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― 春日大社 ―
[上り坂は体力を消耗するが、深い森の秋の空気は澄んで爽やかだ。
車の喧噪も遠く、みーみーと猫じみた声で鹿が鳴き交わすのみ。
特別拝観エリアにあるくだんの神杉、ここが藤原氏の氏神神社ということで大事にされている古藤、柏槇と杉の合体樹もあるし、馬酔木のみが残された祢宜道など、春日大社のパワーツリーは枚挙に暇がない。]
好葉が心地よいと感じるところに立つといいぞ。
[木を育てる水属性の巫女にそう告げて、目を閉じる。]
[やがて、好葉が場を定めれば、]
いのるところねがうところ まもりさきはいたまひ
──急急如律令
[木の葉を撫でるよう、すっと神力を集めた。1(20x1)]
[なんだか、スルーっと神力が擦り抜けていった。]
のわー、
伏見の爺狐、力を貸せい。
[吉おみくじ効果で振り直しを要求!
改めて、7(20x1)の属性加護をゲット。]
ふ、ははは
まだ足りぬのう。
[アウェーのせいか、いろいろ足りてないのか、乾いた笑いで誤摩化して、好葉を次のパワースポットへ促す。]
「二月堂」まで行ったら、龍美堂でわらび餅でも食うか。
しかし、あと一カ所ではまだ足りなかろう。
木属性、難しいのう。
東大寺の「正倉院」には「蘭奢待」の名で知られる国宝の香木が収められているはずじゃ。
「正倉院」自体が校倉造りの木造建築として有名であろ。
一応、「二月堂」と同じ東大寺境内じゃ。
…東大寺、広いのう。
まあ、行ってみるか?
[ちなみに宝物自体は、現在は正倉院の隣の防火宝物庫に格納されてるそうな。]
水属性ならば、駅向こうになるが、平城宮跡の北端にあたる「水上池」とかも、古くからのパワーを持っていそうだの。
昔は「佐紀池」と呼ばれたらしい。
「をみなへし 佐紀沢に生ふる 花かつみ かつても知らぬ 恋もするかも」と万葉集にも歌われた池で、神功皇后陵・成務天皇陵・孝謙天皇陵・日葉酢媛命陵・磐之媛命陵などの陵墓の堀の水もだいたいこの水系になる。
この辺りは古墳銀座じゃの。
あと、わしのお勧めとしては「平城宮温泉」 どうじゃ?
沸かし湯だが天然温泉で、日帰り入浴可能だぞ♪
[水が大量にあればいけるかも、という単純発想になった。]
/*
今夜も皆さん、引き続きお楽しみを。
今日は(も?)いい具合に飲んでるので、これにて就寝。
ちゃおー**
[自転車を漕ぐ好葉の足が、途中で止まる。>>204]
む、どうした?
ほほう、社があるか。
[樹々の黄葉の中、朱塗りの橋は鮮やかである。]
[好葉の簡略祝詞は、好葉の心にも似て軽やかで清々しい。]
好葉の声は天性の雅楽じゃ。
ほうわー
[水をくぐったような清冽な気に晒されて変な声が出た。]
[呪詛はかなり薄れたようだ。]
よいのうよいのう、その調子じゃ。
この先もすこうし上りじゃが、頑張れー
[ペロンと好葉の耳を舐める。
ご褒美ですよ?]
[水谷神社の先、道路を渡ればそこは、毎年1月に山焼きが行われることで有名な若草山の山麓。
旅館や土産物屋が並んでいる。]
あそこに売っている鹿の角は地場産なのかのう?
「鹿のふん」なんてお菓子、修学旅行生以外でも買うのか?!
