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美しく月の昇る晩、君は自らの本当の姿を知った。
智恵を絞り、活路を開く勇気。
人狼を見抜き、妖異を滅ぼす力。
死者の声を現世に届ける異能。
頼りなく怯える人々を守る技。
互いの正体を知覚し合う絆。
自らの胸を裂いても仕うるべき主。
赤く染まる牙――長い咆哮。
さぁ、どうする?
まずは何から始めよう?
どうやらこの中には、村人が1名、囁き狂人が2名、共鳴者が2名、天魔が2名、銀狼が1名、背信者が2名、貴族が2名、奴隷が2名いるようだ。
語り手 が「時間を進める」を選択しました
謎の黒い光が範囲を拡大し、サムフェア渓谷を覆う結界へと変化した。
結界の中は魔素が濃くなってゆく。
閉じ込められた動植物のうち影響を受けやすいものは倒れたり、魔形化したりした。
そうならなかったものは魔物に食われたり玩具にされたりしている。
この地は魔王の狩り場となったのだ。
《土地変化の例》
1) 瘴気の湿地帯。毒霧で見通しが悪く、底なし沼などがある。ワニや巨大カエルなども徘徊する。
2) 絞め殺しの森。毒花や這いずる蔦が繁茂して危険。毒虫や猛獣なども徘徊する。
3) 炎熱砂漠。乾いて熱い荒野。砂嵐、蜃気楼などが出現する。
4) 悪徳の館。ダンスホール、研究室などがある。吸血鬼やゴーストがいるかも。
5) 地響きの平原。オークの軍団などが暴れ回る。一騎打ちで勝てば配下にできるかも。
6) 白骨温泉。いろんな効果をもつ温泉がたくさん湧出している。服がなくなりやすい。
そして、魔王は君たちの存在に気づくと、その絆を引き裂くべく魔手を差し向ける。
「 繋がりは毀たれよ。 欲望を解き放て。
闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、
強者となれ。 」
魔王の差し金により、降魔士は魔物を支配する力を失い、隷魔は荒々しい欲望を掻き立てられて凶暴化してしまうのだった。
今までの関係が覆されたとき、君たちは──
[渓谷にたどり着くと、その周りの地形の変化に驚く。]
ちょっ、なにこれ、カサンドラ!?
[周囲に満ちる邪悪な魔力を感じて、思わずカサンドラを心配する。]
[隷魔が何やら連呼して抗議している。
当然ながら、釣られることはなかった。
隷魔も駄々をこねながらも遅れずについてくる。]
よろしい。
[振り返り、小さく頷いた。
だからといって褒美を約束してやることもないのだけれど。]
[湯治客やその他の目的をもった人々で賑わうアチコー村を足早に抜けて、サムフェア渓谷へ向かう。
胸を掠めるこの感覚を早く鎮めたい。]
ー昨日、村の中にてー
それは……申し訳ありません。
でも、………。
[一度は素直に謝罪し、しかし何かを言いかけた。
きっとその事に、彼は気づいていないのだ。
それは知られないままでも良いのかもしれない。
まさか、自分を、汚した相手が。
そしてそう仕向けた者が。
ーーそんな事は知らなくて良いのだ、きっと。
己だって忘れたい。なかった事にしたいのだから。
素直にもう一度謝罪しては、出立の準備を手伝うこととする。
あの肉塊が元々死者のものが混じっていたなんて、知らなくて良いーー。
村から出るのは少し休んでからなのだろうか。直ぐ出るにしても、言い知れぬ不安は尽きなかったのだが、それでも何事か言いながらも相手に付き従うのだけは確かだった]
/*
何がやばいかっていうと降魔士なのに退魔士ってことだと思うの。
魔物を使役して魔物を退くでいいか。
あの毒の花のある場所にいきたい。
というか本当遅刻して申し訳ない。。
/*
そして魔力配給したらとっととさらばするつもりである。
他の方々チラチラ読んでたけど可愛い。そんなことを呟いている場合ではないが敢えて言いたい。
/*
フレデリカさんの何かある感じがいいよね。
シュテラさん可愛いよね。ふわふわしてて風が似合う。
ドリィちゃんとアー君(ペド)いいよね。足で踏まれてそう。
ヴィンセントさん王道って感じで好きだったり。
/*
エリオット君とカサンドラさんペアには癒される。
実はカサンドラ最初チップ候補でした。かわいい。
シェットラントさんは文章綺麗だしギィさんは従順に今のところ見えてどうなるのかな。
ウェルシュさんの下剋上が気になる。
コンスタンツェ?天使です。さて、書かねば。
ー回想/アチコー村ー
[人前で風呂に入るのは好まない、という言葉には心底安堵する。
しかし、その裏にある意味には安堵の色も消えた。
引き離された袖と、風呂付きの宿へと進む足をみれば、思わず表情は険しくなったけれど。]
意地悪!人でなし!
[一瞬だけの笑顔に気付いて、此方もまた悟られないように表情を和らげたのは…私だけが知っていればいい。*]
ー宿屋ー
[二人で一つの部屋に入れば、微かな風呂の気配にすん、と鼻を鳴らす。
落ち着かない様子で部屋の内装を確認した。
落ち着かないのは、宿に立ち寄った"理由"のせいでもあるのだけれど。
不意に、名前を呼ばれて肩が強張る。
いつものやり取りを行う前の声だ。
意志の強そうな眼に引き摺られるように、相手の側まで近づくと、眉を寄せる眉間を親指で撫でた。
代わりにコンスタンツェの眉間に皺が寄るのが分かる。
優しく、冷たい指が相手の頬を包み込む。
相手の脚の間に膝を滑り込ませて、身体を起こせばベッドが軋んだ。]
[眼下にはコンスタンツェよりも背の高いリヒャルト。
空色の眼が、薄暗がりの室内の中で一等光って見える。
文句を言われても、しばらくそうしていただろうか。
ゆっくりと前髪の隙間から覗く額に口付けを落とした。
触れるだけの其処から、淡い光が漏れては数秒と待たずに消えてゆく。]
………ん。
[出来た、と頷いて再び地面へと足をついた。
全てが緩慢な動きで相手から離れる。
リヒャルトが弱れば、いつでもコンスタンツェは魔力を与える。
それは二人の間で交わされた契約の「絶対」。
……どちらかが拒もうとも。
そうして、行為が終わった後には決まって昔の思い出を白昼に夢見るのだ。]
[様々な人々が行きかうアチコー村はとても楽しそうで、心惹かれる匂いもあちこちから漂っていたのだけれども、青い目の降魔士はさっさと通り抜けていく。
するりするりふらりふらりとあちらこちらに誘惑されながらも遅れないようついていけば、天の色をした目が不意にこちらを向いた。]
褒めるのなら、形を伴うといいぞ。
[減らず口を叩きつつも、案外と嬉しげにする。]
[村を抜け、渓谷に足を踏み入れてからしばらく。
黒い光の柱にたどり着く前に、異変は起こった。]
シャァァァァ
[濃い魔素が吹き付けてくる気配に威嚇の声を上げる。
身構える間も有らばこそ、黒い光が走り抜けていった。]
ー追憶ー
[綺麗な庭で、一人の少年と少女が遊んでいる。
暖かな日差しがよく似合う顔をして、青々とした若草の上を転がり回っていた。]
ねぇ、あんまり離れちゃダメだよ!
[脱兎の勢いで駆ける少年に少女、コンスタンツェは慌てて追い掛ける。]
私たちは二人で一つだって、お母様にも言われてるじゃない。
[脚はコンスタンツェの方が早い。
あっという間に少年を捕まえて、草原の上に倒れこんだ。
それが無償に楽しくて、顔を身合わせれば思わず笑ってしまいそうで。]
ずっと一緒だからね、ルカ。*
[ぼんやりとした頭で、今度はコンスタンツェからリヒャルトに手を伸ばす。]
行こう、リヒャルト。
はやく終わらせて……一緒に帰ろう。
[極めて当たり前のように発した言葉。
表情は再び伏せ、唇を一文字に引き結んだ真顔のままで。
リヒャルトが夢見心地を払うために用意をするというのなら、それを待ってから渓谷へと向かうだろう。*]
/*
何ていうかさああああああもおおおさあああああ足パタパタさせるのとか体ゆらゆらさせるのとか何も知らずにずっと一緒って言うとことかプリンて思わず大声あげちゃうとことかぼくのめがみがほんとに女神なんだけどどうしたらいい????????????????????
プリン!!っていっといてちゃんとプリン味はありますかって言えるとかもうほんとぼくのめがみがめがみ(めがみ)
うっ…。私は大丈夫です。エリオット様は大丈夫ですか?
[>>3の珍しく心配する彼に淡々と答えながら彼にも尋ねる。]
『アハハ、アハハハッ!!!すっごく開放されてる気分よ。まるで昔に戻ったみたい』
[嬉しそうに周囲の弱い魔物を暴れ喰らい尽くしながら加代はタノシそうにいう。]
『そう、それはよかった。今は暴れたいだけ暴れていいから、私達のこと援護しなさい。』
『あいよ、小娘』
[周囲に邪悪な瘴気が集い、形を成していく。その成された形は九つに裂けた尾を持つ黒狐であった]
[アチコー村の世俗的な誘惑に気もそぞろな隷魔だが、それらよりも強く惹かれているのはヴィンセントになのだと、ついてくるその態度が示している。
その執着と従順さをヴィンセントは区別していない。]
形というのは、その耳飾りのようなものか。
[何やら機嫌よさげな声に、物欲は身の枷になるのだと諭すつもりで言葉をかけた。
ギィの右耳に光るのはヴィンセントが与えた契約の証であり、時として懲罰の触媒でもある。
むしろ厭わしく思われていても仕方ないと考えていた。]
[村を発ち、不安を抱きながらも黒い光の元へと向かう。
この不安は何なのだろう。何からきているのだろう。
眉間の皺が常に刻まれてしまう。言いようのない不安を、恐れを、巧く言い表せない自分に軽い苛立ちを感じていた。
それでも、渓谷の中へと入り暫く歩いた頃。唐突にその変化を感じ取っていた]
ーーーっ!!
[ゾクゾクっと、今までに感じた事のない感覚が背筋を襲った。
圧倒的な魔力。威圧感。何故、これらを今まで感じ取る事ができなかったのか。
黒い光が此方まで広がってくる。思わず主人に手を伸ばしその存在を確保したが、その黒い光に包まれた直後にハッと後ろを振り返る。元来た道はない]
しま……っ、
[よく見れば、ここは渓谷ではなくなっている。何故自分たちは平原に?
しかし、ドドドド…と地面が揺れ、遠くから何かが向かってきていた。
それを視認すると、目を見開き必死の形相で主人の手をとり]
ーーシェットラント、様!!
『ミラージュ・トリック!』
[グン、と唐突に風を纏い辺りに残像を残しながらの高速移動。更に]
『シルフィード・ステップ!』
[その勢いそのままに相手と共に空を飛んだ。勢いがありかなりの高速だが、空気抵抗などは彼女の魔法で感じずに痛みなどはないはずである。無論、無理に繋いだ手やら肩やらがその勢いで外れる可能性はあるのだが。
そんな事は意識する余裕はない。
あんな大群のオークに襲われたらひとたまりもない。少なくとも、自分1人ならともかく彼を守りながら戦える自信は無かった。下手をすれば彼ごと風の刃で切り裂いてしまう。
襲われないためにも、踏み潰されない為にも逃げなくては!
風を纏い、少女はこの平原を主人と共に脱しようとしていた]**
僕は大丈夫だよ
[>>12に応える。]
これはどうすればいいのかな?
結界だよね、しかもすごく強い…
[カサンドラにそう尋ねる。]
なら、よかった。えっと、これって加代のことですか?
[>>16の尋ねる彼に質問で返す。その間も加代は私達の会話をケラケラと笑いながら見ている]
「ボウヤ、アンタは見ていて面白いわね。」
[ケラケラカラカラと悪狐の称号に相応しい声で笑う]
ー渓谷ー
[不味い。
渓谷へ向かうと、更にその中にある森へと足を踏み入れる。
姿を隠しながら様子を伺おうとした刹那、黒い光が渓谷全体を覆い、周囲の植物でさえも瘴気を帯びた魔物に姿を変えた。
リヒャルトは無事。
コンスタンツェの腹には、大きいけれど浅い切り傷。
態勢を立て直そうと、木の幹の空洞へと二人分の体躯を滑り込ませたのだった。]
不味い。
[道中に狩った小さな鼠の魔物齧りながら外を伺う。
腹の傷が癒えるのを実感した。
怪我をしても治る。
コンスタンツェだけならば、まだこの中を掻い潜っていけるかもしれない。]
……リヒャルト、今回は此処で待ってた方がいいと思う。
[口元を拭いながら、言い辛そうに言い淀む。
それから、まっすぐ相手に向き直った。]
ここは魔物が多すぎる。
いくらリヒャルトでも、多勢に無勢になれば魔力の消費も激しくなるでしょ。
だからね、コンスタンツェが先に行ってくるよ。
リヒャルトは隠れながらついて来て。
[諭すような口振りで、離れられない人に語り掛ける。]
それに…なんでかな、今すごい身体が軽いから、きっとコンスタンツェだけでも大丈夫。
[大丈夫。
そう言って、相手の返事を待った。]
それもだけど、この結界から出ることもだよ
[>>17に、そう返す。いくら自分の魔力に自信があるといっても、さすがに不気味なこの場所に長居はしたくない。]
/* コンスタンツェも何か必殺技を考えた方がよいのではなかろうか(センスが来い)(昨日家出した)
リヒャルトちゃん可愛いよぅ、おいでにときめいちゃった、そんな2015夏
「くくくっ、ボウヤの敵ではないよ。ただ、この小娘に何かしないならって条件付きだけれどね。」
うーん、結界について調べてみるのがいいかもしれないですね。
[不安そうな彼>>20の頭を落ち着かせるように撫でながら答える。
辺りを見回すと2(6x1)のようになっているわけで、どうしたものか…。と再び思案する]
ー渓谷ー
[不味い。
渓谷へ向かうと、更にその中にある森へと足を踏み入れる。
姿を隠しながら様子を伺おうとした刹那、黒い光が渓谷全体を覆い、周囲の植物でさえも瘴気を帯びた魔物に姿を変えた。
リヒャルトは無事。
コンスタンツェの腹には、大きいけれど浅い切り傷。
態勢を立て直そうと、木の幹の空洞へと二人分の体躯を滑り込ませたのだった。]
不味い。
[道中に狩った小さな鼠の魔物齧りながら外を伺う。
腹の傷が癒えるのを実感した。
怪我をしても治る。
コンスタンツェだけならば、まだこの中を掻い潜っていけるかもしれない。]
……リヒャルト、今回は此処で待ってた方がいいと思う。
[口元を拭いながら、言い辛そうに言い淀む。
それから、まっすぐ相手に向き直った。]
ここは魔物が多すぎる。
いくらリヒャルトでも、多勢に無勢になれば魔力の消費も激しくなるでしょ。
だからね、コンスタンツェが先に行ってくるよ。
リヒャルトは隠れながらついて来て。
[諭すような口振りで、離れられない人に語り掛ける。]
それに…なんでかな、今すごい身体が軽いから、きっとコンスタンツェだけでも大丈夫。
[大丈夫。
またそう言って、相手の返事を待った。]
そうだね、とりあえずこの森から抜けよう?
[>>21のように頭を撫でられればいくらか安心する。]
ということで…
ウェントゥペース!
[2人を風が包む。風の力を借りて移動速度を上げる魔法だ。]
─回想─
[ 昔から身体が弱かった。
だから、外で遊べる場所といえば、限られた庭くらいだった。
季節ごとに色とりどりの花々が丹精込めて育てられた秘密の場所。
お勉強にも稽古にも嫌気が差して、時折こうして抜け出した。]
やだよ! 嫌ならそばまでおいでよ、コンスタンツェがさ!
[ お気に入りの“友達”と一緒に。 ]
[ 駆ける。
狭くて広い箱の中を。
すぐに息が切れる。
眩暈がして、頬が赤くなる。
それでも構わなかった。
空を切った右腕が掴まれて、ぐらりと世界が回転しても。
どんな砂糖菓子よりも甘いにおいが傍にあるのなら、]
わかってるよ、コンスタンツェ。
でもね、だからぼくらには秘密はなしだよ。
だって、ぼくたちは二人で一つなんだから…ね?
[ どんなに窮屈な世界でも、構わなかったんだ。 …コンスタンツェ。 ]*
[村の境を越えて渓谷へと向かう道は、村の賑わいが幻のように寂れている。
見渡す限り自分たちの他に動くものとてなく、雲さえも凝ったような風景。
周囲の見晴らしだけはいいから、さほど警戒せずとも距離は捗ったが──
不意に強い魔素が渓谷の先から溢れ出す。
人の姿のままのギィが蛇の威嚇めいた声を迸らせるのを聞いた。]
── ギィ、 離れろ
[何よりもまずギィが危険だと直感し、渾身の力でギィを結界の外へ逃がそうとする。
光は弾け、そこに闇が傾れ込んだ。**]
………コンスタンツェ、
[ 揺らぐ。
湿り気を帯びた花弁の名残はまだ残っている。
意識と無意識の狭間、あやふやだった焦点が、定まる。]
勝手に、触るな。
[ 拒絶。
夢の名残を拭い去るように剣を帯びた口調。
語調を和らげることなく手早く用意を済ませれば、立ち上がる。
もとより休憩の為にとった宿屋だ。
少しくらい早く出たって構わない。]
行くぞ。
[手短に報告すれば、腰を上げて。
何処か強さを増したようにも見える黒光の方角へ向かうために、渓谷の方角へ向かう。]*
えぇ、そうね。加代は…まぁいっか。
[>>25の風が2人を包む頃にはここぞとばかりにその深紅の瞳を輝かせ森へと入っていった]
はぁ…、加代は狐なんだかワンコなんだか…。さて、私達も行きましょう。
[彼を促し私達も森へと入っていこうとした]
カサンドラ…不気味な森で怖いだろ…?
手、繋いでてやるよ…
[精一杯平静を装って彼女の手を握る]
さ、行くぞ…
[謎の妖狐の後を追う形で風に乗って移動する]
ふふっ、そうね。じゃあ、お願いいたしますね。
[>>30の彼に優しく微笑みながら手を繋がれている。
中に入ってみれば、加代が一通り暴れていたのか所々に噛みちぎられた蔓たちが広がっていた。
鼻の奥に届くはその蔓たちが発していたであろう毒々しいまでに甘ったるい蜜の香りだった]
それにしても、なんだか甘ったるいですね…。
[自分ガ、幼い女孩しカ愛せナいト知っタのは何時の事ダったダろう。
今迄、何人もの女孩ト出会っタ。何人もの女孩を愛しタ。
――そシて、何人もの女孩ト "別れタ"。
今、僕はこの女神を愛しシていル。幼い幼い、"熟れカけタ"この女神を、心カら愛シていル。
……ダけれど、そう。她はもう、"熟れカけシテ"いルのダ。"別れ"の時は、近付いテ来ていル。
自分の愛しタ女孩が、熟れテ醜い"女"にナる所など見タくナい。耐えられナい。
ダから、そうナる前に――幼く美シい、熟シきっテいナいままで、"永遠"を過ごシて貰わナければ。
"ずっト一緒ニ"
僕の望み通りの笑顔ト共に、僕にダけ向けられタ女神の言葉。
何も知らずに笑う顔ト、吐カれタその言葉は。小さナ、小さな、トもすれば気付カナいくらいの小さナ棘を、確カにこの胸に残シていっタ。]
― 回想・アチコー村/花ノ湯前 ―
[来タ時よりも幾分カ体温を上げタまま、並んダ冷たい氷菓子を眺め。腕の中に収まル女神は、まルで其処をお気に入りの玉座のようナ顔をシているものダから、少シでも座り心地ガ良いように、ト腕の角度を調節すル。
ナるべく淑やカにト心掛けテいルのカもシれナいけれど、揺れル足カらは期待の色は隠シきれず――先程頭を洗っテやっタ時カら、ずっトずっと楽シみにしていタようダカら、仕方ナいのカもシれないけれど。
自分の頭を撫でル、小さナ手>>213。その感触を思い返シナがら、色んな味ガあルものダ、ト氷菓子の方へト目を向けようトしテみれば。]
……ッ、くく。相変わらず、プリンガ好きダナ。
[僕の問い掛けガ聞こえルが早いカ、大きナ声で氷菓子を指差す様子>>214に、そシてこんナ所ではしタなく声を上げタのを恥じタのカ、取り繕うように咳払いをすル她に、思わず笑いガこみ上げてくル。
そっト顔を逸らシ、肩を揺らシ。平静を装っテ味を訪ねつつも周りを伺う様子に、ついに僕は小さく声を上げテ笑ってシまっタ。]
[これでも一応、従者ではあるカら。笑われタ事を、怒られる事もあったカもシれナいけれど。
ダけれど、こんナ愛らシい姿を見せられテ――笑わナい方ガ、無理トいうものダろう?]
いいヨ、僕もその方ガ落ち着くシネ。
……でも次カらは、もう少シ小さナ声でナ。"淑女"なんダロ?
[微笑まシそうにすル店員に肩を竦めつつ、她の手カら氷菓子を受け取り>>216。ひやりトしタ椀を她の鼻先に押シ当テて軽い嫌味を飛ばシてやりナがら、足は自室の方へト。
その途中、今朝方見タ顔もチラホラト見えはしタけれど。しカしそれも特に気にすル事はナく――今はそれより、この氷菓子ガ溶けナいうちに部屋へト戻らナければ。
そうシて、部屋へト着いタのナら。
中の寝椅子に腰を下ろシ、その足の間に她を座らせて、店員に貰っタ匙を她へト渡す。]
キーンとするカら、一気に食べるナヨ。
……しカシ、本当に良くそんナ不味い物が食えるナ。
[她ガ好んで食べル、黄色い菓子。それガ僕は、どうにも苦手ダった。
最初は、好物の杏仁豆腐のようナ物ダと思っテ口に入れタのダけれど。しカし味も食感も、それトは似テも似付カないもので。]
[――しカしこの女神は、どうやらその悍まシい食い物ガ好物らシい。事あル毎に食卓に並ぶそれを美味そうに食う姿は愛らシいのダが……どうシても、理解が出来ナい。
ダけれど、もシカしタら。氷菓子にナっタ事で、少しはまシナ味になっているカもしれナい、ト。]
……、一口、くれナいカ。交換。
[そんナ淡い期待を胸に、自分の杏仁豆腐味の氷菓子を一口差シ出し。代わりを求めルように口を開けてみせれば、氷菓子は運ばれテは来タダろうカ。]*
― 回想・アチコー村/宿屋自室 ―
[そうしテ暫しの間、二人で氷菓子を楽しみ。もシも她カら氷菓子を貰えタのナら、やはり変わらぬその味に、忌々シそうに舌ナど出シて見せはシたダろうけれど。
それでも、きっト她は美味シそうにその氷菓子を食べていたダろうカら――僕トしても、良い気分にナっタに違いナい。
她はもう、氷菓子を食べ終えテいたダろうカ。食べ終えテいタのなら、その手カら椀ト匙を取り上げテ、食べ終わっテいナければ終わるのを待ち、同じく自分の椀ト匙と共に屑篭へト。
そうシて抱き寄せタ乾カシたての髪カら香ルのは、あの湯の中に浮カんでいタ百合の香り。清楚ナその香りは、やはり女神には良く似合う。]
……そロそろ、行カナいト日ガ暮れるナ。
行こうカ、"ドリィ様"。
[渓谷カら立ち上ガる黒い光は、あまり"良い"気はしナい。何カ無いかト、幸い死んでも欠けずに済んダ記憶を漁っテみルものの、それらシい情報を見タ覚えは無く。
何方にせよ、此処まで来タのダカら目的を果タシに行カねば、ト。流石に暗い中、她を連れテ出歩く訳には行カないものダから、明ルいうちに向カおうト她を抱き上げテ部屋を出ようト進み出ル。
――警戒ガ足りなカっタのダと言われれば、そうなのダろう。今はまダ、その黒い光ガ何を意味すルのカ。其処までは思い至りはシなカっタ。]*
― 少シ前・渓谷 ―
[来タ時のように日傘を差シ、女神を抱き抱えタまま渓谷の畦道を進んで行く。荷物は必要ナ物以外は全テ宿に置いテ来たカら、持っていルのは她の身体くらい。
死シて、そして蘇り。
……それにシても、見つかるカな。その魔道書トやら。
[足元に気を付けテ道を進みナがら、ふトぼんやりと天を見つめ。
この渓谷へトやっテ来タ目的。あル魔道書ガ此処にあルと聞いテやっては来てみタのダけれど、本当に有ルのカ否カ、未ダ疑いの気持ちは晴れていナい。
眼前に見えルのは、天を貫くようナ不気味な黒い光――そもそも、黒い光トいう物ガ、通常ではあり得ナい筈ダ。
話に聞いたダけでは、さシて気にも留めテいなカったけれど。しカしいざこうシて目の当タりにすれば――]
――……ん?
[ふト、足ガ止まル。見えていルのは、相変わらず真っ直ぐに天へト伸び行く黒い光。
――ダけれど、一瞬。ほんの刹那の間、その光ガ揺らめいタように見えタものダから。]
[そのまま、数秒。じっト睨むように光を凝視すルも、やはり変化は見られナい。]
(……、気の所為、カ?)
