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10年前、俺と、
[始めたのは、10年の間、誰にも明かさなかった、約束の話]
ジョーイは、今の君と良く似た、革命の思想を持っていた。未来を開くためには、血を流し、痛みに耐え、そこから再生することが必要だと。
俺は、多くの血が流れると判っていて、その道を突き進む事を危惧していた。
流されるのは人の血だ、そこには多くの人の心が通っている。流れる血の量だけの恨みと憎しみが生まれ、国はそれによって、長く引き裂かれるかもしれない、と。
[クロードはどんな顔をしていたろう?恐らく、そうとはっきり父から聞いたことはなかったろう]
俺達は、何度も議論し、その度に、すれ違い、互いの言い分を認められずに遂には剣を抜いて争いもした。
だが、お互いに国の事を思っていることは知っていた…痛い程に。
[男はそこで言葉を一度切り、疲れたように小さく息をつく//]
― 戦いの前・オプティモ西砦前 ―
[男はクロードの問いには答えず、出されたお茶を口に含み、香りを楽しむ。苦さが疼く痛みをまぎらせてくれるのはありがたかった。まだ、ここで倒れるわけにはいかない]
美味いな…ジョーイよりお前の方が腕が上だ。大使殿のいれた紅茶もうまかったが…シメオンの菓子造りの腕といい…
[そういう時代なのか?と、笑って、また口を開く]
結局、最後には、俺達は歩み寄った。
結界はいつか破られる。その時が来て、ナミュールが為す術もなく滅びる事の無いように、血を流す覚悟を持つ事は必要だ。実際に、その時が来れば、躊躇わず先を見据えて進む力と決意…それがなければ、外の世界から襲う嵐には耐えられない。
だが、不必要な血を流す事、恨みを残すことは、避けなければいけない。それは国を内側から崩壊させる。
だから、お前の父は「人を育てる」と言った。
[じっとクロードの瞳を見つめる]
生まれも育ちも、思想の違いすら越えて、自ら考え、生き方を選び、信念を育て、そのために行動する、そんな人間を、一人でも多く、少しでも強く、育てると。
お前や、ガートルートのように。
[失われた友の名を聞いて、クロードはどう思ったろう。反応があったとしても今は見ぬふりで、男は言葉を連ねる]
それが、彼自身の思想とは違う、旧習への帰順を選ぶ意志だったとしても、それを止めず、ひたすらに強く育てた。10年の間、ずっと…ひとときも、休むことなく。
[そこで男は小さく笑う]
ソマリ・フル・アレイゼルが、お前達に賭けたのは、お前達が彼に認めさせるだけの強さを示したからだろうと俺は思う。武力ではなく、心の強さをな。
だが、多くの貴族がアレイゼル卿の激に応じ、お前達の元に、これ程の民が集まったのは、ベルサリス学館があったからこそだ。
[貴族の子弟も、市井の民も分け隔てなく受け入れ、育てた学館の、いわば、クロード達の同窓の士が、広く深く、ナミュールの地に広がり、根をはったおかげだと]
そして、巫女姫に従い、守ろうと尽くす者の強さも、同じ根から生まれている。
巫女姫その人すらもな。
[知っているだろう?と向ける視線はどこか悪戯めいていた//]
/*
とりあえず基本的には言うだけ言って飛行船に戻って、シメオンに看取ってもらう予定。
遺体は海に、が妥当かな?
どーも熱血バトルな死に方じゃなくて申し訳ありませんが、残った陣営の数を考えるとね、改めてバトれる人が見当たらない故苦肉の策ということでご容赦を。
おっさん、気持ちだけは、熱血するよ!
― オプティモ西砦前 ―
[シルキー…キールと名乗っていた巫女姫を覚えている、と口にしたジェフロイの顔に宿る苦さは、押し込めた苦悩を滲ませるようで、男は、僅かに目を伏せる]
お前達の間にあるのは、ただ国を同じくするだけの縁でも、巫女姫とその民というだけの絆でもない、同じ大樹の根から生まれた兄弟に等しい。
それを忘れるな。
[だから、どうしろ、とは、男は言わない。それは、彼等が決める事だ。]
お前は、多くの血を流し、多くの命を失わせた、と思っているだろう。
それは確かに事実だが、彼等は、お前のせいで命を落としたわけではない。無論巫女姫のせいでも、王府のせいですらない。
自らの生き様を、人は自分で選び生き抜くものだ。それが、どんなに弱くありふれた生に、他者には見えたとしても。
[そうして、続く言葉は、クロード個人へ向けてのもの]
クロード、間違えるなよ?
お前が背負うべきは、人々の死ではなく、その生きた道、生き抜く先だ。
[男は願う、疲れ、傷つき、悩み、苦しむこの若者が、死の闇に沈まず、光を手に歩む事、ただ、それだけを//]
― オプティモ西砦前 ―
[おっちゃん、と昔の呼び名で呼んだクロードの声に>>263、感情の色が戻ったのを感じて、男は、内心で、ほっと息をつく。
シメオンが思う程に>>272余裕があったわけではない。むしろ危機感は男の方が強かった。
道交えず、ただ見守るだけで過ごした10年は、あまりに遠い。
もしも、男の言葉が彼の胸に届いた特別な理由があるとすれば、彼の父との間の友情が、変わらずあったことだけ、だろう]
[自分を卑怯といい、けれど、仲間の心を託されたなら理想を目指して駆けたいという、クロードの言葉を聞く。
矛盾しているようでいて、それはとても素直で、当たり前の、若者の心だった]
…今の状況が、俺が10年前に危惧したとおりになってるか、と聞いたな?
