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曹珪灰石の
[ それは崇高さすら感じさせる光景だった。>>3:*55
熱を喰らい天を灼く螺旋。
ぶつかった氷の龍が弾けるのが見えた。
クレステッドがその背から投げ出される。]
──…!
[ 手を伸ばすが、距離があった。]
[ 足りない。魔力も水資源も。
とっさに剣を鞘から滑らせ、根元で指先を故意に切る。]
命の水よ──、
[ 最も近しい水を用い、魔力を絞り出した。
紅い糸を紡いで彼の体が地面に激突する前に釣り上げ、かろうじて湖の方へと飛ばす。]
これまでだ! 追撃は止めてくれ!
[ ローランドとリュカに合図し、戦いを降りると宣言する。
そのまま、クレステッドを助けに向かい、躊躇うことなく湖へ飛び込んでいった。*]
[ 湖に落ちたクレステッドを探す。
水面に巨大な蓮の花にも似た氷塊が浮かんでいた。
花弁の中を覗き込めば、意識を失ったその人が体を丸めている。
天命石の加護だろう。
触れればホロホロと崩れる花の中からクレステッドを抱き取る。
背中を押すような風の助けを得て、そっと岸へと曳行していった。>>14]
──…、
[ あれだけの爆発を間近に受けてダメージがないはずもないが、
少なくとも人工呼吸の必要はなさそうだと確認して、上体を起こす。
脈もしっかりしたものだ。
ほどなく目を覚ますだろうと思う。
周囲を吹く風は、先ほどよりも温かい。
炎の技の余波かとも考えたが、肌を撫でるのは春風のような、野の匂いがした。
この匂い、どこかで知っているような──と訝しむ。>>1:28]
[ ふと視線を上に向けて、そこに浮く姿を認めた。>>14
異国情緒あふれる服をまとっている。
風属性の人、だろうか。
あるいは妖魔の類。
いつから見られていたのだろうと、わずかに血が逸るのを感じる。**]
[ 温もりとはまた別種の香る風>>17が体の疲労を癒してゆく。
先ほどの仕合を夢に帰すかのようだ。
小さな人影が降りてきて、神魔の意図の一端を語る。>>61
鈴を鳴らすような可憐な声であった。
その無垢さはどこかクレステッドに通じるものがあると思った。
魁に天から授かった花とは異なり、少女の姿は留まることなく消えてしまう。
それもまた夢のような出来事だったが、
クレステッドの悲痛な叫びは、逃避を許さない認識を突きつけた。>>+27
彼が己を鞭打つ言葉を、頭を垂れて聞く。]
[ 彼がそんな自己評価をすることに胸を痛めつつも、
自らを傷つけて落ち込むばかりでないクレステッドの覚悟により一層惹かれた。
己が無力で無謀であるという気づきは、成長の証であろう。]
存分に悔しがり、自省した上で、
なおも折れることなきあなたを私は誇りに思います。
[ 差し出された手を取り、押しいただく。]
──私のすべてはあなたに捧げております。
本物の、愛と誠をもって──私もあなたを欲します。
[ そのまま距離を無にして抱きしめよう。*]
[語る距離はどんどん近くなり、不意に零となる。
回される腕の圧に、胸郭の奥で鼓動が高く響いた。]
そなたの愛と誠とは、貴重なものだな。
無論、そなたが私のものならば、逆もしかりだ。
[示された誠愛を受け入れ、ゆるく腕を回す。]
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