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美しく月の昇る晩、君は自らの本当の姿を知った。
智恵を絞り、活路を開く勇気。
人狼を見抜き、妖異を滅ぼす力。
死者の声を現世に届ける異能。
頼りなく怯える人々を守る技。
互いの正体を知覚し合う絆。
自らの胸を裂いても仕うるべき主。
赤く染まる牙――長い咆哮。
さぁ、どうする?
まずは何から始めよう?
どうやらこの中には、村人が5名、人狼が1名いるようだ。
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■第1イベント (〜9/20 23:00)
赤い満月の照らす深い森がざわめきだす。
枝や茨が意志を持つもののように動き出し、君たちを攻撃しはじめる。
だが、ある方向へと進むならば、攻撃はされない。
それは、城館がある方向だ。
そして、館の敷地内に入れば、もはや攻撃されることはない。
森に留まって樹木と戦うもよし、追い立てられるまま城館へ向かうもよし。
なお、南の門から入ると、そこには夜に花咲く植物たちの庭園がある。
甘く蕩けるような花の媚香は、君を酩酊に誘うだろう。
また、東の門から入ると、露天風呂を備えた東屋がある。
トロみを帯びた湯で、着衣のままで入ると衣服が溶けてしまうようだ。
北の門から入れば、そこには墓地と礼拝堂がある。
静かで平穏だ。
西に門はない。かつてはあったのかもしれないが、レンガで塗り込められているようだ。
あるいは、秘密の部屋に続く隠し扉があるのかもしれない。//
四人。
……否。二組と数えるべきものか。
[宙に映る人影を数えて、城主は片手を前に伸ばした。
見えない球が乗っているかのように、もう片方の手で空間を撫でる。
どこからか赤い月の光が差し込んで城主を染めた。
ざわりと森が蠢く。]
[なんの備えもないままの落下行の結果、激しすぎる大地の腕に抱き潰されてからしばらく後、深い深い森の中、静かな湖畔に吾は居た]
っはぁーーーーっ!! 生き返った!
糞ぅ、あの畜生共め! 吾が動けないと思って好き勝手しおって!!
[返り血を洗い流し、返ってない血も洗い流し、泥だの汗だの血液だので身体にへばり付くだけになっていた元は服であったボロ布も、洗い流せばほんの少しだけ気が晴れた]
いや、あれは野生か? ならば畜生と呼ぶには不適当……あの野生め? ……うむ、違和感がある。
まあ、次にあったなら考えるか。
[そういうわけなので。
落下の衝撃でちょっと肉片になった結果、通りすがりの肉食獣の腹を満たす事になったなんてことも、そろそろ水に流すことにしよう]
[赤い光が降る大自然の中、目的もない状態であるならば自然体で居続ける事も吝かではないのだが、探し人がいるのだ。そしてそれは女である。
一糸まとわぬ状況というのは少々ではなく問題となるだろうし、問題にならなかったらそれはそれで問題だ。
持ってこようとして持ってきたものではないが、着替えくらいはあるので問題ない。
吾は手を前方に差し出してなにもない空間より、制服を一着取り出した。
吾様それって俺のだよね!
やたらと膨らんだ制服のポケットに視線を向ければ、吾の中で小物が騒ぎ出すが問題ない。
ちょっと覚醒した際に、事を運ぶべくかつての吾を知る者に会いにいこうとしたのだが、
それをするには、ポケットを菓子で一杯にした姿では少々どころではなく場にそぐわなかったのだ。
詰めれるだけ詰め込まれてしまっていて、取り出すことが叶わなかったのだから、仕舞い込んでいても仕方がない]
[
こっちは食べそこねて落ち込んだのに……
小物がまだなんか言ってるが無視を決め込み、制服を着込むことにしよう。
そもそも、なくしたと泣きついてちゃっかり追加で餌付けされていたのを吾は知っているのだ。
この制服の中身に関していうのなら、小物は食べそこねてはないのである。
小物の中で見た世界では毎度毎度なにかしら与えられていたのだが、あの砦の奴らは小物をなんだと思っていたのだろう。
着替え終えて、胸ポケットから一本取り出したエナジーバーに齧りつけば、また小物が騒ぎ出した。
……これは報復混じりの鬱憤晴らしに丁度いいと、吾は小物の声を聞き流しつつ、腹を満たすことにした。
そんな吾のもとに、手荒にすぎる城館行きの案内人が現れるのはもう少し後のことである*]
― 赤い月の森 ―
[降り立った地面は、公園ではありえない柔らかさだった。
幾星霜を重ねて降り積もったものか、厚い落ち葉に足がくるぶしまで埋まる。
世界を渡った感覚があったが、さてここはどこだろうと周囲を見渡したとき、風裂く音と共に足元で何かが爆ぜた。
咄嗟に下がる軌跡を追って、数本の枝がさらに振り下ろされる。
顔を狙ってきた一本を受け止めると、枝はそのまま絡みついてこようとした。]
無粋だね。私と彼の邪魔をするとは。
[握りしめた枝が黒い塵となって散る。
周囲の木々が、僅かに怯んだように見えた。]
[とはいえ、このあたりで枝を撓らせている木はさほど知性的とも見えず、懲りずに枝を振り回しては襲ってくる。
まわりの木々を一掃してしまおうかと構えたが、途中で止めた。
大規模な破壊行動をする前に、この世界について知る必要がある。
攻撃の方向に関する違和感も、いくらか覚えていた。
試しに一定方向に歩けば攻撃が止み、道が開ける。]
なるほど?
[目的は見えないが意図は分かった。
さてどうするかと考える間に、脅すように打ち付けられる枝を、また一本塵に変えた。*]
[ 視線を感じた気がして警戒を強める。
人の気配はしない。だが、風もないのにざわつく梢はどこか不穏だった。]
…む、
[ スルリと背後から忍び寄る蔦を振り払う。
ギィの新たな遊戯か?]
どこにいる。
[ 修辞的疑問だ。
他にどんな理由も認めたくはない。]
[ 木々の接触は、だんだんと激しさを増してくる。
ギィの仕業ではない気もしてきた。
だとしたら誰か? ギィばどこへ行った?]
