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美しく月の昇る晩、君は自らの本当の姿を知った。
智恵を絞り、活路を開く勇気。
人狼を見抜き、妖異を滅ぼす力。
死者の声を現世に届ける異能。
頼りなく怯える人々を守る技。
互いの正体を知覚し合う絆。
自らの胸を裂いても仕うるべき主。
赤く染まる牙――長い咆哮。
さぁ、どうする?
まずは何から始めよう?
どうやらこの中には、村人が1名、囁き狂人が5名、夜兎が1名、瘴狼が1名、従狼が4名いるようだ。
語り手 が「時間を進める」を選択しました
― 回想 ―
[十日も過ぎれば互いの領域を判別しあう時間とすれば十分だ。
少年に旅に出た理由などを深く聞かなかったようにしていたし、聞かれもしなかった。
まあ長老呼ばわり>>0:129されたときは微笑みながら軽く拳骨をおとす程度のことはしたが、真面目に学ぶ態度より教えることは苦とはならなかったし、脱線した話も楽し気に聞くものだからその関係をわざわざ変える必要を感じもしなかった。]
まずは…近くの浜辺にいくことにするが、いいね。
[外套を手に入れて纏った修練者は、目的地の一つを指し示す。ごつごつとした岩の道。寂しげに残された廃墟
唯一の別の魅せるような、火山に咲く花が時折咲いているが、それ以外は、彩りのない道のりを歩いていって]
ここは、廃棄物がよくあつまる。例えば古城の外壁、例えば誰かにあてた手紙、生活用品の成れの果て
[海に捨てられたものが海流の流れにより流れ着くのか。あるいは――]
永く在り続けるものなどほんの僅かだ。喪われたものはどこに行き着くのだろうね。
[どこか遠くを眺めながらいう、自分に答えはなくコニーリオに答えを求めることはなかった。思いの馳せかたなど自由だが、弟子との旅路はこのような地域から始まる。
親しいといえば親しいが互いの懐をしらない。
そこに寂しさを覚えずとも距離を見誤ることのない程度に楽しく続けた旅というものは、だいたい一年ぐらいで。武芸を教え、逸話を教え託すものという年長というよりは、ただの趣味のようにも見えただろう。
だがコルムナの西方にありし地は、平穏を無縁にすることが多々起こるもので、別れの切欠となるものは不穏な噂が真実となることによって起こったのであった*]
― 『神魔の領域』・湖畔 ―
さぁて、さて。
[一服終えた所で、神魔は杜若色の打掛の裾を翻す]
どこで見物してれば楽しいかねぇ……っと?
[しゃら、と菫青石の簪を揺らした直後、ふわり、と神魔の元に風が届く。
眷属たちのものとは違うそれは、神魔だけが感じ取れるもの]
……まったく。
神子ちゃんは、心配性だねぇ。
[ぽつり、と零れるのは呆れたような呟きと。
どこか、困ったような微苦笑、ひとつ。**]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
入れるとなったら入る気なのでしょう?
ならばそのための手段を探すくらい、"大軍"を持つお国はやるでしょう。
[相手の内心>>0:138は知らず、結果として彼の予想通りの態度を向ける。
しかし普通に入って来たと答えられれば、内心狼狽を覚え、やや語気が弱まった]
――そのようですね。今のところは。
しかしこの先もそうであるとは限らないでしょう。
[相手の胸の花を見て、小さく息を吐く。
試練が篩のようなものと仮定するなら、邪な者はいずれ落とされるはずと。
剣を抜くのも厭わない様子>>0:139は見えつつも、ここは一旦矛を収めるというように、杖の先を下げ]
[新興の後、領土拡大を進めるシュラハトには敵が多い。
が、以前の敵が味方になる例も多々ある。
この辺りは各師団長の気質にもよるが、少なくとも青年の養父――ゲオルグ・ドゥルヒブルフは傭兵など、外部勢力を戦力として取り入れる事には寛大だった。
故に、他の師団が敵として当たった相手が味方になる、は青年にとってはわりとよくある事だった]
……しょーじき、他の連中大変だよな……。
[そうやって、戦場を共にしているからこそ。
他の師団が傭兵団に手痛い目にあわされた、という話にも、先んじるのはそんな感想で]
ま、いつ同じ思いするかは、わかんねぇけどなぁ。
[同時に、力のほどを知るが故に、こんな思いも抱き続けているわけだけど。**]
―― 『神魔の領域』・外周の森 ――
……とりあえず人を探さなきゃあ。
『同じ花を携えし者』……と言っていたけど。
[宝石でできた花。
すでにして世界にひとつだけしかなくても不思議でないが、
天から降るよな声によればこれは、
世界にもうひとつはある花であるらしい。
片手がふさがれば二輪車の操縦はままならぬ、と、
葉の部分をたたむようにして、上着のポケットに黒い花を押し込む]
まさかこんなことになるとは……ね。
[幼い頃から大事に大事に抱え込んできた夢のカケラ。
それを一番に語った相手と別れてからちょうど10年という頃合いだ。
だから目的地を伝承にうたわれるような場所に定めた。言うなればただの感傷で。
その相手のことを思い出させるような事態に巡りあうなんて]
―― 回想・とある兄妹の話 ――
[ゾフィヤ・クラインベックは子供のころから快活な部類に入っていた。
家の中で遊ぶよりは外で遊ぶ方が多い程度には。
とはいえ本もそれなりには読んでいた。
主に旅だの冒険だのを要素に持つシロモノを、だ。
彼女は素朴にそれらに憧れた。
故郷は確かにいいところだ。だが森などを駆け回るだけでは飽き飽きしていたのも事実]
[その話を双子の兄――『ヴェル』にしたならば、>>0:108
肯定するような言葉が返ってきて素直にうれしく思った。
続いた言葉には大きな目をひときわ瞬かせて]
じゃあ、いっしょに行こうよ、ね!
ヴェルといっしょならどこ行ってもたのしいことになるってわたし思うし!
[夜だというのに大きめな声をあげてしまった。
ともあれいいことを思いついたと彼女は自画自賛した]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
それは、閣下やお偉方が考える事で、俺がどうこう言う事じゃないね。
[自身に与えられた任務は、その一環だろうとは思うけれど、そこまで言う必要はない。
ともあれ、相手が杖を下げる様子に、こちらも柄にかけた手を緩めた。>>4]
おやまあ……信仰国家の巫女様ってのは、過激なもんだねぇ。
[く、と零れ落ちるのは笑み。
花を見ながらの言葉>>5に、ああ、こいつも聞いたのか、と思いながらもそれには触れず]
……ま、その点は同意しとくわ。
[軽い口調で返して、一歩、後ろに下がる。
引くならば何もしない、との意思表示。
それでも自分から背を向ける事はないのだが。*]
[故郷はいいところだ。
だが、こども心にこの場所は、兄にとってはあんまりいいところではないのだとうすうす気付いてはいた。
何せ兄の属性である『機鋼』を象徴するシロモノが発達しているわけではない。
両親も友達も近所の人たちもごくごくありふれて己のチカラを使える中彼は――という次第だった。
同じ日に生まれ、同じ黒の髪を持つというのに、
自分と兄はあまりにも違う。
それでも己にとっては大事な、大事な片割れだ。
なればこそ、一度だけ「羨ましい」とこぼされた時だって、>>0:109
当たり前のように励まそうとした]
…………だいじょぶ、だよ。
だって誰にだって、ヴェルにも未来があるんだよ。
未来っていうのは「いつかきっと」って意味だよ。
[寂しげに目を伏せながら言う。
とはいえいつかきっと見つかる、という根拠があるかと言われればノーだ。
いかな時間を操れるといえど、先に起こることを見通すことはできないのだから。
でも、“いつか”の希望なんて待てないし持てないから、
既にいろんなものを持ってる己を羨ましいと言ってるのだと。
『双子』だからこそ、と言っていいのか、
ごくごくささやかな言葉やしぐさから彼の気持ちがわかってしまった。
これまでもままあった事例のように]
─ 『神魔の領域』・外周の森 ─
[森を進む中、幼い頃の思い出がいくつか過る。
それは、気配がない中を一人というある種の退屈を紛らわす為の無意識もあるのだろうが]
……しかし。
よりによって、この花、か。
[空から手元に舞い降りた花の形が、あの時彼のようだと思ったそれと同じだったから、もあるのだろう。
すらっと真っすぐ立っていて、それでいてキラキラとした赤い瞳が朝露に光る紫羅欄花に似ていると思った。
今となっては、もうそんな風には思えない───むしろ、もう、会いたくもない。
複雑な思いを抱きながら、それでもあの頃の思い出同様無碍に扱うことも出来ず、壊れもののようにそぉっと、ハンカチに包んで胸のポケットに挿したこの花と同じものを持つ者が誰なのか。
進んだ先で分かることになるとは、まだ思いもしないまま歩を進め続けるのだった**]
[ならばいっそ捨てられるものは捨ててしまえればいいのに――と。
おのれの属性に対しそう思ったし]
わ、わたしも……ヴェルと同じだったらよかったのに。
[眸を潤ませてそう告げもした。
脳裏にはあらゆる願いをかなえてくれる存在のいいつたえが浮かんでいた。
行ければ、このどうにもならない願いもかなえてくれるのだろうか。
そう思ったゾフィヤの行動は早かった。
数日の後支度をしてこっそり家を出たのだが、
盛大に道に迷ったあげく夜の怖さに半泣きになりつつ帰還した。
両親にこっぴどく叱られたのは言うまでもない*]
『またどっかの国で戦争だってよ』
『あー、やだねぇ。傭兵連中にとっては飯の種だろうが』
『で、どこの国だって?』
『何でも、グリュンなんとかっていう小さい国――』
[がちゃん。
大きな音を立てて食器が割れる。
自分の手から落ちたものだとは気付いたが、謝罪の言葉より先に、噂話に興じる酔客の方へ歩み寄っていた]
ねえ、今の話本当なの?
グリュングレースで戦争が起きた、って……。
[何も言わずに出て行ったきりの故郷だった。
けれど嫌いな場所だったわけではないし、両親だって友達だって、元気でやっていて欲しいと思っている。
だから必死に話を聞き、その後もとにかく情報を集めようとあちこち駆け回ったりして。
そんな姿が、師匠にどう映ったかはわからない**]
ひのふのみ…八人…絆の数は四つ、か。
[ ひらひらと舞う枯葉色の蝶は、森に踏み入った者達が手にする宝石の花に惹かれて後を追う。
蝶の視界がそのまま見えるわけではないが、気配と凡その位置は伝わって来るから、大きな動きがあれば分かるだろう。 ]
姉さまは見物だろうな。ミーちゃんは…迷子になってないだろうね?
[ まだ生まれたて(と、いう認識)の小さな半妖精のことを思い出すと、右耳に飾った桜石のピアスを軽く爪弾く。そこから生まれたのは桜色の蜂鳥。
蝶とは違い、目指す相手の気配を明確に知る蜂鳥は、一直線にミーネの元へと飛んで行く。>>0:131 ]
ん、とりあえずはこれで良いね。
さて、一番最初に惹き合うのは、どの花かな。
[ ひらひらひら、と蝶は、気紛れに見せて舞う。** ]
/*
ついヴェルとお仕事してたら戦場跡であったというニアミスフラグを建てたくなってしまうがそれはダメだ ローランド氏とたてよう???
ミーちゃん、迷子になってないかい?
困ったら、お呼び。
ああ、あと、面白いものを見つけたら教えておくれ。
[ 桜色の蜂鳥は、狐耳を見つけると、その側にホバリングしながら、囁きを伝えた。言葉を返せば、桜石の魔人にも届くだろう。** ]
― 回想 ―
[自分にとっての『当たり前』が、目の前の少女にもたらしたもの。
それは、少年にとっては理解の範疇を超えていて――でも、それが、この子にとって『いい事』だったというのは、返された言葉>>0:134からも察しがついた。
何より、泣いてる女の子を放っておくなんてできないから、彼女が落ち着くまで待って。
握手の意図は上手く伝わらなかったようだけれど、手を伸ばしてくれたから、ぎゅ、と握ったら握り返してくれた。>>0:135
自分より小さいけれど、自分と同じように鍛錬頑張ってる手だなあ、なんて思いながら、頼まれ事の事を話して]
あ、うん、これ持っていけば入れるから、って言われた。
[問いかけに素直に頷いて。
その後に続けられた言葉>>0:136にひとつ、瞬いた]
ん、わかった。
ばーちゃんにも絶対内緒、って言われたし、誰にも言わない。
[ここが大事な場所、というのは頼まれた時にも繰り返し注意されていたから、素直に頷いた]
あー……別に、そんなに気にしなくていいんだけど。
[ハンカチを綺麗にしてから返したい、という言葉>>0:137に返したのはどこまでも素の言動。
それでも、お願いは断る事無く、そのままハンカチを預けて。
次に会って返された時には、違う意味で驚いた]
わ、すっげー……。
パメラ、ほんと、すげーなー。
こんな綺麗な細工もできるんだぁ……。
[ハンカチになされた刺繍に向けたのは素直な感嘆。
自分よりも年下なのに頑張ってるんだなあ、と。
そんな気持ちを抱いたのを契機に、自分も色々できるようになりたい、と。
家業の鍛冶にも興味を向けるようになったりしつつ。
刀の修行にも打ち込み、集落を訪れた時には手合わせをして、互いにないものを補って。
そんな日々がこの先も普通に続くものと思っていた、けれど。]
― 回想/12年前 ―
[その日々の終わりは、唐突に訪れた。
いつものように、刀の修行をして、次に父と共に出かける日に備えて。
次はどんな動きをやってみようか、なんて考えていたその時に、異変が起きた]
「……里に、魔物が入り込んできた!」
「戦えない連中はすぐに……」
「結界を重ねろ! 他の集落に、報せを飛ばせ!」
[何の前触れもなく、故郷の里に襲い掛かってきた魔物たち。
妙に組織的に動くそれに翻弄され、里は壊滅状態に陥った]
……なんでだよ、俺だって、戦える!
[混乱が広がる中、里長である祖父は自分に逃げろ、と命じた。
当人はこう主張しているが、当時10歳の少年にできる事は推して知るべし、である。
とはいえ、その時は言われた事が納得できなかったからしばらくごねたが。
結局、実力行使も含めて説き伏せられ、あるものを託されて脱出する事になったものの。
脱出行の途中で魔物に襲われ――少年の消息はそのまま途絶える事となる]
[突然の襲撃は、少年の故郷のみならず近隣の集落にも及び、少なからぬ被害をもたらした。
集落を蹂躙した魔物たちは『たまたま演習で近くに来ていた』シュラハト軍のとある師団により撃退されたもの集落は壊滅状態に陥り。
その唯一の使い手だから、と少年に託された集落の秘宝である対の刀『紅雷・龍爪』もまた、行方は知れぬまま。
……行方知れずとなった少年と同じ名を持つ青年が、失われた対の刀を手にシュラハト軍に加わったのは、それから数年後の事。**]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
はいはい、と。
[こちらの評に返された言葉には、ただへらりと笑うだけ。>>18
距離を離した巫女の姿が木立の向こうに遠のいたなら、ひとつ、息を吐いて]
まったく、面倒な話だよなぁ。
[ぼやくような言の葉一つ落とした後、自分も歩き出す]
てか、そろそろ森を抜けてもよさそうなんだけど、なぁ……。
[小さく呟き、歩みを進める。
特に宛ない歩みだが、それが胸ポケットに刺した花が導いてのものと知るのはもう少しだけ先の事。**]
― 回想 ―
文化かい。それは守るべきことだね。
ある商人たちはワインを温めて飲むという文化があってね。
曰く彼らにとっては体を朽ちさせないためというものでね。
[ともに風呂>>14に入りながらする会話であるかどうかはまあ別であり、その姿を特別粒立てはしなかった。むしろどこかの逸話を話し出すのである。
それは彼と距離というよりは、互いに違いあう思想をもつものを知る修練者故の感覚であった]
[そんな生活も板についてきた頃のこと、どちらかといえば行儀がいい食事をするコニーリオ>>16の慌てる姿に首を傾げた。]
コニーリオ。そんなに気になるかい?
[グリュングレースという国名を聞いても特別な反応をしない修練者は疑問を口にする。
ひとまず弟子が気にする程度には自分も調べてみるものだろう。
噂というものはいい加減なものだが信憑性がでる事柄もある。
例えば食料の物価。薬の材料。武器。流通を司るものに聞けば、というものであった。
だから、知り合いの商人に話を聞いたのだが――同時に商人が運ぶ品を守るための傭兵を雇うというものまで出てきたのだ]
義理、人情を踏みつけにするわけにもいかないものだね。
[ぼやくようにいいながら、そんな顛末を弟子に語るのであった*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[森をずんずんと進む。修練者には慣れたものであった。
途中癖のように、薬の材料となる花びらをとったりしていたが]
おや、これは導きというやつかな?
[違うかな?枯葉色という迷彩色に洒落た桜の紋の蝶>>17に、ほう。と息を吐くものの]
しかしまぁ……豊富な資源があることだね。
[紛争地域の真ん中にしては贅沢な果樹や植物といった実りの数々、流れる小川も美しく、一口分、水を手の上にのせてその清涼さを味わう。
だが同時に、先程の蝶とは別の人ならざる気配も感じられる。]
封じられた地。いっそ自然と魔物の培養施設だった…なんてね。
[シニカルな笑みを浮かべながら、魔域の中心部を目指して歩いていくのであった**]
― 『神魔の領域』外周の森 ―
[気に入らない。
その光景>>0:92を目にして浮かんだのはそんな感情]
追うは能わず。
[詠うように呟き、馬をも薙ぎ倒さんばかりの突風を吹かせた。膝上丈の短い着物に羽織一枚。主の装いに合わせた装束も揺れる]
………。
これは踏み込みすぎじゃない、よね?
[何度か繰り返せば相手は去り。
それを満足げに見送ってから、ふと、刺された釘を思い出して眉を下げた。
こんなことしなくても、森は選ばれた者にしか開かれないものだから]
迷子じゃないもん!
[精神年齢的に、背伸びもしたいお年頃。
その時は森まで来たものの、どうすればいいのか迷っていたので逆に。ぷぅ、と頬膨らませたが]
でも、ありがと。
[モゴモゴと続け、了解、と返した]
[蜂鳥は常に傍にいるものか。いなければ、呼び寄せるための標を掲げて]
いぃさま?
