]
[ふと]
私が人だったらという話は前にしたわけですが
私が悪魔だったらどうします?
[何の神であるかを口にしない己に全て従うと言った様子の彼>>268を前に
傍から見れば、彼を惑わす悪魔のように見えるのではないかと思い立ち、意地の悪い問いを投げかけるのだった*]
―宴にて―
[4回目。
水に濡れた口唇は冷たいのに、
触れればやはり熱い気がするのは自分の裡の熱のせいだ。
額を撫でるように濡れて張り付く髪を拭う、
それも冷たくて目蓋を閉ざす彼が心配になる]
……リエちゃん、だいじょ……
[>>196 薄く目蓋を開いた彼の口から零れた言葉に、ぽかんとなった。まいはずばんど、まずは言葉の意味がわからなかったのと]
え?え?なに?
[手を掴まれた、やっぱり続いた言葉の意味がわからなかった。そして彼の顔は確かにそのものだというのに]
はい?えっ、何言ってるの?
奇異な体質?えっ、えーっと……なに?
俺が根性座ってるって意味?
っていうか、リエちゃん誰……、ひゃっ、
[>>247 さらっと抱き上げられた、
片足が悪いリエヴルがこんなこと出来るはずがなく、
でもその笑顔は紛れも無く彼なので、ぽかんと口開けたら]
って……、
[え、リエちゃん俺の親父に結婚申し込んだの?!
と一瞬思ったのはもはや頭が悪いというよりも、単なる妄想だ。
どう考えても、その言葉はつまり]
クゥン?
[勿論、狼は『ああいるな』位にしか思ってなかった。
酷い話だ。]
[だが、白い皮膚が水温に温められて上気する中に、
幾筋もの傷が刻まれているのを見る眼は
人間の目には読み取れない感情を密やかに含めている*]
おい待てお前、……俺をさらった奴?!!
[鈍器はその辺にほうったまんま、
リエヴルの杖はかろうじて手の中にあったが、
これは大事なものだから鈍器に出来ないし、
そもそも彼を殴るわけにはいかない]
リエちゃん!ちょっと、しっかりして……
[暴れようでもしたら、
これまた彼が心配でとんとん胸元叩いて呼びかけるのだけれど]
[女が身に纏っていたのは白のラテンドレス。
大きく開いた胸元とスリットから伸びる肢体には細かな傷がはいっていた。
突如、会場の空気を切り裂いた気配。
魔弾は女の大腿を掠め、派手な音をたてて床に着弾した。
深刻な怪我では無いが、肉が僅かに削がれた部位から血が溢れ、ドレスを真紅に染めてゆく。]
[女が身に纏っていたのは白のラテンドレス。
大きく開いた胸元とスリットから伸びる肢体には細かな傷がはいっていた。
突如、会場の空気を切り裂いた気配。
魔弾は女の大腿を掠め、派手な音をたてて床に着弾した。
深刻な怪我では無いが、肉が僅かに削がれた部位から血が溢れ、ドレスを真紅に染めてゆく。]
フィーの声はするけれど、
ここはどこだろう?と思う。
たしか、城の祝いの宴で。
ただ、こんなに暗くなかったと思うけれど。
[パァン!]
ギャン!
[人混みの中にいる狼を狙ったのだから、
相手は見通しの良い上方にいると読んで見上げる。
射手らしき影がちらりと見え、次も同じように反応出来た。
にも関わらず、今度は狼の体に突き刺さる]
[あまりに世事に明るくない自分よりも、神である彼の方がよく立ち働いているのはどうなのだろう。とはいえ口出しをしてもろくなことを言えそうになく、素直に仔犬を抱えてついていけば、彼が見つけ出してきたのは一軒の宿屋]
宿屋なら…元々、人に貸している、ものですし。
[心理的な抵抗もなくて済む。あちらこちらと見て回り、ここと決定したことを伝えられると小さく頷いた。勿論、反対する理由はない]
― 魔王城・個室 ―
[彼と自分は表裏一体。
彼が寛ぐさまに、自分の息も自然と深く落ち着いてゆくも──]
…っっ
[もそもそと寝返りを打った彼が、腰に鼻梁を擦りつけてくれば、視線がそこはかとなく泳ぐ。]
[じぃ、と見つめ]
もしも、私が悪魔だったら、どうします?
[そう、もう一度。
服従というべきか恭順というべきか、それとも狂信というべきか……彼の今の在り様が危ういように感じられ、意地の悪い問いかけをしたのだった]
[愛妻の装いに口を差し挟み、咎める眼差しの魔族には、
なにか。と、異を唱えさせぬ重圧を返す。
闇精如きが。と聞こえた気がしたが、
囀りとして流して、妻にドレスを渡した。>>267
自身の色で着飾らせるは、やはり心地の良いもの。
されど、生真面目な愛妻はやはり魔族の眼圧が気になるのか。
もうひとつの布地の多い異国の衣装を手に取った。
ふむ、と見比べる男の眼差しは逡巡を挟み]
[沈黙を数拍噛むと、溜飲下げるように頷いた。
顎にやっていた指先で、彼女の肩を軽く払い。>>271]
天界の住人めいていますが、―――…そうですね。
貴女なら、きっとよくお似合いですよ、イングリッド。
[浅い首肯を挟んで、自身に選択を迫る魔のものに、
ああ。と薄い声を挙げて、外套の留め具を外した。
そのまま、彼に預ければ、それを貢物とする。
宵闇のローブと呼ばれる列記とした精霊衣であるが、
凄まじい間に合わせ感が溢れるのは、男が物に執着せぬ為か。*]
[合わせて4弾目。
脚を撃たれて身動きを殺がれた獲物の前に跳んだ]
――――ッッ!!
[それこそを狙い澄ましたように、魔弾が狼を貫く]
たまらなく…
[ほどなく眠りに落ちた彼の寝顔を見つめながら、魔界であっても自分たちの営みは変わらないのだと安堵した。]
結局は、おまえがいる世界が、わたしの求める世界なんだ、シズ。
[彼の肩にそっと手を乗せて、自分も静かに目を閉じる。]
― 魔王城・大広間 ―
[中に入ってからもだが、入る前後から周囲の喧騒などはほとんど耳に入ってなかった。
考え事と、転ばないように歩く事ばかりに気を取られ冷や汗を掻いていたおかげで、悲鳴や周囲の異様な光景を殆ど知る事なかったのは幸いといって良いのやら。
>>141銅鑼の大きな音にはさすがに気づき、顔を上げて視線が流れる方を見る。
扉から出て来たのは、奇形な人とその従者。
一度見て、瞬いてから半目になった。]
裸の男を連れて回るとか趣味が…
[隣にいた男に聞こえる程度に、ぼそりと呟いた。
>>198視線を向けられると、意をくみ取ってゆるく首を振る。]
[それからふと背後の方へと振り返り遠くを見るように目を細める。
何事かと尋ねられたなら、また首を振り。]
…いや。
視線を感じた気がしたんだが…。
[気のせいか、と、視線は再び上へと戻る*]
……そう、だな。
最初は、その予定だったけど。
[いずれは離れる予定だったと言う話には肯定の頷きを返した。
けれどそこに、今は違うと否定の意味も含ませて]
置いてかねーから。
[傍に居ると、改めて言う]
[胸を打つ鼓動は早い。
隠し事を明かしたが故の緊張と、アデルを引き寄せたが故の僅かな照れ。
2つの跳ねる音は身を重ねるうちに1つへと纏まり行く]
………そろそろ、出るか?
出るための接点は作れそうだし、もうここに用は無ぇだろ。
[沈黙が照れを増大させてくるため、それを隠すために今後についてを口にした*]
あんの、クソ親父め……
っていうか、性別変えてもいいなんて契約してないだろ、
そんなの無効だ!無効!
[ギリっと歯噛みしつつ睨んだ、
でも顔はリエヴルのものだから困る。
近づく顔も明らかにそれなのだけれど]
ちょ、待て……!やめ!
そういう問題じゃないし……!
[思わず片手を出して留めた、
だって中身はリエちゃんじゃないし、
と思ったところで中身まで正真正銘彼ならいいのか、
とか、一瞬で自問が駆け抜けていった]
いいから、リエちゃんを返してよ!
あなたが、悪魔だったら、ですか?
[にこにこと楽しげにそんなことを問いかけられて、想像をしてみるけれど――]
…困ります。あなたが悪魔だったら、わたしは全力で騙される気しか、しません。
[その言葉通り、困ったような苦笑を浮かべ、自分よりも少し背の高い彼を見上げる]
/*
他のカップルに何が起きていても、ほとんど反応すらない徹底したペア絆村モードが全面展開してますねw
まさに相方を助けるのは君しかいない!
(ちなみに、ハニーが「愛方」と書いてくれるのが秘かに嬉しい)
(まったく、面倒だ、な……!)
[撃たれ、宙に身を流しながらも人型に変異する。
床に四肢をつくが、反射的な動きで獲物を引っ掴むと
間合いの遠い地の不利に、宴の会場を飛び退いて逃げる算段]
……リエちゃん、
どうしよう、俺のせいだ。
殴ったら正気になるかな……、
でも殴ったらリエちゃん痛いし……、
[杖片手に握って、大いに混乱中だった]
[やはりわざと、避けていた関係を表す言葉を口にしていた。それに否定をせず、ただ帰る場所というのにも黙したまま着替えて戻り、彼女のドレス姿を見つめていたのはそんな姿を見るのは珍しいからだ。
それでも、すらりとした高身長に髪の色に合わせたドレスを纏い、戸惑いながら慣れぬ靴に苦戦してる姿は儚げに、ふんわりとしたスカートから伸びやかに見える程よく鍛えられた脚は艶めかしく映る]
そうだな。傷だらけだ。普通、そんな傷だらけにはなりはしない。
だがそれは、お前が培いそして果たしてきたことの徴だ。
[視線を逸らす彼女の頬に手を伸ばし、こちらを向かせる]
私は一度も、その傷が醜い。などと思ったことはない。
[一度も。というところに、過去にみたことがあることを暗に示して]
…赤の他人ならば世辞でも使うが、恋人に世辞など向けん。
[迷ってはいた、それでも伝えた。彼女が思い出したときどうなろうと、受け止めて、逃がさないという覚悟を決めて。勘違いではない。恋人だ。と告げた]
/*
>>292
おお、リエヴルが相方の振ったランダムを回収しているw
籠のミニスカウェイトレス、いいね!
籠の下面もメッシュだとなお素晴らしい (←
あなたが悪魔でも、傍にいたいと…思ってしまうのですから。もうすっかり騙されてしまっているのでしょうね。
[声は呟きのような小さなもの。ほら、聖職者失格でしょう?と微笑んで]
[魔族の低い呟きが、夫への侮辱を孕んでいた気がして、見遣る眸を微かに眇める>>284
濡れ衣でもあろうかと、それだけに留め]
これ、あまりお好きじゃなかった?
私はこちらの色も、好きなのだけど……
[逡巡を挟んだ許可に首を傾げて、彼の髪をするりと梳いた。
これにすると魔族に告げれば、尊大な頷きとともに、一瞬にして纏う衣が様を変え]
……あ、
[夫が着せてくれた純白の衣が、ふわりと舞って降りてくる。
両腕で受け止め、丁寧に畳んで携える4(10x1)]
[魔族の低い呟きが、夫への侮辱を孕んでいた気がして、見遣る眸を微かに眇める>>284
濡れ衣でもあろうかと、それだけに留め]
これ、あまりお好きじゃなかった?
私はこちらの色も、好きなのだけど……
[逡巡を挟んだ許可に首を傾げて、彼の髪をするりと梳いた。
これにすると魔族に告げれば、尊大な頷きとともに、一瞬にして纏う衣が様を変え]
……あ、
[夫が着せてくれた白の衣が、ふわりと舞って降りてくる。
両腕で受け止め、丁寧に畳んで携える]
……うん。
信じる、から。
[置いて行かない、という宣と、包み込む腕の齎す安堵。
それらは、普段見せない幼い笑みを自然と導く。
それでも、いつまでもそこに浸り込んではいられない──と。
そんな理性が一欠片、働いた所に投げかけられた言葉にひとつ、瞬いて]
……うん。
余り、長居したい場所じゃないし。
ここで目立つのも、良くなさそうだから……移動、しましょう。
[接点を作るキーを得られたなら、逆に、力を集めやすい場所がいいか、と。
そんな思案を巡らせつつ、頷いた。*]
――…。
[二度目の問いには、今までとは違う真剣な響き。空気の違いを感じれば、また考えて]
あなたが、悪魔なら…あなたは、わたしの死を望みますか?それとも、わたしに神への裏切りを望みますか?
命なら、差し上げましょう。
神への背徳ならば…
[足に走る痛み。
女は動けず、床に身体を投げ出していた。
連続していた銃声、既に狼も怪我を負っていることは知れていて、何故自分達が狙われているのか想像もつかないが、危機的な状況にあるらしいことを悟る。]
[>>292 ぽいっと放られた、
と感じた次の瞬間、檻の中に尻餅ついてた。
そして巻き上がっていく鎖の音、
不安定に揺れて思わず両手を床に着く]
――はい?
って、お前このやろ……、何して
[立ち上がってだだっと柵を掴んだところで、
すでに吊り上げられた籠の中、
ミニスカートの中身は下から見え放題だ。
――歓声はそれに沸いたわけでは無論ないだろうが]
……くっそ、
好き放題しやがって……、
いいからリエちゃん返せ、このおたんこなす!
[残念ながら悪口の語彙も貧弱だった]
――…。
わたしを、騙したままで。信じさせたままで、あなたの手で、最期の時を、終えさせて下さいますか?
[4発目の銃声。
目を閉じていた女のすぐそばで何かの素早い気配を感じた。]
…… セルウィン?
[目に飛び込んだのは魔弾に身体を貫かれた狼の姿。
さっと血の気がひいた。]
― 魔王城・大広間 ―
[宴の賑わいが峠を超え、寝転がるものや暗がりへ消えるものが目立ち始める。
ゆるりと寛いでいた魔王は、頃合いとばかりに右手を上げた。]
異界より訪れしものよ。
[声は、ひとりひとりの意識へ、直接響きわたる。]
魔に引かれ引き込まれたもの。
連れ戻さんとこの地を踏んだもの。
そなたらの行動は、すべて余の知るところである。
[夫は三着のどれも選ばず、代わりに外套を差し出した>>285
闇を司る精霊長が纏う衣、どう考えても引き渡すべき品ではないと思うものの]
ああ、そういう手もあるのね……。
[ぽつりと口内で洩らし、ひとつ頷く。
形式ではあるが一応の礼に則って招かれた以上、受け入れ難いものでなければ、主賓側の供を断る発想がなかったのだ。
もっとも、彼にとっては十分受け入れ難かっただろうという気はする]
[>>141 ちらっと見下ろした先には凄いのがいる。
あれもそうだが、人間をペット扱いか腹立つな、
とふつふつ別の怒りも湧いたりしつつ]
はあ?歌?
……むう、
[思い切り顔をしかめた、
一応声変わりまでは聖歌隊とかいたこともある、
リエヴルのピアノで練習したりなんかしたし、
いっそ聖歌でも歌ってやろう]
その力、その精神を余は嘉し欲する。
余はそなたらを魔界に迎え入れよう。
[一方的な宣言の後、一拍間が空いた。]
だがそなたらがそれを望まぬのであれば、
余はひとつ、賭けをしたい。
そなたらの帰郷の意思が、
余の求め欲する念を打ち破るならば、
余はそれを認め、そなたらを手放すとしよう。
[声を聞くものたちの前に、巨大な扉が現れる。
両開きの扉の中央には閂が掛けられ、重厚な金属の錠前がつけられていた。]
その扉を通るよりほかに、魔界を抜けることはまかりならぬ。
魔界は今、余の意思によりすべて閉じている。
そなたらの意思と力のすべてをかけて、扉を開いてみよ。
相応の代償と引き換えならば、容易にもなろう。
自身をすべて捧げるならば、いまひとりは必ず帰れるであろう。
無論、余の元に留まるのであれば良し。
魔界はそなたらを迎え入れるであろう。
選び取るがいい。
そなたらの道を。
■第4イベント「帰還の扉」
各ペアの前に1つずつ、扉が出現します。
扉には錠前が付いていますが、攻撃により破壊することが可能です。
錠前の破壊を試みるPCは、[[1d20 ]]を一度振ってください。
16以上の目で破壊に成功します。
チャレンジは、【1ペアにつき1回】です。
チャレンジの前、あるいは後に自分の大切なものを捧げることによって、達成値を上昇させることができます。
1つ捧げるごとに、5の数値をランダムの出目に足してください。
この代償はペアのどちらが払っても構いません。
捧げる代償は、身体の1器官、記憶の一部、能力の一部、などから選択してください。
ただし、どれだけの代償を支払っても出目1は破壊に失敗します。
ペアのどちらかが自分の命を捧げる選択をした場合は、無条件で鍵が消滅します。
開いた扉の先は、任意の場所に繋がっています。
他のペアが開いた扉を通ることはできません。
巫女 ベルティルデは、闇のセフィロト を投票先に選びました。
― 魔王城・大広間 ―
[意地をはるように裾を掴むエスコート相手>>257に苦笑しつつ、なれない靴に戸惑いを歩きづらいシュテルンの支えとなるように、比較的ゆっくりと自然と人ごみを避ける位置を目指し歩く。
最も歩くのに必死なシュテルン>>287は気づいていなかったようだが…]
趣味なら……よくはないが、これがこの国の国民性かもしれないところがな。楽しむには難がありそうだ。
[王という存在が代表であるならば、この国はそういうものたちだらけということだ。
気を抜くことはできない。傍らの存在が背後に視線>>288を向けているのに首を傾ぐが、神経をとがらせている故のことであるのだろうとその場で思うことにした]
本当に、難がありそうだ。
[耳は幾度かの銃声を捉え。左目は喝采とも野次とも聞こえるほうをみやれば、鳥かごの中にいる人を見つけ警戒心が高まる。そのおかげか、ここにきた客のようなハプニングには巻き込まれなかったようだ
そしてこの城の王より、宣言>>298>>301>>302を聞く]
[金貨の意のままに、そう言わんばかりの彼の言葉。
すべてを捧げんと言う愛し子を嬉しく思わないわけがない。だが、金貨の神として創られた部分は、愛し子の有り様を良しとしないのだ。]
矛は、使う者次第で武器以外のものになります。
杯も、使う者次第で器以外になり得ます。
王冠もそうであるように、私もそうなんですよ。
[起こし、促す神の本質が、愛し子のありようをよしとしなかったのだった。]
[真下を見下ろせば、
リエヴル――の身体を支配してる魔族は、
悠々と椅子に座っている。
本当に、自分のせいで彼はいつだって、碌な目に遭わない。
あの時だって自分を助けたりしなければ、
彼は脚を悪くすることなんてなかったのに、
本当にとんだ疫病神ではないか]
……リエちゃん、
[なんだか気勢が削がれてしまった、
あてつけのつもりだったけれど、本当に神様に祈りたくもなってきた]
[続く言葉は意識をのせて、肉声と共に彼へと伝える]
私が神であっても、人であっても、悪魔であっても……一番欲しいのは、あなたの意思です。
私が神であるのなら、あなたには自分の足で立ってほしいのです。
私が人であるのなら、あなたには私の後ろではなく隣にあって欲しいのです。
私が悪魔なら、騙しがいがある人を騙しますよ。
[そこまで、そこまで言いきったなら、大きく息を吐き出して……]
大丈夫だよね、
ちゃんと元に戻るよね……。
[つぶやいて、歌いだす。
聖母への祈りの歌は Ave Maria,
少女の喉からは
声変わり前のボーイソプラノと、
よく似た透き通る声が奏でられた。
響かせる、張り詰めた玻璃のような歌声]
/*
パーティー会場他のPCと絡めるかなと期待したけど
なんかいろいろ間に合わなかってん
夫婦目撃しときゃよかったかな今からでも間に合うかな……
(しょぼ)
*/
― 魔王城・個室 ―
[眠りを揺るがし、魔王の声が響く。
意識に直接、刺さる世界の律。
彼の手を握り、その告知を聞いた。]
えらく気に入られたものだ。
得られるものは少なかろうに…
……リエちゃん、
いつも迷惑ばかりかけて、ごめんね……
[祈りに混ざる、抜けない棘のような後悔]
[頭に響くに眉を顰め]
イカイ?意志で閉じる?
[理解が及ばない単語が並ぶ。
察するに、この目の前の扉を開いたら帰れる。と、そういいたいのだろう。
自力で、あるいは代償を捧げて]
話の通りだと、ここから帰れる…ということのようだな。
[傍らのシュテルンに話しかける。思ったより単純な事態になったことに少し拍子抜けになるが、それでもその先に難が横たわっていることは想像に難くない]
[頭に響き渡るは、威厳と尊大に満ちた声>>298]
そんな、一方的に気に入ったから、迎え入れると言われても……
[頬に掌を宛がい、眉を顰める>>301
その実、寄り添う伴侶と然程違わぬ手口であるが、未だ知りえぬこと]
…代替手段を提示してくれるだけ、まだ良い方かしら。
[それが余興にせよ、罠にせよ、試す手段があるならば、と]
[すると、いつの日か、
教会の彼の姿が思い浮かぶ。
自分は入らなかったけれど、
丸い硝子を転がしたような、深く柔らかなボーイソプラノ]
フィー?
そこにいるのか?
― 回想・再会 ―
…多分。
[瀕死から復活した事がないわけではないので、断定は出来ないが概ねの同意を返す。
みな死んだのだから、どちらにせよ同じだった。
語り終えると、思索に耽るような対面の男を、今度はこちらがじっと見つめた。
軍策に優れ、何度もリリーパ軍に壊滅の危機を運び、冷徹と謳われるアムドゥスキアの若き司令官。歳は自分と同じだったと記憶している。
片目を奪ってから、よりその策は冴え冴えとしたように思う。
あの時に殺せておけば、今の未来は変えられただろうにという後悔を抱いて少し眉が下がった。]
― 魔王城 庭 ―
[逃走する意識は自然と狼により馴染む空気、
石造りの建造物を出て屋外、木々のある所へと、
辿って庭へと出て来た。
石壁を背にして獲物を放すと自身も同様にして、
自分達が出て来たドアを睨む、
が、これ以上の追撃はないらしい。]
……――
[けほ、と息を吐く。]
そうだ。これはわたしの為でもある。
[そう真っ直ぐに言い切った後、視線を少し下げた。]
……みんなで、この戦いに勝とうと誓った。
アムドゥスキアに勝って、良い国にしようと。
その為にわたしは、わたしだけじゃない、
みんな、みんな一生懸命稽古して、勉強して……
[語りながら思い出すのは、家族のように育った3人の顔。
鼻の奥がつんとした痛みを覚えて、声がずぐらないように、短く息をすって、一度止めた。]
戦争が終わったら、結婚したいって言ってた仲間がいた。
大工になりたいとか、遠くに旅に出たいとか、
ただひたすら、国の為に国の為にと言うのもいた。
[他のシュテルンを語る時、懐かしさに表情が少しだけ明るい物になったが、だがそれもすぐに固くなり、膝の上に乗せた拳は自然と強く握られる。]
……だけど、みんな叶わなかった。
わたし以外のシュテルンは死んだ。
生きたいと願いながら、死にたくないと泣きながら、
後を頼むと未練を残しながら。
…わたしはまだ生きている。
生きている限りは、みんなの代わりに、
みんながやるはずだった事を、わたしは最後まで成し遂げる。
[そう約束したんだと、強い意志のこもった瞳で男を見上げた。]
ほう、
まるで、小川の底で煌く雲母のような声だな。
[魔族は、耳を澄ますが、やがて、不愉快そうな顔をした。]
気に入らぬ曲だ。
もっとほかを歌え。
[そう吐き捨てるが、それでも止まぬならば、忌々しく手をかざし、その籠を吊るす鎖を断ち切る力を。]
我が嫁はなかなか反抗的だな。
ふん……。
…話せと言ったのはそっちだろう。
[何故話したとの問いには、逆に首を傾げる。]
一度露呈した秘密が戻る事はない。
一がばれようが十がばれようが同じことだ。
万一、すべてが露呈されたとしても、
リリーパはそれらを認めはしないだろう。
わたしを切り捨て…それでおしまいだ。
[そうならないよう、そうなっても、最大限の手段は模索するつもりだったが。]
それに
……約束したしな。
[負ければ話すと。そしてそれまでこの男は沈黙を守った。]
お前はわたしに対して義理を通した。
だから、わたしもお前に義理を返した。
それだけのことだ。
…逆に聞くぞ、どうしてお前はわたしを殺さず、
秘密を語らず、逆に庇いだてするような真似をする?
わたしはアムドゥスキアの仇敵であり、
お前の片目を奪った張本人なんだぞ。
ツヴィンガー・リヒト。
あの時の事を、わたしはまだ覚えている。
[ずっと疑問でもあり懸念でもあった所を、今度はこちらから尋ねてみた。]
[狼の命には素直に従い、されるがままに連れてゆかれる。]
……、
[女はただの人間であり、怪我にも慣れているわけでもない。
運ばれている間も太腿からの疼痛で冷や汗をかいていた。
痛みを堪えるような声を時折漏らす。]
[愛し子の首へと手を伸ばし]
……と、ここまでが、本音の半分です。
あとは残りの半分ですが……
[する、と撫でるように、首筋をはだけさせた。
そして、血が出ない程度、歯形がつかない程度に、愛し子の首へと噛みつくと、その反応を窺いながら、そろそろと舌を這わせた。
そして……]
私にも独占欲はあるんですよ?
私を知って、それから嫌だといっても、手放す気がなくなりました。
その跡は、消えませんし消しませんから!
[「私はきちんと確認しましたからね!」と、どこかの誰かに言い訳するように口にして、かなり悩んだのに…と拗ねたような顔になるのだった]
[そして、籠が開けば、その前に立ちはだかる。]
いいか。
君の父上が私と契約した事実は、確固たるものだ。
どんなに文句を言おうと、それは変わらぬ。
[そして、にたり、笑う。]
ただ、もし、それを反故したいというのであれば、
君の父上の今の栄光はなくなるだろう。
さて、君はどうするかね?
[そう言い捨てると、次にはその身体はがくり、崩れおちた。]
[自身を全て捧げるならば――その言葉に、ぽつりと独りごつ>>302]
―――つまりは、一部でも。
足しにはなるということね?
[罠か、或るいは魔王の言葉通りの酔興か。
手始めに、試す価値はあるだろうと、宴席に並べられた馳走に視線を巡らせ]
/*
良いような気がして悩みましたが、後で線引きが難しくなるので一律で5としてください。
『これまでの記憶』『相方に関する記憶』
等等ざっくりふたつに分けていただけたらいいかなと思います。
[>>311 他を歌えという言葉は、
そもそも耳に入っていなかった。
彼のことが心配で、彼のことだけ考えていたから]
……あ、っ? きゃっ、
[鳥かごが広間の床に落ちる、
下敷きになった魔物もいたかもしれないが、
そんなことはお構いなしのようだ。
再び尻餅ついたよこっつらを、
どこかからか流れ弾が掠めていったりもする。
この惨状こそが魔族の宴の盛り上がり、なのだろうか]
った……、リエちゃん、
リエちゃんだいじょうぶ?
[籠が開いたら、飛び出そうとして、
でも目の前に立ったのは彼じゃない彼で]
――そ、そんなの……、親父の勝手だし……、
[言ったけれど、その契約を反故にしたら、
家族はどうなってしまうのだろう。それはやはり心配で、
自己犠牲とかなんか違うと思うけど、でも]
……。
[自分の意思を、と。自分の足で立ち、隣に並べと。
それは、自分が今まで教えられ自らに課してきたすべてを崩す言葉。
そんな生き方は知らない。ずっと、神に従い神の意に沿うようにと教えられてきたから。今更そう言われても、どうしていいのか分からない。
へにゃりと泣きそうな顔をするも――]
リエちゃん?!
[>>313>>315 唐突に崩れた身体を支える、
脚が崩れたのに、ついと握っていた杖を差し出した]
リエちゃん、杖!杖ここにあるよ!
