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戦いはいよいよ現実のものとなった。
吹き上がる戦火は、人々に選択を迫る。
自ら望んで戦いに身を投じるもの。
守るもののため、武器を手にするもの。
才覚一つで、戦乱の時を乗り越えようとするもの。
戦火に紛れ、己の目的を果たそうとするもの。
戦いを見守り、あるいは止めようとするもの。
己の思惑を果たせるのは誰か。
思いの剣が交錯する先へ、歴史は進む。
どうやらこの中には、村人が10名、人狼が1名、囁き狂人が1名、共鳴者が2名いるようだ。
語り手 が「時間を進める」を選択しました
[言葉の先は時を失う。
少し首を揺らして、鎧騎士>>168へ顔を半分向けた。
薄化粧の唇は、今は血紅]
…このドレス、うんと悩んで選んだの。嬉しいこと
[黒いドレスの裾には、散策で得た土埃ひとつ着いていない]
血は汚れにあらず
いとわしい、いとおしい人間、美味なるもの
私はお前たちをみな、愛しているのだよ
― テラス ―
[白磁の魔女が去った後、残された瓶を手に取って月に透かす。
赤い月光もわずかに透けるようだけれども、やはりこれは血を注いでこそだろう。
手をひとつ打ち、眷属を呼ぶ。
まもなく、若い侍女が連れてこられた。
恐怖に震える娘の手足は彼女の意思に反して動き、吸血鬼の視線が導くままにその腕へ身を預ける。]
美しい娘よ。
あなたに今宵の始めてを授けましょう。
[片手で娘の顎を持ち上げ、片手で白い喉を撫で、
唇を合わせて、薔薇の香り玉を含んだ吐息を吹き込み、
白金の注ぎ口を娘の胸へと深く刺し込んだ。]
[迸る血が白磁に注がれていく。
鮮やかな赤が満ちるにつれて、白磁の肌が淡く色づく。
瓶の口元まで、ちょうど一杯。
血が溢れる力を無くすころ、白磁は生気を湛えて息づき、細やかな模様を浮き立たせていた。]
素晴らしいですね。
冷たい肌が恥じらいを帯びて紅潮したかのようです。
やはり乙女の血を注いで正解でした。
[この瓶から注ぐに相応しい杯はあっただろうか。
思考巡らせながら、瓶を鑑賞する。]
[うち捨てられた侍女の身体は、溶けるように消えていく。
身体が溶けた場所からは、紅い光の球がにじみ出た。
引かれるように空へ昇った光の球は、中空でコウモリへと姿を変え、群れなして飛ぶ同族たちに紛れて見えなくなった。
今宵限り、街を包む魔法。*]
― 脇道 ―
げええ
[声も引きつる。
とりあえず眼鏡を外して、かけ直してみたけれど]
ありゃあ、こいつは……クレメンスよ
[蝙蝠。蝙蝠蝙蝠そして蝙蝠。
やけに暗い道だなって思いながら角を曲がって踏み込んだらそこにびっしり。いっそ綺麗に見えるくらいって話]
二手に、別れるってのでどうだいおっさん
[仕立て屋のいる方に声かけつつ、もう足はずりずり後ずさっている。
棒切れ振り回してどうなるって数じゃない。しかもどうだい、逆さまのそいつらと目が合ってる気がするけど気のせいかい]
逃げろぉ!
[わあ。
いっぺん後ろを向いたらもう脇目もふれない全力疾走。
タルボシュの地図はだいたい頭に入ってたもんだが、右に左に、えいどっちだ]
[ 血統の繋がりを辿って伺いをたててみる。
闇の気配の濃くなった城内、そこかしこに仄かに漂う血の香りにうずうずそわそわしている声だ。]
[騎士の腕の中で震える少女は可愛らしいものだけれども、それは例えて言うならば小動物に向ける目に等しい。>>0:170
掌に載せて愛でるような。その命を容易に左右できるような。
それを守ろうとする騎士の愛しさは、また格別のものだ。
こちらを案じるようなことも口にするが、むしろ探るための言葉だろう。
状況を理解し、この場を切り抜けようとする、その努力が愛おしい。]
私は客分だからね。
多少のことなら、公も大目に見てくださるだろう。
それにこれは、宴になるそうだから。
[屈託なく内実を明かしていく。
情報は惜しむよりは、与えて惑わすほうがいい。]
[けれども、騎士の言い分にはゆるりと首を横に振った。]
ああ───おまえは心得違いをしている。
するべきは、約束ではなく、"お願い"だろう?
[先ほどのように外套を広げ、闇色の帳に変えて周囲を押し包む。
今度は外界と隔絶するだけではない。
粘性の質量を持ったものが、二人を押し包んでいく。]
私はその子の生死に、欠片ほども興味はない。
おまえが守りたいと言うから、手を差し伸べただけだよ。
言ってごらん。助けてくださいと。
おまえが願うなら、その子ひとり見逃しても構わないよ。
[バサバサバサ×7]
いたた、いってぇ
[振り払おうとした手に爪がかかって、ビリリと痺れる痛み。
ああ、もはや後頭部はハゲてるかもしれない]
あっち行け、この
[闇雲に逃げようと進んだら、ガン、と本棚にぶつかる音。上の方からバサバサ、これは羽じゃなくて本が降ってくる。バラバラバサバサ*]
/*
いや吸血鬼すくなくないか?
頭数的にはすくなくないんだけどジッサイすくない、というかなんか
ギィは共鳴者だし馬に蹴られたくないしのぅ
― 城のテラス ―
[杯が用意されたころだろうか。
現れた双つの気配をゆるり手招く。>>0:173]
ご苦労様でしたね。
褒賞というわけではありませんが、一杯いかがですか?
ちょうど、白磁の令姫より頂いた瓶から、初血を注ぐところです。
[白磁の瓶を持ち上げ、みっつ並べた杯に濃い赤を注ぐ。
瑠璃の盆にのせた翡翠の杯を、ふたりへ勧めた。]
[いつからかその姿は教会の入口にあった。
柱に背をもたれ、ドレス姿の吸血鬼と人間とのやり取りを眺めている。
聖女を引き止めることもせず、吸血鬼の言葉には時々俯いた。声を殺し、見えないよう笑っていただけなのだが。
聖女が放り投げた十字架は、足元に転がっている。]
[不満げな声が左右から交互に響く。
天性のユニゾンは、聴覚を惑乱もするだろう。
二重の響きを心地よく聞きながら、ひとつひとつ頷きを返す。]
あなたたちが楽しめる相手など、そうはいないでしょう。
どうやら教会から派遣されたような聖騎士らもいないようですからね。
ああ……でも、狩人ならば、まだそのあたりにいるかもしれませんよ。
あるいは、――半端な同胞の気配も、どこかで感じるような。
あれらは、なぜか私たちを憎みがちですからね。
[翼ある眷属らが囁き寄越した知らせを、弓と剣の前へそっと差し出してみせた。*]
[>>1聖女と向き合う淑女が半面を青年の方に向ける。
美しい唇は鮮やかな血に彩られており、言葉をなくした。]
……な…、
[“普通の淑女”であるならば、卒倒して然るべき場面。
命を撒いたような血液はその主の命が無くなっていても可笑しくない事を示していた。
けれど彼女の黒いドレスの裾は汚れ一つ見当たらない。
違和感を伴うその光景は、奇跡でないのであれば魔性の力なのだろう。
人間を美味なる者と言った彼女は捕食者たるを隠しもしない。
淑女に向けるのは眇めた薄花色。]
汚れでなければ、穢れだろう。
愛しているのであれば、何故命を摘む?
腹が減ったら喰らうだけの獣と何が違う。
[
ウェルシュ、いいえ、
愛しい仔の願いを聞き届け無かったことがありますか?
おいでなさい。私の
[囁きを通しても、そわそわしている気配が伝わってくる。
もう、心も落ち着いただろうか。
辛かっただろうと抱きしめてあげよう。]
なっ―――!
[咄嗟にボウガン構えて振り返れば、招かれざる客が転がり込んで来るところ。
いや、おっさんがどうとかじゃなく、騒がしいコウモリの群れが見える。]
おっさん、頭上げるなよ!
[声を掛けておいて、ボウガンに太矢を装填して発射する。
こいつは放った先で投網みたいに広がる優れもの。
命中率はあんまりよくないけれど、[[1D6]]匹くらいは掛かってくれるだろう。*]
なっ―――!
[咄嗟にボウガン構えて振り返れば、招かれざる客が転がり込んで来るところ。
いや、おっさんがどうとかじゃなく、騒がしいコウモリの群れが見える。]
おっさん、頭上げるなよ!
[声を掛けておいて、ボウガンに太矢を装填して発射する。
こいつは放った先で投網みたいに広がる優れもの。
命中率はあんまりよくないけれど、1(6x1)匹くらいは掛かってくれるだろう。*]
[ 紅の魔性は、出し惜しむ素振りもなく状況を語る。>>8
ますます日常とかけ離れてゆくばかりの物語に、目眩がしそうだ。
呑まれてはならない。
けれど、魔の本性の片鱗を見せて檳榔卿が質量のある闇を出現させ、悪夢を現実に変える。]
──っ!
[ 蹴っても振り払っても伸び上がってくる漆黒の泥のようなもの。
剣で斬ったところで、すぐ元どおりになってしまう。]
[ 嘆願せよ、と魔性は唆した。
シェットラントは姫をひしと抱き抱え、魔性を睨み付ける。]
この方が死ぬようなことがあれば、わたしも生きてはいないと言ったはずだ。
それに、貴君が見逃してくれたところで、護衛する者がいなければ彼女は無事ではいられまい。
[ 叩きつけるようにして言う。]
そのような輩であれば、多少は楽しめるかも知れませぬ。
[美酒のかぐわしき香りを楽しんだ後、一息に飲み下し]
どのみち我ら貴き血の
[不敵に笑む。]
[ 今一度、闇に突き刺した剣をそのままに、深く息を吸った。
意地でも己の技量でもどうにもならないものがここにある。]
── どうか、貴君の加護を。
[ 膝を屈することなく、願う。*]
そのように卑下するものではないよ
お前の血もまた芳しき蜜
[続く騎士の言葉>>19には喉の奥でくるくると笑った。
獣などよりももっとずっと悍ましい魔性を、そう詰るのか]
可哀想ね、それにとても──
[侍童と舞った円舞は広場の中央広範囲。
あと4歩、聖女の靴は既に少年の散らした華の中>>23
騎士はまだ血の領域へ踏み入ってはいない]
この手を取るのは、やめにするのかしら?
タルボシュの聖女
[差し伸べたままの掌は揺るがず、ただ黒衣の袖が甘い風に衣擦れを鳴らした]
私は獣だけれど、嘘はつかないの
― テラス ―
[ 血親たる絢爛公の姿を見つけ、小走りに寄ってゆく。]
[ お礼は救出された折に、涙ながらに伝えたから、今は回復したところを見せようと微笑んでみせる。
この偉大な方を血親とする晴れがましさでいっぱいだ。]
[片割れより一拍遅れて杯を呷り]
公の御目に適う演物となればよろしいのですが。
[膝を折り、優雅に一礼]
それでは、ひとさし舞って参ります。
人間は、嘘つきだけれど。それも赦そう
[視線はまた、聖堂の入り口へ。
そこにある人影のうえを流れる眼差しは、何かを思い出そうとするように少し過去を向く。
あの──鈍銀紫に映る色──*]
[ その衣の裾に口付けて、甘えるように見上げた。]
血が騒ぎます、
ぼくはあの狩人に仕返しをしてやりたい。
それも、自分は手を下さずに、高見の見物をしていたいのだけど、素敵なアイデアはありませんか。
[ ひとしきりまくしたてた後で、双子に気付き、やあ、と軽妙に挨拶する。
双子が仕えているのは絢爛公なのはわかっているけど、ぼくだって絢爛公の仔だし、という自負が態度に出ていた。**]
― 城のテラス ―
そうです。
私の仔に傷をつけ、領主に差し出した相手です。
他にも狩人はいたようにみえますが、そちらは取るに足らないようですね。
[狩人の話をしながら、黄金の鳥籠をちらと見る。>>21
処刑しようとした不届き者は、このとおり。]
半端者ですよ。
人との間に生まれた子ら。
私たちと共に在るを望むなら、受け入れもしましょうに。
どうしてあれらは人の
みつけたなら、その本性を思い出させてあげるべきでしょう。
血の甘美を、忌避することなどないのだと。
[珍しいことに双つの声音が揃わない。>>22
その呟きをも拾って答える。低く、優しい声で。]
貴方がたが存分に腕を振るえることを、今宵の月に願っておきましょう。
[声音を柔らかなものに戻して、杯を持ち上げる。
夜と月に透かした甘い血を、喉の奥に流し込んだ。*]
はげ、禿げる
[だだだだだ、と書架の間を滑り抜けて、ようやく肘で体を起こした。
見上げた男は──いや知らない顔だ。少なくとも蝙蝠じゃないけど]
いやあ、どこのどなたさんか知らねえが
[無残になってしまった本に謝るタイミングもなく、棒を握って後ろを向く。
まだバサバサと、飛び回る小さくて黒い奴]
恩に切るよ
[ふうふう、息切れを整えて立ち上がった*]
あー。
[いっぴき。
もうちょっと掛かってもいいんじゃないかな。
えええと。
おっさんの下敷きになったかわいそうな本に同情するのは自分の役目じゃないし、今はともかくコウモリを追い払うのが先決だろう。
十中八九、あのコウモリは吸血鬼の使い魔だろうから、銀も効くはず。
矢に繋がってる銀の鎖を振り回して追い払おうと身構える。]
[そこへ、おっさんがようやく立ち上がった。
でかいな。]
レトだ。よろしく。
[簡潔に通名を名乗って、まずはコウモリに立ち向かう。
小さい連中を打ち落とすのは大変だし、どちらかというと逃げてくれれば良いなぁと思いながら、鎖を派手に振り回した。*]
俺はダルメシアン
おお、お
[何か凶器な感じに振り回している。
手慣れた感じだし、さっきのも──さっきのはありゃなんだ?
どうやらこの場を委ねても良さそうだ。
となれば撤退、すみやかに安全確保の見物席だ。
高みのなんたら、って話じゃない、足手まといは承知の上]
[教会へと踏み入った事は、亡き父への義理のようなものだったのかもしれない。
半狂乱に陥った街の住人達の姿をみれば、やはり間違いだったかとその気持ちも失せた。]
怒るかな。
[父さん、全てを受け入れて側にいてくれた人。]
[ずんずん奥へ逃げ込んで、出口からも窓からも一番遠いあたり、もう巻き添えはくわなさそうってところで棚にもたれた]
やれやれ、ああ怖い
[汗をぬぐって、後頭部を確かめる。
多少毟られ乱れているがどうやら毛髪も無事の様子]
……
[長い放浪の日々。
自分と同じ半端者に出会った事も少なくはなかった。
吸血した者の力や混ざり方にもよるのだろう、同じ半端者でも人間と同じく老いる者、吸血衝動のない者、牙の目立たない者、1人として同じ特徴を持つ者はいなかったが、大体の者が吸血鬼を憎んでいた。]
/*
勘違いしていたかもしれない
シルキーのパパが吸血鬼だったんじゃなくて、シルキーが生まれる直前にママが吸血鬼になった…?けど死んだ?のかな?あれ?それダンピール?
いやわからないからわかるまでそっとしておこう
誰かおしえて
ダルさんね。おーけー。
[名乗ってくれたおっさんは、さっさと奥に向かっていた。
ありがたい。背後を気にしながら戦うのは面倒だから。]
コウモリくらいさっさと片付けられなきゃ、
この稼業、やってらんないってもん……
[矢を持って矢と鎖を振り回す、なんて適当な戦い方でも、コウモリくらいならなんとかなる。
一匹、二匹と順調に落としていたけれど]
ふぁっ?!
[奥の方から聞こえてきた声にこちらも驚いて振り返る。
そこへ飛んできたコウモリの体当たりを喰らった。]
…あたっ。
[余所見厳禁**]
/*
どうしよう(どうしよう)
攫うなら間違いなく無抵抗で、その場で殺そうとするなら間違いなく反撃なんだけど。このアクションだとどっちだかわからん……殺害の方だとは思うんだけどわかんない
で、反撃だとメルヒオルが居る場合この一発限りをここで使うか? と言われると……ううーん……
[ふと、その姿が動く。
足音無く地面に転がっていた十字架を拾い上げると吸血鬼に向かって投擲した。
鎖の遠心力を利用した投擲、吸血鬼に届くまでは一瞬だろう。
投げた十字架の先を追おうとはせず、そのまま場を去ろうとするだろう。**]
― 城のテラス ―
報告を楽しみにしておきましょう。
[再びひとつに戻った双つの声に、微笑みと頷きを返す。>>43
と、彼らが去る間際、我が仔が跳ねるように駆けてきた。>>32]
おいでなさい。
もう傷は良いのですか?
[足下にまろぶように侍り、衣に口付けた仔の髪を撫でる。
柔らかな髪は月光に照り映えて、ほのかに光り含むかのよう。
指を延べて腕を求め、一度失われたそれを指先に確かめる。]
[紅い月は、風雅人の趣纏うこの仔の血をも騒がせたらしい。
仕返しという言葉と方法はともかく、詩に遊び女を惑わすばかりの仔が、屈辱への報復に目を向けたのだ。
喜ばしい変化に違いない。]
今宵は私たちの報復の宴。
思うようになさい。愛しい仔。
あなたに、あれらを貸しましょう。
どう使いこなすか、私にみせてくれますね?
[唇を丸め、人間の耳には聞こえない音を出す。
呼ばれて現れたのは、6頭ほどの狼の群れ。
炭色の毛皮と血色の目を持つ四つ足の眷属だ。]
それと、これも。
[人差し指を喉に当てて仔の頤を引き上げ、間近に顔を合わせる。白金のナイフを手にとり指先を突けば、深紅の珠が盛り上がった。
仔の瞼を唇にて閉ざさせ、その上に薄く血化粧を施す。]
このコウモリと視覚を同調させておきましたよ。
うまく使ってごらんなさい。
[手のひらにコウモリを呼び、それを仔の肩に乗せる。
最後にもう一度、柔らかな髪を撫でた。]
[仔に様々なものを与える合間、視線を双子に滑らせる。
視線の上下だけで頷き、退出を許した。
双子が仔へ抱く思い>>50は認識の外であったけれども、狼やコウモリのようには仔に与えられないのは当然のことだ。
むしろ、私の手の中に置いて存分に鑑賞していたい。
対にして一の貴子は出会った当初から今に至るまで、変わらず興をかき立て続けている。**]
その、大丈夫かね
怪我とかは?俺はちょびっと引っ掻かれて髪毟られただけだけど
[この子はそこまで外の状況を把握していないようだとわかれば。
吸血鬼とやらを殺そうとしたらバッタの大群みたいな蝙蝠が飛んできたとか。
騎士を襲ってる奴がいたようで、あれが別の吸血鬼だったのかもとか。
みんなパニックだし、城はもうどうなってるかわからないし、町から出ることもできないし、とか。
そういう、とびきりの悪夢みたいな話を身振り手振り]
[図書館の構造はだいたいわかった。建物としては頑丈だけど、大勢で避難してくるのには向かないかもしれないな。
教会と違って水やランプの確保も難しい]
お嬢ちゃん、ここって地下室なんかあったかねえ?