──…確かめるくらいは、してやる。
[ 落ちていた手頃な枝にライターで火をつけて松明の代わりにする。
それで周囲を払いながら、歩き出した。*]
[ひとまず木々の導く方向へ向かってゆっくりと歩みを進める。
途中、頬についた血を指で拭って舐めた。
自分のものではない。彼が残したものだ。
指先に舌を這わせ、口中に含んでじっくり味わう。]
珍しい味だ。
彼は───
[美味ではないと彼自身が考えていたことは知らないが、あまり記憶にない類の味を感じるのは確かだ。
量を口に含めばわかるかもしれないが、これだけでは判じかねた。
もっと欲しい。
口の中だけで呟いて、名残惜しく爪の先を吸う。]
[僅かな量ではあったが、もうひとつの用には事足りた。
己の一部となった雫に意識を凝らせば、繋がるものの居場所を示す。
これも量の少なさゆえに曖昧なものとなったが、そう遠くない位置にいることは分かった。]
この森の中で、私を見つけられるかい?
[囁いて、ひとまずは導かれるままに歩いてゆくこととした。
時折枝を折り、落ち葉を散らして足跡を残しながら。**]
[
ざわり。
風もないのに揺れた空気に顔を上げる。石で作った釜の下に小枝を放り込む。もくもくと石釜にそれらしく作られた煙突から煙が上がる]
――??
[保存食を少し用意しようとした、のだがつい熱中しすぎて燻製やら蒸留水やら、当初の目的をすっかり忘れていたりとか。首を傾げつつ、続けて小枝を火にくべようとしたら、伸びてきた弦がぺしりと小枝を手から払い落とした]
あっ。
[燻製は火をたかないと完成しないのに。邪魔するように伸びてきた弦を、そばに置いていたサバイバルナイフで切り落とし、そのまま火の中にポイする。落ちた小枝も一緒に。]
[改めて辺りを見回すと、弦だけではない。木の枝が不気味にざわめき、まるでこちらに来いとでも言うように道を作る]
………。
[ぺしぺしと伸びてくる枝を切り落としては火にくべながら、考える。あちらへ行けということか。しかしあちらに何があるのか――もしこれを起こしているのが、あの化け物だとしたら。実際何度か助けられているし、会ったところで大丈夫、なのかもしれない。けれど自分に抵抗するだけの力がないのが問題だ。顔を合わせてしまったとしたら、きっと逃げるのは難しい。
行く気の薄そうな様子に焦れたのか、少し太めの枝が燻製釜を叩き潰すようにしなるのに目に入る]
はぁ!
[ナイフで一閃。しかしこれでは落ち着いて燻製が作れない]
あー…分かった。分かった行くよ、行くけどちょっと待って。これだけ作ったらちゃんと行くって。
[植物がこちらの声を聞いて、理解できるのかは分からないけれど…少し寄ってくる枝が乾燥したものになったから、聞こえていたのかもしれない]
[完成したばかりの保存食や飲み水用の蒸留水を綺麗に洗った大き目の葉で包み、ポーチに押し込めば移動の準備は完成だ。やれやれ、というように枝や弦で形作られた道を見遣る。
気が乗らない。実に気が乗らない。けれど行くと言ったのだから仕方ない。
石を積み上げて作った燻製釜を押し崩し、燃え残りがないようにきっちり消火を確認する。早くしろと急かすように枝がうねうねしてるけど、行く意思があるうちは一応おとなしくしてくれるようだ]
さて。
[行くか、と足を踏み出す。枯れ葉がざくりと音をたてる。さて何が出るやら。願わくば、この先にいるのがあの化け物のような何かではないように。
もしかしたら、もっと厄介なものかもしれないが*]
よっ! ほっ! とぁっ!!
[迫りくる枝を巧みに避けつつ、飴玉ひとつ口の中へと放り込む]
ていっ! ふべぁっ!! んっ!んんっ!
[止せばいいのに気勢を上げつつ飴玉なんぞ舐めるはじめるから、小さな甘味は口から飛び出しかけて、その度小物は回避のリズムを乱している。
だから小物は小物なのだ。
判断するのは先方の要件を聞いてからでもいいと、吾は大人しくついていくつもりだったのだが。
どうやら小物はあれらが気に食わないらしい。
おそらく、吾から主導権を奪ってまでのおやつタイムを邪魔されたからというのも、反抗の理由に含まれているのだろう]
[森という環境下、際限なく湧いているように見える枝と、殺気のない攻撃への対処は不得手であるとはいえ吾の力を持つ小物の戦いは、放っておけば平行線を辿り続けることだろう。
……吾はそれほど暇ではないから]
[
樹を捌きながら這いずって、行き先は理解できているのか?
樹の指す先に行きたくないなら、枝の上を行けばいいだろうに。
何故、地に足をつけているのか。吾には理解しかねるな。
なんて、まだまだ気力が有り余っている小物へ囁いて。
それから吾は「吾様は天才か!」なんて瞳を輝かせる小物から、ふいと意識を背けるのだった]
[枝の上は進むも戻るも樹木次第、向かう先などわかる筈もないだろうに。
地面と違って不安定な足元に、相対する枝が一本ではないことは、先程までの攻防で嫌という程わかっていただろうに。
吾の甘言に乗った小物がどうなるかなんて、予想するのも容易いのだ]
[そうして
びたーん!!
などという派手な音と共に、予測された未来は訪れた。
意気揚々と小物が枝へと飛び乗って、わずか数秒のことである]
[
大人一人が寝れるほどに太い枝の上、顔面から突っ込んだ突っ伏したままの状態で、小物が吾に恨み言を言ってくるので。
それに「これで進めるな」と笑って返してやれば、小物は吾と意見が食い違っていた事を思い出したらしく、ぐぅと唸りながら、枝に爪を立てはじめた。
痛みは引き受けてやったというのに、そんなに悔しかったのだろうか。
このまま小物に拗ね続けられても鬱陶しい。埋め合わせはすると口約束混じりに宥めにかかるとしよう。
まあこれで、目的地に着くまでに、機嫌を直せばいいのだけれど**
]
[
特に反抗するつもりはない、けれど急ぐ理由もないからまったりと歩く。変わり映えがあればいいのだが、警戒するような生き物も危険も見当たらないのだから仕方がない]
……あ、れ?
[微かに聞こえるのは、人の声ではないだろうか。まるで掛け声のような。
こんなところで出会う人物がまともであるとも思えないが、上手く道でも聞ければ幸運。声の方へと微妙に進路をずらしてみる……それは、木の枝に許されなかったようだ。仕方がないから肩から提げた愛銃に手をかけつつ、じっと目を凝らした。ところで]
[
「吾様は天才か!」
なんて声が聞こえて、眉を寄せる。聞き覚えが、あるようなないような。あるとしたら、それはけして聞きたい声ではないような。だって聞き覚えがあるとしたら、それは一緒にここに来た筈の彼である可能性が高いのだ。
向ける視線の先。敵として何度も見慣れた軍服姿にとっさに木の陰に隠れようとするのだが、行動に移すよりも向こうの動きの方が早かった。
なにやら目一杯の笑顔のままその体が跳躍して、一際太い枝の上に着地――そのまま
びたーん!!
