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歴史のうねりが奔流となり、時代が戦乱へ押し流される。
避けえぬ戦火が人々を呑み込み始める。
大きな時の流れに巻きこまれ、翻弄されるものたち。
その中にあって、なお歴史を作る力と意思を持つもの。
激流の世に生きる人間達の物語が、始まる。
1人目、語り手 が参加しました。
語り手 は、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
かつて、世界を支配していたのは力ある魔導師たちだった。
天候を操り、岩山を削り、夜を明るくする──
魔法は生活を便利にする一方で、使える者と使えない者の分断を生んでいた。
しかし、ある植物が世界を変える。
その植物から作った薬を飲めば、身体能力が飛躍的に向上し、超人になれるという。
武によって世界を支配しようとする者たちが、
魔法を使う者を駆逐せんと蜂起するのは時間の問題だった。
魔導師は狩り集められ、声を奪われ、肉体労働を強いられた。
逃れたわずかな者だけが、陸の孤島たる辺境の学園都市に立て篭もる。
その牙城にも、攻撃の手が迫った。
2人目、風渡る声 が参加しました。
風渡る声 は、奴隷 を希望しました(他の人には見えません)。
村の設定が変更されました。
3人目、皇帝 ファミル が参加しました。
皇帝 ファミルは、呪狼 を希望しました(他の人には見えません)。
行け。進め。
[けしかける声に、あはははは、と高笑いが続く。
先頭で進む船の、さらに舳先に立っている人間こそが、クルーザン帝国皇帝その人であった。]
魔法使いどもを根絶やしにしてやれ。
───ん。
[学園都市の上空が、不意に真昼のように明るくなる。
無数の火球の群れが飛来したとみるや、皇帝は両手の得物を振り上げた。]
そぉれえっ。
[常人ならば両手で持つ両刃斧を片手で一本ずつ持ち、しかもそれを軽々と振り回したあげくに空へ高々と投げ付ける。
斧に直撃され、上空で炸裂する火球の明かりに照らされながら、船は島へと接岸し、雲霞のごとくに兵らが学園都市へ殺到した。*]
4人目、魔法学園生 リヒャルト が参加しました。
魔法学園生 リヒャルトは、共鳴者 を希望しました(他の人には見えません)。
― 一年前 ―
……え? いま、なん、て?
[もたらされた報せは、すぐには信じられなかった。
信じたくなかった、という方が正しいかも知れない]
マンダレーが……陥落……って。
いや、冗談でしょ?
だって、そんな簡単にさ……。
[陥ちるような都市じゃない。
強固な護り手たちもいるし、少なくとも自分の養母は有事に大人しく椅子に座っているような人じゃない。
だから、その報せはすぐに信じられなくて、でも。
説明を重ねられて――信じられなくても、認めるしかなくなっていた]
それ、で……。
[首都が陥落したとなれば、国政委員たる養母も無事では済まない。
一体どうなったのか、と逸る気持ちを抑えて問えば、捕らわれた事だけは聞けた。
それ以上の確認は、まだ取れていないのだと]
そ……か……。
[信じられない。信じたくない。
今にも飛んで確かめにいきたい。
そんな、ごちゃごちゃとした感情と衝動を抑えてくれたのは、幼い頃から繋がる"声"]
……ああ。
わかってる、よ、フレイ。
[ここで自分が飛び出す事を周りが許してくれるはずもない。
そんな当たり前の事を思い出させてくれた声に、それだけを返し。
それから一年、学園都市で修行を積んで、情報も集めて。
集まるそれに嫌な予感を感じていた矢先――それは、訪れた]
はあ? 一体なんだよ、それ!
[突如、湖を船が埋め尽くしたという報せ。
それに口を突いたのはそんな叫びだった]
どこの船……ってのは、聞くまでもねぇか……ったく!
[苛立たし気に吐き捨てつつ、上着を引っ掴んで立ち上がる。
しゃらん、と澄んだ鈴の音が響いた]
……どこに、って、そんなの決まってんだろ!
この状況で、逃げるなんてできっかよ!
[そう言い捨てて、寮の私室を飛び出していく。
突然の事に混乱する声を聞きつつ通りに出た直後に、夜空を照らす火球の乱舞と、そして]
なんっ、だよ、今の……!?
[火球に何かが直撃し、派手に散る光景に、息を飲む]
ってか、無茶苦茶過ぎんだろ!?
[突っ込みが追い付かねぇよ、なんて愚痴は飲み込み走る。
が、それじゃ追いつきそうにないのは明白で]
風よ集え 我の許に。
飛べぬものの 願い届け。
今 この刹那 風を渡り空を翔けるための翼。
集い紡がん……!
[立ち止まり、呼吸整え、歌を一つ、紡ぐ。
短時間の空中浮遊の術。移動手段としてよく使うものだ。
それを用いて、人の流れができつつある通りの上空から、城壁の上へと一気に飛んで]
……いや、これ無茶苦茶だろ!
[湖面を埋め尽くす軍船と、そこから現れる兵の姿に。
最初に口を突いたのは、やっぱり突っ込みだった]
……っても、好きには、やらせねぇからなっ!
[決意を込めて宣しつつ、魔力を凝らす。
応じるように、ベルトから下げた銀色の鈴の束がしゃらん、と鳴った。*]
/*
入村分考えてなかった&肩書きが決まんなくて入村難産してました、俺です(
てのはさておき。
いやもうほんとに俺このポジ大丈夫か、大丈夫か!? と戦々恐々しつつPC1ポジいただいております、くろねこたすくでございます。
やるからには頑張って最後まで突っ走るよ……!
リアル状況如何によっては、難しくなるからね……。
5人目、魔法学園後輩 フレデリカ が参加しました。
魔法学園後輩 フレデリカは、共鳴者 を希望しました(他の人には見えません)。
― 一年前 ―
え……。
マンダレー、って、首都……ですよね……?
[湖上の学園都市にもたらされた報せ>>4。
その衝撃は大きく、首都の直接の関係者ではない自分のところにも、程無くして伝わってきたほどだった]
うそ……だって……。
[南の端にある故郷の辺りに、帝国の支配が及んでいることは知っていた。
魔導師である父のことを案じてはいたけれど――それでもまだ、逃げ延びたという希望は持っていられた]
["この国"が陥ちることは想像していなかったから]
…………っ
[それよりも、とはっと息を呑んだ。
今この時、自分よりもきっと混乱して、飛び出していきそうな人のことを思い出したから>>6]
まってリト、今はだめ……!
あなたは、"ここ"に必要な人なの……!
[立場で縛ることなんて、本当はしたくない。
けれど国の存亡がかかる今、その支柱となるべき存在を喪うわけにはいかなかった]
いつか……いつか私も……。
[戦いなんて、自分には出来るわけがない。
そんな自分の殻を破るように、少しずつ戦闘の訓練も始めていた矢先]
船……ですって……?
[山の奥の、更に湖に囲まれた、秘境の学園都市。
それを魔法の力もなく攻め落とす方法なんて、思い付きもしなかった]
[けれど窓にかじりついて見下ろした光景は。
降り注ぐ火球をものともせず、都市内へ雪崩れ込んできた足音>>3は本物で]
いか……なきゃ……。
[退避する人の流れに逆らうように立ち止まると、顔見知りの一人に腕を掴まれた。
あなたが行ってどうするの、と。
その言葉に首を横に振って、腕を振り解く]
だってこういう時、絶対に逃げない人を知ってるから!
[叫ぶような声でそれだけ言い残すと、それっきり振り向かぬまま兵が上陸した方角へ走り出す]
[追い風の魔法の残滓が、数秒遅れて吹き過ぎていった*]
6人目、帝国将軍 レオンハルト が参加しました。
帝国将軍 レオンハルトは、死神 を希望しました(他の人には見えません)。
[湖に軍船が現れるなど、魔導師達は想像しただろうか]
[夜襲。
一言で言うならその言葉に尽きる。
湖の中心に聳え立つ、威厳さえ漂わせる学園都市を囲むように出現した軍船に、男の姿もあった。
全身黒のいで立ちは闇夜に溶け込むかのよう。
兜をつけぬ頭と顔だけが、夜空を照らし出した無数の火球の光に浮かび上がった]
ま、ただではやられてくれんわな。
───……
[ガリ、と噛んだ丸薬の感想を零しつつ、顰め面のまま、斧により炸裂した火球>>3を見遣る。
男の乗る船は皇帝とは別のもの。
その船もまた間もなく島へと接岸しようとしていた]
陛下もご機嫌のようだ。
俺らもやんぞ。
[部下へと声をかけながら、背負っていた短弓を手に取り、矢を番えて強く引き絞る。
ぎちぎちと、丸薬の効果を得た力にも耐え得る短弓で火球の奥へと照準を定め。
矢を引き絞る右腕を後方へと投げ出すような動きで矢を手放した。
尋常ではない速度で矢が走り、火球を貫いて更にその奥へと飛ぶ。
最終的に矢がどうなったかは、敢えて確認しなかった]
一人残らず狩り尽くす。
続け!
[短弓を背負い直し、腰から剣を引き抜き前方へと付きつける。
闇夜に浮かぶ赤い刀身を振り、男は先頭に立って軍船から島へと飛び降りた。
兵達がその後に続き、瞬く間に数を増していく。
その間にも火やら風やら、男を始めとした兵達を薙ぎ払おうと降り注ぐが、臆することなく進み]
引きずり落せ!
[空を飛ぶ者や小高い場所から魔法を放つ相手を見つければ、兵達は殺到して斬り殺したり捕えて舌を切るなど魔法を封じようとした]
逃げようたってそうは行かねぇぜ。
[空高くへ上昇しようとした相手目掛け、男は地を思い切り蹴る。
通常よりも高い跳躍は、手こそ相手に届かぬものの、右手に握る波打つ剣を届かせるには足るもの]
ぅらぁ!
[跳躍の頂点で薙いだ剣先は、逃げようとした相手の足、その腱を切った。
痛みで集中力が途切れれば落ちもしよう。
そうでなくとも、逃げた先で容易に逃げられぬ枷となる一撃。
この相手も、即座には落ちなかったものの、緩やかに地面へと降下して行った]
こりゃあ労働も難しいな。
直ぐ楽にしてやらぁ。
[捕まえたところで強制労働出来る身体ではなくなってしまったと判断し、思うように逃げられぬ相手を追い詰めて、それ以上逃げられぬよう地面へと蹴倒す。
恐怖を浮かべる相手を、笑って見下しながら、相手の胸へ波打つ剣を振り下ろした*]
[高い場所に位置どれば、自然、あちらこちらの混乱は目に入る。
苛立ちを堪え、鈴を鳴らして意識を澄ませた]
光 集え 我の許へ。
その速さにて 大気裂きて。
全て穿つ 鋭き雨を。
天より 降らせ……!
[歌を紡ぎ、凝らした力の形を変える。
導くのは、光の雨。
もっとも、それは敵と見なしたものを鋭く穿つ矢雨であり、遠慮なく帝国兵へと降り注いでいった]
……このまま、なんにもしないで……。
[首都の二の舞になってたまるか、と。
青年を突き動かすのは、今はその一念のみ。*]
7人目、絢爛無双 ドロシー が参加しました。
絢爛無双 ドロシーは、従狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 湖畔 ―
なんて目覚ましいお活躍。
[ 闇に紛れて水辺に達したドロシーは、湖の上空で爆ぜる火球を認めて感嘆の声を漏らした。
ロンリコの塔を挟んだ向こう側の空の出来事だが、何が起きているかは想像通りだろう。]
多勢に無勢、
あまつさえ魔術士どもは、あるはずのない場所に現れた船団に気を取られています。
我らも、彼奴らの度肝を抜いてやりましょう!