[静カに、静かに。不気味ナ程に何の音も立テずに空を割く黒光はを眺めナがら、胸に広ガルのはじわりトしタ――嫌悪感。
そうしテ、一歩。注意深く足を踏み出しタのナら。]
――……ッ!
[突如トしテ荒れ狂う、闇の奔流。空を割く闇は瞬時に空全体へト広がり、渓谷の全テを飲み込んで行く>>1。
そしテそれは、自分達をも。這い寄ル闇カら逃れル事も出来ずに唯々その奔流に飲まれれば、感じルのは悍まシい程の寒気。
――そんナ中。意識すら奪われそうな瘴気に呑まれナガら、低く惨烈ナ聲>>2を聞いタ。
薄れ行く意識の中、自分の失態ト悔恨の念に唇を噛み。必死に腕の中の女神を決しテ何処にモ逃がさぬ様にト、強く、強く抱き締めタ。]*
― そシて現在・悪徳の館 ―
[ぼやけタ意識ガ覚醒シ、止まっタままの心臓ガ凍ル。先ず確認シタのは、她の姿――噫、良カっタ。その姿は、未ダ自分の腕の中。
気を失っタと思っテはいタが、それはほんの一瞬の事ダっタらシい。自分の脚はしカと地に着き、体勢を崩シてすらもいナい。
――ダけれど。先程トは一つダけ、違う事ガあル。]
……"ドリィ様"、此処。何処ダろうネ。
僕達は渓谷に居タ筈なんダが。
[一瞬にシて変わり果テタ周りの風景に、腹に埋め込まれタ女神の"脚"ガじくりト熱を持つ。
未ダ堪え切れぬ程ではナいその熱は、しカし屍人の躰には酷く不快なもので。
僅カに眉を寄せナがら、しカしそれでも她
無用ナ心配をさせルのは面倒ダ、ト。不快さは顔には出さずに、代わりに抱き締めル腕の力をほんの少しダけ強めテやり。
元々鋭い眼差シをさらに険シくしタのなら、警戒を滲ませタまま辺りを見回しタ。]
[其処は、どうやら舞踏会を行う広間のようで。西洋風の装飾の施されタその空間は、中々に豪勢ダ。
視線を上に持ち上げれば、そこに吊り下げられていルのは硝子製の豪華ナ
……閉じ込められタのカ?困っタな……、こんな事ナら、来ルんじゃあ無カっタ。
[悪態ト共に飛び出タのは、小さナ舌打ち。她の前で舌を打ってシまっタ事に気付けば少々バツの悪い表情を浮カべルものの、誤魔化すように肩を竦めテ見せるダけダ。
……この状況で、腕の中の女神は果タしテどんナ表情をシていたダろう。普通の幼子のように、怯えテいたダろうカ――それトも。
そうしテ、目の前にあル大階段にちらりと視線を寄越シ。伺うように她へト視線を戻シ、她ガ許すのナらばその階段を登っテ行っタ事ダろう。]
/*
9喉wwwwwwwwwwwこの長文を9喉連投は流石に初めてやったぞすみませんすみませんすみませんふるえる(土下座)
「アハハッ!!楽しい…。夜宵、すっごく楽しいよ!!」
[加代は禍々しいほど深い紅の瞳をらんらんと輝かせる。
まるで、戯れることを純粋に楽しむ子狐のように周囲の蔓や蔦を切り裂き噛みちぎってゆく。
鼻の奥にふわりと届くその香は植物を手折った時の独特の香であり、獲物を誘惑するための甘い甘い蜜の罠の香である。]
そう、それはよかった。貴女も久しぶりで楽しいでしょう?禍月。
[彼女を真名で呼ぶ。その中に彼女に対する命を含めながら]
くくくっ、仰せのままに…。夜宵様…っと。
[ふざけながらに在りし日の名を呼んでから彼女は再び戯れへと興じる。
私達はそれを見守りつつ、森を突き進む**]
そうだね、でもなんだかイヤな甘さだ
[カサンドラ>>31と話しながら森の中を進む。
幸い妖狐が道を作っていてくれるので魔力を使わずに済んでいる。しかし、どこから魔物が飛びかかってくるかもわからないため、身体を強張らせて辺りを警戒している。]
ー昨日/村内ー
なんだ?…………?
[何かいいよどむ少女に訝しげな視線を送るものの、言及することはなかった。
肉塊となったものに僅かに残っていた魔力は相手のもので、それらが元々持っていた魔力はすでに失われ、少々の魔力に紛れており
結局気づけないままだった。
それゆえ相手の死の匂いに過敏な理由もよくわからないまま、己が甘いものが苦手なように相手も死の気配が苦手なのだろうというなんとも単純な考えで自己完結してしまっていたのだった。
買い物が済めば一旦宿へと戻り、改めて荷物を整理し。休憩も軽く済ませて渓谷へと向かうのだった。]
ー渓谷ー
[村を出てから数刻。少女の不安そうな様子が、道を進むにつれ色濃くなっていっていた。だが、嫌な予感がするというだけで避けていては何も得られない。
あの、黒い光は一体なんなのか。自然と無言になりながら渓谷へと入り、一路目的の場所へと向かっているときだった。
全身の毛が逆立つような、強烈な寒気とともに魔力の奔流が突如襲いかかってきた。]
な………………っ?!
[避けることも防御することも出来ない。ただ、いつの間にか膨張する黒い光に呑まれ、思わず目を閉じて衝撃を覚悟していた。
少女に腕を捕まれたが、気にすることなく。
だが、予想していたような衝撃はなく代わりに酷く慌てたような少女の声が聞こえた。]
シュテラ?!
[一体何があったのか、と声をかけながら目を開ければ、周囲は先程とはまったく様相を変えていた。いつの間にか草原に立っていることに困惑しながら、幻術の類でもかけられたのかと考える。
だが、地響きとともに何かがやって来るのを感じれば慌てて少女へと視線を向けていた。
その口から唱えられる呪文に意図を察し、慌てて少女の体を抱き寄せる。
端からはそう見えても、実際の心情としてはしがみつく、が正しいのだが。
一気に空へと舞い上がり、地上は遥か彼方となる。平時であれば地につくまでしっかりと目を閉じていたいところだが、現状それは叶わない。
がっしりと相手にしがみついたまま、オークの大群が走り回る草原を抜け、5(6x1)へと飛んでいった。]
―回想/アイスがほしくって―
[アイスをさし示してくださった女性>>0:219には、"ありがとうございます"、なんて。軽くだけお礼を言って。
染まった頬には気づかれたくありませんでしたから、さっさとその場をはなれようと思ったのですけれど。
揶揄するように笑う従者>>34がゆるせなくって、その場にいる他の人にはわからないよう、肘でもって制裁をくだしておきます]
〜〜ッうるさいですよ!
[あげく此方に注意>>35なんてしてくるものですから、きっ、と。肩をすくめる従者をキツくキツく睨みつけます。
ついでに押しつけられたアイスも、手でふりはらってみせました。
彼のこういう生意気なところを、ドロシーはあまりよくは思っていません。
主の恥は従者の恥。
そこのところをきっと、彼はわかっていないのです。
まったくもう、従者の自覚にかけるったらありません。
その場をはなれるさい、まだそこに人がいたのならちいさく頭を下げて。
恥をさらした手前、いつもより早足な従者にはほんのすこし感謝してあげましょうか]
[部屋につき、さじを受けとりながらも、不満顔はなおりません。
怒っています、と。そう言わんばかりの表情、声音で]
わかってます。
ドリィはこどもですけど、ばかじゃあありません。
[アイスを口にはこびながら、つんと言いはなってみせます。
最近の彼は、ママよりもお小言が多いんじゃないかしら。
けれど不機嫌そうにしていられたのはそこまでで。
口の中に広がる甘さには、思わず表情もやわらいでしまいました。
こうだから主としての威厳にかけるのだと、ドロシー自身は気づいていませんが]
かまいませんよ。
はい。あーん
[彼のアイスをもらいながら、此方からもさじを口に向けてさしあげて。
彼が舌を出していやそうな表情をしたのなら、ついつい苦笑してしまいました。
……いやなら、食べなければいいのに。
そんな当然の感想は、口にはしないままで]
[アイスが食べ終われば、なんだかねむくなってしまったのですが。
抱きよせられ、うながすように落とされた言葉に、こくりとひとつうなずきます。
楽しくてすっかり忘れてしまっていましたが、目的は別にあるのです。
さっさとあの黒い光を調べてに行かなければいけません。
あくびをかみ殺し、彼に運ばれるまま外へと。
あんまりにも緊張感がありませんが、しかたのないこと。
だって なにか起こったとしても、彼がなんとかしてくれるはずです。
――そのために、彼がいるのですから*]
――少し前/まおうのかりばへと―
[うつら、うつら。
村へとついたばかりの時のように、船をこぎながら目的地へと。
手にしたうさぎのお人形に顔を押しつけ、今にも寝てしまいそうなごようす。
けれど、彼に話しかけられれば>>40半眼でお顔をあげ、ぼんやりとお返事します]
べつに いそいでいるわけじゃありませんから。
ここでなくても、ほかをさがせば。
[どうせその魔導書を手にいれたとして、使うのはずっと先の予定です。
ドロシーには、まだまだ時間があります。……あると、そう思っています。
だから そうせくことはないのだと、言外に彼につげて]
[くぁ、と。ひとつあくびをして――けれど次の瞬間には、大きく目を見開きました]
あーちゃん!
まって――、
[制止の声は、ただむなしくひびくばかり。
その後に感じたのは、ドロシーを強く抱きしめる腕の感覚だけ*]
――現在/きみょうなやかたで―
[声>>41が聞こえてくれば、ドロシーははっとして目を開けました。
警戒するように辺りを見まわしますが、後の祭りです。
探索に来たというのにぼんやりとしていた自分がわるいのですから、後悔しようもないというもの]
どこ、でしょう。
はじめてみるばしょですね。
[こんな目にあってしまえば、眠気もとぶというもので。
自分を強く抱く腕に気づけば、よしよしとそれを撫でてさしあげます。
それが彼の気づかいだとは知らず
むしろ彼に対して、こわいのかしら、なんて。失礼なことを考えながら。
ごうせいな室内も、きらびやかなシャンデリアも。>>42
ドロシーにとっては、あまり目新しいものにはうつりません。
薄暗いそこは、ただただいごこちがわるくって]
だいじょうぶですよ。
こわいものなんてありません。
――さ、いきましょう?
[舌を打ち、バツのわるそうな表情をする彼の頭を撫でて
彼が視線を向けた、大きな階段の方を指さして見せます。
主たるもの、どんな時も優雅たらねば。
――そんな強がりが、すこし。
けれど大半は、この奇妙な屋敷への好奇心と、ここでえられるだろう知識への興味に意識がいっていますから。
前を見すえるドロシーの顔には、恐怖などかけらも見てとれなかったでしょう]
ドリィにあしがあれば、
あなたとおどってさしあげられたかしら。
[階段をのぼりながら、大きなダンスホールを見やり
からかうように落とした言葉は、彼にはどう伝わるでしょう。
ふかい意図のない、幼子の戯言ですけれど]
[放り出されるとは思っていなかったような声を残し、目の前で隷魔の姿が消える。
ほぼ同時に広い空間が閉鎖されたのを感じた。
濃い魔素に晒されて周囲が捩じ曲がる。]
なんということ──
[神具の気配を察知して闇の軍勢が動き出したか。
あるいは単なる偶然なのかもしれないが。]
[ギィは脱出できたろうかと、指輪に意識をこらす。
いつもならそれで居場所が知れる。
だが、白銀に輝いていた指輪は鈍く曇って何の反応も返さなかった。]
──…、 神の計らいを信じよう。
[魔物を好んで喰らうギィは魔物にとっても敵。外れものなのだと思う。
ゆえに保護する意図もあって隷魔とした。]
− 魔の森 (回想) −
[節くれ立った枝の上で赤い蛇は尾を振り威嚇する。
天使は蛇がまた逃げぬよう、祈文を唱えて引きつけんと試みる。]
──この一身をもって。
[盗み出したものが、この蛇にどんな影響を与えたのかわからない。
無下に殺すわけにもいかなかった。
捕縛して天へ連れて行き、裁きに委ねる。それが自分の役目と心得る。
おとなしく従わないならば、実力行使でもって果たすべしと。]
/*
うわぁドリィちゃん可愛いかよ。
わたしも他の方々とお話ししたかっ…。
エリオットさんとカサンドラさん同じ場所にいるはずだし話せないかな、お邪魔かな;;
[真っ白になった世界の中、ふと声が蘇る。
形というのは、その耳飾りのようなものか。
返答に詰まった真意、悟られていただろうか。
嫌いじゃない。
もっとあってもいい。
今度はおまえのところに飛んでいけるのがいい。
なんて願いは、なんとなく自分にそぐわない気がして
喰えるものを寄越せ、美味いものが好いと誤魔化したけれど。
本心を言っていたら、どんな顔をしただろう───?]
― 瘴気の湿地帯 ―
[一瞬の自失は術の影響か。
白に染まっていた世界がぼんやりと色を取り戻す。
見渡せばそこは、瘴気の霧に満ちた場所だった。
地上とは思えない、濃い魔素と瘴気。
急変にくらりとする頭に、声が忍び込む。
「 繋がりは毀たれよ。 欲望を解き放て。
闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、
強者となれ。 」
身体が熱くなり、金の瞳孔が一瞬燐光を放つ。
燃える眼差しは、明らかな怒気を孕んでいた。]
誰かは知らんが、黙れ。
オレが従うのはオレの意思だけだ。
オレは、オレの意思でアイツをモノにする。
誰の指図でもない。オレが決めたことだ。
[沼の上を滑るように移動しながら、ローブを脱ぎ捨てる。
膚に触れる毒霧は、むしろ心地よかった。]
[ふと意識を凝らせば、自分を繋いでいたものが切れていることに気づく。
右の耳に感じていた光の力が、今は無い。]
……余計なことを。
[嬉しいような寂しいような複雑な感情は、強い衝動の前に流されて消えていった。]
[湯気が見える。あそこならば、湯気で身を隠せるかもしれない。
それに、どうやらあの辺りはオークたちのナワバリではないらしく、そちらの方に向かう姿も無かった。
己に捕まる主人に、ハッキリとした声で告げる]
あそこは、少なくとも集団のオークはいなそうですが…こんな場所です、あの湯気がどんな影響をもたらすかわかりません。それでも、このまま飛び続ける訳にもいきませんから、おりますよ。
シェットラント様、ご自身に治療魔法をかけながらいけますか?
それとも、風を纏いながらいきますか?
[風を纏えば、湯気になんらかの害があったとしても影響は少ないはず。
自分の苦手な補助魔法であるが、この状況ではそんな事を言えないのだ。
相手を捕まえる手にきゅっと力を込め]
シェットラント様、おりますーー。
[ゆっくりと、白骨温泉へと降り立つ。
相手が求めるなら、風を纏わせただろう]
― 魔の森 (回想) ―
[さてどうやってアレを連れて帰ろうか。
思案する意識を、祈文の音が絡め取る。
縦に裂けた金色の瞳孔が、衝動に輝いた。
揺らいでいた頭が動きを止め、全身のバネに力が漲る。
毒液滴る牙を剥いて、蛇は樹上から躍りかかった。
腕の長さほどだった蛇の身体は、空中で長さも質量も増す。その長さは、優に大人の身長の倍を超した。
牙を突き立て押し倒し、相手を絡め取らんと長大な身体をうねらせる。]
[毒牙を剥き、魔性の本体を見せて飛びかかってきた蛇は獰猛だった。
天使は代わりに絡みつかせようと槍を差し向け、自身は飛翔して躱そうとしたが、魔の森の木々が邪魔をする。
誘い込まれたとはいえ、不利な戦場であった。
蛇の尾に打たれ、羽毛が時ならぬ雪のように散る。
それでも天使は怯むことなく、大蛇の頭を踏み押さえんと立ち回った。]
……そう、だな…。結界か、どこか別の場所に転移させる術だったのか…。
[少女にがっちりとしがみつきながら思案していた。僅かに己の声が震えているような気がするのは気のせいだろう。
そうなんとか思い込みながら、眼下に広がる平原を見つめていた。
すぐにぬけられるかと思われた平原は、なかなかに広く。湯気の立ち上る、オークも近づかないらしい場所を見つければ思わず安堵の息を吐いていた。
黒い光に飲み込まれて以降、急に深くなった魔の息遣いと瘴気に顔をしかめながら向けられる言葉に頷いていた。]
ああ、そうだな。
風を纏った方がいいだろう。継続的にかけられる治癒魔法はない。
[正確には、己には扱えない、というべきか。
毒を受けたり痺れたりしたのならそれを治癒することもできるが、それを防いだり、怪我をしてもすぐになおるよう治癒魔法を続けるといった呪文は持ち合わせていなかった。
降りる、と宣言する少女に頷き地に足を着ける。なんだかまだ体がふわふわとするようだ。安定した大地に降り立ったことで、思わず深い息を吐いていた。]
……このあたりには特に魔物があるわけでは無さそうだな。
[魔のものの気配はあたりにはないようだ。たご、それと同じく普通の生き物の気配もない。訝しげに周囲を見渡していた。近くに湧き出る湯からは絶えず湯気が立ち上ぼり、温泉であろうことが見てとれた。
さすがにこんな場所で湯に浸かろう等とはまったく思えないが。]
さて…どうするか。とにかくここから脱出をはかりたいところだが…
[少なくとも、飛行したところで抜けられないことはわかった。一体だれが、なんの目的でこんなことをしているのか検討もつかないが]
とりあえず、周囲を警戒しながら辺りを探索するしかない、か…?
瘴気はともかく、ここは特に魔物も寄ってこれないようだからここを拠点に少しずつ回りを探索するしかないな。
[相手の言葉にわずかに頷く。ハッキリとした事は己にも分からないのだ。それでも、危機的状況を打破しなくてはいけないのは確か。
そして、オーク大群のいる平原を抜け取り敢えずの危機を回避し、ゆっくりと大地に降り立った]
『エアリー・シールド』
[そっと魔法を唱えれば自分と主人とに風を纏わせる。盾、とは言えぬほどのものだが、湯気や瘴気を払う程度には効果がある筈で、より相手の方へと効果を強めておく。
確かに辺りには生物の気配はない。奇妙な場所に降り立ったものだ、と小さく溜息をついた]
そうですね、ですが生物が全くいないという事はこの湯には入らない方が賢明でしょうね。
あまり長居をしても良くないかもしれませんが…平原で、オークに潰されたり私の魔法に巻き込まれるよりは安全かもしれません。
……私から離れないでくださいね?
[そっと相手のそばに寄る。そして、相手が歩き始めるなら湯気の中を歩き始める筈で]
転移か変異か……、平原の植物はご覧になりましたか?
普通の植物は殆ど無くて魔物と化していました。それが元々の場所にきたのか。それとも、あの黒い光によって全てが変質したのか分かりません。
ただ、ここの風の流れは…閉ざされています。その原因を探らないと、取り除かないと、抜けられないのかもしれません…。
[相手に頷いては自分の考えを述べる。しかし、あの強い魔力、波動。
こんな事を行える者に自分が、自分たちが立ち向かえるのか?
それを思えば身震いし、カチャカチャと胸元の鎖が音をたてていた]
[少女の魔法により、自らの周囲に緩やかな風が巻き起こる。体を蝕む瘴気が薄れ、呼吸もしやすくなったように思えた。
相手の言葉に頷きながら波打つ水面を眺めた。]
そうだな…。ただの村にある温泉ですらよくわからない効能があったほどだ。ここが元々温泉で変質したのだとしたら、一体どんな効能があるか…
[周囲の禍々しさを思えば、入ったとたんに命を無くす可能性すらあった。側を離れないよう告げる相手に頷きつつ]
お互いに、だな。お前も単独で動いて訳のわからんトラップにはまったら逃げられない可能性もある。
[相手が抜けていると言いたい訳ではないが、こんな場所だ。通常あり得ないようなトラップがあっても不思議ではない。少女が寄り添うのを見れば視線を先へと向け、歩き始めた。]
平原の植物か。たしかに、魔と化していたな…。あのまま地上を逃げていたらあっという間に足をとられてオークの下敷き、というわけか。
[少女を連れていて正解だったと言わざるを得ないだろう。ここはなぜかそういった植物もないため、安心して歩を進められるわけだが、この先植物の生えている場所があるなら注意が必要そうだ。]
原因…。あれだけの魔力をもつ光を一気に放てるのなら、扱う術者も相当な魔力を持っているだろうが……
魔力探知したところで、その辺を漂っている魔力の気配を探知するだけのような気もするな。だが、まぁやってみるか。
[魔力探知の魔法、なら持っている。ダメ元でやってみることにした。己の魔法が、結界内でも使えるのかを試したいというのもあった。]
―――『この地に潜む魔の力を我に示せ
サーチマジック』
[短い詠唱とともに放った呪文により、淡い光が周囲に放たれる。そして、案の定それらは中空のいたるところに散り漂っていた。
だが、それよりも多く淡い光を集めている場所がある。それは…お互いの体周辺だ。]
……………………………。
[強大な魔力の主を探すどころか、自分達の居場所をアピールしたような気分になった。]
嗚呼、ここが源泉である可能性はあるかもしれませんね?
…流石にこんな所ではフラフラしません。でも、この結界はどこまで続いているのでしょうか。まさか、村まで広がっていたら…。
いえ、そうでなくても、あの村には魔力の強い方々がいらっしゃいました。彼等もまたここの調査に向かっているとしたら。
まとめて、この中にいるとしたら…。
[誰が何の目的で。それとも目的など何もなくただ自分たちが何者かの意図に巻き込まれただけなのか。
思案を言葉に漏らしては、しかし相手の魔法の効果を見る]
………………………。
ここは笑うところでしょうか。
[自分たちの体に、魔力探知の光が集まる。それはそうだ、先ほどから魔法の風をまとっているのだから。それはそうだ。そりゃそうだ。
あえて真顔で首を傾げて見せ]
[次の瞬間、目を見開いた]
……っ?!
何、これ、は……?!
[突然自分の中に生まれた、狂気とも呼べる衝動に戸惑い、頭を抱え込む。
ぐっと瞳を閉じ、何とか抗おうとするがそれがいつまで保つ事かーー]
う……、ううう………っ!
[眉を顰め頭を抱え、その声に抗おうとしても、その『声』の力は己より圧倒的な魔力を孕んでいるようだ。
首輪が作用していない事が解る]
[ふつり]
[自分の中で何かが途切れた、そんな気がした]
―翌朝・渓谷にて―
[宿を出発したのは、鳥が鳴くより前の薄暗がりの中。
朝露は少女の肌をしとどに濡らすが構うことなく、新たに購入した深緑のロングワンピース姿で渓谷の、黒き光の源を目指す。]
―…ウェルシュ、来るぞ…!!
[目的地まであと半分。
この調子なら昼前には着くだろうと安堵した矢先のことだった。
膨大な闇の魔力が地より湧き出て、周囲を覆う。
厳しく鋭い声で後ろについてきている筈の従者へ注意を呼びかけた。]
[同時に、右手を天へ突きあげる。]
―守護神よ、汝の恵みを現の元へ!
集え、光の力!!
[動きやすいように纏っていなかった甲冑を呼び、身に纏う。
同時に現れた光のオーラが自分と従者を包み、闇の奔流の影響を防いだ。
その間は長いようで短く。
明けた先には―先程までとは違う光景が広がっていた。1(6x1)]
[従者も苦しむようなら、その口許に光を集積し、視えないマスクを造ってやった。]
…どうする?
[光の大弓を取り出し弦に矢を番え、行く先を見定めながら。
従者の意志を問う。]
[立てられた槍の柄に噛み付き絡みつき、なお執拗に相手の身体を狙って尾を打ちふるう。
地面に落とされてもなお攻撃の意思をもってとぐろを巻き、皮翼を拡げて威嚇する。巨体を持ち上げるほどの飛翔力は無いが、身体全体をばねとして低空に降りてきた天使に噛み付こうと跳躍を繰り返した。
攻防の末に頭の後ろを押さえられ、それでも相手に絡みつこうと身体をのたくらせる。
その動きが不意に変わった。]
[ぶわりと皮翼が開き、警戒の声が喉の奥から漏れる。
激しく尾を打ちふるって音を立てる。
視線が向くのは覆いかぶさる天使の、さらに上。
風を切る音と共に、魔の森の怪鳥が天使めがけて鋭く急降下してきたのだ。]
えぇ、本当に…。
[>>31の彼の言葉に同意していると、加代とは違う禍々しさを帯びた声。>>2
「 繋がりは毀たれよ。欲望を解き放て。 闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、強者となれ。 」
そうだ、この時こそ、加代の言ってたチャンスではないか。この森の先にで6(6x1)に出るだろうと予測し、そこで彼に勝負をしかける。
在りし日のような狂気を蜂蜜色の瞳に宿しながら彼と共に森を進む]
えぇ、本当に…。
[>>31の彼の言葉に同意していると、加代とは違う禍々しさを帯びた声。>>2
「 繋がりは毀たれよ。欲望を解き放て。 闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、強者となれ。 」
そうだ、この時こそ、加代の言ってたチャンスではないか。この森を抜ければ5(6x1)に出るだろうと予測し、そこで彼に勝負をしかける。
在りし日のような狂気を蜂蜜色の瞳に宿しながら彼と共に森を進む]
[赤い幾何学模様に彩られた蛇がのたうつ姿を見ていると幻惑されそうだ。
頭を押さえれば動きを制せると考えたのはいささか浅慮であった。
なお余り在る長身をもって蛇が天使の身を巻く。
縄目を受けたことのない天使の身体を圧が包んだ。]
──く、
[束縛を逃れるべく気を込める天使の頭上で大蛇の尾が乾いた音を響かせたのは歓喜ゆえではなく、警告だった。
地上を影で覆う新たな魔物が突撃してくる。
凶悪な爪をもつ怪鳥であった。
明らかにこちらを襲うつもりだ。
祈文が予想外のものまで引きつけてしまったか。
そうでなくとも、天使がその資質を隠さぬままで地上にいれば目立つのは道理であった。]
[天使と蛇の視線が一瞬、交錯する。
言葉に拠らぬ疎通。
天使は蛇の頭を離すと同時に翼に飛翔の力を込めた。
蛇もまた天使を自由にするとの確信のもとに。]
[風に乗って森を抜けるとそこは開けた平原だった。
ただし、のどかさや爽やかさは微塵もなく、あちらこちらで轟雷の様な地響きが鳴っている。遠くの方では巨大な怪物の群れやオークの軍団が駆けまわっている。]
カサンドラ、出たは良いけど落着けないのは変わらないみたいだよ?
