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美しく月の昇る晩、君は自らの本当の姿を知った。
智恵を絞り、活路を開く勇気。
人狼を見抜き、妖異を滅ぼす力。
死者の声を現世に届ける異能。
頼りなく怯える人々を守る技。
互いの正体を知覚し合う絆。
自らの胸を裂いても仕うるべき主。
赤く染まる牙――長い咆哮。
さぁ、どうする?
まずは何から始めよう?
どうやらこの中には、村人が1名、人狼が2名、恋天使が1名、洗礼者が1名、狙撃手が1名、背信者が2名、交信者が1名、睡狼が1名、人犬が1名、貴族が1名、奴隷が1名、落胤が1名いるようだ。
語り手 が「時間を進める」を選択しました
■本日の予定
アプサラスは、自分とソマリに能力セットしてください。
ジークムントは、アデルに能力セットしてください。
ダミーは風景なのでスルーでOK
純血種 アプサラスは、聖将軍 ソマリ と 純血種 アプサラス を能力(結ぶ)の対象に選びました。
― サロン ―
ああは言っていますが、城主は、しばらく戻らないかも知れません。
逗留中の居室として西の塔を空けてあります。
ご案内は──
[ジークムントへと会釈をして、依願という形の退却理由を差し出す。
自身は、ギィの後を追うつもりでいた。]
ところで、救世主教にとって、聖女や神子はどういう存在なのか、いまいち判ってない私がいる(ぁ
いや、wiki時点では、「生まれた時から聖水と聖別された食事だけを口にしてきた教会の切り札。」とは考えていても、聖女とは思ってなかtt
……私、いつから聖女を名乗り始めたんだっけ?
女暗殺者的なものじゃなかったっけ?(震え声
神子は、救世主の生まれ変わりだと思うので、
神子>聖女(シスターの一種)>シスター
だとおもうのよ。
騎士 ジークムントは、神子 アデル を能力(響鳴)の対象に選びました。
― バルコニー ―
[結界を張られた以上、突入してくるまでさほど猶予はないだろう。
足早にサロンを離れ、前庭と門を見渡せる二階のバルコニーへ出る。
侵入者を確認するのが目的ではない。
相手の様子ならば、もう"視て"いる。
外へ出れば空は厚い膜のようなものに覆われていた。
世界を断ち切る、強力な結界。重々しく凝る聖なる障壁。
その力の源へと視線を走らせる。]
教会の飼い犬か。
少しは
[独り言に呟いて、喉の奥に笑みを零す。]
ち…っ。
[正体の分からぬ侵入者相手に苛立ちを募らせる。
武装した方が良いか、と己が武器について意識を向ける男は敵方に知己がいる事を知らない。
体内の因子が彼に繋がっている事には気付かないまま。]
――アプサラス、あんたは前に出るなよ。
[ソファーに座す血親にそう声を掛けて。
血を受けた子供ではあるが、自分は彼女の跡継ぎになるとは思っていない。
ホストの意思を尊重し、バルコニーに出る事はしないが、自分の取り敢えずの役割は彼女達を守る事だろうと。]
[そろりと抜かれた刃は聖別銀の輝き。
躊躇うことなく、城門へと歩み始める。
神子聖女が十全に力を振るえるようにするためにも、後に続くソマリのためにも、まずは先陣を切る。]
了解した。
[返事をしながらも城へと向かう。]
任せてくれ、目の前の障害は排除する。
[走りながらも気を高める。
そしていつでも剣を抜ける態勢を保ち続けた]
― バルコニー ―
[どうやら、ジークムントがレディとシメオンを安全な所へ避難させるということに決まったようだ。
話半分に交わされる声を聞きながら、開け放たれたバルコニーへの扉から入ってくる風を身体に受ける。]
うん、いい風だ。
殺気が肌を刺すようですねぇ。
[暢気にそんなことを呟いて、野茨公>>3と違い"視る"ことの叶わない男は、兄弟の後ろから顔を覗かせた。
教会と聞いても、特に心揺さぶられるものはなく、平坦な瞳が侵入し始めた影を見下ろしている。]
野茨公、シスターにでも手を出しましたか。
女の怨みは怖ろしいと言いますし。
[気配を探れば、それぞれが皆、優れた戦士であることが伺えた。
幾人か戦闘力の低そうな者もいるが、結界を張るために連れてこられたか、或いは秘めた力でもあるのか。
相手方の本気に、思わず口から呆れた声が零れた。]
まぁ、邪魔にならぬよう遊ばせていただきますよ。
[死ぬはずがないという傲慢、そして死なぬという意志。
入り混じった感情を声に滲ませ、首の骨をごきりと鳴らした。]
どんな形であれ、私の死を邪魔する者は許しません。
[気配と共に、右手の爪が鋭く尖る。
にやりと浮かべた笑みは、普段よりも好戦的なものだ。]
[握りこむ少女の小さな掌。
護るべくと取ったのではない。
きっと、彼女すらも使うために己は城へと彼女を誘う。
恐怖を知らぬ彼女を恐ろしい場所へと連れ行くのは魔物ではなく、
加護と権を持つ男の背中だった。>>4]
攻城だ、出遭う輩は切り捨てろ。
彼等の奇が蔓延る間に進む。
[クレステッド>>7に先頭を任せ、石畳踏んで暗い廊下に侵入。
奇襲が叶う相手かは知らぬが、野茨公は頭が利く。
立ち止まれば、忽ち罠に掛かって可笑しくない。
吸血鬼は軍勢を持たず、集落を作らない。
精々片手程度の関係を築く。
詰まり、手勢が幾らかでも表の三者に割かれれば、
その分、城内も手薄になる。]
[声が響いたのはその頃か。]
…また…何か、見えるのか。新しい俺
[どこか懐かしい響きを帯びた声が、己の中に眠る記憶かなにかかと思えた。]
[その声が呼び水となり、記憶が溢れる]
『あいつは!!……――はどこだ!』
『帰ってこない?馬鹿な!』
『次の手紙がくる頃には伯父になれるっていってたじゃねえか。あの阿呆が…』
『死体がない?探しても見つからない…でもどこかにいる可能性だって…』
『……力が必要だな。探すにしても何にしてもだ。』
『何一つ、リスクを負わず、捨てることもできず、変えられるものなんてない。』
[それは、あいつを失った時のことなのだろう。そんなあふれでた記憶が因子を同じくするものにも見えるかもしれないことを...は知らない]
さぁ、敵は、私の敵はどこだ。
魔の眷属よ、遠慮など要らぬ。
どこからでもかかって来い!!
[廊下を走りながら叫ぶ。
注目を集めて同行するものから目をそらす為。
そして、何より自分の闘いの為。]
/*
バトル系村二度目だし、演劇村は初めてだしで、表よりもずっとあわあわしている。散る。
だだだ大丈夫ですか。ご迷惑かけていませんか大丈夫ですか。
不安。とっても不安。
― 城門前 ―
[緩やかだった歩みは、城門に近付くにつれ駆足となり、疾風の速度となる。
強化された視力が、遠くバルコニーに人影を捉え。>>3
――ガゥンン!!
銀の大剣が絡んだ野茨の蔓ごと、瀟洒な金属の門扉を叩き開く。
そのまま中庭へと雪崩れ込む。]
― バルコニー ―
[ジークムントに賓客の案内を任せれば、ワインボトルを取り上げてバルコニーへ向かう。
宴席を移したというだけのごとく、静かにギィの傍らに立った。
結界は幕のようなものなのか。
どこか空気が重たく、絡みついてくるようだ。
アレクシスの飄然を装う声と疑惑に弁明の労はとらず。]
[ ちら、とアデルを一度だけ振りかえった。
神の子。聖女よりも一段上の神の僕。 ]
[ そして、
聖将軍に手を引かれて、魔物の城へ呑まれていく。
足元が時々まろびかけるのは、慣れぬ靴のせい。
恐れではない。 ]
どこへ。
[ 結界を張った後の流れは聞いていない。
恐らく、打ち合わせたとしても、
その通りに行くことの方が少ないからだろう。
魔物にも、主教や首座のような者はいるのだろうか。 ]
――く…、…うッ…
[なんだろう――身体が熱い。
実際に結界を張るのは初めてだった、これほどまでに重たい加重に膝が笑う。
>>0:450胸の奥から込み上げる咳を無理矢理に堪えてユーリエの様子を窺うと、彼女もまた同じように耐えていた。
ここで自分が膝をつくわけにはいかない、必死に加重圧が馴染むのを待つ。
聖なる結界を張るに当たって、この現象が現れるのは知っていたが、流れる血流に沿うように無数の痛みが刺すとは思わなかった。]
……――はい…
[身体を流れる血にぴりぴりとした痛みが残る。
>>2ソマリの声に混乱しかけた意識を呼び戻され、彼にうなづきを返すと、まだ痛みの残る四肢を叱咤して。
共に城内へと石畳を歩き出す。
無事に結界を張ること出来たのは、聖女である母の血であり。
そして、初めて感じるこの痛みが同じく顔も知らぬ父親に起因することなど、気がつかぬままに。**]
―サロン―
[血が満たされたグラスをそっとテーブルに置いた。
仕掛けてきた者と遣り合う事になるかもしれない。
そんな状況なのだから滋養をとり備えるべきと分かっている。
正餐の主賓であるアプサラスへと向き直り]
――お部屋までご案内します。
[意思だけでも伝えておこうと声を掛けるが
見物するというなら強く言う心算はない。
護り手のようにあるシメオンの姿もその視界に入っていた。]
― バルコニー ―
[後ろについてきている気配は、今のところ二つ。
側に立って下を覗くアレクシスに、華やかな笑みを向ける。]
最近、シスターに手を出した覚えはないな。
騎士なら、ひとり。
[我が子のことだとの説明は省く。今は、些事だ。]
はは。好きにするといい。
どうやら向こうも好き放題してくれているようだからな。
[視線は、ちらりと背後へ。]
いいや。無理だな。
[自制できないと言いきる口調は、いっそすがすがしく。]
城を壊さない程度には、気を付けるよ。
[付け加えた冗談には、高揚が乗る。]
―――やれやれ。
挨拶もなしで入り込むとは、躾のなっていない犬だ。
[こちらに駆けてくる人影は3つ。
半分ほどがどこかに行っている計算。
弟に催促してワインを一口。]
中に4つだ。
一応、気を付けておいておくれ。
[傍らに告げてから、
バルコニーの手すりに肘をついて、軽く身を乗り出した。]
嗚呼、そうでしたね。
貴方はそういう方でした。
[心当たりのある様子に呆れた声を零すも、それが血を拒む彼の息子だと言うことは理解している。
彼を取り戻しに来たのだろうか。
それにしては随分と本格的だと、冷静な頭が壁を乗り越え、門を切り開いて行く者たちの姿を追いながら考えている。]
好きに、ね。
その言葉、忘れないでくださいよ?