[ 不敵な笑みを浮かべるのは、ドレープとレースを多用した、おおよそ実用的とは言いかねるドレッシーな軍服もどきを着た青年だった。
その精悍な腕の指し示すまま、帝国軍の特殊部隊が次々と湖に滑り込む。
《ウル》を服用した彼らは、常人の何倍もの間、呼吸を止めていられる。
そうして、湖底からロンリコへと攻撃を仕掛ける手筈だ。]
/*
どうも、グラサガ初の悪側、ろこあです。
今回マジ挑戦、大丈夫か俺。
だが詠唱やりたくなかったんだ!(そこ
一つ前の村でお腹いっぱいでした(
ところでリヒャルト、やっぱりくろねこさんですねw
フレデリカが鈴掛さんかなぁ、と。
陛下とドロシーはねこみちさんとえんじゅさんだと思ってる。
ので、ロヴィンがふかさんかなぁ、と。
それにしても格好いい悪役出来るかな、頑張りたい。
/*
ドレッシーな軍服w
流石のドロシー。
湖底から攻めるのはなるほど感。
俺は最初投石機で乗り込むのを考えていた(
[飛距離の問題により断念]
こちら、湖の冷たい抱擁を受け止めているところ。
[ 報告というよりは、アピール気のある声で伝える。]
我よりも疾く駆けるもの その力我が身にて借り受けん――!
[呪歌にて起こした追い風を背中に受け、駆ける体は加速していく。
その途中、高く舞い上がる姿を遠目に見て>>19]
うそ……!?
[跳躍したと見える動きの影が、その剣先を上昇する相手に届かせた。
斬られた相手は上昇の力を失い、ゆっくりと降りていく。
その先は考えたくもない]
…………
[なりふり構わず救いに行く勇気を、自分は持てなかった。
身が竦み立ち止まりかけた身を、追い風が一歩前に押す]
……ごめん、なさい。
[殺到する兵たちに呑まれた幾つもの命を思い、眼差しを伏せた後再び走り出す*]
リト……!
あの人たち、飛ぶよりも速く、高く跳んでる……!
気を付けて……!
[まだ何処にいるかはわからない、けれどきっと戦いの中にいる相手へ、声を送る*]
/*
どうも、うっかり自分の名前をアロマリッチと言ってしまいそうなフレデリカですこんばんは。
とりあえず言いたいこと…フレデリカのチップめちゃくちゃかわいくない!?
なんか一目惚れみたいな理由でチップ決めちゃった。
中身は…がんばる。
/*
とりあえず、リトさんの中身がどう考えてもあの人で本当に(ry
まあこっちのキャラが全然違うから…いいかな…。
ファミルさん狂気が滲んでるけど強くてかっこいいし、ドロシーちゃんはかっこかわいくて口調は思ってたよりずっと凛々しいし。
レオンハルトさんはとにかく怖い…!魔法あっても全然勝てる気しない…!
本当に帝国側が何やってくれるのかって期待がすごくて…!
いやどう立ち向かうのこれ!?(
[聞えてきた声、それが伝えてきた内容。
それは、伝え聞いていた噂話と容易に重なる]
……それ、噂の薬の効果、かな。
[人の力を、本来の何倍にも高めるという薬。
話に聞いただけではピンと来なかったのだが]
っとに……無茶苦茶すぎんだろって……。
フレイも、無理すんなよ。
ヤバいと思ったら、大人しく後ろに下がれ。
[攻撃系の魔法は未だ不慣れなのは知っている。
だからこそ、そこが得意な自分が矢面に立つんだ、という思考でいるのは多分、覚られているだろうけれど。*]
ったく。
いくらなんでも、無茶苦茶だろーが。
[声が伝えてきた内容に、は、と一つ息を吐く。
高所にいるこちらは目立つもの、先の矢雨を潜り抜けた兵たちが集まってきているのを見つつ]
……引き付けるだけ、引き付ける、か!
[そうすれば、戦闘慣れしていない者たちが避難する時間を稼げるだろうから、と。
殊更、居場所を主張するように鈴を鳴らして、力を集中させていく。**]
[鹿も通わぬ険しい山を、船を担いで人が進む。
常人ならば狂気の沙汰と一蹴しよう所業を可能にしたのは、ウルの力だ。
同時に、それを命じた皇帝の兇猛でもあった。]
いいぞ。進め。
怪しげな魔道などに頼る惰弱な連中は、皆殺しだ。
[両の手に握った一対の戦斧で人も建物も等しく粉砕する。
先陣を切る皇帝に兵たちは奮い立ち、各々が常人ならざる力を発揮する。
魔道士たちの放つ炎や雷、光の矢>>21に打たれ貫かれようとも、彼らは怯むことも動きを鈍らせることもなく前進した。
致命には至らぬとも、深手を負った兵らが倒れるのは、ウルの効力が尽きた時だろう。]
[湖の表を進む軍船は、いわば大規模な陽動だ。
これだけで落ちる相手ならば、くだらないがまあ良い。
追い詰められた魔道士どもの最後の牙城たる学園都市には、名のある連中が多数集まっている。
火球を降らせるもの、風を操るもの、大波を引き起こすもの。数多の使い手による必死の防衛で、接岸に至らず沈む軍船も数多あった。
だが、切り札は山越えの船ばかりではない。]
帰ったら、温めてあげよう。
とびっきりの首でも挙げてきてよ。
[戦場の熱気そのままに、あかるいこえが応える。]
[丸薬《ウル》を服用した兵達は生半可な攻撃では怯みはしない。
漲る力と頑健な身体、それに伴う絶対的な自信と精神力。
それらが降り注ぐ魔法にも怯まぬ兵を生み出していた。
降り注ぐ魔法>>21の威力にも耐えられはするが、何度も受ければ煩わしくもなるというもの。
闇を翔ける光はまるで流星のようだ]
あいっかわらず派手だな、魔法ってのは。
おい、被害報告。
[その辺の部下をひっ捕まえて、戦況の確認をする。
光の矢雨に限らず、火球や他の魔法を受け続け、負傷なり消耗した者がいないわけではない。
それでも兵は倒れることは無いし、《ウル》の効果が切れ倒れたとしても、数はこちらが上だろう]
問題ねぇな。
[作戦に支障はない、と。
男は兵を引き連れ更に戦線を奥へと押しやり始めた]
別動隊もそろそろ着く頃か?
[島の反対側、その湖底からロンリコへと向かう手筈になっているドロシーの部隊>>23へと意識を向ける。
かつては皇帝の子として軍事教練の指南を行った相手。
今では立派な指揮官だ]
ま、あっちは任せて大丈夫だろ。
[心配など微塵もしていない]
[逃げ遅れた者を見つけては、赤く波打つ剣を躊躇いの無い軌道で薙ぎ、その首を狩っていく。
男の持つ剣はファミルが持つような重量物ではない。
それ故に《ウル》を服用した場合は、速度を乗せた切れ味を持つ剣閃となり、神速の剣とも呼ばれるものとなる。
加えて、どこを斬れば何を絶てるかを熟知するために、必殺の剣にもなり得るものとなっていた]
陛下は?
前か、城壁すら壊しそうだな。
[部下に問いながら、ファミルがいる方へと視線を向ける。
皇帝自らが陽動として立つ作戦は、相手の裏をかくには持ってこいだろう。
これはファミルが護られるだけではない皇帝だからこそ成り立つものでもある]
さて、と。
さっきの一撃をくれやがった奴はどいつだ?
[降り注いだ光の矢雨の主を探し、戦線を押し上げながら高所を見遣る。
降り注ぐ魔法の中で特に目立った一撃。
厄介だ、と思うのに時間はかからなかった**]
[ 魔術士たちはロリンコに出入りするのに、空中浮遊の魔法を使うのが基本だ。
だからきっと、湖底を移動してくる軍勢は未知数だったう。
湖の中ほどにある島に取り付いた帝国兵らは、取水口の格子を引っぺがし、あるいは門の礎石を砕いて、島そのものの破壊を開始した。
破壊した建材をそのまま投擲弾と化して、街に投げ込む。]
更地にしてかまわぬのです ── 突貫!
薬、って……人の力を高める、っていう……?
[どれだけ人の力を強くしたところで、魔法に対抗できるなんて想像したこともなかった。
けれど目の前で繰り広げられている光景は――]
こんなことが……出来るなんて……。
[無茶苦茶だ、という言葉に同意を向けながら。
こちらを案ずる言葉への肯定は、喉を詰まらせたような曖昧なもの]
うん……でも。
リトもだから、ね……?
[こういう時前に立てる彼を皆が慕っていて、けれどだからこそ喪いたくはなくて。
無理しないで欲しいという念を彼にも送りながら、自身も目の前の状況へ意識を向け直す]
光栄です、陛下。
[ 届いたあかるいこえに、打てば響くような返事をする。]
陛下以上にとびっきりの首なんてあるはずもないけど。
まあ、勝手知ったるところです、
首都攻めより、ずっと気楽。
なんなら、5年前にあなたが迎えに来てくれた、あの場所でまたランデヴーしましょうか。
[ 水を吸って重いドレスをものともせず差配しながら、ドロシーは城壁に手をかける。]
焼きリンゴの美味しい屋台のあったあの公園、まだあるのでしょうか。
[ 破壊行為を強行しながら、ここに学園生として在籍した当時のことを回想していた。*]
[声の繋がりから一時意識を離して、眼前を見据えた。
状況を大きく変える手段など思い付けはしないけれど]
滑らかなるもの 磨かれし玉肌よ
其を汚すもの拒絶せよ 触れるも能わぬほどに――!
[兵が侵攻の際通るであろう道を、滑りやすい素材へと変化させていく。
自分たちのように"飛ぶ"のでないのなら、踏み締めるための足場は必要なはずだ。
怯むことを知らぬ超人>>28に、どれだけ効果があるのかはわからないけれど]
とにかく……合流しなきゃ。
[自分に単独で戦う力がないことは百も承知だった。
適宜道の素材を変化させつつ、激しい光の散る先>>27を目指した**]
― 回想 ―
[ ドロシーは12歳から13歳までの1年間を、このロンリコで暮らした。
それも魔法学園の生徒としてだ。
それは留学ではなく、流謫であった。
生母が魔法で時の皇帝を誘惑した嫌疑をかけられて後宮を逐われ、
ドロシーも後継者候補から外される形で遠ざけられたのだ。
クルーザン帝国は、元々が、魔法の才能がなく共和国で要職につけなかった不満分子が興した国家である。
魔法嫌いは徹底していた。]
[ そんな国で生まれ育ったドロシーも魔法は毛嫌いしていたが、
ロンリコに来て、いいこともあった。
それは、服装について監督する者がいなくなったということだ。
ドロシーは男だが、レースやフリルをあしらった女物の服や宝飾品に猛烈に心惹かれる。
帝国で軍事教練を受けている間は、そんな趣味が許されるはずもなかったが、ロンリコでは自由とあって、
ドロシーは嬉々として趣味の装いに邁進した。
本名のドロメテウスではなく、ドロシーと名乗るようになったのも学園に来てからだ。]
[ 嘲笑う連中は、宝石をあしらった"魔法の杖"で懲らしめてやった。
軍事教練時代の師であったレオンハルトから、急所を的確に突いて、臓腑を損傷させる技を学んでいたのだ。
出費が嵩んで国から送られてくる生活費だけでは足りなくなると、学園の図書館の蔵書のページを破って質屋に流したり、護身術の指導を押し売りして生徒から教授料を巻き上げたりした。
魔法の才能はさっぱりなかったが、《ウル》を使って、軽く触れただけで物を壊す"術"や高く跳躍する"術"などをやってみせ、誤魔化す方法を編み出した。
それなりに楽しくやっていたのだ。
1年しか続かなかったけど。]
― 回想終わり ―
…あの人たち、まだ学生やっているかもしれませんね。
[ 15歳で下克上して帝位につく者もいれば、20歳を過ぎても魔法研究を続ける者もいる。
人間の生き方は千差万別だ。]
せっかくなので、懐かしい学園を再訪してみようと思います。
[ 報復するために。]
[ 取水口から城壁の内部へと潜入したのであれば、城門を開け放って味方を招き入れるのが常道だが、そんなことは無視した。]
ついて来なさい。
[ 配下の兵に号令すると、学園都市の象徴たる塔に向かって駆け出す。
その速さたるや、野生の狼もかくやであった。*]
8人目、魔法教師 ロヴィン が参加しました。
魔法教師 ロヴィンは、落胤 を希望しました(他の人には見えません)。
いいから逃げろ!
