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人里に身を潜めながら、夜毎人を喰らうという恐ろしい人狼。
幾つもの村を滅ぼしてきた狡猾な化け物の噂が、遂にこの地にも訪れた。
震え上がる者、馬鹿馬鹿しいと一笑に付す者、そして…。
様々な思惑を余所に、人々は話し合いのため集うのだった。
1人目、語り手 が参加しました。
語り手 は、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
聖公教会は、吸血鬼と戦える使徒《クルースニク》を開発していた。
実地試験の戦場に選ばれたのは、とある吸血鬼の城。
奇襲を受けた吸血鬼たちだが、黙って滅ぼされる筋合いはない。
ここに人智を越えた戦いの幕が切って落とされた。
■プロローグの進行について
まだ《クルースニク》は城に到着していません。
吸血鬼側が城外に出てもOKです。
2/17の23:30で編成が確定したら城に進攻可能です。
1d開始までに城に集まってください。
全PCが城の敷地に到着したら、《クルースニク》は結界を宣言することができます。
NPCは城内に留めないこと。
結界が張られた後は、エピになるまで城の敷地から外界へ出ることはできません。
それでは、どうぞ物語を紡いでください。
2人目、野茨公 ギィ が参加しました。
野茨公 ギィは、人狼 を希望しました(他の人には見えません)。
[鬱蒼とした木々生い茂る山の中、
滴る緑の領域を抜けて奥に進めば、やがて行く手に壁が現れる。
さほど高くはない石壁には無数の茨が絡みつき、
ところどころで白い花を鈴なりに咲かせている。
壁に沿って進むと見えてくるのは、瀟洒な作りの門扉。
繊細な細工が施された金属の門にもまた蔓が這っているが、
押してみれば、門は意外なほど軽く開くだろう。
前庭を抜ける小道と噴水の向こうに見えるのは、
歴史の風格と軽妙な風合いを共に纏った城。
年月に多少削られた城の石材には、やはり野茨が茂っている。]
[覚えている人間があまりいない程度の昔、
この城を野茨が覆うようになってから、ここは野茨城と呼ばれている。
同時に、森へ入る樵や狩人の間に一つの噂が生まれていた。
"野茨城の薔薇は人を食う。
時々真っ赤に染まるのがその徴だ。"
当たらずとも遠からじ。
城に巣食う魔の気配を、人は感じ取っているのだろう。]
3人目、神子 アデル が参加しました。
神子 アデルは、落胤 を希望しました(他の人には見えません)。
[森が近づくにつれて、風に乗ってくる土と木々の薫りは段々と強くなり。
なぜか以前からこの森を知っているような、奇妙な既視感に囚われる。]
…――。
[以前、隣町の支部へ手伝いに行くとき、一度だけこの森の傍を馬車で通ったことがある。
だから厳密に言うならば初めてではなかった。
だが、その時も小さな車窓から見える深緑に言いようのない懐かしさを感じて、涙が零れそうになったのを、今でも覚えている。]
[初めて訪れる場所や目にした風景をみて、自分はここに来たことがある。そう感じる事を『既視感』と呼ぶのだと教えてくれたのは、ジークムントだった。
聖公教会に拾われる以前の記憶がない自分にとって、彼は実の兄のような存在であり、服の裾を掴んではなかなか傍を離れようとせず。
結果、いつも困らせてしまっていた彼も、もういない――。]
4人目、吸血鬼 シメオン が参加しました。
吸血鬼 シメオンは、背信者 を希望しました(他の人には見えません)。
―3年前―
[男は聖光教会の熱心な信者でも、自己犠牲精神の持ち主でもなかった。
それなのに教会で行われているという人体実験を受ける事を決めたのは、纏まった金が必要だったからだ。
両親を早くに亡くし、只一人の家族である妹と慎ましい生活をしてきた男は、妹の結婚資金を得る為にその身を投じた。
表向きは教会への奉仕として。
これまで3年に及び複数回の人体実験を受け、その成果を試す為に魔物相手に戦闘も行った。
一般市民だった男は作り話だと思っていた魔物を初めて目にした時には恐怖の余りに全く役には立たなかったが、教会の関連施設で訓練を受けて使い魔と渡り合える程度の腕前にはなっていた。
――けれど]
[男はとある実験で魔物の因子を身体に取り込んだ事が切っ掛けで高熱を出し、熱が引いて体調が戻った時には左目を失明していた。
…そこで人体改造の恐ろしさを再確認し、思った。
――幼馴染には自分のように何かを損なわれて欲しくないと。
男は研究者に直談判し、リスクの高い改造を優先的に引き受ける事にした。
あちこちに走る痛みを感じぬように鎮痛剤を服用しつつ、周囲にはそれを悟らせぬように振る舞っていたが、
度重なる人体改造に男の身体は限界を迎えていた。]
[実験の成果を見る為に向かった戦地。
街道の奥にある山には吸血鬼の住処である古城があるとされていた。
当初は数体の魔物のみだったが、魔物を統率する黒髪の吸血鬼も現れ、男の所属していた部隊は恐慌状態に陥った。
愛用の戦斧を振るって我武者羅に戦っていた男は気付けば孤立していて。
使い魔は倒せたものの、吸血鬼相手には太刀打ち出来ずに男は地面に伏した。
付近には自分の倒した魔物の血溜まりがあり、そこから発せられる臭いに額に眉を寄せ。]
…く そ、化け物め。
[地面に爪を立てて歯を食いしばる。
力の差は一目瞭然だった。男は相手とは違い、戦闘で負った傷が治癒する事もない。
多量の出血の所為か、右目も霞んできていた。
余程の奇跡でも起きない限り、退避する事は無理だろう。
男は何処か冷静に自分の置かれている状況を観察していた。
――自分は此処で死ぬのだと。]
ファミル…。
[脳裏に妹の顔が浮かぶ。
彼女は愛する相手と幸せな家庭を築く事が出来た。もう自分が守る必要はない。
それなら此処で散っても良いではないか。
けれどクルースニクには同じように改造を受ける幼馴染がいて。
此処で死ねば、自分の引き受けていたリスクの高い改造も彼に施されるのだろうか。
それだけが悔しくて。]
―… 、にげ、 。
[ お前は俺みたいになるな。
最後は声にならず、口の中のみで紡ぎ。
男は其処で意識を手放した。]
[――シメオン・ライツィンガー(24)
野茨城の付近にある街道にて行われた戦闘を最後に失踪。
戦闘をしていたと思われる地には、激しい戦闘が行われたと思われる生々しい跡があり。
彼の愛用していたバトルアックスと血痕が残されていた。
遺体はまだ見つかっていない。*]
―そして2年後、現在―
……。
[野茨城の客室。
吸血鬼となった男は城主の遠縁にあたる女吸血鬼の血の子としてその身を置いていた。
人間とは異なる存在と成り果てた今も、長きを生きる同族や親に敬意を払う事もなく。
けれど人間の元にも戻れぬまま。
今は面白くもなさそうに窓から外の景色を眺めている。**]
5人目、聖将軍 ソマリ が参加しました。
聖将軍 ソマリは、貴族 を希望しました(他の人には見えません)。
― 城へ至る獣道 ―
[吸血鬼に対抗する切り札として開発された使徒《クルースニク》
人智を超えた力を有する者達のみによって編成された精鋭。
闇に乗じて、魔物を狩るべし。と与えられた任。
此度の侵攻は使途の力を示し、野茨城の攻略を目的とする。]
―――他国に攻め入り、同種を殺せ。
……と、言われるよりはマシだが、
あちらも名声の為に容易く屠られてはくれないだろうな。
[聖将軍と言う仰々しい肩書きと共に
統帥を任じられた男は、浅く息を吐き出した。]
6人目、聖光の ユーリエ が参加しました。
聖光の ユーリエは、狙撃手 を希望しました(他の人には見えません)。
[ 銀の長い髪は、ほんのりと光を放つようだ。
……そんなはずないけれど。 ]
……。
[ 空を見上げる琥珀色の目にも、銀のまつげにも感情の色はない。 ]
[森の奥に佇む野茨城を目指す一行の先頭に立つ金髪。
緩やかな曲線描く剣で、伸びた枝を打ち払う男は、
聖公教会を強く支援する名門サイキカル家の生まれである。
齢27を数え、聖騎士としても認められているが、
生家より護国を大義名分に教会へ差し出され、
風を使うクルースニクと成った経緯がある。
別段、それ自体に不満は無い。
青き血の流れる貴族として生まれたのなら、国に尽くす事は当然だ。
また、民もそれを期待している。
人とは違うものを恐れ、忌む。
だからこそ、人の血で生きる魔物を討伐せよ。と命が下ったのだ。]
……義務が軽くては意味がない、か。
精々、あちらに美人が居ないことを願っておこう。
[冗談めかしつつ、剣を軽く払い、
峰で己の肩を叩いてから、背後に続く面々を振り返った。]
Psychicalの語源は「心」を意味するpsyche
更に辿れば、恋天使の元ネタのキューピッドと恋に落ちるプシューケーのこと。
まぁ、あちらは王女様なんだけどね。
なんにせよ、初演劇村です。
よろしくお願いします。
7人目、純血種 アプサラス が参加しました。
純血種 アプサラスは、恋天使 を希望しました(他の人には見えません)。
― とある古城 ―
[月明りに青白く浮かび上がる塔の一室。
静寂の中に、時折かさりと乾いた音が混ざり込む。
頁を繰る合間に、黒絹に包まれた指が華奢なグラスの脚に絡み、
深紅の甘露を唇へと運ぶ。
『――ご支度が整いました』
控えめな呼び掛けに、熱心に本を読み耽る女は、漸く顔を上げ]
……ええ、今行くわ。
[本を胸に抱き、徐に立ち上がる姿もまた、足先まで黒を纏う]
なかなか美味しかったわ。
未だ息があるようなら、悪い夢で済む今宵の内に、
送り届けてあげて頂戴?
[また飲みたいの、と。恭しく扉を押さえる侍女に、通り過ぎざま微笑みかける]
[やがて古城の門を滑り出た馬車は、行き交う人影もない昏い道を、一路走り続ける。
夜の帳が下りてなお、窓を覆う帳から微か差し込む光を頼りに、女はまた頁を手繰る。残り僅かなそれを惜しむようにその所作は緩やかで]
――…いつも不思議に思うのだけど。
限られた時間しか与えられていないのに、
どうしてこんな面白いものが書けるのかしら?
何れ皆、百にも満たない内に死んでしまうのにね?
[呟く声は、問うでもなく。
傍らに腰掛ける黒衣の男には、元より然程返答は期待していない]
ちなみに、道が悪いので馬は無理だろうなあと思ってた。
ヤギ? でもヤギは悪魔の象徴だしなあ。
じゃ羊? 羊に乗った聖女?
そんなwwww
よし、じゃあダチョウだ!
いやしかしそれもどうかと!!
……ってなってたのです。
馬に横乗りはお嬢ロールの定番ですJK。
[戦闘に不慣れな彼女を是非、と推したのは教会側だ。
脆そうに見受ける肢体とは別に、力を有しているのだろう。>>16
しかし―――、]
……俺には普通の女の子に見えるんだがね。
[ひっそりと口腔で漏らして、
手綱を得ると振動を起こさぬように躾けられた白馬に並ぶ。
元々気性の荒い馬ではなさそうだが、
馬にすら慣れないだろう少女に粛々従する馬の胴を撫で。]
一応、聞いておくが、君。
司祭連中から何か言われているか?
[『何か』と暈して、この作戦の指揮を取る自身にも
伝えられていない彼女の秘された力を暗に示す。
流石に無力な少女を魔物討伐には宛がわないだろうが、
さりとて五年後に期待したい少女が無残に果てるのは目覚めが悪い。]
― 野茨城 ―
[夜に溶ける黒馬の脚は、御者に命じられずとも、白薔薇の彩る門の前で静かに止まった。
訪問の前触れを済ませ、一足先に城内に荷を運び入れて戻ってきた御者へと、女は笑みを向け]
じゃあ、行ってくるわ。
お父様がもし、早々に迎えに来るよう仰っても――…、
そうね、経験則上、二回は引き延ばせると思うの。
今日は許可付きの外出ですもの。
……期待してるわね?
[貴女のお手並みに、と甘やかに命じる]
― 城内 ―
[城主にお目通りを願う前に、影めいた何かに導かれ、客室へと通される。隣に並ぶ黒尽くめの青年を、目の端で流し見て]
――シメオン。
ギィ様達に失礼のないよう、ここではお行儀良くして頂戴ね?
何も私にまで、愛想を振り撒けとは言わないから。
[だって気味が悪いもの、と自らの血を分けた彼に溢す]
――…いや、君はこの戦いで“聖女に成る”のか。
[ひそり、と彼女の双肩に掛かる責務に独り言を零した。]
奇跡。
[ ただの水を聖水に変えたり、
武具防具に祝福を与えることならば教会での日常業務だが。
今求められているのは、魔物を殲滅する方法のことだろう。
返答をしようとしたその時。 ]
[ 長袖の上からユーリエの腕に牙を立て、
血を啜った魔コウモリは、
しかし次の瞬間、悲痛な叫びを上げながら転がり落ち、
地面でのたうった。
……まるで、聖水でも浴びたかのように。 ]
……豚ですら、
毒のある草を見分けて、食べないわ。
[ 身動きのせいか、首元の白いスカーフがずれ、肌が覗いている。 ]
魔物というのは、豚以下なのね。
[ ユーリエの首元には、牙の跡がいくつもあった。 ]
8人目、変わり者 アレクシス が参加しました。
変わり者 アレクシスは、洗礼者 を希望しました(他の人には見えません)。
[一人きりで切り盛りするその店は、決して繁盛していたとは言い難い状態でした。
けれど店主は決して誰にも頼ることなく、一人静かに暮らしています。
人々もまた、山奥でしか取れない薬草などもいつの間にか手に入れてきてくれる店主のことを、頼りにしていました。
つかず離れず、人々と店主は緩やかに穏やかに、交流を保っていたのです。]
[作りかけの薬、生活感の残ったままの小屋に、どこかに薬草を探しにでも行ったのかと思っていた人々ですが、1ヶ月経っても2ヶ月経っても、店主は戻って来ません。
最初は心配していた人々でしたが、所詮はただの他人。
彼の存在は一片の雪のように、いつの間にか人々の記憶の中に埋もれていきました。
はらり、はらり。
今はまだ降り積もっている記憶も、春を待つ前に溶け消えてしまうのでしょう。]
――くぁ。
[その店主――アレクシス・フォン・ベルンシュタインは、窓際で開いていた本を閉じ、何とも間抜けな声と共に大きな欠伸を零した。
木製の安楽椅子が小さな悲鳴をあげる。
それを気にした様子もなく立ち上がると、本棚へと書物を仕舞い、ゆっくりと伸びをした。
ばきぼきと骨を鳴らす姿からは、古くから続く家の威厳など欠片も見えない。]
散歩にでも行きますか。
[欠伸のせいで滲んだ涙を拭い、眼鏡の蔓を押し上げると、革靴の音を響かせて部屋を後にした。]
― アレクシス・フォン・ベルンシュタインに関する報告書 ―
[500年続くベルンシュタイン家、最後の末裔。
ベルンシュタイン家に降りかかった呪については、今更記述する必要もないだろう。
創造の呪――その血をひとたび飲めば、我らの治癒能力をもってしても治すことのできない傷さえ癒してしまうという。
その代償として、量に比例する渇きが時折その者を襲うだろう。
これまで幾度と、かの一族は数多くの同胞を惑わせた。
故に、彼らが命を奪われたのは、当然のことと言える。
我らは二度とこのような事態を起こさぬよう、アレクシス・フォン・ベルンシュタインを"処分"しようとしたが、"我らの寛大な慈悲"により、野茨城での監視を条件に"処分"を保留することにした。
以後、定期的に、アレクシス・フォン・ベルンシュタインの動向を観察する必要があるものとする。
以上]
/*
どうしよう設定が既に長い。
メモ見て唖然とした。まだこれから増える予定があるだけに、今とても複雑な顔をしている。
・創造の呪を受けた理由
・先祖たちの末路
辺りがね、まだ決まってないんですよね!
故にこの人の吸血鬼に対する気持ちもまだ定まっていなかったりする。
ほぼ飛び込みだったので、本当骨組みしかできてません。
[普通の女の子なら、もっと笑うものじゃないだろうか。
少なくとも教会に手伝いに来る娘達は楽しそうにおしゃべりし、笑いあっては、たまにシスターに叱られて頬を膨らませたりしていた。
もっとも、今から向かう場所を考えれば、笑うような場面ではないのは確かだったけれど。]
(……――あれ?)
[ソマリが先導する獣道を踏みしめる足は、まるで慣れてるかのように枯れ枝を避けて、落ちた枯葉を踏みしめる。
>>26自分でも不思議な感覚に内心で首を傾げるのと、高い鳴き声が耳に入って来たのはほぼ同じ。]
ユーリエッ!
[>>27しかし彼女の腕に噛みついた蝙蝠は小さく鳴き声を上げた後、力なく地面に落ちる。
苦しげにのたうち回るコウモリと、首元からいくつもの噛み跡が覗くユーリエの姿をあっけに取られて見つめていた。実際に彼女の力を目にしたのは、これが初めてだったから。]
これが…ユーリエの力……、初めて見た…。
― 沐浴場 ―
[野茨城の1階奥には大きな沐浴場があり、
山からの清水を常になみなみと湛えていた。
大理石がふんだんに使われた浴槽は大きく、深く、
同じ大理石の獅子が吐き出す水はどこまでも澄んでいる。
その透明な水の中央に、城主はぷかりと浮かんでいた。
陽に当たらないがために肌は青みを帯びている。
溶け落ちる寸前の花弁にも似て透けるような肌色ながら
力を内に秘めた張りとしなやかさを持ち合わせている。]
/*
村企画自体には元から興味があったのですが、演劇村の経験がなくてご迷惑をおかけしないだろうかと心配で、実は見送る予定だったのでした。
けれど、他の皆さまの設定を見ていたらむくむくと参加したい欲が溜まって溜まって、結局我慢できずに書き込んでいた。仕方ない。
村予定がちょうど時期ぴったりだった上に、枠が残っていたので、つい。えへへ。
最近恋愛系のあれそれにご縁があったので、久々にそう言ったことと縁遠い感じで遊べたらいいなあと思っております。
戦う時はフランシスカとかハルバードとか、戦斧使う予定だったのだけれど、シメオンと被っちゃうから何か別のものを考え中。ぐるぐる。
とりあえずはリアルを片づけてくる……!
[戯れるように水を掬い上げた掌を上に伸ばせば
水は細い流れとなって腕を滑り落ち、水滴が胸の上で跳ねた。
地下深くよりくみ上げられた水は冷気を帯びていたが、
一度死した身に体温など有って無いようなもの。
人間ならば冷え切るような水でも気にはならず、
湯の出る浴室もあったが、城主はこちらを好んだ。
水の上に漂わせていた体を不意にひねり、抜き手を切って泳ぎ出す。
浴槽を一周、二周、三周、と気の済むまで泳いでから立ち上がり、
ブラインドが上げられた窓辺へと近寄った。]
[沐浴場から見える壁にも茨は蔓を伸ばしている。
揺れる白い花を眺めていた目が、動くものに吸い寄せられた。
リスが一匹、茨の蔓を駆けまわり、花をつまんで食べている。
恐れ気のない小動物の様子に、昔の記憶がひとつ呼び覚まされた。
それは、かつて森の中であったこと。
濃密な緑の香りと蒼い月の光に彩られた記憶。
駆けていくリスを追ったのか、導かれたのか―――]
君はもう、美しく成長しただろうね。
イチイのように伸びやかに、伽羅のように薫り高く。
ああ……。
[今すぐ探し出して、手折ってしまいたい。
幾度となく繰り返した衝動を噛みしめ、甘く切ない痛みに浸る。
耐えることもまた楽しみのひとつ。]
[再び水に浮かんだ城主の元に、影の召使いが訪れる。
曰く、門前に馬車が到着したと。]
今日は可愛らしいお客さんが来る日だったね。
お迎えする支度を整えておくように。
それと、わたしの愛しい子と弟にも知らせておきなさい。
大切な"客"にもね。
もうひとり客が来るから、歓迎してあげてほしいと。
いや、もうふたり、かな?
[窓辺より伸び来た茨の蔓を指に絡ませて微笑む。]
/*
城主のサービスシーン。
これだけは反応しておかなければと思った。
あと、呪は一応、のろいでありまじないである、というところだけは考えていたりする。ぐるぐる。
9人目、使徒 リエヴル が参加しました。
使徒 リエヴルは、背信者 を希望しました(他の人には見えません)。
[まるで本を読んでいるようだ。
それは文字が欠けていたり、空白があったり、いつの間にかその空白が埋まっている本。
登場人物は、自分だ。]
/*
城主なギィと吸血鬼なギィは過去にやったので()
城主で吸血鬼なギィをどう演出するかが今回の課題。
RKのギィさんって通常版よりも陽性な感じがするんだよね。
ぜひとも馬鹿殿したい。でもって弟を苦労させたい。
※目標
アレクシスにかぷちゅーする。
ユーリエにかぷちゅーする。
おいしそうな子が多くてなにより。
[その本から紐解いて写る自分を参考にしている。
言葉にすれば奇妙なことをゆうに二年程前から行っている
原因は、余程思い出したくないショックなことがあったからだ。と周囲には言われたが、未だそのショックな瞬間は思い出せていない。
自分がどういったものなのかの説明とよくわからぬ検査を半年ばかり受けた。
失っている記憶は多くとも、自分が世間一般でいう普通というものからかけ離れてしまっていることは理解できた。
最初にあったのは戸惑い。次には開き直り。
だが、最も強く思ったこと―――都合がよい。
その一点に限った]
[検査を空け、実験と称した実戦は恙なく終わった。
体が覚えているのと、本を読むような記憶ではない生々しい体験に精神が昂揚していたからだろう。
だが、違和感もあった。
どこか背中が寂しいとも感じるような。振り向いたとき誰かがいないような違和感。
その違和感の正体は、ある手紙によってわかることになる。
行商人から渡された手紙。
どうやらこの行商人とは顔なじみであったようで、その手紙の差出人である"兄"がいないときは、自分へと渡していたらしい。
『シメオン』と二年前に失踪したものの名前を口の中で転がしたとき、懐かしい響きがあったのを覚えている。]
― 城へ至る獣道 ―
[本の空白にいる登場人物はもういない。魔物が原因だ。
だからこうも自分は魔を憎んでいるのだろうか?聞かないと姿すら思い出せない相手なのにか?ただ魔物を狩るのにより苛烈さを増してはいた。
結局あの後に、封を切ることのなかった手紙は今も肌身離さずに持ったまま。
いつのまにか、吸血鬼の城に土足で不法侵入の上に殺人をする部隊の一人として数えられるまでになっていた]
/*
それにしても他国から薔薇の下に戻ってくるたび
豊富な機能の便利さを改めて感じます。
他の国にもフィルタメモなり在席ボタンなりあればいいのに。
あと、ワンタッチ場所表示入力素敵。
― サロン ―
[小さなテーブルとソファーがいくつか配置され、
軽くダンスするにも不便の無いような空間と
壁際にピアノまで備えられたこの部屋を、
城主は客と会うときに良く使っていた。]
先方が良いようならこちらにお通しして。
[召使いに声をかけて、自身はソファーに座る。
傍らのケースから取り出したのは飴色のヴァイオリン。
遊ぶような手さばきであったが、音は良く通った。]
―とある古城―
[>>14男は、血親の部屋には呼ばれるか、用がある時以外には立ち入らない。
読書に興じる彼女の話し相手を出来る程に自分に教養があるとは思わないし、また気も向かなかった。
それ故に侍女が彼女に呼びかけるのを男は冷えた廊下の壁に凭れ、腕組みしながら見ていた。
無作法を咎めるように年長の侍女には睨まれるが、それもいつも通りの事。何処吹く風で受け流す。
――望んで血の縁を結んだわけではない。
今宵は彼女の遠縁の住まう城まで彼女の伴をする事になっていた。
そのまま数日の滞在になると聞いている。
やがて僅かに血の香りを纏う部屋の主が部屋から出てこれば、少し離れてその後ろを歩く。雛鳥のように付き従うのではなく、ただ淡々と。
それが男とこの親との距離感だった。]
[>>17昏い夜道を走る馬車の中、傍らに座る血親は月明かりを頼りに本を読んでいた。
何故そこまでして読もうとするのか、男には理解出来ない。
それ程面白いのかと本に興味を示すでもなく、男は瞑目したまま座席に身を預けていた。]
――…。
[純血の吸血鬼である彼女らしい発言だと思った。
積極的な問い掛けでないようであれば、彼女の想定の範囲内で無言を通し。
吸血鬼の物書きなど、吸血鬼になって2年目の男には宛はないが。
例えいたとしても、永い生の間、ずっと面白い物語を書き続けられるとは思わない。
―限られた命こそが人間の生。
吸血鬼からすれば短いその一生の間に綴るものであるからこそ、輝きを放つのだろう。]
10人目、公弟 ヴィンセント が参加しました。
公弟 ヴィンセントは、人狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 書庫 ―
[鬼火めいた燭台の明かりに艶めくのはシルクのダークスーツ。
それに負けることのない端正な容貌が、古い羊皮紙を綴った書物の上に傾けられている。]
──、
[サリサリ…と足元の影が鳴った。
草葉の擦れるような音。]
承知している。
準備は滞りなく整っている、 はずだが?