閉架の倉庫とか知らないかい
ついでに街の外への隠し通路なんかあると最高
[夢なら、だいたいそういう迷宮とかあるんだけど**]
― ―
――私との悪縁を頼るのは間違いよ、░▓▒░
[暖炉の灰色、樹皮色、鈍銀紫]
――夜の住人にも社会があるの。親殺しは大罪
決して嗅ぎ付けられるわけにはいかない
――それに░▓▒░。お前自身の心に反することでしょう
[雪色、ガラスの匙、雨の音、ブランケットは黒]
――薬はあげた。その熱が下がったらもう*行きなさい*
……!
[記憶の綻びを繕っていた眸に、光沢質の軌跡が映る>>57
吸血鬼の前面の空気が裂けて、黒い鉤爪と翼が浸み出した。
射線を遮るようにミリアムの前に現れる大鴉]
アズリウいけない
[左腕で鴉を引き寄せた。
足はステップを踏むように動き、左半身を下げて。そして投擲された十字架を掴む]
ぁっ ──
[短く声を吐き零す。
明瞭に表情を歪め]
──…
[庇うようにした鴉が腕の中で盛んに鳴いた。
爛れた右手からロザリオが滑り落ち、血に染まった石畳の上へ。
幾ばくかの灰を纏い、薄く煙を上げる銀の十字架はたしかに血によって聖性を穢されたようでもある]
祈りのための道具を、こうして
小石のように粗略に扱うものではないよ
[その場を去ろうとする姿>>57を見遣り、そして現れた騎士>>19に視線を流し。
右の掌を見下ろす。
朽ちてボロボロになった肉から血が滴っている]
……アズリウ
[腕の中の鴉の名を呼んだ。
その次の呼吸ふたつ、 石畳が燃え上がる]
[美しい少年の血で敷設された陣の内が、炎に包まれる。
昏い焔を踏んで、歩みを四つ。
聖女のもとへ歩み寄り、傷つけられた右手を彼女へ伸ばした]
おいで
[拒み逃れるならばそれまで。
逆に炎の結界に踏み込むものがいたならばそれも共連れにする転移。
鳥が開いた翼を畳むように、やがて広場の炎は消えて、後には元どおり。
聖堂がたたずむ広場には、ただの灰色の石畳と落ちたロザリオだけ**]
― テラス ―
[ 狩人への復讐を願えば、血親は惜しみない贈り物を与えてくれた。
ウェルシュの手足となり、目となってくれる夜の獣たち。>>60
ウェルシュが、夢想家であって荒事向きではないのをよく知っていて、
足りないものを補ってくれるのだと思う。]
──ああ、
私はひざまずき、
私のこの心のなかに壮麗と幽暗と栄光をのむ。
渺茫よ、齢よ、また古き世の思い出よ、
沈黙よ、荒廃よ、またほの暗い夜よ、──
私はいま御身を──御身の力を感ずる。
[ 口ずさんだ古詩そのままに膝をついて感謝を捧げる。
溢れんばかりの喜色を、血色に化粧された眦にたたえた。]
[座り込んだままとはいかないから、ゆっくり立ち上がる。
隠れてたのかと聞かれたけど、結果的にそうなっただけで動いてなかっただけだから違うからそう答えるかな。]
隠れたつもりではなかったんだけど、篭ってたから取り敢えず無事。
逃げたら逃げたで出くわしそうだったし。
[この言葉で外の状況に疎いと察したのか、男の口から惨状>>64が語られる。
結論として絶望ってことだね。だと思ったよ。]
地下室?
…生憎ながら知ってたらこんなところで呑気に座り込んでないんだよね。
[大方悪い想定で見積もってはいるけど、やれることまで放棄するほど無気力主義ではない。
とはいえ現実逃避してる時点で、誇れるような思想は持ってないの確定なんだけどね。]*
[ 出かけてゆくらしき双子に、今一度、視線を向ける。>>50
どちらがどちらだか、実のところ見分けがついていない。
だって、なんだかとても境界が曖昧な感じがしない?]
ぼくを襲ったヤツは、あっちの方向にいる。
血を啜ってやったから、隠れることなんてできないんだ。
[ 指差し、自慢込みで教えておいた。]
君たちが先に見つけたら、好きにしていいけど、
毒を使ってくるから、気をつけて。
[ 先輩風を吹かせながら、それでも案じる言葉をかけておく。]
>>73 The Colosseumより
ポーを引用するのは決めていて、
訳者で悩んだけど、今回は阿部保訳で。
ミリアムのカラスを見たら Nevermore!って叫びたい(←
[ 紅の魔性が願いを聞き届けると同時に、世界は閉じた。
落下しながら浮遊するような未知の感覚に包まれる。>>51
身を竦めた姫から、揺れる気持ちが伝わってきた。
この先、どうなってしまうのかという慄きと、これでいいのだろうかという戸惑い。
あるいは、自分が足手まといになっていると感じているのかもしれない。
彼女を放さなければまともに戦えないのは自明だが、シェットラントは抱擁を解くつもりはなかった。
他に味方がいない以上、すぐ庇える場所に居てもらうことの方が、攻撃よりも大事だ。
それも──紅の魔性が許せばなのだろう。
しっかり鎧を踏んでいた馬と瞬時に引き離された瞬間に、わかった。
彼には造作もないことなのだと。*]
――なっ!?
[足元が炎に包まれる。振りほどこうとすれば熱を感じるが、手を引っ込めれば熱を感じなかった。服を焦がすこともなかったため、これはそういう結界の類かと理解する。やがて伸びてきたその腕は――]
(なに、これ……)
[意識が塗りつぶされる。視界に帳が下りていくようにゆっくりと、しかし確実に意識を刈り取っていく。最後にやってきた騎士の姿を捉えたが――表情は、もう見えなかった]
[闇を抜けて出た先は、城内の別邸だった。
来訪者の宿泊に供されている施設で、設備も申し分ない。
絢爛公が封じている以上、人間を連れて街の外へは行けない。
そんな事情はさておき、手近で使いやすい場所を選んだ結果だ。]
ここへは私以外、出入りできない。
宴が終わるまで、ここに匿っておいてあげよう。
[視線を窓へと向ければ、いつしか外は月の時間になっている。
夜の暗さを差し引いても、風景は薄墨を流したように霞んでいた。
闇の帳で建物を覆っているのだ。]
ただし―――
[騎士が状況を理解する間を置いてから、一歩歩み寄った。]
おまえは、私の楽しみに付き合ってもらうよ。
私を歓ばせておくれ。月桂樹の騎士。
[手を伸ばし、求める。*]
[身を屈め、テラスに続く一間を出た後は、滑るように城門へ。
既に公の許しは得た。
ただいまよりは狩りの
― 城門から市街へ ―
― 図書館 ―
[冷静になれば、コウモリなんて敵じゃあない。
飛びかかってくるやつに狙いを定めて銀鎖を叩きつければ、黒い煙を吹いて落ち、あっというまに燃え尽きたような灰になる。
やはり、吸血鬼の眷属なのだ。
残り五匹を仕留めたところで、最後の一匹がキーキー鳴きながら高く飛び、窓から外へと逃げていった。
逃げてもらうのは当初の予定通り、だけれども、よく考えるとなにかマズい気もする。]
当面はオーケー、と。
そっちは大丈夫かー?
[先ほどの声以降静かになっていたから多分大丈夫だと思うし、ダメだったらもう手遅れだろうな。なんて考えながら声が聞こえた方向に歩いて行き、書架の向こうに顔を出す。]
おおっと。
[無事なおっさんを見つけた、と同時に別の人間も見つけてちょっと驚いた。]
先客さん?
ども。
[軽い挨拶を飛ばしながら、相手を観察する。
コウモリに追われてたおっさんはともかく、妙に落ち着いてみえる少女には若干の警戒を抱いていた。*]
あぁ、
[忌々しげな声が暗い路地に響く。
吸血鬼と場所を同じくした経験は幾度とあるが、これ程多くの数は経験した事が無い。
ひどく喉が乾くような、]
危ないとこ助けてもらっといてなんだが、
俺、さっきツレとはぐれちまったもんで探しに行かなきゃって話で
兄ちゃん腕に覚えがあるならこの子の助けになってやってくれないかね
[微妙な空気、若い男女。
わかる、わかるぞこんな時だがわかる。
何かわかったような気持ちになって、にこやかに頷いた*]
[つい警戒が出過ぎて、微妙な雰囲気になってしまった。
まだまだ未熟か。
おまけに、なんかおっさんににこやかされた。何でだ。]
え?
ダルのおっさん、出てく気?
あーー。じゃ、これ持ってなよ。
無いよりはマシかもだから。
[ツレを探しに行くなんていうおっさんを引き留めるべきか悩んだが、ここに立てこもるのもちょっと危ない。
考えた末に、ダーツを一本差し出した。
聖銀製ではないけれど、弱い聖別を掛けてもらっている。
突き刺せば吸血鬼だってひるませる位はできるはず。]
あんたもどうぞ?
[もう一本のダーツは、少女に差し出してみた。
仮に吸血鬼の仲間が持てば、熱い湯に触ったくらいの反応があるんじゃないかなくらいの見込みもある。
*]
[ 闇の中を潜り抜けた先は、見覚えのある場所だった。
城内の一角にある迎賓館だ。
城から脱出してまた連れ戻されるとは皮肉なものだったが、姫は勝手知ったる場所にきて、いくらかほっとたようにも見える。
幼い少女にとっては、夜の街や暗い森よりも安心できるのだろう。
そして、馬に乗っていたときには当然のように抱きついてきたものが、ここではいささか気恥ずかしくなったか、姫はそっと腕を解くと、緻密な細工を施した椅子に腰を下ろす。
シェットラントはそのすぐ側に侍し、息を整えた。
いつものとおり。]
[ 館が不思議な力で外界から隔てられているのは、魔法などわからないシェットラントにも見て取れた。]
──、
[ 庇護の対価を求めて歩み寄る紅の魔性の胸元を見つめながら、シェットラントは抜いたままだった剣を鞘に戻す。
その上で、柄頭を押し下げ、いつでも(剣闘の)相手ができることを示した。]
ここでか。
[ 天井は十分な高さがあるから、剣を振りかざしても問題はないだろう。
姫に危害が及ばないようにするのは無論のこと。*]
……。
[>>30芳しき蜜と言われても喜色を浮かべる事はなく、眉尻を跳ね上げたのみに留めた。
卑下する意図で紡いだ心算はなかったが、ある意味では的を射ていると言えた。
父親よりも母親の印象を色濃く残す外見は、胤の主を疑わせる要因となった故に。
首筋に噛み跡さえなければ、人間に暴行されたと判じられても可笑しくなかった。
騎士は主に従い、民を護る者。
化生の喉を潤したかもしれない血液が尊くあってはならない。
その主がか弱き存在であったとしても。
──血液は彼らの糧となるのだから。]
……は、
[可哀想。
そう評された事には吐息に怒気を忍ばせて。]
― 白磁の領域 ―
[転移結界を閉じた先、刈り取った意識の目覚める在処
そこは乳白の世界。
どこまでも滑らかな地平の縁取りは金。
白磁の絵皿の中のような]
聴け、私の声
[女の躰は十字架に磔にされて感じるだろう。
架す呪縛は、釘でも鎖でもなく、葡萄の房が撓わに描かれた蔦模様]
ここは私の領域
武器も銀も無力、ここでは言葉だけが力を持つ
[乳白の空を、青い鳥が飛ぶ。
ラピスラズリの顔料で染め付けられた小鳥が過ぎり]
[>>23吸血鬼の許に歩み寄った聖女は血花の中へ。
けれど彼女はふと足を止める。
>>31タルボシュの聖女、と呼びかけるのに、彼女は訂正をしない。
彼女は外からやって来た人間であるというのに。
約定の内容をしかと把握した訳ではなかったが、
後ろに民衆が控えている事から彼らを庇う内容なのだろうとは察せられた。
獣に身を差し出す羊めいた彼女の行動に、眩暈のようなものを覚え。
>>34獣である事を否定しない血濡れた淑女の嘘はつかないという言葉を信じる心算はなかった。
いくらでも、気が変わった、と翻す事は可能。
人間が嘘をつくように。
たとえ気取られても構わない、と一歩、足を踏み出して。]
それでは、行ってまいります。
ふたたび公父上のもとに戻る歓びのために。
[ 贈る声は甘やかに、尻尾を振るように。]
― 4 ―
私は──ミリアム
お前の名はなんというの?
[磔刑の女の前に立つのは
青藍と蒼耀の、巨きな翼を背に戴く私。
その距離は、ステップで4歩分*]
/*遅筆ぅ
時間かけてごめんなさい。
電車の中で迷ったけど見送ります。
来るなら来てもOKという意思と、
隙を作ろうとしてくれたのは読めたので、一撃だけ。
― テラス ―
[我が仔の紡ぐ詩は耳に心地よい。>>73
この仔がただ詩歌のまにまに生きていけるのならば、それも良いのだろうけれども。
折れぬよう手厚く育むのと、風雨に晒して地を這わせ、再び伸びるのを期待するのと、どちらがより美しく花咲かせるだろうか。
双子に忠告する吾仔を見ながら浮かぶのは、血親としての思考が半分。芸術家としての願望がもう半分。]
良き狩りになるように。
存分に楽しんでおいで。
[狼に跨がった仔の額に口付けて、祝福を贈った。*]
― 広場 ―
[鳥が降り立つように、広場の中心に双子が姿を現した。
タルボシュは古い城下町、平時であれば市が立っていそうな広場にも、今は人っ子一人いない。
打ち捨てられた馬車に、頭上の蝙蝠に怯える、軛に繋がれたままの馬。散乱する積み荷、頭巾に片方の靴といった落とし物があちこちに散乱して、混乱の凄まじさを物語っていた。
今頃は街の住人は、息を殺して家の中で身を潜めているか、救いを求めて求めて教会に向かったのだろう。
見渡せば、数条の太い通りが広場より出でて、街の主要な施設へと繋がっているのが分かる。
教会に図書館、商人や職人の組合会館――さてどこへ、と思案して]
[ 絢爛公の言祝ぎを受け、狼の群れのにわか主人となったウェルシュは、一番大きな炭色狼に跨って城から駆け出す。
城が陥落した際に逃げ出した人間たちが開け放ったものか、城門はしどけなく開かれていた。]
誰も、城を奪い返しに来たりしないのかな。
人心なんてあっという間に霧散してしまうのだね。
[ くすくすと笑いながら、借り物の使い魔を空に放つ。]
いやあ、ここをもうちょびっと探検したいのはやまやまなんだがなあ
[地下室だって、彼女は知らないというだけで、ないと確定した未来じゃないわけで。
ただ、俺を追って来た蝙蝠の数があれっきりってことは、仕立て屋の俊足親父の方には……]
飲み友達を見捨てたって、今後しばらく酒がまずくなるのも嫌だって話
[ずっと騎士の腕にしがみついていた少女が、椅子に落ち着く。
すぐさま傍らに控える騎士の所作は、至極自然なもの。
麗しき絵画のような様子に、目を細める。
対価を求めれば、問い返された。
何か勘違いしているようだけれども、今は構わない。]
おまえの姫の前でも、良いのなら。
[微かに喜色を滲ませて答える。
嗜虐の色も。]
[けれども、少女の前で騎士をなぶるのに興味は無い。
耐える騎士と、胸を痛めて涙流す姫の物語を見たいわけではない。
ただ純粋に、彼が欲しい。]
――― いや。そうだね…。
子供は、そろそろ夢を見る時間ではないかな。
[扉へ手を向けて差し招くと、侍女が二人入ってくる。
術で意識を飛ばした傀儡だった。
侍女らは無表情のまま、姫へ近づいていく。*]
ああ、エディ。
[狼のように漂う夜風に鼻先を晒し、混じり合ったいくつもの血臭の中からひとすじの芳香を選り取る。 ]
誰の血かな。
どこから香ってくるんだろう。
[朝までどうやって凌ごうか、女は考える。
いっその事、狩ってしまおうか。
大物でないことを祈らなくてはならないけれども。
今ある衝動を別のものに逃せば、]
[結界は閉じ、そこから騎士は逃れた>>95]
(好戦的だわ)(……まったく)
(それにあの子達、モノを投げつけるだなんて!)
(躾をしていないの?可愛らしいわ)
[教会への襲撃を聖女の犠牲と引き換えた盟約は、正しく結ばれることがないままにある。
狩りの宴といえ、彼処で争うつもり等なかったから。
斬り入った長剣>>94から逃れようには、彼女を連れて去るしかなかった]
(いたいわ(あついのは厭)
(でもいいのよ)(夜は長いのだもの)
まいいや。
お近づきにはなりたくないけど、なったらチャンスだからねー。
ぶすっといきなよ。ぶすっと。
[噛まれたらチャンス!と親指を立てておいた。*]
さあ。貴き血には違いないけれど。
[首を傾げ――同族たちの流す血は、決して負傷によるものばかりでなく 秘術の触媒であったり、従属者に下す恩寵であったり……媾合であったりもするのだから。
独立不羈の気質の強い同族に、迂闊な干渉は憚られる。]
それはそれとして……アディ。
チャンスに恵まれない人生でありたいよ
[はあよいしょ。ポン!とは鳴かずに書棚に手をかけ、窓のある方へ]
えっ、今噛まれたらって言ったかい
[がぶっと、ぶすっと。
いやいや、いやだよ!]
ゾフィヤちゃん、家族とかに会えたら、元気そうだったって話伝えとくからなあ
分かっている。
逃げ隠れする鼠を巣から追い立てるのは、僕の性に合わない。
とは言え、獲物がいないでは贅沢は言っておられない。
[己が血で紡いだ矢をつがえ、ギリギリと引き絞った弓の、月を射らんとばかり真上へ向け、]
[びょう、]
[窓の外に黒いのがびっしり。ってなってないのを確認して、そこから図書館の外へ出た。
窓枠をくぐれば地面はすぐそこ。脚が長くて助かるね、ぽぽぽぽーん*]
[ 紅の魔性の声と表情に漂う喜色に、反射的に顔をしかめた。
確かに、魔物の楽しみなど、胡乱なものに姫を同席させたくはない。
けれど、]
──っ、 そう簡単に、
[ 一方的に嬲られるだけで済ましはしないと、魔性の目を見据えたところへ新たな闖入者がある。]
[ 侍女をつけておくというのは、檳榔卿なりの気遣いなのか。
だが、その女たちの様子は、明らかに尋常ではなかった。
すでに魔物の手下だ。そんな者に姫を任せられるか。]
止まれ。
[ 素早く姫と女たちの間に入って盾をかざす。
それ以上、近づくならば跳ね飛ばすつもりだ。*]
[気配を頼りに月明かりすらない道を行く。
知らぬ間に肩で息をしている。
思考のはっきりとしない頭を幾度か振り、何かを考えろと自分に命令する。
幼い頃と変わらぬ風景。
よく、この辺りを駆け回っていた。
一緒によく遊んでいた男の子の名前は何といったか。
確か犬のような名前だった気がするが。]
???