今、お前達に出来るのはそれだけだ!
羽根も生えそろわない雛鳥に、ここで出来ることなぞ無い!
[ 脱出を躊躇う年少の子供達を怒鳴りつけるのは、それが教師の役目だからだ。
一年前の首都陥落で、親兄弟を亡くした者も多く、教師を親代わり、友を兄弟と思う気持ちが、その足を鈍らせているのだと知った上で。 ]
足手まといになりたくなければ、さっさと脱出しろ!
[ 今、この状況での脱出路は、空しか無い。
飛行の術を上手く使えぬ者にはそれを得意とする引率の教師が付き添い、防御の術を得意とする者が地上からの弓矢を防ぎながら、少数ずつ、微妙に方向を違えて飛び立っていく。
まるで、狩人から逃れようとする渡り鳥の群のように。 ]
リト……やっぱり……。
[光の魔法を得手とする彼の動きは、遠目にもよく見えた。
恐らくは、敵兵を自身の方へ引き付け、避難する者たちのために時間を稼ごうとしているのだろう。
しかし、敵の数はあまりに多く、怯む様子もない]
…………。
[もうやめよう、という言葉が喉元まで出かかった。
小さく首を横に振ると、今の自分でも出来る仕掛けをひとつ施しておくことにする]
滑らかなるもの 磨かれし玉肌よ
ここに聳え道を阻め 其を傷つけるもの拒絶せよ――!
[節に乗せて唱えれば、眼前の舗装が盛り上がり、道を塞ぐ形で壁が出来る。
敵がリヒャルトを追う形で動くなら、こちらに割かれる兵の数は減るはずだ]
少しでも……時間を稼ぐ役に立てばいいのだけれど。
[侵攻ルートを限定させるためのものだが、城壁をも超える相手にどこまで通用するかはわからない。
結果までは確かめず、壁の裏から建物の影を通って、リヒャルトの方へ距離を詰めていく]
[既に内部への侵入を許していること>>42には、まだ気付いていなかった]
― 回想・5年前/ロンリコ湖畔 ―
[その日、13歳のフレデリカは、初めて湖に聳え立つ魔導の学園を見た]
[南の端にある故郷から首都。それから更に北の山を越えたここまでも、生まれて初めての長い旅路だった。
しかし、ほとんどの行程は、父が雇った馬車に揺られていただけだ。
最後の一歩だけは、本当に自分の力で越えなくてはならない。
空を翔け湖を渡る魔法]
…………。
[そのための呪歌は教えられている。
安全な場所で練習もした。
けれど、これほど広い湖を越えるのは、当然初めてで]
リト……。
[そっと呼び掛けたのは胸の内だったか、知らず"声"として漏れ出していたか。
数年前から、何故か声だけが届くようになった見知らぬ人]
ここに、居るんだよね……?
[逸る気持ちを抑えるように胸に手を置きながら、しばし息を整えた*]
[抵抗を退けながら進む内、足元の質感が変わった。
踏み出した足が奇妙に滑る。
先ほど、前方遠くを横切った影が地面を見下ろしていたが、あれの仕業か。>>37]
鎚を持て。
[戦斧を部下に持たせ、代わりに鎚を持ってこさせる。
見かけはワイン樽サイズの鉄塊に鉄の棒を突き刺したものという重量物を、両手で振り上げ、振り下ろした。
雷鳴もかくやという大音量を響かせ、鉄塊が石畳に衝突する。
地面が揺れ、敷石がめくれ上がり、蜘蛛の巣状に地割れが走り、砕かれた石材の粉が舞い上がった。]
これで歩きやすくなった。
皆も習え。
[号令に従い、兵らが鎚を振るって地ならしする。
魔法の効力はそれで失われたが、帝国軍の進軍速度も鈍った。
そうして生まれた時間は、魔道士の雛らを逃がす隙>>43 にも繋がっただろう。]
[やがて、帝国軍の手は魔道学園の正門に到達する。
既に別働隊は内部に侵入しているはずだが、もとより開門など求めてはいなかった。
この程度、障害ですらない。]
破城鎚を。
[号令に従い後方から車両が一台現れる。
門を打ち破るための、巨大な杭を備えた車だ。
阻止しようと、城壁の覗き穴越しに必死の攻撃をしてくる魔道士たちは、片端から槍や弓矢や、巨大な投石によって潰されていった。]
[無数の防御魔法に守られた門は、数十人の兵らが操る破城鎚を幾度も打ち付けられ、歪み、軋み、ひび割れていく。
満身創痍の門にとどめを刺したのは、皇帝が振るう鋼鉄の鎚だった。]
征け。
蹂躙しろ。
[吹き飛ばした門を踏みしだき、皇帝は兵らをけしかける。
雄叫びを安慶名がら、帝国軍はついに魔道学園の内部になだれ込んだ。*]
一般市民の皆さーん!
帝国軍がぶちのめすのは、魔法使いだけです。
今夜は、おとなしく地下倉庫にでも引き篭もっていてください。
さもないと、怪我をしますよ。
[ よく通る声で宣撫しながら、街を駆け抜ける。
上陸した以上、こそこそ隠れて移動するつもりは毛頭ない。]
どのみち、皆さんが島から出ることはできないでしょう。
魔法使いたちが、一般市民に湖を渡らせるために余力を割くと思いますか?
[ 意地悪く指摘しておくが、それをやる魔法使いがいたら、嬉々として殴りにいきたいと思う。]
[噂の薬の効果については、色々と聞いていた。
けれど、今一つ実感はなかった、のだけれど]
ま、現実は現実として、受け止めるとして。
今は、俺らにできる事をやる……それだけだよ。
[向こうがどれだけこちらの理解を越えていても、それを理由に引く事はない、と。
そんな意思を示した後]
……だーいじょうぶだって。
心配すんなよ。
[声に込められた念。
それに気づかぬほどに鈍くはないが。
今は、全力を持ってこの場に当たらなくては、という思いが強いから。
軽い声音でそう返すだけに止めて]
ってか、効いてんのか効いてねぇのかわっかんねぇってのが一番厄介だよな……!
[光の雨を幾度目か、降らせた後。
それでも勢いを失う事無く迫る敵兵に口を突いたのはこんな愚痴。
それでも、今はやるべき事を思い定めているから迷いはない]
……どれくらい、行けたかな。
[ちら、と視線を向けるのは夜空の彼方。
その辺り、先達たちは抜かりないだろうと思うから、案ずる時間は短いもの]
[高所から見える範囲を見渡す。
帝国兵の動きは早く、相当奥まで食い破られつつあるのがわかった]
……ちっ……。
[止めきれない。今の自分だけでは止められない。
そんな現実が歯がゆい、けれど]
それでも、少しでも……!
[このまま何もせずにいるわけにはいかない、と。
敵兵を引き寄せるように動きつつ、光を手繰る。
その動きが、予想以上の大物を引き寄せている事>>34には、未だ気づいていない。*]
[轟音が響いてくる]
[雷鳴を思わせるような、しかし足の下から響いてくるこれは――]
こわし……てるの?
[足止めとしての効力は確かに発揮したらしい>>50。
しかしその容赦ない破壊の音は、逃げることを選ばなかった少女の身を震わせた]
[間もなく破壊の手は、学園の正門までも到達する>>51]
やめてっ……もう……。
[思わず耳を塞ぎながら言葉を漏らす。
魔法技術を存分に生かした美しく高度な街並みは、瞬く間に破壊されていった]
……うん。
私も……できることは、するから。
[例えば足止めとか、道を塞ぐとか。
少しでもリヒャルトのやろうとしていることを手伝えればいいと、そう思うのだけれど]
…………!
[遠目に見た光景>>52を受けてか、悲鳴を押し殺したような思念が混じる]
[破壊の轟音に掻き消されるとわかっていても、声を出す勇気が圧し折られていくのがわかった。
ごめんなさいと内心で謝りながら、足を学園の中心側――後退する方角へと向ける。
それでもリヒャルトが見えなくなる位置まで下がることは、どうしても出来なかったけれど*]
[その声に気が付いたのは、未だ幼い頃。
魔法の才に目覚める事無く、首都で実母と暮らしていた頃。
最初は、知らない声が聞こえて、向こうにもこちらの声が届いている事に驚いたのだけれど。
不思議と警戒心はなく、それを受け入れて。
魔法学園に入学する事が決まった時に向けたのは]
フレイも、魔法覚えるなら、こっちに来る?
そしたら、会えるな。
[同じ場所に来るなら、会えるだろう、と。
そんな、単純な期待を込めた言葉。
やがて、彼女も学園への入学が決まったと聞かされて。
それに、じゃあ待ってる、と返したのはごく自然な流れだった]
― 五年前・魔法学園都市 ―
……そーろそろ、来るはずなんだけど。
[新入生を迎えるその日。
少年は都市側の湖畔をあちこちうろうろとしていた。
学園に入るには、自身の力で飛ばなくてはならないから、ここで待っていればすぐにわかるだろう、と、そんな安直な発想によるもの。
うろうろしている少年に訝るような視線を向ける者もいたが一切構わず、空を見て、遠い対岸を見て、を繰り返していた時。
名を呼ぶ声>>48が届いた]
……フレイ!
[今までも聞こえてきた声は、それまでより近く感じて。
ああ、近くに来てるんだ、と思いつつ、いつもより弾んだ響きで名を呼んだ。*]
って、なんだっ!?
[唐突に響く、轟音。>>50
魔法によるものとは違う、もっと直接的で物理的な破壊の響き。
やがて、それを更に超える暴力的な音が、響く。>>52
自分が立っている場所にまで振動が伝わり、足元が揺れた]
一体何が……!
[起きたんだよ、という言葉は、途中で止まった]
フレイ!?
フレイ、どーした、大丈夫か!?
[悲鳴を押し殺したような、そんな、ただならぬ感触。
何事か起きた、と感じるのは早い。
だからこそ、投げる声には焦りが滲んで]
……ちっ……。
[届いた思念。
その理由を確かめに行きたいという思いは浮かぶ。
とはいえ]
そうそう簡単に、下がるわけにもいかねえし……!
[そもそも、下がらせてもらえるとも。
思ってはいないわけだが。
しゃら、と鳴る鈴の音は、苛立ちを写してか少し慌ただしくもあった。*]
[ ドロシーほどバランス感覚が優れていない兵の中には、勢いを止められず壁や街路樹に激突する者もいた。
《ウル》を服用してるため、さほどダメージは受けないにせよ、足並みが乱れる。]
情けない! こんな仕掛け、逆に使い倒してやればいいのです。
[ 華麗にスピンしてみせ、滑らかなムーヴの手本を示す。]
後は体で覚えてください。
さあ、超行軍に移ります!
[ スケートリンクを渡るように重心移動でスピードを上げてゆくのだった。*]
お愉しみになられていますか? 陛下
こちらは、思ったほど組織だった抵抗はありません。
魔術士たちも、帝国が船を建造しているという情報くらいは得ていたはずですが、それで攻略目標がロンリコだとは予想しておらず、油断していたのでしょうか。
[ファミルが率いる軍は真っ直ぐと正門へと向かっている。
途中、その歩みが鈍ったよう>>50だが概ね順調のようだ]
門をノックして正面突破ってか?
[学園の門は固く閉ざされているだろう。
だがそれが意味を為さないことは、男も良く知っていた。
門ごときが皇帝の進軍を止めることなど出来ぬのだ]
俺達はこっちだ。
遅れんなよ。
[男が率いる一軍は、ファミルの進路とは別の道へと進み、城壁の一角へと向かう。
その進路とは逆の道に競り上がった壁>>46には気付かなかったものの、そちらに進路を取っていた別の隊が《ウル》による力を以て突破を試みている。
当然、その歩みが止まることになるが、進む道を均した皇帝に倣い壁を破壊するのも時間の問題だろう]
[
あれだな。
[波打つ剣を逆手に持ち、サーコートの下、背に負った短弓を左手で引き抜くと、剣を持ったまま右手で矢を番え、光に狙いを定めた。
ぎり、と特別製の短弓が軋む]
距離はそこそこ……ってとこか!