[ひとりごちて、ゆるりと立ち上がった。
城主の動きは、いつだって予測不能だった。]
―城内―
[客室へと自分達を案内する影めいた存在は何度見ても慣れない。
吸血鬼としてまだ日が浅いからか。それともまだ此方側ではないのだと思いたいのか。
隣に並ぶ血親の視線を感じればちらと其方を向いて]
……。
努力はする。
[愛想など振り撒けるわけがないが、礼儀だけは努力しようか。
実際に完璧にこなせるかどうかは別として。
気味が悪い、という言葉を耳にすれば、誰が愛想よくするかと眉を吊り上げた。]
[鉄灰色の髪と眼をしたこの青年は、この城の主たるギィの血の弟──ヴィンセントと呼ばれる吸血鬼である。
兄を扶け、兄に従い、兄に翻弄され。
時に支配し、支配され。
それはこの30年というもの、
出会った瞬間から変わることのない
異なる未来を 望んだこともなく。]
ふと、シャルワニを着せたくなったので、薔薇EXのヴィンセントにしようかと思ったら、RKと表情が違うから、まったく雰囲気違うのな。
絵師うゆきさんすげー
[自身を不本意に魔物へと変じた女に対するシメオンの態度は、お世辞にも愛嬌があるとは言い難い。
ヴァンパイアの一族が棲まう城と噂を聞きつけ、徒党を組んで戦士達が攻め込んできたのは二年前の事>>7
一族の手で傷ついた青年を貰い受け、意識のない彼に一方的に血の縁を授けてからも、早二年。
何故こんな身体にしたと憤る彼に、女の答えは毎回変わった。
ある時は、あのままでは殺されると思ったからだと切々と訴え。
ある時は、人間に興味があったのだと愉しげな一瞥をくれ。
またある時は、そろそろ血の子を持つよう親が煩かったから仕方ないと嗤う。
――そうしていつも、「運が悪かったわね」と微笑で締め括る。
一度としてまともに応えない女に、青年がますます怒りを募らせたのは必然ともいえる]
11人目、志願兵 オズワルド が参加しました。
志願兵 オズワルドは、人犬 を希望しました(他の人には見えません)。
[男は無言で古城まで続く道を馬に跨っている。
仲間達の会話を聞いているのかいないのか、その話の内容には表情一つ変えることなく、頷くことなく、道の先へと切れ長の目を向けている。]
― サロン ―
[嫋やかに、時には踊るように流れていた音がふと止まる。
喉の奥、ひりつくものを感じて唇に舌を這わせた。]
……少し舐めただけでこうなのだから、
飽きるほどに飲んだらどうなるのだろうね。
[飢えに似た焦燥感を、傍らのワインで紛らわせる。
酒精は糧にはならないが、香りを楽しむくらいはできた。]
[あの時行われていた狩りは、普通とは違っていた。
獲物は同族。
許可した覚えのない侵入。
挨拶のひとつもなかったのは、若輩と侮られたか。]
ここは私の狩場で、彼は私の客人だ。
ここで血を流すならば、私と私の祖の名にかけて
相応の措置を取らせてもらおう。
[始祖の名を出したのが効いたのだろう。
古き血の末裔を捕えようとしていたものたちは手を止め、
協議の末に、かの者を野茨城に留め置くこととなった。]
[その最初の出会いで、彼の血を舐めたのが始まりといえば始まり。
ベルンシュタインの呪については聞いていた。
だからこそ、誘惑に抗えなかった。
飲んだらいったいどうなるのか。
その誘惑にはまだ堕ちていない。
今は、まだ。]
兄のファーストネーム・ユベール(Hubert)
なるほど、フランス読みはH発音しないからそうなるのか。
ちなみに、ヴィンセントはワインの守護聖人由来の名前らしい。
12人目、修道騎士 バルタザール が参加しました。
修道騎士 バルタザールは、睡狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 城へ至る獣道 ―
[下生えの揺れるざわめきの後、突如一行の前方に、ゆらりと人影が現れた。
その人物は、暗色のフードを外しながら、先頭のソマリへと声を掛けた。]
私だ。
[短い銀髪が、薄暗い森に差し込む陽の光を受けて、淡く輝く。
現れた、常に睨み据えているような冷たく厳しい顔つきは、同じくクルースニクである修道騎士のものだった。
彼は足の遅い聖女たちに配慮して、先行して偵察に出ていた。]
この先も特に罠らしきものも待ち伏せの気配もない。
相手が奇襲を警戒していないのは間違いないようだ。
[素っ気無く伝え、ソマリの傍らに並ぶ。]
― サロン ―
[官能の咽びめいた弦の震えが止む。
ヴィンセントを導いていたのはその音であったが、残響が消えた後も惑うことはなく廊下を進み、兄が待つサロンの扉を開いた。]
もうワインを?
[客人まだでしょう、と傍らへ寄ってグラスを取り上げる姿勢。]
[“努力はする”――その言葉>>60は、
彼に望みうる中では最上級の返答といえた。
けれど、事実を口にしただけの心算だった彼への評は、どうやらお気に召さなかったらしく。これ見よがしに眉を吊り上げる顔を盗み見て、微かに口端を持ち上げる。
従者に滞在の引き延ばしを図るよう命じた際に、彼の洩らした抗議めいた声>>57を思い出せば、最早堪え切れずに]
……ふ、っ…。
…そ、う。言ったわね、約束よ?
[肩を震わせながら、笑みを溢す口元を形だけ扇子で隠して、そう念を押す。折よくそこへ、影の姿をとる城主の召使が現れ、サロンへと案内に現れた>>50]
――じゃあ、早速有言実行してもらいましょうか?
[行きましょう、と促して上質なソファーから立ち上がる]
ん…、そう見えたか?
[かけられた言葉に一度瞬き、同じように首を傾けて返した。
あの男がこの先の古城にいるらしいという情報はすでに知っていた。
普段極力感情を表に出さず過ごしているが、流石に今回は隠しきれなかったか。]
最近退屈だったからな。
[暗に早く吸血鬼を狩りたいと言っているような言葉を返した。]
[目前の草が揺れて、青い匂いが立つ。
冷えた空気には香りが混じりやすい。
されど、己は剣を構えなかった。
彼の気配は、姿を目視する前に察することが出来る。>>73]
知っているよ。
俺が君を誤認するようになったら、別人を疑って良い。
[口角を吊り上げ、生真面目な彼に、
早々碌でもない冗句を飛ばしつつ、
ポンと、気安く肩を叩いてから視線を遠くに投げた。]
では、気付かれる前に行動しよう。
門扉に辿り着けば、直ぐに結界を張る。
背水の陣なんて流行らないが、逃げられる方が難儀だ。
逃亡がやつらの選択肢にあるとは思わないが――…、
[そこで言葉を留めると、義務と青い血湛える男は双眸を細め]
― サロン ―
[ヴァイオリンに飽きた城主は楽器を側に放り出し、
グラスを手に立ち上がる。
窓へ向かおうとした足は、扉が開く音に止まった。]
ああ、我が弟よ。
この兄のささやかな楽しみまで取り上げようとは、
なんとひどいことを。
[現れた弟の言葉に対して、芝居がかった口調で嘆いてみせ、
ひらりひらりと舞いを踏む足取りで部屋の中を逃げる。]
構わないだろう?
きっと彼女だっていいと言ってくれる。
[言い訳もどこか子供じみている。]
オズワルドとの縁故メモ
・10年程前にオズワルドの妹を吸血鬼にした
・オズワルド現在25歳
つまり、妹さん15歳以下だった。
若い子は美味しい。
無駄なだけ……。
[>>52 ユーリエの言葉を口中で繰り返す。なぜだかそれは、とても重たい言葉として胸の中に響いて来て。
今の自分には、たまに教会の中ですれ違うだけだった彼女の苦しみを、推し量ることは出来なかった。]
了解です、隊長。
でも…
[>>61「生かして返せ」
その言葉はソマリを超えて司祭の声として、届く。
まるでこの中の誰かが死んでも、ユーリエさえ無事ならば良いとも受け取れて、眉をしかめた。]
ユーリエだけじゃなくて、隊長も、副隊長も…それから、みんなも一緒に帰りましょうね。
[>>63>>66>>ソマリに答えつつも、視線はリエヴルと先を見つめているオズワルドへ移る。
ユーリエは例外として、大人の男達は皆見るからに腕の立つ精鋭ばかりだ。
自分はと言えば、主に呪文での戦いを得意とし、剣を抜いての戦いは胸を張れるほど得意ではなかった。
とはいえ、ここまで来た以上は、今までの訓練を思い出して力を尽くすしかない。
ユーリエだけではなく、皆で共に凱旋するために――。]
/*
いいなあユーリエ。
はやく構いたいなあユーリエ。
最終日にユーリエとバトルできる確率はこの人数だと52%くらいになるんだっけか。
いいなあ。弟負けないかなぁ。()
[手にしたグラスの紅を零すことなく蝶のように指先を擦り抜ける城主を見守る。
その優美で児戯めいた声を聞いた。]
お楽しみには見えなかったゆえ。
[止まり木のごとく腕を差し伸べる。]
/*
まてまて。
最終日のこなれちゃった(妄想)ユーリエよりは
まだ開かぬ硬い蕾のユーリエに触りたくはないか!?(反語)
ちょっとおじょうさん、私と個室でとくとくと話でも。
ついでに親睦を深めてみたりなにかしたりとか…!(興奮)
ま、精々頑張りますよ。
その為に雇われてんだからな。
[リエヴルの言葉には肩を竦めて返した。
言葉とは裏腹に胸中では腹黒い感情が渦を巻いている。]
実験受けると燃費悪くなんの?
[腹が減ったと静かに笑う男に目を細めて問う。
育ちとこれまで自分が経てきた経歴のせいもあるのか、男は空腹には強かった。]**
[>>65男が目を覚ました頃には見知らぬ城にいて、人ならぬ存在となっていた。
まるで左目を失明した時のような喪失感と、飢餓感。塗り替えられた認識。
――人間は同胞ではなく、食餌なのだと。渇きを癒す為に血を求める本能がざわりと男の胸の中で騒いで。
それに気付いた時には混乱と絶望に陥り、発作的に自殺を図ろうとしたが、愛用していた戦斧は手元になく。
他にも凶器となるようなものはその部屋には置かれておらず、ままならぬ悔しさに歯噛みした。
暫くして自分の”親”だという女吸血鬼と対面する事になり。
何故こんな身体にした、と開口一番怒鳴りつけた。他に憤りをぶつける場所などなかった。
その時の答えは何だっただろうか。
聞く度に変わる答えは陽炎のように捉えどころがなく、目の前の女の真意を読み取れずにその度に憤り、いつしかまともな回答を得られないのだと聞くのを諦めた。]
13人目、騎士 ジークムント が参加しました。
騎士 ジークムントは、交信者 を希望しました(他の人には見えません)。
[――遠く、統治者から連なる系譜であると伝わる家門。
此処ではない別の城で生まれ両親と兄に慈しまれたのは随分前になる。
歳を重ねる毎に父に似る容姿と剣の腕前。
家門を継ぐのは弟の方かもしれぬ、と噂され始めた頃から
その身に危険が付きまとうようになる。
度重なる暗殺未遂に堪えきれなくなったのは母が先で
縁ある教会に幼いジークムントを預ける事を選んだ。
故に、家族の記憶は其処で途切れている。]
[教会での最初の一年は幽閉に近いものだった。
凶手から遠ざけるためと言われれば仕方ない事だが
宛がわれた部屋で殆どの時間を過ごす事を強いられた。
孤独を知り諦めを覚えるには十分な時間だったが
それでも仄かな希望だけは消えず心に灯る。
狭い世界で出来る事は一人で剣の鍛錬をすることと
本を読み知識を得ることくらい。
教会までは危険は及ばない。
そう確証出来てようやく、幽閉染みた生活から解放された。
――と、いっても、教会に身を寄せ続ける事には変わりなく
家族とも会えず神に仕える日々を送った。]
/*
アレクシスと名字とドイツの貴族の称号フォンが丸かぶりしそうでびっくりしたわ…
ばっちり候補の一つだったのよ。
シメオン可愛い。ツン可愛い。
ギィさまかっこいい。すごく理想のギィ様なのよね。城主はギィ様よね!ってCOの時からテンション上がったもの。親戚の子愛でられたい。
ソマリ、…うん。格好いい。あの、何ていうか。
きっとこれ、タイプです。
できたら誑かしたいわね、リーダーだし。 */
[ソマリの冗句>>80を言葉どおりに受け取ったか、何を馬鹿な、というように鼻を鳴らす。
直線で構成されているようなこの男の精神は、「生真面目」と言う言葉さえ生温い。]
その時は私が貴様を斬滅してやろう。
[差し伸べられた腕に一瞥をくれて、指先でグラスを玩ぶ。]
おまえはいつもそうだ。
[華やかな笑い声を立てて、ふわりと弟の横に舞い戻った。]
私を操る業を、どこで会得したのだろうね。
[彼の掌にグラスを載せる。
ついでに長い爪で、袖口から覗く手首をかるく引っ掻いた。
血が出るほどではないが、ほんのりと色づく程度に。]
[>>76微かに口端を持ち上げる親から目を逸らす。
この二年で幾度も衝突―というよりは男が一方的に、と言える―してきたが、彼女には勝てた事がない。
外で漏らした抗議めいた声まで思い出されているとは知らないが、肩を震わせる程の笑い声が聞こえれば]
…っ…、何が可笑しい!
俺を何だと思って…っ。
[口元は一応扇子で覆われたが、それで隠せる程度ではなく。
憤りに肩を震わせながら両拳を握り締めていた頃に、城主の召使が現れたか。]
……ちッ。
[まるで図ったかのようなタイミングに舌打ちを隠す事はない。
彼女がソファーから立ち上がれば、窓辺から離れて客室を後にした。**]
あっ、
ちなみに豚に限らず、
草食動物は毒草を食べないらしいよ!
そして、耐性があるらしくて、少々なら食べてもお腹壊さないんだって。
[バルタザールの属する修道騎士団は、表向き巡礼者の保護を掲げているが、その実、魔物たちの討滅をこそ最重要任務としていた。
幼少時よりの厳しい肉体鍛錬と精神修養。実戦さながらの激しい戦闘訓練を潜り抜けた者だけが、晴れて正騎士となり魔狩人の叙任を受ける。
だが、超人的とも言える克己と戦闘技術を積んだ修道騎士たちと言えど、人を超えた能力を所持する魔物を相手の熾烈な戦闘は過酷すぎた。
肉体や精神に重篤なダメージを受け、戦列を離れる者は多く、戦死する者は更に多い。
育てるのにゆうに二十年は掛かる騎士が、僅か一度の戦闘で失われるのは日常茶飯事。
戦闘経験を積んだ優秀な戦士であっても、否、優秀で長く生きれば生きるほど、何度も死地に赴かねばならぬ。
彼らが退任まで生き長らえるなど無に等しいのだ。
「クルースニク」を生み出そうとする実験が行われた背景の一には、毎年多くの戦死者を出す修道会が戦闘経験の失われない「死ににくい戦士」を切に必要とした事情もあった。
そして、修道会の兄弟たちの多くを喪ったバルタザールが、総長から切り出された強化実験に自ら志願したのもまた、そういった理由からであった。]
[いずれは故郷に戻り騎士として兄を補佐する。
それが消えぬままある仄かな希望。
教会に居ながら鍛錬を怠らず剣技を磨き続けたのはそれが理由。
心の何処かで家族のあたたかさを欲していたが
親身に世話する教会の者との距離は家族のそれとは違う。
そんな孤独感を打ち消す光との出会いは、十年ほど前。
七歳であった少年が教会で暮らす事となったその時、
十四であったジークムントは彼に手を差し伸べた。
小さなその手に触れ、そのあたたかさに心が揺れた。]
……応!
[隊長の号>>81に聖女>>85の宣言。
その後、聖女>>84の考えの通り、信徒武人らしいともいえる勇ましい声をあげる。
候補。などといわれようとも、自分たちにとっては紛れもない聖女である。
神の子もまた同意。彼らを崇拝するような柄ではない昂揚を促すものは悪くはないと納得はしている
そして祈り加護を与えるのが彼女らの仕事ならば、己は覚悟を決めることが仕事だ。
何もかもを捻じ曲げる覚悟]
アデルは不安か?不安なときは空でも見上げて雲でも眺めて、動物の形のものでも探してりゃ落ち着く……だったかな。
[紡ぐ>>86神の子の言葉は宣言でもなく祈りに聞こえる敬語もなく言った。
それは空白の本の中、隣にいたものへと向けた言葉であったか。
その後情けない状態を晒した初陣までは思い出せなかったが]
[一つ、二つと戦力を確かめ、数える。
目指すは野茨に包まれた魔物の城。
遥か遠くを見るように、
血に染みて魔物を屠る家系の男は双眸を*撓めた*]
[城主の軽やかな笑みは皓々たる満月のようだ。
後ろに影を抱いている。]
あなたが望む時に、望む場所で── …っ
[応える先から爪が肌にしるしを刻む。
渡されたグラスの中身がピシリと凍った。]
[凍気を操るのはヴィンセントの得手とするところだったが、しばしばグラスを割ってしまう羽目になるのは兄のせいだと思う。
精神修養が足りないと自分には言い聞かせているが。]
別のグラスを用意してくる。
ああ。だが、
よもや客人の前でとは言うまい?
しばらく、お預けだ。
城主ギィ・デグランティエ。
[氷の欠片を指先につまみ上げると、唇に含み、ギィへと顔を寄せた。]
[ 馬の揺れに身を合わせる。
最初の頃は難儀だったが、今はさほど苦ではない。
男たちの話は、よく分からないこともあった。
俗世の話や、汚れた話は耳に入れるべきではないと、
言われているが。
少しだけ興味を持って、男たちを見た。 ]**
[グラスの中身が鮮やかに色を変え、儚い音を立てる。
うろたえた弟のさまに、もう一度笑い声をあげた。]
グラスの用意など影にさせればいい。
私が望むときに、だろう?
[掌を上にして誘う城主の頭に、来客のことは無い。
あったとしても、一緒に楽しめばいいやくらいであろう。]
[仮にもし、今まさに城へ近づいている襲撃者のことを知れば、
それもまた余興が増えたと笑うことだろう。
だが今は知る由もなく。
弟に釘を刺されたならば、
おとなしくソファーに腰かけて、来客を待つのだった**]
そんなことを言われると、余計欲しくなる。
ああ―――だがお預けもいい。
待つ時の長さが、私を熱くする。
[城主としての名を呼びながら唇を求める弟のしぐさは
冷気をもって熱を呼び覚ます彼そのもの。
微笑んで、彼の欠片を唇に受けた**]
/*
明日のおしごと。
・アレクシスにアイテム渡す。(自分が死ぬまでに!)
・ジークムントに過去軽く振る。
・アプサラス&シメオンとお話。
・クルースニクさんいらっしゃい。
・ユーリエをおさわりする。(欲望)
[戯れめいて肩に触れるソマリの手>>104を振り払いはしないが]
……戯れ言を。
[じろりと一瞥した後、面白くなさそうにすり抜ける。]
思ってもいない恭謙など垂れている暇があったら、奴らを速やかに滅殺する策のひとつでも練っておけ。
―野茨城/自室―
[魔に通じた罪で追われた場所を思う。
残してきた者を思えば深い息が零れた。
野茨公の血を受け吸血鬼となりながらも人であった頃は忘れえず]
もう戻れない。
分かっていても――。
[未だに人の血を糧とすることに抵抗がある。
餓えをその身に抱える男はそっと自らの口元に手を遣り
人にはない鋭く尖った牙の一つに指先を触れさせ悩ましげに眸を伏せる。**]
/*
そういえば、秘話の【秘】が赤くなりました?
雑談村で見かけたときは黒かった気がする。
だいぶ見やすくなりました。国主さまありがとう!
……にしても、灰ログに不意に他の人の顔が混ざると、まだどきっとするねw
/*
明日のお仕事追加。
・ジークムントを愛でる。
とても愛でよう。
分身してでも時間を作ろう。そうしよう。
と、いつまでも灰潜伏してないで、寝るのだー。
― 死ぬはずだった日の話 ―
[日が沈んでいる間しか開かない小さな薬屋には、閑古鳥が鳴いていた。
毎日のように客が来るわけではない。客が来る日の方が珍しい。
故に普段通りの、平凡な夜だ。]
おや、いらっしゃいませ。
何か御入用ですか。
[複数の客人が訪れたのは、天高く月が昇った頃のこと。
黒ずくめの男たちが発する気配は鋭く、けれど浮かべる笑みは変わらない。
微かな血の匂いだけで、相手が同族であると察するには十分だった。]
…――はぁ、そのお偉い様方が一体私に何の用で。
[うんたらかんたら、長ったらしい立場と名前を述べる言葉は、右から左の耳へと抜けてしまってよく覚えていない。
広げられた羊皮紙に書かれた内容を要約すると、お前は邪魔だから死んでくれということのようだ。
調合していた椅子から立ち上がると、笑みを崩さぬまま声をかけた。]
[掠めた唇は氷よりなお艶やかで、心地よい焦燥を掻き立てる。
奪うことの喜びは、満たされる喜びに劣らず。]
― 深い山道 ―
[背中に剣を突きつけられながら、ざくざくと山道を登って行く。
時折、後ろで組まされた手の甲に切っ先が当たってもどかしい。
身をよじらせれば、手首に巻かれた鎖が音を立てた。]
ったく、今更逃げたりしませんよ。
逃げられるとも思ってません。
[さすがに笑みを崩し、ため息交じりに抗議する。
どうも死ねと言われても、笑ったままのがまずかったらしい。
警戒を強めた男たちは、殺気を隠すことなく後を追ってくる。
いくら細腕とはいえ、自身だって吸血鬼だ。
鎖くらい簡単に引き千切れると言うのに、随分と面倒なものだ。]
[このままだとギィのペースに呑まれると、撤退の判断をしたのは間違いではなかったと知る。
中身の減ったワイングラスを片手に廊下へ出た。**]
それで、貴方がたは誰に怨みがあるんです。
曾爺様、それとも叔母様? 父か母ですか?
残念ながら、私にはその中の誰の記憶もありませんけれど……いて。
[移動中寂しかろうと話題を振ってみたが、どうも図星だったようで、先程まではつつくだけだった切っ先が、手の甲に付きたてられた。
指先から落ちた雫は地面に落ちて、新たな花を咲かせる。
それは瞬く間に、後続の男たちに踏み潰されてしまうのだけれど。]
[自身が物心ついたころには、既に一族の誰もいなかった。
殺されたのか自ら命を絶ったのか、灰になり霧散してしまった状態では分からない。
唯一理解したのは、すべての憎悪が自身へと向かっていたことだけだ。]
口に入れないよう気を付けてください。
面倒なことになりたくなければ。
[剣から伝う赤に視線を向けながら、淡々と言葉を紡ぐ。
男たちはびくりと震え、慌てて剣を手の甲から引き抜いた。
蓋を失った傷口からは、止め処なく赤が零れて行く。
今更口にしたところで自身が死ねば問題ないのだが、どうもその辺りの情報は、多くの罵詈雑言に紛れて有耶無耶になってしまったらしい。
それに気づいたからとって教えてやる義理などなく、脅しを告げた後はただ静かに道を歩いた。]
うん、この辺りでいいですよ。
[開けたそこは、森の奥にある丘だった。
奥は崖、そして川。天高く昇る月がよく見える。
満足そうに空を見上げていると、おそらく足で背中を蹴られたのだろう。重力に抗うことなく倒れ込んだ。
眼鏡が宙を舞い、視界がぼやける。]
まったく、最期を楽しむ時間くらい分けてくれ――っ。
[そのまま横っ面を踏み付けられ、さすがに回る口も止まった。
口内が切れた感触に、口の中へ血の味が広がる。
人の血は美味なのに、どうして自身のそれは美味く感じないのだろう。
そんなどうでもいいことを考えながら、眉間に皺を寄せて、月光に煌めく剣を見つめる。]
どうぞ、一思いに。
[冷たく平坦な声がそれだけを囁き、振り落とされる風圧を肌に受けた。
その瞬間まで目を閉じることなく、生の終わりを見届けようとして――]
落城…って、ロマンか何かですか?