……う
[意識が戻ったとき、目の前に広がるのは真っ白な世界だった。地平線の向こうまで見渡せるような純白]
(城の中や牢屋だったりは……しないわね)
[城の全てを見たわけではないが、城にこんな場所があったとは思えない。そもそもタルボシュは山地だ、こんな水平な場所はなかったはずである]
(手も足も動かない……何かが結びついているわけでもないのに、指一つ動かないなんて)
[磔にされた手足は指先一つ動かない。縛られているような圧迫感を感じるが、首も動かないのだ、何が起こっているか確かめることは出来ない。杭を打たれたような激痛がないことから、単に拘束されているだけだと感じる]
!
(声がする……あの青い鳥から?)
[ふとあの吸血鬼の声で問いかけが行われる。視界の隅を青い小鳥が過ぎった。
次の瞬間、目の前に青い翼を広げた女の姿が見える]
――我が名はナネッテ。
[無視をする選択肢もあったが、ここで沈黙を保っても事態は進展しないだろう。正直に名乗った]
/*
さて、どなたのことでしょうね?>犬のような
この村には犬っぽい名前の人がけっこういる気がします。
五人……ですかね?
[真上に打ち上げられた矢は、中天で何条も分かれ、流星雨となって周囲の町並みに降り注ぐ。
石壁を抉り、木戸をぶち割り、地面を穿って。
ひとつひとつの威力は、精々が岩塊を罅を入らせるくらいだが、木造であれば粉々に砕けたろう。ましてや人の体なら。]
お前たちに安地なぞ何処にもないぞ!
無為に屍を晒したくなくば、死地に命を拾うがいい!!
[そこここから湧き立った悲鳴の波を掻き消すように朗々と宣言した。]
教会の門扉を閉ざせ。
蝙蝠も入れぬよう。
篝火を焚け。
中に入りたいという者に対しては用心をするように。
[声を張り、民衆達を、侍者達を促す。
束の間の安息かもしれない時間を有効にすべきだと。
尻もちをついていたパン屋の跡取り息子を立たせて中へと促し]
怪我人は今の内に手当てを。
心ある者は外に出ても構わないが、過度な期待はしないでくれ。
夜闇はあれらの領域だ。……それに
…私は聖女を守れなかったのだから。
[口の端に浮かべるのは自嘲。
火に臆し、聖女を吸血鬼の手に渡らせてしまった以上、
自分の唯一の役割を果たす事しか思いつかなかった。
その場に残ったのは散っていた青年の部下と数名くらいだったか。
彼等を教会周辺の警備に当て、青年は哨戒に回ろうと。*]
村の更新日が延長されました。
― 3 ―
ナネッテ
此度の狼藉、教会はどのような企図で動いたものかご存知?
[青い翼がゆるりと開き、また畳まれる]
聖騎士も、祓魔師も送らず
血の親子の絆の深さを知りながら、子殺しもせず無為に留め置いた
[瞼を伏せて、また磔刑の聖女を見る。
征伐ならば、血族を根絶やしにするほどの苛烈さが求められる]
まるで──敢えてこの地への報復を誘ったかのよう
どう思う?お前は
私は…行く当てもないからここに居ようと思う。
出歩く方が怖いから。
[どこに行ってもここに居てもおそらく大事な点は同じ。
「見つかるまでが生命線」。
外の現状を聞いて余計にその意思は固まったと言っていい。
…なんて士気が下がりかねない発言を真正直にするつもりは無いんだけど。]
[女が見ていた通りを駆け回る幼い男の子の姿は、光の雨の中に消えた。
方々から響いてくる破壊の音を立ち尽くしたままに聞く。]
……
[雨が止む。
少し間を置いてブーツの紐を締め直した。]
[ ウェルシュの持つ血の探索術では、狩人のいる方向はわかっても、正確な位置がわからない。
でも、しばらくすればコウモリ同士の情報交換で目星もつくだろう。>>84 ]
いるの? いた?
[ どこかの建物らしい。
特定できたら、コウモリを呼び戻して、今度は道案内させよう。
途中で何かと遭遇したら、それはそのとき。*]
― 路地裏 ―
おーい、クレメンス…
[今度は、うっかりまずい道に踏み込まないように。あれに見つからないように。
建物の陰にひとつひとつ隠れながら、路地を進んでいた。
タルボシュの街の地図は頭に入っている。
よちよち歩きの頃から慣れ親しんだ故郷、ここらも毎日友達と駆け回って遊んだもんだ。
平凡だけどそこそこの楽しいことがあった人生。俺の周囲にいる顔ぶれはずいぶん変わったし、中には思い出すたびやりきれなくなる別れもあって]
おーい
[つまり、いやな別れ方は勘弁、って話。
危ないとはわかっちゃいるけど、仕立て屋を探す理由なんてそんなもんだった]
……知らないわ。
[そう、自分は何も知らされなかった。教会が何を以てこんな行動を起こしたのか。何故自分だけが派遣されたのか、何も知らないのだ]
(そう――全てが中途半端。吸血鬼を狩るならもっと大々的に人を集め、山狩りを行うように根こそぎ狩るべきなのに。あんな吸血鬼一匹を狩った事を針小棒大に触れ回る必要はない、はず)
[そしてそれは自らの疑問でもあったのだ。何故わざわざ見せしめなどしたのか。領主は何故吸血鬼への憎悪を突然持ったのか。家族が狙われたのかと思ったが――一人娘は元気に騎士と行動を共にしていた]
[悲鳴がいくつも聞こえて来て、あー皆んな、まだ生きてたなって現実逃避]
いやいや、
俺はベッドで安らかに死にたいぞお
[死地に命を拾えとは、穏やかじゃない。最初っからだけど。
まさかほんとにぶすっとやってみせろって言うのか*]
[呼び寄せた侍女の前に、騎士が立ちはだかる。
実力行使も辞さないという構えに、手を振って双方を止めた。]
見上げた忠誠心だけれども、
そんなに気を荒げてはお姫様が怯えてしまうよ。
彼女らは人を傷つけることなどできないよ。
心配なら、お姫様の言うことだけ聞くようにしておこう。
お姫様には、ゆっくり眠っていてもらいたいからね。
[声によらず囁けば、侍女らは頭を下げて壁際に控える。]
[視線を椅子の上の少女に移し、微笑みかける。]
心配要らないとも。
目を閉じて、お眠り。
朝になって目覚めれば、全ては夢だよ。
おやすみ。
もっと良い夢を見られるように、
おまじないを掛けてあげよう。
なにも怖くないよ。さあ、瞼を閉じて。
[吸血鬼の瞳が淡く光るのは、術を使っている印だ。
同じ光が、少女の瞳にも仄かに灯る。*]
[それは、身を翻して教会から離れるところだった。
突如、空より降ってきた流星が教会の鐘楼を掠め、石造りの屋根を破壊した。
鐘が一つ鳴ると同時、重い衝撃と共に近くの石畳が抉られる。
内外に落下する石の塊。
響く悲鳴。]
……っ、…
皆、無事か?
[振り返れば、その場にいた青年の部下は踏み止まったようだ。
周囲を警戒すべく視線を巡らせ、鐘楼が崩れた事に気付く。]
知らない?
そう……知ることは許可されなかった
[鳥が囀るように喉の奥を震わせる。
一歩、ナネッテへ近づいた]
― 2 ―
お前は無辜の民を護ろうと、使命に従い自らを贄に選んだね
強い信仰、強い意志は美しい
[美しいものは愛おしい。と微笑んだ]
でも何故──民を導くにお前しかいなかったのかしら
そもそも、この地に
お前は最初から贄とするために置かれていたのでは?
だから今、このように
魔物に捧げられている?
― 広場 ―
なぁ、教えてくれないか。
[暗闇から姿を現した女は、徐にその場にいるであろう吸血鬼に問いかける。]
吸血鬼はどういった存在なのか。
それは、あの時身体が動くのは、私ただ一人だったから――
[そう。この街の
(まさか……)
[自分がこうしてただ一人残ったのはあくまで偶然だった。だが、それがなければ――城の陥落と共に自分も同じ運命を辿っていた。それも教会の意図だったのだろうか]
笑止な。
魔性の存在、それこそが平穏を乱しているものを。
[ どの口が忠告めいたことを言うのだと、抑えた声で応じる。
顔見知りの侍女たちの出現に、姫が動揺しているのは背中で感じられた。
城の者同士、争わないでほしい、と思っていることだろう。
その意を汲むように、わずかばかり盾を下げる。
傀儡の侍女たちも、壁際に退いた。]
[ 侍女らに指示を出しているのだとばかり思っていたが、紅の魔性は姫にまで術をかけようとしていた。]
── なにをしている…!
[ すぐさま介入したものの、魔術は騎士の領分ではなく、力及ばない。
姫は瞼を閉じ、呼びかけの声も届かないようだった。]
…く、
[ 魔性が口にしたまじないの言葉通りの効果を発するものであれば、姫に害はなさそうなのが、かろうじて救いだ。
魔法の夢に囚われた姫が、眠りのうちに椅子から落ちぬようにと支える。
抱えて寝台へ運ぶ所存だ。*]
― 2 ―
それは偶然?
それとも神の御心だと言えるのかしら
あるいは、貴方を操れる誰かの糸引きでも?
[少しだけ苦しそうに眉を寄せる]
最初から、ずっとこれはおかしいけれど
そう仕向けたのは吸血鬼側ではないわ
──その誰かは、お前を
”殉教の聖女”にしたかったのだね
[眠りに落ちた姫を騎士が抱き上げる。
寝台へ運び、寝かせるのを見守ってから袖を翻した。
もうこれで、姫に用はないだろうとばかりに。]
ではゆこうか。
[返事を待たず、歩き出す。
ホールならば、動き回るのに不都合はないだろう。
彼の想像通りのことから始めるのも良い。*]
……!
[そんなはずはない、とは言えなかった。そう考えると、全て辻褄があってしまうのだ。
何故派手に功績を触れ回ったのか? 吸血鬼を呼び込むためだ。
何故聖騎士達が出撃から外されたのか? 余計な犠牲を出さないためだ。
何故雇われ狩人が主力だったのか? 彼らは教会の戦力ではないからだ。
何故自分だけがこの街に派遣されたのか?
――はじめから、自分を帰天させるためだ]
(……でも)
[説明できないこともある。何故この街が選ばれたのか。何故今だったのか。
――そして、何故自分だったのか。自慢ではないが自分は敬虔な聖女であった。
全てを捧げてきたと言っても過言ではない。なのに何故――]
惑っているの?
可哀想に
[緩く首を振った]
言葉は力を持つわ、ナネッテ
私を撥ね退け、聖句を口にすればきっと逃れられる
/*
図書館に居るの、それなりの空気感で吸血鬼に発見されるというのが当初の計画なんだけど、派手に破壊が始まったし計画変えた方がいいのかな…
神はお前に越えられる試練しか与えない
けれど……人間は違うわね
課した役を降りたなら、もうお前を生かさない
一度魔の手に堕ち穢れたお前は最早、信仰によって処断されるべき異端
何故?
さあ──お前が美しいからかしら?
お前が肉感的で、お前が香り立ち
お前自身が誘惑で、堕落と退廃を招くから
[それは魔性だもの]
どう想う?
― 広場 ―
[暗闇から滲み出るように現われた人影は、まだ年若い女の姿をしていた。
弓を下げたまま、おもむろに口を開く。]
知ってどうする。
血族の悠久の歴史の重みと、支配種族の権能を前に、頭を垂れるか?
[僅かな揶揄の響き]
支配種族…?
[返ってきた言葉に怪訝な顔をする。
矢を見て以来頭は不思議と冴えている。]
そんなつもりは無いが。
何を考えてるのか不思議だっただけだ。
[鞘に収めたまま地に突き立てた大剣の柄に両の手を置いて、片割れに並び立つ]
分からぬのならば、そなたは血族ではないということ。
血族でないならば、獲物だ。
[女が剣を抜いたのを認めると、一歩前に進み出て、自らも大剣を構える。*]
同胞でない者よ。
おのが命を自らの手で掴み取る道を選ぶのならば、騎士として礼を尽くそう。
……オトヴァルトの子、アデルムンド、参る。
人間の事を下等な種族だの餌だのと思っているのかとは思っていたが、支配とまでは思わなかったな。
陽の中を生きられぬ者よ。
[手に持つ剣は強度が出ない関係で純銀製では無い。
刀身の根本に十字架の意匠が施してあるもの。]
前触れもなく人間を襲っておきながら騎士として私に振る舞うのか。
[瞳には怒りの色が滲む。
懐がじわりと熱くなるように感じた。**]
[瓦礫のつぶてが止み、続けての攻撃もないとみて身体を起こす。]
なんだったんだ?流れ弾かな。
俺は平気だけど姉ちゃんは怪我…
[していないか、と尋ねかけたところで、はたはたと赤色が床に散った。
見れば、自分の左腕が切れて、血が滴っている。
おそらく、飛んできた木片が当たったのだろう。]
い、つつ…っ
まずいな、これ…。
[気づいたと同時に痛みが主張してくる。
咄嗟に傷口を押さえた手の下から、なおも血が零れた。**]
ああ…
[パニックの痕跡なんかはあっても、領主の城と違って町の方はまだ、日常の姿のままだった。
それが、どうだ]
いやあ、はは
こうなるともう、悪夢っていうより悲壮感あるなあ
[抉られた地面、打ち砕かれた木戸。真っ暗な空に赤い月ときた]
死地に命をかい……
[見慣れた、ずっと暮らして来た街が壊れている。そこらじゅうに残ってた思い出も、なんだかもうどんな姿だったか思い出せないような気がした。
まあそれでも突っ立ってたってしょうもないって話]
ふう
[蝙蝠がいないか、と覗いた曲がり角。
そこのひとつ先の角の家、軒横に生えていた林檎の樹、樵が狂ったみたいに根元で折れて、倒れていた。
その近くに赤い光の球があって、誰かが松明でも持ってるかと思ったけど]
[犬スゴイイル。
ひえって声は口を塞いで、物陰にそのまましゃがみこむ。
犬、えっ犬?狼でしたよ?そんなの聞いてないぞ]
……
[しかも誰か狼に乗ってたように見えた。
森の妖精さんかなあ、はは。
動けば音がするに決まっているし、とりあえず息を止める。
加齢臭とか朝食べたサラミのパンの匂いがしないことを祈ろう。
誰に祈ればいいんだ?とりあえず昔飼ってた犬のチョビに祈ろう**]
[ 街を移動する最中、禍々しい流星雨が空を貫いて走った。>>115
宴の始まりに絢爛公が仕掛けたのとはまた異なる、狩りの角笛のような朗々たるもの。
驚いて外に飛び出してきた人間を蹴散らして狼は走る。
普段、荒事からは距離を置いているウェルシュにとっては目新しい感覚だ。]
いい、 もっと…!
[ 背をそらして、笑みを弾けさせる。]
[ と、狼の一匹が物陰に隠れた人間に牙を剥いた。>>144
ウェルシュも覗き込んでみる。
大柄な男だ。]
なんだろう、アイツとは似ても似つかないけど、アイツにゆかりがあるような。
…ねえ、おじさん。
吸血鬼に会ったらどうすればいいか知ってる?
[ 挨拶がてらに声をかけてみた。**]
[ 踵を返した紅の魔性の背を睨むが、その後を追うことはしなかった。]
お傍を離れるわけにはいかない。
[ 眠っていれば安全という式は成り立つものではない。
操られている侍女たちとて、何の保証になるものでもなかった。
紅の魔性が、彼なりに要請に対処してくれているのは感じる。
むやみと拒絶したいわけではない。
ただ、]
彼女が目覚めた時、わたしの姿が見えなければ不安に思うだろう。
[ 姫を守ることが最重要なのは譲れなかった。]
ええ?は
[ガブ!とやられなかった。普通に話しかけられた。
ぎゅむと瞑っていた眼を開ける]
えー……
[しゃがんでいるので、必然見上げる形。
森の妖精さんか狼人間かというシチュエーションだが、やっぱり吸血鬼?らしい。たぶん自己紹介ぽい。今の発言]
そうだなあ
いや生憎、知らない。やっぱりまずは挨拶からじゃないか?こんばんは
というか、君
もしかして広場で処刑されるとこだった"吸血鬼"かい。たぶん
災難だったもんだなあ
[こっちは端っこだったし遠目にちらっとくらいしか見ていないが。
おどろおどろしい触れ込みだったのに、あれじゃ普通に普通の優男じゃないか、って思ったような。
真っ赤な目玉に尖った牙の狼が唸っている。
その鼻息にあてられながら動じないなんてわけはなく、どっちかというともう死を前に思い出振り返りモードの現実逃避めいたトーンで*]
― テラス ―
[双子が去り、仔もまた揚々と出かけていった。
背後では鳥籠の中で領主夫妻が嘆き怯えているが、それだけだ。
城の中からは、配下のものたちが騒ぐ声も聞こえてくる。
街の広場から天へ伸び、驟雨となって降り注ぐ矢の技は目を楽しませ、届く音と悲鳴は気を高ぶらせた。]
私も、行きましょうか。
主催が動かぬままというのも、よくありませんからね。
[言い訳めいて口に出し、立ち上がる。]
せっかく開いた盛大な宴です。
楽しむとしましょう。
―――ね?
[囚われの領主らに笑みを投げ、テラスの端から仰向けに身を投げ出す。
一拍の空白を挟み、沸き立つようにコウモリの群れが飛び立った。*]
私が……私だからいけなかったの……?
[聖句を口にすることも出来ず、戸惑いの言葉が口から漏れるだけ。
信者を誑かす淫魔だと言われようとも、それ以上の信仰を捧げていれば、それでよかったと思っていたのに。
そう思っていたのは自分だけだったのか――]
私は――
[まだ堕ちては居ない。だが――もし自分の存在が都合の悪い者が居るならば。
それは大した問題ではないのだ。
仮定であったとしても、糾弾の道筋が作れればそれで十分だからである]
>>149
挨拶は大事だね──って、何その普通の挨拶!
