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[少しだけ、遠くを見るような目で。
誰を、何を思い出していたのかは、男以外に知るすべは無い。]
俺にとっては、たいした事もしてやれなかった"敗け戦"だ。
そんでも、終わった以上は並んだ首の数だけ、手向ける花は要るもんだ。
[戦火の鎮んだ戦場に。
悼む者の無い墓石に。
無数の"再会の約束"を咲かせるために、男は独り練り歩く。
そうして打ち捨てられたような冷たい石の上。彼岸と此岸を繋ぐ緋色の花が揺れる中で、再び彼と出逢ったのだ。]
戦さ場を駆けるお前は美しかった。
手負いになってもそれは変わらなかった。
動く脚を失っても、未だ消えぬ火を押し隠し生きるのを見るのは忍びなかった。
…どう話かけてみても、お前に俺は見えなかったようだが。
[変顔とかも相当やったぞ。まあ見えるほうが稀だからな。
肩を竦めて、茶化すような溜息。けれど、青年はどんな表情をしたとて、男はそれから目を反らすことはしない。]
ルート。ルートヴィヒ。
俺はお前が愛おしいよ。
もう一度、お前が自由に野を駆けるのを見たかったんだ。
[すいと手が伸びて、青年の銀の前髪を掬った。そのまま、指の甲が頬の上を撫で落ちる。
慈しむようなその動きは、彼が拒まなければそのまま何度か繰り返されただろう。*]
ふ、は。
成程、あの朴念仁が入れ込む訳だ。
[最小限の動きで追撃を躱すナネッテ>>*27に思わず笑いが溢れる。
神話の神の名を知りながら>>37、それに臆せず寧ろ熱を帯びるその目。溢れんばかりの闘志は、男にとって酷く心地の良いものだった。]
む?
おお、先刻の足場か。
[ナネッテが虚空を蹴り跳躍する。>>*28
先程氷華と蓮魔の戦いを観戦していた際に使っていた足場の応用だろう。]
[捻りを加えた蹴りが顔面へ向かい飛ぶ。
地を砕いた鎚頭はそのままに、左手で長柄を立ててその脚を受けた。
只の人間とは思えぬ重みの衝撃を戦鎚の柄で殺し、空いた右手でその足首を掴む。]
失礼、レディ。
[にんまり笑ってそのまま、遠心力を乗せて彼女の身体をぶん投げる。
後方の木の幹に激突する前に、恐らくこの従華は体勢を立て直すだろうが。長柄を握り直して、ナネッテを投げた方へと距離を詰めた。*]
ッはは!褒め言葉だな!
[馬鹿力。繰り返し罵られれば>>*37高らかに笑い。
ナネッテは距離を取らずに向かってくる。ならばこちらは、と、浅めに踏み止まり長柄を掴んだ左肘を突き出す。戦鎚の支点となる右手を半身を捻って後ろに引くと、無骨な金属塊は地面すれすれに草を薙いだ。]
これではどうかな、ッ!
狙うは脚。
緋色の獣は、一撃で沈める心算で一気に下から掬うように獲物を振り上げる!*]
/*
みなさんほんと返信が早くていらっしゃる(ひれ伏す
あとねアレです、PCではなくPLが他所様のPCである女の子の柔肌に傷を付けるのに躊躇うのですどうしても
言ったろう?
我が身は雷──、"墜ちよ"。
[バチン。
空気を裂く派手な音を立てて稲妻が舞った。
娘は左手から繰り出した闇塊で戦鎚から受けるダメージを相殺する。>>*40しかし、殺しきれない衝力が彼女を空へ打ち上げる。
その瞬間その身に走ったであろう雷に意思を奪われた身体は、しかし奥歯を噛むような声音共に舵を取り戻した。>>*41]
『墜ちるもんか!!』
[見上げる上空、響く声に緋色の獣の笑みが深くなるのはもう仕方がない事で。]
応、来い。
[落下の慣性よりもずっと速い突進と、走る衝撃。]
…っ、ぐ、…!
