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次の日の朝、語り手 が無残な姿で発見された。
戦火の犠牲は確実に広まる。
それでもなお、戦いは終わらない。
求めるものを手にするまで、人は争い続ける。
己を犠牲にしようとも。
愛する者を失うとしても。
現在の生存者は、黒幕 、神学生 ファミル、 ディーク、純血種 クレステッド、血織りの主 エレオノーレ、息女 アイリ、境界なき者 ステファン、執行人 ロー・シェン、 コンラート、後継者 トール、学生 アレクシス、混血児 レト、 ダーフィトの13名。
境界なき者 ステファンは、黒幕 を投票先に選びました。
[お使い試験から一週間後。
評議会から次の試験実施が通達される。]
「チャイルドらへの教育が一定の成果を上げていることは確認された。
今回は、チャイルドを伴って最寄りの街・クロノスへ向かうこと。
人間に正体を悟られることなく行動できるかの試験を行う。
一昼夜以上、街に滞在し、外の生活を楽しんで来るといい」
ディークは、黒幕 を投票先に選びました。
黒幕 は、混血児 レト を投票先に選びました。
後継者 トールは、黒幕 を投票先に選びました。
[口腔を探る舌が、牙に触れる。
と。]
――!!
[途端、味蕾に花開く美味。
促すように舌を絡められれば、更に強く拡がる。
数日間代用品で餓えを宥めてきたからだには、強すぎる極上の甘露がしみ渡る。]
( ……ディークの 血 )
[自分の舌を傷つけた、と悟るより早く、今度は深く牙穿たれて。
口中に溢れだす血が彼のそれと混じりあい、陶酔をもたらすカクテルとなる。]
コンラートは、黒幕 を投票先に選びました。
[ソファに向かい片膝を座面に載せて前傾した黒衣の背。
両手は眼前に座る使用人の両肩に掛かり、
本来はひたと隠されている筈の首筋からは、
二筋に滴る朱と微かに漂う甘い香]
――――
[耳元に、もういいよ、と囁いた。
使用人はレースのあしらわれた襟をそっと整え、
礼を取ってその場を辞去していく]
[そして、ややあって、フードを外して表情を緩める]
……お帰り、アイリス。
道々、大丈夫だった?
[狼神の咆哮に怯えはしなかっただろうかと問い、
まずは無事の帰還を労って休息を促す。]
息女 アイリは、黒幕 を投票先に選びました。
混血児 レトは、黒幕 を投票先に選びました。
血織りの主 エレオノーレは、黒幕 を投票先に選びました。
− ロー・シェンの部屋 −
[褒められた!
嬉しくてお尻がもそもそ。
在ると思ったら在るのだったら、そのうち尻尾が生えるやも。
ステファンの特異性を語るロー・シェンに頷く。]
ちゃんと自分を見て、こうだって教えてくれる相手がいれば、人は変われると思う。
この先も、オレのこと見てて、師匠。
オレも師匠のこと見てる。
[最後まで静かでありながら確かにアイリスという品性の香りを残した雛鳥>>1:816を送り出す。
彼の雛鳥に告げたように、被害をうけ吸血鬼になったとはいえ、彼らは可能性を持っている。そうであるからこそ触れるのは面白い。
亡くしたもの、見失ったものほど相手をするなど無駄なことはない。
――いや、無駄ではなくなったものもいたか。と思い返すのは70年>>1:116ほど前のことだ。]
[触れ合わせた肌から、体温も偽りの鼓動も溶けて混じり合っていく]
…ン、
もっと 欲しい
[そこまで言って、摂り入れた血の魔力が体に馴染めば、
また血を滲ませる舌を伸ばして。
ふたつの血の混じり合うカクテルを強請る。
慾に溺れて一息に自我を手放そうとする情を、会話で気を逸らして引き留めるのは。
彼に赦されても自らを赦せない、強情な自制のため]
任務の報告は以上。
で、これ──
[手にしていたふたつの包みを、掌に乗せて差し出した。]
マスター・ステファン=リッシュが、お茶とお菓子を用意していてくれたんだけど、師匠がいなかったから、食べないでもらってきたよ。
「お茶してこい」って指示だったら、遠慮なくいただいたんだけど…
[ロー・シェン以外の者から食べ物を与えられても、ロー・シェンからよし、と言われるまでは口にしない。
なんとなくだけど、そんなルールを自分に課している。]
食べて感想聞かせてほしいって、宿題もらった。
一緒に食べよう? 師匠の分もあるんだよ。
― 回想:70年前 ―
[あれは普通の吸血鬼とは違い、何かの理想や悲願を持つ、あるいは持たされた存在であることだけはなんとなくわかっている。
それがその体たらくというのは、見ていてつまらぬものであった。...にとってアイリス>>1:686へと語った小石以下の価値を持つものだった。
これで無礼でもすればためらいもなく殺していただろうが、機械のように生きるものはそのようなことはなく、視線に入るだけで歯痒い思いを抱かせるものであった]
これをやろう。味覚の一つでも楽しむがいい。
[戯れのように恩寵として授けたのは、よく出歩く市場で買った飴の一つ渡した。
何かが呼び覚ませばまだ世界は面白くなるという思いの気まぐれの行為。
それが別の何かを呼び覚ます切欠になったとは知らず、ステファンと少女を結び合わせるたとは思いもせず、そのような出会いがあったことも知らない。
ただ真祖にとって一つ世界が面白くなったことだけが確かなことであった]
/*
エレオノーレは可愛いね!昨日の飴細工のとこもだが。
…………浮気じゃないよ?
ダーフィトはもっとかわいいよ?
純血種 クレステッドは、黒幕 を投票先に選びました。
しないよ。
自分のことを可哀想だと思ってない人に対して、同情は不躾なだけだ。
[さらりとそう返す瞳には、言葉通り憐れみを浮かべてはいない。
頬から顎をなぞりおりる指に、少しだけ擽ったそうに首を竦めた。]
それもあるかもしれないね。
[それ以外に道はなかった、と言われれば微かに苦笑する。
朝晩毎食祈りを捧げ、教会の教えを聞いて育ち、他の選択肢を知らなかったというのも事実。]
吸血鬼にならなくとも、元より神の身許には行けぬ身だったんだよ。
………私の罪は、誰に罰されなくても私自身が一番よく知っているから。
人を糧とする吸血鬼には、理解し難いかもしれないけれど…
[吸血鬼としては必要なことであっても、自分が人を殺したのはヒトであった時だった。
その差は、己の中では大きく違う。
鳥獣の血まで飲まぬというのは、其れでも他者から糧を得て生きつづける己へ課した誓約でもあった。]
[――脳が白く灼ける。
深くふかく、何度も何度も。
舌を絡め、口中の血を舐め取り、甘い唾液を啜って。
白い蝶は男の身体の下でもがき、、
細く白い指が男の髪の中をまさぐり、なめらかに筋肉の隆起した背の上で踊った。]
ア ぁ、 んんン ……
(ディーク、ディーク)
/*
ほんとに細かいことで申し訳ないんだけど気になって気になって思わず調べまくったんだけどさ。
まさかに漢字を当てるなら、真逆だと思うんだよ……
神学生 ファミルは、黒幕 を投票先に選びました。
執行人 ロー・シェンは、黒幕 を投票先に選びました。
[視界の中心に飛び込んだのは、初めて主が糧を得る姿]
………、
[扉の傍に佇み沈黙を落とした間は、使用人が襟を正すまで]
………少し、外した方が?
[身繕いを済ませ扉に歩み寄る使用人と、フードに潜む主を一度見比べ、静かに問う。
そのまま使用人は行き過ぎ、部屋に二人きりが残される]
ううん。
[フードを外す短い合間、ふるると首を振った。
それで黒い布地が振り落されて、青の髪が少し揺れる]
すまないね、気にしないで。
そなたは蝶のようだな。華やかだ。
[最後は悪戯っぽく、花のようにただ咲くだけではなく、宙を舞いながら惑わしを今後もちそうなことも、糸を通じて雁字搦めにしたくなることも含めてそういうと深淵を去る榛色の蝶を見送った*]
[何か飲むかと尋ね、要らないようなら一先ずそのままとし。
先にこちらの用件を伝えようと、娘を菓子箱の前に招く]
ダーフィト……僕の所に使いに来た子が、
君によろしく、と言っていたよ。
これはその折に頂いたんだ。
[『君のチャイルドと一緒にどうぞ』>>1:549
――件のマスターからのメッセージを彼女に渡して
目の前で箱を開き、妖精と花舞の飴細工を見せる。]
― 私室 お使い後 ―
[拗ねたようにいう>>1:817ファミルは何度目か。
こういうとき何かをあげると機嫌がよくなるらしい。コウモリ倶楽部より。
ということで現在コウモリ倶楽部の拍子を飾っているフルーツ蝙蝠の赤ん坊のぬいぐるみは鋭意製作中]
どうせなら似合っているとちゃんと理解させようとおもってな。
[見返すファミルに、名案であるとばかりに頷くと、背と腰に手をまわして抱き上げて扉のほうへと向かった*]
― 自室 ―
[こわかった、と聞けば、瞼を開けて揺れる翠を覗かせる。
彼の僅かな反応も読み落とすまいと、欲を抑えて、彼の顔を懸命に見詰めた。
大丈夫、というように頭を撫でる指先が震えているのは見えずとも、
ざわめく心は知っているから、ぎゅうとディークを抱き締める。]
いえ。…謝られることは、何も。
[露わになった青の髪、青の瞳。
視線を注ぎ、すっと首を横に振り]
心得ているならばよい。
[不遜な態度で、よしと、憐れみの色のない瞳を受けて頷く。
続いて己の罪を告白する言葉を
確かに、吸血鬼にとっては理解し難いことだ。罪を犯し、その罪悪にかられるものがいることは知識としてしっても、その痛みまでわかる。などとはいわないが、今はそんなことをおもうのではなく]
神の御許に行きたかったのか?なに…いけなくても大した問題ではない。
虚像の下へといったところでなんら価値はない。それよりも我の下にいたほうが何百倍も価値があり、幸福だ。
我を頼り奉るがよい。
[傲岸不遜な男は神などより己のほうが価値があるといってのけ]
そうであろう?
[笑みを浮かべながら指に牙をたて、血を垂らし、指を口許へと伸ばし食事を与えた]
[彼女自身の使いの件に話が及べば、頷いて>>8]
そうだね、是非教えて欲しいな。
善は急げと言うし、君さえ良ければ、今からでも。
[華奢な腕を差し出す。]
踊って頂けますか、レディ。
[もっと欲しいと強請られれば否もなく、ふたりの生命を混ぜ合わせて、分かち合う。
体温も鼓動も溶け合わせて、連理のごと、ひとつに。]
……もっと早くそうすれば良かった、
君の血を吸えば。
[口接け交わしながら囁きかける、
互いに結んだ血の絆を通して、声なき声で語りかける。]
でもきっと今じゃなければいけなかったんだろう。
君が自分を知るまでは。
でなければ、君は僕を信じてくれなかっただろうし、
君とともにいることも許されなかっただろう。
でしたら、もう少し。
夜の女神の化身に対するような態度をお願いしたいものです。
僕に知識をお与えください。
僕に力をお教えください。
夜の女神の化身に相応しい僕にしてください。
[顔は怒れど声音は笑み。
耳から伝わった想いは全身を突き抜け、今度は口から
自身の想いとなって囁かれた。]
― お使い試験の日・自室 ―
[ほかほか蒸気を伴って、ふらふらと自室を出る男。
何かを忘れているようなと考えながら、使用人を介さずに、厨房から冷たい水の入った水差しを持って、また自室へ]
……!!
[水を一杯呷ったならば、忘れていたものを思い出し――…]
そうだ、ダーフィト、おつかいどうだった!びっくりしてた?
それとあの回復術じゃない回復術!あれアレンジしてみない?
[色々と後回しになってしまったお使いの報告と、目的とは違う効果を発揮した回復術>>1:765をと……
ダーフィトからの報告を聞いたなら、アレンジに関しては特に咎めず……
「ネタの使い回しができなくなった!」と、事後に鰯パイの件をバラした事にだけ不満を漏らしたことだろう。]
[耳から侵されるような蕩ける声に、喉を鳴らす。
飽きることない官能の口接け、背の上を踊る触]
こんなに、
きずな あつ…い
[声なき声もまた上擦って]
わから ない、
でも 信じる。 そばにいたい
――…閣下の、お言葉は。
物知らぬ身には、余るお言葉です…。
[礼儀故、直視は数度に留めた蒼の深淵を、手繰られる侭
そっと覗き込み。
窘められたばかりの言葉が、小さく揺れて色付いた*]
[自信に満ちた言葉を吐く目の前の蒼銀の瞳に目を細めた]
……どうかな、まだわからない。
でも、……あなたもまた、ヒトではない何かであることは確かだね。
[神の代わりに、闇の恩寵を受ける現在を思う。
それとも、この存在が世界の真理の一端なのならば―――神が自分を見捨てたと判じるのは早計だろうか。
今すぐにその結論は、出せるものではなかったけれど]
―――不遜だ。
[言いつつも、微笑んで。
差し出された指を口に含み、舌たる赤に舌を這わせた*]
[冷えた熱は上がり、あかがねを梳いていた指をその脇腹へ這わせる。
手の平に吸い付くような滑らかで艶かしい肌をするりと撫でて、そこへ、
鋭い爪を立てた。
幾度も切り裂かせた舌を口腔へ捩じ込み、己の血と唾液を注ぎ込んで離せば、
飲み込みきれなかった赤い筋が顎へ伝う]
もっと…
欲しい
[白い首に容よく盛り上がった喉仏へ接吻けて、さらに下へ。
唇と舌とで汚す赤い跡を残しながら骨を辿り、
臍の窪みへは、ぼとりと零して血だまりを作った]
俺のも、いいよ
あげる ──あげる
[脇腹へつけた傷を舐め上げる。
猥らがましい水音を立てて啜った]
アレク……
[怒ったような表情とは裏腹に、その声には穏やかな笑みが含まれていて――]
ああ、約束する――。
君に俺の知る限りの知識と、力を与えよう。
だから――
[その言葉が本心であれば良いと、少なからず安堵を覚える。
流れのままに血を受け入れるでなく、
その前に立ち止まる彼女にとって。
注がれる榛の視線にその奥の色を探すけれど、
するりと首を振られる事で、交錯はほんの一時で途切れた]
俺だけの女神になってくれ…――。
[捕らえた女神を逃さないように、華奢な腰を抱く腕は弛めない。
細い顎先を指で捕らえ、上を向かせる。]
― 更に一週間後 ―
[一週間の間も継続的に知識を積ませていく。
ただし術に関しては、...は術を使用できないため教わるのは使用人に任せただろう。
そして時が過ぎ、次の試験が下される。]
聞いたか、ファミル。久しぶりに街に出られるようだぞ。窮屈な暮らしであったがようやく気晴らしができる
[天蓋つきのベッドで転がり、他のマスターよりも数倍広い部屋に陣取りながらも、窮屈であったといい、外に出るのを楽しそうにいう。
そんなファミルに本日あてがわれた服装は――――白のワンピースであった]
― 私室 ―
[本日は女性の姿で過ごす日であったのは不運なことだったかもしれないが、遠慮はしなかった。裸でいくか?といって黙らせるのはある意味いつものこと]
外出は一昼夜とのことだが、ただぶらつくのもつまらんだろう?どこか行きたいところはあるか?
[望むものはだいたいここで手に入ってしまう。だが無秩序で猥雑な空気は街でしか味わえないものだ。市場などを覗くのが真祖の趣味であるが、さすがに白昼堂々出歩くのはきついとファミルの意見を優先とさせることにする。
その外出で8(8x1)なことが起きるなど、その時は知りもしなかった**]
[アレクシスを逃さないように、彼の黒髪に指を差し込み、地肌を撫で。
腰を抱いていた手はその背骨をなぞるように、上から下へと撫で下ろした。**]
/*
罪作りな真祖さまにときめかされたと思えば、
予想外の閣下(※元祖)のお誘いにきゅんとするげぼくです。
またブラフなの?そうなの?
[みなぎる警戒心]
[身の内に情炎を宿して、白い膚は絖のごと輝く。
そこへ引かれる鮮やかな赤の線、]
あ ―― は ぁ アあ
[細やかな身体を、痛みよりも官能に捩り、男の愛撫に咽ぶ。
喉から腰へ、膚を滑り落ちていく唇と舌の感触に、啜り啼く。]
ンっ…… ディーク、欲しい よ、 あっあっ ぁあ
[猥らがましい水音を掻き消すように。
ひときわ高く啼きながら、きゅうと背が反る。
もっと、と栗色を掻き乱し、脇腹に押し付けた。]
概ね、壮健だったよ。
熱心に術の勉強をしていると聞いた。
[世間話に織り交ぜて若干の口述試験を潜ませたところ、
知識においては成程と感心した次第である。>>16
そして、幻想の花園も彼ら父子の共作だと教えた]
同じように……悩んでもいるようだけれどね。
[立ち止まり、考える者は独りではないと暗に伝えた後で]
仕方の無い人ですね、本当に。
[目を細め、互いを遮る眼鏡を外す。
それでも主の優しい笑顔が鮮明に映り、薄く開いた唇は
緩やかな弧を描いた。]
こんな僕でも宜しければ…
離れろと命が出るまでは、いつだってお傍におりますから。
[今日までに、血を好むようになった。
吸血鬼の社会というものを少し理解出来るようになった。
主の事を多く知る事が出来た。
そして、今日。
様々な思いはあれど、ようやく本当の意味で主のものとなった。]
どうして?
[ことり、と音がしそうな首の傾げ方をする。>>17]
ああ、勿論、今は気が乗らないなら後ででも構わないんだよ。
これをゆっくり楽しむ時間も欲しいだろうしね。
― 第二試験前夜 ―
まだ…超える欲求を見つけてはいないようだな。
[満足できない、血とは違う飢えを抱えたまま今日もその欲求に耐えて眠るファミルの寝顔を見遣る。
このまま溜めこみすぎれば、精神がやられるだろう。それは己の望むところではない。吸血鬼としての逸脱を望み、人として在ろうとするファミルこそ価値があり、見た目だけの人形など興味の欠片もないものだ。
だからこそ手を伸ばすのは...にとって当然のこと。
自分の血を摂取し続けることでの弊害を知っていたため違う解決方法を考えるが、さすがに急に解決はできなかったのだから、チャイルドにとって血を飲ませることと同じぐらい必要なこと]
ファミル
[首筋にそっと牙を肌に突き立てるまでせず当てる。送り込むのは欲求を晴らす一つの波であり]
(よい夢を見るのだよ。)
[蒼銀の瞳が薄く輝き、念じるとともに牙が離れる。
快楽の一波とともに送り込んだのは淫らな夢。如何なる夢を見るかはファミルの心次第だが、溜まり続ける欲求の発散となるだろう。
そして夢の中のことならば問題にはなるまい。と満足そうにうなずいた後、ファミルを抱きしめたまま眠りについた]
――――…ん。
[口付けが初めての雛の啄ばみは、次第に感覚が長くなる。
主の衣服を掴む手が小さく震えて、やがてはその身に
しがみ付くようになった。*]
──捧ぐ
ぜんぶ この身に残るものすべて
〔貴方がそう望むなら〕
[髪に遊ぶ指に導かれ、
甘やかに啼く声に煽られて、
赤錆のまま薄く理性を宿す双眸に、涙の膜が張る]
[細くしなる腰をとらえ、
血を流す脇腹へ深々と牙を突き立てた]
[今一時だけは眼鏡を外し、髪を束ねていた紐も解いた。
これでも夜の女神の化身に欠片でも近付いているのだろうか?
その一方で、試験の結果を頭の端で気にしているのだが、
しばらくは頭を撫でられるままで居ようと思う。
まだ、優しさに甘えて居たいから。**]
[いつしか、纏う布の全てを剥ぎ落として。
交わる身体は鮮血に染まる。
何度も抉り、爪を立て、楔を打ちつけて、
命の精を吸い── あるいは穏やかに揺さぶった。
咲き誇る深淵に飲まれ溺れていく快楽]
この血、 喰らい
もっと もっと深く
つれていけ───
[絆を繋ぎながらあかがねをかき寄せ、喉を晒す。
真珠の牙埋め込まれて より深く魂の交わるを望んで、
渇望の言葉を溢れ出させた**]
どうして、って……あなた。
自分の胸に聞いてみたらどうなの。
[呆れを隠さず、やけに可愛らしく傾ぐ首を半眼で見遣り>>21]
わざわざ不要な嘘を吐くタイプだとは、思ってなかったわ?
これからは、あなたの言葉は先ず疑うことにしようと決めた所なの。
[じ、と少し上にある双眸を覗く眼差しは、無言の中にも雄弁を。
それでもダンスに誘う腕を不作法に跳ね付けることはなく。
差し出された掌に右手を重ね、向き合う相手の細い二の腕に左手を預けようとして、ふと。]
ねぇ。――どっちが、どっち?
[習慣として自然と女性側のホールドを組みかけたが、男性側の
ステップは果たしてどちらが担うのかと手を止めて尋ねる]
―
[ステファンが水差しを持ってくるのをみれば自分も欲しいと手を伸ばす。そしておつかいの結果を聞かれれば]
…あー。どうなんだろう。フード被ってたから、よく分からないな…
[反応がいまひとつよく分からなかったのはアレンジのせいかと思えば、説明は多少躊躇いがちなものとなったけれど。ネタの使いまわしができなくなった!という抗議には相手の反応>>1:806を思い出し]
…やらなくてよかったんじゃないかな、それ。
[そんな感想をぽつりと零すが自分のマスターはそれを聞いているのかどうか。そして回復術じゃない回復術、という言葉には一応善意だったんだからと文句をつける]
…で、アレンジ?どういう?
[そう話を促して、興味はあることを示してみせた]
― あの日から2日後の自室 ―
そういえばダーフィトってさ、今現在は僕のことをどう思ってるの?
[嫌われてはいないと思ってはいるのだが、好かれてはいるのだろうか?
危なっかしいとか、見ていられないとか、そんな思考からだったのではないか――…]
僕は君に“初めて”を貰ってもらったけどさ。
君からは、何かを要求されたことがないんだよね。
[他者に聞かれていたなら、誤解されそうな物言いを]
[話を聞いてみた結果。
今度こそ心外だ、という顔をして見せる>>24]
……僕が心にもない事を言ったと思ったのかい。
そう。 ――では、
― 自室 ―
は?
[他者というか当人にも誤解されそうな物言いだった。
思い切り聞き返してから、ゆっくり意味を考える]
…まぁ、マスターだし…うん…
[そんな歯切れの悪いものとなる。けしてそれだけではないのだが、最初の誤解が後を引いている。重ねて聞かれればもう少し言葉を継ぐのだが]
要求、かぁ…勉強教えてもらってるし、それで…っていうのと、違うんだろうな…
[そうやってしばらく、小柄な少年の金色の髪を眺めていたが]
そうだな。じゃあこれで。
[ひょいと屈んで彼の額に軽くくちづければ、どんな反応を返すのか。驚いた顔をしたなら、目一杯満足そうに笑うだろう]
[最初の抵抗で、バランは使えないどころか妨げとなるチャイルドなど
しかし繰り返された裏切りへの怒りは、
その凶状持ち吸血鬼の嗜虐性をこそ煽ったらしい]
………
[甦った記憶のその先を探そうとして、鈍い頭痛に眉根を寄せた。 元の形もわからないほど砕けた記憶。
断片的な。 声
『ならば──次は貴様に聞こう』
『脳味噌を直に犯されるのは初めてだろ?』 ]
っぁ、
[息を飲んで身動ぎする。
思い出そうとするのをやめて、手首で鼻血を拭った**]
― 御礼状 ―
[娘から返礼の書簡を受け取り、微笑とともに拝読した。
真祖の君の眼を免れる事はないとは予見していたが、
どこまで読み取っておいでなのだろう。]
過日は娘がまことにお世話になりました。
御言葉、恐悦の至りと存じます。
帰って来た顔を見ただけでも、
御許で深いものを学んだろうと窺い知る事が出来ました。
今後とも彼女をお引き立て頂ければ幸いです。
自分も微力ながら養育に励みます。
[御礼の書状に添えて、種々のドライフルーツを送った。
果物は干すと滋味が濃厚になると聞いての選択だが、
口に合えば良いのだが。*]
― 御礼状 ―
[ダーフィトの使いの件を受け、改めて書状を認める。]
素敵な贈り物をありがとう。
愛らしい趣向に、娘もとても喜んでいました。
君の生徒は素直で心遣いのある子だね。
知識も身に着いているようでした。
今後とも健やかに学ばれますように。
追伸
気配を窺った限りでは幻術の手順も心得ていたけれど、
仕込みをする時と場所は一考の余地があるかな。
[楽しかったけど場所的に気配モロバレでしたよ……
と言う旨は一応お伝えしておいた。
此度は良いとして、将来境界なき者の子として
補佐につくようなら肝要な部分だろう。*]
[喉から迸るひと連なりに連なる音。
官能の蜜を滴らせ、痛みの花が鮮やかに咲く。
膚の上で引き裂く赤が花開くたび、脳髄が白く染まる。
行き場を失ったように彷徨う指先は、
洩れ出した赤に濡れて。
男の首を肩を背を、或いは脇腹を腿を滑って、
男の膚の上に鮮血と悦楽の澪をつくる。]
/*
ディーーーク!!
どんどんバランさんがド変態になっていくよ!!
きっとディークが派手にやってくれたから他の雛たちは対して被害無かったんだな!
[いつしか一糸纏わぬ膚を、互いの鮮赤で染め上げて。
より強くより深くと、四肢を絡めあう。
引き裂かれ、穿たれ、
からだの奥深く楔を打ち込まれ、
小さな死を幾度も死んだ。]
ディーク、 ディーク
(あいしてる)
[もろともに深淵に堕ちゆきながら、いとしいひとを掻き抱く。
こころとからだだけでなく、魂すらも繋げと希み、
眼前に差し出された喉に、真珠いろの牙を深々と埋めた。*]
なんだ。
やけに熱心だな。
[この先も。
熱っぽい言葉に小さく笑って、レトの背を軽く叩く。]
見ている。ずっとな。
おまえは俺の子だ。
[背に置いた手をしばらくそのままにしてから、離した。]
[報告の後、差し出された包みを取り上げて臭いをかぐ。
甘酸っぱい香りと、血の匂いがした。]
───ああ。もてなす、か。
[お茶とお菓子を用意されていたと聞いて、膝を打った。
自分はそちらの発想は全く浮かんでいなかったのだ。
行儀よく菓子を持ち帰ってきたレトに頷き、その場で包みを剥く。
香りが、いっそう強く広がった。]
良いものを使っているな。
[ムースになっている血について、のこと。]
[茶を用意する、だの座って食べる、だの、
生憎とそんな几帳面さは持ち合わせていなかった。
ムースをぺろりと舐め、味を確かめる。]
おまえも食っていいぞ。
[ウエハースを齧りながら、レトにも勧める。]
― ダンスホール ―
[部屋を出て娘を連れた先で、中央に立って再度の誘い。
ごく自然に男性側のホールドを取るのが答え合わせの1]
……事実確認からするけど、その様子だと
言われた通りダンスを教わって来た訳ではなさそうだね。
[そもそもの前提では、アイリスは真祖の君に
手解きを受けてきた訳だから、その上達を見せるなら
女性側のステップになるのは自然な流れだろう。
一歩踏み出してからの問い]
さて、では君は、見るべきものを見、
行うべき事を行って来たかい?
[手を引き踊るのはそう遠くない記憶を揺り起こす]
― 一週間後 ―
[>>15 あの散々な日から一週間後のこと。
その一週間の間に術を教わり、その原理を聞けば興味深く聞いた。
けれども、血が必要になるものが多く、実行できそうなものはそう多くなかった。
己のものならば貧血に耐えながら試行はしたものの、他者の血を必要とするものについては練習すら頑なに拒んだ。
そうこうしているうちに、評議会から次の試験が伝えられた。]
聞いた。
けど、その服装は聞いてないな!!
[今日も今日とて有無を言わさず数人の使用人に押さえつけられ、しっかり白の優美なエンパイアドレス型のワンピースを着せられ、お出かけだからとバッチリ神飾りまでつけられてしまった。
>>18 裸か女装かしか選択肢がないのは何時ものことだったが、この格好で外に、しかもこの建物からでるというのは憂鬱以外の何物でもない。]
どこにも行きたくない…
此処から出たくない…
[立派なひきこもりのようなことを言えど、そんな意見はあっさり却下され。
陽の下を出歩くもの平気らしい真祖とは異なり、陽に当たれば身を焚くことになる己のため、日中は窓が無く暗いオペラハウスで演劇鑑賞に興じることとなる。
何故か顔パスでテラス席に案内された。ほんとうにこの真祖の趣味の広さには舌を巻く。
勿論、壮絶に不本意ながらドレスコードは問題なくクリアだった。]
― 第二試験前夜 ―
[耐える、と言った日から一週間。
飢えを抱きながら瞳を伏せ、眠りにつくことで今日も紛らわそうとする。
苛む飢えに、だんだんと眠りにつくまでにかかる時間が長くなっていたが、その日もどうにか意識が落ちたころだった。]
(なぁに…?)
[優しく名を呼ぶ声が聞こえた気がして、夢の中で応える。
続いて流れ込む何かにびくりと身を固くした。]
[暗い暗い物置に居た。荒い息遣いに、中年男性の体臭。
叫び声を上げられないよう口を塞がれ、衣服をはぎ取ろうとするその手に、泣きながら抵抗した。
暴れた拍子に、燭台が触れ、それを本能で掴み取った時。
『貴様はオレ様のものだ。』
景色はあの日の夜道へと変わり、自分の口を塞ぐ男の声は自分を殺した吸血鬼の声に変じる。
バランの元に居た時のこと―――。
反抗的な目がそそるのだと言う血親は、気まぐれに牙を突き立てた。
だが聖別された短剣を扱うために、その回数は1,2度、手駒として使うことを考えてそう多くは吸わなかったらしい。元より使い捨ての血子、滅んでも構わなかったのだろう。
抵抗はしなかった。ただ、牙から何を流し込まれようとも、じっと血親を睨み付けていた。
握りしめた十字架が手の平を焼く匂いがした気がした。
景色は唐突に移る。
今、後ろから自分を抱きしめるのは、銀色の闇の気配。
酷く安堵したことに気づいて、ほっとするやら悔しいやら。首筋に触れる牙には、びくりと身を固くした。だが、身体が金縛りのように動かない。]
(…クレス、…ッ)
[重ねる唇と、優しく熱を弄る手に、ただ溺れ。]
[目が覚めた。
クレステッドの腕の中から這い出ると、浴室で自身の下履きの中を確認した。
数年前に迎えた精通の時以来ではないだろうか―――付着したものを見て眩暈を覚える。]
悪夢、だ…
[色んな意味で。
がっくりと項垂れながら、下ばきと衣服を自分の手で洗った。
だが、確かに飢えは軽くなっていて。
だから、出かける日には以前着ていた服がなかったのだ*]
― 第二試験数日前:温室 ―
[散々な思いをした翌晩、自分の恰好を隠すために外套をひったくり、家出よろしく部屋を飛び出した。
どこにいようが一瞬で追いつくことが解っている己の養親は、さして問題にもせず追ってくる気配もない。
人目を避けてたどり着いた場所は温室だった。]
(………どうしているかな。)
[もう一度の邂逅を強請った相手は、どうしているか。
温室のガラス越しに星空を見上げ、思い出す。
その人を強く思い浮かべて思ったものだがら、”声”を届けてしまっていたのは、無意識だった。
そんなことにも気づかず、あの日と同じ場所に腰掛けると、なんとなく指を組み、祈るように目を伏せた。]
― オペラハウスロビー ―
”All the world’s a stage.And all the men and women merely players.”…、か。
(世界は舞台、男も女も皆役者に過ぎない。)
[昼を過ごすために延々と居座りいくつか見た演目の中、ひとつの台詞を口ずさむ。
こうしてオペラハウスでの鑑賞は初めてだったから、飽きずに見ていられた。]
なんだか少し意外だったな。演劇、好き?
[人間臭さを悲劇喜劇さまざまに描いた舞台が、吸血鬼の真祖の目にどう映るのか興味が沸いた。
陽が落ち、クロノスの街が街灯の明かりに照らされ始めると、外にでようとロビーへと向かう。
街はまだ、眠らない。]
………あ。
[だが、一人の初老の男と目があったことで目を見開いた。
ロルト卿―――己の実父だ。
相手は、息子に良く似ているが、ご婦人のようだし、と戸惑っているようだった。
顔を背けるが、何を思ったか相手は近づいてきた。]
『……失礼しました。彼女が最近失踪した知人に似ていたもので、つい』
[連れの女性を不躾に見たことを、クレステッドに謝罪するためだったようだ。
知人、という言葉に心に暗澹たるものを膨らませながら、黙って顔を背けていた。*]
― 第二試験数日前 ―
……おにいさま
クレステッドに私の服を選ばせるのをやめさせる方法ってないかな…
[散々な思いをしたあと、クレステッドの名づけ子であるロー・シェン(クレステッドから名前を聞いて知った)へとひそかに相談を送る養い子がいた。]
[真祖の養い子に相談を受けた、
───のはいいのだけれど、呼びかけに軽くよろめく。]
……その呼び方はやめろ。
…。 そうだな…
拒否だけでなく、案は示したか?
[ひとこと釘を刺しつつも、相談には乗った。
あれの傍若無人をやめさせる方法など、こちらが知りたい
、と心中密かに思うのだったが。]
対案なくば交渉にはならん。
それで駄目なら……別の手を考えるべきだろうな
[諦めろ、とはさすがに言わずにお茶を濁した。
彼の服を実際に見たことはないが、噂には聞く。
本人が望んでいないのなら、辛かろうとは思っていた。]**
― ある日 ―
[不意に、頭の裏に清かに響いた声に顔を上げる。]
こっちは今、娘を寝かしつけた所だけど。
宵っ張りだね。……そちらこそ、どうしたのかな。
[残響の意図を辿る。
城館内で離れた位置は、各位の居室ではないようだった]
じゃあ何と呼んだら良い?
[やめろと言われたので素直に聞いてみる。
対案を提示してみてはという言葉に、成る程と頷いた。
ただ、少し言葉を濁した後]
……そうか、そうだね。
頑張ってみる……
……なんというか……デザインから縫製まで全部手作りしたっていわれると、粗末に扱うにも気が引けて……
[最終的に大人しく着ているのはそんな理由だったりした。]
ねえ……吸血鬼って長生きするほど暇をもて余してああなっちゃうものなの……?
おにいさまも裁縫とかできるの……?
[尚、次の試験の外出のときの衣装で交渉は失敗したことが彼にも知れるだろう。
曰く、『我が選ぶものに間違いはない』で一蹴だったと]
[返る声に、自分が知らずに思念を飛ばしていたらしいことを知る。
少し驚いて、紫水晶の瞳を瞬いたあと、今度はきちんと届けるように瞳を伏せる。]
そう、もう夜明けが近いんだね。
……温室に散歩にきて、あなたのことを思い出していた。
[出会ったあの日よりは、どこか穏やかな声で囁いた。]
名前で呼べ。
[呼び方についてはどことなく憮然とした顔で答える。
その顔も、手作りドレスの段になると唖然方向にシフトした。]
……。 ………。
…… いや。俺には無縁だ。
[よっぽど暇人なんだな、との感想が多少顔に出たかもれしない。]
あの真祖を常識で測るのも、無駄な話だからな…
[そもそも齢数千を数える連中など、自分から見ても理解の範疇を超える。
妙にしみじみと呟いてから、ファミルの健闘を祈っておいた。
彼が玉砕したと知るのも、すぐのことだったが。]**
― 返礼 ―
[織り手からの書状の中、生徒を褒める言葉に男は嬉しそうに目を細め――…
さっそく返礼の書状を用意した]
いえいえ、どういたしまして。
君の驚く所が見てみたかったのですが、結果的には喜んでもらえたらなによりです。
今回の事は弟子にとってもいい経験だったし、僕自身も学ぶことが多くあったよ。
不足を物に頼って補うという考えは人間ならではの知恵だね。
君も娘さんと仲良く。
親と子としての感情は勿論、つい最近まで人で在った彼らは弟子であると同時に、師にもなりえる存在だから。
そう思ってても、彼らの前で口にする気はないんだけど。
追伸
厨房にいる使用人の中に――君というのがいるのだけど、彼の作る菓子はいいものが多いよ。一緒に
今回の贈り物が気に入ったのなら、声をかけてみるといいんじゃないかな。
ん?僕、初めてだっていったよね?
[聞き返されれば、跡が消えた首筋を撫でながらの返答を。ゆっくり考える間は、特に急かさずにその様子を見つめる。
そして「マスターだし」と聞こえると、やれやれと芝居がかった仕草で]
マスターっていうなら敬いなよ!…………なんてね。
[と、肩をすくめるのだが――…
額へキスを落とされたなら、横を向いて膨れるだろう。]
……僕が貰ってばかりな気がするんだけど
[小声でつぶやくその言葉は、聞き返されても言い直すことはしない]
[名前、と言われて少し考える。]
じゃあ……マスター・ロー・シェン?
[呼び捨ては気を悪くするだろうかと思い、そんな尊称をつけてそろそろと呼んでみるのだった。]
……そりゃ、たかだか百年生きれば大往生のヒトの常識なんて些細なことなのかも知れないけれど。
[恐ろしいのは]
……このままだと慣れてしまいそうで……嫌だ……
[慣れというものは本当に恐ろしい。思わず遠くを見る目になった。
しかも、真祖が手離しに褒めるほど似合っているらしい。いまいち疑わしいと思ってたりするのだが。]
……せめて、本当におかしくないか確認してもらってもいい?
[拒否権がないのなら、開き直る前に、せめて率直な評価を教えてくれそうな彼に、そう頼むのだった。
実際に会い、身なりを隠すように着ていた外套を脱げば、一体どんな顔をされたろうか。]
― お使いの日・自室 ― >>25
[ダーフィトへとグラスを渡し、自分はソファをスルーして木製の椅子へと前と後を逆にするように座った。
椅子の背もたれへ肘を置き、報告へと耳を傾けている。
「驚いていたかはわからない、鰯はやらない方がいい」という内容を聞いたなら]
――…次やる時は、ぬいぐるみとイワシの中間を攻めよう。
[と、色々不安になりそうな感想を漏らす]
だって、あれ回復術じゃなかったし。
[生徒の抗議を結果論で流しつつ、それでも興味があると言われれば上機嫌になるだろう]
解いてて気づいたんだけど……
普通は書かなきゃいけない陣を、幻として出して、実際効果を乗せる事に成功してるんだ。
……目的と違う効果が乗っちゃったけどね。
[おそらく、彼が、幻惑術を強化すべく色々準備していた>>1:628事も要因としてあるだろう]
幻として出した場合に、どういう効果になるかを調べれば、行動阻害としてきちんと使えるんじゃないかな。
[生命力や魔力は奪われず、痛みだけのものだったけど]
― お使い試験の次の日・教室 ―
おお!凄い、これ仕入れると高価いんだよね!
[使用人の必死の清掃の甲斐あって、すっかり元通りの教室で男は猟犬からの贈り物>>1:526の箱を開く。]
常温で置きっぱなしにしちゃってたけど――…
温度で変質は……うん、してないね。
[それが毒蜥蜴の毒である事がわかれば、小物棚から小瓶を出して二等分に]
片方がそのまま利用するようにして、もう片方はどうしようかな。
[ちなみに、もしアポイントメントが取れたならば。
何が気にくわなくて怒っているのかと、真祖がデザインに工夫を重ねるという余計なことに精力を注いだため。
ロー・シェンのところに忍ぶように訪ねたときに着ている服は、淡いパステルブルーのシフォンドレス、しかも肩口の大きく開く白磁の肌と華奢な肩を際だ立たせるものだっただろう。
これまで有り余る時間を好奇心旺盛にすごしていたおかげで縫製技術も速度も半端ない。
恐らく、評議会はいかに暇そうにしていても真祖に何か仕事をさせようとは全く思っていまい。
今回チャイルドの育成先の一人としたのは、余計なことに手やら口やらを出させないように適度に何かさせておこうという魂胆であろう。
文字通り供物というわけだった。*]
[背に添えられたロー・シェンの手。
短い言葉で綴られる宣言に背筋を伸ばした。
身長差はやっぱり変わらないけれど、満ち足りている。]
[そのまま、お土産の包みを開いてムースを舐めるロー・シェンをじっと見やる。
食っていい、との許可に、安全を確かめてくれたような印象を受けた。]
いただきます!
[すぐさま一緒に立ち食い。
ムースは匙があった方が食べやすい気もしたけど、ロー・シェンと同じように器からムースを舐めて、ウエハースを齧る。
どっちも見たことのない食べ物だから、正しい食べ方なんて知らない。]
[トロトロとサクサクだ。熱くも冷たくもない。
でも、やっぱり味がよくわからなかったので、素直に質問してみる。]
これ、どんな味する?
オレさ、食べ物の味が判別しづらくなってるんだ。
特に、知らない料理は壊滅的ー
これが、加工していない食材そのものだったら、ああ、これこれって味がするんだけど。
[例えば、奏楽の褒美にと届けられた完熟桃(>>1:35)は美味しくいただいた。
実際には、味を思い出しているだけかもしれない。
これまでに食べたことがない食材だと、味はしないのかも。]
匂いから、材料は血と、ベリー系の果実。あとは小麦粉と乳と卵かな…ってのはわかるんだけど。
甘いのは蜂蜜? きび砂糖? 贅沢品だ。
おもてなし?
[媾合う魂はどこまでも堕ちていき、境界をほどいてひとつになった。
噎せ返る血花の香、
赩く染まる白皙、
名を呼ばう忘我の声。
この世ならざる魔の悦楽、
思うには──このまま死にたい、と ]
[呼び方について、今度は文句が無かったので軽く頷いて、
遠くを見るまなざしに視線を合わせる。]
慣れてしまえば安逸を得るだろうな。
戦い勝ち得るには覚悟が要る。
耐え抜く覚悟が。
[真祖の横暴に抵抗するのは並大抵のことではない。
しかも相手は、おそらく横暴だとも思っていないだろう。
そもそもの認識に差がありすぎる。
戦いはおそらく長期戦になる。]
[道を示してみたものの、ファミルが外套を脱ぐと、しばらく沈黙した。
無表情なのはいつものことだが、今は表現に困るという態。]
……… おまえは白くて細いからな。
[婉曲表現ながら、よく似あっていると白状した。]**
[きっと怖かった。
からだを開き、そしてこころを開けば、知られてしまう。
無力という罪に潰れ破れた空蝉の裡を覗かれれば。
愛されるべきは、なにもない 卑小な存在]
コンラート 、…コンラート
そばにいさせて どうかゆるして
[水底に凝る憎悪。
自分自身を愛することはきっと二度とできない]
[ムースは口の中でふわりと溶け、ウエハースはさくさくと軽い。
食べた、という感覚はあまりなかったが、喉を下る感覚は悪くなかった。
味がわからない、というレトを見やる。]
味覚の半分は嗅覚だ。
慣れれば補うこともできる。
俺も血の味以外は鈍いがな。
血の味には敏感になった。
[ムースを透かすように翳し、次いでもう一度匂いを嗅ぐ。]
若くて健康な娘の血だ。
甘味と合わせるに最高の素材だ。
[血を使った料理は一部で需要があるし、気取った晩餐会などでは技の粋を尽くした料理が並ぶこともある。
そういったものを出されたとき、自分はだいたい香りと食感で楽しんでいるのだと軽く説明した。]
もっとも俺は生が一番だがな。
[生きている獲物から直接啜る血が何よりだと。]
[けれど、恍惚の死のうちで触れた蝶の魂のかたちは、
漠然と思っていたよりも遥かに哀しく儚いものだった。
永久に等しい時のなか、
幾度となく裏切られ、貶められ、踏み躙られたのだろう夜の魔物。
それでも手を伸ばし、ただ純粋に愛情をもとめて移ろう無垢な魂が、腕の中にいた]
コンラート
[自分は愚かだ]
そばに、いるから ──コンラート
[何度も何度も、名を呼んだ。
望まれるままその身を引き裂き、壊しながら。その身とこの心に刻み込む。
この 傷を抱いて莞尒と微笑む魂を、どうして
愛さずにいられるだろう*]
この菓子自体は、相当な贅沢品だ。
丁重なもてなしだったろう。
後で礼を言っておけ。
感想は、食べやすかったとでも言っておけばいい。
[なんだかんだ言いながらも、器に残ったムースまでぺろりと綺麗に舐めとった。]
― 街へ ―
[だいぶ片付いたとはいえ、やはり色々ごった返している部屋の中、男は木製椅子に腰掛けて珈琲を片手に。
ダーフィトには普通の紅茶を出し、茶菓子はダーフィトの分だけは特製のトライフルを置く。]
――今日は街にいくよ!