[彼女の顔を見上げて話しかける。
風邪に靡く長く美しい栗色の髪が邪魔をしてその表情はよく見えなかったが、笑みを浮かべているように見えただろうか。]
確かにそうねぇ…。これじゃあ、落ち着いて勝負をすることもできなそうね…。
[>>74の見上げる彼に狂気を隠すように優しく微笑んでから、辺りを見回す。]
そうねぇ…。加代、遊んできていいわよ。ただし、他の人の迷惑にならないようにね。
「うん!!いってくる!!」
[加代が嬉々としてオークの軍団へと駆けてゆくのを見送ってから、彼の方を向く]
ふふっ、ふふふっ…。この時が来るのを、待っていたのよ。
[無機質で冷たい金属の落ちる音が聞こえれば、煩わしかったあの漆黒の腕輪が両の腕から落ちていただろうか]
勝負…?
[彼女が気味の悪い笑みを浮かべたと思ったら、その腕に嵌っていたはずの腕輪が音を立てて落ちていた。]
その腕輪はお前には外せないはずじゃ…!?
[常に腕輪によって「マナ・ドレイン」を受けているはずの彼女が自分の魔力を上回るわけがない。コイツは強欲にも自分が隷属させることができるギリギリの加減で使い魔を召喚しようとした結果、僕を呼び出して返り討ちになったのだ。
動揺は逡巡を生み、彼女への対応を一瞬遅らせた。]
[見交わした視線に意思が流れる。
天使が蛇の頭を離せば、蛇もまた巻き付く力を緩めた。
蛇身をすり抜けて天使は空へ舞い上がり、残された蛇は地面に落ちながら素早く位置を変えて怪鳥の爪を躱す。
仕返しとばかりに噛み付こうとした牙は惜しくも届かず、怪鳥は怒りの声を上げながら再び空へ戻った。
相手が上空では仕掛けようもない。
瞬かぬ目が極彩色を追う。]
ふふふっ、どうやらこの瘴気のおかげみたいね。
[>>76の驚く彼に拾った腕輪を指でくるくると回しながらいう。]
まぁ、あの時は体調が崩れていたから負けたのは仕方が無いわ。けど、二度も貴方に負けるほど弱くはないわ。
[影を集め、薙刀を召喚する。ここら辺では見かけるかどうかわからぬソレを片手に彼の近くに入り込む]
[解かれた両者の身体の間を怪鳥の爪は虚しく過る。
蛇は地にありて牙を剥き、天使は空にありて怪鳥の上をとった。
再び体勢をたて直そうとする怪鳥を天使の槍が叩き落とす。
極彩色の羽根が散り、怪鳥は高さを失ってけたたましく鳴いた。]
[>>77変わった形の刃持つ、槍のような武器を構えるのを見て]
サクスムパリエース!
[咄嗟に呪文を唱える。
すると自身の眼前に地面から、岩で出来た壁が大地を破って生える。]
カサンドラ!?いったいどうしちゃったのさ?
[辺りの魔力を探ってもカサンドラを操っていそうなモノはない。]
謝るなら今のうちだかんね?
[天使の槍が怪鳥を捉え、極彩色の雪が舞う。
先ほど散らせた仄青い光と違って、ただ派手なだけの花吹雪。
けたたましく鳴きながらも、怪鳥は地面に落ちる前に翼を羽搏かせて空へ戻ろうとする。
それを許さず、狙いすました牙が鳥の脚に食い込んだ。
身体全体を使って鳥を地面に引きずり落とし、巻き付く。
鋭い爪と嘴が赤い鱗を幾筋か裂いたが、牙を離すことはなかった。
やがて毒で動きの鈍った相手に絡みつき、絞め殺した後に頭から呑みこみにかかる。]
[食事の間、天使が側に来ようとも特に気にはしなかった。
すっかり腹に収めてしまってから、満足げにとぐろを巻く。
金の瞳を天使へ向け、とぐろの間におとなしく頭を埋めた。]
ふふっ、イタズラ好きな子にちょっとしたお仕置きをしようかと思ったのよ。
[岩でできた壁を一蹴し、距離を取る。]
どうしたもなにも、私は今も昔も自分の欲望のままに動くだけよ。うふふっ…。
[>>78の彼にさぁお灸を据えてやろうと口元に弧を描きながら詰め寄る]
そっちがその気なら…
ウェントゥペース・サリーレ!
[カサンドラがその手に持つ刃の間合いまで詰め寄る前に、大きく後ろななめ上に跳ぶ。丁度バックステップする形だ。
風の力を借りた跳躍はカサンドラの身長の三倍ほどの高さまで到達する。そしてそのまま―]
ウェントゥシーカ・デュオ!
[2丁の風の刃を生成して、彼女に向けて飛ばす]
縛影
[>>80の二丁の風の刃が飛んでくれば、スッと指差ししながら影で縛る。この瘴気のおかげなのか、昔のように魔法を扱いやすい。]
ふふっ、私だって後でごめんなさいと言っても許さないからね?
[刃を縛る影が彼めがけて動く。もし当たらなくても次の手段のための時間稼ぎだからまぁよしとするが]
[優秀な狩人たる蛇は天使が作った攻撃の流れを逃がすことなく怪鳥を仕留めた。
まさかそのまま呑み込んでしまうとは思わず、天使は唇を引き結ぶ。]
なるほど…魔物喰いであったか。
[明らかに胴まわりが太くなったように見える蛇はとぐろを巻いておとなしくこちらを見ていた。
今のところ、襲ってくる様子はない。
そもそも、
それまでの蛇はただ逃げていたように思う。]
[この蛇は魔物を餌にする性ゆえに魔界を追われ、天に助けを求めたのかも知れぬと考えた。
天使は槍を光に帰して、攻撃の意図がないことを示す。]
神が善き道を示してくれよう。
[天の裁きは蛇にとって悪いものにはなるまいと帰還の門を開く祈りを捧げる。
だが、願いは聞き届けられなかった。
代わりに示されたのは失われた神具があるとおぼしき方角。
その先にはサムフェア渓谷があるのだったが、そこまでは今は知らず。]
…! あれをどこかへやってしまったのか。
[天使は赤い蛇の瞬くことない金の瞳を見つめながら言って聞かせる。]
魔を屠るものよ。
我々は、おまえが天から獲っていったものを取り戻さなくてはならない。
わたしが許さぬ限り、人間に危害を加えてはならない。
それが守れるなら、おまえを保護し我が傍らに置こう。
ここは…!?
[突然変化した風景に戸惑いを隠せないようで、目を見開く。]
私の事はお気になさらず。多少の瘴気ならば、なんともありませんので。
魔力は有限です。今は非常事態。出来る限り無駄にしたくはありません。
[魔物である自分には毒の影響は薄いようだ。主人の体に負担を掛けることを避けようと、加護の光を受けることを拒否した。]
[様子を窺っていると、ふいに霧の中から蛙の魔物が現れて、飛び掛かってきた。]
(忌々しい…!)
[それを思い切り足で蹴り付け、力を込めて踏みつける。魔物は破裂して、生暖かい緑色の液体が飛び散った。こんなにも苛つくのは何故だろうか。緊急事態に気が立っているだけなのかもしれない。]
ここでは視界が悪く、いつ奇襲を仕掛けられるかもわかりません。
ひとまずこの霧から逃れましょう。背中にお乗り下さい。すぐに飛び立ちます。
[即座に大鷲のへと姿を変える。主人が跨れば、すぐにでも飛び立つだろう。]
ふぇっ!?
[風の刃が影に縛られかき消される。
そしてその影がこちらに向かって伸びる。]
危なっ!
[また風の力を借りて思いっきり左に跳ぶ。]
まだまだ、遅い遅い!
― 回想・アチコー村 ―
[氷菓子ノ椀を持っタまま、不服そうに顔を背ける姿>>49にハ肩を竦め、困っタヨうナ素振りを見せナがら軽ク頭を傾ける。
……どうやら僕の女神ハ、臍を曲げシまっタらしい。先程、揶揄るヨうな言葉を向けタのが悪カっタノだロう、きつク睨む瞳ト、そノ際にこノ身に受けタ制裁>>48を思い出シ、反省ノ色を浮カべヨうトシて――噫、否。反省はシているんダ。
タだ、ほら。あんナ愛らシく此方ノ非を責められタら、少しダけ口元が緩んでシまいそうにナるのハ仕方が無いだロう?
其れでも周りノ人間達に頭を下げるノを忘れナいのハ、矢張りそう躾られてきているカらナのカ。
従者とシては其れに従う方が良いのカもシれナいけれど、僕とシては、她以外に興味ナんてありはシないカら。頭を下げる謂れナんて無いシ、屍人に礼儀を求めるノも可笑シナ話だロう。
そんナ事を考えていタのナら、抱いタ女神ノ不満顔ハどうやら解消されタよう。甘い甘い氷菓子ハ、至福ノ一時を齎シてくれタようダ――先程までトは打って変わり、緩められタ表情に。噫何ト軽易ナのだロうト、そノ愛クるシさに僕ノ視線も緩んでいク。]
――……やっぱり、不味イ。
此方ノ方が美味シいダロう…どう、考えてモ。
[そうシて交換シてもらっタ一口の氷菓子ハ、矢張りト言うカお世辞にも美味いとハ言えナいもので――それが例え、女神カら”食べさせて貰っタ”トいう、調味料が入っていタとシても。
貰っておいて、ト思われるカもシれナいが、盛大に顔を顰めて舌を出シて見せナがら、自分の杏仁豆腐味ノ氷菓子を匙に掬い、ひやりとしタ其れを她の口元へとそっと当てる。
向けられる苦笑ハ、少々腹立タシくハあっタけれど。ダけれど……、食卓に良ク並ぶこの菓子を、一緒に食べれるようにナれば。
女神ハまタ、嬉シそうにするカもシれナいじゃあないカ――今ノままでハ、到底分カり合えそうにハ無いけれど。]
[甘い甘い、氷菓子。互いの分を其々味わい終えタのナら、腕ノ中に見えタのハ、欠伸を噛み殺すようナ顔。
其れを見れば、このまま今日ハ此処で休み、日を改めるトいう選択肢が頭を過りハしタけれど。
――しカし、她ハ、……もうすぐ。]
……眠いナら、着クまで眠っテいればいイ。
どうせ、歩クのハ僕ナんダ。
[女神の口ノ端に着いタ氷菓子ノ欠片を、寄せタ唇で拭ってやりナがら。她の外套で身体を包むようにシて、あやすように背を撫でナがら部屋を後にする。]*
― 悪徳ノ館 ―
[不気味ナ館に飛ばされれば、女神ハどうやらすっカり眠気が醒めてシまっタご様子。薄暗い中でも綺羅びやカに光る藍玉にハ、思っタようナ恐れの色は無ク。
それどころカ、強ク抱いタ腕をまるで宥めるように撫でられてシまっタ>>53ものだカら。她ノ胸中までハ解らずトも、そノ様子にハ小さく笑みがこぼれタ――噫。流石ハ僕の女神ト言うカ。
指を差されタのハ、先程僕が視線を向けタ大階段。恐れるどころカ期待すらも滲ませて、爛々ト輝くその瞳ノ何と美シい事カ。
她の”心構え”とやらを、察シタわけではナいけれど。その姿ハどこまでも愛らシく、そシて優雅ナもノダっタ。
そうシて、大階段を登り。途中にある大きナステンドグラスの掛けられタ踊り場で。
揶揄るように、戯けるように落トされタ言葉にハ、向けタ目を数回瞬カせタ。]
――……脚があれバ?
可笑シな事を言うナ、有るダろう、"脚"ハ。
[そう言うが早いカ、背を屈めて她を抱いタ腕を軽ク下げ。抱いていナい方の手ノ指を她の指ト絡め合わせるように握れば、見様見真似ナがらも舞踏ノ形を取れタダろうカ。
一度、二度ト。踊るように身体を揺らシ。
鳴り響く音楽も、美シい照明も無い。こんナ薄暗ク寂れタ舞踏広間では、女神ハ不満カもシれないけれど。]
僕ハ、"ドリィ様"の"脚"なんだカら。
"脚"が無くて、出来ない事ナんて無いんダ――無くシてやるト、言っタだロ?
……、でも下手ナのハ簡便シてくれよ。舞踏は苦手ナんダ、西洋のハ特に。
[そう言って、再び她の身体を持ち上げ。少シダけ拗ねタように呟けば、再び階段を上り始める。]
[女神ノ身体を揺らさないように、一段、一段シっカりトしタ足取りで階段を踏みシめナがら。思い返すのハ、先程渓谷で言われタ言葉。>>51]
魔道書ダが、……矢張り、見つカってクれナいト。
………、もうすぐ誕生日ナんダろう?
一つの”区切り”とシて、そノ日までにハ欲シいじゃナいカ。
[急ぐ必要ハ無い、ト。そう她は言うけれど。
僕とシてハ――どうしても、她の次の誕生日までに、其れを手に入れタカっタのダ。
一度死に、そシて蘇っタ僕ノ持っている選択肢は、タっタ二つ。
呼び出シタ主であるこの女神ト共に、”永遠”を過ごすカ――或いハ、いつカ”女”とナってシまう前に、この女神と共に”滅びる”のカ。
何方でも良いと、そう思っていタ。今まで愛しタ幼娘達ダって、長クても二年程しカ共に過ごすこトは無カっタのダカら。
どうせ、一度死んだ身ダ。一目見て惚れ込み、そシて二年間ひタすらに思い続けタ女神と共に滅びるのナら、別にそれても構わナいト。]
――……、僕も。
”ドリィ様”トは、ずっト一緒に居タいんダヨ。
[軽ク目を伏せ、そっト金ノ髪に頬を寄せ。
腹ノ中の脚ハ、未だ――先よりも強ク、熱く。じクじくと痛んではいタカら、一抹ノ不安ハ拭えナいまま、大階段の上にある一つノ大扉を開ク。
あの花ノ湯で言われタ言葉。この女神ノ事だカら、きっト其れが叶えられナい事なんて考えては居ナいノだろう。
――それを、叶えタいと思っタのは。她ノ為ダけでハ無ク、自分ノ為。
幼子以外を、"女"を愛せるとはトても思えはシなカっタカら。叶うナらば――ずっト、そノまま。愛らシく無垢ナそノ姿のまま、共に永遠を過ごシてクれれば良いノに、と。]
― 研究所 ―
[大扉ノ先は、何カしらの研究所ノようだ。しカし廃棄されてカら日も経って居るらシく、床に散らばる紙屑ハ擦り切れ、机には分厚い埃が積もっている。
棚に並べられタ、薄汚れタ瓶詰め達は、濁っタ水で満タされており。その中にハ――此処カらでは良く見え無いが、その中ノ一つに詰められているノハ、何カの臓器ノような。]
……不気味な所ダな。魔道書じゃナクて、"そういう"研究日誌なら見つカりそうダけド。
[体内で燻る熱ノ所為カ、僅カに上がっタ息でそう呟き。部屋ノ中をぐるりト見渡せば、明カりクらいは見つける事が出来タだロうカ。]
[――噫、それにしても。どうしてこんなにも、腹ノ中が痛むのダろう。熱いノダろう。
最初は、気にも留めて居なカっタ異変ダけれど。しカし今トなってハ、中々に耐え難い程ノ熱を帯びている。
抱いていナい方の腕ノ裾で、額に滲んダ汗を拭いナがら、熱ノ所為カ徐々に靄がカカる思考に口の中を噛み締めて。
――そう。
埋めタ女神ノ脚ハ、熱を帯びてシまっていタ。]
[引き下がるまいとする姿勢は、じっと逸らさない琥珀色の双眸から伝わるだろうか。
それは相手が此方に険を帯びた視線>>32を向けても変わらない。
苦虫を噛み潰したような顔から、三分という単語が聞こえる。
返事をする前に敵の隙を伝える大声。
返事を言葉にする前に、鞭打たれた身体は曇天の空の元に飛び出した。]
[だが、その目論見は脆く崩れさる。]
―…なんだ、此処は。
渓谷ではなかったのか…!?
[見渡す限り、紫色の瘴気と毒霧が覆う沼地だけが広がり。
アチコー村から昇る湯気さえ見つからない。]
―……いや、転移だろうが空間変化だろうが、必ず限界はある筈だ。
ウェルシュ、アチコー村があった筈の、南の方角へ飛び続けてくれ。
[気を取り直すと大弓を光に変えて消し、指示を飛ばした。]
[敵にとっては奇襲そのものであったのだろう。
大の大人一人分程もあるハウンドがコンマ数秒で此方を振り向く。
それよりも、速く。地面を踏み締めると同時に露わになった喉元を爪でしっかりと掴む。身体を捩った。臓器の詰まった腹に、叩き込むのは鋭く尖った木の枝。
粒のような吐血を浴びながら周囲を見渡せば、此方に飛びかかるもう一匹のハウンドが見えた。
爪が太ももを掠める。
着ていたローブを脱げば、ハウンドとすれ違う際に顔を覆う。
息を吐いた。]
[敵の首の後ろを脚で押さえつけながらローブを引けば、その脊椎から鈍い音。
湿った土の上に大きな獣が倒れる音を背中で聞いた。
血の匂いが染み込んだローブを再び纏って、空洞へと脱兎の勢いで戻る。]
大丈夫…ほら、こわくない。
[頬の血を拭いながら恐らくは剣を抜いたままであるリヒャルトに手を伸ばす。
後ろから飛び掛かる残党に気が付かずに。]
ふふふっ、まだ遅いとな?なら…影散り!!
[>>84の彼の言葉を聞き、ニヤリとワラいながら薙刀を一つ薙ぐ。途端に周囲に球のような影が集まり彼の元へと散っていく。]
さて、どうする?
[ワラいながら彼に尋ねながら影散りを発動させていく。]
なんだこの影!?
[>>95球状の影に驚きつつ]
グラキテルム・トレス
[三本の大きな氷柱を生成して―]
フロンス!
[カサンドラに向けて飛ばす。]
そんな影でどうしようっていうんだ、この陰気ばばあ!
[と、叫んで挑発する。]
影蝋!!
[影が蝋のように固まり自身の周囲を囲む。>>96の挑発が聞こえてくれば、ピクリと左の眉が動き狂気と今の今までの怒りに拍車をかける。]
ふふっ、言ったわねぇ…。けど、それがいい餌になるのよ。影は負の感情が強くなればなるほどに強くなるのよ!!
幻影・朱雀の式!!
[影が溶け消えたかと思うと、彼の前に現れたのは炎を象徴とする鳥であった。
しかし、これは幻影であったりする。炎は扱えなくはないが、影を扱う時とは雲泥の差があるわけで、実際に呼び出したわけではない]
影蝋!!
[影が蝋のように固まり自身の周囲を囲む。>>96の挑発が聞こえてくれば、ピクリと左の眉が動き狂気と今の今までの怒りに拍車をかける。]
ふふっ、言ったわねぇ…。けど、それがいい餌になるのよ。影は負の感情が強くなればなるほどに強くなるのよ!!
幻影・朱雀の式!!
[影が溶け消えたかと思うと、彼の前に現れたのは炎を象徴とする鳥であった。
しかし、これは幻影であったりする。炎は扱えなくはないが、影を扱う時とは雲泥の差があるわけで、実際に呼び出したわけではない]
はぁ!?
こんなふうに炎扱えるとか聞いてないんだけど?
[思わずそんなつぶやきが漏れる。その声は焦りを含んだものだった。
そして、ガキキッと固形化した影(>>97)と氷柱がぶつかって、氷柱が地に落ちる。]
くっ、
イグニファラネア・マーグ
[巨大な蛾の形をした炎を召喚し、火の鳥を打ち消そうとそれをぶつけようとする。]
わかっていますっ…!
ですが、この方角で合っているのかどうかも…!
[空は暗い。太陽は勿論、星座の輝きすら見えず、正しい方角を知るすべなどない。
歩んできたと思わしき道を全速力で飛び抜けていくが、このままで村へ帰れるのか、不安が霧のように身を覆っていく。]
<i>「 繋がりは毀たれよ。欲望を解き放て。闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、
強者となれ。 」</i>
…っ!
[頭の中に声が響く。空を舞う自分を地に叩きつけようとする、重い重い声音。
その瞬間体が縛られたように動かなくなって、ぐらついた。
落ちる、と分かった。それでもあの湿地に落ちる事だけは避けたい。羽根が濡れては再び飛び立つまでに時間がかかる上、この高さから地面に叩きつけられれば自ら主人を潰す可能性もある。動かない身体でなんとか風を受けて落ちる方角を操る。
腹から無様な格好で不時着したのは、崖壁のおよそ中腹辺り。風雨で欠け、なんとか足場になっている場所。崖の上には奇妙な植物の生い茂る森がそびえている。毒虫や蔦が崖の端の辺りでうろついているが、こちらには来られないらしい。敵から逃げ切れたわけではないが、先ほどの場所よりは安全なようだ。]
…っ!
[唐突に頭の中に声>>2が響く。空を舞う自分を地に叩きつけようとする、重い重い声音。
その瞬間体が縛られたように動かなくなって、ぐらついた。
落ちる、と分かった。それでもあの湿地に落ちる事だけは避けたい。羽根が濡れては再び飛び立つまでに時間がかかる上、この高さから地面に叩きつけられれば自ら主人を潰す可能性もある。動かない身体でなんとか風を受けて落ちる方角を操る。
腹から無様な格好で不時着したのは、崖壁のおよそ中腹辺り。風雨で欠け、なんとか足場になっている場所。崖の上には奇妙な植物の生い茂る森がそびえている。毒虫や蔦が崖の端の辺りでうろついているが、こちらには来られないらしい。敵から逃げ切れたわけではないが、先ほどの場所よりは安全なようだ。]
……………。
[ ゆっくりと、敵の口内から腕を引く。
その間も片時も彼女を離そうとはしなかった。
擦り切れたような痛みを感じながらも、唾液塗れの腕を下ろす。
剣は握られたまま、刀身が赤く鈍る。
操られるように、背を抱いた。
うまく出来ない呼吸は、昔を思わせて───。]
─回想─
[ 烏も寝静まってしまった夜のこと。
身を縮こまらせて怯えていた。
全身、雨をかぶったように汗を掻いては膝を抱えて、滲んだ視界を彷徨わせては、探していた。]
………ッ、…、
[一番、仲の良かった“お友達”を。
迷って、歩いた挙句、ようやっと見つけた相手に腕を伸ばした。
相手はどんな顔をしていただろう。
薄暗くてよく、見えなかったのだけど。]
………こわい、夢を見たんだ。
………油断するな。
[大きく息を吐く。
頭の中で再生された光景に顔を顰めた。
先程とは打って変わった様子で拘束を解けば、反応を待たずして身を乗り出す。
そして広がる光景に瞳を細めれば呟いた。]
随分と、数が多い…。
これがもしかして黒光の影響なのか………?
[ まだ疑惑の段階であり、確信めいたことは判断出来ない。
だが、異変が起きているのは事実のようだ。]
…早く親玉を見つけてこの状況を変えなければ。
………それにしても。
[景色を、再度見渡す。
湿った土に根を下ろす不気味な色合いの花々に、木々の合間を塗って蠢く蔦の存在。]
…気持ちが悪い。
さっさと、………っ、?