派手な音を立てて、顔から倒れこんだ]
――うわぁ。
[あれは痛い。絶対痛い。何をやっているのだろう。
呆然と眺める先で、そのまま木の枝に乗せられ運ばれていく化け物。木の枝をかりかり引っかいているのは、抵抗のつもりなのだろうか。奇しくも……でもないか。方向は同じようだ。わぁ行きたくない。
と、枝の上の化け物と目が合った]
あ。
[あ、やばい。咄嗟にウィンチェスターを構える。
化け物がこちらに向かって何かを伝えるように口を開き、枝から飛び降りようとするのが見えた]
― 城館 ―
[木々が導くままに森の中を進んでいく。
公園の中を闊歩するような風情だったが、時折立ち止まっては攻撃を誘い、蔦を引きちぎり枝を折り捨てた痕が点々と後ろに残っていた。
こうして木々を傷つけていても、森の敵意が上昇しているという感じはしない。単に決まった方角へ歩かせたいという意図だけが見える。
先で待っているのは精霊や森霊の類ではないな、との予想を裏付けるように、やがて行く手に石壁が見えてきた。]
さて。
どなたのお召しかな。
[門の前に立って、ステッキで門扉を叩く。
ややあって、誰かが来たとも見えぬまま門が内側へ開かれた。
視界の端で黒い影がちらと動く。]
― 南の庭園 ―
[門を一歩潜ると、視界が花の色に染まった。
色とりどりの花々が美しく咲き誇っている。
見渡す限りの花畑、と錯覚したのは知覚の全てが花に絡め取られたから。
濃密な芳香は、視界が白く霞むほど。]
……こんなところに私を連れて来て、どうしようというのなか?
[声に出して問うも、森はすっかり動きを止め、黒い影は気配を消し、他に案内が来る様子もない。
此処へ招待したのが何であれ、姿も見せなければ使者も寄越さない相手へ尽くす礼儀は品切れだった。]
そちらがどういうつもりかは知らないけれど、
私は私で楽しませてもらうよ。
[宣言してから、帽子とステッキをその辺に投げ、花壇に仰向けに倒れこむ。
背中で潰れた花が、一層甘く香った。
いずれ、彼もここへ現れるだろう。
その時にどんな顔を見せてくれるのか、楽しみだ。*]
[ 意志あるもののように攻撃してくる樹木に示す己の反応は、普通の人間とはかけ離れているのだろう。
元々、表現力に欠けることは自覚している。地が出てしまっている。
ギィとの出会いが影響していることは確かだ。
なりふり構わってはいられないなくなるようなものを、あの男は仕掛けてくる。]
どうするかな
[ 起きている事態の全貌はいまだ知れず、ただ、森の攻撃に一定の法則があることは読み取れた。
無理をすれば、森が行かせまいとしている方向へ進むこともできなくはない。
だが、そうしたところで元の世界へ戻れる保証もなかった。]
[ 冷静な計算で威圧的な森のエスコートを受け入れて、森の奥へと進む。
やがて、梢のさらに高みに抜きん出た尖塔が見えた。]
…、
[ いかにも、である。ギィの居城だろうか。]
[ 周囲には、蔦が引きちぎられ、枝の折られた跡があった。
よほど、抵抗した者がいると見える。
それほどあれは、危険な場所か。
背後で茨が急かすように鳴った。
タクマは覚悟を決めて歩き出す。]
[ 前方に現れた瀟洒な門は、開いていた。
その先に、花園がある。
降り注ぐ月光の元で咲いていた。
その庭をも、踏み荒らした者がいる。
花壇に色合いの異なる染みめいて倒れた男には、見覚えがあった。]
──!
[ 瞬間の反応は、警官らしいものであった。
現場の保存と観察、である。]
[ 四肢を投げ出して横臥した姿は、月から落ちた精霊のように美しいが、ここは寝所ではない。
気を失っているのか?
だとしたら、これらの花は有毒なのかもしれない。
その気になればいくらでも息は止めていられるから、用心のためにそうして、ギィに歩み寄る。
松明を顔に近づけて、反応を見た。*]
[花々の香気と降り注ぐ月光の中で、眠るように横たわっていた。
或いは、
けれども無論、眠ってもいなければ死んでもいなかった。
己が取り込んだ彼の血が共鳴する。
門を潜るより前から気配を感じていた。
近づいてくる足音に、拍動せぬ胸を高鳴らせて待つ。
顔の側に熱を感じた瞬間、バネ仕掛けのように腕が跳ねあがった。]
[ 炎に照らし出された瞑目する顔は花よりもなお麗しい。
その髪に火の粉が落ちぬようにと、わずかに松明を動かした時だった。
予備動作もなく、腕が跳ね上がり、トラバサミの罠のごとく瞬時にタクマの手首を捉える。
上体もまた、人の筋肉の理屈を無視した所作で、横たわっていた姿勢から起き上がった。
ホラーである。
大抵の物事には動じないタクマも、目を見張った。]
[ 遅れてフワリと舞い散った花弁に紛れて、唇に押し当てられる圧。
またひとつ、盗まれた。
毒か、という懸念が脳裏を過るが判断する間も惜しい。
引き寄せられる勢いのままに、曲げた膝を相手に乗せる。
体重のかけ方次第では、肋骨を踏み折らんと。*]
く、 ふ …
[目的を一つ果たした表情は充足した円みを帯び、胸を膝で押さえこまれた苦鳴もどこか甘い。
他になんの意図も無い。
ただ、唇を奪いたかっただけ。
毒など効きにくい身体とはいえ、月下に満ちる蜜香が心を昂ぶらせていた。
瞳が潤み、瞳孔が開き、目の大部分が紅く輝いている。
このまま身を踏み砕かれるのも心地いいだろう。
身体の奥で骨が軋む、甘美な痛み。
けれど、それよりももっと彼を見ていたかった。
その本性を、曝け出させてみたい。]
[足を跳ね上げて身体を回転させ、強引に互いの上下を返そうとする。そこまでいかずとも、バランスを崩した隙に身体を引き抜いて立ち上がった。
数度後ろへ跳ねて距離を取り、袖口に手を入れる。]
よく来たね。
私を見つけてくれると思っていたよ。
[袖口から引き出されるのは、闇色の刃持つ細身の剣。
構えの気迫が香気を巻き上げる。]
[ 熱夢にうかされたような眼差しで見つめる男。
欲望のいろに、タクマは反射的に壁を作ろうとした。
関心を持たれることには、慣れていない。
だが、次の瞬間には、ギィの方からタクマを突き放す。
投げ技めいて転がされる身体。
再び対峙した相手は、剣を抜き放った。]
[ 一目で、
ずっと細く、黒い刃をしている。
それでも、触れてみたいと思った。
剣とあれば何であれ、目をひかれてしまうのは仕方ない。
向けられた切っ先の気迫に、気持ちはたかまる。]
去るときはひとりでいい。
[ 相変わらず戯言を言う男に向けて、松明を獲物代わりに青眼に構えた。*]
つれないこと。
[言葉で、態度で、眼差しで、一線を引こうとする、
そんな頑なな彼の態度も、剣を見た時だけ様子が変わった。
明らかに関心を寄せたさまに笑みが零れる。
またひとつ相手のヴェールに指がかかったようだ。
早く、全てを剥ぎ取ってしまいたい。]
[松明を構える姿勢は凛として、隙が無い。
あれが崩れるところが見たい。]
本当は気づいているのだろう?
