情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
歴史のうねりが奔流となり、時代が戦乱へ押し流される。
避けえぬ戦火が人々を呑み込み始める。
大きな時の流れに巻きこまれ、翻弄されるものたち。
その中にあって、なお歴史を作る力と意思を持つもの。
激流の世に生きる人間達の物語が、始まる。
1人目、語り手 が参加しました。
語り手 は、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
Non est ad astra mollis e terris via.
(大地から星へ至る道は平穏ではない)
──Lucius Annaeus Seneca 『Hercules furens』
2人目、天に記す一葉 が参加しました。
天に記す一葉 は、恋天使 を希望しました(他の人には見えません)。
蒸気の技術と魔法の技が、共に華やかに花開いた時代。
空には蒸気の煙吐く飛行船が行き交い、地上では魔力の光が夜を照らす世界。
人々は、知識と技術の行きつく先に、星を目指した。
空へ。その先へ。さらに高く。もっと、高く。
頭上に広がる星々を志した人々は、ひとつの船を造りあげる。
蒸気機関技術の粋を集めた船に、魔法の数々を施して、
星の海に手が届く宇宙船を作り上げたのだ。
人々の期待を乗せた宇宙船が、初めて空を舞う。
そんな、晴れやかな日のことだった───
──クレイ・マジュラム 『翼折れた日』
村の設定が変更されました。
3人目、国軍技術開発部主任 マチス が参加しました。
国軍技術開発部主任 マチスは、天魔 を希望しました(他の人には見えません)。
― 宇宙船発射場 ―
[首都ローバンスより北方、近年開発に成功した宇宙船を打ち上げる発射場は、常にはない賑やかさに包まれていた]
いよいよだなぁ。
[初飛行を控えた宇宙船・アンライエンに乗り込み、打ち上げの時を待つ。
長年夢見た
じいちゃんにも見せてやりたかったな。
[マチスに蒸気機関の開発技術を叩き込んだのは、かつて軍の技術開発部で長官を務めていた祖父・ゲオルグだった。
両親が仕事に追われる中、遊び相手となってくれた祖父は物作りの楽しさを教えてくれた。
その時語ってくれた祖父の夢、それが宇宙への探求。
語られる夢が、込められた想いが、今のマチスを作ったと言うのは言うまでもない]
…いや、どっかで見てるかな。
見てるよな?
[祖父は2年前に他界した。
プロジェクトも軌道に乗り、あと数年で実働出来る、となった矢先だった。
大人になってから大泣きしたのは、後にも先にもその時くらいだろう。
絶対に宇宙船を完成させてみせる、と決意した時でもあった]
「主任、最終チェック終わりました。
オールグリーンです」
サンキュ、ご苦労さん。
もう間も無くだからな、気を引き締めてかかれ、って皆に伝えてくれ。
「了解です」
[打ち上げ前の最終報告を受けて、簡単な指示を出して部下を見送る。
視線を窓の外 ─── 賑やかに人が集まるエリアへと向ければ、自然と笑みが浮かんだ]
これだけの人が見てるんだ、失敗なんて出来ねぇな。
[期待されているのだと実感する。
祖父の夢から自分の夢へ、そして国民達の夢へと膨らんだこの宇宙船。
飛びたい、飛ばしてやる。絶対に。
想いも大きく膨らんでいく*]
/*
最初宇宙船乗らないで見送るかなと思ったんだけど(開発責任者は地上で指示出そうぜ的なあれそれ)、乗ってヴィアに護られるのも良いな、となったのでこっちに。
過去分色々纏めねば。
どうも、控えめに(開発者なんぞ選んだ)英雄希望した龍猫です。
盟友で妖魔もやりたかったんだけどねー。
その場合は人型に変化出来るドラゴン族の長だった(なんちゅー設定)。
えらそー爆発する予定だったと言う。
4人目、空賊殿下 ダーフィト が参加しました。
空賊殿下 ダーフィトは、天魔 を希望しました(他の人には見えません)。
− 宇宙船発射場 −
ふっ、 祭りさながらだな。
[宇宙船の初飛行を見守るために集まった人々の中に、ダーフィトは混じっていた。
セレモニー会場周辺で店開きしている屋台の串焼き肉など買って、そぞろ歩いている。
古びたツイードのマントを羽織っているから旅人だということは知れるだろう。
実際、隣国アリシャスタンから、海を渡り、わざわざセレモニーに参加しに来たのだ。
すぐ隣に控えているのは初老の紳士で、いかにも執事っぽいスーツにモノクルをつけている。
よくよく見れば、瞳の奥では歯車が動いていていた。オートマタである。
もっとも、ありきたりのオートマタではないのだが、今のところは人目を惹くこともなかった。**]
/*
しかし薔薇の下チップのマチスがRKではこんなにも立派に…(そっと涙を拭く仕草)。
英雄で使ってみたいってずっと思ってたんだよね。
ギャップ的な意味で(
5人目、隠居 クレメンス が参加しました。
隠居 クレメンスは、ランダム を希望しました(他の人には見えません)。
― 宇宙船発射場・一般観覧席 ―
「ねー、まだー? お船、まだー?」
「もう少しだからね。ほら、足ばたばたしないの」
[隣に座る妻の向こうから、賑やかな声が聞こえてくる。
幼い子をあやす孫娘は、もう立派な母親だ。
息子が初めての子を見せに来たのもつい最近のように思えるのに、今や曾孫が日々大きくなっている。]
月日は早いものだな。
[慨嘆していたら、妻に「あなた、もうすぐですよ」と膝を叩かれた。]
[促されて前を見たが、宇宙船の様子はさっきから変わっていないように見える。そもそも、この一般観覧席からでは宇宙船など豆粒ほどにも見えない。
昔の知人のつてを辿ればもっと近くで見学もできただろうけれども、それは望まなかった。今の自分は軍の最高司令官でもなければ元帥でもない。ただの一年金生活者だ。
間近で見るよりも、妻と孫娘たちと一緒に見る方がいい。]
あいつはちゃんとやってるかな。
[疑問を口にしたら、妻に「あなたよりよっぽど立派にやってますよ」とぴしゃりと言われた。あいつ、こと息子の軍総司令は、宇宙船の近くで歴史的瞬間に立ち会っているはずだ。
…あいつは俺よりもずっと優秀だからな。
口にしたことはないが、信じている。きっと全てうまくいくだろう。]
「そういえばあなた。
宇宙船を作ったのってあの子でしょ?
ほら。プロッツェさんのお孫さん。
もう、そんなに大きくなったんですねえ。」
[妻の言葉に、むうと唸りながら頷く。]
あの偏屈くそジジイめの孫だ。
さぞや奇天烈な機械なんだろうさ、あの船も。
[頑固で奇抜で突拍子もない、腐れ縁の悪友によく似た目をしたあの若造が作ったのならば、しつこいくらい頑丈で、目の飛び出るくらい画期的な船になっただろうと思う。]
あの馬鹿者が。
あと二年我慢できんかったのか。
今頃、あの世で地団太踏んでるだろうな。
[ふん、とつまらなさそうに言えば、]
「そうですねえ。
きっとひと足先に、空の上から見物していますよ。」
[妻がそう言って笑った。]**
/*
[流石すぎる拾いっぷりに顔を両手で覆う]
親友と言うか、悪友的な感じかなw
ここ>>10が良い。
じいちゃん死なせて良かった(
/*
なんか不意に口悪いキャラになってしまった。
じじい同士の親友って、なんだかそんなイメージね。
オペラグラス持っていけば良かった、と思いつきをメモっておこう。
― 7年前 ―
ヴィア。
これ、やるわ。
[幼馴染の誕生日、ようやく完成した腕輪をオクタヴィアへと渡す。
腕輪は星空をイメージした装飾が施されており、その中には羅針盤が描かれていた。
羅針盤の針は青味がかった緑色をした宝石で出来ていた]
これな、ただの腕輪じゃないんだぜ。
見てろよ。
[そう言って同じ造詣の腕輪をもう一つ、自分の左腕に嵌めて口端を持ち上げた]
”Neben”
[短い呪文を唱えると、互いの腕輪の羅針盤がくるりと回転し、針である宝石が淡く光って腕輪同士を指し示す。
数秒それを維持した後、淡い光はすぅっと消えていった]
どーよ。
よく出来てるだろ?
…まぁなんだ。
離れて行動することも増えたからな。
用事がある時はこれで探してくれ。
[軍に入ってからは部署も異なり、共に行動する機会は以前より減った。
仕事の関係で時間的に擦れ違うこともあったため、そのロスを埋めるために作った魔道具。
開発には他の魔法使いに協力を仰いだというのは、幼馴染に頼まなかった辺りで察することが出来るだろう]
……てーわけで、誕生日おめでとう。
[渡す切欠にしたイベントの祝辞も忘れずに言い、幼馴染に笑いかけた**]
/*
腕輪についてる宝石はグリーンスピネルということになりましたん。
人との仲を取り持つパワーストーンらしい。
んで、宝石言葉が「希望、信仰、愛情、幸福」。
信仰は違うけど、他は結構あってるなーって思ったのでこれにした。
もう一案、セラフィナイトにするのもあったんだけどね。
人と人を結ぶパワーストーンで、宝石言葉が「天使の翼」。
めちゃくちゃ噴いた。
/*
あ、それと腕輪のコマンドワードは「Neben(傍に)」となります。
意味としてはそのままだけど……後は分かるな?w
6人目、飛行士 コンラート が参加しました。
飛行士 コンラートは、夜兎 を希望しました(他の人には見えません)。
― 宇宙船アンライエン/操縦室 ―
蒸気圧正常、魔法機関異常なし、システムオールグリーン。
[計器類のチェックを終え、操縦席の窓から地上を見下ろす]
ずいぶんとまあ、集まったもんだな。
「そりゃ人類初の宇宙飛行を実現しようっていうんですから」
[当然ですよ、という副パイロットに、そうだな、と同意して笑う]
『カウントダウン開始まで、あと1分』
[伝声管から聞こえた声に、副パイロットと視線を合わせて頷き、後にする地上から目指す蒼天へと視線を上げる]
− 宇宙船発射場 −
[記念品を売る屋台の隣で、木箱の上に立った講釈師が、宇宙船の大きさや開発秘話、旅程や乗組員などについて、興味をそそる口調で説明している。
どこまで創作話かは別として、ここからでは遠くに眺めるしかない宇宙船が、話を聞いていれば操縦室に入り込んだような気分になれるから面白いものだ。
その中に知っている名もあった。]
マチス・プロッツェ ── 活躍しているようじゃないか。
[さすがに、その宇宙船開発責任者が、かつて隣国で空賊の捕虜になったことがあるなどという裏話までは出なかったけれど、ダーフィトは気前よくチップを弾んだ。**]
― 宇宙船発射場 ―
「あれほしーい!あれ、ほーしーいー!」
[通りがかった親子連れが持っていた記念メダリオンを見て、孫の子が騒ぎ出す。孫娘は「だめでしょ」と諫めていたが、あの程度なら買ってやればいいではないか、とおもう。]
わかったわかった。
じゃあ、じいじが買って来てやろう。
[「おじいちゃん!」「あなたったら」と重なる非難の声を後ろに聞き流して、露店が立ち並ぶあたりに歩いて行った。]
[宇宙船の絵と今日の日付が記されたメダリオンは、頼めば名前の刻印もしてくれる。曾孫の名前を入れてもらっている間、講釈師の話を聞くとはなしに聞いていた。
途中聞こえた乗組員の「天使憑き」の異名を聞きとがめたが、ちょうど刻印が終わったところで、意識が逸れてしまう。
メダリオンを懐に入れて歩き出したところで、講釈師にチップを渡している男に目が留まった。]
はて。どこかで、
[見覚えがある顔だ、と思ったが思い出せない。
年は取りたくないものだ、とも思うが、あるいは知り合いの血縁者かとも思えて、少しの間じっと顔を見つめてしまった。]*
7人目、天の子 マレンマ が参加しました。
天の子 マレンマは、交信者 を希望しました(他の人には見えません)。
―
[その日の朝、子供たちを起こしに来たシスターは、少年の一人が驚くべき成長を遂げているのを目の当たりにしする。
今や青年となった彼、マレンマ・フリーデルは神の言葉を聞いたと言い、自分は人々を導く使命を与えられたのだと主張した。
この話は孤児院の責任者たるシスター・フリーデルから教会の神父へと伝えられ、さらには司教の元まで届けられた。
曰く、天へ至ろうという試みは主への冒涜である。
必ず天よりの罰が下るだろう、と。]
― 天使の翼教会/宇宙船初飛行当日 ―
[北の地に人々が集う頃、教会にも信徒たちが集まっていた。
神の奇跡を信じた敬虔な信徒たちも、噂を聞いて一目見ようとやってきた物見高い者たちも、説教壇に青年が姿を現せば一様に静まる。
簡素な作業衣に身を包んだ青年は、片手を挙げて人々に語りかけた。]
主はお怒りです。
天を踏み荒らすようなことは、許されないのです。
悪しきおこないをしようとしている人たちに、罰が下ります。
主は僕にそう教えてくださり、
善良なみなさんを導くようにと命じられました。
主のお言葉の通りにするなら、みなさんは救われます。
主は、僕に話しかけてくださっています。今も、──
[言葉の途中で口を閉ざし、少しの間沈黙する。
小さく頷く仕草は、なにものかの話を聞いているかのようだった。]
[やがて青年は、どこか遠くを見ていた視線を人々の上に戻す。]
今、天使様たちが来るそうです。
[はっきりとそう告げて、北を向き跪いた。]**
8人目、告死の影翼 シメオン が参加しました。
告死の影翼 シメオンは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
……賑やかというよりは、騒々しいというべきだが。
[独り、呟きは雑踏に紛れる]
束の間と思えば、悪くない。
[ふわり、羽織る黒衣を翻し。
光の影は、刻を待ちつつ独りゆらめく。**]
/*
髪の色と目の色を何て表現しようか、なんて検索していたら黒髪紫眼なんてぴくしぶの項目があった。
ヒロインポジとか書かれていて、ちょっと噴く。
9人目、天軍指揮官 ナネッテ が参加しました。
天軍指揮官 ナネッテは、瘴狼 を希望しました(他の人には見えません)。
Sanctus, sanctus, sanctus,
[輝かしき、ひかり。
眩い光がその日、天と地とを引き裂いた。
哀れ愚かしき人の子の、無知と傲慢を憐れむように。
その増長を諫めるように、一片の情けも優しさもなく。
天の輝きはただうつくしく…冷厳として。]
dominus deus sabaoth.
[光は、人の子らの夢を乗せた星の船を打ち壊した。]
[天に、人の子らは見ただろう。
輝かしき軍勢が神々しく天に沸きいずる光景を。
光り輝く巨大な船が蒼天を覆い、
やがて背に翼輝かせる者らが、光の槍を地へと降らせた。
その光景は光り輝き美しく、
けれど地上にありし人の子らの船は打ち砕かれ、
───── 地を、炎と悲鳴で覆った。]
Pleni sunt caeli et terra gloria tua.
[光の槍は、次々と星渡るはずであった船を正確に貫いた。
轟音が響き、炎が上がる。
人々の悲鳴と警報が鳴り渡る。
それら地上の喧騒に一顧だに与えることもなく、
翼ある者らは──天使らは、無情に光の雨を降らせた。
だがそれもいずれは止み、やがて声が響く。
天の声、地上に与える福音が。]
───── 人の子らよ。
[声は空に、空気の振動によらず心に響き、
その場にある者、そしてその場にない者らの上にも響く。]
不遜を止めよ。
天は人の子の踏み入る領域には非ず。
天を目指すは、愚か傲岸不遜の所業と知るが良い。
[その響きは優しく───、]
思い上がりし者らには天罰を。
悔いぬ者らには粛清をこれより与えよう。…だが、
[────、慈悲深く。]
未だ天の門は閉じてはおらぬ。
祈る者には救いと喜びが与えられよう。
人よ、人の子らよ。己の罪を悔い祈りなさい。
浄化の炎が地を焼き尽くすより前に。
心より悔いる者の前にのみ、天の門は開かれるのです。
[そして無情に、地への粛清の開始を言い渡したのだ。**]
Hosanna in excelsis.
/*
開幕宣言どうする?どうする??ってした挙句のこれ(
細かいことは置いといて、開始しますね!!
という大雑把です。ゴメンネ…
/*
結局事前ログ書き損ねてこうなってるわけなんですが、あの、大天使ナネッテ。とか書こうとしてて、あの。
つwwらwww
ってなってしまっていて。あの。つらい!!!