[言い切りと同時、手から離れた矢が風切り音と共に夜空を翔けた。
通常の短弓よりは飛距離を出せるとは言え、城壁の上となれば届いてギリギリと言ったところか。
それでも放たれた矢は鋭く宙を裂き、光を手繰る青年へと迫る*]
[ 遠く近く、破壊の槌音の響く中、良く通る声が>>53耳に届いて、眉を潜める ]
どこかで聞いた声だな?
[ 嘗て、散々教師陣を翻弄した、愛らしい姿の悪童の記憶は、そうそう薄れるものではない。
どうやら、町の人間を手懐けようというつもりらしいが、そもそも滅亡寸前の魔法使いの町にわざわざ止まってくれた人々だ。もしも帝国が攻めて来たら逆らわず身を潜めろという勧告は首都が落ちた後に学園からも町に布告されていたから、その魂胆に乗じて助かってくれるなら、むしろ重畳だが。 ]
間違っても、逆らってくれるなよ...。
[ 魔法使いでなくても、子供達を可愛がってくれた商店の主人や学園との取引で生計を立てていた者達もいる、彼等が強制労働送りとなるような反抗をしないことだけは、祈るしかなかった。 ]
[状況への苛立ちにより目の前から逸れていた意識。
それを引き戻したのは、鋭く風を切る音。>>67]
んなっ……!
[ここまで飛んでくる矢があるとは正直、思ってもみなかった。
矢避けの結界を張るには向こうが速い。
なれば、青年に取れるの全力を持って射線上から飛びのく事。
それでも完全には間に合わず、矢は左の腕を掠めて過ぎる。
暗い空に、微かに紅が散った]
いって……。
[僅かに掠めただけ。
それだけのはずなのに、伝わる痛みは鋭い。
真っ芯射抜かれていたらどうなっていたか……というのは、とりあえず考えない事にした]
ん、のやろっ……。
[吐き捨てるよに声を振り絞った後、呼吸を整えて]
光 集え 我の許へ。
研ぎ澄まされよ 刃の如く。
空を裂いて 疾く翔け征けよ。
我が途阻む者 貫き穿つがため!
[しゃら、と鈴を鳴らしつつ、紡ぐのは光を呼ぶ歌。
集った光は煌めく槍を形取り]
……お返し!
[短い言葉の直後、矢が飛んできた方へ向け唸りを上げて飛び立った。*]
/*
うおっと...あー、これどうしよう?
リヒャくんのとこに飛ぼうとしてたんだけど、これ助けるのはフレデリカの方が良く無い?
ち...!もう破られたか。
[ 一際大きく響いた轟音と、魔法の防御が破れた感覚に>>52正門が破られた事を知り、男はその場に立ち止まる。 ]
軛より放たれし者 自由なる疾風
清涼なる息吹にて 我が翼を支えよ
[ 低く深く響く詠唱に応じ、びゅう、と逆巻いた風が、その身を空へと運ぶ。弓矢の的になる危険性は、この際二の次だ。 ]
『いかに剛力だろうと、矢は真っ直ぐにしか飛ばせはせん』
[ だから矢が届くより早く、届かぬほど高く飛べばいいのだ、と、いう無茶振りを、当然のように口にする父親に、素直に「はい!」と返事したのは、遠い昔に思えるけれど。 ]
だ……だいじょうぶ。
[こちらを案ずるような声が届く。
彼の集中を切らしたことにしまった、との思いが湧くが、今はこれ以上思考を割かせぬようにと]
怪我とかはしてない!
でも……ごめん。下がるね。
[それを告げることで彼がやるべきことに集中してくれれば、と思いつつ、自分の動きを端的に伝えた*]
リト……!
[宙にある彼の姿が、大きく横に逸れ僅かに揺れた>>69。
何かが飛んできて、恐らく被弾もしている。
致命傷でないことは、直後にお返しのように飛んだ光>>71でわかった]
空を漂うもの 柔らかき水よ
癒しの力帯び 彼の者を包め――!
[癒しの力を帯びた霧を呼び、リヒャルトの周囲を漂わせた。
遠隔であるため効果は微弱だが、止血程度にはなるだろうか*]
/*
ところでフレデリカの位置がよくわからんのですよ。
リヒャくんが正門側で、フレデリカは、学園の中央?
こっちが頭飛び越えた感じかな?
[矢は違わず青年の居た位置を貫く。
相手の反応は悪くなく>>69、飛び退くことで直撃は避けたようだった]
はっ、良い反応するじゃねぇか。
[《ウル》により向上した視力は痛みに歪む青年の表情>>70も捉える。
それを見て笑いながら、もう一本矢を引き抜いた時だった。
聴力の増した耳に鈴の音>>71が響く]
はァん?
引かねぇか、面白れぇ。
[城壁の上で紡ぎ出された光の槍を見て、部下が身を挺そうとしたのを手の動きだけで押し止め。
短弓を左腕へと通し肩まで滑らせ、そのまま左手を身体の前へと掲げた。
左足を前に、右足を後ろへと下げて、迎え撃つ態勢を取る。
その姿はまるで相手の技量を推し量るかのよう]
[避ける素振りも見せず、掲げた左腕 ── 黒いガントレットに煌めく槍が突き刺さる]
───── っ!
[前後に踏み締めた足が僅かに押され、地面を抉り。
衝撃は腕を伝って全身へと巡る。
煌めく槍が役目を終え消えるまで、男は微動だにせずその場にいた]
……ククッ、なかなかやるじゃねぇか。
[ガントレットの奥から見せるのは、楽しげな笑み。
左腕への衝撃を外へと逃がすように、掲げていた左腕をぶんっと振り下ろした。
ダメージは当然ある。
だが《ウル》を服用しているため、直撃を受けても倒れることは無い]
引かねぇところを見ると……アイツぁ時間稼ぎか。
[これだけの戦力差で勝つ心算でいるなら、それは蛮勇でしかあるまい。
そうではないとするなら、何かの時間稼ぎと考えるのが妥当だろう]
ま、死にたいならお望み通りにしてやるさ。
[左腕に通していた短弓を手に戻し、サーコートの下へと戻して。
城壁の下で工作する部下達に発破をかける]
おら、さっさと終わらせねぇと陛下が戻って来ちまうぞ。
[学園の占拠が終わっても攻略出来ていないとなれば恥でしかない。
男に憧れついてきた部下達のこと、男の顔に泥を塗らないために作業速度を速めることになった。
城壁の下には鎚を持ち破壊を目論む者、シンプルに梯子をかけ登ろうとする者。
少し離れたところには投石機さえも用意されていた]
俺も上がるぞ、足場組んどけ。
……っとぉ?
[そう指示を出した時、耳に怒鳴り声>>73が届いた。
どうやら声はこちらへと近付いてきているよう。
正しくは、城壁の上の人物だろうか。
視力の向上した目で空を眺める*]
って――先生!?
[その発動と前後してか。
空中高く舞い上がる姿>>72を、思わず視線で追っていた。
同時に、リヒャルトを怒鳴りつける声>>73がこちらまでも届いてくる。
聞き慣れた声にこんな状況ながら、少しばかりの安堵を覚えた矢先]
え……なに……?
[予想もしていない方向で敵兵が動いていた>>65。
滑りやすくした地面をスケートのように渡って、背後方向からこちらへ近付いてくる*]
どうなってるの……!?
[ 優雅にジャンプして、屋根の上に立つ。
城門前に押し寄せた帝国兵の熱気が渦を巻いているのが見えるようだ。
その先陣に皇帝がいることを疑わない。
学園側からの反撃は、光の矢を降らせるなど派手ではあったが、術者の人数は少ないと踏んだ。
戦いを放棄して逃げる算段なのだろう。
魔術士は捕縛されれば無事では済まないから、妥当な判断とも言えるが──]
徹底抗戦してくるなら、民間人を人質にして揺さぶりかけてみようと思ってたけど、
張り合いのないこと。
[ 肩にかかった金髪を払う。]
リト……どうしよう……。
後ろからも敵が来てる……!
[何故こんなことになっているのか、理解できない。
けれど伝えなければ、と思う。
本当の声は出せないから、思念を通じてでも*]
[下がる、という言葉に、滲むのは安堵の気配]
そっか、なら、いい。
……無理すんなよ。
[言ってる自分は全力で無茶している、というのは棚に上げてそう告げて]
……って……ロヴィン、せんせ……?
[反撃の直後に届いた怒鳴り声。>>73
ある意味とてもとても聞きなれたその声に、動きが止まる。
直後、ふわりと身を包んだ柔らかな水の気>>74が、傷の痛みと共に熱を浚った。
それで一先ず、落ち着きはした――ものの]
いや、なんで止めるんだよ!?
[とっさ、口を突いたのはこんな返し。
先に放った光の槍は、相手を捉えたにも関わらず、倒すには至っていない。>>77
意図的に受け止められた、とまでは気づけていないが、向こうが傑物なのは何となくだが感じ取れている。
だから、ここで手を止めるわけには、と。
そんな思いが、声音に滲んでいた。*]
村の設定が変更されました。
[背後を突いた敵軍が何者なのか。
その時点ではまだ、"動いている"とまでしか把握できていなかった]
[ただ、逃げ道を探すように振り向いた視線の先。
軽々と飛び上がり屋根上に立ったシルエット>>81に、思い出すものがあった。
学園の中で一際目を引いていた、ひらひらできらきらのその姿]
ドロシー……ちゃん……?
[思わずそう名を呼んで、見詰めてしまっていた。
"彼"の立場が何であるのか、もう明白であるというのに*]
って、後ろから!?
[齎された報せに、上ずった声が上がる]
一体、どこから入って来たんだよ、それ……!
[よもや水中からとは思いも寄らず。
また、それを率いる者が誰かも、今は気づく余地はなく。
この状況をどうするべきか。
今はそちらに意識が向くものの、すぐに答えは見つからない]
輝ける星の雨 夜渡る月の泉
降り来たり 溢れ来たり
その恩寵に 巡るは輝く荊の棘
[ 城壁に取り付き、昇ろうとする帝国兵の動きは上空からも見えていた。>>78
彼等を打ち倒すだけの魔法を放つことは出来ないが、せめてもの足止めをと上空から光の棘を降らせる。
棘は城壁に届くと、その上で荊の蔓のように伸び広がって石の壁を覆い、兵士達にも絡みついて動きを阻もうとするだろう。]
何故、止めるかだと?!止めなきゃ死ぬまで止まらんバカがいるからだっ!
[ 不満一杯という様子のリヒャルトの前に降り立ち、、もう一度怒鳴ってから、視線を巡らせる。超人ならぬ身には、こちらを見上げる死神の顔は見えない>>79だが、先刻、癒しの魔法をリヒャルトに届けた、もう一人の雛鳥の姿は遠くからでも判別できた。>>74 ]
...それに、お前が止まらん限り逃げない奴もな。
他の雛鳥供の撤退は概ね終わった、フレデリカを連れて、お前も行け。
[ リヒャルトが納得しようとしまいと、譲る気はないという断固とした表情で告げる。 ]
これは、学長の命だ、魔導師リヒャルト・ターゲリート。
学生達を率いて、可能ならばセンテナリオへ落ち延びろ。
[ 魔導師、と、呼ぶ言葉と共に差し出すのは、学園を首席卒業した者にだけ渡される、一人前の魔導師と認める紋章入りのメダリオン。* ]
わかんない……でも……。
[どこから、の問いには首を横に振るしかない。
ただ一つ、自分が確かに見たものがあった]
ドロシーちゃんだった。
[彼も知っているはずの――短期間とはいえ、この学園に在籍していた人物の名を口にする]
逃げよう、リト……?
