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人里に身を潜めながら、夜毎人を喰らうという恐ろしい人狼。
幾つもの村を滅ぼしてきた狡猾な化け物の噂が、遂にこの地にも訪れた。
震え上がる者、馬鹿馬鹿しいと一笑に付す者、そして…。
様々な思惑を余所に、人々は話し合いのため集うのだった。
1人目、語り手 が参加しました。
語り手 は、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
村の設定が変更されました。
2人目、菫青石の神魔 カサンドラ が参加しました。
菫青石の神魔 カサンドラは、瘴狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 『神魔の領域』・湖畔 ―
[さわり、さわりと風が吹く。
それが伝えてくる気配に、ひとつ、息を吐いた]
やあれ、やれ。
現は変わらず、騒々しいようで。
[流れる風が色打掛やら前結びの帯の裾を揺らす。
この近辺――『コルムナ』の北西領域においてはほとんど見られない様式の装い。
いわゆる『花魁衣装』というものに近いものだ。
とはいえ、大分気崩されているのだが。
なおこの装い、纏う当人に言わせると、『おとーさまのお国の様式らしいわ』との事になるのだが、それはさておき]
まあ、別に構わんのだけどなぁ。
『アレ』もただあるだけじゃなーんも意味ない、『求めるモノ』あってこそのシロモンだし。
……ここに踏み込んでくるくらいの気概のあるヤツがおらんと、気脈も停滞してしまうし……。
[言いながら、す、と手を上に翳す。
ふわり、纏いつくのは柔らかな風。
それは、淡い色の光を零しつつ、菫青石をあしらった簪へと形を変えた]
……久しぶりに。
『森』を開いてやるのもいいかもなぁ。
……わちきもそろそろ、退屈してきたし、ねぇ。
[く、と笑って明るい金茶の髪をぐるりと束ね、簪でひとまとめにする。
この存在――『菫青石の神魔』と呼ばれるものが髪を結うのは、己が領域に他者を受け入れる時のみ……と知るのは、領域内に暮らすその眷属しか知らぬ事]
ざわりざわりと風が揺らめく。
『コルムナ』世界の北西に存在する『神魔の領域』。
そこは、あらゆる願いを叶えるとされる『神魔』の住処。
そこに立ち入りを許されたものは、ある『試練』を勝ち抜く事で己が願いを叶える資格を得る、と。
伝承は、伝えている。
さぁてぇ……。
[ここ数年は閉ざしていた『森』を久しぶりに開いた神魔は、楽し気な笑みを浮かべてくるり、手を回す]
聞こえるかい?
久々に、『仕事』だよぉ。
[手の動きに応じて生まれた風の流れに乗せるのは、眷属たちへの呼びかけ]
さっき、森を開いた。
……『捻じれた縁』持つ連中のみを受け入れるようにねぇ。
気が向いたり、気に入ったヤツがいてたら、出迎えておやり。
ただし、踏み込み過ぎには注意しな。
[最後には軽く釘を刺して。
それから、神魔はやや表情を引き締める]
さて……と。
『花室』より生じよ『絆花』。
天命たる石を写して、あるべき場所へ。
……『捻じれた縁』の導となるために。
[呟きに応じて、風が鳴る。
空中にふわり、と複数のきらめきが生じ、それらは風に運ばれるように散っていった。*]
散った光は、それぞれの理由で、『神魔の領域』を訪れた者たちの元へと舞い降りる。
己が天命石と、もう一つの宝石の花。
それを手にした瞬間、ひとつ、声が響く。
3人目、赤虎目石の剣士 イェンス が参加しました。
赤虎目石の剣士 イェンスは、従狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― シュラハト軍部・とある執務室 ―
……『神魔の領域』の調査?
[呼び出しを受けて出頭した師団長の執務室。
そこで与えられた任務に、ほんの少しだけ、声音が低くなった]
調査も何も、あそこは不可侵の結界で覆われてるから、入り込むのもできないんじゃ……。
[なかったのか、と。
問うより先に、結界に変化が生じている事を伝えられた]
……で、大部隊を動かすには向かないから、単独でも動ける俺に行って来い、と。
それで、こないだの任務失敗も帳消しになる……ってとこですか?
[投げやりな口調の問いに、師団長はひとつ、息を吐いた。
その様子に、あ、と短く声を上げて]
……ま、どっちにしろ、俺に選択の余地はないんでしょ?
軍人として行けと言うなら、どこにでも行きますよ。
[命として下されるなら受諾するのが当然。
ここは、そういう場所だ。
そして自分は、それとわかった上でここに身を置いているのだから]
『神魔の領域』の調査任務、承りました。
[そう、宣する事に躊躇いはなく。
返される、形式的な激励にも礼を返してから執務室を辞そうとした、その矢先にイェンス、と名を呼ばれた]
……はい?
[知らず、声が上ずる。
上官たる師団長は育ての親だが、執務室で名を呼ぶ事は滅多に……いや、ほとんどない]
「……気を付けてな」
[ぽかん、としていると、穏やかな口調でこう言われて。
戸惑いはあったけれど、でも、比較的素直にはい、と頷けた]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
……しっかし、まぁ。
ほんとに、入れるとは、なぁ……。
[任務を受けた数日後、青年の姿は『神魔の領域』と呼ばれる場所――普段は何者の立ち入りも許さぬ森の中にあった]
とはいえ、こんなとこ調査してどーするつもりなんかねぇ、お偉方は。
……まさか、『神魔』の力とかってのを、取り込もうとか考えてんじゃねぇよな……?
[ふと浮かんだその考えは、妙に信憑性があって。
慌てて、ないないない、と繰り返して振り払ったものの]
……とはいえ、わざわざあんなとこまで出兵するくらいだし。
ないとは言えねぇよなぁ……。
[呟きと共に思い返すのは、先日失敗した『任務』の事。
とある集落への軍事介入。
奇襲事態は成功し、その時点では制圧も容易いか、と思われたものの。
予想以上の抵抗により、制圧は適わず、隊は少なからぬ損害を出しつつ、撤退するという結果になった。
……もっとも、撤退の理由は隊の損害だけではなく。
部隊を率いていた自分自身にも、原因があったのだが]
……っとに。
なんだったんだよ、アレは。
[ため息とともに零れ落ちるのは愚痴めいた響きの呟き。
作戦途中で対峙した一人の若い女。
任務遂行を阻むならばと愛刀の一方を躊躇わずに向けたこちらに向けられた表情が――何故か、不可解な痛みを頭の奥にもたらして。
結局、戦闘継続が難しくなった所に隊の損害が想定を超えたため、撤退を余儀なくされた]
…………。
[総合的な判断としては、引いて正解だった。
とはいえ、任務失敗に変わりはなく。
その事と、あの痛みの理由がわからない事で色々ともやもやを抱えているのが現状、だった]
ぁー……やめやめ、今考えてても仕方ねー。
とりあえず、今は挽回のためにやれるだけ……って。
[とはいえ、このままでは今の任務に差し障る、と。
思考を切り替えようとしたその時。
ふわり。
そんな感じで風が吹き抜け、上から何かが落ちてきた]
……なん、だ、コレ?
…………花?
[とっさに手を伸ばして受け止めたそれは、花。
真っ直ぐな茎にいくつもの花が群れるように花弁を広げたもの]
あー……これ、なんつったっけ……紫羅欄花?