[ 吸血鬼に対してなら、もっとこう大仰にしてみるべきでは? とばかりの不満顔。]
ましてや「処刑」って言ったね。
あれは、もっと、こう──壮大な言葉で言い換えられるべきだ。
それに人間ごときの同情なんていらないぞ。
[ 文句をまくしたてた後、一転。
不意に詩を吟ずる。]
──ああ、
しんとした舞台から
悶えでる、血塗れのものよ。
それは悶えて、のちうちまわる。──臨終の悲鳴をあげて
道化役者は餌となる。
[ 獰猛な笑みを見せて、狼の背から、うずくまる人間を見下ろした。]
さあ、ぼくが七つ数える間に、何かこの場に相応しいことを言ってみて!
しくじったら、あの塔の上まで咥えていって、落っことすからね!
[ 一方的に宣言するのだった。*]
あ、はは。大丈夫だってこれくらい。
見た目は派手だけど、そんなに深くないから。
[油汗かきながら言うことじゃないけれど、見栄を張りたくなることもある。
女の子の前なら特にね。
探してきてくれたタオルケットにナイフを当てて細く裂き、包帯代わりにぐるぐる巻き付ければなんとかなるだろう。
血が止まるまで暫く掛かりそうだけれど。]
でも、こいつはちょっとマズいな。
俺はここから離れた方が良さそうだ。
吸血鬼って血の匂いに敏感だからさ。
一緒にいたら姉ちゃんまで見つかっちまう。
[よっ、と立ち上がり、扉の方へ顔を向ける。
大丈夫、入り口あたりは別に被害もなさそうだ。*]
あるがままでいることを憎まれるなんて
[そっと胸の前で左手を握る]
可哀想に
[一歩を踏み込んだ]
― 1 ―
でも、それでいいの……?
骸を晒し、偽りの殉教者として名を記されるか
死地に命を拾い、そして唾棄すべき魔女として彼らに焼かれるか
──人間たちが私を焼いたように!
[青い翼を広げ、十字架ごと包み込むように彼女を抱擁する]
お前の信仰を愛し
お前が老いて死ぬるまで、その祈りを護るのに
[薄い背に左腕を這わせるように身を寄せれば、胸の膨らみが二人の間で撓んだ]
でもそれも、お前が拒むのなら、叶わないのだね
[細く柔らかな首筋に唇を触れさせる。
甘く匂い立つ命露の拍動]
さあ、ここでは言葉は力をもつ
「はい」か「いいえ」を選ぶ自由があるわ
私を……*受け容れてくれる?*
[騎士が動かない気配に、足を止める。
ゆるり振り向いて、彼の言い分を聞き、静かに頷いた。
無言で指を挙げ、眠る少女を指す。
寝台の下から伸びた闇が、繭のように少女を包んだ。]
これでいいかい?
[唇を三日月の形につり上げる。]
おまえはまだ勘違いをしている。
この屋敷にいる限り、脅威になるのは私だけだ。
おまえの大切な姫を守りたいと思うならば、
おまえは私の歓心を得続けなければならない。
さもなくば、私はおまえたちを投げ出して、
宴を満喫しに出かけるだろう。
そうなれば、どうなるか。
――― わかるだろう?
[窓の外、指さした先で無数の矢が街に降り注ぐ。
誰の仕業かしらないが、誰かが"楽しんでいる"に違いない。]
い、いやいやいや
[なんだって?今なんて言った?
この場に相応しいこと?]
相応しさのヒントとか
[もっとこう、なにか壮大な言葉、を求めてるって話だろう。
この状況で浮かぶわけない。読書家でもない。のに。
吸血鬼は本気らしかった。こんな時なのに、やっぱり綺麗な顔した男だなモテるんだろうなとか]
[えーとなんださっきの詩?「血塗れ」と「餌」しか頭に残らなかった。
でも塔の高さから落ちるなら即死だろうし、狼に食われて死ぬよりマシかなあ]
……
[思い浮かばない。もう7つ数えるところ。
えええええええーいままよ]
しんとした夜に星がふる
ねむれいとしき子
女の胸はしろく あたたかく夜を綴じる
ねむれいとしき子
まぶたをとじ、涙にぬれ そうしてねむれ
夜に星がふる、ふる、 朝がくるまでねむれ
[諳んじたのは子守唄。
俺の母親がじゃなく、妻と二人で1節ずつ考えた昔の*]
/*
フリー枠増える??
アレクシス/レト/ゾフィヤ/メルヒオル
ギィ・シェットラント
ウェルシュ・ダルメシアン
ミリアム・ナネッテ
シルキー・双子
私は……
[紡いだ言葉がまるでふわふわと浮かぶように、思考に再び靄がかかる。まるで二人を包み込むかのように青い翼が広がる。目の前にあるのは――]
わた、しは――
[感覚の無くなりかけた背に、引き寄せるかのように腕が回る。まるで――]
――
[天使のような口付けが、首筋に――]
神は――人々にこのように触れたりなさらない
[そうだ、目の前にいる存在は、まるで天から舞い降りた天使のよう。
――だからこそ、違うのだ]
貴女は――私の救いではない!!
[思考が急激に晴れる。指先が動き、握り締めた拳から血が流れる。歯を食いしばり、出来うる限り身をよじってその唇から逃れようと藻掻いた*]
ひとーつ、 ふたーつ、
[ 嬉々として数を積み上げていったら、案の定、市井の大男は慌てふためいた様子を見せる。
何を言ってくるかと思ったら、]
[ 聞いていたら、おかしな気持ちになった。]
っは! なにさ、── ぼくらが夜、眠らないことも知らないの?
[ 焦れる。どうしよう。
これ以上、切なくなる前に逃げたいような、ただでは済ませられないような。*]
[もう一度腕に巻いた布の具合を確かめて、荷物を右肩に背負い直す。]
それじゃ、俺、行くから。
姉ちゃんも、ひょっとしたら場所を変えた方がいいかも。
ここ、けっこう汚れちゃったから。
[図書館の床には、そこそこの血痕がついてしまっている。
これに吸血鬼が反応するかわからないけれど、用心はした方が良い。
と忠告だけして去るつもりだったけれど、なんだか彼女の様子が気になったので言葉を続けた。]
[ 勘違いをしている、と指摘されて唇を引き結ぶ。
街が破壊される様子を示され、拳を握りしめる。]
──…、
[ 差し出された手を睨み──、歩み寄って、殴りかかった。]
そんな顔しないでいいって。
吸血鬼狩るのが俺のお仕事で、姉ちゃんを守るのはそのおまけっていうかオプションみたいなものだからさ。
それにさ……。
[一瞬真剣な目をして、崩れた天井の穴を見る。]
俺があの吸血鬼を狩ったから、
あいつの親が怒って、街を襲ったんだとしたら、
今の状況って、俺にも責任あるのかなーって思うしさ。
貴君の言葉が真ゆえに、な。
[ 彼我の力量の差、そして姫の安全のために自分は彼に従わざるを得ないだろう。
だが、城下の人々の生活を破壊されて、従容と受け入れるほど遜るつもりはない。
その思いを一撃に託す。*]
……って、いやいや。
俺、頼まれた仕事しただけだもんねー。
[ないないない、と右手をぱたぱた顔の前で振る。]
けど、いちおーなんとかするよう頑張ってはみるよ。
期待してて。
[なんて、一世一代の見得を切ってみた。*]
あ、一発言落とし損ねた(
>>=18の前にこれエア補完↓
[ 黒い繭が姫を包み込むのを目の当たりにして、思わず駆け寄る。
姫を助け出そうと試みたが、滑らかな闇はすべてを弾いた。]
…檻ではないか!
[ 次第に姫の自由が奪われてゆくことに抗議をしたが、姫自身には囚われた自覚もないだろう。
繭を透かして朧げに見える姿は、天蓋付きのベッドで眠るのと大差ない。]
― 牢 ―
[タルボシュ領主の城、その、牢。
傷つき囚われた近衛騎士の姿もいくつかある、その奥に黒衣の魔女はいた]
あらあら──振られてしまったようだね
[喉元でくるくると微笑んで。
壁に磔のごとく吊るした聖女の首を左手で掴んだ。
現と幻覚の狭間にいた彼女の目の奥から、紗が晴れるのを見つめ]
では、仕方がないわ
お前には"官能"を教えよう
そして堪え難い渇きと、罪の味をね
……可愛らしいこと
[彼女の指先が拳を握り、歯を食いしばり、そして身をよじってもがき尽くそうとも。
吸血鬼の牙はもう、そうと決めた通りに聖女の喉へ埋め込むばかり。
毒をもつそれは、どの糧を得るにも、
痛みではなく、心を灼くほどの快楽を与えて来た*]
― 街中 ―
[広場の方角で進むが、すぐに速度は落ちる。
視界に入るのは先程の蹂躙の痕跡。
壁や屋根の崩落した建物。
行き場を失い、逃げ惑う人々。
怪我を負った人。
親とはぐれて泣く子供。]
……、…。
[一度に幾つもの箇所を破壊した攻撃。
あのような攻撃が幾度もあれば、この街は壊滅的な打撃を受ける事だろう。]
[騎士様、と助けを求める子供の声が聞こえた。
損傷の酷い家の前に向かって話を聞けば、瓦礫の下に弟がいるのだという。
柱に足を挟まれて、一緒に出る事は叶わなかったと。
彼は小さな身体で隙間を縫い、何とか這い出る事が出来たのだろう。
発達途上の身体を包む衣服はあちこち擦れ、手指は血で汚れていた。]
……これ、は、
[下手をすれば、その弟はもう生きていない可能性もある。
けれど、泣きじゃくる子供を放っておけなかった。]
お前達、手を貸してくれ。
[そうして壊れた家屋から建材を拝借し、夜闇の中、部下と共に瓦礫を慎重に崩し始める。
探し人が生きていない可能性は考えないようにした。*]
[意外と、忘れないもんだなこういうのは。
咄嗟の苦し紛れは、さっき吸血鬼が詩を吟じたからで]
……
[最後の一節までうたって、ちらっと見上げた]
いやあ……知らんのだけど
眠らないのかい?
……怖い夢はみない?誰かと抱き合って歌いながら眠りたくなったりはしなかったかい?
[東の空が白んでくるのを、どんな気持ちで見てきたか*]
― 街中 ―
[渦を巻いて飛ぶコウモリは、極小の竜巻のように人間を攫う。
隠れていようと屋内だろうと、お構いなしだった。
上空に攫われた人間は地上に戻らず、
紅い灯火が連なって夜空へ昇っていく。]
……少々、華が足りませんね。
[どこからか声を出し、黒い竜巻は思案するように止まった。]
もっと多くの光があれば街全体を彩れましょうか。
人間たちが集まっている場所を探してみましょう。
[良いことを思いついたと、コウモリたちが揺れる。
人間の気配がいくつも重なる方向へ、再び動き始めた。
途中、崩れた家にとりついている人間たちも、ついでに拾っていく心算で。*]
――――ッ!!
[牙が身体に食い込む。痛みはなかった。自分の中から何かが失われていくような感覚は一瞬だけで――そんなことよりも強く感じたのは]
――っ、は……ぁ……
[熱い。
何かを流し込まれたかのように、首から全身に熱が広がっていく。
その熱は全身を駆け巡り、やがて――]
(なに、これ……ッ!!)
[その熱は、やがて身体の胎に集っていく。力が入らない。握り締めた拳が力を失い解かれる。弛緩しそうになる身体に鞭を打って、目の前の吸血鬼を睨みつける]
なに、を……
何を、したの……ッ!!
[吐く息に篭る熱を逃そうと深く息をすれば、紡ぐ言葉は途切れ途切れになる。
知らない。こんな感覚は知らない。一体自分の身に何が起きているのか、乙女には理解ができていなかった*]
[ああ――― そうだ。
ようやくおまえの心が私に向いた。
身震いするほどの喜びを覚えて、彼を迎える。
殴りかかる拳を手のひらで受け止め、握り、
引き寄せて彼の背に手を回す。
さながら、ダンスのステップを踏むように。]
それでいい。
もっと、私を楽しませて。
[耳元に囁くついで、耳朶を牙の先に掛けて、ちらと舐める。*]
― 広場 ―
[一歩下がり、片割れを見守る。
女が血の秘術や吸血鬼特有の異能を行使するのでなければ、加勢するつもりはない。
女の言い分に眉をひそめる。
何故急に怒り始めたのか、双子には全く理解できなかった。
双子は、名のある大家ではないとは言え、所領を治める古い貴族の嫡子だ。
人間が血親から血を分けられて転化した後天性の吸血鬼ではなく、生粋の吸血種である。母は元は人間……今は亡い神に仕える巫女であったが、父の求愛に応じて吸血鬼の血を受け入れ、双子を産んだ。
滅多に生まれぬ純血種とあって、両親の愛情を持って育てられ、幼少より貴族の子弟に相応しい教育を受け――要するに、人間の入り込む余地など一切
[吸血鬼以外の生き方など知らず、貴族として生き――一般的なヒトの王侯貴族が身分低い民草を自分たちと同等の存在とは見做しにくいのと同じように、ヒトが自分たちより劣っているのは当然と考える。
人間とは、自分たちと似た姿をし、言葉を喋り、抵抗の手段を持った、賢い狩猟獣に過ぎぬ。
ヒトにとっての鹿や兎の類と同じ、ただ時に狼や虎といった猛獣が混じっていて、運悪く狩人の方が命を落とす。それだけ。]
[ 人間の言葉など、まともに吟味しなくたっていいのだけれど、問いかけるような口調につい引き込まれていた。>>174]
歌い踊りながら寝るとか、そんな器用なことできるわけないよ!
嘘じゃないなら、やってみせて。
[ 当然のように命じたところへ偵察に出していたコウモリが、狩人の居場所を見つけた。]
ちょうどいい、抱き合う相手を見つけてあげる。
[ ウェルシュの指示で、狼の一匹が大きく口を開けた。
咥えて一緒に連れてゆくつもりだ。*]
[美しい肉体をもっていながら、魂がそれを拒絶していたのか。
聖女の血潮は、地表に孵ったばかりの湧き水のように澄みきって清冽。
舌に甘く喉に熱いそれをたっぷりと味わって、啄ばんだ首筋から唇を離した]
美味しいわ
夢中になって、溺れてしまいそう
[生命活動を損ねない程度の搾取にとどめたことを、褒めてあげなければ。
ふふ、と微笑んで、深い牙痕を刻んだ首筋へ甘く接吻する]
もちろん、キスをしたのだよ
渇くでしょう?欲しくなる?
血を、精を求めて体と舌とが疼き出すかしら
[乱れた息を吐く唇へ左の指を触れた]
牙を貸してあげるわ
心配しなくても、仮初めのもの
朝まで、姦淫の罪の味に耐え、人の血を啜らずに生き延びられたなら
呪いを解いてあげてもいいわ
さあ、アズリウ
ナネッテの鎖を解いてさしあげて
それに近くにいる人間の男たちもね
[近衛騎士たちの目からは既に正気が奪われている。
欲情と興奮の、獣めいた匂いが凝る牢内を見回せば、ばさりと大鴉が飛び上がって牢の鍵を開き始めた*]
[ 握り拳は、しっかりとした手応えに包み込まれた。
そのまま、引き寄せられて間合いがゼロになる。
楽しげな様子が、触れ合った体から伝わってきた。
それでいい、という。
やはり武術に興味があるのか。]
[ 人の体でもっとも体温が低いとされる耳朶に、なおも冷たい魔物の唇と牙と舌が触れて、三様の戦慄を呼び覚ます。
思わず息を吸い止めたのを、予備動作にかえて、抑えられた拳とは逆側の腕を振るい、肘打ちを狙った。
シェットラントは護衛という立場上、剣術だけでなく格闘にも覚えがある。
人型の魔性に手加減することはしなかった。*]
踊りながらとは言ってな──
[訂正のために開いた口から、げぇ、と変な音が漏れた]
いやいや、いやいや結構ですう
[ぶんぶん手を振りながら、逆の手で探る。何を?腰のベルトのあたり]
俺、奥さん一筋なんでちょっとそういうのは
[目の前に迫るデカい口。
唾液が糸を引いているのが光って見えて、湿った息がかかって]
……ごめん!
[縦に。
ダーツを狼の上顎と下顎の間に突っ込んだ。
反射的にか口を閉じようとする狼の動きを最後まで見ずに、跳ねるように立ち上がる。
おそらく人生で2番目くらいに機敏な動きで、狼達に背中を向けて細い路地へ逃げ出した!*]
[一瞥で刀身の十字架の意匠には気付いている。
抜いた剣にそれがあったればこそ、戦うに足る戦士と遇したのだ。 ]
先手は譲るつもりだったが……
そちらが打ち込んでこぬなら、こちらから行く。
[未だ収めたままだった鞘を一瞬で抜き払い、地面を蹴って一気に距離を詰めた後は大剣を頭上から振り下ろす。
シンプルな、だが吸血鬼の身体能力を十分に使った神速の、そして極めて重い一撃。]
まずは小手調べだ!
[受けるにせよ避けるにせよ、十二分に鍛えた天賦の才持つ剣士か、ヒトならぬ者でなければ、真っ二つに斬られて終わりだ。
女の技量と、受け継いだ吸血鬼の血の濃さを計る意図。
死ぬなら所詮その程度の存在。]
[ふと、後ろから暖色の光が差した。]
……ありがとう。
[見ているだけではいられなかったらしく、
子供は建材を拾ってきて、付近を照らす灯りを作ったらしい。
教会で松明でも借りてくればよかったが、あの場で多くを望む事は出来なかった。
瓦礫を避けているものの、その先から助けを求めるような声はせず。
疲労と嫌な予感ばかりが積み重なっていく。]
…私の父は、この街の騎士だった。
幼い頃、吸血鬼と人間、それぞれに抱いていた憎悪の念を晴らしてくれたのは父だ。
個々を見定めろ、と。
[別れの時の冷たい手の感覚は今もこの中にある。]
騎士である父を尊敬していた。
>>188
訂正も拒否も、させないんだからな──
[ 優越感を取り戻して、大男が狼の牙に捕獲されるところを見物しようとしていたら、]
…あ?!
[ 謝罪の言葉と狼のけたたましい鳴き声が重なった。
人間ごときの反撃で、使い魔がこれほど痛手を被るはずがなかった。]
なに、 なんでッ
[ のたうつ狼の姿にうろたえている間に、大男はまろびゆく。]
[動きを制された上での、間髪入れない攻撃。
容赦のなさが、心を躍らせる。
打ち込まれる肘に手を添えて逸らし、彼の周囲を滑るように回り込んで背中側に身を寄せ、鎧を留めるベルトに指先を掛けた。]
邪魔なものは、外してしまおうか。
[ひとつ、ベルトが断ち切られる。*]
……急ぐぞ。
[中空を飛ぶような灯など、人間の手ではなし得ない事。
吸血鬼の仕業ならば、このまま居続けるのは危険だ。
子供を教会か、何処か安全な場所に連れていかなければ。
──安全な場所など何処にある。
過った考えを切り離し、作業に戻った。
蝙蝠の羽搏く音がする。
近付く度に振り払いはしているものの、数は増えてきたように思う。
陽が落ちて空を覆う必要がなくなり、自由に飛び回るようになったのかもしれない。*]
[ 狼が黒い霧となって消えた後に、光を反射させるダーツが転がっていた。
見覚えのある、それ。]
アイツのだ…! 仲間だったのか。
おい、戻ってこい!