[剣を構え直して右足を踏み込んだ、時。
ぐらり、と、揺れる、視界。]
な、ん………、ッ、
[ 反射的に土へと剣先を埋める。
肩を何度も上下させるが、調うことはない。
口角を上げるのは諦念からではない。
利き手が喰らった傷口が熱をもって痛んでいることを自覚していても、剣を引き抜けば、構える。]
やっぱり魔力を使うしか、なさそうだ。
[樹々から現れる獰猛な敵を見据えて、]
敵の注意を引きつけていて、くれ。
[ 背を預ける形で、静かに命ずる。]
[獲物を得て満足した蛇は、天使の言葉に耳を傾ける。
ゆるりゆるりと揺れる尾が微睡みのリズムを刻んだ。
天使が帰還の門を開こうとしたときには少し頭を上げたが、結局それが開かぬと知って再び元の姿勢に戻る。
あれ、に関しては答えることはなかった。]
[この天使を自分の国に連れて帰りたい。
欲望を口にも態度にも示すことなく蛇は天使と見つめ合う。
初めてこれを見た日に惹かれた光。温かさ。
ちろりと舌を出して幾度かその香を味わった。
天使の提案に、ほんの少し頭を傾ける。
地上に誘い出したまではいいけれども、このまま力づくで連れ帰るのはなかなか骨が折れそうだ、とは先ほど戦ってみての感触。
ならばしばらくの間行動を共にするのもいいだろう。
首を伸ばし、頷いて、承諾の意を伝える。]
…っウェルシュ!?
[道しるべが無くても、否、だからこそ自分たちは行かなくてはいけない。
その重責を負わせてしまったことに引け目を感じながら背中に捕まっていたが―いつもの悪ふざけとは違う。
唐突なぐらつきを感じ、名を呼ぶ余裕があったのも一瞬のことだった。]
―…ッ!!
[この高さから落ちれば、光の加護があっても重傷は免れない。
人間に生まれたが故の無力さを呪いながらも、今はただ、幼き頃より信頼を置く従者の判断に任せ、しっかりと背中に捕まった。]
[蛇の金瞳の奥にある願望に天使は気づかない。
“光の洗礼”を施された身は、かつての邂逅の記憶を封じられたままだ。
昔はもっと朗らかに笑ったことも忘れ去っている。
蛇が提案を受け入れると、天使は怪鳥が抉った赤い鱗をひとつ拾い上げ、そこに自分の羽根をあわせて錬成し、リングをふたつ作りだした。]
これがわたしとおまえの間で交わされる契約の証である。
[自分は指輪として嵌めればいいが、さて蛇はどうしようか。]
[いつまで地上に留め置かれるかわからない今、天使も受肉し正体を隠さねばならない。
降魔士と隷魔の関係を保ちながら、神具の行方を摸索するのが最善と思われた。]
おまえも人の姿になれるなら、そうしなさい。
その前に──怪鳥に怪我を負わされただろう。
治癒の光を授けよう。
[ほのかに光る手をかざす。
魔物によっては逆に激痛をもたらす技だが、契約を交わした相手ならば大丈夫なはずだと考えた。]
[天使の羽と己の鱗が溶け合って、リングの形となる。
それは、とても好ましいもののように思えた。
契約という文言は微かに警戒心を呼び覚ましたが、眠気と満腹感の間に消えていった。
治療の光を授けるという天使を見上げ、淡い光に見入る。
身体に降り注ぐ光は温かく心地よく、陽だまりにいるかのよう。
きっちり巻いていたとぐろも次第に崩れ、だらりと寛いだ姿勢で治癒の光を存分に味わった。]
―回想/あまいじかん―
まずくなんか、ありません。
……こんなにおいしいのに。
[まるで"かわいそうなひと"、とでも言うような視線を彼に向け、ドロシーはひとつたん息します。
プリンの美味しさがわからないなんて、まったくもってかわいそうな人です。
あれ以上に美味しい食べ物なんて、この世にありはしないといいますのに]
あ ……ん、
[口元にさじが当てられれば、そっとそれを口のなかへとまねき入れます。
さきほどとはまたちがう甘さに目を細め、ドロシーとしては此方の味もわるくはないと思うのですけれど。
だからこそ、自分の好物であるプリンの味を彼がきらっているというのは、なかなか面白くないお話です。
もしもドロシーが、彼が自分と共に食べる為に苦手な味を克服しようとしている というのを知ったのなら
それはそれは喜ぶでしょうが……残念ながら、彼の口からそれが語られることはなく]
[治療が済めば頭をもたげ、自分の身体を見る。
怪鳥に受けた傷は癒され、新しい鱗は艶やかに輝いていた。
身体もどこか軽くなったように思う。
身体を震わせ、怪鳥の残骸を森の中に吐き出した後、求められるままに姿を変えた。
少し縮んだ蛇尾の上に人間の上半身が現れる。
腕にいくつも細環を連ね、腰回りにも金の鎖を巻き、首飾りを下げている以外は衣服も身に付けぬ姿だ。]
今のはとても良かった。
オマエはやはり温かいな。
[人の顔をして人の言葉を話す。
だが目や舌には蛇の相が未だ残っていた。]
[アイスを食べ終え、ぺろりと口のまわりを舌でぬぐいます。
それは多少はしたない所作だったかもしれませんが、彼だけの前でくらい、のびのびしていたいものですから。
お風呂に入ってあったまって、アイスを食べてお腹がふくれて。
そうしたら、眠くなってしまうのも仕方のないお話。
いくどかあくびをかみ殺していれば、上からふってきた言葉にごしごしと目をこすりました]
いいえ ……いいえ。
あなたがはたらいているのに、
ドリィがねているだなんて、ゆるされません。
[ぬぐう唇は好きにさせてさしあげて、近づいた頭を ゆるくなでてあげましょう。
従者がはたらくのを見とどけるのは、主たるドロシーの役目です。
ほんのささいな移動とはいえ、それも同じこと。
あやすようにされればやっぱりねむくはなってしまいますが……どうにかこうにか、意識をたもつことはできたでしょうか*]
[>>98の焦った声にニヤリとワラう。そして、巨大な蛾の形の炎と幻影がぶつかれば炎と影は拡散していく。それもまた影蝋にて防ぐ]
召喚・禍月!!
[そう叫べば、自身から伸びる影から呼び出され姿を現したのは九尾の艶やかな漆黒の悪狐であった]
「あらぁ?ボウヤは夜宵を怒らせたのかしらぁ?」
そろそろ本気になろうかと思ったのよ。いつまでも舐められてちゃ困ったもんよ。
[呼び出され、開口一番にふざける加代に淡々と答える]
[あるだろう、と。>>86
そうたわむれの言葉にそう返されれば、ぱちり。まばたきを一度。
かがむ身体と絡められる指とに、それでもすがるように腕をに力をこめました。
不恰好なステップをふむ脚と、ゆれる黒と金の髪に瞳をかがやかせ。
彼の行動は、ダンスになければいけない何もかもがないこんな場所でも……それはそれは、ドロシーの心を満足させてくださいました。
ああ、彼って人はほんとうに。
のぞんだときに、のぞんだ以上の言葉をくださるのですから。
数々の無礼も、不敬も。そのすべてをゆるしてしまうのは、きっとそのせいなのでしょう]
ええ、そうでした。
――ふふ。
ダンスは、ドリィがおしえてさしあげなければだめかしら。
[すねた口調は、なんともあいらしいじゃありませんか。
"ごほうび"に、つめたい頬にキスをおくってあげましょうか]
[とうとつに続けられた言葉>>87に、最初はなんのお話かと思ったものですが。
渓谷からのお話の続きだと気づけば、きょとりとしたままちいさく首をかしげます]
くぎり?くぎりにするには、ちゅうとはんぱですけれど
――ああ、あなたからの プレゼントのかわりかしら。
[どこまでも呑気に言ってのけはしましたが、彼の様子がちがうことには気づいていました。
彼がなぜこんなことを言いだしたのか、ドロシーにはわかりません。
けれど従者が望むことであれば、できうる限りはかなえてさしあげるのが主の役目というものでしょう]
あなたが、そういうのなら。
はやくみつけましょう。
――……ドリィと、あなたのために
[どこか切実とひびく声音に、わずかに眉をよせながら。
よせられる頬には、一体どういう意味があるのでしょう]
あーちゃん、あなた――、
なにか、こわいことでもあるんですか?
[ドロシーと同じ望みを持つという彼は、なぜだかあまり元気がないよう。
もしかしたら、今後一緒にいられなくなることがあるとでも思っているのでしょうか。
そりゃあ、彼の命はドロシーににぎられていますけれど
それでも そう簡単に彼を手ばなす気なんて、まったくありませんのに]
だいじょうぶです。
ドリィがいますよ。
ずっとずっと、あなたのとなりにいてあげますから。
[それがドロシーの望みであり、彼の望み。
であれば、どこにそれをかなえない理由があるでしょうか?]
―研究所―
[さきのような失態を犯さないよう、扉が開かれるその瞬間は、ひどくあたりに気をくばっていたものですが。
どうやら扉の先には、動くものはいなかったごようす。
ほこりっぽくってうす汚いそこ>>88は、ドロシーにはどうにも我慢ならない場所でした。
とはいえ、ほんのわずかに"なつかしさ"のようなものは、おぼえましたが]
あーちゃん、すこしおろしてもらえますか?
[ぺしぺしと彼の腕のあたりを軽くたたきながら、そんなことを。
確かに魔導書なんてなさそうな場所ですが……まんがいち、ということもありますから。
もし彼がいい顔をしなくっても、今回ばかりは無理にでも聞いてもらうつもりです。
そうして彼の腕からおりられたのであれば、久方ぶりに自らの"足"で地をふんだでしょうか。
――従者の異変>>89になど、気付かないままに]
……おにいさまがすきそう。
[趣味のわるい棚の中身に目をやりながら、故郷にいる"兄"のことを思い出して。
もしかしたら彼になにか手土産でも見つけられるかしら、と。
床に落ちた書類と瓶の中身へと視線をめぐらせます。
……と。
彼の様子がおかしいことにようやく気づけば、気づかわしげな視線を向けました。
屍体である彼が、汗を流すなんて、これまで一度もなかったことです]
あーちゃん?
どこかわるいんですか?
[ドロシーにはなにも変わりはないというのに、どうして彼はこんなに苦しそうにしているのでしょう。
ああ、彼の腕からおりていなければ、その汗をぬぐってさしあげることができたでしょうに。
地に足をつけたドロシーには、ただ苦しげな彼を見あげることしかできませんでした]
申し訳ありません、姫様…。
敵が何らかの手段で攻撃をしてきたようですが…、翼は痛めておりません。
飛ぶことはできますが、また墜落するようなことがあっては危険です。有効な策を考えるか応援を待ったほうがよろしいかと。
姫様は、御怪我はありませんか?
[大きな体を裏返せば腹に掠り傷があることに気が付くだろう。血が多少滲んでいる程度の傷。傷があると言われて初めて気が付くような軽い怪我だった。]
一体何が起きているのでしょうか。
この場所にはエリオット達、他の降魔士もいるようです。其方から応援が来ればいいのですけれど。
姫様。次からは、ちゃぁんとした対価、頂きますからね。もう!
[頬を膨らませながら羽をばたばた動かして、文句を言う。]
/*
ぼくのめがみがまじめがみ………ああぁああああ口に含む時のそれちょうかわいいってかなにも知らずによしよししてくるのめっちゃかわいいッてかもう女神;;;;;めがみ;;;;;あやされたんだけどねえ;;;;;幼女なのにそっちのがちっちゃいくせにはあああああねええええぼくのめがみがまじめがみなんだけど!!!???!?!?!?なんかもうプロポーズされた気分になるペド野郎はあもう女神。。。
[治療の光を受けた蛇はとぐろを崩してグッタリしたように見え、少しばかり心配したのだけれど、具合が悪かったわけではないらしい。
ペ、と怪鳥の残骸を吐き出す様は褒められたものではなかったけれど、蛇の習性だから場所さえわきまえれば止めさせる筋合いでもないと了見した。
天使の見守る前で、大蛇はその外見を変える。
筋骨逞しい胸板に華美な宝飾品のみをまとった男。
その下半身は蛇のままであったし、目や舌はどこか蛇っぽい。
これが限度なら仕方ないが、人目につかぬよう工夫する必要はあるだろう。]
[>>109漆黒の狐を見て]
そんなの隠し持ってるなんて聞いてない…
[明らかに禍々しい魔力を放つソレにたじろぐ。]
サクスムパリエース
[危険を感じて岩の壁を召喚する。]
[蛇は先の細い舌で器用に人の言葉を話した。
その声には芯があり、耳に心地よく響く。
「やはり」とかねてからの見知りのように言われ、天使はひとつ首を振った。
覚えがない。天使違いだろう。
その辺りに、この蛇が天界へ忍び込んだ理由があるような気もしたが、いつまでも天使の姿でいればまた魔物を呼びかねないと先を急いでしまった。
自らも人に身を窶した天使は銀の髪に天青の明眸をし、銀の鎧に聖印を刺繍したサーコートを羽織る。
手にするのは蕨状の飾り金具を戴く牧杖であった。]
わたしは、これより
必要であれば、その名で呼びなさい。
わたしを「主」と呼んではいけない。主は天におられる方のみだ。
おまえのことは何と呼ぼう?
まぁ、そりゃあアタシの身体がまだ夜宵だった頃からのコだし、言わなくてもいいし、加代の相手になるほどの敵がいたわけでもなかったからね。
[>>115のたじろぐ彼に淡々と答える]
「でぇ、どうするのよ?夜宵。」
今回は軽くお灸を据えてやるだけだからねぇ…。激しくしないであげて。
[笑顔で言えば加代は岩の壁に駆けていき前足で一払いする。]
[岩の壁が砕かれる。]
あっぶなっ
[後ろに飛びのいて、砕けた岩の礫をかわす。]
グラキテルム・キルクルス!
[宙を浮く氷柱が黒狐の周りを囲む。]
いけっ!
[勢いよくその氷柱を狐に向けて飛ばす。]
[自分のこの姿を見ても天使の反応は薄い。
蛇の見分けは難しくとも、人の姿ならば多少は覚えているかと思ったのだが。
もっとも、あの時も名乗ったわけではないと思いなおす。
受肉した天使の姿もまた目に心地よく、魂の輝きが仄かな温もりとなって伝わってきた。]
アンヘル・ヴィンセント。
ヴィンでいいか?
[名を告げられて問い返し、尋ねられれば軽く胸を張った。]
ラールナーガ族のギルシュナターカだ。
親しみを込めてギィ様と呼んでもいいぞ。
[誇らしげに一族と己の名を名乗る。
それから、先ほどのリングを指して自分の右の耳に触れた。]
それはここに付けておこうか。
ここなら邪魔にならない。
[魔力を持つ品は蛇に姿を変えても残ることがあるから、指輪に、というわけにもいかなかった。
尻尾の先でも良かったのだけれども、耳に通しておく方が失くしにくい。]
「くくくっ。ボウヤ、なかなかに面白いわねぇ」
[>>117の氷柱を前足でなぎ払う。]
「けど、私を倒すにはちと弱いわねぇ…。」
[氷柱をなぎ払った前足をぺろりと舐めながら嗤いながらいう]
ーそれはシェットラントと出逢う直前のことー
[どうして私がそんな目に遭う羽目になったのか分からない。
私はただ、風に誘われるままいつも通りにフラフラとしていた。
魔族とは言え年若い私は、世の中の事をあまりにも知らな過ぎた。
家族という家族もなく、自由気儘に風と共に旅をして。
そんな毎日だったのに]
[魔族だから。人間ではないから。そんな理由で私は狩りの対象となったらしい。
そう、彼らが私を嘲笑いながら言っていた。
降魔士の指示で隷魔が私を罠にかけ、魔術を封じーー私なんて魔法を封じられれば体の少し頑丈なだけの、人間の少女とそう変わらないだけの力しかなくて。
どちらに屈するか。
どちらに従うか。
そんな賭けの為に、私は弄ばれた。
死霊使いは死霊を呼び出し。
降魔士は私を罠にかけた隷魔を使い。
只管に私を辱めた。
クスクスと笑いながら。
ーー彼女たちが、同じ女性なんて、思いたくない。
ーーあの時の隷魔が同胞だなんて信じたくない。
ーー死霊なんて、以ての外だ。
私を、モノとしか見ていない彼奴らなんか。
辱め、弄び、それを楽しんで。
彼奴ら、なんか。
死んで当然だったのだ。
切り刻まれて当然だったのだ。
なのに]
「さぁて、次はこっちから行こうかしらぁ。」
[深紅の瞳を輝かせ、さっきなぎ払い砕いた氷柱達を元の形にし、彼の方へと飛ばす。]
「くくくっ、さっきのお返しさ。ボウヤ」
[クツクツと喉から嗤いながら氷柱達を自在に力で操る]
……温泉のある村とはいえ、街ほどには大きくない集落にしては魔力をもつものが多かったな。もし、あの黒い光を調査しに来ていたのだとしたら同じく巻き込まれている可能性はある。合流した方が安全か…?
[冒険者としてはさまざまなスキルをもつものがパーティーを組むのが定石だ。自分はあまりそういったことを好まないため少女と二人で行動していたが、今回は合流できるならした方がいいのかもしれない、と思案していた。
同じく沈黙したあと、笑った方がいいのかという問いは黙殺。]
………シュテラ?
[ふと少女を見ればなにやら驚いた表情。だが、すぐにそれは変わり笑みへと変わっていた。それは、どこか普段のものとは違う………禍々しいもの。
そして、それはまたすぐに消え、頭を抱えて苦しみ出す。『声』の聞こえていない男には、少女の変化の理由はまったくわからなかった。]
シュテラ、どうした?!
[知性と誇りと無邪気さが混在するような半蛇の振る舞いに、天使を相手にするのとは違う新鮮味──あるいは締めつけられるような懐旧? 否、あるはずもない──を覚えつつ、表面上は冷静に応じる。]
特に親しみは要らない、
ラールナーガ族のギルシュナターカ。
[告げられたとおりを復唱したつもりだったが、微妙にイントネーションが違ってしまい、難しかった。
様づけはともかく、ギィと呼ぶことにする。
自分のことも、ヴィンと呼ばせておくことにした。
そもそも、自分はどうしてその名を選んだのだろう、よくわからない。]
シェットラント様。私は……。
あなたにとって、何なのでしょうか?
[相手の問いかけには答えず、そんな唐突な問いを相手に向ける。ザワザワとした感覚を必至に押さえ込みながら。それでも抑えきれない衝動が、周囲に風を不自然に吹かせた。
ぐっ、と強く拳を握りしめ相手を見据える]
私は。
私は、本当は降魔士なんて大嫌いなんです。
死霊使いも大嫌い。悪戯に他者を命を弄んで、モノとして扱って、玩具にして。
隷魔も嫌いです。
彼等に命令されているから仕方がない部分はあっても、同様の事を自らやり始めたらもう同類。
自分たちの能力を競って、力比べして、悪戯にーー。
ひとの魔法を封じて、勝手に従えようとして。弄んで。
あんな奴ら、死んで良かったんですよ。
[自身は耳飾りはつけた試しがないが、ギィがそこがいいというなら、手を伸ばしてリングをつけてやろうとする。]
おまえが神具探索に忠実でない時、人に害を加えようとした時、このリングを使って、わたしはおまえを罰する。
逆に、わたしが利己的におまえを見捨てようとする時、おまえはわたしを罰することができる。
覚えておきなさい。
[そんな付帯効果があると今更ながらに告げ、神具探索への出発を促すのだった。]
[それでも言葉は止まらない。攻撃的な感情を吐露するかのように、自身の一番の憎しみのーー嫌悪の対象を口にしては眉を顰める。
相手にとっては唐突で支離滅裂なものだっただろう。だが、そうして口にしないと、押さえ込んでしまえばまたあの時のように気持ちも力も暴走してしまいそうな恐怖があった。
否、そうしてしまいたい衝動もなくはないが、それをまた必至にすり替えようとしていたのかもしれない。
改めて相手を真っ直ぐに見つめる]
……私は、シェットラント様のモノですか?
それとも、私は、……。
[過去。拾われた時に言われた言葉が蘇る。
『もう、お前はーー』
それでも縋るような目で相手を見つめ]
「くくくっ、させぬよ…。大丈夫さ、これでも夜宵からの命には忠実なものでねぇ。」
[>>121の風に乗る彼を逃がさぬように周りの風を拡散させる。そして、逃げようとする彼を前足で捕まえる。]
「さぁて、捕まーえた。」
[ケラケラと嗤う加代を労う]
ふふっ、さすがね。あれ以来腕が落ないのも流石ね。
[捕まった彼に近づき、漆黒の腕輪を取り出す]
くっ、はなせっ!
[>>124前足で掴まれてもがく。]
あ、その腕輪は…!
止めろっ!こらっ!
[腕輪を見れば、一層激しく抵抗する]
[人の姿を取った天使のふるまいは、どこか、こう、とても天使的だった。
記憶にあるのとは少し違う姿。
それでも感じる気配は同じで、蛇を聊か混乱させる。]
オマエは───
[結局名を呼ばずにそんな風に呼んで、
その呼びかけもまた、伸ばされた手に途切れる。
魔力帯びたリングは望むように形を変え、ピアスとして耳に下がった。
小さな重みを確かめるように、幾度か首を傾ける。]
[しっかりと契約のリングが付いてから告げられた効力に、しばしきょとんとした。]
罰?
そんなことは聞いてないぞ?
別に人間など襲う気はないが、
そういう大事なことを黙っていなんてひどいだろう。
[文句を言いながらも深刻な抗議というわけではなく、出発するというなら素直についていくのだった。]
シュテラ?………どうした、急に?先程は、何か辛そうだったのにもう平気なのか。
[頭を抱えるほどに苦しげだった様子はあっさりと変わり、今度は問いをむけられる。
先程からころころと表情や様子の変わる相手に困惑しながら言葉を返していた。問いには答えない。というより、相手の変化についていけず、問いまであたまが回っていないというべきか。
だが、続く言葉に、自然と眉間に皺が寄せられていた。
相手の言っているのは恐らく、出会ったときに肉塊となっていた、あれらのことだろうと何となく察しがついたからだった。
死の匂いに嫌悪を示すのは、恐らく少女を襲った者のなかに死霊遣いもいたからだったのだろう。
不意に重ねられる問いに頷き。]
お前が目覚めたときに、言っただろう。その首輪があるかぎり、お前は私のものだ、と。
そうか…苦労をかける。
とりあえずは治療だな、じっとしてくれ。
[たかが絣傷、しかしこの瘴気に満ちた場所では命取りとなりかねない。
自らには傷ひとつなかった、と首を横に振って示し、両の掌を傷に向かって翳す。
少女の体内からあふれ出る光が掌を通じて彼の傷へ移り、暖かさを与え癒していく。]
…ふむ、そうだな。
彼らなら何か知っているかもしれないが…
……。
[顎に手を遣り考え込むが、おどけるように翼を動かして文句を言う従者を、静かに。しかし哀愁を帯びた瞳で見つめ、…口を開く。]
[何時から嵌めていたのか、気づいていてくれただろうか。
右手の薬指にある紅玉石の指輪は、少女の未来と人生を縛るものであることに。]
私はこれを最後に、騎士を辞める。
そして…父の薦めにより、遠方の貴族の元へと嫁ぐのだ。
[長い睫毛が影を作る。
彼の顏を見ることは躊躇われた。]
…降魔の力も、光の力も封じることになる。
つまり……
[あのたとえ話は本当の話だったのだ、と。言わずとも…わかってくれるはず。]
「くくくっ、離すわけにゃいかんよ。ボウヤ」
[>>125のもがく彼を離さぬまま大人しくしている加代を見てニヤリと嗤う。]
縛影!!
[影が現れ、加代の前足を彼を捉えたまま縛る。そして、彼の腕に腕輪を通す]
ふぅ、これでよし…っと。ありがとう。加代
「くくくっ、いいのさ。それより、コイツを解いてくれないかい?」
[加代に言われれば、縛影を解く]
これが終わったら、君ともオサラバ、だ。
[哀しまない、と、あの時、彼は言った。
だから、こうして胸が痛むのは自分だけで。
この話もきっと流されてしまうのだろう。]
この任務が終わったら…契約を解除する。
どこへなりとも、行くがいい。
[彼の傷を癒し続けながら、重い気持ちに肺が支配されるままに黙り込む。]
ぐっ…!ううっ!
[力を込めて腕輪を外そうとする。しかし、外れない。]
くっそ…
[カサンドラに殴りかかろうとする。しかし、腕輪から影が伸びてその拳ごと銅を縛られる。]
こんなことして、どうする気?
[涙目になりながら睨む。]
[踏み出した足の下の感触が変化した。
いつしか前方に広がる光景は──>>1の4(6x1)
この先に神具はあるのだろうか。
訝しくなるような場所だ。]
ギィ、
[出会いを回顧していた者の名を呟く。
無事に逃げられていればいい、と願ったはずなのに傍らの空隙がどこか物足りなく感じた。]
嗚呼、貴方には聞こえなかったし気づきもしていないんですね…。
[それは仕方がない事なのかもしれない。恐らくあれは、従う側に向けられた甘言なのだ。そして、それは己を縛る枷すら外す力を伴っていた。
そして自身の中の狂気を呼び起こさんとしているのだ。
モノ。
その一言に哀しげに笑い首を横に緩く振る。
分かっていた筈なのに。
どうしてこんなに哀しいのか。
ーーどうしてこんなに苦しいのか]
既に、私たちは罠に嵌っていたようです。そもそも、ここに来たのが矢張り間違いだったのかもしれません。
もう、私は、貴方のモノじゃない。
ーーこんなモノ、役に立たない。
[するりと首輪を外す。本来ならば決して、彼女の手では外せない筈のものだった。
それを、地面に落とせばジャリっと鎖が鈍い音をたてた]
私は貴方のモノではなくなりました。
そもそも、私はーーモノじゃない!