[恐らくロヴィン先生が告げているであろう言葉を、自分からも伝える。
1年前のあの時と同じように、自分はそれをしなければいけない]
もう、十分時間は稼いだから……きっと……。
[背後から来た一団に、完全に挟まれる前に。
彼に動いてもらわなければと、必死に念じる*]
あァん?
あの顔……どっかで見たな。
[対峙していた青年の傍へと降り立つ魔導師>>86を見て、男は首を傾げた。
見た、というよりは誰かに似ている、という感覚。
先程聞いた声も記憶を微かに揺さぶるものだった]
…っとぉ。
なーにやってんだお前ら、んなもん振り払ってさっさと進めろ!
[降り下りてきた棘が荊の蔓となり、城壁に取り付こうとしていた部下達に絡みついていく。
男自身が城壁へ上るために足場にする予定だった部下達まで捉えられ、苛立ちを含んだ声で檄を発した]
投石機は行けるな。
やれ。
[唯一、離れた位置に設置した投石機だけは動かせるよう。
指示を出し、連続して幾度か巨石を城壁へと投げつけた。
城壁の破壊は勿論、城壁の上に居る者を撃ち落とす心算でいる*]
[城門を抜けた帝国軍は、広がりながら各所を制圧していく。
隠れているものを探し出し、抵抗を沈黙させようとする。
未だ、肝心の相手が見つかっていなかった。
学園の心臓である学長を捕らえねば、片手落ちだ。]
やはり、あそこかな。
[視線を向けた先に、学園都市の象徴たる塔がある。]
……あのとき、どうして落ちてきたのか、
そういえば聞いてなかったな。
[過去への述懐は誰に聞きとがめられることもなく消えた。]
ランデヴーなんて言い出すからには、もう向かっているのか?
[当然そうだろうと疑いもしない口調で言い]
なら、競争だな。
どちらがあれを落とすか。
[機嫌良い笑い声を添えた。]
魔法使いどもには想像力が欠けていたのだろう。
もう少し歯ごたえがあると思ったのだけれど。
魔導に頼る惰弱な連中に期待するのは酷だったな。
それでも、これが最後の都市攻めだ。
派手な有終くらいは飾らせてやろう。
魔法使いの首には賞金を出すぞ。
学園長なら十倍だ。
さあ、どんどんいけ。
[餌を投げられた兵らが歓声を上げる。
褒賞に目を血走らせる兵の間を歩む皇帝の姿は、既にここは己の町と言わんばかりの悠然たるものだった。**]
[ロヴィンの懸念>>86通り、リヒャルトを置いては下がれないまま、互いだけに通じる声を彼に向ける。
一方で視線は、彼らより後方に位置していたからだろうか、既に認識できる距離にあったドロシーに向けられていた。
そちらからもじりじりと距離を取りつつ、使うべき呪歌を思案する*]
― 回想 ―
おとーさん!
わたしも魔法、使えた!
[不思議な"声"を聞いたあの日、喜び勇んで父に報告したことを覚えている]
[父親は魔導師で、魔法の力で人々を災害から守ったり、街の便利な仕組みを作っている人だと聞かされていた。
そんな父が小さい頃からの憧れで、ずっと同じような力を使いたいと願っていた。
それが特別な力だということも、同時に聞かされていたけれど]
[だからその"声"が兆しなのではないかと、拙い言葉で父に伝えようとしたのだけれど]
『残念だけど、それは魔法とは違うものだよ』
[優しく頭を撫でて、父はそう言った]
『けれどきっと、魔法よりずっと大事な力だ。
だからその力と相手との縁を、大切にしなさい』
[本当の魔法の力が確認できたのは、それからもう少し大きくなってからだった。
"声"の相手は先んじて魔法を使えるようになっていて、色々あって今は学園にいるらしかった。
自分は魔法の力をどう伸ばすか――例えば父の伝手で専門的な魔法を学ぶなんて道も、自分の前にはあったのだけれど]
――うん。
いつか魔法が使えるってわかったら、絶対に行くよ。
[そんな約束>>59が胸の内にあったから、父親に頭を下げて学園に入りたいことを告げた。
勿論、より高度で世の役に立つ魔法を学びたいというのも、嘘ではなかったけれど――]
― 5年前/ロンリコ湖畔 ―
[自分の名を呼ぶ声>>60がして、はっと顔を上げた。
対岸は遠く、顔を知らない相手を見分ける術もないのだけれど――確かに、そこに居る、と感じられた。
いつもより弾んだ響きに、こちらも緊張より高揚が上回る]
今からそっち、行くね……!
[声と共に手を振った後、大きく息を吸い込んだ]
天を翔けるもの 吹き渡る風よ
我が身を運べ 眼差し導くままに――!
[父に教わった少し古い呪歌で、己が身を対岸へ飛ばす]
[――ところで、呪歌の発現には抑揚も重要な要素となる。
思いのままに逸るテンポで歌い切れば――]
って……きゃあっ!?
[予想外に高い軌道で、少女の身は対岸へと飛んでいった*]
[声によってもたらされた報せ。
それに、どうすれば、と思い巡らせていた所に届いたのは、再度の怒鳴り声。>>86]
……っ!
って、なんだよそれ!
別に、俺は死ぬつもりなんて……!
[死ぬつもりなんてない。
けれど、やれるだけはやりたい。
結びついた二つの想いが、他者からはどう見えるか、の自覚ない青年は反論を口にしようとして。
自分が止まらない限り逃げない、という指摘に、言葉に詰まった]
[下がる、と告げてきたのに、術の範囲内いるフレデリカ。
彼女の後退を妨げているのが自分、と言われると、否定ができない。
無意識、俯いていた所に告げられた言葉。>>87]
……魔導師……って……俺、が?
[視線を上げた先にあるのは、紋章入りのメダリオン。
それと、学長の命、という言葉に、碧い瞳が瞬いた]
……ドロシー……って。
いや、あいつなら何やっても不思議ないけど。
[どこから、という疑問に答えが得られるとは思ってはいなかった。
ただ、告げられた名――忘れたくとも忘れられないそれは、思わず、こんな呟きを落とさせる。
続けて紡がれた願い。
答えるには少し、間が開いた]
…………ん。
わかっ、た。
[は、と大きく息を吐く。
逃げなくてはならない現実への歯がゆさはあるが、同時に、ここで自分ができる事の限界も感じていた]
……わかった、よ。
[城壁下が騒々しくなっている。>>88
多分、時間はあまり残されてはいない。
だから、紡いだのは短い了承と]
……魔導師リヒャルト・ターゲリート。
学園長の命に従い、脱出、します。
[居住まい正して、差し出されたメダリオンを受け取る。
下からの投石>>89が始まったのは、それと前後してか。
舌打ちと共に、真面目な態度はがらりと崩れて]
ってかな!
人にそう言ったからには、せんせーたちもちゃんと離脱しろよな!
[叩きつけるのは、子供じみた我儘。
しゃらり、と鈴が一つ鳴り、魔力がふわりと渦を巻く]
風よ集え 我の許に。
飛べぬものの 願い届け。
今 この刹那 風を渡り空を翔けるための翼。
集い紡がん……!
[吟ずるのは、先も紡いだ飛行の魔法。
飛んできた投石を寸での所でかわした青年は、城壁の上から空を翔ける。
目指すは、絆の声で結ばれた者の所。*]
/*
マンダレー回想を並行して書いているのですが、ねむねむで欠伸しまくってます!(
絶対長くなるぞこれ!!(おまえ
/*
ここでごねるとみんな眠れなくなるよね、という事でさっくり受け取る(
てか、俺のこのタイプの動かし方わかってやがんなこんにゃろどもwwwww
あと、相棒殿が予想以上にかわいい(
― 5年前/魔法学園都市 ―
[そっちに行く、という声に、うん、と短く返してその時を待つ。
やがて、対岸から飛んでくる人影>>95が見え――]
って、ちょっ!
[飛んでくる軌道の高さに、上ずった声が上がった。
あのままだと、岸を大幅に通り越して、どこかの建物に突っ込む、と。
そう、気がついたから、躊躇う事無く飛行の歌を吟じていた]
……間に合え、よ!
[念じながら空を翔ける。
間に合わせなきゃ、の一念が届いたか、どうにか建物に突っ込む前に少女の身体を受け止める事には成功して。
はあ、とひとつ、息を吐いて、それから]
[ 反発、逡巡、そして決意...揺れ動きながら、思い定めた若者の様子に>>100わずかに笑みが零れる。 ]
そう気負うな。お前は元々雛鳥共の大将だったろうが。それが「役目」になっただけのことだ。
だが、大将が撃ち墜とされれば、群れは方向を見失う。それだけは忘れるなよ。
[ 祝いの言葉代わりに送るのは、そんな諫言めいた台詞。因果な事だとは思うが、若者達の無事だけが、先への僅かな希望だという認識は、教師達の間でも一致していたから止む無しだ。 ]
俺の役目はお前ら雛鳥共の後ろを守る事だ。お前は前だけ目指して飛べ。
[ 得意だろう?と、飛び立つ若者に告げて、その背を見送る。教師達の中で学生達と共に脱出する事を命じられたのは、男を含めて比較的若い数人だけ。年長の教師達は皆、時間稼ぎの為に残る事になっている、とは、告げる事はできなかった。 **]
[フレデリカの所へ向かうべく風を手繰りながら、ふと、意識は過去へと彷徨う]
……ドロシー、か。
[告げられた名前は、一時期ここでの時間を共有した相手。
と、言ってもいい思い出は圧倒的に少ない。
とにかく、彼とは徹底時に気質があわなかった。
騒動を起こしている現場に突っ込んだ回数は、さて、両手で足りたかどうか。
やり過ぎて自分も一緒に怒られる事も多々あったが、それでも、見過ごせないから突っ込んで行って――]
……お前、さぁ。
一体、なんでここに来たわけ?
[いつだったか、起こした騒動の喧嘩両成敗、という事で一緒に反省文を書かされていた時。
ふと、気になってこんな問いを投げかけた事がある。
当人はここでの生活を楽しんでいるようにも見えたが、その楽しみ方の方向性が今一つ理解できなかった。
いや、女装の部分は好き好きだから、で、突っ込まなかったが]
なんてゆーか。
ここと、あってるように見えないんだよね。
[純粋に、魔法を身に着けるために入学した身からすると、それが目的と思えないのにここにいる、というのが不可解で。
彼の生まれや事情なんて知る由もなかったから、思ったままをそのままぶつけていたのだった。**]
[投石の合間を縫い、一つの影が空へと舞う>>101。
光を手繰る青年は教師らしき人物に叱咤され、この場から引いたようだった]
ちっ、もう終いか。
てぇことは、時間稼ぎをする必要がなくなった、ってことかね。
……いや、今度はこっちが時間稼ぎする心算か?
[視線はこの場に残った教師らしき人物>>105へ。
先程から刺激される記憶はいつのものだったか。
刹那の回顧は一年前へと飛ぶ]
― 一年前・マンダレー陥落時 ―
魔術師にもこれだけ剣を使える奴がいたとはな。
[共和国首都マンダレーを堅固に囲んだ城壁を突破し、大量の兵を引き連れ雪崩れ込んだ先で、男はある敵と対峙していた。
マンダレーを守護する魔導師団の団長、アーノルド・ブルバード。
剣魔双方に優れた魔導師で、洗練された攻撃魔法と剣技を組み合わせての攻撃は非常に厄介なものだった。
離れていれば魔法が飛んでくるし、近付けば剣による迎撃が待っている。
魔術師ならば近付いてしまえば良い、という認識を覆させる相手だった]
ならしばらく…付き合ってもらうぜぇ!
