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歴史のうねりが奔流となり、時代が戦乱へ押し流される。
避けえぬ戦火が人々を呑み込み始める。
大きな時の流れに巻きこまれ、翻弄されるものたち。
その中にあって、なお歴史を作る力と意思を持つもの。
激流の世に生きる人間達の物語が、始まる。
1人目、新兵 カシム が参加しました。
新兵 カシムは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
ルー・ガルー戦記8 ― 序 ―
maria undique et undique caelum
あたり一面、海と空
─── Publius Vergilius Maro 『Aeneis』
村の設定が変更されました。
2人目、後世の歴史家 ナイジェル が参加しました。
後世の歴史家 ナイジェルは、銀狼 を希望しました(他の人には見えません)。
鉄と蒸気が世界を急速に変えていった時代、
ひとつの国が世界を一本の線で繋ごうとしていた。
モルトガット帝国は海を越え国を征し、航路を繋いで世界一周を果たしつつあった。
最後に残ったのが、2つの大陸の間を抜ける要衝、グロル海峡。
グロル海峡とその周辺を治めるウルケルは、小国ながら勇をもって知られていた。
海の戦士たる彼らは帝国に海峡を明け渡すことを拒否、抗戦の構えを取る。
かくして、グロル海峡は二つの国が干戈を交える舞台となった。
――― Rikhard Hannu Nigel
――― 『グロル海峡戦役』
野心と誇り、信念と意地を乗せて、艦隊は海を征く。
人は、戦火の中で何を思うか。何を残せるのか。
「 運命は、この手で引寄せる 」
ルー・ガルー戦記 第八次戦役 ── 開幕 ──
3人目、モルトガット皇帝 アレク トール が参加しました。
モルトガット皇帝 アレク トールは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
− 旗艦シュヴァルツアイン −
海の色が変わったな。
[艦橋の手すりに腕を乗せ、笑みを刻む。
24歳になったばかりの若い肉体に壮麗な軍服をまとうこの青年こそ、この帝国艦隊の総司令官であり、モルトガット帝国四世皇帝アレクトール・スライ・モルトガットその人であった。]
/*
よっしゃー、村建ったー!これで一安心だーーー!
と一息ついてから気が付く。
本垢の方でナイジェル入っちゃってるじゃん!!!
ばーかばーか ……… (涙
[昨日、船はまだグロル海峡の西にあり、アレクトールは同じこの艦橋から戦闘を指揮していた。
対するはウルケルの外洋警備隊。
煮え切らない態度で進軍を妨害せんとする彼らに、「宣戦布告はとうにカルボナードへ届けた」と断固攻撃を仕掛け、これを打ち払ったのである。
そして今日、帝国艦隊は初めてグロル海峡の内海へ入ったのであった。]
[二世皇帝であった祖父が、ウルケル傭兵隊の加担した戦に負けて以来10年。
アレトールは祖父の無念を晴らせる日を心待ちにしていた。
3年前、父の死に伴い、モルトガット皇室唯一の直系男子として皇帝の座についたアレクトールは、国政の安定を見届けるや、首都アマンダを発った。
全土巡幸という名目を掲げ、帝国の領土および植民地を回ると同時に兵を集め軍備を整えてゆく。
その最終目的がウルケルの掌握するグロル海峡の開放であることは明白だった。]
[グロル海峡へと進入した帝国艦隊は複縦陣をとる。
機雷掃海艇が露払いする後を皇帝旗艦シュヴァルツアインを含む戦艦6隻と巡洋艦4隻からなる火力を誇る第一艦隊が黒い山脈めいて進む。
その北側に並列するのは、腹心たる扶翼官ルートヴィヒ・アルトハーフェンが率いる巡洋艦6隻と空母1隻の高速機動艦隊(第二艦隊)だ。
そして、第一隊の後ろに巡洋艦3隻が護衛につく水雷母艇2隻の第三艦隊、第二艦隊の後ろに同じく巡洋艦2隻と空母3隻からなる第四艦隊。そのさらに後方には戦力にはカウントされない兵站輸送船や医務船が連なる。
先のウルケル警備隊との一戦で砲撃を食らった艦もあるが、航行不能にまで陥ったものはなかった。]
ウルケルを制し、帝国は陽の沈まぬ国となる。
[その声も瞳の光も、揺るぎない。]
"さて、最寄りの軍港シコンだが──
領主が投降すると言ってきている。"
[傍目には、潮風に栗色の髪を靡かせているばかりと見えるだろうアレクトールは、この時、腹心であるルートヴィヒ──商家の息子であるが、今は「扶翼」という特別役職を与えて公務から私事まで関わらせている──と”語り合って”いた。
といっても、ルートヴィヒの姿はここにない。
彼が指揮するのは第二艦隊だ。シルエットは確認できても声の届く距離ではなかった。
それでも、アレクトールとルートヴィヒは互いの意志を把握することができる。
ルー・ガルーでは深い縁の証拠とされる共振現象だ。
齢が近いとはいえ、血がつながっているわけでもないルートヴィヒとだけ、この絆が結ばれたのも不思議なことだが、心を撫でられるようなこの感覚、アレクトールは嫌いではない。
もっと奥まで来てみろと挑発するような響きさえにじませた"声"を放つのもいつものこと。]
4人目、帝国扶翼官 ルートヴィヒ が参加しました。
帝国扶翼官 ルートヴィヒは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 第二艦隊旗艦・ザイヴァル ―
[外洋の小競り合いを制し、帝国艦隊は海峡へと進む。
皇帝自ら指揮する第一艦隊と速度を合わせ、並走する第二艦隊の先頭艦が第二艦隊旗艦の
艦隊を率いるのは皇帝の腹心たる扶翼官のルートヴィヒ・アルトハーフェン。
先の戦闘では皇帝と同じように艦橋にて指揮を執っていた彼だったが、今は自室でくつろいでいた。]
『扶翼官閣下、もうすぐシコン領に近づきます。
敵艦と接触する可能性もありますので、どうか艦橋へお戻りを。』
[自室へ呼びに来た兵へ、涼し気な一瞥をくれた。]
戦闘になるようなことはありませんよ。
せいぜい、先ほどの小競り合い程度でしょう。
それより、占領部隊の準備を再確認させた方が建設的ですね。
[兵を追い払って再び部屋に閉じこもる。
今は、ほぼ占領が確定している軍港シコンのことよりも考えておきたいことがいくつもあった。]
/*
諦めてサブ垢で入った副官です。
よく考えたら、村建てIDとNPCIDが同じ方がいろいろ間違えなくて便利な気がしてきました。
[海図と資料、書簡の束を広げているところへ、慣れた感覚が降ってきた。
指先を挙げて、風を絡め取るようにくるりと回す。
必要ない動作だが、なんとなくの習慣となっていた。]
"聞いていますよ。
偽の投降と心配する必要は、今回は無いでしょう。
シコンの港は、もはや我らのものです。"
[心くすぐる声に同じように返す。
皇帝とこうして言葉を交わすことができるのは唯一自分だけだと知っている。
出会ったその時、この絆に気づいたその時から、自分はこの人と共に走る運命なのだと悟っていた。
言い換えれば、自分だけが彼を支えうるのだという自負がある。]
5人目、帝国軍 中尉 セルウィン が参加しました。
帝国軍 中尉 セルウィンは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― グロル海峡入口・上空 ―
[風に乗って空を飛ぶ、この時間が好きだ。
とは言え呑気に空の旅を楽しんでいるわけではなく、これは戦いなのだが。]
…戦意、みえねぇなぁ。
こりゃもう投降すんのかね。
[敵の複葉機も飛んでいないわけではないが、積極的にこちらを落としには来ない。
艦隊を組んでいる船も動きは鈍い。
となればシコン港は落ちたとみていいのだろう。]
[シコン港を足掛かりにグロル海峡を制圧する。
自分はその為ならばなんでもやるつもりだ。