あのね、弓矢で追われてた人もいたよ。
[続けるかは少し迷ってから]
…なんかヤだったから、追ってた方は森からも追い払っちゃった。
[そう報告?した**]
/*
動きが下手すぎる…!
確認しないで投下しちゃったりもしたから、もぅ。いぃさまには特にごめんなさいと埋めておいて。
傷の手当てとかもしてみたいところでしたが、動き縛ったりしてはいけないと思うので、一人遊びにもできる形で。
失礼しました。
―― 『神魔の領域』・外周の森 ――
『いつかきっと』……か……。
[呟く言葉は風と共に後ろに流れていく。
再び走りだした二輪車の速度はだいぶ抑えている。人を探しているため。
一人乗り用の二輪車の後ろには頑丈な箱つきの荷台がある。
今は替えの矢や食料などといった旅に必要なものが入っているが、
仕事の際には運ぶべき荷物も入ることがある]
ずいぶんと……見たことのある植物もあるね。
まあ、当然かな。まったくの異世界ってわけじゃあなし……。
[ささやかに花をつけた、見覚えのある植物をかろうじて轢かないようにして走る。
あれは確か花も葉も薬の材料になる植物だ。
煎じて薬湯として飲めるよう加工した葉を運んだこともある]
[平穏無事に風に揺れ続けるその花めがけるように、
ひらりひらりと枯葉――ではなく、それに似た色の蝶が舞う。
見たことのない蝶だ。
あれも、宝石でできた花のような不可思議な存在なのだろうか。
あるいは自分が無知なだけか。
ともあれ停まって蝶を調べることはしない。
やがて花も蝶も視界から遠ざかっていった**]
― 『神魔の領域』 ―
[ 風>>28を背後に、森を進む。
矢が届くことは、もはやなかった。
太古の森はあらゆるものを包み込んで深い。
その中に時折、何かの気配を感じる。
それは木漏れ日をとらえて翻る動きであったり、風に混じる香りであったり、木々の呼吸めいた音であったり──姿なき視線もまた幾度か首筋に触れてきた。
この森が『神魔の領域』 と呼ばれる所以でもあろう。
伝承を思い出す。
立ち入りを許されたものは、ある『試練』を勝ち抜く事で己が願いを叶える資格を得る、と。]
[ 自分自身は、寡聞にして伝承を話を裏付ける話を知らない。
あるいは、願いを成就させ、生還した者に会ったことがない。
ゆえに、『試練』のなんたるかもわからぬ身であるが、惜しむほどのこともなかった。]
来るがいい。
[ 馬を止め、呼びかけるように目を閉じた。]
[ 時間の感覚はとうに失い、日差しの暖かさも感じなかったが、目蓋に光を感じて目を開ける。
空から何か煌めくものが降りてきた。
落ちてきたのではなく──降臨という言葉が適切な様相である。
棘めいた形状の宝石で形成されたそれは、植物を象ったもののようだ。
ひときわ長い優雅な弧は花だと知れた。
美しいというよりは、妖しく心を惹きつける花だ。
その一方で、茎の末端は丸まっている。
根は見当たらないが、それで完形なのだということはわかった。
一度、異国の君主からの土産で王宮にもたらされたことがある。
置かれた場所で咲く
己が境遇を思えば、苦い。]
[ 受け取れといわんばかりのものを掌に納める。
すると、植物は姿を変えた──否、溶け出したのだ。]
──…っ!
[ 残ったのは、泡立つ網目模様の宝石で構成された部分のみ。
その特性には見覚えがある。己の天命石だ。]
[ 息が苦しい。鼓動がうるさい。
欠陥品となった残骸よりも、見えなくなった部分の方に胸を掻き乱されていた。
感じたのは、不吉さではない。
切ないほどの焦燥。
菫青色の声が告げる。
「……想い遂げたくば同じ花を携えし者と相まみえよ。」]
── 会える、と
[ 何を約束されたわけでもないけれど、掌で溶ける宝石など、ただひとつしか知らない。]
/*
アンタークチサイト、存在そのものが自然の神秘って感じでとてもよい
しかしバトルカードどうなるかなー
我らのペア最終的には願いを叶えるなら(因縁のない)どんな敵も粉砕するルートにいけそうではあるけど
(離れ離れになっても互いを思い合っているという推測(何)にもとづく)
― かつての話 ―
[故国リュゲナー王国が失われたのは、10年も前の話だ。
国王に不満を抱いた王弟が隣国の地方領主と手を結び、王宮を攻め落とした。
国王は護衛と共に城を脱出したが、王子である自分は別の方向へと逃がされた。
リュゲナーの血を絶やすなという言葉が耳に残っている。
王の隣には、自分の身代わりに乳兄弟が付き添っていた。
それこそ兄弟同然に育った相手だ。
父と別れるよりも辛かったが、彼にしか自分の身代わりは務まらないのは確かだった。]
[混乱の中、少数の護衛と共に街を脱出した。
その後、別の国へと逃れてしばらく身を潜める予定であった。
だが国境を超えるより先に追っ手に見つかった。
こちらへ追討隊が出たということは、王と乳兄弟はもう……。
眼前が暗くなる思いだったが、状況はそんな余裕を許さなかった。
追討隊と護衛たちの間で戦闘があり、自らも剣を抜いて立ち向かった。
だが多勢に無勢。護衛はすべて斬り伏せられ、自らは剣を叩き落されて追い詰められた、絶体絶命のその時、傍らの森から黒い霧のようなものが湧き出して、―――意識を失ったのだ。]
[それからどうなったのかはよくわからない。
ただ、自分を助けたのは、迷いの森と呼ばれるこの森の主であるらしかった。
ここにいる限り安全だと彼は言ったが、外に出してはくれなかった。
父王が処刑されたことと、故国が隣国の一部になったことは教えてくれたが、詳しい様子は聞かされなかった。
父の仇を取りたい、国を取り戻したいと願っても、まだ早いと諭されるばかりだった。
知識を蓄え体を鍛え武を磨き、来るべき時に備えていたある日、森の中に迷い込んできた商人から初めて故国の様子を聞いたのだ。
曰く、悪政によって民は疲弊し、街は乱れる一方であると。]
[保護した商人を伴って森の主の館へ戻り、国へ帰りたいと願った。
彼は沈黙の後、一つの伝承を語った。
曰く、『神魔の領域』に赴き、『試練』を超えれば、願いが叶うと。
国を取り戻すための力も兵も貸せないが、試練に挑む手助けはしよう、と。
かくして旅に必要なものを与えられ、良き日を選んで送り出されたのだった。]
[道中、特に問題などはなかった。
守りの術のおかげか、正体に気づかれることもなかった。
途中で故国にも立ち寄ったが、商人の言葉通り、荒廃の気配があった。
記憶にあるよりも街は薄汚れ、粗末な身なりのものも目立つ。
聞けば重税が課されているらしい。
一刻も早く故国を開放せねばならないと決意を新たにして、先を急ぐ。]
― 『神魔の領域』 外周の森 ―
[伝承に語られる森は緑深く、静謐な気配を湛えていた。
神妙な面持ちで足を踏み入れ、最奥にあるという神魔の居処を目指す。
森の入り口が見えなくなったころ、目の前を光がちらついた。
何かが落ちてくる気配がして、両手で受け止める。
手のひらに転がったのは、白と水色の軽い結晶体。
尖った葉が見事なロゼット状に開いたその形は、見覚えがある。
土には根付かず、木や岩の上で花を咲かせる根無し草。
鮮やかに紅葉し、濃紫の花を咲かせていたが、どこか頼りなくも思えたものだ。]
[冷たい結晶の花を手にしたと同時に、声>>0:6が聞こえる。
この声の主こそが神魔なのだろうか。
詰めていた息をそっと吐き出し、もう一度花を眺める。
氷のように透明な結晶と、揺らめく水面のような白と水色の石。
手を上げて、身につけている腕輪を見る。
そこに嵌まるのは、やはり氷のように透明な石だ。
己の手にあるときのみ冷気を湛える天命の石。
かつてはただ護符のようにして首元に下げていたものだが。]
[この花の石が、己の石と同じものならば。
もう一つの石は、やはり。
鼓動がひとつ、高鳴る。
あの日、父王の隣にいた「王子の影武者」の消息は知らない。
知りようも無ければ、希望を持つのも難しかった。
だが、もしも生きているのなら―――]
[胸を押さえ、気を静めながら歩みを再開する。
なにはともあれ、探さねばならない。
強いて思考を止め、森の気配に意識を向けて探索を続けた。*]
― かつての話 ―
[ リュゲナー王国の王子の遊び相手として城へ上がったのは、生母が王子の乳母であった功績を買われてであった。
ヴィンセントからすれば、王子は母との親密な時間を奪った張本人であるが、
彼に対して憎いという感情を抱いたことは一度もない。
それこそ子犬のように共に転げ回って、勉学や鍛錬に切磋琢磨し、時には悪戯もして、
露見した際の叱責はさすがに差があったけれど、それに甘えず毅然として責任をとる王子は、
幼い時分からずっと眩い存在だった。]
[ 生涯を彼に捧げることに何の迷いもありはしなかった。
それなのに、10年前、国を覆す簒奪劇が二人の道を違えたのだった。>>38
王子の武具を身につけ、敵を引きつけ、彼の身代わりに討たれるべく働いて──
死に損ねた。
敵の首魁が王弟では、どのみち欺き通すことは不可能だったろう。
たかが影武者、バレれば処刑されて当然だったが、なまじ王子の乳兄弟として王室に近いところで暮らしていたゆえに、目をつけられた。
種々の情報を明かすよう求められ、代わりに国王の亡骸を丁重に弔う取引を持ちかけ、
多分、それが過ちの発端だったのだろうけど、
敵である相手に飼われることを受け入れて、侵略者がリュゲナーを統治するのに力を貸してしまった。
いつか王子が帰る日のために、国土と民を守らねばならない。そんな覚悟で耐え忍んできたのだけれど、]
[ 王子の消息は途絶えたまま時は流れ──
繰り返される悪夢に、もはや、身も心も擦り切れた。
滅びを願うほどに。]
[ 喉の渇きを覚えたらしき馬は森の中の泉へと騎手を運ぶ。
自身も鞍からおりて片肌を脱いだ。
清めの言葉を呟きながら左腕の傷を洗う。*]
― 回想・とある兄妹の話 ―
わー! ゾフィ声大きい!
[上がった声>>8に慌てて上げた声もまた、それなりの大きさになった。
親に気付かれたら「まだ寝てないのか」と言われるための焦りだったが、その時は杞憂に終わる]
─── うん、そうだな。
一緒なら、きっと楽しい。
[ゾフィヤの言葉に素直にそう思う。
一緒に、という言葉には嬉しそうに頷いていた]
[羨ましいと言った時、ゾフィヤは励ましてくれた>>11]
うん……そうだよな。
ありがとう、ゾフィ。
[妹の心遣いは嬉しい。
けれど、抱く羨望は消えやしない。
それを双子である彼女は感じ取っているのだろう。
ヴェルナーがゾフィヤの気持ちが何となく分かってしまうのと同じように。
だから、いつか告げられたゾフィヤの想い>>13も本気でそう思ってくれていることが強く伝わってきた]
ゾフィがそう思ってくれるのは嬉しいよ。
でも、ゾフィにはそのままでいて欲しいな、俺は。
[同じだったらこんなにも寂しい思いはしなかっただろう。
ゾフィヤならば同じ属性でも前向きに考えるだろうけれど、やはり同じ境遇にはしたくない思いもあった。
そうして欲しい、そうさせてはいけない。
相反する想いが双子の共感力を鈍らせたか、ゾフィヤが抱く願いを叶えに行こうとするだろうことに気付けず。
「ゾフィが居なくなった!」と大騒ぎしたのもその頃だ]
[居なくなったことに気付いて街中を探し回り、どこにも居ないことに嘆いて。
「俺のせいだ」と泣いたのを、半泣きになりながらも帰還したゾフィヤは両親から聞いたことだろう。
両親にこっぴどく叱られた後のゾフィヤをぎゅっと抱き締めて、ヴェルナーは声をくぐもらせながら言った]
バカゾフィ…!
なんで、1人で勝手に行くんだよ!
お前が、いなくなるなんて……、
[怖かった、と囁くような声が零れ落ちる]
もう、こんなこと、しないでくれ。
行くなら、一緒に ────………。
[一緒に旅に出ると約束したその時に行こう、と。
新たな約束を口にした*]
/*
さらっと表現される双子パワー つよい >>55
ゾフィ、こっそりしながら心のどこかで「どうか追わないでほしい」と思っていただろうにぇ
― 『神魔の領域』外周の森 ―
あぁん。
いっちゃった。
[耳知識から予想したよりも早く、姿が森に紛れてしまった>>32ことに肩を落とす。
鼻を掠めていた血の匂いが少しだけ気になったが]
ま、いっか。
[追い縋ることはなく、のんびりと森の奥へ戻り始めた]
――金によって、あっちの国についたりこっちの国についたりする奴らだろ?
あんまりガラの良くない奴らだって聞いたよ。
[義理や人情が世の中にどう作用しているのか、リュカは知らなかった。
ただ、傭兵はそういったものとは縁遠い職業だと思っていた]
グリュングレースが、傭兵を雇うなんて思えないけど……。
[しかし、そうしなければ戦う術などないのが現実だ。
あの国に真っ当な軍を組織する国力はなく、攻め込まれてされるがままに土地を切り取られるのも珍しくはなかった]
[ >>27導きか、と呟く声が風に乗れば、枯葉色の翅に浮かんだ桜色が淡い光を帯びて、ひらひらと先導するように森の内懐へと、修練者を招く。 ]
[ >>31また一方、運び屋の娘の目が枯葉色から逸れれば、蝶は、ただその後ろをひらひらと追っていく。 ]
希いのままに。
[ 桜色の爪の先、小さく風が渦を巻く。 ]
なーんて、ね。
[ くす、と、艶めいた唇が弧を描く。
ともあれ、蝶はそれを導きと思う者には、対の花と出会う道を辿る助けとはなるだろう。 ]
出逢うが幸福とは限らないけど。
花、は……持ってない……?
[遠目からでは、宝石の煌きらしきものは見られない]
もう少し、近付いてみる……?
[声を掛けるか否かの判断は保留して、木陰に身を隠しつつ相手への距離を詰めていく。
極力気配を殺してはいるものの、それが通用する相手かはわからない。
もしも仕掛けられたなら、"森"の中で対峙する――それが可能な位置取りを心掛けながら進んでいく*]
おや、ごめんよ、ミーちゃん。
[ 迷子じゃない、と、抗議する声に、謝罪を告げながら、その声は愉しげに笑っている。 ]
可愛いお前が迷って怪我でもしたらと、心配になっちゃうのさ。
[ モゴモゴと続いた言葉に返す声は、甘い色を帯びる。 ]
弓矢を持った追っ手とは、また穏やかじゃないね。
[ 次いで告げられた顛末には、おやおや、と肩を竦める。 ]
ふふ、そんな無粋な輩は追い返して正解だよ。
ちょっと懲らしめてやるくらいで丁度いい。
[ そんな風に、少々煽る桜石の魔人は、常日頃、気に入らぬ者が近づけば遠慮なく放り出しているのだった。 ]
― 『神魔の領域』・外周の森→ ―
[いつしか近くにひらめく蝶>>1:125が居た。
つかず離れずついてくるそれが、ただの蝶でないことは流石に気付く]
魔の類か。
[どこかで蝶を介してこちらを窺っているのだろうと。
そう推測した上で蝶は放置した。
こちらに害をなさないのであれば、相手にする必要はない]
[他にもこの森にいるだろうことは薄々感じていた。
『神魔』が残した言葉からもそれが窺える]
最低1人……いや、もっといるかもしれないな。
[勘めいたその感覚は戦場で培われたもの。
静かな森なのに戦場に似た感覚がそこにはあった]
[不意に歩む先を見る。
木々の重なりが少なくなってきたように思う。
このまま進めば、恐らく森を突破出来るだろう]
……フルフェイス。
[キーワードを口にすると、身に纏うオートメイルがいくらか組み変わり、鎧兜のように頭部をすっぽりと覆い隠した。
ヴェルナーのオートメイルは天命石を触媒として様々な形へと変化する。
腕には武器が、足や背にはスラスターが仕込まれ、その全てが天命石の力によって制御されていた。
だが高性能である反面、メンテナンス難度や維持費用が高くつく]
[オートメイルを介しての視界はやや狭い。
それをカバーする機能は未だ開発途中だ。
故に集音装置で可聴範囲を広げて感知する方法を取っている]
……水の音?
[その機能で得たのは、森が途切れた先から聞こえる音。
大量の水が落ちる音が前方から聞こえてきた。
警戒するように構えながら進む先で視界が開ける。
目にしたのは、断崖絶壁を落ちる水、巨大な瀑布 ─── 滝だった*]
/*
アアアアアなんだとーっそういうこともできるだとーっ!?
いやでも声でわかるんじゃね??? え??? どーするよ
― 『神魔の領域』・湖畔 ―
……おや。
[外周の森で揺らいだ風の気配>>28に、僅かに目を細める]
元気がいいねぇ。
[く、と零れる声音は笑み含むもの]
まぁ、過ぎるおいたをしたわけでなし、かまやせんけど。
にしても、風の扱いが上手くなったもんだねぇ。
[呟きと共に思い返すのは、若い眷属を拾った時の事。
どうやってか、森の結界をすり抜けてきた子狐姿の半妖精。
煙草の原料になる香草を採りに出向いた時に見つけたそれに対して、神魔が最初にやった事と言えば]
おやまあ、なんともかわいい子が落ちてるねぇ。
[のーてんき、とも言えそうな口調で言いつつ、ひょい、と拾い上げたのだった。
それも、びろーん、と吊り下げるような持ち方で]
だいぶ弱ってるようだけど、主、ウチに来るかい?
……まあ、ウチに来ないと、森に飲まれて消えるしかないんだけどねぇ。
[どう聞いても選択の余地のない問いかけをしつつ、びろーん、から両腕で抱える形に持ち直す。
そうやって構う間にに伝えるのは、癒しの力を帯びた風。
そのまま、採取は後回しにして、湖の社の奥にある屋敷へと連れて帰った、ら。
もう一人の眷属には、色々と突っ込まれた。
が、ほとんど受け流した。向こうも、突っ込みを受け流されるのはいつもの事、と思っているようで、そこから諍いやらになった事はあんまりないのだが。
その後、回復した子狐はそのまま神魔の眷属となり、領域の住人となり――今に、至る。**]
でも、縁に惹かれた者同士を邪魔しちゃいけないよ?