[距離ある位置から一足飛びで相手へと迫る。
《ウル》を服用した身ならば、その一歩も通常より速く、身を運ぶ距離も長い。
アーノルドは最初、詠唱を行おうとしていたようだったが、直ぐに構えを変え、男が振るう波打つ剣に対し、受け流すように剣を合わせてきた。
大した反応力である]
はっ、やるじゃねぇか。
だが……
[男は己の右から左へと剣が受け流される動きのまま、右足を浮かせる。
放つのは至近距離での膝蹴り。
アーノルドの左脇腹を狙ったものだ。
その動きにはアーノルドも対処出来なかったのか、蹴られるままに後方へと吹っ飛んでいく]
剣だけが戦いじゃねぇ、ってのはこっちも同じなんだよ。
[蹴り飛ばした先を見て笑いながら、男は剣を構え直した]
[それと同時、蹴り飛ばした先から炎の矢がいくつも男目掛けて飛来する。
男は下がりながら、波打つ剣で一つ、また一つと斬り割いていく。
捌き切れぬいくつかが身を焦がしたが、今のところは焦げただけだ]
ははっ、吹き飛びながら詠唱したのかよ。
面白ぇ。
[炎の矢を斬り割きながら笑い声を上げる。
これまで対峙した魔術師とは明らかに違う相手に高揚は隠せなかった。
やがて炎の矢が途切れんとした時、その瞬間に肉薄するべく足に力を込める。
右手に握る波打つ赤き剣を届かせるため、地面を蹴った時だった]
───!?
[思いもよらぬ衝撃が身を打つ。
目では捉えられぬ、何らかの力。
それが連続して放たれた衝撃波だと気付くのは、身体が吹き飛んだ後だった。
男の身体が近くの建物へと打ち付けられる。
建物に入った皹を背に、足はしっかりと地面を踏み締めた。
倒れぬのは《ウル》の効果もあるが、上に立つ者としての意地でもある]
あ゛ー……マジで厄介だわ、アンタ。
[言いながら、声は笑いが含む]
だが…斬り甲斐もあるってもんよ。
[この厄介な相手を下してこそ、戦いのカタルシスを得られるのだ]
[壁から身を起こせば、アーノルドも構え直したところで。
その場から動かないところを見れば、また詠唱を行っているようだった]
そう何度もやらせて堪るかよ。
[そう言って即座に引き抜くのはサーコートの下の短弓。
逆手に剣を持ち、矢を番えて。
弦を引き切らずに、速射の形でアーノルド目掛けて矢をいくつか射た。
それに対してアーノルドは身を揺らし、直撃を避けている。
詠唱は止めざるを得なかったようで、男に対しての追撃は無かった。
代わりに男の方が矢を射ながら距離を詰め、左手に短弓を持ったまま剣を逆手で持った状態で右下から斬り上げる。
切っ先は届かず掠めるのみとなったが、振り上げた勢いを利用して、剣を順手に持ち替えた。
そのまま同じ軌道で振り下ろしながら一歩踏み込む。
今度は相手の剣に当たる衝撃と共に、肉を切る手応えを得た。
振り下ろされる剣の速度に耐えられず、受け流し損ねたよう。
アーノルドの右肩に深く紅い筋が入っていた。
波打つ剣による傷口は幾度も斬られたような痕となるため、傷の治りは遅くなる。
魔法で治癒を施すにしても、通常よりも治りにくくなることだろう]
まだまだぁ!
[アーノルドが踏鞴を踏んだところに、畳みかけるように相手の左肩から袈裟懸けに剣を振り下ろす。
傷を受けた相手の動きは明らかに鈍っており、身を捻って致命傷を避ける程度の動きしか出来ないようで。
振り下ろした剣は再び相手の身を裂いた。
両肩の傷は痛みと出血によりアーノルドを苛む。
アーノルドはどうにか剣を持ち上げながら、何事か詠唱を行おうとしていたようだったが、それよりも早く男の波打つ剣が閃いた。
男の左下へと流れた剣の切っ先が円を描き、左の真横まで持ち上がる]
はぁっ!
[気合一閃。
真一文字に薙いだ剣はアーノルドの胴を捉え。
彼は腹部から紅い飛沫を飛ばしながらその場に崩れ落ちて行く。
息つく間のない連撃が、魔導師団団長を下した瞬間だった]
……は、良い腕だったぜ。
あばよ。
[崩れ落ちたアーノルドを仰向けにすべく蹴り飛ばし、最後の言葉を投げかける。
彼が最後に見たのは男が笑う姿。
腹部の傷が既に致命傷だったが、男は仰向けにしたアーノルドの胸に剣を突き刺し、確実に仕留めた。
魔法による治癒を防ぐためである]
魔導師団団長、アーノルド・ブルバードは討ち取った!
残るは雑魚だ、蹂躙しろ!
[止めを刺したアーノルドの遺体を左手で掴み、高く掲げ上げる。
周囲で上がるのは部下達が湧く声。
魔導師団の団員からは団長を呼ぶ絶叫が上がったことだろう。
こうしてマンダレーはその日のうちに陥落したのである**]
/*
悪役感ってどうやって出せば良いんですかね!
取り合えず基本足蹴にはするようにしている(
そして首ちょんぱで〆ても良かったんだけど、ただのNPCではない(他の人の持ちキャラである感覚)ので、ちょい自重した。
と言うか自分が死ぬ時に首ちょんぱされたい(
希望出す心算でいる(
でも、なんで…
5年もたっているのに、まだそんな髪型をしているなんて、もったいない。
あなたの太陽のような髪はロングにした方が間違いなく豪華なのに!
[ 以前、売ったことあるくらいだ。]
こちらへおいでなさい。
真夜中のティータイムと洒落込みましょう?
[ まったく場違いな提案を投げかけた。
そのココロは「逃すつもりはありませんよ」だ。**]
― 離脱前/城壁上 ―
気負わなくていい、っていうのはいいけど、その言い方ってどーなんだよ……。
[『雛鳥共の大将』、という評>>105に、つい、むくれたような声が上がる。
睨んだ所で動ずる事はないだろうけれど、ジト目になるのは赦されてほしかった。
それでも、「役目」の言葉と、続けられた言葉に拗ねた色は影を潜める]
……わかった。
先に、行って……待ってる、から。
みんなで。
[告げた言葉にこもるもの。
それは、先に離脱した皆で、教師たちの合流を待っているから、という誓いと願いの双方。
年長の教師たちの意思は知らぬが幸い。
聞いていたら、またひと騒動起きたのはほぼ間違いない――というのは。
この教師には、特によく知られているだろう。
最初の出会いで驚かして以降、何かと縁がついた彼には必然的に、ドロシーとの揉め事も知られている。
根が真っ直ぐで、真っ直ぐすぎるが故に曲がれない、折れられない、そんな気質故に起きた騒動の数々。
その仲裁に駆り出されていた回数は、ダントツで多かったから]
― 8年前/湖畔にて ―
[自身の入学と同時期に赴任してきた教師。
彼との出会いは、こちらの最初の湖越えの時だった]
ここを、歌で渡って向こうに行けばいいんだよね?
[湖畔まで送ってきてくれた付き添い役に確かめて。
それから、改めて湖に碧を向ける。
静かに広がる湖面。底はとても見えない。
故に、普通は空を移動して向こうに渡る、と聞かされていたのだが]
(こんっなに広い場所。
普通に渡るとか、面白くないよなー。)
[口には出さねど、意識にあるのはそんな思い。
しゃら、と鈴を鳴らして魔力を凝らし、呼吸整え、そして]
風よ水よ 我が
水も空も 等しく翔ける。
[紡いだのは、風と水の双方に働きかける複合術。
養母の同僚が水遊びをする時に使うのだと教えてくれた、水上歩行と浮遊の効果を併せ持つ歌。
いつかどこかで使ってみたい、と思っていたそれを躊躇いなく発動させて]
んじゃ、行ってくる!
いよ、っと!
[付き添いがぎょっとしているのもお構いなし、鈴の音響かせ湖面に飛び出す。
時に水の上を駆け、時に浮遊で宙を翔け。
文字通り、鈴の音と共に跳ね行く姿は、対岸からはさぞや危なっかしく見えた事だろう。
当人的には制御できているつもりだが、力の手繰り方や練り方はまだまだ甘い。
故に、最後の最後で、ほんの少し、術がブレて]
あ、やばっ……!
[対岸までもう少し、という所で水上歩行の方が途切れた。
それも、湖面に足を付けたタイミングで。
ぐらり、姿勢が傾ぐ様は、傍目には沈む兆候とも取れるもの]
っと、とっ!
[何とか身体のバランスを取り、水を跳ね上げつつまだ切れていない浮遊の方に意識を寄せて、ふわり、舞い上がる。
そのまま、勢いをつけて対岸へと降り立って]
あっぶなかった……。
[はあ、と大きく息を吐いて呑気な言葉を漏らす。
とはいえ、対岸で見ていた方にしてみればそれで済むはずもない事で。
降って来たのは言葉かそれとも別の何かか。
いずれにせよ、穏便平穏とは言い難かったのは、確かな事。**]
[塔の上に学長の部屋があるのは、ドロシーから聞いていた。
あれがこんなところに投げ棄てられたことも、たまには役に立つ。
魔導師たちの抵抗は数は減りつつも、しつこく続いている。
数で押せばどうとでもなるが、負傷者は増えるばかりだ。
忌々しい。
捕らえたのも殺したのも老いぼればかりとの話も聞く。
若い連中は逃がしたか。
自分たちは捨て石のつもりか。]
なら、せいぜい派手に砕いてやらないとね。
残ったことも、逃げたことも悔やむくらい、無惨に。
[微笑んで、塔を見上げた。*]
― 五年前・帝都震撼 ―
[別に目的とか、志は特になかった。
できる、と思ったからやっただけ。
あと、皇帝の生ぬるさには苛ついていた。
私なら、もっとうまくやれるのに。]
今の皇帝は、魔法使いの世界をひっくり返す気なんてない。
裏で魔法使いと手を組んで、自分と取り巻きたちだけうまい汁を吸っているんだ。
子供を魔法学園に入れたのも、追放したふりでうまいことやろうとしてるんだ。
[根も葉もない糾弾と証拠ともいえない証拠に、意外と簡単に兵たちは乗ってきた。
もともと魔法使いへの反感で成り立つ国だ。煽るのは容易い。]
[クルーザン帝国を興した皇帝は、魔導師のみ優遇される共和国のあり方に異を唱え、魔法の才を持たないものたちのための国をと唱えて立った人物だ。
ウルの力で電撃的に領土を確保し、国の礎を固めたあとは、無理に戦争ばかりを進めることはせず、少しずつ着実に版図を拡大していった。
《ウル》の原料であるアプルトンも、食糧増産の妨げにならないよう厳密に生産量を調節し、必要な場面にごく少数の《ウル》兵を投入して効果をあげてきた。
そんな皇帝を、ウルの被験者として、近いところからずっと見ていたのだ。
で、皇帝には魔導師を根絶やしにする気などさらさらないと悟った。]
いけ。
魔法使いと手を組む皇帝を殺せ。
富を独占する連中を皆殺しにしろ。
[反逆がうまくいったのは、最初に《ウル》の生産・貯蔵施設を奪ったからだろう。
魔法の恩恵が届かない国内は貧しく、生活水準を保つには多大な労力が必要になる現状に、不満が溜まっていたせいもあるだろう。
城の門は、一対の斧を手にした若者を先頭にした反乱兵らに破られ、ついには皇帝が弑されるに至った。]
皇帝を殺したのだから、次の皇帝は私だ。
文句があるなら掛かってくればいい。
私を殺した奴が皇帝だ。
[未だ幼ささえ残る顔を返り血に染めた若者の前に、兵らは膝をついた。
決闘を良しとし、力での解決を望む帝国の気質が、新たな皇帝の誕生を認めたのだ。**]
― 5年前/魔法学園都市 ―
[魔法の飛翔力は予想外に強く、体は対岸よりもっと先の、どこかの建物へ向けて飛んでいく]
いやっ――
[制動のための呪歌を歌い直すとか、そういう考えも浮かばぬまま、衝撃に耐えるために身を縮めて。
しかし激突するはずだった身に受けたのは、予想外にやわらかな衝撃だった>>103]
あ……。
[どうやら、受け止めてもらえたらしい。
恥じらいや申し訳なさもありつつそろそろと目を開くと、自分より少し年上と見える少年の顔が間近にあった>>104]
は、い……。
[名を――限られた人しか知らぬ愛称を呼ばれて、少しぽかんとした顔をしながら頷く]
フレデリカ、です。
それじゃ、あなたが……リト……?