[杖を握るのを待たずに、
ぎゅうっと抱きついたのだから、
むしろ邪魔かもしれない勢いだった]
よっし。
とにかく着替えて出るか。
[返答に頷き、腕の中からアデルを解放する。
名残惜しさはあるものの、もう離れぬと決めたのだ。
ここで渋る必要は無い]
勝手なことをっ…。
[突如として目の前に聳え立った巨大な扉。
厳重に閉じられたそれをレトは瞳を細めて睨む]
…アデル、行くぞ。
こんなのに構ってられるか。
[魔王の声を無視し、自分達が取れる手段で帰還を果たそうと。
アデルが何か言うなら留まるが、早々に更衣室へと戻って魔王城から離れるつもりだ*]
[視界で白く衣を変える彼女に、魔族に向けていた視線を返す。
彼女を彩るたっぷりとした布地。
幾重にも重なる異装は、己の目を喜ばせ、撓めて見せる。]
―――…いいえ、貞淑だと思います。
ただ、ほんの少し……、
[と、そこまで言葉を零すが、後は濁して口を噤んだ。
変わりに装い新たにして見せた彼女の腰へと腕を回し、
引く顎先と傾ける体躯。>>294
襟ぐりに咲く薄紫色の花へ、口付ける仕草。
半眼に変わる魔族の眼差しなど知らぬと言わんばかりの態度。
静寂に捺す接吻は、纏うもの変えても、
自身の愛妻であると言うマーキングのように。]
…え?
[するりと伸びてきた手。温かで安心を与えてくれたてのひら。避ける気などなかったけれど、それでも服を肌蹴させられれば困惑したように身を竦める。ちりとした感覚。続いて、舌の這うくすぐったいような感覚にぞくりと震え]
――っ、…?!
[慌てて彼の肩に手を置くけれど、押していいものか分からない。そして、独占欲と言われれば――]
――…。
わたし、は…あなたに、独占されるなら。
…いえ。わたしは、あなたに、独占されたい…です…これは…我侭に、なるのですか?それとも、あなたも、望んで下さいますか?
[顔が赤い。そこまでを告げると、肌蹴た衣服のままで、今までになくぎゅうと抱きつく]
/*
現実の銃弾は体に残るとえらい事になるらしいですが
魔界の銃弾なのでファンタジーな事になっても良いですよね
さっきからデッドエンドの誘惑がちらついてやべえ
*/
― 魔王城・庭 ―
[レトの腕から解放され、小さく息を吐く。
とはいえ、今は余韻に浸る時ではないから、と思考を強引に切り替えて。
まずはここから離れないと、と思ったところに響く、声。>>298 >>301 >>302]
……これは……。
[意識に直接声を転送する、というのは、簡単にできるものではない。
それも、相手を特定して──となれば、相当な力がなければ叶わないはず。
逆に言えば、それを余裕で遣って退ける存在が相手、という事で]
……魔に属すものは、己が享楽のためには力を出し惜しみしない、とは、よく聞くけれど。
[界を閉ざした、という言葉、出るための条件。
反発するものはあるが、それらは確り、記憶に刻む]
……ええ。
どちらにしても、ここじゃ、私の力は上手く働かないし。
何をどうするにしても、場所を変えましょう。
[目の前に浮かぶ扉に、やや、険しいいろを宿した淡い緑を向ける。
魔界が閉ざされている、という言葉は今は半信半疑。
まずはそこから確かめないと、と思いつつ、同意の頷きを返した。*]
/*
閉ざされた時に、感知できる状態じゃなかったからなぁ……。
[実はここに至るまで、魔界が閉ざされている事に気づいていなかったという]
[己は外套を払ってしまえば、黒衣が露。
精霊特有の体躯は一分の狂いもない対象性を持つ。
外見などと言うものは、余り重要視しない性質であるが、
彼女の姿に視界に納め、唇を弓形に撓らせた。>>299]
おや、私が纏うなら、貴女に選んで頂きたいと、
ただ、それだけですよ。イングリッド。
[明瞭にして単純な理由。
礼節を欠くことは光精には縁遠いが、此方の性根は余り良くない。
妻が強く勧めるのなら、考慮もしようが肩を竦めるのみに留めた。*]
[そうして聞こえてくるのは、厳かな低音。
視線を緩慢に移せば、半魔半獣の王が座に在る。>>298
妻の腰を抱き直し、腕に僅かに力を込めて引寄せて。>>309
王の傲慢さは似た気質として気に留めぬが、
対象が妻に掛かるのであれば、勝手が違う。
例えば、それが、闇精の感覚で常識的な範疇だったとしても、
首を縦に振る気など更々見せず。>>301
彼女を誰かと、何かと共有し、
あまつさえ、自身以外に囚われるなど業腹に過ぎた。]
― 回想・再会 ―
[多分という言葉に彼らの境遇への熾烈さがうかがう。
それだけのものが造れたならば、その政策はよい手段だったのだと、冷徹な思考は解を出しながら、すんなりと受け入れれず燻る]
[国を守るため強くなった。それは敵国であるアムドゥスキアがいたからだ。
それはこちらからみても同じこと…最も、自分はそのように切磋琢磨するような希望を胸に抱いていたわけではなかったが、それを論じたところで何も変わらない。]
そうか……それゆえの強さか。ふふ、そうか…
[強い意志をこめた眼差しを受けながら嘲るわけではなく、静かに笑う]
ただ、私には、お前が余計に背負わされたように聞こえる。国の意志だけでなく他のものの未練も全て。
[後は任せたといって消えていく、彼女と同じ立場だった三人の想いは呪いとなって刻んでいるようにさえ聞こえる。と、思い浮かんだことを口にするのを止めない]
― 少し前 ―
[柔らかく撓む眼差しに、胸の内を擽られ頬が綻ぶ>>324]
ほんとうは、さっきのドレスの方が良かったけど。
これも、私にとっては貴方の色の一つだから。
[けれど珍しく言葉を濁す様に、彼の方へ手を差し伸べ]
少し、……なぁに?ルート。
[するりと腰を抱かれ、こちらへ傾ぐ体躯に目を瞠る。
恭しくも堂々と、白銀に綾なす薄紫の花に口づけを落とす所作。
まるで何かを暗喩するような行為。]
……何か、凄く。いま、
恥ずかしい事を、されたような気が…?
[隣に立つ彼にだけ届くよう、小声で零す]
[己は真っ向から提示もせず、彼女を娶った身であるが、
愛妻に知られぬうちは口を噤む。
いつか、彼女に問い質されたのなら、
語って聞かせるだろうが、それは蜜なる夜の闇の中で良い。
坦々と提案を聞いていたが、不意に続けられた王の言葉と、>>302
彼女の呟きに反応して、五指が尾骶骨を柔く掻いた。>>314]
イングリッド、勇ましいのは構いませんが
貴女の価値を努々計り間違えてはなりません。
―――…共に、帰りましょう。
[そっと囁く声を彼女の耳元へ。
彼女の言葉を信じる男もまた、自身を安く勘定することはなく。*]
ああ、話せ。と私はいい。そんなただの口約束を守ったのはお前だが…なんとも難儀な性格だな。
捨てられるとわかって尽くし、義理を通すか。
[皮肉るようにいいながら、心の中では安堵の念が浮かぶ。
見せかけではなかった。高潔な意志も心も、あの背中の傷と同じように作り培われたものだという証拠だと思えばこそ]
[向けられた疑問に答えることができそうだ]
そうだな。なぜ私がそのようなことをしたか。
不思議に思うだろうな。私にも不思議だ。
敵だという念はある。我が国の仇敵であるという認識とて十分にある。
だが、そんな敵でも、いてくれて嬉しく感じた。
…女だから、という理由で……自分を鍛え、培ってきたその身とその意志を、たかが女だからという理由だけで、亡くしたくなかった。
偽りの名と姿をとっているとはいえ、こうして言葉を発し、剣を振るい、意志を示すのは、まぎれもなくお前自身の力だからな。
そして、そんなお前に、勝ちたいと思ったからだ。噂を流せばそんな機会を失い殺してしまえば話す機会も失うだろ?
女性であるということを黙り、今もこうして捕虜のままにしているのは、それが国も立場もない、私個人の意志によるものだ。
[今まで理解できていなかった自身の気持ちを整理し、理解にまで及んだことを、強く言葉として刻む]
片目を失ったときのことは私も覚えているな。あれは不覚をとったが仕方ない。未熟だっただけだ。
[失った瞳など些末なこととばかりの態度を取り]
ただあの時私は……お前を心底ほしいと想いはしたがな。お前は、魅力的だ。
[敵としてであり、その生き様としてであり、その過酷な境遇からそれでも、果てぬ理想に手を伸ばす様を、魅力的と評した。
それはただの偶像のように崇拝はしない。
人間的に伝わる言葉として、魅力的と評してしまうのは]
…国も立場もない、私個人の意志は、何を望んでいるんだ?
[家族のため友達のため国のため、そうやって戦う一兵卒の意志にも似てるように思えてしまったからであった*]
[声もなくこちらを見る獲物を見返して、互いを見比べる]
おまえの傷は
どうしたらいい
[人間は脆い。舐めてどうなる程度の傷ではないと思えたから
その処置を本人に問う。
血を止める事だと指示を聞けば、着せられていたジャージを
脱ぎ捨てて切った布地で腿の傷を縛った。
理屈を考えての行動ではない。
だから理由を問われても上手くは説明出来ない]
― 魔王城 ―
[普通そんなに傷だらけにならない、と言われて自身もそうだろうと思い、笑みが苦まる。
だが果たした証と言われて男を見上げ、再び体の傷を見た。]
わたしの、果たした事の徴。
[傷だらけの身体は、戦う人間の物だった。
ならば自分は何かのために戦い続けたのだろう。おそらく、必死になって。
考え込むように下がっていた視線は、節硬い指に持ち上げられ上を見る。]
………リヒト。
[思えば、この男はいつもこうやって、真摯に見つめてきてくれていた。
敵だというのに。だが敵でないというその意味は、まだ解らないが。
見上げるままに見つめていた男の唇から、世事などいわないと、
言われた時は少し嬉しくあったのだが。それよりなにより、さらりと恋人の二字がおりてきて、目は見開かれて、固まった。]
…………。
……もったいない
から?
[疑問符の混じるそれは、どこで覚えた言葉だったろう。]
え
[今何ていった、恋人?と。
大事な言葉を頭の中でぐるぐると反芻させる。]
っ、おまえ……
[戒めを篭めて柔く引っ掻かれたのは、彼以外には決して触れられることのない場所で>>330
腕に抱かれる腰が、びくりと弾かれるのを堪え切れず]
――…ッ、もぉ、貴方はどうしてこんな時まで…!
[泣きそうに細めた瞳と、押し殺した声で抗議を挟む。
案じる言葉を掛けられれば、穏やかな声音を]
……大丈夫。
貴方の御心を傷める真似は、極力しないと約束するから。
私達の家へ、明かずの森へ、二人で帰りましょう。
いや言ってもらっても、
ちゃんと信じたか解らないだろうから
わかるけど、でも
[言わなかった理由もわかる。
わかるが、何だかもだもだした物で胸がいっぱいになった。]
あああ殺すとか言ったじゃないか…!
[どころか実際剣も向けた。
何だか情けない気もして顔をおおった。]
[ついでに醜くないとも言われた。
一度も、と告げられ胸の奥が熱くなるが、一度という事はつまり。]
……見たのか?
[一度も、というのが引っかかって聞き返す。]
えっ えっ!?
え、えと…その、リヒト、
わたしたちはどこまでの恋人なんだ…?
[間抜けな事を聞いている気もするが、大きな事実を告げられ、恥ずかしいやら今までの行動に顔を覆えるやらで、だいぶ混乱してもいるようだった。]
[帰路を願えば現れると言う門扉。
各地へと溜めてきた
珍しい光精へダンス一曲申し込みたがる眼差しはあっても、
腕にしっかりと愛妻抱きこんだ男が、無言で邪心を排し。
頬を淡く染める彼女と寄り添いつつも、ゆっくりと瞳を開いた。]
―――…それではイングリッド、
[彼女に言葉を掛けながら、憤慨する菫色に視線を重ね>>332
返って来る安堵を誘う声に懐きながら、口を開く。
――――されど、続く言葉を形にする前に、
不意なる出来事が夫妻に降りかかった。>>#14(10x1)]
……リエちゃん、どうしよう。
[とりあえず、杖を求められれば、
杖を握らせて後あらためてぎゅっと抱きついた。
2人で脱出することしか考えて無かったけれど、
その結果、家が貧乏になったりするのなら――、
彼に報酬を渡すことも今後援助をすることも出来なくなる]
俺が帰ったら、うち貧乏になっちゃうかも。
[大した問題じゃない、とは言えないだろう。
お金がないことの大変さを、彼はしってるだろうし]
……リエちゃん、どうしよう。
[とりあえず、杖を求められれば、
杖を握らせて後あらためてぎゅっと抱きついた。
2人で脱出することしか考えて無かったけれど、
その結果、家が貧乏になったりするのなら――、
彼に報酬を渡すことも今後援助をすることも出来なくなる]
俺が帰ったら、うち貧乏になっちゃうかも。
[大した問題じゃない、とは言えないだろう。
お金がないことの大変さを、彼はしってるだろうし]
……いや、いいや、とりあえず、
リエちゃんだいじょうぶ?怪我はない?気分悪くない?
どっか変なところは?なにがあったかわかる?
もう、ほんとあいつ殴りたい。
[矢継ぎ早に質問してその身に異変が無いかぺたぺた触りながら確かめるのだった]
[着弾時の衝撃が落ち着けば、獲物も自力で動けるか。
出来なければ、また運ぶしかあるまい]
あと、俺が来た出口を、確かめる
[次の目的を決めると、
魔王城の庭から、元来た道に向かって移動し始める。
標的を探す堕天使に気付かれないようにしなければ]
[帰路を願えば現れると言う門扉。
天女如くの衣装に身を包んだ彼女と戯れつつも、
男の頭は、帰路への計画を建てる。>>329
何処に在っても、こうした稚気にも頬染めてくれる彼女が居るなら
価値も見出せようが、他の籠に捕われるなど、嗤えない冗句だ。
何より、魔界は彼女と酷く相性が悪い。]
こんな時?
―――…いいえ、イングリッド。
正しく言葉を使うなら、何時如何なる時もです。
[危機感足りない言葉を掛けながら、憤慨する菫色に視線を重ね、
返って来る安堵を誘う声に懐きながら、頷いた。>>332
打ち続けた
彼女と巣籠に戻る為、撒いてきた労だ。
それに傍には愛妻が居る。
これ以上の加護はあるまいと、周囲を見渡した。>>#18(10x1)]
[頭に直接響く声には、同じく眉根を寄せる。
脳を揺さぶられるようで、頭が痛くなったが、言葉の意味は何となく理解できた。]
そうらしい…けど。
[扉にかかる錠前は、酷く厚く強固に見えた*]
― →浮遊する群島 ―
[どこへ、と言う明確な目的地があったわけではない。
アデルが落ち着いて接点作成が出来れば良いと、それだけを考え辿り着いたのは]
……うっわ、なんだここ。
[数多の岩が宙を漂う場所。
移動にしか使えなさそうな岩もあれば、住むも可能な洞窟つきの岩場など、大小様々な岩が視界に広がった]
…ここでもいけそうか?
[魔王城や研究施設よりは邪魔なものがなさそうだったから、アデルに休息がてらここで試すことを提案。
そのためには落ち着いて作業が出来る場所まで移動する必要もあったが**]
― 魔王城 ―
[考える暇も与えず、その証が醜くなどあるはずはない。
そう言い聞かせるように、頷いてみせる。
昔とは違う呼びかたで呼ばれることには一瞬目を伏せたが。
恋人。と口にして、驚き、固まり、抗議の声を上げるに笑みがこぼれた]
仕方がないだろう。出会っても私のことを覚えてはいない。
私も冷静ではなかったのが原因だが剣も向ける。最初は瓜二つの誰かかと思ったぐらいだが、話してみれば記憶を失っている。ときた。
そんな相手に、その前に戦った相手に、実は恋人です。などといって信じるか?無理だろう。だから黙った。
[と一つ一つ説明をする。
それだけが原因ではないのだが、顔を覆う彼女を手を取ろうとして、明らかにその肌を見たという件の発言に気づいたようだ。
更に混乱をしている、今度は羞恥と合わさっているようでつい、からかいたくはなるがそれは悪いかと思い]
見たな。見ただけじゃない触りもした。…その傷どころか、その体に触れてない場所がないぐらいにな。
無理矢理ではないぞ。それを許し身を委ねられた上での関係だ。
[そこは自重した。当人なりにちゃんと、間違いなく、確りと、自重したのだ。]
…それにしても…今こうしていわれて信じられるのだな
[それぐらいには、昔と同じように心を許してくれたのだろうか。恋人という言葉に驚きながらも肯定から入っているのに彼女自身気づいているのかどうか。]
言うのが遅くなったのはすまないと思っている。ただ本当は…黙ったままのほうがいいと思っていた。
思い出さないほうが幸せかもしれない。と思っていたからだ。
ならば私のことなど忘れたほうがいいかもしれないと、そう考えていたのだが…無理だった。
……それに約束を果たさないといけないからな。
[シュテルンを見ながらも、見ていない、過去の彼女を思い返していたが]
だから先にいっておく。
[その視線は、今のシュテルンを見る。浅葱色の瞳を強く、奥底に刻みつけるように、強く見つめ]
私はお前を離さない。攫ってでも連れて帰る。
―――……わかったな?…グリヴ…
[いつにないほどの熱をこめ、静かに、そして一方的な宣を彼女に告げた*]
― 魔王城・大広間 ―
罠なのか。道楽なのかはしらないがこの国からでない限りはそんな嫌な国に住むことになりそうだ。
[居住は認めるというが、自分もシュテルン>>339もこの国ではよい日々を送れそうにないのは明白]
その手段として提示されてるのがこの扉、あの王曰く、他の手段はないという。ま、それが本当である証拠もない。
[錠前のかかった扉を静かに睨みつける。
壊せないならば、何かを代償に寄越せというが]
少し考えるか。
[すぐに決断できるものではなかった**]
[どうしたって、譲れないものがある。
あの王が閉じたというならば、それを殺してでも――
裾を掴む彼女の手に手を重ねて、ぎゅっと握った**]
― 魔王城・個室 ―
[眠りは穏やかな至福に包まれたものだったが、目覚めはとても快適とは言えなかった。
脳裏に響いた声に頭をひとつ振り、半身を起す。]
ああ…。なんて勝手なことを。
[握った手から、震えが伝わるだろう。
憤りと恐れとが身体を突き抜けていく。]
……クロゥ
[彼の胸に額をつけて、気を静める。
互いの鼓動が一巡りするまでそのままで。]
あなたから奪わせはしません。
相手がなにものであっても。
───共に、帰るのですから。
[改めて誓いを口にする。]
― →浮遊する群島 ―
[行く先に宛がないのはこちらも同じく。
ただ、今まで通過してきた場所では集中し難いかな、という思いが、レトの思う所と重なったのか。
たどり着いたのは、これまで通った事のない場所で]
……凄い……。
[空に漂う、いくつもの岩塊。
その光景に息を飲んで見入った後]
……さて、まずは。
[接点作成の前に、確かめるべき事が一つ。
『すべて閉じている』という言葉>>302の真偽──そこを明確にしなければ、次の段階には進めない]
Verändre eine Ansammlung, Formmacht.
[小さく紡ぐ声に応じて、魔導書が緑の光をまとう]
Ich schwanke und bin mit einer Öffnungswelle.
Der Weg der Welle von der Macht, diesen Boden zu umgeben.
Es ist nicht anders und erzählt mir den waveform.
[紡がれる言霊に応じ、ふわ、ふわりと淡い紫の光が周囲に漂い始め。
最後の一文が紡がれると、漣の如き動きで周囲に散って行った。
広範囲に広がり、周囲の力の波形を辿る術。
他者の魔力に大きく干渉する事もあり、ここまでは使うのを躊躇していたのだが]
……最も力あるものに特定されているなら、気にしても仕方ないし……。
[そんな割り切りもあって、使うに躊躇いはなかった]
[周囲に放った力の波は、界を漂う波形に響き、その形と在り方を伝えてくる。
様々な力の入り乱れる中、一際強く感じるのは、彼の城で感じたあの波形]
…………。
[可能な限り、知覚範囲を広げて確かめる。
どこまで広げても、覆い尽くすような感触が帰って来て]
……大きな力で包み込まれている、というのは、確か……かな。
[小さく呟いて探知の波形を引き戻した後、ひとつ、息を吐く。
重い瘴気の殆ど感じられない場所とはいえ、大掛かりな術にはやはり、相応の疲労がついて回ったが、それでも]
……大丈夫、平気。
[疲労を案じられるなら、返すのは柔い笑み]
今まで、楽していたようなものだし……やれる事はやらないと。
[そう言って、もう一つの術の試行に取り掛かろうとするものの。
術式の展開以前、魔力の集中の時点で息切れして、しばしの休息が必要となるのだが。**]
― 魔王城・個室 ―
[同じ声によって目覚めた彼を腕の中に抱いて、その震えを受け止めながら、重なる鼓動に静かに耳を澄ます。
胸に響く彼の意志に、その髪へ頬を添わせて頷いた。]
魔王が魔界のすべての扉を閉ざし、外の世界への干渉を止めたというならば、我々が生まれた世界では歓迎されてしかるべき事態だろう。
我らがここにあることで魔界が封じられているのなら、無理に結界を破って戻るのはかえって災厄をもたらすことになるかもしれない──魔王の提案を聞くまではそう悩んでいた。
だが、魔王はいつまでも魔界を封じておくつもりもなさそうだ。
ならば、我らも立たねば。
わたしとおまえは互いの半身。
忠誠であれ、畏敬であれ──我らの一番強い”想い”を、魔王は得ることはできない。
[こうして話しているところもまた、魔王の知るところなのだろうが構わなかった。
とはいえ、密事にまで及ぶにはいささか気の散る話。]
シズ、 具合はもう大丈夫か?
動けるようなら、この部屋を出て、元の服に着替えよう。
それから、魔王に辞去の挨拶をしていこうと思う。
[ことの発端はあの堕天使の独断専行であり、おそらく魔王は関与していなかったと憶測される。
だが、いまや魔王は一切の手綱を己に帰した。
それはまさに王たる者のありようだ。
礼を通しておきたい──と、生真面目に諮る。]
[当然の如くあっさりとした返答>>337
揶揄以上に、彼にとっては只の事実に思われ]
貴方って、本当に……、
ほんとうに――……
[何時如何なる時も飽き足らず、妻を愛で苛む手を緩めない男。
大過なく精霊界に帰り着こうと、この男の隣に添う時間は続くのだろうと思えば、眩暈がする心地で]
― 魔王城 ―
[視線の先に居たのは先ほど入り口で押し問答した魔族の一。
同時に、足元から這い上がる違和感は自身の司る闇にも似て、
されども、本質の理が違う。]
―――……?
[疑問は刹那。消失は瞬間的。
小さく息を飲むより先に抱き寄せたのは愛妻の身。
足元にぽっかりと空いた漆黒は穴では無い。
塗り潰された魔法陣であり、礼節欠く己を招く応報。
賑わう大広間より半ば無理矢理
― 地下迷宮 ―
[石を積んで出来た壁と、くすんだ色ばかりが埋め尽くす世界。
喧騒は遠くに過ぎ去り、音もない。
歪めていた瞳を開き、庇うように翳していた片腕を払うと、
真っ直ぐに伸びる通路から枝別れする先が見える。]
……これも余興の一つと言うことでしょうか。
[恐らく己のみに絞られた事実上の退場であろうが、
しっかりと愛妻を巻き込む男。
別離を許さぬと告げた通りに侍らせるまま、
まるで共に在ることが当然とばかりに溜息ひとつ。
気怠けに前髪を掻き揚げてから、眼鏡のブリッジを押し上げ]
――――イングリッド、転移酔いはしていませんか?
[彼女の額にも指先差し伸べ、するりと労わるように撫ぜた。*]
――…私の手には余るわ、ルート。
[手を携えようとも、御し難いことに変わりはない。
ならば、自分が彼の掌中に囚われるのが必定の摂理だろうと、
か細く吐息を溢す。
暫し視線を彷徨わせたのは、人目よりも自身の羞恥心に憚って。
周囲を見渡す夫の横顔、つと伸び上がって頬に唇で触れ>>337]
……、……
[何とはなしに顔を逸らせば、不穏な魔力の流れを感じ取る>>338**]
/*
〜漢服構成〜
1:内衣(所謂下着、白くて薄いワンピース状)
2:裙(スカート)
3:在れば胸当て(胸元が垂領は無い)
4:上衣(1〜2枚)
5:帯(+紐帯)
6:比礼
こう…かな?
[注視の先を追えば、城の入口に立っていた魔族が、
にぃっと口角を歪めたのが一瞬見えた。
周囲に立ち込める雑多な魔力に紛れ、巡らされた悪意が足下に収束するとほぼ同時、腰を抱く夫の腕にぐっと力が篭もる>>355]
………っ、
[渦に呑まれるような衝撃に目を瞑り、
次に開いた時には、薄暗い石壁に囲まれていた]
お客をもてなすには、趣向が過ぎるわね…
[夫の言に溜息混じりの同意を呟く。
無事を確かめる指先>>356に、少し目を細め]
ええ、このくらいは全然平気。
でも貴方……、トラブルに巻き込まれやすいのね。
[そもそも魔界に浚われたのも、我が身には覚えのないことだ。
巻き込まれる身でありながらも、懸念の視線を向け]
[休息場所である洞窟に落ち着き、運んでもらった水を飲んでひとつ、息を吐く。
水の冷たさは思考を鎮め、鎮まった思考は、先に聞こえた声への分析へと向いた]
(界が閉ざされている可能性が高いとなると、あの扉についても、前向きに考えなきゃならない、かな。
代償……に、なりそうなもの、なくはないけれど)
[思考巡らせながら、視線を落とすのは丁寧に布の巻かれたままの左の手。
強い魔力と、聖らなる資質を帯びた血は、多くの魔の好むもの。
……それ故に、色々と厄介な事情を抱えるに至ったわけだが、それはそれとして]
……悪い方向に、考えすぎちゃ、ダメ、か。
[ぽつり、と小さく呟く。
望めない、得られない、とずっと諦めていたこと。
その諦めの縛から、ようやく抜け出せた──連れ出してもらえたのだから。
後ろ向き思考の齎す諦めに囚われる訳にはいかない、と決意を固めつつ。
今は、自身の魔力の流れが鎮まるのを、待つ。*]
/*
ダイス目は、うん。
こないだのあれそれもすごく偏ってたからなぁ……。
どうなっても、多分なんとかなる……と思いつつ、頑張ろう、うん。
[迷宮に落ちる直前聞いた彼女の言葉通り>>354>>357
トラブルを呼び込む体質であるが、
事故と言うより、根本的には自業自得。
他との摩擦を意に介さぬ身は、瑣末と頭を揺らす。
常に一蓮托生を辿る彼女には堪ったものでは在るまいが。]
さて、災難は我が眷属と言い難いですが、
細事以上のことでは在りません。
―――現にイングリッド、
[緩やかに指を一本立てて、道の先を示す。]
[シンと静寂を備える迷宮には、お互い以外の気配を感じない。
されど、微かに力の流れを覚えることが出来た。]
漠然とですが、あちらから力を感じます。
恐らく、この迷宮は王城の中心地まで続いているのでしょう。
折角なので、扉も其方で開かせて貰うとしましょうか。
[元より闇精は絶望と程遠い本分。>>358
易い調子で彼女に説明施しつつも、
この迷宮を突破せねばならぬと言う苦難は度外視。]
無論、歩き難ければ運びますよ。
―――…大分、裾が長いですから。
[魔界に伴侶攫われる心当たりは一つ、二つ在るが、
今は彼女の裳裾が興味の対象。気遣うように語り掛けつつ、
男の笑顔の裏には、常通り、何か企む妖悦が隠れていた。*]
― 回想・再会 ―
[英雄にならなければ、おそらくはまともに生きることも難しいかった、身寄りのない貧しい暮らしの出の4人だった。
英雄になるという崇高な希望と言う餌と、温かい寝床と食事を仲間と共に与えられる事は、4人にとって国へ与える忠誠をより濃いものにしていた為、自分たちを顧みて過酷とは思わない。むしろ幸運だとも思っていた。]
[その前提があるからこそ、男が零した笑みには視線が少しきついものになる。]
呪いだと?