にしちゃ、色味が……。
[どこかで見たことがあるな、と。
ふと思いつつ、視線を落としたのは左の手首。
そこに嵌められた銀細工の腕輪の中央に煌く石と、落ちてきた花の色味は全く同じだった]
でも、なんでこんなもんが……。
[落ちてきたのか、と。
口にするより先に、声がひとつ、響いた。>>6]
……んだよ、今の声。
[呟きに答えるものはなく、ただ、風が揺れるのみ。
青年はしばし、手にした花と、進む先を見比べた後]
……ま、ここで立ち止まるわけにゃいかねぇし……行くか。
[そう、割り切りをつけて、一歩を踏み出した。**]
4人目、翡翠の巫女 リュカ が参加しました。
翡翠の巫女 リュカは、従狼 を希望しました(他の人には見えません)。
[グリュングレースと呼ばれるその国では、翡翠は特別な意味を持っていた]
[かつて、国が飢饉により滅亡の危機に瀕した折。
翡翠の天命石を持つ娘が、『神魔』の試練を越え、その願いによって国を救ったという。
それ以来、国は小さいながら豊かな土地として栄え、いつしか神魔の恩寵を受けた地として語られるようになった。
そして救国の乙女の役割は、神魔の声を聞き国を導く巫女として、代々翡翠の天命石を持って生まれた者に受け継がれていった]
[しかし、伝承が国の存続を保障する時代は過ぎ去った。
国が主張する神魔の加護に実体はないことが、明るみに出つつあったのだ。
そうなってしまえばグリュングレースなど、『神魔の領域』にほど近いだけの小国に過ぎない。
近年では周辺国の侵攻に晒されることも多く、他国の情勢に翻弄されるばかりであった]
― 『神魔の領域』/森の入り口 ―
――それでは、これより先は私一人で。
[『神魔の領域』を囲う深い森。
その入り口となる一角にて、巫覡を思わせる装束の女が、付き添いの者たちへ一礼を向けた。
サークレットにあしらわれた翡翠が、額の前で揺れる]
『巫女様、どうかお気を付けて』
『もしも巫女様が倒れられでもしたら、この国は――』
ええ、わかっていますとも。
[追い縋る勢いの付き人へ向け、巫女と呼ばれた者は静かに微笑む]
それでも――そんな時だからこそ、神魔様のお言葉をお伺いしなければ。
[グリュングレースの巫女は年に一度、『神魔の領域』へと踏み入り、民の声や国の現状を『神魔』へと届ける儀式を行う。
巫女は神魔の声を受け、それを国や民を導く指針とする。
翡翠の巫女の役割が確立して以来、連綿と続いて来た儀式であった]
[森の奥へは、必ず巫女が一人で踏み込まねばならない。
禁を破れば森を覆う結界が、巫女すらも拒絶してしまうからだと言う。
しかし、その真の理由は――]
行ってまいりますね。
[付き人と別れ、巫女は独り森の中を進む。
荷物は最低限の食糧と、手にした細身の杖のみ。
道標となるものは見受けられないが、不思議とその歩調に迷いはなかった]
――きっと今回も、何処かで進めなくなるでしょうから。
[付き人の姿が見えなくなったところで、巫女は小さく溜息をついた]
[――巫女は森を抜けたことなどない。神魔に会ったことすらもない]
[自ら考えた言葉を、神魔に託されたものとして語る。
それが現在の、翡翠の巫女の役割であった**]
5人目、柘榴石の修練者 ローランド が参加しました。
柘榴石の修練者 ローランドは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
[コルムナの西方にて、中小国家が乱立する地域があった。
新しきが生まれ出て、古きものとして葬り去られるその地にある街の一つ。
国籍上、あるいは経歴に瑕があり行き場をなくしたものたちが集う無政府街にて法や秩序が守られない街『アスピス』にて、一人の修練者がいた]
いやぁ、よくしみていて美味しいな。
[ほくほくと湯気をたて、空気事いただきながら火傷しないように気を付けながらも食欲にまけた修練者。
おでんの屋台にて食事中であった]
骨身が温まるよ。
[半分にきっていただいた大根に鬼カラシをつけてもう一口。]
……つくねと、卵をいただこうか。
[追加注文に『はいよ。』と野太い店主の声。街に似合わぬ筋骨隆々の極悪な形相に対して料理はおいしかった。そしておでんには熱燗だ。ぐいっと一飲み喉に食道に熱を通している修練者。
なんら変哲もない旅装、外套を纏い、布の巻きつけられた長柄の棒、腰には布袋や、塔に黒い太陽を模したようなオブジェが提げられている。]
ところで店主。この花をご存知かな?
[一輪花がでてくる。赤と緑でできた花。赤いトゲのようなおしべの集まり、緑色の茎]
これはね、故郷の火山地帯に生える花なのさ。
大いなる大地の生命力に芽吹く命。
灰が降る地、懐かしき故郷に咲く花というものでね
[しみじみと懐かしむような口調で語られて]
そう、そんな珍しい花が、今だとお値段なんと――――・・・!
[懐かしむような口調から一転商売を始めた。
その態度はさながらまがい物を売りつけようとする詐欺師である]
仕方がないね、確かに鑑賞用としては綺麗であっても、それは懐や腹が満たされてもつべき豊かさだ。
一枚のパンと一篇の詩。どちらが欲しいかは人によるものだしね。
[残念がらないように肩を竦めつつお酒の席の冗句を酔いに任せて楽しむのであった]
[そして串焼きを一本注文して]
兎肉の串焼きか……いや、思うことはないさ。
でも一口食べれば思うことはあるものでね
[近年―――といっても人としての歴史ではなく大陸としての歴史という単位のこと――
海底火山の噴火により隆起して誕生した比較的新しい土地。
修練者の故郷にて、荒れた大地。灰の降る地域。
良質な鉱物がとれることと、新たな大地により利権争いが周辺国で生まれた場所である。
自分が生きていた頃は、グリュングレースとなっていたが、今の所属はどうなっていることか。その時の記憶である。]
― 回想 ―
兎というのは幸運を運ぶという話を聞く。
さて、君はお兄さんに幸運を運んだ。だが必ずしも幸運だけではない。
[ちょうど十年ほど前のころ、灰の降るこの地域にて、一人の少年を助けた。
...自身は火ネズミの魔物に用事があったのだ。具体的にはその皮をつかった外套を作りたかったというのがあったがそれはともかく]
しかし助けてしまった以上はめんどうをみないといけない。
もちろんそれは君に寄る辺がなければであり、それを拒否する自由意志を与えないほどお兄さんも狭量ではない。
[見下ろしたあまり旅慣れているとは思えない少年に、いちいち説明っぽい言葉をかける]
というわけでだ、お兄さんはこの獲物をもって近くの街までいかなければならない。
ひとまずはそこまで一緒にくるかどうかだけきこうか。コニーリオ
[コニーリオと、兎の意味する名称で少年を呼びながら火ネズミの内臓や不要物だけを焼いてしまい、ゆこうかと声をかけて、思ったより長い付き合いとなった少年との出会いであった。]
― 屋台 ―
思うこと、それはさ……
この香ばしい匂いに誘われてタレを頼んでしまうが、食べた後いつも思うんだ。
塩で味付けしてもらったほうがよかったってね。
[茶目っ気をこめてウィンクを一つ、極悪な形相の店主に向けて、もう一本と注文するのであった*]
― 回想 ―
[リュカ・ブレッタがグリュングレースにて生を受けたのは、23年前のことだった。
手に翡翠を握って生まれることは、この国では即ち巫女候補であることを意味する。
物心つく頃になれば、リュカも自身が周囲からそのような眼差しで見られていることは意識していたのだけれど]
ほら、どうだ!
また私が勝ったぞ!
[リュカはそれに反発するように、野山を駆け回り、ままごとよりも剣士ごっこを好み、男の子に混じっては彼らと競い合っていた。
中でも棒を用いた戦闘訓練では、男子にも負けない程の立ち回りを見せた。
そんな彼女には、ずっと心の中で温めていた計画があった。
それを実行に移したのは、13歳の時であった]
― 回想/10年前・火山地帯 ―
[グリュングレースから山越えの道を進んだ先の、国境付近。
やや道を外れた場所にある湧き水の畔に、黒髪の人影があった]
――ちょっと、切りすぎたかなぁ。
[そう呟くリュカの視線の先には、湧き水の溜まりに映った自身の顔があった。
短く切られた黒髪は、長さが不揃いな上に左右のバランスも悪く、如何にも素人が慣れない鋏で切った風であった]
ま、でもこれなら、まず女とは思われないだろ。
[最大の目的は達したというように頷いた後]
あとは……これだな。
[と目線の高さに翳したのは、自身の天命石である翡翠。
捨てることも隠すことも出来ないことは既に知っていた]
国を離れてしまえば、特に気にされることもないんだろうけど……。
[思案の末、ひとまずウェストバッグの内に隠すことにする。
そうして再び歩き始めた先は、故郷とは反対の方角であった]
[国を離れて旅に出る。
いつしかそれが、リュカの密かな目標になっていた。
誰にも明かせなかった故に得られる知識も限られていたが、リュカには秘策があった]
この木に成る実は食べられたはず……。
よーし、育てー!
[生まれ持った"樹"の能力は、食用となる植物を成長させるのに都合が良かった。
しかしそんな行き当たりばったりの旅が上手くいくはずもなく]
……なんか、体がだるい……。
[能力の濫用は、知らず知らずの内にリュカの身体を疲弊させていた。
そんなリュカの背後から、突如がさごそと、奇妙な物音がした]
へ? なに……?
[と振り向いた先。
そこには火の魔力を纏う巨大なネズミが、その鋭い牙を剥いていた]
ひあ、ま、魔物……!?
[戦わなければ、と唯一の武器である身の丈程の棒を構える。
しかし体に力が入らず、先端の位置が定まらない。
そうこうしている内、ネズミの牙は眼前へと迫り]
う――うわあぁぁぁああ!?
[リュカは悲鳴を上げながら尻餅をついた*]
― 回想/10年前・火山地帯 ―
[火ネズミの皮でつくった外套が欲しい。だがやつらはすばしっこく隠れるのがうまい。そして自らより弱いものを襲う知恵もある。
だから見つけるには相応の運が必要であった。
そして運が転がり込んでいた。
一つ、二つ。既に生物ではなく素材としてしか数えていない
だが、素材ではないものの姿もあった。黒い髪をした少年>>36だ
悲鳴をあげ、しりもちをついた少年はどこか旅慣れていないようで、このような場所にいるには不自然なように思えてもいた]
そこの少年!目を閉じて耳を塞げ!