まあ、行き先はクロノスだって、決まってるんだけど……
そこにちょっと、ダーフィトを連れて行きたいとこがあるんだよね。
[街へ向かうことは確定事項、あとは色々準備をするだけだ。
夕方の一服を済ませたら、トランクに大量の物を詰め杖を手に、モカブラウンのフロックコートに身を包んだ。
ダーフィトの準備もできたなら、例の馬車>>0:253で街へと向かうだろう*]
― 幕間 ―
[身の回りのことが出来るようになると、ディークは徐々に周囲へ関心の範囲を広げた。
血の兄弟達と交流をもとうとするのも一つ。
試験から数日後、
コンラートの制止をふりきって、トールとアレクシスの元へ贈られたのはクッキーのお礼の──]
本を見て作った
良かったらお茶の時間に
[届けた顔は微かに上気して、嬉しそうにも見えたかも知れない。
ふんわり膨らむどころか、見た目も食感も漆黒の岩石そのものな恐ろしい姿のチョコレートスフレを押し付けたのであった]
[そういえば結局、あれからメイドの血兄弟は訪ねて来ない。
一度散策中に廊下で出会ったが、なんとなくそそくさと逃げられた気がした。
肌の露出も艶かしいマーメイドラインのドレスを、似合っていると褒める間もなかった*]
[ロー・シェンの指導に、こくりと頷く。
ムースに混ぜられた血の提供元まで目利きしてみせる様子に、またいい手本を見せてもらったと喜んだ。]
もっと感覚を研ぎ澄ませるようにする。
[気取った晩餐会の話には、ふうん、と感嘆しつつ。
ロー・シェンもフロックコートとか着たりするのかなと想像してみた。
あの白銀の人が礼装似合ってたから問題なさそう。
ローシェンはスタイルも姿勢もいい。無駄のない動作は礼服でさらに引き立てられるだろう。
そういえば、吸血鬼って生活費どうやって得てるんだろうなと、唐突に思ったり。]
[後で礼を言っておけ、との指示に、ふたりしてツヤツヤに舐め上げた器を掲げてみた。]
わかった、ちゃんとお礼する。
なんか入れてお返ししよう。
ポプリとか、トリュフとか、ヤコウタケとか。
森に行ってみない?
[ついでに別のハンティングも、と誘ってみた。
やっぱりというか教育の賜物というか、生がお気に入りである。]
― 街へ ―
[そうして]
クロノス?
[読みかけの本から視線を上げた。
泊まりで、と聞けば無表情の口元が緩む]
一緒に?何か買うなら俺、金ないけど…行く
[雑踏の中をコンラートが歩いているところを想像出来なくて、首を傾いだ]
昼はどうするんだ?宿に篭る?
[腕の中にあたらしい愛し児を抱き、
余韻の残るはだえに男の髪の零れるのを感じて。]
――僕は君が思っているほど、素晴らしいものではないよ。
[苦さを滲ませ呟く。
それでも、祝福与えるように額に口接けた。*]
― 数日の後 ―
[あれからディークの調子はだいぶ良くなった。
時間をかけずに身の回りのことが出来るようになったし、少しずつ新たなことにも挑戦するようになった。
コンラートはと言えば、相変わらず自室で気怠げに寝そべっていることが多かったのだけれど、ディークが望めば館内の散策に付き合うこともあった。
そんな折には、ぽつりと思い出した昔の話をディークに語って聞かせることもあった。
概ねは平安な日々が静かに過ぎていったが。
ひとつだけ問題があるとするなら、血酒の消費がやたらと多く、早くなった。
夕暮れから夜明けまで、日がな一日グラスを片手に血酒を啜っているので、給仕が追いつかない。
遂に、樽で寄越せ、と言い出して、地下のワイン貯蔵庫の管理人を嘆息させた。]
[莞爾と笑い、すっかり本の虫となったディークの前髪をくしゃりと乱す。>>44
彼が前に、文字を覚え直すなら本を自分で選びたいと言っていたのを憶えている。]
金なら少しくらいはあるよ。
それに、何も無くたって、一緒に街を歩くのは楽しいと思うよ。
[昼は?と聞かれれば、ん……とこちらも頭を傾けて考え込む。]
天気が悪ければ外を歩けるんだけど……
でも、君の方がな……
[コンラートの血統は、どうやら長じると陽光に耐性がつく血筋のようで、齢を重ねた今では夜明けや宵、濃い曇天や雨天の弱い日光の下なら燃え上がらずに歩くことができる。
直射日光でも、2、30分なら何とか灰にならずに耐えられる。
だが、あくまで耐性があるというだけで、陽に当たると恐ろしく消耗するので、好んで昼間に出歩くことはしない。
あくまで、必要に迫られればやる、といった程度である。]
とにかく行ってみようよ。
昼、宿で過ごすかどうするかは、着いてから決めよう。
君に色んなものを見せたいんだ。
[ディークの腕を引いて立たせ、早く、と子供のようにはしゃぐ。
コンラートの行動指針は基本的に、必要に迫られなければ無きに等しく、非生はすべからく行きあたりばったりである。
だからこそ、何度も禄でもない目に遭ってきたのだが。]
一緒に歩くんじゃなきゃ困るな
一人にしといたらきっと迷う
[館の中ではほとんど迷わなくなったが、それは何度も通って部屋や廊下の形を覚えたからこそ。
方向感覚と同じくらい、相変わらず時間の感覚も乏しかったが、昼と夜のリズムは掴んでいた。
陽の出る時間になると体が重く、眠くなる。
無理に起きていようとしても疲れるだけで得なことは何もなかったので、素直にすぐ寝ていた]
…試したことないけど、俺には無理じゃないか
[昼の街を散歩する。それができれば懐かしくも嬉しい体験になるだろうけれど]
[腕を引かれて、楽しそうな様子にこちらも微かに笑った]
行こう
どうせなら馬を借りられないかな?久しぶりに乗りたい
生きてる本物じゃなくてもいいけど……見た目は普通な奴で
[簡単に準備を整えて、
二人街へ繰り出した]
― 私室 ―
[別に...は女装ばかりさせているわけではない。
女装と男装。どちらも同じぐらいさせており着る服によって美少年と美少女のどちらの姿も覗かせており、双方ともに微力的だ。
それを男装だけとしてはせっかくの魅力が勿体ない。
一つの可能性を閉ざしては片目片手片足で生きるようなものだ。そのような不憫なことをさせたくはない。
…という優しい親心>>31>>32は今回も通じなかったらしい。
何処にもいきたくないというファミルは重症だ。結果向かったのはオペラハウスであった。
列に並ぶ必要などあるはずもなく。過去数度訪れたクロノスのオペラハウスに連れであるファミルの手を取りエスコートをしながら顔パスで入場する。]
― オペラハウスロビー ―
楽しめたか?
[昼の時間を過ごす間に、いくつもの演目をみて、いくつもの幕を見た。
極端ながらも人のもつ良し悪しからくる悲劇や喜劇は滑稽といえた世界を退屈することなく眺めていた...は演劇の台詞を口ずさむファミルを見る]
ああ、清濁をもち、大笑し激怒し悲哀にくれる。そんな人の人らしさがよく出ている。あそこまで感情を表に出すのはなかなか好ましい。
それにあの俳優たちだ。全てがすぐれているとはいわないが、すっかりと自分以外の何かになりきる…変われる姿というのを見るのも興味深い
[普段よりもなお饒舌に問いへと答えながらも、ファミルの手を取り人の流れに乗ってロビーへと向かう]
[夜の街を彷徨おう傍らの連れの様子>>34がおかしいのにはすぐに気付いた
だが何に驚いたのかはわからなかったが、その元凶がこちらに来たことで気づいた]
そうであるか。偶然というものがあるようだ。だがこの子は演劇を観覧するのが好きだが人見知りするタイプでな。あまり見ないでやってくれぬか。
[顔をそむけるファミルと初老の男との視界の間にさりげなく入り、丁寧ながらもほぼ命ずるように初老へと告げた]
あ、の、呆れた…かな…?
[羞恥心に顔に血が上るような感覚を覚えながら沈黙を耐えた。
呆れられたとしてもやむなしである。
が、耐えた後にロー・シェンから発せられた言葉に軽く絶望を覚える。
真祖のチャイルドであろうと、嘘やお世辞を言うタイプではないと踏んで尋ねたからこそ、その言は疑うわけにはいかなかった。]
………そう………
………ありがとう………
[半分泣きたいような気分になりながら、
自分の身の回りの世話(主に着替え)をしている者以外が女性扱いしてくるのは本当に勘違いされているのだと漸く認める諦観の境地に至ったのだった。
居た堪れなくなって、その時はそれでロー・シェンの元を辞したとか。*]
― 第二試験前のある日 ―
[>>43 その日は淡いブルーの肩と背が大きく露出したマーメイドラインのシフォンドレスを着せられていた日だった。
外套を羽織り忘れて部屋から飛び出した所、ディークと遭遇して思わず固まった。
自分の恰好を見下ろす。
軽く眩暈を覚えながら、微かに(見様によっては恥じらうように)そそくさと部屋へと戻る。
この間のお礼に伺わなくては、と思っているのだが、なかなか機会を作れずにいた。
尚、男物の服(真祖プロデュース)と女物のドレスは1日置きに交代で用意されていたが、
その容姿から着替えに携わる使用人以外は、男物を着ている時の方が、可哀想にという目で見てくるところから、女性だと判じている者が多数の模様。*]
[さっさと手慣れた様子で服を選び出し、ディークに宛がう。
ディークに選んだのは、機能的なツイードの旅装。
乗馬をしたいという意を汲んで、丈夫で動きやすく、汚れの目立たないものを。
自分自身には、取り合わせで洒落て見えるものの、ありきたりのコートに白いシャツとネクタイ代わりのスカーフ、色味の薄いズボンにベストという、何処にでも手に入る衣服を選んだ。
華美なところのまるでない、ごく普通の市民の着る衣服。
試験のためではなく、それがコンラートが街歩きでいつも選ぶ服だった。
― 御礼状を受け取り ―
まめなやつだな。
[届けられた書状に目を落としながらつぶやく。
我に拝謁をし言葉を授けた以上、当然であるという思いが半分ともう半分はチャイルド自身の素養だろう。
自身が宛てたのとは違う型に沿った文から伺う人格と、見え隠れする己の養子への見て取りながら種々のドライフルーツへと視線を移す。
食事の類はあまりとらず、それでも果実だけは好みでとっている...にとって手紙とともに送られた品を受け取るのは機嫌を損ねるものではなかった*]
馬に乗りたいなら、馬場に行く?
それともここから馬を借りて、街まで乗っていくかい?
遠乗りが出来るよ。
[さりげなくここから乗っていくのを勧めたのは、敏感な生き物である馬が吸血鬼に怯える可能性を考えてのことだった。
勿論、血統によっては無条件に動物に好かれる、もしくは操れるという血族もいることはいる。
ただ、もし万一馬に拒絶されたりしたら、変わってしまった自分自身にがっかりしはしないかと、それが気になっていた。
吸血鬼を乗せることを前提に育てられる馬ならば、そんなことにはならないだろうと思ったのだ。]
そうしろ。
もっと自分を研ぎ澄ませ。
その先に見えるものがある。
[見せてやる。
意思を伝えるは言葉にあらず。]
[狩りへの誘いには、口角を上げた。]
効率がいいな。
よし。行くか。
[茸を狩りに行って、茸狩りに来ている人間も狩る。
実に吸血鬼らしい夜を過ごすために、器を置いて外へと向かった]**
[初めての服も、手間取ることなく難なく着替えを終え]
…なんだか落ち着かない
[新鮮だ、という意味で。
真っ白ではない衣装を着たコンラートに目を細める。
顔も見ずにすれ違うだけなら、まるで普通の若者のように思えるだろう。
お忍び、という言葉が脳裏に浮かんだが、
こっそり街に遊ぶ主を守って付き従うような立場ではもうなかった]
遠乗り。借りていこう
[折角出かけられるのに、馬車の匣などに押し篭められて大人しく揺られるのは勿体ない。と]
ん…。
健闘をな。
[衝撃と絶望と諦観と。
肩を落としてどんよりした影を頭上に漂わせて去っていくファミルの背を見送る。
陽に焼くは論外だし、鍛えて筋肉がつくかは甚だ怪しいからな、などと内心で思っては、彼の先行きに幸あれと願うばかりだった。]*
[借りた馬は、脚が六本生えているとか首がないということもない、普通の真っ黒な青毛だった。
当然のように、コンラートが鞍に乗れば自分はその後ろに跨がって手綱を握る]
競争したかった?
[耳元に尋ねかける。
この青年が馬に乗れない可能性を思ったわけではなく、どうせなら一緒に、の気持ちで。
二人分の体重を乗せられた馬は抗議のように嘶いたが、
一度駆け出せば馬離れして、風のように疾かった]
― 街へいく日・自室 ―
身長が逆なら、幻惑術の練習の一環として、女性物を着せようと思ったんだけどね……
自分自身に幻惑をかけても立ち振舞で看破される事が多いから、練習できる時にしときたかったんだけどな…。
[その表情を窺う限り、真面目にいっているようだ。]
背丈が違う幻影をかぶせた時も、目線に注意しなきゃならないから……まあ、今回じゃなくても、そのうちできるか。
[その表情を窺う限り、真面目にいっているようだ]
ダーフィトと僕で身長が逆なら、女中と御曹司の道ならぬ恋みたいなテーマで揃えたんだけど……
[その表情を(以下略]
髪を結ってブラウスにスワールスカートとか似合うと思うよ?コートは僕に合わせて茶系になるのかな…
カフェブラウンあたり?
[そのひょ(以下略]
― クロノス ―
[貸本屋をひやかして長居した後、祭りめいたナイトマーケットを歩く。
あれこれと示してははしゃぐコンラートと歩くのは、なるほど楽しいものだった。
一度にあまりたくさんの情報が飛び込んで来て、処理しきれずに軽くパニックになりかけても。握った手に力が篭もるより早く、察して人ごみを離れ休憩させてくれる]
[休み休み、街歩きを楽しむ。
お金を使わせて遊ぶ気はあまりなかったよう、途中で砂糖菓子だけ少し買った。
どうやら自分は甘いものが好きらしいと思い出したのは、いつぞやの手作りクッキーを養親の分もぺろり平らげてから。
体が変わってから人間の食べ物のほとんどは味気ないか、匂いがキツすぎると感じるようになっていたが、糖分だけは好んで摂った。
岩石スフレも自分では甘くて美味しかったと思っているあたり、味覚の質はかなり怪しい]
どこか、行きたい所が?
[並んで歩く二人に向かう視線は少ない。
今のところ、試験経過としても上々だった。
コンラートが望むところや、自分に見せたいと思うものがあるならば。と。
多少の疲労感を上回る楽しさに微笑んで]
──それか、食事とか…
[視線は、夜の街を行く人々の間を少し動いた。
部屋にいる間中、コンラートが血酒のグラスを手放さないことは気になっていた。
雛を養うためにたびたび血を分けてくれるけれど、自分が彼を満たされるだけ返してあげられるわけもなく]
……あ、家庭教師とお坊ちゃんならいける気がしてきた。
[ダーフィトの性別が男のままでも家庭教師でいけるのだが。
見事にすっぽ抜けている]
― 幕間 ―
(……うっ、固い…)
[最初の試験から数日後、アレクシスと共に迎えたティータイム。
ディークがクッキーのお礼にと、自分で作って届けてくれたチョコレートスフレをいただいたところ、
牙すら折れそうな固さに思わず小さく呻く。
血兄弟達との交流にも少しずつ慣れてきたようで、それまではあまり表情に変化を見せなかったアレクシスも、
最近はとても色んな表情を見せてくれるようになった。]
――確かに固いけど…でも、なかなかに美味しいね。
[>>55口中でがりがりと音を立てながら噛み砕くだけば、
炭に似た苦みの中に感じる確かなカカオの香りと、わずかな甘みが口中に広がり、若干癖になりそうだ。]
ディーク君はあんなに良い笑顔を見せてくれるんだね。
アレク――…君も、とても良い笑顔を見せてくれるようになった。
――2人とも可愛いよ。
[アレクシスの喜びが伝わり、こちらも嬉しくなる。
ディークによるスフレの腕はこれからに期待して、紅茶で喉を潤しながら微笑むアレクシスに目を細めた。*]
──んー…
[さざめく人波を眺める赤錆は、獲物を品定めするごとき色。
路地の隅で餌を漁っていた鼠が、慌てたように穴へ潜った。
吸血鬼の気配にか、それとも山猫の匂いでもしたのだろうか。
もはや自分が人たりえないことは自然に受け入れていたが、流石にかつて戦場を共に駆けた馬達に怯えられたなら、軽く落ち込んだかも知れない]
[そうして街に遊ぶ夜の住人達へと訪れる足音は、1(8x1)]
― 街へ ―
[最初の試験から1週間が過ぎる。
その間も中庭でレトと組み打ちする姿はたびたび見られ、時折森へ足を延ばしていた。
やがて評議会よりの新たな通達を受け取って、レトを呼ぶ。]
街へ行くぞ。
泊まり支度をしておけ。
[それだけの説明で、外へ向かう。
このところは身の回りの世話もすべてやらせていたから、準備に不安は抱かなかった。]
支度が出来たら門の前に来い。
[言い置いて、自分はさっさと外に出る。]
― 門の前 ―
[支度を終えたレトが門へやってきたならば、まず音に気づくだろう。
低いうなり声のような音。]
来たな。
行くぞ。
[二輪の車に跨って、レトへと声を掛ける。
最初にレトが乗っていたものにも似ていたが、違うのはエンジンを備えていることだった。]
後ろに乗るか?
そいつでついてきてもいいが。
[自転車が欲しい、というレトの要求を叶えるべく探していたら、原動機付のオートバイも見つけてしまったというわけだった。
門の側に止めてある自転車を示しながら、どちらでもいいぞと笑う]
[深層の令嬢をエスコートする貴族。と見えなくもない組み合わせは、特に周囲に違和感を感じさせることはなく。]
ああ、好きだ。
[ファミル>>62の問いに間断をおかず答える。これだけ長く続く趣味というものもなく。その人間の感情を大袈裟に表してものを見て、生きている自分の感情を揺さぶるように委ねるのもまた好きだ。
そうやって猥雑とした空気に紛れ込むのも趣味である。]
[回復術じゃなかったし。と言い切られれば憮然とした顔になるものの、陣を幻として出して効果を乗せた、という説明を聞けばすっかり忘れた。それがどれだけ難しいものなのかは分からないけれど、それを使いこなせれば――]
効果が変わったのって陣の影響なんかな。それか元々失敗してたのか。
[色々な魔術と陣の組み合わせを調べてみるのも面白い、と提案もしてみた]
[何か言いたげな様子の初老>>63。時間と手間をとらせ、こうして気晴らしにきている邪魔をされ不機嫌そうに目を細め冷え冷えとした空気が漂う。]
それでは失礼する。
[諦めて去る初老へと手短な言葉を発し、せっつくように腕をひくファミルをつれてオペラハウスより夜の街へと出ていった]
― 夜 クロノス ―
知り合いか?
[月の明かりと街灯に照らされた夜の街であるが、未だ街は眠らない。これからが本番となる場所がある。賑わいの音のする市場へと向かいながら、常とは違う様子であったファミルへと話しかけた]
― 出かける前 ―
[紅茶を片手に、散らかって色んなものが雑然と乗っかったテーブルの一角を応急的に片付け―脇に押しのけただけともいう―そこにトライフルのグラスを。最初はもう少し頑張っていたけれど、片付けた端から散らかるのでだんだんとこの状況に慣れつつある]
街?いいのか?
[そう聞いたのは、人のいるところへ行ってもいいのか、の意。連れて行きたいところがあると言われると少し首を傾げながらも頷いた。知らない街故特に行きたいところも思いつかない。ステファンが行きたいというならついていくつもり]
あ、でも服は欲しいな…
[自分の着ているやけに仕立ての良いシャツの襟を、着心地悪げに引っ張った。自分の服を血で駄目にしてしまった代わりにと、何着かの服を与えられたのだけれど、どうにも着慣れない]
[服に趣味など特になかったため、気楽になんか見繕ってといえば返ってきた答え]
…いや。ちょっとそれは。
[練習、という名目なのは断りにくいものはある。が、女性物の服はごめんこうむる。断ったものの、次に提案されるのも女性物のようで。具体的にコーディネートまでされれば断る声にも本気が混じりだした]
/*
ぐぐる先生から抜粋---
自動車は、1769年蒸気自動車、1870年内燃機関(ガソリン式)自動車。
自動二輪は、1868年蒸気機関式二輪車、1885年内燃機関式二輪車。
---ココマデ
…バイクも自動車も…ある…だと…!!
そうねそういえばリボルバーも19世紀にはあったね。
意外と文明レベル高いぞ19世紀。
馬車ばっかだと思ってたわ。
― 街へいく日・自室 ― >>76
うん、街での行動にも慣れるようにテスト、だからね。
それに僕らは特に、市街地に慣れなきゃいけない。
[彼を正式に家に迎えるならば、彼が忌避しない仕事を与えるならば、必然的にバックアップの仕事が多くなる、と。
服を買いたいと言われたならば――…]
夜間にやってる既製服の店はあったかな…
あちらに着いたら聞いてみるよ。
それがなかったら、生地を見に行くのもいいね、仕立てを頼む際に楽だし。
[と、同意して。
着ていく服に悩むようなら、グリーテルーのスリーピースとフロックコートを着るように薦めるだろう。
言うまでもなくサイズはぴったりである]
―試験から一週間後―
[たったの7日間で、大きく動いた事柄がある。
まずひとつが主から自分に向いた想いの理由を知ったこと。
それによって「何故」の部分が消え、ぎこちなくも
受け入れられるようになった。]
トール、今日は…?
[それから、呼び方が様付けではなくなった。
嫌味半分、尊敬半分の呼び方ではあったが、自分の親であり
主である事を確りと認識しているという表れでもあったのだが、
今はもうそんな隔たりも必要ない。]
クロノスの街にお出掛けせよと仰っておられるのですか…。
いえ、別に構いませんが…。
[また、血酒はあまり飲まなくなった。
代わりに―――…]
[部屋の中で真似る程度だろうと気安く応じた誘いは、存外に正式な招待だったらしく]
……、ほんとに、踊るのね。
[いいわ、と吐息混じりの応諾を代わりに洩らして、
預けた掌からゆるりと力を抜く]
長時間となりますと、その。
色々と不安な事がありまして…血酒では持つかどうか。
……こほん。
[遂に主の血を口に含むようになった。
最初の内は怖がって何度も謝りながらであったのに、
それも僅か数日の話。]
― 夜:クロノス市街地 ―
[>>75 ナイトマーケットの人々のさざめきも遠いような心地のまま、地面を見つめながら歩いていれば、しばし反応が遅れる]
え、…ああ、……ううん。
[言葉を濁す。首を振る。]
……知り合いなんかじゃない。
[事実、直接話したことは無い。
むしろ、自分が実の父親の顔を知っているとも知らないのではないだろうか。
知り合いなどではない―――司祭でありながら密通し、地位と権力のために自分と母親を捨てた男だ。
やがて老いて死ぬのだ、二度と会うこともあるまいと思えど、こうして顔を合わせれば込み上げてくるものがあった。
事件のもみ消しも、進学の為の支援も、今こうして声をかけてきたことも。
ただただ、何故、と胸に暗雲を立ち込めさせる。]
………父親だ。
− 第二試験より前 / ステファンの教室 −
[最初の訪問から数日後、再びステファンの教室を訪れた。
ダーフィトがいたなら、そちらにも屈託ない笑みを投げて挨拶を。]
この前の、お菓子の皿を返しに来ました。
すごいサクサクしてて、リスになった気分を味わえたよ。
とても食べやすかったです。
ロー・シェンも「良いものを使ってる」って。
ご馳走様でした。
[皿には、夜の森で採ってきた光るキノコがお礼代わりに入っている。*]
/*
また文章がおかしいぞ…orz
ちゃんと3回ぐらい見直してからにしないとよう。
それにしても、可愛いプレゼントを頂いたりして
キャッキャと喜んでおります。
ディークさんまじかわいい…なでこなでこして差し上げ
たい
けれど、それはコンラートさんがすべきですものね!
がまんがまんじっとがまん。
日が落ちたくらいなら動けるから…少し早めに出るか。
[夜間に既製服の店は難しい気がして、そう答える。仕立て、との言葉には少したじろぎ]
…そんな立派なもんじゃなくていいよ。とりあえず着て動ければいいし。
[小さくそんな口を挟む。
服は当然のように何を着たらいいのか分からずにお任せしたらスリーピースとフロックコート。着てみればサイズはぴったりなもののやはり落ち着かないようで]
一回家帰れば…いや。
[自宅から持ってこようかと思ったけれど、あんなことがあったのだ。きっと自分は死んだものとなっている。帰れば問題になるのは必至と即座に打ち消した]
― 夜:クロノス市街地 ―
[首を振ったところで、納得のできるものではない。これが正常でないことはわかる]
話せ。
[知り合いでないならばなんなのか。急かすつもりはないが、己の養子の害あるものかどうかは確認しておくべきところとみていたが、意外な言葉>>82が返ってくる]
……そうか。
[何かあだったのだろうという想像は難くないが]
今は我が親だ。頼れ。話さねばわからぬ、自身で解決できるならばよいが、聞くことぐらいならばできるぞ。
[種をたがえることになったことを悔いているのか。それとも別か。ただ曇り顔を見て苛立つ気持ちを押し殺した常の通り振る舞った]
― 街へ ―
[>>79最初の試験から後、真祖の君に『完全無欠』の花言葉を持つ南国の果物を送ったり、
血酒を持参してアレクシスと共にコンラートの部屋に招待されて、親子ともども歓談を楽しんだり。
アレクシスも血の味や館内の生活に、随分と慣れて来たようだった。]
そうだよ――。
一昼夜街で過ごすのが、今回の試験だ。
[アレクシスにとっての「なぜ」は、自分が思いを告げたあの日から消えた。
呼び方からは"様"が取り除かれ、
2人の関係はすでに養い親とその子から――対等な恋人へと、姿を変えている。]
心配しないで、アレク…。
[不安を口にする恋人の名を呼び、抱き寄せる。]
[言葉通り招かれたダンスホールの中央。
仕切り直された誘いに、形通り淑やかに応える。
右手をとられ、背に馴染むようにすっと掌が添う]
[音を刻む前に、先ずパートナーは質疑を始めた]
…ええ、でも。
ダンスは建前で、趣旨は別の所にあったんじゃあ――?
[書状に目を通した直後、銀髪の主が見せた底冷える視線>>1:655
それより後は、厳しくも穏やかな態度で終始遇された。
別れ際に注がれた、愛でるかのような眼差し。
教授の件に敢えて素知らぬ振りをとっているとは思えなかったのだが]
……。まさか。
あなたの言ってた“簡素な書状”というのは、具体的な
内容も、文面からは省くという意味…?
― 街へ ―
[少し歩いて、城館付属の厩舎に行く。
馬が好きらしいディークは、乗る馬を自分で選びたいだろうと、玄関に差し回してもらうのは止めにする。
丹精に手入れされた毛並みの立派な駿馬が並ぶ中から、選んだのは夜のように黒い青毛。当然のようにディークが後ろに跨る>>60のには、少し翠を瞬かせたけれど。
手綱握る腕の間に囲われると、心地良さそうに背を預け、目を細めた。]
ん……そんなに馬に乗るのは上手くないから。
[巧みな手綱捌きを見れば余計に、彼について行けるかどうか分からなかっただろう、と思う。
伝わる馬のぬくもり、吹きつける夜風。
そして背に感じる、守られている、という感覚。
誰かに抱かれて馬に乗るのは近年なかったことで、久しぶりの遠乗りを楽しんだ。]
大丈夫だから、すべて俺に任せて。
[彼の懸念を払拭するように、自らの舌を牙で噛み貫きアレクシスの唇を奪い、
自らの口内に溢れる深紅を流し込んだ。
誘うように逃げ惑う彼の舌を捕らえ、決して逃がさぬと自らのそれで絡め取る。
それは初めて身体を重ねた時と同じもの。]
正装や紳士服は仕事で着ることがそれなりにあるから、少しは着慣れてもらわないとね。
[生地の柔らかさを重視するなら、いっそ女性物の服でも着せてしまおうかとは思ったものの、本来の目的から離れてしまう気がしたのでここでは我慢する。
正装に慣らすために全部の服を仕立て直してもらうべきか…と思ったことも胸のうちに秘めておこう。
向かいの席で、身の置きどころがなさそうにしているダーフィトを微笑ましく眺めながら一路クロノスへ――…
馬車から降りれば、太陽はもう沈みきってた。]
……あなたは。
私の”親”なんかじゃない。
ただの”身許引受人”だ。
[最近では受流していた言葉に、苦いものを思い出す。
声が帯びるのは、此処最近はなりを潜めていた、最初の頃のようなとげとげしさ。
人としての親でも、吸血鬼としての親でもない、あらゆる意味で他人だと。
今更強調することもなくお互い解りきっていることを、言わずにはいられなかった。
それくらい、酷い気分だった。]
―――私は、”親”なんてものはもう沢山だ。
[八つ当たりに近い感情をぶつける。
憎しみとも、戸惑いともとれる感情を揺さぶられる中、冷静に話せるほど、平静ではいられなかった。]
ー 街へ −
[ロー・シェンとの過ごす夜が重なる。
やたら遠くから跳び蹴りを仕掛けて足首を掴まれてぶら下げられたり、その状態から回し蹴りを試みてみたり。
森に行って、「スリングショットの弾」と称して木の実を袋いっぱいに持ち帰ってみたり。
服を破かれて戻ったり。
ヤコウタケをステファンの贈り物にしたり。
そんな一週間が過ぎたところで、ロー・シェンから、泊まりがけで街に行くと言われた。]
わお。
[お出かけ! と、はしゃいだ後で、遊びじゃないんだろうなと思い直したけど、気分が高揚するのは同じこと。
支度といっても、自分はもともと放浪生活に慣れているし、ロー・シェンに何が必要かは、半月も同じ部屋に暮らしていればわかる。
背嚢ひとつで事足りた。]
― クロノス ―
[貸本屋に立ち寄った後は、ふたりで夜市をそぞろ歩く。
屋台をひやかし、街頭楽師の奏でるフィドルに耳を傾け。
途中、ディークが欲しそうだったので、甘い菓子を買って食べながら歩いた。
自分は固形物を食べられないけれど、ひとが美味しそうに食べるのを見るのは好きだ。
ディークが嬉しそうに平らげるのを見ると、自然唇が綻ぶ。]
ね、今度はあそこへ行ってみよう。
[最近流行の科学見世物を指差し、子供っぽく袖を引っ張った。
その声に、通り縋りに通行人のひとりふたりが振り向いたが、すぐに興味なさそうに目を戻した。
青年の美貌が誰の注意も引かないのは奇妙ではあったが、何故か自然に見過ごされていた。]
[呆然としながら、リードの侭に足を踏み出し]
本当にダンスの教授が試験内容だったのなら、
私、『行うべき事』は何一つやってこなかったわ……
あなたの顔にできるだけ泥は塗らないようにするって、
自分でそう言ったのに。
…それに。思い込みで、物を言ってしまって。
ごめんなさい。
[部屋で主が見せた表情を思い出し、眉を下げて囁く]
− 門の前 −
[バルバルと何か鳴っている。
地を這うドラムのような鼓動。
何事かと走ってゆけば、ロー・シェンは、がっしりとした鋼の馬を御していた。]
[驚嘆と羨望の入り混じった声をあげて駆け寄る。]
うわー、うわー
カッコイイ!
[後ろに乗るか、と誘われて目を輝かせたものの、もう一方の選択肢を示されて見やれば、新しい
こだわっていたのを覚えていてくれたのだろう。]
スゴいじゃん!
オレは、自転車で行く。
[即決して、サドルにまたがった。]
そっちはエンジン出力の限界があるけど、こっちはオレの力でいくらでもスピード出せる!
挑戦だ!
[意気揚々と主張したけど、目的地がどこにあるのか、まるで知らないのだった。]
[危なげのないリードに、暫し身を委ね]
――…でも。
見るべきもの…というか。
あの御方のお目に掛かれたのは、良かったと思っているの。
[呟いて、自分の言葉を確かめるように頷く]
― クロノス市街地から――まで ―
ああ、そうそう、今回は泊まりでだから、服は明日ね。
[日程までは口にせず、泊りだということを簡単に伝える頃には、目的地までやってきた。
馬車が止まるは大通りから一区画挟んだ道沿いで、それほど距離は離れていないというのに、こちらは人通りがあまりない。
ダーフィトが降りにくそうにしているのなら、手を貸すだろう。]
ついてきて。あ、あと物盗りに注意。
[軽く注意を飛ばして歩を進め、更に細く入り組んだ所を抜けて、裏通りへ入る一本手前の街灯下で、児童文学の引用文が記されたビラを四枚受け取った。
受け取りが済めば、ビラを折りたたみながら、元きた道を戻っていく。
紙を折る事に集中しているというのに、行き交う人を避けて進むさまは、目が他にもついているのではないかという程だ。]
[そしてくるのは大通り、パブの一つに入ったならば、店の主人へと「二人によろしく」と言いながら、手紙の形に折りたたんだ四枚のビラを手渡した。
手紙を受け取った主人は「プライベートルームへ」とだけ口にしてニヤリと笑ってみせるだろう。
そこでやっと男は立ち止まり、生徒へと言葉をかけた]
……ダーフィト、疲れてない?
もうちょっと歩くよ?
[今しがた“プライベートルーム”へ案内されたわけなのだが、男の言葉は目的地はまだ先だという言いようだ]
……。
[差し向かいの馬車の中、正装に慣れろと言われるとその言葉の正しさに嘆息が洩れた。女性物の…には今そんなことを考えているとは知らず。
視線を合わせないようにとわざとそっぽ向く形で窓の外に目をやれば、じきにクロノスの街へと到着した]
…
上手に出来て、 俺が満ちたら
吸ってくれるのか?
[自らの首を示して、挑発のいろの囁きを返した]
[――まとう雰囲気が一変した。
コンラートのからだから蠱惑が麝香の香のように艶やかに匂い立つ。]
おいで――行こう。
[愛し児に手を差し伸べ、眩い光の溢れる通りを外れて暗い路地へと入ってゆく。]
[育ったところは田舎の小さな町。
職についたのは、そこよりは幾分大きいとはいえ通りを埋め尽くすほどの人ごみなど、年に一度の祭りの時くらいだ。
そんな環境で育った身にはこの街は信じられないほど人が多くごった返しており。ぶつからないように気をつけながら歩いていれば、自然と連れとの距離が離れる]
あ?ああ…
[注意といわれてもなにに注意を払えばいいのやら。とりあえずはぐれるともう会える気がしないので、多少ぶつかろうとも彼の後ろ姿は視界から消えないようにして]
[七夜のうちに、閨で幾度も交わした血と肉の交わり]
……ふ
[くっと色めく唇が弧を描いた。]
吸ってあげる。
……上手くできたらね。
[そして入った建物は、ステファンは慣れた様子だけれど、物珍しさにきょろきょろと見回していれば急に彼が振り返り、歩くよ、と言われる]
疲れてはないが…
[どこへなにをしにいくのか。そう問いたい気持ちではあるが、彼の楽しげな様子をみれば、きっと驚かせたいのだろうと]
ん。
[素直に頷き、向かう先について歩く]
[差し伸べられた手をとって、アーク街灯の眩い光から離れる]
俺は、好きに選んでいいのか
[蠱惑の香。匂い立つそれに背がざわついた。
路地の石畳を踏む靴底からふいと音を消す。
瞳孔が緩く開いて、虹彩に緋が灯った]
それは正解かな。
[微かな音の流れに娘を導きながら返答を聞く。
ダンスの手解きを、と言った理由は、]
絶対必要ではなかったけど、一番解りやすいから。
[狭間の葛藤を持ちえなかった者、
世を我が物として鷹揚たる、生まれながらの王を
肌身で学ぶこれ以上の機会はないと胸中にあった。
彼女にダンスの心得はある事が予想できていたし、
本人からも言質を得られたのだから、尚更。]
[託した書簡にそれを書かなかった理由は、]
最低限の事しか書かないと伝えたつもりだったし、
必要な事は書いたよ。
お膳立てが要る程ではないと思ったのだけど……
もしかして、言い出せる雰囲気ではなかった?
訪問している間に、何かあったの。
[因みにアイリス自身の粗相という発想はない。]
できないなんて、
思っていないだろう
[とろりと緋色を揺らめかせ、
腰を引き寄せて笑み乗せた唇にキスを落とした]
俺で満たしてみせるよ
今言った通り……ダンスである事は、
有効ではあるけど必要じゃなかった。
[彼女が見るべきものを見、行うべき事を行ったと
そう答えられるならば。
何も考えずダンスのレッスンだけ受けて帰る方が
余程己の(真祖の君もかも知れない)機嫌を損ねたろう]
[そして、かのお方に見えた感想を聞く]
……そう。それなら、良かった。
さて、そろそろ行こうか。
このままだと、君に溺れて試験の事を忘れてしまいそうだ。
[>>96名残惜しさを隠せずに、深く貪りあっていた唇を離ば。まだ変身の術に慣れず助けを求めて来た彼を思い出し、啄むようにもう一度キスを落とす。]
君は、絵画や芸術は好きかい?
あそこには大きな劇場や美術館もあるんだ。
[そうデートに誘って、外出用には仕立ての良いダークカラーのスリーピースに着替える。マントとハット、ステッキも忘れずに。
アレクシスには、同じ物の色違いを勧めて、彼も着替えを済ませてしまえば。
どこからどう見ても"人"として違和感のない紳士が、2人誕生するだろう。
用意していた馬車へと乗り込み、クロノスの街へと向かう。まさか、この時は3(8x1)]に巻き込まれるなど、思いもよらず――。]
― 城館の門 ―
[自動二輪を見てはしゃぎ興奮する姿も、
嬉々として自転車にまたがる姿も、
活発な仔犬のようで、可愛いものだなと思う。]
いいだろう。
[挑戦は受けて立たねばなるまい。
エンジンの出力を上げれば、轟きがひときわ高くなる。]
行くぞ!
[掛け声とともに門より飛び出した。
目的の街まで、しばらくは一本道だ。
全身に当たる夜風が心地いい。]
[明かりから遠ざかると、舗装されていない地面に変わる。
ごみごみとした狭い裏通りは、あからさまに荒んだ気配がしていた。
ぬかるんだ地面には、何とも分からぬ液体が零れ、悪臭を漂わせる。
道端には何か入っているのか分からない麻袋の山が積まれ、死んでいるのか生きているのか分からない襤褸を纏った人間が、その狭い隙間に身体を押し込むようにして蹲っていた。
通りひとつ隔てた先では、ランプの明かりに照らされて、清潔な男女がそぞろ歩いているというのに、ここは別世界だった。]
[“プライベートルーム”から更に階段を下り、地下なのだろう天井まで石で覆われた道を進む。5分程歩き続ければ看板もない簡素な扉の前へ出るだろうか。]
うん、ここが目的地。
[その扉を開いたならば、酒気と音楽が満ちる空間へと――]
― クロノス市街地・闇酒場 ― >>102>>103
[入ってすぐに目を引くのは大きな自動演奏機、大きな楽譜が回る横で、キリキリとネジの回る音をたてながら、巡る木の輪が一度に3つのヴァイオリンの弦を弾く。
突き出た金属製のパイプが動く度、どこに内蔵されているのだろうかオルガンの音が聞こえてきた。
その周りを囲うようにあるバーカウンターで交わす話し声に耳を傾ければ、楽しげな話声に混じって、物騒な単語も飛び交っている。テーブル席では一見して階級が違うと見て取れる者達がカード賭博に興じている。]
[走り出した最初は、あっさりと自転車に先を越されるだろう。
吸血鬼の力で漕がれる自転車はエンジンにも引けを取らなかったし、なによりもレトは自転車に慣れている。
少し遅れてきたところで、腰のナイフを抜いた。]
こいつも武器だと思えばやれるだろう。
[レトが振り回していたあれは、十分に凶器だった。
無茶を言いながら、漆黒の刃を自動二輪のハンドルに突き立てる。
一瞬にして、車体が黒く染まった。
エンジンの唸りがさらに大きくなり、なにかに蹴飛ばされたようにぐんと加速する。]
そら、ついて来い。へばるなよ。
[先に行っていたレトを追い抜き、なおも速度を上げる。]
[二台はチェイスを繰り広げながら街道を爆走し、夜明け前に街へと到達する。
そこで待っていたのは─── 6(8x1)]**
いいや、我はお前の"親"だ。貴様がなんといおうと我はその言を撤回せぬ。
貴様が"親"に対して嫌悪の感情を抱いていようが貴様は私の子だ。
[とげとげしい態度>>90で否定の言葉を上げようとも意に返さず言い返す]
全幅の愛情を注いで育てることのせぬ親もいるが、我は違う。
あのような子の見分けすらつかぬ有象無象などと同じにするでない
[不機嫌にいうと、エスコートするために、腕に添えられていた手をとり強引に胸の中引き寄せた]
良いんだよ。
[『泥を塗らない』為に言われるままにするではなく、
彼女が何の為に何をするか考え、行った事を良しとする]
試す真似をしたのは間違いないのだからね。
真祖の君から返書か何かあれば、後で頂くよ。
それで多分、君が泥を塗ったりしなかった事が解る。
[前菜に味わう軽いキス。
腰を引き寄せる力強い腕に、じわりと熱を感じて。]
……期待しているよ。
[蜜の粘度を持ってきらめく緋に、笑みを深くした。]
― 先日/念話 ―
……そう言えば、また会えるかって話したね。
[こんな日の出前に散歩に出ているのは、
何か思い悩む事情があるからだろう。
まさか女装だから人目に付きたくないのだとは
思いもよらないが]
いつかじゃなくて、今、話したい事が出来たかな?
[強引に胸中へと引き寄せられる。
その所作に抗うことはせぬども、紫水晶の双眸は険しい色を浮かべたまま。]
クレスが私の”親”にしかなれない程度の存在なら
私に あなたは 必要ない。
[怒鳴るでもなく、語気を強めるでもなく。
どこか切ないような苦しいような顔で瞳を細めて絞り出すような声を出す。]
[秘密基地じみたこの場所に、ダーフィトの反応はどうだっただろう]
あれを見せたかったんだ。
[男はそう言うと、男は休みなく機関音楽を奏で続ける自動演奏機を指し示した。]
昔はあれより小さかったんだけどね。
自動演奏機がある酒場があるって話を聞いて
タチアナに見せたくて
ハンスと…君の祖父と
どっちが先に酒場への入り方を見つけるか勝負した。
[そう彼に思い出話を語りながら、男は懐かしそうに目を細めた。
ちなみに、その勝負の行方は「二人ほぼ同時に見つけたのはいいものの、楽しげな事に混ぜなかったという理由で、二人揃ってタチアナから怒られた」という、散々な結果だったのだけど。]
[答え合わせの結果は、誤答でも正答でもあったらしく]
…なんとなく、言っている意味は解るような気がするわ。
[感銘を受けたのは、吸血鬼の祖にというよりは、
種の王者たる者の深淵にだが]
いえ、そうじゃなく。
マスター・アハドには、終始お優しくして戴いたもの。
[苛烈な威厳迸る彼の人の言動を、“優しい”と評するかは
意見の分かれる所かも知れないが]
単純に、ね。
主の書状にない事柄を、遣いの者が上申するという発想が、
私の中になかっただけなの。ごめんなさい。
[ひとえに自分の思い込みなのだと告げて、情けなさに
天井を仰ぐ]
/*
そしてなかのひとも、全く同じ思い込みがあったのよ…(めそらし)
そういう発想がなかった。みなぎるげぼく魂。
ごめんねますたー&ますたーのひと…!!!
そして真祖さまにエスコートして戴く機会をふいにしたことに血涙が止まらないわ。めそり。
行って来る
[溶けるように、路地の闇へ紛れ込んだ。
ひとりで行けば道には迷えど、コンラートの気配ならば見失うことはない。
交えて築いた血の絆を頼りに]
―――…そうでした、このお出掛けも試験の内なのでしたね。
では、また次の機会に。
ご馳走様でした。
[より色濃い彩に染まった舌を覗かせ、薄く笑む。]
ああ、行き先も自由に選べるのですね。
芸術は時代をよく反映してくれます、僕達の知らない時代の
背景を見せてくれることでしょう。
知りたいのです、貴方も僕も知らない時の流れを。
[静かな所で二人、その時々の出来事を学びたいと言い
切りの良い所で向かう先を決め終えると、用意された衣服に
着替えた。]
お揃いですね。
[主と比べると、若干色が明るいめのスリーピースは
形は全く同じ。その為か声が弾んでいる。
ただ、受け取ったハットは目深に被った上に眼鏡も置いて、
顔が良く見えないように気を使っている。]
― 裏路地 ―
[選んだのは、この界隈にあるにしてはまだ健康的な。
ふっくらと丸顔の女。
顔の美醜は気にしなかった。どうせコンラートには劣る]
…失礼、お姉さん
[影から手を伸ばせば一瞬、の相手。
わざわざその前に姿を現した]
― 先日/念話 ―
覚えてくれていたんだね。嬉しいな。
[日の出前、眠気を感じ始めながら微笑む。]
ううん。
まだ、語れるようなことは、何も…
私には多分、まだまだもっと知るべきことがある
……でも、あなたのことを聞きたいな、という気持ちはあの時よりも。
[けれども、陽が登れば、己は起きてはいられまい。]
………また、此処に来るよ。
久しぶりに声が聞けてよかった。
[白み始める空に、あくびを一つ、温室を後にしながら囁いた。*]
― 先日/念話 ―
覚えてくれていたんだね。嬉しいな。
[日の出前、眠気を感じ始めながら微笑む。]
ううん。
まだ、語れるようなことは、何も…
私には多分、まだまだもっと知るべきことがある
……でも、あなたのことを聞きたいな、という気持ちはあの時よりも。
[けれども、陽が登れば、己は起きてはいられまい。]
………また、此処に来るよ。
久しぶりに声が聞けてよかった。
[白み始める空に、あくびを一つ、温室を後にしながら囁いた。*]
[貴族家で身に着けた礼儀正しいやり方で、丁寧に膝を折る。
貧しい暮らしを生き抜くため、主婦と娼婦の狭間を彷徨っているのだろう女へ穏やかに微笑んだ]
今宵のほんのひと時を、貴方にお相手願いたい
いいかな?