違う、わたしが3人から貰ったのは、そんな後ろ暗いものじゃない。
[そんな物であるはずがないと、強く返す。
男の言葉を受け入れられないのは、図星を突かれたからか、相手が相手だからか。]
3人とも、わたしの大切な
大切な…友達だったんだ。
だから、託されるのは嬉しかった。
背負う事は喜びだ。
だからそれが呪いなはずがない。
[捨てられる事については、その皮肉な声に反射的に睨んだものの、すぐ眉を下げた。]
…今回の事は、わたしの迂闊が原因だからな。
正体がばれることは、戦場で死ぬのと同意義だ。
今まで培ったものが崩されるくらいなら、
切り捨てられるのは仕方ないし、諦めもつく。
[この場合、自分の生死よりも「シュテルン」の正体が露呈される事が何よりまずいのだが、とはいえ今語った言葉以外、シュテルンが4人いたという証拠はもういない。
ならば命を代償に、秘密が闇に葬られる事には何の恨みもない。]
…それでも、生きていられるうちは生き残るつもりだが。
[ただ仲間との約束があるから、生き残る事は諦められなかった。]
[投げた疑問への返事は長い物だった。
その言葉ひとつひとつを、相手を理解するためにじっと聞く。]
お前は…
変な奴だな。
居て嬉しいとか、敵に…。
[聞いたものの、相手の心中を深く理解する事は出来ない。
それは立場の違いや、見ているものの違いがある為仕方もないのだが。
理解できない事を理解しようと、考え込むように眉が寄った。]
わたしを好敵と認めて、それに勝つ、なんて
戦争に理想を持ち出すのか。
……いや、英雄としてわたしたちがいるのだから、
そう思う事はおかしくないのかも、しれないけれど…。
[血みどろの戦いだからこそ、綺麗な物も必要なのだと。
国民の理想や希望の証である自分が、それを否定する事は出来なかったが。]
[ただやはり、それは戦争に勝つ事と比べて価値のある事には思えない。勝利を捨ててまで自分の生存を選んだ男に、何とも不可解な感情が残った。]
お前が個人的に、わたしの生存を望んでいる事はわかった、けど…
[ともあれ事実とその理由だけは、十分に納得出来ないながらも理解はした。]
…。
[片目の事を語られると視線は少し下がった。
ほんの少しだけ、後悔するような気持ちになったからだ。
だがそんな思いも、次に出てきた言葉にふっとんでしまったが。]
お前それ…
[告白ににたそれに、言葉を詰まらせる。
そういう意味ではないのだとは理解しつつも、今まで一度も言われた事のない言葉に、柄にもなく頬を少し染めた。]
………まぁ、つまりお前がわたしと戦場で堂々と戦って、
決着をつけたいから、こうして生かしているんだということは理解した。
お前の意志は、そこなのだろう?
[自分の言葉に問いかける男に、少し首を傾げながら逆に問いかけた。
それ以上の物を、ただの敵である自身は伺い知る事は出来ない*]
[白い指が静かに示す先、気を凝らせば、魔力の流動を微かに感じる>>362]
そうね、禍転じて、となるなら。
貴方のご判断に従います。
[迷宮の底でも、くすりと笑い、全面的な信頼を呈してみせる]
ん、少し歩き難いけれど…
危急の時に、貴方の腕が塞がっているのは困らない?
[夫の寵愛の副産物として、我が身に及ぶ不穏な気配には少々敏くなったものの、相手は隠匿を旨とする種の長である。
夫の手を煩わせるのと、歩みを緩めさせるのではどちらがましだろうかと、只そればかりを思案げに問う>>363]
― 浮遊する群島 ―
[冒険中の荷のまま魔界へ飛ばされたのが幸いだった。
水を汲む器はあるし、保存食も少なからずある。
尤も、食は魔王城で済ませてきたのもあって、今は必要としなかったが]
………
[レトもまた水で喉を潤し、洞窟の壁に凭れて座り込む。
視線の先には何か考え事をするアデル>>360の姿。
魔術などについて知があるのはアデルの方。
その点はどうしても頼らざるを得ない。
だからこそ、自分のやれることでアデルを支えたいと思う]
(…ぜってー連れて帰る。
あの扉からしか出られねーんだったら、ぶっ壊しゃ良い)
[単純な思考、けれど単純であるが故にその想いは強い*]
[徐に立ちアデルの横へと座り直す]
アデル。
[名を呼んで、アデルの肩に手を回し自分の方へと引き寄せた。
今は何も考えずに休んで欲しい、そんな想いを体現したのだが、効果があったかは定かではない*]
いいえ、貴女にはして頂きたいこともありますから。
―――…この迷宮を攻略する為に、
力を貸していただけますか?
[言うや否や、彼女の体躯に滑り通す腕。
見目の柔軟さに反する剛健は健在で、
小柄な愛妻を腕の中に抱えてしまおうか。>>364
彼女の肩に掛かる比礼が軌跡を辿って揺らめき。]
魔物の気配は感じません、
ですが、相当複雑な歪曲で組み上げられているようです。
角の度に標を落として、中心地への道を特定しましょう。
[具体案を口にせずに、彼女を納得させる為の打開策を述べる。
導くことは、光精の得意分野だろうが、
実質な労働は明かさぬまま、靴音高らかに鳴らし、迷宮を往く。]
……え?
[思考の海に沈んでいた意識は、名を呼ぶ声に浮かび上がる。
問いかけるのとほぼ同時、肩に手を回されて。
引き寄せられて、数度、瞬いた]
ど……どうした、の?
[零れ落ちるのは、素の疑問。
行動の意図には思い至れていないものの、寄せられた場所は一番落ち着ける、と感じているから。
施術の後に張りつめていたものは、ゆる、と溶け落ちた。*]
ええ、私にできることがあるのでしたら、何だって。
でも――……
[時を挟んだ分だけ疲弊していた身体は回復し、光量も幾らか戻りつつはあるが、それでも微力には変わりない。
力添えが適うだろうかと問う声が、夫の所作に遮られる。
ふわりと浮かんだ身体は、そのまま定位置へ納められ>>366]
……、……お願いします。
[慣れた体勢ではあるが、彼是を経た今は余計に気恥かしく、肩口に顔を伏せ囁く。
迷宮に道標をつけていく算段に黙って耳を傾け、時折頷きを挟みつつ]
[幾重に重なる衣は彼女の白皙を隠し、
歩を進めるたびに揺れて、ひらりひらりと舞い遊ぶ。
彼女の杞憂を感じつつも、
大人しく腕の中に納まる彼女へ、笑気一つ。>>368]
“なんだって”…それは、それは。
―――…私の妻は献身的で、実に助かります。
ああ、貴女の力を浪費する気はありません。
唯少し、―――目印に使うだけですよ。
[鸚鵡返しに彼女の承諾を繰り返し、告げる礼は朗らか。
言葉の意味を教えるのは、最初の曲がり角に辿り着いた後。
二手に別れる行き先は、どちらも先が見えない。
僅かに冷えた空気は流路も知れず、逡巡刹那。
徐に彼女に視線を寄越すと、緩やかに手を差し伸べた。]
[徐に指先を絡めて彼女から攫うのは、肩に掛けた比礼。
まるで天女の羽衣のような薄絹に
微かなる解放を促せば、淡い光を放ち、宙で停滞する。]
こうして、貴女の輝きに馴染んだものを各所に置けば、
空間軸の把握も易く―――…上手く、配置出来たなら、
迷宮に留まる魔力を貴女の力にも変換出来るかもしれませんよ。
[一時でも精霊衣として光精の香が移った異装は、
微弱ながらマイルストーン代わりになる。
そう、説明をしながら――――、
――――当然、その度に彼女は衣を捧げることになるのだが、
言質をとった男は、反論許さぬ双眸で妻に笑いかけた。*]
[疑問の声に小さく笑う]
この方が休めっかなー、と思ってさ。
お前、考え込みすぎる性質だし。
ほら、心臓の音聞こえると安心するって言わねぇ?
[正直な考えを口にして、肩に回していた腕を滑り落としてアデルの腰辺りへ。
緩く添えるような力加減で手を置いた。
密着したことで鼓動はいつもより少し、早い]
それとも、この体勢よりこっちの方が良いか?
[引き寄せた逆の手で示すのは自分の足と足の間。
アデルを後ろから抱き締める形で寄りかからせることになるのは想像に難くない。
ただ、今の体勢よりは楽そうな気もしていた*]
[捧げた約束を繰り返す声音。朗らかなのに、何処か――>>369]
ルート……?
[そろりと面を上げ窺えど、目印に使うと教えられれば素直に頷く]
そのくらいなら、大丈夫。幾らでも。
少しは貴方のお役に立ちたいもの。
[最初の岐路に差し掛かれば、
標を求める視線が、手が、すっと伸ばされる]
[考え込みすぎる、と言われると、返す言葉もない。
実際、今も思考に思いっきり浸り込んでいたわけで]
……そ、それは。
確かに、良く聞く、けれど……。
[肩から腰へ滑り落ちる手の動き。
距離が近づけば、鼓動が跳ねるのは止めようもなく。
こっちの方が、と示された位置が、寄りかかる姿勢になると、気付くとひとつ、瞬いて]
……姿勢的には、楽、だろうけど。
支えるの、大変じゃ、ない、かな?
[そう言ってはみるものの。
その方が表情見られずに済むかな、なんて思いもちら、と過ってはいた。*]
[優しいとも評せる手つきで、肩に遊ぶ比礼が剥ぎ取られる。
ささやかな衣擦れだけ残し、淡く光る薄絹は、仄暗い空間に舞い上がり]
……あ、
[僅か頼りなげな声を溢し、視線が薄衣を追いかける]
……いい考えだと、思うわ。
でも、あの。ここの魔力は、私に馴染む気がしないし、
それに、私は。
貴方以外の誰かの力を取り込むのは、いや…
[…できれば、と一番の本音をひそりと打ち明ける。
少し遅れて、今しがた彼が口にした言葉を思い出し、
自分の身体を見下ろす]
――――…角の、度に……?
[少しずつ色合いを変える淡色の襲が、幾重か襟ぐりから覗いている。
腰布に絞られ、形を撓めた薄衣。
恐る恐る見上げれば、拒否を封じる如くの笑顔。
淑やかに肌を包み隠し装おうと、素肌まで見透かされているような心地に息を呑む]
[曲がり角に照らして添える微かな光の輝き。>>370
彼女の献身を有難く用いる男は、趣味を半分兼任させる。
先ず一つ、と灯せば、足を踏み出し、更に迷宮の奥深くへ。]
貴女のお蔭で、恙無く進めそうです。
―――…ああ、ほら、次の角が。
[するりと唇を寄せるは彼女の耳元。
耳孔の凹凸に唇宛がうようにして柔く食み、
囁く言の葉を彼女にのみ響かせようか。]
―――次は帯を頂けますか? イングリッド。
[愛妻の肯定を良いことに、続いて強請るは着衣を留める腰帯。
着衣を固定する為の帯であるため、解いても多少形が崩れる程度。
ただし、夫の目の前、明るみの下で脱衣を強いられる事実は変わらない。
攻略に必要なことだと嘯く声が、耳傍で低い笑気を孕ませ。
耳を塞ぐように送る口付けと、伴うリップノイズが、酷く近い。]
……おや、相変わらず、私の胸を甘く締め上げることがお得意だ。
――――此処へ。
私以外が収まるのは、怖いですか?
[戯れに伸ばした指先が、彼女の下腹部を撫でて暗黙の示唆。
指先で帯紐を軽く引っ掛け、解いてしまうのも事故と眼が語る。
相応の悋気を持ちえる癖、彼女を苛めるように言葉を選択し、
トン、と胎の上を指先で突いて戯れの態。]
……イングリッド、
ちゃんと掻き合わせいないと落ちてしまいますよ。
[彼女が従順にも帯を差し出せば、当然向けるのは辱める語。
一度や二度の右折左折では終わらないだろう迷宮で、
愛妻へ齎す長い羞恥の時を予感させながら。*]
[浮かぶ光から視線を外し、強張った顔で夫の横顔を見つめる>>371
迷宮の奥へ奥へと踏み入る脚が、また曲がり角で立ち止まる]
――……嘘。そんな、もう…?
[呆然と呟き、それきり言葉を失う。
近寄せられる白皙に、咄嗟に怯えた眼差しを向け]
[湿った温みに耳朶が食まれ、
嗤う声音が、愉悦を孕んだ要求を流し込む]
―――……は、い、
[…どうぞ、と震える声が許す。
彼の力になりたいのは本心、
彼の求めを一度として拒めないのも、また本音。
けれどこの先の羞恥を思えば、上気する頬から、きっちりと布に包まれた首筋にまでじわりと熱が這う]
いや、ぁ……っ、
[下腹を撫で擦り、帯紐を爪先に引っ掛ける仕草。
思わず弱く拒絶を訴え、唇を噛む。
薄い腹の奥、彼を受け容れる場所を強く意識させる指。
掻き混ぜられる悦が呼び覚まされ、
せめて眼差しだけでも躱そうと、きつく瞼を閉ざす]
貴方以外は――…、貴方じゃないと、いや…
[自ら視界を塞げば、下腹に宛がわれた指に感覚が持っていかれる。
腰を絞る拘束が一瞬強まり、はらりと弛緩する]
……、……
[零れかけた吐息と制止を飲み下し、
薄衣の合わせ目をぐっと掻き寄せた]
[間近で跳ねる鼓動はレトにちょっとした歓喜を齎す。
抱き締めたくなる衝動は一旦押し込めて]
俺も壁に寄りかかりゃそんなには。
[問いかけにそう言い、一旦アデルから手を離すと壁際に座って壁に寄りかかった。
その状態でアデルに、来い来い、と手招きする*]
[進むほどに帰路に近づくはずが、妻の顔は曇り行く。
原因は己にあるとしても、覚えるのは悦であった。>>372]
おや、早く帰りたいのでしょう。
それとも――…、助力は嘘偽りだったと?
[態々彼女が断りきれぬ類の言葉を選択し、
否を言わせぬ為に何重にも掛ける鎖。
逃げ道から順に潰し、妻を捕らえるのは何度目か。
されども、それも、常なること。]
[得た腰帯を再び浮かせ、確かに情報値は増えるが未だ足りない。
男は彼女の気配に聡いものの、物量を越えられる程ではなかった。
粛々と布地を解かせ、唇は三日月の形。
歩む度に揺れる裳裾は、先ほどよりも大きく開く。
足首から絡むように触れて呼び込む風も増し、
彼女が自覚した意識と共に白皙を脅かす。]
………可愛いらしいことを。
―――…ですが、気をつけてくださいね。
標を増やす度に、貴女に這い寄る魔力は増しますから。
[告げると同時に、彼女の肌にじとりと纏わり付く空気。
光精の貞淑に誘われ、標を通して魔力がじわりじわりと迫る。
本来ならば、己が彼女の傍で不埒を払うが、
此度は態と手を出さず、愛妻の献身に任せた。
―――さながら、彼女を玩び、苛めるように。]
[ちゅ、と虐めながらも、労わるように、蟀谷へ捺す接吻。
次に強請るのは、折り重なる上衣の一枚。
当然、彼女自らの手で差し出すよう、言外に告げ。
正装で在れば、上衣の下は白い
頼りなげに残された
内衣は下着と言えど上等なものらしく、
薄っすらと肌を透かすほど、細かい織によって作られており―――、
男の眼差しを阻む程の隠匿を持たない。*]
[さらりと返され、手招かれると動かない、と言うのは選べない。
示された場所に落ち着く動きはやや、恐る恐るといった風。
触れられるのも苦手だったが、自分から手を伸ばしたり触れたり、というのは、それに輪をかけて苦手だった]
……ほんとに、大丈夫?
[身を寄せる前に確かめるように問うてしまうのは、その表れ。
是が返ればやはりどこか怖々と身を寄せて。
温もりに触れればようやく、力も抜ける]
……こんな風に、誰から触れる、とか。
……考えた事も、なかった。
[ふ、と、零れ落ちる、小さな呟き]
御師様は、小さな頃はよく撫でてくれたりしたけど。
……離れてからは、そういう事もなかった、し。
だから、わからなかった、けど。
……あったかいんだ、ね。
[温かく感じるのは、触れている相手が彼だから、なのかも知れない、とは。
思っていても、言葉にはできないけれど。*]
― 魔王城 ―
[己を認めてくれるように頷く人に少し眉を下げた。
敵だというのに、むしろ敵だからこそだろうかと、まだ霞の中にある理由に思いを巡らせる。
そして答えの一端に触れて、その事実に顔を赤くした。]
わかってるけど、そうだけど…!
[場所が場所であったからこそ敵だと真っ先に認識して殺しにかかった。
どうやらそれも間違ってはいないらしいうえで恋人だと言われても一笑に伏すのが目に見えている。
違和感を感じたのは、目覚めて連れ出されてからの自分への扱い方だ。
一度覚えたひっかりは解消される事無く、じわじわと膨れて、ようやく今に至った。
説明経緯に逐一納得はしながらも、恋人にする態度じゃなかった事を後悔する。]
[覆った顔を取られるよりも先に、こちらの質問が返って来て背中に汗をかく。身体は異様に熱く感じた。]
うわーーーいい、わかった…!
[合意の上でいくところまでいったらしい。
と笑顔でさらりと詳細を宣言されると、耳まで赤くしてもういいからと首を振る。
嫌がってるわけではないが、単純に恥ずかしい。
同時に思い出せないのがもどかしくもあったが。]
[記憶のないのに信じられるのかと、改めて言われて首を傾げた。]
それは…
[そういえば不思議と、それを聞いて嘘だと思う事はなかったな、と思う。]
嘘ではないだろう?
何となく……嘘じゃないんだろうってわかるんだ。
[男をリヒトと呼び、あの軍馬を自然とゼノと呼んだように、記憶は完全になくしたわけではないらしく、そこに至る想いや感情は枝葉の様に別れて残っている。それらが直感のように働いて、男の言葉をするりと受け入れさせる。]
[それをきちんと理解しているわけでは無かったが。]
何でだろうかは解らない。
だけど、多分、わたしは、
お前の事が、とても好きだったんだろう。
[つまりそういう事なのだろうと言い、言ったあとで照れたように視線を少し逸らした。]
…好かれていたんだな、グリヴは。
[謝罪と、言葉の端々から目の前の男の想いを知り、過去の自分を他人のように言いながらも口元には暗くはないものが乗る。]
……悔しいな。
お前は、こんなに優しいのに、
どうして思い出せないんだろう。
[それなのに思い出せない事が苦しく。
今一番強く過去の記憶を欲し、それがかなわない事を口惜しむように眉根を寄せた。]
約束?
[当然のように、約束など明確な物は覚えていない様子で。
同時にこちらの誓いも忘れてしまっているのだが。
言葉を待つように傍らに立ち、真っ直ぐにオリーブの強い瞳を見つめ返して。]
………。
ああ、わかった。
[理由のわからない「帰りたくない」という思いを掃うような言葉に、従うように淡い笑みを乗せて。]
好きに――…するといいんだ。
[いつか口にした時と、同じような言葉でそれに応えた*]
…あ、なんだ。
つまり意外と、帰る国とここは近いのか。
[それなら納得したというような顔をした。
軍馬のゼノがこの場にいたら、きっと悲しく鳴いていただろう。]
力づくで壊すか、代償を払うか…。
そして嘘の可能性…。
[傍らの男を見れば、何か考え込むような様子が見えて。]
すまない、少し離れる。水…。
[男の思考を遮らぬように、一度渇きを癒す為に水を求めてその場を離れる事にした*]
[手をぎゅっと掴まれて、肩が少し跳ねた。
困った事に、恋人だと告げられてから随分と刺激されてしまっている。
思い出せていないのに、これはどうなんだと思いながらも、その場を離れるまで袖をつかんだ手を返し、重ねるその手をそっと握り返した*]
違う、嘘じゃあ…、
貴方の力になりたいのは、本当なの。
……でも、こんな…
[躊躇いがちの抗議は、澱んだ地下の空気に溶け>>373
否定を紡げぬまま、夫の歩みは深部へと進んでいく]
[歩みは緩まず、彼が一歩を刻む度、生温い空気を孕んで裾が翻る。
穏やかな警告が、侵略の意思も露わな魔力の流れを知らせ]
――……ッ、やだ、来ないで…!
[彼以外から受ける侵蝕の予兆。
防護よりも拒絶が先に立ち、悲鳴が石壁に反響する。
首筋に縋る腕に力を篭め、瘴気に触れる面積を少しでも減らそうと、きつく身体を押しつける]
ルートっ、いや…、私、
[――混乱を割いたのは、蟀谷に触れる柔い感触。
独占欲の強い彼が、他者の侵蝕を許す筈もない。最後には助けてくれるだろうと気づけば、乱れた気を鎮め、護りを固く鎖す]
― 魔王城 ―
[さてこちらは一人になると壁に向かって少し項垂れるようにして考え込んでいた。
扉の事ではなく自分の事を。
この短い道中、ツヴィンガーから色々と聞いた話は、納得できる所もあるが、すべてではない。
敵だと言うのは合っていた。
その上で、恋人だとも言われた。
そんな相手と記憶を無くして初見で殺しあった。
そして現在に至る。]
……ほんと、何があったんだ自分…。
[呟いても記憶が戻るわけでもなく。]
[ふと傍らに、グラスの乗った盆を差し出されて顔を上げると、男が一人こちらに向かってにこりと笑っていた。
こちらも普通の人間ではないらしく、その手は人間の腕ではなく鳥の羽になっていた。]
あ、ありがと…
[風変りな容姿にももう慣れた様子で、グラスを受け取り礼を言って改めて男を見る。]
…あれ。
― 回想・再会 ―
どうかな?友人であることを否定もしない。その三人の人格をとやかくいうつもりはない。
だがその三人の意志を背負った結果。お前自身がしたいと思ったことは、どこにあるんだろうな?と思っただけだ。それすらも亡くしたならば、呪いと言わざるを得ないだろう。
[肌を震わせるつよい視線と口調を受けながらも、呆れたように言い、先に述べたことを撤回はしない、喜びだとまでいう。言葉に幸せであるという気配さえ感じないのだ。]
自分でもそう思うな。変なやつだとな。
[確かに敵として存在するのが嬉しい。などおかしいと言葉だけ聞いて自分でも同意をしながら、変わった原因を前にして、静かに笑う]
だが自分では、人間らしくなったと思えているよ。他人に興味を持つようになった。自分と他との違いをより認識するようになった。それに、こうして我儘を通すぐらいにな。
…最も理想を語るには遠い。少なくとも私が行った行為は、それをみて誰かが見習おうと思うことではないだろうからな。
[理想という言葉を、やんわりと否定する。英雄とまでよばれる敵をわざと生かす行為を習うなど、ありえない。
地獄という戦で、人というものを維持するのに必要だと思う光を、自分は持っているとは思って居なかった]
[片目のことを語ったとき、視線が下がったことには内心首を傾ぐ。
言葉にした通り、気にすることはなく。敵だというならば猶更気に掛けることではなかったからだ]
それも一つではある。だがただ戦いつづけ決着をつけたいだけならば混乱に紛れて捕虜になどせず逃がしてしまえばいい。
[それは剣を交わすことで、会話を交わすことで。思い返すように眼を閉じていたため、頬を染めていたことにはその時は気づかず]
お前のことをもっと知りたい。これが一番正しいのかもしれないな。
[どこかまだ定まらない苛立ちや安堵などを交えた感情を、今はそう結論づける。]
シュテルン・ダルスバーレイ。という仕組みは理解した。治療したばかりで疲れているだろう。休むといい…ああ、その前に。
シュテルンとは偽の名前なのだろう?ならば、お前の名前はなんというのだ?
[退室する前に、浮かんだ疑問を最後に投げかけた*]
[まだどこか慣れない風に見えるアデル。
けれど、急かすことなく自分の前に来るまでレトは待ち、問いに笑みを返した]
大丈夫だって。
[おいで、と手を伸ばして寄せられる身を受け入れる。
腕は抱き締めるように動いて、アデルの腹部へと収まった。
身体は更に密着し、鼓動が直接届く程。
拍動はいつにも増して、早い]
ん?
[零れ落ちる呟きに反応する声を落とす。
それ以降はアデルが零すままに声を聞いて。
長く、人と直接触れ合う機会を失していたことを知った]
そっか…。
壁、随分作って来たんだな。
[出逢った時もそうだった。
それから半年、触れるにしても必要に迫られた時だけ。
レト自身距離を取っていたのもあるが、アデルはそれ以上のものを作っていたのだろう]
[通い合う体温は確かにいつもより高いかもしれない。
だた、それはとても心地良い温もり]
こうやって触れるのも、安心出来たりするよな。
あったかいから、尚更。
…これまで得られなかった分、たくさんやるよ。
これは、俺だけの特権な。
[言葉に乗るのはちょっとした独占欲。
他の奴にはこんなことはさせない、と宣言するようなもの]
[尚、抱き締めることで色々な欲求が出てくるが、それを抑える理性はまだ残っている、らしい**]
[労わる唇に自らも額を押し当て、心細さを紛らわす。
やがて次の角に至れば、無言の内に更なる献身を求められ]
これ、まで……?
[纏う衣は足先までを包み、両腕の塞がる彼では脱がせられない。
その事実が意味するところは――
逡巡は数秒、約束したのも、力添えを望んだのも自分だと心を決め]
……ねぇ、誰も来ない…?
貴方以外に見られるなんて、絶対に――…
[自分の言葉が樹海で受けた辱めを想起させ、小さく息が引き攣れる。
けれど、既に伴侶の愛玩と知り、今も彼の腕の中に在る。
彼だけに見られるなら、と懸命に自身に言い聞かせ、
震える指で少しずつ上衣を剥ぎ落とす]
― 回想・再会 ―
[否定された事が腹立たしく、特別な4人の関係に土足で踏み入るような言葉に、男を睨み付ける目に殺意すら上る。
だが盲点だった、自分のしたい事を突かれて瞳は驚いたように見開かれる。]
それは…
[そういえば、自分が何がしたかったんだろうかと。
3人がやりたかった事はいくらでも思い出せるのに、自分の事は何故だか思い出せない。]
わたしは…わたしのやりたかった事は…
[なんだったんだろうと。
少し忘れただけだ、亡くしたはずじゃないと自分に言い聞かせるように頭を振って。]
…今は、生き残る事だ。
[奥の歯を噛み締めながら口にするそれは、望みではあるが幸せとはどこか違うものだった。]
…そうなのか。
[人間らしくなったという相手には怪訝そうな顔をする。
名ばかりは聞くも人格まではなかなか伝わってこない為、その真偽の程は知りようもなかったが。]
それはそうだし、そう思うが。
[理想ではない。それはそうだろう。
男の言葉の所々は理解できるも、男がおおよそ考えている事は相変わらずよく解らない。
ただ自分に興味を持たれたらしい事には、何とも言い難い顔をした。
それはシュテルン・ダルスバーレイなのか、それとも自分個人になのか。
前者であれば国の秘密が露呈され、後者であれば―――後者であれば、それは何なのか、わからない。]
………………。
[互いに見えない胸中を抱えながらも向き合い。
決着についてもその一つであると言われれば、それにはやはりと納得もするが。
その先、出された結論には一度、言葉を詰まらせた後に首を振る。]
………何でもない。
[興味を持たれる事が良い事か悪い事かわからず、胸中は複雑だ。
ただ、そのおかげで生かされている事には、今は少しだけ安堵する。]
少しは知れたか、わたしの事は。
……いや、返事はいい。
そうさせてもらう。
[緊張を強いられる会話に、精神もまた疲労を訴えていた為今は何をおいても休みたく、男の申し出を素直に受けた。
備え付けられた寝台に視線が向いたが、呼びかけに何かと、再び片目の男を見上げて。]
/*
実は、
・救出者が格闘戦タイプ
・武道の鍛錬を受けてる方
・天性の本能で戦う方
・虜囚が巫子
・望まれた役割を拒む方
・役割の中に受け入れられたい方
……と言う対比に気付いてから、ずっとレトアデ組と
4人で絡みたかったんだけど、機会が来なそう
レトレトに格闘術の指南とか受けたいすぎてつらい
*/
[包み込む腕の内、鼓動は早まる。
大きく響くそれが自分のものか違うのか、判別はできないけれど。
その響きは、『一人じゃない』という事を強く感じさせてくれて、それが、安堵を強めてくれる]
……うん。
そうしないといけない、って、ずっと思っていたから。
[だから距離を置いて、接触も拒んで。
触れるのを許容したのは、怪我の手当を受ける時くらいだった。
触れられる事への忌避もあったが、何より距離を詰められるのも怖くて張り巡らせていた壁。
もっとも、それは既に消えているのだけれど]
……うん。
凄く、安心する。
[受け入れた事で得られた温もりは心地よく。
護られている、という安心感をも齎してくれるから、素直にこう頷いて]
……と、特権、って。
[さらりと告げられた言葉から感じる独占欲に、鼓動がまた跳ねる、けれど。
そう、言われるのもどこか嬉しくて]
うん……どんなに温かくても、どんなに、力強くても。
他の人の温もりは、いらない。
だから。
この温かさを得られるのも、私だけの特権。
それで……いい、よね?