[悲痛な叫び。それと共に涙がこぼれ、強い風が巻き起こった]
[自分とはペースが違うのか、ギィには何かと文句を言われたが、反抗というよりは駄々をこねるようなもので──時としてギィの抗議はもっともなものだったが、ヴィンセントの正論と別次元にあって噛み合わない──さほど困らされることはなかった。
自分が魔物を引きつけ、ギィが仕留める。
そのコンビネーションは実によく機能していた。
そのギィが居ないことは──ましてや、こんな魔素の強い場所で──艱難辛苦を予想させたが、それでも、探索を止めるわけにはいかない。
神具を、あるいはこの異状の元凶を突き止めねば。
いかにも悪の潜んでいそうな館に向かう。]
[>>132の彼の様子に元気だなぁとのんきなことを思いつつ尋ねられれば、キョトンとしながら答える]
何を?簡単なことよ。ちょっとお灸を据えるだけよ。だから、私と同じ体験をしてもらおうと思ったのよ。
[彼に笑いかけながら、淡々と]
すみません、姫様。仰っている意味がよく分かりません。
私の性能の悪い耳には、他に男が出来たなーんて聞こえてしまったわけですが。非常に不愉快な聞き間違いですねぇ。お恥ずかしい。姫様、本当はなんと仰られました?
[大鷲の姿のまま、起き上がって見下しながら顔を近付ける。苛々苛々。溶岩の煮える、この怒りは何の故だろう?]
…ふふふ、悪魔と契約してタダで済むとでもお思いですか?
…姫様言いましたよね?
何処かの降魔士と隷魔の仲が良くて羨ましいって。
酷いですよぉ、姫様。
私達だってこんなに仲良しなのに。
[そのまま鋭い嘴で、フレデリカの口に触れた。
そしてフレデリカの頭を持っていこうと、嘴を大きく開けて噛みつこうとする。]
なんのことだ…?
[気付いても聞こえてもいない。その言葉に訝しげな表情を返していた。悲しげな表情に困惑しても、放った言葉は戻らない。
そして、続けられた言葉とその行動に目を見開いた。首輪を嵌めた自分でなければ外せないはずのもの。少女が自分のものであるという証。
それがなければ自分は―――――――。]
シュテラ。さっき苦しんでいたのは…っ、
く………っ
[強い風が巻き起こり、それとともに砂や砂利が巻き上げられる。顔を腕で覆い、目に入らないようにしながらも、視線は少女を捕らえていた。]
――――シェルプロテクト。
[小さな声で呪文を唱え、薄く透明な防御壁を生み出す。元々自分はそれほど強い術者ではない。相手の魔力にどこまでこれが耐えてくれるかわからなかったが、ないよりはましと思えた。]
あら、無自覚だったのね…。まぁ、いいわ。加代、どこか泊まれそうなところはありそう?
[>>135の彼に思わず溢す。そして、加代に泊まれそうなところはないかと尋ねれば、何やら建物を探知したのか結果を教えてくれた。]
「そうねぇ…、ここから1(4x1)[1.3時 2.9時 3.12時 4.6時]の方向の6(6x1)kmほど離れたところに館があるみたいね…。」
じゃあ、そこに行くとしましょう。
「小娘もボウヤも疲れてるみたいだし、今回は特別に乗っけてあげるわ。」
[16mほどもある彼女が屈みながらいう。なにやら怪しいと思いつつも、彼女に跨る]
ほら、エリオットも跨ったら?
[彼に手を差し伸べ、跨るようにと促す]
えっ、うん…
[>>138言われるがまま、狐にまたがる。その表情は暗く沈んだまま。
こんなはずではなかったのに、今では彼女の当初の思惑通り従わされてしまっている。そんな自分が悔しかった。]
ふふっ、いいこいいこ。
[>>139の素直に従う彼の頭を優しく撫でていると、加代が話しだす。]
「さぁて、久しぶりに飛ばすとするかね。小娘とボウヤはちゃんと捕まってるのよ。」
[疾風の如き速さで平原を駆け抜けていけば、あっという間に館へとたどり着いただろうか。]
ふふっ、加代は早くて助かるわ。ありがとうね。
[彼女の鼻の部分を優しく撫でながらいう。]
やめっ!
[>>140不意に優しくされて困惑し、照れていると狐の忠告が。
言われた通りにしっかりと掴まってると、あっという間に館に到着した。]
ふふっ、可愛いところもあるのねぇ…。やっぱり、エリオットを呼び出してよかったわぁ…。
[>>141の様子に一人喜んでいると、加代は建物の大きさに合わせて身体を縮めた。]
「さて、この姿の間はあんたの肩にでもいるとしようかね。私も久しぶりの外なんだから」
[肩にヒョイと乗る彼女を笑顔で迎え入れながらとにかく野宿にならなければという思いで建物の扉を開く]
『繋がりは毀たれよ。欲望を解き放て。
闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、強者となれ』
…そんな声が響いてきました。
きっとアレは、私のような従属者に対する甘言だったんです。現にその言葉と共にその首輪は役に立たなくなりました。そして、私は。
ーー命を簡単に摘み取ってしまえそうな、そんな、気持ちに。
それも、あの声と同時にです。…今もそう。私が気を緩めれば、きっと狂気に囚われて貴方の命なんて簡単に。
[風は吹き荒れるものの、それでも刃へと変化することはない。
辺りの湯気は散り、視界が大分開けただろう。
溢れる涙をそのままに相手へと手を伸ばす。叶うならば防御壁に手を伸ばし、砕く為に指先に魔力を込めただろう]
ーー結局、私はモノでしか無いんですね…。
優しくしてくださるから、すっかり騙されてしまいました。
…でも、私がモノならば。
ーー貴方は私よりも脆弱な、私がいつでも命を奪える存在なんですよ?
[言葉は淡々と紡がれる。だが、溢れる涙は止まることは無い。
それでもまだ、相手を傷つける事はしなかった]
かわいいだって?バカにするな!
[>>142にそうふくれっ面で答えながら、彼女に続いて館に入っていく。
こんな結界の中にある館だし、きっとロクな館じゃないだろう。と勘繰りながら。*]
[扉を開けた途端に感じる違和感。なんだか嫌な予感がするなぁと思いつつも、扉の中へと入って行く。
>>143の彼の様子にクスリと笑いながら*]
…えっ、あ、あの…
他に…って、もともと私には、そういう人は…。
[見た事もない表情に、出来るだけ淡々と、感情を出さないようにと律していた口調が揺らぎ、戸惑いの表情を浮かべる。]
ですから、私は婚約者と結婚すると…
[怒っている。
それも、今までになく。
…わかっていても、どうすればいいか、どうしたらいいかわからなくて。
愚直なまでに、先程と同じ事実を告げる。
だが、既に彼の耳には届いていないようだ―]
…うぇ、ウェル、シュ。
どうしたの…?ねえ…!!
[硬質な嘴が、柔らかい唇に触れる。
切っ先が食い込めば容易く血を流す、脆い体。
あんぐりと開けられた嘴の中は、獲物をかみ砕き、飲み込む為の歯と舌があって―]
…っいやぁ!!
[咄嗟に光を己の全身から放出させ、彼を弾き飛ばすと同時にバックステップで距離を取る。
痛みはない筈だが、至近距離で喰らった相手の視界は保障できない。]
落ち着いて…!
ちゃんと話を聞いて!!
[信頼していた、家族同然に思っていた相手の行動。
ただの悪ふざけだと、拗ねていただけだと、言って欲しい。
そう、濡れた蒼い双眸で語り掛けながら。**]
たしかに、罠だったようだな。僕たちが巻き込まれたのか狙われたのかはわからないが……
[相手の言葉に深くため息をつきながら答えた。強い風は相変わらず吹き荒れている。それはまるで、少女の心を現すかのように。
一応、と張った防御壁は少女の指先で触れられただけであっさりと砕け、パリンという硬質な音が微かに響いていた。あまりにもあっさりとそれが砕かれてしまったのは、この地に溢れる魔力によって、少女の力が増強されているから、なのかもしれない。
ただでさえ力の差がある相手に、さらに環境までが相手に味方しているとなれば勝ち目はほぼないと言っていいだろう。
あまりといえばあまりな状況に、思わず渋面となっていた。]
――……そうだな。僕はお前に比べればずっと弱い。攻撃魔法などほとんど持っていない上、魔力自体もお前の方がずっと多い。
それでも。いま、やろうと思えばすぐにでも俺を殺せる状況で、そうしないのはなぜだ?
お前は……、僕を、どうしたい。
[そう、何かに囁かれ理性を飛ばされそうになりながらも、少女は理性を保ち続け攻撃することもない。
これ以上下手に魔法を使って刺激するよりも、話し合いをした方が得策と思われた。]
なぜって。騙されていたと思ってもそれでも、貴方は優しかったから。
あんなヤツらみたいに、私を蔑ろにはしませんでした。
…だから、殺したく、ない。
[声が震える。理性を抑えるのに精一杯で、荒ぶる風を抑える事は出来ないでいた。
ぐいと乱暴に涙を拭ってもなお、更に溢れる涙。ぐしぐしと袖でそれをまた更に拭い]
私がどうしたい、と言うよりも…。
少しでも私を認めていて欲しかった。
モノではなく、個人として。
貴方だけは違うと思っていました。
…どちらに屈するか、どちらのモノになるのか。そんな賭けの後に助けられたとは言え、隷属させられモノ扱いされて本当に絶望したんです。
でも、貴方は優しかったから。
……違うと、錯覚してしまった。
[ゴウ、と風が吹き相手の足元をすくい上げようとする。それと同時に、ドンっと相手を突き飛ばした。
叶うならばそのまま、相手の腹へと馬乗りになろうとし]
でも、貴方が彼奴らと同じ、私を他者をモノとしか見ないのならば。
私も、同じところに堕ちましょうか。
この狂気を散らす為に、せめて貴方を生かす為にも。
ーー貴方が、私のモノに。
シェットラント……さま。
[暗い表情で相手を見つめる。馬乗りになれたなら、ポタポタと涙が相手に落ちていたかもしれない。
馬乗りになれなかったとて、相手の肩を両手で掴もうとはしていただろう]
[少し離れ過ぎた、そう後悔したのは戻ってきた時に見た不機嫌とは別の色のせいだった。
少し昔を思い出して、僅かに笑んだまま差し出した手をより伸ばす。
相手に触れようとした、その時。]
……––––––––––
[肩を抱き寄せられる。
温かい、懐かしい匂い。
それとは別に、確かに臭う血の、]
リヒャルト…
[小さく、小さく名前を呼んだ。
相手の手が触れた背中に響く、生き物が倒れる音。
油断するな、と叱られれば相手の胸をじ、と見据えてはその表情を悟られないことを願う。
少しだけ瞼が重たくなった。]
― 瘴気の湿地帯 ―
[瘴気の霧に満ちた湿原は、どこまでも続いているようだった。
見通しが効かないからそう思えるのかもしれないが、この魔素の濃さは魔界にある迷いの地を思わせる。
どうやってここから抜け出して降魔士を探したものか。
苛立たしく水の面を尾で叩けば、近くで反応するものがあった。]
[唐突に温もりから引き剥がされれば、そこにはいつものコンスタンツェがいただろうが。
「うん、さっさと倒してしまおう」
リヒャルトと共に周囲に警戒を振りまきながらそう言おうと唇を動かした時、ふと、動物のものではない血の匂い。
相手の腕の傷に気がついたのと、視界の高さから相手が消えたのは同時であった。
警戒を強めつつ、目を剥いて相手の肩をそっと支える。
再び立ち上がるリヒャルトを見上げた。
どうやら、ゆっくり治療をしている暇は無いらしい。]
わかった。
[痛みを抑えて剣を構える、その背中に回り込む。
そのまま、周囲の敵に突進した。]
[澱んだ沼の表面に波紋を描き、ぬめりとしたものが浮上する。
小山のような物体から粘つく水が流れ落ち、真一文字に亀裂が走ったかと思うとぎょろつく目が現れた。]
───!
[半人半蛇から大蛇へと瞬時に姿を変え身構えた目の前で、巨大なカエルが姿を現す。
人間どころか小屋ごと呑みこみそうな相手を前に、ちろりと舌を出し入れしながら蛇はゆるりと首を後ろに引いた。]**
[跳ねて此方に飛び込んでくるその木の根をひょいと避けて、抱き締める。
飛び込んで来たままに、その巨大を地面に叩きつけた。
飛び散る木屑の奥には、先と同じハウンドが数匹。
木の根をそのまま振り回せば、ハウンドと共に何体かの小さな魔物は潰れただろう。
狼は覚束ない足取り、しかし殺意と悪意に満ちた眼で二人を見据えている。
リヒャルトの傷が頭にこびりつく。
同じ険しい、恨みすら篭った眼で睨めつければ、次いでリヒャルトの近くにいる魔物も薙ぎ払い、一つの場所に集めて。
コンスタンツェだけでは、これだけの魔物を一度に殺す事など出来ないから。]
リヒャルト、打って!
[補給した魔力の端で、一度だけ魔法を飛ばして貰おうと後ろを振り向く。
その時であった。]
<font color= gray>「 繋がりは毀たれよ。 欲望を解き放て。
闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、
強者となれ。 」</font>
[跳ねて此方に飛び込んでくるその木の根をひょいと避けて、抱き締める。
飛び込んで来たままに、その巨大を地面に叩きつけた。
飛び散る木屑の奥には、先と同じハウンドが数匹。
木の根をそのまま振り回せば、ハウンドと共に何体かの小さな魔物は潰れただろう。
狼は覚束ない足取り、しかし殺意と悪意に満ちた眼で二人を見据えている。
リヒャルトの傷が頭にこびりつく。
同じ険しい、恨みすら篭った眼で睨めつければ、次いでリヒャルトの近くにいる魔物も薙ぎ払い、一つの場所に集めて。
コンスタンツェだけでは、これだけの魔物を一度に殺す事など出来ないから。]
リヒャルト、打って!
[補給した魔力の端で、一度だけ魔法を飛ばして貰おうと後ろを振り向く。
その時であった。]
「 繋がりは毀たれよ。 欲望を解き放て。
闇に染まり、絶望に咽び、略奪を楽しみ、
強者となれ。 」
ー回想ー
[ 奥様の部屋を出た時であった。
不意に訪れた、まだ小さかった手の温かな体温に目を見開く。
いつからそこに?
そう聞こうとした声は、震える声に飲み込まれる。
頬を緩めて、汗ばんだ髪を優しく撫でながら、]
大丈夫、二人でいれば怖いものなんて何もない。
……でも、リヒャルトが怖かったことも、私は知りたいな。
[肩をそっと抱き締める。
相手を包み込むつもりで。]
[プツン。
何かが切れる音が頭の中で響いた。
嫌な予感。目を剥いたまま、冷や汗が流れた。
リヒャルトと、コンスタンツェの間に魔力が流れる感覚がない。]
………っちゃだめ。
[態勢を立て直した魔物がリヒャルトの方へと向かう。
身を乗り出して、鋭い牙が揃う口を腕で抑える。
腕に牙が食い込み、半ば食われたようになりながら。]
やっぱり、魔法は使っちゃダメ…!!
[今使えば、リヒャルトの魔力切れが早まる。
歪んだ眼は、目の前の魔物の奥から向かってくる他の魔物を捉えていた。
大きな口を押し返そうと、気持ちは急いで、しかし巨大の狼も押し返されまいと足を踏みしめているようだった。
/*
<font color=gray>Ich bin aus unzähligem Schwert geworden.
――― 体は剣で出来ている
Stahl ist mein Körper, und Feuer ist mein Blut.
血潮は鉄で、心は硝子
Ich habe über ein Tausend Klingen geschafft.
幾たびの戦場を越えて不敗
Ich bin mich weder des Verlust nicht bewusst.
ただの一度も敗走はなく</font>
[蜘蛛ノ巣の
ダけれど幸いな事に、こノ不格好な舞踏はどうやら気に入っては頂けタよう。腕ノ中で僕に腰を抱かれながら、満足そうにする姿を見れば此方とシても少シだけ、得意げな気分になロうと言うものダ。]
噫、そうシてクれ。
下手なままダと、”ドリィ様”ノ格好もつかナい。
[そうして与えられタ”ご褒美”には、此方もまタ握っタ手ノ甲へと口付けを。
舞踏は好きでは無いけれど、もシかしタらこうシてまタ、她と踊る機会もあるかもシれないダロうから。
その時に、僕がこうシて下手なままダと女神の威厳に関わるじゃあないか。
それにこうシて、小さな手を握り。次は明るい煌びやかな広間で共に踊る事を考えれば、中々に悪くは無い。
そノ時に、她はどんな風に舞踏を教えてくれるのダロう。こう見えてシっかりしている所があるから、きっと丁寧に教えてくれるノだロう。
――そんな日が、噫。何とも、待ち遠シい。]
[そうシて続いタ、呑気な言葉>>111には、何処か曖昧に笑ってみせる。
誕生日ノ、贈り物。其れが"どんな物"になるのかは、今はまダ判断がつかないけれど。
ダけれど、噫。そんな事を言われてシまえば、其れを願ってシまう気持ちは抑えられない。]
――いイや?
怖い物なんテ無いよ。"ドリィ様"ガ、そう言っテくれるなラ。
[ずっと、隣に居てくれるノだと。她は心から、そう言っているノだロう。
そシて無論の事、僕も。"例え女神が僕を手放そうとも"、最後まで共に居るつもりダから。
そう、ダから僕ノ憂鬱はそんな理由じゃあ無いんダ。蘇っタばかりの時は、半ば自棄になっていタノもあってか、限られタ時間を愉しめればそれでいいと思っていタけれど。
――その、"限られタ時間"が。僕が思うよりもずっと、ずっと……そう、あまりにも愉シいもノだっタから。]
――……、オマエがもシも万一そノまま老いていっタのなら。僕を、置いテ逝く事になるんダロうけどナ。
[口ノ中でダけ呟いタ言葉は、女神には届かなかっタだロうか。何方にせよ、それ以上は聞いてくれるなと她の瞼へと唇を落としてみタもノだから、そノ意図を汲んでくれると良いノだけれど。
――噫。そんな事はあり得ないけれド。
老いる前に、美シいままで。そノ命を刈り取るつもりではあるけれど。
もシも、万一。そんな事が有り得タノなら。
その時は――僕は、如何すればいいんダロうナ。]
― 研究所 ―
[扉を開いタそノ先、埃と汚れに満ちタそノ場所。其処は如何足掻いても、この女神に似合う場所じゃあ無かっタ。
だから她がまさか、"懐かしさ"なんぞを覚えているとは露知らずに。降ロシてくれ、と命じられれば>>112、向けるノは当然の如く渋い顔。]
……如何シて。
[呟いタ言葉には、盛大な不満ノ色を隠そうともせずに。腕を叩く手を睨みながら、しかし無理にでも降りようとされてシまえばそれに従う他に無く。
渋々といっタ風に她を床に降ロシ、転ばないように内心ひやりとしながらそノ姿を見つめ。体内の脚ノ熱も一時忘れて部屋を物色する她を見守っていタのダけれど、ふと聞こえタ言葉>>113にまタ表情は不満気なもノへ。]
……、"おにいさま"。
何時も思うけど、さぞかシ仲が良いんだロうナ。
[口をついて出るのは、まるで嫌味ノような一言。她の故郷の”兄”とやらを、自分は一度も見タことは無いけれど。
ダけれど、她ノ口から何度か話を聞いタことはあっタから――その度に、嫌悪は募るばかりで。
她ノ、両親。それが僕が”許せる”範囲。
そノ境界線を超えタ所にある”兄”とやらノ存在は、実に面白くないものダ。
ダから、そう。そノ”兄”とやらのせいで、随分と気分が悪かっタもノだから――そシてとても、”暑かっタ”ものダから。
心配そうに此方を見上げる她にも、何時もよりも随分と冷タい視線を向けてシまっタかもシれない。]
……少シ、暑いダけ。
さっきノ光も、此処も。変な空気があるんダロ。
[まタ一筋流れタ汗を拭いながら、呟く言葉は素っ気なくしてシまうけれど、シかしそれも長くは続かない。
言ってシまってから少しダけ後悔の念を覚え、気まずそうに自分よりも随分と下にある她ノ顔を見下ロシて。
――”見下ロす”ノは、失礼か、なんて。そんな言い訳じみタ言葉を頭に浮かべながら、ゆっくりと她の前にしゃがみこむ。]
……もう、いいダロ。あんまり歩くト、脚を痛め、…
[そうシて、伸ばしタ腕が她ノ肌へと触れタ瞬間。腹ノ熱が、一際大きなものとなる。
煮えるような熱さを持ち始めタそノ脚は、次第に、次第に。思考を、視界を溶かシていくようで。
なめらかな肌、大きな瞳。僕に対シて絶対なる信頼を寄せているそノ眼差しは、酷く心地よい。
手の大きさも、僕よりもずっと、ずっと小さい。肉は柔らかく、きっと臭みなんてひとつもないノだロうと思えるくらいには”綺麗”なままダ。
誰にも、何にも。侵されタ事ノないそノ身体。その心。
噫ダけれどそノ姿も今ダけだ。いずれは成長シて、心も身体も熟れていってしまうのダロう。
――魔導書が見つかれば。そノ姿のまま、不老でそシて不死でいられるノかもシれないけれど。
ダけれどもしも、其れが見つからなかっタ時は――?]
……、ハ。
[短い、短い息を吐いて。熱で朦朧とする頭をぐらりと傾がせ、她ノ肩を強く掴む。
傾いだ頭は、その小さく頼りない方ノ上へ。ふわりと香るノは、幼娘特有ノ甘い香り。
そう、何方にせよこノままいけば、次ノ她の誕生日には”お別れ”をする予定ダっタノだ。
ならば、いっそ。別に”今”そうシてしまっても――いいんじゃあ、ないか。
――或いは。以前から頭ノ片隅で、考えていタ方法。
こノ僕の牙でもって、她を僕と……”同じに”、してシまえばいいんじゃあないか?
穢く、穢れタ、哀れな
そんな存在に、女神を貶めてしまうノは許せない、我慢できない。
――ダけれど、もう。同じくらい、”お別れ”も耐えられなくなってきタんだ。]
……じっト、シてろ…ヨ。
[そうして。熱に浮かされタ僕ノ唇は、果タシて何を呟いタダロう。
それすらも解らないまま、自分が今”何をしようとシているノか”すらも解らないまま。
目ノ前に見える、細く白い首筋。
そこに向けて、尖りもシていない歯を立て よ う ト]
[殺したくない。その言葉がどこまで本当なのか、それはわからなかった。ただ、今だ攻撃すらされてないことを思えばたしかにそれはシュテラの本心なのかもしれない。
溢れる涙をやや乱暴に拭う姿を見つめながら、ただ吹き荒れる風の中心に立つ少女を見つめる。]
助けた、というほどのことはしていない。私が見つけたときにはすでに気を失っていて、肉塊と血だまりの中で倒れるお前を浄め治癒しただけだ。
………っ?!
[話の最中、急に風の流れが変わった。足元を掬われ、よろめいた瞬間を狙い肩を押される。抵抗する間もなく、視界はぐるりと回り背中は地に着いていた。腹の上に、少女の重みと熱。
自然と見上げるかたちになりながら、まっすぐに従者だった者を見つめていた。]
そう言いながら、なぜ泣く。
僕をお前のモノにしたいのなら、そうすればいい。
僕がお前をそうしたように。…いや、自らの力によらない分、僕の方がずっと卑怯か。
[自嘲するような苦笑と言葉。相手が馬乗りになってさえ、男は抵抗しようとはしていなかった。
首輪という繋がりが断たれ、それでも新たな繋がりを求めるのなら。それに否やをとなえるつもりなど、なかった。]
[普段ならば見上げる相手の上に乗り見下ろすと、涙が相手の顔に服にポタポタと零れていった。
相手の真っ直ぐな視線に、そして何の抵抗も示さない態度に戸惑いを隠せずその目が揺らいだ。
お前のモノにしろ。その言葉にブンブンと首を横に振り]
……っ、違う!違います…。
私はただ、認めて欲しかっただけ。あんな鎖が無くても、首輪を嵌められてなくても、私はきっと貴方を護っ……た、のに。
貴方がただ私をモノとして、ずっと信じてくれなくて、首輪を外そうともしてくれなくて。
ただの友人にも、旅の仲間にもなれなくて!
それがっ、……悔しい……!