多分これは最後までつらいやつ…私のばか…
─ 光の船 ─
[その日、地上に降臨せし巨大なる光の船は、
単に御船、もしくは御座などと呼ばれている。
それは天のいと高きに、
人の手の及ばぬと思われるほどの高みにあって、
地上を圧するように見下ろしていた。
地上を滅するべく渡り来た天の軍、
それを率いる大天使の姿も今そこにある。
通常、大天使ナネッテと呼び習わされる、
三対六枚の羽根を背に輝かせる大天使である。]
[地に粛清を。
基本的に、天より全軍に下された命はごくシンプルなものだ。
傲岸不遜なる人の子らに粛清あれ。
思い上がりには罰を、そして
とはいえ幾つかの指針はある。
まずは徹底して、宇宙船への攻撃が指示された。
具体的には宇宙発射場、そこに集う船々だ。
これらに対し、徹底的な破壊の命が下された。
続いて造船所や研究所、そうしたところも狙われた。
それらの場にある人々は「悔いなき者」と見做されて、
祈りの機会も与えられることなく”浄化”された。
だが。街への被害は当初比較的軽微であった。
ことに教会へは、まったく危害が加えられることはなかった。
天使の翼教会、奇跡の子の降りし教会へは。]
………、そう。聞こえますね。愛し子よ。
[大天使は、麗しき頬を笑ませて囁いた。
この場にない者、背に羽根を戴かぬ者。
けれど確かに、天に絆を繋ぐ
もうじきです。
じきに地上は正され、正しき祝福が地を満たすでしょう。
待っておいでなさい。じきに会いに行きます。
貴方は天の──…私の愛し子なのですから。
[そうして、見えぬ彼方へと慈悲深く微笑みかけた。**]
/*
そういやみんながつけてるような恰好いい肩書を…
付けた方が良かったかどうなのか
大天使。くらいしか思いつけなかったので、で。
天軍指揮官で充分よな!???
あまりにやると、多分自分がつらい(
― 天使の翼教会 ―
[はたして、光があった。
北の地に降り注いだ烈光は、ローバンスの空をも染めた。
天に二つ目の太陽が現れたかのように、光が満ち溢れる。
それはステンドグラスを通して、教会の中へ届いた。
色とりどりの光が煌いて、跪く青年の周囲に華を描く。
簡素な作業衣から、色彩の翼が伸びたようにも見えただろう。]
[呆然とする人々の上にも光は落ち、やがて、声が響く。
優しく、慈悲深い、御声が。
罪を問う厳しい言葉に人々は身を竦め、
救済の道を示されて、慌てたように手を組み膝をつく。
教会の中はどよめきとすすり泣きと祈りの声で満ちた。]
[教会の外は、さらなる騒がしさで溢れていた。
北の眩い光と心に響く声に人々は不安気に囁きかわす。
程なくして発射場の状況が伝わるにつれてざわめきは大きくなる。
やがて、背に翼輝かせる者達が姿を見せるようになれば、悲鳴と怒号が街を支配した。]
[混乱し動転し恐懼する人々の騒ぎも、青年の耳には入らない。
ただ天だけを、注がれる
大天使さま。
大天使 ナネッテさま。
[暖かく優しく心満たす呼び声に、はい、と唇だけで答える。]
/*
うふふふ。このわかってる具合たまらない好き。
発射場が北の方に行っちゃったから、街攻撃するの?って聞こうかどうしようか迷ってたんだ。
教会だけ攻撃されないをやりたかったの。してくれたの。
嬉しいねえ。
− 宇宙船発射場 −
[こちらに向けられた視線を感じて、さりげなくメダル屋の機械の鏡面を利用して様子を伺う。
精悍な面持ちの老人がひとり>>20]
ん、
[思い出す。あれはロワールの元帥閣下だ。
“元”元帥かもしれない。制服を着ていないし、なにしろ、会ったのは10年も前になる。]
[アリシャスタン国王の在位十周年の式典だったと記憶している。
表敬訪問に来たロワール飛行艦隊を率いていたのがクレメンス・デューラー元帥だった。
「空飛ぶ船に乗せてほしい」と頼んだら、自ら艦橋を案内してくれた。
毅然としつつも、大国をバックにした威丈高さを感じさせない雰囲気で、
自分にも孫が幼い孫がいると教えてくれたのを思い出す。
こうして再会できて、懐かしく嬉しい人物の一人である。が、]
…、
[さて、なんと挨拶すべきか。
デューラー元帥が知る“ダーフィト王太子”は公式には6年前に事故死したことになっているのである。]
[こちらも、もはや少年とは呼べない齢になっているから、他人の空似だとシラを切ることもできよう。
けれど、]
あの人に、そんなツれないことしたくないってのが、おれの素直な気持ちなんだよな。
[あの頃はまだ身辺にいなかったオートマタのワァズに聞かせるようにつぶやき、クレメンスの方へ顔を向けるとニッコリ笑ってみせた。*]
/*
例によってこの時間は覗くだけです、あ、ふかふかしたなまものですこんばんは。
なんか大体配置掴めた感があるけど(
とりあえず、がんばろうね。
さて、素の口調はどっちに振ろう。
とりまフロメシるるるー**
10人目、黙示天使 アデル が参加しました。
黙示天使 アデルは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 発射場上空 ―
[天を引き裂く光の中に、黙示天使は在った。
天使の軍勢の先陣を切る者として、その刻の訪れをただ待っていた]
[やがて光の船は粛清すべき地へと至り、その降下扉を開く。
一対の純白の翼を広げ、黙示天使は蒼天の只中へと身を投げた。
それに付き従うように、数百を超える翼ある者たちが次々と羽ばたいていく]
[金緑の髪を風になびかせながら、遠く眼下に望むは人の子らが作りし船]
[あれこそが星の海に至る船、天を侵す不遜の象徴か]
――――愚かな。
豊かなる地に在りて、満ち足りるを知らぬとは。
[やがて天の光を仰いだ人の子らは、溢れ出した天使の軍勢を目に留めるだろうか。
彼らが何を口にしたにしろ、耳を貸すことはない。
アデルの名を持つ黙示天使が、その耳を傾ける声はただひとつ]
天軍第一光術部隊、攻撃準備――
[その声に、数百の天使の軍勢が、光の力を己が手に宿す。
力の共鳴によるものか、風琴に似た妙なる響きが天に満ち]
――放て!
[そして、無数の光の槍が、宇宙船へと降り注いだ*]
/*
潜伏。
自作武器どうするかな。
近接はあまり得意そうではないから、射撃になるかなー。
蒸気ギミックつきのブーメラン面白そう。
自律飛行のフライングユニット用意するか悩むところ。
宇宙船篭りっぱは微妙だろうしなぁ。
あちらさんが乗り込んで来てくれるのは歓迎するw
[10年前、アリシャスタン王国へ表敬訪問に行った時のことはよく覚えている。
飛行戦艦カルカリアスを中心に大小4艦。
麗々しく艦体を飾っての華やかな入港だった。
アリシャスタン王へ祝いの言葉と友好の証としての品々を渡し、数日滞在して式典に参加した。
それらの記憶の合間合間に顔を出すのが、かの国の王子だった。]
[快活で聡明な若者だった。
人当たりもよく、好奇心も旺盛で、人の心に入り込む天性の才があった。]
殿下は良き王になられるでしょうな。
[戦艦の艦橋でそう告げたのを覚えている。
その後、かの王子が亡くなったと聞いたときは、自ら議会に申し出て、弔問に訪れもした。
息子をひとり失くしたような心地さえ覚えていたのだ。]
[はて。目の前にいる彼は亡霊や否や。]
いや、申し訳ない。
知人に面影がよく似ていたものでな。
それともやはり、どこかでお会いしたことはなかったかな。
[笑顔の相手から視線反らさず、いっそ正面から尋ねてみる。]
/*
宇宙船の装備は……マギ部隊による魔導砲あってもは良いかな。
砲弾積み込むよりは、とは思うんだが、連発乱発は出来ないだろうなぁ。
魔力蓄積機はあっても良いか。
多分これ宇宙船の動力源でもある。
プロトタイプには甲板も作っといて、そこからの射撃や魔法も可能にしとくかな。
実際宇宙に行く時は甲板出られないだろうけどね。
大砲は無くともショットガンやランチャーはあることにするか。
兵には魔弾射手も居るとしよう。
/*
部隊種は、飛行機部隊は確定。ここはコンラートに任せる。
飛行船部隊入れるかどうか…マギや射撃兵はこっちに乗せることになるかなぁ。
あと竜騎兵は欲しい、元々国軍で編成してるやつ。
妖魔部隊欲しいけど(見栄え的に)、今回は無理かなーこれ。
/*
ダーフィトが皇子は殿下呼びの時点で予想出来たよねw
自由に生きるために死亡したことにしたのかなぁ。
その辺聞けてるのかなー、回想の流れ次第だろうな。
/*
さて、表どうやるかな。
奮起の燃料投下……書いてればなんか出てくるかも(
ひとまずコンラートに通信具渡しておかないとだ。
/*
過去回想は色ログ使うって手もあるんだな、そういや。
でも拿捕時のは白ログになるだろうなぁ、ヴィアも一緒だったんだし。
ヴィアが居ない時にした会話とかは色ログでも良いか。
― 宇宙船発射場 ―
[クレメンスの顔を過ったのは驚嘆よりも当惑に見えた。
まっすぐな問い>>52からして、いまだ確信を持てぬもののように感じられる。]
謝ることはないさ、 見つめられるのには慣れてる。
[愛嬌たっぷりのウインクをひとつ。]
おれに似てるとなると、その知人さんも、いい男なんだろうな。
もっとも、おれの方はいささか問題があってだね、
[あの日の王子だと告げれば、死んだという嘘を信じさせたことになり、
他人だと告げれば、それもまた嘘をつくことになる。
どちらも、彼に酷いことをしたことになる ── 罪の意識が胸に痛い。]
ま、袖触り合うも他生の縁とやらだ。
この日のために、乾杯でもしないか。
[リンゴ酒売りの店へと誘いながら、いろいろを押し込めた笑顔で告げる。]
おれの名は、ダーフィト。 船長だ。
― 過日/天使の翼教会 ―
よう、大きくなったなあ、マーレ。
[ 同じ姓を持つ少年に笑いかける。教会の孤児院出身者の中でも、生まれ持った姓が全く判らないという子供は、そう多くない。
だから自分と同じように親の判らない少年には、どこか他とは違う親しみがあった ]
うん、今日も大将…プロッツェ少佐のお供だ。何かまた面白い玩具作ったみたいだぜ。
[ 抱えてきた荷物をシスター達に預けてしまうと、すぐに年少の子供達が「遊んで、遊んで!」と、足元にまとわりついてくる。
その中の一人が、差し出してきた絵本が目に止まった ]
あー、懐かしいなあ。
『…天使は空の彼方から降りてきて、人々に愛と希望を伝えました』
『ある日、地上に恐ろしい人喰いの魔物が現れました』
『人間たちは恐れおののき、天使に助けを求めました』
『やさしい天使は、人喰いの魔物の前に立ち、人々を脅かすのをやめるようにと言いました』
『けれど、心を持たない闇の魔物は天使の言葉を聞かず、輝く光を飲み込もうと牙を剥きました』
『いいでしょう、では、私を食べて、あなたの飢えを満たしなさい』
『天使は、そう言って、闇の魔物に呑み込まれてしまいました』
『けれど、不滅の光は闇に飲まれても消え去ることなく、闇に打ち勝ち
やがて
人喰いの魔物は消えてしまいました』
『天使もまた、地上から姿を消してしまいましたが、人々はその慈悲を讃え、その地に天使を祀りました』
『それが「天使の翼教会」の始まりです』
「消えちゃった天使様はどこに行っちゃったのかな?」
[最後に慈悲深い天使が消えてしまうお話には、たまにこんな疑問を持つ子供がいる。コンラートも、かつては、その一人だったが]
― 宇宙船発射場 ―
[時間を待つ間、左襟につけたピンバッジ型の通信機のスイッチを入れる。
対になったもう一つとのみ通信が可能な魔道具だ]
コンラート、離陸はいっちばん大事なところだからな。
よろしく頼むぜ?
[持ち場へつく前、対の片割れはパイロットのコンラート>>14へと渡してある。
操縦具合やトラブルを直接届けてもらうためだ。
『天使憑き』と呼ばれ一部の人間から奇異の目で見られてしまう彼だが、操縦の腕は折り紙つき。
開発段階から彼をパイロットに指名したのはマチスだった]
異名がなんだってんだ。
あいつの腕が確かなのは皆が知ってることだろ。
[何故コンラートをパイロットに選んだのかと聞かれた時、マチスはそう答えたことがある。
選出は当人の操縦技術を見てのこと、納得行かないなら彼以上の操縦技術を修得すれば良い。
そんな風にも言ったが、コンラートを超える者は現れなかった*]
/*
そう言えば地上戦はあるのかなー。
地上部隊は作るだかあるだかしてたはずだけど。
基本は空中戦で想定している。
― 宇宙船発射場 ―
[男の受け答えは洒脱で、ますます正体のわからぬものになっていたが、嘘つきだと零したひとことに、なにがしかの真実の重みを感じた。
痛みにむやみに踏み込むことはすまい。
良き日に行き会った、良き相手。今はそれで十分だ。]
良いな。乾杯しよう。
ここで出会った奇縁に。
[リンゴ酒の瓶を二本。
問答無用で買いもとめ、一本を渡しながら名乗りを聞く。]
クレメンスだ。
今は気楽な隠居をやっておるよ。
[瓶の口を合わせれば済んだ音がする。]
まだ若く見えるが、その年で船長か。
良い腕をしているとみえる。
[他愛のない会話をひとつふたつ。
なにげなく交わして、別れるつもりだった。
袖摺り合った相手に相応しく。]
/*
まだヴィアが来てないのでどこまで進めるか悩むんだよね…。
11/2の0:30開始だから、今日明日しかプロロは無いのか。
今日中に襲撃されるのは進めた方が良いな。
― 回想/天界 ―
[――かつて、
己はひとつの小さな光だった。
天に言われるがままに己が持てる力を振るい。
群れなすことで天の力を体現する、その一要素に過ぎなかった]
/*
天使側と人間側に強め縁故、で、あの絵本で大体隠し設定は匂わせたつもりだけど、どうだろうね?
あ、大将(て、呼びたかったため、年下設定だったりw)ピンバッジが通信機ね、りょーかーいノシ
[しかし、それでも黙示天使として、他者の目に留まるだけの力を得ていたか。
ある時、指揮官を務める大天使の御前へと呼び出された。
通常ならば直接言葉を交わすことなどあり得ぬ高位の天使を、ひざまずき、頭を垂れて待つ]
『アデル』
[己に与えられた名を、その声が呼んだ]
『黙示天使アデル』
[言われるがままに、顔を上げる]
――はい。
[眩いほどの姿が、そこには在った]
/*
チップ見ずに左襟にピンバッジ型の通信機、って書いたら本当に左襟にピンバッジみたいなのがついてるぞww
[その時初めて、己が如何なる存在かを教えられた気がした。
アデル、という名の黙示天使の意志は、その瞬間に形を得た]
[斯く在りたい、いずれあの方に並び立てるような存在になりたいと]
お呼びでしょうか。
大天使――ナタリエル様。
[己の内に血の巡る音を聞いた気がした*]
― 過日/天使の翼教会 ―
ラド
最近来なかったよね。忙しかった?
[年の離れた"兄弟"が来た日は、孤児院はいつも大騒ぎになった。
「大将」が作ってきてくれる玩具はどれもこれもわくわくするものばかりだったし、兄弟は目いっぱい遊んでくれる。シスター相手では物足りない腕白小僧たちも多かったから、それはもうお祭り騒ぎになるのだ。
自分は子供たちの輪からいつも少し距離を置いていたのだったが、コンラートはそんな自分をマーレと呼んでいつも構ってくれる。
嬉しくもあり、迷惑でもあり、やっぱり嬉しいことだった。]
その絵本。
……もう、何回も読んだよ。
[コンラートが小さな子供たちに本を読んでやりはじめると、近くに座って一緒に聞く。
聞き終わった子の疑問と、コンラートの答えを聞きながら思うのだ。
どうして天使様はわざわざ食べられたりしたんだろう。
やっつけちゃえばよかったのに。と。]*
[ひとの子が、天を目指すという。
その話はどこから零れて落ちてきたのだったか。
いずれにせよ、それを知った時、己が為すべきは決まっていた]
……先に、降ります。
見えぬ場に、救いを齎すべき者が潜むのは良くある事。
影より見定め、正しき救いを齎すために。
[ただ、それだけを唯一の主と定める大天使へと告げ、ふらり、天界より姿を消した]
[告死天使──死を告げるもの。
光満ちる天界にありて、己の立ち位置をその影と定めるもの。
その気質は巧みに操る影の如く掴み所なく、天界においてもその在り様を正しく知る者は限られよう。
主と定めた大天使への忠だけは決して揺るがぬ事。
その命を果たすためなら、文字通り如何様な事も成し遂げんとする事。
知られているのは、ただ、それだけで]
― 宇宙船発射場 ―
[告げた名に問いを重ねることをせず、クレメンスは誘いに応じてリンゴ酒を手にした。>>64
ここは素直に年長者に奢られておこう。]
楽隠居か。 それは最高の出世だな。
あやかりたいよ。
[彼のように年をとるのも悪くない。むしろ憧れる。]
ああ、船はいい。
ガレオン型の飛行船なんだ。
星に行こうって時代に帆船というのも ──
[いつもより饒舌な自分を感じながら、笑っていた、]
― 宇宙船発射場 ―
[──そうして、今。
影の翼を持つ告死天使は、人混みの合間をゆらゆらと彷徨っていた。
一見すると、何事もなく場の空気を愉しむかの如く。
けれど、真紅の瞳は周囲を油断なく伺う。
もっとも、引き被ったフードの下の瞳の動きには、そうそう気づく事は出来ぬだろうけれど]
……ん。
[ふと、歩みが止まる。
視線の先には、幼い子供たちが数人集まって話をしていた]
「これで、そらのずっと上まで行けるんだね」
「どんなところなんだろ」
「どんな人が住んでるのかなあ?」
[他愛ない、けれど、無垢な疑問。
それを耳にした影はふふ、と楽し気に笑った後]
……そらの先に住まう人たちが、気になるのかい?