軍人として複葉機に乗り機関銃をぶっ放すのもいいし。
それに。]
陛下の為なら…―――――――。
[懐に仕舞っている一つの短剣を服の上から撫でる。
黒鞘にセルフィンの名が刻まれたそれは忠誠の証。
陛下が望むのならば軍人としてではなく”小鴉”として動く。
敵船に潜入して暗殺してこいというのならば成してみせよう。
どんなに汚い仕事であろうとも、陛下の為ならば。]
>>13のセリフ太文字にしようとして忘れてたね。
薔薇下久々でそういうの忘れちゃうんだよなぁ。
表情はなんとか頑張って多様していきたい。
変顔は表じゃ使えなさそうだから独り言で使おう。
[潮風が前髪をくるりと絡めるように遊ぶ。
同時に、ルートヴィヒの”声”が囁いた。
すぐ傍らに息衝くかのようなその感触。]
”折衝は任せる。”
[軽く首筋を撫でて、ごく短い言葉でシコン領主との交渉と軍港の検分をルートヴィヒに託した。
自分はシコン湾の外で睨みを利かせ、ウルケル艦隊によって湾内に閉じ込められるのを防ぐ方針である。
交渉が決裂すれば、ルートヴィヒを敵中に孤立させることになりかねないが、心配はしていない。
ルートヴィヒの強かさは、二人の馴れ初めとなった事件で把握していた。
場数を踏んだ悪党と渡り合った少年に、さらなる経験が加わったら…推して知るべし。
彼の資質は、アレクトールにとって心地よい。
先日、ウルケルの首都カルボナードへ宣戦布告の文書を届けたのもルートヴィヒである。
その時は艦隊を率いていったのではなく、皇帝側近の職能集団”小鴉”の優秀なパイロットであるセルウィンに送らせたのだったが。
なかなか面白い邂逅があったと聞いている。**]
/*
セルウィンが忠臣でメゴいなw
開戦前に、ウルケル側PCと接触できる機会をプレゼンツしておいたぞ>>14
"承りましょう。"
[首筋を撫でていった風に笑いながら、こちらもごく短く返す。
使者や交渉事を任されるのは、慣れたものだった。
敵中にひとりで向かう不安は無い。
自分に何かあれば、あらゆる手段を講じてくれるだろうという信頼もある。
自分が逃げ出すのと助け出されるのとどちらが先かは競争みたいなものだ。
先日の、カルボナード行きも、そんな調子だった。]
― 数日前 ―
[セルウィンが駆る翼に身を委ね、複座の複葉機の後部座席に収まって、つかの間の空中遊覧を楽しむ。
複葉機の後ろには、使者の印として白い布が長くたなびいていた。]
今回は、宣戦布告の文書を届けに行くだけです。
お使いが終わったら、さっさと帰りましょう。
[風に負けぬよう声を張り上げて話しかける。]
もっとも、素直に帰してもらえなかったら、その時はよろしくお願いしますよ、セルウィン。
[階級ではなく名で呼ぶのは、彼が小鴉の一員であるとの認識から。
自分自身は小鴉の一員ではないが、彼らとの関わりは深い。一時期は資金も提供していたし、共に活動することも多かった。
例えば今のように。]
[カルボナードの街並みを遠くに見ながら、さて誰に文書を渡せるかと思案していた。
なるべくならばやりやすい相手でありますようにと願いつつ。**]
6人目、ウルケル海軍中尉 ヴィクトリア が参加しました。
ウルケル海軍中尉 ヴィクトリアは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― リオレ島・拠点内 ―
[拠点内が酷く慌しい。
帝国からの宣戦布告と、外洋警備隊撃破の報。
海峡の中央近くに在るこの島に情報が届くのにはどうしても時間がかかる。
指示を待つと言うのがこんなにももどかしいと思うのは久々だった]
何をまごまごしてんだい。
早急にシコンの連中と連携して侵入を抑えるべきなんじゃないのかい?
[上官に対してさえ常の言葉で問いかけ、ヴィクトリアは半ば睨むように相手を見る。
その態度が上官から疎まれているというのは承知の上。
昇級にも興味は無かったため、丁度良いとさえ思っていた]
[忌々しげな表情をしながらも状況を口にする上官を見る目が途端に瞠る]
はぁ? シコンが、投降したぁ?
[齎されたのは先程入ってきたばかりの情報。
信じられぬ、と言う感情を表情ではっきりと表し、一拍の後に開いていた口はきつく結ばれた]
何考えてやがんだ…!
[国を護らず、帝国への帰順を選択した者に言いようの無い怒りが沸く。
拳を握り締めていると、上官から出撃の命が下った。
形式的に上官へと敬礼を行う]
…好き勝手させるもんか。
[帝国側の目的がなんであろうと、武力を以て事を為すと言うならば、相応の手段を取るだけのこと。
この国を。
人々の生活を。
その基盤となる海峡を護るのが、ヴィクトリア達の役目だ**]
/*
ふひぃ、初期位置どうするか悩みに悩んだ挙句、こうなった。
操船得意設定にしちゃったけど大丈夫か自分。
って既になってる龍猫です、どうも。
/*
ところでさぁ。ところでさぁ…。
ウルケルの面子が背後の楽園過ぎるんだけど…!
提督がゲオルグで、副官がタクマで。
挙句に軍医もどきでシロウだと?
[机ダァン!ダァン!]
RK内での好きなおっさんキャラ上位が一堂に介しててどうにもならん(何
/*
動いてるのを見たら背後は悶絶死するんじゃ無かろうか…(
あ、勿論アタシも年上好きですよええ(何
ちなみに。
今回英雄立候補も考えたんだけど、キャラがようやく纏まってきたって時にWiki見たら、ほぼ同じような設定の提督が居て、おまおれになったと言う。
背後の場合はキャラがテオドールの予定だったけども。
ゲオルグ動いてるの見たいってのと、ほぼ同じ設定で立候補してもな、になったので副官希望にシフトしたと言う。
英雄立候補はまたの機会に。
7人目、ウルケル軍大佐 タクマ が参加しました。
ウルケル軍大佐 タクマは、共鳴者 を希望しました(他の人には見えません)。
ああ、すまん、お前に落ち度は無い。…二日酔いでな。
[苦笑と共に告げれば「ああ」と納得した顔になる相手に、男は報告の先を促した]
一機だけだな?カルボナード港内には入れず、湾外警邏の水上機母艦の近くへ降りるように指示しろ。
機体整備と燃料補給には協力していいが、母艦へはパイロットは乗船させるな。
ただし使者には礼を失さぬように丁重に扱うよう艦長に伝えろ。
使者の姓名身分を確認次第…いや、俺が行く。
[水上機母艦へ向かうための足の速い小型艇の手配を指示してから、男は新兵にもう一つの命令を出した]
俺が出たら提督に使者の件を伝令。後は提督の指示に従え。
[使者がどんな用件でやってきたのかの見当はついていた。
モルトガット帝国の周辺からやってくる商船や他国から戻った傭兵部隊が、帝国艦隊の動きについては情報を齎してくれていたからだ。
だが、男が予測したよりもその到達は速い]
少々厄介なことになるかもしれんな…
[苦く呟いた男は、使者の顔を見た途端に、更に苦い顔になったのだが、その本当の理由は当の帝国扶翼官以外に知る者は少なかったろう**]
8人目、帝国軍 少尉 ミリアム が参加しました。
帝国軍 少尉 ミリアムは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
/*
前回に続けてお邪魔しておりますfukafukaです。腹心希望してしまったものの、ちゃんとやりきれるかドキドキです。
でも来年は参加出来るかどうかも不明なので、いつやるの、今でしょ!精神なのでした。
しかしウルケル軍平均年齢高すぎやしませんかねwいや、個人的にはとても美味しいのですが!(←おっさんすきー&姉御も好き)
― グロル海峡付近、海上 ―
[辛い潮風が淡く緑を反射する髪を嬲って吹き渡って行った。
本日晴天。眼前に黒山のごとく進む船たちはまるで怪物のようだ。
マストに設えられた見張り台には軍服姿が一人、足を突っ掛け、手を翳して遠くを見遣っていた。
海面には複葉機の影>>10らしきものが時折、映り込む。]
あれぇ、もう終わりですかぁ?
