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美しく月の昇る晩、君は自らの本当の姿を知った。
智恵を絞り、活路を開く勇気。
人狼を見抜き、妖異を滅ぼす力。
死者の声を現世に届ける異能。
頼りなく怯える人々を守る技。
互いの正体を知覚し合う絆。
自らの胸を裂いても仕うるべき主。
赤く染まる牙――長い咆哮。
さぁ、どうする?
まずは何から始めよう?
どうやらこの中には、村人が15名、人狼が1名いるようだ。
語り手 が「時間を進める」を選択しました
■第1イベント「邂逅」
PCはそれぞれ、移動先を[[1d10 ]] (←半角ブランク削除、以下同様)を振って決めてください。
移動は自分の意志でも、魔法的な強制転移でもOKです。
現在、捕われていて移動がそぐわないという「虜囚」は、ランダムを振らずにそのエリアに留まり続けてもOKです。
ペアで同じ数字が出たら、その数字のエリア(>>0:#0参照)で、相方と遭遇します。
同じ数字が出なかった場合、出た数字のエリアに行った後(何か発生してもいいし、スルーでもいい)で、
次の移動先[[1d10 ]]を振りますが、2回目からは両者の数字の差が1以内なら近くにいることがわかります。
どちらが移動して遭遇しても構いません。
(以降、出会えるまで繰り返し)
なるべく次のイベント発生(8/20の0時頃)までには遭遇を果たしましょう。
出会った後、ずっと一緒にいなければならないという縛りもありませんし、どうするかはご自由に。
村の更新日が延長されました。
― 浮遊する群島 ―
[全身を侵した毒は、あらゆる刺激を快感へと変換する類のものであった。
肉体の制御を奪い、精神と乖離させ、聖性を封じ込める魔性の毒。
芯まで侵されきった体は打たれる刺激に身を揉みしだく。
口の端から涎を垂らして体をくねらせる獲物に、蛇は再度己の長身を巻き付けた。
首筋に噛みついてなお毒を流しこみ、同時に生殖器を屹立させて獲物の後孔へ突き立てる。]
あああっ! あ、あぁっ!
[舌と同じく二つに分かれたそれらに貫かれて、裸身は激しく跳ねた。
中を前後されるたびに首が揺れ、声が揺れる。
垂れ流される声には明らかな喜色があった。]
[明瞭に届く、彼の笑む気配。
こうして自身を嬲るということは――彼の欲が、未だ自分に向いているということ。
他者の手に墜ちた自分を、未だ切り捨ててはいないのだと、
仕置きへの恐怖より、先に安堵が立つ。
けれど。もし、施された呪が、彼に歯向かうものだったとしたら――?
従順に傍に添い従う妻が、変貌を遂げてしまったなら。
先より遙かに昏い恐怖が、ぞろりと背筋を這い上る]
信じてますから、早めに迎えを寄越してくださいね。
[と、ただ一人の弟に頼られたならば]
―――あ、ああ!任せて―――!
[嬉しいのだろう、返ってくる声は弾んでいた。]
― 塔の街 ―
>>0:413
[もう一度見上げる空は、塔の向こう。
赤黒く、そして、氷のような冷たさを持つ░▓▒▓█雨▓░░▓▒が降り始める。
彼らと別れたあとは、その塔の街を探索し、
これまでではじめて、魔界にかかわり、自身の意志で、鈍く光る白金の銃を手にした。]
――…干渉しなければ、害はない。
そう、僕の身体は、魔に侵された部分があり、それを魔は世界の一部だと認識している。
けれど、ここで、人間軸への行動が高まれば、
僕は途端にここでは異邦人となるだろう。
[そう独り言を呟いたけれど、
もう、それは、決心していたことでもあったのだから。
迷いはなく、
塔の街に、彼の、フレデリクの姿がないと感じれば、
次には5(10x1)>>0:#0に向かう。]
― 灼熱の闘技場 ―
[感情のこもった熱気が肌をうつのを初めとして途絶えていた意識が呼び覚まされる。
両足を地につけ、薄く開いた視界に移るのは、穏やかなる緑や青ではなく赤や鋼色。そして明らかに人ならざる姿形のものたち。
不測の事態であるにも関わらず、心が騒ぎはしなかった。
現実感のないものをいきなり眼前に突きつけられた結果が混乱へと傾いていた精神の針が半周回って沈着でとまる
おかしなところだ。
と、声にはださず率直な感想を心中で呟く]
[それぞれに事情を抱えた二人と別れ、塔の町の門を出ようとした時、世界の圧が強まった気がした。
それが、魔王による魔界封鎖と、この時点で気づくものではなかったけれど──
一段とのっぴきならないものに覆われた感触に、額を拭う。
湿って落ち掛かった髪は、それまでの光沢を失って、鈍い鉛色に変じていた。
爪の先も、ほのかに藍をさしたように染まっている。]
…思ったより、 早いか。
[ひとつ息をついて踏み出せば──導かれた先は、>>0:#0の6(10x1)]
― 黒い太陽の平原 ―
[記憶の一部退行は、同時に、見知らぬ場所にいる事への危惧を掻き立てる]
……見つかったら、いけないんだから。
[小さく小さく呟いて、歩き出す。
宛てなどない歩みがどこへ向かうのかは、自分でもわからないまま──8(10x1)へ]
― →太古の樹海 ―
[深い森の中、不意に地面に生まれる闇の塊。
灯る焔に似たそれは、徐々に真円を模って拡張。
やがて闇の中心より、どろりと生まれ出る人の影。
宵闇の色した外套に、白銀の目と髪。
自身の生んだ力に煌く銀糸を視界の端に捉えつつ。]
―――…、
[ゆっくりと集中に閉じていた瞼を起こし、瞬きを二つ。
周囲に視線をやれば、己の屋敷がある森と似ているが、やはり趣が違う。]
……ふむ、近づいた…と思いたいですが。
[一定以上の距離を空ければ、遠近の明瞭さは削がれてしまう。
軽く前髪を掻き揚げて、暫し沈黙。]
[だがそれとは別種の胸騒ぎを覚える。
自身にとって縁のある存在が、まさかこのような場所にいるとは思いもしておらず、ただ何かが近くにいる故のものとは知らず、鬼のような姿をしたものに肩を叩かれた。]
順番?
[主語のない言葉に同じような返答をするが、疑問を答えるという気はないらしい。
どうせわからぬことだらけだ。いちいち気に留めるよりわかるかもしれない手掛かりを得たほうがよい。との判断の元、その順番とやらを待つことにした]
―――…開け獄門、導け闇撫、我が暁の下…。
[収束させぬ円陣に新たに漏らす指令。
己の眷属に任せて惹かせるは愛妻の気配。
連続して扱う転移は、自身の力を削いで。
光を求め、打ち込んだアンカーが導く先は―――6(10x1)]
[兄からの神託が終わると、買ったばかりの鞄に手を突っ込み、空間魔法を試してみた。]
報酬が報酬だからか、早いですねえ。
[借り物の魔力によって本来の容量以上に物が入るようになった事を確認すると、満足気に微笑み、財布を始めとした貴重品を空間魔法でできたスペースへと移し替える。
そして――……]
探し人の名前はリヒャルト、リヒャルト……
しばらく滞在するとなると、もう少し買い足さないといけないような。
[兄に聞かされた名前を刻みこむように呟いてから、兄の勘によって示された場所8(10x1)に店があるといいな…と思いを馳せるのであった。]
[獲物に絡みつき、上と下から貫いたまま、魔性の蛇は毒と精を吐き散らす。
獲物の体に満ちる聖性を封じたまま、自らの気を溢れるまで注ぎ込んで聖を魔に塗り替え、己の力として喰らうつもりだった。
身を穢されるごとに喘ぎと嬌声は大きくなり、姿態は媚びを含む。
やがては自ら迎え入れるように足を開き腰を弾ませ、蛇身の鱗を愛おしげに撫で、舌を這わせた。]
『これはこれは』
[蛇が小さな呻きをあげる。
舌と歯を使った獲物の愛撫は蛇身からさえも快感を引き出し、絡め擦りたてる腰は魔が動かずとも精を搾り取るかのよう。]
[予想外な獲物の性技にうろたえつつも、魔は媾合を続けた。
蛇の性愛は長時間に及ぶ。
魔性と聖職者は絡み合ったまま、飽くことなく床の上で互いを貪りあっていた。**]
― 太古の樹海 ―
[そして、入り込んでしまったのは深い森。
どう見ても危険な地域だ。
杖をつきながら、もし、野犬や獣の類が出れば、
今までとは違い、魔界に干渉してしまった身は、その存在を弱肉強食に組み込まれてしまうかもしれない。]
――……
僕が滅びることで、彼が、そして、家が再興するのであれば、
もう命など惜しくはないのだがな。
[そんな達観したことを言い始めたのは、怪我をしたことで、貴族としてのステータスを誇る寄宿学校への入学を断念し、傾き始めた家から幾人もの雇い人を暇に出し、
そのうちに疲れきったかのように亡くなった父、
父亡き後、実家に帰らざるえなくなった母、
兄弟もなく、己自身のみのために、勉学をなして、わずかな領地を統治し、もはや名ばかりの公爵の名前を飾りつつ、あきらかに清貧な生活を送り始めた頃だろう。]
− 魔界温泉郷 (>>0:#0の6)−
[到着したのは白煙の立ち上る岩肌が隆起した場所。
流れてくる熱気を孕んだ風の中に、鼻をつく硫黄の匂いが混じっていた。]
…噴火口? 温泉?
[間欠泉やクレバスなどに気をつけながら、湯気の向こうを見透かしてみる。]
― 古代の樹海 ―
[一度逃れてきたはずのその場所に、再び戻って来たのは正常な感覚が失われていたからか、それとも、酔い齎したものが呼び寄せたからか]
……あ……あれ?
[気づけば、周囲を押し包むのは濃緑。
何で戻ってきたの、と突っ込む冷静さは、今はどこかに抜け落ちて]
……もしかしなくても、まずい?
[とってもまずいです、という突っ込みが入る事もなく。
とりあえず、魔導書を抱えて、ぐるり、周囲を見回した。
……危険、と判じたら、即逃げ出す構えなのは言うまでもない。
ここにいたら、命だけじゃなくて貞操も危うい、と身を持って知ったのはついさっきなのだから]
つーかこんなところで油売ってる場合じゃねぇ。
捜さなきゃなんねー奴が居るんだ。
じゃあな。
[焦りの色を露にし、その場を去ろうと歩き出した]
アデルっ!
[先程のことを思い出して通信具に声を投げた]
さっき何か聞こえたけど、何かあったか?
それと今どこだ!
[隠し切れない焦りの色が声に乗る]
― 魔界温泉郷 ―
[闇の裂いた先は、白い靄に包まれていた。
幾つもの岩盤が折り重なり、時として間欠泉が吹き上げる光景。
血の池などと言う古風なイメージは魔界に持っていないが、
幾つもの露天を見下ろす場所に現われると、僅か眼を瞠った。
靴裏を巨大な岩の上に乗せ、湿度の高い空気に息が詰まる。]
―――…こういった場所に連れ込む相手を探しているんですが。
順序が逆しまですね。
[湯煙を闇の手が払い、風に外套を任せて遠くを見る。
まだ、光の気配は杳々として遠い。]
……解き方を、教える気は?
[静穏な声音の孕む剣呑に、魔物は僅か後ずさる。
気圧された腹立ち紛れか、『解いた事などない』と囃し立てる声]
そう。――…だったら、退いていて頂戴。危ないから。
[きっと彼は、魔界に来ている。
所有物を奪われて、彼が黙って引き下がる筈がない。
彼に遭遇する前に――術を、解かなければ。
その一心に突き動かされ、檻の底で立ち上がる。
力を振り絞りはしなかったのは、憔悴し切った姿を、彼に見せたくなかったが故。細く息を吸い、吐く一息で余力を溜め、一気に解き放てば、檻が光の粒と砕ける。
煌々と降り積もる欠片の中で、一際眩む光を纏う姿が、ふ、と掻き消える7(10x1)]
― 霧の沼地 ―
[女性の言葉に笑みを返し、ふわりと沼へ近づく。
こちらを見た魔物たちが、警戒と欲望を剥き出しにして向かってきていた。
魔を惹きつけるは、自らの光。
理解せずとも、知っているとおりに両腕を広げ、彼らを迎え入れる。
自分の裡に入れてしまえば、魔を浄化もできるだろう。
───おそらくは。]
……え。
[響いた名を呼ぶ声に、上がったのは惚けた声。
混濁した記憶は、それが『誰のものか』をぼやかしてしまう、けれど]
……え、と。
今、いるのは、森……。
[それでも、焦りの響きにつられるように、それだけは返して。
直後に、あ、と短く声を上げて、そのまま黙り込んだ]
/*
相方は5か。惜しい。2回目なら見つけてた。
っていうか、5って研究施設かー
また危険そうな場所ですね。 (←設定した村建てですが
森? まだ森に居るのか。
建物からは出れた。
直ぐに捜しに行く。
[先程もどこか様子がおかしかったのもあって、惚けたような声を言及することはなかった。
けれど]
ん?
どうかしたか?
[黙り込むのには流石に問いを投げる]
― 魔界温泉郷 ―
…あれ。
[街中を歩いていた筈なのに、いつの間にか風景が変わっている。白いごつごつした岩を靴の裏に感じ]
おかしいな…魔界って方向感覚とか、距離感とか、狂うんでしょうか。
[自分が方向音痴、という可能性には蓋をして。白い煙や黒い煙をあげる岩の間を歩く。時折思わぬ近さでいきなり湯が吹き上がり、慌てて飛びのいたりして]
……。白いのはともかく、黒いお湯には、入りたくないですね…
[そんな呑気なつぶやき。汗を流したくないわけではないが、元から身を守る術すら知らぬ身。服までなくしては歩き回ることすらできぬ訳で。
犬を抱えてうろうろしている姿は、無防備とみえるだろう]
― 魔界・太古の樹海 ―
森は、自然の、万屋です!
[店の存在を期待した金貨の目前に広がるのは、求めたものとは真逆とも言えるうっそうとした森で……
思わず、強がりが、口を、突いて出た。]
……金で解決できないことは苦手なんですよね…
[ぱっと聞きゲスい言葉も突いて出た。]
[結界の一つを発動させたのか、一筋の風に攫われ、降り立ったのは闘技場。大方、彼が人質の許へ辿り着こうと、易々と返さぬための仕掛けだろうと嘆息し]
どこか――……どこか、もっと。別の所へ…
[喧騒に紛れ、か細く呟く。
追手が来るかも知れない此処ではない、何処かへ。早く。
――けれど、一体何処へ行こうというのか。
彼を探すのか、彼から逃げたいのかも解らぬ侭、当て所ない旅へ7(10x1)]
[黙り込んだ理由は、困惑。
混濁した記憶は、呼びかけてくる者が誰か、を判別させない]
……ええ、と。
[むしろ、どうして自分を知っているのだろう、と。
退行気味の現状は、そちらに基づく恐怖を強く掻き立てて]
…………。
[結局、選んだのは、黙り込む事]
− 魔界温泉郷 −
[空間がひずむのを感じ、視線を向ければ、幾重にも重なった岩の上に、翩翻と外套をひるがえして佇む姿を見つけた。>>25
遠目にも、彼ではない。
おそらくは、人ですらない。
ここで指輪を外すのは躊躇われ──
ハッ、と気づいて指輪を嵌めた指を逆の手に包み込む。
純粋な銀は変化しやすい。
ここの風に長く当てては籠められた加護を失うかもしれなかった。**]
― 狂気の研究施設 ―
[気が付けば、奇怪な建物の中にいた。
通路らしきその場所には棚が作りつけられ、並んだ瓶には見たこともない生物や器官の一部が液体に浮いている。
開いている扉を覗けば、複雑で奇妙な器具に囲まれた寝台のようなものがあったり、幼児が粘土をこねまわして作ったような歪んだ生物の剥製が並んでいたりした。]
誰か探しているのか。
見つかるといいな。
[>>24思い出したように足早に立ち去る背に、そう声をかける。
>>29それから、何となく微妙な視線で見送る狼の方を見た。
やはり何か、あの男に言いたい事でもあったんじゃなかろうか、そんな風に思いはしたが、言葉が解らず、当人は既に去った為に何とも言い難い顔をするだけだった。
道が開いたからだろう、立ち去ろうとする獣に、こちらも道を譲ろうと動きかけて。]
……長く邪魔をしたね、ごめん。い…っと、狼くん。
お詫びになるのかどうかわからないけど。
[言葉が解るのなら、硬貨の使い道も解るのだろうかと、
袋からひとつ取り出して、獣の柔らかな毛の上に乗せた。
もっともそれが硬貨なのか、それとも硬貨に似た魔法具なのか、それらに疎い自分からは解らなかったが。]
おすそわけだ。
[そう言い、自分も再び闘技場の方へと踵を返した為、狼がそれを捨てて行っても気づかなかっただろう。
そしてきちんと治療する必要性は、まだ忘れていなかった。]
[いくつかの扉の奥に気配はあったけれども、人であるとも思えずに、そっとその場を離れた。
無人の部屋に漂いこみ、もはや何に使われるのか見当もつかない器具の側に佇んで、途方に暮れて周囲を見回す。]
― 太古の樹海 ―
[移動するべきか、否か。
判断つかぬまま、その場に立ち尽くす]
……どう、しよう。
[このままここにいるのは危険、とわかってはいるが。
動き回るのも危険な気がして、躊躇いが先に立つ]
なんだか、捜されてるみたい、だし……。
[そう考えると、動いた方がいい、というのが『今』の認識だけれど。
動き回るのも、やや、怖い気がしていた]
― 浮遊する群島 ―
[頭の上に乗せられた魔界の硬貨を、ひょいと跳ねさせ
かちりと口に咥える。]
(やっぱり経が曲がった)
[身軽な獣は雲霞の上の連岩を駆け上がる]
[眼下に視線を移せば、そこには人間がまた一人。>>30
これにて、魔界で見かけた人間は二人目。
ふむ、と顎先に指を添えて逡巡するが、これもまた無防備な青年。
自身の愛妻も詰めの甘いところはあるが、
彼らを目の当たりにすれば当然危機感が沸く。]
――――?
[されど、探索しようと気を張り詰めた瞬間、
己の意識を爪弾く光が流星のように流れる刹那。>>33]
イングリッド…?
[妻の名を呟くと、顔を上げ、周囲に視線を巡らせる。
決して気のせいではない一条の気配。
時間にして一秒もなかったが、近い気配に僅か凪いだ。]
― 魔界温泉郷 ―
[森を目指したかったのだが、駆けた先には湯気が漂っていた]
温泉……魔界にもあるのか。
[妙なところで感心してしまったのは已む無し。
あちこちで何者かの気配はするが、確認することなくその場を離れようとする]
……アデル?
[黙り込んだままの様子に再び呼びかける]
どうしたってんだよ。
[反応が無ければこちらも何か言うにも言えず。
再び問いを投げるより他無い]
―浮遊する群島―
[瘴気の濃い魔界の空を、ふわりふわりと舞う。
常は顕在化させていた身体も、魔物の目につかぬよう、今は淡く空気に溶ける色彩。
肉体を伴わない移動は、幾らか力の消耗を防いでもくれる]
……はぁ。
[当て所なく浮遊する自分によく似た、宙を漂う岩場を見つけ、暫し羽を休める事にする]
― 灼熱の闘技場 ―
だから、とにかく治療をしたいんだけど……。
[闘技場の中へ戻ると、何処行ってたんだと先ほど自分を闘技場に押し出した例の相手に捕まった。
再び引っ張られるようにして闘技場の中を連れていかれる間、抗議の声は上げるが聞き入れてくれる様子はみられない。
先ほどの勝利の味をしめてだろう、直ぐさまもう一回出ろという主旨の内容に最大に眉を顰めたが、周囲を取り囲む人ならざる者らの視線から、断るという選択肢は与えられないようだった。
諦めに似たため息が落ち、再び押し出されるように、熱気と歓声と野次の中央へと、押し出されるようにして足を向けた。]
[ここいらは翼のある魔物の棲家だ。
彼らは魔界を渡る術に長けている]
(さっそく役に立つな)
[あぐ、と硬貨を噛み直して、空を見上げて――]
(流れ星?)
[重ねて名を呼ばれて、困惑は強くなる。
どうしようか、と思いながらも、そのまま黙り込んでいるのは少し、辛くて]
……え、と。
どうして、捜す、の……?
[ぽつりと零したのは、小さな疑問。
いつもよりも幼い、不安帯びた声はどう響くか]
[再び拡げる円陣は闇の気配の濃い力。
垣間見ていた修道士には中り易い力であるか。>>35
本来人間界には関与しない高位精霊の片鱗。
拡がる闇は湯煙を押しのけるように膨れ上がり―――]
――――…、
[眼鏡越しに彼に向けた眼差し。
愛妻の聖なる気配とは違えないが、気が惹かれるのも道理。
僅かに瞳を細め、薄い笑みを向けてから、闇に溶けた。
その短い邂逅が、感受性の高い彼に如何作用するかも考えず。*]
[吐きたいことを吐いたなら、迷うことなく樹海へと足を踏み入れようと――…したところで、杖をつく男の姿>>18が目に入った。
思いつめているような、諦めてしまっているような横顔に、一瞬だけ声をかけるべきか悩んだが……“リヒャルト”の保護には変えられない]
すいません、ちょっと人を探しているのですが……
聖職者で、名をリヒャルトと言うのですが、ご存知ありませんか?
[目にしてしまった表情は見なかったことに、耳にしてしまった声は聞かなかったことにして、自分の用件だけを口にする。]
[傍近くに、猛き気配>>48
魔物であれば、力を絞り実体を無くした今は感知は難しかろうと、腰を据えた岩から動かずにいたが。
近づく気配は、真っ直ぐとこちらへ]
……こんにちは。何か、用かしら?
[邪気を迸らせる魔物達とは異質な気配に、ひそりと囁く]
― 黒い太陽の平原 ―
[短い断絶の後、意識が再び周囲を認識する。
そこは陰鬱な光に包まれた場所だった。
どこまでも続いているような草原を、昏い太陽が照らしている。
日蝕だろうか、とも思ったが、いつまでも変わらぬ太陽の黒い光と、仄かに赤みを帯びた空の色がそれを否定していた。]
ほんとうに、ここは、 …。
目標物がほとんどない草原のただなかにあって、今度こそ心底途方に暮れる羽目となった**]
[金貨はその性質ゆえに救いを与えない。神はわかりやすい救いを与えはしない。
明日を知れない生活だと、祈られ請われ縋られたとしても、救われる可能性だけをばらまいて、救済そのものを行おうとしない。
一人を救えば際限がなくなることを知り、救済そのものが停滞を招くことがあることを知ってしまったが故に……
四柱の中で最も即物的な存在である金貨は、恩恵を与えることを滅多にしなくなったのだった。**]
― 魔界温泉郷 ―
[左手でチョーカーの魔石に触れながら、右手で前髪をぐしゃりと握り締める]
……何が起きてる?
[思わず零れた呟き。
立ち去ろうとしたにも拘らず、足は一時止まっていて。
しばらくは整理に時間を費やす]
何で、って。
[投げかけられた疑問。
さっきまで話していたことを忘れたような言葉にレトは動揺した]
何言ってんだよ。
帰るために合流すんじゃねーか。
……本当にどうしたんだ?
[普段なら聞くことのない、幼く揺れの大きい声。
離れている間に何かしらの異変が齎されたのでは、と思考が及ぶ]
― 灼熱の闘技場 ―
[犇めく奇形は見る限り、参加者も含めてこの一帯の主要人口であることがうかがえた。
そしてここが、いわゆる力をぶつけ合うだけのくだらない見世物小屋であるということもだ。
なんとも単純でわかりやすい。そういう傾向のものが集っているのか。それともここに居るものが全てそうなのかは知りもしない。ただ、今は自身が生き残ることにかけるしかないようだ。
そして順番は周り、熱気と歓声や野次の対象者として選ばれ、中央へと向かおうとして]
[対面からくるもの>>46の姿に目を瞠った。
異形ではなく人であること――などではない。あれは、そうだ。
認識と同時にどくりと胸が跳ねる。
表情にこそ出さないが熱せられた鉄の芯が体に宿ったように熱くなる。
精神の昂りが喪われた右目にまで作用して、再会の悦びに、眼帯の下から血の涙がつーと流れでた]
(気に喰わない。)
[既に声をかければ届くほどの距離まで近づき、バスタードソードが抜き、肩幅にまで足を開き僅かに低く。すぐにでも間合いを詰めれるように力をこめ構えた]
おい…いつのまに剣奴などに堕ちたのだ。ダルスバーレイ
[心底不愉快だというように。周囲をぐるりと囲う生き物の声にかき消された声は、ただ相対した相手にのみ向けられた]
イングリッド、
[彼女の煌き感じた刹那、漏らした声は彼女に届くか。
異界と断絶されて以来、弱くなった闇の残滓が別離を自覚させる。
彼女を苛む男の、一つ零した希求の囁き。
乖離した時空の果て、余韻ばかりを残して。]
― 太古の樹海 ―
[空間を渡る最中に引き戻される感覚。
闇のより深くへと力が吸い寄せられ、抗う間に現界したのは、
先に情報と言う名のアンカーを打った樹海であった。]
―――ッ、
[闇に紛れ、足踏み出すも、再び鬱蒼とした森に出れば呼気一つ。
ブーツの爪先を二つ叩いて鳴らし、落ち葉に二重奏を添わせ、
今度は二本の足で、ゆっくりと歩みだした。**]
合流……帰る……。
[帰る、という言葉はすとん、と落ちる。
帰らなければいけない、『御師様』の所へ。
混濁した記憶がたどり着くのはそちらの方で]
……でも、私、は。
御師様と、一緒に、いかない、と。
知らないひとと、一緒に、いけない、よ……。
[それに基づき、返した言葉。
そこにあるのは、怯えのいろと、微かな震え]
…?
[ふと、声が聞こえた気がした>>43
言葉の意味を考えてみるが、よく分からない。人の名前、のような。
声を発した男に気付いて、先程の場所に戻るべく道を聞こうと口を開いた。ここが魔界と知れば、腕の中の存在を咎められる可能性は低い]
え?
[けれど声を出すよりも早く、男の姿が溶けるよう、すぅと消える。
神に仕える身ではあれ、魔のものや闇に対する知識は薄い。人かと思った、のは無警戒にすぎるというか、単に鈍いのか]
(あ)
[驚いた拍子に一歩後退ったのが悪かったのだろう。ふと、足元の地面が消える感覚。
どぼーん!
派手な音をたてて、岩の隙間の温泉のひとつに、水飛沫が上がった*]
― 太古の樹海 ―
[ふるり、と首を横に振る。
混濁した状況は、与えられる情報に混乱を増して]
……だめ。
ここにいたら、危険……。
[そんな思いに急かされるまま、くるり、と踵を返して歩き出す]
[人型に不釣り合いな耳と尻尾。くるる、と鳴る喉>>58
何故か硬貨を咥え小首を傾げる様は、率直な感想では愛くるしいと映った]
…狼さん?
[思念を辿り、こちらも首を傾げて]
そうだったの、お邪魔してたらごめんなさい。
私は――……どうして、此処にいるのかしらね。
無理やり連れて来られて、迎えを待っていた、と思うのだけど…
[自問自答し、小さく苦笑する]
……!
[魔物は司祭の身体へと取り込まれたように見え、そして。
そのまま姿を消した司祭に驚きの声をあげた。]
どこへ…
[近くには既に、気配は無かった。
自分の身体は近くに戻ってきたとはいえ、依然として幽体のまま。]
はぁ?
[まるで話が噛み合わない。
いよいよもってアデルの様子がおかしいと認識せざるを得なくなる。
アデルの武勇伝は聞かされてきたが、その過去、特に幼い頃についてはあまり聞かされていない。
御師様、と言われてもピンと来ず、その疑問も続いた言葉にどこかへと飛んでしまった]
おいっ、知らないってお前。
俺のこと忘れたってのか!
[知れず語気が強くなる。
怯える相手にその態度は逆効果であることは、その瞬間は頭から抜けていた。
ハッ、と気付いた時にはもう遅い]
[幼い頃、未だ魔導の師の庇護下にあった頃の事は、余り他には知られていない。
師も表立つ事を好む人ではなかったから、尚更情報などは回っていないだろう]
……っ!
[響いて来た怒鳴り声に息を飲む気配は伝わっただろうが。
声を出して何か言う、という余裕はそろそろなくなっていた]
― →霧の沼地 ―
[どこをどう、どんな手段で移動したのかは、覚えてはいない。
もしかしたら、先ほど狼を手伝って使った探査の呪文で見た風景が呼び寄せたのかも知れない。
いずれにしても、気が付けば、周囲は白に閉ざされた空間だった]
……ここは……?
[一歩、踏み出せば足元で水の跳ねる気配がする。
大気にも、強い水の匂いが感じられた]
いえ……来ないかも知れないわ。
私、逃げてきたもの。
[広大で深遠な魔界、最初に彼が探知した場所からは大幅に遠ざかっているのだろう>>66]
そう?魔界にも、そういう人達がいるのね。
捕えて、囲って、そして――…どうするのかしら。
[興の続く限り弄び、飽いた後は。
きっと打ち捨てられるのだろうと想像がつく]
……貴方は、特に私に興味がなさそうで良かったわ。
[くすりと笑んで、それなぁに?と狼の咥える硬貨を指差し]
― 狂気の研究施設 ―
[無我夢中で、どこをどう走ったかなんて覚えていない。
ただ、途中で転移するような感覚があり、気付けば建物の中に立って居た。
最初に放り出された屋敷とは違い、禍々しい気配が辺りを包む]
くっそ、なんだここっ…!
[見るからに怪しい器具や物体、果ては剥製なんてものもある。
そのどれもがおぞましい様相をしていて、気を抜けば吐き気を催しそうだった]
[今まで敵などならば怯えていても切り捨ててきた。
子供などにも怯えられようものなら関わらないようにして来た。
けれど、今回ばかりはそうも行かない]
〜〜〜〜〜っ
[更に怯えさせてしまったのは息を飲む気配で知れた。
しまった、とは思えど、それからどうすれば良いのかが分からない]
──…、アデル、
[なるべく気を落ち着けて、低くなりすぎないように気をつけながら声を出す]
その……悪かった。
頼むから、怯えないでくれ。
俺は、お前の味方だ。
[回りくどく言うことなんて出来ない。
だから、伝えたいことをそのまま口にして、アデルに訴えることしか出来なかった]
/*
どうしようかな。ランダムで決めようか。
1.宙に浮かぶ
2.性別反転
3.透明化
4.2(10x1)に移動
5.なにもなし
6.お湯じゃなくて泥だった!
1(6x1)
― 霧の沼地 ―
[ぴしゃり、と足元で跳ねる水。
先ほど、水鏡に映してみた光景の事も、今は記憶の混濁に飲まれている]
……私、なんで、こんなとこにいるんだろう……。
[小さく呟いて、座り込む。
元々持久力には難のある身、そろそろ、動き回る体力はつきかけていた]
……みか、た?
[座り込んだ所に聞こえた声は、先ほどよりは落ち着いているように聞こえたけれど]
…………。
[その言葉を額面通りに受け取れる状態ではなく、やっぱり、その後の言葉が続かない。
本当にそうなんだろうか、気を許していいんだろうか。
思考はぐるぐると回るばかりで、一向に答えにたどり着かない、けれど]
……本当、に?
[そ、と問いを投げかけたのは、見極めたい、という思いがあるから。
無自覚の期待の作用には、気付けてはいない、けれど]
[シンプルな答えに、思わず破顔する>>70
狼の思念は簡潔明快で、些細な事に一喜一憂する自分には心地いい]
空を渡って、何処へ行くの?狼さん。
[笑みを深めて、問いを重ねる。
また直截の質問が返り、小さく息を詰め]
……逢いたい、けど。逢うのが、怖いの。
約束を破ってしまったし、それに――……
[逡巡する自分に勧められた提案。そして、まるで気遣うような問い]
いえ、隠れたらもっと怒らせてしまいそうだもの。
だから、大丈夫。
…でもそろそろ、行った方がいいかも知れないわ。
貴方まで巻き込んでしまいそうだし。
/*
……こんだけてこずらせた挙げ句。
直接対面したら恐慌来して一発は攻撃魔法ぶちかますつもりでいるんだから、我ながら酷い話です。
[だって、そういう指示だったんだも!]
[この組み合わせだと、幽体離脱は美味しくないなあ、って思ったからなあ]
― 灼熱の闘技場前 ―
[意識を集中させるほどひびく頭の痛みに、視線は自然と険しくなる。
一度目の戦いを知られれば、二度目の戦いは易くないだろうと、空気にぴりとした物が色濃く混じった。
歓声と野次に促されるように、大人しく闘技場の中央に進み出て向かい合わせた相手は、先程の牛頭と比べれば頼りなくも見える相手。
だが進み出る歩の進め方や、体つきやその手にした剣からは、相応に腕が立つ事がうかがえる。
>>56表情変わらず、だが赤く落ちた一筋に古傷でも蘇ったのかと、再会の熱を感じる事なく目を細めた。]
お前、右目が失いのか。
……残念だな。
[名も知らぬ相手に何故だか解らないが、そんな言葉がついて出た。
先ほど>>0:325牛頭の目に剣を立てたのは殆ど無意識だったが、おそらくそれが自分が得意とする事で、だから右目が無い事を残念に思うのだと、そう思った。
――当の昔、自分が奪った
ダルスバーレイ…?
誰の事だ。僕の事か。
[真っ直ぐに囁かれるようにした名には覚えがあるようで、無い。]
僕は名前を憶えていない。
お前が僕を知っていようとも、
僕はお前を覚えていない。
[眉を潜め、剣を抜いて切っ先を向けた。]
ああ―――解った。
[内側に沸く歓喜にはほど遠い笑みが、口元に浮かんだ。]
お前は僕の敵だな。
[そのただ一点を思い出せたことが、嬉しくて嬉しくて仕方がないという様に、形作った笑みをそのままに、男に向かって走り込んだ。]
― 狂気の研究施設 ―
[こんな場所は早く出たいと、出口を探し始める。
廊下へと出れば唸るような音が耳に届く。
怨嗟の声らしきそれは精神を狂わそうとしているようだった]
っっ………んなもん、に、構ってる暇は、無ぇ…!
[自らを叱咤し、引きずり込まれないよう律する。
一時たりとも気を抜けない。
張り詰めた気は同時に集中力も齎し]
───アデル?
[不意に、捜し人が近くに居ると、そんな感覚が身に宿った]
ここじゃあ無ぇ。
だけど。
[近くに居る。
それだけははっきりと分かった]
そうだ、味方だ。
[敵であるはずも無いから、疑問の声にははっきりと返す。
沈黙が長く流れようが、根気良く相手の反応を待って。
じれったさを感じ始めた頃、そっと声が返ってきた]
本当だ。
俺は、お前に害を加える気は無い。
お前を護るのが役目なんだ。
[幼子に言い聞かせるように紡いだ言葉には強い意志が秘められる。
以前のアデルも危うく放っておけなかったが、今のアデルはそれ以上に放っておけぬように思えた]
護るのが、役目……。
[強い意志持って告げられる言葉は、混濁した記憶を揺らせる、けれど。
本当に害なすものものではないのか──『敵』ではないのか、と。
そんな不安が、どうしても、消えない。
『知らぬもの』に脅かされる事の多かった頃に退行した記憶は、今より酷かった当時の頑なさをも呼び起こしているようで]
…………わかり、ました。
[一先ず、こう返しはしたものの。
不安帯びた響きは、不安定さを感じさせるのは十分なもの]
そう。…特別、なのね。
[剣呑な性に驚きは見せず、その言葉だけを繰り返し>>79]
見つかるといいわね。貴方も、…それにやっぱり、私も。
[『星は光っているのがいい』そう評する言葉が何を指すのか解らず、四足が軽やかに跳ねるを眺める。
少し遅れて、最初の思念>>48は、自分を指していたのだと気づく]
…ありがとう、狼さん。
[もう一度微笑みかけて、走り去る姿を見送る。
そうして自分も立ち上がる。
傍近くには、特別な人の気配は感じられないから8(10x1)**]
― 霧の沼地 ―
[ふる、と幾度目か、首を振る。
混濁した記憶は、相変わらず酷い頭痛を伴って思考をかき乱す。
樹海からの最初の脱出口でついた傷の痛みが飛んでいるのは、それはそれでありがたくもあるのだが]
……味方。
私に……御師様、以外に、そんなもの……。
本当に、いるの?
[今にも泣きそうな震えを帯びた呟きは、周囲の白に溶けて、消える。**]
/*
!!!邂逅成功!
さすが、旦那様への愛のパワーが…!
(あとは、ラ神の寵愛は嫁の方が深い)
狼さんかわいい。祝・他ペアと初遭遇!
/*
1差で掠ったからいいよね、と思う反面。
再開時にやらかす事があれそれすぎるので、ちょっと反応が怖いですwww
しかし、なんというか。
的確な踏み抜きに、早くも負けかけてるんですが、どうすればいい……!
[微かに届いていた、希求の声。
初めての邂逅を導いた声に、何処か似る。
それが今向けられている先は、自分なのだと知っている]
――…ルートヴィヒ。今、戻ります。
[胎に飼う闇が、遠く呼応する先。
主の許へと導いてくれると信じ、何度目かの邂逅を遂げるべく、
余力を振り絞り舞い上がる]
― 翼ある蛇の棲家 ―
[辺りで一際大きい浮島>>0:372に辿り着いた狼は、
それなりに礼儀正しく足と尾を畳んで屋敷の主に挨拶した。
訪問の事由を告げると、ヒトの堕落を好むらしき蛇は
さも可笑しげに、魔王スヴァルニールの余興の触れを
魔物のよしみだろうか、狼に語って聞かせた。
駄賃の分は送ってやらぬ事もないが、それも余興の内と。
――つまり狼が語った目的は自らの首を少々絞めた様子]
(そうか、……かまわない、頼む)
[そして絨毯に茫洋と伏す人間を一瞥する]
(それはおまえの獲物か
……どうやら今の魔界には、上物が多いみたいだな)
[不安を抱いたままでも諾の返事が聞こえると、ホッと息が漏れた]
そんじゃあ迎えに行くから。
アデル、そこから動くなよ?
[近くに居ると分かったから、そう言葉を通信具に落として。
声は一度途切れる*]
― 狂気の研究施設 ―
[瞳を閉じ、気配を辿る。
普段ならこんなに離れていれば感じることは出来ないはず、なのだが]
……やっぱ、居る。
[怨嗟が齎す幻ではない。
それを再確認すると閉じていた瞳をパチリと開いた]
こっちかっ!
[どことも知れぬ扉を開く。
廊下から開けたその先には部屋が続く…はずだったのだが。
扉を潜ったところで転移の力が働き、レトは気配のする方へと飛ばされた**]
― 狂気の研究施設 ―
[硬く角張った建物の屋上に下ろされた。
やっぱり、素直に目的地に下ろしてくれはしないらしい。
そうこうしている内に獲物が喰い尽くされたら
どうしてくれようか、とは]
(……未熟者の恨み言だ)
[魔王の余興に与する魔物は悪くない。
制裁は、直接盗人に降さなければ意味がない。
屋上で、流れてくる風に鼻を利かせる]
――……
[近い。]
― 灼熱の闘技場 ―
[周囲の歓声も、熱も、色褪せていった。
どこまでも興味が失せていく。むしろ害悪でしかない。
今は我を通していい時間であり向けるべき相手は唯一人]
はっ…!白々しいことだな。
[シニカルな笑みを刻む。残念?>>73覚えていない?>>74
前者の言葉だけとれば、自身がその程度の記憶にも残らなかったものとはとれる。
だが後者の言葉は不可解でしかない。そのようなことをごまかす理由がない。
彼のものとの関係をあちらが忘れているのをこちらは知らない齟齬は、だがそこからこの期に及んで人違いであった。ということまで発展はしない。
などという考えは欠片ほどもないのは、相対して、焦げ付くほどの熱>>75が訴えている。]
[かっと目が見開かれる。
思考は刹那の内に別れを告げ]
ああ、貴様は私の敵だ
[齟齬のない意見の一致>>76。だが感情は一致しない。
だがこちらは抱くのは歓喜ではなく失意にも似た苛立ち。
俊敏に迫る彼のものの動きを冷徹な独眼は見極める。]
[迎撃するように剣を迫るダルスバーレイに向けて斬りあげ後の先をとる。
剣にあて跳ね上げる。あるいは避けたならばそのまますぐに次の攻撃に移れる。
それがベストの動きであるとわかりながら、あえて違う動きを選ぶ。
剣の冴えではない。ただ死地に踏み込む度量だけをもって、相手と同じように剣は軌跡を描き
ギィィィン!と音をたてて剣を剣を噛みあわせた。押せば退き、退けば押す、拮抗を作るを選んだ]
[唯々諾々と従っていたというわけではない。ただ軍務に付き生きるのが最善の道と思っていた昔。
その頃の自分は当たり前の結果を当たり前のこととして出し続けていただけにすぎず、その成果には意志も想いも伴っていなかった。
よって感情や想いの力など信じていなかった。だからこそ自分にはないものを剣に込められる彼のものを測り違えた。
その代償が喪われた瞳。それと変わるように得たのは、意志という力。
しっくりくる状況。だが全てが同じにはなりえない再会はひどく怒りを抱くもの…望むものからはひどく遠かった]
私の剣も、貴様の剣も、このような血に飢えた享楽に飢える観客に見せるためものではない。
[それすらも、亡くしたか、捨てたか。あるいは見せかけのもの勝手にこちらで勘違いしていただけだったのか。]
…そうだろう!!答えろ!シュテルン・ダルスバーレイ!!
[冷徹な独眼に怒りの色がこもり、対照的に眼帯からは新たに血の涙が流れ落ちた**]
[屋上のドアを開けるには人型に変身する必要があった。
耳と尾を残して二足となった狼を出迎えたのは、
剥製や機械で造られた、侵入者を排除するシステム]
――どけ!
[勝手に入ったのはこちらだが、下ろしたのは蛇だ。
ついでに言うとこんな余興を始めた魔王の責任だ。
なので、気にせず剥製を引き裂き、機械を蹴り倒して進む]
気持ち悪い音……!
[毒々しい電波に顔を顰めつつ]
― 魔界・太古の樹海 ―
[探し人に関して名前だけしか聞かなかったという片手落ち。当人が名乗りあるってなければ、名前はそれほど情報にはならないだろう。
樹海の奥か他の場所か、相手がどちらへ向かうのであれ一段落ついたのならば、座れそうな岩に腰を掛けて瞳を閉じて念じ始める。]
―――聞こえますか?リヒャルトさん
[閉じられた世界で兄と会話する際、力の加減をしなかったのに途切れ途切れだった事から、人が相手では届くかどうか怪しいと、最初の言葉より遥かに強く力を注いだ。
魔界全域を覆うつもりで“声”を届けようとしたのだけれど、世界が閉じた影響だろうか、せいぜい隣接するエリアまでしか届かないだろう。]
――――――?――――――。
[故に、更に離れた場所にいる探し人の元には、何かが何かを話しかけているという事だけは届くかもしれない。
その何かさえ届かないかもしれない]
…………
[空振りだったような、何かを掴みかけたような、先の呼びかけとは違う感触に、金貨は長く息を吐き、それから再度瞳を閉じた。
自らの声の残滓に絡め取られる何かを、練り上げそして掬い上げ、ゆっくりと手繰り寄せようとする。
――方角だけでも探れたならいいんですが
やがて何かがひっかかる。
手繰った先は>>0:#010(10x1)、魔界の空気は金貨の願いを聞き届けてくれるのだろうか]
…ええと、確か……そちらは……城が、あった…?
大丈夫なんでしょうか、リヒャルトさん……
[手繰っている本人は知る由もないが、方向さえもあっていない。魔界の空気は厳しかった**]
― 魔王の城・玉座の間 ―
[魔界が正しく閉じたのを知覚して魔王は満足げに笑む。
そうして足元に傅く黒髪の青年を獅子の前足で引き寄せた。
人としての腕は虚空を指し示す。
空間にいくつもの窓が開き、それぞれ別の場所を映し出した。
魔界にやってきたものたちの姿が窓の中に捉えられる。]
面白きものどもが揃ったことよ。
なにを以て歓待するとしようか。
[思い思いに相手を求め、それぞれのやり方で動いている。
中にはやんちゃなものもいるようだが、それもまた好し。
喉の奥で機嫌のいい唸り声が響いた。]**
― 魔界温泉郷 ―
[視界の反転。見えていた風景が一瞬にして暗い空へと強制的に変わり、体が下へと落ちる感覚]
―…っ?!
[落ちる感覚は、刹那。すぐに衝撃とともに、水飛沫があがる]
…っ、…!
[驚きの声は声にはならず、口から空気の塊が泡となって上がるのみ。慌てて腕が水を掻こうと動くものの片腕にしっかりと抱えたままだった小さな黒犬を放すことはなく、多少手間取りながらもなんとか顔を水中から出すことには成功した]
―ぷはっ!げほ…
[少しの間、咳き込んで。狭い水場だったことが幸い、岩場に片手をつく。なんとか、そのまま水から体を持ち上げようとして――]
えっ。
[軽い力。だったにも関らず、身はふわりと水から飛び出した。飛び出したというか…空中へとふわりと浮き上がる]
ちょ、これ、な…
[じたばたと片腕がなにかを掴もうと動くものの、岩ばかりだった風景に木のようなものは見当たらず。一瞬の混乱を抜ければ、ただ風に靡くよう、ふわりふわりと体が地面から離れて浮き上がっていると認識した]
なに…
[泉の効果なのだろうか。足が地面につかない不安感に怯えるよう、腕の中の仔犬をぎゅっと抱きしめる。その犬もびしょぬれであるが、青年ほどは取り乱していないのか、小さく声をあげる]
……。乾いたら…下りれるんでしょうか。これ。
[試しに移動をしてみようと腕を動かすも、意思とは別にふわりふわりと風に流されるのみ。どうしようもなくため息をつき――困ったような姿は、先程出会った時とは微妙に色を変じた修道士の目には、入っただろうか]
― 風の向く方・1(10x1) ―
― 霧の沼地 ―
[少し遅れて扉を潜ったためか、
元々出口が厳密に固定されていないのか、
転移した先に人間の姿はない様子。
どちらにしろ、自分の目的にとっては
他の人間の存在はどうだって良いのだが]
――――
[湿った空気に鼻を鳴らして、耳を澄まし、
意識を集中しようと目を伏せる]
― 塔の街 ―
[ふわりと。風に流されて辿りついたのは、先程歩き回ったばかりの街並み]
戻れ、ましたね…
[ここは比較的安全だと、先程言われた場所だ。隠れられる場所もたくさんあるし、雨が降っても濡れなくてすみそうであり。眠るならここがいいのだろう]
あとは…この街にいる間に、下りられればいいんですけど。
[そんな希望を呟いてみるが、風以外に頼るものもなくふわふわと流される]
[脚の下で青年が甘く啼いた。
太い脚の重みと鋭い爪の痛みに息を弾ませている。
ごろり、と前脚でさらに転がせば、床に血の筋が長く伸びた。]
立て。
[前脚をどけて命じれば従容として立ち上がった。
その首輪に繋がる鎖を引き上げ、半ば吊り下げる。]
欲しくなったのだろう。
[問えば、青年は首輪を必死に掴んで息を繋ぎながら期待に蕩けた顔で頷いた。
『欲しい、です』と、甘えた声が懇願する。
魔王は、目を細めて笑った。]
/*
魔王が喋るだけで頬の筋肉がつらい(重症)
……ここで普段なら3(3x1)を振って
誰と鉢合うかってロールを回す所なんだが、
絆村なので確定で相方をry
ずっと幽体も素敵に絶望だけど相方動けんし
相方とレトは人型、アデルは狼型で再会したい
*/
[空気を裂いて鞭がうなる。
青年の裸身を打ち据えた音は鈍く、重かった。
振われた鞭は魔界の金属で編まれたもの。
歪な網目のところどころに、太い棘が埋め込まれている。
魔王の腕で振るわれたそれは、一撃で青年の肉を引きちぎり骨を砕いた。
一瞬上がった悲鳴は、首輪に息を断たれて途切れる。
今や完全に宙吊りとなった青年に、二度、三度と鞭が襲いかかった。]
[一打ちごとに青年の体が跳ね、鮮やかな赤が飛んで魔王をも汚す。
だがそれも回を重ねるごとに弱弱しくなる。
十数度に及べば、ついには動かなくなった。
紫色に染まった顔の中心で目が裏返り、口の端では血が泡立っている。赤黒い襤褸となった体は完全に弛緩し、零れた液体で床はぬめっていた。
見る影もなくなった青年の体を抱いて、魔王は玉座から立ち上がる。]
余は下がる。
あとは良きように。
[側仕えらに言い置き、玉座の後ろにある扉をくぐって消えた。]**
/*
そこは相方を出そうよ乱打神……
一時的相方交換とか面白そうだけど
それを楽しめるのは多分ウチのペアだけだぞ……
*/
/*
相方が、魔王様の華麗な日常が見たいと言うので書いております。
魔王様はだいたい毎日こんな感じです。
オスカーらぶ。
そうそう。もともとは議事国出身なんです。魔王様。
巨大猫族な魔王様とド変態オスカー君の日常風景は、このあともたぶん時々。
[color=#00ff00] ――――――?――――――。[/color]
[ふと、声が。いや、気配が。聞こえた気がして、風に耳をすませるものの。辺りにはやはり人影はなく、気のせいかとため息をつく]
[color=#ffff99]――、―ぃ[/color]
[人に伝えようなどとは思っていない思考が頭の端を過ぎる、それはちゃんとした言葉にはなっておらず。魔界の風は、その心を映すだろうか]
/*
いや、ちょっと実験
[ふと、声が。いや、気配が。聞こえた気がして、風に耳をすませるものの。辺りにはやはり人影はなく、気のせいかとため息をつく]
――、―ぃ
[人に伝えようなどとは思っていない思考が頭の端を過ぎる、それはちゃんとした言葉にはなっておらず。魔界の風は、その心を映すだろうか]
/*
Aquamarine
カラー、これを使ったとメモ。ベネディクトがグリーン系だから、ブルー系で。もうすこし、弱々しげな色にしてもよかったかも。
[ふわりふわりと流されるまま、何かが聞こえたような聞こえなかったような不思議な感覚に首を傾げて。
服が乾くまでには、もう少し時間がかかりそうだ*]
[『迎えに行く』。
それに、返せる言葉は浮かばなかった。
ずれたままの認識は、そこから違う事象を連想させてもいて]
…………。
[結局、何かいう事も出来ぬまま、ただ、小さく息を漏らすだけに留まった]
― 霧の沼地 ―
……動かない方が、いいんだろう、な。
[小さく呟く。
元より、動く余力がないとか、途切れない頭痛が動きを阻んでいるとか色々ありはするのだが。
心の何処かが、ここにいないといけない、と主張しているような気がして。
けれど、それと同じくらい、ここから逃げ出したい心地もしていて。
複雑に混濁した記憶と感情は、重い楔の如く。
白の帳の内に、その身を縫い付けていた。*]
/*
なんというか、その。
見事に真逆いってるそこのペアが凄いwww
そしてやっぱり金貨さんかわいい。
状態がまともだったら、遭遇したかった……!