[突然の登場人物からの指示に少年は反応できただろうか。
彼の力は、秘とされており、なじみ深く彼としては当たり前のものであった。
火山から灰が降るように、粉末状のものが火ネズミのもとに舞い、小さな衝撃を生み出す破裂音。火ネズミの眼前で炸裂する音は、少年と火ネズミの間合いを力づくで開かせる。
それははためく布から灰を吐き出したのか。灰が布になったのかその一瞬ではわからなかったかもしれない。
耳と目への刺激に怯んだ火ネズミへと長柄の棒の先端に括りつけられた布は鞭のようにしならせて、二匹の火ネズミを強くうちすえ、返すように手首を返せば、布は火ネズミの喉元に絡まり、互い合わせにぶつけ合うように叩きつけて、火ネズミは意識を失ったようにぐったりとしていた。]
[遠慮なくとどめを刺すように喉元を長柄の棒で突き下ろしてしまってから、少年へと振り返った。]
これは、助けてしまった。といえるんだろうな。
[目覚めが悪くなるのと、後の手間暇を考えてどちらが天秤にかかるか。なんてことをぼやいてしまったのは反射的なものだ。
内心のため息を表にはださないのは中途半端に大人だからだろう*]
6人目、黒尖晶石の傭兵 ヴェルナー が参加しました。
黒尖晶石の傭兵 ヴェルナーは、従狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[青々と茂る草を、紫黒の足が踏み分ける。
全身を同じ色の鎧 ─── オートメイルで覆った男は幾度目かの領域踏破に挑んでいた]
………今度こそは。
[そう意気込んで既に5年。
伝承を頼りに『願いの叶う場所』である『神魔の領域』へと何度も挑んだが、これまで一度も森の奥へと辿り着けたことは無かった。
いつもは途中で進めなくなるその場所を、男 ── ヴェルナーはひたすらに進み行く]
[「また行くのか」。
そう問うた傭兵団の仲間に是を返したのは数日前のこと。
必要な物資を揃え、ヴェルナーが『神魔の領域』へと挑むことは、この5年で傭兵団の仲間のほとんどが知るところとなっている。
呆れる者、嘲笑う者、本気ではないにせよ応援してくれる者など様々いたが、ヴェルナーが諦めることはなかった。
どうしても叶えたい願いがそこにある]
[しばらく歩き続けると、さぁっと風が身を撫でて行く。
木々と草を揺らしたそれが過ぎ去った後、目の前に黒いものが降り落ちてきた。
警戒の色と共に細長いそれを右手で薙ぐように掴み取る]
…………花?
[よく見れば、右手で掴んだのは茎の部分で、その先端には小ぶりのベルのような形をした花がついていた。
茎には細長い葉もついており、そのどれもが花らしからぬ黒で塗りつぶされている]
……この花…、
[呟いて、左手で首の後ろを撫でた。
今はオートメイルに覆われているが、その下には鏡でしか見ることの出来ぬ己の天命石がある。
手にした花の葉が、天命石の煌めきに似ていたのだ。
茎にも同じ煌めきと、別の煌めきが混ざり込んでいる。
花と同じ煌めきを持つそれは、古い記憶を刺激していた]
[記憶を思い出しかけたところで、不意に声が響く>>6]
──── ハ、辿り着けた、と言うことか?
[伝承を辿るなら、願いを叶えるには『神魔』の試練を突破する必要がある。
響いた声がそうなのだと思うには、十分な出来事だった]
[以前よりも森の中を進めている気がする。
結界が限定的に開かれているとは知らぬまま、紫黒の足は更に奥を目指し行く*]
/*
とりあえず入村!ってもちもちしたら、表情プレビューが入ってないことに気付いた![新パソ]
ポップアップは入れてるのに何故だ。
す……すごい……。
[感嘆の呟きを漏らすリュカには、彼のぼやきめいた言葉は耳に入らない。
否、既に心は決めてしまっていたから、耳に入れる気もなかったと言うべきか]
あの……!
[抜けてしまった腰に鞭打ちながら、脚を曲げ正座の姿勢となる。
そのまま素早く頭を下げ、固い地面へ着けながら言った*]
オレを弟子にしてください!!
/*
リュカはこれ、ローランドに男の子と勘違いされてるやつなのか、それとも男でありながら巫女をやってるのか。
自身のト書きは女で表記されてるから、勘違いされてる方なのかな。
― 回想/10年前・火山地帯 ―
よし、いいだろう
[唐突な言葉>>47についつい乗ってしまった。
折り目正しい正座と、礼儀正しくという態度には好感はもてどもそれに揺れていては修練者は務まらないものだ]
…ノリでいってしまったが、まあまて。
幸運を運んだ兎として話は聞いてもいいが、師になるにしても弟子にするにせよ色々と知らないことがある。
[いいながら、一応怪我がないかどうか。というのだけをさらっと確認する。
左右のバランスがとれてない髪型>>33。身の丈ほどの棒>>36と今となって確認する。]
どうやら得物は同じみたいだけど、ただ強くなりたいだけならどこかの門をたたくほうがいいさ。
それにお兄さんは一か所に居を構えない性質だ。
[旅人であるというのを告げつつ、火ネズミの皮を重ねて背嚢の紐に巻き付けるようにしてしまう]
コニーリオ……この先にはな。ウルカニスという石壁に囲まれた洞穴と石でつくられた街があるんだよ。多くの地質学者と炭鉱夫たちで賑わう街だ。
そこに好奇心を感じるならば、楽しい旅になるかもしれないな。
[これも助けた責任というやつだろう。立てるか?と声をかけ、近くの街へと移動を促すのであった*]
/*
>ローランドメモ「腰には塔の上に太陽を模したような黒いオブジェを提げている」
どうにも太陽の塔が頭を過る…w
7人目、空晶石の守り子 パメラ が参加しました。
空晶石の守り子 パメラは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
……本当に此処が、
あの伝承の場所で合っているんだろうか。
[立ち止まって不安に周りを見回したのは、数刻前に足を踏み入れてから変わらぬ景色を見せる森の様相に。
今歩いている道が正しいのかどうかすらも定かではなく、
だれかに確かめようにも自分以外、人どころか獣の気配すらも感じはしない。
引き返すべきか、進むべきかも迷う中、
どうしたものかと落とした嘆息は射した光にふと、途切れ]
え…?
[木漏れ日かと上げた視線に映ったのは、光と共に舞い落ちてくる一輪の花。
眩しい光だと目を細めれば、舞い落ちる花自身も煌めいているのにようやく気が付いて。
その茎が己の天命石と同じ煌めきを宿しているとわかったのと、その花が手の上に降り立ったのは同時で。
刹那響いた声>>6に、細めていた瞳を瞬きの後大きく見開いた]
[周囲には気配すら無かったし、今も無い。
それでも聞こえた声、そして今この手の中に確かに在るこの花は]
少なくとも、伝承の場所で合ってはいる。
…のだろうな。
[ならば、私の手に在る此れと同じ花、
紫羅欄花を持つ者を見つけ出してみせようと。
迷いを払った足取りで、更に奥へと続く道の先へと歩を進めていった**]
/*
10年前の出来事書こうと思ったけど、ちょいゾフィヤの雰囲気を見てからにしたい感じもあるな。
昔は自分の属性が嫌いで(機械がないと発揮出来ず使い勝手が悪く感じてた)、ゾフィヤや他の人達が魔法を使うのが羨ましかったことにしたくて。
双子なのに疎外感があった感じと言うのかな。
なお、ゾフィヤのことはゾフィと呼ぶ予定。
うん、一緒に行きたい……!
これからよろしくお願いします、師匠!
[立ち上がって身支度を整え。
こちらからも勝手に呼称を決めながら一礼する。
そして師と決めた人の後に付き従いながら、ウルカニスの街を目指すのだった*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[周囲の様子を確かめつつ、慎重に歩みを進める]
……しょーじき、何がいるかとかぜんっぜんわっかんねぇからなぁ……。
[遠い昔からあるという、人外の領域。
人の立ち入りを頑なに拒むこの地は、革命による新興の後、領土拡大に走るシュラハトの行く手を阻む最大の要因の一つ。
とにかく、入れない、というのは、何よりも手ごわい物理障害だ]
……っかし、歩き難いな……。
それだけ、往来がない場所……って事か。
[歩き難い、とぼやきながらも、その足取りはしっかりとしている。
理由は知らない……というか、覚えてはいないが、記憶を失う前はどうやら悪路を歩く事が多かったらしい。
歩き方の基礎が身についている、と教練所の教官に感心されたほどだ。
その辺りも、今回の任務が回された要因かもしれない……というのは、さておいて]
― 失われた記憶 ―
なー、次はどこに行くんだ?
[歩き方の基礎が身についているのは、往復数日の移動を幾度も繰り返していた幼い頃の暮らし故。
既に亡い父は腕のいい鍛冶師で。
その腕を見込まれて、仕事のために近隣の集落を巡る事も多かった。
まだ少年だった頃は、そんな父についてあちこちを巡り歩くのが楽しみのひとつで。
父が出かける支度を始めると、その周囲にまとわりついてこう問いかけるのはいつもの事だった]
「お前は本当に、他所に行くのが好きだなあ……」
だってさー、ウチにないものがあるとこいっぱいあるし。
[当時は知らないものを知るのが楽しくて仕方なかったから、ぼやくような父の言葉に悪びれる事もなくこう返していた。
その好奇心が家業に向かない事がどう思われていたかは知る由なく、今となっては知る術も失われているが]
で、どこから回ってくの?