もっと時間がかかると思っていたのですがねえ。
[ふと、口を開けば傍の上官からお叱りが飛んだ。
生意気言うな。…ごもっとも。
この船に一発ドカンと喰らうことになった>>5のは純粋に私のミス。
航行に支障は無いけれど、それでもね。大切な船を傷付けたら怒られますよね。ええ、知っていましたとも。]
…すみませんでした。
船の土手っ腹に穴を開けるところだったのは小生が悪うございました。
[だからここは私…小生が素直に謝りましょう。
運がいいのか悪いのか、私の上官はぞんざいな口調の方には言及しないので、口ばかりで反省の言葉を吐いて。
ミリアム。名前を呼ばれたら。
そりゃあ、反省してますよとばかりに肩を竦めるくらいは、…ねえ?]
[一先ず、前方に異常はないですよと付け加えてから、マストから控えめに甲板へ飛び降りて舳先へと足を向けてみようか。
…いつかの昔、黒い山々の侵攻を受けた私や祖国は、今となっては黒い山々の土の一部、体の一部となってしまった。
日の沈まぬ国、それが理想だとお上方は言うけれど、もしもそんな国がこの世に出来たなら、太陽に近付き過ぎた英雄の伝説のように光に灼かれて滅んでしまえばいい。
勿論、こんなこと誰にも言わないし、言えないことだけれど。
遥か前方を行く船団を眺めながら頬杖をついて考え事。
見張りの振りが上官にバレたら今度は拳骨の一つでも落ちてきそうだなぁ…。なーんてね。**]
9人目、船を愛する領主 ウェルシュ が参加しました。
船を愛する領主 ウェルシュは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
―ストンプ港―
うんっ、良い天気だ……!
[雲一つない群青色の空がストンプの街を染めている。
一羽の鴎がウェルシュの脇を抜け、その群青色のなかへと走っていった。
ウェルシュはヘーゼルの双眸を嬉しそうに細め、港を眺めた。]
この前作ってた巡洋艦の調子はどう?
ボイラー室をいつもより大きいんだ。
瞬間的なスピードは上がったけれど、全体的に小回りしにくくなっているんだ。
扱いには、少し気を付けてね。
…うーん、でもこれじゃ横方向に攻められたら大変か。
サイドスラスターをもう一つ付けてみても良いかもしれない。
[港にある新しい船を眺め、乗組員に声を掛けていく。
船を見る目つきは、まるで少年のように輝いている。]
[ウェルシュ・ストンプは、つい昨年領主に就任したばかりの若頭であった。
ストンプと言えば、ウルケル随一の造船所を有する港街。他にも兵器工廠や修理工廠などがあり、数十年で急激に発展してきた工業都市であった。丁度、ウェルシュの父親に当たる、前領主がストンプを大きくしたのだ。
ウェルシュは物心ついたときから船ができあがる様を眺め、育ってきた。]
将来は船の設計士になる!
[そんなことを幼い頃から口癖のように言っていた、と。
ウェルシュをよく知る者は、彼のことをそう語る。]
[しかしその夢は――――叶う事はない。
ウェルシュ・ストンプ。
誰もが知っている、ストンプの坊ちゃん。
実は彼には腹違いの兄弟が居るのだが―――…それはまた別のお話。
とにかく、正嫡男はウェルシュただ一人。
産まれた頃から領主になることを宿命付けられたウェルシュに、その願いを果たすことは不可能だったのだ。]
/*
しかし、強縁故者が、皆お馴染みさんな予感がひしひしとしている。
まあ、今回知り合い率高いけど。
特にシュテルンは...まあ、うん、まず間違い無いけどな!
そして、ミリアムの切り込みが面白いなあ...とか呟きつつおやすみなさい**
『坊ちゃん!大変だっ!』
[ひとりが慌てた様子で、ウェルシュに駆け寄る。
ウェルシュ様、なんて気取った口調で呼ぶ人は居ない。ストンプの港町の人々は皆、彼のことを『坊ちゃん』と呼ぶ。ウェルシュ本人は少し気恥ずかしいようだけれども、それを拒むことはしない。
彼は穏やかな表情を崩さないまま、軽く首を傾げる。]
ん?どうしたの、スキュレステノ。
そんな慌てちゃって。
[スキュレステノと呼ばれた男は息を切らしながら、大声で叫ぶ。]
『シコン港が―――帝国軍に占拠された!』
えっ、―――……ど、どういうこと?
[シコン港と言えば、ウルケル西の都。小規模ながらも街と砦があり、ストンプとはまた異なる赴きを放つ。その領主とも、そう浅からぬ付き合いをしてきたが―――]
う、裏切りっ…… 嘘でしょ…
[>>6 その領主が戦わずして投降。それどころか国を売るようなことをしたことに、ウェルシュは己が耳を疑った。
若き領主は青い青い海を見る。いつもと変わらぬ賑々しい雰囲気。
エメラルドブルーの港には鴎が数羽群れて飛んでいる。この水平線の向こうにそんな一大事が起きているなんて、にわかには信じがたいことだった。]
……。僕は、どうすれば…
[ウェルシュはこんなときどうすれば良いか分からない。
頼れる父はもう居ない。若き領主は唐突に訪れた急展開に慌てふためいていた。スキュレステノは、『とにかく状況を確認しましょう。此方からも応援を念のためにも』とのこと。
やはりこんなときは頼れる部下である。ウェルシュは彼の言葉に頷き、]
うん、そうだね……。応援出さないと。
怪我人が居るようなら受け入れられるように、病院を解放するんだ。壊れた船も勿論直せるように、ドッグも開けておいて。
[おずおずと言った具合に指示を出しつつ、]
皆、これから忙しくなると思うけれど。
どうか僕に力を貸して下さい……っ!
宜しくお願いしますっ。
[そして港町の住人に頭を下げる。
ちょっと情けない領主の、ちょっとどころじゃない非日常。*]
…遠く遠くに、港が見えた。気がした。
上官曰く、かの港を所有する領主が投降を決めたんだそうだ。
「まるで昔の祖国を見ているようだよ。」
呟いた私の声は冷ややかだったけれど、誰か聞いた人は居るだろうか。…いや、いなかったかな。
小さな声だったし、潮風の音は耳に煩い。
誰にも聞こえないまま、私の声は何処かへ流れていったようだった。
「シコンからも私のように連れてこられる"誰か"がいるのかな?」
ならばと、これ幸いと私は続ける。
長い髪、純真だった昔を思い出しながら。
自分の瞳の中にふつりと湧き出した翳りを感じていた。*
10人目、領主 ファミル が参加しました。
領主 ファミルは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
[アンディーヴ領の領主たる
ファミル・アンディーヴが、
祖国ウルケルを裏切り、
シコン港に停泊していたウルケル海軍が、
文字通りに"追い出された"のは、
その艦の多くが海峡西の防衛へと
出払っている間の話だった。]
──シコン港──
[階段上に高さを増す港街の石畳を軍靴が叩く。
かん かん かん と、非常警報の鐘が、階段上に高さを増す港街を急き立て、震わせていた。
本来は上陸しようとする敵軍を迎撃する為に、砦や高台に配備された砲は、停泊中のウルケル艦船を狙い、火薬の破裂音を轟かせて、シコンの港街を揺らす。
そうして、湾内の海上では、運悪く機関室に砲撃を受けたと思しき艦が一隻、傾き沈みながら、なおもごうごうと燃えていた。]
──シコン港砦、指揮官室──
[また、その赤々とした様は、四角く切り取られた砦の窓からもよく見えた。見下ろす先で、水面がゆらゆらと朱に揺れている。]
あれでは、後で引き上げたとして
使い物にはならないな。
[緩やかに沈む、他へ追随する道を塞ぐように最後まで湾内残った艦を見下ろして、ファミル・アンディーヴは、目を眇めた。]
[窓下には、崩れた影が腰のサーベルに手をかけた恰好ののまま、壁に背を持たせていた。]