[ごく何気なく、穏やかな口調で呼びかけ、子供たちの輪に入る。
突然声をかけられた子供たちは一瞬驚きを覗かせたが柔らかな笑みにほどなく警戒を解いた]
……そらの上にはね、とてもとてもうつくしい場所があるんだよ。
そして、そこにはとてもうつくしい方たちが暮らしていらっしゃるんだ。
[目を閉じて、吟ずるように告げた言葉に子供たちはきょとん、と目を瞠る]
うつくしい光をまとい、自由なる翼を持つ天使たちがね。
「……天使さま?」
「ほんとにぃ?」
ああ、本当だとも……。
[言い切った直後、真紅の瞳は上へと向かう]
……ほぅら、もうすぐ。
『ここ』にいらっしゃる。
[見上げた先、影の目には天の軍勢の姿が然りと映る]
きみたちが、そらを知りたいというなら、祈りを忘れてはいけないよ?
……それが、きみたちを光へと導いてくれる。
[静かな口調で告げた後、子供たちに視線を合わせるための片膝突きからゆっくりと立ち上がる。
吹き抜けた風が、纏う黒衣の裾を揺らした。*]
[すべてを無に帰そうとするかのごとき破壊の白が降り注ぐ。
皆が離陸の刻を待ち望み、見守っていた場所へと。
そして、天上より響く妙なる声。>>32]
──…っ
[人の子の
[ この声だけ聞いていれば。
何もかも委ねれば ── 苦しみも消えるだろう。 ]
あ 、
[視界がぼやけて、後ろへと蹌踉めいた身体が、ワァズにぶつかる。]
[マートマタの歯車は、天変地異の中、狂うことなく動いていた。
それはかすかな、だが、呪縛を解くきっかけだった。
世界に色と風が戻って来る。]
…おれは、
[すぐ近くで子供の泣き声があがった。逃げようとして転んだのだ。
子供を助け起こし、母親の手に戻してやる。
子供の膝小僧の赤い血が、ダーフィトをさらに現実へと引き戻した。]
なん て、ことを ──
[あれは破壊行為だ。
遠くから見ていれば眩い煌めきが舞っているだけが、今この瞬間にも、あそこでは何百何千という人間が死んでいるのだと、はっきり認識した。]
ワァズ! 行くぞ!
[命じれば、執事然として付き従っていたオートマタの背が奇怪に曲がり、人ならざるものへと変貌しはじめる。
変化の先に生まれたのは、皮膜をもち二本足で立つ黒い
― 宇宙船発射場 ―
[やがて、カウントダウンが始まり、もう間も無く、となった頃]
「─── なんだあれは」
え?
[誰かが上げた声にその場に居た者達が、その視線の先を追った。
目指すべき蒼天を覆う巨大な船>>30。
神々しささえも備えたその船に添うのは、輝く翼持つ者達。
誰かが気付けば、誰もが天を仰いだことだろう。
この場に在る全ての者達の視線を受けた天を覆う者達は]
[─── 突然光の槍を地上へと降らせた]
うわああああっ!!
[正に唐突な出来事。
祝典が一変して惨劇へと塗り替えられる。
集中的に攻撃を繰り返されたのはマチスらが乗る宇宙船だった。
船体が大きく揺れ、あちこちから悲鳴が、船が打ち砕かれる音が、断続的に響き渡る]
[航行に耐え得るよう、船体の壁は防御魔法を強固に重ねていたのだが、何度も、無数とも言える攻撃を受ければ容易く穴が開く。
燃料タンクへも到達すれば、膨大なエネルギーに耐えられず動力炉が爆発を起こした]
総員退避しろ!!
[指示を飛ばすが既に混乱に陥っているために声が届かぬ者もいる。
降り注ぎ続ける光の槍に貫かれる者さえいた]
一体何が ──────
[その疑問は辛うじて退避した先で知ることになる]
[煤けながらも退避した宇宙船の外。
未だ爆発を繰り返す宇宙船は見るも無残な姿になっていた]
────────ッ
[命あっての物種とは言うが、夢を託したものが完膚なきまでに破壊された衝撃は強い。
これまで積み上げてきた技術、時間、想いなど。
その全てを打ち砕かれた思いだった。
宇宙を、各国を繋ぐはずだった
[呆然としていると、心に割り込んでくるように響く声>>32が聞こえて来る。
天を目指すは愚かで傲岸不遜。
天罰を。
粛清を。
──── そして、救いを]
[優しく、慈悲深く響くそれは染み入るものにも聞こえた。
圧倒的な力、神の如き言葉。
その言葉に心打たれ、準じようとする者もいるだろう]
[けれど、マチスに沸き起こるのは、それを為したことに対する理不尽さだった]
──…いきなり攻撃してきて何が救いだ。
天罰だ、粛清だ、挙句に救いだなんて、どっちが傲岸不遜だよ!
認めるもんか。
お前らの好きにはさせねぇ!!
[吼えるが如き地上からの声。
高みから見下ろしている翼持つ者達に届くかは分からない。
だが地上に在る者達には届くだろう。
諦めぬ意志がそこに在ることを*]
― 宇宙船発射場 ―
[天地を繋いだ光を見た瞬間、駆け出していた。
妻の元へ、孫娘らの元へ戻らねばならない。
騒然とし、逃げ出す人々の流れに逆らって走る。
立ち尽くす人々の間を縫うように、元の場所へ戻ろうとする。
途中、うろたえも戸惑いもしていない、他の人間とは異質な空気を纏う黒衣の者とすれ違ったような気がしたが、構う暇はなかった。]
アマンダ! ミリィ!
[名を呼び探し回る先で、「あなた」と呼びかける声を確かに聞く。
人の流れの緩やかな位置で、孫娘たちを守りながら凛と立つ妻が見えた。]
「私は大丈夫。この子たちにも指一本触れさせませんわ。
貴方は、することがあるでしょう?」
[決然とした表情で妻が言い、光が降り注ぐ地を指し示す。]
― 宇宙船発射場 ―
……おっと。
来られた、か。
[立ち上がるのと、光が生じる>>29のはどちらが先か]
相変わらず、派手だねぇ……。
[く、と零れ落ちるのは楽し気な笑み。
光の槍が降り注ぎ、天を目指すものたちの船を貫いていく。>>30
その後に響く、妙なる声。>>32
その響きに目を細めた]
「……あれが、てんしさま……」
[すぐ近くで、か細い声が上がった。
見やれば、先に言葉交わした子供が呆然と空を見上げている]
ああ、そうだよ。
……天に住まいし、大天使様のお声だ。
[告げる声は穏やかな響きを帯びる]
……祈りを失わぬならば、必ず天への門は開かれる。
忘れてはいけないよ。
[喧騒の中でも揺るぎなく響く声はどう捉えられたか。
影はそれを気にすることなくふわりと身を翻す。
動きに合わせ、月白色の羽が一片舞い落ちた。]
[船が、大地が燃えているのが見える。
大きな爆発が大気を揺るがして、ここまで振動が伝わっている。
そして塔が、
この記念すべき初飛行を見守るため集まっていた国の高官たちが、───息子がいるだろう塔が、燃え上がりながら崩れ落ちるのが、見えた。]
……さて、それじゃあ俺も働くとしますかね。
[派手な部分は他が担えばいい。
己が為すべきは、見えぬ部分に救いを齎す事]
……聞き分けが悪いヤツってのは、どこにでもいるもんだからな。
[低く呟き、視線を巡らせた先。
真紅が捉えたのは、この場には異質な漆黒の影。>>83 **]
[指揮するものを失っての現場の混乱は想像するまでもない。]
……任せたぞ。
[妻に孫娘らを託し、本部を目指すべくさらに進む。]*
― 宇宙船発射場 ―
[祝典として開かれた宇宙船の発射場は阿鼻叫喚であった。
徹底した宇宙船への攻撃、それに加えて祝典参加に集まった者達が乗ってきた飛行船なども対象とされ、逃げようとした船が撃ち落とされることもあった。
落ちた船に巻き込まれる者までもが現れる始末]
[そして、管制と見学のために建てられた塔が、降り注ぐ光の槍に貫かれ崩れていく。
そこに集まっていた要人達のほとんどは、崩壊に巻き込まれたと後に知ることになる]
避難誘導と怪我人の保護、人命を優先しろ!
[部下にはそう指示を出し、状況を把握するために移動を始める。
祝典会場には警備を担当していた兵達もおり、それぞれの指示を受けて動いているよう。
だが反撃のための船はほとんど壊されてしまっており、直ぐに天使共の下へ殴り込むことは出来なかった]
くそっ、周到な奴らだ。
[後に造船所や研究所までも破壊されたことを知れば、その思いは更に強まることになる]
総司令はどこに?
一時撤退を進言しねぇと。
[どこかに避難していないかと探し回る*]
/*
クレメンスがさらっと大量に高官を殺してきたのに、思いっきり噴き散らかした。噴いた。(二度)
お前、実は天使側やろ!!!!!!w
― 宇宙船アンライエン/操縦室 ―
「宇宙に行って戻ってきたら、俺たち英雄ですよね」
んー、まあ、そうかもなあ。少なくともプロッツェ少佐は出世するだろうし。
「俺たちも階級くらいは上がりますよね、きっと!そしたら俺、故郷の幼馴染にプロポーズしようかと思って」
…お前、その古典的な死亡フラグやめろっつー
「えー?大丈夫でしょう?天使憑きの加護もあることですし」
了解。こっちは、問題無しです。大船に乗った気…いや、しっかり乗って任せてくださいよ、大将。
[立場の微妙な自分のパイロットとしての腕を買い、信頼を寄せてくれたマチスには感謝と尊敬を抱いている。だが、彼の軍規に拘らぬ科学者らしい合理性と実力主義、そして気さくな態度を間近にすると、どこか階級呼びはそぐわなく感じてしまう。
殊に直接声を届ける通信での会話では、ついつい気安い調子が滲み出てしまうのが常だった]
さあ、気合い入れてくぞ…!
[改めて離陸の手順に移ろうとした時、突然、天からの光の矢が、船の天井を貫いて]
っ!?レオンッ?!
[それは一瞬の事だった。たった今まで隣にいた副操縦士が、光に灼かれて跡形もなく消滅し、同時に船のあちこちから、爆音と悲鳴が響き渡る]
な、ん…
[続いて空から降る、冷厳にして霊妙たる声音]
天、の…?
[湧き上がるのは、激しい恐怖と、焦がれるような……]
…んだ、これ…
[息苦しさを感じ、ぎゅ、と胸元を掴むと、ピンバッジが指先に触れた]
そ、だ…
たいしょ…早く、逃げ…
[アレらは、彼を許すまい……天を侵す罪を問うというのなら、決して逃しはしないはずだ]
う…わアァッ…!!
[眩しく降る天の光と天使の翼の輝きが、コンラートの視界を覆い、その身を包んで膨れ上がった。そうして、次の瞬間、轟音と共に、操縦室は爆発し、吹き出す蒸気と炎、そして黒煙の色が飛び立つ筈だった蒼穹を染めた*]
馬鹿者!混乱している場合か!
一般人の避難誘導を最優先しろ!
動かせるだけの車両を動かせ!
非常事態だと見てわからんか!
馬鹿正直に上の命令を待つ奴があるか、愚か者!
[警備本部へと到着し、顔なじみの部下を見つけてどやしつける。
ともかく逃げ惑う人々を無事に首都まで帰すのが最優先だ。
宇宙船に近いあの場所は、最も激しく攻撃を受けているあの場所には、ここからでは手が届かない。]
しかし…天使とはな……。
[光り輝く翼を背負った、ひとの形をしたもの。
あれを天使と呼ばずしてなんと呼ぶのか。
容赦なく攻撃される理不尽は、どうしたことか。
睨みつけるうちに、"声"が聞こえた。]
天罰に粛清に、救いか。
なるほどいかにも、天使だな。
[ふん、と鼻を鳴らす。]
だが儂らの用語ではな。
貴様らを宣戦布告無しに不意打ちをする、道義に悖る極悪非道の侵略者と呼ぶのよ。
それにな。
そんな脅し、屁とも思わない連中はごまんといるぞ。
人間を、舐めてくれるなよ。
[言いながら浮かぶのは、親友によく似た若造の顔。
爆心地にいるはずだが───あいつならきっと今頃、元気に空に向かって吼えているだろう。
そんな気がした。]*
― 回想 ―
[耳に響くは愛しき者らの紡ぐ声。
それは或いは地上に残せし愛し子の、
それは或いは地に降り立ちし光と影の御使いの。]
─── アデル。
[そう、あの子の名を呼んだ日を覚えている。>>66
元は取るに足りぬ、小さな淡き光であった。
けれどもそう、その輝きは
ありふれた光の中にあって一際清澄で───純粋で。]
そう、お前には
― 宇宙船発射場 ―
[ダーフィトが飛竜の背にまたがった時にはもう、クレメンスの姿はなかった。
為すべきことを為すだろう相手だ、探す必要は感じなかった。
会場のどこかで思い思いに過ごしていたろう部下たちのことも心配はしない。
生きていれば、自力で船まで戻ると信じている。
《シャドウ・パレス》そのものは、山間に隠してあるから、それもまた憂慮の外だった。
リンゴ酒を呷り、空になった瓶をマントのポケットに突っ込んでおく。]
中央!
[それだけ指示し、飛竜を羽ばたかせる。]
おいで、黙示天使───アデル。
汝にその力を授けましょう。
[微笑みかけ、手を差し伸べた先。
輝かしき祝福が、天に溢れた────]
― 光の船 ―
[そうして今、名付けし
その様子を、大天使は目を細め見つめていた。
地上に目を遣れば、遠く影>>71の落ちるが見える。
光と対極にありて、しかして互いになくば在り得ない者。
各々に欠くべからざる、天の御使い。]
良い。始めよ。
[呼びかけ>>47に返ったのは、短くそれだけの音だった。
ただ響きの中、穏やかに微笑むかの気配が伝わったか。
そして見守る先、過たず光が地上に降り注いだのだ。*]
天使、だな。 本当に。
[発着施設を攻撃しているのは、教会で語られる天使そのものの姿をした者たちだった。
光。翼。一心不乱。
あまりに数が多くて、いっそ蚊柱めいている。]
今すぐ、攻撃を止めやがれ!
[さもなくば、こっちに向かって来いよと、挑発めいた意志をまとい、飛竜を突っ込ませた。*]
― 退避時 ―
[揺れる船体と共に身体を揺さぶられながら船の外を目指す。
轟音に紛れて聞こえたのは、通信機からの途切れるような声>>103]
コンラート!
[苦しげにも聞こえる声。
怪我でもしたかと思わず足を止めたが、部下に「早く!」と腕を引かれた]
待て、まだコンラートが……っ!
[もう一人の部下に背を押され、爆発と火災による煙に燻されながら外へと押し出される。
燃え盛る船体から離れ、振り返った直後、コンラートがいるはずの操縦室が轟音と共に爆発した>>104]
ッ 、 コンラート!!
[悲痛な叫びが轟音の余韻に木霊した*]
― 宇宙船発射場 ―
[突然の出来事に混乱するもの、混乱を鎮めようとするもの。
ひとの動きは多様で、それがまた混乱に拍車をかける。
その内、混乱を鎮めようとする者の姿は確り、記憶に焼き付けた]
……おお?
また随分と、面白いのがいるもんだねぇ。
[飛び立つ姿>>116に落ちるのは感嘆の声。
それから、真紅はちらりと上を見る]
……黙示殿。
[気紛れに声を送る先は、先陣を任されている天使]
何やら、面白そうな手合いが飛んでいったぞ。
[具体的な説明はないまま、それだけ伝えて]
……さて、それじゃあ、俺も行くとするか。
[小さく呟き、歩みを向けるのは混乱のただ中にある発着場の方。
先にすれ違った者>>90のように、冷静さを失わぬものが多くいるならば]
……早目に見定めとかんとならんからな。
[与えるべきものがなんであるかを、とは口にせず。
影はゆらり、人の流れに抗い進む。*]
/*
個々を認識しておけば、後から吹っかけるのもやり易いって、そんだけの理由で人に紛れていた影です。
いや、どーしても俺のスタイルだと、メイン戦場にいる図が浮かばなくてね……w
なんて呑気に言いつつ、どうも、お邪魔しておりますくろいねこです。
このシリーズは奇数番と偶数番で陣営が変わるという面白い事をやってるなあ、と思いつつ。
最後まで皆様どうぞよしなに。
/*
しかし、告死天使というとどうしても某じぃじが出て来てしまうので、そこだけはちゃんと抑えなくては。
エフェクト描写厳重注意。
/*
もうすぐ開始だけれどもまだおひとかたいらっしゃっていない!