[狙いは頭だろう。衝突の瞬間に芯を逸らして直撃を避ける。狙いのブレもあろう、しかし組んだ両手は男の左肩を捉えていた。
確りと地を踏んだ左の踵が鎮む。
恐ろしいほどの衝撃は、流石はあの魔神の従華と言ったところか。]
だが、ここも己の間合いよ…!
[獣が牙を剥く。
あっさりと戦鎚を手放した男は、ナネッテに距離を取るのを許さず右手で装束の胸倉を掴んだ。
左手で娘の腕を抑え、そこを支点に背負い投げる要領で、背から地面に叩き付ける。
ナネッテの回避は間に合ったろうか、いずれにせよ再度得物を手にして崩された体勢を整えるつもりだ。*]
ッち、ィ
[蹴り上げる爪先が避け切れず顎を打つ。
咄嗟に上向いて逸らした為、脳を揺らすには至らない。
くるり回って身を起こした相手は、直ぐさま距離を詰めた。戦鎚を構えるには数瞬足りず、また振るうには近過ぎる。繰り出された掌底を左手で払い、体を反らして受け流そうとする。
しかしその左手に一瞬走った鈍痛に、払い切れなかった拳が胴を掠める。
ダメージは然程ないものの軍服の金具が弾け、男は目を丸くして、戦鎚片手に地を蹴った。距離を取り、肩を回す。]
『玲桜の燭』、か。
暇人め。いったいどれ程の力を与えたら人間の
[ぷらぷらと左手を振る。
骨が砕けた訳では無いが、確かに芯に痺れが残る。
速度と重力の乗った
こいつは困った、
[その、肌の更に下。]
愉しくなっちまう。
[亀裂のように罅割れた隙間から、僅かに覗く緋色の鱗のようなものに、対峙する従華は気付いたかどうか。]
りの術も、闘うすべも、まだあんだろ?
だったら、
[放電に揺らめく赤灼の髪。
口調は雑に、もうその笑みの獰猛さを隠しもしない。
再び手にした戦鎚に、パン!と耳を劈く音を立て稲妻が落ちた。
バチバチと雷を纏う得物を構える。
獣は地を蹴って走り出した。]
殺す気で来いよォ!ナネッテ・ナイトレイ!!!!
[戦鎚を横薙ぎに右から胴を狙った一撃。避けたとしても、続け様に返す一撃、掬い上げ、振り下ろしと神速の連撃が彼女を襲う。
その上スレスレの攻防では纏う雷が逃してはくれない。捌くにしろ、対する従華も無傷とはいかないであろう。**]
[主の語るのは、己の良く知る物語。
当然だ。
その渦中に、己はいたのだから。]
…あの日、王都は深紅に染まりました。
[咲き乱れる、曼珠沙華で。
思いだし、男はそっと呟く。
戦場とは言え、ただの革命。
舞台となったのは、人々の済む王都の中心部。
にもかかわらず、民衆の一人として巻き込むことなく終わった戦。
流れた血は、最後まで王を裏切ることの無かった僅かな兵士たちのもの。
それと…王自身。]
『お前は、この国を戦火に沈める気か』
[問う王に、当時将軍として戦場に立ち、そして革命を起こした張本人である
『この地へは、断じて踏み込ませません』
[国を想う心は同じであった。
ただ、目指すモノが異なっただけ。
民の幸せとして、願う物が異なっていた。
穏やかな平和か。
邁進する未来か。]
『なれば、見せてみよ』
[お前の創り上げる、未来を。
蒼い目をしたその人は、
振るわれる刃の下、紅に散った彼の人は、最期まで己を飲み込む
[勝利した者には、正義を名乗る権利がある。
同時に、その陰に散った誰かの願いを背負う義務がある。
そう教えたのは、男の
一国の王の願いを喰らい、新たなる皇帝として君臨した男である。
当時の男には、分からなかった。
誰かの志を討ってまで、通す大義があるのか。
しかし、喰らった以上は働かねばならぬ。
そうして世界は回っている。]
[だから、これは罰である。
若き王子の牙を受け、傷を負ったこの体が、思うように動かなくなった時にそう思った。
努力はした。
しかし、どうしても、傷を負う前には戻らない。