…… 貴方には不運な役回りと
なってしまいましたね、指揮官殿。
[その、シコン港防衛の指揮官だった男の体に穴を開けた当の本人は、閉じさせた目を見やってから、ひとつ息をついた。
──わずかな沈黙の間に扉向こうの廊下よりの足音が続く。]
[ぎ。と扉が開いて戻り来た伝令は、一瞬、室内の状況に身を固めた後、改まった声で無事軍港内を抑えたとの報を述べた。]
わかった。
ではこの後も高台から、
兵は動かさないように。
街の者らは手筈どおり
山岳方面に誘導をはじめてくれ。
それから、────、。
[はい。と答える兵に頷きを返し、しかし指示の途中で、領主の女はまた窓へ視線を横に移した。]
[「?」と疑問符を浮かべた兵がつられたように見る先には、燃えゆく船のすぐ傍、船から落ちたか落としたか、水の上に立つ複葉機があった。]
────、
[ゴーグルをつけた顔が、一度。砦の、この窓を見上げる。
見えぬ視線が、はたとそこで会ったような錯覚の中、この距離では聞こえぬはずの機関部が唸り声を上げ、滑り出した一機は海に線を引いた。緩やかな加速はやがて勢いを得て、機体は水上から空へと羽ばたき上がっていく。]
[市民らを家の中へ押し込める警報の鐘はまだ、鳴り続いている。知らず胸元に手をやれば、ちゃり。とつけたロケットが微かな音を立てた。]
… 見られたな。
[操縦士らは得てして目がいい。ファミルからでも、ゴーグルまでも見えたなら、視認された可能性は高い筈だった。]
[見送る先、小さくなる姿に零した一言に、どうやら同じものをみたらしき伝令が「追わせますか」と言った。]
…… いや。ほうっておいていい。
私のことがあちらに伝わろうが
どうせさしたる差はない。
[仮にシコン占領後にファミル・アンディーヴが生きていたとして、せいぜい遠慮するフリをしながら攻撃するか、遠慮せず攻撃するかだろう。5年前までここの領主を務めていた兄ならばまだしも、現領主たるファミルは、国そのものを優先する中央と折り合いがよくない。]
11人目、帝国軍中佐 ロー・シェン が参加しました。
帝国軍中佐 ロー・シェンは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
―グロル海峡入口・第三艦隊―
[翼を大きく広げた渡り鳥が、西の彼方へ翔けてゆく。
戦の気配を感づいたのか、時期は例年より幾分早い。
ピュィイと甲高い鳴き声は、
船縁に打ち寄せる波飛沫に紛れて、次第に遠く掠れていった。]
…、いい判断だ。往け。
連中が、空に派手な装飾をする前に。
[そう呟いて流した燈黄色の視線の先では、味方の複葉機が敵軍の様子を伺っている>>10。
相手が仕掛けてくる気配がないので、本領発揮は次の機会に持ち越しといったところだろうか。]
それに、…
[追わせるほどの情報ではないというのも、
確かな事実と判断の理由ではあれど、]
私は、
無駄が嫌いだ。
[あの状況下であそこまで生き延びたウルケル海軍の一機を、
そう簡単に落とせるとも、思えない。]
[言いおけば、伝令からは素直に「はい」と返事があった。視線を窓から戻し、机上の黒ずむ赤が張り付いてしまった海図に目をやる。]
手空きの者がいたら、
何人かここの片付けに寄越してくれ。
それと、第一隊には、小型船を
ドッグから出しておくようにと。
[指示を伝えて、窓辺傍の影から離れる。──下げたままだったリボルバー式の拳銃は、腰のホルダーに収めてドアへと向かう。]
[帝国の艦が此処へ来るまでの間に、
あの燃えた艦の火は消えるだろうか。]
出迎えにいく。
[いずれにせよ、リオレ島にシコンが落ちた報が入るまでに
そうは時間もかからないことだろう*。]
― 追憶/傭兵部隊にて ―
[その日は新たに傭兵部隊に所属した者達との交流を深める、ちょっとした宴が催された。
酒が振舞われ、新参兵は当然の如く質問責めに遭う。
その年から傭兵部隊へと配属されたヴィクトリアも例外では無かった]
なに、アタシの噂?
[その最中で向けられた問いかけに、ヴィクトリアは瞳を瞬かせる。
挙がった噂は士官学校時代にも散々聞かされたものだった]
あぁ、アタシが貴族の出って話か。
[どこから伝わったのか、この話題はどこに行っても付き纏うらしい。
苦笑に似た表情を浮かべながら、ヴィクトリアはグラスの中の酒を一口喉へと流した]
貴族ってーかまぁ、中流階級の出だってのはホントさね。
ストンプのルシエルナガ家…って言やぁ、聞き覚えあるやつも居るんじゃないの?
尤も、アタシは勘当された身だけどね。
[酒の合間にナッツを口へと放り込む。
カリ、と音を立てて砕けるそれを咀嚼しながら、噂の真相を仲間へと明かした]
なんだい、アタシが良いとこのお嬢様だったのがそんなに信じられないかい?
失礼にも程があるな、アンタら。
…ま、アタシは昔からお転婆だったからね。
その反応は許してやろう。
[口々に言われる言葉に最初こそ不機嫌そうに目を細めたが、直ぐに表情を笑みに変え、口に残るナッツの欠片を酒で喉へと流し込む]
…軍に入った経緯かい?
そんなに気になることかね。
まぁ良い、酒のつまみにでもしてくんな。
一言で言やぁ、家から逃げたのさね。
アタシの父は内政官でね、そりゃあ体裁やら何やらを気にする人だった。
そう言う家に良くあるのが、政略結婚。
アタシはそれがとんでもなく嫌でね。
だってそうだろう?
選択の自由も無く、好きになれるかも分からない奴の下へ一生を捧げなきゃならない。
そんなのアタシはごめんだ、自由に生きたい。
その政略結婚から逃げるために、アタシは士官学校に入ったのさ。
当然両親は反対したがね、アタシはそれを無視して、叔父に後見人になってもらって家を出たんだ。
お陰様で親から勘当を言い渡されたってわけ。
[そんな説明の中、ヴィクトリアの脳裏にはその時のことが流れるように思い浮かぶ。
家を出る切欠になったのは、12歳の時に聞いた姉の言葉。
その時姉は14歳で、親に婚約者を決められた直後だった。
「…貴女達だけでも、自由に生きて」
姉は優しく穏やかな人で、責任感も強い人だった。
自分が家に縛られることは長女である故に仕方の無いこと。
けれど、妹達だけは、と。
そんな切なる想いがその言葉を紡がせた。
ヴィクトリアがその言葉を聞いて、自分も姉のように親に縛られる可能性を見出したのは無理からぬこと。
元来縛られるを良しとしない性格だったため、姉の一言はこの先の人生を大きく変えるのに十分なものとなった。
当時6歳だった妹は意図を全く理解出来なかったらしく、ヴィクトリアのことを家を捨てたと思い嫌悪を隠さない。
そのことが少し悲しくもあったが、後悔はしていなかった]
……え、何で軍だったかって?
[僅かばかり物思いに耽っていると、同僚達は更に問いを投げかけてくる]
まぁ、確かに他にも選択肢はあったんだが…。
一番は、船、かな。
[その答えに首を捻る同僚が多々。
確かに軍は船を有しているが、それが理由と言うのは直結すまい]
ストンプがウルケル随一の造船所を有しているのは知ってるだろ?
アタシはそこで船が造られるを目の当たりにして育った。
親の目を盗んでは良く見学に行ったものさ。
尤も、造る方じゃなく、動かす方に興味があったんだがね。
あの巨大な船が人の手で自由に動くんだ。
その姿にアタシは魅入られちまったってわけ。
で、軍…士官学校なら操船学びながら職も得られるよなー、ってのが最初に士官学校を選んだ理由。
結構不純だろ?
アタシもそう思う。
[理由を補足説明して、最後はおどけるようにして笑った]
そんなわけでアタシは今ここに居る、ってわけだ。
これで満足か?