ダメじゃないですけど…。
[確かに絵にはなりそうだったが、正直よくわからない。
道を行く背に答える。]
確かに火は穢れを焼き払い浄化してくれるけど、でも、使い方を誤ると自分も火傷をしてしまいます…。
ですから、あの…リエヴルさんも…、気をつけて下さいね。
[もしその時が来たら、彼もまた焼け落ちる城に身を委ねて散りゆくような――そんな気がして。
仲間が欠ける事への不安を口にした。*]
[そのまま振り向きもせず、定められた位置のように
そもそも私と貴様が闘うなどありえん。
貴様が教会に剣を向ける叛徒となれば別だがな。
[面白くもなさそうな呟きは、思考を始めたソマリ>>109の耳に届いたかどうか。**]
[刃は皮一枚を切ったところで止まった。
朗々と告げられる声の主は、自身の与り知らぬところで話を勧めて行く。
結局なぜか、彼の城にて監視を受けることを条件に、死ぬはずだった命は現世に留められることになった。]
これは、ありがとう、と言うべきなんでしょうかねぇ。
[黒ずくめの男たちが去り、踏まれた衝撃で痛む首をごきごき鳴らしながら起き上がる。
野茨公の名は知っていた。だが面識はなかったように思う。
訝しげな色を隠さないまま、不躾な視線を彼に浴びせた。]
まぁ、自ら命を絶つような馬鹿な真似はしないので、お世話になります。
あとたぶん、いろいろと面倒をかけます。
私がいると、風当たりも強いでしょうし。
[貫かれた手の甲からは、未だ赤い筋が溢れている。
小屋に戻れば治療もできるが、数日放っておくだけでも治るだろうと、特に気にしていない。
しかしその選択で、彼>>69が呪を得る隙を作ってしまったことだけは、今でも歯噛みする思い出だ。]
― 野茨城・廊下 ―
はて、どうしてこんなことを思い出したんだか。
[城に居ついて数年、慣れた足は無意識であろうともいつもの道を進む。
外に出ることの憚れる身である故に、城の中は男の散歩コースだ。
首の後ろを掻く手の甲には、もう傷跡すらない。
けれど野茨公の舌の感触は、今でも思い出せた。]
『万が一の時は、私が助けてあげますよ』
[彼が初めて血を口にしてしまった時、自身が紡いだ言葉を繰り返して、何とも言えない表情を浮かべる。
野茨公が中毒に屈した時か、あるいは灰に帰した時か。
自身の死のタイミングは、もう決まっている。]
おや、ヴィンセント公。
慌てた様子でいかがされましたか。
[ちょうどその時、サロンの扉から出てきた姿>>121に目を瞬かせる。
動揺した気配を察すれば、にやにやと人の、いや吸血鬼の悪い笑みを浮かべてヴィンセントへ近づいた。**]
/*
アレクシス喋りやすい……!
ずっと使いたかったチップなので、機会が巡って来て幸せ。
いい脇役顔。脇役大好き。
そして野茨公のおかげで助ける理由もできましたありがとう!
吸血鬼はどうでもいいけど、野茨公は結構気に入っているみたい。
助ける理由は好意よりも、借りを作ったままなのが嫌っていう捻くれたものですけれども!
薔薇の下国でのRP村初めてなので、どきどきそわそわしています。
表情変えるの楽しいね!
皆のキャラがかっこよくてにこにこするね!
…実験って、何ですか……――。
[>>91金で雇われたらしい男、オズワルドの言葉に驚き問いかける。
実際、暗部と接触しないよう。
離れへと続く重たい扉の向こうや、地下へと続く鉄扉には絶対に近づいてはならないと、固く言い含められ。監視され。徹底的に避けるように育てられた環境では、前線に赴く彼ら騎士や使徒達がどんなに過酷で非道な実験や研究に晒されているのかを知るよしもなかった。
ただ、遠くから扉を目にするたび。
その扉をくぐった者が、再び出てくる姿を見かけないことに気がつく度に。
例えようのない不安と寂寥に胸を締め付けられるのだった。]
…何か、されたんですか――?
[誰にとは言えない。
やるとしたら教会の人間と決まっているのだから。
そして扉を見る度に、言いようのない不安を覚えていた理由が、今わかりそうな気がしていた。**]
― 回想・半年前 ―
[それは、自身の右手に風精を宿し、
拒絶反応が出ることなく使徒と成った祝いの席であった。
栄華を極めるサイキカル家の別邸にて、
次男の魔化を慶び、マスカレイドが催されたのだ。
金で縁取られた白仮面で顔を隠しても、
色素の薄い金色は誰が見ても主役と知れる。
サイキカル家は使徒の開発が持ち上がった頃から
定期的に人材すら提供していた。
それが上に立つべく生まれた者の義務だと謳い、
また自身も、そう理解していた。]
[ただ、人で無くなったことを祝う席は息が詰まった。
自身は万民の安寧の為などと言う、
偽善的な感情で使徒と成ったわけではない。
バルタザールのように義憤に駆られた訳でもない。
単に貴族が民に支払うべき義務に相応しいと納得したからだ。
そんな当たり前のことを、慶ぶ宴席は狂おしい。
自身は利を数え、責を数えているに過ぎない。
早々に広間を抜け出し、人目を避けて、
薄明かりに照らされた庭園へ退いた。]
―――…こう云った持ち上げられ方は、
俺好みではないんだがな。
[独言を零し、噴水の傍へ寄れば、熱気を削ぐ風に顎を持ち上げ]
……Noblesse oblige,
[呟くのは家訓。
救世主教を掲げる聖公教会と合致した文言。
自身が生まれた時から課せられている義務。
一つ息を吐いて、前髪を無造作に掻き上げた。
その声をもしかすれば、人里を好む吸血鬼が聞いたとしたら。
短き血が、責に縛られる様に何を思うだろうか。**]
オズワルド。リヴエル。
[唐突に最後尾から鋭い叱責が飛ぶ。
眉間に深く寄った皺。]
無駄口を叩くな。
此処は既に敵地なのだぞ。もっと周囲に気を配れ。
[まるでアデルの問い>>133を遮るようなタイミングで放たれたのは偶然だろうか。**]
村の設定が変更されました。
― 廊下 ―
[自己防衛と未練とが過るままに。
ギィとの接触から身を振り切るように扉を開けて廊下へ出れば、軽佻にも見える笑みを浮かべたアレクシスに声をかけられた。
狼狽していることまでしっかり見られたらしい。]
…いつものことです。 兄
[距離をつめられて、背にした扉を意識する。
アレクシスを必要とするほどの傷を負っているわけでもないのに関わらず。]
― 回想 ―
[あれはいつのことだったか。
戯れに町へ出て、足の赴くまま尖塔の建物を目指した。
自分は呼ばれたのだと、今でも思っている。
緑の枝が光を求める如く。
白薔薇が月光を向いて咲くが如く。
教会の守りも、魔物の興味を押しとどめることはできなかった。
蔓の一本に自分の影を託して敷地内に忍び入り、
窓の隙間をくぐって仄暗い陰影の翳りに滑り込んだとき、
出会ったのだ。―――地に降りた月に。]
― サロン ―
[野茨の蔓を玩んでいた心が、一瞬過去へと飛翔する。
あのとき感じた甘い電撃が身体の芯に蘇り、
紅い唇が月を真似て弧を描いた。
扉の外では弟と客分の彼が邂逅している気配がする。
そちらをしばらく窺ってから、蔓に己の意思と力を流し込んだ。]
[ほどなく、城の廊下の一角で茨の蔓がうねり絡まり伸びあがった。
稚拙な人型をとった茨の塊は、やがて血肉を纏って城主の似姿となる。
唯一、左の踵から伸びる蔓だけが差異を残していた。]
ジーク。ここを開けてくれるかい?
おまえの声が聴きたくなったよ。愛しい私の月。
[扉を叩き、声を掛ける。
ここは彼の部屋だ。]
[魔をも狂わす中毒性をもつという癒しの血。
ギィは、この
あの、猫をも殺す好奇心の持ち主が。
ヴィンセントとしても、アレクシスの存在に欲を掻き立てられないではなかった。
博物学的に、と自分では引き出しに鍵かけて。
今は──城主が保護している”客”であると。]
シュトラウス家のご令嬢が到着されたとのことです。
間もなく、こちらにお越しになられるでしょう。
お会いになりたければ、中で兄と共にお待ちを。
[務めて冷静に取り繕って、扉の前、アレクシスの腕の長さから身をずらす。
アレクシスが行くことでギィが大人しくなるとも思えなかったが。 実際なんかしてるし。*]
私の鳩は、箱とは横列文字数が違うんだけど、
そのせいでルビや空白がずれずれになっちゃうわ。
だいたい伝わってくるけども。
ところでこのユーリエも、表に出ないだけで感情をもってるんだよアピールをしようと思ったけど、
やっぱりここは「俺が笑わせてやる!」というのがオイシさなので、
プロから急がなくていい気もしている。
「怯えた」じゃなくて「びっくりした」くらいでいいかしら。
― 廊下 ―
おや、またちょっかいをかけられたのですか。
ヴィンセント公はいい反応を返してくれるから、兄君もつい手を伸ばしてしまうのでしょうね。
[ヴィンセントの言葉を聞いて、くつくつと喉を鳴らした。
言葉に合わせて手を伸ばすも、彼の身体に触れる前に気配が離れて行く。
それが当然だというように微笑んで、大仰に肩を竦めて見せた。]
ご安心ください。
安易に呪を振りまくような、愚鈍な真似はいたしませんよ。
[特別と異質は違うことを忘れてはいけない。
吸血鬼は、脆い人間に比べればずっと、自己治癒能力に優れている。
代償を支払ってまで血を欲するなど、愚の骨頂だ。
いくら珍しかろうと意味がない以上、それはただのゴミだった。]
「生産日」って打とうとしたら、
「聖賛美」って変換されたわ。
この鳩……すでにクルースニク仕様になっていたとは……。
デキるわね!
[それなのにこうして我が一族に怨恨の鎖が絡みついているのは、彼の兄のように、好奇心に駆られる者が多くいるということだろうか。]
……馬鹿馬鹿しい。
[冷めた声で呟いて、伸ばした指を振って見せた。
傷一つないそこからは、赤の一片すら見ることは叶わない。
けれど皮膚一枚隔てた向こう、無意味な毒は、確実に存在しているのだ。
開いた手を握り締め、手のひらに爪を立てる。
裂ける寸前、血が滲む前に力を弱めると、四つの赤い痕だけが残った。]
あぁ、そういえば今日でしたか。
絶世の美女だと耳にしました。
私も御尊顔を拝見させていただくとしましょう。
[五指の血袋はそれ以上ヴィンセントを追うことなく、代わりにドアノブへと伸ばされる。
擦れ違いざま、微かに唇が動いたが、視線は彼に向けられることのないまま、男の姿は室内へと飲み込まれた。]
どうかそのまま、愚鈍な猫に成り下がりませんよう。
[血に狂い、憎悪に染まる姿の何と醜いことか。
好奇心に駆られて落魄れることはないと、冷めた声が囁く。]
戯れる余裕があるのも、また困りものですけれど。
[続く音は、苦笑交じりに。
毒をも楽しむ彼の兄への、捻くれた男が零した賞賛の言葉だった。
返事を求めぬ呟きだと示すように、気配はすぐに離れて行く。]
― サロン ―
[ノックもせずに部屋へと入る。
城の主の姿を見とめれば、胡散臭い笑みを浮かべて仰々しく一礼した。]
これはこれは野茨公。本日もご機嫌麗しゅう。
偶然公に会えるとは、何と幸福な日なのでしょうか。
[ドアを開ける前から気配は察しているし、彼もまたそのことを知っているだろう。
唇は見え見えの嘘を滑らかに紡ぎ、笑みを形作った。]
本日はシュトラウス家のご令嬢がお見えになられると言うことで。
私も同席してよろしいですか?
[言葉はあくまで問いの形を取っているが、既に下座の椅子に手をかけ、腰かけている。
肘掛けに腕を置き、両の指を腹の前で組み合わせた。]
/*
自分勝手に憎む吸血鬼などどうでもいいと思っていると言うかやっぱり嫌いだけど、吸血鬼だから全員嫌いという訳ではない。
目には目を、歯には歯を精神。
ギィは嫌いじゃない。借りは返す。
ヴィンセントも嫌いじゃない。遠くから見て楽しんでる。
ジークムントはどうだろうね。
― サロン ―
[意識の大部分をよそへやっていた城主は
扉が開く音に合わせて、その半ばを引き戻した。
黒髪の同族が入ってくれば、片手を差し上げて歓迎の意を示す。]
君も変わりないようでなによりだよ、アレクシス。
我らが出会えたたまさかの幸運に、乾杯を。
[ささやかな芝居に応えて乾杯のしぐさをする。
ふりだけになってしまったのは、弟にグラスを没収されたから。]
[客人を迎える席に同伴したいとの申し出に、笑顔で頷く。]
そうするといい。きっと彼女も喜ぶ。
今日はあの可愛い子も連れて来ているそうだよ。
あの子はもう我らの流儀に馴染んだろうかね。
[口にするのは、シュトラウス家の娘が得た子供のこと。
幾度か会ったが、実に飽きない、楽しい相手だと公言している。]
ああ、そうだ。
[白々しくも(城主にとっては)楽しい会話のさなか、
不意に思い出したように懐を探る。
長い指が内ポケットからつまみ出したのは、小さな金色のもの。
野茨の意匠の中に金の花が咲き、濃い赤色の石が嵌っている。
どうやらそれはペンダントのようだ。]
これを、君に渡しておこうと思っていたんだ。
[指先でそれをつまんだまま、アレクシスの方に手を伸ばした。]
/*
奴隷さんいらっしゃい! とメモに書き忘れたことに気づいたけれど、役職とは言えこの書き方すごいなあ、としみじみしている。
皆素敵だなそわそわ。
クルースニク側も気になるけれど、まずはプロの間に吸血鬼側との距離感を探るお仕事。
24h更新でスピーディーだからね、ある程度絞って行動しないと手が回らなくなりそう。気を付ける!
― サロンへと向かう廊下 ―
[何が可笑しいと問われれば、彼の反応が。と答えるしかないのだが。
明かせば更に態度を硬化させるだけだと目に見えているから、もう一つの問いにだけ応う事にする>>101]
あら、聞きたいの?
――勿論、目の中に入れても痛くない、愛しい血子だと
思っていてよ?
[聖母の如く穏やかに湛えた微笑みは、三秒と持たず]
…本当、私の事が大嫌いよねぇ、貴方は。
[揶揄めいた底意地の悪い表情とは裏腹に、愉快そうに呟きながら、さっさと彼の先に立って歩く。
幾ら血の親を厭えど、結局の所、彼は自分に付き随わざるを得ないのだと知っている故]
[掲げられる空杯に目を細めて、自身も同じ仕草を返す。
満たされる液体は琥珀か、深紅か。
どちらにしろ、上質なものに変わりない。
舌が酒精の味を求める気配に、軽く咳払いをした。]
あぁ、ご令嬢にはお子がいらっしゃったのでしたね。
随分と奔放な方とお聞きしておりましたから、当時は随分と驚いたものです。
[城に来て数年、己の立場を弁えているので、客人の前にはほとんど姿を現さない。
相手によっては嫌がらせのために顔を覗かせることはあれど、こうしてきちんと席について誰かを待つということは皆無に等しかった。
自身を嫌う吸血鬼たちを好く理由もなく、それならば会う道理もない。
今日こうしてここにいるのは、ヴィンセントと出逢った偶然と、ただの気まぐれからだ。]
公に気に入られるとは、何とも運のないお方だ。
喰らい尽くしてしまわぬよう、骨は残してあげてくださいね。
[冗談交じりに呟いて、くつくつと喉を鳴らす。
野茨公から二人の話は耳にすることがあったため、ほんのわずかではあるが、興味が湧いていることも事実だった。**]
― 回想・半年前 ―
[幾重にもドレープを寄せたシャンパンゴールドの礼装姿は、月光を吸い、薄暗い庭園に仄白く映える。
人間を拐かし、甘い血を啜るべく生まれついた女の容貌は、目元を縁取る仮面越しにも衆目を惹いた。
美辞に紛らせ、何処の令嬢か探ろうとする紳士達を、思わせぶりな微笑で以って躱すにもとうに飽いた。
必定として伴った血子は、宴席には意も肌も添うまいと、“支障のない”範囲で何処へなりと行くよう申し渡してある。
彼の口数の乏しさが、今は恋しくさえ感じられた。
咲き誇る白薔薇を戯れに手折れば、薄絹の手袋越しに、棘が柔く肌を刺す。滲む血が花弁に印する痕に唇を寄せると、純白は一瞬にして真紅に染まり、強い芳香が漂う]
――………、
[人気を感じ振り返れば、疎ましげに独りごちる青年の姿>>135
隠し切れぬ畏怖の混じった祝辞の数々を、一身に受けていた貴人だと気づく]
[周りから聞けば寒々しくも取れるであろう会話も、捻くれた男にとっては決して悪いものではない。
口元に浮かぶ笑みが本物に変わる頃、差し出されたペンダントに目を瞬かせた。]
私にですか。
残念ながら、いくら貢がれようとも、お返しできる物はありませんよ。
[そんな言葉を呟きながらも、指は赤い石へと伸びる。
金細工を指先がなぞり、胡乱げな瞳をギィへと向けた。]
何のつもりです。
私の機嫌をとっても、何の意味もないでしょうに。
[石に触れはすれど、手元に引き寄せるまではいかない。
笑みを消し、不可解な行動に警戒の意を示した。**]
失礼。お一人でいらしたいのなら、この場所は適当な
選択ではなかったようですわ。
今宵の主賓が、こんな所においでになってよろしいの?
[噴水の影から歩み出、先客の存在を自ら知らせる。
周囲の待遇に倦んだ言葉>>135>>136は、鋭敏な耳に届いていた。
けれど、選んだ言葉は気を利かせる心算などない、幾分疲れを抱えた自身のためのもの。
首尾よく両親の目を盗み、人里まで忍んだというのに、これでは同族の閉鎖的な社交の場と、まるで代わり映えがしない。
女の出自は、その純血を保つために、血族間での婚姻を繰り返してきた一族だ。血の濃さゆえか、当代の夫婦はなかなか実子に恵まれず、半ば諦めの末に得た娘を大切に育てた。
居城の近くに幾度か人間の侵攻を受けてからは、幼体の娘を、自ら狩りに出させる事もなく]
[その身に掛かる期待は、単純明快だ。恙無く長じて一族を率い、子を成し血を繋ぐこと。
両親は自らの苦労を踏まえ血統主義を和らげたのか、成体に達しつつある娘を、純血を問わず同族に引き合わせる機会も増えた]
……些か、お疲れのようにお見受けするけれど。
ねぇ、詰まらない事をお尋ねしても?
貴方――お一人の時間を、何方かに連れ戻されるのを
待ちながら過ごすのと、
後腐れのない相手と、他愛ないお喋りに興じるのと。
お疲れの時に、どちらをお好みになるかしら?
[自らの言を翻し問うたは、生来の気紛れゆえか。それとも**]
はは。
喰らいつくしたりしたら誰かに妬かれてしまうかもしれないな。
[アレクシスの冗談に、誰とも名を言わずに笑いを合わせる。
口元に置いた指を、舌先がちろりと舐めた。]
[伸びてきたアレクシスの指に視線を移し、なぞる動きを追う。
彼の顔に目を戻せば、胡乱げな瞳とぶつかった。]
これは、私だよ。
[ごく端的に言ってから、説明の要を思い出して言葉を添える。
曰く、自身の血を魔術的に固めた血石が嵌っているのだと。]
先日、麗しき夜の女神が下りてきて私に霊感を与えたのだよ。
君のためにこれを作っておくべきだとね。
私の客人だという印代わりになろうし、
それが効かない相手なれば、呼んでもらえればいい。
[小難しい装飾を取り払うならば、つまりは気まぐれだとの言。]
いつまでも城の中ばかりでは退屈だろう?
私の
ちゃんと監視しているという言い訳にね。
[いずれ外出を許すとの意図をさらりと添えた**]
10代前半じゃあ、ちょっとこの戦闘に出すのは哀れだし、
20越えていたら、さすがに教会のおかしさに気づくだろうし……ってことで、
あでるんの1コ下。
しかし、この教会、どう見ても悪役である。
― はじまりのとき ―
[血の親の手を離れ、城と狩場を任されて数十年。
孤独と隣り合わせの年月は、この享楽的な魔物にもいささか堪えた。
城に1人で暮らすことは、さほど苦ではない。
だが、世間の噂に耳を澄ませば、親しんだ名が次々と消えていく。
自分の存在が忘れ去られていくことが孤独を深くする。
この吸血鬼にも、そんな想いに沈んでいた時があったのだ。]
["父"がふらりと城に帰ってきたのは、そんな折だった。]
なにか忘れ物ですか? わが親愛なる父君。
[いささか皮肉気味に出迎えた"息子"を手荒く愛でたあと、
始祖はまだ生まれてからさほど年月を数えていない同族を
"息子"に預けた。否。押し付けた、と言っても過言ではなかろう。
『おまえの兄弟だ。仲良くやれ』
短い言葉と共に引き合わされた相手。
とにもかくにも、それが弟との初対面だった。]
["弟"を置いて身軽になった父は、またふらりと出かけていった。
きっとどこかを好きに放浪しているのだろう。
そういうひとなのだから。
残された子は弟を受け入れ、共に城で暮らし始める。
――― 孤独はもはや、過去のものとなった。]
吸ってこない魔物に攻撃するためには、
やっぱり自分で裂いて、ばしゃあーってぶつけるのかしら。
治療手段なかったら死ぬわ、私……。
そういえば、某MMOの追放天使の攻撃方法で、
翼の傷口からしたたる血をばしゃあーして攻撃っていうのがあったのよね。
我々は貧血にならないのかどうかという議論が、熱くかわされていたわ。
ブラッディウィング!
あなたの孤独は ── 狂おしい。
[隔てられた扉。
ぽつりと落とす声は独り言と異ならず。]
[>>137単なる偶然か、あるいは必然か、まるで被せるように後方からバルタザールの叱責が飛ぶ。
>>162反射的にびくりと肩を振るわせたが、前を見ればユーリエもまた反応を示していた。
結局、馬を引き歩いていた自分の声は馬上のオズワルドやリエヴルに届いていたかどうか、わからないままだ。]
…――副隊長
[ユーリエに合わせてゆっくりと進んでいるが、偵察から副隊長が戻った以上、いつ急ぐ事になるかも知れず。
馬の背に軽やかに飛び乗る。]
そんなに大きな声を出さないで下さい…、ユーリエまでびっくりしてます。
(やっぱり何か――、言うのを憚られるような事をしているんだろうか……?)
