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― 戦場 ―
……リーゼロッテ? でも……!
[>>163続く言葉は、淡々と。
けれども。静かな否定に、気付く。]
…………まさか……!
[そう言えば。
本家の者は皆、……特に分家の自分たちが居る時には、表立っては態度に示さなかったが。どことなく、エリーザベトを軽んじている気配はなかっただろうか?
幼い頃。エリーザベトに良く似た女性に、何か言われはしなかっただろうか?]
それ、でも。
[けれども。
出会ってしまった。他でもない、生きている“この子”に。]
……忘れるわけがないでしょう……!?
[>>164小さな言葉に、頭を振る。
遠く、軍馬の蹄の音。又従妹の背後、視界の隅に見えるのは、海精の鎧を付けた兵士たち。]
っ…………お前たち、下がっていろ!
[鋭く、指示を出す。
別の部隊の兵ではあったが、隊長格のラートリーの姿に思う所があったらしい。
殺気を帯びた声音に。ウシャスの声が、低く、訝し気に。]
――――……大丈夫だ、ウシャス。
……連れて帰ろう。
そして……いや。……全ては、そこからだ。
[戸惑う愛竜に、囁く。
もう、望む事を躊躇わない。いつかの傭兵の言葉に、手綱を取る。連れ帰り、話を聞いて。そうすれば、きっと……きっと、“最善”が浮かぶはず。]
――――ウシャス、
[今度は、愛竜も応の声を上げる。
尤も。その威力は、騎竜師の思う通り、傷付けない程度に調整して。小さな火球が、少女へと向かう。]
― 捕虜交換当日 ―
「ああ。……では、こちらへ。」
[>>165馬上の将校が氷竜司令官の声に応じれば。同行していた兵が、氷竜側の馬車へ歩み寄った。
人員を書面と照らし合わせ、当人と確認を取り。同様に、こちらにも氷竜の兵が人員を照らし合わせる。]
……あれが、氷竜の……。
[噂程度には聴いていた。鋼鍛侯嫡子・ファミル=ド=ラヴァンディエの参戦と、港町コリルスの司令官就任。
互いの捕虜が自身の軍へ戻るその最中。
……不意に。>>166その空気が。白の剣士の姿に、一瞬言い知れようのない柔らかさを纏った気がしたが。何分、馬上と徒歩、陣営を別つ身。それ以上、確かめる術も……理由もなく。]
……マリエッタ、無事か!?
[ふと。兵に伴われてか、当人の足でか。
自軍の側へ戻る姿の中に、マリエッタを見付け。声を掛ける。
無事が前提の捕虜交換、とは言え。やはり咄嗟に掛けるのは、そんな言葉で。
>>167司令官の声が、場の散会を告げる。
動揺に、こちらの将校も場の兵を制しながら、一礼と共に馬首を返す。
無事の姿を確かめれば、ほっと息を吐くが。
戦乱は。寧ろ、此処から激化の道を歩むのだろうか。
――――……それに、何より……*]
― 戦場 ―
[>>191「忘れた事は無い」。
涙を浮かべた微笑み。この10年、又従妹はどんな道を辿ってここまで生き伸びたのだろう?]
……済まない……大人しく捕えられてくれ……っ!
[>>192蹄の音に去りかけた又従妹。
その表情は狼狽か、憤怒か。火球に隠れ、それは見えぬまま。]
精霊師……!?
[蘇るのは>>163先ほどの言葉。
騎竜師ではなく、精霊師の才を伸ばした又従妹。]
いや……その才があるのなら、きっと……!
[本家へ戻っても、立派にやっていけるだろう。
……否。本家が拙いなら、此方の家もある。
“リーゼロッテ”として彼女の辿った道も知らぬまま。身勝手な想いばかりが、先走る。]
……、いい判断だ。だが、次は……!