[そ、と確かめるように問い返す。
なお、欲求と理性のせめぎ合いに関しては、素で気づいていない。*]
/*
[そろそろ表に復帰しないとかなー、って思いつつ、倍返しの嵐にちたぱたするしかないいきものの数→1]
もう、なんというか、なんというか。
ここまでちたぱたするのも、久しぶりだなぁ……。
[泣かせるつもりはなかったのだ、そんな不安げな顔をさせたくなかったのだ。
滅多なことでは神が声をかけない世界の子は、神の見えない世界の子らは、どうやって生きてきたのだろうか……
“教義”というものに疎い金貨には、愛し子の姿はやはり危ういものに見えた。
独占したいという思いは嘘ではない。独占されたいという言葉を聞いた時、他者からの信仰全てを打ち捨ててしまってもいいとさえ思った。
――…だが、彼をこの窮地へと叩き落としたのは魔のものではなく神であり、その者と金貨の関係を思えば金貨にも責任の一端がある。]
[魔族の術で着替えた衣は、自らも構造を知らず。
白糸を繊細に織り合わせた内衣が露わになるにつれ、目を見開く。
強張る掌にぐっと力を篭め、身体から滑り落とせば、
また温い空気が蠢く気配。
石壁の所々に据えられた蜀台、通り過ぎる灯が、
純白の地に薄ら肌色を滲ませる]
……ない、で、
[薄布一枚を隔て、肌が感じ取る視線。
顔を上げて確かめることもできず、弱々しく抗う。
躊躇う呼吸を挟んで、視線から逃れるべく、夫の胸に身を押し当てた。
夜毎囚われる堅い胸を、素肌越しに触れるも同然に意識し、
体温がじりじりと引き上げられていく]
[このことは、自身の口から伝えなくとも、いつかは彼の耳に入ってしまうだろう。
――ならば今、逃げ場の少ない今こそ、真実を、彼がこの世界に放り込まれた経緯を口にしよう。
抱き寄せた腕から力を抜くことはせず、気を抜いたら力の限り縋ってしまいそうになるのをこらえながら、とつとつと言葉を紡ぎはじめた。]
……ひとつ、懺悔を聞いてはくれませんか?
[全てを話し終えた時、先ほどまで身を寄せてくれていた彼の反応は、どのようなものになっただろうか。
卑怯なタイミングだという自覚はあっても、放すつもりは毛頭なく
――…相手が神だからといって身を委ねる事をしないでください。
そう締めようとした言葉は、一度は口にしようとしたものの、腕の中の彼の体温を手放したくないがために飲み込んだ。]
――?
[腕の中収まったまま、どこか苦しげな彼の懺悔を、という声を聞く。背中に回ったままのゆびさきが、小さく揺れている気さえして]
…わたしで、いいのなら…
[一定以上強くを求めてくれない彼の代わり、ぎゅうと背中に回した腕に力を込める。
不安が、ない訳ではないけれど。先程彼のくちびるがつけた首筋への痕が、彼と離れてしまうことへの不安を和らげてくれるようで]
― 回想・再会 ―
シュテルン・ダルスバーレイという役割と、お前が背負うことになった事柄を知ったが、お前自身のことを知ったわけではない。
[自身の望みを口にもできず、人から与えられたものだけを負っている。それも彼女を構成する一分とはなるだろうが、それが全てなどと考えてはいなかった。]
わかったのは名前だけだな。では、またな。グリヴ。
[自身のやりたいことを口にすることもできない、鶫の名を呼び、その日の会話を終えた*]
― 魔王城 ―
わかってくれたならよかったが…そこまで気にしなくていいぞ。状況が状況なだけに仕方がないことだったわけだ。
[黙っていたことを怒るのも無理はなく、今となって後悔するのも無理はない。というのはあるが]
それに…慌てる様子は可愛らしくあるが、申し訳ないと思う姿を私は見たいわけではないからな。
[平坦な声が口許の形と同じように柔らかくなりながら、慌てる顔を赤くしている彼女の姿を眺め、どこまでの恋人であったかの説明は、もういいといわれ、残念だ。とばかりに肩を竦めていたが]
/*
戻り早々そんなことをのたまいつつ。
メモでしてたダイスどっち振るかの話。
俺とくろねこさんが揃うと、1d20は大抵俺が低いんだよね…しかも2桁行かない。
代償払うのは前提に置くにしても、2桁出す可能性があるのはくろねこさんの方なので、「後悔しないなら押し付けても良い」だったわけです。
…でもくろねこさんって01出す確率も高いんだよねwwwwwwww
俺よりは、だけどw
俺は02、03が多い(
ちなみに俺の代償は一応考えてある。
「魔界での記憶」っつーアデルにサドい代償ですが(
そうか。
[嘘ではないと記憶を未だに取り戻していないのに信じる彼女に今度はこちらが照れ臭くなり]
それはまあ、恋人だからな。
[彼女は彼女自身であるが、未だ思い出せていない。それでもその胸の裡を聞けば喜びと幸せが溢れる。体裁を整えるようにいうが、頬の赤らみまでは隠せてはいない]
ああ、愛している。
[過去形ではなく今もまだ、と想いを告白する。
それを向けているのは過去の彼女であっても、記憶を喪失している彼女を否定することはなく。思い出せなくて、悔しいというグリヴへと、慌てなくていい。と緩く首を振り、約束という言葉は頷く。
彼女は忘れていても、ちゃんと、果たしていた。こうして生きて―]
…もちろんだ。
[思いをぶつけ受け止められたときと同じような言葉をきいて、記憶を失っていてもまぎれもなく。彼女は私の愛した人であると知り、心が熱く震えた]
―――…、
[薄く開いた双眸が意味深く問う。
こんな、と差し迫る彼女の状況を。>>377]
おや、何に憚られているのですか?
私達は朝露に誓った伴侶、他に耳目などありませんよ。
[新たに浮かぶ光球。
また一つ連なり、迷宮に穿つ導。
震える声に耳を傾けつつ、口角を僅かに吊り上げた。]
とりあえず、
もう、ここは離れよう。
[フレデリクの様子にそう提案する。
今は騒ぎが終わって、魔の視線はそう感じないが、
それにしてもこの宴は、乱痴気すぎるし、
こんな姿のフレデリクを、その視線に晒すのは、
どうにも面白くない。]
行くぞ。
っていうか帰るんだろ?
[弱気なことをいう彼にそう手を指し伸ばし。]
それとも――――、
なにか、思い出すのでしょうか?
[誰に見られずとも、腕の中にしまいこんだ己は、
薄絹透かす肌も、覗く御脚も、存分に堪能出来る。
そうして、そっと漏らし思い出させるのは、褥悦の記憶。
光と結合せんと這い寄る魔力と、己の揶揄が彼女を蝕み。
必死にしがみ付いて厭う愛妻の儚さと健気に、甘い心地を覚えた。]
たとえば、
[つい、と膨れる性質の悪さが、彼女の裾に指を掛け、
帯のない下衣を身体のラインに添わせ、解いてゆく。
膝上丈の内衣だけに愛妻を替えながら。]
―――迷宮攻略とは別の、もっと、はしたないことを?
[惑わすように微笑んで告げる低音。
男が聞かせる声こそ、欲の色合いに濡れていると言うのに。]
― 魔王城・大広間 ―
要するにそういうことかもしれん。文化の違いから互いの国の情報は封鎖されていたのかもしれないな。
[通行証か、地下トンネル的なものか。なんにせよ。住み慣れそうにないお国柄故、不可侵なんかを結んでいたため知らないだけで案外近いのかもしれない。
どういうことかわかっていないがこちら>>375も自分なりに納得することにした。
唯一誤解だと訴えることのできる軍馬はこの場にはいなかった]
…ああ、どちらにしても、扉を開けて帰り道がでるというならばゼノもつれてこなければならないからな。
[扉が開いて帰れるとするならば、軍馬をおいてけぼりにすることはない。扉の破壊を行うとしても、すぐというわけにはいかない。]
わかった、気を付けてな。
[話したことは多い。考えたいこともあるのだろう。ただ歩くのに未だ慣れぬシュテルンを気遣う言葉を投げて見送った]
[初めてのドレス姿で、初々しい反応を返す彼女が、やはり大切だ。
英雄として生きてきた彼女に、私は…真逆の、剣など握らず、戦場になど立たない、ただ普通の女性としての生活を送ってほしい。と、時にはこうしてエスコートできるような日常を送らせたいとの願いが抱いているのだという実感を抱きながら見送った]
[布擦れの音にあわせ、下衣すら奪ってしまえば、次の角へと上げた。
周囲を這い回る魔力で、彼女を怯えさせながら、吐くのは性質悪い声色。]
絶対とは言い切れません。
何分、魔界は―――しかも魔王城ですから。
―――…ただ、闇で隠すことは出来ますよ。イングリッド。
[魔を退けたいなら、他の視線を厭うなら、と
言外に紡ぐ支配者然とした傲慢な物言い。
一拍置いて、口を開くのは単純な質問。]
辱められるなら、嬲られるなら、――誰が良いですか?
[全てを隠す闇を持ち、彼女すらも独占する男が欲する言葉。
直裁な言葉を強請り、妖艶な井出達で誘えと唆す。
その間にも、日に焼けぬ腿裏へ掌を懐かせ緩く摩擦を繰り返し。]
[ねぇ、と囁く後に続ける妻の名前。
眼鏡越しの視線は彼女の肌に眼圧を掛け、
厭う言葉すら許さぬように、閉じた脚股へと中指を差す。
彼女を抱き上げたまま、まるでリュートでも鳴かせるように、
淡く指先で秘所を爪弾こうか。
迷宮の最中で惑わせるのは彼女の心身。*]
[そうやって見送ったのには他にも訳がある。
シュテルンが考えたいこともあるのだろうということもあるが。
この扉を壊すには意志と力。そして足りなければ代償が必要だ。
ならば、意志をもって開かぬというならば、シュテルンとどうするか揉めるようになる前に、代償を自身をもって支払えばいい――と
あるいは、もう一つの企みをするならば、迂闊なことを表情にも視線にも乗せることなく。
広間を後にした]
― 記憶の書庫 ―
[フレデリクと一緒に移動してきた先は、
記憶の書庫。
その高い天井と、詰め込まれた膨大な書籍を見上げた。]
お前のオヤジと契約をした魔は一体何を求めているのか。
わかるか?
[フレデリクが生まれたばかりの時、
なぜ、魔が彼を嫁にするとしたのか。
事象には原因があるはずだと考えた。]
― 魔王城付近 ―
[仮装を返して着替えて出ていけば、こちらを発見した黒馬のゼノが近くまで歩いてくる]
少々難がおきたが帰る見込みがつくかもしれない。
[鬣を撫で、澄んだ眼を見つめる。
こいつもちゃんと返してやらなければならないとの決意を抱いた*]
実際そいつがやったのかはわかんないけど、
そういう約束をしたっていうのは、本当みたいだし。
[リエヴルの身体をぺたぺたしながら、
萎れた顔ではふっとため息つく、
>>382 続いた言葉には、ぱちくり瞬きした]
……あれ、リエちゃん今の覚えてないの?
[こく、っと頷いて、少しばかり続きを言うのを躊躇っていた間に、手を引かれる。帰る、その言葉にはもう一度頷いてひかれるままに足を進める]
[自分の鼓動とは別に跳ねる音。
その心地良さがレトを擽る。
けれど、続けられた言葉で今度はレトの鼓動が跳ねた]
っ、
[自分だけ、と。
独占欲を満たす言葉、独占を示す言葉]
…当然。
お前にしかやらねーよ、こんなこと。
[抱き締める腕に力が籠もる。
沸き起こる欲求をどうにか押し込めていたのだが、ほんの少しだけ理性から零れた。
前に居るアデルの顔の横に顔を下ろし、頬に一つ、口付け。
落とした後は悪戯っぽい笑みが浮かぶ*]
――…だって、貴方がっ!
貴方、が、……
[誰よりも憚る相手が眼前に居る、と無言で詰る>>383
何処か愉しげに歪む口許からも、浮かぶ光からも顔を背け]
[人間の怪我にはどのように対処すれば良いか問われると、何かで傷を縛り止血するように伝えた。
狼がジャージを脱げば傷は痛々しく、大腿を縛ってもらいつつも意識は彼の傷へと向いていた。]
ありがとう。
[処置が終われば礼を伝える。]
―記憶の書庫―
わーここ本がいっぱいだね、
なんか頭痛くなっちゃいそう。
[その辺にあった脚立にぽふりと腰掛ける、
相変わらずミニスカのまま、全開になってしまうのはひとまず置いて。
彼が先ほど、魔族にのっとられていたこと、自身は気づいていない様子だったけれど]
……んー、さっきね、
リエちゃんが意識無い間、そいつがね、
なんか俺のことイノセント、とか言ってた。
そういう体質ですごく、根性がある?みたいな……?
だからなんか伴侶がどうって言ってたけど、体質ってなんだろう。
あ、あと、まいはずばんどとか言ったりもしてた。
[こっちは意味がわかんなかった、と元気に告げました]
― 魔王城・個室 ―
[魂を分かつ兄弟の腕の中で、その決意を聞く。]
あなたの居る場所こそが私の居場所。
ですが、わたしたちを必要とする人々は、元の世界にこそ待っています。
そしてわたしもあなたも、ここでは"正しく"在れないでしょう。
[この短い滞在で、自分は二度も意識を奪われた。
兄弟の体は常に瘴気に晒される危険を抱えている。
ここは自分たちが暮らすべき場所ではないのだ。]
ええ。
なにものも、わたしたちの絆を断つことなどできません。
[繋いだ手に、想いを込める。]
[隙間なく身を寄せ、身体は熱を帯びるばかりなのに、
微かな震えが足先まで走る。
問い質す声は、閨の夜気に滴る響きとよく似て]
いえ、 何にも……、ッ
[焦がれ続ける夫の指が、感覚の研がれていく下肢に降りた。
長い指が絹を滑り落とし、素肌を着実に暴いていく様を、
息を殺して最後まで見つめ]
こんな時に、…そんなこと、は。決して…
[ぱっと視線を引き剥がし、指摘に近い示唆にも、頑なに否定を貫く。
短過ぎる裾を引っ張り、僅かでも彼の視線を阻もうと]
魔王に、ですか。
[提案に目を見開いてから、微笑んで頷いた。]
あなたがそういうのなら、行きましょう。
大丈夫。危険はないはずです。
あちらの意思は明瞭に示されていますから。
[魔物、とくに高位のものは契約を重んじる。
あれだけの条件を提示した以上、条件に乗る前にどうこうしようという気はないと踏んだ。
なによりも、礼を通すのは悪いことではない。]
セルウィン、傷、みせて…
[狼が拒否しない限りは傷の手当てをさせて欲しいと申し出るだろう。
今回の痛みを我慢し切れるかは怪しかったが…]
それと…
またローブを借りても良いですか?
[そっと問うのは、自分の恰好を思い出してのこと。
服は借りられるならこのままで、上にローブを羽織れば様にはなるだろうかと少しばかり思案した。]
つまりだ。
その話からいうと、
おまえはその非常に辛い環境化の中でも元気に子孫が埋める資質持ちとして選ばれている可能性がある。
まぁ、つまりは、
お前、本当に、子を孕まされる可能性が高いな。
[難しい顔。]
頼む
[そして、逆の申し出へと躊躇わず身を預けた。
だが、治療中に彼女の方が痛みだしたら、
恐らく反射的に止めさせようとする]
[問いに跳ねた鼓動は、距離の近さを改めて感じさせ。
返された言葉は、温かさで胸を満たす]
……うん。
[腕に籠もる力、それが何よりも強い想いを伝えてくれて。
自然、笑みが零れていたが]
しかし、そいつ、
自分の姿は見せないのだな。
というか、見せられない、が正しい?
[推測は続いていく。]
で、僕をなぜのっとる?
そこの意味がわからない。
……ぁ。
[頬に唇が触れた瞬間、ほんの少し、身が竦んだ。
視線向ければ、目に入るのは悪戯っぽい笑顔。
その表情に、心拍どころか呼吸まで乱れるような心地がして]
え、えと。
そ、そろそろ、次の術式……。
力の方は、大丈夫、だか、ら。
[視線を逸らしながら、早口でこう告げる。
本当は、離れ難くはあるけれど。
まだ、やるべき事があるのも事実だから。*]
[伴侶以外の視線に、肌を晒す可能性。
腕の中で戦慄き、仄めかす彼をゆっくりと見上げる]
嫌、それだけは……絶対に、
[樹海で垣間見た、絶望の淵。
記憶から振り落とすよう、強く頭を振る。
あれは彼の手に施された愛撫だと、偽りの恐怖を塗り潰して。
彼以外の一瞥さえも許さぬ暗闇、全身まで包まれる充足を思い、
ふっと和らいだ心が、突きつけられた問いに立ち竦む]
……どう、して――…?
どうして貴方は、いつも。私に、意地悪ばかり…
[ごく簡潔な質問が、明確に求める答え。
一瞬遅れて悟れば、詰る声に涙が混じる]
あ、
[>>396ほんのり濁すつもりだったのだが、
彼がのっとられていたことを、うっかり口にしてしまった。
あわてて、両手で口元押さえつつ]
体質って言ってたから、
性格が無邪気ってことはないとおもうんだけど!
っていうか、俺無邪気じゃないよ!
許婚って意味なんだー、
さすがリエちゃん、物知りだね!
って、うええええ……そうなんだ。
[純粋な尊敬の眼差しのち急転直下である]
……子をはらむ。
つまり、ええっと……、
俺の貞操は。
[沈黙したのち]
せめて初めては好きな人がいいなあ……
[とか呟いてちらっと見てしまい、
あわてて視線をはずしてみたり]
ん、あぁ。
[次の術式、と言われて大人しく腕を緩める。
名残惜しくはあったが、口付けを落とした時に身を竦めたのを感じたためでもあった]
(ちょーっとやりすぎたかな)
[だが止められなかったものは仕方が無い。
元々言葉より行動で示すタイプだ、これでも抑えている方なのである]
んじゃ、頼むな。
[腕からアデルを解放して、術式の行使を頼んだ*]
……ええ?
どうなのかなー?
実は本体がない!とか、
どっかに封印されている!とか?
[とりあえず適当に思いついたことを口にして]
……んー、そういえば、
リエちゃんね、のっとられてた時、
脚、全然平気だったみたいだった。
[頼むと身を預ける姿にはほっとしたように息をついた。
傷へと手をかざす。
どんな痛みだろう、と思うが、表には出さないように堪えることができるだろうなと不安になる。]
……っ、
[腹部に感じた疼痛は次第に強くなる。
声を上げないように唇を噛んだ。]
子を孕むってことは、そういうことだろう。
って、最初はすきな人って、
じゃ、あとはもう、どうでもいい?
[後ろ向きな発言にじろり]
[了承を得たのなら、洗いざらいを話すだろう。
――…あなたがこの世界に飛ばされた原因は、魔の者ではなく神の一柱によるものだと。
――…件の神の凶行は金貨らへの妬みからのものである可能性が高いこと。
――…神とはいえど誤るのだ、と。
――…件の神はもちろんのこと、あなたの思いよりも自身の欲求を優先してしまっている自分もまた、あなたの世界の神よりずっと未熟な神なのだ、と。]
今現在も、神を無条件に信じるなと伝えたいのに、私の腕の中にいてほしいとも伝えたいのですから。
[神としてどうなのだろうと自分でも思う、と――…自嘲を浮かべ]
相手が神だからといって身を委ねる事をしないでください。
[そう、改めて伝えたのだった。]
そうか。脚、壁なのか。
じゃ、やっぱり、僕のこの脚は、もう魔の世界のものなんだな。
[フレデリクの発言に苦笑い。]
ともかく、
おまえは余計なことを考えずに、帰ることを考えろ。
[緩やかに膝裏を撫でる掌。優しくも強引に誘う常の手口。
きつく歯を食いしばり、声を押し殺す。
無言の抵抗を呆気なく破ったのは、内腿の隙間へと忍ぶ指]
――……だめっ、触らない、で、
[制止は聞き届けられることなく、湿り気を帯びた奥所へと潜り]
ぅ、ん……、もぉ、や…っ
[零した声音の甘さを恥じて、双眸に湛えた涙が溢れる。
望む答えを捧げるまで、彼は求めを止めないだろうと、身に教え込まれた事実を、また思い知る]
ん?この声って、
あの、さっきの凄いライオンみたいな魔王?
[>>397 リエヴルに言われた後に、
ようやく魔王の声に気づくあたり、鈍い]
……えーっと、
いつの間にか魔王に気に入られてたってこと?
そっか、魔族より魔王のほうがえらいもんね。
これはさくっと帰っちゃうチャンス?
魔王との契約で帰っていいよってなったら、
魔族は魔王よりえらくないから、そっちの約束を優先するよね、普通!
[と、希望的観測を口にしたものの。
なんだか扉を開けるのが難しいっぽいことを理解はして、
だんだん難しい顔になっていった]
― 魔王城・個室 ―
[ここでは"正しく"在れない──彼の言葉を受け止め、帰るべき世界を思う。
楽園と呼ぶには程遠い地だけれど、澄んだ青い空の広がる世界。
彼の賛同を得て、試練に挑む前に魔王に挨拶をしてゆくことにし、着替えについては、彼の要求に、無論、と応じた。
実は裸の上にローブでもいいと思っているとか、そんなことまでは言わないけれど。]
── 行こう。 我々の望む未来のために。
[彼を抱き寄せ、額に接吻けて出発を促す。]
おまえは、ある意味無邪気だよ。
だから、人から好かれるんだ。
[フレデリクの言葉にそう、返し、また考える。]
古今東西、
決められた婚姻を拒絶する方法は一つだけだ。
[小さくしゃくりあげ、それでも夫の頤を引き寄せ、
視線を奪って]
私、は。……私を見るのも、触れるのも、
こうして、酷く意地悪をするのも。
どんなに恥ずかしい思いを、させられても、
[震える息を継ぎ、唇で触れ合える距離まで手繰り寄せ]
……全部、貴方がいいの。貴方じゃないといや。
全部ルートにだけ――…して、欲しい。
― 魔王城・大広間 ―
[小部屋を出て受付に戻り、元の服に着替える。
とはいえ、彼の衣類はすでに破損してここにはないから、自分のローブを羽織ってもらい、聖職者の体裁を整えた。]
この世界の王に拝謁を賜りたく。
[受付の者に依頼して、魔王へのコンタクトを試みる。]
な、なんで睨むの。
だって、うっかりまた捕まったりしたら、
そんなことになっちゃう可能性あるんでしょ?
だったら、……って、
ちょっと思っただけだよ。
[リエヴルの傍らよってついと袖を引っ張った、
そのまま肩口から身体をぴっとりくっつける]
……。
[苦々しげに、自嘲を含んだ声と目で、自分が今ここにいる理由を告げられた。それは神というよりも、人そのものの妬み嫉み]
…、
[つい、くすりと笑いが洩れた]
そうなのですか。わたしは、わたしが何か咎をを犯してここに落とされたのかと…安心、しました。
ほんとうに…あなたもですが、あなたの周りの神は、皆人のようなのですね。とても、正直で…
リエちゃんが無事でよかった……
って、魔界の物ってどういうこと?
なんで魔界のものになっちゃったの?
リエちゃんの脚ってだって、あの時の怪我……、
[自分を庇って負傷した、
それ以外のことは理解していなかったので、
ほんのり眉根を寄せて見上げて]
……帰る、つもりだけど。
ちゃんとリエちゃんが無事で一緒じゃないとやだからね!
――…。
わたしは…あなた以外に、あなたの兄神や姉神ともお会いしました。けれど…
わたしに、安心を与えてくださるのは、あなただけです。
[言葉を継ごうか少しの間迷い、けれど結局素直に告げることにする]
― 回想 ―
[好きにするといいながら、大事に扱われ、求められているのがその腕の強さから、吐く息の熱さから、囁く声から伝わって眩暈がしそうだった。]
そうかな。…そうか。
[似合わないと言われて苦笑する。魔女と言えば老婆だからなと、こちらは自らの名が似合わない理由が見えずに、ただ男の笑みにつられるようにして口元は笑みを形作る。]
…敵だから、わたしは見つけもらえた気がする。
[おそらくただの娘では、この男の眼前には石程にも映らなかっただろうと。
そう思えばシュテルン・ダルスバーレイという役割にはまた違った理由が生まれてくる。]
[与えられた役割だったが、演じる事には誇りもあった。仲間もいた頃は特に。
だが一人になり、シュテルンの責務すべてを背負い、ただひたすらに走る事には限界もある。
英雄の皮が剥がれれば、名以外は何も持たない一人の娘。
身寄りもなく、心から許せる友もなく、下手をすればその存在すら危うい小さな存在は、そんな自分こそを見てくれる手を取った。
秘密を知らせ、逢瀬を重ね、言葉を交わしてそして。]
……うん。
[敵ではないと、英雄ではない自分が欲しいと、一番望んでいた言葉を熱を込めて告げる人へ、嬉しそうな笑みを向ける。
伝えた言葉に言葉もなく、ただ幸せを噛み締める男を見つめる。
同じ気持ちなのだと、ひしと伝わり、伝えるように。]
[口内を舌に蹂躙され、耳は水音に犯される。
喉奥に唾液を流し込まれてそれを受け入れ飲み込み、はっと吐き出す息と共に、ツヴィンと名を紡ぐ。
今は投げ出して逃げる事は許されない。
シュテルンという名から解放される時が来るまでは。
あるいは、いつか戦争が終わるまで。
死んだ仲間から託され、背負った物も想いも大切なもので。
それは同時に呪いでもあるのだと、目の前の男が指摘したが。
それでも、捨て去る事の出来ない、もはや自分の一部で。
だから囁きに目をあけ、オリーブ色の瞳を見つめて返し。
告げられた言葉に瞬いた。]
帰って、いいの?
[驚いたように問う。]
わたしは、英雄である事以外、何の価値も……
[求めているのはそこではないと、理解していても言葉が出る。]
それでも、いいの?
[決して忘れないようにと、心の奥底に深く、オリーブ色が焼き付けられる。
後に忘れてしまった表層の奥に男の姿は然りと残り、結果隣にいるだけで、言葉を交わすだけで消えたはずの様々な物はゆっくりと取り戻されてゆくのは先の話。
今は裁かれるために腕を伸ばし、抱き上げる手に身を任せて。
寝台の上に運ばれると宣言した通りに好きにされた。
服に手がかかると、自分で手を出して言いのかわからずにじっと動けずに。
男が服を脱ぐのもじっと下から見上げていた。
見ながらぼんやりと、他人の、男の裸を見るのなんて久しぶりだと、亡った仲間の事を思い出しもした。]
[途切れがちの訴えに応じて腕は緩められる。
離れ難い気持ちはあるけれど、同時に、このままでいたら熱でどうにかなってしまいそう、というのも事実だったから、ほっとしたように小さく息を吐いていた]
……うん。
[頼むな、という声に頷き、置いたままにしていた魔導書を抱えて立ち上がり、休息場所である洞窟の外へと。*]
…世事はいい。
傷だらけだろう、どこも…。
[大きな傷から小さな傷まで、身体のあちこちに残る英雄としての傷を今は厭うように、手で胸元を隠すようにして押さえて眉根をよせるが、身体が重なればその手も解かれて、受け入れるように手を伸ばす。
清潔なシーツの香りが心地よく、抱擁に肌が触れあうとぴりと痺れるような感覚を覚えて息をのんだ。]
ん…
[飽きずに重ねる唇を、忍び込む舌とその情熱を受け止める。与えられる事が嬉しく、同じ熱を返すように粘膜を犯す舌に、己のそれを絡めた。
くちゅくちゅと鳴る卑猥な音を耳に入れながら、身体を這う手の熱を感じ、擽ったさに時折息を零す。]
っ は……
[柔らかな胸が固い掌に合わせて形を変える度に、その息は熱く深くなって落ちた。
時折男の欲に濡れた顔を覗き見て、求められている事を感じ、自身の欲も満たされて膨れ上がってゆく*]
― 浮遊する群島 ―
[休息場所から岩場へと出て、最初にしたのは深呼吸。
こもった熱を散らさないと、魔力が暴走しそうな心地がしていたから]
……さて、と。
[小さく呟き気持ちを切り替え、開けた空間に膝を突く。
左手に巻き付けられていた布を解けば、未だ塞がらない傷ひとつ。
魔力の刃でつけた傷は、軽く力をかければ岩の上に紅の滴をひとつ、ふたつと落とした。
その中心に、魔石をあしらったリングを落とす。
秘されていた媒介、元いた世界と繋がる魔力の通信具]
Verändre eine Ansammlung, Formmacht.