[バルタザールを一瞥してから前を向く、ユーリエの向こうに先頭を行くソマリと、リエブル、オズワルドの背中が見える。
重要な事を隠されたようなタイミングに、尚更疑問が沸いた。]
(いや…、例え何かを施していたとしても。それは魔物を討伐するのに必要な事だから…そのはず……、)
[隊列を先を見つめながら、その先の見えない道を映して、瞳は揺れていた。**]
― 厨房 ―
[アレクシスが去った後は足早にその場を離れた。
時ならぬ氷塊を浮かべたワイングラスを片付け、代わりのグラスを選ぶ。
ふと脳裏に先ほど目の当たりにしたアレクシスの血の香りが波立って、自らの指の先を氷の針でつつくと、そこに結ばれた血の珠玉を薄く──色の見えないほどにごく薄くグラスの縁へ塗り伸ばしてから、ギィの下に届けるよう命じて影に託した。]
…妬いて いるのでしょうか。
[この城の住人で、ギィが呼び込んだのではないのは自分一人だ。
そのことは、ヴィンセントにとって──]
― はじまりのとき ―
[人ならざるものに姿を変えてほどなく。
引き合わされたのは、楽器の弦を思わせる青年だった。
弾けば素晴らしい音色を奏でることがわかるのに、
扱いを間違えば、こちらの指を切るような。
響くために虚空を必要とするような。]
[彼の”父”を認めるのに、当時、司法の人間だった若者は理性と知性を総動員した。
そして、魔物を法で罰することはできないと判断し、納得づくで闇の世界に足を踏み入れた。
だが、
みちるものがあった。
それからずっと、二人は互いを張りつめさせ、奏で、打擲し、響き合って、世界を揺らして来た。
──ギィは
そこへ置きなさい。
[指示に従って平台の上に乗せられたのは10歳かそこらの少年の亡骸だ。
失血死であることは知っている。
吸血したのは自分だから。
生活が苦しくなると、育てきれない子供を森の奥に捨てるのは童話の中だけの話ではない。
この辺りの寒村では子供を売る先さえないのだから。
そうした哀れな子供をヴィンセントはこれまでたくさん喰らってきた。
膂力弱く、生命力に溢れ、不死を望むこともない無垢な者たちの熱い血潮を、己の命に代えて。]
[水差しを傾けて氷のナイフを作ると、ヴィンセントは死んだ少年の胸郭を切り開いて心臓を取り出す。
まだ弾力は失われていないものの、動きを止めた心臓はどことなく頼りなさを感じさせた。
掌におさまるサイズのそれを、ゆっくりと握る。
心房に残っていた最後の濃い血をショッグラスに溜めると、ヴィンセントは柔らかな心臓を影へ手渡した。]
いつのものように、私のラボに。
[犠牲者の心臓をミイラにして、標本のようにピンで留めておく、それがヴィンセントのいつものやり方、であった。]
[心臓を抜かれた空隙に、ヴィンセントは自分の血を一滴二滴、降り注ぐ。
胸郭の奥に宿る不定形の闇に血を与えるように。
そうして、亡骸は影たちの手で城の外へ出させ、狼たちにくれてやる。
骨までも森に還った後、死んだ少年になにがしかの未練が残っていれば、それは新たな影となって城に縛られることになるだろう。
吸血鬼に喰われた者は死後までも解放されない、そんな伝説のままに。]
……、
[少年の亡骸を森へと送れば、遠い日にあの森で出会った別の子供のことを思い出した。
猟犬の代わりに使っている獰猛な狼たちが尾を振って囲んだ幼い少年。
よもや腹這いにはならなかったが、ヴィンセントもギィもまた、その子供を牙にかけることなく放した。
気まぐれ? いや、多分、違う──
ギィは今でも時折、あの子供の話をする。
ヴィンセントは関心がない素振りをする。
再会したところで、おそらく──手を出せぬと思うゆえ。]
[首を振って昔日の回想を終了し、ヴィンセントは深紅をたたえたショットグラスを錫のトレイに乗せた。
運んでゆく先は、ジークムントのことろだ。
邪悪から隔離されるように聖域で育てられてきたジークムントは、ギィの血を分ち与えられ闇の眷属となった今も、人の血を糧とすることに抵抗をもっているという。
だから、人の血脈から直接啜るのでなく、こうして搾り取った血をグラスに入れて勧めることにした。
死者の血は、実に苦い。
ヴィンセントなら飲みたいとは思わない。
だが、その苦みも自らの業を悔いる彼にはふさわしかろう──
そんな勝手な理屈をつけて、ヴィンセントはジークムントの部屋へと向かった。*]
― 野茨城・サロン ―
お久しゅうございます、野茨公、弟君。
此度のお招き、光栄に存じますわ。
[やがてサロンに至ると、ドレスの裾を摘まみ、滑らかに片膝を退く。
随える青年は、自らああ言ったからには>>60彼なりの礼をとるだろうと促しはせず。形ばかりの礼を済ませれば、淑やかさを損ねない程度に足早に歩み寄る。
始祖の血を源とする城主は、気兼ねせずに済む限られた縁者でもあり、その奔放な気質に親近感めいたものも抱いている。
今回の滞在も招待とは名ばかりで、実のところ、折を見て城に呼び寄せてくれるようねだった結果]
またこちらにお伺いできて嬉しい、ギィ様とヴィンセント様に
お会いできるの、ずっと楽しみにしてたんですもの。
[その顔には、稚い娘のような笑みが広がる]
[強い言葉を返すバルタザールに、獣の背を撫でるよう落ちる右手。
彼>>116の言うとおり、指揮を任されているのは、
貴族としての地位だけでなく、己が戦術を弁えるからだ。
歴代受け継がれてきた魔狩の一手、二手。
サイキカル家の本質は、騎士としての腕より布陣にある。]
―――オズワルドとリエヴルは云わずとも前に出る。
君も先陣を切りたいだろう、後衛は受け持とう。
アデルとユーリエは切り札だ、
尖兵相手に落とされる訳には行かない。
バルティ、君は盾となり、剣となれ。
万一の折は君ごと吹き飛ばす、君も躊躇いを覚えるなよ?
[視線のスライドだけで、聖女>>113と神子>>123を示唆。
最後は挑発めいて、言葉を添える。
神聖帯びた二人に対し、血生臭い聖将は囁いた。]
ユーリエ、怯えずとも良いよ。
バルティは淑女の手解きを心得ない男だからね。
腕は確かだけれど、洒落を聞きやしない。
けれど、彼が一番、君を護ってくれるかもしれないよ。
彼は―――…希望の盾になる男だからね。
[微かに肩を震わせたユーリエへと軽い口調を飛ばす。
軍人の怒号など右から左と慣れた身だが、
少女の違和感を見過ごすのも、男の廃れる話。
バルタザールの横顔へ視線を投げ、
同意を求めるように首を捻って見せた。]
[聞かされたのは、創造の呪を身に宿す末裔の名。
旧き同族の口に上る折には、その響きは往々にして嫌悪を孕む。
けれど、眼前の男についてそれ以上もそれ以下も知り及ばぬ娘には、厭うも好くもない。
彼がその呪を同胞に蔓延らせる趣味でも持ち合わせていれば、また話は変わってくるが、城主の客人に無礼を働く気などなく]
お初にお目に懸ります、アプサラス・シュトラウスと申します。
どうぞお見知りおき下さいませ。
[――何よりも、この親戚の客人である以上は興をそそる人物なのだろうと推察し、柔らかな笑みで好奇心を綺麗に包み隠す]
[アレクシスとの挨拶が一旦落ち着けば、勧められるままソファーに腰掛け、ふとギィを見遣り]
ギィ様、今日はヴィンセント様はお出かけですの?
お借りしていたご本、直接お返ししたかったのですけれど…
[読書を趣味とする彼の蔵書は、娘の目にも面白く映った。
野茨城に向かう道中、口数の少ない同伴者よりも、書物の方が供の役目を果たしていたかも知れない。]
― 回想 ―
[煩わしく思うのは、己の責務に理由をつけること。
背に羽を生やした如く自由奔放な本質に、
義務の重石を乗せて地に留まる性質。
噴水に溜まる水面に木の葉が落ちる頃、
一つの侵攻が計画されていた。
野茨城と呼ばれる辺境城を落とせと言うのだ。
野茨城陥落により、使徒開発は真の完成を見る。
それ自体には何の感慨も覚えない。
己の身体が作り変わったことも、
次子と生まれた時から言い聞かされてきた。
唯一、今の己が不満を抱えるとすれば―――、]
華が足りない。
― 回想 ―
[吐息を散らして頭を揺らす。
魔の宿る右手を取って一曲踊る物好きなど、
慎ましさと従順こそ美徳として教えられる上流階級の
やんごとなき姫君等が進んで興じる筈も無い。
人気のない場所に逃げてきたのは、
供物のように当主の命で円舞曲を願う淑女等から
逃れたいと言う思いもあった。
仮面を白手袋に包まれた指先で撫でた所で、人の気配を感じた。>>155
鈴を転がす涼とした声に誘われ、顔を起こせば、
月明かりを集めたドレスに身を包む麗人。]
――…月夜の華に誘われず、歓談に勤しむ男がどれ程居るかな?
[口元に笑みを浮かべて、彼女の揶揄を甘い言葉で包んで返す。
彼女の纏う雰囲気より、社交の場へと連れ出された息女と悟り。]
[掌を差し出してから、ふと。
彼女も己の正体を知るのなら、
多くの淑女がそうしたように、この右手を一瞥し、
ドレスの裾を少しだけ摘みあげて辞退するだろうかと考えた。
本来は真っ先に計算高く至る思考が遅れたのは、
この右手から、運命の月が零れ落ちるか、
彼女で計ってみたかったのかも知れなかった*]
嫉妬の炎に焼き尽くされて灰になるようなことは、ご遠慮いただきたいですね。
私にもやはり、選ぶ権利はありますから。
[命を救ってもらった借りは、命で返す。そう決めている。
野茨公には話していないし、話すつもりもない。
だからそんな馬鹿らしい理由で死んでくれるなと>>157、ただそれだけを紡ぎ、口の端を上向かせた。
燃えるような赤、蠢く舌が、網膜に焼き付いた景色と重なる。
無意識の内に、細長い指が手の甲を撫ぜた。]
[それから差し出されたペンダントに触れ、彼の気まぐれを耳にする。
触れた宝石は鈍く煌めいて、拍動すら感じられるようだった。
引き寄せる力を込め、彼の手からそれを受け取る。]
折角準備して頂いた物を無下にする程、私も捻くれてはいませんので。
有り難く頂戴するとしましょう。
[四つの爪痕残る手のひらの上で、赤い宝石が踊る。
喜びも悲しみもない、僅かな呆れだけを宿した瞳が、赤い色を見下ろしていた。
金の鎖部分に手を滑らせ、長い髪を払い、首の後ろでペンダントを留める。
心臓の上に血の宝玉が触れたのを確認すると、服の内にそれを仕舞った。
布の上から手のひらを乗せ、視線だけで礼をする。
制限の減る生活を与えてくれたことへの感謝だ。
それ以上もそれ以下もない感情だけを瞳に乗せ、ただ静かに瞬いた。]
[黒いドレスを纏った美女が訪れたのは、それから少し後のことだったか。
優雅な礼を目にしてソファから立ち上がると、こちらも形式的な一礼を返す。
城主から紹介があるまでは口を開くこともなく>>175、冷めた感情の浮かんだ瞳を隠すように、にっこりと微笑んだ。]
お初にお目にかかります、レディ・シュトラウス。
私のことはどうぞ、アレクシス、とお呼びください。
[彼女の表情>>179からは、嫌悪も憎悪も読み取れない。
笑みの下に好奇心が隠れていようとは、思いもしなかった。
だから親族に被害者がいなかったのだろうと、ただそれだけを理解して、名と姿を記憶に留める。
嫌われていないのなら嫌いはしない。ただし好いている訳でもない。
男にとって吸血鬼というは、そういうものだ。]
そして君がレディのお子ですか。
名前を聞いても?
[隣に控えているであろう青年にも形だけの声をかける。
欠片だけの興味、あとはただの気紛れだ。]
―回想/教会の尖塔―
[――ひとりきりの淋しさが野茨の主を呼ぶ。
冴えわたる夜空に浮かぶ月が繋いだ奇跡か。
仄暗い部屋には一つきりの窓と一つきりの扉。
窓から射し込む優しい月明かりだけが頼りとなる空間。
初めての邂逅は幽閉に近い生活を送っていたその時まで遡る。
眠れぬ夜に寝台に座る子供は物憂げな吐息を零した。
ひとりにも慣れたと思っていたはずなのに
夜になれば心の幼さが淋しさを思い出させる。]
叶うなら、誰か――。
[傍にいて欲しい。
そんな思いをもって声が紡がれる。]
それでいいんだよ。
[下手に考えるぐらいならば違うことを考えるぐらいの力の抜けかたのほうがマシだ。]
そうそう浪漫ってやつだ。殺伐とした空間だらけよりも華があるほうが心も休まる。今回はいつもよりは目に潤いのある任務だ。
[>>126口調は軽くしながら、目に潤いのあるユーリエやアデルを一度づつみやる。気を付けて>>128、などと言われたことが久しくなかったため、少しの間を置いた後、うなずいて返し]
ま、そんなことばっか考えると、ああして止めてくれる人間がいるから楽なんだが、おっかねーのが珠に傷だ。
[バルタザールからの最もな叱責と割り込んだ意図を察しながら肩を竦めて、軽い調子で一瞬おびえた二人へといった後、乱れていた隊列を戻した]
[祈るような心地で伏せた睫は髪と同じ白銀。
頬に落ちた影が、ふと、何かの気配を感じ震えた。
目を開けて顔を気配のする方へと向ける。
そうして翠玉のような双眸に映り込むのは
翳りにありながらも咲き誇る白薔薇の如き存在。
誰かが居る事などあり得ないと思いながらも
目を奪われて声を発することも出来なかった。]
――…。
[幾許かの間の後、思い出したように息をのむ。
はたり、はたり、と、瞬きを繰り返し]
貴方は、月の精霊か、それとも薔薇の化身か。
[しのぶ蔓から仄かに香る薔薇の気配にそんな言葉を投げかけた。*]
ようこそ。
歓迎します、我が主。
――私も、貴方の声を聴けて、嬉しく思います。
[視線下げたままあれば彼の左踵より蔓伸びるのが見えるけれど
差異を知っても当人に対すると同じ態で
扉から身を引き野茨公を室内に招くように広げた片手の指先を奥に向けた。]
/*
アレクシスじゃなくて、アレクセイと言ってしまいそうになる病。
野茨公:嫌いじゃない
ヴィンセント公:まぁ嫌いじゃない
レディ・シュトラウス:嫌われてないなら楽。あまり興味ない
シメオン君:基本興味ない。僅かに
何この腹立たしい人は……!
薬屋さんの時普通に接してくれたお客さんたちは、まぁ好きくらいの感情はあるよ。
でも他は大概嫌いか興味ないかだよ!
/*
奴隷さんが来てくださるとは嬉しいなぁ!
てっきりフルメンあっても霊媒師さんかと思っていたので、
俄然気炎が上がってまいりました。
(そして消えてゆくポイント…)
[異形をその内に宿す右手に、魔として生を享けた女は、躊躇うことなく右手を預け。
男に委ねるべき左手に、血染めの薔薇を囲い微笑む。
――二度とまみえる事もない男に、呪を施す労を払う気もないが。
さてどうするだろうかと、悪戯心が頭を擡げる]
/*
!
表では左右正しかったのに、秘話で手が逆だわ…!
そして気づいても秘話は削除できない……
ソマリお願い、優しくスル―して頂戴…!(祈
―サロンへと向かう廊下―
[>>151聖母の如き笑みと共に返ってきた言葉には、顰め面をした後に]
―それはそれは。
愚かな民草出身の俺などには身に余る光栄です、お母様。
[この親の事、どうせ言葉遊びのようなものだろうと判じ、棘のある視線と共に慇懃無礼な態度でお返しする。
絶世の美女と称される血親の貌に浮かんだ束の間の微笑みはその時にはとっくに消えていただろう。
綺麗だとは思うが、それ以上の感情は抱かない。]
……。
[分かっているなら聞くなと無言で応じる。
けれど愉快そうな響きを感じれば僅かに鼻を鳴らした。
理解してはいるのだ。――自分はこの血親に枷を付けられているという事を。]
[そしてまた、何事もなかったかのように廊下を歩いて行っただろうか。]
……俺の”家族”は、あいつらだけだ。
[自分の家族は血で繋がった家族と、兄弟のように育った幼馴染。
けれど存在を忌まれる人外の身には、そう思う事すら許されてはいないのかもしれない。
ひっそりと呟いた言葉は廊下に吸い込まれた。]
―回想:6年前―
…なー、リエ。水…。
[大泣きした上にそれを誤魔化す為に飲み過ぎた。
今日の出来事は、きっと後々の語り草になるだろう。
過ぎた酒に鈍く痛む頭を押さえながら、男は傍らの幼馴染みに水を所望する。
教会から貰った金によって、妹の結婚式は滞りなく終えた。
美しく着飾った妹を見送る気分は半ば親。
住み慣れた家を離れて教会の研究施設に赴けば、彼女ともなかなか会えない寂しさもあっての無茶だったとは思うが。]
……綺麗だったなー、あいつ。いつの間にか一人前の女になって。
[小さい頃は自分の傍を離れなかったくせに、と幼い頃の事を思い出して寂しげに笑う。
本人は口にしなかったが、彼女も年頃の娘だから綺麗な服を着たかっただろう。
仕方ないとはいえ、随分と我慢を強いていたと思うから、せめて晴れの日には着飾らせてやりたかったのだ。苦楽を共にして来た妹には、世界一幸せになって欲しいと思っていたから。]
[花嫁衣装や新しい生活に必要な物の支度をしても余裕がある金額の対価に、男は数年間、教会の人体実験に協力する契約となっている。
――その実験の目的は魔物に対抗する戦士を育てあげる為。
被験体である男には、新たな力を生み出し、戦士に宿す為の礎になれ、と。
途中で死亡したとしても、事故死と言う形で処理される。その意思を示す書類には迷わずにサインをした。
男の仕事は街の小間物商。その稼ぎでは慎ましく生活を送るのがやっとだった。
妹は兄が突然知り合いに店を任せ、大金を用立てた事に驚いていたが、真実を隠したがる兄のついた嘘に最後には黙って頷いた。]
あー、俺今死んでもいいわ。
…まぁ、死なねぇけど。
[今死んでは教会に訴えられそうだが、強硬な態度には出るまい、と思っている。
魔物の存在や人体実験については大衆には知らされていない事実。
もしもそれらが詳らかになったならば、教会は少なからず民衆の反発を受けるだろう。
酒精に身を委ねていた男の目は不意に真剣な光を帯びる。]
……なぁ、リエ。
お前も悔いのないようにしとけよ。
[人体実験には命の危険もあるのだから、と言外に滲ませ。
自分はこれで悔いはない。
いつ死を迎えても構わない。――出来たら伯父になりたいものだが。
けれど兄弟のように過ごしてきた幼馴染には途中で散って欲しくはない、と。
そう願ったのは彼に伝わるだろうか。*]
……?
[>>175アプサラスの言葉でその場にいるのは城主と見知らぬ男であることに気付き。
そういえば城主の弟の髪は自分に似た銀だったと思い出す。
母に倣って軽く彼に会釈をし、城主の紹介を待った。]
――…。
[聞かされた話には思わず目を瞬かせ、アレクシスに不躾な視線を送ってしまったかもしれない。
吸血鬼になってそう年を重ねていない男には何の柵も存在せず、そういった血を持つ者もいるのかと思う程度。
此方に害を及ぼさぬようであれば、特に構えることなく接するだろう。
>>189アレクシスに名を問われれば、名前に続き名乗り慣れた姓を続けようとして口を噤み、頭を下げる事で苦み走った顔を隠す。]
――アプサラス・シュトラウスが息子、シメオン・ラン…
……いえ、失礼致しました。
どうぞお見知りおきを。
[当然ながら、この場合にはシュトラウスと名乗るのが普通だ。
――ランツィンガーと名乗る資格は、もうない。**]
―――ク…ッ、
[思わず笑ってしまった。
まるで、易くはないの。と誇示する一輪に喉仏が上下。]
――…レディ? いいや、お嬢さん。
君は何処の深窓で育てられたのか。
薔薇の棘を恐れて、手を引く男しか知らないか?
それとも、ワルツはお嫌いかな?
[笑気を収めきれぬまま、既に得た彼女の片手を引いて、
ステップを弁える足が彼女を誘う。
一度、片足引いて手背に唇を乗せず、キスの真似事落とせば、
彼女の掌を持ち替え、己の右手は彼女の腰を抱くポジション。]
>>176
[神の誅戮の剣として形づくられた男は、それに答える要を感じなかった。
必要とあらば、生命を捨てることも修道騎士の使命。
己の生死も魂も、はなから神と教会に委ねている。]
[本来のワルツと左右反転させたステップは、
貴族にとってサロンで興じられる娯楽教養だ。
リードを得る男は、女性役のステップは
自重が男側――つまり、己に掛かると知っている。
彼女が薔薇を手にしたままなら、身は己の胸元へ。
手放せば、肩を貸して、ワルツの形へ移行させようか。
本来の足運びでは、バランスが取れぬだろう右軸。
彼女を見やる仮面越しの瞳が、茶化すように笑い。]
― サロン ―
――……、…
[城主達には礼を払うべく「努力はする」と明言した青年は、果たして有言実行できているだろうか。
何かあれば目配せ位はする心算で、時折さりげなく視界に入れる。
彼に血の呪を強いた女に対しては、先程のような慇懃無礼でさえも珍しい>>198
皮肉たっぷりの呼び名には、珍しさの余り、常は向けることのない無防備な笑みが覗いた程に。
続く言葉>>199も、人間より遙かに敏い耳は聞き届けていたが。
彼が自分を慕う日を期待した事など、唯の一度としてなく。
そう仕向ける気も、端からない。
事実が音に成っただけの言葉には、顔色一つ変えはせず]
>>178
[視線を向けられても、その硬い面は変わりなく儼乎なまま。
アデルのもの問いたげな様子にも、聖女の怯えにも、気付いていなくはないのだろうが。
少年少女に安堵を与える言辞は、ついぞその唇から出でることはない。]
私は魔を滅せんがために此処に在る。
それ以上でもそれ以下でもない。
[分かりきったことを言わせるなと言いたげな眼差し、端的に答えた。]
[血玉を受け取って身に着けるアレクシスの手指。
ひらいた彼の掌の上、4つの赤い印を目にすれば、
溶けた鉛を飲んだような焦熱が喉奥に広がる。
今すぐ目の前の彼を押し倒し、引き裂いてしまいたい。
ほとんど暴力的な衝動を、自らの指を噛んで堪えた。
鉄錆の味が、舌に滲む。]
いつか、君の―――
[礼をする彼になにか言いさした時、
扉の外に訪問者の気配が現れた。]
/*
ソマリはほんと、どうしてこう……
初っ端から格好良さを自重する気が、欠片もないのかしら…!?
誑かしポジは、こっちの筈よね…?
[役職希望を指差し確認してみる]
……でもこうなるとは思ってた。異存はないわ。
[表面上をなぞるような言葉を投げても、彼女>>200は柔らかな声を返す。
浮かべる笑みが深くなるのを見て、だからこそ、ただお綺麗なだけではないことを知った。
アプサラス・フォン・シュトラウスは、他の吸血鬼に比べ僅かに強く、男の心の中へ残る。]
……っふ、はは。
いいね、その目。嫌いじゃない。
[母に付き従う息子>>209の視線を受ければ、小さく笑みを漏らしながら珍しく言葉を崩し、本音を僅かに漏らした。
嫌いじゃないという評は、野茨公にも投げかけたものだ。
男を知る者にとっては、結構な賛辞であるということが分かるだろう。]
[彼の視線は、薬屋を営んでいた時の客たちに少しだけ似ていた。
森の奥深く、夜にだけ開く薬屋というものは、やはり物珍しかったのだろう。
遠慮のない瞳が、こちらに向けられていたことを思い出す。]
シメオン・ラン?
蘭は異国の言語で花の名を指すといいます。
よろしくお願いしますね、ラン。
[ミドルネームだと思い、気に入った響きを繰り返す。
脳裏には森で暮らしていた頃の花々が浮かび、懐かしさに目を細めた。]
/*
仕掛けたつもりが転がされてる感(ごろごろ)
流石です、吸血鬼様方。
シメオンなんて足元にも及ばないね!
シメオンの精神年齢低くないですか?
――うん、ちょっとそう思ってる()
― ジークムントの部屋 ―
[扉の内から通る声は、木々を抜ける蒼光のよう。
開かれた扉の傍で頭を垂れた、その項に視線を注ぎ、
歩み寄って手を差し伸べる。]
嬉しいことを言ってくれるね。
私はおまえと会うたびに、胸の高鳴りを覚えているというのに。
突然目の前に現れでもしたら、
きっと、私の心臓は破れてしまう。
[我が子の言葉に応えて微笑み、誘われるままに部屋の中へ進む。]
―――おまえの嘆く声が聞こえたのでね。
寂しい思いをさせていないか、心配になったのだよ。
私は、おまえから苦しみを取り除いてやりたい。
私の宝よ。
[訪問の意図を告げながら部屋の中ほどへと進み、
向き直って、誘うように両手を広げた。]
[野茨公>>212の戯れに似た言葉に揺らぐのは、自身の役割ではない。
視線が、牙が、血を求めようとも、はいそうですかと差し出す優しさは、生憎持ち合わせていなかった。
献身的な傾倒は、彼の弟や彼の血の息子だけで十分だろう。]
……。
[野茨公らが語らっている間は、ただ静かにその場へ鎮座している。
影が持ってきたグラス>>166を受けとり、小波一つない湖面に似た瞳に、鮮やかな色を映す。
服の下に隠された血玉だけが、心の代わりだとでも言うように、静かに揺れていた。]
―幼き日―
[風のない、穏やかな夜だった。
銀灰色の毛並みを持つ母と兄弟達に誘われ、その背中に乗って蛍を観に行った。
頭上を見上げれば、黒い木々の枝影が開けた夜空に蒼い大きな月と満天の星が散り。
手の届かない遙か天上から降り注ぐ星屑の光が、鏡のような湖面に映し出されて、小さな恋の光りを灯した蛍達が乱舞する。]
わぁ〜! いっぱい いるよ!