しかし、戦場へと赴けなくなったことが、何よりも男を苛む。
この手に刃を握る意味。
自らの手で、切り開く意味。
喪って初めて気づく、それらに、無言の内に歯噛みした。
男自身が喰らった三つの命、それに報いることは、できるのか。
三つの無銘の意志の前で、男は贖罪すらできずに立ち尽くす。]
そう、でしたか。
[己では、泥の中を這いずっているような心持だった数年だった。
それを、この人は美しいと言ってくれる。
それが己にとって、どれほどの救いになるか。
貴方はきっと、気付かない。
けれどせめて、と男は願う。
己に、失ったものを与えてくれたこの人の、その心に報いたい。
失望させたくはない。
期待に応えたい。
…愛され続けたい。
願う言葉は胸の内に。
静かに降り積もる、想いを胸に抱き。
ただ一言、感謝を述べた。*]
[短い礼の言葉に目を細める。
青年のその心中、その表情の意味を全て慮れるほどの感情の機微は、長命すぎる男は持ち得ていない。
けれど分かることもある。
だから、何も言えなかった。]
…俺ばかりがお前に詳しいのも、あれだな、なんか狡いな?
戦に向かう前に、予備知識として少し俺の話をしよう。
[二杯目の茶を継ぎ足しながら、肩肘ついて話題を変える。
それが気遣いなのか素なのかは、傍目に判別し辛いところであったかもしれない。]
最初に言った通り、俺たち《雷華》は、闘争と放浪の民だ。
戦を好み、乱世を歩く。
古くは雷神の血を引くってハナシで、だから大抵みんな"
[そう言って自らの髪をひと掬い指で弾くと、小さな稲妻が空気を裂く。
やや鬱陶し気に掻き上げると、赤灼と金糸の波が流れ落ち、また守るように男を包んだ。]
俺たちの中には、生まれたときから雷華のやつは殆どいない。なりたいやつ、なれるやつに血を分け与えて、仲間に迎える。
だから元の種族も姿もまちまちだし、獣なんかも多い。
その世代の長が、みんなの親父だ。
同じ親父に拾われたやつは、兄弟になる。
[こいつらも兄弟なんだ。
示した先には定位置らしき敷布の上にめいめい臥せるハイイロオオカミの姿。
アイスブルーの双眸はちらりとこちらを一瞥してまた伏せられたが、エメラルドは呼ばれたものかと立ち上がり、尾を揺らして駆け寄ってくる。
ウルはルートがお気に入りだなあ。
男が笑って撫でてやると、狼は嬉しげに男の手をべろりと舐める。
それから、手前に座るルートヴィヒの顔に鼻先を近付けて、すんすんと鳴らした。]
ルート。
口開けて、じっとしてな。
そいつ、お前のこと
[獣が相手の口元や口内を舐めたがるのは、主や仲間に対する挨拶は勿論、親愛や好意を示すことが多い。
甘えているだけの場合もあるが、兎角鼻先を突っ込みたがる。
面倒でも、付き合ってやってくれ。
そんな話をする間に、青年の顔面はべしゃべしゃにされたやもしれないが。
いつの間にか挨拶に加わっていたシヴにもしっかり舐め回されて、ルートヴィヒはどんな塩梅だったやら。
その間ガートルートはと言うと、にやけた表情を引き締める気も無いらしく。一人と二匹を楽しげに眺めながら、またキャラメルを食んでいた。**]
[宵闇を操り戦鎚の直撃をいなし続けるも、どうやら稲妻までは防げないらしい。>>*68>>*69
焼け焦げた繊維の臭いが鼻を突く。
繰り返し微かに漏れる苦痛の声も、上がる息も、そんなものにすら煽られるのは最早情動に近い破壊衝動。
声にならない笑いが漏れる、けれど、笑っているのは相手も同じだ。>>*69
乱れた着衣を直しもせず、ナネッテがまた地を蹴り走り出す。
振り抜きまた地面を砕いた戦鎚を、立て直すのが間に合わない。軸となる左手にうまく力が入らないのは、肩へのダメージが尾を引いているのだろう。]
──…ッが、ァ…っ!