[そんな興味を示しながら、肩上観光。]
ほら、あのあたりが手向山ぞ。
百人一首で菅原道真が「このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに」と取り上げておる紅葉の名所らしいの。
[紅葉の盛りはもうちょっと先だが、周囲の楓の先にはちらほらと色づいている葉もあって風情がある。]
ほら、それが菅公が座ったという石。
[よくある民間伝承のそれを尻尾で示した。
学問の神様とはいえ、座っても成績アップの効果はないでしょう、多分。]
あのでかい鳥居は八幡宮、すなわち祭神は応神天皇じゃの。
鎌倉時代にここへ遷宮したものだという。
[奈良巡りをしていると、1300年前がデフォルトになって、鎌倉時代が新しく思えるから不思議。
武運長久を祈るのはまたにして、挨拶の尻尾ふりふり。]
ここを過ぎたら「二月堂」はもうすぐぞ。
頑張れー
[好葉の肩に鎮座したまま二月堂拝観。
寺に神がいる図。
そのせいか、ちょっと借りて来た狐をしていたが、好葉が示す眺望にふむふむと首を伸ばした。]
見晴らしいいのう。
[ちなみに24時間オープン&夜間灯明している二月堂は、奈良っ子のデートスポットだそうな。]
[その二月堂のすぐ下にある「閼伽井屋」の前で、好葉が井戸神祭抄を誦する。
その和韻に、気が溢れ出す。]
──まことにみづみたしなりたらしてん やおよろづのかみたちもろともに
[ほろほろと呪詛がとけてゆく。
これ以上、両者を縛っても嫌がらせにならないというかのように。]
ふ、
好葉よ、これからもわしに添うてくれい。
[耳元にそっと、ことのはを吹き寄せた。]
[呪詛のせいでなく、こうしていられることを言祝いで尻尾をふさふさと揺らす。]
おお、わらび餅じゃな♪
焙じ茶アイス、あるかのー
[ここまで自転車を漕いで来た好葉の健闘を讃え、「二月堂」隣の茶屋で一休みだ。]
うむうむ、清いのう。
[好葉の素直な返事に喜んでいたら、茶屋まで猛ダッシュされ、肉球でしがみつく。
爪をたてたらきっとお仕置きだからね。]
[注文した甘味の前に、サービスで行法味噌とやらが出た。]
あーん。
[好葉の顔の横でクワッと口を開いてご相伴に預かる。嬉しい。]
うむ、酒のアテにもなりそうじゃの。
[寺内だと酒と呼ばずに般若湯かな?]
/*
>>-435 愛ゆえに!
[雲外鏡をそっと隠したw]
余は眠いのである。腕枕を要求するのだー**
[好葉とともに龍美堂のわらび餅を堪能する。
つるんでぷるるんを好葉の唇が味わう様は目の保養。]
口の喜びはコウ福ぞ。
わしがもっともっと好葉を幸せにしてやろうのう。
[まったりと微笑む。]
[帰りの下りの自転車では人型に戻り、後ろの車軸に立って好葉の肩に掴まってはしゃぐ。
風を切って古都を駆け抜ける自転車。
飛び去る風景の鮮やかさに歓声をあげた。]
好葉ー、あれを見よー
[思い出をまたひとつ引き出しに。]
[近鉄奈良から京都までは乗り換えなしで1時間ほどだ。
ずいぶんと都会に帰って来たという感じがする。
これから新幹線に乗って、もっと都会の東京に帰るのだけれど。]
好葉が合法的に酒を飲めるようになったら、二人でまた来よう。
その時は、隠形なしでの。
[できればお風呂も一緒に、というのは野望だ。]
− 京都駅屋上・大空広場 −
[土産物を買い込む好葉にくっついて回った後、新幹線を待つ間にと、高いところが好きななんとやらは、京都駅屋上に行こうと誘った。
近代的な京都駅の上に広がる禅めいた和空間。
東寺の塔もよく見える。]
古都へ来た記念に、好葉へプレゼントじゃ。
[取り出したるは透け素材のロングスカーフ状の布。
ふわりと肩にかける。]
うむ、思ったとおり、よく似合うぞ。
[むろん、小遣いで買ったものではない。
この比礼の由緒が語られるのは、また別の機会となる。
決して入試に出ないだろう「十種神宝」「日緋色金」などいう漢字があたりまえに読めるようになってしまう余録つきで。**]
[好葉の反応にうっかり尻尾が出た。ふぁっさふぁさ。
明るい笑顔を眩しげに見つめる。]
うむ、ふたりでいれば世界はあたたかいのう。
[2泊3日のささやかな旅行だけれど、それ以前より確かに絆が深くなったと感じる。]
ふつつかな神じゃが、これからもよろしくな。
[キュ、と手をつないで舞台へと向かうように大階段を歩き出した。**]
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