[ 路地の奥に向かって怒鳴る。
同じような武器を他にも隠し持っているかもしれないことを考えると、狼を送り込むのは躊躇われた。
狩人も追わねばならない。]
── 今度見つけたら、塔の二倍の高さから落とす!
[ 言いおいて、今は先を急ぐことにした。*]
/*
城からやって来るアレクシスさんからはまだ距離あるかなって事で、一つ。
城と教会の距離感って一般的にどれくらいなんだろう。
うぁ
[突然拘束していた鎖が全て外され、強かに地面に叩きつけられる。立ち上がろうとしたその時、擦れ合う脚の付け根から水音がして――その正体に気づき赤面する前に]
『アアアアアア!!』
『オンナ!! オンナア!!』
『モマセロォ!! ハサマセロォ!!』
ひィっ!?
[男達の叫び声と檻にがしゃがしゃと激しく金属の何かがぶつかるような音に、本能的な悲鳴を上げてしまう。
身体に灯っていた熱が一気に引いた。――未知への恐怖心が勝ったのだ]
(逃げなきゃ……逃げなきゃ……!!)
[縺れる足を何とか奮い立たせ、男達から逃れようと動き出す。しかし牢の入り口はひとつだけ。しかもその場所には吸血鬼が立っている。青褪めた顔を向けながら、どうすべきか考える*]
― 路地裏 ―
[戻ってこいって言われて戻るやつがいるもんかって話。
暗いし、すっかり様変わりした路地でも、まだわかる。極力入り組んで、終われにくそうな方へと走って、走って]
は、ふ
いだぁ!
[躓いて転んだ。
膝をしたたか打ってゴロゴロ悶えて、呻きながら止まる。
また急に全力疾走なんてしたもんだから喉も脇腹も痛い]
……はあ、ひい
にげ、きった……?
[ぐったり**]
/*
あとバーサーカーの台詞、
『チチシリフトモモォ!!』
も考え付いたけどあんまりにあんまりすぎてシリアスブレイクしちゃうので没
[ 攻撃は抵抗なく逸らされ、ダメージを与えられない。
シェットラントの動きさえ計算の内のように、紅の魔性は背後に移動していた。
鎧の留め具が壊され、わずかな解放感と偏った重みの違和感を同時に味わう。
こんな攻撃を受けるのは初めてだったが、半端に装着した鎧は確かに邪魔になる。]
──ふッ!
[ 間合いをとって体勢を整えようと、振り向き様に低い回し蹴りを放った。
動き続けよう。
それが、逡巡を差し挟ませないことにもつながる。*]
アデルムンド、お前が騎士を名乗る事で、
騎士…、父を穢されたように感じたが…… 父は人間だ。
吸血鬼にも騎士道というものがあるならば、
[小さく息を吐く。]
私は知りたいだけ。
[吸血鬼でも人間でもない存在だからこそ。]
厭ね
汚らしい
[騎士達の声を聞いてわずかばかり肩を竦めた。
牢の扉を開き終えた大鴉が吸血鬼の手に戻ってくると、その首を優しく撫でてやる]
なあに?どいてほしいの
いいよ
[微笑み、聖女だった女に背を向ける]
ではさようなら、ナネッテ
ご馳走様
>>203
夜に星がふる、ふる、 朝がくるまでねむれ
[ 妙に覚えてしまったじゃないか。]
いいや、
朝がくるまでに
[ 一曲分待っても戻る者のない路地を一睨みして、残り5匹の狼とともに、狩人を探しに向かう。]
[攻撃を逸らされ、鎧に手を掛けられても、騎士は動きを止めることなく冷静な表情で更なる打撃を放ってくる。
もっと別の表情が見たい。欲望が胸を焦がす。
体重を感じさせない動きで飛び下がり、回し蹴りに空を切らせる。
少し離れて鑑賞したい。
戦いに臨む彼の躍動と、ひとつ留め具が外れた故に垣間見える、鎧の下の肉体を。]
自分で脱ぐかい?
それとも、私が全て外す?
[問いかけながら、指先で彼を誘う。
仕掛けて来い、と。*]
[自らの血で編み出した武器は、重さも大きさも可変。今は人間でも持ち上げることが可能な、一般的な大剣に収まる重さ。……今はまだ。
手応えと女の反応>>207から察するに、受け止める方を選んだは少々無謀だと思うが、口には出さず。
そのまま圧し切ろうと腕に力を加えたところで、女が重みを受け流し、懐に飛び込もうとするのを察した。
剣技では適わぬと見て、組み付いて何かの異能を使うつもりか、と一瞬で判断し、素早く片手持ちに切り替える。]
小手先の技では勝てないぞ。
[こちらから先に押さえ込もうと、交差させるように女の襟首に腕を伸ばす。
決して侮っていた訳ではないが……僅かばかりの油断があったのは否めない。*]
― 図書館 ―
[ 予想外の出会いと損害だったけれど、これで、この街をめちゃくちゃにしていい理由がさらに増えたと思うことにする。
ウェルシュは、コウモリの先導で、狼は堅牢な建物の屋上へ至った。
そこも、先ほどの"落星"で毀たれており、内部に至る亀裂が走っていた。
コウモリが階下へと入り込み、書架の間にいる二人の姿をウルシュに見せる。>>161>>165 ]
女の子を侍らせているなんていいご身分だね。
ぼくを売ったお金でデートにでも誘ったのかい。
[ 呼びかけてやれば、血の匂いを嗅ぎつけた狼たちも一斉に遠吠えした。**]
[ 思惑どおりに間合いをとることができたが、彼の存在感は少しも薄れることがなかった。
鎧の留め金をすべて外してみせることもできると、そんな挑発じみた言葉を投げかけてくる。]
──…、
[ 中途半端に壊されて動きの不自由が生じているが、短気をおこして自分から鎧を脱いだりはすまい。
鎧を剥ぎ服を切り刻むのが楽しいなら、してみるがいい。
肌を晒したところで恥じらう乙女ではないのだ。
招く指先には小さく頷いてみせた。
それでもすぐに突っ込むことはせず、この部屋の中に魔に有効な手立てはなかったかと思考する。*]
[離れて眺める彼の立ち姿はやはり美しい。
鎧を外すかと思ったけれど、彼は脱がされるのを望むようだ。
ならば、ひとつずつ剥がしていこう。
おまえの心も。
誘いには頷きが返るが、すぐには向かってこなかった。
視線が探るように左右に揺れる。
何を躊躇うのかと思ったが、ふと得心した。
目を動かして彼の視線を暖炉の上に誘導する。
イコンが飾られた小さな祭壇に、銀の燭台があった。
そう。銀だ。
蝋燭が刺さっているピンは十分に長く、鋭いだろう。*]
[罠に嵌める。
人質を取るなど卑劣な手段を用いて手出しできないようにした後、数を頼んで押し包み攻撃する。
我らより肉体も精神も脆弱なのだから仕方ないのかも知れないが、その振る舞いはおよそ騎士道とはほど遠い。
一体一体は弱いが、群れをなすと手強くなる鳥の群れに等しい。
父や同族の話を聞いて、高潔な者も一部にはいると知ってはいるが、到底一般化できるものではない。
穿った見方をせず、女の話を素直に取るなら、この女の父がその数少ない優れたヒトであるのだろうが……。*]
……そなたは幸運だったな。
そのような父親に育てられて。
あー。うん。あいつだよ。
あんなんでも吸血鬼だし、お供もつれてそうだし、
まー、なんとかなるとおもいたいけど。
とりあえず、どこか奥の方に逃げてて。
なるべく窓のないところがいい。
[姉ちゃんに囁いてから、視界にちらつく黒いものに向かってダーツを投げる。
逃がしたコウモリだろうか。コウモリの区別なんてつかないけど。]
[彼女の答えもダーツの行方も見ずに駆けだした。
背の高い書架の後ろに飛び込む。
天井の穴からは射線が通らず、扉は狙えるところ。
かち、とボウガンを操作して準備する。
今度は、上下二段の連装式だ。]
よう、色男!
パパに泣きついて、助けてもらったんだって?
女の尻追いかけるのをやめて、覗き魔に転向かい?
[ボウガンを両手で構えながら、挑発する。*]
[渦為すコウモリは時折人間を拾い上げながら、歩くほどの速度で街の中心に向かっていく。
戦う双子らを遠望しながら、向かうのは鐘楼の欠けた教会の方向だ。
空から触手を伸ばすように人を攫っていくコウモリの群れは、多くのものがごく最近目にしているだろう。
城の前の広場から吸血鬼を連れ去ったものだ。
気づいた民が逃げようとするのを、無造作に拾っていく。
異様なものの接近に気づいた騎士が警告の声を上げたが、直後に彼も渦に吸い上げられて消えた。
僅かな間があったのち、剣だけが落ちてくる。
またひとつ、紅が空へ昇った。]
これは……
まだ騎士が生き残っていたのですね。
[声が先に降り、コウモリたちがなだれ落ちるように集まって人の形を為していく。
黒一色の人型に色がつけば、宴の主催が端然として現れた。]
絢爛公と呼ばれております。
どうぞ、お見知りおきを。
[周囲にいる人間たちに向けて一礼して見せる。
その視線が、瓦礫をどかしていたものたちに向いた。>>197]
何をなさっておいでですか?
[小首を傾げ、不思議そうな声音で問う。
まったく意味がわからないという顔だった。**]
[ 視線が流れる。
イコンが飾られた小さな祭壇に、銀の燭台があった。
そう。銀だ。
蝋燭が刺さっているピンは十分に長く、鋭いだろう。
答えを誘導されたのだと気づくこともなく、それを手にとることに決め、魔性を警戒しつつ暖炉の方へと近づく。*]
[慌てて牢の扉を閉めて全力で体重をかける。この扉が突破されればもう終わりだ、この数の包囲を突破できるはずもない。がしゃがしゃと鉄格子が音を立て、男達の攻撃を凌いでいた。
――だが]
ひあッ!?
[音が止んだと思った次の瞬間、鉄格子ごしに伸びてきた腕が胸を鷲掴む。まるで自分のものでないような声が出て、思わず身体が硬直してしまう。無数の手は次第に自らの腕に、脇腹に、尻に、足に絡み付いてきて、身を捩って逃れようとする。その時を待っていたかのように、扉が破壊され身が投げ出された]
あ……ぁ…
[どうにか半身を起こしたところで、その光景が目に映った。
入り込んでくる。入り口に犇いていたものたちが。
彼らの瞳があったところにはまるで闇そのもののような何かが渦巻いていて。
口からは歓喜とも取れぬ荒い呼吸が、口から煙でも漏れ出すように染み出していた。
彼らの下半身は一律に何かが盛り上がっていて、流石にそれが何であるかはわかってしまった。
やがて先ほど自分の身体に絡みついた一対の腕が、こちらに伸びてくる]
ゃ…やめて……
[尻餅をついたまま少しでも彼らから逃れようとするが、すぐに壁にぶつかってしまう。
やがて足首を掴まれて、男達の集う中央へと引きずり倒されて]
い……ぃや……離して……
[周囲から一斉に手が伸びてくる。両手両足は完全に地面に縫い付けられ。フードは力に負けて頭から外れ、聖衣が無理に引っ張られて悲鳴をあげた]
やめて、離して、やめて、許して、やめて、やだ、やだ、やだ、
イヤぁぁぁぁぁぁ!!
[力の限りの拒絶の叫びを上げたが、男達が止まることはついになかった**]
[ 狩人は少女と離れた。あっさりとしたものだ。>>217
彼が投げたダーツが、偵察コウモリとリンクしている視界に迫り、その臨場感に、ウェルシュは思わず狼の背中で大きく仰け反った。
傍から見たら、不思議な光景だったろう。]
…っ! 危ないヤツめ!
[ ダーツに懲りているウェルシュは警戒し、自分の代わりに4頭の狼を天井の裂け目から送り込む。]
アイツの手足を噛み裂いてしまえ!
武器に気をつけるんだよ。
[ ウェルシュ自身は、少女の方へ向かうことにした。
狼に乗ったまま、軽やかに跳躍する。
床につけば、近くにこぼれていた狩人の血を材料に、何匹もの赤い毒蛇を生じさせた。
毒蛇は少女を部屋の隅の方へと追い詰めるべく、展開して這ってゆく。**]
― 城内 ―
[ドレスの裾を片手で持ち上げ、優美な螺旋を描く階段を登っていく。
鳥の羽搏きとしては不自然なホバリングでその頭上を飛ぶ鴉へと顔を向けて、ため息をついた]
どうしてかしら
私は人間を愛しているけど、人間の方はそうではないと
時々忘れてしまうの
[階下から響く人間の声>>223に、鴉は盛んに首を傾けた]
あら、大丈夫よアズリウ
あの子には牙を貸してあげたもの
私の作った白磁の牙だからね、獅子の爪より鋭──
あら……使い方、教えたのだったかしら?
まあ、ふふ
でもどちらでも構わないじゃない?
私の教えた官能が育ち花開くのもまた嬉しいこと
あの子なら、三千世界で最も美しいサキュバスになれるかもしれないね
― テラス ―
あら……絢爛公はおられないの
[声を降らせ、テラスに姿を現わす。
火傷した掌をお見せしようと思ったのに?小さく呟いて]
ねえ
お前たち
[置かれたままの金の鳥籠を覗き込んだ。
テラスの手摺に留まった鴉はのんびりと羽繕い]
此度の狼藉、お前たちはどういう企図ではたらいたの?
[ドレスと同じ生地の長手袋を出してそれへ指を滑らせながら]
だって、お隣さんだもの、気になるでしょう
私の工房は陶工たちも絵付師も、坑夫もみな人間だわ
だから、領主とはうまくやってきたのよ
……タルボシュもそうだと思っていたのだけど?
まあまあ、そんなに泣かないで
責めてるわけではないの
そう、愚かさの代償はかくも重かったということだね、可愛らしい
[可哀想と可愛いの区別がついていない物言いで優しく微笑み、鳥籠の傍を離れた]
──アレクシス
私、また教会のある方へ行きたいの
エスコートしてくださるかしら?
[テラスの手摺へふわり飛び、外へ踏み出す。
次の瞬間には密集した蝙蝠に抱かれ、街へと舞った*]
[流れるように剣を握る手首を返す。
小手先と言われようが意に介する事もしない。
脚力こそ他に突出していたが、それ以外は人間の男性よりもやや優れる程度の力しか持たない自分が正面から吸血鬼と戦って勝てるわけが無い。
あらん限りな力で柄を握りしめる。]
[導かれるまま、騎士は凶器へと向かう。
使いようによっては吸血鬼をも殺せるだろう。
人間の祈りを込められ続けた銀だ。]
私を殺せば、
[無造作に立ったまま、声だけを寄越す。]
この屋敷に施した封印は、朝になれば消える。
おまえたちは宴が終わるまで、
おそらくは安全に過ごせるだろうね。
[狼は狩人にまっしぐら。
コウモリも追ってこない。
かといって逃がしてくれるわけではないらしい。]
(あれ、絶対噛まれちゃいけないやつだよね…)
[奥へと逃げる私の視界に映り込む蛇>>225
うん、どう考えても使い魔だね。あんな赤いの見たことないもん。
飛び越え…ようとはしない方がいいよね。
踏み越すなんて論外。
噛まれる『だけ』で済むならいいけど、毒あったら詰むし、そもそも吸血鬼が差し向けてる(と思う)動物に噛まれるのは絶対駄目。]
…あ。
[蛇を避けて本棚の間を進んでいく。
…この蛇達が陽動だったと気付いたのは奥まで辿り着いた時だった。]
*
[街を破壊され冷えた衝動はやり取りの中戻りつつある。背筋に感じる燃えるような熱さ。
手首から甲を覆うプレートが冷たく光る。
攻撃を受ける時に守らねばならない場所、装備の仕方、反対にどこを潰せば相手が動けなくなるのか、狙うべき場所は何処か、
父親が教え込んだ戦い方は生き延びるための泥くさいもの。]
[腰には盾の代わりに受け流し用の短剣として使用している銀のスティレットがさがっている。
そのものが十字架の様な形態であるが、それは刀身の根元が通常のものよりも太い特別なもの。
隙を作りながら一撃で仕留めるしかない、できる事はその程度。]
[すまない、心の中で呟くが動きには迷いはなく、襟首を掴もうとする腕の上から吸血鬼の顔面に向けて容赦なく柄を振り下ろす。
先の細くなった改行の柄頭は骨を穿つもの。
吸血鬼にどの程度の効果があるか分からないが、通常であれば人を殺傷できるであろうその攻撃も、彼女にとってはただ攻撃の隙を作り出すためのものに過ぎない。**]
[騎士の前に立ちながら、ふと微笑する。
掌を出してなにか持ち上げる仕草をした。]
貴方のお望みのままに。
[闇に乗せて囁いて、己の指に軽く口付ける。
教会へというのならば、ちょうど上を通るだろう。>>231
甘やかな血の香を感じて、もう一度舌先で触れた。*]
おい!腰抜け!
[必死になって狼たちの攻撃をしのぎながら声を張る。]
やっぱり女しか襲えないチキン野郎かよ!
そんなだからあっさり狩られるんだよ、この軟弱吸血鬼。
狩人なんか、怖くて近づけもしないんだろ?
[立て続けに悪口をまくし立てる。
なんとか注意をこちらに向けたいところだ。*]
[ 図書館の奥の方へと追い詰められてゆく少女を見つけた。
狩人が騒いでいるのを強いて無視して少女を追う。
彼女がかすかに漏らした声を聞いて、気分が高揚した。>>234]
こんばんは、お嬢さん。
[ 赤い蛇の後ろから挨拶する。]
おや ── 君は黒い服を着ているんだね。
とても似合うよ。
艶やかな黒い髪も ── そのまま
ぼくはウェルシュ。 君の名は?
[ 興味しんしんな様子で尋ねる。*]
― 広場へ ―
[この一晩でもう一年分くらい走った気がする。
転んで強打した膝をさすりさすり、空を見て、道を見て、後ろを見てと警戒しながらでは探索も進まないけど仕方ない。
だんだん、仕立て屋の無事よりもよっぽど我が身の心配がメインになってるのはもうそういう状況だ、許せよクレメンス]
……と
[その先は、市民の台所。朝市の広場だ。
馬の嘶きが、と思ってそっちへ足を向けた]
[ちらり。そうーっと確認したその広場に、狼とかはいなかった。
御者にも馬丁にも忘れられた馬がいる。馬と、それと]
人間?