[赤く光る瞳に竦んだ女へ、一歩近寄った。
親──養い親譲りの蠱惑を気配に混じらせ、誠実めいた言葉を耳へ注ぐ]
ご厚意に報いる金子はない。すまないが
だが貴方自身を必要以上には損ねないと誓おう
[ 血を。 と囁く頃には腕の内に女を捕えていた*]
― 闇酒場 ― >>115
――オルゴールを歯車に見立てて、機械を動かすような感じかな。
[ものすごいざっくりな説明をしながら、目をキラキラさせる見た目だけなら年上に見えるだろう青年の様子に、嬉しそうに微笑んで。
近づこうとしてもカウンターまでしか近づけないので、特に止めようとはせず、傍を歩く。
演奏機しか目に入ってない青年の、ポケットに伸びた手癖の悪い誰かの手を引っ叩き、店の主人へと視線で合図を。
用心棒にどこかへ連れて行かれるスリ犯には目もくれず、カウンターへと席を取りリンゴ酒を注文した。
その所作から、ここに来慣れているのでは?という事は窺い知れるかもしれない]
[優しいかどうかは、どうだろう。
我様ワールドワイドな愛を与えられて渋い顔をした
執行人を一人、知っているだけに。
しかしながら、同時に種の王からも一線を超えて
貴き存在である事には相違ない]
単なる使いの場合はそうだね、余計な事は言わないかもね。
[腕の中。心を震わせながらも険しい瞳で見上げるファミル>>112を蒼銀の双眸が見下ろす]
何をいっておるのだ。
既にその身その血の一滴まで貴様は我のものであることは変わらぬ。
だが親である我が不要であるというならば……
[片手で抱きしめたまま、闇より出でたのは、最初に出会ったころに取り上げた聖別された短剣]
言葉だけではなく意志を力づくでみせよ。飛び立たんとする意志も力もないものを我は子としか認めぬ。
[鞘をもち、柄のほうをファミルに向けて見せた]
でも、君は僕のしもべじゃないのだから、
……もっと、自分の事を考えて良いんだよ?
[そちらをみれば、少年が思い出を語る。祖母と、祖父と少年の。
改めて音楽を奏でる機械を仰ぎ見れば、一定のスピードでゆっくりとした音楽を奏で続けており――]
そっか。
[祖母との思い出はいくつか聞いたことがあったけれど、祖父の知り合いでもあったらしい。今の話を聞けば二人は恋敵のようなものだったのだろうか]
二人、仲良かったからなぁ。ばーちゃんとじーちゃん。
[しみじみと懐かしげに語られる思い出を聞けば、ぽつりと洩れる]
…二人から聞いてみたかったな。お前の話も。
──…
[ぐったりとしなだれ掛かる女をかき寄せて、口づけを落とし愛撫するような。
見るものにはそう映るだろう姿勢で、眉根を寄せた]
…、
[これはどうすればいいのか。
どこまでやれば死ぬのかを窺いながら、さらりと軽い口当たりの血を飲み下して喉を鳴らす。繰り返し。
闇を追って迫る狩人の気配に気付かなかったのは、半ばは、初めての狩りに戸惑って注意力を欠いていたから]
でも、そうね……、
あの御方に踊って戴きながら、きちんと物が考えられたかは
怪しいように思うから、有効だったかどうかは…?
[別れ際の戯れめいた遣り取りを思い出し、首を傾げつつ
か細く呟きを零し]
そう……
では次は、声だけではなくて花の香の中で会おう。
[失った太陽の名残の温室で。]
お休み、穏やかな眠りを。
― 裏通り ―
[盗人や殺人者が徘徊し、人がひとり消えても見過ごされる場所。
怪我人が出ようと死人が出ようと、住人たちは我関せずで放置する区域。
左右の建物の壁が圧迫するように立ち、星空も見えない。
明かりのない窓辺は暗く闇に沈んだ穴を開けている。
通りいっぱいにぬるい闇が満ちて、腐臭で溺れてしまいそうだ。
その中にあって、佇むコンラートは、地面に落ちた月のように皓々と白く輝いて見えた。]
― 闇酒場 ― >>122
…………それなら…
[ぽつりと溢れた言葉に、言葉を返しかけるのだが――…]
――――…
[よくよく考えてみたら言い難い話なのだろう、押し黙ってしまった]
― 美術館 ―
そう、一緒だ。
[コンコン…――と杖で軽く扉を叩くと、日中を過ごすための場所、美術館へと馬車は走り出す。]
実はずっと着てみたくてね、丁度良い機会だと思ったよ。
[窓は全てカーテンで塞がた車内で。
目的地に到着するまでの間、アレクシスとはどんな話をしただろう。
これから行く街の話か、あるいは彼に訊ねられた話題に乗ったか、少なくとも楽しいひとときを過ごしたのは間違いない。]
[やがて美術館に到着すると、馬車は心得た動きで滑るように日陰で足を止めた。
日の光りに掠ることもなく、吸い込まれるように、
2人は美術館の中へと入り込む。]
流石に、緊張した?
[何やらどぎまぎしつつある娘に微笑む。
威容を表す真祖の君と比べてこちらは]
そら。
[ぐるりと急にリズムを変える。
緩やかな流れから一転、軽い足取りに]
[大通りから少し離れた、人気のない場所であることが幸いしたか、刃物が出されても見咎められることはなかった。
差し出されたのは、あの日この真祖を一度とはいえ傷つけた刃。
聖別は、その神を信じているものが使えば効果があるもの。
信じても居ないものが使ってもそうはならなかっただろう。
眉を寄せ、瞳を細め、唇を撓らせる。
それはとても綺麗に笑って。]
………私は、あなたを親だと思ったことはただの一度もない。
[流れるような手つきで、酷くさりげなくその短剣を引き抜くと、クレステッドに唇を重ね。
そのまま手首を返し、聖別された刃を己の心臓に突き立てた。
引き抜けば低温の血が噴き出し、白いドレスを赤に染め上げる。
意識は闇に溶けるように塗りつぶされていった]
あなたに試されているとは思ったけれど、そもそも
そういう趣旨でしょう。
それとは別の所を、誤解していたもの。
今まであなたが向けてくれた態度を、蔑ろにすることも
言ってしまったから。
[せめて預かった返書は必ず、と頷いて応じ。
“真祖の君”という聞き慣れぬ言葉には、今度は正しい
意味で首を傾げて]
私はあなたを、親とは思っていないのに。
こうして養ってもらっているのだもの。
…やっぱり、酷く手が掛かるでしょうに。
[日々の糧さえ、養い子の目を忍んでいたのだろうと今は知る]
だから。せめてそのくらいは、したいと思ったの。
― 闇酒場 ― >>129
…………ダーフィト
[それでもしばらくの沈黙の後、気まずそうに口を開く]
て…て“天使様への贈り物”って言葉を、タチアナから聞いた事は覚えてる?
一度だけじゃないから、どれかは覚えてると思うんだけど。
それと、タチアナがそう言った時のハンスの…………
[タチアナの出す飲食物が一人分多かった時、それがいつの間にかなくなった時、不思議に思った孫達へ、彼女はそんな事を言っていた。まあ、犯人は僕なんだけど。
真相を知るハンスが
……んん。
[曖昧な喉声を洩らし、微笑む顔を咎めるように軽く睨み]
――……ッ、ちょっと、急に…っ
[微かな調べは緩やかなまま。
導く足取りだけが、軽やかに浮く。
音を刻む身体が崩れかけ、緩く預けた手を取り直し]
あなた、随分と慣れているのね?意外だわ。
[リードの役割を逆転させる貴族の戯れはあるとはいえ。
近づけば、僅か鼻腔を擽る血臭。欲を誘う香りだが、
何処かそそられない。
出掛けに紅茶を摂り、遣い先でもてなしを受けたせいもあるだろう。
そして、ずっと後を引く香を、既に知ってもいる]
[自分で天使様とか言ってしまった事に赤面しつつも、ダーフィトが水を注文するのを見たのなら、レモネードを注文して、食べ物も欲しいと追加でミンスパイを。
やがて注文のものがやってきたのなら、口を開くまい、行儀なんて知るかと、パイを思い切り頬張った。]
……楽しみにしてる。
そのころには、私にも少しは何か、話せることがあればよいな…
[やがて朝を迎える木々に別れを告げ]
…おやすみなさい。あなたに良き夢が訪れますよう。
[掴もうとするものは、未だおぼろげな霧の中―――*]
[自分の事を考えて良いのだと告げる声]
…ずっと、考えていたの。
何度考えても、纏まらなかったけれど。
でも、当然ね。
何かの答えを出すには、私は知らなさ過ぎるわ。…何も。
あなたに、色々教えてもらいはしたけれど。
そんなに簡単に知り尽くせるような存在ではないのでしょう?
[同じ部屋で寝起きする人さえ、未だ測れぬことばかりで]
あなたのことも。私自身も、含めて。
…もし、あなたが良かったら。
学ぶのを、手伝って欲しいの。いつまでとは言えないけれど…
[――興味を持てそうな方法が浮かんだ時は、と。
そう言った眼前の吸血鬼を見上げて]
…?
[聞こえた懐かしい言葉>>130に首を傾げる]
覚えてるよ。あれ言う時、ばーちゃんなんか楽しそうだったし。
じーちゃんは…なんか、難しい顔してたけど…
[正確には、祖父は噴きだすのを堪えていたのだけど小さかったのでそれは分からず。しかし用意された食事が消えるまで、孫達の視線が向かぬようそっと興味を引いていたのは祖父だ。
懐かしい思い出。
それが今どう繋がるかが分からずにステファンを見つめる。視線を避けるように目を伏せるのを見れば、ふと思いつくことが]
…ステファン?
[その視線の先、赤い顔でミンスパイを頬張るのを見れば、予想は当たっているとみえて]
っ、は、あはははははは!!
[遠慮なく、大笑いした]
――いいよ、行っておいで。
君が一番納得出来る方法で、きちんと区切りをつけてくるんだよ。
[しばし思案した後、彼に告げるが。]
でも…、ほんの少しでも目の前から君がいなくなるのは、寂しいな…。
[つい情けない、本音が零れてしまうのだ。*]
[殉教者のような綺麗で歪な笑み>>127。短剣を抜き取る動作を見ながら、唇を重ねながらも言葉を受け怪訝そうに見遣り。その間も隠匿のために周囲がこちらに意識を傾けぬような界が張られているため周囲から見られることはなかったが、向けられた刃は予想とは違う場所に向けられ飲み込まれていった。]
―美術館内―
[最高建築技術の粋を集めた歴史ある建物は、評議会の城館にも引けを取らないほどだ。
それぞれの国や時代ごとに区分けされた広大な館内は薄暗く、
咳払い1つも憚られるほど、靉靆たる静寂に包まれている。]
さあ、アレク――こっちだよ。
[囁き程度の声でもって、傍の彼を引き寄せると、
静けさの支配する空間にまるで浮かぶように掛けられた彩画を、共に巡り始めた。**]
[力を失い腕の中に崩れファミルであったもの。血は止まることなく己の服も汚すが、それを厭いはしなかった]
そういう貴様は…心底理解しておらぬ
[穿たれた心臓から漏れ出る血に口をつけ、その血を啜る。]
どう贔屓目にみても愚かな破滅だ。儚くも眩しき者。
[感情と生命の輝きを一緒くたにし一瞬で解き放った亡骸を見下ろす]
逸脱を歩みながらも清廉を貫く夜の獣よ。
[輝きの消えた紫水晶を見つめ、その唇が心臓を喰らう頃。街道にいたものは霞がかかったようにその場から消えた]
― 私室 ―
貴様は…心底理解しておらぬ。
[横たわる血濡れのファミルより聖別された短剣を借り受けると、自身の胸に突き立て血が溢れ出る。]
ゆえに、心底理解せねばならない。
[力で切り開き、骨を裂いて露出する心臓。それを左手で掴み。抜き取る。]
貴様は我のものその肉体、血の一滴…そして魂も生死についてもだ
[未だ脈動する己の中から出てきた心臓を目を細め見ると、ファミルへと己の心臓をはめ込んだ]
[今まで与えてきた血とあふれた血。そして心臓が結合し、ファミルを文字通り再生させていく中]
フン。
[傷の開いたまま、横柄な態度でソファーにどかりと腰を下ろしその復活を待った]
[おどけてリズムを変えて見せ、揺れる身を支える。
抱き寄せるように踏み込むように、]
そりゃあそうだよ、何百年夜会をやってると思っているの。
吸血鬼の中には貴族趣味な者も少なくないしね。
[音に任せて添う。
その人となりを知る事に、感覚を共にする舞踊を選んで示した
吸血鬼は、絡める視線に微かな甘さを含めて]
今は誰も見ていないから、気楽で良い。
[思い出を語る彼、ああもうすぐ気付くんだろうな。
窺うように名を呼ぶ声、ああ、殆ど気づいてるんだろうね。
そして、聞こえる笑い声――>>132]
(ああ、もう!こうなるって予想はついてたんだよ!なのに僕は……!)
[ダーフィトの“天使様=ステファン”に対する予想通りの反応に、耳まで真っ赤になりながら、口いっぱいのパイをなんとか飲み込もうと、リンゴを酒を一気に呷った。]
/*
速報:ますたーのたらしモードがおんされた…!?
やだもぉ、案の定かっこいいじゃないの。
でもね、あるじね。
いつまでも女の子疑惑を払しょくしてくれなくて
スイッチ切り替えタイミングが な い
しかもわざとよね、ますたーのひと。
[ガラスの割れる音に後を振り向くと、賭け事の場で喧嘩が起きているらしい。
イカサマがどうだとか、殺してやるだとか、物騒に過ぎる大声の後、耳に飛び込むのは銃声と悲鳴と――…]
――ダーフィト!!
[隣にいる彼の表情はどうだっただろう。
声をかけ、自分はそちらへ向かうとアイコンタクトを試みて、
それから騒ぎの場へと足を向ければ、用心棒に叩きのめされた若者と銃弾に倒れる労働者がそこに。
倒れた労働者の袖口からはスペードのエースが溢れていた。*]
[考えた末に、結論は出ないのだと告げる声を、
深い青は穏やかに受け止めておく。
亜麻色の髪に少し額を寄せた]
僕を知りたいと、思ってくれるの――……?
[共に学びたいと。
君と僕と、二人を。
こつり、リズムが止んで]
喜んで。
[預けられた手を引き寄せて、その指先にキスを]
時間は生み出せるよ。
ダーフィト、一人重症はいるけど術は使えない!
医者が此処にいない場合、見捨てるか僕が医者の真似事をするかだ!
[声なき声で素早く指示を。]
― 私室 ―
[喰われた心臓の変わり、嵌め込まれた心臓が再びその身体に血を巡らすべく脈動を初めてから間もなく]
………う、ん……?
[薄らと目を開く。部屋に帰ってくるまでの記憶が混沌として良く思い出せない。
視線を巡らせれば、胸元を真っ赤に染め上げた銀の真祖の姿がソファーにあった。]
……クレス!?
[急に起き上ってくらりと頭を抑えた。
その拍子に思い出す。自身の真っ赤に染まるドレスと、胸元と。
そのまま覚束ない足取りで傍までいくと、彼の人の前で膝を突く。]
何を…一体なにを、したの…
[その泣きそうに顔を歪めて、胸元の傷口に震える指を伸ばした。]
[背を支えていた腕は、ごく軽く見える所作のくせ、
容易く身を引き寄せる]
ねぇ、あなた――…っ、
[不躾な距離だと咎めかけて、睨んだ先の少女然とした
顔立ちに声を呑む。
無礼も何もない相手だと思い出し]
……成程ね?
夜通し踊り明かすには、ぴったりの体質だものね。
[搦めとる視線に、何故かまた、距離を許し過ぎているような
心地がしつつも、他愛ない言葉を返す]
は、はは、ごめんごめん。
[まだ笑いを消しきれないまま、赤い顔でパイを頬張る彼の頬についたパイの欠片を指を伸ばして掬い取る。よっぽど恥ずかしかったのだろう、まだこちらを見ようとしない彼の真っ赤な耳を突こうと手を伸ばした瞬間
――ゆるやかな音楽を押しつぶすような、響く大きな音]
― 私室 ―
[足を組み、ソファーの手置きに肘をつき、手の甲に顎を乗せながら、復活を果たす様を見下ろしていた]
黙れ。気安く触れるな。
[容赦のない冬山のような厳寒なる声が響き、指を伸ばすファミルの手>>145を煩わしそうに払う。]
我が子のファミルは先程死んだ。――なれば貴様は誰だ。申してみよ。
[に穴を開けたままでいながらもとばかりの傲然とした態度で下問した]
[突然のことに呆然と振り返ると、どうやら喧嘩らしい。
争い事に慣れぬ為に惑いながら向けた視線の先――起こる、銃声]
?!
[体が強張る。人でごった返して。名を呼ばれたけれどそちらを見る余裕はない。ゆっくりと、ひとがたおれて]
――っ
[椅子ごと後ろに下がろうとしても、カウンターが邪魔でそれ以上は下がることができない。喧騒と、今もなお響く音楽――*]
[頭の中で声が響いて、やっと少し我に返った。けれど顔色は相変わらず青いままで]
あ、ああ…うん。
助手の真似…は…
[手伝いたい、と思うけれど。多分、今の自分が手伝ってもステファンの邪魔をするだけで]
……。すまん。助けて、やってほしい…
[医者を探す声がするけれど、それに応える声はない]
ダーフィト、選んで。
見捨てるか、助けるか――…
助けるなら、目の前に溢れる血に耐える覚悟を
[弾丸を取り出すということは切るということだ。
腕の良い医者であるならば、血をほとんど出さずの処置もできるだろうけれど――…
生憎、男の生業は“それ”ではない。]
―…っ!
[助手の真似などできぬと。そう思うのに、選べと突きつける言葉。できないということは、見捨てることに他ならない]
………。
俺に、なにができる…?
[少しの逡巡の後。そう聞いた顔ははっきりと意思を込めて]
[静かに繰り返される、自分が告げた言葉。
他人の口から――眼前の人から聞かされると、
何故か自分が、はしたない望みを強請ったような気にさせられる。
柔く打ち寄せる蒼海の深みを覗かぬよう、微かに視線を外し]
……ええ、
知りたいと、思っているわ。
[あなたの事も、と念のために言い添える。
途切れたリズムに、滑らかに続く応えと感触。
思考を、時を止められる]
[初めて伸ばした手を払われ、所在無げにゆっくりと下ろす。
己が誰か問う瞳を見上げる。]
……………私は。
[汝を知れ―――それはとても難解なことだったけれど]
私は!
私だ!!
何故引き戻した!飛び立てと言ったのはあなたじゃないか!
もとより私は、私の意志であなたのみを糧として生きると決めた!
それは今も覆さないし、糧を失うのなら即ち死と同じだ!
[己に心臓を与えた傷をそのままに傲然と構える真祖へと言い放つ。]
真似まで考えなくていい!
暴れられるときついから、抑えてて。
それとあいつに杖噛ませとくから、それが外れないよう見てて!
[用心棒にも頼むつもりでは在るのだが、激痛に暴れる大の男を一人で抑えるには酷だろう。
そして戦い慣れぬとはいえ、ダーフィトは人ならざる者なのだ。そして酒を嗜むことのない彼は今現在確実に酔っていない存在である]
―美術館内―
[生前通っていた大学も随分と豪奢な造りだったが、流石は
歴史ある建造物というべきか。
靴音、ステッキを突く音、互いの声…意識せずとも響くようで
館内を行くには少々ぎこちない歩調になったか。]
――…時代毎に思想が込められているのが良く解ります。
トールは絵画などを嗜んでいらっしゃるなんてことは?
[彼が彩り描く世界はきっと温かい。
そんな彼の子として、想い人として傍に在れるのは
恐らく…全てを失った自身に与えられた、同じだけの分の
幸せなのだろうと思う。
主の手を取り、ひとつひとつの絵画に説明を求めながら
静寂続く館内を歩んでいった。**]
/*
ねえねえファミルくん、飢え死ぬするくらいなら自殺するわーって逆ギレしてるだけに聞こえるよ気のせい?
(だいたいなかのひとがわるい)
― 喧騒の闇酒場 ― >>142>>148
[鉛弾に倒れ伏す男が一人。
医者を探す声がするけれど、それに応える声はなく
男は、
見捨てるかどうかの選択は、声なき声でダーフィトへと。
そして――…]
もっと見て。
[我儘を言ってみる。
ただ、あまりの余りさに固まってしまった娘を見れば
穏やかに潮騒はひいて]
……今日は、ここまでにしようか。
おいで、アイリス。
[そと腕を解き、帰り道へと促す]
帰り掛けに少し、書庫に寄って行こう。
それ、くらい、な ら…
[真似はしなくていいと言われて少しだけ安堵する。しかし見ていろと言われればやはり青ざめたままで]
…わかった。すまん…
[あまり役に立てぬことを詫びて、行動に移すべく立ち上がった]
主人、酒精と布!
[ダーフィトの言葉を信じて、男は銃弾に倒れる男の元へ]
ダーフィト、それとそこの厳ついの!こいつ抑えるの手伝って!
[トランクから小さい箱を取り出して、それから杖を怪我人に噛ませた。
腕の良い医者であるならば、血をほとんど出さずの処置もできるだろうけれど――…生憎、男の生業は“それ”ではない。
それでも“目の前で溢れる血に耐える覚悟をしろ”と、伝えた彼が助けたいという意思を口にした。
男が彼を、彼がこの場で血に狂わぬと、信じる根拠はただそれだけで十分だった。]
……、あなた――…
[幾度か言葉を紡ぎそこね、預けた手を引くべきかと逡巡し]
…そんな、気障な人だったの?
知らなかったわ。
まるで、血の通わないお人形みたいだったのに。
[今はそうは思っていないから、と付け足し、戯言で時を埋め。
けれど簡潔な求めを聞けば、声ごと奪われる]
……見られたくないのかと。思っていたわ。
あなたいつも、人目を避けるみたいな格好を、しているし…
[沈黙の後、話の先を他者全てへと滲ませながら。
そろりと一度、瞳を重ね]
…ええ。お相手、ありがとう?
[楽しかった、と自然と囁いた。
書庫への誘いにそぞろに頷き、歩き出しながら目の端で隣を窺う]
[――何か。自分はまた、大きな勘違いをしていたのではないか。
警鐘に近い疑念を持て余しつつ]
ふん。当たり前だろう。
子であるという戒めを絶ったところで、我が血を飲みゆくならば、最早貴様が我のものであることに変わりはない。
その自害という大罪も逸脱を望む傲慢も他の命を欲さぬ清廉も、その全てを愛すのは神でもなく親でもなく貴様自身でもなく我だ。
ならば我の下にいることこそが、当然のことであろう。
[己の意志こそ理である。とファミル>>149への傲然とした態度はどこまでも崩れず、今ここに在ることを決定として下した]
[ぐぐもった呻き、杖が外れてしまった男が発する叫び声、暴れる男の腕があたったのだろう短い悲鳴、何かが起きる度に慌てふためく野次馬たち、そして自分の怒鳴るような指示の声。
―――そして、シャツの袖口を赤く染めながら、男への処置は終了する。
男が懸念したよりも出血の量は多くなく、余程のことがない限り、助かるだろうということはわかった。
だが、処置の最中、相手が暴れた拍子に、目の上を軽く切ってしまった事が気にかかる。すぐに治りはしたものの、その瞬間を誰かにみられていなければいいのだが――…
ダーフィトはどんな様子だろう?
今の今まで、そちらを見る余裕などなかった男は、その時になって彼を見た。*]
僕の血統は特に陽光に弱いんだ。
……癖でね、
[それで二進も三進も行かなくなっている所を
助けられ、お礼をした所から交流を持ち
友人と呼ぶに至った経緯がある訳だが、さておき。
過分に幼い容貌を隠せると言うのもある]
でも君に幕を下ろしたままでもいたくない。
[道具を片付け、後の指示を済ませれば。]
ダーフィト、大丈夫?
[と、声をかける。
そして、自分自身も集中し続け疲れきってしまったため、店の主人に休む為の部屋を借りたい旨を告げ、入ってきた扉とは別の扉から酒場を出た]
[重なる双眸に眩しげに眼を細める。
楽しかったと、あえかに開いた唇から零れる音に
こちらこそ、と応じて]
[書庫では、これまでの口述よりも詳しい書物を、
雑多な種類からいくつか引っ張り出した。
広く興味を開き、何を見出すか。
ふたりで旅をする。
きっと楽しいだろう*]
………うわぁ
[今いる場所は、予定が狂ったために急遽とった部屋であり、本来の宿泊予定地ではない。
すぐに休める場所と言って案内された部屋であり、本来の宿泊予定地ではない。]
地上階ってこうなってたんだ……
[今現在、野郎二人でいる場所は娼館なのだが、誓って、本来の宿泊予定地ではない。
まあ、うん、休めるならそれでいいのだけど。休めるんだろうか]
― 第二試験前日 ―
明日、近くの街に出よう。
何かしたい事はある?
[いっそ良い気晴らしだろう。――という訳で、
最早試験だと言う事すら告げなかった]
泊りがけになるから支度もきちんとね。
[――いっそ、単刀直入に聞くべきか。
失礼極まりない質問を。本人に。
どちらでも差障りない筈の個人事情が、同じ空間で暮らす
相手ともなれば変わってくる]
…そうだったの。
陽の当らない所では、顔が見える方が、私は話しやすくていいわ。
[確かにその筈、だったのだが]
……。
やっぱりあなたは、私には出来過ぎた親だわ。
[向き合う態度を崩さない相手に、そっと囁く]
まだわからぬか。無条件に甘えるのは子の特権だが貴様はそれを放棄した。ならば少しは頭を働かせろ。
……だいたい心臓を貫いたぐらいで死におって情けない!それでも我の血を飲んで生きておったのか!こっちが情けなくて涙を流したいところだ!
[涙を流し心配をくれるファミル>>156へと無茶すぎる叱責を飛ばしながらも今度は傷をふれることを拒みはしない。傷口がふさがらないぐらいにはさすがに消耗しているのは自覚している。亡くしたものを考えればむしろ当たり前だが]
貴様が未熟であることに変わりはない。何かいったところで傷など治るはずがないだろう。そんなことは気にする必要はない。未熟は未熟なりに過ごし、そして我の世話をすることを許す。
[子ではなくなったファミルへと今まで一度もさせてこなかった世話をする許可を出した**]
[下での一悶着があったからだろう、医者とその助手ということになっているらしく、ねっとりとした香りのお嬢さん方が、客じゃないというのに自分達へと、にこにこ笑顔で手を振ってくる。
店の主人の言伝で、一室を借りることができれば、ダーフィトを部屋の中へと押し込んだ。
多分、外見というか身長的に、彼の方が女性からのアプローチをされやすそうだと……自分で判断して悲しい理由で、彼を先に避難させようと。
勿論、続いて、自分も部屋へと逃げこむのだが。
背後で聞こえた残念そうなお嬢さん方の声は、聞かなかった事にしておこう]
僕の用事は僕の用事。
[先程終着を迎えた背表紙で、掌をぽんと叩く>>159]
どちらかと言うと、時間に余裕が取れるように泊まりにする、
と言っても良いかな。
ずっと城に籠りきりだったものね。
そう? それじゃあ、最初は街歩きが良いね。
[麗かな陽気の中を――とは行かないのが、
彼女にとっては惜しい事かも知れない。]
楽しみにしておいて。**
[むせるような血の匂いの中、ステファンの治療は手早く行われていく。生業ではないといいながらも迷いない手つき。溢れる鮮血に自分よりも共に押さえていた大柄な男の手が緩んで慌てて伸ばした手で暴れる右腕も押さえることになった]
だい
[じょうぶか、と続く言葉は止める。流れた血が彼の額を一瞬だけ染めて…途端喉の渇きを覚えて目を逸らせた。
やがて治療は終わったのだろうステファンがぐったりと立ち上がる。周りをみれば、血塗れの大惨事だというのに意外と野次馬も残っているようだった――気が知れない*]
…大丈夫、だ。
[一応役目は果たしたものの、慣れない血を間近で見すぎたために役に立たない自分の代わり、ステファンが素早く後片付けをしていくのを眺める。
やがて部屋を借りたからと案内されて階段を上がれば]
……。
[別の意味での衝撃。どうなってんの、と目を向けるけれど彼自身も意外なようだったから、それ以上は言わずにふらふらとした足取りで用意された部屋へと向かった]
う、わ!
[部屋へ入る直前、急に背中を押して部屋に押し込まれてたたらを踏んだ]
なんだよ急に!
[そう訴えるけれどどう答えるだろう。内装も『それっぽい』部屋の中…すっかり疲れ切ってシーツに沈み込む前、自分の格好に気付いて止める。
綺麗に仕立て上げられたグリーテルーは所々に赤が飛んでおり――]
シャワー…わり、先借りていいか…
[彼の方が大変だったとは思うが。彼がシャワーを使って身を整えるまで、起きていられる自信がない。そう聞けば、彼はどんな反応をするか]
― 裏通り ―
[はふ、と吐く息は渇望のあまさ。
人間の大量にいる街は、餓えた身には堪える。
鼻腔に血の芳香が付きまとって離れないし、常に脈打つ血管に目が惹きつけられる。
この数夜は、常に意識の底流に渇きを覚えていた。
ディークには、心を繋げている時でも知覚されないよう慎重に隠してきたつもりではあるが、増えていく血酒の消費量から推測したのだろう。
ディークを待つ間、不信を抱かせないために周囲の人間の意識を眩ませていた魔力のベールを脱ぎ去り、血族特有の照り輝く白い貌を夜の大気に晒す。
抑制の箍は少し緩んでいた。
見られて後々面倒になりそうな人間はこの場にはいない。
麻袋の間に蹲る酔っ払いの意識が酒で混濁しているのは、路地に入った時に既に心を探って確かめてあった。]
― 裏路地 ―
[パァン、という破裂した銃声が耳に届くより早く、飛来する銀の殺気から逸れるように身を翻した。
腕のなか、人にあるまじき加速で振り回された女が短い息と共に完全に脱力する]
…なに、
[をする。
狩られている、と認識する前に追撃が放たれて。
女を抱え直して闇へ飛び退いた]
コンラート。
[咄嗟に呼ぶ声は鋭いもの。
事態を正確には理解出来ないまま、
注意を促し、無事を確かめようと]
[吸血鬼の卓越した身体能力を自転車漕ぎにつぎ込むことが一般的とは思えないが、それでも効果は明らかに発揮された。
規則正しい回転音を響かせるモーターサイクルを追い越し、夜の街道を疾駆する細身のフレームは地を走る鳥めく。]
行っけぇ!
[道、間違ってないかな、と思いつつ、スピード競争に負けてなるものかと、小川を飛び越した。]
[と、後方から目覚めの咆哮のようなエンジンの唸りがひとつ。
そして、圧倒的な存在感が迫った。]
──う…
[何をしたかまではわからないけれとせ、ロー・シェンが本気を出した、と察する。]
…わぁ?!
[風を巻いて追い抜いてゆく漆黒のモーターサイクルと金色をなびかせる乗り手。
一瞬にして、その背は遠のいた。]
なんのこれしきー!
[ついて来い、と投げられた声に、パシと自転車のハンドルを叩く。]
おまえの限界、まだまだだな!
[“そう在るべし”の鼓舞に自転車の限界耐久度は応えた──が、自転車の動力=漕ぎ手の体力である図式に変わりはない。
とにかく必死にペダルを回し続け、轟くエンジンの音と排気ガスの匂いを追いかけてゆく。]
ー クロノス −
[やがてというには長い勝負の先、街のシルエットが見えてくる。
そこそこの規模がある地方都市らしい。]
ひはぁ… 到着ー
[ショートカットやらコーナリング勝負まで駆使した異種間チェイスでえらく消耗していたけれど、気分は上々だった。
すでにモーターサイクルを止めて待つロー・シェンの傍らへ。]
脱落、しなかったぞ。
[ハイタッチを求めて手を上げた。]
― 裏通り ―
[背後から、短刀を構えた男が忍び寄ってくるのも、既に知覚済みだった。
煤けてほころびだらけのコートを纏った男は、金を出せなどと生ぬるい脅しは言わなかった。
無言で背後から手を回して口を塞ぎ、一息に喉を掻き切ろうと短刀を振り上げた。
迷い込んだ金持ちの餓鬼など、手もなく殺れる、と思った男の目論見は、だが、あっけなく外れた。
獲物を捕らえて黙らせる筈の手が虚空を掴み、男は目を剥いた。
次いで、異様に白く輝く貌が間近で見詰め返しているのに気付き、ぎくりと身を強張らせる。
闇からそこだけ切り取ったように浮かび上がる玲瓏の美貌、
そして、底に光を閉じ込めた翠の双眸。
男の鈍磨した感性でも悟れる、その異常。
後じさり、震えながら虚勢の罵声を吐こうとして、それはすぐに中断された。
氷のように冷たい指に、手首を掴まれたからだ。
裏通りの貧しい女たちより遥かにたおやかに見えるのに、振り解けない。
どころか、腕が引っこ抜けるかと思うほど引き寄せられて、逆に自分が背後から捕らえられてしまった。
背筋を駆け上る怖気に、男は絶叫する。いや、したと思った。
だが、声は出なかった。]
[唇についた血を舐め取り、腕に抱えていた男を地面に滑り落とす。
力の抜けた男の身体はくたくたと、汚泥の中に崩れ落ちた。
本当は、ディークを味わう前に、こんな男の血で汚したくはなかったけれど。
彼が知ればきっとがっかりすると思ったが、今宵悦が極まった状態になったなら、自制を保ってディークを飲み干して殺してしまわずにいられるかどうか自信がなかったのだ。
そんな時に、この男が飛び込んできたんだから仕方がない、と自己正当化する。
男がコンラートに対して行おうとした慈悲のかけらもない仕打ちを考えたら、殺してもよいくらいではあったが、あるひとと結んだ「人間を殺さない約束」に免じて、命は取らない。
死なないギリギリまで血を吸い出したが、すぐに手当てをすれば元通りに回復するだろう。
もっとも、この界隈で無防備に倒れていたら、身ぐるみ剥がされるのは無論のこと、運が悪ければ肉体まで肉屋やら解剖用献体やらに売られる可能性もある。
強盗殺人者の行く末を気にしてやるほどコンラートは慈悲深くはないので、吸血された記憶だけ塗り潰し、獲物は投げ捨てたまま放置した。]
/*
「吸血鬼脚力」とか書くとニンスレっぽいよねと。
ビーストバインドの 、アンノウンマンに正体見られた時のあれは「吸血鬼リアリティショック」だなw
案外といけそうw
こいつ、まんまアプレンティスだし (←
[正確無比な射撃。手練の暗殺者のようなそれに眉を顰めた。ゴロつきや強盗程度とは思えない。
また戦場で相対する兵のそれとも違う、冷ややかな侮蔑を含んだ殺意]
──狩人
[冷静に考えれば、
人を襲っている吸血鬼が自分で、銃弾は自分こそを狙っているのだろう場面。
獲物をこの場に棄てればいい。
しかし脅威に接してほとんど無意識に動く体は、気絶した女を守るようにしっかりと抱いた。
であれば反撃に転じることも、振り切って逃げるにも妨げになり]
…っ、
[足元の土を抉り、また肩先を掠る灼熱。
弾の数をかぞえながら路地の奥へ奥へと逃れていく]
― 裏通り ―
[ぬかるみに倒れた男の身体をまたいで、ディークを追って奥へ行こうとした時だった。]
――――!
[養い子の鋭い呼び声に、さっと眉根が寄る。
次の瞬間には、暗い路地から姿が消えていた。]
[交わりの中で固く血の絆を結び、今ではディークを血子と変わらぬほど近しく感じるようになっていた。
さすがに血子ほど明敏に身体感覚は伝わらないが、追われている緊張くらいは、手に取るように分かる。
素早く移動を続けるディークの位置を探りあてるのは造作もないことだった。]
[己の行動に、更に消耗が重なり見るからに不機嫌な真祖を見る。
その物言いに、更に訳もわからず泣きじゃくる。]
……ふぇ、……ひっく……だって……傷、塞がらない……
[罵倒する言葉も耳に入らないのか、そう言う姿は、皮肉にも今までで一番子らしいものだったかもしれない。
そんなことを思考する余裕すらないほど、ぐしゃぐしゃに泣いていた。]
……わかった、うん、なんでもする、から……
……だから、だから居なくならないで……
[真祖の心臓を宿した身が得た力、傷口に触れた手は、無意識に事象に干渉を始める。
術とは全く異なる、形式も手順も必要のなく、世界の理に触れる。
ただ切望する通りに。
クレステッドの胸の傷口を塞ぎ始めた。
そしてやがて、己の心臓を喰った者のこの虚ろに空いた赤い穴に生じる心臓はーーー
バランの血子であった身は再度の死を迎え、血の束縛は朽ちて消えた。
血兄弟に敏感なものがいたなら、兄弟が減じたのに気づくこともあるのだろうか。]
乱暴に抉じ開けられ胸骨と肋骨が歪に開いていた胸が見た目に元通りに戻る頃。
生まれ変わりの痛みと、慣れぬ大きな力の行使で、崩れ落ちるように気を失った。
子では無くなったこの先、まだ生きていくのならどう生活が変化するのかーーー仄かに不安を抱いて。*]
[乱暴に抉じ開けられ胸骨と肋骨が歪に開いていた胸が見た目に元通りに戻る頃。
生まれ変わりの痛みと、慣れぬ大きな力の行使で、崩れ落ちるように気を失った。
子では無くなったこの先、まだ生きていくのならどう生活が変化するのかーーー仄かに不安を抱いて。*]
― 路地の奥 ―
[追われ、また誘い込みながら。
石積みの建物も崩れかけた街の掃き溜め、人の気配ない真っ暗な一角へ脚を踏み入れる]
[次の射撃が恐らくは弾倉内最後の弾、と振り返った眼差しを赤く光らせた。
次の瞬間、舌打ちしながら大きく飛び退る。
確実にディークの体だけを狙ってきていた弾が、今度は腕の中の女ごと貫く軌道で放たれていた]
──っち!
[着地した刹那に、
ぐにゃ、と靴が泥に埋まり込んだような錯覚]
― クロノス ―
[待つほどもなく、レトの自転車がやってきて目の前に止まる。
上気した頬が全力で体を動かした充実感を物語っていた。]
上等だ。
[上がった手に、ぱしりと掌を打ち付ける。]
― 街の中 ―
[通常の状態に戻したモーターサイクルをゆっくりと走らせる。
真夜中を過ぎた大通りには人影もまばらだったが、
角を一つ曲がると、賑わう通りが見えてくる。
これからが本番という場所なのだ。]
はぐれるなよ。
[レトがついて来ているのを確認しつつ、奥へ向かう。
両側から歌声や怒声が聞こえる通りを辿り、
酔って騒ぐ連中の間をすり抜けて、さらにへ。
目指すはもう少し先の灯りが見える場所だったが、
その手前で、横合いから人間が吹っ飛んできた。]
― 街の中 ―
[通常の状態に戻したモーターサイクルをゆっくりと走らせる。
真夜中を過ぎた大通りには人影もまばらだったが、
角を一つ曲がると、賑わう通りが見えてくる。
これからが本番という場所なのだ。]
はぐれるなよ。
[レトがついて来ているのを確認しつつ、奥へ向かう。
両側から歌声や怒声が聞こえる通りを辿り、
酔って騒ぐ連中の間をすり抜けて、さらに先へ。
目指すは角から赤い灯りが漏れてくる場所だったが、
その手前で、横合いから人間が吹っ飛んできた。]
喧嘩か。
[危うく轢きそうになって止まったところへ、さらに十数人の人間が溢れ出してくる。
おそらくは酔っ払いの些細な喧嘩が、酒場丸ごと巻き込んだ乱闘に発展したのだろう。
状況を認識する間に殴り掛かってきたひとりを小煩げに払って手首をつかみ、地面に投げ飛ばす。
手加減はしたから死んではいないはずだ。]
……
[ぬかるみのような。
痛みを感じないまま攫まれた足元に視線を走らせる。
土の上を汚して零された酒の跡、のように見える濡れた軌跡が仄白く光り、
足元へ円形の陣を描いていた]
[庇うように抱え込んでいた女の体を、陣の外へと降ろして横たえる。
でようとした足に鈍い抵抗がかかった。
行動を鈍らせる呪縛術、
こんなものに本当に効果があるんだ、とうっすら感心を]
…お前には何もしていないが
[闇の中、白い小剣を構えて姿を見せた大柄な男と向き合った。
狩人の意識をこちらへ向けさせるように、追い詰められたふりで呟く]
― 路地の奥 ―
[狩人は何と答えたか。
その時、彼の足元に真っ黒い染みのようなものが拡がり。
間髪入れず、そこから出現した無数の蝶が、漆黒の奔流となって狩人を巻き込み、天へと駆け上った。
凶悪な群飛は鎌鼬のように皮膚を、衣服を切り裂く。
しぶいた血は片端から旋風に巻き取られ、リボンのように細くたなびいた。]
[これには、さしもの狩人もひるんだ。
咄嗟に腕で目を庇い、旋回する剃刀でもみくちゃにされぬよう竜巻の中心で足を踏みしめて耐える。
攻撃の種類が何であるかを知り、反撃を試みるまで、数分の間があいた。]
[狩人が遂に反撃を開始した。
白い刃が黒い旋風を切り裂き、白い光が蝶を片端から焼き落とす。
そのたびに黒蝶はほろりと形を崩して虚空に散るが、減じるより早く湧き出し、黒い激流は収まらなかった。]
− 街の中 − >>181>>182
[ロー・シェンがこの街に何をしに来たのか、未だ教えてもらっていなかったけれど、戸惑うことなく、その背についていった。]
バスキングで稼ぐには、もっと早い時間でないとねー
[深夜の盛り場は出来上がった人間ばかり。
と、ひときわ喚声が大きくなって、喧嘩騒動が路上にまで広がった。
酔っぱらいは始末が悪い。
いいモン持ってなんなー、と泥酔した男が自転車にしがみついてきたから、手を離したら男は自転車ごと路上に転がった。]
こっちも疲れてんだからさ。
[いい加減にしてよー、と続けようとした言葉は声にならなかった。
不意に後頭部を鈍器で殴られて、意識が宙に舞う。]
[狩人が黒雲を焼き滅ぼすのに夢中になっている間に、
ふわりと漂い出た何匹かがディークを捕らえている足元の円形の陣に飛び込む。
黒い蝶は陣に触れると自らを黒く燃え上がらせた。
砕けた翅は何故か闇に消えず、落ちた残骸で白い軌跡は僅かに掻き消える。
それを幾度か繰り返すうち、ある時点で陣を描いていたほの白い輝きがフッと弱まった。]
[倒れた獲物の女の息を確かめ、比較的綺麗な瓦礫の傍らへ横たえ直す。
振り向けば見えるのは、白刃の閃きとほろりと崩れる黒い翅]
怒るぞ
[低く唸りを洩らして、駆け寄った]
[黒い渦がほどける。
奔流から解放された狩人の顔がこちらを向くより先に、攻撃を仕掛けた。
武器は何もない。大地を踏みしめる右膝を目がけて手加減なしの蹴りを放つ]
[あまり愉快でないが、魔の身に昂揚を生む感触と音]
[吼えて傾く大柄な男の間合いに潜り込んだ。
奔流に切り裂かれて消耗していた狩人は闇雲に小剣を振り回したが、精度を欠く軌跡をかいくぐり、
その後頭部へ触れる。
自分よりも高い位置にある頭を掴み、勢いと膂力の全てを傾けて、]
……っぁあ!
[力一杯、地面へと叩き付けた]
[蝶のすべてが夜闇に還った後。
仄かに燐光を放つ白い貌が、路地の奥の闇に不意に浮かび上がる。
追い詰められたと見せて、先回りして仕込んだ罠の中に誘い込んだとは、狩人は気付いたかどうか。]
― 回想・第二試験日前日まで ―
[御使いの夜から、また色々なことを教わった。
これまでよりも、もっと広く、深くを。
本能の律し方と魔力の制御は特に入念に学んだ。
自分でそう決めてのことならいざ知らず、暴発で不本意に
周囲を害したくはない。
いずれ領民を治めるため、自己を律し私欲は御すよう父に施された教育が、息女として死した後も思わぬ所で役に立った]
[引き取られた後真っ先に教授されたのは精神感応の制御だったが、教わらずとも自然と形を成していた術は一つきり。
今日も独り廊下に滑り出、両の掌を重ねそっと握り込む。
囲う掌を解けば、青白い光がふわりと放たれる]
…いってらっしゃい。
[氷の糸が綾なす小鳥は、透かし模様の羽で天井の程近くを舞う。
シャンデリアの腕木に留まり、時折宿り木を移しては、
またじっと動かなくなる。
目にする者があっても、害意や警戒さえ向ける事はなく、
ただ木々の間に憩う淡い佇まいで。
やがて、日課に近い目的を遂げれば、ふっと掻き消えた*]
[破魔の光から解放されたディークは、危なげなく狩人を追い詰めていく。
少し離れたところに佇み、コートのポケットに手を突っ込んで、それを酷く冷めた眸で眺めていた。]
[彼が狩人を殺したとしても、それを止める気はなかった。
ただ彼が本当にそれを望んでいるかどうかを確かめるため、
激情や攻撃衝動に流されてではないと確認するために、
彼の名を呼ぶ。]
ディーク。
[頭部への衝撃で身動きの出来なくなった体に跨がって、武器を一つずつ剥がしていく。
中には用途の検討もつかないものがあって、学ばなければならないことが増えた、と思う]
…街には、こんなのがあちこちにいるのか?
[尋ねる声からは激情は落ちていたが、
狩人をこのまま逃がすつもりはない明確な意志を見せて、その首を握った]
大丈夫。
[力づけるように、ほのかな微笑]
[本当は切迫した渇きに悩まされていた。
さっきの強盗から奪った血は、高速移動と蝶の嵐で使いきってしまった。
狩人から吸い出した血では、分身を焼かれた痛手を補うには到底足りない。]
まさか。
吸血鬼狩人なんて、早々ごろごろは巡り会わないよ。
きっとバランの所為だろう。
派手に暴れていたから、こういった吸血鬼を敵視する人間の注意を引いたんだろうね。
[ディークの横顔を注視しつつ、説明を加える。
この頃では彼は安定していた様子を見せていたから、このくらいならば血親の名を出しても耐えられるのではないかと踏んで。]
うん。
…初めての狩りだったのに
[邪魔されたうえに。と
愚痴めいた呟きを]
少しだけ、待ってて
ちゃんとやり遂げる
― 回想・第二試験の日まで ―
それは今何を入れたの?