私たちの縁は、既に結ばれている。
[投げかけた言葉を口火として、ひと足鋭く踏み込んだ。]
[刃を伴った攻撃は、最初の対峙のときよりも容赦のないものだった。
軽やかに刃を舞わせ、手足を狙って数度斬りつける。
内心の高揚を映した剣は、烈しくも嫋やかに、時に淫靡でさえあった。
流れるような連撃の最後、刃は曲線的な動きを不意に止め、真っ直ぐに突き出される。
水平に構えられた剣先は、松明を狙っていた。*]
のぉぉぉおぉぉぉ! 待ってぇ!
せっかく会えたのにぃぃぃぃい!!
[森の中、枝に揺られて小物が喚き続ける。
細めの枝でぐるぐる巻の状態のままうつ伏せだと言うのによくもまあ叫べるものだ。
あのとき、あの女を目があって>>21>>22、小物は駆け寄ろうとしたのだが、吾に騙されて乗ったという経緯が経緯であったからだろうか。
途中下車は許されなかったのである。
それにしても小物はうるさい、そして面倒くさい。
周りの木々もちょっと扱いづらそうにしているように見えるが、気の所為ではないだろう]
ひどい、酷あれが招かれてるのは吾らが向かう場所か?
[まだなにか言いたげである小物の言葉を遮って、吾が木々に声をかければ肯定との意が返ってきた]
[そうしてどれくらい進んだか。吾らを大きな門扉が出迎えて、ここが目的地であるのだろう。樹木は足を止めたのだった。
しかし、吾らは降ろされはしなかったし、拘束を解かれもせずにいる]
??
[このまま門の中まで連れていこうというのだろうかと、顔をあげようとしたところで]
!?
[がくん、と身体が傾いた。
乗ってきた枝は門の上より門の中へと差し込まれ、そう、この傾斜は、これはまるで──……]
[ 優雅な攻撃を松明でいなす。
威嚇のための炎はほとんどその役を果たせていない気がした。
照り映えるギィの姿をむしろ際立たせるばかりだ。
追われ、戦うばかりの関係でいるのに、ギィは縁だと言う。
彼がタクマを狙ってすべてを仕組んだことなどあり得るのか? ここまでのことを思い返し、それはないはずだと否定する。]
っは、 ん
[ 舞に誘うかのごとき剣技に、意図せずして呼気がもれる。
それは、自然と淫花の香気を取り込むことにもなった。じわりと身体が熱をもつ。]
……。
[遠く声が響き遠ざかっていく>>43
なんだろうあれ。困った。あれを相手に緊張し続けるのが難しい。そこまで怖いものではないのだろうか。よく分からないけど、歩くことを促すように枝が肩を叩くから、止めていた足をまた動かした。
どれほど歩いたのか、所々に折れた枝や蔓が散らばる>>23のが散見されはじめ、あのすごい勢いで枝に乗って移動していた彼のせいであろうか、と考えるが、それにしては散らばる枝が少ないような気がする。
やっと招く先へとたどり着いたのか、枝が導く先に高い城壁とその向こうに尖塔が見える。まっすぐ進む先に開いた門が見えた]
――…。
[あそこへ行けということなのだろう。けれど今までの様子からして、あそこから入るとあの化け物と出くわす可能性が高い。さすがに門の中までは見えないが、ちらりと動く人影が見えた。ならば。
道を外れて歩き出したせいだろう、小枝が進路を邪魔するようにしなった]
行くよ、ちゃんと行く。別のところから入りたいだけだよ。
[伸びてくる蔓を切る、まではせずにナイフの裏のギザギザの部分で受け止めて遠くへと払う。蔓の動きもどうしてもそこからでなければダメ、という訳ではないのか文句を述べる、くらいの頻度でしかないから、払い、押しのけながら歩くことしばらく。新たな門が見えてきた>>45]
― 東の門 ―
[先ほどの門は開いていたが、こちらの門は閉じていた。けして乗り越えられない高さではないのだが。]
ふ、む。
[近くでうねっていた蔓を引っつかんで強度確認。ずるずると森から引っ張り出して三本の蔓を絡めて長い一本のロープもどきの完成である。
先に大き目の石をくくりつけて、門から少し離れた位置からの侵入を試みた。だってあの門大きくて開きそうにない。もしかしたら呼び鈴のようなものはあるかもしれないが、ただでさえ危険かもしれない場所に行かなくてはいけないのだ。できるなら、目立ちたくはない。
あっというまに蔓を手がかりに門の上まで上りつめ、近くに人影が見えないのを確認してからできるだけ衝撃を殺しつつ飛び降りる。進入に使った蔓に結びつけた石をほどいて蔓から手を離すと、蔓はするすると城門の向こうへと戻っていった。続いて追い立ててくる様子はないから、ここに入ってしまえばもう構わないのだろう。
よく分からないが、これは招待なのだろうか。ならば建物に入らないといけないのだろうか……うん、気にしないようにしよう]
[巡り合う刃と炎。触れる度に火の粉が散って闇を照らす。
弾かれた炎の欠片が不死の徒の髪に触れるとも、焼かれる様子は無かった。
時ならぬ装飾として暫しとどまり、やがて風に攫われていく。
一合ごとに熱が上がる。
陶酔と高揚が体を巡り、身体を目覚めさせる。
それは対手も同様と知れた。
重なり離れる視線の温度が、じわり変わっていく。]
[一閃の構えに相手が素早く反応する。
その動きに目を瞠り、──笑みに崩れた。
寝かせた刃が真一文字に掌を貫く。
切っ先が肉を押し破る感触は、別のものを連想させた。
勢いのまま望むまま、剣の半ば近くまでを押し込んで動きが止まる。
すぐには引き抜くも斬り払うもできぬ深さ。*]
/*
データ作って遊ぶの楽しいよね。プチTRPG気分。
ただふと思う、あるゲームデザイナーの言葉。
データを作るとどんなに強くても理論上倒される可能性があるから、絶対に倒されたくないNPCはデータ作らないんだって。
/*
それにしても楽しい。とても楽しい。
バトルと見せかけてエロる試み。
どちらも肉体言語でのぶつかり合いという意味では同じだもんね。
[ 漆黒の刃が掌を貫通する。
深く、切っ先が迫る。ギィとの距離が近い。
痛覚は絞っておいたから、のたうち回るようなことはなかった。]
逃げないのか?