[どうにもならないものなのかもしれない。自分は魔族で、相手は人間で。より強い力を持ったこちらを相手が信じられないのも、ある事なのだろう。
普段はそれで良かった。甘んじて受け入れていた。
だが今、その心の枷はない。ないのだ。だからこそ耐えられない。
そっと相手の頬を両手で挟み込み、そっと顔を近づけた]
本当は、こんな事したいのか、私にも…分かりません。でも、でも、シェットラント様…。
[それでも。繋がりが断たれてもなお、相手への呼称は変わらない。
そっと唇を重ねようとするが、1度目は鼻先が。2度目はカチリと歯が当たり、3度目でようやく柔らかな唇同士を重ね合わせる事ができた。相手の頬に触れる手が細かに震えている。
触れ合わせるだけで直ぐに唇を離すと、相手の足の上に乗ったまま足先の方へと移動し、衣服を寛げさせようと指先を伸ばした]
[怖い物なんてないと、その言葉が返ってきたのなら、ドロシーはひどく満足げにほほえみました。
ええ、ええ。そうでしょうとも。
彼には、ドロシーを失くす以上に恐ろしいことなど、あってはいけないのですから。
ドロシーが"そばにいる"と言ったのなら、不安もなにもかも、ふきとばしていただかないと]
なら いいんです。
しんぱいすることなんて、なにもありませんよ。
[彼の思惑も、想いも。ドロシーには気づけません。
だって こうも幼い自分を、彼が"想って"くださっているだなんて、どうして思いつけましょう。
色恋沙汰など、ドロシーにとってはまだまだべつの世界のできごと。
男の人と愛しあうより、"玩具"と遊んでいるほうがよほどたのしいというもので。
そんなドロシーが、彼の想いに気づくなど。どだい、むりなお話なのです。
――彼にとって、それは幸いなのかもしれませんが]
[彼がなにごとかをささやけば、ちらりと視線を向けたものの。
まぶたへと口付けが落ちてきたのなら、問いを投げたりはせずに。
撫でるようにその髪を 梳いてさしあげましょうか]
どうしても です。
[不満そうなお顔>>157をされてしまいましたから、こまったように苦笑しながら。
結局むりやりおりるはめになってしまうあたり、やっぱり彼は過保護すぎるんじゃないかしら、なんて。
うれしいような、迷惑なような]
ええ もちろん!
おにいさまとは、ドリィがうまれたときからいっしょですから。
[おにいさまとは血が繋がっていませんから、正しく言えば兄というのは当てはまらないのでしょうけれど
ドロシーにとって彼は、とっくに"家族"の一員でしたから。
……だからというわけでもありませんが、彼のつめたい視線>>158の理由などわかるわけもなく。
ドロシーは、きょとりと首をかしげます]
……?
あついだけ には、みえませんよ?
[――それに、と。
あたりを軽く見まわしながら、言葉をつづけます]
……あなたにだけ、えいきょうがあるなんて……
[不機嫌そうな表情と、いまだ流れつづける汗と。
いつもとちがう彼のようすに、ドロシーは心配そうな視線を向けることしかできません。
なにやらよろしくない状況にいることはわかりますが、かといって、それをどうにかする術も思いつけず。
それでも 彼がしゃがんでくれたのなら、そっとその汗をぬぐってさしあげましょう]
あんまりって……
このくらい、まだまだ へいきです。
[まだ数歩歩いただけだと言いますのに、咎めるような言葉には、少々 憮然としながら。
けれどいつまでたっても持ち上げられない身体に、うかがうような視線を向けます]
まって。
[つぶやく声になど耳をかさず、近づいた身体を手で制しながら。
けれど視線は彼のほうではなく、入ってきたばかりの扉へと]
いまなにか きこえませんでしたか?
[彼が"何を"しようとしたかになんて気づかないまま。
下から聞こえたかすかな音……そう、だれかが扉を開けたような、その音に。
瞳ににぶい昏さをたたえれば、警戒したようにぎゅっと手に持った兎の人形を抱きしめます。
それはきっと、彼が牙をたてようとするほんの少しの前のこと。
か弱いドロシーの制止など、彼にはまったくもって無意味でしょうから……
もし そのまま噛みつこうとしたのなら、それはむずかしくはなかったでしょう]
/*
くっそうまいことかわしやがって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!あああああああまってかわいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
[蛇に睨まれた蛙と言うが、この場合は蛙のほうが蛇をひとのみにできる大きさだった。
だが蛇は臆することなく立ち向かっていく。
誇り高きナーガの一族に、逃走という言葉は似あわない。
蛙の動きを窺い、攻撃の機を待って全身に力をためる。
時間感覚が飴のように引き伸ばされていく。]
[以前にもこんなことがあった。
思考の片隅を、過去の光景がかすめていく。
あの時の相手はこれほど大きくはなかったが、自分もまた小さな蛇だった。
無謀な相手に挑みかかり、手酷く痛めつけられた。]
[ちろり、と舌を出して相手を、周囲を確認する。
そのとき、蛙の口が薄く開いた。
弾丸のように蛙の舌が打ち出され、空間を刺し貫く。
その半瞬にも満たない動きに先んじて、蛇も鋭く跳躍していた。
捕食の舌をぎりぎりのラインで躱し、蛙の背にとびかかる。
相手の目の後ろに毒牙を突き立てれば、驚いた巨体が高く跳ねた。]
[体を半ば引き裂かれながらも、小蛇は戦いをやめなかった。
幾度振り落とされても喰らいつき、何度でも挑みかかる。
自分のため、一族のため、引き下がるという選択肢はなかった。
跳び上がる力さえ失くしても、なお頭を上げて牙を剥く。
そんなとき、光が、空から降り注いだのだ。]
[蛇に噛みつかれた蛙はひどく暴れた。
その背に必死になって張り付きながら何度も牙を打ち込む。
この巨体でかつ毒霧の中に棲む魔物だ。毒の効きも悪い。
それでも幾度でも攻撃を繰り返した。
めちゃくちゃに暴れる蛙の下敷きになり、あるいは強靭な足に蹴られて体にはいくつも傷が刻まれる。
だが飽くことなく噛みつくうちに、さしもの巨体も動きが鈍くなってきた。]
[暖かな光だった。
太陽がやってきたのだと思った。
相手は光に弱い魔物だったのだろう。
断末魔の声を残して乾涸び砕けていき、一塊の残骸となった。
その傍らに、光が降りてきたのだ。
伸ばされた手の温かさは、今も覚えている。]
[動かなくなった蛙の傍らで、蛇もまた動けなくなっていた。
大きすぎる獲物を引きちぎり呑み込んでいくらか体力を回復するも、まだ足りなかった。
沼に沈んでいく獲物の上に登って体を休めるも、やがてそこにも水が達する。
だが、安全な場所へ移るだけの力も無い。
かくして深紅の蛇の姿は、濁った沼の下へゆっくりと沈んでいった。]**
[どうにか半身を人に変えて、礼は告げた。
だが自分の意識もそこまでだった。
気付いた時には光はすでになく、自身は安全な場所に横たえられていた。
棲家へと戻りながら、あの時心に強く思ったのだ。
アレが欲しい。
アレを、オレのものにする、と。]
[沈みゆく意識の中で、あのときの太陽を呼んだ。
ありったけの思念を込めて呼びかけた。
あの時のように半身を人に変え、耳に揺れる繋がりの証を引きちぎって噛み砕く。
零れ溢れる魔力に乗せて、自分はここだと声無く叫んだ。]
Ich bin aus unzähligem Schwert geworden.
体は剣で出来ている
Stahl ist mein Körper, und Feuer ist mein Blut.
血潮は鉄で、心は硝子
Ich habe über ein Tausend Klingen geschafft.
幾たびの戦場を越えて不敗
Ich bin mich weder des Verlust nicht bewusst.
ただの一度も敗走はなく
Tatta ichido mo ukeire rarenai
ただの一度も受け入れられない
Der Vogel kämpft sich aus dem Ei. Das Ei ist die Welt. Wer geboren werden will, muß eine Welt zerstören.
卵は世界だ 生まれようと欲するものは一つの世界を破壊せねばならぬ
Deshalb habe ich das Bereuen nichts. Das ist mein einziger Weg.
故に、その生涯に意味はなく
Mein ganzes Leben war "Unlimited Blade Works"
その体は、きっと剣で出来ていた
[ 足元に淡い色の陣が光る。
吹き上げる風に戦ぐのは左胸。
声>>152呼応するように、柄を、]
…………ッ、
[ 足が強張る。
覚えている。
昔から、母に教え込まれた言葉を。
「決して、貴女たちは、離れてはいけないの。」
駄目。
今、使ってしまったら。
どうなるかなんて分かり切っている。
でも、 ]
ー回想ー
[髪を梳く指先に瞼を震わせる。
少しだけ濡れたそれは瞬きのために雫を落とした。]
………やだよ。
[優しい声に緊張の走った身体が和らいでいく。
けれど、彼女が口にした言葉に弱々しく頭を振る。]
………ぼくが、コンスタンツェを守るんだ。
だから、…勝手に、────……。
────もう遅い。
[目を、開く。
そのまま彼女の頭上に腕を伸ばした。
剣先から弾き出た光が、敵の眼球に突き刺さる。
呻き声を上げて身悶える獣の喉を掻っ切れば、そのままの勢いでこちらに迫る数匹を払い除ける。
蹴る。切る。引く。押す。斬る。
息は荒れている。
利き手である左手は膿んで熱を孕んでいたけれど、軸がぶれることはない。
最後の一匹の喉元を抉る頃になってようやっと、脈が乱れていることに自覚して笑う。]
コンスタンツェ、
[先に進むぞ。
続けようとした言葉、用意した言葉は郷愁の名残など見せない怜悧な眼差しのつもりだった。
だが、滲む視界に崩れる身体は困惑を残して地に伏す。]**
[なにやら、部屋を見つけた。単なる好奇心からだが、入ってみてもいいと思い、3(4x1)[1.右の部屋 2.左の部屋 3.2階の右の部屋 4.2階の左の部屋]に入ろうと歩みを進める]
うーん、ちょっと入ってみようか。
[彼に一言言ってから扉を開く]
[>>180の彼が部屋に入りったのを確認してから、辺りを見回すと*香石竹*柄の刺繍の入ったシーツのベッドのある部屋だった。]
あら、ここだったら野宿でなくて良さそうね。
[嬉しそうにいいながら、部屋の扉の鍵を閉める*]
[>>181彼女がそう言うと、確かにベッドがそこにはあった。
なんだかほっと一息つけそうだ。]
そうだね、ベッドまであるなんて思わなかった。
まさかこの結界の主が用意したセーフティゾーン?
[なんて冗談を言えるほどには気を持ち直しただろうか。*]
− 悪徳の館 −
[黒い葉を茂らせる不吉な薔薇園を抜けて館へ足を踏み入れたヴィンセントは、まっすぐに塔を上る。
天に近い場所を求めるのは天使の性か。
螺旋階段の先にある部屋には鏡が置かれていた。
鏡に我が身を映して見入るのは虚栄の罪である。
ヴィンセントが視線をそらして行き過ぎようとした瞬間、鏡にピシリと亀裂が走った。
内側から鏡を突き破った小さな結晶が床に転がる。
ヴィンセントは弾かれたように身体を戻し、蜘蛛の巣状にひび割れた鏡に触れた。
砕けた鏡の面には、この場の景色以外のものが映り込む。
歪み曇った破片の中にも無意識下に訴えてくる赤。]
ギィ …!
[傷ついたその身体が黒い粘質の闇に呑まれてゆくのが見えた。]
[鏡は音を伝えない。
けれど、呼ばれたのがわかる。絆。
ヴィンセントは鏡を突き破った欠片を拾い上げ、塔から身を踊らせた。
眩い光に包まれたかと思うと、その身体は空へ舞い上がる。
人の姿を脱ぎ捨てて、天使は飛んだ。
結界に閉ざされた魔境を照らす太陽のごとく。]
/*
みんながどんなこと話してるか気になる!!る!!!
薔薇の下国ガチ村以外で使ったことないから新鮮だなあ。
装飾の使い方うまく扱えなくて全部手打ちという。。
[その時、空を見上げていた者は、清冽なる輝きが走るのを目にしただろう。
だが、それは結界を貫いてもたらされた救いの証ではなかった。
後には渇望を掻き立てられた魔物たちの狂騒が谺する。]
かもしれないわねぇ…。
[ベッドに大の字に寝そべりながら呟く。禍月を正式に召喚するとものすごく疲れる。
しかも、しばらくぶりに感じていなかった熱の燻りを感じる。
さそういう意味ではセーフティーゾーンなのかということは定かではない]
[ベッドに大の字で寝そべるカサンドラを見て]
ちょっと、場所取り過ぎ
僕が寝れないじゃん…
[と、言って彼女が寝そべるベッドの縁に座る。]
ん?はいはい…。
[彼に言われれば、ゴロンと左側に寝返りを打つ。]
とりあえず、今は体力を回復したい…。
[寝返りを打ちながら、彼の方を向く]
もう、ただでさえデカいんだから…
[自分よりも頭2つ分ほど背の高い彼女にぶつくさ。
彼女が寝返りを打てば]
よいっしょ、と…
[自分も横になる。そして、また彼女が寝返りを打ち、こちらを向ける。]
ベッド、狭いね。カサンドラに落とされないようにしなきゃ。
[頭だけを彼女の方に向ければ、丁度彼女の胸部辺りに自分の顔があった。]
なら、落としてあげましょうか?
[彼の言葉にぐいぐいとふざけてみる。
胸部に彼の顔が当たっているからか、秘めている燻る熱は煽られる]
[ 死ぬ とは、こんなに身近にあるものなんだ。
魔物の口に呑まれようとするその瞬間、絶望を超えた何か、走馬灯のような幸福が、脳裏を過る。
無表情にそれを享受した。
背後にあるリヒャルトの気配にだけ表情をぐしゃりと歪め––––––
真っ暗になった視界に、唐突に指す光。
血すら出ないその一閃に視界が奪われる。
魔物の牙から腕が抜ければ、全身が痺れてその場にへたり込む。
剣先から血の線を引き、力強く地を蹴るリヒャルトの姿を見つめたまま。
全てが終わって、息を切らすその姿を見ていた。
名を呼ばれて、口を開けて、凛々しい佇まいが地に伏せて、ようやく自分の身体が動く事を知る。]
ー回想ー
[膝を折り曲げて合わせようとした視線から涙が零れている。
しかし、自身を抱きしめながら守ると言ってくれる相手の其れを拭う事は無かった。
そっとリヒャルトの小さな肩を抱き締める。
子供の、甘いミルクのような匂いが鼻腔を擽った。]
リヒャルトの側にずっといる。
まだ、私がリヒャルトを守ってあげる……だけど、
[視線を床に落とす。
二人を照らす外灯の灯は、リヒャルトの顔だけを照らしていた。]
私が、危ない時には……側にいてね。
[守って欲しいとは口に出来ないまま、しとしとと雨音のする夜が耽る。]
………っ
[歪む事を隠さない表情は、果たして相手に見えただろうか。
倒れたリヒャルトを背中におぶる。
死体が転がる拓けた場所を抜け、鬼気迫る相貌へと変わった眼は隠れる場所を探す。
幸運にも魔物に出会う事が無いまま、大きく抉れた洞窟を見つけたのだった。]*
[リヒャルトが倒れたのは、コンスタンツェから供給される魔力の経路が経たれたせいであった。
それは同時に、契約が解消されている状態であることを意味している。
リヒャルトをローブの枕で寝かせたものの、もとより弱い身体をこれ以上冷やしてはいけない。
木の枝で簡易に描かれた魔法陣に向かって魔力を流せば、小さなの火が立ち上り始めた。
リヒャルトの左腕に触れれば、膿んだ傷がそこはかとなく熱っぽい。
傷口にそっと唇を付ける。
そこから魔物の放った瘴気だけを吸い取った。]
(まだ瘴気でよかった…毒だったなら、私にはどうしようもできない。)
[ポーチから取り出した包帯をぐるぐると腕に巻きつけて、治療は終わる。
あとは、]
………どうやって、元に戻そう。
[何者かに経たれた契約の通路を。]
わっぷっ、止めてよ〜
[ぐいぐいと体を押し付けてくるカサンドラ。その柔らかな胸に顔が埋まり、息苦しさを覚える。胸から顔を背けて、体全体で押しかえす。
さっきは突然反旗を翻し、襲ってきて恐怖すら感じたが、いつもの楽しいカサンドラに戻ったと思った。]
[本来ならば犯人の命を葬るのが最も手っ取り早いであろう。
しかし、今の渓谷を取り巻く状況を作り出した大元がその当人ならば……到底コンスタンツェ達では敵わない。
首筋に、手に付いたリヒャルトの地で魔法陣を描く。
簡易な契約の魔法陣、そこにコンスタンツェの血を垂らせば口付けただけで魔力の供給が可能なのだけれど…]
……なんでかな。
[魔法陣に何の反応もない。
この結界内ではどんな契約も無効になるのだろうか。
リヒャルトを見下ろせば、泣き出しそうな顔で唇を噛んだ。
すん、と鼻を鳴らして、ローブの代わりに膝に乗せた相手の頭を、優しく何度も撫でるのだった。]
ウェルシュ!正気に戻って…!!
くっ…!!
[姿を大きく見せ威嚇する様子に、知性も理性も感じない。
正に魔物‐否―魔物本来の姿を取り戻したというべきか。
契約を結んでから一度も使うことがなかった、従魔に対して強制的な拘束を行う魔法を繰り出そうと、両手を付き出したが]
……!!力が…!!
[血の滲む思いで習得した筈の力が、どんなに集中しても発動しない。
背中にひやりとしたものが流れる。]
……、そうか、そんなに、私が…
…憎いのか…。
そして今、害を成そうというか。
[迷っている時間は無かった。
泣く暇も、ない。
彼を従えさせる力を失った、ならば。]
…今此処で、倒れるわけにはいかない!
[足場から後ろ向きに‐堕ちて‐]
[身体が宙に浮いた瞬間、腰の辺りから一対の光の翼を出現させた。
宙返りを決め、彼が居る場所よりも高いところに浮かび、大弓を構える。]
貴様は、今この瞬間から私の敵だ!!
かかってこい!!
[修羅の如き形相と、感情を押し殺す為噛みしめた唇からぷつり、ぷつりと血を滲ませながら、叫びと同時に大量の光の矢の雨を浴びせた‐
]
あっ、ちょ…。
[身体全体で押し返されれば、ふざけてこっちもぐいぐいとする。
身体に触れられれば、秘められた熱は更に煽られてゆく。]
もう、エリオットったら…。
なーに?
そっちが最初に押してきたんでしょ〜?
[いたずらっぽく笑って、また押し返す。]
もう、休むんじゃなかったの?
[おふざけをけん制しようとそう尋ねた。]
[天を貫いて奔った光は、澱んだ沼の奥底まで届いた。
眩い光が意識を覚醒させる。
あれこそ、己が求めた太陽。
手の裡にと欲した輝かしい未来。]
ここだ。
こっちだ。
オレの───
[沼の奥底から意識の手が伸ばされる。
光の後を追いかけるどの魔物よりも強い渇望が、光に恋い焦がれる純粋な欲望が、形なき力となって伸ばされ沼の底へ引き込まんと蠢いた。]
ふふっ、そうね。けど、後でもいいかなと思うわ。
[彼に覆い被さり、彼と両手を重ねる。その瞳は何処か艶を帯びた女の瞳だった。]
ちょっと、なに?
重いってば…
[覆いかぶさられ、その手を重ねられる。手に重量を感じる。
見たことのない彼女の表情に若干怪訝な顔を浮かべる。]
ふふっ、怖がらなくても大丈夫よ。
[怪訝そうな表情の彼を気にせず、互いの唇を重ねる]
ふふっ、こういうのもいいものね。
[ぺろりと下唇を舌でなぞるように舐めながら艶を含んだ笑みで彼にいう]
―回想―
[ 昔から、綺麗なものが好きだった。
縁に飾られた一枚の絵画。
植木に苗を下ろす蕾。
籠の中で囀る小鳥。
鎖で繋がれた煌びやかな宝石。
触れる時には、細心の注意を払った。
掌の奥に閉じ込めてしまうと、確かな重みを持って伝えてくれる存在を隠して、隠して、閉ざして、奪って。 ]
[ 薄明かり。
毛布だけを被った狭い世界の中。
お互いの温もりがあるだけで、たとえ自分が“失敗作”だったとしても、良かったのに。 ]
ぼくは、 私、だ。
[ 美しいものは、全部。
誰かが愛さなければ、価値の失ってしまうもの。
だから、あの時、ぼくは死んだのだから、全部、捨ててきた。 ]
むぅっ、ちょっ…
[突然の口づけに戸惑う。これは恋人とか、つがい同士が行うものではなかったか。]
僕はカサンドラの恋人になった覚えは…
[そう言って、顔を背けてしまう。]
………だから、早く。
魔力を私に、
[ 強請らなければ、自分は何一つ出来やしない。
魔物を降魔し、退ける退魔士だというのに、あまりにも虚弱に生まれた自分は、使役させる魔物に首を垂れる。
代々がそうして来たことだ。
割り切らねばならないことは分かっているけれど、これじゃあどちらが主人なのか、分かりゃしない。]**
ピイィィィィィィ!
[視界の端で動いた影に反射的に顔を上げると、その瞬間痛みに襲われ絶叫した。
視界は未だはっきりとしておらず、霞んでいる。しかし、自分を貫いた光の矢の、その向こうに見えた気がした。
いつも後ろから眺めていた神々しく気高いあの姿ー]
[まさか敵として向かい合うことになろうとは思いも寄らなかった。
何で?と疑問が溢れてきて、頭の中か混乱する。冷静になろうとしても、謎の力が邪魔をする。
やがて考えることが出来なくなって、翼を叩きつけるようにして飛び立った。
一直線に主人の元へ、飛んでいく。それはいつものように主人を迎えるものではなくて、破壊のための攻撃だ。]
/*今からエピにかけてリヒャルトを完全にコンスタンツェより優位に立たせるかつ信頼関係元に戻して、
エピにて完全に理性とばそう(ゲス顔ダブルピース)
伏線だけもりもり張っておく!!ぞ!!リヒャルトかわいい!!!!!とうとい
ふふっ、恋人になった覚えはないわね。けど、こういうコトに恋人もなにもないのよ。こういうコトは欲望のままちしなくちゃ。
[顔を背ける彼の可愛らしい耳たぶに口付けをし、それを優しく食む。]
ひゃうっ!
[彼女に耳を食まれ、思わず声を上げる。]
カサンドラ…?くすぐったいよ…
[身を捩って、彼女から逃れようとする。]
− 瘴気の湿地帯 −
[呼び求める声が届く。
純粋に、ただひたすらに捧げられるそれは祈りにも似て、天使を惹き寄せた。
霧と煙る瘴気を光の翼で吹き散らし浄化しながら水の面へと舞い降りる。
点々と散る赤は見知った色。]
ギィ、 来なさい。
[いつもと変わらぬ命令の口調で差し伸べた手を、泥の蔦めいた欲望が絡めとる。]
ふふっ、可愛いわね。
[彼の耳元で吐息を含めながら囁く。彼の手も重ねる左手を解き、すーっと下へと撫でてみる]
[粘質の泥に引きずり込もうとする力に抗い、天使は翼を強く羽搏かせた。]
…っ、 おまえの本気を、 示しなさい。
[あどけないほどに純真な魔性喰らいの蛇を想い、取り戻さんと鼓舞した言葉は泥に同心円の波紋を刻んだ。
それはどこか魔法陣めいて鈍い光を宿す。]
ちょ、やめっ…!
[彼女の行為がくすぐったい。ゾワゾワする。]
カサンドラ…?なんか変だよ、どうしちゃったの?
[困惑しきって彼女に尋ねる。]
[まるで、塩を含んだ雨のように。パタパタと馬乗りになった相手の両目から涙が落ちてくる。頬を滑り落ち、地面へと吸収されていく液体。少女が首を振れば、その滴は周囲に飛び散ったか。]
お前が絶対に側にいる、と何故信じられる?
人間が従わせる魔族を見下すように、魔族も人を見下す。魔力や力が弱い分、人間の方が見下されやすいだろう。
首輪もなにもなく、ただ危機に居合わせたというだけで護ってもらえるなどと思えるはずがない。
そばにいれば…その時間が長ければ…それだけ、失うことも怖くなる。
最初は…もう一度、見られれば。ただそれだけだったのに…、。
[心の叫びとも言うべき少女の言葉に、男もまた普段見せない本音を見せ始めていた。言葉を紡ぐ間、まっすぐに見つめていた瞳はわずかに揺れ、視線は下へと滑り落ちていた。相手へと告げる言葉はいつしか独白のように。
相変わらず相手の口調も呼称も従属していたときと同じものだ。相手の申告がなければ、首輪が機能していないなど、今でもわからなかっただろう。
相手の唇が寄せられ、何度かの失敗のあと口付けられた。頬に触れる手が震えるのは緊張ゆえなのか。
だが、それでも過去の、出会った原因ともいうべき出来事を思えばこれ以上はないだろうと思っていた。しかし、少女が下へと移動し衣服を脱がせようとその両手を動かしているのを見れば、さすがに押し止めようと身動きし始めていた。]
シュテラ…?なにを…………
ん?どうしたもなにも、私は自分の欲に忠実なだけよ?
[困惑しながら尋ねる彼にキョトンとしながら答える。彼をなぞる手を止めることはなく]
ふふっ、こんなに可愛らしいと色々とシたくなるわねぇ…。
[艶を含んだ瞳が妖しくワラう]
ひゃっ、わぁっ…いろ…いろ?
[身体を撫でられてくすぐったさに身悶えしながら、言葉を絞る。]
カサンドラ…?やめて…?
なんで?エリオットもキモチイイでしょ?
[首を傾げながら尋ねながら、彼の身体を撫でる左手を更に下におろしていく]
…っ守護神よ!汝が盾で悪しき者から我を守りたまえ!!
リュミエール・ブークリエ!!