[血の味が元の菓子と馴染むように味を調えるらしい。
首を傾げて問う黒いフードに、菓子作りの使用人は
ちゃかちゃかとボウルの中身を混ぜながら、説明を加える]
へえ……色々工夫があるのだね。
[半月以上が経つ間、娘に与える血は変えなかった。
本人は何も言わないから、敢えて何をする必要はない――
と、判じる事も出来たのだろうが。
飴細工を喜んだ娘を見て、薄めて飲む以外の楽しみ方を
広げてみても良いかと考えての事だったとか*]
― 至クロノス ―
[馬車に揺られて街門をくぐる頃には日も落ちていた。
御者がドアを開き、降りたのは普段の黒フード
――じゃなく今回は帽子をぎゅっと被っている]
マーケットの方に行ってみよう。
……普段は、どんな事をしていたの?
[軽く手を伸べて、娘に問う。]
― 路地裏 ―
[初めての狩りを当初とはだいぶ違う形で終えた幼魔は、
佇む養い親に寄り添うように立つ。
満ち足りた喉を軽く鳴らすような、甘えた雛の仕草で。
化身たる黒蝶を灼かれた痛みを気遣う護り手の眼差しで]
[やがて朝になる頃には、裏街で魔物に襲われた娼婦は、やや安全な区域の安宿へ運び込まれていた。
宿代と、奪われた血の対価として彼女の元へ残されたのは、短剣やロザリオ等の銀を含む収奪品。
売ればかなりまとまった額となっただろう**]
― クロノス ―
[道中、見慣れぬ帽子姿を「なかなか似合うわよ」などと
揶揄い過ごすうち、クロノスへ至る。
馬車から先に降りた小柄な背が、振り向いて手を差し伸べる。
エスコートめいた自然な所作に、何とはなしに躊躇を覚えながらも
大人しく手を預け、歩き出す>>204]
マーケット…、いいわね。
普段は――こうやって街に出ることもあったのだけど、
自分の用事で出掛けることはなかったから、新鮮。
[市井を知る意味で下町や市場に足を運ぶこともあったが、
多くは観劇や社交のためだ]
――ねぇ、あなたは?
長い長い時間を、どんな風に過ごしてきたの?
[目深に被った帽子でも、フードの時よりは視線が合わせやすい]
助けを借りてしまったけど、──いい?
[手の平を灼いた破魔の陣も、肩を抉った銀の弾も、今は痕跡も残さない。
ひと一人分を大きく越える糧を摂り入れて、指先まで精気の行き届いた体をぴたり、寄せた。
路地裏に凝る闇]
喰らわれたい
コンラート、奪って
貴方を癒す血肉になりたい
[吐息を慾に濡らして、蠱惑を滲ませた。
その真珠いろの牙に暴かれたいと強請る]
この程度の傷でいなくなるか。我を誰だと思っている。
[世界の理は己のものだ。という大言ではなく、世界という管制をねじ伏せ死ぬはずが生きる。未だ並々ならぬ生への執着心がなせる業]
当たり前だ。そんな今更なこといちいち口に出すな。…まったく
[ファミルの頬から目元へと指を這わせ駄々をこねるように身も世もない訴えとともに流される涙を拭う。
己に奉仕するのは当たり前のことだ。居なくなる気も毛頭ない。ただ少し回復に時間がかかるだけだ。しばらくは眠りにつくだろう。そう思っていたが―]
……ファミル?
[その震える指先>>177より馴染み深い力を感じ目を瞬かせる。
魔術というのは...から見れば、世界に対して手続きをとり代価を渡して許可を得て初めて行使できるもの。
生来の気質からわざわざ伺いをたてるなどということは断じてしないものには相性が悪く、必要ともしないから覚えもしなかった。
だからこれは魔術ではない]
[己の何が何でも生きるという意志と融合し、傷がふさがっていく。
そのようなことまで考えて呼び戻したわけではなかった、そのためファミルの血兄弟との糸が切れたのも知ることはないが]
…やはり我が庭には未だ不可思議が転がっておる。……よくやった、褒めて遣わそう、ファミル。
[演劇者のように新たな変容と感情砥石の発露による力の行使で崩れ落ちるファミル>>178を抱き留め、その裡に眠る不安を感じ取ることもなく労いの言葉をかけた]
[第一試験の夜から後、日常の会話は広がるようになったが
まだ少し、打ち解けきれない所が娘にはあるらしい。>>206]
昔はこんな風に娯楽が広まっていた訳ではなかったからね。
君からすれば味気ない暮らしだったかも知れない。
星を観たり、収穫祭の夜に紛れ込んだり……
書物が流通するようになってからは、それも。
領を頂いて付き合いが増えてからは、
社交場に引っ張り出される事も増えたけれど。
[あの黒いてるてる坊主は街中では少々奇異だろう、
と言う事での帽子と、アイリスの衣装に合わせつつも
市井に馴染む服装である。]
[思えばまともにチャイルドの教育をする等なかったが、良い経験であったしなかなか楽しめもしたがそれもさっきまでのこと]
我の血を集めて瓶にでもつめておけ。ファミルの食事になる。
後は身を清めたい。湯を用意せよ。ファミルの体もきれいにしてやれ。
[使用人を呼びつけ、部屋の中の惨状に驚く様子を無視して命令を下し]
後、ベッドをもう一つ用意しろ。そこに寝かせておけ。
[子供扱いしていたために行っていたことを中止しはじめた**]
[祈りをもって世界の理に触れるーーー。
それは真祖のような君臨とは異なる、世界への干渉。
労いの言葉に微かに微笑んで、塞がった傷口を認めて目を伏せた。
使用人により身を清められ、清潔な寝具に着替えさせられ、横たえられるのは新たに運び込まれたもう一台のベッド。
共同生活の変化に気づくのはまだ少し先。
数昼夜の間、その睫毛は臥せられたまま、昏睡を続けた*]
そう変わらないと思うよ。
最初に説明した時、思わなかった?
[吸血鬼の社会構造については初めに教えた通り。>>211
人間と比べて絶対数が少ないという要因もあり、
氏族内の為政はより小規模なものと言えるが。]
貢納を対価に保護を与える、という所もか。
[街灯に照らし出されたマーケットは夜も賑やかだ。
彼女の目を引く物は何だろうと屋台通りを見遣る]
君の意外な所はそこだよね。
[学び好きで、いくらでも本に夢中になっていられる。
実はおてんば姫を想像していたとか何とか。]
[思うのは、領主であった父のこと。
縁者の邸宅に逃れた後、領地と自宅を確認に行った遣いから
高熱の合間に聞かされたのは、残された従僕達に息のある者はなく、父も行方知れずである、と。
寝台に起き上がれもしないまま自ら確かめに行くと主張した娘を、
縁者達は揃って、遠回しに“もう見込みは無いから”と制した。
まるで、何かを知っているとしか思えない態度で]
――……、
[だから。心構えはできていたのだ。
王の命で地方の内乱に出向き、もう還らぬかと懼れた日々もある。
泣く時間も、場所もあった。二度目の夜までは]
…ええ、そんなには変わらない気がしたけれど。
興味を持って聞くのとは、また違うかと思って。
あの御方…、“真祖の君”とあなたが呼んでいたアハド様は、
その中でも偉い方なの?
[人となりは似通っていないのに、何故か父を、人間の王を想起させた銀の主。つい弱音を洩らしてしまったのはそのせいだろうか]
保護を……
[領民の汗水の対価として、庇護を>>213
そういう意味では、やはり同じであるらしいと頷く。
けれど、洩らされる率直な感想には僅か眉根を寄せて]
…今の、どういう意味かは敢えて聞かないでおくわ。
[出会いの時を思えば、否定しきれない心当たりがないではない。
ふいと顔を背ければ、視界には鮮やかな人工の光が幾つも並ぶ。
食欲をそそる香りも漂ってくる]
[血の摂取量が少ないせいか、或いは元々の体質故か。
今の所味覚に変化はあまり生じていないようで、城館のメニューに加わるようになった甘味も味わえている>>203
血の味を美味の一つとして感じるようになりつつある以外は、だが]
そうか。
[頷いて、次に出された御名前については>>214]
うん、偉い……――と言うか
偉いんだけどねえええ…………
[では評議会の陣頭に立って遍く血族を統べる者かと言うと、
『律する者』ではないという事は言えるだろう。
鳥の巣箱をDIYしたり夜なべして子供の服縫ったり
自分に似ているからという理由で名付け親になったり
似合うからという一点で男にドレス着せたり
家庭菜園で苺とか育てていてももう驚かない
まあいっそフリーダム過ぎてどうしようもない王ではあった。
因みに、エレオノーレが与り知るのは上記の一部のみではあるが]
気が変わったらいつでも説明してあげる。
[ふいと屋台へ目を背ける横顔に囁く。>>215]
……何か、食べるかい。
[立ち並ぶ店の数を指折り数えるように、彼女に示した]
― 乱闘騒ぎ ― >>188
[通りいっぱいに広がった乱闘は、野次馬を巻き込んでまだまだ拡大の気配を見せる。]
くだらない。
さっさと行く───
[先へ進もうと促す言葉は、振り返ったところで途切れた。
酔漢が振り上げた金属のビアマグがレトの頭に直撃した瞬間を目の当たりにする。]
/*
!
これは…いいんじゃない?
飢えでますたーの血をもらうとかも妄想したけど、
これ、ますたーの格好いいところ見られるフラグじゃない?
[わくわく]
ちっ。
[何をやっている、と言葉にする時間も惜しみ、バイクのエンジンをふかして周囲を威嚇する。
直後に後輪を滑らせて地面を大きく払うターンを決めて、レトに走り寄った。
倒れこもうとするレトの体を直前で受け止め、肩に担ぐ。
今度は前輪を高く上げて強引に方向を変え、本来の目的地へ向かおうとした。
途中、酔った男がへらへら笑いながら自転車にしがみついているのを見て、小さく息をつく。]
どけ。
[自転車に近づき、しがみついている男を蹴り飛ばす。
自転車を拾い上げたついでにぐるりと振り回し、殴り掛かってきた馬鹿を二、三人まとめて弾き飛ばす。]
[レトと自転車とをまとめて担ぎ上げ、片手でハンドルをさばいて喧騒の中を突っ切った。
途中、進路を塞いだ不運な相手は容赦なく轢き倒して進む。
悲痛な呻きが上がったが、そんなに速度が出ているわけでもないから骨が折れた程度だろう、と思っておく。
乱闘を抜け、野次馬の波を割って外に出て、そのまま目的の場所を目指す。
背後で『警察だ!』との叫び声が聞こえたから、じきに騒ぎも収まるだろう。
そちらを振り向くことはなく、夜の街をひた走った。]
[やがて、道の両側から聞こえる喧騒は別種のものに変わる。
もう夜半も過ぎたというのに女たちが淡い灯りの下にたたずみ、通り過ぎるものに甘い声を掛ける。
立ち並ぶ二階建ての建物からは酒場とは違う嬌声が聞こえていた。
女たちの声を無視してしばらく進み、やがて一軒の店の前で止まった。]
「あら、狼さん。お久しぶりね。」
[店の前に立っていた女がこちらの顔を見て声を掛けてくる。]
いつもので頼む。
アニタはいるか?
「奥にいるわよう。来て。
其れ自転車? 店の裏に繋いでおいてね。」
[流し目で微笑む彼女の後について店の中に入る。
扉には、アニタの店と書かれていた。]
[アニタの店は古い娼館で、連れ込み宿にもなっている。
クロノスで日中滞在する必要があるときは、よくここを使っていた。
娼館というのはよくできたもので、窓が少なく壁もそれなりに厚い。
店の主のアニタとは古い馴染みだった。それこそ数十年前からの。
奥から出てきたアニタは昔と寸分変わらぬ美貌で、───要はそういうことなのだった。]
世話になる。
[未だ目覚めないレトを店の女に託し、女主人とひとことふたこと言葉を交わす。
あとは、大人の時間だ。]
− 娼館 −
…ん
[脳震盪から回復して感じたのは、菓子とは違う湿っぽい官能的な甘い香りと、天井に投げられた仄かな明かり、そして、急所を弄られる疼き──]
あぁあ?!
[仰天して広いベッドの隅まで逃げ、股間をガードした。]
ななな何してンだっ!
[ベッドが大半を閉める部屋。
太腿までしか隠さない黒いレースのネグリジェをしどけなくまとった少女が、ベッドの上にぺたんと座り込んだまま小首を傾げる。
「起こしてあげようとしたのよ」
何をだ、と涙目になりそうなのをグッとこらえて、シーツを手繰り寄せる。
気づいたら全裸だった。]
ど、どこだよ。 ここ。 服返せ。
[「ここはアニタの店よ。アタシはリリト」少女は婉然と微笑む。
外観はせいぜい15.6だが──その10倍は生きていそうな雰囲気があった。
「アニタはアタシのママ。今、ローと会っているわ。邪魔は無粋よ」]
うー、
[状況がわかるまで、ロー・シェンの名は出すまいと思っていたら、向こうからあっさり告げられて、とりあえず拉致されたわけではなさそうだと安堵する。
だけど、無粋と言われたら、念話もできない。]
[「続きさせて」リリトがずい、と身を乗り出した。
その胸は平坦であった。]
断るっ!
[ハムスターのごとく弄ばれる図しか思い浮かばずに断固拒否。
「何しに娼館に来たのよ」]
オレが聞きたいわっ しかも、こんな
[言い終わらないうちに、媚薬香水を顔面にブチ撒けられて、ギャンと枕に突っ伏した。]
― 娼館の一室 ―
[部屋に押し込んだら、ダーフィトが抗議の声をあげた。]
二泊で帰る予定なんだから、さっさと休まないと!
[お嬢さん方に捕まった挙句、丸一日足腰が立たなくなるなんて、笑い話にしかならないのだし。
生まれて数千年は求められるままに在り、
70年前から自我らしい自我を持ち
そういった知識に関しては5、60年しかないのだが……
それでも、これぐらいの事は予想がつく、と。]
[シャワーを借りたいと言われればそれを了承した。
ダーフィトが身体を洗っている間に自分もシャツだけは替えておく。その際、腕にこびり付いていた朱を舐めとることで喉を潤し――…
それが終われば、扉から顔を出し、娼館の主人を呼び止める。]
[自分達は家の決まりで、
連れが憔悴しているから、明日の夕刻まで部屋を借りたいと。
ついでに少々、使いを頼まれてはもらえないかと。
飲み食いしそこねてしまったから、
違法酒場に官憲を入れずに済んだことと、ステファンが提示した金額が高級娼婦とまではいかなくとも、上等な娘を二〜三晩程好きにできる程だったことから、主人は喜んで条件を受けた。]
[品を受け取り、頼みもの…ダーフィト用の替えの衣服は明日の昼前になる旨を聞いたなら、男は礼の言葉を述べ扉を閉めた。
そして、シャツしか変えていない為、ベッドへ潜り込む事もできず、酒で味覚を潤すだろう。
炭酸が喉を通る感触を楽しみながら、男は部屋の内装を見やる。どこか淫猥な空気を持っているものの、その調度品は安いものではないように思え――…
闇酒場の本来の客は
ダーフィトごめんっ!!
[男は衣服をそのままに、急いで浴室へと避難した。
客を選ぶ娼館の壁は、客のプライバシーを守るべく、音漏れしないように厚く作られている。
が、吸血鬼の聴覚は否応なしに拾ってしまうのだ。
――…両隣からの嬌声を。]
[予想通り浴室は更に壁が厚かったのか、耳が拾うものが湯の立てる水音となったのか。
どちらなのかはわからないものの、艶がかった嬌声から逃げ切れたのはこれ幸いと――…]
ダーフィト、こっち来ないでね。
[と、背を向けたままで忠告し。
バレる前になんとかしようと、嬌声に反応してしまった己を声を殺しながら慰めた]
――――っ、――
[服を脱ぎ捨てると、石鹸水を手に塗りつけて、力任せに擦り上げてみる。
が、焦りに加え、酒気を帯びていることもあったのだろう、浴室に飛び込んだ時の状態の割に中々終わりそうになく。
しばらく逡巡した後、先ほどとは趣向を変え、鈴口から自身の型をなぞるようにゆるゆると手を動かした。
次第に程なくして殺していたはずものが漏れ始めるが、頭の中はなんとかして早々に終わらせることで絞められてしまっている。]
――――んっ、…ふ……ぁ、
[久々の感覚に肩を震わせながら、吐息混じりに上擦った声が漏れ……
その頃には先に入っていたはずの誰かの事は頭の中から抜け落ちていた*]
― 浴室 ―
[シャワーを借りたいというとあっさりと許可された。最初はシャワーだけで済ませるつもりが浴室に行ってみれば大層広くて立派な浴槽に、暖かげなお湯がなみなみと満たされており…入らない手はない]
はー…
[お湯に浸かって手足を伸ばせば心地よく疲れが取れていくようで。早く交代しないと、とは思うのだが、湯になにか香草のようなものでも入れてあるのかいい匂いがする。疲れて動かない頭が眠気に襲われてついうとうとしかけていたところ]
「 ダーフィトごめんっ!!」
[そんな声を共にステファンが浴室に飛び込んできた。驚いたけれどそれ以上に赤く染まった顔を見れば何かあったのかと焦る]
どうした?!
[聞いてみたけれど答えは返るかどうか]
[こちらに来るなと言われればおとなしく視線を違う方に向けるものの]
――…。
[鼻近くまで湯に浸ってしばらく。殺した声に、“今どういう状況なのか”を悟れば焦ってお湯の中ぶくぶくと呼気が洩れる]
(ちょ、おま…っ)
[自分がいることは忘れ去られているのだろうか。声をかけていいものかを迷い…ちらと視線を向ければ、白い背中が揺れているのが目に入る]
――…っ、??!!
[いけないものを見た気分。慌てて視線を逸らし、しばらくそうしておとなしく待つものの、終わる気配はなく]
― 少し時間を巻き戻し ―
[衣服を脱ぎ捨てている最中に、どうしたのかと尋ねる声が飛んできた]
なんでもない!
[そう返事をした後に、嘆息混じりに呟いただろう]
ただ、少し、
ああもう…!
[おとなしく待つつもりが、変に艶がかった声までが聞こえてくれば、こちらまで変な気分になりそうだ。お湯から立ち上がると小柄な背中を抱きしめ、背中から腕を伸ばす。すっかりそちらに意識が向いてしまっていた彼は驚いた顔をするだろうが知ったことか、悪いのは自分じゃない]
…手、だけ、貸すだけだ…っ
[言い訳染みたことを言うと彼の金色の髪に顔を埋め、そっと彼の手に手を重ねた*]
[もう少し…と、ぼんやりした思考を浮かべていたら「ああもう…!」と、手を貸すという自棄混じりの声が耳へと飛び込んできた。]
なん―――
[いないと思っていた、思い込んでいた方向から声がして、「なんでここにいるのか」と、咄嗟に振り向こうとしたのだが。
先程まで快楽に耽っていた意識ではそれも間に合わず、横から抱かれるような形になり――…]
[うっかり触れてしまった事で、相手も反応してしまっていると気づいたなら、少しだけ余裕を取り戻す。]
……ダーフィト、この方、はや、い――…
[――自分だけの弱みではないのだと、そう思えば幾分か楽で。
相手の胸に縋りつくように向き合い、互いの劣情を重ね合わせて慰めればいいと、自身へと手を伸ばすダーフィトの手を石鹸水で滑る指で導こうと試みた*]
― 娼館 ―
[一階奥の部屋でソファーに腰かけ、香りの強い酒をちびちびとやりながらアニタと水タバコを回し喫む。
他に交換されるのはクロノスの状況や訳ありの客の噂話。そして評議会の動向など。
甘く重い煙が充満する中でそれ以外の熱も交わされる。
と。
上階からの物音を耳ざとく捉えて、視線を上に向けた。]
起きたか、ティファレト。
[体の上から女主人をどけて、服装を正す。
呼びかけは、血を震わせる"声"]
降りてこい。
お楽しみ中でなきゃな。
[付け加えたのは、冗談のつもりだ。]
[レトが下りてくるのを待つ間、アニタに「新しい仔を作ったのか」と問われて、薄く笑った。]
預かり子だ。
今はまだな。
[ふうん、と気のない声を返すアニタへグラスを掲げてみせる。]
「あなたにしては可愛い仔を選んできたと思ったけど」
[そんな感想に声を立てず笑って、グラスを合わせた。]
― 私室:第二試験から数日後 ―
[数日の深い深い眠りの後、淡い金の睫毛を震わせ瞼を持ち上げた。]
……………。
[ゆっくりと上体を起こし、紫水晶の瞳はぼんやりと虚空を見つめる。
かと思えばふわりと胸に手を当てて、その存在を確かめるように睫毛を下ろす。
元から淡い色彩の儚い印象を受ける容姿だったが、その少女めいた顔貌にそれまで無かった浮世離れした妖しさが宿る。
やがて緩慢な動きで周囲を見れば、銀の真祖の姿を見つけ。]
………、おはよう。
[少し首を傾げて、まずは目覚めの挨拶を。]
ちょ…っ
[彼の分を終わらせて終わろうと思っていたのに。けれどいつの間にかしっかり反応してしまっていたところに触れられれば跳ね除けることはできず、導かれるまま重ね合わせて手で握ればどうしようもなく気持ちが良くて]
は、ぁ…
[二人分の快楽を引き出しながら彼の唇に唇を重ね、奥まで遠慮なく貪ればリンゴとアルコールの味がした*]
― 私室:第二試験から数日後 ―
[あれから目覚めることはなく休眠をとるファミル。それだけの消耗をしたのだから無理もない。
かくいう真祖も普段より多めの睡眠と多めの血入りワインを飲みながら過ごしていた]
起きたか寝坊助。容体はどうだ?
[いつものソファーに腰かけながら、目覚めの挨拶をする今までとは少々雰囲気の異なるファミル>>225へと振りかえり答えた]
− 娼館 −
冗談やめっ
[真っ赤な絹のロープまで持ち出してきた相手に懸命に抗っていたところに投げかけられるロー・シェンの”声”]
うっ…、
そこまで、そこまでっ! 師匠が呼んでるっ!
[精一杯主張すれば、とりあえずリリトの手は止まった。
「むぅ、本当のようね。そんなわかりやすく反応するとか、もー」
悔しがりつつ衣服を返してくれる。]
お楽しみどころか、助かったよ、
[息を整えながらロー・シェンに念話を返し、リリトに下の部屋まで連れて行ってもらう。
「案内料」と、振り向き様にキスをひとつ奪われた。]
なー…
[「ここよ」と開かれた扉の先、ロー・シェンと妙齢の美女がグラスを傾けている。
評議会の城館よりも、やや扇情的な色合いの部屋。
うっすらと漂う煙と甘い香りは水タバコのものらしい。]
初めまして。 お邪魔します。
[雰囲気に飲まれてたどたどしい挨拶になるも、するりとロー・シェン傍らへ移動する。
何しにこの街へ来たんだと、いまだに疑問に思いながら。]
―クロノスの街―
[1つ1つの絵画を見て過ごしたおかげか、美術館を出た頃にはすっかり日も落ちていた。
家々や店から灯りが漏れて、闇に包まれた街角を照らし出している。
太陽が姿を隠しても、まだまだこの街は眠らない。]
何か素敵なものは見つかったかい、アレク?
[活気溢れるマーケットを、特に目的を決めることなく歩く。
こうして彼と2人、城館の外を歩いている時間が、今はただ楽しかった。]
[容態、と聞かれて自分の身体を一度見下ろす。]
……不具合はなさそう。
むしろ、前よりも少し、体が軽いような気がする。
[しかし喉に触れて]
ああでも、喉は渇いてる。
[言いながら、ベッドから降りると着替えを探して視線をさまよわせる]
―美術館を後に>>226―
トールの知識は、思っていた以上に深いものなのですね。
齢…70を迎える頃でしたか。
フフ。
直に目の当たりにされた時代もあって、大変参考になりました。
絵画を嗜まれていらっしゃらないのは残念ですが、
十二分に貴方の優しさの形は魅せて頂いておりますので
我慢致しましょう。
[手作りのクッキー、そして自身に対する接し方の
ひとつひとつを挙げれば、それはやがて主の人と成りを
明確な形として作り出して行く。
自分自身がそれを確りと覚えていれば良い。
心落ち着く闇の帳が下りた街並みを見渡しながら気持ちを改めた。
仄かに街を照らす家々の灯りは、それでも賑やかな人々の
様子も浮かび上がらせていた。]
[唇を尖らせた音には気付いていないように反応なく、
少女らしく甘い物を強請る声の方に頷いた>>219]
甘い物なら、……あの辺りかな。
[賑やかなマーケット、夜の街路に行き交う人間達は
酒盛りで出来上がった労働者達であったり、
寄り添って歩く恋人達であったり。
その中に浮いた、時間を止められた二人であったけれど]
いや、良いよ。
[好奇心に任せた食べ歩きの経験など、ついぞなかっただろう。
こうしていると、やっぱり彼女も子供だ]
美味しい?
そうか。まあそうであろうな。
[よくなった理由に見当はついているためそれは聞き返さずに血とそして着替えを探して彷徨わせる視線>>230を見て、使用人の一人が血の入った瓶をもってきてグラスに少量を注ぎファミルに差し出す。それは香りで判断がつくならば...の血であることがわかるだろう。
そしてもう一人の使用人が持ってきたのは、彼の着替え。
全体的に夜色の肩だしのトップスにフレアスカートであった。]
[...は学習した。
今まで明るいめの色だったから。あるいは動きづらいからこそ嫌だったのだろうと。
よって今回は先の文句から推測し新たな試みにでたのだった]
――ッ
[それは急激に襲ってきた。
強い動悸と目眩に、ぐらりと視界が周り手からステッキが離れて蹲る。
焼け付くような喉の渇きを抑えようと、口元に手を宛がう姿は。さながら吐瀉を堪えている病人のようにも見えたかも知れない。
久しぶりに襲い来る"飢えの衝動"焦りを覚え、アレクシスの服を引いて手近な路地に逃れる。]
…かっ…は――
[口元から手を外し、壁に手をついてなんとか平静を保とうと試みるが、呼吸をするたびに渇きは強くなり、膝は笑うように震えている。]
来たな。
座れよ。
[側に来たレトへ、自分が座っている場所の隣を指し示す。]
アニタだ。
俺の昔なじみだ。
[端的に紹介すれば、アニタは艶めかしく上体を傾ける。
「初めまして坊や。あなたみたいな子ならいつでも歓迎よ。」
服の間から谷間が覗く。その胸は豊満だった。]
明日の夕方までここに泊まる。
昼間は上で寝かせてもらえ。
[レトの疑問に頓着することなく、今後の予定を告げる。]
明日の夜にはナイトマーケットが開かれる。
それを覗いてから帰るぞ。
夜明けまではアニタに街での振る舞いと狩りの仕方を教えてもらえ。
俺たちにはまねのできないこともあるけどな。
[「たっぷり教えてあげるわよ」と妖艶に微笑む女主人の口元は、ひどい八重歯とも見えるだろう。]
[ぬるぬると滑る手は、彼を思うように導けず。
だが、昂ぶりをなぞりながらもどかしく絡みあう指に、次第に溺れそうになっていく。]
……は、――あっ
[彼の前に座りその両脚に脚を乗せる形だったが為に、爪先を床に着けることができずに、快楽はその逃げ場を失ってしまい]
…っ、う、――ん
[炭酸の感触の残っていた口内を、ねっとりとした快楽で塗り替えられれば、耐え切れずに一旦逃れようと突き離す。]
[ぬる、と、ダーフィトの胸板を撫でる形で唇を放し、とろんとした瞳で彼の顔を窺う。
そして、相手が血を摂ってないことを思い出せば、自身の唇を噛み切って、舌でそれを掬い上げ――…
再度唇を重ねあわせたなら、自身の意識は互いの昂ぶりへと向けて、唇は彼の求めるままに。
そのまま、一度ではなく飽くまで快楽を貪れば、眠いと言わんばかりにダーフィトの胸へと身体を沈めるだろう*]
[表通りを行き交う人々を見つめる瞳孔は金色の輝きを放ち、猫が獲物を狙うような視線で動きを追った。
原因が何か、思い当たるのは1つしかない。
城館で生活する間アレクシスに血を与えるばかりで、己のために血を摂取してい来なかったためだと、頭の隅で見当をつけるが。
思考もそこまでだった。]
……アレク…ッ、すま…ない――
[アレクシスをその場に残し、表通りを歩いていた若い女の腕を掴むと、叫び声を上げる前に口を抑えて問答無用に路地へと引きずり込む。]
[獲物の抱きしめて頭部を掴むと、強引に口づけた。
まだ幼さの残る若い乙女は一瞬目を見開き、その瞳はすぐにとろりと溶ける。]
/*
ふと、うちが一番えろ酷い可能性もある気がしてきた。
…………だいじょうぶだよね?
破局の可能性孕みつつの歪んだ関係美味しいです!とか思っててごめんね、ダーフィト!
*/
[ゴブレットに少量注がれた赤、それが誰のものか聞かずともその芳香で判ずることは容易い。
手に取り、口を付ける前に差し出された着替えを見る。]
………まるで娼婦だね。
否……マグダラのマリアかな。
[添えられた夜色の繊細なレースで織られたヴェールの髪飾りを見て言い換える。
深い夜色は、その露出度に比して決して下品なだけの印象を与えるものではなかった。
それ以上は文句を言うでもなく、一度グラスを置き、自ら寝間着を脱ぐと、使用人に手伝ってもらって着替えを済ませた。]
………乾杯しない?
[再びグラスを手に取ると、口を付ける直前、ふと思い立ってクレステッドを見た。]
[マーケットに並ぶ品物をただ見る、それだけでも何か
新鮮なものを感じるのは、これもまた血によるものなのか。
それとも、ただ子供っぽいだけなのか。]
素敵なものは数え切れない程あります。
例えば――…ほら、あの器をご覧下さい。あの柄……
[モリちゃんのラインに似ています、と主の方を振り向いた時。
乾いた音と共に主の身が傾いで行くではないか。>>235
自分には何の異変もない、一体何が…焦る気持ちを抑え付け
ながら彼に手を貸し、引かれるままに路地へと駆け込んだ。]
トール、トール…一体どうされたのですか…。
どうすれば良いのですか…。
[うろたえるも解決策は見当らない上、主の瞳が普段知らない
彩を放っている。>>237]
[固形の食物は、吸血鬼となってからは必要ではなくなったため
進んで求めなくはなったが、口にする事はできる。>>236
そんな訳で、スポンサーそっちのけで食べ尽くしては
よろしくない、と言う事に気付いた娘の手から
一口二口と分けてもらいながら、隣を歩いていた]
食べ物以外の店もあっち……
[がちゃん、と往来から剣呑な音が響く。
間近で呂律の怪しい怒声が宙に浮くのを聞いて、
咄嗟に傍らの娘を道の反対側に引いてやる]
[ディークが吸血鬼狩人の生命を吸い尽くすのを、冷然と見下ろしていた。
死にゆく男には、これこそまさに人の生死など歯牙にもかけぬ、憎むべき魔に見えただろうか。]
[若い少女を抱きしめて、細い首筋に牙を突き立てる。
まだ穢れを知らないであろう年頃の少女は、白い首を仰け反らせて、喘ぐ。
快楽を知った女の表情を浮かべて震える少女は、端から見れば恋人と熱く抱きあっているようにも見えただろう。]
[それは恋人であるアレクシスの目前で、
少女の血によって"渇き"を満たしたトールが正気にかえるまで続いた。*]
……!
[そこではたと気付く。
思えば、自分はここ最近主の血を受けるようになったものの…
主はその分の血液を補っていたか?]
あ……。
[目に映る光景は、いつか主が言っていた狩りのものなのだろうか。
誰でも良い、とばかりに若い女を引き摺り込んでは
貪るように口付けているそれは、優しさも美しさも無い
捕食の光景だった。]
[然程人間の食物に欲を覚えないのか、進んでは食べようとしない吸血鬼の口許に、時折お裾分けを押しつける。
それが一番てっとり早かったのだ。
この際お行儀を気にするのも無粋だろうと]
そうね、お腹の方はもう一杯。
[ご馳走様、と礼を言う声に高い音と怒号が重なった。
ぐっと手を引かれ、音の方角から遠ざけられて>>240]
……あ、りがと。
[少女か少年か未だはっきりしない相手に庇われる疑問も湧かず、
また礼を囁く]
物騒ね…、あんなになるまで飲まなければいいのに。
[酒は節度を守り嗜むものとの認識故に、非難するというより
不思議そうにそちらを眺めやる。
酒で浮世の憂さを晴らすという感覚にも、まだ乏しい]
− 娼館 −
[ロー・シェンに言われるままに腰を下ろして、挨拶の後も、向かい側のアニタの豊かな実りにチラチラと視線を奪われたりしつつ。
今後の予定を伝えられ、アニタから妖艶な笑みを向けられれば、いささか落ち着かない素振りになった。
これまで、娼妓と遊んだ試しがない。
手取り足取りの艶かしい面倒見の良さは、やや気後れするのだった。
そもそも、二階のあの部屋で寝ろというのは、なかなか危険だ──けれど、相手も同類なら昼は多分──と無理矢理、自分を納得させた。]
まだ半月の新米です。
レトって呼ばれてます、よろしく。
[無事に明日の夜を迎えられますようにと願いつつ、ぺこりと頭を下げた。]
― 部屋 ―
[腕の中預けてきた彼の体を綺麗に洗い、ベッドへと運べば両隣は静かになっているだろうか。シーツの中にそっと横たえ自分も共に滑り込んだ]
……。
[先程彼の唇につけられた傷はもう消えてしまっていたけれど、味わうようにまた唇をつけ舌先でなぞる。抱きしめれば小柄な体はさらりと抱き心地が良くて]
(やば い)
[手放せなくなりそうな予感がした――*]
― 路地裏 ―
[初めての狩りを終えたディークが、満ち足りた顔で添うのを、誇らしげな笑みで迎える。]
よくやったね、ディーク。
[そして、甘える彼の意を叶えるようにその盾のような胸に顔を埋め、己を抱くを許した。]
そうか?そういうものなのだな。だがよく似合っているぞ
[特に文句を言わずに着替えたファミル。
つまりこういうのが好みだったのだな。という認識が芽生えた。
ロウソクの明かりが夜色の服とファミルの白い肌とのコントラストを艶めかしく照らす中。自分の手元にも血入りの果実酒がおかれているが]
…そうだな。何に乾杯する?
[そういえば今までこうして飲みあうようにすることもなかったか。などと思いながら杯を手にファミル>>238を見返した]
[とは言え、発生が余りに近すぎた所為で、
避けようにも上手く行く筈もなく。
と言うか良い所でお育ちのお姫様による一言が
熱くなっていた酔漢の神経を見事に逆撫でしなさった>>243
怒声の矛先がアイリスに向く]
……――何でもないよ、僕らはもう帰、っつ
[酔漢が乱暴に手を突き出す。
後ろを庇って胴に少し衝撃を感じはするが、その程度]
―城館―
[あの後早々に城館へと戻ってきたのが、2人の間に流れる空気は当然、良いわけが無く。]
すまない…アレク…――、本当に……
[格好の標的となった少女には催眠を掛け、傷口を舐めて癒し、記憶を奪って何事も起きなかったように表通りへと還した。
問題なのはあの少女ではなく、帰還した吸血鬼の2人だった。
思い返せば獲物となったあの少女も、吸血している間まるで抱擁に応えるようにトールの背に腕を回して来ていた。
まるで接吻と抱擁以上の続きを求めるかのような瞳を潤ませる少女を思い出し。
いくら飢えの衝動を抑えるためとは言え、やりすぎたと深く反省する以外にない。
それもすべては自己責任以外の何物でもなく、言い訳など論外であり。
アレクシスにはひたすら謝る事しか出来なかった。]
いい――構わない。
初めてにしては、とても良い手際だった。
[それより怪我は、と言いかけて、息を乱す。
寄り添ったディークの身体から放射される精気と、彼の肉体の質量に当てられて、下肢から力が抜ける。
既にして餓え、路地に立ち込めていた血の香に侵されていたからだには、強烈な媚薬を与えられたと同じ。]
あ……
もう少し露出が少ない方が助かるんだけど。
……こういうの、好きなの?
[丈の短いスカートにガーターベルトとストッキングを合わせるセンスに軽く眉を顰めながら。
しかし、以前のように詰め寄ることはせず小さくため息を吐くのみにとどめ。]
……そうだね。
私の3度目の誕生日に?
[一度目は人としてこの世に生を受けた時。
二度目は初めての死を迎え、吸血鬼として蘇った時。
そして、三度目の今は―――。
傍らまで来ると、座っても良いかと目で問いかける。]
[困ったように弱い嘆息。
逃げるよ、と視線で傍らに示して、彼女の手を引く。
背後から乱闘の腕が伸びて来るが、それは己の帽子を掴んだきり
人垣の狭い隙間に潜り込んで騒ぎから避難した]
あとは頼む。
俺は野暮用を片付けてくる。
[アニタにレトを任せて自分は立ちあがる。
いくつか知り合いのところに顔を出す予定だった。
部屋を出ていきかけたところで、ふと振り向く。]
言い忘れていたが、これも評議会の試験だ。
街は良い狩場だが、危険も多いからな。
[おとなしくしていろよと言い添えて、外に出て行った。]
[ある日、君の頭に”あの声”が語りかけてくる。]
よう、 ずいぶんと甘やかされてるみたいだな。
[それは、君の血親たるバランの声。
討伐されはずだが──]
けけけ、こっちにもいろいろツテはあるんだ。
そう簡単に滅ぼされてたまるかよ。
さて、復讐の手始めに、
今すぐ、面倒みてもらってるマスターをブッ殺して心臓抜いて、オレ様のところへ戻ってこい。
オレ様が可愛がってやるからよぉ。
── 忘れるな、貴様の血親はオレ様だ。
[血親の命令が君を束縛する。]
[ある日、君の頭に”あの声”が語りかけてくる。]
よう、 ずいぶんと甘やかされてるみたいだな。
[それは、君の血親たるバランの声。
討伐されはずだが──]
[結局、娼館に戻ってきたのは翌日の夕方だった。
レトが起き出す頃合いを見計らったように戻ってきて、
アニタと別れの挨拶を交わす。]
乗り物だけ置かせて置いてくれ。
マーケット覗いたら取りに来る。
───ああ。また来る。
[唇の端に赤い色を付けたまま、ひらりと手を振って『アニタの店』を後にした。]
けけけ、こっちにもいろいろツテはあるんだ。
そう簡単に滅ぼされてたまるかよ。
さて、復讐の手始めに、
今すぐ、面倒みてもらってるマスターをブッ殺して心臓抜いて、オレ様のところへ戻ってこい。
オレ様が可愛がってやるからよぉ。
── 忘れるな、貴様の血親はオレ様だ。
[血親の命令が君を束縛する。]
[ある日、君の頭に”あの声”が語りかけてくる。]
よう、 ずいぶんと甘やかされてるみたいだな。
[それは、君の血親たるバランの声。
討伐されはずだが──]
けけけ、こっちにもいろいろツテはあるんだ。
そう簡単に滅ぼされてたまるかよ。
さて、復讐の手始めに、
今すぐ、面倒みてもらってるマスターをブッ殺して心臓抜いて、オレ様のところへ戻ってこい。
オレ様が可愛がってやるからよぉ。
── 忘れるな、貴様の血親はオレ様だ。
[血親の命令が君を束縛する。]
[ある日、君の頭に”あの声”が語りかけてくる。]
よう、 ずいぶんと甘やかされてるみたいだな。
[それは、君の血親たるバランの声。
討伐されはずだが──]
けけけ、こっちにもいろいろツテはあるんだ。
そう簡単に滅ぼされてたまるかよ。
さて、復讐の手始めに、
今すぐ、面倒みてもらってるマスターをブッ殺して心臓抜いて、オレ様のところへ戻ってこい。
オレ様が可愛がってやるからよぉ。
── 忘れるな、貴様の血親はオレ様だ。
[血親の命令が君を束縛する。]
[ある日、君の頭に”あの声”が語りかけてくる。]
よう、 ずいぶんと甘やかされてるみたいだな。
[それは、君の血親たるバランの声。
討伐されはずだが──]
けけけ、こっちにもいろいろツテはあるんだ。
そう簡単に滅ぼされてたまるかよ。
さて、復讐の手始めに、
今すぐ、面倒みてもらってるマスターをブッ殺して心臓抜いて、オレ様のところへ戻ってこい。
オレ様が可愛がってやるからよぉ。
── 忘れるな、貴様の血親はオレ様だ。
[血親の命令が君を束縛する。]
[その日──君の意識に触れて来たのは”神の御使い”を名乗る声。]
思い出すのです、あなたが地に下された理由を。
あなたは主の思し召しのままに出会い、
導きに従いひとつになった。
いまや、あなたの魂は彼と結ばれている。
よくやりました。
さあ、天へ帰るときです。
あなたの愛する片翼とともに。
[ふと気づけば、手の中に風切り羽根によく似た慈悲の刃があった。
それでクレステッドの魂を刈り取り、ファミル自身も肉の枷を脱ぎ捨てよと──元々、あなたたちは天において番いだったのだからと、声は告げて消える。]
[クロノス行きの試験から一週間後。
評議会からもたらされた通達は、新しい試験ではなく、警告だった。]
「バランの心臓が何者かによって盗み出された。
バランが復活するようなことになれば、再度、討伐隊が編成されることになろう。
準備を整えておくこと」
[評議会から内密の指示が出る。]
「あなたの預かっているチャイルドがあなたに従わず、血親バランの元へ戻ろうとするならば、それを始末することを許可する。
あなたとしても、教育の失敗は、そのような形で責任をとらねばならないだろう。
なお、これは訓練ではない。」
[評議会から内密の指示が出る。]
「あなたの預かっているチャイルドがあなたに従わず、血親バランの元へ戻ろうとするならば、それを始末することを許可する。
あなたとしても、教育の失敗は、そのような形で責任をとらねばならないだろう。
なお、これは訓練ではない。」
[結局その日は、官憲が踏み込む事態を避けることができたと喜ぶ主人の計らいで、本来は会員制である闇酒場上階のサロンで一泊する事ができた。]
――次の日
[自分用の着替えは持ってきていたのだけれど、ダーフィトの分は持ってきていなかった為、使いを頼んで既製品のタウンジャケットと、それからシャツとズボンを数種買ってきて貰え――…
闇酒場と同経営者故なのか、食事の味にも満足で……もうこれ本当に会員になるべきかなどと考えながら、男は窓の外を眺めている。
ダーフィトはもう目覚めているのだろうか。
目覚めているなら、何を話すべきか悩みながらも、帰りの支度を始めるだろう。]
― 城館へ→
[評議会から内密の指示が出る。]
「あなたの預かっているチャイルドがあなたに従わず、血親バランの元へ戻ろうとするならば、それを始末することを許可する。
あなたとしても、教育の失敗は、そのような形で責任をとらねばならないだろう。
なお、これは訓練ではない。」
[評議会から内密の指示が出る。]
「あなたの預かっているチャイルドがあなたに従わず、血親バランの元へ戻ろうとするならば、それを始末することを許可する。
あなたとしても、教育の失敗は、そのような形で責任をとらねばならないだろう。
なお、これは訓練ではない。」
[甘い血の香する息が、慾を滲ませた囁きとともに吹き込まれる。
喰らわれたい、と雛の見せる媚態が]
ディーク……
[悍馬の如き渇きを、紙一重で御してきた抑制を狂わせる。
慾の絡んで擦れた声、]
ディーク、だめ
今やったら 殺してしまう
[腕をきつく掴んで引き剥がし、餓えた顔を見せたくないと俯く。]
[評議会から内密の指示が出る。]
「あなたの預かっているチャイルドがあなたに従わず、血親バランの元へ戻ろうとするならば、それを始末することを許可する。
あなたとしても、教育の失敗は、そのような形で責任をとらねばならないだろう。
なお、これは訓練ではない。」
[評議会から内密の指示が出る。]
「あなたの預かっているチャイルドがあなたに従わず、血親バランの元へ戻ろうとするならば、それを始末することを許可する。
あなたとしても、教育の失敗は、そのような形で責任をとらねばならないだろう。
なお、これは訓練ではない。」
む?そうなのか。我が似合うと思わねば用意はせぬ。服の好みというよりは、それを着こなすファミルを見たいだけだな。
[素直に来たからこっちが好みなのかと思っていてが、違ったのか?