「ふむ……こないだは西回りだったから、今回は東側から回るか」
……やった!
[提示されたのは、少年にとっての楽しみが先に来るルート。
それに素直に歓声を上げる様子に父が目を細めていた事には、気づく事もなく。
支度が整えば、父に教えられた歩き方を心掛けつつあちらこちらを巡るのが常だった]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
…………ん。
[ふ、と歩みが止まる。
気のせいか、他にも森を動くものがあるようだった]
あー……森が開かれた、って事は、入ってくる奴が他にいても不思議ない、か。
[あらゆる願いを叶える、とされる神魔の伝承。
それを求めて踏み込むものがいても不思議はない]
……願い……ね。
[ぽつ、と呟く。
自分には、そんなものはない……というか、浮かばない。
とはいえ、調査しろという事は、神魔の持つ力の事も突っ込んで来い、という事だろう……というくらいの読みはあった]
……ま、確保くらいは真面目に考えた方がいいんだろうなあ……。
[小さく呟き、手にした花をくるり、と回す。
本来ならばあり得ぬ色味の紫羅欄花。
それがどこへ自身を導くか、知る由もないまま、青年は再び歩みを進める。*]
― 回想/10年前・火山地帯 ―
ああ。
[いいの?という言葉と、少年をコニーリオと呼ぶのもどちらもでいう。
レープレには見れない以上、コニーリオだろう。その両方>>53へとあっけない態度で応える]
ならちょうどいいか。道場に通えば強くはなれるがあちこちいけなくなることが多いからね。
[おかげで断らせる理由が喪われてしまったが、よいとしよう。旅にでたい。といいながら、物を知らないこの兎少年の前歴などを踏み抜くよりはおそらくマシだ。]
珍しいもの、それはこの大地そのものさ。
ここは近年…といっても数百年前に海底火山の隆起によって新たに生まれた大地といわれている。今もほら、たまに元気に灰を噴き出す火山がいる。
[視線を赤熱の川が流れる荒山へと向けてみせつつ]
地層を調べている。そこに歴史が詰まっているといってね。
そしてこの大地―――大陸そのものが生きているということを調べているものたちさ。
それに浪漫を感じられるなら楽しめるだろう。煌びやかなものが見たくても、地熱温泉に入りたくても楽しめる場所だけどね。
注意点は暗いことだ。あそこにいって数日過ごすと目が暗闇に慣れてしまう。
その後にお日様を浴びるときは注意がいるね。
[これから行く先、好奇心を覗かせる兎>>54へとざっとした説明をする]
ああ、いこうか。色んなところに行くことになるから覚悟するように。
[師匠と呼ばれる>>55ことに、拒否はしなかった。
そもそも名乗ってないことだしな。笑みには笑みを返しながら、兎が身支度を整えるまで>>55待つと、ウルカニスの街を目指して歩き出す。
石でできた頑強な壁。中に入るためのいくつかの空洞。灯りは炎のように煌めく鉱石が照らすだけの仄暗い道のある洞穴でできた街。]
命とマグマと宝石の街、ウルカニスへようこそ。かな
コニーリオ、ここでお兄さんは服を作ってもらう必要があってね、しばらくは滞在するからそのつもりでな。
[その間に簡単な生き残る術を学ぶ時間もあるだろうが、とりあえずは宿直で名前をお互い知ることになるだろうか**]
8人目、黒透輝石の運び屋 ゾフィヤ が参加しました。
黒透輝石の運び屋 ゾフィヤは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
[『コルムナ』において中小国同士の小競り合いがなかなか止まぬ北西部に、ひとつの街がある。
ミットヴィンターという名のその街は、
戦争により行き場所をなくした者たちが寄り集まってできたところだ。
最初は寒風吹きすさぶだけの場所だった、とは、街に住んで長い者の弁。
そんな街にある食堂は陽の高い頃合い、賑わいを見せている。
今も、そう、牧歌的な雰囲気にはやや似つかわしくない機械仕掛けの乗り物――二輪車が店の横に停まり、
乗り手が客としてやってくる]
―― ミットヴィンターのとある食堂 ――
やあ、おおよそ二日ぶりかな。
[彼女は運び屋の仕事を終え片道半日はかかる「隣町」から帰ってきたところであった。
おつかいにしては長い道のりだ。しかし彼女はそれを難なくこなす。
ゆえに“運び屋”として一定の需要を得ていた。
ランチメニューを注文し、お冷を飲んで一息つく。
食堂の入り口近くの壁には木のボードがあり、
何やら書かれた紙が何枚もピンで止められている。
不在の間はたまに街の人がここに『運び屋』への依頼を貼っていくことはあるが、
今はそれらしきものはない]
あ、そうだおばちゃん、
明日からまたちょっと遠出してくるから。
『常連さん』にもそう伝えておいて。
[食堂のおばちゃんはあからさまに「またかい」という顔をしたが、
痛くもかゆくもない。じいいっと見返してやれば先に折れたのはおばちゃんの方だった。
その後出されたランチメニューのメインのオムライスはいつもより心なしか大きかった]
今回はちょっとだけ前より長い旅になる、かもねぇ……。
[行き先を思い描く。
『神魔の領域』。まだ踏み入ったことすらない場所だ。
……運び屋をしつつ、暇な時にふらっと気まぐれにあちこちを渡り歩いていれば、
色々、あったものだ。出会いも別れも。
探究の旅。彼女は放浪をそう位置付けている]
[で、あればこそ、伝承に語られる地にもいつかは行ってみようと思っていた。
そのいつかを明日からにしようと思ったのは――ちょうど10年、だからだ。
記録をつけるとすればそう記述する他ない。
そうして彼女は翌朝にまた街を発った*]
/*
脳内でめちゃめちゃ呻いている もきゃー
想定している願いがとりあえず相方とあわねえと発生しないものなので行く動機に悩む悩む
ふたごのきょうだいやろうぜ!→せっかくだから有翼種やりたいぜ!→バトルスタイルも固まったぜ→以下ノープラン まあよくある話やね(しろめ)
― 回想/10年前・火山地帯 ―
[どうやら旅に出たいというこちらの望みを、あちらは汲んでくれたようだ>>61。
拒絶の態度が見えないことにも、申し訳ないというより安堵や嬉しさが先に立つ。
相手の思惑を察するには、年齢やら経験やら、色々足りていないようだ]
それじゃあきっと飽きちゃうなぁ。
同じ景色ばかり見てるんじゃ、田舎に居るのとそう変わらないし。
[改めて師匠と共に行くことを選んだと告げて。
歩を進めれば、見えて来るのは溶岩の流れる山>>62]
へえ……あんなに熱そうな山を見るのは初めてだ。
あそこじゃ植物も生えないんだろうな。
[樹に属する自身の力とは、相性のよくない場だと内心で思う。
とはいえ興味だとか浪漫だとかは、それとは別の話だ]
――なんだか、オレが考えたこともないようなことも知っているんだね。
やっぱり只者じゃないよ、師匠は。
[相手の経歴も何も知らぬままにそう持ち上げる。
覚悟>>63、の言葉に、大きく頷いて]
おう!
どこまでだってついて行くからな。
[そうしてしばらく後、辿り着いたのは石壁と洞穴の街。
物珍しそうに周囲を眺めている所へ、声を掛けられ視線を師の方へ戻す]
了解です!
――ねえ、その間にあそこまで行ってもいい?
[それからは訓練だとか学習だとか、それなりに充実した日々を過ごした。
互いの名を知る機会も遠からず訪れるだろう**]
―― 『神魔の領域』・外周の森 ――
[いっさい人の手が入っていない様子の道に、蒸気機関をエンジンに積んだ二輪車の走行跡がついていく。
主に生えている草を踏み倒すという形で、だ。
森に踏み入ってはみたはいいが、さっきから似たような景色ばかり続いている]
ずっと森……?
『神魔』って存在がいるなら、お屋敷とかあってもおかしくはなさそうだけど。
どんな家に住んでるんだろう。
[なにやら想像を巡らせようとしたその時、進む先で何かがきらりと光ったのが見えた。
木漏れ日にしては高度の低い位置で。
思わず二輪車を止めたその時――
ふわり、と吹いた風に乗って、光の主は目の前まで舞ってきた]
これは、花だね。うん。
形はサンダーソニア。だけど、……うん。色違いだね?