[言霊に応じ、最初に灯るのは淡い緑]
Ich folge einer der Strömungen der Macht.
Änderung mit einem Pfeil im Bestimmungsort.
[続く言霊に応じて紅の滴が魔法陣を描き、そこに紫の光が揺れる。
揺れた光はやがて、魔法陣の上をくるくると回る光の矢へと転じ]
Eine abgelegene Art, zwei mit in Verbindung zu bringen.
Schaffe mein Blut für die Ursache.
[最後の言霊に応じるように、空へと駆け上がって行った──のだが]
……きゃっ……!
[数拍間を置いて、帰って来たのは強い衝撃。
伸ばした力が何かに弾かれたような、そんな感触に、思わずその場に膝をついた。
どうにか視線を上へと上げれば、紫の煌きが散るのが微かに見えて]
可能性は高いな。
だが、そうさせないために来たんだが?
確かに僕はそう、頼りにはならないが…。
[袖を引っ張られて、身体をぴとっとつけられれば、今度は、眉をたらし]
帰って、好きな人にしてもらえばいい。
だから帰るぞ。
[魔王の言葉を思い出しながら。]
……予想はしてた、けど。
[界を覆う力の存在に触れてから、その可能性は強く見ていたが。
どうやら、自力で接点を作り出して、というのは本当に叶わないらしい]
……そうなると……。
[帰るために、取れる手段はひとつ。
そう思うと、重いため息が零れ落ちた。*]
ええ、そうかなあ……、
今だって邪まな気持ちで溢れてるよ!
[>>401その気持ちの中身についてはノーコメントである。
ただ、にっこり笑えるのは、彼が近くにいるからだ]
ん?婚約を拒絶する方法ってなに?
リエちゃんもしかして断ったことあるの?
[話を脱線させそうな勢いで食いついた。
>>402 尚、考えたことの同意が得られれば、
当然のようにほめてほめてーの顔である]
どうやら、お前の婚約者は、
お前を護っていたらしい。
あの時、本当にお前を守ったのは、僕じゃない。
魔族だ。
[そう言い放ってから口をつぐみ]
/*
☆呪文対訳
力よ集い、形を変えよ。
力の流れの一つを辿り。
その行く先へと向かう矢と変われ。
遠き二つを繋げる道を。
私の血を元に作り出せ。
ちなみに、さっきの探査の方は。
力よ集い、形を変えよ。
揺らぎ、広がる波となり。
この地を包む、力の波の在り方。
その波形を違わず、私に伝えなさい。
でした。
このタイプの呪文はやっぱり作り易いw
わたしは…神としてではなく、あなたを、信じたいのです。
ですから…その腕は、そのままで。わたしを、あなたの傍に置いて下さい。
[そういう声は、少しだけ不安げに聞こえたかもしれない。聖職者としての青年は、村で大切に扱われ敬意を払われてもいた。
けれど、青年が青年として、リヒャルトとして必要とされた記憶など、ない]
……おい
[唇を噛む様子に気付いては額を寄せ]
痛いのか
……もうやめろ
[ぺしぺしと腕を叩いた]
リエちゃん頼りになるよ!
俺、頭悪いから難しいこと考えられないし、
自分の出来ないことを補ってくれるんだもん、
頼りにならないわけないよ!
[眉を下げてなんだか自虐的なことを言うリエヴルに、
ぎゅうっと腕を抱きしめながらそれはもう勢いよく訴えかけた。
自分のぽろっと零した言葉が要因とあれば尚必死で]
はい?
……わかった、それってつまり、
帰ったらリエちゃんがしてくれるってことだね。
[好きな人にしてもらえ、と言う言葉には、反骨精神を込めてきっぱりとそう決め付けた]
……えっ、
それってどういう意味?
[誘拐犯を撃退してくれて、
でもリエヴルも相手の反撃を受けて怪我を負った。
そういう話、のはずだったと思うのだけれど]
……じゃあリエちゃんはなんで、怪我を……、
[魔族に守られてたとかは、
その理由はろくでもないことなので、
気にすることでもないと思う、だから気になるのはそちらのことだ]
― 魔王城・個室 ―
[まさか裸ローブでもいいと思われてるとは知らず
───知ったら、そうしていたかもしれないが…
借りた衣装の上にローブを羽織って準備を整える。]
ええ。行きましょう。
共に。
[どれほど強大な魔の前であれ、ふたりでいれば臆することなどない。
額への接吻けにくすぐったく微笑んで、お返しとばかりに首筋に唇を寄せた。]
―――私が?
如何したと、言うのですか?
[一節ごとに区切って問う悪辣。>>392
逸らされてしまった視線を追いかけ、小さく笑みを噛み殺した。]
ほら、もう直ぐ中心部ですよ。イングリッド。
その様な憂い顔をしないで下さい。
[五指は彼女を慰めるよう、するりと肌を掻いた。]
[五指は、既に浅く沈めている秘所をなぞって。
ツ、と指を折り曲げれば下着を避けて、蜜壷に爪先が潜り込み。
微かな音色は、彼女の胎内に良く響く。
黙秘を選ぶ愛妻を笑うと、そうですか?と口腔で呟いた。
彼女の身体に散々馴染んだ男が、与り知らぬとでも言うように。
己の双眸は薄絹の向こうに浮かぶラインを愛でて、
胸の膨らみにも視線を投じると、するりと生地が尖りの先を掠めた。]
――……
[してもらう、に、わりと、目を丸くした。]
フィーの好きな人って?
[それはやけにおそるおそるきくことになる。]
[忍び寄る魔力を押さえ、時に重圧を緩め、愛妻を脅かす。
再び双眸の縁に塩水を溜める顔色にジワリと焼ける胸。
焦熱が己の腹にと溜まり始め、背筋を這い上がる熱を自覚。
やはり、伴侶の苛まれる色も良い、と微醺に溺れる様。]
貴女のどんな顔も好きなのです。
―――泣き顔も、笑顔も、歪む顔も、悦い顔も。
全ての貴女が欲しくなる。
……イングリッド、
私に虐められるのは、嫌ですか?
[酷く狡い聞き方で、彼女に問えば、前髪に唇も滑らせ。
稀に忍ばせる甘い―――或いは、甘えた声を鳴らす。]
僕の怪我はその魔族の、とばっちりみたいなものだ。
たぶん、本当は、なくなってた。
[その魔の力が確かに、脚を飛ばして行った幻影。
それが幻影でないというのならば…。]
魔族はきっとそのあと、僕の脚に擬態していた、という可能性が強い。
いや、絶対じゃないけれど。
そうならば、この脚が魔界に入れるという理屈も、
わからないでもない。
駄目と言う割りに、ほら、音が。
[彼女を蝕んで喜ぶ稚気を晒し、掻き分ける指先が態と水音奏で。
もっと、と男が希求するほどに、魔力の流れは押し返されてゆく。
彼女を独占するは、己唯一人と、本能が訴えて。
薄布一枚で玩ぶ彼女が酷く愛しい。
振り払い、逃げ出さぬ信が心地良い。
――――求め続けた心が、温かい。]
― 魔王城・大広間 ―
[小部屋を出て兄弟と共に受付へ戻る。
どれほどの時間だったかわからないが、休息を得られたのは何よりだった。
受付で服をこのまま借りることに了承をもらい、その上から兄弟のローブを羽織る。
この城へ来た時よりはまともな格好になった、と思いたい。
そうして、彼とともに魔王の前へ行ける時を待った。]
[そうして、続いた彼女の言葉に、ゆっくりと笑む。
引寄せられる上体は傾きがちに、彼女と視線を合わせ。]
……私も、貴女にだけ、したくなるのです。
子供のようだと笑っても良いですよ。
きっと、ずっと、変わりませんから。
[ほくそ笑むと、やがて見えてくる突き当り。
導かれた中心地は、確かに魔力が濃く在った。
されど、それより先に、と脚を止め。
ツ、と陰核を淡く揺らして彼女の気を引く。]
―――…では、しましょうか。
[にっこりと嗤った笑顔は実に性悪で、
帰還の扉など今は如何見ても、思考の外側。*]
………、
[改めて問い返されて、言葉に詰まった。
今の言葉でなにをどう確かめる必要があるのか。
頬に赤みが増す。腕をぎゅっと組んだまま、顔をうずめた]
そんなの、決まってるでしょ。
――……リエちゃんだよ。
こんなふうに女の子の身体になったせいで、って。
リエちゃん思うかもしれないけど、でも……
気の迷いでもなんでもいい。すき。
[そのまま顔は上げられなかった]
― 魔王城・大広間 ―
[使いが戻り、魔王への面会が叶うことを知らせた。
いまだ雑多な興奮の渦巻く大広間を擦り抜けて、玉座の前へ、彼と並んで立つ。
玉座に寛ぐは黒々と艶めく獅子身の魔人。
その腹に寄り添う全裸に首輪だけの青年の目に助けを請う色がないのを見て取れば、もはやそちらを気にすることはせず、胸に手をおいて魔王へ語りかけた。]
かかる知遇を得ましたこと、得難い機会と存じます。
図らずも陛下の民を害しましたこと、ご寛恕いただきまして、
これより、我が兄弟ともども、元の世界へ戻るため、提示された試練に挑む所存です。
ここへは辞去のご挨拶に罷り越しました。
陛下の用意した試練を、我らが如何に乗り越えるか、
その様を御身の糧とされんことを。
[魔王の示した試練を受けることで、すでにある種の信頼と敬意を表しているともいえる。
ここへはただ礼を尽くしにきたのだと態度に籠めた。
兄弟が何か言うかと、視線を向ける。]
― 浮遊する群島 ―
そっか。
[驚いただけと聞いて、安堵の息。
けれど続いた説明を聞くと、眉が寄るやら下がるやら]
扉以外打つ手なし、か…。
面倒なことしやがって、あんにゃろ。
[悪態は原因となった者───魔王へ]
[また魔王城に行かなければならないか、と思うのは一瞬。
意識はアデルの手へと向かう。
尤も、扉はいつの間にか岩場の片隅に現れていた]
……手、治療すんぞ?
[言って、アデルの手を取る。
前のように即治癒魔法をかけようとはしなかったが*]
それを、聞くの…?
貴方が、私に――……?
[震える声は、嘆きにも、或いは嘆願にも似る>>410
中心部に近づいたと知れば、硬い表情のまま頷いて]
それは、女の子になる前から、
そう思っていたということか?
[顔を埋めた子にやはり手を伸ばして頭を撫でた。]
きっと、気の迷いだ。
こんなところに来てしまったんだもんな。
僕がちゃんと元の世界に戻すから。
[声は優しいトーンに染まり、
それから、その頭にキスをする。]
でも嬉しいよ。ありがとう。
やっぱり俺、
リエちゃんの疫病神だな……俺のとばっちりなんかで、
リエちゃんがそんな目に遭うなんて。
……ごめんね。
[腕をぎゅっとしてた手はそのまま身体に回された]
とすると、まだリエちゃんの中に、
そいつの一部みたいなの……残ってたり、するのかな?
[普段のただくっつくだけとはちがう、
そうっと繊細さを持って回された腕は、
愛しんで抱きしめるための腕。]
じゃ、あっちに戻ったら、な。
[そんな約束をするのは、
これから先がわからないからだ。
魔界にあって、魔の脚を持つ。
その意味は、]
[甘い想起を否定したくせ、彼の訪れを望む胎は、密やかに蜜を溜め。
浅く沈む指先が掻き鳴らす音色に、入口近くまで這い伝った蜜が、
とろりと溢れ出す。期待に逸る肌は、尖った胸の頂が生地と擦れるだけでも、喘ぎを紡がせ]
……酷、い、ほんとうに、酷いひと…
[幾ら否定しようと、この身が想い、期待することなど、
手にとるように知れるだろうに。
彼を受け容れるための器となるよう、彼が一つ一つを教えた身体が]
― 浮遊する群島 ―
[魔王へと向けられる悪態>>420に、浮かべるのは苦笑。
治療するから、と手を取られる>>421と、ふる、と首を横に振った]
……治療するのは、ちょっと待って。
私の血……扉開く『代償』に、使えるかも知れない。
[言いながら、滲む紅を見て]
『斎の民』の血は、魔に好まれるもの。
……特に私の……『巫女姫』の血は、なんていうか……『甘い』らしいから。
[そういえば、以前に青い狼にもそう言われたな、と思い出したのはすぐに記憶の片隅へ]
対価としては、それなりに、価値があると思うの。
……小さい頃には、それを理由に、狙われた事もあったし……ね。
[語る口調は、出来る限り平静を装ってはいるものの。
声に苦いものが滲むのは、抑えられなかった。*]
もちろん、ずっと大好きだよ。
……思い出しちゃった、
1回目のキスのあと、リエちゃんと結婚できないって聞いてわんわん泣いたの。
一緒にいるには友達でいるのがいいって聞いて、だからいちばんのともだちでいたかった。
キスしたら思い出しちゃった。
リエちゃんは、男の俺じゃダメ?
[撫でられる手を留めるように手をやって]
だから気の迷いじゃないけど、
気の迷いでもいいんだ……女の子でいられるうちに。
/*
さて、獲物さんはこれは寝落ちか……
やっぱリアル多忙の時に無理させたかなー、
それともこう、いまいちノリ切れなかっただろうか、
誘った身分上その辺が心配でな……
実は門を通ってからが本番と言う
大層ひどいネタを仕込んでいたんだが、
優しくするのとひどくするののどっちがご褒美なのか
計りかねるからな、みうさんの場合。
じゃあ両方すればいいかって結論が出るけど
*/
[どれだけ手酷い目に遭わされている最中でも、全てを欲する言葉が
身の奥まで沁みて、緩んだ眦から温い雫がすっと伝う。
甘やかな声音は、前髪へのキスと引き換えに、直截の言葉を強請る。
――ああ、やはり許しては貰えないのかと、甘たるい絶望が身を浸す。
敢えて避けた返答を、的確に突き、逃げ道さえ塞ぐ問い]
貴方に、…虐められる、のは。
いつも、消えてしまいたくなる程、恥ずかしくて。
身体がばらばらになるみたいで、
…自分が何を言って、何をしてるのかも、解らなくなって。
― 魔王城・大広間 ―
[眼前に、異界のものら二人が現れれば、王は鷹揚に直言を許した。
述べられる口上に頷いて、喉を鳴らすように唸る。]
良い。
魔界では強き者が理ゆえに。
[魔界のものを消滅せしめたことは取るに足らない問題だと告げ、試練に挑むという言葉に目を細めた。]
余は楽しみにしている。
そなたらの意思と、選択を。
[機嫌のいい唸り声は、ある種の猛獣のごとく。]
フィーは可愛いな。
[止められた手、拒絶もせず、
その言葉をきいて]
僕はフィーが好きだよ。
いつも目が離せない。
だから、離そうと必死だった。
僕みたいな没落した友人がいたら、
君の周りによくないんじゃないかとも何度も考えた。
[そこでひと呼吸おいて]
でも、やっぱり、好きだなっていつも思っていた。
……そうか、
高貴な家って大変だね……。
[>>414 言葉に少し安心してしまった。
縁談がないことを安心するなんて全くもって邪まだ。
それと同時に、リエヴルはこんなに素敵なのに、と理不尽な怒りもわくあたり厄介なのだけれど]
リエちゃんのご両親駆け落ちしたの?!
へえ、すごい、ロマンティックだね、かっこいいね!
[もちろんそれだけで済む話ではなかっただろうけれど、
そんなことは言わなくていい気がするので、ただ笑顔になる。
それは断言された言葉>>416 そのせいでもあったけれど*]
[彼の甘やかな教唆に、言葉だけでも押し隠してきた密事は、
内側からそっと唇を震わせ、止め処なく溢れ出す]
でも…貴方に繋ぎ止められて、
ぐちゃぐちゃに融けるみたいに、何度もひとつになって…
――…嫌いじゃ、ない。
いつも初めは怖いのに、少しも嫌いになれないの。
貴方に、ルートに虐められるのが、私……、
本当は、凄く――……好き、なの。
フィー、こっち向いてごらん?
[止められた手そのままかいくぐって彼を見る。]
フィーだから、救けにきたんだ。
[そして、顔を近づけると、その唇にに口付ける。
今度はその腕をからめとって、逆に抱きしめかえした。**]
[神としてではなく――…そう身を寄せられれば]
本当に、あなたは……
[泣きたくて微笑いたくなる程の充足感が金貨を襲った。
彼が望むなら何度でも、いつまでもと抱きしめようとしたのだが、ふと思い立って]
……少しだけ、待ってくださいね
[彼を一旦開放し、ぶつからない程度に距離をとった。
そして、指先から金貨を一枚生成し穴を開けて鎖を通し、この世界にきた後に、自分用に作ったもの>>0:175と似た一品を作り上げた。
― 魔王城・大広間 ―
[魂の半身とともに、魔王の前へと進む。
先ほどの魔酒に植え付けられた呪縛は今は解けていたが、それを呼び覚ました魔王の強烈な存在感は変わることはなかった。
それでも、兄弟と共に歩む今、恐れはない。]
陛下。
わたしたちへ過分なお言葉を戴いたこと、まずは感謝いたします。
[信者の前に立つ時の微笑みに、敬意を加えて言葉を紡ぐ。]
陛下に望まれることは光栄なことと理解しております。
ですが、残念ながらそれをお受けすることはできません。
わたしたちが生きるべきはこの世界ではない、と考えております。
[傍らの兄弟と視線を交わす。
瞳にのみ、信愛を語らせて。]
兄弟ともども、陛下に辞去のご挨拶を申し上げます。
陛下の御世に泰平が訪れますよう。
[祈りと祝福のしぐさは省略し、ただ軽く頭を下げた。]
お守りです。
[そういって愛し子の首にかけてやり――…]
当ててくださいなんて言っときながら、すいません。
[と、言ってしまえば、いつか彼に課した問いの答えを暴露しているようなものなのかもしれない]
……聖印とかあればよかったんですけどね。
[何かを与えたかった。彼だけに自分を表す何かを与えたかった。
問いを出した手前、伏せようと考えてはみたものの、他に何も思いつかなかったのだった。]
……何があっても、レトが、護ってくれる、って。
私、信じてる、から。
[笑みと共に告げるのは強い信と。
出会ってから初めて、敬称をつけない名前での呼びかけ。*]
[柔肉を指が掻き分ける度、纏わる蜜が高い音を立て、耳を苛む]
――…っ、かせ、ないで、…解ってる、から…
[彼のための場所が、所有者に明け渡されてどうなっているかくらい、目にせずとも嫌という程知れる。
伴侶の身も心も蹂躙して愉しむ男にだけ、意識と感覚の全ては注がれ、魔力の対流さえも感じ取れず]
― 魔王城・大広間 ―
[前に立った今一方の人間へも、向ける視線は同じく機嫌のいいもの。]
生きる世界を選ぶのは、そなたらの特権である。
強き意思と力持つものよ。
勝ち得て見せよ。
[言葉を賜ったのち、片手をゆるく払って退出を促す。]
私、だけ? 私にだけ――…。
それならいい。 変わっちゃ、…いや。
[念を押し約束をせがむ声は、稚くも甘く。
目的地だった筈の手前で、夫の歩みは唐突に止まる。
鋭敏な尖りを揺する爪先が、僅かな所作が、
何時の間にか擦り替わった目的を、暗に示唆する。
明瞭な声にも宣言されれば、思わず]
なに、を……?
[迂闊な問いを零した唇を、はっと噛み締める。
逡巡の後、心を決めて、おずおずと夫の頬を撫で擦り]
――…あんまり、酷く、…しないでくれる…?
[少し待つように、とは言われても、腕から離されると心細げに眉が下がる。やっぱり聖職者としてではない自分では、ダメなのかと。けれど彼の表情は呆れたりはしていなくて、それに縋るような気持ちで身を離し…]
――え
[彼の手の中に現れる、きらきらと光るもの。遠目ではよく分からなかったのだけれど、鎖を通されて、自分の首にかけられたものを見れば。]
金貨?
[彼の言葉の意味を少し考えて――理解すれば、嬉しそうに笑む]
金貨の神に仕えるものとしては、一番の聖印でしょう。なにせ、神本人から賜ったんですから。
[魔王の返答と、兄弟が告げる謝意を聞くうちに静かに満ちるものがある。]
御身も愛に満たされてあれ。
[兄弟同様、聖印は切らずに告げ、退出の促しに、そのまま後じった。]
――…。
[一度離れた体をまたぎゅうっとしがみつく。肩の上顎をのせて、耳にくちびる近付けるような。けれど]
――あなたが、好きです。
[ひそりと、声には出さず]
― 魔王城・大広間 ―
[兄弟とともに魔王の前から退がり、宴の広間も抜けて出る。
落ち着いたところで、再び視線を交わした。
礼は通した。
やるべきことは、あとひとつだ。]
− 城の前庭 −
[意識すれば扉はすぐそこにあるけれど、嬾惰な宴会の場で為すべきことでもあるまい。
彼を伴って、城の外へ出る。
懐から取り出すのは、魔界に踏み込むに当たって組織の長から渡された”鍵”
いかにも、この試練に相応しい形だ。]
あの方の慧眼には恐れ入る──
[この鍵を触媒に念を結束し、魔王の試練へと挑むべく、元の世界へと続く扉を封じる錠前に手を伸ばした。
腕の輪の中に彼を囲い込む。]
── いくよ。
……うん、
俺達だいすきな友達だって、
リエちゃんもそう思ってくれてるって、
ちゃんとそう思ってた。
[眼が離せないとか、よくないんじゃないかとか、
そんな言葉にこくこく、ふせた眼差しのまま頷いて、
だけどそれは友達としての意味だから、
少し、不安と戸惑いでやはり顔を上げられない。
実際今はじめて本当は男同士だし普通じゃない、そんなことを意識してしまって]
ん……、
[こっちを向くように促す言葉に、躊躇うように視線をあげた]
/*
アデルが代償払うとしたら能力かなぁ…。
能力>身体>記憶、だとは思うんだが。が。
代償2つ要るようなら介入しちまうかな。
記憶>能力>身体 な奴だが(
[彼女の秘所から溢れる蜜は、肌を滑って珠となり、
内衣の裾を僅かに濡らして湿らせる。
少しばかり色を濃く変えてしまうのは見えぬとしても、
肌に時折張り付く感触で感じられるだろうか。
彼女の囀りに鼓膜を震わせ、歓喜を得。
苛まれるほどに、己を許し続け、受け入れる。
それを成すのが彼女だからこそ、喜びへと結びつく。]
―――…はい、とても酷い男なのです。
本当は、もっと酷い男ですが――…、傍に居てください。
[今度は奪う言葉ではなく、彼女に乞う言葉。
この先も、彼女が疑念と取った永久なる果てまで。
恋うて、指を緩やかに引き、静かに彼女の背を壁に預けさせながら、
白くしなやかな両足を石畳の上に下ろさせた。
自然と、壁と自身の体躯で独占するように。]
……リエちゃん、
[5回目の口付けの気配に、
ねだるように薄く口を開いてしまった。
子供のキスではない、大人の口付けがしたくて、
小さな舌は柔く先ほどの動きを真似て、誘う。
抱きしめ返される腕は、
心地よくてあっけなく陶酔に浸ってしまう。
本当はもっと深く、触れて欲しいのに*]
[彼女から言葉が欲しい、信頼が欲しい、―――愛して欲しい。
永久を重ねて、寄り添いあいたい。
此度の件で告げられた恋情が、己を更に強欲に変えた。
良い傾向だと笑う己に、彼女はまた眉を顰めたかもしれない。
彼女が愛したのは、どうしようもない闇精。]
―――…私もとても好きです。
貴女はとても柔らかくて、甘くて。
イングリッド、照れて初々しい貴女も、大好きですよ。
[掠めるように腿を五指で辿って、自身の前立てを解くと、
素直に言葉を紡いだ愛妻を慰めるよう、唇を啄ばみ、甘やかす。
つい、解けたままの顔が戻らぬのは仕方ない。
掴まっていてください、と囁いた声は、
捕まっていて。と懇願に似た毒のような響きを持つ。]
イングリッド、愛しています。
貴女は、永劫、私だけのもの。
私に愛され、私に苛まれ、私に犯され、
―――…私だけの、
[濡れた秘所に宛がう欲熱。
精霊種は―――特に光精は疎いだろう情交。
性交によって子を成す訳でもないなら、この行為は本能足りえない。
けれど、己は確かに、彼女を求めた。
臀部の丸みを掌で愛し、ズ、と生々しい擦音聞かせれば、
一度彼女に笑いかけ、そのまま一息に貫こうか。]
[ 縋る彼女が求めるだけ、欲しいだけ。
甘える己が求めるだけ、欲しいだけ。
苛烈は嫌だと告げられたのに、収まりきらぬ兆しが正直。
頬を滑る彼女の指先にも口付けを寄越し、大きく突き上げて仰け反らせようか。
何処に居ても、何をしていても、色褪せぬ想いは、
未熟なまでに、彼女ばかりへ向いている。*]
― 城の前庭 ―
主は捕われ人を解き放たれる。
───わたしたちを阻むものはなにもありません。
[自らを囲う兄弟の腕に、自分の手指を添わせる。
元の世界で待っているであろう人から託された鍵。
そこへ意識を集中させる。]
― 魔王城 ―
[記憶にない賭けを持ち出されて眉根を寄せる。
その様子に羽生えた男は、さも楽しそうに笑った。]
…そうか、お前僕の記憶がある時に会ったのか。
悪いが、僕は今記憶が無くて、賭けの事も思い出せない。
[グラスを手にしたまま、水を飲む事も忘れて、目の前の男を見る。]
何を賭けたんだ、僕は。
/*
えっ。サイコロ振ってからなに捧げるか決めるの?
できるだけ目標値下げて、それからランダム振るんだと思ってたんだけど…
[問えば男は賭けの内容をあっさりと語った。
「貴方がこの国から無事に帰れるかどうか」という内容に、瞬いてあっと睨み付けた。]
まさか、僕をここに連れて来たのはお前か?
[問いには肯定が。
「我が君の為に、趣向の一つとしてお呼びした」と告げられて、その身勝手に憤りを覚えたが、男は言う。
「この賭けは貴方の合意の元に、むしろ望んで行われた」と。]
…僕が望んでここに来たと言うのか?
[驚いて続けられた問いには答えず、逆に人外の男はこう言った。
「元々分の良い賭けだったが、色々と想定外が起こったので、あなたの記憶をお返しします」と。]
!
