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流浪人 ジェフロイ は 絵本作家 ローレル に投票した
流浪人 ジェフロイ は、碧眼 シルキー を護衛している。
すまんけんど、おいはシルキーちう人を見ちょらん。
金糸雀どころか何の鳥の姿も見かけちょらんし。
[すまなさそうにジャンに詫びた。]
おいには特別な能力は何もなか。
おいは人探しには足手まといじゃ。
[ほんの少しの間、眉をしかめて考え込んだ後。
きっぱりと顔を上げて、羆がいたという方角に向かうリエブルを目で追った。
さっとアルビンを振り返り、]
あん男が一人で行くちうなら、おいは放ってはおけん。
あん男がどんだけ強いか知らんが、おいでも何か役に立つこともあるかも知れんきに。
[じゃあの、と手を振り、リエブルを追って駈け出した。]
[魔剣を連れた男に2(6x1)歩で追いつき]
おまぁが羆のとこへ行くち言うんなら、おいもついていく。
構わんじゃろ?
[答えが返ってくることは期待せず、その背に声をかけた。]
[ツ、と背に冷たい汗が流れた。
床が割れた、と見て取った瞬間には、兎は跳躍していた。
刹那。
壁を蹴って向きを変える兎が見えた、と思った。
一瞬一瞬が引き伸ばされたように、粘性を持って流れる。
死角だった方向から白い獣が飛来してくるのを横目で捉え、体幹を捻じ曲げて振り返る、その僅か一秒にも見たない時間をじれったいほど長く感じ。]
がああああああああああ!!
[既に獣の軌道は見えている。
捻る動きに速度と力を乗せて、そのまま腕を振り抜いて。
空中で姿勢の変えようのない兎の横腹めがけ、握りこぶしを突き出した。]
[――毛皮とぐんにゃりした内臓の感触に、当たった、と手応えを感じた途端、
時間は通常通りに流れ始めた。
急ぎ落下した兎の姿を探して目で追う。
吸血鬼になって以来初めてと言っていいほど、息苦しいし、胸が痛い。
あまりの集中に心臓が悲鳴を上げていた。
それが、血族の特殊能力の一つ《
[死に瀕して五感が恐ろしく鋭くなっている。
クスンと鼻を鳴らし臭いを嗅ぐ。
その兎からは、嗅いだことのある臭いがしていた。]
おまぁ、 チェーザル、じゃろ。
[説明を聞いた限りでは、血の渇きに囚われて獣化した吸血鬼は血を吸うまで凶暴なままと言うが。 ]
血ぃ、欲しいがじゃろ。
やるから、こっちけえ。
暴れて、人殺すんは止めえ。
[整わない息と強張る表情筋の許す限り、
ニカリと笑った。**]
[何か腕の断面をもぐもぐ噛まれてる気がする。
痛いとかもうそういう次元じゃない。
この世とおさらばしそう。
白兎でなく、色彩が目に突き刺さるようなツェーザルが覗きこんで何か喋っている気がしたが、意識が朦朧として全然言葉の意味が取れない。]
おえんわ……
[呟いて、失神した。**]
― 廊下 ―
[時間にしてどれほど経ったか。恐らく一時間は経っていまい。
床に突っ伏して倒れていたジェフロイが、ピクッと身動ぎした。
脇腹にくっついているツェーザルにもその振動は伝わるだろう。
ジェフロイの睫毛が震え、ゆっくりと瞼が開いた。
茫洋とした瞳が宙を彷徨うように動き、すぐ側に寝そべっている極彩色の塊の上で止まった。]
…………おう。
チェーザル。
元に戻ったがか。
[かすれた声で尋ね、口の端をほんの僅か上げた。]
[腕をつき、のろのろと時間を掛けて、起き上がろうとした。
切断された腕からの失血と、初めての能力行使の消耗のダメージからまだ完全には立ち直れておらず、どうにも頭がふらつく。
何とか肘を支えに首をもたげたところで、右腕がちゃんとついているのに気付いた。
肘の少し上のところで、ぐるっと肉芽が盛り上がった痕が赤い線になっていたが、ちゃんと動くし、もう痛みはない。
幸いなことに涎に接着効果があったのか、それとも単に旺盛な再生力の賜物か。多分後者だろう。]
おまぁがくっつけてくれたがか。
ありがとな。
[涎まみれのツェーザルに、まだ疲れの残る顔で微笑みかける。
まあ、腕を切り飛ばしたのも同一人物なのだが。]
[ごろりと身を反転させ、手近の壁の残骸に寄りかかる。]
こういう時にはな、栄養剤を飲めば元気が出ると、おいは学んだんじゃ……
[ガラスの小瓶を取り出そうとポケットの中を探る。
少し指が震えるのは、まだちゃんと神経が繋がりきってないせいだろうか。
苦心してガラスの蓋を開けると、ぷんと薔薇の芳香が周囲に漂った。
そこで、ふと涎でべたべたのツェーザルの顔が目に入って]
おまぁも飲むか?
[瓶を差し出した。]
……ん。
[自分の残り体力を考え、先程のツェーザルの有り様――凶暴化した兎の凄まじさを思い出して、天秤にかけた。
またもう一回同じことをやれと言われても無理。成功させる自信がない。
ならば、ここは一択。]
ええよ。
おまぁにやる。
さっき一本飲んだし、おいはまだ何とかなりそうじゃ。
[ニカリと笑って、手を離した。]
……覚えちょらんのけ?
[下がった眉と声音を見て、ツェーザルが暴れていた間のことを覚えていないのが分かった。
子供のように無邪気なツェーザルは、嘘が上手くない。
一度だけ目を瞬かせて考え、]
もう大丈夫じゃ。
ちゃんとチェーザルがくっつけてくれたけえ、全然痛くないぜよ。
[安心させるようにニパリと笑い、またぐしゃぐしゃっとツェーザルの髪を掻き混ぜた。]
うーん……
[唸ってしまった。
相変わらず、ツェーザルの説明は要領を得ない。
恐らくとても大事なことを言ってくれているのだと思うが。]
ええっと、まあ、うん。
蛇を見つけたら話を聞いて、心臓を探せちうんじゃな。
[物凄い要約した。]
[ふんふんと頷いて、音のする方向に顔を向け、耳を傾ける。]
そうけ。
チッチッチッチッってなあ。
……て。おい。
[一瞬で顔色が真っ青に。]
[一目散に音のする方とは反対方向へ走りだした。
それこそ脱兎のごとく。
そがいに大事なこつばもっと早く言わんね!と、とても突っ込みたいけど、喋る余裕もない。]
[ごろんごろんと何か固い、岩のようなものが転がる音が背後から迫ってくる。
後ろを振り向いて何が来たのか確認したくなったが、そんなことをしてたらスピードが落ちるので耐える。
時計の針の進む音みたいなのの間隔がどんどん狭まってきてるのだが、まさかアレがカウントダウンなのかとチラッと思った時にはもう遅かった。]
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