[お礼とか色々をすっ飛ばしたまま、こちらからも思わず確かめていた]
― 現在/魔法学園都市 ―
[投石が城壁へ打ち付けられる音が響き>>89、説得に応じたリヒャルトはこちら側へ飛んでくるようだった>>101。
しかしこの状況で、自身はつい名を呼んでしまった相手――今目の合った相手>>118から、視線を外せずにいる]
う、ん……。
[懐かしい、と言う声は本当に喜んでいるように聞こえた。
けれどそれで素直に笑顔を返せるはずもなく、強張った顔を向けてじり、と一歩を引いた]
私は……これでいいの。
今はおしゃれよりも、やりたいことがあるから。
[入学して間もなく目にした"彼"のことは、強く印象に残っている。
その華やかさに惹かれて思わず声を掛けて、男の子だとわかってからもどこか憧れのような気持ちがあって。
髪のことを褒められた時も、素直に嬉しいと思った]
[その服飾費の出所や、その他諸々の所業を知ってからは、そんな見方も変わってしまったけれど]
それは……出来ないよ。
[ティータイムのお誘いに、首を大きく横に振る]
私、いかなきゃ……みんなのところに。
[また一歩を後退しながら、息を吸う]
天より降り注ぐもの 地を固める雨水よ
其に願うは縛りの力 彼の者を地へ繋ぎ止めよ――!
[紡いだのは粘性の雨を降らせ、相手の動きを鈍らせるための呪歌。
真っ当にやり合う心算はなく、すぐにも離脱する体勢であることは相手にも見て取れるか**]
/*
死神殿が、俺のハードルを爆上げしてきてて噴く。
あの親父を超えろと!?
[ 死ぬ前にせめて追いつかないとドラマにならねーじゃねーか、というかお ]
― 5年前/魔法学園都市 ―
[問いかけに返ったのは肯定。>>132
受け止めに成功した事と、ようやく会えた事、それらがもたらす嬉しさに自然、笑みが零れていた]
うん、そーだよ、リヒャルトだ。
……ようやく、会えたな!
[声で結ばれている相手との絆は大事なもの。
そう、聞かされていたから、こうして会えた事が嬉しくて。
つい、力がこもって抱き締めるような形になったのは完全に無意識無作為の事だった。*]
― 現在/学園上空 ―
[移動の途中、碧がふと、逸れる。
視線の先にあるのは、中央の塔――学長のいる場所。
それを見上げて微笑む姿>>126までは、ここからは見えないが]
…………。
[ぐ、と、手の中のメダリオンを握りしめる。
このタイミングで、これを渡された意味。
一応、それがわからないほど子供ではないつもり、ではあるが。
複雑な思いが滲むのは赦されてほしい所だった]
[ふる、と軽く首を振って前を見る。
フレデリカがどこにいるかは、何となくだが感じられる。
だから、そちらへ向けて風を手繰って]
……って!
[向かう先に見えたのは、天から降る粘性の雨。>>135
主に足止め目的と思われるそれは、何事かあったと悟るには十分すぎるもので]
……フレイ!
[声と、『声』と、両方で名を呼んで速度を上げる。
それを追うように、銀の鈴の束が音を立てた。*]
[ 服に張りつく質量を感じて、とっさに上着を脱ぐ。
ブラウスの胸元は当然、平坦だ。
脱いだ上着を頭上で高速で振り回し、傘代わりにした。
見る間に重くなるが、そこは《ウル》の力で、動きを止めない。
こうしている間は、粘質雨を避けられるけど、踏み出せば足を取られてしまうだろう。
歩けなくはないにせよ、動きは相当、鈍くなる。]
…見事です。
5年の間に、これほど魔法の腕をあげたとは。
[ 正統派のお嬢様だったフレデリカが、この状況まで街に残って帝国軍に立ち向かうなんて、ホントに成長したものだと感嘆する。
それと同時に、純粋な果敢さには誰かさんの影響もヒシヒシと感じた。]
とても理に適った対処ですけれど、あなた自身はどうやって逃げるつもりですか?
[ 振り回した上着から飛び散る粘液がフレデリカの方にも飛んでゆく。
狙えるものなら、顔をねらって声を塞いでやろうという魂胆。*]
私の適性が気になっているようですけれど、
僭越ながら言わせてもらえば、あなただって、この学園では少し浮いているように感じます。
いい成績を収めて卒業するためには、勉強だけに専念していればいいものを、
あなたは、いろいろと他の生徒におせっかいを焼きます。どうしてですか?
[ 批判しているわけではない。
これまで、あまり会ったことのない人種だと興味を抱いている。**]
― 過去の一幕 ―
……いや、別にありがたがる必要ないと思うけど。
[問いに、最初に返った言葉>>143に、素で突っ込んだ。
膝を揃えてこちらに向き直る、そのドレス姿が似合っているのはいつ見てもすげぇ、と思う……というのは余談なので口にはしないが]
俺が、浮いてる?
[続けて向けられたのは、思いも寄らない評。>>144
きょとん、と見開いた碧の瞳は、そんな事考えた事もなかった、と言わんばかりで]
ていうかさ、それ、疑問に思うような事なのか?
[続けて返したのは、素の疑問]
誰かが困ってて、そんで、自分にできる事があったら。
手、伸ばすのって、なんかおかしい?
[生まれた場所は、それが当たり前だった。
魔法の力を持たない人たちが、手を貸し合って生きる首都の下町。
養子縁組がなされて上流区に移り住んでからも、そこで身についたものは消える事無く、今に至る。
とはいえ、そんな前歴を知っているのは教師連とフレデリカくらいのものなのだが。*]
― 学園都市 ―
それは……っ!
[主に教員たちが、前線に出ていったのは知っている。
それでも生徒たちの多くは脱出に成功したはずと。
反論の言葉は飲み込んだまま、ドロシー>>139への呪歌を唱えた]
[足止め程度の効果は期待したかったが、相手の対処は早かった。
振り回す上着を傘代わりにして、全身への被害を避けている>>141。
お褒めの言葉に返すだけの余裕はないけれど、ただ真っ直ぐな眼差しを相手に向け]
私は――
[次に唱えるべき呪歌のことは、脳裏に思い描いていた。
だからそれを為そうと開いた口に、予想もしなかったものが飛び込んでくる>>142]
――――!!
[自らが放った魔法の粘液だった。
顔全面に張り付いたそれを咄嗟に拭いはするが、動きが止まるのは避けられない]
[よく知る声が、耳とそれ以外の両方に届いたのは、その時のこと>>138]
リト……!
[声は出せない。
だからこそ胸中にて強く、その名を呼んでいた*]
― 5年前/魔法学園都市 ―
[ようやく会えた、その言葉と、満面の笑み>>136に]
はい……!
[こちらも同じ表情を浮かべ、たのだけれど]
って、ちょ、リト……!?
[まるで抱き締められているような体勢に気付いて真っ赤になる。
勢いで同じことをしかけた手は、慌てて引っ込めた]
あ、あの、もう大丈夫ですから……。
[周囲を気にするように視線を彷徨わせつつ、そっと身を離そうとする*]
[もちろん、その動きは拒絶などではなく]
――助けてくれて、ありがとう。
[この状況でも、言いそびれたその言葉を伝えられたのは、絆持つものの特権であったかもしれない*]
― 5年前/魔法学園都市 ―
[笑み返した後、真っ赤になる様子に瞬きひとつ。>>150
何がその変化をもたらしているのか、全く理解していない、とは容易に覚れるか]
ん、そう?
じゃ、降りよっか。
降りるまでは、ちゃんと捕まってて。
[大丈夫、という言葉に頷きつつ、離れようとするのにこう言い添えてから、風を操り湖岸へと降りる。
その頃には、騒ぎに気付いて人が集まってきていたから、例によって無茶に小言を言われたりしたかも知れないが。**]
……ん、どういたしまして。
届いて、よかった。
[交わしなれた声で告げられる、感謝の言葉。
それに返す声音には、はっきりそれとわかる安堵が滲んでいた。**]
― 対ドロシー ―
[雨雲はドロシーの周囲にも広がってはいたが、彼の率いる兵については視認していなかったこともあり、狙って巻き込むことは出来なかった。
動きを止めていたらしい彼らが、ドロシーの命令に従い足場を作る>>151]
…………!
[魔法が使えぬなら肉体をも踏み台にする。
その様に抱く感情は驚愕に近いが、黙って見ているわけにはいかない。
こちらに迫る様子に、咄嗟に喉を守るように両腕を交差させ、地を蹴って後方に飛ぼうとする。
肉体強化したドロシーから見れば、それはあまりに緩慢な動作であっただろう*]
[ あの日、悪事がバレて謹慎を申し付けられた腹いせに、ドロシーは学食に《ウル》を混ぜ込んだ。
スパイス料理だったせいで、味の変化に気づいた者は少なかったと思う。
《ウル》を服用した状態で魔法を使うとどうなるか──話には知っていても、実行する命知らずはまずいない。
だが、学生たちは午後の授業でそれと知らずに全力で魔法を使い──阿鼻叫喚の大惨事になった。
おそらく、学校始まって以来の。]
[ 皆が大混乱の中、ドロシーの仕業だと看破したリヒャルトが追いかけてきて、ドロシーは塔へと逃げた。
最初は笑っていられたけど、そのうちヤバそうだと感じてきた。
リヒャルトにドロシーを塔から突き落とす気はなかったと思うけれど、結果として、ドロシーはリヒャルトの気迫にビビッて足を滑らせて落ちたのだから、原因は彼といっても過言ではないはずだ。
別れ方にしては、最悪の部類かも。
絆の声で結ばれたファミルが迎えに来てくれたのが嬉しくて立ち直れたけど、あれってちゃんと落とし前つけないといけない、と思う。*]
あのね、
私がいくらこの学園に相応しくないように言われても、ここにしか私の居場所はないんです。
私は継母に疎まれていますから、生家に戻れば事故と見せかけて殺されてしまうでしょう。
郷里から遠く離れたこの場所に逃げて、かつ、とるに足らない人間だと思わせるために愚かな振る舞いを重ねる。
そうしないと生き延びることができない──情けないですが。
[ そっと唇を噛む。
虚実の入り混じった身の上話にリヒャルトはどう反応するだろう。*]
― 5年前/魔法学園都市 ―
[どぎまぎするこちらに対し、リヒャルトはまるで理解していないような表情を向けていた>>152。
もー、と怒りたい気分だったが、この状況でそれをやれば更に墓穴を深くする。
それに、と、下を見下ろせば少しだけ頭が冷えた。
リヒャルトの魔法がしっかり支えてくれているとはいえ、危険な位置にいることに変わりはない]
はい……。
よろしく、お願いします。
[大人しく身を預けると、あとはリヒャルトが魔法を操るのに任せた]
[対岸についた後は歓迎の言葉と同時に、慣れない魔法を使う時の心得についてもたっぷり聞かされた。
リヒャルトみたいな無茶はしちゃ駄目、なんて言には、苦笑を浮かべるしかなかったけれど**]
/*
[しばのたいかいをそっとうえておくことにした]
[なんというすばらしき別れ方]
[追っかけるだろうな、とは書いといたけど、ここまでになるとはw]
魔法は、羽根も生え揃わない雛が遊び道具にできるようなものじゃない。舐めていると痛い目を見るぞ。
[ 最後まで、とことん厳しい視線と口調で言い切った教師が、実は前日に赴任したばかりで、クラスを持たないために出迎え役を任されたのだとか、実際は飛行魔法を点数評価する規定などは無いのだとか、そういった事実がリヒャルトに伝わるのは後日の事。
知って抗議されたとしても、男が動じることはなかったが。]
リヒャルト!!加減を考えろと言っただろう!?これは魔法のコントロールを覚える訓練で、限界を測るテストじゃない!