[飛び回る小さな光りを捕まえようと追いかけて、追いかけて、湖に落ちそうなっては兄弟に服を咥えられ、かろうじて湖に落ちずに済む。
「強く握ったら、死んでしまうわ」
狼の姿の母は、ゆったりと横になり。たった短い一言で、優しく扱う事を教えた。]
……――だれ?
[遊び回るのにも飽きて、母の身体に頭を預けて眠りに旅立っていた少年は、初めて見る大人の男達を前に目をしばたたかせる。薔薇のように赤い髪の人と、母のように銀色の髪の人。
母や兄のまねをして、鼻をひくつくせてみても、何の匂いもしない。
生んでくれた本当の母が人間だと言うことは聞かせれていた、その時、血に混じって父親の匂いがしたとも。]
???
[その馨が――湖の向こうに住む城の主様達と、どこか同じような匂いがしたと言うことは知らされず。
無邪気に小首を傾げて、母が人里から得てきた数少ない絵本に描かれてきた王子様のような男達に手を差し伸べる。
そのとき、いつも首から下げている"本当の母の形見"が月光を受けて煌めいた。*]
― 回想/別邸庭園 ―
[男の纏う仮面は、本性はおろか、不躾に唇へ注がれる瞳さえ隠していない。
こちらも咎める如く刺す視線を、敢えて晒して]
………。
“レディ”が、貴方の目の前に立っているのだけど。
それ以外に、紳士が紳士たる理由が御入用かしら?
[実際に、己が淑女であるかは別として。
彼が自ら口にしたからには、その認識に拠っていい筈だと]
― 回想:6年前 ―
[女みたいな呼びかたをするな。と幼い頃はいっていたが、それも今では慣れてしまった。
その名で呼ぶ男>>204に]
だから飲み過ぎだっていっただろうが、ファミルちゃんなんて呆れてたし、見てるこっちも恥ずかしかったぞ。
[呆れながらも、そっと水を汲んで幼馴染の前に置いて、向き合うように椅子に腰かける]
ああ…そうだな。見違えるようになって、ファミルちゃん嬉しそうだったな。
昔はなかなか打ち解けてくれずに困らせてくれた女の子が今では旦那を得るまでになるなんて月日の流れは凄いな。
[自分にとっても幼馴染の妹は非常に近い存在だ。近いゆえに色恋沙汰のような感情もないが、第二の兄のように思えてもらえれば嬉しく思える程度には親しい。
だから自然と、妹を大事に想う幼馴染へと思い出話を訥々と語っていく]
物騒でもねーこというな。リアリティがありすぎるんだよ。
[流行り病の一つで死ねる世の中だ。お伽噺にもある魔物なんてものが近くにいれば尚更に近く、その魔に対抗するための実験体となれば、更に倍率も跳ね上がることぐらい自覚はしている。
だがそれでも、妹のためにと、金を教会に求めた幼馴染。一つの結果を得られたからだ。今日ぐらいは不謹慎な言葉も大目に見よう。
対して自分はといえば、幼馴染にはいっていないが、教会の実験をする肉体としての素養が高かったらしい。実験に応じねば異端者として裁かれるとあれば、開き直りふてぶてしく代価を求めたほうが楽というものだ。
一応なりとも捨て子だった自分を拾い老夫婦に引き取られるまで預かってくれた孤児院には恩もあるため金を送る先はあり、金を必要以上に持て余すこともなかった。]
[とはいえ、そんな明確な目的をもっていなかった自分を幼馴染>>206は察していたのかもしれない。…ああ、そういえば育ての祖父母の墓参りしないとな。明日にでもいくか。ふと思考が横道を逸れていた意識が幼馴染の真剣な眼差しで引き戻される]
じゃあ、俺の両親が誰だったのか。探してみるか。ってのは冗談だが…
[自分で言葉にして雲をつかむような話だと思う。それにしったところで何か感情を抱けるとは思えない。]
当面は、肩を並べることになるやつらを死なせないようにしてれば悔いはねーかな。
[そう、その時は口にした。
その悔いにならない。守りたいと思う最たる存在へと向けた願いはかなうことなく――*]
― 城へ向かう道中 ―
[忘れてしまった願いは埋まり。
今、願いを問われれば、過去の自分が口にしたことと、手段と目的が入れ替わったことを口にすることとなるだろう。
もうすぐだ。もうすぐはじまる。漏れ出る息は密かに熱いものへと変わっていた]
………、
[男の咽喉から零れた笑い声に、微かに唇が尖る。
与えられた呼称が早々に取り下げられたのを聞けば、ますます淑やかに振る舞う気は失せた]
――貴方のように、不作法な人のいない場所。
[素っ気ない程、簡潔に答え]
リードがお上手な方となら、嫌いではないわ。
[貴方はどうかしら、と言外に疑問を呈した。
これだけ強引な男が、巧みに女性をリードなぞできるものかと訝しむ]
― 響き合うしらべ ―
[グラスから立ちのぼる香は、鮮やかに過去を蘇らせた。
同じ祖を持つ兄弟として共に暮らし始めてしばらくのこと。
互いに血を交わし、絆を確かめ合った。
口に含んだ血の爽やかさと奥に秘められた甘み。
もっとひらかせ、香り立たせてみたいような―――]
[弟とふたりの暮らしは、彩にみちあふれていた。
彼と出会うまで、世界には色がなかったのだと思うほどに。
最初の1年ほどは、彼を連れて様々なことをした。
共に狩りにも行き、舞踏会にも連れていった。
ふたりでいるだけで世界に音が満ち、花が咲いた。]
[そんな時を幾夜も重ねたあと、ふと尋ねてみたのだ。]
―――ヴァンス。
おまえ、なにか楽器は弾けるのかい?
[問うておいてから、答えを待たずに首を振る。]
いや。
今はおまえ自身を奏でてみたい気分だな。
きっと、良い音を聞かせてくれるはずだ。
[熱を孕んだ視線を投げかけ、
腕を持ち上げて、嫋やかに差し招く。
声と視線で、絡め取ってしまいたいとばかりに。]
―――……、ッ
[口接の真似事に僅か息を呑み、男を見上げた瞳は、腰を支える所作に強張った。
今まで男を撥ねつけるには、言葉だけで事足りていたから、咄嗟に打つべき手も思い浮かばず。
引き寄せられるまま身体は傾ぎ、男の胸に自ら重みを委ねる姿勢]
貴方……、
よくもまぁ、慎みなんて言葉を口に出来たものね…?
[暗赤色の瞳が、仮面の奥で一瞬紅く揺らめいた]
[>>218男が僅かに下を向けた顔を上げようとした時、城主から言葉が掛けられる。]
…っ、
[まるで成長がないと馬鹿にされているような気がして、向けた視線には思わず険が混じった。
続いた言葉には絶対に許可を出すんじゃないぞ、と血親に視線を向けた後に]
誠に残念ですが、俺には城主様の話し相手になれる程の教養はありませんので。
……お心遣い、どうもありがとうございます。
[――どうやら向こうも覚えていたらしい。
何度も会っているわけではないのでそれも当たり前かもしれないが。
彼の視線と中指の先に気付けば、怒りで頭が沸騰しそうになったが、辛うじて笑みらしきものを張り付けてやり過ごす。
血親に対する態度に比べれば、かなり努力をした方だ。]
[小さな馬の嘶き聞いて、彼の言葉を耳に収めつつ>>228]
誰かを護れ、と言うことではないな。
ただ、動揺するなと言いたいだけさ。
―――…バルティも護衛が得意と言うわけでは無いんだが…、
使徒開発で最も重要なのは、発狂せずに耐えうる心だからな。
“目的”を忘れるなよ、リエヴル。
[どうせ、侵攻してしまえば、単独行動になる。
森の緑に茨が増え始めたのを見計らい、
彼の言葉に更に太めの釘を刺す。
初戦で挫かれる訳にも、この開発計画が徒労であったとも
烙印を押されるわけにはいかない。
それが、己に課せられた―――義務であったから。]
>>231
[同じ魔物殲滅を標榜しつつも、聖騎士を輩出した名家サイキカル家と修道会は立場も思惑も異とする。
故に互いに一朝事あらば袂を分かつと了承しつつも、バルタザールはこの一見軽佻な剣士に背後を委ねるを躊躇しなかった。]
……貴様がこの討伐隊の帥だ。
好きに使うがいい。
[最も合理的と判断した陣形ならば、と黙して後尾から前に歩を進め、聖女と神子、二人を守れる位置につけた。]
― サロン ―
[ほんの少しばかり懸念はしていたが、
アプサラスとアレクシスは、相性は悪くなかったらしい。
彼らの交わす言葉を隣でにこやかに聞き、
アレクシスがシメオンに興味を示すさまには、
面白いものを見た、という顔で二人に視線を走らせる。]
はは。謙遜することはないよ。
きっと面白い夜になる。
―――もちろん、攫ったりはしないから安心していいよ。
[シメオンから睨まれれば、思わず笑い声が零れた。]
[客人を交えての歓談の合間、影の声が城主の耳に届く。]
どうやら、今日のメインディッシュの準備が整ったようだよ。
サラが欲しいなら、後で直接も楽しんでもらうけれども、
まずは、前菜替わりに。
[再び運ばれたワイングラスに注がれていたのは、
今度は、濃い赤と微かなとろみをもった液体。
吸血鬼としての知覚に、華やかな香りが広がる。]
君が来ると聞いて、えりすぐりの素材を探しておいたんだ。
味が落ちないうちに、どうぞ。
[街で拐かしてきた、見目麗しい青年は、
今は、薔薇色の夢の中に眠らせてある。
獲物は男女問わず官能の内に引き裂いて
甘く蕩けた血を啜るのが好みではあったけれども、
今日のところはお預けだ。]
[グラスをアプサラスへと掲げてみせたあと、一息にあおる。
甘く香しい滋養が喉の奥へと滑り落ちていき、]
[皆で帰る、決して敗退を許さぬ。>>123
そうして奏でる少年は、聖なる神を抱く教会の暗部を知らない。
己も同じ目的を持つはずなのに、
彼ほど清廉と言い切れぬのは若さに欠けるからだと言い訳づいた。
軽く頭を振り、金糸を揺らすと、纏め髪を後方に払い。]
アデル、君じゃ盾になれない。
本当に護りたいと思うなら、
君はいつか、刃を振り下ろす時が来るだろう。
―――…まぁ、女の子を護るのは童話の時代から、男の役目だ。
期待しているよ。
[彼の決意にそっと差し挟む現実の声。>>239
最後は揶揄を混ぜ込むも、案外信憑性がある。
気を紛らわせるように放った声が、せめて彼の心に降り積もるように。]
― サロン ―
[今までのところ、シメオンの努力は実を結んでいると言ってもいい。
人間であった頃のファミリーネームを言い差し、打ち消す姿には、ほんの僅かに目を瞠った>>209
そこまでするよう強いた覚えはないが、彼にそうさせたのは、恐らく自分の存在ではないだろう。
弟の不在を説明するギィの声が届けば、緩く唇を綻ばせ>>216]
お部屋にいらっしゃるのね、良かった。
それでしたら、後でお邪魔させていただこうかしら。
また新しい本もお借りしたいし…
[几帳面な雰囲気を醸し出すヴィンセントが、グラスを割った理由。
それは、優雅にワインの香を愉しむ彼の兄に在るのではないか。
そんな確信に近い疑念を抱きつつも、彼に倣って酒香を堪能する事にする]
[野茨公に対するシメオン>>237の反応を見て、成程これは彼が気に入るはずだと、心の内だけで納得する。
言葉こそ体裁を保っていはいたが、表情や瞳に宿る険を隠しきれていない。
吹き出しそうになるのを腹筋に力を入れることで抑え、顔を横に逸らしてやり過ごした。]
構いませんよ。
視線で射殺そうとする輩より、見せ物扱いの方がよっぽどいい。
[男にしては気を利かせてフォローしたつもりなのだが、嫌味のような響きになってしまう。
だからといって気にするような繊細さも持ち合わせていなかった。
野茨公と同様の評であると自ら話すことはないので、シメオン>>238の反応を見ても、ただ胡散臭い笑みをたたえるだけだ。]
予告していた入村締め切り時刻ですが、「奴隷」希望者さんの入村が少し遅くなりそうなので、今しばらく編集を待機しています。
ご了承ください。
おや、お気に召しませんでしたか?
レディ・シュトラウスのお子は、随分と恥ずかしがり屋らしい。
[口調が砕けても>>240、眉を寄せるどころか、むしろ楽しそうに口元を緩ませて、くつくつと喉を鳴らす。
しょうがないとでも言うように、わざとらしく肩を竦めながら苦笑した。]
シメオンですね。
私のことはどうぞ、好きなように呼んでください。
[呼ぶことがあるかは分かりませんが、と要らぬ言葉を付け加えるのも忘れない。
相手の反応など気にする様子もなく、グラスを揺らしながら、甘い赤の香りを楽しんでいる。]
[それから城主の声>>246に合わせて、掲げられるグラスへ応えるよう、緩やかにグラスを持ち上げる。]
――乾杯。
その美貌に酔わされてしまわぬよう、心しなければなりませんね。
[そのまま口元に甘露を傾け、ゆっくりと飲み干した。
唇に残る赤を、同じ色に染まった舌が拭っていく。
染み渡る熱に僅か、熱い吐息を零した。]
/*
ユーリエの表とメモのテンションのギャップが可愛い。
アレクシスさんは可愛げの欠片もありませんが、通常営業です。
[もっとも、城に突入し、乱戦になれば、超常の魔物どもを相手にどれほど彼、彼女を守れるか、分かりはしないのだが。
虚偽を嫌う男は、心の内に何を秘めようと、気休めや方便で軽々しく約束を口にしない。]
― 響き合うしらべ ―
[魔に属することによって切り捨てられた昼の世界と、留められた時間の砂。
だがそれは、夜の機微と傍らに在る人の温もりをより深く際立たせた。
知らぬものを手探り、すでに知ったものを蘇らせ。
ギィと共に、ということそのものが触媒でありフィルターであった。]
……何せ普通のことをするだけだかな。
[緊張も動揺もない。それが日常。とばかりに付け足された言葉は小さく空気に溶けていった]
[耳朶をくすぐる「ヴァンス」という呼び声は、彼だけのシラブルだ。
彼の遠い母国の響きで交わされる秘め事。]
──ユベール…、
[辰砂は不死の瞳を蕩かす。]
―野茨城/自室―
[足元へと注いだ視界を遮るのは野茨公の端整な白磁のてのひら>>221
促されるようにゆるやかに顔を上げる。]
――…またそのような戯れを。
[甘やかな言葉の響きに胸がざわめくのを感じる。
もう大人であるというのに彼を前にすると恥じらいを思い出す。
冷静装おうと障りない応えを短く紡いだ。
老若男女問わず、彼に掛かれば堕とせぬ者は居ないだろう。
そんな蠱惑的な血の主に心乱された事は数えきれない。]
考えてみれば、それは此方の台詞でしょう。
心優しき我が主は、私の為思い訪れを知らせてくれる。
[初めての邂逅に呼吸を忘れてしまったように。
心臓が破れるならば己の方だろうと微苦笑を漏らした。]
[強き力を持つ野茨公にかかれば分身を操るのも造作なき事だろう。
生身と見紛うばかりの存在に感嘆する。
野茨公が室内に入ると扉を閉じてから彼の元へと歩み寄る。]
――…あの日もそうでしたね。
[淋しさを覚えた月夜に現れた白薔薇。
懐かしむように微笑んで]
たとえ離れていても貴方には何もかも御見通しだ。
[弱き心が淋しさを覚えさせ野茨公にそれを伝えたなら
淋しくなかったと口にするのは躊躇われた。]
主の傍に在れるだけで私には十分過ぎるほどなのに
戻れぬ場所への未練が断ち切れない。
この思いも己の未熟さが招いたこと。
あなたの心を煩わせてしまったなら――…
[かなしい、と音なく綴る。]
[逡巡は自分の無知を怖れたゆえに。
楽器となることすら想定されていなかった金属は、タクトは振り上げられて目覚めるだろう。
自身も知らなかった官能のアリアを。刻んで。]
― 回想/別邸庭園 ―
おや、それは手厳しい。
目の前の君に――…お嬢さんに見惚れるな、と?
[生憎両手は塞がっているとばかりに、首を振り、
態々言い直して、彼女の不興を好んで買い上げる。
彼女の腰を抱き寄せ、月下に広がるドレスが光を弾く。
軌跡を描いて、不満げな彼女を誘い、白薔薇の中で影を重ね。]
[宝とまで言ってくれるそのひとの両手が広げられると
はたりと驚いたような瞬きがひとつ。]
そうやってまた私を甘やかそうとする。
[照れ隠すように呟いて、一呼吸置いた。
そうして導かれるように歩み、野茨公との距離を詰める。]
/*ダメだ……。
リエヴルさんチップが何度見ても惚れる…///
個人的にリエヴルさんチップが好きすぎてもう、もう!! */
[男遊びに手馴れた麗人かと思いきや、中々如何して。
唇を尖らせ拗ねるように態度を変える彼女は少女のようだ。
子供染みていると考えるより先に、
彼女の反応に興を惹かれて口を開く。
鼻先をぶつけるほど近づく顔貌が、彼女の瞳を間近で覗き]
儀礼と節度ばかりを弁えた者しか居ない場所か。
それはさぞかし退屈だったろう。
ワルツの上手い男は居たかな?
口の回る男は?
―――…ああ、俺のように、自信家な男は?
[悪趣味な言葉を並べてしまう。
女性をダンスに、或いは深い夜に誘うなら、
もっと言葉で酔わせて、戯れ、一夜を強請れば良いのに。
どうしても彼女の移り変わる顔をもっと見て居たかった。]
――貴方は闇に煌めく唯一の、
かけがえのない月。
私にとっても貴方はかけがえのない、宝。
[そんな言葉を野茨公の耳朶に囁き]
[稀有なる存在に畏怖するかのように自ら触れる事はせず
身を寄せるようにして野茨公の耳朶に顔を近付ける。]
許される限り貴方の傍に在りたい。
[許しを得たいと思うのは囁きかけた主に対して。
吐息混じる声を零して心酔する主の艶やかな髪を見詰めた。]
― 回想/別邸庭園 ―
[くるりとターンを運べば、彼女の自重を受けて。
ザァと拡がりだす噴水が二人を隠す。
その実、唯の悪趣味をやらかしているだけなのだが、
まるで戯曲のワンシーンに似る。
なぁ、君。と、馴れ馴れしく声を潜めて囁く男。
距離を削り笑んだ唇が彼女の耳朶に吐息を掛け。]
剣なら、ここに――。
[>>248 「盾になれない」
はっきりと現実を突きつけてくる言葉に一瞬、眉をしかめるが。あえて無駄な反論はしない。
刃を振るう時が来る――その声に、腰に下げた剣の鞘へそっと手を伸ばし、感触を確かめた。
鞘には聖水で鍛え上げた、銀のショートソードが収まっている。]
確かに僕は実戦経験で劣ります。が、この日のために訓練も積んで来ました。
――あとは精一杯、戦うだけです。
[魔法を使えない状況に陥ることも勿論あるだろう。そのために、近接訓練も受けてきた。
正直、どこまで通用するのかわからないが、それでもただ負ける気はしていない。]
今宵だけさ。今宵だけ。
君を口説いて連れ込もうなんて不埒は考えていない。
―――…、
[どうせ、彼女の顔も知らない。
どうせ、彼女の名も知らない。
ならば、ほんの少し、責を忘れて踊っていたかった。
彼女が子供のような顔を晒したから釣られただけ、と、
自分自身に甘い言い訳を内心で漏らす。
ふ、と双眸を撓めると、彼女と視線を絡め。]
君、怒った顔も可愛いな。
[学院時代にもこんな下手な褒め言葉を告げたことは無い。
ただ、真紅の鮮やかさを持つ瞳に微笑を映した。
まるで好きな子を茶化してしまう如くの最低な態度は、
義務を背負う貴族のそれではなく。
唯一人の、自信家で慎みを知らぬ男のものだった。]
― ジークムントの部屋付近 ―
[血の盃を運ぶ先、
扉の下を茨が這っているのを見れば、城主の”分身”がジークムントを訪問中と知れた。]
──…、
[出直すべきか──黙って踵を返しかけたものの、ほどなく薔薇は紅に染まろう。
このままではジークムントが欠礼しかねないと思い直し、扉の前まで移動して、茨を爪先で軽く蹴り蹴りする。
続く扉へのノックは、それよりも丁重に行われた。]
ヴィンセントです。
― サロン ―
ああ。口説き落とせるか試してみるのも楽しそうだ。
同じ口説くなら、彼よりも君に試したいけれど。
[家の方針を口にするアプサラスへ笑みを送り、
そこに揶揄の色を加えてシメオンに視線を滑らせる。]
君の母上は許可を出しても良いそうだよ?
あとは君の心次第だ。
色よい返事をもらえるほどに、私に魅力があればよいのだけれども。
[連ねる言葉も、からかいの範疇。]
……、……
[アレクシスとシメオンの遣り取りは、血親にとって堪え難いものだった。
喉許まで込み上げる笑いを堪えるという、唯一点において。
努めて神妙な顔を保ち、震える唇は淑やかに扇子で隠し。
ギィのもてなしの声に、漸く正当な理由を得たとばかりに微笑を見せて>>244]
……有難う、存じます。
[笑みを孕んで掠れた感謝の辞は、ごく簡潔なものに留まった。
些か芝居がかった乾杯の文句は、ギィの唇を経れば心地好い響きだけを帯びる>>246
薄らと細まる瞳を、彼へと流して応え]
――…乾杯。
[調子を合わせるアレクシスの声>>254が重なれば、わざとらしく眉を跳ね上げてから、ゆるりと口端を和らげる。
心にもない事を仰って、と言わんばかりに]
ジーク兄貴が、パパにベタ惚れでもうダメなのと、
弟くんが甥にジェラシーなのを把握した。
吸血鬼陣営、愛憎が入り乱れて楽しいねえ!
[窓の向こう、薔薇が赤く染まる。
死ぬ間際に見た色>>127を思い出せば、グラスを爪で軽く引っ掻いた。
傷跡が残ることもなく、きぃ、と小さな悲鳴に似た音が僅かに響く。]
灯りに誘われるのは、虫と変わりませんね。
[視界を奪った赤は、血よりも炎に近いと思った。
今日は随分と過去を思い出すものだと苦笑を零して、誰にも届かないような呟きをそっと零す。
三人と気配と声を耳にしながらも、視線は静かに、窓際の赤へと向けられていた。]
[レディ・シュトラウス>>268の笑みには、僅かに肩を竦めることで答える。
彼女が笑いを堪えているとはいざ知らず、けれどただ大人しいだけのお嬢様ではないことは、赤い唇の形から察することができた。]
猛獣の檻に放り込まれた仔兎でしょうか。
[ちらりとシメオンを見ながら、微かに憐れんだ視線を送る。
二人の間に挟まれれば、吸血鬼として齢数年の彼はまだまだ未熟なのかもしれない。
だからといって助け舟を出すでもなく、むしろ楽しい催しが始まったとでもいうように、薔薇から三人へと視線を移した。]
― ジークムントの部屋 ―
[愛しい子の言葉はいつでも心地よく、
それでいて、胸の奥に切ない痛みをもたらす。
それは、彼が常にどこかを向いているから。
月の、月たる所以。
自分はそれを仰ぎ見る薔薇。]
心囚われたのは、私のほうだ。
あのときのおまえに―――
[初めての邂逅と、密やかに重ねられた逢瀬。
壊したくはなかった。
壊して、手折って、自分だけのものにしたかった。
あれは幾度目だったか。
教会のものに見とがめられたのは、心の迷いのなせるわざ。]
おまえのその言葉が、私の心を溶かすよ。
私の愛しいジーク。
いつか本当に、私だけのものにしてしまいたくなりそうだ。
[囁きは低く、どこか切実な響きを帯びる。]
>>265
[アデルの声やソマリとのやり取りは、前に位置どった修道騎士の耳にも入っていたのか、]
お前にそれを振らせないために私がいる。
[振り返らない背が、ぼそりと告げた。
歩を緩めることなく進む。]
だが、心構えだけはしておけ。
――そこらへんにしておけ。
[短い囁き。
ちょっかいを出している将に釘を刺す。
掌握のためと察すれど、藪を突いて蛇を出しては元も子もない、と。]
「奴隷」さんのいう明日の夜(日替わり付近)は2/18の開始直前の意味だったりする…?