/*
拾われてしまったなら、拾い返すっ!
しかし、こことの接触はある意味複雑なぼくです。
そういえば、ベルティルデさんの巫女設定を見た時、「やばい被る!?」と思ったのは秘密。
結局、こちらが加減調整すればいいだけ、と路線そのままで行ってますが。
− 魔界温泉郷 −
[岩の頂に立つ魔人の周囲に闇の力が収束する。>>49
とっさに身構えたが、それは攻撃の業ではないようだった。
闇の扉をくぐって消える間際、垣間見えた薄い笑み。]
知って、 いるのか──!
[投げかけた声は硫黄の風に散る。]
[闇の魔人の立っていた場所へと駆け上り、指輪と手袋を外して闇の残滓を吸い上げた。
冷たく重い力──その中に漂う寂寥と渇望が感じられる。]
あの魔人もまた誰かを追っている? 輝かしい存在を──
[それが自分の探し求める相手に繋がるかは定かではないが、魔人の使った闇の道を辿るべく働きかける。]
[じわりと冷気が腕を這い上り、荒々しい衝動が突き上げた。
歯を食いしばって耐える。
掴めた。
と、背後で派手な水音があがり、振り向けば、先ほど塔の町で会った聖衣の若者が、その庇護対象たる双頭の仔犬もろともに空を飛んでゆくのが見えた。>>98>>99
どうやら、魔界はあの若者を放っておきはしなかったらしい。
若者の行方を見定める間もなく、すぐに闇の経へと身体ごと呑まれ、視界が切り替わる。 >>0:#0の9(10x1)へ]
− 黒い太陽の平原 (>>0:#0の9) −
[闇の経が身震いするようにうねって弾き出される。
どこか意気地のない草が修道士の身体を受け止めた。
見渡す限りの平原。彩度の低い視界。だが、夜ではないと感じる。
振り仰げば昏い太陽があって、肌を灼く。]
──……、
[うっすらと肌に浮かぶ銀色の紋様を隠そうと、フードを目深に被った。]
[目に見える瘴気の濃さから、だいぶ深淵に近そうな場所だと思う。
だが、広大なエリアを歩いて調べるのでは時間がかかりすぎる。
制御できる限界が近い──それを自覚しつつも、指輪と手袋を外して瘴気を呼び込んだ。]
…く、
ここに、 いる…!
[手応えを得て刮目し、読み取った情報の教える方向へと疾駆する。
膝が地面を擦りそうなほど前のめりなその姿勢は、どこか獣めいていた。
たなびく髪も双眸も、いまやほとんど黒に近くなり、眉間の皺は深い。]
背中、が…冷たい…?
[背部にひやりとした感覚を覚え、背に手を回すが濡れてはいない。]
もしかして、戻れそう…
[毒の効力が切れてきたのだろうか、幽体となった彼女の身体は徐々に色を薄くしてゆく。]
[彼女が近付く足音に気付いたのは、その直後だっただろうか。
それは人間のものには聞こえず。]
…… お願い、早く元に戻って…!
[祈る様に自分の身体を見下ろした。]
/*
セルウィンも追ってきたなら踏まれるとかやりたかったって思ったけどあっち今人型だった狼じゃない(しょんぼり
そんなネタ師です。
― 霧の沼地 ―
[扉を開け飛び込んだ先は真白に彩られた場所だった]
ぶあっ、
前見えねぇっ。
[湿気が強く、足元がぬかるむ。
アデルが居ると思っている森とは違うようだが、気配はこの場所から伝わってきていた]
足元も見えねーのはきっついな…。
……しょーがねぇ、あんま音出すとめんどくせーことになりそうだけど。
[近くまで来ていることだけでも届けば、と]
― 黒い太陽の平原 ―
[寄る辺もない広大な領域で、引き裂かれた孤独な魂はあてどもなく漂い彷徨っていた。
色調の暗い光は方向感覚を狂わせ、目標物の少ない風景は位置感覚をつかみにくくさせる。なによりも、自分がどこへ行くべきなのかわからない。
風に吹かれるまま草の海を漂流する魂は、あるときふとその場に立ち尽くした。]
[強い魂が近づいてくる。
こちらを目指して、真っ直ぐに。
懐かしい、なじみ深いものだと感じ、
同時にひどくおそろしいもののようにも思う。
気配はやがて目に見える形となって知覚された。
草の波を断ち割り疾駆する黒い獣。
凶暴な意思と牙を持つ魔獣。
そう、見えたのだ。]
[初めて視線を交わしたその瞬間に、
己の存在を刻み込む対価として奪った右目。
傷つけた事の後悔もあるが、
馴れ初めの傷は愛おしくもあった。
逢瀬の合間に指の背で、
無くなった右目の傷に触れるときには眉が下がった。
ごめんと口から零れる声は、少し震えて頼りなかった。
感情だけは体に残るが、その意味を思い出すのはまだ先の事。]
[戦うための人間が、戦いに意味を持てばそれは喜びに繋がるのだと。
先の戦いより明確な敵の存在に、全てを失ってしまっていたこちらは
己の存在の輪郭を得て、対する男とは反対に感動すら覚えていた。
敵だという明確な宣言を確認すると、より強く戦う意味を見つけ、
笑んだまま、敵のバスターソードの下を滑るように掻い潜り、
そのまま持ち手の腕に一戦を刻もうとした。
だが相手は自分の剣を斬り上げる事はせず、真っ向から受け止め、こちらを押し返す。
自然眉間に皺がよるのは、これがこの男と剣を交える際に慣れていないやり方だったからだ。]
――チッ
[何とも言えない遣り難さを覚えて、状況は拮抗する。
単なる力押しならば、体格の問題でこちらの方が分が悪い。
素早さで押し切ろうとするのが常だが、相手はそうはさせまいとこちらの間合いを読んでくる。
更にこちらには怪我というハンデがある。
剣が重なり奏でる高い音は、傷ついた頭の奥によく響いた。]
/*
これだけ幽体離脱多かったりすると、プロで魔王様から個別ミッションあったんじゃないかと考えてしまうなw
イングリッドも何か異変あったっぽいし。
変化無さそうな人も居るんで確信には至らんのだけど。
そしてジークムントが★振り切ってたwww
俺何にも仕込んでないんだよなぁ。
仕込みようが無いとも言うが(
剣は相手を殺す為の道具で、
僕らはそれを振るい敵を殺すのが役目だ。
殺し合うための場所なんて何処でもいい!
[強く意識しないまま口から流れるように出た言葉は本能のような物。
表層が忘れていても、体に刻み込まれた物は根深く残ったままだった。
自分は戦うための人間で、敵を殺すための人間で、
だから目の前に敵がいるなら殺し合うのが当たり前だと。
記憶と共に在った装飾が取り払われた今、
言葉を交わすように重ねる剣は力強くはあったが、
同時に以前持っていた強い意志はそこから失われていた。]
[ダルスバーレイは某国にある古い家柄の姓で、
シュテルンはその嫡男に代々受け継がれる名だった。
その事を、今の「シュテルン」が知る事もないが。]
シュテルン・ダルスバーレイ
そう、それが僕の名前。
でもそれは、本当に僕の名か?
[覚えのある名前は、だが馴染みが薄い。
眼帯から流れる赤い色を見ながら、滑り落ちる声の色は限りなく薄かった。]
[あの時は必死だった。
成果を上げなければ自分は無能の用無しなのだと言い含められ。
先に散った仲間の無念に、血が出る程に唇を噛み締めて。
期待以上の成果を上げるべく、どんなに危険な場所にも進んで向かった。
そして蛮勇とも勇猛ともいう評価がちくちくと積み上がり、それらはすべてシュテルンを形作る物となった。]
(こんな所で、わたしは絶対に死なない。死ねない。)
[国の為に、家の為に、シュテルンの為に
――――それ以上に己の為に。
剣を取り、敵陣の先頭に立ち、味方の士気を上げる英雄の如く戦地で振る舞う。
それは傍目には高潔に、理想に立つ若獅子のようにも見えただろう。]
Verändre eine Ansammlung, Formmacht.
[混乱に陥った思考が選んだのは、拒絶。
早口の詠唱に応じ、魔導書が淡い光を放つ]
Ich lasse einen Pfeil laufen, den Himmel von der Macht, alles zu Ende zu führen, und Gehen!
[呪に応じ、生じたのは魔力の矢、2(6x1)本。
ぎゅ、と目を瞑ったまま、声の聞こえた方へ向けて文字通りの盲射ちで解き放つ。
反射行動の詠唱や集中の乱れから、威力や精度は常よりも遥かに劣るもの、ではあるのだが。*]
[自分とほぼ同じくらいの年の若い男の、その立ち居振る舞いと服の綺麗さから、殺すべき相手と認識して剣を振った。
本当は一撃で首を狙ったつもりだったが、目測誤り切っ先が捉えたのは右目だった。
殺し損ねたと睨み付ける瞳には、何においても敵を屠るという強い意志が、今相対する男の如く燃えていた。
そんな記憶も今は、遠くに置き去りにしてしまっていた為、残っているのは敵を討つという本能と、自ら敵だと認めた相手への執着だった。]
[無くした記憶の手がかりになる男の口から出る言葉に興味はあったが、それよりも敵として屠るという本能に従い体が動いていた。
剣戟を打ち込みながら、だが素早く回り込む事は留められる。よほど腕が良いのだろう。]
お前は僕と話をしにきたの?
それとも僕を殺しにきたの?
[拮抗する状況に苛立った声で、近づいては離れる最中に刃のような言葉を向ける。]
殺しに来たのなら殺せばいい。
今の僕には、何もないんだから。
―――そうだろう、リヒト?
[ぽつりと落ちた言葉もまた、脳の奥から零れた意識しないもので、
口から出た言葉と記憶の乖離に、表情は歪んだ*]
− 黒い太陽の平原 −
[草を薙ぎ倒し丘を跳躍し、求め焦れるままに最短距離を駆けた。
やがて視界に捕える朧な白い影。>>121
その佇まい、浮かぶ表情に違和感を覚えるも、残る距離を瞬く間に後にして身を投げかける。]
[だが、渇望する爪の先から、彼は逃げた。
彼の唇を洩れた嫌悪の言葉に、愕然とする。>>122
いつでも微笑みを浮かべて出迎えてくれた彼が。
聖務に背を向けたことのない彼が。
そして、至近距離で見れば、彼の動きの異様さも明白だった。
まるで風に流されるように遠ざかってゆくではないか──]
― 霧の沼地 ―
[声を張り上げて少しして。
背後から水飛沫が上がる音が聞こえた]
……やぁっぱ、そうなるよなぁ。
[ぱしゃん。ぱしゃん。
音はレトを囲むように響き始め。
次第に水音の合間に風を切るような音が聞こえ出した。
周囲を飛び交う気配が徐々に多くなっていく]
1…2……あー数えるだけ無駄か。
どうせ殴り飛ばすだけだ。
[どれだけの数が居るのか、数えるのは諦めた。
この状況を打破するには襲いかかってくるものを排除するより他無い]
[ひゅ、と左から風を切る音。
反射的に左腕を上げ、音がした方にガントレットを翳す。
ガキン、と何かがぶつかる音と、噛み付かれたような衝撃。
思いの外強いそれに眉を顰めつつ、噛み付いたものを払い飛ばすように左腕を大きく振った]
せぇいっ!
[同じように飛び掛ってくるもの──顎の発達した魚の魔物に対し拳を繰り出したり、受けて弾くなどして攻防を繰り返す。
しかし敵も数が多く、捌き切れない時がどうしてもあった]
くっ…!
んなろっ!!
[魔物の牙が左肩を抉る。
齧り付いたそれを無理矢理引き剥がし、拳を叩き付けて遠くへと弾き飛ばした]
くっそ……!
[右手で傷口を押さえ、何度か肩で息をする。
だが休んでいる暇は無い。
好機と見た残り数体の魔物が一斉に飛び掛って来た]
ぐぅっ……!!
[しゅう、と両腕から白煙のようなものが上がる。
魔力矢の威力は耐え切れるものではあったが、先に受けた肩の傷に響き、レトは呻き声を上げた。
飛来したもう1本の魔力矢は魔物が居た場所を貫いたようで、周囲から水音が無くなっていた]
……いま、の……っ
[誰が放ったのかは直ぐに分かった。
この半年間、間近で感じてきた魔力だ、間違うはずも無い]
くそっ、なん、で
[困惑がレトの表情に表れる。
纏まらぬ思考のまま肩は止血程度の治癒魔法をかけて、一度深呼吸をした]
さっきから、何かおかしいとは、思ってた、けど
[何かがアデルに起こっている。
魔界が齎したものなのか、それともこれまでの不満が爆発したのか。
アデルの様子からは後者よりは前者、と推測が立つ]
[哀切に見開いた双眸を、強い冷徹が上書きする。
ここは魔界。
彼の身、あるいは記憶になんらかの術が施された可能性は否定できない。
否、そう考える方が妥当だろう。]
[闇雲に追うのを止めて立ち止まり、彼に呼びかける。]
わたしを 見てほしい。
[そして、銀のナイフを抜くと、自らの手首を切った。]
[黒ずんだ血が滴ると同時に、身に溜め込んだ瘴気も零れ出す。
何度もは使えない緊急回避の業だが、彼を引きずり倒したい衝動がいくらか抑えられる。
その場に膝をついて、懇願の眼差しで彼を見上げた。]
おまえを助けにきたんだ。
― 浮遊する群島 ―
[長きに渡る媾合は、来訪者により途切れた。
毒含む牙を抜き結合を解いて、訪れるものを待つ。
解放された獲物は、しばらくは強請るように蛇の尾へ手を伸ばしていたが、やがておとなしく床に上に蹲った。
連れてこられたときと同じように、絨毯の上に座り込んでぼんやりと魔蛇を見上げる。]
[そんなふうに魔物たちが話し、出ていくのを、獲物となったものはただぼんやりと眺めていた。
汚れた司祭服は既に蛇の手によって剥ぎ取られていたが、乳白の裸身を隠すようなこともせず、むしろ意思など欠片もないような顔で絨毯の上にいる。
あるいは、狼も気づいたかもしれない。
この獲物の心が既に壊れている、あるいはどこかへ行ってしまっていることを。
蛇が狼と連れだって出て行っても、その間に逃げ出すそぶりなどはひとつも見せず、獲物は扉の方を向いたままでずっと座り込んでいた。
見ようによっては、蛇の帰りを待ち焦がれているようにさえ見えただろう。]*
― 霧の沼地 ―
……は。
[混乱のままに解き放った力の行く末を確かめる余裕もなく、一つ、息を吐く。
手にした魔導書には、淡い緑の魔力光を灯したまま、周囲を見回した]
と、りあえ、ず。
捕まらない、よう、に。
[ぐるぐると巡った思考がたどり着いたのは、そこだった。
魔界に落とされてから、やたらと拘束されたりなんだり、が多かった事もあり、それへの忌避に意識が特化したらしい]
……連れ戻されたら。
もう、出られないんだか、ら。
[そんな呟きと共に、どうにか立ち上がるものの、体力の落ちた状態で、不確かな足場を進めるはずもなく。
近づく気配>>143を霧の奥に捉えて慌てたものだから、足元はより怪しくなって──]
……て、あ。
[見事に転びました]
[幸か不幸か、水に落ちるのは免れたものの。
派手な水音は、はきと届くはず]
い、けな……!
[これは違う意味でまずい、と思いつつ。
どうにか身体を起こして、魔導書を抱え込んだ。*]
― 黒い太陽の平原 ―
[ごく近くまで来てみれば、それは人の形をしていた。
ただ、纏う気配は人でありえないほどに濃く昏い。
こちらに向かう動きも飛びかかってくるようで、いっそう距離を取った。]
[拒絶を繰り返し、しばらく逃げているうちに、
追ってくる相手突然立ち止まった。
見ろと言われて視線だけを向ける。
彼の手に銀の光が見えた。
次いで溢れ出る血の色も。]
あなたは、 ───どうして…!
[自分の身が切られたような痛みを覚え、手首を押さえる。
混乱し、立ち尽くす自分に彼の瞳が向けられる。
助けにきたと、想いが心に響いた。]
わたしを …
[ふわりと。
すこし彼の近くへと漂い戻る。]
あなたは、だれ ですか?
[手の届く距離よりは少し離れて、そのひとを見下ろした。]
― 太古の樹海 ―
>>50
[声がした。
誰かを探している声。聖職者、リヒャルト。
ああ、そういえば、さっきの黒い仔犬をもった人の名をきいただろうか。
もうひとりの修道士らしき人物は、ジークムントだと、覚えてはいたが。]
聖職者、…ああ、司祭みたいな人を探している人もいました。
この魔界は、聖職者を今、飲み込んでいるのですか?
[振り向き、杖の輝きがその男へ流れるのを見る。
そう、人にはない、引き寄せ。
彼は、人、にしては、引き寄せる。]
すみません。
聖職者らしき言葉を投げる人にはさっきあいました。
けれど、名は…。
[樹海の空は赤黒く、ゴゥと風は巻いた。]
― 霧の沼地 ―
[足元はぬかるみ、視界は真白に染まったまま。
魔力の残滓を辿るなんてことは出来なかったから、ただ魔力矢が飛んできた方へと足元に気をつけながら進む]
何が、どうなってっか、分かんねぇ、けど
[拒絶されても、行かなきゃならないと思うのは、今のアデルがあまりにも不安定だから。
アデルの持つ力を考えれば、一人にしておく方が余程危険だ]
[足を踏み出した、瞬間]
っ !!
[そこには段差があったらしい。
岩の上で足を滑らせ、1m程の高さから滑り落ちる。
その最中、ゴッと重々しい音が鳴り響いた]
〜〜〜〜〜ってぇぇ……!
[左肩の痛みに勝る鈍い痛み。
レトは両手で後頭部を押さえた*]
[その彼は名は名乗っただろうか。
そして、聞けるのならば、さっき、名は聞かなかったが、そのリヒャルトに投げた問いと同じものを。
貴方は人間かと。
答えは得られずとも深くは問わない。
そう、こちらも、探し人がいるのだから。]
――魔族が人を嫁にしたいと思う理由はなんでしょうか。
わかりますか?
[そして、自らは名乗り、また樹海へと脚を進める。]
− 黒い太陽の平原 −
[自ら呼び起こしたこととはいえ、彼の困惑の叫びを聞けば胸が痛んだ。
漂い佇む彼の姿を透かして、背後の平原が見える。
その存在の、問いかけの儚さに吐息が零れた。]
[唇の動きだけで、真の名を告げる。
そして、できるだけ静かな声で語った。]
おまえは至聖庁特務機関の司祭。
わたしと組み、邪悪なもの、迷える魂を浄化していた。
幾度となくわたしを浄め、支え、祝福してくれた──兄弟だ。
そして、おまえは、わたしが留守にしている間に何者かに攫われたのだ。
ゆえに、わたしはおまえを追ってきた。
ブラザー、 おまえの身に何があった。
おまえの身体は、どこに隠されている?
一緒に、取り戻そう。
[届かぬと知りながら、手を差し伸ばす。]
わたしは──おまえなしでは耐えられない。
―記憶の書庫―
うぁ……。
[樹海から落ち、これは駄目だと目を閉じた。
すると、身体は落下をやめ、見上げれば、そこにはあきらかに屋内で。
しかも重厚ともいえる天井が映る。]
ああ……そうか。
魔界は空洞世界なのだったな。
[現世とは物理法則が異なっている。
それを解析するほどの知識はないが、こういったストロー形式の移動ができる箇所があるらしい。
あの樹海で途方にくれることを考えれば、これは幸運だったのだろう。
そして、見渡す、書庫の海。
薄暗い中、巡る空気は決して澄んだものではなく、
澱んだ温度に額の汗を拭った。]
[逃げるなら今の内、と、心の奥で何かが訴える。
それが何によるものなのかは、判別はつかないけれど、それを全力で支持したい自分も感じている。
けれど]
…………。
[それと共に、逃げちゃいけない、と主張する意思もまた、自分の中にはあったから。
ぱしゃ、と水音を立てて、そちらへと近づいて]
あ、の。
[呼びかける声は多分、今まで聞かせた事のない、か細いもの]
なん、で。
私の事、追いかけるんです、か。
[問いかける言葉遣いが一部、いつもと変わったままなのは、気付いてはいなかった。*]
/*
それをやられたら、さすがにこっちから行かないと、になるじゃないですかーw
いやまあ、物凄い勢いで逃げ回ってたのは認めます、けど……!
―記憶の書庫―
[Archivspeicherというべき場所であることをすぐに理解はできない。
ただ、非常に多くの記憶、情報が、詰められ、そして、それが静かにではなく、熱く脈動しているものもいることを感じた。
静かであるのに、限りなく伝わる多くの魔界のレジェンド。
魔に侵された右脚はギシリ、軋むがその痛みはない。]
――……ここには、いないな。
[そんな勘は、フレデリクが最も縁遠い場所に感じたなどとは、口には出さず。
そして、そこではあえて、見える扉を開け続ける選択を。
脚はよろめいたが、わかりはじめたのは、魔界の迷路に迷い込んだこと。
でも、ここで脚は止めるわけにはいかない。
5(10x1)>>0:#0へ]
― 灼熱の闘技場 ―
[そして、男は、最も出てはいけないところにきたような気がした。
闘技場。
ああ、戦わねばならぬところだ。
そのフィールドに、杖をついた男が現れれば、
これは獲物とばかり、動き出す魔物は多数いるだろう。]
――……さて、どこまであがけるかな。
[かえって、笑みがこぼれたのは、まるであきらめたかのようにも見えただろう。]
[ゆるりと首を擡げると、捜していた姿がそこにある]
アデ───
[見つけた安堵と共に名を呼ぼうとしたが、それは投げられた言葉に途切れた]
(…何か、雰囲気が───)
[か細い声、いつもとは違う一人称、これまで見せたことは無いだろう表情。
しばし言葉を失う間が開く]
……何で、って。
さっき、言っただろ。
一緒に帰るためだって。
[戻って来た思考を巡らせて、問いかけに通信具で伝えた言葉をもう一度紡いだ]
………アデル、
[問いかけようとして、言葉が止まる。
何をどう聞けば言葉を引き出せるのだろう。
アデルが自分を警戒しているのは火を見るより明らかだ。
いつもと勝手が違うことに戸惑い、座り込んだままアデルを見上げていた状態から首を折り、視線を地面へと落とす。
後頭部に瘤があるのも忘れて、右手でがり、と一度掻いた]
…どーすりゃいいんだ。
[ぽつり、と小さく呟く*]
[最初に見つけた時の、あの記憶に描ける色がない]
(死んでないけど、中身)
[柔く匂う香は間違いなく同一のもの、だが、
このまま喰らおうとは思えずにいる]
(殻だ ……これじゃ意味ない)
戻さないと
[呟きが落ちる]
― 太鼓の樹海 ―
[息を散らして旧い森の中。
遠くで怪鳥の音も聞こえるが、興味は薄い。
自身が求め、迎えるのは唯一つの閃光。
右手を持ち上げ、口内で短い呪を唱え、
渦潮を模す闇が羅針盤のように形を変えた。]
―――…理を越え、呼び声に応えよ。
[針のない羅針盤から溢れる漆黒の靄霧、
身体の中に溜める力を解き放ち、ザァとノイズを孕んだ闇が舞う。
途端、地獄で細い蜘蛛の糸に縋る亡者の如く、
空間に伸びゆく数多の巨腕。]
― 霧の沼地 ―
[知り合ってからの半年の間に見せていたのは、本質を隠すもの。
今は、それをする必要のなかった頃に退行している部分があるから、ほとんど素と言ってもいい状態で]
……一緒に、帰る。
[問いに返された言葉>>171を、小さく復唱して]
捕まえに来たのでも。
……連れ戻しに来たのでも、なく、て?
[そ、と問いを重ねる。
遠い記憶では、追いかけるものは、自分を捕えようとするもので。
近い予測では、自分を森の奥へと連れ戻すもの。
本当にそのどちらでもないのだろうか、と、思いつつ、少し距離を詰めて、その場に座り込み。
淡い緑の瞳で、じ、と見上げた。*]
重い!
[淑女相手にあるまじき暴言吐いた。
だってしょうがない、意識を持たぬ肉体は
その重量の全てをこちらに傾けて来る。]
[岸から離れた場所に獲物の体を置くと、
人形のような顔を凝視する。寝て治るとは思えない]
[自身の転移に難を覚えれば、次は趣向を変える。
自らの腕で、魔界に抱かれる陽の光を奪うまで、と。
空間に滲んだ腕は、己の意識に応じて次元を浚い、光を求め。
瞼を伏せ、指揮を取る音楽家如く、神経を集中させれば、
瞼の裏に広がる闇の向こうに―――、一条の光が差した。>>80]
[指先は閉じる瞼に]
どうしたらいい
[淡い陰を落とす睫をそと弾いて、頬を辿る。
果実の色の唇。呼吸が皮膚を擽る。
濡れて冷えた、温度]
このまま冷えて死ぬのじゃないだろうな
[それは考える範囲で最も悪い帰結に思えた。]
[魔界には存在しえぬ異質の光が、目指す彼以外の
興を惹かぬよう、地を俯瞰し上空を征く。
魔界の風は、気性が荒い。晴天に在れば親和も易く、
陽射しを運ぶ微風ともなる風が、今は行く手を惑わす螺旋を描く]
…直ぐに、戻るから。どうか、待っていて――…
[風音に紛れる囁きは、祈りにも似る。
身を喰らう程に溶け込んだ闇が、先を導いてくれる事を願い]
[見下ろす視界は彩を変え、薄暗い緑に覆い尽くされる。
幾夜を重ねた明かず森の静謐とは違う、静寂に潜むざわめき。
その奥にくっきりと佇む、摂理を超えて肌に馴染んだ気配]
―――、……見つけた。
[陽光を求める声は仄暗く空間に響き、彼女の鼓膜を震わせる。
強奪の魔手は、声と同時に彼女の身体を包み込み、
空間の狭間より無理矢理、引き剥がすように奪う暴挙。
強い闇の気配で迎え、先んじて寄り添うは濃い夜の香り。
彼女を攫った腕は力の根源に近づくほど形を崩して四散。
所詮、自身の性質と魔界に流れる魔力を兼ね合わせた即席術。
力の変換効率に難はあるが、保身よりも先立つものがある。
今度は二本の体温有する両腕が、愛妻へ向かい伸びた。]
[魔力を術式として使うことのない狼にとって、
これの目を開ける方策が手中にある訳もなし。
思い浮かぶは、この場所を示して見せた人間の
地面に鏡を作り出す業だった、のだが]
……
[探す宛もなし。]
[虚空に向けていた闇手が攫ったのは光。
離れて久しい愛妻の姿を視界に納めれば、自然と口元が綻ぶ。
まだ彼女に纏わり付く闇も退かせぬまま、
彼女を両腕で抱きとめようか。>>177]
―――イングリッド、捕まえましたよ。
[冴えた顔色は鳴りを潜め、彼女に向けるは満面の笑み。
彼女の足先を地にすら下ろさぬように、膝裏と背に腕で支え、
銀の瞳が彼女を覗きこんだ。]
―――捕まえましたよ、イングリッド。
[同じ声色のはずなのに、彼女に念を押すよう響かせた声が冥い。
うっそりと囁く眸は恍惚に満ち、深き執着の片鱗が滲む。
軽い妻の身を抱える男が、喉の奥より深い安堵の息を吐いた。]
/*
流石のeyesさん引きだった。
つ、次はもうちょっと力になりたい、頑張りたい。
(←迷子になってただけの旦那)
でも其の前に嫁を思う存分愛でたい心。
[一面の深緑に、幾条も渦巻く漆黒の糸が紡がれる。
糸は瞬く間もなく空を掻く腕となり、目指す光へ何処までも伸びた]
[上空まで張り巡らされた漆黒は、掌中に迷い込んだ糧を
決して取り零すまいと、細やかに紡がれる蜘蛛の塒によく似た――]
――……ッ、見つけた――……
[口内で洩らす囁きが、鼓膜を直に震わす低音に重なる>>178
絡みつく闇手に身を投げ出して、引き摺り込む力に抗わず、
真っ直ぐに堕ちていく。
捕縛の腕は、迎え入れる温かな腕に変わり、
鈍く柔い衝撃に目を瞑る>>180]
― 霧の沼地 ―
[重ねた問いに返された言葉>>181に、軽く、首を傾ぐ]
魔界から、戻るため……。
[少しずつ落ち着いて来た思考は、向けられる言葉を分析する余裕を少しずつ、取り戻して。
そういえば、自分は何をしていたんだっけ、どこにいたんだっけ、と。
それを冷静に考える余裕が戻り始めていた]
……え……と。
[そこに向けられた疑問は、ずっと考えていたもので]
……その、なんて、いうか。
頭の中が、ずっと、ごちゃごちゃになってて……。
[幻惑と混乱が招いた記憶の混濁は、少しずつ鎮まってはいるけれど。
まだ、はっきりとしない部分が多いから、はっきりとは言えなくて]
えと、その……。
『護ってくれるひと』で。
いいん、です、よね?
[小さく投げかけたのは、確かめるような問いかけ。
先にも言われた言葉は多分、混濁を晴らすキィワード。
自分に、そんな言葉を向けた相手は多くないはずだから、と思いつつ。
まだ少し残る頭痛を振り払うように、軽く首を振った。*]
[頭に反響する昏い声。身体の隅まで縛る深淵の響き。
混じる吐息に胸が掻き立てられ、唇だけで伴侶の名を形どる]
……、……
[誘われるように、震える瞼]
―魔王城・中庭―
どうしようかなー。
[魔王城の中庭で、
半透明存在はしゃがみこんでいた。
天窓から自分の体を見下ろす、
たぶんまだ、死んでない はずだ。
血とか出てないし、大丈夫気を失ってるだけ、と思いたい。
とりあえず今のうちに牢屋から脱出する方法を探すべき、だが]
あんまり……目を離してて、
取り返しのつかないことになっても、やだしな……。
[ぶっちゃっけて言えば、
一番心配なのは体の貞操である。
現状放置プレイをされているようだが――]
……なんで放置プレイされてんだろ、
結婚式の準備してるとかだったらますます殴りたい……
― 魔界・太古の樹海 ―
――…
[大変だ、どうやら転移した聖職者は複数いるらしい。杖をつく男の言葉>>154に金貨は軽くめまいを覚えた。
司祭を探す者?探されているのがリヒャルトなのだろうか?探されるような存在だっただろうか?――…知らない。
聖職者のような言葉を贈った者?彼は名も知らぬ人へと祈りを捧げる人なのだろうか?――…知らない。
彼の持つ魂が、存在するだけで世界の均衡を保ち癒やすだろうという事以外、自分は、彼のことを、知らない。
魂の選定に携わっていた。人となりまで見ることがなかった。必要としなかった。だから、知らない。]
……はい、少なく、とも、私の探し人は、神職についていた、はずです。場所も、この世界の、この理の、中で、あることは。
[自身の驕りからくる自業自得、無知さ加減に打ちのめされぶりは、先程までなら断定で話したであろうことさえ、あやふやになってしまうほどで。
だからだろうか、相手の持つ杖にまで意識を向けることができずに]
[睫毛を震わせ、徐に露わになった薄色に、
白銀に縁取られた顔が間近に映り込む]
―――…離して。 触らないで…!
[覗きこむ男に浴びせる硬い声と同時、
細腕に残る力の限りで、重なる胸をぐっと押し遣る]
[顔の造りばかりは温厚な色を見せるものの、
その実、手段を選ばぬ傲岸さを内に持つ。
彼女を娶ったときもそうであったように、
今も同じようにして威圧で周囲の木々を揺らし、奪い去る。
鳥が空を飛ぶことを悪と思わぬように、
魚が海を往くことを罪と思わぬように。
息をするより当然の行動で、愛妻を再び手に入れた。>>182]
―――…お帰りなさい。
いけない方だ、あれ程言いつけても私に孤独を撒こうとする。
[腕の中で微かに震える妻に顔を寄せ、囁きが口唇を擽り。
荒ぶる神経を如実に表す闇の断片は白い外套の裾を緩く引き。]
[強さをました風に巻かれ、崩れてしまった緑髪に手櫛をいれる。人か否かを問われたのはそんな時だろうか>>158。
自己嫌悪と乱れた髪に気を囚われすぎて、続く言葉は独白に近くなってしまった]
ある理において、私は物なのだそうですよ。
また、別の理において、私は神なのだそうです。
御使いだというものがいて、悪鬼だというものがいて
精霊と呼ぶものがいて、魔物だと呼ぶものがいました。
一番酷かったのは実存しないはずのもの呼ばわりですかね……
人間だと言われた事がないので、おそらくどの理においても私は人ではないのでしょう。
[人のふりで世界に立った際、一見人間に見える相手にわざわざ「貴方は人間だ」などと言う者には会わなかった。
それほど特異な状況に在った事がなかったというだけの話なのだけれど、金貨の認識は口にした通りのものだった。]
[吐息がぶつかる距離での言いつけは、ほんの少しの鋭利を孕む。
されど、彼女の唇が音なき声で、己の名を辿ると、
反射的に肢体を手繰り寄せて、唇を塞いでしまおうか。
陸に上がった魚のように、
風に流された鳥のように。
不足を補うが如く、唇を開き、生温い軟体を伴う接吻。]
― 黒い太陽の平原 ―
[側に近寄って落ち着いて眺めれば、彼の姿は最初の印象よりずっと穏やかに見えた。濃い鈍色の髪も目も、先ほどより禍々しさが消えている。
かわりに、したたり落ちる血からは強い魔の瘴気を感じて、小さく眉を寄せた。]
わたしの兄弟。
かけがえのない、わたしの、半身。
[語られる言葉は、希薄な存在に確たるものをもたらす。
途切れ途絶え散り散りになっていた記憶が繋ぎなおされ、意思と存在の重みが増す。
相変わらず、身体は渦巻く靄にすぎなかったけれど。]
わたしのためにあなたが流した血は、
わたしの魂を導く灯火となるでしょう。
[伸ばされた手に、指を重ね、
血に濡れた手首へと掌を滑らせる。
身体を失っている今の自分にも、浄化の力は残っているはずだ。
自分を探すために無理を重ねてきただろう彼の負担を、少しでも取り除きたいと願う。]
[深い霧の中、現れたのは青い髪を持つ青年だった。]
……ぁ、あの
[貴方は誰と聞く間も無く(聞いたとして聞こえるのかはわからないが)、青年は女の身体へと手を伸ばした。
思わず目を瞑る。
幽体の身体を青年の手は突き抜けて、女の生身の身体に触れた。]
[腕を絡めたような姿勢のまま、今までのことを彼に語る。
教会でのこと。霧深き沼地でのこと。自分がこの姿になった経緯。]
わたしを連れ去ったものの名はわかります。
強力な魔物ですが、長く封印されていたために力が弱っているようです。
ですからわたしを攫い、自分のものとして力を取り戻すつもりなのでしょう。
[そう言って、堕ちた天使の名を指文字で告げる。
口には出さない。音にすれば気づかれてしまうかもしれないから。]
あなたなら見つけ出せるはずです。
わたしの中にある記憶と知識から、かの魔の居場所を。
ブラザー・ジークムント。
どうか私を"吸って"ください。
[彼の前に膝をつき、視線を同じくして彼の手袋に自分の手を重ねた。]
少なくとも、私の知る人ならざる者は、人間とあまり変わりませんよ?
暇潰しに力に明かして嫁攫いなんてよく見ますし、差し出されたので娶りましたという話もありますね。
大恋愛の末だったり、一目惚れで独り善がりの愛憎に酔っての凶行なんて事も。
[続く問い>>158へと持ちだしたのは、金貨の知る人ならざる者……
その魔族を知らないのでなんとも言えません。……その方次第じゃないですかね?
[金貨の答えは彼の糧になり得たか否か。樹海へと進む背を見送った後、探し人の気配を手繰りはじめるのだった>>94>>95]
[彼以外に、この身を預けるなど赦されないのに。
男の腕に墜ちた自分への憤りと絶望が、身中を奔る。
動揺に白む頭に、男の声は意味を為さず>>191]
いや…ッ、離れて、来ないで――!
[身じろげば触れてしまいそうな唇から、必死で顔を背け。
確りと囲う腕の中で藻掻き、肩を引き剥がそうと腕を突く]
戻す…? 助けてくれるの?
[青年の呟きに目を見開いた。]
ありがとうございます、何方かは存じませんが、本当に助か…
[泣きそうな声で頭を下げまくりながら礼を述べたが、それは途中で途切れた。]
ん…… ん、ん…?
[何だろうこの耳と尻尾は。]
あ、なんか頑丈そうな鉄の像がある。
これ、鈍器として使えるかなー?
[中庭の様子を伺っていれば、草陰に発見。
呪われそうな禍々しいオーラを放つ真っ黒な像であるが、
空気読み能力など持ってない者には、ただの像である。
天窓からこれを牢屋の中に落として、
中から鉄格子をぶん殴って隙間から脱出。
――これがナイスアイデアと思えるのは、
つまり、甘やかされた成金末っ子はわりと頭が悪いからだった。]
よし、じゃあ早速――、
[すかっ]
[幽体は思い切り尻持ちついた、
当然の結果だったが物理的につかめない]
― 魔王城正門から少々離れて木の茂み ―
――…えーと
[手土産の一つくらい必要だったかも、と後悔しながらやってきた金貨は、門番が纏う剣呑な空気に手土産以前の話だと悟り、気づかれる前に逃げ出した。]
どうしましょう……
[裏口とかあるんですかね?と、遠い目になりつつ呼びかけを試してみる]
……〜〜〜〜っ!
[ずき、と頭が痛んで、顔を顰めた。
押し寄せてきた頭痛は、多分、異変の最後の抵抗。
抱え込んでいた本を取り落して、額を抑えるが。
手を離す事で起きる事態は痛みの前に二の次三の次、になっていた]
[青年が身体を抱え上げるとふわり、浮く様な感覚。
徐々に幽体のほうの身体は薄くなり、辛うじて彼女自身から確認できる程度となった。
一方で徐々に寒気に襲われる。]
お、重いって……!
そんなにはっきりと言わなくても…
[懸命の抵抗も適わず、ごく近くに在った唇が重なり合う。
熱を帯びた肌の隙間を縫って、滑る舌が這入り込む]
――――…ん、ッ、……!
[身の裡から一瞬で湧き上がる拒絶に任せ、
絡みつく軟体ごと柔い唇に歯を立てる]
[がっしりと両腕で抱え込んだ魔導書が抑え込んでいたのは、着衣の下の惨状。
魔力を吸収する習性のある魔界植物に絡めとられた際、その場にいた狼の助力でその縛から逃れるに至ったのだが。
その時発生した不可抗力と言うか、不幸な事故は、男女の別をぼかすために巻き付けていた布を無残な状態にしていて。
それをどうにかする間もなく状況に振り回されていた末の現状は──推して知るべし。
抑え込むもののなくなった現状、胸元の柔らかさは、しっかり自己主張をしていた]
― 灼熱の闘技場 ―
ふん。
[不機嫌そうに鼻で笑いながら言葉ではなく沈黙の肯定を返す。
あくまでそういう態度>>123でいるのが、今のこいつならば、いちいち負った傷の一つに注釈をつけるようなことは無意味。
ただどこまでも醒めていきながら、独眼となって身に付けた見切りの冴えは衰えず。
剣から伝わる衝撃の度合を測り、押し返されれば>>124僅かに引くようにして相手の闘争を巧みに捌きながら、拮抗を狙い>>125迎撃という姿勢を崩さないでいたが]
[傷に触れたのは二度目。一度目は鉄色の攻勢。
二度目は剣を担うものの堅い指の平ではなく指の背。
ごめんと零れる言葉に、謝る必要はない。と答えた。
なにせ、ツヴィンガー・リヒトにとって。世界とはさほど価値があるものだと思っていなかった。
当然のように歩んできた道、才能を育み、成功を掴んだ道。それは他からみれば羨ましいと思われる道であったとしても...にとってはただ着実に歩んできただけの、無味乾燥な世界でしかなかった。あるべき姿として生きていくだけ、そこに比較するものがなかった。
道を歩き続けるだけが仕事。他に何も無く、求める者もない。あるがままに。
死ぬまでずっと、そうやって歩いていく道の途中で、比較するものが現れた。
全て一緒に見えていた人生に、初めて一つ『上』が生まれたのだ。それが例え敵であったとしても、比較ができるようになったのだ。
だからこそ、変わったのだ。
言ってもわからないかもしれない。だから言わない。片目が闇に閉ざされると同時に残った瞳に色を宿した相手を感謝しているのだ]
[一点突破を測る敵兵在り。との報告を今更のように受ける。
実際遠目にも徐々に崩されているのが既にわかっていたからだ。
先頭に立つ軍人。それに率いられる兵。一丸となった突撃は、一般兵にとって脅威だ。
数字などではない。槍を構え迎撃しろなどといっても、一丸となった気迫を真正面から受けて…すべての敵を自分一人に襲い掛かってくるような光景を見て、平然と立てるほどの精兵は多くない。
だからこそ受け流せ。といった。正面に立てば容易ならざる被害を受ける。だから横から槍を突き出し。]
すりつぶせ。
[と命じる。将など討たぬでもよい。兵が消え数が減れば自ずと迫る火は消える。そんな油断があった。]
…何…?
[その油断から突破を許したのだ。
愛馬が機転を利かせて馬首をめぐらしたことで死に至る一撃を回避することはできた。そして強烈な敵意を目の当たりとして、倒すべき相手と認識した。
と同時に、欲した。片目を奪われて尚、その者の意志がその姿が、美しいと感じたのだ]
/*
セフィロト様の選択肢提示を見た瞬間、一択にしか思えなかった不束者の嫁です……
地雷原に走っていくように見える、と開始前に旦那様の人に言われた記憶を噛み締めつつ、旦那様がじがじ。
[口元まで流れ着いた血の涙を舌で受け取り、鉄の味に浸す]
そうか…はっ!…随分つまらぬことをいうようになったな。
剣は敵を殺す道具。道具を用いて人を殺すのが役目。
そして貴様にとって私は敵だ。
[本能の叫びを一つ一つ確認するように繰り返しいう]
…私にとって貴様は敵ではない。
担い手の意志もなく道具にただ引きずられるようなものなど、私にとって敵ではない。
だから、私が名を呼ぶことにも、もう意味はない。
[問いに対する答え>>128には返事をしない、ただ名を呼ぶのはやめた。]
私が求めるものを問うならば、それに沿う覚悟有り。とそうとるぞ。
[更に一合二合。剣>>132と混じるように言葉を乗せて]
…何もない。か。
[苛立ちも消え、色のない声で呟いた]
お前を―――を攫いたい。
[懐かしく貴方を指し示す...の小さなつぶやきは相対したものに届いたかどうか]
――――……
[呼びかけようと言葉を紡ぎ始めるが、思い返されるのは先程の自己嫌悪>>186
なんと呼びかければいいのか思い浮かばずに、もし届くなら、それに言葉は含まれない。]
/*
お約束のキスで解呪にしようかと思っていたものの、
案の定、早々にされてしまいました。
そんな貴方が好き。でもどうしましょう…
[身体の位置を入れ替えながら刃を走らせるシュテルンに対して、初めて攻勢にでた。
といっても激しいものではない。ただ自分にとって絶好の位置へと位置取りをするようにシュテルンを誘導したと同時に、ずっと迎撃をして動かないと思わせた状態から不意を討つようにして前に出る。剣を横に倒し、迫る白刃を受け流すようにしながら狙うのは腹部に向けて柄での殴打であった]
[青年の指先は最早はっきりと感じ取る事ができて、頬へとうつってゆくそれに擽ったさを感じ、無意識に頬へと手をあてた。
幽体であれば何も感じない筈の手の先が触れたのは、はっきりと熱を持った手指。]
…… ぁ、
[2、3度瞬く。
目の前に自分を見下ろす青年の姿があり、次の瞬間猛烈な寒気に襲われた。]
― 灼熱の闘技場 ―
[その闘技場で白銀の銃弾は、忌み嫌われるものだったらしい。
いや、その右脚の匂いに、もしかすると、奴らは怯えていたのかもしれない。
いずれにしろ、銃を持ち出したのは正解で、
それを構えているだけで、闘技場の中のものは、自身を
避けたが、それよりも、ほかに戦いが始まったのも要因だったことまではよく知らない。]
移動しよう・・・。
にしても、あいつは何処にいるんだ。
[少し、さすがに疲れ気味で。]
不便だな、この体。
……女の体とどっちが不便だろ。
[禍々しい像を睨みつけながら、
ふわっと立ち上がる、物もつかめないことには、
この状態で脱出策を高じようもない]
……うーん……、
[ぽすっと禍々しい塀の上に腰掛ける、
如何にも侵入させません、みたいなとげとげを、
避けて脚をぶらぶらさせながら考えていれば]
ん?……動物?
[壁を隔てた先の茂みに何かの気配>>202]
[不意打ちで、指に手が触れた。]
…………起きた
[ぽかんと事実のみを指しての感想を表して、
意外そうに、動き始める唇をふにと指で撫でる]
イングリッド…?
[瞳を交わした瞬間に、彼女が抱くにしては珍しい苛烈が散る。
何故か腕の中から逃れようとする彼女に片眉を揺らして、
違和を覚えるままに、一層腰を傍に抱き寄せた。>>188
足元から這い上がる闇の蔦も、彼女の足首へ伝い、
暴れる身体を押さえ込む算段。
普段は気を許す夫の眷属なれど、一度意識すれば、
相反する性質が彼女に不快感を齎すか。
宛ら、彼女に不貞を誘う誘いめいて。]
――――ああ、
[彼女から感じる露骨な嫌悪、
納得したように滑り出した吐息は何処か欠けた落胆。>>199
今、彼女の瞳に映る己は、見知らぬ遠い存在らしい。
理解と同時に、己の根源が震え、切なく乾く。
日差しも慈雨も届かぬ闇底で、不足の慟哭を聞いた。
その間も緩まぬ拘束は、寧ろ力を増して。
彼女の肢体に絡まり行く常夜の深い色。]
[結果として、呼びかけることができなかった。意識を飛ばしはしたものの、言葉にすることができなかった。
自分が思う以上に、知らなかったという事が、重くのしかかっているらしい。
先程手繰りよせたものを思い出しながら、意識の残り香を探そうと――…
指先にかかる感覚は>>0:#03(10x1)のものだろうか]
[女の魂は、その魂の収まるべき場所、即ち肉体に戻ったらしい。]
… さむい。
[唇は段々と髪の色に近くなっている。
他にも言うべき事や考えなくてはならない事もあるが、ようやく一言そう発すると女は身体を丸めようともがいた。]
[半ば強引に捕らえた顎先を掬い、唇を寄せてみても、
柔い肉を綺麗に生え揃う歯列で裂かれるだけ。
喪失の味を口腔に塗りつけるよう、彼女の口内をぐるりと舌で探ってから別離。
親指の腹で口角を拭い、彼女に緩やかな笑みを向け。]
[そして前触れなく両目を開いた人間を見て、
ぽすり、と尻尾が下草を叩いた。]
分かるか?