と言っても、私は戦闘向きじゃないですが――ねっ!
[城の主が先陣を切るのはおかしい。
弟君は彼の安否が心配だろう。
それならばと、ひらりとバルコニーを飛び越え、二階から飛び降りた。]
― 前庭 ―
ようこそいらっしゃいました。
ご用件は何でしょうか。
どなたかとお約束を?
[軽やかな足取りで地面に降り立つと、剣を掲げる男>>23の前で優雅に一礼する。
この場に似合わぬ挨拶を落とした後、にっこりと微笑んだ。
右手の爪は常より尖ってはいるが、それ以外の武器を持っている様子もない。
ただ地に足をつけて立っている、細身な男の姿があった。]
教会の飼い犬諸君。
君たちに、かけらほどの礼儀があるならば名乗るがいい。
この私の城に来ておいて挨拶一つくれないとは、
ずいぶんとつれないことではないか?
[からかい交じりの声は、さほど張り上げたわけでもないのに、遠くまで良く届いた。]
[「遊ばせていただく」というアレクシスの宣言に、チラと視線を投げる。
好んで前線に立つ人物とは思っていなかった。]
死を 邪魔する …?
[“変わり者”の言い分を反芻した時、城門を打ち貫く轟音が響いた。]
[足止めの意味も込めて飛び降りた杭は、城主>>28の言葉と同時に意味をなくしたようだ。
身体の力を抜き、頭上を見上げると、珍しく楽しげな色を瞳に乗せる。]
そう、貴方は城主らしく、いつだって悠々としていればいいのです。
[誰にともなく囁いて、機嫌のいい野犬は、長の合図があるまで動くつもりはないようだ。]
礼儀を知らない連中のようですね。
[そこは兄と意見があった。
幸いまだ凍化していなかったワインを、催促されて饗する。
敵は7名、二手に分かれているという警告に肯首ひとつ。]
― 中庭 ―
[小道を駆け抜けるは、地面の様子から恐らくは最近利用したものがいたと、直感的に感じたゆえに。
通常使用される場所に大仰な罠はないと踏んで。
否、罠があろうと罠ごと薙ぎ払う。
普段の修道騎士団の殲滅戦では取らぬ、派手な陽動。
偏にそれは、迎え撃ってくるであろう手勢を引きずり出し、神子たちの負担を軽減するため。]
この野茨公、前言を翻したためしはないよ。
[隣にあったアレクシスが、手すりを飛び越えて降りる。
それを、笑って見送った。
戦闘向きではないと言っているくせに
嬉々として戦いへ赴くようにも見える彼の心情を
完全に理解しているわけではない。
何を考えていても構わない。
そんな風に思っている。]
―――…だがな、救世主とは何時の世も、
[密やかに囁いた声。
勝手な大人の都合と、彼の身に抱く聖血を、
小さな身体に押し付けて、片目を歪めた。]
― バルコニーから飛び降りる直前 ―
私の終わりは、もう決まっているのです。
ですから予定外のお客様には、早々にご退場いただかなくては。
[ヴィンセント>>29の言葉に答えた時には、既に身体は宙へ浮いていた。
戦いの礼儀など知らぬ存ぜぬ興味なし。
己の邪魔をする者は許さない。戦いに身を投じる理由など、それで十分だ。
作法だ何だは、どうぞ己以外でやっていただこう。
しかし気分屋な男は、野茨公の言葉>>28を気に入って、すぐに考えを翻すことになるのだけれど。
己が決めたことがルール。
それがアレクシス・フォン・ベルンシュタインの正義である。]
城主を。
[ 討つ。滅するのだ。
ユーリエは頷き、ソマリに合わせて少し早足になった。 ]
[ 生まれてから今まで汚れを知らない足音が床を叩き、楽となる。
聖句や祈りの他は、言葉をほとんど話さぬ桜の唇が、吐息を吐く。
腰まである長い銀髪は、今はフードから全てこぼれおちて、
身動きの流れにさやさやと鳴った。
つま先から血の一滴まで聖別された少女が、夜の城をゆく。 ]
― 前庭 ―
[バルコニーの直下で、土を蹴立てて足を止める。
噴水の水が風に吹き散らされて、さあっと霧状に降り注ぐ。
視界の隅にリエヴルの前に対峙する黒髪痩身の人影を認め、男は目を細めてバルコニーを見上げた。
城主を名乗る、鮮やかな赤い髪の男が、軽く身を乗り出し、揶揄含んでこちらを見下ろしている。
鈍く輝く銀の刃を眼前に掲げ、]
― 前庭 ―
[剣の切っ先が降りてきても>>40、笑みを浮かべた表情は変わらない。]
おや、雨宿りにしては随分と不作法な訪問ですねぇ。
教会の人間は、礼儀を教えてもらえなかったのですか?
[敵が名乗るより前に、男の手元>>41から強い殺気と力を感じる。
片方の足を僅かに下げて、己に降りかかるであろう斬撃に構えた。]
……何っ!?
[剣が放たれたことに気づいたのは、頬を風圧が撫でてからのことだった。
予想外の動きに出遅れた腕は、飛び行くそれに触れることも叶わない。]
っ、ギィ!!!
[思わず、死ぬはずだった日以来呼ばなかった彼の名を叫び、バルコニーを仰ぎ見た。]
[庭に駆け込んだ強襲者のひとりが、剣を投擲する。
人の膂力を凌駕しているのは瞬間に把握できた。
驚愕は色に現さず、
手の中のボトルを傾け零したワインを氷の盾に変えて刃を弾かんとする。**]
間もなく灰と化す者に、名乗る要など感じない。
[臆することなく発するは、峻烈にして苛烈な応答、
瞬間、リエヴルが投じた剣>>41が城主へと]
――、
[それは幼い頃から刷り込まれた、反射的な回避だった。
華美さも優雅さもない、必要最低限身体をずらすことでショーテルの牙>>47が皮膚を貫くことを防ぐ。
反動で靡いた黒髪だけが、鋭い刃に刈り取られることになった。
腰まで伸びていた長い髪が、心臓の後ろ辺りまで短くなる。]
本当に、礼儀を知らぬ小童のようだ。
[囁かれる声は低く、深く。
振り返った瞳は、どろりと静かに濁っていた。
鋭く尖った爪を胸の前に構え、静かに息を吐く。]
ふ……っ!
[彼の背後から響く声>>49が合図だったとでも言うように、地面が抉れる程の力で踏み込み、彼の懐へ飛び込もうとした。
そのまま心臓を、無理ならば右腕を貫かんと、細腕を振う。]
[ボトルの口より、白く凍り付きながらワインが迸る。
剣は軌道を阻むように広がった氷へと突き立ち、
それを割り砕いて、なお余力を残していた。
掲げた城主の掌に浅く突き立ったところで、
ようやく力を失ってバルコニーの床に落ちる。
血が、いくらか溢れて零れた。]
もったいないことをする。
[視線は弟の方に向いていたから、きっとワインのこと。]
/*
普段のRP村とは違い、誰に関わりに行くかも頭使いますね……!
能力行使までの時間とか、役職関係とかとか。
バルタンは2d襲撃だし、ヴィンセント公と接触しておいた方がいいと思ったの。
リエヴルもシメオンと接触かなとも思うけれど、今彼がまだ室内なので、前哨戦いかがですかなお声掛けだったのでした。
全力で嫌な脇役ポジションを駆け抜ける!
アレクシスが私の名をそんな風に呼んでくれるのなら、
たまにはこういうのもいい。
[誰に届かせるつもりでもなく呟いて、
アレクシスと戦い始めた方から視線を外す。]
[もうひとり、勇ましい言葉を投げてきた方には、
ちらと流し目をくれた。]
生きのいいことだ。
もっと別の言葉を囁かせてみたいね。
[笑いながら、飛び来る彼へ右手を向けた。]
[上げた右手に、無数の蔓が絡みついており、
そこからさらに蔓は絡み合い太さを増しながら伸びて
向かい来る騎士をも絡め取ろうと蠢いた。]
[同時、主の力を注ぎ込まれた野茨は城の内外で一斉に動き始めた。
そこかしこから蔓を伸ばし、絡まり合い、
太さを増してうねりのたうって形を変えていく。
ある場所では壁を作り上げ、
ある場所では触れるものを絡め取ろうとして、
蔓の一本一本に意志あるがごとく、生あるものに襲い掛かる。]
[野茨の蔓は城内外の各所を分断し、
運悪く絡めとられればどこかへ放り出されるかもしれない。
暫く荒れ狂ったならば、蔓の群れは動きを止めるだろう。
真紅に染まっていた花弁は色を失い、すべて散り落ちる。
それきり、動くことはない。]
[だがその思いを口に出している暇はない。
視界が揺れるような錯覚、肌を打つ圧が急速に強まり、瞬時に距離を詰める冷たさを露わにした男>>53。こういう類のものは嬲るようなことなどしない。躊躇わない。とはいえ、素直に向けている心臓部を渡す気もさらさら起きない。
右足に力をこめて、心臓をめがけるように振るわれる腕に対し左に飛ぶ]
さすがに初手でとれねーか。
[浅く掠めるように左の二の腕を切り裂かれながらも、ショーテルを左の背中に戻した後、右半身を反らすようにして、今度は右肩の剣…鎧剣とも呼ばれているただ分厚い鈍器とも盾ともいえる剣を握り構える。]
/*
ねうを実行すべく準備中なのだけど…
私、一体この滞在中に、幾人の紳士にエスコートいただくことになるのかしら…
ジーク様の、押しつけがましさの欠片もないこのエスコート!
ご覧なさいソマリ!これが紳士というものよ!
