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…――そんなの、つまらないな。
『先生のために生きるのはいいの』
でもせっかく生きるなら楽しみたいし。
『美味しいものも食べたいわ』
[そう口答えすると、異端だと罵倒された。
やはり光側の…エルフの子だからか――――と。]
[エルフだからなんなのだろう。
魔物だって、ニンゲンだって、生まれた時から何もかも決まっている訳ではないと思う]
そりゃあ周りの影響は避けられないけどさ。
『でも、少なくともワタシたちは“選んだ”つもりだわ』
そうそう。先生のお役に立ちたいってね。
[小生意気ではあっただろう。
けれど躾をするほど蠍の一族は親身ではなかったし、魔は寧ろその生意気さを面白がっている風だったから、双子の性格はそのままだった]
[だが一拍置いて今度は腕組し、ううーんと悩み顔になる]
…だけど困ったな。
『先生の誕生日もお祝いしたかったのに』
世界が始まった日っていつだろう。
『本にも書いてなかったわ』
なら――…
あのっ、
…ボクらと一緒の夜が最も長くなる日でもいいですか?
『わあ。先生と一緒の誕生日なんて素敵だわ』
[魔の誕生日を祝おうなどと、それこそ愚かな話だったかもしれないけれど。
それでも双子は、魔にもお返ししたいと真剣だった。
双子が用意できるものなどたかが知れている。
それこそ魔にとってはガラクタだろうが、双子は自分たちなりに珍しいものや楽しいものを探してきては、年に一度お披露目した*]
―峡谷の陣―
[某情報によると気さくだという皇子サマは、おそらく多忙だろうが双子と会ってくれるらしい。まあ駄目だと言われても無邪気パワーで押し掛けていたけれど]
こんにちは皇子サマ。ボクはローレルだよ。
『ワタシはローズマリー』
ヨセフのおともだち… っていうのは伝わっているかな?
『根性ある皇子サマに会ってみたくて来たの』
そうそう。魔軍に捕まったのに逃げれちゃうなんてスゴいよね。
[相手の容姿をしげしげと観察しながら、双子はにこやかに挨拶する**]
あ。ヨセフといえばさ…
『そういえばロヴィンって結局どうなったのかしら』
[魔王様に献上した以上、彼がどうなろうが別にいいのだが。
ふっと思い出されたので、返事を期待せずに名を口にしてみた*]
/*
@2時間。
ロー・シェンに攻撃して返り討ちされて、死亡ロールまわして…
駆け足でやれば、なんとか…??
バトルロール薄いかもだがっ。この村のメインのひとつだというのにすまないな!
[双子はニンゲン社会に紛れてお仕事をすることが多いので、逆に名前呼びに慣れてしまっていた。その癖が抜けず、しばしば標的を名前で指し示してしまう。
祓魔剣という聞き慣れない言葉には長耳を傾げたが、説明されないので知らなくていいモノだろうと結論づける]
あはっ。会えたらヨセフも喜ぶと思うよ。
『息子にとっても会いたがっていたもの』
先生もなんだかご機嫌。
『ワタシたちも嬉しくなっちゃうわ』
[先刻の怖い雰囲気はひとまず引っ込んだようだ。
勿論まだ怒りは静まっていないだろうけれど――愉しげな様子に、双子はほっと胸を撫で下ろした]
あ、そうだ。
『皇子サマにアイジンっているの?』
さっき女のヒトのコエが聞こえたから。
『ちょっぴり、そうなのかなって』
[否定されたらされたで、なーんだ、と残念そうに舌打ちする。
なお…一応、皇子サマの大切なひとチェックという“お仕事”を兼ねてはいたのだ。好奇心だけではない…断じて。]
[流れるような自然な仕草で
音もなく懐から毒の短剣を抜き出し、]
…――――。
[地を蹴り素早く距離を詰める。
翠と桃の二閃の凶器が、左右から、
息を合わせて皇子サマの首筋を狙って振り下ろされた*]
[なお…短剣に塗られた毒は双子が育てられた蠍の一族謹製の配合なので、魔法ならともかく一般の解毒薬ではさっぱり効果がないだろう。
掠った箇所から、すぐさま肌が紫に変色していく猛毒だ。]
あはっ。だったらどうするんだい?
[矢継ぎ早の質問には、無邪気さとは異なる冷たい笑みを返し。
相手がクレイモアを抜く間に、双子も呪具の本を取り出し開いた]
…… 星は我らの
…… 『天は我らの遊び場』
いでよ流星!
『こわれちゃえー』
[途端、皇子サマの周囲を巻き込んで天から流星が降り注ぐ。
相手は間違いなく手練だろう。その相手に、体格の劣る自分たちが武器のみで渡り合う理由は無かった]
[避けられないと悟り、双子は呪具を持つ腕を見捨てた。
どちらのか、それとも両方か、クレイモアで抉られてごとりと片腕が地に落ちる。
ひかりのイキモノらしい赤い血を撒き散らしながら、
痛みも、我が身を顧みず皇子に肉薄して、]
――今度は外さない。
『苦しんで』
[毒の短剣を、今度は至近距離で振るった]
[狙いなどつけられなかったから、結果がどうだったかは分からない。
でも相手の刃が襲ってきたから、
ああ、……失敗したのかな、なんて、*思った*]
……、…ねえ、先生。
『…お願いがあるの』
次の誕生日の…おくりもの、
『おねだり――してもいいですか…』
[途切れ途切れになりながらも、繋がりたくて…声を、紡ぐ]
あのね、…このお仕事を終えたら、
『先生のお傍に…もどったら、』
ボクと…ローズマリーの……頭を
『……なでなでして、ほしいな――』
[それはニンゲンの…ヨセフの家で見た光景だった。
ヨセフが、ヴェルザンディが、息子二人の頭をいとおしそうに優しく撫でている風景――。
なぜか、それがずっと心の底に残っていた]
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