[目には虚ろでない色も見受けたが、念を押して問う]
[赤衣はすぐさま寒気を訴えて身を丸める。
ずぶ濡れのようだから、さもありなん、と言うところ]
……
[何と言うか、機を逸した心持ちである]
―――本当に、仕方のない方だ。
[何処か力なく呟く声に応じ、
彼女の下肢から昇った闇手が上体までも浸食。
深い孤独は己の力を汲み上げ、
魔手はひらり、ひらりと花咲くように生み出される。
数多に生んだしなやかな腕が、彼女の体躯を
有無言わさずに大樹へと標本めいて縫いとめようか。
魔界において力を枯渇させる彼女に、
打破する術はないと知りながら。]
―魔王の城―
[見上げる空は、今までのどこよりも赤黒い。
そして、やはり霧雨のような雨。]
――……さて、客としては招かれぬだろうな。
[その門にある彫像は、こちらを食い入るように見るかのようで。
同時に、咲き誇るクロユリの紋章は、微か、右脚に共鳴したかのようにも感じた。]
――……花嫁たるものは、やはり城にあるものだろうな。
そして、僕はもう、城には呼ばれぬ落ち目というわけか。
こんなところでも。
[つい溢れた言葉。]
[ふわり、ふわりと。漂うのが例えばしばらく前の神の間であれば、まだ安心はしていられたかもしれない。けれどここは魔界で、ともすればどんな所に流されるか分かったものではない。今いる場所が比較的安全そうであるのを思えば、どうにかしてここに足を下ろそうと、無理でも風任せに漂うのを止められればと手に届く位置の建造物に手を伸ばした]
えっ
[持った位置が悪かった、のだろうか。いや、ここが魔界でさえなければそうまで悪くはない行動だろう。けれど、掴んだのはひとつの扉の取っ手。引いた手の力に逆らわず、扉はあっさりと開き――開いたと同時、扉の内へと吸い込まれた]
― 扉の先・10(10x1) ―
― 魔王城前・未だに茂み ―
一気に、遠くなりましたね。
リヒャルトさん足が早いんでしょうか?
[城に来たのが間違いなどとは知らない金貨は、そんな事を独りごち、すれ違うことになる>>219とは、気付きようもない]
何かに乗ってる、とか?
と、なるとこちらも足が欲しいですね。追いつけなさそうです。
[さすがに風に乗った>>99とは思いもしない。想像するのは馬に乗る姿である]
[迫る男の顔に浮かぶ色は、視界にさえ入れず>>212
侍り続けた闇に、魔界の瘴気にじりじりと力は削り取られ、
それでも足掻きを止むことなく。
腰を抱き寄せる力にきつく目を狭めれば、涙が溢れ出す]
止め、て……、いや、ぁ――…っ、!
[ひたりと脚に吸い着く、冷えた質感。
ぞわりと込み上げた嫌悪に、虚脱が絡む。
触れる傍から体温を喰らわれ、残り僅かな光力さえも
闇に舐め上げられる感覚]
……あっ、
動物とかいれば利用できるかな。
[なんとかの考え休むに似たり、である。
何か凄い存在を動物呼ばわりしていたことなど、
知る由も無く、そのまま壁の上にとんと立った。
生身だったら刺さりそうな、
鋭く尖った鉄柵の先端をふわりと歩いて、
歩くうち少し、足が速まったのは門に人影を見たせい>>218]
……えっ、うそ。
[どう見ても見覚えがある、
でもこんな所にいるはずないし、
ついに幻覚見えたのかやばい、いやでも]
− 黒い太陽の平原 −
[初めて人を見る天使のごとき彼を、真摯に口説けば、返るは柔らかな声。
呪いの氷が溶けて、本来のしなやかさを取り戻したような。
その姿は未だ実体を伴わないものだったけれど、重ねられた指に、確かな触れ合いを感じた。
浄めの力が流れ込む。
陽光のような澄んだ温かさが身体を包んだ。]
[レトの視線はある一点に釘付けになる。
尤も、視線はそこに向かっていても、頭が真っ白になっていてじっくりと見ているわけではなかった]
(………あれ?)
[おかしい、と先ず思考が働く]
(アデルって────)
[レトはアデルのことを男と思っていた。
思っていたのだが。
今目にしているものは明らかに]
……………
[何故か沈黙が落ちる。
しばらくは肩に手を伸ばそうとしていた態勢で硬直して]
………………
[尚も沈黙を落とした後、彷徨うような動きをしてから手は一旦落ちた本に伸びた]
(アデル、お前───)
[目の当たりにした事実はレトに動揺を齎す。
様々な疑問は浮かべど、今は全てを飲み込んで]
…大丈夫か、アデル。
[様子を見るべく、拾った本を左手に持ち、右手はアデルの肩に伸びた*]
[互いのことを思い出してくれた彼が、ここに至るまでの経緯を手短に語る。
自分の不在も謀られたことと知れば唇を引き結ぶも、彼の話を遮ることはしなかった。]
すぐにでも──おまえの身体を取り戻さねば。
[意識から切り離された彼の肉体を、堕ちた天使はどうにかして自分にふさわしい器に作り変えようと画策するだろう。
それは今もまさに進行中と思われた。
手をこまねいているわけにはいかない。
それに、強い瘴気を帯びた血を零したことで、この場にも別の魔物が呼び寄せられるかもしれなかった。]
[と、目の前に透き通る身体を跪かせた彼が、ひとつの提案を持ちかける。]
おまえを──
[彷徨える魂と同じように取り込めと。
一歩間違えば、彼の存在は彼自身の力で消え去ってしまうかもしれない、それは危うい手段だ。
けれど──]
……?
[ふいに視線を感じてそちらに目を向けると、幽体が一人塀の上>>211]
幽霊ですかね?精霊ですかね……?
[それとも魔族の一種だろうか。敵対的ではなさそうなので、見つかるとしても隠れようとはしなかっただろう。
柵の方へ歩き出す背を見送れば、
…わたしがおまえを連れて行く。
[躊躇いはしなかった。
迷える魂へ告げるのと同じ決意を告げて、手袋の封印を剥がし、掌に穿たれた刻印を差し出す。
残る腕を彼の背へ回し、抱き寄せるように。]
[さりとて、中身が戻れば後は己の糧とするだけの
人間を相手に、積極的に暖を取ってやる程の
義理を見せる訳でもない。
ただ、狩るべき平静が獲物に戻るまでの時間が、
この場にあれば良い。――と、思っていたのだが。]
[欠落の滲む呟きが、ぽつ、と頬に落ちる。
嫌悪と絶望に軋む胸に、そっと爪立てる疼き。
食い込ませる歯が僅か緩んだ間隙に、男の舌が口内を探る]
……ゃ、…ねが、い、
もう、止めて……どう、して――…
[不自然に向けられた笑みに、音もなく肌に添う無数の腕に、
またしくりと訴える疼きを覚えながら、命乞いにも等しい切迫で請う]
― 魔王の城・上空 ―
[扉の内、吸い込まれた先には。高い塔の尖端近く、空に浮いたままいきなり放り出され、地面の遠さに慌てて屋根の突端にある尖った飾りにしがみついた]
び、くりした…
[恐る恐る下を覗き込めば、禍々しいながらも豪奢な城が眼前に広がる]
………。
[いつまでもここにいる訳にもいかない。いかないのだが、乾き始めた服がやがて泉の効力を失えば、この城の中ひとり放り出されることになりかねない。それは、なんだか危険な気がする。
今しも自分を探しにきた誰かとすれ違ったなどとは知らずに広い中庭をみやると、目に入るのは>>0:#17(10x1)]
[>>231 動物でなくて人がいたようだが、
まっしぐらになる目標地点を見つけてしまったので、
足は止められなかった、ひらひらっと手だけを振って――、
>>234 目標地点に盛大なダイブである。
もっとも、現状の状態などすっとんでいた]
リエちゃん…!!
[すかっと]
[すり抜けるだろうことに気づくのは、
半透明が中空に身を投げ出したあとのことだ]
― 浮遊する群島 ―
……探し方が悪い?
[見通しのいい浮島達は手繰るまでもなく、探し人の不在を感じ取れた。
迷い落ちた存在がそれほど時間をかけずに空を行き来してるとは思い難く、金貨は途方に暮れてしまった]
飛び降りたら時間短縮になりませんかね。
[その目は本気だ。
本気を示すというわけではないが、口にしてすぐさま飛び降りる。>>0:#05(10x1)へと落下行、人ならざるその身においては運が悪くてもせいぜい足をくじくぐらいだろう。]
[彼女が幾ら助けを求めても、応える者は訪れない。
這い寄る闇は、恐怖を植えて、脅かすばかり。>>221
はらはらと頬を伝い零れていく雫に瞳を細め。
頑是無い幼子を慰めるように、ゆっくりと指を鳴らした。
拡張する闇は膨れ、周囲に靄を撒いた。
痛切な叫びすら掻き消して、樹海の奥底に小さな夜を招く。
彼女が忘れてしまった、深く闇い深淵が二つの影を飲み込んで。*]
……だ……大丈夫、で、す。
[どうにか半分目を開けて、淡い緑をレトへと向けて。
彼の手に、さっきまで抱え込んでいた魔導書がある、と気づくと数度瞬き。
それから、ちょっとあちらこちらに視線を彷徨わせて──固まった。*]
[固まった理由は、唐突な頭痛が招いた事態を察したから]
(……ばれた……か、な)
[不可抗力と言えばそれまでだが、正直、まだ知られたくはなかったこと。
否、できればずっと知らせたくはなかったから]
(ど、どうしよう……)
[どうやって誤魔化したものか、と。
そんな思考がぐるぐると巡る]
………。
[眼下には炎を巻き上げる炎の塊。こちらには気付いていないか、または興味がないようだけれど。うっかり風に流されれば炎に巻かれるか、あっという間に乾燥されて地に戻されるか。どちらにしても、碌な目には遭わなさそうである]
――どうしよう。
[呟いてはみたけれど、片腕におっことさないようしっかり抱えている双頭の魔獣も、困ったように首を傾げたのみ]
―――…おや、それは心外だ。
私は貴方の望むものを与えようとしているだけなのに。
[ほくそ笑んだ男は首を緩やかに傾け、
再び動き出す闇が、彼女の着衣に触れる。
月明かりで編んだ外套には無害だが、
彼女の身に纏う衣には、相反する闇の力。
ほんの少し力を込めただけで、魔手が触れる先から衣服を溶かす。
黎明色の館のみで行われていた睦言を聡い彼女に連想させ。
野外で辱めたこともない清らかな身を、屋外の空気に中てた。
穢す男は彼女に視線を寄せて、露になり始める白皙を鑑賞。]
[わかる、何がわかるのだろうと疑問に思うが深く考えるまでの思考能力は戻ってはいなかった。]
……
[こくこくと頭を縦に振れば身体を震わせた。]
[すかっと、鮮やかにすり抜けて。
かくして半透明の存在は地面にべちゃっとなる、
が、めげない。5(6x1)秒と待たずに立ち上がり、
改めて向き直った時には見えない尻尾がぶんぶんふられてた]
リエちゃん本物?本物だよね?
リエちゃんの匂いがするし!
っていうか、なんでこんな所いるの?!
えっ、もしかして俺助けに来てくれた?!
[一人でまくし立てた挙句感極まって、
また勢いで両手広げて抱きつこうとして――、
すかっと]
― 黒い太陽の平原 ―
───よろしくお願いします。
[彼の腕に身を任せ、差し出された刻印に手を翳す。
すぐにめまいに似た感覚が起こった。
存在が引き寄せられ、取り込まれていくのを感じる。
これもまたひとつになるということ。
そう思えば、不思議な高揚感を覚えた。]
あなたの中に入るなんて、
なんだか楽しみですね。
こんなに、近くにいられるなんて。
[希薄だった体はますます薄れ、やがては一筋の煙となりすべて吸い込まれて消える。
彼の手に、最後に銀の聖印が転がり落ちていった。
取り込まれた知識と経験、そこに含まれる堕天使の毒素の記憶はジークムントにひとつの場所を指し示すだろう。
浮遊する群島の中に位置する、かの堕天使の棲家を。]
……ほら、余り大きな声を出すと、
貴方の旦那様に聞こえてしまいますよ。
―――それとも、見せたいのでしょうか?
[言葉で嬲り、闇手が静かに彼女を撫で梳くたび、
着衣が形を失い、光の粒子として分解される。
地肌に感じさせる魔界の空気は、ジリと聖属を持つ肌を焦がす。
―――彼女の記憶が忘れてしまっても、
経験が覚えているだろう最愛なる妻に向ける陵辱。
滴るほどに濃い、真っ暗森で、
一度眉根に皺を刻み、何か堪えるように浅く呼気を漏らした。]
……くっ!
[それからようやく現実を思い出した、
重大な問題だ、このままでは触れない。
一刻も早く身体に戻るべきだそうだ]
[青年の思考まで読み取れるわけもない。
彼が人間以外の存在であることを示す耳と尻尾を目にしても、自分が餌として食べられようとしている事、ましてや彼が自分を狙っていた狼であるところまで結びつける事は難しく。]
……
[自分を助けようとしてくれているのかと思ったが、いまいち行動が中途半端であることに不思議そうに首を傾げるが、そのうちに眠気に襲われ瞼は重くなる。]
/*
色々と予定していた展開のフラグが折れて
眠気でどっかに行きそうだったんだけど
急に中身のドSがログインしたわ……
*/
[浮島の一つから飛び降りて重力任せで突き進む、自重に任せて空気の層を切る感覚に目を細めていると、誰かが上から追いかけてきた。]
――?
[最初に目に飛び込んできたのは赤い8ツにわかれた翼のようなもの、通常なら羽毛や皮膜で構成される其れは絡み合う肉の管で出来ている。何故飛べるのか、不思議としか言い様がない。]
――!!
[肘から先、膝から先は肉食獣の足を無理やり取り付けたようになっており、挙句頭は二つある。
一箇所を除けば整った顔立ちであるはずなのだが、その一箇所――…顔半分を占めるほど大きい複眼が色々台無しにしてしまっている。]
[どう見ても自然物ではない空飛ぶ奇形に追いかけられ]
……趣味が悪い、作った方の顔を見てみたいですよっと。
[そんなことを言いながら金貨は奇形の生まれた場所へと降り立った。狙って降りたわけではない。]
― 狂気の研究施設へ ―
[言葉は届かない。けれど、どこか落ち込んだような、こころが自分と繋がったような。不思議な感覚。
伝えることばが浮かばずに、たまに届くそれを、ただ感じていたのだけれど。
もし、届くのであれば。]
――、たす、けて
[小さな小さな、声。それは、届くのだろうか]
[問い詰めをしないのはレト自身、頭の整理が出来ていないため]
(休める場所ってもな…。
今まで行った場所で休めそうっつーと温泉…。
温泉………いやちょっと待て何を考えてる俺)
[色々と考えてしまうくらいには動揺は治まっていなかった]
[悲痛な叫びに、軽やかな音が交じる>>240
魔界の空を圧して拡がる闇が、俄かに勢いを増し膨れ上がる。
視界の全てを覆い、閉ざす闇。
他の何物からも遠ざけ、一瞥さえも許さぬ深淵に包まれる刹那。
慕情めいた切望に駆られ、伸ばした指先も杳と消え*]
― 浮遊する群島 ―
[狼を送り届け、魔性の蛇は上機嫌のまま棲家に帰る。
そうして再び、獲物に自分の力を注ぎ込む行為に戻った。
心をどこかに捨ててきたらしい獲物は従順で、たくらみは順調に進んでいると思われた。
このままであれば思いのほか早くに、獲物の持つ力を完全に己に取り込んでしまえるだろう。
完全に力を取り戻したあとに想いを馳せて、堕天使はほくそ笑む。
このとき、有翼の蛇はいくつかの間違いを犯していた。
ひとつは、救出者の存在を軽視していたこと。
もうひとつは、獲物にさらなる毒を与え続けなかったこと。]
いた……、
[唇に生まれた痛みに顔を顰める。
裂かれた傷から滲んだ血、舌で何かの味を感じたのは随分と久しい気がした。]
…あなたが誰か…?
[小さな痛みはぼやけた彼女の思考回路を多少なりとも晴れたものにしたらしい。]
…… 森へ入って、狼に襲われそうなところを変なのに捕まって……、
……え?なに?
そんなにじっと見られると照れるし。
[>>252 絶句してるリエヴルに、
わりと見当外れな返事をかえす。
基本的には頭悪いなのだから仕方ない]
あ、え?もしかしてこれ?
ちょっと頭打ったらこんなになっちゃった。
でも大丈夫!ちゃんと自分の身体がある場所わかってるから!
[すかすかの手を指差す先は、鉄壁の魔王城内部、である]
/*
ところで今更ながら初日からクライマックスになっている気がするがどうしようかね。私たちに翌日はあるのか?
[蛇の毒もまた魔素であることに変わりはなかった。
肉体へ及ぼす作用の強さから浄化に時間がかかったが、本来ならば光満ちるこの体の中では存在しえないもの。
有翼の蛇が側を離れている間に、毒の効果はだいぶ薄れていた。
それでも従順さが変わらないのは、心が欠けているからに他ならない。]
お願いだから、おまえは頭を打つな。
頭だけは打つな。
ほかを打っていいわけじゃないが、頭だけは!
[わりとしつこかった]
― 狂気の研究施設・屋根の上 ―
[上空からの自由落下といえど、色々問題のある物を閉じ込めるための施設の屋根をぶちぬく事はできなかった。少々屋根をへこませながら金貨は追跡者の方を向く。
なまじ羽根があるからだろうか、接敵までは時間があるようなので]
……さて、と
[金貨を5枚左手に置き、徐ろに右手を突っ込んだ。
そして――…]
金貨5枚分、戴きますよ。
[誰かへ伝えるように呟いた後、
− 黒い太陽の平原 −
[よろしくと、改めて言われて、ぎこちなくうなずいた。
不安からではない──大切にしたい想いが改めてこみあげてきて仕方なくて。
彼の霊体を自らの裡へ引き込む。
文字通りの一心同体となって。]
[嬲る言葉が、これから我が身に起きる事を仄めかす。
抗う腕を封じ、夫に貰い受けた外套の上を這う闇が
視界に割り込めば、頬を幾筋も涙が伝う]
……さわ、…ない、で、
それだけ、は……
[しゃくり上げる声が、素肌が外気に触れる感覚に途切れる。
あれ程までに、この身を掌中に留めたがった夫。
自分以外の手垢に塗れたと知れば、もう―――]
―――……ルート、
[暗く密やかな部屋で、二人きりの褥で紡ぎ落とす愛称。
二度と彼の耳に拾われる事はないと、諦観に染まる声音が囁く。
助けを請うためではなく、赦しを乞うためでもなく。
数え切れぬ程唇で象った音を慈しみ、惜しむために]
/*
皆、本当に可愛いなぁ。
リエヴルくんとフレデリクくんが漫才みたいで見ていて和む。
(絶賛ドロドロ中の夫婦)
とはいえ、戦うの、苦手なんですけどね。
[一度振っては見たものの、手にした業物には見合わない。
どう切り抜けたものか頭を悩ませていると――…声が聞こえた]
――!!
[その声は、救いを求める言葉であったがゆえに
今までより、はっきりした声であったがゆえに]
リヒャルト、さん?……まさか!
[目の前にいる者の声ではないかと錯覚してしまった。]
[彼の中にある、”伴侶”へと向けられた想いの清らかさ、そして重ねられた情交の記憶に、甘やかな羞恥が掻き立てられる。]
…あ、
[あくまでも彼の魂は穢れに染まらないのだと噛み締めた。]
[地面に残された銀の聖印を拾い、手袋の上にその鎖を巻いて緩く握りしめた。
彼の姿は消えてしまったが、もたらされた情報は行くべき場所を教えてくれた。]
− 浮遊する群島 −
[彼を内包した存在の接近を、蛇身の堕天使は妨げるつもりもなかったのだろう。
やがて、二人である一人は目指すエリアへ辿り着く。
宙に浮かぶ岩塊は、間違いなく壮大な光景であった。
だが、見渡したのは堕天使の塒を見定めるため。]
── あれか。
[いくつかの岩を蹴り渡り、目指す島の洞窟へ、真っ正面から接近した。]
ちょっとリエちゃん、
それどういう意味……、
[噛んだ照れ隠しに違いないきっとそう。
そうとでも思わなければやってられない。]
心配するのそこ?なんかもっとこう……、
[とても釈然としない]
――リヒャルトさん!一体誰がこんな……
返事を、返事をしてください!!
[盛大な勘違いをしながらの呼びかけは、悲痛の色に染まっているが――…
手繰りながらの呼びかけなので、おそらく数秒後には勘違いに気づくだろう]
[問い詰められないのは正直ありがたい。
ありがたい反面、非常に困ってもいた]
(……気づかれてない、って事は、ない、よね)
[レトの内心の動揺は気づく余裕もなく]
(うう……でも、あの時助けてもらわなかったら、もっと大変だったし……)
[着衣的無残に耐えるか、もっと酷い目にあうか。
二択の結果とはいえ、色々遣る瀬無いのは否めない]
[はっと息をのむ音。
次の瞬間、女が取った行動は素早かった。
あくまでも、人間の女にしては、の話であるが。
水気を含みぬかるんだ泥を掴み、狼の顔、正確には目を狙って投げ付ける。]
……っ、
[投げ付けた泥がどうなったか、見届ける時間も無い。
全身の力を振り絞り起き上がると、転がるようにして逃げ出した。
狼がそれを許せば、であるが。]
……。??
[時折、ふと誰かのこころが繋がる感覚。それに、今までは言葉を返せずにいたものの、微かな期待を込めて呟いた言葉に対するものは。
今までよりも、はるかにはっきりとした声。けれど、どうしてこんなにも、切羽詰っているのだろう]
……。?
[小さく首を傾げて。]
やっぱり、ポチかな。
[塔の尖端に掴まっているだけで、特にすることもなかった為に。腕の中の仔犬に、名前をつけてやっていたりする]
そう、嬉しいな。
ところでクソ親父はいくら出すって言ってた?
[>>272 いきなりキリッとされたので、
その台詞がどれくらい純粋なものなのか、
とりあえずカマをかけて確かめることにした]
い、いや、そういうものが欲しいわけではなくてだな!
僕はお前の友人として、
例え、報酬がなくても、いや、ちょっとだけでも、
おまえを助けるのは当然だ。
[キリッとしてみた。再度。]
― 浮遊する群島 ―
[有翼の蛇はその力を以て接近してくる異物を感知する。
だがわざわざ外で出迎えるようなことはしなかった。
棲家の中は自分の領域だ。
飛び込んできてくれるのならばその方が都合がいい。
やがて現れた人間に向けて頭を上げ、舌を出し入れする。]
『我が居所へやってくるとは酔狂な人間だな。
こやつと同じようになりたくて来たのか?』
[嘲笑い、尾で絡め取った獲物を掲げて見せる。]
[この時もまだ蛇身は獲物と繋がっていた。
犯される身体は艶めかしくくねり、自ら腰を蛇の鱗に擦りつけて捧げるがごとく。
うつろな熱を帯びた視線が救出者の方を向いて、蕩けた笑みを浮かべた。]
――??
[戸惑いの気配は伝わるだろうか。数秒の沈黙の後]
え、と。はい…?
[返事を、との言葉に、とりあえず返事をしてみるけれど。思念での会話など、試みたことはない。どうすれば伝わるか、きちんと分かっている訳ではない。うまく伝わっているのだろうか]
[>>277 ひるむ様子にゆるゆると首を振る。
勢いでつい聞いてしまったことに、自分で自分に苦笑い]
……ん、やっぱそうだよね。
リエちゃんの家、事情が事情だし。
こんな非常識な話でも受けざるを得ないよね……。
ごめんね……、
無茶なことさせちゃって。
[あははーと笑って横毛をなんとなくぽりぽり掻きつつ]
― 霧の沼地 ―
[本をかき抱く様子はアデルの心情を表すかのよう。
横目で見た後は再び視線を逸らして、右手を首の後ろに回して考える仕草をする]
……多分大丈夫じゃねぇかな、と思う場所は、ある。
[ただしその場所はある意味問題でもあったが。
しばらく間を開け考え込んだ後、意を決したように深く息を吐いた]
(考えすぎなきゃ良いだけ、だよな。うん)
[割り切り切れては居ないが、無理矢理結論付ける。
休むだけなのだ、利用する必要は無い、と]
[苛む言葉も肌を滑る感触も、瘴気に灼かれる痛みさえ遠ざかる。
傍にと望んでくれた彼を独り遺してきた事への後悔、
侍る価値も失くした身を顧みる事がなければいいと願う気持ちが、
綯い交ぜになる]
……、……
[胸中で幾度となく繰り返し、聞かせる事は一度としてなかった言葉。静かに辿り、唇を噤む。
力を欠く肢体はだらりと萎え、ただ視界だけを固く閉ざす]
何か思うように移動出来ねー時があるし、ちゃんと辿り着けるかは分かんねーけど。
行くだけ行ってみようぜ。
[そう告げる時になって、ようやくアデルの方を見た*]
歩けっか?
こことかなんか危ないからさー、
無理しないで戻ったほうがいいかも……、
ほら、のぶれすおぶなんとかーだっけ?
俺と違ってリエちゃんは責任とかある立場だし、
こんなわけわかんない不気味な城に突入しろ、なんて、
ちょっとありえないでしょ?
[城門はかなり鉄壁にみえるし
中庭を取り巻く城壁も非常に刺々しい、
中庭まで行けばあの天窓からロープ放ってもらって、
地下牢脱出できるかもしれないが――そこに行くまでが至難の業だ]
って、え?そうなの?
申し出るって?
……リエちゃん何申し出ちゃってるの?
[>>285 ぶつぶつ言ってたら、
なんか当然のように言われた言葉にきょとんとした]
――――!――――…
――――――!!
[目の前の異形の猛攻を凌ぎながら、声を届けようと、意識を手繰ろうと試みる。他の事に意識を割きつつの闘い、元からあまりない剣の腕では核を護るのが精一杯。]
―――あっ
[やがて新たに届けられた声により、どうやら違うということには気づいたのだが……]
―――何故?
[闇夜が彼女の手首を戒め、捕われた蝶。
彼女が足掻く程に樹肌へ押し付ける圧が増す。
背に伝える幹の凹凸が屋外の自覚を一層高め。]
貴女はこんなにも美しいのに。
――…ああ、……これはこれは。
これでは、厭うのも仕方がありませんか。
――――……はしたない。
[絶え間なく眦から零れる雫に、一瞥をやり。
魔手で解いた素肌に認めるのは、己が散らした鬱血の痕。
首筋にも、二の腕にも、脇腹にも、太股にも散らした鮮やかな花弁。
腕を伸べ、腹部に散った一片から指腹を押し当て撫で上げると、
胸の膨らみに捺された朱を掠めて左胸の尖りを戯れに爪弾く。
勝手知ったる男の指が、見知らぬ男の蹂躙に変わり、
素肌と心に、鋭く研いだ爪を立てて苛む行為。]
……ああ、もう!
[その居場所まで手繰りきれず護るに護りきれず、痺れを切らした金貨は、財布から金貨をひとつかみ握り、異形の足元へと投げつけた。硬貨は石材に触れると同時に壁となり、異形を封じ込めようとする。
金貨の一枚二枚の壁では異形の爪に耐えられまいと、最終的には稼いだものではなく金貨自身が生成した金貨を継ぎ足して、対象の無力化に成功した。
傍目には狂気の研究所の屋根に小さな金色の箱がくっついた形である。]
……奥の手です。金の力は偉大なんですよ?
[と、口では落ち着き払っていても、心中は穏やかでいられない。勢い余ってやってしまった。出所不明の金の大量生成、売り払われたらかなりやばい。多大な干渉となってしまう。
――どうか、どうか、金銭価値が洒落にならない程金を使ったこの箱に、誰も気づきませんように。
気休めになるかと祈っては見たものの、きらきら輝く黄金の箱が見つからない未来など想像できずに、大きなため息をつくのだった]
[それでも、その合間に唇から漏らされたのが、
己の名であれば、唇は円弧に撓んで笑みを形作る。]
―――…これほどの証を刻み、貴女の心を専有している癖、
助けにも来ない夫とは、如何なものでしょうか。
[忍び寄る魔手が彼女の胸に触れ、僅かに力を込め、
枝分かれした末端を柔肌に沈めて玩ぶ。
陽炎のように揺らめく手管は手背で肌理を辿りつつ、
彼女の襤褸となった光衣を剥いでいく。]
― 霧の沼地 ―
[魔導書をしっかりと抱きかかえ、数度、深呼吸をする。
そうする事で、いつもの調子が戻るような、そんな気がしていた]
……そう、です、か。
いずれにしても、このままここに居続ける事は、できませんし。
休める宛があるなら、移動しましょう。
[ゆっくり休めば、多分、色々なものも抜けるような気がするから、とは言わず。
ようやくこちらに向いた視線と問い>>284に、一つ、頷いた]
ええ、大丈夫です。
[わりとぎりぎりの状態だが、ここで泣き言を言って抱えられる、という事になるのは避けたい。なんとしても避けたい。
だから、こう言ってひとつ、頷いた。*]
おや、諦めてしまうのですか。イングリッド。
貴女の涙も、悲観も、中々味わい深いものですが―――、
[瞼を降ろして、現実から眼を背ける如くの彼女の手前、
片膝を付くと、両手を静かに彼女の内股へと掛けた。
堪えるように結んだ唇を、開かせる術は良く知っている。]
悦に蕩ける貴女の方が、好きですよ。
イングリッド。
[こんなときばかり、柔らかい声を紡いで愛妻を呼び。
愛を謳う性質の悪い唇で、そっと彼女の秘所に口付けた。]
− 浮遊する群島 −
[岩の奥、蛇の塒へと踏み込み、翼ある魔物と対峙する。
蛇が玩弄している彼の肉体を目にすれば、眦に朱の色が乗った。
だが、割れた舌先で紡がれる徴発めいた挨拶には冷静な声で否定を返す。]
彼を迎えに来ました。
そして、堕ちた魂には救いを。
[静かに宣言し、歩を進めた。]
[霧の中、狼が女を探そうとしたかは定かでは無いが、狼が嗅覚を頼りに女を探したとするならば暫くすれば沼の岸辺に赤のローブを見つけるだろう。
それは半ば沼の水に濡れている。
女はというと、匂いを隠すために全身を泥に塗れさせ沼地の中に点在する岩場の影に身を隠していた。]
[聖騎士とは異なり、格別の戦闘技術をもっているわけではなかった。
学んできたのは、”吸い込む” チャンスを作るために相手の攻撃に耐え、踏み込むための専守防衛の業である。
そして、形なき鎧として身にまとうのは、彼によって施された聖なる紋章。
魔法攻撃にも耐えてみせよう。
しかし、長らく封印されて力を失っているとはいえ、相手は堕天使だ。
生半なことでは抑えこめる存在ではない。]
[だが、彼は堕天使の真の名を掴んでいた。
それを切り札に秘して、仕掛ける。
唯一恐れるのは、彼の肉体を壊されることのみだった。]
はあ?金の亡者なんて言ってないでしょ!
ここちょー危ないっていってるんじゃない!
俺、今すけすけだしリエちゃん守れないし!
[>>291 勝手に歩き始めたリエヴルを止めようとしたけど、当然すかっとなった。めげずにすけすけしながら着いていく]
リエちゃん!
本当、ここ危ないから!
正面突破とかだけは止めて!
[もはや半分懇願の勢いである]
[返ってくる声は戸惑い。
現在戦っている状況を省みるに――…]
……
[違ったようだ。]
――…ごめんなさい
[異形としかいいようのない存在と間違っていたようだ]
――…本当に、ごめんなさい
[目の前にいたら土下座ぐらいはしていただろう。]
さて、と。
[返事をと言われて返事を返してみたものの、来るかどうかも分からぬ助けだけを待って時間を潰しているのもどうなのか。とりあえず自力で何とかする方法を探してみようとあちらこちらへと視線を向ける。
今いる場所は、一際高い塔の尖端。ジャンプして飛び移れる範囲に建物はなく――]
――?
[見下ろす位置の天窓の中、何か白いものが目に入った気はしたけれど、それが何であるかまでは分からず]
やっぱり、風と運に任せるしか、ないかなぁ…
[舌を差し伸べ、軟体で脅かす蜜壷の入り口。
褥で幾度か施したことはあるものの、
元より羞恥心の高い妻にとっては、耐え難い屈辱であり愛撫か。
薄い唇から差し出した舌が、彼女の眼下で秘蜜を舐め掬い、
尖らせた舌先で陰核を括り出すように嬲る。
内股に添えた五指が足を閉ざすことを許さず、
薄闇の結界を張った内側で、ぴちゃりと濡れた音が立つ。
ひとつに留まらず、ねとり、ぬるり、と、ふたつみっつ。
頭部が揺れる度に、彼女の素肌を銀糸さえも擽って、
奥に残した残滓に呼びかければ、胎内を影が下り始め。]
[一時を置いて後。
沼の岸辺に打ち捨てられた赤い頭巾の脱け殻を、
泥の中から引き上げて、薄らと笑み溢す。]
夜中にわざわざ森に入る、無謀なやつかと思ったが
……楽しくなってきたな
[この程度の怪我はハンデと思えば。
狼の五感を欺き、慎重に振る舞えば
捕まらずにこの場を切り抜ける事も
あるいは可能となるかも知れず。]
[――縋る望みは一つきり。
何時か死に臨む肉体よりも、精神に依る存在は、人智を超越した力からも解放の術を備える。
己の拠り所を失えば、悲嘆も後悔も遙か追い着くことのない、
虚無に帰す事が叶うだろうと。]
……、っ、ふ、
[辱める言葉に、熱を孕ませられるのは唯一人。
そのくせ、闇手に代わり男の指が直に触れれば、
食いしばった歯の隙間から声が溢れる。
胸の尖りを爪弾く指が、夫の咬み痕をなぞって]
― 狂気の研究施設・屋根の金箱の上 ―
[ひどい勘違いに、本人が目の前にいたら土下座をしそうな程落ち込んで、なんとか気を取り直したならば、先程の声を頼りに手繰る。
――…探し人の声が聞こえたのは>>0:#01(10x1)の方向からだったように感じられた]
『素直に身を捧げれば、ともに愛でてやろうものを。』
[自分の存在にも言葉にも相手が怯まぬと見て、蛇身の堕天使は首をさらに高く上げて口を開き、牙を剥き出した。
空気を吐き出す鋭い音を伴って毒液を吐き散らし、翼を羽搏かせて烈風を生み出す。
毒を含んだ風が、修道士へと襲い掛かった。]
[身体に張り付いた泥は体温の喪失を防いでくれた。
膝を抱え、どれほどそうしていたかはわからない。
そのうちにうとうととしだすだろう、やがて目をあければようやく重い身体を引きずって移動を始めようとするだろうか。
狼は、もうこの沼地から去っただろうか?]
この霧ではぐれたら元も子もねーから。
[視線はアデルではなく前へと向いたまま小さく零す。
我慢しろ、とまでは言わなかったが、想いは声に籠もった。
そんな想いを抱いたのは、先程触れた時に身体が震えたのを思い出したため]
/*
嫁かわいいなぁ。かわいいなぁ。
ずっと泣かせっ放しで如何なんだ。とは思うけれどもももも。
>>301
がんばれ、ちょうがんばれ。
(他人とは思えない)
…え、と…?
[なんか謝られた。とても謝られた。
まさが異形と間違われたなどとは知らず、何故自分は謝られているのだろうかと首を傾げる]
ええと…あなた、は?
[とりあえず、建設的な会話を試みてみた]
[無情な程までに変わらない濃霧。
方角を知る術があるわけでもない、ただひたすらに歩いた。]
湯浴みしたい……
[女性らしい?愚痴も零しながら。
そして、己の不運さを嘆きながら。]
――――彼の事を、口にしないで。
[硬く研がれた声音は、はっきりと命じる響き。
彼以外に触れられる身など受け入れる気はなく、
視界は隙間なく塞いだまま。
魔手が肌に遊ぶ感覚が厭わしく、意識を絶望に沈め、
唯只管に無を願えば、輪郭が僅かに滲む心地]
……来た方法もわからないのに、
一人で帰れるわけないんだから、
それでいい、とか寂しいこと言わないでよ。
[その言葉には本能的に眉根を寄せた。
腕を掴んで気を引こうとしてもやっぱりすけすけしてしまうので、
ますます眉間に皺がよったけれど。
>>300 まっすぐ言われた言葉に負けじと返すように]
俺だって、リエちゃん大好きだし!
リエちゃんになんかあったら自決するから!
[主張なのか脅しなのか、
分類不明な言葉を勢いで吐いて、
ふわふわと様子を伺う。
――壁の向こうの中庭が、
とてつもなく厄介なことになっていることに気づけば、
当然リエヴルに訴えて警戒を促したのだ*]
あの足なら
まっすぐ歩けば、沼を抜けてもおかしくない
[そうしていれば、の話だが。
倒木の上で宙に跳ねると、四足の獣が姿を表す。
星の見えぬ白い帳を見上げて]
ゥオオォォォ――――ン……
[ひとつきり、遠く遠い咆哮が高く、
手を繋がねば はぐれる程の幻霧を抜けて
殊更に己の居場所を、逃げるべき先を示すように。]
ー 灼熱の闘技場 ー
[行き着いた先は、温泉…では無く、残念ながら熱気と灼熱の日差しが降り注ぐ闘技場だった。]
…… こんな場所、初めて見た。
[明らかに魔物であるものから人の姿をした者まで、それらが闘技場の中心へと視線を向けている。]
……あ……。
そう、です、ね。
[小さく零された言葉。
そこに籠められた想いに、僅か、苦笑が滲む。
他者に触れられるのには元々慣れていない。
その辺りは、生まれ故の事情に基づく。
それを話す事はできないから]
……すみません……。
[色々なものを一つにまとめた言葉をぽつり、呟いた]
[掴まれた瞬間、微かに身は震えたものの、手を振り払う事はせず。
左腕で魔導書を抱え、遅れないように、と歩き出す。
魔導書を抱え直す時、樹海の騒動でついた傷が目に入り、ほんの少し眉を下げた]
(……痣は覚悟しとかないとなぁ……)
[内心、過っていたのは、そんな思い。*]
[名を呼ぶ声音に、沈む意識がそっと揺すられる。
距離を隔てつつあった感覚が、忍び寄る。
男が口にした言葉の欠片。
――夫が日々聞かせてくれた言葉を拾い、意識がふわりと浮かぶ]
……ぁ、ふぁ…
[緩めた視界に男の顔はなく、柔く口づける感触が位置を知らせる。
綻んだ唇から洩れた音は、戸惑いを滲ませ仄甘く]
[霧の中、狼の遠吠えを聞いた。
あの青毛の狼のものかはわからないが、その方角へと進むかの判断は勇気が必要だった。
賢い獣であるならば、あえて自分の位置を知らせたりはしないだろう、もしくは罠か。
遠吠えが聞こえた向きと逆に向かわせ、そこで待ち伏せをする可能性のほうが高いか、そう考え女はあえて遠吠えの先の方角へ歩みを進めた。
狼にどのような意図があったかを、知ることは無いだろうが。]
− 浮遊する群島 −
[可能な限り避けようとしたものの、烈風に煽られて弾丸と化した毒液が白い修道服を貫き、肌を焼いた。
放たれた高い音もまた、鼓膜に突き刺さる痛みとなる。
肌に施された加護の紋章が色濃く染まってゆく。
火傷の痛みに重なって締め上げるような痛みが襲った。]
…く、
[足がたたらを踏む。
それでも、床を転がって、少しでも前へ。
手袋ごと引き抜いた聖印を彼の肉体へと投げ渡すと同時に、掌の”穴”を蛇の身体へ向けた。]
ゆくぞ、
[自らの裡にある彼と呼吸を合わせるように呼びかけ、指文字で伝えられた堕天使の名を唇に乗せる。]
汝の真の名において求む──
░▓▒▓█▓░░▓▒
鎮まりてあれかし。
[戸惑いながらも、何者かと問われて初めて、名乗ってないことを思い出した。]
ええ、と………迎えに、きました…
四番目です。あの時、会いそびれた四番目です
[これで通じるかはわからない。
自分で付けたばかりの名乗りでは通じるわけがないし、四神の四番目が金貨であると伝えてあるかどうかもわからない。
故に、四番目という説明になってしまった]
― 塔の街 ―
[異形の者との闘いを制した金貨の姿は、物盗りに在ったのではないかと思わせるぐらいにぼろぼろで。探し人を探すとともに、あらたに服とマントを手に入れた。
ここまで来ると、自身の手繰りは宛に出来ないと聴きこみをする方針に切り替える。
情報の真贋はさておいて、それらしい人間が>>0:#02(10x1)へ行ったのではないかという話を聞いた。]
― 霧の沼地→ ―
[アデルの腕を掴んだ後は歩む速度に合わせて先へと進む。
周囲の警戒は目ではなく耳で為し、何かしらの気配が感じられるようなら避けるように移動した]
[それを繰り返してしばらくして。
視界を覆う真白が唐突に晴れる]
― 魔界温泉郷 ―
[硫黄の匂いと漂う白煙。
離れたところでは間欠泉が噴出しているのが見えた]
……思ったよりすんなり辿り着けたな。
[その言葉で目的地がここだと言うのはアデルにも伝わろう。
休む場所としてここを目指したことに対してどう思われるかは知らないが]
ちゃんと回ってはねーんだが、温泉ってくれーだから休憩所もあると思うんだ。
[そう言って辺りを見回し、それらしい建物が無いか探してみた。
左手は未だ、アデルの腕を掴んだまま*]
/*
ラ神はどんだけ、金貨さんを振り回すんだろう……w
と、思ったら温泉についていた件。
……あれ、もしかしてランダム振ったのかしら、裏側でw
[夜毎伴侶を受け容れた入り口に、温い舌が浅く沈む。
幾度か彼に与った羞恥が、何故か鮮烈に蘇り、
足許で緩やかに上下する頭を弱々しく押さえつけ]
……っ、それ、…ゃ、
[制止の声は、閨でせがむ声音に似て]
ん、ぁ、……、
[舌の這う後から、一際柔い肌が震え。
濡れた音が鼓膜を揺すり、遠ざかった五感が俄かに迫る。
ずるりと胎を這い伝う感覚が、身体の芯に熱を灯す。
唇が音なく辿る形は、蜜事に掠れる喉で呼ぶ名前]
何か…食べるもの、と、飲むもの……
着るもの…
[泥まみれの姿はこの空間にあって非常に目立っていた。
早々に着替えないと良くない事が起こる予感がする。
闘技場に併設されているマーケットを覗く。
見たこともない様々な商品に目を配らせながら、何とか自分が着れそうな服を見繕う。]
― 記憶の書庫 ―
[先が見えぬほど続く本棚に、金貨は思わずため息をつく。]
……広い
[ぱっと見える範囲に、司書や門番のたぐいがいない。
となれば地道に探していくしかないと、暫くの間は収められている書には興味も示さず、人の影を探し続けるだろう**]
― 霧の沼地→魔界温泉郷 ―
[物理的な警戒などは元より不得手。
その辺りはいつも任せる形になっていたから、こちらは歩みを滞らせない事に集中していた。
そうして抜けた、白の帳の先]
……わあ。
[知らず、上がったのは、呆けた声]
魔界にも、こんな場所があるんですねぇ……。
[まだどこか惚けた思考は、場所への感嘆に意識を取られ、それ以外にまで意識は回っていなかった]
[残念ながら、異界の神に姿を見せたのは
聖職者でもなければもう人ですらない
ズタボロ泥まみれの狼だったとか。
魔界の風は厳しい**]
―――ああ、可愛らしい。
相変わらず、何処に触れても感じてしまうのですか?
[何も知らぬ愛妻に永き夜を過ごす術だと唆し、
心身に愉悦を教えた身ではあるが、
真綿が水を吸い込む如く、快楽を汲み上げる彼女の才を評す。
喋る度に吐息が濡らす陰部に掛かり、声の振動さえも伝わるか。]
―――…いいえ、イングリッド。
[耐え忍ぶ彼女に聞かせるは明瞭な呼び声。
彼女の守ろうとする伴侶こそが偽りであると言外に響かせる。]
貴女の夫は、決して約束を破りません。
[ちゅ、と啜るキスの音色に重ね、極当然と掲げる主張。
彼女を朦朧とさせながらも、続ける言葉に合わせて舌が閃き。
声と接吻に熱が篭って、胸に熱いものが満ちていく。]
貴女を迎えに行くと言ったなら、必ず傍に居ます。
イングリッド、私の何もかもを忘れてしまっても、
貴女が疑うことだけは許さない。
[自分という存在を成り立たせるために、自分は一体どれほど犠牲を積んできたのだろか、考えたくもなかった。
考えれば足が止まる。犠牲が大きかったからこそ立ち止まる事は許されなかった。
だがその時はその禁を破り、足を止めて振り返り、自分のした事の後悔と謝罪に苛まれ震えた。
語られる事もなかったので理由は知りえなかったが、赦しの言葉に、残ったオリーブ色の目を見上げながら、視界はくしゃりと歪んだのだった。]
― 出会った当時の事 ―
左右から来るぞ!駆け抜けろ!!
僕が前を切り開く!
[数を減らしながらも、それでも将まで到達出来ればこちらの勝ち。
指揮官としての才はそれほど無いが、足りない物は、シュテルン・ダルシュバーレイの名と若さと、己を顧みない勇猛さで乗り切っていた。
鼓舞する声に応えるように兵の士気は高い。
一団は相手が思っているよりも、ずっと固い矢となりその喉元へとたどり着いた。]
[そこで一つ息を深く吐き出すと、銀の双眸輝かせ、
ずるりと内側でのたうち、柔肉を掻き乱す影。
闇の欠片は彼女の記憶の欠落に影響を受けず、呼応する。]
“私”以外を求める事など、許さない。
[欠けた記憶に潜む自身にすら、向ける悋気の熱。
彼女の伴侶が誰であるか、彼女を抱くのが誰か、
教え込むように甘く、陰核に歯列を当てて柔く食んだ。]
っ…
[だがその一撃では命を奪えなかった。二度目のチャンスは与えられない。
斬りつけた指揮官らしき男を庇うように、護衛が立つのをきちんと見届ける前に、こちらは横に逃れた。]
深追いするな!そのまま抜けろ!
離脱する!!
[なお左右から来る槍を交わして離れなければならない。
口惜しさは残るが諦めて、残った味方一群と共に、駆け抜けるようにしてその場から離れた。
命を奪えなかった事への叱責は、甘んじて受ける事になったが、敵将へ重傷を負わせた事実は、戦時においてこちら側の士気高揚につながった。
殺しきれなかった事への口惜しさから、相手の事はよく目に焼き付いて忘れなかったが。
その事が斜め上の結果をもたらす事になるとは、その時はまだ知らなかった。]
―――絶対殺す!
[怒りと共に、繰り出した一閃は相手の懐近くに滑り込む。
だがそこではじめて、攻勢に出て来た相手の動きに虚を突かれた。]
[グリヴと、囁かれた名に動きが止まる。
僅かな人間にしか知られていない、つぐみの意を持つ本当の名。
自ら口にし伝えた相手は、目の前の男唯一人だった。]
さぁ、聞かせてください。
何が欲しいのか、―――貴女が求めるは誰なのか。
[促す言葉に合わせ、胎内の影が黎明に滲んで潤いと変わる。
緩く立ち上がりながら、彼女の指先に白銀の髪を通し、
徐に彼女の腕を解放すると、再び彼女を抱き寄せた。
ざわりと揺れた大樹が、己の力に揺らめいて。]
―――…声を。
[彼女の両腕を己の肩に誘導し、促すよりも命じるに近い声色。
開いた前立てより、彼女を満たす質量持つ熱が覗き、
切っ先の膨らみを、泥濘に変えた秘所にひたりと宛がった。]
は?
[動きは予想できない訳では無かった。
それより意識を持っていかれ、大きく隙を作ったのはごく小さな相手の呟きだった。
覚えのある響きに動きが止まり、続いた男の求める物に「お前は突然何を言ってるんだ」と意識が口に言わせる前に、ずらされた身体は、相手に無防備に腹を見せる位置取りだった。]
しまっ…!
[呟くより先に、鳩尾目がけて放たれた硬い柄の強烈な一撃に、肺の中のものが押し出されて口から一気に抜けた。]
っ、 が… っ
[痛みと急に空気を失った酸欠状態に意識は一気に遠のき、前に崩れおちるようにその場に膝をついた。]
[そうして、甘く零れる声に、数秒の時を噛み―――、]
[幽閉の折より焦らし続けた肉体と、擦り切れるほど恋う意識。
両方へと呼びかける花嫁の所有者は、傲慢に告げて、切に吐露。
菫色の双眸に己を映し、もう一度、愛妻の名を呼んだ。**]
―…っ!