[花どころか茎や葉まで漆黒で塗りつぶされているが、
ところどころが煌めいていて、まるで宝石のようだと思う。
小ぶりのベルのような特徴的な花を見やれば、
これまた特徴的な十字型の光が走っているのが見える。
花よりも何よりも見てきた、己の天命石のように。
我知らず首元に手をやった。
二輪車を駆る時いつも着ている上着に隠れて今は見えないが、
そこには天命石を埋め込んだチョーカーが巻かれている。
その星じみて十字に走る光を思い描いた]
[次いで何気なく葉を観察してみる。
花とは違うきらめきをした黒を前に目を丸くした。
過るのは古い記憶だ。
10年という区切りよりもさらに前。
このきらめきと同じ天命をやどした者に夢を語ったことだ。
たくさん、たくさん、この世界を旅をしてその話をするのだと]
………むっ。
何事? ていうか誰?
[そこに誰かの声が――姿もないままに響く。>>6]
…………お屋敷は見つからない、けど。
第一関門突破、じゃなくってようやく入り口に立った感じかなぁ。
[誰? と訊いてはみたがこの台詞、まるで試練を与えているかのようではないか。
だから伝承通りならこれは『神魔』の声なのかもしれない。
とりあえずそう思うことにした。
いずれにせよ進むしかないならば、希望を持って進んだほうがよほどいいのだから**]
/*
・∀・「早くバトルしたいでござる」
ゾフィヤ「え」
・∀・「え???」
・∀・「まあ気持ちはわかる。しかしわたしははやくばとるがしたい」
─ 『神魔の領域』・外周の森 ─
[自分の手元に降ってきた此れと同じ花を携えし者。
それが誰かも、何処に居るかもわからないまま、けれど進める足取りは危なげ無いものだ。
それは私の住む集落が辺境に在るからというのもあるが、幼子だったあの頃の思い出も大きいのだろう。
今はもう、苦いものと変わってしまった、記憶だけれど]
─ 回想 ─
[私の住む集落は、神魔の領域の周辺にある国よりも離れた辺境で。
決して豊かとはいえないが大体は自給自足で事足りていた生活の中、男は戦いの術を、女は生活の術をそれぞれ身に携えることがそれぞれの役割となっていた。
その集落の長ともいえる土地守の一族の家の娘に生まれた私も、当然その役割に準じるものとして育てられるはず、だったのだけれど]
なんで、わたしは、したらだめ、なの?
にいさまは、まいにち、やってるのに。
[物心ついて、言葉を発し、自らの意思で動くことを覚えて。
二つ上の兄が毎日している素振りを見て、自分もやりたいと思った。
けれど、見よう見まねで棒を振っていただけで周囲からダメだと言われて。
生じた疑問へと返された答えに、私は納得できなかった]
にいさまや、とうさまが、みんなをまもるために、してること。
どうしてわたしは、やったらだめ、なの?
[男はこの地、皆を守る為に武芸に励み、女は生活を守ることを第一に。
だから女の子はそんなことしなくていいのと何度言われても、私は分かったと頷くことができなくて。
頑なに拒む私を見兼ねて、何でそこまで、と踏み込んできたのは祖母、だった]
「パメラ。
あんたがそこまで強情はるのは、なにか理由があるんだろう?
ひとつ、あたしに教えちゃくれないかい」
おばあさま。
…うん。あのね。
[祖母は自らを変わり者と称している人だったけれど、私にとっては変なところなんて全然なくて。
私の話を聞いても、変な顔をしたり、笑わないでくれると信じられる人だったから、きっとほかの人に対してなら素直に言えなかっただろうことも、話すことができて]
にいさまや、とうさまたちは、みんなをまもるために、
たたかえるようにって、けいこ、してるんでしょ?
わたしたちをまもるために、つよくなろうとしてるんでしょう?
でも、じゃあ。
にいさまやとうさまたちは、だれが、まもってくれるの?
[ぎゅ、と。
正座した膝の上に置いていた手、握った拳が震えるのは不安と、納得のいかない理不尽への両方で]
みんなね、おんなのこがそんなしんぱいしなくていいっていうの。
でも、なんでしんぱいしなくていいのかはだれもおしえてくれないの。
ねぇ、おばあさま。
なんで、わたしはけいこをしたらいけないの?
にいさまたちをまもれるようになりたいって、おもったらいけないの?
[目に溜めた涙は、けれど零さないまま真っすぐ祖母を見つめて。
投げかけた問いに返されたのは、苦笑と、しかたないと言いたげな嘆息で]
「パメラ。
あんたのその気持ちはね、あたしにはよく分かる。
あたしはこの集落の外からきた人間だからね、女でも武器をふるうことがおかしいとは思わない。
この年にもなれば多少変わっていたって、そうそう気に留めるヤツもいないしね。
でもねぇ、パメラ。
あんたは此処で生まれて、育っていく子だ。
みんなと違うことをしようとすれば、よく思わない連中はたくさんいるだろう。
それこそ、父様母様、兄様すらあんたを悪く言うかもしれない。
余計なことを言ってくる連中は山ほど、あんたが大きくなればなるほど口出しも手だしも増えてくるだろう」
[そう言いながら近づいてきた祖母が伸ばしてきた手は、そのまま私の頭を撫でて]
「だからね。
あんたはこれから、山ほど頑張らなきゃいけないよ。
人と違うことをするなら、口出しも手だしもされないように力をつけなきゃならん。
あんたの年頃の女の子ができることも、男の子ができることも。
両方身につけて、なおかつ頭一つ飛び出るくらいにはならなきゃいけない。
それはとっても大変だ。
あんたの兄様だって、きっとそう簡単にはこなせない。
それでも、できるかい?」
[祖母の口調は優しくて、けれど視線は厳しさを宿していると伝わって。
だからこそ、ちゃんと考えて返事をしなくちゃいけないっていうのは、子供でもちゃんと分かったから、私は少し──ううん、とても、悩んで]
……わたしが、がんばらなきゃいけないこと。
しることから、はじめたい。
やらなきゃ、できるかどーかも、わかんない、から。
できるかどうか、やってみたい。
[導き出した答えを聞いた祖母は、苦笑のまま、それでも嬉しそうに破顔して。
結局、その日から私は祖母の教えを受けることとなった]
「…まぁ、教えるって言ってもね。
あたしの得物はあんたにゃ流石に大きいし、刃物を持たせるのはまだまだだ。
しばらくはこの棒を使うんだね」
[祖母が教えてくれたのは、父や兄たちのしている素振りや手合わせとかまったく違うものだった。
身の丈に合わぬ長い棒を短く持ち、重さに負けそうになりながら祖母の姿勢を真似ることから始まって]
「まずはこの長さの感覚、間合いを覚えな。
背が伸びたら、そのたびにこの間合いが取れるものと交換していくんだ」
「多少の力はつけなきゃならないけどね、けっして力で勝とうとするんじゃないよ。
この間合いを味方につけて懐に入れないことが大事。
まぁ、もっと腕が上がったら、あえて懐に入れることも覚えなきゃいけないけどねぇ」
[そんな風に、私の実力に合わせての指導は厳しくも温かくはあったのだけれど。
祖母から言われた通り、男の真似事に励む私への周囲の目は良いとは言えず。
やることはやっているから黙認されているだけ、というのは幼子でも容易に伝わった。
そして、そういう空気は伝染するもので、次第に私は、同年代の輪から外れて、ひとりになっていって。
祖母の指導で上がっていた武の腕も、頭打ちになり始めた]
「……やっぱり、一人でやってるからね。
だれかと手合わせができるなら、もっとやりようもあるんだが…」
[祖母から指導を受けるようになって、一年以上を過ぎて。
5歳になった私は、前よりも長くなった棒を振るうこと自体には慣れてきたけれど、それ以上にはなれていなかった。
人と打ち合ったことが無いから、具体的な動き方がどうしても分からなかったのだ。
祖母とは体格も違い過ぎたし、腰を患っているのも知っていたから祖母から申し出を受けても断っていて。
けれど、他に手合わせをしてくれる人は、私には誰もいなかった。
兄ですら、もうそろそろ止めたらどうかと言うばかりで、相手などしてはくれなかったから。
以前は家の庭でしていた自主練習も、今は一人、誰の目も無いと分かっている場所で行うようになっていた]
[この場所は、私たち家族だけが知っている場所で。
誰にも教えてはいけないよ、とも言われている場所でもあった。
集落で管理している社の裏、深い茂みに隠された道を通って幾つか張られた結界を越えて。
ようやく辿りつける、開けた、けれどなんにもないその場所が私一人の練習場所、のはずだった、のだけれど]
………え…?
[一人で棒を振るっていて、ふと聞こえた音に顔を上げて驚いた。
知らない人───いや、顔は見たことはあるけれど、名前は知らない人がそこにいたから。
確か父様たちの武器を作ったり直したりしてくれてる人と一緒に来ていて、兄様たちとよく遊んでる人。
それはわかるけれど、でも、なんで此処に──
そんな疑問よりも、また変なものを見る目を向けられるのか、そちらのこわさのほうが大きかった。
でも、その人から向けられたのは、そんなものではなくて]
え………?
[その目に宿っていたのは、純粋な好奇心。
これまで言われ続けてきた、女の子がこんなこと、という言葉が。
好意的な意味で使われたのなんて、初めて、だったから]
……あ、の。
わたしのこと、へんだって、おもわない…の?