…と思ったけれど、よくよく考えたら2日の夜開始にずらしたんでした。良かった。
11人目、天の化身 ナネッテ が参加しました。
天の化身 ナネッテは、おまかせ を希望しました(他の人には見えません)。
[教会を訪れたのは、一人の女…のようであった。
12年前、静かな夜のことである。
赤子を抱いた聖職者のようであった。
深くベールを纏った顔は判然とせず、ただ後年、
非常に美しい人だったとの証言が残されている。
赤子はごく小さく、ありふれた布に巻かれて、
その手には銀色に光る首飾りを握っていた。]
マレンマ、と。この子の名です。
親のないこの子をどうか…こちらで育てて頂きたいのです。
この首飾りはこの子の物。
大切に身に着けさせるが良いでしょう。
この子には、大切な使命があるのですから。
──── くれぐれも、大切に。
[有無を言わせぬ穏やかな命令に、
フリーデルは疑問を抱くことがなかった。
不可解な、人には読めぬ祝福の文字を記された
守りの首飾りと共に、赤子は教会へと託された。]
……
[別れる前、その人は愛しげに赤子へと語りかけている。]
お前は地上に降ろした希望の種。
お前は天より遣わされし恩寵の証。
健やかに育つのですよ。
いつも、天は…私は貴方を見守っているのですから。
[赤子のぷくりとした頬を手で撫で、優しく額へと口付けた。
その額が淡く光を宿し、赤子が嬉しそうに笑みを零す。
その様子に微笑んで、天使の化身は姿を消した。
12年前、ささやかなる奇跡の現れた夜の話である。**]
― 現在/発射場上空 ―
その声は――告死天使シメオンか。
[届く声に返るのは、少しばかり不機嫌そうな声]
貴様、この大事にどこをほっつき歩いて――
……まあいい。
[気紛れな性質を持つこの告死天使に、黙示天使はしばし苦言を呈することがあった。
とはいえ言い合いをしていられる状況ではなく、そちらは早々に切り上げる。
元より小言を聞き入れられることなどほぼなかったが]
面白そう、か。
表現はともかく、警戒すべき相手なのだろうな。
[具体的ではない説明にそう返し、人間らの中に特異な動きをする者がないか視線を向ける]
[――気に入らない相手ではあるが、共に同じ主を抱く存在としては、信頼を置く相手でもあった*]
― 管制塔傍 ―
[アンライエンに詰めていた者達は半数以上が逃げ遅れ、逃げのびた者であっても多くが負傷し、他の者達の手を借りて避難しているところだった。
マチスは運良く護られる形で退避出来たため、煤けた以外に被害は無い。
コンラートが逃げ遅れたのではと案じたが、この時ばかりは彼の異名を信じた。
どんな力が働いたとしても、彼が無事であれば良い]
──── なんてこった……。
[爆心地となった宇宙船にも近い管制塔もまた、見るも無残に崩れ落ち>>94、あちらこちらで火の手が上がっていた。
高さがあり、地上への避難に時間がかかる塔という建造物。
塔の屋上に緊急避難用の小型飛行船が用意されていたはずだが、それに乗り込む間も無く崩壊させられてしまったらしい]
拙いことになったな。
[総司令だけでなく、大統領ら国の高官達一同が逃げ遅れたという。
それは内閣の機能停止と、国内の混乱の助長を意味する]
ともかくここは引き上げるべきだ。
一般人の避難誘導を優先、死亡者の引き上げは……後にするしかない。
[塔の外で警護・待機していた者達に提案という形で今後について指示を出す。
マチスより階級が上の者はあまり良い顔をしていなかったが、現状それに従うより他無く、自分の部下達を率いて方針の伝達に走った]
……船が要る。
[ぽつりと零れる声。
抵抗を諦めていないことが分かるもの]
このままで引き下がれるかってんだ。
[一時撤退はする。
だがそれは敗北を認めることではなく、次へと繋げるためのもの。
早める足は本部方向へと向かう。
この場の情報が集約される場所でもあるそこへ向かえば状況を知ることも出来よう。
祖父の友が本部を訪れ、叱責している>>105などとは想像だにしていなかった*]
村の設定が変更されました。
― 宇宙船発射場 ―
[地上を攻撃していた天使のいくたりかが向き直り、排除の意図も明確に迫ってくる。]
天使ってな、ホント素直だ。
容赦なく仕留めるぞ!
[号令を送れば、飛竜の中で駆動音が高まる。
炎のブレスを吐くつもりだ。
ダーフィトもまた、両手にガンソードを抜き放ち、構えた。]
[銃口が火を噴く。刃が翻る。
前時代の名残のような、この不思議な武器を作った男もまた、天使が作り出した地獄絵図のどこかにいるはずだ。
周囲は敵ばかりでまったく余裕はないのだけれど、彼のことを思い出したら、ふと笑みがこぼれた。
3年前。
帰国の途中で空賊に襲われ、虜囚になったマチスが試みたのは、反抗でも脱走でもなく、機械いじりだった。
楽しいのか?おかしなやつだと見守るうちに惹き込まれた。
いつしか皆して彼の作業に協力し、夢を語っていた。]
諦めるなよ、
おまえは未来をつくり出せる希有な英雄だ。
[届いちゃいないと知りつつ、エールを送って、天使の群れに風穴を開けた。**]
― 宇宙船発射場 ―
派手な立ち回りは、輝けるものに任せた方が見栄えがいいからな。
[呈される苦言に返すのは大体こんな物言いだった。
元より、大天使の命以外には従う事のない気紛れなる影。
認めぬ相手であれば言葉を返すどころか、こちらから呼びかける事すら稀だ。
そんな影が自ら呼びかける、という事は転じて、黙示天使の力、その在り様を認めている、という事になる]
ああ。
どうやら、作り物の類のようだが、竜の姿をしたモノに乗って、空をかけて行った。
そろそろ、そちらでも見える頃合いだろう。
[突っ込んでいく様>>133を下から眺めつつ、送る言葉はのんびりとしたもの]
俺は、飛び回るのは苦手なのでな、そちらに任せた。
[どこまでものんびりと言いながらの歩みはそろそろ、破壊された船の近くまで辿りつこうか。*]
― 宇宙船の傍 ―
[白き無慈悲な翼と、天からの眩い光の降る中で、その真っ白な光がゆっくりと地上に降りていったことは人の目にも天使達の目にも止まりにくかっただろう]
[地に降りると同時にぱっと羽根を散らすように白は弾けて、残されたのは、胎児のよう体を丸めてうずくまる赤い髪の男の姿]
ん……
[ゆるりと水色の瞳を開き、すぐ側に未だ漂う真白に手を伸ばす。それは、純白の羽毛のような淡く輝く羽根だ]
「うわあああ!天使だー!!」
[白い羽根に埋もれるようにしている男の姿を見て、容赦ない殲滅を為す天使と見間違った兵士が悲鳴をあげて逃げ出していく]
― 天使の翼教会 ―
主は万軍を率いてあらゆる悪を打ち倒されます。
なにものも、主の光に勝るものはいません。
主こそ力。主こそ栄光。
主よ。我らをお導きください。
我らに道をお示しください。
[教会は、今や途切れることなく讃美歌が響いていた。
鐘が打ち鳴らされ、神の家がここにあると誇らかに告げる。
普段は教会など見向きもしない者たちも、次々とやってきていた。]
[人々を先導するように神を讃えて歌うマレンマの背を、シスター・フリーデルは誇らしさととまどい、畏れの入り混じる目で見つめていた。
マレンマは、昔からどこか不思議な子供だった。
赤子だった彼が孤児院へ来た日の記憶は漠然としている。ただ大切にしなくてはならないということだけは、意識に刷り込まれるようにしてあった。]
[赤子はすくすくと育った。
病気とは縁がなく、熱を出すようなことも稀だった。怪我でさえ、小さなものなら目を離した隙にわからなくなってしまう。
この子は神の祝福を受けた子だと教会の神父は興奮していたけれども、シスター・フリーデルにとっては子供が何者であれ、守り育てるべきものには変わりなかった。]
[聖句は誰よりも早く口にした。
教典は、大人顔負けにそらんじた。
子供たちの間に混ざって遊ぶことは少なく、
聖堂で何時間でも一人でいるのを好む子だった。
1人でいる時は、決まって首飾りを両手で握っていた。
彼がここへやってきた時に、共に預けられたものだ。
首飾りを小さな手のひらで包み込みながら、幸せそうな顔をしているのを幾度も見ている。そんな時は、誰かと話しているかのようになにか呟いていることも多かった。]
[奇跡を体現した彼は一体何者なのか。
彼を預けたあの日の人物は何者だったのか。
この日を迎えて初めて、シスター・フリーデルは畏れに身体を震わせていた。]*
[讃美歌。鐘の音。街の人々のざわめき。
雑多な人間たちの音とは別に、"声"が聞こえている。]
( おまえは天の子 )
───はい。
[声は、いつだって側にあった。]
( 世界を救うのが、おまえの役目 )
───はい。
[その声は優しく温かい。
けれどもどうしてか、いつもそれを寂しく感じていた。]
[寂しく感じる理由はわからなかった。
寂しいなんて思うのはいけないことだと思っていた。
見守られていることに、感謝しなくてはいけないのに。
ずっとそう思っていたけれど、ようやく理由が分かった。]
( 大天使がおまえを導く )
───はい…!
[自分はずっと、あの方の声を聞きたかったんだ。
あの方を待っていたんだと、分かったのだ。]
― 宇宙船の傍 ―
[ゆらりとした歩みが止まる。
首がこてり、と傾ぎ、長く伸ばした銀の髪がさらりと揺れた]
……んー?
これはまた……なんとも、不可解な。
[呟きと共に廻った真紅は、こちらを見つめる姿>>141で止まる]
近しいようで、遠きもの。
はてさて、きみは一体なんだい?
[吟ずるような口調で問いかけながら、影はそちらに歩みを進める。
こちらは未だ、己が刃に触れる素振りもなく。
近づく歩みは、一見すると無警戒。*]
― 宇宙船発射場 ―
[ピンバッジが通信>>140を伝える]
コンラート!
良かった、無事だったんだな。
俺の方は何ともない。
だが管制塔に集まってた高官達が根こそぎ崩落に巻き込まれちまった。
反撃に出ようにも船も念入りに破壊されちまってた。
全体に一時撤退を提案してある。
一度引いて対策を練ろう。
[届いた声に喜色を乗せて直ぐ、真面目な声に戻して簡易的に状況を説明し、今後の方針についてを伝えた。
本部への足を速めながら、ふと天を仰ぐ]
[蒼天の中を我が物顔で飛ぶ天使の群れ。
それに眉を顰めた直後、白の中に黒がひらめいた]
あれは ───……
[火を吐くワイバーンに乗る姿は竜騎兵にも似ているが、軍属の竜騎兵にあのような姿をしたものはいない。
脳裏に過ぎるのは3年前 ─── 隣国を訪れた時に出逢った空賊の姿]
まさか、
[来ているのか、と確かめたくなったのだが、その思考は部下の呼びかけに追いやられた。
今は為すべきことを為さねばならない。
足は当初の目的である本部へと向かう*]
― 警備本部 ―
[一般観覧席の近くに置かれた警備本部は、今や臨時作戦司令部兼一大情報集積地と化していた。
人使いの荒い元元帥が中心に陣取り、顔を出した人間を次から次へと使い走りに出している。
おかげで、ある程度は残余部隊の確認も取れていたし、被害状況もおぼろげにではあるが判明しつつあった。
判明したところで無残の一言に尽きるのだが、無残ななりに秩序を取り戻しつつある。
足りないのは爆心地こと宇宙船周辺の情報だけだった。]**
― 宇宙船の傍 ―
[ふわり、舞い上がる純白に目を細める。>>153
純白と、それを掴んだものから感じる気配はやはりどこか近しく思えた]
……天に近く、しかし、天に非ざる、といえば伝わるかい?
[最初に返すのは、どこまでも謎かけめいた物言い]
この船の……ふむ、なるほど。
やはり、足を運んだのは正解だったか。
[ちら、と残骸に視線を向けるは刹那。
真紅はすぐに、対する者へと向かい]
……俺の在り方を問うならば、対価にきみの名を請おう。
[言葉と共に、周囲でしゅるりと影が蠢く]
俺は、告死の影。
天の光の下、影刃を振るう者。
[影の揺らぎと同時、零れ落ちるのは月白色の微かな煌き。*]
― 宇宙船の傍 ―
そうか。
[繰り返される判らない、という言葉。>>160
ならば論じるは無為、とばかりに短く応じ]
……コンラート・フリーデル。
それがきみの名か。
[独りごちるように呟いて、片手をすい、と天に翳す。
月白色の光が舞い落ち、それは花の形を象った]
……この船に深く関わる者に与えるべきは唯一。
[言葉と共に放り投げたのは、煌めく待雪草]
……告死天使シメオン・シュネーグレックヒェンの名において。
きみに、
[宣と同時に地を蹴り、かける。
すい、と横に伸ばした手には、月白色の刃を持つ短刀が一振りずつ握られて。
距離を詰めるに至るなら、両の手の刃がそれぞれ横一閃に振るわれる。**]
/*
シメオンて、闇の血入ってます系なのか。いや自分でやってても、このこ、たすくさん臭い設定だなーって思ってたから、あり得たよねコレ。
/*
待雪草をぶん投げる=死んでくれ、という遠回しのあれそれ。
ちなみに、姓はスノードロップの独語ですよ、と。
ていうか、まあ、バレてますよねー、中身w
隠すなんてしてないから仕方ないけど!
― 警備本部 ―
[突然の事態に混乱が生じているかに思われた警備本部だったが、思いの外機能しており。
その中心に居た人物>>157を見てマチスは呆気に取られた]
クレメンスさん!?
[驚きの声を上げる間にも、その横を使いに出される者達が走り出している。
警備本部が機能していたことに納得せざるを得なかった。
やり手の元元帥の話は祖父からも聞いていたし、軍内部でも伝説と化している]
協力してもらえるのはとてもありがたいんですが…良いんですか?
[祝典に来ていたのなら、きっと奥方と一緒だったのだろう、と。
そんな推測を含めて問いかける]
[短なやり取りを挟んだ後、状況を纏めるべく先ずは自分が持つ情報を本部の者達に提示した]
アンライエンは大破。
乗員も半数が逃げ遅れ、残りの半数も大半が負傷。
動ける者が手分けをして簡易的な治療や王都への避難を進めているところです。
近くを警備していた者達には一般人の避難誘導を優先するよう伝えてあります。
管制塔もまた崩落し、貴賓席に列していた方々は悉く巻き込まれてしまったものと……。
[管制塔の話をする時に少し口篭ってしまったのは、総司令がクレメンスの息子であることを知るが故]
…ざっと確認した限りでは、生存者は発見されなかったとのことです。
[その報告に周りに居た兵達が絶望めいた声を零すのを聞いた。
高官達の死が何を意味するか、流石に理解したのだろう]
一般人の引き上げ完了と共に、我々も一時撤退するべきかと。
奴らを相手にするにも、移動用に使われていた飛行船は全て破壊されました。
地上からではこちらの手が届きにくい。
奴らの舞台に上がってやる必要があります。
[次いで提案するのは反撃することを示すもの。
兵の中には驚く者もいただろうが、マチスはその意志を曲げる心算はなかった]
だから、 残しておいた船を使おうかと。
[それを示すのが何か、察する者はいたかどうか。
その船は今、王都郊外の地下研究所で眠っている**]
− 宇宙船発射場上空 −
[向かう先で、天使の群れが断ち切られるように分かれた。
ダーフィトの攻勢におそれをなした ── わけではなく、一人の天使を通すためと知れる。>>155
その天使は、周囲の有象無象とは異なり、色と言葉を有していた。]
…っと、 指揮官がおでましか?
[これまでの相手とは格が違うのを肌で感じながら、飛竜を旋回させる。
翡翠の眼差しと光の豪槍が、ひたりとこちらを追尾してきた。]
[「悔い改めよ」と陽光の天使は告げる。
さすれば許すという言葉を体現するかのように、このひととき、天使らは攻撃を控え、仲間が撃たれても身じろぎすらしなかった。]
は、 怖いもんだ。
まるで輝ける
[率直な感想を漏らし、両手の武器を下ろす。]
貴様、先程の”声”ではないな。
[天から降り注いだ、あの圧倒的で衝撃的なまでの”声”とは別物だと判じた。
直系であろうとは感じる。だが、比較にならない。]
わざわざのお声がけ、痛み入る。
我が意は天へ通じたようだ。
[こちらに注目を集め、皆が逃げる時間を稼ぐ、という意志が。]
お応えしよう。
“これ”が天の仕業だというのなら、
[刃の先で地上の惨状を差し示し、わずかに目を細めた。]
貴様の仲間になることは、金輪際、御免被る。
“これ”が天の仕業だというのなら、
[刃の先で地上の惨状を差し示し、わずかに目を細めた。]
貴様らの慈悲は、金輪際、御免被る。
― 警備本部 ―
なんだ、小僧。生きとったか。
ぴんぴんしとるな。悪運が強いのは奴に似たか。
[顔を出したマチスを一瞥して、ほれ、と拳銃一丁投げてよこす。]
馬鹿者。儂のことなどどうでもよいわ。
動けるもんが動かんでどうする。
[なにやら気遣われたらしきには、ふんと鼻を鳴らした。]
[マチスがもたらした報せに、周囲から呻きが漏れる。
自身は、仏頂面で凶報を聞いた。
絶望したような兵たちに、マチスが続けて告げたのは反撃を示唆する言葉。この状況から、なお相手を叩く方法を模索する姿に兵たちは戸惑った顔をする。
ざわ、とざわめきかけた空気を断ち切るように、パンと手を打った。]
よし。乗った。
[大音声が、びんと部屋の空気を揺らした。]
気に入ったぞ、小僧。
もう反撃を考えるとは、たいした根性だ。
そうとも。連中に良いようにされたままではロワール軍人の名が廃る。
糞羽虫共を叩っ帰してやらねばならん。
何かは知らんが、切り札があるんだろう?