捻れた絆をどうするのかは、招かれた者次第だからね。
[ 囁きを伝えた蜂鳥は、そのまま桜色の羽根を休めて、ミーネの肩に、ちょん、と止まる。追い払われぬ限りはそこで大人しくしているだろう。* ]
姉さま、ミーちゃんが、無粋な輩を追い返したんだってさ。
血の気配をそっちから感じるから、招かれた者が傷ついてるかもしれないよ。
― 回想 ―
おや、そうだったか。
[この時はその剣幕>>59のために、故郷がどうだとか。浴場での入浴作法というまで頭がいかなかったが]
平穏が崩れるのはあっという間、というものさ。
わかりあえずに争い合うのが生き物の歴史というものだからね。
[争いというものに過敏だというのと、家出したとはいえ故郷のことが気にかかる。と、そういうものなのだろうという弟子の心中を思う。]
親切をされたところで、それを気にもかけないものがいるのも事実だ。
それと、金銭は重要さ。誰しも霞を食べて生活するわけにはいかないからね。
[金を求めることに問題はない。と、その一点>>60についてはいう。
とはいえ、柄が悪いという点については特に否定もしなかった。修練者も大半はその認識で正しいと思っているのだ]
戻るかい?コニーリオ。
ならば、お別れだね。
[コニーリオの眼を真っ直ぐに見て口にした]
コニーリオは故郷が大事なのだろう。お兄さんの故郷もね、コニーリオと最初に出会ったウルカニスの近くにあるんだ。
いや、"あった"というべきかな。その慣れの果てが、一緒にいった浜辺近くの廃墟さ
[と、最初に出会った頃を>>1思い返すようにしていう]
その昔、巫女の神託があったらしい。新しきあの地は私たちが神魔様より管理を預かった・・・とかだったかな。
[もう少し気の利いた言葉だったきもするが実態はそういうものだ。]
ウルカニスは今も昔も景気がよかったからね。
[国是としてうま味がある土地というのも多分にあったのだろう]
別にそこに住む人はかまわなかった。彼らは別に自分こそが上にたつという者たちだ。という思いはなかったからね。
そんな日々も数十年……結局他国からの侵略を守ってはもらえなかったね。巫女の言葉はなんだったのか…っていうと、都市以外は捨て石にされたというやつだね。
[ 幼い眷属が無粋な追っ手を追い返した事は、イングリッドにも伝わっている。それ自体は特に問題無いとの見解はカサンドラと同様だったけれど。 ]
姉さまも罪だよねえ。
すっかり、懐いてしまって。
一面でものをいうほどガキじゃないさ。できることとできない事というものはあるものだからね。
でも危険地域に自ら飛び込みたいと思わないし、力を貸したいとおもうほどお兄さん達観もできないんだ。
[声を荒げるでもなく、声色は穏やかなまま、だからこそ議論の隙間なく決定事項とするような冷厳さがそこにはあった*]
[ 採取に出かけた筈の神魔が、猫の仔を拾って来たとでもいった風情で、行き倒れの半妖精を連れ帰った時の事は良く覚えている。>>70 ]
姉さま、「それ」をどうする気?
[ 呆れて問えば、育ててみようかなどと気楽に返され、溜息が零れた。 ]
知らないからね?
その子が姉さま無しでは生きられなくなっても。
[ その危険性は結構高い、と、魔人は知っていた。
実際、見事に刷り込みされたらしい、その子供は、今や、神魔を母親扱いだ。 ]
まあ、したいなら止めやしないけど。
[ 結局、カサンドラも全てを承知なのだろうとは知っている。互いに知っているから、突っ込みは、ただ、突っ込んだだけで、放置されるのが常だった。 ]
─ 回想 ─
[>>19私よりもところどころ硬い所の多いその掌が、この人の頑張ってるなによりの証拠だと思った。
確かめも兼ねた問いかけにも肯定が返って、祖母がここを教えてもいいと思った人だとも分かれば、多少抱いていた不安も薄れていって。
>>20誰にも言わないと約束してくれるその笑顔に、全部掻き消えた。
だから、使ったそのままで返すなんて流石に出来なくて。
シンプルなハンカチに、彼のようだと思った刺繍を施してしまったのはほんの出来心。
余計なことをしたかもしれないと思いながら、おそるおそる次の再会の時を迎えたのだけれど]
あ…あり、がと…
[>>21向けられた感嘆の声に、こちらも目を丸くした。
勝手なことをしているから出来て当然とは言われたけれど、こんな感心してもらったのもやっぱり初めてで。
すごい、と言われてお礼を言いながら頬が赤くなったのは、家族以外に初めて褒められた嬉しさから。
これ以外でも、手合わせの度に私に足りないものを教えてくれて、彼に足りないものが補えた時には素直に感謝をくれたり、悦んでくれたり。
そのおかげもあって、私の腕は祖母も思っていなかったほどの速さで上達していった]
─ 回想/12年前 ─
[そうして3年の月日が経って、気が付けばイェンスさんからイェンスくんへと呼び方も変わっていって。
その日も、父親と共に来ると教えられている日が近づいていたから新しく覚えた型を試してみようなんて楽しみにしながら日々の日課に励んでいたのだけれど]
おばあ様?
どうか、したの?
[いつもなら母と共に家事をしている時間なのに、何故か祖母が子供たちの集う棟に来た。
手には何か長物の入った袋筒、表情は険しく私の腕を掴んで]
「パメラ。今すぐこれをもって、皆をあそこに連れてお行き。
あんたが知っている誰かが迎えに来るまで、けっして皆外に出させないようにね」
え……おばあ様、いきなりどうしたの?
何かあっ…「襲撃だ!」「女子供は避難を!男は三方に分かれて応戦に」
[祖母に詳しい話を聞こうとしたところで、遠くから聞こえた声から端的にだが明確に現状を伝えられた。
同じように状況を察した女児たちの悲鳴が上がったところで入ったのは、祖母の一喝]
「静かにおし!みすみす此処に人質が居ると教えるなんざ馬鹿のすることだよ。
さて、パメラ。状況は分かったね?
これはトゥエルノの坊や…イェンスの父親があんたにって鍛えて持ってきてくれてたものでね。
あんたにゃまだ早いと思っていたんだが、事情が事情だ。
これを持って、皆を連れてあそこにお行き。
あそこならよっぽどのことがない限り危害を加えられやしない。
…けど、もしも敵が入ってきたら、そんときはこれを揮って皆を守るんだ。
母様も、年寄り連中を連れてあそこに逃げてるはずだからね」
[言いながら差し出された袋筒の中身は、祖母の言葉で今まで持つことの許されなかった『本物』だと伝わった。
これを持つことの意味するところは、祖母からの教えでその怖さも承知しているつもりでは、あったけれど]
…わかり、ました。
じゃあ、おばあ様も一緒に─…
「いや。あたしは時間稼ぎに残るよ」
え…?
「あんた達があそこに入る前に捕まったら意味がないからね。
なに、あたしは充分生きた。
もうちっとばかりあんたに教えてやれたら良かったってのはあるが…
おしえなきゃいけないことは、教えたはずだ。
後は……そうだね、一番大事なことを教えておこう」
おばあさま…?
「刃ってのは、どんなきれいごとを抜かそうと結局は命を奪うものだ。
振るうことはすなわち、相手の命を奪うこと、そして自分の命も奪われることを覚悟しなきゃならない。
だからこそ、振るうと決めたら迷わず、悔いるな。
というのは教えたはずだね」
は、い。
「迷えばあんたが、あんたの護りたい誰かが命を落とす。
命を奪うと決めた以上、悔いるのは相手にも礼を欠く。
だからどれ程痛みを感じようと、苦しもうと、迷っても悔いてもいけない」
「…けどね、パメラ。
けっして、それに慣れてもいけないよ。
慣れてしまえば、人ではないなにかに堕ちてしまう。
あんたのおじいさまに会うまで堕ちかけていたあたしが言うんだから、間違いないよ」
[そう言って、ぎゅうっと私を抱きしめた祖母は。
手を離した後、それ以上言葉を発することも許さずに私の背を押したから。
皆を連れて、社へと。その奥にあるあの場所へと走って向かって逃げていって。
私たちを迎えに来たのは、父、だった。
ぼろぼろで、傷だらけで。
それでも、私たちを迎えにきてくれた父は、母の元までたどり着いたところで気を失って。
結界から出てきた私たちの目に映る集落は半壊し、襲撃者たちに応戦した男たちも五体無事な者はほぼ居らず。
命を落とした者も多く、一言でいえば酷い有様だ、としか言えなくなっていた]
[住む家も、畑も、家族も、すべて無事であったものはいなかった。
私にとっても、それは同じで]
……にい、さま…
………おばあ、さま。
[祖母と、兄。二人の亡骸を見つけたのは、同じ場所で、だった。
互いに庇い合うような形で戦っていたのだろうか、その身体に刻まれた傷はすべて腹や腕にばかりで、背は二人とも綺麗なままで。
溢れた涙は、二人を喪った悲しみから、だけでなく。
守りたくて戦う術を望んだのに、守られるしかできなかった自分自身の不甲斐なさに。
肩に置かれた手に気付き顔を上げれば、手当を受けたものの痛々しい姿のままの父がそこにいて]
……とうさま。
わたし…もう、なにもできないのは……いや。
おんなであっても。
わたしは、ロチェスターの、家にうまれた。
ロチェスターのものは、
この場所を、みんなを、まもるもの、なんでしょう?
[そう言って、泣き腫らした瞳で見上げた父に浮かんだその色は、今までと違うもので。
この日を境に、私を変わり者と扱うものはいなくなった。
同じ時、別の場所で、私にとって大切な人を失うことになっていたとは、この時気付けもしなかったのだけれど*]
―― 『神魔の領域』・外周の森 ――
そういえば……、
訪れた場所の中にはガチで自然大事にしてるところもあったよねえ……、
[呟く。移動中に独り言を話す癖はないが、なんとなく呟かずにはいられなかった。
自然的な属性が幅を利かせる場所では『機鋼』を司る属性が極端に異端とみなされること、
それを知ったのはいくばくかの放浪の旅の結果であった。
異端視――もっと言えば偏見。
そういうものが故郷の地においてなかったのは、“わたしたち”にとっては僥倖と言えたのだろう。
これも、ある程度“こども”を脱してからわかるようになったことだ]
[ともあれ自然を破壊する趣味はないので、
時折草花に配慮しつつ進んでいた。
やがて]
木々が、んん、……少なくなってきたようで。
[どうやら素直に前に進めば森からは出られる、らしい。
警戒心を覚えていったんは二輪車を止める。
開けた先がだだっ広い空間だったら、
二輪車をフルスピードでかっ飛ばして進むのに何も問題はないだろう。
そうだったらいい、とは、時に二輪車を己の手足のごとく扱うからこそ思うことだが――
開けた先が単なるだだっ広い空間でない場合。
往々にして役立つのは、機なる二輪車ではなく己が持つ翼の方である]
[――――と、いうことを早々に思い知らされていた。
いや、森が開けるにつれ、さすがに人並みの聴力しかもたない彼女にも、
水の流れる音が響いてきてはいたのだが]
うわぁ……。
[断崖絶壁を莫大なる水の流れが落ちている。
ふいに見せつけられた自然のなせる業に息をのみつつ考える。
先に進むなら、この断崖をのぼらなければならないのだろうか、と。
とりあえず森と断崖地帯の境界じみた場所に二輪車を停める。
ごつごつとした大きめの岩がやや散見され、
まっすぐ進むのは森を抜ける以上に面倒と感じられたからだ]
[エンジンを起動させるための鍵をくるりと手元で回し、ズボンのポケットにしまうと上着に手をかける。
真ん中の合わせを留めているボタンを外して上着を肩から滑り落とすようにして脱げば、
それまで上着に隠れていた翼があらわになる。
黒でなければ白でもない、灰色が広がる。
脱いだ上着は二輪車後部の荷箱にしまい、かわりに弓を手にし矢筒を腰に携える。
舞い降りてきた花はもちろん、上着のポケットから場所を変えることにした。
丁寧にハンカチで包んだ後腰に巻いたウエストポーチに入れておく。
花の部分だけ外に出ているが、ポーチは後ろ向きに巻いているので、
背後を取られでもしない限り気付かれはしないだろう]
……よしっ、じゃあちょっと行ってくるかなぁ。
[つとめて軽い口調で滝の方へと歩みを進める。
清廉な水のにおいが進んだ分近くなっていく感覚がある。
綺麗な場所を目にしても、なぜか緊張感だけは消えなかった。
だが、しばらくの間眼差しは滝の方に釘付けになっていた*]
だよね。だよね。
よかったぁ!
[肯定され、嬉しげに弾む語尾と共に尻尾もパタパタ揺れていた。
永き時を主と共にしてきた魔人は憧憬の対象で、同じように出来たことを誇らしく思う]
むぅ。それは、分かってるよ。
かぁさまの邪魔はしないもん。
[されどそこは雲泥之差あれど同輩たる意識故か。主に対するとは違い、まず反駁してしまうのだが。
一呼吸置き、蜂鳥の頭をゆるりと撫でる。
素直にはなれないながら、初めて見つけた来訪者への固執をサラリと捨てられるようにもなっていた]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
……そーいえば。
[一人、森の中を進む途中、ふと、ある事に気が付いた]
これって……あれの模様と同じ……だよ、な。
[小さく呟いて、視線を落とすのは花を挿したのとは反対側のポケット。
そこには、養父に拾われた時にずっと握り締めて放そうとなかったもの――刺繍のされたハンカチが収まっている]
なんか、関わりあんのか、な……。
[己が天命石と同じ煌き帯びた花弁に視線移ろわせて、呟く]
[養父に拾われた時には、名前以外の記憶がなかった。
あったのはただ、抱えた包みと、手にしたハンカチと。
それらの品だけは決して手放してはならない、という意思だけ。
医者の見立てでは、何かのショックで記憶をなくしてるのだろう、との事だったが。
取り戻す術は見つからないまま、己を拾ってくれた人の所に引き取られ、軍事教練所へ入れられた。
選択の余地はなかった。
シュラハトでは生きるために戦う術を身に着けるのは当然の事であり、自分には剣士としての素養がある、と言われて。
ならばそれを、そして、他の誰にも扱えぬ対の二刀を生かすためにと軍事教練を受ける事になった。
そうする事で、どこの誰かもわからない不安を紛らわせて、見知らぬ土地で居場所を作ろう、と躍起になっていた。
軍事教練を始めてから6年後には全課程の履修を終えて。
養父の率いる師団に加わり、後は現場で功績をあげて、それでも]
……なんっで、抜けねぇのかな。
[苛立ち帯びた呟きを、紅い柄糸の巻かれた刀に向けた事は幾度となくあった。
『紅雷』の銘持つ刀は、それを確かめた時以降、一度も鞘から抜かれていない。
抜けないのだ、どうやっても。
もう一方、『龍爪』と銘打たれた方は自在に操れるのに。
しかし、抜けぬとは言え他者の手に渡すことなどできない、と。
そんな思いも強いから、常に二刀を同時に佩いて戦場を駆け抜けるのが常となっていた。*]
/*
これさぁ。
翼見れば一目で分かるんだよなぁwww
どーすっかなーw
お互いを認識しないままのバトルが難しいぞw
― 『神魔の領域』・森の中 ―
[蝶の導くまま、ぽっかりと木々が開けた場所へと着く。野宿をするのには絶好だろう。川をみればそこは浅く、子供が水遊びをするのにちょうどいいともいえる]
ご苦労さん。人は水なしでは生きていけないものだからね
ついでに魔物がでてこないでくれると助かるんだが。
[森の内懐まで案内する枯葉色の蝶>>61に適度に労いの言葉をかけ]
花の蜜はお好みかな?
[採取した花の蜜。茎の部分は回収することになるが、はたして飲むのだろうか。なんて、採取物を見せたりなどもする]
[そんな、蝶を懐かせて気持ちよく案内してもらおうとしている男。
確かに花はもっていない。宝石の煌めきという意味では腰に下げた黒玉でできた太陽と塔のオブジェであろうが、それは一色でしかなく宝石の煌めきはあっても花ではない]
さて、そこの彷徨い人よ。見られただけで何かいうほどの血の気はおじさんにはありませんが、おじさんの姿など見ても楽しいものではないでしょう。
姿をみせてはいかがですか?
[視線を向けずに、自分を見る人物>>64へと声をかけた*]
/*
うむ。
親父を刀鍛冶にした時点であるかなー、と思っていたら、得物が親父作だったか……!
てか、記憶戻った直後のリアクションがどうなるか予想つかんねwww
今の生き方にも馴染んでるから、さて、どうなるやら……。
/*
あと細かいこと言うと、「相まみえよ」だと『会え』って言ってるだけなのでは、というのがw
ログではぼかしたけど、戦えの意味で良いんだろうかなぁ。良いんだろうなぁ。
― 断崖・滝エリア ―
[滝の音に紛れる、離れた位置から微かな音を拾う。
隠れるでもなく佇んだまま視線を向ければ、1人の女性が森の中から現れた>>90。
女性の視線は滝へと向いていて、こちらにはまだ気付いていないよう]
………お前は、漆黒の花を持つ者か?
[声は低く、フルフェイスマスクを被っているにも関わらずはっきりと音として響いた。
「想い遂げたくば同じ花を携えし者と相まみえよ」
その言葉を確認するもの。
ヴェルナーの左胸には、オートメイルよりも濃い色をした煌めく花が留めてある*]
─ 回想 ─
[襲撃によって受けた損壊は激しく、復興の目途どころかまず何からしたら良いかも分からない程だった。
それでも一つ、一つと積み上げるように皆で少しでも元の生活へ近づく努力を重ねて。
ようやく集落の外へと意識を向けられるようになったのは、半月を過ぎた頃。
>>22交流のあるいくつもの集落が魔物たちによって壊滅したという不幸を知ったのも、その中にイェンスの住む里も含まれていたことも]
……ゆくえ、ふめい…?