[思わず紡いでしまった問いに、返された答えも今までとは違うものだったから。
こんなお願いを我慢できなかったのも、藁にもすがる思いから]
時間があるときだけ、で、も。
わたしと、てあわせして、くれません、か。
[このお願いに、その人が返してくれた答えもまた、初めてのものだったから。
抱いた嬉しさはとても大きくて、本当に、嬉しくて。
でも、なぜか]
……あ、
[笑ってお礼を言いたいのに、一音を発しただけで、目から雨が降り出した。
なんで、と思っても止めることもできなくて、それどころか喉がしゃくりあがって言葉を続けることすら難しくて]
あ、りが、とぉ…っ
[ひどい泣き顔のまま、それでもなんとかお礼を言えるまでにも少し時間がかかってしまった。
更に泣き止むまでにはどれ程の時間を要したのだったか。
それでも、いつまでも泣き続けることは難しいから、時間が過ぎれば涙は止まって]
あ、の。
わたし、パメラっていいます。
あなたのおなまえ、きいてもいい、ですか?
[ようやく名前を問いかけて。
祖母に頼まれて此処まで自分を迎えに来たのだということもこの時に教えてもらった。
これが彼との───イェンスとの、最初の記憶**]
9人目、南極石の王子 クレステッド が参加しました。
南極石の王子 クレステッドは、従狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 或る森 ―
『神魔の領域』。
そこへ行けば、私の願いが叶うと?
[問いに、師であり庇護者でもある麗人は、穏やかに頷いた。]
父祖の地を取り戻し、民に安寧をもたらす。
それが私の唯一の願いだ。
[毅然と告げれば、かの人の手が頭へ伸びてくる。
額に置かれた指から、魔力が薄く広がった。]
[「『森』までの間、おまえの素性を知られぬようにしておこう。」
師の言葉に感謝を伝えて一歩引き、一礼する。]
行ってまいります。
[あるいは二度と戻らぬ道行きかもしれない。
それでもなお、普段と変わらぬ言葉で辞去を告げる。
さらに一歩下がって踵を返した後は、振り返らずに歩んだ。**]
10人目、曹珪灰石の
曹珪灰石の
― 『神魔の領域』 ―
[ 「おまえを森の奥へ連れていく夢を見たのだ」という。
夢であれ酔狂であれ、大した違いはなかった。
笑みも拒絶もなく、従うまで。
王都を離れることにも、躊躇いは感じなかった。
以前であれば、自分が留守にしている間に王子が戻ってくるのではないかと、気を揉んでいたろう。
けれど、王が斃れ、王子が逐われてから10年が過ぎ、
それでも存続している街を見るのは、むしろ気鬱になってきていた。]
( …滅びてしまえ )
[ 音にならない願いは、胸の中に滴る。]
[ そして、導かれた森は、一面の菫青色だった。
あの日以来、色を失った視界に痛いほど訴えてくる。
なるほど、格別の場所だというのはよくわかった。
とはいえ、灰色だった世界が青の濃淡に変わったのみとも言える。
一筋に伸びていく淡い道へと馬を進めた。]
[ 背後から呼ばれた気がする──アラン、と。
それは、執政を名乗る男が10年前に与えた名だ。
振り返る気にもならない。
と、風を切る音がして、左腕に鋭い痛みが走る。
矢を射掛けられたのだ。
血が滲んだが、馬の足を止めることはしなかった。
ただ、道をそれて森の木を盾として進む。
森の奥へと誘う力の方が、呼ぶ声よりよほど強かった。
あの男は追いかけて来ない。
この神域に阻まれたのだろうと思う。]
[ 自由…?
ふと、そんな言葉が浮かんだが、すぐに否定する。
何かの意思、あるいは運命が自分を縛っているのを感じていた。**]
― 現在/『神魔の領域』外周の森 ―
[巫女が『領域』に立ち入る際は、いつも神殿の裏手から繋がる小道を利用していた。
他と比して変化に富んだ森ではあるが、それでも結界が作用する位置は、おおよその見当がついていた]
[形骸化した儀式とはいえ、一応は巫女の務めとして。
真摯な祈りを抱き、清浄な心でもって、その場へと臨む]
――どうか、我らの国に平穏を。
[踏み出した足が弾かれたなら、己自身のなすべき事を立ち止まって考えることにしただろう。
しかしその足は抵抗なく、森の中心部へ向け進んでいく]
[ずっと待ち望んでいたその声に、歓喜のあまり思わず膝を着く]
ああ、ようやくこれで……巫女の務めが果たせるのですね……!
[とはいえそれっきり、神魔のものらしき声が返って来ることはない。
お目通りは試練を越えた先のことと解釈し、目元を拭って立ち上がった。
特別扱いはされないようだが、心情は前向きだった――何せ今までは、開始地点にすら立てなかったのだから]
ええ、やり遂げてみせますとも。
ずっと待ち望んでいた機会なのですから……!
[手中の花を押し抱くようにしながら、未だ姿の見えぬ神魔へ向けて宣言する。
そして相まみえよと言われたその人を探すため、更に森の深部へ足を向けた]
あいつ――まさかシュラハトの……!?
[新興の軍事国家であるその国の名は、巫女もよく知っている。
幾度となくグリュングレースへ兵を差し向け、国土を切り取っていった国。
神殿を焼かれることはどうにか免れているものの、頭の上がる相手ではなく、何らかの要求をされれば断れぬ間柄であった]
あの国の人間が、この聖域に何しに来たんだ……!
[願いを叶えるのが目的か、それとも土地か。
いずれにせよ彼らの好きにさせるつもりはないが]
――でも、あいつも神魔様に結界を通されたっていうことだよね?
[グリュングレースを脅かす国の者であっても、神魔はお目通りを許すのか。
恩寵を受けたは遠い過去の話と知ってはいたけれど、その事実は巫女の胸に暗い影を落とした*]
― 回想 ―
[その集落は、父にとってはいわゆる『お得意様』だった。
鍛冶師として様々なものを作る父ではあったが、その本質は武器を鍛える刀鍛冶であり。
自身も刀の修行を積む途上の少年にとっては、手合わせできる同世代がいる希少な場所でもあった、のだが]
……え?
[訪れた先、父がいつものように仕事のための話を始めて、自由に歩ける時間を得て。
さてどうしようか、と思っていたら、何度か顔を合わせていた老婆に声をかけられた]
あー、うん。
いいけど……。
[孫娘を迎えに行ってはくれないか、というお願い事。
なんで自分に? と思いつつ、断る理由もないから、軽い調子で頷いた。
その子がいるであろう場所と、行き方を教えてもらって。
茂みの中に隠された道を通ってたどり着いた先で見たものは]
……て、わ……。
[たどり着いた先にいたのは、棒を振るって何かの型を繰り返す女の子。>>84
思わず上げた声と、直後に踏んづけ小枝が折れる音に手を止めて振り返ったその子は、何かに怯えているように見えた。
とはいえ、その理由なんて知る由もないから、あ、驚かしたかな、くらいに考えて]
あー、ごめん!
びっくりさせちゃったかな……邪魔するつもりは、なかったんだけど。
でも、すげーなー。
女の子で武術の稽古してる子って、あんまりみないのに。
[口にしたのは素の感想。
あちこち渡り歩いても、武術の鍛錬に励む女子、というのは、あまり見たことがなかったから、それをそのまま口にして。
『へんだって、おもわない…の?』という問いに、え? と言って、ひとつ瞬いた。>>85]
え、別に。
……俺のかーさんも剣士だから、ふつーに毎日鍛錬してるし。
[てか、鬼師匠だし、というのはさすがに口にしなかったが]
ここの女の子はあんまりやらないみたいだけど、別におかしくはないんじゃない?
[他所の集落の習わしなどは知らぬから、思うままを口にして。
続けて向けられた願いに、幾度目か瞬いた]
手合わせ……って、あー、うん。
俺も刀の修行中だからそれは構わないけど……って、ちょ、え!?
[少女の繰り返していた型はこちらにとっては見知らぬもの。
異種の武術との交流は自身を大きく磨けるから、とは武術の師たる母の口癖で。
知らぬ型との手合わせは望むところと諾を返した……ら、思いもよらぬ雨が降った。>>86]
え、ちょ、え、ど、どーしたんだよっ!
[俺なんかヤバった、やっちゃった!? としばしあわあわするものの。
その果てに向けられた言葉に、今のが嬉しさからのもの、とようやく認識して安堵の息を吐いた。
そこに至るまでは、はらはらしっぱだったりしたが]
パメラ、か。
俺は、イェンス……イェンス・トゥルエノ。
[よろしくな、と笑ってひょい、と手を差し出す。
握手の意図はちゃんと伝わったか。
ともあれ、向こうが落ち着いたなら、ポケットからハンカチを引っ張り出して]
そーいや俺、長さんとこのばーちゃんから、孫娘迎えに行って、って頼まれてきたんだけど。
それ、パメラで間違いないんだよ……な?