ならそいつに賭けてやろうじゃないか。
[まだ戦うすべがあるらしい、と気づいたものたちの顔に希望が戻る。
マチスの意思と次の一手に、皆が同調し始める。
熱気らしきものが戻ったところで、マチスに向けて車の鍵をほいと投げた。]
───とはいえ。
なんのかんの言ってみたところで初戦は負けよな。
言葉を繕ってもしょうがない。
こういう時は、とっとと尻捲って逃げるに限る。
足の速い装甲車が一台空いとる。
好きに使えばいい。
逃げ出す連中の尻を叩くくらいは、このくたばり損ないにもなんとかなるだろうよ。
[おまえにしかできないことをしに行けと、双眸の光が告げた。]*
/*
じじいが思うにのー。
最初は徹底的に負けておいた方がかっこいいと思うんじゃよー。
落ちた分だけ、盛り返すパートが熱くなるでな。
やられたーぐわー!からのー、くそー奴らに一撃食らわしてやるー!からのー、そうだあれがあるじゃないか!(ばばーんと切り札登場!)
このぐわー、どーん、ばーん、が好きだでのー。
天の化身 ナネッテ が村を出ました。
/*
じいじがカッコ良すぎて。[顔を覆う]
明らかに指揮官に向いてないから(性格も立ち位置も)、じいじ見倣って指揮官になっていけるように動けると良いなぁ。
― 宇宙船の傍 ―
[不意に視界に舞い散る純白。>>166
刃によって断たれたそれが小鳥に転じる様に、真紅が僅か、見開いた]
……おおっと!
[振るわんとした刃に纏いついた純白が弾ける。
思わぬ事態と、そして、もう一つの要因から、影が選んだのは後ろへと飛びずさり一度距離を開ける事]
……驚いた。
いやいやいや、こいつは驚いた。
[両手に刃を提げたまま、影はその言葉を繰り返す]
きみたちから、『勝手』などという言葉を投げつけられるとは。
いや、こいつは驚きだ。
他の存在の領域に断りもなく、それこそ『勝手』に踏み入ろうとしていたきみたちから、そんな言葉を受けるとは。
さすがの俺も、予想はしていなかったなぁ。
[はっはっは、という妙に爽やかな響きの笑い声と共に言い放つ。
心底楽し気な笑顔とは裏腹、その足元では影がしゅるり、しゅるしゅると物々しい雰囲気で渦を巻いていた]
……まあ、いい。
いずれにせよ、俺が為すべきが変わる事はない。
きみからは、近しきなにかを感じなくもないが、知らぬ存ぜぬと言うならば、主命を第一とするのみだ。
[一転、静かな声音で綴る宣。
手にした刃が纏う月白色の煌きは、どこか冷たく、冴え冴えとしていた。*]
― 警備本部 ―
あんな奴らの救いなんて必要ないですからね。
[生きとったか、との言葉>>171には、天からの言葉を敢えて使い、一瞥に対して笑って見せた。
投げられた拳銃を両手でキャッチし、弾数やセーフティをチェックする。
万一を考えて用意した自作の武器は宇宙船と運命を共にした。
丸腰のマチスにはありがたいものだった。
案じに返った言葉を聞けば、笑みは苦笑へと変わる]
ありがとうございます。
[偽らざる感謝を向けて、互いに持つ情報の交換を開始した]
[マチスが示した反撃の意志。
それを聞いた周囲の者達がざわめき出した時、断ち切るように響いたのは力強い音>>172だった。
一瞬訪れた静寂に響く大音声。
部屋全体へと届く、力強い言葉だった。
短い言葉だったが、クレメンスの同意の言葉は背を押してくれるかのよう]
好き勝手されておめおめと引き下がれるわけがないでしょう。
奴らの勝手な言い分に従う必要なんてどこにもない。
あっちが武力で従わせにくるなら、こちらも武力で応じるのが筋でしょう。
我々には奴らを叩き帰すための
[断言する。
真にそうであると信じる想いは周囲への鼓舞にも繋がるか。
じわりと、熱が伝わっていく]
そうですね、正に切り札です。
けど、そのためには調整も必要で ────
[問い>>173に答えたところで投げられた>>174のは車の鍵。
拳銃の時と同じく両手で受け止め、鍵とクレメンスを交互に見た]
……ええ、今回は負けです。
だが次はこうは行かない。
ありがたく使わせてもらいます。
[鍵を握り込み、決意を込めた表情になる]
─── 1週間。
1週間で仕上げます。
奴らの動きがどうなるかは見えませんが……その間、よろしくお願いします。
[王都や都市に攻撃を仕掛けて来るなら防衛も必要となるだろう。
執拗に船を狙ってきたことから、それに繋がるものが狙われるかもしれない。
大統領や総司令を失った今、元帥であったクレメンスに指揮を頼りたくなるのは当然と言えば当然。
願う言葉を紡いだが、相手の反応はどうだったか。
どんな返答であれ、為すべきこと為すため、その場を辞することになる*]
愚かな。
実に、愚かなる答えだ。
[黙示天使は怒りも露わに、その手の杖を手中で回し構え直す]
良かろう。
天を侵したその罪、この場にて贖うがいい。
[杖が垂直に天を指し示す。
直後、光を束ねた戒めの杭が、男の頭上から真っ直ぐに地へと落とされた*]
…だからって、はい、そーですかって…
[ ふわり、まだ手の中に残っていた一枚の純白の羽根が風に舞う。それは一見ただ風に攫われたかのように見えるが ]
Terminare la cucitura!
[ 勝手に口から出る言霊と共に手にしたサーベルを、天使ではなく、その足元の影に向かって投げつける。
風に乗った白い羽根が、くるりとサーベルの刃の周囲を巡って、天の光に似た輝きを纏わせた。
サーベルが纏うのは、影を縫い止め、相手の動きを止めるための魔法。運良く、一瞬でも効けば ]
殺される趣味は、ねーんだよっ!
[ 遠吠えめいた声ひとつ残して、身を翻し、実行するのは、古来より伝わる兵法のひとつ……即ち、全力撤退、である* ]
/*
思ったより、めっちゃ子供っぽいぞこのこ。後半変わるかな?
シメオンには戦い甲斐のない相手ですまねーとしか…(ぺこぺこ)
一応予定通り開始のつもりで動いてるけど、伸びるなら、戦闘機のとこまでたどり着くべきかも。これ以上、素手でやり合ったら死ぬわww
− 宇宙船発射場上空 −
[「愚かな」と告げられた言葉に、諾と頷く。>>186]
ああ、我ながら愚かだと思うけど、
義を見てせざるは勇無きなり、という教えは守っているつもりでな。
[でもって、あんな啖呵を切ったからには相手の怒りを買うことも承知の上で、
陽光の天使が杖をわずかに持ち上げた瞬間には、飛竜の腹を蹴って合図していた。]
ずらかるぞ、 派手にいけ!
[ボッボッ…と火球が飛竜の口から打ち出される。
それはさらに小さな火球に分裂して、弾幕を張った。
同時に飛竜は金属製の皮膜をドーム状に変形させて、ダーフィトを守る。
光を束ねた戒めの杭が、到達した。
── 烈光。 そして衝撃波。
光の欠片を散らしながらそのまま、地上へ降る流星となる。*]
― 宇宙船の傍 ―
おやおや。
『わからない』ではなく、『わかりたくない』んじゃないか?
……理解してしまえば、己が非を否定する事が出来なくなる。
自己正当化ができなくなる事を、きみたちは畏れる傾向にあるからねぇ。
[子供じみた物言い>>187に、く、と低い笑みが零れる。
微か届いた言の葉に、真紅が瞬くは一刹那]
……まあ、知らぬというならば、それでもいいさ。
だが、我らはきみたちがこの地に満ちるより先に、天に在った。
それは変わらぬ事実だ。
古い物語とやらにも、俺たちは語られているのだろう?
それでもなお、知らぬを盾に拒むというならば、無知の罪を問う……というのは、まあ。
俺の仕事じゃないんで、他に任せるとするが。
[その辺りはどうでもいい、と言わんばかりに軽く言い放ち]
……まあ、そういう事だ。
[何が何でも殺すのかと問うならば、影が返すのは、是。>>188]
告死の影として、手向けの一華を捧げて宣した以上。
それを違える事はできんのでね。
[応じる言葉に合わせて影が蠢く。
それはゆっくりと上がる右の刃に導かれるように、しゅるり、と持ち上がった。
純白の一片が風に舞い、言霊が紡がれるのは、それとほぼ同時。>>189]
……っ!?
[投げつけられたサーベルが、蠢く影を貫く。
無形にして有形たるもの、影翼が手繰る事で多様に変質するそれへの干渉が叶う者などない──少なくとも、只人であればあり得ないはず、だった]
俺の『影』に、干渉した……だと?
[にも関わらず、投げつけられた刃は影を貫き、その場へと縫い留めた。
予想外、否、完全に想定外の事態に反応は遅れ、その間に対する男は身を翻す]
ちっ!
[舌打ち一つ、振るうのは左の刃。
本来ならばその動作で生じるはずの影の刃は、一片の羽根の如き矢となって駆けるに止まる。
正確な狙いを欠いた一閃は届いたか、否か。
何れにせよ、影はその場に留まり、遠ざかる赤毛を見送った。*]
くかか。
あやつもよく言うとったわ。
技術は全てを切り拓く力だとな。
[マチスの物言いに呵々と笑う。
笑いが消えれば一転して、眼光に鋭さが宿った。]
だが今はそれが唯一の希望だ。
小僧。大言、忘れるなよ。
[にやりと笑う口の端には、激励と信が乗る。]
ふん。
軍も、頭が消えたからといって、すぐ崩れるほど柔ではなかろう。
なに。首都方面師団長も、各方面のそこらの長も、昔、尻をぶっ叩いてやっていた仲よ。
暫く程度はなんとかしてやる。
[心配するなと言外に告げ、去ろうとするマチスへ最後に一言掛ける。]
それとな、小僧。
本当の切り札なら、使い時を見誤るなよ。
相手の喉元に突き付ける前に壊されたら、元も子もないからな。*
/*
こういう状況って、とにかく辛いのだよな……。
[村建て様もふもふぽふぽふ]
[終わるまで見えませんけどね!]
ふん。大口を叩いた所で、所詮はこの程度か。
[飛竜の行方を確かめることはしない。
それは己が光を受けて生き延びた人間を知らぬが故]
時間を無駄にした。
施設の浄化に戻らねば。
[地に穿たれた力の痕に背を向けると、下級天使らを率いその場を離れていく*]
― 警備本部 ―
じいちゃんが……
[クレメンスの言葉>>195にぽつりと声を零す。
伝えられた技術を介して力を貸してくれるように思えた]
必ずや。
[大言、と称された己の言を違う心算はない。
向けられた笑みに込められたものを受け取りながら、力強く頷いた]
ありがとうございます。
ご忠告、しかと胸に留めておきます。
[軍の指揮と、向けられた言葉>>196に対し礼を述べ、付け加えられた言葉を噛み締めるように胸へと刻み込む。
クレメンスに一礼した後、マチスは部下を引き連れ警備本部を後にした*]
く…そ…
[ 貫かれた肩の傷口を押さえると、ふわふわとした感触が手のひらに触れる ]
羽根…?
[ 一筋の月白の芯を持ったその羽根は、コンラート自身の血を吸ったためか、深く鮮やかな緋色に染まっていた ]
…ほんっと、わけわかんねえ…
[ どこか泣きたいような感情に顔を歪ませながら、それでも足は止めず、目指すのは、この状況の中、唯一まともに機能していると見える警備本部だ ]
― 宇宙船の傍→警備本部へ ―
− ??? −
[ゆっくりと浮かび上がる感触。]
── …、 っ、 痛て
[どうやら気を失っていたらしい。
目覚めると同時に痛みがぶり返す。]
ええ…と、 あー、 天使。
[思い出した。
非常に無謀なことをした気がする。 勢いってこわい。
天使の憤怒の光を喰らって、まだ生きていることを祝福すべきだろう。]
ワァズ…は、変わりないようだな。
今どこだ。
[問えば、防御壁の一部がスライドして小さなガラス窓になった。]
…はい?
[窓の外に魚が泳いでいるのを見て、素っ頓狂な声をあげる。
ゴシゴシと目を擦ってみるが、見間違いではない。]
− 川の中 −
なるほど、川あったな。 そういえば。
[アーキファクト級のオートマタとはいえ、天罰の光撃に晒されて平気ではなかったのだろう。
籠った熱でダーフィトを殺さないようにするためにも川へと飛び込んだのだと予測がつく。
さぞ派手な水蒸気があがったろうが、それもまた目くらましの役に立ったか。]
潜望鏡。
[命ずれば、筒状の一端が伸びてくる。
天使が見えませんように、と願いながら覗く。
頃合いを見て、陸に上がろう。*]
― 宇宙船の傍 ―
[己が務めのため、感覚は最大限に研ぎ澄ましてはいるものの。
走りながらの言葉を拾うには、今は多少、余裕が足りない。
届いたら届いたでまた、笑いながら抉ろうとするから、ある意味では幸いだったか]
……届いたか。
ま、今はそれで良しとするか。
[最後に投げた矢が散らした彩。>>202
それに小さく呟いた後、短刀を何処かへ収め。
それから、己が影を縫い留めるサーベルを引き抜く]
……コンラート・フリーデル……とか言ったか。
[請うて得た名を繰り返す。
微か上がる口の端が象るのは、笑み]
中々、面白いモノがいるもんだねぇ。
[ぽつり、落とした声音に宿る響きはどこか楽し気なもの]
……ま、何れにしてもだ。
今は、主命のためになすべきを為さんとなぁ……。
[ふ、と上げた視線の先。
黙示天使もまた、己が務めのために動き出している様子。>>199
なれば、己も己が在り様のまま、務めを果たすのみ]
……地に在る者は、俺の管轄だからな。
[先に交わした言の葉>>154を思い返しつつ、影はゆらりと動き出す。
引き抜いたサーベルは、揺らめく影の中へと落とし込んでしまい込んだ。*]
― 警備本部前 ―
[急ぎ車両へと向かおうとした時、見慣れた姿>>203が視界へと入る]
コンラート!
[無事な姿を見て駆け寄るも、怪我をしているらしいことに気付けば案ずる表情へと変化した]
無事…ってわけでもないんだな。
でも生きてて良かった。
[あの爆発を思えば死んでいてもおかしくなかったと言える。
どんな経緯があれ、生きていたことはマチスにとって喜ぶべきことだった*]
− 川岸 −
[天使が地表に満ち満ちていないことを確認して陸へとあがる。
石橋の欄干に腰を下ろし、人の姿に戻したワァズに簡易手当を頼んだ。
その間、傍らで小さなトーチを燃やす。
暖をとるためではない。
仲間への合図だ。
しばらく待って会えなければ、艦に戻るつもり。
別の誰が声をかけてくるならそれはそれ。**]
/*
実は首痛くてしんでる。
すげー痛い、ってわけじゃないんだけど、集中し辛いじわっとした違和感と時折走る痛みがなんともはや。
日曜から続いてて、これマジなんなん…ってなってる。
― 光の船 ―
[大天使は依然として、天の船に留まっている。
光の船は人の子が目を逸らしたくとも逸らし得ぬ存在感で、
悠然として天の高みにある。
良く見れば、その輝ける船から次々と、
天の軍勢が飛び立つのが見えるだろう。
それはあたかも、尽きせぬ天の栄光を示すが如く。
いっそ幻想的とすら言える有様で、空に君臨するのだ。]
[その高み、地上を見下ろす一室に大天使の姿はある。
地上には既に黙示天使と告死天使、
配下の両翼ともいえるだけの者らが降りている。
彼らの齎す救いに間違いはないはずだった。
ゆえに今は、時を待っている。
地上のいとし子、その声>>149に応えるべき時を。]
影。あれはシメオンか。
[遠く、地上に光の影が閃く。>>175
その波動に、大天使はふと意識を向けた。
正しき救いを齎すためにと、地上に先んじた影。
であれば、さては救うべき者を早速に見定めたか。
──── ふ、と。
大天使の口の端に、淡き微笑みが上った。
瞳は慈愛の光を湛えて影の波動のありし方を見遣る。
視線は地上に、けれど意識は、遥か遠い日へと向けられた。]
― 回想 ―
[最初は、小さな興味だった。]
光の影? 影の天使と……?
[光に満ちた天界に於ける異質。
光の中にありて、影に己の位置を定める者。
そんな異質が、ある時大天使の間で話題になった。
好意的な話ではない。
影は厭わしき、排すべきものとして語られていた。]
影も主の御心と共にあるというのにですか。
好ましくないというだけで、それは性急に過ぎましょう。
影は光あってこそ、存在するもの。
この世の中に、全き光など神以外のどこにもないのに。
わたくしにも…貴方にも。
[そう指摘すれば、相手は憤慨した顔をした。
災いの元となる前に、狩るべきである。
その主張に首を横に振り、ナタリエルは口を開いた。]
ではその影、わたくしが預かりましょう。
我が手元にて、その影の在りよう見極めましょう。
それで如何か?