[……ともいいきれない!数秒後に訂正。
どう見ても戦っているようだけど。城の騎士達あんな格好だったか?暗くてよく見えない]
[もしかしてどっちか街の人なら、助けたり応援したりした方がいいのかもしれないけどもうなんの武器も持ってないしラッパも吹けないし]
……
[まあ石を拾って投げるくらいのことは出来るかもしれないけど逆効果を生む予感しかしない、って話……
なんて考えながら、なぜかその場を離れることもできなくて、眼鏡を押し上げて目を細めた*]
[蝙蝠の羽搏きは徐々に近づいて来る。
人出が足りない中での瓦礫の撤去作業は、まだ手前側を除けられたばかりといったところ。
自分の家に取りついている者達は、降りかかってきた災いに呆然としている者が多かった。
>>218そんな中、部下の一人が何かに気付き、家屋から離れていく。
その背中を追った先には無数の蝙蝠で出来た黒き竜巻。]
……レオン!
[剣を構え、人間ならざるものに対して警告の声を上げた部下が、
触腕に捕まれたように竜巻の中に吸い込まれ、消えるのを呆然と見ている事しか出来なかった。
──教会で聖女を救えなかった時のように。
持ち主を喪った剣がからん、と音を立てて地面に転がった。
そうして空に浮かぶ、紅色。
いつの間にかその数を増やしていた灯の正体を目の当たりにして、喉が引き攣れた音を立てる。]
/*
さて、城に一人残されてにっちもさっちもいかなくなったんだがここからどうするか(ゲンドウポーズ)
どっかのタイミングで逃げても、今城内に誰も居ないし……
[何者かの声が空から降ってくれば、残る部下一人と共に己の武器を手に取る。
部下には子供を庇わせて。
空高くあった蝙蝠の群れが滝のように降りてきて、人間の形を取っていく。
黒いそれはよく出来た彫像のようだったが、やがて処刑の場で見たひとりの吸血鬼になる。
>>219洗練された仕草で名乗るのに、周りにいた人間達は引き攣った叫び声を上げて身を縮めている。
心の底から分からないといった顔で向けられた問い掛けに浮かんだのは怒り。
それを飼い慣らそうと、ぎり、と奥歯を噛み締め、
そっと息を吐き出すと“絢爛公”と名乗った吸血鬼に真っ直ぐに視線を向けた。]
…子供の家族を探している。
お前の呼んだ客人とやらの所為で瓦礫の下に埋まってしまったのでな。
[隠す努力はしたものの、語気や瞳の色から、押し殺した怒りは悟られようか。*]
殺す?
[ 魔性が口にした物騒な言葉をなぞるように繰り返す。
彼を殺したりすれば、封印は解けてしまうのではないかと思ったけれど、違うのか。
構わないと、楽しげに笑っているから、受けて立つ気は充分にあるのだろう。
…というより、むしろ試されたいのか。
相手が承知しているならと、泰然と銀の燭台を手に取る。]
── お許しを。
[ 小さく囁いたのは、むろん、目の前の相手へではなく、祭壇に捧げられた燭台を本来の用途以外のことに用いる件についてだ。]
[ 蝋燭を外して祭壇に置き、燭台の重心を確かめるように軽く振ってから、紅の魔性の前へと歩いて戻る。]
未知の領分だ。
[ どうなるかわからない、と言いおいた後、まずは両手に燭台を持って、渾身の力で横薙ぎに胴払いをかけた。
風を切る鈍い音を聞く。*]
/*
フランツとライナーは以前に死んだうちのPCシリーズです。
レオンはNPCでした。
後死んでるのはフィオンかな?
一時的にならシメオンもですが。
\がんがんお世話になってるわけじゃないのに、RP村の死亡キャラで5人チーム作れてしまう/
あと一人はその時のフィーリングで決めます。
/*
もうちょっと処理能力が生きてたら2IDで吸血鬼もやってみたかったですね…。
バランス的に女子かな。
ミリアムさんが淑女なので、弾けた合法ロリとかで。
[手加減してやる余裕などなかった、が正解だった。
吸血鬼の全力だ。常人ならば腕ごと千切れていてもおかしくない。]
…… ……
[皮膚の裂けた額からひとすじ、血が流れて伝う。
垂れた前髪の間から、若草色の瞳が爛々と輝く。
『相手に合わせて戦ってやる』という傲慢、完全に慢心が生んだ油断だ。]
あの、クソ、吸血鬼がっ!
[奥に行った吸血鬼は、こちらの方を見ようともしない。
なんとか狼を片付けて、助けに行かないと。
とはいえ狼たちの攻撃は激しく、正直なところ逃げ続けるだけで精一杯だ。
頭も良いのか、ボウガンを向けただけですぐ躱される。
何度かダーツも投げてみたけれど、当たらなかった。
まずい。
これはジリ貧というやつだ。]
[暫くそうして逃げ続けていると、妙なことに気がつく。
狼たちの攻撃が手や足の先に集中していて、首や胴などの致命的な箇所には向かないのだ。
そういえばあの吸血鬼が、手足を引き裂け、とか言っていたな。
狼がそれを守っているのだとしたら、チャンスはある。]
見てろよ、この犬ッコロども。
[荷物に手を突っ込んで中のものを掴む。
そのとき、狼の一頭に足を噛みつかれ、バランスを崩して倒れ込んだ。*]
[広場に新たに生じた匂いと気配がひとつ。
血族ではない。ヒトだ。
隠れているつもりなのか、隠すつもりもないのか、周辺からすっかりヒトの気配が薄くなっている以上、丸わかりである。
片割れから目を離さずに、ヒトに向かって声を張り上げる。]
そこにいるのは分かっている。
隠れていないで出てこい。
(…やっぱりこっちに来てるのね。)
[狩人の言葉>>240で感付いていたことだけど、本人の声>>241がすればもう間違いない。
溜息を一つ吐いて振り返れば、蛇を従えて奴が居た。]
どうもこんにちは。復讐はいいの?
[事の重大さに見合わない冷静さで聞き返す。
何故ならここは袋小路。
恐怖の感情は希望があるから発生するんだよ。]
初対面で随分口説いてくるんだね。
名前は…悪いけど名乗らないでおくわ。
吸血鬼(あなたたち)の事はよく知らないけど、多分名前って重要だと思うの。
[魂取られるとかそんな話は吸血鬼だから無いと思うけど、契約とかしそうなイメージを持っているから軽率に教えるのは躊躇われる。]*
[周囲で沸き起こる怯えた声は気にも留めず。
真っ直ぐ見つめてくる騎士の視線を、感嘆の面持ちで受け止める。
歯を噛みしめる筋肉の動き。
紅潮する頬。ひそめく吐息。
やはり、人間は美しい生き物だ。
その命散らすのもまた美しいのは、言うに及ばず―――]
家族を、ですか。
その下に?
[律儀に答えは返ってきたが、やはり、首は傾げたまま。]
あれは、私に仕えてくれているものたちの技です。
見事なものでしょう?
[客、というのを訂正したのち、視線を瓦礫に向ける。]
ですが、そこにはなにもいませんよ?
それ以上は、ただの骨折り損です。
[変わらぬ端正な笑みを浮かべ他まま、ゆったりと騎士に歩み寄る。*]
[ 少女からは、意外に冷静な返事が戻ってきた。>>255]
その落ち着きっぷりもいいね。お嬢様らしい。
復讐は、ね。
アイツは、
あの方は、この闇の下で行われるすべてをご存知になられるのだから。
[ 後ろでなおも喚いている相手にも聞こえるように言ってやる。]
[ 名前を教えないという少女に、ふむ、と腕組みして思案顔。]
それなら、ぼくが名前をあげよう!
──アナベル・リイ。 麗しいひと。
ねえ、その黒もいいけれど、城にくれば、もっと上等な黒いドレスがあるよ。
ぼくと一緒に来ない?
[ 見つめる目に魅了の力をそっとこめてゆく。*]
[燭台を手にした騎士の、小さな祈りが耳に届く。
些細なこともゆるがせにはしない態度が好ましい。
彼の両手に、燭台もしっくりと収まっているようだ。
戻ってきた彼を、両手を広げて歓迎する。]
私が初めての相手だね。
[嬉々として答え、身体を傾けるように前へ踏み出した。]
[風を唸らせて振るわれる燭台を、腕で受ける。
同時に、身体をさらに前へ投げ出して、威力を殺した。
彼の横をすり抜けざま、またひとつ鎧の留め具を爪の先に掛ける。]
―――ああ。
予想以上だね。
[抜けた先で彼に向き直りながら、甘く息を吐いた。
燭台を受けた左腕の衣が、焼かれたように焦げてほつれている。
その下の肌もまた、水ぶくれを起こしていた。]
燭台の力だけではない。
おまえが振るっているからこそだろう。
[軽く腕を振れば、袖に開いた穴が塞がる。
腕の傷は、その下に隠された。*]
あれ
[戦ってる2人だけじゃなかった。
3人だ。いや、あれ2人?分身してる?]
えーと…
[邪魔にならなさそうなくらい遠くで立ち止まったけど、状況はやっぱりさっぱり読めない。いったい]
ちょっと、痛そうだけどその、君たち大丈夫かい
少し休憩してお茶でも飲むべきじゃないかね
[怪我してるじゃないか、の目*]
― 広場 ―
[のそのそと姿を見せた男は、匂いからして混じりけなしのヒトであるのは間違いない。
特に武器らしい武器も携行しておらず、戦意もなさそうと、何故 そこにいたと問い詰めるのもバカバカしいほど、のどかな顔つき。
ちらりと目をやったがすぐに戻し、]
向こうに話しかけるな。
気が散るだろう。
……吸血鬼にも、身分の別があるのだったか。
あれだけの力があれば、城一つ容易に落とせそうだ。
[>>257戦う者としての感想を零しつつ、仕える者、との訂正に生家を思い出す。
そこまで強い家ではなかったが、それでも仕える者はいたと記憶している。
もう六年程は帰っていなかったし、今後、帰る心算もなかったが。
瓦礫を一瞥した吸血鬼の言に薄花色を瞠る。]
……っ、…。
[分かるのか、と目は問うていただろう。
言わないで欲しかった、とも。
子供がそんな事はない、と叫ぶのを背中で聞いていた。
憐れんだ。羨んだ。
もしも青年が死んだとして、そのように哀しむような家族など居ない。
束の間、瞳の色は陰りを見せたが、子供の泣きじゃくる声に我に返る。]
お前が戦士でないのは身のこなしを見れば分かる。
それでも臆せず話しかけてきたのに免じ、この場で害すことはしないと、我が血にかけて誓おう。
[しかしそれにしても。]
お前、暢気すぎないか。
[いくら何でも。
道化の類なのだろうか。]
ああ
[気が散る、と言われて口を閉じたけども]
……
でも、だって、まだ続けるのっていうか?止めた方がいいんじゃ
痛そうだし、なんか、様子がおかしく…ないかい…?
[向こうにじゃなければいいんだ。というわけで、もう一人の方。
なのかなんなのか、目がチカチカしてきたけどそちらに、おずおずと]
[ 初めての相手という発言に、わざわざ頷いたりはしなかったが、魔物狩人ではないのだから自明の理だ。
彼から学び、その場で己が血肉とする所存。
間合いを詰めてくる動きのせいで、打撃点は手前にずらされ、威力を削がれる。
弾けるような音がしたのは、シェットラントの鎧の方だった。]
── 、
[ 銀器に触れただけで焦げた服は、魔性の一部だったらしい。
果たして痛みを感じているのか。
何故か嬉しそうな声からはよくわからなかった。]
[ こんな扱いをしても歪まない頑丈な燭台を作った隣国の腕のいい職人を心の中で称賛しておく。
檳榔卿は、使い手にもよると褒めてくれたようだから、会釈しておいた。
次は、より急所に当ててゆくつもりだ。
鎧を少しずつ壊すのを彼の好きにさせているのも、その動きの速さに慣れ、順応するための手立てである。
今度は、盾を前にかざし、燭台がどこから襲ってくるかわからないようにして、攻める。*]
あれ
[そういえば暢気すぎるな。どうしたんだろう]
ちょっとさっき緊張とか怖いのとかが振り切れちゃって
もう、一周まわって平常心?って話…?
はは
[正気を失ってるのかも知れない。まずい気はするけどどうしようもない*]
/*
家族に恵まれない設定…。
せめてダンピールに生まれていたら、父親を探して殺すとかも出来るのだけど、それもない。
ニア、自分の父親が別の男だったら、はあるけど。
自分の中に「騎士」しかない男だなぁ。
休日とかでも黙々と鍛錬とかしてそう。
仕事引退したらやる事見つからなくて困るタイプ。
[あの教会へ。
だって、聖女は最後まで私の手をとらなかった。
その犠牲は捧げられず、盟約は結ばれていないのだから。あの聖堂へ毒を流し込んでも構わないということ]
あら
[闇は右の手袋を透かして、指の背に触れた>>238
空に舞う黒(青)い蝙蝠の風]
[儚く光が漂っては、蝙蝠の影がひとつ、ひとつ。
増えていく空。
鴉はするりと旋回して街を遠望する]
[エドマンドとアデルムンド。対にして一の者。亜麻緑。
あんなに美しくて香り高いのに、どうして好戦的なのかしら。不思議。
ウェルシュ。あの仔。美しい囀り。モーブ銅。
どうやら気を取り直したよう。幼くて愛らしい子。ああ図書館にいるのだね]
[流れる血は僅かでも、純血の吸血鬼の血は強く衝動を誘った。
抱き上げる腕も大丈夫だと頭を撫でる手も既に無く、]
……、
[塞がってゆく傷を濡れた瞳が見上げていた。]
……ああ、待って
子供が泣いているの?
[それにアレクシス、貴方がいる。
教会へ至ろう空から、半ばで軌跡を変えて。
蝙蝠に抱かれた吸血鬼はその街角へ降りていく]
ふうん。
[ヒトに対する知見を得た。]
しかし、恐怖に溺れて蹲るよりは好ましい。
己を無力と見做して何もしないのは、怠惰と言うんだ。
[自分はこの、際だって見目が良い訳でもない、若くもないのヒトの男に少しばかりの好意を抱いているのに気付いた。
巻いた餌を懸命につつく、ふくふくした雀とか、腹を見せてくる愛想の良い野良猫に抱く程度の好感ではあるが。*]
[苦々しく、口惜しく、無力感を押し殺し、
肯定する騎士の内心を思い描く。>>265
苦悩になお磨かれよ。美しき人間よ。
自身の配下の力を認められるのは嬉しいこと。
それより喜ばしいのは、彼らの心が軋むさまを間近で見ること。]
私には、人間の命の光が見えています。
その色も、輝きも。
[否定し、叫ぶ子供の声は耳に障る。
けれどもその嘆きの色は良い。
さらに磨き、輝かせてあげたいと願う。]
[構えられた長剣の切っ先に、白手袋の指を伸ばす。>>269
それをつまんでしまえるほどの距離で、騎士の目を見つめた。]
――― 苦しいですか?
[問いかけの声は、染み入るように穏やかで柔らかい。]
認められたい。
なにかを為したい。
そうでしょう?
なにも為せぬまま、手からこぼれ落ちていくものを、もう見たくはない。
そんな表情をしていますよ。貴方は。
[揺らがぬ視線は、心の奥底までをも覗き込むかのよう。]
[どのぐらい時間が経ったのか、常夜の今は知る術もない。
意識を取り戻したとき、自分の視界は上下に揺れていた。――揺さぶられているのだ。
始まりに感じたのは激痛。まるでナイフで身体を抉られる様な、そんな鈍く鋭い感覚で。
気持ち悪さと、痛みと、自分のものではない熱。それらが交じり合って、暗闇に溶けていく。
意識が遠ざかっていく時、気持ち悪い心地良さが身体を支配したところまでは覚えている]
[揺さぶりが止まる。それが何を意味するのか、もう今の自分には分かってしまう。
今日だけで幾度と無く繰り返されたことだ。最初は泣いて懇願したような気もするが、もう無駄と分かると何をしようという気概も湧かない。ただただされるがままに獣欲をぶつけられるだけ。妊娠への恐怖も、諦観に塗りつぶされて消えてしまった。
聖騎士に女性はほとんど居ないが、祓魔師にはある程度女性が居る。魔物との交戦、とりわけ
(のど……かわいたな……)
[男達はそう操作されているのかどうかはわからないが、子を成さない部位――口や肛門などだ――に一切手を出して来ない。必ず胎内で果てるのだ。結果としてもう一つの疼きは、代替すらも満たされないままに渦巻いていたのである**]
[今は騎士から視線を逸らさぬまま、降りてくる白に意識だけを漂わせ寄り添わせる。>>277
ふわりと一羽のコウモリが舞い上がり、出迎えるような顔でひとしきり淑女の周囲を巡ったあと、膝の上を求めた。*]
宴は楽しんでいただけていますか?
貴方の心を歓ばせるものがあれば、嬉しいのですが。
[囁く声は、コウモリを通じて響く。]
怠惰かい
そいつは……そうだなあ、強い者の物の見方だ
[すごいな。と
感心する。してしまう]
ずっと蹲ってるように見えて、それでも、そのうち立ち上がれたりすることもあるんだけどなあ……
>>271
黒は確かに好きだけど、それだけじゃない。
君に似合うと思うから、勧めてるんだよ。アナベル・リイ。
君は若くて綺麗だ。
ぼくはそれをもてはやしたいし、君は永遠にしたいと思わない?
ぼくには、その力があるんだよ。
ね、一緒に、行こう。
[ 少女の足元に寄って行った赤い蛇が、急かすように鎌首を持ち上げて牙を剥く。**]
…知らないんだ、
[血の匂いが薄れるとぐったりと頭を垂れた。
酔っていたのだろうか、次第に存在を増す腕の激痛に小さく呻いた。
近くに何十年前の友人がいた事には気付いていない。]
……失望させてすまない。
[舌打ちは聞こえていたようだ。]
[言葉少なに向かい合う彼の眼差しは真摯なもの。
技量の全てを掛けて対峙しようという姿勢が伝わる。
胸の内に興奮が湧き起こる。
触れることが、痛手を受けることすら快い。
彼の鎧を全て剥ぐまで、あと何手掛かるだろう。
それまでに、彼はどこまでみせてくれるだろう。
期待の吐息が唇から漏れる。]
[再び向かってくる彼は、盾を前に押し出している。
右に避けようか、左に飛ぼうか。
逡巡するのも、これが彼との対話だからだ。
驚かせてみよう。
そんな、じゃれ合うような気分で彼を待ち構え、ぶつかる直前で跳んだ。
盾を蹴ってさらに跳び、彼の肩に両手をついて体勢を変え、そのまま背後を取ろう。
考えるままに、身体は軽やかに宙へ舞う。*]
私、子供の泣く声は厭
だって悲しいのだもの
[張り裂けそうな嘆き、喪失。
それは美しいけれど、まだ
私はどうだったか。
血父が亡くなった時?