[大弓が瞬時に散開し、少女の目の前に大きなバリアを展開する。
だが―咄嗟に張った壁は薄い。
彼の突撃を防ぎ切れるかどうか、わからなかった。]
[光の源に意識が触れた。
温かな力が流れ込む。
目覚めよと呼ぶ声が水面を波立たせる。
それは長い冬の後に注ぐ春の日差しにも似て、新芽を促す峻烈な風にも似て、蛇に新たな力を注いだ。]
ああああぁぁぁぁぁぁっ!!
[沼の底で、力の限りを込めて咆えた。
水がはじけ飛び、水面が割れて互いの姿をあらわにする。
蛇は光の使徒をみとめ、己の両腕をいっぱいに伸ばす。]
オマエが欲しい。
ずっと欲しかった。
[純粋で直情な欲求が喉をつく。]
─── 来い、ヴィン。
[それは初めての、支配の意思を込めた呼びかけ。
吹き飛ばされた水が、天使を引きずり込まんと雪崩れ落ちる。]
くすぐっ、たいよ…
[なんとか覆いかぶさられている状態から抜けようと身を捩る。]
ひゃっ!お腹…やめっ!
[左手がお腹の辺りまでくると、くすぐったさに笑い出す]
にゃ!!
ど、どこ触ってっ!?
[それを触れられれば、ビクッと体をこわばらせる。
自身のものは少年のそれらしく、小さく柔らかい。]
そうですね。それを、否定しません。
その。自分より力のある相手を屈服させるのが好きだったんでしょうね、彼奴らは。
…私はそんなの、関係なかったのに。ただ、風と共に旅が出来ていれば良かったのに。
……?
もう一度、何を?見られれば良いと?
[独白に混じり、相手の言葉を拾えば訝しげに眉を寄せた。
そんな話聞いた事もなかった。思えば、旅の理由だって自分は特に聞いていなかったと思う。相手の事を何も知らないのだと思う。
今更ながらそれを痛感してはまた新たな涙がこぼれた]
……?
だって、人間は、自分のモノにする時はここを使うのでしょう?
自分のモノにしろと仰ったのは、シェットラント様、あなたです。
いけませんか?
それとも……。
[涙に濡れた目で相手を不思議そうに見つめる。下着を露わにさせたところで身じろぎされその動きを止めた。だが、ざわっと辺りの風がざわめいた]
矢張り、私のモノになるのは嫌ですか?
魔族に降るのが嫌ですか?
それとも、……私のような汚れた、汚された、女に触れられたら、汚れるから。
…イヤなんでしょう?
[声のトーンが低くなる。顔を伏せその表情は見せないものの、2人を中心に巻き上がる風が急に強まった。辺りの湯まで大きく波立ち飛沫を飛ばす。幸い、かかった湯は体に害はなく、ただ少しだけ互いの衣服を溶かしてしまっていた]
ふふっ、コッチも可愛らしいわね。
[身体をこわばらせる彼にクスリと笑いながら小さな彼を優しく撫でる]
なに?なに?
[自分の大切なところ撫でられて、更に困惑する。]
なんか、変な感じ…
[体験したことない、奇妙な感覚を覚える。]
[咆哮が沼の重い泥を弾き飛ばす。
擂鉢の底に蟠る半人半蛇の隷魔が両手を空へ差し上げた。
オマエを待っていた、呼んだのだと。
その手に触れ、取り戻したと思ったのも束の間、細く裂けた唇が紡ぐのは鏡映しの命令の言葉。
許し与えた名が、強い意志の力を帯びて紡がれる。]
── 何を、 言っている。
おまえもわたしも、ここにいては …!
[気色ばむ天使の上を泥の格子が閉ざし、そのまま崩落する。]
[とっさに翼を広げてギィと自分とを護ろうとした天使の身体を滴る泥がガッチリと固めて捕えた。
翼の光が薄れ、重みに耐えかねた天使は膝を折る。]
ギィ、 この地が、おまえを悪へと唆している。
惑わされてはいけない。
[洩れた声は切に訴える。]
ふふっ、私に任せればいいのよ。
[そのまま彼を優しく撫でながら、妖艶に微笑み彼に囁く。それは甘い蜜の罠のようであったかもしれない。
加代はいつの間にかいなくなっていただろうか。]
ねぇ…なんかへん…
[撫でられ続ければ、次第に息が荒くなっていく。]
カサンドラ…もう、やめ…
[知らず知らずのうちに彼女の袖を引く。]
ふふっ、これでやめるお人好しだと思う?
[袖を引っ張る彼を可愛らしいと思いながら彼を撫でることを続ける]
あっ、かさ…どら…
[彼女の名を呼ぶのも途切れ途切れになる。息は荒く、自身のものは硬くなり]
あっ、あそこが…ヘンに…やだっ…!
[未知の感覚に心が拒絶反応を起こす。]
ふふっ、大丈夫よ。そのまま…、身を委ねてみて…。
[硬くなった彼を優しく撫で、そのまま絶頂へと導く]
[不機嫌そうに歪む顔。
怒られる、と思った。嫌われる、とも。
案の定「触るな」などと言われて、泣きそうな顔をキュッと引き結んだけれど。
それでも抱きしめたくなる衝動のままに、暫く肩を掻き抱いていただろう。
息も途切れ途切れの相手に気づけばそっと身体を話して、不甲斐なさそうに首を垂れる相手の頬に片手を添えた。]
いいよ。
[ここ最近、無愛想であった顔がようやく笑う。少し躊躇いがちな笑みではあるけれど。
昔に見た子供に向けていたものと、同じ顔。]
コンスタンツェはリヒャルトの物だから、何をしても、何をさせてもいいんだよ。
[そうして、もう一度相手を抱きしめた。
もうコンスタンツェよりも大きくなった肩を抱き締める。
自身の服のボタンを、一つ、二つ、丁寧に外して首筋を露わにする。]
飲めば、魔力をリヒャルトにあげられる。
[自身の血を飲め、と。
コンスタンツェは貴方の「力」なのだから躊躇うことはない、と。
並べた言葉は、自ら相手に服従したいというもの。
飲むか飲まないか、その選択すらも相手に委ねた。
やんわりと頬を緩ませながら。]
[ 強情な態度>>199に眉間の皺は深くなる。
だが散々痛めた身体では碌な抵抗すら出来やしない。
ひんやりと冷えた掌。
最近は煩わしく思っていたそれが心地よく、目を細めたのは無意識。
上擦る声が湿っぽい息を吐いたのも、自覚などせぬまま、相手の言葉>>200に、呆気にとられてしまった。]
な、にして………
[ 腕を伸ばそうとしたけれど、つきりと痛むのは掌の甲。
指先も力み過ぎたのか擦り傷がいくつも出来ていた。
そのことに眉を寄せつつも、顔を背ける。
徐々に露わになる日に焼けることを知らないような透き通った首筋。
相手の笑みの理由が分からない。
表情は、──────知っているものの筈なのに。]
…いらない。血を、吸うなんて。
それこそ、魔物だ。
[ようやっと、捻り出した声は掠れていた。
それは怒りからくるようにも、怯えているようにも、聞こえたかもしれない。
表情を見れば、後者であることは一目瞭然なのだが。]
魔力なんか、なくたって。
…どうせ、その内尽きる命だ。
ちょっとくらい早まったって構わない。
僕でなくとも代わりは沢山いるんだから。
[ だから見られないよう顔を背けようとしつつ、落とす言葉は後ろ暗い。
自虐的な笑みを添えると殊更に。
彼女の反応はどういったものだろう。
後頭部にあたる膝の感触に懐かしさを覚えど、振り切るばかりに肩を抱く彼女から逃げようと、身体を捩ってはつま先に力を籠めた。]**
[向けられる眼差しガ心地良い――ト。先程迄は、確カにそう思っテいた筈ナのに。
ダけれど今、她カら向けられる眼差シ>>163は、酷く心地ガ悪いもので。
普段ナらば、そうも少シ思考ガまトもに働く時ナらば。她の言う、僕にダけ影響ガあるトいうその不自然さにも、思い至ったのだロうけれど。自分の汗を拭い、心配そうナ眼差シを向ける她に向けテ、心配するナと笑いカける位はきっト出来たのだロうけれど。
例え、過保護ト思われようと。脚を痛める事への心配ト、この腕に她を抱いテおきたいトいう欲望カら、その身体を抱き上げる事も出来たのだロうけれど。
しカし今は、其のどれもガ果たせずに。
緩く頭を撫でる手>>164に、吐く息は酷く熱いもの。肩を掴む手は她に何を与えただロう。痛みカ、不安カ――或いは、その両方カ。
ダけれどそれガ解っテいようトも、渦巻く情動は鎮まらナい。
目の前に見えるのは、細く、シカし柔らカい肉の付いた幼子の首。
今ここで、この首に歯を立テテしまえば。柔い肌の奥にある、血潮の流れる脈へと噛み付いテシまえたのナら。その首を捻り切り、芳シいその生き血を啜っテしまえたのナら。]
――………、
[だけれど。ふト、制するように差シ出された手>>165に、肌に触れそうにナった歯ガ止まる。
それは、意図しテした事では無い。她ト出会っテカら今迄の間に、僕ガ自らこの身体に刻み込んで来た事。
僕では無く、別の場所を――この部屋の入り口の扉に向けられた視線は、酷く不愉快ダったけれど。シカしその苛立ちは、少ナくトも女神の喉を噛み切るトいう愚行を止めるのには、大層役には立っテくれた。]
……ぁ、…いイ、や。
何でも……、無イ。何で、モ。
[傾げられた首>>166に、僅カに思考の靄ガ晴れる。
……そうしテ、今シ方犯しカけた過ちに。熱を持った頭ガ瞬時に冷えるのを感じる。
噫。今、僕は一体何をシようとシたのだロう。まさカ、まさカ。穢れ無き女神を僕のこの穢らわシい牙でもっテ、僕と同じ不浄ナ存在へと貶めようとシたトでも言うのだロうカ。
駄目ダ――駄目だ。そんナ事は、赦されテ良い訳ガ無い。
她は女神。僕の女神。穢れ無く純粋で、美シい存在であらナければならナいのに。]
……、いいダロ、そんナの。
何も聞こえテナい。
……悪イ。
少シ気分ガ……悪くテ。暫く休憩させテくれナいカ。
[問い返すように首を傾げる她>>166に向けテ、憮然とシた表情でそう呟き。辛くナっテきた身体カら力を抜けば、她の身体ごト床に倒れこんダ事だロう――僕ガ蘇った、あの日のように。
無論、她の身体ガ傷付カナいように気は付けテいたけれど――噫。今日の僕は、一体どうしテシまったんダ。
先程の"おにいさま"の話>>162ダっテ。普段もあまり気分は良くは無カったガ、ここまで苛立つ事も無カったのに。
父ト、母と、そしテ僕。それ以外の存在に向けテ女神ガああも嬉シげにするのガ――苛立っテ苛立っテ、堪らナい。
そんナ内心の苛立ちに、奥歯を噛み。ダけれど女神の暖カさを感じナガら床に寝そべれば、心も身体も幾分カ軽くナっテくれた。
だカら、もう少し。腕に力を込めるようにシテ横向きに女神を抱き締めテ、良い香りのするその髪へと擦り寄る。
そうしテいれば、きっト。この耐え難い熱も、収まっテくれるト信じなガら。]
[開いた先に見えるのは、柔らカな金の髪。二年前に惚れ込んでカら、どれほど焦ガれテ来ただロう。
その髪はどんナに柔らカいだロう。どんナ香りガするだロう。
その肌はどんナに滑らカなのだロう。その声はきっト鈴の音のように違いナい。
そうしテ想いばカりガ募っテいき。漸く相見えた時の僕の喜びト言ったら。
それカらは、ずっト。”何時もの"ように、慕情も劣情もひた隠しテ、真摯に仕えテ来たつもりダけれど。
だっテ、だっテ。僕ガそれを見せテしまえば、她トの時間は"終わっテ"しまうカら。
――一日でも、一刻でも。ほんの少シでも長く、共に時間を過ごシたカったんダ。
だけれど、今は。まるで押さえ込んできたその情動ガ、一気に吹き出テ来テいるようで。
噫、その肌を。柔らカく張りのある幼子特有のその肌を、舐めテ貪っテそしテ齧りついテ、小さナ唇カら漏れる声を味わいたい。
大粒の藍玉は、どんナ色を映すだロう。また、あの濁った猩ガ滲むだロうカ。]
[そんナ事を、考えテいたのナら。汗ばむ身体は、自然ト動き始める。
ゆらりト身体を起こしテ、そのまま女神の身体に覆い被さるように。上ガった息は我ナガら無様で仕方なカっただロうけれど、それを気にしテいる余裕は無い。]
――……"ドロシー"。
[口をついテ出たのは、普段は決しテ呼ばない女神の名。愛おシい愛おしい僕の女神の名ではナく、"たダの"一人の幼子の名。
噫、やめロ。頼むカらやめテくれ。
湧き上ガる情動に向けテ、遠い所でそう叫んではいるけれど、果たシテそれに意味はあったカ。
このまま、流されテしまったのナら。僕はきっト、この女神ガ生きテいる事を――許せナく、なっテしまうのに。
そうしテ、薄く笑みを浮カべテ見せテ。体内トは打っテ変わっテ不自然ナまでに冷たい手のひらを她の頬へト押シ当テたのなら。
浮かべルのハ、まるデ恍惚とシた表情を――今迄、見セた事ガ無いようナ。
ゆっくりト、身体を傾けさせ。
恋シさに身を焦ガしつつも結局は触れる事の出来なカったその唇に、自らのそれを重ね合わせた。]
[ 困惑顔のリヒャルト。
笑っている理由が分からないから、だなんて想像もしていない。
もし「なぜ」と聞かれても、たぶんコンスタンツェは笑って誤魔化すだろうけど。]
吸う……じゃないね。舐めるだけでもいい。
どうしてそんなに死にたがりなのさ。
[腕の中で動く身体を、少し強い力で抱き締め直す。
"どうして"と、問う口調の最後が震えた。
理由はわかっていた。]
コンスタンツェの主はリヒャルトしかいないのに、代わりはたくさんいるだなんて。
………リヒャルトは頭はいいのにばかだなぁ。ほんとに、馬鹿だよ。
[今日、リヒャルトがこんなにも弱々しいのはどうしてだろう。
否理由はわかっていた。
明日はリヒャルトの、20歳の誕生日。アインパール家の呪われた吉日。
それが苦しくて、相手の背中越しに表情を暗くするのだ。
抱きしめて、柔く細い髪に指を通しながら。
リヒャルトが首筋に歯を立てるのを待つ。
もし血を摂ってくれたならば、素直に腕は離すつもりで。]**
[なんでもない>>204と言われてしまえば、それ以上追及できるわけもありません。
ついで投げられたそっけない言葉と、憮然とした表情には キツく眉を寄せ。
――けれど。彼が倒れこんできたのなら、心配するしかないじゃありませんか]
……だいじょうぶですか?
こんなところでなく、ベッドをさがしたほうが……、
[ああ、彼とはじめて会ったときも、こんなふうだったかしら。
ドロシーは抱きしめてくる彼の背を撫でながら、そんなことを考えます。
あの時はまだ、お屋敷の床だったからいいですが。
ほんとうなら、こんなほこりっぽい場所にねそべるなんて、いやなんですよ?
とはいえ つらそうな従者を、ほうってなんておけませんから。
多少のことは、我慢してさしあげましょうね]
[ゆるゆる、と。その背を撫でる手は止めず、此方からも すり寄るように。
彼の様子がおかしいのは きっと、具合がわるいから心細くなっているんでしょう。
考えてみれば、故郷からはるか遠くによび出された彼は、正しくひとりぼっちなのです。
彼には、ドロシーしかいないのです。
そんな彼がこうやって"あまえて"きているのですから、はねのけてはかわいそうというもの。
多少痛くっても、やっぱり。我慢してさしあげましょう。
彼が身体を起こしたのなら、よくなったのかと顔をほころばせようとしたのですが……
けれど 聞こえてきた荒い呼吸音に、眉を下げたまま]
なんですか、あーちゃん。
[いつもと呼び方がちがうことには、気づいていました。
そして それが、主をよぶには似つかわしくないものだということにも。
それでもそれを受けいれたのは、彼が弱りきっていると信じているからで。
心細さからくるあまえなのだと、むしろそれをあいらしく思いながら。
返す言葉は、瞳は。ひどくやわらかいものだったでしょう]
[彼が見せたことのないその表情の意味を、ドロシーはしりません。
だって そんな表情、彼だけでなく、他の人のものも見たことはありませんでしたから。
だから、近づく唇も拒むことはしませんでした。
――しっていたら、きっと。
必死になって、彼の下からのがれようとしたのでしょうけれど]
……よしよし。
きょうはなんだか あまえんぼさんですね。
[相手が従者とはいえ……いいえ、だからこそ。
歳上の男性にあまえられるという経験は、なかなかあじわえるものではありません。
うかれてしまうのも、しかたのないことでしょう。
此方からも頬に手をそえ、一度はなした唇を追うように軽く口付け。
なだめるようにほほえみをおくります]
あーちゃんには、ドリィがいますからね。
さみしくなんか ないですよ。
[だからはやく、いつもの"あーちゃん"に もどってくださいね]
/*
????????????????ねえ??????????ぼくのめがみ女神すぎない???????ちょっと凶暴化解いていい??????(あかんまだ1d)
/*
ドリィちゃんの信頼がつらい。。。。なんでそんなに信頼してるの。。。。ねえ。。。。もう。。。。つらい。。。。。。。。。。。。。。。あああああああうううあああもおおおおおおおとうといよおおおおおおあああああドリィちゃん;;;;;;;;;;;;;
[泥の重みに膝を折った天使の手を掴み、引き寄せる。
傷ついた蛇体が陽を求める蔦のように天使の身体へ伸ばされた。
気づけば周囲を包むのは泥ではなく不定形な闇へと変わる。
───オマエを離さない
ナーガの意思が周囲の魔素と反応し、世界に極小の変異を引き起こしたのだ。]
[こんな時でさえ、守ってくれようとした翼。
真摯に切実に想い向き合ってくれる言葉。
繋いだ手の温かさ。]
オマエは太陽だ…
[熱に掠れた声で呟き、引き寄せた手を己の額に当てる。
祈るよう、許しを乞うように。]
[人の姿に似ていても、口の中には小さな毒牙を秘めている。
獲物の身体を侵し、痺れさせ、身体の自由を奪う毒が。]
このまま、 離したくない …
[どこへも行くなと息だけで呟き、ぬくもりに抱き着き絡みついたまま安心したような眠りに落ちていった。]
[僕の不敬ナ態度に対シ、きつくきつく眉を寄せながらも>>209。僕の身体が傾いだのナら、直様心配そうに向けられる藍玉の瞳。
そシてそこには、一欠片の恐怖も、疑いもありはシない。
背を撫デる手だっテ、気遣わシげに掛けられる言葉だっテ。她は、何時もト何も変わらナいのに、シカシ僕はその言葉には何も返せナいまま。
それは、酷く心地良いもの。だってそれは、僕ト她が過ごシて来タ時間が、幸せナものだっタという証。
だから她が上げタ小さナ小さナ悲鳴>>210はほんの寸刻、細めタ目の中に戸惑いの色を――それも直ぐに、掻き消されテ行っタだロうけれど。
――噫。こうも乱暴に、爪を立てられテ、尚。未だ止まらぬ背を撫でる手は、幼娘故の無知さカ、或いは――僕への、揺るぎナい信頼なのカ。
逃げるデもナく、寧ロ此方へト擦り寄るように寄せられる身体には、伏せタ顔は酷く、酷く歪んだ事だロうけれど。]
[她の心の中まデは、覗く事は出来ナい。シかしもしも、覗く事が出来タのナら……她のその思考に、或いは涙すら流シタのカもシれないけれど。
甘えている自覚ナど、微塵も無くトも。噫シかしきっト甘えるトはこう言う事ナのだト、ぼんやりト考えタ事だロう。
初めテの口付けが受け入れられタ事には、喜びト、そシて其れよりも大きナ恐怖ト、驚愕ト。
離れタ唇を追う様に贈られタ拙い口付けには、更ナる恐怖ト、情愛ト。
――そシて。こうしテ口付けを交わシても尚、欠片も濁る事の無い她の姿への、大きな安堵を。]
………、寂シいヨ。
[宥めるようナ言葉に思わず零れタのは、酷く情けナいそんな言葉。熱デ朦朧トしタ思考は、她の自分を撫デる手によっテ、一欠片の理性を取り戻シてくれる。]
…………、
"ドリィ様"は、もうすぐ……誕生日、だロう。
[僅カナ逡巡の後、静カに、静カに言葉を紡ぐ。あの黒光の影響カ、はタまタ先程カら頭に響く”声”の所為カ。思考を奪う程に上がる熱は、抗いがタいものだけれど、シかし。]
僕は、小さナ……オマエ位の歳の幼娘が好きナんダ――そう言う、性癖を持っテる。
耐えられないんだよ、惚れタ相手が、醜く育ってシまうなんテ。
……だカら僕は、…、その日。
オマエを、殺すつもりだっタんダ。
[吐き出しタのは、ずっト秘密にシていタ想い。上がっタ息でトぎれとぎれになりながらも何トカ伝えタその言葉を、她は果タしテどう思っタだロう。
半ば自嘲気味に浮カべタ笑みと共に再度近づけタ唇は、今度こそ拒まれてはシまっタだロうカ。]
[寂シい、――そう、寂しくテ堪らナいトも。別れの時が、決まっている事が。
そシてそう思いつつも、この想いを曲げるこトの出来ナい自分が酷く、口惜しい。
こんナ事を思うのは、初めテだっタけれど。
だけれど、何時ものように。その首を捩じ切り、不死の存在トするカ。或いはそのまま、自分の心の中デ永遠に”生きて”貰うのカ。
今まデ平然ト取っテきタその選択肢に対シて、今にナって迷いが生じてシまっタのは――きっト。甘やカすように僕の背を撫でる、この小さな小さナ手のひらの所為。
僕は此れでも、幼娘には優シいんだ。そこそこに義理堅い所もあるんだ。
――だカら、ト。名残惜シさを噛み殺シ、荒ぶりそうになる情動を押し殺し。女神を抱いタ腕を、そっト、離す。]
さっきカら、酷く暑くテ……頭が、回らないんダ。
最初は、……オマエを僕ト、”同じ”にしようと、シタ。
次は、オマエの”純潔”を奪おうとしタ。
次は……きっト、オマエを殺シてしまうヨ。“そういウ”接吻を、シてシまっタカら。
………、“ドリィ”、オマエは僕の、女神なダヨ。
[――だカら、どうカ穢されナいデ。
そのまま僕カら、逃げテくれないカ――遠い、遠い。僕の手の届カない程、遠くまデ。]
[ 唇は物言いたげに開いては、閉じるを繰り返す。
詰めた息は浅い。
不規則に揺れるのは、闘いの名残か、それとも他の要因によるものなのか。
それは考えないようにした。
背骨を辿るように腕を相手の背中に這わせる。
辿々しい動きで、引き結んだ口元を、]
“リヒャルト”は幾らでも、いる。
[使わない。
空いた片手で相手の首筋に爪を立てる。
そのまま浅く皮膚を傷付ければ、中指の腹で掬う。
そのまま指先で自分の唇を撫でれば舌で湿らせる。
じわり、と足裏から気力が戻ってくる感覚に一息吐きながら、口角を上げて囁いてやろう。]
[魔力の配給は終わった。
だが、完全に使役する程の力が循環していると思えなかった。]
コンスタンツェ、離せ。
[要件は終わったのだから、と肩を押す。
先程よりは力が入っていることは、それだけで分かるはずだ。
礼を言う素振りなど片隅も見せず、横暴に我がままに、振る舞う。]
………時間は、あまりないんだ。
だから、早く。
[抜け出せたのなら剣を探して。
どちらにせよ相手を見据えたのなら休憩する素振りも見せずに促しただろう。]**
[口付けを受けいれられた彼は、ただ喜んでいるというふうには見えなくって。
それが少々不満ではありましたが、それでも 此方からも口付けをおくってさしあげて。
……それにしても。これまでだってキスはしたことがありましたのに、彼はどうしてこんなお顔をするのかしら。
さびしくないと言っているのに、返ってきたのはなんとも情けない言葉。
それがおもしろくなくって、すねたような表情を向けていましたが……続く静かな口調に、文句もなにもかもを飲みこみます。
ああ、だって。彼の口からこぼれる言葉は、まるで懺悔のよう。
ぽつぽつ と落とされる"想い"を、ドロシーは正しく理解することはできません。
けれど 彼に愛されていたことと、殺されるところだったということはわかったでしょうか。
……それでもそれは "理解"とは、ほど遠かったでしょうけれど。
その唇を受けいれてしまったのは、なぜでしょう。
ずきずきと胸が痛むのは、此方の信頼が裏切られたからと、それだけでしょうか]
――……おおきくなったドリィは みにくい ですか。
[ あなたのそばにいるのに ふさわしくないですか。
――つむぐ言葉は、主人から従者へ向けられるのとは、まったくもって似つかわしくない言葉で。
どういう想いでその言葉を口にしたのか、ドロシー自身にもわかりはしません]
それなら、どうして。
ずっといっしょにだなんて、いったんです。
[その瞳には、もう かがやきすんだ蒼など存在しません。
どろり、と。ひどくくすんだ紅がひろがって、おおきな雫がひとつこぼれ落ちました。
昏い紅は、蒼とまじりあうことなく。
相反する色はよどみ、ただ にぶくひかるだけ。
それでもそこからこぼれる雫だけは、ただ 清らかにすんでいました]
[はなされる手を、追いかけることはできません。
彼の言葉を最後まで聞くこともせずに、するりとその身体の下から抜けだして。
兎の人形を強く強く抱きしめながら――そのまま、研究所からかけて行きました。
あそこで彼を"土くれ"にもどすのは簡単だったでしょう。
いいえ もしかしたら、なんらかの力に邪魔をされて、それは不可能だったかもしれませんが。
どちらにしろ、ドロシーには彼を"壊す"ことはできませんでした。
それは、死霊術師にとってはあってはならない未練で。
パパやママが知ったのなら、きっと 怒られてしまったのでしょうけれど]
――いやだよう。
いやだ……、あーちゃん、
[あてもなく走り続けながら、だだをこねるみたいに言っても 返ってくる言葉なんて、あるわけもありませんのに。
ドロシーにはまだ、それすらも理解できないことで]
ずっといっしょにって、いったのに……!