[でも変えてほしい訳では全くない]
[跳躍の途中に無理矢理捻りを加え、長大な剣を振りぬく円運動を捻り出す。
だが、首を刈り取ろうと打ち振るった銀光は、咄嗟に伸びてきた茨を切り裂くに留まった。
ちらりと城主の傍らに銀髪、砕けて散らばる氷の欠片を認めたが、]
チッ
―サロン―
[許されるならばアプサラスの手を取り]
では御案内致します。
シメオン殿もどうぞ此方へ。
[シメオンへと声を掛けてサロンを出る。
サロンを出れば喧騒は少しだけ遠退いた。]
─ 城内 ─
[ やや息があがっている。
日ごろの運動不足もある。
教会の敷地内は、町のように大きいが、
それでもしずしずと歩くべきであって、普段、早足で進むことはない。
ましてや、城ひとつ包む巨大な結界の柱のひとつとなり、
悪しき気配がすぐそばにあるこの状況は、
ユーリエにとって負担が大きかった。 ]
……まだ……、
[ 着かないのかと聞いた。
城主がどこに居るものなのか。
それがどのくらいで判明するものなのか、ユーリエは知らない。
男の手の中で、小さな手のひらは少し、汗ばんでいた。 ]
―西の塔―
[大事な主賓に用意されし西の塔。
城主の趣味が窺える調度品が設えられた広い部屋へと
アプサラスの歩調に合わせ歩き二人を案内する。
彼女はその場所を知り道のりを知るのだから
形ばかりの案内となるのだが――]
遠路お疲れでしょう。
ごゆるりとお過ごし下さい。
[部屋の扉を開けて彼女らを導けば
役目を終えた男の手は離れ
室内に入らぬまま、恭しい礼をした。]
聖光の ユーリエは、栞を挟んだ。
[流し目をくれる余裕すらある、赤髪の吸血鬼の平静さに舌打ちし。
回転を殺しながら、バルコニーの床を滑り、片膝ついて着地した。
だが、城主の右手から出現して蠢く茨は、増殖し、執拗にこちらを追って這い進んでくる。
追撃して畳み掛ける手も封じられ、迫り来る蔓を打ち払いながら、茨の壁の先に見える赤い魔を睨んだ。**]
[血の親子であるはずのアプサラスとシメオン。
二人の会話は聞こえはしたが心に踏み込む真似は躊躇われた。
口を挟んでも気の利いた言葉は紡げぬだろう。
自身の無骨さは承知している。]
では失礼します。
お二人にとって良き時間となりますよう――…。
[そう言い残し男は扉を静かに閉めて西の塔を離れた。]
私も普段はそんなものどうでもいいんですけどねぇ。
今はなんとなく、礼儀を重んじたい気分だったんですよ。
それを君は妨害した。
だから許しません。
[にっこりと、当たり前のことを呟くように告げる言葉は、ひどく傲慢だ。
呆れるような視線>>63にも表情を変えることはなく、その点については気にしていないらしい。
独自のルールに基づいて行動する男の理念は、一般的な吸血鬼とも、常識とも異なる。]
私も一応魔の者ですからねぇ。
[狙った心臓も右腕も逃がし、代わりに左腕の衣服と皮膚を浅く抉り取った。
疑問に思ったのは、心臓を狙った場合、そこを守るために左半身を後ろにする者が多いのに、敢えて彼が左腕を差し出したことだ。
いや、右腕を引いた>>66と言った方が正しいのだろう。]
[警戒しながらも、踏み込んだ右足に力を籠め、爪を反転させる。
復路でもまた切り裂こうと爪を振るったところで、背後から聞こえる風を切る音に気づいた。]
……面白い。
[目の前の男に攻撃することを諦め、代わりにこちらへ晒された傷口付近へと肘と二の腕を叩きこむ。
別に傷口を狙う必要はない。趣味だ。
僅かでも触れることができれば、後は己が筋力で身体を反転させる。]
嗚呼、馬鹿はそう簡単には死なないんですね。
[振り返った方向、迫り来る剣の向こうに見えるギィ>>58の無事な姿と、鋭敏になっている五感が拾った音に苦笑を零す。
こんな時に、こんな時だからこそ、己の"日常"に触れて、どろりと濁っていた瞳が正常な色を取り戻した。
迫る剣など目もくれず、穏やかな微笑みを浮かべる。]
[右腕の布を切り裂いて、それなりに深い傷が覗いている。
不意を突かれてこれだけの傷で済んだのは、宙に浮かぶ黒の糸――ではなく、先程切られた己の髪だ。
地面に散らばったそれは宙を舞って、寸でのところで軌道を変えた。
今はその刃に巻きついたまま、彼の元へ引き寄せられる力と拮抗している。]
いやぁ、すみません。
頭に血が昇っていたみたいです。
私もまだまだ若いということでしょうか。
[最初に現れた時のような笑みが戻り、無事な左手で短くなった髪を梳く。
視界の端、巨大な茨が周囲を覆い始める。
消えゆく赤>>58と赤>>64に微笑んで、ゆるりと唇を動かした。]
後で、肩くらいは揉んであげましょうか。
[届くとも思わない。届かせようとも思わない。
約束にも満たない音は、野茨に覆われ、姿ごと見えなくなる。]
さて、と。
お仲間とはぐれてしまいましたが大丈夫ですか?
助けに行っても構いませんよ。
[茨の要塞と化した場所で、右腕から呪を纏う雫が零れ落ちる。
地面に染み込む度に細い蔦が生えてくる様子は、何とも異質なものだっただろう。
それらは傷口の上に絡み、腕を締め付け止血を施す。
そのまま腕を持ち上げれば蔦が千切れ、緑の輪だけが残った。]
私の死に方は決まっているんです。
貴方たちに殺される訳にはいかないんですよ。
嗚呼それと、『城主は二度殺さない』も条件ですねぇ。
それさえ守っていただけるのであれば、貴方たちの邪魔をするつもりはありません。
どうです。悪くない相談でしょう?
[右手の爪は元に戻り、赤く染まった袖だけが戦闘の痕を残している。
その手を伸ばし、ゆるりと微笑んだ。
首を傾げ、彼の返答を待つ。]
[ひとりになれば思うのは教会のこと。
否、アデルのことと言った方が正しい。]
――…アデル。
[小さく名を紡ぐ。]
君は今、どうしているのだろうね。
元気にしているだろうか。
……泣いてはいないだろうか。
[案じる想いが、声へと滲んだ。]
傍に居ると言ったのに……
何も言わず離れたのだから恨まれても仕方ない。
[アデルはそのようなひとでないと思いながらも
悔いる気持ちがそのような言葉を綴らせる。]
アデル。
君の無事を、そして幸せを、祈っているよ。
君が笑顔で過ごせる日々を、希う。
[西の塔に賓客をおくりとどけた男は元来た道を戻る。
たおやかな姫の手をとったその手で
騎士の証のようにある腰に帯びた剣に触れた。]
我が主が客人をもてなす席に
挨拶にゆかぬわけにはいかないな。
[ゆるやかな笑みを浮かべ颯爽と歩めば
一つに纏められた銀の長い髪が尾のように靡いた。
野茨公の無事を確認するまでは休むわけにはいかない、と
サロンからバルコニーへと出て
野茨公の剣となり盾となるべく傍に控える。**]
― バルコニー ―
[即席の氷の盾を砕いて剣が城主に襲いかかる。
迎えるようにかざしたギィの掌に強引な接吻をして、それはようやく床に落ちた。
剣に続いてバルコニーを訪問したのはマントをたなびかせた騎士姿だった。
剣を投げた男とは違う。
ギィが操る茨に阻まれて舌打ちする様はまだ人間らしい、と思った。]
確かに──
[もったいない、と投げられた声に返すは恬淡とした同意。
もっとも、その対象はワインではなかったが。
熱烈な逢瀬を邪魔したことを斟酌するような色は滲む。
ギィはきっと、愉しんでいたろうから。
それでも介入するのもまた自分ならば当然のこと。
膝を屈めて手を伸ばせば、氷の砕片は散らされた紅を触媒に寄り集まって剣の形に再編される。
ギザギザといくつもの断面を煌めかせるソードブレーカーにも似た刃。
それを手に立ち上がるも、ギィの”子”がその場に姿を現せば入れ替わるように城内へ。**]
― 相談を持ちかける直前 ―
[腕を這う蔦は雫が落ちた数だけ伸び、傷口よりも心臓に近い位置で輪を描く。
まるで意思を持っているような動きも当たり前のように受け入れ、静かに笑んでいた。]
森に住んでいた頃は、人間から教会の黒い噂を聞くことがありましたが、随分と身体を弄ばれているんですねぇ。
正直舐めていました。
[腕を伝う雫は次第に少なくなり、袖の赤を残して、涙を止めてしまう。
決して早くはないが、通常の人間よりも優れた自己治癒能力が深い切り傷を塞ぎ始めていた。]
貴方、お兄さん、戦士さん。
私と交渉しませんか。
[そう声をかけたのは気まぐれが半分、彼の力を見とめたのが半分といったところである。
己が意志のためならば、何を犠牲にしようと構わない。
唇から滑らかな言葉>>81が零れ、笑みを深めた。]
/*
昨晩の判断も大分寝惚けていることが分かった。
バルタンはギィでもヴィンセント公でも、とにかく人狼組と接触させたかった、ね!
しかも噛まれるのは3dである。
2d噛まれでヴィンセント公に誘導した方がいいのはオズワルドさんだった……ごっちゃになってるぅ(´・ω・`)
もう大丈夫だよ間違えないよ。頑張る。頑張るもの。
(埋まった)
― バルコニー ―
[見事な跳躍と大剣さばきで蔓を切り払いバルコニーに飛び込んできたのは、騎士と見える男。
次々と伸びる蔓を寄せ付けぬ技量に、笑みを浮かべる。
―――と、視界の端、床に落ちた剣が動くのが見えた。
自律して動くかと意識を割くが、引かれ戻るのをちらと確認する。
飛び行く先はあの剣士、あるいはそれと対峙しているアレクシスか。]
死なないと言ってるのだから、死なないだろう。
[判断を付けたところで、剣のことは綺麗に忘れる。]
[弟が再び冷気をより合わせる気配を感じながら、右手の蔓を操って目の前との騎士の距離を稼ぐ。
十分な距離が開いたところで、一度蔓を引き戻した。]
控えよ。
私がユベール・ファビオ・ギィ・デグランティエ。
この城と領地を預かるものである。
私を討ち果たさんとするならば、名乗りを上げよ。
貴様が、騎士の心を持ち合わせているのならぱな。
[舞台に立つ役者じみて声を上げる。
ちょうど、背後に我が子が現れた頃合いだったろうか。]
―――中は頼むよ。
[立ち去る様子を見せた弟に、声を投げる。]
彼らの狙いはまず
とすれば、入り込んだ方が主力かもしれない。
怪我などしてきたら―――わかっているね?