[壊滅前に逃がされたはずのイェンスの消息が、知れぬものとなっていることも。
既に手を尽くせぬ段となった頃合いに、知ることとなった]
[此処だけでなく、いくつもの集落が同時に襲われたなど不自然だ、という声は郷の内外問わずにあった。
けれど、それに対して明確な答えを返せるものなどあるわけもなく。
何故を問える相手も無く、ただ喪った者、失ったものを思うことしかできない日々を重ねるしかなかった。
唯一の救いは、イェンスの亡骸を、だれも目にしていないこと。
確定していない以上、きっと生きていると、信じていられることが出来たから。
その救いが、まさか最悪の形で翳ることがあるなんて、思いもしていなかった]
[それはやはり、突然のことだった。
>>0:13あの日と同じく唐突に、集落が襲われて。
襲撃者たちの統率の取れた動きに、どこかの部隊のものだとはすぐに分かった。
ならばこの者たちを指揮している長がいる、それを叩けば統率を崩せて被害を押さえられるだろう───その狙い自体は、想定通りに事が進んだ。
想定外だったのは、その長の姿が、見覚えは無いはず、けれど面影が]
…………いぇんす、くん…?
[あの日の、あの幼い彼と、重なるものだったから。
襲撃者の長なんて、刃を向けるに迷いなど抱いてはいけない最たる相手だというのに。
あの日と同じ、泣いてしまいそうな顔を向けてしまった。
向けられた刃と表情、そのどちらも私の知る彼であるならあり得ないはずなのに。
幸か不幸か、ほどなく撤退していったから対峙の時間自体は短いものだったけれど。
私の大切なあの人と重なる顔で、私の大切な場所を侵してきた彼を。
どうしても私は、許すことが出来ないまま。*]
[しかし語られた師の故郷の話>>73に、真っ直ぐ見上げていた視線は力を無くし下がっていった]
あの、浜辺……何も、なくなってた……。
[グリュングレースと関係のない土地だと、今の今まで錯覚していた。
師の話>>2だって、ここではない何処かと重ね合わせてのものだと思っていて。
そして巫女の名が出た時、大きく肩が震えたのを、師は認めていたかどうか]
そんな……そんなこと……。
巫女は、国を護ってくれてるんだって……神魔様の力を借りて……。
[反発し、逃げ出して来た役目でも、国にとってなくてはならないものだという認識はしていた。
きっと穏やかで優しい――自分自身が"そうならないようにしていた"人格なのだろうと。
しかし師の語る巫女の行いは、あまりに冷淡だった]
オレはずっと、師匠と一緒に旅していたかった。
楽しかったんだ、本当に……!
[この先別々の道を選ぶとしても、それだけは偽りのない本心で。
答えを出して全てが崩れてしまう前に、どうしても伝えたかったことだった]
[師の姿が見えなくなり、喧騒からも逃れて、物陰に隠れようとした時。
リュカの肩を、強い力で掴む者があった]
――何をするんだ!
[ごろつきに絡まれたかと警戒しつつ顔を上げる。
視線の先にいたのは想像もしなかった、しかし見覚えのある身形の者だった]
『お探ししましたよ――翡翠の巫女様』
[まだ受け継いでいないはずの役の名で、彼はこちらを呼んだ]
お前は……グリュングレース神殿の……?
[緑の差し色と神殿を示す紋章から、そこに属する者であることは見抜けた。
腕を振り払い、相手を強く睨み付ける]
オレは巫女じゃない。何かの勘違いじゃないのか?
[それに対し、相手は薄い笑いを返した]
『グリュングレースで翡翠を持って生まれた人間を、我々が把握していないとでも?』
[つまり監視をされていたか、何らかの形で足取りを追われていたのだろう。
それに対する憤りを口にするより早く、神官が淡々とした口調で告げる]
『先代の巫女が行方をくらました。他の"翡翠"は役目を果たすには幼すぎる。
――巫女の空位を埋められるのは貴女だけだ、リュカ・ブレッタ』
馬鹿なことを!
[先に師と交わした言葉を思い出し、頭に血が上った]
今更巫女を立てて何になるんだ!
戦争に勝てるとでも言うのか!?
[故郷へ戻って何をする気だったのか、今となってはわからない。
それでもお飾りの巫女になるよりは、きっとマシなことが出来ると思っていた。
そんなこちらを見る神官の眼差しに嘲りはなく、むしろぞっとするような冷たさがあった]
『勿論勝てはしない。
――だが、負けることすら出来ないのだ。巫女がいなければな』
『土地を切り取られようが、重税を課され人品を取り立てられようが、何の価値も見出されぬまま滅ぼされるよりはマシだ。
――ああ、お前の父母は健在だよ。
翡翠の子の生まれた土地の保護には、神殿も微力ながら力を貸している』
[つまりはずっと守られていたのだ。
見捨てられた師の故郷とは違って。
そしてそれ故に、自分は故郷を捨て切ることが出来ない]
わかった。やるよ。
だって私にはもう、それしかない。
[師には拒絶された。そしてこれからも拒絶され続けるだろう。
自分は師匠の忌むべきものの一部なのだから]
[別れを告げることも禁じられ、神官に導かれるまま街を離れる時。
奇妙なことに、もう逃げ出そうという気が失せていることに気が付いた。
そして思ったのだ]
[自分にとって旅とは、師匠と共にあることだったのだと*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
……ぁー……。
[花弁へ向けていた視線を上へと向けて、大きく息を吐く。
どうにも気持ちが静まらない。
それは、ここに来る前から――先に失敗した、『任務』の時から抱えているもの]
っとに、アレ。何だったんだよ。
なんで、あんな……。
[思い出すのは、先日の奇襲任務の事。
対峙した女から向けられた――泣きそうな表情。>>99
戦いの場に似つかわしくない、と言えるそれに、感じたのは、何故か、痛みだった。
『こんな顔、みたくない』と。
それと共に過ったのはこんな思考で。
それがどこから出てきたのかわからない苛立ちと感じた痛みが気を乱して、結局その場は引く事になったのだけど]
……ったあ、もう……!
[思い出したら、あの時の痛みがまた蘇ってきたような気がして。
苛立ち紛れに、近くの木を蹴っ飛ばした。
それに対して憤るように、上からぱらぱらと硬い木の実やら葉っぱやらが落ちてきたから、慌てて飛び退いて]
……ったく……落ち着け、俺。
[はあ、と息を吐いた後、周囲を見回す。
先に巫女に遭遇してから、他者とあってはいない。
視界を蝶らしきものが掠めはしたが、特に気にかけなかった。
単に余裕がなかった、ともいうが]
……あの声の通りなら、いるはずなんだが……。
[相まみえよ、と言われたものが、とそんな事を思いながら歩みを進めてしばし、前方が明るくなって、徐々に視界が開け始めた]
― 平原 ―
……ん。
森、抜けた……か。
[まばらになった木立を抜けた先。
目に入ったのは、緩く広がる平原]
……いや、まて。
ここの広さって、どーなってんだ?
[外周の森も結構歩いた気がするが、目の前に広がる平原も、かなりの面積で]
……外見と中身が一致してない……ってとこか、これ。
厄介だな……。
[小さく呟きつつ、周囲を見回す。
一見すると無防備だが、左の手は『龍爪』の柄をしっかり、握っていた。*]
[親の顔は覚えていない。
思い起こせる一番古い画は、力尽きる寸前で宙吊り>>70にされ、びろーんと伸びながら見た顔で。
美しい、と思った]
くぅ?
[同時に。まともな言葉も紡げず、好きなように扱われながら、不思議に思ってもいた。
こんなに汚れている自分のどこがかわいいのだろうと]
くぅん。
[選択の余地はなかったけれど、問いに答えた形となったのだろうか。次に浮かんだ思いは『消えたくない』だったから。
送り込まれる癒しの風は深く深く染み込んできて。首に下げた砂金石が淡く光って。澱んでいた風が抜けて。
そのままストンと眠りに落ちてしまったから、主従の遣り取り>>76は知らないけれど]
かぁ、さま。
[意識戻した後、最初の意味ある一言がそれだったので。
桜石の魔人の記憶は、呆れ顔、から始まっていた**]
― 『神魔の領域』・森の中 ―
[蝶の導きを受ける、なんてことには頭が回らないままだったが。
開けた場で男の姿を認めたその時、蝶が自身の前方へ出てひらひら舞うのは見えた。
けれどそれだけでは確証には至れず、しばらくは男の姿を追跡して]
[彼がこちらへ視線を向けぬまま声を掛けたのはその時だった>>95]
確かに楽しいものではありませんね。
『領域』へ踏み込んだ者を幾人も目にするのは。
[そう声を発しつつ、木陰から離れて姿を露わにする。
短いが丁寧に切りそろえられた黒髪の下で、サークレットに加工された翡翠が小さく揺れる。
緑の差し色が入った民族調の衣装は巫女装束だが、神殿での儀式用とは違いやや裾が短く、動きやすさを確保している]
とはいえ、私は儀式を完遂するため、ある者と相まみえなければなりません。
――貴方は、"花"はお持ちで?
[腰に下げたオブジェに目はやったが、それは花とは思えぬ形のものだった。
仮に未知の植物なのだとしても、自身の持つ物と違うのだからハズレだ]
[得物はまだ、構えてはいない。
しかし杖という形で、右手に携えてはいる。
杖頭に宝石と装飾が入り、一見すれば術具のような、しかしそれにしては細く長い代物*]
― 『神魔の領域』 ―
[森の中を歩き続けるうちに、異質な臭いに気づいた。
血臭。それもまだ新しい。
長い年月を森で過ごすうちに覚えた感覚が、導く。
やがて、前方が明るくなる。
梢がわずかに途切れているのだ。
小さな泉が木々の間から見える。
傍に佇む馬と、人の影も。>>51]
誰か。
[近づくより先に、誰何の声を投げた。
後ろ姿の髪色が誰かを思い出させて、疼く。*]
―― 回想・とある兄妹の話(つづき) ――
……っ、
そういうヴェルの声のほーが大き―――って、あわわ。
[声が大きい、という突っ込む声に返す声もまた――
という不毛じみたループを打ち消すべく、>>52
片手で自分の口をふさぎ、もう片方の手は兄の顔の前であわあわと揺れていた。
そのままいくばくか硬直した時間を過ごしていたが、
「まだ寝ているのか」と親のどっちかに言われることはなかった]
[そーーーっと口から手を放す。
二人の時間がつづくという確信のもとに。
そうして不確かな未来の話をした。>>53
いっしょに旅に出たのならば行きたい場所の話を。
わたしが行きたい場所をヴェルも行きたいと思ってくれるだろうか。
そんな心配はちっともしていなかった記憶がある]
― 回想 ―
永遠に在り続けるものなどそうはないものだ。
いずれは朽ちはて灰になる、それが早いかどうかだけということもあるさ。
[その点において怒りや悲しみをみせる様子もなく咎めるという態度ですらない。肩を震わせるコニーリオには、ん?と内心首を傾ぐ。怖がらせたのかもしれない。]
さて、国を護るというのはどこまでのことをいうのか。
彼の国に属するものを守るのか。彼の国の名前を歴史に残すためにいるのか。
[語り口調は逸話を話すときと似たようなもの。
主に生き死にや興亡を調べ、そしてコニーリオに語ってきた姿そのものであった]
[頭を冷やすというコニーリオ>>102に頷く。]
ちょうど仕事もある。久しぶりの里帰りをするさ。
[どうしたかったのかはわからない。
でも自分は変わらない、目的地にちょうど護衛の仕事でもあればそれに乗っかる。それは今までコニーリオとの旅路をしていた手段としてよくやっていたことだ。
どこに属するかといえば相手国となるのだろうが、それは近く、自分の居場所を教えておくことであった。
それは、旅が楽しかった。というコニーリオ>>103へと、また、旅をともにするならばここにおいで。という意味合いをこめて師匠なりの返事であった]
[その後、コニーリオは別れの言葉もつげずに>>108帰ってこなかった。]
どこまで頭を冷やしにいったのやら。
[なんて言葉も意味のないことであった。]
未熟者が…まったく。
[自分との旅を楽しかった。などときけば、答えただろう。
各々が見て、思ったものが違うのだ。コニーリオはコニーリオの旅を楽しんでいたのだ。]
虚妄の火は燎原に、百夜の瞬きは灰に埋もれる。
朽ち果てしものは、何処にゆくのだろうな。
……手間がかかるな。
[幌馬車に乗って修練者はひとりぼやくように口にしていた。]
[だけど、心の奥底のどこかで気持ちが通じていても、
それを飲み込むことができないこともあった。
兄は確かに、「そのままでいい」と言ってくれたが、
それがどうしてなのかわからなかったのだ]
いっしょなら、さみしくはないよね? なのに……、
[だから、誰にも何も言わずひとりで、願いを叶える地へ赴こうとしたのだった。
故郷の町に背を向けて飛びながら、どうか今すぐ兄が追ってはこないようにと願った。
[グリュングレースに戻った弟子。巫女の役目をになうこととなると同じ時期に、軍が進発したという報を受けるだろう。
そして、軍事の顎は彼らの領土をむさぼるべく進発した、次にはいった報はまるで別のものであった。
ウルカニスの山の噴火である。
それは敵軍をマグマの海に飲み込んでいった。巫女の就任とともに国は助かったのだ!そのような喧伝がされたかもしれない。
危機はさったのだと。国狙う牙と仄かな約束>>121ごとマグマは飲み込み、灰と化していった*]
[追われることは結局なかったが、
何とか帰り着いたゾフィヤを待ち受けていたのは両親の叱責と、
感情を堪えたかのような兄の言葉だった。
抱きしめられているから彼の顔は見えない。それでもわかった。
きっと泣きそうになっているのだと]
ヴェル……ごめん、ごめんね。
たしかにわたしがバカだった、よ、
[同じになろうとして、結局兄をひとりにさせてしまった。
なんと浅はかな行動だったのだろう。それを今更ながらに思い知った]
うん、こんなことしないよ。
そのままでいいって言うんだから、そうする。
─ 『神魔の領域』・外周の森 ─
[鬱々とした気持ちを映しているのか、鬱蒼とした森は中々抜けられそうになかった。
けれど、ふと何時の間にか傍ら、視界を掠めるようにひらひらと>>0:125蝶が舞っていて。
敵意は宿していないものの、纏う気配は自然には在り得ぬものだったから]
……何らかの誘い、と見た方が良いのかも、な。
[罠の可能性もあるけれど。
あてもないまま歩き続けて一向に変化の無い風景はもう満腹で。
多少の危険であろうと、変化がある方がまだマシだと、蝶が飛ぶ方へと付いて歩くことにした。
すると、途端に景色は変化を見せ始めて。
木立から射し込む光はおろか、向かう先から差す光はどんどん広がっていき。
ほどなく、私自身も開けた場所へと辿りついた]
……うん、行くならいっしょに。
やくそくだよ。
[口にされた約束に素直に頷いた。
それはいつかきっと果たされるものだと根拠もなく信じていた――そう、あの日までは*]
─ 平原 ─
……………ここ、は。
[思わず後ろを振り返ってしまったのは、此処まで歩いていた森とこの場所があまりに違っていたから。
広さもそうだが、鬱屈とした森から抜けたにしては随分と穏やかな平地。
神魔の領域というものは常識の外にあるのだな、と今更ながらに思いながら、さて此処まで導いてくれた蝶は何処に───と視線を巡らせて。
>>111視界に入った黒髪、得物を握るその姿に、目を見開いた*]
― 平原 ―
見た感じ、アレだな。
ふつーに、開けた土地。
……っても、呪的ななんかがない、とは言い切れんか……。
[ぐるり周囲見回し、地勢を観察して。
さて、どうするか、と思った直後に、ふと、気配を感じた]
っと……。
[さて、何が出てきた、と。
思いながら視線を巡らせた先に見えた姿。>>128
赤の瞳が一度、瞬いた]
……って……。
なんで、お前がいるんだよ!?
[そこに立つのが誰か、認識した瞬間口を突いたのはこんな一言だった。
ずき、とまた、頭の芯が痛む。
それを振り払うように頭を振る仕種に合わせ、胸ポケットに挿した紫羅欄花が揺れた。*]
― 『神魔の領域』・森の中 ―
おや、ここは君の所有地だったかな。看板でもないと迷い子が増えてしまうよ。
[咎める守護者のような言葉に、からかいの滲んだ声色を乗せる。
指に結局とまってくれなかった枯葉の蝶に、少し残念そうに肩を竦めて、素直に姿をだしたものの姿を見るために振り返る。
特に出で立ちに特徴はない旅装に布が巻かれた長柄の棒をもつ修練者は、声の主>>115を見とめて、目を細める]
─ 平原 ─
[その姿を、見間違えるはずもない。
もう二度と会いたくないと思っていた、でも忘れることも出来なかった姿、だから。
凍り付いたように目が離せないまま、呆然と見つめて。
けれど、向けられた視線、投げられた言葉はやはり私の知っている彼では有り得ないものだったから、呪縛は解かれて]
……それは此方の───…
って。
なんで、あなたがその、花を。
[そちらこそ何で此処に、と問い返そうとしたところで、胸に揺れたその花に気が付いた。
まさか、彼が私の相まみえるべき相手なのか、と。
現状を鑑みればそうだと理解するべきと、わかってはいても。
己の胸ポケットに挿した紫羅欄花をそっと手で隠しかけたのは、無意識の内*]
ああ、同じ花の者を探すんだったね。
[儀式>>116というのに物珍しい地にいたせいで忘れていた。というのは口にしない]
わざわざ探す。という以上は、複数いるんだろうね。
[足りない言葉の隙間を想像するようにいいながら]
持っているよ。美しい乙女に捧げるのにふさわしい花をね。
さて、君は花をささげるにふさわしい乙女かな?
[一歩、二歩と巫女装束の乙女に歩みよりナンパな問いをむけた*]
―― 『神魔の領域』・滝のほとり ――
っ!
[声を掛けられとっさにその方を向く。>>96
目にしたのは鎧めいた姿――であった。
顔をすっぽりと、鋼鉄じみた質感がうかがえるマスクで覆っているため、
余計にそう思ってしまう。
響く声からして男のひとなのだろう]
同じ、花……、胸の、それと、
ってことは、…………へー、
[おもむろに相手の左胸を指さす。
表情はありありと「面倒なことになった」という感情に彩られていた。
それでもかけられた問いにはちゃんと答えるのだが]
なんともまあご名答なことで。
[ぶっきらぼうに言いながら背に手を回し、
ウエストポーチから漆黒の花を取り出して相手に見せた]
…………貴方。たぶん知ってる。
会うのは、……まあ『初めて』だろうけど。
フェアディガーって傭兵団の人でしょう。
5年前からあっちこっちの戦争に加わってる……。
そんな貴方がどうして、ここに?