[迎えに、という言葉。四番目。それが何を意味するかを瞬時に理解した。
自分は、神に見放されたからこの地に送り込まれたのではなかったのだろうか。で、あれば。喜ばしい、筈。神の元にいるのは、身に余るほどの栄誉な筈]
――。
[けれど、返るのは沈黙。この身にその栄誉を受ける資格はあるのだろうか。それに]
/*
最初からクライマックスな二人…。
Q:なんでペア村で殺し合ってるんですか。
A:相方さんとはそういう運命なんだと思いまs
貴方と殺し合うのは3回目だしね…。
[尖塔の上、何を知ったのか急に慌てて四方を見回す]
(にげ、な、きゃ)
[逃げる術がないから、今までどうしようもなくここに留まっていたのだが。相手は、自分がここにいるのを知っているのだろうか。知っているに違いない、何せ神の一柱なのだから]
―…。
[聖なる神は、魔のこども…腕の中の小さないのちを赦し賜うか。分からない。拾ってしまったこの仔を、どこか安全なところへ。できるならば、親の元に返してあげるまでは]
にげ、なきゃ。
[泉の力はまだ残っているのだろうか。分からないけれど。片手に掴んでいた塔の尖端から、手を離した*]
[――無限の書架、魔界の記憶から抜け落ちた一篇]
[ほんの短い一節]
[魔物でありながら世界から抜け落ちた存在があったこと]
[番うために群れを抜けた狼と胎の仔、
安住を求めて流浪した魔界に、求めるものは足りず
遂には人間の世界にまで零れ落ちていったこと]
[ごく当たり前に、人の世にも
魔物の安住などありはしなかったこと]
[歴史から零れた狭間の仔。]
― 浮遊する群島 ―
[毒液の嵐に打たれる人間の姿を見て、堕天使は勝利を確信する。
所詮はただの人間。最初から結果はわかっていた。
転がってわざわざ近づいてきた人間にとどめを刺すべく、首を下げて牙を剥く。
向けられた掌からは吸い込もうとする力を感じたが、さっさと息の根を止めてしまえばどうということもないだろう。
そんな思考は、次の瞬間に打ち砕かれた。]
[半身に溶け込んだ魂が、呼びかけに共鳴する。
投げられた聖印が呼応して淡い輝きを放ち、
囚われた肉体が誘われるように手を伸ばす。
真名を伴った呼びかけは堕天使の根源を掴み、一瞬前とは比べ物にならない力で刻印へと引き寄せ始めた。]
『貴様、なぜ我が名を…っ』
[危機を悟った有翼の蛇は、翼を広げて飛び去ろうとする。
しかし身体を宙に浮かせることはできなかった。]
[刻印の穴に、徐々に力が吸い込まれていく。それとは別のところで力が消えつつあることに、この時ようやく気が付いた。
尾に絡みつく司祭の体が、ゆっくりと堕天使を浄化しつつある。
意図した以上の魔素を引き出され、いつの間にか意図しない形で浄化され続けていたのだ。
聖印を手にした獲物は艶めかしく笑み、蛇身を抱きしめる。
光放つ聖印の圧力と、獲物の吸い付くような手と、存在ごと呑みこもうとする刻印と。
いくつもの力に阻まれ、逃れることも叶わず、ついには引きちぎれるように姿を弾けさせて、修道士がかざす掌に吸い込まれていった。]
[堕天使の消えた室内は静まり返り、ふたりの息遣いだけが響く。
心をなくした肉体は、聖印を握った手と何もなくなったもう一方の手を見比べてから、救出者へ目を向けた。
瞳は未だうつろなまま、なにがしかの意思がわずかに映る。]
… きて。
[そうするのが唯一正しいことだとというように笑い、"兄弟"へ両腕を差し伸べた**]
え? あ。
…そう、だな。
[言われて気付き、アデルの腕を掴んでいた左手を放す。
アデルに先程のような警戒の色は少ない。
逃げ出すことも無いだろうと判断してのことでもあった]
[独りになって、故郷という言葉を知って
かつて、初めて"訪れた"魔界は、
やはり、他人の土地でしかなくて]
[だとして、そこに稀有な輝きや闇があるわけでもなく]
[灰色に。**]
…んじゃ探すか。
[それだけ言って休憩場所を探し始める。
やたらと温泉の種類が多かったが、その中から建物の中に温泉がある場所を選び、併設された休憩室で休息を取ることに**]
外、一応見張ってから。
[休憩室と脱衣所はきちんと扉を隔てているのだが、アデルが気にするだろうからと考えて、アデルが温泉を使う間は建物の外で出入口の前に陣取って終わるのを待つ。
今までのレトならば一緒に、と話を持ちかけていた。
それとは真逆の今の行動は、性別気付いてます、と言っているようなものだった**]
/*
ちょっと真面目に設定考え直した結果、
・人間界生まれ。
・おかん駆け落ち。(父親不明)
・割と早期に孤児。当然一人っ子。
・狼年下疑惑。
……ということになった。よくわからないね。
*/
[休息場所に落ち着いた所で、まず最初に意識が向いたのは、身を清める事と、着替える事。
とにかく、今のままではいられないから、という意識が強くて]
……え。
[準備整え、お湯を使います、と声をかけた時の反応。
それに対して上がったのは、どこか惚けた声だった。
今までなら、一緒に、と言われ、全力で拒絶するのが常だったのに、と。
そんな考えが過ったのは、一瞬の事]
(なんで、ここでいつもと違う反応なんですか、それつまり、気が付いてるって事なんですかーっ!?)
[予感はあったが、実際に行動で示されると逆に対処に困ってしまうもので。
それでも、気を使ってくれている、というのはわかるから、何も言えなくて]
……ええと、その。
ありがとう、ございます。
[消え入りそうな声でそう告げて。
ばたばたと脱衣場駆けこむのが精一杯だった。**]
/*
さて。
温泉しーんは、秘話で放り投げるべきですよねw
そして、何かトラブル起こすべきですよねwww(待
いや、うん。
開始前からこれは、と思っていたので、うん。
今日まで休みでよかったwww
[震え、涙する。その時何を思っていたのか、薄らと感じ取れた。
手を伸ばす。触れる先は肩。この肩にどれだけのものを背負わされたのだろうか。肩からそっとなぞるように首筋を顎先を、頬まで進み、辛苦を含んだ涙を指で拭う
自分には犠牲にしてきたものの気持ちがわからない。考えたことがあっても、こうして涙することがない。できないのだ]
戦争なんてものは、化け物への道だ。人が人でなくなり、醜い餓鬼に堕ちていく。
だからこそ…お前のような、標となる存在は尊い。そう思える。
[慰めの言葉ではなく、思ったことを不器用に言葉にしようと、切れ切れに伝える]
今は、泣いてしまえ。私は、もの覚えは悪いほうだ。忘れるだろう。
[私たちは他国の人間だ、だから忘れるからといって、我慢するなと頭を抱えるように抱きしめた]
― 灼熱の闘技場 ―
[余計な言葉を挟む。無意味なこと。
過去の自分であれば、その言葉>>323に諸手をあげて賛同していたことだろう。
まさしく、敵であれば相対し、殺し合えばいい。それだけであり他の感情は塵芥にも劣る雑物だと]
ああ、つまらないさ。余計なものを交えない軽薄な剣を、ただ見世物のためだけに披露するなどな。
[苛立ちながらの問いを一笑にて済ませる]
― 出会った当時の事 ―
[自身の横を駆け抜けていった嵐のような集団。容赦なく左右から削り取れと命じながらも、生き残れてしまうだろう。とはなんとなくわかった。
先頭を駆けた将に付き従うものは、血を流すだけではない。手足をなくし、明らかに意識があるのが不思議なものもみえた。
それでも駆け抜けさせるだけのものがある。人体の構造を超えた意志が一つ一つに宿った固き矢だと、唐突に理解できてしまったからだ。]
構わん。私が倒れぬ限り軍は崩れん。
[理解できたからこそ、負傷に心配をする護衛を手で制し、健在であることをアピールして動揺を軽減しながらも、自身にけがを負わせたものの姿を確りと記憶に刻みこむのであった*]
[彼のものの感覚>>324の通り、見てはいなかった。
敵だとすら認識をしていなかった。この期に及んで獣のように猛る思いは、周囲を観覧としてみている群衆にも紛れる程度にしか感じ取れなかったのは、苛立ちとともに醒めていたからか。
ただ、絶対>>325という言葉を真正面から砕くように。
何もいらない>>323といった言葉を自身>>326で否定させる隙を作らせて鳩尾を柄で思い切り殴りつけた]
弱くなったな。
[無様に膝を着くシュテルン>>327を見下ろしてつぶやきながら、自身の右腕に沿うように寝かしていた剣を振るい、起き上がる隙を作るまえに剣の平でシュテルンの頭部を殴り、意識を奪った]
[そうして勝敗を明らかにする。
不愉快な時間を過ごさせると、意識を奪ったシュテルンの剣をとり、腰に刺さった鞘へと納める。自身の剣も納める。
もっと血腥いものを期待していた様子の観客の野次を尻目に、意識を奪った相手を横抱きに抱き上げて、出場ゲートのほうに戻った。
自分を闘技場の参加者にしたものから賞金のようなものが手渡され、腕の中のものを下ろすように言われるが、賞金の入った袋から半分を抜き取り、もう半分を返す。]
続きを楽しみたい。構わんだろう。
[最初は首を傾げていたが、すぐに下卑た笑みを返す奇形の生き物。
元より敗者に然程の価値がないのかはわからないが、勝手な想像を働かせて目的が達せられるならば構わない。
そうして会場を後にした]
― 灼熱の闘技場周辺 ―
[受付近くの治療所で未だ意識が戻らぬシュテルンの治療を頼む。
その際、先の戦いで負ったものではない傷があったのには顔を顰めたが問いの答えを持ち合わせているものこの場で気を失っている。そして外へと出て]
…来たか。
[やっと出てきたか。とばかりに会場を出れば近づいてくる黒き馬。
ここにいることに疑問は抱かなかった。自分という命を乗せるために追ってくるだろう。ということが予感ですらない確信としてあったからだ]
今回は二人分の命だ。重いぞ。
[嘶く黒。構わないといっているのだろう。そっと抱き上げていたシュテルンを軍馬の上へともたれるように乗せ、自分は乗らずにおく]
今更ながらここはどこなのだろうな。
[未だに現在地の認識すらまともにしてない...は、情報収集をかねて付近を歩き始めた**]
[相変わらず、と過敏な身体を揶揄する声も、今は耳に届く。
毎夜押し殺そうと努めた羞恥心さえ、苛む程に余さず愛でた声音]
だって……貴方が、……私、を、
[惑いばかり先立つ心より早く、寄り添う身体はその主を知る。
自ずと唇は、夜通し睦む術を手ずから仕込み、暁を疎んじ
宵に焦がれる身へと造りかえた当人を詰る]
[揺るぎない声音が夫を語り、諦念を掻き消すよう否定する。
其れにも最早心は波立つことなく、彼のくれた言葉を
想起させる声が、下肢が甘く濡らされる音が、流れ込む]
ごめ、…なさ、い
約束、守れなくて――…
[何処に居ても、何をしていても。忘れないようにと言い含めた
夫の姿が、眼前の男に淡く重なる。
外気に曝され震える身体に熱を移し、啜り上げる接吻。
喘ぐ喉で途切れる謝罪を懸命に繋げば、また頬が濡れ。
忘れる事より疑う事を戒める声が胸を衝く]
[怯え竦んだ影も焦がれる慰撫と変じ、擁する胎に責苦を施す。
宿主を挟み、確かに呼応する気配。
安堵と充足に零れる吐息は、先を求める焦燥を薄らと纏い]
………あなた、
[ごめんなさい、と再度告げる謝罪は、約束を果たし
傍に在った彼から目を背け、求めなかった不実に。
柔く雛尖に食い込む戒めに、この身が今も変わらず、
唯一人に所有されていると思い知る]
[熟れた胎に施される潤滑が、伴侶を求める衝動を肯定する。
導かれるまま、自由を得た両腕を彼の肩に確りと繋ぎ、
素肌を擦り寄せ、頬を押し当て縋りつく]
――――…ルー、ト、…ルート…っ!
[今一度さえ諦めかけた男の名を、再び紡げる歓喜]
…私が、何より欲しいのは。
何処に居ても、何をしていても、求め続けるのは。
ルート、…貴方だけ。
[違えた約束の代わりに、そっと宿望を打ち明け。
突き立てられる熱い切っ先を待ち侘び、戦慄く下肢をじわりと開く]
[戴く呼称の甘く切なげな響きに、柔らかな喜色が満面に溢れ]
ルート、私の――……、
[応える声は不意に掠れ、綻ぶ唇が、薄い唇にふわりと添う]
私に、 ……私だけに、貴方を。
[―――下さい。と、初夜から幾夜も越して、独占を求める囁き。
月光にも似る銀の眼差しを一身に浴しながら、夫の腰を手繰り、
所有を強請って自身へと誘う]
− 浮遊する群島 −
[堕天使に向けて掲げられた左手の陰刻。
対して、蛇身に捕われていた彼もまた差し伸べられる。
その動きはまるで鏡像のごとく。
聖印の光と真の名によって縛られ、これまでの時間、彼を貪るために魔素を費やしていた堕天使に、逃げ延びる余地はなかった。
形を失った黒い魂は、水が低きに流れ込むように吸い込まれる。]
[瘴気を引き寄せる刻印、だがそれは無尽蔵の穴ではなく、呑み込んだ魂の大きさに、人たる肉体は軋みをあげた。
瞬時に肌に浮かび上がった聖なる紋様が漆黒に染まり、張り巡らされた鎖めいて全身を扼す。]
…う ぐぁ、
[苦鳴は言葉にならない。
それでも、支えを失った彼の身体が地面に頽れる前に、腕に抱きとめた。
心なき肉体の、それでも優しき笑みを。]
[一糸まとわぬ姿だ、彼の肉体には蛇が残した傷痕が見てとれる。
どれだけの玩弄をされてきたのか想像するだに難くない。
だが、それを労る余裕がなかった。
抱きとめた身体を、そのまま床に伸べたのは休ませるためではない。
自らの修道衣を脱ぎ捨てのしかかる。]
[数多の瘴気を吸い上げて留めるクローディアスの肉体は、それを浄化する術を持たない。
内側から肉体を突き破ろうとする力を、全身に施された聖紋が押さえ込んでいる。
だが、それもいつまでも保つものではなかった。]
…シズ、
[かろうじて口にした名は、苦悩と渇望の響きを帯びる。
理性が制御できたのはそこまでだった。]
[蛇の肉欲の音叉がすでにそこを蹂躙し、蕩けさせていたことは不幸中の幸いと言える。
さもなくば、いささかの前戯もなく突き立てられる剛直に彼の蕾は引き裂かれていたかもしれなかった。
衝動を漲らせた怒張は容赦なく彼の臓腑を逆しまに貫いて、その奥につながる解放を目指す。
獣の姿勢で番いながら、どす黒い欲情は爆ぜて、爆ぜて、爆ぜた。
このような形で務めを行うことの背徳を感じながら、一方で純粋な悦楽の奔流に押し包まれて腰椎を震わせる。]
[駆け込んだ脱衣場で、まずは呼吸を整え、気を鎮め。
それから改めて、自分の状態を見る]
……ぼろぼろ、ですねぇ。
[呪符を幾重にも織り込んだローブはともかく。
その下のシャツとズボンの再起は色々な意味で難しかった]
これでも、無事だったと言えば、そうですけれど。
[ぼやくように言いながら、ローブには専用の清めの魔術をかけておく。
それから、着ている物を全て脱ぎ、備え付けの鏡で身体の状態を確かめた]
……やっぱり、痣になってるなぁ。
[肌の上に残る赤い痕を辿り、小さく零すのは嘆息。
特に強く締められた胴や脚周りにはしっかりその痕が残っているし、それ以外にも細かい掻き傷が散らばっている。
細身の肢体に均整の取れた、大きすぎず小さすぎずの膨らみの上のそれは、文字通りの玉に瑕、と見えるもの。
それを受けるに至った時の事がふ、と記憶によみがえり]
…………忘れよう。
[ふるふるふる、と首を振って小さく呟く。
『清らかであること』を義務付けられてきた身には、魔界植物の攻勢は色々と刺激が強すぎた]
[気を取り直して湯を使い、身を清める。
汚れと共に残っていた諸々が洗い落とされると、意識はだいぶはっきりして、頭痛も遠のいたのだが]
……まいった、なぁ。
[温かい湯に浸かりつつ、ぽつり、呟く。
思考が正常に戻れば、同時に感じるのはなんとも言えない気まずさ。
いきなり攻撃魔法をぶち込んだ……というのもそうだが何より。
混濁した精神状態のまま、普段は押し込んでいる部分を晒してしまったのがどうにも気まずい]
……気にしすぎなきゃ、いいんでしょうけど。
[一番知られたくなかった部分まで知られた、となると、それもそれで厳しいものがある]
ここから、無事に脱出できれば。
いずれは……な、わけです、し。
[先の見通しなどほとんどたってはいないが、元の世界に戻ればそう遠くなく、里に連れ戻されるのはわかっている。
本来なら、18の歳には戻って『斎の民』を束ねる巫女となるはずだったのだ。
それを、未だ修行が完了していないから、と引き延ばしてきたのだが、そろそろそれも難しい]
…………かえりたく。
ない、な。
[勿論、魔界からは脱出しなくてはならないが。
里に戻りたくない、という気持ちは、ずっと抱えているもの。
連れ戻される事を拒むのは、その表れで]
…………。
[小さくため息をついた後、目を閉じて、温もりに身を委ねる。
重なった疲労は、その内睡魔を呼び込んで。
眠っちゃダメだ、と思いながらも抗いきれず、意識は徐々に、途切れがちに。**]
― 浮遊する群島 ―
[温かな腕に抱きとめられて、身体から力が抜ける。
心を失くしても、そこが一番安全な場所だと肉体は覚えてした。
黒く蠢く紋様が浮かんだ彼の肌をさすり、
胸に頭を摺り寄せて鼓動を求める。
苦しむ声を聞けば、腕を伸ばして抱きしめた。
あなたを解放したい。
肉体と精神に分かたれた今も、その欲求は変わらぬままにある。]
[身体を離され床に押し伏せられれば、不満の色をちらと浮かべた。
抱き合っていたいと手を伸ばす。
その手を掴んで、熱い身体が下りてくる。
覆いかぶさる質量と触れ合う熱量に、蕩けた身体は歓喜の声を上げた。]
───、─── 〜〜〜!!
[煮えたぎる怒張に貫かれた瞬間こそ、息を詰まらせ背筋を張りつめさせて衝撃に震える。
だが腰を打ち付けられるたびに吐息が溢れ、甘い喘ぎに変わっていく。]
あ、あ、 あぁ、 っ、あああ、
[幾度も往還する欲望の熱に、うねる隧道が絡みつき引き寄せ、さらに奥へ呑みこもうとする。
脈打つ熱が弾ければ余さず飲み干そうと、入り口から奥まですべてが蠢き締め付ける。
腰を押さえられ前後に動かされながら、それ以上の勢いをつけて自ら迎え入れ、胸を床に擦り付け背筋をうねらせてもっと欲しいと強請る。
色情に身を捧げたような姿態は変わらぬまま、いつしか変化が表れていた。]
クロゥ、 クロゥ 、
ああ、もっと、 もっとあなたが欲しい …
[零れる声は言葉になり、動きに巧みさが加わる。
互いがもっとも気持ちよくなれるように。
彼がすべて出し切ってしまえるように。
さりげなく導き、誘った。]
すみません、お金は持っていなくて…
えっ、目玉を取るのはその、ご遠慮させていただけませんか…
[あぁだこうだと白熱したやり取りの結果、女の腰まであった紫の長い髪は肩よりも少し長い程度になった。
灰色のノースリーブのタンクトップに白のゆったりとしたパンツという出で立ち。]
…よかった、
それにしても、どうやって戻ったらいいんだろ…
[近くの水場で顔を洗い、肩を落とした。**]
/*
狼キャラ恒例の喰いたいスケールですが、
今回はシンプルにこんな感じです
ベル>アデ>[まっしぐらの壁]>マレ>リヒ>ジー>残り全員>[食い物の壁]>イン=ルー>ベネ
硬貨の神ってなんだよ食えねえよ、
という心の声をお聞きください
それにしても
髪の毛で物々交換するウチの巫女さんマジ男前じゃね?
再会時に無自覚で狼がしょんぼりするフラグが立ったけど
*/
[尊い標だと言われ、そうだろうと自らも思う。
そう在らねばならない。
シュテルンという存在は、その為に作られたのだから。]
…っ。
[嗚咽と共に喉奥から吐き出しそうになる秘密は重く、降りてくる事は無かったが、肩に触れられるとびくりと跳ねた。
優しい言葉に首を振るのは、受け入れてしまえば崩れるからだ。
それでも、抱えられた頭を離す事も、腕の中から逃れる事もせず、促されるままに暫く静かに泣き続けた。
忘れてしまえといわれたそれを、忘れてしまったのはこちらの方だというのに。]
[消え入りそうな声で礼を言われる理由が分からずしばらくきょとり]
………あ。
[気付いた時には既にアデルは脱衣場へと消えていた]
隠してたんだっけ……。
[極小さい呟きは壁に阻まれ脱衣場にまでは届かない。
所在なさげに一度頭を掻いた後、レトは休憩室の外へと出た]
― 魔界温泉郷・個別温泉前 ―
[アデルを中へと残し、個別温泉を出て扉の前に座り込む。
右膝を立て右腕をその上に、手を身体側に向ける形でレトは扉に凭れかかった]
……つっっっっかれた……。
[ぐて、と頭が垂れる。
魔界に来てからはずっと動き詰め、魔物との戦いもあった上に精神的な疲労もあり、ようやく少しは休める、とレトは思った]
………色々ありすぎて何がなんだか分かんねーよ。
[異変を起こしていたアデルはどうやら元に戻ったようだが、その過程にあった出来事は様々な疑問を齎した]
…アデルのことなんにも知らねーんだな、そういや。
[事実、深い話をするほどの付き合いではなかった。
護衛と護衛対象、共に冒険する者。
そして、レトにとっては監視対象。
そのことを隠すためにレト自身、アデルに対して深く踏み込むことが無かったのだ]
…昔、なんかあったんかな。
[アデルを捜していた時に向けられた強い警戒と拒絶。
触れた時に震えた身体。
何か原因が無ければあんな風にはならないはずだ。
昏く荒れる空を見上げながら、レトはしばし思考を巡らせた*]
[巡る思考は沼地での出来事を脳裏に呼び起こした]
(にして……女だったとはなぁ)
[手に触れたチョーカーに付いた魔石を弄りながら、発覚した事実に思考を巡らせる]
(そりゃあ風呂に誘っても拒絶するわけだ)
[この半年間全敗したこともついでに思い出した]
………。
[馴染みのある匂いと温かさと振動が、程よく眠りを増長する。
何かが起きるまでは、暫くぶりの強制的な安眠を、馬上の主は享受し続ける*]
にしても……。
[不意に浮かぶ疑問。
思考に留まらずつい口から零れ出る]
何で性別隠す必要あったんだ?
[過去や素性を隠すのはあまり気にならない。
レト自身隠し事をしているのだから、お互い様と言ったところだ。
しかし性別を隠す理由が分からず、何となく気になってしまう。
解せぬ、と言わんばかりの声が無意識に触れた魔石──通信具によって駄々漏れになっていることにレトは気付いていない*]
…… はぁ。
[結局食べ物は口にしていない。
周囲を見渡せば、僅かながら人間らしい姿もちらほらと見受けられた。
魔界に住む人間がいるのか、または一時的に身を置いているのか…]
これから、ひとりでどうしたらいいんだろう。
…… これから、じゃないか。
[物心ついた時から、身寄りはおらず、一人だった。
それがまだ乳児の頃に鈴月森に捨てられていた為であることを知ったのは、暫く後のことになる。
自分を森の中で拾ってくれた狩人は行く宛も無く神殿に引き取られた彼女の様子をたまに見に来てくれたが、それも狩りの最中に彼が命を落としてからは途絶えてしまった。]
[彼女が鈴月森に入ったのは、神事に使用する月夜白草を摘む為である。
獰猛な獣の潜む森に入りたがる者はいなかった。
女は幼い頃より神殿で育ったが、鈴月森で獣に喰われず拾われた彼女を良い目で見る人間は殆ど無かったと言っても良い。
産まれもわからず、穢れた血を引く者である可能性を踏まえ神殿から追い出すべきと言う者もあった。]
[だからこそ、自分が誰もやろうとしない仕事を買って出ようとしたのだが…
その結果として、今こんな場所にいる。]
…あの狼は、どうして私を追ってきたのかしら。
[狼はところどころ怪我を負っていたように思う。
そうまでして自分に執着する理由が女にはわからなかった。
獣としての矜恃のようなものがあるのだろうか。]
寂しい…
[かといって、会いたい存在すら浮かばない。
変わりに頭に浮かぶのは、自分を見下ろしていた青年の顔だった。**]
― 魔界温泉郷・個別温泉 ―
[休憩所に落ち着いた後、何はなくとも優先したのは、湯を使う事。
そうする事で、精神に影響を与えていたあれこれも落ちて、正常な思考は戻ってきた、のだが]
……んー……。
[中の見えない乳白色の湯に浸かり、半分眠った頭で考えるのは、これからどうするか、という事]
……おかしく取り繕わない方が、いい、かなあ。
[色々とやらかした感が絶えぬから、どうにもそこが引っかかってしまっていて。
主に、どんな態度でレトに接すればいいか、で悩んでいた]
[元より、深い繋がりを作る心算はなかった。
彼にとっての自分が監視対象なのは察していたから。
いずれ何かの理由で離れるか、その前にこちらが生まれた里に戻って、本来の務めを果たす事となるだろう、と。
そう、思っていたから、一線を引いて、距離を取って。
自分の事は何も話さず、向こうの事も何も聞かない──そんな状態を保っていたけれど]
……さすがに……ですよ、ねぇ……。
[思い返すと埋まりたい、いや、沈みたい。
その位の決まり悪さが残っている。
元々、長湯好きだから、浸かっている事に問題はないのだが。
半分眠った頭の思考は、どうするか、に中々たどり着きそうになかった。*]
……ふぇ?
[内風呂なので危険はないだろう、と思いつつも、一応近くに持ち込んでおいた通信具を兼ねるアミュレット。
そこから聞こえた声に、上がったのは惚けた声]
……だって。
知られると、大変だから……。
[本来なら、返す必要もない疑問。
むしろ、聞こえていても、聞き流すべきそれについ、答えたのは、半ば眠った意識による、条件反射のなせる業。*]
!?
[独り言のつもりで言った疑問に答えが返ってきた。
思わず辺りを見回す……が、声の主は居ない]
………あ。
[そうか、と視線を下へと移す。
手で触れることを起動の条件にしていたのを忘れて触れていたと、その時に気付いた]
………
[返答内容の意味を考えるために僅かばかりの沈黙。
だが考えてもやはり分からなかった]
知られると大変って、何でだ?
男だ女だってのは、研究とか冒険には関係ねーだろ?
[その理由がアデルの出自に触れることになるとは気付きもしない。
疑問が浮かぶままに口にし、アデルに問いを投げていた*]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
ん…。
[どれくらいうろうろと連れまわされていたのか。
薄らとあけた目に飛び込んだのは、真っ黒な色だった。
ぱち、ぱちと瞬いて、視線を動かすと今度は長い毛が見え、さらに視線を上げれば、ぴんと立った耳が見え、ようやくそれが何かを思い出す。]
……馬?
[理由は解らないが馬に乗っているのかと、動く馬の背の上でバランスを崩さないように身を起して、その首の向こうに見えた人影に固まった。]
…………(ええと)
[今一体どういう状況なんだと眉根を寄せながら、幉を引く男を見ていた為、馬が急に足を止めたのに、まだふらつく体は追いつかず、軸がずれた。]
わ、っ
[馬の背から滑り落ちるも着地は何とか足から出来たのは、日頃の訓練の賜物か。
転がらずにすんで良かったものの、急な動作は誰かに体をぶつけるには十分で。]
うわ…、すまない。
[またやったかと胸中思いながら、ぶつけた相手にすまなそうに頭を下げた。]
[再度届いた問いかけに、きょとり、と瞬く。
半分眠っていた思考が、覚醒側に傾く]
……え、と。
[どうしよう、と思いはするものの。
先ほどの状態の説明にも絡む、と思えば、黙り込む事も出来なくて]
……ぼくは、本当なら、外に出る事自体が許されていないんです。
森の奥の里にあって、祭祀を行う……それが、本来の在り方で。
[ぽつぽつと、零すのは途切れがちの説明]
それで、その……一族の血を、外に出す事が、赦されていない、から。
女性と知られて、色々あると、大変な事に、なるから……って。
だから、知られちゃいけないって……御師様の、言いつけで。
[男装していたのだ、と、そこまで告げて]
……あの……。
怒って、ます?
[少し間を開けて、投げかけたのは。
面と向かっていたら聞く自信のない、今抱えているささやかな疑問。*]
― 記憶の書庫 ―
[床に落ちていた破損本から前肢を離した。
表紙に泥の足跡がついて、目を落とす]
[積み上げられた魔界と言う歴史、叡智
文字、記号の羅列
保全する遠隔の伝達
爪弾きの欠落]
(――俺にはかんけいないな)
[結論を下すと、てってって、と歩き始める]
[新たな人影(食えなさそう)の外見印象は
この場に釣り合うものと思えたので、
特に疑問は差し挟まなかった]
[問いに返る言葉を黙って聞く。
それがアデルの出自に関わると気付くと、軽く眉を寄せた]
(あー……そっちに繋がるんか)
[触れずに居た部分に触れてしまった気まずさ。
顔を見ずに居られるため、通信具越しで良かったと少し思う]
(つまりあれそれに巻き込まれないために、ってことか。
男として振舞ってりゃ確かに面倒はねーが)
[方法は理解出来るが、何だか釈然としない]
(自分が苦しいだけじゃねーの、それ)
[自分すら欺いているような、そんな気がした]
[何も返さないのをそう感じ取ったのか、それとも他の何かを気にしてか。
短い問いが投げられる]
え?
[虚を突かれたような声が零れた]
あー……怒ってるわけじゃねーよ。
つーか、性別偽ってただけで怒るかよ。
理由あってやってたことなんだろーし。
[他にも気にしていることがあるとは気付けないため、その点についてだけを返した*]
[打ち明けた理由に抱かれている想いは知る由もなく。
仮に、知れたとしても、そういうもの、という諦めが先に立っているから、それをそのまま伝える事になるだろうけれど]
……あ、いえ、そっちじゃなくて。
その……さっきの、事。
[問いに返された言葉に、訂正と補足を短く入れる。*]
捜しに来てくれたのに、逃げ回ったり、攻撃、したり。
あんまりにも、酷過ぎた、から……。
− 浮遊する群島 −
[組み伏せた肢体が喘ぎ震え、瘴気を呑んでゆく。
はしたなく零れる嬌声。甘やかな媚態。
それでいて彼の裡にある門はどす黒い穢れをことごとく浄化し、天の御許へと還元した。
途方もない官能に身を振り立てながら、幾度となく瘴気を放出するうちに、抱いている彼の声に情感が戻ってきた気がした。
本能だけではない律動が温かな耽溺に誘う。]
…シズ、 シズ。
[心が戻ったのだろう。
花咲くような喜びが疲労を押しやる。]
[求めて擁するは、我が妻。
彼女が己を忘れてしまえば、自身の心は翳り、
焦燥に駆られるが、魂の希求が収まるはずもない。
執着に良く似た恋情と言う名の根源は、
失ってしまった記憶すら埋め尽くすよう、彼女に求めさせる自身。]
―――…そう、貴女を造り替えてしまったのは私です。
もう一度、教えてあげましょうか。イングリッド。
[もう一度と言わず何度でも。
悠久に等しい刻を持つ身が、気長く彼女に惹かれる情を打ち明け。]
謝らずとも、――…貴女を幾度とて、私は求め続ける。
貴女の意思に関わらず―――…、
[僅か滲ませた強欲の一端は、それでもほんの少し瞳を揺らして。
ああ、と溜息のように吐き出す一声。]
―――……、…いいえ。
それでは
[冗句めかし告げるものの、紛れもない本音。
笑んだ見知らぬ男の顔が、彼女の滲んだ視界で新たな像を結ぶか。
彼女が助けを求め、約束を結んだ相手の―――夫の顔へ。]
[彼の顔が見たくて、身体の向きを返すために、強いて一度、結合を解いた。
蠢いて締めつける温かな隧道を戻るのは甘美な苦役だったけれど。
彼の傍らに寄り添うように倒れ込み、間近にその貌を見つめる。]
おかえり── シズ。 よかった…
大変だったろう──
[彼の肌に残る打擲の痕をそっとなぞる。
自分の肌の紋章もいまや崩れ溶けて無残な有様だ。
だけど──]
[するりと唇を彼女の頬に寄せ、涙痕にキスを捺す。
ひとつの口付けに、想いの丈を込めて。]
イングリッド、もう一つ。
[低く含み笑い見せる顔は、封じられた記憶の解放を知り。
男は愛妻に名を呼ばれる喜びに身を浸し、双眸を撓めた。]
私が、貴女を。
こんなに可愛らしい妻を、他の誰かに寄越すように見えますか。
[指先で手繰り、形を確かめる臀部と、腰の稜線を辿る五指。
彼女から送られる抱擁にも浅く呼気を吐き出し、腹が微かに満ちた。
しかし、当然のように悦を食い尽くせば、更にと欲しがる様。]
ああ、まだ… もっと…
流されてするのでなく…
──おまえが欲しい。 欲しい。
[もう衝動は去っていたけれど、いまだ堅さを失わず屹立する熱へと、彼を抱き寄せた。
受け止める彼の表情を見ていたいからと、自分の腰に跨がるよう導く。]
[ちゅ、と微かに鳴らす口付けが彼女の眦に伸びて、
泣きはらした瞳を労わる所作。
緩やかに擦り付けた腰は、彼女が乞う侭に、己が求める侭に進み、
グ、と勁い力を溜めて彼女を身体ごと押し上げ、侵入。
ズグリと肉を分けて進む熱源が、己の肺腑から熱孕む古希を迸らせ、
懐くように頬をすり合わせつつ、彼女の唇に応じた。
触れ合う場所から溶け合い、境目すら曖昧へ転じさせるよう。]
幾らでも。イングリッド。
―――…私の可愛い人。
[持ち上がる喜色を隠すことなく、彼女を揺らし、
浮遊感の中で、木々を騒がせ、熱で突き上げた。]
/*
今日は落雷により会社が停電して、サーバーが落ちたので、
定時で帰宅しました!なので、とても元気です。
今日もいちゃいちゃしますよー
その代わり、明日は地獄ですがね。
これが命の前借…。
……俺の身体?
貞操のほうがむしろ危険っていうか、
そんな簡単に死んでなんて――
[>>362 半透明はふよふよと、
裏口回って壁の間の狭いとおりをすり抜けて、
どうにか危険な目に遭遇せずに中庭までリエヴルを
案内したものの。
中庭がなぜか燃えてます]
ちょっ……、俺の身体…!!
[地下牢の天井近くの壁にあった天窓は、
構造上地面に程近い、そこから空気取り入れてるし、
うっかり引火したり、うっかり酸素不足になったり、
いやな予感が頭を過ぎったりもする]
し、知らない。
さっきまではこんなのいなかったし!
あーもう、このままじゃ、
リエちゃんに触れないのにー!
[すかすか纏わりつきながら、
まったく役立たずな状態であった]
[返答に返る否定の声。
さっき、と言われて瞳を瞬いた]
…………あー。
[短い訂正にようやく意味を理解する。
性別のことが衝撃過ぎてすっかりすっ飛んでいた]
[言葉を紡ぐのに間が開く。
気の抜けたような呼気が一つ、通信具に伝わった]
……なんつったらいーんかな。
怒りが沸くとかそんなんじゃなくて。
どっちかっつーと……ショックだった。
俺のこと忘れちまってるしよ。
何で逃げられるのか分かんねーし。
とにかく必死だったから、さ。
[声に自嘲気味笑う気配が乗る*]
― 記憶の書庫 ―
[探し人の行方をにこやかに尋ねてみたら首を傾げられたので、表情そのまま釣られて首を傾げてみた。
絵面だけならほのぼの路線。
金貨が幼子の姿であれば、絵本の一ページにでもなったであろう光景は、金貨が初対面であろう狼に聞きたいことを聞いた結果>>343である。
相手がただの獣であったなら襲い掛かられていただろうにと、己の迂闊さに後から後悔が襲ってきたものの、結果的に無事だったんだしと気を取り直した。]
[戦場で魅せていた凛々しさが影を潜め、弱弱しいその姿がさらされている。
同じ戦場に立つものとしての違いがそこにある。その歪さが力を産み、同時に蛮勇を産んでいるのではないか?
常のような断定するような思考をもてない不慣れな自分に密かに苛立ちを覚えながらも、それよりも目の前の声を殺して泣く存在をあやすように背中を撫でて。]
私の部下の命は私のものだ。そして私は…許す。
[違いはきっとそこではないだろうか。過去が許せたか許せないか。
だが自分の失った瞳にまで謝罪を述べるならば、それを背負うことを許させはしない。と告げた言葉の意味まで伝わっただろうか。
いっそ、投げ出せられたら楽だが、涙を流す者はそれをしないのだろう。その時はそう思えていた]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
[未だ馬上で意識を失っているシュテルンを横に、マーケットの中を歩き、奇形の人?から話を聞くがいまいちよい情報は得られない。
どうやらここはマカイという国であること。闘技場のほか色々と変わった場所があるということ。
期待はしていなかったが、ためしに自分たちの国の名を聞くも、ナベリウスもリリーパという国も知らないらしい。
こんな変わった民族たちが生き、そして気候変動もめちゃくちゃな過酷な土地に生きたことでこのような姿になったのだろうか。]
[世界は広い。そういわざるを得ない。]
別の大陸ということか。随分遠くまで流されたな。
[魔法というものがほぼない世界に生きた...はこれが別世界などという珍奇な状況であるなどと思ってもいなかった]
[そのように過ごしている内に、意識を覚醒させたシュテルン>>357
現在どのような状況にあるか把握できるまでしばし待つ。
斬りかかるような真似だけはしない様子>>358 >>359を横目でみていたが、馬から落ちそうになったのをみて、柄にもなく慌てた。]
[床に散らばる本に視線を落とした後、さほど興味もなさそうに歩きはじめる狼>>361を見送る。
この先がどこかに続いてるのかもと、過りはしたものの、探し人に「自分が探してる」ということは伝えてるのだし施設を出たほうが建設的かと思い直した。
さてここから出ようと向きを変え、点々と落ちてるお破損本に視線を落とし――…]
――…管理人なんて居たら、真っ先に襲われそうな状況ですよね。
[自分が壊したものではないのだし、面倒になる前にと急いで外を目指すのだった。]
…いや、大丈夫だ。
[先ほどの自分を取り繕うように硬い口調でいう
結局支えが必要ではなかったのだ。頭を下げるシュテルンに表情が見えないことを幸いとして、その間に切り替える]
まだふらついているだろう。素直に乗っていろ。そして情報交換といこうか。
[自分がなぜここにきたのかもだが、相手がなぜここにいるのか。その辺りもさっぱりわかっていないためそう切り出した]
[返事が返るまでの時間は、妙に長く感じた。
やっぱり聞かなきゃよかった、とか、でも面と向かったら、とか。
そんなぐるぐるとした思考のまま、沈みたい衝動に駆られた所に届いた呼気一つ]
……ショック、だった……って。
[言われた意味はそれだけでは分からなかったが。
続いた言葉と、自嘲帯びた笑う気配に、また沈みたくなった]
……ごめん、なさい。
頭の中がごちゃごちゃになって……古い記憶に、引き摺られてて……。
まともに、考えられなくなってたから……逃げるしか、できなくて。
[ぽそぽそと、そう告げて。
それからまた、しばし、黙り込み]
[もう一度、と告げる声音が孕む仄暗い熱に、ひくんと肩を竦ませる。
低音を傍近くで吹き込まれるだけで、彼を身体中で余さず感じ取ろうと、この身はひとりでに感覚を澄ませる。
――とっくに、そういう風に造られている。
妻として、初めて彼に身を拓かれた夜から、数多の夜を重ねて]
でも――……私。あなたを、独りにさせてしまった。
傍に、居たのに。…なのに。
[己の意思に関わらず、幾度とて求め続けるとさらりと告げる男。
裏に潜む熱量に、静かに息を呑む。夜毎飽かず腕に囚われる度、
彼に巣喰う飢えの深さを、渇きの烈しさを、何度でも思い知る。
――遙かな深淵から、寄る辺なく呼ばう声が。
あの幼き日より、耳の奥にいつも在る。
闇の底まで、隈なく温かな光を届かせる灯にはなれずとも。
尽きぬ飢えを、渇きを、満たし癒すことが叶わずとも。
彼が望んでくれる限りは、陽光に背き、持てる全てを
闇に呑み干されようと、最期まで彼に添い遂げようと。
摂理を捻じ曲げ、相容れない性を持つ闇の長に妻合わす謀を聞かされた時に、そう決めた]
……でも。
そんな状態なのに、ちゃんと、捜しに来てくれたのは、その。
……嬉しかった、です。
ありがとう……レト、さん。
[これまた、面と向かっていたら言えない事を、小さく紡いで]
あ、勿論、わかってます、よ!
……それが、お仕事なのは、ちゃんと、わかって、ます、から。
[早口で言い添えたのは、自分の言葉が妙に居た堪れない気分を招いたから]
……ええと、その。
そ、そろそろ、上がります、ね。
そちらも、休息しないとならないでしょう、し。
[言いながら、ぱしゃり、と湯を弾く。
これ以上浸かっていると、本気で沈みそうな気がしてならなかった。*]
― 黒い太陽の平原 ―
――……脇腹っ………わき、ばらっ……
[金貨の実年齢を知るものが見たら「年寄りの冷や水」ぐらいは言ったのではないだろうか。魔界の端から端までとまではいかないが、それなりの長距離を全力疾走したらこの様である。
自業自得としか言い様がない。
左脇腹に走る攣ったような痛みに、金貨はその場に崩れ落ちただろう。
そんな状態でも、呼びかけることはするのだけれど]
――リヒャル、トさんっ……聞こ、え……
[酸素を求めての荒々しい呼吸音を抑えつつの呼びかけは、途切れ途切れになってしまう。
探し人の先程の沈黙は、返答しにくい状況だったのでは?と考え深刻に捉えては居ない]
― →魔界温泉郷 ―
[因みに水は平気な質だ]
[だぱーん]
[適温そうな魔界湯にダイブして
しばらくしゃばしゃばしている。
傷に滲みるが、尚更、泥は落とした方が良い。]
―――っ
――――…ふぅ…
[適当な物陰を探し腰を下ろせば、鞄の中から水筒を引っ掴み、中身を喉へと流しこむ。
落ち着いて言葉を発せるようになるまでは、その場から動かず探し人の言葉を待つだろう**]
― 魔王の城 ―
[高い塔の尖端、手を離す。温泉の効果がなくなっていれば、ここから落ちれば確実に命を落とす。けれど]
――…っ!
[まだ、神に見放されきってはいないらしい。まっすぐと落ちる体の速度は、幾分か緩やかで。
けれど、このまま落ちれば――]
―っ、お、ねが…っ
[力の使い方を教わった訳ではない、から。祈ることしかできない。その祈りすらもきちんと言葉にはならなかったが]
――!!!
[眼下の枯れかけた樹木が、いのちを吹き返す。枝葉を伸ばす。絡み合って幾重にも重なり、落下の衝撃を受け止める]
…っ、い…っ
[殺しきれない落下の衝撃に、ばきぼきと派手に枝を折り落ちるけれど]
……………。
[ふらつかせるような事をしたのはお前だろうと、出かけった言葉は飲みこむ。
馬に乗りなおすのはともかく、情報交換はこちらも望む所ではあったものの、相手の言葉に従う前に、砂を払い見上げるようにしてこちらが問いかけた。]
…その前にひとつ聞く。
何で僕はお前の馬に乗せられてたんだ?
い、った…ポチ、ごめんね巻き込んで…
[命があっただけでももうけもの。擦り傷は多いが骨を折ったりはしなかった。離れないようしっかりと抱えていた犬が無事なのも確認し、続けて助けてくれた木に礼を言うように手を触れ、もう一度ごめんねと呟いた]
ええと…
[改めて、周囲を見回す]
[記憶に浅く沈む意識が、溜息めいた声に浚われる。
『好き』――ごく短かな響きを拾えば、靄がかり盲いていた視界が、くっきりと輪郭を取り戻す。
夫の浮かべる微笑が、初めて目にした時の鮮烈さを以て映り込む]
………、ルート。
[地の果てを超え、異界の地に降り立ってまで、
自分を探してくれた伴侶]
本当に、…ありがとう。
こんな所まで、迎えに来てくれて――……
[喉に絡む声で名を呼ぶと、眦の熱を瞬きで散らし、
そっと丁寧に浮かべる微笑]
[飢えを覚えない訳ではないが、
明確な目標が定まっているせいだろう。
そこらで適当に腹を満たそう、とは思わなかった。]
― 浮遊する群島 ―
[深く紡ぎ合わされた結合が解け、兄弟の体が隣に寄り添う。
間近に見つめあう愛おしさに微笑み、唇を啄んだ。]
あなたのもとへ、戻りました。
あのままあなたの中にいるのも心地よかったのですが、
やはり体がないと抱き合えませんからね。
[体に残る紅い筋に触れられれば、ひりりと痛む。
けれどそれも、すぐに触れ合う喜びに塗り替えられた。
労りの言葉を紡ぐ彼の口を唇で塞ぎ、首筋を食む。
合わせた胸に響く声は、甘美な誘いだった。]
ああ、クロゥ。
わたしも、あなたにしてほしい。
最初から、全部、あなたに。
[お互いがお互いの意思でつながるところから。
導く手に身体を合わせ、横たわる彼を見下ろした。]
[彼の中心で天を指す尖塔の上にゆっくりと降りていく。
手を添えて導くのは、今度は自分の役割だ。]
ん……っは ぁ
[息を吐きながら、少しずつ彼を呑みこんでいく。
腰を回し、緩やかな螺旋を描いて彼という大地へ近づいていく。]
[全てを受け入れたところで、両腕を伸ばして手を求めた。
指を絡め合わせてしっかり握った手と、絨毯についた膝を支えにして腰を動かし始める。
最初はゆっくりと。だんだんと早くリズミカルに。
緩急をつけて動くたび、汗に濡れた身体が艶やかに光を纏った。]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
[互いに気まずい思いを抱えた表情>>377を見せることなく済む互いの幸運には気づかずに、砂を払ったのちにこちらを見上げ問う言葉>>378に眉を顰める]
担がれていたかったか?
[そういうことが聞きたいわけではないが、からかうようにいった後]
私が勝ち。お前が負けた。だからお前の命をどうするかは私の勝手だろう。
[拘束どころか武器すら取り上げてはいないが、捕虜に対するような答えを返した。]
[通信具から謝罪が聞こえて来る]
ん……。
色々あったんだろ、しょーがねぇさ。
[これ以上踏み込んではいけないと言う自制から深く聞くことはしなかった。
まだ不安定なようだから、聞くにしても間を空けた方が良いと感じたのもある。
ふ、と静かに息を吐く。
色々聞けたためにいくつかの疑問は解決した。
ただ、立て続けに情報が入ってきたためにその整理にやや疲れた感じがする]
[扉に全体重をかけて全身の力を抜いた時、沈黙の後に紡がれたアデルの声が通信具から聞こえた]
……え。
[小さな声だったが、それははっきりと耳に届く。
何か言う前に更に声は続けられ、レトはその言葉に反応する機会を失った]
(仕事…そう、だな。仕事だ)
[一瞬跳ねた何かが落ちていくのを感じる。
それを更に言葉で押し込めて、また小さく息を吐いた]
おぅ、んじゃ次は俺が───っくしゅ、
[上がるとの声に返しかけた言葉はくしゃみで掻き消された。
次いで鼻を啜る音が響く*]
[涙の痕に唇で触れられる傍から、じわりと温かな感覚が灯る。
妻である自分を他人に渡すように見えるか、と投げ掛けられる問い。
彼が尋ねた理由が解らずながらも、静かに口を開き]
いえ。貴方が一度囲った私を、易々と誰かに引き渡すとは――…
[頼りない腰の括れを、その下に続く曲線を、這う指に確かめられ。
言葉の続きは吐息に変わり、緩く首を振って同意を示す。
彼の執着は、確かに我が身に向いている。
明白な事実を、息詰まる程愛しく思う。
それが根ざすものがなんであれ――もう、構いはしないと]
あれは……。
[落下した人物がどこかで見た気がした。
それを、先ほど、塔の町であった祈りの男と思い出すまでにそう、時間はかからない。]
たしか、
探している者が……。
[樹海であった男を思い出し、眉を寄せる。
探しているといっていた。]
フレデリク。
あの屋根の様子、見てこれるか?
[もちろん、屋根に上るのは無理だ。しかし、このフレデリクの様子なら、それは可能に思えた。]
僕はお前の身体に向かうが、
様子を見てきたら、教えてくれ。
[炎をなるべく避けるように、そして、指し示された、地下牢のある方面へ。]
―――っ、――
[今度こその、本気での助けを求める声は。意思の力によって、ねじ伏せられた。見つかるわけにはいかないと、それは最早固定観念であるかのように、何故それをしなければならないかがなくなっている。
目の前の命を脅かす存在に対する恐怖。心を占めるのは、その感情だけ]
貴女をもう一度娶ると言うのも、悪くありません。
[離れた心の距離分、身体が近づき、体温は傍。
今は記憶も伴って、闇い深淵の底に差した光の傍。
自身は本当の孤独を知っている。
生まれて間もなく飽いてしまった生を知っている。
変化を知らぬ精霊らしく、ただの闇の一片でしかなかった己を、
眷属の頂点まで導いたのは、彼女を求める遥かなる情熱であった。
彼女と出会った頃は、未だ下位に属していた自身。
それで満足していた現状を打破させた輝き。
野心と言っても差し支えない大望を抱かせた相手。
精神が力に還元される種は、己の渇望に応じ、
強大な闇の支配者として成長を促した。
彼女と言う光を浴びて、醜悪に咲いた夜の化身。]
[本当の絶望は、この腕の中の存在を失ってしまうこと。
最たる恐怖を知る身は、彼女の唇を啄ばんで囁く。]
では、詫びる代わりに感じてください。
少し、大胆になってくれるのでしょう?