[気配だけの腕を掲げて、ゆるく抱く。]
[吸血鬼の領地など人間にはあずかり知らぬところだろう。
正確に言えば、野茨公が"統治"している民は、自身と、周囲数名程度だ。
わかったうえで領主としてふるまうのは、酔狂の範疇に近い。
我が子と入れ替わりに弟が城内へ向かおうとするのには、
視線のひとつも寄越しはしなかった。
全て任せているとでも言うように。]
[素直に告げられない安堵>>78さえ、野茨公>>87にかかれば簡単に解かれてしまう。
茨に閉ざされる向こう、呟かれた声まではさすがに届かなかったが、口元は穏やかな笑みを湛えていた。]
私も随分と……ふふ。
[吐息と共に言葉を零し、胸元に手を当てる。
血玉の鼓動を感じた気がして、また小さく笑った。]
これから血を交わしあうというのに、
名のひとつも呼べないのは、切ないからね。
[騎士の返答を待つわずかな間。
呟いた声はさて、どこまで聞こえていたか。]
― バルコニー ―
[不意に目の前の蔓が退き、視界が広がる。
何ぞ仕掛けてくるのか、と身構えたが、吸血鬼城主から発せられたのは、貴族らしい堂々たる名乗り。>>88
切り結んでいる間に彼我の距離は充分に開けられてしまっていた。
油断なく見据え、腰を深く落として、構えを変える。
剣を大きく後ろに引くと、銀の切っ先が床を掠めた。]
[眼前の男は、優美にして精悍。
伝え聞くとおりの容姿、稚気たっぷりの大仰な名乗りから、これが標的の“野茨公”に間違いないだろう。
返礼の名乗りなどなど論外だった。
悪霊に進んで自分の名前を教えるなど、自殺行為に等しい。
名を媒介に心を侵犯する魔も存在する。
吸血鬼はこれと見定めた犠牲者の心に親密さを装って忍び寄り、自制の壁を突き崩して堕落させて虜とする。
修道会では、新任の修道士たちに厳重に戒めているが、それでも人間の姿に惑わされて情をかけた結果、つけ込まれて殺害されるケースが後を断たない。]
[軽く締め上げるような抱擁の気配に喉を鳴らす。]
あなたも、
私に仕置きできる程度には、ご自身を気遣っていただけるのでしょうね?
[返す念は、首筋に唇の気配を触れさせるごとく。]
貴様が人であるならば、無礼を詫び、名乗りもしただろう。
[じり、と踏み切りの足に力を入れる。
さきほどの青年は城内に入ったようだが、代わりにもうひとり、城主の背後に立ったのが見える。]
だが!
貴様は魂なき動く死体に過ぎん!
そして、私は騎士である前に修道士。
神の下される降魔の力の一条、ひとふりの剣だ!
[他の吸血鬼を殲滅し、充分に数を減らすまで、首魁を引き付けておかねばならない。
体制の整わぬうちに、最も手ごわい敵を、神子聖女らのもとに行かせてはならない。
故に、それ以上の問答は無意味と、放たれた矢の如く、駆け出す。]
燼滅しろ!!
[懐に飛び込み、大剣を切り上げる――
と見せて、自身の背中とマントを遮蔽として、硝酸銀の詰まったダーツ数本を片手で放つ。]
は。やはりつれない。
[再度の名乗りを求めるも、返答はやはり否。
我知らず熱い息を吐いて、舌先を唇から覗かせる。
側へ来た我が子へ右腕を上げて手出し無用の意を示し、
先ほど剣に穿たれた左手で、右手に絡む野茨を撫でた。
城主の血を受けた蔓は赤黒く変色し、剣の形をなす。]
ますます跪かせて、啼かせてみたくなったよ。
[構えとも呼べない姿勢で立つそこへ、騎士の裂帛が迫る。
飛び込んでくるのに合わせて体を開き、
刃を合わせて大剣の軌跡を逸らす。
のけぞらせた喉のすぐ側を大剣が過ぎ行き、赤い髪が数本散って、]
[咄嗟、足元に這う茨の数本を槍と化して突き上げさせ、
自身は軽く飛び離れる。
視線を落とし、胸の真ん中に刺さる矢を確認して、唇を上げた。
薄く煙を上げる傷口から、痛みは今もジワリと広がっている。]
…たまらないな。
[なおも我が子を制しながら腰を落とし、迎え撃つ姿勢をとった。]
……たまらない。
[呻きは、唇の感触に紛れさせる。]
なあ、楽しいと思わないかい、ヴァイス。
こんなに楽しいのは、―――久しぶりだ。
[垂れ流される響きは、どこか酔ったよう。]
/*
あっ。ユーリエのところに遊びに行こうと思ったら、弟が向かっているだとう!?
あいつ、抜け駆けしやがって!
私もユーリエちゃんhshsしたいよう〜〜
/*
お外で鳩さん飛ばして覗いたのですが、この野茨公>>101が彼の変態性をとてもよく表していて(褒め言葉)、それがとても愛おしい。
やっぱりね、それぞれのキャラがいるからこそなんですけれども、陣営の長となる人物の影響って大きいと思うんです。
ギィが城主で良かったなあ、と愛が溢れたので、こっそり灰を残しておく。
一度だけでも貴方の命を救えることを光栄に思いますって、アレクシスさんが言ってます。
[左手一本の振り抜きは、茨の剣で軽々と逸らされてしまう。
形状こそ茨だが、城主の血の魔力で練成された剣は鋼以上の硬度、寸時嫌な重さを手首に伝え。]
……ッ
[赤い色が散るも、髪の数本を切っ先で引っ掛けただけだった。]
[ダーツが敵の胸元に突き立つのを目にし、好機と強引に手首を返し、まだ慣性の残る剣の軌跡を強化された筋力で捻じ曲げた。
が。
追撃は、間髪入れず床から突き上げる茨の槍に阻まれた。
軸足をずらし、穂先に貫かれるを辛うじて避ける。
茨の棘が脹脛とマントの端を掠めて切り裂いた。]
[銀の軌跡が茨の槍を斜めに切り飛ばす。
しかし、それは狙ったものではない。
敵はダーツの刺さった箇所から白煙を上げてはいるものの、さしたるダメージを受けていないように見える。
シュッ、と鋭く息を吐き、踏み込んで再度の突撃。
抉り、貫き、刺し貫く、刺突の剣を驟雨の如く降らそうと]
[床石を砕けんばかりに踏み締めれば、脹脛の切創が開いて血がしぶく。
しかし、見る見るうちに肉芽が盛り上がり、傷口が閉じていく。]
[息を整える間一つを置いて、再び騎士が距離を詰めてくる。
襲い来るのは、無数の突き。
長く重い剣を使っているとは思えないほどに、速く、正確な刺突を
ひとつひとつ、丁寧にさばいていく。
切っ先を打ち合わせ、刀身を滑らせ、時に剣の横腹を拳で叩き、
人にはありえぬ速度で応酬を交わすさまは、舞踏にも似ていた。]
[一瞬たりとも気の抜けない剣戟を続けながら、じわじわと間合いを詰めていく。
相手の大剣がこちらの左胸を狙った一撃に合わせ、
体を投げ出すように前へ踏み込んだ。
深くかがめた左の肩と背中を、銀の刃が裂いていく。
それに構わず、右手を握りしめた。
茨の剣は意思に従い形を変え、拳を守る輪となる。
踏み込みの勢いを乗せ、相手の脇腹を差して拳を繰り出した。]
―バルコニー―
[入れ違うように城内へと赴くヴィンセントに浅く頭を下げて見送る態。
野茨公と血の兄弟である彼に対しても示す敬意。
行動にはそれに伴う思惑があるという信から
野茨公にも公弟にも差し出た真似をする事は少ない。
ヴィンセントの気配が遠退けば、また姿勢を正し
野茨公と、彼に対峙する騎士を見遣る。]
――…。
[そうして聞こえ来るのは野茨公の名乗り>>88
朗々と気高きその声が響けば“子”は実る稲穂の如く自然と頭を垂れる。
統治者としての姿に一瞬重なるのは微かに記憶に残る程度の父親。
危篤の知らせを聞いた一年前よりそれから先を知らない。]
[彼我の間に無数の銀線が交錯した。
火花と連続する金属音を撒き散らし、剣戟の雨が降る。
バルタザールは相手の技量に舌を巻かざるを得なかった。
強化を受けた修道騎士の身体能力は、吸血鬼に引けを取らない。
動体視力と膂力が如何に優れていようと、並みの吸血鬼ではこうはいかない。
攻めているのはこちらなのに、刹那も気が抜けない。
何しろ、一つ一つが必殺の刺突を、相手は正確に裁ききったその上で、まだこちらに攻撃に転じてこないのだ。]
――…頼られぬ事が淋しいと思うのは
頼られる喜びを知ってしまったからだろうな。
それを教えてくれたのは――、……。
[小さな、子供だったアデルの姿が過る。
彼に必要とされる事が、喜びだった。
教会という狭い世界でのしあわせは彼が近くに居てくれた事。]
[じりじりと敵が距離を詰めてくる。
分かっていて尚、牽制と防御の意味でも攻撃をし続けるしかない。
ク、と歯を食い縛る。
それは、心臓を狙った一撃を繰り出したとほぼ同時に来た。
躱せぬ筈の刃を、敵が掻い潜る。
深く身を屈めた敵の左肩から背にかけてを、大剣が裂いていく手応えが伝わり、瞠目する。
懐深く入り込まれた。
次の瞬間、避けようのない脇腹に勁烈の衝撃が炸裂した。]
[人ならざる者となってしまった男は
吸血鬼の城に身を寄せながらも
己のいるべき場所は此処ではないのだろうと思う。
人でもなく、魔にも染まりきれず、季節はひとめぐりしてしまった。]
アデル……。
[吐息まじりに名を呼んで柳眉を寄せる。]
ガ ハ ッ!!