[ つながった相手に問い、それから刃に”力”を流し込んだ。]
[ ちゃんと収めたわけではないから、十全には程遠い。
ただそれでも、大抵の刃は与えられる負荷に耐えかねて折れるか砕けるかする。
あの剣だけが、規格外だったのだ。]
──…、
[ もっとも、これは金属ではないと察してはいる。
よりしなやかで艶めかしいもの。肉感的で、官能的ですらある楔。
どこか、熱を帯びた目で挑むようにギィを見やる。
耐えるならば、この力はおまえのものとなるやもしれぬと。*]
[刃を介し、ふたりが繋がる。
動揺の無い相手の様子を見るまでもなく、これは彼が望んだ形だ。
罠、或いは奥の手を警戒するべきだろうが、剣から手を離したりはしなかった。]
知りたい。
―― おまえを、もっと。
[足元から立ち昇る花の蜜香と、貫いた掌から滴る血の芳香、
なにより彼の存在そのものに陶酔し、酩酊し、欲望に掛かる手綱がほどけていく。
普段から、そんなものは無いに等しいのだけれども。]
[かくして、何をするのかという期待に満ちて彼を見つめていたその眼が、不意に大きく見開かれた。]
な、 ぁ… 、
[剣を持つ手が震える。
刃を伝って、なにかが流れ込んでくる。
驚愕はたちまち恍惚へと変じ、注がれるままに身を委ねかける。
だがそれでは身体が持たないと、最後の一線で理性が踏みとどまった。]
[己が持つ剣は、鋼を鍛えたものではない。
持つ者の意思に応じ、気を注がれて刃の性質をも変える魔匠の剣だった。
故に、剣を手放さない限り、刃に注がれた力は使い手へと伝わる。
それと理解してなお柄を握ったままでいるのは、意地でもあった。
これを受け止めずに、おまえを制し得ようか。
挑むような、愉しむような眼差しで彼を見返す。]
── 感じる。
おまえを …。
[力の流れを制御下に置くべく、息を深くした。*]
■第2イベント
城主からのもてなしが、それぞれの元へ届けられる。
門の内側にいる者は、ひとつかふたつ、或いはすべての饗応を受けることになるだろう。
1.料理
見た目にも豪勢な食事が運ばれてくる。
傍にテーブルがあるならばそこに、無ければ料理を乗せた銀の盆を捧げ持って、影たちが並ぶことだろう。
この料理を食べたならば、あなたになにか変化が生じるかもしれない。
1.体が小さく、或いは大きくなる。
2.体になにか生える。耳でも、尻尾でも、触手でも。
3.体が透明化する。
4.空を飛べるようになる。
5.体の性別が(あるならば)逆転する。
6.体が幼くなる。
2.飲み物
食事とは別に、飲み物が運ばれてくる。主にアルコールだが、望めばジュース等も出てくる。
これを飲んだならば、あなたはあなたが追う相手/追ってくる相手に対して、[[emot ]]の感情を覚えるだろう。
3.衣服
あなたがこの城での滞在を快適に過ごせるようにと衣服が運ばれてくる。
[[cosm ]]を3回振ること。それがあなたの前に差し出される衣類だ。
4.絶景
城主はあなたにこの城からの素晴らしい景色を見せたいと望んだようだ。
あなたは直ちに城の尖塔の最上部にある部屋へ転移する。
部屋の窓からは周囲に広がる森が見渡せるだろう。
なお部屋には、窓以外の出口は無い。
5.入浴
突如、魅力的な影たち(あなた好みの容姿の)が現れて、あなたを裸に剥こうとする。
そして、運ばれてきた浴槽(あるいは近くの露天風呂)であなたを丸洗いしてくれるだろう。
洗われた後には 3.衣服 が用意されているかもしれない。
6.寝具
あなたの前に、いかにも寝心地の良さそうなベッドが突如現れる。
あなたは[[fortune ]]を振り、51以上を出した場合、眠気に抗えずにベッドで寝てしまう。
起きるには時間の経過か、誰かのキスか、ちょっと痛い思い(出血する程度の)が必要だ。
[ 注いだ力は彼をも貫く。
だが、折れはしなかった。闇の刃も、欲望も。
耐えるだけの強さのない者には破壊の力と変わりない波動も、本来は加護を付与する力である。
そこまで理解したかは定かではないが、砕けも溺れもせず踏みとどまった男に、微笑みを向けられ、「感じる」と言われれば、千年来、なかった動悸を覚えた。]
…奇特な
[ そういえば、この男はずっと、タクマに焦点をあわせて離さない。
いつも小道具扱いに慣れていた身には、むず痒いほどに。]
[ 互いに動かぬままで、結ばれたうねりが変化する。
攻められている、と感じた。
この身から力を引き出そうというのか?]
おまえに、 倒したい相手はいるのか?
[ 目に見えぬ攻防に、わずかに身をよじらせながら、問いかける。
どうして、自分はこんなに相手のことを知りたがるのか、自らに問う発想はなく。*]
来たか。
[世界を訪れたものたちは、いまやみな城館の中にいるようだ。
城主は満足げに頷く。]
では、彼らをもてなすとしよう。
[城主の意思を受けて、影たちが再び動き出す。
彼らはきっと喜んでくれることだろう。
永いまどろみからようやく覚めつつある城主は、ひとつ大きな伸びをした。*]
[手繰ろうとする力の波は、容易には掴ませてくれない。
掴んだと思えば弾いてくる。
ガードが堅いのは、本人と同じだ。
だからこそ、なお挑みたくもなろうというもの。]
倒したい相手?
