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政務官 ベルティルデは語り手 に投票を委任しています。
政務官 ベルティルデ は 領主補佐 ギィ に投票した
投票を委任します。
政務官 ベルティルデは、語り手 に投票を委任しました。
[束の間の休息が許された姉と弟の語らい。
焼き菓子と紅茶の運ばれた傍らで、互いにチェスの駒を進める。]
執務はどうしたのかしら?
暇ではないでしょうに。
[笑いながら白のビショップが黒のナイトを弾く。
即座に守りを固める陣形へ、駒を一旦引いて。]
心配しなくても、やれることをするだけよ。
「分かっていますよ」
[既に陣地を立て直すのに精いっぱいの弟が苦笑する。]
「心配なんてしていません。
第八領の令嬢に難癖をつけるような御仁はこの国内にはどこにもない。
……しみじみと、私などよりも
姉上のように、野心と愛情を矛盾なく兼ね備えている人が政略結婚向きだと思った次第です。」
[祖父と姉、物心ついてから二人の教師に育てられた弟は、防戦一方の盤面に苦笑を溢し続ける。]
野心と愛情…?
[あらあら、と微笑む手の指す盤面。
白のポーンが、黒のポーンを蹴散らした。]
「両親が亡くなった時、姉上もまだ子どもだった。
おじい様に守られるだけの令嬢であっても誰も責めはしないのに、
政を学び、領の内政にも外交にも携わり、馬術も狩猟も嗜んで。
――それでも表向きには祖父と弟を立てることで、令嬢としての評判も落とさない。
男であれば文句のない世継ぎだし、
女性であっても『何かあった時』には
充分に女領主として名乗り出ることが出来る立場でしょう。
それをしないのは――」
貴方が可愛い弟だからよ。
そして、もうご高齢になったおじい様に後継争いを見せたくないから。
[けれど誤解しないで。と浮かべる笑みに偽りはなく。]
女に生まれたことも、今回の結婚に選ばれたのが私だったことも、良かったと思っているわ。
[とん、と白のクイーンが跳躍する。]
合併後の領の象徴として、今後も統治に携わることは許されるでしょうね。
第七領の後継者を夫に持ち、第八領の後継者を弟に持つ。
その意味は大きいわ。
表だって女性が政治の指揮を執ることに苦い顔をされる方は多いけれど、
立場さえ選べば、治水、流通…今よりも出来ることは増えるのですもの。
[政務官の顔で笑うが、それだけの表情ではなく。]
私ね、もう一つ夢があるの。
王都から帰る道中の馬車の事故で、お父様もお母様も亡くなられたけれど…
結婚してからずっと、文字通り死ぬまで、お二人一緒だったでしょう?
もしも、結婚する方が出来たら、私もそうなりたいの。
[女性の好むような飾りめいた美辞麗句は無かった文。
だからこそ、朴訥ともいえるその人の気持ちに偽りはないかと何度も手紙の文字を指で撫でた。]
内緒よ。
私は野心たっぷりの女だから、旦那様が政治に有能であれば善きパートナーになれるでしょう。
もし、旦那様が政務に興味がなければ、夫婦なのですもの。互いの得意分野を頑張ればいいの。
だから…結婚する方とは、ずっと傍にいたいのよ。
[白のクイーンが、黒のキングの逃げ道を塞いだ。]
さ、私の勝ちよ。
いい加減王都から奥方を迎える覚悟を決めてちょうだいな。
[この大合併を穏便に済ませたい思惑のある中央に、今であれば多少の無理も聞いてもらえるだろうと。
政治家の顔で弟の婚姻話を煮詰めていく。]
[ベルティルデ・バーデン
社交会では令嬢然、施政者然とし。
領内では馬にも乗るし、そのまま狩猟にも出る、少しばかり活動的な令嬢。
貴族の中ではごく平均的な背丈であるが、平民女性よりは高く、頭半分ほどは違う。
幼い頃から砂浜を駆けては遊んでいたおかげで、体は至極健康。
かつ、馬を駆ることもあるために、適度に締まった体のどこにも、貧血で今にも倒れそうな不健康さは感じられない。
