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流浪人 ジェフロイ は 絵本作家 ローレル に投票した
流浪人 ジェフロイ は、絵本作家 ローレル を護衛している。
― 元・廊下 ―
[辺り一面、瓦礫の山。
壁まで綺麗に吹っ飛んで、外が丸見えである。非常に風通しが良い。
ついでに部屋の仕切りも無くなった。
その中に、辛うじて人型を保っている、血まみれのボロ雑巾みたいなのが、瓦礫に半ば埋もれるようにして転がっていた。*]
― 元・廊下 ―
[――たっぷり6(6x1)分ほど経って後。
そのボロ布みたいなものが、もぞりと動いた。
瓦礫を押し退けてゆらりと立ち上がると、血と砂埃で斑になったざんばら髪の間から、炯々と赤光が覗く。]
血、
血ぃが足りん
[ひび割れた唇が、呻くように言葉を絞り出した。
全身、石膏を血で固めたみたいに砂埃にまみれている。
かつて衣服だった血染めのズタボロの布が、辛うじてその身体を覆っていた。
血色に染まった赤眼をうつろに見開き、ふらりと歩き始めた。]
[立て続けに重傷を負った身体は、酷く飢えて渇いていた。
怪我による失血だけでなく、傷を癒やすために血の魔力は使われて、全然足りない。
この喉の渇きを癒せるのは<<碧眼 シルキー>>の血だけ――今ジェフロイの頭は、そのことだけに占められていた。*]
[五感が恐ろしく鋭敏になっていた。
今なら
ともあれ、城内に入り乱れた血の匂いから、ただひとり、やわらかく咲き匂う彼女の香りを嗅ぎ取った。
鮮烈な花のような、永遠の少女の香り。
薫りの
[見知らぬその香りに絡んで、嗅いだことのある匂いもしていた。
名前は、ジャンと言っただろうか。
「大事な人を探している」と言っていた。シルキーという名の女性。または小さな鳥。
であれば、それがこの香りの主なのかも知れない。
……血の匂いこそ変わらないが、追跡の途中で微妙に体臭が変質していたが。
二人は同じところに向かっていた。
そのことの意味が分からない訳ではなかったが、香りの主の血を得ることに比べれば、些細なことのように思われた。]
いい匂いがしちゅう。
[すんと鼻を鳴らしては目を細め、ジェフロイはボソリと呟いた。
香りは部屋の中に続いていた。
――そしてバルコニーへ。**]
― バルコニー ―
やあ。
そこに居ったがか。
[男は扉の影から姿を表し、寄り添う二人に明るい声をかけた。
ただし、両眼はギラギラと赤光を放ち、表情の明朗さにまるでそぐわない。
見る影もなく汚れ、負傷した跡と思しい血が身体のあちこちに付着していた。
ゆらりと数歩近付いたかと思うと、深呼吸して深々と息を吸い込む。]
やっぱし、ええ匂いじゃのう。
なあ。
[ニカリと笑って]
血ぃ吸わせてぇな。
[予備動作もなしに、シルキー目がかけて飛びかかった。]
[少女の周りに繁茂した蔦には注意を払っていなかった。
吸血蔦の罠に(温泉に常駐する愉快な一団にも)一度も遭遇していなかったのもあるし、城のバルコニーに蔦が絡んでいても普通は異常と思わない。――
だから、蔓が素早く伸び、鞭のようにしなるのを見てやっと、それが少女を守る要塞であったと気付いた。]
!!
[少女の喉首まであとほんの掌一つ分、あと少しで手が触れるというところで、強かに巻き付いた蔦に絡め取られ。
ぐいと力任せに引かれて、反動で振り子のように揺れるまま、逆さ吊りにされてしまった。
その上、首元にひたりと光る刃が擬せられては。
歯噛みするしかない。]
おまぁがシルキーさんかいの。
初めましてじゃ。
見ての通り、2回は死にかけたぜよ。
[ニヤリと笑って軽口。
一転、ガチガチと牙鳴りさせ]
ほいじゃけえ、喉が渇いて渇いて仕方がないんじゃ。
血ィ、飲ましとうせ。
[声音は常と同じく朗らかだが、瞳の赤光は薄れていない。]
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