[力の流れに意識を傾けていたところへ問いかけられ、虚を衝かれた顔になった。]
いいや。いない。
[答えながら、逆に刃へ気を流してみる。
今感じている、この熱が伝わるといい。]
欲しい、と思う相手はいる。
私の目の前に。
[運命を感じたのだと、言葉にすれば陳腐だろう。
だがそれこそが偽りなき本心だった。*]
[ 呼びかけにギィは律儀に応じる。
しかも、一言問えば必ずといっていいほど、余計な告白までついてくる。]
生憎だったな。
[ 倒したい相手もいないのでは、己の力を役立てる場もあるまい。
ギィにはわからぬ理屈で結論づけると、おまえの欲求には応えられない、と眼差しにこめる。]
コレクションになるつもりはない。
[ 彼が盗んだあの宝石のようには美しくもない身だ。
つながった部分を通じて返された熱情が、魔力と紛うほどに純だったから、ギィの身体に蹴りを入れて刃に掌を裂させる勢いで振りほどかんとする。*]
[我ながら真っ直ぐな告白に、拒絶の言葉が返ってきた。
その言葉のどこかが引っかかり、おや、と思う。
なにが気になるのか探るより先に、蹴りを受けた。
剣を封じられたままの至近では、躱すことは難しい。
歯を食いしばっただけでまともに食らい、後ろに弾き飛ばされた。
剣を握りしめた手に、肉を裂く感触が伝わる。]
[弾かれた先で、花々を散らしながら踏みとどまる。
大地を踏みしめる足がいつもより軽い。
不思議と、気力が充溢しているように感じる。
先ほど流れ込んできた彼の力の影響だろうか、と左手を握り、開いて感触を確かめた。]
私は、ただおまえを ───…
[熱い息のまま、告白の言葉を重ねようとする。
その時、彼と自分との間に影たちがなだれ込んできた。]
……なんだ?
[続々と集まってくる小さな影たちは、それぞれに銀の盆を頭上に掲げ、様々な料理を載せている。
あっけに取られて見ているうちにも、城内から続々と集まりつつあるようだった。]
どういうつもりだ、これは?
[すっかり気を削がれて影たちと料理の数々を眺めた挙句、彼の方へと困惑気味の視線を向けた。*]
[ 文字通り引き裂かれる感覚を伴って、ギィと離れる。
短くなってきた松明が手を炙った。花壇の外に落とす。
形ばかりの血を零す手をもう一方の手で覆いながら、じわじわと熱が身体の芯に及ぶのを知覚する。]
……、
[ よくよく顧みれば、我ながら、何ということを言ったのだと思う。
倒したい敵がいる、手を貸してくれと言われたら、うなずくつもりだったのか?
あるいは、問そのものが、ギィの求めに応える口実ですらあったのか?]
[ まったく、自分らしくない。
こんなのはすべて、甘い花がもたらした幻惑だろう。
ならば、一刻も早く、この場を離れて、正気を取り戻さねば。
不意に現れた影らがギィを取り囲んでいるのは好機であった。
投げかけられる視線を断つように踵を返して駆け出すが、いつの間にか門は閉ざされていた。
仕方なく、城館の方向へ向かう。*]
[上体を起こせば、身体のどこかからぎしりと音がしたみたいだった]
……いつつ…
[床の上で寝るなんてことは日常茶飯事でだったけれど、
一番最初に床で寝たのがひどい状況だったから
この感覚はなかなか好きになれるものではない。
ぐっと背を伸ばして口を開ければ、あくびが口をついて出て、
そんなに寝たかなと首をかしげる]
[だって。
会いたくて会いたくて仕方がないんだ。
君の姿を見ただけで、君がいるとわかるだけで
異界からあの世界を見てたときみたいに、
胸がぎゅうぎゅうして、喉がきゅうって痛くなる。
俺は俺じゃないみたいな言葉を言いたくなるけれど、
俺は頭はよくないし、吾様が言うには小物らしいから、具体的に何を伝えたらいいのかはわからない。
でも、吾様は君をあの人だって思いこんでるから、君と話をさせてもうまく転がるとは思えない。
だからこんどは]
…………
[そういえば、口説くのにはムードも大事だって、隊長がいってたっけ]
でも
[ムードってどうやって出せばいいんだろう?
隊長が言ってたのは、いい音楽、いい風景……あとなんだっけ?
いい感じのなにかがあればいいんだろうけれど思いつかない。
ああ、そうだ、きっと、君に触れればなにかを思いつくかもしれない。
今は邪魔者もいないから、今のうちに君にぎゅっと抱きつこう]
[やることは決まっているのだ、君の姿を見たのなら、俺はまっすぐ君の元へいこう。
銃で撃たれようがナイフで切りつけられようが、痛みはないから問題ない。
足を切り落とすか腕を切り落とせば、さすがに動きは鈍るし君を抱きしめられなくなるけれど。
そうやって君を抱きしめられたなら、君の目の前にいけたなら]
──会いたかった。
[いろいろ考えていたはずなのに、それしか言葉にできなかった。
君は女の子にしては硬いけど、戦場での思い返せばその硬さだって仕方がない。
硬くても柔らかくても、君に会って数ヶ月、会いたいが募りに募っていたのだ、感極まってしまうのはきっとしょうがないことだ。
はらはら涙を零す俺に何やら吾様がうるさくなるけれど、今はそれ以上に俺の心音がうるさいから、気にしないようにするのは難しいことではない**]
[ 東屋に近づくど、石造りの池が見えた。東屋もしっかりした作りだし、休憩にはちょうどいい。ここしばらく落ち着かなかったし。
備え付けのベンチに座り、あちこち見回して。池を見ると、湯気が上がっているのに気付いた。これは ]
池、じゃなくて、温泉、かな
[さすがに今の状況で入る気にはならないから、休憩所にさせてもらおう。
この場所はとても静かだ。警戒を緩める気もないのに、気付いたらぼんやりしてしまっている]
[仮眠でも取れればいいのだけど。じっとしていると、だんだんに眠くなってきた。温泉の熱気で気温が高いせいだろうか。
とにかく眠る訳にはいかないと、首を振って眠気を散らす。ついでに安全そうな今のうちに、銃の手入れもしておこう。ライフルは手入れを怠ると、狙いが悪くなる。
軽く分解して部品を布で拭き──考えるのは、元の場所に戻らなくてはということだ。
あまり非科学的なことを信じてはいなかったのだけど、この場所はおかしい。空にはずっと月が見えていて、生き物は謎ばかりだ。植物は意思を持って動くし…とにかく、おかしい]
[しかし、帰りたいと思うなら]
──会わない、とダメなのか…?