貴方も花を持ってお告げみたいな声を聞いたってことは、
叶えたい願いがあるんだよね。
[さて、何故――ゾフィヤが相手の素性を言い当てられているかというと、
それは己の仕事に起因する。
『運び屋』としてのクライアントは往々にしてただの市民だが、
時折、市政をつかさどる者からの依頼が入ることがある。
この街や、あるいは友好的な街。
それらでつくられた支援物資を、戦火に焼かれた町や集落に運んだり、
機密情報が記された封書を、近隣の友好的な街に運び、
返信の封書を託され帰路についたりする、そんな仕事だ。
向かう先にどこかの軍の師団や傭兵団が残っている可能性もあるので、
いちおう彼ら――いわゆる“商売敵”の顔は覚えておいた方がいいと。
市長に言われるがまま見た資料に彼のこともまた載っていた]
― 平原 ―
[凍り付いたように見えるその心の内に過るものは知る由なく。
思わず口を突いた問いに返されかけた言葉は、途中から違う問いへとすり替わった]
……あ?
ここに入ってすぐに、天から落ちてきた。
[なんで、という問い。>>132
それに返す言葉は、端的なもの。
何かを隠そうとする仕種は逆に目を引き、瞳は刹那、自身の見知った赤い色を捉える]
……『想い遂げたくば同じ花を携えし者と相まみえよ』……だっけ?
[口にするのは、花と共に届いた言葉]
……見た感じ、どーやら、同じのが落ちてきたよーだが。
相まみえて何するってのも思いつかねぇし、こないだの仕切り直し、ってのはどーだい?
[頭の奥は相変わらず痛む、けれど。
ここでこの女を落とせたなら、あの近辺への再度の進軍も楽になるはず、という思考で強引に塗りつぶした]
……ま、なんにしても。
俺としちゃ、挽回の機会をみすみす潰すわけにもいかねぇんで、な。
[低く呟いた後、呼吸を整える。
『龍爪』を握る左の手に、力を込めて]
[ 声が聞こえた。>>117
若い男のようだ。
明瞭な発声と抑揚は品格を、すなわち育ちの良さを感じさせる。
こんな鄙の森の奥深くには似つかわしくない。]
……、
[ 指先を触れさせていた水面が乱れた。
意識を集中させて像を結ぼうとしていたところであったのだが、
少なくとも発見しようとしていたものの一部は、向こうから来てくれたというわけだ。]
……獲らせて、もらうっ!
[一方的な宣の後、地を蹴り駆けた。
基本的に、こちらの間合いは狭い。
故に、奇襲から相手の懐を一気に狙うのは常の事。
ある程度、距離を詰めた所で逆手持ちのまま強引に抜刀した『龍爪』を振り上げつつ、地を蹴り、跳んだ。
跳躍によって残りの距離を稼ぎつつ、繰り出すのは振り下ろしの勢い乗せた突き、一閃。*]
[街の成り立ちが成り立ちなだけあり、
ミットヴィンターの住民は戦争を大いに嫌っている。
だが、寄せ集めの街に強固な武力――
あるいは信仰されし存在に根差した何らかの力があるわけではなく、
結局は力に頼らないと街を守れないのではないかという、大いなる矛盾にさらされてもいる。
そんな矛盾の只中にある市長に、
「やつらには町の守護を任せたくない」と言われてしまうのは、
どっちつかずと言われてしまうほど様々な国からの依頼を受けているから。>>0:121
まあ、そんな傭兵団の一人でなくとも、
兵士だの軍人だのが相まみえる相手となれば、
最終的に至る結論は今と同じだったろう。すなわち、]
[ 問いかけに直接答えることはせず、立ち上がって振り向く。
青の重なる森が、そこだけ人の形に歪んでいた。
知覚できない、ナニモノかがいる。
ただの通りすがりでもあるまい。
空から届けられた宝石の花が脈打っていた。]
── ティランジア・イオナンタ
[ 確認するように口にする。
あるいは、名乗りと思われたかもしれないが。]
[ 静かに袖を元に戻し、服装を整える。
傷の有無に関わらず、肌を晒すのは、好ましいことではなかった。
そのまま、剣のつかに手を添える。
かつて、王子の影武者を努めた際に渡された剣だ。
抜かなければわからないだろうが、その刀身は半ばで折れている。]
── 試練なのだろう
[ 熱の篭らない声を投げた。*]
……どうせろくでもないモンじゃないだろうけど。
[―――「ならばこの相手には願いを叶えさせるわけにはいかない」という意志を抱くこと。
すべては勝手な思い込みのなせるわざ。
そうして次にとった行動は早かった。
灰色の翼を大きく羽ばたかせふわりと浮上した。
羽ばたきでもって空中にとどまったまま弓を手にする。
起動、とひとつ呟けば、弓の両端からほのかに薄紫に光る弦が張られていく。
空中から相手を睨み据える、だがその挙動には答えを待つような間が確かにあった*]
/*
ミーネは顔合わせするつもりがあったようで、先に行ってしまって、すまんかった。>>57
ほぼ一日遅れっていうか、まだペアバトルも始めてなくてあわあわする()
更新まで@23時間な
― いつかの出来事 ―
んん?
なぁに、取って喰うために連れてきた訳じゃあないよ?
[子狐を連れ帰った神魔は、向けられた問いにからり、と笑った。>>76]
まあ、育ててみるのも一興だろうさ。
磨けば綺麗になりそうだし、飾りがいもありそうだと思わん?
……子育ての真似事なんざするのは、務めの時以来だけどねぇ。
[にこにこしながら笑って、抱えた子狐を撫でてやる。
突っ込みにははぁいはい、と気のない返事を返して]
……このこなぁ、『消えたくない』って願ったんよ。
なら、わちきにできるのは、消えずにある道を示してやるだけ、だろぉ?
[それがこの地で、己が眷属として生きる以外にないというのは承知の上。
止めやしないけど、という物言いにはくく、と楽し気に笑うだけでそれ以上は返すこともなく]
おや、まあ。
……わちきをそんな風に呼んだのは、主が初めてだねぇ。
[意識戻した子狐から向けられた最初の言葉。>>114
それには少しばかり驚いたものの、すぐにそれは飲み込んで]
主、名はあるかい?
ないなら、わちきが主に名付けてあげるよぉ?
まあ、そうなったらホントにウチの子、てぇなるけどねぇ。
[これまた一応は問いの形を取ってはいるが、神魔的には気まぐれに拾った子狐を手放す気などは既になく。
眷属たる魔人の呆れ顔など当然の如く知らぬふり、突っ込みが来たとしても]
あ?
主、止めぬというたろ?
それに、主もこのこ、かわいい言ったろ?
問題、ある?
[なんて、わざとらしく小首傾げて問いを投げまくって煙に巻いてしまうのだが。**]
/*
子育て経験は、ねぇ。
絆石参戦組には言わずもがななアレです。
[※柱継承後に、神子が子供返りするヤツ]
[※神魔さん、色々あってメインで面倒見てたという過去が]
─ 平原 ─
[花を隠そうとしたのも無意識ならば、なんで、と紡いだのも半ば無意識。
だから、>>137答えが返ってきたのに少し驚いて。
簡素なその答え自体に、もっと驚いた。
驚いたというよりも、信じたくないという方が正しいかもしれないけれど]
……よりによって、なんで、貴方が。
[絞り出すように紡いだ声は、幾つもの思いが重なったもの。
>>138相まみえるべき相手が彼だったことも。
あの人と重なる面影を持つ相手が、よりによってあの人を重ね見た花を持っていることも。
どちらも受け入れ難い事とは、言葉にせずとも表情で相手にも伝わっただろう。
ぐ、と長柄を握っていた左手に力が籠ったのは仕切り直しという言葉を受けて、ではなかったけれど。
相手にとっては、その意図として受け取られたのかもしれない。
>>139得物を握る左手、込められた力を感じた刹那、その火蓋は切って落とされた*]
[>>*0宣と程なく蹴られた地、急襲とも言える動きはただ速く。
けれど、私にとっては応じられないものではなかった。
この間合い、距離の詰め方は人との打ち合いを最初に覚えた3年間で慣れていたものだったから]
……くっ!
[先ず狙われるのは頭、首など致命に至る箇所。
それさえ分かっていれば、その一閃を阻む手は如何様にもあるというものだ。
左腕を前に差し出しながら手首を返し、今だ刃先は皮の袋に覆わせたままの長い柄をくるりと回転させて跳躍してくる青年へと振り上げた*]
― 回想 ―
[こちらの動揺も、葛藤も、まるで伝わっていないかのように、師匠は平然としていた>>120。
淡々とした口調は常と同じ、歴史や逸話、教訓を語るような。
かつてならきっと目を輝かせ聞いていた言葉も、今はひたすら責められているようにしか感じられなかったけれど]
[一度その場を離れようとする自身に、里帰りという行き先が告げられる>>121。
それは今となっては敵対する土地であり、師匠の真意に反して、彼は平然と敵対することを選ぶのだと、思い知らされたような気分だった。
その掛け違いを抱えたまま、自身は決して会いに行くことの出来ない立場となって――]
[国に返れば、両親に挨拶することも叶わぬまま神殿に入れられた。
リュークリンデという新たな名と、既に仕立てられていた巫女服を与えられて。
聖域で修業を重ねただとか、神託を受けただとか、ここに至るまでのシナリオを叩き込まれた。
きっと色々な"設定"を覚えて演じるには、他の巫女候補は幼すぎたのだろう――そんな邪推に、そっと口元を歪めたりもした]
[そして巫女は、ウルカニス方面よりの進軍を目前に、その就任を宣言する]
――我々は厳しい立場に置かれるでしょう。
けれど土地は散り散りとなっても、信仰だけは我らの心を繋ぐのです。
それこそが、グリュングレースという国を護る――
[その時、大きな揺れがグリュングレースを襲った。
誰かが指を差した先、山から黒煙が上がるのが見えた。
ほどなくして届く、ウルカニスの噴火の報]
[それはこちらへ向け進軍中の敵軍を飲み込んだという。
師が帰ったという故郷の地ごと]
[巫女の奇跡により国が救われた――
そのような喧伝が、すぐさま神殿の者によって行われた。
国民の感謝と崇拝の声が、巫女自身に向けても届いてくる]
ふふ、奇跡――か。
まだここに立ち入ったことさえないのに。
[『神魔の領域』の入り口で、ざわめく森を見ながら呟く。
独りになりたいからと言って、人目を避けつつ歩いてきた結果、辿り着いたのがここだった。
まるごと聖域扱いとされているせいか、国の者も滅多なここではここに近寄らない]
ふ、ふふ、あはは――……
ああああぁぁぁあああっ!!
[泣き叫ぶ声を上げながら、自身の天命石である翡翠を、森の奥目掛けて投げ捨てる。
そのまま、背を向けて逃げるように必死で走った。
すぐに手の内へ戻って来ることはわかっている。何度も試したのだから]
師匠、師匠、なんで……っ
[もう共に在ることは出来ないとわかっているのに。
それでも永遠に喪われる方が余程悲しいのだと、その時思い知ったのだった*]
[泉の前で人影が立ち上がる。>>142
振り向いた姿は、尚更心をざわつかせた。
確かめる口調で音が並べられる。]
それは、花の名だな。
森に入る際に授けられたものだ。
[わざわざそれを口にしたということは、彼こそが相まみえるべき相手なのだろう。
木々の途切れた場所に足を踏み入れ、全身をさらして近づいていく。
だが、相手の手が剣に伸びたのを見て立ち止まった。]
[紡がれる言葉、向けられる表情。>>149
それが意識の奥に与える痛み、揺らぎ。
その理由は全て、見えぬ記憶の帳の向こう。
そんな状態でも、愛刀を手にすれば、意識は強引に切り替えられる。
抜刀即ちそれ戦場、と叩き込まれたが故の事……なのはさておき]
……なんっ……!?
[跳躍するこちらを迎え撃つように振り上げられる長柄。>>*1
こちらの動きを見切ったが如き反応に戸惑いつつ、それでも、直撃は食らえない、と身を捻る。
長柄が僅かに胴を掠め、着地の態勢は決まらなかったが]
……中々……。
[数度転がり、距離を開けてから勢いに乗せて跳ね上がる。
口の端が微かに上がり、笑みを刷いた]
やってくれるじゃ……。
[単純な手では距離は詰められそうにない。
そして、間合いを詰めねば相手は獲れない。
ならどうするか、という思考は短いもので]
ねぇのっ!
[逆手持ちしていた『龍爪』を右手で持ち直し、横一線に振るう。
距離ある状態で放つのは、赤く煌く雷撃一閃。**]
待て。
戦う気は無い。
[声は、相まみえよと告げただけだ。
戦う理由はない。
それになにより、彼には知己の面影があった。]
そなた、
ヴィンセントではないか?
[確信をもって問いかける。
幼少期の多感な時期を共に遊び、共に学んだ相手だ。
見間違うはずもない。
『神魔の領域』に着くまでは、と与えられた加護が既に解けていることを願う。
この姿を見れば相手も気づくはずだと疑いもしなかった。**]
……そのようですね。
[複数いるのだろうと、男の推測する声に小さく息を吐く。
面倒な、とは思うが、与えられた試練は粛々とこなす心算だ。
そんなこちらに対し、近付く男が向けた問い掛けに]
――捧げられようとも受け取る気はありませんが。
[冷たい口調で誘いを辞する]
乙女であることをお望みなら、他を当たることをお勧めしますわ。
私の心身は、神魔様へ捧げたものですから。
[まさか、この男の機嫌を取ることが試練だとでも言うのだろうか。
相手が持つという花の姿は見えぬままで、苛立つように杖の先で地面を打った*]
[>>*2長柄の動きに動揺しているらしきを見るに、彼はこういった長物相手には慣れていないようだ。
その割に最初の一撃への迷いが見えなかったのは戦い自体に慣れている故か。
ほんの数瞬足らずの情報から相手を分析しながら、直撃を避けて身を捻り、崩れた体勢のまま転がるところを見れば、追撃を避けてもあるだろうか。
間合いを稼いでいた方が有利なこちらが追撃する利はそも無いから、>>*3身体を起こした男の口端浮かんだ笑みまでも見遣りながら、ここからどうしたものかを考えていた]
(…しくじったな)
[頭の中でぼやくのは、持った長柄、その先の革袋を外しておかなかったこと。
これを掛けたままで戦うには限度があるが、かといって悠長に袋を外すのを待ってくれる相手でもないだろう]
(防戦しているばかりでは、力負けしてしまうだろうし。
かといって、杖術に用いるには刃の重みで力を削がれる。
どうしたものかな)
[そんな思考は、目の前の男が得物を持ち替えた手の動きに少し途切れ。
横一線に振り切られたその刃から放たれた赤い煌めきに、即座浮かんだのは直撃したらまずいということと。
これを受ければ厚い革すら焼き切れるかもしれないという閃きに。
避けるではなく、叩き斬るように。
革袋を覆ったままの刃を雷撃目掛けて振り下ろした**]
― 滝のほとり ―
[かけた声に返るのは、驚くような表情と、確認するような声>>134。
それもすぐに面倒そうなものへと変化した]
へぇ、俺も有名になったもんだな。
[知っている、と素性を当てて見せる相手>>135にそう返しつつ、示された花を目で追う。
花が抱く2種の煌めきは、確かにヴェルナーが持つものと同じだった]
[目的を問う言葉には、フルフェイスマスクの奥で瞳を細める]
分かっているなら答える必要はないだろう。
[詳細を教える義理はない、と言わんばかりに言葉を切った。
だが、「ろくでもない」>>144を言う言葉には眉根を寄せる]
知ったような口を。
ならお前が抱くのはまともな願いだとでもいうのか。
[浮上する相手に合わせ首を動かし見上げる体勢となる。
覚えのある翼の色。
同族かという思いと、古い記憶が揺さぶられるのは、刹那]
俺に武器を向けるということがどういうことか、教えてやろう。
[相手の持つ弓に弦が張られていくのを見ての臨戦態勢。
両腕がカシャカシャと音を立てた]
― 『神魔の領域』・森の中 ―
そりゃまた豪勢な地主だ。挨拶にいかないといけないね。
[まあここがどこか、その服装から推測するに彼女>>157の立場から誰か何かを察していても、粒だてて口にすることなく。]
試練とやらが何かは知らないが、こういうものは古来より競わせるものと決まっている。
奇跡というのは相応の力と心と運を携えたものにしか訪れないものだからね。
[大変なものだという大袈裟な身振り手振りを示しながら、無遠慮に不用心に、更に一歩一歩と歩み寄り、声や服装、立ち姿以外の彼女の特徴を目にするように――互いに個別認識できあう距離まで近づいた。
腰に提げた黒のオブジェ以外はさほど変わらぬ、年嵩が相応に増された姿はどのように映るか。
そんな修練者も首を傾ぐ。]
……どこかであったことあるかな?