[相手はそれにも不服そうな顔を見せたが、
問答無用とばかりに話を切り上げて黙らせた。
シメオン・シュネーグレックヒェンという、
特異な天使と顔を初めて合わせたのはその後の話だ。]
シメオン・シュネーグレックヒェンとは、お前ですか。
ナタリエル・ネッセテリウル・テレイアです。
[大天使の前に歩み出た時、彼が何を思ったかを知らない。
事の顛末を知ったかどうか、それも聞いたことはない。
ただその時より、影はナタリエルの傍らにあり──…]
そのままで良い。
[ある時、そんな言葉を掛けたことがある。
何かの話の折にだったか、二人きりの会話の折に。]
お前はそのままで良い…いや。そのままが良い。
影の裡の光、光の影。
お前の波動を感じると、わたくしも安らぐのだ。
シュネーグレックヒェン、シュネーヴァイス。
[言葉遊びめいた響きで、告げて微笑う。
それに返るを知るのは己のみ。
影の在りよう知るのが知る者が、稀なると同じように。]
― 光の船 ―
[──── そして現在。
影は光の御心に添い、その刃を振るい続けている。
その様はあたかも太陽に添う月、淡く輝ける者。]
見定めるなど。
本当はまったく必要などなかったのだよ。
ただ……好い。と思ったのだ。
[はじめにその心を、その響きを感じ取ったのだから。
強烈な輝きではなく、然して影に紛れし静謐なる光を、
確かにこの魂は感じていたのだから、と。
独り言を聞く者はなく、大天使は一人静かに微笑み続けた。*]
/*
最初、ナネッテ様への感情は恋愛よりかなとか考えてた時期もあったのですけどね。
気付いたら完全に刷り込みされた雛みたいになってましたね。
仕方ありません。カリスマなのですから。
― 宇宙船発射場上空 ―
[白翼の者たちは、乱れのない動きで宙空を旋回する。
施設の破壊は徹底的に行われたが、直接的な抵抗のない人間に、殺戮の手が及ぶことはなかった。
否、そのような人間の存在に、意識を払うことなどなかったというのが正しいか]
[既に人的被害も甚大なれど、その目的はあくまで見せしめであり。
無名無害の者なら、真に救いが齎されるかもしれぬ――そう感ずる人間も現れようか]
[――――今は、まだ**]
/*
やべえ、意識が落ちかけてる……と思いながらりろーどしたら、なにか飛んできてますよ……!
おおう、これはちゃんと覚醒した頭で返したい。
故に、無理せず沈もう。
…撤退と聞きましたが、
[ ぐ、と傷を押さえた右手に力を込め、マチスの顔だけをみつめる ]
第二格納庫に、第三航空部隊の機体があります。いつでも飛べる状態にしてある筈ですから、俺は、そちらに向かおうかと。
可能でしたら、送って頂けますか?
[ コンラートの率いる航空部隊は、宇宙船開発のテストパイロットに駆り出されて以来、開店休業状態だった。だが、元々は、腕自慢のパイロットが揃う部隊だ。自分も含め、腕は落ちていないはずと自負していた ]
あの天使相手に、どこまでやれるかは判りませんが…黙ってやられっぱなしってわけには、いかないでしょう?
部下の仇もとってやらなきゃいけないですから。
[ 天からの光に貫かれて消えた副操縦士は、航空部隊でもコンラートの副官を務める男だった* ]
― 警備本部前 ―
[呼び直す声>>222に少し笑う。
普段通りに呼んでも良いんだぜ、と言ったこともあるが、彼なりの決め事のようなものがあるのだろう。
周囲の囁きが耳に入れば、視線だけを一度そちらへと向ける。
直ぐにコンラートへと戻せば、伝えられる提案>>223を耳にし、一つ頷いた]
分かった、第二格納庫なら通り道だ。
送っていこう。
……多くの者達を失ったな。
彼らのためにも、あいつらに一泡噴かせてやらねぇと。
[仇を、と口にするコンラートにまた一つ頷いて、マチス自身もそれを心に刻む。
次いで、コンラートの負傷していない方の肩へと手を添えて、にっと口端を持ち上げた]
─── 誰が何と言おうと、お前はお前だ。
俺が信を置き、苦楽を共にした仲間だ。
そのことを忘れるなよ。
[以前以上にコンラートへと向けられる視線が負を帯びたように思う。
マチスの言葉で劇的な改善が得られる、なんてことはないかもしれないが、自分の想いは伝えておきたくて、皆の前でそうコンラートへと告げた。
『天使憑き』─── このような襲撃を受けたのだから、彼を恐れる者が増えるのは仕方の無いことだろう。
だがマチスは彼が天使側につくとは微塵も考えていない。
それは彼の言動にも表れているし、これまでの付き合いから疑う必要などないと思っているからだ]
…あ、飛ぶのは良いが、無理だけはするなよ。
それから飛ぶ前に手当てすること。
[ぴっと怪我を指差して、念押しすることは忘れなかった*]
ありがとうございます。
[ 了承の意を返してくれたマチスに>>224改めて礼を伝えながら、その声音の力強さに、今まで沈んでいた心が晴れるのを感じる。
どんな困難に直面しようとも、決して諦めず、前を向いて進む。夢物語と思われていた宇宙への道までも切り開いてしまった男 。ひたすらに未来を見つめるまっすぐな瞳には誰もが惹かれずにはいられない]
はい、わかってます。
[ 誰がなんと言おうと>>225…その言葉に込められた思いも確かに受け取ったと、頷く ]
あんたが信じてくれるなら、それだけで俺には十分ですよ、大将
[ すぐ側にいるのに、通信機に小さく囁きを乗せたのは、それを伝えるのがどこか気恥ずかしく…けれど、伝えずにはいられなかったからだった* ]
― 警備本部前 ―
[通信機越しの声>>226に、くく、と笑う。
二人で話す時の口調であるからこそ、それが本心であると言うのが知れた]
よし、そんじゃあ行くか!
[クレメンスから受け取った車両の鍵を部下の一人へと投げ渡し、装甲車が停められている場所へと移動を促す。
後は行動あるのみ。
行動に結果がついてくるはずだ*]
― 車両へ向かう途中 ―
[警備本部から車両へと向けて足を早める。
途中、部下には今後についての指示を飛ばした]
プロトタイプを起動させる。
動ける連中は皆、OH-6地区にある地下研究所へ集合。
マギと、力仕事のための人員もいくらか回してくれと他部署に伝えてくれ。
[指示を受けて部下の一人は同僚達が居るだろう場所へと向かう。
恐らくは住民の避難誘導や車両による王都への移送に従事していることだろう。
数名に伝えておけば指示は自ずと伝わっていくはずだ]
俺らはプロトタイプの起動に集中する。
これが動かせなきゃ始まらないからな。
[王都にはまだ軍が所持する飛行船や飛行機が残っている。
コンラートが提案したように、それらを動員して対抗することは可能だろうが、問題は天使らと共に現れた光の船>>34だ。
飛行船や飛行機が飛べる高度の遥か上。
そこへ至るには宇宙船でなければ難しいだろう]
必要のない居住区を飛行機の格納庫にする。
確か開発中の魔導砲があったはずだな、それも搭載するぞ。
[部下から、えっ、と言う声が上がったが、それには楽しげな笑みが返った。
殊、開発に関してはどんな状況でも生き生きとするマチス。
部下は、またか、という表情をしていた]
勿論調整はするさ。
予定よりも威力を絞れば問題になってる耐久性もクリアされるはずだろ。
使えるもんは何でも使うぞ。
[この調子では他にも色々搭載することになりそうだ]
[車両に辿り着けば部下の一人が運転席へと乗り込み、マチスは後部へと乗り込む。
他に乗る者が居れば、乗れる限り乗せて王都へと向かった*]
― 王都への道中 ―
[王都を目指し、川沿いを走る中、運転していた部下が川岸で立ち上る煙>>212を見つけ、報告してきた。
墜落した飛行機でもあるかと思い立ち寄ると]
─── ダーフィト!
[そこにいたのは隣国で奇妙な出逢い方をした人物が居た]
黒いワイバーンを見たから、もしかしてとは思ってたが。
来てたんだな。
ワァズも久し振り。
[車両から降りてダーフィト達の傍へと寄り再会を喜ぶ。
ただ、それが長く続かないのは取り巻く状況故だった]
すまない、長くは語らっていられないんだ。
急いで用意しなければいけないものがあって。
…そうだ、これを持っててくれないか?
[そう言って差し出すのはシンプルな形をした指輪。
土台なしで指輪に埋め込まれた宝石は、オレンジ色をしていた]
これ、対になってる通信具なんだ。
宝石の部分に触れれば通信可能な状態になる。
[自分が所持する片割れを出し、宝石に触れて使い方の説明をする。
面と向かって使っても実感は沸かないかもしれないが、離れた場所でもはっきりと声を届かせることが出来る代物だ]
形はあんまり気にしないでくれ。
今手持ちがこれしかなくてな…。
[何が悲しゅうて男に指輪を渡さなきゃいけないんだ、とまでは思わないが、微妙な光景であるのは確かだろう。
苦笑しながら告げて、自分の分はチェーンを通して首に下げることにした]
…ダーフィトはこの後どうする心算だ?
[巻き込まれた形になるが、迂闊に飛行船を飛ばせば標的になりかねない。
それを案じるが故の問いかけ。
どんな言葉が返ったか*]
― 地下研究所 ―
[第二格納庫にコンラートを下ろし、その足で向かったOH-6地区。
王都の郊外に位置するその場所の一角、軍が管理する小型の施設に地下研究所の入口はあった。
既に部下が数名待機しており、入口を開けて共に地下へと下りて行く]
装甲・装備の強化、内部の改装が主になる。
居住関係は全部取っ払っちまえ、戦闘特化にする。
期限は1週間だ。
やれねぇとは言わせねぇぜ?
[無茶を言っている自覚はある。
だが相手も悠長に待ってはくれないだろう。
それは部下達も分かっているため、神妙な顔で頷いてくれた]
[研究所に併設された格納庫の扉を開けると、プロトタイプの宇宙船・トラオムングが現れる。
アンライエンほど洗練された形ではない、無骨ささえ思わせる形状。
夢と希望が託された、一番最初の形をしていた]
そんじゃあ言った通りにな。
[そう言うだけで部下達は作業へと取り掛かり始める。
ずっと弄ってきた宇宙船だ、その構造は皆熟知している**]
/*
とりあえず現在軸での接触は完了、かな。
後は過去回想……マレンマ分もだな。
玩具考えなきゃww
宇宙船で光の船まで行くのは確定だが、それまでの流れをどうするか。
やっぱラストになるのかな、宇宙船発射は。
あぁでも4dか5dには飛び立たないといけないかもしらん。
…うん、眠い。明日もっかい考えよう。
プロトタイプ…あれを?
[ マチスの計画を聴きながら装甲車へ移動する途中>>228ふと警備本部に視線を向けると、中で指揮を執るクレメンスの姿が見えた ]
うわ…ほんとにデューラー閣下だ…
[ コンラートにとっては雲の上の人、だが、マチスとの縁を通して、一般兵よりは遭遇機会の多かった相手だ。その決断力と的確な状況判断、カリスマと呼んでいい人心掌握の力は純粋に敬意に値する。
が、目の前に出れば緊張は免れぬ、そんな人物だった ]
………
[ 彼の息子である総指令は恐らく天使の攻撃の犠牲となったはずだ。そう気付くと、コンラートは密かに敬礼を贈る。クレメンスが、それに気づいたかどうかは判らないが、気づかれずとも構わなかった ]
[ やがて、乗り込んだ装甲車は王都に向けて走り出す ]
(教会は大丈夫だったかな…)
[ 母とも姉とも思うシスターと、弟のようなマレンマの無事は殊に気にかかったが、今はその想いにかまけていることもできない。あとで必ず様子を見に行こうと決める ]
− 川岸 −
[エンジン音と土煙から、近づいてくるのが自動車だとわかった。
乗っていたのはマチスらである。>>232]
よーそろー
[声をかけてきたマチスは、快活さを失っていないように見えた。
壊されたもののことを惜しむより、先へと意識を切り替えたか。]
天使らもツメが甘いな。
おまえとおれを生かしておくなんて。
[彼らが急いでいるのは自明だから、引き止めるつもりもなかったけれど、
突然、指輪を差し出されて、きょとんとする。>>233
説明を聞けば、]
えー、人工宝石かよ。 質草にならないじゃないか。
[軽口の裡に、手元においておく、と示した。]
形状は気にするな。
おまえがあちこちに手作りアイテムを振る舞っているのは知ってる。
[ファンが多いようで、と揶揄して、今もこの邂逅を見つめる連中に、にこりと笑いかけた。>>240]
[今後の方針を訊かれ、]
空がアイツらでいっぱいになったら、おれら飛空艦乗りは息ができなくなっちまう。
そうならんように自助努力するさ。
[すでにいろいろ抱えているだろうマチスの負担を軽くしてやるべく、勝手に動くつもりを伝えた。]
おれは義理堅いからな、
この指輪の対価くらいは加勢しよう。
おまえの形見にならんようにな。
[もらったばかりの指輪にキスしてみせる。]
[会話を終えるとすぐに立ち去るマチスらを見送りながら、]
空がそこにある限り、人間は飛ぶ夢を捨てないと教えてやろうぜ。
[拳を突き合わせるのだった。**]
道を切り拓くのは若い連中の仕事よ。
老いぼれはせっせと後片付けに励まんとな。
[嘯いて、さらに人使い荒く周囲に指示を出しまくっていた。]*
― 撤退 ―
[一般の見物人たちの避難は、大混乱ではあったがそれほど大きな被害は出ていなかった。
宇宙船の場所から距離があったことも幸いしている。
ただ、急いで逃げ出そうと飛行船で飛び立った者達は、撃墜の憂き目に合った。]
船はやめさせろ。
車だ。でなけりゃ、歩きでいけ。
連中、飛ばない奴らにはあまり興味がないらしいぞ。
[天使たちの攻撃には、冷静に見れば明らかな優先順位がある。
ともかくおとなしく徒歩で逃げだす分には攻撃も散発的だ。
混乱と飛行船が墜ちてきたことによる被害はあったが、大惨事の割には少ない方だ、と言えるだろう。
無論、当事者たちにとっては良かったなどと言えるものではなかったが。]
[軍および研究員らの撤退は、それよりは困難だった。
最初に集中的に攻撃された宇宙船周辺及び管制塔はほぼ全滅。
初撃を辛うじて生き残った者達も、警備本部のある位置まで逃げきった幸運な者たちは数少ない。
未だ天使の群れの下に取り残されている者がいるかもしれない、という懸念ないし願望はあったが、救出の危険度を思えば見捨てるしかなかった。
武器を持つものは天使に狙われやすく、発砲などすればたちまちに何本もの光線に貫かれることとなる。
ただ装甲車は比較的安全に走行できたので、爆心地から逃げてきたものたちを中心に車に乗せ、必要最小限の装備だけを持って、軍も首都まで撤退していった。]*
― 雌伏の時 ―
[天より現れた巨大な船は、日が暮れても、次の朝が来ても、変わらずそこに浮かび続けていた。
空を見上げれば必ずそれが目に入る。
目を凝らせば、微細な光の粒子が船から湧き出しているのも見える。
その一つ一つが天使であろう。
宇宙船発射場の惨劇が人々に知れ渡ると共に、街を不安の雲が覆った。]
[その中で、引退した元元帥の行動は迷いがなかった。
首脳部をほぼ失った国の中枢で、青白い顔を突き合わせている議会に乗り込み、少々強引な手段を使って元帥への一時復帰と、天使に対しては議会を通さずあらゆる軍事行動を行う権限を獲得した。
ある意味ではクーデターである。
とはいえ、強引な手段というのが、気迫と説得と少々の脅し(例えば某議員が軍にいた時の「
あまりの事態に思考停止に陥った議会が、軍にもろもろを押し付けた、ともいう。]
[正式に権限を得た元帥は、───得る前から、戦力の糾合を進めた。国内の各基地に連絡を取り、まずは地上部隊を首都周辺に集める。
飛行船は必ずと言っていいほど狙われ撃ち落されたので、移動はもっぱら車両か、河川を行く船が使われた。
集まり過ぎれば天使の目を引く恐れがあるため、小規模の隊が首都の近くに散らばるような形となる。
攻撃を免れた飛行船は、慎重にドックに隠すよう指示された。
決戦用兵器ではあるが、元帥はその有用性をあまり高く見ていない。]
豆粒みたいな敵が相手だぞ。
飛行船など、的にしかならんわ。
それより戦闘機隊に物資を回せ。
[という元帥の言により、各地の航空部隊には人員弾薬などが優先的に送られることになった。]
[かくして着々と準備は整えつつも、軍は目立った作戦行動を起こさず、雌伏の時を過ごしていた。
造船所や研究所周辺などでの熾烈で絶望的な戦闘はいくつもあったものの、現場の兵たちには即時退却が許されていたので、人的被害は比較的軽微なものとなっていた。]*
[軍が沈黙している間、臨時元帥は一度だけ自宅へ戻った。
妻のアマンダがいつもの穏やかな顔でライフルを手元に置いていることには何も言わず、軍服と軍刀、士官用の拳銃を渡されれば短く頷いて受け取った。
邸宅には孫娘夫婦も避難してきていた。
この家は街の郊外にあり、天使の姿もほぼ見かけない。
中心部近くにある彼らの家よりは安全だろうという判断である。]
[奥の部屋にある小さな祭壇には、息子の写真が新しく飾られていた。
黙ってそれを眺めたのち、懐刀を抜いて自分の髪をひと房切り、紙に包んで祭壇に置く。]
行ってくる。
「お気をつけて、あなた。」
[短く言葉を交わしたのが、最後だった。]*
― 天使の翼協会 ―
[光り輝ける御船が空に現れ、福音が地上に届いた日以降、教会に救いを求める人は数を増していた。
天使が来るのを予言した人物がいる。
神の奇跡とやらが起きたらしい。
それらの話が人々の口づてに広まり、一縷の望みにかけて教会の門を叩くものたちが後を絶たなかった。
一度、天使に追われた兵が教会に逃げ込んだとたん、天使たちが去っていくことがあってからは、人の流れはますます膨らんだ。
唯一神教こそが全ての元凶だと攻撃する人々も多かった。
けれども同じかそれ以上に、唯一神に祈るものは増えた。
なにしろ、明白な神威が空に浮かんでいるのだ。]
[奇跡の子。神の子。
誰からともなくそう呼ばれ始めたマレンマもまた、日増しに相応しい気配を身に着け、奇蹟の力を発揮し始めた。]
主はあなたを赦します。
主は、あなたを苦しめることは欲しません。
[魔法など学んだこともない青年が首飾りに祈れば兵の傷は癒え、老婆の病は和らいだ。おなかが空いたと泣く子があれば、空から羽根にも似た白い砂糖の薄片を降らせもした。
中には、おまえが天使を呼び寄せたんだろう、と食ってかかる人間もいたが、信徒たちがどこかへ連れ去った。]
世界を救いなさい
人の子らを救いなさい
善き魂を天の門へ導きなさい
[残響のように、時折声が心に響いた。
何を為すべきか、声は直接教えてはくれなかったけれど、
膨大な教典の中に、答えの欠片が散りばめられていた。]
[ある日、祈りを終えた青年が人々の前に立ち、呼びかける。]
みなさん。
船を、箱舟を作りましょう。
主はこの地の全てを焼き清められます。
浄化され蘇った世界にみなさんを導くのが、
天より与えられた私の務めです。
裁きの日は近い。
どうか、急いで。
[ただ祈るしかできなかった人々に、救いへの道程を示す。
人々は、与えられた希望に飛びついた。]
[すぐさま箱舟作りが始まった。
建材は、方々から寄進された。
あるいは、周辺の建物を取り壊して確保された。
今や救世主とさえ呼ばれるようになった青年は、建材のひとつひとつに祝福を与え、聖なる文言を書き記していった。
動力も何もない。ただ船の形をした巨大な建造物である。
一週間もすれば、おおよその形は完成しつつあった。]*
― 天使の翼教会 ―
[忙しい日々のさなか、これまで孤児院の仲間として一緒に遊んでいた小さな子が、物陰からじっと見つめているのに気が付いた。]
どうしたの?