[ここがどこかは知らないが、来た原因なら、きっとあの化け物にある。手が触れた瞬間にこのよく分からない場所に飛ばされたのだから。帰る手がかりはあの化け物にしかない。しかし]
会う、のか……
[気が重い。ミヒャエル自身は何もされていない、というか助けられてもいるが、あの化け物は人を殺すことに躊躇いがない。何かの拍子にミヒャエルがそうならないという保証はない]
[しかし、とにかく。帰るならば会って、そして原因を探らなくては。そのために、今度見かけたなら、少し話しかけてみよう。今のところ、ミヒャエルに危害を加えるつもりはない、よう、だし…]
………。
[できれば、距離を取った状態で。こちらの位置が分からなくて会話ができればなおいい。武器は手放さないで。難易度高い。]
[考え込んでいたせいだろう、物音に気付くのが遅れた。人が動く気配に振り返って…たった今、会おうと思った人物が、逃げようがない距離に立ち尽くしていた。
お互い、フリーズして。とっさにできたのは]
うわぁー!!
[悲鳴をあげるくらいだ。ウィンチェスター…は、分解してる!なにが安全だ!腰の後ろに挿していたSAAを引き抜き、銃口を向ける。しかし、話をするつもりの相手を撃っていいのか。怒らせないだろうか。
迷いがあったせいだろう、逃げる間も無く。攻撃もできず。次の瞬間には、しっかりと化け物の腕の中に捉えられていた]
[会いたかった、だなんて。耳のそばで囁くのはなしだと思う。背中がゾワっとした。力が抜けるからやめてほしい]
ヒィ⁈
[情けない悲鳴が漏れる。なんなんだ、なんなんだこれは!まさかまだ女と思ってるのか。さすがに気付くだろう普通。柔らかさもないし声だって低い。いや化け物の前でまともに喋ったことはないかもしれない]
は、なせ!ちょ、な、に…
[片手に持ったままのSAAが邪魔だ。さすがに引き金は引けない、化け物よりも自分が怪我をしそうで。押し離そうにも近すぎて、慌てて服の背中を掴んで引っ張るのだけど…これは、抵抗になっているのだろうか*]
離せ!!
[そんな声は相手に届いているのだろうか。しばらくはじたばたと無駄な努力をしてみるのだけれど。
触れた頬が濡れているのに気付けば、ほんのちょっと抵抗は弱くなった*]
[視線を向けた相手が駆け出していく。
影と料理を蹴散らして追うことに躊躇は感じない。
だが、そうはしなかった。
今追い縋って声を掛けても、溝は広がるばかりだろう。
考え、吟味する時間が必要だ。お互いに。
花の香の陶酔は未だ身体を疼かせるけれども、身を揉んで耐える時間もまた尊い。
募る想いの深さだけ、手にする喜びも増すのだから。]
おまえたち。
[去っていく彼を見送った後、影たちへ視線を向ける。
ひしめくほどに周囲に集う料理の群れに苦笑が浮かんだ。]
せっかくの歓待だけれども、私に食事は必要ないよ。
戻っておまえたちの主人に伝えるといい。
歓待よりも先に、お招きいただいた理由を聞かせていただきたい。
[わさわさと動いていた影たちは、声を掛けられてぴたり、と固まる。
だがすぐに、わしわしわしわしと肉薄してきた。
てんでに料理を翳しての食べろアピールに、さすがにたじろぐ。]
わかった。わかったから。
[両手で制して、手近な銀盆からフルーツを一つ取る。]
これをもらおう。
盛大な歓待に感謝する。
[じっとこちらを注視していた──目があるのか不明だが──影たちに謝意を告げればそれで満足したのか、来た時同様にわらわらと城内へ戻っていった。]
[ここで立っていても始まらない、と周囲を見渡す。
彼も城内へ向かったようだし、ひとまず中に入ろうと足を踏み出したところで、己の身体の異変に気が付いた。
指の先が消えている。だけではない。
手首から肘、肩の方まで見る間に消えていく。
咄嗟に罠を疑った。
消滅させられるほどの呪法があの柘榴に掛かっていたのかと。
けれども消えた手の感覚はあるし、見えないだけで触れもする。
なにより、あまり危険な気配もしなかった。]
これももてなしの一部、とでもいうつもりか?
[仕掛けてきた相手の意図がさっぱり読めないまま、全身が透明になってしまって途方に暮れる。]
[だが考えてみれば、こんな機会もあまり無い。
せっかくなのだから、堪能するのも悪くない。
そう思い立った後の行動は早かった。
一緒に消えたりはしなかった衣服を脱ぎ捨て、適当に投げておく。
剣は、消すも取り出すも自在なので問題ない。
問題となるのは、彼と自分の縁を結ぶきっかけとなった宝石と警察手帳だったが、これは使い魔を喚んで運ばせることにした。]
落としては駄目だよ。
[ポケットをちぎった袋に品物を収め、有翼の黒猫に背負わせて括りつける。
小首を傾げた使い魔は、すぐに皮翼を羽ばたかせてどこかへ飛んでいった。]
[真に身軽になって、改めて城内へと向かう。
さて、彼はどこにいるだろう。
今度はこちらが追う立場になってみようか。
それもまた、楽しめそうだ。*]
/*
れっつぜんら☆
脱ぎたかっただけだなんてそんな。
そういえば、実際に透明人間になったら網膜が光を捕えなくなるので目が見えなくなるそうですね。現実厳しい。
[これは違う。
あの女ではないと、ここまで近づけばさすがに気づくことはできたのだが。
ならば何故、これを見ただけで吾の封は緩んだのか。
いや、違う、のだろうか?
封が緩んだのは小物であって、吾は、吾はただの──…
この世界に来て、より本来の吾らに近づいた今、
吾の中にはひとつの疑念が浮かんでいる。
あの女とこれの違いを理解していたということは、
吾以上にあの女を知っていたということではないのか?
小物の痛みを吾は引き受けることができるが、吾の痛みを小物に押し付けることはできない。護られているのはどちらといえるだろうか?
吾と小物、この生き物の主体はどちらだ?