―――もっと、貴女の深くへ近づきたい。
[別れ際のやり取りを思い出させながら、
彼女に与えるのは緩い旋回伴う揺らぎ。
微かな水音に伴わせて、取り戻した妻を確かめるよう捕食。]
[鼓膜を震わせる声が甘く、耳に残って仄かに温めた。
菫色に映る顔は、主観的に見て実に多幸に染まる笑顔。
彼女を得られるのなら、空の果ても地の底も、試練すらないらない。
愛妻の立つ隣こそ、闇にとっての安息の地であった。
彼女から拭われた畏怖、慰撫するように彼女の背を撫で下ろし、
愛妻の名を口腔で唱え、抱擁は強く、強く。]
[腕の中の勇猛な黒い塊が、主人を護るようするりと抜け出した]
ポチ、ダメ、逃げないと!
[腕を伸ばすけれどその体にゆびさきは届かなかった。足は座り込んだまま、逃げることも炎に吠え掛かる仔を追いかけることもできずにいる
わんわんと威嚇するよう吠え立てる小さな双頭犬に、炎の指先が触れる。直前後ろに跳ねた仔犬が対抗するようぽっと炎を口から吐き出すけれど、炎が炎にダメージを与えられる訳もない]
[深く聞かれなかったのは、あらゆる意味で助かっていた。
仔細を話すのは、転じて踏み込みを許す事に繋がりかねない。
そうなったら、苦しくなるだけだから、とは、解けない戒め]
……あ。
[くしゃみでかき消された返事に、急がないと、と。
一度通信を切り、慌てて湯から上がった]
― 魔界温泉郷・個別温泉 ―
[いつもなら、ゆると浸かって眠り込み、魔導による通信に起こされる、という事もあるのだが。
幸いにというか、そうなる前に湯から上がれた──のだが]
……〜〜〜〜っ!
[湯から上がった後、タオルに包まり脱衣場に戻った所で座り込む。
のぼせ気味なのもあるが、それ以上に。
やっぱり妙に居た堪れない感が強くて、それが動きを止めていた]
……ほんとに、もう。
調子狂い過ぎ、です。
[聖魔どちらの資質を持つかと問われれば、聖よりと言える生まれのためか。
どうにも、魔界に来てから調子が狂って仕方ない気がする。
生まれ全く関係なく、単に状況のせいじゃないか、という説もあるが、それは置いといて]
しっかり、しないと。
[頭から被ったタオルの下で、小さく呟く。
これから何が起きるかわからないんだから、と自分に言い聞かせながら手早く着替えを済ませる]
……着替えの調達、考えないと、かなぁ。
[今回は何とかなったが、二度目は覚束ない。
その前に何とか、と思いながら支度を整えて]
ええ、と。
確か、外にいる、って言ってましたよね。
[気を取り直して脱衣場を出た後。
小さく呟き、外への扉を開ける。
ちなみに、外にいるレトがどんな姿勢か、とかは、当然わかっておりません。*]
いや、それは……、
[>>376 性別について言及されれば、
なるべく忘れていたいことを思い出す。
この半透明状態ですっかり忘れ去ってたが。
自分の身体はすっかりあれでそれなのだ。
なんとなく言葉を濁していたが、それどころではなかった現状。強行を主張するリエヴルに、
無力状態のままくっついて]
え?なんで?やだ。
なんでわざわざリエちゃんから離れなきゃいけないの。
[>>385 屋根を見てこいとか言われたが、
こんな危険なところで彼から目を離す意味がわからない。ぶんぶん首を横に振った]
っていうか、
この状態じゃ俺救出作戦無理っぽい……?
[がんばって肉体に戻る、
ロープを天窓にぶん投げる、
投げたロープをリエちゃんにその辺の木とか柵に固定してもらう。それを登る→脱出]
とか想像してたんだけど、
悠長に縄くくってる状況じゃ……、
[かといって正面きって鉄格子あけさせるとか、
ものすごく難易度が高い。
いっそ生身であれば、あいつを物理で殴ったものを、と、じりっと炎の塊っぽいものを睨む]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
[勇ましい言葉>>382には肩を大仰に竦ませ]
そうか?その割にはすんなりとお前を連れていくのは見過ごされたぞ。
[賄賂を渡したからなのかどうかはいわない、ただあったことはそのままいうが]
それとも、慮因の辱めを受けたかったのか?それとも死にたかったのか?ならば勝手に死ね。…といいたいところだが。
[剣に手を伸ばすのを認めながらも身構えることはしない。ただその逐一の反応を目を細め見つめた後]
[与えられるキスと、侵蝕までの僅かな狭間。
夫を待ち侘びる甘やかな瞬間さえも、今は狂おしい。
堪えかね腰を擦り寄せれば、屹立が荒々しく深い挿入を遂げる。
より深く繋がれる角度を求め、くっと仰け反る背が、大樹にしなだれかかる]
ふ、ぁあ…ッ! あなた、が、入って……
[懐く頬を充足の吐息で擽り、唇に残した咬み痕に舌を這わせる。
薄らと滲む血の味さえ恍惚を誘って、熱心に啄ばみ、柔く下唇を食んで戯れる]
ルー、ト、ルート…… きもち、い…っ
[彼の背に腕を委ね、身体ごと揺すぶる突き上げに溺れる。
闇夜の帳の代わりに、歪な木々に囲まれた交わりでも、淫蕩は深く、果てしなく]
[呆然と見守るしかできぬ中、紅蓮の炎の塊と小さな仔犬は闘う
精霊はこの小さなこどもに真面目にやりあうほどの興味はないらしく、時折雑な攻撃が繰り出されるのみ。仔犬はそれをなんとか避けて、時折小さな口で炎の塊に牙を穿つ。幸い仔犬の口は炎によってはダメージを受けないようだが、身体に掠める炎は黒い毛皮を焦がした]
ポチ!逃げるから!こっち、来なさい!もう、いいから!
[泣きそうな声で仔犬を呼ぼうとするが、自分が離れれば青年が危ないと思っているらしい仔犬は炎から離れようとはしない]
犬族は…わたしの、言うことを、聞くんじゃなかったんですか…っ!
言っただろう。情報交換だ。
死ぬ前にしばらく付き合え。しばらく……ここから帰るぐらいまではな。
[自分の名を呼ぶシュテルン>>384に僅かな寂しさを覚えながらも、それを表には出すことなく問い>>383に答えた]
まず、一つ聞く。どうしてお前はここにいる?
[答えるべきことは答えた。だからこちらが次は聞いたのはまず最初に覚えた疑問であった]
― 魔界温泉郷・個別温泉前 ―
っくし!
[霧で濡れた服はしっかりと体温を奪っていたらしい。
身体が冷えたことでくしゃみが出る。
ついでに鼻水も出た]
あ゛ー……思ったより冷えたな。
[温泉地だし多少は暖かいから、と着替えもせずにいたのが失敗だった。
鼻を啜りながらの声は少し詰まり気味]
まぁ風邪引くってことはねー……どぅあ!?
[背を預けていた扉の存在が急に消えた。
体重は全て扉にかかっていたから、預けていた上半身は当然後ろへ]
この杖は、
僕の母の嵌めていた護り石がついている。
一つ、願いをきいてくれるのだと、昔、母に教わった。
きっとどうにかしてくれるだろう。
[そして、杖を炎の精霊が渦巻く方面へそれを投げようと。]
たす、けて…!―!
[その声は、今までよりもはるかに近い位置、大きくはっきりと聞こえただろう。真摯な声は迷いを断ち切って。
たすけて、の後にポチを、と続いたのまでは声になっていたかはわからないが。]
はっ?ストップ!
だめだめ、勿体無いし!
それって、リエちゃんのママの形見じゃない。
だめだよ、やめなよ。
最終手段はとっとこうよ!
[>>402 すけすけの手で必死に制止、
形見というのは、言葉のあやかもしれなかったが、
まあ概ね間違っていないだろう]
はっ?ストップ!
だめだめ、勿体無いし!
それって、リエちゃんのママの形見じゃない。
だめだよ、やめなよ。
最終手段はとっとこうよ!
[>>402 すけすけの手で必死に制止、
形見というのは、言葉のあやかもしれなかったが、
まあ概ね間違っていないだろう]
……扉に寄りかかってるなら、先にそう言ってくださいっ!
[最初に口をついたのは、何とも理不尽な一言。
言われたとしても、聞いてる余裕がなかった可能性はあるのだが、それはそれ。
それから一つ、息を吐いて]
……頭、打ってないですよ、ね?
[そう問いかけたのは、先に霧の中で痛そうな音を聞いたのを思い出したから。
淡い緑の瞳には、微か、案ずる色も浮かんでいた。*]
私を、もう一度――?
[背反の属種の娘を娶るために、彼が積んだ研鑽と画策は知る由もなく。光の精霊長たる父から縁談を聞かされた時には、それは既に決定事項を意味していた。
長きに渡る彼の大望が結実した縁だとは、未だ知らず]
悪くないと、思って下さるなら。そうなさって?
[冗談めかした笑みがせがむ]
/*
動きを考えつつ。
ベルティルデ拾った狩人殺したのって
やっぱり俺なんだよなきっと……
でもその狩人に母親は殺されていそうですね……
*/
― 魔王の城 ―
[青年を伴って魔王が奥へ消えてから数刻の後。
再び玉座の間に姿を現した魔王の足元には、黒髪の青年が何事もなかったような姿で控えていた。
誰もなにも言わないが、みな理解している。
魔王の居室であの青年は幾度も押し倒され貫かれ引きちぎられ切り刻まれ、そのたびごとに全ての傷を癒されているのだと。
それを青年もまた悦び求めているのだと。
この魔界でさえ、稀有な関係だった。]
[ほどなくして、魔王城の一角にある大きな扉が開かれ、中から無数の人間たちが飛び出していく。
皆一様に薄汚れた、あるいは裸に近い格好で、足の及ぶ限りの速さで散り散りに走っていった。
中には人間だけではなく天使や精霊と思われるものまで混ざっている。
必死な表情をしているところは、人間たちと変わらなかった。]**
……無意に死ぬ気はない。
生きているうちは、生きるのが道理だろう。
[記憶があった時には、何が何でも生き残ってみせるという強い意志があったが、それらをすべて失った今、生への執着はどこか薄かった。
柄にかけた手をはなす。
そうすることで、しばらく付き合えとの相手の言葉に、同意する意志を示した。]
― 黒い太陽の平原から魔王城へ ―
――――っ!
[ふいに届けられた意識に含まれた捻れ、ふんだんに含まれた感情に当てられ、金貨は酷い吐き気を覚えた。この声が平原についてすぐさまの物だったなら、嘔吐の一つや二つはしていたかもしれない。
気持ち悪い、目が回る、眼球が回る、視神経切れそう、吐きそう!――…魔界の理を受けている身体の中を蠢くような不快感を無理やり抑えこみ、金貨は焦燥に任せて駈け出した。
探し人が無意識にぶつけているだろう不快感、手繰るまでもなく迷うはずもない。気持ち悪くなる方に向かえばいいと。]
あんなの物理で殴り倒してやるのに……、
[このすけすけ状態がもの凄く歯がゆい。
彼の大事な物はもう何一つ失わせたくないのに、
まったくもって現状無力でしかない。
どのみちこの状態では、
彼の行動を留めることも出来ないのだ]
…こちらから聞く。
お前は、そして、僕は何者だ。
[奇妙な問いだが、視線は静かに真っ直ぐで、嘘をついている様子は見られなかっただろう。]
− 浮遊する群島 −
[彼の身体がしなやかに位置を入れ替えた。
今度は人として──愛し合うもの同士として結ばれる。]
シズ… 愛しいひと。
全部、 おまえのために。
[浄化のために繋がった後で、彼と再び身体を重ねることを、最初のうちは罪だと感じていた。
だが、愛をもって同じ行為を行えないのならば、彼も自分もただ浄化のための道具に過ぎない。
欲しがる言葉を教えたのは彼だったけれど──]
[零れる刹那の吐息、雫になって散る汗のすべてが奇跡のようだ。
指を絡めて、翼なき天使を、喜びの地へと呼び下ろしてゆく。]
…ぉ、 う …
[深くつながるにつれ、感覚のすべてが彼に塗り替えられる心地に満たされた。]
― 魔王城 ―
[敷地内に入る頃には気力さえも尽きかけたけれど、新たに届いた声からは、捻れは消えてしまっていて。
あったのはただ、救いを求める声だった。
迷いない祈りの前に立ち上がれないわけがない。金貨は神としての救いを与えない変則的な存在なれど、これでも一応神なのだ。
ただ、一つだけ問題が起きている。この短時間で、吐きそうになったり気力みなぎったりと、力を削られたり注がれたりの今の状態、神力を抑える余裕はない。]
[あられもない姿勢で淫らに腰を使う彼を、その恍惚と至福の表情を見上げる。
彼の脈動が、疼きが、直に伝わった。
包み込まれる疼きは煽られ、熱く熱く滾る。]
シズ、 いい、 とても──
腰骨が蕩けそう だ…
あ、 … ああ!
[こちらが支えているつもりでも、実際には翻弄されることばかりで。
繰り返される官能の波にうわずる声を抑えきれず、弓なりに腰を浮かせ、彼を頂に持ち上げる。]
く、 もう、も…ぅ いく──…っ
っ、終わったら声かけられると思ってたんだよっ!
[くしゃみでその部分を言い損ねたために起きた事故。
言い返して、床に手をつき起き上がった]
[心配げな視線に少し戸惑った。
こんな表情を見ることはあまり無かったように思う。
調子が狂う、と思いながらも顔には苦笑染みた表情が浮かんだ]
大丈夫だって。
んじゃ、風呂入って来る。
[立ち上がり、アデルと入れ替わるように中へ。
中に入るか外に居るかはアデルに任せることにした*]
[――矢を射掛けられた母親の背中だとか、
火を焚き森を照らして害獣を狩る人の集団だとか]
[初めて獲物として人間を捕らえた時の、
その相手の顔だとか]
[残すだとか、伝えるだとかを思うこともない
想起しない過去は存在すらしないかのように
誰も見ない足跡。]
これ以上、貴方を、感じさせられたら――……、
[どこか怯えた眼差しが、覆い被さる夫を一瞬見上げ。
すっと目を伏せると、小声で抗議を囁く]
力を取り戻したら、って。言ってたでしょう…?
[緩く円を描くように掻き混ぜられて、甘く鼻にかかった声が上がる。
彼を咥え込めるぎりぎりまで距離を詰め、少しだけ離れては、また深々と埋め込まれる。
腰が蠢く度、秘めやかに水音が溢れ、二人きりの蜜事を紡ぐ甘さに蕩けて]
[もっとも、自分の名前に関しては、本当に自分の名前だという確信は薄い。
邂逅の最中に告げられたグリヴという名は、頭を強く打たれたせいでか、再び意識の奥に沈んでいた。]
[程なくして炎と犬が向き合う場>>393へと、犬が護る聖職者が探し人かどうかはわからない。
確認するのは後でいいと、勢いを緩めないまま、硬貨が届く距離まで駆けた。
――…青や白じゃないですし、ね
犬と炎の間に撒き銭し呼び出すのは金の壁>>290
炎の色を見るにすぐには溶かされないだろうが、炎以外の攻撃手段があるなら危ういと、炎を閉じ込めきる事よりも犬を掴んで逃げ出す事を優先した]
……ちょっとすいません、よ!
[危機的状況だったというだけで本当にあっているかはわからないが、一旦離れるのがいいと、推定リヒャルトを抱えるのも忘れない。
どこまで逃げればいいのかわからないので、止められでもしない限り脇腹が悲鳴をあげるまで全力で走り続けるだろう。それこそ>>0:#02(10x1)ぐらいまで]
[高い嬌声を聞くは、深い樹海の中で己だけ。
熱を求めて闇を溺れさせる光も彼女だけ。
紅潮させた頬が愛らしく、反る喉が艶かしい。
囀る妻を寵愛の檻に閉じ込め、深い場所で触れ合いながら、
首を傾け、口角を啄ばんだ。]
―――もう、忘れてはいけませんよ。イングリッド。
今度、同じ無防備を晒せば――…、もっと酷いお仕置きです。
[微笑んだ唇の前に人差し指を一本立てて、加算させる枷。]
[夜と闇とで鎖した内、彼女の喉を擦れさせるまで啼かせ、
それでも腕は解放したがらぬ。
なぜなら、男にとって、彼女を喪うことだけが恐ろしい。
己の道すら定めて求め続け、今も未だこの身の情熱を司る愛妻。
求める力は数多の手と変わり具現し、魔手が生まれた。
高位に到るほどに夜の本分と本質が近づき、欲を覚えた。
愛妻が我が手に因って作り変えられてしまったように、
己もまた、彼女の存在によって変わったのだ。
その執着を隠すことなく、魔界で力を消耗させる彼女から更に奪う。
愛妻の名を繰り返し、――――深く、身を重ねて。]
[愛しき半身の高まりは、繋がった熱で、吐息で、彼の視線で、つぶさに伝わってきた。
満ち満ちてなお満ち、豊かに溢れ出す時を予感して震えている。]
クロゥ、 可愛いひと。
蕩けるなら、一緒に ───
んくっ、 ふ …
[揺れる大波に突き上げられ、喉を見せて息を吐く。
深い結合に溢れそうなのは、彼だけじゃない。]
わたしも、 っ、 も う 、
ああっ、 きて クロゥ、きて …!
[頂に押し上げられてなおも弾み、最後の一点に駆け上がる鍵を回す。
脈打つ愛を、深く深く包み込んで絞り上げた。]
……さて、と。
[壁に寄りかかってしばし風に吹かれた後、手にした魔導書を開く]
……色々と、逸話は聞く地ではありますが……実際に来てみると、とんでもない土地、というのがよくわかりますねぇ……。
[呟きながら、記憶に残っている範囲の土地情報を魔力で記録していく。
途中、色々とぼやけている部分もあるが、ないよりマシ、と書けるだけは書いて]
この記録を持ち帰って、研究に生かせればいいんですけれど。
[呟きと共に、ぱたん、と閉じて両腕に抱え直す。
それから、ぐるり、と周囲を見回して]
……そう言えば。
[ふ、と思い返すのは、霧の沼地で聞いた声の事]
あの後、結局有耶無耶になっちゃいましたけど。
……あの声の人、大丈夫だったのかな。
[なんだか物凄く心細そうだったから、どうにもそれが引っかかっていて]
それに、あの狼さんも。
捜し物、見つかったんでしょうか……。
[浮かんだ者同士の関わりは知らぬまま、小さく呟く。
当の狼が温泉にいるとはさすがに思っていないが]
[岸に上がると例によってバタバタした。
こう言う所は獣の姿の方が楽だ。
そこに痛みがあることに慣れてきた傷を、
また少し舐める]
(魔王が余興をするというなら
たぶん、魔界に閉じ込めるだけじゃない)
[魔王スヴァルニールの嗜好は有名に過ぎるから、
どんな事が起こされるのかと思案して。]
[時として冷めた微笑に彩られる彼は、凄絶なまでの威圧を醸す。
けれど、今は。端整な顔が相好を崩し、幸福そうな微笑が自分だけに向けられる。微かに届いた囁きは、自分の名の音色]
…ぁ。その顔、すき……
[ぽつりと滑り出た言葉。
暫しの沈黙を挟み、抱擁に応える腕に、きつく力を篭める]
[―――そうして、深い場所に幾度か放った闇色が、
やはり彼女の身体を苛み、馴染んでいった。
出会い頭のマーキングは、朱華すら真新しく塗り替えて、
彼女を支えるように退いたのは幾らも後の事。
無残な粒子として解いてしまった着衣の変わりに、
白い外套を彼女の胸元に掻き寄せ。
泥濘如く這い回る闇が解ける頃には、彼女に新しい法衣を誂える。
彼女の素肌は珠より貴重な愛玩の至宝。
周囲を囲っていた結界が鳴りを潜めてゆき、
明けた視界は、鬱蒼とした樹海から変わらぬが――、
腰を抱く夫は悪びれず、実に満足げな微笑を浮かべていた。*]
― 太古の樹海 ―
[薄く張っていた結界より闇が剥がれ、雲集霧散。
内側より現れるのは、光闇のつがい。
寄り添う姿は、何処か甘たるく、愛妻の疲労はご愛嬌。
彼女を慰めるように腕を腰に回したまま、
淡色の髪に隠れる蟀谷へキスひとつ。]
―――…さて、イングリッド。
歩けますか?
辛いようなら、いつでも腕を貸しますよ。
[にこやかに告げる伴侶は、闇手を呼び出さずに、
自身の両腕を開いて示し、また彼女を困らせて悦に浸る。]
[リエヴルが空気が変わった、
とか感じている頃、こちらは全く何も感じてなかった。
空気読み能力0たる由縁である。
>>425 誰か来て、なんかした。
それでどうやら火の勢いがちょっと収まった、
事実認識はその程度である]
……どうせならアレ始末してってくれればいいのに。
[ぶつくさ言いつつ、牢の天窓まで近づく、
>>429リエヴルが天窓から肉体に呼びかける声を聴いた、
その瞬間、めまいのような感覚と共に視界が切り替わる]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
[言葉遊びを興じる>>411ことなく今の現状を受け入れる様子だ。こちらも自由にさせられる状況を作っているのだ。慮因と言葉にした役目を押し付ける気はない]
…当然だな。…それに生きていれば過去にできなかったことの続きもできるからな。
[柄に触れていた手を引っこめた>>412のを見届け、馬に乗れ。とでもいうように視線を動かすが、それ以上の強制はしない]
[そして問い>>414への返答を聞き、眉間に皺がよる。
半分は驚き、もう半分は納得。]
そうか。性質の悪い冗談。というわけではなかったのだな。
[嘆息する。
気づいたらここにいた。そして忘れている。これでは手掛かりなどなく、出会った当初からの違和感がおかしさや、治療するときに戦い以外で帯びていた頭部の傷の理由がわかっただけである]
―えっ
[すぐ近く、ちゃりちゃりんと硬貨の落ちる音、続いて金色の壁にいきなり視界を塞がれて瞬時混乱に陥りかける]
「……ちょっとすいません、よ!」
[聞きなれない声。すぐ近くに聞こえ、声が聞こえた方を慌てて振り返る間もなく、身体がふわりと浮いた]
えっ、え?わ、ちょ…っ
[足がまた空を切る。けれど今度は宙に浮かんだ訳ではなく、仔犬もろともに抱え上げられたと理解すれば]
えっ、えと…あなた、は…
[もしかして。問おうとしたけれど、相手は今は質問に答えている余裕もなさそうで。自分一人でなく仔犬も一緒であれば、おとなしく運ばれることにした]
……うん、ここにいるよ!!
待ってて、ロープぶん投げるから!!
[>>429 振り返ったすけすけの姿は無かっただろう。
変わりに地下から聞こえるだろう返事、多分少し声が高かった、かもしれない。
ついでにぶん投げられたロープの先端に、
結び付けられた白いヒールも不穏だったかもしれないが]
待っててね、今すぐアイツ殴るから!
[ようやく肉体に戻ったのだ、
そんなことを気にする余裕はない、
早く外に戻らないと、彼が危険だし!]
[時折眼前に見え隠れする檻は、今は閉じ込める腕となって所有権を存分に主張する。
日々深度を増していくようにさえ感じる寵愛を、一身に受けて。
それでも未だ足りないと駄々を捏ねるように、腰を揺らめかせ、交接を深める]
……もう、あんな風に貴方を、一人にしたくない。
それでも、万一違えることがあれば。
貴方のお気持ちが鎮まるよう、…お気の済むまで。
[伏し目がちに頬を染め、それでも生真面目に答え]
/*
フレデリク組と合流するなら、つる草を伸ばしてロープ代わりになるかなと思ったのだけど。合流しなかったので。
頑張れ!
[一つ聞かれたため、聞かれる>>416ことに否はない]
私たちは、どちらも軍に身を置いていた軍人。
そして、立場上敵同士だった。
客観的に見えるところではそんなところだ。これ以上は主観が混じる。私の主観混じりの言葉を聞いても納得などせぬだろう?後は自力で思い出してくれ。
[偽りないことを示すようにじっと見返し問いへと答えた]
− 浮遊する群島 −
[一緒に、と請う声に焦れ縋るように、息を止める。
艶めいた声が名を呼び求めると同時、許された矢は飛翔した。
愛しき魂をもろともに法悦の極みへ運び去るべく。]
…っあ、 シズ── …っ
[アデルがどうするかを確認するのもそこそこに、レトは脱衣所へと向かった]
…中は何とかなっか。
問題は外だな。
[衣服を脱いで汚れの確認。
重ねて着ていた中の服に汚れは然程無いためそのままにして。
泥の付着が多い外に着ていた服とチョーカーを手に浴場へと入った]
[お湯を掬って冷えた身体を温める。
顔や手についていた泥もその時に洗い落とし、一旦服はそのままに湯船へと身を沈めた]
あ〜〜、やっぱ良いな、温泉。
[湯船の縁に身体を預け、しばしの間温泉を堪能。
ある程度身体が温まると、湯船に入ったまま服の泥を落とし始めた]
[洗うのも終われば絞った服をお湯のかからない適当な場所へと広げて、再び温泉に身を沈める。
肩まで浸かると左肩に僅か痛みが走った]
っ、てぇ……すっかり忘れてた。
[止血程度の治療で終わった抉り痕。
この傷はレトの持つ治癒魔法では完治が難しい]
…まぁ、そこまで影響しねーだろ。
[多少の傷は放置、としてしまうのはレトの悪い癖。
そのお陰で身体にはあちこち傷跡が残っていた]
[彼の奥処に自分の想いのたけを迸らせて、訪れる緩やかな虚脱の時間、彼を腕に抱いてしばし微睡んだ。
やがて、彼の髪を指間に掬って接吻け囁く。]
これで──心置きなく戻れる。
長居は無用だ。
傷の手当は、至聖庁に戻ってからしよう。
[だから親しみをこめた名で呼ぶことは封じた。
思い出せば、また後悔に苛まれるかもしれない。
ならば自分のエゴで、名を呼ぶのがはたして正しいのかどうか。測りかねていた]
……ふつー通り、で良いんだよ、な。
[さっきは勢いで言い返したりもしたが、アデルへの対応の仕方がぎこちなくなっているのは自分でも分かった。
何も知らなかったアデルのことを知ることが出来たが、踏み込みすぎた感もある]
仕事、なのは確か、だけど。
[アデルを捜していた時は、そんなことは頭に無かったように思う]
…うーん…。
[考え事をしながら、顔を湯面にまで沈めてぶくぶくと泡を立てた*]
[無事とも思えない彼の司祭服の代わりに、せめて肌を覆うべく自分のローブを彼に羽織らせ、告げた。]
枢機卿から、”鍵”を預かっている。
それを使えば戻れるらしい。
[黒い噂が絶えず、悪魔と契約しているとか、悪魔そのものなのだとか囁かれているが──至聖庁特務機関の長であり、二人の兄弟でもある男。
服を探って、その枢機卿から渡された鍵を取り出す。
が、それは受け取ったときと異なり、鈍く錆びていた。]
[力を使い果たした身体で、それでも深部に注ぎ込まれる闇を、一滴余さず飲み干していく。
己の力を損なうと知りながら、更なる侵蝕を欲しがり、充足と恍惚に身を浸す。
それはもう、習慣と化していて。
拒むことも、掻き出すことも思いもかけない。
くたりと夫の腕に身を預け、鮮やかに散る朱華に目を留めれば微笑んだ。
離れる時にむずかる声も、甘さを隠すことなく。
それでも着衣を整えてもらえば、ふらつく脚で立ち上がり、夫の隣に寄り添う]
― 魔王の城・城門前広場 ―
[城門へ続く広場に、無数の魔物が集まっていた。
弓や槍を握った緑の肌の小鬼たちや、燃える石炭の目をした猟犬たち。
それらを従えるのは、闇に霞む馬や火を吹く蜥蜴に跨る魔界の貴族や戦士たち。そして巨大や蛾や翼を持つ猫たちに戦車を牽かせているのは妖艶な夢魔たち。
絢爛な一団の前へ、巨大な戦車が現れる。
中央に魔王の座所を戴くそれはあまたの彫刻で飾られていた。
獰猛な魔獣や踏みしだかれた人間たち。様々なモチーフのそれらはすべて命あるかのように動くのだ。
小さな家ほどもあるそれを牽くのは軛に繋がれた無数の人間だった。]
行け。
存分に狩れ。
[魔王の号令一下、魔物たちが歓声を上げて一斉に動き出す。
もっとも多くの、あるいは貴重な獲物を狩ったものには褒賞が与えられよう。
魔界全土に撒かれた獲物を求めて、方々に散っていった。]**
■第二イベント「狩り」
魔界全体を使って、魔王が狩りを始めました。
(>>409>>410>>443>>444)
魔界出身でないPCは、狩りの対象とみなされる場合があります。
ただし、次のエリアには狩猟隊は侵入しません。
(番号は>>0:#0より)
2 記憶の書庫
5 狂気の研究施設
6 魔界温泉郷
10 魔王の城(建造物内)
これ以外のエリアでも、安全な隠れ場所を見つけることは可能です。
狩りは次のイベント発生(8/22の0時頃)までには、順次収束していきます。
リエちゃん、大丈夫ー?
しっかり結んだー?
[ぎゅっぎゅと紐を引っ張り確かめつつ、
壁のぼりを開始する、ちなみに後頭部を触ってみたら、
でっかいコブが出来ていたけれど、
それ以外特に怪我はなさそうだった。
見た目より大分丈夫なのである]
……もうね、ほんと。
[薄闇の底からかすかな灯りの方向へと、
がっつりと天窓の枠を掴んで、
とりあえずすぽっと顔を出すことになったが]
[そして力尽きた――]
― 記憶の書庫 ―
[案の定というべきか、魔界の風に揉まれに揉まれ、全力で走るという行動を繰り返し続けた金貨は、書庫へと辿り着くやいなや受け身も取らずに汚破損本へと倒れこんだ。
助けた仔犬が顔面に前足でてしてししてくるのは、好奇心からのものなのか、それとも倒れた金貨を心配してのことか。
肉球の感触を受けながら、身じろぎ一つせず推定リヒャルトへ声をかけた]
……リヒャルトさん、ですか?
[そうであってほしいという祈り込めて、確認のための問いを飛ばす。返答はどのようなものだっただろうか]
/*
ほぅほぅ、研究施設も対象外か。
研究成果壊すわけには行かないからかな。
さて、安全地帯だけども移動はしないとなー。
だがどこへw
……リヒャルトさん、ですか?
[疲労困憊の状態では、思念を切りきることはできなかったようで、音と意識で同時の質問になってしまっているのだが……
金貨は自分が話している言葉であるが故に気づかない。]
/*
本当はね、もっとちゃんと逃げるはずだったんですけど。
合流に手間取りすぎて、それだけで時間いっぱいいっぱいになっちゃったんです。だから、逃げるのは最小限になっちゃった。
うーん、指令こなせてないなぁ。
はっ、アイツ殴らないと!
ちょっと待っててね、リエちゃん!
[少し胸元と尻が狭い枠に突っかかったが、
あくまでも“少し”程度であることは、
多く語らずともよいだろう。
そして何気なく、拾い上げたのは――、
例の黒い禍々しい鉄の像、ちなみに紛れもなく呪われた品だ。
だが、鈍器にするにはちょうどいい大きさであるし、
空気が読めないせいか、全く何の影響もない。
かくして勇ましく天窓から這い上がった純白の花嫁、
ウェディングドレスが猛火の色を受けて、熱風に翻った]
/*
金貨さんがやっぱりかわいい……と思っていたら、リエヴルさんもwwww
そして、狩りって、あのwww
それはあれですか、思いっきりバトルしていいよ、って事なんですか。
……というか、相方負傷してますよね、どうしましょう。
まだ伏せ設定の奥の手使えば、一応ヒーリングもできるんだけど……むぅ。
― 太古の樹海 ―
[機嫌よさげに佇む男の隣、腰にまわる腕に寄り掛かるようにして、
かろうじて立つ姿>>430
魔界の瘴気に反発してか、絶えず身に纏っていた淡い光も今は見えない。蟀谷に降るキスに、擽ったげに、何処か眠たげに緩く瞬いて]
――……、え?
[迎え入れるよう開いた両腕、にこやかに揶揄めいた言葉を告げる
伴侶の顔を見比べ]
― 記憶の書庫 ―
[目の前にあった死線から、いきなり掻っ攫われて本の海へ。途中何度か自力で歩けますと声をかけたのだけれど、どうやら相手の耳には入らなかったらしい。
そして、沈没。さもありなん]
ええ、と。あり、がとう…?
[助けてくれた彼は、四番目の神なのだろうか。神は、魔にも寛容なのだろうか。
てしてしと容赦なくにくきゅう攻撃を仕掛ける仔犬を引き離したものか、迷ってしたいようにさせていれば]
―……。
[リヒャルトであるのかと]
(わたしの顔を、知らない…?)
[なら]
ええ、と…わたし、は…
[どう答えようかと迷いに言葉がつまる]
え?
俺にねーちゃんなんていないし、
なにいってんのリエちゃん。
[とりあえず、純白の花嫁は、
呪われた古の魔王像を片手に持って、
炎の精霊に物理で殴りかかる所存である。
もちろん霧散するまでひたすら殴る、
という極めて原始的な攻撃方法でしかなかった]
[如何にも愉しげにこちらを見守る顔を、じっと見上げること暫し]
………、貸して下さるなら、
[自分のために用意された空間、
温かな腕の檻の中へと、するりと納まった]
― 浮遊する群島 ―
[打ち上げられるのは喜びの火花。
腰椎から背筋を貫き頭頂に至るまでを光の柱が駆け昇っていく。]
クロゥ、 クロゥ ─── …
[弾ける光のただなかで愛する名を呼び、自らを解放した。]
ちょ、ちょっとまて……。
[ねーちゃんなんか、いない。
そう、たしかにいなかった。
ということは]
もしかしておかあさん?
[頬ひくり]
[想いの奔流が穏やかな波に変わっていくのを、彼の上にくたりと身を伏せて聞く。
髪の間を通る指のくすぐったさに身を捩り、接吻けに陶然と擦り寄った。]
───ええ。戻りましょう。
続きは、後でゆっくりとしてあげますよ。
[悪戯っぽく付け加える。]
/*
ありがとうございます、とはなんだ
が正しかったな。
未知語彙をその場の勢いで決めてるから
微妙なバランスが取れてない
*/
― 浮遊する群島 ―
[兄弟の心づくしのローブで肩を覆い、前を合わせる。
枢機卿の名を聞くと、ほんのりと微笑んだ。]
後で御礼にいかなくてはいけませんね。
[この身と力は自分のものだと宣言してやまない男だ。
行けばどうなるかは知れている。
それでも身内で、恩人には違いない。
必要な手はぬかりなく打ってくれているだろうという信頼もある。]
軍人…そして敵同士、か。
[敵である事は解っていたものの、明確な答えを得ればこちらは納得したような顔になる。
もっと細かな情報、たとえば自分の国の名前や、男の国の名前なども気になったものの、ひとつの質問への対価には多く、また敵同士である事と、主観が混じるという相手の言葉に、問いを重ねる事は良しとしなかった。]
……わかった。
思い出せるものならそうする。
[じっと見返し、ゆっくりと目を閉じて嘆息した。
得られた情報はまだ極少なく、自分を取り戻すにはとても足りなかった。]
[だが、その頼みの綱に異変が起きているのは一目でわかった。]
…なにか、あの方にも想定外のことが起きたのかもしれませんね。
仕方有りません。もうしばらく、周囲を探索してみましょう。
あなたには、また負担を掛けることになりますが。
[そっと、手を差し出した。]
[言葉と同時、拓かれた意識で問われた言葉に、感情が流れ出す。それは直接に相手の意識へと]
――っ、…
[迷い。戸惑い。混乱]
―わたし、は
[意識が繋がるのは、>>0:56自分と相手のみだとは気付かぬままに、つい返事を返して。返事が届く、それこそが『リヒャルト』である証明だとは気付いていない]
[先ほど彼女が残してくれた言葉が蘇り、無音の笑みが口元に宿る。
親切心などと言うものは、性質上持ち合わせぬが、
対象が彼女となれば、勝手も意味もまるで違う。
現に妻を労う顔は、喜色に彩られていた。
つい、指先が労わる領域を越えて
しなやかな尾骶骨を擽ってしまうのも、無意識の所作。]
[問いを重ねる事は良しとしない。
…のだが、もうひとつだけ気にかかる事はあり。]
……ついでに聞くが。
敵のお前が僕をさらうというのはどういう料簡だ。
[あの時囁かれたそれを思い出すようにしながら、尋ねた。
何のために攫うのか、人質なのか何なのか。だとしても何のための物なのか。
敵だという男の考えが解らずに、視線は自然と睨むようなものになった。]
[彼女の軽い自重を受け止め、片腕を開きつつ。>>450
魔界の瘴気と言えど、彼女も紛れもない精霊種。
強い生命力までも削ることは無いだろうが、
枯渇は確かに心身に労を掛けて居る様子。
訳知り顔にて首肯を重ね、腕を勧めて誘う所作。
尤も、倦怠を抱かさせる最たる原因は、隣に侍る己であるが。
瞠る愛妻へ諸悪の根源が微笑を向け。]
[色々考えてみたが、答えは一向に出て来ない]
〜〜〜だぁっ、止めだ止めだ!
性別が変わろうが出自が複雑だろうが、やることに変わりはねぇっ!!
[湯面からがばりと浮き上がり、思考を振り払うように叫んだ]
んなうじうじしてる方が俺らしくねーっつの。
なるようになれだ!
[生来の割り切りの良さを発揮し、難しく考えることを止める。
身体は十分に温まったため、湯船から上がりタオルで水気を拭き取って。
生乾きの服とチョーカーを持って脱衣所へと戻った。
服を身につけ、タオルで髪を粗雑に掻き回し大まかな水分を取る。
使用済みのタオルを籠に投げ込むと、脱衣所から休憩室へと移動した]
[部屋の中にアデルの姿は無い。
外か、と思考が働くのは先程そこで別れたため]
アデルー、終わったぞー。
[扉を開けず休憩室内で寛いだ状態で投げた言葉は、扉越し故にくぐもっていたはずだ*]
やだなあ!
かーさんの顔、
しってる、で しょ!!
[リエヴルが呆気にとられている間に、
ひたすら物理で殴りかかるを繰り返す。
炎の渦が襲ってきたりもしたが、
呪われた魔王像をその炎に向けてぶんと奮ったら、
炎は蒸発するように掻き消えた]
わあ、この鈍器凄い!
消火も出来たよ、リエちゃん!
[やがて炎が霧散した後、
煤だらけの笑顔で振り返った、
ほめてほめて、の顔]
あ、はい。
[色々こわいかんがえに陥りかけた所に届いた声は、思考をそこで押し止めてくれた]
いま、ちょっと、お世話になった方と、お話しているので。
もう少ししたら、戻ります。
[陥りかけたこわいかんがえのせいで、相手の説明はすっかーん、と抜け落ちていたが。*]
喜んで、我が君。
[破顔に綻んだ眼差しと、彼女ばかりに向ける柔らかな声。>>455
一度、腰を折るように上体を倒し、両腕に掬い上げる肢体。
純白の外套で包んだ妻を横抱き、裾は生温い風に玩ばれる。]
―――…このまま連れ帰りたいところですが、生憎、
広域に
[残念そうな口振りで彼女に現状を語るが、
その顔からは笑みが消えず。]
[久方ぶりに隣を占める伴侶は、見るからに機嫌がよさそうで。
横顔を彩るのは、彼にしては珍しい類の笑み]
……ゃ、いま貴方に、触られたら。
…困るでしょう?
[小さな小さな抗議を口にし、咎める一瞥。
際限なく強請ってしまいそうな甘ったるい空気に、
そろりと身じろぐ]
え?何言ってんのリエちゃん?
[それからやっぱり、
仔犬みたいに飛びついたのだった。
流石に抱きつかれれば慎ましやかな胸部の感触が、
常時とは大分異なることは、リエヴルもいやでも現実として認めざるを得ないだろう。
ついでにいえば、当の本人も思い出した。
冗談みたいな、現在のこの肉体状況。
すなわち、性別的に花嫁化させられてる、ということを]
世話?
[前に世話になった奴が魔界に?と一瞬思考が働いたが、ここへ来てから助力を得ていることを思い出す]
手助けしてもらった、って奴か。
[呟きは独り言めいたもの。
戻ると言うのだから後で聞けば良いかと、わざわざ合いには行かずアデルが来るのを待った*]
[彼女の消失から、己の追跡までは、然程時間も無く。
新月が明ければ、精霊界では常の時が流れているはずである。
―――――宵闇司る精霊長不在のまま。]
……て、天使って思ってもいいよ!
[頭痛い、みたいなしぐさをされたので、
とりあえずフォローのつもりの一言であった*]
− 浮遊する群島 −
ああ、 別の帰還方法を探すしかないようだ。
[いくばくかの失意はあったが、その声に弱々しさはない。
彼が隣にいることは、それほどまでに心強く鼓舞される祝福であった。]
まあ、
[あの方にも想定外のことが、と思案する彼に聖母の優しき面影を重ねつつ、いささか突き放した言い方になったのは、相手の実力を認めるとともに、必要以上に関わりたくない相手ゆえ。]
この地に滞在するならば、できるかぎりの備えをしておこう。
血の匂いは魔物を興奮させる。
聖水は若干、持って来ているが──
黒の平原でおまえに再会する前に、温泉を見つけた。
あそこに行ければ沐浴できそうだが…
[と、蛇の塒の外へと意識を向けた時、どこかで角笛が吹き鳴らされたのを聞いた。**>>444]
[緊急事態とは突発的。
己が埋める闇長の座を空けたまま、職務を放り出したまま。
困りましたね、と、全くその気を見せず、
他人事宜しく嘯く男は、腕の中の妻を愛でるに忙しい。]
[抱き上げる腕に、純白に包まれた身をすんなりと委ね>>467
気怠い腕を再び伴侶の首筋に巻きつけ、体勢を落ち着ける]
こういう時、なんて答えたらいいのかしら。
貴方は、ヒトのお伽噺に出てくる王子様とは少し違うし、
騎士…も、それらしくはないものね。
……それでも、助けに来てくれて。
[有難う、と囁く声が額に触れ、軽く寄せる唇]
ますます状況が難しくなってきてるのね。
荷物を抱えさせることになってしまって、ごめんなさい。
でも――…無事に家まで連れて帰って下さるでしょう?貴方なら。
[私に怪我をさせるのは、お嫌いのようだから。と。
笑みを浮かべたままの唇にも、ひとつキスを落として、おっとりと微笑む]
ええ、と。
言葉の意味は、上手く伝わらないかも、しれないけれど。
もう一度、ありがとう、って、言わせてください。
あのまま、あの場所に留まっていたら、ぼく、レトさんと会えなかったと思うので……。
[そこまで言って、それから]
あ、ええとですね。
ありがとう、っていうのは、良くしてもらった時に言う言葉、なんです。
[かなり大雑把な言葉の説明も付け加えて]
ぼくは、もう少し休まないと辛いから……もう、行きますね。
ご縁がありましたら、また。
[できれば、友好的な状況で会いたいけれど、とは、言葉にしないまま、一礼して。
ふわり、ローブの裾を翻して、休憩所へと戻っていく。**]
[妻を傍らに侍らせるが僥倖、ついでに無粋を壊す務めもない。
精霊同士の諍いは御法度とされるが、魔界は所詮、異界である。
降り注ぐ面倒事は、彼女を愛でる合間の手慰みにもなろう。]
―――…困りますか?
私は、饗されるだけ頂きたいのですが。
[腕の中に納まるものの、身を捩る気配に、首を傾けて問い返す。
妻にとって、疲労に結びつく瘴気は、寧ろ己を放埓に唆し。]
[新妻は、黎明館で自分に向けられる夫の顔以外、あまり知らない。
彼の不在に独りで出歩くことを好まないと知る故、
ご近所付き合いにも疎い。
精霊長に上り詰めるだけの彼の事、自分の配下にでも、不在の用は頼んできたものと信じ込んでいた。
思い込みの多くは、父たる光の精霊長が、責務には忠実な性質だったからという刷り込みに起因する。
当然、夫の不在が精霊界を混乱させるなどとは夢にも思わず、
魔界の真中でも安全な腕の中で、寛いだ様子さえ見せる]
[何となく、微妙な気まずさは残っているものの、それは、扉を開ける前にどうにか押し込める。
距離感を計りかねたままの状態に、少しだけ不安はあるけれど]
(……離れる理由も、ないですし……ね)
[そんな理由を自分の中に作りだして、一先ず諸々を押し込めて。
いつもと変わらぬ態度を作ろう、と、念じながら、扉を開けた。**]
― 浮遊する群島 ―
…… そう、ですね…
[沐浴を口にする兄弟の言葉に、思案を重ねる。
手を取り共に耳を澄ますうちに、ざわめきがひたひたと押し寄せてくるような気がした。
なにかが始まろうとしている。あるいは始まっているのか。]
───これだけの調度が揃っているなら、この家のどこかに湯船もあるかもしれません。
まずは身体を清めて、それから、
[つ、と片手を傍らの人の背に添える。]
あなたに鎧の加護を降ろしましょう。
守護なしにこの世界を歩かせるわけにはいきませんから。
[紋様の消えた彼の肌を、指先でなぞった**]
……だって。此処は、危ないでしょう?
[散々睦み合った後に言えた台詞ではない。
自覚はある故、僅か視線を外して囁く]
貴方が、愛でて下さるなら。……うちでの方が、
[情事の余韻が、彼の痕跡が色濃く残る身体。
思う侭に啼かされた唇は、綻びやすくなっている。
また自覚が遅れてやってきて、眉を顰め途方に暮れる]
ほう、ヒトの語るサーガの中にはそんな話も?
そう言えば、此処に来るまでにヒトを見かけましたよ。
[彼女の博識に耳を傾けながら、緩やかに足を踏み出した。
ヒトの形をしていても、人間種とは造りが違う。
足場の悪い樹海の中でも、器用に剥き出しの根を踏みつけ、
落ち葉を鳴らしての巡行。>>474
そんな最中に彼女の言葉より思い出す記憶が幾つか。
記憶の引き出しを抉じ開け、暫しの間を置いてから吐く言の葉。]
――…小さいのと、暢気そうなのと、白くて黒いのですね。
[人間の見分けが今一付かぬ、所詮の人外であった。]
[それでも、彼女に似た聖質と、強大な魔力は忘却を免れ、
世間話めいて懐く妻へ言葉を紡ぐ。]
おや、私は貴女の夫。
ヒトに語られる手合では在りませんよ。
―――…それとも、憧れが?
[首を捻れば銀糸が揺れて、眼鏡の奥で瞳が瞬き問い。]
貴女を荷物などと感じたことなど、生涯一度も。
―――…無事でなければ、対応も違えたでしょうが。
[ひそりと続けた言の葉は、僅かな冷気を孕む。
しかし、夫に健気な信を寄せる声には微笑んで応じた。]
勿論、我が愛妻を戯れでも侵して良いのは私だけ。
[穏やかに告げる語は、性質に基づく傲慢さが見え隠れ。
顎を引いて、彼女の唇を恭しく賜り。]
[外へと続く扉が開く]
世話んなった奴って誰だ?
[アデルが見えるや否や問いかけた。
態度は一応、いつも通り]
[しばらくは世話になった人物についての話を聞くことになろう。
一段落すれば、話題を現状把握に移す]
目下の問題はどうやって魔界を出るか、だよな。
…確か、俺達の世界を繋ぐ魔力のバイパスかなんかがあれば、戻れるかもしれないんだっけ?
[上がっていた手段は仮定の話でもあるため、実際に戻れるかも分からないのだが]
(……無いことは無いんだよなぁ)
[しかしそれは明かすのを躊躇う手段。
元の世界からも干渉方法を探っていると言うことも、現状では口にし辛いことだった**]
[夫が自分のために、精霊長の務めを文字通り放り出してきたとは想像もせず>>473
困りましたね。と嘯く声に、困ったわね、と相槌を重ねる。
魔界の瘴気は肌に合わないが、闇を支配する伴侶の腕はしっくりと馴染む。知らず目を細め、首筋に鼻先を擦り寄せる。
夫婦水入らずの一時の代償を、他の精霊が被っているとも知らず]
[光と闇とで、性質に基づく大きな相違。
妻が彼是に疎いのは、背徳と享楽に弱い同属種を、
巧みに遠ざけてきた夫の手腕も関係するだろう。
つまりは、大義名分を背負い、妻を存分に愛でられると言う事。*]
はい、魔界はとても危険な場所です。
だから、私から離れてはいけませんよ?
貴女の柔肌は種を問わず、魅力に溢れるのですから。
[彼女に言い聞かせて、少しの恐怖心を植え付け。
それでも、腕の中で僅かな熱を残す肢体に気がつけば、
小さく喉を鳴らし、密やかな笑気を散らす。]
―――…屋内の方が良いですか?