[先ほどまでのナンパな物言いのせいで、違う意味にとられたかもしれない]
(アタック:ショット)
(アタック:スラッシュ)
[思考だけでキーワードを紡ぎ、両腕に仕込む武器を使用可能状態へと引き上げる。
見た目こそ変わらないが、意思一つで直ぐに顕現出来る態勢となり、左腕を相手に向けて持ち上げた。
その姿は、指を銃に見立てて構えるもの]
──── fire
[声と共に銃声が上がり、指先から発射された銃弾が相手目掛けて空気を切り裂いた**]
[双子を引き裂いた運命のあの日から、ずっと封印していた想いがある。
それは家族を探すこと。
故郷が滅んだことは聞いていて、生き残りを探すのは絶望的だろうとも言われた。
自由に動けなかった5年間で、人伝に家族を探してもらったことはあったものの、何も手掛かりが得られず諦めたのだ。
その中で唯一確信があったのは、片割れの生存。
なに、という根拠があるわけではない。
漠然とした感覚的なものだ。
そう信じたいという想いも多分にあったことだろう。
動けるようになった時に、いつか逢えればいいと、そう思っていた]
つれないねぇ
[冷たい口調>>158での固辞にも気にした様子もなく]
でもね、それだとおじさんも君も失格になるようだ。
[そして同様に腰帯についた花>>0:117もわかる。相まみえる存在であることを暗に伝えて]
というわけで、残念ながら君には乙女になってもらうしかなさそうだ。
おじさんは、巫女殿の従者など性に合わないからね。
[ナンパな態度を崩さぬまま、すっと目が細まる]
(まさかとは思う、が)
[黒髪で灰色の翼を持つ者。
顔立ちも面影があるようにも見える。
いくつもの符合はあれど、確信には至らず。
けれど願いを譲る気もなかったため、攻撃の手を緩める心算はなかった]
(もし、そうならば)
(”この地”で巡り逢ったというのも運命なのだろうか)
[ここは、いつか一緒に行こうと約束した場所だ**]
[そして不機嫌そうに地を叩く巫女>>158の杖とは違い、ゆっくりと半円を描くようにくるりと回転させる。
長柄の半ばをもち、平行に構えるようにして――]
― 回想:とある修行風景 ―
一番発想に近いのは槍だろうね。
その意味では棒より槍のほうがいいかもしれない、だが棒にも利点はあるものさ。
単純に軽い。持ち手が自由だからやりかたによっては槍よりも手数や間合いの調整。器用な動きを増やせる。
[長柄の武器を振るう上で、重さというのは大事なものだ。]
なにより、旅をする上でもっていっても怪しまれない
[少し冗談も交えるのは常のことでもある]
間合いをとって制することもできるが、これが意外と防御の術というものに優れていてね。
[平行にもった棒をさらに一周。手首を返し器用に動かして]
ほら、この範囲が防御ができ攻撃ができる範囲だ。まずは何ができるかを知るべきだろうね。
[そうやって棒術について自分なりに説明して、弟子にひとまず打っておいで。と改めて棒を平行に構えてみせて―――]
とはいってもね、納得しづらいだろう。
だからこういうのはどうかな?
お互いに、相応の力と心と運があるか確かめ合ってから。ってのでね。
[どうだい?と首を傾げた*]
[ 声をかけてきた男もまた、同じ花を授けられたのだと言う。>>155
王子と己の天命石によって象られた、あの花を。
目眩がした。
堂々と踏み出し、待て、と制する響きは、人に命令しなれた風情だ。
高貴な身分の若者が、どうして供も連れずにいるのか。
伏勢の気配は、今のところないが、]
──…っ!
[ ヴィンセント、と10年封じてきた名を呼ばれて、ますます混乱する。
向こうはこちらを知っているらしい。
呼びかける声は知らないものだったが──亡き国王陛下の御声に似てはいまいか。
あの方と別れたのは、声変わり前のこと。
己を鼓舞すべく剣に添えた指がわななく。]
確かに、私の名です。
[ 色のない視界に見据えたその人の姿は、ハレーションを起こして眩い。
彼が成長したクレステッド王子であるならば、もう自分は神魔に願うことがない。
あとは、彼の手で成敗してもらうだけだ。
本物ではなく、記憶を読み取るかどうかして化けた者であるならば、押し通ろう。
いずれにせよ、交わすべきは視線や言葉ではない。]
[ 水の術を発動させる詠唱を口に乗せる。
背後で泉がさざめいた。
海の潮が満ちる様にも似て、水面が二人の足元の方まで広がってくる。*]
(……なんで、読まれた?)
[長柄の得物を用いる相手との対峙、ないわけではない。
だが、初見で打てば響く対応をされた事は殆どないと言っていい。
無論、相応の達人であるならば話は別だが、見た目自身ととさして歳の変わらぬ女がその域に達している、とは思い難かった]
……思ってた以上の難敵、かね、こいつは。
[放った雷撃に対し、ためらいなく武器を振り下ろす姿に小さく呟く。>>*5
赤の雷撃は何かを覆う革を焼き切り、周囲に異臭が立ち込める。
覆いの下から現れたものが、平原に差し込む光を跳ね返す様に、赤の瞳がひとつ、瞬いた。*]
とーさん、それ、なんだ?
[未だ何も失わずにいた頃。
父が新たに鍛える刃が、いつもとどこか違う事に気づいて投げかけた問い。
それに向けられたのは、楽し気な笑みだった]
「なに、ちょっと、造ってみたい、ってぇ気になったんでな。
未来の戦乙女様への贈り物って所だ」
……みらいのいくさおとめ?
[冗談めかした言葉に素で返した言葉はちょっと棒読みで。
その反応に、父はやれやれ、と苦笑していた]
「お前のそういう所は、母さんそっくりだなぁ……」
なにそれ?
ていうか、それ、『龍爪』にちょっと似てる?
[ぼやくような言葉にも素で首を傾げつつ。
少年の好奇心は刃の形へと向けられる。
そこから、刀の種別やら何やらの話へと話題は以降して行ったから、『未来の戦乙女』が誰を示すかの追及はその場ではされぬまま。
もっとも、少年に教えれば贈る相手にもすぐバレるから、父としても仔細を説明する気はあまりなかったのだが]
[意識の奥底、帳の向こうに沈んだ記憶。
見えた刃は帳を揺らがす。
けれど、それは今だ、小さな漣にとどまるのみ。*]
ああ、まあ、過ぎるおいたはしていないようだから、問題ないさね。
[伝わる声に、神魔が返す言葉はのんびりとしたもの]
なぁに、傷を負っても得たいものがあるというなら、それも乗り越えるだろうさ。
アレに願うって事は、そこまで織り込んで行うべきことってのは。
主もわかっておろ?
― 湖畔 ―
さて、さて。
ぼちぼちと、始まったようだねぇ。
[領域内から伝わる気配に、く、と小さく笑む]
ここから一体どうなるか……。
ま、まずは見せてもらうとするかねぇ。
捻じれた縁、途切れた想い。
それに如何様に向き合い、新たに織りなすか、をね。
[楽し気な呟きは風にさらわれ、空へと消える。**]
[そして相手の顔立ちをはっきり認識した時、密かに息を呑んだ。
似ている、と。
記憶にあるよりは年嵩であるけど、それは別れたあの日から重ねた年月と一致する]
……そんなはずない。
あの人は……。
[死んだはずだ。
仮に生きていたにしても、この土地に何の用があると言うのか。
そんな内心を見透かしたのか否か、男から発せられる問い]
……いいえ。
知りません、貴方のことなんて。
[睨み付け、一度唇を噛んだ後答えを口にする。
ナンパのような物言いへの苛立ちは抜きにしても、そう答えるより他になかった。
あの頃、何処で何をしていたかなんて、口外出来るはずがない]
[その答えは予測していたか否か、男の態度が崩れることはない。
そして言外に告げられたのは、彼こそが自身の相まみえるべき相手ということ>>164]
そう……。
承諾しかねますが、失格するわけにはいきませんね。
[相手が見える所に花を持っていない以上、真実を確かめる術はなかったが、既に退ける状況でもなかった]
良いでしょう。
[巫女は杖を両手に構える代わり、もう一度地面へ突く。
直後、巫女の足元から相手の方向へ、地中を振動が駆け抜けていった]
私の力、その身を持って思い知りなさい!
[それは背後の木の根が、地中を伸び進むことにより生まれた動き。
それは眼前の男の足元にて地面を突き破り、その足に絡みつかんとする]
― 回想/修行中の一幕 ―
なるほどね。
オレは単純に、相性的な意味で棒が好きなんだけど。
[自身の力が"樹"に属するものだからか、金属武器には本能的な拒否感があった。
しかし師の語る利点>>167はためになるもので、納得したように何度も頷く]
[棒を器用に軽やかに動かす様子は、未だ攻撃をぶれさせない練習中のリュカの目には、達人が基本動作を難なくこなす様を思わせた。
それでも、防がれることは予測出来ても、身を持って味わわなければ修行にはならない]
いきます!
[真っ直ぐな、素直すぎる打ち筋で、師へ向けての一撃を振り下ろす――**]
[名を呼べば、彼の眼差しが驚きに揺らいだ。>>170
ああ。やはり彼なのだ。]
やはりそなたなのだな、ヴィニー。
私だ。クレステッドだ。わかるだろう?
[喜びに声震わせるが、相手の反応は堅い。
10年も経っているのだ。
信じられないのも無理はないと思い直す。]
覚えているだろう?
7歳のころ楡の木に登って、二人で落ちただろう。
そのときの傷だ。ほら。
[前髪を掻き上げて額を見せる。
生え際にうっすらと赤く残るのはそのときの傷跡だ。
乳兄弟がかばってくれなければ、大怪我をしていたかもしれない。]
10年もそなたを探さずにいて、すまなかったと思う。
苦労も掛けただろう。
詫びる言葉も無いが、今はただそなたとの再会が嬉しい。
[素直な心情を言葉に載せるが、返された視線に熱は感じられない。]
[代わりに、チリつく気配が伝わってきた。
殺気とも違う、ただ危険の予感だ。]
待てと言っている。
私を忘れたわけではないのだろう?
[気づけば溢れた水が足先まで来ている。
一、二歩下がり、そっと得物に手を置いた。*]
― 『神魔の領域』・森の中 ―
[建前はともかくそういうもの>>173と受け入れれるのは国柄か職業か性格によるものだろうか。などという考えは少々の後に終わる。
一瞬気配の崩れた>>174巫女を感じながら、自分は自分で少しだけ考えるように見つめていたが]
ふむ、なら気のせいということかな。
[知らないというならそうでもいいのだろう。
立場上知っていないほうが自然だとも思えたからだ]
いい提案だろ?
相まみえて何をするかは知らないが、敵対するなら手間も省ける。
協力し合うなら何ができるか知っていたほうが便利というものさ。
花をささげても構わない乙女ならば協力しあうのだっておじさん悪くは思わないものさ。
[実利的な面を口にしながらも最後はからかうようなナンパな言葉を口にして、目の前にいる巫女>>175>>176と相対する]
[凛とした宣言>>*9を受け、杖が地面を打つ。
揺れる大地、怪力ではないね。それはすなわち]
生憎と、抱擁は美女からと決めているんだ。
美しき樹かもしれないが温もりがたりないね。
[そのままさらに棒を旋回させて、布のついてない側が地面を這わせるように動くと、自身にせまる脅威を防ぐように焔が生まれ出て、地面を突き破る木の根を焦がしてしまう。
そのままはためように布が広がり]
ふっ!
[息を吐き出し、旗の形となった長柄の棒を横に振るい、団扇のようにして風を生み出し、焦がされて炭化した根が炭化した粉状となり視界を遮るように巫女へと降りかかるように舞い散り]
こんな場所で使うのはどうもね。
[火事となりたくはないものだ。だから利用しておこう。と、腰の黒いオブジェを手に取り、大気に熱が生まれる。その熱は粉状に飛び散ったものに伝播して赤い閃光となり、小さな破裂がいくつも生まれた*]
― 回想/修行中の一幕 ―
もちろん好みというのは大事さ。
使っていて嫌なものは性にあわないってものだ。長続きしないものだしね。
[やる気が削がれるようなことはいらないものである。
相性的なものといえば―――まあそれは略すこととなる]
いい声だ!
[成長を見守る師匠。声同様に真っ直ぐに素直な上段からの打ち込みを、体を右半身分後ろに下げつつ、棒を旋回させるようにして合せる。
棒同士がカチリと鈍い音をたててぶつかり合わせながら、そのまま勢いを誘い、右側に振り下ろしを手伝わせるように、押し出しながらの降り下ろしでもある。
そして半ばから棒をもっているため、それは振り上げる動きも連動して行われ]
技量をもてば、こうしてこれだけの範囲を防げ同時に攻撃も行える。
これは相手の力を利用した戦いかただね。
[振り上げるようにして見せた棒は背中を打つでもなく、寸で止めて一度距離を置くと解説をして、先程の動きをゆっくりと見せるのであった*]
[突然の襲撃に面して祖母から渡された袋筒。
襲撃当時は私が武器を取る事態には陥らず、悲惨な現状への対処に追われるのに必死で。
且つ、時を遅れて知ることとなった不幸を中々受け入れられなかったために、その封を解くまでには受け取ってから半年も過ぎてようやくだった。
開いた中から出てきたのは、祖母がまだ早いと言っていた通り私の身丈にはまだ長すぎる柄と、その先に据えられた煌めき。
それは何の見識も持たぬ身であっても、業物だと分かるものだった]
……イェンスくんのとうさま。
わたしの、ために
こんなすごいの、用意、してくれてたんだ。
[声に出せば、あの温かな笑顔が今にもすぐに脳裏に浮かぶ。
その顔も、もう二度と見ることは出来ないのだという思いも同時に浮かんで。
いわばこれが彼の人の形見の品ともなったのだと、視界が歪んだ。
溢れる涙で刃を汚さぬように、身を離して、手で顔を覆い]
なんで、こんな…
やだ、やだよ、やだ…
もうあえないなんて、やだ、やだよ…
どこいっちゃったの、ねぇ、
いぇんすくん、
いぇんすくん…!!!
[行方知れず、けれどきっと彼ももうこの世にはいないだろうと。
そういわれた名を、何度も呼んで泣き崩れて。
けれどこの慟哭は誰に言ってもどうすることも出来ないとも分かっていたから。
私一人と、この薙刀だけの秘め事として、ずぅっと胸に、しまいこんできたものだった]
[私の中で、あの3年の歳月はとても大切だからこそ。
目の前の彼に対しての感情は、複雑な色が入り混ざる。
全くの別人だとしか思えない諸々に、もしかしたらという期待すら抱けない。
けれど、他人の空似というには面影が重なり過ぎて、刃を向けるのにどうしても払えない迷いがつき纏う。
それをも切り捨てるつもりで振り下ろした切っ先は、雷撃に焼かれた革が異臭と共に損なわれてその姿を露わにしていく。
光を受けて煌めくそれは、刀程の長さを伴った刀身で。反り込みに対して幅がやや細いそれは、知識を持つ者が見れば今の私に合わせて誂えられたものと思われただろう。
それと同時に、彼の持つ得物との相似点にも気付かれただろうが、この場には私と彼しか居らず、私にはその見識が無く]
ありがとう。
おかげで外す手間が省けた。
[だから、私は何も気が付かぬまま、皮肉めいた礼を紡いで切っ先を彼へと向けるのみ*]
[ ただ一人のみが使う相性で呼ばれて、体の芯が揺さぶられる。>>178
語られた古いエピソードは、言われるまで久しく心の引き出しに仕舞われていた。
そんな記憶まで探るのは魔物でも難しかろう。
何より、高貴にして寛大なその挙止には馴染みがある。
年月が流れても変わらぬ、彼は生まれついての王子だ。
本物だ、と確信する。]
…忘れたわけではありません。
( あぁ、我が君── )
[ 下問に答えながら、唇を噛みしめる。
今やこの体に刻まれた傷は、彼のそれと違って、親しげに由来を語ることなどできぬものばかりだ。]
ご立派に成長されたお姿を拝見し、祝着この上なく存じます。
ここまで、決して、安逸な暮らしではなかったはず。
かの日、殿下を逃し奉ったことは、私の生涯の手柄でありましょう。
[ 剣から離した手を胸に当て、敬意を示す。
ああ、この剣もお返しせねば。
この10年、私の傍にあった御護──]
[ 一度、目を閉じてから、光の方を見つめて告げる。]
けれど、我らの道は隔てられてしまいました。
私は、陛下を弑した者に飼われ、その非道に加担した身。
再び交わることは──望みません。
[ 彼の未来に翳りを与えるようなことは、あってはならないのだ。]
―― 滝のほとり ――
有名?
……悪名の間違いじゃあない? それって。
[相手の言葉に眉を跳ね上げて皮肉気に笑ってみせる。>>159
やがては、確認が済んだか相手に確かめることもなく、
二種のきらめきに彩られた漆黒の花を元通りにしまってしまう。
お披露目の時間は済ませたと言いたげに、だ]
[ 王子が得物に手を伸ばす様子に、小さく頷く。]
殿下は、天地に誓って成就させたき願いがあって、ここに至られたはず。
私は、殿下が進むにあたり、乗り越えねばならない試練のひとつと思し召されよ。
──いざ、
[ 足元に打ち寄せた水が、術によってうねりを強め、粘性をもった触手に変じて王子に絡みつこうと伸び上がる。
この10年の間に使えるようになった術だから、王子は初見であろう。
術すらも、この身に相応しく禍々しい。
自分自身は、一歩も動くつもりはなかった。*]
[相手の顔はフルフェイスマスクに覆われて見えない。>>160
とはいえ詳細を教える気はない、という意志をなんとなく感じてはいた。
それから]
(へー……ちょっとは憤慨してる、のかなぁ。
それとも……、)
[あるいはほんとうに、世界を害さない程度のまともな願いを抱いているというのか。
少し考えて、やがて改めて眸に対抗の色をあらわにした]
さあ、どうだろうね……。
でも、仮にわたしが貴方の言うところの「まともな願い」を口にしたところで、
引き下がってくれるとでもいうの? ……違うんでしょう。
[その言葉をもってして――議論は、交わることのない方へと向かいつつあった。
あくまでも戦う、という決断を示すように、
翼がばさり、と大きな羽ばたきの音を立てる]
…………かかってくればいいよ、
もう、覚悟はできてるんだから。
[カシャカシャという金属じみた音が、>>161
この場所がもたらす瀑布の音の合間に聞こえていた。
ゆえに、油断のないように弓に矢をつがえた。
弓を持った左手を手前に……右手を奥に]
[その音の出所は彼の身体からであるようだ。>>*6
さりとて彼は武器を持たぬ。音とともに武器が顕れてくるわけでもなし。
ただ、左腕を向けてこっちを指さしてくる。
過去に得た情報の通りなら相手の四肢そのものが武器だ。
ただの指差しではあるまい]
コード:アクセル!
[声をあげ、羽ばたく。
自らの時間感覚のみ加速した中に自らを放り込めば、
周りのスピードは相対的に遅く見える。
その中にあっても銃弾は相応に速い。
息をのみながらも相手の右側面に回った。
直後、加速の効果が切れる。
分かっている。人体に対しての時間操作、一度使えば見込める効果は高いが長続きはしない、
連続してかけようにもその間隙を狙われかねない、これは諸刃の剣――
だからこそ早めに有利を取りたいところではあるが]
っ!