[声を掛ければ、数歩後ずさって首を横に振る。
彼の手には、玩具がひとつ、ぎゅっと握りしめられていた。
それは精巧な、宇宙船の模型だった。]
― 回想・数年前 ―
[まだ6つか7つの頃だっただろう。
ラド兄と「たいしょー」がこの日もやってきていた。
ラド兄を他の子に取られてしまい、壁際でぼんやり眺めていたら、いきなりぽんと頭に大きな手が乗った。]
あ。たいしょー。
[なにしてるんだ、とか、みんなと遊ばないのかとか、聞かれたように思う。
別に、と答えていたら、玩具をひとつくれた。]
飛行船だ!
[飛行船は人気の玩具だ。
この頃はまだ他の少年と同じように、飛行船やら戦闘機やらに夢中になっていた自分は、歓声を上げた。
けれども「たいしょー」は飛行船じゃなくて宇宙船だと教えてくれた。]
うちゅうせん?
飛行船よりずっと高いところに行くの?
てんしさまのところにも行ける?
[勢い込んでいくつもいくつも質問を並べたものだ。
手の中に納まる小さな宇宙船は、ごつごつとどこかまだ荒削りな形をしていたけれど、きらきらと輝いて見えた。
多分それは、渡してくれた「たいしょー」の目がとてもとてもキラキラしていたからだと思う。]
― 現在 ―
[あれから皆でたくさん遊んだ宇宙船の模型は、最初よりもずっとくすんで黒ずんでいたけれども、どこも壊れていなかったし、いろんなところもちゃんと動いた。]
───それは、悪いものだよ。
天使様も言っていたでしょう?
壊してしまわないと。
[手を差し出したら、小さい子は走って逃げていってしまう。
困った顔をして、彼のために赦しを請う祈りを呟いた。]**
/*
それにしてもじいじありがたい……拝む。
体調不良が戻らないのが悔やまれる。
負担を案じられても仕方ない状況になってしまったでござる。
− 大陸北部リュベロン山間部 −
[《シャドウ・パレス》に戻って、艦員たちが戻るのを待つ。
ほとんどの者が戻ってきたが、2名、行方不明の者がいた。
コネを駆使して管制塔の方まで行ってみると言っていたと伝え聞き、生存の望みは薄いと瞑目する。
あの時、上空から見た発着場中心部の惨状は、地形が変わったと表現していいレベルだった。]
総員、喪章をつけろ。
[古い帆布を裂いた黒い肩巾を、おのおの身につける。]
おれは、
[二人の仲間を追悼し、500名ほどの乗組員を前に、静かな威をみせた。]
王国軍の兵とはケタ違いの相手だ。
おまけに神の救済なし確定ときてる。
補給も、正直、これから算段するところだ。
無謀にも程があるが、ここで退くってのは、おれたちがこれまで築いてきた全てを諦めるのと同義だろ。
[一同の顔を見渡せば、返されるのは不敵な笑みだ。
誰一人、怯懦に負けてはいない。]
ありがとうよ、
《
存分に魂を燃やせ!
[おう!と男たちの声が揃った。]
− ミロワール湖 −
[その晩のうちに、ダーフィトは《シャドウ・パレス》を山麓に広がるミロワール湖へと移動させる。
天使らが渦を描く空は夜でも明るかったが、山陰に沿うように低空飛行をし、魔術の才がある仲間にカモフラージュの術をかけてもらった上での隠密行動だった。
天使にしろ共和国にしろ、手の内はまだ明かさないでいい。
湖につけば、停留している船に何食わぬふりで紛れておいた。]
[独自に抗戦を決めたとはいえ、まさか単艦で特攻するつもりはなかった。]
おれとワァズで共和国政府の出方を探ってくる。
[馬に変身したワァズにまたがると、相変わらずの機動力を発揮して、街道へと駆け出すのだった。]
− 首都ローバンスへの途上 −
よう、スパナ使い。
これ、おまえだけに聞こえてるのか。
[もらった指輪の機能をテストしてみる。
混線したりしないんだろうかと、まだ用心して、マチスの名を呼ばずに声を送ってみた。**]
― 静観の刻 ―
[初めの裁きより数日。
人間らは宇宙船発射場や関連施設から撤退し、目立った抵抗も見られなくなった。
天使側もまた、空を征く船の破壊こそ徹底されていたものの、人間側がそれらの手段を回避すれば力を揮う機会は減っていった。
武器を向ける者への粛清を除けば、威圧のための散発的な攻撃が見られる程度となっていっただろう>>247>>248]
[無論警戒の目を緩めることはなかったが、水面下の動きは天を舞う白翼の知る所ではない。
無闇な破壊活動は、かえって天の威光を傷付けるものともなろう]
[そんな折、ひとつの目を引く建造物>>259が、黙示天使の目に留まることとなる]
[それは唯一神教のシンボルを抱く教会の近くにあった。
形こそ巨大な船であるが、人間にそれを飛ばす術はないと思われた。
反撃の象徴であれば真っ先に破壊する所であるが、これを作り出したのは、同じ主を信仰する人の子らである]
……ほう。
[その中に、人の子らを導く立場と見える青年の姿を見付けた。
救世主、と周囲に呼ばれるその青年は、人間の群れの中で異質な存在と天使の目に映る]
人々に救いを示すか。
良い心掛けである。
[天上への呼び掛けと同じ響きで向けられた思念に、果たして反応はあったか。
天使はしばし箱舟上空へ留まった後、何処かへ飛び去った*]
― 川岸 ―
はは、全くだな。
[ツメが甘い>>241と天使を評するのに可笑しげに笑う。
3年前の出会いは当初最悪だったと言って差し支えなかった相手。
だが直ぐにそれは解消され、今では気安く声をかけられるほどとなっている]
整備の時に急に来られても困るからな。
それで連絡入れてから来てくれ。
[通信機を渡す理由を付け加え、質草にならないと軽口を叩く>>242のにまた笑った。
彼らしい言い回しだと思う。
その裡にある意味を理解して、続く言葉には、そっか、と短く返した]
[問いかけに返る言葉>>243もまた、彼らしいもの]
そうか……分かった。
何か必要なものがあるなら言ってくれな。
[自国ではない場所では物資の調達も難しかろう、と。
固辞されるなら無理には言わないが、手を貸す意思を見せる。
指輪の対価、と言い指輪にキスするのを見れば、楽しげに口端を持ち上げた]
夢を抱く限り、ひとは走り続けられる。
希望抱く限り、心は折れはしない。
空が存在する限り、何度でも飛んでみせるぜ。
[ダーフィトから突き出される拳に合わせ、マチスもまた拳を突き出す。
握り込んだ拳を解いて手を振った後、マチスらは王都へ再度出発するのだった*]
― 雌伏の時 ―
[トラオムングの調整が進む中、国の中枢ではクレメンスが元帥へ一時復帰し、軍事行動を行う権限を獲得したと言う報>>250が届いた。
流石すぎる、やら、伝説の再来、やら部下達が色々言っていたが、上が混迷したままよりは余程良い。
物資や人員も多数融通してもらえたため、1週間という短い期間の中でも順調に事は進んだ]
小型化したタービンがあったよな?
魔力炉に繋いで呪具として使え。
船の推進力は全て魔力で賄う。
「例の永久機関化ですか?」
いや、そこまでは詰められない。
今からタービン動かして魔力を蓄積しとけ。
魔導砲のエネルギーもそっちから拾わなきゃいけねぇから、可能な限り詰め込めよ。
[物資や人員が増えても、開発という点では時間が足りない。
そのため、試作段階でも実用化が確実と思われるものを使うことになった。
魔法関係は魔法使いが主に携わり、必要な処置を施していく。
技術者はそれを受けて適切な箇所に装置を設置して行く。
マチスは全体を見回り指示を出しながら、トラオムングの調整完了を急いだ]
[その合間か、指輪が通信を示し、声>>270を届けてくる]
俺にしか聞こえないぜ。
そう言う風に作ったからな。
[デスマーチ中であるにも関わらず、返る声は至極明るいものだった*]
− 首都ローバンスへの途上 −
[待たされることなく返事が返ってきた。>>276]
タイムラグなしか。 スゴいな。
あー、おまえも忙しいだろうから、手短に聞く。
政府の方針、決まったか?
[未だ霊妙なる天上の音を聞くことのできない身なれば、手向けられた言葉を知ることはない。
けれども。]
[どこからか届く遠い残響が、心の内側に触れていく。]
アデル、さま。
[口に出した響きの美しさに胸を打たれ、いっそう深く首を垂れた。]*
― 調整の合間 ―
大したもんだろ。
[賛辞>>277に自慢げに言い、手短に、と続いた言葉を聞いて少し間を空ける]
…現時点ではまだ動かない。
態勢を整えるのが先だからな。
だが全く動かないわけじゃない。
[そう続けて、トラオムングの調整が完了する日付を伝え]
その日が反撃の時だ。
合わせてくれるか?
[願うように問いを投げた*]
/*
遅くなりんした。連休前は色々とね…あと毎度のことながら、おのれ選挙(何
オクタヴィアさんは、まだなのか、うーむ心配…
― 雌伏の時 ―
[王都を始め、国内の被害状況も逐一中枢から届く。
造船所や研究所はやはり狙われているらしく、物理的な被害は大きいが、クレメンスの指示により人的被害は軽微に抑えられているらしい]
地下に置いといたのは結果的に正解だったな。
気付かれりゃ真っ先に狙われてるぞ。
[休憩の合間にそんな軽口を叩いて、士気の回復を図る。
笑えば気力も沸いてくるというもの。
それ以外では飛行船は的にしかならないと言う話を又聞きしたりして、トラオムングの動き方の参考にしたりもした]
教会はどうなってっかな…。
[天使の標的が空を飛ぶものらしいと言う話を聞く限り、それに関わらない施設などは無事であるとは思うのだが。
時折訪れる天使の翼教会、その孤児院にいる子供達が心配になってくる。
怯えていないか、泣いていないかなどと考えていると、ある少年との出来事を思い出した]
― 回想・数年前 ―
[手元に溢れていく玩具を孤児院に寄付し始めていくらかして、孤児院出身であるコンラートがマチスを『大将』と呼ぶためか、子供達も同じように呼ぶようになっていた。
壁際で他の子供達の相手をするコンラートを眺めていた少年・マレンマ>>261もその一人]
なーに隅っこにいるんだよ。
皆と遊ばないのか?
[ポンとマレンマの頭に手を乗せて問えば、別に、と短い答えが返った。
どうみても寂しがっているか拗ねているかに見えるその様子に苦笑して、目の前に玩具をひとつ差し出す]
それは宇宙船って言うんだぜ。
[飛行船だと喜ぶマレンマ>>262に、少し違う、と簡単に宇宙船の説明をしてやる]
こいつはな、もっともっと高いところ、星がたっくさんあるところへ行くための乗り物さ。
今まで見たこともない場所へも行けるんだぜ。
[探究心を隠しもせず言い、並べられる質問に答えていく。
てんしさま、と紡がれたのには少し考える間が開いて]
そうだなぁ……天使が
[実在すら分からないものだったから確定的には言えなかったが、可能性はあると告げる。
宇宙船に乗って会いに行けるなら、それはマレンマにとって素敵なこととなるのだろう。
願いと可能性を狭める心算は毛頭無かった]
― 現在 ―
[マレンマに与えた宇宙船は、開発が始まる前に作った自分用の模型だった。
各所が動くように細かく作ったのは熱が入ったからに他ならない。
未だに壊れずに動く、と言うのは、ここしばらく訪れることが出来なかったために知ることはない]
天使か……。
[歯噛みするような声で呟く。
天使の姿をした侵攻者。
彼はどんな思いで今を過ごしているのだろう*]
……私の、名を。
[天の者としての声は導き手には届かなかったが、地上の者が知るはずのない己の名を、彼がその唇に乗せたのは見て取れた]
地に在りて救いを担う者、か。
そなたにもいずれ、祝福があらんことを。
[天に近しき者、しかし己とは異なる気配を彼の者に感じながら。
黙示天使はその場を去った*]
― 静観の刻 ―
[裁きの後。
宇宙船やその周辺施設に残っていた者の多くに裁きの刃を与えた影は、引き続き身を地上に置いていた。
空行くものへの裁きは黙示天使に任せ、務めたのは地に潜まんとする者たちへ裁き齎す務め。
研究所や造船所、そう言った部分への強襲は影の本領と言える──のだが]
なるほど、引き際は徹底させているか。
[ある時は地から湧き上がる無数の刃、ある時は四方八方から不規則に放たれる影の矢雨。
そんな初撃を凌いだ者たちは交戦よりも退避を優先していた。>>252]
引くを追うは容易いが……効率が悪いばかりで大した益もなさそうだしな。
[そんな呟きと共に深追いはせず、代わりという訳ではないが、設備の破壊は徹底する。
そんな日々を送る反面]
……天は無慈悲なものではないよ。
正しく祈り、信じるものには必ずや救いが齎される。
[抗いはせぬが、在り方に迷う者。
そう言った者に対しては、祈りを促す。
そんな事も繰り返していた]
天を信じ祈りを捧げるならば、教会へ向かうがいい。
……導き手が、きみたちを受け入れるだろう。
[そう告げて、伝え聞く導き手たる青年の元へと向かわせる。
ただ、破壊だけを齎すのは意に沿うまい、と思うが故に。*]
− 首都ローバンスへの途上 −
[告げられた数字を復唱する。>>280
反撃の日。]
あいよ、ランデヴーな。
じゃあ、おれからも情報をひとつ。
天使たち全員が平等ってワケじゃなさそうだ。
少なくともおれは、一軍の指揮官と思しきヤツに会った。
他のと違って色がついてるし、表情もあるし、言葉も話す。
もっとも、言葉は通じても話の通じない手合いと思っておいた方がいい。
── 出撃する連中にアドバイスよろしく。
隠居 クレメンス が村を出ました。
10人目、臨時元帥 クレメンス が参加しました。
臨時元帥 クレメンスは、洗礼者 を希望しました(他の人には見えません)。
― 臨時元帥府 ―
[臨時の元帥府で次から次と各方面への指示を出している最中、唯一神教会の動きがおかしい、と報告してくる者がいた。
人を集め、周辺の建物を壊しながらなにか建造物を作っていると。]
ふん。
唯一神教会の連中、さぞ泡食ってるかと思ったがな。
妙な方向に走り始めたか。
[思案。]
やめろと言って聞く連中でもないだろう。
やめさせる人員も惜しい。
気の利くやつに様子を探らせておくくらいしかできないな。
[天使共だけでも厄介なのに、ろくでもないことをしてくれるなよと、ぶつくさ言いながら記憶の要注意事項の棚に投げ込んでおいた。]*
― 雌伏の時 ―
[トラオムング調整の傍ら、マチスは自作武器の調整にも取り掛かった。
虎の子だったマルチライフル(銃身を換装することで1つの銃で複数の銃種を使える)がアンライエンと共に燃えてしまったのは痛い。
手元にあるのはクレメンスから渡された拳銃と、ふざけて作った特殊なブーメランのみ]
実戦化には程遠いっての…。
[ブーメランには蒸気機関が組み込まれており、起動させて投げれば普段より回転数が上がり打力が上がる。
蒸気機関の保護のために耐久強化の魔法は施されているが、銃ほど威力が高いものでもない]
……まぁ、意表突くぐらいは出来るかな。
[使える物は使う、を実行し、ブーメランも装備の中に加えた]
[その後、調整が繰り返される魔導砲をじっと見詰めた後]
……それもっと小型化出来ねーかな?