丁度、他領から、祝いのドレスを贈ろうとする貴族や、招魂逞しい商人たちの情報網が出回っている時期。
お抱えの仕立て屋に口止めはしたものの、どこからか、採寸情報などは洩れていくものだった。]
ベルへ
手紙をありがとう。
初めのときより、ずいぶん打ち解けてくれた文章に感じて、とてもうれしい。
もっと、構えず接してくれて構わないからな。
早速、ベルと呼ばせていただきますね。
浮かれて変なこと? 書いてくれたら俺はもっとうれしい。
親しい友人からはディーと呼ばれたりもするが、君の好きにしてくれ、呼び方も、タイミングも。
婚儀の席では、確かに緊張するでしょう、俺も、きっと、あなたの美しい花嫁姿に我を忘れてしまうだろう。
少しくらいドジをしても、見とれていたということで、そのときは大目に見てほしい。
練習した笑顔は領民のためでいい。
俺には、素直な君を――ベルを、見せてほしい。
ベルの心からの笑顔が、きっと俺の幸せだから。
[ディーターへ送られる手紙は、正式な婚約者として家の紋章象った少しだけ格式の高い相手への便箋。
もしも自分の趣味が彼に合わなければどうしようと、散々迷った挙句、の一部始終を見ていた侍女の間では既に噂になってしまっている。
友人に書く文なら、うきうきと季節や相手の好みを思いながら選べるのに。
冬の雪にも負けない厚めの便箋の片隅に、雪うさぎの花嫁と花婿を描いた。]
……ところで、聞いてもいいだろうか。
君の理想とする夫婦とは、どんなものだろう。
俺は漠然と、幸せであり続けること、だと思っているが。もし君に描いているものがあるなら、ぜひ、共有させてほしい。
ディーター・ドゥカス
私の可愛らしいお友達 ラートリーへ
御機嫌よう。
もしかして婚儀の準備の忙しさのお邪魔になってはいないかと、少しだけ心配です。
でも、こうして懲りずに手紙を書いているのだけど。
私がラートリーを大好きな友人だと思っていることを、
貴方の旦那様候補のアデル様に語らせていただいても、
きっと負ける気がしないと思いますよ?
河川の魚は、海で獲れる魚と違い、泥臭さのあるものも多いために独特の処理が必要なこともあるようです。
我が領では燻製にすることが多いのでそこまでは気にしていないのですが…。
大抵のお魚は釣りたてを塩焼きにすると美味しい、と漁師が言っていましたので、試してみたいものです。
第七領、第八領ともに海も川もあるので、様々な釣が楽しめそうで、今から楽しみです。
釣りは得意ではないので、ラートリーや旦那様の腕前を期待しています。
大物が釣れたら、ちゃんと私にも分けてくださいね?
まあ、私がディーター様を尻に敷くだなんて。
けれど、内向きは女性の主張を通すことの出来る殿方が器の大きい方だとも言いますから…。
政務官での経験を活かしつつ、臨機応変に対処、…でしょうか。
…このように、政務官の意識が出てしまうことは、夫婦生活には、あまりよろしくないことかもしれませんね…。
もっと、可愛らしい女性として振る舞えたらいいのですが…、と思わないではいられません。
最良の友人を持てた ベルティルデ・バーデンより
親愛なる友 ベルティルデへ
男女間の手紙というのは、やはり緊張するものよな。
弟の友の手紙が私に間違って届き開封したら、私の噂をされていた、なんてことも、今では笑い話だよ。
さて、もしかしたらそろそろ成婚の時期が近づいており
私が先か、ベルティが先かはわからないが、
手紙をやり取りできなくなるかもしれない。
こんなことを書くのは照れくさいけれど、
君は――ベルティは私にとって大切で、大好きな友人だ。
好きの安売りはしないからな!
私の友愛をありがたく受け取り給え。……なんてね。
私たち、それぞれが幸せになって、
お互いに幸せのお裾分けをして、もっともっと幸せになれる。
そんな未来に思いを馳せながらね。
それじゃあ、また。
ラートリー・アンダースン
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