[ともあれ器物に対してかけるのであればその点心配しなくてもよい。
ゆえにそうする。
ふいに白い羽根があらわれ、つがえた矢に吸い込まれるようにして消える。
そうして加速の効果を得た矢を相手に向かって放ってもなお、
ゾフィヤの動きは止まらない。
射撃と当時に翼を揺らし移動を始めた。
目指すのは上から大量に流れてきた水のたゆたう場所。
いくらか足場にはなる岩が点在している。それを飛び伝って追ってこいとでも言うかのようだ*]
[“あの日”――故郷が攻め立てられ双子が引き裂かれた日。
それを乗り越えてからの最初の2年は、家族を探すための当てもない放浪の日々だった。
だが成果は得られず。
ミットヴィンターに流れ着き、そこで得た伝手を存分に活用しても、
やはり手掛かりはなく。
しかして片割れの生存、それだけは確固たるものだと思っていた。
根拠を訊かれてもまあ、「なんとなくそんな感じがする……」としか言えないのだが。
だが、生きていたとしても、己の知る兄とは変わってしまっているだろう。
そもそも本当に生きているのか? 単にそうだと信じたいだけではないのか]
[だが『いつかきっと』という思いを捨てないまま、
兄とともに行けたかもしれない場所を一人で辿って、
ついにこの地まで来てしまった。
一人足を踏み入れたこの地には今、己の知らぬ機鋼の音が響いている。
彼はいかなる経緯で機械仕掛けの手足を――こうして操っているのか]
(気になる? どうして?
属性が同じ、……かもしれないから?)
(でも……あれこれ考えてる場合じゃない……、 今は)*
[敵対であれ協力であれ、一戦交えるのはいい提案だと。
そう解説するような口調は、やはりかつての師のようだった。
一方で、協力しあうのでも構わないと軽く言う態度に、胸中はささくれ立つ]
――私の望みが、貴方と反するものであったら?
[思わずぶつけるように、そんな言葉を放つ]
[両腕を交差させ顔をかばいつつ、風に逆らわぬように更に大きく後方へ飛ぶ]
盾になりなさい!
[同時に発したその声に応じるように、瑞々しい広葉樹の枝葉が頭上から伸び、こちらと熱風を遮るように広がった。
剥き出しで熱に晒された手がひりつく痛みを訴えたが、まだ動かせない程ではない]
――厄介ですね。
[しかし、この一撃で判明した相手の属性――恐らくは火だろう。
疑いようもなく不利な相手]
だからと言って、負けが許されるはずもない。
生半可な攻撃では燃やされてしまう。
[思考するように呟く巫女の頭上から、ばらばらと不自然なほど多量の葉が降り注ぐ。
枯葉ではなく、先まで葉脈より水を得ていた、或いは葉芽から急成長させられた青い葉。
更にその側面は、刃物の如く鋭くもある]
ならば、この量ならどうです?
[局地的な風に巻き上げられたように、青葉の山が浮き上がる。
巫女が杖にて敵のいる先を指し示せば、それは号令を受けたかのように修練者へ向けて殺到した*]
/*
ロル落としながらだいたいテンパり気味の独り言を発しているのがナカノヒトだ あんまりにも深夜になるとおとなしくなるが
[対する相手の内に巡るもの。
それに繋がる道は青年の中にはなく、故に、刃向けるを躊躇う事はない、が]
…………?
[雷撃が覆いを焼き切り、露わになった刃。
独特と言えるその形が何かに引っかかって、ふ、と視線が手にした『龍爪』と、それから、鞘に収まったままの『紅雷』に落ちた]
……似て……る?
[刃の長さは『紅雷』の方に近いが、刀身の造りは『龍爪』と似ているか、と。
そんな思考と共にぽつり、と呟きが零れ落ちる]
……は。
んじゃ、ここはどうしたしまして、と返しとくかね。
[切っ先と共に向けられた、皮肉めいた礼に微か、口の端を上げる。
向けられる刃、知らぬはずのそれ。
閉じた意識の奥がざわめくが、それが何を意味するかはわからないから、そのまま押し込んで]
……間合い的には、『紅雷』の方が楽なんだが、なぁ……。
[抜けないんじゃ仕方ない、とそこは割り切っている。
それに、この場合は小回りの利き易い『龍爪』の方が楽だろう、とそんな思考もあるからぼやきは続かずに]
さて、お互いさんに全力出せるようになったようだし。
……やると、しますかねっとぉ!
[宣と共に、再度、地を蹴り駆ける。
どちらにしても、懐に飛びこまなくてはならないのはこちら側。
もっとも、長柄を使う相手はそれを阻もうと動くが常。
ならばどうするか、は単純明快]
……雷速!
[小さく紡ぐのは、術の言霊。
自身に宿る雷の気と刃のそれを呼応させて発動させる、身体強化の術。
駆け出した直後は先と変わらぬ速度のまま、向こうの間合いぎりぎりに迫った所で速度を急激に上げて]
ほらよっと!
[軽い掛け声と共に地を蹴り、女の左側面へと回り込む。
低く構えた姿勢から繰り出すのは上へと切り抜ける強襲の閃。*]
/*
バトルカードは、事前確定型じゃないとどーしてもお見合うのよなぁ……。
どことも当たりたい症候群が発動すると、特に。
まあ、どっちが楽かと言えばこっちなんで、素直に出しておこう、うん。
[そうして修行を重ね、幾らかの月日が過ぎた頃]
師匠は変わった武器を使うよね。
[ふとそんな風に問うたことがあった。
棒術に動きとしては近くとも、彼の得物の形状は旗とでも言うべきものだ。
自分の武器として同じものは選ばなかったけれど、興味はあった]
これって、何か仕掛けがあるの?
[自分を助けてくれたあの日>>0:38、武器格闘だけでない何らかの事象が生じていたことには気が付いていた。
あるいは師の持つ術の力によるものであっただろうか]
[好奇心のまま口にしたけれど、領分を越えた質問であったと感じたなら、それ以上の追及はしない。
それは互いの暗黙のルールに反することだったから*]
[宙で羽ばたく相手の姿が一瞬消えた>>*17]
(これは、)
[風を得て速度を上げたか、それとも。
また一つ符合が現れる。
フルフェイスマスクの奥で瞳を丸くしながら、羽ばたきの聞こえる音を拾い己の右へと意識を向けるが、相手の装填はとうに済んでいた]
ちっ!
[放たれる矢の速度が通常よりも早い。
右手に仕込んだブレードを顕現させるには間に合わず、鎧の強度を以て矢を受けることになった。
掲げた右腕に一度矢が突き刺さり、衝撃を与えた後、矢は地面へと落ちていく]
追い風……いや、加速、か?
[だとすれば、やはり彼女は。
過る思考を振り払い、居場所を変える相手へと意識を戻す。
相手が向かうのは滝より溢れた水が流れる場所。
どうやら足場の悪いエリアへと誘導したいようだ]
─── ふん、あんな場所、悪路でも何でもない。
(スラスターオン)
[ブォン、と足の裏からエネルギーが放出され、円形に砂埃を巻き上げる。
地面より僅かに浮いた身体は、足裏を後方へと向けることで滑るように地面を翔けた]
はっ!
[水際まで来た時、膝の屈伸も合わせ跳ね上がり、身体を宙へと持ち上げる。
その頂点でまた左手の指を相手へと向け、身体の正中線を狙い5発の連射を放った*]
/*
>>*27「足裏を後方へと向けること」
ここは片足を後方に向けることで、だったなー。
背中のスラスターで推進力得る形にしても良かったんだけど。
背中はこう、翼を開くタイミングをだな(
― 『神魔の領域』・森の中 ―
ははっ。おかしいことをいう。
願い事などそれぞれ、むしろ一致しないものさ。
[ぶつけられた言葉>>189に、嘲るなどではなくただ不思議そうにおかしくて笑う。]
ただね、願うならば、具体的な手段が浮かぶものを願うことだね。
漠然と叶えてもらえる。と思った願いは、曲解されてしまうときもあるだろう。それが誰にとっての善意をもって行われるか、誰にとっての悪意をもって行われるか。
大いなる力というものはそうやって、予測はつかないものだからね。
[講釈ともとれれば、醒めた意見ともとれる言葉を口にした*]
樹人《トレント》にあったらしてあげるといい。豊潤な土もあげれば君は友人としてみてもらえるぞ。
っと、これはいけない。
[軽口>>*19は止まらなかったがそれもつかの間。
広葉が盾のように覆う様>>*20に熱量を下げる。森に引火したら大変だ。
――だというのに、遠慮なく樹の力を引き出している巫女>>*21
葉が夕立のように落ちてきて作られる青葉の山を見て]
……ふむ
[先に考えたのはその脅威ではなく、一つのこだわりのようなもの]
巻き込まれたら大変だ。
[下におろしていた背嚢を拾って、空へと放り投げた。刻まれたら困るからね]
[改めて相対するようにして見る。指し示す杖という指示棒に従うように群れる葉刃の群れ。]
こういうもてかたをする日がくるとは思わなかったね。
[緩く笑いながらオブジェを手に取り、魔力がこもる。
出でたのは煙でありそれは修練者の周囲を包み込む。その中に飛び込んだ葉の刃がどうなったか。修練者がどうなったか、目視で確認することはできないだろう。
音であれば肌を裂くような音が届きはしただろう。
その中に一つ、ひゅんっと風をきる音。
勢いよく投射された飛礫は巫女の杖を持つ手と抜くように放たれ、その少しの後に、駆ける音が響いただろう*]
― 回想 ―
[旅と、その間に挟まれる修行の時間は過ぎていった。問いを向けられた>>191のはいつだったか]
そりゃ意味はあるさ。特殊な布をつければ戦いかたの幅が広まるとかね。
いくつか持ってるよ。
[と、蔓であまれた布。発火を促しやすくなる布。などをいくつか教えただろう]
あとはね、単に便利なんだよ。
[特に隠し立てするようなことではないので答えた。]
例えば水に浸せば簡単に重みを足すことができる。例えばこうすればな……
[と口で応えた後、布を垂らすようにして地面の石を包み込み、その棒を振りぬくことでできるスリングショット]
少なくとも身を覆う盾のないものには有効さ。
[なんて笑って答えたのであった*]
[>>*22雷撃によって露わになった刃に、相手の唇が何かを紡いだのは分かったけれど。
その呟きまではこちらに届かず、代わりに届けられたのは>>*23私が紡いだ礼へと返された声。
私が彼に対して抱いているものを彼がわからぬように、彼が私を見てざわめく意識の奥に私も気付けぬまま。
両の手で支える長柄、切っ先を向けた時点でこちらの体勢は整っていたから、>>*24再度の動き自体には焦りもなかったが]
っ………!?
[間合いに入る直前、突如上がった速度に虚を突かれ。
視界から一瞬相手を見失い、左側面へと回り込まれたと気付いたのは既に手の閃きが繰り出されていて。
咄嗟、腕を交差させて柄を反転させながら身を捩り]
Ground move!
[紡いだ呪、蹴りつけた足元がぼこりと凹み、代わりに周囲の地面が一気に盛り上がる。
相手の強襲を完全に避けるまでは不可能でも、少なくとも致命を避けることはこれで叶っただろう。
とはいえ身動き自体は難しくなった状況に更なる追撃を避ける為、ぐん、と振り回した長柄、刃はどこか掠め切るくらいは果たせたか*]
[こうして戦う中、なぜか過るのは3年間の鍛錬の記憶。
それはきっと、私が初めて覚えた他人と戦う間合いだからだ。
何度も手合わせをして、何度もケガをして。
でも、その度にこうしたらいいんじゃないか、こうしたら追撃になるんじゃないか。
そんな話をして、たくさんたくさん、覚えていったから]
あのね、わたし、
とちがみさま?のかごが、つよいんだって。
だからね、いまはまだムリだけど
おっきくなったら、じめんをうごかしたりとか
もっとたくさんのつちを、もちあげたりとか
[ふいに話し始めたこちらに、彼はどんな顔をしていたか。
それに構わずに話を続けたのは、どうしてもお願いしたいことがあったから]
そしたら、もっとたくさんのたたかいかた、
できるよーに、きっとなるから
まっててね。イェンスくん。
[そう言ったのは、私との手合わせで彼が何かを使わないようにしてると気がついていたから。
それが何かまでは知らなかったけれど、なんとなく寂しかったのだ。
手を抜かれてるとまでは思わなかったけれど、でも、全力を見せてもらえる自分にはまだなれていないのだとは思えて。
いつか、全力を出してもらえる自分になれるまで。
その時も彼はいてくれるのだと、幼い私は愚直に信じていた*]
[唐突な加速は狙い通り相手の虚を突けたが、さすがにというか、ただでは斬られてくれぬわけで]
……は!?
[唐突に競り上がった地面。>>*31
身体の向きを返られた事と、足元が変化した事で強襲は相手を捉え切れずに空を裂く]
ん、のっ……!
[想定外に対する困惑は刹那、振り回しの一撃を避けるべく、せり上がった土を踏んで高く跳ぶ。
刃先が僅かに足を掠めはしたものの、大きく裂かれたわけじゃない、と痛みは無視して]
ただ、で。
落ちるか!
[ここで後ろに飛び退けば、結局はまた繰り返し。
ならば多少は無謀でも、ここは上から仕掛ける局面、との判断は早い]
そう簡単にゃ、振り抜けねぇ、だろっ!
[何故そう思うかはわからない。
でも、『前にも』そう思って切り込んだような、そんな覚えが微かにある。
明確な記憶ではなく、身体が覚えている、感覚。
上からの突き下ろし、狙うは先のように急所――ではなく。
長柄支える、左の腕。*]
[交差の最中、繰り出される技は記憶の帳をゆらり、揺らす]
……とちがみさまの、かご?
[稽古の合間、唐突に始まった話。
言われた意味がわからず、きょとん、としたまま、話を聞いた]
……へぇ……なんかそれ、凄いなぁ。
[てか、めっちゃそれ、攻め難そう……というのまでは、言葉にはしなかったけれど。
でもなんでいきなりそんな話を、と思った所に告げられたのは、待っててね、というお願いで]
あー、えー、と。
[唐突なお願いは、なんだか色々、見透かされているような気がして、妙な声が上がった。
武術の稽古とは直接関係ないから、と使わずにいる雷の力の事とか、違う間合いでの戦い方の事とか、いろいろ。
別に遠慮しているとか手を抜いているとか、ではないのだけれど。
何かしら、気づかれているのか、と思うとちょっと後ろめたいようななんというかな気持ちになってしまうのも確かで]
……う、ん。
[それでも。
向けられる言葉と瞳が真っ直ぐだったから、返したのは頷きひとつ]
俺も、まだまだ全然足りてないから。
全力で、ぶつかれるように、がんばりながら。
まってる、な。
[そんな未来が当たり前に来ると思っていたからこそ。
返す言葉に、迷いは、なかった。*]
― 回想 ―
[投げ掛けた質問に、師は快く答えてくれる>>193。
旗布が複数種あると、知ったのもこの時だったか]
そういうもんか。
……んー、オレにはまだ難しいかな。
[様々な状況に対処出来るのは魅力的だが、まずは基本を押さえてからというのはここまでの経験上感じていた]
[しかし、旗布を利用し飛び道具を使うというのは、予想外の発想だった]
あっ、投石ってやつだよね、これ。
いきなり石が飛んで来たら、相手はびっくりするだろうね。
[武器で受ければ壊してしまうかもしれないし、体――特に頭に当たるのは最悪だ。
そんな風に、今使うものでなくても、何処かで役立つかもしれない知識を覚えていく*]
[放たれた矢は右腕で受け止められ地面へと落ちていく。>>*26
いくばくかの衝撃を与えたのだろうが、
その度合いを相手の様子から確かめることは難しいだろう。顔は見えないし。
ともあれ水場の上で羽ばたきながら相手を見据える。
右手を掲げれば水色の羽根が四枚虚空より降り落ちる。
おおよそ小ぶりのナイフくらいの大きさのそれは、
相手を迎え撃つようにゾフィヤの周囲を回っている]
[その時、相手が足をつける地面、
そこに彼を中心として円形の砂ぼこりが舞った]
――浮いた!?
[有利を取ると思うにはまだ甘かった。>>*27
足に仕込んだ機構――をフル稼働させ、
疾走というよりは滑空といった様相で地面を行く。そして水際で――飛んだ。
距離的におそらく次も銃だろうと踏み、水色の羽根を操作する。
銃口と同義の彼の左手の指先にできるだけ目を配ろうとするが早い。
とっさに自分の真正面に来るように置かれる四枚の羽根]
とま……って!
[銃声が鳴る。
水色の羽根に触れた弾はぱたりと動きを止めて、落ちる。
一方羽根も砕け散る。それが立て続けに四回起こった。
だが相手の手数は五発。
止められなかった一発が、即座に左後方に飛び退って距離を開けようとしたところに襲い来た]
[下がった視界、私を守るようにせり上がった土の囲い。
それは狙った通り、相手の強襲を空振りに終わらせてはくれた。
>>*32即座の追撃を避けるため振り回した柄に返った手応えから、どこかを掠めは出来たとも分かるが安堵にまでは至らない。
土くれを利用しての高い跳躍、落下の速度と威力を味方につけての追撃は、彼の十八番だったから。
だから、それが来ること自体は、意外でもなんでもなかった、けれど]
な───…!?
[>>*33上からの突き下ろし、急所ではなく得物を手放させるための狙い。
それは、私の記憶にあるあの幼い彼の動き、そのもので。
身体が覚えている感覚は、驚きに固まる私の思考を無視して、あの頃の動きを再現し。
結果、ぎしりという音と共に刃を食い込ませた柄が、その一撃を受け止めた]
[そんな身体とはうらはらに、私の目は驚きに見開いたまま、だったけれど。
次第にそれは、怒りに、憤りに変わる。
なんでその動きを、貴方が知っているの。
なんで貴方が、動けるの。
よりにもよって、あの人の面影と重なる貴方が]
なんで…
だれから、おそわったの。
[間近にあるその顔を、瞳を真っすぐに見据えながら、絞り出すような声で問いを投げた*]
[銃弾が羽根を掠めていく。
撃ち貫かれなかっただけマシだが衝撃は少なくない]
……すごいね。その、身体。
いや、すごいって言っちゃっていいのか……、
[大きく息をついて体勢を立て直し再び矢をつがえる。
白の加速光をまとった矢を一射]
わたしにはこーいうことくらいしかできないし。
――コード:リピート。
[矢を射かけた動きは一度。
だが、その動きを一部真似るように、矢が次々と顕れ放たれていく。
相手の足元を狙うかのような六連射。
避けられた矢は一部水に落ちて、思いのほか派手な飛沫をあげたことだろう]
― 『神魔の領域』・森の中 ―
ないね。願うほどの想いならいつだって一直線さ。そこに方向を気にする余暇なんてない。もし気になるならそれは迷いがあるってものだよ
[巫女である>>194とわかれば内容も想像がつく…なんて容易く考えているわけではない。単に自分が願うことに迷いがないだけなのだ。ときっぱりとした態度で言い切る]
[落下の勢いを乗せた強襲に返るのは、鈍い手応え。
止められた、と同時に、『また』という言葉が過って、消える。
そんな自分の思考に戸惑っていた所に向けられた、問い。>>*40]
……は?