[ 何の因果か陰謀か、結局、最初に受け持つことになったのが、リヒャルトのクラスで、以後毎日のように、教室に響き渡る怒声が名物扱いになるのに日にちはかからなかった。 ]
[ ようやく歳を重ねて、リヒャルトにも多少は落ち着きが出て来たかと思った頃、今度は、帝国から投げ込まれた爆弾のようなドロシーの巻き起こすトラブルと、そのトラブルに頭から突っ込んでいくリヒャルトの衝突が新たな学園名物となった。
衝突が収集のつかない騒ぎとなれば、仲裁に駆り出されるのはやはり教師の役目で...]
とんだ貧乏籤です。
[ ぼやけば、リヒャルトの入学時の裏を知る学長からはとても生暖かい視線を向けられた。 ]
「コントロールこそ未熟ですが、重複魔法詠唱を難なくこなした上、水の魔法が切れた直後の立て直しの素早さはあの歳の子供とは思えませんでした。リヒャルト・ターゲリートの才は間違いなく本物でしょう」
[ あの日、学長にそう告げたのは、間違いなくこの教師であり、結局のところ、その評価は、その後も変わってはいないのだから。]
― 過去の一幕 ―
[問い返しに向けられたのは、曖昧な笑み。>>157
その内心を知ったら知ったで、突っ込みが飛んだだろう……とは言うまでもない事か]
…………。
[語られるドロシー側の事情。>>158
入り混じる虚実を判別する術は少年にはない。
だから、そのまま聞いて、そのまま真っ直ぐ受け止めて]
……ま。
ここしか居場所がない、っていうのは、ある意味じゃ、俺も同じだけど。
[ぽつ、と漏らすのは、今まで誰にも零した事のない部分]
にしたって、もーちょい、やりようってのがあるだろー。
医療班沙汰とか、備品の質流しとか。
そんなの繰り返してたら、ここにも居られなくなるのがオチだってば。
[後者に関しては流される方もどうなんだよ、とかも思うがそれは置いといて。
苦言めいた言葉を向けた後、は、とひとつ息を吐いた]
えーと。
言い難そうな事情、話させたのは、ごめん。
[そこは素直に謝るものの]
……でも、やり過ぎてる、と思ったら、俺は遠慮しないで止めに行くからな。
そこは、はっきり言っとく。
[そこだけは譲れないから、はっきりきっぱりそう告げて。
その意志を貫いた果て、思わぬ形の別れ>>156となる事は、この時はまだ知る由もなく。*]
― 魔法学園・城壁上 ―
なかなか、育ったもんだ。
[ 8年前と比べれば、遥かに力強く空を駆ける若者の姿に男は藍色の瞳を細める。彼の成長に大きく関わったのは、今、真っ直ぐに向かおうとする先に待つ存在だろうとも男は気付いていた。
フレデリカ・アルマリッヒ...生まれも育ちも性格も、凡そ重ならないはずなのに、リヒャルトとの間には、確かに無二の絆があるのだと、傍目にも判る少女。きっとこの先に待つ過酷な道でも、彼女の存在はリヒャルトの支えとなるだろう。]
― 回想/1年前 ―
[戦いの仕方を教えて欲しい。
そうロヴィンに志願したのは、首都陥落やそれに伴う避難民受け入れが一段落した頃合いだった。
家族が戦火に巻き込まれた者も多く、学園内の空気は重苦しい悲しみに満ちていた。
ロヴィンもまた、家族を亡くした一人だとは、囁かれる噂の中にもあったけれど]
――はい。
戦いに向いてないことは、自分でもわかっています。
[それは才能というより、心構えの問題だった。
フレデリカが戦闘系魔法をほとんど学んでいないことは、その習熟度を知る立場であれば知れたことだろう]
でも……このまま何もしないでいることは、どうしても出来なくて。
誰かが戦わなきゃいけない時に、そこに居る資格すらないのは――やっぱり、嫌なんです。
[言いながら、体側にある両手をぎゅ、と握る。
その胸中にあるのが誰の姿なのかは、もう既に知られたことかもしれない]
強く――は、なれないかもしれないけど。
せめて、背中を向けないでいられる自分で、いたい……。
[こんな時に何を、と思われるかもしれない。
それでも、状況に流されるばかりの自分より、一歩でも前に進みたかった*]
それはそうと、リヒャルト君も、他に行くところがないなんて…、
これはもう、フレデリカちゃんの婿になる運命としか!
[ 唐突にそっちに話を持っていく。
何やら特別な関係っぽさを感じる二人だ。
フレデリカは奥手なところのある子だし、リヒャルトはリヒャルトで鈍いところがあるから、ここは後押しが必要だと思う。*]
― 五年前・帝都震撼 ―
[クルーザン帝国の初代皇帝が堅実に国を動かす人物であることは、近くで見るようになった数年でもかなり実感出来たように思う。
時代が時代なら、とても人気のある皇帝になったことだろう。
だが時代が悪かった。
情勢が悪かった。
先のこと、民のことを良く考えていた皇帝だったが、刹那を求める者達にはその行動がじれったく、不満に思われていたようだ。
男もまた、その身に宿す業を活かせぬ日々を退屈思っており、少なからずの不満を抱いていた]
俺の剣は護りの剣じゃあねぇんだがな。
[いつだったか、ぼやいた言葉を聞いた者がいるかもしれない。
人を斬る業を持ちながら、
自分を活かせぬ立場に縛られている現状に満足しているはずがなかった]
[そんな折だ、宮中が騒がしくなったのは]
《ウル》関係の施設が反乱者に奪われただぁ?
[厳重に管理されていたその場所がこうも簡単に奪われるなど思いもしなかった。
明らかに反乱者への協力者・離反者が多い。
相当不満が溜まっていたということなのだろう]
やれやれ。
剣を振るえる状況なのは良いんだが。
[さて、身の振りはどうするか。
情報によれば反乱の首謀者は若い軍人だという。
首謀者が皇帝を狙うのは火を見るよりも明らか。
皇帝が討たれるならば、次の皇帝はその人物となる可能性は高い]
(今の皇帝と次の皇帝、どっちがマシか、だな。)
[正直なところ、魔法の才がなくとも出世出来るこの国は居心地がいい。
ただ、今の皇帝は男の使い方を理解していない。
戦場に出さず、功績だけを見て傍に置いているのがその証拠だ。
次の皇帝も同じならば、どちらが上に立とうが男にとっては同じことなのだ]
陛下の部屋の前で待ち構えるぞ。
[とはいえ、近衛長という立場である以上、その思考を部下の前でひけらかすわけにもいかず。
体裁は保ちつつ、首謀者と顔を合わせるのを目的として待ち構えることにした。
他の近衛兵を引き連れ、首謀者が現れるだろう皇帝の部屋の前へと現れる]
…お前、《ウル》の被験者の、……ファミル、だったか。
[首謀者の姿を見て、記憶の姿と照らし合わせる]
……反乱を為して何とする?
お前の目的は一体なんだ。
[問いかけは実にシンプルだ。
相手に示したい主張があるなら、聞くのが手っ取り早い。
今の皇帝に忠誠を誓う一部の近衛兵にしてみれば、何故そんなことを聞く必要があるのか、と思うかもしれないが、男は判断するための情報を相手へと求めた*]
― 学園上空 ―
……っ!?
[移動の途中、届いた声。>>149
ただならぬ響きを帯びたそれに、嫌な予感が積み上がる。
急ぎ、空を翔けた先に見えたのは、人の橋を渡り駆ける姿>>151]
いや、無茶だろそれ!
[思わず突っ込みが先に飛んだが、それどころじゃないのは一目瞭然。>>169]
風よ集え 唸り上げよ。
鋭き咆哮 その響き刃と変えて。
切り裂くがため 疾く、翔けろ!
[鈴の音と共に吟ずるのは、乱舞する風の刃を生み出す呪歌。
焦りと、蓄積しつつある疲労からやや精度を欠くそれは実質牽制目的のもの。
ここで、本格的にやり合う余力、なくはないが、それをやっていては恐らく離脱し損ねると思うから]
……フレイ!
[今はただ、真っ直ぐに絆の先へと手を伸ばす。*]
― 対ドロシー ―
[こちらの姿にドロシーは何を思うのか。
獲物を見る目は炯々と輝いているように見えた>>169]
――や、
[ようやく開いた口だが、歌を紡ぐ暇があるはずもなく]
やめ、……
[代わりに零れたのは懇願めいた声。
喉が潰れる痛みはなかったが、それを幸いと言っていいのかどうか。
的確な圧迫に、視界はあっという間に暗くなる*]
[――しかし、その刹那]
[声が聞こえた気がした。
それは、絆により繋がった、音ならぬ声でなく>>177]
――――!!
[数瞬でも長く、意識が保つことを願いながら、その声の先へ必死に手を伸ばす*]
― 過去の一幕 ―
あー、うん。
それは構わない、けど。
[こんな事情、広めるべきじゃない、と思うから、内緒にしてほしい、という願い>>170には一つ、頷いて。
それじゃあ、反省文仕上げるか、と思った所で、思わぬ言葉が飛んできた。>>171]
へ?
いや、なんでそこでそうなるわけ?
[どこまでも真っ直ぐな少年は、同時に、どこまでも天然鈍感である。
きょとり、碧の瞳を瞬かせて問う様子は、完全に素とわかるものだった。*]
/*
この流れからそのネタが来るのはちょっとどこでなく予想外でしたwww
てかまあ、この頃はまだまだ認識ないよね……(
[今は?]
[そこはまあ、おいおいと(]
― 城壁上 ―
[ 城壁全てを崩し尽くさん勢いで飛来する投石を睨んで腰に下げたサーベルの柄を軽く握り締める。
一年前、陥落した首都から辛うじて落ち延び、一報を伝えた使者は、父の部下でもある魔導師団の伝令だった。彼は、父の最後の様子をも男に伝え、その愛剣を決死の覚悟で確保して形見として手渡してくれた。 ]
『この剣だけしか…御遺言を残される事も叶わず…』
十分です。親父殿は遺言など残す人じゃない。
[ ただ残された剣の重さだけが全てだと、男は知っている。 ]
帝国の死神、か。
[ レオンハルト・ヘンカァ...その名を知らぬ者は、今やこの大陸には居ないだろう。その死神と対峙して、父が稼いだ時間は僅かでも、決して意味の無いものではなかったはずだ。
その蹂躙の刃を逃れて、この地に首都陥落の報せを齎した伝令の姿こそがその証拠。 ]
『人にはそれぞれの役目というものがあるのだ、ロヴィン。私とお前の役目は違う。それは当然の事。私は私の為すべき役目を、お前はお前の為すべき役目を果たせばいい。』
[ 父はきっと、その言葉通りに、命を賭けて己が役目を果たしたのだろう。 ]
俺の役目はまだ、終わっていない。そうだろう?親父殿。
軛より放たれし者 自由なる疾風
清涼なる息吹にて 我が翼を支えよ
[ 足元に飛来した投石に、城壁が崩れる寸前、再び空へと身を運び ]
冷たき石くれ 命を宿せ
昏き闇裂く 流星の如く
降りかかり 降り注げ
[ 続く詠唱は、崩れた城壁の瓦礫をそのまま石飛礫として、帝国軍の頭上に降り注がせる。 ]
魔法は一つの技能だ。
強い力だけが有用なのじゃない。
使い方次第で弱い力も強者を退ける技に成り得る。
[ けれど、と、教師が最後に伝えたのは ]
フレデリカ、最後に勝つのは、戦いに勝った者じゃ無い、戦いを生き延びた者だ。君は決して、それを忘れるな。
[ それを彼女が忘れなければ、彼女の対もまた、それに倣うだろうから。* ]
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