[恨みごとは、だれもいない廊下に反響するだけ]
[――ドロシーは ぼろぼろこぼれる涙をぬぐい、どこか隠れる場所はないかと やみくもにあたりを見まわしました。
薄暗い廊下に聞こえるのは、ドロシーの走る不規則な足音だけ。
いいえ、もしかしたら彼の足音も、聞こえているのかもしれませんが
それを聞きわけるだけの余裕は、今のドロシーにはありません。
走って、走って、はしって――、
走る間 いくつ目かの扉が目に入れば、あわててその部屋へと身体をすべりこませました。
急に走ったせいか、義足の接合部がぎしぎしと痛みをうったえていたためです。
どうやらここは 寝室のよう。
おおきなきらびやかな調度品の中に、おおきなベッドがひとつ。
ドロシーは痛む足を引きずりながら、その下へともぐりこみます]
は はぁ、はあ……、
[あらくなる息を必死に押さえながら、視線は警戒するように入ってきた扉の方へ。
……彼が本気を出して探したのなら、きっと。ドロシーを見つけることなんてたやすいはずです。
それでも扉が開かれないことをただひたすらに祈って……ドロシーは、ぎゅうと人形にすがりつきました]
[カサンドラの手が休むことなく自分の大切なところを撫で続ける。]
だめ…もれっ、といれっ!
[何かが出そうな感覚にじたばたして、彼女の包囲から抜けようと試みる。
彼女の手を止めようと、その動き続ける腕をつかむ。]
かさ…はなしてぇっ!
ふふっ、大丈夫よ。
[腕を掴まれれば、彼の先端を指で回し捏ねるように刺激し始める。]
ふふっ、離さないわよ。
[果てようとする彼を可愛らしいと思いながらも刺激を続ける]
ああっ、もれ…
[最後まで言い終わらぬうちに、ついに耐えきれなくなって我慢していたものを出してしまう。
それは音もなく勢いよく噴出し、自分の下着やカサンドラの手に付着した。]
カサンドラのバk――
[怒鳴りつつ彼女に蹴りをいれようとしたが、右手の腕輪から実体のある影が伸び、足を絡めとって縛った。]
危ないわね…。
[蹴りを入れられようとした既の所で腕輪の影が彼を縛った。]
あら、こんなにたくさん…。しかも濃い…、流石ね。
[手に着いた彼の欲を舐めとりながら思わず呟く。]
さて、濡れたままは嫌よね。これ、脱ぎましょうか。
[彼の足が拘束されているのをいいことに、彼の下着をそっと脱がす]
ちょっと、カサンドラ…!
[幾ら精神は少年とはいえ、さすがに女性に服を脱がされるのは恥ずかしい。それくらいの羞恥心は持ち合わせている。
身を捩るが、それは余計に彼女の行う作業をやりやすくするだけだった。]
はずかしいよ、ねぇ…
[彼女に下着とズボンを脱がせられれば、羞恥心からかせめて股間を見られないようにと脚を閉じてしまう。]
ふふっ、大丈夫よ。エリオットは可愛らしいもの。
[恥ずかしそうにする彼に笑顔で優しく告げる。自身の下着を脱ぎ、彼の欲に塗れた手で幾度か濡れぼそった花園を擦る。
そして、彼を奥へと誘うように挿れる。]
またバカにしてぇ…
[「可愛らしい」と言われ、ふくれっ面をするが、その表情はすぐに崩れる。
少し萎えた自身のものを彼女の中にニュルリと挿れられれば]
ふぁ…んんっ…
[また、彼女の中で硬さと熱を取り戻していく。]
へ、へんなきもち…ふ、ふわふわ、する…
かさんどら…
んっ…、あっ、気持ちぃ…。
[奥へと入れた彼をキュッと締め付ける。そして、自ら動き出し、彼を奥へ奥へと入れ込む]
んあっ、ああっ、気持ちぃ…。
あっ、か、かさ…あっ、どらっ…!
[彼女の動きに合わせて声が漏れる。]
なに、これ…?へんっ…!
[無意識のうちに手の届く彼女の太ももをつかむ。]
[赤い蛇身がうねり、拘束された天使の身体を這う。
掠れた声が太陽と名指して天使を求めた。
切ないほどに真摯な祈り。
その口元に運ばれた指に鋭い痛みが走る。]
──…っ !
[反射的に身体を強張らせたものの、天使は努めて平静を保った。]
[ギィは不意打ちに投げ出された先でひとりで戦うことを強いられ、水の冷たさに弱って縋ってきたのだろうと思う。
馴れ馴れしい接触には罰を与えるのが常だが、それとこれとは話が別だ。]
…怖がることはない。
[傷ついた隷魔に言い聞かせ、身体に巻きつくを許して癒しの光を注ぐ。]
[ほどなくギィは眠ったようで、身体がくってりとなる。
だが、天使にのしかかる重みはそればかりではなかった。]
…っは、
[身体が引きずられ、横ざまに膝を崩す。
麻痺毒だろうと見当はついたが、故意に噛まれたとは思っていない。
朦朧としているうちにしてしまったことだろうと。
自身の傷を癒すことは不可能だ。
敵に見つからぬことを願いつつ耐え忍ぶ。]
[この地の異変は看過できぬ規模だ。すぐにも天に伝わり、対策がなされるだろう。
天使はそれを疑わない。
眠りに逃避することもできず、手を抜くということもしない天使は、この間にも神具の行方を探した。
だが芳しい反応は得られないまま。 不安が胸をかすめる。
もはや神具は破壊され、あるいは闇の手に落ちてしまったのだろうか。
いずれにせよ、こうなってしまってはギィが保釈されるということはあるまい。]
[毒におかされた感覚はいよいよ鈍くなり、天使はギィの身体を潰さぬように苦心しながら、泥から艶やかな闇に変じた室に横たわる。
視線の先には、このまま、と甘えるように零して無防備な眠りについたギィの顔があった。]
主よ、 願わくば この者が苦しまぬよう──
あっ、ああ…、いいよ…。エリオット…。
[太ももを掴まれれば、更に彼で中をかき乱す速度を落とさず中で締め付ける]
[問われた言葉は、意図的に黙殺していた。
言いたくない、と言うよりは言い辛い。言ったあとのことが怖い、と言う方が正しいだろうか。
だが、質問をあえて避けようとせずともその後に続く少女の言葉と行動に慌て、答えるどころではなかっただろう。]
そういうのは、特殊なモノたちだけだ!
[この場合のモノというのは魔族や人間等を指すのだが、相手に伝わったかどうか。]
僕も首輪を使っただろう?!
お前もそうするなり、力で屈伏させるなりすればいいと言っているんだ!………っ!
[風が、まだ一段と強くなった気がした。目の前の少女は今、とても不安定で、少しのことでも一気に魔力を暴発させる可能性があった。下手に言葉を誤魔化すのは危険。
その事を改めて痛感し、眉根を寄せる。言ったあとが怖いだとか、男のプライドが、とか。そんなことを言っている場合では、ない。]
お前に触られるのが嫌なんじゃない。
こういった行為自体が苦手なんだ。その………
昔、嘲笑われたことがあるから……
[ふい、と顔をそらした。このような行為は初めてではなかった。だが、不馴れな己は馴れた相手に散々嘲笑われ、行為は出来たもののとても苦い思い出となっていた。それゆえ相手を従属させても性処理をさせることはなかったし、させようと思ったことすらなかったのだった。
急に強まった風が衣服を濡らし、溶かす。濡れた部分が妙に寒く、自らの体を見下ろし惨状に言葉を失った。]
[彼女の動きが激しさを増す。
その動きに、太ももを掴む手にも力が入る。]
かしゃ、ん…やぁ…うご、くなぁ…!
[動かないでカサンドラ、そう頼みたかったが上手く口が動かない。
知らず知らずのうちに自分の腰も浮いていた。]
グ…
[自分と主人とを別つようにバリアが現れる。この勢いのまま、ぶつかればウェルシュだってタダでは済まない筈。だがそれで攻撃をやめようと思える程の理性は残っていなかった。
ガラスの割れる音がして、バリアが消える。
全体重を乗せた突撃はバリアによって弾かれたが、薄い障壁から少女の元へいくらか衝撃は伝わっただろう。]
[崩れた体制を空中で立て直して、再び主人に向き直る。
翼を大きく羽ばたかせると、砂埃や羽が飛び散って渦を作った。
渦の大きくなるにつれて、巻き上げられる物質が硬化していくのが分かる。
ある程度まで渦が大きくなると、硬化させた自身の羽と共に打ち出す。
巻き上げられた物体がぶつかり合ってバチバチと電気の音を響かせながら、暴風が少女を襲う。]
んあっ、ああっ!!もっ…そろそろ…。
[そろそろ、限界が近いことを嫌でも感じる。そして、スパートをかけるように彼をキュッと締め付け、奥を擦り合わせる]
[相手の強い口調に、暗い影を落とした表情だったものの一瞬怯えたように震えて顔を上げた。
相手の告げる言葉。
泣きそうな顔になりながら…否、実際に涙を零しながら。濡れ、衣服が辛うじて身に纏うような状態になっていても構わずに。
震えながら相手を見つめていた。
涙は止まる事を知らない]
…でも、私はそれしか知りません!
人間を従属させる術式なんて知らない、貴方のように人間を縛る首輪もない!
力で屈しさせろと言われても…。
これだけの力の差があって。
…貴方は、私のモノになっているんですか……?
[両手で顔を覆う。どうしたら良いか分からない。
自分はただ、相手に自分と同じ傷を負わせようとしていただけなのか。
相手もまた、嘲笑われたと、傷を負っていたのに。
ひく、ひっく、と泣きじゃくる声が風の音の合間に混じる]
『ならば殺せば良いだろう?』
『手に入らないならば、壊してしまえ』
『お前は魔族だ、人間など、全て殺せ』
『そして、魔に帰るが良い』
うる……さい、です……ね……!
[少女にしては怒気を孕んだ声は、目の前の青年に向けて放たれたものではなかった。
ゆらり、立ち上がると二歩、三歩と頭を抱えながら相手から離れていく。頭に囁きかける声に、ズキズキと酷い痛みが伴っていた。
眉を顰めきつく目を閉ざし、はあっ、と震える息を吐く]
私は……、それでも、幸せだったのに!
シェットラント様と旅ができて、幸せだったのに!!
モノとしか見て貰えなくても、いつかは、信じて貰えるんじゃないかって!
いつかは、……いつか、は……。
だから、私に……。
私に、シェットラント様を殺させないで!!
『シルフィード・ステップ!!』
[短い詠唱と共に、後方に勢いよく飛ぶ。より、相手から離れるように。
ギリギリと締め付けられるような頭の痛みは限界だ。
あいてが、自分のモノにならないなら。
それを。相手を殺す理由にするくらいならば]
[ーーいっそ、じぶんが]
[ただ、最後に一言]
[サヨナラ、と]
[小さく呟かれたその言葉は届いただろうか]
[空高く飛んだ少女の周囲に生まれた無数の風の刃は、少女自身を切り刻む]
[悲鳴すら、あがらない]
[自らの風の刃でその身を、切断出来ずとも切り刻んだ少女は]
[血を滴らせながら、ドサリ、地面へと堕ちただろう]
だめっ、また、でちゃ…あっ!
[彼女の肉の動き、その責めに再び込み上げてきたものを出してしまう。]
かさんどら…
[小さく彼女の名を呼ぶ。]
んああっ!!そ、そんなに…いっぱい…。
[余韻に浸るように彼を搾り取るような締め付ける。]
あっ、気持ちぃ…。そのまま…ちょうだい…。
んっ、かさん、どら…
うごいちゃ…
[彼女の搾り取るような動きにビクビクと体を震わせる。]
[ 安堵は無い。
物に傷を付けるかのような手つきに思われた。
目元が痙攣して、吐息を飲み込む。
腕が辿った背骨が今更になってむず痒い。
腕の力が抜ける。
"そんなのただの子供だましの言い訳でしょ"
そう言ってしまいたかった。
視線はただ呆然と虚空を見つめる。
何の表情も称えないまま。
コンスタンツェの中の何かが、蓋を開けて片足を出そうとしている。]
ー回想ー
[ ニンゲンの身体は、思ったよりもずっと心地が良かった。
緑に寝転ぶと草が髪に付く。
鼻の頭に露を落とす蕾。
自分の手で囀る小鳥。
黄色の双眸に反射する煌びやかな宝石。
何でも触れた。
感じるこころがあることを確かめるように。
傷付きながら、傷つけながら。]
[ わかってる。
私は望んでこうなった。
薄い毛布の中で、寝たフリをしながら呟く相手の声を聞くこころが欲しかった。]
( ぼく、でも…リヒャルトでも……)
[ 何度も心の中に押し込む。
相手に触れるたびに肺を真綿でしめつけられる心持ちで。
どうしてだろう、この身体は、思ったよりもすごく重たい。
過去の産物として捨てられる悲しみは、深い水底で息が止まる程に苦しかったから。]
[ 先より強い力で押し返す腕に合わせて、首がぐらんと揺れる。
切られた傷口はみるみる塞がっていくのに、胡乱な眼は地面を見つめていた。
不可抗力で腕を離せば、抜け殻のような人間の身体がそこに座り込んだまま。
剣を抜いて先を急ごうとする相手の声で、ようやく我に返った。]
ぁ、うん……早く行こう。
[剣を持てるようになるまでに回復した相手に笑みを浮かべる。
それは、少しぎこちないようにも見えるだろうけれど。
立ち上がって先行く相手の背中を追う。
落ち葉がリヒャルトの着物に付いているのに気がつけば、くすりと笑って払う為に手を伸ばし、]
んあっ、ひもひぃ…。
[ビクビクと体を震わせる彼に中をかき乱され、絶頂へと達し、甘い吐息を零す]
[混乱と共にあげた声は、相手を怯ませたようだった。はっと我に返り、自己嫌悪に眉根を寄せる。そして、首輪がないという相手を再びまっすぐに見つめていた。]
……あの首輪は、魔族だけにしか使えないものじゃない。
お前が望むなら、僕につけることで従属させることも可能だろう。
……僕に売り付けた店主の言葉が正しければな。
シュテラ…
[怪しい露店商の言葉を信じるのなら、取り付けた相手は取り付けた主に服従するということだった。それは魔族であろうと人間であろうと思いのままだ、と。だご、それが本当かどうかはわからない。そう告げながら肩を竦ませていた。
涙を流し、しゃくりあげる少女を見上げ、その頬に手をあてようと腕を伸ばし。
しかし、急に怒気を孕んだ声をあげる様子に、挙げられかけた手がぴたりととまる。立ち上がり、ふらふらと後ずさっていく様子を見ながら男もゆっくりと体を起こしていた。]
シュテラ…?どうし…………、シュテラ!
[相手の紡ぐ言葉は、自分に向けられているのではないようだった。まだ、何か自分には聞こえない声が聞こえているのかもしれない。今まで何度も聞いた短い詠唱呪文が叫ばれるのを聞けば、引き留めるように相手の名前を呼んでいた。
このまま飛び去ってしまうのかもしれない。そんな思いに囚われていた。だが、事態はさらに酷いものとなっていた。]
シュテラーーーーっ!!
[自らの体を切り刻むように、少女の操る刃はその細い体に襲いかかった。糸が切れたように落下してくる体を受け止めようと走り出す。間に合え、と強く念じながら。
間に合ったにしろ間に合わなかったにしろ、その風のように軽い体を抱き起こしては回復呪文をかけようと詠唱を始めていた。]
………キュアーズ。
[柔らかな光が掌から溢れるように拡がっていく。翳した相手の体にもその光は降り注ぎ、わずかに暖かな温もりを感じられたことだろう。]
[芳しい風の吹く丘の上で穏やかな日差しを浴びながら微睡む。
そんな夢を見ていた。
地底にある一族の棲家では、めったに味わえない贅沢。
ぬくもりに包まれて、癒される。
身体も癒され心も満たされて目を開けば、腕の中には眠る前と変わらぬ天使の姿があった。]
─── いた。
いなくなってなかった。
[喜色は、郷愁の色も宿す。]
おも…かさんどら…おもい…
[絶頂に達し、力が抜けた彼女の体重がかかる。
太ももを掴むのを止め、ぺしぺしと彼女のももをたたく。]
あの時、目を覚ましたらひとりだった。
それがどれだけ寂しかったかわかるか?
あの日からオレはオマエを探していたんだ。
ずっと、ずっと探して、天界にも行って、
やっと見つけて、オマエを地上に誘い出して、
[絡ませた蛇尾で天使の肌をまさぐる。
全てに触れたいとばかりに絡みつき、うねって鱗を滑らせる。]
ようやく、こうして、オマエに触れられたんだ。
オレの太陽。
オレは、おまえが欲しい。
欲しくて、欲しくてたまらない。
オレのものになれ。
[解き放たれた欲望のままに告げ、確かめるように幾度も舌先で天使に触れた。
頬に、耳に、唇に、真っ赤な舌が濡れた痕を残していく。]
[夢を、見ていた]
[ただ、シェットラント様と共に旅をする夢]
[首輪はなく、鎖もなく]
[泣いたり、笑ったり、喧嘩したりしながら]
[長い長い旅を続ける]
[それはそんなに強欲な夢なのか]
[それとも、奥底の願望を見透かされていたのか]
[一瞬、受け止められた、と勘違いした。]
っうわぁ!!
[だが元々光の翼を出現させ、飛ぶのに力を割いてしまっていたのがまずかった。
ガラスが割れる硬質な音と共に衝撃波を喰らい、後方へ大きく吹き飛ぶ。]
くっうう…!!
[彼とは違い、緊急時用にと考案したが実行に移したことはなかった飛行術だ。
彼が体制を立て直す間も翼はもがき、ぐるぐると無様なダンスを踊ってしまっていただろう。]
うぇる、――……っ
[最後に見たのは。
物量のある嵐と、散る火花と、その向こうに居る親しき従者の―]
――――
[正面からまともに暗い、上空へ打ち上げられた。
同時に光の翼は形を失い、甲冑も粉々に砕け散る。
意識は闇の彼方へ飛んでしまった。
堕ちて行くのは、ボロボロのドレスを身に纏う、非力な少女の躰、だけ。*]
相変わらずねぇ…。
[疲れたようにベッドへと倒れ込み、久しぶりの快感に目を閉じて浸る]
[首輪が本当に効いたのだとしても、違うと思うだろう。
違う、違う、そんな事を望んではいない。そんなんじゃない。
信じて欲しかった。
でも、どうすれば良いのか分からなかった。
…哀しい、と思う。
でも、矢張り分からないのだ。
どうすれば良かったか、なんて]
[相手に受け止めてもらえた事を、少女は知らない。
多くの血を流し気を失っていたからだ。そのまま、死んでしまうつもりだった。殺したくはないのだ。どうしても。どうあっても。
少しでも、彼によって自分は希望を見出せたのだから。
幸せ、だったのだから。
だからきっとこれは多くを望みすぎた罰なのだと。
相手の衣服も体も血に染まったかもしれない。
無数の傷口はそれでも、ゆっくりと閉じていく。この地にいた事が、幸い魔族の少女の自己治癒力そのものを高めているのだろう]
かさんどら…
[ベッドに倒れこんだ彼女にぴったりと寄り添う。
すると、女性らしい優しい匂いが鼻腔をくすぐるだろうか。]
う……っ。
[全身が軋む。暖かな何かに包まれている気がした。眉を顰め小さく呻いては薄っすらと目を開きーー生きていること。そして、頭に響く声が続いている事に絶望する。
ぐっと相手を両腕で突き放そうとしたが、そもそも筋力は人間の少女のそれとほぼ変わらない、しかも全ては回復していない腕ではどれだけの力が込められていたものか]
だめ、やめてください……っ!
私は、…シェットラント様を……っ。
きず、つけ、る……。
[先程の言葉も。何より、こんな事に魔力を使ってはいけないのだ。
自分が居なければ自身で身を守らなければならないのに。
ぐっと拳を握り、ふるふると頭を振った]
…私なんかに、魔力を使うのはいけません。温存、しないと。
だから、やめてください…。
ふふっ、初めてだった?
[寄り添う彼に微笑みながら尋ねてみる。今は彼との交わりの余韻に浸っている]
[
うん、なんだったの…?
[エルフ族は超長命の種族であるが故に性交自体滅多にしない。性欲もあまりなく、エリオットは性知識も持っていなかった。
下半身を晒したままなのも構わず、彼女に抱き着く。]
よくわかんないけど、なんか抱き着きたい…いい?
夢を見ていたんだな。
[目覚めたギィの吐露に、そんな理知的な判断を下したけれど、やけに具体的な説明と計略の告白に眉を顰める。
どこか心をざわつかせるその言葉を追いやるように命じた。]
回復したのなら、起きなさい。
この地は、おまえにとってもわたしにとっても良からぬもの。
毅然として対処せねば。
[天使を獲得せんとするギィの口調に報復の色がないことは見てとっていた。
身体を這い回る鱗と舌の感触は、麻痺のせいで鈍いままに未知の刺激を与える。
天使はぎこちなく身体を躙らせた。]
純粋なる者よ、
陽の温もりを求める本能がおまえの中にあることを疑いはしない。
けれど、それは欲望の形で発露してはならないものだ。
ただ、感謝をもって応えなさい。
わたしは神のしもべ。
おまえのものにはならない。
[互いを尊重し、交わす視線と承認で満足しなければ、それ以上は罪となろう。
そして、この天使は他の者よりなお厳しい洗礼を受けているのだった。
かつて一度、無垢なる魔を慈しんだゆえに。
諭して聞き入れられぬのなら体罰をもって遇するつもりだったが、ギィの耳に見慣れた煌めきがないのを知って表情を曇らせる。
少しばかり、切ない。]
[なんとか少女を受け止めることは叶ったようだった。頭上から落ちてくる少女を辛うじて受けとめると、その場に膝をつき少女を支える。明らかに回復呪文だけではない治癒速度で、少女の傷は回復していく。
回復呪文を何度か続けてかけると、少女は息をふきかえしたように小さな呻き声をあげた。小さく安堵の息をはいては、じっと少女の顔を覗きこむ。]
よかった……、シュテラ……。
お前が僕を傷つけたことなど、一度もない。
首輪が外れていてさえ。
それに……僕はまだお前に従わされてはいないから、僕の好きにさせてもらう。
[傷つける。そうはいいながらも、未だ一度もやいばを向けられてはいないのだ。
それが少女の理性によるものだとしても、男を傷つけるよりも自分を傷つけることを選んだことを思えば、やはりこれでいいのだろうと思えた。]
僕は、お前を置いていく気はない。二人でここから出るんだ。
どうしたいかわからないなら、これからゆっくり考えればいい。
[生きて、帰ることができたのなら。その言葉は口にはできなかった。正直、二人生きてここから出られる確率はかなり低いと思われた。それでも絶望を口にすることはなく。ただ、言葉少なに、相手へと語りかけていた。]
うーん、あれが性交ってやつね。うん、抱きついていいよ。
[抱きつかれれば、こちらからも抱きしめ返しながら]
あれが…
[そう呟いて、抱き着いて]
なんで、僕としたの?
[と、尋ねて顔を彼女の胸に埋める。]
[良かった。そう言ってくれる相手]
[そして、脳裏に響く暗い声]
ダメ、いや、やだ……!
[譫言のように呟いては頭をイヤイヤと幼子のように振っていた。
しかし今は自身が弱っているからか、魔力が回復していないからか、弱い風が辺りの湯気を軽く散らすのみである]
考え、られないん、です……。
怖い、この声は、狂わせる……私を……。
手に入らなければ殺せって、奪えって、……いやっ、や、だ、…!
[魔力が回復しきっていないのが幸いだろう。それは攻撃的な風に変わることは無いが、弱り切った少女は青年の腕の中で小さくなり頭を抱え込む。
2人で抜けるにしても。
この声の影響は強すぎた。ただ只管小さくなり涙を零し耐える少女が]
[果たしてこのまま、いつまで保つものなのかーー]
うーん、なんで?なんで…。うーん、したかったから…かな。
[尋ねられれば、少し思案してから答える。胸に顔を埋められれば、ポンポンと優しく頭を撫でる]
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