なかなか好みにはうるさい難敵なようだ。
傍らまできて座ってもよいかという視線の問い>>248には鷹揚にうなずき]
成程…確かに。ではファミルの三度目の誕生日に……乾杯。
[傍近くにて座れば、血色の液体の入ったグラスを掲げ、合わせた。
チンという涼やかな金属音が鳴り響いた]
村の更新日が延長されました。
― ナイトマーケット ―
[クロノスに着いた翌日の夕方。
レトを伴ってナイトマーケットの通りを歩いていた。
マーケットには昨日の通りとはまた違う賑やかさがあった。
人を呼び込む売り子の声。値引き交渉の駆け引き。
昼と夜が交わる時間帯には、独特の活気がある。
時折出店を冷かしながらぶらぶらと歩いていく。
目的がないわけではなかったが、たまにはこんな散歩も良い。]
― 回想・部屋 ―
[次の日、ベッドで目が覚めれば、ダーフィトに運んでもらえたのだろうなと、理解する事はできた。
隣で眠る彼の顔を覗きこめば]
――ごめんね、ダーフィト
[溢れるのはそんな言葉で。
彼はいずれ自分のもとを離れるだろう――
その考えは今も変わらない。
触れ合うだけ、求めるだけ
彼を傷つける事になるというのは理解できるのだけど
それよりも、たとえ醜い傷痕でも
彼の中に残るのならば嬉しいと、感じてしまう自分がいる]
― 回想・了 ―
/*
[ここらへんに一杯芝が植わってると思ってください]
ごめ ごめんなさい もしかして私の特別仕様じゃないっすかね今回のイベントwww
想定してなかったわ…これは…いやほんとごめんなさい…
― 人通りを抜けて ―
……よく我慢したね。
[去り際、発露しかけた魔力を抑え込んだ事。>>251
乱闘から逃げ、人込みからも抜け出して路地に入った辺りで、
平気だよ、と心配の声に返した。
結局帽子は紛失したので、代わりを求める必要があるか。]
そんな顔をしなくて良いんだよ、レディに手をあげる方が悪い。
[寄り添った体がふらついて、支えるように抱きしめた]
ここには誰も来な──
[含め聞かせるような囁きは、離れようとする動きに止まった。
俯くあかがねが闇の中で揺れる]
… コンラート
― その日・教室 ―
………チアナ…
[男の視線はどこか虚ろで]
………僕は…
[ぽつぽつと、零す言葉に乗る色は――…*]
いい。殺せ
[きつく掴まれた腕に、感じる小さな痛み]
──俺は死なない
[地面に片膝をついて、頭を垂れる。
闇の中で白々と光る手を取って口接けた。
そして見上げる。餓えに歪む翠すら美しいと]
俺はコンラートとは違う。裏切る、と言ってるだろう
貴方が俺を損ねることを望まなくても、俺は言う
『怖がらないで』
− 娼館 −
[翌日、ロー・シェンが迎えに来た時にはまだ半裸だった。]
ああ、もうこっちで!
[いささか薄手の、要するにここの接客用っぽい服に腕を通す。
もう一方の選択肢が女物だったから、苦渋の決断。
着てみれば、透け感はともかく、シルクの肌触りはとてもよいものだったけれど。]
帰る時までにオレの服、乾かしといてよー
[何があったか伺わせるような発言をアニタらに投げつつ、ロー・シェンの下に駆け寄った。]
お待たせ、
行こう行こう。
− ナイトマーケット −
あれは狙い目、 あれはやめといた方がいいタイプ。
[教わったばかりの、街での獲物の選び方を適用しつつ、人ごみを歩く。
雑踏の中でも、ロー・シェンの背を見失うことはなかった。]
着せ替え人形じゃないんだけどな。
……ま、いいよ。
似合うなら、良いことにした。
[クレステッドの隣に掛ければ、白磁の肩を闇色のレースがするりと流れた。]
………乾杯。
[涼やかな音を立て重ねあわせたグラスを引き寄せ。
中の濃厚な赤を口に含み、渇きを癒した。]
………クレスは、もう、大丈夫なの?
[すぐに飲み干してしまったグラスをサイドテーブルに置き、クレステッドの胸元に手を伸ばし、傷のあった場所に指を這わせた]
[それなのに、開いた口から牙が迫り出し、渇望に喘ぐ唇から唾液が溢れて顎を伝い落ちる。]
ハッ ぐ、 ふ、 ディ ……ク
[白い貌が引き歪み、
[どれくらいぼんやりとしていただろう。
やがて、すっと目を閉じて、大げさすぎる程の深呼吸をした。]
さて、教えられるだけの事は教えようかな
[声色はいつもの調子だが、その表情は暗い]
―トールの部屋―
………。
何か言いたい事は。
[極限の“渇き”の状態がどのようなものかを味わった
事が無い為に、主には有らぬ誤解が付いて居た。
知っていても、精々初めて血酒を飲んだ時程度のものだ。
椅子に足を組んで座り、頬杖をついてそっぽを向いている。
これが帰還直後の様子であった。]
ふ ぁ ……
[手に感じる唇の柔らかさ]
ディィ……クゥ……ッ
[見上げるいとしいひとの顔は、滲む涙滴と脳髄侵す熱に霞んで歪む]
― ナイトマーケット ―
[道々レトが呟いているのは、課外授業の成果だろう。
どうも狙い目に、「金払いがいい慣れてなさそうなぼんぼん」が入ってるのが気になったが、矯正はあとでいいかと今は置いておく。
レトを連れて入った店で、若い職人といくつか話をしながら品を選ぶ。
手にしたのは、黒い革のチョーカー。
それに懐から出した金属のメダリオンを下げてもらう。]
ほらよ。
[出来上がったそれを、レトに手渡した。]
タチアナ、ごめんね。
もし、その時が来たのなら、僕はきっと彼を処分するよ
彼が彼の憎む存在に侍ることとなるのなら
彼は“ダーフィト”ではいられないだろうから。
それから彼から“ダーフィト”を奪ったバランを滅し
心臓を早々に滅ぼさず、利用されてしまった評議会を――…
“ダーフィト”を奪わせた評議会を
今度は僕が死ぬ為じゃなく、相手を消す為に裏切るよ
このまま散策する……と言う気分でもなくなってしまったね。
今日はこの位で宿を取ろうか。
明日はもう少し、静かな所にしよう。
[しかしあっさりと言えば、亜麻色の髪を撫でて慰め、道を示す。
着いた先の宿では、どうやら馴染み客であるのか、
何も言わずに奥の客室に通された。]
……え?
どう、やって――……、
[口にした途端、何故か取り返しのつかない失言を
零したような気がした]
[用意したものを着衣する。
それは当然のことだ。やっと親離れするほど学んだ>>261様子に満足げにうなずいて、血の果実酒を喉に通して体を巡らせ、ドライフルーツをつまみ、口へと運ぶ]
大丈夫に決まっているだろう。
[ファミルが触れた傷があった場所は、既に跡形もなく再生している。耳に意識を集中させれば僅かなりとも鼓動が聞こえるだろう。十全に回復はしていないが確実に完治へと向かっている]
心配は不要だ。それよりもこれからは我の世話をすることを考えるのだな。なんでもする。といった言葉を覆させる気はないぞ。
[我の物だからな。と言外に告げながら、腕を伸ばしファミルを抱き寄せた]
[透け感のあるシルク素材の服に身を包んだ青年を連れ歩く男。
しかも、今まさに首輪をつけさせようとしている。]
さあな。
[どう見えていようが構わない、とあっさりと答え、]
ああ。
そうだが?
[最初からこれを手に入れるつもりだったと頷いた。
それがどうかしたのかと言わんばかり。]
……ごめん…本当に…――。
[不機嫌な夜の女神を前にして、がっくりとうなだれる男が1人。]
突然"飢えの衝動"が襲ってきて、どうしよもなくて……。
[嘘ではなかったが、全てはアレクシスとの甘い生活に溺れ、うっかり血を摂取し忘れたという。
理由は単なる自業自得なために、ひたすら平身低頭に謝罪を繰り返すしかなく。]
――愛してるのは君だけなんだアレク……
信じてくれ……――
[どんなに謝罪しても、浮気の言い訳に聞こえてしまうような状況に、思わず涙が零れそうになる。
他派から見れば、まるで犬の耳としっぽが生えて見えるほどに、追いつめられていた。]
―――― グゥゥゥッ!!
[獣は白い稲妻となってディークに襲いかかり、暗い地面の上に押し倒した。
鋭く爪の伸びた両手が、ディークの服の襟を鷲掴みにする。
そうして、まるで薄紙でも裂くように易々と、シャツごと厚い布地を一息に引き裂いた。]
ガ、は 、ァあ 、
ディー ……ク 、 す き
[露わになった男の胸をぞろりと舐め上げ、]
[滝のように滴る唾液]
[深々と牙を埋め込んだ]
[ぐ、と視界が廻り、狭い空が見えた。
服を引き裂く獣の衝動へ、力を抜いて身を任せる]
うん 俺も
…っ
[舐め上げられる感触に腰を浮かせた。
餓えた獣のあかがねを撫でる]
───!
うぁ、は
[埋め込まれる牙が灼熱となって全身を灼いた。
官能の震えを抑えることはしない]
ああ…
[皮膚を破り貫かれて、血脈が吸い出される。溢れ出してこのひとの糧になる。この肉と血が]
コンラ ー
[喪失という危機に反応した虹彩が赤みを増す。
背に回した指がベストに皺を作り、伸びた爪が一部を裂いて掻きむしった]
んぅ、こ ンラート
もっと 全部 ぜんぶ
[空っぽにして欲しい]
……本当に?
[指先に感じる鼓動は、確かに其処に心臓が発生しているらしいことを伝える。
抱き寄せられるままそっと耳を寄せれば、未だ、それが従前どおりではないことは何となく感じ取れたけれどそれ以上は口にせず。]
……仕方ないね。
何をしてほしい?
[仕方ない、といいながらも嫌そうな顔をするでもなく。
甘やかな声で問いかけた。]
……いや、そうだな、とりあえずこう?
[そっと胸に手をついて身を離すと、隣に座り直し、自分の膝をぽんぽんと叩いた。]
食べさせてあげよう。
[片手にはドライフルーツとナッツの皿]
― 宿の客室 ―
[窓は鎧戸に加えて分厚いカーテンが下ろされ、
二重に光を遮るようにされてあった。
荷物を運びこんだ従業員がドアの向こうに下がると、
ソファに腰を下ろす]
その位の言葉じゃ、僕は堪えないからね。
[怒りか照れか、微かに頬染めて突っ立っているアイリスに
視線を寄越して、目を細める]
― ある日・ある場所で ―
[眠る耳に小さな囁くような声がする]
「――ごめんね、ダーフィト」
[何を謝っているのだろう。謝られるような覚えはない。
けれどそれをいう彼が、酷く寂しい顔をしているのではないかと思えたから
まどろむ夢の中、腕の中の存在を慰めるよう抱きしめた]
[案内された客室で二人きりにされれば、ソファの傍らに立ち
未だ性別の解らぬ同室者を見下ろして]
…たまには、ちょっとは堪えたらどうなの。
一体何ならあなたに効く訳?
[ここ半月程同じ空間で無防備に眠ってきたが、
今は隣に腰掛けるのも警戒する始末]
[打ち込まれた牙は過たず動脈を穿つ。
熱い血を噴き立たせる泉に唇をつけ、喉を鳴らして飲み下す。
だが、それでは足りない。
忘我の内に貪りつつも、別の生き物のごとく手は動き、愛撫じみて男の膚の上を這う。
引き締まった腹筋に爪痕を刻んだ後に下腹部に至ると、金具を弾き飛ばして、ベルトごとズボンを引き剥がす。]
― ナイトマーケット ―
[素直に首筋を晒したレトに近寄り、前から腕を回す。
首の後ろで結んでやるために、肩の上から覗きこんだ。
付け終わって少し下がり、できばえを確認して頷く。]
悪くない。
ああ。俺の紋章だ。
[これを付けていれば、誰に属するものかの証になる。
それ以上に、大事なことがもう一つ。]
おまえ、昨日あの程度で倒れたからな。
帰ったら訓練のやり直しだが、
ものになるまでは守りがあってもいいだろう。
[所有者に危機を知らせるメダリオン。
今日の昼間に出歩いて、見繕ってきたものだ。]
何度も聞くな。…それに自発的にするのはいいが、貴様がしたいことをするのではないのだぞ。
[何をするのかと言う前に自分で決めた様子のファミル>>276の昔のようなとげとげしさのない様子と甘やかな声に毒気を抜かれながらも、膝に頭を乗せ]
…そうだ。あれをきってこい。
[使用人の一人に命じる。
ファミルが寝ている間に食べてしまってもよかったのだが、使者として立ったのはファミルであり。あの温厚なトールのことだ。二人で食べてください。というメッセージが聞かずとも見える、南国の果実。鳳梨をと注文し、その間にナッツとドライフルーツを食べさせてもらうのである]
……僕は謝罪が欲しいのではないのです。
その、“飢えの衝動”が襲い来ると、あのように誰でも良いから
という様相になってしまうのですか。
あの女性だって、それはもう……。
[狩りの瞬間というよりは、情事に乱れ行こうとする男女を
見ていたような気分を思い出す。
視界には入れていないが、項垂れているのだろう主の様子は
声が下を向いているから分かる。
ついぞ先程の姿とは偉い違いだ。]
とにかく、知りたいのはそこなんです。
それに…飢えの原因を作ったのは僕ですから。
辛い時は僕を咬めば宜しいではないですか。少しくらいなら
平気ですし、きっと。
[引っ掛かっているのは、誰とでもそうなるのかという
一点のみのようだ。]
[眠るのが難しい時には枕元に居て
髪を撫でていた事もあったりした訳だが。
睡眠と覚醒の狭間にいた彼女が覚えているかどうかは
いっさい関知していないので]
急によそよそしいじゃない。
[脚を組み替え、両手を膝の上に置く。]
寂しいね。知りたいと言ったのは君でしょう。
はいはい。
じゃあ、して欲しいことがある時は言って。
[文句を言いながらも膝に頭を乗せる様子に、おかしそうに笑って、軽く白銀の髪を指で梳く。]
あれってなに?
[首を傾げながら、クレステッドの口にナッツを放り込んでいればやがて初めて目にする黄色い果肉のフルーツがはこばれる。]
………果物?
[目を丸くして、フォークで一つ刺すと、とりあえずクレステッドの口元にもっていってみた。]
[すべての感覚を塗り込める吸血の快楽に、
痛みの花が新たに咲く。
貪られ、もがくように喘ぎながら、体は獣の行為に従って腰を浮かせ、下腹に触れる手へ熱を滾らせた]
んぁ ふ、
(コンラート) (…コンラート)
[声なき声で幾度も名を呼ぶ。
それはより情欲を誘い、煽る響きで]
― 教室 ―
[いつも通りの授業の合間、ちらと顔を上げると教師役たるステファンがどこか上の空で]
……。
[問いかけるのが憚られる。ぱらぱらと本を捲り]
一から十までやらせてやろう。
[銀の髪を指で梳くのに気持ちよさそうに目を細めながら偉そうにいい、運ばれてきたナッツを咀嚼して]
ああ、果実だ。トールが返礼としておくってきた。お前も食べてみろ…ああ、それとその果実は『完全無欠』という意味をもつらしいが、ファミルはどう思う?
[問いを投げながらも差し出された鳳梨>>280を口に含む。ぷるぷるの果肉に歯を立てればジューシーな甘みと酸味が口の中で広がって、果実が好きな真祖はご機嫌である。]
言ったけど、そうだけど…っ!
[寝苦しい夜には、寝付くまで傍にいてくれたことを知っている。
その腕に身を預けリードを任せたことも。
頬を寄せて一冊の本を覗き込んだことも。
幾度も思考を止めた、言葉の数々も。
覚えているから、今こうしている訳で]
ずっと、知らせてくれなかったじゃないの…
[自分の推測が当たっているとしたら、あれもこれも、どれも酷く――
羞恥に力なく呻き、八つ当たりに近い抗議をぶつける]
…嬉しいよ。
自慢…、宝物…、
──ううん、
オレの分身。
[指先にロー・シェンの紋章を弾いて、硬質の音を味わった。]
ありがと。
オレもさあ、帰ったら師匠にプレゼントしたいものがあるんだ。
お返しってワケじゃないけど、もうすぐ揃う。
[屈託なく笑い、もっと歩こうと、まとわりついて誘った。
新しい装身具を皆に見せたいというように。**]
子供じゃないんだから、自分でできることは自分でしなよ。
[ばっさりと言うが、その声に咎める調子は無い。
髪を梳く手は優しく頬をくすぐる。]
………美味しいの?
[クレステッドに毒見をさせて大丈夫そうだと解ると、自分も一つ口に運んでみる。
酸っぱさに一瞬顔を顰めたが、次に口内に広がる甘さに瞬いた。]
あ、美味しい…。
[そのあとはクレステッドに食べさせながら、時々自分の口にも運ぶ。]
完全無欠ね………あなたには程遠い言葉だ。
永遠に何かを追い求めていそうだもの。
[くすくすと笑って、多芸多趣味な銀の真祖を覗き込んだ。]
そうだね。
[だって訊かれなかったし。と本人だけは思っていた。
一度だけ訂正しようとした事があった訳だが、
城が揺れた事案によって立ち消えになっている]
どっちが良かったの?
[立ち上がり、出し抜けに目の前に立つ。]
[果物が食べ終わる頃、ふぁ、と一つ欠伸をする。]
……まだ、夜明けまでは早いのに、疲れてるのかな?
[首を傾げて、眠そうにした。]
[血が滲まなくなるまで、執拗に噛み裂いた傷は、皮膚と肉を爆ぜさせて。
真紅の歓喜に染まり、いとしいひとの全身に緋の花を咲かせる。
腋下から脇腹を通り、鼠蹊部へ。
血塗れた手で腰を抱き、下肢を開いた。]
― ナイトマーケット ― >>283>>284>>285
それを付けてるおまえを噛むなら、
思い知らせてやるさ。
[己に属するものを害するならば、容赦はしない。
剣呑な笑みを浮かべる。]
[嬉しいと素直に言うレトの頭を撫でる。
淡い茶色の髪がぼさぼさになるくらい。]
こら。
歩きにくいだろ。
[子犬のようにまとわりつくレトと共に、
もうしばらく、街の散策を楽しんだ]**
― 回想・ある日の教室 ―
[街から帰った後、その日がくるより前の話。
彼が警戒感を抱く笑顔を浮かべながら、男は短剣を一振りと淡く光る飴玉を一瓶、ダーフィトへと差し出した。]
ダーフィト、これ。
短剣は柄の部分をこんな感じで握りこむと、刃が飛び出す仕掛け!
刃の部分には
それと飴玉の方は……色を見れば原材料の一つはわかるんじゃないかな。
僕の血にマンドラゴラのエキスを混ぜて、ヤコウタケの粉末で安定させたものだよ、いつも僕が傍にいるわけじゃないから……まあ、非常食だね。
[飴玉の説明をする際には、ヤコウタケの贈り主>>83の「リスになった気分」という言を思い出し、また彼への授業の際に飴玉で遊んだ事を思い出し、男は楽しげに笑う。]
君は戦闘力に自信がない以上、魔術頼りなんだ。備えあればなんとやら、だから。
私が何か変だと思ってるの、あなた気づいてたんじゃないの…!?
[遣いから戻った夜以来、距離が近くなると、どうもぎこちなさを
隠しきれなかった自覚がある。
眼前に立つ姿に、身を仰け反らせるよう半歩下がって]
……、そんなの知らない。
そうだと、知ってたら。あんなことは――……
[ずっと気になっていた事を、敢えて確かめられなかった理由は]
[それらの品々を押し付けたなら]
飴玉はもう少し必要かなとは思ったんだけど
[と、付け足して]
ヤコウタケのうちいくつかは別な用途に使っちゃったから、ごめん。
[「まあ、僕ができるだけ与えればいいわけだけどさ」そう言いながら
授業を再開した男の背後には氷細工の純白の菖蒲――>>202
織り手から「娘が作った」と贈られた、
光を透かす美しい華は溶けゆく姿も儚げで
溶けきる前に街へ行かなければならないとなった際
男が帰還までの間、氷の華が熱で散ってしまわないように、知恵を絞ったものだった]
― 回想・了 ―
[痛覚の鈍い体に、裂かれた熱だけは痛みと、凌駕する悦を齎した。
喉はくぐもった嬌声を迸らせる。
全身を鮮血に染め、力を失っていく腕を縋らせて、
体を開く]
……、
(もっと)(死ぬほど) (死んでも)
( る、コンラート)
[自分が決めたことこそがルールである男にとって、その日その日の気分でどうなるかは変わるのだろう。否も諾も返すことなく、頬をなぞる指の感触がこそばゆく、柔らかい太腿へと預けるのが心地よくもあるが]
もう少しこちらに肉がついたほうが我の好みだな。そうなるよう努力せよ
[手で太腿をさするようになでながら勝手なことをいう。
まさか自分を毒見役>>286にしていたとは知らないが、美味しいか聞くファミルに軽くうなずいて返し、感想をきけば、自分のことのように誇らしそうに笑う]
その通りだ。完全無欠などいっては、何一つ必要としないようではないか。それでは我はどこまでも詰まらず生きている価値もないものになる…最もそんな考えでトールはくれたわけではないだろう。やつはまだ若いからな。
[己の心情を解したファミルにさらに機嫌をよくし、笑みを返し]
当てた褒美に何を求む?
[ファミルの頬を包むように片手を伸ばして触れながら問いかけた。ちなみに外れていたら罰を与えていたのであった]
[穿ち、裂き、啜り、舐り。
生命の蜜を鮮赤と混ぜ合わせ、滑らかに筋肉の起伏する腹に澪を描く。
両手指は、己の下にある肉体の実在を確かめるように、強くとらえて離すまいと掴み。
時に爪の鋭利で縦横に滑り、赤に濡れた膚の上に更に赤の軌跡を加えた。]
[果実を食べ終わったころ、欠伸をするファミルを見上げ]
まだ体がなじんでいないのだろう。それに寝ていた数日間は血も摂取していない。それで普通通りいくはずがない。
今日の務めはこれでよい、休め。
[膝から頭をあげてファミルへと命じた]
[太れという真祖に眉を寄せる]
……どうやって?私はあんまり沢山は食べられないよ。
今度するときはクッションでも敷こうか。
[事実パイナップルも少し食べただけでそれ以上たべる気にはなれなかった。
通常の食物を栄養源として身体が必要としていないためかもしれない。]
無駄を心底愛しているのは見てれば解る。
トールから頂いたんだね。それなら、純粋に好意しかないと思うな。…あの時、あなたをどう思ってるか聞いたから。
[唇に指を当て]
なんて言っていたかは…内緒
[褒美を問われ、包む手に頬を寄せながら少し考える。]
うーん…―――ああそうだ、ロザリオ、返して。
[思い出したように告げる]
普通、『養子に入ったつもりはない』と言われたら、
どこかで一線を引かれても仕方がないと思うよね。
[そうして今も、寄れば一歩を下がる。]
しなかった?
[血塗れの交歓。
縋った腕は忘我のうちに背を爪で掻きむしったが、
何度も閨で交わしたようには、白い獣を牙で穿つことはせず。
たえなる歓喜と、繰り返す小さな死。
浮沈する激情と共に登り詰め、墜落し、
快楽の淵を揺蕩っては切り裂かれる熱に体を跳ねさせて鳴いた]
[やがて、 痛みも悦楽も
すべてが遠くなる。
熱を維持出来ずに冷えていく体
うす暗い水底に、意識も沈み込んで 掠れ、消えた]
[総身を血に染め。
髪の根まで赤をこびり付かせた魔は、夢から醒めた眼差しで己の身体の下を見やる。
――己が仕出かした暴虐の跡を。]
あ…… あ ―― ア
[翠を零れるほど見開いて]
そっか…そうだよね…
[胸元に手を当てる。この心臓は、自分が生まれ持ったものではないのだ。]
……ね。
一緒に寝てくれる?
[二つになった寝台を眺めて、そう囁いた。]
アレク……、それは…
[>>279アレクシスの詰問に思わず眉間に皺が寄り、両手で顔を覆う。
どうしたものかと悩んでも、恋人には――アレクシスには嘘はつきたくない。しばらく俯いていた顔を上げて、弱々しくも恋人の瞳をみつめがらも、更に言葉を続けた。]
答えは「Yes」で「No」だよ…――アレク。
あれでも懸命に抑えてたんだ…でも限界だった…。
あれ以上理性を完全に失う前に、どうしても血を摂らなきゃいけなくて、
でも俺はあの時、確かに狙いやすい人間を選んだ――。
[どんなに罵倒されても仕方がないと、眉尻を下げた。]
だから"誰でも獲物になりえる"という意味でならYes。
"誰でもいいか"という意味でならNo…。
血を吸われると大体の人間はあんな風になるけど、
あの娘の場合、俺達血族が持つ誘惑の力が加わったせいだ思う――。
[自分が不利になると思う事柄でも隠すことなく、全て打ち明ける。]
そこを努力するのが貴様の役目だ。
[やりかたは問わず、ただやれと命ずるが、代案を否定もしなかった。トールが好意で送ったものであることもファミルの言なくとも否定もせずにはいたが]
なんて言って……そうか。まあよい。
[問いは、先んじて封じられたため、話の種程度に思っての言葉だったためあっさりとあきらめ]
ロザリオか。今更だな
[何の意味があるのかは知らないが、影よりあの時取り上げたロザリオをだし、ファミルへ>>294と渡した]
なにより、君を傷つけたくなかった……。
飢えの原因は自己管理を怠った俺自身の責任だよ――、君じゃない…。
[理性の狭間で恋人の身体に傷つける事だけは、避けようとしたけれど。結果、実際は彼の心に傷を付けてしまった――。]
― 教室 ― >>281>>287
[一旦決意はしたものの、集中しきれぬ状態で
それでも、彼へできうる限りの知識を授けようと]
君が嫌いそうな話だけど、死霊術について説明するよ。
死霊術に対する知識は、死霊術を扱うためだけのものじゃない
死霊術を防ぐ為にも必要なんだ。
君が死霊術を厭うなら、君は死霊術を知るべきだと僕は思う。
[選択肢を増やすにはまず識る事だ、彼にそういったのはいつだろう。
バランの夜、自分は死霊術を防ぐべく行動していたからこそ、彼を見つけるに至ったと――…
死んでたら死霊術使ってでも彼女に会わせようとしていた事を含めても、男にとって死霊術は思い出深い話題である。]
しない……、
[勢いに任せ、きっぱりと言い放とうとして。
折悪しく思い出す事があった。
この人は、敢えて黙っている事はあっても、
自分に嘘を吐く事は知る限りではなかったと]
……ように。心掛けたとは、思うわ。
[あれこれを考え合わせると、まともに視線も合わせられず呟く]
[一人には広すぎて二人でも窮屈さをまるで感じないようなベッドが二つ。無駄にでかいため二人で寝ることに困難はないが]
寂しくなったか?…それとも不安か?
[囁くファミルを見据えながらももう結論は決めていた]
いいだろう。新たに伽を学ばせるのも悪くない。
[返事を聞く前に答えながら、立ち上がり腰に手をまわしてベッドへと向かった]
[また彼は忌避感を隠すことをしないのだろうな…そんなことを考えながら、男は生徒へと視線を向けた。]
――――
[件の生徒がきょろきょろとあたりを見回す姿>>287に「あ、これ聞いていなかったな」と感じながら]
終わったら誰からの声か聞かせてね。
あとできっちり苦情入れるから
[と、言うだけ言い、彼がこちらへ向き直すまで授業を中断し待つことにした*]
ま…前向きに検討してみるよ。
[今度誰かに方法を尋ねてみよう、そんな風に思いつつ、返されたロザリオを手に取る。
その銀の十字架は、最早クレステッドの手も、自身の手も焼きはしなかった。
―――聖別されたものは、信じていない者が使っても効果はない。]
今更だけど…数少ない私の私物だからね。
[目を細めてただのアクセサリと化したそれを見た後、ベッドサイドの引き出しへと仕舞った。]
[何処か響きを変える声に、僅か焦燥を覚え顔を上げ]
違うの、そういう事じゃなくて…。
知らずに色んなことを、あなたに望んだでしょう。
[本当に、そうだろうか。
自分は何処かで。いつも――]
望んでると言葉にしないことさえ、多かったのに。
黙って甘えてたから、だから……
慣れてしまっていたせいかな、あの寝方に…
[以前、眠るときは必ず抱きしめられていたから。
少し恥ずかしそうに視線をそらす。]
えっ、伽?
[腰を抱かれベッドにつれられながら、目を見開いてクレステッドを見た]
― 回想・教室 ―
………。
[入ってくるなり満面の笑顔を浮かべたステファンに半眼になる。こういう笑顔をする時は大抵ろくでもないことを考えているのだ。
そして差し出された品々に>>290]
……。
[短剣をくるりと回してみるけれど、使い道がいまひとつ分からない]
毒、ね…使わずにすむのを祈ろう。
[自分が持つより彼が持った方がまだいいのではないかと思うのだけれど、一応護身用がてら持つことに。飴玉の方には文句を言わず、礼を述べ]
綺麗だな。
[持ち上げて中をよくよく見れば淡く光を放っており…ごめんと言われると>>291]
い、や。俺がなんでも食べられればいいだけ、なんだがな…
[逆に申し訳なさそうになった。ステファンから血をもらうのには慣れたけれど、他の人間から血を奪うのは、いまだに抵抗があって受け入れられない。
ステファンの言葉から、ヤコウタケの別な用途を知るため、視線をステファンの背後に向ける。
本来ならそのうち溶けてしまう筈の氷の華がいまだ美しく咲くのを見れば、ふと柔らかい笑みを浮かべた*]
[不意に過去の記憶が浮上して、同じように渇きの狂気に屈して破壊した愛しい者の面影がディークに重なった。
視界がぐらりと揺れ、時間の感覚を逸する。
今が何時で、腕の中の愛しい人が誰なのか、分からなくなる。]
(これは――だれ)
(ぼくは 今 どこに)
そうだ。出来ぬと捨ておくな。それがお前にとって一番大事なことだ。
[吸血鬼となった後、意思で捻じ曲げたことは既にあるのだ。他ができないとはいわせない。]
…そうか、言われてみればそうだな。少ないというのは寂しい。これから増やしていけばいい。
[ドレッサーにはもう色々あるわけだがそれはまた別問題である]
前回の外出は途中で終わってしまったからな。明日にでもでかけるか?
[名案であるというようにファミル>>300へというのであった]
そう。 ありがとう。
[目の置き所がない、といった様子から、
慌てて顔を上げた娘に答えて微笑む]
良いよ。
僕はそれでも、良いよ。
[生きる理由をあげるから。
自分の事をもっと考えていて構わないから。
――何かを望んでくれれば
喪ったままで諦めるよりは、手を伸ばすように
そうして誘う]
――ディーク?
[ぐらぐらと揺れる頭を抱え、震える手でもはや自力での回復が不可能なほど損なわれた肉体を掻き抱く。]
ディーク!!
そうか、なら仕方ないな。
[慣れたといった。ならしたのは自分だ。かくいう己もなんとなく腕が暇であった]
そうだ、伽だ。…何か問題でもあるか?
[目を見開いて聞くファミルへというと、ベッドの上に倒してしまうと、横向きにして後ろから抱きしめる。よく一緒に寝ているのと同じ姿勢である]
ま、…時間はたくさんありそうだし、のんびり探すよ。
[不可能であると言い切れるほど自分はものを知らないし、やらないと拒絶するほどの事でもない。]
良いね。
この間の仕切り直し、だね。
[第二試験でクロノスに行った日のことを思い出せば、微かに苦笑する。
白銀の髪を撫でながら、改めての外出の誘いに頷いた*]
[全体を緋に染めたままに光を喪った瞳。
噛み裂かれた喉笛は爆ぜた肉の断面を晒し、小さくごぼと音を立てた]
[背へ回していた腕はとうに地に落ちて投げ出され、
血塗れのそれの爪の先からだけ、芳しい長生者の香が漂う]
(… )
[呼ぶ声に反応するように、汚れた指の先が輪郭を霞ませた]
たった一週間なのにね。
[最初は嫌で仕方なかったのに、変われば変わるものだとしみじみと思う。]
問題、って…
あのね、前にも言ったけど…私はこう見えて…男だよ?
[思い出すのは、あの夢。
思わず頬に血が上り焦るが、後ろから抱き締められて顔が見られていないことに密かに胸をなでおろした。]
― その日:温室 ―
[”それ”が意識に触れて来たのは、温室に佇んでいる時だった。
目を見開き、天を仰ぐ。
暫くそうしていれば、真っ白な梟が夜の木々を間を羽ばたき、白い羽が舞った。
そして、手の中には―――]
…………だぁれ
[目を細め、手元の其れを見遣った。]
知らないな………今更、何?
[其れを握ったまま、そっと胸へと手を引き寄せた。
この身の奥で脈打つそれを、確かめるように。
意識に触れたものが、自称する通りであろうとなかろうと。]
(―――私は、もう、私の神を手に入れた。)
[ふと、ロザリオのことを思い出し、私室へと足を向けた。**]
ディーク――ディーク
[手首を切り裂き、溢れた血をディークの唇に宛がう。
飲まなければ、流れ出た血を口に含み、口移しで生命を繋ぐ血を流し込んだ。]
(いやだ いかないで)
まったく、甘えたがりは元からであったか。
[子供だからではなくとも、寂しがりやなのだな。と勝手に納得をする。そういうところはこの吸血鬼全然変わっていない]
だからなんだ?人間の常識とやらを今更当てはめるか?そのようなこと無駄であることは知っているだろう。
むしろ生殖行為を建前にせねばならないような思いであればくだらぬとは思わぬか。
[反論の言葉に考える暇もなく、おかしいことをいうと笑って答え、赤くなっている耳たぶに口を寄せると]
…ほら、なめろ。
[血の手でいない指をファミルの口へと突きつける
この二週間の間よく行った行為。だがそこに食となる血がないことだけは大きな違いであった]
我が良いと満足するまでせよ。とはいえ時間を設けたほうがいいな。
[いうがはやいか。首筋に歯を突き立てた。血を吸う行為ではなく、快楽を送り込むための処置だ]
――…違う。そうじゃない。
あなた、何かきっと誤解してる。
[何か。上手く伝えられていない気がして]
楽しかったの。嬉しかったの。
貴方が、そうしてくれて。
……多分、私は。
―――幸せ、だったの。
[何もかも失って、未だ。それでも。
誘う言葉に緩く首を振り、差し出された掌に、一度視線を落とし]
……だから。
それでも良い、なんて。私は、嫌。
[底の見えない蒼を、睨むように見据える]
― 第二試験より一週間後 ―
[前回のあれこれも恙なく?終わる。その際に起きたちょっとした事故は事後使いのものが見ただけであったため、真実を知るものは他にはいない。
屋敷内にいるものは変化>>177に気づいたものもいるかもしれないが、それはそれ
彼らの間では、ただ世話をする側ではなくさせる側への交代が一番の変化であっただろう。
そんな日々を送るうちに新たな使者がくる。今度は試験ではなく警告>>252であったが]
[爪の先からほろほろと崩れるように、傷ついた体は赤い霞へ変じていく。
腕から肩、脚も輪郭を失い、散る。
穿たれ、裂かれ、掻き回された肚の裡が、ザラ、と微かな音を立てて崩れ去り、]
[骨の覗く深手を負い、血も滲まぬほど啜られて無残な肉色を咲かせていた胸も形を失い、
血のこびりついた髪と、血の口接けを受ける唇と、
全てが、やがて宙へ溶け消えた]
そうか…そうか…つまり貴様らは…
[冷酷な光を双眸に宿し、あふれ出る怒りが空気を震わせる。]
我の手を煩わせておきながらにして、その行為を無駄にした…というわけだな。
[絶対零度の空気が周囲を圧するように包み、深淵の闇を放つ真祖は使者の頬に触れ、つつーと手が滑り降り、首にひたりと添える]
兇状を野に放ったも同然、そのものらも同罪だ。心臓を見張り管理をしていたものへ相応しき処分を早急にせよ。でなければ我が直々に出向き皆殺しにする。
[冷酷にそう宣すると逃げるようにこの場を後にする使者を見送ることもなく部屋の中へと戻った]
― 私室 ―
[件のものを追うのは執行者たちの仕事だ。なんの要請もないうちから出向き、口出ししては名を与えた我が子、狼神(ロー・シェン)の矜持を穢すことになるだろう。そんな蒙昧な行いはしない。
ただ自由時間を過ごしているあの子はどうしているか。今日もオスカーが体に張り付いているはずだが、そう思っていたころ、帰ってくる気配>>305にどこかほっとしながらソファーに座しファミルを迎え議院からの通達を伝えることにした**]
(コンラート)
[散った霞が一点に集まる。
腕の中へ]
(泣いてる?)
[声なき声。
コンラートの腕の中に凝った霞は、小さな栗色の仔猫の姿になった。
へたりと手の平に身を預けて、薄く目を開く。赤錆色が瞬いて]
(死なないって、言った)
…そういうクレスは寂しがりだ。
[あまえたがり、にそんな風に言葉を返し。]
……それは…そう、だけど…
[相手が常識で測れないことも、生殖だけが目的の行為じゃないことも、反論の余地は無く。
耳朶を擽る声に肩を震わせた。
口許に寄せられる指に、血が出ていないというのにこくりと喉を鳴らす。]
……あぁもう、わかった。約束だからね…なんでもするって。
[そう自身に言い聞かせるようにして、指を唇に含んだ。
食事をしていたときのように、舌を絡ませ、指の腹を舌先で擽り、吸いたてる。]
……ん、ちゅ…ふぁっ!?
[首筋に突き立てられる牙に、びくりと身を固くしたのも束の間。
流れ込む快楽に、背筋をぞくぞくを震わせた。]
[いとしいひとが形を喪い、腕の中から零れていく]
(やだ ―― やだ いやだ)
[滂沱と溢れる涙は、赤を塗りたくった頬に数条の筋を作る]
(おいていかないで)
[顎を伝い落ちた雫は、何もなくなった腕の中に]
……そう。
[海底に沈む、]
なら、どうしたら喜んでくれる?
[闇を引きずり上げるなら]
/*
うちの真祖たまのすばらしいところは
その有り余るチート性能をどーしよーもないことにしか使わないところだとおもっています。
チート性能は設定として扱う時になかなか難しいものだが上手にやってらっしゃる
ああ、そうだ。否定する余地はない。
[寂しがりといわれて恥ずかしげもなく堂々と言う。
自分は確かに寂しがっていたのだ。それを理解したならば否定するような狭量な真似はしない。
未だどこか納得しきれない、戸惑いを覚えているファミルであったが、指を突きつければ意を決したようだ]
そうだ、約束だからな。なに…無理はさせない。
[時間は長いのだ。怠惰に任せることはしないが焦る必要はない。指の腹を舌が這い、擽り吸いたてるのに、体温の低い指に、じんと熱が広がるような錯覚]
それでは食事をしているのと変わらぬぞ…
[あえて意地悪なことをいいながら、牙をまた突き立てじっくりととろ火で熱を上げるように波を与え、フレアスカートから延びる足、太腿へと手を這わせる]
[どれだけ指をなめさせ、快楽の波を与えたか]
今のように、忘れるではないぞ。
[そのまま快楽の頂まで登らせはせず、幾度か追い詰めるようにしながら満足がいったところで、指と牙を抜くと顔をこちらにむかせ、熱のこもった口づけをした]
……―――傍にいるよ。
クレスが飽きたからどっか行けっていっても、聞いてやらない。
[可笑しそうにそう告げて。]
………初めてだからまだよくわからないけれど…頑張る。
[無理はさせない、という囁きに、そう吐息を漏らした。
食まれる場所からじりじりと焚き付けられる熱を、太腿を辿る指が追い上げる。]
……ん、ぁ…だって…集中できな…ぃ…
[掠れる声で訴える瞳は、すでにうるんでいた**]
あなた……。
貴方、私を喜ばせて、一体どうしたいの?
[言葉が、響いている気がしない。
眼前に立つ人が、いつも以上に遠い]
貴方が喜ばせたいのは。…私なの?何故?
[何時か、質問は立て続けにするなと言われたのを思い出す]
[――何もなくなったと思った。
散った筈の霞が集まり、腕の中で形を取り始めるまでは。]
(……ディーク……?)
[先端に露を宿した睫毛を瞬かせる。
翠が驚きと戸惑いに揺れた。]
(君 どこ?)
(死 なない? )
[結局焦らしに焦らされたまま。
牙を引き抜き、指が唾液の糸を引きながら口腔から離れる頃にはとろりとした顔をして。]
…んっ
[口づけを受けながら、柔らかな白銀の髪を掻き抱いた**]
(…ここに)
[喉を鳴らしながら小さな爪で手の平にしっかり掴まると、斑点模様の毛並みがふわと揺れた]
(死なない。おいていったりしない)
[やがて腕の中に生まれる小さな猫の姿。
くたりと身を預けるやわらかな体を抱いて、確かに聞こえる声なき声に、こたびは喜びの涙を流した。]
ん……そうだね。
(生きててくれて、ありがとう)
[栗色のほやほやした毛並みにそっと口接けた。]
(死ぬ程ヨかったけど)
[乳飲み仔サイズに一丁前に生やした細く柔らかい牙で、コンラートの指をはぷっと噛んだ]
(おなかすいた)
にぃ。
― クロノス ―
[昼の間は、太陽を避けて暗い部屋で休んで過ごした。
死の眠りに漂いながら、時折覚醒する意識の内で、ぽつぽつと語りかける]
…壊して、と貴方が望むのは、何故なんだろうとずっと
考えていたんだ
[護り手という強固な戦士の自我が弱まったディークの精神は荒廃した空白で、
目覚めて見た親鳥を求める雛のごとく、相手の望みを知ってそのままに映そうとしていた。
鏡の自我は結果──
深淵を挟んだ合わせ鏡となっていたのかもしれない*]
きっと貴方は… いや、
──大丈夫
私はずっとそばにいるから。貴方が望むなら
……――アレク…。
[幸か不幸か今はここにいない恋人に、どう説明するべきか。
黙っているわけにも行かず、これからどうしたものかと――盛大に溜息をついた。**]
[仔猫の喉を指先でくすぐり、赤子をあやすように揺すり上げる。]
随分と小さくなったね。
――服も無くなっちゃったけど。
[血まみれの襤褸布と化して散らばる衣服の残骸を、横目で見下ろし苦笑する。
折角整えた旅行用の服が駄目になってしまった。
自分の姿も酷い有様だろう。
そちらは、一度肉体を分解して再構成しなおせば何とでもなるが。]
にぁ。
[くすぐる指へくるくると喉を鳴らしてから、一緒になって衣服の残骸を覗き込んだ]
(裸で歩き回るのは…いやだな。小さいままでいようか)
[血の糧を得れば、傷はそう時間を掛けずに癒えるだろうと思う。
両前肢でつかまえた指をはぷはぷとかじった]
(…コンラート、渇きは、癒えた?)
ひとつずつね。
何で、と言われるのも……大分今更だけど。
生きる意志を与えたい、……君に。
僕がかつてそうされたように。
[人間としてすら、真っ当な幸福から隔たれた己を
無償の愛で息吹かせたのは、生き血を啜る鬼であった。]
君が笑ってくれて嬉しかったよ。
興味を持って考え、学び、求めてくれる事が幸せだった。
ん……もう渇いていないよ。
君を飲み干したんだもの。
[含羞の色を仄かに乗せ、花の綻ぶ微笑]
折角だから、君を懐に入れて歩きたいな。
夜はまだ終わってない。
この際、少し蓄えておこうか。
[がじがじと指を噛む仔猫を、ひょいと肩に乗せ、歩き出す。
暗い路地に黒い蝶が舞い、朱に染まった白を覆い隠し――夜明け前の街へ*]
…ええ、いいわ。一つずつ整理しましょう?
貴方は、つまり。
私に生きる意志を与えるためなら、何でもすると言う訳?
そうやって、自分の身も餌として雛に与えると?
[懐古するかのような言葉に、眉を微かに跳ね上げて]
…言ったでしょう、私は貴方の子でさえないのよ。
養ってはもらっているけど、ただの居候みたいなものよ。
そこまでする意味も、それで幸せを感じる意味も、
私には理解できないわ。
それとも貴方――聖人君子か何かなの?
― 後日 ―
[死んでからひと月以上が過ぎていた。
新しい変化といえば、
時折、寛いだ大型のリンクスの姿が見られるように。
猫のようなマスターと、山猫の姿をしたチャイルドは、共にごろごろ怠惰に寝そべって過ごすのが幸せらしい。
それと。
ディークは、よく笑うようになった]
[変わらないものもあった。
たまに焼き菓子を作ろうとしては、炭や岩石やヘドロやダークマターを作成する日々。
なぜかこっち方面は皆目上達する兆しもなかった。
もう一つは、記憶に空いた大きな空洞。
時折視界の端で涼やかな佇まいを見せる小鳥>>196に気付くことがあっても、心に細波すら抱けないまま]
[時折、コンラートが話してくれる昔語りが好きだった。
異国の港
霧に沈む街
砂漠を行く隊商
陽の昇らぬ極地の星空──
美しい情景の話にも喜んだが、もっと欲したのは人の話。
彼が愛した者、彼を愛した者の物語を聞きたがった。
そして気付くのは、コンラートの記憶に空いた穴。
それでも彼が彼なのだから、と。自らの空白を埋められないことへ焦る気持ちは少しずつ和らいでいた]
…その質問に、わざわざ答える必要があるのか、
その答え自体も。
事と次第によっては変わってくるわね。
[淡々と告げ、微かに息を零し]
― 教室 ― >>310
[彼の忠告>>310は、肝心の一文字を読み取ることができず――…
そして、その時がやってきた]
吐きたいの?
なら、ここじゃなくて――――てっっ!!
[一閃。
咄嗟の回避で
危ないじゃな…………ダー、フィト?
[凶行に走った生徒を咎めようと睨みつけるのだが、どうにも様子がおかしい。
そして頭を過ったのは、評議会からの警告>>252と密命で――…]
[すぅ…と息を吐き、塞がらぬ傷から血を掬い外へと接する壁へと陣を描く。]
君が君自身の意思をもって、僕を滅するというのなら
僕はそれを受け入れるつもりだ。
[彼の目をみたままそう言って、しかし彼の言葉を待つことはせず、陣を描く手は休めずに]
― 再来 ―
[空白も罪も己自身として、前へ歩み出していた矢先に。
その空白が外から埋められたのは突然]
コンラート、こっちのスペースは私に──
…!
[書庫から借り出してきた本を部屋の棚に並べようとしていた体が揺れる]
ッ、あ、 な… がっ
[脳内に送られた声。
それは、時折ふとした拍子にフラッシュバックするだけのただの記憶の亡霊ではなく、
生々しい肉感と血の呪いを伴って響いた。
忘れるな、と 声が言い。]
何でもは、出来ないと思う。
そうか、僕が自分を切り売りしているように見えたのかな。
[少し首を傾ぐ。
例えばこれが、具体的に身を削るような行為なら
あるいは躊躇する事もあっただろうが]
僕はとうに千年を過ごした人外だよ?