構いませんよ、探してみましょう。
[露骨な曲解で、妻を揶揄り、
ほんの少し、気を張り詰めて方位を探査。]
[自分のように連れて来られたのだろうかと、少し眉を寄せ>>481
出逢った人間をあまりに端的に表する言葉には]
貴方、………
[彼の語彙は豊富だ。観察眼も鋭い。我が身に日々浴びせる賛辞や揶揄、他にも色々]
あなた――……
[興味関心の配分が、極端の極致と思しき伴侶を、
じぃ、と見上げること数秒]
そう…、色んな方にお逢いしたのね。
― →灼熱の闘技場 ―
[薄汚れた人間や、戯れに狩り回る魔物を余所に
魔物である狼は、妨げなく自由に地を駆け。
闘技場は、元の施設の性質からか、狂熱の氾濫を
施設の外まで広げる程、盛り上がりを見せている]
(――いる)
[今度は紛う事のない、存在の気配。]
いえ?
貴方がいて下されば、私はそれで。
[彼の隣に帰り着けた安堵に、少々箍が緩んでいるのか。
常には見せない率直さで、するりと追求を受け流す>>482]
/*
せっかくの闘技場にレア血筋の相方なので
闘技場の賞品になってみてはどうか、とか
思うわけだけれどまた相方の動き制限する案なので
鮮やかにゴミ箱へダンクシュート
*/
[箱入と言っても過言ではない彼女は、大切に育てられた姫君。
己が娶った後も、その精神を穢すことなく囲い続けた。
小動物のように懐く伴侶を微かに揺らしてあやし、
今あるこの時を存分に満喫。>>485]
―――…おや、どうかしましたか?
[元々、勇者が生まれれば加護を与え、
英雄が立てば栄光を授ける光の精霊とは一線を画す存在。
気まぐれと名高い風精以上に、闇精は人から遠い。>>486]
その内に、もう一度逢えるかもしれませんが。
イングリッド、ヒトを見たことはありますか?
[トン、と枯れ草踏んで、森の終わりに近づいていく。
その先に見えるのは、廃墟めいた研究施設。
視線を緩く持ち上げ、外観を確認すると、と腕の中へ向け、
建屋です。と、ややズレた男が告げた。]
また、そんな意地悪を仰って。
…貴方以外、私に触れる人なんていなかったでしょう。
そんな事を仰るなら、ずっとこのまま離れずに居ましょうか?
[夫たる彼に、自身の何もかもを捧げたのは、本人がよく知るところ。
拗ねた口ぶりで、戯れに問いかけ]
……ッ、ちが、…そうじゃないって、解ってるでしょう!?
[これ以上愛でられたら、身体がどうにかなってしまいそうだ。
光力を失うことより、懼れることは他にある。
彼との情交は常に深く、未だ余韻も鮮烈だというのに。
獲物を前に喉を鳴らすような気配を悟り、また熱が上る]
/*
嫁が可愛すぎて喀血する。
とろとろのイングリッドちゃんも、
ばかばかーってなってるイングリッドちゃんも、べらぼうにかわいい。
― 狂気の研究施設 ―
[指し示した先は、静寂の支配する黎明館とは趣を違える建築物。
瘴気にも一定の耐性がある身は、迷わず距離を削りゆき>>488]
―――…私の妻は、余所見も満足にさせてくれない。
そんなことを言って―――…、
[ひそ、と彼女の耳朶に吹き込む小声。]
―――……私を試しているのですか?
[笑んだ声が彼女の髪を微かに散らし、眉根にキスをひとつ。]
[耳に注ぎ込んだ言葉に封をして、彼女の中に染みこませるよう、
口唇をスライドさせ、耳孔の凹凸へとキスを塗した。**]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
生きている限りはな。積極的に死ににいく理由は、私にもお前にも。ない。その代り後悔をも背中にひっついてくることになるがな。
[多く語ることはしない。
ただ馬に乗らぬの様子>>456だけ見てその意図を受けとるが無理強いはしない]
そのようだったな。すまんな。非常に苛立つ冗談だと、あの時は思っていたからな。
[理性では納得したからこそ謝罪>>458をする。
だが状況を整理しても情報をもってないのはこちらも同じである。つまり、最初の一歩に戻るわけだが、相手の状況を理解しただけまだ進んだと思うことにする]
ああ、だが敵同士といって、互いに憎みあっていたからは…いや、いい。
[これは主観混じりだ。と途中で言葉をやめる。]
そうしておけ、私がいった言葉が…嘘をつくつもりは私になくとも、お前が思っていたことと違っていたなら、自分を取り戻す時邪魔になるだろう。
[記憶が戻ること>>460を妨害するつもりはない。ただ自分の思いを押し付けるようなものは憚られた]
[聞かれれば答えるつもりでいながら、同時に記憶が戻ることが、本当にいいことかどうかも、わからずに、無意識に言葉が少なくなっていた]
ここは、マカイ。というらしいな。
聞いたこともない場所だ。私たちの国とは遠いところのようだ。一応聞いてみたが、あちらもこちらのことを知らない。
私もこちらにきた方法は…水に落ちて気が付いたらだからな。海流にでも紛れたのかもしれないがその程度のこと、参考にもなりはしない。
つまりいきなり手詰まりだ。情報を集めながらしばらくここに滞在しようと考えている。
[別の大陸のどこか。と未だ思っている...は勘違いはあれど帰るための手段を探すことをすると自分の行動を告げ]
一人より二人だ。協力しろ。
[頼むとも、威圧して従えるとも違う。素っ気なさを声の色に乗せシュテルンを見つめた]
[聞かれるものは可能な限りこたえるつもりではいた、ついでにと聞かれたものに一瞬だけ目を伏せる]
ふん、ついでといえばそんなことか。
国や立場。そんなものではない……極々個人的なことだ
[眼差しを向ける。
記憶が失われた相手を見据えながら傍まで近づいて、指をそっとシュテルンの顎にあてて反らし、自分からも顔を近づけて]
[息がかかるほど近づいて止まり]
こういう理由だ
[息がかかるほど近くでいうと、それ以上のことはせず近づいた距離の分だけ身を離した]
[気恥かしい言葉に続く、冷ややかな言葉>>483
触れ合う肌を、ひやりと冷気が滑ったような気さえする]
……無事で、良かった。貴方が無茶しそうで、あまり見ていて
気持ちの良いものではなさそうだから…
[腕の中に溢す、小さな溜息]
―――……、
[妻を侵して良いのは、自分だけだと。
さらりと言い渡す言葉は、占有の権利を傲慢なまでに見せつける。
小さく開いた唇は、言葉を選びそこねて、そろりと結ばれ**]
/*
色々と突貫してるからかなんか複雑や。
とりあえずこんな関係だったらしい。
でも敵同士でした。まあつまりどっかで敵同士だが普通より絡むところがあった。
そこでなんかかんかしてああなった。でもどうやって口説いたのだろうな(ぉぃ)
んで、多分別れたのだろう。ここにいることというか消えたことをちゃんとツヴィンガー理解していなかったしな。「また会おう」的にわかれてそれっきりだったのかもしれない
そして現在。まあ複雑やね。戻ったほうがいいのかよくないのか。という思いも少しある風としておけばいいんかなとはおもっている。
だがそっけなく協力しろ。というわりに連れ出している辺りがこの男の感情が知れてる気がした。んむ。こんな感じか。つまり・・・こいつなんなんだ(ぉ
[唐突に沸き起こった悲鳴と歓声に、項垂れていた頭をあげた。
地を揺らす轟きが伝わってくる。
何事だろうと、異変の先にあるものを見定めようと目を細めた。]
な、何なのこれ…
[闘技場に現れた戦車やそれを引く人間達の姿に背筋が凍った。]
……
[首を振りながら数歩後ずさったのちに駆け出した。
身を隠せそうな場所を探す。
入ったのは闘技場の中の物置のような小部屋。
焦った様子で中を見渡すと、何かが入った樽を移動させようと樽を押す。]
おっもい……!
[何が入っているのか、かなりの重量を持ったそれを歯を食いしばりながら押す。
ず、ずと重い音をたてながら、蝶番がついた側の扉の隣まで。]
[足音が近付いてくる。
ぎぃと扉が軋む音がして、部屋の中が明るくなった。
入ってきたのはほぼ裸体に近い男だった。
荒い息をたてながら部屋の中を見渡すと、すぐに部屋は暗くなった。
動かした樽の裏、扉を開くと丁度扉で身体が隠れるギリギリの位置で女は身体を丸めて震えていた。]
[それから、幾度と無く部屋は明るくなり、そして暗くなった。
背中の壁越しに伝わってくる人々の気配。
足をかかえ、小さくなれば額を膝につけるようにして目を閉じていた。
思い出すのは神殿での事。
こうしてよく隠れていた。
彼女を快く思わない人達から身を守る為に。]
[部屋が明るくなったのは何度目だっただろう。
例にも漏れず、部屋はまたすぐに暗くなった。
女は変わらず膝を抱えてうずくまっている。
そのうちに髪に生暖かい何かを感じ、顔をあげる。]
[その男と目を合わせていたのはほんの数秒、けれど女にはそれが非常に長く感じられた。]
……っ、
[髪を掴まれる。
容赦の無い力に悲鳴をあげると部屋が明るくなり、複数の足音がした。]
[灼熱の日差しの中を女は足を掴まれ引きずられてゆく。
狩りを成功させた者には何らかの恩恵が与えられるのだろうか、引きずられる女を見た人間達がわらわらと集まってきた。
途端に争いが始まる。]
痛い、やめて……、 うぅぅ、
[身体のあちこちを方々から引かれ、女の顔は苦痛に歪んだ。
恐怖が心を支配した。
あの森で、狼に狙われた時よりも、沼地で魔物に襲われた時よりも更に強い、]
― 記憶の書庫 ―
――…
[届けられた混乱は金貨の体力を削ったが、彼が探し人であると証明するなは充分で。]
落ち着いてから、で、いいですよ。
急かしたようですいません
[と、なれば彼からの名乗りを急ぐこともないだろうと。]
……ええと私は、ベネディクトでしたね、ベネディクト=コーカと申します。
ああ、連れ去るような真似をしてすいません、あの場でしのぎ続ける方法が浮かばなかったものですから。
[もぞもぞ起き出すと、神とは名乗らず人の振りをするための名を口にした。]
それと、すいません。
少し休ませてくださいね。
[ふらふらと本棚の裏に隠れるようにへたり込むと、鞄から水筒と食料を取り出した。
取り出した食料に干し肉が含まれてるのは、仔犬のためだったりする。探し人を護っていたのだ、魔物だろうが感謝を示さねばならないと。
まあ、そもそも金貨のいる世界での獣の類いは、害か益かでしか分類されない。
出すものを出した後は、マントを毛布がわりにして、その場で眠ろうとしただろう**]
[戻った時に向けられた態度は、いつもと変わらない。
それに小さく零したのは安堵の息]
……誰、と言われても、名前はわからないんですよね。
なんなんですか、って聞いたら狼、って返されましたし。
[問われた事には苦笑交じりにこう返し]
最初にここに来た時に、樹海で……その。
蔦に襲われた時に、助けていただいたんで、す。
[細かい部分は全部飛ばして、助けられた事と平原まで運んでもらった事を説明して。
話題が変わると、しばし、思案するように目を伏せた]
元々、仮説ですから……実際にどうかは、やってみないとわかりませんけれど。
なんの繋がりもない状態から道を開くよりは、『行先』の導がある方が確実ではありますね。
[その辺りは、過去の積み重ねからの推論。
とはいえ、それは既に実行不可能、と思っているから]
……とはいえ、現状ではないもの強請りですし。
とりあえず、まずは、こちらとあちらの接点を探してみようかと。
そこを基点に術式を展開すれば、門を開けるかもしれませんし。
[提案するのは、新しく展開した方の仮説と、それに基づく行動。*]
狼?
[問いに名前ではなく種族が返った。
狼、覚えがない種ではない]
襲わず助けるたぁ変わった狼だな。
[不意に闘技場で会った狼を思い出したが、印象の悪い出会いからそれとは直結しなかった]
…そういや、怪我とかは無かったか?
[確認しそびれていたことを思い出し、問いを投げる]
― 浮遊する群島 ―
[幸いにも捜索すればすぐに沐浴場は見つかった。
残念ながら湯を沸かす時間はなさそうだが、水はそれほど冷たくない。
ローブを脱いで手近な棚に置き、裸身を晒して愛しきひとを呼ぶ。
彼の腕に身を任せば、丹念に全身を洗い清められた。]
ふふふ。くすぐったいです。
[敏感な場所を擦られて、笑いながら身を捩る。]
次はあなたの番ですよ。
[自分の汚れが落ちれば、今度は彼の手を取った。
諸肌を脱いだ引き締まった躰に掌を添わせ、上から水を掛けて汚れを洗い流していく。
蛇の毒に焼かれた場所には、ひとつひとつ接吻けた。
立たせた身体の前に跪き、腰から足にかけて指を滑らせる。
そうして、今は柔らかく頭を垂れた彼の分身を手に取り、唇に含んだ。]
[逃げようとする腰を両手で押さえ、上目づかいに見上げて笑う。]
ちゃんとしておかないと、あとが辛いですよ?
[言ってから、彼の陽根に舌を絡め、たっぷりと濡らしながら口の中で転がし、前後させる。
その間に手で双丘を押し広げ、奥に隠された蕾に指の腹を当てて柔らかく揉んだ。
丁寧に、傷つけぬように、蕾をほころばせていく。]
[変えた話題に返った言葉には、そっか、と了承する声を一つ]
入口があったんだから、出口があってもおかしくねぇし。
ちっと骨だが隅々見て回るか。
[もう一つの仮説にも同意して、今後の方針決定とした]
……でもそのためには今しっかり休んどけよ。
そこ、寝れっから。
[示すのは部屋の片隅にある大きめのソファー。
人1人寝るには十分なサイズだ]
俺は床で寝る。
[言うが早いか、レトは硬い床の上に寝転がった**]
― 記憶の書架 ―
ー……、
[自分と仔犬をここまで運んできた人は、ベネディクトと名乗るとやがてマントに包まり眠ってしまった。
彼は、四番目の神なのだろうか。よくは分からないけれど…助けて、くれたのは確かなようだし。魔物の仔を避けるどころか、干し肉まで与えてくれた]
……。
[さすがに疲れたのか、すっかり眠ってしまった神を起こさぬように、隣にぺたりと座り込む。指を伸ばし、崩れて垂れた髪をそ、と耳にかけて。
体にいくつも焼け焦げを作った仔犬を呼ぶと、仔犬は喜んで飛びついてくる*]
……。
[やることに変わりは無い、と割り切ったものの。
アデルが女性であると知ったが故に、男性として接することは出来なくなっていた。
ソファーを譲ったのもその一つ。
以前ならば公平に何かしらの勝負で優先を決めていたのだが、それすらしない。
そしてその女性扱いも意識してのものではないため、指摘されたとしても戻せそうには無かった]
[引きずって運ばれたせいで、大分蹂躙された感のある
獲物の前に立ち、金色の視線を合わせる]
(分かるか)
[人の耳には、ただの小さな唸り声でしかなくとも
狼は構わず人間に問いを発する]
(――差し出すものが分かるか)
[ただ、何かを待つ眼をしているのは解るだろう*]
− 浮遊する群島 −
[うかつに出ていく方が危険かもしれないと、彼の言葉に同意し、加護については小さく顎を引いた。
どれだけ厳粛に儀式に臨もうとしても、最後までもった試しがない。
自分はきっとまた──
逡巡する間もなく、重ねた彼の手が沐浴場へと導く。
互いに再び一糸まとわぬ姿になると、手桶の水と自分の身体を使って、丁寧に彼を洗い清めた。
敏感な肌をさざめかせて笑う彼を抱き寄せて、門の奥にくぐらせた指を曲げれば、トロリとした温かな白が彼の腿を伝い落ちる。]
[いつまでも飽きはしないけれど、次はそちらの番だと言われ、身体を彼の手に委ねた。
濡れた掌が肉の起伏を余すところなく辿り、接吻けが傷を浄めてゆく。
肚の底からゆっくりと息を吐き、気を巡らせた。
不意に身体の中心をしなやかな指で握り込まれ、身体の温度が跳ね上がる。]
…っ、
[反射的に逃げかけた腰を抱え込まれ、見下ろせば、肉茎を唇に含む彼の蠱惑的な微笑みに捕まった。]
それは、 もう──
[言葉とは裏腹に瀞火めいた疼きは肉の鞘を充溢させる。
彼の顔の向きで屹立の角度が知れた。]
あ、ぅ シズ…
[よどみなく聖句を詠唱する彼の唇は、今や淫微な音を生んで献身的に奉仕する。
跪きながらも気品を失わず、媚びを含んでなお清冽な眼差しは奇跡。
彼の後頭部を掴んで押しつけたい欲望と戦いながら、立っていることに集中した。
官能の陶酔ゆえに、後孔を侵犯する指の巧みな動きに苦痛は覚えず、自分でも気づかぬままに、洗礼を待ち受ける器へと変容させられてゆく。]
/*
>2014/08/20(Wed) 10:59:36
柔らかく頭を垂れた彼の分身を手に取り、唇に含んだ。
を読んで、「おふぅ」とリアルで腰を引いたら、次が
>2014/08/20(Wed) 11:00:04
逃げようとする腰を両手で押さえ、
で、リアルの反応読まれてるwww ってなりました、はい。
[自分が発した叫びに応えるように闘技場に響いた咆哮に周囲を見渡す。]
あ……
[客席から此方へと俊敏な動きで駆け下りてくる青い狼の姿に声を震わせた。
自分の身体を引いていた人間達に噛み付く場面を間近で見る事は恐ろしく、人々の手から解放されると周囲が女と狼から円をかくように離れ、静まり返るまで頭を抱えて目をきつく閉じていた。]
/*
……なんでそう、絶妙の所を踏むんですかっ……!
いや、今回わりとわかり易いタイプにしてはありますけど! ありますけど!
[狼が前にたてば、小さく泣き声をもらす。
金色の瞳が、じっと此方を見ていた。
引きずられていたせいで、体幹四肢のみならず顔にも擦り傷があったが、擦過による痛みを感じている程の余裕は無く。
狼が発する小さな唸り声に目を細めた。]
……
[色の薄い瞳には戸惑いの表情が見て取れたかもしれない。
金の瞳と目を合わせたまま、数度瞬き、やがて言葉を返すことはせずに頷いた。]
ん…?
[途中で切れた言葉に首を傾げたものの、主観がまじると落とされればこちらも突っ込めず。
ふと後頭部に触れれば傷を治療した跡がある。魔法的な物ではなく、物理的に血止めと包帯が巻かれていただけではあったが。
こいつがやったんだろうかと、じっと見上げる。
敵だといい、自分でもそうだと思っているのに、相手の言動や行動におかしなところがある。]
[もう一度、敵、を見上げるがそこに答えがあるはずもなく。
視線は一度、嘆息と共に落ちた。]
…当面は、僕は記憶を取り戻す事と、
帰還する方法を探すことが目的になるのか。
[そう言いながらも胸中では、何故だか帰るという意識が薄かった。
何故だろうかと思うも、それも記憶を取り戻せばわかることかと、一旦は沈めることにした。]
[目の前の相手が、自分が記憶を失う前後の状況を正しく知る事はおそらくないだろうが、それでも前後の関係上、知りうる事もあっただろう。
少ない言葉を不信に思う事は無い。
今はあるままをそのまま受け取っていた。]
ああ、僕も魔界と聞い……マカイ?
……そうか、マカイという国なのか。
[微妙なイントネーションの違いに首を傾げる。
記憶がごっそり抜けおちた分、魔界と言われて疑問を抱きつつもあまり深く考えずにいたが、別の国との男の言葉に、ああ単なる国の名前だったのかと、こちらも間違った方に解釈取った。
男の来た方法については、海にでも落ちたかと、実際は湖だったがそう思いふうんと。]
手詰まり…そうだな。
ここは協力する方が、お互いの為、か。
[威圧でも下手でもない声だったからこそ、言葉を素直に受け入れる。
同意の声に喜ぶように軽く嘶いた馬の鬣に触れて、背を撫でた。
この黒い馬の事も、自分は知っているような気がした。]
個人的な事?
[立場も国もまっさら故に、相手と自分の関係は、敵である事しか解らない。
疑問は当然。個人的に何か他に関係があったのかと、続きを促すように見ていると、触れられた個所からさらに顎を持ち上げより見上げるような恰好になった。]
え…
[あまりに急に近づかれた為、驚いて息を飲んで。
余りの近さにびくりと跳ねて。
唐突な行動に反応は出来ず、固まったまま。]
[だが固く引き結んだ唇には、少し熱い息しかかからずに。
再び声が聞こえてゆっくり目を開けると、男は先と同じ位置にいた。
ぽかんとした様子は、次第に怒りの様相へと変わってゆく。]
………………………………。
どーいう理由だ。それは。
[涼しげな顔をしている相手の読めぬ意図に苛立ちを見せるものの、キスをされると思った己の勘違いに、頬は赤くなっていた。]
…………………………。
[成立していた話し合いだったが、だがその後の男の行動に身を離す。]
お前、今のはいったいどういう…
[怒りに噛みつきかねない様子で睨みつける。
狼の遠吠えが聞こえたのはその時だった*]
[言葉を返せなかったのは、狼の意図するところを理解することができなかったためだ。
けれど、狼の金の瞳は何かを待つようであるように感じた。
発せられた言葉の意味が問いかけにしろ、強制にしろ、女は従うしか無いのだと感じていた。
この世界では、女はあまりにも無力だった。]
ただで、助けてもらった訳じゃありませんから。
代わりに、あちらの捜し物のお手伝いをする事にもなりましたし……言わば、等価交換、ですね。
[変わっている、という評にはそう言って]
そう言えば、ぼくと別れた後に、レトさんとお会いした、と言ってましたけど……。
[先のやり取りで聞いた事を何気なく口にして。
直後の問いに、へにゃり、と眉を下げた]
あ……大丈夫、です。
大きな怪我はしていませんから。
[実際の所、怪我らしい怪我はしていない。
樹海からの脱出口で、手足に切り傷擦り傷を負いはしたが、湯上りに簡単な手当は施してあるから大丈夫だろう、とそう告げて]
そうですね、魔界の住人がぼくらの世界に現れ、そして帰る、という事例は幾つも確認されていますし。
入口が開かれていた以上、出口も開けるのが道理です。
今なら大分落ち着いてますし、多少大がかりな魔力探査もできそうですから。
[決定した方針に、さて、どこから当たるべきか、と思考を巡らせて。
休んどけ、との言葉と共にソファーを譲られると、え、と言って瞬いた]
え、あの、でも。
レトさんも、疲れてるんじゃ……。
[ぽかん、とした声を上げながら、同時に感じ取るのは違和感。
いつもなら、どちらがソファーを使うかで一勝負、となる所なのに、あっさりと譲られたの何を意味してるのか、と思案を巡らせて]
…………あの。
おかしく、気を遣わなくても、いいんです、から、ね。
[女と知れたからと言って、それを理由に気遣われたくはない、と。
そんな思いを込めた声は少し、低くなった]
……ぼくは、特別扱いされるのは、いや、なんです、から。
[継いだ声には本音が滲む。
男装している理由は、出自を隠すため、というのも大きいが。
『斎の民』の巫女だから、という理由で別格存在として扱われるのを厭う心もあるから]
[それでも、ここで意地を張って休む時間を無駄にするのも本意ではなく。
最終的にはソファーは使わせてもらう事にするものの]
(……やり難いなあ、もぉ……)
[これまで、知られぬために、と気を張っていた部分が急に不要になって。
そうしたら、距離感がうまく掴めなくなったような心地がして、小さくため息をついていた。*]
― 浮遊する群島 ―
[見上げる顔は悩ましく眉根が寄せられ、節制と欲望のはざまで揺らぐ瞳はむしろなまめかしい。
彼が先ほどそうしたように内側で指を曲げ、柔らかな内壁を撹拌する。
もちろん、自分の時のようにはしたたり落ちてこないけれど。]
これ、 好きです。
[そっと告白した。]
[十分に準備はできた、と指に伝わる感触が教える。
それでも、口嘴の技を止めなかった。
一度唇を離し、さらに姿勢を低くして下側からしゃぶりつく。
その方が、彼の顔がよく見えるから。]
先に、出しておいた方がいいでしょう?
[儀式が完成した後は、抜いてあげるわけにいかないから。
これほど期待に膨らんだものをそのままにしておくのは忍びないと嘯く。
なんのことはない。
彼が悦ぶ顔が見たかった。]
出してしまって。
ほら。全部。
[煽り、引き出し、導く。
どうすれば解き放ってあげられるかは、よく知っていた。]
受け止めるから。ほら。
ああ、そう─── ん、…
[迸る彼の悦びを口で受け止め、すべて呑みこむ。
のみならず、溜まったものを吐き出して硬さを失った肉茎の先端を口に含み、ちゅ、と吸い上げた。
最後に互いを清め、水滴を拭ってから、彼を寝台に導く。]
― 魔界温泉郷・個別温泉 ―
[一先ず休息を取りながら、巡らせるのは思案]
(……元いた世界とこちらの接点……か。
単純に考えるなら、四方の頂点のどこか、あるいは全体の中央)
[考えるのは、帰るための道標。
戻るための道を開く切欠となるポイントはどこにあるか、なのだが]
(それ以外だと、最初に現れた場所……というのが、妥当だけれど……)
(……あんまり、行きたくないなあ)
[最初に現れた場所は、どうにも近づきたいとは思えない。
もっとも、意図せず移動してしまう事もあるらしきこの場所では、そんな事も言っていられないのだろうけれど]
(わかり易いのは、北相当の方角から、順に見て回る、とか、かな)
[ともあれ、一度思考を切り替えつつ。
今は、と魔力の安定を図る方に意識を向けた。*]
[兄弟を仰向けに寝かせ、聖水を含ませた筆を肌に滑らせる。
胸から鳩尾、鼠蹊部に至るまで筆を走らせ、描くのは大天使の加護を現す紋様。
前を書き終えたら、今度は俯せにさせて背中にも描いていく。
これが彼を守る鎧、そして彼の内側に魔を封じて留める縛鎖となるのだ。
ここに、自分の力を注ぐことで。]
安心してください。
もう、十分に蕩けていますから。
[痛くないですよ、と笑いながら、書き終えた筆で彼の後孔を撫でた。]
[……何も知らず魔界に落ちたこの人間は、
そう言えば、多分帰る道筋も知らない。
人間界の、あの森に戻ろうと思ったら、
来た道を知るのは自分だけ。
つまり、最後は必ず己のところに、
この獲物は帰って来ざるを得ない]
[その事を思いついたら、――妙に気分がよくて
獣の顔には場違いに笑みさえ浮かんだ]
― 狂気の研究施設 ―
[足を踏み入れた先は、白亜の壁に囲われた研究所。
微弱な光子が電波として聞こえてくる。
――――が、精霊の多くは自然主義であり、
特に静寂と不変に馴染む闇精は、自ら何かを修学し、
成果をあげるという生き方とは縁遠い。
首を捻るように傾け、妻に視線を送りつつ]
魔族と言うのは、案外、努力家なのかもしれませんね。
興の為には労を惜しまぬと言うことでしょうか。
[やや浮世離れした夫妻の物見遊山。
用がなければ人間に降りることも無い身は、
覗いてみますか?と危機感の足りない声で問いかける。]
おや、ずっとこのまま?
それなら、私は永く杞憂を唱え続けましょう。
[寧ろ歓迎するところとばかりに、淡い笑みを湛えて、
僅かに剥れてしまった頬を口付けで慰めた。
再会してから此方、隙あらば彼女に口唇を寄せたがる素直。]
私は何分、素直に出来ているので。
―――…直ぐ傍に、貴女が居る。
この事実だけで、私はいつも眩暈を覚えてしまいそうなのですよ。
[言葉を遊ばせ、掛ける揶揄。
魔界の何処其処で、魔族による狩猟が始まっていようとも、男の性質は変化無い。なにせ、己が唯一、取り乱す存在も今は腕の中。]
……。
[小さな黒い体を撫でて、しばらく待ってみるけれど…彼はまだ目が覚めそうにない。
――まだ。戻れない。あの、白い世界に。
魔王によってこの魔界が閉ざされて帰れなくなっているなどとは知ない。彼の目が覚めれば、帰ることになるなら。この小さく勇敢な仔犬は、勇敢なれど、まだこどもで。ただ一匹放り出していくことなど、できない]
…すいません。すぐに、戻りますから…
[眠る神?に小さく告げ、物音をたてないようにそっと立ち上がる。そして、少しの間考えて]
――ちゃんと戻ります。これを、預かっておいてください。
[自分の持ち物など、ほとんど持っていない。首から聖印を外すと、彼の手の中にそっと落とす]
[等価での助け合い。
その事実を聞けば、ふーん、と声を零して。
自分に会ったと聞くと考えるように眉を寄せた]
………あん時の狼?
やたら匂い嗅いでくると思ったら、そう言うことか。
[あの狼だったら言葉を理解していたようだし、と納得も行く。
怪我についての反応には眉を下げるアデルをじっと見て]
…ならいーけど。
[表面上は素っ気無く言ったが、内心安堵が広がっていた]
[方針に返る言葉には、そっか、と短く返して。
ソファーを譲られたアデル惚けている間に床に寝転ぶと、低い声が降って来た]
……は?
[今度はレトがきょとんとする。
それが特別扱いになるとは思っていなかったため]
別に無理に気ぃ遣ってるわけじゃねーんだが…。
[枕代わりに後頭部に回した左手で頭を掻く。
表情には困惑の色。
これを特別扱いと言われたら、逆にどう接すればいいか分からなくなる]
……女を床に転がして自分がソファーに、なんて出来っかよ。
[言ったらまた不機嫌になるかなと思いつつ、口にしたのは本心。
特別扱いなんてものではなく、道徳的な問題だった]
[結局ソファーはアデルが使うことになり、宣言通りレトは床で休む]
(…難しい…)
[なるようになれ、と思っていたが、そうそう上手く行くものでもない。
何かが、どこかが掛け違っている気がしないでもないが、その感覚も漠然としすぎて原因はさっぱり掴めなかった*]
[人間が腕に抱いた愛し子をあやすかのように、緩やかに揺する腕。
肩に頭を軽く凭せて、夫を見上げる>>491]
いいえ、何も? ――なんにも。
[不審な態度を問い質す声。ふると頭を振り、小さく声を立てて笑う。
薄色の髪がそよぎ、抱き上げる男の首筋を撫で。
ヒトを見たことがあるかと問われれば、頷く声が、少女めいて弾む]
ええ、ええ。
私、光精の里に居た頃は、よくヒトの世界に降りていったの。
彼ら、不思議なのよ。与えられたものは、精霊や魔族よりずっと少ないの。時間も、力も、ずっと。
それなのに、寄り集まって温かな住処を営んだり、
一つ一つ石を積んで、息を呑むような神殿を築きあげたり。
そうかと思えば、同じ種族で争ったりも。
でも、凄く――…一生懸命なの。
[人里に下り彼らの目にはつかぬよう、ささやかな祝福を置き土産に眺めた日々。幼き日々に目を細め、私は好きだわ、と微笑で結ぶ]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
…そうだな。
[生きる代償として負う後悔についても、ということも、誤解から行った謝罪にする反応にも、短い言葉だけ返して打ち切る。
見上げる視線>>518を気まずさからではなく逸らし、次の行動を考えている間聞こえる嘆息>>519の後、行動指針を決めたようだ]
そんな国など聞いたことはないが、そういうことなのだろう。
[ちょっと、肌の色が違うとか。
ちょっと、人としての形が異なっているとか。
ちょっと、環境がおかしいとか。
住む場所が違えばこういうこともあるのだろう。
船旅が過酷であると聞いたがこういうことだったのか。と間違った納得をしている]
話が早くて助かる。
[提案を受け入れる旨を口にするシュテルンに頷く。
味方であろうとも仲良し。などということもないため、握手を求めるなどはしなかったが、軍馬がその変わりを成してくれたようだと思えば知らず笑みがこぼれた。]
これ以上ない答えだったのだがな。それでもわからないか?ならば言うまい。もう少し大人になるまでな。
[己を押し殺し、その表層に皮肉を出して、苛立ちながら理由を聞くシュテルンの言葉を煙に巻くことにする。
悠長に話している時間がなくなった。ともいうが]
[幸い貨幣という文化はあり、一応なりとも稼ぐ手段はある。
真っ先に闘技場にきたのはそれを知る意味でもよいことだっただろう。
資金源があれば次は滞在する場所。そう進みたかったところだが
遠吠えほどなく、悲鳴が聞こえた。派手な破砕音に逃げるマーケットの住人。そしてその喧噪は徐々にこちらに近づいてくる]
はっ、騒々しいな
[狼の真似るようにこちらにかみつくような様子をみせるシュテルン>>521に近づき腰に手をまわして抱き上げると、軍馬に乗せて、手綱を渡し、自分も馬に乗るシュテルンの後ろ側飛び乗った。
馬上の上にでればよく見える。
マカイの民を散らし、マーケットを蹂躙しながら進む、この国の騎手の姿だ
呆気にとられる暇もなく、それが何を目指しているのかを察すれば行動は速い]
逃げるべきか、抜くべきか。なんともいえんな。ま、進路は任せる。
[どちらが正解かわからぬ以上は、道を選ぶことを委ねることで役割を分担し、自身は剣を抜いた]
――…。
[眠る彼に伝わるこころが、目が覚めても残るかは分からない。
こころにあるのは、不安。小さな護衛を抱えていても、仔は庇護しなければならない対象であり。
魔界でひとり、自分の身を守れるかすら分からず。ここにいれば。彼がいれば、安全かもしれないのに。自分の勝手で、離れようとしている]
[歩む夫の足下は、枯れ草の敷布から石が混じり始め。
辿り着いた先は、寂れた風情の白亜の建物。
何故かわざわざ、建屋です、と知らせる声>>491]
……、……。
[その言葉に、何故か少しばかり眉を寄せ]
ねぇ、何だかあの建物、嫌な雰囲気がしない…?
[歩みを止めず、一路真っ直ぐ進む彼に囁く。
見上げる横顔が、ふとこちらに向いて>>492]
……ごめんなさい…
[ぽつりと浮かんだ言葉を残す。その言葉が妥当なのかは知らない。
そうして気付く。ほとんど、言葉をかわしたこともない、のに。
どこかで頼りにしてしまっている、自身の弱さ]
……ごめんなさい。
[今度の言葉には、きちんと感情を乗せて。けれど]
――…。
[立ち上がるのは、やめない]
余所見――……、なさりたいの?
[呟く声は、何処かその奥に硬い響き。
会話の流れだと知りつつも、反射的に零れた声>>492
疑わぬよう戒める彼の声が耳に蘇り、直ぐに表情を和らげた。
けれど、耳朶にひそりと流し込まれた声には瞠目し]
試す……?私が、貴方を?
[寧ろ試されているように思えるのは、ずっと――]
[彼の真意を測りかね、微笑を孕むキスにも、物問いたげな視線を返すだけ]
(本来なら外に出ること自体許されない……か)
[床に寝転ぶ間、これまで話したことを思い起こす。
森の奥にある里、言うなれば実寸大の箱庭のようなものか。
外に出ることを許されず、一生その中で過ごす。
レトにとってはとても窮屈に思えた]
(…許されないからこそ、出たかったんかな)
[全ては推測でしか無い。
答えを得るにはアデルに聞くしかなく。
けれどそれは相手の内に踏み込むことにもなる]
(気になっけど……)
[踏み込みすぎてはいけない。
自分は監視者で、相手は監視対象で。
場合によっては非情手段も取らなければいけないこともある。
情に流されないようにしなければいけない]
[そうは思っても、放っておけないと思ってしまっている時点で手遅れなのかもしれない*]
確かに、貴女に見せるオペレッタとはいきませんが。
――…そう、何より我が身を大事にするのですよ。
貴女は聊か、好奇心が強く、情に弱いのですから。
[予め言葉を回り込ませ、光精の中でも情緒豊かな妻に言いつける。
自身の力を暴として、具現化させることに何ら抵抗は無いが、
彼女の身に危険が及ぶならば別問題。>>498]
―――……聞く限り、実に不便そうですが……。
そう言えば、貴女方を信仰する一派もあるのでしたか。
良く分からない生き物ですね。
[妻は日差しの中に生まれた精霊。
同じく陽下に生まれ、賛歌を囀る儚く弱き存在にも好意的だ。
彼女の声に耳を傾けつつ、ふむ、と声をひとつ漏らし。>>527]
―――…そうですか。
[と、相槌のように打った声が濁るのは致し方ない。
手放しで命短く力無き存在を評する彼女に、無意識の悋気。
されど、己の狭心を察すると、軽く瞼を下ろして断ち切り]
[靴裏で擦った石畳、研究所の周囲は舗装され整えられている。
打ち捨てられたようにも見えるが、彼女が何かを察すると言うことは、
この白い箱もまだ、完全に死んだわけではないのだろう。>>531]
さて、私と同じ気配は感じませんが。
……ただ、粒子類は貴女の方が聡いのでなんとも言えません。
[自身が意識を裂いて、察知する労を費やすのは彼女の光ばかり。
興味の足りない無知を晒せば、ほんの少し、性質の悪い顔を晒し、
恐いですか?と、妻に意地の悪い問いかけ。]
― 狂気の研究施設 ―
[どこか陰惨な雰囲気に沈む研究施設>>524
踏み入れば、光と素を同じくする、電波の微かな音が鼓膜を震わす。
奥に覗く並ぶ装置の数々が、何に使われていたかはあまり知る気も起らない]
…ある意味、そうとも言えるのかも知れませんね。
[魔族を評する夫の言に、静かに同意する。
覗いてみるかと問う声にも、曖昧に頷いて]
− 浮遊する群島 −
…ふ あっ
[内側で曲げられた彼の指が敏感な場所を圧して、腰が蕩けた。
彼が好きだという行為を身体に直に刻み込まれる。
その一方で唇と舌に煽られ続けた陽根は、抗する術も持たずに先走りの蜜を溢れさせて吐精し、
喘ぎを噛み殺すも、瞼を震わせる歓喜の放埒は、見上げる彼の淫微な表情が期待するままに純粋なもの。
証の白を飲み下した彼に窪みの奥まで啜り上げられ、またひとつ戦慄する。]
[無理に気を遣ってはいない、と言われてしまうと反論のしようもなく。
続いた言葉も、理性の上では受け入れられるものだから、何も言えなかった。
そも、じゃあどうすればいいのか、という事になると、正直、自分の中でも答えは見つからない。
そんなまとまりのつかなさもあって、最終的には大人しく譲られたわけだけれど]
(……私、は、どうしたいんだろう)
[どうしていいかわからなくなったら、まず、自分がどうしたいかを見つけてごらん、とは、魔導の師の口癖で。
それに従ってみても、肝心のそれがよく見えなくて。
結局答えは出ないまま、違う思考に意識を沈めて。*]
― 魔界温泉郷・個別温泉 ―
……とりあえず。
ここの移動に関しては、色々と不規則要素も絡むようですし。
行けるところに行ってみる、という方向でやるしかない、かな、と思うんですけど。
[ある程度の法則はあるようだが、繋がり方自体は不規則に思えるこの世界。
意図して移動するのが難しいなら、流れに任せてみるしかないのでは、と。
……それはそれで怖いものがあるが、そこはちょっと置いといて。
休息の後、行く先について出したのはこんな提案、ひとつ。*]
[解放に導かれたのは男の徴ばかりではなく、いまや全身が無駄な硬直をなくし、だが充足して寝台に横わる。
聖水によってその肢体に隈無く描き込まれる守護の紋章。
体温を写し取った筆が双丘の狭間に置かれ、秘儀の次の段階を示唆した。]
…恩寵を。
[顔を伏せたまま、腰を上げて希う。
必要なこととわかっている。
それでも羞恥を覚えるのは、今回もきっと、あられもない声をあげてしまうだろうから。]
[現れたもう一匹の狼。
狼は群れをなすと聞いているが、そういえば魔界に住む狼にもまた群れをなすのだろうか。]
……
[とても仲が良さそうには見えなかった。]
………イングリッド、それは―――…、
[不意に落とされた呟きは、彼女にしては珍しい色を滲ませた。
天下泰平を呼び、希望へ導くとされる光精にしては、
難解に位置するだろう感情。
思わず、小さく呼気弾ませ、肩を揺らした。]
妬いているのですか?
不貞を疑うなら、この場で以って潔白を証明しても構いませんよ。
[尤も、彼女にはきちりと代償を支払ってもらうことになるが。
―――とは、言外ながら雄弁に含ませて。]
[ふくりと膨らませた頬に唇を落とす夫は、自分は素直に出来ていると自己申告。
全面的には頷きかねるという感想を、小さく傾げた首で仄めかし]
…貴方は、本当に。
そういったお言葉が酷くお上手だから、時々困るわ。
[腕の中で溢す、戸惑いを絡めた囁き。
同じ世界の何処かで、荒ぶる獣性のざわめきは感じ取っていたが。
当然彼にも知れることと、守ってくれる腕に不安も警鐘も差し挟む事はなく]
[動き出す時は、双方同時に突っ込んで
ほとんど衝突と言う形で牙を交わす。
数度の攻防の内に流れるように姿を変えて、
二足で獲物の側に着地したのは青毛の狼の方。
対して褐色は、(こちらがそれと知る訳ではないが)
東国ふうの衣装をした人の姿を取っていた]
― 魔界温泉郷・個別温泉 ―
まさに手当たり次第、だな。
[移動の不規則さは身を以て知っていたため、持ち出された提案>>537に否を唱えるはずもなく。
とりあえず外に出てみようと言うことになった]
そういや、森と沼地以外はどっか行ったか?
[移動前にどんな場所があるか見たのなら情報交換しておくべきか、とアデルに問いかける]
俺が行ったのは城みてぇな建物と、やたらと活気のある闘技場と、気味悪ぃ実験してそうな研究所だな。
研究所なら何かしらありそうではあるんだが…。
[自分が行った場所の簡単な説明をして、研究所については最後言葉を濁す。
行きたくない、と言う思いが表情に表れていた*]
[珍しい妻の片鱗に中り、研究所を進む足取りは軽い。
左右に並ぶ窓硝子の向こうには、生体実験の名残を思わせ、
手術台を取り囲むように計器類が並ぶ。
悪趣味な建築物を流れる空気は少し生温い。>>536]
彼らの寵愛と蹂躙は良く似ていますから。
―――…ほら、イングリッド。
恐ろしければ、確りと掴まっていないと。
[妻に向ける微笑と言葉。
強度の高い硝子の奥、暗がりには、
元は純白であっただろう羽毛が散らかっても居る。
悦と快を求め、何が行われたか、物語るような光景。
彼女は慣れぬだろう、陰湿な闇。
男は何処か心地良さそうに、爽やかな息が胸を抜けて行く。]
[相手の若い狼が投げかける言葉は、
主に見慣れぬ同族らしきこちらに対する誰何や、
背後に置いた獲物に関する口出しだった。
だらりと腰に手を当てて聞いて]
うるさいな
[適当に耳を掻いた]
これは元から俺の獲物
おまえたち、魔界の狼がどんな群れで
なにがルールとか、
――俺にはかんけいない
俺の好きにする
[己の性質に向けられた彼の戒めは、自覚する所ではある>>534
神妙な面持ちで頷き、もっと気をつけます、と答える]
ええ、不便なことは不便だと思うの。
だからこそなのか、何かを向上させようと奮闘する
性質が強いみたい、彼らは。
私にも、よく分からないことがまだまだ多くて――…
[陽光に憩う人間の性質を語る声は、小さく途切れた。
そのまま評は打ち切り、彼の首筋に腕を預け直し]
― 塔の街 ―
――…?
[何度か訪れたことのある場所。ここはこの魔界に来てから一番長く過ごした場所である筈が、何故か空気が違う。
最初に目に入ったのが、巨大な体躯に大きな二本の角を備えた魔であったために、すぐに脇道に逸れたのが良かったのだろう。そのままじっとしていると、次々と魔物としか表現できない者たちが増えていく]
……。
[腕の中の仔犬を抱きしめる。魔物が凡て危険なものだとは限らない、かもしれない。けれど、口が耳まで割け、鋭い爪の餓鬼が建物ひとつ隔てた向こうで人の背ほどもある瓦礫を持ち上げ、何かを探している様をみれば、近付いて話しかけてみようなどという気は起こらない]
― 魔界温泉郷・個別温泉 ―
森と沼地以外だと……不思議な平原に、出ましたね。
[樹海を抜けた後にたどり着いた平原。
場所について話すついでに、そこで出会った闇を纏うものの事も話しておいた]
城に、闘技場に、研究所。
……なんだか、色々とありますねぇ。
[聞かされた場所の情報>>540に、小さく呟く。
何かしらありそうな、という研究所には、どんな場所なのかと興味を覚えるものの、なんだか行きたくなさそうなものも感じたから、表に出すのは避けて]
まあ、悩んでいても、始まりませんし。
……とにかく、移動してみましょう。
[じっとしてるわけには行かないのだから、と支度を確かめ、立ち上がった。*]
/*
素直に北回りすれば良かったかしら、と思いつつ、思いつつ。
こんな時ばっかり目が走るのはどうなんですか、もう……!
― 浮遊する群島 ―
悦くしてあげます。
[高く捧げられた腰を引き寄せ、窄まりの奥に息を吹きかける。
愛おしさに一片の労りを加えて彼の背を抱きかかえた。
沐浴での奉仕と、彼の純粋な───それだけに淫らな姿態を目の当たりにして、自分の熱もまた満ちている。
ゆっくりと腰を下ろし、勃ち上がったものを彼の内腿に擦り付けて存在を示してから、拓かれた場所へと埋めていった。]
[内側の熱さは指で触れて知っている。
それでも体の芯で感じる温度は、煮えたぎる坩堝のよう。
ゆっくりと、深く腰を使い、秘められた急所を突き、快感の源を暴いていく。ふたりの体温が溶け合い、吐息は絡み合ってどちらのものとも分かちがたくなる。
力が、満ちていく。]
クロゥ。言って。
欲しい、と。言って。
[短い息を繰り返しながら言葉を求めた。
それは最後の扉を開く鍵。
力を解放する呪文。
そして、大きな光が迸った。]
[夫に聞かせた話は、彼と生活を共にする前のもの。
彼の横顔に、耳に届いた声に違和を感じ取る。
今は彼と在るのに、気を悪くさせたのかも知れないと口を噤む。
進むほどに露わになる研究施設の様相。
怖いかと問う声に、直ぐに首を振ってみせ>>535]
いえ。貴方が居れば、…怖くは。
[建物を見遣る視線には僅かの警戒が滲むものの、恐怖自体は否定する。奥へと進めば、薄汚れた硝子を隔て、手術台や計器が姿を現した>>541
想像を巡らす必要さえもなく、過去の用途は知れる]
………、
[魔族の寵愛と蹂躙は似ていると語る夫。
何とはなしに彼に注いだ視線をつと逸らして、預けた腕に少し力を篭め]
[突っぱねる声に、ただでさえ剣呑な空気が
ギリギリと限度まで引き絞られる。
そして理屈よりも本能の優る種の性は、
悠長な緊張を待たない]
止められるものなら、止めてみろ……!
[吼えるは、
天性の狩人同士による、本気の殺し合いだった]
― 魔界温泉郷・個別温泉 ―
不思議な平原?