ショックだった。はず。なのに何故か、どうして彼が死んだのかも思い出さない。
ほんの最近のことに思えるのに。きっと50年もまだ経っていない。
ただ深い喪失感と、胸を満たす昏い感情があったことは覚えている]
― 街中 ―
まあ
[寄ってきたコウモリの羽ばたきを追って首をめぐらせる。
膝に乗る愛らしい仕草に、愛しい鴉へするようにその頬を指先でくすぐった。
連なる屋根の高さまで漂い、見下ろせば、その辺りには光があった>>192
崩れて醜い姿を晒す家屋の近く]
失望?馬鹿なことを。
[剣を納め、ぐったり頭を垂れた女の前に跪く。
痛みに呻く女を見つめるその顔には、侮蔑の色はない。]
勝負は一時預けよう。
名誉を賭けた闘いで、万全の態勢でない者に勝っても誉とはならない。
[手甲を緩め、手首を露出させると、そこにすいと爪を走らせた。
膚に緋色の線が引かれ、暗い輝きを含んだ血の珠が盛り上がる。]
ええ、面白いわ
[コウモリの喉を撫でて、ふわふわと微笑んだ]
まだ主菜をどうするか決めかねているのだけど
……私もなにか、槍でも持参すれば良かったかしら
[書架の向こうで交わされる会話は、耳に届かない。
悲鳴も聞こえないから無事だと信じたいけれど、嫌な予感は積み重なる。
足に噛みついてきた狼の首筋に、冷静に太矢を撃ち込む。
弱い聖別しかもらってないから、これだけじゃ倒しきれない。
けれども、一度引かせる役には立つ。
寄ってたかって襲ってくる残りの狼たちも、意図がわかればどこを狙ってくるかが見える。
牙や爪を何度か受けながらも、都度、太矢やダーツで打ち払う。
だが狼の毛皮は厚く、なかなか打撃が通らない。
やはり、柔らかな場所を直接狙うしかない。]
[繰り返す攻防のただ中に、その一瞬が見えた。
口が裂けるほどに開き食らいついてくる狼の口に、自ら腕を突き入れる。
閉じられる牙が腕に食い込み、激痛が肩へ駆け上ったが、構わず引き金を引く。
直後、狼の悲鳴が上がった。**]
[強者に生まれ、強くあれと育てられた者には、弱者の心を真実知ることはできないだろう。例え死よりも惨い死が待つと分かっていても、名誉のために闘うのが戦士と生まれた者のさだめであるから。
と、急に慌てた様子で大声を上げ始めた男にぎょっとする。]
あっ、馬鹿!
[殆ど瞬間移動に近い早さで男の背後に回り、口を塞ぐ。
一応、脛骨をへし折ったり、窒息死させたりしないように手加減はした。
何となく、折角餌付けした雀や人懐っこい野良猫を殺すのは忍びない、くらいの気持ち。]
戦士の決闘を妨げる気か。
万死に値するぞ。
[躾のつもりできつく言い聞かせる。
鋭い犬歯の生えた口が耳元で囁けば、いくら良い声でも危機感は感じるだろう。*]
[>>279もしも己にあの力があったなら。
一人安らげる場所を作る為に使うだろう。
それが具体的にどのようなものかは知らないが。
貴族の子弟であっても、
まして疎んじられた身では尚の事、成人したとて家から与えられるものはない。
居心地の悪い家から出るのなら、騎士を目指すのが一番早かったのだ。
そうして選び取った今では唯一つの道。
けれど、これ程までの無力感を味わったのは初めてかもしれない。]
……それも、吸血鬼の力か。
[ならば、青年の命の光も見えているのだろうか。
さぞかし醜い色だろうと思う。
部下が宥めているのが聞こえるが、子供の泣き声は止まず。]
……やめ ろ。
[呻くように声を発したが、その声は弱々しいもの。
触れられる程近くにあれば、切っ先が細かに揺れている事が見て取れただろうか。
縛られたように彼の瞳から逸らす事が出来ない。
吸血鬼の揺らがぬ視線に対して、青年の瞳は陽炎のように揺らめいている。]
私を見るな…!
[よろめくように一歩下がれば、部下の、青年の名を呼ぶ声が聞こえた。]
だまれ。
零れ落ちさせない。
私は、騎士 なのだから。
[自分の唯一の役割で以て平常心を呼び込もうとするが、
声音は千々に乱れ、繋がりも怪しく、声を張りこそしないものの絶叫のようでもあった。]
[くすぐられてコウモリは小さく鳴く。>>292
クルクルと、喉を鳴らすような音を立て、四つ足でドレスの布地にしがみついた。
この姿なればこその役得を堪能するがごとく。**]
槍持つ貴方は麗々しくありましょう。
ですが、槍などなくとも貴方であれば、
指先ひとつで身を差し出すものもいるでしょう。
私もまた、そのひとりですよ。
[柔らかな笑い声が、コウモリの立てる音と混ざる。]
主菜、といえば。
牢に、なにかを置かれましたか?
あのあたりから、貴方の気配となにか…芳しい香りを感じるのですが。
……
[恐れ多くも絢爛公と対峙する騎士、彼が剣を振るうまでを見て。
背後。
気配もなく子供の隣に降り、薄く軽い体を抱き寄せた。
すぐ側にいた別の騎士らしき男の胸へ手を伸ばし、トンと押す。それで充分]
[まるで闇の帳の中へ引きずり込むような一瞬。
子供の泣き叫ぶ声が弱まる]
どうしたの、坊や?
[耳元に囁けば、引き攣るような呼気の音]
/*
お前達の所為で…!(逆恨み)ってかかっていって、
やられるパターンかな。とか思ってます。
昔読んだ小説では、次男坊三男坊はあまり財産貰えないっていう風に書かれていたけどそれって英国ベースだったかな。
しかし、苗字はドイツ姓()**
……初めて血を吸った時の事は覚えているものか?
[手首をとったまま、まだ口をつける事はせずに聞いた。]
おや、手に怪我をしているのだね
みせてごらん、泥を流して薬を塗ってあげよう
[昏倒した男を踏み越え、瓦礫の一つに腰掛ければ、膝に子供を座らせよう。
先客のコウモリはつまみあげて、胸の間におさめた]
ねえ泣くのではないよ、坊や
あまり可愛いと裂いてしまうからね
[震え、しゃくり上げる子供をあやすように囁いた**]
……
[すぅん、と鼻で息を吸って、それも込みで肺から全部吐き出した。
脱力感。
いまさらだけどこの分身の人──双子?、吸血鬼だよなあやっぱり。すごい歯が尖ってるもんなあ。俺やっぱり朝日を拝める気がしないな**]
あら。貴方の身なら
畏れ多くて……奪ってしまえないわ
[コウモリの被毛は軟らかい。アズリウの羽毛とはまた違う感触を愉しみ、混じり合う柔らかな声にとろりと目を細めた]
牢?
なんだったかな……
ああ、そう
味の良い処女がいたのだけど、振られてしまったの
それで、仕方がないからもう少し醸成させて美酒に仕立てようと思ったのだったかしら
[忘れるところだった、くるると笑う]
でも玉を磨くのに貴方ほどの才はおられない
お気に召しそうだったら、見てあげてくださる?
[ 常に護る立場にあったシェットラントは、今、攻める立場に身をおいて、その自由さを呼吸していた。]
ゆけるところまで ──
[ 夜明けまでの時間稼ぎなど、頭の隅にもない。]
──っ、 お…!
[ 再度の攻撃。
下から擦り上げる銀燭台の動きを躱されたのみならず、真正面から体を躍りこえられて思わず声が出た。
肩に触れた掌の感触はあくまでも軽いものだ。
先ほど、耳朶を弄った薄い唇の感触にも似ていようか。
背後をとられた危機感と、驚異的な身体運用への感嘆が分離不可分に入り混じって、背筋を走る。]
……初めて血を吸った時?
[双子が憶えているはずはない、それは遠い昔、幼少の頃。
ヒトは乳を吸った赤子の頃、初めて食事をした幼児の時のことを記憶しているだろうか?]
覚えていないな。それがどうかしたのか。
[ 触れたい──届かせたい。 もっと。]
退けっ!
[ 槍の石突きで背後の敵をいなす要領で、腰を落としながら、燭台を後ろに押し込む。*]
[初めて双子だけで狩りをした時ならば、少しは覚えている。誇らしく、懐かしい記憶として。
だが、その時の獲物の顔は、微塵も覚えていない。 ]
名前は、シルキーという。
[確かに名乗った覚えがないと苦笑した。
強くて衝動を誘う血の匂いを前にしても思考が働くのは、]
…怖いと言っても、通じんだろうな。
[これまで血を口にしてこなかった自分。
変わってしまうのではないかという恐れ、背徳感。]
[私の喜びと観応したのだろうか。
彼の心が賦活していく。血が熱くなる。
鎧越しにも知覚した熱を、もっと直接感じたい。
背甲に触れて囁きかける。
指先でなぞり、軽く爪を立てる。
人を蕩かすのと同じ仕草に、鎧もまた溶けた。
一瞬闇色に染まった鎧が、形を無くして溶け落ちていく。
絨毯に染みこんでしまえば、あとは名残も残らない。]
もっと ―――
[触れたい。
さらに手を伸ばすより先に、燭台の足が脇腹に食い込んだ。]
ッ …――ふ、
[数歩離れ、甘く呻く。
脆くほつれた服が、細かな灰を散らす。
骨まで響いた痛みもまた、甘美。
婉然と微笑んで、手にした剣を抜く。
先ほどまで彼の背にあった剣だ。*]
[白い手首へと顔を寄せる。
逡巡したような間の後、舌先を這わせる。]
… ふ、
[口に広がる血の味に背筋がぞくりとし、身体を小さく震わせた。
うっとりと瞳を閉じ肩で息をすると緋色の線にあまく食むように口付け、ちゅく、と音を鳴らした。]
[ 肩にかかっていた金属の重量と拘束が変質した。
檳榔卿の指先が背中に触れてきて、もはや鎧が存在しないことを直裁的に悟らせる。]
──っ
[ 猫が玩具を突き回すように鎧を少しずつ破壊して楽しんでいたはずの魔性だが、本気を見せたくなったということだろうか。
溶け落ちた鎧の残滓は、彼の指の延長であるかのように生温かく腰の窪みから鼠蹊部へと伝い落ち、不測の反応を呼び覚ます。
だが、泥とは違い、衣服に染み込むことも絨毯に色を残すこともなかった。]
[ とっさの反撃には手応えがあって、彼の気配が離れる。
だが、その手にはシェットラントのものであった剣が握られていた。
その気になれば、その指先ひとつで人を骨まで切り裂くこともできるだろうに何のつもりか。]
…ふぅっ
[ 呼吸が早く、熱くなっているのは、動き続けているせいだけではあるまい。
戦いのために作られた剣と燭台とでは、勝負に持ち込むのもさらに難しいが、選り好みをしていられる場合ではなかった。
身軽になった分、素早い攻撃で、剣を握る相手の手を狙ってゆく。*]
[ 魅力の術がそれなりに効果を発しているのはみてとれたが、少女の返事は、取り付く島もなく無機質な滑らかさだった。>>312
それはそれで攻略意欲をそそられる。
もっと熱烈な思いを掻き立てたい。
だって、人間の愛おしさって、そこだと思うから。
背後で狼の苦鳴が聞こえて、狩人の方もまだ片付いていないことが知れる。>>297
あまり悠長にもしていられないかもしれない。]
[ ふらふらと歩き出した彼女のくるぶしに、赤い蛇を噛み付かせる。]
…あ、大変! 毒蛇に噛まれてしまったね。アナベル・リイ。
解毒しないと、死んでしまうよ。
その蛇、元はと言えばあの狩人に由来するものだから、アイツを亡き者にすれば効果もなくなる。
[ わかりやすく誘導してやった。*]
[生まれついての吸血鬼には、人間生まれの吸血への忌避感は想像が付かず、怪訝な顔になる。
それでも、彼女が餓えるほど長い間悩んできたのとは伝わる。]
……血は我らの糧、悦楽、生きるよすがだ。
恐れる必要は無い。
[何でもないことのように、それでいて励ますように、
……同時にこちら側へ来いと誘惑するように。]
長く生きていれば、様々なものが見えてくるものです。
貴方の鬱屈も、苦悩も。
[吸血鬼の力といえば、そうだろう。>>300
人は、これほど長い生を持たない。]
それはあなたの魂を磨き続けるでしょう。
手に入らないものを求める度、
手にするはずだったものを失くす度、
貴方は打たれ、鍛えられる。
この剣のように。
[震える剣先は、彼の心の表れだ。
これが止まるとき、きっと彼の魂は輝くだろう。
けれども、剣すら持てず地に落ちてのたうつ魂もまた、かけがえのない美味。]
[この青年はどちらに傾くだろう。
騎士という鎧にすがって、己を保とうとしている彼は。
その鎧は、今にも砕けようとしているのに。
悲痛な叫びのような言葉と、荒く乱れた剣閃を半歩下がって受け流す。
返すのは、言葉の毒だ。]
あなたがなんと言おうと、手遅れかもしれませんよ。
ごらんなさい。
[彼の視線を導くよう、白い手を掲げて彼の背後を示す。
慈母のごとき麗しい表情で、子供を抱く魔女の姿を。]
私は城に戻り、聖女の様子を見てくるとしましょう。
貴方が彼女に何を注いだのか、味見してみたくなりました。
[告げる言葉は、白磁の魔女へと向いている。
彼女の元へ遣ったコウモリは、どうやら胸元から出る気はない。>>308]
それでは。
お愉しみを。
[端然とした笑みと礼を残して、長身がほどけて散る。
無数のコウモリが羽ばたき舞い上がったが、すぐに夜に紛れて溶け消えた。*]
[鎧が流れ落ちた際の、僅かな震えを見逃しはしなかった。
熱い血が、身体の芯まで呼び覚ましているにちがいない。
早く、欲しい。
期待が溢れて吐息が零れる。
彼もまた、そうに違いない。
重なり交わる呼気は、同じ温度をしている。]
[向かってくる攻撃は、速く、鋭い。
右手を狙う燭台を、左手で掴み、引く。
焦げたような匂いと音が立ったが、気にしなかった。
崩した彼の体に向けて、剣を走らせる。
浅く薙ぐ剣の切っ先は、彼の衣服を裂き、肌一枚ほどの傷を与えるだろう。]
ずっと、良い……
[囁いて、燭台から手を離す。
はたはたとこぼれ落ちた滴は、己のものだ。*]
[躊躇うような間ののち、彼女の舌先が傷口に触れる。
瞬間、ぞくりと体を震わせたのが分かった。
吸血鬼の血を受けた者、誰もが味わう恍惚に、彼女も打たれたと確信する。
自然笑みが唇にのぼった。
母の乳房に吸い付く赤子のように、赤い泉に口接ける様を微笑ましく思う。]
……ふふ、 ッん、
[吸血は提供者にも快をもたらす。
じんわりとした悦に浸され、小さく息をついた。]
……ンッ、
[何かを噛み殺すように息を呑む。
傍から見れば前触れもなく、急に雰囲気が変わったように見えたかも知れない。
異変があったのはその一瞬だけで、すぐさま平静な顔つきに戻ったが]
[ 鎧を失った身には危険な剣をまず叩き落とそうと試みたのだが、紅の魔性は銀燭台の攻撃を素手で押さえ込んだ。
そうしておいて、剣を走らせてくる。
シェットラントの胸元を滑った剣先は、涼感の後に微熱をはらんだ痛みを烙した。
糸ほどの細い傷。
己の剣にそれほどの切れ味があるとは驚きだ。
やはり、使い手の力量によるのだろう。
出血しているようではあったが、傷は浅い。
対して、聖なる金属は魔性の肌を焼き、肉体の損壊を招いている。
カウンターを取りにきたにしては、魔性にとって分の悪い取引ではなかったか。]
[ けれど、彼が口にしたのは、歓迎の言葉だった。
痛みを感じていないか、価値観に相違があるのか。]
貴君は、普段、どんな暮らしをしているのか。
[ わざわざ拉致までしてきて試合おうとは、あまり人間と交流する機会がなく寂しいのかもしれないと、ふと疑問が口に出る。*]
[常に感覚を共有している訳ではない――特に戦闘中は敢えて同期を抑制している――けれども、吸血行為は根幹をダイレクトに揺さぶる悦楽ゆえ]
[むずがゆい感覚に襲われながらも牙をたてることはない。
舌で舐めてあまく吸い上げるだけの行為。
頭上から降ってくる吐息には上目で見上げるがそれはほんの一瞬。
欲求に身を任せて舌を這わせ続けた。]
[腕に感じる熱が徐々に引いていく。
感じた事のない奇妙な感触に吐く息は熱い。]
あ……、
[しばらくして指が動く事を確認すると唾液に濡れた手首から顔を離し、不思議そうに顔の前に手のひらをかざし、くちもとを拭った。]
[空気に血の香が混ざる。
濃く香るのは己の爛れた左手だったが、一服の清涼剤のように鼻腔をくすぐるのは、彼から滲む、火照った血蜜の匂い。]
――― 知りたいかい?
[彼の問いが胸に火をつける。
手指から零すよう剣を手放した次の瞬間には、彼との距離をゼロにしていた。]
[絨毯の上で、剣が重い音を立てた時には、燭台持つ腕を取って、背中にひねっている。
手首を押さえ込んだのは灼けた手の方だったが、苦痛の色は見せなかった。]
教えてあげるよ。おまえの身体に直接。
私がなにを思い、何を感じているのか。
[空いている手を彼の胸元に滑らせる。
鋭い爪に裂かれて生地は悲鳴を上げ、下の肌にぷつりぷつりとごく小さな血の珠を生じながら、赤い線が描かれていく。
何本も。*]
けど、戦士の決闘って
今の街の状況じゃあ
[城にはそりゃあ戦士って言えそうな男達もいただろうけど街はそうじゃない。蝙蝠の群に追い立てられたり、狼に噛みつかれるのはほとんどがただ、もともと住んでたってだけの普通の人。
どっちかっていうと、巣を暴き出してのネズミ狩りの、ネズミ側やってるみたいだって話。
今まさに、双子?と戦っていた人の方を見る。
声が聞こえないし何してるのかよくわからないけど握手かね。決闘が終わると仲直りするのかなんなのか。
若い女の子だ。今も顔の角度であまり見えないけどたぶん知らない人──知らない子だと思ったけど──?]
[蛇に噛まれたのを見た私はそのまま顔を上げる。]
…あ、やっぱり毒蛇だったんだね。
じゃあ私はここまでなのかな。
…あ、まだ死なない?そう。
…それであの人は今どこにいるの?