[打撃吸収の下鎧すら突き抜け、内臓を揺さぶる激しい衝撃が、背中まで突き抜ける。
その場に踏み止まれず、足が横に滑った。
剣ではなく、拳。
眼の隅に捉えたそれで、茨の輪を巻いた拳の一撃なのだと理解した。]
[左半身に走る灼熱。
右手に感じる重い衝撃。
どれもこれもが心地よく、精神を昂ぶらせた。
確かな手ごたえに唇を歪め、
茨の輪を短剣に変えて、喉元へ突き上げようとする。
しかしその目論見は、放たれた蹴りに阻まれた。]
[やや前のめりになっていた体を立て直し、蹴りを避けようとする。
結果、バランスを崩したまま足に蹴りを受け、
幾度か後ろに転がりながら衝撃を殺さざるを得なかった。]
たいした闘争心だ。
[左半身を朱に染めて、ゆらりと立ち上がる。]
―――君たち教会の者は、我々に魂がないと言うけれども。
[息を整えながら、言葉を紡いだ。
それは目の前の騎士に向けたものでありながら、
その実、我が子へと教え諭すもの。]
私は現に、ここにいる。
意思を持ち、思考し、感情の高まりに震えもする。
それ以外に、なにが必要だというんだい?
魂などという概念は、教会が人間を喪失の恐怖で縛ろうと考え出した、ただの道具に過ぎないのだよ。
私はここに"生きて"いる。
それが唯一、確かな事実だ。
[ちらりと傍らに立つ我が子へと視線を投げ、
その秀麗な顔へと笑いかける。]
ジーク。おまえも、やってみるかい?
[キャッチボールに誘うほどの気軽さで、我が子に戦いを勧めてみた。
苦痛の色は見せないが、自身の傷は決して浅くない。
暫し、回復の時間を取りたいところ。**]
[――教会から逃げ野茨公を頼りにこの城に身を寄せた。
血の親であり主である城主は己を子として慈しんでくれる。
それだけでも己には過分な事であるはずなのに
人でもなく、魔にも染まりきれぬ男は
この城に己の居場所を見つけられずにいる。
所在なさげに佇む姿がみられるのは、その心が原因。
ちいさな手を思う。
頼られていた日々を懐かしむ。
家族に向けられるはずだった感情は
幼いアデルと出会った時から彼へと注がれ続け
不意に思い出しては、かえりたい、と思ってしまう。
その思いは、主を裏切るに等しいと思いながら
気高き高嶺の花へと手を伸ばしその刺に傷つくをおそれて
熱情を奥底に隠しあたたかく穏やかな安寧を求めている。]
[運良く蹴りは相手に当たった。
後ろに転がって距離を取る敵を睨んで、こちらもふらつく両足に力を込めて、体勢を立て直す。
前進して追い討ちをかけるほどの余裕はなかった。
呼吸を整え、三度構えを取る。
左足を引き、右半身に剣を立てて相対し、より一層冷たく硬く面を引き締める。
ダメージを窺わせるような乱れを毛ほども感じさせないように。
長期戦を覚悟していた。
ただ、時間が惜しい。]
[左半身を朱に染めて立つ吸血鬼の呼びかけは、相手も回復の時間を欲していると解釈した。]
神の御恵を知らぬものの戯言だ。
私が貴様邪属の妄言に揺り動かされると思うな。
[血子と思しい傍らの長髪の青年に語り掛けるを見れば、やはり予想は正しかった、と確信する。
再生される前に、相打ちを覚悟しても叩み掛けたが吉であろう。
だが、そうと分かっても打つ手がない。
吸血鬼である以上、この青年も等閑にできない。
余程相手が弱卒でない限り、相手をしながら城主を攻撃するなど至難の業だ。]
[交替に前に出てきた長髪の青年>>124を、忌々しく睨む。
構えを見れば、大体の技量が分かる。
勝てるとは思うが、倒すまでに城主に回復されてしまうだろう。
加えて、魔族特有の妖術を使う可能性がある。
全く厳しい相手だ。
そう考えると、睨み据える視線に苛烈さが増した。]
[距離を測る相手と同様、自身も構えたまま、じりと摺り足で前に出る。
見つめるうち、この顔をどこかで見たような気がする、と感じたが、戦場にあっては瑣事と頭の隅に押し込む。
どのみちこの青年も魔の眷属なのだから、いずれ倒してから考えれば良い事、と切り捨てる。
右半身を狙って打ち掛かってくる相手を、こちらも迎え撃つために、剣をあわせた。**]
[主に求められたのは余興と認識するが
修道騎士を相手に気を抜くことは出来ない。
吸血鬼となって得た魔力は使いこなすに至らぬから
今のところ剣をたよりにするほかなく
苛烈な眼差しを受けた男はすと目を細め笑みを消した。]
/*
ばるたん、噛み対象だし、なにか振っておこうかな。
↓
名乗ってくれない(´・ω・`)
↓
やっぱり名乗ってくれない(´・ω・`)
↓
やだ。あなたのことばっかり考えてる。これって恋?
↓
戦闘超楽しい!がちがち聖騎士様最高!(イマココ)
[剣と剣が合わさり硬質な音が其処から響く。
真っ直ぐな視線を修道騎士へと注いだ。
主を前に不様な姿は見せられぬと気を引き締めるが
かつて身をおいた場所を思い出させる騎士の姿に苦さを感じる。]
先ずは力比べと参りますか。
[ぐ、と、あわせた剣に重心を預け、修道騎士に負けじと睨む。**]
[忍び入る囁きは、その人の体を傍らに感じるよう。
呻きにも似た歓喜の言葉は、弾む息そのものだ。
幾度となく血を情を通わせた兄弟の絆は、官能とは別種の鈍い熱も伝えていた。
ギィが聖属性の攻撃を受けている──
あの騎士は、不死者の砦に至ることのできる技量の持ち主らしい。
ギィはさぞかし嬉しいだろう。
人の血だけでなく、自らの血にも酔うかのごとく、危地を歩むことを好むギィの性格は知っていた。
彼にとっては、痛みもまた
…妬ける、
早々にケリをつけてしまおう。
[そしてあなたを取り戻すと、素直な想いを素直ではない口調で送った。]
[風は右手の内に圧縮され、大気は塊と変わって力に転じる。
剣で向かい来る蔓の一片を払ったと同時、
右手に囚える力を解き放ち、風圧を蔓の根元へ奔らせた。
衝撃は周囲に突風を巻き起こし、風の弾丸は一直線。
蔓を分ける太い袂を衝撃で打ち砕く風精の一撃。
当然、背後の城壁さえも、微塵に粉砕し、
派手な瓦解の音を伴い、名実共に風穴を開ける。
加減を怠った風の塊は城壁を突き抜け、
西の塔にを削るように掠めて、城を僅かに震わせた。
夜気に四散する力が、無作法な呼鈴が如く大気を掻き混ぜ。
ハ、と息を漏らして、魔回路を派手に広げた右手は微かな熱を持つ
蔓を退けると、同行者らを確認するように視線を巡らせた。]
[礫が散らばり、足元で跳ねる。
自身の右腕は本来姿勢制御と加速に使われるものだが、
発露を絞れば先のように弾丸と化す。
風精は元より操作難き属。
寸裂された壁の向こうには夜が広壮と座している。]
ユーリエを見失ったか…。
――…魔植如きが聖血耐えうるとは思わないが…。
[こんな場所で、彼女に過剰な出血を伴わせるのは上手くない。
剣を握り直して、一拍。]
クレステッド、君はアデルと共に進め。
俺はユーリエを探す。
― 少し前・西の塔 ―
[役目を遂げて主の許へ参じる騎士を見送ると、黒絹に守られた掌を肌蹴て、示指を唇に含み、牙を浅く食い込ませる。
ぽつりと紅玉の浮かんだ指先を、窓辺から夜空へ差し伸べて]
――程なく現れたのは、純白の蝶。
塔の頂まで飛び疲れたのか、ふらりと掌上に墜ち翅を休める。
鮮血に口吻を伸ばしたその翅は、一瞬で闇色に塗り潰された]
いい子ね、――…さぁ、“視て”?
[紅に閃く瞳を細め、命じる声音は、愛しむにも似る]
[彼のものが血を落とした先から植物が活性化…いや、新たに芽生える細い蔦に不思議はあれども研究者でなければ戦術範囲以上のもの以外は興味も失せる。]
死に方なんて……縁起でもねーこと考えてんだな。
[好悪としては、生き足掻かぬ質というのは好きではないが、講釈を垂れるタイプでもない。ただその意図を理解することできない。]
良いか悪いかなんて、後になってみねーとわからんな
[いくら言葉を交わそうと、互いにそれを信じあえるような関係ではない。だから逡巡などせずにさっさと行動をする。
左手でもつ鎧剣を肩に担ぐようにもち、右手で、髪に絡みついた剣を引き寄せながら、無造作に歩き始める。
警戒は怠らない。だが相手から何もしないならば攻撃もすることもせず、そのまま横…こちらから見て吸血鬼の右側を過ぎて向かおうとするのはバルコニーの方面。]
― バルコニー ―
>>129
[金属を打ち合わせる軋んだ音が、夜空に高く響く。
打撃の衝撃、そして受け止めた腕にズシンと掛かる重圧。
重い。そして鋭い。
だが。]
[影のように浮かび上がるのは、狼の形。蟻の形。蜘蛛の形。さまざまな動物や魔物。
取り込まれた因子の元となっていたもの。その中のどれが、この現象を引き起こしているかは知らない。]
[アデルには癒しの力がある。
創を省みぬクレステッドと残すに相応しい。]
と、言うよりも。
二人に人探しが出来るかと言う所だがね。
[独り言を舌の上で転がし、蔦の張った痕跡を追う。
幹ほどある茨を軽やかに飛び越えて、聖女の力を手繰りだす。
アデルとユーリエの位置だけは、空ろげながら理解出来た。]
君には茨を焼いて満足してもらう訳には行かないよ、ユーリエ。
[靴裏が石畳を踏んで、強かな男が動き出した。]
― 少し前・西の塔 ―
[ふわりと浮かび上がる黒蝶は、垂らした鬢に一度留まって、窓の向こうへ姿を消した。その翅は広く薄く、静かに燐粉を零しながら舞う。
あまり魔力を託せば悟られるだろうと、脆い翅には僅かな血と探索の任だけを授けた。その範囲の広さ故、力の衝突を感知する程度の、気休めにしか過ぎないが]
――……、
[既に止まった血の痕を、舌先で拭い落として手袋を嵌め直す。
冷え固まった糖蜜のように、執拗に舌に絡む味。
――元より、生者と死者の狭間に棲む身体。
そこに流れる血が、今より温かった事など一度もないが]
[その影を剣で切り裂く。だがまた生まれる。その繰り返し。時間を僅かでも引き延ばすための抗い。
今はまだ、表層を己で覆っているが、いつかこれらが己の精神を浸食してしまうだろう。
果てがない檻に囚われ解放されることのない己が幼馴染の傍にいないほうが良いのだ。
だから、自分の問いかけに、諾の返事がなかったのは、むしろ幸福だったのかもしれない]
――僕…達、から…?