[男が羽をかざし額に触れると、頭の奥に蝋燭の火が灯ったように、ぼんやりと、失せていたものが照らし出される。
記憶は一時的に失われただけらしく、頭の中にずっと残っていたものを思い起こされているようだった。
その詳細を本人は知る事はないが、頭の内側から湧いてくる、懐かしいとも思える景色を目を見開いて見つめた。]
あ、あ…
[無くしていた記憶がよみがえる。
この男との賭けを行った事も思い出した。
そしてその賭けに至る経緯が、芋づる式に引っ張り出される。]
[リリーパは、アムドゥスキアとの戦いで疲弊する国民をプロパガンダ要因として、英雄を人工的に作り出した。
「シュテルン・ダルスバーレイ」という貴族の名を使い、英雄を演じるのは身寄りの無い男女の子供4人。
幼い頃から剣の腕を磨かせ、国の為の忠誠心を植え付け、民を博愛し誇りあるよう育てられた4人は、少年から青年に差し替わる頃、代わる代わる「シュテルン・ダルスバーレイ」となり、戦場へ赴き戦果を上げた。
戦場で誰よりも多く人を殺し、傷ついた味方を誰よりも多く救い、不可能と言われる作戦を成功さえ、致命傷を負ってもまた再び戦場に立ち、その先頭に立って士気をあげる。
若く高潔であり、誰よりも率先して敵陣へと駆け、味方を率い、敵を屠るその姿は、英雄とよぶに相応しいと賞賛された。
だが無茶を重ねれば命はすぐに削れてゆく。
4人居たシュテルンは徐々に命を落とし、最後に残ったのが浅葱色のシュテルンだった。
最後に残ったシュテルンは、先に逝った仲間たちの想いを継いで、一人戦場をかけぬけそして、ついにやり遂げた。
長い戦争がようやく終わりを迎えたのだ。]
…………そうだ、思い出した、僕は。
戦争が終わって、役目が終わって、そして
[「英雄は死んで完成される」と、
死ぬことを求められたのだった。]
[彼と共に"鍵"を回す。
金属の軋む音とともに鍵はゆっくりと回転し、───中途で動かなくなった。
手に伝わる感覚が変わる。
これ以上回せば鍵が砕ける。
直感がそう囁いた時、脳裏をよぎったのは"相応の代償"という言葉だった**]
………………。
[顔色が青い。
思い出しましたかと、楽しそうな鳥の男を睨みつけたが、効果はない。
それでは賭けの続きをと告げる鳥に何も言えずに見送ると、震える手の中にあったグラスの水を、一気に飲み干した。
胃に流し込めば、少しは体が落ち着いてくる。]
………着替えないと、剣も、持ってこないと…。
[ドレスを翻し、服と剣を脱ぎ置いた場所へと向かう。
胸中には薄暗い想いを抱えたまま*]
[内腿を伝う雫が、内衣をじとりと貼りつかせ、先を予感させる。
――けれど、もっと。
胎を塞ぐ楔の隙間から這い伝う、雫の熱さを知っている。
焦れる身体を宥めようと整える呼吸が、切なげな響きを帯び]
貴方が酷いひとなのは、もう、大分知っているもの。
…どれだけ私が、貴方に虐められてきたと思っているの。
ねぇ、本当は――……
私を娶ってくれたのは、“貴方”なのでしょう?
[一朝一夕よりは長くとも、夫婦として番った時間は未だ数月余。
彼の尽きぬ熱情を育むには短いと漸く気づく。
何時からか、彼の隣に添うのは自分なのだと、種長の思惑の外で
定められていたのではないか。
自身に知らせることもなく、彼の裡では、ずっと前から]
[頼んだ治療を中止させようとする意図が
どう解釈されるかも解らないし
そもそも中止が受け入れられるかも不明だが。
ともかく、ダメで元々ではあるが
出口の状況を確認しなければ話にならない。
魔王城を離れ、樹海の端に位置する横穴まで
獲物を連れて移動することにした。]
― →太古の樹海 ―
ねぇ。教えて?ルート。
……そうだって、言って?
だとしたら、私は凄く嬉しいし…、
そうでなくとも、貴方の傍に、ずっといるから。
[彼の纏う空気の柔らかさが、強請る声をいっそう甘くする。
身体を降ろされ、壁と彼の狭間に閉じ込められれば、
その距離の近さに、気恥かしげに笑んで]
[扉に向き合う前に、結い紐を解いて髪を背に滑り落とす。
いつも抱えている魔導書は置いたまま、その上に結い紐を乗せて]
……界統べし、強大なる王よ。
私たちの帰還の意思、それ示す証として。
陽と月の廻り辿り、祈り捧げし『斎の民』が『巫女姫』、アドルフィーネ・シュピールドーゼが血を捧げましょう。
[言葉と共に、錠前に向けて手を翳して、零れる紅を滴らせる。
血ではなく、この身その物を捧げたならば、扉を開くのは容易いかも知れない、けれど。
今、傍にいるひとと共にありたいという願いに従った身には、それは選べないから。
だから、道を開くための代償、対価として、己が血を──強き魔力の源でもあるそれを、捧げる]
……Eine Tür zu Band zur Welt.
Vor uns ein Weg……Erschließe es!
[祈りを込めた言霊を紡ぎ、錠前に手を触れる。
滴る紅に重なり舞い散るのは、淡い緑と紫の光。
それは、錠前をふわりと包み込んで──18(20x1)]
[身を寄せる愛おしい生き物の“声”を聞けば、金貨の顔はほころんだ。
「私もですよ」と言いかけて、彼だけのものにはなれないと、神の身をもどかしいと感じてしまうのだけど……
今だけなら、彼だけのものであることができるのではないかと考えなおせば、寄せられた身体を抱きよせて、今度こそ言葉として紡ぐのだった。]
――…私もですよ
― 太古の樹海 ―
[樹海に入ると植物に怒られる前科持ちのため、
端を迂回して、坂を上り、小川を越えた所に
元来た道、魔界と人間界の接点があった。
――あった、というのが文字通りの過去形で、
暗い横穴に入って少し進んだ所が、
既に土の壁になってしまっている]
……やっぱり
だめだな
[嘆息ついて、横穴の中腹に座る]
[くぁ、と欠伸まで零した]
……眠くなってきた
[所々では小休止があったが、全体を見れば走り通しだ。
壁にもたれた背をずり落として、一眠りの態勢]
ここがだめなら、魔王の言ったとおりだ
起きたら、扉を開ける
[小さな洞、入口から差す僅かな光が、
眠たげな金の眼をちろりと光らせる]
――――、……
[喉の辺りに手を滑らせる、
やっぱり、言おうとする言葉が、何か足りない]
[そのうち眠った。*]
大丈夫。
[やめろと腕を叩かれると、彼女にしてははっきりとした口調で言葉をかえす。
余程強く言われるか強引に力技で止めなければそのまま治療を続けただろう。]
[二色の光は、紅受ける錠前を包み込み、歌うような音色を響かせる。
柔らかなそれは、子守唄を思わせるもの。
その音色の響きに共振するかのように震えた錠前は、澄んだ音を立てて砕け散り。
それに合わせて、二色の光もふわり、周囲に飛び散った。*]
[不意に破顔する夫の顔、不思議がり少し眉を寄せ、
覗き込むついでに、ちゅ、と眦にキスを残す。
幾度目かの告白を織りなす言葉は、何時になく率直な響きを以て、
胸の柔い深みをくすぐっては、また全身に熱を巡らせる]
……嬉しい。凄く。
ルート、嬉しい……大好き。
[ふわりと眦を下げ、染め上げられた頬も、今日ばかりは隠さずに。
腿を辿る指にも素直に甘い声を洩らし、啄ばむ唇と無心に戯れる。
乞い願う囁きに微笑んで、首筋に縋り、互いを確りと繋ぎ止め]
― 太古の樹海 ―
[無理をおして治療をしたはいいものの、結局のところ狼から請け負った痛みで暫くは動けそうに無く、また運ばれる事になったのかもしれない。
横穴に入って行けば人間の目にはその場は非常に暗く、駄目だなと声を落とされても何がいけないのか把握するまでには暫く時間がかかった。]
― 回想 ―
[初めは敵同士、捕虜となった時も、当然のように警戒心を抱かれそれでも時を重ねながら、英雄という役割の奥にいる姿をみた。
自分は勘違いをしていた。英雄というものは偶像だ。どこか空虚で現実性のないものに焦がれたと思っていたが、違う。
希望を与えようと姿でも、勇猛果敢に突撃をする姿でもない。
英雄というものを演じながらも、ただ生きるという原始的で、誰もがもつ強い意志に、そして罪悪感を抱きながらも、戦い、背負い、苦悩し、弱音を吐く姿が、とても人間らしく眩しく思えたのだ。]
[鶫へと伸ばした手は加減もわからぬ故に、想いばかり先行するように強引に。優しく、逃げ出すための羽をもぐことなく、檻に閉じ込める。
時がくれば去るとしるからこそ、より強く。]
価値ならば私が与えてやる。誰も英雄以外のお前に価値がないというならば、なに…競争相手がいなくてよかった。というだけのことだ。
[驚いたように問いを返すグリヴへと冗談めかしながらも]
いいに決まっている。帰ってこい。
[そう、何度も言い聞かせ、寝台へと運んだ]
そうだな。傷だらけだ。
[互いの粘膜を絡めあい、柔らかな胸を掌で思うまま指を沈め手遊びのようにころがしながら、飽きることなく愛撫を続ける。息継ぎの合間、自分の体を厭う、女性らしい仕草に愛らしささえ覚えながら、体の傷については、言葉通り肯定しながら]
だがそれは、お前が誰かを守るために戦ったからこその傷だ。
だから、綺麗だ。
[女性らしい柔らかな造形美とはいえないが、あるがまま細工を施さぬ自然さで戦うために鍛えられ作られた機能美を備え、花を散らされる処女のように甘い蜜の香る彼女は魅惑的でさえあり、その心根にある優しさを表すような傷口を慈しむように、指で、舌で、唇で、なぞり、舐め、啄む。
その躰を、背中を腰を足を、手が唇が這いながら、傷口の一つですら触れてない箇所を亡くすように触れる]
[優しさと執拗さを兼ねるのは、決して逃がさない捕食者の顕れ、いたるところにキスの痕を残し、羽根の一枚一枚まで愛し、時に徴を残すように強く弄り、彼女の反応を見ながら断罪するという言葉と裏腹に、蕩けるほどの愛情が彼女の体の中で渦を巻き破裂するまでと
女陰に這わせていた舌を抜き取り、汗と唾液とで朱に染めたグリヴをじっと見つめ]
…グリヴ。
[既に何度目かわからぬ口づけを交わす。言葉はなく、ただ愛していると口づけだけで伝わる。そんな確信を抱きながら戦士としての痛みではなく、女としての痛みを教えるように、愛しい人と一つになった*]
扉をあける…
[魔王の言葉を思い出す。
元の世界に戻るにはとても重い障害があるように思えた。]
帰れるのかな。
…私も、帰してくれるの?
[彼の金の瞳は暗闇の中でもはっきりとわかる。
獣の瞳だ、と思うと胸が重く感じた。]
[暗闇の中、ようやく目が慣れれば彼が喉に手をやるところがかろうじて見えたかもしれない。
喉にも痛みがあるのだろうかと首を傾げる。
そのうちに彼が寝息をたてはじめると少し安心したように女も壁に身体を凭れた。]
― 魔王城付近 ―
[扉というのはひっついてくるようだ。いい加減にこのような事態でも驚かなくなった辺り、この国に適応しはじめているのではないか。という疑問はさておく]
…また命を預けるぞ。ゼノ。
[シュテルンが来る前に、済ませよう。と騎乗すると、一度馬首を返し、扉と距離を置く]
……
[眠りに落ちる狼の横顔を眺める。
そっと彼の手に手を伸ばし、その掌に触れた。]
……
[狼の姿の時に四肢で歩行するからだろうか、手は荒れていた。
力強く長い爪がそれに収まっている。
どう見ても触れても人間のそれではない爪に触れ、指先で撫でた。
小さな痛みが生まれ、引っ掻いた指の腹から血が滲んだ。]
[そして剣を抜く。その白刃を向ける扉の向こうで、戻ってきた私の恋人>>452を視界に納め]
駆けろ!!
[軍馬は騎乗主の指示に従い、勇ましく嘶き、一度上半身を逸らすと扉へと向けて一気に駆けだした]
[何時ものように、永劫を謳う声。
何時よりもずっと耳に、胸に、記憶に沁み込み、
熱心に夫を見上げる菫が、薄らと霞む]
私も――……、
[幾度も頷き、小さく啜り上げ。
互いで互いを濡らし、擦れ合う音が肌に伝われば、
そっと彼の頬を両手で包んだ。
彼に聞かせられる初めての喜びに、胸は高鳴り、唇は綻んで]
愛しています、ルートヴィヒ。
私が自分で気づくより……きっと、ずっと前から。
私は、とっくに貴方のものだったの。
[やっと言えた、と囁く吐息]
――…私を、愛して。ずっと、…ずっと。
永久に、貴方だけの私で居させて。ルート。
[彼の事は、やり取りをしても双方に通じないところが多く、喰われてしまうかもしれないという恐怖はあったものの、誰かに頼れる、という事は今迄の人生で女が経験した事はほぼ無かったに等しく。
胸の内に生まれた感情がどんなものかを言葉にする事はできなかったが、]
[眠る彼にそっと肩を寄せた。]
あ……れ?
[身体がふらつくのは、力を注ぎ込んだせいか、それとも、先に自分で言った現象──貧血のためか。
どちらにしても、立っているのが辛くなって、視界が揺れて。
このままじゃいけない──と、思うよりも先に、ふつ、と意識が途切れていた。*]
[耳近く、やはり唇から出る声ではない声で囁かれる。そのことばに、嬉しさと……それ以上に、目の前の神に愛しさが募る]
――…、
[温かな腕の中、今だけは。元の世界に戻れば、彼は自分だけの神ではないから。溢れる気持ちを表現しようとするけれど、それ以上のことばは出てこなくて]
すき。
すき、です…
[気持ちの大きさを表すよう、何度も繰り返す。やがて、眠りに落ちるまで]
[触れれば暖かい。
こうして誰かと触れ合いその温もりを感じる事も、思い返せばほぼ記憶に残ってはいない。
気付けば涙が頬を伝っていた。
彼の手をとっていない手で涙を拭うが、流れ落ちてくるそれはとどまるところを知らず、そのうちに小さな嗚咽を漏らした。]
[彼のための場所が、役目を果たすべく濡れ、
宛がわれた切っ先を湿らせる。
向けられる柔らかな笑みに、恋い慕う欲がまた満ちて]
……来て?ルート。
貴方に、私の一番奥まで――…
[直に触れて欲しい。隅々まで掻き混ぜて知って欲しい。全てを。
突き上げる衝動は、喉に絡みつき]
……ふ、あぁっ、! ルート、深、い――…
[代わりに貫かれる衝撃に甲高く喘ぎ、欲を伝える。
胎に痕を刻まれる度、仰け反り喉を晒しながらも、
唇でも交接をねだり]
[彼は自分の名前さえ知ろうとは思わないらしい、今になってみればその事がひどく悲しく思えた。
狼は名前などには執着しないものなのだろうか、そう思うのは人間だからなのだろうか。
自分はただの餌だから?
考えてもキリは無く、色の薄い瞳は赤く染まってゆく。]
― 塔の街・宿の一室の朝 ―
――あれ?
[身体に残る気だるさを冷たい水で押し流そうと、金貨は腕の中にいる愛し子を起こさぬように身体を起こし、部屋を出ようとするのだが――…
はて、この部屋の扉はこんなに豪奢だっただろうか?>>302
セキュリティは万全といわんばかりの閂と錠を見れば、自分達はこの部屋にどうやって入ったのだろうと、首を傾げた。
未だ眠る愛し子と二匹の双頭犬を背に寝ぼけ混じりの思考を続けていた金貨の脳に、趣味の悪いモーニングコールがやってきたのはそんな時だっただろうか>>298>>301>>302。]
――っ!リヒャルトさん!!
[脳を揺らすように響く声、その内容を深く反芻する前に金貨は愛し子の方へ意識を向けた。]
[彼は自分の名前さえ知ろうとは思わないらしい、今になってみればその事がひどく悲しく思えた。
狼は名前などには執着しないものなのだろうか、そう思うのは人間だからなのだろうか。
自分はただの餌だから?
考えてもキリは無く、色の薄い瞳は赤く染まってゆく。]
アデル!!
[直後、アデルの身体が重力に従うように崩れ落ちる。
咄嗟に腕を出し、その身体を抱き止めて。
落とさないように自分の身体の方へと引き寄せた]
おいアデル。 アデル!!
[名を呼んでも反応が無い。
意識が落ちていることを悟ると、レトはアデルを横抱きに抱えた。
扉はひとまず置き、休息場所として使っていた洞窟へとアデルを運ぶ**]
アデル……。
[抱えた身体が心なしか冷えているように感じる。
自分の血の気が引いているためにそう感じるのか、実際にそうなのかまでは判断がつかない。
レトは洞窟の壁を背にして座り、胡坐の上にアデルを乗せて、後ろから抱き締める形で自身に寄りかからせた]
目を覚ませよ、アデル…。
[何か影響が出たのではと不安が身を襲う。
本当は横にした方が良いのかもしれないが、冷たい地面に横たえる気は無く。
抱えることで冷えているように感じるアデルを温めようとした。
アデルの左手の治療も忘れ、抱き締めた状態でアデルの腕を何度も擦る**]
(さらば、戦友)
[恋人の姿>>464が見えたのだ。ならば猶更止まれない。
別れは先ほど済ませた。そしてそれを――優劣をつけたことを承知で、戦友は自分を乗せてかけてくれる。
幾度も命を預けたその背は頼もしく、至らぬ主を乗せて、さぞ苦労をかけたのに、最後まで意を汲んでくれるのを頼もしく思うからこそ、申し訳なく思う気持ちは捨てる。
それだけ確実に。おそらく代償を必要としたとき、その身を捧げようとする彼女を損なわずにいたいのだ。]
おや、この程度で音を上げては先が辛いですよ。
―――…永年掛けて、貴女は私に添うのですから。
[笑った男は、彼女の体躯を揺さぶるように腰を使う。
粘膜を通じて伝わる体温が自身を一層盛らせていく。]
――――…、
[されど、彼女が続けた問いかけには、僅かな沈黙。
この婚姻は別段、洗練された方法で結んだ訳ではない。
光精長を脅したと言っても過言ではない。
自身は彼らから認められるような手合いでは決してないのだ。
だから、申し出た折りには随分と渋い顔をされた。
他の娘を勧められもしたが、容易く一蹴してみせた。]
おおおおおぉぉぉぉぉ!!!
[だからこそこの一閃に全てを賭ける気持ちで、目前に迫った錠前に向け、速度を乗せて思い切り、剣を振るった 18(20x1)+5]
[結果を見ることなく、剣を当てたと同時に、馬から無様に投げ落とされる。
それこそ、彼女に眼を斬られたときも、落ちることのなかった騎手が、そして脚として数多の進軍をともにし、指揮官としての旗となる標となり、幾度となく命を救ってきた軍馬が主を落とすなど、ありえない。
それが...のかけた代償であった*]
[彼が目を覚ます頃になっても、女は泣き止んではいなかっただろう。
何があったか問われても、なんでも無いと首を振るのだろうが。
彼の手に触れていた手も、おそらくはそのままに。
指先から滲んだ血が、彼の手を少しだけ汚していた。*]
[代わりが在る想いでは無く、褪せる色でもない。
少しばかり天然で、大分お人よしで、自己評価の低い彼女が、]
私は、
―――――……、……、
格を上げれば、……他属精に、融通が利くと、聞いたので。
[強請られる言葉に惜しむことはなかったが、
返したのは明快な答えと不明瞭な蛇足。
そして、僅かだけ、揺れた瞳を隠すよう、瞼を下ろした。]
[甘やかに交わす熱は留まるところを知らない。
眦へ贈られた彼女の唇には、僅かな熱が乗るはず。
重ねられる響きは良く響き、彼女も曝してくれる心に呼応する。]
―――イングリッド、余り煽ると酷くしてしまいますよ?
貴女は私をどれだけ、惹き寄せる気なのか。
[誰もない迷宮で、解けた心の迷路を確認し、
最初に手を取った迷子がもう一度、重なり合う。
あの頃よりも、ずっと強い想いを抱えながら。]
/*
夜特になにもないんだけど、なんかあるように誤解される内容にしてみるんだぜふはは。神様と聖職者だからね!おまけに同じ部屋にポチたち親子もいるからね!
/*
動かすったって何をすれば良いやらw
まさか襲うわけにもいくまいて(ぉぃ
とりあえず今日は寝よう。
それにしてもツヴィンガーも良い出目w
最初から代償つけた方がダイス目高いね…。
[腰に腕を回し、引き寄せればまた絡みつく熱を払って奥へ進む。
最深までも、自らで埋め尽くしても、未だ足りない。
精神だけで足りず、身体だけで足りず、彼女の全てが欲しい。
彼女の告白に覚える衝撃は、そのまま衝動へと転化された。
重ね合わせていた瞳に熱を宿し、押し付けるように唇を塞ぐ。
薄く開いた唇さえも、彼女を求めて軟体を伸ばし、舌を絡め交わす口付け。
イングリッド、と彼女の名を擦れる低音が囁いて、強く抱きしめる。
尊くも唯一人の存在、絡み合う熱と魂は境界線をなくし、
これまで以上の繋がりを以って、溺れていく。
夜より深く、朝より明るく。
心を開いた彼女に、馴染むような精霊力が順応し、
彼女の中に、潤沢に積もるまで、―――永く。**]
/*
私の中でeyesさんは難攻不落の方なのですが、
毎度毎度お付き合いいただいて本当に在り難い。
この感謝を運気で返しますよ!がんばれ、ダイス力!(フラグ)
/*
そうだ、ついでに。
STR:11(6x3) CON:8(6x3) DEX:10(6x3)
APP:8(6x3) POW:9(6x3) SIZ:5(6x2)+6
INT:9(6x2)+6 EDU:10(6x3)+3
(SAN&幸運:POW×5、HP=(CON+SIZ)÷2、MP=POW、アイデア=INT×5、知識=EDU×5、DB別表参照)
― 魔王城付近 ―
ツヴィン!
[思い出した愛称を呼びながら、馬から落ちた男の元へと膝をつき身を案じた。
助け起こそうと、様子を見ながらその背に手を回し肩を貸そうと。]
大丈夫か?何で…
[先ほどの一閃におかしな事はなかった。
バランスも、崩した様子も見られなかったのにと。
思い当たるのはひとつだけ。]
……まさか、これが代償?
[馬に乗れなくなる事が。
それに気づくと、何の相談もなく勝手に行動に移した相手を、じとりと睨んだ。]
[“相応の代償を”
響いた声のその言葉に、びくりと肩を震わせる。
故郷から引き離された迷い子に
神々の軋轢に巻き込まれてしまった救い手に
少し目を離しただけで傷を負ってくるような弱き者に
金貨に全てを差し出さんとする愛し子に
――犠牲を払わせることはしたくないと。]
― 魔王城付近 ―
が…は…っ
[速度の乗った馬から急に落下する。頭から落ちることだけは避けながらも、肺の空気を全て吐き出す。
骨は、折れていないか?いや、おれていたとしても、立ち上がらないと、心配をかける。そう思っていたが]
…グリヴ…?
[昔と同じ呼びかたをする鶫の恋人に驚く。
その間に肩を>>473借りることとなり、彼女の支えと剣を棒の変わりにしながら立ち上がる]
[そんな至近距離だから、彼女>>474の視線から逃げられない。
申し訳なさそうにやってくるゼノの姿もあればより答えは明白というものだが]
……ああ、そうだ。何か問題でもあるか?
[あえてそのように否などないような態度をとった]
[ならば――…
代償を払う暇さえ与えなければ、代償を払う必要がないと理解できるほどの力でこじあければ、愛し子を護ることができるのではないかと思い立つ。
幸いにも扉の錠は金属製。
得意分野とは言えないが、叩き込めるだけの神力を叩き込めば、干渉できないこともない。
愛し子の祈りによって少しは回復できたとはいえ、万全からは程遠く。その状態で“普段の”叩き込めるだけの力をつぎ込もうとするならば、神性さえも捧げかねないということに……
愛し子をなにより優先してしまっている金貨は気づきそうにない。
たとえ気づいていたとしても、愛し子が何かを捧げさせるくらいなら自らの力を差し出しただろう。己の神性を捧げるという結果は変わらない**]
[“相応の代償を”
その言葉に、一歩前へと出ようとすれば…隣に立つ神の方が少し早かった。唇を開くよりも早く、と叩き込まれた神の力――本来であれば自分などが触れてはいけないのに。それを破ってでも、そばにいたいと願わずにはいられない、神が]
――あ…
[溢れ出す力。彼の神力がどれだけ強いかは知らない。けれど、すべてを叩き込む勢いでぶつけられた力は、いくら鈍くても分かるほどに]
…ぃ、ゃ
[こんなに。たくさんの、力を使って。自分を助けるために、今までも相当無理をしてきている彼が。無事ですむのか]
――っ、魔の王よ!聞こえていますか!わたしは…
わたしは、わたしの信仰をあなたに差し上げましょう。足りないなら、わたしの記憶を全部やってもいい!だから…だから、彼の全部を、わたしからとりあげないで…っ
[こんなことを、彼が望む筈もない。青年は今まで神に仕えることしか知らなかったから。けれど、自分には何もないから。他に捧げるものなんて知らない]
……ああ、思い出した。
お前の事も、わたしの事も。
ここに来た理由も、…間際の、戦争が終わった事も。
[話題を変えられるとまだ睨みはしたが、事実を肯定として返し頷く。]
わたしはグリヴ。
シュテルンという役割を全うする4人のうちの一人で、
…いつかお前の所に帰る女だ。
[そう告げ、傍らで少しだけ笑みながら見上げた。
晴れやかな笑みにならなかったのは、戻れば死ぬことと、賭け事の事が頭の隅に残っていたからだった**]
/*
俺が寝た直後から恋文の投下が始まったとかぐぎぎ
それにしても25%の賭けに勝ってるペアが結構いるな
愛か。愛だな。
*/
/*
どのくらい直後かって言うと1分後ですよお客さん
因みに今回は箱が修理から帰って来たので
これ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24282235
を聞いていたりしました
他も探したんだけどもふもふ
*/
[大丈夫、と答える言葉を聞けば、治療を遮る事はせず。
結果として動けない程痛む羽目になってから]
だめなら、だめと言え
[運ぶ間にひとつ、愚痴めいたものを落とした]
そうだな
開ける供物にする気はない
それじゃ意味がない
[ただし、それは獲物が無事に帰宅できる事を意味しない。
稀な獲物を狩るために、ここまで来た ――はずだ。
その道行きを振り返らなかったから
いつまでも結果を引き延ばしにしている事に気付かない]
[――微かなすすり泣きに瞼を上げる]
……なんだ
[寝ぼけていると言う程でもなく声を掛けると、
一瞬ぴくりと肩を震わせた獲物が、
何でもないと首を振って見せる]
……
[己の掌を見た。
ふつうより硬い皮膚の上に乗る脆い温度と指先に甘い香。
少し身動ぎして、その手を引き寄せると]
[ぺろ、と頬の涙を拭った]
[流石に意外だったようで、目を白黒させる様を覗くために
狼は少し首を傾けた]
[狼はそれを何と呼ぶか知っている、
狩った人間が目から流すのを見て知った]
[雪解け色の双眸が薄らと充血していて、
目の周りも擦ったのか、赤い気がする。
壁から少し背を離して、相手に向く。
寄せ合う肩をもう少し近付けて、その耳元に]
泣くな
[――それ以上の、掛ける言葉が解らない]
[少しの間、零れる透明な線を舌で辿る時間に注いで
昔の事を思い出した]
……喰うのをやめたら、泣かないか
[今までに喰い殺した人間が、『助けてくれ』と
狼に懇願してきたように。]
[喰う気が失せた訳ではなかった。
だってもう、その血の味を知ってしまっている。
闘技場で助けを求められたあの時、
自分はこれを手に入れた。
食べたい ――食べない?]
[華奢な白い手を、掌と指でゆっくりと握り込んで
そして離した。立ち上がるために]
――扉を開ける
― 太古の樹海 ―
[ここに来た時に、自分が通った横穴を出て、
そう宣言すると目の前に扉が浮かび上がった。
掛けられた重厚な錠前が最後の障害になる事は、
見るからに知ることが出来る]
[――魔王が魔界に迎え入れるのなら、
きっと自分は魔界ででも生きられるのだろう
けど
そうじゃない、と思った]
開いた
[振り返ればそこに、彼女の姿が見えたろう。
こちらを見る眼に、――喉をなぞって]
……やっと分かった
名前が呼びたかった
[だが、返事を知る前に扉の奥に消える**]
/*
意外とみんな、一回でクリアできてた値が多いのね。
うちは旦那様に振ってもらう訳だけど、試してみましょう。えい。
7(20x1)
/*
因みに出目が10以下の場合に魔王様に秘話る原稿がこちら
*/
――記憶の全部を捧げたら
どうなる
[一部ではなく、全部。
それによって扉が開きうるのか、
そして、失われるものが『思い出』にあたるものなのか、
あるいは『知識』にかかる記憶までが掻き消えるのか。]
/*
結果的に捧げた代償があんまり変わってないんじゃないか
と言うのは内緒だ
*/
[ねだられる前に大人のキスを。
考えれば、彼が、彼女でいられる時間はもうないかもしれないわけで。]
後悔しない?