村建て人はそろそろお眠なので、村編集は明日の朝以降にします。
そうか…。
まぁ、俺も似た様なもんだ。
[肩を叩くリエヴルには自嘲気味に笑う。
教会が研究、開発した薬物を使用することで吸血鬼と対抗する力を得る彼にとって、薬物を使用し始めた頃はその副作用に苦しんだものだった。
今となってはこうして平静を保つことができるようにまでなってはいるが、長く薬が切れたままだと禁断症状が出現しだす。]
[男が距離を削るには、ほんの一瞬で足りてしまうのだと初めて思い知る。これ程人間が近くに在るのに、温かな血の流れる気配より、男の体温ばかりが意識を占めて]
……貴方程、口先ばかりで、鼻もちならない自信過剰な男は。
探しても、なかなか見当たらないと思うけど?
[並べ立てられる言葉一つ一つに反論してやりたくとも、唇は常の半分も滑らかに動かず]
明日起きたら銀のナイフくらいは持っておこうと思ったけど、
金属製品はロザリオしか持ってないと自分で書いt・・・・
……きっとロザリオが仕込みナイフ。
俺は子供でも使う。
君も使う。
覚悟も使う、信念も使う、信仰も使う。
義務を果たすとはそう言うことだ、親友。
― ジークムントの部屋 ―
[あきらかに逢瀬を邪魔した形だったろうが、その件について恐縮することはなく、まずは部屋の主と茨の主の姿とに一礼した。]
“飲み物”を用意しました。
こちらに置いておきます。
[死者の心臓から絞った苦い血。
深紅をたたえるショットグラスをサイドテーブルに乗せる。]
俺が言えた義理じゃあ、全く無いが。
―――…君もつくづく不器用な男だな。
[坦々と囁く声。
最後ばかりは、気安い溜息を空に吐いて漏らした。]
あなたとまた剣の稽古をしたい。
ちゃんと糧をとってくださると嬉しいです。
[望みを口にし、だがそれ以上は強要することなく、トレイを小脇に抱え直した。]
それと──すでに城主から伝言があったなら、お許しを。
[ギィがわざわざ”分身”を象ってジークムントの私室を訪問している理由が、そんなまっとうな伝言を届けるためであるはずがないと承知しつつ、ヴィンセントは事務的に前置きする。]
由緒正しき家柄に属するシュトラウス家の令嬢が当城をご訪問です。
歓迎の正餐に参加されますか?
[おそらくそれは、極めて吸血鬼的な宴になるだろうと言外に含める。
私室で寛いでいた様子だが、ジークムントの服装は乱れたところがない。
ジークムントがアプサラスらに挨拶に行くというならサロンまで同道を、行かないのならそっとしておくことにして、いずれにせよ部屋を辞すべく一歩退いた。**]
― 重なる音色 ―
[初めて弟と互いの響きを重ね合った夜、
初めて、"父"がこの身に刻んだ技に感謝を覚えた。
重なり、絡まる2つの音色。
始めはぎこちなかった対の音が、
次第に磨かれ、艶を帯び、官能のビブラートを纏う。
彼と自分は互いに楽器であり、演奏者でもあった。
夜に響き、闇に奏でる弓と弦。
注ぎ込めば、同じだけ返ってくる器。]
14人目、奴隷騎士 クレステッド が参加しました。
奴隷騎士 クレステッドは、奴隷 を希望しました(他の人には見えません)。
−城への道中−
[集団の中、静かに佇む。
元々、口数が多いほうでもなかった。
求めたいたのは戦いだけだった。]
今はそれだけじゃない。
だけど、昂ぶるものがある。
やはり、俺は闘いの為の存在なんだ。
だが、それでいい。
[一言ぼそりと呟く。
そして周りの会話を聞きながら周囲を見渡した。]
[顔を上げれば、紅い魔城が近い。
鮮やかに染まる色が、更なる紅を――、
人の血を欲しているようだ。
*全てを飲み込む真紅は眩暈うほど深い。*]
[顔を上げれば、紅い魔城が近い。
鮮やかに染まる色が、更なる紅を――、
人の血を欲しているようだ。
*全てを飲み込む真紅は眩暈うほど深い。*]
聖光の ユーリエは、栞を挟んだ。
[月の精霊、薔薇の化身。
野茨公と呼ばれる彼をそう見紛うたかつての自分。
教会からすれば魔の者と言われる存在であるとは思わなかった。
目を奪われるほどの麗しさと気高さを兼ね備えた存在だから
教会の者に逢瀬を知られ咎められようと俄かには信じがたく
偽りか戯言か、己を陥れる為の罠だと思い、一度は一蹴したのだ。]
稀有なる貴方にそのように言われると、落ち着かない。
あなたの訪れがあったから、あの暗闇も耐える事が出来た。
思えばあの頃から――…、支えであり、……
[囚われていたのかもしれない、と思いながら声は途中で掠れる。
手の届かぬ存在だと何処かで思っていた。
掴もうと手を伸ばせてしまえば泡沫の夢のように消えてしまう。
そんな危惧が言葉を選ばせ行動を躊躇わせる。]
[躊躇いながらも甘い言の葉が注がれれば心は揺れる。
我が主、と呼び、忠誠を誓わんとする相手に欲を懐く。
漏れる吐息が熱を帯びるのを知るのは野茨公ただひとり。]
私の心を溶かし乱すのは――貴方だ。
望まれずとも我が心は我が主のもの。
嗚呼、けれど――…
貴方だけしか見えなくなれば
私は、きっと、嫉妬に身を焦がしてしまうでしょう。
[低い囁きに滲む響きを戯れと言う事は出来ず
今明かせる心のうちをひとつ晒して微苦笑を漏らした。]
オズ、クレステッド。
そろそろお待ちかねようだぞ。
[隊長格や聖女や神の子といった上官とは違い、同僚位置であるオズワルドとクレステッド。彼らの役割もある意味で単純明快。俺と同じだ。
退屈と漏らしていたオズワルドも、自身の存在価値をそこに置くクレステッドにも、指差す必要もない明らかな異質。紅い城のことを示していい]
オズ、クレス。
そろそろお待ちかねようだぞ。
[隊長格や聖女や神の子といった上官とは違い、同僚位置であるオズワルドとクレステッド。彼らの役割もある意味で単純明快。俺と同じだ。
退屈と漏らしていたオズワルドも、自身の存在価値をそこに置くクレステッドにも、指差す必要もない明らかな異質。紅い城のことを示していい]
[――今宵だけ。言い含めるよう繰り返される言葉に、血に濡れた薄刃の如く、すっと真紅が細まった]
……そうでしょうね?
口説き文句にするには、拙過ぎるもの。
率直に申し上げて、下の下だわ。
[これ以上近づけば、腹立たしい男の血を身の内に取り込むかはさておき、鋭い牙に存分に頼る事にしようと心に決めて。
眼前でふっと解けた唇が、次はどんな気に障る言葉を吐き出すのかと一心に見上げ]
――………、
下の中ってところね、それも。
[細く長く溜息を紡ぎ落として、彼の言葉に逆らうべく、表情を幾分和らげる]
[そして単純明快だからこそ、何かあれば自分たちのほうが先に死ぬ。という優先度もあった。兵隊と大将では価値が違う。そうと割り切ればいいのだろうが]
死なねーよ…生きてーしな。
[口にした願いは、自分の願いとは違う。己の家族ともいえるものからの願いのように思えた**]
―10年前・教会―
[目を覚ましたら、知らない部屋だった。
傍にいるはずの存在を探してきょろきょろと部屋を見回しても、知らないところ、知らないものばかり。
そして大切な者の顔も声も、何もかもが思い出せなくて。部屋の壁と同じくらい、頭の中が真っ白だった事に気がついて。
とても――悲しくて。
大きな声でわんわん泣いて、廊下に出た。
子供が目を覚ましたとき、誰も傍にいなかったと事に気がついた大人達がしまったという顔をし。
シスター達が優しく声をかけてくれても、立ち止まることも、耳を傾けることもせずに、ひたすら廊下を走る。]
い――、うっ!
[夢中で廊下を曲がり突然、どん、と何かにぶつかる。
見上げれば――長い銀色の髪の毛と、優しく穏やかな瞳がそこにあって。]
……っ、――…ッ
[涙でくちゃくちゃの顔を、やわらかい布に押しつけた。*]
[そして単純明快だからこそ、何かあれば自分たちのほうが先に死ぬ。という優先度もあった。兵隊と大将では価値が違う。そうと割り切ればいいのだろうが]
死なねーよ…生きてーしな。
[哀しく響く口は、自分の願いとは違う。誰かの願いのように思えた**]
[やがて前方に赤き茨に覆われた魔城がその姿を現せば、絡みつく蔓と鮮やかに咲く深紅に、表情を引き締めて仰ぎ見る。]
(ジーク兄…、嘘だよね…――?)
[魔と通じた咎で教会から去った、兄のような姿を思い出せば、見上げた瞳から溢れてはいけないものが頬を伝いそうで、ぎゅと目を閉じた。]
(僕は信じない…――きっと、きっと…)
[きっと、彼は悪魔に騙されただけだ。
教会の誰も信じてはくれなかったけど、きっとそうに違いないと今でも信じている。
そうでなければ、あんなに優しかった彼が自分を置いて行くなんて信じられなかったから――。]
私は主の御心に従っているだけだ。
[呵責なほどの純粋さゆえに、外観に心を配ることも無く。
逆に、揺るぎなき信仰を持つバルタザールには、貴顕の責務にこだわるソマリに、焦りにも似たものを感じていた。]
己で何もかも背負うは、不遜に通じるぞ。
― ジークムントの部屋 ―
[部屋へ入ってきた弟の悪びれない様子に、
いささか恨みがましい視線を投げる。
とはいえ、それもまたどこか芝居かがっていた。]
おまえたちが手合せするときには、私も呼んでくれるといい。
きっと美しい舞いになろうからね。
[酒を片手に観戦の心算。
興が乗れば飛び入りもするだろうけれど。]
[弟が口にした伝言に、ああ、と口を開く。
すっかり失念していた、とその顔に書いてあった。]
サラもおまえに会いたがるだろうから、
あとで顔を見せに行くといい。
紹介するよ。彼女も、彼女の子も実に可愛らしいから。
[我が子が彼女に会うのは初めてのはずだ、と
記憶の頁をたどって確認する。
あのころはまだ、愛しい子は我が手の内になかった。
改めて思い起こせば、胸の奥が温かな熱を帯びるのだった**]
あぁ、
[リエヴルの言葉に漏らす声は、嘆息の様にも聞こえ。]
漸くだな…
[小さく呟くと、リエヴル、クレステッドの二人に目配せした。]
[聞こえるか聞こえないかの低い呟きは、傍らの戦友へのもの。
親友と呼ばれるは面映く、またそんな言葉で表現できる間柄ではないとも思う。]
飲みにくいなら、口移ししても構わないよ?
[血を厭う子の性質は良く知るもの。
戸惑うを見て囁く声は冗談の色を帯びるも、
首肯されれば言葉通りするつもりなのは明らかだ**]
[再び目を開けたとき、そこには城だけを見据える眼差しがあった。]
(この城を落とせば、当面、街の人々は吸血鬼に怯える必要が無くなるんだ――。)
[目的のその城に、兄と慕った人物がいることを――まだ知らない。**]
言辞を弄して私を動かそうと思うな。
貴様は
[叱り付けるが如き、鋭く短い囁き。]
またそのような戯れを。
[囁きに帯びた色から本気とは思えず]
溺れては困るでしょう。
[誰が、とも、誰に、とも言わず曖昧な囁きだけを残して]
[やがて梢の先に、聳え立つ城のシルエットが垣間見えるようになり。
木立の切れ目から覗く、不吉に赤い、茨の城。
決戦の刻は近い。
修道騎士の顔には緊張も高揚も無く。
ただ鋭く見据える眉間の辺り、薄らと研ぎ澄まされた気が漂う。**]
[分身が此方に在るということは
野茨公そのひとは歓迎の正餐に居るのだろう。]
逢いに来て下さり有難う御座います。
では、あちらで、再び、……御目に掛かりましょう。
[距離をはかるように言葉選びに僅かの間が空く。
踵から蔓のびる野茨公の分身に礼をしてから]
では、参りますか。
[知らせをくれたヴィンセントを追うように部屋を出る。
その手には飲めぬままのグラスがあった。]
[サロンに向かう道中、
廊下の窓から見える花が赤く染まる事に気付く。
野茨公の趣向なのだろうとその時は深く考えぬまま]
嗚呼。
[一つ声を漏らした。
血のような色だと思うのは手元の“飲み物”から
その香りが漂い鼻腔をくすぐるからだろう。]
[>>297>>306の言葉に力強く頷く]
ああ、敵さんもやる気だ。
漸く、そう漸くだ!
[腰にさした剣を抜いて正面に構える。]
―回想/十年前―
[神子の訪れに教会の者は浮足立っていたように思う。
世話役のシスターに紹介したいと言われ神子のいる部屋に向かった。
その途中の曲がり角で、どん、とぶつかる衝撃がある。
驚きに目を瞠り何事かと視線を下げると子供の姿が其処にある。]
――…ん、怪我は無い?
[案じるような響きを伴う声を降らせた。
見上げた子供の眸には大粒の涙と頬に流れる跡。
泣いていたのだと分かれば怖がらせぬよう微かな笑みを見せた。
やわらかな布から伝うのは濡れた感触。
顔を押し付けた子供の名も知らぬまま抱きとめてあやすようにその背を撫で遣る。]
大丈夫、大丈夫。怖くはないよ。
心細いなら傍にいるから……
[ひとりじゃないよ、と囁きをのせて泣きやむまでアデルに声を掛け続けた。**]
[アプサラスがヴィンセントの行方を尋ねているのは無言で聞いていたが、彼が血親の相手をしてくれるのなら願ったり叶ったりだ。
その方が彼女も実家から解放されたこの城での一時を愉しめるに違いない。
――かといって、男がこの城内で出来る事も少ないのだけれど。
血親と結ばれた呪によって行動を制限せるを得ないこの身が口惜しくてならない。
かといって自由の身となる為に血親を断ち切る覚悟も、男には足りていない。
それが男が彼女に‘敵わない’所以なのだろう。]
[>>252アレクシスが吹き出すのを堪えているのには気付いたが、続く嫌味のような響きに意識が逸れる。
まさかフォローのつもりで紡いでいたなどとは思えずに。]
…っ、俺は…
[そんなつもりではなかった、と言い切る自信はなかった。
城主から話を聞かされていた時、自分は確かに彼に珍しいモノを見るような目を向けていたのだろう。
――彼はこれまでに自分を射殺そうとするような視線を受けた事があったのだろうか。
男は魔物の殺気立った視線に晒された事はあったが、
自分達と同じような存在にそういった視線を向けられるのは一体どんな気分だろうと考えかけて、やめる。
不用意に他人に立ち入る事を男は好まない。
これは教会の施設に属していた頃からの癖だ。いちいち情を移しては同胞達を失う事に心が耐えきれない。
人間でなくなってからは、一層それは顕著となった。]
恥ずかしがるとかそういう問題じゃなく。
俺は花の名で呼ばれる趣味はない。
[>>253口調が砕けた事については触れられず、それどころか楽しそうに喉を鳴らす男はやはり妙な男だ。
少なくとも、アレクシスは礼節を重んじる手合いではないらしいと判じる。
わざとらしく肩を竦める仕草も面白がっているようにしか見えずに。
彼も野茨公や血親と同じように、若い者をからかう悪癖があるらしいと認識に追加した。]
……それならアレクシスで。
[いちいち怒るのも馬鹿らしくなってきたので、遠慮なく名前を呼ばせて貰う事に決めた。
さて、名前を呼ぶ機会は訪れるのかどうか。]
―回想―
[切欠は自身に宿された微弱な聖なる力だった。
生まれた家がその切欠を最大限に活かした。
退魔の騎士となり順風満帆に生きて行く筈だった。
だけど、気づけばそんな想いはもはや風化していた。
単純に愉しかったのだ。
もはや魔の眷属だろうが人間であろうが何でもよかった。
只管に闘いを求めて数多の戦場を駆け抜けた。
気づけば騎士の資格を失い奴隷への身分へと堕ちていた。]
[奴隷に落ちた事は苦ではなかった。
戦場を探し続ける自分は常に偏見の視線を浴びていた。
それが奴隷を蔑む視線に変わっただけだった。
問題はもはや闘えない。
ただ、それだけだった。
絶望に包まれながらも必死に足掻き続けた。
奴隷の債務をこなしながらひそかな鍛錬を続けた。
再び、闘いに戻れる日を願って――**]
[>>267自分よりも母を、というならば喜んで差し出す。
しかしもしも二人が婚姻を結んで野茨公が自分の身内になるという未来があったとしたら、自身を戒める軛など力任せに取り払って自由になりたいと望む事だろう。
――実際には既に、遠縁と言う縁で結ばれているのだが。]
…俺が野茨公のお相手など恐れ多いです。
興味をお持ちのようでしたら、是非母を。
お二人が並んでいる姿はさぞや絵になるでしょうね。
[揶揄めいた視線と言葉には再び笑顔を張り付けて応じる。
作りものの笑顔に目を向けず、言葉のみ聞いていれば非礼には当たらないだろう。
変に頭を使うのは男の得意とするところではなかった。
>>311母親がそれに乗り気なようであれば、数歩下がって二人に囲まれるような場から離脱を図ろうと。
>>274その姿をアレクシスに仔兎のようだと揶揄されていると知れば、誰が仔兎だと烈火のごとく怒るだろうが。**]
村の設定が変更されました。
全員入村ありがとうございます。
本日23:30定時開始にセットしました。
吊り襲撃順は情報欄に載せてあります。また、天声でもご案内します。
それでは──再び物語の森へ。
― 重なる音色 ―
[“父”はギィを愛したやり方ではヴィンセントに接しなかった。
ゆえに初めてその身に宿した音色。
自らの裡にこれほどの旋律があったとは知らず、
寄り添う蕾からこれほどの蜜が溢れるとは知らず。
鏡像のように互いを学んで自らを拓き、
共に不死の身を法悦の虚脱に委ねる一体感に、魂の谺を受け止める。]
ユベール…、 ユベール…、
──見つけた。
[睦言の響き、新しい歌の迸るごと、古城に薔薇が咲き乱れる宵には、滑らかな膚にも薔薇がいくつも散りばめられた。
腕と蔦も相似に絡み合い、臥所を這う。]
[外の世界には様々な刺激があり、訪れる者を待ち構えている。
だが、それは世界の半分でしかなかった。
この内向きの
[年月が流れ──
訪れる者があり、去る者があり、馴染むことで馴れ合いもした。
茨の蔓が他所へ伸びて新しい水脈を汲上げれば、氷層に亀裂を走らせてみることもあったが、
互いの底でひとつに混じり合う情は澱むことなく、重ねる夜の裡に甘い薔薇を咲かせている。
問われれば、迷いなく答えよう。
──愛しているのだと。]
― ジークムントの部屋 ―
[優美な、少しばかり堅くも見えるジークムントの挙止を静かに見守る。]
…無理はせず。
私も、魔の理を認められるようになるまでは時間が必要でした。
お扶けできることがあれば、なんなりと。
[ジークムントが宴に顔を出すために部屋を出るのに従い、先導する。
途中、窓の外で紅に変わった薔薇に嘆息する声を聞いた。
野茨をさやがすような切なげな吐息。]
…、
[わずかに速めた歩調でサロンまで進む。]
― サロン ―
失礼します。
[ギィひとりだった時とは異なり、声をかけてから扉を開き、まずはジークムントを通した。
無理なく視界に入るよう、さりげなくシメオンの左側を過るのを避けてジークムントを誘導する。
自分は、ここに集まった全員とすでに顔見知りである。
ジークムントの紹介の間は壁際に控え、投げかけられた視線に会釈した。
アプサラスはあの本を読み終わったろうか。
談義するのが楽しみだ。**]
[命に倦むほど生きてはいない。
己の永世を疎ましく思ったことなどない。
まだまだ世界は驚嘆と享楽に満ちている。
それでも、時に思うのだ。]
[一瞬の倒錯した幻想から意識を引き戻す。
目の前で、アレクシスとシメオンのやり取りが続いていた。
答えるシメオンの様子に笑いがこみあげるのは、他のふたりと同じ。
もっとも、こちらは遠慮などしなかったが。
血親に投げた怒気孕む声>>327 こそ、彼の素の内面だろう。
礼節と笑顔で取り繕った>>330 彼の顔に一瞥をくれて、
空になったグラスをくるりと回す。]
騎手を落とすなら、まず馬から。
私は君のことをもっと良く知りたいのだけれども。
[その内面をもっと引き出して見てみたい。
興味と嗜虐と愉悦の視線を向けるが、今はそれ以上踏み込まなかった。]
―――こんな賛辞、君はもう聞き飽きているだろう?
だから私は、君との友誼にすがることにするよ。
私の大事な姫君。
あなたと過ごすひとときの幸運を、どうぞ私にお与えを。
……とね。
[アプサラスの前に片膝をつき、手を取って口づける。
そうして、悪戯な笑みで彼女の瞳を見上げた。]
― ジークムントの部屋 ―
[弟と言葉を交わす我が子を見ながら、教会でまみえた日々を思う。
訪問は数か月、時に数年の間を置いて行われただろう。
年追うごとに美しく、たくましく成長していく若者に、
想いは募り、心のざわめきは耐えがたくなっていった。
月の精霊、薔薇の化身でいられるうちに、と
これを最後と心に決めた逢瀬の時。
『君の生を、この
この世界に飽いたとき、どうにもならなくなったとき、
あの森の奥にある野茨城に来るといい。
君がもっと自由に生きられる世界へ、連れて行ってあげよう。』
そんな言葉を残したのは、未練か、誘惑だったのか。]
おまえの嫉妬に焼き尽くされるなら、それも悪くない。
[戯れる言葉の中に潜むのは熱情。]
この手にしたときから、おまえは私の命だ。
だから―――
[我が子にだけ届くようにと声を押さえた呟きは
重さを振り払うような笑みに途切れる。]
[神が無垢で素朴な魂を愛でられるのならば、彼ら神子、聖女をあるがままにしておかねばならぬ。
神聖なる単純さ。
それでこそ、彼らは十全に神の栄光を体現する機関となろうと、そう考えていた。
それは優しさという感情とはかけ離れていたが、結果として、少年少女を困難や暗部から隔てようという心情に繋がった。]
おまえが私に溺れるのは歓迎するのだけれども、
まずは滋養を取るようにしなさい。
心配しているのだよ?おまえが倒れてしまわないかと。
[最後は年若い子を気遣う言葉へと変わった。]
[我が子と弟が連れ立ってサロンへ向かう運びとなれば、
役目は終わったとばかりに、一歩足を引く。]
なら、私はあちらに戻るとしよう。
―――待っているよ。
[我が子へと甘やかな声を掛け、弟へひとつ頷いてから、
部屋の扉より外へ歩み出る。
外へ出るか出ないかというところで似姿は崩れ、
絡まった蔦もほどけながら、窓の外へと引いていった。]
さて。
うっかり教会を悪役にしてしまったわけだけど、
「どちら勝利でも愛のあるハッピーエンド」
という指定があったので、どうにかしなきゃいけない事に気付いたわ。
この教会が勝利したら、吸血鬼が滅びる悲しいエンドの気配しかしない(ノ▽<*)
縁故あり同時落ちの皆は、勝手に幸せになるだろうから(ぁ
最終日面々、中でも勝負落ちのヴィンスは説得しなければ。
……しかし、どう考えても、魔物すら救うガチ聖女になるしかないんだけど、おい、私、なんでこんな設定にしちゃったの。
私が聖女とか、ムズ痒くて、ちょっとかりょさんw
つまりあれか。
滅び=救いだとしたら、
確かにこの聖女は今までも魔物を救っていたわけで、
でも、なんだ。
それは「いやなもの」であり、双方に「くるしいこと」だったのだよね。
それはなぜだろう?