[『救世主』――教会で何度も聞いて来た言葉。
けれど今まで、自分がその候補だとは欠片も思ったことはない。
血の隅々まで神聖化し、祝福や聖別を行える聖女にくらべ、自分はただ他の子よりは魔力が強いだけ。]
救世主になれるかは…わからないです…。
僕は人々の幸せのために少しでも貢献出来たら、それで…――。
[母親が聖女と言うだけで神子として扱われる事に、どうしても戸惑いと遠慮を感じてしまうのは、教会に来る前の環境が影響していたのかも知れないが、それは記憶がないままで判然としない。
ただ、教会の司祭やシスターを始め――何も分からない自分を見守り、人として必要な教育や教養を学ばせてくれ、ここまで育ててくれた人達のためにも。
この作戦は成功させなくては、ならなかった。*]
[叫びに対する返答は野茨で返された。>>62 >>64]
く、これが回答か……。
私の心を満たしてすらくれる相手はいないのか。
[満たされぬ想いを掃き捨てたところにかかる言葉(>>135)]
了解した、先行する。
アデル、ついてこれるな?
[主の独り言(>>144)など知らずぬアデルに覚悟を問う。]
[轟音の方へ方向転換はしなかった。
そのまま廊下を進めば、白く光を発するごとき少女の姿を見出す。
無垢な幼さすら伺わせるその顔に影を落とすのは恐怖か疲労か。
もしここが森の中であれば、恰好の餌になるような少女だった。
が、状況はそれと異なる。]
──…。
[ことさら気配を消すことなく、近づいた。]
― バルコニー ―
[修道騎士に対峙する我が子の姿を、目を細めて眺める。
剣を構えて立つ姿は、まさに冴え渡る
期待しているよ。
[背を押す言葉を掛け、茨を編んだ椅子に腰かける。
足を組んで、すっかり観戦の体。]
[神の御恵を語る騎士の言葉には、小さく笑みを浮かべるのみ。
もとより、言葉で彼を説き伏せられるとも思っていない。
神の使徒は、いつだって頑なだ。
ふと、足元に落ちたダーツを見つけて拾い上げる。
己の胸に刺さったものと同じもの。
鋭く尖った先で指先をつつけば、身を焦がす痛みが立ち昇った。
唇が、弓形に引きあげられる。]
[二人が剣を打ち合わせる。
ぶつかり合う気迫が、余波となって吹き抜けた。
期待していると語り、慈しみを注ぐ柘榴石の視線は、
同時に、冷静に二人の力量を量ってもいた。
無論、我が子のことは信じている。
だが同時に、厳しい戦いとなろうことも予想している。
愛し子は、吸血鬼としてはまだ雛だ。]
[だから、楽隊を指揮するように、指先を持ち上げた。
バルコニーに絡みつく蔓のいくつかが首を持ち上げ、
先を騎士へ向けながら、ゆらりゆらりと揺れる。
これだけでも気を散じさせる程度の役には立とう。
ただの脅しと無視するならば、生きた槍に貫かれもしよう。
このくらいのハンデでちょうどいい、と満足の顔。]
―バルコニー―
[騎士である前に修道士と語った男の剣技は
修道士のそれとは比べ物にならない。]
――…修道士、か。
[剣を交えながらぽつと無意識に呟く。
修道士ならば神子の事も知っているだろう。]
神子殿はお元気か?
[表情は変えぬまま感情を抑えた声で問う響きを漏らした。]
─ 城内: 通路 ─
[ 悲鳴を上げても、手を引く蔦の強さは変わらない。 ]
はな……、離しなさい。
けがらわしい。
[ どこへ連れて行こうというのか。
いずれにしても魔物のすることだ。恐ろしい場所に違いない。
ユーリエの手を捕える野茨の蔓。何故かこちらに触れて居る部分は滑らかだが、
その先には鋭い棘が生えている。
こちらから握ってやれば、その棘はユーリエの皮膚など簡単に裂くだろう。 ]
……!
[ 痛みを予想し、ぎゅっと目を瞑って逆手を伸ばそうとした時、
不意に蔦の動きがとまった。
数歩たたらを踏んでから、ぺたりと床にお尻をついた。 ]
[バルタザールの受けた改造は、身体能力、抗魔力の全体的な底上げと強力な再生能力のみである。
身体強化と再生能力の賦与は、先行する使徒候補者を使った実験で、ある程度の成果を見、ノウハウが完成しつつある。
バルタザールが受けたのは、その実用化に向けた臨床試験の第二段階。
集められた素人の実験体ではなく、実際に前線で戦ってきた戦闘員を被験者として、安全性と有効性を確かめるのが目的である。
長期運用を目的として作られた為に、厄介な副作用も可能な限り低減され、心身ともに強靭な修道騎士ならば無視できる範囲に収められている。
実験体に比べて尖った性能は無いが、欠点も少ない。
それ自体は、魔に対し直接的なダメージを与えるものではないので、修道騎士の戦闘能力と組み合わさって初めて効果を発する改造と言えた。]
―サロン→西の塔―
[掌をジークムントに預けた血親の後ろを警戒しつつ進む。
数歩前方をゆくジークムントの歩みはごく自然に血親に合わされていた。
この2年で男もその歩調に慣れてはいたが、彼女をエスコートする事など出来ないだろう。
この二人が並ぶさまも絵になるものだとぼんやりと思ったが、心の大部分は別の事に向いていた。
結界が張られてから―正確にはその少し前からだったが―起きていた変化は男の心を乱す。
それでも、自分を落ち着かせるように深呼吸をした後には、普段通りの表情を浮かべていたが。]
[ユーリエの聖気を手繰る。
近づくほどに陽炎が如き神聖が己の身を引いた。
今や、聖人の血を持つ二人の触媒と繋がり結界を成す自身。
これほど早々に三点が一の彼女を失う訳には行かなかった。
己の背に義務が乗るように。
幼子等の背にも、“持つ者の義務”が重く圧し掛かるのだ。]
[主賓に用意された西の塔に、男は足を運んだことがあっただろうか。
――あったとしても、まだ馴染みの薄い城内で自分一人で辿り着ける自信はなかった。
吸血鬼は広大な屋敷に住まいたがるものなのか、と。町の一軒家に住んでいた男は思う。
やがて至ったのは品の良い調度品が設えられた広い部屋。]
―ありがとうございました。
どうぞお気をつけて。
[ジークムントは室内には立ち入らぬままに、部屋の扉を開けて恭しく礼をする。
それに応じるように感謝の言葉を紡ぎながら男も腰を折り、引き返していく彼を見送った。]
行きましょう、クレスさん!
[改めて彼に意志をしめす、自分が彼の足を引っ張るようなことになってはいけない。]
それと、僕が邪魔なら捨て置いて進んでください。
[銀髪の騎士に投げかけて、足を前へ。
彼が気兼ねなく剣を振るえるように、迷いなく敵を探し求めることに集中できるように]
[力こそ拮抗していても、相手は“
と、外側の手摺りの方からゆらりと茨の蔓が鎌首をもたげるのが目に入る。>>153
相手はとことん時間を稼ぎたいようだ、と喉奥で唸る。
やはり楽には勝たせてもらえないらしい。]
[ツ、と指先に伝わる焦熱が、こちらの心を見透かしているようで、ざわめく。]
時間は我らの味方とはいえ──心は急くものだ。
[血親が掌を肌蹴るのは欠けた視線の端に収めつつ、男は壁際に立って外の様子を窺っていた。
侵入者が手練れであれば、城主達も少なからず怪我を負う筈だ。
吸血鬼の身は人間よりも丈夫で再生能力も高いが終わりはある事は血親から聞いて知っている。
彼女は時折自分の殺意を煽ってくるのだが。
客人として通されはしたが、果たしてこのままでいて良いものか。
――この血親が大人しくしているとは思わないのだが。と、ちらと視線を真っ直ぐに向けて。
その時に血親が指先を窓辺に夜空へ差し伸べたのが見えた。純白の蝶は彼女の掌に止まり、その血を受けて翅を黒に染める。]
…あんたはこれからどうするつもりだ?
[蝶を放った血親の掌は再び黒に隠される。
男は壁に身を預けたまま、問いかけた。]
― 少し前・西の塔 ―
[――消え行く蝶の姿に、再び過る記憶があった。
遅ればせながら、あの男の予言通りの反応をとった自分に気づく。
すっと細まる双眸は、蝶に呪を授けた時より遙かに深い紅に染まる]
そこはリーダーと聖女を信じろ。
得意そうだろう? そういうのが。
[目を見つめれると同時に帰ってくる返事(>>164)]
ああ、でも捨て置くことはしないぞ。
主にもいわれているからな
では、行くぞ!
[石床に座り込んだ少女が誰かと間違え──気づいて、誰何の声を発する。]
私はヴィンセント。
人がここにいるのは望ましくない。
──こちらへ。
[短く名乗って手を差し伸べたが、それはユーリエに触れるためではなく、招く仕草としてのものだった。]
神子だと?
貴様は神子を知っているのか?