[話せることは話したと、同僚達ににっこりと笑みを向ける]
んじゃ話駄賃として、聞いた奴はそれぞれ1杯、アタシに酒奢れ。
[さら、と言った言葉に軽く非難があがったのは言うまでもない**]
[皇帝率いる第一艦隊の後方、水雷母艇の1隻に乗り込み第三艦隊を率いているのが、帝国軍中佐のロー・シェン・リーミンである。
褐色の肌をした男は、幾許かの複雑な心地で――…海峡の向こうを眺めやった。]
此処がウルケル、…か。
[嘗て対帝国のため共闘した傭兵部隊が属していた国。
屈強で頼りがいのあった海の漢たちは、年月を経てウルケル軍を代表するまでに出世していると聞く。
一方の自分は、なんと帝国軍の中佐だ。
変わり果てた立場の差に、皮肉な苦笑が潮風に滲んだ。]
[祖国オルヴァル。
16年前、帝国によって滅ぼされた――今はもう、地図上に存在しない国名だ。
植民地になって、失ったもの。得られたもの。
天秤皿に乗せるには形が違いすぎて、たった一度の秤で結果を出すのは難しい。]
いつか来よう、 と思っていたこともあったが
このような形になるとは、 …な。
[だが分かっていたことだ。
皇帝の最終目的は最初から明白だったのだから。
其れを承知の上で、自分もこの親征に随行する任を拝命している。]
[シコン港はどうやら投降を選ぶ腹積もりのようだ。
裏から寝首を掻く気かどうかは知らないが、無駄な血が流れぬに越したことはない。]
警戒は怠るな。
一発食らった、どこぞの少尉の二の舞になるぞ。
[部下に声をかけ、重い呼気をひとつ吐くと、
シェンも自らの感傷を飲み込んだ。**]
/*
さて。情報を各々に渡して、シコン港を明け渡せる状態にして。
ルートヴィヒが交渉に向かってくれているようなので、
ひとまずはそこだな。縁故的にも。
まあざっくりと昔話を交えつつ迎え入れようか。
12人目、ウルケル海軍中尉 シロウ が参加しました。
ウルケル海軍中尉 シロウは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
-海上-
[死者には黒。
緊急治療者には赤。
治療者には黄。
治療に急を要さない相手には、緑。
自分の右手首に結んだ緑を見つつ、男はその向こうの海を見る。]
――シコンが落ちたってマジか。
はぁ、領主が投降、ねぇ。
[シコン港に停泊中だった艦船が攻撃を受け、沈んだの連絡には顔を顰める。]
あそこの領主って若い姉ちゃんだったか。
とんでもねぇ事してくれるなぁ。
[何人の命を手土産にしてんだか、と。]
[リオレ島近郊に待機中の巡洋艦。
小回りの効く船の方が好きだった。
もっとも好きなのは、肉弾戦ではあるけれど。]
――おい。
出撃指示はまだねぇのか?
シコン落ちたって情報来てんだ、そろそろだろ?
俺たちの海で相手さんに好き放題させる趣味はねぇぞ。
[誰かから飛んできた、苦笑混じりの、「落ち着け、先生」にはさらに不機嫌そうに顔を歪める。]
先生はやめろ。
何度も言うが、軍医としては船に上がってねぇぞ。
[海に視線を再度。
視線は、シコン港の方へ。
まもなく、出撃指示が下されるだろう。
それを待つ事にした。]
――……。
[帝国へ寝返る奴、いなきゃいいがねぇ、と、胸中で付け足した。]**
13人目、ウルケル海軍少尉 シュテルン が参加しました。
ウルケル海軍少尉 シュテルンは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 海上 ―
……ほんとに、もうっ……!
冗談だとしても、出来、悪すぎる……悪すぎですよ!
[何がどうしてそうなった。状況としてはきっと、この一言で終わる。
けれど、それですませていいはずなんてなく]
……いけるのは、俺だけ、なんでしょ!?
わかってます……飛んでやりますよ!
[艦長命令だから、と下されたそれ。
友軍から攻撃されている、という重大すぎる事実を本部へと伝える、という役目。
思う所は幾つもある、が、それを飲み込む──飲み込めるくらいには子供じゃない、という自負もある]
……っ!
[準備を整えた所で、艦が大きく揺れる。
とっさに目をつぶったのは、広がっていくであろういろを目にしたくない条件反射。
それでも、すぐにそれへの畏れは振り払って愛機へ飛び乗る。
怒号が響く中、半ば落ちるように海面へと降りる、機体]
整備直後だったのは、良かったんだか、悪かったんだか……!
[呟きながら急ぎ、エンジンをスタートさせて。
それからふ、と、砦の方へと視線を向けた]
……あれは……。
[見えた姿。>>38
そこにいるのが誰か、を見定めるくらいの冷静さは残っていた]
……そーゆー事、なんですよね。
[小さく呟きと共に、睨むような視線を瞬間、投げて。
逸らした瞳は、真っ直ぐに空へと向く。
今、自分がやるべきは戻る事。
それが、どんなに辛くても悔しくても]
……引かれるような後ろ髪は、あの時にばっさり切りましたからね!
[自分自身に言い聞かせるように、吐き捨てて。
水面から飛び立った翼は、最も近い味方のいる場所へ──リオレ島へ向けて、飛んだ。**]
-回想/いつかの傭兵部隊にて-
俺が軍医やってねぇ理由?
軍医ってあれだろ、非戦闘要員で戦えねぇから。
――あ?
ヤブ医者だからだろう、って?
殴るぞ。
[新兵歓迎の宴の席。殴るぞ、の声と共に、軽口を叩いた同僚の椅子を蹴飛ばす。賑やかな笑い声が返って来る。
新兵の質問攻めを横目に、だらだらと。
酒を楽しむ。]
あと――そうだな。
軍医登録しちまうと、階級、どうしても上になるしなぁ。
小回り効かんの苦手だわ、俺。
一番楽なのは、これだしな。
[剣を構える真似をして示す。]
偉くなりたい奴や、そういう位置が向いてる奴は、大勢いるだろ。
そういうのはそういう奴に任せる主義。
まぁ、お前らが負傷したら面倒、“診て”やるよ。
[やっぱり知っている顔が死ぬのは、嫌だしなぁ。
その言葉は煽った酒と共に飲み込む。]
[父の死の際。まだ二十歳を越えたばかりだった男は、その右手首に赤い紐を結ぼうとした。
治療優先順位を示すもの。
父の教え。
恐怖と混乱の中、それでも、それを忠実に守ろうと。
「馬鹿者」と、父の明瞭な声。
顔を上げた男に、父は続ける。
「もう助からん。黒でいい」。
それだけ喋れるなら助かると、手首の赤い紐に視線を落とし、再度、父の顔を見上げ――その顔に既に生気が喪われている事に気付いた。]
[非戦闘要員なんて言われても、死ぬ時は死ぬんだ。
戦う力が無い事の、なんて弱さだ。
そして、助けられない事の無力さ。
戦う力、救う力を磨くしかない。
幸い、男には機会があった。傭兵の一員として、常に戦場へと身を置ける。
出世には興味はなかった。
望むのは、自分自身の力を磨ける場所。それだけだったから。]**
― 見えない記憶 ―
[物心ついた時には、一人だった。
……いや、ひとりじゃないけれど、一人だった。
実の親がどこの誰だとか、どこの生まれだとか、そんな事は全然わからなくて、でも。
それを寂しい、なんて思った事は、一度もなかった。
理由は、物凄く、単純で。
同じような境遇の仲間たちがそこにいて、同じような気持ちを分かち合えていたから。
とはいえ、いつまでも同じ場所にはいられない、と。
それも、わかってはいたから──だから]
……絶対、また、会おうな!
[引き取り先が決まって、孤児院を離れる事になった時。
いつも一緒にいた幼馴染とも言うべき相手に向けたのは、こんな言葉]
離れても、ぼくはぼくだし、セルはセルにかわりないんだから。
だから、また、ね!
[寂しくない、と言えば嘘になる。
でも、約束をする事でそれを飲み込んで。
最後まで笑って、手を振った。
その頃は長く伸ばしていて、よく『しっぽ』と呼ばれていた括った髪を引っ張られるような心地には目を瞑って、そして]
[新しい場所での生活は、穏やかで優しかった。
時々ふと、どこかがからっぽになるような心地を感じる事もあったけれど。
それは、いつかの約束で埋めて。
そうやって、ここで生きて行くんだ、と。
思っていたはずなのに──全て、突然閃いたあかい色に飲まれてしまった。
自分が生き残ったのは、本当に偶然の作用。
それでも、あの時、気づいてくれた人がいなかったら、多分、きっと]
……おじさん、だれ……?