[咄嗟の風、とは言え、火球は弾かれ。
ならば遠慮はするまい、と。次いで、ウシャスの手綱を切る。]
――――
[今の一撃で、ウシャスも力加減を察したらしい。
上がるのは、轟炎。いつか傭兵と白の剣士を割いた、大地を走る、炎の壁*]
― 戦場 ―
[>>202何故、と叫ぶ又従妹から目を逸らす。
自分独りなら、見逃すことはできた。だが……背後に兵が居るのなら、せめて。自分の手で、捉える他ない。
それよりも、何よりも。]
……あくまでも、氷竜を名乗るか……!
[>>205名乗りに舌打ちし、炎の行く末を見る。
連れ帰り、保護して、そうして。……きっと、今度こそ。]
[だが。炎は、竜巻に呑みこまれ。]
ちっ……ウシャス、
[炎を纏う竜巻に呑まれかけるも、寸での所で躱す。
……が。纏う軍服の一部から、焦げた布の香が風に乗り伝わる。]
風を使うか……ウシャスでは分が悪いか。
[ならば、取る戦術も変わる。
ウシャスに数言囁けば。目を離さぬよう旋回しつつ、高度を下げ、手頃な足場が見えた所で飛び降りる。
……ウシャスにはそのまま、空を舞わせ。]
それならば、直接……っ!
[蒼天に紅は翻る。
下げた短剣とレイピアを抜き、刺突の構えで又従妹の方へ駆ける。
狙うは、肩口。
リッターの家は、騎竜師の家系。剣術の指南はされていたはずだが、彼女の腕はどうだろう*]
― 戦場 ―
[飛び降りる寸前見えた瞳>>213を、脳裏から振り払う。
……戦場の常。傷付けないように、とは言え。向かい往く事だけでも傷付けているのは、確かで。
>>215感じた手応え。そのまま、首筋に刃を宛がおうとして。]
…………なっ、……くっ!!
[突風。その後に、斬撃。
波打つ炎の刀身は、死より尚苦悶を与える剣……フランベルジュ。
咄嗟に退いたが、その斬撃を受けた腕が鈍く痛む。]
くっ……それならば……!
[レイピアでは止めきれぬ太刀筋。
ならば、と、左の短剣で剣を弾く構えを取る。
実際弾けるかどうか、は、鈍い痛みと強風の余韻で掴み切れぬまま。持つ手目掛けて、短剣の鍔を押し込んだ*]
……!?
[と。>>217向かった先から、彼女の乗る馬が暴れ出す。
……が、これは絶好の機会か。]
……済まない、エリーザベト。
ウシャス、行け!!!
[合図と共に。空中、待機していた竜が、地に向けて風を起こす。
無論、攻撃までの勢いはないが……その傍にあるのは、連日の霧で露が残るままの、木。
突然の風に木々の葉は露を落とされ……怯えた馬に、降りかかる。
視界を奪われた馬は、暴れ、もがき。
……乗り手を地へと落とした*]
― 戦場 ―
……エリーザベト?
[地へ落ちた少女に動く気配はなく。
慌てて駆け寄れば、反応も無い。……どうやら、意識を失ったようだ。]
……待て!
この娘は、中央に連なる貴族の娘だ。私が運ぼう。
[捕縛を、と駆け寄る海精の兵を制し、その身を抱える。
……当人にしてみれば、若干不本意な扱いをさせてしまうかもしれないが。]
済まない、エリーザベト。
……往くぞ。
[兵にそう告げ、再びウシャスを呼び。
意識の無い少女に詫びを述べながら。抱えたまま、再び空へと舞い上がった。
……後には、少女の乗っていた馬を残して*]
暁紅の騎竜師 ラートリーが「時間を進める」を取り消しました
― 上空 ―
……気が付いたのね、エリーザベト。
痛い所は無い? 怪我は、酷くない?
[>>238意識を失う直前の彼女の想いを知らぬまま。
>>239自分の名を呼ぶ声に、彼女の瞳を見つめる。]
そう、ね。……拠点に連れ帰り、捕虜とするわ。
只。絶対に、傷付けさせはしない。
[リッター家子女。但し、10年前に死んだはずの身。
その身柄を捕えども、本人と確認するにはかなりの時間を要するだろう。……特に、家の側にやましい事情のある今は。
だが。それ故に、暫くは拠点預かりの身とする事を主張できるはず。……そう、告げようとして。]
レト、……レナートゥス?