[なんて今更のように確認しつつ、ほい、と差し出した。*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[歩みを進めながら、鎧の左胸部分の爪に引っ掛けた漆黒の花へと視線を流す。
花が宿す十字の光。
覚えのある光はヴェルナーの記憶を遡らせた]
― 回想/故郷にて ―
[ヴェルナーには双子の妹がいた。
同じ灰色の翼を持ち、同じ色の天命石を抱いた片割れ。
宿す属こそ異なったが、周囲も認める仲の良い兄妹だった]
ゾフィの夢って?
[離れ離れとなる日よりももっと昔。
同じベッドに潜り込んで眠るまで語った夢の話。
この世界をたくさん旅をして話をするのだという妹>>72。
活発な彼女らしい、と思いながら、笑って聞いた]
ゾフィなら色んなところに行けるよ。
良いなぁ、俺も行きたいな。
[その当時、明確な夢というものを持っていなかったヴェルナーは、夢を語る妹を羨ましく思っていた。
何気なく言ったその言葉は、妹と夢を重ねることで自分自身も夢を抱いたように思いたかった現れだったかもしれない]
[というのも、ヴェルナーは自分の属をあまり好きではなかったのだ。
故郷は機械技術が発達していたわけでもなかったから、自分の能力を活かせる場所がほとんどなく。
魔法を使える街の人々や妹が酷く羨ましかった。
幸い、故郷は機鋼属性に偏見があるわけではなかったから、羨望を必要以上に拗らせることなく今に至っている]
俺は、ゾフィが羨ましいよ。
[一度だけ、そんな風に零したことがある。
夢を持っていること、魔法の使える属性であること、その両方に対しての言葉を、妹はどう思っただろう]
― 現在 ―
[嫌っていた属性も、今では手足を動かす重要なものとなった。
扱い方も昔より格段に向上している。
自分にはこの属性が必要だったのだと、今なら思えた]
[その切欠となった出来事は、あまり良い想い出ではなかったけれど*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[感じた動くもののの気配に意識を張りつめさせていたから、その存在に気付くのは比較的早かった]
……ん……。
[微かに聞こえた声>>98と、視線。
す、と視線を流した先に微かに見えたのは、構えられた杖の先]
……誰か、いるのか。
[投げかけるのは、低い問いかけ。
煌き帯びた紫羅欄花は軍服の胸ポケットに刺すように押し込んで、左の腰に佩いた二刀の内の短い方――『龍爪』の柄に、左手をかけた。**]
― 回想:十年前 ウルカニス ―
『とびきり美味しく、焼けましたニャー!』
[熱された石に飛び散る肉の油に混ざる香料の匂い。
剣を掲げるようにして調理できたことを高らかと掲げるこの地に住む。猫人という種族
彼らは狭いところがだいすきなのだ。
まあそれはともかくとして――あの後に、火ネズミの衣は十日ほどかかると言われたため、滞在期間はそれだけかかることに決まった。
好奇心旺盛に街中へと入ったコニーリオ>>69も少し街中に慣れただろうか。]
いただきます。
[掲げられたお肉が皿に乗った。ステーキを食べてから考えよう。]
[さて、そのように時間もとれれば街の中にある展覧会のように地層とそこから発掘される石からくる生物の移り変わりを知として知る時間だけでは退屈だ。
地熱温泉に浸かってもいいが、師匠と呼ばれたからには一応なりとも生き残る術を教えるべきなのだろう。]
力とか速さとかはね、一昼夜でできるものじゃない。それぐらいはわかるだろうから行き詰ったときにやりかたを教わるように聞いてくれ。
[といっても、0から教えるようなことはしない。2や3ぐらいは自力でやってもらうという気持ちだ。そして修練所を借りて行ったのは、木の人形。その胸の一部分を正確に狙って突きを打て。というものだ]
成長によって鍛えられるものもあるが、今のうちに鍛えておいたほうがいいのは、反射神経や動体視力、判断力、あとは集中力だね。
さて、コニーリオ。最初の二十回は見事胸を捉えたね。しっかりと修練を積んでいたようだ。でもね、それから先の十回は外れたね。
君は狙ったところを当てるだけの技量があるにも関わらずに当て続けることができなかった。それが鍛えられる集中力というものだ
[休むようにいうと、自分も同じ数。30回分、胸の一部分に正確に狙い突きを放ち続ける。一つの指標としての姿を見せて]
武芸。というものとは違うけど、お兄さんはこうやって自己鍛錬していったかな。
[棒術、戦いの駆け引きとは違ったところから教えていった]
薬草というのは覚えておいたほうがいい、そして旅をしながら見つけたものは採取しておいたほうがいいね。荷物として嵩張って無理だ。というなら別だけど、何かあれば役に立つものさ。
路銀にもなれば自分にも使える。といっても取りすぎには注意だけどね。
[植物をつくる力をきけば、コニーリオは相性がいいようだ。と朗らかに笑むだろう。
星に位置によって方角をしる術。空模様で天気を予測する術、旅をしながら教えられることもあるが、座学で教えられる範囲でのことも少しずつ教えていった。]
[というよりも少しずつしか教えられなかった。ともいう、]
森の種という者たちがいる。偶像や崇拝によって生まれた神ではなく、森を信仰するものたちのことさ。
伐採しなければならない木は伐ることを選択できる森の管理人でもあるが、同時に太古の昔、私たちにとって最もポピュラーな傷薬の原料である青ヨモギの薬をつくったものたちとも言われている。
古くよりこの青ヨモギの汁に蜜を足し、聖水として機能させていた宗教もある。神の力ではなく理の力がそこにあったわけだ。
森の種の者たちは優秀な薬師であるが、同時に優秀な毒師でもある。森を不要に傷つけるのは許さない面もあるため過激なものたちともいわれているね。
こうしてみると、物事は表面上だけでは受け止められない。そういうものかもしれないね。
[などなどと、話が脱線することもあったせいであった*]
/*
んーあとは眷属さんずだけーか
そしてこう、回想を見てそういえばこじらせるルートもあったね!!! ということを思い出すやつ……
11人目、桜石の魔人 イングリッド が参加しました。
桜石の魔人 イングリッドは、夜兎 を希望しました(他の人には見えません)。
おや。
[ ひゅうるり、と、啼く風を声が揺らす。>>4 ]
[ くすくすと、笑えば桜色の髪が揺れる。 ]
捻れた縁に途切れた想い、まったくもって酔狂だ。
12人目、砂金石の眷属 ミーネ が参加しました。
砂金石の眷属 ミーネは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[呼びかけに応じるように、気配が動く。
現れた女の姿>>117に、僅かに目を細めた]
グリュングレース……ああ。
[あそこか、と呟く声音は気のないもの。
青年にとっての彼の国は、形骸化した信仰に縋る小国、という認識に収まるもの。
故に、相手の肩書きを聞いても特に何の感慨を抱く事もなく]
何用……と言われてもな。
こちらは軍務にて行動している。
……それを、一般人に、教えるのは軍規違反なんでね。
答える事はできねぇな。
[淡々と返す声音は微妙にやる気がないが、気配は鋭い。*]
― 傭兵団フェアティガー ―
[ヴェルナーがオートメイルの手足と鎧を手に入れて戦場へと立ったのは5年前。
所属する傭兵団は『神魔の領域』からは離れた位置に拠点を構え、戦争や紛争の絶えない『神魔の領域』周辺を中心に傭兵活動をしている。
依頼人となる国は様々、場合によっては以前は味方だった国が次は敵にもなる。
それが傭兵と言えばそれまでだが、どっちつかずと罵られることもままあった]
シュラハトを追い返す、ね。
何度目だ? この手の依頼は。
[たった5年傭兵業をやっただけで幾度も耳にすることになった国。
積極的に領土拡大を行う新興の国とは、ヴェルナー自身幾度も戦うことになった。
それだけ勢いのある国なのである]
いつになったら戦争は無くなるんだろうな。
[戦うことを生業としながら、戦いがなくなることを望む。
抱える矛盾こそが、ヴェルナーが傭兵業を続ける理由でもあった]
そういや、前に変わった武器を持ってるやつがいたな。
ほら、旗みたいな棒を使う。
[いつだかの折に見かけた、同業らしき人物が扱う武器の話。
何だあれ、と仲間と物珍し気に眺めた記憶がある]
あれ以降見かけないな。
死ぬようなタマには見えなかったが。
[どうしたんだろうな、なんて上った話題は次第に別のものへと移っていく*]
/*
……あ、よかった。
[※何気に眷属'Sが心配だった]
てか、その呼び名……w
わちき、どっちでもないしどっちでもあるんだがwwww
かぁさま?
[風に乗って届いた声>>4に、ガサガサと音を立て、少女の顔も飛び出した]
お仕事…?