[あかいあかい、焔のいろ。
全部を飲み込んで全部を奪ったそれに呆然としていた所に呼びかけてきたのは、全く知らないひとだった。
呼びかけられて、どうにか出した声で投げたのは短い問い。
それから、逆に名前を問われて]
……ぼく、は……シュテルン。
シュテルン・シエル。
[そこまで告げて、それから。それ以外の事が浮かんでこない事に気が付いて]
……ねぇ。
ここ…………どこ?
[掠れた声で問いかけた直後に、酷い眩暈を感じて。
ふらつきながら、差し出された手に向けて、手を伸ばしていた。
いろんなものが、いろんな大事なものが、どこかに零れていくような、そんな感じがして、怖くて。
その怖さから逃げるように目を閉じて。
もう一度、目を開けた時には──あかい色に飲まれるより前の事は、ほとんど見えなくなっていた]
[──それから。
行き場のない自分は、あの時見つけてくれた人に引き取られた。
最初はどうすればいいのかわからなかったけど、少しずつ、新しい場所にも慣れて。
環境的な影響も少なからずあって、進むべき道は一つしか見つからなかった]
士官学校、行かせてください。
俺……やりたい事があるんです。
[ぐ、と。
握り締める手の中にあるのは、翼を象った小さな細工。
拾われた時、唯一持っていたそれが、空に焦がれる飛行技師だった養父の形見──というのは、覚えていないけれど]
操縦士、目指したいな、って。
だってほら、俺、船にそんなに強くないし。
空の方があうかなー、って。
[冗談めかした口調で告げた時には、まだ、髪は長かった。
切るのを嫌がって伸ばし続けていたそれは、腰に至るまでになっていたけれど。
士官学校への入学を機に、それはばっさりと切り落とした。
『見えない過去なんて、振り返ってなんかやらない』。
そんな、密やかな決意を込めて。**]
/*
あ。シュテルン男だった。
ミリアムは女だね。うんうん。
あとはウルズか。
(性別不明の筆頭三人)
ファミルはゲオルグとの結婚話が無かったら性別不明組に入ってたね。
14人目、ウルケル海軍提督 ゲオルグ が参加しました。
ウルケル海軍提督 ゲオルグは、共鳴者 を希望しました(他の人には見えません)。
― 旗艦ヴァンダーファルケ艦上 ―
[足元から、微かな振動が伝わってくる。
緩やかな波の起伏にも打ち消されぬそれは、鉄の塊の下で轟々と燃える炎の存在を思わせた。
慣れた振動だ。地上の静けさより、もうずっと、心にも身体にも染み付いた、揺りかごの如き馴染みの響きだ。
艦はアーレン島の北東を南に向け進んでいる。
やがて進路は緩やかに西に向かい、アーレン島の南を抜けて西へと向けられるだろう。]
やれやれ……。
[その艦上、男は息を吐いて行く手を見据えた。
今はごく平穏に映る海上の、未だ目には映らぬ遥かなる波の先には、つい先日宣戦布告を寄越したばかりのモルトガット帝国艦隊が布陣しているはずだ。]
こうなるッてことくらい、
分かりきってたんだろうに、なあ?
[軽い調子で背後の腹心へと声を投げた。
タクマ・ナギ。
男の副官であり、文字通りに”心”預ける腹心である。
最初にその特異な絆が顕現したのが正確にいつだったかを、男は覚えてはいない。あの乱戦の最中であったことだけは確かだ。
16年前、島国オルヴァルを巡ってモルトガット帝国と激しい戦火>>55を交えた。ウルケル海軍は傭兵としてこの戦いに加わり、激烈な戦いをオルヴァルの海軍と共に帝国相手に繰り広げたのだ。
その最中、ある男の命を───彼の艦を救難せんとし、辛うじてではあるが───どうにか救った。それがタクマだ。戦いの最中に”声”を聞いた。
夢中になって戦い抜き、どうにか生き延びたと息をつき、やっと、彼と特殊な声が交わせる事実に気付いた。当時は随分と仰天したものだが]
政治家どもが、吹っかけやがって。
[肩を竦める調子で今は慣れた声を投げる。]
[そう、こうなることは分かっていたことだ。
モルトガット帝国が日の沈まない国を目指し、即ちウルケルの掌握するグロル海峡の開放を目指してやってきた時。
軍艦に先立って、最初に齎された開放を勧告する帝国の使者にウルケルが突きつけたのは、およそこの先ウルケルの国庫を半世紀ほどは支えるあろうと思われる莫大な保証金と、年毎の非常な額の海峡使用料だった。
曰く、ウルケルが過去にこれを許した例のひとつもないこと。
曰く、よってモルトガット帝国の掲げる理想に加担する形を取る以上、それに応じた相応の保険料が必要となるであろうこと。
更に、これに不服ある場合、ウルケルは力を以ってモルトガット帝国の干渉を排除すべき用意のあること。
ひとつひとつの主張は、まあ良かったのかも知れない。
だが最大の問題はその額と、ある種傲然と思われる程の対応だった。
つまりこれは、ウルケル側にグロル海峡開放の意思がないことを示した。来るなら来い、力で応じるという構えである。]
[ウルケルが強気に出るのも、まるで根拠のない話ではない。
ウルケル海軍は古くより、その海軍力の精強なるを知られている。
近年では16年前のオルヴァルでの海戦に参戦しては暴れ周り、10年前には島国フェリシアの海戦で前モルトガット皇帝率いる正規軍に勝利すら収めている。
───ゆえに、戦場を知らぬ政治家たちは高を括った。
モルトガット帝国はそう容易く素早くは行動すまい、よしんば寄せ来てもウルケル海軍の敵ではあるまいと、軍人ならざる政治家たちは帝国を見くびったのだ。
その上で彼らは、海軍最高司令官たるゲオルグを議会へと呼んだ。
今後の方針について話を聞いておきたいという。
軍人としての立場ではそれどころの話ではなく、政治の話が決まれば後は実務の世界の話なのであり、今は少しでも早く海峡外に展開させているウルケル守備隊を増強し艦隊を整えばならぬ。
そう、苛立ちを抑えて諄々と説く間に報>>24が届けられた。
モルトガット帝国からの宣戦布告、それに続いて思わぬ速さの守備隊敗残の報、シコン港陥落の報───凶報である。]
……ま。
タダで通してやるわけにも、そりゃいかんけどな。
[当然だ。政治家のやり方に多少問題があったとはいえ、ゲオルグとて黙って帝国をただ通してやる気などないのだ。
凶報は速やかに男を政治家どもから開放してくれた。
それが喜ばしいかどうかは兎も角として、漸く自分の居場所に戻れたということだけは確かだ。
潮風が男たちの顎を過ぎ行く。
その頭上には赤地に碇の意匠を施したウルケルの旗、また黒地に片側に少し寄せた十字をあしらったシンプルな提督旗が共に潮風に靡いている。
その目線を下に転じれば、艦橋の近くには堂々とゲオルグの使う斧が木棚に掛けられてある。
船上では、これが提督座乗の証でもあった。
この重い武器が実際に振るわれることは滅多にない。
故にゲオルグが常に携帯するのは、持ち運びには軽い銃に軍刀だ。
けれどこの戦斧は象徴であった。
歴戦の海軍提督、ゲオルグ・ヒューベンタールそのものの。
その為に男が艦に座乗する折には必ずこの戦斧が、乗員の目にも留まりやすいこの場に置かれる慣習となっている。]
しかし、派手にやられたよなあ…。
ちょっとでも無事で居てくれると助かるんだが、
[どうだろうなあ。と、口にするのは守備隊の行方である。
ウルケルは海峡の外におよそ4000、巡洋艦数隻に水上機母艦を交えた守備隊を置いていた。
常ならば充分な守備、だが本気になった帝国艦隊相手ならば恐らくひとたまりもなかっただろう。
幾分か意地を見せたもの>>5はあったか。
それでも、僅かな足止め以上のものになったとは考え難かった。]
[ゲオルグは現在、3隻の戦艦を率いている。
これに巡洋艦が4隻、水雷艇母艦が3隻、水上機母艦が1隻。