とにかく、ガチ聖女になる為には、
どこかで教会のおかしさに気づく必要がありそうだわ。
このあたりは、魔物との会話なり、仲間との会話なりでとっかかりがありそう。
このユリはゼロどころかマイナスからのスタートなので、
村内時間の間に、急成長せねばならぬ。
ただ、
見るものすべて目新しく、
聞くものすべてあざやかなマイナススタートだからこそ、
いけるかもしれない。
しかし、吸血鬼を理解はしても認めることはできない。
そうしたら戦う理由がなくなってしまう。
しかし何を根拠に「認めない」のか?
本来の家族→ユリ家族いない……
おいしい食べ物→ユリ食べてない……
人間を食べる→人間も動物食べる……
ただし、「生きてる生き物」を好んで食べるのは吸血鬼の宿業だよね。ここはヴィンスが明言してたから使いたい。
死んでる→やっぱりこれだなあ。
「死んで永遠に美しく」を認めたら、生きることを否定することになる。
― 悠久のかなたへ ―
[心赴くままにひとを愛し、愛でる自分の性分は、
彼を苦しませているのだろうかと、思うことはある。
それでも心を留めることはできないし、するつもりもない。
そんなことをしたら―――きっと死んでしまう。
愛し、愛されることへの欲求は、
血の餓えより、なお重い。]
[おまえは愛でできているのだと、いつだか"父"に言われた。
思うところの多い血の親ではあるが、
その目も、思慮も、自分など及びもつかないと認めてはいる。
酷いやり方であれ、"父"は自分を愛した。
深く刻み付けられた愛の空隙を、弟が注ぎ、満たした。
それが、今の自分を形作る根幹だ。]
ともにゆこう、ヴァンス。
――― 世界が終わる果てまで、ともに。
[互いに抱き合い昇り詰めながら零した言葉は、
間違いなく、心の奥底からの叫びであった。]
―森の中―
[城を目前にすれば、血気に逸る使徒もいる。
漸く、と呟くオズワルドの呟きに重ねて、クレステッドの力強い首肯が聞こえてくる。
そこに絡みつくような熱望を感じ、ソマリ配下となった奴隷騎士の経歴を記憶から呼び起こす。
数多の戦場を渡り歩き、名声と悪名を恣にした騎士。
失墜して奴隷身分にまで堕ちたが、その戦闘能力の高さと尋常ならざる闘争への渇望を買われて、使徒の一員に加えられた。
バルタザールは、以前退魔の騎士としてクレステッドの名を聞いていた。
共闘の経験はないが、所属する隊が修道会の任務の途中で、別方面からの依頼で動いていた彼と鉢合わせしたことがある。
その折に、隊長から彼の名を教えられ、ちらりと顔を見る機会があった。
当時は、騎士の未来は順風満帆に見えた。
だが、彼が次第に人間相手の戦争にも手を出すようになり、度し難い戦闘狂として知れ渡るようになると、修道会では殆ど噂を聞かなくなった。
自身、顔をあわせるまで忘却していたほどだ。]
>>345
[城を観察しながら、使徒たちの様子も窺っていたバルタザールは、聖女の指すものに気付くのに一呼吸遅れた。
既に周囲の気配は探って、差し迫った危険は無いのは確認済みではあったが、一応の警戒はして、対象の小動物を睨み据える。]
……あれは。
栗鼠、だ。
木の実を食する無害な生き物だ。
魔に汚染されていなければ、特に脅威ではない。
[教会の中だけで育てられた聖女に、教える。
もっとも、自身も幼少時に小動物を愛でた記憶など無い。]
[>>338城主は笑うのを隠す気もないらしい。
一瞥されても男は取り繕った笑顔を浮かべたまま。
残り香から逃れようとするかのように、空けたグラスは早々に机の上に乗せてしまえば、影がそれを引いただろうか。
――男が町で働いている頃には扱わなかった代物だ。店に置いていたのは古城に釣り合うような高級品ではなく、街に住まう人々の生活に必要な簡素で親しみ深いものばかりだった。]
――…射止めた後にはどうされるおつもりつもりやら。
[もっとよく知りたいと告げる言葉には、新しい玩具を見つけて束の間その反応を愉しんでいるだけだろうと。
飽いたらきっと見向きもしないのだ。…かと言って、飽かれるまで自分が大人しくしていられるとはとても思わないが。
幾つかの思惑の混じった視線を送ったのみに留まられた事に、内心では安堵していた。*]
[>>333涼やかな声の後にサロンの扉が開かれれば、男は其方に視線を向ける。
声の主であるヴィンセントが入って来るとばかり思っていたが、先にサロンに足を踏み入れたのは雪のように白い髪を持つ見知らぬ青年。
男には見えぬ左側を避ける心遣いにはその時には気付かずとも、男は揶揄混じる言葉を掛けてくる野茨公よりも公弟の方を好ましく思っていた。その理由は兄よりは安全だから、というごく単純な理由でしかない。
――但し、ラボに在る犠牲者の心臓の事を知れば彼に対する評価は変わるだろうが。
ジークムントの紹介は公か彼のどちらが行っただろうか。男はそれを黙って聞いていたが、もしも教会との関係が語られたならば僅かに顔色を変えたかもしれない。
男がヴィンセントに会釈をする時には、野茨公に向けるものよりも心が籠っていただろう。
それに対して兄弟がどう感じるかは男には関係のない事。**]
りす。
[ 教えて貰った名前を繰り返す。
小動物はもうこちらを追うのに飽きたのか、枝の上で、尾の毛づくろいをしている。
手に乗りそうな小動物は、あっという間に木の葉に隠れて見えなくなった。
ここはもう魔物の領土のはずなのに、「無害な生き物」が居る事が、
ユーリエにとっては不思議だった。
鳩が礼拝堂の屋根にとまることが許されているように、
栗鼠は魔物の城を出入りすることが許されているのだろうか。 ]
[ あれらは、魔物が居なくなったら困るの?
と聞きかけて、ユーリエはあやうく踏みとどまった。
なんて恥ずかしいことを言うところだったのだろう。
そんなことがあり得るわけがない。
聖書にもちゃんと書いてある。
人も動物も、邪悪な魔物に苦しめられているのだ。
居なくなって困ろうはずがない。 ]
解放する。
[ 茨の城がなくなったら、きっと彼らも喜ぶだろう。 ]
[ユーリエの「解放する」>>350という言葉の意は、修道士には理解できなかった。
だが、何がしかの決意のようなものは感じ取り、ただそれを無下にしないために小さく頷いた。]
[聖女が、何であれ意欲を持って使命を果たしてくれるなら、それでよかったのだ。
信仰に外れた言動でないなら、取り立てて口を挟む必要はない。]
[魔物の棲息する領域の生物は、一見無害そうに見えても油断は禁物だ。
体内に低級な魔が潜んでいたり、使い魔に改造されていたり、罠を仕込まれていたりと、悪質なやり口は枚挙に暇が無い。
直接攻撃はしてこなくても、偵察監視に使われれば対処はしにくい。
魔術の痕跡が無ければ、察知は難しい。
駆除もひとつの方策ではあったが、]
[暗色のマントは銀鎧を覆い隠し、意外な調和を以って木陰の薄暗がりに溶け込む。
茨に囲まれた城を見据えて、聖将に問う。]
――ソマリ。
結界の展開には、どのくらいまで近付く。
[隠身など期待できない神子と聖女、
封鎖の範囲と完了までの時間を考えれば、早いほど良い。]
[隣を歩く二人の会話を静かに聴く。
そして改めてその二人の経歴を思い返す。
どちらも初対面ではなかった。
まず、男の方は、騎士時代に何度か接点があった。
あくまで接点があった程度で面識とはいえなかったが、
その筋では教会への忠誠を高く評価されていた。
また、闘いの腕も中々ものであり、機があればいつか相手をしてみたい相手と印象に残っていた。
続いて少女だが本人由来の性ではないと理解していたが、
彼女が存在すること若干、負の感情を抱いていた。
理由は唯一つ、彼女の出自、力だった。
自らも微弱ながら聖なる力を持っていただけに
蔑むまれる際の比較対象が彼女だったのだ。
蔑まれることに対しては慣れていたが、彼女が話題外に上がる度に
自身にまで話が及ぶ事に煩わしさを感じていたのだった。]
[シメオン>>325が、言葉を詰まらせる様子を冷ややかに見守る。
言葉はともかく、声音に責める色もないのに反論するのは、当人に罪悪感があるからだ。
男はそういったものを好まなかった。]
悪ならば、それでもいい。
己を貫く姿こそ、美しいものです。
[誰に届けるでもなく呟いて、彼の表情から憐憫や焦燥の気配がなくなったのを見て、瞳に宿した冷たさを掻き消す。
ゆるりと口角を上げて、満足そうに瞬いた。]
そうですねぇ。
貴方は花というよりも、咲き誇る前の蕾のようだ。
青く硬い、熟す前の果実。
[つつけば鋭い反発が返ってくるが、男に取っては仔猫の爪のような、他愛無いものだ。
険しくなる表情>>326にもくつくつと笑みを返すばかりで、堪えた様子もない。]
はい、シメオン。
私は大抵城の中をうろついておりますから、どうぞ私の暇つぶしになってください。
[相手ではなく、暇つぶしそのものに。
珍しく気に入ったとはいえ、相手は所詮子どもと、扱いは随分とぞんざいである。
仔兎の言が届かなかったか、あるいは意味が通じなかったか、彼>>330の反応が途絶えたのを見れば、一通り楽しんだとでも言わんばかりに口を閉ざすのだった。]
[それからは話を聞くに徹するつもりのところに、野茨公>>334の声が届く。
視線だけを彼に贈り、皮肉の滲んだ瞳を細めた。]
灯火も、数が増えれば炎になります。
あまり多くの花に気を遣る蝶ならば、いつか翅が焼け落ちてしまうやもしれませんねぇ。
[男は滅びを夢想しない。
なぜならば、滅びとは生まれた時から傍にあったものだからだ。
燃え盛る城の下、残ったものは、憎悪の灰だけだった。
故に、どこか陶酔したような彼>>337を見つめる瞳は氷のように冷たく、彼が現実へ戻る前に逸らされる。]
同じ炎なら、私は暖炉の篝火がいいです。
[指先に温もりを与えてくれるようなものだけで構わないと、赤い薔薇を見つめ、静かに呟いた。
死するまでの過程でしかない生に、意味など求めない。
だからぬるま湯に浸ったまま、静かに過ぎ行く時を瞳に映すのだ。]
[ヴィンセント>>333とジークムントがサロンへ入ってくる気配を感じれば、窓に向けられていた視線は室内へ戻される。
もしそのまま外を見ていたならば、結界に気づいたかもしれないが、運命は時としてドラマチックな展開を望むものだ。]
お久しゅうございます、ジークムント殿。
お元気そうで何よりですよ。
[再び胡散臭い笑みを貼りつけて、現れた姿に挨拶を贈る。
ここにいる面々が特異なだけで、吸血鬼とはお互いに忌み嫌う間柄であるため、日々、誰かと接触するようなことは稀なのだ。
彼と言葉を交わしたのは、どれ程前のことだったか。
ソファから立ち上がり一礼すれば、服の中で血玉が揺れた。]
/*
初めてやるタイプなのと動かしやすいので、口が悪くなり過ぎないように気をつけねば……!
基本吸血鬼嫌いだし、自己完結の人だし、自分が無事なら相手が傷ついても気にしないので、変わり者というよりただの性格歪んでいる人疑惑( º⌓º)
/*
開き直って、何でも人のせいにする辺りが性質の悪いところです。
戦闘方法どうしよう。
炎も考えたんだけど、燃える城って話が出たから、最終日組に残しておいた方がいいかなあ。
当初は細腕で巨大な斧ぶんぶん振り回す予定でした。
後半は血も活用する予定。庭に木あるよね? 後で確認せねば。
それまでは素手でいいかなあ。地面砕きたいです。
これは失礼した。
周囲を伺うだけのつもりだった。
[相手が居心地の悪さを感じている等とはおもわなかった。]
しかし、教会も思い切ったものだ。
君は教会の奥で勤めを果たし続けている。
そう記憶していたのだがな……。
[今回の闘いはそれだけの大事かもしれない。
それを考えると彼女への負感情よりも血が滾った。
人間なんて単純なものである。
自らの性を感じながらもニヤリと笑った。]
…ひとりじゃない? お兄ちゃん…ずっと、いっしょ?
["心細いなら傍に――"
くれた言葉を繰り返して、流れるような銀糸の彼を見上げる。
始めて見たはずのその色は、なぜだか不思議と安心するものだった。
優しい彼と離れたくなくて、服を握った手を離すのがどうしても嫌で、涙の跡が残る瞳でじっと、ジークムントだけを見つめた。*]
[教会より掛けられし嫌疑。
教会にとっては相容れぬ敵ともいえる吸血鬼との密通。
野茨公と世に名を響かせる者であると知らなかったとはいえ
会っていたという事実はかわらない。
真実を知るまでは冤罪と思い無実を明らかにするために
誰にも何も言えぬまま教会から逃れたが
今は――、罪を犯したのだと自覚している。
弟のように思う存在にだけは言葉を残したかったが
只でさえ親しくあったから余計な迷惑を掛けたくもなく
神子という名にも曇りをつけることを惧れ断念したのだ。
だからこそ、未練が残る。
もうあわせる顔などない事を理解しながらも
アデルの安否が、気がかりだった。
そのアデルが今も無実を信じてくれている>>301とは知らず
目的をもち野茨城を目指しているとは思いもしない。]
[野茨公を善き存在と信じていたがゆえに
教会に足を踏み入れる行為が彼にとってどのような事であったかも知らず
確かな約束もせぬまま訪れる時期は彼の気分によるもので
その気まぐれを何処かで愉しみとしていたのを覚えている。
今にして思えば、彼に力があったからこそなせたこととわかる。
見上げていた存在が目線を同じくするまで
人間にとっては短くはない年月をその身に刻んだ。
教会での新たな出逢いもあり弟と思う存在を得て
教会の中でもそれなりの立場と関係を築けていたように思う。
家族の元に帰る事を希望にしながらも、このまま教会に骨埋める事も考えた。
――そんな矢先、父が危篤という母からの早馬での知らせがあった。
胸を苛む痛みが届いたのか、その夜、野茨公が訪れた。
これまで言われた事の無かった誘いを思わせる言葉>>341に
途惑い心乱れたのは『野茨城』なるその響きに覚えがあったから。
名高き野茨公の居城と噂に聞き及んでいたが
彼がその城の主である吸血鬼なのだと思えなかった。]
[野茨公そのひとであると思えなかったのは
思い込みによるものが大きいが――。
月の精霊、薔薇の化身と信じた存在から告げられた名しか知らず
彼のもう一つの呼称である『ギィ』という名を呼んでいたのも理由の一つ。
無知であったからこそ、子供であったからこその過ち。
敬称さえつけず親しげに呼びかけたその名を
血を受けてからは口にすることを止めて己を戒めている。
知らなかったからこそ無邪気に注いだ情は
血の親として敬うべき存在となった時に封じた。
救いの手を差し伸べた彼に対して
自分が出来る唯一は、忠誠を捧ぐ事と信じて――。]
[自室での囁きに驚いたように眸を瞬かせる。]
あなたを妬き尽す事など出来ない。
麗しきその御身を見られぬようになるのは哀しいし
甘美に響きその声を聴けなくなるのも淋しいから。
[野茨公を慕い敬う限り、彼を害す事はないだろう。
何処かで厭われる事を恐れていた。]
あなたの命、と思ってくれるのなら
この命も粗略には扱えない。
[糧を断ち潰えるを考えていた男は小さな吐息を零した。]
務めか、ご苦労な事で。
[本人に非がないとは分かっていてもつい皮肉が毀れる。
今までにもった負の感情は抑えきれないようだ。
まったくもって性とは御しがたいものだ。]
とはいえ、今回の討伐も周りが助けてくれるさ。
闘いに関してなら私も力になろう。
[これは皮肉ではなく本音だった。]
お慕いする我が主にそのように言われては
断ることなど出来ません。
この身を案じて下さるとは身に余る栄光。
――…、わかりました。
滋養をとるよう努力します。
[気遣いを受け入れるように、こくと頷く。
命令であれば、その場でグラスの血を飲み欲し
人としての未練も断ち切れただろうか。
心は声にせぬまま、ひとときの逢瀬に幕をひく。]
―サロンまでの道中―
[先を歩むヴィンセントの背をちらと見る。
野茨公に対してもそうだが公弟である彼に対しても
一歩ひいて後ろを歩くのを常としていた。
部屋で聞いた言葉>>331には驚きはしたが
彼にも魔の理を認められぬ時期があったと思えば
親近感のようなものを抱く。
ヴィンセントの過去を彼の口からきく事が出来れば
それが理を受け入れる扶けと成りえるだろう、とも。
血の香りに息を漏らし、歩みが遅れかけた。
ヴィンセントとの距離が開いたのを薔薇に気をとられたせいと思い
追いつこうと足早に廊下を進む。
餓えによる気怠さはあえて意識の外に追いやった。]
―サロン―
[ヴィンセントの所作は優雅に映る。
流れるようなその動きに見惚れかけるが促しに気付き先にその扉を潜った。]
失礼します。
遅れて申し訳ありません。
[謝罪の言葉を口にし、野茨公に一度視線を送る。
シュトラウス家の令嬢と、その子に恭しく腰を折る。]
ようこそ、歓迎します。
麗しき姫君にお目通り叶い光栄の至り。
ジークムント・ラウエンシュタインと申します。
以後お見知りおきを。
[柔らかな笑みを浮かべ客人に歓迎の言葉と挨拶を向けた。]
[>>353の言葉が耳に入り笑みを浮かべる。]
結界の展開か。
接近する事や、時間稼ぎが必要ならば陽動は私が請け負おう。
割り切って行動するほうが良策だろう。
[実際に闘いに不慣れな人間が二人いる。
全員が固まって進軍するよりも良策だと考えた。
それに闘いを邪魔されることもないと考えた。]
任せろ、それと邪魔はしないでくれ。
私の闘いのな……。
身の保障は安全できないぞ。
[これは悪印象からくるものではなかった。
自分の闘いは衝動であり、周りを気を配る余裕はなかったのだ。]
邪魔。
[ どういう行動が「邪魔」になるのだろうか。
いまいちピンと来ていなかった。 ]
じっとしていればいい。
[ のだろうか?
それならば……いつものことだった。
どの道、クレステッドが本隊を離れるならば、
別行動になるだろう。
ユーリエは、 ]
結界。
[ の手伝いをする方だから。 ]
[教会には長く居たため教会に所属する者として名簿にも名を連ねていた。
神子を守る騎士としていずれ戦場に赴くという話もあったが
結局それは果たされぬまま姿を晦ましたのだけれど。]
――……。
[ちらと脳裏に過るのは神子アデルの貌。
ゆる、と首を振り、シメオンへと視線を向ける。]
野茨公の導きにより教会よりこの城に移り一年ほど。
至らぬ点も多々あるかと思いますが宜しくお願いします。
[子とその親である客人にそう付け加えた。
慣れぬ挨拶ではあるが口調は滑らかなまま。
教会という言葉にシメオンの表情>>348に揺らぎがみえた気がした。]
理解が早くて助かる。
後は戦闘中は私に極力近づかないでほしい。
巻き添えで君を斬る事になりかねないから。
[「結界」の言葉に頷く]
ああ、それでいい。
私は私の、君は君の闘いがある。
[ 巻き添えで聖女を切る?
ユーリエには理解できないことだった。
まるで、野菜を切る巻き添えで、テーブルを切ると言われているような。
薪を割る巻き添えで、大地まで割ると言われているような。
自身を制御できないなんて……、
まるで呪われてでもいるようだ。
しかし、使徒が嘘を言うはずもない。
黙って頷いた。 ]
判ったわ。
[ 巻き添えで聖女候補を切る?
ユーリエには納得しがたいことだった。
まるで、野菜を切る巻き添えで、テーブルを切ると言われているような。
薪を割る巻き添えで、大地まで割ると言われているような。
自身を制御できないなんて……、
まるで呪われてでもいるようだ。
しかし、使徒が嘘を言うはずもない。
もしかすると、神の力は人の身に余るということなのかもしれない。
黙って頷いた。 ]
判ったわ。
[バルタザールがクレステッドを見る目は決して穏やかなものではない――そも誰に対しても、冷厳として険しいのであるが。
男の内部では、彼への感情は、実験体ふたりに対するより更に冷ややかだ。
修道騎士にとっては、奴隷騎士の行状は堕落の極み。
力に溺れて、神より賜った恩寵を自ら損ない、魂を危機に晒した。
使徒として、その能力を使って教会のために奉仕するは、贖罪の機会となったやも知れぬが、当の本人に敬神と悔悟の心がなければ、兇暴な野獣に暴れる場を与えてやったのと何ら変らぬ。
それでも、彼が神の力の一部であることに変りはないし、教会はそれを肯定している。
ソマリならば「使えるものならば何でも使う」と表現するだろう。]
― 悠久のかなたへ ―
[数多を愛でる兄は、血のみで生きるにあらざる。
人の夜を訪れて新しい花を見つけ、時に移り香さえも漂わせて戻るギィに文句を言わず、ただいつもより冷淡に距離を置くのがヴィンセントの処世だった。
拒絶ではない、
妬心もまた、愛撫の最中に爪を立てられて身を強張らせる痛みのようなもの。
疼きに変わる快感は、狂おしく、熱い。
苦しみさえも、甘い。]
[それを知ればこそ、閨のギィがしなやかな鞭の打擲や革の枷による酷愛を求める気持ちも理解できる。
実際あれは、そそられる。]
― 数年前 ―
[―――聖気を帯びる奴隷が居る。
そう風の噂に聞いて、奴隷商を屋敷に呼びつけたのは、
その頃既に聖公教会との調整役を任されていたソマリだった。
サイキカル家は表向き清廉潔白なる教会に代わって、
才能のあるものを雇い上げ、使徒の開発に宛がう役目も買う。
題目では魔物は減らない。
刃を振り下ろし、人ならざる者の血の上に安寧は浮かぶのだ。
血生臭い穢れさえ高貴なる義務と下す一門に生まれた男。
豪奢なソファに身を沈め、
身体を拘束された奴隷のクレステッドに向かい、口を開いた。]
――…俺が君の命を買い上げよう。
君は我が義務から外れ、俺の所有物となる。
それを辱めと覚えず、命以上に価値を見出すものが在るのなら、
俺の剣となり、戦火を駆ける栄誉と苦行を与えよう。
[彼と同じ瞳を、何度か参加した戦乱で見たことがあった。
闘いの中でしか生を得られない本質。
彼が求めるのは、平穏ではない。
手駒を集める己と、戦乱に狂喜する彼の目的は合致する。
その言葉になんと彼が答えたか。
ただ、こうして侵攻戦に同行していることが、
彼の選択を肯定していた。
まだ若き彼の主人は、いつも、いつも。―――戦の火を与える。*]
[ジークムント>>377から邪気のない笑みを向けられれば、虚を突かれたように瞠目する。
彼は以前からこのような反応だった気がするが、生憎他を記憶する程義理堅くもない。
そのせいで毎回、このような反応をしてしまっている気もする。]
……。
[感情を乱されたことへ不機嫌そうに眉を寄せ、小さく咳払いをした。]
私などの安否を気にする必要はありませんよ。
貴殿の方こそ、そろそろ甘露は受け入れられましたか。
[自嘲と皮肉を混ぜ込んだ声音を、ジークムントへと投げかける。
彼が吸血を躊躇していることは知っていたが、それを心配するような間柄でもなく、配慮するような優しさも持ち合わせていなかった。]
ちょうど乾杯をしていたところだったのです。
貴殿も共にいかがですかな。
[彼の手にはまだ、ヴィンセントに渡されたグラスはあっただろうか。
なければ影がグラスを差し出すだろう。
深い赤を視線で示し、あくまで穏やかに目を細める。]
[レディ・シュトラウス>>378の視線は、目の端で捉えていた。
しかし彼女を一瞥さえすることなく、ただ扇の向こう、隔たりに隠された何かに僅か、興味が湧く。
嗚呼、何て今日は気まぐれの多い日だろう。]
己が欲望には素直になるのが一番ですよ。
野茨公のように、とまでは言いませんが。
[それはジークムントに向かって放たれた言葉だが、その時になってようやく、レディ・シュトラウスにも同意を求めるように視線を受けた。
細められた瞳に柔らかさはなく、ただ硬質な色が鎮座している。]
[ 結界を張るべき場所へついたようだ。
ユーリエは、馬から降りる手助けをしてくれるのは誰かと、
周りの男たちを見やる。
普段のユーリエは軽いサンダルだが、今日はしっかりとしたブーツで、
履きなれない靴はなんだか妙な感じがする。 ]
[彼女の辛辣な評に、また嬉しげに喉仏が揺れた。
上流階級らしい美辞麗句でも、気を損ねた女の癇癪でもない。
気位の高さの割りに、擦れていない。
ステップを誘えば、添うだけの素直さがあるのに、
口を閉じて時が過ぎるのを待つだけの退屈な淑女でもなかった。]
おや、それは嬉しいな。
上手い口説き文句なんて聞き飽きているだろう。
君が心蕩かすような男に誘われた時、
俺の顔を思い出して比較してくれるかな。
―――…その時はそんな風に怒るなよ。
聊か勿体無い。
[彼女の怒りに油を注ぎ、薪をくべて、追い風を起こす。
彼女が感情を発露するほどに笑んでしまうのは、
すっかりと本質の悪趣味を晒してしまっている所為だ。]
[視線を向けたところ、ちょうどお邪魔>>340をしてしまうところだったようだ。
レディ>>381の囁きを耳にしながら、同意を得るのは諦めることにする。]
絵になる、とでも言えばいいのでしょうかね。
嗚呼、美しい友情物語。
何と素晴らしいのでしょう。
[馬に蹴られるのはごめんだとばかりに肩を竦めて、わざとらしい言葉を紡ぐ。
誰の耳にも届かない程の大きさに留めたのは、居候という、自身の立場をしかと自覚しているから、それだけのことだ。]
貴様には何も期待していない。
全力を以て害邪を蹂殺しろ。死力を尽くせ。
貴様が狂乱して牙剥くならば、私が滅してやる。
[峻烈な一瞥とともに投げるは、そんな言の刃(コトノハ)。]
[なぁ、君。と囁く男の声が風に乗る。
冬は眼と鼻の先、社交の場に出るのも今後は限られるだろう。
惜しいな、と思う心が一層男を傲慢にさせた。
彼女の腰を抱き寄せ、緩やかに額を重ねて真紅の瞳を捉え]
―――…来週も此処へおいで。
今度はもう少し難しい一曲を誘いたい。
無論、自信がないと“慎む”なら別だがね?