[話>>545を聞けば、色調の暗い変わった平原だと言う。
そこで出会った闇を纏うものの話も聞いて、魔物だろうかと眉を顰めた]
あぁ、俺も他に会った奴が居たな。
[城の地下牢に囚われた花嫁、闘技場で金を稼いでいた青年。
その2人は魔界の住人らしくは無かった、とも付け加える。
尚、狼については休息前に話をしたため割愛した]
ん、そんじゃあ行くか。
[移動を促す言葉には頷いて、レトもまた立ち上がり個別温泉の外へ。
温泉郷は来た時と変わらずの気配。
その時点では魔界を統べるものが魔界全体を使って狩りを行っているなど、露ほども思っていなかった*]
「わ」
[声を出しかけた仔犬の口を、慌てて押さえた。声を止められ、腕の中の仔犬は不思議そうな顔をしたけれど。一際元気に振られるしっぽに気持ちが現れているようだ]
――…。
[物音を立てないように気をつけて、そっと腰を落とし。ずっと腕に抱えていた小さな黒犬を、腕から放す]
(元気でね、ポチ)
[声は出せない、けれど。頭のいい仔だ、きっと分かってくれる。
仔犬などではない、青年の背丈をはるかに越える双頭の魔獣――ケルベロスが、すぐ近くを通りすぎようとするのに、そっとポチの背中を押し出した]
お前を、男に戻してからでないと、帰れないな。
[戸惑ったが、そのあとは、また頭を撫でて。
やや頬を赤らめる。]
――……困ったことになったな。
[嫉妬を抱いたのかと尋ねる夫の顔。
そっと見上げて口を開く]
……。いいえ。嫉妬した訳ではないの。
[否定の言葉は静かに、率直に]
そういう疑念を、持ったこともありません。
貴方がもし、他のどなたかにお心を移していれば、
…きっと直ぐに解ることだと思うから。
[するりと頬に触れて、微かに笑む]
……
[2頭の狼がどんなやり取りをしているか、それが人型の姿で交わされたものであるならば理解することもできたかもしれない。
両者が死力を尽くした争いを始めれば、ただおろおろと見守るしかなく。]
[気配に聡い彼女も覚えただろう魔族の進軍。
それを他所に、安穏と施設内を闊歩しながら。>>543]
御しきれぬ力に手を伸ばす賢しさと愚かしさですか。
魔族や神族は特に好きそうな存在ですね。
[片や傍観気質の強い精霊種。
魔道師らに積極的に手を貸す変わり者も在るが、
基本的にはヒトの歴史に大々的な介入はしない。
精々が彼女のような光精が、辺境の地に伝説なのか、
御伽噺なのか分からぬ、目撃情報を残して行く位だろう。]
ああ、ヒトを見かけても、余り加護を預けてはなりませんよ。
唯でさえ、今の貴女は弱っているのですから。
[自身の所行を棚に上げ、ツ、と視線を硝子の向こうへ投じ。]
[薄暗い中、壁に備えられた枷と、それから伸びた長い鎖が鈍く光る。
捕縛された何かで、狂気を満たした名残が生々しい。
現に、この建物に蔓延る怨嗟は時を経ても、肌で感じられる。]
―――…こんな歌声を、貴女に囀らせることなど、致しませんが。
[薄闇で明々とは捉えられぬが、
壁にこびり付いた黒い色は、元はもっと鮮やかな朱色だったもの。
苦痛と発狂を表すように、爪痕も残っている。
その光景に涼しい顔をして、腕の中の彼女だけを慈しむ偏愛。
男にとって、この場でどれほどの惨劇が行われたかも、
種を問わぬ数多が犠牲になったかも、まるで興味がなかった。
仮令、その中に同じ精霊種が混ざっていたとしても。
明確な線引きは、この建物が抱える狂気と良く似ていた。]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
…そうか、お前が言うんだったらそうだろう。
[>>529こと記憶のない今、元いた場所まわりの事については、この男を信じる他にない。
たとえそれが間違っていたとしても、それを指摘する人間はここにはいない。
故に明らかに人間じゃなさそうな恰好をした物がいても、そういう奴らもいるものだで片付いた。
賢い黒馬だけが、なんか違うんじゃ?という様子でぶるんと鳴いたが、人間二人は抗議の声とは取らなかったか。
そんな馬を撫でる様子を愛でられ笑まれているとは知らず、どこか人懐っこく、懐かしい黒馬を撫でる時は、こちらも自然と笑みが乗り、馬の方も応えるように大人しかった。]
[もっとも当人が大人しいのは、皮肉な声を聞くまでだったが。]
誰が大人になるまで、だ。
僕はもう24だ!
[気づかず自分の年齢はするりと出て来た。
認めたくはないが、どうも男と話していれば呼び起される記憶も多いらしいと後に気づくと、睨んだままの胸中は複雑にもなるのだが。]
[細やかなやりとりの後、噛み殺してやりたい、という勢いで睨み付けていたのもつかの間。]
何だこれは…。
[ただマーケットが襲われているのかと思ったがそうではなく、何やら何かを探している様子。
時折悲鳴が上がり、建物の合間から引きずられるようにして連れ出される者がいる。
あるいはふよふよと飛んでいる何かを捕まえ、骨でできたような檻に押し込めるのも見えた。]
略奪…というよりは――
っ!
[呟きの途中で体格に比べあまり太くはない腰に手を回され、殴り飛ばさなかったのは、そういう状況ではなかったからだ。
馬上で見れば、騒動の様子がよく見えた。その規模も。
背後に剣を抜く音をききながら、進路を任されると一度眉根を寄せるのは、その信頼の厚みを感じてだ。
どうあれ、今はその信頼に応えなければ二人と一匹の命は危ういだろうと知れば今は前を向く。]
……留まる理由がないな。
[貨幣は稼いだ。物を買う事も出来たが、それよりは逃げる事が先だと判断すると、幉を取り馬を走らせた。]
[硝子の向こう、暗い潜みには、灰色染みた羽毛が散らばる。
所々千切れたそれは、魔族の目に物珍しく映った生き物から、激痛と引き換えに捥ぎ取ったものだろうか。
彼らの興と欲を満たし切った獲物は、どうなったのだろうかとぼんやり思う]
――……
[暗く翳る空気にも、夫は平静を乱されることなく、何処か居心地よさげな様子さえ見てとれ]
[他人に向く牙ですら恐れた獲物を背後に置いて、
闘技場の中央に死闘を曝す、二人の狼。
人の姿と獣の姿は目まぐるしい幻のごとく立ち替わり、
名の通り身を焦がすような、長くも短くもある時間]
――――は、ッ
[ガン! と褐色の肩を地に踏み留め、鋭い息を吐く。
殴られて内側に傷でもついたか、鼻と口元の血を
鬱陶しげに拳で拭うが、そもそも額からべったりと
右目が血に濡れていて、意味をなさない]
魔の仕業って、あ……これのこと?
どうせなら、もうちょっと大きくてもよかったのにね。
[慎ましやかな胸をぐいっと押し付けてみる、
魔族と契約した豊かさは胸部までは及ばなかったのか。
戸惑う人を前にすることで、逆に冷静になってくる]
このままでは……、
帰ったら元に戻ってました!
っていう展開はないのかな……?
いや、その前にまず帰る手段あるの?
[>>551>>552 こんな所どうやってきたんだろう、
考えてみればちょっと不思議だ、
どうやら杖も不思議なアイテムみたいだし]
もしかしてリエちゃん人間じゃない……なんてことはないか。
[なでなでされながら、つぶやいて。
それからちょっと赤くなってたリエヴル見上げて、
真顔で告げた。]
うん、もし男に戻れなかったら色々よろしくね。
[それから冗談めかして微笑ってみせた。
もちろん、抱きついたままの片手には禍々しい鈍器が握られたままだったという]
[逃げる方向は、騎士らが蹂躙を働くその喧騒の正面。
馬に触れる邪魔な手はあるようだったが、そこは背後に任せ、人の波を割き分けるようにして駆け抜けた。
進めば人の壁は厚くなるが、身動き取れなくなるような事にならないのは、良馬である事とと当人の腕の影響が大きい。
覚えていないが、敵陣へまっすぐ駆け抜けるその様は、当人が得意とする所だった。
そのまま勢いよく、馬を操り一団に突っ込むと。]
ところで、ここって随分静かだねえ。
さっきの以外、何もいないのかな……?
[魔王の狩りによって魔族が出払ったこと――、
自分をさらったのも含めて、など知る由もなかったのである*]
……リエちゃんどうしたの?
やっぱりちょっと現実を受け入れがたい?
[なんとなく視線の合わないのを、追いかけて。]
そうだよね、
いきなりこんななってたら吃驚するよね……、
ちなみにまだ俺も怖くて下確かめてない。
[余計なことを言ったりしてました*]
[――見世物のつもりはなかったが、いつの間にか
『殺せ』
と呼ぶ合唱が、高見の観客席から降り注いでいる。]
……
[その事に気付いて、喝采の濁流を遠く眺め、
そして足下の人狼に視線を戻した。]
― 魔王城 ―
[魔力による探知をしながら、となると自然アデルの進む方へと向かうことになり。
その間レトは周囲を警戒しながら続く形となる。
そうして辿り着いたのは]
…お。
最初に来た城だ。
[見覚えのある巨大建造物の前。
威風堂々たるその姿は、住まうものの威厳を現すかのようだった]
………なんか、妙だな。
[前に来た時は魔物が居るにも関わらず静かだったはず。
それが今は高揚と殺気が渦巻き、圧迫感のようなものが感じられた]
離れた方が良いかもしんねぇ。
[直感的にそう思う。
アデルに移動を促し、城を見たままに後ろへと下がった時、何かの気配が近付くのを感じた]
――…御しきれぬ力に、自ら手を伸ばすのは。
やはり、賢しく愚かしいことだとお思いになる?
[尋ねる声は、何気なく>>554
残り少ない力の行使を禁じる言葉に、浅く頷き]
ええ…、貴方にこれ以上、ご迷惑もご心配も掛けないようには。
[確約はできないものの、意思は告げる]
― 記憶の書庫 ―
[眠りについてからどれほど経っただろう]
――…
[混濁した意識は、彼の不在>>525を飲み込まず、起き上がろうとしたものの、指先に力が入らない]
……
[“彼”がいるつもりで声をかけようとするものの、震えた唇は音を送りだすまでには至らずに、言葉を紡ぐほどの力の余裕が今はない。
言葉を口に出来たなら「参りましたね」くらいは言っただろう。
こうなっている原因に、金貨は心当たりがありすぎる。]
/*
ちょっと魔王で何か落とそうかと思ったら、フレデリカに先を越されたなにか。
魔王城も狩りの範囲内ですよーよーよー。
あ……
[青い狼の額が割れ、流れる血には顔を背けつつも恐々と不安気な眼差しをおくる。
この狼はどうやらはぐれものの狼らしい。
俺の獲物という言葉に眉を下げた?]
― 魔王城・城門前広場 ―
[多くのものたちが魔界中へ散った後も、魔王そのひとは未だ城の前にあった。
周囲では遅れて放たれた獲物たちが逃げまどい、遊び好きな魔がそれらを捕えては放し、あるいは戦車の中に引きずり込んで遊んでいる。]
[腕から放された仔犬はしばし不思議そうに青年の顔を見ていたが、黒い魔獣の踏んだ小石がザリと音を立てるを聞けば、そちらへと走る。
わん!と元気な鳴き声が響く。大きさの差を考えれば、目に入らなくとも不思議はないだろう。けれど大きな双頭の魔獣は仔犬の声を聞き、足を止めた。ぶんぶんと振られる仔犬のしっぽ、けれど見れば大きな犬のしっぽもゆらゆら揺れて。大きさは違えどやっぱり犬なのだと思えば、くすりと笑いが洩れた。
それが、悪かったのだろう]
[戦車を牽く人間たちの手綱を握っているのは、黒髪の青年だった。
しつらえられた座所に腰を落ち着け、グラスを傾けながら、魔王は青年に言葉を賜る。]
おまえも狩られてみたければ、行って良いぞ。
[素早く平伏した青年にそれ以上を言うことはなく、魔王はゆるりと狂乱の宴を眺めている。]
『陛下以外のものに狩られたくなどありません。
私の身命は、すべて陛下のものです。
陛下以外のものに与えるなど、嫌です。』
[青年の言葉は、魔王にだけ届くもの。]
― 魔王城・外 ―
[近付いて来た、と言うよりはその場に発生した、と言った方が正しいかも知れない。
轟と炎が渦巻き、空気を焦がしながらそれは人型を作り為す。
炎の揺らめきにより形を揺らすその人型からは殺気が漂っていた]
ちぃっ…!
[この手の相手はレトが苦手とする部類。
実体が無いために物理攻撃ではあまり効果が無いのだ。
遺跡を巡っていた時も遭遇した場合は防御中心の構えを取り、対処はアデル任せとなっていた]
…アデル、対処出来るほど回復してっか?
[炎を見据えたまま問いかける。
是が返るならいつも通りに撃破を試みるが、否が返るなら迷わず撤退を選ぶつもり*]
/*
わりと人が集まってるので魔王様出してみましたが、余計でしたか?
目撃してもいいのよ、という心づもりですが、NPC相手だと気が引けるというのもありますよね。
今なら筆が乗っているので、かなり多角でも大丈夫ですよと、だれにも届かない場所で呟いてみるのです。
[一言で言うならば力の使いすぎ。
二箇所で発生させた金塊>>290>>425は、発生源のほとんどが金貨自身の生み出した、本来は存在しないはずの金貨である。
一枚二枚の少数ならば世界を誤魔化すこともできるのだが、百枚千枚規模になってしまうとなんともしようがなくなってしまう。
崩された均衡は崩したものの力で補うもの。
神であるが故の不便さは世界が変わってもついてきてしまったようだ。
有り余っているはずの神力は、世界が閉ざされたことによって、取り出すには時間がかかるようになってしまったらしい。
力を使ったことによる負債を返済し終えた金貨は、動けるくらいになるまでは動こうとはしないだろう]
[慎ましい妻の躊躇いに、応じて彼女の身を抱えなおす。
己に信を寄せているからこそ、と告げる言葉が心地良い。
―――自身の支配欲を、津々と満たしてくれる。>>547]
私の傍が一番危険かもしれませんが。
貴女の信頼に、快く応えますよ。
[根源を違える性質を持つ、背中合わせの夫婦。
己が持つものを、彼女は持たず。
彼女がものものを、己は持ち得ない。
笑うように告げる声が、陰気な空間に響き。
圧の加わる腕へと引く顎先、愛でる眸は、冥い銀色。]
/*
狩られてみたければ、なんだな……歪みねえ
魔王直々狩って下さるんだろうか
ねこぱんちで地面につつき転がし回すんだろうか
あるいは他の魔物に狩らせてその様をお楽しむのか
*/
おや、それは残念です。
私は貴女のどんな顔も見てみたいのに。
[生まれた感情に翻弄される彼女も、邪に胸を痛める姿も
妻の全て己のものであると言いたげに。]
―――想像がつきません。
けれど、もしもこの心が貴女以外に揺れることが在るのなら、
[壁にまざまざと残された、狂気の宴の跡。
それに視線を長くは留めず、涼やかな夫の横顔を見遣る。
熱情と無関心の、遙か深い隔たり]
……そうですか?
例え貴方に、枷と鎖で繋がれようとも。
私は厭いませんけれど。
[仮に彼が、本来交わり立つ事のない異属種に興が尽き、満たされぬ渇きを余所に求める時があれば。
徒に嬲り弄ぶことなく、平静なまでの無関心で以て手放すだろうと想像が及ぶ]
―――――…きっと、“私”は消えてしまったのでしょう。
[同じ顔をして、同じ声をして、同じ言葉を紡ぎ、
それでも、彼女を愛さぬ己には、自我が足りない。
同じ闇を司り、夜を支配し、影を統べろうと、
情熱を失くし、恐れを忘れ、魂砕けた器でしかない。]
[彼女に告げる心情は、一層の狂気を垣間見せる。
笑んで告げながら、己の底を支えるのは愛妻であるとの語。
精霊を精霊たらしめるは各々司る根源であるが、
自身はそれ以上に個を確立するものを手にしている。
腹を裂いてしまうに惜しく、興で使い果たしてしまうに釣り合わず。
魔族の饗宴を理解できても、同意を示すには、傾倒が過ぎている。
男は深淵の底、狂気の縁で、誰よりも彼女を愛していた。]
――…
[なんとか動けるようになったなら、この世界でも力を稼げる場所に行こうと心に決めて、金貨は再び目を閉じる。
交わる金貨の力の在りかは、金が行き交う場所、財を求める場所、交渉事が発生する場所、人々が行き交うだろう場所である。
該当するだろう市場や交易所のある街や、富と金の行き交う闘技場は、どちらも現在危険地帯になっているのだが、そんなことを知りようもなく。
彼と仔犬が居るはずの空間に物音がしない事に気づく余裕があったなら、這いずってでも探しに行っただろうけど、そこまで意識する余裕はなかったようだ。*]
− 浮遊する群島 −
[穏やかな中にも情愛を宿した声が宣言する。
先程とは立場を逆にし、後ろに回った彼の身体の熱が肌に接した。
下肢の付け根で触れ合うのは、天使の容貌を裏切る器官。
彼自身の蜜が、内腿に光る筋をひく。
しなやかな指が、肉を拓いた。
ほどなく、ふたりはひとつにつながる。]
ん、 う…
[辛くはない。
だが、寛げられ塗り替えられてゆく感触に、息を詰まらせる。
彼のように自分から腰を動かしてより深い官能を呼び覚ますことなど及びもつかない。
だが、彼の巧みな抽送は決して一方的ではなかった。
感度のいいところを突かれ、反射的に身体が引き絞られる。
それが新たな疼きを呼ぶ。]
…っ …っう
[切なく抑えた喘ぎは、次第に追い詰められていった。
絶え間なく擦れ合う粘膜が快感を引きずり出す。
熱い血潮が全身を巡り、脈打つごとに彼を感じていた。
快楽の連鎖に応える肢体は、もはやほとんど間断なく跳ね、腰を突き上げて彼を深く迎え入れる。]
[ややもすれば艶めいて洩れる声を懸命に抑えようと、きつく拳を握った。
喉を緩めてしまえば、もう止めどがなくなるから──
けれど、彼は言葉を求め、 言葉は至り、迸った。]
シズ、 シズ──
欲しい── 来て、 来て──
満たして、 欲しい ん っ
[自らを響き合う空にして、受け止める。]
[眉を下げて恐々としているのは、目前の戦いへの恐れか。
見るからに荒事とは無縁そうな顔をしていれば
さもありなん、という所ではある]
なんだ。
[返答のない事を訝って、低い問いを再度繰り返す]
闘気法が一 ───
[気を集中させ、身体から立ち昇るオーラを両腕へと凝縮する。
淡い光を取り巻く両腕は防御専念の構え]
いつでも良いぜ。
[紡いだのは精霊への宣のようでもあり、攻め手のアデルへの合図のようでもある言葉。
精霊の攻撃をアデルへと届かせるつもりは毛頭無い*]
[嫉妬する顔さえ見たいと応じる声]
…そんな顔は、できれば貴方にお見せしたくはないわ。
[緩く苦笑し、続けられた言葉にそっと息を詰める]
――……、
それでも……、
貴方が、貴方であることに変わりはないでしょう?
[笑みを以て告げられた言葉の真意に至れず、声を絞る]
[手段に関してはさらり。ちなみに杖はしっかり取り落としていた。]
人間じゃない?
いや、残念ながら、人間だな……。
というか、むしろ説明するなら。
[魔界に来れる人間などと、人間ではない、と言われかねない。
そこで正直に申告する。]
どうやら、この脚が人間ではないらしい。
この脚を介してならば、魔界との干渉が可能であるんだ。
[その意味がわかってもらえるかどうかはわからないが。]
あ、ああ、静かだな。
どうしたんだろうな。
[変に意識してしまったせいか、話半分である。
むしろ、しがみつかれたその頭、金色に身長的になんでかぽふっと頭を乗せた。**]
[集う光に反応するかの如く、焔が揺らぐ。
それに対し、こちらは意識を向けはしない]
Eine Dame von kaltem Eis und Schnee.
[一つひとつ、丹念に言葉紡いで力と成す。
今はそれが、自分のやるべき事、と見なしているし、それに。
レトが容易く抜かれる事はない、と。
今までの積み重ねで知っているから、迷う事はなく]
Zum Tanz von den Eiskristallen, die dem Seufzer ähnelten!
[最後の言霊に応じ、魔導書の放つ光が深い蒼へと色を違える。
ゆるく片手を差し上げ、指し示すのは揺らめく焔。
それに応じて魔導書を離れた光は、舞い踊る氷雪へと転じ、焔へと優美なる舞を持って迫りゆく。
煌く粒子の散るそれは、幻想的で。
けれど、酷く冷たい氷雪の貴婦人の吐息。*]
[なんでもない、といったふうに首をふりかえす。]
獲物….だもの。
[小さく独りごちた。
人間達から自分や守ってくれたように感じてしまったとしても、それは自分が獲物だからという理由にすぎず、この場を過ぎれば、]
い、いや、ちょっとびっくりしただけだ。
気にするな。
[心配げなフレデリクの声に、息をゆっくり吐いてからそう答える。
ただ、下確かめてない、には、あきらかに真っ赤になった。]
ちょ…
って、……フィー
/*
☆呪文対訳
力よ集い、形を変えよ。
冷やかなる氷雪の貴婦人。
その吐息にも似た、氷霧の舞へと!
でした。
最初のマジックアローは、ちょうど発生していた再起動に巻き込まれて、取っておけなかったんですよねぇ……。
[おかげで最初の一文は、逆翻訳から組み立て直したとk(]
あ、文章は毎度おなじみ、インフォシークさん一発変換です。
― 浮遊する群島 ―
[切ない声は子が母を呼ばうにも似て、
求められた熱は器の隅々にまでいきわたる。
描かれた紋様に光が灯り、鎧となって彼を覆った。
愛しさをこめて彼の背を抱き、そのままくたりと寄り添う。]
クロゥ。
…よかったですよ。
[耳元に囁いて、互いの心音が谺するのを聞いて。
温かな体に頬を摺り寄せていた。]
[しばらくそうしてからゆっくりと身を起こし、
兄弟の肩に手を載せる。]
─── 汝を地上に送り給いし神を信じますか?
[それは、儀式を締めくくる言葉。]
影の谷間を歩むときも、
神は汝を見捨て給わぬことを信じますか?
[儀式を儀式として完成させるためのもの。]
[身じろぎすると何かが音を立てて床に落ちた。重くなってしまった瞼をなんとか開き、落ちたものを確認する。
それが聖印>>525であることを確認すると、視界に入れたくないと言わんばかりにマントを被ろうとしたのだが――…聖印の持ち主に思い当たれば、聖印を拾い上げようと手を伸ばす]
…………
[だが、うまく力が入らずに、聖印の上に手を乗せるだけになってしまった。]
― 灼熱の闘技場 周辺 ―
[一頭の軍馬の献身>>556もむなしく、間違いを訂正する役が不在のまま現状を改めて認識する。
こうやって黒き馬は自分ががんばらねばならないと思ったかはさておかれる。]
あなたが求める限り、
神は常にあなたと共にあるでしょう。
───共に、地上に戻りましょう。
ブラザー・ジークムント。
[付け加えたのは、祈りであり意思であった。]
[忘れずにいてほしい。とも、思い出さないでほしい。とも。どちらもまたその心にあり定まらない。]
ふん。悔しければ察して見ろ。
[明確な答えを避け素っ気ない言葉には僅かに沈痛の色を残した]
さて、異民族狩りか。異教徒狩りか。国は違っても血腥いものだ。
[異世界にいるものを狩るという命令とは思ってはいない。
来たばかりであればこれが日常的な光景の一つかどうかすら判別がついていないのだが、今はそこに思考を傾けるべきではないのだけは確かなこと]
ただ、わかりやすくはある。
[力が横行する政治形態。あるいは倫理観なのだろう。捕らわれたもの、被害を受けたものに心を傾けるほど現状に余裕は、ない]
[もしも馬を預けたことを問われれば、先まで気絶していたことを理由としてあげるだろう。建前としてはそれで十分だったが、問答は不要となり通じた心地よさを味わう
ゆくさきを委ねたのだ。それ以上はいわず、ただ正面へと向けられた操者の意志に剣を合せる
こちらにくると思っていなかったのか。あるいは他の喧噪に紛れているからか、未だ混乱の渦中を一頭と二人は疾駆した。
大腿に力をこめ、向けられた槍の穂先を叩き斬り。炎に包まれたトカゲのような馬の目を貫く。
腕に這うような熱風を気にも留めぬ。今は体の中に巡る血潮のほうが、アツイ]
[止まれば死ぬ騎兵は生きるため動き続ける。馬と騎乗者の技能を併せ、翻弄するように一団の中を突っ切り翼を生えたが如き跳躍>>563
着地と同時に隣にあった、骨の檻を一閃にて破壊した。真横へと揺れる大腿の力で維持しながらも先に囚われのものが脱走しはじめれば、追手を向けるのは厳しくなるだろう。
その間に速やかにその場を離脱した
その先に見えたのは、美しさよりも威圧感。清廉よりも巨大さを示す象徴]
おまえ、自分がどんな状態とか、
ああ、もう……。
[いかんいかん、と思うのに、
みると、可愛いのだった。
というか、どっからどうみても、もう、美少女にしか見えないのだが、しかもウェディングドレスだし。]
下、確かめてほしいのか?
そういうわけじゃないんなら、
こう、焚きつけることをいうな。
[そういいながら、その身をぎゅっと抱きしめ、しばらくはじっとしていたけれど、
やがて、勝手にため息をついて、フレデリクの顔を覗き込む。]
― 魔王城付近 ―
城だな。ここの権力者が住んでいるとみていいだろう。
[遠方に見える城は、王の住まいかこの地方の領主の館かまではわからないが、あいにくこの国に伝手のないものにとっては縁のない場所。むしろ目をつけられたら厄介な類のものだが]
私たちにはあまり関係のない場所だが、少し見て回るか?ここは先程の場所よりは静かなようだしな。
[それでもまだ近くで危険があるようだが、さっきの場所よりましだろうと考えてのもと、相変わらず進路はシュテルンに委ねたままだ]
男に戻れなかったら、いろいろ よろしくなら、
男に戻れたら、忘れろよ?
[次の行動が唐突なのは、
きっと状況が悪いからだ。なんて、こう、理由を作って。]
っていうか、2回目だっけ?
[顔を近づけると、その唇に触れるだけのキスをした。]
/*
ツヴィンガーもなんかずっと知ってる人っぽい空気を
醸しまくっているのだよな。
そうなると色々と腑に落ちたりなんだりすることが
エピであるかもわからんね。
*/
[彼の神の人柄(神柄?)は知っているが、彼の宗教を金貨は知らない。
欲望に深く関わる神であるが故に、金貨は他の理の宗教を深く知ろうとはしない。
世界によっては、存在自体を悪と呼ばれ、存在自体を罪と呼ばれる。金貨が他の世界の宗教を見ないようにしようと考えるのは、無理もない事だった**。]
―――…はい、それでもヒトにのみ許された性かと。
[大気から力を汲み上げる術を生まれながらに知る種の同意。
生れ落ちて以降、精霊が更なる力を得ることは希少。
余程の大望がなければ、分を弁える。
―――稀に、己のように、目的を以って、
資質以上の才を強引に開花させることも在るが、
己の向上を知らぬ妻には、濁すように答えを返した。>>568
そうして、凄惨さを思わせる施設から視線を外す彼女に気付き、
そっと背中を撫で下ろし、気を惹くように額へ落とすキス。]
……ああ、瘴気に中りますか?
貴女を快癒させる力はありませんが、もう少しで抜けられます。
――…ぐるりと巡れば、魔界の構造も知れるでしょう。
[空間情報を集めれば、
今はまだ、抉じ開けるだけの情報が足りない故、
ぞろりと自身の影から生み出す闇に次元軸を覚えさせるに留め。]
[おもむろに手を伸ばしたのは紫色の髪だ。
沼で引き上げた時には、赤いフードからこぼれた
これは、胴に張り付く程に長くはなかったか。]
……
[一房を指で握る。
そのまま滑り下ろすと新しい切り口の、
少しつんとした感触が指先に残った]
……
[肩の辺りで、紫はするりと手から逃げた。
また掴む。同じように滑らせて、やはりすぐに
手の中から逃げ出す長さだ]
[夫の無関心は幅が広く、彼女を除いたあらゆることに興味が薄い。
夜の静寂と、仄暗い粘性の闇に僅かばかり興を燻らせるのみで、
妻たる彼女ですら、己が愛妻以外に向ける執着を知らぬはず。
――――それは、至極当然のこと。
長の座も、精霊界も、いつか訪れる世界の終焉ですら、
己の無聊を慰めてはくれないのだから。
彼女に向ける歪な執心が、練られ、曲がり、捻くれて、
己を混沌とした闇へと生まれ変わらせた。
出会った頃は、精霊力もまだ拮抗していたが、
時を重ねる程に、力は強大となり、末に大望を果たす。
それは、己が愚かしいと詰る人の渇望と相違なく、
濁した言葉の裏側を隠蔽するように奥歯を噛む。]
[迫る白銀、臨む深淵を自らもすっと覗き込み>>578]
…貴方の隣が、危険だと仰るなら。
全ての異界の何処より、危険な場所であっても、
ここが私の在るべき場所だと答えるわ。――何度でも。
とうにご存知の筈でしょう、そのくらいの事は。
[彼と生を共にする意味、今此処に在る理由を]
―――……、
[誰何を問う彼女は知らない。
自身の胸に篭る本当の根源を。
少し言葉を選ぶようにして、数拍の沈黙を落とし。]
イングリッド――、
それでは、もしも、私が死んでしまったら、
貴女の口付けで起こしてください。
[微笑を貼り付け、向ける言の葉は冗句にも聞こえる本音。
精霊は本来死さず、終わりにあるのは消滅か回帰であるが、
心の喪失は確かな死だと、彼女に言い聞かせ、
詐欺師のような男は、単純明快に唇を強請った。]
− 浮遊する群島 −
[貫く光輝に、束の間、磔られる。
肌を覆った大天使の加護が鎖めいて閃き隠れた。]
んあ… シズ── とても、いい …
[力を送り込まれ、必要は満たされたことは理解できる。
それでも、一度、唇を封じる意志をといてしまえば、歔欷の呻きはとめどもなく溢れて身体を蕩かし、彼との繋がりに焦れた。]
もっと… つながっていたい
[闇を引き寄せ、快楽に耽溺してしまう肉体を浅ましいと恥じても、業。
彼は、狂おしい余韻がひくまで、頬を寄せてそっと腕を回してくれた。
情欲は愛へと形を変える。]
――…
[回復しかけた力は、ゆるゆると金貨の意識を流す。
不安で、不安で、溢れ出しそうなほどの感情の奔流の中にあれど、声は紡がることはない。
何かに縋りたいと思えど思っても、相手が聖印の持ち主だと考えてしまえば、言葉にすることができない。
知らない、彼のことを自分は何も知らない。
四番目の神とは名乗ってしまった、金貨であると名乗ってもいいのだろうか。
何かを言いたいような、言いたくないような、そんな意識を醸し出しつつ、不安定な状態故に再度力尽きた金貨の意識は闇に沈んだ**]
[視線を一度落とす、添うようにぼたりと紅が落ちる]
また逃げるか?
[声は淡い揺らぎを含んで問う]
[やがて、波が遠く去れば手を携えて身体を起こした。
先に彼がしておいてくれたおかげだろう、平静に戻るのにさほど時間はかからなかった。
心静かに、信仰の誓いを為す。
形なき加護は、ふたたび身を鎧った。]
──ああ、 おまえと共に。
ブラザー・シジスモンド。
[御しきれぬ力に触れたいと、手を伸ばすこと。
ヒトにのみ許される性だと、夫は応じる>>602]
……。そうなのでしょうね、きっと。
[ならば彼は、賢しく愚かしいと思うのだろう。
同じ精霊でありながら、そう望む身を。
小さく頷き、額へ受けるキスにゆるりと瞼を閉ざす]
― 魔王城・外 ―
[解き放った氷雪の舞は、弾き飛ばされた焔を緩く包み込む。
相反する力のせめぎ合い。
常であれば、包み込んだ時点で押し切ってしまえるのだが]
……ん。
向こうで出会うものより、力が強い?
[魔界と言う場にあるためか、すぐには押し切れぬよう]
……時間を、かけさせないでください……。
Unter den Armen der Dame vom Eis und dem Schnee.
[一撃で仕留めきれず、再度競り合いに持ち込まれれば、それだけレトの負担が増す。
見通しの立たないこの先や彼の本領を思えば、それは得策ではない。
そう、思うから、増幅の言霊を重ねる事に躊躇いはなかった]
Werde still, und verschwinde, und komme schwer; Flamme!
[魔導書に再び蒼い光が灯り、呼応するように氷雪の舞が形を変える。
焔を包み込んだ氷霧の揺らめきは、抱擁さながら。
ただし、それはかき抱いたもの全てを凍てつかせ、砕け散らせる非情なるもの。
氷雪の貴婦人の腕の内に囚われた焔は、氷と共に砕けて散り── 一先ず、静寂]
……?
[幾度か髪に指を滑らせる狼に、何をしているのだろうかとその顔を眺めていた。
落ちる赤に痛々しそうに眉を寄せ、自分の身体を一度見下ろす。
小さく首を傾けると、指を伸ばし指で狼の目を拭った。]
[なお、増幅の呪文というのは使う際に大きな魔力の波を織りなすため。
魔力感知できる相手には、物凄く居場所を主張する──手っ取り早く言うと目立つのだが、そのリスクからは大抵目を逸らしていた。
なお、最初にこれをやった時、倒した数の倍近い魔法生物を呼び寄せて、収拾つけるのに大わらわになった……というのは余談。
ある意味では、忘れ得ぬ記憶とも言えそうだが]
……一撃で、落とせない、とは。
これは、見知った魔物も相応強化されている可能性を見ておくべき、でしょうか。
……いずれにしろ、ここには長居、しない方がよさそうですね。
[小さく呟き、城の方を見やる。
そこに、強い力があるのは感じられるから。
厄介な事になる前に引くべきか、との思考は早い。**]
……――ッツ
[べったりと色濃い血が張り付いているせいで
状態が見えにくくなっているが、
右目は瞼から切れて血を滲ませていた。
瞼の中身に関しては、残念ながら不明だ]
やめろ
[痛みを抑えて制止する声は幾分重い]
――……いいえ。
[いいえ。と繰り返し、緩やかに、はっきりと首を振る]
だって…、その時貴方が、私の唇を望んで下さるとは思えないもの。
[――その時が訪れるなら、きっと。
彼に触れたがる唇も、追い縋る腕も、何もかも亡くしているだろうと。
残りの理由は告げず、冗談めかして拗ねた声を作る]
[制止する声に一旦指を離すが、そのまま手を引くことはせず、しばらく迷う様に指先は宙に留まる。]
ごめんなさい。
[狼が許すようならば再び指をのばすと切れた目の際から瞼を覆う様に手をかざし、ぶつぶつと唇を動かすだろう。
それは女が仕えている神を崇めたて祀る言葉。
徐々に狼の痛みは和らぎ、傷は塞がるだろう。
かわりに女の右目には鈍い痛みが走る。]
[淀んで停滞していた狭い路地裏に、空気の流れと同時に影が足元に落ちた。横を見るも、やはり人も魔の気配はない。
影に続いて足元にべちゃりと水が落ちた。上を見上げれば、ひとつ目ひとつ角の鬼と目が合った。鬼の口の端からたれた涎がまたひとつ、足元に水滴を作る]
―――……っ!!!
[咄嗟に声を抑えたのは自分でも上出来だ。魔のものはこいつだけではない、声をあげればどれだけの魔が集るか。
鬼の右の手が鈍い動きで持ち上がるのを見て、左に跳ぶ。瓦礫が飛び散って派手な音をたてた]
………
[狼の迷いの無い肯定。
結局は言葉を返せぬまま、痛む右目を閉じて俯いた。
癒した者の痛みを請け負う、その痛みは本人のものに比べ小さくそのうちに消えてしまうが、それがただの人間でありながら癒しの力を行使する為の代償だった。]
大丈夫。それでも、少しは慣れてきたようだし…、
こうしていると、瘴気の影響は殆ど受けないみたい。
貴方のお陰ね。
[瘴気は擦れる肌に、吸い込む肺にざらつくものの、
夫の腕に抱かれていれば、護りの思念が直に流れ込む。光精の加護と治癒とは異質な、けれど確かな>>603
彼が歩く後から、位置を自らに標すごとく這い出す影を見遣り、彼の意図を察して頷く]
[ぬるりと濡れた半顔に、柔らかい感触が
触れるかどうかのよう、そうっと翳された。
か細く織り成される祝詞のほとんどは、狼にとって
意味を知らぬ音の川であったが、
それらは不思議と、眼の痛みを和らげた]
…………?
[幸いなことに、こいつの動きは早くはない。運動神経が少々残念な青年でもなんとか避けれそうなくらいに。けれどいつまでも体力がもつはずもなく、こいつ以外の魔が集れば自分の命などあっという間に消え去るだろう。
事実今の一度の攻撃の音で、建物の向こうに魔が集りつつある声がする。]
(にげ、なきゃ)
[ちゃんと、戻ると言ったのだから。嘘を神は赦し賜わないだろう]
[言の葉を降り積もらせ、彼女は己の心を満たしてゆく。>>604
明けぬ夜すら照らす陽光如く、眩さを覚えて双眸を瞬き。
微かに乾いた喉が、枯渇を訴えて喉を上下させた。]
幾度でも聞きたい、と無心を唱えてしまうのです。
―――呆れますか? 我が君。
[戯れを緩慢に紡ぎつつ、廊下を抜ければ、鍵の壊された扉を発見。
錆の浮く鋼製の堅牢を、事も無げに肩で押しやり、
抱いた妻を降ろすことすらせず脱出を叶えた。
扉を開く瞬間、曇った気配を滲ませる彼女の顔に、>>605
疑問の色合いを浮かべるが、出しかけた声が音になり損ねた。]
[路地裏は表よりも細く入り組んでいる。見つからないように逃げるには好都合だろうが、見つかった状態では先回りされれば逃げ道は途絶える]
(でも、表は)
[たくさんの魔の集る大通り。どちらがまだ逃げる途があるかと考えれば――]
[目の前で、獲物が自分の真似のように目を閉じるのが
今は両眼で見えそうな気がした。
血が流れたために右の視界は大分霞んだ感じがするが
不自由な視野の不快を除こうと、
手の甲でぐいと右目を拭う]
痛くない
[先程は獲物の指が掠めただけで刺激があったのに。
痛くない、と自己の状態を認識するが、
どうにも、不思議で仕方がない顔をする]
― →霧の沼地 ―
[喉に呼び込んでしまったのは、咽返るような湿度。
湿地帯特有の水草が繁り、濃霧が視界を遮る。
軽く咳払いを漏らすと、纏わり付く僅かな不快感に眉を揺らし。]
イングリッド……?
今のは如何云った……――――、
[外に出る折に聞こえた囁きの意味を計りかねて問うが、
己が言葉を終える前、彼女の答えが変える前に、事態は急変。]
………っ、
[深い霧の中、姿は見えぬが、確かに感じるのは弱々しい精霊力。
お互いの本能で察するひとつの気配は、
魔界より生み出された邪と魔に近い魔物としての精霊種でなく、
精霊界より捕われ、享楽の為に放たれた若き水精のもの。>>410
そうして、続いて聞こえてくるのは低空を駆ける複数の幽馬の嘶き。
濃霧を透かした人影は首の無い騎士の形を取り、
興に耽るまま、逃げ惑う水精を狩りに参じたのであった。**]
[目の端を、ひとつ角の鬼が叩きつけた腕をまたゆっくりと持ち上げるのが映る。考えていればいるほど、状況は悪くなってゆく。咄嗟身を翻し、路地裏を駆け出した]
[足音を殺している余裕などない。あったところで心得などない、できるのはただ全力で走るのみ]
??!!
[わぁっと歓声が上がった。人の声、魔の雄たけび、生き物の鳴き声。追え、という言葉が耳に入り、追われるのは自分だと理解した]
よかった。
[痛くないと言う狼に小さな声で返す。
変わらず、目を閉じて俯いたままではあったが。]
[勿論逃げるのは人の身、追いつくだけならすぐさま掴まるだろう。けれど追う魔は遊んでいるのか嬲りたいのか全力で追おうとはしてこない。
魔物の一部が獲物を巡って同士討ちを始める。地を駆けるもの。空を飛ぶもの。思い思いに青年を追い詰め、時折鋭い爪で頬を切りつける。
息があがって、ますます走る速度は落ちる]
/*
嫁素敵すぎていろいろもうだめだ…。
キラキラしてて神々しいのに、チラッと見える諦観みたいなツンが、
ドラマチックで引き込まれてツボでうぁあああ(しゃがみこんで顔覆う)
[一際大きな影が背後に迫った。足元が掬われ、あ、と思った時には身は地上から離れていた。
大きく跳ね飛ばされ、続いて落ちる。瓦礫に叩きつけられたと思ったけれど、落ちた先はふかりと温かく。ころころとした無邪気な目と視線が合い――]
ポチ!
[片方の口に小さな魔犬の首根っこ咥えた双頭の魔獣は、背に人ひとりを乗せてもその速度を落とすことはなかった*]
[男の胸中知らぬまま、どうにも小馬鹿にしたように見える態度に、こちらは苛立ちを覚えて許せなかった。
きちんと相手をしてくれないから拗ねた、とも言える。]
もういい、知らない!
[相手の痛みに気づけずに、ぷいと視線を逸らすのだった。]
………。
(下がれ、ここは 引き受け――)
[ふと誰かの声が聞こえた気がして眉根が寄った。]
………。
[まるで英雄のように、味方を救おうと前に立つその背は、見覚えがある気がしたが。]
ちがう、
― →魔王の城付近 ―
[馬を走らせ前を見ながら、背後に居る男の動きは、声と振動から伝わった。
感じた熱波は一瞬で離れ、乾いた音が骨檻を砕くのを知り、その腕の良さを改めて感じる。
軍馬の脚が止まらず駆ける事が出来たのは、無論背後の援護があったからこそだ。]
……助かった。
[礼のような、事実のような、微妙な言葉をぽつと落とし。
馬を走らせたどり着いた先、眼前には巨大な城が聳え立っていた。]
[瞬く白銀に、ふ、と表情を和らげ>>612]
いいえ?
貴方の望んで下さる時に、お望みなだけ、何度でも。
[私は貴方の妻ですから、と習慣めいて繰り返す言葉。
穏やかに響かせ、彼に言い含め――自らに言い聞かせる声音。
自身を抱き抱えたまま、錆びた扉を肩で抉じ開ける素振りも止めはせず。この腕に擁される権利を、自ら放棄することもないと]
― 霧の沼地 ―
[外気はたっぷりと水を孕み、暗所に慣れた目が眩むこともなく煙る視界。肌にじとりと纏わる湿気を厭い、自ずと彼に身を寄せ、触れ合う面積を増やす。
隠し切れなかった違和を問い質され>>614]
…ああ、いえ。
貴方の、お耳に入れる程のことでは――…、
[言葉を選びあぐねる内、感じ取った幽かな気配に気を逸らす**]
ん、入り口はあっち…か?
[木々にその身を隠しながら、そっと城の周囲を周り近づいていくと、程なくして巨大な門と広場が目に入った。
城門の中央に鎮座している、始め人間のようだと思ったが、背には翼が、下半身はどうやら獅子で、この国の住人である事と、この城の主であろう事がうかがえた。
何をしているのかと視線を広場に移せば、広場には無数の人影が、悲鳴や嬌声をあげて逃げ惑っている。
所々で行われている痴態まで目に入ると、息をのみ、身を強張らせて視線を逸らした。]
……許さなくていい、むしろ断罪すればいいんだ。
[その方がずっと気が楽になるのにと、腕の中で呟く。
優しい言葉はそれ故に胸に刺さり、暫くその腕の中から動く事をさせなかった。
目を背けていた罪を間近に見ているのに、取り上げられるようにして許されれば、どうしていいのか解らなくなる。
罪の一欠けら、奪った右目を見上げながらそう思っていた。
思えば、あの時もそうだった。]
― 回想 ―
[その時の遭遇もまた酷いものだった。
秘密を抱えて、人に囲まれ生きていくのは辛かった。
秘密を共有していた仲間と呼べる者はもういない。
理想と象徴であるようにと振る舞う傍ら、積もる淀みを洗い流すように、時折誰にも告げずに一人泉を訪れては、纏う物を脱ぎ去りシュテルンからグリヴに戻った。
そんな一人の時に出くわしたのだ。]
…………!?
きっ……
[喉にせりあがった悲鳴を、無理やり抑え込むと、服を掴むよりも先に剣を握りしめ、逃げるよりむしろ斬りかかった。
見られた。
口を封じなければならないと。
裸身のまま剣を手に、見覚えのある相手を、だが認識もせずに斬りかかった*]
[自分で自分の顔は見えないが、
この目の前の獲物が瞼に触り、何かを唱えると
痛みがひいた、という一連の結果だけが残った。
それを、『よかった』と表す小さな声に]
ありがとう…
そうね… あなたには助けるだなんて考えは無いだろうけど
[獲物の奪い合いの延長のようなものだろうと思っていて、]
少なくとも、あの人達に連れて行かれるよりはマシだもの。
[右目の痛みは少しづつ薄れてきている。]
『救うのは、ただ一度きり。人の子よ』
[聞いたことのない声。というよりも、耳に入る声はそんな言葉ですらなかった。なのに青年に聞こえる声は、そう言っている]
―…、ありがとう、ございます…あの。
[杯の神より賜った力、なのだろう。神は言葉通じぬものとも意思を通わせることができると言った。こちらの言葉は相手に伝わるのだろうか。分からないながら、他にどうすればいいのか分からずに感謝の言葉を唇に乗せる]
……。あの。
[戻らなければ、いけない。ポチはもう大丈夫だから、眠っている相手にした一方的な約束だけれど]
本がたくさんある部屋…は、どこに、ありますか?
[黒い魔犬は>>0:#09(10x1)を駆ける。風景が、流れる]
― 黒い太陽の平原 ―
[中天には日の光。にも関らず太陽は明るく照らすことはなく地には魔が溢れている。双頭の魔犬は魔の中でも力が強いのか、風のように駆ける姿を追ってくるものはあれども追いつけるものは少ない。時折爪を伸ばしてリヒャルトの身を引きずり下ろそうとする魔がいても、赤い口から吐き出す炎の塊に巻かれて悲鳴を上げながら転がり流れてゆく]
ポチ…
[わん!と元気な声が聞こえた。片腕を振り落とされないよう魔獣の片方の首に掴まり、片方の口からぶら下げられている小さな双頭の魔犬に腕を伸ばす。
魔獣は彼が害を及ぼすことはないと理解してくれたらしい、ぶら下げたままだった仔犬を片腕の中に落としてくれた]
― 浮遊する群島 ―
わぁ…
[声が零れた。石は地にあるものという固定観念を打ち壊す風景。思わず声が出たのは感嘆のものではなく、岩と岩の上を魔獣が飛び移るたびに投げ出されそうで必死で掴まっているため。片腕の中の仔犬ももちろん離せないし。
こんなところははじめて見た。魔界は自分が思っていたよりも、ずっと広かったらしい。
けれど呑気に眺めている余裕はなく、ここにも追っ手はたくさんいる。魔獣は他を圧する力を備えてはいたが、さすがにここではそらを飛べるものの方が速い。
時折追いすがろうとする翼あるものたちを、大きな魔犬とちいさな魔犬が炎を吐き出し距離を作り―>>0:#03(10x1)]
―っ
[青年を捕まえるには黒い魔獣を落とさなければならない。そう判断したらしい鳥の翼と顔、そしてひとの体を持った魔が黒い魔犬の毛を嘴で毟る]
「ぐわぉう!!!」
[途端、魔犬はくるりと身を反すと腕を翻し、鳥の頭を岩へと叩きつける。動きについていききれなくて、一瞬身がふわりとした感覚に襲われてひやりとする。ここで落ちたら、多分命はない。必死で掴まって。
魔犬が叩きつけた魔はここでは強い方であるのか、追いかけてくる魔は数を減じ――9(10x1)]
― 浮遊する群島 ―
[兄弟へ守護の鎧を授ける儀式を終えた後、連れだって外へ出る。
儀式の前に感じた予感は、今や現実のものとして目の前にあった。
荒漠たる空に浮かぶ無数の岩塊。
その間を翼を持つ魔の群れが乱舞している。
無秩序に飛んでいるわけではなく、動きに意思を感じた。
視線を巡らせれば逃げまどう人々がいる。
魔物たちは彼らを戯れのように刈り取っていた。]
これは……
[唇を噛み、聖印を握りしめる。]
[狩りは空中でも行われていた。
空を駆ける戦車が追うのは、翼あるひと。
弱弱しくも光輝を纏うそれは、まごうかたなき───]
─── 御使い…
[驚愕に目を見開き、かの翼が散るさまに体を震わせた。
理性と感情がせめぎ合い、動けなくなったその時。
怪鳥に跨った一騎がこちらを発見し、奇声を上げながらまっすぐに突っ込んできた。]**
― 狂気の研究施設 ―
――?
[静かだ。ここに追っ手は差し向けられていないのだろうか。今までたくさんいた魔たちの姿が見えない。
さすがに疲れてきたのか、今まで駆け続けていた黒い魔獣はゆったりと歩く]
……?
[木々の間、建造物が見える。いや、あるのはおかしいとは言わないのだが…
一階部分が石造りの古い造りなのに、二階部分が金ぴかとか。一階部分に比べて二階部分は小さいし。]
――…。
[魔の者のセンスはよく分からない。]
[ふと、流れ込んできた感情。なんだろう。この感情は、自分のものではない。
疲労感――不安?
こんな風に、だれかの心が流れ込んでくるなんて。ただひとりしか、知らない]
―…、ベネディクト、さん?
[目を覚ましたのだろうか。目が覚めて、自分がいなくて…こんなに、不安で。
試しに彼が名乗った名を呼んでみるけれど、こころが繋がったのはほんの短い間]
大丈夫ですか?なにかありましたか?
[呼びかけてみるけれど、眠る神には届いていない。彼が一度目を覚まして、すぐに眠ってしまったなんて知らない。かえらなきゃ。焦燥感は募る]
む
……助けるは分かる
[ぱたりと不満げに尻尾を振った。
実際、助けてと聞いたからここに来て、
(他の語であったとしても
声を聞き分ければ同じ事をした筈だが)
頷いたから手を出したのだと思っている。
(拒否されたら手を退いたか、と言うと
それも否なのだろう)]
なぜ?
[傷だらけの姿を見遣る。
マシだと思う理由が解らないことの他に、
違和感が生まれるものの、言葉にならずにいる]
[背景の声が煩くなると苛立たしげに耳を揺らし
腕を伸ばして獲物の身体を抱え上げた]
― 灼熱の闘技場 ―
[とどめを刺さない勝者に対して
客席からの野次が罵声に変わる頃、
狼は取り返した獲物を担いで舞台を降りる。
出口の辺りで胴元らしき魔物が
掌に収まる程の小さな袋を投げて寄越した、
気が向いたらまた来いと言う事だろう。
もっとも今回は番外戦、中身が法外な少額なのを
狼は知らないし、さしたる興味もない*]
― 回想 ―
……断罪されたい。の間違いじゃないか?