大型艦そのものより、小型艦を搭載した艦が多めであるのはウルケル海軍の特色でもある。
戦闘ともなれば艦艇総数は大きく膨れ上がり、小型の艦が快速を飛ばして波間を縦横に駆け巡る。
これに加え、今はリオレ西の洋上に巡洋艦が2隻、水上機母艦が2隻、更にはリオレの軍港にも無事な巡洋艦が2隻と水雷艇母艦が1隻は温存されているはずだった。
恐らく彼らは、守備隊の残存部隊やシコン港を脱出してきた部隊の確保と警戒にあたっていることだろう。
そしてこの他にも、ウルケルにはストンプ港という拠点とそこに浮かぶ軍艦がある。これらを糾合し、纏め上げることが当面の急務であるかと思われた。]
タクマ。お前さん、ストンプで造られている、
新型の巡洋艦と小型戦艦の話を知っているだろう。
ほら、改良型の。
あれがもうじき仕上がるはずでな。
ウェルシュ…あー、ストンプ侯から一昨日、
手紙が届いていたんだが。
[首都カルボナードには、殆ど帰らぬゲオルグの屋敷がある。
普段は屋敷守の老夫婦と、知らぬ間に増えたり減ったりする猫が住んでいるだけの家だ。
その昔は妻という人が住んでいたこともあったが、今はそれもない。
その屋敷に滞在中に、折り良くウェルシュの手紙は届けられた。
従来よりボイラー室を大きくした巡洋艦>>28、そして機関を改良し船体を小型化して、従来よりも高速化した新型戦艦。
そんな船の様子をあれこれと綴った文面は楽しげで、いかにも船を好む彼らしい内容だった。]
お前さん、ちょいとそいつを受け取りに行ってきてくれないか。
ついでにあの辺の艦を、集めて来て欲しい。
[ついそこまでのお使いを頼む口調で告げて、彼を見遣った。
口調とは別の、思慮を含んだ視線が彼の黒い瞳と交わる。]
…新型艦を遊ばせておける余裕があるほど、
敵さんも悠長じゃないだろう。
整備に入っていた艦も何隻か港にあるはずだ。
あまり日数がない。
お前さんの目で見て、使えそうなら持って来い。
[遠征の多いウルケルでは、艦隊は比較的柔軟に都度編成される。
ゆえにこうした編成命令も特別なことではないが、しかし新型艦を港まで取りに行って編成するなどやはり異常である。
しかし今はそう言っていられなかった。非常の時なのだ。]
ついでにストンプの様子も見てきてくれないか。
守備隊の残存部隊、リオレにも退いただろうが、
相当数がストンプにも流れたはずだ。
ウェルシュがいるが、あいつはちとまだ頼りない。
軽く顔を見てやってくれ。
[告げる様子はどこか柔らかくなる。
ゲオルグは長年、ストンプに──土地と、そこを治める家との両方に出入りしてきた。ごく親しくしてきたと言っていい。
だからごく当然に、男はウェルシュのごく幼い頃からを知っている。
タクマもそうした事情には通じているはずだった。
何度か過去に、副官を伴って訪ねたことがあるのだから。]
ついでにこれ。
[ごそごそと胸ポケットのあたりを探ると、やはりお使いの調子で少し皺になった手紙をぽいと寄越す。
その中身は短い挨拶に続き現在の状況、ついでストンプの工作船を出して欲しいことなどが書かれている。
戦闘が激しくなればストンプ港までの往復時間はいかにも惜しく、損傷軽微な艦を修理・整備する工作艦の需要も高まってくるはずだった。
ストンプの持つ技術力は、高い。ウルケル随一と言っていいだろう。
それを発展させ推し進めたのは、前ストンプ侯、つまりウェルシュ・ストンプの父である。>>29]
ウェルシュに届けてくれ。
こいつと、えーっと……ああ、荷物もひとつ。
[あとで届けさせると口で言い、実際に届けさせるつもりでいるのは小さな麻の小袋ひとつだ。
中にはぶどうが入っている。
いいというのに、庭で採れたからと屋敷守の老婆に押し付けられた果実を、丁度いいとばかりに手土産にさせる魂胆だった。]
艦隊を編成後、追いついてくれ。
それまで前線方面は、どうにか面倒見ておくさ。
[相変わらずの口調で告げて、副官の肩に頼むとばかりに片手を乗せる。そうして、はたと思い出したとばかりに彼の顔を見直した。]
───ぶどう。お前も食っていいぞ。
今年のは結構甘いそうだ。
[これで良しとばかりに、大いに真顔で*頷いた*]
― シコン港近く ―
[シコン港が見えてきたと連絡を受けて、艦橋へ上がる。
艦長から手渡された双眼鏡を覗けば、港を囲んで階段状にせり上がる港町が見えた。
港の入り口近くでは黒煙が立ち昇っている。]
つつがなく、ですね。
では、我々は先行しましょうか。
[号令一下、第二艦隊が速度を上げた。
総旗艦シュヴァルツアインの入港前に軍港内を掌握するために。]
[ぐんぐんと速力を上げる巡洋艦隊は他の艦隊を引き離していく。
先頭を走るザイヴァルの艦橋の上で総旗艦に向けて敬礼を送っていると、後続の一艦が目に入った。]
あの艦、そういえばユルド社の類縁の方が乗っていましたね。
名前は確か… ミリアム?
さて。少し違う名だったような気もしますが。
[側にいた兵から名を聞いて首をかしげる。
いずれ会ったら思い出すだろうかと心の隅に留めておいた。]
[本隊に先行して進む第二艦隊は、やがて前方に出迎えの船を見る。
速度を緩め艦隊を停止させ、甲板に下りて船の主へ会いに行った。]
御足労痛み入ります、ファミル・アンディーヴ卿。
[女領主への敬称を添えて呼びかける。
口調は丁寧だったが、幾分気安い親しさを醸し出していた。]
/*
行く手じゃなくて、眺めるのは西ね西。
ww現在地慌てて書き足したら、このザマですよ!!!!!もーーー
/*
本気で算数間違えたので、どうしようか。
工作船も大型艦に含まれるなら、本気で足らんな…
た、戦わないならどうですか駄目ですか。
www消しゴムで数減らしてきたいwww 最悪はメモ……
15人目、帝国軍少佐 ウルズ が参加しました。
帝国軍少佐 ウルズは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― グロル海峡入口・第三艦隊 巡洋艦 ―
[遠くに渡り鳥だろう、鳥の声が聞こえると視線は流れてしまった。
戦闘中に、と上官が居れば窘められる所ではあるが、現在この艦で最も上の階級は自分の為、黙認されている。もっともその戦闘も、戦闘らしい事は殆どされてないのが現状だが。
暫く空に留めた視線はそこから、先を行く第一隊へと移る。
何かあればすぐさま動く準備はしてあるものの、今の所激しい戦闘の兆しも、追撃連絡の類も一切なかった。
一定の緊張感を保ちつつも、第三隊水雷母艇の護衛の任は、今のところ問題なく遂行されている。
暫くしてから、シコンが落ちた――正確には領主が投降してきた、という連絡が届く。
戦闘の気配がないのはその為かと納得しながら、今度は部下へ母艦への通達を命じた。]
リーミン中佐へ通達を。
不意をつかれる可能性もある、周囲の警戒は続けろ。
[シコン港を含むアンディーヴ領の領主は数年前に代替わりしたらしい、とは噂に聞いていた。
確か名は…と記憶を辿っていると、複葉機の音がして意識は一度散ってしまう。
知らずに短く息をついた。]
[滞りなく順調な現状とは裏腹に、思った以上に気持ちの方は晴れておらず、その事に少し驚きを感じながら、懐かしくも帝国艦が浮かぶという様変わりした海を見ながら呟いた。]
シコンを落とした次はリオレ、そして…。
[地図を思い出しながら、漠然と今後辿るだろう航路を思い出す。
距離的にはリオレからでも首都カルボナーラを狙えるだろうが、
直線状に暗礁地帯を挟んでおり、迂回しなければならない。
そうなると、と、思い出すのはウルケルにあるもう一つの港街。]
…ストンプ。
[軍港や造船所、工廠があり、軍略的に確保しておきたいだろう港町だ。
置いてきた自らの名の一部だった港を、そしてそこに居た人らを思い出して僅かながら目を細めた。]