……貴女、あの子に……。
[>>239だが。問いかけに、瞳を瞬かせる。
その名が出ると言う事は、恐らく。逢ったのだろう。この子もまた、あの子を知る身なのだろう。
続く言葉。自分の命よりも、尚。切なる願いを告げる声から、視線を逸らす。]
……貴女は、あの子の生まれまで知っている?
[自分も、祖父母の元に居たからこそ知る不祥事だが。或いは本家の方にも、内情は筒抜けだったのかもしれない。
それこそ、幼い子供の耳にも、容易く入りかねない程。]
あの子は。あの汚らわしい男……父が、コリルスの商家の娘に手を出し、生まれた子よ。
元より、……その存在を認める訳にはいかないの。
[頭を振り、そして。問いかける。
母が自害したのは、この子が存命とされていた時分だ。あまりにも不自然な別居と、死。或いは、そこから繋がる物もあるかもしれない。
……ただ。いずれも、幼い子供の眼差しには、どう映っていたのだろうか。]
……フランツを、覚えている?
ああ、でも。直接会った事は、結局……無かったわね。
[病弱な弟は、彼女が本家に居た間は、外に出る事もままならず。
それどころか。与えられた卵を孵したはいいが、まともに空も飛ばせられぬまま、恐らく今も自室の寝台からこの空を見つめている。幼い姿のままの、愛竜と共に。]
どんな子であろうと。私の家の跡継ぎは、フランツただ一人。
……例え、何があろうとも。
[それは、母を亡くした意地も絡んでいる。
幸い父は、その後新たな妻を娶る事は無かった。それは、母への懺悔故か。……濃厚なのは、外聞の悪い自死と、落胤の存在を念頭にこれ以上の跡目争いを起こさぬ道を選んだ線だが。それはともあれ。]
……安心しなさい。
あの子は、何があろうとアイヒェ家の子のまま居なくてはならないわ。
[そして、そのまま消えるべき子なのだから。と続けようとして。
そのまま、言葉は出なかった。
……死を望むのは、家の為。
けれども。いつかあの空で出会った子供の笑顔は、片時も、忘れた事は無かった。
全てのしがらみを差し引けば。決して、悪くは無い思い出と共に。]
…………出遭い方が違えば、まだ。
違う道も、選べたのだろうけど……。
[……最善は、未だ見つからない。
頭を振って、そのまま、蒼天を見据えた*]
認められないなんて、そんな……
…………。
[>>257……とは、言うが。
騎竜師の家柄故に、理解はできる。才が無い子供は、母と言う後ろ盾を失い、そして。死んだ者として扱われた。
>>258続く言葉に。年月は知らずとも、2人の絆は薄っすらと感じ取れて。]
…………。
あの子は、本当に……愛されて育ったのね……。
[思い出すのは、>>2:453いつかの言葉。
愛され育まれた街と家。そして、恐らくは。
>>262紡がれる願いは、切実に。
けれども。何よりも、尊いもの。]
……………。
その願いは、戦争中どれだけ難しい物か、解っている?
……“ ”。
[呼んだ名は、高度を上げたウシャスの翼の音に掻き消える。
哀願に、それ以上は答えぬまま。紅の竜は、陣へと飛んだ*]
― 通信 ―
……そう、か。
[>>~0報告を受けていた件で、コンラートから通信が入る。
>>~2聴こえた声には、それ以上は問わず。]
――――……次が無ければ。
それが一番なのに、な……。
[詰問する、と言うよりは、ただの呟きとして。
想いを馳せるのは。戦場の向かい側に居る、あの眼差し。]
― 上空 ―
[そして。その後、精霊師の少女と共に拠点へ飛ぶ途中。]
……敵の精霊師と遭遇。
交戦の末、捕縛した。これより拠点へと連れ戻る。
[事実を告げる声は、淡々と。乾いた物*]
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