[戦場において、指針であり、手本であろうとする姿はここにはなく。
戦場にたつなど似つかわしくない姿をさらしているのを見て、問いを向ける。]
私が赦そうが、赦すまいが、お前がそもそも自分を赦していないように見えるが…それで満足できぬなら…私は私の感情をぶつけよう。
[頭を抱えていた手を時、頬を手で挟み、顔を上げさせるとじっと見つめながら、その感情が芽生える次なる切欠を思い起こしていた]
― 回想 ―
[立場上予測しえる遭遇。というのはあったが、今回の遭遇は予想だにしないことであった。
食料を多少なりとも賄うための狩りと、偵察ということも兼ねていたのだが、少し歩いただけで、軍の進軍には困難な森であることは察せられ早々に偵察という意味合いは失っていた中。水が跳ねる音が聞こえて向かった先
水辺の中、一糸纏わぬ姿の女がいた。]
…女?
[現状を確認するために述べた声はこの静かな森のなか響き女の耳にも届くが気にしてはいられない。なにせその姿は、勝ちと負けを繰り返した相手に瓜二つで。
認識したのはそこまで、敵対行動をとる相手を前に余計な思考を瞬時に切り捨てるのは...の軍人としての強さの一つ。
咄嗟に剣を抜き、第一撃を防ぎ、力づくではねのけた]
[攻防はながくは続かない。焦りの見える剣筋をついて、剣を弾き飛ばし、尚抵抗の意志を消さない女の手を掴み、馬乗りになって力づくで押し倒した]
っ…はっ……お前はやはり…シュテルン……シュテルン・ダルスバーレイ…なのか?
[息を整えながら、先までの剣筋と、月明かりに映るその貌を見つめ問いともつぶやきとも取れぬ言葉を漏らした*]
そうなの…ごめんね。
私の事食べるつもりみたいだったから…
[実際にも食べるつもりなのだろう、食べるつもりの相手を助けたつもりらしい狼におやと小首を傾げる。]
なぜ…
だって、連れていかれたら食べられるよりももっと苦しい思いをしそうな気がしたから。
[右目の痛みが違和感程度に収まり、ようやく顔をあげた。]
…っ、ちょっと、わ、
[揺れる視界に動揺し、身体をばたつかせる。
安定した位置へとおさまればぽかんと口を開けていただろう、抱き上げられた記憶も覚えているうちでは無く、落ち着かなかった。]
…重いよね。
[霧の沼地での事を思い出すと気まずそうに。]
― 記憶の書庫 ―
[闘技場とはうってかわり、その場所は静けさに包まれていた。
見渡す限り一面の本棚に隙間無く詰められた本。]
……
[ここが自分の死に場所かと思えば、表情は暗い。**]
― 記憶の書架 ―
[しばらくの後。本棚の並ぶ広い部屋に戻る人と魔の姿]
あの。ありがとう、ございます…
[去っていくかと感謝の言葉を告げてみるが、ここまで来るのに随分体力を消耗したらしき双頭の魔は、本棚の間で狭そうに身を丸める]
―…。帰りました。
[マントに包まり自分の聖印の上に手を被せたまま、疲れ切った様子で眠る神?に。一度だけ額に手を触れる]
…ごめんなさい。
[無理を、させて。]
ありがとうございます…
[こんな自分でも、探してくれて。]
[多分、今なら気付かれない。額に触れた手を滑らせてもう一度垂れた髪を耳にかけなおし]
あなたが神としておわす世界なら、わたしは喜んで参りましょう。あなたがわたしを、いらないと告げるまで。
[ずっと迷っていた。けれど。いつか>>0:41を、もう一度]
――
[黒い毛皮の間に小さな魔犬が潜り込み、黒い艶やかな魔獣の腹の間からもこりと顔を出す。一緒に休もうというようにきゅーと鼻を鳴らすけれど、小さく笑みを返すと眠る神の隣に腰を下ろす]
――おやすみなさい。
[ふぁ、と小さな欠伸ひとつ。ひとりと一神と二匹、静かな空間に眠りが落ちた*]
[その小さな頭がマントを羽織った肩の上に落ちたのは、眠りに落ちる前か無意識の産物か――*]
?
[喰らうつもりの相手を助けたつもりである事の違和に
本狼が気付いている訳もなく。
小首を傾げられたら、やっぱり傾げ返すだけだった]
喰われるより苦しいこと、とはなんだ
[狼の頭の中に、それは思い浮かばない。]
む
[担ぎ上げた体の位置は安定した。
獲物は暴れるでもなく、自律してバランスを取っている。
そうなれば、気絶した人間を運ぶのとは負荷が大分違う。
そんな非力じゃない。弱く見えるのだろうか]
重くない
[沼地での文句を、幽体に聞かれていたとは知らないから
もしかしたら残念なニュアンスになったかも。]
― 回想 ―
……。
[図星を刺されて押し黙る。
裁かれて、楽になりたかった事を見透かされて、腕の中で睫毛はゆると伏せられた。
この身を預けている以上、何をされても抵抗する気もなかったはずだが、強制的に上を見上げさせられ、ひとつしか無い目で未だ涙に滲む瞳を覗きこまれると、未だ迷うように息を止め唇を真横に引き結んだ。]
― それより更に昔の回想 ―
[長く続いた戦争へのプロパガンダ要員として、人為的に英雄を作り出そう。
そのコンセプトの元に作られたリリーパの英雄の名が
「シュテルン・ダルスバーレイ」だった。
出自の存在する人物ではあったが、英雄として用意された駒は、身寄りのない男女混じった子供4人。
年端もいかない頃から一流の戦士、あるいは暗殺者としての教育を徹底され、同時に国に対する忠誠心と、英雄としての強い意識と振る舞いを植え付けられ育った。
少年から青年に差し替わる頃、4人は代わるがわる「シュテルン・ダルスバーレイ」となり、対アムドゥスキアとの戦場を駆け抜けた。
若く高潔であり、誰よりも率先して敵陣へと駆け、味方を率い、敵を屠るその姿は、英雄とよぶに相応しいと賞賛された。]
― 浮遊する群島 ―
[堕天使の巣に籠って儀式を執り行っている間に、周囲は無法な狩り場と化していた。
異形のもの、挫かれたもの。
神の栄光を歌うべき存在までもが、翼を薔薇色に染めて漂う。
その無残な光景に呻いた彼に気づき、狩りに興じていた怪鳥が向きを変えて迫った。
夏虫が火に飛び込むごとく。]
── わたしが護る。
[短く宣言して前に出ると、すでに衣類の用を為さなくなっていた彼の服を網のように広げ、化鳥の鋭い爪を絡めとった。
騎乗する狩人が繰り出す槍を素早く躱して脇腹に束み、相手の勢いを利用して鞍から弾き飛ばさんとする。]
[だが戦時、最前線で戦わされ続ければ命を狙われる危険は増える。
4人居たシュテルン・ダルスバーレイは、一人減り二人、三人と減り、最後に残ったのがつぐみの名を持つ、萌葱色のシュテルンだった。
嘘は綻びを招く。男のはずの英雄が女だという事は、味方にも敵にも秘匿しなければならない。
言い含められていた女の反応もまた素早かったが、焦りもあり、鍛えているとはいえ同じ軍人相手に性差を覆す事までは出来なかった。]
[剣を弾き飛ばされ、なお喉元に喰らいつく勢いで拳を振るう。
自身にとって、正体の露呈は生きるか死ぬかの問題であり、見苦しくあろうとも必死だった。
だがそれも、押し倒され身動きが取れなくなれば、怒りや焦りは次第に絶望へと変わってゆく。
水にぬれていた肌はひやりと冷たく、肌の色は月明かりに照らされ、なお青白く照らされていた。]
…………っ。
[問いに応える事はしない。
ただ強く奥の歯を噛み締めて、視線だけで死ねばいいのにという程に、月を背にした男の、影の中に浮かぶ顔を、睨みつけていた。]
― 記憶の書庫 ―
――く、ぁ…
[欠伸を噛み殺しながら目を開いた金貨の目に、真っ先に飛び込んだのは真っ黒い大きな双頭犬の眠る姿。]
…………育っ…た?
[肩の重みに視線を向ければ、探し人だった聖職者の眠る姿があり……となれば、真っ先に思いつくのは聖職者と共にいた仔犬の姿で。]
魔界の生き物って成長早いんですねぇ
[故にこの勘違いは、親犬の毛皮に潜り込んでいた仔犬が抗議の声をあげるまで続くのだった*]
……っと待てぇ!?
[思わず叫ぶが止まるはずも無く。
展開している魔法の威力を増大する魔法はその効果を発揮し、貴婦人の抱擁により炎の精霊は砕け散った]
ア〜デ〜ル〜!
お前あの魔法使ったら魔物呼び寄せちまうだろっ!!
ここから離れるって時に、んなもん使ったら見つかるだろが!!
[伸びた手は冷静に分析するアデルの頬を摘み上げようとする。
以前同じ魔法を用いて魔法生物に囲まれたことがあったため、レトはその魔法はそう言う副効果あるものだと認識していた。
ちなみにその時も、レトはアデルの頬を摘み上げている。
アデルの思いに気付かぬまま、レト目を三角にして言い募った]
[しかしそれも長くは続かない。
案の定、魔力波を感じ取った魔物が遠目に現れ始める。
それも少なくとも一個小隊はありそうな数。
今見える範囲でそのくらいなのだから、下手をするともっと数が居るかも知れない。
腕に覚えがあるとは言え、あの数を2人で対処しきる自信は無い]
っ、 アデル、走れ!!
[咄嗟にアデルの腕を掴み、城から離れる方向へと走り出す。
その遥か後方から、翼持つ猫達に牽かれた戦車がレト達を追いかけた。
戦車の周囲には数多の小鬼達も居る。
ただ逃げるだけでは追いつかれるのも時間の問題。
故に戦車が通れぬだろう木々の合間を抜けてとにかくその場を離れた]
[思ったよりもだいぶ調子がいいのは、彼の祈りによるものだろうか?
見返りを求めない祈りなど金貨は向けられたことはなく、その心地よさに微睡みそうになるのだけれど]
――…名乗りたくなくなってきました。
[それは“何の神か”を未だに伝えてない状況で向けられた祈りなのだ、名乗ってしまえば終わってしまうのではないかと。
遠くない未来に訪れるだろう喪失に、金貨の心は粟立つのだった*]
[眠る聖職者の髪をあやすように梳いてから。炎によってこげた毛先、頬に走る真新しい傷、返り血と泥で汚れた衣服へ視線を落とす。
何故、彼がこんな目に合わねばならなかったのかと思わずにはいられない。
元の世界から連れて来られ、神々のくだらない争いに巻き込まれ、魔界などに落とされて……]
――…ここから出られたら、元の世界に返しましょう。
[彼の祈りはとても綺麗なのだ。自分の世界可愛さに、汚していいものではない。我欲にまみれた神の世界など見せたくはない。
覇権を争う
見せたくない、巻き込みたくない。
そうしなきゃ保たない世界なら、それこそ滅んでしまえばいいのではないかと。奇しくも、聖職者の決意とは真逆のものを、金貨は心に抱くのだった。]
[飽きるまで彼の髪を梳いた後、そっと頬に舌を這わす。
なぞった跡は静かな光を湛え、鋭い爪でつけられただろう傷を塞いでいく]
……借り物の力ですいません
[借りた力は便利とはいえ、相手が起きている時にはちょっとどころではなく使いにくい力だった。
見える範囲の傷を癒やせば、またうとうとしはじめるだろう。
いつの間にか増えていた傷のこともある、今度はぼんやりしながらも、目を閉じようということはない**]
― 回想 ―
[涙を滲ませながらも押し黙る様子は審判を待っているというよりは、どこかおびえているような姿をじっと見つめながら、口を開く]
私は、お前が……
[潤んだ瞳の下、真一文字に結ばれてる唇に見て、頬に触れていた手に力をこめて引き寄せ]
― それより更に昔の回想 ―
[リリーパの英雄「シュテルン・ダルスバーレイ」
自国においては辛酸をなめた怨敵といわれ、リリーパにおいては偶像化される英雄。
一個人が軍に与える強大な影響力をもつ、"男"であったはずだ。
一瞬だけ視線を顔から胸へと向け戻す。無言を貫きながらも総身に危機を走らせる殺意を向けるのは紛れもない"女"だ]
無言は肯定。と受け取る。
[瓜二つ。と考えれないわけでもなかったが、言葉よりも雄弁にその態度が本物であることを語っている。
謀を巡らすのであれば、単純であった。ばらしてしまえばいい。英雄視された偶像に罅をいれてしまえば、それは少なくない影響を与えるだろう。それはわが軍を有利とする行為だと考えていたところで]
『リヒト様ーー!!どこにいらっしゃいますか!?』
[狩に共に出ていた兵の声が聞こえた。連れて行ってしまえばいい、そして偽りの姿を衆目の元に晒してしまえば]
ここにいる。水辺を見つけたので水浴びをしていた。そこで見張っていてくれ。
『ここにおられましたか。わかりました。任せてください!』
[忠実なる部下の声を聴き指示をだしながら、軍人として考えていたこととは全く違う行動をとる自分自身に少し戸惑いながらも]
静かにしろ…ばれたくなかったらな。
[女にそう告げていた*]
おい……まったく。
[わかりやすく怒った。というより拗ねたシュテルンに困ったように微笑む。
本当に理解していないのだろうか?と聞いてみたくもあったが、脱出劇による弱肉強食の図をみて思いをはせている様子をみて、問いを向けるのをやめた]
― 魔王の城付近 ―
ああ…まったくここにきてからというもの物騒でしかない。
[言葉>>623は礼ではなく事実として受け取る
半分は自分たちのせいであるが、それでも束の間の空白に安堵し、熱気を冷まし剣を鞘に納める]
わかった。可能ならば、先ほどの光景を率先して行っているような領主なのか。それとも領主とは別の動きが絡んでいるのかわかればいいしな
[城を行き来する者の様子をみればそれとなく測れるだろう。
ゆっくりと走る馬の上>>624で、こちらの要望に応えるように城の入り口を探し、木々の間を縫うようにしながら進む]
[そして見えた巨大な門。その奥の広場にて繰り広げられる光景は醜い餓鬼に堕ちたものたちの、素直で残虐で純粋な狂気が渦巻いている。
そして率先として行っているのがこの城の主のようだ。]
そうだな、必要なものはもう見た。長居は無用だ。安全な場所でも探そう
[これ以上見るべきものはない。シュテルン>>628に同意して二人と一頭はこの場を後にする]
― 狂気の研究施設・外 ―
[途中までは追手の気配を感じていた。
しかし目の前に白い建物が見えてきた頃、その気配は忽然と消えた]
………?
もう、大丈夫 そう、 か
[上がった息はそのままに、足を緩めて後方を見る。
戦車はおろか、小鬼の姿も見えなくなっていた]
アデル、大丈夫 か?
[アデルの方を見る。
ついて来れる速度で走ったつもりだったが、どうだったろう。
支える意味も込めて、掴んだ腕はそのまま]
……あそこ、多分さっき言った研究所みてぇなところだ。
そん時は中しか見てねーから外観は分かんねーんだけど。
あん時と同じ嫌な感じがする。
[視線を白い建物へと移す。
何やら屋上に目立つ物体が見えたが、前来た時は外観を見ていないために違和感とはならず。
あれも研究施設が作り出したものと言う認識になった]
…来たついでだし、見てくか?
[全く調べないと言うわけにも行かないだろうと考え、確認するように提案する*]
― 浮遊する群島 ―
[闘技場に一旦戻りかけたが先ほどの騒ぎの直後なので違う場所をいき、たどり着いた先には、大地が浮かんでいる。]
どういうつくりになっているのだろうな。
[摩訶不思議な光景だ。自国にはこんなものはない。
環境の差というのはここまで影響するものなのか。
いや、だから違うぞ。とばかりに馬が嘶く。]
再現できる技術を知りたいところだが、今はそれよりも休める場所がほしいな。…あちらなどどうだ?
[遠くから音が聞こえる。穏やかではない暴虐の音だ。
馬上から眺め、岩が密集する島を見つけシュテルンへと示し、しばらく岩陰に身を潜めることにするべく馬を進めた]
/*
やばいアルコールの力で眠気が
ところで乱打神、獲物さんが逃げないので大分据え膳ですが
次の展開に悩んでいます
ここで喰おうとして喰えない
疲れて爆睡
オードブルしてたら時間切れ
もういっそPLの欲求に従って食い尽くそうぜ
→4(4x1)
*/
― 霧の沼地 ―
[濃霧の立ち込める茫漠とした沼地、
広範囲に及ぶ湿地帯には、微かながら水の気配。
潰走を選択した水精は、この水量に誘われてきたのだろう。
生来、彼らは清らかなせせらぎや畔に棲まうが、
到底、贅沢を並べていられるような余裕は無いらしい。
慄然を誘う蹄の高い音響を聞き、妻を抱く腕に僅か力を込め。
されど、露呈させるのは同属に対する慈悲ではなく、
愛妻への問いかけを邪魔された億劫げな物憂い顔。]
――…おやおや、憐れなことですね。
[肩を竦めて零せば、異形の騎士等も、此方の気配に気付く。
闇黒色にして魔界に馴染む男は未だしも、
抱えているのは魔界において珍しい光精である。
散々玩び、力を削いだ水精よりも狩りの興をそそる獲物。
首のない騎士に関心を与えてしまう様に、ささやかな溜息ひとつ。]
[程なくして、霧を裂くように突破する幽馬が頭上に三頭。
それに跨る首無しはどの個体も、己より一回り以上巨大。
稀びやかな貌鳥か、と振動のみで聞いた声は隙間風のように朧。
妻を短絡に評する声色に眉を顰め、男は傍らに彼女を下ろす。
伴う男の性質は、魔界に捨石ほども溢れる闇の色合い。
魔の者は考慮もせずに、
―――…イングリッド、此方で少しお待ちいただけますか?
なに、直ぐに済みますよ。
[微笑を向け、掌から生み出した闇の欠片を彼女の足元へと落とす。
澱めいて淀んだ紫闇色に、彼女を任せ、魔物に向き直り。]
さて、―――…我が妻に、何用ですか?
[薄ら微笑んで、払う右腕。
腕から染み出した夜の静寂が、初めて明確な害意と転じ。
生み出すのは輪郭を闇で暈す大鎌。
五指で握りこみ、大きく露払いで迎える態。]
― 浮遊する群島 岩山 ―
[途中浮遊している浮島を伝いながら、苔のむした岩波が山のようにたっている島に辿り着き、馬より降りると、シュテルンと手分けして軽く周囲を散策する。
小さな水辺、その近くには草も映え、ここに来る前の湖を思い出させる。岩を見張り台替わりによじ登った]
[懸念は面に出さずとも、先より感知していた騒乱の兆し。
同種の危機として顕現すれば、抑え切れぬ動揺が顔に上る>>615]
―――やめ…、ッ、
[立ち込める濃霧の奥に、惑う水精の気配。
遊猟に逸る邪気が迫るを感じ取り、張り上げた声がふつと途切れる]
[生来湛える光は今や底を尽きかけ、水精の微弱な気と大差ない。
加護をも授けうる筈の身は、強い腕にただ護られるだけの有様。
泣きそうに細めた双眸で、夫の横顔を素早く盗み見る。
――彼に娶られると知った日から、選び続けてきた決意。
見上げた姿に再び噛み締めれば、くっと小さく喉が鳴る]
― 浮遊する群島 ―
[殺意ですらない、宝物を見つけたとでも言うような純粋な所有欲を向けられて、いっとき思考が止まる。
次に意識したのは、兄弟が襲撃者を怪鳥の背から突き落とす場面だった。]
ブラザー!上を!
[乗り手を失った怪鳥の影を踏むように、直上から飛竜の騎手が猛襲する。飛竜が首を逸らし、口を大きく開けるのを見て、咄嗟に簡易の結界を張った。
吐き出された炎が結界に触れ、勢いが弱まる。
それでも吹き付けてくる熱気に、肌がちりちりと焼けた。]
[その折、男はとぷんと揺れた水面の音を聞く。
どうやら関心が逸れたことにより、水精が沼に逃げ込んだようだ。
他に面倒を押し付け、自身は安息を得る同属へ、
向けていた憐憫は露骨な不快と嘲笑に変わる。
人でも、精霊でも、天使でも、一皮剥いてしまえば、
皆このように、自己の保身へと走る。
やはり、世界で輝くのはただ一つ、
我が妻ばかりか。と、蔑視向けた水精より意識を切り上げた。]
[生きているものの気配は、僅かながら感じれど
遠く静かで、干渉までは感じない]
[他の奴等に狩り出されて消耗したのか、
ここに来て獲物は随分おとなしい。
書庫の一角に、棚を背にして獲物を降ろした。
左右は霞むほど書架に挟まれた通路が続く]
― 魔王城・外 ―
[炎の精霊を撃退した後、意識は城から感じる力の方に向いていた。
だから、ある意味ではとても無防備で]
……はい?
[手が伸ばされる意図になど、気付く由もなく──結果]
[建物に近付くと先ずは出入口を探す。
近付いただけでも感じる異質な空気。
見つけた扉の前で一度息を吐き出すと、一拍置いてから扉を開けた]
なんもいねーとは限んねーからな。
気をつけろよ。
[アデルに声を掛けてから、中へ*]
[逃げるを諦めさせたのは自分ではなく
何の関係もない魔界の王が仕掛けた気紛れだと思えば]
…………
[ふるる、と耳を揺らした
全身の傷は薄く血を纏う、
狼にとっては匂やかな香水のようで、
身の内に熱を誘った]
[同種を助けて欲しいと、他力に縋る心算もない。
闇の眷属たる彼の性質を鑑みれば、そもそも筋違いだろう。
余所事のごとく肩を竦める姿が、的外れの推量ではないらしいと裏づける>>650
首を断たれた騎士が、此方へと向き直る。欠く筈の眸にじとりと凝視された気がして、悪寒が這う]
ルート…、
[数を増す幽馬を見据え、夫の首筋に絡めた腕に力を篭める。
けれど、騎士の邪揄を聞き咎めたのか、縋る腕はふわりと解かれて]
―――だめっ、ルート!
逃げて――……!
[音なく地へ降り立つや否や、闇の欠片が拡がり身を包む]
― 狂気の研究施設 ―
……これは、また。
[入って最初に思ったのは、それだった。
空気が重いというか、まとわりついてくるというか。
不可解なノイズのようなものも感じるしで、思っていた以上にいい感じはしない]
……何かの研究所のようですけれど。
一体、何の研究してるんでしょうね、ここ。
[ぼやくように言いながらも、警戒とは別の術式を展開する。
魔力的な偏りや、歪み。
異界同士の接点となり得る特色を探すためのものを。*]
― 浮遊する群島 ―
[彼の警告の声に仰のいた視線が、新たな敵を捕える。
おかげで飛竜の鋭い翼を避けることはできたが、元より魔竜の騎士の標的はこちらではなかった。
吐き出された炎の息が、彼に襲いかかる。
聖力が盾となって彼の周囲に淡い光のドームを作ったようだが──瘴気を見るようには確とは判じかねた。
乗り手を突き落とされた化鳥の手綱を掴み、その背へ駆けあがる。
急制動をかけて軌道を転換させると、身体を傾け、左手をいっぱいに差し伸ばして彼を呼んだ。]
── 跳べ!
……、
[温かいものがふわりふわりと触れる気配に、未だ目は開かないまま甘えるよう身を摺り寄せる。体は思うよう動かないけれど、意識は次第に浮き上がり]
――…。
[膝の上から落ちた手のひらが、床の上置かれた聖印を持つ手の上落とされた。
眠る前にはあった筈のピリピリとした痛みがなくなっていることには、怪我をしたことさえ忘れていたために気付かない]
―魔王城・中庭―
[リエヴルがお付き合いしていた相手については、
もちろん知っている。必殺金の力で相手の素性もちゃんと確認した。
なんとなく気に入らないのは当然だったけど、
それはもう我慢に我慢の末何もせず見守っていた、はずだ]
そういえばそうだったね。
[大きいのが好きじゃない に、
さらっと肯定の相槌をいれつつ、
来た道を戻るという言葉には、きょとんとなった]
いや、そうだよねー。
リエちゃんいきなり人間じゃなかったら、俺びっくりするし。
……って、脚が人間じゃない?
[いわゆる神の手、とかそういうのの一種だろうか。
頭悪い子にはあまりその意味がわからなかったが]
なんかよくわかないんけどリエちゃん凄いね!!
[とりあえず全肯定である。
幼い頃から、頭よくて高貴で優しいお兄さんだったのだ。
ある種刷り込みに似た全幅の信頼の眼差しだった、が]
って、あれ……?
[物珍しさ故か、騎士達の興は水精から逸れ、己に注がれる。
逃れる同種の行方を一瞥で確かめ、一秒と置かず、立ち塞がる夫の背に視線を戻す。
加護を――と振り翳した掌は、寸前で思い留まる。
背反の性を具える彼には、無益を過ぎて害を及ぼしかねない]
……ッ、お願い、どうか――…
[無理をしないで。傷つかないで。込み上げる懼れが喉を押し塞ぐ。
数で劣ろうと、闇の長たる彼が引けをとるとは思わないが、それでも]
― 狂気の研究施設 ―
[術式について>>665は頷くことで了承を伝えて。
中へ入っての第一声>>666で、アデルもこの建物の異常さを知ったと知る]
…ろくでもねぇ研究なのは確かだな。
色んな魔物掛け合わせた剥製とか、瓶詰めされた得体の知れ無いものとか。
訳分かんねぇ器具だらけだぜ。
[垣間見たものを口にして、警戒しながら先へと進んだ。
通路のあちこちに扉があり、その一つ一つが禍々しい気配を持つ]
なんか、気になるところはあるか?
[こう言う時アデルは魔法による探知を行うのを知っているため、それに引っ掛かるものがあるかと問いかける。
時折聞こえる怨嗟の声に、不快そうに眉を寄せたりした*]
[指し示されたその脚に、ふと眉根を寄せる。
どういうことだろう、だってその脚はあの時の。
>>586 もっとも自分がそんな顔をしたのは一瞬で、
すぐに挙動不審になったリエヴルじぃっと見上げる。
だって、彼のこんな様子を見るのは珍しい]
えー、なんでそんなしり込みするの?
責任とって!とかまではまだ言ってないよー?
[くちびるとがらせたりするその視界に、ぽふっと頭乗っけられた。]
とりあえず、ここから逃げたほうがいい、かな?
でもどうやって元に戻るとか、検討つかないっていうか……、
リエちゃんどうやってきたの?
なんかそれっぽいところあった?
落ちると女になる泉とか……
[のっかられ体勢のまま、もふーと考えるのであったが、
所詮なんとかの考えであったので、休むに似たりというやつである
[妻の前に一歩出る男は、彼女を下がらせ、魔の眷属と対峙。
優男然とした風貌に、下卑た瘴気が温い大気に混じった。
細やかに漏らした妻の制止の声は、魔物等の腹を満たす。>>654
気丈な女性、傷付き易い魂、慮る心を穢すのは、美酒に等しい。
その本質が、己の不興を買うとも知らず。]
―――……、
[浅く空気を吸い込むと、霧靄の中へと踏み込む長躯。
戦士らしい屈強さも持たぬ代わりに、柔軟な器を用い、
一足目に地を、二足目に、伸びた闇手を蹴って伸び上がる。
忍び寄る闇色は音も伴わず、先ずは一閃。
到底、届かぬ位置から齎せた一撃を嗤う伽藍堂の声。]
[逃がさぬように、棚と己の腕の間に囲い込んで
頬の擦過に舌を這わせる]
ン
[やっぱり、甘い。
乾きかけた傷口を舌先で擦る、
華奢な顎に掌を滑らせて項へ辿って、
短くなった髪をくしゃりと指に絡めた]
[されど、己は戦士ではなく、騎士でない。
しんと波打つような死の夜を司る闇精であった。
初撃で切り裂くは空間、刈取るは命の灯火。
幽けし軍馬だけがその危険性に気付いて嘶きを迸らせるが、―――致命的に、遅い。
ギィンッ、と硬い鎧を闇で熔かすように裂いた一太刀。
近接攻撃の届く距離ではないが、物理法則を超え、
断罪の刃は確かに首無しを胴無しに変えた。
彼女を嘲った魔物の一を、刹那で屠り、大鎌を翻す。
白霧の中で靡く黒衣は、自らの手で夜を拡げるよう。
急遽として対する己の力量を把握した残党二匹は濃霧に逃れ、体勢を立て直す。
白靄の中、ゴトン、と重く落ちた音を妻に聞かせ、
三足目も闇で編んだ足場を蹴り、彼女の視界から消えてしまうか。
彼女の足元に蟠る闇影は、歩みを阻むように泥めく靄を散らし。
己の身を案じる献身的な妻に寄り添っていた。>>664]
[意識がはっきりしていれば、ここまで躊躇いなく甘えたりはできないかもしれない。なにせ彼は神で、自分は神を称える聖職者。
けれど目が覚めきっていないからこその素直な行動。自分とは違う体温にくちびるの端に笑みが浮かぶ]
―、…
[呼ぶ声は、ほとんど言葉にならないまま呼気だけが吐き出される]
/*
旦那様……
嫁は自己保身は別として、
旦那様>|超えられない壁|>他の全て、と敢えて決意してしまっているのよ…
決してそんないいものじゃないのよ…
ほんとは水精にも憐憫してるんだろうな、とは思ってたけど、旦那様の方が純粋な気がしてならない嫁です。
― 狂気の研究施設 ―
魔物を掛け合わせた剥製に、瓶詰……。
単純に考えれば、異種を掛け合わせての強化合体……とも、取れますが。
[聞かされた話>>671を元に推論を検証しつつ、ふる、と頭を振る]
……ん……妙なノイズが多くて、探知が上手く回りませんね。
この場の特有のものだけではなく……それとは異なる、力の残滓が幾つか感じ取れるんですが。
その交差もあって、こちらの力は乱されるようです。
[陽と月を導と成す一族の血は、光や聖なる属による。
場に立ち込めるそれとは相反するためか、探査の魔力もかき乱されるようで。
これ、ここで魔法使うの苦しいかも、なんて予測がちらりと過った。*]
― 浮遊する群島 ―
[結界を伝って燻る炎を断ち割り、重い金属塊が降ってくる。
騎手が振るった長柄の斧を躱せたのは、どちらかと言えば直感と僥倖の賜物だろう。
魔物討伐の最前線に立つ半身と比べれば、肉体の鍛錬はそれほど積んでいない。
一撃を仕損じた飛竜の騎士が上空に駆け上がって再度突撃の体勢を作る。
その間隙に、兄弟の声が鋭く届いた。]
──────!
[空を馳せる怪鳥の背から伸ばされる手。
機会はおそらく一度きり。
失敗すれば虚空をどこまでも落ちていくだろう一歩を、強く蹴り出した。
魂の片割れを信じて飛び、手を伸ばす。]
[乗っけられた、ので、真っ赤になった顔は見えなかった。
けれど、言葉の響きには確かにあせりの様な困惑が見えて、
なんだか少し嬉しいような得意げなような気がするのは]
……もしかして俺美少女してる?
[ふふん、って感じで口にした、のだけど]
下を確かめる……、
いや、えっ、それはちょっとやっぱり、
……恥ずかしい、か も?
[言われて思わず想像してしまった、
つまりはリエヴルに脱がされたり、確かめられたりするということで、
追い討ちをかけたのは、抱きしめられた腕だ、妙な緊張と動揺とに覗かれた顔がちょっと熱い]
甘い
[澄んだ甘露にゆらゆらと尻尾が踊る、
もっと、と強請る思いは新しい傷を探す、
頬から肩、腕、指、加減のない衝動で手繰り
雪解けの瞳が痛みに揺らぐ度、
滲む蜜を嗅ぎ付けては執拗に。]
……リエちゃん、なんか珍しい、ね?
[いつもは、自分が勝手に纏わりついてぎゅーとかしてるだけだから、
抱きしめられるのは何か違和感というか、少し驚いたというかやっぱり緊張する。
覗き込まれた顔も、近いし。ものすごく近いし、って]
へ?
[何を忘れろ、なのか、と思って、訪れる行動に理解する]
――……あ、
[掠めていった口唇と言葉に、2回目。2回目――?
確かにそうだ、確かあれは従姉妹のドレスを拝借して遊んでた時で、
その頃の自分はそれは恥ずかしげもなく、言ってた気がする]
……リエちゃん、なんか珍しい、ね?
[いつもは、自分が勝手に纏わりついてぎゅーとかしてるだけだから、
抱きしめられるのは何か違和感というか、少し驚いたというかやっぱり緊張する。
覗き込まれた顔も、近いし。ものすごく近いし、って]
へ?
[何を忘れろ、なのか、と思って、訪れる行動に理解する]
――……あ、
[掠めていった口唇と言葉に、2回目。2回目――?
確かにそうだ、確かあれは従姉妹のドレスを拝借して遊んでた時で、
その頃の自分はそれは恥ずかしげもなく、言ってた気がする]
――俺、大きくなったらリエちゃんをお嫁さんにする!
[ドレス着て言う言葉としては、
根本的に間違っていたが、幼いなりに真剣だったのだ。
今の今まですっかり忘れていたけれど]
― 魔王の城・中庭 ―
[炎の妖精が消えてしまったあとを眺め、その空を見る。
眉を寄せたのはあ、何か大きな暗雲が、いや、雷雨とかでなく、その空のもと、よくないようなものが押し寄せる気配がしたからだ。]
ここは、あまりいてはいけない気がする。
[フレデリクの様子はどうだっただろうか。]
− 魔王城 −
[魔王城から霞めいた黒い塊が溢れ出し、空へと舞い上がる。
それは、無数の蝶の群れだった。
狩りの刻を乗り越えたものたちの元へ、蝶ははばたく。
その黒い翅には、明滅するメッセージが託されていた。
【魔王城にて宴をひらく】と。
新しい余興の告知らしい。
行けばなんらかの騒ぎに巻き込まれるのは予想に難くない。
だが、得られるものもあるやもしれぬ──
参加するもしないも自由だ。]
それ、なんか間違ってないか?
[素直につっこみをいれた。
けれど、まぁ、そのあとは、おかしそうに笑む。]
[開いた先にあったのは拷問具にも似た実験器具の数々。
使用済みをそのままにしていたりと、形状の不気味さに加え嗅覚でも不快さを漂わせていた]
うへぇ……気持ち悪ぃ。
[開けて直ぐの場所で一時停止。
アデルが見ようとするなら隙間から覗くことが出来るが、そうじゃないならある程度は視界を覆える場所*]
/*
しかし、清々しいまでに嫁といちゃいちゃし倒している。
他のペアさんにも絡みたい欲はあるけれど、
嘗て無いほどのコミュ障っぷりと、
眺めているだけでほわほわ出来ると言うエコっぷり。
ログが楽しみだなぁ。
― 回想 ―
[囁きに目を見開く。
予想出来たそれは、だが耳に落ちれば酷く甘く響いてまた泣きたくなった。]
っ……
[行き場に迷った手は拳を握り、男の胸の上に乗る。
引き寄せられる力に逆らう事はせず、間近にかかる熱に目を閉じて、重ねるだけの口づけを交わした。]
[告白への返事は返せない。
返さない代わりに、胸の上に乗せた拳を解き胸の上に添え、そのままゆっくりと背中に回す。
力は、あまり込められなかったが、頬に添えた手と唇が離れるまでの長い間、自ら腕を解こうとはしなかった。]
いや、昔そう言ってたの、思い出しただけだよ。
……リエちゃんは忘れちゃった?
[自分もまあ今の今まで忘れてたわけだけれど]
[何時か夫を失う時を、想像しなかった訳ではない。
けれど、尽きぬ力を傍近くで見てきた故か。
――彼を喪う日は、夢にも案じたことがなかった。
生まれ落ちて以来、どの瞬間より恐ろしく堪え難い時が続く。
無音で空を裂いた大鎌は、静かに、確実に死を齎した。
既に首を欠く魔物の胴は、真っ二つに分かたれ、霧の奥へと消える。
闇を統べる男の斬撃に無駄な所作は一つとしてなく、
鮮烈なまでに容赦を持たない]
――…、……
[夫の身体は、纏う黒衣に乱れさえなく無事に在る。
逃げをうつ魔物達の姿を視界の端に捉えつつも、
一心に目を凝らしていた黒衣の背が、白靄の向こうへ跳躍し]
― それより更に昔の回想 ―
[どうしよう、どうすればと尚も押さえつける力に抵抗しながら、思考は絶望的な未来を思い描いていた。
民を偽った罪人として、アムドゥスキアの仇敵として晒され殺されるか。
あるいは―――英雄シュテルンとは関わり無しとして切り捨てられるか。
どちらにせよ、生き延びる未来が見えずに、怒りは冴え冴えとした恐怖へと変わる。]
[同じ場所で生き、浅い人生の殆どを共に過ごした4人のシュテルンの結束は固く、この戦争の果てにある物を語り会い、幸せな未来を夢に見た。4人もいる英雄がどうなるかなど、その時は考えもせず、またそれは杞憂でもあったが。
英雄は一人ずつ死にたくないと夢を語りながら死に、自分の代わりに生きろと後のシュテルンに未来が託された。
最後に残ったシュテルンの肩には、英雄としての責務だけでなく、仲間の想いも重ねられている。
だから絶対に死にたくないと思いながら、だがこの状況を覆す方法は見つからずに、時折腕の下でもがくことしか出来ずにいた。]
………。
[無言の肯定との声に、僅かにだが眉が動く。
肯定を促すような仕草だが、どれももう今更だろう。]
[睨み上げる男は静かに、何かを考えている様子でもあった。
何を考えているか、思い計る余分はない。今はその様子を余す所なく見つめ、隙を伺うしか他にない。時間は無いのだ。
だが第三者の声が遠くから聞こえると、びくりと体が跳ねた。]
ぁ…
[悲鳴の代わりに声が零れる。零れる声は確かに女の柔らかな物で。
程なくして自分は引き出されるのだろうと、心臓は先ほどから、恐怖と緊張で鳴りっぱなしだった。]
………。
[だが予想は違っていた。
やって来た部下の足を止める命令に目を見開く。]
(何を考えて…)
[唇が問うように動きかけるが、静かにしろとの相手の命令じみたそれには、言われた通りに大人しく従った。
囚われた自分に他に方法など、なかった*]
[>>678 リエヴルが眉を寄せるような気配については、
当然0感知である、感知するようだったら禍々しい魔王像を、
鈍器になどしていないだろう。
落ちたリエヴルの杖を拾い上げる。
そこにいる石もなんか綺麗なの、としか認識できないのは、
ある種の生まれ持った才能ではあるのだが]
俺に頭使わせていいの?
えーっと、戻る方法探す為には……、
中に入ってみた方がいいのかな。
っていうか、俺どうやって着替えたんだろ……。
[ひらっとドレスめくりあげる、謎である。]
そんな面白言葉、忘れるわけがないだろう?
というか、あの時もこう返したんだ。
忘れたか?
[そして、手の力を緩める。
茶化されて返された気もしたからだ。
少し、正気に戻ったともいう。]
[逃れるものを追うのは本来、趣味ではない。
妻を求めて彷徨うならいざ知らず、羽虫退治とは億劫限りない。
されども、妻へ敵意を向けた手合を許せる筈もなく、
追い立てるように真横に掻いた一閃は、幽馬の腱を潰し、
獣の咆哮が濃霧の中で響き渡る。
正しく、狩場と言うに相応しい惨状の喧騒。
瞬間的な攻撃性は火精に劣り、舞うが如くの迅速は風精に劣るが、
自身は死を招く術を知る夜影の住人。
力を揮うのは、心細く鳴く愛妻が唯一人の為。>>670]
[時折、半端に霞む視野が不快で瞼を擦る。
痛む表情を、
己に食まれる事を感じる貌をもっと見たくなったから
五指を絡めた手を視界の高さに持ち上げて、
眼をを合わせたまま白く薄い甲の皮膚を啄んだ]
[途中二手に別れた二匹目の撃墜は、初撃よりも易くあった。
軍馬の機動力を削いでしまえば、騎兵など兎狩りと大差ない。
無事を願う妻の想いを杞憂に変え、
大鎌は首の欠けた鎧の内に潜む魔力を断つ。
身体の一部のように添わせて翻し、扱う鎌は自由自在。
反撃に繰り出される衝撃も、巨大な闇手が薙ぎ払う。]
―――…我が妻への狼藉、大罪と知り、
滅して不敬を悔いるが良い。
[薄っすらと撓る唇が、言葉を滑らせるが、聞く者はもう居ない。
ずぶずぶと燻る塵芥が沼淵へと堕ちていく。
そのまま、己も重力に従い、一旦水草の群生地に着地。
さて、後一匹。
と、事も無げに呟いて、濃霧の中に軌跡を刻んで身を翻した。]
…………。
[扉を開けてすぐに感じた不快さに、へにゃり、と眉が落ちた。
室内の様子は遮られていて見通せないが、飛び交うノイズの一つである怨嗟の声が、より大きくなったような心地がする]
……面白がって、だというなら、そうっとうに、趣味が悪いですね。
いや……こういったものを、力と成せる存在がいる……とでも見るべきでしょうか。
[そんな事を呟いて、ふる、と首を横に振る。
それ、実在したら悪趣味通り越して……などと思いつつ、魔導書を抱える手に力を込めた。*]
[――――その時、
助けて…、
と、小さな声が沼から響いた。
時を惜しむように視線だけを其方へ投げかければ、
そこには先ほどまで追われていた若い水精の姿。
水色の長い髪は光沢を喪い、幾度も焼き鏝押し付けられた白い肌は見るも無残に爛れていた。
散々、衝槍に玩ばれたのだろう体躯は、所々欠けてもいる。
詰まらないものを、見つけてしまったとばかりに
嘆息した自身に構わず、水精は懇願を迸らせた。
精霊界に戻りたいと、どうか慈悲をと、
己の力を確信してから媚びる様は、実に見苦しい。
長々続きそうな声色に、興味が動かされることは無い。
寧ろ、今は見失ってしまった残りの魔物が気がかりであり、
何より―――、妻の下に早く戻りたかった。]
― 浮遊する群島 ―
[迷いは奈落に通じる。
充分な重さを伴った竜騎士の一撃を、羽根のごとき軽さで刹那に躱した彼は、呼ぶ声に応えて躊躇いなく空へと跳んだ。
信じる力。
伸ばされた手と手が結ばれる。
慣れぬ手綱を操りながら、その華奢な身体を傍らへ──魔に属する猛禽の背へと引き上げた。]
おまえがわたしを強くする。
……そ、そうだったっけ?
[忘れてた、そう忘れてたのは、
確かその後で厳しい現実を知らされたからだ。
お前達は結婚できない、とそれはさらっと言われて。
リエヴルの手の力は緩んだけれど、
じぃっと見上げたまんまで、
それからふっと、指先で口唇を押さえた]
……ねえ、も一回して?
そしたら、ちゃんと思い出すかも。
[索敵を彼に任せ、自分は化鳥を操ることに専念した。]
こちらにひきつけよう。
[まともな武器もないが、逃げ惑うものたちをいくらかでも助けんと画策する。]
残念ですが―――…、
[ふぅ、と煩わしさを溜息で払い、微笑んで向ける言葉。
はい…っと威勢よく縋ってきた相手を裏切り、ヒタと向ける大鎌。]
―――…今は、妻と行楽の最中なのですよ。
[己の吐き出した言葉の意味を計りかね、「は?」と間の抜けた声を、喉から搾り出す水精は、男の狂気を知らない。
精霊力を飢えさせ、みすぼらしい彼にも、
なけなしの力を絞って分けるだろう愛妻を思えば、生かす得も無い。
いいや、なにより。
―――彼女が身を按ずるのは、自分だけで良い。
昏い思考は、大鎌を同種に振り被ることで行動に変わる。
驚愕に彩られ、喉に悲鳴を溜める水精へ、何ら、躊躇いなく。]
[咄嗟に踏み出した脚は、寄り添う影に掬われ、
傾ぐ身体ごと搦めとられる>>675
柔らかく巻きつく、抗うことを許さぬ力]
―――…嫌、行かないで…っ
[夫の気を削ぐまいと思うのに、喉を突き上げ迸る懇願。
強張る身を繋ぎ留める影、一度は突き放しかけた腕で
闇を掻き抱く]
私なら大丈夫、だから――ルートの処へ行って!
[…どうか護って、と囁く声音に震えが混じる]
[寧ろ、憂いを削げて良かったとばかりに安堵が浮かぶ。
彼女の一滴とて、誰かに渡すのは腹が煮えること。
妻の力の一欠片とも、釣り合わぬとばかり、
怯えて水色の瞳を見開く水精を闇の鎌が撫でた。
己の力は、精霊種へも消滅を齎す強烈を孕む。
彼女へ向ける執着は時として、賢しくも愚かしく働き。
沼に事切れて沈み行く精霊は、最後の希望も立ち消えて、
生まれた場所にすら還ることなく、男の傲慢に踏み躙られた。
―――沼を囲む深い霧が、男の悪辣をそっと包み隠して。*]
[自身が沼地の傍で、残滓の始末をする間に、
頭部無くとも智を回す残り一匹は、狙いをか弱き光精に絞る。
己の執着こそ、最大の弱点と看破し、兇刃が妻へと迫っていた。]
ちゃんと思い出す?
何を思い出すんだ?
[幼い頃のたわいない会話がきっとそれまで。
ただ、唇に手を当ててねだるようすには首を傾げて]
したいなら、自分で背伸びしてごらん。
[顔は近づけるけれど、その前で止めて。]
[>>684 さらっと返された、
物理的に脱がされて着せられたのだとしたら、
それは由々しき問題であるような気がする]
えっ、そんなさらっと言わないでよ!
そしたら俺の貞操すでに失われてる可能性……、
[はい、と杖を渡しつつ、捲り上げたスカートは動きやすいように改めて縛りなおす。足は素足のままだが、これはどうしようもない。とりあえず焼け焦げた中庭を見回す、渡り廊下やらバルコニーやら、城内に入るのは簡単そうだが、脱出に悩みそうなのは悩ましいところだ]
/*
>>691
妻が可愛くて私は本望です。
キラキラしまくっていて、本当に眼福。
なんで、こんなに泣き顔が可愛いのか…。
Sではないのに右腕が疼くうぐぐぐ。
[フレデリクから杖を渡されれば、
その石を自分の脚に近づけて…やや眉を寄せる。]
どうやら、
この脚は、この世界のものみたいだな。
[違和がひどい。
それは痛みとかではなく、別の
そう、少し、わかっていた。
フレデリクを助けた魔の力がその脚に取り付いたこと。]
/*
在籍ボタン、凄い便利なのになんでこうも忘却しちゃうんだ。
健忘症なのか、うぉぉぉ…。(今オンに変えた)
/*
えっ。
えっ。えっ?
旦那様、容赦ない………!!!
ある意味純粋過ぎて、もう……!
見えてたらどうしたかしら、確定で隠してくれてるとこに配慮を感じつつ、ときめく…(歪んでる)
― 狂気の研究施設 ―
……そこは、全力で同意します。
[主張は理解できない、という言葉>>693に一つ、頷いて]
……大丈夫です……と、言いたいところですが。
これが続くとなると、探索以前に倒れるかもしれません。
……合わないみたいです、どうも。
[いつもならここまでの拒絶反応は出ないはずだか、やはり、魔界という事で何か違うのか。
相反するものがざわめく感触に、早々に白旗を上げた。
そんな様子は、リスク無視して突き進んでいたいつもとはだいぶかけ離れて見えるかも知れないが、そこまで意識は回らず]
……建物の外でなら、普通に魔法も使えそうですし。
結果が出るまで時間がかかってしまいますが、魔力探査の陣を張っておいて、他を回ってみましょうか。
[提案したのは、今の自分に無理なくできそうな方法、ひとつ。*]
戻ったら忘れる、なら、いいでしょ?
ちょっとくらい、思い出しても。
……あの頃の、気持ち。
[仕舞いこまれたものが、確かにある。
今だって彼のことは大好きだけれど、
ドレスを着て無邪気にそんなことを口にしたその時と、
今とはもう取り巻く全ては違うから]
え?
[ねだった唇は寸止めされた、
けれど背伸びすれば届く位置で――、
自分のいってることも、行動も変だとは思ったけど]
― 浮遊する群島 ―
[浮遊する島の端から跳びあがり、空に身を躍らせる。
翼無き身体は放物線を描き、頂点を超えて無限の落下を始める。
その刹那を掬い上げ、引き寄せる力強い腕。]
あなたを信じています。
あなたの強さを。想いを。
[信仰告白と同じ重さで口にされる、信愛の発露。]
[ひきつけようと言う提案に頷いて微笑む。
こちらの想いを汲んでくれたことを嬉しく思う。]
起きよ、光を放て。
あなたを照らす光は昇り. 主の栄光はあなたの上に輝く。
[言葉とともに、掲げた手の先に光が生まれた。
眩く清冽な光は魔界にあって異質なもの。
狩猟に興じる魔の目を惹きつけるには十分だろう。]
リエちゃんの意地悪……、
[爪先立ちで、重ねる口唇。
やはり重ねるだけだけれど、
つま先立ちを保っていられるまでは、そのままで]
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