したとしても、責任とるけど。
[好きの境が、性別とか関係なくなって。
だって、攫われて、考える余裕もなく、救けにいくといったのだから。]
[そして、口づけを首筋にずらしたのは、
だいぶ長く、大人のキス。したあと。**]
― 魔王城・前庭 ―
[頭の中を、いくつかの思いが去来する。
一番強い思いは、彼と共に在りたいと願う心。
再び共に帰るのだという気持ち。
ならば。]
世界の律を超え境界を穿つ代償に、
わたしは、わたしの両の目を───
[手を握る強い力が言葉を遮る。
彼の瞳に宿る光の色に、次の言葉が継げなくなった**]
[そもそも、最初の術式展開──接点作成の試みで大きく消耗していた。
それに続けて、大量の血と魔力を扉を開くための代償として捧げたのだから、いつもよりも消耗は深い。
体温が下がっているのは、それらの現れ。
それでも、鼓動はその動きを止める事はなく]
…………ん。
[名を呼ぶ声、包み込む温もり。
一つひとつの要素が、意識を闇から引き上げる。
このまま沈んじゃダメ、沈んだら離れてしまう。
そんな想いが、闇を揺らして。
閉じていた瞼がゆるり、持ち上がったのは、どれだけ時間が過ぎてからか]
………………レト?
[数度瞬き、視界をはっきりさせる。
最初は自分の状態が掴めなかったけれど、彼の腕の中にいる、という事は、言葉にできない安心感が伝えてくれて]
…………私…………扉…………どう、なった、ん、だっけ…………?
[緩く首を傾いで問いかける。
解いた髪が、微かな仕種に合わせてさら、と揺れた。**]
ごめん…
[涙を舐めとられ、慌てて目を拭うが流れ落ちてくる涙は逆に多くなった。]
……
[喰うのをやめたら泣かないかという言葉には顔をあげて金の目を見つめ返した。]
― 魔王城・前庭 ―
[この世界に来て錆びついてしまった”鍵”は軋む音をたてて動きを止める。
寄り添う魂を留めんと欲する力のしたたかさ。
帰還のための代償が必要だ。
例えば。
瘴気を吸い込む左手を捧げたら、自分は普通の人間になれるのではないか。
穢れを見ることもなく、意識を蝕まれることもなく。
だが、能力を失えば、彼と組んで仕事をすることはできなくなるだろう。
自分の切なる願いは、彼とともに在ること──]
どうして…?
[自分を喰うためにここまで執着していたと思っていたのに、それをやめてまで泣き止んで欲しい理由とは何だろう。]
[狼が扉に手をかけた。
一度では傷をつけただけであかなかったらしい。
そしてすぐに扉はあいた。
狼が何を囁いたかは聞こえなかった。]
[自己犠牲を厭わぬ献身は、まさに聖職者の鑑。だが──]
わたしは、おまえがわたしの顔を見られなくなるのも、わたしがおまえの顔を見られなくなるのも厭だ。
我らは互いの半身。
互いに必要としあうふたつの身体だ。
今も、これからも──
おまえと同じでいたい、 シズ。
[失うことですら、互いがより強い絆で結ばれることを望んだ。]
[名前を呼びたかったと、そうこちらを見た狼に、一瞬泣き声は止まる。
次の言葉を発そうとする前に、狼の姿は扉の向こうに消えた。]
…待って。
セルウィン、待って
[慌てて扉をくぐる。
彼の姿はあっただろうか。]
/*
ここまでの1d20の結果
アデル組 18
シュテルン組 18
リヒャルト組 16
ベルティルデ組 11
我ら 6
イングリッド組 未
フレデリク組 未
素でクリア(16以上)の確率って25%なんだけど、現時点で60%とかw 出目いいな!
(逃げよう)
[扉を潜る瞬間から念じる。
潜った後はついでに走った。
この思考心情を現在現実のものにするために。]
[ただし、狼が気付いていないのは、背後の人間が
扉の出口を『狼のいる場所』に定めてしまったら、
逃げようもなく、相手が自分の目の前に現れる事だ。]
/*
泣くな→(逃げよう)
我ながらこの急転直下ひでえな
ちょっと予定以上にデレてしまったので
建築途中のラストシーンに行くためには
ここでツンしないといけませんからね……
*/
― 魔王城・前庭 ―
[彼の瞳から、彼の考えたすべてを読み取ることはできない。
ただ、純粋で真っ直ぐな願いが心に届いた。]
あなたという人は───
[どうしてこれほどにも自分の心を震わせるのだろう。]
同じ印を刻もうというのは、とても魅惑的なお誘いですね。
───ええ。あなたに望まれるのでしたら、
おなじで、いたいです。
[導かれた指で彼の瞼に触れる。
同じように、彼の手を自分の顔へと。
鏡に向き合うように、相似の姿で]
…ええ。互いにひとつずつ。
この世界で、わたしたちが共に苦難を乗り越えた証に。
[捧げましょう、と囁くように宣を為した**]
― 魔王城・前庭 ―
[求められた犠牲をも「魅惑的」と呼ぶ彼の無垢で前向きな強さが嬉しい。
彼こそが光の門だ。]
ああ、 共に。
愛しいひと。
/*
絆村は、親密度上げるだけじゃなく、これまでと村後のペアの人生が何かしら大きく変わった、というくらいのブレイクスルーがあるとワクワクだよねー、とか思ってたら、最後の試験で
想定外だったけど熱い。
― ??? ―
[扉を開けようと試みてから、どれぐらいの時間が経っただろう。
身体を起こした金貨の手に触れるのは、宿屋の床のような木材の質感ではなく。
隣に居たはずの愛し子を探せば、金貨から少し離れた場所で双頭犬の親に守られながら、眠る姿が目に入る。]
――っ!!
[慌てて駆け寄り触れてみて、呼気と鼓動を確認できたなら、安堵の息をつき改めてあたりを見回してみた。]
[一面真っ白な様子に、神々の世界の白の間を連想しはしたものの、今いる場所にはまだまだ奥行きがあるようで、また家具のようなものはなく。
真っ白い世界で一箇所だけ色彩を持つ“それ”は、眠るために使っていた宿屋の一室の風景で
なるほどここは扉の向こうか、きっとこの先が元の世界に続くのだろうと、金貨はそう認識した。]
……?
[ふいに、金貨の傍で鳴き声がし、そちらへと視線を落とせば仔犬が一匹。鞄をかりかり搔きながら、金貨の方を向いている。
鞄を見て、金貨を見ての仔犬の訴えが、食事の催促であることを察するのは難くなく。
あれだけ懐いていた愛し子を起こすのではなく、今目覚めている自分のもとへくるあたり現金なものだと、金貨は小さく噴き出して]
骨を取るので少し待っててくださいね。
[そう言って仔犬の頭を撫でたなら、鞄の中から包みを取り出した。
包みの中から表れたのは鳥っぽい何かの肉である。折れやすい骨が刺さらぬよう取り除き、仔犬に与えていたのなら、何やら視線を向けられた。]
[視線の方を向いたなら、愛し子を支える親犬がそこに。その目には無言の訴えが含まれていた。
餌くれプレッシャーを向けられれば、金貨は「動けないですもんね」と苦笑して、それから親犬の顔の傍に鹿っぽい何かを丸々一頭を引きずり出した。
さきの鳥もどきも、今の鹿もどきも、元々は親犬が獲ってきた獲物である。
金貨は尾びれと鱗を持つそれを鳥として認めたくはなかったし、二足歩行の水かき持ちを鹿として認めたくはない。故にもどきと呼んでいた。
金貨は、獲物をもらう代わりに荷物持ちになっていた。
こと生命体以外の物質の保管という面では空間魔法は最強だったということである。]
[鞄から桶と水筒を取り出して水の準備を終えたなら、親子の食事風景を尻目に、愛し子の傍でその目覚めるのを待つことにしたのだった**]
[扉に手をかけた際、女はただ狼の姿を追うことだけを考えていた。
放り出すように扉の外に出ると言葉の通り目前に疾走する狼の背があった。]
きゃ…
[狼が避けない限り、背後から突撃することになる姿勢。]
― 鈴月森 ―
[そんな訳でまさかの追突コースだ。]
……!?!?
[小さな悲鳴に振り返る。
野生動物の反射神経と動体視力が功を奏して
痛打を避け、人間の身体を脇に抱き留める事には
成功するのだが。]
[しかも、しばし混乱したまま、勢いは止められず
抱えて走る羽目にもなるのだが。
そのうち、狼の眼にも平素の色が戻る。]
― 魔王城付近 ―
大丈夫だ。思ったより、私の体は頑丈らしい。
[安心させるように笑みかける。
肩で支えてもらっている状態>>483で強がりをいったところで意味はない。
直後、心配をしていたことなど忘れるほど手荒に、前髪を引っ張られ眼前で怒りを露わにする彼女に苦笑すると]
そうだな。もう遠乗りにもいってやれん。……初めは手や脚などを代償にすることも考えたのだが、やめた。
扉を開けるには意志の力が必要だという。…義手義足。代用が聞くようなものを使っては届かないのではないかと思ってな。だから絶対に成功できると思えるものを賭けた。
[失敗するわけにはいかなかった。その考えの末は命を預ける相手であった]
もし必要となればお前は自分を犠牲にするつもりだっただろう?だから棄てるものと棄てられないものを選んだ。
[優劣をつけたのだ。ゼノとグリヴを比べ、一つを選び、一つを切り捨てる。それでも自分を乗せて走ったのだ。自嘲はしない]
私までお前に自己犠牲を強いてしまっては、私も他の奴と変わらない。…もう何も損なってもらいたくはないからな。
…扉はどうなった?
[役割を演じさせられ犠牲となっていた彼女に、同じことをしたくなかった。だから怒りを向けられようが謝罪はせず、そして確認をしていなかった扉の結果をみて、錠前が叩き壊されているのをみて、ほっと息を吐いた]
……そうか。なら改めて聞きたい。…なんでグリヴはここにいたのだ。
[笑みの中に在る懸念>>485を見つめる。
いつか帰る。そんな言葉にも疑問を抱きながら、痛みに慣れたことで、支えが不要になった体を離し、抜いたままであった剣を鞘に納めた**]
[森の深部へ。
木々を抜けて、開けた草原に人間を降ろした。
月夜は冴え、地に一面の淡く光る草花がそよぐ]
――ここは誰も来ない
[膝を割る勢いで正面に座り込み、顔を覗く。
言葉を塞ぐように指先を果実の唇に添えた。
スンと微かに纏う香を吸い込めば、]
……おまえ、うまそうだな
[金色の獣の瞳がきらと光った]
[濡れた口唇が首筋に触れる、
声は喉奥に押し込んでも過敏に高く悲鳴じみて、
口付けのせいで、とっくに思考はぼうと霞んでいたから、
力の抜けた膝に考えなしにすがり付いてしまった]
……リエちゃん、
[いつも傍にいてくれて優しくて大好きで、
――こんな所まで来てくれた大事な友達。
こんな風に触れたくて、こんな風に触れて欲しいのは、
きっといけないことだとわかっている、だけど]
後悔しても、いいよ。
なんにも残らないより、ずっとマシ。
[何の損得もなく世間体もなくただ大好きだった、
それがダメだと知った時の幼い頃の切なさだって、
もう忘れたくない、だから]
[人の肌の感触を味わうのは、不慣れどころか、初めてだ。
自分の身体はひどく柔らかくて、感じやすくて、
これが女の子の感覚なのかと不思議に思ったけれど、
蓄積していくような熱と陶酔にすぐにそんな余裕は無くなって、溶かされてしまうのだ*]
[喰わないんだったら、
覚えてない方がいいな
覚えてたら待てない]
[――逃げた理由はそれだったのだ]
/*
ちょっと状況は変わっていますが、
元の世界に帰って引き延ばす理由がなくなった最後の最後で
獲物さんを喰おうとして喰えない、と言うのが
割と最終目標だったりしました
ここまで来たら例え身を差し出されても喰わねえ(キリ)
*/
[狼は森の深くへと移動しているようだった。
鬱蒼と茂る木々の合間を抜け、どのくらい走るのだろうと思っていると木々の合間に光が生まれた。]
…… 本当にあったの
[月夜に淡い光を纏う花々は伝えられた話とそぐわず絨毯のように広がっていた。
夜風で花が揺れる音が心地よく耳をくすぐる。]
[狼の様子が先程までと異なる事に気付いたのは足を地につけてすぐのこと。]
… どうしたの?
[うまそうだなと獣の瞳が光る。
乾いた声で問いを発した。]
何が
[唇に触れていた手で喉元を撫で、胸元まで下ろして
とん、と後ろに押した]
腹が減った
[望外の贄を得た高揚に尾を揺らして見せる]
分からないのか?
[身体を押され体の半分は花の光に埋れた。]
だって、さっき喰うのをやめたらって、
…わからない。
[視界の端で揺れる尾を捉えた。]
[白いドレスに白い花、
身を覆い被せて見下ろしてみれば、
全身に淡い灯を纏ったような獲物の姿。]
さっき? ……変なやつだな
[意味が解らない、という顔をして]
おまえは泣かないのか
……まあ、いいか
その方がうるさくない
[そして、言葉は無駄だと慈悲もなく判断する。
首筋に顔を寄せて、僅かな余韻で牙を剥く。
甘い匂いだ。花の蜜みたいな]
[白く柔く、温かい膚に牙の尖端を宛がう。
そして噛み締めれば、熱い血と甘い肉の味に
ありつく事が出来る、
――筈だ。
なのに]
…………、――
…。
[視線はそのまま、腰に下がる剣へと移る。
扉に差し出そうとしていたのは、剣技。
自分を培い、英雄たらしめる軸になったそれなら足りるだろうと。
それでも足りなければ、英雄の名を、
なお足りなければ命を、差し出すつもりでもあったが。
結局、どれも支払われず、名も剣も命も、収まったままだ。]
私が差し出すのは…命以外は、価値はあるが不要な物で…
だから、よかったのに。
わたしはお前に強いてばかりだ。
その目の事も…。
[負い目でもあり、所有の証にも思えた右の目に、支えとは反対の手でそっと触れる。]
馬鹿。……だけど、ありがとう。
[伝わる想いは十二分と感じられて、嬉しいとは口に出来なかったものの、代わりに指を頬に滑らせて片方の手で包んだ。]
でも、ゼノに乗れなくなって、ゼノどうするんだ。
[戻って来た馬の方を見る。主人を乗せ奮闘した馬を撫でてやりたかったが、肩を貸したままではそれも出来ない。
馬は大丈夫とも悲しいとも問題ないとも取れるような声で鼻を震わせていた。]
あ、扉。
[ツヴィンガーの事に気を取られて、扉の事は失念していた。
視線をそちらに向けると、鍵は壊されその勢いでか、扉は少しだけ隙間を覗かせている。
代償は意志と共に打ち勝ったのだろうと、知れば安堵ともつかない溜息が落ちた。]
― 回想・失踪前夜 ―
わたしはこの為に、死ぬために生きてきたのか…!
[その数日前から、ほとんど軟禁状態だった事を訝しみはしたものの、元々国に忠誠を誓っていた、いうなれば素直だった最後のシュテルンは、大人しく部屋に囚われていた。
外では終戦に向けて人々が慌ただしく走り回り、そのどれもに明るい表情が見られて、それを眺めている事に喜びもしたが。それも、勅命が来るまでの間だけだった。]
[平和な世界に英雄は不要。
出自の知れない、しかも性別を偽った偽者の英雄の存在は、戦時でなければ邪魔にしかならず。
罪人として裁かれ、死をもって秘密を隠匿せよとの命令に、憤りに叫んだ。
罪状は、アムドゥスキアとの密通。
唇が震えたのは、後ろめたい事に覚えがあったからだが、
「その地位を守る為戦争を長引かせた」との一文に今度は怒りに震えた。]
わたし達が、3人が、何のために戦って死んだと思ってるんだ…。
[皆国のために命も、生涯も捧げたのに、この仕打ちはあんまりだと、強く拳を握り壁に打ち付けるが、罪が覆るはずもなく。]
[扉の外には見張りが2人。窓には格子がはめ込まれ容易に逃げ出す事も出来ずに、時間ばかりが過ぎていった真夜中の刻限、夜の窓辺に鳥が居た。
夜中に飛ぶ鳥が珍しく、窓を開けると、鳥はするりと中に入り人の形を取った。]
「始めまして、国に裏切られた哀れな英雄殿」
[丁寧に礼する鳥はこちらの事情を知っているらしい。
驚いていると、鳥は賭けを持ち出した。
こことは違う世界に赴き、無事に戻ってこれるかどうかという賭けを。]
「帰れなければ私の勝ち。
貴方には一生こちらの国で過ごしていただきます。
戻ってこれたら、貴方の勝ち。」
……僕をここから連れ出してくれる、ということか?
僕はここから逃げたいんだから、お前に有利な賭けになるな。
「ええ、だからお互いに実になる話かと。」
[貴方を留めておくことが、我が君の趣向の一つとなりますのでと言われて、成程だから自分を選んだのかと思う。
相手の利と目的が見えれば、得体の無さも薄れる。
そしてこの賭け以外、今の自分が寄る術はない。]
いいだろう、賭けに乗ろう。連れていけ。
もうここには未練は―――
[ない、と言い切ろうとして、胸に刺さるのは恋人の姿。]
…………。
[緩く首を振ると、笑い声が聞こえた。
何が愉快なのかと睨むも、なんとも誂えたような舞台だろうと、鳥羽の男はただ笑うのみ。
不幸を喜ぶ姿に苛立ちを覚えるも、今は何を置いてもあの時誓った約束を守るために、男の差し出す手を取った。
そうして、賭けという名の契約は成立し―――]
[思い返せば、名前を呼びたかったと言いながらもそれをしようとせずに扉の先に一人で行ってしまったその背中は決別の意を示していたのかもしれず。
扉を抜けた先、何処かへ向かって走っていた狼の姿は何かから逃げているようでもあり。
一度傷付いただけで開かなかった扉、それが開いたということは狼が何かの代償を払ったことを意味していて、]
……… そう。
[項垂れるようにして頷いた。]
― 魔王城付近 ―
……で、気が付いたら闘技場付近の上空に放り出されて、そのまま落ちて気を失った。
頭を打ったのはその時だとおもう。
記憶を無くしたのも、多分。
わたしがここに来たのはそういう理由だ。
…それで、賭けはともかくとして、
わたしは帰ると処刑されてしまう。
だから…
[躊躇うように、鍵のなくなった扉を見上げた*]
[首筋に狼の顔が寄る。
狼の吐息を間近に感じた。]
……
[女は微動だにしない。
何か尖ったものが肌にあてがわれたようや感触に目を閉じた。]
いいのよ。
[動きを止めたままの狼にそっと囁いた。]
ごめんね。
[きっと自分は、彼の思いを無駄にしてしまったのではないかと、そう思ったから。
瞳が濡れて、視界がぼやける。
風に揺れる花々、光の海のようだ。]
……はい。永久に、貴方のお傍に。
何度泣かせても、何度だって、貴方が慰めてくれるのでしょう?
[揺すぶられるリズムに合わせ、壁に預けた背が仰け反り、下腹を波打たせ。より深くを許し、奥みに誘い込む。
猛る一方の質量に、僅かな怯えと、牡に圧倒される恍惚を浮かべ。
抉れた切っ先が胎を引っ掻く度、あえかな悲鳴が静寂を細く裂く]
[獲物が暴れて抵抗している訳じゃない。
寧ろその逆だ。静かで、それが異様で、
声は柔くて]
な
[びく、と震えた]
――んで
[思わず身を退きかけて、そうじゃないだろう、と慌てる。
寧ろその逆だ。早く]
[早く、と自己に命じて、
それが駄目だからゆっくりと慎重になって、
それでも駄目で、目を閉じて]
……ッ、――――
なんでっ
……喰いたい、甘い、
食えない
知らない
[ずるりと喉元を離れ、胸の上に額を押し付けて伏す]
おかしい
……おかしくなった……
― 地下迷宮の中心部 ―
[過ごした一時の余韻を愉しみ、するすると頬を撫ぜて慈しむ指先。
桜色の髪を微かに散らして弄び、指に馴染ませる彼女の色合い。
彼女の井出達は、乱れた異装より転じさせ、
今は己の裾長い上着を貸して、白皙を隠匿。
袖やら裾やらが余るのは20cmを経る身長差ゆえ。
その為、彼女が何処かあどけなく見えたとしても、
不可抗力と都合の良い言葉を添えてはぐらかす。]
―――イングリッド、
[そうして、柔い言葉で呼びかければ、彼女の眼差しを誘い。]
それでは、共に、帰りましょうか。
[彼女の手を引き、腰を支え、視線を向ける先には堅牢なる扉。
シャツの軽装が僅かに口角を引き上げ、繋いだ手に圧を掛けた。*]
[慣習に照らせば、属種を超えた――まして、背反の属種間の縁組は無きに等しく。
僅かな沈黙を伴い、初めて明かされた実情を咀嚼する]
――…そんなに前、から…?
[陽光の雫として生まれ落ちた時から、大いなる恩寵の種を内に具えた娘。次代の長候補とすべく、属長の娘として迎えられ、育まれた日々。
されど気質故か――或いは、心底に芽吹いた闇への思慕故か、
加護と祝福の才に比して、邪祓の力は期待を受けた程には伸びず。
父と同格の長に妻合わせると告げられた時は、それ故手放されるのかとばかり思っていた]
どう、しましょう。…また泣いてしまいそう。
[出逢った時は、低位の精霊に過ぎなかった彼。
先に長じた同属を押し退けるようにして、頂点まで上り詰めた彼。
赤く染まった目許が、またふわりと滲む]
[術式との連続だったことは失念していた。
今もそれどころではないため、そうとは気付かず。
ただ、目覚めるよう声をかけ冷えた身体を温め続ける]
アデル……… アドル フィーネ 。
起きろ。戻って来い。
[解放の際に聞いたアデルの真名も口にした。
なかなか目覚めぬ腕の中の存在。
背だけでなく身体全体が温もりに触れるよう、アデルを膝に乗せて横に寄りかからせたりもする。
不安を募らせながら何度かそれを繰り返した頃]
……アデルっ!
[零れる声と、間を置いて呼ばれる名。
瞬く瞳と声に酷く安堵を覚えた]
良かった……本当に…。
[膝に横座りさせている状態でアデルを正面から抱き締める。
大きな安堵の息と共に零れた声は小刻みに震えていた]
…扉は、開いた。
開けた後、倒れたんだぜ、お前。
[抱き締めていた状態から少し身体を離し、緩く首を傾ぐアデルに笑みかける。
笑んではいたが、眉はどうしても下がってしまった。
強く不安を抱いたことを思い出してしまう]
………無茶しやがって。
…いや、無茶させちまったな。
不甲斐ねーや。
[すまなそうに言って、髪の解かれたアデルの後頭部へ手を添えて。
髪を梳くように何度かアデルの髪を撫でた*]
― ??? ―
――、
[あたたかな眠りの中から、ゆっくりと意識が浮かび上がる。ゆっくりと目を開ければ、視界に入るのは黒い毛皮。どうやらこれに凭れて眠っていたらしい]
――…。
[ここはどこだろう。考えてみるけれど、眠りにつく前の記憶は遠くぼやけて、上手く思い出せない。
わん!と元気な鳴き声が聞こえて視界を動かすと、小さなふたつ頭の仔犬。犬とは頭がふたつある生き物だったっけ…と薄い記憶を辿ってみるけれど、よく思い出せない。なんとなく、そういう生き物であったような気がして片方の頭を撫でてやる。
と、視線を感じて顔をそちらに向ければ、眼鏡をかけた青年と目があった。しらない顔。だけれど、どこか惹かれる存在]
………。だ、れ?
[呟きを声にしたつもりはなかった、けれど]
……ほんとうは、ね。
うんと酷くされたっていいの。
いつも泣いてしまうけど…貴方に愛されるのは、どんな風でも好き。
貴方の影に、身体中触れられるのも。
もっと、奥まで来て。…もっと。
こうしてると、私がどれだけ貴方が欲しいか――…解るでしょう?
[彼以外誰も触れず、自身さえも知らない、脆く柔らかな深部まで。
彼の請うた通り、既に彼に堕ち続けているのだと知らせたくて、
震える柔肉で蜜を塗しては、彼を食む。
異界の中心に在ろうと、心身を融け合わす幸福に飽かず、
腕の檻に迷い込んだきり居着いた雛が、番に聞かせる囀りも止まず。
幾度も注ぎ込まれた情は、胎を熱で掻き乱すことなく、身体の隅々へと滲み渡った*]
[獲物を前にした狼の姿は、苦しんでいるように見えた。]
ごめんなさい。
[ゆっくりと上げられた手は途中しばらく動きを止め、迷いがあるようなぎこちない手つきでおかしくなったと胸元に額を押し付ける狼の頭を撫でた。]
[まだ少しぼんやりとした意識を揺らしたのは、名を呼ぶ声と、抱き締める腕の力。
安堵の息と共に零れた震え帯びる声に、ふと浮かんだのは心配させた、と言う事]
……そう、か……。
力、使いすぎた、から……。
[その事と、倒れた、という言葉に自分の状況をどうにか理解して]
……そんな、風に、言わないで。
[すまなそうな言葉に、浮かべるのは困ったような笑み。
髪を撫でてくれる感触は心地よいけれど、眉の下がった表情を見てしまうと、それに浸り込めなくて]
私、ひとりじゃ、何もできなかったよ?