[つらつらと無感情に現実を認識する。
元々淡白な私だけど、正常な思考も出来ない今となってはまるで手の込んでいない機械人形。]*
[取り敢えず渇きは収まったのか、口を離して不思議そうに自分の掌をかざした女に声を掛ける。]
どうだ。気分は。
[と、項垂れてしまったのを見、]
どうした……?
…すまん。
[項垂れたまま、苦笑混じりに言う。]
…私は、この街の生まれだ。
母が出産間近に吸血鬼に噛まれたらしい。母は私を産んで死んだから母の記憶は無い。
[小さく肩が震えた。]
騎士だった父が私を育ててくれた…けど、牙が目立ち始めた頃から、街の人々から迫害を受けた。私の成長が異常に遅かったのもある。
……父は誇りにしていた騎士をやめて私を連れて街を出た。
[街を出る時に父には何と言っただろう。街の人々の目は怖かったが、友達と離れるのは寂しかった覚えがある。]
しばらく前に父が亡くなって、せめて母の元へと思ってこの街に帰ってきた。今日の事だ。
幼かった私を追放した街だ、そう思ったが……、街を破壊されて、腹がたったんだ。不思議とな。
ただの思い出に残る風景、そう思ってたんだ。
[右手で顔を覆う。]
…腹がたって、やり返してやろうと思った。
それで、ここに来た。
でも、
[項垂れた頭は更に落ちる。
金の髪が揺れた。]
[項垂れた頭を振り、しっかりしろと頭を上げる。
ふと聞こえてきた声に視線を巡らせた。]
…… あれは、
[夜目は吸血鬼に負けずにきく。
人の良さそうな、気弱そうな顔立ち。
覚えがある、確かあれは、]
……チョビ?
[いや、違ったかもしれない。その名前は本当に飼っていた犬の名前だったかも。
すっかり青年という時期を通り越してしまった姿を見遣り、まだ少女の面影を僅かに残す女はふらりと立ち上がり手袋を外した。]
[一方的に握った手だ。
一度揺らすと手を離し、引き留められぬ限りは早足でその場を立ち去ろうとする。
すっかり意識の外にあったのか、十字架の宿る剣はその場に落ちたまま。**]
[ 少女は完全な無表情のまま、ウェルシュの言葉を追認する。>>323
追い詰められた人間というよりは機械人形みたいだ。]
そう、まだチャンスはあるよ。アナベル・リイ。
アイツはどこかあっちの方、ぼくの連れてきた狼が足止めをしている。
ほら、音が聞こえるだろう。
気をつけて行っておいで。アナベル・リイ。
これを餞別に贈るよ。
[ そう言うと、少女の足元に寄っていた赤い蛇たちが変形して赤いピストルになる。
持ち方、使い方を簡単にレクチャーして差し出した。]
弾は5発きりだ。
上手く使って、確実に仕留めるんだよ。
[ そうけしかけて、自分は、二人の対決が見物できるところへ移動することにした。*]
はあ
[語られる論理は、なんというか、やっぱり突飛だ。
ホウキでネズミを下水に叩き落としながらそんなこと言われたら、ネズミの側も納得いかないって話だろう]
んー、でも、ひとつわかった気がするな
さっき「死地に命を拾え」って言ったのは君だったのか
[気概、気概かあ。と呟いた]
戦士の人たちには悪いけども
牙も剣もないなら、逃げ隠れするくらいが生きるための精一杯の闘いだなあ
[無力すぎて手も足もぐうの音も出ないだけで、諦めたいってわけじゃない。
あわよくば朝陽を眺めてやろうって気概ならある。
そして一番いい酒で乾杯する。卵焼きもつけよう]
……さっき、この場で俺を害さないって言ったよな?
それってここにいればセーフって話?それとも──
[ 檳榔卿の手を離れた剣が床に落ちる。
その時にはもう、鮮紅が目の前にあった。
覗き込む瞳はさながら柘榴石の核。
身震いするほどに深い。]
── いい、
[ 知りたいかと尋ねられて、問いを撤回したが、背中に回された手は揺るがない。
どこか濡れて滑る感触は彼の傷ゆえか。]
[ こうして直接に感じる生身の人間ならざる体温に、ぞくりとした。
紅の魔性は、剃刀にも似た爪でシェットラントの衣服を、肌を裂く。
すぐにも殺せる力を持っているのに、そうせず弄ぶ様はまるで猫だ。
傷に生じた血の連珠は流れて彼の血肉と混じり合ってしまう。
何かとても──落ち着かない。]
[ このままではいけない。
痛みが、覚悟が血を疾く熱くする。
生殺与奪を握られていることを感じながら、闘志は消えていなかった。]
── させるか…っ
[ 左手を伸ばして、紅髪の後頭部を抱え込むようにしながら、腰を折り後ろに重心を傾ける。
自ら倒れ込む勢いを利用して相手を投げ飛ばす体術の技だ。*]
うん、やってくるね。
[受け取ったピストルは一旦しまう。
怪しまれた時点で勝ち目はかなり減るから、持ってないはずの武器を手に現れない方がいい。]
(まずは闇討ちから始めたほうがいいかな。)
[相手が消耗してることを考えても、冷静に分析するなら正面から戦うのは最終プランだと思う。
危機のふりする手もあるけど、演技は得意じゃないし死角を探すのが優先かな。
彼の元に向かいながらそんなことを考えていた。]*
[問いの直後に返る拒絶は、人間としての本能か。
捕食者を恐れる態度は正しい。
けれども、それだけではないことを教えてあげよう。
破れた服の間に覗く赤い筋に、舌を伸ばそうと顔を伏せる。
その首筋を彼の手が掴んだ。]
……っ …
[身体が崩される。足が浮く。
投げられると察知した瞬間、床へと手を伸ばした。]
[床と手を闇で繋いで支点を作り、身体を押しとどめる。
のみならず、力の方向を変えて彼を抱き寄せた。
倒れ込む彼の体を支え、横向きに身体を回転させる。
柔らかな絨毯の上を一回転して、彼の上に覆い被さった。
見下ろす彼との間を、荒い息が往還する。]
…、 積極的だね。
いいとも。 あげよう。
[身体と片腕で彼を押さえ込みながら、襟元に手を掛け、一気に服を破り去った。*]
[ヒトの男の言い草>>333に苦笑する。
それが不遜であると、或いは蛮勇であると、男は気付いているのだろうか。]
行くのならば、これを持っていけ。
[襟元から装飾をひとつ外し、ぽいと男に向かって放り投げる。
よく見ればそれは、紅玉髄をあしらったブローチと分かるだろう。]
そなたにオトヴァルトの子、アデルムンドへの決闘権を授ける。
それはその証だ。
それを所持している間は、僕より下位の血族がそなたを襲うことはないだろう。
決闘は、夜が明けるまでか、再びまみえるまで、保留とする。
だが、絢爛公やお客人の貴い御方には通じぬ。
心することだ。
― 図書館 ―
はぁ……ッ 、はぁ…、
[自分の息が耳につく。
赤く染まった手足は、痛いと熱いを通り越して、冷えてきた。
良くない兆候だ。
狼を倒せたのは一頭。
それも、腕一本に食いつかせた末のことだ。
残り三頭をどうするか。
……思考が霞む。]
[周囲を囲む三頭の狼は、じりじりと隙を窺ってはいても、飛びかかって来ない。
右手に握った武器を警戒している。
強力なバネの力で白木の杭を打ち込む、対吸血鬼専用の決戦武器。矢が刺さったくらいでは動じない狼の毛皮も、問答無用でぶち抜く。
威力は、口の中に喰らって灰になった一頭が証明済み。
ただし、ボウガンの方は腰に戻していた。
あれは両手を使わないと再装填できない。
遠距離攻撃の手段がない今は、狼とにらみ合う他無い。]
僕は若輩だが、ヒトの子が我らに阿らず、恐れに折れず、さらに加えて貶めず、縋らずにひとり我らの前に立つのが、どれほどの勇気を必要とするかくらいは知っている。
それがお前のような……そう、牙も剣もない、ただの鼠であればなおさら。
[愛嬌のある丸顔は、鼠というより岩狸だがな…と笑いながら。
後は、見向きもせずに片割れの元へと歩いて行く。*]
[ 檳榔卿を投げ飛ばしてシェットラント自身は受け身をとって立ち上がるつもりの動作が、途中で転換を強要される。
気づけば、仰向けに押し倒され、マウントを取られていた。
捻じ上げられていた手に持っていた銀の燭台はどこへ転がったか、今は手元にない。]
──ッ
[ のしかかる気配に反射的に殴りかかる動きも防がれてしまう。
彼のもう一方の手が、残っていた衣類の残骸を掴んで破りとった。]
[ 服の下に武器を隠し持っていないか警戒したわけであるまい。
幾筋もの赤が刻まれた肌を見下ろす彼の眼差しと息づかいは、別種の高揚を想起させるものだ。
血を奪う、のではなく「あげよう」という宣言が何を意図してのものか、にわかにはわかりかねたが、歓迎すべきものではないと直感が告げている。
試合ならば、負けを認めれば済むだろう。仕切り直して健闘を称えればいい。
だが、彼がそんなルールの範疇に収まるはずもなかった。
唇を引き結ぶと、膝を立てて彼を押しのけ覆すべく力を籠める。*]
― 瓦礫 ―
[薄い磁器の小瓶を取り出して、封を切る。
与う液体で子供の手を濯ぎ、爪の間の泥も流し。
そうしていれば泣き声は掠れ、細かく震えるばかりになるよう]
まあ、弟さんがあのおうちの下に?
それで出してあげようとしていたの、可愛らしいこと
[その目には黒と白に見えるだろう、長手袋と包帯。
指先で筆をとるように、子供の手へ薄布を巻きつけていく]
[ 従順に出撃する少女を笑顔で見送る。>>335
挨拶されるのはとても気持ちいいものだ。
同胞が灰に帰した気配に、騎乗中の狼は苛立っている様子だったが、首筋を撫でて宥める。>>337]
どうなるかまずは見物だよ。
[ 狩人に先回りして仕掛けを教えたりはしてやらない。
自分は陰に隠れて、書架見出しにぶら下がった偵察コウモリの視界を通じて眺めていよう。
少女と狩人が接触するまでの間、狩人に襲い掛かっていた狼たちも警戒状態を維持させておく。
戦いになったら、少女の加勢をさせるつもりだ。*]
そうね
そろそろ熟れて、心を開いてくれる頃かもしれないもの
[絢爛公へと花誇ろうような笑みを咲かせ>>317
騎士へはゆるり流し目をくれる。
吸血鬼の肩には鴉が留まり、首を傾げては子供の顔を上から覗き込んでいた]
― 牢 ―
[狂気と獣欲の渦巻く地下牢に、コウモリが一匹漂い降りる。
充満する爛熟の香に鼻をひくつかせ、笑った。>>282]
かくも美しき光景かな。
男の欲に奪われてなお、貴方は美しい。
[滔々と声が流れる。
梁に下がったコウモリは、顔を洗って、また鼻を動かす。]
ですが、貴方はまだ堕ちきっていない。
奪われ尽くしてはいないのでしょう?
選びなさい。
このまま奪われ尽くされるか、
奪う側に回るのか。
どちらであれ、貴方はもっと美しくなれる。
[梁の下で、コウモリが翼を動かした。
糜爛した性の匂いに混ざり込んで、別種の匂いが漂い出す。]
[それは濃く深い血の匂い。
人間を夜へと誘う、魔性の香り。]
貴方には、それを為すだけの力が、
既に与えられているはずですよ。
[彼女の身体に残された白磁の気配を嗅ぎ分けて、コウモリは嬉しげに牙を剥いた。]
[公の長身が夜へとほどけるを見送り、子供の髪を撫でる]
ルマニ公を前に、正気を失い膝を折らずにいられるだけでも感心する
けれど、お前
[言葉は、そこに立つ騎士へ向けたもの*]
[剣を拾い上げるか逡巡し、置いていくことにした。
十字架の意匠に触れる代償を考えたのもあるし、女が取りに戻ってくるだろうというのもある。
けれど、今はそれよりももっと重要なことがある。
飛ぶように駆ける、その僅かな距離ももどかしく、
片割れへ腕を伸ばし、後ろ首へと回す。]
[淑女に向けられた言葉の中。
聖女、注いだ。
といった言葉に肩を揺らす。
何かをされたらしいが、生きてはいるらしい。]
…っ…、待て…っ!
[その場を辞するような言葉に視線を戻したものの、姿を現した時のように吸血鬼の身体は解け、無数の蝙蝠の群れとなる。
制止の声は無意味に虚空に響くのみ。
暫し、夜闇を恨めし気に睨んでいたが]
[足音を立てないように戦場近くの棚の陰に。
見ると戦況は膠着状態>>338らしい。]
(ここからなら背中から狙えそう。
でも狼が3体も居る。
なら無理に致命傷を狙わなくても何とかなるかもしれない。)
[念押しするようだけど銃なんて代物を扱うのは初めて。
心臓や首を打ち抜くことが出来るならそれが理想だけど、最悪支障が出る程度の被弾でも成果は得られると判断。
となると狙うのは…]
(背中の中央…かな。)
[多少の誤差が出ても当たる公算が見込める位置。
ピストルを取り出すと狙いをつける。
撃ってすぐに隠れれば、こっちに見に来られても一度は誤魔化せるかも。
そこまで頭に描いて、私は引き金を引いた。]*
/*
2IDでやるの切り替えが大変そうだなぁ
二つの肉体をもった一つの存在と認識してるって書いてあるけどつまり自分大好きってことなのか!?w
[組み伏せられてなお抗う騎士は、罠に掛かった獣を思わせる。
わけがわからないままにもがき、逃れようとするもの。
その先に待つものが何か、まだ彼は知らないのだ。]
暴れるのはやめなさい。
もう、別の楽しみの時間だ。
[膝を立て、身体を跳ね上げる彼を乗りこなし、彼の両手首を強引に捕らえて無事な方の手で束ね、頭上に押さえ込む。
顔を伏せて彼の首筋に舌を這わせ、そのまま顔を下げて細い傷口を唇で吸った。]
[唇と舌とで、薄く流れる血を堪能した後、傷ついた手を彼の胸に当てる。
互いの血を混ぜ合わせながら、胸の上に赤を捺した。]
次は、おまえ自身の身体で私をもてなしておくれ。
まずは、全て脱いでもらおうか。
[間近に顔を覗き込みながら、鷹揚に要求する。*]
おや
お前も、死ねば済むと思っているの
[重なる問いに首を傾げた。
ちょうど肩で鴉がしたのと似た仕草]
何故。いけない?宴はまだ途中だもの
まだ主菜をいただいていないのだよ
[するり、子の髪を梳いて]
坊や?
弟はやはりあの家の下にはいないよう
私たちは不思議な魔法を使えるの。だから坊やの可愛い子はとうに解放されてある
何も痛いこともなく空で遊んでいるよ
[子供の耳元に柔く囁きながら、騎士を見た*]
──逢いたい?お前の弟に
『グッ!? う……何を……!?
ぎゃあああああああああああああああああ!!』
[その肩にむしゃぶりつく。奪われていた体力が、瞬く間に身体に満ちていく。
叫び声と同時に
最期に正気に戻ったらしい言葉も男から出てきたが、今やそんなことはどうでもよかった]
ああ……
[事切れた男の身体を横にどけると、ゆっくりと立ち上がる。
男達の生命の素が水音を立てて足を伝うが、まったく気にもならない]
(――足りない。
まだまだこんなものでは足りない)
[渇きは一時的に満たされたが、渇望の心はまだ収まらない。
幸い、終わったと見ると次の男が先ほどの様子などまるでわかっていないようにゆらりとこちらへやってくる]
もっと……もっと下さるの?
[全身に活力が満ちているような高揚感。その高揚のままに、寄ってきた男を逆にこちらから押し倒して剛直を受け入れる。
男の限界は、もう今の自分なら感覚で理解できる。男を上り詰めさせる術も、今の自分には分かっていた。
そして果てようとした男の首筋に――]
『ガァ!? あ、うわああああああああああああああああああ!!』
[白磁の牙を押し付けて、彼の生命を啜っていく。心臓の鼓動が跳ね、奪われ冷え切った身体が満たされていく]
/*
ここでじっとしててもエピまで出来ることなさそうなので
こっちルートにしちゃいました
薔薇は肩書き変えられないのがくやしいね
― 道 ―
[広場を出て、歩いていた。
双子と戦っていた戦士が出て行った方、追いかけてるつもりだったけど見失ったのかな]
…あの子
[うーむむ。見覚えある顔だったと思うんだけど。それも最近じゃない、かなり昔]
ふう、うう
[すごく蝙蝠が飛んでいる。
胸のところにつけたブローチを片手で探った。きっと大丈夫、大丈夫なはず。
説明を聞く限りなんというか、夜明け前までに結局死ぬ呪いのアイテムって感じだったけど。
それでも襲われにくくなるっていうならありがたい話。
ありがとう、じゃあさようならなんて、街を襲ってる吸血鬼相手に間抜けな挨拶で逃げ出したのだった*]
[街を移動する間に剣を置いてきたままな事には気付いたが、すぐに取りに戻るつもりはなかった。
朝がきたらゆっくりと取りに戻ればよい。]
…まぁ、仕方ない。
[ローブの下に身に着けているものはスティレットと旅の途中ロープ替わりに使用することもある鞭のみ。
剣くらいなら盾と合わせてその辺で拾えるかもしれないと。]
[ 跳ね除けようという行為とは裏腹に、シェットラントの耳は彼の紡ぐ言葉を聞き流すことはない。
支配に慣れた、鷹揚でよく通る声だ。]
別の 楽しみ…、
[ これまで、シェットラントは魔物と対峙したことはない。
だから二次的な情報ではあったが、今回の乱の主体である吸血鬼というのは人の生血を、それも処女・童貞を好んで啜るということくらいは聞き知っている。
その伝でいうならば、シェットラントも獲物に相応しいわけだ。
姫が嫁ぐまで、自分自身も純潔を保って務めようと決めているだけのことで、これまで意識もしなかったけれど。]
[さて、どこへ行こうかと思案する。
教会で出会った聖女はどうなったのだろうと思い出し、教会へ行ってみようかとも思ったが、陥落したらしい城がどうなっているのかも気になっている。]
[ 人ならざる力で押さえ込まれてしまえば、彼が傷口の血を舐めとるのを阻止することはできない。
血を吸われること自体は罪ではないと思う。
浅い傷が溢した血はそれほどの量ではなかった。
むしろ、吸い付ける唇の感触の方が強烈で、意識をもっていかれそうになる。]
それくらいにしておかないと──、 んっ
[ 失血によって体力を失い、動けなくなってしまっては護衛失格だ。
服を脱げという命令に、律儀に反論する。]
全身から血を吸われるわけにはいかない。
護衛としての務めを全うさせてほしい。
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