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[それからもみんなと少し会話しただろうか。
船内の様子が気になった男は、ふらりとNルームを後にする。
行き先は…直接気分次第。]
[Nルームで別れたのだったか、それとも誰か着いてきていただろうか。
歩きながら己のことを振り返ってみた。
幽霊になるということは、何か未練があるということなのだろう。
確かに信じることより生きたいと願っていたことから鑑みるに>>5:232、生への渇望はしていたようだが……。]
死んでまで渇望すんのかねー?
[エストホルムさんが言っていたように>>6:+32、命あってこそと言う考え方はよくわかる。
というか、その考え方が自分のポリシーみたいなものである>>1:176。]
オレ、そこまで死んでまで生きてーとは思ってなかったと思うんだけどなー。
[このポリシー、『死んだら意味がない』と同義なのだが……。
死んでも生きたかったことに気付いてなかったとか?
だったらもっと渇望するってか、自殺票いれねーんじゃね?>>5:276。
となると、他に未練があるのだろうか。
首を傾げているとふと、ズボンのポケットの辺りに違和感を感じて顔を顰めた。
何かが入ってると気付いた男はポケットの中のモノを引っ張り出す。]
[形と大きさ的にライターかなーと思っていると、利き手の腕にも違和感があることに気付いた。
手首辺りが少し重い? だが、修理する時に誤って依頼品にぶつかって傷を作りたくはないため、腕にアクセサリーを着ける習慣はない。
不思議がって服の裾を少し上げて見えた物に、1度緩めた眉間をまた険しくした。]
これって……。
[全身サイボーグ化した彼が、大切な物だと言っていた腕時計>>2:171。
何でここに、とまじまじと見ていると、掌の中からお得意様から預かったオイルライター>>1:389が顔を覗かせていた。]
オレ、意外と仕事熱心だったんすねー……。
[不真面目にやってたつもりはないが、それほどまじめにやってたつもりもなかった。
苦笑して再びライターをポケットに突っ込めば、自分の店へと足を向けた。**]
―第二エリア:イレックス―
[店の看板を見ながらはあ、と大げさに溜息を吐いた後、道具を一切持っていなかった男は一先ずの修理道具を手に入れるために自分の店に足を踏み入れた。
さすがに壊れたドロイド>>1:35は処分されたらしい。
なくなったドロイドの影を探すように見ていると、一体が体をすり抜けた。
ドロイドが幽霊である自分を認知するはずなどない。
そうはわかってはいたが、実際やられると少し寂しさを感じる。]
だーから、さっさと消えたかったのになー……。
[ぽつりと、呟いたこの言葉も。
きっと生きてる人には届かないんだろう。
さっさと未練をなくして消えてしまおう。
奥にある作業机へと進み、引き出しを見つめる。
もし、これが本当に未練ならば工具が引き出せるはず。謎の確信と共に引き出しの中へと手を突っ込んだ。
机をすり抜け、出て来たのは……――。]
……え?
[目的としていた工具ではなく、見覚えのある1冊のノートだった。]
……これじゃ、修理できねーっての。
[くしゃり、と顔を歪める。
ぺらりとページを捲り、中を見てみる。
予想通り、昔生物関連の話を書き留めていた、特に植物関連のものをまとめたノートだった。
ぱらぱらと懐かしむように、あるいは切なそうに捲っていた手を、ふと止めた。
開いたページにまとめられていたのは“モチノキ”]
『時の流れ』、か
[用は終わった、と言わんばかりにノートを閉じる。
“時の流れ”は過ぎれば決して元には戻らない。
唯一しか流れない“時(命)”を、時計で計ることによって大切にして欲しい。自分の思う通りに生きて欲しい。
そう願って
……あーあ。
[目元を片手で隠し、ゆっくりと床に座り込みながら溜息を吐いた。
信じたい、信じたいと願いながら、他人は愚か友人やシステム。
挙げ句の果てには自分自身すら信じることができなかった。
結局、店主自身が大切にできていない。]
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