……ここに引き込まれてから、ひとりでできた事って、何にも、ないの。
ひとりだったら、私、多分、挑めなかった。
……自分の役目から逃げ出してた。
でも、あなたが迎えに来てくれて、それから、手を引いてくれたから。
やれる事をやろう、って、思えたの。
だから……不甲斐ない、とか。
言わないで。
[そ、と紡ぐのは、想い込めた願いの言の葉。*]
― 地下迷宮の中心部 ―
[夫に借りた上着に身を包み、頬をあやし、髪を梳く指先に、目を細めて懐く>>524
浮世の世事に疎い光精は、その格好が時として孕む意味よりも、
膝上に掛かる裾丈を頻りに気にして、袖に見え隠れする指で引き下ろす仕草を繰り返す。
馴染み始めた柔らかな声が、手を携え共に行く伴侶として、
自分を呼び寄せる]
―――はい、貴方。
一緒に、明かず森に。貴方の森へ、帰りましょう。
[呼び掛けに応じ、威圧するごとくの重厚な扉が顕現する。
それでも満面に湛える笑みは曇ることなく。
触れ合う指を絡め、ぎゅ、と一度握り込む]
[頭を撫でる手つきに反応して、一度震えた耳がまたへたった]
……なんで
[逃げないどころか、触れて来る。
ぎこちない指先が耳に触ってくすぐったい。
少し逃げるように身を起こすと、獲物と目が合った。
白い海に漂う]
なんだ
……やっぱり、泣いてるのか
[両の手で狼の顔を上向かせる。
金の瞳を覗き込んだ。]
… もう、私の名前を呼びたいとは、
思ってくれないの、かな……
[瞳から涙が溢れ、狼の頬に落ちてはじけた。]
/*
細部まで行き届く旦那様の寵愛を感じます>>524
後は試練に励むって宣言してたくせに、びっくりした…もぉ。
[硬く重い扉の向こうは、夜明けを知らぬ森へと繋がっているのだろう。
愛の巣たる黎明館が夜に飲まれることなく、夫妻の帰りを待ち侘びてる。
しかし、扉を塞ぐ閂から覚えるのは、濃厚な魔力の群。
視線を配れば、成程、と、納得するだけの意志の力。
その反発力は、闇精の長をも容易く弾きかねない。
―――けれど、今はそれに屈さぬだけの理由をもつ。
傍らに侍らせ、心さえ伴わせる愛妻が居る。>>526
確かに握り返された圧に、僥倖のまま瞳を細め。]
――…イングリッド、力を貸して頂けますか。
貴女の助力はどんな加護にも勝る。
なにせ―――、貴女は私の世界を照らした
[最後の一言は、笑みを噛むように告げた。
今ならば相反する力を乗せても、摩擦を生むことは無い。
互いの牆壁を越え、真実寄り添う陰陽に恐れるものは何もない。]
泣いちゃうよ…
泣くなって、あなた言ったけど、あなたのする事は全部逆効果なんだから、
[こぼれ落ちる涙を拭おうともせずに、ひどいわ、と苦く笑った。]
[彼女と掌を重ね、静かに錠前に乗せた。
冷たい金属の感触が、扉の重圧を自覚させる。
それでも、彼女を信じ――女神よりも輝く愛妻と添う。
各地へ撒いた
円陣を描き、自らの精霊力を増幅させる。
足元から立ち上る白い光と、黒い闇の円舞曲。
自身にとって、一等大切なものはこの健気な妻で在るが、
次に重用するのは、この闇影の力。
永く身内で編まれた精神力を、一時枯渇させて備える一撃。
身体中から掻き集める渾身の精霊術。
空間を力付くで歪めるようにと、指先に迸る勁い意志。]
[互いを包んで力が流れを造り、緩やかに着衣と髪を遊ばせる。
続く冥い声は、訪れに
されども、ずっと強力な意味と証を込めて、呪文を紡いだ。]
『歪曲に閉ざす門よ。
我等が闇光に従い、其が戒めを解き放て。』
[彼女の力を借りて、意志が力となる。
突破の、永久の言葉さえ、肯定させるかの如く。16(20x1)]
― 記憶の書庫 ―
[フレデリクを抱きしめて、そのまま、しばし目を閉じていたけれど、
現れた扉。目を細める。]
さて、帰らなきゃな。
いや、ここにおいていくわけにはいかないよ。
[魔族の花嫁など、させるつもりは毛頭なくて]
[ほら、と一瞬、彼女に配る瞳。
やはり、貴女が私を導く。と、雄弁に語り―――]
[朗々と響き渡らせる声。
彼女を感じる心が意志を更に強固に変える。
重厚な鍵が一度跳ねて歪み、次の瞬間粉々に砕け散った。*]
[頬に雫が落ちた。雪解けのような透明さで注ぐ]
名前 ……知らない
[零れる涙が止まらない所為で、
自分の頬は指で拭う先から濡れる]
泣くなって、分からない
なんで
[これは元を止めないと駄目なのだな、と思って
白い頬に指を伸ばす。
雪のように、冷たくはなかった]
[ただ、見上げた重厚な扉は、
どうやら、杖で叩いたぐらいでは、開きそうもない。
かけられた鍵を探す手も今は見つからない。
ただ、伝わってくるのは、
犠牲という代償を払えば、それは開かれるであろう、根拠はないが、絶対的な約束。
おそらく、魔界の入ってきたものとしての条件として、備わっているものなのかもしれない。]
/*
運をeyesさんが引き上げて、私が引き下げて、
何だかんだでギリギリ突破!
嫁の格が違うのですっ(ドヤッ)
捧げるものが必要ならば、
僕のこの杖を。
それでも足りないのであれば、この脚を。
[母からの大切な贈り物と、
魔界に入れる脚。
そうつぶやきながら、
月光石の杖を扉に振るうつもりだ。]
[携えた掌に淡光が滲み、微かな温みを彼に伝える。
陽光の白金ではなく、蒼味がかった白銀の光]
丁度、同じことを考えていたの。
これは、貴方に貰った力だから――…
私でも、きっと貴方を護れる。
[…護らせて、と囁き、そっと微笑む>>528
母なる太陽に授かった加護ではなく、彼の半身として捧げる意志。
一歩踏み出し、重ねた掌を錠前に翳す。
魔界中に標した呪印が呼応し、瘴気を震わす風音]
―――ねぇ、もう一つ。
同じことを、ずっと想っていたの。
[悪戯めかした微笑がふわりと広がると同時、
漆黒の円陣から湧き上がる幾条もの白光>>529]
置いてかれるなんて思ってないよ。
早く、帰らないとね。
またアイツが来たりしたら困るし。
[契約が一応契約という名前で父が了承している以上、
問答無用で相手をぶっとばす、というのもなんだか悪いような気がして、結局は逃げの一手である。]
……リエちゃん、
[>>535 今だけは傍らにくっついたまま、
扉を前に捧げるものをつぶやくリエヴルを見やる。
自分は大切なものを――傍らの友人以外何も持っていないのだ]
その杖は……、
リエちゃんのママの思い出の品だよね。
脚だって、……捧げたりしたらどうなるか。
[どこか怖気づいたように彼に触れる手の力を強めた、
止めたいけれど、まるでいい案が浮かばない]
……俺も何か無いかな、
リエちゃんのこと以外で大事なもの……、
あとはもう身体の一部くらいしかない気がする。
[それかあるいは、忘れたくない記憶。
それもやっぱり彼に関わることだから、
本当に忘れたら悲しませるだろうか。
――彼自身が忘れろ、と言ったことだとしても]
[紡いだ言葉に返った困ったような笑み。
不甲斐ないと言った言葉に否定が滑り込む]
そう、か?
[それが当たり前と思って行動してきた。
だから、特別なことをしていたとは思っていなくて。
何も出来ていないと、そう思い込んでいた。
だがアデルにとってはそうではなく、手を取ることが出来ていて]
……そっか。
そう、なんだな。
[少しだけこそばゆさもあったが、アデルの言葉が嬉しくて。
表情もそれに沿ったものへと変化する]
二人だから、出来たんだな。
[互いを支えていることを実感して、不甲斐ないと言う想いが解けていった*]
どうした?
[少し、フレデリクの声が不安げに感じるのは、
おそらく自分も不安をもっているからだろう。]
と、考え込んでも仕方ないか。
この扉、お前でも、さすがに壊すのはむりだろうし。
― 魔王城付近 ―
何の意味もないときに無茶などしないが、今回に限っては無理も無茶もしなければならない時だ。
[自分を案じて>>511のことだとはわかるが、わかっていて、きつい言葉を向けられ睨みつけられても、自分の決断が間違っていたなど微塵も思っていない]
私が意志を通すとき。それはいつも強引であることはグリヴは身をもって知っていると思うが?
[今に始まったことことではない、気にする必要などないのに、そこだけは申し訳なく思いながら、彼女にとっての負い目へと這う指を受け入れる。
剣を担うための剣蛸混じりの硬い指だ。だが、心地よい]
とりあえずグリヴが乗ればいい。あれはいい馬だぞ。
[軍馬について>>513は彼女へと薦める。記憶を失っていたころでも確りと乗りこなしていた。というのもあるが、自分が乗れなくなっただけで別れるのが寂しい思いもあった。
とはいえ、これであの王の言葉が正しければ帰れるのだ。扉は開き、ある意味で理想的な形で、だからこそ彼女の心にある棘が気になった。
だいたいは想像はつくが、彼女の口からそのことを聞こうと、視線を逸らされても>>515黙って聞いていた]
[ここの住人と賭けをしたという。それを条件に、不要の道具となったシュテルンがリリーパで処刑直前に、こちらに飛ばされた。その際記憶を失い、今に至る
なんともお伽噺のような話だ。だがそれだと辻褄があう。]
そうか。お前は勘違いしている。
[ならば誤った認識を正す]
私はな。グリヴ…ここ半年ばかり無気力だったよ。
[彼女から見た半年というのは、おそらく逢瀬を重ねた時期だろう。その時は無気力などとは程遠いが、私から見た半年は違う。]
ここに来た時、驚いた。
初めて見る場所が珍しいからじゃない。お前がいたからだ。
なぜ、お前がいて驚いたと思う?こんな場所で立っているのがおかしい。などと生易しい理由ではない。
それはな。半年前に、シュテルン・ダルスバーレイは処刑されたからだ。
[認識をしあっているズレを言葉にする。死んだと思った彼女が生きていて、無茶も無理もしないなどありえない。だからこそ案じられよう責められようとも、退きはしなかった]
[筆舌し難い仕打ちをうけた彼女を想えば胸が苦しく。
その喪失は、軍人を昔のただ淡々と事を成していただけの無気力な男へと変えていた]
その現場を見たわけではない。私に届いたのは報告だけだ。
おそらく…処刑対象が忽然と消えたことで、自分たちが描いたシナリオを実行できなくなることに困り。処刑したことにしたのだろう。
[あるいはまったく関係ないものをお前に仕立てあげたのか。そこまではわかることはない。そんなものは重要ではない]
ベルティルデ…… 名前、私の
[ひく、と小さく息がこぼれた。]
なんでって言われても、そんなの知らないし…
泣かれると面倒だから…?
あなた何考えてるか全然わからなかったもの
[手を伸べて彼女の頬へと触れる]
お前はもう導き手として、終戦とのための道具として帰るわけじゃない。そもそも場所が違う、順序が違う。
グリヴは私の元に帰り、私がお前を連れていく。今は私が導き手であり、グリヴが導かれる側だ。
[扉へと、帰る場所へと向ける躊躇いの視線>>523をこちらへと向けさせ、浅葱色の瞳をじっと見つめ]
……たぶんね、
何かを捧げるのってやっぱり自分にとって、
凄く大事なものじゃないと意味がないと思うんだ。
俺もリエちゃんみたいに、
何か代償をって思うんだけど、
リエちゃんのこと以外に大事なものとか、なくて。
だから何を捧げればいいのか、困ってて……、
[>>544 困惑を示すように首を傾げたけれど、
リエヴルの強い言葉には、こくんと一度頷いた]
だから、
……だから、
魔王じゃなくて、
代償を払ってくれるリエちゃんに、
俺を全部捧げることにする。
[指で拭っても涸れないようなら身動ぎをして、
顔を寄せると頬に流れる水の筋をぺろりと舌でなぞる。
甘いかと思ったそれはやっぱり塩の味で、
でも甘いままのような気もした]
呼んだら、止むか
[耳元に囁いて、目尻に唇を添わす。
溢れかけた一滴を、ちゅ、と吸い取って、
雪解けのような色だから、
泣き続けたら消えるのではないかと思った]
……ごめんね。
それでも、いいかな?
[それからリエヴルの指先を掴まえてからめとる。
囁いた言葉は、これからを示すものであると伝えるように]
……うん、そう。
[告げた言葉が齎した表情の変化に、ほっと息を吐く]
二人だから、扉を開く事ができたの。
だから。
……一緒に、帰ろう。
私たちの、居るべき世界へ。
[帰れば帰ったで、色々と問題が生じるのはわかっている。
少なくとも、『斎の民』は大騒ぎになるのは想像に難くない。
それでも、一緒なら、道を拓けると思うから。
そう、紡ぐ声に迷いはない。*]
ベルティりゅ
[人里を離れた孤狼の身分、知っての通り語彙は乏しく
発音も覚えたての幼児に似て辿々しい]
……―――― ッもう
ベルでいい
[勝手に決めた。]
[傍らに立つ伴侶の全身から、膨大な闇が溢れ出し、異界の門の隙間へと吸い込まれていくのをまざまざと感知する>>529
彼が力強く紡ぐ呪文に、そっと重ね合わせる囁き>>530]
―――異界の門よ、我が力、我が意志を捧ぐ。
この身に宿す、母たる陽光に賜った恩寵を。
光の傍らに出づる翳を隈なく照らし、邪を祓い清める赦しを。
[闇夜に侍り、何時しか黎明に染まった髪。
誓約を遂げる刹那、生来の陽射しを縒った金糸へと
淡く照らし出され、渦巻く風に散る]
[耳元での囁きに、うんうんと頷く。
この短時間の間に何度顔を舐められただろうと目じりに口付けられながらふと思った。]
あぁ、帰ろうぜ。
[向けられる言葉に頷いて、もう一度、緩くアデルの髪を撫でる]
立てるか?
まだ辛ぇなら、運ぶけど。
[運ぶとなれば、
おまえは、やっぱり可愛いな。
[その頭、髪を指で梳いてから]
なら、僕のものになればいい。
お前が男でも、女でも、
そんなこと気にはしないよ。
[その首筋に残る赤い痕。
フレデリクは捧げるというけれど、
きっと捧げたのは、溺れていくのはこっちだ。]
……
[どうやら、女の名前は狼が発音するには難しいらしい。
ベルでいい、その言葉に嬉しそうに笑った。]
セルウィン…ありがとう。
/*
元々は金髪で、旦那様に侵蝕されるうちに色が変わったのは、実は大分初期からあった設定なのだけど…
旦那様が知ってたら、絶対髪を愛でたがる(惚気)と思うので、早目に出しておきたかったものの。
ずるずるタイミングを逃したので、いっそ最後の最後に回してみた。
[杖をその扉、
月光石を押し当てる。]
僕らは帰るんだ。
どうか開けておくれ。
[その願いに月光石は光輝く。
扉は、どれほど、動くだろうか。]
ほんとに
おまえ、泣くと面倒だ
[ふすくれて言い放つと、しゃくり上げる相手を見遣った。
潤んだ双眸と、赤くなった目元と頬、震える声、唇。
そうかと思えば、何か妙に温かい目でこっちを見ている]
……やっぱり
[ちょっと目が据わった]
泣いていい
[改めて光花の絨毯にベルティルデを押し倒す]
けど
あとで泣きやめ
[髪を撫でる感触が心地よくて、僅かに目を細める。
幼い頃、師に撫でられていた時とは違う、と感じるのは、抱く感情の差異故か]
……え、と。
[立てるか、という問いに、身体に力を入れてはみるものの。
血の消耗は、そう簡単に解決するものではなく。
立って歩くのは、少しだけ、辛いように思えた]
……ちょっと、辛いかも知れないけど。
私、軽く、ないよ?
[それでも、色々と遠慮は先に立ち。
運ぶという言葉に、とっさに口をついたのは、こんな言葉。*]
[白い花の中から紫色を掬う。
肩ほどの長さの髪はするりと指から流れていく]
ありがとうは知ってる
……泣かせて、名前を呼んで、ありがとうを言う
理由が分からない
気にしない、か。
……でもやっぱり、
元に戻らないほうがいいよねえ。
だって、女の子ならリエちゃんと結婚できるし!
[撫でられて満面の笑みである、
まだ魔界だということを一瞬忘れそうになる]
[常夜に魅入られ迷い込んだ幼精を導き、
遂には傍らまで辿り着かせた男。
自分にとっては、彼こそが―――
降り積もらせた思慕と信頼を、一瞥に篭め]
[ほんの一瞬、悪戯が露見した幼子の笑みが眼差しに入り混じり*]
[かさ、と耳元で起こる軽い音と後頭部に感じる柔らかな草花の感触。
身体はふわりと浮くようで。]
泣き虫でごめん…
ちゃんと泣き止むから。
[我慢していたらしい、またすぐに目は潤み始めるだろう。]
[魔力と同じ性質を持つ闇の力だけでは、
鍵を壊すことなど叶わなかっただろう。
されど、相乗された閃光が闇を変え、己を変えた。>>536
力の在り方さえ、彼女の純白と混濁し、新たなる色彩へ。
双璧成す精霊力が鍵穴に潜り込み、迷わぬ意志が帰還を選択。
独りで開くのは無く、無理に攫うのではない。
ただ、共に歩み出す一歩は誰も止められないだけ。
彼女が言葉にする以上に、己は護られているのだと知る。
融合する力が、心の接近を促し、そしてまた、強く結びついた。]
[相手は苦もなく己の名を呼ぶ、それがどうも悔しい。
そして足りない頭を捻って出された仕返しがこれだ]
ベル
[肩を押さえてかぷりと喉元に噛みついた]
……ん
[傷を付けるものではないと思えば加減がついたし
ちゃんと触る事が出来た。
いける、と踏んだ目をした]
[傍らで計上される力は、温度を感じないのに何処か暖かい。
彼女が捧げるのは陽の加護、深淵に対抗しうる浄化の力。
愛妻の中から回収される力は、視界を埋め尽くすほど真っ白で、
眩いと、瞳を眇めたが、眼は逸らせなかった。>>550
柔らかな陽射し色に染まった彼女に、
掛け値なく見惚れてしまったが為。
光の中の彼女を見つめ、音もなく唇を撓めれば、
夥しい白銀色に包まれながら、彼女を引き寄せ、頬に口付ける。]
[>>552 しんとした静けさをもって、
はかなくもやわらかに月の結晶が輝く。
それは夜を照らす月灯りの色。
彼から離れざるを得なかった母の想い]
……綺麗だね、
ちゃんと覚えておこう。
リエちゃんのママの愛だものね。
[絡めた指先に少し力をこめて、
異界をつなぐ扉をじっと見つめていた]
名前、聞いたら教えてくれたから。
[本当に記憶が無いのだなと思えば、僅かに眉が下がる。]
…… 嬉しくて泣いてるから。
涙が出るのは、寂しい時とか悲しい時とか…ばかりじゃないから。
/*
俺思うねん
こんなに情緒豊かな美少女だったら
皆から愛情注がれてもおかしくないやろ!!?!?
節穴か! 神殿の連中は節穴か!!
*/
なぁに?
[名前を呼ばれれば首を傾げながら彼を見上げるが、肩にかかる手と喉元へと寄せられた顔に身体は軽く緊張し固くなる。
じわりとした鈍い痛み。
けれど、しっかりと彼女に刻まれるもの。]
[彼に告げずに、自身の一部を捧げたこと。
この身の全ては、彼のものだと自覚はある。
咎められるかと隣を窺えば、熱っぽい眼差しと真っ向からぶつかり>>554]
――…ルー、……
[柔らかな唇を贈られ、彼を見つめる刹那。
堅く鎖した鍵が砕け散り、門が開く音を確かに聞いた>>533]
[問いかけを受けて確かめる様子を見て、やっぱりまだ本調子では無いと知る]
お前抱えたくらいで動けなくなるほど柔じゃねーっつの。
[そもそも意識を失った時に既に運んでいるのだから何ら問題は無い。
向けられる言葉に体重について言うのは避け、笑ってそんな風に言った]
んじゃ行くか。
[それだけ紡いで、膝に乗せていたアデルをそのまま横抱きにする。
危なげなく立ち上がると、その状態で洞窟の外へと出た]
― 浮遊する群島 ―
[アデルを腕に抱え洞窟を出て、錠前の外れた扉の前に立つ]
どこ繋がってんだろな…。
ま、とにかく行けば分かるだろ。
………悪ぃアデル、開けてくれっか?
[両手が塞がっているために扉を開けるには少し不便。
扉を押すくらいならまだ本調子ではないアデルでも大丈夫だろうと考え、そう願いを口にした*]
そうか……
[ベルティルデの言葉によると、どうやら自分は名を聞かれ
そして答えた事になっているらしい。]
……知ら、ない? か、覚えてない
[それに、嬉しくて泣くと言うが、いっとき眉の下がる表情は
狼の知識にもある、別の感情を思わせた]
でも今、『寂しい』の顔した
……大丈夫かな、
ちゃんと開いてくれるかな。
[重く硬く閉ざされた扉が、
押し当てられた柔らかな月灯りに照らされる。
ただ見つめているだけ、だけれど。
捧げるものと、捧げる先は、
もう決めていた、きっとどうにかなる、と。
もう一度絡めた指先に力をこめて――17(20x1)]
[ぽふりと片手で頬を撫でて]
ベル
[短く告げる音は、思いの外、狼の胸中に馴染む]
……怪我してる
[小さな擦り傷切り傷については勿論、数える暇がない程。
だが、それらのほとんどは既に血が止まっており、
肉食の性質をさほど惹きつけない]
[嗅ぎつけ、目を付けたのは布地に縛られた腿の血の香。
乱暴ではないが、躊躇なく結び目に指を掛けた]
――あ、開いたよ!リエちゃん!
[相変わらずの勢いで飛びついて、
それからリエヴルを扉にひっぱろうとする。
もうすぐ帰れる、と思えばそれは浮き足だったけれど]
――……、
[少し心配なこと、ちらと彼の脚を見やる]
― 魔王城付近 ―
知ってはいるが…むぅ、だからわたしが…。
[>>540と言い返すと先ほどの話に戻り堂々巡りだろう。
納得いかないように不満げな顔をするが、強引さにかけては覚えがあるので追加の文句は出なかった。代わりに頬を撫でる。
>>541馬を薦められると、瞬きゼノを見上げた。]
え…いや、いいのか?
それは嬉しいけど…。
[逢瀬の度にゼノと顔を合わせる機会は多く、その聡明さと優しさに主のツヴィンガーを羨ましく思った事もある。
いいのと馬を見れば、馬の方が鼻をこちらに寄せて来た。許すと言っているようで、自然と笑みがのぼる。
それも自身の事を顧みるまでだったが。]
開いたな
[フレデリクには、やっぱり、
思うよりすごい力があると思った。
そう、素直に開いた扉に思わず、素直にほころんだのだ。]
シュテルンが処刑……わたしがここにいるのに?
ああ、でも、そうか、
わたしが居なくなっても、処刑自体行えば、
その後でわたしが出て来たとしても、意味が無いのか…。
[ひょっとしてその代わりに誰かが犠牲になったのかもしれないと思うと眉が下がったが。
そして、自分が死んだと聞かされた後の男の胸中を思うと胸が痛み、堪らず手を取り指を絡め、強く握った。]
……よくわからないけど、わたしはもう死んだことになったんだな…。
[互いの時間のズレは、よく解らない事で片づけ。
懸念が拍子抜けした事に、はぁと息を吐いて視線を下げる。
あまりに急な為、ほっとした、というほどスッキリはしていないが、当面、死ぬ事は無くなったのだ。
そう頭では理解しつつも、感情はなかなか追いつかず。]
―――…ね、ルート?
私、貴方に嫁ぐと知った時から、ずっと心に決めていたの。
遍く生を育み、慈しみを降り注ぐ陽光よりも。
独り沈む闇夜の底に、寄り添える月であれたら――…
そ、それは、わかってる、けど。
[柔じゃない、という言葉には早口でこう返す。
重い軽いはとっさに口にしたものの、追及されると複雑でもあるため、避けられたのは良かったのだが]
……うん。
[結局はそのまま横抱きに抱え上げられ、外へと向かい]
(……この地に呼び込まれたのが、偶然なのか、誰かの意図によるものなのかは、わからない、けれど)
[伸ばした手が、扉に触れる]
(……ここに来て得られたものは……絶対、手放さない)
(……もう、逃げませんから、御師様)
[そんな呟きを心の中に、落としてから]
連れて行って。わたしの帰る場所へ。
[離す事のないように、重ねたままの手に指を絡め、
二度と離れる事のないよう、力強く握りしめた*]
/*
全ペア1d20の結果
アデル組 18
シュテルン組 18
フレデリク組 17
リヒャルト組 16
イングリッド組 16
ベルティルデ組 11
我ら 6
お疲れさーん♪ 驚愕の出目でしたね!
/*
リヒャルトメモ>それは肯定するが
そうじゃなくて1d20の期待値は飾りなのかって事だよ
出目が高えんだよ皆よwwwwwwww
*/
フィー、手を貸してくれ。
[その右脚は、魔界の地から離れようとはしない。
きっと、それは、執着だ。
けれど…]
大丈夫、行ける。
……いえ、本当は。
もっと前から、きっと。
きっとこれを――…、恋と呼ぶのでしょう?
…そうね。
寂しい顔、覚えてくれてた?
[全てを忘れてしまったわけでは無いらしい。
冷静に考えれば、そこまで長い時間を共にしたわけでも無いのだが。
怪我をしていると、セルウィンの手が裂かれた布の結び目にかかる。
小さく頷いたままされるがままに。]
[きっと、魔界から超えた時、
その脚は、もう二度と動かなくなるだろう。
魔界に踏み入れなければ、もう、うごかない脚だけど、
でも、それで、悲観することはない。]
お前がこれから支えてくれればいい。
そうだろう?
[フレデリクにそう問いかけた]
[扉は開かれた。
光の渦としか見えぬ先へ踏み出す時、脳裏に再び声が響く。]
そなたの力と意思、確かに伝わった。
そなたは魔界に繋ぎ止めえぬ魂。
断ちえぬ絆持つもの。
強き心に敬意をあらわし、
これより広がる未来を嘉して、
余より祝いの品を送る。
使うも使わぬも好きにするがいい。
[声が消え、扉からの光が一層力を増す。
ここをくぐれば、望む場所へと移動するだろう。]
……リエちゃん、
だいじょうぶだよね?
ちゃんと一緒に帰ろうね?
[>>572 杖は無くなってしまった、
けれど彼の脚はやはり動かないまま。
もしかして願いが叶う、というのなら、
その脚を治すということも出来たのではないだろうか。]
……うん、行こう。
[だからやっぱり自分が捧げるものは、
きっとこれで正しいのだと思って、
再び指を絡めるようにして手を繋いだ。
これからも彼と一緒に歩いていけるように、願いをこめて]
……おはようございます
[目を覚ましたらしい愛し子に>>525目覚めの挨拶をし、続く言葉を待ってみる]
……?
[だが、所在なさげに迷う瞳に、ただ事ではない気がしてしまい、身を寄せ髪を漉きながら、リヒャルトの言動に注視した。
何をするにもありあまる神力に頼ってきた弊害だろうか?今の金貨に紡がれた心の声を聞くすべはなく。
だが、唇が開かれるのは見留めていたため、言いそびれたのだろう、今度は聞き逃さないしようと、近づいた]
?
[知識は頭に残っている。
ただ、それをどこでどうやって覚えたのか、と言う事は
霧の向こうにやってしまったように思い出せない]
覚えてる、……多分
[案外抵抗しない事に拍子抜けを覚えつつも、
圧迫して血を止める布を解いて傷口を晒す。
露になる対照の色にゾクゾクした。
膝裏に手を入れて片脚掲げさせる。
良く考えなくても人間視点だと大分際どいが、些細な事だ]
痛いか
[傷の端から口付けのように触れる]
そんなの当然じゃない。
[>>573 問いかけへの答えは単純明快、
だって頭もよろしくないし、語彙も豊富でない。
自分に足りないところを補ってくれるのは、
いつだって彼なのだから]
……今までだって、そうしてたけどね!
[ほんの少しだけ、訂正を求めて笑った]
― 浮遊する群島 ―
てことは、遺跡内か、その外か…かな。
とにかく出られりゃそれでいーや。
…クソジジイんとこ出たらそれはそれで色々楽なんだが。
[主に安全と言う意味で。
警戒する必要も無いし、直ぐに報告出来るしと、レトの中では楽と言う認識らしい。
アデルを連れ込むことに若干の問題があると言うのは気にしていないようだ]
……おはようございます
[目を覚ましたらしい愛し子に>>525目覚めの挨拶をし、続く言葉を待ってみる]
……?
[だが、所在なさげに迷う瞳に、ただ事ではない気がしてしまい、身を寄せ髪を漉きながら、リヒャルトの言動に注視した。
何をするにもありあまる神力に頼ってきた弊害だろうか?今の金貨が紡がれた心の声をきちんと拾うためには、少し時間がかかりそうだ。
だが、唇が開かれるのは見留めていたため、言いそびれたのだろう、今度は聞き逃さないようにしようと、顔を近づけ「どうしました?」と、聞き返した。]
もう、魔界とはおさらばだ。
戻らないから、お前も攫われるなよ。
[そんな保証はないけれど、
花嫁は、つまりは逃げたのだと。
そして、フィーに救けてもらい、その扉をくぐることになる。**]
[血の雫は花の甘露]
他のやつに、喰わせたりするなよ
[身勝手な事を言って、獣の金瞳が妖しげに弧を描いた*]
/*
表に集中するあまり、殆ど綴れなかった旦那様への愛を。
闇デレの旦那様、もう堪りませんでした。あの執着と情熱と闇具合が堪らない…。
閨の彼是も、ことごとくツボを押されて凄かった……
いっぱい虐めて愛でてもらって、たいそう幸せでした。
ずっとリードしてくれてありがとう、レスがとろくてごめんね。
普段お互いに全方位的に絡む方なのに、闇デレ×デレツン路線は恐ろしいまでの番型ペアでした、ね!
第一イベント時の切なげな旦那様が愛おし過ぎて、ツンがほぼ解除されてしまって、そうなる気はしたけどどうしよう、
あとはひたすらいちゃいちゃ一直線だよ…!とおろおろしたのは内緒。
虐め抜いて下さるのも、終盤の甘やかしも、ときめきが止まらず。
エピ入り寂しいけど、エピでも目一杯可愛がって下さいませ、とこっそりおねだりしておく!
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