[彼女の矜持を擽る言葉を投げて、片目を瞑る。
授業料は君の名で。と笑い、鼻先で戯れめいてこめかみを撫でた。
出逢ったばかりで彼女の唇を恋う男は五万といるだろう。
されど、己はその有象無象と同じにはなりたくなかった。
女に侮られるのも性分と笑い飛ばせる筈が、
彼女に退屈な男だと思われるのは、何故か業腹だった。]
[だから、名も聞かず、素顔も暴かず。
無音のワルツが終わりを迎えて、その手を離した。]
必ず、おいで。
――…俺に逢いにおいで。
君を忘れず、待っているから。
―回想・数年前―
[>>383]
是が非でもだ。
辱めは既にこれ以上なく受けた。
言ってしまえば、今、こうして生きている事すら辱めだ。
むしろ感謝しかない。
私の命をかけて貴方の剣となり全ての障害を取り除こう。
それこそが我が望みでもあるから
[―――月下に交わした戯れの約束を、
彼女はどれほどのものと感じただろうか。
しかし、その約束が果たされることは無かった。
その夜会から程なくして、魔を宿した右が御しきれず、
男は別邸より王都へ連れ戻されることとなる。
待っている、と告げた癖、此方から約束を反故にした。
それ以来、まるで何かを警告するが如く、
時折右腕がじくじくと痛むようになる。*]
― サロン・少し前 ―
ギィ様、かき口説くのもお上手だけど、きちんと節操――…
慎みも、お持ちなのね。
[兄とも慕う城主の傍で寛いだ唇が、今日一番の礼を欠く言葉を滑り落とした。一瞬の間を挟み、何事もなかったかのように、然して改まってもいない表現に差し替える。
けれど添えられた笑みは、面映ゆげな色を隠すことなく]
……ギィ様に褒められるのは、やっぱり素敵ね。
[彼が聞かせてくれる色彩豊かな讃美を、昔から素直に受け止められるのは何故だろう。
美辞麗句に変わりはないのに、湧き起る感情は、口にする相手が変わればまるで違ってくるらしい。
――彼に向けたばかりの形容が、そっと揺り起した一時の記憶。
未だ覚えていた自分に、思わず顔を顰めた]
/*
…………。
え。
私、ソマリの秘話を見る前に、ギィ様と比較して思い出すの、書いたのだけど……
朝から考えてたのよ、ほんと。
何かしらこのシンクロ率。
反応まで、よくお見通しだこと…>怒るな
でもまぁ、大して驚く気も起きないのだけど。
ソマリだものね。うん。でも異常。
君に言われるとお終いだと思うのだが。
[硬き心と身体を持つ相手の言葉をそのまま返す。
彼は己が持つ義務から外れる珍しい相手であった。
彼に護られようとも思わないし、
彼を護りたいとも思わない。
そういった強弱を超えた信を寄せる相手であった。]
君が俺の言葉を聞いてくれているのは知っているよ。
俺の心の臓を見る君の目に、今更腹探りなんてさせやしないさ。
[軽く笑って、掌揺らす。
利己と打算に塗れた腹内を、大儀有する彼に見せることも厭わない。
己の信とは、常に対する者を試すに似る。
そして、彼は唯一、この世界で試すに足る男だった。]
[>>390]
言われるまでもないが、了解した。
私を滅せるかとどうかは別として、
闘うのも悪くはないな……。
[若干の喜びの表情を浮かべながら返事をする。]
/*
…でもやっぱり、異常よねぇ。
ギィ様の口説き文句、聞いてみたいな(はぁと)っておねだりした時は、別にそんな心算じゃなかったのよ…?
そしてあの時眠くて、もっと可愛らしく丁寧に言葉を選んで強請れなかったのが、朝からずっと口惜しくて……
でも―――さきほどの言葉が単なる戯れだとは思わないでおくれ。
今宵の君は、とても素敵だよ。
[笑いの余韻を残して、シンプルな言葉を口にする。
父君のことなどなくとも、彼女は可愛い妹のようなものだ。]
― サロン ―
[各々の挨拶が交わされ、座が和らぐのを見計らってアプサラスの傍らへと移動する。
ジークムントが所在無さげにしているのは気になっていたが、
[談笑となれば、ソファーにゆったりと腰かけ、
折々に話に加わりながら、全体を見ていた。
アレクシスが我が子をからかう―――というよりは
もう少し棘を引き出されたらしきを面白そうに眺める。]
私のようにふるまいでもしたら、
ジークはすぐに燃え尽きてしまうよ。
この子は私と違って純情だから。
[我が子の視線を受ければ、アレクシスの言葉を引きながらそんな風に言う。]
[自分が来る前に兄が何をしていたかは知らないけれど、自分にとっても彼女は親しい姫である。
上体を傾けて、久闊を叙した。]
お訪ねくださり、光栄です。
月日の流れはあなたの美しさを変えることはないけれど、あなたを飾るものを育てました。
後で、一緒に庭へおいでください。
前回、私とあなたで核を仕込んだ淡水真珠を開けてみましょう。
クレステッド、君も前に出るかい。
盾になれとは言わないが、結界に気付かれれば潰しに来るだろう。
俺一人では荷が重い。
君は傍に侍れ。中衛だ。
[ユーリエをエスコートしつつ、己の所有物である青年に声を掛けた。
彼が己の言葉を聞くか否かは判断難しいところだが、
己は戦火を呼ぶ性質を持つ。
厄介など、いつでも向こうからやってくるのだ。]
―――…君の命は既に、君のものでなく。
俺のものだ、クレステッド。
命の使い時、努々見誤るなよ。
[そっと、彼に対しては、義務を課さない男が囁いた。]
私の"父"などは私よりよっぽど奔放な方だが、
あの方がいまだに翅燃え落ちていないところを見ると、
私などまだまだだよ。
[年若い"息子"にさっさと城と領地を任せて旅立ち、
帰ってきたかと思えば"弟"を置いてまたどこかへ。
そんな自らの"血の親"のことなど話の種に提供する。]
[ジークムント>>394のグラスから赤が減っていないことは簡単に見て取れた。
唇が弧を描き、滑らかに言葉が零れる。]
私だって貴殿の身を案じているのです。
貴方が一人、命の雫を拒んだところで、何かが変わるのでしょうか。
[己が一人、死に物狂いで動いたとて、吸血鬼を滅ぼすことも、纏わりつく鎖を砕くこともできないように、何かを変えるには力が圧倒的に足りなかった。
自嘲にも似た色を滲ませ、数瞬、表情に苦い色が広がる。]
私は善人ではありませんからねぇ。
ジークムント殿もようやく気づかれましたか。
[それを誤魔化すようにくつくつと笑った後、静かな声音で語りかけた。]
欲しているのでしょう?
どうして我慢をする必要があるのです。
己が望みに忠実になってみるのも、たまにはいいかもしれませんよ。
[ねっとりと纏わりつくような音を紡いで、ジークムントの耳朶へ注ぎ込む。
一人抗う彼を見ていると、どうも歯痒さが募った。]
これ以上は、貴方を溺愛する主様に怒られてしまいそうですね。
私はまだ、死ぬつもりはありませんので。
[いじめている自覚はあるので、適度なところで切り上げておく。
空のグラスをテーブルへ置き、両の手を上げ、害意のないことを示した。]
ま、挑発しあえるだけ仲がいいってことか。
[少なくとも言葉をわざわざ交わすという時点で、ひどく大雑把に奴隷騎士と聖堂騎士という対極の二人を判断する。
そんな彼自身、奴隷騎士である男に隔意を抱いているわけではない。
さりとて積極的に仲良くするわけでもない。なるようになる距離感に身を任せるのは信仰心や義務感とは違い、一時的な仕事仲間に対してのもの。そのあたりの大雑把なところは確実に記憶を失う前の性格から自然と継がれている]
[>>406の言葉に]
了解だ、同行し障害を打ち払おう。
私に任せろ。
[素直に頷く。
自らの主は闘いを呼ぶことを理解していたから]
[シメオン>>408の疑問には、ただただにっこりと微笑んだ。
言葉は紡がない。
その方がより伝わるのだと、本能で理解していた。]
了解だ、無駄に命を散らすつもりはない。
ただ闘いの最中に命は約束できない。
私に課せられた性だからな。
とはいえ、貴方には恩がある。
だから、出来る限りを尽くすと約束する。
ほら、嗜められてしまいました。
逆鱗に触れなかっただけ、良いといたしましょう。
[両手をあげたまま、野茨公>>404の言葉にわざとらしい苦笑を返す。
彼の出自は知らない。興味もなかった。
公が公であってくれれば、恩は返せるのだから。
己を弾く世界などに、僅かさえ思考を裂くのも惜しい。
だから話>>410を耳にするのは初めてで、告げられれば、微かに興味も湧く。]
公の父君は、未だ現役ですか。
いやはや、さすがと言ったところでしょうかね。
今はど――?
[野茨公>>411へ視線を送っていたから、気づくことの出来た変化。
視線に交じる緊張に、問いを紡いでいた言葉が途切れる。]
――ならば、私の役目は盾か。
[ソマリの返答>>400に、城門を見据え、更に前へ進み出る。
鎧を隠すように纏っていたマントを跳ねのけ、肩から流す。
ふわりと残影を残して――覗くは弓手に握る鞘。]
[反射的に周囲へ意識を張り巡らせたのは、幼い頃から染みついた、本能に依るものだ。
表情は笑みを浮かべたまま、気配だけが僅かに研ぎ澄まされる。]
……ふん、
[幼い頃から怨嗟の的として危険の最中で生きてきたというのに、この城に居ついて、随分と平和ボケしていたらしい。
野茨公の反応がなければ気づくことすらできなかったことに、苛立ち交じりに鼻を鳴らした。
心乱れることを是としない男の微かな変化は、顔を向けている彼にしか届かない。]
[それが起きたのは、結界が展開される前か。]
――っ。
[じり、と見えぬ左目の奥に焼けつくような痛みを感じて、男は顔を顰める。
それは同じものを身に宿す者の気配を感知したもの。
――男が吸血鬼にへと変貌する前に体内に埋め込まれ、失明のきっかけとなった魔物の因子だ。]
…くそ、
[痛みはすぐに引いた。
もう用を為さぬ左目が存在を主張するようなそれに忌々しげに悪態をつく姿は、後から来たジークムントには知られていない男の素顔。]
[>>403 >>416の言葉に頷いて剣をしまう。
いわれてみれば話をしながらも抜き放ったままだった。]
確かにそうだな。
ここで、気を使ってしまってはもったいない。
本番はこれからに違いない。
助言に感謝する。
[そしてリエヴルへと軽く頭を下げる]
―――ああ。
出ていったときは南の方に行くと仰っていたが、
30年も昔の話だからね。
[アレクシスへと答える言葉は、表面は取り繕っていたが、
視線はどこか宙へと向けられていた。]
[気配を乱したアレクシスに、一瞬視線を向ける。
ふ、と息を吐いたのは、自身の緊張を逃がすため。
常の調子を取り戻し、ちらと笑みを浮かべた。]
[談笑の最中、ギィに兆した異変を感じ取る。
玲瓏たる刃を思わすその閃き。]
話の途中、失礼。
私の杞憂であればよいのですが──
[すらりと引き抜く白銀の曲刀。
翡翠色の文様刻まれた刀身は魔力を受けても折れぬ剣。
―――そして一つの術具でもあった。
ユーリエに祈れと、アデルに求めよ、と科す。
己が聖将として呼ばれる所以はこれにある。
サイキカルの叡智により生み出された秘術。
立てた剣は神の祝福を受けし、二人の幼子より力を引き出す。
薔薇は風も無く揺れ、大気が神聖に応じる。]
―――バルティ、オズ、リエヴル。
先は任せる、誉を剣に示せ。
― サロン ―
[隙間なく蓋を閉めて鍵をかけ、鎖で雁字搦めにした上で海中に投じた筈の半年前の記憶。
未だ忘れえぬ己を嘲笑うかのように、軽やかに舞い戻る男の姿。
思い出す程に、滅多に人目に晒す事のない苛烈な色が滲み出る。横髪を耳に掛ける仕草に紛らせて、目には見えぬ残滓を、ぐっと掌で拭い落とす。
耳の奥で響く不躾な男の声に、落ち着いたヴィンセントの声音が重なれば、浮かべた険は溶け消えて>>333]
――…、お久しぶりです、ヴィンセント様。
[立ち上がりながら滑らせた視線の先には、見知らぬ銀髪の男。
一旦口を噤んで、会釈を返し>>370]
[いまだ何食わぬ顔で会話を続けながら、指先で野茨の蔦を玩ぶ。
招いた覚えのない気配がいくつか城に近づいていた。
ただの狩人ならば、今宵の晩餐にするのもよし、だが―――]
ヴァンス。
客が来る。
―――どうやら、我らに用があるようだ。
[音ならざる声で弟に囁く言葉には、隠しきれない歓喜が潜む。]
[自身は力の矛先を決めるだけ。
白銀の切っ先が夜に掲げられ、神子等の力が降りる。]
―――― キィィィィィン ――――
[その瞬間、野茨に囲まれた盤上に細く、重い振動が駆け抜けた。
高位のものであれば、あるほどに神経を爪弾く神の音色。
後退の道を立ち、逃亡を許さず、剣先は真っ直ぐに夜城へ。]
[鋼鉄の刃の如く、ひとつの目的の為に極限まで研ぎ澄まされた男は、己の脆さに気付いてはいない。
その脆さは、接した誰にでも分かるものなのか、それとも、心に隔てを置かない者だから気の付くものなのか。]
――…。
[結界が張られれば、人ならぬ男の身体は違和を感じる。
人間の時に行っていた戦闘では結界など張らなかったが、その存在くらいは耳にした事があったか。
明らかに先程までとは違う空気に、城主やアレクシス達の反応を、黙したまま右目で窺っていた。]
偉大にして寛大なる父よ。
あなたのいとし子に祝福を。
我々にひとしく愛を注がれたまう父よ。
あなたの使徒に力を。
憐れみ救い絶え間なく慈しみたまう父よ。
あなたの光を求める者に勝利を。
どうやら誰か来たようだ。
見に行ってくるけれども―――
……そうだな。興味があれば、一緒に。
[場にいるみなへと告げて、足を二階のバルコニーへと向けた。]
南ですか。随分とざっくりしている。
親というものは、大抵自分勝手なものだと思っていますが。
[神経を研ぎ澄ませているせいか、表面をなぞる言葉の先>>430、どこかへ向けられている視線に気づくことができた。
口を開いて、閉じて、開いて、呼吸をした後閉じる。
親を知らぬ自身に、何を言う資格があるのだろうか。
そもそも、何を話すと言うのだろうか。
揺れる瞳を見られぬよう、瞼で覆い隠す。]
会いたいもの、なのでしょうかねぇ。
[零れた呟きは彼に対して投げられたというよりは、氷柱から溶けたひとしずくのような、自然な音だった。
服の上から撫でる血玉は、何の答えも返さない。]
――まぁ、今はそんなこと、どうでもいいですね。
[捉えた七つの気配>>424。
その正体までは掴めぬが、自身にとって世界のすべてが敵に等しい。
そう違いはないだろうと、静かに嗤っている。]
[ 自分の気持ちを表現する言葉は少なかったが、
まだうまく歩けぬころから慣れ親しんだ聖句は、
淀みなく流れた。
この旅で、使徒と話した言葉を全て合わせたよりも、多いかもしれない語句を一息に。
神の御手が確かに下りたと同時に、ユーリエは眉を寄せ、耐える顔をした。
光を宿しているかのように綺羅綺羅しい銀髪が、
少しくすんだように見えた。 ]
……ふ。
[己を刃と見做す男は、振り返らず後背の神子聖女らを守る位置に陣取る。
左右へ展開する使徒たちを気配だけで確認し、圧し掛かるように影落とす城を前に、突き立てた剣の如く屹立して、その瞬間を待つ。]
[向けられた笑みは、今や己が日常を紡ぐもの。
更に舌打ちしそうになる気持ちを抑え、ふてぶてしく笑い返す。]
どうぞ死ぬなら、私が気づけるようにしてくださいね。
[冗談に見せかけた本音を零し、暗い色の瞳が瞬く。]
馬鹿馬鹿しい最期を迎えたなどと知れたら恥ずかしいですから。
多少は手を貸すことにいたしましょう。
[吐かれた息の意味を察し、遠回しに援護を約束する。
恩を返さず死なれては堪らない。理由はただそれだけだ。
心の中で囁けば、乱れは凪いで、笑みだけが残った。]
[結界の根源は神の力である。
誂えられたアデルとユーリエの力を喰い、広大な土地を覆う。
二人の身には、一瞬、膝を付かせるほどの加重が掛かるか。
次第に馴染むだろうが、この強固な結界を作り出せる潜在能も、
教会が二人を同行させた目的の一つでもある。
二人の背には、月の光さえ遮る神の加護が降り、
己は視線を夜城に向けて細め。]
―――…命の使い時、か。
[そっと一人ごちた。]
/*
邪気眼設定じゃないんですが、失明設定ならそっちのがいいかなって。
すみません、そこまで詰めてなかったです。相方さんは無茶ぶりごめんなさいですよ。
でも知覚とか感覚司るのは右脳なんですよね。
[主であるソマリの近くに立つ。
そして腰の剣に手を伸ばしいつでも抜ける態勢をとる。
今度は勇み足ではなく、本気の臨戦体制である。
結界を張る以上何らかの反応があるはずだから。]
あなたは、招いていない者まで"客"と?
いずれにせよ、お迎えせねば。
[こちらは歓喜ではなく、冷徹な色を帯びる。]
[ス、と剣先を彼の背中に向け。
十字を切る。
彼がそれに気付くかは知らない。
その上、自身は神を余り信じていない。
ただ、信頼する背中に、彼の信じる神の祝福を切った。
名ばかりの血に穢れし、聖将は、少しだけ。
彼に加護と言う名の、信を掛けたのだった。]
─城門付近─
[ユーリエとは反対、向かい合う形で立つ。 ]
聖なる我らが父よ、我ら子に悪魔に負けぬ意志を――
[天上に向けて両手を広げ、父である神に願い乞う。 ]
我ら使徒に悪魔に屈さぬ力をお授け下さい――
退屈な日常にスパイスを届けに来てくれた商人さんでしょうか。
私も一言礼をお伝えしなければ。
[野茨公>>445の言葉に微笑んで、ソファからゆっくりと立ち上がる。
バルコニーに向かう途中、結界の展開を感じれば、くつくつと喉を鳴らした。]
おやおや、随分と気が早い。
二人きりの逢瀬は、もっと共に時を過ごしてからでなければねぇ。
[野茨公の、更には他に続く者がいるなら、それより更に後ろに控えながら、眼鏡の向こうの瞳に暗い光を宿す。
無言のまま手のひらを開閉し、拳の感触を確かめた。
赤い四つの爪痕は、既に白い皮膚の海へと溶けている。]
[兄の念を受けて立ち上がるタイミングは鏡像のよう。]
私が出る。
[宣言したのはゲートキーパーとしての役目。
客人の安全は第一に考慮されねばならぬ。
また、やってきたのが賞金稼ぎの討伐隊であれ、遺恨を掲げる魔物であれ、いまだ人界に未練を残す態のジークムントやシメオンに会わせるのは得策ではあるまいとの判断。
が、理屈で、好奇心を宿した兄を止められるかどうか。]
[足を踏み出さんとすれば、不意に張りつめた閉塞感が城を覆う。]
これは──…
[今までに経験したことのない力。
“結界”と断じた城主の言葉に、唇を弾き結ぶ。]
[何かに気付き動いた野茨公と公弟。
結界が張られて漸くジークムントも異変に気付く。]
これは――…
[敵襲、とシメオンの声が聞こえ
それにつられるように気を引き締める。]
[快とも不快ともいわない力が、城を覆うように牢獄を作り上げる。]
(ここまでして外出中とかいって誰もいなかったらアホだよな)
[少しだけ馬鹿なことを思考するぐらいで体の力はいい具合に抜ける。]
[何かに気付き動いた野茨公と公弟。
結界が張られて漸くジークムントも異変に気付く。]
一体何が――…
[起こっているのか、と動揺滲む声が漏れる。
敵襲、とシメオンの声が聞こえ
それにつられるように気を引き締めた。]
[満ちる神聖な気を背後に感じ、腕を前方に伸ばし鞘に納まった剣を掲げる。]
大いなる全能の神にして、その御名は万軍の主。
[低く唱えた聖句は、高圧の霊気で軋む大気に消え。]
ジーク。お客様のことは頼むよ。
[我が子へ、言外に安全なところへいるようにと言って、
弟とは軽く視線を見かわすだけ。
もっとも、ついてくるものは誰であれ、追い返すつもりはない。
嬉々としてサロンから出ようとした足を止めて、
アプサラスの方を振り返った。]
すぐに戻ってくるつもりだ―――けれども、
城内騒がしくなったら、許しておくれ。
[人でなくなった男の裡の因子は、この2年深い眠りについていた。
クルースニクの力で張られた結界に覆われた所為で揺り起こされたばかりの因子が、雑音混じりの声を背信の片割れに届けただろうか。]
.ーー.ー
……られて、たま…か。
ー.ーー..
[無意識に送られた声は、侵入者に対する怒りを伴っていた。]
おう。
[いくぞ、と声をかけるリエヴルの声にこたえ、馬を下りた男はコンパクトに身に付けた荷の中から小さなシリンジを取り出す。
そして躊躇う事もなく、頸筋を走る太い血管にその針を突き立てた。
直ぐに効果が現れるわけではない。
地面に使用したシリンジを放り投げると、リエヴルとは反対側に展開する。]
[野茨公や弟君が指示を飛ばす様子を見ても、男は何も動かない。
あくまで居候という立ち位置、どこにも属さぬ己はただ、己のやりたいことを実行するまでだ。
欲望へ素直に>>386、有言実行というには、男の行動は聊か身勝手過ぎた。]
まずは、今夜のお相手の顔を拝見するとしましょう。
[男は笑う。静かに嗤う。
風が吹いて、結った長い黒髪を揺らした。
――始まりの時は、近い。]
[引き下がる兄ではないと思っていたけれど──
バルコニーへと向かう背を見やる眼差しに苦みはない。
本心では、闇を翻して舞い降りる
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