]
[君の悲鳴は耳に痛いけれど、それでも縛めはときたくない。
背に回そうと伸ばされた腕の感触はともかく、ぐっと胸を押そうとする銃を持ったままの手の圧も、なんだか嬉しくなる状況に、さすがに今の自分が正常な精神状態ではないことは理解できるけれど。
でもね、それを知ったところで、どうしたらいいのかわからない]
えっとね、ええっと、一目惚れなんだ。
夏のエルディリ渓谷で君を見たんだ。
[うちの国が奇襲をかけたけど返り討ちにあったあの日、
観測手だった俺は、遥か遠くの森の中からでも君の姿を捉えることができたから。
泥と煤に塗れて張り詰めたままだった君の顔が、伝令からなにかを聞いた途端にへにゃりと崩れた瞬間に、俺は──…]
[吾はその瞬間に目を開けた。
風の臭いが嗅ぎなれたものであるのはきっと、眠ってからそれほど経っていないからだろう。
人間に眠らされるとは不覚をとった。
あんな別れは納得できるものではないだろう?
はやくあの女の元に行って、文句の一つも言わねばならないと──…
あのときの吾はそれだけを思っていたはずだった]
[
目覚めて生まれたやるべきことは小物の感情を大きく揺さぶり、焦燥を恋に誤認して。
それから吾は再び目を閉じてしまったから、置いてけぼりの小物がどうなったのかを知らなかった。
会えない焦燥は小物の感情を引っ掻き回し、
引っ掻き回された感情は小物の中で新たな形をとって育まれていったなんて。
今の小物の中を占める恋しいは、小物だけの感情は、吾の手には負えそうにもない。
これからどうするべきかなんてことはわからないけれど、今は。
昔のように暴走しかけの感情に蓋をすべく、吾が表に出るとしよう]
[思わずこぼれた思考に目を瞬かせたが、今は腕の中の……男への対処が先決だ。
その顔を見れば軽い恐慌の混じった混乱が浮かんでいる、これでは腕を緩めた途端に逃げられそうだ。
さてどうしたものかと視線を彷徨わせ悩んでいると、影の姿を見留めた。
それらにこちらを攻撃する意図はないらしい。じっと侍る姿はまるで指示待ちの──…
ならば]
……そうだな、場所を変えたい。
[と、要望を口に出してみる。
それは、ここから更に知らぬ場所へ移動してしまえば、逃れるのも難しくなるだろうという判断からのもの]
[背後を振り返らぬように頑なに進むと、傍らに現れた朧な影が両手に畳んだ布を差し出してきた。
衣類のようだ。
タクマの普段着ではこの城にふさわしくないということか。
好きなものを選べとばかりに影らが広げてみせたのは、 だぼだぼワイシャツ や 宇宙服 や シスター服 ──]
せっかくだが、遠慮する。
[ 端的に断れば、影らは何か協議でするかのように、もそもそと集まり、それからまた散開してタクマを取り囲んだ。
その腕はいつの間にか、ナイフやハサミや鎌になっている。
数多の刃と化した影らは一斉に腕をそよがせて、タクマの着衣を切り刻み始めた。
殺気のかけらもなく、撫でるかのような一閃に、糸にまで寸断された布が散る。
強制的にでも、着替えさせたいらしい。]
エル、ディリ……
[耳慣れた地名に相手の胸を押していた腕の力が少し緩む。夏に。覚えている。突然の奇襲、事前に入っていた情報。敵がどこに潜むかまでは分からない。うちの上官が、ここへ陣を張ると言い出して。彼の頭の中には正確な地図が入っていたのだろう。とても暑くて急造の土嚢の後ろ、汗と埃と土と、薄汚れて待ち伏せて結果、上官の読みは当たっていた。そんな記憶。一目ぼれをされる要素がない。そもそも]
あの、な。俺は
[男なんだ、と告げるつもりで見上げた視線がばっちりと合った]
――…。
[情熱、執着、恋慕。どれと言っていいのだろう、分からないけど彼の目は本気だ。どれだけ思ってきたのだろう。けどその相手が男でなんだか申し訳ない。もっと早くに話せていれば、誤解も解けていたのだろうか。少なくともこんな場所に飛ばされたりは、しなかったのだろうか。けれどミヒャエルは男で、もうどうしようもない。せめて今更であっても、誤解は解こう。それが責任というものだ]
あの、な、おれ……って、ちょ、待て近い近い近い!わあぁ!!
[力が緩んでいたせいだろうか。離れていた距離がなくなりそうな近さにまた悲鳴をあげた。いくらなんでもキスでもしそうな距離は近すぎる。ミヒャエルが本当に女性だったら一発アウトの距離である]
に、げ、ないから!だから放せ!頼むから!距離ー!!
[顔が近いんだよ!慌ててまた相手をぐいぐい押しやる。押す力よりもミヒャエルの背中に回った腕が締め付けてくる力の方が強いから、距離はちっとも離れない。ひぃぃ、とまた悲鳴が洩れる。もはやちょっと涙目だ。もうキスでもすれば少しは落ち着くのか?!いやダメだ余計にこじれるし、男と分かったらどうなるか分からない]
[必死で顔を背けて抵抗を続けてどれ程か]
「……そうだな、場所を変えたい。」
[聞こえた声は、冷静なものだった。ばっと勢い良く男の顔を見上げようとして――視界が、黒に染まった]
?!
[一瞬理解できなかったけれど、それは男の服だ。距離が近すぎて黒にしか見えなかった。つまり、ものすごく近い。
離れたい、けれど。
付き合ってもらえるだろうか、という声は否定を許すものではなかったし、抵抗をしても逃げられそうもない。事情を説明してくれる、ようだし。
それより、なによりも。分かってしまった。今の彼は、さっきまでの彼とはなにかが違う。そう、あの時>>0:41の。全身血塗れでこちらに手を差し出し、凄むような笑みを浮かべた>>0:42、あの時の]
?!?!?!
[違った。彼とこれは違うものだ。掴まってはいけなかったのは、彼ではなくてこれだ。でも背に回った腕は離れそうもない。
抱きしめられたまま、微かな浮遊感……元いた場所からこの訳の分からないところに飛ばされた、あの時に似ているけれど、もっとずっと短かった。そして一瞬後には、また周りの風景が変わっていたのである*]
[血脈の微かな共鳴を頼りに、去っていった彼を探し始める。
それほど遠くへ行っていないはずだ、との予測通り、ほどなくして騒ぎの現場に行き会った。
城館の一角で、彼が影たちに取り囲まれている。
周囲を舞い散るのは、今度は花弁ではなく寸断された布だ。
これは面白いところに来た。
文字通りの一糸まとわぬ姿にされていくのを、離れて鑑賞する。
良い。]
[すっかり衣服を剥ぎ取ってしまうと、影たちは彼をどこかへ運ぶようだ。
面白そうなのでついて行くことにする。
せっかくなので、混ざってみた。
運んでいく影たちの手に紛れて、彼の肌に触れる。
どうせ彼には見えない。はずだ。*]
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