[捻れた絆を持つ連中、という説明に小首を傾げたものの、それが望まれたものなら問題はない]
/*
散発的に縁故ばらまいてるが、この辺りにしかばら撒けないのでは、ともなっている(
後はせめて乳兄弟のどっちかに振れればバトル吹っ掛けやすくなるんだが。
村の設定が変更されました。
[ 神魔の眷属たる魔人が、森の主を『姉さま』と呼ぶのは、ほんの戯れ。
外つ国の習わしを聞き齧ったか、或いは、風に乗り見物にでも出かけた事があるのか、それとも前世の記憶でもあるのか、真実を知るものは、今生には居ないけれど。 ]
さて、酔狂の宴に招かれたのは、幾人だろうね。
[ ふう、と、桜色に染めた指先に息を吹きかければ、枯葉色の翅に桜の紋を染めた蝶がひらひらと風に舞う。
ひらり、ひらひら、舞う度に、蝶の姿は増えていき、やがて八方へと別れて飛び去っていく。 ]
どんな希いを見せてくれるか、楽しみだ。
[ 『ねえ、姉さま』…と、最後の呼びかけは音にはならず、薄紅の唇だけが言の葉を型作って笑った。* ]
[戦闘訓練の他にも、様々な旅に役立つ知識を教えられた>>115。
特に薬草や食用の植物のことなどは、能力のこともあり進んで多くを学んでいった。
それ以外の知識だって当然、出来る限り覚える努力をしたけれど]
師匠の話、たまに長老並に長くなるんだよなー。
[知らないことを知るのは楽しいから文句はないけれど、たまに何についての講義だったのかわからなくなることもある>>116。
教訓めいた言葉を付け足したりもするので、ますます村の先生役もしていた老人の事を思い出すのだった]
実は思ってるよりずっと年上だったり……?
[おじさんと呼んだら失礼なくらいの年齢だと思っているが、時折父よりもずっと年上にも思える。
人生経験の差がそう思わせるのだろうか――彼がどうやって路銀を稼いでいるのか、実のところ知らない部分も多々あるが]
――互いに、聞かない方がいいことってあるもんね。
[そう自分を納得させつつ、青ヨモギの薬について質問を投げたりするのだった*]
/*
やっぱりいろいろありまして、本参加にしてなくて良かったとしみじみしてる、ふかふかしたなまものです。
当初「主様(ぬしさま)」呼びにしようかなと思ってたんだけど、花魁装束と聞いて、思わず「姉さま(あねさま)」呼びにw
禿っぽいのはミーネちゃんの方だけどね。
あと、実は、このこの方が年上かもしれん。しかし戯れなので、そこは気にしないのだ。
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[こちらの名乗りには気のない返事をされる>>120。
権威がないことは承知の上だが、『領域』で好き勝手されるならば見過ごす訳にはいかない。
軍務だと返す声に、鋭い気配は感じつつも視線を険しくし]
この『領域』で?
この地が如何な国でも不可侵であることは、貴方とて承知のことでしょう。
[詳細は明かされなくとも、良からぬ理由であることは推察できる]
……一体どんな手を使って入り込んだのか知りませんが。
貴方のような輩を、神魔様がお認めになるとお思いで?
[神魔により試練が課されるというなら、相応しくない者は排除されることになるのだろうと。
そんな当て推量も込めつつ、相手へ向けじり、と一歩を踏み出す*]
[自由に動けるようになってから、森が開かれるのは今回が初めてのこと]
いぃさまなら、どうするかなぁ。
わたしは、どうしよう?
[桜色に思いを馳せつつ。
風の向くまま気の向くまま。
森の方へと足を向けた]
― 現在 ―
[つくねと卵もいただいた。
卵のほろほろとした甘い黄身に染みついた甘さをともなったうま味汁に鬼カラシのピリッとした辛み。
軟骨入りのつくねは時折触感にアクセントがあり鳥のうま味がじゅわっと口の中で広がるのがたまらない。]
もう少し…数日間ぐらいは味わっていたいものだね。
しかし食道楽以外の道楽だって楽しまないといけない。なんとも欲深なことだね。
[修練者は、熱燗をくいっと傾けてしみじみと語っているが、話してることは遊び人であった。]
さて、タンシチューが…違う、冒険がおじさんを待っていることだしそろそろいくとしよう。
ん?ああ、それはただの珍しいだけの花さ。レディを口説かないためにこのまま置いていくよ。
[金額と、花を一輪置いていく修練者。しばらく街を楽しんだかどうかは、ここでは関係ない話なのでここまでとなった。]
― 神魔の森 ―
[そんなこんなで]
おや、手放した花が戻ってくるとは因果なものだね。
[落ちてきた宝石の花>>#1に声>>6
掌を真上にむけて花を恭しく受け取る。植物ではなく鉱物でできた石は、特別な色合いと力をもっているようにも見える。背嚢、布で優しく包むようにしていれるのであった*]
─ 回想 ─
[>>103その人から向けられた、快活な笑み。
たしか兄と同い年だとは聞いたことがある、その世代の男の子からこんな笑顔向けられたこともなければ、すごいなんて言葉を向けられたことも無くて。
>>104変だとも思わないと返してくれたのも、何もかもが初めてだったから。
驚きと、現実だと受け止め切れない戸惑いとの中。
それでもこの人ならきっと、手合わせも嫌がらないでくれるんじゃないかと思って紡いだお願いも、>>105断らないで受けてくれて。
嬉しいのに言葉が出せない程泣いてしまったのは、いろんな感情がキャパオーバーしてしまったから]
ち、ちが、ごめ、ごめん、な、さ…っ
うれ、し、ぃ、のに、とま、ん、ない…の…っ
[突然泣き出した私に向けられた声が慌てているのは当然だろうと思ったけれど、すぐに泣き止めるほど私も器用ではなくて。
結局、何分もかかって泣き止むまで、その人も私と一緒にいてくれて]
[やっと泣き止み、名前を聞いた私に返されたのは、名前と共に差し出された手と笑顔。
意図は分からなかったけれど、私も同じように手を出したところで、握ってもらえればおずおずと握り返して。
渡されたハンカチも、これで顔を拭けということだろう、とは分かったから、恥ずかしくはあったけれどありがたく受け取って。
それと同じに確認された事柄に、ぱちり、と瞬き]
おばあさま、から?
あ、えっと、うん、わたしであってるとおもう、けど。
じゃあ、えっと、イェンス…さん
おばあさまのおまもりで、ここまでこれた、のね?
[此処に至る道に張られた結界は、私たち家族の持つお守りがなければ通れない。
同行さえしていれば持っていない者も通れるが、そうでなければ結界によって道を逸らされ辿りつくことはできない──とまではこの頃の私には説明が難しかったが。
ともあれ、なぜイェンスが此処に来たのか、此処にいるのかの理由もこれで納得できた。]
[この日以降は私と一緒に彼も此処に来て手合わせをしてもらうことになったわけだが]
あのね、ここも、おまもりも、だいじ、だから。
だれにもいったらダメって、いわれてるの。
だから、えっと。
イェンスさんも、 ひみつにして、くださいね。
[祖母が彼に頼んだのだから、言わずとも説明はされていたかもしれないが。
常に強く言い聞かせられていることだから、自分でもそうお願いをして。
それから、手に持ったままのハンカチを見て、あ、と声をあげ]
えっと…ハンカチ、ありがとう。
あらって、きれいにしてから、かえしたい、から。
もーすこしだけ、かしてもらって、いーですか?
[付け加えたお願いに返された答えはどうだったか。
受け入れてもらえたならば、次に会った時にハンカチを返すこととなったのだが。
その際には小さな花がいくつか咲いた、彼の瞳と同じ赤色の刺繍が片隅に施されていることに彼は気が付いただろう。
そのハンカチが今もまだ、彼の手元にあるかどうかはわからないけれど*]
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
[あ、この女めんどくせぇ。
言い募られる言葉に、最初に思ったのはそんな事だった。>>130]
ここが不可侵なのは、結界で入れないからに過ぎねぇだろ。
近づけば弾かれるところに大軍向けるなんて、無駄な事ふつーにしねぇって。
[入れないから入らない。シュラハトにとってはそれだけの事なのだ、と。
もっとも、こう言った所で納得はしないんだろうなー、なんて思いつつ]
どんな手も何も、ふつーに入ってきたら、ここまでこれたんだけど?
それこそ、アンタの言う『神魔様』が、認めてくれたから入れたんじゃねぇの?
[実際問題として、途中まで一緒に来ていた部隊の面々は、森に踏み込む事ができなかった。
まあ、あちらはあちらで別任務もあるから問題ないか、で済ましているのは余談として。
こちらに向けて一歩、踏み出す様子に僅かに目を細めた]
……っと。
俺は一応、荒事じゃない任務で来てるんですけどねぇ……。
[左の手は相変わらず、『龍爪』の柄を握っている。
逆手逆持ち、普通に抜いて振るえる握り方には見えないが。
必要とあらば動くにためらいない、というのは、気配で伝わるか。*]
― 『神魔の領域』・湖畔 ―
[投げた風が眷属たちに届いた気配に、神魔は薄く笑む]
……やれ、元気がいいねぇ。
[風に乗せて返された返事>>124に小さな呟きを落とした後、手にした煙管を吹かす]
さてさて、役者はそろったかなぁ?
此度はどんな縁の綾を、見せてくれるかねぇ?
[楽し気な呟きと共に、紫煙がゆらり、風に紛れて流れて行った。*]
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