[此奴、関係ないことを喋って更に気を散ずるつもりか、と火を吹く眼差しを注ぐ。
忌々しい――と、体を捻る。
刃を斜めに逸らして、体重を掛けてくる相手の力を利用して、体勢を崩させようと仕掛ける。
僅かでも隙ができれば、下段の足蹴りを見舞わせるつもりだ。]
[ 手のひらに残る灰の名残を、白づくめのシスター服の裾で拭う。
闇の中で、しろく白い衣装と銀髪。
ユーリエは胸から下がる聖光ロザリオを握った。
ちいさな胸は、自分でもわかるほど早く鼓動している。 ]
神と救世主が、常に私と共におわす。
[ 小さく祈った。
心を澄ませば、アデルの強く清い聖気があり、
続いて秋色の聖気が近づくのを感じた。
少し遠くには、それぞれ色も大きさも様々な神聖な光が……合計7つ。
誰も欠けていない。
いや、欠けていないのが当り前だ。
我々は使徒なのだから。 ]
― 城内/通路 ―
[高い靴音が反響し、聖女に向かう。>>161
だが、先ほどから首筋を伝う魔気が光に近づくほどに強くなる。
混濁した気配は違えることも無い。
ユーリエの傍に魔物が居るのだ。
奥歯を噛むと共に、右手から漏れる風が脚を経過して加速を生む。
白い聖女>>171と銀髪の男>>170、
銀の髪色はクレステッドのそれより蒼に近い。]
ユーリエ…ッ!
[発する声は、ヴィンセントの後方から。
声に銀の魔物が反応すれば、威嚇するよう床を蹴る。
彼の脇を薙ぐように白金の刃が抜け、
浅い太刀は聖女の下へ侍る為の一動。
ヴィンセントとすれ違い様、その瞳を交わし、ユーリエを庇うように身を翻して、魔物と対峙。]
― 城内/通路 ―
[高い靴音が反響し、聖女に向かう。>>161
だが、先ほどから首筋を伝う魔気が光に近づくほどに強くなる。
混濁した気配は違えることも無い。
ユーリエの傍に魔物が居るのだ。
奥歯を噛むと共に、右手から漏れる風が脚を経過して加速を生む。
白い聖女>>172と銀髪の男>>170、
銀の髪色はクレステッドのそれより蒼に近い。]
ユーリエ…ッ!
[発する声は、ヴィンセントの後方から。
声に銀の魔物が反応すれば、威嚇するよう床を蹴る。
彼の脇を薙ぐように白金の刃が抜け、
浅い太刀は聖女の下へ侍る為の一動。
ヴィンセントとすれ違い様、その瞳を交わし、ユーリエを庇うように身を翻して、魔物と対峙。]
君は純粋だな。
騙されない様に気をつけろよ?
[信頼などという言葉をかけられるのは久しぶりだった。
そして、思わず忠告をしてしまう位に心配であった。
教会の裏は騎士時代にもそして今の立場的にもよく知っていたから。]
私は、直に抱き合っている方がいい。
[離れているからこそ、そんなことも言えるのだと薄々わかっているのだけど。]
― 西の塔 ―
[どうする心算かと問う息子の声に、すいと視線を流し>>166]
……、そうねぇ。
貴方は道中のお役目も済んだ事だし、もし加勢をと思うなら、
行ってくれて構わないのよ?
このお城の敷地内くらいなら、何とか範囲内の筈だから。
多分それより先に、紹介状も持たないお客様の結界に
引っ掛かると思うわ。
[求められた物から逸れた答えを返し、微笑んだ。
血を直に注ぎ込んだ唯一の息子の気配なら、一方的に結んだ呪と相俟って、ある程度距離を隔てても感知できる。
それ故、対になる制約を破らぬ限りは、彼の挙動が封じられる事はないのだと。
――不意に身体が部屋ごと揺さぶられ、冷めた微笑が、微かに強張る>>132]
純粋…!?
[そんな言葉をもらうだなんて思ってなかったせいで、一瞬きょとんとしてしまう。]
大丈夫です、僕はもう子供じゃありませんから…。
[もとより、この城に住む悪魔達が真実を語ってくれるなんて思っていない。]
あの時のか…?
[左目の視力を奪われる切っ掛けとなった人体実験。
――あれは何を目的にしたものだったか。
思い出そうとするが、真実にはまだ遠く。
既に欠けた視界には慣れていて日常動作に支障はないが、それでも戦闘をする上では随分と不利になった。
あれから既に数年の日々が過ぎている事実に眩暈を覚える。]
[吸血鬼の聴覚は少女の動悸と祈りの声を聞く。
その繊手に握りしめられたる聖印。
拒絶の意志とともに突きつけられたのは服従を命じる言葉だった。
彼女は神に縋る者ではなく、その威を担う者だと知れる。]
ここは
命令する立場にあるのは君ではない。
[そこは、踏み入れてはならない世界のように思えた。
自分が足を踏み入れれば、壊れてしまうような。]
――― 私は、薔薇の精だよ。
[だから、名を問われて咄嗟に小さな嘘をついた。
雪白の髪をした少年についているのと、同じ嘘。]
――…万一の折には君の祝福をこの剣に。
女の子を切る為に鍛錬したわけでは無いんだがね。
[冗句めかして囁く言の葉。
彼女の血は聖なる水。
剣をその鮮血で濡らせば、
どんな魔剣よりも魔を滅す武器となる。
彼女の血すら、武器と考える男は、
非情な囁きで、彼女の信仰を試すよう呟いた。]
子供じゃないか、何よりだ。
[見た目は子供にしか見えないと言いかけたが止めておいた。
気にしそうであったし、今はそんなことをしている場合ではない。
和んでいるようだが、体が闘いを求めて震えだしていたのだ。]
大丈夫ならなによりだ、では行くぞ!!
[あたりを見渡し、向かう方向は2(10x1)の方向を見据える。]
――…あの反応からして、息災か。
[神子の身に何かあったなら
修道騎士はあのような反応はしないだろう。
息災であってほしいという思いが零れる。]
[過去へ漂っていた思考が引き戻されたのは、
眼前の戦いより聞こえてきた音のせい。]
……アデル。
[その響きを舌に転がして味わう。
なぜ今、あの日の情景が蘇ったのかと不思議だったが、
もしや、と心がざわめきだす。
これはそう。運命かもしれない。]
[叩きこんだ肘にかかる衝撃は>>138、予想したものよりも弱かった。
それでも構わないと目の前の男>>139を軸にすることで、剣の奇襲を交わす。
深く裂かれた皮膚に表情を歪めることもなく、紡いだ交渉は彼の手を止めるに至ったようだ。]
潔いですねぇ。
教会の人間は大抵、自身を正義だと信じて疑わないと思っていたのですけれど、君は違うのでしょうか。
[教会の裏を否定しない様子>>140に、ただの無機物へ向けるような色をしていた瞳に、初めて目の前の人間への興味が宿った。
止血を終えた傷口は、既にじわじわと修復を始めている。]
吸血鬼だって完全無欠じゃないんですから、最期の時を考えたっていいでしょう?
私たちはただ静かに生きているだけだというのに、君たちのような存在が、勝手に命を奪いに来ますからねぇ。
考えることも多いんですよ。
[自身の命を狙うのは、人間よりも同胞の方が多いのだけれど。
しかしそれを口にすることはなく、淡々とした言葉>>142に肩を竦め、ぎち、と引き寄せられる剣に抵抗するように髪が軋む。
擦れ違うために近寄る彼の気配に隙はなく、笑みを湛えたまま言葉を紡ぎ続けた。]
よければ、教えてくれませんか。
君はなぜ吸血鬼を殺そうとするんですか?
[浮かんだ興味をそのままに、横を通り過ぎようとする彼に尋ねる。
未だ剣に髪は絡んだまま、答えを得るまでは離さぬと、言外に伝えていた。]
必要ならば。
[ 「祝福」の意味を察したが、頷いた。
ソマリの持つ剣は、確かに他者を害する武器だけど、
綺羅綺羅と輝き、血なまぐささとは無縁に見えた。
斬る、と言われてもどこか現実感がなくて。 ]
ヴァンスは素直だな。
[さわり、と意識の手を伸ばす。]
今すぐにも飛んで帰ってきてほしいと言えば、
そうするかもしれないよ?
[触れて、抱きしめる気配。]
/*
24h更新久々で、もう2dに行くのか……!という感覚。
文章はしっかり、でも気持ちは巻き気味な感じで行った方がいいのかも。
もうちょっとリエヴルさんとも遊びたいのだけれど、我慢も大事(`・ω・´)
オズワルドさんは大丈夫でしょうか。あと1時間なのでちょっと心配(´・ω・`)
―回想/サロン―
[重ねられた細くたおやかなアプサラスの手の甲に
男は、そっとくちびるを寄せた。]
斯様に麗しき姫君に
紳士と思って頂けたなら嬉しく思います。
[顔は伏したまま、彼女を上目に見詰め微笑した。
壊れ物を扱うかのようにその手を柔く包む男の無骨な指先。]
――…喜んで。
けれど、私に敬称は必要ありません。
ジークムント、と呼んで頂ければ。
[す、と立ち上がり、彼女の身分を思いそう付け加え
道中も彼女を退屈させぬよう不器用ながらもぽつぽつと話し掛け
時折後方を歩むシメオンにも視線を向け、その姿を確認した。]
[命令する先を正しく変えた「聖女」に、静かな笑みを向ける。]
その威光を示せなかった場合、力が足りないのは彼か、君か── 神ではなかろう。
そんな証明に付き合う気はないが、
― 西の塔 ―
[血子に視線は向けたまま、遣いに出した黒蝶へと僅かに気を注ぎ、同調を試みる。
蝶が差し掛かるは城内の廊下、風を右腕に纏う男の頭上。
ふらりと風に惑うように、一度だけ弧を描いて、音もなく行き過ぎる]
………、……?
[円舞に翅を翻す蝶が伝えた、微かな違和感。
警鐘よりも呼応に近い感覚は、余計に引っ掛かる。
自分が呪を授けたのは、眼前の息子だけだ。
厄介事を呼び込まぬよう、人里に降りる時も、双眸に宿す力は必ず抑えて――
――いた、と断じるを阻む記憶が、唯一つだけあった]
[>>180すいと視線を流して紡がれた血親の言葉。
問うたのは‘彼女が’これからどうするかであるのだが、自身については語らぬそれは男がどうするかは任せる、という事か。]
……ふん。
[忌々しげに鼻を鳴らし、唇を噛み締める。
血親に逆らい、脱走を試みた時に一方的に結ばれた呪は今も健在だ。
その際に設けられた制約を破らぬ限りは害はないが、だからといって何も思わないわけではない。
意に添わぬ拘束に反感を抱き、何度か破ろうと試みる度に挙動を制限され、まるで首輪に繋がれているようなものだと更に怒りを募らせた。
――そこまで思い出した頃、>>132部屋が強い外からの力によって揺れ、現実に引き戻される。]
…は、此処まで手が伸びるか。
用意して貰って何だが、この塔も決して安全という訳ではないみたいだな。
俺が呼んだら飛び込んでおいで。
アレはこの場で仕留める。
[示唆するのは銀色の魔。
彼女に課す責は重い。
彼女もまた、高貴なる血が流れている。
呪われし、祝われし、―――救世主たらん血が。]
「聖女」と「騎士」か。
教会はまた大層なものを準備してきたようだね。
ああ―――。呼んでくれるまでおとなしく待っているよ。
手に負えないなら、その時も呼んでおくれ。
おまえが私の元に泣きついてくるのもそそるけれど。
[体勢は崩したが、察知された。
あわよくば転ばせようとした蹴りは外れ、青年は反動で後ろへ下がろうとしている。]
シッ!