時間は有限ではなく、生み出せるものだ。
……安心して、君は僕を犠牲にはしていない。
[そして、術式を描き終えれば、生徒に向かって愛おしそうに目を細め]
愛しているよ、ダーフィト。
優しく髪を撫でてくれる君も、
僕が君の忌避する存在と知って尚、歩み寄ろうとしてくれる君も
人の気も知らず大声で笑いやがった君も
自棄になるとやたら行動的になる君も
いつかは僕の元から、去っていくだろう君も――…
君の命を、君のすべてを愛している。
[それはいつかの告白>>0:33のように]
[空気を読まない愛の囁きから、男は柔らかな笑みを消しさって]
――でもね、僕は我儘なんだ。
[そしてかわりに浮かべたのは、悪戯を思いついたような子供のような笑み>>0:34――…ではなく怒り]
僕は、君には最期まで“ダーフィト”であって欲しい。
その後に君から“ダーフィト”を奪ったバランを討って
結果的に君から“ダーフィト”を奪わせた評議会を討つよ
そうなったら、僕はきっと負けるんだろう。
いつかのように牢で無為に時間を過ごすんだろうね。
でも何万年、何億年と繰り返したなら、いつかはきっと届くはず――…
[
居候か。
君にとっての見方は、そうだね。
でもそれは、僕にとってのイコールだと思わない方が良い。
聖人君子だと何の問題があるのか解らないけど――
見方はふたつ以上ある。
ひとつは、親が子に「お前なんか親じゃない」と言われて、
果たしてその通りに思うのか? と言う事。
そして、親が子に対して
『そこまでする意味』も、『幸せを感じる意味』も
君は知っている筈だよ。
[次に浮かべるのは、いつもの笑顔]
それらを踏まえて考えた上で
ダーフィトとしての方針が固まるまでは――…
[そして、壁の陣を打ち吹き飛ばすと外へと舞い――…]
――
[元は教師の
そうね。
大事な人が、本当に私のためを思って自分を犠牲にするなら、
それは気にするわ。
そういうのが趣味や主義だというのなら、別に私が気にする
筋合いじゃないけれど。
求められるから与える、そういうものなら。
私には、そこまでしてくれなくて結構よ。お気遣い有難う。
[そうして、ふと思い出したように付け足す]
こないだも、あなたそう言ったわね。時は生み出せるって。
あの時は、気にならなかったけど。
どういう意味?
[アイリスにとっては、己は赤の他人かも知れない。
少しは心を許してくれても。
喪わないために命を捨てようと、
あの日の決意を幼い彼女に言わしめた
ヒトの血を吸い殺す本性は免れない。]
[けれど、己にとってはそうではなかったから。
彼女を娘として愛そうと決めたその日から、
あるいは――もう少し前からかも知れないが]
時間は生み出せる、の答えは、簡単な事だよ。
『時間を作る』という言葉があるでしょう?
僕達は寿命の制約から解き放たれている。
生きたいと思う分だけの時間が、本当の意味で
その意思から生まれて来る。
聖人君子なら納得するけど、貴方は特にそうは見えなかったから。
親が子にそこまでの愛情を持てるのは、自分が望んで、
長い時間をかけて育てるからでしょう。
私の父も母も、そう思ってくれるのは知ってるわ。
[例え身体が死んでも、それに変わりはないだろうとも]
…それが吸血鬼の感覚だというなら、そういう物だと思うことにする。
― 空白の記憶 ―
[主人を殺したその夜。裏切りに怒り狂った血親を前に、最早動くこともできず。
眼前に迫り来る指。視野を埋め尽くしてソレは近付き、閉じようとした瞼の更に深く、奥へ 。
それから頭蓋の中で響いたおぞましい音──暗転する視界]
『良い声で啼くじゃねぇか』
『どこだ?小娘の居場所を隠したのは
オレ様自ら頭ン中「探して」やってるんだ。楽には死なせねぇから感謝しとけよ』
[脳内を掻き回される感覚と 音。 絶叫する誰かの声。
痙攣し、血と何かの混じった涙を振り零しながら、希ったのは ──何だっただろう]
『貴様みたいな虫けらでも
脳味噌は柔らかくてあったけぇな、ぁあ?
中ぁぶちまけてやるよ──!』
[繰り返された加虐のいったい何度目で、バランはアイリスが逃れた遠縁の館を見つけ出したのか。それとも別の方法で追ったのかも知れないが、
やがて、抵抗の意志もろともにすべて破壊された精神に、血親は従命を強いる軛を刻み込んだ*]
私が、聞いたのは。そういう意味じゃあ――
[ふと首を振り、自分の言葉を打ち消して]
……ねぇ。私が聞きたかったことは、多分もう済んだわ。
貴方もそれで良ければ、もう休まない?
[寝台を示し、浅く肩を竦めて問う]
吸血鬼が聖人君子を名乗ったら詐欺だと思うけれど。
[ふと笑みを零したのはわざとだ。]
愛情は長さではなくて深さではない?
[長い時間をかけるから愛情が生まれるのであれば、
母親の胎の内にいた時間しか持たぬ赤子は
その分だけ受ける愛が少ないだろうか?]
――あ
[打ち消す言葉に、我に返る]
……そうだね。
[見慣れぬ街中を連れ回して、
楽しんでいたとしても、疲れてはいる筈だ。]
お休み、――穏やかな眠りを。
……聖人も君子も、霞だけで生きられる訳ではないでしょう。
私はよく知らないけど、心根がそういう存在に近い吸血鬼が
いるかもと思ったから、一応。
[幾度目かの笑みに、ごく真面目に答え]
長さは、ただの例で挙げただけ。
子が、『自分の親じゃない』と言い出すのは、
普通はある程度時間を過ごしてからだと思って。
[ふと洩らされた声に、視線を向け直し]
……。どうかした?
/*
エレオです……
デレてくれたと思ったら急転直下で氷点下です……
おそとがあかるいです……
本来の目的(お姫に服を誂える)果たせてません……
最終イベントに未来が見えません……
エレオです……エレオです……エレオです……
*/
ううん、
[きっとそう]
[アイリスは望んで吸血鬼になった訳でも、
望んで己の所に来た訳でも、
心が変わった訳でも、
己が『何か』になれた訳でも――ないから]
何でも ないよ。
…そう。
[本人がそういうからにはそうなのだろう、と。
二度は聞き直す気もなく]
お休みなさい。
貴方も休んだら?明日、何か用事があるのでしょう。
[彼が眠る所を、一度も見てはいない。
どうしているのかは、もう聞く心算はないが。
就寝の支度を整えると、寝台に潜り込み目を閉じた*]
/*
実は、自殺計画という意味では大分心は変わってきているとか。
真祖さまのお悩み相談室とか色々あったしね。
問題は…ハードな最終イベントの直前のタイミングで、
主従の絆が や ば い
そしてますたーの考えてることもよく分からない(自白)
でぃーくんとこも自己申告によるとヤバイらしいけどだいじょぶかしら。
― 自室 ―
[クロノスから戻って以降、レトへの訓練は多少厳しさを増した。
今のままでは外に出せない、との思いがある。
ふたりして転げまわった一日の泥を洗い流し、身体を伸ばしていたところへレトが近づいてくる。]
良いぞ。
[椅子に腰かけ、レトがしたいようにさせる。]
[答えを聞く前か後か。
おもむろにベッドサイドの引き出しに仕舞われていたロザリオを引き出し、銀鎖から下がる十字架を眺めた。]
……ねえ、クレスーーー世の理に触れる真祖の君よ。
ーーー神とは、何だ?
[懐から其れを取り出す。
其は、風切り羽根の形をした白い刃。
答えを待つように、紫水晶の瞳はじっと彼の真祖を見上げていた。]
[髪の間を櫛が通る感触は、くすぐったく心地良い。
そわそわする首を振りたくなるのを我慢して、レトの器用な指がビーズを編みこむのを感覚で追った。]
母がよくこうしてくれた。
───昔の話だ。
[ずっと遠くを見つめる。]
これまでも。これからも。
[口をついて出たのは、古い言葉だった。
今のロマニたちがこのあたりに来るより前の。]
/*
ロマ語探してみるのに時間取ったとかそんな。(諦めました)
仕方ないので斜体&色替えにしてみたけど、果たして斜体に見えるブラウザがどれほどあるのか…。
― 私室 ―
血親の命令には相応以上の強制力がある。逆らいつづけて壊れるか、手駒にされてしまうか。後は各々のマスター次第だ。ファミルもしばらくは共にいろ。
しかし解せんな。
[ファミル>>326の血兄弟に対しては隠さずにいい。傍にいるよう命じながらも、しばし思考に耽る。先はバランのチャイルドを捕えろという命でありながら、承った密命は毛色が違う。
他のマスターと話をしたほうがいいかもしれないが、皆それどころではないだろう]
[思考から現実に戻る問いかけ>>330
急に何を言い出すのか。とは言わない。不可思議なる風切り羽根の形をした白い刃、よりも答えを欲するように向ける紫水晶]
そんなものは存在しない―――あるいは、完全無欠なもの。誰も必要とせず何も必要としない、何物にも関心がない。唯一人で完結しているもの。それゆえ我も存在をしらない。
通俗的にいうならば己の裡にある己自身であろう。
…それで、その刃はどこから拾ってきた?…盗んできたわけではないだろうな。
[問いに答え。変わった持ち物について問い返した**]
[耳に届いたのは、自分の知るものよりもっと自然の音に近い言葉。
それでも、意味はふわりと意識におりてくる。]
あのさ、
クロノスの街で、オレのこと眷属に引き合わせてくれて、嬉しかった。
それから、この首輪も。
[「おれのもの」を外に向けて宣言してくれたこと──何事も態度で示すロー・シェンらしくて。]
[吸血鬼の家系と、ルマニの遠祖と、双方でロー・シェンと結ばれることを誇るべく。]
― 自室 ― >>335
[背中に感じる温度が、己のそれと等しくなっていく。
懐かしい感覚。
遠い昔に捨ててきたものが、今になって蘇る。]
……。
[ふ、と息を吐いて首を振り、肩越しにレトの頭を撫でた。]
すべきことをしただけだ。
おまえに必要なことを。
[嬉しかった。
そう明かすレトに答える声は、当然という響きを帯びる。]
……ああ。好きにしろ。
[それでも、呼び名の変化には声に温かなものが滲んだ。]
過去を見る気はない。
[懐かしむことも、重ねて見ることもしない。
そんな理由でレトを選んだわけでもない。]
今この時がすべてだ。
過去の先にある今が。
[自分にも、レトにも、過去をのみこんだ今をこそ欲すると。
捨てるのではなく、それも含めての自分だと再確認していくという密やかな表明だった。]
[当たり前の事だが]
……――
[客室にはベッドがふたつある。
城館ではマスター達に貸与された部屋という体裁で、
チャイルドは数に加えられていなかったのだから
当たり前の事だが。]
[夜明けに眠りが訪れるまで。
悪夢に魘されていないと安心できるまで]
[あんな言い合いみたいな事をした後だから、
傍にいられては落ち着かないかとも思いはしたが、
一応、彼女も寝る事は出来たみたいだった]
― 明けて、帰還まで ―
おはよう。
[血杯での食事と、己の個人的な用事――
こちらに出向いて来た血族の一人との面会を終えると
出掛けよう、と彼女を誘った。
自分が帽子をなくしてしまった事が目的の一。
彼女を仕立屋に連れて行くのが目的の二。
残念ながらどこかの真祖の君のように
衣装までDIYするスキルなど持ち合わせていないし、
サイズだって解っている訳がなかった。
――解ってたいら、ちょっと取り返しがつかない*]
― 第二試験後日 ―
アイリス、君に返しておく物があるよ。
[そう言って、抽斗のひとつから白紙に包んで封のされた
細長い品を、彼女の前のテーブルに置く>>0:231]
何も言わずに預かっていた事、ごめんね。
鞘は持っている? それもどこかで失くしているなら、
代わりの鞘を用意した方が良いのだろうけど。
― クロノス ―
[その後はディークを伴い、東の空が白み、石造りの街並みに曙光の矢が降り注ぐまで狩りを続けた。
古い空き家に潜り込み、朽ちかけた寝台の上に、引き剥がした埃除けの布と狩りの獲物からくすねたマントを重ね横たわる。
目張りし、固く閉ざした鎧戸の内側、埃と黴のにおいのする闇のなかで抱きあい眠りに落ちる。
他の血族たちのような華やかさなど微塵も無い、侘しい
ディークに、自分とともに往けばどのような暮らしが待っているのかを教えるために、敢えて晒して見せる。
満ち足りた、夢の無い眠りのうちに、まどろみの合間にぽつりぽつりとディークの語るのを聞いた。
永い時を生きた魔は答えず、あかがねいろの頭を愛しい男の肩に凭せ掛け、喉の窪みにそっと唇寄せた。]
[翌日。昨日までと然程変わりない様子で起き出し]
お早う。
[そして、変わりのない挨拶をする。
誘われるまま買い物に出かけると、
帽子の見立ての際には少々の批評を加え、
仕立屋では、面食らいながらも厚意に甘えた。
街で興味を惹かれる物があれば暫し足を止めて見入り、
やがて城館への帰途についた*]
うん、そうして頂戴。
[恐らくは彼女が両親から受け取った物だろう。>>341
最早、ほぼ唯一の形見と言って差し支えない]
[日々の仮暮らしは穏やかであまり変化をしない。
本を手に学ぶ時間、氷色の小鳥を意識が追う合間、
魔力の制御と感覚の範囲を広げ、磨くために
城を出て、森で練習をする事もあった。
空いた時間に書庫で一人、黒フードが
コウモリ倶楽部のバックナンバーに手を伸ばしていたのは余談]
― 数日の後 ―
[城館に帰還して更に数日が過ぎた。
まず、山猫への変身能力を獲得したディークの、ふかふかの毛皮に包まれて、丸まって眠るのが癖になった。
斑点の並ぶ栗色の背を毛並みにそって撫で、折り重なってぬくぬくとぬくもりを分け合う。
そんな折には、ぽつぽつと昔語りをした。
幾百も花火の上がる、水の都のカルナヴァルの夜。
駱駝を何頭も連ねた隊商の往く砂漠の月。
繁栄と退廃の、霧に咽ぶ都。
日の沈まぬ極寒の地で見た極光――
ディークは、何故かコンラートが過去に関わった人間の話を聞きたがった。
愛し愛された記憶。
索漠とした孤独と闇黒の汚辱に、たまさかに零れ落ちたいくばくかの宝珠。
そのどれもが愛おしく尊い。
たとえ繰り返す別離に心を切り裂かれようと、彼らがくれたぬくもりが己を生かしてくれたことは、変えようのない真実だ。
そうして語るうちに、永い生のところどころにぽっかりと開いた穴に行き当たることもあって。
あやふやな記憶しか持たぬ長生者は、憶えていないんだよ、とほろ苦く笑った。]
[言葉少ななロー・シェンの裏に流れる情が沁みる。
何事もあっさり受け入れるように見えているかもしれないけれど、自分の裡には、いくつもの成長の輪を感じることができた。
過去を羨むこともなく、小さく折り畳まれることもなく。
ともにある今を言祝ぐ。]
− ロー・シェンの部屋 / 「覚悟」の段 −
[二人の外観と生活様式にわずかばかりの変化が加わったところで、日は相変わらず昇り、夜は再び訪れる。
その夕方も、目覚めたらロー・シェンは部屋にいなかった。
身辺の世話をする、と自認していても、相変わらず日中は爆睡してしまうので、ロー・シェンがいつ寝ていつ起きているのかほとんど知らない。
自分も、もう少し気合いを入れれば昼の間も起きていられるのかもしれないが、今のところ放っといてもらえるので、寝て身体を癒せということだろうと思っている。]
[寝返りを打つとチョーカーに下げたメダルが金属の音を鳴らした。
自分で眺めることのできない部位だけに、もどかしいくらいこの音がお気に入りだ。
元気になる。]
師父に、一発以上いれるー
[本日の目標設定をして起き出し、服を着て、ベッドメイキングをしているところに──]
[ベッドの上、頭を抱えてうち臥す。
その背は鞭打たれたように幾度か痙攣し、獣めいた呻きが洩れた。
身体を這う指先が、秘匿武器たる短筒を掴みとる。
歯を食いしばりながら上体を起こし、カチリと安全装置を外した。]
…っはあ、
[殆ど自室から出ないこともあって、他のマスターたちと交流はあまりなかった。
トールとアレクシス(そういう名前だった)だけは一度、街に出かける前にディークが自作の菓子を贈ったのを知っていたが、その後はアレクシスが帰郷したとやらで会っていない。
戻ったら二人の仲がどれだけ進展したか確かめるために招待しよう、と心に決めていた。
友人の預かった娘のことも気になっていたが、タイミングを逸していまだにエレオノーレを訪問するのは叶えられていない。
推測どおりなら、その娘はディークが殺した旧主の息女だろう。
この頃ではディークは大分落ち着いて笑顔を見せるようになったとは言え、問題の記憶の空白の核心に関わる部分に触れるのは時期尚早と見ていた。
ディークに気付かれぬよう、こっそり短い手紙を認め、従僕に託して友人に届けて貰った。
ディークとアイリス嬢の関係について、知っていることがあれば教えて欲しい、とそこには書かれていた。]
― 凶報の日/夕刻 ―
[その報せは、陽が沈む時分にもたらされた。
バラン復活の可能性を示す凶報>>252]
…………。
[評議会からの使者を前に、沈黙を重ねる。
眉ひとつ動かさぬまま、使者を睨みつける。
総て伝え終えた後も使者は動くことができず、
沈黙のままに見つめあう時間が続いた。]
[やがて、使者の額に脂汗が浮かび始めたころ、
小さなため息をついて頷く。]
委細承知した。
お任せを、と。
[ようやく返答を得た使者が飛ぶように帰って行く。
それを見もせず、ゆっくりと首を振った。]
[裏で何が動いているのか。
考えたくもないが、調べておくべきだろう。
そもそも、バラン討伐は最初から何かがおかしかった。
不穏なことが起きていなければいいのだが。]
[調査しておくようにと部下に指示を入れた後、
部屋に戻るべく廊下を歩き出す。
その途中、頭に声が響いた。]
……!
[切迫した呼びかけに、廊下の床を蹴って走る。
全力で駆け戻り、自室の扉を開け放った。]**
[答えを知りたいかと言われれば、正直なところどうでもいいと思っている自分がいる。
ディークはありのままでディークだった。
情人であり、愛し児。
彼が過去にどのような人間だったかは、自分にとってはどうでもよいことだった。
記憶に空白を抱え、償えぬ罪を背負ったという意味では、ディークと自分は似た者同士なのかも知れない。
空白は認識の拒絶であり、不死者でも耐え切れない、否、人間ならばとっくに死んでいるような状態でも死ねない不死者だからこそ耐えられない苦痛から逃れるためでもある。
恐らくはディークも自分と同じように、そんな凄惨な拷問を受けたのだと――勝手に想像していた。]
― クロノスの日 ―
[滅する寸前にまで損なわれた体を維持することはできず、
しかしコンラートに与えられた血はたしかにディークの命を繋ぎ止めた。
最も小さきかたちに化身して、保てぬ体温を懐で温めてもらいながら。
夜が終わるまでの狩り、
獲物の肌へ吸い付けないほど弱った仔は最初は口移しに、やがて力を取り戻せば自ら牙をもって、消耗を潤した]
[昼、
裸の肩へ凭れ掛かるあかがねを指で梳き、また微睡みへ沈む。
黴と埃の匂いのする侘しい寝床で、
ほとんど満ち足りた幸福のようなものを感じていた*]
― 自室 ―
[――それを知る日は唐突に訪れた。
すっかり日常となった、ふたりだけの平穏な夜が始まり、たわいの無い会話をする。
ディークは、書庫から借りてきた本を片付けようとしていた。
もはや習慣となっている目覚めの血酒を啜り、長椅子から彼に答えようとして――本が雪崩打って床に落ちる音とディークの突然の苦鳴に、ぎょっと身を起こす。]
……ディーク?!
[見ればそこには、床に倒れてのた打ち回る彼の姿があった。
喉から絶叫を迸らせ、恐怖し何かから逃れんとする姿は、彼を拾い上げた討伐の夜や浴場での恐慌と全く同じ。
いや、それよりも酷い。]
ディーク、ディーク…… ああ
[ディークの身体に覆い被さって両手首を掴み、彼を床に縫いとめようと試みる。
己に出来ることはと言えば、彼を落ち着かせ、これ以上彼が自傷しないように動きを封じることくらいしかない。
男性の特徴を備えながらもたおやかに見える細腕は、だが、長生の吸血鬼らしい剛力を以って、鍛えられた男の四肢を押さえ込んだ。]
[喉を裂いて叫び、
脳の中に巣食うモノから逃れようと額を床へ叩き付ける。
溢れ出す涙は透明な塩水から、どろり濁った血赤へ変じて頬を汚した]
あぐ、ぎ ィ
ああああアアアッ!!!
[のたうち回る体に重みがかかる。
手首を捕えられ、強い力で縫い止められても背を弓なりに撓らせ、脚を撥ね上げてしばらく暴れた]
[まさか本人に見つかるとは思っていなかったので
若干挙動不審だったとか。>>344
……念の為弁明しておくが愛読している訳ではない]
[そんな折、友人からの私信が届く。>>350
内容を読んで、律儀だなと頷くと同時、微かに首を傾ぐのは
――直接面会すれば果たせる事だろうと思うのに、
彼の養い子から、身も意識も離せぬ事情があるのだろうかと。
氷色の小鳥が誰を追っているのかは想定の内だったから
手紙に対しては、宛てる返事は短い]
『二人の具体的な間柄は、僕も直接は聞いていないよ。
代わりと言っては何だけど、今の所彼女は元気にしてる。
最近は眠りも安定してきたよ。
ディークが恐れていたような痛みは、
あの子を襲っていないから、安心して』
ぁ う
[しばらくして、ぶつりと抵抗が止む。
濁った双眸が宙を彷徨い、牙が喰い破って血の滲む唇を震わせた]
あ イリス、
すまな 私は──
[一度消えた悪鬼の声が、また響き出す。空白の記憶を注ぎ込んだものから内容を変えて。
脳髄を支配する命に抗って首を振った]
そこから逃 もっと、…遠くへ
[次いで、結んだ血の絆を手繰って、彼の心の中から恐慌を引き起こした原因を探し出そうと、精神の手を伸ばす。
剥き出しの心を繋げた瞬間に伝播する恐怖と苦痛、
吐き気を催すおぞましい感触、
それに触発されて浮上しそうになる自身の苦痛の記憶をねじ伏せ、更に深くへと潜る。
そうして遂に隠された奥底に、
かつて捺されはしたが、
対象が消失してとうに無効化された筈のものを認めて――]
[手紙の返信と同時に、ひとつの思念を送る。]
コンラート。
調子はどうだい。……また、悪い癖を出してはいない?
[目的は世間話でなく、あの日に受けたイメージの共有。>>68
念話を通じて深く意識を繋いで、残像を送る]
恐らくアイリスは、ディークが仕えた一族に連なる者だと思う。
僕も詳細を尋ねてはいないけれど、
あの子を逃がす為に、抗ったのだろうね。
[虫食いの記憶に、己との出会いはまだ残っているだろうか。
特筆して陽に弱い血統の蒼が炎となって尽きる前に匿い、
その時は確かに救った赤銅は。]
な――
[あり得ないことが起きていた。
ディークが聞いているのは、血親の声だ。
とうに無い筈のものが、彼を縛り、彼に命じ、干渉している。
それを可能にするのはただひとつ――]
― ある日/凶報の前 ―
[魔力の繊細な制御に長じるようになったアイリスに、
ひとつの提案をしてみた]
僕以外からも学んでみるかい?
具体的には、リッシュ殿――
つまり、あの飴を下さったダーフィトの先生に。
あの方は評議会に属する中でも特殊な立場にあるから、
吸血鬼を知る、という意味でも、見識が深まると思う。
[ダーフィトとも交友を深められるだろうとかは
敢えて言う事でもないだろう、ので沈黙。]
君がよければ、お願いできるように手紙を書くけれど。
『殺せ』
『今すぐ』
『戻って来い』 『忘れるな』
『マスターをブッ殺して』
『可愛がってやるからよぉ』
『オレ様のところへ』 『今すぐ』
『忘れるな』
『心臓抜いて』『ブッ殺して』
『貴様の血親はオレ様だ』
[古き友は返信だけでなく、ひとつの思念も送ってよこした。
ディークと邂逅した夜に、彼から放射されたイメージ。
エレオノーレも自分と同じ結論に達したと知り、ディークが救おうとした女性が友が預かっている娘なのだと確信を得た。]
ありがとう、エレオノーレ。
ディークが彼女や彼女を救うために血親に逆らって拷問を受けたのは間違いない。
彼はその所為で心を壊されてしまった。
[ガウン! と銃声が響き、撃ち抜かれた枕から白い羽毛が舞い散る。
短筒の装弾はこれ一発きりだ。]
くぅ…、
[それでも、指は武器を放そうとせず、虚しくトリガーを空打ちしつづける。]
彼が受諾してくれればね。
[氏族によっては閉鎖的な所もあるだろうし、
先方の禁忌に触れなければと前提もつくが。>>363]
うん。
それじゃあ、お伺いを立ててみよう。
[そうして、ステファンに一通手紙を送る事にした]
ー 第二試験から数日後のある日 ー
[第二試験から数日後。
ファミルは数日の昏睡を経て目覚めたが、未だ多くの休眠を必要としており、外出がままならない時が続いた。
自分と共にあったバランの血の気配を辿り、彼を見つける。
真祖の心臓の影響か、とても鋭敏になっていたためそう難しい事ではなかった。]
よい夜だね、ディーク。
私はファミル。一週間くらい前に、廊下であなたに助けてもらったんだ。
……中々会いに行けなくてごめんね。
後で必ず会いに行くから。
けれども、先に伝えておきたかった。
ーーーありがとう。
あのときは、あなたに出会えて、本当にほっとしたんだ。
[柔らかに微笑みを帯びた声が、囁いた。]
― 温室 ―
[永久に太陽を喪ったとは言え、日の温もりを懐古する時は
己にとっても少なくない。
黒いフードの小柄な影が、無人ながらも草花の息吹の籠る
硝子の天蓋を好んで訪れるのはそうした理由だった]
……――
[植えられた木の根元にぽすりと座る。
深呼吸をして目を閉じると、頭がかくりと来た]
ぁー……駄目だな
[こんな時でなければ友人の所に押しかけて寝せて貰う――
それ以前に、こんな時でなければ、その必要もないのか。
大分、頭がやられている感がある。]
ああ…こんばんは
[届いた声が誰だかわからず、暫しの間を置いて声は返された。
あの時のメイドの名がファミルらしいと理解し、ついで血の兄弟としての気配が変質したことに首を傾げた]
俺も話したいと思っていた
…元気に過ごしているなら、良かったよ
蛇 嫌いじゃない、か?
[されることもさせられることも嫌だけれど嫌いじゃないらしい。いつかコンラートが形容した言葉を思い返しながら。
会いに来るならスフレを作って待っていよう、という軽い災難宣告を送り、幾つかの囁きを笑み混じりに交わした]
そうだったのか。
血親による強制力に抗った結果で、
心が裂けたものと思っていたが……
彼の様子は、安定している?
アイリスが気にして様子を見ているようだったから。
今はまだ、直接会うとディークの負担になるようなら、
君だけでもあの子に会いに来るかい。
僕としても嬉しいけれど。
有難う、色々考えてくれて。
御手数だけど、お願いするわ。
[あの飴細工に添えられていたメッセージカードは、マスターにしては
くだけた文面だった。彼が気さくに教えてくれる人ならいい、と考える。
関係構築の時期にあまり他の親子の妨げはすまいと思っていたが、
順調に勉強を進めていると聞いたダーフィトには、会ってみたくもある]
[やがて席を外す黒衣の背を見送り、書庫へと向かった]
[クレステッドの回答に、眉を寄せる。]
……それじゃあ……
[彼らが今どんな状況にあるか想像に難くない。
表情が曇る。
けれども、この話を聞いて自分の中ではっきりしたことは一つだけあった。]
Perfect!
[神学校に講師として来ていた風変わりな歴史学者の口癖を真似るようにして言う。
神学校で教鞭をとりながら、クレステッドと似たことを言っていたあの講師も、もしかしたら人ならざるものだったのかもしれない。]
……この世界には様々な宗教が存在して、人々が信じるものも様々だ。
故に、もしもあまねく神と呼べるものが在るとするならば、それはこの世の存在や原理そのものといったもの位ではないか……
[ロザリオの銀鎖をさらさらと滑り落とし、暖炉の火にくべる。]
……受け売りだけどね。
聞いたときはわからなかったけれど、今なら解る。
[手の内の刃について問われて、そちらを見た。]
……天の使いを自称する声と一緒に現れた。あなたを殺して自害するのが私の天命だと。
……随分なタイミングだと思わない?さて、神を騙るは……
[言わんとすることは伝わるだろう。]
[近付く使用人の足音に目を開ける。
不在だった事により、通達は一度部屋で折り返しを経由して
少し遅れて己の許に届いたのだ。>>252]
…………。
[フードの下で、眉間に指を添える]
君は具体的な状況を把握している?
でなければ、解る者に幾つか確認をさせて。
[二言三言、短い質問を低く発して使者を下がらせた]
ああ、ディークは一時期に比べると大分落ち着いてきた。
けれど、まだ安心は出来ないんだ。
血親の虐待が心的外傷になっていて、それに関連した出来事が思い出せない。
無理に思い出そうとすると、負担がかかるんだ。
だから、ある程度治ったと確信するまでは彼女に会わせたくない。
アイリス嬢には、回復したことだけ知らせて欲しい。
いつか必ず会えるようにするから。
何なら、会えないのは僕が彼を手放さないからと言ってもいいよ。
窃取の痕跡は追えているのか。
バランを復活させるとして、かかる
内外に与える影響は把握できているか。
討伐隊の再編成を、『復活すれば』だなんて
悠長な時期に据えているのは本気なのか。
[とは言え、使いの者が確認の上で
詳細の連絡を寄越すとしても時間が掛かるだろう。
こちらはこちらで、出来る事をやっておくしかない]
もう少ししたら、僕だけでも会いに行く。
だから、それまでは。
[古い友人の好意に甘えて、無理なことを頼んでいるという自覚はあった。
こんな中途半端な情報では、余計にアイリスが心配するだろう。
間に立つ友人が苦しい立場に立たねばならない。]
……そう。
君がそう言うのなら、任せるよ。
[ヒトを獣にまで墜す程の傷だ。生半可な物ではあるまい]
ただ、その冗句……いや、案外冗句でなさそうだけど。
あの子には、思う意味では伝わらないのではないかな?
――僕はずっと貴方が守って下さっていましたから、
そこまでの飢えを知りません。
貴方は我慢なんてしなくても良いのです、
僕が我慢を覚えなくてはならないのですよ?逆じゃないですか。
[次の瞬間には、光の欠片は主の身に纏わりつくように
寄り添い、人の形を成した。
……主を背後から抱き締める姿で。]
甘やかしてばかりじゃ、子供は付け上がるんですからね。
[都合の良い時だけ子供になる、主に対するそんな甘え方も
いつの間にか覚えてしまった。
首筋に頬を摺り寄せ、目を細めては囁くのも悪い癖だ。]
遅くなって本当にごめん。
蛇は……そんなに好きじゃなかったけれど、最近は慣れた。
[今も腕に巻き付いて寛いでる黒蛇のあたまをちょんちょんと撫でた。]
スフレ?
嬉しいな、楽しみにしてる
[出来映えを知らないのは幸か不幸か、純粋に喜んで。
いくらか他愛ない談笑をして、互いに眠気に誘われる頃。]
……あのとき、助けてくれてありがとう。
今度は、私があなたを助けたいんだ。
何か辛いことがあった時は、呼んで欲しい……
[約束だよ、と囁く。*]
[ふむ。と首を傾げて。
蝙蝠の描かれた背表紙に手を伸ばし――
片腕に抱いた本が、ばさりと床に頁を広げる]
………ッ、!
――……嘘、どう、して……
[二度と聞く事はない筈の、その声]
心配しないで。
[アイリスは己の危難よりも先に、
家に仕える者であったディークを案じるような子だ。]
あの子も、君がディークを一番に考えてくれる事で
安心できる部分があるだろう。
うん。では、いずれまた。……よろしくね。
[エレオノーレとは、思い起こせば古い付き合いになる。
元々吸血鬼貴族の社交に興味のないコンラートにとって、数少ない同族の友だ。
偶然に倒れていた彼を見つけて匿った時には、こんな風になるとは思ってもみなかった。
あの頃コンラートは、裏社会で幅を利かせる顔役の持ち物になっていたのだった。
体をひさぐ、しかも支配層でさえない下賎な人間相手に、というのは、人間を劣ったものと見做す血族たちには、到底受け入れがたい所業だ。
多く人間に養われてきたコンラートは、そのことで何度も侮蔑の対象とされた。
しかし、エレオノーレは何も言わなかった。
それを、どれほどありがたいと思ったか。]
― 自室 ―
[部屋に踏み込んだ瞬間に銃声が響き、視界に白が散る。
舞い上がる羽毛の向こう、銃を握りしめたレトを見れば大股に歩み寄った。
有無を言わさず手首を捕え、首元を掴む。]
俺を見ろ。
[いつかと同じ言葉。
だが意味合いはあのころと変わっていた。]
言え。
俺はおまえのなんだ?
おまえは何者だ?
[激しくはない分、深く揺さぶるように、言葉を染み込ませる。]
手放さないのは事実だからね。
[そう受け止められても良い、と苦笑して。]
またそのうちに。……ありがとう。
―――……下種。
[生まれて初めて、純然たる侮蔑を吐き捨て]
権利を吼えるなら、相応の義務を果たしてからになさい…な、ッ
[頭が。胸が。軋む。――潰れそうに。
書棚の隙間にぐらりと倒れ込み、床に臥せ喘ぐ]
[――せめて、もっと早くに。
それならば未だ、痛ませずに済んだろうに]
各々のマスターの善意と愛着に委ねられることになるが、気にかかるか。
[兇状もちのマスターが何か命じることを今更口にするまでもなく。
表情が曇った様子のファミルを見て目を細めたが、続く言葉が、常の様子とはまるで違うおかげで、異変が!と一瞬心配した。
まさか少々変わっていたらしい講師の物まね>>369をする茶目っ気があると思っていなかったためだ]
ほう、そうファミルへと説いたものはよき目をしている。そうだ…結局信じるものは己の中にあるものよ
[短くも惜しむことのな賛辞を述べ、ロザリオを棄てる様子に頑なだったころからの成長を見遣る。表情が穏やかだったのもそこまで、白刃についての返答に眉を寄せる]
ふん、その程度の刃で我を殺すなど、余程身の程を知らぬようだ。
それに我のものに命を下すなど許し難き所業だ。
[不機嫌そうにまずはごくごく個人的なことへの怒りを吐露する]
浅はかなる犬畜生の考えか。ありえそうなことだ。
[予測に辿り着き頷き返した]
血兄弟たちの問題もあるが、あの犬畜生についてはその足跡を追っていることであろう。その後であれば我や他のマスターにも声がかかろうが…ファミル。お前はどうする?
[具体的なことは告げずにただ問いを向けた]
[エレオノーレとは、思い起こせば古い付き合いになる。
元々吸血鬼貴族の社交に興味のないコンラートにとって、数少ない同族の友だ。
偶然に倒れていた彼を見つけて匿った時には、こんな風になるとは思ってもみなかった。
あの頃コンラートは、裏社会で幅を利かせる顔役の持ち物になっていたのだった。
体をひさぐ、しかも支配層でさえない下賎な人間相手に、というのは、人間を劣ったものと見做す血族たちには、到底受け入れがたい所業だ。
多く人間に養われてきたコンラートは、そのことで何度も侮蔑の対象とされた。
しかし、エレオノーレは何も言わなかった。
それを、どれほどありがたいと思ったか。]
/*
ああ……誤爆……ああ……wwww
うっかり手癖でディークにあいを囁くコンラートに
ふかざるをえないよ僕は……
*/
アイリス。
大事な話がある、今すぐに会えるね。
どこにいる?
[同時、その気配を探る。]
[――バランは甦って、自由に血子に干渉している。
それしかありえない。]
ディーク……苦しいよね……つらいよね……
[胸を重ねてよりしっかりとディークを身体全体で押さえ、葛藤に苦しむディークの顔を覗き込む。]
君に聞こえているかどうか分からないけれど……
伝えたいことがあるんだ
拗ねたりしてごめんなさい。
僕以外にあんな顔をする人が居るんだ、って
思いたくなかったんです。
[耳元に寄せた唇が吐息に乗せて紡ぐ言葉。
十と数日前に空虚だった心は今、主の存在で満たされていた。
だからこそ、縋りつく身は半ば押し付け。
全身で愛してくれるまでは許さないと言うかのように。*]
― 第二試験直後・自室 ―
……――。
[>>371アレクシスの言う通りだった。
この城館で寝起きを共にしている時から、美術館で絵を眺めている時まで、ずっと渇きの兆候はあったのだ。
それでもアレクシスに牙を突き立てる事を避けたのは、彼の肌を傷付けたくないだけではなく。
その行為が望まぬ血親との記憶を揺る戻す事も懸念していたせいでもある。]
――アレク!
[>>373不意に光りの欠片へと変じて消えた恋人に、驚いて立ち上がりかけるが、
その気配がすぐ背後に現れ、包み込むように回されて来た腕を見て取ると、自らの手を添えて目を閉じる。]
よかった――……。
君がどこかへ行ってしまうかと……
[彼が姿を変じた瞬間に感じた、焦りと後悔を告げて。
猫のように寄りそってくる恋人の髪に、そっと手を伸ばす。]
− ロー・シェンの部屋 −
[羽毛の紗幕を散らしてロー・シェンが視界を覆う。
銃を握った手首が固定され、首にメダリオンの紋章が押しつけられた。
「俺を見ろ」
「ずいぶんと甘やかされて」
「俺はおまえのなんだ?」
「復讐」
「おまえは何者だ?」
「心臓抜いて」
反響する声が意識を掻きむしる。]
[苦鳴の合間、譫言のように幾度か主家の息女の名を零した。
遠くへ逃げろと、届けられなかった願いを。
そして、血親の声に混じり、名を呼んで繋ぎ止めようとするもう一つの声へ。精神の手を伸ばす]
…っえ、 グ
[口の中に溜まった血の塊を少し吐き出して、涙を零しながら、
上に乗って押えつける重い体への抵抗はほとんどない]
あ、 あああああああ!
[涙が溢れるのは感情や理性からではなかった。
肉体が──血が、沸き立っているのだ。]
― お出かけの日 ―
[それはまだ凶報が届くより前]
体調は大丈夫か?今日はその体に馴染む特訓も合わせて昼の街をゆこう。
あまり長時間でるつもりはないが、気分が悪くなったらすぐに申告しろ。
[何か質問はあったか。なければファミルの手をとり、共に霞のように姿を消し街へと降り立った]
― クロノス ―
どうだ?大丈夫だろう。
[気だるいやら、気分がよくない。などという不調はあるかもしれないが、塵になるのに比べれば十分すぎる進歩を遂げているファミルの体を再確認しながら市へと向かう。
迷いなく歩くのはもうどれだけ好き勝手動いていたのかがわかるだろう]
― 市場 ―
[猥雑とした空気と少し余所見をして歩けばぶつかるほどの人ごみ。食欲をそそる匂いに雑多な品々。民芸品を売る店もあれば、演奏をするものもおり、分別がなくただここにくれば大概のものがある。その中に気に入るものがあるかはまた別だが]
今日はお前の私物を増やす日だ。
好きにみるがいい
[そういいながら早速自分から民芸品の木彫りのアクセサリーなど物色してしまうのが真祖である]
この先君が何をしても、それは裏切りにはならない。
君が望むことなら僕は何も拒まない。
これだけは、覚えていて。
[囁いて、血親の命に抗い続けて涙を流す彼の目許に口接けた。]
[いまも肉体を作り替えたバランの血は全身を巡る。
壊し、歪めることも躊躇わない圧力をかけて、支配し続けていた。
血親の強力な
ロー… 殺セ 放
し 父──… もっ と、
[柔軟な足がロー・シェンの身体を蹴る一方で、絡めとらんとする。]
― 回想 ―
ねえ、コンラート。君は、血親の所には居ないの?
それとも、血親がいないのかな。
[人間の庇護を受けていると聞いた時、正直には驚いた。
ただ、朽ちることのない美貌と魔の者の危うげな妖艶さ、
そういったものがヒトを魅了するだろうと容易に解る]
……僕の事は、マスターが助けてくれたのにな。
[出会った当初の己は、実年齢も精神年齢も外見に近く、
火傷が癒えるまでの時間を、彼と共に過ごした。]
一人では良く解らないけど、少し温かい気がするね。
[大人の腕なら、ぽすりと収まる程に小柄な体躯。
傍近くの青年の耳に、ひそりと少年は囁いた]
[拒まない、と囁く声はたしかに聞こえていた]
[生きる意味を考えろ。 誰かの言葉が甦る。
己の力を己のものとしろ。
あなたを助けたいんだ。 誰かの言葉が甦る。
辛いことがあった時は、呼んで欲しい。
しっかりして。私が解る? 誰かの声が甦る。
貴方がまだ、生きているでしょう]
…ぁ
[僕が君を、そうさせない。 誰かの。
君がそうしたくないと望むのなら]
だけど、君がそうしたくないと望むなら。
僕が君を、そうさせない。
何があっても。
[前に一度口にした言葉をもう一度繰り返す。
そうして、血の絆を手繰り、もう一度固く己と彼を繋ぐ。]
/*
ここまであっさりマスターに刃向けたペアはうちくらいらしい。ははは、すまないな。だってガチ殺しあうのがうちのマスターの好みなんでしかたない。
なるほど…どうやら俺は、子育て失格かな。
[振り向いて、首筋に頬寄せる青年に向き直り、]
じゃあ…恋人は――?
[彼の耳たぶを甘く噛んで、低く囁く。]
― 書庫へ ―
[黒衣が風をはらんで翻り、硝子の天蓋の許から消える。
後には滑るように飛ぶ鳥が一羽]
[声は途切れたが、恐らくアイリスは書庫だろう。
城館の内に、他に異変がないか視線を遣りながら
蔵書の保護のためだろう、厚い扉に手を掛けた]
―数日前―
[昼の街を行く、という言葉に一瞬耳を疑った。]
えっ、大丈夫なの?
わ、わかった…けど、気分が悪くなる程度で済むの?!
[問いの答えは、じっさい日の下に連れて行かれることで証明された。
結論としては灰になることは無かった。]
確かに、結構怠いし、少し眩暈もするけれど…
大丈夫みたいだ。
[久々に見る昼の街に、ほんの数週間だったが懐かしそうに辺りを見回す。
なんだか落ち着かないし眠気は酷かったが、それでも嬉しさが勝った。]
こういう所、来るんだね。ちょっと意外だな。
私の私物…?といっても、欲しいものが…うーん。
[この猥雑で活気に満ち溢れたな朝市ではっきりいってクレステッドの物腰や服装は少し浮いていたけれど。
どういうことかあまり気にする人もいなかったので、彼について一緒に店を眺めるのだった。]
[眸を曇らせていた血色の濁りが解けて薄まる。
緋色の虹彩を一度、瞼の下に隠して、
再び眼を開けた。
はっきりコンラートの顔の上に焦点を結び、見上げる]
……っ
どけ
私に、触るな
[苦痛に喘ぎながら、
掠れた硬い声で拒絶を紡いだ]
……。
[押さえつけた手の先から、響きが伝わってくる。
内容まではわからない。
だがそこにあるのはレトを縛り付ける力だ。]
甘やかすと、どうなるのかな…?
[普段の彼を、彼たらしめている眼鏡を静かに外して。
先程、首筋にすり寄せてきた頬を両手で捕らえ、撫でる。]
飢えた表情も、余裕のない表情も。
これからは全部、君以外に見せたりしない…。
――約束する。
[二つの瞼にキスをして、双眸を閉じた女神の唇を奪う。]
…。
[蹴りつけてくるレトに体重を掛け、押し倒す。
体全体を使って押さえこんで、首筋をさらけ出させる。
黒い革が守る場所よりも下、
肩と首の付け根に牙を突き立て、強引に吸い上げた。
容赦なく、命を奪いにかかる。]
そうか……そうだな。
[試験に際し、己へとアイリスを寄越したエレオノーレ。
養子が心配しているからとわざわざ我とファミルの状況を聞きに来たコンラート。
未だ未だ未熟なれど威厳よりも親しみと温厚さをもっている後継者のトール。
峻烈なれどその中に確固たる信念をもち生きる名を与えた子、狼神(ロー・シェン)
一昔前はつまらぬ小石程度の価値しかなかったが、人を通して価値を取り戻したステファン]
容易く見捨てるようなマスターはおらぬだろう。多少の抵抗ぐらい御せねば、親として、主としての資格すらない、それをわからぬ者達でもないだろう。
[...自身がもつ観察眼から、沈むファミル>>381へと伝える。]
[最初の恐慌が弱まれば、
ディークを縛り干渉する血親の声は、かつてのそれより強制力に乏しく感じられた。
命じる声の側が異なっているのか、
吸血鬼として積み直した自我がより強くあるからか、
養親と血の絆を交わらせ、死と再生の疑似体験をしたからか。
落ち着いて考えられるほどには余裕はない。
けれどもし、いままたこの心が折られれば、命に従ってコンラートへ牙を剥くだろうことだけは確かに理解していた]
だとしても問題にすらならん。我を殺したくば世界中の奇跡を刃にこめることだ
[気遣いもあるが、半分は絶対的な自負が織りなす言葉。
それゆえ刃を持ったままでいることを反逆の意志と捕えることすらせずに見過ごす]
今すぐにするようなことはない。何か容易く感じ取れる異変が届くまで、ファミルの血兄弟より助力を願われるまでは待っているがいい
[ファミルの隣に腰かけ祈るファミル>>382を落ち着かせるようにの白金の髪をそっと撫でた]
[そうさせないと言ってくれるひとを
苦痛の中で絶望と憎悪に支配された意思は、守りたいならば遠ざけなければならないと判ずる。
固く繋いだ血の絆は、魂の姿を隠しきれていないが]
…はなせ (そばに)
(ひとりに、しない って)
『殺せ』
どけ── (そばにいたい)
――…決まっているでしょう?