なに、言ってんの、お前?
[刃交わす最中に唐突に出てきた言葉と、それが出てくる前の、瞳の色の変化。
それらは、青年の内にひとつの疑問を浮かび上がらせる]
教わったもなんも、ねぇよ。
これは、俺が自分で身に着けた動き、だ。
[身体が覚えていた動きを、そのまま我流で磨き上げた結果、とまでの説明には至らなかったけれど]
……てか、おま、ホント、何なんだよ。
[距離の近い瞳を真っ向う見返しつつ、ぶつけるのはあの時から抱えている苛立ちと、今生じた疑問]
こっちの動きは読んでるし、妙な事、聞いてくるし。
まるで……俺の、事……。
こうなる前の、俺の事、知ってるみたいじゃねぇかよっ!
[叫ぶように言いつつ、『龍爪』を引き抜くべく、ぐ、と手に力を込めた。*]
[燻されたような煙の臭いはなく、焦げ付いた匂い。と血の香り漂う。
切り傷をおいながらも不思議と血の痕がない修練者の前頭姿勢が煙が晴れると露わになる。
それは先に開いた間合い>>*19>>*20を埋めるように駆けながら、飛礫が命中>>*35したらしきことを見とめながら]
なぁ…君は……
[民族的な巫女の服を纏い魔術をつかう姿は、軽装だ、だが不自然に身軽だ。
それならばほかにつけるべきものがあるだろう。術式を更に高める装具とかをだ。なんとも効率が悪くチグハグにさえ見えたから、途中で、一瞬身をかがめ、黒のオブジェを地面にさした。
地熱が広がっていく。樹の術式を遅らせる狙いであった。]
その武器を扱うのを忌避してるのかな。
[その勢いのまま差し迫り、声を荒げなくても届く位置にて声をかけ、軽く体をそって突きを放つ。
胸部目掛けて突きを放った*]
― 回想 ―
ああ、難しいだろう。お兄さんもお薦めはしない。
でも色んな手段があるものだと知ったほうがいい。
ここからはお兄さんの持論だけどね。こうして棒術を教えていて、何よりも危険なことは棒術でどうにかすることしか考えなくなることさ。
武芸を修めるものに言えることだけどね、解決する手段が再前提として最も得手とすることになる比重が高くなるんだ。頭が固くなるということだね。
それは危険というものさ。対処されてしまうからね。
意表を一つ突くだけで戦いが変わることというのはよくあることさ。
[便利なものを使うのはその考えのもとだ。とコニーリオ>>195に笑って、だから多種にわたる戦いかたを知識として教えていった*]
[>>*42その顔を、瞳を間近に見つめて。
ますます重なる面影、湧き上がる懐かしさにより憤りも強くなる。
この人は違う、だってあの人はこんな目で私を見なかった。
あの頃の、ほかの人たちと同じ、理解できないものを見る目なんて、あの人は絶対にしなかった。
だから、もしかしたらすらも思い浮かばないまま、相手の言葉を聞いて。
より強まった憤りに、瞳揺らがす雫が零れ落ちて]
…うそだ。
おそわらなきゃ、みにつくはず、ない。
[先よりもより低く、絞り出した声で紡いだ後。
>>*43投げられた問いに、感情が溢れて、止まらなくなった]
あ、なたこそ。
あなたこそ、なんなの。
そのうごきは、私とあの人しかしらないはずなのに。
なんであなたができるの。
どうして、どこで、
なんであなたが
イェンスくんのうごきをしってるの!!!
[叩きつけるように声を投げつけて。
振り払うように薙いだ長柄と、脇差が引き抜かれたのは同時だったか*]
何っ。
[放った銃弾が水色の羽根にぶつかるや否や、弾かれるでもなく停止して水面へと落ちていく>>*38。
減速ではない、突然の停止。
風では作用し得ぬ現象だ]
(やはり同じ属性っ……)
[跳躍の頂点から岩場に身体を落下させつつ、相手の能力に苦虫を噛み締めたような表情をした。
フルフェイスマスクの下では一時、困惑の色が乗る]
[足場となる岩場に降り立ち、スラスターの威力を抑える。
スラスターは跳躍力や移動速度の上昇には使いやすいが、浮遊し続けることにはあまり向いていない。
再び推進力を得るためには反力を得るために地面なり壁なりを利用する必要があった]
そっちこそ、弾丸を止めるなんてやるじゃないか。
[身体のことを言われると>>*41、ほんの少し笑う色を乗せて声を返す。
結局、相手に届いたのはただの1発のみ、それも翼を掠めただけで痛手を与えることは出来なかった。
相手の力量を見誤っていたことを認める]
そういうことを出来ることを誇るべきだな。
[誰にでも出来ないことは、それだけで自分の宝だ。
一射放っただけにも拘らず、次々と足元を狙ってくる矢を、足場を飛び移ることで避けんとした。
その横で、水に落ちた矢が大きな水飛沫を上げる]
っ!
[水に紛れ飛来した一矢がヴェルナーの胴を捉えた。
四肢と異なり、鎧の下の頭と胴は生身。
突き刺さりはしないにしても、衝撃は腕に受けたものよりも強く感じられた]
かはっ……近づかなければ。
埒が明かない。
[射撃も出来る身だが、主戦力は近接戦だ。
矢を受けた腹部を抑えながら、機会を窺うように相手を見上げた*]
んなっ……。
[言葉交わす間に零れる滴。>>*45
一瞬、何かが過って、消えて]
なん、で、って……!
[言い募られる言葉たち。
最後の叫びは、こちらが投げた問いの答となった。>>*46]
って、と!
[『龍爪』を引き抜くのとほぼ同時、長柄が大きく振るわれる。
色々な意味でこれはヤバい、と大きく飛び退く事でその一撃を避けた]
なんで知ってるも、なにも、なぁ。
[着地し、呼吸整えた後、上げる声は低いもの]
自分の動きなんだから、知っててとーぜんだろーが!
この戦い方は、俺が、唯一覚えてたもの。
イェンス、って名前と、『紅雷・龍爪』の二対と。
身についた動き方だけが、12年前から残ってる俺の唯一、なんだよ!
それに文句つけられても、返しようがねぇだろーが!
他の事は、思い出せねぇんだからっ!
[怒鳴るように返しつつ、『龍爪』を鞘に納める。
代わりに、手をかけるのは抜けぬ刀――『紅雷』の柄]
……『紅雷』……それと、俺の天命、ちょっと手ぇ貸せ。
[経緯は、今は、思い出しようがない。
けれど、どうやら向こうは自分の手を知っている。
ならば、単純な手に頼っていては埒が明かない。
……向こうがこちらの過去に繋がる糸口であるなら、という思い、ないわけではないけれど。
今のままでは、どうにもならない、とも思うから]
……『紅雷』の担い手の名において願い奉る。
……一時、ここに下れ……紅雷龍。
[左手首にはめた天命石が淡い光を放ち、同じく『紅雷』から零れた光と重なり、赤の煌きを生み出す。
それは鞘に収まった『龍爪』へとふわり、宿った]
……どっちにしろ、白黒つけねぇと始まりそうにねぇからな。
でかいの一発……。
[言いつつ、再び『龍爪』の柄を握って]
撃たせてもらうっ!
[叫びざまに横一文字に振り抜く。
刃から飛び立つのは、先ほどよりも速度と、そして威力を増した龍思わせる形の雷撃。*2(20x1)]
[ゾフィヤは今まで明確に困惑をあらわにしたことはなかった。
脳裏にちらつく“彼”と司る属性が同じであること。
“彼”があの日を生き延びたならば――このように機械便りになっているのではないか、と想像を抱いたこと。
符号はいくつかあれど、だ。
だが、己の能力に対し「やるじゃないか」と言われたその時、>>*48
明らかに表情が崩れた]
な、何を言っているの……、
わたしは、そのう、相まみえてるやつだよ?
調子狂っちゃうじゃあないの……!
[ちょっとは笑っている。
声の調子からそれだけはわかってしまったのだから余計そうも思うというもの。
それに弾丸を止めて被弾を最小限防いだだけでは『勝ち』にはならない。
このままではまた、何も為せないままだ]
/*
うむ、ラ神が空気を読んだ。
……でかいの食らわないと、記憶戻る衝撃が入らんだろー、と思ってたらこれだもんなw
…………。
ほんっとに……、さあ、
思い出しちゃったよ、遠い昔に離れ離れになったひとの、ことを……。
[感情を半ば殺そうともくろみながらの六連射。
向けた矢のひとつが当たった手ごたえはある。>>*49
当たらなかった矢が落ちてあげた水しぶきが目くらましになってくれたらしい]
……へー、ああ、そうか。
[腹部を抑えどこか苦しがるような様子にひとつ、頷く。
四肢と違って生身の個所は弱い。ならばそこを一思いに狙えばいい]
(とはいえ相手も全力で避けてくるだろうし……)
[攻め手を考える。やがて一息をつき、笑った]
ならば追いついてみなよ……。
[翼をはためかせかく乱するように飛び回る。
自らへの加速はまだ使わない。切り札を切る時は誤ってはならないのだから*]
何を……っ!
[そして至近で放たれた問いに、二の句が継げなくなる。
図星といった反応に見えただろうか。
何かを口にするより早く、相手の突きが放たれるのが見えて]
くうっ!
[左手を上げ防御を試みる。
辛うじて直撃は免れたが、衝撃が全身に走り後方へよろめいた]
わ、たしが……どう戦うかなんて自由、でしょう?
[巫女らしくあらねばと、故郷に帰ってからは只管、術の扱いを学んでいた。
忌避していたあの石を、隠す必要だってもうないのだから]
[けれど――森へ踏み込むに際して何か武器を、と問われた時、脳裏に浮かんだのは棒術に使える長さの杖だった。
応用が利く武器だからと、その時はそんな風に誤魔化して]
なかったことにするつもりだったのに。
だけど私が使える武器はこれだけだったから。
[取り留めのない、相手に伝わらぬであろう言葉を口にしながら、更に数歩後退る。
背が後方の樹に触れれば、そのまま体重を預けた。
退路を断たれたようにも見える姿勢で、背後の樹へ力を注ぐ]
[――相手へ届くほどの成長は見込めないのであろうが]
でも今は――勝たなきゃ。
[背中を離し、素早く前傾する。
右手の痛みを堪えながら、杖を両手で正しく構え。
両足が踏むのは樹の根本]
なかったことにするつもりだったのに。
だけど私が使える武器はこれだけだったから。
[取り留めのない、相手に伝わらぬであろう言葉を口にしながら、更に数歩後退る。
背が後方の樹に触れれば、そのまま体重を預けた。
退路を断たれたようにも見える姿勢で、背後の樹へ力を注ぐ]
[――相手へ届くほどの成長は見込めないのであろうが]
でも今は――勝たなきゃ。
[背中を離し、素早く前傾する。
右手の痛みを堪えながら、杖を両手で正しく構え。
両足が踏むのは樹の根本]
[>>*50横に薙いだのは、相手への攻撃というよりも子供の駄々のような動き。
だからこそ無遠慮な振り抜きは当たっていれば結構な一撃ではあったろうが幸か不幸か避けられて。
泣きながら投げつけた言葉、それに返された>>*51答えは思いもよらないものだった]
……え…
[唯一覚えていたもの。
他の事は思い出せないというその言葉に、初めて彼の面影、その理由と可能性が重なった。
そんな、まさか、でも。
動揺はそのままひっそりと抱いていた迷いをより深める。
けれど、相手はこちらに構わず、勝負をつけるために動きを整えて]
っ…!
[気付いた時には、先と同じ、けれどより強い赤い煌めきが彼の持つ得物に宿っていた。
それを受けることは、いくら業物とはいえこの薙刀であっても危うかろう。
ならば私が取る道も、一つだけ。
たん、と足を踏み鳴らし、呼吸、鼓動を合わせ]
───Ground Emit!
[発した呪と共に振り切った刃から土礫を放ち、雷撃を迎え撃たんと──14(20x1)*]
[忘れたわけではないと語る彼の所作は硬く、口調は敬意と共に隔意を感じさせる。
その事実に憤慨した。
彼は、私の隣にあるべきだ。
これまでの経緯など知らぬ。
こうして再び生きて出会えたからには、私の元に戻るべきだ。
それがあるべき姿だろう?]
よろしい。
ならばこれぞ試練と心得よう。
私は私の行く道にそなたを求める。
[宣言して、腰から二本の得物を抜く。]
[構えたそれは、遠目には赤銅色の細剣とも見えよう。
実際にはそれは、竹に似せて形作られた銅の硬鞭だ。
柔らかな革の鞘から抜いたそれを自然に下げて持ち、波打つ水から一度、さらに
下がる。]
――― 散!
[短い言葉に応じて、両手首の腕輪に嵌まる天命石が溶けた。
液体と化した石は手を伝って流れ落ち、双鞭に至る。]
結!
[再び言葉によって形を取り戻した石は、鞭の根元に固着して強烈な冷気を発した。
それを受けて二本の鞭はたちまち白く霜に覆われる。]
[握れば肌が張り付くほどの冷気を帯びた双鞭を手に、まっすぐに駆けた。
術に操られて伸びる水の触手に鞭を打ち付けて振り払うを試みながら、水の領域へと吶喊する。
殴って目を覚まさせろ、とは何の物語にあった言葉だろう。
ともかく、ただひとりの"兄弟"だけを見据えて、前へと体を運んだ。]
[魔力を伴った土礫は、こちらへと翔ける赤き龍、その身可模った雷の全てを受けて打ち砕かれる。
その結果生じた土煙は、そのまま相手の視界とまともな呼吸を遮る術と変わって。
そんな状況の中、まともに応戦できる者は──それこそ余程の用心深いものや達人くらいだろう。
得物を片手に持ち替え一息に駆け、空いた右手で彼の胸倉をつかむとそのまま地へと押し倒して。
膝で胸を押さえ、身動きを取れなくして。
本来ならここで、左の手に持つそれを突き立てる、べきなのに]
……………あなたは。
ほんとに、なにも、おぼえて、ないの。
[ぱたん、と。
力なく降りた左手から、ゆっくりと離れた薙刀、長柄が立てた音が小さく響いた*]
[動揺が見える声>>*54。
マスクの奥で、くっ、と喉奥だけで笑った]
相手の力量を認めちゃいけないなんてルールはない。
[詭弁めいたことを言い、腹部に残る衝撃に耐えながら膝を屈伸させる。
撹乱するように飛び回り始める相手>>*56。
それをマスクの奥で瞳を細めて見やった]
(意表を突けば、あるいは)
[隠し玉はまだある。
恐らくは、相手にしか通用しないものだろうけれど。
スラスターを噴射させ、屈伸からの伸びも合わせて宙へと飛び上がる。
次いで起動させるのは背に仕込んだ、前方へと推進力を生むためのスラスター。
足裏のものよりも大きなそれは、瞬間的な加速を生み出す]
行くぞ!
[声と共に爆発的な加速を生んだヴェルナーの身体は、飛び回る相手へと肉薄せんとする。
処々のバーニアは起動させていないため、その動きは直線的だったことだろう。
横に逃れるならば容易にヴェルナーの進む軌道から外れることが出来るもの]
[だがそこに、ヴェルナーは一手加えた]
フル・リリース……!
[発したキーワードは全身を覆う鎧を取り去るもの。
顔を覆っていたフルフェイスマスクも、胴を覆っていた鎧も全て四肢のオートメイルへと収納された]
[ばさり]
[背に灰色の翼が現れる]
[翼を動かし、飛び回る相手を追う。
全身で相手の懐へ飛び込もうとする姿は、奇しくも離れ離れになった”あの時”の体勢に似ていた。
両腕を前方へと突き出すような姿。
あの日、飛来した刃によりヴェルナーの両腕は失われたのだ]
[身体ごとぶつかるような動きで狙うのは、相手の身体を宙から地面へと引き摺り下ろすこと* 11(20x1)]
[放った術は本来、『紅雷』を持って放つもの。
故に、威力の減退は避けられず、それを天命石の力で補ったのが今の技――だったのだが]
……なにっ!?
[呪と共に振り切られた刃から放たれた土礫。>>*63
それは赤き雷撃の龍に打ち砕かれるものの、そこから、予想外の変化をもたらした。
生じた土煙が視界と呼吸を遮る。
ヤバい、と後退しようとした矢先、胸倉を掴まれ、予想外の衝撃が立て続けに襲ってきた]
……って……。
[押さえつけられる感覚に、しまった、と思いつつ。
何とか抜け出さなくては、と思った所に落ちてきたのは]
………………。
[途切れがちの声が紡ぐ、問いかけ。
ずき、と頭の奥がまた、痛んだ]
……こんな事で嘘ついたって、仕方ねぇだろ。
12年前、
[どこか投げやりな口調で、そう返して、それから]
…………お前。
俺の事、知ってる……んだよ、な。
[確かめるように、こんな問いを投げかけた。*]
まあ、何……お礼だけは言っておく。わたしは律儀だからね。
[詭弁めいた言葉はさらりと流したのだった。
まさかこんなことになるとは……という思いも置いて、飛び回る。
ただ相手の姿だけはなるべくとらえられるよう意識をして]
(さあ) (どうくる)
[宣言の声とともに彼の身体はまた宙へと舞った。
爆発的な加速を前に彼女はためらわなかった]
――コード:アクセル。
[白の光がうっすらとまとわりつく。
急速に動きが鈍くなっていく周りの景色。飛ぶ黒、
あとは軌道を読んで迎え撃つだけに思われた――だが]
なっ……!
[そこに加えられたのは鎧をすべて取り去るという一手であった。
ようやくと相手の顔が見られる。否――それだけではない]
(灰色の) (翼……)
[見覚えのある色だった、何よりも]
くっ、
[選ばなければならなかった。
ゆえにまず、つがえていた矢に白ではなく黒の羽根を降らせた。
そうして次に矢を……撃ち放った。5(20x1)*]
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