[男は静かな声音で、話を戻す]
そうならない為に、俺がいた。それが10年前の、ジョーイとの約束だ。
力弱い者が出来る限り戦火を逃れ、大きな争いが止められぬほどに膨れ上がらないように…
[そのために、わざわざ
それでも数千の兵が、失われた。ガートルートも救えなかった。
[済まなかったな、と、言って、男はクロードの頭に手を伸ばし、くしゃりと撫でた]
もう少しうまく出来りゃ、お前の痛みも、少しは軽くしてやれたかもしれない...
[ 子供の頃、悪戯小僧二人に拳骨を落とした後で、いつもそうしていたように// ]
― オプティモ西砦前 ―
やれやれ、頑固さまで親父ゆずりだな。
[ 采配ミスの責だけは負わせてくれ、と言うクロードの顔は>>300けれど、頑には見えない ]
敵将に礼なんぞ言っていいのか?まあ、もう将でもないがな。
[ 漸くただの隠居になれたな、という言葉の意味は、シメオンにだけ通じただろう ]
...俺の役目はここまでだ。後はお前達自身で決めろ。
けどな、何があろうと、どんな生き様を選ぼうと、お前は一人じゃない。
それは、忘れてくれるなよ。
[ 頭を撫でた手を離し、最後にそう告げて、男は立ち上がる。そろそろ限界がきているようだった ]
シメオン...飛行船の操縦士の事は、君に頼めと大使殿から言われてるんだが、一緒に戻ってもらえるか?
[ シメオンの了承が得られたら、クロードにはひらりとひとつ手を振って、外に向かう* ]
[飛行船までの間は、ゆっくりと歩いた。シメオンは既に異常に気づいていたか。気付いていたとしても、クロードには知られたくないのだとは察してくれたろう]
は…
[飛行船に乗り込み、その船底が地を離れた瞬間までが限界だった。ずるりと床に座り込み、男は顔を顰めて脇腹を押さえる。じわりと紅い染みが男の衣服を濡らしていた]
[それは、アレイゼル軍渾身の全軍突撃の際、護りの厚い本陣から風の娘を救うために本陣から出て走り駆け戻った、その途上で受けた流れ矢による傷。
内臓までも届いた矢傷は、すでに手の施しようもなく、男の命を刻々と削っている]
― 飛行船 ―
シメオン…
[ゆるり、と男の手が探るように動いた。既に視界は失われ、ぼんやりとした灰色の闇が男を包む]
大使殿に…これを
[手渡すのは、一つの紋章入りの指輪]
放蕩息子への、形見、だ…
[シメオンは、彼が仮面の男として名乗った名を知っていただろうか?*]
/*
クロードごめんね、ありがとう愛してる。
アレクシスもすまないね。ちゃんと可愛いと思ってたんだよ。
シメオンは寝ていいのよー!
― 遠い夢 ―
「お祖母ちゃんの故郷を見に行きたいの」
[そう言った少女は「それならこの国を出て行きたいのか?」と問うと「まさか!」と笑った]
「外には見た事無いものが一杯あるでしょ、それから美味しいお菓子もきっと。このプディングみたいに」
[材料がなかなか揃わず、一度しか作れなかったカスタードプディングは、彼女の知る唯一の外の国のレシピだった]
「そういうもの、沢山見つけて、持って帰りたい。みんなに見せてあげて、一緒に作って、一緒に食べて…」
[それが、夢なの、と笑っていた*]
― 飛行船 ―
[ シメオンに指輪を手渡し、リリエンタール・バスタード・クレメンスの名を聞くと、男は愉しげに掠れた声で笑った ]
は、は...
[ 男はすでに、何一つ持たず、けれど全てを持っていた ]
君達、は、息子の、ようだった、よ...
[ いつもの、喰わせものの顔ではなく、ただ慈しむだけの笑みを浮かべ、声を震わせるシメオンの肩を掴む ]
立たせて、くれ、シメオン...ナミュール、が見たい...
[ それが、男の最期の願い* ]
― オプティモ ―
[飛行船がオプティモに戻ると、全てを心得た様子の家令が、男の遺体を引き取り、一通の書状をシメオンに渡す。
それは、自身の死を、内乱終結までの間は隠してくれという遺言で、遺体は海に葬るようにとも記されていた]
[ 同時にもう一通アレイゼル領主ソマリ・フル・アレイゼルへの書簡も手渡される。
そこには、サシャ・ヘイズナイトを始めとした、アレイゼル領に侵入しそのまま消息を絶った私兵達の名が連ねられ、叶うなら、彼等の墓標に名を刻んで欲しいとの願いが書かれていた ]
― シュビト ―
[ そして、そこに最期の手紙が届くのは、全てが終わった、その後のこと ]
『俺の代わりに見届けてから、来い』
[ ベルサリス学館館長、ジョゼフ・ジェフロイ宛に届けられたその手紙に、差出人の名は無かった** ]
/*
ほんともう、天側にはめっちゃ負担になってるんじゃないかと心配なんですが。多分英雄男子ーずと、ソマリさんがなんとかしてくれると信じてる!
皆、がんばって!
それと、ごめんなさい...
[土下座しつつ、退場**]
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