貴方は僕の言うことを、なんでも聞いてくれるって
勘違いしてしまうようになるのですよ。
例えば―――…
[人の証として身に付けた眼鏡が離れ、今はただ
主の為の吸血鬼として彼の手の中に包まれる。]
だから君は、俺だけを見て。
その夜色の瞳で、俺だけを誘惑し続けてくれ…永遠に――。
[人ならざる恋人達は幾つもの夜を共にし、永き刻を越えて愛し合う。
軽く触れ合う口づけは次第に深度を増して、やがて黒髪の青年から力が抜けると、その身体を横抱きに抱えて寝室へと向かう。]
貴方にそんな約束をさせて、嬉しく思ったり…ね。
酷い子でしょう?
付け上がる前に、お仕置きしなきゃいけませんよ。
[唇重ね、暫し訪れる静寂。
この後はまた、身体を重ね仕置きにならない仕置きを
強請るのだ。]
[彼の為に在ること、彼が自身の為に在ること。
それが世の全てになりつつあった。*]
……ッ
[金属製のドアノブが異様に冷たい。>>390
室内の温度を想起させた。
もう制御出来ていないのか――!]
アイリス。
[躊躇は無い。
扉を引き開ければ、ぶわりと強い冷気が頬を叩く]
― 現在 ―
コンラート、状況は見えているね。
彼をお願い。それと……君自身の事も。
[友人の身に何かあったら、後で苦情を入れよう。
――友人本人にだが。]
[思ったよりも長居ができぬ様子を見て取りながら、それでも吸血鬼となってから味わえなかった光景を懐かしむファミルを連れてきてよかったと思う]
体をなじませ、より強くなれば、自然と昼も出歩けるようになるぞ。
[それが奮起となって促されればと思い口にする
尚、本日のファミルの服装は目立たないようにと市井のものがきる女性服であった。ちなみに自分が目立つ服装をしているのは気にもかけない。それどころか商人の間では金払いがいい客を覚えていたのか、声をかけてくるものもいる始末であった]
[そういった商人に対して偉そうながらも厳しい鑑定眼をもって応対していたが]
目ぼしいものがあるかといえばそう多くはないが掘り出し物も時にはある。
それに生活に特別密着している場所だ。生きていくうえで欠かせない場所。そう思えば貴重な場所だと思えぬか?
[意外そうにいうファミルへと、自身の考えを述べながら]
例えば動物など興味はあるか?
[迷っているファミルへと木で彫られた動物の置物を示してみた]
[意識に捩じ込まれるのは血親の暴虐。
肉体を穿つのは養い親の覚悟。]
ぃや… め…
[再起不能なほどに肉体を壊してしまえば、苦悩から逃げ切れるのは、わかっている。
だけど、]
オレ──
ロー…と、 いきたい
[自由な方の手を、ロー・シェンの髪に差し入れて、力を籠める。
死にたくない。
殺させたくない。]
/*
表放置っちして秘話でキャッキャウフフするのも
あれだよねと相談中ですがががががが。
朝チュンフラグにした方がいいのかこれは!
― 回想 ―
[まだ外見どおりの幼さを残したエレオノーレに、ほろ苦く微笑し、血親はいない、と答えた。]
多分、死んだんだと思う。はっきりは憶えていないけれどね。
人が目の前で燃えるイメージがあるんだ。
それが僕の血親じゃないかな。
[穴だらけの記憶の、おそらくは最初の欠落を、コンラートはそんな風に語った。
その当時で既に数百年以上は生きていた。
何もかもが自分のものでない宛がわれた家で、性愛の代償に与えられる庇護だけでは満たされない何かを埋めるように、少年を愛しんだ。
火傷が癒えたエレオノーレが去る時には、翼を傷めて保護した小鳥が飛び立つを眺めるような気持ちになったものだ。]
彼のことは心配しなくていい。
僕が何とかするから。
[自分のことは一言も言わず]
いわずもがなだけど、
ディークがいつか彼女に会えるよう、彼女を守ってやって。
[恐らくは自分と同じ危機に遭遇しているであろう古い友人に、励ましともつかない短い返答を返した。]
[>>391 それぞれのマスターへの信頼を示す言葉は己を安心させようという意図もあるのだとうと察し、少し笑う。]
…そう、だね。
……それにしても、こういう事って良くあることなの?
[バランの心臓が未だ始末されておらず、何者かに持ち去られたという事態について尋ねた。
>>393 髪を撫でる手にはそのまま身を委ね。]
相変わらずの傲岸不遜ぶりで安心した。
[絶対の自信をのぞかせる様子に、むしろほっとする。]
……異変。今の私に気づくことができるかな…。
[ぽつりと零す。
変容してしまった今でも、己は彼らに寄り添うことができるのか。
祈りを捧ぐは―――神ではなく、己の血兄弟たちへ。]
──ファ ル
[数日前、囁きを交わした相手を探して。
不安定で弱い声が、途切れがちに宙を揺蕩う]
ぶじ 、ら
聞きたい どうや 、て
[幾層にも重なった心の声は、矛盾する思いを伝える。
絆の伝える魂の声は、確かに己を欲していた。]
ああ、僕からは何も隠せないよ。
言ったよね、僕は君が思っているほど素晴らしい者ではないと。
何もかも喪って、寄り何処を欲していた君を血で縛って作り変えた。
それくらい、卑しい。
[薄らと透ける白色に染められた部屋。
キリキリと引き絞られたような空気。
切れぎれの声>>400]
そうだね。
[霜の上にひとつめの足跡を刻み]
では、先に君の話を聞こうかな。
訓練次第…ってこと?
[陽は暖かく懐かしいものだったけれど、確実に時間経過と共に自分の体力を奪っていった。
スカートの裾を払いながら、よろめいて転ばぬよう歩く。]
知ってるよ。昔はよくお使いにもきてたし。
[真祖にとっては珍しいものでも、ついこの間まで人でありしかも庶民だった己にはなじみ深い場所。
買い物の様子を見ていれば、カモられているかと思いきやそうでもないようだ。]
………動物は好きだけれど、あまりインテリアに興味はないかな。
[鮭咥えてる木彫りの熊の置物を見て、何か違うと思いながら言った。
そもそもあまりものを持たない性質だというのもある。
袖口からオスカーがちょろりと舌をだしたので。]
動物はオスカーがいるから充分。
[指先で頭を撫でれば、賢い蛇は再び袖に顔を隠した。]
― 寝室 ―
むしろ、光栄だよ女神様。
そのぶん――約束はしっかり守ってもらうけど。
[先程までの自分を棚に上げて、恋人の青年を姫君を扱うように、そっとベッドへ横たえる。]
お仕置きなら、大丈夫。
これから、たっぷり受けてもらうから――。
[夜色の女神を逃さぬよう、彼の上に覆い被さるようにして、再び口づけを――。]
(ちがう) だまれ
失せ『心臓を』ろ、はやく (ちが)
『戻ってこい』
(ちがう 貴方は)逃げ──
寂しかっただけ じゃないか
[レトの手が髪に潜り込む。
編みこまれたビーズが、かちりと鳴った。
いきたいと、願う言葉を耳にしてもなお力は緩めない。
押さえこんだ手を離したのは、命繋ぐぎりぎりまで奪った後。]
俺もだ。
[低く、呟きが落ちる。]
おまえは、俺のものだ。
ティファレト。
俺のものに、する。
[腰から引き抜いた短剣で、自らの腕を切り裂いた。
溢れ出す血を口に含み、レトの頭を持ち上げる。
唇を合わせ、舌を絡めるようにして奥へ流し込んだ。]
― 回想 ―
[血親は死んでしまったのだろうと聞いて、幼い吸血鬼は
今よりは多少素直に消沈して見せた。
つまり、コンラートは助けてくれる者を喪ったのだ。
ならば、一緒に自分の血族の所に行こう、と誘った事もある。
もっとも、それを血親に念話で嘆願してみれば、
青年の来し方を理由に、ならぬと禁じられたのだが。
今は有限の交流と知ってから一層、別離の時間まで
エレオノーレはコンラートに情を向けた。]
……また会おうね。
[癒えて飛び立つ月夜は未だ少し名残惜しく、頬に親愛の印*]
たとえねじ曲げられようと
私が──私が自ら望むものか
貴方を知り、応えたいと思ったのは
与えられる愛情を卑しく欲したのは
わたし
―寝室―
始めから、貴方しか見ていませんのに。
[血兄弟、その主達。平等に視線を向ける事はあっても
自身の主に向ける視線は、やはり熱を伴ったもの。]
ふふ…嬉しい。
思うまま貴方の想いを、この身に刻んで下さいね。
[再びの深い口付けの、身じろぎ間に衣服は乱れ。
纏わり付くそれが邪魔だと自ら肌蹴させて見せた。
白い肢体を晒し、早く触れてと潤んだ瞳は訴える。]
こんなことが頻繁にあってたまるか。明らかな不手際だ。本来はおこりえないことがあったとみるほうが自然だ。
[心臓は何かに使用するためともとれるが、それを持ち去られるなどあって恥意外の何物でもない。]
兄弟だといったものの言葉が偽りでないならば大丈夫であろう。
[安心させる自信は自分に対してはいうに及ばず、ファミルやその血兄弟に向けても当然の如くいって見せ]
お前がその調子では聞こえるものも聞こえぬぞ
[大丈夫だと叱咤をしながら、身をゆだねるファミル>>401の髪を梳いた]
[不安定で儚く消え入りそうな声に気づき、必死でそれを拾う。]
………ディーク、
[苦しそうな声に彼が今どんな状況かを察する。
ほんの数週間前のあの苦痛を思い出すのは難くない。]
……私は、
[僅かな逡巡の間。これを伝えて、彼が何を思うのかを考え躊躇うが。]
………自身に刃を向けることで2度目の死を迎え、心臓を貰い受けて3度目の生を得たから。
この生は、あの男とは繋がっていないんだ…
[ただ彼を信じて、正直に答えた。あの日のように嘘をつくことはせず。命を絶つことでしか断ち切れなかったことを告白する。]
…じきに再びあいつは捕まる、だから絶対早まってはいけない…
―――あなたを失ったら、私は寂しい…
[言いながらも、彼がすべてを賭して抗っているものの前に、己の祈りなど無力であろうことに心を痛める。]
……そう。
[幾度も染み込まされるように、彼女から聞いた言葉だ。>>405
耳に届き、胸に至り、呑み込むまでの間があった。]
続きを聞こう。
[二歩と三歩、書架の間に踏み入る]
それに気付いたのも君が最初ではないよ、ディーク。
僕自身がそうと気付くより先に、何人もが指摘した。
僕はそうやって愛し児を縛ってきた。
君の、彼らの思いを利用したんだ。
彼らが、僕を厭って去っていくのも無理はない。
/*
表の異変ロールをぽちぽち打ちながら。
厨房からスタートする予定なので、なんか武器になりそうな
ものを持ち出してってみようかと考え中。
そうしたらおたまが脳裏を過ぎりました。
あかん。
く、
ならば この手を離せ
のぞみどおり ころしてやる
[脳を文字通り掻き回される頭痛に、吐き気がする。
手首に力を込め、身を捩り。
止まっていた抵抗を弱々しく再開した]
そういうことだ。
[よろめき転びそうになれば支えることように気にかけながら頷き返す。
馴染み深い場所であるのを聞けば、今度はもっと珍しいところに連れて言ってみようと心に留める]
そうか。では本でも探してみるか?珍しいものがあるかもしれぬぞ。それか異国のものを見てみるのもいいかもしれぬ。
[オスカーと仲良くやっている様子を改めて確認をしながら、違う店を探し二人で歩いていれば、目的のものよりもさきに、食べ物が売られている屋台を見つける]
味覚が死んでいるわけではないのだ、何か食べるか?
[そうききながら真祖はフルーツジュースを注文していた]
そうだね。
君が側にいてくれるなら、殺されてもいいよ。
[酷な事をしているのは分かっている。
けれど、彼の肉体と心を締め上げる手を緩める気などない。]
何処にも行かずに、僕の側に居てくれるなら。
アレク……。
[青年が自ら肌蹴させたのをいいことに、邪魔な衣を半ば強引に手伝って剥がすと、
無造作にベッドの外へ投げ捨てた。]
どうして君は――、こんなにも美しいんだ…。
[蠱惑的に息づく白い肢体に喉が鳴る。
今まで何度も肌を重ね、幾度愛しても飽くことはない。
仰け反る首筋から喉仏へ、それから胸へ。
唇の表面だけで擽るように、肌の感触を楽しみながら、順に下へと降りていく。
やがて彼の敏感な胸の突起に辿り着くと、ちゅっと小さな音を立て吸いあげた。]
正面から衝突すれば、そうだね。
[事実として応じた。>>409
小さな破裂音は、微細な水分が凝固し罅割れる音か。
書庫の奥行きを半分以上潜った。
後はほんの数歩で手が届く]
[己の口を差し挟む事も、出来なくはない。
だが、彼女の抵抗の時間が延びる事で、
削がれるのは彼女自身だ]
まだまだあの城館の本で退屈しそうにないよ。
[色々と考えてくれている様子のクレステッドに少し申し訳なさそうに笑う。
しかし、何か食べるかと言われれば、それには頷いて]
うん、じゃあ、私も同じのがいい。
[食べ物から栄養を取らない体は多くを摂取できるわけではなかったが、傍らのひとと同じものを感じてみたいと思った。
リンゴやブドウを潰したフレッシュジュースを手にすると、嬉しそうに微笑んだ。]
ちがう
貴方が愛した者
[昔語りに聞いた、 人々の話>>343]
貴方を愛した者の思いを、なぜ そんな風に言うんだ
貴方の謌は あんなに優しいのに
貴方の子守歌が、俺を生かしたのに
[意識を苛む”声”は執拗に、心を削ってゆく。
その”声”の源が、ロー・シェンにより物理的に減らされてゆく。]
…っあ、
[命が零れかける瞬間、ロー・シェンの呟きが耳朶に届いた。
同じ想いを許されて、涙は乾く。
束縛が、軽い。
貧血による目眩は、むしろ幸福感を伴った。]
[名を呼ばれる。血を与えられる。
俺のものに、「する」と。
これを略奪と呼ぶものは呼べ。]
う…ぐ、ああ
[全身が細かく痙攣する。
脳裏を占める暴虐の声]
ころ す …
〔そばに いさせてほしい〕
[唯一自由になる首を振り、牙を剥く。
ガチガチと歯を鳴らした]
……言ったよ。
[差し出したものは全て己が望んだ事だ。>>412
言葉、心、掌、時間のすべて]
[がくりと糸が切れる娘の身に、
最後の一歩とともに右手を伸ばす。]
…ロー
[命の瀬戸際から押し返す力。
餓えを癒すためではない意図をもって注がれた血が、バランのそれと混じりあう。
苗木に新たな枝を接ぐごとく。]
最高──
オレは、バランによって生み落とされ、ロー・シェンによって吸血鬼になった、ティファレト・セリグ=ツィガンだ。
[いまや、銃を手放すことは難しくなかった。
両手をロー・シェンの首に絡めて、身を投げかける。]
―――…貴方が、そうさせているのに…っ
[視界から離れ行く衣服へと視線を落とし、僅かに目線を
逸らせたまま、胸に降りた濡れた感触に小さな震えをひとつ。
この感覚は人として生きていても同じだったのだろうか?
そんな今更馬鹿げた事を考えてみる。]
[しかし、それはきっと]
トール……、ねぇ。
[片方の膝を自分で押さえ開き、視線を促す。
期待に震えているのは自身の心だけではない事を示して
考えていたことには「否」だったのだろうと結論を出した。]
死
心臓 を
[この苦しみ、望まぬ服従を終わらせられるなら。
そう考えた思念は、 続く言葉にゆらり揺らぐ]
…
捕 る ?
[吐息のような細い溜息。
希望を と祈る声に]
…、 あ がとう
も 少し、だけ が
[途切れ途切れの囁きは、薄れて散った]
/*
表進めなきゃね!ってことで
発言回数に制限を掛けているとはいえ、積極的過ぎるわ。
マスターはこいつブン殴ってもいいと思う。
ふふ、さあどうだろうね?
でも、僕が少しでもましなものになれているのなら、
それは僕を見捨てずにぬくもりを与えてくれた人たちのお陰だろうね。
[喉元に顔を寄せ、牙と舌先で器用に襟を止める釦を外していく。]
殺したいなら本気でおいでーー
でないと僕が君を食べてしまうよーー
/*
めっちゃ無責任なこといってみたぜイェー
(バランの心臓、評議会の誰かがおっかけてる よね?と勝手におもっている)
[ずっとそうしていたかったけれど、
血の潮が、まだ終わっていないことを告げていた。]
部屋、出よう。
せっかく血親が望んでるんだ…
自分を殺さずに、師父の前に立ち続けられるか──やってみせてやんよ。
[バランとの血の共鳴を辿って、彼の隠れ家まで案内できる、と持ちかけた。]
そうだが掘り出し物があるかもしれぬだろう?・・・ファミル。
ファミルは我のものであるが、我はファミルを玩具のように意志ないものとして扱う気はない。だからもっと欲張っていいのだからな。…甘えたがりのファミルは嫌いではない
[ファミルへと顔を近づけ、睦言を交わすように甘く囁く]
まあ、今回はいいとしよう
[微笑むファミルをみれば来た甲斐があった。
気晴らしも目的の一つだ。フレッシュジュースを二つと対価の硬貨を支払い、近くの噴水まで手をとって誘い、縁のほうに腰かけ]
少々酸味が強いが、悪くはないな。
[フレッシュジュースを一口、感想を述べながらも果実好きは嬉しそうに笑った]
― 城館前 ― >>397>>402
――よろしい。
[「ころされてなんか、やらない」
聞こえた言葉が「殺してやる」でも「死なせてくれ」でもなかったということに気づけば、自然と唇が弧を描く。
城館前に着地をすると、いつぞやの術式の気配がし]
それ、僕と一緒にアレンジした魔法だよ?
僕に使うなら、もう一声と言いたいとこだね!
[そう云うが早いが鼠へと姿を変え、陣の外へと移動したなら元の姿へ戻るだろう。
その際、分身を二匹に自身の手甲を取りに行かせようと、館内自室へと向かわせて――]
…
[幾度となく覚えのある、釦の外されて襟元へ外気が入り込む感覚]
行かせて──お願い、愛してる
そばにいられなくても ずっと 愛している
それが貴方の望みでも
私が いやなんだ
守れない、自分の弱さが 憎い
[本気で、と促されても、抗う腕に篭る力は弱い。
首を振り、牙で宙を噛んだ]
“――在れ”
[破壊された壁のあった部分に、元の壁の幻影を呼び出して。
続いて飴玉を三つ取り出し“弾いたのだから跳ぶように在れ”と幻影の壁に目掛けて弾いて飛ばした。
当たれば幸運、当たらなくても威嚇にはなるだろうと*]
[キスを落とすたび、震える身体を抱き締めて。
もう片方の手の平を滑らせ、吸い付いてくる肌の感触に、知らず溜息が漏れる。]
そうか、俺が君を…こんなに淫らにしているのか。
[アレクシスの言葉を追いかけ、肯定するように繰り返して、]
じゃあ、きちんと責任を取らないとな?
[小さく笑うと、彼が視線で促す先。
娼婦さながらに誘う恋人の手を掴み、まだ少し恥じらいの残る片足を持ち上げて大きく開くと。
震える彼の中心を躊躇することなく口内に含み導く。
時折鈴口に舌を差し込み、くびれた部分を強く吸って、
卑猥な水音をわざと聞かせるように、根本から先端をまで繰り返し舐め上げた。]
[薄れていく声。やがて散る其れに声を震わせる]
…ディーク、
あなたの苦しみが長引くと知っているのに…私は…
[彼が年齢や外見にそぐわぬ様子を見せることに、薄々気づいていた。
それが、後遺症であろうことも。
それでも―――ここ数日の彼の声は、幸せそうだったのに。]
どうか―――生きて
[彼の背負う苦しみを想い、声が掠れる]
[――それにしても腹立たしい。
先程のダーフィトの状態、自分の意思を口にするにも精神の消耗があるようで。
それは彼の凶状持ちが、ダーフィトに対し超自我への攻撃を行い、魂への冒涜を行っているという事だ。
現在進行形で、僕を差し置いて。
あの野郎、僕がダーフィトの牙を僕の血で穢せたのだと幸せに浸っていたというのに、あっさりその上を行きやがった。]
不手際、か…
勿論、すでに評議会は行方を追って動いているんだよね?
[念押しするように尋ねた。]
―――…うん、解ってる。
大丈夫、落ち着いているよ。
[けれども、聞こえてくる血を吐く様な声に、切なげに目を伏せて固く指を組む。]
………バランの心臓を捕らえにいくことはできないの…?
[勝手に飛び出して何ができるわけでもないことは解っているのに、堪えきれずクレステッドを見た]
[注ぎ込んだ血がレトの中を巡り始める。
手の指、足の先までも、己と同じ血が流れていく。
新たに芽吹いていく意思。
土を割り石畳を持ち上げるような、強くしなやかな命。
束縛を凌駕する強さで若木が枝葉を広げるのを、
目を細めて見守った。]
掘り出し物かどうかわかるほど学があればいいんだけれど。
[如何せん18歳の若さで人をやめたばかりなのでまだまだ知識はそう多くないのだ。]
うーん、わかった。
趣味と一緒に、何か欲しいものも、考えてみる。
[物欲が薄いのは元からのようで、噴水の縁に腰掛けながら、少しだけ難しい顔をして唸った。]
うん、美味しい。
……ふぅ、…もう、だめ、みたい…
[外出し始めてまだわずかだというのに。
飲み終える頃には随分顔色が悪くクレステッドに寄りかかるようにしていた。]
ティファレト・セリグ=ツィガン。
おまえは俺の血に繋がるもの。
血の絆で結ばれたものだ。
今この時より、おまえを血族に迎え入れる。
[もはや預かり子ではない。
血を分けた一族だと高らかに宣言する。]
だとしても、
[黙って甘えたままでは嫌だと聴いたから、
共にいる時間を幸せだと言ってくれたから]
――君にこれ以上喪わせることはない。
……はぁ…ぁ―――…
[一際高い声を上げて視線を落とす。
淫らに開き、開かれた下肢と顔を埋める主の姿を見ると
羞恥に悶えながらも酷く高揚するのが解る。
背を弓なりに逸らせ、声も抑える事はせずに思う様大声で啼き]
せきに、責任……
ほら、お仕置きに…なってないじゃ、ぁあっ…
[繰り返される快楽に、限界を訴え始めて両足に力が篭る。
押さえつけていた手を離し、主の髪に指を潜らせ]
トール、ね。
[痛くても良いから、と先を促した。]
行ってどうするの?
側にいたいと君は願っているのに?
[牙と唇と舌だけで衣服を脱がせ、また着せる技は、他人の所有物として生きていた間に習得し、洗練を極めている。
襟をくつろげて胸まで開き、鎖骨に舌を這わせやわやわと食む。]
君は何故僕を守れないと思う。
君が自分を信じられないのならそれでもいい、
でも、何故僕を信じないの?
ところでダーフィト、バランは何をしたがってるの?
もう僕を狙ってるのはバレバレなんだし
詳しい所を教えてくれてもいいんじゃないかな。
ああ、話し辛いなら言わなくてもいいよ?
僕は空気が読める男だからね。
[時間稼ぎを兼ねて、軽い口調で問いかける。
趣味で設置されたドアノブ相手の壮絶な戦いを制した鼠は、手甲くわえて本体の元へひた走る。*]
おまえは俺のもので、俺はおまえのものだ。
[腕を回し、抱きしめながら口にしたのは、古い名前だった。
生まれたときに与えられた真名。
囁くように交わす、魂の契り。]
君が僕を傷つけたくないと言ったから、
僕はそうさせない、と約束した。
僕は殺したって死なないし、
君に壊されたいって言った。
何故、信じられない。
何故、信じない。
[そこだけ、幼い子供じみて拗ねた口調になって、
ガリ、と鎖骨に牙を立てた。]
/*
鼠はとある神様の御使いから。
目標:ダーフィトに心臓食わせる!
魔力減りすぎて行動不能か、眠ったまま半年以上起きないか……行動不能が妥当かなあ
[突然壁が目の前に現れた>>418
本物か偽者か分からず手を突っ込めばあっさり腕は幻影の壁を越える。生憎幻の消し方はまだ覚えていなかったために教室を飛び出そうとすれば、跳んできた飴玉が目を狙い、慌てて避ける。
そちらに意識を散らされて、ステファンの部屋へと走る小さな獣には気付かなかった]
…他に使えそうなものがなかったんだから、仕方ないだろう。
[地面に降り立てば彼の姿はすぐそこ。改めて短剣を引き出すと刃を出す]
――…っ
[何か言葉を発そうとするけれど、その言葉は“言えない”ものなのだろう。顔を歪めて声は声にならない]
すてふぁん
[言葉にできる文字は少ない。少ない中から彼の名を選び、口に出す]
/*
ヤンデレ顔に中の人歓喜
やっぱり村内で色々な顔見たいよね!
とか言いつつ(真顔)とか(目閉じ)とかしか使ってないg
*/
…っあ
[触れられた箇所に熱が灯り、頭痛が一瞬和らいだ]
は、ぅ
行って あいつを
殺す 今度こそ、軛を
[殺せと命じる血親の声を頑なに拒む。
少しでも標的から距離をとろうとしても、標的自身がそれを妨げた。
手足も、体も縫い止められて、無為に空を噛む]
私の 弱さこそ 罪
[全てを思い出せば、誰かを守れるなどと、
信じることは到底出来なかった]
[絆を確かめ合うに許された時間は短く、
追うべき獲物の気配が、遠く響く。]
ああ。
[部屋を出ようという提案に頷く。
立ち上がる動作のままに手を伸ばし、レトを引き起こした。]
狩りの前にもう少し飲んでおけ。
まだ足りないだろう。
[死の瀬戸際まで追い詰めたのだからと、未だ血が滴っている自分の腕を差し出した。]
あなたがっ
私の愛を 信じないから!
っふ、ァ
[鎖骨に走る熱に高い声が混じる]
あのときも 俺は死なないと言っ、
置いていかない って
もどってくる から
[首筋に咬牙の刺す痛み、溢れる鮮朱
歯噛みする一瞬、両手を拳にして握り締めれば、
自らの掌に爪が食い込み、血が滲む。>>426
血親による強制力は、抗えば子を砕く程に辛辣だ。
初めて会った夜から、彼女はそれに逆らえなかった]
愛しいアイリス――
難しく考える必要はない。自分がほしい。自分にとって価値のあるもの。それを探し選べばよいのだ。
[要するに、考えるな。感じろ。ということである]
ああ、我の下から離れるといっているわけではないのだ。ただ少し視線を余所にむけてみよ。そうすれば新たなことが見えてくる。
[そうして見えたもののおかげで、編み物や大工をしたりしているのだがまあそれはそれ、悩むファミルを見守りながらフレッシュジュースを飲んでいき]
そうだな、本日の外出はここまでだ。帰るとしよう。また来ればいいだけだからな。
[今度はもっと訓練をしてかどうかはしらないが、よりかかるファミルを抱き寄せながら霞がかかるように、クロノスの街より二人の吸血鬼は消えた]
― 私室 ―
[移動と同時に横抱きに抱えられた姿勢であることにファミルは気付くだろう。
そっとソファーに横たえて]
食事にするか。
[ついいつもの癖で指を噛み切ろうとして、やめて、使用人にまだ残っている血をグラスに少量注がせた]
あいつを殺す――だったら。
僕も一緒に連れていって。
でないと、絶対離さない。
[血親の声に逆らい続ける苦痛も、
声に屈すれば彼が傷つくとも分かっていて、
なお強請る。
己が共にあれば、彼は必ず負けないと信じているから。]
― 街→私室 ―
モノに執着したことってあまりなくて。
[多分、人(?)にも、これだけ思いを傾けたのは初めてだろうと思いつつ、苦笑する。]
うん、ゆっくり考えてみるよ。
[そうして横抱きで連れ帰られ、ソファに下ろされればぐったりと横になった。]
……ううん、駄目、もう起きていられない。
…おやすみ…なさい…
[未だ新米吸血鬼の身、日中起きていることすらしんどかったのだ。
クレステッドの膝を枕に、すうすうと寝息をたてはじめるのだった。**]
[言葉にできないことが多すぎて。声を出さずになら伝えられるかと試みてみる。けれどやはり意思は伝えられずに。
せめて、これは伝えたいと。血親の楔に逆らい心の一部を壊してでも]
――おれは
当然だろう。我が名付けた子は勤務意欲が高いからな。
[実際どうなっているかはしらないが、脅した使者はかえったのだ。早急に探していることだろう。あの子と連絡をとるかしばし考えつつ、祈るファミルが苦しげな様子に眉をひそめ]
探すのか…それも悪くはないのだが、我は本来兇状もちの吸血鬼を狩る立場ではない。その立場であるロー・シェンの顔をできれば立ててやりたい。
最もお前の血兄弟が人里に降りるようであれば話は別だがな。
[宥めるように祈るファミルの手に手を重ね包み込み見つめ返した]
ならばまずはそれを学ばねばな。欲をもち、楽しみ、怒り、悲しみ。長く生きるコツの一つであるぞ
[ぐったりと横たわるファミル既に眠りを要求しているのだ。本日はがんばったのだから膝ぐらいは貸してやろう]
わかった。おやすみ、ファミル…
[血は後でと使用人に断り、額に手を当て、髪を梳きながら眠るファミルのあどけない寝顔を見守った]
― 城館前 ― >>427
いや、あの原理だけでも応用の幅は広いよ?
あれの凄いところは一瞬とはいえ幻が実際の――…って、まあいいか。実際やって見せればいいんだよね、うん。
[授業だとでも言わんばかりの軽口で語りかけていたら、生徒が下へ降りてきた。
短剣を手に、何かを言いたそうに顔を歪めるのが見え――…]
…………ダーフィト
[男が彼のを呼ぶのは、彼が男の名前を呼ぶのとほぼ同時だったかもしれない]
あげない。
[返ってきた返答が疑問形だった>>429がために、端的にすぎる返事をし。]
少なくとも、あれにやれる心臓は品切れだよ。
[――――――と呟いて]
――あきらめる き なんかない
[何を、とは告げず。自分でも分かっていないのかもしれない。
彼を殺したくなどない
彼に殺される気なんてない
いつかは離れると言った言葉>>320、離れる気などない]
― 念話 ―
シェン。聞こえるか。
[念を飛ばす]
議会から不始末は聞いたな?捜索は進めているか?
[聞くまでもないことを問うが本題はそこではなく]
チャイルドたちが人里に降りぬように大規模な結界を張るのも有効だと思うのだが、どう思う?
[受けた密命から外れない、ぎりぎりの範囲を指定して力を貸しても構わないと伝えた**]
[さし伸ばされたアレクシスの指先に力がこもるのを地肌で感じる。
何よりも先程から高く囀る喘ぎが、彼の快楽を物語っていた。]
(確かに、お仕置きじゃないな…)
[アレクシスの言葉どおり、お仕置きなどとうに忘れて快楽だけを追い求めている自分に小さく苦笑し、
口内で固さを増していく雄を追いつめていく。
やがて苦くも甘い恋人の欲が吐き出されれば、それをごくりと飲み下し、己の五臓六腑で彼の味を堪能した。]
――君は激しいのが好きだね。
[傷を付けても再生能力を持つ血族だからか、多少の痛みよりもその先にある快楽を求める青年に笑みが零れる。
いつもなら痛みを避けようともう少し時間を掛けるが、今日はあんな事があったからか、
蕩けるような快楽を強請る様子に煽られるまま、彼の両膝を抱え。まだ解していない蕾に怒張した己を宛がった。]
いくよ…アレク――。
[彼の足を自分の方に乗せるようにして、返事は待たずに埋め込んでいく。]
/*
待機中。
表ログをぽちぽち。
厨房から借りるのは、やっぱりナイフの方がいいよねぇ。
幸い戦闘手段は移動の魔法を覚えたので、それを駆使して。
ねえ、ダーフィト
[ぽつり、呟く声は]
――僕の心臓を喰らう気はないかい?
[君の色々を踏みにじるけれど]
これが一番分がいい賭けなんだ。
[死ねない男は死ねないが故に、心臓が滅びれば、新しい鼓動が生まれる>>1:179が故に]
――僕が一緒に居れば。
[それは賭けかも知れない。
けれども、]
君は、充分に勁い。
[不滅の血で育て、
死をも乗り越えた仔ならば。]
………。
「――僕の心臓を喰らう気はないかい?」
[そんな言葉。バランの子としてはその言葉に頷くべき場面。
けれどその言葉に思い切り嫌そうに顔を歪めた]
[肉体と意識を蹂躙された自分をロー・シェンの強い腕は受け止めてくれて、それどころか抱き締めて迎え入れてくれる。
絶対の安心感は、強い絆をもたらした。
なおも与えられるのは、ロー・シェンの魂に刻まれた名にかけた誓い。]
ずっとずっと前から、この身体にはあなたの血が流れてるんだと思う。
[ベッドから引き起こされて、差し出されたのは血の糧。
自分のためにロー・シェンが負った傷だ。]
手当しないと。
[ロー・シェンの手を抱え込むようにして訴えたけど、結局、口で、した。]
[何より、血も禄に摂取してない転化したての雛の身でありながら、二度も血親に逆らった資質を持っているならば。]
思い出して。
君は転化したてなのに血親のバランに逆らった。
普通、そんなことはなりたての血子には出来ない。
何十年、何百年かけてやっと血の束縛を振り切れるくらいだ。
確かに君は酷い目に遭わされたけれど、
逆に言えば、そうしなければ支配出来ないほど君は強い。
[牙を使わずに舐めとる紅の恵みの濃い味。
量は多くないものの、深い充足が行き渡る。]
…大丈夫? 師父がフラついたら、オレがカバーするよ。
[感謝に眦を染めながら、口にするのは背伸びした自負。]
あ…
[血を取り入れたことで、ロー・シェンの存在が血の波動に感知できるのを知る。
まごうかたなく、いつでも傍に、だ。]
こっちの余録の方が、 嬉しかったりして。
あなたのいるところが、オレのホームだ。
[その後、ロー・シェンとの「戦い」に備えて、武器を借りる。
美しいカーブをもつ刃の山刀。]
手加減とかしないから。
[ふたりで「戦い」ながら、バランの潜伏場所に接近してゆく作戦を提案する。
バランの前に立っても、自分はもう揺らがない。
ロー・シェンとふたりでいれば、怖いものはない。]
行くよ。
[子猫のように甘く、蠱毒のように深い]
ッ―― あ、ぅ
[一度ならず繰り返して噛み破る牙は、
やがてぶちぶちと首筋の膚と肉の傷を拡げる。>>432
一際多くの血潮が溢れると同時]
さあ、……これ以上は、っ
[ジャラ、と摩擦音を立てて、両掌から蛇が踊る。
縋る娘の腕を絡め取り、引き離す為に]
[頭の中に響く声。それが聞こえた瞬間、思い切り顔を歪める]
――ことわる。
[それはある意味血親の意思を否定するもの。けれど、きっぱりと言い切った]
激しい方が、忘れな――――ッ!!!!
[多少の傷など気にする程のものでもない。
痛みよりもなにより、穿たれる行為そのものを求めて
彼の身を迎え、受け入れるよう足を更に開く。
狭い入り口が抉じ開けられ、隙間なく埋められる痛みには
反射的に足は閉じ掛けたが阻止されたか。]
トール、トール…ねぇ、ねぇっ…!!
[行き所を失い宙を彷徨っていた手が主の顔に触れ、
口付けを求めて引き寄せる。
こうでもしなければ、上がる声など抑えられる気にならないから。
− 外へ −
[扉に体当たりして廊下に飛び出す。]
場所くらい、選ばせてくれてもいいだろ?
[挑発めいた声を投げながら、さらに大きく飛び退って、距離をとった。
このまま屋外へ、可能なら森まで走り込む所存。
その間、隙あらばロー・シェンに攻撃を試みるのだから、楽な作戦ではない。]
自由のために── やらいでか!
[山刀を背後に構える。
どこから攻撃がくるか相手に読ませないためだ。
死にたくない。
だから、致命傷はもらえない。
けれども、ロー・シェンに当てたい。
運じゃなく、実力で。]
これまでの稽古の成果を、身体で味わってもらう!
[声が抑えられれ、上がるのはくぐもった音。
室内に響く音は極僅かだが、その少ない濡れた音や衣擦れの音に耳は犯され、より熱は上がった。
ん、ふ、ぅん、ん―――…っ
[程無くして体内に待ち望んだ熱の奔流を受け、
二度目の絶頂を迎えた後は、未だ快感の余韻に震えながらも
仕置きの意味を考えようと持ちかけていたとか。**]
―苛む聲―
[主からの愛を一身に受け、時は過ぎていく。
随分と人の味覚から離れつつはあったものの、
主と食べる為の焼き菓子だけは作るのを止めなかった。
丁度この日も、厨房を借りて素朴なケーキを作っている最中。
茶の時間になれば、焼きたての菓子と薫り高い紅茶を共に
礼儀作法や魔法の構築について語り合うのだ。
それが日々の楽しみ。
永く変わらないと思っていた、しあわせのかたち。]
[決して、崩れないものだと思っていたのに。]
[消耗の激しい状態で、男の心臓を手にしたならば、種としての
ステファンが、心臓を滅ぼされた時にだけ、新たな鼓動が生まれるが故>>1:179の賭け。
ダーフィトが、ダーフィトだけが、男の血に狂えるが故の賭けなのだが。
拒否の言葉が聞こえれば――――…]
[知っていた。君がそれを忌避することは>>436]
……ならば、また、戦おう。
[ただ、もしかしたらと希望を抱いていたかっただけだ。
拒否の意思を示されたなら、―――――――しか、道はない。]
…ああ…
[一度瞼を閉じて、また開く。
明るい赤錆色に戻った虹彩がコンラートを見上げた]
…傍にいて、支えになって
[縫い止める束縛が解かれれば、身を起こした。
頭痛はするけれど、声もするけれど、
その重みを受け入れて、決して屈しないと決めた]
これが済んだら。
それでも 俺は貴方を欲するから
そうしたら、約束通り。
それでも 望むなら、貴方を壊すよ──
[操られてではなく自分の意思で、と]
[いつだったか、レトが突然形のような声を届けて来たが
それとは違う、意識そのものを抑え付けるような重み。]
や――…
なん、なんで。
やめて。
いやだ。
[また押し潰されてしまう。
生前のことも、主との温かな記憶も、何もかもが。
いつも傍に居る主は、今はおらず。
だから、手に持ったものもそのままに転移の魔法を発動させた。
それが意識を苛む聲の望みへと繋がる事にも気付かずに。]
[頭蓋内に響く声を、血親の気配を探り、辿る]
[戻ってこいと命じたくらいだ。
バランはチャイルドが自力で辿りつける程度の場所に、いる**]
──行こう
自分で糧を摂れるようになったね……良い子だ。
[黒衣の襟に血を染み込ませながら、口端を引き上げる>>441]
……さあ、アイリス。 頃合いだね。
狩りのレッスンを始めようか。
[この身を餌に、己を勝ち得る為に]
[彼の求める意志に反して閉じようとする足を抑え、狭い胎内を無理矢理押し広げて奥へと奥へと好き進めば。
まるで待ち望んでいたように絡みつく襞と、導くように収縮を繰り返す感覚に堪えきれず溜息が漏れる。]
アレク…、アレク…――ッ
[求められるまま唇を塞ぎ、喘ぎごと声を飲み込んで、白く細い肢体を揺さぶる。
先走りで濡れた先端をギリギリまで引き抜き、押し込めて、抽送を繰り返す。
僅かな衣擦れの音と、濡れた水音、低く抑えられ乱れた2つの呼吸が絡みつく。
情事を示す音だけが支配する室内で、自分という存在を忘れないように、この夜を忘れさせないように。
何度も恋人の名を呼びながら抉り、穿ち――、己という存在を刻みつけて。
最奥へと迸る欲望を流し込んだ。*]
[駆け寄ってきた鼠を取り込み、男は全てを取り戻す。
銀製の手甲>>0:48を両手に嵌めて、唇を寄せて呟けば、男の足元に陣が浮かび――…そこから四本の鎖が現れる。
鎖の本体は先端のみで、それ以外は幻製。何に分類する術かをひと目で絞らせないための一工夫。]
“――疾く在れ”
[蛇のようにのたうつ鎖が、ダーフィトを捕らえんと疾駆した*]
[ディークの両目を覗き込み、確かに元に戻ったことを確かめて、ようやく手首の戒めを解く。
彼の腰の上に跨り、起き上がるのを待ち、]
側にいるよ。
君が勝つように。
[ふと笑みを零した。]
[蛇はすぐに緩む、代わりに床を蹴って飛び退る。]
君はもう一度僕を捕えて血を吸えれば勝ち、
その前に取り押さえられれば僕の勝ちだ。
どう?
/*
こう…ステファン先生のお手紙あたりから思ってるけど、
あるじに里子に出される気配がぷんぷんします。
あるじのばか。
[←再三親じゃないと言ってる娘]
[ならば僕は、君の意思を踏みにじろう。
血親に抗い続けた者がどうなったかなんて――…職業柄、何人も見てきている。
ましてや彼は、一度目がなかった分、免疫も少ないだろう。
“いつか”を引き延ばそうと考えてきたけれど…
君がいなくなるくらいなら、嫌われてしまったほうがずっといい。
“いつか”はきっと“今”だ――…]
[光の欠片となって現れたのは、やはり愛しい主のすぐ目の前。]
トール……。
[手には製菓に使う為のナイフが握られたままになっている。
苦悶の表情を浮かべ、時折感情を失ったかのように
力が抜けるを繰り返している。]
[この時には既に、二度目の空虚が訪れ始めていた。]
……。
[ステファンの周りを鎖が取り巻く。幻であることには気付かない、気付けない。ただ“あれ”に近付いてはいけないと悟ると距離を取り、絡み付こうとする鎖を避けて真横に飛ぶと地面の上をくるりと周り、気付かれぬよう短剣を左に持ち替えて石を拾う]
っ、
[攻撃するなら鎖じゃない、本体だ。動いた勢いのまま、ステファンの目をめがけて石を投げた。攻撃に転じたために防御が疎かになり、鎖は身に迫る]
/*
くっそおおおおおお噛んでくれたからバトれるヒャッハー
と思ってたら駄目だったオチ
と言うかこの展開だと、
>>451が凄い空気読まな過ぎる発言だから削除したい
したい
*/
― 通達を受け取った直後 ―
[『評議会各位へ
このたびの通知、確かに受け取りました。
しかしながら執行補佐の立場としましては、今回の事態にいくつか疑問が残ります。
@凶状持ちであるバランの心臓を処分されなかった理由があれば、お教え願い申し上げたく。
A盗難された当時、どなたが守衛にあたっておられましたか?
B復活の可能性が高い現状、追跡のご指示が出ていないのは、一体何故でしょうか。
取り急ぎ以上の点を、ぜひお答え頂きたく思います。 トールより』
[評議会へ気になった点の質問状を書くと、使いの者に持たせて走らせる。果たして、誰かしらから返答は届くかどうか。*]
/*
これをやるとね、ますます里子に出されそうだし、
危機が訪れている主従の絆に致命傷与えそうだし、
割と生きる気力は出しつつあったし、
ぜんっぜんやる気はなかったのよぅ……
[でも状況と性格が合わさってやっちゃったどうしよう]
あるじ、ほんとにごめんねぇぇぇぇ…
― 城館前 ― >>453
[鎖の先端を制御しきれないフリをして、のたうつ蛇で自身の身体を少し削る。じわ、と、腕に朱い染みができるが、傷口はすぐに消え去って。]
―――っ!!
[鎖の制御に集中したため、投擲された石には近づくまで気付くことができずに、右目の瞼を切る形になった。]
(…………どうにかして消耗させないと)
[ダーフィトへと迫る鎖に同調するように、地を蹴り距離を詰め―――…銀手で自身の左肩からのあたりから前方へ振り下ろすような一撃を。
昏倒させる気は毛頭ない。体勢を崩せればめっけ物、銀手で触れることが主目的*]
聞いてくれ…、アレク…。
バランの心臓が盗まれた――。
[夜色の瞳を覗き込むように、1つの事実を声に出し、]
…この意味は…わかるね?