[思いつきを口にして部下を呆気に取らせてたりしている*]
― 調整の合間 ―
へぇ、向こうも軍隊みたいなもんなのか。
[天使についての情報を伝えられ>>291、内容を頭の中で反芻し、覚え込んだ]
話が通じない、はこれまでのことが物語ってるな。
分かった、他の連中にも伝えておく。
情報提供ありがとな。
[得られた情報はピンバッジを通じてコンラートへ、人伝にクレメンスへもつたえられることになる*]
/*
流石にこれ以上は……か。
間に合ってくれれば良いが、来ないとなれば仕方ないな。
折角の縁故だったのもあって残念でならない。
― 第二格納庫 ―
新しい砲の装備は、概ね完了か。
[ 天使襲来から一週間、生き残ったパイロット達は整備兵と共に、不眠不休で働いた。
あの日、命を落とした仲間のため、そして、自らの未来を掴むため。
諦めぬ心を、クレメンスが、そしてマチスが、圧倒的な力の前に打ちひしがれた兵達の中に蘇らせたのだ ]
(他にもきっと)
[ 市井の人々にも、その他の国や、或いは国に属さぬ者達の中にも、天使の粛清に屈せぬ者は居る。
そう、あの日、あの状況の中で、屈託無い笑みを見せた、賊と呼ぶには、どこか誇り高い佇まいを見せる
− 首都ローバンスへの途上 −
[忙しそうな気配の中で、マチスは情報を共有してくれた。]
さてと、
[マチスの努力を疑ってはいないが、万端の準備を整えられるとは考えていない。
反撃も生存も、天使らがどう出るか次第だろう。
今のところ、天使の攻撃は散発的なものに留まっている。
最初の攻撃で力を使い果たした…というのは楽観に過ぎよう。
おそらくは、律儀にカウントダウンしているのだ。
「未だ天の門は閉じてはおらぬ」>>33とのお告げを遵守するために。
人は弱い生き物だ。
動揺し、天使の側につけば助かると、人間の中でもマチスらに矛先を向ける者が出るかもしれない。]
またな。 セルフメンテも忘れるなよ。
[この通信機は周囲の音をどこまで拾うんだろうと思いながら、リップノイズを響かせて、先へ進んだ。*]
[ けれどその一方…正反対の方向に希望を求める人々も居る ]
大将…俺、出撃前に教会の様子見てきます。
[ 天使を神の使いと崇め、天の声を聞くというマレンマの元に多くの人々が集まっていることは、コンラートの元にも聞こえてきていた。
そんな人心の動きそのものは不思議とは言えないが、少年だったマレンマが青年に成長し、教祖のように崇められているという話には戸惑いが強かった ]
あの教会は俺の実家…みたいなもんだから、何が起こってるのか、この目で確かめたいんです
[ 彼らの崇める天使に「殺す」と宣言された身だ。或いは行っても追い返されるか、最悪天に逆らう者として襲われる可能性も無くはないが ]
心配しないでください。危ないと思ったらすぐ逃げてきますよ。逃げ足だけは自信があるんで…何しろ、告死天使から逃げ切ったんですからね
[ マチスへの通信には、努めて軽い調子で声を乗せる ]
空を…俺たちの
/*
とりあえず、教会に突っ込む準備はしておくのこころ。
出来ればオクタヴィアさんと一緒にと思ってたのだが、うううううむ。
ちょっとこう、動きの方針を考えなおしとかねばかもだな。がんばれ、俺。
− 首都ローバンスへの途上 −
[くたびれることのない機械仕掛けの馬の背から、同じく首都へと向かう小規模な軍隊の移動をいくつも目撃した。
休憩がてら、うわさ話を仕入れれば、デューラー閣下が元帥の地位に復帰し、指揮を執っているという。]
これぞ天の配剤ってもんだが、あいにく敵が天使なんで、神は無関係なことが証明されたな。
陰ながら、応援させていただく。
[昔からのファンだから、とひとりごつ。]
― 調整の合間 ―
はは、気をつけるよ。
[向けられた声>>297に笑いを返す。
所持者の音声のみを拾う通信機がほんの僅か、響く音を捉えたが、それはマチスが気に留めるほどの音にはならなかった。
声が届かなくなれば、マチスは再び為すべきことへと意識は逸れる*]
[義母の奸計で殺されかけた時、共和国に逃げ込むことを考えなくもなかった。
けれど、それは内政干渉と内乱を引き起こしかねないと、わからぬほど愚昧でもなかったし、自分で状況を打破するのだという誇りもあった。]
憧れの人の采配をこの目で見せてもらえるとはな。
[ある意味、夢がひとつ叶うのだろう。]
− 首都ローバンスへの途上 −
[うわさ話の中に、「天使は教会を襲わない」というのもあった。]
へえ、
聖印で見分けてんのかね。
[中でも、『天使の翼教会』には、奇跡の御子がいるとか、天使が直接に声を賜ったとか聞く。]
うわ、デマ臭い。 見に行こう。
[こういう時は、直感の赴くままに。*]
― 調整の合間 ―
[ピンバッジが受信を示し、コンラートの声が伝わってくる>>298]
コンラート……そうだな、俺も気になっていたところだ。
だが気を付けて行ってこいよ。
何があるか分からないからな。
[異変と言えるような話は部下を通じていくつか耳に届いている。
マレンマについてもそのひとつ。
マチスが孤児院を訪れることがあると部下が知っていたために、聞いた噂を伝えてくれた]
死をも引き離すコンラートの逃げ足、か?
[軽い調子の声>>299には、こちらも軽口めいた口調で言って笑い]
……あぁ、必ず戻って来い。
待ってるからな。
[コンラートだけを置いて行きはしない。
全員で掴み取るのだと言外に含めて、言葉で彼を送り出した*]
[もろもろ情報飛び交う合間に、マチスらの宇宙船は着々と整備が進んでいるという話も聞こえてくる。無論、極秘情報扱いでだ。
天使に指揮官がいるという話>>291>>295にも、さもありなんと頷く。]
頭の無い蝗共よりは、その点やりやすい相手よな。
最悪、あの空のデカブツ墜とせばどうにかなるだろ。
分かりやすくて結構なことだ。
[くかかか、と大笑する。]
ついでだ。前線の連中に周知徹底させておけ。
敵は空から降ってくるだけじゃなさそうだぞ。
[造船所から引き揚げてきた兵の「地面の影にいきなり襲われた」「黒い矢が降ってきた」という証言を、警戒事項として全軍に伝えさせた。]
/*
なんかもうそわそわしていろいろ手につかないけれど、そろそろもう来ないものとして見切りつけて、忘れた方がいいよね。
あうあうあうー。
/*
ところで。
集まった信者の皆さんを無慈悲にやっちゃうつもりではいるのですが、人間を扇動して英雄さんたちに攻撃を仕掛けるのも楽しそうではありますね。
と思いましたが、手数とか時間とか私が墓落ちするタイミングとか、諸々考えると難しいかもしれません。
あと、人間同士が醜く争うよりは、清く美しく天使と戦ってほしい。(きらきら
絵面の華やかさが、欲しいのです。(きらきら(きらきら
― 光の船へ ―
[始まりの日からおよそ一週間が過ぎた頃。
地上の警戒を他の部隊に任せ、白翼の黙示天使は天上の船を目指していた。
しばしの静観を経ての次なる動きを伺うため、そして交戦により損失した下級天使の補充のためである]
[――もっとも、それらだけならば地上に留まったままでもやりようはある。
実際は、何かしら理由をつけてでも、天へ帰還しようとしたのが本音であり]
黙示天使アディリエル、御前に参上しました。
――大天使、ナタリエル様。
[報告と新たなる指令を受けることを名目に、大天使へお目通りを願う。
指揮官たる御方に、どれだけの時間を割いてもらえるかはわからなかったが*]
− 天使の翼教会 −
[予想以上の人出だった。
騎馬のままでは危険なので、ワァズを人型に戻して、もう少し近くまで行ってみる。]
なんだあれ、 船、か?
いかにも素人の作品っぽいんだが ── こう、鬼気迫るというか、な?
[巨大な建造物>>259に、ぞっとするものを感じる。]
― 回想 ―
[それは、始まりの刻から異端と称されていた。
金糸ではなく銀糸の髪。
底知れぬ深みを持つ真紅の瞳。
白ではあるが白ではない、月白色の翼。
光手繰れど応えはなく、その意に応ずるは薄墨色の影。
光り輝く天界においては異端の影翼。
己が強き光に疎まれると知るが故に、影は他者との関わりを持たずに密やかに存在していた。
──そんな、ある種の心地よい静寂は、思わぬ形で破られた]
……は?
[大天使と呼ばれる、輝かしきもの。
それが己を呼んでいる、との報せを受けた時に零れたのは惚けた声だった]
…………何の冗談だ?
[つい、そんな言葉を口にしたら、冗談とは何事だ、と使いに叱責された]
[他者の命に従わぬは、その頃からの常。
けれど、その時は──その時だけは、好奇心が疼いた。
強き光に疎まれるばかりの影を、わざわざ呼び出すとはどういう事か。
そんな思いから対面に臨み]
──……っ!
[こちらの名を呼び、己が名を告げる光。>>218
これまで遠目に眺めていたものたちとは違う、と。
それは直感的な理解であり──影をその傍に留まらせるに十分すぎる理由となった]
……時に。
あなたは、俺を光に染めはせぬのですか。
[ふと、そんな疑問を口にしたのは、他者のいない場所での出来事。
時を置けば、召された理由も耳に届く。
伝え聞いたそれから浮かんだ疑問、それをそのまま投げかけ]
………………。
[返された言の葉>>219と、笑み。
真紅が数度瞬き、そして]
……まったく。
あなたは常に、俺の予測の先を行かれる。
[零れ落ちたのは、どこか呆れたような響きを帯びた声]
だが……俺の在り様を、在るがままにと望まれるならば、その様に。
影故に為せる技にて、あなたの光を輝かせよう。
[雪白の内より開く一華、その名を持つ影が。
己が名を持って宣する務めを受け入れしはその時より。
ただ、その刃は己が在り様を認めし光の心に添うために振るわれて]
― 静観の刻 ―
……。
[ふ、と、真紅が空へと移ろう。
見やる先には、光の船。
己が主と唯一認めるものが座す場所。
そこで零れる呟き>>220は届かぬけれど。
その輝きの気配は確り、感じ取っていた。*]
― 天使の翼教会への途上 ―
[ 天の使いを信奉する人々の集まる場所に、さすがに軍服で突っ込んでいく勇気は持ち合わせず、普段着のラフなジャケットを羽織った姿で教会へと向かう ]
マーレ…
[ 道すがら、思い出すのは、彼と出会った時の事だ。向こうは赤ん坊だったから覚えてはいないだろうけれど ]
― 静観の刻 ―
[地上に天の軍勢が攻め来りてより暫くの時。
一見して、天の攻勢は凪いだかのように思われる。
だが天上に光の巨船は依然としてあり、
敵対すると見えた者、
天に歯向かう者への刃が鈍ることはなかった。
それでも地上の民にとっては一時の凪であり、
その中には、天使に従い救いを求める姿のないではなかった。]
『天に歯向かうというのか。
天使様に逆らう者に───死を!』
[ぽつぽつと、このような者が現れた。
ありふれた刃を手に握り、それを同胞へ振るわんというのだ。
総じて、そうした者は天への信仰を口にした。
信仰を───…、いや。狂信を。
天使を見た、との証言がある。
光に触れた者が、その性格を一変させたとの声も。
そうした話は救世主の齎す奇跡の話とは別に、
染みのように静かに、じわりじわりと広がり始めていた。]
― 天使の翼教会 ―
[教会の門は───本来の教え通り───常に開かれている。
このところは入信希望の者、あるいは単に避難してきたものをも受け入れるために、それこそ一日中開かれていた。
ただ、教会を天使の走狗とみなして石を投げてくる者も少なくはなかったので、門を守る者達はぴりぴりとしてもいた。
なので、"箱舟"を見上げているその男の、一般の民衆とはどこか違う雰囲気に警戒したのも無理はない。>>310]
そこの。
入信希望なら向こう、炊き出しだけならあっちだ。
用がないならさっさと帰れ。
[多少、居丈高になってしまったのも無理もないといえば、ない。]
― 天使の翼教会 ―
[ 実際は、そのあと数年でコンラートは軍に入隊して教会を離れ、マレンマと一緒に暮らしたのは、彼が物心つくまでの間程でしかない。
勉強や聖句を覚える事より体を動かすことが得意だった自分と違い、幼い頃から非凡な才と信仰心を現していた「弟」は、将来は聖職者になるのかもしれないな、と、考えてもいたけれど ]
……まさか聖人になるとは、思ってなかったんだけど、なあ。
[ 群がるように集まった人々と、大きな『箱舟』が目に入ると、思わず嘆息が漏れる ]
― 光の船 ―
[黙示天使の訪れが知らされたのは、
天の軍勢の降臨より一週間ほども後のことだ。>>309
未だ天の船に留まりし大天使は、すぐに彼の謁見を許した。]
来たか、アディリエル。
[名を与えし天使を迎えれば、大天使の顔にも笑みが浮かぶ。
振り返る背景には一面の大きく透明な壁面があり、
そこから地上の様子を確かめていたのだとは知れるだろう。
黙示天使を見返せば、三対六枚の羽根が背に揺れた。]
人の子らは、一先ずは沈黙をしたか。
[これだけでは済ませるまい。その予感はある。
とはいえ粛清の刃振るうにも相手は見極めねばならず、
それだけの猶予を、天の軍も置いていた。]
どうだ?地上は。
……さて。
そろそろ、動きそうな頃合いか。
[降臨より日は過ぎて。
地上の者も、何もしていない、というわけではないようだが、容易く動きを掴ませる事もない]
コレも叩き返してやりたい所なのだが、中々どうして隠れるのが上手い。
[ちらり、足元に蟠る影に視線を向ける。
薄墨色の影の内、浮かぶのはいつかそれを縫い留めた刃。
それ自体は、特別な力を持つわけでもないように思えるのだが]
……告死の一華の件を抜きにしても。
アレとはまた、見えておきたい所なのだがな。
[微かに感じた気配、羽を用いて放ってきた術。
それを想えば只人と見るのは楽観に過ぎよう]
……ま、取りあえずは。
一度は、導き手の様子を見ておくべきだろうかね。
[迷うものを数名向かわせたが、その後はどうなっているか。
気にならぬという事はない]
……つまらない横槍を入れられても、困るしな。
[そんな呟きを漏らしつつ、影はゆらり、動き出す。*]
− 天使の翼教会 −
[教会の門を守る男に警戒されたようだ。>>320
飯、と言われて腹が鳴る。]
ああ、どうも。
あんたも大変だね。
[私見だが、天使は、こういう人間に目を向けることはないような気がする。]
[信心深い老若男女をここで押しのける気もなかったので、流れから外れてみたところ、
先日、マチスと同じ車に乗っていた赤毛の青年を見つけた。>>322]
やあ、あっちで炊き出しがあるってさ。
だが、君の方が、よっぽど美味そうだよ。
[満面の笑みで近づいてゆき、手を伸ばした。*]
― 調整の合間 ―
おっかしーな、何でそんなに信用ねぇんだ?
[ダーフィトに言われたことと似た言葉>>308を向けられて、納得の行かない声を返す。
だが事実、コンラートの言う通りなのだから仕方のないことでもあった。
今回は部下達もいるため、完全に忘れるということはなさそうではある*]
村の設定が変更されました。
― 臨時元帥府 ―
[要注意事項の棚に放り込んでいた件とは別の方向から、厄介ごとの報告が舞い込んでくる。
人間同士の刃傷沙汰。
とち狂っておかしな方向に突っ走るのは、なにも組織単位に限らないとわかっていたが。]
馬鹿者どもが。厄介ごとを増やしおって。
[警備を増やして済む問題でもない。そもそも、警備に回す手が足りない。
それに、どうも単純な狂信者の暴走とは言い難いような事例も、いくつか報告されていた。>>319]
人外の仕業となれば、頭の痛い問題だがな。
[ぶつくさ、と呟きながら目を細める。]
雌伏もそろそろ限界だぞ。
人間に気骨ありと示して、迷ってる連中を叩き起こさねばならん。
大言に見合うだけのもの、見せてくれるな?小僧。
[ぼそりと低い声は、誰に聞かれることも無く消えた。]
/*
あっ。やばい。
またF5を連打するモードに入りつつある。
こんな時は落ち着いて灰を埋めるんだ。
なにか、なにか書いて気を紛らわせてないと、ああっ!
/*
クレメンスいるからいいやと思って投げたやつ(
ありがとう、流石ですww
あーんまり破壊活動に勤しみすぎると人間側きついよねって…いう、うん…。加減に迷いつつ、アデルの来訪とても嬉しい。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新