[鋭い吐気とともに、蹴りを転じて前に踏み進める足へと。
それを基点に、更に回転でフェイントを加えた回し蹴りで側面から襲い掛かる。]
― 西の塔 ―
――…でも、そんな訳は……
[自ら固く封じた筈の記憶を已む無く手繰り、状況を思い返す。
もし無意識に魔力を迸らせたにしても、血を与えた訳ではない。
あの男と瞳を見合わせた時に、呪句を唱えた覚えも――]
……………、
[ない、と言い切れる程、あの時自制心が残っていただろうか]
[負った傷から血は止まり、徐々に回復をしていく。もうあちらに割り込むか。と思ったところで待ったがかかる。剣を離さずさりとて攻撃をするでもない問いかけ。よければ。などといっているが、聞き出す気しかないのはなんとなく今までのやり取りでわかる。
とはいえ長々と語る気もない。少しだけ思考をめぐらした後]
そんなの普通なことだろ。
[意味は数多にあるが、大雑把にそれをまとめていう。不親切とはいえ偽りない答え。それをどうとるかまで配慮はしないまま、浮いたままの剣の柄を握り、髪の拘束を引きちぎって、己の手元に戻した]
[ 人型をした、魔物。
ここで斃せば、使命の達成に確かな一歩となろう。 ]
いつでもいいわ。
/*
オズさん無事かな…?
あと更新まで40分だけど、お忙しいのだろうか。
リアルで大事があったとかじゃないと良いのだけど。
― 城内 ―
[同じ血の半身と共鳴し、その気配をたどって城主の気が茨を伝う。
ただひとえに「聖女」とやらを見てみたいという興味で、
まさに戦いが始まったばかりの、部屋の片隅に、
そっと自分の欠片を送り込んだ。
"視る"ためだけの力は細い茨を動かし、
小さな体と長い尾を持った動物の姿を編む。
暗がりの中、一匹のリスが3者の戦いを見つめていた。]
[騎士のセオリーにない攻撃を選ぶのは、相手から気力と精神的な余裕を殺ぐためだが。]
貴様が神子の何を知っていようが知らん!
興味もない!
死者の穢れた口で神子の名を語るな!!
[血の親は何処か他に意識を移しているようだ。
いつにない様子に違和を覚えたが、彼女が蝶を通じて何を見たのかは男には分からない。]
……。
[男は自らの手の甲に牙を立て皮膚と肉を割き、疵を作る。
疵口から溢れ、零れ落ちた血を前にして男は口の中で呪を唱え。]
――……。
[吸血鬼となった男の手には愛用の武器はなかった。
行方を捜索に出た教会に回収されたのか、それとも誰かに拾われて売りにでも出されたか。
どちらにせよ、男がその地に赴いた時には戦斧はなく。
――だから男は新しく武器を作る事にした。]
[気になる方向へと進む。]
広間か、魔の眷属と棲家とはいえたいした物だ。
しかし肝心の眷属達は何処だ!?
[向かった先に眷属の姿は見えず。
己の敵はいまだ見つからなかった。]
[材料は自らの血液。
古代文字で紡がれた呪文の詠唱によって男の目の前に現れたのは、
鉱石の如く固い物質で出来た黒い柄に刃渡りが三尺程もある巨大な三日月状の斧刃が取り付けられた
刃の色はその材料を示すが如く、薄らと真紅を帯びていた。]
君の剣技は人としては稀に見る能力だと思うけれど──それでは届かない。
[事実の宣告に見せかけた挑発。
そして、その場に留まったまま、「騎士」の次の攻撃を待った。
誘い込もうとするごとく。
実際、ここよりは有利な戦場へ移動したいのだ。]
― バルコニー ―
「聖女」に「騎士」に「修道騎士」に、
もうひとつ「神子」、か。
あとはなにが出てくるんだろうね。
[バルコニーで行われている戦いに、未だ手を出す心算はない。
ゆらりと揺れ動く蔓は騎士の動きに追随するも、
指揮者の指が振られるのを待っていた。]
[ 胸の前で聖光ロザリオを両手で包み、静かに祈った。
場を清め、使徒が彼本来の力で戦えるように。
……野茨を押しのけて、石を割って、蒲公英がぽつり、ぽつりと咲いた。 ]
[ ユーリエは知らないが、しかし、感じてはいる。
使徒であるこのソマリは、ユーリエを供物と考えていることを。 ]
[自分の血液で出来たそれは、男の手によく馴染む。
戦斧の柄を握り、滲む血液を舌で舐め取った頃には、疵は殆ど塞がっていた。
――教会に属していた頃、人体実験による効果で得た再生能力よりも遥かに早い速度に男は眉間に皺を寄せた。]
[薙ぎ払う剣先を、敢えて硬い板金部分で受け。
金属を叩き、弾き返す打音、切っ先が表面を引っ掻いていく叫声が連続して一音となる。
不安定な体勢からの一撃は、鎧を切り裂くには至らず、打撲を与えるのみ。
確かに耐え切れぬものではないが、それでもきつい振動は伝わる。]
はっ、
祈りの副作用で広範囲浄化してまえー、
と思ったけど、カウンターメインっていう能力が薄れちゃうじゃん!
あっぶなーい。
リス出てきたから、一度書き直して、一度消して、
そのおかげだわ……。
まぁ、それはそうですねぇ。
私も人里近くに住んでいたことはありましたが、この身を保つための糧は頂いていましたし。
[目の前の男>>204へ同意するように頷き、どこか楽しそうに笑う。]
教会の人間は、神を盲信する愚か者ばかりだと思っておりました。
貴方とならいい酒が酌み交わせそうです。
[それが実現しないことを知っていながら、夢を見るようでもなく、ただ感じたことをそのまま零した。
そこに先程までの敵意はなく、すでに戦闘する意思のないことを示している。]
貴方には、誰か大切だと思う方がいますか?
友人や家族、恋人、誰でも構いません。
[普通だと答えた男>>206に最後の問いを投げかける。
引き千切られた髪は力を失ったように地へ落ち、そのまま風に攫われていく。]
吸血鬼にだって、そういった思いを抱く者はおります。
だから私は、人間と吸血鬼の差なんて、大したことではないとも思うのです。
その感覚は、私には分かりませんが。
[同胞について語るにしては、どこか遠い響きを持った音が響く。
男にとっては人間も吸血鬼も、害を成す存在であることに変わりはないのだ。
そこにあるのはただ、無関心に近い嫌悪である。
肩を竦める動作には、侮蔑と自嘲の色が混じっていた。]
[初撃はほぼ痛み分けに近い。
どちらもこの程度の打撲傷で動きに影響が出る身体はしていない筈だ。
寛ぐ城主が気になるが、この状態では如何ともしがたい。]
[悪戯のようにたった一本残った髪が、彼の剣の付け根に巻きつく。
魔の気配を宿したそれのせいで、剣へ纏う聖の力は弱められているだろう。]
貴方が約束を守ってくれること、期待しておりますよ。
ではまた、生きてお会いできることを楽しみに。
[勝手に約束だと言い表し、緩やかに目を閉じる。
戦った男の名を聞くこともなく、顔を見るために振り返ることもなく、己が血の落ちた地面を踏みしめ歩き出した。]
― 観戦中 ―
[茨のリスは、ひらと舞う黒蝶に首を傾げて、髭そよがせる。
風纏う騎士が城主の弟に切りかかるのは黙ってみていたけれど、
足元の茨を押しのけて芽吹いた蒲公英には驚いて、
小さく飛び上がり、より濃い暗がりへと逃げ込んだ。]
ユーリエ、君、あの男の後ろに出れるかい?
気は俺が引き付ける。
[届かぬ剣なら、不足を頭で補う。
体力の足りない彼女に告げるには聊か荷が重いが、
小柄な分、回りこめると考えて発した。]
/*
オズワルドさんに情報提供しようかとも思ったけど、皆から一気に言われると混乱しちゃうかな。
ちょっと黙ってみる(・x・)
……
[続々と仲間が前庭へ、城内へと向かっていく中でオズワルドはひとり、そこに立っていた。
声。足音。ぶつかる金属音。
風が運ぶ、僅かな鉄の匂い。]
[>>212>>223アプサラスに声を掛けられたのは、戦斧が男の手の中に収まった後か。
その内容を吟味した後、考えている事をそこから読み取ろうとするかのように自分の褐色の奥を覗き込む彼女の視線に気付き。
それに対する男の答えは。]
――少し偵察に行ってくる。
[使い魔を使う事は出来るが、間接的な方法を男は好まない。
自分の居場所は血親たる彼女になら手に取るように分かるだろう。血によって結ばれた縁は人間には出来ぬ事も可能にさせる。
何かあれば呼べ、とは言わない。
彼女が自分に遠慮する事などないだろうと思うから。
サロンにいた頃に感じた七つの気配を導にして、血親に留められなくば男は塔を後にしようと。]
―城内―
[行く手に立ちふさがるのは吸血鬼でもなく、その血子でもなく、散るのは蔓と紅い――野茨の花弁。]
…――
[赤――、朱――、紅――。
焼けて灰の粉となり、散っていくその色に、何かが呼び起こされる。
星々を映し出す鏡のような湖面、沢山舞う小さな灯り、そして薔薇のような深紅の髪の――]
― バルコニー ―
謝ることはないよ。
おまえはよくやった。
[謝罪を紡ぐ我が子に言葉を掛け、立ちあがる。]
おまえが尽力してくれたおかげで、
私もずいぶんと楽になった。
―――ふふ。あとで一緒に稽古をしよう。
おまえと剣を交えるのも、きっと楽しい。
[神の使徒らを退けた後のことを当然のものとして口にする。]
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