…帰ってきたんだな。
[もう一生戻らない、などと出ていく時、この海を見ながら呟いたのも今では遠く懐かしい。
現帝国軍少佐ウルズ・アイグル、本名ウィズルカ・ストンプ。
妾腹の出ではあるものの、ストンプ領を大きくした、前ストンプ領主の娘であった。]
それにしても、ロー殿…いまはリーミン中佐か、出世したじゃないか。
[中佐呼びは馴染みが薄い。
以前は一時同僚であった、第三隊を率いる上官の事を思い出すと、少しだけ口の端が上がってしまった。
そうして故郷の海や町、かつての友や弟から、今は僅かに目を逸らした**]
/*
ひっさしぶりに頭使tt遅くなってすいません。
夜ぐらい(丸一日)くらい余裕あるかと思ってたらみんな入村早…(/-`)あばばばすいませ…
結構時間かけてあれそれ調べたりしましたが、まだこれ把握足りない気がするな…メモ取っていかねば。
後は過去ロル考えないと、と。
村の設定が変更されました。
──シコン港、湾内──
[連絡用の小型艇で進むシコン港の囲まれた湾は、
ごく静かに凪いでいた。もとより山岳に囲まれた地形ゆえに、風雨で荒れることも滅多にはないが、その日は、それでもとりわけに静かに思えた。]
(──或いは、昨日の騒々しさとの差に、
そう感じられるだけか)
[湾内を進む船の甲板に立っていれば、髪を風が撫でていく。後背に置く軍港からは未だ名残を示すように黒煙が立ち昇る。視線をずらせば、燃えた艦が沈み、もはや見えなくなった場所が視界に入る。]
/*
ところでロー・シェンとこの祖国のオルヴァル…どっかで聞いた事あると思ったら
そうかこれ、前の私のPCの苗字と一緒なのか……www
ベルギービールから選ぶと選択肢が被りますよね解りまs
− 旗艦シュヴァルツアイン −
[ルートヴィヒ率いる第二艦隊が舵を切り、シコン軍港へ向かってゆく。
巡洋艦ザイヴァルの艦橋には敬礼をする姿があった。
彼は相変わらず澄ました顔をしていよう。
皇帝にも対等な口をきくことを許されている側近集団”小鴉”とは一線を画した立場をとり続ける男だ。
彼一身のために役職を新設したりしたから、いろいろと風当たりも強かろうが、やっかむ連中の口をつぐませるだけの働きをきっちりと示してくる。
そして、アレクトールもまた、余人では怯むような任務をルートヴィヒに次々と与えるのが常だった。
今回もまた気負わぬ答礼で送り出す。>>87]
/*
ふむり。
キャラセットをRosenKreuzから、薔薇の下他いろいろ入りに変えたら、天声が「戦場の風」から「天のお告げ」に変わったので、戻せば戻るかと思ったらそういうわけでもないのですね。残念。
/*
>>86
シコン港と湾(?)の入り口って、マップからすると半日くらいの距離ありそうなんだけど。
[残りの帝国艦隊は速度を落し、ウルケル側の動きに備えた。
空の見張りとして複葉機も送り出している。
アレクトールはグライダーめいたきれいな軌道をする一機を眺めやった。]
あれはセルウィンだな。
[セルウィン・ベッカーが育ったのは、アレクトールの母の名を冠した孤児院だ。
チャリティバザーに同行しなさいと母に命じられて出向いた折に会ったのが最初になる。
もうひとり、彼の兄弟分めいた孤児がいたが、遠くにもらわれていったと聞いた。]
それ作文か。
将来、何になりたいか書けって?
[生まれた時から皇帝の座が約束されていたアレクトールには向けられることもないお題であったが、セルウィンがなんと書いたのかは気になって読ませろと手を伸ばした、そんな過去のひとコマを思い出す。]
[しばらくすると、渡り鳥の群れとすれ違うように西からきた複葉機が、母艦のある第三艦隊近くの海面へと白い波を蹴立てて下り立った。
帝都からの定期連絡便だ。天気がよければ毎日、飛ぶ。
第三艦隊からはワイヤーを携えた迎えのランチが出された。
複葉機回収の手筈を整えると、ランチはそのままシュヴァルツアインに向ってきた。
帝都から送られた、皇帝が決裁すべき案件やら手紙やらを届けるためだ。
帝都に残って政務を担っているのは、アレクトールの姉の夫である。
自身も二世皇帝に見出されて娘婿となり皇帝の地位についた三世皇帝が、将来、アレクトールの右腕とすべく見込んで妻合わせた人材だけあって、優秀でかつ野心のない男であった。
アレクトールは自身の腹心にルートヴィヒを選んだが、義兄のことは評価している。]
[小包の中身を確認した後、アレクトールはそのままランチの乗員に命じた。]
第三艦隊のロー・シェン・リーミン中佐をここに連れて来い。
──シコン港、湾内──
[そのまま視線は、昨日の幻影をなぞる。空を行った軌跡を辿り、リオレの方角に暫し視線が留まった。]
…あれは、確信されていたな。
[シュテファン・シエル。沈んだ艦に乗っていた筈の、発見されない飛行機乗りの名前を脳内で辿る。視察に降りたときに、整備技師が荒い操縦に腹を立てながら、同時に射撃の腕を褒めていた名だった。]
[睨むようにも真っ直ぐに見上げてきた表情を思えば、状況を看破されたことは窺えた>>62。
状況から類推できる材料なら多く揃ってもいる。
なにせ、先ずファミルが狙ったのは、
指揮官が駐在していたシコンの砦だった。
まず撤退とも交戦とも伝達のない状況下で、同胞の土地を攻撃する僅かな躊躇でもつかねば、いくら高地の利があるとはいえど、ウルケルの海軍を港から追い払うような真似、易くは成功しない。
そして、その混乱の起点となった砦に、捕らえられたでもないファミルの姿があるなら、私兵らの独断での裏切りでないこと、勘がよいものなら理解するだろう。]
[それから、緩やかにああ。と納得したかの頷きを経て、甲板から相対する相手へと、手を挙げての敬礼を返す。]
誰が寄越されるだろうかと思っていたが、
君か。
[そうしてから鉄面皮と噂される女領主は、艦の甲板に立つ青年の声に、わかりにくくも微笑った。]
[ルートヴィヒ・アルトハーフェン。シュヴァール商会を営む商家の長男であり、当代の皇帝の唯一無二の補佐。ファミルにとっては、商会とのかかわりを通じて、幼少時から見知った顔でもあった。]
皇帝陛下の翼にこうして、
先んじてお会いできて光栄だ。
[呼びかけに応じる声は、一般からすればささやかにであれど和らいだ音をもつ。]
ようこそ。ルートヴィヒ・アルトハーフェン扶翼官殿
扶翼殿とお呼びした方がいいだろうか。
[音に聞く当代限りの官職で呼ばい、首を傾げた。]
[幾分。他所で会うときより形式ばった応答を挟み、甲板の上にて女領主は一歩を後ろへ引いた。知己に会ったが故に浮かべられた笑みは、されと後方にやる視線に常の表情へと覆われる。]
掃除はあらかた済んでいる。
[ウルケルの──アンディーヴ領の港へ、帝国の船が着く準備は整っていると、そう出迎えた相手に声を投げる。]
昔に想像していたのとは違う形だが、
我が領内へご案内しよう。
自慢の花の季節でないのが、
少しばかり残念だが。
[操舵室に手旗で旋回を指示を出せば、小型艇は緩やかに港の方へと向きを変えた。]
[先導するように速度を落とした小型艇は巡洋艦の前を進む。途中、最初に出会ったときから伸び、とおに抜かれた背を見上げるように、振りかえった視線は長くルートヴィヒの上に留まった。]
我が領の花をにじらず、
──街を、土地を燃やさずいてくれる
その限りにおいて
我が領は貴方らを容れる用意がある。
[確かな声で告げ進む先には、階段状の街並がある。
燃えればいっそ映えるだろう白を基調とした家々に、ファミル・アンディーヴは黙して目を眇めた。]
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