[確認するように、青年の表情をじっと見つめる。]
…アレク……
[血親に逆らっているのか、苦悶に歪んでは色を失う事を繰り返して――また、歪む。
彼の身を苛む苦痛と、それを与える見えない血親に呪の念を送る。]
苦しいんだね…。
[その症状は既に、バランが復活を遂げたことの証明であった。]
[血のにおいが薫る>>456
他のものの血ではこんなに反応したりしない、彼の血だけが。どこか怪我をしたのかとふと眉が心配そうに寄せられるが…
投げつけた石に傷つけられて、彼の右目から鮮血が飛ぶ]
―…っ
[喉の渇きに空いていた右手で一瞬喉に触れる。その一瞬に、ステファンが一気に距離をつめた。咄嗟短剣を右手に持ち替えるが間に合わず、銀の手甲が鳩尾に叩き込まれた]
ぐ…
[ただでさえ低い魔の力が一気に奪われる。銀製というだけでなく、同族の遺灰を練りこんだ一品だ。
後ろに跳んで距離を取ろうとして…距離を取り続けていてもキリがないと、そのまま力ない一閃で横に薙ぐ*]
おいで――…
[ナイフを気にせず、いつものように恋人の腰に腕を回して抱き寄せ]
――大丈夫だから
[その身をかき抱き、白い首筋に唇を押し当てて。
耳元で囁いた。**]
― 城館前 ― >>460
[苦し紛れの一閃は、避けきれないふりをして首へと受けた。
予想通りに溢れる血の海に、襲う痛みといつかの約束を破る罪悪感に顔を歪め、傷口からごぼりと口から漏れるはずの空気を交えた朱が流れる。
いつもよりもゆったりとした速度で修復する傷口が、大量の血を奪っていくが――…
目的まではもう少し、できることなら気取られたくないと、そう思ってしまえばとれる手段は他にはない、力尽きるように倒れこむだろう。
抱きとめられるなら、銀の両手で抱きしめ返そうと企んで。]
――――――――…
[銀の腕で抱きしめて、残った魔力の全てを使い未だ治らぬ喉で唱う呪いは、声になる事はなくとも幻影になる事はでき。呪いは銀の腕の中、男の血に狂うであろう彼の人へ。
瞳から彩を奪う呪いは、
―?!
[彼の狙いは過たず、全身から魔力も立っている力も奪って彼の体ごと沈みこむ。
――呪いは成った。目の前にはあまい香を放つ彼の血潮。そして彼の心臓――
今は彼の金の髪は明度を失い灰の風景のひとつ。
ただ、彼が計算を違えていたのは彼の生徒のこころ]
[血親に抗い続けた者がどうなったかなんて――…職業柄、何人も見てきている。
ましてや彼は、一度目が昏睡状態だったが故に、耐えるための負担も多いだろう。
魔力枯渇で立てもしない状態になるほどに、彼は凶状持ちとの相性が悪いはず、抗い続けてどうなるかなんて考えることもしたくない。
だが、一つだけ希望は在った。
どんなに血を忌避しても、男の手から流れる朱に口を着ける程に、彼には
消耗の激しい状態で、男の心臓を手にしたならば、種としての
ステファンが、心臓を滅ぼされた時にだけ、新たな鼓動が生まれるが故>>1:179の賭け。
ダーフィトが、ダーフィトだけが、男の血に狂えるが故の賭け。]
[それが彼をどれだけ傷つけるかなど、男自身がよく知っていたのだが。
れ以上の手段は思いつくことはできずに……
もしかしたらと希望を抱いて>>442、返ってきたのが拒否だった>>436。
それでも男は諦めきれずに―――…実力行使で血に狂わせようとしたのだが。]
[ここにきて、彼の狙いを知る。先程一度拒絶をして、諦めたかと思ったのに。諦めてなど、いなかったのだと。今までの戦いはその為だけにあったのだと]
――ステファン。
[そ、と。唇を寄せたのは、彼の胸ではなく血の滲む唇]
[ここにきて、彼の狙いを知る。先程一度拒絶をして、諦めたかと思ったのに。諦めてなど、いなかったのだと。今までの戦いはその為だけにあったのだと]
――ステファン。
[そ、と。唇を寄せたのは、彼の胸ではなく血の滲む唇]
――…
[予想していた痛みは訪れずに、男は彼の顔を見ようとしたが瞼を開けることさえ叶わず。
喉はだいぶ修復したが、呼気混じりに唇を微かに震わせるのみ。
沈む寸前の意識を振り絞り、声なき声を届けようと試みた*]
[頭の中響く声に、言葉を返す。先程言うだけ言って、こちらの返答も聞きやがらなかった答えを]
――愛してるよ。ステファン。
ちっさいくせに頭撫でると拗ねて、でも嫌がらないとこも
俺が嫌がるの承知で、嫌われると怯えてもやめないとこも
いつまで経っても俺よりばーちゃん追い続けてるとこも
突飛なことやらかして、でも楽しそうに笑うのも
人の気もしらずに勝手に俺が離れる気満々でいやがるとこも。
お前の命、お前のすべてを愛してる。
[だから。銀の手甲をそろりと自らの頬に当て――まっすぐに横に引く。既に奪われほとんどの力を失っていた、最後の力が流れ出す。
倒れこんだ体、先に意識を失ったのはどちらだったか*]
[両手で彼の頬を挟み、
額に祝福の口接けを]
君はもう、僕を守ってくれているよ。
[バランからも、己自身からも。*]
[不意に響いた声に、眉を顰めた。
相変わらず自分が与えた名しか呼ばないことに、密やかな息を吐く。]
ロー・シェンだ。
[返答をする形で名乗りなおし、]
俺たちはバランを狩りに行く。
[自分の状況と行動とを簡潔に伝え、]
後のことは頼む。
[後方での支援は任せた、可能な範囲で力を貸してほしいと願う。]
今回の評議会の命、遂行させる気はない。
[言葉を添えたのは、密命のことだった。
内容からして、マスター全てに同じものが伝えられている可能性は高いと踏んでいる。
彼らが命令を遂行しなければならない状況になる前に、バランを再び倒すという宣言。]
頼む。
[そのための力を貸してほしいと、再度口にした。
真祖が現時点で自身の"子"をバランの支配から断ち切っているのは当然のこととして*]
なら、僕の心臓を奪ってよ。
彼奴なんかにやらないって、力尽くで組伏せて。
君の優しすぎるところも好きだけど、僕は…僕はね…。
[返ってきた答え、少しは安定したのだろう、男は声なき声で抗議をするのだが、最後の方は言い澱む]
[ダーフィトの上になるように倒れ混めば、唇を重ね、口内にある朱を送り込む。
そして、唇の感触を楽しむことはせずに、顔を離し……]
僕は、君が思うような存在じゃない。
[男はそれが恥ずかしいといった具合の様子で、そのままの体勢で、ダーフィトへと懺悔の言葉を口にした]
君が僕に刃を向けたとき、僕はバランに嫉妬した。
君が僕の頼みを聞いてくれた時、僕は君の牙を僕の血で穢したのだと喜んだのに……
彼奴は、それ以上を君にさせようとした。
[ずっと昔から、同じ血が流れているのだろうとレトは言う。
時のなかを流れ受け継がれてきた血。
血族とはまた別の、氏族の繋がり。]
ああ。
[きっとそうなのだろう。
全ては、今へ向けて繋がっているのだ。]
[舌で行われるのは獣の癒し。
目を細め、レトがするのを眺める。
この子はなにかに姿を変えることがあるのだろうか。
そういえばなにかの折に、蝙蝠になりたいと希望を聞いた気がする。
追い詰めれば自然と変身するだろうか。
物騒な考えがちらと頭をよぎった。]
[レトの頭を撫で、「戦い」への準備をする。
相手を欺きながら近づく作戦。
うまくいけば、逃がす可能性が減るだろう。]
当たり前だ。
[手加減など考えていないと笑った。
きっと楽しい道中になる。]
……僕は穢いんだ。
君の倫理自我を陵辱したいと常日頃から想ってる。
食欲でも、性欲でも、僕によって欲に溺れる君が見たい。
めちゃくちゃにされるなら君がいい。
愛してるって言いながら、これを愛と言っていいのかわからないんだ……
[言ってしまったという悔恨と、やっと言えたという誇らしさの入り交じった貌で、「幻滅したろ?」と口にしたなら、突き離そうとするのだけれど……
彼に、これが男にとって初めての感情であることが伝わるかどうかはわからない*]
あ、あれは事故だけどね……
[いつかの娼館での出来事を振られれば、あれは故意ではないと真っ赤になって頭を振るだろう*]
― 外へ ― >>437>>438
[飛び出したレトから一拍遅れて部屋の外へ出る。
右腕には刃を備えていた。
腕を覆う籠手から三本の刃を生やした、攻防一体の形。]
猟犬の名、伊達ではないぞ。
[薄く笑って、遠ざかる背を追う。]
[建物から出るところで追いつき、刃を振う。
扉を挟んで交わされる攻防。
攻守が目まぐるしく変わり、刃が火花を降らせる。
自分で鍛え上げた子だ。
実力は、よく知っている。
それでも、真剣を交えるのは格別だった。]
見せてみろ。
おまえの本気を。
[振り下ろされるきらめきを籠手で受け、刃握るその腕を狙う。
攻防の場は、じわりと外へ移る。]**
[祈る手に重ねられる手。
今や祈りは、奉り上げられた神に捧ぐための形式ではなく、ただ己の新たに得た家族ーーー血兄弟たちへ。]
……おにいさまが動いてくださるのなら……すぐに事は収まるだろうけれど
[しかし、彼のもとにいるレトはどうしているだろうか。
それによっては、ロー・シェンもまた動くことができずにいるのかもしれない。]
状況を聞くことはできない?
……勝手に追ったら、罰せられる?
[言う頃にはいてもたってもいられなくなっており、立ち上がっていた。]
[朝の散歩から帰って泥のように眠り、目を覚ますとベッドにいた。
身動ぎをして起き上がると、クレステッドが隣のベッドにいるのが見える。
体感による時刻はまだ日暮れ頃、随分早起きだ。 ]
……クレス。
[まだ眠っているように見える彼の人名を囁いて、そちらのベッドに潜り込んで寄り添うように横たわる。]
……今度は何か選んでくれたら、嬉しい。
[色白の頬を指先で優しく撫で、触れるだけの柔らかな口付けをして。
再び二度寝という至福の行為に溺れた。]
[鮮血を晒して臥すアイリスに歩み寄り、
その横に膝をついた。>>455]
……君にとっては、これが最後か。
[評議会からの密命にある以上、ここでの養い子の死は
養育の失敗を意味するだとか、結局己の存在は
死を引き留める何者にもなれなかったのだとか
そんな事はどうだって良い]
……申し訳ないけれど、
[ぞろりと傷口に這い上る血織りの蛇]
もう少し生きて貰うよ。
[僕の都合で。説得も何もなく]
[傷口に到達した蛇――血の鞭は、胸の刃に絡む。
そして、青白い魔力の氷を引き抜くと、
代わりに先端を織り直し、傷口に食い込んで塞いだ]
……バランの心臓を追うには、
他に手掛かりを求める必要があるが。
[娘から目を離す訳にも行くまい。
執行人を始め、他の血族に任せる事になりそうだった*]
/*
>何者にもなれなかった
違うのよ、あるじ襲いたくないのも理由なのよ…
拘束が一番有難かったんだけど、密命的になんか無理そうな雰囲気はしてて…
色々ごめんねあるじ。
[ロー・シェンが半壊した扉を蹴り開ける。
そのタイミングにあわせて、足の裏で扉を捉え、後方へ大きく跳んだ。
連続バク転を決める合間に、地面の礫を弾いてセルフ掩護射撃でロー・シェンの追撃を遅らせんとする。]
馬鹿正直に至近に持ち込まれてたまるか。
[こちらから距離は詰めない。
向かってくる相手の勢いを利用して攻撃する。
刃は陽動だ。自分の利はしなやかな動きから繰り出される体術にある。
水平に振り抜かれる刃を身を沈めて躱し──亜麻色の髪が一筋切り飛ばされて舞う中──カマイタチのごとくローキックと斬撃のコンボを狙った。]
/*
反省点:ステファンをピーキーなキャラにしすぎた。
ダーフィトに一線越えさせようとしすぎだね…
ダーフィトの設定とぶつかる設定にしちゃったからね。
負担かけすぎである。
*/
[倒れこみ消えかける意識。それは確かに自分が狙ったものだったけれど…]
「なら、僕の心臓を奪ってよ。」
[
間もなく唇越しに送り込まれてくる力の源に、ああ本当に彼は思い通りにならない…そんな苦笑が洩れる]
欲なんて…あるに決まってる…
[今は血に塗れた彼の首を、そっと拭う。力なく倒れた彼を認識して、頭の中の
真っ白なここに噛み付いて…枯れるほど、飲み干したいと…何度思ったか。
絶対死なないっていうお前を、死ぬまで飲み尽くしたいと。
間近から甘えるみたいに見上げてくるのを抱きしめてキスしたい。
……その。できるなら、キス以上も。
[ずっと気付かれぬよう隠してきた。ああ、ならば気付かれないのも当たり前か…幻滅しただろうと言われればお互いだと笑うのは、今までとは違って素直な明るさはないかもしれない]
――ステファン。
[名を呼ぶ。甘さを込めて。まだ力なく横たわったまま、彼を見た]
溺れさせたいなら…力ずくでもなんでも、溺れさせてみせろ。
[子から親へ。命じる形で言葉を紡ぐ。
自分だけを見て、自分のことだけ考えて。]
それがどんなものでも…俺は受け入れてやるから。
[彼からの愛のかたちなら*]
……ごめんね、マスター。
咄嗟にこれしか、思いつかなかったの。
ごめん、…さ、い。
― 城館前 ― >>471
―――ハ、はは……
[沈む意識を、声なき声で引き上げあう姿は、自分の目から見ても滑稽で――…
男は観念したように仰向けに転がり、力なく笑った。]
……ほん、とうに、僕らは……
[互いにとって越えられない場所の線引きは、いつのまにやら重なって
現状最も優先すべき事項以外は解決してしたようなものなのに]
……酷い、奴だな…
[その一線だけ越えられない。
声なき声を交わす最中も、彼は苦しんでいたように見えていたのに――…]
[なのに彼からの言葉は―――…]
……こんな時でも、自分に、忠実か…
…実に、僕ら、らしいね…
[本当に、笑うしかない。]
……僕は良いけど、コンラートとディークには謝りなね。
[理由はどうあれ、アイリスの身を案じた友人と、
本来彼女を守るべき任の男に]
……あ、そうそう、
ディークは大分回復してきたそうだよ、
コンラートが教えてくれた。
いずれ君とも会えるようになるから、もう少し待ってって。
[腕を背の下に差し入れ、傷を刺激に配慮しながら
娘の体を抱き上げる。>>479
震える唇にひとつ瞬きをして]
……動かないでね。傷に障るよ。
[混ざった血の量は体内の総量と比べるべくもないし、
口にしたものがすぐに体を巡る訳でもない。
これ以上、血親が彼女に強制力を持って働くようなら
本格的に無力化する手段を講じる事になる]
[ともあれ、傷付いた体を寒さから遠ざけた方が
今は良いだろう。]
[僕は
その上で、彼の要求を聞いたなら、大量の血を失った自分にできる事など一つしかない。
身を起こし、彼の血を少し舐めたなら、その身を引きずるように物陰へ。
そして短剣を奪い、自分の肩口に突き刺して。更にそのまま刃を動かし、血が彼へと溢れるように]
………ダーフィト、今から、君を血族にするけど…
下手に理性があると、死んじゃう可能性が高いんだ。
……だから、飲んでて――…
[簡単な注意だけを口にして、彼の首筋へと、牙を突き立てた]
[何故、自分の血族が13人しかいなかったのか、
何故、血族を増やすのに申請が必要なのか
今の今まで、彼にそれを説明する事がなかった。
相手が人であれ、吸血鬼であれ、
彼の血族の眷属化は、元の体のままで自我と超自我を侵食し、それから眷属へと身体が塗り替わるという構造故に。
最初の段階で、無自覚に存在する身体機能の動かし方を忘れたり、自分ではないものへの塗り替わりに精神が耐え切れずに死ぬ場合が多い。
――故に、今の今まで避け続けていた。
やらねばならなくなったなら、彼の
― 城館外 ― >>477>>478
[攻防は城館の外に移って、なお激しさを増す。
風に撓る若木のように、時には風そのもののように、
しなやかに軽やかに駆けるレトを、執拗に追う。]
……。
[飛来する礫はそれほどの痛手にならないものの、
足を止めて丁寧に弾いていく。
その間に、相手は体勢を整えていた。]
[雷撃の軌跡を描いて肉薄し、刃を振う。
ごく軽い手ごたえを残し、相手の頭が視界から消える。
直後に感じる鋭い風。]
はっ、
[ローキックを足でガードし、斬撃を見切ってすり抜ける。
頬のすぐ側に冷たい金属が通り過ぎるのを感じながら、さらに肉薄して身を低くし、肩から当たりにいく。]**
……は、はは…
[どろどろした感情をぶつけて返ってきたのは忌避ではなく。
その上、溺れさせろときたものだ。なら、僕は――>>483>>485
彼の欲へと賭けようと。]
/*
ちら。
えっ、コンちゃんに心配されてたっけ?秘話で?
今日エピですが、ますたーにはほんと、終始一方的にお世話かけただけだった、ね…!
酷かった。酷かった……
ぅ…
[顔の上にぱたぱたと暖かいものが落ちてくる。それが彼の血だと認識すれば、苦しさに歪んでいた顔があまさを含む。頭の中は靄がかったように曖昧なまま口を開き、あまい液体を嚥下する――たりなく、て。彼の背に腕を回して首を持ち上げ、血の滴る肩に舌を這わせた。
同時、首筋に痛みが走る]
――っは…
[体から力が抜ける。痛みだと認識しているのに、それは甘美で。肩から流れる血を舐め尽せば、迷わずに彼の肩に牙を突き立てた]
[これがどういうことなのかは分からない。けれど目の前に彼のあまい体がある。
頭の中を引っ掻き回し掻き出し引き摺り出される。
途切れそうな意識を繋ぎとめるよう、彼の肩に何度も牙を立てて*]
ふ…ふふ…そうか。ロー・シェン。
[喜色をこめた嬉しい笑みが零れる。
名乗りを返すのも、バランを狩りにいくのも当然のことそこまでは当然のことであるから、笑みを浮かべる理由にならない]
余程大事な存在となったのだな。
[必要がなければ手出しなどしない余計な口も挟まない。ただ名を与えたものとして、手を求められればこちらはいつでも応じる気であった。
それが今回、議会からの密命を遂行せぬよう努め、更に初めて我を求める声にのったために漏れた喜悦。]
よかろう。手隙のマスターは他にはおらぬだろうからな。
[当然の如く自身に与えられた子について問題を亡くしていることを暗につげるのを最後にこちらからの念話を終了した*]
― 私室 ―
少し待て
[血兄弟へと祈る手>>474に手を乗せたまま、少し待つようにいう。そうしてロー・シェンへと念話を送り返答を聞く]
狩る。といっていた、ならばそれに伴う全てをお前の兄は行っているだろう
それと勝手に追うことは許さん。
[立ち上がるファミルを制するように肩に手を置く]
そもそも場所もわからないだろう。それにな―――
[受けた密命について、ファミルへと伝える]
― 密命を告げる時 ―
実は議会から密命が下った。他のマスターにもいったかどうかは確認していないが、シェンの元には届いていたようだ。
各々のマスターに預けられたチャイルドがいうことを聞かず、バランの元に向かうならばそれを始末しろ。とな。下手に単独行動などして怪しまれてもならんからな。
[だからこそ傍にいろ。いくのは許さない。といっていた理由を伝える]
[混乱して訳も分からぬまま牙を立てる、その混乱を彼の意識に直接伝えるだろうか]
ステファン…
[荒い息と牙による凶行の合間呼ぶ声は、それでも甘さを含み。
――あいしてる
言葉ではなく、思いをそのまま彼へと*]
ゆくならば一人でいくな。わかったな?
[マスターとともにいくならば密命を実行する必要はない。仮にそうなったマスターとチャイルドらがいたとしてもいいように理由づけぐらいは各々でできるだろう。]
だが何もできないわけではない。人間の知るような出来事とせぬようにするのが大事だ。それさえ防げば、マスターやチャイルドらにとって大きな問題にもなるまい
[もしチャイルドが逃げ出し、バランの指示のもと兇状を侵し、隠匿されるべき事実を公にするような行動もまた看過できぬ事柄であるのは議会ならずとも吸血鬼にとってみれば当然のこと、それは密命の対象内にも入ってしまうということだ]
探し物はあの子に任せ我は隠蔽と人里にいけぬように大規模な結界をはる。血兄弟たちについてはファミルのほうが知っているだろう。個々の識別が必要だ。力を貸せ
[ファミルより手を借り意志を集わせる。城館を中心とし周囲の森、人里までの街道。それらへと通じる道へといこうとするものを阻む。ドーム状の巨大な結界が張りめぐらした**]
そう……
[ロー・シェンからの返答があったことを聞けば、落ちつかぬながらも、制するように肩に置く手に従い、再び腰を下ろす。]
場所は……
[解らなかった。
恐らく、血子ではなくなった己をバランは忌諱したのかもしれない。
囁かれる密命に目を見開いた。
そして、力を貸せ、という言葉に頷く。]
……わかった。
大丈夫、直接は面識がない人もいるけれど……皆の気配は解るから。
[折しも今日着ていた服は、出会ったその日に来ていた制服。
さらりと襟元を開くと首筋を露出し]
……精度を上げる必要があれば、私の血から直接読み取って。
[うなじを差し出した**]
ー 密命を聞いて ー
評議会は一体、何をかんがえているの……?
[最初のと時にチャイルドを始末せず、捕らえたバランの心臓も始末せず。
更には持ち去られた今になって反抗するチャイルドを始末せよとのこと。
前回と同じく拘束せよということではない所に、一貫性が無いようにも思う。]
……一枚岩ではない、ということ?
[吸血鬼社会も世知辛いような雰囲気を悟ってため息をついた。]
――ひぁっ……
[どうしようかと悩んでいるところに首を持ち上げられ、肩へと舌を這わされる。
思わず声を上げてしまったものの、彼が夢中で喉を潤す様を見たなら、自身の牙も彼の首筋へ。
――やはり、血は血の味でしかなかったが。
彼の唇から漏れた声は、血の不味さを補うほどに甘く感じる。
背に回された手の力が抜けるのを感じ、彼の首筋を舐めようとしたら――…思い切り噛まれた>>489]
[それは水に怯える犬猫のような必死さで、現状から逃れる事だけを主目的とした力任せの牙。
変異が終了するまでは理性を持たせないようにしたいのに、その意に反して彼は意識を繋ぎとめようと抗う。
そんな時でも名を呼ぶ声は優しくて
愛の囁きは愛しくて
これを喪ってしまうのではないかと思えば、自分の軽率さに涙が出てきた]
/*
絶賛皆の健闘をいのるぜJK(情熱的に考えて)しながら。
そういえば、アレクは修羅場おつかれさまでした!
プチオンリーたのしそうだったなー
…ダーフィト
[できるだけ焦りを気取られないよう、宥めるように名前を呼んで、額へ、耳朶へ、頬へ、首筋へと唇を落とし、上着はそのまま、シャツを捲り上げたなら、覆いかぶさるような体勢でズボンを下ろし、既に反応してしまっている彼の昂ぶりへと手を伸ばした。
以前のような石鹸水などない環境、唾液で濡らした手で痛みは与えないよう先走りを掬い上げる。]
――……
[そして、男は思いつめたような顔で深く息を吐きだすと、それを自らの窄まりへと。]
―――っは、…ふぅ…んっ!
[周辺を撫で上げ、ゆるゆると先走りに塗れた指を這わせ、窄まりへと潜り込ませる。恐々と押し広げ、抜き差しを繰り返せば、徐々に呼気は荒くなり、上擦った声が漏れる。
足りなくなれば、自身を扱き上げ粘液をすくい取る事を続ければ、戸惑い混じりの熱っぽい表情を浮かべた。]
(――怖い…)
[男は、急がなければという焦りと、きちんとできるのだろうかという恐怖に身を震わせてながらも、彼を受け入れられるようにと務めた。
自己があるかどうかも怪しい存在だった頃に、求められるままに身を差し出したこと自体は覚えている。
だが、それは遠い昔の話。自己を持ってからというもの、そういったものは無きに等しく――…今の男の状態は知識はあるのに感覚は無知に近しいと言うのが正しかった。]
[やがて、熱を帯びた下半身が自分の物ではないような感覚に、戸惑いながらも、彼の上に乗るように、その劣情を迎え入れようと――]
――――ーっっっ!!
[腰を落とすと、痛みと圧迫感に身を強張らせた。
涙目になりながらも、とりあえずは落ち着けようと何度も大きく息を吐くが、それもあまり効果が無いようで。
早々に終わらせるべく動こうとするのだが、この状態では腰を浮かすのも難しいと、結局彼の身体の上に躰を預けるように倒れこむ。]
―― はーっ、はぁ……
[そして、しばらくそのまま大げさすぎる呼吸を続けた後]
―――――ダーフィ、ト……僕、も……
[やっとの事で返答を終え、ゆるゆると動き始めるのだった*]
/*
本当は左になりたかった!
溺れさせるという状況的に無理だった!
痛かったら溺れるどころじゃないじゃんという酷い理由でね!
ステファン非処女は便利な幽鬼さんいるから設定的になんとかねじ込めるけど、ダーフィト非処女は無理ゲーだと思ったとか何とか。
*/
― 館内 ―
[コンラートに握らせた手を自我保つ頼りに、部屋を出て声の主を探す。
しかし最初に考えたより、血親の在処を辿るのははるかに難しかった。
意識を向けること自体が苦痛に過ぎて、思うように集中出来ないのが一つ]
… ぅ、
[脳髄を揺るがす呪いの声は、オルゴールのように同じ言葉を繰り返して一方的に毒を注ぎ込むばかり。
周囲のあちこちで反響し、谺して、その根源もはっきりしなかった。
あるいは、城館の中にいるのではと思われたほど]
──あっち、へ
[惑いながら。やがて館を出て森の方へ顔を向けた]
[振り返る。
窓の封じられた夜の館。
その内側からもやはりバランの気配がした]
…移動してるのか? それとも、
[眼を細める。
声へ耳を澄ませば、命に従うべくコンラートへの攻撃衝動が沸き上がって、繋いだ手へ力を篭める。
血親の声と、微かな血の絆が繋ぐ者達]
──兄弟、が
みんな… あいつに
[まったくの無事であるとは思えないけれど。
彼らの未来が失われないことを希った*]
[血の兄弟の気配を探して、すると入り込む淡くあえかな意識。
弱り斃れた兄弟と思しき存在に近寄り、
足元を猫が通り過ぎたようなほんの僅かな感触を伝えた]
… …、…
[労るような気配だけを残してほどけ消えようと、 ]
… ?
… 、……?
[消えようと淡く崩れかけた意識の破片が、ふとまたたいて。
ゆらと揺れた]
[エレオノーレからの質問に対し、評議会からの回答は簡潔なものだった。]
心配無用。
仔細構わず、指示を遵守せよ。
[それは、なんらかの裏事情があると推測可能な対応であった。
例えば、君自身が容疑者のひとりであるとか、
あるいは、評議会中枢に容疑者がいるとか。]
[トールからの質問に対し、評議会からの回答は簡潔なものだった。]
心配無用。
仔細構わず、指示を遵守せよ。
[それは、なんらかの裏事情があると推測可能な対応であった。
例えば、君自身が容疑者のひとりであるとか、
あるいは、評議会中枢に容疑者がいるとか。]
― しばらくあと ―
[どろりとした余韻に起き上がることができない状態だが、このままでいるわけにもいかないと……左手を鼠へと転じ、着替えをとりにと向かわせた。]
――…
[初めての割り切れない血族の誕生。なし崩しと言ってもいい生まれ代わりをした彼を、どう説明すべきか悩んでいる。
リッシュの血子は、宗教戦争の敗者、死刑囚、信心深くありながら魔女とされてしまった者、世界に絶望してしまった者、仇を失った復讐者と、言った……
今はともかく元々は、全てを諦めた者であり、割りきってしまった者達なのだ。
……まあ、言わなくてもなんとかなる気もしてはいるのだが。
やがて鼠が帰ってきて、着替えを貰うことができたなら、召集がかかる前までに身支度を整えようと自室へと向かうだろう*]
/*
エレオノーレ・トール>
黒幕への質問に気づくのが遅くてすまなかった。
メモで伝えてくれなかったら、きっと最後まで気づいてなかったと思われ。配慮感謝。
(にしても半日以上、気づかずすまん)
まだ、っ
[追撃から逃れるべく、横に転がって狙点をズラし立ち上がる。
チラと森を見て斜めに走りながら、山刀を左手に持ち替えた。
右手は肩から力なく下げたままの姿を晒す。]
っつ、 痛ってー
[森へ紛れ込んで木を遮蔽にとるや、気配を殺した。
追わせて、回り込んで、駆け抜けざまの一撃をくらわす算段。]
[ざっ、と足が土を噛んで止まる。
吹き飛ばした相手の行く先を見定めるのは一瞬。
ダメージを目算するのも一瞬。
左手も使ってほとんど三本足になりながら低く地を駆け、短い跳躍の勢いを乗せて右手の刃を振り下ろす。
すんでのところで相手に転がって躱され、三本の爪は地面を抉るにとどまった。]
……やるな。
[この間はこれで終わりだったのだけれども。
小さな笑みを零し、レトの後を追って走る。]
[森に入ってしまえば、直線的に追うことは不可能だった。
小柄な体を生かして木々の間をすり抜けられれば、こちらは余分な回り道を強いられる。
暫し追いかけたところで見失い、足を止めた。
近くにいるのは間違いない。
息さえとめて、周囲の気配を探る。]**
大丈夫……?
そう、大丈夫…。
[決してナイフの刃を向けるまいと、掌で握り込む。
意識の全てを苛む声は変わらず響き続けているが、
主の根拠のない、それでも確信出来る温かな励ましが
身の緊張を和らげた。]
頑張ります。
何分…心臓摘出手術の研修は受けておりませんから。
[懐かしい医療の言葉すら出せる。
その間にも憎き声は支配の手を伸ばして来るが、
ナイフの刃をより強く握る事で耐え続ける。
…刃を伝って血が流れ出すのも、今は気にするまい。]
/*
ちら。
うーん…マスター達の発言繋ぎ合わせられてないけど、村建てさんの意図的に親子が闘ったりバランに抵抗したりの方向だったっぽいのかしら…?
さっさと戦闘不能になった方が、マスター達が討伐行きやすいかと思ってたんだけど、むしろチャイルドも行くべきだった…??
コアタイム的に今日ほぼ絡めないだろうとPL視点でまきに入ってしまったのもあるのだけど、もう少し様子見ればよかったわね…
ますたー動きにくくさせたと思うので、ほんと申し訳ない…
[回り道を強いられたロー・シェンがこちらに背を向けた。
それを視界の端に納め、手元の蔦を切る。
束縛を緩めた梢が揺れ、鳥が驚き飛び立った。
その音にロー・シェンが上に気をとられれば上々、そうでなくとも一瞬の隙くらい、抉じ開ける意志をもって木の根方から飛び出す。
左手、無言で振り抜く刃に映る──朗らかなまでの挑戦。]
オレの
[怪我したように見せかけていた右手は欺きだ。
握り拳の指の隙間、守り石の黒曜石の鋭いエッジが覗いている。
届かせるには抱擁するほどのゼロ距離が必要。]
たまらなく好きだ。 本気だからな!
[どうあっても叩き込んでみせると、気合いをこめた正拳突き!]
― 私室 ―
それだけ手繰ることができるならば問題はないが……
[逸る気持ちを抑え、従う旨を示したファミルに頷き返すが、襟元を開いたのには最初首を傾げ]
よかろう。その献身に答えよう。
[手ずからよりも、刻まれたものから手繰るほうが正確だが、ファミルより血を吸う思えば最初に血を飲ませるためにあえて飢えさせた時以来であり、差し出されたうなじに顔をよせ、品定めするように舌を這わせた後、首筋に牙を突き立てた]
移動しているものもいるが、マスターは近くにいる。今のところ大きな問題にはならん。我の見立て通り易々と見捨てることもないということだな
[甘い血をファミルよりチャイルドたちの個別認識を受け取り、同時にファミルに伝わるように感覚の共有する。とはいえ膨大な情報量は混乱を招くため、人里へと降りるのを阻む界と、マスターとチャイルドの位置に絞って渡した後、早速手繰り寄せた情報を述べた]
― 密命を告げて ―
知らん。解せぬ指示は意志が二つあるか虚仮にしておるのかのどちらかであろう。
[考えうる疑問には密命を受けた段階で思いついていたことだ。
とはいえその理由は予想の範疇を越えないところしか言えないのが現状である]
そういうことになる…我にも他に眷属はいたが、我意外にマスターを与えぬなど色々してくれているからな。お前もおそらくマスターといわれることはないだろうが。問題はないだろう?
[とはいえ、マスターになりたがってるものがいるのかといえばいないからそんな問題にはならなかったことである]
/*
【悲報】10年以上連れ添った相棒(タブレット)がご臨終なさいました。
具体的には露出していたコードのうち一本が完全に断裂したよね。すごく物理的に無残なお姿に…
だましだまし使ってたけど流石に寿命かー
なっ……
[怒りで血が逆流しそうになった。
慌てて、ディークに悟られぬよう感情の激発を押し込めて、厳重に隔て抜く。]
(何故、このタイミングで、)
(いや、僕に何もさせないように、知らせずに通告を一番最後にして遅らせたな?! 何故だ!!)
[叫び返せど、一方的に相手は心を閉ざし、会話は打ち切られた。]
― 森 ― >>501>>502>>503
[吹きわたる風。うねる葉擦れ。遠い鳥のさえずり。
そして静寂。
木々の間で神経を研ぎ澄ませば、雑多な音と深い静寂に押し包まれる。
自分の足音も聞こえない集中の底で、動くものの気配を捉える。
森の声の中から、求めるもののこえを。]
───…!
[突然、すぐ側で鋭い音が響く。
警戒の声を上げる鳥が頭上を渡っていくのを見上げ、
はっとして視線を下へ引き戻した。
だが、それは十分な時間だったろう。]
… ティファレト。
[肉薄する姿が、コマ送りのように目に映る。
奔る想い。突き出される気迫。顔に浮かぶのは───]
ああ 。
[これは避けられないなと理解する。
意思の問題ではない。純粋に能力的な不可能事だと。
左胸に衝撃。鋭く裂ける痛みが走る。
体の中心に届く意思。]
小賢しいことを
[森の中に誘い込んだのも、右手を負傷したと見せかけたのも、すべてはこの一撃の為かと納得する。
声に乗るのは賞賛の色。]
これだけまともにくらったんなら
[衝撃をこらえて手を伸ばす。
レトの右手首を捕え、もろともに後ろへと倒れこむ。]
───奥の手、出さないとな。
[ぐるりと後ろ向きに地面を転がりながら、レトを巻き込んで投げ飛ばす。
黒曜石のエッジが動いて、胸に赤い筋を引いた。]
― 見守る蛇たち ―
[初めての昼の散歩を終えた後、泥のように眠りについたファミルとその後しばらくしてから眠りについた真祖
白と黒の蛇たちも当然眠りについていたのだが、起き上がる気配に二匹して頭を上げる。
真祖であるクレステッドのベッドにもぐりこむファミルを見れば幸せそうであり害意ある行動でないと知ると、二人を邪魔しないように、先ほどまでファミルがつかっていたベッドにオスカーと、ポラーシュターンは潜り込んだのであった*]
[レトを投げた反動で、自分もまた小さく跳ねて起き上がる。
地面に降り立った姿は、闇色を纏う四足の獣。
低く唸り、金の鬣をひとつ震わせてレトへと躍りかかった。]
アレク聞いてくれ。
脱走をするようなら、君を殺せとの指示が出た。
[あえて何処からとは言わないが、評議会からのものだと分かるだろう。]
少し試したいことがあるんだが、協力してくれるかい?
[もたらされる囁きは、恋人だけに聞こえるよう紡がれる。]
ヤツに屈した振りをして、心臓を届けるんだ。
命令にさえ逆らわなければ、ヤツも無駄に力を使って君を嬲りはしないだろう。
[そこで一旦言葉を切ると、確認するように夜色の瞳を見つめる。
もし勝手な行動を非難されたとしても、評議会など動でもよかった。]
[アレクシスと共に生きていけるなら、地位も領地も必要ない。]
[ぐらぐらと回る視界。
数歩進んでは止まり、振り返って逆の方へ。
まるで道を失った迷子のよう]
…コンラート
[絡めた指に力が入る]
なんで、だろう
[俯いて呼吸を整える。
源を断たなければ。
この呪縛を、自らの手で]
[一瞬、大きく漣の立ったように感じたコンラートの感情は、すぐに夜凪のそれに戻った]
…?
[存在を確かめるように、たおやかな腕を掴む。
鮮やかな翠を覗き込んだ]
[自分に、自分だけに対するものならば、どのような仕打ちも甘受しようが。
事がディークに及んでは、そうも言ってはおれない。
すべてはこれが片付いてからだ、と腹腔を焼く焦燥を押しやり、隣を歩くディークの横顔をじっと見守る。
苦痛に耐えてバランの居所を察知しようと試みる彼の瞳は細まり、探査が困難であることを示していた。]
― 密命のこと ―
そう…吸血鬼の世界も煩わしいものだね。
権力には興味はないよ。
まあ、そうでなくても、私がマスターになることはないかな。
……人の血を吸うことはない、ということは、眷属を増やすこともないということでしょう。
[例えこの心臓を得た故に力を手に入れたとしても。
群れの上に立つことを望む心算はない。]
……そう。
それは、そうですよ、ね。
解ってます。
[バランが逃げ仰せたならば、残された子達は厄介な存在となる。そのような指示が出されるのは至極尤もな事だ。]
でも、僕は……。
[死にたくない、主と共に生きていたい。
心は叫ぶ。]
[コンラート。ディークの血親の名。
騒乱の夜に垣間見て以来、言葉を交わすことのなかったその人。
何故ディークと並び挙げられたのかは解らなかったが、
微かに瞼を動かす]
……、
[二君に仕えぬだろう彼に、無用な混乱を引き起こしたくはないと
遠巻きに窺うだけで今日まで避けてきた。
彼は、今。――どうしているのだろう。
思考は途絶え、反響する思念と血の消耗が、昏い眠りを齎す*]
[途切れそうな理性を繋ぐための牙。
必死で縋ってしがみつけば宥めるように唇が落とされる。名を呼ばれるのに答えるよう彼の頬にてのひらを添えて――続いての彼の行動に、慌てて押し止めようとするけれど]
―っ、は…
[求められると止めようとする意思はすぐに崩れ、されるままに。しばらく自分の上であまい声を洩らすのを聞いていれば、知らず息があがるのを悟られぬよう、息を潜めた]
[眠りの奥に掠める、柔らかな気配。
微睡を起こすまいと、そっと掛けられるブランケットのように]
――…… ぃ……、 ク、
[意味を成さない思念が僅か零れ、そのまま気配が遠ざかる]
[だが、血子を呼び寄せようとしているバランが、わざわざ血子が行き先を見失うような誘導をかけるだろうか?
考え込んでいると、ふと腕を掴まれた。
ディークがこちらの瞳を覗きこんでいた。]
……ディーク?
[やがて準備ができたのか、自分の上に腰を落としてくる。気持ちのよさに声が洩れるけれど…彼の顔が泣きそうに歪むのが見える。
それでも必死で受け入れようと大きく呼吸を繰り返し、自分の上に倒れこんできて]
―――、っ
[――できることなら、苦しげな彼を押さえ込んで組み敷いて、思う様――
自身の内に沸き起こる情動を、必死で押さえようと苦労しているというのに。耳元で繰り返される呼吸が、耳を濡らす]
「―――――ダーフィ、ト……僕、も……」
[愛しい彼の、そんな声が聞こえれば]
――ステファ、ン…っ
[理性など、保てる筈もない*]
……「試したい」ことなら。
本気でないのなら。
お付き合い、致します。
[彼が何の考えもなしに言うかどうかを考えれば、否だ。
大小様々あれど、必ず“何故”を明確にしてくれるから
ただその言葉を信じ、動くのみだ。]
……どこまでも。
[この行いが自分達に良くない結果を齎す事になろうとも。]
[戦う周囲の空間が、わずかに色を変えていた。
それは、途方もなく大きな結界の気配。>>492
なにが起きたかは正確には把握できなかったが、
誰がしたかは、考えるまでもなく明白だった。
真祖がなにをしたにせよ、望みをかなえるに必要なだけのことをしたのだと確信している。
評議会の意を覆すのだと示したとおりに。]
[それにしても、なぜあんなに楽しそうだったのかと、
念話のあとしばらく首を傾げていたのだったが。
類推できるほどには、そのひとを知らぬのだった。]
/*
ううん……
主の血の摂取が必要そうに見えたので、血子にしないといけない?というのも大量出血してみた理由の一つなんだけど、それもどうも違ってる…?
ステファンとこは血族にしようとしてるけど…。
イベント名の「覚悟」は、新しい親への忠誠とか何かそんな感じかと思ってたんだけど。
どう動けば良かったのかしら…
意外と皆様、まだ討伐に動いてない。
マスター側のが情報持ってる筈だから、マスター陣営の動きが出揃うまで様子見てた方が良かったわね……ああぁ。
あげる…、ア…レク――
[自ら胸の奥へ手を突き込み、脈打つものを握りしめ、
凶王に縛られし恋人に差し出した。
ただ意識が持ったのはそこまでで。
アレクシスが心臓を受け取ったかどうかを確認することもないまま、瞼を閉じる――。]
…なん 、
[目の前に空がある不思議。
そこには痛みも軋みもなく、投げられたことすら知覚が追いつかない。
と、低い唸りがひとつ届いて、黒い風が吹いたかと思うと、たくましい獣がのしかかっていた。]
あだっ
[この戦を制したのは金のたてがみの狼。森の王。
見覚えのある牙と──黄金の瞳。]
ロー…?
ホントに──
[呼びかければ、強靭な前脚に力が加わり、苦しい。]
参った── もう逃げらっ
て、 痛ててて…っ やめっ
[踏み砕かれるっ──と必死に足掻く中、不意にバサアッと落ち葉が舞い飛び、その一部となっている己に気づいた。
否、落ち葉に紛れた──コウモリだ。
小さな吸血コウモリはハタハタとぎこちなく皮翼を羽搏かせて、頭上の枝にぶら下がる。]
キッ キィ〜〜
大丈夫だアレク。
――君を1人にはしないから。
約束する
[一芝居うつ直前、そう恋人に囁いた。*]
[少量の血を受け、受けた抱擁が離れ安堵するファミル>>508]
ああ、散歩や鍛錬は普段からしていることだからな。
[人間にしてみれば少々過激ではあるが、吸血鬼なのだ。大した問題ではないと言い切る真祖。その後もバランを探すというのであれば止めはしない。先ほどのお返しに髪を撫でながら異常がないかだけを探し求めることに努める]
わあ! わあ! なんかなんかなったー
教えて、どうなってるのオレ!
あと、ロー狼なのも、恰好いいね。
[覗き込む双眸に揺らぎはなかった]
ん。なんでもない…?
少し、たぶん疲
[存在のたしかさに安堵しても、
頭痛が治まるわけではない。ただ、抵抗する力が自分にはまだあると確認して、腕をそっと離して指を絡め直した]
行こう 行かなきゃ
[迷いを覗かせながらも、前へ進み始める]
誰かがバランに行き着けないようにしているんだよ。
[空を見上げ、夜の大気に混じるかすかな気配を感じとろうと思念を凝らす。
こんな芸当のできる者は、限られている。]
人間の真似でもしたいのであろうな。
[吸血鬼へと変貌をとげておきながら、結局は人間がやっていることと変わらぬ。そんなものたちを...は理解はできても共感はできない。
権力に興味がないというのは、予め予測していたことであるため頷いて返し]
我のように正しく楽しく。日々を過ごしておれば何一つ問題はないのだが、我の真似をできるものなどおらぬからな。仕方のないことだ。
[周囲のものにたいして寛容な態度を示すのであった
[何だろう、空虚が一気に広がった。]
……ぁ。
なん、で?
[主の内で動いていたものが、何故自身の手の中にあるのか。
何の為にこのようなことを。
責め様にも、もう届かない事を知る。
ただ、言われた事は成し遂げなければならない。
それが主との――――]
……聞こえますか、我が血の親たる存在よ。
貴方のお望みのものが、此処にあります。
……何処に、捧げれば良いのですか。
[唇を噛み切るのではないかと思える程に噛み締め、
天井を仰ぎ呟いた。]
[当たったと喜ぶさまは可愛いが、その後がまだ甘いなと内心に苦笑を零す。
暴れる体を押さえつけ、首筋に鼻先を近づけた。
ぐわ、と脅すように口を開いた矢先]
───……?
[不意に足の下から質量が消失する。]
[微かな羽音と高い鳴き声を頼りに見上げれば、
小さなコウモリが枝にぶら下がっていた。]
……ぐるる…
[笑うように唸って木の幹に足を掛け、伸びあがって覗きこむ。]
ああ、なんだ。
間違っていなかったか。
[追い込めば、という予想への独り言。]
立派にコウモリだな。
飛ぶには訓練が必要そうだが。
[かっこいい、との賛辞には、ただ笑った。]
―――あ、ぐぅ……
[彼が男の名を呼んだのは、身を起こしなんとか動こうとした時だった。
できるだけゆっくり動こう…そんな自分に甘い考えを持っていた男は、相手が起き上がるという予想外の出来事に、対処しきれずに。
彼の昂ぶりは彼の行動に合わせ、収まったままで男の腸壁を抉り、突然の衝撃にくぐもった声が漏れ、男は躰を仰け反らせた。
痛みは大分マシになったのだが、それ故により強く感じるようになった圧迫感と異物感に襲われ――…
更に脚が外れてしまったのではないかという程の不安定な感覚を覚える]
待っ――く、ぅっ!……んっ
[思わず制止を口に仕掛けて、慌ててそれを引っ込める。
彼のためには制止するべきではないのだが、男は「どうなってしまうのかわからない」感覚に襲われて。
目の前の彼は、それの正しい表現なんてものを、考える余裕をくれそうにない。]
簡潔に尋ねるよ。
これをやったのは君かい?
[不躾な問い。
「これ」が何を指すとも言わぬまま。]
/*
うん。やっぱり色々と解らない……
養育失敗させてしまったマスターに申し訳ない。
終始きちんと意図を読めなかった……
へへ、飛べるの楽しいな。
このまま追跡続ける?
[勇んで枝を離れたが、ほどなく木にぶつかってヘロヘロと落ちてきた。]
うん、練習いるみたい。
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