[跳び上がったナネッテの、足場代わりの額への一撃は大したものでは無い。
しかし衝力に逆らえず顎の上がった状態から、続け様能天を打つ踵落とし。
みし、と頭蓋の奥が軋み、強く揺られた視界がわんと歪む。そして、
ぱきん。
硝子が割れるような、小さな破壊音。
たたらを踏んで、しかし踏み止まる。
膝を付く事はしない。追撃を拒むように空に舞った赤灼の髪から、四方に稲妻が走った。]
……っ、は、……ははッ、っはははは…!
[地に埋まった戦鎚に縋って、俯いた男から漏れる哄笑。
口の中が切れたのか、ボタ、と赤い雫が地面に落ち、そこから雷花が芽吹く。]
まったく…本当に参るよなァ…
俺が持ってる防御スキルは、今ルートに全振りしてる。
そんでもあれだけ
[口元を拭う男は、未だ顔を上げない。バヂ、と、身体の上を雷が舐める。何度も。そして。]
お嬢さん、アンタもとんでもねぇぜ…?
──あぁ、お陰で、
[ゆらり、身を起こした男の顔は。
右目付近の皮膚が、罅が入ったように剥がれ落ちて。そこから覗く、緋い鱗。琥珀の瞳孔が、きゅう、と『縦に』伸びた。]
[足が地を蹴る。戦鎚を手離した両手が地に着いた。瞬間、間合いが一瞬で縮まる。四足の獣じみた疾走は、先ほどまでとは段違いに疾い。]
愉しいなァ、愉しイ、!
[歪んだ声で緋色の獣は哭いた。
ガチン、とナネッテの喉笛の位置で牙が鳴る。彼女は咄嗟に身を退いただろう、至近距離で細い瞳孔と紺青の瞳が睨み合う。
左手を鉤爪のように曲げて横に薙ぐ。
肩の罅は手の甲まで広がっていた。パキン。音が鳴るたび、剥がれ落ちた皮膚が地に落ち、赤い花が咲く。
無造作な一撃は玲桜の燭に届いたか。
だとすれば、服はおろか皮膚を、もしかしたら肉をも裂くそれは、まるきり獣の爪のごときものだった。*]
『何』だと思ってたンだァ?
この、俺が、バケモノ以外の、
[なにに見えるってんだ。
黒い角を揺すりケタケタと嗤いながら、ガートルートは左手首を伝い落ちる赤を舐め取った。
右手を地に着き巨躯を屈めたまま、爛々と光る琥珀の瞳がナネッテを睨め上げる。
しゃら、と澄んだ音。
彼女が右耳に触れる>>*80。何かが揺れて、きらりと柔く陽光を反射した。
壊されるもんか。
強い意志と闘争心を宿した声。>>*81
ああ、なんて愛おしい。その輝きこそ、我が力。我が魂。]
『ここより先には、何もない』。
[ぽつり、小さな男の声が落ちた。右手を地から離し、左手をだらりと垂らす。
依然低い姿勢のまま、右腕を大きく後方へ逸らすと、途端、後方へ置き去りにした戦鎚がカタカタと揺れだした。
否、戦鎚だけでは無い。砕いた地面や、あたり一面にある大小様々な岩の欠片が、震えながら宙に浮く。
バチバチと雷を纏う戦鎚。
強力な電流が、磁場を生んで鉄を含むこの地の石や礫を引き寄せている。]
我が名は、《
[応じるように、ガタン、と大きく揺れた戦鎚が浮き上がった。
男が高く右手を掲げる。天を向く掌の上、見上げる高さに浮いた戦鎚。引き寄せられた石や礫が貼り付いて、巨大なニ叉槍じみた形を成してく。
緋色の獣が、牙を剥いて笑った。
琥珀の瞳は数尺向こうの紺青を捉え、やがて上体を大きく反らして振り被る。]
────《
[怒号と共に、破壊の槍が放たれた。*]
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